JP2021020162A - アスベスト利用方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アスベスト廃棄物を低コストで無害化し、かつ付加価値の高い資源として有効に利用して、アスベストの無害化処理全体についてコストを低減化することを目的とする。【解決手段】アスベストを酸で溶解する溶解工程と、前記溶解工程により得られる酸水溶液を固液分離する分離工程と、前記分離工程により得られるマグネシウム抽出液と、アルミニウムイオンを含む酸性溶液とアルカリ溶液を混合して層状複水酸化物を生成する層状複水酸化物生成工程とを有し、前記生成した層状複水酸化物を資源として利用することを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、アスベスト利用方法に関する。
アスベストは耐熱性、耐酸性、耐摩耗性が優れることから、建設資材、断熱材、シーリング材等の工業製品として広く使用されてきた。しかし、繊維状の鉱石であるアスベストは悪性中皮腫や肺がん等を引き起こす原因になることが近年明らかとなり、その使用、製造が禁止されている。
また、アスベストを含む建設資材等は、建築廃材等となり、その排出量が増大していることが懸念されている。このようなアスベスト廃棄物は、最終処分場に埋め立てる方法で処理されているが、埋立地の不足により、廃棄物の無害化及び有効利用が急務となっている。
これに対し、石綿セメント製品を600〜1450℃で焼成して無害化し、セメント等の原料にする方法が特許文献1に、アスベストに鉱酸を加えて無害化する方法が特許文献2に提案されている。
しかし、特許文献1の方法では、設備が大掛かりになる、焼成温度が高く運転コストが嵩む、焼成物の用途が限られるという問題があった。そして、再利用の用途が、付加価値の高くないセメント等の原料に限られるため、アスベストの無害化処理全体についてコストを低減することが困難となる問題があった。
また、特許文献2の方法はアスベストを化学的に分解する方法であり、処理設備が安価で済み、低温でアスベストを処理できる利点を有している。しかし、分解して得られたマグネシウム、二酸化ケイ素は再利用されていなかった。このため、処理設備の点では低コストを図ることができるものの付加価値の高い再利用の用途がなく、アスベストの無害化処理全体についてコストを低減することが困難となる問題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、アスベスト廃棄物を低コストで無害化し、かつ付加価値の高い資源として利用して、アスベストの無害化処理全体についてコストを低減することを目的とする。
本発明者等は、アスベスト中のマグネシウムとケイ素を酸で分離し、抽出したマグネシウムから水質浄化材料を生成することで、アスベストの無害化と水質浄化材料としての有効利用を同時に行うことを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、上記目的を達成するための本発明の一態様は、アスベストを酸で溶解する溶解工程と、前記溶解工程により得られる酸水溶液を固液分離する分離工程と、前記分離工程により得られるマグネシウム抽出液と、アルミニウムイオンを含む酸性溶液とアルカリ溶液を混合して層状複水酸化物を生成する層状複水酸化物生成工程とを有し、前記生成した層状複水酸化物を資源として利用することを特徴とする。
このようにすれば、アスベスト廃棄物を低コストで無害化し、かつ付加価値の高い資源として利用することができる。
このとき、本発明の一態様では、前記層状複水酸化物生成工程は、前記マグネシウム抽出液とアルミニウムイオンを含む酸性溶液を、マグネシウムイオンとアルミニウムイオンのモル比Mg/Alが2.0以上4.0以下となる割合で混合する混合工程と、前記混合工程により得られる混合液を、pHが9.0以上12.0以下の前記アルカリ溶液に滴下して層状複水酸化物を共沈させる共沈工程を有してもよい。
このようにすれば、より有用な水質浄化材料を生成することができる。また、層状複水酸化物の収率を上げることができる。
このとき、本発明の一態様では、前記アスベストはクリソタイルとしてもよい。
クリソタイルはより容易にマグネシウムを抽出することができるため好ましい。
このとき、本発明の一態様では、前記溶解工程における酸は硝酸、塩酸及び硫酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸であってもよい。
このようにすれば、アスベストの溶解及び無害化をより確実に行うことができる。
このとき、本発明の一態様では、前記溶解工程における酸のpHが−0.7以上2.0以下であってもよい。
このようにすれば、アスベストからのマグネシウム溶出率及びマグネシウムの溶解速度を上昇させることができる。
このとき、本発明の一態様では、前記溶解工程における酸の濃度が0.01mol/L以上5.00mol/L以下であってもよい。
