JP2021020233A - 熱間プレス製品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】一つのワークの中に部位毎に強度差を付けつつ熱間プレス成形するにあたり、特別な加熱設備を必要とすることなく、加熱時のワークの部位毎の温度差を容易に設定できるようにする。【解決手段】ワーク1の一部位に対し、マスキング材3を重ね合わせて取り付けて重ね合わせ材13を作製する重ね合わせ材作製工程と、重ね合わせ材13を加熱する重ね合わせ材加熱工程と、加熱した重ね合わせ材13を金型で焼き入れしながら成形する重ね合わせ材成形工程と、成形した重ね合わせ材13のワーク1からマスキング材3を取り外すマスキング材取り外し工程と、を備える。【選択図】図14

Description

本発明は、熱間プレス製品の製造方法に関する。
近年、自動車の燃費向上のために部品の更なる軽量化が望まれており、厚さの薄い高強度部材を用いることにより、経済性の向上のみならず安全性の確保も図っている。このような目的のために、あらかじめ加熱した鋼板を低温のプレス金型で冷却して焼入れしながら成形を行う熱間プレス工法が用いられている。熱間プレス工法では、鋼板をオーステナイト化温度以上に加熱し、プレス金型で成形と同時に急速冷却して焼入れを行うことにより、鋼の組織がオーステナイトからマルテンサイトに変態する。
しかしながら、自動車の車体部品は、部位によっては、強度が全て高ければよいという訳ではなく、例えばセンタピラーなどの車体部品は、一部位を他の部位よりも低強度として衝突時の変形を当該部位に集中させ、それによって乗員用の空間の変形を極力少なくして乗員を保護する場合がある。
このような要望に対応して、熱間プレス工法を行う際に、例えば特許文献1には、以下の方法が記載されている。(1)ワークの加熱工程において、炉室内に配置された仕切壁によりワークに部分的に温度差を設けた状態で熱間プレス成形する。(2)熱間プレス用金型の、ワークの強度を高めたい部位に接触する部分周辺にのみ冷却路を設けることで、ワークに冷却速度の差を部分的に発生させる。特許文献2には、ワークを加熱する際に、温度調節可能な近赤外線ランプを使用することで、ワークに部分的な温度差を発生させるとともに、ワークの温度境界範囲に遮熱プレートを配置して温度境界の位置精度を高めることが記載されている。
特開2002−241835号公報 特開2010−44875号公報
特許文献1記載の発明のように、炉室内に仕切壁を設けても、通常のガス炉あるいは電気炉による間接加熱では、実際の加熱領域はワーク全体に及び、任意の境界部分にはっきりとした強度差を設けることは困難である。また、金型に部分的に冷却路を設ける場合には、温度制御の条件出しが難しく、目標とした部位に想定した強度差を得ることが困難である。
特許文献2記載の発明は、ワークの細かな部位に強度差を設定可能であるが、使用できる加熱装置が限られ、非常に高価な専用加熱炉が必要となる。更に、個別の遮蔽プレートが必要となり、加熱炉内に遮蔽プレートの設置が難しく、特別な設備が必要となって実用的な工法とは言い難い。
そこで本発明は、一つのワークの中に部位毎に強度差を付けつつ熱間プレス成形するにあたり、特別な加熱設備を必要とすることなく、加熱時のワークの部位毎の温度差を容易に設定できるようにすることを目的としている。
本発明の一態様に係わる熱間プレス製品の製造方法は、ワークの一部位に対しマスキング材を重ね合わせて取り付けて、重ね合わせ材を作製する重ね合わせ材作製工程と、前記重ね合わせ材を加熱する重ね合わせ材加熱工程と、前記加熱した重ね合わせ材を金型で焼き入れしながら成形する重ね合わせ材成形工程と、前記成形した重ね合わせ材の前記ワークから前記マスキング材を取り外すマスキング材取り外し工程と、を備える。
