JP2021020168A - 分散剤、色材分散液及び水系インクジェットインク組成物 - Google Patents

分散剤、色材分散液及び水系インクジェットインク組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】色材分散液中の色材の分散安定性を向上させるとともに、色材分散液の高粘度化を抑制できる分散剤を提供する。【解決手段】親水性領域と、疎水性領域とが一体に形成され、前記親水性領域の一部と、前記疎水性領域の一部とが表面に存在する複合粒子を含む、分散剤。【選択図】なし

Description

本発明は、分散剤、色材分散液及び水系インクジェットインク組成物に関する。
塗料やインクなどの生産において、色材分散は重要な工程である。色材分散の良否が、製品の光沢、着色力、隠蔽力などの光学的性質、粘度、流動性、レベリング性、フロー性などのレオロジー的性質、さらには沈降や凝集、ブツの発生などの経時安定性等に影響を及ぼす。
そこで、塗料やインクに含有させる色材を分散剤で被覆する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、顔料粒子をスチレン−アクリル酸系樹脂で分散させたインクジェット記録用インクが開示されている。
特開2017−002096号公報
しかしながら、特許文献1に記載された分散剤樹脂は、顔料を分散させる機能を有する反面、水分子を取り込んだ強固な包接構造を形成する。そのため、顔料を分散させた分散状態において高粘度化を生じやすかった。
本発明に係る分散剤の一態様は、
親水性領域と、疎水性領域とが一体に形成され、
前記親水性領域の一部と、前記疎水性領域の一部とが表面に存在する複合粒子を含む。
上記態様の分散剤において、
前記親水性領域は、粒子形状を有し、
前記疎水性領域は、複数の疎水性粒子を含み、
前記疎水性粒子が前記親水性領域の内部及び表面に配置されてもよい。
上記態様の分散剤において、
前記親水性領域の表面に配置された前記疎水性粒子の体積平均粒子径は、前記親水性領域の内部に配置された前記疎水性粒子の体積平均粒子径より大きくてもよい。
上記態様の分散剤において、
前記親水性領域は、粒子形状を有し、
前記疎水性領域は、複数の疎水性粒子を含み、
前記複数の疎水性粒子が前記親水性領域の表面に配置されてもよい。
上記態様の分散剤において、
前記親水性領域及び前記親水性領域は、粒子形状を有し、
前記疎水性領域及び前記親水性領域が面接触してなってもよい。
上記態様の分散剤において、
前記親水性領域の平均粒子径(DA)及び前記疎水性領域の平均粒子径(DB)の比(DA/DB)は、0.8以上1.2以下であってもよい。
上記いずれかの態様の分散剤において、
前記親水性領域は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エトキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸メチル又はN−イソプロピルアクリルアミドに由来する構造を含む高分子を含んでもよい。
上記態様の分散剤において、
前記親水性領域は、イオン解離性の官能基を含んでもよい。
上記いずれかの態様の分散剤において、
前記疎水性領域は、スチレン、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、ビニルピリジン又はビニルイミダゾールに由来する構造を含む高分子であってもよい。
本発明に係る色材分散液の一態様は、
上記いずれかの態様の分散剤と、
水不溶性の色材と、
を含む。
本発明に係る水系インクジェットインク組成物の一態様は、
上記態様の色材分散液を含む。
実施形態に係る複合粒子の一例の外観を模式的に示す斜視図。 実施形態に係る複合粒子の一例の断面の模式図。 実施形態に係る複合粒子の一例の外観を模式的に示す斜視図。 実施形態に係る複合粒子の一例の断面の模式図。 実施形態に係る複合粒子の一例の外観を模式的に示す斜視図。
以下に本発明の実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお、以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルの各々を表し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの各々を表す。
1.分散剤
一実施形態に係る分散剤は、親水性領域と、疎水性領域とが一体に形成され、親水性領域の一部と、疎水性領域の一部とが表面に存在する複合粒子を含む。
1.1.複合粒子
分散剤に含まれる複合粒子は、親水性領域と、疎水性領域とが一体に形成されたものである。以下、まず親水性領域及び疎水性領域を説明し、その後複合粒子の構造について説明する。
1.1.1.親水性領域
親水性領域は、色材に対する親和性が低い部位であり、水系媒体に対する親和性に優れている。親水性領域を構成する高分子は、親水性モノマーに由来する構造単位を含む。
親水性モノマーとしては、イオン性モノマー、非イオン性モノマーを用いることができる。親水性モノマーがイオン性モノマー及び非イオン性モノマーに由来する構造単位を有する場合には、色材分散液における色材の分散の安定化が向上しやすくなる場合がある。
イオン性モノマーとしては、特に限定されないが、例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等が挙げられるが、色材の分散性向上及び分散剤への構成単位の導入容易性の観点から、(メタ)アクリル酸が特に好ましい。これらのイオン性モノマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。親水性領域が、イオン性モノマーに由来する構造単位を含む高分子からなる場合には、親水性領域は、イオン解離性の官能基を含むこととなり、複合粒子によって色材を分散させる際の分散性の観点でより好ましい。
