JP2021019001A - 回路基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】波長が短い高周波信号にも対応でき、層間を貫通する配線の損失を低減することが可能な構造を有する回路基板を提供する。【解決手段】回路基板を構成する少なくとも1つの絶縁層11a,11b,11c,11dを厚さ方向に貫通する同軸構造15を有し、同軸構造15は、内部導体12と、内部導体12の周囲を覆う内部誘電体13と、内部誘電体13の周囲を覆う外部導体14とを有し、内部誘電体13は、少なくとも1つの絶縁層11a,11b,11c,11dを構成する誘電体とは異なる誘電体からなる。【選択図】図1

Description

本発明は、回路基板に関する。
ミリ波帯等の高周波信号を扱うアンテナ基板では、高周波(RF)集積回路(IC)とアンテナとの間で信号ロスを低減するために、RFICをアンテナと同一の基板に搭載する構成が知られている。この場合、信号線の配置を容易にし、基板面積を抑制するため、多層基板が使用されている。コスト削減と高周波特性を両立する場合には、高周波材料を用いたアンテナ基板と、高周波材料より安価な一般の絶縁材料を用いた基板とを複合した構成が用いられている。
多層基板の層間で信号を伝送するための構造として、基板を貫通するスルーホールが知られている。特許文献1には、導体層と絶縁層とが交互に積層された多層配線基板の最上層から最下層まで垂直に貫通して形成された高周波信号ビアの周囲に複数のグランドビアを設けて構成した疑似同軸線路構造が開示されている。特許文献2には、シグナルビアの周辺部に一定の間隔を絶縁層で隔てた同軸のグランドビアによって上下の金属配線層の導通がとられている多層配線基板において、貫通レーザードリル加工によりグランドビア用孔部を形成し、孔内部を金属物質で充填した後、フォトリソグラフィーによりグランドビアを得る製造方法が記載されている。
特許第6211835号公報 特許第4734723号公報
しかし、特許文献1に記載の疑似同軸線路構造の場合、電磁波を信号ビアに閉じ込めるには、グランドビアの間隔を十分に小さくする必要がある。信号の波長が短くなると、グランドビアの間隔も小さくする必要があるが、グランドビアの間隔が小さいと製造が困難になるおそれがある。グランドビアの間隔が大きいと、信号が十分に信号ビアに閉じ込められず、損失となるおそれがある。また、特許文献2に記載の同軸ビアホールの場合、貫通レーザードリル加工を用いて樹脂基板に単一円状のシグナルビア用孔部と円弧状のグランドビア用孔部を開けている。グランドビア用孔部の加工角度が240°程度に制約される結果、グランドビアは、2つのシグナルビアとその間を接続する信号伝送配線とを一括して囲む形状とする必要がある。このため、信号が十分にシグナルビアに閉じ込められず、損失となるおそれがある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、波長が短い高周波信号にも対応でき、層間を貫通する配線の損失を低減することが可能な構造を有する回路基板を提供する。
前記課題を解決するため、本発明は、回路基板を構成する少なくとも1つの絶縁層を厚さ方向に貫通する同軸構造を有し、前記同軸構造は、内部導体と、前記内部導体の周囲を覆う内部誘電体と、前記内部誘電体の周囲を覆う外部導体とを有し、前記内部誘電体は、前記少なくとも1つの絶縁層を構成する誘電体とは異なる誘電体からなることを特徴とする回路基板を提供する。
前記外部導体は、前記内部誘電体の周囲を周方向に連続して覆う構成でもよい。
前記内部誘電体は、前記同軸構造の外側の少なくとも1つの絶縁層を構成する誘電体よりも誘電率及び誘電損失が小さい構成でもよい。
前記内部誘電体は、誘電損失が0.01未満の誘電体からなる構成でもよい。
前記内部導体が、導体ピン、導体線、金属めっき、導電ペーストのいずれかからなる構成でもよい。
前記外部導体は、前記絶縁層の内壁に形成された金属めっきからなる構成でもよい。
高周波基板を含む第1回路基板と、前記第1回路基板と接続される第2回路基板とを含む構成でもよい。
前記第1回路基板は、高周波信号の送信又は受信又は送受信が可能なアンテナを有する構成でもよい。
前記第2回路基板に、高周波信号を処理する集積回路(IC)が搭載されている構成でもよい。
本発明によれば、信号ビアとなる内部導体の周囲が内部誘電体を挟んで外部導体に覆われているため、波長が短い高周波信号にも対応でき、層間を貫通する配線の損失を低減することが可能になる。
第1実施形態の回路基板を示す(a)平面図、(b)断面図である。 同軸構造の作製工程の第1実施形態を(a)〜(d)に示す断面図である。 プラグ体の作製工程の第1実施形態を(a)〜(d)に示す断面図である。 回路基板の後処理工程の一例を(a)〜(c)に示す断面図である。 プラグ体の作製工程の第2実施形態を(a)〜(b)に示す断面図である。 同軸構造の作製工程の第2実施形態を(a)〜(d)に示す断面図である。 同軸構造の作製工程の第3実施形態を(a)〜(d)に示す断面図である。 第2実施形態の回路基板を示す断面図である。 第3実施形態の回路基板を示す断面図である。
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1に、同軸構造15を有する第1実施形態の回路基板10を示す。図1(b)の断面図に示すように、同軸構造15は、回路基板10の絶縁基板11を厚さ方向に貫通している。絶縁基板11は、任意の層数を有することができる。本実施形態では、絶縁層11a,11b,11c,11dを有している。それぞれの絶縁層は、フィルム、シート、プリプレグ等から構成することができる。絶縁層の片面又は両面には、特に図示しないが、導体層を設けることができる。また、絶縁層の1層又は2層以上を貫通して、貫通導体を設けることができる。
