JP2021014786A - 鋼床版にコンクリートを被覆する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】鋼床版にコンクリートを被覆する方法であって,加熱装置で加熱していない状態で,60℃以下の温度の水(温水)が浸透しても熱膨張性マイクロカプセルが膨張せず,繊維補強コンクリート層がデッキプレートから剥離する恐れが抑制される方法の提供。【解決手段】熱膨張性マイクロカプセルを含有するエポキシ樹脂系のプライマーから成り,60℃以下の水に接触しても膨張しない材料を被覆材(3)として選択する工程と,選択された被覆材(3)により鋼板(2:デッキプレート)を被覆して被覆層を形成する工程と,エポキシ樹脂系の接着層(4)を前記被覆層(3)の上に積層する工程と,セメントを含むコンクリートを前記接着層(4)に積層してコンクリート層(5)を形成する工程を有する。【選択図】図2
Description
本発明は,鋼板上にコンクリート層を有する鋼床版に関する。より詳細には,鋼床版のコンクリート層を容易に除去する技術に関する。
道路橋に用いられる鋼床版には,鋼板で形成されたデッキプレートの上面を必要に応じてブラスト等で研磨した後,エポキシ系接着剤を塗布し,繊維補強コンクリートを打設し,繊維補強コンクリート上にアスファルト材料の表層を敷設するタイプが存在する。
ここで,鋼繊維補強コンクリートが打設された鋼床版を用いた道路橋の改修や撤去等を行う際には鋼繊維補強コンクリートを撤去しなければならない。一般的なコンクリート構造物を撤去するのであれば,コンクリートブレーカでコンクリートを破壊して撤去することが出来る。
しかし,強度の高い鋼繊維補強コンクリートをコンクリートブレーカで破壊することは困難であり,コンクリートブレーカで破壊しようとすると大きな手間がかかると共に,騒音が長期間にわたって発生する問題がある。また,鋼繊維補強コンクリートは接着剤で強固にデッキプレートに固定されているので,鋼繊維補強コンクリートを,デッキプレートに残留することなく確実に剥離することが困難であるという問題がある。
ここで,鋼繊維補強コンクリートが打設された鋼床版を用いた道路橋の改修や撤去等を行う際には鋼繊維補強コンクリートを撤去しなければならない。一般的なコンクリート構造物を撤去するのであれば,コンクリートブレーカでコンクリートを破壊して撤去することが出来る。
しかし,強度の高い鋼繊維補強コンクリートをコンクリートブレーカで破壊することは困難であり,コンクリートブレーカで破壊しようとすると大きな手間がかかると共に,騒音が長期間にわたって発生する問題がある。また,鋼繊維補強コンクリートは接着剤で強固にデッキプレートに固定されているので,鋼繊維補強コンクリートを,デッキプレートに残留することなく確実に剥離することが困難であるという問題がある。
それに対して,鋼床版を,鋼板で形成されたデッキプレートと,熱膨張性マイクロカプセル(以下、「MC材」と記載する)が添加されたエポキシ樹脂系プライマーで形成された被覆層と,エポキシ樹脂系接着剤で形成された接着層と,繊維補強コンクリート層と,アスファルト表層により構成し,鋼繊維補強コンクリートを撤去する際には,アスファルト表層上にIH式加熱装置を配置し,被覆層を加熱してMC材を膨張せしめ,被覆層を破損させることにより,接着層による繊維補強コンクリート層の接着力を低減し,繊維補強コンクリート層をデッキプレートから容易に剥離する技術が提案されている(特許文献1参照)。係る技術は非常に有用である。
しかし,MC材には,60℃の雰囲気温度では膨張しないが60℃の温水では膨張するものが存在する。そして発明者による種々の実験及び研究により,MC材が添加されたエポキシ樹脂系プライマーで形成された被覆層を備えた鋼床版において,IH式加熱装置により加熱を行わない状態で,60℃の雰囲気温度で膨張しないMC材であっても,60℃の水(温水)が浸透することによりMC材が膨張し,被覆層が破損して繊維補強コンクリート層の接着力が低減し,繊維補強コンクリート層がデッキプレートから剥離する恐れがあることが見出された。
しかし,MC材には,60℃の雰囲気温度では膨張しないが60℃の温水では膨張するものが存在する。そして発明者による種々の実験及び研究により,MC材が添加されたエポキシ樹脂系プライマーで形成された被覆層を備えた鋼床版において,IH式加熱装置により加熱を行わない状態で,60℃の雰囲気温度で膨張しないMC材であっても,60℃の水(温水)が浸透することによりMC材が膨張し,被覆層が破損して繊維補強コンクリート層の接着力が低減し,繊維補強コンクリート層がデッキプレートから剥離する恐れがあることが見出された。
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり,鋼床版にコンクリートを被覆する方法であって,加熱装置で加熱していない状態で,60℃以下の温度の水(温水)が浸透してもMC材が膨張せず,繊維補強コンクリート層がデッキプレートから剥離する恐れが抑制される方法の提供を目的としている。