本発明によれば、ワークの一部位にマスキング材を取り付けた重ね合わせ材を加熱することで、ワークは、マスキング材を備える部位と、マスキング材を備えていない部位との間で温度差が発生する。その際、ガス炉や電気炉など一般的な加熱炉を使用でき、特別な加熱設備を必要とすることなく、加熱時のワークの部位毎の温度差を容易に設定することができる。温度差を出したワークを含む重ね合わせ材に対し焼き入れしながら熱間プレス成形した後に、ワークからマスキング材を取り外すことで、強度の異なる部位を備える熱間プレス成形品が得られる。
図1は、ワークの平面図である。 図2は、マスキング材の平面図である。 図3は、ワークの一部位にマスキング材を取り付けた重ね合わせ材の平面図である。 図4は、図3の左側面図である。 図5は、重ね合わせ材を加熱する加熱炉を簡略化して示す断面図である。 図6は、重ね合わせ材を加熱したときの、ワークのマスキング材を取り付けた部位と、取り付けていない部位との温度変化を比較して示すグラフである。 図7は、重ね合わせ材を金型で熱間プレス加工する前の状態を示す断面図である。 図8は、重ね合わせ材を金型で熱間プレス加工した後の状態を示す断面図である。 図9は、図8のIX-IX断面図である。 図10は、熱間プレス加工後の重ね合わせ材の平面図である。 図11は、図10のXI-XI断面図である。 図12は、図10及び図11の製品外部位を除去してワークとマスキング材とを分離した状態を示す、図11と同一位置での断面図である。 図13は、マスキング材を取り外したワークの平面図である。 図14は、熱間プレス製品の製造方法を示す製造工程図である。 図15は、ワークとマスキング材との接合部をマスキング材の中央付近とした場合の重ね合わせ材の平面図である。 図16は、ワークに対して一方の面の異なる位置に二つのマスキング材を取り付けた重ね合わせ材の側面図である。 図17は、ワークに対して一方の面の同一位置に二つのマスキング材を取り付けた重ね合わせ材の側面図である。 図18は、ワークに対して表裏両方の面にそれぞれマスキング材を取り付けた重ね合わせ材の側面図である。 図19は、重ね合わせ材を加熱する前に冷間プレス加工した中間加工材を示す平面図である。 図20は、図19のXX-XX断面図である。
以下、本実施形態に係わる熱間プレス製品の製造方法について詳細に説明する。
図1は、ワーク1の一例として自動車のセンタピラーとなるブランク材を示し、図2は、ワーク1の一部位に重ね合わせて取り付けるマスキング材3を示している。ワーク1は、アルミニウムめっき鋼板や亜鉛めっき鋼板などの熱間プレス用超高張力鋼板である。熱間プレス用超高張力鋼板は、焼き入れ性を高めるマンガンやボロンなどを含んだ高炭素鋼板である。ワーク1の表面に「アルミニウムめっき」あるいは「亜鉛めっき」を施すのは、加熱による鋼板表面の酸化スケールの発生を抑制し、熱間プレス加工後の防錆効果を高めるためである。
ワーク1は、センタピラーにおける上部5と下部7とを有し、上下方向に長く形成されている。上部5は、上端縁5aと上部前側縁5bと上部後側縁5cとを備え、下部7と反対側の端部から下部7側の端部に向けて図1中で左右方向の幅が徐々に広くなっている。下部7は、下端縁7aと下部前側縁7bと下部後側縁7cとを備え、上部5の下端部に対し、左右方向に突出する突出部7A,7Bが形成されている。上部前側縁5bと下部前側縁7bとの境界部分は、凹形状に湾曲する前湾曲縁9となっている。上部後側縁5cと下部後側縁7cとの境界部分は、凹形状に湾曲する後湾曲縁11となっている。
