JP2021019511A - 宇宙医療装置、宇宙医療方法、人工衛星、サーバー装置、宇宙製薬システム、宇宙治療システム - Google Patents

宇宙医療装置、宇宙医療方法、人工衛星、サーバー装置、宇宙製薬システム、宇宙治療システム Download PDF

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光 宮戸
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孝広 落谷
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Abstract

【課題】無重力または微小重力の状態を制限なく継続的につくりだすことができ、重力や大気の影響が排除された環境(無重力または微小重力の宇宙環境)で、オルガノイドを用いた医療試験を行うことを可能にする宇宙医療装置を提供する。【解決手段】宇宙医療装置1は、人工衛星等の宇宙機3に搭載される医療装置である。この宇宙医療装置1は、無重力又は微小重力の状態が継続的に維持される宇宙環境での医療試験に使用され、地上基地局との間で無線通信可能に構成されている。宇宙医療装置1は、がん患者等のヒト由来のオルガノイドを培養する培養容器5と、所定の生化学的処理を実行するバイオリアクター7と、バイオリアクター7での反応をモニターするモニター部9と、バイオリアクター7での反応に関する情報を生成する情報生成部11と、生成された情報を地上基地局へ送信する通信部13と、上記各部を制御する制御部15などを有している。【選択図】図2

Description

本発明は、重力や大気の影響を排除した宇宙環境で、ヒトの生物体組成物であるヒト由来材料(細胞やオルガノイドなど)を用いた各種医療試験を遠隔操作で行うための、宇宙医療装置(宇宙空間で用いる治験装置)、宇宙医療方法(宇宙空間で実施する治験方法)、前記宇宙医療装置を搭載した人工衛星に関するものである。
また本発明は、宇宙空間において上記宇宙医療装置を用いて得られた各種データを、創薬や治療などの目的で円滑に利用できるように一元管理するためのサーバー装置(データセンター)に関するものである。
また本発明は、宇宙空間において上記宇宙医療装置を用いて得られた各種データに基づいて、宇宙空間において製薬(医薬の製造)を行うための宇宙製薬システムに関するものである。
さらに本発明は、宇宙空間において上記宇宙医療装置を用いて得られた各種データに基づいて、宇宙空間においてヒトの治療を行うための宇宙治療システムに関するものである。
難病のガンについて、従来より、放射線治療が行われてきたが、かえって、これはガンの組織を増殖させることになるので、効果的なものではない。そこで、ガンのみならず、その他の病気のために、現在、細胞やオルガノイドといったヒト由来材料を用いた治療研究や再生医療が行われるようになっている。オルガノイドは、簡単に言うと、いろいろな臓器を模した模擬臓器ということができる。
上述した従来技術を背景に本願発明者が研究を重ねた結果、ガンをはじめとする病気の研究や治療のために、細胞やオルガノイドなどのヒト由来材料を用いた各種試験や再生医療は、重力の影響を排除した無重力または微小重力の状態において行われるのが最適であることを見出した。それは、ヒト由来材料を培養することによって、例えば、細胞の負荷を軽減し、効率の良い培養と新しいエクソソームの発見や生成、PDXモデルの新基盤の創出につながることになる。
また、同様に、細胞やオルガノイドなどのヒト由来材料を用いた各種試験に基づく創薬や、ヒトの治療も、大気や重力の影響を可能な限り排除した環境下で行われるのが好ましい。
しかしながら、この無重力または微小重力の状態は、地上においては、これまでは、飛行機の急降下によって(極短時間にわたって)人工的につくりだしているが、これを絶対的かつ継続的につくりだすことは困難でえる。ところが、これは、宇宙空間を飛翔する人工衛星等のなかでならば実現できる。
そこで、上述した背景技術と課題に鑑み、本発明の目的は、無重力または微小重力の状態を制限なく継続的につくりだすことができ、重力や大気の影響が排除された環境(無重力または微小重力の宇宙環境)で、細胞やオルガノイドなどのヒト由来材料を用いた医療試験(医療実験/治験)を行うことを可能にする、宇宙医療装置、宇宙医療方法、人工衛星を提供することにある。
また本発明の他の目的は、上記宇宙医療装置を用いて得られた各種データを、一元管理するためのサーバー装置(データセンター)を提供し、宇宙空間での製薬や治療に利用できるようにすることにある。
また、本発明の他の目的は、大気や重力の影響が排除された宇宙環境で(すなわち宇宙空間で)製薬を行うことを可能にする宇宙製薬システムを提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、大気や重力の影響が排除された宇宙環境で(すなわち宇宙空間で)ヒトの治療を行うことを可能にする宇宙治療システムを提供することにある。
上記目的は、地上基地局との間で無線通信可能で、無重力または微小重力の宇宙環境での医療試験(医療実験)に使用され、宇宙機に搭載される医療装置(医療実験装置)であって、
オルガノイドを培養するための少なくとも一つの培養容器と、
