JP2021017420A - 脳由来神経栄養因子産生促進剤、神経成長因子産生促進剤、酸化ストレス抑制剤及びそれらの使用 - Google Patents

脳由来神経栄養因子産生促進剤、神経成長因子産生促進剤、酸化ストレス抑制剤及びそれらの使用 Download PDF

Info

Publication number
JP2021017420A
JP2021017420A JP2019134654A JP2019134654A JP2021017420A JP 2021017420 A JP2021017420 A JP 2021017420A JP 2019134654 A JP2019134654 A JP 2019134654A JP 2019134654 A JP2019134654 A JP 2019134654A JP 2021017420 A JP2021017420 A JP 2021017420A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
production promoter
oxidative stress
group
brain
factor production
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019134654A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7367959B2 (ja
Inventor
清水 邦義
Kuniyoshi Shimizu
邦義 清水
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyushu University NUC
Original Assignee
Kyushu University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyushu University NUC filed Critical Kyushu University NUC
Priority to JP2019134654A priority Critical patent/JP7367959B2/ja
Publication of JP2021017420A publication Critical patent/JP2021017420A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7367959B2 publication Critical patent/JP7367959B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】新規の脳由来神経栄養因子産生促進剤、神経成長因子産生促進剤、酸化ストレス抑制剤及びそれらの製造方法、並びに、前記脳由来神経栄養因子産生促進剤又は前記神経成長因子産生促進を含有する神経変性疾患の治療又は予防用医薬組成物、及び神経変性疾患の治療又は予防用食品組成物を提供する。【解決手段】BDNF産生促進剤、NGF産生促進剤又は酸化ストレス抑制剤は、下記一般式(I)又は(II)で表される化合物を含有する。神経変性疾患の治療若しくは予防用医薬組成物又は神経変性疾患の治療若しくは予防用食品組成物は、前記BDNF産生促進剤、前記NGF産生促進剤又は前記酸化ストレス抑制剤を含有する。前記BDNF産生促進剤、前記NGF産生促進剤又は前記酸化ストレス抑制剤の製造方法は、ヘリセノンC〜Hからなる群より選ばれる少なくとも1種のヘリセノン類をエステル加水分解酵素処理することを含む。【選択図】なし

