本発明のアクリルゴムベールは、反応性基を有する重量平均分子量(Mw)が100,000〜5,000,000でアクリルゴムからなり、メチルエチルケトン不溶解なゲル量が50重量%以下で比重が0.9〜1.3の範囲であり、灰分量が0.5重量%以下であり、pHが6以下であることを特徴とする。
<単量体成分>
本発明のアクリルゴムベールは、反応性基を有するアクリルゴムからなる。
反応性基としては、格別な限定はなく使用目的に応じて適宜選択されるが、好ましくは、カルボキシル基、エポキシ基及びハロゲン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基であるときにアクリルゴムベールの架橋特性を高度に改善でき好適である。かかる反応性基を有するアクリルゴムとしては、アクリルゴムに後反応で反応性基を付与してもよいが、好ましくは反応性基含有単量体を共重合したものが好ましい。
本発明のアクリルゴムシートを構成するアクリルゴムとしては、また、(メタ)アクリル酸エステルを含むものが好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステルを含むものであることが好ましい。
好ましい反応性基を有するアクリルゴムの具体例としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステル、反応性基含有単量体、及び必要に応じて共重合可能なその他の単量体からなるものが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、格別な限定はないが、通常炭素数が1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、好ましくは炭素数1〜8のアルキルを有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、より好ましくは炭素数2〜6のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられ、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチルが好ましく、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチルがより好ましい。
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、格別な限定はないが、通常2〜12のアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、好ましくは2〜8のアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、より好ましくは炭素数2〜6のアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルコキシエステルである。
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチルなどが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどが好ましく、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシエチルがより好ましい。
これら(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステルは、それぞれ単独で、あるいは2種以上が組み合わせて用いられ、アクリルゴム中の割合は、通常50重量%以上、好ましくは70〜99.9重量%、より好ましくは80〜99.5重量%、最も好ましくは87〜99重量%である。単量体成分中の(メタ)アクリル酸エステル量が、過度に少ないと得られるアクリルゴムの耐候性、耐熱性、及び耐油性が低下するおそれがあり好ましくない。
反応性基含有単量体としては、格別な限定はなく使用目的に応じて適宜選択されるが、カルボキシル基、エポキシ基及びハロゲン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する単量体が好ましい。
カルボキシル基を有する単量体としては、格別な限定はないが、エチレン性不飽和カルボン酸を好適に用いることができる。エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、エチレン性不飽和モノカルボン酸、エチレン性不飽和ジカルボン酸、エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステルなどが挙げられ、これらの中でも特にエチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステルがアクリルゴムをゴム架橋物とした場合の耐圧縮永久歪み性をより高めることができ好ましい。
エチレン性不飽和モノカルボン酸としては、格別な限定はないが、炭素数3〜12のエチレン性不飽和モノカルボン酸が好ましく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸などを挙げることができる。
エチレン性不飽和ジカルボン酸としては、格別な限定はないが、炭素数4〜12のエチレン性不飽和ジカルボン酸が好ましく、例えば、フマル酸、マレイン酸などのブテンジオン酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸などを挙げることができる。なお、エチレン性不飽和ジカルボン酸は、無水物として存在しているものも含まれる。
エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステルとしては、格別な限定はないが、通常、炭素数4〜12のエチレン性不飽和ジカルボン酸と炭素数1〜12のアルキルモノエステル、好ましくは炭素数4〜6のエチレン性不飽和ジカルボン酸と炭素数2〜8のアルキルモノエステル、より好ましくは炭素数4のブテンジン酸の炭素数2〜6のアルキルモノエステルである。
エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステルの具体例としては、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノn−ブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノn−ブチル、フマル酸モノシクロペンチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸モノシクロヘキセニル、マレイン酸モノシクロペンチル、マレイン酸モノシクロヘキシルなどのブテンジオン酸モノアルキルエステル;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノn−ブチル、イタコン酸モノシクロヘキシルなどのイタコン酸モノアルキルエステル;などが挙げられ、これらの中でもフマル酸モノn−ブチル、マレイン酸モノn−ブチルが好ましく、フマル酸モノn−ブチルが特に好ましい。
エポキシ基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル;アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有ビニルエーテル;などが挙げられる。
ハロゲン基を有する単量体としては、例えば、ハロゲン含有飽和カルボン酸の不飽和アルコールエステル、(メタ)アクリル酸ハロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ハロアシロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸(ハロアセチルカルバモイルオキシ)アルキルエステル、ハロゲン含有不飽和エーテル、ハロゲン含有不飽和ケトン、ハロメチル基含有芳香族ビニル化合物、ハロゲン含有不飽和アミド、ハロアセチル基含有不飽和単量体などが挙げられる。
ハロゲン含有飽和カルボン酸の不飽和アルコールエステルとしては、例えば、クロロ酢酸ビニル、2−クロロプロピオン酸ビニル、クロロ酢酸アリルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸ハロアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸1−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸1,2−ジクロロエチル、(メタ)アクリル酸2−クロロプロピル、(メタ)アクリル酸3−クロロプロピル、(メタ)アクリル酸2,3−ジクロロプロピルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸ハロアシロキシアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−(クロロアセトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(クロロアセトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸3−(クロロアセトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸3−(ヒドロキシクロロアセトキシ)プロピルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸(ハロアセチルカルバモイルオキシ)アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−(クロロアセチルカルバモイルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−(クロロアセチルカルバモイルオキシ)プロピルなどが挙げられる。ハロゲン含有不飽和エーテルとしては、例えば、クロロメチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、3−クロロプロピルビニルエーテル、2−クロロエチルアリルエーテル、3−クロロプロピルアリルエーテルなどが挙げられる。ハロゲン含有不飽和ケトンとしては、例えば、2−クロロエチルビニルケトン、3−クロロプロピルビニルケトン、2−クロロエチルアリルケトンなどが挙げられる。ハロメチル基含有芳香族ビニル化合物としては、例えば、p−クロロメチルスチレン、m−クロロメチルスチレン、o−クロロメチルスチレン、p−クロロメチル−α−メチルスチレンなどが挙げられる。ハロゲン含有不飽和アミドとしては、例えば、N−クロロメチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。ハロアセチル基含有不飽和単量体としては、例えば、3−(ヒドロキシクロロアセトキシ)プロピルアリルエーテル、p−ビニルベンジルクロロ酢酸エステルなどが挙げられる。
これらの反応性基含有単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上が組み合わせて用いられ、アクリルゴム中の割合は、通常0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%、最も好ましくは1〜3重量%である。
必要に応じて用いられるその他の単量体としては、上記単量体と共重合可能であれば格別な限定はなく、例えば、芳香族ビニル、エチレン性不飽和ニトリル、アクリルアミド系単量体、その他のオレフィン系単量体などが挙げられる。芳香族ビニルとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。エチレン性不飽和ニトリルとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。アクリルアミド系単量体としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミドなどが挙げられる。その他のオレフィン系単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどが挙げられる。
これらのその他の単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせられて用いられ、アクリルゴム中の割合は、通常0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%、より好ましくは0〜15重量部、最も好ましくは0〜10重量部の範囲である。
<アクリルゴム>
本発明のアクリルゴムベールを構成するアクリルゴムは、反応性基を有することを特徴とする。
反応性基の含有量は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、反応性基自体の重量割合で、通常0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜3重量%、より好ましくは0.05〜1重量%、特に好ましくは0.1〜0.5重量%の範囲あるときに加工性、強度特性、耐圧縮永久歪み性、耐油性、耐寒性、及び耐水性などの特性が高度にバランスされ好適である。
本発明のアクリルゴムベールを構成するアクリルゴムの具体例としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステル、反応性基含有単量体、及び必要に応じてその他の共重合可能な単量体からなり、それぞれのアクリルゴム中の割合は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステル由来の結合単位が、通常50重量%以上、好ましくは70〜99.9重量%、より好ましくは80〜99.5重量%、特に好ましくは87〜99重量%の範囲であり、反応性基含有単量体由来の結合単位が、通常0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%、特に好ましくは1〜3重量%の範囲であり、その他の単量体由来の結合単位が、通常0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%、より好ましくは0〜15重量%、特に好ましくは0〜10重量%の範囲である。アクリルゴムのこれらの単量体由来の結合単位をこの範囲にすることにより本発明の目的が高度に達成できるとともにアクリルゴムベールを架橋物としたときに耐水性や耐圧縮永久歪み性を格段に改善され好適である。
