JP2021023199A - 新規dnaポリメラーゼ変異体 - Google Patents

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伯一 市橋
Ikikazu Ichihashi
伯一 市橋
佳寛 酒谷
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佳寛 酒谷
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Abstract

【課題】新規なDNAポリメラーゼ変異体の提供。【解決手段】バクテリオファージ由来の野生型DNAポリメラーゼにおいて、特定のアミノ酸配列の5番目、74番目、142番目、154番目、185番目、187番目、237番目、286番目、295番目、365番目、381番目、389番目、421番目、515番目、521番目、552番目および567番目の少なくとも1つの位置に相当する位置にアミノ酸変異を有する、DNAポリメラーゼ変異体または該変異体と実質的に同一のDNAポリメラーゼ変異体。【選択図】なし

Description

本発明は、新規なDNAポリメラーゼ変異体に関する。
DNAポリメラーゼは、DNAを鋳型として4種のデオキシリボヌクレオシド三リン酸を基質として鋳型DNAの塩基配列に従ってDNA鎖の重合を触媒する酵素である。バクテリオファージ由来のDNAポリメラーゼのうちphi29DNAポリメラーゼは、バクテリオファージphi29由来のDNAポリメラーゼであり、DNA増幅に広く用いられている。この酵素は、ランダムオリゴDNAのマルチプライミングを伴うローリングサークル型複製によってDNAを指数増幅することが知られている。phi29DNAポリメラーゼは重合活性に加えて鎖置換活性を併せ持つため、他の酵素を必要とせず、等温下でこの指数増幅を達成することができる。phi29DNAポリメラーゼは高いプロセッシヴィティを有し、一度のDNAへの結合で70kb以上を合成し、また、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有し、忠実度が高く、増幅バイアスも小さいことが知られている。このような特性から、phi29DNAポリメラーゼを使った指数増幅は、着床前のヒト受精卵や、がん細胞、難培養微生物のシングルセルシーケンス、シングルセルトランスクリプトームといった微小量のゲノムシーケンス解析のためのゲノム増幅の主要な方法として利用されてきた(非特許文献1)。
Lasken and McLean, Nat Rev Genet. 15(9): 577-84 (2014) Ghadessy et al., Proc Natl Acad Sci USA, 98(8): 4552-7 (2001)
本発明者らは今般、phi29DNAポリメラーゼに進化工学的手法を適用したところ、核酸増幅活性を示すphi29DNAポリメラーゼのクローンを複数見出した。本発明者らはまた、これらのクローンのアミノ酸配列を特定し、核酸増幅活性を示す17種の非同義置換を見出した。本発明者らはまた、17種の非同義置換のうち、特に高い核酸増幅活性を示す2種の非同義置換を有するphi29DNAポリメラーゼ変異体では、4時間の反応条件で野生型phi29DNAポリメラーゼと比較して200倍もの核酸増幅活性を有することを見出した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
すなわち本発明は、新規なDNAポリメラーゼ変異体を提供することを目的とする。
本発明によれば以下の発明が提供される。
[1]バクテリオファージ由来の野生型DNAポリメラーゼにおいて、配列番号1のアミノ酸配列の5番目(M5)、74番目(N74)、142番目(D142)、154番目(K154)、185番目(M185)、187番目(A187)、237番目(K237)、286番目(R286)、295番目(Y295)、365番目(T365)、381番目(L381)、389番目(A389)、421番目(P421)、515番目(P515)、521番目(I521)、552番目(K552)および567番目(D567)からなる群から選択される少なくとも1つの位置に相当する位置にアミノ酸変異を有する、DNAポリメラーゼ変異体または該変異体と実質的に同一のDNAポリメラーゼ変異体。
[2]野生型DNAポリメラーゼと比較して増強された核酸増幅活性を示す、上記[1]に記載のDNAポリメラーゼ変異体。
[3]バクテリオファージがバクテリオファージphi29である、上記[1]または[2]に記載のDNAポリメラーゼ変異体。
[4]野生型DNAポリメラーゼが、配列番号1のアミノ酸配列または配列番号2のアミノ酸配列を有するものである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のDNAポリメラーゼ変異体。
[5]アミノ酸変異の位置が、配列番号1のアミノ酸配列の142番目(D142)、154番目(K154)、185番目(M185)、187番目(A187)、286番目(R286)、295番目(Y295)、381番目(L381)、421番目(P421)、515番目(P515)、552番目(K552)および567番目(D567)からなる群から選択される少なくとも1つの位置に相当する位置を少なくとも含むものである、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のDNAポリメラーゼ変異体。
[6]アミノ酸変異の位置が、配列番号1のアミノ酸配列の552番目(K552)および567番目(D567)のいずれかまたは両方に相当する位置を少なくとも含むものである、上記[1]〜[5]のいずれかに記載のDNAポリメラーゼ変異体。
[7]アミノ酸変異が、置換である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載のDNAポリメラーゼ変異体。
[8]アミノ酸変異が、(1)〜(17)からなる群から選択される少なくとも1つである、上記[1]〜[7]のいずれかに記載のDNAポリメラーゼ変異体:
(1)配列番号1のアミノ酸配列の5番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のスレオニンへの置換、
(2)配列番号1のアミノ酸配列の74番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のセリンへの置換、
(3)配列番号1のアミノ酸配列の142番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のグリシンへの置換、
(4)配列番号1のアミノ酸配列の154番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のグルタミン酸への置換、
(5)配列番号1のアミノ酸配列の185番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のイソロイシンへの置換、
(6)配列番号1のアミノ酸配列の187番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のスレオニンへの置換、
(7)配列番号1のアミノ酸配列の237番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のアルギニンへの置換、
(8)配列番号1のアミノ酸配列の286番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のリシンへの置換、
(9)配列番号1のアミノ酸配列の295番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のヒスチジンへの置換、
(10)配列番号1のアミノ酸配列の365番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のメチオニンへの置換、
(11)配列番号1のアミノ酸配列の381番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のグルタミンへの置換、
(12)配列番号1のアミノ酸配列の389番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のスレオニンへの置換、
(13)配列番号1のアミノ酸配列の421番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のスレオニンへの置換、
(14)配列番号1のアミノ酸配列の515番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のセリンへの置換、
(15)配列番号1のアミノ酸配列の521番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のスレオニンへの置換、
(16)配列番号1のアミノ酸配列の552番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のスレオニンへの置換、および
(17)配列番号1のアミノ酸配列の567番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のアスパラギンへの置換。
[8−1]下記のいずれかのアミノ酸置換変異の組み合わせを少なくとも有する、上記[8]に記載のDNAポリメラーゼ変異体:
前記(1)、(4)および(6)の組み合わせ、
前記(4)、(6)、(10)、(13)および(15)の組み合わせ、
前記(3)、(5)、(8)、(9)および(12)の組み合わせ、
前記(4)、(6)および(7)の組み合わせ、
前記(2)、(16)および(17)の組み合わせ、および
前記(16)および(17)の組み合わせ。
[9]野生型DNAポリメラーゼが、配列番号1のアミノ酸配列を有するものであり、かつ、配列番号1のアミノ酸配列において、下記(101)〜(117)の少なくとも1つのアミノ酸置換変異を有するDNAポリメラーゼ変異体である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載のDNAポリメラーゼ変異体:
(101)配列番号1のアミノ酸配列の5番目のアミノ酸のスレオニンへの置換(M5T)、
(102)配列番号1のアミノ酸配列の74番目のアミノ酸のセリンへの置換(N74S)、
(103)配列番号1のアミノ酸配列の142番目のアミノ酸のグリシンへの置換(D142G)、
(104)配列番号1のアミノ酸配列の154番目のアミノ酸のグルタミン酸への置換(K154E)、
(105)配列番号1のアミノ酸配列の185番目のアミノ酸のイソロイシンへの置換(M185I)、
(106)配列番号1のアミノ酸配列の187番目のアミノ酸のスレオニンへの置換(A187T)、
(107)配列番号1のアミノ酸配列の237番目のアミノ酸のアルギニンへの置換(K237R)、
(108)配列番号1のアミノ酸配列の286番目のアミノ酸のリシンへの置換(R286K)、
(109)配列番号1のアミノ酸配列の295番目のアミノ酸のヒスチジンへの置換(Y295H)、
(110)配列番号1のアミノ酸配列の365番目のアミノ酸のメチオニンへの置換(T365M)、
(111)配列番号1のアミノ酸配列の381番目のアミノ酸のグルタミンへの置換(L381Q)、
(112)配列番号1のアミノ酸配列の389番目のアミノ酸のスレオニンへの置換(A389T)、
(113)配列番号1のアミノ酸配列の421番目のアミノ酸のスレオニンへの置換(P421T)、
(114)配列番号1のアミノ酸配列の515番目のアミノ酸のセリンへの置換(P515S)、
(115)配列番号1のアミノ酸配列の521番目のアミノ酸のスレオニンへの置換(I521T)、
(116)配列番号1のアミノ酸配列の552番目のアミノ酸のスレオニンへの置換(K552T)、および
(117)配列番号1のアミノ酸配列の567番目のアミノ酸のアスパラギンへの置換(D567N)。
[9−1]下記のいずれかのアミノ酸置換変異の組み合わせを少なくとも有する、上記[9]に記載のDNAポリメラーゼ変異体:
前記(101)、(104)および(106)の組み合わせ、
前記(104)、(106)、(110)、(113)および(115)の組み合わせ、