図1(a)の平面図に示すように、同軸構造15は、内部導体12と、内部導体12の周囲を覆う内部誘電体13と、内部誘電体13の周囲を覆う外部導体14とを有する。本実施形態では、外部導体14は内部誘電体13の周囲を周方向に連続して覆っている。同軸構造15の内部誘電体13と、同軸構造15の外側の絶縁基板11との間は外部導体14により隔てられている。また、内部誘電体13は、絶縁基板11を構成する誘電体とは異なる誘電体からなる。
同軸構造15によれば、引用文献1に記載の疑似同軸線路構造及び引用文献2のグランドビアとは異なり、信号線となる内部導体12の周囲が、グランド層となる外部導体14により、周方向の全周にわたり連続して囲まれている。このため、内部導体12を伝搬する高周波信号の漏洩を低減することができる。ただし、周方向の全周にわたり連続して囲まれていなくてもよく、略全周にわたり連続して囲まれていてもよい。同軸構造15が絶縁基板11の厚さ方向に貫通する範囲は特に限定されず、多層回路基板の全層に限らず、少なくとも1つの絶縁層であってもよい。同軸構造15の両端を含む絶縁層11a,11dに別の絶縁層を積層することにより、多層回路基板の内部に同軸構造15を構成することもできる。
また、同軸構造15によれば、外部導体14が連続しているので、疑似同軸線路構造におけるグランドビアのように、波長に応じた所定の間隔を考慮する必要はない。波長の長さによらず、同様の方法で外部導体14を作製することができるので、波長が短い高周波信号にも容易に対応することができる。そして、層間を貫通する配線における高周波信号の損失を低減することが可能になる。
内部誘電体13を構成する誘電体は、回路基板10の少なくとも1つの絶縁層11a,11b,11c,11dを構成する誘電体とは異なる誘電体から、任意に選択することができる。内部誘電体13の誘電体として、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、マレイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、液晶ポリマ(LCP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)又はシクロオレフィンコポリマー(COC)のシクロオレフィン樹脂、変性ポリイミド樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂やポリプロピレン(PP)樹脂等のポリオレフィン樹脂等の樹脂、石英、セラミック、サファイア、ガラス等の無機材料が挙げられる。内部誘電体13は、ガラスクロス等の繊維材料を含んでいてもよく、繊維材料を含まない樹脂材料等でもよい。樹脂材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられる。
内部誘電体13を構成する樹脂としては、エポキシ樹脂(たとえば太陽ホールディングス株式会社の熱硬化型永久穴埋インキの商品名THP−100Z2など)やポリイミド樹脂、フェノール樹脂など一般的な樹脂を使用することができるが、同軸構造15の効果を効果的に得るためには、誘電損失が0.01未満の絶縁材料,より好ましくは誘電損失0.005以下の高周波材料が挙げられる。このような高周波材料の具体例としては、液晶ポリマ(LCP)、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、フッ素樹脂、シクロオレフィン樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂、変性ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、石英、セラミック、サファイアからなる群から選択される1種以上等が挙げられる。なお、本明細書で絶縁材料とは電気絶縁材料(誘電体、非導電体)を意味し、熱絶縁材料(断熱材)とする必要はない。
誘電損失の測定条件は、例えばJIS C 6481(プリント配線板用銅張積層板試験方法)の誘電正接(tanδ)として規定されるように、1MHzの測定周波数に対して温度20±2℃、相対湿度60〜70%が挙げられる。
内部誘電体13は、絶縁基板11を構成する誘電体よりも誘電率及び誘電損失が小さい構成であることが好ましい。例えば、絶縁基板11として誘電率及び誘電損失が比較的大きい一般的な絶縁材料を用いた場合には、内部誘電体13に高周波材料を用いることが好ましい。これにより、絶縁基板11に高周波材料を用いなくても、内部導体12を伝搬する信号の損失を低コストで低減することができる。絶縁基板11が複数の絶縁層11a,11b,11c,11dを含む場合には、同軸構造15の径方向の外側にある少なくとも1つの絶縁層を構成する誘電体よりも誘電率及び誘電損失が小さいことが好ましい。絶縁基板11の少なくとも1つの絶縁層が高周波材料からなる場合、内部誘電体13の誘電率及び誘電損失が、絶縁層の高周波材料の誘電率及び誘電損失と同程度であってもよい。
内部導体12の材料は、特に限定されないが、金属等の導体又は導体を含む組成物が挙げられる。内部導体12としては、導体ピン、導体線、金属めっき、導電ペースト等のいずれか好ましいが、これらに限定されるものではない。内部導体12に用いられる導体は、銅、銀、金、合金等の金属、カーボン等が挙げられる。内部導体12に用いられる導体の形状は、特に限定されないが、ピン状、線状、層状、粒子状、鱗片状、繊維状、ナノチューブ等が挙げられる。
外部導体14の材料は、特に限定されないが、金属等の導体又は導体を含む組成物が挙げられる。外部導体14としては、絶縁基板11と一体化する観点からは、例えば絶縁基板11に形成された孔の内壁に形成された金属めっきから構成することが好ましい。絶縁基板11の内壁とは、例えば絶縁基板11にあらかじめ形成した孔の内壁である。これにより、板状やフィルム状等にあらかじめ成形された絶縁基板11を準備した後で、同軸構造15を作製することができる。
