JP2021017875A - 可変容量圧縮機 - Google Patents

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篤史 小澤
崇 戸井田
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Abstract

【課題】吐出室内の冷媒をクランク室(制御圧室)に供給するための供給通路の一部がクランク室内の冷媒を吸入室に排出するための排出通路の一部としても機能するように構成された可変容量圧縮機において、前記クランク室内の潤滑油が過剰に排出されてしまうことを抑制する。【解決手段】可変容量圧縮機は、吐出室142内の冷媒をクランク室140に供給するための供給通路145を含む。供給通路145は、吐出室142内の冷媒をクランク室140に供給しないときにクランク室140内の冷媒を吸入室141に排出するための第2排出通路146bの一部としても機能する兼用通路部145aを有し、兼用通路部145aは、前記可変容量圧縮機の中心軸線Oよりも鉛直方向の下方でクランク室140に開口すると共にその一部が中心軸線Oよりも鉛直方向の上方に位置している。【選択図】図3

Description

本発明は、可変容量圧縮機に関する。
従来の可変容量圧縮機の一例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された可変容量圧縮機は、吐出室とクランク室とを連通する圧力供給通路に配置された弁孔を開閉することによって前記圧力供給通路を開閉するように構成された制御弁と、前記圧力供給通路における前記制御弁の前記弁孔よりも前記クランク室側に設けられた切替弁と、を含み、前記制御弁と前記切替弁とが一つの弁装置として構成されている。前記切替弁は、吸入室に連通する連通部を有し、前記制御弁が前記圧力供給通路を閉じたときに、前記制御弁の前記弁孔と前記切替弁との間の圧力供給通路と、前記切替弁と前記クランク室との間の圧力供給通路との連通を遮断し、前記切替弁と前記クランク室との間の圧力供給通路と前記吸入室とを前記連通部を介して連通させるように構成されている。
ここで、前記切替弁が前記切替弁と前記クランク室との間の圧力供給通路と前記吸入室とを連通させると、前記切替弁と前記クランク室との間の圧力供給通路は、前記クランク室内の冷媒を前記吸入室に排出する放圧通路(排出通路)の一部として機能する。
特開2017−218925号公報
特許文献1に記載された可変容量圧縮機において、前記切替弁と前記クランク室との間の圧力供給通路を含む前記排出通路は、前記可変容量圧縮機の駆動軸の軸線(すなわち、前記可変容量圧縮機の中心軸線)よりも鉛直方向の下方に配置されている。このため、前記クランク室内の冷媒が前記吸入室に排出されるときに、前記クランク室内の潤滑油が前記吸入室、ひいては、前記可変容量圧縮機の外部の冷媒回路などに過剰に排出されてしまうおそれがあり、この点において改良の余地がある。
そこで、本発明は、吐出室内の冷媒をクランク室などの制御圧室に供給するための供給通路の一部が前記制御圧室内の冷媒を吸入室に排出するための排出通路の一部としても機能するように構成された可変容量圧縮機において、前記制御圧室内の潤滑油が過剰に排出されてしまうことを抑制することを目的とする。
本発明の一側面によると、可変容量圧縮機が提供される。この可変容量圧縮機は、冷媒が導かれる吸入室と、前記吸入室内の冷媒を吸入して圧縮する圧縮部と、前記圧縮部で圧縮された冷媒が吐出される吐出室と、内部圧力に応じて前記圧縮部の状態を変化させて吐出容量を変化させる制御圧室と、前記吐出室内の冷媒を前記制御圧室に供給するための供給通路であって、前記吐出室内の冷媒を前記制御圧室に供給しないときに前記制御圧室内の冷媒を前記吸入室に排出するための排出通路の一部としても機能する兼用通路部を有する前記供給通路と、を含む。前記兼用通路部は、前記可変容量圧縮機の中心軸線よりも鉛直方向の下方で前記制御圧室に開口すると共にその一部が前記中心軸線よりも鉛直方向の上方に位置している。
前記可変容量圧縮機において、前記兼用通路部は、前記可変容量圧縮機の中心軸線よりも鉛直方向の下方で前記制御圧室に開口すると共にその一部が前記中心軸線よりも鉛直方向の上方に位置するように構成されている。このため、前記可変容量圧縮機によれば、前記制御圧室内の冷媒が前記吸入室に排出されるときに、前記制御圧室内の冷媒と共に前記制御圧室内の潤滑油が過剰に排出されてしまうことを抑制できる。
本発明の一実施形態に係る可変容量圧縮機の断面図である。 前記可変容量圧縮機における供給通路や排出通路などを模式的に示す図である。 図1の部分拡大図である。 前記可変容量圧縮機の制御弁と切替弁とが一体化された弁装置の断面図である。 前記制御弁に内蔵されるベローズの断面図である。 前記切替弁を示す図であり、(A)は、前記制御弁が弁孔を開いているときの前記切替弁の状態を示し、(B)は、前記制御弁が弁孔を閉じているときの前記切替弁の状態を示している。 前記可変容量圧縮機における絞り通路を示す図であり、(A)は、前記制御弁が弁孔を閉じているときの状態を示し、(B)は、前記制御弁が弁孔を最大に開いているとき状態を示している。 前記制御弁におけるコイル通電量と設定圧力(吸入室)との関係の一例を示す図である。 前記可変容量圧縮機の動作を説明するための図である。 前記可変容量圧縮機の動作を説明するための図である。 前記可変容量圧縮機の動作を説明するための図である 前記可変容量圧縮機の変形例を示す図である。 前記可変容量圧縮機の変形例を示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る可変容量圧縮機の断面図である。実施形態に係る可変容量圧縮機は、主に車両用のエアコンシステム(エア・コンディショナー・システム)に用いられるクラッチレス圧縮機として構成されている。なお、図1における上下が鉛直方向の上下である。また、以下の説明において、「上方」とは鉛直方向の上方のことをいい、「下方」とは鉛直方向の下方のことをいう。
図1に示されるように、実施形態に係る可変容量圧縮機100は、環状に配列された複数のシリンダボア101aを有するシリンダブロック101と、シリンダブロック101の一端側に設けられたフロントハウジング102と、シリンダブロック101の他端にバルブプレート103を介して設けられたシリンダヘッド104と、を有する。これらは可変容量圧縮機100のハウジングを構成している。具体的には、フロントハウジング102、センターガスケット(図示省略)、シリンダブロック101、シリンダガスケット152、吸入弁形成板150、バルブプレート103、吐出弁形成板151、ヘッドガスケット153及びシリンダヘッド104がこの順に配置され、これらが複数の通しボルト105によって締結されて可変容量圧縮機100のハウジングが形成されている。また、シリンダブロック101とフロントハウジング102とによってクランク室140が形成されており、可変容量圧縮機100にはクランク室140を水平方向に貫通して延びる駆動軸110が設けられている。
駆動軸110の軸方向の中間部には斜板111が配設されている。斜板111は、駆動軸110に固定されたロータ112にリンク機構120を介して連結されており、駆動軸110と共に回転する。また、斜板111は、駆動軸110の軸線(中心線)Oに直交する平面に対する角度(以下「斜板111の傾角」という)が変更可能に構成されている。なお、駆動軸110の軸線Oが可変容量圧縮機100の中心軸線に相当する。
リンク機構120は、ロータ112から突設された第1アーム112aと、斜板111から突設された第2アーム111aと、一端側が第1連結ピン122を介して第1アーム112aに対して回動自在に連結され、他端側が第2連結ピン123を介して第2アーム111aに対して回動自在に連結されたリンクアーム121と、を含む。
斜板111には駆動軸110が挿通される軸挿通孔111bが形成されている。軸挿通孔111bは、斜板111が最大傾角と最小傾角の範囲で傾動可能なように形成されている。軸挿通孔111bには最小傾角規制部が形成されている。斜板111が駆動軸110に直交するときの斜板111の傾角を最小傾角(=0°)とした場合、軸挿通孔111bの前記最小傾角規制部は、斜板111の傾角がほぼ0°となると駆動軸110に当接して斜板111のそれ以上の傾動を規制する。また、斜板111は、その傾角が最大傾角となるとロータ112に当接してそれ以上の傾動が規制される。