前記オルガノイド又はその培養液に含まれるオルガノイドの分泌物を対象に、予め定めた所定の生化学的処理(生化学反応を伴う処理)を実行するためのバイオリアクターと、
前記バイオリアクターでの生化学反応の状況や結果に関する情報を、地上基地局へ送信するための通信部と、
を有する宇宙医療装置によって達成される。
なお、バイオリアクターで実行する生化学的処理の対象は、ヒト由来の材料(ヒト由来の生物体構成物/生物体組成物)である限り特に限定されるものではない。ヒト由来材料の具体例としては、ヒト由来の細胞、ヒト由来のオルガノイドなどが挙げられる。
細胞の種類は、ヒト由来のものである限り特に限定されない。例えば、骨髄細胞、造血幹細胞、骨髄細胞、歯髄細胞(子どもの乳歯由来の歯髄細胞)などを、ヒト由来材料として利用することもできる。
オルガノイドは、例えば、組織の細胞、ES細胞またはiPS細胞から、自己複製能力および分化能力で、3次元的な培養で、自己組織化により形成することができる。
上記宇宙医療装置において、バイオリアクターにて生化学的処理を行うオルガノイドの分泌物には、エクソソーム、マイクロRNAの少なくとも何れか一方が含まれる。
また、上記宇宙医療装置において、バイオリアクターは、地上基地局からの指令に基づいて、複数種類の生化学的処理のいずれか一を選択的に実行できるように構成されている。
また、上記宇宙医療装置において、オルガノイドは、がん患者(がん患者の患部)から採取したがん細胞を使って培養されたものである。
また、上記宇宙医療装置では、オルガノイドの種類ごとに培養容器が設けられている。
また、上記宇宙医療装置を搭載する前記宇宙機は、人工衛星、宇宙船、または宇宙ステーションである。
また前述した目的は、
宇宙医療装置を具備する宇宙機を、打ち上げロケットを用いて大気圏外に投入し、宇宙医療装置が無重力または微小重力の宇宙環境にある状況で実行する方法であって、
オルガノイド又はその培養液に含まれるオルガノイドの分泌物を対象に、バイオリアクターにて、予め定めた所定の生化学的処理を実行するステップ(a)と、
バイオリアクターでの生化学反応の状況や結果に関する情報を、地上基地局へ送信するステップ(b)と、
を含む宇宙医療方法によって達成される。
上記宇宙医療方法は、
宇宙医療装置の通信部が、地上基地局から、バイオリアクターで実行すべき生化学的処理に関する指令を受信するステップを更に含んでいる。
そして、前記ステップ(a)において、地上基地局から受信した「バイオリアクターで実行すべき生化学反応に関する指令」に基づいて、バイオリアクターにて所定の生化学反応の処理を実行させる。
また前述した目的は、宇宙医療装置と姿勢制御装置を備える人工衛星によって達成される。
本発明に係る宇宙医療装置は、該装置を制御する地上基地局(宇宙医療装置のコントロールセンター)との間で無線通信可能であって、宇宙環境での医療試験に使用され、人工衛星や宇宙船等の宇宙機に搭載される装置である。このような試験装置を宇宙機に搭載することで、無重力または微小重力の状態を制限なく継続的につくりだすことができ、その結果、重力や大気の影響が排除された最適環境(無重力または微小重力の宇宙環境)で、ヒト由来材料(ヒト由来の生物体構成物/生物体組成物)を用いた医療試験を行うことができる。すなわち、本発明は、患者等の人体を使わず、その代わりに、当該患者の人体に由来するヒト由来材料を用いる治験装置(宇宙治験装置)ということができる。
また、宇宙医療装置のバイオリアクターで実行された生化学反応の結果に関する情報は、電気信号に変換されて、無線通信によって地上基地局へ送信されるようになっている。したがって、地上にいながらにして、ヒト由来材料を用いた宇宙での医療試験の状況を、随時に、継続的に、また、リアルタイムで観察することができ、また、その試験結果を地上で詳細に解析・分析することができる。さらに、無重力または微小重力の宇宙環境下でのヒト由来材料を用いた医療試験の結果と、地上でのヒト由来材料を用いた医療試験の結果とを比較することで、重力や大気の影響を詳細に検証することも可能になる。
また、本発明に係る宇宙医療装置には、ヒト由来材料の種類ごとに培養容器が設けられている。例えば、ヒト由来材料としてオルガノイドを用いる場合には、オルガノイドの種類ごとに培養容器が設けられている。オルガノイド(Organoid)とは、人為的に創出された器官に類似し、当該器官と同等の機能を備える組織体である。オルガノイドの種類には、例えば、脳オルガノイド、内耳オルガノイド、胸腺オルガノイド、精巣オルガノイド、肝臓オルガノイド、膵臓オルガノイド、腸オルガノイド、上皮オルガノイド、肺オルガノイド、腎臓オルガノイドなどがある。したがって、オルガノイドの種類ごとに培養容器を設けることで、実質的には、あらゆる臓器について臓器別に、宇宙環境下でバイオリアクターを用いた医療試験を行うことができる。その結果、生体を傷めることなく、臓器別に、薬の効果や副作用などを効果的に調べることが可能になる。
また、本発明に係る宇宙医療装置が具備するバイオリアクターは、地上基地局からの指令に基づいて、複数種類の生化学的処理のいずれか一を選択的に実行できるように構成されている。これにより、いちどの宇宙機の打ち上げで、様々な試験を行うことが可能になる。