マスキング材3は、ワーク1と接合固定が可能であって、耐熱性があり、熱伝導率が低いものがよく、酸化スケールの発生のないめっき鋼板が望ましい。何れにしても、最終的にスクラップとなり、全て廃却されるため、より廉価な鋼板がよい。マスキング材3の厚さは特に限定されない。マスキング材3は、マスキング上端縁3aとマスキング下端縁3bとマスキング前側縁3cとマスキング後側縁3dとを備えている。マスキング上端縁3aとマスキング前側縁3cとの境界部分は、凹形状に湾曲するマスキング前湾曲縁3eとなっている。マスキング上端縁3aとマスキング後側縁3dとの境界部分は、凹形状に湾曲するマスキング後湾曲縁3fとなっている。なお、図2のマスキング材3の外形は、ワーク1の前湾曲縁9及び後湾曲縁11を含む下部7の外形とほぼ同等としてあるが、ワーク1の後述する「低強度要求部」を覆う形状であればよい。すなわち、マスキング材3は、例えばマスキング前湾曲縁3e及びマスキング後湾曲縁3fを形成する必要はなく、全体として左右方向に長い長方形状とするなど「低強度要求部」の外形より大きなものとしてもよい。
図3、図4は、図1のワーク1に対し、図2のマスキング材3を重ね合わせて取り付けた重ね合わせ材13を示している。マスキング材3は、ワーク1の前湾曲縁9及び後湾曲縁11を含む下部7に重ね合わせている。すなわち、マスキング材3をワーク1の一部位に重ね合わせた状態で、マスキング材3とワーク1とは、下端縁7aとマスキング下端縁3bとがほぼ整合し、下部前側縁7bとマスキング前側縁3cとがほぼ整合し、下部後側縁7cとマスキング後側縁3dとがほぼ整合する。さらに、前湾曲縁9とマスキング前湾曲縁3eとがほぼ整合し、後湾曲縁11とマスキング後湾曲縁3fとがほぼ整合する。
重ね合わせ材13は、マスキング前側縁3c近傍及びマスキング後側縁3d近傍を、ワーク1の下部前側縁7b近傍及び下部後側縁7c近傍に対し、接合部15,17として、スポット溶接により接合固定する。接合部15,17は、図1に示す突出部7A及び7Bに対応する位置に形成されている。ワーク1とマスキング材3との接合は、ワーク1とマスキング材3との間に極力隙間が発生せず、かつ、後工程の熱間プレス時に材料同士のずれが抑えられればよく、特に強度は要求されない。
重ね合わせ材13は、図5に示す加熱炉19内で加熱される。加熱炉19は、重ね合わせ材13を図5中で左側から右側へ搬送する搬送ローラ21を備えている。加熱炉19は、搬送ローラ21の上下両側に、加熱器23を備えている。加熱器23は、円筒管が図5中で紙面に直交する方向に延在しており、円筒管内にガスバーナを配置して円筒管内に火炎が送り込まれる。火炎により加熱された円筒管を介して重ね合わせ材13が、搬送ローラ21で搬送されながら、上下両側から間接的に加熱される。なお、加熱炉19は、上記したガス炉に限らず電気炉でもよい。
加熱炉19内での重ね合わせ材13のワーク1は、マスキング材3で覆われた一部位(以下、「低強度要求部」ともいう。)が、マスキング材3で覆われていない他の部位(以下、「高強度要求部」ともいう。)よりも温度上昇速度が遅くなる。低強度要求部は、マスキング材3との接合により、実質的に板厚増加と同様な効果により、高強度要求部よりも温度上昇速度が遅くなる。
図6は、破線がワーク1の高強度要求部の温度変化を示し、実線がワーク1の低強度要求部の温度変化を示す。具体的には、図6に示すように、加熱炉19の炉内温度を約900℃とし、高強度要求部は、鋼の組織がフェライトからオーステナイトに変態する温度(A3変態点)、例えば約830℃以上となるまで加熱する。低強度要求部は、当該変態温度未満となるよう加熱する。加熱炉19での加熱によって、高強度要求部の組織は、オーステナイトに変態し、低強度要求部の組織は、オーステナイト+フェライトに変態、あるいはフェライトのままである。高強度要求部及び低強度要求部に対する温度管理は、マスキング材3の板厚及び/又は、重ね合わせ材13の加熱炉19内での搬送速度により実施される。
高強度要求部の組織がオーステナイトとなった状態で、重ね合わせ材13を加熱炉19から取り出し、図7、図8に示すように、下型25と上型27とを有する金型により熱間プレス加工を実施する。図7、図8は、ワーク1にマスキング材3を重ね合わせた部位に対応しており、図9は、図8のIX−IX断面図である。