絶縁基板11に外部導体14を形成する工程を経て同軸構造15を作製する場合は、外部導体14となる導体を埋め込み等により絶縁基板11と一体化する場合と比べて、回路基板に適した微細な回路構造とともに、容易に同軸構造15を構成することができる。多層回路基板が基板デザインルール上の制約下で製造される場合であっても、同軸構造15の作製については制約を受けにくい。絶縁基板11の内壁の内径あるいは外部導体14の外径は、特に限定されないが、例えば200〜1000μm程度とすることもできる。また内部導体12の外径Daと、外部導体14の外径Dbについて、Db/Daを該5程度とすると、同軸の特性インピーダンスを該50Ωとすることができるためより好ましい。外部導体14の厚さは、高周波信号に使用する周波数のスキンデプスより厚いことが好ましい。
さらに信号の損失を抑制するには、内部導体12の外面及び外部導体14の内面は、信号の反射等をもたらす凹凸等を低減することが好ましい。例えば、内部導体12の外面及び外部導体14の内面の少なくとも一方について、表面粗さRzを3μm以下に抑制することが好ましい。また、内部導体12の外面と外部導体14との間隔を一定にし、内部導体12の外面と外部導体14の内面とが絶縁基板11の厚さ方向に対する平面視で略円形状、さらには同心状であることが好ましい。外部導体14は周方向に連続していて、外部への電磁波の漏洩が少ないため、外部導体14の外側には任意形状の導体を設けてもよい。例えば、図1には図示しないが、絶縁基板11の上面又は下面に、同軸構造15の一方又は両方の端部と接続される導体層を、ランド部、配線部等として形成してもよい。
内部導体12は、中心まで導体が詰まった中実の導体でもよく、中心に導体を有しない中空の導体でもよい。内部導体12が中空の導体からなる場合、その中空部には樹脂等の絶縁体を充填してもよく、導体ペースト等の導体を充填してもよい。内部導体12が中空の導体からなる場合、その一端又は両端が開放されていてもよく、その一端又は両端が閉鎖されていてもよい。
絶縁基板11を構成する絶縁材料は、上述した高周波材料でもよく、高周波対応でない一般的な絶縁材料のみから構成されてもよい。絶縁基板11は、高周波材料よりも誘電損失が高い、一般的な絶縁材料から構成することができる。高周波対応でない絶縁材料としては、例えば誘電損失が0.01以上の絶縁材料が挙げられる。絶縁基板を構成する絶縁材料の具体例としては、ガラス布基材エポキシ樹脂(FR−4等)、ガラス布・ガラス不織布複合基材エポキシ樹脂、ガラス布・紙複合基材エポキシ樹脂、合成繊維布基材エポキシ樹脂、紙基材エポキシ樹脂、ガラス布基材ポリイミド樹脂、ガラス布基材ビスマレイミド/トリアジン/エポキシ樹脂、紙基材フェノール樹脂等の他、ポリイミドなどのフレキシブル基材が挙げられる。絶縁基板11を高周波材料から構成する場合、上述の高周波材料として例示した樹脂材料でもよく、上述の石英、セラミック、サファイア等の無機材料でもよい。絶縁基板11は、リジッド基板でも、フレキシブル基板でもよい。
第1実施形態の回路基板10は、複数の絶縁層11a,11b,11c,11dを厚さ方向に積層した多層回路基板であるが、それに限らない。単層回路基板に同軸構造15を作製することも可能である。また、絶縁基板11において各絶縁層11a,11b,11c,11dを積層する順序は特に限定されない。ビルドアップ方式で順に絶縁層11a,11b,11c,11dを1層ずつ順次積層しながら回路を形成してもよい。1つの絶縁層の両面で回路を同時に形成してもよい。各絶縁層11a,11b,11c,11dに別々に回路を形成した後で、一括接着により積層してもよい。
次に、図2(a)〜(d)を参照して、同軸構造の作製工程の第1実施形態を説明する。この作製工程では、同軸構造25が作製される。概略として、(a)絶縁基板21に孔27を開ける工程、(b)孔27に外部導体24を形成する工程、(c)外部導体24の内側に、内部導体22及び内部誘電体23となる構造を有するプラグ体28を挿入する工程を経て、(d)同軸構造25を有する回路基板20が作製される。得られる同軸構造25は、第1実施形態の回路基板10の同軸構造15と同一の効果を奏する。
図2(a)に示すように、孔27は、同軸構造25を形成する箇所に形成される。絶縁基板21は、単層でも多層でもよく、上述した絶縁基板11と同様の構成でもよい。絶縁基板21が多層である場合、図2(a)には示さないが、各層に配線、ビア等の導体を有してもよい。孔27を形成する方法は特に限定されないが、例えばドリル等の穿孔機械、レーザー加工などが挙げられる。
図2(b)に示すように、孔27に外部導体24を形成する工程は、例えば孔27の内壁に対する金属めっきが挙げられる。外部導体24を形成するめっき工程において、絶縁基板11の両面にも導体層26が形成されてもよい。導体層26は、外部導体24を形成する工程の前又は後に形成してもよい。図2(b)では、孔27の内壁の外部導体24と外側の導体層26を連続した導体のように図示しているが、それぞれの材料又は工程等が異なってもよい。
図2(c)に示すように、プラグ体28を外部導体24の内側に挿入する工程は、プラグ体28をピックアップして所定の位置に配置する手段を適宜採用することができる。例えば、チップ実装等に使用されるマウンターが挙げられる。プラグ体28の外径は、外部導体24の内径と同程度でもよい。その場合、プラグ体28の内部誘電体23と外部導体24とが接触する。プラグ体28の外径が外部導体24の内径より小さい場合は、プラグ体28と外部導体24との間に接着剤等を充填してもよい。
図2(d)に示すように、外部導体24とプラグ体28とから同軸構造25を形成した後は、詳しくは後述するが、多層回路基板の製造に必要な任意の工程を付加することができる。プラグ体28を絶縁基板21に固定する方法は、外部導体24との間で接着する方法に限られない。孔27の外側で導体層26又は絶縁基板21に対してプラグ体28を接着剤等により固定してもよい。