前記(103)、(105)、(108)、(109)および(112)の組み合わせ、
前記(104)、(106)および(107)の組み合わせ、
前記(102)、(116)および(117)の組み合わせ、および
前記(116)および(117)の組み合わせ。
[10]野生型DNAポリメラーゼが、配列番号2のアミノ酸配列を有するものであり、かつ、配列番号2のアミノ酸配列において、下記(201)〜(217)の少なくとも1つのアミノ酸置換変異を有するDNAポリメラーゼ変異体である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載のDNAポリメラーゼ変異体:
(201)配列番号2のアミノ酸配列の8番目のアミノ酸のスレオニンへの置換(M8T)、
(202)配列番号2のアミノ酸配列の77番目のアミノ酸のセリンへの置換(N77S)、
(203)配列番号2のアミノ酸配列の145番目のアミノ酸のグリシンへの置換(D145G)、
(204)配列番号2のアミノ酸配列の157番目のアミノ酸のグルタミン酸への置換(K157E)、
(205)配列番号2のアミノ酸配列の188番目のアミノ酸のイソロイシンへの置換(M188I)、
(206)配列番号2のアミノ酸配列の190番目のアミノ酸のスレオニンへの置換(A190T)、
(207)配列番号2のアミノ酸配列の240番目のアミノ酸のアルギニンへの置換(K240R)、
(208)配列番号2のアミノ酸配列の289番目のアミノ酸のリシンへの置換(R289K)、
(209)配列番号2のアミノ酸配列の298番目のアミノ酸のヒスチジンへの置換(Y298H)、
(210)配列番号2のアミノ酸配列の368番目のアミノ酸のメチオニンへの置換(T368M)、
(211)配列番号2のアミノ酸配列の384番目のアミノ酸のグルタミンへの置換(L384Q)、
(212)配列番号2のアミノ酸配列の392番目のアミノ酸のスレオニンへの置換(A392T)、
(213)配列番号2のアミノ酸配列の424番目のアミノ酸のスレオニンへの置換(P424T)、
(214)配列番号2のアミノ酸配列の518番目のアミノ酸のセリンへの置換(P518S)、
(215)配列番号2のアミノ酸配列の524番目のアミノ酸のスレオニンへの置換(I524T)、
(216)配列番号2のアミノ酸配列の555番目のアミノ酸のスレオニンへの置換(K555T)、および
(217)配列番号2のアミノ酸配列の570番目のアミノ酸のアスパラギンへの置換(D570N)。
[10−1]下記のいずれかのアミノ酸置換変異の組み合わせを少なくとも有する、上記[10]に記載のDNAポリメラーゼ変異体:
前記(201)、(204)および(206)の組み合わせ、
前記(204)、(206)、(210)、(213)および(215)の組み合わせ、
前記(203)、(205)、(208)、(209)および(212)の組み合わせ、
前記(204)、(206)および(207)の組み合わせ、
前記(202)、(216)および(217)の組み合わせ、および
前記(216)および(217)の組み合わせ。
[11]前記DNAポリメラーゼ変異体と実質的に同一のDNAポリメラーゼ変異体が、下記(i)〜(v)からなる群から選択されるタンパク質からなるものである、上記[1]〜[10]のいずれかに記載のDNAポリメラーゼ変異体:
(i)DNAポリメラーゼ変異体のアミノ酸配列に対して80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、核酸増幅活性を示すタンパク質、
(ii)DNAポリメラーゼ変異体のアミノ酸配列において、1または複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、核酸増幅活性を示すタンパク質、
(iii)DNAポリメラーゼ変異体のアミノ酸配列をコードする塩基配列と80%以上の同一性を有する塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、かつ、核酸増幅活性を示すタンパク質、
(iv)DNAポリメラーゼ変異体のアミノ酸配列をコードする塩基配列において、1または複数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、かつ、核酸増幅活性を示すタンパク質、および
(v)DNAポリメラーゼ変異体のアミノ酸配列をコードする塩基配列の相補配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされるアミノ酸配列を含み、かつ、核酸増幅活性を示すタンパク質。
[12]上記[1]〜[11]のいずれかに記載のDNAポリメラーゼ変異体をコードする、ポリヌクレオチド。
[13]上記[12]に記載のポリヌクレオチドを含んでなる、組換えDNAまたは組換えベクター。
[14]上記[13]に記載の組換えDNAまたは組換えベクターを保有する細胞。
[15]上記[1]〜[11]のいずれかに記載のDNAポリメラーゼ変異体を含んでなる、核酸増幅用試薬。
[16]上記[15]に記載の核酸増幅用試薬を含んでなる、核酸増幅用キット。
本発明によれば、新規なDNAポリメラーゼ変異体が提供されるとともに、該DNAポリメラーゼ変異体を含む核酸増幅試薬と、該核酸増幅試薬を含むキットが提供される。
図1は、TTcDRシステムを用いるphi29DNAポリメラーゼ選択実験の概要を示す図である。TTcDRシステムでは、phi29DNAポリメラーゼの遺伝子をエンコードした環状DNAと、T7 RNAポリメラーゼと大腸菌の再構成無細胞翻訳系を組み合わせることで、環状DNAにエンコードされた複製酵素の転写と翻訳を通してDNAが増幅する。なお、TTcDRシステムでは、おそらくT7 RNAポリメラーゼによって産生されたRNAがプライマーとして使用されたことにより、DNA複製がDNAプライマーなしで開始すると考えられる。進化サイクルにおいて、DNA増幅パフォーマンスの高いphi29DNAポリメラーゼ変異体が現れた場合、そのポリメラーゼは自身がコードされたDNAをより多く増やすことにより集団内における頻度を増加させることが予想された。 図2は、phi29DNAポリメラーゼ選択実験においけるDNA増幅量の変化を示す図である。M1、M2、T1、T2系列では、Creリコンビナーゼ量も示した。実線は産物DNA量、破線はCreリコンビナーゼ量を示す。白い矢尻が指すラウンドを、例2におけるbulk(Creリコンビナーゼ非添加条件)でのTTcDR反応のDNA増幅量測定実験に使用した(図3参照)。 図3は、選択実験におけるDNA集団のエマルション外でのTTcDR反応によるDNA増幅量を示す図である。灰色の矢尻が指すDNA集団からクローンDNAを単離して、例3におけるbulk(Creリコンビナーゼ非添加条件)でのTTcDR反応のDNA増幅量測定実験に使用した(図4参照)。矢尻横の数字は、図4の単離DNAの由来となったDNAプール番号を示す。エラーバーは、標準偏差(n=3)を示す。 図4は、単離したphi29DNAポリメラーゼDNAのTTcDR反応におけるDNA増幅量を示す図である。bulk(Creリコンビナーゼ非添加条件)でのTTcDR反応によるDNA増幅量を示す。図中の数字は、単離DNAの由来となった図3中のDNAプールの番号を示す。 図5は、単離したphi29DNAポリメラーゼによるpUC19 DNA増幅量を示す図である。例3(図4参照)において、高いDNA増幅能を示した20クローンのphi29DNAポリメラーゼを翻訳させ、翻訳させた酵素によるpUC19 DNAの増幅量を定量した。横軸に示した番号は、図4のクローン番号を示す。エラーバーは、標準偏差(n=3)を示す。 図6は、非同義置換を有するクローンにおけるアミノ酸置換のリストを示す図である。17個の非同義置換について、アミノ酸置換とその位置および64個のクローンに現れる頻度を示す。 図7は、phi29DNAポリメラーゼ変異体によるDNA増幅活性を示す図である。野生型phi29DNAポリメラーゼにおいて1アミノ酸残基のみを置換した17種のphi29DNAポリメラーゼ変異体を用いて、各DNA増幅時間(0時間および8時間)におけるDNA増幅量を定量した。エラーバーは、標準偏差(n=3)を示す。 図8は、phi29DNAポリメラーゼ変異体の各変異体の翻訳量を示す図である。エラーバーは、標準偏差(n=3)を示す。 図9は、phi29DNAポリメラーゼ変異体によるDNA増幅活性を示す図である。野生型phi29DNAポリメラーゼにおいてクローン56番に含まれる3種の置換のうちの2置換を組み合わせたphi29DNAポリメラーゼ変異体を用いて、各DNA増幅時間(0時間および8時間)におけるDNA増幅量を定量した。エラーバーは、標準偏差(n=3)を示す。 図10は、K552T/D567N変異体と野生型phi29DNAポリメラーゼについてDNA増幅のタイムコースを示す図である。 図11は、phi29DNAポリメラーゼ変異体(ロングバージョン)によるDNA増幅活性を示す図である。phi29DNAポリメラーゼタンパク質のN末端にMKH残基が付加されたロングバージョンのphi29DNAポリメラーゼ変異体を用いてDNA増幅量を定量した。
発明の具体的説明
本発明において「バクテリオファージ」は、細菌を宿主として感染するウイルスをいい、例えば、バクテリオファージphi29、T4、T7、Qβが挙げられる。
本発明において「野生型DNAポリメラーゼ」とは、人為的に変異が導入されていないDNAポリメラーゼをいう。野生型DNAポリメラーゼとしては、例えば、バクテリオファージphi29、T4およびT7に由来する野生型phi29DNAポリメラーゼ、野生型T4DNAポリメラーゼおよび野生型T7DNAポリメラーゼが挙げられる。
上記野生型DNAポリメラーゼのうちバクテリオファージphi29由来の野生型DNAポリメラーゼは、30℃付近において活性を有し、5’→3’DNAポリメラーゼ活性、鎖置換活性および3’→5’エキソヌクレアーゼ活性によるプルーフリーディング(校正)活性を有する酵素である。バクテリオファージphi29由来の野生型DNAポリメラーゼとしては、配列番号1を有するアミノ酸配列からなるDNAポリメラーゼや、配列番号2を有するアミノ酸配列からなるDNAポリメラーゼが挙げられる。
本発明において、分子中に含まれるアミノ酸の表記法は、本分野の慣例に従い、野生型のアミノ酸の一文字表記とその番号により表す。例えば、552番目のLysであれば「K552」と表記する。また、変異については、野生型のアミノ酸の一文字表記、その番号および変異後のアミノ酸の一文字表記により表す。例えば、552番目のLysがThrに置換された変異は「K552T」と表記する。また、複数箇所に置換を有する場合は、置換変異の間を「/」で区切ってそれぞれの置換を併記して示す。例えば、552番目のLysをThrに置換し、かつ、567番目のAspをAsnに置換した変異体は、「K552T/D567N」と表記する。
本発明のDNAポリメラーゼ変異体は、野生型DNAポリメラーゼのアミノ酸配列において、配列番号1のアミノ酸配列の5番目(M5)、74番目(N74)、142番目(D142)、154番目(K154)、185番目(M185)、187番目(A187)、237番目(K237)、286番目(R286)、295番目(Y295)、365番目(T365)、381番目(L381)、389番目(A389)、421番目(P421)、515番目(P515)、521番目(I521)、552番目(K552)および567番目(D567)からなる群から選択される少なくとも1つの位置に相当する位置にアミノ酸変異を有する。以下、上記のアミノ酸変異を「本発明のアミノ酸変異」ということがあり、上記アミノ酸変異の位置を「本発明のアミノ酸変異の位置」ということがある。
本発明のアミノ酸変異の位置は、DNAポリメラーゼ変異体の核酸増幅活性の観点から、配列番号1のアミノ酸配列の142番目(D142)、185番目(M185)、187番目(A187)、381番目(L381)、421番目(P421)、552番目(K552)および567番目(D567)の位置に相当する位置とすることができ、好ましくは配列番号1のアミノ酸配列の187番目(A187)、381番目(L381)、421番目(P421)、552番目(K552)および567番目(D567)の位置に相当する位置であり、より好ましくは配列番号1のアミノ酸配列の552番目(K552)および567番目(D567)の位置に相当する位置であり、特に好ましくは配列番号1のアミノ酸配列の552番目(K552)の位置に相当する位置である。