駆動軸110には、斜板111の傾角を減少させる方向に斜板111を付勢する傾角減少バネ114と、斜板111の傾角を増大させる方向に斜板111を付勢する傾角増大バネ115とが装着されている。傾角減少バネ114は、斜板111とロータ112との間に配置され、傾角増大バネ115は、斜板111と駆動軸110に固定されたバネ支持部材116との間に装着されている。
ここで、斜板111の傾角が最小傾角であるとき、傾角増大バネ115の付勢力の方が傾角減少バネ114の付勢力よりも大きくなるように設定されている。このため、駆動軸110が回転していないとき、斜板111は、傾角減少バネ114の付勢力と傾角増大バネ115の付勢力とがバランスする傾角に位置決めされる。
駆動軸110の一端側(図1における左端側)は、外側に部分的に突出したフロントハウジング102の突出部102a内を貫通してフロントハウジング102の外側まで延在している。駆動軸110の前記一端側には、図示省略の動力伝達装置が連結される。駆動軸110は、外部駆動源からの動力が前記動力伝達装置に伝達されることにより、前記動力伝達装置の回転と同期して回転するように構成されている。また、突出部102aと駆動軸110との間には軸封装置130が設けられている。
駆動軸110の他端側(図1における右端側)は、シリンダブロック101に形成されたセンターボア101bに挿入されている。センターボア101bは、複数のシリンダボア101aの略中央においてシリンダブロック101を貫通している。本実施形態において、センターボア101bは、シリンダヘッド104側からクランク室140側に向かって、第1ボア101b1と、第2ボア101b2と、第3ボア101b3と、第4ボア101b4と、を有している。第1ボア101b1は、シリンダブロック101のシリンダヘッド104側の端面に開口している。第2ボア101b2は、第1ボア101b1よりも小径に形成されている。第3ボア101b3は、第2ボア101b2よりも小径に形成されている。第4ボア101b4は、第1ボア101b1よりも大径に形成されてシリンダブロック101のフロントハウジング102側の端面(すなわち、クランク室140)に開口している。
駆動軸110と駆動軸110に固定されたロータ112とからなる連結体は、ラジアル方向においては第1軸受131及び第2軸受132で支持され、スラスト方向においては第3軸受133及びスラストプレート134で支持されている。本実施形態において、第1軸受131は、フロントハウジング102の突出部102aにおける軸封装置130の内側に装着され、第2軸受132は、シリンダブロック101のセンターボア101bの第3ボア101b3に装着されている。また、第3軸受133は、フロントハウジング102の内面とロータ112との間に配設され、スラストプレート134は、調整ネジ135と共にシリンダブロック101のセンターボア101bの第2ボア101b2に配設されている。調整ネジ135は、駆動軸110の前記他端側の端面とスラストプレート134との間に適切な隙間が形成されるように、スラストプレート134の駆動軸110の軸線O方向における位置を調整する。
各シリンダボア101a内にはピストン136が収容されている。各ピストン136はクランク室140内に突出する突出部136aを有している。突出部136aには収容空間が形成されており、この収容空間に斜板111の外縁部及びその近傍が一対のシュー137を介して収容されている。そして、駆動軸110の回転に伴って斜板111が回転することによって各ピストン136が対応するシリンダボア101a内を往復動するようになっている。
シリンダヘッド104には、吸入室141と吐出室142とが形成されている。吸入室141は、シリンダヘッド104のほぼ中央に配置され、吐出室142は、吸入室141を環状に取り囲むように形成されている。吸入室141と各シリンダボア101aとは、バルブプレート103などを貫通する吸入孔103a及び吸入弁形成板150に形成された吸入弁(図示省略)を介して連通している。吐出室142と各シリンダボア101aとは、バルブプレート103などを貫通する吐出孔103b及び吐出弁形成板151に形成された吐出弁(図示省略)を介して連通している。
シリンダブロック101の上部にはマフラが設けられている。マフラは、吐出ポート106aが形成された蓋部材106と、シリンダブロック101の上部に形成されたマフラ形成壁101cとがシール部材(図示省略)を介してボルト(図示省略)により締結されることによって形成されている。
蓋部材106とマフラ形成壁101cで囲まれたマフラ空間143は、連通路144を介して吐出室142に連通しており、マフラ空間143内には、吐出逆止弁200が配置されている。吐出逆止弁200は、連通路144とマフラ空間143との接続部に配置されている。吐出逆止弁200は、連通路144(上流側)とマフラ空間143(下流側)との圧力差に応答して動作する。吐出逆止弁200は、前記圧力差が所定値より小さい場合は連通路144を閉じ、前記圧力差が所定値より大きい場合は連通路144を開くように構成されている。
連通路144、吐出逆止弁200、マフラ空間143及び吐出ポート106aは、可変容量圧縮機100の吐出通路を形成しており、吐出室142は前記吐出通路を介して前記エアコンシステムの冷媒回路(の高圧側)に接続されている。
シリンダヘッド104には、吸入ポート107と、吸入ポート107と吸入室141とを連通する連通路108と、が形成されている。吸入ポート107及び連通路108は、可変容量圧縮機100の吸入通路を形成しており、吸入室141は前記吸入通路を介して前記エアコンシステムの冷媒回路(の低圧側)に接続されている。
吸入室141には、前記吸入通路を介して前記エアコンシステムの冷媒回路の(低圧側の)冷媒が導かれる(流入する)。吸入室141内の冷媒は、各ピストン136の往復動によって対応するシリンダボア101a内に吸入され、圧縮されて吐出室142に吐出される。すなわち、本実施形態においては、主にシリンダボア101a及びピストン136によって吸入室141内の冷媒を吸入して圧縮する圧縮部が構成されている。そして、吐出室142に吐出された冷媒(すなわち、高圧冷媒)が前記吐出通路を介して前記エアコンシステムの前記冷媒回路の高圧側へと導かれる(流出する)。また、吐出逆止弁200によって前記エアコンシステムの前記冷媒回路(の高圧側)から吐出室142に向かう冷媒の逆流が阻止される。
また、可変容量圧縮機100は、吐出室142内の冷媒をクランク室140に供給するための供給通路145と、クランク室140内の冷媒を吸入室141に排出するための排出通路146と、を有している。図2は、可変容量圧縮機100における供給通路145及び排出通路146などを模式的に示す図である。
供給通路145は、吐出室142とクランク室140とを接続している。供給通路145には弁装置250が設けられている。本実施形態において、弁装置250は、供給通路145の開度、具体的には、供給通路145の一部を構成する弁孔301cの開度を調整する制御弁300と、供給通路145における制御弁300の弁孔301cよりもクランク室140側に設けられた切替弁350と、を一体的に有している。切替弁350は、制御弁300による弁孔301c(すなわち、供給通路145)の開閉に連動し、切替弁350とクランク室140との間の供給通路145aの連通先を、制御弁300の弁孔301cと切替弁350との間の供給通路145bと吸入室141(より正確には吸入室141に連通する連通部)との間で切り替えるように構成されている。
具体的には、切替弁350は、制御弁300が弁孔301cを閉じたとき、切替弁350とクランク室140との間の供給通路145aと制御弁300の弁孔301cと切替弁350との間の供給通路145bとの連通を遮断し、切替弁350とクランク室140との間の供給通路145aと吸入室141とを連通させるように構成されている。また、切替弁350は、制御弁300が供給通路145を開いたとき、切替弁350とクランク室140との間の供給通路145aと吸入室141との連通を遮断し、切替弁350とクランク室140との間の供給通路145aと制御弁300の弁孔301cと切替弁350との間の供給通路145bとを連通させるように構成されている。
本実施形態において、排出通路146は二つの通路によって構成されている。排出通路146を構成する前記二つの通路のうちの一方は、クランク室140と吸入室141とを常時連通する通路(以下「第1排出通路146a」という)である。第1排出通路146aには絞り部(ここでは図示されていない)が設けられている。