次に、図3(a)〜(d)を参照して、プラグ体の作製工程の第1実施形態を説明する。この作製工程では、プラグ体30が作製される。概略として、(a)絶縁基板31を準備する工程、(b)絶縁基板31に孔37を開け、さらに内部導体32となる導体層を孔37に形成する工程、(c)充填物38、蓋めっき層39等を設ける工程、(d)絶縁基板31をプラグ体30の形状に切断する工程を有する。切断後の絶縁基板31は、プラグ体30の内部誘電体33となる。
図3(a)に示すように、絶縁基板31を準備する工程において、絶縁基板31の両面に導体層36を有する両面積層板35を準備してもよい。特に図示しないが、絶縁基板31の片面に導体層36を有する片面積層板を準備してもよい。導体層36としては、銅箔、銅めっき層等の金属層が挙げられる。絶縁基板31を構成する絶縁材料としては、内部誘電体13を構成する誘電体から適宜選択することができる。絶縁基板31は、リジッド基板でも、フレキシブル基板でもよい。絶縁基板31の厚さは、プラグ体30と組み合わされる絶縁基板21(図2参照)の厚さと同程度とすることが好ましい。
図3(b)に示すように、絶縁基板31に孔37を開ける方法は、上述した絶縁基板21に孔27を開ける方法と同様でもよい。絶縁基板31が導体層36を有する場合、レーザー等で孔37を開ける前に、孔37に対応する位置の導体層36をエッチング等で除去してもよい。絶縁基板31と導体層36とを一括で穿孔する方法を採用してもよい。図3(b)では、内部導体32は孔37の内壁にコンフォーマルめっきで形成しているが、孔27の内部まで導体が充填されるビアフィルめっきでもよい。コンフォーマルめっきにおける内部導体32の厚さは、高周波信号に使用する周波数のスキンデプスより十分厚いことが好ましい。図3(b)では、内部導体32を絶縁基板31の導体層36と別の層として図示しているが、同一の材料により内部導体32と導体層36が連続して界面が明瞭でなくてもよい。
図3(c)に示すように、コンフォーマルめっきの内部導体32に対しては、充填物38を充填した後で、充填物38上に蓋めっき層39を形成してもよい。充填物38は、樹脂等の絶縁体でもよく、導体ペースト等の導体でもよい。充填物38が導体の場合、内部導体32と充填物38とが内部導体となってもよい。充填物38の選択は、電気的特性に限らず、内部導体32との密着性などを考慮してもよい。蓋めっき層39は、絶縁基板31の導体層36と同程度の厚さが好ましい。内部導体32の近傍以外で導体層36を除去して、ランドパターンを形成してもよい。ランドパターンの導体層36は内部導体32と電気的に接続されているため、プラグ体30を外部導体(例えば図2(c)の外部導体24)の内側に挿入した時に外部導体と接触や短絡しないように、平面視でプラグ体30より小さくすることが好ましい。プラグ体30の外径が外部導体の内径より小さい場合は、ランドパターンの導体層36がプラグ体30と同程度の径でもよい。ビアフィルめっきの場合は充填物38及び蓋めっき層39を省略することができるが、ランドパターンの導体層36を形成してもよい。コンフォーマルめっきの場合も、充填物38及び蓋めっき層39を省略することができる。図3(c)では、内部導体32と蓋めっき層39を連続した導体のように図示しているが、それぞれの材料又は工程等が異なってもよい。
図3(d)に示すように、絶縁基板31を型抜きし、プラグ体30を作製する。型抜きには、例えば、レーザーやパンチを使用する。プラグ体30を作製した後は、上述した図2(c)に示すプラグ体28と同様にして、外部導体24の内側に挿入して、回路基板20の作製に用いることができる。プラグ体30の外周部は、必要に応じて半田やめっき等により導体層(図示せず)を設けてもよい。プラグ体30の外周部の導体層は、半田や導体ペースト等を介して、外部導体24及び絶縁基板21の導体層26の少なくとも1つと接続することができる。プラグ体30の外周部に導体層を設けない場合、プラグ体30と外部導体24及び絶縁基板21の少なくとも1つとの接着に用いる接着剤は、樹脂等の絶縁材料でもよい。
プラグ体30の作製工程によれば、絶縁基板31から多数のプラグ体30を一括して作製することができるので、コスト面で有利である。絶縁基板31に高周波材料を用いる場合、高価な高周波材料を有効に利用して、高周波材料の無駄を削減することができる。
次に、図4(a)〜(c)を参照して、図2(d)に示す回路基板20を作製した後の処理工程について説明する。この後処理工程は、概略として、(a)回路基板20に導体層41及び絶縁層42を積層する工程、(b)導体層41及び絶縁層42を貫通する孔43を形成する工程、(c)孔43に接続導体44を形成する等の工程を有する。上述したように、回路基板20は単層回路基板に限らず、多層回路基板であってもよい。
図4(a)では、回路基板20の両面に導体層41及び絶縁層42を積層する。導体層41としては、例えば銅箔等の金属箔が挙げられる。絶縁層42としては、プリプレグ、ボンディングシート等が挙げられる。導体層41及び絶縁層42が、あらかじめ銅箔付きプリプレグ、銅箔付きボンディングシート等の導体層付き接着性シート40として構成されていると、絶縁層42の次に導体層41を順に積層する場合に比べて、処理を容易にすることができる。
図4(b)では、導体層41及び絶縁層42を貫通する孔43を形成する。孔43の底部には、回路基板20の内部導体22又は導体層26が露出される。孔43の位置には、図4(c)に示すように接続導体44が設けられて、導体層付き接着性シート40の導体層41と回路基板20の内部導体22又は導体層26とが接続される。接続導体44は、めっき、導体ペースト等により構成することができる。導体層41の不要な箇所45において導体層41を除去してパターニングを行ってもよい。接続導体44が内部導体22に接続される場合は、同軸構造25の内部導体22を導体層41と導通するための接続ビアを構成することができる。