非イオン性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエトキシメチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエトキシエチル、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらの非イオン性モノマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
親水性領域を構成する高分子は、これらの中でも、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エトキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸メチル及びN−イソプロピル(メタ)アクリルアミドからなる群より選択される少なくとも1種に由来する構成単位を含むことが好ましい。すなわち、複合粒子の親水性領域は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エトキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸メチル又はN−イソプロピルアクリルアミドに由来する構造を含む高分子を含むことがより好ましい。
また、親水性領域を構成する高分子は、架橋構造を形成できるモノマーに由来する構造単位を有することがより好ましい。親水性領域の高分子に架橋構造が形成されることにより、複合粒子の膨潤性を抑制できる。これにより、水系媒体中における高分子鎖の拡がりを抑制することができ、媒体の粘度が高くなることを抑えることができる。
さらに、親水性領域を構成する高分子に、架橋構造を形成できるモノマーに由来する構造単位を導入する量を調節することにより、疎水性領域を親水性領域内に形成する場合に、疎水性領域の大きさや体積分率を制御できる場合がある。
そのような架橋構造を形成できるモノマーとしては、例えば、多官能の(メタ)アクリレートが挙げられる。この場合の多官能の(メタ)アクリレートは、親水性を有しても有しなくてもよい。多官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレンビスジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチル−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
親水性領域を構成する高分子において、架橋性モノマーを用いる場合には、架橋モノマーに由来する構造単位の量は、用いるモノマー全体を100mol%とした場合に、0.1mol%以上10.0mol%以下であり、上記の機能を考慮して適宜に設定される。
1.1.2.疎水性領域
疎水性領域は、色材に対して親和性を示す部位である。疎水性領域は、疎水性モノマーに由来する構造単位を含む高分子で構成される。
このような疎水性モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル;フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のアリールオキシエチルエステル基;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等が挙げられる。これらの中でも、スチレン、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、ビニルピリジン及びビニルイミダゾールからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの疎水性モノマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。すなわち、複合粒子の疎水性領域は、スチレン、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、ビニルピリジン又はビニルイミダゾールに由来する構造を含む高分子を含むことがより好ましい。
1.2.複合粒子の構造
親水性領域と疎水性領域とが一体に形成された状態とは、複合粒子が水系媒体に分散された状態で、複合粒子から親水性領域又は疎水性領域が分離しにくい状態のことをいう。すなわち、複合粒子において親水性領域と疎水性領域とが一体に形成された状態とは、親水性領域によって疎水性領域が互いに接着されている状態、親水性領域に疎水性領域が構造的(機械的)に固定されている状態、親水性領域と疎水性領域とが静電気力、ファンデルワールス力等により凝集している状態、及び親水性領域と疎水性領域とが化学結合されている状態にあることを指す。また、複合粒子において親水性領域と疎水性領域とが一体に形成された状態とは、疎水性領域が親水性領域に内包されている状態でも疎水性領域が親水性領域に付着している状態でもよく、その2つの状態が同時に存在する状態でもよい。さらに、複合粒子において親水性領域と疎水性領域とが一体に形成された状態とは、親水性領域が疎水性領域に内包されている状態でも親水性領域が疎水性領域に付着している状態でもよく、その2つの状態が同時に存在する状態でもよい。
親水性領域と疎水性領域とが一体に形成された複合粒子の具体的な態様としては、図1〜図5に例示するような、複合粒子3a〜3eが挙げられる。本実施形態の分散剤には、このような複合粒子の集合(粉体、分散体、エマルション等)を使用することができる。