このようにすれば、アスベストからのマグネシウム溶出率及びマグネシウムの溶解速度を上昇させることができる。
このとき、本発明の一態様では、層状複水酸化物生成工程におけるアルカリ溶液のpHが10.0以上11.0以下であってもよい。
このようにすれば、共沈による沈澱率を高めることができ、層状複水酸化物の収率をより上げることができる。
このとき、本発明の一態様では、前記資源は水質浄化材料であってもよい。
このようにすれば、より付加価値の高い資源として利用することができるため、アスベストの無害化処理全体についてコストをより低減することができる。
このとき、本発明の一態様では、前記溶解工程前に前記アスベストを粉砕処理してもよい。
このようにすれば、溶解工程を短時間で行うことができ、低濃度の酸でアスベストの溶解を行うことができる。
本発明を用いれば、アスベスト廃棄物を低コストで無害化し、かつ付加価値の高い資源として利用することができる
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。また、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
以下、本発明の一態様に係るアスベスト利用方法の概要を説明する。
[1.アスベスト利用方法の概要]
まず、アスベスト利用方法の概要について図面を使用しながら説明する。図1は、本発明の一態様に係る、アスベスト利用方法を説明するためのフロー図である。本発明の一態様に係るアスベスト利用方法は、図1に示すように、溶解工程S1、分離工程S2、層状複水酸化物生成工程S3から構成される。
まず、アスベスト利用方法の概要について図面を使用しながら説明する。図1は、本発明の一態様に係る、アスベスト利用方法を説明するためのフロー図である。本発明の一態様に係るアスベスト利用方法は、図1に示すように、溶解工程S1、分離工程S2、層状複水酸化物生成工程S3から構成される。
ここで、アスベストは繊維状の鉱石であり、例えば、白石綿と呼ばれるクリソタイル(Mg3Si2O5(OH)4)、青石綿と呼ばれるクロシドライト(Na2(Fe2+ 3Fe3+ 2Si8O22(OH)2))、茶石綿と呼ばれるアモサイト(カミントン閃石(Mg7Si8O22(OH)2)、グニュネル閃石(Fe2+ 7Si8O22(OH)2))、アンソフィライト(Mg7Si8O22(OH)2)、トレモライト(Ca2(Mg、Fe)5Si8O22(OH)2)、アクチノライト(Ca2(Mg、Fe)5Si8O22(OH)2)が挙げられる。本発明の一態様に係るアスベストは、Mg及びSiを含有するクリソタイル、アモサイト(カミントン閃石)、アンソフィライト、トレモライト及びアクチノライトが好ましい。また蛇紋石族に属するクリソタイルは、角閃石族に属するアモサイト(カミントン閃石)、アンソフィライト、トレモライト及びアクチノライトに比べ酸に溶解しやすく、より容易にマグネシウムを抽出することができるため、より好ましい。また、本発明の一態様に係るアスベストは、クリソタイル、アモサイト(カミントン閃石)、トレモライト及びアクチノライトのいずれか一種類を含有していればよく、また、複数の種類を含有していてもよい。以下、アスベスト利用方法についてクリソタイルを挙げて説明するが、本発明の一態様に係るアスベスト利用方法はクリソタイルに限定されるものではない。
[溶解工程S1]
溶解工程S1は、アスベストを酸で溶解し無害化する工程である。溶解工程S1においてアスベストからマグネシウムが溶出し、アスベストの毒性の要因である繊維状の形態が失われ、粒子状、湾曲したシート状等の無害な形態を有するシリコン化合物が生成することで、アスベストが無害化される。アスベストを酸で溶解するため、処理設備が安価で済み、低温でアスベストを処理できる。そして、アスベスト廃棄物を低コストで無害化することができる。また酸に溶解させることで、以降アスベストは飛散しない。
溶解工程S1は、アスベストを酸で溶解し無害化する工程である。溶解工程S1においてアスベストからマグネシウムが溶出し、アスベストの毒性の要因である繊維状の形態が失われ、粒子状、湾曲したシート状等の無害な形態を有するシリコン化合物が生成することで、アスベストが無害化される。アスベストを酸で溶解するため、処理設備が安価で済み、低温でアスベストを処理できる。そして、アスベスト廃棄物を低コストで無害化することができる。また酸に溶解させることで、以降アスベストは飛散しない。
[分離工程S2]
分離工程S2は、溶出したマグネシウムを抽出液として、シリコン化合物を残渣として分離する。アスベストの無害化後にマグネシウムとシリコン化合物を分離しそれぞれを再利用することで、アスベストの再利用の用途を広げることができる。そして、分離したマグネシウムを付加価値の高い資源として利用することで、アスベストを有効に利用することができる。また、分離したシリコン化合物をVOC吸着材料として利用し、アスベストを有効に利用することもできる。
