JP2021020838A - セメント組成物、その硬化体の製造方法、及び造形物 - Google Patents
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Abstract
【課題】硬化前に、優れた流動性を有し、かつ、硬化後に、軽量でかつ高強度の硬化体を形成することのできるセメント組成物を提供する。【解決手段】セメント、BET比表面積が15〜25m2/gのシリカフューム、50%体積累積粒径が0.8〜5μmの無機粉末、中空粒子、高性能減水剤、消泡剤及び水を含むセメント組成物であって、上記セメント、上記シリカフューム及び上記無機粉末の合計量100体積%中、上記セメントの割合が55〜65体積%、上記シリカフュームの割合が5〜25体積%、上記無機粉末の割合が15〜35体積%であり、上記中空粒子が、フライアッシュバルーンまたはセラミックバルーンである、セメント組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、セメント組成物、該セメント組成物の硬化体の製造方法、及び、該硬化体からなる額縁等の造形物に関する。
従来、大きな圧縮強度等の優れた物性を有するセメント質硬化体、及び、該硬化体からなる造形物が、知られている。
例えば、特許文献1に、セメント質硬化体からなるセメント板であって、上記セメント質硬化体が、セメント、BET比表面積が15〜25m2/gのシリカフューム、50%体積累積粒径が0.8〜5μmの無機粉末、最大粒径が1.2mm以下の骨材A、高性能減水剤、消泡剤及び水を含み、かつ上記セメント、上記シリカフューム及び上記無機粉末の合計量100体積%中、上記セメントの割合が55〜65体積%、上記シリカフュームの割合が5〜25体積%、上記無機粉末の割合が15〜35体積%であるセメント組成物を硬化してなるものであることを特徴とするセメント板が、記載されている。
例えば、特許文献1に、セメント質硬化体からなるセメント板であって、上記セメント質硬化体が、セメント、BET比表面積が15〜25m2/gのシリカフューム、50%体積累積粒径が0.8〜5μmの無機粉末、最大粒径が1.2mm以下の骨材A、高性能減水剤、消泡剤及び水を含み、かつ上記セメント、上記シリカフューム及び上記無機粉末の合計量100体積%中、上記セメントの割合が55〜65体積%、上記シリカフュームの割合が5〜25体積%、上記無機粉末の割合が15〜35体積%であるセメント組成物を硬化してなるものであることを特徴とするセメント板が、記載されている。
また、特許文献1に、上述のセメント板を製造するための方法であって、上記セメント組成物を型枠内に打設して、未硬化の成形体を得る成形工程と、上記未硬化の成形体を、10〜40℃で24時間以上、封緘養生または気中養生した後、上記型枠から脱型し、硬化した成形体を得る常温養生工程と、上記硬化した成形体について、70℃以上100℃未満で1時間以上の、蒸気養生もしくは温水養生と、100〜200℃で1時間以上のオートクレーブ養生のいずれか一方または両方を行い、加熱養生後の硬化体を得る加熱養生工程と、上記加熱養生後の硬化体を、150〜200℃で24時間以上、加熱(ただし、オートクレーブ養生による加熱を除く。)して、上記セメント組成物の硬化体を得る高温加熱工程、を含むことを特徴とするセメント板の製造方法が、記載されている。
一方、シラスバルーン等の中空粒子を用いて、セメント組成物の比重を小さくする技術が、知られている。
例えば、特許文献2に、ベースセメント、低比重化材(軽量フライアッシュ、シラスバルーン、パーライトあるいはガラスバルーン)およびシリカ質混和材からなり、かつシリカ質混和材の一部が非晶質シリカ物質であることを特徴とする高温度用低比重セメント組成物が、記載されている。
例えば、特許文献2に、ベースセメント、低比重化材(軽量フライアッシュ、シラスバルーン、パーライトあるいはガラスバルーン)およびシリカ質混和材からなり、かつシリカ質混和材の一部が非晶質シリカ物質であることを特徴とする高温度用低比重セメント組成物が、記載されている。
本発明の目的は、硬化前に、優れた流動性を有し、かつ、硬化後に、軽量でかつ高強度の硬化体を形成することのできるセメント組成物、該セメント組成物の硬化体の製造方法、及び、該硬化体からなる額縁等の造形物を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、セメント、BET比表面積が15〜25m2/gのシリカフューム、50%体積累積粒径が0.8〜5μmの無機粉末、中空粒子、高性能減水剤、消泡剤及び水を含むセメント組成物であって、上記セメント、上記シリカフューム及び上記無機粉末の合計量100体積%中、上記セメントの割合が55〜65体積%、上記シリカフュームの割合が5〜25体積%、上記無機粉末の割合が15〜35体積%であり、上記中空粒子が、フライアッシュバルーンまたはセラミックバルーンであるセメント組成物によれば、上記目的を達成しうることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、以下の[1]〜[7]を提供するものである。
[1] セメント、BET比表面積が15〜25m2/gのシリカフューム、50%体積累積粒径が0.8〜5μmの無機粉末、中空粒子、高性能減水剤、消泡剤及び水を含むセメント組成物であって、上記セメント、上記シリカフューム及び上記無機粉末の合計量100体積%中、上記セメントの割合が55〜65体積%、上記シリカフュームの割合が5〜25体積%、上記無機粉末の割合が15〜35体積%であり、上記中空粒子が、セラミックバルーンまたはフライアッシュバルーンであることを特徴とするセメント組成物。
[2] 上記中空粒子は、50%質量累積粒径が500μm以下のものである、上記[1]に記載のセメント組成物。
[3] 上記セメント組成物中の中空粒子の割合が、30〜44体積%である、上記[1]または[2]に記載のセメント組成物。
[4] 硬化前に、フロー値が、「JIS R 5201:2015(セメントの物理試験方法)」に規定される「フロー試験」の方法において、15回の落下運動を行わないで測定した値として、150mm以上であり、硬化後に、圧縮強度が140N/mm2以上で、かつ、密度が2.0g/cm3以下である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のセメント組成物。
[5] 上記[1]〜[4]のいずれかに記載のセメント組成物の硬化体を製造するための方法であって、上記セメント組成物を型枠内に打設して、未硬化の成形体を得る成形工程と、上記未硬化の成形体を、10〜40℃で24時間以上、封緘養生または気中養生した後、上記型枠から脱型し、硬化した成形体を得る常温養生工程と、上記硬化した成形体に吸水させ、吸水後の成形体を得る吸水工程と、上記吸水後の成形体について、70℃以上100℃未満で1時間以上の、蒸気養生もしくは温水養生と、100〜200℃で1時間以上のオートクレーブ養生のいずれか一方または両方を行い、上記セメント組成物の硬化体を得る加熱養生工程、を含むことを特徴とするセメント組成物の硬化体の製造方法。
[6] 上記加熱養生工程の後に、上記加熱養生後の硬化体を、150〜200℃で24時間以上、加熱(ただし、オートクレーブ養生による加熱を除く。)する高温加熱工程を含む、上記[5]に記載のセメント組成物の硬化体の製造方法。
[7] 上記[1]〜[4]のいずれかに記載のセメント組成物の硬化体からなる造形物であって、上記造形物が、額縁、椅子、机、照明器具ケース、書類ケース、衣類ケース、ローボード、ハイボード、コーナーボード、ツリー型ハンガー、掛け時計ケース、扉枠、窓枠、手摺、欄間、浜縁、濡れ縁、または高欄であることを特徴とする造形物。
[1] セメント、BET比表面積が15〜25m2/gのシリカフューム、50%体積累積粒径が0.8〜5μmの無機粉末、中空粒子、高性能減水剤、消泡剤及び水を含むセメント組成物であって、上記セメント、上記シリカフューム及び上記無機粉末の合計量100体積%中、上記セメントの割合が55〜65体積%、上記シリカフュームの割合が5〜25体積%、上記無機粉末の割合が15〜35体積%であり、上記中空粒子が、セラミックバルーンまたはフライアッシュバルーンであることを特徴とするセメント組成物。
