JP2021023496A - シェラック溶液の製造方法、および紙製ストローの製造におけるシェラック溶液の使用 - Google Patents
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Abstract
【課題】人体に対する安全性がより高い紙製ストローの製造方法を提供する。【解決手段】昆虫が分泌する物質を抽出することで得られる天然由来の樹脂であるシェラックとエタノールとを混合することによってシェラック溶液を調製するステップ、前記シェラック溶液を、紙製基材の少なくとも一部に塗布するステップ、前記紙製基材を筒状に形成するステップ、および任意選択により、前記シェラック溶液を乾燥させるステップを含む紙製ストローの製造方法。【選択図】図1
Description
本発明は、シェラック溶液の製造方法、および紙製ストローの製造におけるシェラック溶液の使用に関する。
一般に流通しているストローの多くは、プラスチック製である。プラスチック製のストローは、環境問題の原因になるとして、削減への取り組みが進められている。その代替として、紙を素材に用いて製造されたストローが注目されている。
こうした状況を鑑みて、環境への配慮として、プラスチック製品の使用削減への圧力が社会的に高まっている。その一環として、プラスチック製のストローの削減への取り組みが進められている。諸外国において、複数の世界的な飲食チェーンが、プラスチック製のストローを廃止することを表明している。また、日本国内においても同様に、プラスチック製ストローの提供を廃止した飲食店や、将来的に廃止することの検討を始めた企業が存在する。
しかし、ストローは無用のものではなく、プラスチック製のストローを使用しないのであれば、それを補うための仕組みや代替品が求められる。飲食店において飲料を販売する際には、ストローを添えて提供することが多い。持ち帰りなど移動を前提とした提供の場合、容器には蓋が必要であるが、ストローがあれば容器から蓋を外さずに飲むことができる。また、ストローを介して飲むことにより、口紅などの化粧が崩れるのを防止することができる。さらに近年では、見栄えの良い写真をSNSに投稿することが日常の楽しみとして定着している。飲料の写真において、ストローが構図やバランスに与える影響は軽視できるものではない。
従来のプラスチック製のストローに代替するものとして、紙製のストローが注目されている。紙製ストローは、自然界に存在する微生物の働きによって分解される。そのため、適正に処理されず自然界に流出した場合であっても、環境に与える悪影響を低減させることができる。
こうした紙製ストローは、紙製の基材を接着剤で接着し、筒状に形成することで製造される。接着剤としては、酢酸ビニル系の合成樹脂や、デンプン系の糊がよく使用される。これらは30分程度の浸漬であれば接着成分が溶出することはなく、安全性に問題はないとされている。また、食品衛生法においても、これらの接着成分の使用を禁止する規定はない。
しかしながら、人体への安全性がより高く、環境負荷がより小さい、生分解性の接着剤を用いて紙製ストローを製造することができれば、紙製ストローのさらなる普及が見込まれ、環境保全への寄与を期待することができる。
特許文献1は、セルロースエステルと、シェラックと、ロジンとを含むコーティングを開示している。この出願は使い捨ての食品用容器に用いる耐湿性コーティングに関するものであり、該コーティングを用いる基材として、紙を含むことが記載されている。しかしながら、その目的は、生分解性の容器における耐湿性を向上させることであり、基材を一定の形状に形成することまでを含むものではない。また、コーティングの製造をより簡便にするという観点において、改善の余地がある。
プラスチック製ストローより環境負荷が小さい代替品として、紙製ストローが注目されている。現在流通している紙製ストローの多くは、接着剤として合成樹脂などを使用しており、安全性の面で改善の余地がある。
そのため、本発明においては、接着剤としてシェラックを用いる。シェラックは、後述するように安全性が高く、紙製基材の接着に用いることが可能な物質である。しかし、シェラックを接着剤として用いて日本国外で紙製ストローを製造する場合には、さらなる課題が存在する。
シェラックは、アルコールなどの液体に溶解させたシェラック溶液の形態で市販されている。しかし、シェラック溶液は揮発性、引火性成分を含有するため、輸送に際しては、安全についての特別な注意が必要となる。特に海外へ輸送する場合は、通関などの手続き、安全対策、および相応の費用が必要となる。こうした条件のもと、対応可能な輸送業者を見つけることは容易ではなく、テスト生産をするだけでも多額の費用が必要となる。したがって、日本で生産された高品質なシェラック溶液の需要に対して、現状では応えることは容易ではない。