分離工程S2は、溶出したマグネシウムを抽出液として、シリコン化合物を残渣として分離する。アスベストの無害化後にマグネシウムとシリコン化合物を分離しそれぞれを再利用することで、アスベストの再利用の用途を広げることができる。そして、分離したマグネシウムを付加価値の高い資源として利用することで、アスベストを有効に利用することができる。また、分離したシリコン化合物をVOC吸着材料として利用し、アスベストを有効に利用することもできる。
[層状複水酸化物生成工程S3]
層状複水酸化物生成工程S3は、分離工程S2で分離したマグネシウムから層状複水酸化物を生成する。層状複水酸化物は、後述するように陰イオン交換性を有する材料であり、クロム酸イオン、ヒ酸イオン、セレン化物イオン、ほう酸イオン、フッ化物イオンを層間に固定化することで、水質浄化材料として利用することができる。これにより、付加価値の高い資源としてアスベストを有効に利用することができる。そして、アスベストの無害化処理全体についてコストを低減することができる。
層状複水酸化物生成工程S3は、分離工程S2で分離したマグネシウムから層状複水酸化物を生成する。層状複水酸化物は、後述するように陰イオン交換性を有する材料であり、クロム酸イオン、ヒ酸イオン、セレン化物イオン、ほう酸イオン、フッ化物イオンを層間に固定化することで、水質浄化材料として利用することができる。これにより、付加価値の高い資源としてアスベストを有効に利用することができる。そして、アスベストの無害化処理全体についてコストを低減することができる。
ここで、層状複水酸化物は、組成式[M2+ 1−xM3+ x(OH)2][An− x/n・nH2O]で表される化合物である。ここでM2+及びM3+は、それぞれ2価及び3価の金属イオンであり、An−はn価の陰イオンを表す。層状複水酸化物は、水酸化物層からなるホスト層と陰イオン及び層間水からなるゲスト層が交互に積層した層状構造を有する。通常、ホスト層の2価及び3価の金属イオンの置換割合(n)により、ホスト層の正電荷量が変化し、それをゲスト層の陰イオンが補償するような構造になっている。このゲスト層の陰イオンは、層状複水酸化物を浸漬した溶液中の他の陰イオンによって交換可能なことから、層状複水酸化物は無機イオン交換体として知られている。
また、層状複水酸化物は、ホスト層を構成する金属イオン種やゲスト層を構成する陰イオン種を合成時に変化させることにより、その陰イオン交換性を変化させることが可能である。このゲスト層を構成する2価の金属としては、マグネシウム、亜鉛、コバルト、ニッケル、銅、マンガン、カルシウム等があり、中でもマグネシウムが好ましい。3価の金属としてはアルミニウム、鉄、クロム等があり、中でもアルミニウムが好ましい。なお、対象とする陰イオンとしてリン酸イオン、ハロゲンイオン、硝酸イオン、炭酸イオン、硫酸イオン、ヒ酸イオン、クロム酸イオン、ほう酸イオン、水酸化物イオン、フッ化物イオン、セレン化物イオン等があげられる。このため、層状複水酸化物は水質浄化材料として利用することができる。
[水質浄化性能の評価]
模擬汚染水として、所定濃度の陰イオンを含有する水溶液を準備する。模擬汚染水に層状複水酸化物又は層状複水酸化物を加熱して得られた複酸化物を添加した後の陰イオン濃度の経時変化を測定することで、層状複水酸化物の水質浄化性能を評価する。
模擬汚染水として、所定濃度の陰イオンを含有する水溶液を準備する。模擬汚染水に層状複水酸化物又は層状複水酸化物を加熱して得られた複酸化物を添加した後の陰イオン濃度の経時変化を測定することで、層状複水酸化物の水質浄化性能を評価する。
[2.アスベスト利用方法の詳細]
以下、アスベスト利用方法における各工程の詳細を説明する。
以下、アスベスト利用方法における各工程の詳細を説明する。
[溶解工程S1]
溶解工程S1では、アスベストを酸に溶解させて酸水溶液を得る。
溶解工程S1では、アスベストを酸に溶解させて酸水溶液を得る。
溶解工程S1で用いるアスベストは、上述した化合物が好ましい。以下、クリソタイルを挙げて説明するが、本発明の一態様に係るアスベスト利用方法はクリソタイルに限定されるものではない。また、アスベスト自体だけでなく、アスベスト含有スレート板、アスベスト含有吹付け廃材等の、建材に用いられていたアスベストを含有する廃材等のアスベスト廃棄物を用いることもできる。
また、溶解工程S1の前に粉砕工程を行ってもよい。粉砕工程では、アスベストが密閉空間外に飛散しないような密閉状態においてアスベスト廃棄物を粉砕する。密閉状態においてアスベスト廃棄物を粉砕することができれば粉砕方法は公知の粉砕方法を用いることができるが、ボールミル、タワーミル等の粉砕機を用いることが好ましい。これにより、後述する溶解工程を短時間で行うことができ、また、溶解工程S1において低濃度の酸でアスベストの溶解を行うことができる。アスベスト廃棄物を用いる場合は粉砕工程を行うことが好ましい。