本発明のアクリルゴムベールを構成するアクリルゴムの重量平均分子量(Mw)は、GPC−MALSで測定される絶対分子量で、100,000〜5,000,000、好ましくは500,000〜5,000,000、より好ましくは1,000,000〜5,000,000、特に好ましくは1,100,000〜3,500,000、最も好ましくは1,200,000〜2,500,000の範囲であるときにアクリルゴムベールの混合時の加工性、強度特性、及び圧縮永久歪みの特性が高度にバランスされ好適である。
本発明のアクリルゴムベールを構成するアクリルゴムのz平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)との比(Mz/Mw)は、格別限定されるものではないが、GPC−MALSで測定される絶対分子量分布で、通常1.3以上、好ましくは1.4〜5、より好ましくは1.5〜2の範囲であるときにアクリルゴムベールの加工性と強度特性が高度にバランスされ且つ保存時の物性変化を緩和でき好適である。
本発明のアクリルゴムベールを構成するアクリルゴムの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、格別な限定はないが、GPC−MALSで測定される絶対分子量分布で、通常1.1〜8、好ましくは1.2〜7、より好ましくは1.4〜6の範囲であるときにアクリルゴムベールの加工性、強度特性及び耐圧縮永久歪み性が高度にバランスされ好適である。
本発明のアクリルゴムベールを構成するアクリルゴムのガラス転移温度(Tg)は、格別限定されるものではないが、通常20℃以下、好ましくは10℃以下、より好ましくは0℃以下である。アクリルゴムのガラス転移温度(Tg)の下限値は、格別限定されるものではないが、通常−80℃以上、好ま−60℃以上、より好ましくは−40℃以上である。ガラス転移温度を前記下限以上とすることにより耐油性と耐熱性により優れたものとすることができ、前記上限以下とすることにより耐寒性と加工性により優れたものとすることができる。
本発明のアクリルゴムベール中のアクリルゴムの含有量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常95重量%以上、好ましくは97重量%以上、より好ましくは98重量%以上である。
<アクリルゴムベール>
本発明のアクリルゴムベールは、上記アクリルゴムからなり、且つゲル量と比重が特定であることを特徴とする。
本発明のアクリルゴムベールの大きさは、格別限定されるものではないが、幅が通常100〜800mm、好ましくは200〜500mm、より好ましくは250〜450mmの範囲で、長さが通常300〜1200mm、好ましくは400〜1000mm、より好ましくは500〜800mmの範囲で、高さが通常50〜500mm、好ましくは100〜300mm、より好ましくは150〜250mmの範囲である。
本発明のアクリルゴムベールのゲル量は、メチルエチルケトンの不溶解分で、50重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下、最も好ましくは5重量%以下であるときに、加工性が高度に改善され好適である。なお、本発明のアクリルゴムベール中のメチルエチルケトン不溶解分であるゲル量は、使用する溶媒により特性が異なり、特にTHF(テトラハイドロフラン)不溶解のゲル量とは相関していなかった。
本発明のアクリルゴムベールのゲル量を任意に20点測定したときの値は、格別限定されるものではないが、平均値±5の範囲内に20点全てが入る、好ましくは平均値±3の範囲内に20点全てが入るときに加工性バラツキが無くゴム混合物やゴム架橋物の諸物性が安定化されて好適である。
本発明のアクリルゴムべールの比重は、格別限定はないが、通常0.8以上、好ましくは0.8〜1.4、より好ましくは、0.9〜1.3、特に好ましくは0.95〜1.25、最も好ましくは1.0〜1.2の範囲であるときに保存安定性が高度に優れ好適である。アクリルゴムベールの比重が過度に小さいときは、アクリルゴムベール中に巻き込まれる空気量が多いことを示し酸化劣化など含めて保存安定性に大きく影響し好ましくない。
本発明のアクリルゴムベールの含水量は、格別な限定はないが、通常1重量%未満、好ましくは0.8重量%以下、より好ましくは0.6重量%以下であるときに加硫特性が最適化され耐熱性や耐水性などの特性が高度に優れ好適である。
本発明のアクリルゴムベールのpHは、格別な限定はないが、通常6以下、好ましくは2〜6、より好ましくは2.5〜5.5、特に好ましくは3〜5の範囲であるときに保存安定性が高度に改善され好適である。
本発明のアクリルゴムベールの灰分量は.格別限定されるものではないが、通常0.5重量%以下、好ましくは0.4重量%以下、より好ましくは0.3重量%以下、特に好ましくは0.2重量%以下、最も好ましくは0.15重量%以下であるときに、保存安定性や耐水性に優れ好適である。
本発明のアクリルゴムベールの灰分量の下限値は、格別限定されるものではないが、通常0.0001重量%以上、好ましくは0.0005重量%以上、より好ましくは0.001重量%以上、特に好ましくは0.005重量%以上、最も好ましくは0.01重量以上であるときに金属付着性が抑制され作業性に優れ好適である。
本発明のアクリルゴムベールの灰分中のナトリウム、イオウ、カルシウム、マグネシウム及びリンからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の含有量は、格別な限定はないが、全灰分量に対する割合で、通常少なくとも30重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上であるときに保存安定性と耐水性が高度に優れ好適である。
本発明のアクリルゴムベールの灰分中のナトリウムとイオウの合計量は、格別な限定はないが、全灰分量に対する割合で、通常30重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上であるときに保存安定性と耐水性が高度に優れ好適である。
本発明のアクリルゴムベールの灰分中のナトリウムとイオウとの比([Na]/[S])は、重量比で、0.4〜2.5、好ましくは0.6〜2、好ましくは0.8〜1.7、より好ましくは1〜1.5の範囲であるときに耐水性が高度に優れ好適である。
本発明のアクリルゴムベールの灰分中のマグネシウムとリンの合計量は、各別な限定はないが、全灰分量に対する割合で、通常30重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上であるときに保存安定性と耐水性が高度に優れ好適である。
本発明のアクリルゴムベールの灰分中のマグネシウムとリンとの比([Mg]/[P])は、重量比で、格別な限定は無いが、通常0.4〜2.5、好ましくは0.4〜1.3、より好ましくは0.4〜1、特に好ましくは0.45〜0.75である。
本発明のアクリルゴムベールの60℃におけるは([η]60℃)は、格別限定されるものではないが、通常15,000Pa・s以下、好ましくは2,000〜10,000Pa・s、より好ましくは2,500〜7,000Pa・s、最も好ましくは2,700〜5,500Pa・sの範囲にあるとき加工性、耐油性及び形状保持性に優れ好適である。
本発明のアクリルゴムベールの100℃における複素粘性率([η]100℃)は、格別限定されるものではないが、通常1,500〜6,000Pa・s、好ましくは2,000〜5,000Pa・s、より好ましくは2,500〜4,000Pa・s、最も好ましくは2,500〜3,500Pa・sの範囲であるときに加工性、耐油性、及び形状保持性に優れ好適である。
本発明のアクリルゴムベールの100℃における複素粘性率([η]100℃)と60℃における複素粘性率([η]60℃)との比([η]100℃/[η]60℃)は、格別限定はないが、通常0.5以上、好ましくは0.5〜0.98、より好ましくは0.6〜0.95、最も好ましくは0.75〜0.93の範囲であるときに加工性、耐油性、及び形状保持性が高度にバランスされ好適である。
本発明のアクリルゴムベールのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、格別限定されるものではないが、通常10〜150、好ましくは20〜100、より好ましくは25〜70の範囲であるときに加工性や強度特性が高度にバランスされ好適である。
<アクリルゴムベールの製造方法>
上記アクリルゴムベールの製造方法は、格別限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステルと反応性基含有単量体とを含む単量体成分を水と乳化剤とでエマルジョン化し重合触媒存在下に乳化重合し乳化重合液を得る乳化重合工程と、
得られた乳化重合液と凝固液を接触させて含水クラムを生成する凝固工程と、
生成した含水クラムを洗浄する洗浄工程と、
洗浄した含水クラムを、脱水スリットを有する脱水バレルと減圧下の乾燥バレルと先端部にダイを有するスクリュー型押出機を用いて脱水バレルで含水量1〜40重量%まで脱水した後に乾燥バレルで含水量1重量%未満まで乾燥してシート状乾燥ゴムをダイから押し出す脱水・乾燥・成形工程と、
押し出されたシート状乾燥ゴムを積層してベール化するベール化工程と、
を含むことで本発明に係るアクリルゴムベールを容易に製造することができる。
(乳化重合工程)
本発明のアクリルゴムベールの製造方法における乳化重合工程は、(メタ)アクリル酸エステルと反応性基含有単量体とを含む単量体成分を水と乳化剤とでエマルジョン化し重合触媒存在下に乳化重合し乳化重合液を得る工程である。
使用される単量体成分は、前記単量体成分で記載されたものと同様であり、使用量は前記アクリルゴムベールを構成するアクリルゴムの単量体組成になるように適宜選択されればよく、通常は、前記アクリルゴムベールを構成するアクリルゴムの単量体組成と同等の量である。
使用される乳化剤としては、格別な限定はなく常法に従えばよいが、例えば、アニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤などを挙げることができる。これらの中でも、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤が好ましく、アニオン性乳化剤がより好ましく、リン酸系乳化剤、硫酸系乳化剤が特に好ましく、リン酸系乳化剤が最も好ましい。
アニオン性乳化剤としては、通常使用されるものを格別な限定なく使用され、例えば、脂肪酸系乳化剤、スルホン酸系乳化剤、スルホコハク酸系乳化剤、硫酸系乳化剤、リン酸系乳化剤などが挙げられ、好ましくは硫酸系乳化剤である。
脂肪酸系乳化剤としては、例えば、オクタン酸ナトリウム、デカン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウムなどが挙げられる。
スルホン酸系乳化剤としては、例えば、ヘキサンスルホン酸ナトリウム、オクタンスルホン酸ナトリウム、デカンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸ナトリウム、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムなどを挙げることができる。
スルホコハク酸系乳化剤としては、例えば、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウムなどを挙げることができる。
硫酸系乳化剤としては、格別な限定はなく常法に従えばよいが、硫酸エステル塩が好適に用いることができる。硫酸エステル塩としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸ナトリウムなどが挙げられ、好ましくはラウリル硫酸ナトリウムである。
リン酸系乳化剤としては、例えば、ラウリルリン酸ナトリウム、ラウリルリン酸カリウム、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルナトリウムなどが挙げることができる。
カチオン性乳化剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルアンモニウムクロライド、ベンジルアンモニウムクロライドなどを挙げることができる。
ノニオン性乳化剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンステアリン酸エステルなどのポリオキシアルキレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンドデシルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル;ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステルなどを挙げることができ、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテルが好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテルがより好ましい。
これら乳化剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、単量体成分100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは1〜3重量部の範囲である。
単量体成分と水と乳化剤との混合方法としては、常法に従えばよく、単量体と乳化剤と水とをホモジナイザーやディスクタービンなどの撹拌機などを用いて撹拌する方法などが挙げられる。水の使用量は、単量体成分100重量部に対して、通常10〜750重量部、好ましくは50〜500重量部、より好ましくは100〜400重量部の範囲である。