[2] 上記中空粒子は、50%質量累積粒径が500μm以下のものである、上記[1]に記載のセメント組成物。
[3] 上記セメント組成物中の中空粒子の割合が、30〜44体積%である、上記[1]または[2]に記載のセメント組成物。
[4] 硬化前に、フロー値が、「JIS R 5201:2015(セメントの物理試験方法)」に規定される「フロー試験」の方法において、15回の落下運動を行わないで測定した値として、150mm以上であり、硬化後に、圧縮強度が140N/mm2以上で、かつ、密度が2.0g/cm3以下である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のセメント組成物。
[5] 上記[1]〜[4]のいずれかに記載のセメント組成物の硬化体を製造するための方法であって、上記セメント組成物を型枠内に打設して、未硬化の成形体を得る成形工程と、上記未硬化の成形体を、10〜40℃で24時間以上、封緘養生または気中養生した後、上記型枠から脱型し、硬化した成形体を得る常温養生工程と、上記硬化した成形体に吸水させ、吸水後の成形体を得る吸水工程と、上記吸水後の成形体について、70℃以上100℃未満で1時間以上の、蒸気養生もしくは温水養生と、100〜200℃で1時間以上のオートクレーブ養生のいずれか一方または両方を行い、上記セメント組成物の硬化体を得る加熱養生工程、を含むことを特徴とするセメント組成物の硬化体の製造方法。
[6] 上記加熱養生工程の後に、上記加熱養生後の硬化体を、150〜200℃で24時間以上、加熱(ただし、オートクレーブ養生による加熱を除く。)する高温加熱工程を含む、上記[5]に記載のセメント組成物の硬化体の製造方法。
[7] 上記[1]〜[4]のいずれかに記載のセメント組成物の硬化体からなる造形物であって、上記造形物が、額縁、椅子、机、照明器具ケース、書類ケース、衣類ケース、ローボード、ハイボード、コーナーボード、ツリー型ハンガー、掛け時計ケース、扉枠、窓枠、手摺、欄間、浜縁、濡れ縁、または高欄であることを特徴とする造形物。
本発明のセメント組成物は、硬化前に優れた流動性を有するので、効率的にかつ高い精度で、額縁等の造形物(硬化体)を製造することができる。
本発明のセメント組成物を用いて製造される額縁等の造形物(硬化体)は、軽量であるため、運搬や取り扱いが容易であり、また、高強度(例えば、大きな圧縮強度)を有するため、例えば薄肉の部分や精巧な凹凸部分を有する場合であっても、これらの部分の欠けや割れ等が生じにくい。
本発明のセメント組成物を用いて製造される額縁等の造形物(硬化体)は、軽量であるため、運搬や取り扱いが容易であり、また、高強度(例えば、大きな圧縮強度)を有するため、例えば薄肉の部分や精巧な凹凸部分を有する場合であっても、これらの部分の欠けや割れ等が生じにくい。
[セメント組成物]
本発明のセメント組成物は、(a)セメント、(b)BET比表面積が15〜25m2/gのシリカフューム(以下、「シリカフューム」と略すことがある。)、(c)50%体積累積粒径が0.8〜5μmの無機粉末(以下、「無機粉末」と略すことがある。)、(d)中空粒子、(e)高性能減水剤、(f)消泡剤、及び、(g)水、を含むセメント組成物であって、(a)セメント、(b)シリカフューム、及び(c)無機粉末の合計量100体積%中、(a)セメントの割合が55〜65体積%、(b)シリカフュームの割合が5〜25体積%、(c)無機粉末の割合が15〜35体積%であり、(d)中空粒子が、セラミックバルーンまたはフライアッシュバルーンであるものである。
本明細書中、「セメント組成物」の語は、硬化前の組成物、及び、硬化後の組成物(硬化体)を包含するものとする。
以下、材料毎に説明する。
本発明のセメント組成物は、(a)セメント、(b)BET比表面積が15〜25m2/gのシリカフューム(以下、「シリカフューム」と略すことがある。)、(c)50%体積累積粒径が0.8〜5μmの無機粉末(以下、「無機粉末」と略すことがある。)、(d)中空粒子、(e)高性能減水剤、(f)消泡剤、及び、(g)水、を含むセメント組成物であって、(a)セメント、(b)シリカフューム、及び(c)無機粉末の合計量100体積%中、(a)セメントの割合が55〜65体積%、(b)シリカフュームの割合が5〜25体積%、(c)無機粉末の割合が15〜35体積%であり、(d)中空粒子が、セラミックバルーンまたはフライアッシュバルーンであるものである。
本明細書中、「セメント組成物」の語は、硬化前の組成物、及び、硬化後の組成物(硬化体)を包含するものとする。
以下、材料毎に説明する。
(a)セメント
セメントの種類は、特に限定されるものではなく、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントを使用することができる。
中でも、セメント組成物の流動性を向上させる観点から、中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメントを使用することが好ましい。
セメントの種類は、特に限定されるものではなく、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントを使用することができる。
中でも、セメント組成物の流動性を向上させる観点から、中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメントを使用することが好ましい。
(b)シリカフューム
シリカフュームのBET比表面積は、15〜25m2/g、好ましくは17〜23m2/g、特に好ましくは18〜22m2/gである。該比表面積が15m2/g未満の場合、本発明のセメント組成物の硬化体(以下、「セメント質硬化体」ともいう。)の圧縮強度等が低下する。該比表面積が25m2/gを超える場合、セメント組成物の流動性が低下する。
シリカフュームのBET比表面積は、15〜25m2/g、好ましくは17〜23m2/g、特に好ましくは18〜22m2/gである。該比表面積が15m2/g未満の場合、本発明のセメント組成物の硬化体(以下、「セメント質硬化体」ともいう。)の圧縮強度等が低下する。該比表面積が25m2/gを超える場合、セメント組成物の流動性が低下する。
(c)無機粉末
無機粉末としては、例えば、石英粉末(珪石粉末)、火山灰、及びフライアッシュ(分級または粉砕したもの)、スラグ粉末、石灰石粉末、長石類粉末、ムライト類粉末、アルミナ粉末、シリカゾル、炭化物粉末、窒化物粉末等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、セメント組成物の流動性を向上させ、セメント質硬化体の圧縮強度等をより大きくする観点から、石英粉末またはフライアッシュを使用することが好ましい。
なお、本明細書中、「50%体積累積粒径が0.8〜5μmの無機粉末」((c)無機粉末)には、セメントは含まれないものとする。
無機粉末としては、例えば、石英粉末(珪石粉末)、火山灰、及びフライアッシュ(分級または粉砕したもの)、スラグ粉末、石灰石粉末、長石類粉末、ムライト類粉末、アルミナ粉末、シリカゾル、炭化物粉末、窒化物粉末等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、セメント組成物の流動性を向上させ、セメント質硬化体の圧縮強度等をより大きくする観点から、石英粉末またはフライアッシュを使用することが好ましい。
なお、本明細書中、「50%体積累積粒径が0.8〜5μmの無機粉末」((c)無機粉末)には、セメントは含まれないものとする。
無機粉末の50%体積累積粒径は、0.8〜5μm、好ましくは1〜4μm、より好ましくは1.1〜3.5μm、特に好ましくは1.2μm以上、3μm未満である。該粒径が0.8μm未満の場合、セメント組成物の流動性が低下する。該粒径が5μmを超える場合、セメント質硬化体の圧縮強度等が低下する。