溶解工程S1で用いる酸としては、無機酸である硝酸、塩酸、硫酸より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。これらの酸によりアスベストの溶解及び無害化をより確実に行うことができる。また、溶解により生じるマグネシウム塩が水溶性となり、固液分離が容易となるため好ましい。無機酸は有機酸に比べて安価であり、層状複水酸化物生成工程S3でpHを低下させるのが容易であるため好ましい。また、溶解工程S1で用いる酸のカウンターイオンは、層状複水酸化物のゲスト層に組み込まれる。具体的には、塩酸における塩化物イオン、硫酸における硫酸イオン、硝酸における硝酸イオンが、上述の組成式[M2+ 1−xM3+ x(OH)2][An− x/n・nH2O]における陰イオンAn−として層状複水酸化物の構造に組み込まれる。そして、この組み込まれた陰イオンである、塩化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオンが、汚染水中のヒ酸イオン、クロム酸イオン、ほう酸イオン、フッ化物イオン、セレン化物イオンといった陰イオンと交換することで、水質を浄化することができる。このイオン交換反応の進みやすさはゲスト層に組み込まれた陰イオンによって異なり、硫酸イオン、塩化物イオン、硝酸イオンの順でイオン交換反応は進みやすい。このため、水質浄化材料としての利用には、硫酸を用いることが好ましく、塩酸を用いることがより好ましく、硝酸を用いることが特に好ましい。
溶解工程S1においてクリソタイルを硝酸で溶解した場合、アスベストは下記化学式1に示す反応により酸に溶解する。
Mg3Si2O5(OH)4+6HNO3→3Mg(NO3)2+2SiO2+5H2O・・・(化学式1)
上記反応によりアスベストからマグネシウムが溶出し、アスベストは硝酸マグネシウムと二酸化ケイ素に分解する。このマグネシウムの溶出反応によりアスベストの毒性の要因である繊維状の形態が失われ、アスベストを無害化することができる。また、マグネシウムの溶出反応により生成した二酸化ケイ素は非晶質であり、粒子状、シートが解けたような形態(湾曲したシート状)等の無害な形態を有する。
溶解工程S1において、上記酸の濃度は0.01mol/L以上5.00mol/L以下が好ましく、1.00mol/L以上3.00mol/L以下がより好ましく、1.50mol/L以上2.50mol/L以下がより好ましい。酸の濃度をこの範囲にすることで、アスベストからのマグネシウム溶出率及びマグネシウムの溶解速度を上昇させることができる。酸の濃度が0.01mol/L未満ではマグネシウム溶出率の低下や、マグネシウムの溶解速度の低下が大きくなるため好ましくない。また、酸の濃度が5.00mol/Lを超えると、抽出液から層状複水酸化物を合成する際のpH調整において、多量のアルカリ溶液が必要になるため好ましくない。
また、上記酸水溶液のpHは−0.7以上2.0以下が好ましく、0.2以上1.0以下がより好ましい。水溶液のpHをこの範囲にすることで、アスベストからのマグネシウム溶出率及びマグネシウムの溶解速度を上昇させることができる。水溶液のpHが−0.7未満では抽出液から層状複水酸化物を合成する際のpH調整において、多量のアルカリ溶液が必要になるため好ましくない。また、水溶液のpHが2.0を超えるとマグネシウム溶出率の低下や、マグネシウムの溶解速度の低下が著しくなるため好ましくない。
また、溶解工程S1における反応温度は10℃以上80℃以下が好ましい。これにより、アスベストからのマグネシウムの溶解速度を上昇させることができる。反応温度が10℃未満ではマグネシウムの溶解速度の低下が起こるため好ましくない。また、反応温度が80℃を超えるとアスベストからシリコンの溶出が起こるため好ましくない。
また、溶解工程S1における反応時間は1時間以上24時間以下が好ましい。反応時間を1時間以上とすることで、アスベストからマグネシウムを溶出し、アスベストを無害化することができるため好ましい。また、24時間よりも長い時間反応を行っても、マグネシウムの溶出に大きな変化は見られないことから、エネルギー効率の観点から、反応時間は24時間以下とすることが好ましい。
以上の反応より、溶解工程S1でアスベストの毒性の要因である繊維状の形態を失わせ、無害化することができる。そして、アスベストを水溶性の硝酸マグネシウムと不溶性の二酸化ケイ素に分解することで、マグネシウムと二酸化ケイ素を分離工程S2で分離することができる。そして、分離工程S2で得られたマグネシウムから層状複水酸化物生成工程S3で層状複水酸化物を生成することで、アスベストを低コストで無害化し、かつ水質浄化材料として有効に利用することができる。
[分離工程S2]
分離工程S2では、溶解工程S1で得られた硝酸マグネシウムと二酸化ケイ素を分離する。
分離工程S2では、溶解工程S1で得られた硝酸マグネシウムと二酸化ケイ素を分離する。
マグネシウムと二酸化ケイ素を分離することができれば分離方法は特に制限されないが、濾過により、硝酸マグネシウム水溶液をマグネシウム抽出液として、二酸化ケイ素を残渣として固液分離することが好ましい。なお残渣である二酸化ケイ素は非晶質であり、アスベストに含まれていたマグネシウム、鉄、カルシウムなどの金属を僅かに含むこともある。