同軸構造25の上に導体層41及び絶縁層42を積層することにより、同軸構造25と絶縁基板21又は導体層26との間に段差等のずれがあっても、回路基板20の上を平坦にすることができる。同軸構造が、図2(c)に示すプラグ体28、図3(d)に示すプラグ体30、図5(b)に示すプラグ体53、図6(c)に示す導体ピン22A、図7(d)に示す蓋めっき層69及びランド69a等を有する場合でも、回路基板の上を平坦にすることにより、その後の多層回路基板の加工工程を容易に行うことができる。
次に、図5(a)〜(b)を参照して、プラグ体の作製工程の第2実施形態を説明する。この作製工程では、プラグ体53が作製される。概略として、図5(a)に示す被覆付き導線50の切断により、図5(b)に示すプラグ体53を作製する工程である。プラグ体53の作製工程は、既製品の被覆付き導線50を安価に入手できるので、コスト面で有利である。しかし、被覆付き導線50は既製品に限らず、プラグ体53を作製する目的で選択、設計、又は製造してもよい。また、中心導体51の断面の真円度が高く、中心導体51の表面が滑らかであることから、高周波特性に優れるプラグ体53を容易に生産することができる。
図5(a)に示す被覆付き導線50は、中心導体51と被覆52を有する。中心導体51は、同軸構造における内部導体となる。被覆52は、同軸構造における内部誘電体となる。中心導体51としては、銅、銀、金、合金等の金属、カーボン等が挙げられる。被覆52は、ガラスクロス等の繊維を含まない樹脂材料が好ましい。被覆52を構成する樹脂としては、特に限定されないが、一般に導線の被覆に用いられるPFA(ペルフルオロアルコキシアルカン樹脂)等の熱可塑性フッ素樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂やポリプロピレン(PP)樹脂等のポリオレフィン樹脂などの他、LCP,PPE,PPSなどの高周波材料やポリイミドなどが挙げられる。中心導体51の周囲に押出成形、塗布(コーティング)等により、被覆52を形成することができる。
図5(b)に示すプラグ体53は、上述した図2(c)に示すプラグ体28と同様にして、外部導体24の内側に挿入して、回路基板20の作製に用いることができる。プラグ体53の被覆52が弾性を有する場合、接着剤なしで外部導体24の内側に嵌合させてもよい。プラグ体53の長さが絶縁基板21の厚さより大きい等、はみ出た部分がある場合は、機械加工によるカット又は化学機械研磨(CMP)等の研磨により除去してもよい。
特に図示しないが、プラグ体53の切断面にランドを形成してもよい。ランドは、無電解めっき、スパッタ、蒸着、印刷等により、被覆52上を含む中心導体51の周囲に薄い導体層を積層した後、電解めっきにより導体層の厚みを厚くして形成することが好ましい。ランドを形成する際に、中心導体51の両端にめっき層が形成されてもよい。また、図4(a)〜(c)に示す方法と同様にして、銅箔付きプリプレグ、銅箔付きボンディングシート等の導体層付き接着性シート40を用いてビア接続やパターン形成を行い、プラグ体53の中心導体51を導体層付き接着性シート40の導体層41と接続してもよい。
次に、図6(a)〜(d)を参照して、同軸構造の作製工程の第2実施形態を説明する。この作製工程では、同軸構造25が作製される。概略として、(a)絶縁基板21に孔27を開ける工程、(b)外部導体24及び内部誘電体23を形成する構成、(c)内部誘電体23の内側に内部導体22を挿入する工程を経て、(d)同軸構造25を有する回路基板20が作製される。得られる同軸構造25は、第1実施形態の回路基板10の同軸構造15と同一の効果を奏する。
図6(a)に示すように、絶縁基板21に孔27を開ける工程は、同軸構造の作製工程の第1実施形態において、図2(a)を参照して説明した内容と同様にすることができる。また、図6(b)に示すように、外部導体24及び内部誘電体23を形成する工程のうち、外部導体24の形成は、同軸構造の作製工程の第1実施形態において、図2(b)を参照して説明した内容と同様にすることができる。
図6(b)に示すように、絶縁基板21に開けた孔27よりも径が小さい内穴27Aを有する内部誘電体23を形成する工程は、孔27を樹脂等の誘電体で充填した後、内穴27Aを開けて内部誘電体23を形成することが好ましい。孔27を充填する樹脂は、特に限定されないが、上述した内部誘電体13を構成する誘電体の例示から適宜選択することができる。孔27を充填する樹脂として、液状、ペースト状等の流動性を有する原料を塗布、注入等した後で乾燥、硬化等により固形化させてもよい。内穴27Aを形成する方法としては、特に限定されないが、ドリル、レーザー、フォトリソグラフィー、鋳型等が挙げられる。
図6(c)に示すように、内部誘電体23の内側に内部導体22を挿入する工程では、内部導体22として導体ピン22Aが用いられる。導体ピン22Aとしては、銅ピラー、銅ポスト等として市販されているピン状の導体が挙げられる。導体ピン22Aのメーカーとしては、特に限定されないが、ファインネクス株式会社が挙げられる。導体ピン22Aは、断面の真円度が高く、外周の表面が滑らかであることから、高周波特性に優れる内部導体22を容易に構成することができる。導体ピン22Aの長さは、絶縁基板21の厚さと略同一であることが好ましい。導体ピン22Aの長さが絶縁基板21の厚さより大きい等、はみ出た部分がある場合は、機械加工によるカット又は化学機械研磨(CMP)等の研磨により除去してもよい。
導体ピン22Aを内部誘電体23の内側に挿入する工程は、導体ピン22Aをピックアップして所定の位置に配置する手段を適宜採用することができる。例えば、チップ実装等に使用されるマウンターが挙げられる。導体ピン22Aの外径は、内部誘電体23の内径と同程度でもよい。導体ピン22Aの外径が内部誘電体23の内径より小さい場合は、導体ピン22Aと内部誘電体23との間に接着剤等を充填してもよい。