本実施形態の複合粒子の疎水性領域は、色材に親和性を有する。また、複合粒子の親水性領域は、水に対して親和性を有する。そして、複合粒子において、親水性領域の一部と、疎水性領域の一部とが表面に存在する。
図1は、親水性領域と疎水性領域とが一体に形成された複合粒子の一例である複合粒子3aの斜視図である。複合粒子3aは、粒子形状の親水性粒子1によって形成される親水性領域と、複数の疎水性粒子2によって形成される疎水性領域とを含む。そして複数の疎水性粒子2は、親水性粒子1の表面に配置されている。したがって複合粒子3aでは、親水性領域の一部と、疎水性領域の一部とが表面に存在している。
図2は、親水性領域と疎水性領域とが一体に形成された複合粒子の一例である複合粒子3bの断面の模式図である。複合粒子3bは、粒子形状の親水性粒子1によって形成される親水性領域と、複数の疎水性粒子2によって形成される疎水性領域と、を含む。そして複数の疎水性粒子2が親水性粒子1の内部及び表面に配置されている。したがって複合粒子3bにおいても親水性領域の一部と、疎水性領域の一部とが表面に存在している。また複合粒子3bのうち、親水性粒子1の内部に配置された疎水性粒子2は、親水性粒子1をマトリックスとして、疎水性粒子2がドメインとして分散した、いわゆる海島構造となっている。
図3は、親水性領域と疎水性領域とが一体に形成された複合粒子の一例である複合粒子3cの斜視図である。複合粒子3cは、粒子形状の親水性粒子1からなる親水性領域及び粒子形状の疎水性粒子2からなる疎水性領域を有し、疎水性粒子2及び親水性粒子1が面接触してなっている。したがって複合粒子3cにおいても親水性領域の一部と、疎水性領域の一部とが表面に存在している。
図4は、親水性領域と疎水性領域とが一体に形成された複合粒子の一例である複合粒子3dの断面の模式図である。複合粒子3dは、粒子形状の親水性粒子1により親水性領域が形成され、複数の疎水性粒子2により疎水性領域が形成されている。そして複数の疎水性粒子2が親水性粒子1の内部及び表面に配置される点で上述の複合粒子3bと同様であるが、親水性粒子1の表面に配置された疎水性粒子2の体積平均粒子径が、親水性領粒子1の内部に配置された疎水性粒子2の体積平均粒子径よりも大きくなっている。
図5は、親水性領域と疎水性領域とが一体に形成された複合粒子の一例である複合粒子3eの斜視図である。複合粒子3eは、粒子形状の親水性粒子1からなる親水性領域及び粒子形状の疎水性粒子2からなる疎水性領域を有し、疎水性粒子2及び親水性粒子1が面接触してなっている。したがって複合粒子3eにおいても親水性領域の一部と、疎水性領域の一部とが表面に存在している。
さらに、複合粒子3eでは、親水性領域の親水性粒子1の平均粒子径(DA)及び疎水性領域の疎水性粒子2の平均粒子径(DB)の比(DA/DB)は、0.8以上1.2以下となっている。このようにすれば、親水性粒子1の粒子径と疎水性粒子2の粒子径が同程度となるので、複合粒子の親水性・疎水性の配置に異方性をより強く発現させることができる。複合粒子3eのような形態の粒子は、いわゆるヤヌス粒子、パッチ粒子等と呼ばれる。
図1〜図5を用いて、親水性領域と疎水性領域とが一体に形成された複合粒子の幾つかの態様を例示したが、分散された際に複合粒子から疎水性領域又は親水性領域が分離しにくい状態であればよい。また、上記例示した複数の態様を互いに組み合わせた態様であってもよい。
また、図1〜図5の例では、複合粒子の外形形状は、いずれも模式的に球形に近いものを示したが、複合粒子の外形形状は特に限定されず、円盤状、紡錘形、不定形等の形状であってもよい。
複合粒子の全体としての体積平均粒子径は、分散性、色材の粒子径等を考慮して適宜設定される。複合粒子の体積平均粒子径は、分級操作等により、体積平均粒子径、粒子径分布などを調節することができる。
複合粒子の体積平均粒子径は、10nm以上10μm以下が好ましく、より好ましくは100nm以上1μm以下である。
さらに、複合粒子の体積平均粒子径は、ばらつき(分布)を有してもよく、独立した1個の複合粒子について、100以上のn数で得られる分布において、正規分布を仮定した場合に、σが10nm以上10μm以下、好ましくは100nm以上1μm以下であってもよい。
複合粒子の体積平均粒子径は、レーザー回折散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置により測定することができる。粒度分布測定装置としては、例えば、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計(例えば、「マイクロトラックUPA」日機装株式会社製)が挙げられる。また、親水性粒子、疎水性粒子の体積平均粒子径は、例えば、電子顕微鏡画像を画像処理することにより測定することができる。なお、体積平均粒子径という場合は、D50値のことをいう。
複合粒子における疎水性領域の体積割合(疎水性領域の体積/全体の体積)は、10質量%以上50質量%以下が好ましい。
複合粒子に親水性領域及び疎水性領域を一体に形成する方法は、上述の図1〜図5のいずれの構造を採用する場合でも特に限定されず、公知の方法を適宜用いることができる。
1.3.複合粒子の製造方法
複合粒子は、例えば、以下のようにして製造することができる。