排出通路146を構成する前記二つの通路のうちの他方は、制御弁300が供給通路145を閉じているときにクランク室140と吸入室141とを連通する通路(以下「第2排出通路146b」という)である。この第2排出通路146bは、制御弁300が供給通路145を閉じて切替弁350が切替弁350とクランク室140との間の供給通路145aと吸入室141とを連通させることによって形成される。この場合、切替弁350とクランク室140との間の供給通路145aは、排出通路146(より具体的に第2排出通路146b)の一部として機能する。ここで、第2排出通路146bの各部の通路断面積は、第1排出通路146aの前記絞り部の通路断面積より大きく設定されている。
また、可変容量圧縮機100は、制御弁300の弁孔301cと切替弁350との間の供給通路145b内の冷媒を吸入室141に排出するための絞り通路147をさらに有している。本実施形態において、絞り通路147は、制御弁300の内部を通過する通路として形成されている。
本実施形態に係る可変容量圧縮機100において、制御弁300が弁孔301c(すなわち、供給通路145)を開くと、切替弁350は、切替弁350とクランク室140との間の供給通路145aと制御弁300の弁孔301cと切替弁350との間の供給通路145bとを連通させる。この場合、吐出室142内の冷媒(高圧冷媒)がクランク室140に供給され、及び、クランク室140と吸入室141とは前記絞り部を有する第1排出通路146aのみを介して連通してクランク室140内の冷媒の吸入室141への排出が制限される。したがって、クランク室140の圧力(内部圧力)が上昇する。クランク室140の圧力が上昇すると斜板111の傾角が減少する。これにより、ピストン136のストロークが減少して可変容量圧縮機100の吐出容量が減少する。
一方、制御弁300が供給通路145を閉じると、切替弁350は、切替弁350とクランク室140との間の供給通路145aと吸入室141とを連通させる。すなわち、第2排出通路146bが形成される。この場合、吐出室142内の冷媒(高圧冷媒)のクランク室140への供給が停止され、及び、クランク室140と吸入室141とが第1排出通路146a及び第2排出通路146bを介して連通してクランク室140内の冷媒が第1排出通路146a及び第2排出通路146bを介して吸入室141に排出される。したがって、クランク室140の圧力が吸入室141の圧力と同等になるまで低下する。クランク室140の圧力が低下すると斜板111の傾角が増加する。これにより、ピストン136のストロークが増加して可変容量圧縮機100の吐出容量が増加する。
このように、クランク室140は、その内部圧力に応じて前記圧縮部の状態(具体的にはピストン136のストローク)を変化させて可変容量圧縮機100の吐出容量を変化させる機能を有している。したがって、本実施形態においては、クランク室140が本発明の「制御圧室」に相当する。また、主に切替弁350とクランク室140との間の供給通路145aによって本発明の「兼用通路部」が構成され、制御弁300の弁孔301cと切替弁350との間の供給通路145bが本発明の「切替弁よりも吐出室側の供給通路」に相当する。
ここで、クランク室140には潤滑油が封入されている。前記潤滑油は駆動軸110の回転に伴い斜板111等よって攪拌され、攪拌されたオイルが冷媒と共に可変容量圧縮機100内を移動する。これにより、可変容量圧縮機100の内部が潤滑される。
次に、第1排出通路146a、弁装置250(制御弁300及び切替弁350)、供給通路145、第2排出通路146b及び絞り通路147について詳細に説明する。
「第1排出通路146a」
図3は、図1の部分拡大図である。本実施形態において、クランク室140と吸入室141とを常時連通する第1排出通路146aは、クランク室140に開口する第4ボア101b4と、駆動軸110の内部に形成された軸内通路110aと、スラストプレート134を駆動軸110の軸線O方向に貫通する第1貫通孔134aと、調整ネジ135を駆動軸110の軸線O方向に貫通する第2貫通孔135aと、第1ボア101b1と、前記絞り部としての絞り孔161と、で形成されている。
軸内通路110aは、駆動軸110の前記他方側の端面に開口すると共に駆動軸110内を軸線O方向に延びる第1軸内通路110a1と、駆動軸110の外周面に開口すると共に軸線Oに略直交する方向に延びて第1軸内通路110a1と第4ボア101b4とを連通する第2軸内通路110a2とによって形成されている。
絞り孔161は、シリンダブロック101とシリンダヘッド104との間に介在する介在部材IMを貫通して第1ボア101b1と吸入室141とを連通している。ここで、介在部材IMとは、基本的には、シリンダガスケット152、吸入弁形成板150、バルブプレート103、吐出弁形成板151及びヘッドガスケット153(図1参照)のことをいうが、シリンダガスケット152及び/又はヘッドガスケット153が含まれない場合もあり得る。
「弁装置250(制御弁300及び切替弁350)」
本実施形態において、制御弁300及び切替弁350が一体化された弁装置250は、シリンダヘッド104における駆動軸110の軸線Oよりも下方の部位に形成された収容穴104aに収容されている(図3参照)。なお、以下の弁装置250(制御弁300及び切替弁350)に関する説明において、収容穴104aの底部側を「先端側」といい、収容穴104aの開口側を「後端側」という。
図4は、制御弁300及び切替弁350が一体化された弁装置250の断面図である。図4に示されるように、弁装置250の外周面には、4つのOリング251〜254が弁装置250の長さ方向(収容穴104aの深さ方向)に互いに間隔をあけて取り付けられている。これら4つのOリング251〜254によって、収容穴104a内における弁装置250の外側には互いに遮断された第1〜第4空間S1〜S4が形成されている。
第1空間S1は、第1連通路104bを介して吸入室141に連通している。第1連通路104bは、シリンダヘッド104に形成され、駆動軸110の軸線Oよりも下方において第1空間S1と吸入室141とを接続している(図3参照)。
第2空間S2は、第2連通路104cを介して吐出室142に連通している。第2連通路104cは、シリンダヘッド104に形成され、駆動軸110よりも下方において第2空間S2と吐出室142とを接続している(図3参照)。
第3空間S3は、第3連通路104dを介して吸入室141に連通している。第3連通路104dは、第1連通路104bと同様、シリンダヘッド104に形成され、駆動軸110よりも下方において第3空間S3と吸入室141とを接続している(図3参照)。
第4空間S4は、シリンダヘッド104に形成された第4連通路104e、介在部材IMに形成された第3貫通孔162、シリンダブロック101のシリンダヘッド104側の端面に形成された溝と介在部材IMとによって形成された第5連通路101d、及び、シリンダブロック101に形成された第6連通路101eを介して、クランク室140に連通している(図3参照)。
第6連通路101eは、駆動軸110の軸線Oよりも下方に配置されている。第6連通路101eは、一端がクランク室140に開口すると共にクランク室140から離れる方向に延びて他端が閉塞されている。具体的には、第6連通路101eは、駆動軸110の軸線Oよりも下方においてシリンダブロック101を水平方向に貫通しており、シリンダブロック101のフロントハウジング102側の端面に開口する第1開口端が前記一端を構成し、シリンダブロック101のシリンダヘッド104側の端面に開口する第2開口端が介在部材IMによって閉塞されて前記他端を構成している。
第5連通路101dは、一端(下端)が第6連通路101eの前記他端に接続されると共に駆動軸110の軸線Oよりも上方の位置まで延びて他端(上端)が閉塞されている。第5連通路101dは、鉛直方向に延びる通路として形成されている。
第3貫通孔162は、介在部材IMにおける駆動軸110の軸線Oよりも上方の部位を貫通しており、その一端(シリンダブロック101側の端部)が第5連通路101dの前記他端(上端)に接続している。第4連通路104eは、第3貫通孔162の他端(シリンダヘッド104側の端部)と第4空間S4とを接続している。具体的には、第4連通路104eは、第3貫通孔162の前記他端から水平方向に延びた後に第4空間S4に向かって下方に延びている。
「制御弁300の構成」
制御弁300は、略円筒状の第1バルブハウジング301を有する。第1バルブハウジング301内には、先端側から後端側に向かって、第1感圧室302、弁室303及び第2感圧室307がこの順に形成されている。