使用される重合触媒としては、乳化重合で通常使われるものであれば格別な限定はないが、例えば、ラジカル発生剤と還元剤とからなるレドックス触媒を用いることができる。
ラジカル発生剤としては、例えば、過酸化物、アゾ化合物などが挙げられ、好ましくは過酸化物である。過酸化物としては、無機系過酸化物や有機系過酸化物が用いられる。
無機系過酸化物としては、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、過硫酸アンモニウムなどが挙げられ、これらの中でも過硫酸カリウム、過酸化水素、過硫酸アンモニウムが好ましく、過硫酸カリウムが特に好ましい。
有機系過酸化物としては、乳化重合で使用される公知のものであれば格別な限定は無く、例えば、2,2−ジ(4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン、1−ジ−(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)吉草酸n−ブチル、2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラエチルブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、ジイソブチリルパーオキサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジコハク酸パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ベンゾイル(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジイソブチリルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカネート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート、t−ヘキスルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブイチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンなどが挙げられ、これらの中でもジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどが好ましい。
アゾ化合物としては、例えば、アゾビスイソプチロニトリル、4,4'−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン、2,2'−アゾビス(プロパン−2−カルボアミジン)、2,2'−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロパンアミド]、2,2'−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}、2,2'−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)及び2,2'−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロパンアミド}などが挙げられる。
これらのラジカル発生剤は、それぞれ単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、単量体成分100重量部に対して、通常0.0001〜5重量部、好ましくは0.0005〜1重量部、より好ましくは0.001〜0.5重量部の範囲である。
還元剤としては、乳化重合のレドックス触媒で使用されるものであれば格別な限定なく用いることができるが、本発明においては、特に少なくとも2種の還元剤を用いることが好ましい。少なくとも2種の還元剤としては、例えば、還元状態にある金属イオン化合物とそれ以外の還元剤の組み合わせが好適である。
還元状態にある金属イオン化合物としては、特に限定されないが、例えば、硫酸第一鉄、ヘキサメチレンジアミン四酢酸鉄ナトリウム、ナフテン酸第一銅などが挙げられ、これらの中でも硫酸第一鉄が好ましい。これらの還元状態にある金属イオン化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、単量体成分100重量部に対して、通常0.000001〜0.01重量部、好ましくは0.00001〜0.001重量部、より好ましくは0.00005〜0.0005重量部の範囲である。
それらの還元状態にある金属イオン化合物以外の還元剤としては、特に限定はないが、例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウムなどのアスコルビン酸又はその塩;エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸カリウムなどのエリソルビン酸又はその塩;ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウムなどのスルフィン酸塩;亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、アルデヒド亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウムの亜硫酸塩;ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸水素カリウムなどのピロ亜硫酸塩;チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウムなどのチオ硫酸塩;亜燐酸、亜燐酸ナトリウム、亜燐酸カリウム、亜燐酸水素ナトリウム、亜燐酸水素カリウムの亜燐酸又はその塩;ピロ亜燐酸、ピロ亜燐酸ナトリウム、ピロ亜燐酸カリウム、ピロ亜燐酸水素ナトリウム、ピロ亜燐酸水素カリウムなどのピロ亜燐酸又はその塩;ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートなどが挙げられる。これらの中でも、アルコルビン酸又はその塩、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートなどが好ましく、特にアスコルビン酸又はその塩が好ましい。
これらの還元状態にある金属イオン化合物以外の還元剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、単量体成分100重量部に対し、通常0.001〜1重量部、好ましくは0.005〜0.5重量部、より好ましくは0.01〜0.3重量部の範囲である。
還元状態にある金属イオン化合物とそれ以外の還元剤との好ましい組み合わせは、硫酸第一鉄とアスコルビン酸若しくはその塩及び/又はナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートで、より好ましくは硫酸第一鉄とアスコルビン酸塩及び/又はナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、最も好ましくは硫酸第一鉄とアルコルビン酸塩の組合せである。この時の、硫酸第一鉄の使用量は、単量体成分100重量部に対して、通常0.000001〜0.01重量部、好ましくは0.00001〜0.001重量部、より好ましくは0.00005〜0.0005重量部の範囲で、アスコルビン酸若しくはその塩及び/又はナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートの使用量は、単量体成分100重量部に対し、通常0.001〜1重量部、好ましくは0.005〜0.5重量部、より好ましくは0.01〜0.3重量部の範囲である。
乳化重合反応における水の使用量は、前記単量体成分エマルジョン化時に使用したものだけでもよいが、重合に用いる単量体成分100重量部に対して、通常10〜1000重量部、好ましくは50〜500重量部、より好ましくは80〜400重量部、最も好ましくは100〜300重量部の範囲になるように調整される。
乳化重合反応は、常法に従えばよく、回分式、半回分式、連続式のいずれでもよい。重合温度及び重合時間は、特に限定されず、使用する重合開始剤の種類などから適宜選択できる。重合温度は、通常0〜100℃、好ましくは5〜80℃、より好ましくは10〜50℃の範囲であり、重合時間は通常0.5〜100時間、好ましくは1〜10時間である。
乳化重合反応の重合転化率は、格別限定はないが、通常80重量%以上、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上であるときに製造されるアクリルゴムベールの強度特性に優れ且つ単量体臭も無く好適である。重合停止に当たっては、重合停止剤を使用してもよい。
(凝固工程)
本発明のアクリルゴムシートの製造方法における凝固工程としては、上記得られた乳化重合液を撹拌している凝固液(凝固剤含有水溶液)に添加して含水クラムを生成させることを特徴とする。
凝固工程で使用される乳化重合液の固形分濃度は、格別な限定はないが、通常5〜50重量%、好ましくは10〜45重量%、より好ましくは20〜40重量%の範囲に調整される。
使用される凝固剤としては、特に限定されないが、通常は金属塩が用いられる。金属塩としては、例えば、アルカリ金属、周期表第2族金属塩、その他の金属塩などが挙げられ、好ましくはアルカリ金属塩、周期表第2族金属塩、より好ましくは周期表第2族金属塩、特に好ましくはマグネシウム塩である。
アルカリ金属塩としては、例えば、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウムなどのナトリウム塩;塩化カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウムなどのカリウム塩;塩化リチウム、硝酸リチウム、硫酸リチウムなどのリチウム塩などが挙げられ、これらの中でもナトリウム塩が好ましく、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムが特に好ましい。
周期表第2族金属塩としては、例えば、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウムなどが挙げられ、好ましくは塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、より好ましくは硫酸マグネシウムである。
その他の金属塩としては、例えば、塩化亜鉛、塩化チタン、塩化マンガン、塩化鉄、塩化コバルト、塩化ニッケル、塩化アルミニウム、塩化スズ、硝酸亜鉛、硝酸チタン、硝酸マンガン、硝酸鉄、硝酸コバルト、硝酸ニッケル、硝酸アルミニウム、硝酸スズ、硫酸亜鉛、硫酸チタン、硫酸マンガン、硫酸鉄、硫酸コバルト、硫酸ニッケル、硫酸アルミニウム、硫酸スズなどが挙げられる。
これらの凝固剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、単量体成分100重量部に対し、通常0.01〜100重量部、好ましくは0.1〜50重量部、より好ましくは1〜30重量部の範囲である。凝固剤がこの範囲にあるときに、アクリルゴムの凝固を充分なものとしながら、アクリルゴムベールを架橋した場合の耐圧縮永久歪み性や耐水性を高度に向上させることができるので好適である。
凝固液の凝固剤濃度は、通常0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜15重量%、より好ましくは1〜10重量%、特に好ましくは1.5〜5重量%の範囲であるときに生成する含水クラムの粒径を特定の領域に且つ均一に集束でき好適である。
凝固液の温度は、格別限定はないが、通常40℃以上、好ましくは40〜90℃、より好ましくは50〜80℃の範囲であるときに均一な含水クラムが生成され好適である。
撹拌されている凝固液の撹拌数(回転数)は、すなわち、撹拌装置の撹拌翼の回転数で、格別な限定はないが、通常100rpm以上、好ましくは200〜1000rpm、より好ましくは300〜900rpm、特に好ましくは400〜800rpmの範囲である。回転数はある程度激しく撹拌される回転数である方が、生成する含水クラム粒径を小さく且つ均一にでき好適であり、前記下限以上とすることにより、クラム粒径が過度に大きいものと小さいものとが生成するのを抑制でき、前記上限以下とすることにより、凝固反応の制御をより容易にできる。
撹拌されている凝固液の周速は、すなわち、撹拌装置の撹拌翼の外周の速度は、格別な限定はないが、一定程度まで激しく撹拌されている方が生成する含水クラム粒径を小さく且つ均一にでき好適で、通常0.5m/s以上、好ましくは1m/s以上、より好ましくは1.5m/s以上、特に好ましくは2m/s以上最も好ましくは2.5m/s以上である。一方周速の上限値は、格別限定されるものではないが、通常50m/s以下、好ましくは30m/s以下、より好ましくは25m/s以下、最も好ましくは20m/s以下であるときに凝固反応の制御が容易になり好適である。
凝固工程における凝固反応の上記条件(接触方法、乳化重合液の固形分濃度、凝固液の濃度及び温度、凝固液の撹拌時の回転数及び周速、など)を特定範囲にすることで、生成する含水クラムの形状及びクラム径が均一で且つ集束化され、洗浄及び脱水時の乳化剤や凝固剤の除去が格段に向上し好適である。
(洗浄工程)
本発明のアクリルゴムベールの製造方法における洗浄工程は、上記生成した含水クラムを水で洗浄する工程である。
洗浄方法としては、格別限定されるものでなく常法に従えばよく、例えば、生成した含水クラムを多量の水と混合して行うことができる。
使用する水の量としては、特に限定されないが、前記単量体成分100重量部に対して、水洗1回当たりの量が、通常50重量部以上、好ましくは50〜15,000重量部、より好ましくは100〜10,000重量部、特に好ましくは150〜5,000重量部の範囲であるときに、アクリルゴム中の灰分量を効果的に低減することができ好適である。