Description

本発明は、脳由来神経栄養因子産生促進剤、神経成長因子産生促進剤、酸化ストレス抑制剤及びそれらの使用に関する。具体的には、本発明は、脳由来神経栄養因子産生促進剤、神経成長因子産生促進剤、酸化ストレス抑制剤及びそれらの製造方法、並びに、神経変性疾患の治療又は予防用医薬組成物、神経変性疾患の治療又は予防用食品組成物に関する。
キノコは古くから食材としてだけでなく、薬としても用いられている。ヤマブシタケ(Hericium erinaceus)もその一つであり、その機能性は多岐にわたり、抗腫瘍作用、抗肥満作用、不定愁訴軽減等が報告されている。
さらに、ヤマブシタケ特有の機能性として精神疾患改善効果が報告されている(例えば、特許文献1参照)。ヤマブシタケ由来の健康食品を精神疾患患者(認知症、うつ病、統合失調症、及び神経性無食欲症)が服用したところ、疾患の改善が確認されたことが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
ヤマブシタケの疾患改善のメカニズムは、ヤマブシタケに特有に含まれる化合物であるヘリセノンCが直接脳アストロサイトに作用し、神経成長因子(NGF)を上昇させることであると考えられている(例えば、非特許文献2及び3参照)。NGFは、神経栄養因子の一種であり、神経の伸長、保護、新生を行なうタンパク質であり、特に認知症の改善因子として知られている。
特開2003−212790号公報
Inanaga K, "Amycenone, a nootropic found in Hericium erinaceum.", Per Med Universe, Vol. 1, Issue 1, p13-17, 2012. Kawagishi H et al., "Hericenones C, D and E, stimulators of nerve growth factor (NGF)-synthesis, from the mushroom Hericium erinaceum.", Tetrahedron Letters, Vol. 32, Issue 35, p4561-4564, 1991. Mori K et al., "Nerve Growth Factor-Inducing Activity of Hericium erinaceus in 1321N1 Human Astrocytoma Cells.", Biol Pharm Bull, Vol. 31, No. 9, p1727-1732, 2008.
しかしながら、ヘリセノンCはエステル結合を介した脂肪酸側鎖を有しており、該エステル結合は生体内で容易に代謝され、異なる構造に変化することが予想され、生体内で精神疾患改善効果を示す活性構造はヘリセノン構造ではない可能性が高い。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、新規の脳由来神経栄養因子産生促進剤、神経成長因子産生促進剤、酸化ストレス抑制剤及びそれらの製造方法、並びに、前記脳由来神経栄養因子産生促進剤、前記神経成長因子産生促進剤又は前記酸化ストレス抑制剤を含有する神経変性疾患の治療又は予防用医薬組成物、及び神経変性疾患の治療又は予防用食品組成物を提供する。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ヘリセノンC分解物がNGFの産生促進だけでなく、脳だけでなく腸管においても放出されていることが知られている脳由来神経栄養因子(BDNF)の産生も促進し、腸の機能改善に伴い脳機能も改善させることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
本発明の第1態様に係る脳由来神経栄養因子産生促進剤は、下記一般式(I)又は(II)で表される化合物を含有する。
Figure 2021017420
(一般式(I)中、R11は水素原子、水酸基、又は炭素数1以上5以下のアルキル基若しくはアルコキシ基である。
一般式(II)中、R21はクロマン環の置換基であり、水酸基、又は炭素数1以上5以下のアルキル基若しくはアルコキシ基である。n21は0以上3以下の整数である。)
上記第1態様に係る脳由来神経栄養因子産生促進剤は、下記式(I−1)又は(II−1)で表される化合物を含有してもよい。
Figure 2021017420
本発明の第2態様に係る神経成長因子産生促進剤は、下記一般式(I)又は(II)で表される化合物を含有する。
Figure 2021017420
(一般式(I)中、R11は水素原子、水酸基、又は炭素数1以上5以下のアルキル基若しくはアルコキシ基である。
一般式(II)中、R21はクロマン環の置換基であり、水酸基、又は炭素数1以上5以下のアルキル基若しくはアルコキシ基である。n21は0以上3以下の整数である。)
上記第2態様に係る神経成長因子産生促進剤は、下記式(I−1)又は(II−1)で表される化合物を含有してもよい。
Figure 2021017420
本発明の第3態様に係る酸化ストレス抑制剤は、下記一般式(I)又は(II)で表される化合物を含有する。
Figure 2021017420
(一般式(I)中、R11は水素原子、水酸基、又は炭素数1以上5以下のアルキル基若しくはアルコキシ基である。
一般式(II)中、R21はクロマン環の置換基であり、水酸基、又は炭素数1以上5以下のアルキル基若しくはアルコキシ基である。n21は0以上3以下の整数である。)
上記第3態様に係る酸化ストレス抑制剤は、下記式(I−1)又は(II−1)で表される化合物を含有してもよい。
Figure 2021017420
本発明の第4態様に係る神経変性疾患の治療又は予防用医薬組成物は、上記第1態様に係る脳由来神経栄養因子産生促進剤、上記第2態様に係る神経成長因子産生促進剤、又は、上記第3態様に係る酸化ストレス抑制剤を含有する。
本発明の第5態様に係る神経変性疾患の治療又は予防用食品組成物は、上記第1態様に係る脳由来神経栄養因子産生促進剤、上記第2態様に係る神経成長因子産生促進剤、又は、上記第3態様に係る酸化ストレス抑制剤を含有する。
上記第5態様に係る神経変性疾患の治療又は予防用食品組成物は、サプリメントであってもよい。
上記第5態様に係る神経変性疾患の治療又は予防用食品組成物は、機能性表示食品であってもよい。
上記第5態様に係る神経変性疾患の治療又は予防用食品組成物は、特別用途食品であってもよい。
上記第5態様に係る神経変性疾患の治療又は予防用食品組成物は、病者用食品又は特定保健用食品であってもよい。
本発明の第6態様に係る製造方法は、上記第1態様に係る脳由来神経栄養因子産生促進剤、上記第2態様に係る神経成長因子産生促進剤、又は、上記第3態様に係る酸化ストレス抑制剤の製造方法であって、ヘリセノンC〜Hからなる群より選ばれる少なくとも1種のヘリセノン類をエステル加水分解酵素処理することを含む。
前記エステル加水分解酵素がリパーゼであってもよい。
上記態様のBDNF産生促進剤、NGF産生促進剤、酸化ストレス抑制剤及びそれらの製造方法によれば、新規の有効成分を含有するBDNF産生促進剤、NGF産生促進剤及び酸化ストレス抑制剤を提供することができる。上記態様の神経変性疾患の治療又は予防用医薬組成物、及び神経変性疾患の治療又は予防用食品組成物は、前記BDNF産生促進剤、前記NGF産生促進又は前記酸化ストレス抑制剤を含有し、神経変性疾患を治療又は予防することができる。
実施例1におけるリパーゼ処理したヤマブシタケエタノール抽出物のn−ヘキサン可溶物をHPLCで解析した際のヘリセノンCのピーク面積の経時変化を示すグラフである。 実施例4における各細胞でのBDNF転写量を示すグラフである。 実施例5における1321N1細胞での細胞生存率を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態に係る(以下、「本実施形態」という)BDNF産生促進剤、NGF産生促進剤、及びそれらの製造方法、並びに、神経変性疾患の治療又は予防用医薬組成物、及び神経変性疾患の治療又は予防用食品組成物について、詳細を説明する。
なお、本明細書における「治療」とは、疾患の進行の遅延、症状の緩和、軽減、改善及び治癒を意味し、治療を補助する行為も包含される。また、「予防」とは、疾患の発症の抑制、遅延等を意味する。
<ヤマブシタケ>
ヤマブシタケ(山伏茸)は、サンゴハリタケ科サンゴハリタケ属に属し、慣用名は「Lion’s mane mushroom」、学名は「Hericium erinaceus(異名:Hericium erinaceum)」である。ヤマブシタケは、食用キノコであり、抗腫瘍作用、抗肥満作用、不定愁訴軽減、精神疾患の改善効果等を有することが報告されている。最近では、乾燥体、粉末、錠剤等の様々な形態で健康食品として販売されている。ヤマブシタケは、ヘリセノン類、エリナシン類、リン脂質であるジリノレオイルホスファチジルエタノールアミン(DLPE)等を有用成分として含有する。これらのうち、ヘリセノン類及びエリナシン類は、脳内でのNGFの産生を促進することで認知機能を改善することが報告されている。また、DLPEはアルツハイマー型認知症の原因物質であるアミロイドβタンパク質により引き起こされる小胞体ストレス誘導性神経細胞死を抑制することが報告されている。