無機粉末の50%体積累積粒径は、市販の粒度分布測定装置(例えば、日機装社製、製品名「マイクロトラックHRA モデル9320−X100」)を用いて求めることができる。
具体的には、粒度分布測定装置を用いて、累積粒度曲線を作成し、該累積粒度曲線から50%体積累積粒径を求めることができる。この際、試料を分散させる溶媒であるエタノール20cm3に対して、試料0.06gを添加し、90秒間、超音波分散装置(例えば、日本精機製作所社製、製品名「US300」)を用いて超音波分散したものを測定する。
無機粉末の50%体積累積粒径は、市販の粒度分布測定装置(例えば、日機装社製、製品名「マイクロトラックHRA モデル9320−X100」)を用いて求めることができる。
具体的には、粒度分布測定装置を用いて、累積粒度曲線を作成し、該累積粒度曲線から50%体積累積粒径を求めることができる。この際、試料を分散させる溶媒であるエタノール20cm3に対して、試料0.06gを添加し、90秒間、超音波分散装置(例えば、日本精機製作所社製、製品名「US300」)を用いて超音波分散したものを測定する。
無機粉末の95%体積累積粒径は、セメント質硬化体の圧縮強度等をより大きくする観点から、好ましくは8μm以下、より好ましくは7μm以下、特に好ましくは6μm以下である。
無機粉末の最大粒径は、セメント質硬化体の圧縮強度等をより大きくする観点から、好ましくは15μm以下、より好ましくは14μm以下、特に好ましくは13μm以下である。
無機粉末の最大粒径は、セメント質硬化体の圧縮強度等をより大きくする観点から、好ましくは15μm以下、より好ましくは14μm以下、特に好ましくは13μm以下である。
無機粉末としては、SiO2を主成分とするもの(例えば、石英粉末)が好ましい。無機粉末中のSiO2の含有率が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上であれば、セメント質硬化体の圧縮強度等がより大きくなる。
(a)セメント、(b)シリカフューム、及び(c)無機粉末の合計量100体積%中、これら(a)〜(c)の各材料の割合は、以下のとおりである。
セメントの割合は、55〜65体積%、好ましくは57〜63体積%である。該割合が55体積%未満の場合、セメント質硬化体の圧縮強度等が低下する。該割合が65体積%を超える場合、セメント組成物の流動性が低下する。
シリカフュームの割合は、5〜25体積%、好ましくは6〜20体積%、さらに好ましくは7〜15体積%、特に好ましくは8〜13体積%である。該割合が5体積%未満の場合、セメント質硬化体の圧縮強度等が低下する。該割合が25体積%を超える場合、セメント組成物の流動性が低下する。
無機粉末の割合は、15〜35体積%、好ましくは20〜34体積%、さらに好ましくは25〜33体積%、特に好ましくは27〜32体積%である。該割合が15体積%未満の場合、セメント質硬化体の圧縮強度等が低下する。該割合が35体積%を超える場合、セメント組成物の流動性が低下する。
セメントの割合は、55〜65体積%、好ましくは57〜63体積%である。該割合が55体積%未満の場合、セメント質硬化体の圧縮強度等が低下する。該割合が65体積%を超える場合、セメント組成物の流動性が低下する。
シリカフュームの割合は、5〜25体積%、好ましくは6〜20体積%、さらに好ましくは7〜15体積%、特に好ましくは8〜13体積%である。該割合が5体積%未満の場合、セメント質硬化体の圧縮強度等が低下する。該割合が25体積%を超える場合、セメント組成物の流動性が低下する。
無機粉末の割合は、15〜35体積%、好ましくは20〜34体積%、さらに好ましくは25〜33体積%、特に好ましくは27〜32体積%である。該割合が15体積%未満の場合、セメント質硬化体の圧縮強度等が低下する。該割合が35体積%を超える場合、セメント組成物の流動性が低下する。
(d)中空粒子
本発明で用いる中空粒子は、セラミックバルーンまたはフライアッシュバルーンである。
本発明において、これらのバルーンは、1種を単独で用いてもよく、2種を組み合わせて用いてもよい。
中空粒子の50%質量累積粒径は、市販品の入手の容易性等の観点から、好ましくは500μm以下、より好ましくは400μm以下、さらに好ましくは300μm以下、特に好ましくは200μm以下である。
中空粒子の50%質量累積粒径の下限値は、特に限定されないが、市販品の入手の容易性等の観点から、好ましくは1μm、より好ましくは10μm、特に好ましくは30μmである。
本発明で用いる中空粒子は、セラミックバルーンまたはフライアッシュバルーンである。
本発明において、これらのバルーンは、1種を単独で用いてもよく、2種を組み合わせて用いてもよい。
中空粒子の50%質量累積粒径は、市販品の入手の容易性等の観点から、好ましくは500μm以下、より好ましくは400μm以下、さらに好ましくは300μm以下、特に好ましくは200μm以下である。
中空粒子の50%質量累積粒径の下限値は、特に限定されないが、市販品の入手の容易性等の観点から、好ましくは1μm、より好ましくは10μm、特に好ましくは30μmである。
中空粒子の密度は、軽量性の向上の観点から、好ましくは1.5g/cm3以下、より好ましくは1.2g/cm3以下、さらに好ましくは1.0g/cm3以下、特に好ましくは0.9g/cm3以下である。
中空粒子の密度の下限値は、特に限定されないが、市販品の入手の容易性等の観点から、好ましくは0.5g/cm3、より好ましくは0.6g/cm3、特に好ましくは0.7g/cm3である。
本発明で用いるセラミックバルーンとしては、市販品を用いることができる。
本発明で用いるフライアッシュバルーンは、例えば、フライアッシュの中で水に浮くものを捕集することによって得ることができる。また、本発明で用いるフライアッシュバルーンとして、市販品を用いることもできる。
本発明のセメント組成物中の(d)中空粒子の割合は、軽量性と圧縮強度のバランスの観点から、好ましくは30〜44体積%、より好ましくは33〜42体積%、特に好ましくは36〜40体積%である。
中空粒子の密度の下限値は、特に限定されないが、市販品の入手の容易性等の観点から、好ましくは0.5g/cm3、より好ましくは0.6g/cm3、特に好ましくは0.7g/cm3である。
本発明で用いるセラミックバルーンとしては、市販品を用いることができる。
本発明で用いるフライアッシュバルーンは、例えば、フライアッシュの中で水に浮くものを捕集することによって得ることができる。また、本発明で用いるフライアッシュバルーンとして、市販品を用いることもできる。
本発明のセメント組成物中の(d)中空粒子の割合は、軽量性と圧縮強度のバランスの観点から、好ましくは30〜44体積%、より好ましくは33〜42体積%、特に好ましくは36〜40体積%である。
(e)高性能減水剤
高性能減水剤としては、ナフタレンスルホン酸系、メラミン系、ポリカルボン酸系等の高性能減水剤を使用することができる。中でも、セメント組成物の流動性を向上させ、セメント質硬化体の圧縮強度等をより大きくする観点から、ポリカルボン酸系の高性能減水剤が好ましい。
高性能減水剤の量は、(a)セメント、(b)シリカフューム、及び(c)無機粉末の合計量100質量部に対して、固形分換算で、好ましくは0.2〜1.5質量部、より好ましくは0.4〜1.3質量部である。該量が0.2質量部以上であれば、減水性能が向上し、セメント組成物の流動性が向上する。該量が1.5質量部以下であれば、セメント質硬化体の圧縮強度等が、より大きくなる。
高性能減水剤としては、ナフタレンスルホン酸系、メラミン系、ポリカルボン酸系等の高性能減水剤を使用することができる。中でも、セメント組成物の流動性を向上させ、セメント質硬化体の圧縮強度等をより大きくする観点から、ポリカルボン酸系の高性能減水剤が好ましい。
高性能減水剤の量は、(a)セメント、(b)シリカフューム、及び(c)無機粉末の合計量100質量部に対して、固形分換算で、好ましくは0.2〜1.5質量部、より好ましくは0.4〜1.3質量部である。該量が0.2質量部以上であれば、減水性能が向上し、セメント組成物の流動性が向上する。該量が1.5質量部以下であれば、セメント質硬化体の圧縮強度等が、より大きくなる。