第1感圧室302は、切替弁350を介して第4空間S4に接続されている。さらに言えば、第1感圧室302は、切替弁350の状態に応じて、第4空間S4、第4連通路104e、第3貫通孔162、第5連通路101d及び第6連通路101eを介してクランク室140に連通し又はクランク室140との連通が遮断されるように構成されている。
弁室303は、第1バルブハウジング301に形成された第1連通孔301aを介して第2空間S2に連通している。さらに言えば、弁室303は、第1連通孔301a、第2空間S2及び第2連通路104cを介して吐出室142に連通している。
第2感圧室307は、第1バルブハウジング301に形成された第2連通孔301bを介して第1空間S1に連通している。さらに言えば、第2感圧室307は、第2連通孔301b、第1空間S1及び第1連通路104bを介して吸入室141に連通している。
また、第1バルブハウジング301内において、第1感圧室302と弁室303とは弁孔301cを介して連通しており、弁室303と第2感圧室307との間には支持孔301dが形成されている。
第1感圧室302内にはベローズ305が配設されている。ベローズ305は、第1感圧室302内の圧力、すなわち、クランク室140の圧力を受けて第1バルブハウジング301の長さ方向に伸縮するように構成されている。
図5は、ベローズ305を示す図である。図5に示されるように、ベローズ305は、蛇腹状のベローズ本体305aと、ベローズ本体305aの後端側に固定された第1端部部材305bと、ベローズ本体305aの先端側に固定された第2端部部材305cと、ベローズ本体305a内に配置されて第1端部部材305bと第2端部部材305cとを互いに離れる方向に付勢するバネ(付勢部材)305dと、を含む。
第1端部部材305bは、ベローズ本体305aの後端側を閉塞する閉塞部305b1と、閉塞部305b1からベローズ本体305a内に突出する第1ストッパー部305b2と、閉塞部305b1の第1ストッパー部305b2とは反対側の面に形成された円形の第1凹部305b3と、を有する。
第2端部部材305cは、ベローズ本体305aの先端側を閉塞する閉塞部305c1と、閉塞部305c1からベローズ本体305aの内部に向けて突出する第2ストッパー部305c2と、閉塞部305c1の第2ストッパー部305c2とは反対側に突出する円筒部305c3と、を有する。円筒部305c3は、後述するように、切替弁350の一部を構成する。
ベローズ305(ベローズ本体305a)は、第1端部部材305bの第1ストッパー部305b2と第2端部部材305cの第2ストッパー部305c2とが当接すると、それ以上の収縮が規制される。
図4に戻り、弁室303には略円柱状の第1弁体304が収容されている。第1弁体304は、その外周面が支持孔301dに摺動自在に支持されており、支持孔301dに沿って移動可能である。第1弁体304の先端側の端面の周縁部分は、弁孔301cの開度を調整する弁部を構成している。また、第1弁体304の先端側の端面の中央には、ベローズ305に向かって突出する軸状の連結部306が設けられている。連結部306の先端部分は、ベローズ305の第1端部部材305bの第1凹部305b3に挿入されている。連結部306は、ベローズ305の伸縮を第1弁体304に伝達する機能を有する。第1弁体304の後端側の端部は、第2感圧室307内に突出しており、第2感圧室307内の圧力、すなわち、吸入室141の圧力を受ける受圧部を構成している。
また、制御弁300は、略円筒状のソレノイドハウジング312を有する。ソレノイドハウジング312は、第1バルブハウジング301の後端側に連結されている。ソレノイドハウジング312内には電磁コイルを樹脂で覆った略円筒状のモールドコイル314が収容されている。モールドコイル314の内側には有底筒状の収容部材313が設けられている。収容部材313は、その開口端が先端側(第1バルブハウジング301側)を向くように配置されており、収容部材313には固定コア310及び固定コア310の後端側に配置された可動コア308が収容されている。
固定コア310は、収容部材313の前記開口端から突出した突出部310aを有している。固定コア310の突出部310aは、第1バルブハウジング301の後端側の端面に形成された嵌合穴301eに嵌合されている。固定コア310の突出部310aの先端側の端面は、第2感圧室307の後端側の壁面を構成している。
また、固定コア310は、ロッド挿通孔310bを有している。ロッド挿通孔310bは、固定コア310を長さ方向に貫通している。固定コア310のロッド挿通孔310bにはソレノイドロッド309が隙間を有して挿通されている。ソレノイドロッド309の先端側は第1弁体304に固定され、ソレノイドロッド309の後端側は可動コア308に固定されている。つまり、第1弁体304、可動コア308及びソレノイドロッド309は一体化されている。
具体的には、第2感圧室307内に突出した第1弁体304の後端側の端面には円形の第2凹部304aが形成されており、第2凹部304aの底面には第1圧入孔304bが形成されている。また、可動コア308には、可動コア308を長さ方向に貫通する第2圧入孔308aが形成されている。そして、ソレノイドロッド309の先端側の部位が第1弁体304の第1圧入孔304bに圧入固定され、ソレノイドロッド309の後端側の部位が可動コア308の第2圧入孔308aに圧入固定されている。
また、固定コア310と可動コア308との間には、固定コア310から離れる方向に可動コア308を付勢する、換言すれば、弁孔301cを開く方向に第1弁体304を付勢する強制開放バネ311が設けられている。
可動コア308、固定コア310及びソレノイドハウジング312は、磁性材料で形成されて磁気回路を構成する。一方、収容部材313は、ステンレス系材料などの非磁性材料で形成されている。
モールドコイル314は、信号線等を介して、可変容量圧縮機100の外部に設けられた制御装置(図示せず)に接続されている。前記制御装置からモールドコイル314に制御電流Iが供給されると、電磁力F(I)が発生して可動コア308が固定コア310に向かって吸引され、第1弁体304が弁孔301cを閉じる方向に移動する。
第1弁体304が弁孔301cを開くと(すなわち、制御弁300が弁孔301cを開くと)、弁室303と第1感圧室302とが弁孔301cを介して連通する。一方、第1弁体304の前記弁部が弁孔301cを閉じると(すなわち、制御弁300が弁孔301cを閉じると)、弁室303と第1感圧室302との連通が遮断される。
「切替弁350の構成」
図6は、切替弁350を示す図であり、図4の部分拡大図に相当する図である。図6(A)は、制御弁300が弁孔301cを開いているときの切替弁350の状態を示し、図6(B)は、制御弁300が弁孔301cを閉じているときの切替弁350の状態を示している。
本実施形態において、切替弁350は、略円筒状の第2バルブハウジング351と、第2バルブハウジング351に収容された第2弁体352と、第2バルブハウジング351の後端側に圧入固定されたベローズ305の円筒部305c3と、第2バルブハウジング351の先端側に圧入固定された弁座形成部353と、で構成されている。
第2バルブハウジング351の内部は、区画壁351aによって後端側の第1弁室351bと先端側の第2弁室351cとに区画されている。第1弁室351bは、ベローズ305の円筒部305c3の端面、第2バルブハウジング351の内周面及び区画壁351aの後端側の面によって区画され、第2弁室351cは、第2バルブハウジング351の内周面及び弁座形成部353の後端側の面によって区画されている。また、第1弁室351bと第2弁室351cとは、区画壁351aに形成された第4貫通孔351a1を介して連通している。
第2弁体352は、第1弁室351bに配置された第1弁部352aと、第2弁室351cに配置された第2弁部352bと、第4貫通孔351a1に挿通されて第1弁部352aと第2弁部352bとを連結する軸部352cと、を有する。
ベローズ305の円筒部305c3の周壁には円筒部305c3の内部空間305c31と制御弁300の第1感圧室302(図4参照)とを連通する第3連通孔305c32が形成されている。円筒部305c3の内部空間305c31は、第1弁室351bに開口すると共に第3連通孔305c32を介して制御弁300の第1感圧室302に連通する第1ポートP1を構成しており、ベローズ305の円筒部305c3の端面は、第1弁部352aの後端側の端面352a1が離接する第1弁座305c33を構成する。第1弁部352aの後端側の端面352a1が第1弁座305c33から離隔することによって第1ポートP1が開かれ、第1弁部352aの後端側の端面352a1が第1弁座305c33に当接することによって第1ポートP1が閉じられる。