親水性モノマーを架橋剤及び重合開始剤の存在下、水中で重合し、得られるゲル粒子の色材分散液を遠心分離と再分散を繰り返すことにより精製する。この色材分散液にさらに開始剤と疎水性モノマーを加え、疎水性領域を重合する。このようにすれば、例えば、図2、図4に示すような親水性領域の内部及び表面に疎水性領域を有する複合粒子を製造することができる。このような重合手法の参考文献としては、Langmuir, vol. 32, pp12760 (2016)を例示できる。この場合、親水性領域及び疎水性領域の粒子の数や大きさは、モノマー、架橋剤の種類、量、重合中の撹拌の態様等により、調節することができる。また、疎水性粒子の個数の調節に関しては、例えば、Langmuir 2016, 32, 12760?12773及びLangmuir 2018, 34, 8571?8580等に開示される手法により行うことができ、例えば1個の親水性粒子に対して40個以上180個以下程度とすることができる。
また、例えば、親水性モノマー及び開始剤を水に加え、十分に攪拌して重合を行った後、開始剤を溶液中に注入し、さらに疎水性モノマーを滴下して、重合を行うことにより、図1、図3、図5に示すような親水性領域の粒子の表面に疎水性領域の粒子が付着した形態の複合粒子を得ることができる。このような重合手法の参考文献としては、J. Colloid Interface Sci., vol. 445, pp268 (2015)を例示できる。
なお、重合開始剤としては、特に限定されず、アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物;ジ−tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンペルオキシド等の過酸化物;ジハロゲン、トリエチルボラン、ジエチル亜鉛等の他、過酸化水素と鉄(II)塩、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウム等の酸化剤と還元剤を組み合わせたレドックス開始剤を使用することもできる。
1.4.用途
本実施形態に係る分散剤は、無機粒子や有機粒子等の固体粒子を水系媒体中に分散させるための分散剤として使用することができる。無機粒子としては、特に限定されないが、シリカ、チタニア、アルミナ等の無機酸化物粒子が挙げられる。有機粒子としては、顔料、分散染料等の色材の他、表面が疎水性である有機粒子が挙げられる。これらの中でも、分散剤の添加による高粘度化を抑制できることから、水性インクジェット用インクに用いる顔料、分散染料等の色材の分散剤として使用することが特に好ましい。
2.色材分散液
次に、本発明の一実施形態に係る色材分散液について説明する。
本実施形態の色材分散液は、上述の分散剤と、水不溶性の色材と、を含む。色材分散液は、色材とこの色材分散液を適当な比率で混合し、ビーズミルで粉砕することにより得られる。
本実施形態に係る色材分散液は、色材と、水系媒体と、上述の分散剤と、を含有する。本実施形態に係る色材分散液は、上述の分散剤を含有するので、色材の分散安定性及び保存安定性に優れるとともに、高粘度化を抑制することができる。
なお、本明細書において、色材分散液とは、分散媒中に色材が分散した液体のことを指し、例えば後述するインク組成物の製造に用いられるインクの原液等を含む概念である。
色材としては、例えば、各種顔料や各種分散染料等が挙げられる。このような色材は、一般に疎水性が高く、上述した分散剤を適用した際に、分散剤の複合粒子の疎水性領域との密着性に優れるものである。したがって、上述したような効果が発揮される。
上記顔料としては、例えば、カーボンブラック等の黒色顔料;C.I.ピグメントブルー1、2、3、15:3、15:4、15:34、16、22、60、C.I.バットブルー4、60等のシアン系顔料;C.I.ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112、122、123、168、184、202、C.I.ピグメントバイオレット19等のマゼンタ系顔料;C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14C、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、109、110、114、128、129、138、150、151、154、155、180、185等のイエロー系顔料;C.I.ピグメントオレンジ36、43等のオレンジ系顔料;C.I.ピグメントグリーン7、36等のグリーン系顔料等が挙げられる。
上記分散染料としては、例えば、C.I.ディスパースイエロー3、7、8、23、39、51、54、60、71、86;C.I.ディスパースオレンジ1、1:1、5、20、25、25:1、33、56、76;C.I.ディスパースブラウン2;C.I.ディスパースレッド11、50、53、55、55:1、59、60、65、70、75、93、146、158、190、190:1、207、239、240;C.I.バットレッド41;C.I.ディスパースバイオレット8、17、23、27、28、29、36、57;C.I.ディスパースブルー19、26、26:1、35、55、56、58、64、64:1、72、72:1、81、81:1、91、95、108、131、141、145、359;C.I.ソルベントブルー36、63、105、111等が挙げられる。
なお、本実施形態に係る色材分散液は、複数種の色材を含んでいてもよい。
本実施形態に係る色材分散液中における色材の含有量の下限は、好ましくは0.2質量%であり、より好ましくは0.3質量%であり、特に好ましくは0.5質量%である。また、本実施形態に係る色材分散液中における色材の含有量の上限は、好ましくは30質量%であり、より好ましくは25質量%であり、特に好ましくは20質量%である。
色材の含有量が前記範囲内であると、より優れた発色性が得られるとともに、色材分散液中における色材の分散安定性及び色材分散液の保存安定性がさらに向上する。また、この色材分散液を用いてインクジェット用インクを製造した場合に、特に優れた吐出安定性が得られる。