また、本発明に係る宇宙医療方法では、上記宇宙医療装置を具備する宇宙機を、打ち上げロケットを用いて大気圏外に投入し、宇宙医療装置が無重力または微小重力の宇宙環境にある状況で、ヒト由来材料を用いた医療試験を実行する。
具体的には、ヒト由来材料又はその培養液に含まれるヒト由来材料の分泌物を対象に、バイオリアクターにて所定の生化学的処理を実行し、バイオリアクターでの生化学反応の結果に関する情報を生成し、その情報を地球上の地上基地局へ送信する。
このような方法によれば、無重力または微小重力の状態を制限なく継続的につくりだすことができ、その結果、重力や大気の影響が排除された最適環境(無重力または微小重力の宇宙環境)で、ヒト由来材料を用いた医療試験を行うことができる。すなわち、本発明は、患者等の人体を使わず、その代わりに、当該患者の人体に由来するヒト由来材料を用いる治験方法(宇宙治験方法)ということができる。
また、宇宙医療装置のバイオリアクターで実行された生化学反応の結果に関する情報は、電気信号に変換されて、無線通信によって地上基地局へ送信されるようになっている。したがって、地上にいながらにして、ヒト由来材料を用いた宇宙での医療試験の状況を、随時に、継続的に、また、リアルタイムで観察することができ、また、その試験結果を地上で詳細に解析・分析することができる。さらに、無重力または微小重力の宇宙環境下でのヒト由来材料を用いた医療試験の結果と、地上でのヒト由来材料を用いた医療試験の結果とを比較することで、重力の影響を詳細に検証することも可能になる。
また、本発明に係る宇宙医療方法では、ヒト由来材料は、例えば、がん患者から採取したがん細胞を使って培養されたものでもよい。これにより、当該患者に有効ながんの治療方法を見出すことが可能になる。また、例えば抗がん剤に対する様々な作用を調べることもできる。さらに、がんの増殖能、浸潤能、転移能、代謝能などを調べることも可能になり、その結果、がんの新しい治療方法を探ることも可能になる。
また、本発明に係る宇宙医療方法では、エクソソームやマイクロRNAといった、オルガノイドなどのヒト由来材料の分泌物を対象に、バイオリアクターにて生化学的処理を行うようになっている。エクソソームやマイクロRNAは、ヒト由来材料を構成する細胞の分身ともいえる。したがって、バイオリアクターでの処理にヒト由来材料の分泌物を利用することで、ヒト由来材料自体には一切触れる必要がないので、ヒト由来材料を傷めることなく様々な医療試験を行うことができる。すなわち、無重力または微小重力の宇宙環境下で、ヒト由来材料を用いた医療試験を非破壊的に(ヒト由来材料の細胞を一切破壊することなく)実施することができる。
また、本発明に係る宇宙医療方法では、バイオリアクターで実行すべき生化学反応に関する指令(リクエスト)を、宇宙医療装置が地上基地局から受信し、その指令に基づいて、宇宙医療装置のバイオリアクターにて所定の生化学反応の処理を実行させるようになっている。これにより、地上基地局からの遠隔操作に基づいて、様々な医療試験を行うことができる。
なお、宇宙医療装置を搭載する宇宙機は、人工衛星に限らず、宇宙船や宇宙ステーションに搭載することも可能である。これにより、宇宙医療装置が広く普及し、ヒト由来材料を活用した革新的治療を促進させることができる。
宇宙医療装置を人工衛星に搭載する場合には、当該人工衛星に姿勢制御装置も具備させる。これにより、医療試験に必要な無重力または微小重力の環境を継続させることができる。
本発明に係る宇宙医療装置を搭載した人工衛星等の宇宙機を示す図である。 本発明に係る宇宙医療装置の機能的構成を示すブロック図である。 本発明に係る宇宙医療装置における処理の一例を示すフローチャートである。 宇宙機と地上基地局とサーバー装置(データセンター)との間で情報の送受信を行うための構成を示すネットワーク図である。 本発明に係るサーバー装置(データセンター)の機能的構成を示すブロック図である。 本発明に係る宇宙製薬システムの機能的構成を示すブロック図である。 本発明に係る宇宙治療システムの機能的構成を示すブロック図である。
以下、添付図面に基づいて、本発明の具体的実施形態について説明する。
(宇宙医療装置)
本発明に係る宇宙医療装置1は、図1、図2に例示するように、人工衛星等の宇宙機3に搭載される医療装置である。この宇宙医療装置1は、無重力または微小重力の状態が継続的に維持される宇宙環境での医療試験に使用され、地上基地局との間で無線通信可能に構成されている。
なお、以下説明する実施形態では、宇宙医療装置1で使う「ヒト由来材料」の具体例として、ヒト由来のオルガノイドを例示する。
ただし、バイオリアクターで実行する生化学的処理の対象である「ヒト由来材料」は、オルガノイドに限定されるものではなく、ヒト由来の細胞を「ヒト由来材料」として用いることも可能である。例えば、ヒトの乳歯由来の歯髄細胞を、「ヒト由来材料」として用いることも可能である。
本実施形態において、宇宙医療装置1は、図2に概略的に示すとおり、
・ヒト由来のオルガノイドからなるヒト由来材料を培養する培養容器5と、
・所定の生化学的処理(生化学的な試験)を実行するバイオリアクター7と、
・バイオリアクター7での反応状況(変化等)をモニターするモニター部9と、
・バイオリアクター7での反応状況や反応結果の情報を生成する情報生成部11と、
・情報生成部11で生成された情報を地上基地局へ送信するための通信部13と、