下型25には、上型27に向けて突出する凸部25aが形成されている。上型27には、凸部25aに対応する凹部27aが形成されている。下型25及び上型27の互いに対向する表面付近には、冷却水等の冷却媒体が流れる冷却路25b,27bが形成されている。図9に示すように、上型27は、マスキング材3に対応する位置に対応して段部27cを形成することで、マスキング材3の逃げ部としている。
重ね合わせ材13を熱間プレス加工することによって、高強度要求部の組織がオーステナイトからマルテンサイトに変態して高強度部となる。低強度要求部の組織は、「オーステナイト+フェライト」から「マルテンサイト+フェライト」に変態し、高強度部よりもマルテンサイトの生成量が少なく、強度が低い低強度部となる。
図10は、熱間プレス加工後の重ね合わせ材13の平面図であり、図11は、図10のXI−XI断面図である。重ね合わせ材13の裏面には、図10中で上下方向の全長にわたり凹所13aが形成されている。重ね合わせ材13は、凹所13aに対応して表面側が膨出部13bとなっている。膨出部13bは、左右のフランジ部13c,13dに対して突出している。
次に、図10及び図11に示す、熱間プレス加工後の重ね合わせ材13に対し、接合部15,17近傍の二点鎖線L,Mで示す位置で切断加工を実施する。切断加工は、例えばレーザ加工、プレス加工などを用いる。レーザ加工で切断加工を行う際には、ワーク1の他の部位の外形や孔あけ加工工程の中で行える。
ここで、二点鎖線L,Mの位置で切断した、ワーク1の接合部15,17を含む部位は、ワーク1の製品となる製品部位Pに対し、製品となる部位以外の不要となる製品外部位Qである。ワーク1の製品外部位Qを、製品外部位Qに重なるマスキング材3の部位3Qと共に切断除去することで、図12に示すように、ワーク1の製品部位Pとマスキング材3とを分離することができる。ワーク1の製品外部位Q及びマスキング材3は、スクラップとして廃棄処理する。
図13は、ワーク1の製品部位Pを示す。製品部位Pの図13中で点ハッチ部は、マスキング材3が重ね合わされていた部分であり、低強度部Paとなる。低強度部Paより上側は、マスキング材3が重ね合わされていない部分であり、高強度部Pbとなる。これにより、一つの製品部位Pにおいて、低強度部Paと高強度部Pbとが混在することになる。したがって、例えばセンタピラーなどの車体部品は、一部位を他の部位よりも低強度として衝突時の変形を当該部位に集中させ、それによって乗員用の空間の変形を極力少なくして乗員を保護する場合に対応することができる。
図14は、上記した熱間プレス製品の製造方法の製造工程図である。まず、ワーク1及びマスキング材3を準備し、ワーク1とマスキング材3とを接合部15,17にて接合固定して重ね合わせ材13を作製する(重ね合わせ材作製工程)。作製した重ね合わせ材13は、加熱炉19内で加熱して昇温させる。このとき、ワーク1のマスキング材3を重ね合わせていない高強度要求部の温度が、A3変態点以上となるまで加熱し、ワーク1のマスキング材3を重ね合わせている低強度要求部の温度が、A3変態点未満となるよう加熱する(重ね合わせ材加熱工程)。
加熱後の重ね合わせ材13を加熱炉19から取り出し、上型27及び下型25により急冷しながら熱間プレス加工を実施する。熱間プレス加工により、ワーク1の製品部位Pの、マスキング材3が重ね合わされていた部分が低強度部Paとなり、マスキング材3が重ね合わされていない部分が高強度部Pbとなる(重ね合わせ材成形工程)。重ね合わせ材13を熱間プレス加工後、ワーク1の製品部位Pに対し、製品外部位Qを、マスキング材3の製品外部位Qに重なる部位3Qと共に切断除去する(マスキング材取り外し工程)。
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
本実施形態は、ワーク1の一部位に対し、マスキング材3を重ね合わせて取り付けて重ね合わせ材13を作製する重ね合わせ材作製工程と、重ね合わせ材13を加熱する重ね合わせ材加熱工程と、加熱した重ね合わせ材13を金型で焼き入れしながら成形する重ね合わせ材成形工程と、成形した重ね合わせ材13のワーク1からマスキング材3を取り外すマスキング材取り外し工程と、を備える。