発明者は、これら有用成分の中でも、ヘリセノン類に着目した。
<ヘリセノン類>
ヘリセノン類には多種の同族体が存在し、具体的には、ヘリセノンA、ヘリセノンB、ヘリセノンC、ヘリセノンD、ヘリセノンE、ヘリセノンF、ヘリセノンG、ヘリセノンHが挙げられる。これらの中でも、ヘリセノンC〜Eは、下記一般式(IA)で表される化合物であり、基本骨格が同一であり、脂肪酸側鎖の種類が異なる化合物である。また、ヘリセノンF〜Hは、下記一般式(IIA)で表される化合物であり、基本骨格が同一であり、脂肪酸側鎖の種類が異なる化合物である。
Figure 2021017420
一般式(IA)において、ヘリセノンCは、R11aがペンタデシル基であり、パルミチン酸側鎖を有する。ヘリセノンDは、R11aがヘプタデシル基であり、ステアリン酸側鎖を有する。ヘリセノンEは、R11aがcis,cis−9,12−ヘプタデカジエン−1−イル基であり、リノール酸側鎖を有する。
一般式(IIA)において、ヘリセノンFは、R21aがペンタデシル基であり、パルミチン酸側鎖を有する。ヘリセノンGは、R21aがヘプタデシル基であり、ステアリン酸側鎖を有する。ヘリセノンHは、R21aがcis,cis−9,12−ヘプタデカジエン−1−イル基であり、リノール酸側鎖を有する。
発明者は、ヘリセノン類のうち、ヘリセノンC〜Hがエステル結合を有することに着目し、これらヘリセノンC〜Hが生体内でエステル加水分解酵素であるリパーゼにより容易に代謝され、異なる構造に変化し、ヘリセノンC〜Hの分解物として生体内に存在するという仮説を立てた。
また、BDNFはNGFと同じ神経栄養因子の一種であり、脳だけでなく腸管においても放出されることが知られている。BDNFは精神疾患患者(うつ病、統合失調症、認知症等の患者)の血清中や死後脳において有意に低いことや、臨床症状の改善に伴い、血清中のBDNF濃度が増加することが報告されている。さらに、BDNFは血液脳関門を通過でき、脳脊髄液中のBDNF濃度と血清中のBDNF濃度が強い相関を示すことも知られている。BDNFはNGFと異なり、血液脳関門を通過できるため、腸におけるBDNFの産生を増強させることで精神疾患の改善につながる可能性がある。
また、近年注目を集めている「脳腸相関」は、脳の機能と腸の機能が相互作用しているという概念である。腸内環境は腸管神経叢により維持され、腸管神経叢は神経栄養因子であるBDNFやNGFにより活性化される。よって、腸におけるBDNFやNGFの産生を増強させることで腸管神経叢が活性化され、腸内環境の改善により精神疾患を改善する可能性がある。
これらのことから、発明者は、ヘリセノンC〜Hの分解物の作用部位が脳に加えて腸であること、さらに、ヘリセノンC〜Hの分解物の投与により、NGFに加えて、BDNFの腸における産生が促進されることが精神疾患改善の新規作用機構であるという仮説を立てた。
上記の仮説に基づいて、検討した結果、後述する実施例に示すように、ヘリセノンC〜Hの分解物がヤマブシタケの精神疾患改善作用に関与する生体内での活性構造であることを見出し、さらに、従来とは異なる精神疾患改善機構を明らかにすることで、本発明を完成するに至った。
従来では、ヤマブシタケの精神疾患改善機構として、ヘリセノン類が脳に直接作用していると考えられてきた。しかしながら、後述する実施例に示すように、ヘリセノンCはその分子量の大きさや疎水性の高さから、血液脳関門を通過することができないものと推定され、脳に到達することができないと考えられる。
これに対して、後述する実施例に示すように、ヘリセノンC〜Hの分解物は、生体内、特に、腸及び脳でのBDNFやNGFの産生を促進する。また、後述する実施例に示すように、ヘリセノンC〜Hの分解物は、生体内利用性が高いものであり、さらに、血液脳関門を通過することができるものと推定され、脳に到達することができる。
よって、ヘリセノンC〜Hの分解物を生体内に投与することで、脳及び腸におけるBDNFやNGFの産生が促進されて、脳における直接的な精神疾患の改善作用に加えて、腸内環境を維持する腸管神経叢の活性化を促し、腸内環境の改善により間接的に精神疾患を改善する効果が期待できる。
さらに、後述する実施例に示すように、脳及び腸におけるBDNFやNGFの産生により、酸化ストレスによる細胞死を抑制させることができる。
<BDNF産生促進剤、NGF産生促進剤及び酸化ストレス抑制剤>
本実施形態のBDNF産生促進剤、NGF産生促進剤及び酸化ストレス抑制剤は、下記一般式(I)又は(II)で表される化合物(以下、それぞれ「化合物(I)」及び「化合物(II)」と称する場合がある)を含有する。
Figure 2021017420
(一般式(I)中、R11は水素原子、水酸基、又は炭素数1以上5以下のアルキル基若しくはアルコキシ基である。
一般式(II)中、R21はクロマン環の置換基であり、水酸基、又は炭素数1以上5以下のアルキル基若しくはアルコキシ基である。n21は0以上3以下の整数である。)
化合物(I)はヘリセノンC〜Eの分解物及び該分解物の誘導体である。
化合物(II)はヘリセノンF〜Hの分解物及び該分解物の誘導体である。
本実施形態のBDNF産生促進剤、NGF産生促進剤及び酸化ストレス抑制剤は、ヘリセノンC〜Eの分解物及びヘリセノンF〜Hの分解物に加えて、BDNF及びNGF産生促進効果、並びに酸化ストレス抑制効果を損なわない範囲で、それら分解物の誘導体を有効成分として含有することができる。
なお、ここでいう「BDNF産生促進効果」及び「NGF産生促進効果」とは、特定の組織又は細胞(好ましくは、脳及び腸又はそれらを構成する細胞)におけるBDNF又はNGFの発現量を増加させて、BDNF又はNGFの細胞外への放出量を増強させる効果を意味する。また、「酸化ストレス抑制効果」とは、酸化ストレスの発生や蓄積を抑制、或いは既に発生又は蓄積している酸化ストレスを低減させる効果を意味する。
[R11
11における炭素数1以上5以下のアルキル基としては、鎖状であってもよく、環状であってもよい。鎖状アルキル基としては、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
直鎖状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。
分岐鎖状アルキル基としては、例えば、イソプロプル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、3−ペンチル基、tert−ペンチル基等が挙げられる。
環状アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等が挙げられる。
中でも、R11における炭素数1以上5以下のアルキル基としては、鎖状アルキル基であることが好ましく、直鎖状アルキル基であることがより好ましく、炭素数1以上3以下の直鎖状アルキル基であることがさらに好ましく、メチル基又はエチル基であることが特に好ましい。
11における炭素数1以上5以下のアルコキシ基としては、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
直鎖状アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペントキシ基等が挙げられる。
分岐鎖状アルコキシ基としては、例えば、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、イソブトキシ基、イソペントキシ基、ネオペントキシ基、tert−ペントキシ基等が挙げられる。
中でも、R11としては、水素原子、水酸基又は炭素数1以上3以下の直鎖状アルキル基若しくはアルコキシ基が好ましく、水素原子又は水酸基がより好ましく、水素原子がさらに好ましい。
[R21
21における炭素数1以上5以下のアルキル基及びアルコキシ基としては、上記R11において例示されたものと同様のものが挙げられる。
中でも、R21としては、水酸基又は炭素数1以上3以下の直鎖状アルキル基若しくはアルコキシ基が好ましく、水酸基がより好ましい。
[n21]
n21は0以上3以下の整数であり、0以上2以下の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。n21が0であるとき、クロマン環は置換基を有しない。
好ましい化合物(I)としては、例えば、以下の式(I−1)〜(I−3)で表される化合物等が挙げられる。なお、これら化合物は、好ましい化合物(I)の一例であり、好ましい化合物(I)はこれらに限定されない。