・上記各部を制御するためのプロセッサからなる制御部15など
を有している。
培養容器5では、例えば、がん患者から採取したがん細胞に由来するオルガノイド(ヒト由来材料)を培養する。ヒト由来のオルガノイドの培養方法は一般的に知られているので、本実施形態ではその説明を省略する。
本実施形態では、一例として一つの培養容器を想定しているが、宇宙医療装置1には、複数の培養容器を設けることも可能である。この場合、オルガノイドの種類ごとに培養容器を設けてもよい。すなわち、臓器別にオルガノイドの培養容器を設けてもよい。例えば、培養容器を複数設けて、ヒトのあらゆる臓器のオルガノイドを各培養容器で培養することも可能である。
バイオリアクター7(bioreactor)は、地上基地局からの遠隔操作による指令に基づいて、予め用意された複数種類の生化学的処理(生化学反応を伴う処理)のいずれか一を選択的に実行する。バイオリアクター7は、例えば、一般的に知られたマイクデバイスやマイクロフルイッドなどを応用したものや組み合わせたもので構成することができる。
このバイオリアクター7では、オルガノイド又はその培養液に含まれるオルガノイドの分泌物を対象に、予め定めた所定の生化学的処理(何らかの生化学的な反応を生じる処理)を実行する。好ましくは、オルガノイドの培養液に含まれる該オルガノイドの分泌物を対象に、所定の生化学的処理を実行することが望ましい。この場合、生化学的処理を行うオルガノイドの分泌物には、例えば、エクソソーム(exosome)やマイクロRNA(miRNA)などが含まれる。エクソソーム(exosome)やマイクロRNA(miRNA)の検出や解析などの方法は、一般的に知られているので、本実施形態ではその説明を省略する。
バイオリアクター7を用いて行う生化学的処理の具体例としては、例えば、がんの増殖能を調べるための処理、がんの浸潤能を調べるための処理、がんの転移能を調べるための処理、がんの代謝能を調べるための処理などが挙げられる。
情報生成部11は、モニター部9でのモニター結果に基づいて、バイオリアクター7での生化学反応の進行状況や反応結果に関する情報を生成する。すなわち、バイオリアクター7での生化学反応の進行状況や反応結果をモニター部9から読み込んで、生化学反応の進行状況や反応結果に関するデータを、無線通信により送信可能な電気信号(情報)に変換する。
通信部13は、情報生成部11によって生成された、バイオリアクター7での生化学反応の結果に関する情報(電気信号)を、無線通信によって地上基地局へ送信する。
地上基地局(図示省略)は、宇宙医療装置1を遠隔で操作可能な、地上に設けられたコントロールセンターである。この地上基地局には、宇宙医療装置1の通信部13との間で情報の送受信を行うための通信部や、宇宙医療装置1から受信した各種情報を解析するための解析装置、宇宙医療装置1の各部を遠隔操作するための制御装置などが設けられている。
地上基地局で受信した情報は、バイオリアクターでの生化学反応の結果の解析・分析に用いられる。そして、この解析・分析の結果に基づいて、がん患者等の治療が行われる。
また、地上基地局で受信した情報は、患者の治療方法の策定に利用することができる。
また、地上基地局で受信した情報は、医薬の設計に用いることができる。
なお、本実施形態では、宇宙医療装置を搭載する宇宙機の代表例としては人工衛星が挙げられるが、宇宙機はこれに限定されず、宇宙船や宇宙ステーションに宇宙医療装置を搭載してもよい。
宇宙医療装置を人工衛星に搭載する場合には、
・人工衛星の姿勢を検知するジャイロセンサなどの慣性センサ、
・人工衛星の姿勢を制御するリアクションホイール、
・制御信号を計算する計算機、
などを有する姿勢制御装置23を設けることが望ましい。
また、宇宙医療装置1に電力を供給するための、太陽光発電方式の発電部21を人工衛星に搭載してもよい。
(ロケットによる宇宙機の打ち上げ)
前述した特徴を具備する宇宙医療装置1は、人工衛星等の宇宙機3に搭載される。そして、この宇宙機3は、打ち上げロケットの推力を使って宇宙空間まで送り込む。なお、ロケットは、ペイロードである宇宙機3の重量に応じて、例えば、2段式ロケットや3段式ロケットなどを使い分けてもよい。
打ち上げロケットとして例えば3段式ロケットを用いる場合、ロケットの1段目は、打ち上げ後に大気圏内で切り離され、地球上に落下後に回収し、2段目と3段目は大気圏の摩擦により落下時に消滅する。
このような多段式ロケットの先端部に、図2に示すような特徴を備える人工衛星等の宇宙機3をペイロードとして搭載する。また、ロケットの先端部には、搭載された宇宙機3を保護するためのペイロードフェアリングを設ける。なお、宇宙機3に搭載される電子機器や装置等は、当該宇宙機3をロケットから切り離す際の衝撃によって破損しないように組立構築する。
通常、人工衛星や宇宙船などの宇宙機は、高度400kmから800km上空を飛行するが、本発明に係る宇宙医療装置1を搭載する宇宙機3は、例えば500km上空を飛行させる。飛行速度は例えば7.6km/毎秒で、安定した姿勢制御が早く行えるよう、また軌道に早く到達できるよう、宇宙機3を搭載するロケット打ち上げは緯度の低い場所から行う。