水洗する水の温度としては、格別限定されるものではないが、温水を使うのが好ましく、通常40℃以上、好ましくは40〜100℃、より好ましくは50〜90℃、最も好ましくは60〜80℃のときに洗浄効率を格段に上げることができ好適である。
洗浄水の温度を前記下限以上とすることにより、乳化剤や凝固剤が含水クラムから遊離して洗浄効率がより向上する。
洗浄時間としては、格別な限定はないが、通常1〜120分、好ましくは2〜60分、より好ましくは3〜30分の範囲である。
洗浄回数としては、特に限定されず、通常1〜10回、好ましくは複数回、より好ましくは2〜3回である。なお、最終的に得られるアクリルゴム中の凝固剤の残留量を低減するという観点からは、水洗回数が多い方が望ましいが、前記含水クラムの形状及び含水クラム径を特定にすること及び/又は洗浄温度を前記範囲にすることで洗浄回数を格段に低減できる。
(脱水・乾燥・成形工程)
本発明のアクリルゴムベールの製造方法における脱水・乾燥・成形工程は、上記洗浄した含水クラムを、脱水スリットを有する脱水バレルと減圧下の乾燥バレルと先端部にダイを有するスクリュー型押出機を用いて脱水バレルで含水量1〜40重量%まで脱水した後に乾燥バレルで1重量%未満まで乾燥してシート状乾燥ゴムをダイから押し出すことを特徴とする。
本発明においては、スクリュー型押出機に供給される含水クラムは、洗浄後に遊離水を除去(水切り)したものであることが好ましい。
水切り工程
本発明のアクリルゴムベールの製造方法において、上記水洗工程の後及び脱水・乾燥工程の前に、洗浄後の含水クラムから水切り機で遊離水を分離する水切り工程を設けることが脱水効率を上げる上で好適である。
水切り機としては、公知のものを格別な限定なく用いることができ、例えば、金網、スクリーン、電動篩機などが挙げられ、好ましくは金網、スクリーンである。
水切り機目開きは、格別限定はないが、通常0.01〜5mm、好ましくは0.1〜1mm、より好ましくは0.2〜0.6mmの範囲であるときに、含水クラム損出が少なく且つ水切りが効率的にでき好適である。
水切り後の含水クラムの含水量、すなわち脱水・乾燥工程に投入される含水クラムの含水量は、格別限定されるものではないが、通常50〜80重量%、好ましくは50〜70重量%、より好ましくは50〜60重量%の範囲である。
水切り後の含水クラムの温度、すなわち脱水・乾燥工程に投入される含水クラムの温度は、格別限定されるものではないが、通常40℃以上、好ましくは40〜100℃、より好ましくは50〜90℃、特に好ましくは55〜85℃、最も好ましくは60〜80℃の範囲であるときに、本発明のアクリルゴムのように比熱が1.5〜2.5KJ/kg・Kと高く温度を上げにくい含水クラムをスクリュー型押出機を用いて効率よく脱水・乾燥でき好適である。
含水クラムの脱水(脱水バレル部)
含水クラムの脱水は、脱水スリットを有する脱水バレルで行われる。脱水スリットの目開きは、使用条件に応じて適宜選択されればよいが、通常0.01〜5mm、好ましくは0.1〜1mm、より好ましくは0.2〜0.6mmの範囲であるときに、含水クラム損出が少なく且つ断水クラムの脱水が効率的にでき好適である。
スクリュー型押出機における脱水バレルの数は、格別限定されるものではないが、通常複数個、好ましくは2〜10個、より好ましくは3〜6個であるときに粘着性のアクリルゴムの脱水を効率よく行う上で好適である。
脱水バレルにおける含水クラムからの水の除去は、脱水スリットから液状で除去するもの(排水)、蒸気状で除去するもの(排蒸気)の二通りがあるが、本発明においては、排水は脱水、排蒸気は予備乾燥と定義して区別する。
脱水バレルを複数個備えるスクリュー型押出機を用いて行う場合は、排水及び排蒸気を組み合わせることで粘着性アクリルゴムの排水(脱水)と含水量低下が効率よくでき好適である。脱水バレルを3個以上備えるスクリュー型押出機の排水型脱水バレルか排蒸気型脱水バレルかの選択は、使用目的に応じて適宜行えばよいが、通常製造されるアクリルゴム中の灰分量を少なくする場合は排水型バレルを多くし、例えば脱水バレルが3個ある場合は排水型バレルを2個、脱水バレルが4個ある場合は排水型バレルを3個などと適宜選択する。
脱水バレルの設定温度は、アクリルゴムの種類、灰分量、含水量、及び操業条件などにより適宜選択されるが、通常60〜150℃、好ましくは70〜140℃、より好ましくは80〜130℃の範囲である。排水状態で脱水する脱水バレルの設定温度は、通常60℃〜120℃、好ましくは70〜110℃、より好ましくは80〜100℃である。排蒸気状態で乾燥する脱水バレルの設定温度は、通常100〜150℃、好ましくは105〜140℃、より好ましくは110〜130℃の範囲である。
含水クラムから水分を絞り出す排水型の脱水後の含水量としては、格別な限定はないが、通常1〜45重量%、好ましくは1〜40重量%、より好ましくは5〜35重量%、特に好ましくは10〜35重量%であるときに生産性と灰分除去効率とが高度にバランスされ好適である。
粘着性のアクリルゴムの脱水は、遠心分離機などを用いて行うと脱水スリット部にアクリルゴムが付着してしまい殆ど脱水できないが(含水量は約45〜55重量%程度まで)、本発明において、脱水スリットを有しスクリューで強制的に絞られるスクリュー型押出機を用いることによりここまで含水量を低減できるようになった。
排水型脱水バレルと排蒸気型脱水バレルとを備える場合の含水クラムの脱水は、排水型脱水バレル部における排水後の含水量が通常5〜45重量%、好ましくは10〜40重量%、より好ましくは15〜35重量%、排蒸気型脱水バレル部における予備乾燥後の含水量が、通常1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%である。
脱水後の含水量を前記下限以上とすることにより、脱水時間を短縮できてアクリルゴムの変質を抑制でき、前記上限以下とすることにより灰分量を十分に低減することができる。
含水クラムの乾燥(乾燥バレル部)
上記脱水後の含水クラムの乾燥は、減圧下の乾燥バレル部で行うことを特徴とする。
乾燥バレルの減圧度は、適宜選択されればよいが、通常1〜50kPa,好ましくは2〜30kPa、より好ましくは3〜20kPaであるときに効率よく含水クラムを乾燥でき好適である。
乾燥バレルの設定温度は、適宜選択されればよいが、通常100〜250℃、好ましくは110〜200℃、より好ましくは120〜180℃の範囲であるときに、アクリルゴムのヤケや変質がなく効率よく乾燥ができ且つアクリルゴムのゲル量を低減でき好適である。
スクリュー型押出機における乾燥バレルの数は、格別限定されるものではないが、通常複数個、好ましくは2〜10個、より好ましくは3〜8個である。乾燥バレルが複数個有する場合の減圧度は、全ての乾燥バレルで近似した減圧度にしてもよいし、変えてもよい。乾燥バレルが複数個有する場合の設定温度は、全ての乾燥バレルで近似した温度にしてもよいし変えてもよいが、導入部(脱水バレルに近い方)の温度よりも排出部(ダイに近い方)の温度の方が高くするのが乾燥効率を上げることができ好適である。
乾燥後の乾燥ゴムの含水量は、通常1重量%未満、好ましくは0.8重量%以下、より好ましくは0.6重量%以下である。本発明においては、特にスクリュー型押出機内で乾燥ゴムの含水量がこの値(殆ど水が除去された状態)にして溶融押出しされることがアクリルゴムベールのゲル量を低減でき好適である。
アクリルゴムの形状(ダイ部)
上記脱水バレル及び乾燥バレルのスクリュー部で脱水・乾燥されたアクリルゴムは、スクリューの無い整流のダイ部に送られる。スクリュー部とダイ部の間には、ブレーカープレートや金網を設けてもよいし、設けなくてもよい。
押出される乾燥ゴムは、ダイ形状を略長方形状にしてシート状に出すことにより空気の巻き込みが少なく比重の大きい保存安定性に優れる乾燥ゴムが得られ好適である。
ダイ部における樹脂圧は、格別限定されないが、通常0.1〜10MPa、好ましくは0.5〜5MPa、より好ましくは1〜3MPaの範囲としたときに、空気の巻き込みが少なく(比重が高く)且つ生産性に優れ好適である。
スクリュー型押出機及び操業条件
使用されるスクリュー型押出機のスクリュー長(L)は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常3000〜15000mm、好ましくは4000〜10000mm、より好ましくは4500〜8000mmの範囲である。
使用されるスクリュー型押出機のスクリュー径(D)は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常50〜250mm、好ましくは100〜200mm、より好ましくは120〜160mmの範囲である。
使用されるスクリュー型押出機のスクリュー長(L)とスクリュー径(D)との比(L/D)は、格別限定されるものではないが、通常10〜100、好ましくは20〜80、より好ましくは30〜60の範囲であるときに乾燥ゴムの分子量低下や焼けを起こさずに含水量を1重量%未満に出来好適である。
使用されるスクリュー型押出機の回転数(N)は、諸条件に応じて適宜選択されればよいが、通常10〜1000rpm、好ましくは50〜750rpm、より好ましくは100〜500rpm、最も好ましくは120〜300rpmであるときに、アクリルゴムの含水量とゲル量を効率よく低減でき好適である。
使用されるスクリュー型押出機の押出量(Q)は、格別限定されないが、通常100〜1,500kg/hr、好ましくは300〜1200kg/hr、より好ましくは400〜1000kg/hr、最も好ましくは500〜800kg/hrの範囲である。
使用されるスクリュー型押出機の押出量(Q)と回転数(N)の比(Q/N)は、格別限定されるものではないが、通常2〜10、好ましくは3〜8、より好ましくは4〜6の範囲である。
シート状乾燥ゴム
スクリュー型押出機から押し出される乾燥ゴムの形状は、シート状であり、この時に空気の巻き込きこまず比重を大きくでき保存安定性が高度に改善され好適である。スクリュー型押出機から押し出されるシート状乾燥ゴムは、通常、冷却され切断されてアクリルゴムシートとして使用される。
スクリュー型押出機から押し出されるシート状乾燥ゴムの厚さは、格別な限定はないが、通常1〜40mm、好ましくは2〜35mm、より好ましくは3〜30mm、最も好ましくは5〜25mmの範囲であるときに作業性、生産性に優れ好適である。特にシート状乾燥ゴムの熱伝導度が0.15〜0.35W/mKと低いために冷却効率を上げ生産性を格段に向上させる場合のシート状乾燥ゴムの厚さは、通常1〜30mm、好ましくは2〜25mm、より好ましくは3〜15mm、特に好ましくは4〜12mmの範囲である。
スクリュー型押出機から押し出されるシート状乾燥ゴムの幅は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常300〜1200mm、好ましくは400〜1000mm、より好ましくは500〜800mmの範囲である。
スクリュー型押出機から押し出される乾燥ゴムの温度は、格別限定されるものではないが、通常100〜200℃、好ましくは110〜180℃、より好ましくは120〜160℃の範囲である。
スクリュー型押出機から押し出される乾燥ゴムの含水量は、1重量%未満、好ましくは0.8重量%以下、より好ましくは0.6重量%以下である。
スクリュー型押出機から押し出されるシート状乾燥ゴムの100℃における複素粘性率([η]100℃)は、格別限定されるものではないが、通常1,500〜6,000Pa・s、好ましくは2,000〜5,000Pa・s、より好ましくは2,500〜4,000Pa・s、最も好ましくは2,500〜3,500Pa・sの範囲であるときに、シートとしての押出性と形状保持性とが高度にバランスされ好適である。すなわち、下限以上とすることにより押出性により優れるものとでき、上限以下とすることによりシート状乾燥ゴムの形状の崩れや破断を抑制できる。
本発明においては、スクリュー型押出機から押し出されたシート状乾燥ゴムは、切断後に積層してベール化するのが巻き込む空気量も少なく保存安定性に優れ好適である。シート状乾燥ゴムの切断は、格別な限定はないが、本発明のアクリルゴムベールのアクリルゴムは粘着性が強いことから、空気を巻き込まずに連続的に切断するために、シート状乾燥ゴムを冷却してから行うのが好ましい。
シート状乾燥ゴムの切断温度は、格別な限定はないが、通常60℃以下、好ましくは55℃以下、より好ましくは50℃以下であるときに、切断性と生産性とが高度にバランスされ好適である。
シート状乾燥ゴムの60℃における複素粘性率([η]60℃)は、格別限定されるものではないが、通常15,000Pa・s以下、好ましくは2,000〜10,000Pa・s、より好ましくは2,500〜7,000Pa・s、最も好ましくは2,700〜5,500Pa・sの範囲にあるときに空気を巻き込まずに且つ連続的に切断ができ好適である。
シート状乾燥ゴムの100℃における複素粘性率([η]100℃)と60℃における複素粘性率([η]60℃)との比([η]100℃/[η]60℃)は、格別限定はないが、通常0.5以上、好ましくは0.5〜0.98、より好ましくは0.6〜0.95、最も好ましくは0.75〜0.93の範囲であるときに空気巻き込み性が少なく、且つ切断と生産性が高度にバランスされ好適である。
シート状乾燥ゴムの冷却方法としては、格別限定はなく室温に放置してもよいが、シート状乾燥ゴムの熱伝導度が0.15〜0.35W/mKと非常に小さいために、送風あるいは冷房下での空冷方式、水を吹き付ける水かけ方式、水中に浸漬する浸漬方式などの強制冷却が生産性を上げるために好ましく、特に送風あるいは冷下での空冷方式が好適である。
シート状乾燥ゴムの空冷方式では、例えば、スクリュー型押出機からベルトコンベアなどの搬送機上にシート状乾燥ゴムを押し出し、冷風を吹き付ける中で搬送し冷却することができる。冷風の温度は、格別限定されるものではないが、通常0〜25℃、好ましくは5〜25℃、より好ましくは10〜20℃の範囲である。冷却される長さは、格別限定はないが、通常5〜500m、好ましくは10〜200m、より好ましくは20〜100mの範囲である。シート状乾燥ゴムの冷却速度は、格別限定されるものではないが、通常50℃/hr以上、より好ましくは100℃/hr以上、より好ましくは150℃/hr以上であるときに切断が特に容易になり好適である。