Figure 2021017420
好ましい化合物(II)としては、例えば、以下の式(II−1)〜(II−3)で表される化合物等が挙げられる。なお、これら化合物は、好ましい化合物(II)の一例であり、好ましい化合物(II)はこれらに限定されない。
Figure 2021017420
中でも、化合物(I)としては、化合物(I−1)、すなわちヘリセノンC〜Eの分解物が好ましい。また、化合物(II)としては、化合物(II−1)、すなわちヘリセノンF〜Hの分解物が好ましい。ヘリセノンC〜Hはヤマブシタケに含まれる成分であり、ヤマブシタケは食用キノコとしてこれまで食経験のあるものであること、さらに、これらヘリセノンC〜Hの分解物はヘリセノンC〜Hが生体内で分解されて生成された化合物でありこれまでも生体内で存在していた構造の化合物であると推定されることからも、ヘリセノンC〜Hの分解物は安全性が担保された化合物であると考えられ、好ましく用いることができる。
本実施形態のBDNF産生促進剤、NGF産生促進剤及び酸化ストレス抑制剤は、医薬品等による治療が必要であり、症状の改善を望む神経変性疾患の患者だけでなく、医薬品等による治療は必要でないものの、神経変性疾患の予防を必要とする高齢者等にも摂取させることができる。
<BDNF産生促進剤、NGF産生促進剤及び酸化ストレス抑制剤の製造方法>
本実施形態のBDNF産生促進剤、NGF産生促進剤及び酸化ストレス抑制剤に含まれる上記化合物(I)又は上記化合物(II)は、例えば、後述する実施例に示すように、ヘリセノンC〜Hをエステル加水分解酵素で処理することで製造することができる。エステル加水分解酵素としては、脂溶性基質(水に不溶の基質)であるヘリセノンC〜Hに作用する酵素であればよく、例えば、リパーゼ、エステラーゼ類等が挙げられる。一般に、リパーゼは三価アルコールであるグリセリンと3個の高級脂肪酸とのエステル、すなわち、中性脂肪を加水分解する酵素を指し、エステラーゼ類は一価アルコール類と低級脂肪酸とのエステルを加水分解するものを指す。しかしながら、一価アルコール類の低級脂肪酸エステルをある程度加水分解することができるリパーゼもあり、また、中性脂肪をある程度加水分解することができるエステラーゼ類もある。このような特性を有するリパーゼやエステラーゼ類も使用することができる。中でも、有機溶媒への耐性が強く、生体内に存在する酵素であることから、リパーゼが好ましい。これらエステル加水分解酵素は、動物の膵液、腸壁及び肝臓、植物種子、カビ類、細菌から採取された天然由来のものであってもよく、化学的に合成されたものであってもよい。
具体的には、例えば、ヘリセノンC〜Hのうち少なくともいずれか1種のヘリセノン類にエステル加水分解酵素を添加し、30℃以上40℃以下程度の温度条件下で、1時間以上24時間以下程度、酵素処理を行なうことで、ヘリセノンC〜Eの分解物である上記化合物(I−1)又はヘリセノンF〜Hの分解物である上記化合物(II−1)を得ることができる。得られた化合物(I−1)又は上記化合物(II−1)は、さらに公知の方法を用いて精製することができる。
なお、ヘリセノンC〜Hは、例えば、ヤマブシタケの子実体から有機溶媒を用いて公知の抽出方法により抽出することができる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、アセトン、クロロホルム、フェノール、n−ヘキサン、ブタノール、イソプロパノール、ベンゼン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、ジクロロメタン、トリクロロエチレン等が挙げられる。これらの有機溶媒を1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。さらに、上記のうち1種からなる有機溶媒、又は2種以上からなる混合有機溶媒を、種々の抽出工程において連続的に使用してもよい。当業者は、使用する有機溶媒の種類及びその組み合わせについて適宜選択することができる。また、抽出に使用する有機溶媒の量は、使用する有機溶媒の種類や抽出効率等によって当業者は適宜選択することができる。
例えば、ヤマブシタタケ1質量部に対して、5質量部以上20質量部以下程度のエタノールを用いて抽出を行なった後に、得られたエタノール抽出物をさらにn−ヘキサンで抽出することで、ヘリセノンC〜Hを含む粗抽出物を得ることができる。得られた粗抽出物はさらに公知の方法を用いて精製することで、ヘリセノンC〜Hを単離することができる。
上記化合物(I)又は上記化合物(II)の原料であるヘリセノンC〜Hは、ヤマブシタケエキス等から単離された精製物を原料として用いてもよく、ヤマブシタケから上記方法を用いて得られる粗抽出物(以下、「ヤマブシタケエキス」と称する場合がある)を原料として用いてもよく、ヤマブシタケをそのまま用いてもよい。ヤマブシタケエキス又はヤマブシタケを原料として用いた場合には、エステル加水分解酵素による処理後、上記化合物(I)又は上記化合物(II)を精製して単離してもよく、処理後のヤマブシタケエキスに含まれる酵素を失活させた後にそのまま用いてもよい。医薬組成物として用いる場合には、上記化合物(I)又は上記化合物(II)を精製して単離することが好ましい。一方、食品組成物やサプリメントとして用いる場合には、ヤマブシタケに含まれるその他栄養成分や有効成分も併せて摂取できることから、エステル加水分解酵素による処理後のヤマブシタケエキスに含まれる酵素を失活させた後にそのまま用いることが好ましい。
<神経変性疾患の治療又は予防用医薬組成物>
本実施形態の神経変性疾患の治療又は予防用医薬組成物(以下、単に「本実施形態の医薬組成物」と略記する場合がある)は、上記BDNF産生促進剤、上記NGF産生促進剤又は上記酸化ストレス抑制剤を含有する。
本実施形態の医薬組成物を投与することにより、神経変性疾患を治療又は予防することができる。
本実施形態の医薬組成物の適用対象となる神経変性疾患としては、例えば、アルツハイマー型認知症、パーキンソン病、クロイツフェルトヤコブ病、ハンチントン舞踏病、ピック病、進行性核上性麻痺、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症、その他の各種痴呆疾患(例えば、ビンスバンガー病、脳血管性痴呆、正常圧水頭症、脳外傷後痴呆、慢性硬膜下血腫、脳腫瘍)等が挙げられ、これらに限定されない。中でも、アルツハイマー型認知症が好ましい。また、神経変性疾患だけにとどまらず、酸化ストレスに起因する疾患や、うつ病、統合失調症、神経性無食欲症等の精神疾患の治療又は予防に用いることもできる。
本実施形態の医薬組成物は、経口的に使用される剤型であってもよく、非経口的に使用される剤型であってもよいが、経口的に使用される剤型であることが好ましい。経口的に使用される剤型としては、例えば錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤等が挙げられる。非経口的に使用される剤型としては例えば注射剤、軟膏剤、貼付剤等が挙げられる。
薬学的に許容される担体としては、通常医薬組成物の製剤に用いられるものを特に制限なく用いることができる。より具体的には、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、アラビアゴム等の結合剤;デンプン、結晶性セルロース等の賦形剤;アルギン酸等の膨化剤;水、エタノール、グリセリン等の注射剤用溶剤;ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等の粘着剤等が挙げられる。
医薬組成物は添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤;ショ糖、乳糖、サッカリン、マルチトール等の甘味剤;ペパーミント、アカモノ油等の香味剤;ベンジルアルコール、フェノール等の安定剤;リン酸塩、酢酸ナトリウム等の緩衝剤;安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等の溶解補助剤;酸化防止剤;防腐剤等が挙げられる。
医薬組成物は、上記BDNF産生促進剤、上記NGF産生促進剤又は上記酸化ストレス抑制剤と、上記薬学的に許容される担体及び添加剤を適宜組み合わせて、一般に認められた製薬実施に要求される単位用量形態で混和することによって製剤化することができる。
医薬組成物は、他の疾患の治療薬と組合せて、使用してもよい。例えば、上記BDNF産生促進剤、上記NGF産生促進剤又は上記酸化ストレス抑制剤を、整腸剤と組み合わせて使用することで、より効果的に腸内環境を改善しながら、神経変性疾患を治療又は予防することができる。