本発明のアミノ酸変異の位置は、後記実施例に示す選択実験において変異がクローンに現れる頻度の観点から、配列番号1のアミノ酸配列の154番目(K154)、187番目(A187)、286番目(R286)、295番目(Y295)、381番目(L381)および515番目(P515)の位置に相当する位置とすることができ、好ましくは配列番号1のアミノ酸配列の154番目(K154)および187番目(A187)の位置に相当する位置である。
本発明のアミノ酸変異の位置はまた、DNAポリメラーゼ変異体の核酸増幅活性と、後記実施例に示す選択実験において変異がクローンに現れる頻度の観点から、配列番号1のアミノ酸配列の142番目(D142)、154番目(K154)、185番目(M185)、187番目(A187)、286番目(R286)、295番目(Y295)、381番目(L381)、421番目(P421)、515番目(P515)、552番目(K552)および567番目(D567)の位置に相当する位置とすることができ、好ましくは配列番号1のアミノ酸配列の187番目(A187)および381番目(L381)の位置に相当する位置である。
本発明のアミノ酸変異の位置の好ましい組み合わせとしては、
5番目(M5)の位置に相当する位置、154番目(K154)の位置に相当する位置および187番目(A187)の位置に相当する位置の組み合わせ、
154番目(K154)の位置に相当する位置、187番目(A187)の位置に相当する位置、365番目(T365)の位置に相当する位置、421番目(P421)の位置に相当する位置および521番目(I521)の位置に相当する位置の組み合わせ、
142番目(D142)の位置に相当する位置、185番目(M185)の位置に相当する位置、286番目(R286)の位置に相当する位置、295番目(Y295)の位置に相当する位置および389番目(A389)の位置に相当する位置の組み合わせ、
154番目(K154)の位置に相当する位置、187番目(A187)の位置に相当する位置および237番目(K237)の位置に相当する位置の組み合わせ、
74番目(N74)の位置に相当する位置、552番目(K552)の位置に相当する位置および567番目(D567)の位置に相当する位置の組み合わせ、および
552番目(K552)の位置に相当する位置および567番目(D567)の位置に相当する位置の組み合わせ
が挙げられる。
本発明のDNAポリメラーゼ変異体(後述するDNAポリメラーゼ変異体AおよびDNAポリメラーゼ変異体Bを含む)においては、本発明のアミノ酸変異の個数は、特に限定されるものではないが、その下限値を1個、2個、3個とすることができ、その上限値を17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個とすることができる。これらの下限値および上限値はそれぞれ任意に組み合わせることができ、本発明のアミノ酸変異の個数は、例えば、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、2〜7個、2〜6個、2〜5個、2〜4個、2〜3個、3〜7個、3〜6個、3〜5個、3〜4個、1個、2個または3個とすることができる。
本発明のDNAポリメラーゼ変異体(後述するDNAポリメラーゼ変異体AおよびDNAポリメラーゼ変異体Bを含む)においてはまた、本発明のアミノ酸変異は、置換、欠失、付加および挿入のいずれかとすることができ、アミノ酸変異が複数個ある場合には各アミノ酸変異は同一または異なっていてもよく置換、欠失、付加および挿入のいずれかとすることができる。ここで、アミノ酸の置換は、アミノ酸配列を構成するアミノ酸残基が別の種類のアミノ酸残基に置き換えられることを意味する。またアミノ酸の欠失は、アミノ酸配列を構成するアミノ酸残基が削除されることを意味する。またアミノ酸の挿入としては、例えば、アミノ酸配列の内部への挿入が挙げられ、アミノ酸の付加としては、例えば、アミノ酸配列のN末端および/またはC末端への付加が挙げられる。本発明のアミノ酸変異は、好ましくは置換であり、置換の個数は、特に限定されるものではないが、その下限値を1個、2個、3個とすることができ、その上限値を17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個とすることができる。これらの下限値および上限値はそれぞれ任意に組み合わせることができ、本発明のアミノ酸変異の個数は、例えば、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、2〜7個、2〜6個、2〜5個、2〜4個、2〜3個、3〜7個、3〜6個、3〜5個、3〜4個、1個、2個または3個とすることができる。
本発明のDNAポリメラーゼ変異体の好ましい態様においては、バクテリオファージ由来の野生型DNAポリメラーゼにおいて、本発明のアミノ酸変異として、前記(1)〜(17)の少なくとも1つ(好ましくは少なくとも2つまたは少なくとも3つ)のアミノ酸置換変異を有するDNAポリメラーゼ変異体が提供される。
本発明のDNAポリメラーゼ変異体のより好ましい態様においては、バクテリオファージ由来の野生型DNAポリメラーゼにおいて、本発明のアミノ酸変異として、前記(3)、(4)、(5)、(6)、(8)、(9)、(11)、(13)、(14)、(16)および(17)の少なくとも1つ(好ましくは少なくとも2つまたは少なくとも3つ)のアミノ酸置換変異を有するDNAポリメラーゼ変異体が提供される。本発明のDNAポリメラーゼ変異体のさらに好ましい態様においては、バクテリオファージ由来の野生型DNAポリメラーゼにおいて、本発明のアミノ酸変異として、前記(3)、(5)、(6)、(11)、(13)、(16)および(17)の少なくとも1つ(好ましくは少なくとも2つまたは少なくとも3つ)のアミノ酸置換変異を有するDNAポリメラーゼ変異体が提供され、さらに一層好ましくはバクテリオファージ由来の野生型DNAポリメラーゼにおいて、本発明のアミノ酸変異として、前記(6)、(11)、(13)、(16)および(17)の少なくとも1つ(好ましくは少なくとも2つまたは少なくとも3つ)のアミノ酸置換変異を有するDNAポリメラーゼ変異体が提供される。本発明のDNAポリメラーゼ変異体のさらに好ましい態様においてはまた、バクテリオファージ由来の野生型DNAポリメラーゼにおいて、本発明のアミノ酸変異として、前記(4)、(6)、(8)、(9)、(11)および(14)の少なくとも1つ(好ましくは少なくとも2つまたは少なくとも3つ)のアミノ酸置換変異を有するDNAポリメラーゼ変異体が提供され、さらに一層好ましくはバクテリオファージ由来の野生型DNAポリメラーゼにおいて、本発明のアミノ酸変異として、前記(4)および(6)のいずれかまたは両方のアミノ酸置換変異を有するDNAポリメラーゼ変異体が提供される。本発明のDNAポリメラーゼ変異体の特に好ましい態様においては、バクテリオファージ由来の野生型DNAポリメラーゼにおいて、本発明のアミノ酸変異として、前記(6)および(11)のいずれかまたは両方のアミノ酸置換変異を少なくとも有するDNAポリメラーゼ変異体、前記(16)および(17)のいずれかまたは両方のアミノ酸置換変異を少なくとも有するDNAポリメラーゼ変異体、前記(6)のアミノ酸置換変異を少なくとも有するDNAポリメラーゼ変異体および前記(16)のアミノ酸置換変異を少なくとも有するDNAポリメラーゼ変異体が提供される。
本発明のDNAポリメラーゼ変異体のより好ましい態様においてはまた、バクテリオファージ由来の野生型DNAポリメラーゼにおいて、本発明のアミノ酸変異として、以下のアミノ酸置換変異の組み合わせを少なくとも有するDNAポリメラーゼ変異体が提供される:
前記(1)、(4)および(6)の組み合わせ、
前記(4)、(6)、(10)、(13)および(15)の組み合わせ、
前記(3)、(5)、(8)、(9)および(12)の組み合わせ、
前記(4)、(6)および(7)の組み合わせ、
前記(2)、(16)および(17)の組み合わせ、および
前記(16)および(17)の組み合わせ。
本発明のDNAポリメラーゼ変異体は、バクテリオファージ由来の野生型DNAポリメラーゼにおいて、本発明のアミノ酸変異の位置に相当する位置にアミノ酸変異を有するものである。「本発明のアミノ酸変異の位置に相当する位置にアミノ酸変異を有する」とは、バクテリオファージ由来の野生型DNAポリメラーゼのアミノ酸配列と配列番号1のアミノ酸配列を、BLAST、FASTA、Smith−Watermanなどの相同性検索ソフトウエアにより整列(アライメント)させたときに、配列番号1のアミノ酸配列の特定位置に対応する位置にアミノ酸変異を有することを意味する。例えば、バクテリオファージ由来の野生型DNAポリメラーゼが配列番号1のアミノ酸配列を有する場合には、配列番号1のアミノ酸配列の1番目の位置が、該野生型DNAポリメラーゼ(配列番号1)のアミノ酸配列の1番目の位置と対応する。また、バクテリオファージ由来の野生型DNAポリメラーゼが配列番号2のアミノ酸配列を有する場合には、配列番号1のアミノ酸配列の1番目の位置が、該野生型DNAポリメラーゼ(配列番号2)のアミノ酸配列の4番目の位置と対応する。
従って、本発明のDNAポリメラーゼ変異体の一態様としては、バクテリオファージ由来の野生型DNAポリメラーゼが配列番号1のアミノ酸配列を有するDNAポリメラーゼ変異体(本明細書において「DNAポリメラーゼ変異体A」ということがある)が挙げられ、具体的には、配列番号1のアミノ酸配列の5番目(M5)、74番目(N74)、142番目(D142)、154番目(K154)、185番目(M185)、187番目(A187)、237番目(K237)、286番目(R286)、295番目(Y295)、365番目(T365)、381番目(L381)、389番目(A389)、421番目(P421)、515番目(P515)、521番目(I521)、552番目(K552)および567番目(D567)からなる群から選択される少なくとも1つの位置にアミノ酸変異(好ましくは置換)を有するDNAポリメラーゼ変異体が挙げられる。
DNAポリメラーゼ変異体Aにおけるアミノ酸変異の位置は、DNAポリメラーゼ変異体の核酸増幅活性の観点から、配列番号1のアミノ酸配列の142番目(D142)、185番目(M185)、187番目(A187)、381番目(L381)、421番目(P421)、552番目(K552)および567番目(D567)の位置とすることができ、好ましくは配列番号1のアミノ酸配列の187番目(A187)、381番目(L381)、421番目(P421)、552番目(K552)および567番目(D567)の位置であり、より好ましくは配列番号1のアミノ酸配列の552番目(K552)および567番目(D567)の位置であり、特に好ましくは配列番号1のアミノ酸配列の552番目(K552)の位置である。
DNAポリメラーゼ変異体Aにおけるアミノ酸変異の位置は、後記実施例に示す選択実験において変異がクローンに現れる頻度の観点から、配列番号1のアミノ酸配列の154番目(K154)、187番目(A187)、286番目(R286)、295番目(Y295)、381番目(L381)および515番目(P515)の位置とすることができ、好ましくは配列番号1のアミノ酸配列の154番目(K154)および187番目(A187)の位置である。
DNAポリメラーゼ変異体Aにおけるアミノ酸変異の位置はまた、DNAポリメラーゼ変異体の核酸増幅活性と、後記実施例に示す選択実験において変異がクローンに現れる頻度の観点から、配列番号1のアミノ酸配列の142番目(D142)、154番目(K154)、185番目(M185)、187番目(A187)、286番目(R286)、295番目(Y295)、381番目(L381)、421番目(P421)、515番目(P515)、552番目(K552)および567番目(D567)の位置とすることができ、好ましくは配列番号1のアミノ酸配列の187番目(A187)および381番目(L381)の位置である。
DNAポリメラーゼ変異体Aにおけるアミノ酸変異の位置の好ましい組み合わせとしては、
5番目(M5)、154番目(K154)および187番目(A187)の組み合わせ、
154番目(K154)、187番目(A187)、365番目(T365)、421番目(P421)および521番目(I521)の組み合わせ、