(f)消泡剤
消泡剤としては、市販品を使用することができる。
消泡剤の量は、(a)セメント、(b)シリカフューム、及び(c)無機粉末の合計量100質量部に対して、好ましくは0.05〜0.5質量部、より好ましくは0.1〜0.4質量部、特に好ましくは0.2〜0.3質量部である。該量が0.05質量部以上であれば、セメント組成物の強度発現性が向上する。該量が0.5質量部を超えると、セメント組成物の強度発現性の向上効果が頭打ちとなる。
消泡剤としては、市販品を使用することができる。
消泡剤の量は、(a)セメント、(b)シリカフューム、及び(c)無機粉末の合計量100質量部に対して、好ましくは0.05〜0.5質量部、より好ましくは0.1〜0.4質量部、特に好ましくは0.2〜0.3質量部である。該量が0.05質量部以上であれば、セメント組成物の強度発現性が向上する。該量が0.5質量部を超えると、セメント組成物の強度発現性の向上効果が頭打ちとなる。
(g)水
水としては、水道水等を使用することができる。
水の量は、(a)セメント、(b)シリカフューム、及び(c)無機粉末の合計量100質量部に対して、好ましくは10〜20質量部、より好ましくは11〜18質量部、特に好ましくは14〜16質量部である。該量が10質量部以上であれば、セメント組成物の流動性が向上する。該量が20質量部以下であれば、セメント質硬化体の圧縮強度等が、より大きくなる。
水としては、水道水等を使用することができる。
水の量は、(a)セメント、(b)シリカフューム、及び(c)無機粉末の合計量100質量部に対して、好ましくは10〜20質量部、より好ましくは11〜18質量部、特に好ましくは14〜16質量部である。該量が10質量部以上であれば、セメント組成物の流動性が向上する。該量が20質量部以下であれば、セメント質硬化体の圧縮強度等が、より大きくなる。
本発明のセメント組成物は、上述の(a)〜(g)の材料に加えて、他の粉末状または粒状の材料を含むことができる。
他の粉末状または粒状の材料の例としては、高炉スラグ微粉末、珪砂、石灰石砂、人工砂等が挙げられる。
(a)セメント、(b)シリカフューム、(c)無機粉末、及び(d)中空粒子の合計量100質量部当たりの他の粉末状または粒状の材料の量は、本発明の効果(軽量性、圧縮強度)を十分に確保する観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下、特に好ましくは3質量部以下である。
他の粉末状または粒状の材料の例としては、高炉スラグ微粉末、珪砂、石灰石砂、人工砂等が挙げられる。
(a)セメント、(b)シリカフューム、(c)無機粉末、及び(d)中空粒子の合計量100質量部当たりの他の粉末状または粒状の材料の量は、本発明の効果(軽量性、圧縮強度)を十分に確保する観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下、特に好ましくは3質量部以下である。
本発明のセメント組成物は、上述の(a)〜(g)の材料に加えて、他の繊維状の材料を含むことができる。
他の繊維状の材料の例として、有機繊維、金属繊維等が挙げられる。
有機繊維の例としては、例えば、ポリビニルアルコール繊維(PVA繊維)、ポリプロピレン繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維等が挙げられる。
有機繊維の寸法は、セメント組成物中における有機繊維の材料分離の防止等の観点から、好ましくは、直径が0.05〜0.6mmでかつ長さが5〜30mmであり、より好ましくは、直径が0.1〜0.5mmでかつ長さが7〜25mmであり、特に好ましくは、直径が0.2〜0.4mmでかつ長さが10〜20mmである。
有機繊維のアスペクト比(繊維長/繊維直径)は、好ましくは20〜100、より好ましくは30〜80、特に好ましくは40〜60である。
セメント組成物中の有機繊維の割合は、好ましくは0.6〜2.0体積%、より好ましくは0.8〜1.7体積%、特に好ましくは0.7〜1.4体積%である。
他の繊維状の材料の例として、有機繊維、金属繊維等が挙げられる。
有機繊維の例としては、例えば、ポリビニルアルコール繊維(PVA繊維)、ポリプロピレン繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維等が挙げられる。
有機繊維の寸法は、セメント組成物中における有機繊維の材料分離の防止等の観点から、好ましくは、直径が0.05〜0.6mmでかつ長さが5〜30mmであり、より好ましくは、直径が0.1〜0.5mmでかつ長さが7〜25mmであり、特に好ましくは、直径が0.2〜0.4mmでかつ長さが10〜20mmである。
有機繊維のアスペクト比(繊維長/繊維直径)は、好ましくは20〜100、より好ましくは30〜80、特に好ましくは40〜60である。
セメント組成物中の有機繊維の割合は、好ましくは0.6〜2.0体積%、より好ましくは0.8〜1.7体積%、特に好ましくは0.7〜1.4体積%である。
金属繊維としては、鋼繊維等が挙げられる。
金属繊維の寸法は、セメント組成物中における金属繊維の材料分離の防止等の観点から、好ましくは、直径が0.01〜1.0mmでかつ長さが2〜30mmであり、より好ましくは、直径が0.05〜0.5mmでかつ長さが5〜25mmである。
金属繊維のアスペクト比(繊維長/繊維直径)は、好ましくは20〜200、より好ましくは40〜150である。
セメント組成物中の金属繊維の割合は、好ましくは0.5〜3.0体積%、より好ましくは0.7〜2.5体積%、特に好ましくは0.9〜2.0体積%である。
金属繊維の寸法は、セメント組成物中における金属繊維の材料分離の防止等の観点から、好ましくは、直径が0.01〜1.0mmでかつ長さが2〜30mmであり、より好ましくは、直径が0.05〜0.5mmでかつ長さが5〜25mmである。
金属繊維のアスペクト比(繊維長/繊維直径)は、好ましくは20〜200、より好ましくは40〜150である。
セメント組成物中の金属繊維の割合は、好ましくは0.5〜3.0体積%、より好ましくは0.7〜2.5体積%、特に好ましくは0.9〜2.0体積%である。
本発明のセメント組成物のフロー値は、「JIS R 5201:2015(セメントの物理試験方法)」に規定される「フロー試験」の方法において、15回の落下運動を行わないで測定した値として、好ましくは150mm以上、より好ましくは170mm以上、さらに好ましくは180mm以上、さらに好ましくは190mm以上、好ましくは200mm以上である。
該フロー値の上限値は、特に限定されないが、より大きな圧縮強度を得る等の観点から、好ましくは260mm、より好ましくは250mm、特に好ましくは240mmである。
該フロー値の上限値は、特に限定されないが、より大きな圧縮強度を得る等の観点から、好ましくは260mm、より好ましくは250mm、特に好ましくは240mmである。
[セメント組成物の硬化体の物性]
本発明において、セメント組成物の硬化体(セメント質硬化体)の圧縮強度及び密度は、以下のとおりである。
セメント質硬化体の圧縮強度は、好ましくは140N/mm2以上、より好ましくは150N/mm2以上、さらに好ましくは155N/mm2以上、特に好ましくは160N/mm2以上である。
セメント質硬化体の圧縮強度の上限値は、特に限定されないが、より優れた流動性を得る等の観点からは、好ましくは210N/mm2、より好ましくは200N/mm2、特に好ましくは190N/mm2である。
本発明において、セメント組成物の硬化体(セメント質硬化体)の圧縮強度及び密度は、以下のとおりである。
セメント質硬化体の圧縮強度は、好ましくは140N/mm2以上、より好ましくは150N/mm2以上、さらに好ましくは155N/mm2以上、特に好ましくは160N/mm2以上である。