上記BDNF産生促進剤、上記NGF産生促進剤又は上記酸化ストレス抑制剤と他の薬剤とは、同一の製剤にしてもよく、別々の製剤にしてもよい。また、各製剤は、同一の投与経路で投与してもよく、別々の投与経路で投与してもよい。更に、各製剤は、同時に投与してもよく、逐次的に投与してもよく、一定の時間乃至期間を空けて別々に投与してもよい。一実施態様において、上記BDNF産生促進剤、上記NGF産生促進剤又は上記酸化ストレス抑制剤と他の薬剤とは、これらを包含するキットとしてもよい。
投与する対象としては、限定されるものではないが、例えば、ヒト、サル、イヌ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ウサギ、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、及びそれらの細胞等が挙げられる。中でも、哺乳動物又は哺乳動物細胞が好ましく、ヒト又はヒト細胞が特に好ましい。
投与経路は、例えば、髄腔内注射、動脈内注射、静脈内注射、皮下注射等の他、鼻腔内的、経気管支的、筋内的、経皮的、又は経口的に当業者に公知の方法により行なうことができる。中でも、経口投与が好ましい。
本実施形態の医薬組成物において、その投与量は、化合物(I)又は化合物(II)の種類、投与対象の症状、投与部位、投与方法等により変動する。当業者であれば適当な投与量を適宜選択することが可能であるが、例えば、経口投与の場合は、化合物(I)又は化合物(II)の投与量として、一般的に成人(体重60kgとして)においては、1日あたり約0.1mg以上500mg以下とすることができ、約1.0mg以上250mg以下が好ましく、約1.0mg以上100mg以下がより好ましい。投与のタイミングとしては、食前、食後、食間のいずれでもよい。
非経口的に投与する場合、その投与量は、化合物(I)又は化合物(II)の種類、患者の症状、投与部位、投与方法等により変動するが、全身投与を行う場合は、化合物(I)又は化合物(II)の投与量として、一般的に成人(体重60kgとして)においては、1日あたり約0.1mg以上500mg以下とすることができ、約1.0mg以上250mg以下が好ましく、約1.0mg以上100mg以下がより好ましい。局所投与を行う場合は、化合物(I)又は化合物(II)の投与量として、一般的に成人(体重60kgとして)においては、1日あたり約0.001mg以上10mg以下とすることができ、約0.01mg以上5mg以下が好ましく、約0.02mg以上2mg以下がより好ましい。
本実施形態の医薬組成物の投与は、単回投与でもよく、複数回投与であってもよい。複数回投与である場合は、例えば、2時間以上12時間以下の期間毎、毎日、又は2日、1週間、数週間、1か月若しくは数か月に1回等の頻度で投与することができる。
<神経変性疾患の治療又は予防用食品組成物>
本実施形態の神経変性疾患の治療又は予防用食品組成物(以下、単に「本実施形態の食品組成物」と略記する場合がある)は、上記BDNF産生促進剤、上記NGF産生促進剤又は上記酸化ストレス抑制剤を含有する。
本実施形態の食品組成物を摂取することで、腸管神経叢を活性化し、精神疾患(神経変性疾患)を改善することができる。また、本実施形態の食品組成物を摂取することで、メンタルヘルスの維持増進、睡眠の質の向上につながることが期待される。
本実施形態の食品組成物において、その摂取量は、化合物(I)又は化合物(II)の種類、摂取対象の症状等により変動する。当業者であれば適当な摂取量を適宜選択することが可能であるが、例えば、化合物(I)又は化合物(II)の摂取量として、一般的に成人(体重60kgとして)においては、1日あたり約0.1mg以上500mg以下とすることができ、約1.0mg以上250mg以下が好ましく、約1.0mg以上100mg以下がより好ましい。摂取のタイミングとしては、食前、食後、食間のいずれでもよい。なお、「1日あたりXmg」とは、食品組成物の形態によって異なるが、表示される1日の摂取目安量や、通常1度で消費する飲みきりタイプの飲料であれば1本当たりに含まれる量を指すものである。
本実施形態の食品組成物は、例えば、サプリメントの形態であってもよく、飲料の形態であってもよく、ゲル状食品の形態であってもよく、任意の調理済み食品の形態等であってもよい。サプリメントの形状としては、例えば、錠剤、カプセル等の形状が挙げられる。
本実施形態の食品組成物は、機能性表示食品であってもよい。「機能性表示食品」とは、科学的根拠を基に商品パッケージに機能性を表示するものとして、消費者庁に届け出られた食品を意味する。当該表示として、例えば、「脳及び腸におけるBDNFやNGFの産生を促進する機能性」、「酸化ストレスを抑制する機能性」、「脳及び腸管神経叢を活性化する機能性」、「認知機能の低下を予防する機能性」、「認知機能の低下が気になる人の食生活の改善に役立つ機能性」等が挙げられるが、これらに限定されない。また、機能性表示のない食品であっても、これら機能性をチラシ、メール、口頭でうたって製造、販売することも考えらえる。
本実施形態の食品組成物は、特別用途食品であってもよい。特別用途食品とは、国の許可を受けて、乳児、幼児、妊産婦、病者等の発育、健康の保持及び回復等に適するという特別の用途について表示する食品を意味する。
本実施形態の食品組成物は、特別用途食品のうちの病者用食品であってもよい。
本実施形態の食品組成物は、特別用途食品のうちの特定保健用食品であってもよい。特定保健用食品とは、健康の維持増進に役立つことが科学的根拠に基づいて認められ、その効果の表示が許可されている食品を意味する。表示されている効果や安全性については国が審査を行い、食品ごとに消費者庁長官により許可される。
[サプリメント]
本実施形態の神経変性疾患の治療又は予防用サプリメント(以下、単に「本実施形態のサプリメント」と略記する場合がある)は、上記BDNF産生促進剤、上記NGF産生促進剤又は上記酸化ストレス抑制剤を含有する。
本実施形態のサプリメントを摂取することで、腸管神経叢を活性化し、神経変性疾患を改善することができる。また、本実施形態の食品組成物を摂取することで、メンタルヘルスの維持増進、睡眠の質の向上につながることが期待される。
本実施形態のサプリメントにおいて、その摂取量としては、上記食品組成物において例示された量と同様の摂取量とすることができる。
<その他実施形態>
一実施形態において、本発明は、上記化合物(I)又は上記化合物(II)の有効量を、治療を必要とする患者又は患畜に投与することを含む、神経変性疾患の治療方法を提供する。なお、ここでいう「有効量」とは、望ましい治療措置に従って投与したときに、医師、臨床医、獣医、研究者、又は他の適切な専門家が求める生物学的、医学的効果若しくは応答を誘発する上記化合物(I)若しくは上記化合物(II)の量、又は上記化合物(I)若しくは上記化合物(II)及び1種類以上の活性剤の組み合わせの量を意味する。好ましい有効量は神経変性疾患を抑制又は改善する量である。また、「有効量」には、予防に有効な量、すなわち、疾患状態の予防に適する量が包含される。
一実施形態において、本発明は、神経変性疾患の治療のための組成物であって、上記化合物(I)又は上記化合物(II)を含有する組成物を提供する。
一実施形態において、本発明は、上記BDNF産生促進剤、上記NGF産生促進剤、上記酸化ストレス抑制剤又は上記神経変性疾患の治療又は予防用医薬組成物を製造するための上記化合物(I)又は上記化合物(II)の使用を提供する。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(リパーゼ処理によるヘリセノンC分解物の経時変化)
まず、ヤマブシタケ子実体(83g)を凍結乾燥し、エタノール500mLに浸漬させ、室温で180rpm、24時間振とう抽出した。エタノール抽出液は吸引ろ過によって回収した。抽出液を45℃でロータリーエバポレーターにより濃縮し、真空デシケーターで乾燥させることによりエタノール抽出物を得た。
次いで、得られたヤマブシタケエタノール抽出物のn−ヘキサン可溶物を調製した。具体的には、ヤマブシタケエタノール抽出物(5g)をn−ヘキサン100mLに浸漬させ、室温で180rpm、24時間振とう抽出した。n−ヘキサン抽出液は吸引ろ過によって回収した。抽出液を45℃でロータリーエバポレーターにより濃縮し、真空デシケーターで乾燥させることによりn−ヘキサン可溶物を得た。
次いで、10mg/μL DMSOに調製したn−ヘキサン可溶物に50U/mLのリパーゼ溶液(ブタ膵臓粗酵素粉末由来)を添加した。溶液を37℃で0、1、17又は24時間インキュベートした。インキュベート後、各溶液に有機溶媒(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1)を加え、超音波抽出を行ない、n−ヘキサン可溶物のリパーゼ処理物を得た。リパーゼ処理物を濃縮後、メタノールに溶解させ、フィルターろ過し、高速液体クロマトグラフ(HPLC)に供した。HPLCの結果から、ヘリセノンCのピークを標品と比較して同定し、そのピーク面積をヘリセノンCの含有量として算出し、経時的な変化を確認した。結果を図1に示す。