固液分離の方法は特に制限されないが、メンブレンフィルターを用いた吸引濾過が好ましい。メンブレンフィルターの孔径は二酸化ケイ素の粒径により適宜決定されるが、0.30μm以上0.60μm以下が好ましい。孔径をこの範囲にすることで、二酸化ケイ素の粒子をメンブレンフィルターに保持しつつ、固液分離速度を上昇させることができる。孔径が0.30μm未満では濾過に長時間要するため好ましくない。また、孔径が0.60μmを超えると二酸化ケイ素の粒子が保持されずに通過するおそれが生じるため好ましくない。
分離工程S2でマグネシウムと二酸化ケイ素を分離することで、得られたマグネシウムから層状複水酸化物生成工程S3で層状複水酸化物を生成することができる。そして、アスベストを低コストで無害化し、かつ水質浄化材料として有効に利用することができる。
また、残渣として分離した二酸化ケイ素から、公知の方法を用いてVOC吸着材料を生成することもできる。これにより、アスベストを有効に利用することができる。
[層状複水酸化物生成工程S3]
層状複水酸化物生成工程S3では、分離工程S2で得られたマグネシウムから層状複水酸化物を生成する。層状複水酸化物生成工程S3は、分離工程S2で得られた硝酸マグネシウム水溶液に硝酸アルミニウムを添加して混合し、混合液を得る混合工程、得られた混合液をアルカリ溶液に滴下することによって層状複水酸化物を得る共沈工程を有する。
層状複水酸化物生成工程S3では、分離工程S2で得られたマグネシウムから層状複水酸化物を生成する。層状複水酸化物生成工程S3は、分離工程S2で得られた硝酸マグネシウム水溶液に硝酸アルミニウムを添加して混合し、混合液を得る混合工程、得られた混合液をアルカリ溶液に滴下することによって層状複水酸化物を得る共沈工程を有する。
分離工程S2で得られた硝酸マグネシウム水溶液に硝酸アルミニウム及びアルカリ溶液を添加することで、層状複水酸化物を生成する。一例として、層状複水酸化物であるハイドロタルサイト生成の反応式を下記化学式2に示す。
6Mg(NO3)2+2Al(NO3)3+Na2CO3+16NaOH+4H2O
→Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O+18NaNO3・・・(化学式2)
→Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O+18NaNO3・・・(化学式2)
上記化学式2では、上述した層状複水酸化物の組成式[M2+ 1−xM3+ x(OH)2][An− x/n・nH2O]における2価のマグネシウムイオンと3価のアルミニウムイオンのモル比Mg/Alは3となる。また、硝酸アルミニウムの添加量を調整することで、層状複水酸化物の組成を変化させることができる。
(混合工程)
混合工程では、硝酸マグネシウム水溶液中のマグネシウムイオンに対し、上記モル比Mg/Alが2.0以上4.0以下、好ましくは2.0以上2.5以下となるように硝酸アルミニウムを添加して混合液を得る。上記モル比Mg/Alをこの範囲にすることで、層状複水酸化物の陰イオン交換容量を増大させ、より多くの陰イオンと交換することができる。そして、汚染物質であるクロム酸イオンなどをより多く固定化して取り除くことができるため、より有用な水質浄化材料を生成することができる。層状複水酸化物の場合は、アルミニウムのような三価金属が多いほど陰イオン交換容量が大きくなるため、上記モル比Mg/Alが小さい方、具体的には2.0に近い方が好ましい。上記モル比Mg/Alが2.0未満である、あるいは4.0を超える場合、共沈反応において副生成物が生成し、層状複水酸化物の収率が低下するため好ましくない。また、混合時また混合後に撹拌を行い混合液の均一化を図る。
混合工程では、硝酸マグネシウム水溶液中のマグネシウムイオンに対し、上記モル比Mg/Alが2.0以上4.0以下、好ましくは2.0以上2.5以下となるように硝酸アルミニウムを添加して混合液を得る。上記モル比Mg/Alをこの範囲にすることで、層状複水酸化物の陰イオン交換容量を増大させ、より多くの陰イオンと交換することができる。そして、汚染物質であるクロム酸イオンなどをより多く固定化して取り除くことができるため、より有用な水質浄化材料を生成することができる。層状複水酸化物の場合は、アルミニウムのような三価金属が多いほど陰イオン交換容量が大きくなるため、上記モル比Mg/Alが小さい方、具体的には2.0に近い方が好ましい。上記モル比Mg/Alが2.0未満である、あるいは4.0を超える場合、共沈反応において副生成物が生成し、層状複水酸化物の収率が低下するため好ましくない。また、混合時また混合後に撹拌を行い混合液の均一化を図る。
(共沈工程)