弁座形成部353の中央部には第5貫通孔353aが形成されている。第5貫通孔353aは、第2弁室351cに開口すると共に第4空間S4(図4参照)に連通する第2ポートP2を構成しており、弁座形成部353の後端側の面における第5貫通孔353aの周囲は、第2弁部352bの先端側の端面352b1が離接する第2弁座353bを構成している。また、第2バルブハウジング351の周壁における先端側の部位には、第2バルブハウジング351の内外を連通する第4連通孔351dが形成されている。第4連通孔351dは、第2弁室351cに開口すると共に第3空間S3(図4参照)に連通する第3ポートP3を構成している。
第2弁部352bの先端側の端面352b1が第2弁座353bから離隔すると第2ポートP2と第3ポートP3とが第2弁室351cを介して連通し、第2弁部352bの先端側の端面352b1が第2弁座353bに当接すると第2ポートP2と第3ポートP3と連通が遮断される。
第2弁体352において、第1弁部352aと軸部352cとは一体に形成され、第2弁部352bは、第1弁部352a及び軸部352cとは別体で形成されて軸部352cに圧入固定されている。具体的には、第2弁体352は、第1弁部352aと一体に形成された軸部352cが第2弁部352bに形成された圧入孔に圧入されることによって形成されている。ここで、第2弁部352bの先端側の端面352b1が第2弁座353bに当接したとき、同時に第1弁部352aの先端側の端面352a2が区画壁351aの後端側の面に当接するように、第2弁部352bに形成された前記圧入孔に対する軸部352cの圧入位置が調整されている。
切替弁350の第2弁体352の構成についてさらに説明する。
本実施形態において、第1弁室351bに配置された第1弁部352aは、その長さ方向の中間位置に他の部位よりも大径の大径部352a3を有する。大径部352a3の外周面は、対応する第2バルブハウジング351の内周面に対して微小な隙間を介して近接している。
また、第2弁室351cに配置された第2弁部352bは、有底円筒状に形成されている。そして、第2弁部352bの底部の中央に軸部352cが圧入される前記圧入孔が貫通形成され、第2弁部352bの開口端面が第2弁座353bに離接する先端側の端面352b1を構成している。
また、第2弁体352は、内部通路352dを有している。内部通路352dは、有底円筒状に形成された第2弁部352bの内側空間と第1弁室351bとを連通するように形成されている。具体的には、内部通路352dは、一端が軸部352cの端面に開口すると共に軸部352c内及び第1弁部352a内を軸方向に延びて他端が閉塞された第1内部通路352d1と、第1弁部352aの大径部352a3よりも後端側において第1弁室351bと第1内部通路352d1とを連通する第2内部通路352d2と、第1弁部352aの大径部352a3よりも先端側において第1弁室351bと第1内部通路352d1とを連通する第3内部通路352d3と、で構成されている。
制御弁300が弁孔301cを開いているとき、切替弁350では、図6(A)に示されるように、第1弁部352aの後端側の端面352a1が第1弁座305c33から離隔して第1ポートP1が開かれる。また、第2弁部352bの先端側の端面352b1が第2弁座353bに当接する。この場合、第2ポートP2と第3ポートP3との連通が遮断されると共に、第1ポートP1と第2ポートP2とが第1弁室351b及び内部通路352dを介して連通する。
一方、制御弁300が弁孔301cを閉じているとき、切替弁350では、図6(B)に示されるように、第1弁部352aの後端側の端面352a1が第1弁座305c33に当接して第1ポートP1が閉じられる。また、第2弁部352bの先端側の端面352b1が第2弁座353bから離隔する。この場合、第1ポートP1と第2ポートP2との連通が遮断されると共に、第2ポートP2と第3ポートP3とが第2弁室351cを介して連通する。
「供給通路145」
上述のように、制御弁300が弁孔301cを開くと、制御弁300では弁室303と第1感圧室302とが弁孔301cを介して連通する。ここで、弁室303は、第1連通孔301aを介して第2空間S2に連通しており、第2空間S2は、第2連通路104cを介して吐出室142に連通している。また、制御弁300が弁孔301cを開いているとき、切替弁350では第1ポートP1と第2ポートP2とが第1弁室351b及び内部通路352dを介して連通する(図6(A)参照)。ここで、第1ポートP1は、第3連通孔305c32を介して制御弁300の第1感圧室302に連通している。また、第2ポートP2は、第4空間S4に連通しており、第4空間S4は、第4連通路104e、第3貫通孔162、第5連通路101d及び第6連通路101eを介してクランク室140に連通している。
したがって、吐出室142とクランク室140とは、第2連通路104c、第2空間S2、制御弁300(第1連通孔301a、弁室303、弁孔301c、第1感圧室302)、切替弁350(第3連通孔305c32、第1ポートP1、第1弁室351b、内部通路351d、第2ポートP2)、第4空間S4、第4連通路104e、第3貫通孔162、第5連通路101d、及び、第6連通路101eからなる第1通路によって連通し、当該第1通路を介して吐出室142内の冷媒がクランク室140に供給される。つまり、本実施形態においては、前記第1通路によって供給通路145が形成される。
「第2排出通路146b」
上述のように、制御弁300の弁孔301cは供給通路145の一部を構成しているので、制御弁300が弁孔301cを閉じると、供給通路145が閉じられる。また、制御弁300が弁孔301cを閉じているとき、切替弁350では、第2ポートP2と第3ポートP3とが第2弁室351cを介して連通する(図6(B)参照)。ここで、第2ポートP2は、第4空間S4に連通しており、第4空間S4は、第4連通路104e、第3貫通孔162、第5連通路101d及び第6連通路101eを介してクランク室140に連通している。また、第3ポートP3は、第3空間S3に連通し、第3空間S3は、第3連通路104dを介して吸入室141に連通している。
したがって、クランク室140と吸入室141とは、第1排出通路146aに加えて、第6連通路101e、第5連通路101d、第3貫通孔162、第4連通路104e、第4空間S4、切替弁350(第2ポートP2、第2弁室351c、第3ポートP3)、第3空間S3、及び、第3連通路104dからなる第2通路によっても連通し、第1排出通路146a及び前記第2通路を介してクランク室140内の冷媒が吸入室141に排出される。つまり、本実施形態においては、前記第2通路によって第2排出通路146bが形成される。
また、第4空間S4、第4連通路104e、第3貫通孔162、第5連通路101d及び第6連通路101eによって、第2排出通路146bの一部としても機能し得る「切替弁350とクランク室140との間の供給通路145a(兼用通路部)」が形成され、第1感圧室302によって「制御弁300の弁孔301cと切替弁350との間の供給通路145b(切替弁よりも吐出室側の供給通路)」が形成される。
「絞り通路147」
図7は、絞り通路147を示す図であり、図4の部分拡大図に相当する図である。図7(A)は、制御弁300が弁孔301cを閉じているときの状態を示し、図7(B)は、制御弁300が弁孔301cを最大に開いているとき状態を示している。
図7(A)、(B)に示されるように、本実施形態において、第1弁体304には、連結部306の先端面に開口すると共に後端側に向かって延びて第1圧入孔304bに連通する第5連通孔304cと、連結部306に形成されて第5連通孔304cと第1感圧室302とを連通する第6連通孔306aと、が形成されている。また、ソレノイドロッド309には、第1弁体304の第1圧入孔304b内に位置する先端側の端面に開口すると共に後端側に向かって延びる有底穴309aと、有底穴309aと第1弁体304の第2凹部304aとを連通する第7連通孔309bと、が形成されている。