ロケットから宇宙機3を切り離す際に用いる爆破については、例えば、点火は電子火花を用いることにする。宇宙空間のような真空状態であると火花のエネルギー係数が大きくなるので、宇宙機3の質量を考慮計算し、また振動で宇宙医療装置1が破損、宇宙機3自体が火薬の破片に当たり破損しないよう、精密な計算により最低限の量の火薬を活用する。
(宇宙機の姿勢制御等)
ロケットから切り離された宇宙機3は、宇宙空間で自転するようになっている。その自転の制御のほか、軌道上までの移動と、安定高度への到達、速度調整は、宇宙機3が具備する姿勢制御部23が担うようになっている。
宇宙機3の姿勢制御部23はリアクションホイール(RWA)を活用し、姿勢制御の自由度を確保するために多軸構成にて宇宙機3の姿勢制御を行う。また、地球上の磁場を用い宇宙機3のコイルで電流を発生させ、軌道上までの誘導姿勢制御を行う。
安定高度速度、軌道上に達したら発電部21が、発電に資するソーラーパネル傘を電子点火によって開き発電を行うことになる。ソーラーパネルは、発電効率を考慮して例えばモリブデンや金などを活用してもよい。
ヒーター、冷却器については、引火の恐れがあるフロンは用いず、電気式冷却器を使用する。電気式冷却器を使用した場合、20分ほどで設定温度の達することが出来る。
地上基地局との間での交信を多数行える宇宙機3の飛翔を行うため、2時間で地球を1周する計算と考え、日本の通信基地局上空を通過するのは2日に一篇であることから、北極基地局を活用することにより10分間の宇宙から地上へのデータ送信と10分間の地上から宇宙への指示送信を行う。これにより24時間あたり、120分のオルガノイド観測と120分の指示を行うことが出来ることになる。
宇宙医療装置1を搭載した宇宙機3が、高度500kmより高高度を取ると地上との交信に時間が掛かる。一方、宇宙医療装置1を搭載した宇宙機3が、低高度取ると飛行速度が早くなり観測時間・実験期間が短くなる。高度500kmの場合は実験期間約1年可能とする。
(宇宙医療装置における処理例/宇宙医療方法)
次に、図3のフローチャートに基づいて、上記構成の宇宙医療装置における処理例(宇宙医療方法)について説明する。
宇宙医療方法の実施にあたっては、はじめに、前述した特徴を具備する宇宙医療装置を搭載した人工衛星等の宇宙機を、打ち上げロケットを用いて大気圏外に投入する<図3のステップS11>。
そして、無重力または微小重力の状況が維持されるように、宇宙機療装置を搭載した宇宙機の姿勢制御を行う<S13>。
次に、宇宙医療装置のコントロールセンターである地上基地局が、宇宙医療装置の通信部へ向けて、バイオリアクターで実行すべき生化学的処理に関する指令(リクエスト)を送信する<S15>。この指令(リクエスト)には、例えば、バイオリアクターで実行すべき生化学的処理の種類や内容などが含まれている。
次に、宇宙医療装置が、地上基地局から受信した「バイオリアクターで実行すべき生化学反応に関する指令」に基づいて、バイオリアクターにて所定の生化学反応の処理を実行する。具体的には、オルガノイド又はその培養液に含まれるオルガノイドの分泌物を対象に、バイオリアクターにて所定の生化学的処理を実行する<S17>。
上記バイオリアクターを用いた処理を実行している間、バイオリアクターでの反応の進行状況や反応結果をモニター部で監視する<S19>。
次に、情報生成部にて、バイオリアクターでの生化学反応の進行状況や反応結果に関する情報を生成する<S21>。すなわち、バイオリアクターでの生化学反応の進行状況や反応結果をモニター部から読み込んで、その結果に関するデータを、無線通信により送信可能な電気信号(情報)に変換する。
そして、上記ステップS21で生成された情報を地上基地局へ送信する<S23>。
地球上の地上基地局との間で通信を行う場合には、宇宙機3の通信部13を使い、2Gヘルツ、Sバンド(S帯)を用いる。宇宙機3から地上基地局への通信にあたっては、培養容器5やバイオリアクター7での実験経過、具体的には、写真、動画、幹細胞のデータなどを、モニター部9や情報生成部11で電子化し、通信部13が8G(ギガ)ヘルツ、Xバンド(X帯)を用い宇宙機3から地上基地局へ送信する。
宇宙医療の実験が終わったら、予め宇宙機3に設置しておいたエンジンと、格納式の羽を活用する。具体的には、はじめに、重力方向へエンジンを点火させ、宇宙機3がある一定の高度まで達した時点で前記の羽をだし、大気の抵抗を増加させ宇宙機3の地球に対する引力増加により大気圏突入時に焼却される。
若しくは、実験で得られた検体を地球に送り届けるため、大気圏再突入用のモリブデン等融点の高い耐火耐熱カプセルに入れ、大気圏進入角度を計算し、宇宙機3から切り離すようにしてもよい。
上述した手順を経て宇宙医療装置から地上基地局へ送信された情報は、例えば、医薬の設計のために利用することができる。あるいは、治療方法の策定などのために利用することもできる。
地上で医薬の設計を行う場合には、宇宙医療装置から送信された「バイオリアクターでの生化学反応の進行状況や反応結果に関する情報」に基づいて、医薬の設計を行う。この場合、医薬の設計には、例えば人工知能機能を用いることができる。すなわち、学習済み人工知能モデル(学習済みニューラルネットワーク)を使い、バイオリアクター7で得られた情報を入力データとし、また、製造する医薬の設計情報を出力データとすることで、医薬の設計を行うことができる。