図1から、n−ヘキサン可溶物を生体内エステル加水分解酵素であるリパーゼとインキュベートすることにより、ヘリセノンCの経時的な減少が確認された。小腸における吸収速度はおよそ7時間以上9時間以下程度と考えられている。この結果から、17時間のインキュベートでも40%程度のヘリセノンCが残存しているが、腸内では、ヘリセノンCとその分解物が存在しているものと推察された。
[実施例2]
(リパーゼ処理によるin vitroでのヘリセノンC分解物の単離及び同定)
実施例1と同様の方法を用いて、リパーゼ処理物を得た。得られたリパーゼ処理物を逆相分取HPLCにて精製し、ヘリセノンC分解物を得た。構造解析は13C−核磁気共鳴(NMR)装置と高速原始衝撃−質量分析計(FAB−MS)(マトリックス:3−ニトロベンジルアルコール)を用いて行なった。13C−NMRのケミカルシフト値を表1に示す。
Figure 2021017420
FAB−MSの結果から、in vitroでのヘリセノンC分解物の分子イオンピークはm/z=313に現れ、ヘリセノンC(m/z=569)から脂肪酸側鎖(m/z=283)が脱離した構造であることが判明した。また、13C−NMRの結果から、リパーゼ処理により、ヘリセノンCから脂肪酸側鎖が脱離した構造に分解されていることが確認された。
Figure 2021017420
これらの結果から、生体内におけるヘリセノンC分解物の存在の可能性が示唆された。
[実施例3]
(ヘリセノンC及びヘリセノンC分解物の生体内利用性及び血液脳関門通過に関するin silico予測)
ヘリセノンC及び実施例2で得られたヘリセノンC分解物について、ACD/I−lab2.0(URL:https://ilab.acdlabs.com/iLab2/、アクセス日:2015年2月2日)、及び既報の3種の生体内利用性予測ルール(Lipinski’s rule、Verber’s rule、及びZhu’s rule)(参考文献1:「Zhu J et al., “Recent developments of in silico predictions of oral bioavailability.”, Comb Chem High Throughput Screen, Vol. 14, Issue 5, p362-374, 2011.」)を用いて、ヘリセノンC及びヘリセノンC分解物の生体内利用性及び血液脳関門通過の予測を行なった。結果を表2に示す。
Figure 2021017420
表2から、ヘリセノンCはその分子量の大きさ及び疎水性の高さのためにほぼ脳に到達しない可能性が高いという結果であった。一方で、ヘリセノンC分解物は3種全てのルールにおいて生体内利用性があることが示され、ACD/I−lab2.0の検討では、30%以上70%以下程度と高い生体内利用性が示され、血液脳関門の通過が示唆された。
[実施例4]
(ヘリセノンC及びヘリセノンC分解物による1321N1細胞、SH−SY5Y細胞及びCaco−2細胞のBDNF発現量への影響)
ヒトアストロサイトーマ1321N1細胞及びヒト結腸癌由来の細胞株Caco−2細胞は2.0×10cells/wellにて、ヒトニューロブラストーマSH−SY5Y細胞は4.0×10cells/wellにて、12ウェルプレートに播種した。1321N1細胞は培養開始から48時間後に培地をウシ胎児血清(FBS)無配合の培地に交換し、さらに、24時間後にヘリセノンC又はヘリセノンC分解物を培地中の濃度が12.5μg/mLとなるように添加した。Caco−2細胞は培養開始から48時間後に培地を交換し、ヘリセノンC又はヘリセノンC分解物を培地中の濃度が12.5μg/mLとなるように添加した。SH−SY5Y細胞は培養開始から72時間後に培地を交換し、ヘリセノンC又はヘリセノンC分解物を培地中の濃度が12.5μg/mLとなるように添加した。3時間(1321N1細胞)又は24時間(Caco−2細胞及びSH−SY5Y細胞)のヘリセノンC又はヘリセノンC分解物存在下での培養後、リアルタイムPCRによりBDNFのmRNA転写量を評価した。具体的には、培養後の各細胞について培地を除去し、ISOGEN II(ニッポンジーン社製)を用いて、全RNAを抽出した。次いで、ReverTraAce(登録商標) qPCR RT Master Mix with gDNA Remover(東洋紡社製)を用いてRNAからcDNAを合成した。次いで、KAPA SYBR Fast qPCRキット(Kapa Biosystems社製)を用いてリアルタイムPCRを行なった。cDNAテンプレート量は、対照サンプルのハウスキーピング遺伝子であるβ−アクチンを100ng、BDNFを200ngとした。ポジティブコントロールとしてヤマブシタケエタノール抽出物(培地中濃度:100μg/mL)を用いた。また、リアルタイムPCRで用いたプライマーを以下の表3に、リアルタイムPCRのプログラムを以下の表4に示す。リアルタイムPCRの結果を図2に示す。なお、図2において、コントロールは、各細胞におけるβ−アクチン転写量を示し、各細胞でのBDNF転写量は、β−アクチン転写量を1としたときの相対値で表している。「Hericenone C derivative」とはヘリセノンC分解物である。サンプル間の有意差はStudent’s−t−testにて検出した(*:p<0.1、**:p<0.01)。測定サンプル数は各群でn=3である。
Figure 2021017420
Figure 2021017420
図2から、ヘリセノンCはSH−SY5Y細胞に対して、BDNFのmRNA転写量に影響を及ぼさなかった。一方で、ヘリセノンC分解物はSH−SY5Y細胞におけるBDNFのmRNA転写量を上昇させた。さらに、ヘリセノンC及びヘリセノンC分解物において、Caco−2細胞におけるBDNFのmRNA転写量の有意な上昇が確認され、その効果は、ヘリセノンC分解物の方が高かった。
[実施例5]
(ヘリセノンC及びヘリセノンC分解物による1321N1細胞に対する酸化ストレス毒性への影響)
1321N1細胞を3.0×10cells/wellにて、12ウェルプレートに播種した。培養開始から24時間後、ヘリセノンC又はヘリセノンC分解物を培地中の濃度が1.6、3.1、6.3又は12.5μg/mLとなるように添加して、ヘリセノンC又はヘリセノンC分解物存在下で3時間培養した(以下、各細胞群をそれぞれ「ヘリセノンC処理群」及び「ヘリセノンC分解物処理群」と称する場合がある)。その後、ヘリセノンC又はヘリセノンC分解物を含有する培地を除去し、酸化ストレスとして過酸化水素H含有培地に交換し、24時間培養した。培養後、MTT試験により細胞生存率を評価した。ポジティブコントロールとしてヤマブシタケエタノール抽出物(培地中濃度:5又は10μg/mL)を用いた。結果を図3に示す。図3において、「NC」は過酸化水素不含培地で培養した1321N1細胞(以下、「NC群」と略記する場合がある)であり、「TC」は過酸化水素含有培地で培養した1321N1細胞(以下、「TC群」と略記する場合がある)である。TC群よりも細胞生存率が上昇した細胞群は酸化ストレス毒性の緩和効果を有するものと判断した。また、各細胞群での細胞生存率は、NC群における細胞生存率を100%としたときの相対値で表している。サンプル間の有意差はTukey testにて検出した(p<0.01)。測定サンプル数は各群でn=4である。
図3から、TC群において酸化ストレスにより細胞生存率が19.9%程度まで減少していた。ヘリセノンC処理群では、酸化ストレス毒性に対する緩和効果が確認されなかった。一方で、ヘリセノンC分解物処理群では、濃度依存的に細胞生存率が上昇しており、酸化ストレス毒性に対する緩和効果が確認された。ヘリセノンC分解物による酸化ストレス毒性に対する緩和効果の一因は、BDNF産生増強によるものと推察される。
以上の結果から、従来考えられてきたヤマブシタケの精神疾患改善機構である「ヘリセノンCが脳に直接作用している」という仮説は信頼性が低いものと推察された。一方で、新しいヤマブシタケの精神疾患改善機構として、ヘリセノンC分解物による体内BDNF量の上昇が示唆された。
また、近年、活発に考えられている概念として「脳腸相関」があり、これは、脳の機能と腸の機能が相互作用しているという概念である。腸内環境は腸管神経叢により維持され、腸管神経叢は神経栄養因子であるBDNFやNGFにより活性化される。上記結果から確認された、小腸上皮モデル細胞であるCaco−2細胞でのヤマブシタケエタノール抽出物、ヘリセノンCやヘリセノンC分解物のBDNF及びNGFのmRNA転写量の上昇効果によって、腸内環境を維持する腸管神経叢の活性化を促し、精神疾患を改善する可能性が示唆された。
本実施形態のBDNF産生促進剤及びNGF産生促進剤によれば、新規の有効成分を含有するBDNF産生促進剤及びNGF産生促進剤を提供することができる。