図7(A)に示されるように、制御弁300が弁孔301cを閉じているとき、第1弁体304の後端側の端面は、固定コア310の突出部310aの先端側の端面(第2感圧室307の後端側の壁面)から離隔している。この場合、弁装置250(制御弁300)において、制御弁300の弁孔301cと切替弁350との間の供給通路145bを形成する第1感圧室302は、第6連通孔306a、第5連通孔304c、有底穴309a、第7連通孔309b、第2凹部304a、第2感圧室307及び第2連通孔301bを介して第1空間S1に連通する。第1空間S1は、第1連通路104bを介して吸入室141に連通している。
したがって、制御弁300が弁孔301c(すなわち、供給通路145)を閉じているとき、制御弁300の弁孔301cと切替弁350との間の供給通路145bを形成する第1感圧室302は、第6連通孔306a、第5連通孔304c、有底穴309a、第7連通孔309b、第2凹部304a、第2感圧室307、第2連通孔301b、第1空間S1及び第1連通路104bからなる第3通路によって吸入室141に連通し、制御弁300の弁孔301cと切替弁350との間の供給通路145bを形成する第1感圧室302内の冷媒が前記第3通路を介して吸入室141に排出される。ここで、第6連通孔306a又は第7連通孔309bは、絞り部として機能し得るように、その断面積が十分に小さく形成されている。つまり、本実施形態においては、前記第3通路によって絞り通路147が形成される。
制御弁300が弁孔301cを開くと、第1弁体304の後端側の端面が固定コア310の突出部310aの先端側の端面に近づく。そして、制御弁300が弁孔301cを最大に開くと、図7(B)に示されるように、第1弁体304の後端側の端面が固定コア310の突出部310aの先端側の端面に当接する。この場合、第2凹部304aと第2感圧室307と連通が遮断されて前記第3通路(絞り通路147)が閉じられる。つまり、本実施形態において、絞り通路147は、制御弁300が弁孔301c(供給通路145)を最大に開いたときにのみ閉じられ、それ以外のときには第1感圧室302と吸入室141とを連通するように構成されている。
「制御弁300の動作」
制御弁300の第1弁体304には、モールドコイル314による電磁力F(I)の他にも、強制開放バネ311による付勢力f1、弁室303の圧力(吐出室142の圧力Pd)による力、第1感圧室302の圧力(クランク室140の圧力Pc)による力、第2感圧室307の圧力(吸入室141の圧力Ps)による力、及び、ベローズ305に内蔵するバネによる付勢力f2が作用する。
ここで、ベローズ305の有効受圧面積Sb、第1弁体304により遮蔽する弁孔301cの面積であるシール面積Sv、第1弁体304の前記先端側の端部(弁部)の受圧面積Srが等しくなるように設定されている(Sb=Sv=Sr)。このため、吐出室142の圧力Pdによる力及びクランク室140の圧力Pcによる力が排除されて、第1弁体304に作用する力のつりあいは、下式(1)で示され、下式(1)を変形すると下式(2)となる。なお、式(1)、(2)において、「+」は第1弁体304が弁孔301cを閉じる方向を示し、「−」は第1弁体304が弁孔301cを開く方向を示す。
F(I)−f1+Ps・Sb−f2=0・・・(1)
Ps=(f2+f1−F(I))/Sb・・・(2)
ベローズ305、連結部306及び第1弁体304の連結体は、吸入室141の圧力が制御電流Iにより設定される圧力(設定圧力)よりも高くなると、吐出容量を増大させるために弁孔301c(すなわち、供給通路145)の開度を小さくしてクランク室140の圧力を低下させ、吸入室141の圧力が前記設定圧力を下回ると、吐出容量を減少させるために弁孔301c(すなわち、供給通路145)の開度を大きくしてクランク室140の圧力を上昇させる。つまり、制御弁300は、吸入室141の圧力Psが前記設定圧力に近づくように供給通路145の開度を自律制御する。
第1弁体304には、ソレノイドロッド309を介してモールドコイル314による電磁力F(I)が作用するので、モールドコイル314の通電量が増加すると供給通路145の開度を小さくする方向の力が増大し、図8に示されるように、設定圧力が低下する方向に変化する。前記制御装置は、例えばパルス幅変調(PWM)制御によりモールドコイル314への通電を制御し、モールドコイル314を流れる電流値が所望の値となるようにパルス幅(デューティ比)を変更する。
「切替弁350の動作」
第2弁体352において、第1弁部352aの後端側は第1ポートP1側の圧力(すなわち、第1感圧室302の圧力)Pc′を受け、第2弁部352bの先端側は第2ポートP2側の圧力(すなわち、クランク室140の圧力)Pcを受ける。また、第2弁室351cは、第3ポートP3、第3空間S3及び第3連通路104dを介して吸入室141に連通しているので、第2弁体352には吸入室141の圧力Psが作用する。
ここで、第1弁部352aの後端側の端面352a1が第1弁座305c33に当接したときの圧力Pc′の受圧面積をS1、第2弁部352bの先端側の端面352b1が第2弁座353bに当接したときの圧力Pcの受圧面積をS2、第1弁部352aの先端側の端面352a2が区画壁351aの後端側の面に当接したときの当接部の径で規定される面積をS3とする。
第1弁部352aの後端側の端面352a1が第1弁座305c33に当接した状態ではクランク室140の圧力Pcは吸入室141の圧力Psとなっている。このため、第1弁部352aの後端側の端面352a1が第1弁座305c33から離隔するための条件は、下式(3)となる。
Pc′・S1>Ps・S1+f3+F1・・・(3)
ここで、f3は、摩擦力であり、F1は、第2ポートP2側からの冷媒流が衝突することによって第2弁部352bに作用する動圧による力である。
したがって、制御弁300が弁孔301c(すなわち、供給通路145)を開いて第1感圧室302に吐出室142内の冷媒を供給し、第1ポートP1側の圧力Pc′を上昇させることによって、第1弁部352aの後端側の端面352a1を第1弁座305c33から離隔させ、第2弁部352bの先端側の端面352b1を第2弁座353bに当接させることができる。
また、第2弁部352bの先端側の端面352b1が第2弁座353bに当接し、第1弁部352aの先端側の端面352a2が区画壁351aの後端側の面に当接している状態を保持するための条件は、下式(4)となる。
Pc′・S3+F2>Ps・(S3−S2)+Pc・S2・・・(4)
ここで、F2は、第1ポートP1側からの冷媒流が衝突することによって第1弁部352aに作用する動圧による力である。
但し、S3=S2としてあるので、(Pc′―Pc)・S2+F2>0・・・(4′)
供給通路145が開かれていれば、すなわち、供給通路145に冷媒が流れていれば、Pc′>Pcとなるので、静圧差(Pc′―Pc)による力と前記動圧による力F2とによって、第2弁体352は、第2弁部352bの前記先端側の端面352b1が第2弁座353bを当接した状態に保持される。
また、第2弁部352bの先端側の端面352b1が第2弁座353bから離隔するための条件は、式(4′)の左辺を負とすればよい。
制御弁300が弁孔301c(供給通路145)を閉じると、第1感圧室302には吐出室142内の冷媒が供給されない。このため、F2=0となる。また、第1感圧室302内の冷媒は絞り通路147を介して吸入室141に排出されるので、Pc′<Pcとなる。この結果、式(4′)の左辺が負となって、第2弁部352bの前記先端側の端面352b1が第2弁座353bから離隔する。
第2弁部352bの先端側の端面352b1が第2弁座353bに当接した状態で制御弁300が弁孔301c(供給通路145)を閉じたとき、第2弁部352bの先端側の端面352b1が第2弁座353bから離隔するための条件は、下式(5)となる。
Pc・S2+F3>Pc′・S2+f3・・・(5)
(Pc−Pc′)・S2+F3>f3・・・(5′)
ここで、F3は、内部通路352d(第1内部通路352d1)を逆流する冷媒流が衝突することによって内部通路352dの端面(閉塞端)に作用する動圧による力である。
制御弁300が弁孔301c(すなわち、供給通路145)を閉じると、第1感圧室302内の冷媒は絞り通路147を介して吸入室141に排出されるので、Pc′<Pcとなる。したがって、静差圧(Pc−Pc′)による力及び内部通路352d(第1内部通路352d1)を逆流する冷媒流によって発生する動圧による力F3によって、第2弁部352bの先端側の端面352b1を第2弁座353bから離隔させ、第1弁部352aの後端側の端面352a1が第1弁座305c33に当接させることができる。