共沈工程では、混合工程で得られた混合液を、アルカリ溶液に滴下することによって層状複水酸化物を共沈させ、層状複水酸化物を得る。アルカリ溶液は特に限定されないが、例えば上記化学式2のように炭酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液を用いてもよく、塩化アンモニウム水溶液等の弱塩基性の水溶液や、一般的な緩衝溶液などを添加してもよい。また、これらのアルカリ溶液はいずれかを単独に用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いていてもよい。
共沈工程では、混合工程で得られた混合液を、アルカリ溶液に滴下することによって層状複水酸化物を共沈させ、層状複水酸化物を得る。アルカリ溶液は特に限定されないが、例えば上記化学式2のように炭酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液を用いてもよく、塩化アンモニウム水溶液等の弱塩基性の水溶液や、一般的な緩衝溶液などを添加してもよい。また、これらのアルカリ溶液はいずれかを単独に用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いていてもよい。
共沈工程におけるアルカリ溶液のpHは9.0以上12.0以下、好ましくは10.0以上11.0以下が好ましい。アルカリ溶液のpHが9.0未満ではマグネシウムが溶解するために共沈が生じ難くなる。また、アルカリ溶液のpHが12.0を超えるとアルミニウムが溶解し層状複水酸化物が生じ難くなる。アルカリ溶液のpHを9.0以上12.0以下、さらには10.0以上11.0以下にすることで、共沈による沈澱率を高めることができ、層状複水酸化物の収率をより上げることができる。
混合液は酸性溶液であり、混合液の滴下に伴いアルカリ溶液のpHは酸性側にシフトするため、混合液の滴下操作中は、例えば水酸化ナトリウム水溶液等を同時に滴下することによって、アルカリ溶液のpHを9.0以上12.0以下、好ましくは10.0以上11.0以下に保持する。
次に、前記滴下操作により得られた懸濁液を所定時間撹拌する。これにより、得られた層状複水酸化物の粒子径を大きくすることができると共に、層状複水酸化物粒子の結晶性を高めることができる。なお、滴下操作終了後の液を所定時間加温することによっても、層状複水酸化物の粒子径を制御することができる。
前記撹拌操作後、懸濁液から水分を除去して層状複水酸化物を得る。水分を除去する方法は吸引濾過、遠心分離、または上澄み液の分離などの常法を用いることができる。なお、水分を除去した直後の層状複水酸化物はゲル状となるが、さらに乾燥させて粉末状にしてもよい。水分を除去したのみのゲル状ものと、乾燥させて粉末状にしたもののいずれにおいても、優れた陰イオン交換効果を有する。また、得られた層状複水酸化物を500℃以上700℃以下に加熱して複酸化物としてもよい。この複酸化物は水溶液中で種々の陰イオンをインターカレートして元の層状複水酸化物の層状構造を再生するため、層状複水酸化物と同様に優れた陰イオン交換効果を有する。
[水質浄化性能の評価]
模擬汚染水として、所定濃度の陰イオンを含有する水溶液を準備する。陰イオンとしては、有害物質として排水基準が定められているクロム酸イオン、ヒ酸イオン、セレン化物イオン、ほう酸イオン、フッ化物イオン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。含有する陰イオンは1種のみでもよく2種類以上でもよい。陰イオンの濃度は適宜決定される。
模擬汚染水として、所定濃度の陰イオンを含有する水溶液を準備する。陰イオンとしては、有害物質として排水基準が定められているクロム酸イオン、ヒ酸イオン、セレン化物イオン、ほう酸イオン、フッ化物イオン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。含有する陰イオンは1種のみでもよく2種類以上でもよい。陰イオンの濃度は適宜決定される。
所定量の模擬汚染水に所定量の層状複水酸化物を添加し、所定時間撹拌する。所定時間経過後に模擬汚染水から試料を採取し陰イオン濃度を測定することで、陰イオン濃度の経時変化を測定する。陰イオン濃度の測定方法は測定対象となる陰イオンによって適宜決定されるが、フッ化物イオンの測定はイオンクロマトグラフ法、クロム酸イオン、ヒ酸イオン、セレン化物イオン、ほう酸イオンは誘導結合プラズマ発光分光分析法により測定するのが好ましい。
模擬汚染水中の陰イオン濃度の経時変化を測定することで、層状複水酸化物の水質浄化性能を評価する。なお層状複水酸化物を加熱して得られた層状複酸化物を用いて水質浄化性能の評価を行ってもよい。
下記の通り、本発明を、さらに詳細な実施例に基づいて説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
[溶解工程]
クリソタイル(コーリンガ産)1.0gをポリプロピレン製ネジ口びんに秤量し、2.0mol/L硝酸水溶液50mLを添加した後、80℃に加熱、保持し24時間撹拌を継続して酸水溶液を得た。
クリソタイル(コーリンガ産)1.0gをポリプロピレン製ネジ口びんに秤量し、2.0mol/L硝酸水溶液50mLを添加した後、80℃に加熱、保持し24時間撹拌を継続して酸水溶液を得た。