(宇宙医療装置及びこれを用いた宇宙医療方法によって達成される優れた効果)
上述した宇宙医療装置及びこれを用いた宇宙医療によれば、重力や大気の影響が排除された最適環境(無重力または微小重力の宇宙環境)で、オルガノイドを用いた医療試験を行うことができる。すなわち、本発明は、患者等の人体を使わず、その代わりに、当該患者の人体に由来するオルガノイドを用いる治験装置(宇宙治験装置)ということができる。
また、宇宙医療装置のバイオリアクターで実行された生化学反応の結果に関する情報は、電気信号に変換されて、無線通信によって地上基地局へ送信されるようになっている。したがって、地上にいながらにして、オルガノイドを用いた宇宙での医療試験の状況を、随時に、継続的に、また、リアルタイムで観察することができ、また、その試験結果を地上で詳細に解析・分析することができる。
(サーバー装置)
図4に示すように、地上基地局2が宇宙空間の宇宙機3(宇宙医療装置1)から受信した情報(バイオリアクターでの生化学反応の進行状況や反応結果に関する情報である医療情報)は、インターネットを介して地上基地局2からサーバー装置8に送信され、当該サーバー装置8において検索・抽出可能な状態で記録・蓄積される。
以下、図5に基づいて、サーバー装置8の詳細について説明する。
医療情報等の各種情報のデータセンター(データバンク)として機能するサーバー装置8は、
・データベースとして機能する情報格納部81と、
・インターネットにアクセス可能な通信部83と、
・上記各部を制御するためのプロセッサ等からなる制御部85と、
を有している。
サーバー装置8の通信部83は、インターネットを介して地上基地局2との間で情報の送受信を行う。したがって、地上基地局2が宇宙空間の宇宙機3から受信した情報(バイオリアクターでの生化学反応の進行状況や反応結果に関する情報である医療情報)は、インターネットを介してサーバー装置8が受信することができる。
データベースとして機能する情報格納部81は、
・個人情報と、
・医療情報と、
・創薬情報と
を相互に紐付した状態で記録・蓄積している。
したがって、情報格納部81では、個人情報、医療情報、創薬情報のいずれか一が分かれば、他を瞬時に抽出することができる。
個人情報とは、オルガノイド由来元の個人を特定するための情報である。この個人情報には、少なくとも個人の氏名が含まれ、その他、当該個人の住所、メールアドレス、ID(識別情報)などが含まれてもよい。
医療情報とは、オルガノイド(ヒト由来材料)を使って宇宙医療装置で得られた情報である。この医療情報は、ヒトの医薬を設計するのに必要な情報である。
すなわち、前記個人が提供したオルガノイド又はその培養液に含まれるオルガノイドの分泌物を対象に、宇宙機のバイオリアクターで実行した生化学的処理(生化学反応)の進行状況や反応結果に関する情報が、ここでいう「医療情報」に該当する。この医療情報を使って、ヒトの医薬を設計する。
例えば、前記「オルガノイド」が、がん患者から採取したがん細胞を使って培養されたものである場合には、当該がん患者専用の「医療情報」が生成されて、情報格納部81に記録される。
創薬情報とは、前記医療情報に基づいて設計された医薬に関する情報である。
すなわち、オルガノイドを提供した前記個人専用の医薬に関する情報である。
例えば、前記「オルガノイド」が、がん患者から採取したがん細胞を使って培養されたものである場合には、当該がん患者専用の「創薬情報」が生成されて、情報格納部に記録される。
なお、前記医療情報に基づく医薬の設計は、地上の設備を用いて行ってもよく、あるいは、宇宙機3の設備を用いて行ってもよい。
本実施形態では、オルガノイドを提供する個人ごとに医療情報が生成され、また、この医療情報ごとに創薬情報が生成される。
そして、下記の表1に例示するとおり、本実施形態では、個人情報と、医療情報と、創薬情報は、相互に紐付した状態で情報格納部81に記録・蓄積される。
このように、サーバー装置(データセンター)を使って、各個人の個人情報と医療情報と創薬情報を相互に紐付して一元管理することで、例えば、後述する宇宙製薬システムを使って、個人専用の医薬(宇宙医療装置1を使って得られた医療情報に基づいて設計された医薬)を宇宙空間で速やかに製造することが可能になる。
(宇宙製薬システム)
次に図6に基づいて、宇宙製薬システムについて説明する。
宇宙製薬システムは、宇宙空間での製薬に使用され、宇宙空間を継続的に飛翔可能な宇宙機に搭載されるシステムである。
この宇宙製薬システムは、
・医薬の設計に必要な医療情報を得るための宇宙医療装置1と、
・宇宙医療装置1で得られた医療情報に基づいて設計された医薬を製造するための宇宙製薬装置4と、
を有している。
宇宙医療装置1は、
・オルガノイドを培養するための少なくとも一つの培養容器5、
・前記オルガノイド又はその培養液に含まれるオルガノイドの分泌物を対象に、予め定めた生化学的処理を実行するためのバイオリアクター7、
・前記バイオリアクター7での生化学反応の進行状況や反応結果に関する情報を、宇宙製薬装置4へ送信するための制御部15、
などを有している。
なお、宇宙医療装置1の具体的構成は、前述した図2に示すものと同様である。
したがって、宇宙製薬システムが具備する宇宙医療装置1についての説明については、図2や図3に係る説明を援用する。
宇宙製薬装置4は、
