JP2021000917A - 宇宙医療装置、宇宙医療方法、人工衛星 - Google Patents

宇宙医療装置、宇宙医療方法、人工衛星 Download PDF

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光 宮戸
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Abstract

【課題】無重力または微小重力の状態を制限なく継続的につくりだすことができ、重力や大気の影響が排除された環境(無重力または微小重力の宇宙環境)で、オルガノイドを用いた医療試験を行うことを可能にする宇宙医療装置を提供する。【解決手段】宇宙医療装置1は、人工衛星等の宇宙機3に搭載される医療装置である。この宇宙医療装置1は、無重力又は微小重力の状態が継続的に維持される宇宙環境での医療試験に使用され、地上基地局との間で無線通信可能に構成されている。宇宙医療装置1は、がん患者等のヒト由来のオルガノイドを培養する培養容器5と、所定の生化学的処理を実行するバイオリアクター7と、バイオリアクター7での反応をモニターするモニター部9と、バイオリアクター7での反応に関する情報を生成する情報生成部11と、生成された情報を地上基地局へ送信する通信部13と、上記各部を制御する制御部15などを有している。【選択図】図2

Description

本発明は、重力や大気の影響を排除した宇宙環境で、オルガノイドを用いた各種医療試験を遠隔操作で行うための、宇宙医療装置(宇宙空間で用いる治験装置)、宇宙医療方法(宇宙空間で実施する治験方法)、前記宇宙医療装置を搭載した人工衛星に関するものである。
難病のガンについて、従来より、放射線治療が行われてきたが、かえって、これはガンの組織を増殖させることになるので、効果的なものではない。そこで、ガンのみならず、その他の病気のために、現在、オルガノイドを用いた治療研究や再生医療が行われるようになっている。オルガノイドは、簡単に言うと、いろいろな臓器を模した模擬臓器ということができる。
上述した従来技術を背景に本願発明者が研究を重ねた結果、ガンをはじめとする病気の研究や治療のために、オルガノイドを用いた各種試験や再生医療は、重力の影響を排除した無重力または微小重力の状態において行われるのが最適であることを見出した。それは、オルガノイドを培養することによって、細胞の負荷を軽減し、効率の良い培養と新しいエクソソームの発見や生成、PDXモデルの新基盤の創出につながることになる。
しかしながら、この無重力または微小重力の状態は、地上においては、これまでは、飛行機の急降下によって(極短時間にわたって)人工的につくりだしているが、これを絶対的かつ継続的につくりだすことは困難でえる。ところが、これは、宇宙空間を飛翔する人工衛星等のなかでならば実現できる。
そこで、上述した背景技術と課題に鑑み、本発明の目的は、無重力または微小重力の状態を制限なく継続的につくりだすことができ、重力や大気の影響が排除された環境(無重力または微小重力の宇宙環境)で、オルガノイドを用いた医療試験を行うことを可能にする、宇宙医療装置、宇宙医療方法、人工衛星を提供することにある。
上記目的は、地上基地局との間で無線通信可能で、無重力または微小重力の宇宙環境での医療試験(医療実験)に使用され、宇宙機に搭載される医療装置(医療実験装置)であって、
オルガノイドを培養するための少なくとも一つの培養容器と、
前記オルガノイド又はその培養液に含まれるオルガノイドの分泌物を対象に、予め定めた所定の生化学的処理(生化学反応を伴う処理)を実行するためのバイオリアクターと、
前記バイオリアクターでの生化学反応の状況や結果に関する情報を、地上基地局へ送信するための通信部と、
を有する宇宙医療装置によって達成される。
上記宇宙医療装置において、バイオリアクターにて生化学的処理を行うオルガノイドの分泌物には、エクソソーム、マイクロRNAの少なくとも何れか一方が含まれる。
また、上記宇宙医療装置において、バイオリアクターは、地上基地局からの指令に基づいて、複数種類の生化学的処理のいずれか一を選択的に実行できるように構成されている。
また、上記宇宙医療装置において、オルガノイドは、がん患者(がん患者の患部)から採取したがん細胞を使って培養されたものである。