この場合、ワーク1のマスキング材3を重ね合わせた一部位は、マスキング材3を重ね合わせていない他の部位よりも、加熱時の温度上昇量が少ない。温度上昇量が少ない一部位は、例えばA3変態温度以上に加熱した他の部位に対し、A3変態温度未満の温度とすることができる。このため、加熱後の金型で焼き入れしながらプレス成形する際に、他の部位よりも低温の一部位の強度を、他の部位よりも低くすることができる。
これにより、一つの製品部位Pにおいて、低強度部Paと高強度部Pbとを形成することができ、製品の多様化に対応できる。マスキング材3を使用することによって、ワーク1の任意の境界部分にはっきりとした強度差を設けることができる。重ね合わせ材加熱工程では、ガス炉や電気炉など一般的な加熱炉を使用でき、特別な加熱設備を必要とすることなく、単にマスキング材3をワーク1の一部に取り付けるだけなので、加熱時のワーク1の部位毎の温度差を容易に設定することができる。
本実施形態の重ね合わせ材作製工程は、ワーク1の製品部位P以外の製品外部位Qに、ワーク1とマスキング材3との接合部15,17を形成し、マスキング材取り外し工程は、製品外部位Qを接合部15,17を含んで除去することで、マスキング材3をワーク1の一部位から取り外す。この場合、接合部15,17を形成することで、その後のプレス加工でのワーク1とマスキング材3とのずれを抑制できる。マスキング材3を、ワーク1の製品外部位Qに接合固定する接合部15,17を含んで除去することで、マスキング材3をワーク1の一部位から容易に取り外すことができる。
本実施形態のマスキング材取り外し工程は、ワーク1とマスキング材3との接合部15,17を、レーザ加工により除去することで、マスキング材3をワーク1の一部位から取り外す。レーザ加工を用いる場合には、ワーク1の他の部位の外形や孔あけ加工工程の中で行えるため、生産効率が高まる。
本実施形態の重ね合わせ材加熱工程は、ワーク1のマスキング材3が重ね合わされていない部位(高強度要求部)の温度がオーステナイト変態温度以上となるよう加熱し、ワーク1のマスキング材3が重ね合わされた一部位(低強度要求部)の温度がオーステナイト変態温度未満となるよう加熱する。これにより、高強度要求部は、その後の冷却しながら焼き入れを行う熱間プレス成形によって、鋼の組織がマルテンサイトに変態して高強度部となる。低強度要求部は、熱間プレス成形によって、「マルテンサイト+フェライト」に変態し、高強度部よりも強度が低い低強度部となる。
本実施形態の重ね合わせ材作製工程は、マスキング材3をワーク1の表裏両面のうち一方の面に重ね合わせる。この場合、マスキング材3を、ワーク1の表裏両面のうち一方の面に重ね合わせて取り付けるだけで、加熱時のワーク1の部位毎の温度を変化させることができる。
本実施形態の重ね合わせ材作製工程は、マスキング材3をワーク1の一部位に対しスポット溶接により取り付ける。スポット溶接を用いることによって、ワーク1に対しマスキング材3をより簡便な方法で容易に取り付けることができる。
図15は、図3の二箇所の接合部15,17に代えて、マスキング材3のほぼ中央部に接合部29が位置している例を示す。接合部29によって、ワーク1とマスキング材3とが接合固定され、図3と同様に重ね合わせ材13が作製される。重ね合わせ材13の作製後は、図3の重ね合わせ材13と同様に、熱間プレス加工を実施する。
熱間プレス加工後は、接合部29の周囲の円形の一点鎖線に沿って、ワーク1の製品外部位Q及び、製品外部位Qに対応するマスキング材3の部位3Qを、レーザ加工により切断除去する。接合部29を含めて製品外部位Q及び部位3Qを切断除去することで、ワーク1とマスキング材3とを分離することができる。したがって、この例においても、マスキング材3を重ね合わせていない高強度部と、マスキング材3を重ね合わせた低強度部とが混在する熱間プレス製品を製造することができる。ワーク1の製品外部位Qを除去した後の円形の孔は、例えばねじ孔などに利用できる。