[分離工程]
得られた酸水溶液を、孔径0.45μmのメンブレンフィルターを用いて吸引濾過し、固液分離を行った。固液分離で得られた抽出液を用いて、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(島津製作所製)による定量分析を行い、マグネシウムの濃度を測定した。固液分離で得られた残渣を用いて、粉末X線回折装置(リガク製)による相の同定を行い、クリソタイルの残存の有無を確認した。固液分離で得られた残渣に対し走査型及び透過型電子顕微鏡(日本電子製)による観察を行い、アスベストの繊維状形態が失われていることを確認した。
得られた酸水溶液を、孔径0.45μmのメンブレンフィルターを用いて吸引濾過し、固液分離を行った。固液分離で得られた抽出液を用いて、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(島津製作所製)による定量分析を行い、マグネシウムの濃度を測定した。固液分離で得られた残渣を用いて、粉末X線回折装置(リガク製)による相の同定を行い、クリソタイルの残存の有無を確認した。固液分離で得られた残渣に対し走査型及び透過型電子顕微鏡(日本電子製)による観察を行い、アスベストの繊維状形態が失われていることを確認した。
クリソタイルのX線回折パターンを図2(A)に、得られた残渣のX線回折パターンを図2(B)に示す。図2(A)のX線回折パターンから、溶解工程前はクリソタイルであることを確認した。また、図2(B)のX線回折パターンから、得られた残渣は非晶質の二酸化ケイ素を含有することを確認した。そして、クリソタイルのX線回折パターンは図2(B)に確認できなかった。
クリソタイルの電子顕微鏡写真を図3(A)に、得られた残渣の電子顕微鏡写真を図3(B)(C)に示す。図3(A)から、クリソタイルは繊維状の形態であることを確認した。そして、図3(B)から、残渣が粒子状の形態であることを図3(C)から、残渣が湾曲したシート状の形態であることを確認した。そして、繊維状のクリソタイルは図3(B)(C)に確認できなかった。
[層状複水酸化物生成工程]
(混合工程)
抽出液に硝酸アルミニウム水溶液を添加し混合液を得た。このとき、混合液中のマグネシウムとアルミニウムのモル比Mg/Alが3になるように0.04mol/Lの硝酸アルミニウム9水和物水溶液を添加し、その後混合液の液量が100mLになるよう水を添加した。
(混合工程)
抽出液に硝酸アルミニウム水溶液を添加し混合液を得た。このとき、混合液中のマグネシウムとアルミニウムのモル比Mg/Alが3になるように0.04mol/Lの硝酸アルミニウム9水和物水溶液を添加し、その後混合液の液量が100mLになるよう水を添加した。
(共沈工程)
次に、アルカリ溶液として、アルカリ溶液中の水酸化ナトリウム濃度及び炭酸ナトリウムの濃度がそれぞれ1.0mol/Lである水溶液を調整した。
次に、アルカリ溶液として、アルカリ溶液中の水酸化ナトリウム濃度及び炭酸ナトリウムの濃度がそれぞれ1.0mol/Lである水溶液を調整した。
混合液100mLとアルカリ溶液をビーカーに滴下し、マグネチックスターラーを用いて撹拌しながら混合し、懸濁液を得た。このとき懸濁液のpHが10に保持されるよう、pHメータを確認しつつアルカリ溶液の滴下量を調整した。
滴下終了後、得られた懸濁液を25℃で20時間、マグネチックスターラーを用いて撹拌した後、吸引濾過による固液分離を行った。得られた固体成分を70℃で1日乾燥させ、粉末X線回折装置(リガク製)による相の同定を行った。X線回折パターンから、層状複水酸化物生成工程で得られた層状複水酸化物はハイドロタルサイトであることを同定した。
[水質浄化性能の評価]
得られたハイドロタルサイトを大気中、600℃で1時間焼成し、水質浄化材を得た。粉末X線回折装置(リガク製)により相の同定を行い、焼成物はマグネシウム−アルミニウム酸化物であることを同定した。
得られたハイドロタルサイトを大気中、600℃で1時間焼成し、水質浄化材を得た。粉末X線回折装置(リガク製)により相の同定を行い、焼成物はマグネシウム−アルミニウム酸化物であることを同定した。
フッ化物イオンとほう酸イオンをそれぞれ50mg/L含有した水溶液100mLに、得られた水質浄化材を200mg添加した後マグネチックスターラーを用いて1時間撹拌した。撹拌開始後1、5、10、20、40及び60分後に試料を採取し、イオンクロマトグラフ(島津製作所製)によりフッ化物イオン濃度を、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(島津製作所製)によりほう酸イオン濃度を測定した。
図4(A)に水溶液中のフッ化物イオン濃度の経時変化を、図4(B)に水溶液中のほう酸イオン濃度の経時変化を示す。フッ化物イオン濃度は撹拌開始時の50.1mg/Lから急激に低下し、撹拌開始5分後のフッ化物イオン濃度は16.0mg/Lであった。その後フッ化物イオン濃度は緩やかに減少し、撹拌開始60分後のフッ化物イオン濃度は5.6mg/Lであった。ほう酸イオン濃度は撹拌開始時の50.5mg/L から急激に低下し、撹拌開始5分後のほう酸イオン濃度は1.7mg/Lであった。その後ほう酸イオン濃度は緩やかに減少し、撹拌開始60分後のフッ化物イオン濃度は0.5mg/Lであった。