シート状乾燥ゴムの切断長さは、格別な限定はなく製造するアクリルゴムベールの大きさに合わせて適宜選択すればよいが、通常100〜800mm、好ましくは200〜500mm、より好ましくは250〜450mmの範囲である。
(ベール化工程)
本発明のアクリルゴムベールの製造方法におけるベール化工程は、上記シート状乾燥ゴムを積層してベール化するものである。
シート状乾燥ゴムの積層温度は、格別限定はないが、通常30℃以上、好ましくは35℃以上、より好ましくは40℃以上であるときに積層時に巻き込まれる空気を逃がすことができ好適である。積層枚数は、アクリルゴムベールの大きさあるいは重さに応じて適宜選択されればよい。
かくして得られる本発明のアクリルゴムベールは、クラム状アクリルゴムに比べ操作性や保存安定性に優れ、アクリルゴムベールをそのまま、あるいは必要量を切断してバンバリー、ロールなどの混合機に投入して用いることができる。
<ゴム混合物>
本発明のゴム混合物は、前記アクリルゴムベールに、充填剤、架橋剤を混合してなることを特徴とする。
充填剤としては、格別な限定はないが、例えば、補強性充填剤、非補強性充填剤などが挙げられ、好ましくは補強性充填剤である。
補強性充填剤としては、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、及びグラファイトなどのカーボンブラック;湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカなどのシリカ;などを挙げることができる。非補強性充填剤としては、石英粉末、ケイソウ土、亜鉛華、塩基性炭酸マグネシウム、活性炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、二酸化チタン、タルク、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどを挙げることができる。
これらの充填剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、本発明の効果を損ねない範囲で適宜選択され、アクリルゴムベール100重量部に対して、通常1〜200重量部、好ましくは10〜150重量部、より好ましくは20〜100重量部の範囲である。
架橋剤としては、アクリルゴムベールを構成するアクリルゴムに含有される反応性基の種類や用途に応じて適宜選択されればよいが、アクリルゴムベールを架橋できるものであれば格別限定はされず、例えば、ジアミン化合物などの多価アミン化合物、及びその炭酸塩;硫黄化合物;硫黄供与体;トリアジンチオール化合物;多価エポキシ化合物;有機カルボン酸アンモニウム塩;有機過酸化物;多価カルボン酸;四級オニウム塩;イミダゾール化合物;イソシアヌル酸化合物;有機過酸化物;トリアジン化合物;などの従来公知の架橋剤を用いることができる。これらの中でも、多価アミン化合物、カルボン酸アンモニウム塩、ジチオカルバミン酸金属塩及びトリアジンチオール化合物が好ましく、ヘキサメチレンジアミンカーバメート、2,2'−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、安息香酸アンモニウム、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジンが特に好ましい。
使用するアクリルゴムベールがカルボキシル基含有アクリルゴムで構成される場合は、架橋剤として、多価アミン化合物、及びその炭酸塩を用いることが好ましい。多価アミン化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカーバメート、N,N'−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミンなどの脂肪族多価アミン化合物;4,4'−メチレンジアニリン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、4,4'−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2'−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、4,4'−ジアミノベンズアニリド、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3,5−ベンゼントリアミンなどの芳香族多価アミン化合物;などが挙げられる。これらの中でも、ヘキサメチレンジアミンカーバメート、2,2'−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパンなどが好ましい。
使用するアクリルゴムベールがエポキシ基含有アクリルゴムで構成される場合は、架橋剤として、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカーバメートなどの脂肪族多価アミン化合物、及びその炭酸塩;4,4'−メチレンジアニリンなどの芳香族多価アミン化合物;安息香酸アンモニウム、アジピン酸アンモニウムなそのカルボン酸アンモニウム塩;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛などのジチオカルバミン酸金属塩;テトラデカン二酸などの多価カルボン酸;セチルトリメチルアンモニウムブロマイドなどの四級オニウム塩;2−メチルイミダゾールなどのイミダゾール化合物;イソシアヌル酸アンモニウムなどのイソシアヌル酸化合物;などを用いることができ、これらの中でもカルボン酸アンモニウム塩及びジチオカルバミン酸金属塩が好ましく、安息香酸アンモニウムがより好ましい。
使用するアクリルゴムベールがハロゲン原子含有アクリルゴムで構成される場合は、架橋剤として、硫黄、硫黄供与体、トリアジンチオール化合物を用いることが好ましい。硫黄供与体としては、例えば、ジペンタメチレンチウラムヘキササルファイド、トリエチルチウラムジサルファイドなどが挙げられる。トリアジン化合物としては、例えば、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−アニリノ−4,6−ジチオール−s−トリアジン、1−ジブチルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、2−ジブチルアミノ−4,6−ジチオール−s−トリアジン、1−フェニルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン、1−ヘキシルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジンなどが挙げられ、これらの中でも、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジンが好ましい。
これらの架橋剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、アクリルゴムベール100重量部に対し、通常0.001〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。架橋剤の配合量をこの範囲とすることにより、ゴム弾性を充分なものとしながら、ゴム架橋物としての機械的強度を優れたものとすることができ好適である。
本発明のゴム混合物は、必要に応じて前記アクリルゴムベール以外のその他のゴム成分を用いることができる。
必要に応じて使用されるその他のゴム成分としては、格別な限定はなく、例えば、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリシロキサン系エラストマーなどを挙げることができる。その他のゴム成分の形状は、格別限定されるものではなく、例えば、クラム状、シート状、ベール状などいずれでもよい。
これらのその他のゴム成分は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのその他のゴム成分の使用量は、本発明の効果を損ねない範囲で適宜選択される。
本発明のゴム混合物は、必要に応じて老化防止剤を配合することができる。老化防止剤としては、特に限定されないが、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、スチレン化フェノール、2,2'−メチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)、4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−6−メチルフェノール、2,2'−チオビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス−(6−t−ブチル−o−クレゾール)、2,6−ジ−t−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノールなどのその他のフェノール系老化防止剤;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコール・ジホスファイトなどの亜燐酸エステル系老化防止剤;チオジプロピオン酸ジラウリルなどの硫黄エステル系老化防止剤;フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、p−(p−トルエンスルホニルアミド)−ジフェニルアミン、4,4'―(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N'−フェニル−p−フェニレンジアミン、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物などのアミン系老化防止剤;2−メルカプトベンズイミダゾールなどのイミダゾール系老化防止剤;6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンなどのキノリン系老化防止剤;2,5−ジ−(t−アミル)ハイドロキノンなどのハイドロキノン系老化防止剤;などが挙げられる。これらの中でも特に、アミン系老化防止剤が好ましい。
これらの老化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、アクリルゴムベール100重量部に対して、0.01〜15重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは1〜5重量部の範囲である。
本発明のゴム混合物は、上記本発明のアクリルゴムベール、充填剤、架橋剤及び必要に応じてその他のゴム成分や老化防止剤を含み、更に、必要に応じて当該技術分野で通常使用される他の添加剤、例えば、架橋助剤、架橋促進剤、架橋遅延剤、シランカップリング剤、可塑剤、加工助剤、滑材、顔料、着色剤、帯電防止剤、発泡剤などを任意に配合できる。これらのその他の配合剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、本発明の効果を損ねない範囲で適宜選択される。
<ゴム混合物の製造方法>
本発明のゴム混合物の製造方法としては、本発明のアクリルゴムベールに、前記充填剤、架橋剤及び必要に応じて含有できる前記その他のゴム成分、老化防止剤及びその他の配合剤を混合する方法が挙げられ、混合には、従来ゴム加工分野において利用されている任意の手段、例えば、オープンロール、バンバリーミキサー、各種ニーダー類などを利用することができる。すなわち、これらの混合機を用いて、アクリルゴムベールと、前記充填剤、架橋剤などを直接混合、好ましくは直接混錬することにより混合できる。
その場合において、アクリルゴムベールは、得られたベールをそのままでも、分割(切断など)して用いてもよい。
各成分の混合手順は、格別な限定はないが、例えば、熱で反応や分解しにくい成分を充分に混合した後、熱で反応や分解しやすい成分である架橋剤などを反応や分解が起こらない温度で短時間に混合する二段階混合が好ましい。具体的には、1段目にアクリルゴムベールと充填剤を混合した後に、2段目で架橋剤を混合することが好ましい。その他のゴム成分と老化防止剤は通常1段目に混合され、架橋促進剤は2段目、その他の配合剤は適宜選択されればよい。
かくして得られる本発明のゴム混合物のムーニー粘度(ML1+4,100℃;コンパンドムーニー)は、格別限定されるものではないが、通常10〜150、好ましくは20〜100、より好ましくは25〜80の範囲である。
<ゴム架橋物>
本発明のゴム架橋物は、上記ゴム混合物を架橋してなるものである。
本発明のゴム架橋物は、本発明のゴム混合物を用い、所望の形状に対応した成形機、例えば、押出機、射出成形機、圧縮機、及びロールなどにより成形を行い、加熱することにより架橋反応を行い、ゴム架橋物として形状を固定化することにより製造することができる。この場合においては、予め成形した後に架橋しても、成形と同時に架橋を行ってもよい。成形温度は、通常10〜200℃、好ましくは25〜150℃である。架橋温度は、通常100〜250℃、好ましくは130〜220℃、より好ましくは150〜200℃であり、架橋時間は、通常0.1分〜10時間、好ましくは1分〜5時間である。加熱方法としては、プレス加熱、蒸気加熱、オーブン加熱、及び熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる方法を適宜選択すればよい。
本発明のゴム架橋物は、ゴム架橋物の形状、大きさなどによっては、更に加熱して二次架橋を行ってもよい。二次架橋は、加熱方法、架橋温度、形状などにより異なるが、好ましくは1〜48時間行う。加熱方法、加熱温度は適宜選択すればよい。
本発明のゴム架橋物は、例えば、O−リング、パッキン、ダイアフラム、オイルシール、シャフトシール、ベアリングシール、メカニカルシール、ウエルヘッドシール、電気・電子機器用シール、空気圧縮機器用シールなどのシール材;シリンダブロックとシリンダヘッドとの連結部に装着されるロッカーカバーガスケット、オイルパンとシリンダヘッドあるいはトランスミッションケースとの連結部に装着されるオイルパンガスケット、正極、電解質板及び負極を備えた単位セルを挟み込む一対のハウジング間に装着された燃料電池セパレーター用ガスケット、ハードディスクドライブのトップカバー用ガスケットなどの各種ガスケット;緩衝材、防振材;電線被覆材;工業用ベルト類;チューブ・ホース類;シート類;などとして好適に用いられる。