なお、図15の例において、接合部29に加え、図3と同様な接合部15,17を形成してもよい。マスキング材3の中央及び左右両側に接合部29及び接合部15,17を形成することで、ワーク1とマスキング材3との固定がより強固となる。これにより、その後の熱間プレス加工時でのワーク1とマスキング材3との位置ずれをより確実に抑えることができ、より高精度なプレス加工が行える。熱間プレス加工後は、図10と同様に製品外部位Q及び部位3Qを切断除去すると共に、図15と同様に製品外部位Q及び部位3Qを切断除去する。これにより、ワーク1とマスキング材3とを分離することができる。
図16は、ワーク1に対し、図16中で上側の面に二つのマスキング材3A,3Bをそれぞれスポット溶接により接合固定して、重ね合わせ材13を作製したものである。マスキング材3Aはワーク1の左側の端部に位置し、マスキング材3Bはワーク1の右側の端部に位置している。この例では、ワーク1の図16中に左右の二箇所が低強度要求部(低強度部)となり、左右の二箇所の低強度部要求部(低強度部)相互間が高強度要求部(高強度部)となる熱間プレス製品が得られる。
図16の例では、一つのプレス成形品に対し、低強度部を複数箇所(ここでは二箇所)形成することができ、汎用性が高まる。なお、図16の例では、マスキング材を、ワーク1の表裏両面のうち一方の面の互いに異なる位置に二つ取り付けているが、ワーク1の一方の面の互いに異なる位置に三つ以上取り付けてもよく、ワーク1の表裏両面の両方の面に、互いに対向しない位置で取り付けてもよい。
図17は、ワーク1に対し、図17中で上側の面に二つのマスキング材3C,3Dをスポット溶接により接合固定して、重ね合わせ材13を作製したものである。マスキング材3C,3Dは、ワーク1の図17中で右側の端部に位置している。ワーク1の上にマスキング材3Dを配置し、マスキング材3Dの上にマスキング材3Cを積層配置して三層構造としている。
ここで、マスキング材3Dは、マスキング材3Cよりも左右方向の長さが長く、図17中で左側が、マスキング材3Cよりも、ワーク1の面に沿って突出する延出部3Daを備えている。ワーク1は、延出部3Daによって一つのマスキング材3Dのみで重ね合わされる部分を備えている。すなわち、二つのマスキング材3C,3Dは、一方(3D)が他方(3C)に対して対向していない部位(Da)を備えている。ワーク1は、マスキング材3Cと、マスキング材3Dの延出部3Da以外の部分とにより、二つのマスキング材3C,3Dが同じ位置で重ね合わされている。
したがって、この場合、重ね合わせ材13を加熱炉19にて加熱すると、ワーク1は、マスキング材3C,3Dが重ね合わされていない高強度要求部(高強度部)131が最も温度上昇速度が速い。これに対し、マスキング材3Cと、マスキング材3Dの延出部3Da以外の部分とによって、重ね合わされている低強度要求部(低強度部)132が、最も温度上昇速度が遅くなる。延出部3Daのみが重ね合わされた中強度要求部(中強度部)133は、温度上昇速度が高強度要求部(高強度部)131と低強度要求部(低強度部)132との中間となる。
図17の例では、延出部3Daによって、ワーク1に対し一つのマスキング材3Dによってのみ重ね合わされる中強度要求部(中高強度部)133を形成できる。この場合、熱間プレス加工後のマルテンサイトの生成量に関しては、高強度要求部(高強度部)131が最も多く、低強度要求部(低高強度部)132が最も少なく、中強度要求部(中高強度部)133が中間の量となる。したがって、ワーク1の三箇所を互いに異なる強度とすることができる。
図18は、ワーク1に対し、図18中で上側の面に一つのマスキング材3Cをスポット溶接により接合固定し、図18中で下側の面に一つのマスキング材3Dをスポット溶接により接合固定して、重ね合わせ材13を作製したものである。マスキング材3C,3Dは、ワーク1の図18中で右側の端部に位置している。