Claims (14)

  1. 下記一般式(I)又は(II)で表される化合物を含有する、脳由来神経栄養因子産生促進剤。
    Figure 2021017420
    (一般式(I)中、R11は水素原子、水酸基、又は炭素数1以上5以下のアルキル基若しくはアルコキシ基である。
    一般式(II)中、R21はクロマン環の置換基であり、水酸基、又は炭素数1以上5以下のアルキル基若しくはアルコキシ基である。n21は0以上3以下の整数である。)
  2. 下記式(I−1)又は(II−1)で表される化合物を含有する、請求項1に記載の脳由来神経栄養因子産生促進剤。
    Figure 2021017420
  3. 下記一般式(I)又は(II)で表される化合物を含有する、神経成長因子産生促進剤。
    Figure 2021017420
    (一般式(I)中、R11は水素原子、水酸基、又は炭素数1以上5以下のアルキル基若しくはアルコキシ基である。
    一般式(II)中、R21はクロマン環の置換基であり、水酸基、又は炭素数1以上5以下のアルキル基若しくはアルコキシ基である。n21は0以上3以下の整数である。)
  4. 下記式(I−1)又は(II−1)で表される化合物を含有する、請求項3に記載の神経成長因子産生促進剤。
    Figure 2021017420
  5. 下記一般式(I)又は(II)で表される化合物を含有する、酸化ストレス抑制剤。
    Figure 2021017420
    (一般式(I)中、R11は水素原子、水酸基、又は炭素数1以上5以下のアルキル基若しくはアルコキシ基である。
    一般式(II)中、R21はクロマン環の置換基であり、水酸基、又は炭素数1以上5以下のアルキル基若しくはアルコキシ基である。n21は0以上3以下の整数である。)
  6. 下記式(I−1)又は(II−1)で表される化合物を含有する、請求項5に記載の酸化ストレス抑制剤。
    Figure 2021017420
  7. 請求項1若しくは2に記載の脳由来神経栄養因子産生促進剤、請求項3若しくは4に記載の神経成長因子産生促進剤、又は、請求項5若しくは6に記載の酸化ストレス抑制剤を含有する、神経変性疾患の治療又は予防用医薬組成物。
  8. 請求項1若しくは2に記載の脳由来神経栄養因子産生促進剤、請求項3若しくは4に記載の神経成長因子産生促進剤、又は、請求項5若しくは6に記載の酸化ストレス抑制剤を含有する、神経変性疾患の治療又は予防用食品組成物。
  9. サプリメントである、請求項8に記載の神経変性疾患の治療又は予防用食品組成物。
  10. 機能性表示食品である、請求項8又は9に記載の神経変性疾患の治療又は予防用食品組成物。
  11. 特別用途食品である、請求項8又は9に記載の神経変性疾患の治療又は予防用食品組成物。
  12. 病者用食品又は特定保健用食品である、請求項11に記載の神経変性疾患の治療又は予防用食品組成物。
  13. 請求項1若しくは2に記載の脳由来神経栄養因子産生促進剤、請求項3若しくは4に記載の神経成長因子産生促進剤、又は、請求項5若しくは6に記載の酸化ストレス抑制剤の製造方法であって、
    ヘリセノンC〜Hからなる群より選ばれる少なくとも1種のヘリセノン類をエステル加水分解酵素処理することを含む、製造方法。
  14. 前記エステル加水分解酵素がリパーゼである、請求項13に記載の製造方法。
JP2019134654A 2019-07-22 2019-07-22 脳由来神経栄養因子産生促進剤、神経成長因子産生促進剤、酸化ストレス抑制剤及びそれらの使用 Active JP7367959B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019134654A JP7367959B2 (ja) 2019-07-22 2019-07-22 脳由来神経栄養因子産生促進剤、神経成長因子産生促進剤、酸化ストレス抑制剤及びそれらの使用