・宇宙医療装置1からの情報に基づいて医薬の設計を行う医薬設計部40と、
・製薬原料を貯留する原料貯留部41と、
・原料貯留部41にある原料を医薬製造部45に送るための原料供給部43と、
・送られた原料を使って薬剤を製造するための医薬製造部45と、
・医薬製造部45で製造された薬剤を貯留するための薬剤貯留部47と、
・上記各部を制御するためのプロセッサ等からなる制御部49と、
を有している。
上記構成の宇宙製薬システムにおいて、バイオリアクター7での生化学反応の進行状況や反応結果に関する情報は、宇宙製薬装置4へ送信されるようになっている。
そして、宇宙製薬装置4の医薬設計部40において、バイオリアクター7での生化学反応の進行状況や反応結果に関する情報に基づいて、医薬の設計を行う。この医薬設計部40における医薬の設計には、例えば人工知能機能を用いることができる。すなわち、学習済み人工知能モデル(学習済みニューラルネットワーク)を使い、バイオリアクター7で得られた情報を入力データとし、また、製造する医薬の設計情報を出力データとすることで、医薬の設計を行うことができる。
なお、バイオリアクター7での生化学反応の進行状況や反応結果に関する情報に基づく医薬の設計は、地上で行ってもよい。
続いて、宇宙製薬装置4の医薬製造部45は、医薬設計部40で設計された医薬を、原料貯留部41に貯留された原料を使って製造する。前述した人工知能機能を用いる場合には、医薬設計部40において製造する医薬の設計情報が出力されるので、医薬製造部45は、医薬設計部40から出力された医薬設計情報に基づき、原料貯留部41に貯留された原料を使って製造する。
宇宙機3の宇宙製薬装置4で製造された医薬は、例えば、宇宙機3から分離可能な別の飛翔体(子機やドローンなど)を利用して、地上に送り届けてもよい。そのために、宇宙機3には、分離可能なデリバリー用の別の飛翔体を複数搭載してもよい。
上記特徴を備えた宇宙製薬システムによれば、宇宙空間にいながらにして製薬を行うことができる。すなわち、重力や大気の影響が排除された環境下(宇宙空間)において、宇宙医療装置1での実験結果に基づく創薬を行うことができる。
(宇宙治療システム/宇宙治療施設)
次に図7に基づいて、宇宙治療システム(宇宙治療施設)について説明する。
宇宙治療システムは、宇宙空間におけるヒトの治療に使用され、宇宙空間を継続的に飛翔可能な宇宙機に搭載されるシステムである。
この宇宙治療システムは、
・患者の治療に必要な情報を得るための宇宙医療装置1と、
・この患者に対する治療を宇宙空間で実施するための宇宙治療設備6を
有している。
宇宙医療装置1は、
前記患者由来のオルガノイドを培養するための少なくとも一つの培養容器5、
前記オルガノイド又はその培養液に含まれるオルガノイドの分泌物を対象に、予め定めた生化学的処理を実行するためのバイオリアクター7、
前記バイオリアクター7での生化学反応の進行状況や反応結果に関する情報を、宇宙医療装置6へ送信するための制御部15、
などを有している。
なお、宇宙医療装置1の具体的構成は、前述した図2に示すものと同様である。
したがって、宇宙製薬システムが具備する宇宙医療装置1についての説明については、図2や図3に係る説明を援用する。
宇宙治療設備6は、オルガノイドを提供した患者を収容するための病室61のほか、この患者を治療するための治療室63を有している。また、図示を省略しているが、病室61や治療室63にいる患者の生命維持(酸素の供給など)を担う生命維持装置も有している。さらに、これらの病室61や治療室63を制御するための制御部65も有している。治療室63では、バイオリアクター7での生化学反応の進行状況や反応結果に関する情報を踏まえて策定された治療計画に基づいて、患者に対し個別具体的な治療が行われる。
上記特徴を備えた宇宙治療システム(宇宙治療施設)によれば、宇宙空間にいながらにしてヒトの治療を行うことができる。すなわち、重力や大気の影響が排除された環境下(宇宙空間)において、宇宙医療装置1での実験結果に基づく治療をがん患者等に施すことが可能になる。
(むすび)
上述した実施形態では、宇宙医療装置1で使う「ヒト由来材料」の具体例として、ヒト由来のオルガノイドを例示したが、本発明で利用可能な「ヒト由来材料」は、オルガノイドに限定されない。
例えば、オルガノイドに代えて、ヒト由来の細胞を「ヒト由来材料」として用いることも可能である。この場合、細胞の種類は特に限定されず、例えば、骨髄細胞、造血幹細胞、骨髄細胞、歯髄細胞(子どもの乳歯由来の歯髄細胞)などを、ヒト由来材料として利用することもできる。
1 宇宙医療装置
2 地上基地局
3 宇宙機(人工衛星、宇宙船、宇宙ステーション)
4 宇宙製薬システム
5 培養容器
6 宇宙治療設備(宇宙治療施設)
7 バイオリアクター
8 サーバー装置(データセンター/データバンク)
9 モニター部
11 情報生成部(信号生成部)
13 通信部
15 制御部
21 発電部
23 姿勢制御装置
40 医薬設計部
41 原料貯留部
43 原料供給部
45 医薬製造部
47 薬剤貯留部
49 制御部

Claims (12)

  1. 地上基地局との間で無線通信可能で、無重力または微小重力の宇宙環境での医療試験に使用され、宇宙機に搭載される医療装置であって、