ここで、マスキング材3Dは、マスキング材3Cよりも左右方向の長さが長く、図18中で左側が、マスキング材3Cよりも、ワーク1の面に沿って突出する延出部3Daを備えている。ワーク1は、延出部3Daにより、表裏両面のうち一方の面のみに重ね合わされている。ワーク1は、マスキング材3Cと、マスキング材3Dの延出部3Da以外の部分とにより、表裏両面に重ね合わされている。すなわち、図18の例は、ワーク1の表裏両面の両方の面に、互いに対向するようにして重ね合わせた一対のマスキング材3C,3Dは、一方(マスキング材3D)が他方(マスキング材3C)に対し対向していない部位(延出部3Da)を備えている。
したがって、この場合、重ね合わせ材13を加熱炉19にて加熱すると、ワーク1は、マスキング材3C,3Dが重ね合わされていない高強度要求部(高強度部)131が最も温度上昇速度が速い。これに対し、マスキング材3Cと、マスキング材3Dの延出部3Da以外の部分とによって、表裏両面が重ね合わされている低強度要求部(低強度部)132が、最も温度上昇速度が遅い。延出部3Daによって、表裏両面のうち一方の面のみが重ね合わされた中強度要求部(中強度部)133は、温度上昇速度が高強度要求部(高強度部)131と低強度要求部(低強度部)132との中間となる。
図18の例では、延出部3Daによって、ワーク1の表裏両面のうち一方の面のみが重ね合わされる中強度要求部(中高強度部)133を形成できる。この場合、熱間プレス加工後のマルテンサイトの生成量に関しては、高強度要求部(高強度部)131が最も多く、低強度要求部(低高強度部)132が最も少なく、中強度要求部(中高強度部)133が中間の量となる。したがって、ワーク1の三箇所を互いに異なる強度とすることができる。
上記した実施形態は、図3及び図4に示す重ね合わせ材13を加熱した後に、熱間プレス加工を行う「ダイレクト工法」について説明した。「ダイレクト工法」のほか、図3及び図4に示す重ね合わせ材13を冷間プレス加工した後に、加熱して熱間プレス加工を行う「インダイレクト工法」を用いてもよい。「インダイレクト工法」では、図14に示す重ね合わせ材作製工程と重ね合わせ材加熱工程との間に、重ね合わせ材13を冷間プレス加工により中間プレス加工を行う中間プレス工程を備えている。
図19及び図20は、「インダイレクト工法」において、重ね合わせ材13を冷間プレス加工した中間加工材13Mを示している。冷間プレス加工を行うほかは、図14に示した熱間プレス製品の製造工程と同等である。冷間プレス加工によって、重ね合わせ材13は、図19及び図20に示す中間加工材13Mに加工される。中間加工材13Mは、図11及び図12に示す熱間プレス加工後の重ね合わせ材13に比較して、図20に示すように、凹所13aの深さが浅い。冷間加工後は、図14で示す加工工程と同様に、加熱炉19での加熱、熱間プレス加工、接合部の除去を順次行う。
したがって、「インダイレクト工法」を適用した場合でも、一つの熱間プレス製品の中に高強度部と低強度部とを形成することができる。その際、重ね合わせ材加熱工程では、ガス炉や電気炉など一般的な加熱炉を使用でき、特別な加熱設備を必要とすることなく、加熱時のワーク1の部位毎の温度差を容易に設定することができる。「インダイレクト工法」を実施することによって、「ダイレクト工法」よりも、深しぼり部品の加工が容易となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は本発明の理解を容易にするために記載された単なる例示に過ぎず、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。本発明の技術的範囲は、上記実施形態で開示した具体的な技術事項に限らず、そこから容易に導きうる様々な変形、変更、代替技術なども含む。