また、上記宇宙医療装置では、オルガノイドの種類ごとに培養容器が設けられている。
また、上記宇宙医療装置を搭載する前記宇宙機は、人工衛星、宇宙船、または宇宙ステーションである。
また前述した目的は、
宇宙医療装置を具備する宇宙機を、打ち上げロケットを用いて大気圏外に投入し、宇宙医療装置が無重力または微小重力の宇宙環境にある状況で実行する方法であって、
オルガノイド又はその培養液に含まれるオルガノイドの分泌物を対象に、バイオリアクターにて、予め定めた所定の生化学的処理を実行するステップ(a)と、
バイオリアクターでの生化学反応の状況や結果に関する情報を、地上基地局へ送信するステップ(b)と、
を含む宇宙医療方法によって達成される。
上記宇宙医療方法は、
宇宙医療装置の通信部が、地上基地局から、バイオリアクターで実行すべき生化学的処理に関する指令を受信するステップを更に含んでいる。
そして、前記ステップ(a)において、地上基地局から受信した「バイオリアクターで実行すべき生化学反応に関する指令」に基づいて、バイオリアクターにて所定の生化学反応の処理を実行させる。
また前述した目的は、宇宙医療装置と姿勢制御装置を備える人工衛星によって達成される。
本発明に係る宇宙医療装置は、該装置を制御する地上基地局(宇宙医療装置のコントロールセンター)との間で無線通信可能であって、宇宙環境での医療試験に使用され、人工衛星や宇宙船等の宇宙機に搭載される装置である。このように試験装置を宇宙機に搭載することで、無重力または微小重力の状態を制限なく継続的につくりだすことができ、その結果、重力や大気の影響が排除された最適環境(無重力または微小重力の宇宙環境)で、オルガノイドを用いた医療試験を行うことができる。すなわち、本発明は、患者等の人体を使わず、その代わりに、当該患者の人体に由来するオルガノイドを用いる治験装置(宇宙治験装置)ということができる。
また、宇宙医療装置のバイオリアクターで実行された生化学反応の結果に関する情報は、電気信号に変換されて、無線通信によって地上基地局へ送信されるようになっている。したがって、地上にいながらにして、オルガノイドを用いた宇宙での医療試験の状況を、随時に、継続的に、また、リアルタイムで観察することができ、また、その試験結果を地上で詳細に解析・分析することができる。さらに、無重力または微小重力の宇宙環境下でのオルガノイドを用いた医療試験の結果と、地上でのオルガノイドを用いた医療試験の結果とを比較することで、重力の影響を詳細に検証することも可能になる。
また、本発明に係る宇宙医療装置には、オルガノイドの種類ごとに培養容器が設けられている。オルガノイド(Organoid)とは、人為的に創出された器官に類似し、当該器官と同等の機能を備える組織体である。オルガノイドの種類には、例えば、脳オルガノイド、内耳オルガノイド、胸腺オルガノイド、精巣オルガノイド、肝臓オルガノイド、膵臓オルガノイド、腸オルガノイド、上皮オルガノイド、肺オルガノイド、腎臓オルガノイドなどがある。したがって、オルガノイドの種類ごとに培養容器を設けることで、実質的には、あらゆる臓器について臓器別に、宇宙環境下でバイオリアクターを用いた医療試験を行うことができる。その結果、生体を傷めることなく、臓器別に、薬の効果や副作用などを効果的に調べることが可能になる。
また、本発明に係る宇宙医療装置が具備するバイオリアクターは、地上基地局からの指令に基づいて、複数種類の生化学的処理のいずれか一を選択的に実行できるように構成されている。これにより、いちどの宇宙機の打ち上げで、様々な試験を行うことが可能になる。
また、本発明に係る宇宙医療方法では、上記宇宙医療装置を具備する宇宙機を、打ち上げロケットを用いて大気圏外に投入し、宇宙医療装置が無重力または微小重力の宇宙環境にある状況で、オルガノイドを用いた医療試験を実行する。
具体的には、オルガノイド又はその培養液に含まれるオルガノイドの分泌物を対象に、バイオリアクターにて所定の生化学的処理を実行し、バイオリアクターでの生化学反応の結果に関する情報を生成し、その情報を地球上の地上基地局へ送信する。
このような方法によれば、無重力または微小重力の状態を制限なく継続的につくりだすことができ、その結果、重力や大気の影響が排除された最適環境(無重力または微小重力の宇宙環境)で、オルガノイドを用いた医療試験を行うことができる。すなわち、本発明は、患者等の人体を使わず、その代わりに、当該患者の人体に由来するオルガノイドを用いる治験方法(宇宙治験方法)ということができる。