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019134654A JP7367959B2 (ja) 2019-07-22 2019-07-22 脳由来神経栄養因子産生促進剤、神経成長因子産生促進剤、酸化ストレス抑制剤及びそれらの使用

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021017420A true JP2021017420A (ja) 2021-02-15
JP7367959B2 JP7367959B2 (ja) 2023-10-24

Family

ID=74563024

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019134654A Active JP7367959B2 (ja) 2019-07-22 2019-07-22 脳由来神経栄養因子産生促進剤、神経成長因子産生促進剤、酸化ストレス抑制剤及びそれらの使用

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7367959B2 (ja)

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002318231A (ja) * 2001-04-20 2002-10-31 Sumitomo Pharmaceut Co Ltd シュワン細胞活性化剤及びそのスクリーニング方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3943399B2 (ja) 2002-01-16 2007-07-11 マイタケ プロダクツ インコーポレーテッド ヤマブシダケ由来脂溶性抽出成分
JP4266848B2 (ja) 2004-02-16 2009-05-20 株式会社クボタ バックホウの油圧回路構造

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002318231A (ja) * 2001-04-20 2002-10-31 Sumitomo Pharmaceut Co Ltd シュワン細胞活性化剤及びそのスクリーニング方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP7367959B2 (ja) 2023-10-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8940789B2 (en) Neurite elongation agent, memory-improving agent and anti-Alzheimer agent comprising 4′-demethylnobiletin or 4′-demethyltangeretin as active ingredient, and process for production of the compound
CA2877718C (en) Enhancing autophagy or increasing longevity by administration of urolithins or precursors thereof
KR101621856B1 (ko) 모노아세틸디아실글리세롤 화합물을 유효성분으로 함유하는 류마티스 관절염의 예방 또는 치료용 조성물
WO2005102357A1 (en) Compositions comprising one or more policosanols and/or policosanoic acids combined with sterol and/or steroid based ascorbic acid derivatives, and uses thereof
US8604087B2 (en) Composition for treating or preventing amyloid-related diseases comprising 4-O-methylhonokiol
US9206103B2 (en) Materials and methods for reduction of protein tau and treatment of neurodegenerative diseases
US10590496B2 (en) Composition for preventing and treating degenerative brain disease using novel lactic acid bacteria
KR20110095486A (ko) 바우미 상황버섯 유래의 폴리페놀 추출물을 유효성분으로 함유하는 고지혈, 지방간 또는 비만 예방 및 치료용 조성물
KR101509554B1 (ko) 골질환의 예방 및/또는 치료용 의약 조성물, 그 조성물을 함유하는 기능성 식품 또는 건강 식품, 그리고 그 조성물을유효 성분으로 하는 의약 제제
KR100926798B1 (ko) 페리너스 속 버섯 또는 이노노투스 속 버섯의 균사체배양물로부터 분리된 히스피딘 유사체를 포함하는 항산화조성물
KR102385511B1 (ko) 참당귀 추출물로부터 쿠마린 유도체의 합성방법
JP7367959B2 (ja) 脳由来神経栄養因子産生促進剤、神経成長因子産生促進剤、酸化ストレス抑制剤及びそれらの使用
JP4205432B2 (ja) 骨代謝改善剤
KR20030023232A (ko) 인삼 또는 돌외로부터 사포닌을 추출하는 방법 및 이방법에 따라 추출된 사포닌을 함유하는 식품
US9453016B2 (en) Terpenoid spiro ketal compounds with LXR agonists activity, their use and formulations with them
KR20210022504A (ko) 신규 세스퀴테르펜 유도체(1) 및 이의 용도
KR100953177B1 (ko) 항염증 및 면역억제 효과를 갖는 레스베라트롤 유도체 화합물 및 이를 함유하는 약학적 조성물
JP2010270104A (ja) iNKT細胞活性化剤
WO2014173957A2 (en) Compound
KR102625826B1 (ko) 이노토디올 또는 이의 전구약물을 포함하는 퇴행성 뇌질환의 예방 또는 치료용 조성물
JP5947061B2 (ja) Srebp1抑制剤
KR100443265B1 (ko) 신규 화합물 페닐피로펜 α와 페닐피로펜 β, 이의생산방법 및 이를 포함하는 약제 조성물
KR100979921B1 (ko) 갈색꽃구름 버섯추출물과 이로부터 분리된 락톤계 화합물 및 이를 포함하는 항 비만제 조성물
KR101095013B1 (ko) 콜린에스테라아제 저해활성을 갖는 패 유래의 화합물
JP2023092723A (ja) 脳機能改善剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220511

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230303

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230314

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20230427

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230712

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230912

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20231004

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7367959

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150