142番目(D142)、185番目(M185)、286番目(R286)、295番目(Y295)および389番目(A389)の組み合わせ、
154番目(K154)、187番目(A187)および237番目(K237)の組み合わせ、
74番目(N74)、552番目(K552)および567番目(D567)の組み合わせ、および
552番目(K552)および567番目(D567)の組み合わせ
が挙げられる。
本発明のDNAポリメラーゼ変異体Aの好ましい態様においては、配列番号1のアミノ酸配列において、前記(101)〜(117)の少なくとも1つ(好ましくは少なくとも2つまたは少なくとも3つ)のアミノ酸置換変異を有するDNAポリメラーゼ変異体が提供される。
本発明のDNAポリメラーゼ変異体Aのより好ましい態様においては、配列番号1のアミノ酸配列において、前記(103)、(104)、(105)、(106)、(108)、(109)、(111)、(113)、(114)、(116)および(117)の少なくとも1つ(好ましくは少なくとも2つまたは少なくとも3つ)のアミノ酸置換変異を有するDNAポリメラーゼ変異体が提供される。本発明のDNAポリメラーゼ変異体Aのさらに好ましい態様においては、配列番号1のアミノ酸配列において、前記(103)、(105)、(106)、(111)、(113)、(116)および(117)の少なくとも1つ(好ましくは少なくとも2つまたは少なくとも3つ)のアミノ酸置換変異を有するDNAポリメラーゼ変異体が提供され、さらに一層好ましくは配列番号1のアミノ酸配列において、前記(106)、(111)、(113)、(116)および(117)の少なくとも1つ(好ましくは少なくとも2つまたは少なくとも3つ)のアミノ酸置換変異を有するDNAポリメラーゼ変異体が提供される。本発明のDNAポリメラーゼ変異体Aのさらに好ましい態様においてはまた、配列番号1のアミノ酸配列において、前記(104)、(106)、(108)、(109)、(111)および(114)の少なくとも1つ(好ましくは少なくとも2つまたは少なくとも3つ)のアミノ酸置換変異を有するDNAポリメラーゼ変異体が提供され、さらに一層好ましくは配列番号1のアミノ酸配列において、前記(104)および(106)のいずれかまたは両方のアミノ酸置換変異を有するDNAポリメラーゼ変異体が提供される。本発明のDNAポリメラーゼ変異体Aの特に好ましい態様においては、配列番号1のアミノ酸配列において、前記(106)および(111)のいずれかまたは両方のアミノ酸置換変異を少なくとも有するDNAポリメラーゼ変異体、前記(116)および(117)のいずれかまたは両方のアミノ酸置換変異を少なくとも有するDNAポリメラーゼ変異体、前記(106)のアミノ酸置換変異を少なくとも有するDNAポリメラーゼ変異体および前記(116)のアミノ酸置換変異を少なくとも有するDNAポリメラーゼ変異体が提供される。
本発明のDNAポリメラーゼ変異体Aのより好ましい態様においてはまた、バクテリオファージ由来の野生型DNAポリメラーゼにおいて、本発明のアミノ酸変異として、以下のアミノ酸置換変異の組み合わせを少なくとも有するDNAポリメラーゼ変異体が提供される:
前記(101)、(104)および(106)の組み合わせ、
前記(104)、(106)、(110)、(113)および(115)の組み合わせ、
前記(103)、(105)、(108)、(109)および(112)の組み合わせ、
前記(104)、(106)および(107)の組み合わせ、
前記(102)、(116)および(117)の組み合わせ、および
前記(116)および(117)の組み合わせ。
本発明のDNAポリメラーゼ変異体の別の態様としては、バクテリオファージ由来の野生型DNAポリメラーゼが配列番号2のアミノ酸配列を有するDNAポリメラーゼ変異体(本明細書において「DNAポリメラーゼ変異体B」ということがある)が挙げられ、具体的には、配列番号2のアミノ酸配列の8番目(M8)、77番目(N77)、145番目(D145)、157番目(K157)、188番目(M188)、190番目(A190)、240番目(K240)、289番目(R289)、298番目(Y298)、368番目(T368)、384番目(L384)、392番目(A392)、424番目(P424)、518番目(P518)、524番目(I524)、555番目(K555)および570番目(D570)からなる群から選択される少なくとも1つの位置にアミノ酸変異(好ましくは置換)を有するDNAポリメラーゼ変異体が挙げられる。
DNAポリメラーゼ変異体Bにおけるアミノ酸変異の位置は、DNAポリメラーゼ変異体の核酸増幅活性の観点から、配列番号2のアミノ酸配列の145番目(D145)、188番目(M188)、190番目(A190)、384番目(L384)、424番目(P424)、555番目(K555)および570番目(D570)の位置とすることができ、好ましくは配列番号2のアミノ酸配列の190番目(A190)、384番目(L384)、424番目(P424)、555番目(K555)および570番目(D570)の位置であり、より好ましくは配列番号2のアミノ酸配列の555番目(K555)および570番目(D570)の位置であり、特に好ましくは配列番号2のアミノ酸配列の555番目(K555)の位置である。
DNAポリメラーゼ変異体Bにおけるアミノ酸変異の位置は、後記実施例に示す選択実験において変異がクローンに現れる頻度の観点から、配列番号2のアミノ酸配列の157番目(K157)、190番目(A190)、289番目(R289)、298番目(Y298)、384番目(L384)および518番目(P518)の位置とすることができ、好ましくは配列番号2のアミノ酸配列の157番目(K157)および190番目(A190)の位置である。
DNAポリメラーゼ変異体Bにおけるアミノ酸変異の位置はまた、DNAポリメラーゼ変異体の核酸増幅活性と、後記実施例に示す選択実験において変異がクローンに現れる頻度の観点から、配列番号2のアミノ酸配列の145番目(D145)、157番目(K157)、188番目(M188)、190番目(A190)、289番目(R289)、298番目(Y298)、384番目(L384)、424番目(P424)、518番目(P518)、555番目(K555)および570番目(D570)の位置とすることができ、好ましくは配列番号2のアミノ酸配列の190番目(A190)および384番目(L384)の位置である。
DNAポリメラーゼ変異体Aにおけるアミノ酸変異の位置の好ましい組み合わせとしては、
8番目(M8)、157番目(K157)および190番目(A190)の組み合わせ、
157番目(K157)、190番目(A190)、368番目(T368)、424番目(P424)および524番目(I524)の組み合わせ、
145番目(D145)、188番目(M188)、289番目(R289)、298番目(Y298)および392番目(A392)の組み合わせ、
157番目(K157)、190番目(A190)および240番目(K240)の組み合わせ、
77番目(N77)、555番目(K555)および570番目(D570)の組み合わせ、および
555番目(K555)および570番目(D570)の組み合わせ
が挙げられる。
本発明のDNAポリメラーゼ変異体Bの好ましい態様においては、配列番号2のアミノ酸配列において、前記(201)〜(217)の少なくとも1つ(好ましくは少なくとも2つまたは少なくとも3つ)のアミノ酸置換変異を有するDNAポリメラーゼ変異体が提供される。
本発明のDNAポリメラーゼ変異体Bのより好ましい態様においては、配列番号2のアミノ酸配列において、前記(203)、(204)、(205)、(206)、(208)、(209)、(211)、(214)、(213)、(216)および(217)の少なくとも1つ(好ましくは少なくとも2つまたは少なくとも3つ)のアミノ酸置換変異を有するDNAポリメラーゼ変異体が提供される。本発明のDNAポリメラーゼ変異体Bのさらに好ましい態様においては、配列番号2のアミノ酸配列において、前記(203)、(205)、(206)、 (211)、(213)、(216)および(217)の少なくとも1つ(好ましくは少なくとも2つまたは少なくとも3つ)のアミノ酸置換変異を有するDNAポリメラーゼ変異体が提供され、さらに一層好ましくは配列番号2のアミノ酸配列において、前記(206)、(211)、(213)、(216)および(217)の少なくとも1つ(好ましくは少なくとも2つまたは少なくとも3つ)のアミノ酸置換変異を有するDNAポリメラーゼ変異体が提供される。本発明のDNAポリメラーゼ変異体Bのさらに好ましい態様においてはまた、配列番号2のアミノ酸配列において、前記(204)、(206)、(208)、(209)、(211)および(214)の少なくとも1つ(好ましくは少なくとも2つまたは少なくとも3つ)のアミノ酸置換変異を有するDNAポリメラーゼ変異体が提供され、さらに一層好ましくは配列番号2のアミノ酸配列において、前記(204)および(206)のいずれかまたは両方のアミノ酸置換変異を有するDNAポリメラーゼ変異体が提供される。本発明のDNAポリメラーゼ変異体Bの特に好ましい態様においては、配列番号2のアミノ酸配列において、前記(206)および(211)のいずれかまたは両方のアミノ酸置換変異を少なくとも有するDNAポリメラーゼ変異体、前記(216)および(217)のいずれかまたは両方のアミノ酸置換変異を少なくとも有するDNAポリメラーゼ変異体、前記(206)のアミノ酸置換変異を少なくとも有するDNAポリメラーゼ変異体および前記(216)のアミノ酸置換変異を少なくとも有するDNAポリメラーゼ変異体が提供される。
本発明のDNAポリメラーゼ変異体Bのより好ましい態様においてはまた、バクテリオファージ由来の野生型DNAポリメラーゼにおいて、本発明のアミノ酸変異として、以下のアミノ酸置換変異の組み合わせを少なくとも有するDNAポリメラーゼ変異体が提供される:
前記(201)、(204)および(206)の組み合わせ、
前記(204)、(206)、(210)、(213)および(215)の組み合わせ、
前記(203)、(205)、(208)、(209)および(212)の組み合わせ、
前記(204)、(206)および(207)の組み合わせ、
前記(202)、(216)および(217)の組み合わせ、および
前記(216)および(217)の組み合わせ。
本発明のDNAポリメラーゼ変異体は、核酸増幅活性を有するものであり、好ましくは野生型DNAポリメラーゼと比較して増強された核酸増幅活性を有するものであり、より好ましくは野生型DNAポリメラーゼと比較して2倍以上、3倍以上または4倍以上の増強された核酸増幅活性を有するものである。ここで、「核酸増幅活性」とは、DNAを鋳型として4種のデオキシリボヌクレオシド三リン酸を基質として鋳型DNAの塩基配列に従ってDNA鎖の重合を触媒する活性をいう。従って、本発明のDNAポリメラーゼ変異体は、鋳型DNAが少量であっても効率的に核酸を増幅することができる。すなわち本発明のDNAポリメラーゼ変異体は、野生型DNAポリメラーゼと比較して、より少量のDNAポリメラーゼ酵素量で、野生型DNAポリメラーゼを用いた場合と同レベルで核酸を増幅することができる。核酸増幅活性の測定は公知の手法を用いることができ、例えば、定量的PCRにより測定することができ、市販のキットを用いて測定してもよい。
本発明においては、本発明のアミノ酸変異を有するDNAポリメラーゼ変異体と実質的に同一のDNAポリメラーゼ変異体も本発明のDNAポリメラーゼ変異体に含まれる。この実質的に同一の変異体は前記(i)〜(v)からなる群から選択されるタンパク質である。前記(i)〜(v)におけるアミノ酸配列の改変は、本発明のアミノ酸変異の位置以外の位置に生ずるものとすることができる。