また、宇宙医療装置のバイオリアクターで実行された生化学反応の結果に関する情報は、電気信号に変換されて、無線通信によって地上基地局へ送信されるようになっている。したがって、地上にいながらにして、オルガノイドを用いた宇宙での医療試験の状況を、随時に、継続的に、また、リアルタイムで観察することができ、また、その試験結果を地上で詳細に解析・分析することができる。さらに、無重力または微小重力の宇宙環境下でのオルガノイドを用いた医療試験の結果と、地上でのオルガノイドを用いた医療試験の結果とを比較することで、重力の影響を詳細に検証することも可能になる。
また、本発明に係る宇宙医療方法では、オルガノイドは、がん患者から採取したがん細胞を使って培養されたものでもよい。これにより、当該患者に有効ながんの治療方法を見出すことが可能になる。また、例えば抗がん剤に対する様々な作用を調べることもできる。さらに、がんの増殖能、浸潤能、転移能、代謝能などを調べることも可能になり、その結果、がんの新しい治療方法を探ることも可能になる。
また、本発明に係る宇宙医療方法では、エクソソームやマイクロRNAといったオルガノイドの分泌物を対象に、バイオリアクターにて生化学的処理を行うようになっている。エクソソームやマイクロRNAは、オルガノイドを構成する細胞の分身ともいえる。したがって、バイオリアクターでの処理にオルガノイドの分泌物を利用することで、オルガノイド自体には一切触れる必要がないので、オルガノイドを傷めることなく様々な医療試験を行うことができる。すなわち、無重力または微小重力の宇宙環境下で、オルガノイドを用いた医療試験を非破壊的に(オルガノイドの細胞を一切破壊することなく)実施することができる。
また、本発明に係る宇宙医療方法では、バイオリアクターで実行すべき生化学反応に関する指令(リクエスト)を、宇宙医療装置が地上基地局から受信し、その指令に基づいて、宇宙医療装置のバイオリアクターにて所定の生化学反応の処理を実行させるようになっている。これにより、地上基地局からの遠隔操作に基づいて、様々な医療試験を行うことができる。
なお、宇宙医療装置を搭載する宇宙機は、人工衛星に限らず、宇宙船や宇宙ステーションに搭載することも可能である。これにより、宇宙医療装置が広く普及し、オルガノイドを活用した革新的治療を促進させることができる。
宇宙医療装置を人工衛星に搭載する場合には、当該人工衛星に姿勢制御装置も具備させる。これにより、医療試験に必要な無重力または微小重力の環境を継続させることができる。
本発明に係る宇宙医療装置を搭載した人工衛星等の宇宙機を示す図である。 本発明に係る宇宙医療装置の機能的構成を示すブロック図である。 本発明に係る宇宙医療装置における処理の一例を示すフローチャートである。
以下、添付図面に基づいて、本発明の具体的実施形態について説明する。
(宇宙医療装置)
本発明に係る宇宙医療装置1は、図1、図2に例示するように、人工衛星等の宇宙機3に搭載される医療装置である。この宇宙医療装置1は、無重力または微小重力の状態が継続的に維持される宇宙環境での医療試験に使用され、地上基地局との間で無線通信可能に構成されている。
本実施形態において、宇宙医療装置1は、図2に概略的に示すとおり、
・がん患者等のヒト由来のオルガノイドを培養する培養容器5と、
・所定の生化学的処理(生化学的な試験)を実行するバイオリアクター7と、
・バイオリアクター7での反応状況(変化等)をモニターするモニター部9と、
・バイオリアクター7での反応状況や反応結果の情報を生成する情報生成部11と、
・情報生成部11で生成された情報を地上基地局へ送信するための通信部13と、
・上記各部を制御するためのプロセッサからなる制御部15など
を有している。
培養容器5では、例えば、がん患者から採取したがん細胞に由来するオルガノイドを培養する。ヒト由来のオルガノイドの培養方法は一般的に知られているので、本実施形態ではその説明を省略する。
本実施形態では、一例として一つの培養容器を想定しているが、宇宙医療装置1には、複数の培養容器を設けることも可能である。この場合、オルガノイドの種類ごとに培養容器を設けてもよい。すなわち、臓器別にオルガノイドの培養容器を設けてもよい。例えば、培養容器を複数設けて、ヒトのあらゆる臓器のオルガノイドを各培養容器で培養することも可能である。