    ヒト由来の細胞またはオルガノイドからなるヒト由来材料を培養するための少なくとも一つの培養容器と、
    前記ヒト由来材料又はその培養液に含まれるヒト由来材料の分泌物を対象に、予め定めた生化学的処理を実行するためのバイオリアクターと、
    前記バイオリアクターでの生化学反応の状況や結果に関する情報を、地上基地局へ送信するための通信部と、
    を有する宇宙医療装置。
  2. 前記バイオリアクターにて生化学的処理を行うヒト由来材料の分泌物には、エクソソーム、マイクロRNAの少なくとも何れか一方が含まれる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の宇宙医療装置。
  3. 前記バイオリアクターは、複数種類の生化学的処理のいずれか一を選択的に実行できるように構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の宇宙医療装置。
  4. 前記ヒト由来材料は、がん患者から採取したがん細胞を使って培養されたものである、
    ことを特徴とする請求項1に記載の宇宙医療装置。
  5. 前記ヒト由来材料はオルガノイドであって、
    オルガノイドの種類ごとに培養容器が設けられている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の宇宙医療装置。
  6. 宇宙医療装置を搭載する前記宇宙機は、
    人工衛星、宇宙船、または宇宙ステーションである、
    ことを特徴とする請求項1に記載の宇宙医療装置。
  7. 請求項1に記載の宇宙医療装置を具備する宇宙機を、打ち上げロケットを用いて大気圏外に投入し、宇宙医療装置が無重力または微小重力の宇宙環境にある状況で実行する方法であって、
    ヒト由来材料又はその培養液に含まれるヒト由来材料の分泌物を対象に、バイオリアクターにて、予め定めた生化学的処理を実行するステップ(a)と、
    バイオリアクターでの生化学反応の状況や結果に関する情報を、地上基地局へ送信するステップ(b)と、
    を含むことを特徴とする宇宙医療方法。
  8. 宇宙医療装置の通信部が、地上基地局から、バイオリアクターで実行すべき生化学的処理に関する指令を受信するステップを更に含んでおり、
    前記ステップ(a)において、
    地上基地局から受信した、バイオリアクターで実行すべき生化学反応に関する指令に基づいて、バイオリアクターにて所定の生化学反応の処理を実行する、
    ことを特徴とする請求項7に記載の宇宙医療方法。
  9. 請求項1に記載の宇宙医療装置と姿勢制御装置を備える人工衛星。
  10. 情報を格納するための情報格納部と、
    インターネットにアクセス可能な通信部と、
    を具備するサーバー装置であって、
    前記情報格納部において、
    請求項1に記載の宇宙医療装置を利用して得られた、バイオリアクターでの生化学反応の状況や結果に関する情報である医療情報と、
    ヒト由来材料の由来元のヒトの個人情報と、
    を相互に紐付した状態で格納する、ことを特徴とするサーバー装置。
  11. 宇宙空間での製薬に使用され、宇宙機に搭載される製薬システムであって、
    医薬の設計に必要な医療情報を得るための宇宙医療装置と、
    前記宇宙医療装置で得られた医療情報に基づいて設計された医薬を製造するための宇宙製薬装置と、を有しており、
    前記宇宙医療装置は、
    ヒト由来材料を培養するための少なくとも一つの培養容器と、
    前記ヒト由来材料又はその培養液に含まれるヒト由来材料の分泌物を対象に、予め定めた生化学的処理を実行するためのバイオリアクターと、
    前記バイオリアクターでの生化学反応の状況や結果に関する情報を、宇宙製薬装置へ送信するための制御部と、
    を有しており、
    前記宇宙製薬装置は、
    製薬原料を貯留する原料貯留部と、
    前記宇宙医療装置のバイオリアクターでの生化学反応の状況や結果に関する情報に基づいて設計された医薬を、前記原料貯留部に貯留された原料を使って製造するための医薬製造部と、
    を有している、
    ことを特徴とする宇宙製薬システム。
  12. 宇宙空間での治療に使用され、宇宙機に搭載される治療システムであって、
    患者の治療に必要な情報を得るための宇宙医療装置と、
    前記患者に対する治療を実施するための宇宙治療設備と、
    を有しており、
    前記宇宙医療装置は、
    前記患者由来のヒト由来材料を培養するための少なくとも一つの培養容器と、
    前記ヒト由来材料又はその培養液に含まれるヒト由来材料の分泌物を対象に、予め定めた生化学的処理を実行するためのバイオリアクターと、
    前記バイオリアクターでの生化学反応の状況や結果に関する情報を、宇宙医療装置へ送信するための制御部と、
    を有しており、
    前記宇宙治療設備は、
    前記バイオリアクターでの生化学反応の状況や結果に関する情報を踏まえて策定された治療計画に基づいて、ヒト由来材料を提供した前記患者を治療するための治療室を有している、
    ことを特徴とする宇宙治療システム。
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