本発明は、日本国外においても容易に製造することが可能な、シェラック溶液の製造方法を提供することを目的とする。また、該シェラック溶液を接着剤として用いる、人体に対する安全性がより高い紙製ストローの製造方法の提供も、本発明の目的である。
上記課題を解決するため、本発明は、シェラックとエタノールとを混合することによってシェラック溶液を調製するステップ、前記シェラック溶液を、紙製基材の少なくとも一部に塗布するステップ、前記紙製基材を筒状に形成するステップ、および任意選択により、前記シェラック溶液を乾燥させるステップを含む、紙製ストローの製造方法を提供する。
本発明において、シェラックは紙製基材を接着し、筒状に形成された状態を維持するための接着剤として機能する。また、エタノールはシェラックを溶解させ、塗布に好適な流動性をもたらすための希釈剤として機能する。
シェラックとは、ラックカイガラムシやその近縁種の昆虫が分泌する物質を抽出することで得られる、天然由来の樹脂である。シェラックはアルコールには可溶性であるが、水および他の有機溶媒には、一般に溶解しない。そのため、飲料用ストローに塗布しても、接着成分の溶出や、接着が剥がれてストローとしての形状を損なうことのおそれがない。また、無味無臭であるため、シェラックを塗布したストローを口に入れることで、飲料の味や香りを損なうおそれもない。
シェラックは人体に対する安全性が認められており、食品添加物としての使用実績も豊富である。例えばチョコレートの光沢剤、チューインガムベース、糖衣食品のコーティングとして使用されている。安全性については、食品衛生法において既存添加物として使用を認められている。また、シェラックを原因とするアレルギー発生の報告もない。
本発明の方法により、シェラック溶液の調達において、固体状のシェラックのみを輸送し、現地で調達したアルコールを用いてシェラック溶液を調製することが可能になる。したがって、輸送時の安全性を向上させ、安価にシェラック溶液を得ることができる。また、外国においてもシェラック溶液を容易に得ることができるため、安全で高品質な紙製ストローを安価に製造することが可能となる。さらに、シェラック溶液を乾燥させることにより、防水防湿効果を有するとともに、印刷したインクの溶出を防止するコーティングを施すことができる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明によるシェラック溶液の製造方法、および紙製ストローの製造における該シェラック溶液の使用を、詳細に説明する。
まず、シェラックとエタノールとを混合することによってシェラック溶液を調製するステップについて説明する。
天然に採取されるシェラックの原料は、ラックカイガラムシが樹木に群生し、分泌した樹脂状物質が塊になったものである。これを粉砕、水洗し、含まれている虫殻や水溶性色素を除去したものを、シードラックという。シードラックをエタノールやアルカリ性水溶液で抽出したもの、さらに漂白したものなどが、プロセスの各段階や精製の程度毎に市販されている。一実施形態において、本発明におけるシェラックは、脱蝋、漂白された粉末状のものを用いる。粉末のシェラックは安定な物質であり、外国への輸送であっても特段の障害はない。
本発明におけるエタノールは、純度が100vol%に近いものが好ましい。後のステップでシェラック溶液の溶媒成分を蒸発させるため、蒸発熱の大きい物質、例えば水などの含有量は、少ないことが望ましい。好ましいエタノールの濃度は95vol%以上である。このようなエタノールは、外国においても比較的容易に入手可能である。
シェラックとエタノールの比率は、所望の特性のシェラック溶液が得られる限り、任意の比率であってよい。シェラック溶液に求められる特性としては、溶液の粘度、シェラック濃度などがあり、これらのパラメータに応じて、作業性、塗布した際の厚さ、乾燥時間などが変動しうる。一実施形態において、好ましくは50重量部のシェラックと、50重量部のエタノールとを混合する。
上に記載したシェラックおよびエタノールを、1つの容器に投入し、泡立たないようにゆっくりと撹拌する。
一例において、投入直後は3秒に1回程度の速度で30回程度撹拌し、シェラック粉末全体にエタノールが浸透したら、しばらく放置した。この際、シェラック粉末は部分的にのみ溶解し、粒が残った状態であった。その後1時間毎に20回程度ずつ撹拌する操作を繰り返した。約5時間後、シェラックはエタノールに完全に溶解し、蜂蜜状の溶液を得た。
このようにして得たシェラック溶液は、流動性があるが、乾燥後は硬化する。そのため、シェラック溶液を塗布した基材の接着面と、被接着面とを重ね、乾燥させることにより、基材同士を接着することができる。また、乾燥後のシェラック溶液は、塗布した部分に防水防湿性をもたらす。さらに、シェラック溶液を塗布した部分の強度を高めることができる。
次に、シェラック溶液を、紙製基材の少なくとも一部に塗布するステップについて説明する。