本発明のゴム架橋物は、また、自動車用途に用いられる押し出し成形型品及び型架橋製品として、例えば、燃料ホース、フィラーネックホース、ベントホース、ペーパーホース、オイルホースなどの燃料タンクなどの燃料油系ホース、ターボエアーホース、ミッションコントロールホースなどのエアー系ホース、ラジエターホース、ヒーターホース、ブレーキホース、エアコンホースなどの各種ホース類に好適に用いられる。
<アクリルゴムベールの製造に用いられる装置構成>
次に、本発明の一実施形態に係るアクリルゴムベールの製造に用いられる装置構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るアクリルゴムベールの製造に用いられる装置構成を有するアクリルゴム製造システムの一例を模式的に示す図である。本発明に係るアクリルゴムの製造には、例えば、図1に示すアクリルゴム製造システム1を使用することができる。
図1に示すアクリルゴム製造システム1は、不図示の乳化重合反応器、凝固装置3、洗浄装置4、水切り機43、スクリュー型押出機5、冷却装置6、ベール化装置7により構成されている。
乳化重合反応器は、上述した乳化重合工程に係る処理を行うように構成されている。図1には不図示であるが、この乳化重合反応器は、例えば重合反応槽、反応温度を制御する温度制御部、モータ及び撹拌翼を備えた撹拌装置を有する。乳化重合反応器では、アクリルゴムを形成するための単量体成分に水と乳化剤とを混合して撹拌機で適切に撹拌しながらエマルジョン化し、重合触媒存在下において乳化重合することで乳化重合液を得ることができる。乳化重合反応器は、回分式、半回分式、連続式のいずれであってもよく、槽型反応器、管型反応器のいずれであってもよい。
図1に示す凝固装置3は、上述した凝固工程に係る処理を行うように構成されている。図1に模式的に図示されているように、凝固装置3は、例えば撹拌槽30、撹拌槽30内を加熱する加熱部31、撹拌槽30内の温度を制御する不図示の温度制御部、モータ32及び撹拌翼33を備えた撹拌装置34、撹拌翼33の回転数及び回転速度を制御する不図示の駆動制御部を有する。凝固装置3では、乳化重合反応器で得られた乳化重合液を、凝固剤としての凝固液と接触させて凝固させることにより含水クラムを生成することができる。
凝固装置3では、例えば、乳化重合液と凝固液との接触は、乳化重合液を撹拌しているマグネシウム塩水溶液中に添加する方法が採用される。すなわち、凝固装置3の撹拌槽30に凝固液を充填しておき、この凝固液に乳化重合液を添加及び接触させて乳化重合液を凝固させることによって含水クラムが生成される。
凝固装置3の加熱部31は、撹拌槽30に充填された凝固液を加熱するよう構成されている。また、凝固装置3の温度制御部は、温度計で計測された撹拌槽30内の温度を監視しながら加熱部31による加熱動作を制御することで、撹拌槽30内の温度を制御するように構成されている。撹拌槽30内の凝固液の温度は、温度制御部によって、通常40℃以上、好ましくは40〜90℃、より好ましくは50〜80℃の範囲となるよう制御される。
凝固装置3の撹拌装置34は、撹拌槽30に充填された凝固液を撹拌するように構成されている。具体的には、撹拌装置34は、回転動力を生み出すモータ32と、モータ32の回転軸に対して垂直方向に広がる撹拌翼33を備えている。撹拌翼33は、撹拌槽30に充填された凝固液内で、モータ32の回転動力により回転軸を中心として回転することで凝固液を流動させることができる。撹拌翼33の形状や大きさ、設置数などは特に限定されない。
凝固装置3の駆動制御部は、撹拌装置34のモータ32の回転駆動を制御して、撹拌装置34の撹拌翼33の回転数及び回転速度を所定値に設定するように構成されている。凝固液の撹拌数が、例えば、通常100rpm以上、好ましくは200〜1000rpm、より好ましくは300〜900rpm、特に好ましくは400〜800rpmの範囲となるように、駆動制御部によって撹拌翼33の回転が制御される。凝固液の周速が、通常0.5m/s以上、好ましくは1m/s以上、より好ましくは1.5m/s以上、特に好ましくは2m/s以上、最も好ましくは2.5m/s以上となるように、駆動制御部によって撹拌翼33の回転が制御される。さらに、凝固液の周速の上限値が、通常50m/s以下、好ましくは30m/s以下、より好ましくは25m/s以下、最も好ましくは20m/s以下となるように、駆動制御部によって撹拌翼33の回転が制御される。
図1に示す洗浄装置4は、上述した洗浄工程に係る処理を行うように構成されている。図1に模式的に図示されているように、洗浄装置4は、例えば洗浄槽40、洗浄槽40内を加熱する加熱部41、洗浄槽40内の温度を制御する不図示の温度制御部を有する。洗浄装置4では、凝固装置3で生成された含水クラムを多量の水と混合して洗浄することにより、最終的に得られるアクリルゴムベール中の灰分量を効果的に低減することができる。
洗浄装置4の加熱部41は、洗浄槽40内を加熱するよう構成されている。また、洗浄装置4の温度制御部は、温度計で計測された洗浄槽40内の温度を監視しながら加熱部41による加熱動作を制御することで、洗浄槽40内の温度を制御するように構成されている。上述したように、洗浄槽40内の洗浄水の温度は、通常40℃以上、好ましくは40〜100℃、より好ましくは50〜90℃、最も好ましくは60〜80℃の範囲となるよう制御される。
洗浄装置4で洗浄された含水クラムは、脱水工程及び乾燥工程を行うスクリュー型押出機5に供給される。このとき、洗浄後の含水クラムは、遊離水を分離することが可能な水切り機43を通ってスクリュー型押出機5に供給されることが好ましい。水切り機43には、例えば金網、スクリーン、電動篩機などを用いることができる。
また、洗浄後の含水クラムがスクリュー型押出機5に供給される際、含水クラムの温度は40℃以上、更に60℃以上であることが好ましい。例えば、洗浄装置4における水洗に用いられる水の温度を60℃以上(例えば70℃)とすることで、スクリュー型押出機5に供給された際の含水クラムの温度を60℃以上に維持することができるようにしてもよく、洗浄装置4からスクリュー型押出機5に搬送する際に含水クラムの温度が40℃以上、好ましくは60℃以上となるよう加温してもよい。これにより、後工程である脱水工程及び乾燥工程を効果的に行うことが可能となり、最終的に得られる乾燥ゴムの含水率を大幅に低減させることが可能となる。
図1に示すスクリュー型押出機5は、上述した脱水工程及び乾燥工程に係る処理を行うように構成されている。なお、図1には好適な例としてスクリュー型押出機5が図示されているが、脱水工程に係る処理を行う脱水機として遠心分離機やスクイザーなどを用いてもよく、乾燥工程に係る処理を行う乾燥機として熱風乾燥機、減圧乾燥機、エキスパンダー乾燥機、ニーダー型乾燥機などを用いてもよい。
スクリュー型押出機5は、脱水工程及び乾燥工程を経て得られる乾燥ゴムを所定の形状に成形して排出するように構成されている。具体的には、スクリュー型押出機5は、洗浄装置4で洗浄された含水クラムを脱水する脱水機としての機能を有する脱水バレル部53と、含水クラムを乾燥する乾燥機としての機能を有する乾燥バレル部54とを備えており、さらにスクリュー型押出機5の下流側に含水クラムを成形する成形機能を有するダイ59を備えて構成されている。
以下、図2を参照しながら、スクリュー型押出機5の構成について説明する。図2は、図1で示したスクリュー型押出機5として好適な一具体例の構成を示している。このスクリュー型押出機5により、上述した脱水・乾燥工程を好適に行うことができる。
図2に示すスクリュー型押出機5は、バレルユニット51内に不図示の一対のスクリューを備えてなる二軸スクリュー型の押出乾燥機である。スクリュー型押出機5は、バレルユニット51内の一対のスクリューを回転駆動する駆動ユニット50を有する。駆動ユニット50は、バレルユニット51の上流端(図2で左端)に取り付けられている。また、スクリュー型押出機5は、バレルユニット51の下流端(図2で右端)にダイ59を有する。
バレルユニット51は、上流側から下流側(図2で左側から右側)にわたり、供給バレル部52、脱水バレル部53、乾燥バレル部54を有する。
供給バレル部52は、2つの供給バレル、すなわち、第1の供給バレル52a及び第2の供給バレル52bにより構成されている。
また、脱水バレル部53は、3つの脱水バレル、すなわち、第1の脱水バレル53a、第2の脱水バレル53b及び第3の脱水バレル53cにより構成されている。
また、乾燥バレル部54は、8個の乾燥バレル、すなわち、第1の乾燥バレル54a、第2の乾燥バレル54b、第3の乾燥バレル54c、第4の乾燥バレル54d、第5の乾燥バレル54e、第6の乾燥バレル54f、第7の乾燥バレル54g、第8の乾燥バレル54hにより構成されている。
このようにバレルユニット51は、分割された13個の各バレル52a〜52b,53a〜53c,54a〜54hが上流側から下流側にわたり連結されて構成されている。
また、スクリュー型押出機5は、上記各バレル52a〜52b,53a〜53c,54a〜54hを個別に加熱して、各バレル52a〜52b,53a〜53c,54a〜54h内の含水クラムをそれぞれ所定温度に加熱する不図示の加熱手段を有する。加熱手段は、各バレル52a〜52b,53a〜53c,54a〜54hに対応する数を備える。そのような加熱手段としては、例えば、各バレル52a〜52b,53a〜53c,54a〜54h内に形成されたスチーム流通ジャケットにスチーム供給手段から高温スチームを供給するなどの構成が採用されるが、これに限定はされない。また、スクリュー型押出機5は、各バレル52a〜52b,53a〜53c,54a〜54hに対応する各加熱手段の設定温度を制御する不図示の温度制御手段を有する。
なお、バレルユニット51における各バレル部52、53、54をそれぞれ構成する供給バレル、脱水バレル及び乾燥バレルの設置数は、図2に示す態様に限定されるものではなく、乾燥処理するアクリルゴムの含水クラムの含水量などに応じた数に設定することができる。
例えば、供給バレル部52の供給バレルの設置数は例えば1〜3個とされる。また、脱水バレル部53の脱水バレルの設置数は、例えば2〜10個が好ましく、3〜6個とすると、粘着性のアクリルゴムの含水クラムの脱水を効率よく行うことができるのでより好ましい。また、乾燥バレル部54の乾燥バレルの設置数は、例えば2〜10個が好ましく、3〜8個であるとより好ましい。
バレルユニット51内の一対のスクリューは、駆動ユニット50に格納されたモータなどの駆動手段によって回転駆動される。一対のスクリューはバレルユニット51内の上流側から下流側にわたって延在しており、回転駆動されることで、供給バレル部52に供給された含水クラムを混合しながら下流側に搬送することができるようになっている。一対のスクリューとしては、互いに山部と谷部とが噛み合わされる状態とされた二軸噛合型であることが好ましく、これにより、含水クラムの脱水効率及び乾燥効率を高めることができる。
また、一対のスクリューの回転方向は、同方向でも異方向でもよいが、セルフクリーニングの性能面からは同方向に回転する形式のものが好ましい。一対のスクリューのスクリュー形状としては、特に限定されず、各バレル部52、53、54において必要とされる形状であればよく、特に限定されない。
供給バレル部52は、含水クラムをバレルユニット51内に供給する領域である。供給バレル部52の第1の供給バレル52aは、バレルユニット51内に含水クラムを供給するフィード口55を有する。
脱水バレル部53は、含水クラムから、凝固剤などが含まれる液体(セラム水)を分離し排出する領域である。
脱水バレル部53を構成する第1〜第3の脱水バレル53a〜53cは、含水クラムの水分を外部に排出する脱水スリット56a、56b、56cをそれぞれ有する。各脱水スリット56a、56b、56cは、各脱水バレル53a〜53cにそれぞれ複数形成されている。
各脱水スリット56a、56b、56cのスリット幅すなわち目開きは、使用条件に応じて適宜選択されればよく、通常で0.01〜5mmとされ、含水クラムの損出が少なく、且つ含水クラムの脱水が効率的にできる点から、好ましくは0.1〜1mmであり、0.2〜0.6mmであればより好ましい。
脱水バレル部53の各脱水バレル53a〜53cにおける含水クラムからの水分の除去は、それぞれの脱水スリット56a、56b、56cから液状で除去する場合と、蒸気状で除去する場合との二通りがある。本実施形態の脱水バレル部53においては、水分を液状で除去する場合を排水と定義し、蒸気状で除去する場合を排蒸気と定義して区別する。
脱水バレル部53においては、排水及び排蒸気を組み合わせることで、粘着性アクリルゴムの含水率を低下させることが効率よくできるので好適である。脱水バレル部53では、第1〜第3の脱水バレル53a〜53cのうち、どの脱水バレルで排水又は排蒸気を行うかは、使用目的に応じて適宜に設定すればよいが、通常製造されるアクリルゴム中の灰分量を少なくする場合は、排水を行う脱水バレルを多くするとよい。その場合、例えば図2に示すように、上流側の第1及び第2の脱水バレル53a、53bで排水を行い、下流側の第3の脱水バレル53cで排蒸気を行う。また、例えば脱水バレル部53が4つの脱水バレルを有する場合には、例えば上流側の3つの脱水バレルで排水を行い、下流側の1つの脱水バレルで排蒸気を行うといった態様が考えられる。一方、含水量を低減する場合には、排蒸気を行う脱水バレルを多くするとよい。
脱水バレル部53の設定温度は、上述の脱水・乾燥工程で述べたように、通常60〜150℃、好ましくは70〜140℃、より好ましくは80〜130℃の範囲であり、排水状態で脱水する脱水バレルの設定温度は、通常60℃〜120℃、好ましくは70〜110℃、より好ましくは80〜100℃であり、排蒸気状態で脱水する脱水バレルの設定温度は、通常100〜150℃、好ましくは105〜140℃、より好ましくは110〜130℃の範囲である。