このように、本実施形態において、切替弁350は、制御弁300が弁孔301c(供給通路145)を開くと、第1弁部352aの後端側の端面352a1に作用する第1ポートP1側の圧力Pc′の上昇を利用して第2弁体352を移動させ、第1弁部352aの後端側の端面352a1を第1弁座305c33から離隔させると共に第2弁部352bの先端側の端面352b1を第2弁座353bに当接させる。これにより、第2ポートP2と第3ポートP3との連通が遮断され、第1ポートP1が開かれて第1ポートP1と第2ポートP2とが内部通路352dを介して連通する。そして、この状態は、制御弁300が弁孔301c(供給通路145)を開いている間、維持される。この場合、切替弁350とクランク室140との間の供給通路145aは、供給通路145の一部として機能する。
また、本実施形態において、切替弁350は、制御弁300が弁孔301c(供給通路145)を閉じると、第1弁部352aの後端側の端面352a1に作用する第1ポートP1側の圧力Pc′の低下(及び内部通路352dを逆流する冷媒流)を利用して第2弁体352を移動させ、第2弁部352bの先端側の端面352b1を第2弁座353bから離間させると共に第1弁部352aの後端側の端面352a1を第1弁座305c33に当接させる。これにより、第1ポートP1が閉じられて第1ポートP1と第2ポートP2との連通が遮断され、第2ポートP2と第3ポートP3とが第2弁室351cを介して連通する。そして、この状態は、制御弁300が弁孔301c(供給通路145)を閉じている間、維持される。この場合、切替弁350とクランク室140との間の供給通路145aは、第2排出通路146bの一部として機能する。
「可変容量圧縮機100の動作」
図9は、車両のエンジンが停止している場合など、可変容量圧縮機100が停止している状態を示している。この状態では、弁装置250の制御弁300のモールドコイル314への通電はOFFされている。このため、第1弁体304が強制開放バネ311によって付勢されて弁孔301c(供給通路145)の開度が最大となる。すなわち、制御弁300は、弁孔301c(供給通路145)を最大に開いている。この場合、第1弁体304の後端側の端面が固定コア310の突出部310aの先端側の端面に当接するので、絞り通路147は閉じられている。
また、弁装置250の切替弁350においては、第2弁部352bの先端側の端面352b1が第2弁座353bに当接して第2ポートP2と第3ポートP3との連通が遮断され、第1ポートP1と第2ポートP2とが内部通路352dを介して連通している状態となっている。すなわち、切替弁350とクランク室140との間の供給通路145aは、制御弁300の弁孔301cと切替弁350との間の供給通路145bを形成する第1感圧室302に連通している。したがって、クランク室140と吸入室141とは、第1排出通路146aのみによって連通し、クランク室140と吸入室141とを連通する排出通路146の開度は最小となっている。
上記の状態で車両のエンジンが始動し、可変容量圧縮機100の駆動軸110が回転すると、吐出逆止弁200は前記吐出通路を閉じており、また、絞り通路147が閉じられているため、前記圧縮部で圧縮されて吐出室142に吐出された冷媒(すなわち、吐出室142内の冷媒)のすべてが供給通路145を介してクランク室140に供給される(図9中の矢印参照)。このため、クランク室140の圧力が確実に上昇して斜板111の傾角は最小となり、ピストン136のストローク(すなわち、吐出容量)が最小となる。ここで、吐出室142に吐出された冷媒は、前記潤滑油を含んでおり、吐出室142、供給通路145、クランク室140、第1排出通路146a、吸入室141及びシリンダボア101aで構成される内部循環路を循環して、可変容量圧縮機100の内部を潤滑する。
次いで、前記エアコンシステムが作動すると、制御弁300においては、モールドコイル314に電流が流れて第1弁体304が弁孔301c(供給通路145)を閉じる。また、第1弁体304の後端側の端面が固定コア310の突出部310aの先端側の端面から離隔するため、絞り通路147が開かれる。この場合、吐出室142内の冷媒が制御弁300の第1感圧室302に供給されず、また、第1感圧室302内の冷媒は絞り通路147を介して吸入室141に排出されるので、第1感圧室302の圧力が吸入室141と同等になる。
このため、切替弁350において、第2弁体352は、第2ポートP2側の圧力(クランク室140の圧力Pc)と第1ポートP1側の圧力(第1感圧室302の圧力Pc′)との差(静圧差)による力及び内部通路352dを逆流する冷媒流によって発生する動圧による力によって第1弁座305c33側へと移動し、第1弁部352aの後端側の端面352a1が第1弁座305c33に当接して第1ポートP1が閉じられる(第1ポートP1と第2ポートP2との連通が遮断される)と共に、第2弁部352bの先端側の端面352b1が第2弁座353bから離隔して第2ポートP2と第3ポートP3とが連通する。これにより、切替弁350とクランク室140との間の供給通路145aが吸入室141に連通し、第2排出通路146bが形成される。すなわち、切替弁350とクランク室140との間の供給通路145aが第2排出通路146bの一部として機能する。この結果、クランク室140と吸入室141とは、第1排出通路146a及び第2排出通路146bによって連通し、クランク室140と吸入室141とを連通する排出通路146の開度(通路断面積)が最大となる(図10参照)。
したがって、クランク室140内の冷媒が速やかに吸入室141に排出され、クランク室140の圧力が吸入室141の圧力と同等となる(低下する)。このため、斜板111の傾角が最大となって、ピストン136のストローク(すなわち、吐出容量)が最大となる。また、吐出逆止弁200が開いて、吐出室142内の冷媒が前記エアコンシステムの前記冷媒回路の高圧側へと流出する。
ここで、クランク室140内の冷媒が第2排出通路146bを介して吸入室141に排出されるとき、クランク室140内の潤滑油も冷媒と共に第2排出通路146bを介して吸入室141に排出され得る。吸入室141に排出された潤滑油は、前記エアコンシステムの前記冷媒回路(すなわち、可変容量圧縮機100の外部)へと流出してしまうので、吸入室141に排出される潤滑油の量が多くなると、クランク室140内の潤滑油が不足するおそれがある。したがって、可変容量圧縮機100の内部の潤滑性を長期間にわたって良好に維持するためには、クランク室140から吸入室141に排出される潤滑油の量を抑制する必要がある。
この点に関し、本実施形態において、第2排出通路146bの一部としても機能する、切替弁350とクランク室140との間の供給通路145aは、駆動軸110の軸線O(すなわち、可変容量圧縮機100の中心軸線)よりも下方でクランク室140に開口すると共にその一部が駆動軸110の軸線Oよりも上方に位置している。
具体的には、切替弁350とクランク室140との間の供給通路145aは、駆動軸110の軸線Oよりも下方に配置されて一端がクランク室140に開口すると共にクランク室140から離れる方向に延びて他端が閉塞された第6連通路101eと、一端(下端)が第6連通路101eの前記他端に接続されると共に駆動軸110の軸線Oよりも上方の位置まで延びて他端(上端)が閉塞された第5連通路101dと、介在部材IMの駆動軸110の軸線Oよりも上方の部位を貫通して第5連通路101dの他端(上端)に連通する第3貫通孔162と、第3貫通孔162から水平に延びた後に第4空間S4に向かって下方に延びて第3貫通孔162と第4空間S4とを接続する第4連通路104eと、を含んでいる(図3参照)。
このため、クランク室140から第2排出通路146bに排出された潤滑油の多くは、第5連通路101dを上昇する際に落下し及び/又は通路内面に衝突して落下し、切替弁350まで到達しない。また、落下した潤滑油は、切替弁350とクランク室140との間の供給通路145aが供給通路145の一部として機能する際に、クランク室140へと戻され得る。したがって、クランク室140から吸入室141に排出される潤滑油の量が抑制され得ると共にクランク室140内に保持される潤滑油の減少が抑制され得る。
特に、本実施形態において、第5連通路101dは、鉛直方向に延びる通路として形成されており、切替弁350とクランク室140との間の供給通路145aは、その途中に鉛直方向に延びる鉛直部を有している。このため、クランク室140から第2排出通路146bに排出された潤滑油がより落下し易くなり、クランク室140から吸入室141に排出される潤滑油の量が効果的に抑制され得る。