本実施形態に係る色材分散液は、上述の分散剤を含んでいる。これにより、前述した効果が得られる。なお、本実施形態に係る色材分散液は、複数種の分散剤を含んでいてもよい。
本実施形態に係る色材分散液中における分散剤の含有量の下限は、好ましくは0.2質量%であり、より好ましくは0.3質量%であり、特に好ましくは0.4質量%である。また、本実施形態に係る色材分散液中における分散剤の含有量の上限は、好ましくは30質量%であり、より好ましくは20質量%であり、特に好ましくは15質量%である。
本実施形態に係る色材分散液中の分散剤の含有量が前記範囲内であると、色材分散液中における色材の分散安定性及び色材分散液の保存安定性がさらに向上する。また、この色材分散液を後述するインク組成物に適用した場合におけるインクジェット法による吐出安定性をより優れたものとすることができる。
本実施形態に係る色材分散液は、水系媒体を含有する。水系媒体としては、水、水及び親水性溶剤の混合媒体が挙げられる。親水性溶剤とは、25℃における水に対する溶解度が10g/100g水以上の溶剤のことを指す。
本実施形態に係る色材分散液中における水の含有量の下限は、特に限定されないが、好ましくは30質量%であり、より好ましくは35質量%であり、特に好ましくは40質量%である。また、本実施形態に係る色材分散液中における水の含有量の上限は、特に限定されないが、好ましくは85質量%であり、より好ましくは80質量%であり、特に好ましくは75質量%である。これにより、色材分散液の粘度をより確実に好適な値に調整することができる。
また、本実施形態に係る色材分散液が水以外の溶剤として親水性溶剤を含んでいることにより、色材分散液の粘度を好適に調整することができる。また、色材分散液の保湿性を高めたりすることができる。その結果、色材分散液をインク組成物、特にインクジェット用インク組成物に適用した場合に、インクジェット法による液滴吐出をより安定的に行うことができる。
このような親水性溶剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、2−ピロリドン等が挙げられる。これらの親水性溶剤を含むことにより、優れた保湿能により蒸発速度を緩やかにすることができ、本実施形態に係る色材分散液を適用したインク組成物において、より安定的な液滴吐出を行うことができる。なお、本実施形態に係る色材分散液は、親水性溶剤として複数種の溶剤を含んでいてもよい。
本実施形態に係る色材分散液中における親水性溶剤の含有量の下限は、好ましくは0質量%であり、より好ましくは10質量%であり、特に好ましくは15質量%である。また、本実施形態に係る色材分散液中における親水性溶剤の含有量の上限は、好ましくは45質量%であり、より好ましくは43質量%であり、特に好ましくは40質量%である。これにより、上述した親水性溶媒を含むことによる効果がより顕著に発揮される。
本実施形態に係る色材分散液は、界面活性剤を含んでいてもよい。これにより、色材分散液やこれを適用したインク組成物の記録媒体に対する濡れ性をより好適なものとすることができる。その結果、例えば、当該インク組成物を用いて形成される画像の画質をより良好なものとすることができる。
このような界面活性剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の各種界面活性剤を用いることができる。より具体的には、このような界面活性剤としては、アセチレン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
本実施形態に係る色材分散液がシリコーン系界面活性剤を含んでいると、色材分散液やこれを適用したインク組成物の記録媒体に対する濡れ性をさらに好適なものとすることができ、上述した効果がより顕著に発揮される。
本実施形態に係る色材分散液がシリコーン系界面活性剤を含んでいる場合、シリコーン系界面活性剤の含有量の下限は、色材の100質量部に対して、好ましくは5.0質量部であり、より好ましくは7.0質量部であり、特に好ましくは10質量部である。また、シリコーン系界面活性剤の含有量の上限は、色材の100質量部に対して、好ましくは150質量部であり、より好ましくは140質量部であり、特に好ましくは70質量部である。これにより、上述したシリコーン系界面活性剤を含むことによる効果がより顕著に発揮される。
市販のシリコーン系界面活性剤としては、例えば、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−337、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−347、BYK−348、BYK−349、BYK−378(以上商品名、ビックケミー・ジャパン社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−640、KF−642、KF−643、KF−945、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学社製)等が挙げられる。
本実施形態に係る色材分散液は、上述した成分以外の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、前記分散剤以外の分散剤、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ブタンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオール等の浸透剤、pH調整剤、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)等のキレート化剤、防腐剤・防黴剤、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、溶解助剤、尿素類等が挙げられる。防腐剤・防黴剤としては、例えば、分子内にイソチアゾリン環構造を有する化合物を好適に用いることができる。