図6(d)に示すように、導体ピン22Aを内部誘電体23の内側に挿入することで、同軸構造25を有する回路基板20が作成される。同軸構造25を有する回路基板20を作製した後は、図4(a)〜(c)に示す方法と同様にして、銅箔付きプリプレグ、銅箔付きボンディングシート等の導体層付き接着性シート40を用いてビア接続やパターン形成を行い、回路基板20の内部導体22を導体層付き接着性シート40の導体層41と接続してもよい。また内部誘電体23の外面において、無電解めっき、スパッタ、蒸着、印刷等により、導体ピン22Aの周囲に薄い導体層を積層した後、電解めっきにより導体層の厚みを厚くしてランドを形成してもよい。ランドを形成する際に、導体ピン22Aの両端にめっき層が形成されてもよい。
次に、図7(a)〜(d)を参照しながら、同軸構造の作製工程の第3実施形態を説明する。この作製工程では、同軸構造65が作製される。概略として、(a)絶縁基板61に孔67を開ける工程、(b)外部導体64及び内部誘電体63を形成する工程、(c)内部誘電体63の内側に内部導体62を形成する工程を経て、(d)同軸構造65を有する回路基板60が作製される。得られる同軸構造65は、第1実施形態の回路基板10の同軸構造15と同一の効果を奏する。
図7(a)に示すように、絶縁基板61に孔67を開ける工程は、同軸構造の作製工程の第1実施形態において、図2(a)を参照して説明した内容と同様にすることができる。また、図7(b)に示すように、外部導体64及び内部誘電体63を形成する工程のうち、外部導体64の形成は、同軸構造の作製工程の第1実施形態において、図2(b)を参照して説明した内容と同様にすることができる。
絶縁基板61に開けた孔67よりも径が小さい内穴67Aを有する内部誘電体63を形成する工程は、同軸構造の作製工程の第2実施形態において、図6(b)を参照して説明した内容と同様にすることができる。
図7(c)に示すように、内部誘電体63の内側に内部導体62を形成する工程では、内穴67Aの内壁に金属めっき等により内部導体62を形成することができる。図7(c)では、内部導体62をコンフォーマルめっきで形成しているが、内穴67Aの内部まで導体が充填されるビアフィルめっきでもよい。コンフォーマルめっきにおける内部導体62の厚さは、高周波信号に使用する周波数のスキンデプスより厚いことが好ましい。内穴67Aの内壁に金属めっきを施す場合は、シード層として内穴67Aの内壁に無電解めっきによる導体層を形成することができる。
図7(d)に示すように、コンフォーマルめっきの内部導体62に対しては、充填物68を充填した後で、充填物68上に蓋めっき層69を形成し、及び内部誘電体63の外面にランド69aを形成してもよい。充填物68は、樹脂等の絶縁体でもよく、導体ペースト等の導体でもよい。充填物68が導体の場合、内部導体62と充填物68とが内部導体となってもよい。蓋めっき層69及びランド69aは、絶縁基板61の導体層66と同程度の厚さが好ましい。ビアフィルめっきの場合は充填物68及び蓋めっき層69を省略することができるが、ランド69aを形成してもよい。コンフォーマルめっきの場合も、充填物68及び蓋めっき層69を省略することができる。図7(d)では、内部導体62と蓋めっき層69及びランド69aを連続した導体のように図示しているが、それぞれの材料又は工程等が異なってもよい。
特に図示しないが、内部誘電体63の内側に内部導体62を形成する工程において、内部誘電体63の外面に金属めっきをしてもよい。電解めっきのシード層として、内部誘電体63の外面に無電解めっき、スパッタ、蒸着等による導体層を形成することができる。これにより、充填物68を配置する前の段階で、内部導体62に連続したランド69aを形成することができる。ランド69aは内部導体62と電気的に接続されているため、外部導体64や絶縁基板61上の導体層66と短絡しないように、レジスト等を用いて金属めっきの範囲を規制することが好ましい。
同軸構造65を有する回路基板60を作製した後は、図4(a)〜(c)に示す方法と同様にして、銅箔付きプリプレグ、銅箔付きボンディングシート等の導体層付き接着性シート40を用いてビア接続やパターン形成を行い、回路基板60の内部導体62又はランド69aを導体層付き接着性シート40の導体層41と接続してもよい。
次に、図8を参照して、第2実施形態の回路基板100を説明する。この回路基板100は、集積回路101が搭載された回路基板10と、アンテナ113が形成された回路基板110とを有する。回路基板110は、高周波基板を含む第1回路基板110である。回路基板10は、第1回路基板110と接続される第2回路基板10である。なお、図8は、回路基板100の概略を示した模式図であり、回路基板100に用いられる配線、導体パターン、回路部品等の詳細は図示していない。
集積回路101が搭載された第2回路基板10は、複数の絶縁層11a,11b,11c,11dを積層した絶縁基板11と、同軸構造15と、その他の配線部16を有する。集積回路101は、高周波信号を処理する集積回路(RFIC)である。集積回路101の信号端子は、半田バンプ102Sを介して同軸構造15の内部導体12に接続されている。集積回路101の接地端子は、半田バンプ102Gを介して図示しないグランドパターンに接続されている。
同軸構造15は、上述した第1実施形態の回路基板10と同様にして作製することができる。集積回路101を有する第2回路基板10としては、各層の厚さが100μm以下のコア基板又はプリプレグから構成される多層回路基板が好ましい。これにより、基板の厚さが薄く、加工が容易になる。第2回路基板10の層数は特に限定されないが、典型的には4〜10層であり、10層を超えてもよい。