セメント質硬化体の圧縮強度の上限値は、特に限定されないが、より優れた流動性を得る等の観点からは、好ましくは210N/mm2、より好ましくは200N/mm2、特に好ましくは190N/mm2である。
セメント質硬化体の密度は、好ましくは2.0g/cm3以下、より好ましくは1.9g/cm3以下、特に好ましくは1.8g/cm3以下である。
セメント質硬化体の密度の上限値は、特に限定されないが、より大きな圧縮強度を得る等の観点から、好ましくは1.5g/cm3、より好ましくは1.6g/cm3、特に好ましくは1.7g/cm3である。
セメント質硬化体の密度の上限値は、特に限定されないが、より大きな圧縮強度を得る等の観点から、好ましくは1.5g/cm3、より好ましくは1.6g/cm3、特に好ましくは1.7g/cm3である。
[セメント組成物の硬化体(セメント質硬化体)の製造方法]
本発明のセメント質硬化体の製造方法は、(A)セメント組成物を型枠内に打設して、未硬化の成形体を得る成形工程と、(B)得られた未硬化の成形体を、10〜40℃で24時間以上、封緘養生または気中養生した後、型枠から脱型し、硬化した成形体を得る常温養生工程と、(C)工程(B)で得られた硬化した成形体に吸水させ、吸水後の成形体を得る吸水工程と、(D)工程(C)で得られた吸水後の成形体について、70℃以上100℃未満で1時間以上の、蒸気養生もしくは温水養生と、100〜200℃で1時間以上のオートクレーブ養生のいずれか一方または両方を行い、セメント質硬化体(加熱養生後の硬化体)を得る加熱養生工程、を含む。
本発明のセメント質硬化体の製造方法は、(D)加熱養生工程の後に、(E)得られた加熱養生後の硬化体を、150〜200℃で24時間以上、加熱(ただし、オートクレーブ養生による加熱を除く。)する高温加熱工程、を含むことができる。
以下、工程(A)〜工程(E)について、詳しく説明する。
本発明のセメント質硬化体の製造方法は、(A)セメント組成物を型枠内に打設して、未硬化の成形体を得る成形工程と、(B)得られた未硬化の成形体を、10〜40℃で24時間以上、封緘養生または気中養生した後、型枠から脱型し、硬化した成形体を得る常温養生工程と、(C)工程(B)で得られた硬化した成形体に吸水させ、吸水後の成形体を得る吸水工程と、(D)工程(C)で得られた吸水後の成形体について、70℃以上100℃未満で1時間以上の、蒸気養生もしくは温水養生と、100〜200℃で1時間以上のオートクレーブ養生のいずれか一方または両方を行い、セメント質硬化体(加熱養生後の硬化体)を得る加熱養生工程、を含む。
本発明のセメント質硬化体の製造方法は、(D)加熱養生工程の後に、(E)得られた加熱養生後の硬化体を、150〜200℃で24時間以上、加熱(ただし、オートクレーブ養生による加熱を除く。)する高温加熱工程、を含むことができる。
以下、工程(A)〜工程(E)について、詳しく説明する。
[(A)成形工程]
工程(A)は、セメント組成物を型枠内に打設して、未硬化の成形体を得る工程である。
打設を行う前に、セメント組成物を調製する方法としては、特に限定されないが、例えば、(i)セメント組成物を構成する材料のうち、セメント、シリカフューム、無機粉末、及び中空粒子を混合して、粉体混合物を得た後、該粉体混合物、高性能減水剤、消泡剤及び水を混練して、セメント組成物を得る方法、(ii)セメント組成物を構成する材料を一括して混練する方法、等が挙げられる。
セメント組成物の調製時に用いる混練装置としては、特に限定されないが、例えば、オムニミキサ、パン型ミキサ、二軸練りミキサ、傾胴ミキサ等の慣用のミキサが挙げられる。
工程(A)は、セメント組成物を型枠内に打設して、未硬化の成形体を得る工程である。
打設を行う前に、セメント組成物を調製する方法としては、特に限定されないが、例えば、(i)セメント組成物を構成する材料のうち、セメント、シリカフューム、無機粉末、及び中空粒子を混合して、粉体混合物を得た後、該粉体混合物、高性能減水剤、消泡剤及び水を混練して、セメント組成物を得る方法、(ii)セメント組成物を構成する材料を一括して混練する方法、等が挙げられる。
セメント組成物の調製時に用いる混練装置としては、特に限定されないが、例えば、オムニミキサ、パン型ミキサ、二軸練りミキサ、傾胴ミキサ等の慣用のミキサが挙げられる。
[(B)常温養生工程]
工程(B)は、工程(A)で得られた未硬化の成形体を、10〜40℃(好ましくは15〜30℃)で24時間以上(好ましくは24〜72時間、より好ましくは24〜60時間)、封緘養生または気中養生した後、型枠から脱型し、硬化した成形体を得る工程である。
養生温度が10℃以上であれば、養生時間をより短くすることができる。養生温度が40℃以下であれば、セメント質硬化体の強度(圧縮強度)をより大きくすることができる。
養生時間が24時間以上であれば、脱型の際に、硬化した成形体に欠けや割れ等が生じにくくなる。
工程(B)は、工程(A)で得られた未硬化の成形体を、10〜40℃(好ましくは15〜30℃)で24時間以上(好ましくは24〜72時間、より好ましくは24〜60時間)、封緘養生または気中養生した後、型枠から脱型し、硬化した成形体を得る工程である。
養生温度が10℃以上であれば、養生時間をより短くすることができる。養生温度が40℃以下であれば、セメント質硬化体の強度(圧縮強度)をより大きくすることができる。
養生時間が24時間以上であれば、脱型の際に、硬化した成形体に欠けや割れ等が生じにくくなる。
[(C)吸水工程]
工程(C)は、工程(B)で得られた硬化した成形体に吸水させ、吸水後の成形体を得る工程である。
硬化した成形体に吸水させる方法としては、該成形体を水中に浸漬させる方法が挙げられる。
なお、該成形体を水中に浸漬させる方法において、短時間で吸水量を増やし、かつ、セメント質硬化体の圧縮強度等をより大きくする観点から、該成形体を、減圧下の水の中に浸漬させる方法や、該成形体を、沸騰している水の中に浸漬させた後、該成形体を浸漬させたまま、水温を40℃以下に低下させる方法等を採用することが、好ましい。
この場合、硬化した成形体を、減圧下の水または沸騰している水の中に浸漬させる時間は、吸水率を高くする観点から、好ましくは3分間以上、より好ましくは8分間以上、特に好ましくは20分間以上である。該時間の上限は、セメント質硬化体の圧縮強度等をより大きくする観点から、好ましくは60分間、より好ましくは45分間である。
工程(C)は、工程(B)で得られた硬化した成形体に吸水させ、吸水後の成形体を得る工程である。
硬化した成形体に吸水させる方法としては、該成形体を水中に浸漬させる方法が挙げられる。
なお、該成形体を水中に浸漬させる方法において、短時間で吸水量を増やし、かつ、セメント質硬化体の圧縮強度等をより大きくする観点から、該成形体を、減圧下の水の中に浸漬させる方法や、該成形体を、沸騰している水の中に浸漬させた後、該成形体を浸漬させたまま、水温を40℃以下に低下させる方法等を採用することが、好ましい。
この場合、硬化した成形体を、減圧下の水または沸騰している水の中に浸漬させる時間は、吸水率を高くする観点から、好ましくは3分間以上、より好ましくは8分間以上、特に好ましくは20分間以上である。該時間の上限は、セメント質硬化体の圧縮強度等をより大きくする観点から、好ましくは60分間、より好ましくは45分間である。
[(D)加熱養生工程]
工程(D)は、工程(C)で得られた吸水後の成形体について、70℃以上100℃未満(好ましくは75〜95℃、より好ましくは80〜92℃、特に好ましくは85〜92℃)で1時間以上の蒸気養生もしくは温水養生と、100〜200℃(好ましくは160〜190℃)で1時間以上のオートクレーブ養生のいずれか一方または両方を行い、加熱養生後の硬化体(後述の工程(E)を行わない場合、本発明が目的とするセメント質硬化体)を得る工程である。
工程(D)において、蒸気養生または温水養生のみを行う場合、その養生時間は、好ましくは12時間以上、より好ましくは24〜96時間、特に好ましくは36〜72時間である。
オートクレーブ養生のみを行う場合、その養生時間は、好ましくは2時間以上、より好ましくは3〜60時間、特に好ましくは4〜48時間である。