本実施形態に係る色材分散液の25℃における粘度の下限は、好ましくは2mPa・sであり、より好ましくは3mPa・sであり、特に好ましくは4mPa・sである。また、本実施形態に係る色材分散液の25℃における粘度の上限は、好ましくは30mPa・sであり、より好ましくは20mPa・sであり、特に好ましくは15mPa・sである。これにより、色材分散液の流動性を適度に優れたものとすることができる。また、本実施形態に係る色材分散液を適用したインク組成物において、インクジェット法による吐出安定性を良好なものとなるように調整しやすい。
なお、粘度は、25℃にて、粘弾性試験機(例えば、Pysica社製、MCR−300)を用いて、せん断速度(Shear Rate)が10[s−1]の時の粘度を読み取ることにより測定することができる。
3.水系インクジェットインク組成物
本実施形態の水系インクジェットインク組成物は、上述の色材分散液を含む。以下、一実施形態に係る水系インクジェットインク組成物について説明する。
本実施形態に係る水系インクジェットインク組成物は、上述の色材分散液を含有するものである。これにより、色材の分散安定性及び保存安定性に優れるとともに、高粘度化もしくはゲル化が抑制された水系インクジェットインク組成物を提供することができる。
なお、本実施形態に係る水系インクジェットインク組成物は、上述した色材分散液をそのまま水系インクジェットインク組成物としたものであってもよいし、上述した色材分散液に希釈溶媒等、他の成分を加えて調製されたものであってもよいし、上述した色材分散液を2種類以上混合することにより調製されたものであってもよい。
本実施形態に係る水系インクジェットインク組成物は、水性組成物である。本実施形態に係る水系インクジェットインク組成物では、色材の分散安定性や保存安定性に優れるため、長期間保存した場合等であっても、色材の凝集や沈降等を低減することができる。その結果、インクジェット法による吐出を行った場合でも、吐出不良等を生じにくい。
本実施形態に係る水系インクジェットインク組成物中における分散剤の含有量の下限は、好ましくは0.1質量%であり、より好ましくは0.2質量%であり、特に好ましくは0.4質量%である。また、分散剤の含有量上限は、好ましくは30質量%であり、より好ましくは18質量%であり、特に好ましくは10質量%である。分散剤の含有量が前記範囲内であると、水系インクジェットインク組成物中における色材の分散安定性及び水系インクジェットインク組成物の保存安定性がさらに向上する。また、このインク組成物をインクジェット用インクとして用いた場合に、特に優れた吐出安定性が得られる。
本実施形態に係る水系インクジェットインク組成物中における色材の含有量の下限は、好ましくは0.1質量%であり、より好ましくは0.3質量%であり、特に好ましくは0.5質量%である。また、色材の含有量の上限は、好ましくは30質量%であり、より好ましくは15質量%であり、特に好ましくは8.0質量%である。色材の含有量が前記範囲内であると、より優れた発色性が得られるとともに、水系インクジェットインク組成物中における色材の分散安定性及びインクの保存安定性がさらに向上する。また、この水系インクジェットインク組成物をインクジェット用インクとして用いた場合に、特に優れた吐出安定性が得られる。
本実施形態に係る水系インクジェットインク組成物は、水系媒体を含有している。水系媒体としては、水、水及び親水性溶剤の混合媒体が挙げられる。親水性溶剤は、色材分散液の構成成分として説明したものを好適に用いることができる。
本実施形態に係る水系インクジェットインク組成物中における水の含有量の下限は、特に限定されないが、好ましくは40質量%であり、より好ましくは45質量%であり、特に好ましくは50質量%である。また、水の含有量の上限は、特に限定されないが、好ましくは85質量%であり、より好ましくは80質量%であり、特に好ましくは75質量%である。これにより、水系インクジェットインク組成物の粘度をより確実に好適な値に調整することができる。
本実施形態に係る水系インクジェットインク組成物中における親水性溶剤の含有量の下限は、好ましくは0質量%であり、より好ましくは10質量%であり、特に好ましくは15質量%である。また、親水性溶剤の含有量の上限は、好ましくは45質量%であり、より好ましくは43質量%であり、特に好ましくは40質量%である。これにより、上述した親水性溶剤を含むことによる効果がより顕著に発揮される。
本実施形態に係る水系インクジェットインク組成物は、界面活性剤を含有してもよい。これにより、水系インクジェットインク組成物の記録媒体に対する濡れ性をより好適なものとすることができる。その結果、例えば、当該インク組成物を用いて形成される画像の画質をより良好なものとすることができる。界面活性剤としては、色材分散液の構成成分として説明したものを好適に用いることができる。
本実施形態に係る水系インクジェットインク組成物がシリコーン系界面活性剤を含んでいる場合、インク組成物中におけるシリコーン系界面活性剤の含有量の下限は、色材の100質量部に対して、好ましくは5.0質量部であり、より好ましくは7.0質量部であり、特に好ましくは10質量部である。また、インク組成物中におけるシリコーン系界面活性剤の含有量の上限は、色材の100質量部に対して、好ましくは150質量部であり、より好ましくは140質量部であり、特に好ましくは70質量部である。これにより、上述したシリコーン系界面活性剤を含むことによる効果がより顕著に発揮される。