なお、第6連通路101eが本発明の「第1通路部」に相当し、第5連通路101dが本発明の「第2通路部」に相当し、第3貫通孔162、第4連通路104e及び第4空間S4によって形成される通路が本発明の「第3通路部」に相当する。
その後、吸入室141の圧力Psがモールドコイル314に流れる電流によって設定される圧力(設定圧力)まで低下すると、制御弁300が弁孔301c(供給通路145)を開く。すると、吐出室142内の冷媒が第1感圧室302に供給され、切替弁350においては、第1弁部352aの後端側に作用する第1ポートP1側の圧力が上昇して第2弁部352bの先端側に作用する吸入室141の圧力Psを上回る。このため、第2弁体352は、第2弁座353b側へと移動し、第1弁部352aの後端側の端面352a1が第1弁座305c33から離隔して第1ポートP1が開かれる(第1ポートP1と第2ポートP2とが連通する)と共に、第2弁部352bの先端側の端面352b1が第2弁座353bに当接して第2ポートP2と第3ポートP3との連通が遮断される。これにより、切替弁350とクランク室140との間の供給通路145aが、制御弁300の弁孔301cと切替弁350との間の供給通路145bを形成する第1感圧室302に連通する。すなわち、切替弁350とクランク室140との間の供給通路145aが供給通路145の一部として機能する。このため、クランク室140と吸入室141とは、第1排出通路146aのみによって連通し、クランク室140と吸入室141とを連通する排出通路146の開度(通路断面積)は最小となる(図11参照)。
したがって、制御弁300による弁孔301c(供給通路145)の開度(通路断面積)に応じてクランク室140内の圧力が上昇し、斜板111の傾角が減少してピストン136のストローク(吐出容量)が減少する。すなわち、可変容量圧縮機100が吐出容量制御状態となる。
[変形例1]
上述の実施形態において、第6連通路101eは、水平方向に延びる通路として形成されている。しかし、これに限られるものではない。例えば、図12(図3に相当する図)に示されるように、第6連通路101eがクランク室140に向かって下方に傾斜する傾斜通路として形成されてもよい。なお、必ずしも第6連通路101eの全体が傾斜している必要はなく、第6連通路101eの少なくとも一部がクランク室140に向かって下方に傾斜し、残りの部分が水平方向に延びてもよい。換言すれば、切替弁350とクランク室140との間の供給通路145aは、前記鉛直部よりもクランク室140側に、クランク室140に向かって下方に傾斜する傾斜部を有していればよい。このようにすると、落下した潤滑油がクランク室140に戻り易くなるので、クランク室140内に保持される潤滑油の減少がより効果的に抑制され得る。
[変形例2]
切替弁350とクランク室140との間の供給通路145aには、そこを流れる冷媒に含まれた異物を捕集するための異物捕集部が設けられてもよい。例えば、図13(図3に相当する図)に示されるように、第6連通路101eの前記他端(シリンダヘッド104側の端部)に連通する有底の第1異物捕集穴171、第5連通路101dの下端に連通する有底の第2異物捕集穴172、及び/又は、第4連通路104eとは反対側で第3貫通孔162に連通する有底の第3異物捕集穴173が前記異物捕集部として設けられ得る。
第1異物捕集穴171は、例えば、介在部材IMに形成された貫通孔とシリンダヘッド104のシリンダブロック101側の端面とによって形成され、クランク室140から吸入室141に向かう冷媒に含まれた異物を捕集する。第2異物捕集穴172は、例えば、第5連通路101dを形成するためのシリンダブロック101のシリンダヘッド104側の端面に形成された溝を下方に延長することによって形成される溝延長部と介在部材IMとによって形成され、吐出室142からクランク室140に向かう冷媒に含まれた異物を捕集する。第3異物捕集穴173は、例えば、第5連通路101dを形成するためのシリンダブロック101のシリンダヘッド104側の端面に形成された溝の上端近傍の底部に形成され、第2異物捕集穴172と同様に、吐出室142からクランク室140に向かう冷媒に含まれた異物を捕集する。このようにすると、可変容量圧縮機100内を流れる異物が低減され、各摺動部や各弁の動作不良が抑制され得る。
なお、第1異物捕集穴171及び第2異物捕集穴172が本発明の「第1通路部と第2通路部との接続部近傍に設けられた第1異物捕集部」に相当し、第3異物捕集穴173が本発明の「第2通路部と第3通路部との接続部近傍に設けられた第2異物捕集部」に相当する。
以上、本発明の実施形態及びその変形例について説明したが、本発明は上述の実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて更なる変形や変更が可能である。
100…可変容量圧縮機、101…シリンダブロック、101a…シリンダボア(圧縮部)、101d…第5連通路(第2通路部)、101e…第6連通路(第1通路部)、104…シリンダヘッド、104e…第4連通路(第3通路部)、110…駆動軸、136…ピストン(圧縮部)、140…クランク室(制御圧室)、141…吸入室、142…吐出室、145(145a,145b)…供給通路、146…排出通路、146a…第1排出通路、146b…第2排出通路、162…第3貫通孔(第3通路部)、171…第1異物捕集穴(異物捕集部)、172…第2異物捕集穴(異物捕集部)、173…第3異物捕集穴(異物捕集部)、250…弁装置、300…制御弁、350…切替弁、O…駆動軸の軸線(可変容量圧縮機の中心軸線)、S4…第4空間(第3通路部)

Claims (9)

  1. 冷媒が導かれる吸入室と、前記吸入室内の冷媒を吸入して圧縮する圧縮部と、前記圧縮部で圧縮された冷媒が吐出される吐出室と、内部圧力に応じて前記圧縮部の状態を変化させて吐出容量を変化させる制御圧室と、前記吐出室内の冷媒を前記制御圧室に供給するための供給通路であって、前記吐出室内の冷媒を前記制御圧室に供給しないときに前記制御圧室内の冷媒を前記吸入室に排出するための排出通路の一部としても機能する兼用通路部を有する前記供給通路と、を含む可変容量圧縮機であって、
    前記兼用通路部は、前記可変容量圧縮機の中心軸線よりも鉛直方向の下方で前記制御圧室に開口すると共にその一部が前記中心軸線よりも鉛直方向の上方に位置している、
    可変容量圧縮機。
  2. 前記兼用通路部は、その途中に鉛直方向に延びる鉛直部を有する、請求項1に記載の可変容量圧縮機。
  3. 前記兼用通路部は、前記鉛直部より前記制御圧室側に設けられて前記制御圧室に向かって鉛直方向の下方に傾斜する傾斜部を有する、請求項2に記載の可変容量圧縮機。
  4. 前記兼用通路部は、前記兼用通路部を流れる冷媒に含まれた異物を捕集するための異物捕集部を有する、請求項1〜3のいずれか一つに記載の可変容量圧縮機。
  5. 前記供給通路の途中に設けられた切替弁であって、前記切替弁と前記制御圧室との間の供給通路の連通先を前記切替弁よりも前記吐出室側の供給通路と前記吸入室との間で切り替えるように構成された前記切替弁を含み、
    前記兼用通路部は、前記切替弁と前記制御圧室との間の供給通路を含む、
    請求項1〜4のいずれか一つに記載の可変容量圧縮機。
  6. 前記兼用通路部は、
    前記中心軸線よりも鉛直方向の下方に配置され、一端が前記制御圧室に開口すると共に前記制御圧室から離れる方向に延びて他端が閉塞された第1通路部と、
    下端が前記第1通路部の他端側に接続されると共に前記中心軸線よりも上方の位置まで延びて上端が閉塞された第2通路部と、
    前記第2通路部の上端側の部位と前記切替弁とを接続する第3通路部と、
    を含む、請求項5に記載の可変容量圧縮機。
  7. 前記第1通路部は、前記制御圧室に向かって鉛直方向の下方に傾斜している、請求項6に記載の可変容量圧縮機。
  8. 前記第2通路部は、鉛直方向に延びている、請求項6又は7に記載の可変容量圧縮機。
  9. 前記兼用通路部は、前記兼用通路部を流れる冷媒に含まれた異物を捕集するための異物捕集部を有し、
    前記異物捕集部は、前記第1通路部と前記第2通路部との接続部近傍に設けられた第1異物捕集部及び前記第2通路部と前記第3通路部との接続部近傍に設けられた第2異物捕集部の少なくとも一方を含む、
    請求項6〜8のいずれか一つに記載の可変容量圧縮機。
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