バイオリアクター7(bioreactor)は、地上基地局からの遠隔操作による指令に基づいて、予め用意された複数種類の生化学的処理(生化学反応を伴う処理)のいずれか一を選択的に実行する。バイオリアクター7は、例えば、一般的に知られたマイクデバイスやマイクロフルイッドなどを応用したものや組み合わせたもので構成することができる。
このバイオリアクター7では、オルガノイド又はその培養液に含まれるオルガノイドの分泌物を対象に、予め定めた所定の生化学的処理(何らかの生化学的な反応を生じる処理)を実行する。好ましくは、オルガノイドの培養液に含まれる該オルガノイドの分泌物を対象に、所定の生化学的処理を実行することが望ましい。この場合、生化学的処理を行うオルガノイドの分泌物には、例えば、エクソソーム(exosome)やマイクロRNA(miRNA)などが含まれる。エクソソーム(exosome)やマイクロRNA(miRNA)の検出や解析などの方法は、一般的に知られているので、本実施形態ではその説明を省略する。
バイオリアクター7を用いて行う生化学的処理の具体例としては、例えば、がんの増殖能を調べるための処理、がんの浸潤能を調べるための処理、がんの転移能を調べるための処理、がんの代謝能を調べるための処理などが挙げられる。
情報生成部11は、モニター部9でのモニター結果に基づいて、バイオリアクター7での生化学反応の状況や結果に関する情報を生成する。すなわち、バイオリアクター7での生化学反応の状況や結果をモニター部9から読み込んで、生化学反応の状況や結果に関するデータを、無線通信により送信可能な電気信号(情報)に変換する。
通信部13は、情報生成部11によって生成された、バイオリアクター7での生化学反応の結果に関する情報(電気信号)を、無線通信によって地上基地局へ送信する。
地上基地局(図示省略)は、宇宙医療装置1を遠隔で操作可能な、地上に設けられたコントロールセンターである。この地上基地局には、宇宙医療装置1の通信部13との間で情報の送受信を行うための通信部や、宇宙医療装置1から受信した各種情報を解析するための解析装置、宇宙医療装置1の各部を遠隔操作するための制御装置などが設けられている。
地上基地局で受信した情報は、バイオリアクターでの生化学反応の結果の解析・分析に用いられる。そして、この解析・分析の結果に基づいて、がん患者等の治療が行われる。
なお、本実施形態では、宇宙医療装置を搭載する宇宙機の代表例としては人工衛星が挙げられるが、宇宙機はこれに限定されず、宇宙船や宇宙ステーションに宇宙医療装置を搭載してもよい。
宇宙医療装置を人工衛星に搭載する場合には、
・人工衛星の姿勢を検知するジャイロセンサなどの慣性センサ、
・人工衛星の姿勢を制御するリアクションホイール、
・制御信号を計算する計算機、
などを有する姿勢制御装置23を設けることが望ましい。
また、宇宙医療装置1に電力を供給するための、太陽光発電方式の発電部21を人工衛星に搭載してもよい。
(ロケットによる宇宙機の打ち上げ)
前述した特徴を具備する宇宙医療装置1は、人工衛星等の宇宙機3に搭載される。そして、この宇宙機3は、打ち上げロケットの推力を使って宇宙空間まで送り込む。なお、ロケットは、ペイロードである宇宙機3の重量に応じて、例えば、2段式ロケットや3段式ロケットなどを使い分けてもよい。
打ち上げロケットとして例えば3段式ロケットを用いる場合、ロケットの1段目は、打ち上げ後に大気圏内で切り離され、地球上に落下後に回収し、2段目と3段目は大気圏の摩擦により落下時に消滅する。
このような多段式ロケットの先端部に、図2に示すような特徴を備える人工衛星等の宇宙機3をペイロードとして搭載する。また、ロケットの先端部には、搭載された宇宙機3を保護するためのペイロードフェアリングを設ける。なお、宇宙機3に搭載される電子機器や装置等は、当該宇宙機3をロケットから切り離す際の衝撃によって破損しないように組立構築する。
通常、人工衛星や宇宙船などの宇宙機は、高度400kmから800km上空を飛行するが、本発明に係る宇宙医療装置1を搭載する宇宙機3は、例えば500km上空を飛行させる。飛行速度は例えば7.6km/毎秒で、安定した姿勢制御が早く行えるよう、また軌道に早く到達できるよう、宇宙機3を搭載するロケット打ち上げは緯度の低い場所から行う。