本実施形態に係る水系インクジェットインク組成物は、上述した成分以外の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、色材分散液の構成成分として説明したものを好適に用いることができる。
本実施形態に係る水系インクジェットインク組成物の25℃における表面張力の下限は、好ましくは20mN/mであり、より好ましくは21mN/mであり、特に好ましくは23mN/mである。また、表面張力の上限は、好ましくは50mN/mであり、より好ましくは40mN/mであり、特に好ましくは30mN/mである。これにより、液滴吐出ヘッドのノズルの目詰まり等がより生じにくくなり、インク組成物の吐出安定性がより向上する。
なお、表面張力としては、ウィルヘルミー法により測定した値を採用することができる。表面張力の測定は、表面張力計(例えば、協和界面科学社製、CBVP−7等)を用いることができる。
本実施形態に係る水系インクジェットインク組成物の25℃における粘度の下限は、好ましくは2mPa・sであり、より好ましくは3mPa・sであり、特に好ましくは4mPa・sである。また、粘度の上限は、好ましくは10mPa・sであり、より好ましくは8mPa・sであり、特に好ましくは6mPa・sである。これにより、インク組成物の流動性を適度に優れたものとすることができる。また、本実施形態に係る水系インクジェットインク組成物をインクジェット用インク組成物として用いた場合に、特に優れた吐出安定性が得られる。
本実施形態に係る水系インクジェットインク組成物は、通常、カートリッジ、袋、タンク等の容器に収納された状態で、各種記録装置、例えば、インクジェット法による記録装置等に適用される。
例えば、上述した実施形態では、上述の色材分散液をインク組成物またはその原液として用いる場合について中心的に説明したが、上述の色材分散液の用途は、これらに限定されず、例えば塗料として用いてもよい。
4.実施例
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。以下「%」は、特に記載のない限り、質量基準である。
4.1.実施例1
実施例1の分散剤の複合粒子を以下のように製造した。
アクリル酸と、アクリル酸エトキシエトキシエチルと、ヘキサメチレンビスアクリレートとを、アゾビスイソブチルニトリル(AIBN)存在下で、水中で6時間加熱を行い、得られたゲル粒子の分散液を遠心分離と再分散を繰り返すことにより精製した。この分散液に水酸化ナトリウム水溶液を加えpHを10程度に調整したのち、開始剤とスチレンモノマーを加え、70℃で20時間撹拌した。得られた分散液を遠心分離と再分散を2回行い複合粒子を含む分散液を得た。色材の分散液は、色材とこの分散液を表1に示す組成となるように混合し、ビーズミルで粉砕することにより得た。
4.2.実施例2
実施例2の分散剤の複合粒子を以下のように製造した。
スチレン(2.5mL)、AIBN(45mg)、エチレングリコール(15mL)及びp−スチレンスルホン酸ナトリウム(45mg)をイオン交換水中(10mL)に加え、80℃で均一な溶液になるまで攪拌した。30分から40分後に濁りが生じた。6時間後にペルオキソ二硫酸アンモニウムの水溶液(0.5%)を反応溶液中に注入し、さらに酢酸ビニル(スチレンの重量に対して40%)、アクリル酸(スチレンに対し、6%)、ジビニルベンゼン(スチレンに対し20%)を滴下した。さらに3時間攪拌を行い、得られた粒子を遠心分離で分離し、メタノールで洗浄し、真空乾燥し、複合粒子を含む分散液を得た。複合粒子の体積平均粒子径は、300nmであった。色材の分散液は、色材とこの分散液を表1に示す組成となるように混合し、ビーズミルで粉砕することにより得た。
4.3.実施例3
実施例3の分散剤の複合粒子を以下のように製造した。
N−イソプロピルアクリルアミド(7.64g)、メチレンビスアクリルアミド(0.58g)、フマル酸(0.44g)と水500mLを丸底フラスコに加え、窒素でバブリングしながら30分間70℃で加熱した。ペルオキソ二硫酸カリウム(0.27g)を溶かした水5mLを加え、そのまま4時間攪拌した。得られた微粒子は、遠心分離と水中への再分散を2回繰り返し精製した。この微粒子と水から固形分が100mL中に0.17g含むように分散液を調整し、3口丸底フラスコに加え、70℃に加熱した。続いてpHが10前後になるように1M NaOH溶液を加えた。ペルオキソ二硫酸カリウム(0.27g)を溶かした水5mLを加え、スチレンモノマーを加え24時間攪拌した。得られた複合微粒子は、遠心分離と水中への再分散を2回繰り返し精製した。
4.4.実施例4
実施例4の分散剤の複合粒子を以下のように製造した。
実施例2で得られた複合微粒子と水から固形分が100mL中に0.17g含むように分散液を調整し、3口丸底フラスコに加え、70℃に加熱した。続いてpHが10前後になるように1M NaOH溶液を加えた。ペルオキソ二硫酸カリウム(0.27g)を溶かした水5mLを加え、スチレンモノマーを加え24時間攪拌した。得られた複合微粒子は、遠心分離と水中への再分散を2回繰り返し精製した。このように実施例4では、実施例3の方法によりヤヌス型粒子を作り、実施例3の方法によりスチレンの微粒子を導入する方法を用いた。
4.5.実施例5
実施例5の分散剤の複合粒子は、酢酸ビニルとアクリル酸の量の合計が、スチレンと同等量になるように変更した以外は、実施例2と同様にして製造した。
Figure 2021020168
表1中の数値は、質量%である。また、1には、備考欄を設け、製造を意図した複合粒子の形態を表す図の番号を付した。