工程(D)は、工程(C)で得られた吸水後の成形体について、70℃以上100℃未満(好ましくは75〜95℃、より好ましくは80〜92℃、特に好ましくは85〜92℃)で1時間以上の蒸気養生もしくは温水養生と、100〜200℃(好ましくは160〜190℃)で1時間以上のオートクレーブ養生のいずれか一方または両方を行い、加熱養生後の硬化体(後述の工程(E)を行わない場合、本発明が目的とするセメント質硬化体)を得る工程である。
工程(D)において、蒸気養生または温水養生のみを行う場合、その養生時間は、好ましくは12時間以上、より好ましくは24〜96時間、特に好ましくは36〜72時間である。
オートクレーブ養生のみを行う場合、その養生時間は、好ましくは2時間以上、より好ましくは3〜60時間、特に好ましくは4〜48時間である。
蒸気養生もしくは温水養生とオートクレーブ養生の両方を行う場合(例えば、蒸気養生もしくは温水養生を行った後、さらにオートクレーブ養生を行う場合)、蒸気養生もしくは温水養生における養生時間は、好ましくは1〜72時間、より好ましくは2〜48時間であり、オートクレーブ養生における養生時間は、好ましくは1〜24時間、より好ましくは2〜18時間である。
工程(D)において、養生温度が前記範囲内であれば、養生時間を短くすることができ、また、セメント質硬化体の圧縮強度等をより大きくすることができる。
工程(D)において、養生時間が前記範囲内であれば、セメント質硬化体の圧縮強度等をより大きくすることができる。
工程(D)において、養生温度が前記範囲内であれば、養生時間を短くすることができ、また、セメント質硬化体の圧縮強度等をより大きくすることができる。
工程(D)において、養生時間が前記範囲内であれば、セメント質硬化体の圧縮強度等をより大きくすることができる。
[(E)高温加熱工程]
工程(E)は、工程(D)で得られた加熱養生後の硬化体を、150〜200℃(好ましくは170〜190℃)で24時間以上(好ましくは24〜72時間、より好ましくは36〜48時間)、加熱(ただし、オートクレーブ養生による加熱を除く。)して、セメント質硬化体を得る工程である。
工程(E)を行うことによって、セメント質硬化体の圧縮強度等をより大きくすることができる。
工程(E)における加熱は、通常、乾燥雰囲気下(換言すると、水や水蒸気を人為的に供給しない状態)で行われる。
加熱温度が150℃以上であれば、加熱時間をより短くすることができる。加熱温度が200℃以下であれば、セメント質硬化体の圧縮強度等をより大きくすることができる。
加熱時間が24時間以上であれば、セメント質硬化体の圧縮強度等をより大きくすることができる。
工程(E)は、工程(D)で得られた加熱養生後の硬化体を、150〜200℃(好ましくは170〜190℃)で24時間以上(好ましくは24〜72時間、より好ましくは36〜48時間)、加熱(ただし、オートクレーブ養生による加熱を除く。)して、セメント質硬化体を得る工程である。
工程(E)を行うことによって、セメント質硬化体の圧縮強度等をより大きくすることができる。
工程(E)における加熱は、通常、乾燥雰囲気下(換言すると、水や水蒸気を人為的に供給しない状態)で行われる。
加熱温度が150℃以上であれば、加熱時間をより短くすることができる。加熱温度が200℃以下であれば、セメント質硬化体の圧縮強度等をより大きくすることができる。
加熱時間が24時間以上であれば、セメント質硬化体の圧縮強度等をより大きくすることができる。
[セメント質硬化体の用途]
セメント質硬化体の用途の例としては、額縁、椅子、机、照明器具ケース、書類ケース、衣類ケース、ローボード、ハイボード、コーナーボード、ツリー型ハンガー、掛け時計ケース、扉枠、窓枠、手摺(「欄干」等とも称される。)、欄間、浜縁、濡れ縁、高欄等が挙げられる。
額縁としては、例えば、額縁の周縁部分以外の本体部分を、上述の有機繊維を含むセメント組成物で形成し、かつ、額縁の周縁部分を、有機繊維を含まない以外は額縁の本体部分と同じ材料からなるセメント組成物で形成してなるものが挙げられる。
セメント質硬化体の用途の例としては、額縁、椅子、机、照明器具ケース、書類ケース、衣類ケース、ローボード、ハイボード、コーナーボード、ツリー型ハンガー、掛け時計ケース、扉枠、窓枠、手摺(「欄干」等とも称される。)、欄間、浜縁、濡れ縁、高欄等が挙げられる。
額縁としては、例えば、額縁の周縁部分以外の本体部分を、上述の有機繊維を含むセメント組成物で形成し、かつ、額縁の周縁部分を、有機繊維を含まない以外は額縁の本体部分と同じ材料からなるセメント組成物で形成してなるものが挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[使用材料]
(a)セメント(低熱ポルトランドセメント;太平洋セメント社製)
ブレーン比表面積:3,370cm2/g
密度:3.22g/cm3
(b)シリカフューム
ブレーン比表面積:20m2/g
密度:2.35g/cm3
(c)無機粉末(石英粉末)
ケイ酸(SiO2)含有率:99.9質量%以上
50%体積累積粒径:2μm
最大粒径:12μm
95%体積累積粒径:5.8μm
密度:2.71g/cm3
[使用材料]
(a)セメント(低熱ポルトランドセメント;太平洋セメント社製)
ブレーン比表面積:3,370cm2/g
密度:3.22g/cm3
(b)シリカフューム
ブレーン比表面積:20m2/g
密度:2.35g/cm3
(c)無機粉末(石英粉末)
ケイ酸(SiO2)含有率:99.9質量%以上
50%体積累積粒径:2μm
最大粒径:12μm
95%体積累積粒径:5.8μm
密度:2.71g/cm3
(d)中空粒子
(d−1)中空粒子A
中空セラミックバルーン(商品名:E−Spheres;太平洋セメント社製)
50%質量累積粒径:175μm
密度:0.88g/cm3
(d−2)中空粒子B
フライアッシュバルーン(商品名:Fine Sphere;巴工業社製)
50%質量累積粒径:100μm
密度:0.85g/cm3
(d−3)中空粒子C
フライアッシュバルーン(商品名:CENOLITE;巴工業社製)
50%質量累積粒径:60μm
密度:0.80g/cm3
(d−4)中空粒子D(比較用)
シラスバルーン(商品名:マールライト;丸中白土社製)
50%質量累積粒径:80μm
密度:0.60g/cm3
(d−5)珪砂(中空粒子の代替物;参考用)
密度:2.61g/cm3
(e)高性能減水剤
ポリカルボン酸系高性能減水剤(液状;固形分の含有率:27.4質量%;商品名:フローリックSF500U;フローリック社製)
(f)消泡剤
ポリアルキレングリコール誘導体を有効成分として含むもの(液状;商品名:マスターエア404;BASFジャパン社製)
(g)水
上水道水
(d−1)中空粒子A
中空セラミックバルーン(商品名:E−Spheres;太平洋セメント社製)
50%質量累積粒径:175μm
密度:0.88g/cm3
(d−2)中空粒子B
フライアッシュバルーン(商品名:Fine Sphere;巴工業社製)
50%質量累積粒径:100μm
密度:0.85g/cm3
(d−3)中空粒子C
フライアッシュバルーン(商品名:CENOLITE;巴工業社製)
50%質量累積粒径:60μm
密度:0.80g/cm3
(d−4)中空粒子D(比較用)
シラスバルーン(商品名:マールライト;丸中白土社製)
50%質量累積粒径:80μm
密度:0.60g/cm3
(d−5)珪砂(中空粒子の代替物;参考用)
密度:2.61g/cm3
(e)高性能減水剤
ポリカルボン酸系高性能減水剤(液状;固形分の含有率:27.4質量%;商品名:フローリックSF500U;フローリック社製)
(f)消泡剤
ポリアルキレングリコール誘導体を有効成分として含むもの(液状;商品名:マスターエア404;BASFジャパン社製)
(g)水
上水道水
[実施例1]
オムニミキサ(容量:5リットル)に、セメントを845kg/m3、シリカフュームを103kg/m3、及び、無機粉末(石英粉末)を356kg/m3、中空粒子A(中空セラミックバルーン)を334kg/m3の各量で投入した後、30秒間混合し、次いで、水を183kg/m3、高性能減水剤を少量、及び消泡剤を少量の各量で投入して、4分間混練した。