乾燥バレル部54は、脱水後の含水クラムを減圧下で乾燥させる領域である。乾燥バレル部54を構成する第1〜第8の乾燥バレル54a〜54hのうち、第2の乾燥バレル54b、第4の乾燥バレル54d、第6の乾燥バレル54f及び第8の乾燥バレル54hは、脱気のためのベント口58a、58b、58c、58dをそれぞれ有する。各ベント口58a、58b、58c、58dには、不図示のベント配管がそれぞれ接続されている。
各ベント配管の末端には不図示の真空ポンプがそれぞれ接続されており、それら真空ポンプの作動により、乾燥バレル部54内が所定圧力に減圧されるようになっている。スクリュー型押出機5は、それら真空ポンプの作動を制御して乾燥バレル部54内の減圧度を制御する図示せぬ圧力制御手段を有する。
乾燥バレル部54での減圧度は適宜選択されればよいが、上述したように、通常1〜50kPa、好ましくは2〜30kPa、より好ましくは3〜20kPaに設定される。
また、乾燥バレル部54内の設定温度は適宜選択されればよいが、上述したように、通常100〜250℃、好ましくは110〜200℃、より好ましくは120〜180℃に設定される。
乾燥バレル部54を構成する各乾燥バレル54a〜54hにおいては、全ての乾燥バレル54a〜54h内の設定温度を近似した値にしてもよいし、異ならせてもよいが、上流側(脱水バレル部53側)の温度よりも下流側(ダイ59側)の温度の方を高温に設定すると、乾燥効率が向上するので好ましい。
ダイ59は、バレルユニット51の下流端に配置される金型であり、所定のノズル形状の吐出口を有する。乾燥バレル部54で乾燥処理されたアクリルゴムは、ダイ59の吐出口を通過することで、所定のノズル形状に応じた形状に押出成形される。ダイ59を通過するアクリルゴムは、ダイ59のノズル形状に応じて、粒状、柱状、丸棒状、シート状など、種々の形状に成形される。例えば、ダイ59の吐出口を略長方形状とすることで、アクリルゴムをシート状に押出成形することができる。スクリューとダイ59との間には、ブレーカープレートや金網を設けてもよいし、設けなくてもよい。
本実施形態に係るスクリュー型押出機5によれば、以下のようにして、原料のアクリルゴムの含水クラムがシート状の乾燥ゴムに押出成形される。
洗浄工程を経て得られたアクリルゴムの含水クラムは、フィード口55から供給バレル部52に供給される。供給バレル部52に供給された含水クラムは、バレルユニット51内の一対のスクリューの回転により、供給バレル部52から脱水バレル部53に送られる。脱水バレル部53では、前述したように第1〜第3の脱水バレル53a〜53cにそれぞれ設けられた脱水スリット56a、56b、56cから、含水クラムに含まれる水分の排水や排蒸気が行われて、含水クラムが脱水処理される。
脱水バレル部53で脱水された含水クラムは、バレルユニット51内の一対のスクリューの回転により乾燥バレル部54に送られる。乾燥バレル部54に送られた含水クラムは可塑化混合されて融体となり、発熱して昇温しながら下流側へ運ばれる。そして、このアクリルゴムの融体中に含まれる水分が気化し、その水分(蒸気)が各ベント口58a、58b、58c、58dにそれぞれ接続された不図示のベント配管を通じて外部へ排出される。
上記のように乾燥バレル部54を通過することで含水クラムは乾燥処理されてアクリルゴムの融体となり、そのアクリルゴムはバレルユニット51内の一対のスクリューの回転によりダイ59に供給され、シート状の乾燥ゴムとしてダイ59から押し出される。
ここで、本実施形態に係るスクリュー型押出機5の操業条件の一例を挙げる。
バレルユニット51内の一対のスクリューの回転数(N)は、諸条件に応じて適宜選択されればよく、通常で10〜1000rpmとされ、アクリルゴムベールの含水量とゲル量を効率よく低減できる点から、好ましくは50〜750rpm、より好ましくは100〜500rpmであり、120〜300rpmが最も好ましい。
また、アクリルゴムの押出量(Q)は、格別限定されないが、通常で100〜1500kg/hrとされ、好ましくは300〜1200kg/hr、より好ましくは400〜1000kg/hrであり、500〜800kg/hrが最も好ましい。
また、アクリルゴムの押出量(Q)とスクリューの回転数(N)との比(Q/N)は、格別限定されないが、通常で1〜20とされ、好ましくは2〜10、より好ましくは3〜8であり、4〜6が特に好ましい。
図1に示す冷却装置6は、脱水機による脱水工程及び乾燥機による乾燥工程を経て得られた乾燥ゴムを冷却するように構成されている。冷却装置6による冷却方式としては、送風あるいは冷房下での空冷方式、水を吹き付ける水かけ方式、水中に浸漬する浸漬方式などを含む様々な方式を採用することが可能である。また、室温下に放置することで、乾燥ゴムを冷却するようにしてもよい。
上述したように、ダイ59のノズル形状に応じて、スクリュー型押出機5から排出された乾燥ゴムは、粒状、柱状、丸棒状、シート状など、種々の形状に押出成形される。以下、図3を参照しながら、冷却装置6の一例として、シート状に成形されたシート状乾燥ゴム10を冷却する搬送式冷却装置60について説明する。
図3は、図1で示した冷却装置6として好適な搬送式冷却装置60の構成を示している。図3に示す搬送式冷却装置60は、スクリュー型押出機5のダイ59の吐出口から排出されたシート状乾燥ゴム10を搬送しながら、空冷方式によって冷却するよう構成されている。この搬送式冷却装置60を用いることで、スクリュー型押出機5から排出されたシート状乾燥ゴムを好適に冷却することができる。
図3に示す搬送式冷却装置60は、例えば、図2に示したスクリュー型押出機5のダイ59に直結するか、又はダイ59の近傍に設置して使用される。
搬送式冷却装置60は、スクリュー型押出機5のダイ59から排出されるシート状乾燥ゴム10を図3中矢印A方向に搬送するコンベア61と、コンベア61上のシート状乾燥ゴム10に冷風を吹き付ける冷却手段65とを有する。
コンベア61は、ローラ62、63と、これらローラ62、63に巻架され、シート状乾燥ゴム10がその上に載せられるコンベアベルト64とを有する。コンベア61は、コンベアベルト64上にスクリュー型押出機5のダイ59から排出されたシート状乾燥ゴム10を連続して下流側(図3で右側)に搬送するよう構成されている。
冷却手段65は、特に限定されないが、例えば、不図示の冷却風発生手段から送られてくる冷却風をコンベアベルト64上のシート状乾燥ゴム10の表面に吹き付けることができるような構成を有するものなどが挙げられる。
搬送式冷却装置60のコンベア61及び冷却手段65の長さ(冷却風の吹き付けが可能な部分の長さ)L1は、特に限定されないが、例えば10〜100mであり、好ましくは20〜50mである。また、搬送式冷却装置60におけるシート状乾燥ゴム10の搬送速度は、コンベア61及び冷却手段65の長さL1、スクリュー型押出機5のダイ59から排出されるシート状乾燥ゴム10の排出速度、目標とする冷却速度や冷却時間などに応じて適宜調整すればよいが、例えば10〜100m/hrであり、より好ましくは15〜70m/hrである。
図3に示す搬送式冷却装置60によれば、スクリュー型押出機5のダイ59から排出されるシート状乾燥ゴム10をコンベア61にて搬送しつつ、シート状乾燥ゴム10に対し冷却手段65から冷却風を吹き付けることにより、シート状乾燥ゴム10の冷却が行われる。
なお、搬送式冷却装置60としては、図3に示すような1つのコンベア61及び1つの冷却手段65を備える構成に特に限定されず、2つ以上のコンベア61と、これに対応する2つ以上の冷却手段65とを備えるような構成としてもよい。その場合には、2つ以上のコンベア61及び冷却手段65のそれぞれの総合長さを上記範囲とすればよい。
図1に示すベール化装置7は、スクリュー型押出機5から押出成形され、さらに冷却装置6で冷却された乾燥ゴムを加工して、一塊のブロックであるベールを製造するよう構成されている。上述したように、スクリュー型押出機5は、乾燥ゴムを粒状、柱状、丸棒状、シート状など、種々の形状に押出成形することが可能であり、ベール化装置7は、このように種々の形状に成形された乾燥ゴムをベール化するように構成されている。ベール化装置7によって製造されるアクリルゴムベールの重さや形状などは特に限定されないが、例えば約20kgの略直方体形状のアクリルゴムベールが製造される。
ベール化装置7は、例えばベーラーを備え、冷却された乾燥ゴムをベーラーにより圧縮することでアクリルゴムベールを製造してもよい。
また、スクリュー型押出機5によってシート状乾燥ゴム10を製造した場合には、シート状乾燥ゴム10を積層したアクリルゴムベールを製造してもよい。例えば、図3に示す搬送式冷却装置60の下流側に配置されるベール化装置7に、シート状乾燥ゴム10を切断するカッティング機構が設けられていてもよい。具体的には、ベール化装置7のカッティング機構は、例えば、冷却されたシート状乾燥ゴム10を連続的に所定の間隔で切断して、所定の大きさのカットシート状乾燥ゴム16に加工するように構成されている。カッティング機構により所定の大きさに切断されたカットシート状乾燥ゴム16を複数枚積層することで、カットシート状乾燥ゴム16を積層したアクリルゴムベールを製造することができる。
カットシート状乾燥ゴム16を積層したアクリルゴムベールを製造する場合には、例えば40℃以上のカットシート状乾燥ゴム16を積層することが好ましい。40℃以上のカットシート状乾燥ゴム16を積層することで、更なる冷却及び自重による圧縮によって良好な空気抜けが実現される。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。なお、各例中の「部」、「%」及び「比」は、特に断りのない限り、重量基準である。
各種の物性については、以下の方法に従って評価した。
[単量体組成]
アクリルゴムにおける単量体組成に関して、アクリルゴム中の各単量体単位の単量体構成はH−NMRで確認し、アクリルゴム中に反応性基の活性が残存していること及びその各反応性基含有量は下記試験法で確認した。
また、各単量体単位のアクリルゴム中の含有割合は、各単量体の重合反応に用いた使用量及び重合転化率から算出した。具体的には、重合反応は乳化重合反応でその重合転化率は、未反応の単量体がいずれも確認できない略100%であったことから、各単量体単位の含有割合を各単量体の使用量と同一とした。
[反応性基含有量]
アクリルゴムの反応性基の含有量は、下記方法によりアクリルゴムベール中の含有量を測定した。
(1)カルボキシル基量は、アクリルゴムベールをアセトンに溶解し水酸化カリウム溶液で電位差滴定を行うことにより算出した。
(2)エポキシ基量は、アクリルゴムベールをメチルエチルケトンに溶解し、それに規定量の塩酸を加えてエポキシ基と反応させ、残留した塩酸量を水酸化カリウムで滴定することにより算出した。
(3)塩素量は、アクリルゴムベールを燃焼フラスコ中で完全燃焼させ、発生する塩素を水に吸収させ硝酸銀で滴定することにより算出した。
[灰分量]
アクリルゴムベール中に含まれる灰分量(%)は、JIS K6228 A法に準じて測定した。
[灰分成分量]
アクリルゴムベール灰分中の各成分量(ppm)は、上記の灰分量測定の差異に採取した灰分をΦ20mmの滴定濾紙に圧着し、ZSX Primus(Rigaku社製)を用いてXRF測定した。
[ゲル量]
アクリルゴムベールのゲル量(%)は、メチルエチルケトンに対する不溶解分の量であり、以下の方法により求めた。
アクリルゴムベール0.2g程度を秤量(Xg)し、100mlメチルエチルケトンに浸漬させて室温で24時間放置後、80メッシュ金網を用いてメチルエチルケトンに対する不溶解分を濾別した濾液、すなわち、メチルエチルケトンに溶解するゴム成分のみが溶解した濾液を蒸発乾燥固化させた乾燥固形分(Yg)を秤量し、下式により算出した。
ゲル量(%)=100×(X−Y)/X
[比重]
アクリルゴムベールの比重は、JIS K6268架橋ゴム−密度測定のA法に準じて測定した。
[ガラス転移温度(Tg)]
アクリルゴムのガラス転移温度(Tg)は、示差走査型熱量計(DSC、製品名「X−DSC7000」、日立ハイテクサイエンス社製)を用いて測定した。
[pH]
アクリルゴムベールのpHは、6g(±0.05g)のアクリルゴムベールをテトラヒドロフラン100gで溶解後、蒸留水2.0mlを添加し完全に溶解したことを確認後にpH電極で測定した。
[含水量]
アクリルゴムベールの含水量(%)は、JIS K6238−1:オーブンA(揮発分測定)法に準じて測定した。
[分子量及び分子量分布]
アクリルゴムの重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn及びMz/Mw)は、溶媒としてジメチルホルムアミドに塩化リチウムが0.05mol/L、37%濃塩酸が0.01%の濃度でそれぞれ添加された溶液を用いた、GPC−MALS法により測定される絶対分子量及び絶対分子量分布である。具体的には、GPC(Gel Permeation Chromatography)装置に多角度レーザ光散乱光度計(MALS)及び示差屈折率計(RI)を組み入れ、GPC装置でサイズ分別された分子鎖溶液の光散乱強度及び屈折率差を、溶出時間を追って測定することにより、溶質の分子量とその含有率を順次計算し求めた。GPC装置による測定条件及び測定方法は、以下のとおりである。
カラム:TSKgel α−M 2本(φ7.8mm×30cm、東ソー社製)
温度:カラム 40℃
流速:0.8ml/mm
試料調整:試料10mgに溶媒5mlを加え、室温で緩やかに撹拌した(溶解を視認)。その後0.5μmフィルターを用いてろ過を行った。
注入量:0.200ml
[複素粘性率]
アクリルゴムベールの複素粘性率ηは、動的粘弾性測定装置「ラバープロセスアナライザRPA−2000」(アルファテクノロジー社製)を用いて、歪み473%、1Hzにて温度分散(40〜120℃)を測定し、各温度における複素粘性率ηを求めた。ここでは、上述の動的粘弾性のうち60℃における動的粘弾性を複素粘性率η(60℃)とし、100℃における動的粘弾性を複素粘性率η(100℃)として、η(100℃)/η(60℃)、η(60℃)/η(100℃)の値を算出した。
[ムーニー粘度(ML1+4,100℃)]
アクリルゴムベールのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、JIS K6300の未架橋ゴム物理試験法に従って測定した。
[ゲル量のバラツキ性評価]
ゴム試料のゲル量のバラツキ評価は、ゴム試料20部(20kg)から任意に選択した20点のゲル量を測定し、下記基準に基づき評価した。
◎:測定した20点のゲル量の平均値を算出し、平均値±3の範囲内に測定した20点全てが入っているもの
〇:測定した20点のゲル量の平均値を算出し、平均値±5の範囲内に測定した20点全てが入っていたもの(平均値±3の範囲では測定した20点のうち1点でも外れてしまうが、平均値±5の範囲内には20点全てが入るもの)
×:測定した20点のゲル量の平均値を算出し、平均値±5の範囲から測定した20点のうち1点でも外れたもの
[保存安定性]
ゴム試料の保存安定性は、ゴム試料を45℃×80%RHの恒温恒湿度槽(ESPEC社製SH−222)に投入し、7日間試験前後のゴム試料を使用してゴム混合物のムーニースコーチ最低粘度(Vm)をJIS K6300−1:2013に準じてLロータを用いて125℃で測定し試験損後の変化率を算出した。Vm変化率は、比較例2の変化率を100とする指数で評価した(指数が小さいほど保存安定性に優れる)。
[加工性評価]
ゴム試料の加工性は、ゴム試料を50℃に加温されたバンバリーミキサーに投入し1分間素練り後、表1記載のゴム混合物配合の配合剤Aを投入して1段目のゴム混合物が一体化して最大トルク値を示すまでの時間、すなわちBIT(Black Incorporation Time)を測定し、比較例2を100とする指数で評価した(指数が小さいほど加工性に優れる)。
[耐水性評価]
ゴム試料の耐水性は、JIS K6258に準拠してゴム試料の架橋物を温度85℃蒸留水中に100時間浸漬させて浸漬試験を行い、浸漬前後の体積変化率を下記式に従って算出し、比較例2を100とする指数で評価した(指数が小さいほど耐水性に優れる)。
浸漬前後の体積変化率(%)=((浸漬後の試験片体積―浸漬前の試験片体積)/浸漬前の試験片体積)×100
[常態物性評価]
ゴム試料の常態物性は、JIS K6251に従いゴム試料のゴム架橋物を破断強度、100%引張応力及び破断伸びを測定し以下の基準で評価した。
(1)破断強度は、10MPa以上を◎、10MPa未満を×として評価した。
(2)100%引張応力は、5MPa以上を◎、5MPa未満を×として評価した。
(3)破断伸びは、150%以上を◎、150%未満を×として評価した。
[実施例1]
ホモミキサーを備えた混合容器に、純水46部、アクリル酸エチル28部、アクリル酸n−ブチル38部、アクリル酸メトキシエチル27部、アクリロニトリル5部及びアリルグリシジルエーテル2部、及び乳化剤としてノニルフェニルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステルナトリウム塩1.8部を仕込み撹拌して単量体エマルジョンを得た。
次に、温度計、撹拌装置を備えた重合反応槽に、純水170部及び上記で得られた単量体エマルジョン3部を投入し、窒素気流下で12℃まで冷却した。次に、重合反応槽中に、単量体エマルジョンの残部、硫酸第一鉄0.00033部、アスコルビン酸ナトリウム0.264部、及び過硫酸カリウム0.22部を3時間かけて連続的に滴下した。その後、重合反応内の温度を23℃に保った状態にて反応を継続し、重合転化率が略100%に達したことを確認し、重合停止剤としてのハイドロキノンを添加して重合反応を停止し乳化重合液を得た。
温度計と撹拌装置を備えた凝固槽で、80℃に加温した激しく撹拌(600回転:周速3.1m/s)した2%硫酸マグネシウム水溶液(凝固液)中に、得られた乳化重合液を80℃に加温して連続的に添加して重合体を凝固させ濾別して含水クラムを得た。
次に、凝固槽内に194部の温水(70℃)を添加して15分間撹拌した後に水分を排出させ、再度194部の温水(70℃)を添加して15分間撹拌して含水クラムの洗浄を行った。洗浄した含水クラムを、スクリュー型押出機15に供給し、脱水・乾燥して幅300mmで厚さ10mmのシート状乾燥ゴムを押し出した。次に、スクリュー型押出機15に直結して設けた搬送式冷却装置を用いて、シート状乾燥ゴムを冷却速度200℃/hrで冷却した。
なお、本実施例1で用いたスクリュー型押出機は、1つの供給バレル、3つの脱水バレル(第1〜第3の脱水バレル)、5つの乾燥バレル(第1〜第5の乾燥バレル)で構成されている。第1及び第2の脱水バレルは排水を行い、第3の脱水バレルは排蒸気を行うようになっている。スクリュー型押出機の操業条件は、以下のとおりとした。
含水量:
・第2の脱水バレルでの排水後の含水クラムの含水量:20%
・第3の脱水バレルでの排蒸気後の含水クラムの含水量:10%
・第5の乾燥バレルでの乾燥後の含水クラムの含水量:0.4%
ゴム温度:
・第1の供給バレルに供給する含水クラムの温度:65℃
・スクリュー型押出機から排出されるゴムの温度:140℃
脱水バレル部の設定温度:
・第1の脱水バレル:90℃
・第2の脱水バレル:100℃
・第3の脱水バレル:120℃
・第1の乾燥バレル:120℃
・第2の乾燥バレル:130℃
・第3の乾燥バレル:140℃
・第4の乾燥バレル:160℃
・第5の乾燥バレル:180℃
運転条件:
・バレルユニット内のスクリューの直径(D):132mm
・バレルユニット内のスクリューの全長(L):4620mm
・L/D:35
・バレルユニット内のスクリューの回転数:135rpm
・ダイからのゴムの押出量:700kg/hr
・ダイの樹脂圧:2MPa
押し出されたシート状乾燥ゴムを、50℃まで冷却してからカッターで切断して、40℃以下にならない内に20部(20kg)になるように積層してアクリルゴムベール(A)を得た。得られたアクリルゴムベール(A)の反応性基含有量、灰分量、灰分成分量、比重、ゲル量、pH、ガラス転移温度(Tg)、含水量、分子量、分子量分布、複素粘性率及びムーニー粘度(ML1+4,100℃)を測定しそれらの結果を表2に示した。また、アクリルゴムベール(A)のゲル量のバラツキ性を評価しその結果を表2に示した。
次に、バンバリーミキサーを用いて、アクリルゴムベール(A)100部と表1記載の「配合1」の配合剤Aを投入して、50℃で5分間混合した。このときのBITを測定してアクリルゴムベールの加工性を評価しその結果を表2に示した。
次に、得られた混合物を50℃のロールに移して、表1記載の「配合1」の配合剤Bを混合してゴム混合物を得た。得られたゴム混合物及び保存安定性試験後のアクリルゴムベール(A)を用いて同様に作製したゴム混合物のムーニースコーチ最低粘度(Vm)を測定しその変化率を表2に示した。
得られたゴム混合物を、縦15cm、横15cm、深さ0.2cmの金型に入れ、プレス圧10MPaで加圧しながら180℃で10分間プレスすることにより一次架橋し、次に、得られた一次架橋物を、ギヤー式オーブンにて、更に180℃、2時間の条件で加熱して二次架橋させることにより、シート状のゴム架橋物を得た。そして、得られたシート状のゴム架橋物から3cm×2cm×0.2cmの試験片を切り取り耐水性評価及び常態物性を評価してそれらの結果を表2に示した。
[実施例2]
単量体成分を、アクリル酸エチル42.2部、アクリル酸n−ブチル35部、アクリル酸メトキシエチル20部、アクリロニトリル1.5部及びクロロ酢酸ビニル1.3部に、乳化剤をトリデシルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステルナトリウム塩に変更する以外は実施例1と同様に行いアクリルゴムベール(B)を得て各特性(「配合2」に変更して)を評価した。それらの結果を表2に示した。
[実施例3]
スクリュー型押出機の第1脱水バレルの温度を100℃、第2の脱水バレルの温度を120℃に変えて第1の脱水バレルのみで排水を行うようにし、且つ、第1の脱水バレルでの排水後の含水クラムの含水量を30%に変更する以外は実施例1と同様に行い、アクリルゴムベール(C)を得て各特性を評価した。それらの結果を表2に示した。
[実施例4]
スクリュー型押出機の第1脱水バレルの温度を100℃、第2の脱水バレルの温度を120℃に変えて第1の脱水バレルのみで排水を行うようにし、且つ、第1の脱水バレルでの排水後の含水クラムの含水量を30%に変更する以外は実施例2と同様に行い、アクリルゴムベール(D)を得て各特性を評価した。それらの結果を表2に示した。
[比較例1]
実施例2と同様に乳化重合を行った乳化重合液(回転数100rpm、周速0.5m/s)に80℃に加温した0.7%硫酸マグネシウム水溶液(凝固液)を連続的に添加して重合体を凝固させ濾別して含水クラムを得た。次に、得られた含水クラムを194部の温水(70℃)を添加して15分間撹拌した後に水分を排出させ、再度194部の温水(70℃)を添加して15分間の洗浄を行った後に、160℃の熱風乾燥機で乾燥させて含水量0.4重量%のクラム状アクリルゴム(E)を得た。得られたクラム状アクリルゴム(E)の各特性(「配合2」)を評価して表2に示した。
[比較例2]
ホモミキサーを備えた混合容器に、純水46部、アクリル酸エチル42.2部、アクリル酸n−ブチル35部、アクリル酸メトキシエチル20部、アクリロニトリル1.5部、クロロ酢酸ビニル1.3部、乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウム0.709部及びポリオキシエチレンドデシルエーテル(分子量1500)1.82部を仕込み撹拌して単量体エマルジョンを得た。
次に、温度計、撹拌装置を備えた重合反応槽に、純水170部及び上記で得られた単量体エマルジョン3部を投入し、窒素気流下で12℃まで冷却した。次に、重合反応槽中に、単量体エマルジョンの残部、硫酸第一鉄0.00033部、アスコルビン酸ナトリウム0.264部、及び過硫酸カリウム0.22部を3時間かけて連続的に滴下した。その後、重合反応内の温度を23℃に保った状態にて反応を継続し、重合転化率が略100%に達したことを確認し、重合停止剤としてのハイドロキノンを添加して重合反応を停止し乳化重合液を得た。
次に、乳化重合液を80℃に加温した後に0.7%硫酸ナトリウム水溶液(凝固液)連続的に添加して重合体を凝固させ濾別して含水クラムを得た。得られた含水クラム100部に対し、工業用水194部を添加し、25℃、5分間撹拌した後、凝固槽から水分を排出する含水クラムの洗浄を4回行い、次に、pH3の硫酸水溶液194部を添加して25℃で5分間撹拌した後、凝固槽から水分を排出させて酸洗浄を1回行った後、純水194部添加して純水洗浄を1回行った後に、160℃の熱風乾燥機で乾燥させて含水量0.4重量%のクラム状アクリルゴム(F)を得た。得られたクラム状アクリルゴム(F)の各特性(「配合2」)を評価して表2に示した。
表2から、反応性基を有する重量平均分子量(Mw)が100,000〜5,000,000でアクリルゴムからなり、メチルエチルケトン不溶解なゲル量が50重量%以下で比重が0.9〜1.3の範囲であり、灰分量が0.5重量%以下であり、pHが6以下であるアクリルゴムベール(A)〜(D)は、保存安定性と加工性が高度に優れていることがわかる(実施例1〜4)。
保存安定性については、45℃×80%RHの恒温恒湿槽投入前後のムーニースコーチ最低粘度(Vm)の変化率を評価しているが、本発明にアクリルゴムベール(A)〜(D)は、クラム状アクリルゴム(E)及び(F)と比べて圧倒的に優れていることがわかる(実施例1〜4と比較例1〜2との比較)。これは、アクリルゴムベール(A)〜(D)の比重がクラム状アクリルゴム(E)及び(F)と比べると格段に高く、殆ど空気を含まない状態になっているために保存安定性が向上していると思われる。
ゲル量のバラツキ性については、任意に選択した20点のゲル量を測定し、平均値±3の範囲内に測定した20点全ての測定値が入っているか否か、あるいは平均値±5の範囲内に20点全ての測定値が入っているか否かで判断したが、本発明のアクリルゴムベール(A)〜(D)は、クラム状アクリルゴム(E)及び(F)と比べて圧倒的にバラツキ性に優れ、ベール内でのゲル量のバラツキが少ないことがわかる(実施例1〜4と比較例1との比較)。ゲル量は、バンバリーなどの加工性に直接影響して、これが変化するとゴム混合物及びゴム架橋物の諸物性がバラツキ結果として諸物性を悪化させてしまうので好ましくない。それに対して、本発明のアクリルゴムベール(A)〜(D)は、ゲル量のバラツキがなく、安定したゴム混合物やゴム架橋物を与えることができる。
加工性については、本発明では強度特性を上げるために乳化重合の重合転化率を高めているが、重合転化率を上げていくと急激にゲル量が増加しアクリルゴムの加工性を悪化させてしまったが、スクリュー型押出機内で実質的に水分が無い状態(含水量1%未満)まで乾燥させ溶融混錬されることで急増したゲルが消失し、アクリルゴムベールの加工性と強度を高度にバランスされていることがわかる(実施例1〜4と比較例1との比較)。
表2から、また、反応性基量、比重、ゲル量、ガラス転移温度(Tg)、pH、含水量、重量平均分子量(Mw)、z平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)との比(Mz/Mw)、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)、100℃における複素粘性率η(100℃)、60℃における複素粘性率η(60℃)、100℃と60℃における複素粘性率の比(η100℃/η60℃)及びムーニー粘度(1+4,100℃)が特定範囲にあるアクリルゴムベール(A)〜(D)は、保存安定性と加工性が格段に優れるとともに耐水性や常態物性(強度特性)にも優れていることがわかる(実施例1〜4)。
本発明のアクリルゴムベールにおいて、アクリルゴムベールのゲル量を任意に20点測定したときの値が、(平均値−5)〜(平均値+5)重量%の範囲内に測定した20点全てが入ることが好ましい。なお、(平均値−5)〜(平均値+5)重量%の範囲とは、例えば測定したゲル量の平均値が20重量%であった場合には15〜25重量%の範囲を意味する。本明細書では、当該範囲を「平均値±5の範囲」のように表記する。当該範囲にはその下限値が含まれ、同様に、当該範囲にはその上限値が含まれる。