前記(i)において、「同一性」は「相同性」を含む意味で用いられる。ここで「同一性」は、例えば、比較する配列同士を適切に整列(アライメント)させたときの同一性の程度であり、前記配列間のアミノ酸の正確な一致の出現率(%)を意味する。同一性については、例えば、配列におけるギャップの存在およびアミノ酸の性質が考慮される(Wilbur, Natl. Acad. Sci. U.S.A. 80:726-730(1983))。前記アライメントは、例えば、任意のアルゴリズムの利用により行うことができ、具体的に、BLAST(Basic local alignment search tool)(Altschul et al., J. Mol. Biol. 215:403-410 (1990))、FASTA(Peasron et al., Methods in Enzymology 183:63-69 (1990))、Smith−Waterman(Meth. Enzym., 164, 765 (1988))などの相同性検索ソフトウエアを使用することができる。また、同一性の算出は、例えば、前記のような公知の相同性検索プログラムを用いて行うことができ、例えば、米国国立生物工学情報センター(NCBI)の相同性アルゴリズムBLAST(https://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi)において、デフォルトのパラメーターを用いることによって算出することができる。
前記(i)における同一性は、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上または99%以上である。
前記(ii)において、「アミノ酸配列において、1個または複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加された」とは、例えば、部位突然変異誘発法などの公知の方法により生じる程度の数のアミノ酸、または、天然に生じる程度の数のアミノ酸が、欠失、置換、挿入および/または付加によって改変されたことを意味する。前記置換などにより改変されるアミノ酸の個数は、例えば、1〜20個、1〜10個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、または1個である。前記アミノ酸配列において、前記改変は、例えば、連続して生じてもよいし、不連続に生じてもよい。
前記(ii)におけるアミノ酸の挿入としては、例えば、アミノ酸配列の内部への挿入が挙げられる。さらに、前記(ii)におけるアミノ酸の付加は、例えば、アミノ酸配列のN末端もしくはC末端への付加であっても、N末端およびC末端の両末端への付加であってもよい。
前記(ii)におけるアミノ酸の置換は、アミノ酸配列を構成するアミノ酸残基が別の種類のアミノ酸残基に置き換えられることを意味する。前記(ii)におけるアミノ酸の置換は、例えば、保存的置換であってもよい。「保存的置換」は、タンパク質の機能を実質的に改変しないように、1個または複数個のアミノ酸を、別のアミノ酸および/またはアミノ酸誘導体に置換することを意味する。保存的置換において、置換されるアミノ酸と置換後のアミノ酸とは、例えば、性質および/または機能が類似していることが好ましい。具体的には、疎水性および親水性の指標、極性、電荷などの化学的性質、あるいは二次構造などの物理的性質が類似していることが好ましい。このように、性質および/または機能が類似するアミノ酸またはアミノ酸誘導体は、当該技術分野において公知である。例えば、非極性アミノ酸(疎水性アミノ酸)としては、例えば、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、メチオニンなどが挙げられる。極性アミノ酸(中性アミノ酸)は、グリシン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラギン、システインなどが挙げられる。陽電荷を有するアミノ酸(塩基性アミノ)酸は、アルギニン、ヒスチジン、リジンなどが挙げられ、負電荷を有するアミノ酸(酸性アミノ酸)は、アスパラギン酸、グルタミン酸などが挙げられる。
前記(iii)、(iv)および(v)において、「アミノ酸配列をコードする塩基配列」とは、特定のアミノ酸配列が与えられることによって、遺伝暗号(すなわち、コドン)に基づいて特定することができる。前記(iii)、(iv)および(v)における「アミノ酸配列をコードする塩基配列」としては、例えば、配列番号21〜37の塩基配列(前記(101)〜(117)のアミノ酸変異を有するDNAポリメラーゼ変異体をコードするポリヌクレオチドにそれぞれ対応する)が挙げられる。
前記(iii)、(iv)および(v)において、「塩基配列によりコードされるアミノ酸配列」および「ポリヌクレオチドによりコードされるアミノ酸配列」は、特定の塩基配列または特定の塩基配列を有するポリヌクレオチドが与えられることによって、遺伝暗号(すなわち、コドン)に基づいて特定することができる。
前記(iii)において、「同一性」は「相同性」を含む意味で用いられる。ここで、「同一性」は、前記(i)において述べたのと同様に、比較する配列同士を適切に整列(アライメント)させたときの同一性の程度であり、前記配列間の塩基の正確な一致の出現率(%)を意味する。同一性については、例えば、配列におけるギャップの存在および塩基の性質が考慮される(Wilbur, Natl. Acad. Sci. U.S.A. 80:726-730 (1983))。前記アライメントは、例えば、任意のアルゴリズムの利用により行うことができ、例えば、前述した、BLAST、FASTA、Smith−Watermanなどの相同性検索ソフトウエアが使用することができる。また、同一性の算出は、例えば、前記のような公知の相同性検索プログラムを用いて行うことができ、例えば、前記相同性アルゴリズムBLAST(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)において、デフォルトのパラメーターを用いることによって算出することができる。
前記(iii)における同一性は、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上または99%以上である。
前記(iv)において、「塩基配列において、1または複数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された」は、例えば、部位突然変異誘発法などの公知の方法により生じる程度の数の塩基(ヌクレオチド)、または、天然に生じる程度の数の塩基が、欠失、置換、挿入および/または付加によって改変されたことを意味する。前記置換などにより改変される塩基の個数は、例えば、1〜50個、1〜20個、1〜10個、1〜6個、1〜数個、1〜3個、1〜2個または1個である。前記欠失、挿入および/または付加される塩基は、例えば、連続する3つの塩基からなるコドンが好ましく、コドンの数は、例えば、1〜20個、1〜10個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個または1個である。前記塩基配列において、前記改変は、連続して生じてもよいし、不連続に生じてもよい。
また、前記(iv)における塩基の挿入としては、例えば、塩基配列の内部への挿入が挙げられる。さらに、前記(iv)における塩基の付加は、例えば、塩基配列の5’末端もしくは3’末端への付加であっても、5’末端および3’末端の両末端への付加であってもよい。
前記(v)において、「ハイブリダイズする」とは、あるポリヌクレオチドが標的となるポリヌクレオチドと相補的なそれぞれの塩基同士の水素結合により二本鎖を形成することをいう。「ハイブリダイズ」は、各種ハイブリダイゼーションアッセイにより検出することができる。ハイブリダイゼーションアッセイとしては、例えば、サザンハイブリダイゼーションアッセイ、コロニーハイブリダイゼーションアッセイなどの公知の方法が挙げられる。
前記(v)において、「ハイブリダイズ」あるいは「ハイブリダイゼーション」は、ストリンジェントな条件下で実施することができ、例えば、ハイブリダイゼーション緩衝液中でハイブリダイゼーション反応を行った後、洗浄緩衝液で洗浄することにより実施することができる。ここで「ストリンジェントな条件」は、ある塩基配列とその相補鎖との二重鎖のTm(℃)および必要な塩濃度などに依存して決定することができ、アミノ酸配列をコードする塩基配列を選択した後にそれに応じたストリンジェントな条件を設定することは当業者に周知の技術である(例えば、J. Sambrook, E. F. Frisch, T. Maniatis; Molecular Cloning 2nd edition, Cold Spring Harbor Laboratory (1989)参照)。ストリンジェントな条件としては、例えば、ハイブリダイゼーションに通常用いられる適切な緩衝液(例えば、SSC溶液)中で、塩基配列によって決定されるTmよりわずかに低い温度(例えば、Tmよりも0〜5℃低い温度あるいはTmよりも0〜2℃低い温度)においてハイブリダイゼーション反応を実施することが挙げられる。ストリンジェントな条件としてはまた、ハイブリダイゼーション反応後の洗浄を高濃度低塩濃度溶液で実施することが挙げられる。
本発明によれば、本発明のDNAポリメラーゼ変異体をコードするポリヌクレオチドが提供される。「DNAポリメラーゼ変異体をコードするポリヌクレオチド」とは、DNAポリメラーゼ変異体のアミノ酸配列を元に、遺伝暗号(すなわち、コドン)に基づいて特定することができる。本発明のDNAポリメラーゼ変異体をコードするポリヌクレオチドは、例えば、配列番号21〜37のいずれかに記載の塩基配列を有するポリヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明において「ポリヌクレオチド」には、DNAおよびRNAが含まれ、さらには、これらの修飾体や人工核酸が含まれるが、好ましくはDNAである。また、DNAには、cDNA、ゲノムDNAおよび化学合成DNAが含まれる。
本発明のDNAポリメラーゼ変異体をコードするポリヌクレオチドは、使用する宿主において発現可能かつDNAポリメラーゼ活性を有するタンパク質をコードするコドンで構成されたものであれば特に限定されることなく、使用する宿主において発現可能にするため、あるいは、発現量を増加させるためにコドンの最適化を行ってもよい。コドン最適化は、本分野において通常使用されている公知の方法によって行うことができる。
本発明は、本発明のDNAポリメラーゼ変異体をコードするポリヌクレオチドを含む組換えDNAに関する。本発明の組換えDNAは、例えば、組換えベクターの形態で提供することができる。本発明において「組換えベクター」は、それに挿入されたポリヌクレオチドを細胞または微生物などのターゲット内へと輸送することができる核酸分子をいう。
本発明の組換えベクターは、本発明のDNAポリメラーゼ変異体をコードするポリヌクレオチドと、該ポリヌクレオチドと作動可能に連結された発現調節配列とを含むことが好ましく、このような態様の組換えベクターを発現ベクターとして用いることができる。
本発明のDNAポリメラーゼ変異体をコードするポリヌクレオチドを挿入することができる発現ベクターは、宿主に応じて選択することができ、本分野において通常使用されている発現ベクターであれば、特に限定はない。例えば、宿主細胞において自立複製が可能なベクターや宿主染色体に組み込まれ得るベクターを発現ベクターとして使用することができる。
本発明のDNAポリメラーゼ変異体をコードするポリヌクレオチドを挿入する発現ベクターとしては、例えば、pET、pBADが挙げられる。本発明のDNAポリメラーゼ変異体は、これら発現系を使用して製造してもよい。
本発明の発現ベクターに連結できるプロモーターは宿主に応じて選択することができ、本分野において通常使用されているプロモーターであれば、特に限定はない。例えば、大腸菌ではtrpプロモーター、lacプロモーター、PLプロモーター、PRプロモーターのような大腸菌やファージなどに由来するプロモーターやそれらの改変体をプロモーターとして使用することができる。
本発明のDNAポリメラーゼ変異体を発現するベクターで形質転換する細胞(宿主)としては、本分野において通常使用されている宿主であれば、特に限定は無い。例えば細菌(大腸菌、枯草菌など)、酵母、糸状菌、昆虫細胞、真核細胞が使用できる。本発明の発現ベクターを有する宿主細胞の培養と本発明のDNAポリメラーゼ変異体の回収は公知の方法に従って実施することができる。得られたDNAポリメラーゼ変異体は後述のように核酸増幅用試薬や核酸増幅用キットとして用いることができる。