ここで、高性能減水剤の量は、セメントとシリカフュームと無機粉末(石英粉末)の合計量100質量部に対して、3.0質量部(固形分換算では、0.8質量部)であった。
消泡剤の量は、セメントとシリカフュームと無機粉末(石英粉末)の合計量100質量部に対して、0.2質量部であった。
オムニミキサ(容量:5リットル)に、セメントを845kg/m3、シリカフュームを103kg/m3、及び、無機粉末(石英粉末)を356kg/m3、中空粒子A(中空セラミックバルーン)を334kg/m3の各量で投入した後、30秒間混合し、次いで、水を183kg/m3、高性能減水剤を少量、及び消泡剤を少量の各量で投入して、4分間混練した。
ここで、高性能減水剤の量は、セメントとシリカフュームと無機粉末(石英粉末)の合計量100質量部に対して、3.0質量部(固形分換算では、0.8質量部)であった。
消泡剤の量は、セメントとシリカフュームと無機粉末(石英粉末)の合計量100質量部に対して、0.2質量部であった。
その後、オムニミキサの側壁に付着した混練物を掻き落とし、さらに2分間混練を行って、セメント組成物を得た。
なお、セメント、シリカフューム、及び無機粉末(石英粉末)の合計量100体積%中、セメントの割合は60.0体積%、シリカフュームの割合は10.0体積%、無機粉末(石英粉末)の割合は30.0体積%であった。
また、中空粒子Aの量は、セメント組成物中の体積割合が38.0体積%となる量であった。
また、水の量は、セメント、シリカフューム、及び無機粉末(石英粉末)の合計量100質量部に対して、14.0質量部であった。
混練後のセメント組成物のフロー値を、「JIS R 5201:2015(セメントの物理試験方法)」の「フロー試験」に記載される方法において、15回の落下運動を行わないで測定した。なお、本明細書中、該フロー値を「0打ちフロー値」ともいう。
結果を表1に示す。
なお、セメント、シリカフューム、及び無機粉末(石英粉末)の合計量100体積%中、セメントの割合は60.0体積%、シリカフュームの割合は10.0体積%、無機粉末(石英粉末)の割合は30.0体積%であった。
また、中空粒子Aの量は、セメント組成物中の体積割合が38.0体積%となる量であった。
また、水の量は、セメント、シリカフューム、及び無機粉末(石英粉末)の合計量100質量部に対して、14.0質量部であった。
混練後のセメント組成物のフロー値を、「JIS R 5201:2015(セメントの物理試験方法)」の「フロー試験」に記載される方法において、15回の落下運動を行わないで測定した。なお、本明細書中、該フロー値を「0打ちフロー値」ともいう。
結果を表1に示す。
次に、得られたセメント組成物を用いて、以下の手順でセメント質硬化体を製造した。
まず、得られたセメント組成物を、φ50×100mmの内部空間を有する円筒形の型枠内に打設して、未硬化の成形体を得た。打設後、未硬化の成形体について、20℃で48時間、封緘養生を行い、次いで、脱型して、硬化した成形体を得た。
この成形体をアクリル樹脂製の密閉容器内に置き、次いで、この成形体が水中に完全に浸漬された状態で、該密閉容器に接続されたポンプで、該密閉容器内の水の上方の空気を排出させることによって、減圧雰囲気を形成させ、この成形体の表面から内部に向かって水分を浸入させた。減圧雰囲気を保った時間は、30分間であった。
吸水後の成形体を密閉容器から取り出して、蒸気養生装置内に置き、20℃から15℃/hr(時間)の速度で昇温させ、90℃に達した後、90℃の温度を保って、48時間、蒸気養生(加熱養生工程)を行い、次いで、15℃/hr(時間)の速度で降温させ、20℃に達したときに、蒸気養生装置から取り出した。
その後、蒸気養生後の成形体(セメント質硬化体)の圧縮強度を、「JIS A 1108:2018(コンクリートの圧縮強度試験方法)」に準じて測定した。
結果を表1に示す。
まず、得られたセメント組成物を、φ50×100mmの内部空間を有する円筒形の型枠内に打設して、未硬化の成形体を得た。打設後、未硬化の成形体について、20℃で48時間、封緘養生を行い、次いで、脱型して、硬化した成形体を得た。
この成形体をアクリル樹脂製の密閉容器内に置き、次いで、この成形体が水中に完全に浸漬された状態で、該密閉容器に接続されたポンプで、該密閉容器内の水の上方の空気を排出させることによって、減圧雰囲気を形成させ、この成形体の表面から内部に向かって水分を浸入させた。減圧雰囲気を保った時間は、30分間であった。
吸水後の成形体を密閉容器から取り出して、蒸気養生装置内に置き、20℃から15℃/hr(時間)の速度で昇温させ、90℃に達した後、90℃の温度を保って、48時間、蒸気養生(加熱養生工程)を行い、次いで、15℃/hr(時間)の速度で降温させ、20℃に達したときに、蒸気養生装置から取り出した。
その後、蒸気養生後の成形体(セメント質硬化体)の圧縮強度を、「JIS A 1108:2018(コンクリートの圧縮強度試験方法)」に準じて測定した。
結果を表1に示す。
次に、蒸気養生後の成形体(セメント質硬化体)を、高温乾燥装置(水や水蒸気を人為的に供給しない乾燥雰囲気が内部空間に形成されている装置)内に置き、20℃から60℃/hr(時間)の速度で昇温させ、180℃に達した後、180℃の温度を保って、48時間、高温加熱養生(高温加熱工程)を行い、次いで、60℃/hr(時間)の速度で降温させ、20℃に達したときに、高温乾燥装置から取り出した。
その後、高温加熱養生後の成形体(セメント質硬化体)の圧縮強度を、「JIS A 1108:2018(コンクリートの圧縮強度試験方法)」に準じて測定した。
また、高温加熱養生後の成形体の密度を、該成形体の質量及び寸法の各測定値に基いて算出した。
結果を表1に示す。
その後、高温加熱養生後の成形体(セメント質硬化体)の圧縮強度を、「JIS A 1108:2018(コンクリートの圧縮強度試験方法)」に準じて測定した。
また、高温加熱養生後の成形体の密度を、該成形体の質量及び寸法の各測定値に基いて算出した。
結果を表1に示す。
[実施例2]
中空粒子Aに代えて、中空粒子B(50%質量累積粒径が100μmであるフライアッシュバルーン)を用い、かつ、中空粒子Bの量を323kg/m3(セメント組成物中の体積割合:38.0体積%)に定めた以外は実施例1と同様にして、実験を行った。
[実施例3]
中空粒子Aに代えて、中空粒子C(50%質量累積粒径が60μmであるフライアッシュバルーン)を用い、かつ、中空粒子Cの量を304kg/m3(セメント組成物中の体積割合:38.0体積%)に定めた以外は実施例1と同様にして、実験を行った。
[比較例1]
中空粒子Aに代えて、中空粒子D(シラスバルーン)を用い、かつ、中空粒子Dの量を228kg/m3(セメント組成物中の体積割合:38.0体積%)に定めた以外は実施例1と同様にして、実験を試みた。しかし、セメント組成物の調製時に、中空粒子が吸水したため、混練が困難となり、均一な組成を有するセメント組成物を得ることができなかった。
[参考例1]
中空粒子Aに代えて、珪砂を用い、かつ、珪砂の量を992kg/m3(セメント組成物中の体積割合:38.0体積%)に定めた以外は実施例1と同様にして、実験を行った。
以上の結果を表1に示す。
中空粒子Aに代えて、中空粒子B(50%質量累積粒径が100μmであるフライアッシュバルーン)を用い、かつ、中空粒子Bの量を323kg/m3(セメント組成物中の体積割合:38.0体積%)に定めた以外は実施例1と同様にして、実験を行った。
[実施例3]
中空粒子Aに代えて、中空粒子C(50%質量累積粒径が60μmであるフライアッシュバルーン)を用い、かつ、中空粒子Cの量を304kg/m3(セメント組成物中の体積割合:38.0体積%)に定めた以外は実施例1と同様にして、実験を行った。
[比較例1]
中空粒子Aに代えて、中空粒子D(シラスバルーン)を用い、かつ、中空粒子Dの量を228kg/m3(セメント組成物中の体積割合:38.0体積%)に定めた以外は実施例1と同様にして、実験を試みた。しかし、セメント組成物の調製時に、中空粒子が吸水したため、混練が困難となり、均一な組成を有するセメント組成物を得ることができなかった。