表1に、水溶液中のフッ化物イオン濃度及びほう酸イオン濃度を示す。
[実施例による考察]
図2(A)(B)のX線回折パターンから、溶解工程前のクリソタイルが溶解工程により分解したことが分かった。また、図3(A)(B)(C)の電子顕微鏡写真から、クリソタイルの繊維状の形態が失われたことが分かった。これにより、本発明の一実施形態における溶解工程が、アスベストを分解し、繊維状の形態を失わせて無害化することが分かった。そして、図4(A)(B)におけるフッ化物イオン濃度及びほう酸イオン濃度の経時変化から、クリソタイルを分解して得られた抽出液から生成した層状複水酸化物は水溶液中の陰イオンを取り込む、優れた水質浄化材であることが分かった。これらの結果から、本発明の一実施形態におけるアスベスト利用方法が、アスベスト廃棄物を無害化し、かつ水質浄化材料として利用できることが分かった。
図2(A)(B)のX線回折パターンから、溶解工程前のクリソタイルが溶解工程により分解したことが分かった。また、図3(A)(B)(C)の電子顕微鏡写真から、クリソタイルの繊維状の形態が失われたことが分かった。これにより、本発明の一実施形態における溶解工程が、アスベストを分解し、繊維状の形態を失わせて無害化することが分かった。そして、図4(A)(B)におけるフッ化物イオン濃度及びほう酸イオン濃度の経時変化から、クリソタイルを分解して得られた抽出液から生成した層状複水酸化物は水溶液中の陰イオンを取り込む、優れた水質浄化材であることが分かった。これらの結果から、本発明の一実施形態におけるアスベスト利用方法が、アスベスト廃棄物を無害化し、かつ水質浄化材料として利用できることが分かった。
なお、上記のように本発明の各実施形態及び各実施例について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。従って、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。またアスベスト利用方法の構成、動作も本発明の各実施形態及び各実施例で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
S1 溶解工程、S2 分離工程、S3 層状複水酸化物生成工程
Claims (9)
- アスベストを酸で溶解する溶解工程と、
前記溶解工程により得られる酸水溶液を固液分離する分離工程と、
前記分離工程により得られるマグネシウム抽出液と、アルミニウムイオンを含む酸性溶液とアルカリ溶液を混合して層状複水酸化物を生成する層状複水酸化物生成工程とを有し、
前記生成した層状複水酸化物を資源として利用することを特徴とするアスベスト利用方法。 - 前記層状複水酸化物生成工程は、前記マグネシウム抽出液とアルミニウムイオンを含む酸性溶液を、マグネシウムイオンとアルミニウムイオンのモル比Mg/Alが2.0以上4.0以下となる割合で混合する混合工程と、
前記混合工程により得られる混合液を、pHが9.0以上12.0以下の前記アルカリ溶液に滴下して層状複水酸化物を共沈させる共沈工程を有することを特徴とする請求項1に記載のアスベスト利用方法。 - 前記アスベストはクリソタイルであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアスベスト利用方法。
- 前記溶解工程における酸は硝酸、塩酸及び硫酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のアスベスト利用方法。
- 前記溶解工程における酸のpHが−0.7以上2.0以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアスベスト利用方法。
- 前記溶解工程における酸の濃度が0.01mol/L以上5.00mol/L以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のアスベスト利用方法。
- 層状複水酸化物生成工程におけるアルカリ溶液のpHが10.0以上11.0以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のアスベスト利用方法。
- 前記資源は水質浄化材料であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のアスベスト利用方法。
- 前記溶解工程前に前記アスベストを粉砕処理することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のアスベスト利用方法。
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