本発明によれば、本発明のDNAポリメラーゼ変異体を含んでなる、核酸増幅用試薬と、該試薬を含む核酸増幅用キットが提供される。本発明のDNAポリメラーゼ変異体は野生型のDNAポリメラーゼと同等かそれ以上の核酸増幅活性を有することから、微量DNAを増幅することが可能である。特に、本発明のDNAポリメラーゼ変異体のうち特定のアミノ酸変異を有する変異体は、野生型DNAポリメラーゼの活性に対して約30倍の核酸増幅活性を有していることから、これまで困難であったDNAや微生物組成の検出や分析を可能にするものである。すなわち、本発明によるDNAポリメラーゼの増幅パフォーマンスの改良は、より高感度なゲノム解析を可能にし、幅広い応用が期待される。従って、本発明の核酸増幅用試薬およびキットは、これまで困難であった被験対象の血液サンプル中の癌細胞由来のDNAの検出や、腸内および自然環境下の微生物の組成解析に用いることができる。
以下の例に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
例1:油中水滴型エマルションに封入した無細胞翻訳系を使ったDNAのイン・ビトロ選択実験
(1)方法
ア phi29DNAポリメラーゼ環状DNAの調製
鋳型となるphi29DNAポリメラーゼ環状DNA(プラスミドDNA)を、KOD FX(東洋紡社製、以下同様)、PrimeSTAR HS(Takara社製)、プライマー1(5’−CGGAGATCTCGTTGTAAAACGACGGCCAG−3’、配列番号47)およびプライマー2(5’−ACGAGATCTCCGGCTCGTATGTTGTGTGG−3’、配列番号48)を用いるPCRにより増幅した。なお、鋳型DNAは、メチル化またはα−S dCTPを用いる二通りのラベリング方法によってPCR標識した。並行してCreリコンビナーゼ耐性のphi29DNAポリメラーゼの構築も目指していたため(sakatani et al., Sci Rep., 8(1):13089 (2018))、Creリコンビナーゼ濃度条件を三段階(非添加:0mU/μL、低濃度:37.5mU/μL、高濃度:150mU/μL)に設定した。つまり、ラベリングの方法と、Creリコンビナーゼの濃度によって、次の6系列の進化系列を用意して選択実験を行なった。すなわち、メチル化標識かつCreリコンビナーゼ非添加(M0系列)、メチル化標識かつCreリコンビナーゼ低濃度(M1系列)、メチル化標識かつCreリコンビナーゼ高濃度(M2系列)、α−S dCTP標識かつCreリコンビナーゼ非添加(T0系列)、α−S dCTP標識かつCreリコンビナーゼ低濃度(T1系列)、α−S dCTP標識かつCreリコンビナーゼ高濃度(T2系列)とした。
イ 選択実験
phi29DNAポリメラーゼのローリングサークル型複製を使った転写・翻訳と共役したDNA複製(transcription and translation-coupled DNA replication、本明細書において単に「TTcDR」ということがある)システム(図1参照、Sakatani Y et al., Sci Rep. 5: 10404(2015))を用いて、phi29DNAポリメラーゼの選択実験を行なった。最初に、水滴の直径が1〜6μmの油中水滴型エマルションに、phi29DNAポリメラーゼをコードした環状DNAと大腸菌の再構成型無細胞翻訳系およびT7 RNAポリメラーゼを封入した。具体的には、上記アで調製した標識環状DNA(0.01nM)と条件によりCreリコンビナーゼとを含有するTTcDR混合物(10μl)を、ホモジナイザーを使用して1mlの緩衝液飽和油中で激しく混合して、油中水滴型エマルションを調製した(Bansho, Y. et al., Chem Biol, 19:478-487 (2012))。次いで、0.42U/μlのT7 RNAポリメラーゼ(TaKaRa社製)、0.1U/μlのRNase阻害剤(Promega社製)、0.6mMのdNTPおよび10.5mMの酢酸マグネシウムを用いた以外は、Sakatani Y et al., Sci Rep. 5: 10404(2015)と同様にして、再構成無細胞翻訳系を調製した。TTcDRシステムのタンパク質成分は、Kazuta Y et al., J Biosci Bioeng., 118:554-557(2014)に従って調製した。なお、TTcDRシステムではDNAプライマーを使用しなかった。環状DNAは、100個の水滴当たり平均1個以下含まれるようにした。次いで、TTcDR反応を起こすために30℃で16時間インキュベートした。次いで、元のDNAを標準として用いて、定量的PCR(qPCR)によってDNA濃度を測定した。具体的には、下記ウの記載に従って、DNA濃度を測定した。次いで、エマルションを20,000×gで5分間遠心分離して水滴を集め、液滴をジエチルエーテルで洗浄して油を除去した(Tawfik DS et al., Nat Biotechnol., 16:652-656 (1998))。回収した水相を2mMのヨウ素溶液と混合し、37℃で5分間インキュベートして、α−S dCTPまたはメチル化標識した鋳型DNAを特異的に分解することでエマルションから産物DNAを選択的に回収した。次いで、産物DNAに10mMジチオトレイトールを添加し、残りのDNAをKOD FXポリメラーゼおよびプライマー1および2を用いてPCR増幅した。次いで、PCR産物をDNAカラム(PureLink PCR micro Kit、Life Technologies社製)を用いて精製し、1%アガロースゲルおよびPureLink Quick Gel Extraction Kit(Life Technology社製)による電気泳動を用いたサイズ選択に供した。例1〜例6における全てのDNA精製手順は該カラムを用いて実施された。次いで、0.12mMのα−S dCTPを添加して、抽出されたDNA断片を次のラウンドの鋳型DNAとして標識することを除いて、上記PCR増幅と同様にして再度PCR増幅した。次いで、PCR産物を精製後、DNAを0.5U/μlのBglII(TaKaRa社製)を用いて37℃で1時間消化し、さらに精製した。精製DNA(0.71nM)を1.75U/μlのT4 DNAリガーゼ(TaKaRa社製)を用いて16℃で1時間自己連結させて環状DNAを生成した。次いで、精製後、次のラウンドのTTcDR反応に用いた。このサイクルにおいて突然変異は、PCR酵素またはphi29DNAポリメラーゼの複製エラーによって生じる(PCR酵素(KOD FXポリメラーゼ)に関するのメーカーの説明と、phi29DNAポリメラーゼに関する報告(Esteban,1993)によると、各ラウンドで1ラウンドに1DNAあたり平均で2つの突然変異が導入される)。なお、例1〜例6において各酵素(RNAポリメラーゼ、RNaseインヒビター、DNAポリメラーゼ、Creリコンビナーゼなど)の活性(unit)の定義については製造元の指示に従った。
ウ DNA増幅量の変化
上記の進化サイクルを35〜57回繰り返しながら、選択実験の進化サイクルのラウンドにおけるTTcDR反応の産物DNA量を測定した。DNA濃度の測定は、元のDNAを標準として用いて、定量的PCR(qPCR)によって測定した。各TTcDR反応後、反応混合物を1mM EDTA(pH8.0)で100倍に希釈し、さらにプライマー3(5’−AGGGTATGGGCGTATGGTTATATG−3’、配列番号49)およびプライマー4(5’−TGTCCCATGCGAGATATGATCG−3、配列番号50)を含むqPCR溶液(SYBR Premix Ex Taq、TaKaRa社製)で5倍希釈した。Mx3005P(Agilent Technologies社製)を用いてDNA蛍光をリアルタイムでモニターした。
エ Creリコンビナーゼ量の変化
液滴中のCreリコンビナーゼ濃度は、前のラウンドの平均DNA複製速度に基づいて決定した。具体的には、Creリコンビナーゼ濃度が低濃度条件の場合、Creリコンビナーゼ非添加と比べて、DNA複製量が2分の1に低下するようなCreリコンビナーゼ濃度を予想して設定した。Creリコンビナーゼ濃度が高濃度条件の場合、Creリコンビナーゼ非添加と比べて、DNA複製量が4分の1に低下するようなCreリコンビナーゼ濃度を予想して設定した。ただし、Creリコンビナーゼ濃度は前のラウンドのDNA複製量から予想したため、必ずしも予想通りのDNA複製量にはなっていない。ここで、平均DNA複製速度が前のラウンドの平均DNA複製速度より大きいまたは小さいとき、Creリコンビナーゼ濃度はそれぞれ増加または減少する。したがって、Creリコンビナーゼに対する耐性を獲得した変異型DNAが進化サイクルの間に出現して集団を支配する場合、液滴中のCreリコンビナーゼ濃度は増加することが予測される。
(2)結果
結果は、図2に示す通りであった。35〜57回(ラウンド)の進化サイクルを繰り返し、各ラウンドにおける産物DNA量とCreリコンビナーゼ濃度をプロットした。第0ラウンドでは元の環状DNAはほとんど複製せず、第1ラウンドでは0.001〜0.01nM程度であった。一方、ラウンド数が進むにつれて、DNA量は数回の変動を伴って徐々に増加し、M0条件(メチル化標識かつCreリコンビナーゼ非添加)における第35ラウンドでは0.3nMに増加し、6条件において、元のDNA量と比較して、10〜30倍に増幅されたことが確認された。Creリコンビナーゼを添加した各条件(M1、M2、T1およびT2条件)においては、添加したCreリコンビナーゼ濃度が増加したことから、環状DNAがCreリコンビナーゼに対してある程度の耐性を獲得したことが示された。
例2:DNA集団のエマルション外におけるTTcDR反応によるDNA増幅量
(1) 方法
選択実験によってDNA集団の平均のDNA増幅能力の増大がエマルションの外でも現れるかどうかを確かめるために、例1で実施した6系列の選択実験から数ラウンドずつをピックアップして、DNA集団のbulk(Creリコンビナーゼ非添加条件)でのTTcDR反応によるDNA増幅量を調べた。具体的には、例1(図2参照)のM0系列の第26および37ラウンド、M1系列の第21、37および48ラウンド、M2系列の第22および35ラウンド、T0系列の第27、36、45および55ラウンド、T1系列の第21、35、49および53ラウンド、T2系列の第21、33、46および54ラウンドからDNAをピックアップした。そして、各ラウンドのDNA(0.56ng/μL)を用いてTTcDR反応を30℃で16時間行い、例1(1)ウに記載の方法に従って、増幅したDNA濃度を測定した。対照として、野生型phi29DNAポリメラーゼの環状DNAを用いた。
(2)結果
結果は、図3に示す通りであった。第0ラウンドの野生型phi29DNAポリメラーゼ(対照)のDNA増幅は15倍程度であった。一方、全系列でラウンドを経るにつれてDNA増幅量が大きくなり、第37ラウンドでは、初期濃度の40倍以上に増幅するようになることが確認された。この選択実験によってbulk(Creリコンビナーゼ非添加条件)においても、DNA集団の平均のDNA増幅能力が増大したことが確認された。
例3:単離したDNAのTTcDR反応によるDNA増幅量
(1)方法
例2で実施したDNA増幅実験においてDNA増幅能力の高かったDNA集団(図3の灰色の矢尻)を8個選択して、各DNA集団から8クローンずつ(合計で64クローン)作製し、各クローンのbulk(Creリコンビナーゼ非添加条件)におけるTTcDR反応によるDNA増幅量を測定した。また、64クローンについてシーケンス解析を行った。
(2)結果
結果は、図4に示す通りであった。全64クローンの内の48クローンが野生型より高いDNA増幅量を示し、最大で野生型の6倍ほどのDNA増幅量であった。全64クローンについて、シーケンス解析したところ、全てのクローンで非同義置換(遺伝子DNAのコード配列に生じる塩基置換のうち、アミノ酸に変異を生じるもの)が確認された。全ての非同義置換は108種類で、平均の非同義置換数は1クローンにつき5.2個であった。
例4:単離したphi29DNAポリメラーゼDNAによるpUC19 DNA増幅能
(1)phi29DNAポリメラーゼによるpUC19DNA増幅量
ア 方法