[参考例1]
中空粒子Aに代えて、珪砂を用い、かつ、珪砂の量を992kg/m3(セメント組成物中の体積割合:38.0体積%)に定めた以外は実施例1と同様にして、実験を行った。
以上の結果を表1に示す。
表1から、実施例1〜3(セラミックバルーンまたはフライアッシュバルーンを用いた実験例)では、硬化前に、210mm以上の0打ちフロー値を得ていること、及び、硬化後に、加熱養生工程後の時点で156N/mm2以上、高温加熱工程後の時点で161N/mm2以上の各圧縮強度と、1.77g/cm3以下の密度を得ていることがわかる。
一方、比較例1(シラスバルーンを用いた実験例)では、上述のとおり、混練が困難となり、均一な組成を有するセメント組成物を得ることができなかった。
参考例1(珪砂を用いた実験例)では、フロー値及び圧縮強度の値は良好であるものの、密度が2.43g/cm3であり、軽量性が劣ることがわかる。
なお、参考例1では、圧縮強度が、加熱養生工程後の時点で258N/mm2、高温加熱工程後の時点で359N/mm2であり、高温加熱工程を行うことが効果的であることがわかる。一方、実施例1〜3では、高温加熱工程を行なわなくても、156N/mm2以上の圧縮強度と、1.77g/cm3以下の密度を得ている。従来、モルタルとして、150N/mm2以上の圧縮強度と、1.8g/cm3以下の密度(軽量性)を兼ね備えたものを製造することは困難であったことを考慮すると、高温加熱工程を行なわなくても、このような高強度かつ優れた軽量性を有するセメント組成物が得られたことは、製造上も有利であり、額縁等の用途への適用が期待されるものである。
一方、比較例1(シラスバルーンを用いた実験例)では、上述のとおり、混練が困難となり、均一な組成を有するセメント組成物を得ることができなかった。
参考例1(珪砂を用いた実験例)では、フロー値及び圧縮強度の値は良好であるものの、密度が2.43g/cm3であり、軽量性が劣ることがわかる。
なお、参考例1では、圧縮強度が、加熱養生工程後の時点で258N/mm2、高温加熱工程後の時点で359N/mm2であり、高温加熱工程を行うことが効果的であることがわかる。一方、実施例1〜3では、高温加熱工程を行なわなくても、156N/mm2以上の圧縮強度と、1.77g/cm3以下の密度を得ている。従来、モルタルとして、150N/mm2以上の圧縮強度と、1.8g/cm3以下の密度(軽量性)を兼ね備えたものを製造することは困難であったことを考慮すると、高温加熱工程を行なわなくても、このような高強度かつ優れた軽量性を有するセメント組成物が得られたことは、製造上も有利であり、額縁等の用途への適用が期待されるものである。
[額縁の製造]
額縁の縁辺部分の材料として、実施例1と同じ材料(ただし、顔料を追加した。)を用い、かつ、額縁の本体部分の材料として、実施例1と同じ材料(ただし、顔料を追加した。)に対してさらに有機繊維(材質:ポリビニルアルコール繊維、直径:0.30mm、長さ:15mm、アスペクト比:50)を、セメント組成物中の体積割合で1.0体積%となる量で配合してなるものを用いて、額縁(長さ35cm×幅24cm×厚さ5cm)を作製した。
額縁は、その周縁部分のうち、曲面や細かな凹凸も、欠けや割れ等が生じることなく、高い精度で形成されたものであり、外観上、木製の高級品と遜色のないものであった。
額縁の縁辺部分の材料として、実施例1と同じ材料(ただし、顔料を追加した。)を用い、かつ、額縁の本体部分の材料として、実施例1と同じ材料(ただし、顔料を追加した。)に対してさらに有機繊維(材質:ポリビニルアルコール繊維、直径:0.30mm、長さ:15mm、アスペクト比:50)を、セメント組成物中の体積割合で1.0体積%となる量で配合してなるものを用いて、額縁(長さ35cm×幅24cm×厚さ5cm)を作製した。
額縁は、その周縁部分のうち、曲面や細かな凹凸も、欠けや割れ等が生じることなく、高い精度で形成されたものであり、外観上、木製の高級品と遜色のないものであった。
Claims (7)
- セメント、BET比表面積が15〜25m2/gのシリカフューム、50%体積累積粒径が0.8〜5μmの無機粉末、中空粒子、高性能減水剤、消泡剤及び水を含むセメント組成物であって、
上記セメント、上記シリカフューム及び上記無機粉末の合計量100体積%中、上記セメントの割合が55〜65体積%、上記シリカフュームの割合が5〜25体積%、上記無機粉末の割合が15〜35体積%であり、
上記中空粒子が、セラミックバルーンまたはフライアッシュバルーンであることを特徴とするセメント組成物。 - 上記中空粒子は、50%質量累積粒径が500μm以下のものである請求項1に記載のセメント組成物。
- 上記セメント組成物中の中空粒子の割合が、30〜44体積%である請求項1または2に記載のセメント組成物。
- 硬化前に、フロー値が、「JIS R 5201:2015(セメントの物理試験方法)」に規定される「フロー試験」の方法において、15回の落下運動を行わないで測定した値として、150mm以上であり、硬化後に、圧縮強度が140N/mm2以上で、かつ、密度が2.0g/cm3以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のセメント組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のセメント組成物の硬化体を製造するための方法であって、
上記セメント組成物を型枠内に打設して、未硬化の成形体を得る成形工程と、
上記未硬化の成形体を、10〜40℃で24時間以上、封緘養生または気中養生した後、上記型枠から脱型し、硬化した成形体を得る常温養生工程と、
上記硬化した成形体に吸水させ、吸水後の成形体を得る吸水工程と、
上記吸水後の成形体について、70℃以上100℃未満で1時間以上の、蒸気養生もしくは温水養生と、100〜200℃で1時間以上のオートクレーブ養生のいずれか一方または両方を行い、上記セメント組成物の硬化体を得る加熱養生工程、
を含むことを特徴とするセメント組成物の硬化体の製造方法。 - 上記加熱養生工程の後に、上記加熱養生後の硬化体を、150〜200℃で24時間以上、加熱(ただし、オートクレーブ養生による加熱を除く。)する高温加熱工程、を含む請求項5に記載のセメント組成物の硬化体の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のセメント組成物の硬化体からなる造形物であって、
上記造形物が、額縁、椅子、机、照明器具ケース、書類ケース、衣類ケース、ローボード、ハイボード、コーナーボード、ツリー型ハンガー、掛け時計ケース、扉枠、窓枠、手摺、欄間、浜縁、濡れ縁、または、高欄であることを特徴とする造形物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019140351A JP2021020838A (ja) | 2019-07-30 | 2019-07-30 | セメント組成物、その硬化体の製造方法、及び造形物 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113582627A (zh) * | 2021-08-30 | 2021-11-02 | 广东工业大学 | 一种纳米氧化铝改性超轻质水泥基复合材料及其制备方法和应用 |
-
2019
- 2019-07-30 JP JP2019140351A patent/JP2021020838A/ja active Pending
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CN113582627A (zh) * | 2021-08-30 | 2021-11-02 | 广东工业大学 | 一种纳米氧化铝改性超轻质水泥基复合材料及其制备方法和应用 |
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