アンテナ113が形成された第1回路基板110は、複数の絶縁層111,112と、アンテナ113に接続された配線部114と、その他の配線部116,117を有する。第1回路基板110には、高周波素子の一例として、高周波信号の送信又は受信又は送受信が可能なアンテナ113が形成される。
アンテナ113は、第1回路基板110に搭載又は内蔵が可能な構造であれば特に限定されないが、例えば平面アンテナが好ましく、パッチアンテナ、ストリップアンテナ、スロットアンテナ等が挙げられる。基板にポスト壁導波路(PWW)等の導波路構造を構成し、導波路のスロット、開口等によりアンテナを構成してもよい。アンテナ113は、アンテナアレーを構成してもよい。アンテナ113の利得を高めるためには、第1回路基板110に形成するアンテナ113の個数を多くすることが好ましい。第1回路基板110に2以上のアンテナ113が搭載される場合、各アンテナ113が同一の構成を有してもよく、2種類以上の構成を併用してもよい。
第1回路基板110の層数は特に限定されず、単層でも多層でもよいが、例えば1〜6層が挙げられる。第1回路基板110は、各層の厚さが100μm以下のコア基板又はプリプレグから構成される多層回路基板であってもよく、損失を下げるなど必要に応じて厚さが100μmを超えるコア基板又はプリプレグを含んでもよい。第1回路基板110に含まれる絶縁層111,112が全て高周波材料から構成されることが好ましいが、それに限らない。
回路基板10,110の間は接続部115,118を介して接続されている。アンテナ113に接続された配線部114は、接続部115を介して同軸構造15の内部導体12に接続されている。したがって、同軸構造15は、集積回路101とアンテナ113との間で高周波信号の伝搬に使用される。その他の接続部118は、第2回路基板10の配線部16と第1回路基板110の配線部117との間を接続している。
接続部115,118は、回路基板10,110の間で電気的接続が可能であれば特に限定されないが、半田層、導電ペースト層等が挙げられる。特に図示しないが、回路基板10,110の間で接続部115,118が配置される領域には、金属箔、金属めっき層等からなる導体層が、第2回路基板10の第1回路基板110と対向する面17(絶縁層11dの絶縁層11cとは反対側の面)及び第1回路基板110の第2回路基板10と対向する面119(絶縁層112の絶縁層111とは反対側の面)の少なくとも一方に形成されてもよい。また、回路基板10,110の間で接続部115,118が配置されない領域には、レジスト層等の絶縁材料が配置されてもよい。また非導電性ペースト(NCP)などの封止樹脂を用いても良い。
第2実施形態の回路基板100において、集積回路101とアンテナ113との間における高周波信号の伝搬の損失を低減するには、第1回路基板110の絶縁層111,112及び同軸構造15の内部誘電体13を高周波材料から構成することが好ましい。この場合、高周波信号を扱う給電回路、グランド等は、高周波材料から構成される絶縁層111,112に配置することが好ましい。第2回路基板10の絶縁層11a,11b,11c,11dには、高周波材料でない安価な絶縁材料を使用することで、コストを削減することができる。高周波用の基板材料は高価であるため、電源回路、低周波数のベースバンド信号を伝搬する回路等は第2回路基板10に搭載されることが好ましい。
第2実施形態の回路基板100の製造方法としては、集積回路101が搭載された第2回路基板10を作製する工程、アンテナ113が形成された第1回路基板110を作製する工程、回路基板10,110を接続部115,118により接続する工程などを有する製造方法が挙げられる。集積回路101とアンテナ113との間で高周波信号の伝搬に使用される同軸構造15及び配線部114を別々に作製することができるので、スルーホールの長さは最大でも回路基板10,110のそれぞれの厚さで済む。そのため、生産性を向上できる。
回路基板10,110の間を位置合わせ(アライメント)して接続する工程に先立って、接続部115,118を構成する部材を回路基板10,110のいずれに配置してもよい。例えば、第2回路基板10を作製する工程において、第2回路基板10の第1回路基板110と対向する面17(絶縁層11dの絶縁層11cとは反対側の面)に接続部115,118を配置してもよい。また、第1回路基板110を作製する工程において、第1回路基板110の第2回路基板10と対向する面119(絶縁層112の絶縁層111とは反対側の面)に接続部115,118を配置してもよい。
第2実施形態の回路基板100では、集積回路101が搭載された第2回路基板10と、アンテナ113が形成された第1回路基板110とを別々に準備したが、それに限らない。例えば、回路基板10,110のそれぞれに1以上の集積回路101を搭載してもよい。
また、第2実施形態の回路基板100では、アンテナ113が形成された第1回路基板110に同軸構造15を作製せず、高周波材料を用いた絶縁層111,112にアンテナ113に接続された配線部114を形成したが、それに限らない。回路基板10,110のそれぞれに同軸構造15を作製して、同軸構造15の間を基板間の接続部115により接続してもよい。回路基板100のうち、少なくとも集積回路101が搭載された第2回路基板10に同軸構造15が形成されることが好ましい。
次に、図9を参照して、第3実施形態の回路基板120を説明する。この回路基板120は、集積回路101が搭載された第2回路基板10と、アンテナ113が形成された第1回路基板110とを有する。なお、図9は、回路基板120の概略を示した模式図であり、回路基板120に用いられる配線、導体パターン、回路部品等の詳細は図示していない。
第3実施形態の回路基板120において、集積回路101、半田バンプ102S,102G、アンテナ113、配線部16,116,117の構成は、第2実施形態の回路基板100と同様にすることができる。