例3で同定したクローンにおける108の非同義置換から、DNA増幅に有用な非同義置換を探した。TTcDR反応では、配列に依存したDNAの増幅のされやすさもDNA増幅量に影響することがある。このため、あらかじめ翻訳させておいたphi29DNAポリメラーゼを用いて、同一の鋳型DNA(pUC19)に対するDNA増幅量を測定した。まず、全64クローンのうち頻度が5以上の13変異を網羅できるように、野生型より2倍以上活性の高いクローンを20個選んだ。この20クローン(linear DNA)をPURE frex2.0(ジーンフロンティア社製)と混合して30℃で4時間インキュベートして、phi29DNAポリメラーゼ酵素を翻訳させた。なお、翻訳量は、SDS−PAGEで確認し、同程度であることを担保した。次いで、反応後の翻訳溶液を、pUC19を含む複製溶液で100倍希釈し、30℃で8時間インキュベートして、ポリメラーゼのDNA増幅活性を評価した。複製溶液の組成は、プラスミドpUC19(0.1ng/μl)、dNTP(各0.6mM、NEB)、酢酸マグネシウム(10.5mM、和光)、ランダムヘキサマー(5μM、ファスマック)、酵母無機ピロリン酸分解酵素(0.6mM、NEB)、グルタミン酸カリウム(70mM、和光)、スペルミジン(0.375mM、ナカライ)、ジチオトレイオール(6mM、ナカライ)、ATP(0.375mM、GEヘルスケア)、GTP(0.25mM、GEヘルスケア)、CTP(0.125mM、GEヘルスケア)、UTP(0.125mM、GEヘルスケア)、クレアチンリン酸(25mM、ナカライ)、大腸菌転移RNAミックス(0.518μg/μl、ロシュ)、10−フォルミルテトラヒドロ葉酸(10ng/μl)、システイン(0.3mM、和光)、チロシン(0.3mM、和光)、その他の18アミノ酸(0.36mM、和光)、2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸(100mM、pH7.6、Sigma)、ストレプトマイシン(30ng/μl)であった。次いで、上記インキュベート前後の複製溶液を1mM EDTA(pH8.0)で10,000倍希釈し、下記の方法でDNA濃度を測定した。DNA濃度は、既知濃度のpUC19を標準試料とした定量的PCRで測定した。具体的には、1mMのEDTAで希釈した複製溶液を、プライマー5(5’−GGCGATTAAGTTGGGTAACGCCAG−3’、配列番号51)とプライマー6(5’−CGCAACGCAATTAATGTGAG−3’、配列番号52)を含んだqPCR溶液(TB green、タカラ社製)で5倍希釈した。DNAからの蛍光は、MX3005P(アジレント社製)を用いてリアルタイムに測定した。pUC19で作成した0.001nM〜1000nM間の10倍刻みの標準試料による蛍光と比較し、目的の試料のDNA濃度を決定した。
イ 結果
結果は、図5に示す通りであった。非同義置換を有する20個のクローンのうち9個のクローンにおいて、野生型phi29DNAポリメラーゼの2倍以上のDNA増幅活性を示すことが確認された。最大の活性を示した非同義置換を有するクローン(クローン56番)は、野生型の10倍以上のDNA増幅活性を示すことが確認された。
(2)非同義置換を有するクローンにおけるアミノ酸置換
ア 方法
上記(1)において選択した非同義置換を有する20個のクローンから野生型の3倍以上の活性を示した6個のクローンを選択し(図5中の白い矢印)、これらのクローンに含まれている15個の非同義置換について、単一の置換のみを持つ変異体(isolate)を作製した。また、全64クローンのうち20クローン以上に現れた6個の非同義置換であって、この15個の非同義置換変異に含まれていない2個の非同義置換変異についてもisolateを作成した。
イ 結果
結果は、図6に示す通りであった。17種の非同義置換が同定され、これらは、配列番号1のアミノ酸配列からなる野生型phi29DNAポリメラーゼの5位のメチオニンがスレオニンに置換される変異(M5T)、74位のアスパラギンがセリンに置換される変異(N74S)、142位のアスパラギン酸がグリシンに置換される変異(D142G)、154位のリシンがグルタミン酸に置換される変異(K154E)、185位のメチオニンがイソロイシンに置換される変異(M185I)、187位のアラニンがスレオニンに置換される変異(A187T)、237位のリシンがアルギニンに置換される変異(K237R)、286位のアルギニンがリシンに置換される変異(R286K)、295位のチロシンがヒスチジンに置換される変異(Y295H)、365位のスレオニンがメチオニンに置換される変異(T365M)、381位のロイシンがグルタミンに置換される変異(L381Q)、389位のアラニンがスレオニンに置換される変異(A389T)、421位のプロリンがスレオニンに置換される変異(P421T)、515位のプロリンがセリンに置換される変異(P515S)、521位のイソロイシンがスレオニンに置換される変異(I521T)、552位のリシンがスレオニンに置換される変異(K552T)および567位のアスパラギン酸がアスパラギンに置換される変異(D567N)であった。野生型phi29DNAポリメラーゼのアミノ酸配列(配列番号1)において、上記の変異のうち1つの変異を有するphi29DNAポリメラーゼ変異体のアミノ酸配列(17種)を配列番号3〜19(配列番号3〜19は順に前記(101)〜(117)のアミノ酸置換変異に対応)に、これらのphi29DNAポリメラーゼ変異体をコードするポリヌクレオチド配列(17種)を配列番号21〜37(配列番号21〜37は順に配列番号3〜19のアミノ酸配列に対応)に示す。
例5:DNA増幅パフォーマンスを向上させる変異
(1)野生型のphi29DNAポリメラーゼにおいて1アミノ酸残基のみを置換させた17種の変異体phi29DNAポリメラーゼによるDNA増幅活性
ア 方法
例4(2)で同定された合計17種の非同義置換のisolateについて、複製溶液中でのインキュベート時間を8時間とした以外は例4(1)アに記載の方法に従って、phi29DNAポリメラーゼ変異体酵素を翻訳させて、該酵素によるpUC19 DNA増幅量を測定した。7種の非同義置換の各変異体の翻訳量は、SDS−PAGE像のバンド強度をもとにして定量した。
イ 結果
結果は、図7および図8に示す通りであった。図7の結果から、7種の非同義置換(D142G、M185I、A187T、L381Q、P421T、K552T、D567N)では、野生型phi29DNAポリメラーゼの2倍以上のDNA増幅量を示すことが確認され、5種の非同義置換(A187T、L381Q、P421T、K552T、D567N)では、野生型phi29DNAポリメラーゼの3倍以上のDNA増幅量を示すことが確認された。DNA増幅活性が最も高い変異であるK552Tは、野生型の約4倍のDNA増幅能を示した。なお、図8の結果から、上記7種のisolate間で翻訳量に有意な差は見られないことが確認された。
(2)クローン56番に含まれる3種の非同義置換のうちの2種の置換を組み合わせたphi29DNAポリメラーゼ変異体によるDNA増幅活性
ア 方法
上記(1)で野生型の10倍の活性を示したクローン56番(図7参照)は、K552Tを含む3種の置換(N74S、K552T、D567N)のみを含むクローンである。そこで、該3種の置換のうち、2種の置換を併せもつ3通りのphi29DNAポリメラーゼ変異体DNA、すなわち、N74SおよびK552T変異を有する変異体(以下、単に「N74S/K552T変異体」ということがある)、N74SおよびD567N変異を有する変異体(以下、単に「N74S/D567N変異体」ということがある)、K552TおよびD567N変異を有する変異体(以下、単に「K552T/D567N変異体」ということがある)を作成し、この3通りの変異型について、上記(1)アに記載の方法に従って、phi29DNAポリメラーゼ変異体酵素を翻訳させて、該酵素によるpUC19 DNA増幅量を測定した。
イ 結果
結果は、図9に示す通りであった。図9の結果から、N74S/K552T変異体およびN74S/D567N変異体によるDNA増幅量は、K552T変異体およびD567S変異体と大きく変わらなかった。一方、K552T/D567N変異体では、野生型phi29DNAポリメラーゼの30倍以上の活性を示すことが確認された。以上の結果から、例4(1)イにおいてクローン56番が示した野生型phi29DNAポリメラーゼの10倍のDNA増幅活性は、K552TおよびD567Nの2置換によるものであることが示唆された。野生型phi29DNAポリメラーゼのアミノ酸配列(配列番号1)において、N74S/K552T変異体、N74S/D567N変異体およびK552T/D567N変異体のphi29DNAポリメラーゼ変異体のアミノ酸配列(3種)を配列番号38〜40に、これらのphi29DNAポリメラーゼ変異体をコードするポリヌクレオチド配列(3種)を配列番号41〜43(配列番号41〜43は順に配列番号38〜40に示すアミノ酸配列に対応)に示す。
(3)K552T/D567NのDNA増幅のタイムコース
ア 方法
上記(2)アで作製したK552T/D567N変異体について、30℃でインキュベートしながらタイムサンプリングした以外は例4(1)アに記載の方法に従って、phi29DNAポリメラーゼ変異体酵素を翻訳させて、該酵素によるpUC19 DNA増幅のタイムコースを測定した。
イ 結果
野生型phi29DNAポリメラーゼ酵素はDNA増幅開始から4時間の時点において、DNAをほとんど増幅しなかった。一方、K552T/D567N変異体はDNA増幅開始から4時間の時点においてDNAを約200倍に増幅することが確認された。これらの結果から、K552T/D567N変異体は、短時間でDNAを増幅することができるphi29DNAポリメラーゼ酵素であることが示された。
(4)phi29DNAポリメラーゼ変異体タンパク質のN末端側へのアミノ酸付加による影響
野生型phi29DNAポリメラーゼには、タンパク質のN末端のアミノ酸配列により2種類が存在する。すなわち、例1〜例5(3)で用いた配列番号1のアミノ酸配列を有するphi29DNAポリメラーゼ(以下、単に「ショートバージョン」ということがある)と、ショートバージョンのN末端に3つのアミノ酸残基(メチオニン、リシン、ヒスチジン)をさらに有する配列番号2のアミノ酸配列を有するphi29DNAポリメラーゼ(以下、単に「ロングバージョン」ということがある)である。例5で示された、非同義置換を有するphi29DNAポリメラーゼ(ショートバージョン)のDNA増幅活性の向上が、非同義置換を有するロングバージョンのphi29DNAポリメラーゼにおいても維持されているか検討した。
ア 方法
MKHをN末端に付加させたphi29DNAポリメラーゼは、配列番号20に示すDNAを含むプラスミドを鋳型に用い、プライマー7(5’−ATGAAGCATATGCCGAGAAAGATGTATAGTTG−3’、配列番号53)とプライマー8(5’−CGGCATATGCTTCATATGTATATCTCCTTCTTAAAG−3’、配列番号54)を用いたPCR反応により構築した。プラスミド全長を増幅し、In−Fusion cloning kit(Takara社)を用いた組み換えにより末端を結合させた。MKH−野生型(すなわち、ロングバージョンのphi29DNAポリメラーゼ)は、野生型のphi29DNAポリメラーゼ(すなわち、ショートバージョンのphi29DNAポリメラーゼ)(アミノ酸配列を配列番号1に、ポリヌクレオチド配列を配列番号20に示す)の先頭にアミノ酸配列MKH、および核酸配列ATGAAGCATを追加したものである。ロングバージョンの全アミノ酸配列を配列番号2に、全ポリヌクレオチド配列を配列番号44に示す。MKH−変異導入は、MKH−野生型においてアミノ酸変異N74S、K552TおよびD567Nを含む配列である。全アミノ酸配列を配列番号45に、全ポリヌクレオチド配列を配列番号46に示す。例4(1)アに記載の方法に従って、phi29DNAポリメラーゼ酵素を翻訳させて、該酵素によるpUC19 DNA増幅量を測定した。
イ 結果
非同義置換を有するロングバージョンのphi29DNAポリメラーゼ(配列番号45)では、野生型phi29DNAポリメラーゼの約25倍のDNA増幅活性を示すことが確認された。従って、例5で示された非同義置換は、ロングバージョンのphi29DNAポリメラーゼにおいても、ショートバージョンのphi29DNAポリメラーゼと同程度にDNA増幅活性を増強することが示された。

Claims (16)

  1. バクテリオファージ由来の野生型DNAポリメラーゼにおいて、配列番号1のアミノ酸配列の5番目(M5)、74番目(N74)、142番目(D142)、154番目(K154)、185番目(M185)、187番目(A187)、237番目(K237)、286番目(R286)、295番目(Y295)、365番目(T365)、381番目(L381)、389番目(A389)、421番目(P421)、515番目(P515)、521番目(I521)、552番目(K552)および567番目(D567)からなる群から選択される少なくとも1つの位置に相当する位置にアミノ酸変異を有する、DNAポリメラーゼ変異体または該変異体と実質的に同一のDNAポリメラーゼ変異体。