例えば、ワーク1とマスキング材3,3A,3B,3C,3Dとの接合固定は、スポット溶接に限らず、アーク溶接、ガス溶接、シーム溶接などの各種「溶接」を用いた冶金的接合でもよいし、「かしめ」あるいは「折りこみ」等の機械的接合でもよい。ワーク1としては、自動車のセンタピラーを例にとって説明したが、自動車の他の部品でもよく、自動車以外に用いられる部品であってもよい。
1 ワーク
3,3A,3B,3C,3D マスキング材
13 重ね合わせ材
15,17,29 接合部
25 下型(金型)
27 上型(金型)
Q 製品外部位

Claims (10)

  1. ワークの一部位に対しマスキング材を重ね合わせて取り付けて、重ね合わせ材を作製する重ね合わせ材作製工程と、
    前記重ね合わせ材を加熱する重ね合わせ材加熱工程と、
    前記加熱した重ね合わせ材を金型で焼き入れしながら成形する重ね合わせ材成形工程と、
    前記成形した重ね合わせ材の前記ワークから前記マスキング材を取り外すマスキング材取り外し工程と、を備えることを特徴とする熱間プレス製品の製造方法。
  2. 前記重ね合わせ材作製工程は、前記ワークの製品となる部位以外の製品外部位に、前記ワークと前記マスキング材との接合部を形成し、
    前記マスキング材取り外し工程は、前記製品外部位を前記接合部を含んで除去することで、前記マスキング材を前記ワークの一部位から取り外すことを特徴とする請求項1に記載の熱間プレス製品の製造方法。
  3. 前記マスキング材取り外し工程は、前記ワークと前記マスキング材との前記接合部を、レーザ加工により除去することで、前記マスキング材を前記ワークの一部位から取り外すことを特徴とする請求項2に記載の熱間プレス製品の製造方法。
  4. 前記重ね合わせ材加熱工程は、前記ワークの前記マスキング材が重ね合わされていない他の部位の温度がオーステナイト変態温度以上となるよう加熱し、前記ワークの前記マスキング材が重ね合わされた前記一部位の温度がオーステナイト変態温度未満となるよう加熱することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の熱間プレス製品の製造方法。
  5. 前記重ね合わせ材作製工程は、前記マスキング材を前記ワークの表裏両面のうち一方の面に重ね合わせることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の熱間プレス製品の製造方法。
  6. 前記重ね合わせ材作製工程は、前記マスキング材を前記ワークの表裏両面のうち一方の面に互いに積層した状態で二つ重ね合わせることを特徴とする請求項5に記載の熱間プレス製品の製造方法。
  7. 前記重ね合わせ材作製工程は、前記マスキング材を前記ワークの表裏両面の両方の面に互いに対向するようにして二つ重ね合わせることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の熱間プレス製品の製造方法。
  8. 前記二つのマスキング材は、一方が他方に対して対向していない部位を備えていることを特徴とする請求項6または7に記載の熱間プレス製品の製造方法。
  9. 前記重ね合わせ材作製工程は、前記マスキング材を前記ワークの一部位に対しスポット溶接により取り付けることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の熱間プレス製品の製造方法。
  10. 前記重ね合わせ材作製工程と前記重ね合わせ材加熱工程との間に、前記重ね合わせ材を冷間プレス加工により中間プレス加工を行う中間プレス工程を備えていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の熱間プレス製品の製造方法。
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