ロケットから宇宙機3を切り離す際に用いる爆破については、例えば、点火は電子火花を用いることにする。宇宙空間のような真空状態であると火花のエネルギー係数が大きくなるので、宇宙機3の質量を考慮計算し、また振動で宇宙医療装置1が破損、宇宙機3自体が火薬の破片に当たり破損しないよう、精密な計算により最低限の量の火薬を活用する。
(宇宙機の姿勢制御等)
ロケットから切り離された宇宙機3は、宇宙空間で自転するようになっている。その自転の制御のほか、軌道上までの移動と、安定高度への到達、速度調整は、宇宙機3が具備する姿勢制御部23が担うようになっている。
宇宙機3の姿勢制御部23はリアクションホイール(RWA)を活用し、姿勢制御の自由度を確保するために多軸構成にて宇宙機3の姿勢制御を行う。また、地球上の磁場を用い宇宙機3のコイルで電流を発生させ、軌道上までの誘導姿勢制御を行う。
安定高度速度、軌道上に達したら発電部21が、発電に資するソーラーパネル傘を電子点火によって開き発電を行うことになる。ソーラーパネルは、発電効率を考慮して例えばモリブデンや金などを活用してもよい。
ヒーター、冷却器については、引火の恐れがあるフロンは用いず、電気式冷却器を使用する。電気式冷却器を使用した場合、20分ほどで設定温度の達することが出来る。
地上基地局との間での交信を多数行える宇宙機3の飛翔を行うため、2時間で地球を1周する計算と考え、日本の通信基地局上空を通過するのは2日に一篇であることから、北極基地局を活用することにより10分間の宇宙から地上へのデータ送信と10分間の地上から宇宙への指示送信を行う。これにより24時間あたり、120分のオルガノイド観測と120分の指示を行うことが出来ることになる。
宇宙医療装置1を搭載した宇宙機3が、高度500kmより高高度を取ると地上との交信に時間が掛かる。一方、宇宙医療装置1を搭載した宇宙機3が、低高度取ると飛行速度が早くなり観測時間・実験期間が短くなる。高度500kmの場合は実験期間約1年可能とする。
(宇宙医療装置における処理例/宇宙医療方法)
次に、図3のフローチャートに基づいて、上記構成の宇宙医療装置における処理例(宇宙医療方法)について説明する。
宇宙医療方法の実施にあたっては、はじめに、前述した特徴を具備する宇宙医療装置を搭載した人工衛星等の宇宙機を、打ち上げロケットを用いて大気圏外に投入する<図3のステップS11>。
そして、無重力または微小重力の状況が維持されるように、宇宙機療装置を搭載した宇宙機の姿勢制御を行う<S13>。
次に、宇宙医療装置のコントロールセンターである地上基地局が、宇宙医療装置の通信部へ向けて、バイオリアクターで実行すべき生化学的処理に関する指令(リクエスト)を送信する<S15>。この指令(リクエスト)には、例えば、バイオリアクターで実行すべき生化学的処理の種類や内容などが含まれている。
次に、宇宙医療装置が、地上基地局から受信した「バイオリアクターで実行すべき生化学反応に関する指令」に基づいて、バイオリアクターにて所定の生化学反応の処理を実行する。具体的には、オルガノイド又はその培養液に含まれるオルガノイドの分泌物を対象に、バイオリアクターにて所定の生化学的処理を実行する<S17>。
上記バイオリアクターを用いた処理を実行している間、バイオリアクターでの反応の状況や結果をモニター部で監視する<S19>。
次に、情報生成部にて、バイオリアクターでの生化学反応の状況や結果に関する情報を生成する<S21>。すなわち、バイオリアクターでの生化学反応の状況や結果をモニター部から読み込んで、その結果に関するデータを、無線通信により送信可能な電気信号(情報)に変換する。
そして、上記ステップS21で生成された情報を地上基地局へ送信する<S23>。
地球上の地上基地局との間で通信を行う場合には、宇宙機3の通信部13を使い、2Gヘルツ、Sバンド(S帯)を用いる。宇宙機3から地上基地局への通信にあたっては、培養容器5やバイオリアクター7での実験経過、具体的には、写真、動画、幹細胞のデータなどを、モニター部9や情報生成部11で電子化し、通信部13が8G(ギガ)ヘルツ、Xバンド(X帯)を用い宇宙機3から地上基地局へ送信する。
宇宙医療の実験が終わったら、予め宇宙機3に設置しておいたエンジンと、格納式の羽を活用する。具体的には、はじめに、重力方向へエンジンを点火させ、宇宙機3がある一定の高度まで達した時点で前記の羽をだし、大気の抵抗を増加させ宇宙機3の地球に対する引力増加により大気圏突入時に焼却される。