第3実施形態の回路基板120では、回路基板10,110を構成する絶縁層11a〜11d,111,112が、プリプレグ、ボンディングシート等の絶縁層を介して一体的に積層されている。このため、第3実施形態の回路基板120は、回路基板10,110の間に、第2実施形態の回路基板100のような接続部115,118を有していない。また、第3実施形態の回路基板120では、回路基板120を構成する絶縁層11a〜11d,111,112の全層にわたって同軸構造15が形成されている。外部導体14とアンテナ113との間を絶縁するため、例えばアンテナ113が形成される面(絶縁層111の絶縁層112とは反対側の面)に絶縁体121を設けてもよい。この絶縁体121は、高周波材料から構成することが好ましい。
第3実施形態の回路基板120において、集積回路101とアンテナ113との間における高周波信号の伝搬の損失を低減するには、同軸構造15の内部誘電体13を高周波材料から構成することが好ましい。この場合、第2回路基板10を構成する絶縁層11a〜11dには、高周波材料でない安価な絶縁材料を使用することで、コストを削減することができる。アンテナ113における帯域を確保し、高周波信号の損失を抑制する等の目的では、アンテナ113を有する第1回路基板110の絶縁層111,112にも高周波材料を用いることが好ましい。高周波信号を扱う給電回路、グランド等は、高周波材料から構成される絶縁層111,112に配置することが好ましい。
第3実施形態の回路基板120の製造方法は、回路基板120を構成する絶縁層11a〜11d,111,112を、ビルドアップ法により順次積層してもよい。各絶縁層11a〜11d,111,112に別々に回路を形成した後で、一括接着により積層してもよい。いずれの場合も、各絶縁層11a〜11d,111,112を積層した後、全ての絶縁層11a〜11d,111,112を貫通する穴を開け、同軸構造15を作製することができる。
第2又は第3実施形態の回路基板100,120において集積回路101で高周波信号を生成し、アンテナ113から空中に放射させる場合、高周波信号の損失を低減するため、集積回路101とアンテナ113との間を接続する伝送距離を短くすることが好ましい。回路基板10,110を複合した回路基板100,120の全体の厚さは、例えば1〜2mm、具体的には1.5mm程度が挙げられる。アンテナ113は、必要に応じて、無給電素子を有してもよい。例えばパッチアンテナにおいて、放射パッチの周囲に無給電パッチを設置することにより、特性を改善することができる。
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。改変としては、各実施形態における構成要素の追加、置換、省略、その他の変更が挙げられる。また、2以上の実施形態に用いられた構成要素を適宜組み合わせることも可能である。
高周波信号の周波数は特に限定されないが、例えば30〜300GHz、60〜80GHz等が挙げられる。高周波回路に適用可能な高周波素子としては、アンテナ、導波路、フィルタ、ダイプレクサ、方向性結合器、分配器、光電変換素子等が挙げられる。アンテナを回路基板の外面に形成した場合は、アンテナを覆う保護層を樹脂等から形成してもよい。
10,20,60,100,110,120…回路基板、11,21,31,61…絶縁基板、11a,11b,11c,11d,111,112…絶縁層、12,22,32,62…内部導体、13,23,33,63…内部誘電体、14,24,64…外部導体、15,25,65…同軸構造,22A…導体ピン、28,30,53…プラグ体、101…集積回路、113…アンテナ。

Claims (9)

  1. 回路基板を構成する少なくとも1つの絶縁層を厚さ方向に貫通する同軸構造を有し、
    前記同軸構造は、内部導体と、前記内部導体の周囲を覆う内部誘電体と、前記内部誘電体の周囲を覆う外部導体とを有し、
    前記内部誘電体は、前記少なくとも1つの絶縁層を構成する誘電体とは異なる誘電体からなることを特徴とする回路基板。
  2. 前記外部導体は、前記内部誘電体の周囲を周方向に連続して覆うことを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
  3. 前記内部誘電体は、前記同軸構造の外側の少なくとも1つの絶縁層を構成する誘電体よりも誘電率及び誘電損失が小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の回路基板。
  4. 前記内部誘電体は、誘電損失が0.01未満の誘電体からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回路基板。
  5. 前記内部導体が、導体ピン、導体線、金属めっき、導電ペーストのいずれかからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の回路基板。
  6. 前記外部導体は、前記絶縁層の内壁に形成された金属めっきからなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の回路基板。
  7. 高周波基板を含む第1回路基板と、前記第1回路基板と接続される第2回路基板とを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の回路基板。
  8. 前記第1回路基板は、高周波信号の送信又は受信又は送受信が可能なアンテナを有することを特徴とする請求項7に記載の回路基板。
  9. 前記第2回路基板に、高周波信号を処理する集積回路(IC)が搭載されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の回路基板。
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