  2. 野生型DNAポリメラーゼと比較して増強された核酸増幅活性を示す、請求項1に記載のDNAポリメラーゼ変異体。
  3. バクテリオファージがバクテリオファージphi29である、請求項1または2に記載のDNAポリメラーゼ変異体。
  4. 野生型DNAポリメラーゼが、配列番号1のアミノ酸配列または配列番号2のアミノ酸配列を有するものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のDNAポリメラーゼ変異体。
  5. アミノ酸変異の位置が、配列番号1のアミノ酸配列の142番目(D142)、154番目(K154)、185番目(M185)、187番目(A187)、286番目(R286)、295番目(Y295)、381番目(L381)、421番目(P421)、515番目(P515)、552番目(K552)および567番目(D567)からなる群から選択される少なくとも1つの位置に相当する位置を少なくとも含むものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のDNAポリメラーゼ変異体。
  6. アミノ酸変異の位置が、配列番号1のアミノ酸配列の552番目(K552)および567番目(D567)のいずれかまたは両方に相当する位置を少なくとも含むものである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のDNAポリメラーゼ変異体。
  7. アミノ酸変異が、置換である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のDNAポリメラーゼ変異体。
  8. アミノ酸変異が、(1)〜(17)からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1〜7のいずれか一項に記載のDNAポリメラーゼ変異体:
    (1)配列番号1のアミノ酸配列の5番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のスレオニンへの置換、
    (2)配列番号1のアミノ酸配列の74番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のセリンへの置換、
    (3)配列番号1のアミノ酸配列の142番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のグリシンへの置換、
    (4)配列番号1のアミノ酸配列の154番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のグルタミン酸への置換、
    (5)配列番号1のアミノ酸配列の185番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のイソロイシンへの置換、
    (6)配列番号1のアミノ酸配列の187番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のスレオニンへの置換、
    (7)配列番号1のアミノ酸配列の237番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のアルギニンへの置換、
    (8)配列番号1のアミノ酸配列の286番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のリシンへの置換、
    (9)配列番号1のアミノ酸配列の295番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のヒスチジンへの置換、
    (10)配列番号1のアミノ酸配列の365番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のメチオニンへの置換、
    (11)配列番号1のアミノ酸配列の381番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のグルタミンへの置換、
    (12)配列番号1のアミノ酸配列の389番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のスレオニンへの置換、
    (13)配列番号1のアミノ酸配列の421番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のスレオニンへの置換、
    (14)配列番号1のアミノ酸配列の515番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のセリンへの置換、
    (15)配列番号1のアミノ酸配列の521番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のスレオニンへの置換、
    (16)配列番号1のアミノ酸配列の552番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のスレオニンへの置換、および
    (17)配列番号1のアミノ酸配列の567番目のアミノ酸に相当するアミノ酸のアスパラギンへの置換。
  9. 野生型DNAポリメラーゼが、配列番号1のアミノ酸配列を有するものであり、かつ、配列番号1のアミノ酸配列において、下記(101)〜(117)の少なくとも1つのアミノ酸置換変異を有するDNAポリメラーゼ変異体である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のDNAポリメラーゼ変異体:
    (101)配列番号1のアミノ酸配列の5番目のアミノ酸のスレオニンへの置換(M5T)、
    (102)配列番号1のアミノ酸配列の74番目のアミノ酸のセリンへの置換(N74S)、
    (103)配列番号1のアミノ酸配列の142番目のアミノ酸のグリシンへの置換(D142G)、
    (104)配列番号1のアミノ酸配列の154番目のアミノ酸のグルタミン酸への置換(K154E)、
    (105)配列番号1のアミノ酸配列の185番目のアミノ酸のイソロイシンへの置換(M185I)、
    (106)配列番号1のアミノ酸配列の187番目のアミノ酸のスレオニンへの置換(A187T)、
    (107)配列番号1のアミノ酸配列の237番目のアミノ酸のアルギニンへの置換(K237R)、
    (108)配列番号1のアミノ酸配列の286番目のアミノ酸のリシンへの置換(R286K)、
    (109)配列番号1のアミノ酸配列の295番目のアミノ酸のヒスチジンへの置換(Y295H)、
    (110)配列番号1のアミノ酸配列の365番目のアミノ酸のメチオニンへの置換(T365M)、
    (111)配列番号1のアミノ酸配列の381番目のアミノ酸のグルタミンへの置換(L381Q)、
    (112)配列番号1のアミノ酸配列の389番目のアミノ酸のスレオニンへの置換(A389T)、
    (113)配列番号1のアミノ酸配列の421番目のアミノ酸のスレオニンへの置換(P421T)、
    (114)配列番号1のアミノ酸配列の515番目のアミノ酸のセリンへの置換(P515S)、
    (115)配列番号1のアミノ酸配列の521番目のアミノ酸のスレオニンへの置換(I521T)、
    (116)配列番号1のアミノ酸配列の552番目のアミノ酸のスレオニンへの置換(K552T)、および
    (117)配列番号1のアミノ酸配列の567番目のアミノ酸のアスパラギンへの置換(D567N)。
  10. 野生型DNAポリメラーゼが、配列番号2のアミノ酸配列を有するものであり、かつ、配列番号2のアミノ酸配列において、下記(201)〜(217)の少なくとも1つのアミノ酸置換変異を有するDNAポリメラーゼ変異体である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のDNAポリメラーゼ変異体:
    (201)配列番号2のアミノ酸配列の8番目のアミノ酸のスレオニンへの置換(M8T)、
    (202)配列番号2のアミノ酸配列の77番目のアミノ酸のセリンへの置換(N77S)、
    (203)配列番号2のアミノ酸配列の145番目のアミノ酸のグリシンへの置換(D145G)、
    (204)配列番号2のアミノ酸配列の157番目のアミノ酸のグルタミン酸への置換(K157E)、
    (205)配列番号2のアミノ酸配列の188番目のアミノ酸のイソロイシンへの置換(M188I)、
    (206)配列番号2のアミノ酸配列の190番目のアミノ酸のスレオニンへの置換(A190T)、
    (207)配列番号2のアミノ酸配列の240番目のアミノ酸のアルギニンへの置換(K240R)、
    (208)配列番号2のアミノ酸配列の289番目のアミノ酸のリシンへの置換(R289K)、
    (209)配列番号2のアミノ酸配列の298番目のアミノ酸のヒスチジンへの置換(Y298H)、
    (210)配列番号2のアミノ酸配列の368番目のアミノ酸のメチオニンへの置換(T368M)、
    (211)配列番号2のアミノ酸配列の384番目のアミノ酸のグルタミンへの置換(L384Q)、
    (212)配列番号2のアミノ酸配列の392番目のアミノ酸のスレオニンへの置換(A392T)、
    (213)配列番号2のアミノ酸配列の424番目のアミノ酸のスレオニンへの置換(P424T)、
    (214)配列番号2のアミノ酸配列の518番目のアミノ酸のセリンへの置換(P518S)、
    (215)配列番号2のアミノ酸配列の524番目のアミノ酸のスレオニンへの置換(I524T)、
    (216)配列番号2のアミノ酸配列の555番目のアミノ酸のスレオニンへの置換(K555T)、および
    (217)配列番号2のアミノ酸配列の570番目のアミノ酸のアスパラギンへの置換(D570N)。
  11. 前記DNAポリメラーゼ変異体と実質的に同一のDNAポリメラーゼ変異体が、下記(i)〜(v)からなる群から選択されるタンパク質からなるものである、請求項1〜10のいずれか一項に記載のDNAポリメラーゼ変異体:
    (i)DNAポリメラーゼ変異体のアミノ酸配列に対して80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、核酸増幅活性を示すタンパク質、
    (ii)DNAポリメラーゼ変異体のアミノ酸配列において、1または複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、核酸増幅活性を示すタンパク質、
    (iii)DNAポリメラーゼ変異体のアミノ酸配列をコードする塩基配列と80%以上の同一性を有する塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、かつ、核酸増幅活性を示すタンパク質、
    (iv)DNAポリメラーゼ変異体のアミノ酸配列をコードする塩基配列において、1または複数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、かつ、核酸増幅活性を示すタンパク質、および
    (v)DNAポリメラーゼ変異体のアミノ酸配列をコードする塩基配列の相補配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされるアミノ酸配列を含み、かつ、核酸増幅活性を示すタンパク質。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載のDNAポリメラーゼ変異体をコードする、ポリヌクレオチド。
  13. 請求項12に記載のポリヌクレオチドを含んでなる、組換えDNAまたは組換えベクター。
  14. 請求項13に記載の組換えDNAまたは組換えベクターを保有する細胞。
  15. 請求項1〜11のいずれか一項に記載のDNAポリメラーゼ変異体を含んでなる、核酸増幅用試薬。
  16. 請求項15に記載の核酸増幅用試薬を含んでなる、核酸増幅用キット。

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