若しくは、実験で得られた検体を地球に送り届けるため、大気圏再突入用のモリブデン等融点の高い耐火耐熱カプセルに入れ、大気圏進入角度を計算し、宇宙機3から切り離すようにしてもよい。
(宇宙医療装置及びこれを用いた宇宙医療方法によって達成される優れた効果)
上述した宇宙医療装置及びこれを用いた宇宙医療によれば、重力や大気の影響が排除された最適環境(無重力または微小重力の宇宙環境)で、オルガノイドを用いた医療試験を行うことができる。すなわち、本発明は、患者等の人体を使わず、その代わりに、当該患者の人体に由来するオルガノイドを用いる治験装置(宇宙治験装置)ということができる。
また、宇宙医療装置のバイオリアクターで実行された生化学反応の結果に関する情報は、電気信号に変換されて、無線通信によって地上基地局へ送信されるようになっている。したがって、地上にいながらにして、オルガノイドを用いた宇宙での医療試験の状況を、随時に、継続的に、また、リアルタイムで観察することができ、また、その試験結果を地上で詳細に解析・分析することができる。
1 宇宙医療装置
3 宇宙機(人工衛星、宇宙船、宇宙ステーション)
5 培養容器
7 バイオリアクター
9 モニター部
11 情報生成部(信号生成部)
13 通信部
15 制御部
21 発電部
23 姿勢制御装置

Claims (9)

  1. 地上基地局との間で無線通信可能で、無重力または微小重力の宇宙環境での医療試験に使用され、宇宙機に搭載される医療装置であって、
    オルガノイドを培養するための少なくとも一つの培養容器と、
    前記オルガノイド又はその培養液に含まれるオルガノイドの分泌物を対象に、予め定めた生化学的処理を実行するためのバイオリアクターと、
    前記バイオリアクターでの生化学反応の状況や結果に関する情報を、地上基地局へ送信するための通信部と、
    を有する宇宙医療装置。
  2. 前記バイオリアクターにて生化学的処理を行うオルガノイドの分泌物には、エクソソーム、マイクロRNAの少なくとも何れか一方が含まれる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の宇宙医療装置。
  3. 前記バイオリアクターは、複数種類の生化学的処理のいずれか一を選択的に実行できるように構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の宇宙医療装置。
  4. 前記オルガノイドは、がん患者から採取したがん細胞を使って培養されたものである、
    ことを特徴とする請求項1に記載の宇宙医療装置。
  5. オルガノイドの種類ごとに培養容器が設けられている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の宇宙医療装置。
  6. 宇宙医療装置を搭載する前記宇宙機は、
    人工衛星、宇宙船、または宇宙ステーションである、
    ことを特徴とする請求項1に記載の宇宙医療装置。
  7. 請求項1に記載の宇宙医療装置を具備する宇宙機を、打ち上げロケットを用いて大気圏外に投入し、宇宙医療装置が無重力または微小重力の宇宙環境にある状況で実行する方法であって、
    オルガノイド又はその培養液に含まれるオルガノイドの分泌物を対象に、バイオリアクターにて、予め定めた生化学的処理を実行するステップ(a)と、
    バイオリアクターでの生化学反応の状況や結果に関する情報を、地上基地局へ送信するステップ(b)と、
    を含むことを特徴とする宇宙医療方法。
  8. 宇宙医療装置の通信部が、地上基地局から、バイオリアクターで実行すべき生化学的処理に関する指令を受信するステップを更に含んでおり、
    前記ステップ(a)において、
    地上基地局から受信した、バイオリアクターで実行すべき生化学反応に関する指令に基づいて、バイオリアクターにて所定の生化学反応の処理を実行する、
    ことを特徴とする請求項7に記載の宇宙医療方法。
  9. 請求項1に記載の宇宙医療装置と姿勢制御装置を備える人工衛星。
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