本発明に用いる紙製基材は、筒体状に形成することが可能な可撓性を有する任意の材質であってよい。ただし、飲料中に浸して使用することから、耐水性のある材質であることが求められる。また、環境に悪影響を及ぼさないという観点から、自然界で分解される素材であることが望ましい。
本発明に用いる紙製基材は、任意の形状であってよい。例えば、1枚または複数枚のテープ状の基材を用いても、ストロー1本の長さに合わせてあらかじめ成形した四角形の基材を用いてもよい。
紙製基材へのシェラック溶液の塗布は、例えば、シェラック溶液中への紙製基材の含浸、噴霧器による吹付け、刷毛またはローラーによる塗布などにより行うことができる。
次に、紙製基材を筒状に形成するステップについて説明する。
紙製基材を筒状に形成する工程は、例えば、紙製基材を芯棒に巻きつけることにより、達成することができる。紙製基材は、複数のテープ状紙製基材を、一部が重なり合うように、芯棒に斜めに巻きつけてもよい。あるいは、ストロー1本の長さに合わせて成形した紙製基材を芯棒に、軸方向に対して垂直または斜めに巻きつけてもよい。
心棒を抜き取り、必要に応じて所定の長さに切断することにより、ストローとしての形状が得られる。
所望により、筒状に形成した紙製基材に対して、シェラック溶液を塗布するステップを再度行ってもよい。乾燥したシェラック溶液が、防水防湿性をもたらし、紙製ストローの強度を高めるのは前述の通りである。
あるいは、印刷を施した紙製ストローに対してシェラック溶液を塗布し、乾燥させることにより、印刷したインクの溶出を防止することができる。シェラックは、精製度に応じて褐色から無色の、透明なコーティングを形成する。したがって、漂白されたシェラックを用いた場合には特に、印刷の視認を妨げずにインクの溶出を抑制することができる。
次に、シェラック溶液を乾燥させるステップについて説明する。
溶媒であるエタノールが揮発し、シェラック溶液が乾燥することにより、接着剤としての機能を発揮する。乾燥は例えば、製造ラインに熱風を噴射するステップを設けることにより達成することができる。あるいは、自然乾燥、または温度、気圧、風などを制御した乾燥室に、所定の時間だけ保管することにより乾燥させてもよい。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
Claims (1)
- シェラックとエタノールとを混合することによってシェラック溶液を調製するステップ、前記シェラック溶液を、紙製基材の少なくとも一部に塗布するステップ、前記紙製基材を筒状に形成するステップ、および任意選択により、前記シェラック溶液を乾燥させるステップを含む、紙製ストローの製造方法。
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JP2019142912A JP2021023496A (ja) | 2019-08-02 | 2019-08-02 | シェラック溶液の製造方法、および紙製ストローの製造におけるシェラック溶液の使用 |
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JP2019142912A JP2021023496A (ja) | 2019-08-02 | 2019-08-02 | シェラック溶液の製造方法、および紙製ストローの製造におけるシェラック溶液の使用 |
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JP2021023496A true JP2021023496A (ja) | 2021-02-22 |
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JP2019142912A Pending JP2021023496A (ja) | 2019-08-02 | 2019-08-02 | シェラック溶液の製造方法、および紙製ストローの製造におけるシェラック溶液の使用 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022176903A1 (ja) | 2021-02-17 | 2022-08-25 | 住友化学株式会社 | 家畜用飼料 |
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2019
- 2019-08-02 JP JP2019142912A patent/JP2021023496A/ja active Pending
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WO2022176903A1 (ja) | 2021-02-17 | 2022-08-25 | 住友化学株式会社 | 家畜用飼料 |
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