比較例1及び比較例2で使用した分散樹脂は、日油製モディパー(登録商標)MS−10Bである。
BYK−348は、ビックケミー・ジャパン株式会社製、シリコーン系界面活性剤である。
4.6.色材分散液の調製
各例の色材分散液は、表1に示す組成(単位:質量%)となるように混合し、これを高速水冷式撹拌機により撹拌することにより調製した。
4.7.評価方法
各例の色材分散液につき、以下の試験を行った。
4.7.1.粒度分布及びその変化
上記で得られた製造直後の色材分散液について、分散体の平均粒径(D50)を求めた。その後、60℃の環境で5日間放置した色材分散液について、分散体の平均粒径(D50)を求め、平均粒径の増加率を求めた。以下の評価基準に従って評価した結果を表1に記載した。
<粒度分布>
A:D50が100nm以下
B:D50が100nmを超え300nm以下
C:D50が300nm超
<粒度分布の変化>
A:D50の増加が10%未満
B:D50の増加が10%以上30%未満
C:D50の増加が30%以上
4.7.2.連続吐出安定性
前記各実施例および比較例のインクを、それぞれ、所定のインク収容容器に充填し、60℃の環境で5日間放置した。その後、当該収容容器を、記録装置PX−H6000(セイコーエプソン社製)に装着し、インクジェットインクを吐出し、中間転写媒体であるTRANSJET Classic(Cham Paper社製)に、100個のノズルで100000発連続吐出した際のノズル詰まりの個数を調べ、以下の基準に従い評価した。ノズル詰まりの数が少ないほど、吐出安定性に優れていると言える。なお、記録装置(プリンター)の動作環境は40℃、20RH%とした。
以下の評価基準に従って評価した結果を表1に記載した。
A:100個のノズルで100000発連続吐出でつまり無し
B:100個のノズルで100000発連続吐出で詰まり10個以内
C:100個のノズルで100000発連続吐出で詰まり10個以上
4.7.3.粘性
前記各実施例および比較例の製造直後のインクについて、それぞれ、粘弾性試験機(Pysica社製、MCR−300)を用いて、25℃の環境下でせん断速度10[s−1]におけるせん断粘度を求め、以下の基準に従い評価した。粘度が高いと、インクジェットによる吐出安定性が低下する他、ヘッド詰まりの原因にもなる。
以下の評価基準に従って評価した結果を表1に記載した。
A:せん断速度10(1/s)の粘度が5±1mPa・s
B:せん断速度10(1/s)の粘度が5mPa・sを超え10mPa・s以下
C:せん断速度10(1/s)の粘度が10mPa・s超
4.8.評価結果
親水性領域と、疎水性領域とが一体に形成され、親水性領域の一部と、疎水性領域の一部とが表面に存在する複合粒子を含む、分散剤を用いた各実施例の色材分散液は、低粘度を維持しつつ非常に良好な分散性を呈した。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…親水性粒子、2…疎水性粒子、3…複合粒子

Claims (11)

  1. 親水性領域と、疎水性領域とが一体に形成され、
    前記親水性領域の一部と、前記疎水性領域の一部とが表面に存在する複合粒子を含む、分散剤。
  2. 請求項1において、
    前記親水性領域は、粒子形状を有し、
    前記疎水性領域は、複数の疎水性粒子を含み、
    前記疎水性粒子が前記親水性領域の内部及び表面に配置された、分散剤。
  3. 請求項2において、
    前記親水性領域の表面に配置された前記疎水性粒子の体積平均粒子径は、前記親水性領域の内部に配置された前記疎水性粒子の体積平均粒子径より大きい、分散剤。
  4. 請求項1において、
    前記親水性領域は、粒子形状を有し、
    前記疎水性領域は、複数の疎水性粒子を含み、
    前記複数の疎水性粒子が前記親水性領域の表面に配置された、分散剤。
  5. 請求項1において、
    前記親水性領域及び前記親水性領域は、粒子形状を有し、
    前記疎水性領域及び前記親水性領域が面接触してなる、分散剤。
  6. 請求項5において、
    前記親水性領域の平均粒子径(DA)及び前記疎水性領域の平均粒子径(DB)の比(DA/DB)は、0.8以上1.2以下である、分散剤。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか一項において、
    前記親水性領域は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エトキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸メチル又はN−イソプロピルアクリルアミドに由来する構造を含む高分子を含む、分散剤。
  8. 請求項7において、
    前記親水性領域は、イオン解離性の官能基を含む、分散剤。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれか一項において、
    前記疎水性領域は、スチレン、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、ビニルピリジン又はビニルイミダゾールに由来する構造を含む高分子である、分散剤。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の分散剤と、
    水不溶性の色材と、
    を含む、色材分散液。
  11. 請求項10に記載の色材分散液を含む、水系インクジェットインク組成物。
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