本発明の鋼床版(1)にコンクリートを被覆する方法は,
60℃以下の水に接触しても膨張しないMC材を選択し,以て,60℃の雰囲気温度では膨張しないが60℃の温水では膨張する熱膨張性マイクロカプセルを使用することを防止する工程と,
選択されたMC材を含有するエポキシ樹脂系のプライマーから成る被覆材により鋼板(2:デッキプレート)を被覆して被覆層(3)を形成する工程と,
エポキシ樹脂系の接着層(4)を前記被覆層(3)の上に積層する工程と,
セメントを含むコンクリートを前記接着層(4)に積層してコンクリート層(5)を形成する工程を有することを特徴としている。
ここで,60℃という温度は,舗装体内の最高温度の目安を60℃とする場合が多いこと,種々のアスファルト舗装の試験(例えば,夏場のわだち掘れへの抵抗性を調べる「ホイールトラッキング試験」)においては試験温度60℃で行われること等の理由により,設定された。
60℃以下の水に接触しても膨張しないMC材を選択し,以て,60℃の雰囲気温度では膨張しないが60℃の温水では膨張する熱膨張性マイクロカプセルを使用することを防止する工程と,
選択されたMC材を含有するエポキシ樹脂系のプライマーから成る被覆材により鋼板(2:デッキプレート)を被覆して被覆層(3)を形成する工程と,
エポキシ樹脂系の接着層(4)を前記被覆層(3)の上に積層する工程と,
セメントを含むコンクリートを前記接着層(4)に積層してコンクリート層(5)を形成する工程を有することを特徴としている。
ここで,60℃という温度は,舗装体内の最高温度の目安を60℃とする場合が多いこと,種々のアスファルト舗装の試験(例えば,夏場のわだち掘れへの抵抗性を調べる「ホイールトラッキング試験」)においては試験温度60℃で行われること等の理由により,設定された。
本発明において,MC材を選択する前記工程では,
60℃の雰囲気温度では膨張しないが60℃の温水では膨張するMC材を使用しないために60℃以下の水に接触しても膨張しないMC材を選択し,
選択されたMC材から110℃〜130℃に加熱されると膨張するMC材をさらに選択するのが好ましい。
ここで,広く汎用されている塗装材では130℃より高温に加熱すると耐熱温度を超えて鋼床版から剥離してしまう懸念があるため,加熱温度の上限は130℃に設定した。一方,加熱温度の下限110℃は,水浸膨張温度が60℃のMC材を含有するエポキシ樹脂系のプライマーにおける膨張開始温度が100℃程度であることに基づいて設定された。
60℃の雰囲気温度では膨張しないが60℃の温水では膨張するMC材を使用しないために60℃以下の水に接触しても膨張しないMC材を選択し,
選択されたMC材から110℃〜130℃に加熱されると膨張するMC材をさらに選択するのが好ましい。
ここで,広く汎用されている塗装材では130℃より高温に加熱すると耐熱温度を超えて鋼床版から剥離してしまう懸念があるため,加熱温度の上限は130℃に設定した。一方,加熱温度の下限110℃は,水浸膨張温度が60℃のMC材を含有するエポキシ樹脂系のプライマーにおける膨張開始温度が100℃程度であることに基づいて設定された。
本発明において,60℃の雰囲気温度では膨張しないが60℃の温水では膨張するMC材を使用しないために60℃以下の水に接触しても膨張しないMC材を選択する際に,
MC材と水の混合物を透明な容器内に収容し,
当該混合物を加熱して,透明な容器内の混合物の体積が増加したか否かを目視するのが好ましい。
MC材と水の混合物を透明な容器内に収容し,
当該混合物を加熱して,透明な容器内の混合物の体積が増加したか否かを目視するのが好ましい。
さらに本発明において,110℃〜130℃に加熱されると膨張するMC材を選択する際に,
前記60℃以下の水に接触しても膨張しないMC材を含有するエポキシ樹脂系のプライマーを鋼板上に塗布し,当該鋼板にナットを載置して乾燥させた後,鋼板を加熱してナットに引張力を作用させ,鋼板が110℃〜130℃に加熱されたときにナットが鋼板から剥離するMC材を選択する第1の選択工程と,
第1の選択工程で選択されたMC材を用いて,供試体を用いた加温直接引張試験を行う第2の選択工程を有するのが好ましい。
前記60℃以下の水に接触しても膨張しないMC材を含有するエポキシ樹脂系のプライマーを鋼板上に塗布し,当該鋼板にナットを載置して乾燥させた後,鋼板を加熱してナットに引張力を作用させ,鋼板が110℃〜130℃に加熱されたときにナットが鋼板から剥離するMC材を選択する第1の選択工程と,
第1の選択工程で選択されたMC材を用いて,供試体を用いた加温直接引張試験を行う第2の選択工程を有するのが好ましい。
上述の構成を具備する本発明によれば,60℃以下の水に接触しても膨張しないMC材を含有するエポキシ樹脂系のプライマーにより被覆材を構成しているので,本発明により鋼床版(1)にコンクリートを被覆すれば,60℃の雰囲気温度では膨張しないが60℃の温水では膨張するMC材を含有するエポキシ樹脂系のプライマーを使用することが確実に防止される。そのため本発明によれば,60℃の水(温水)が浸透しても被覆材中のMC材は膨張せず,被覆層(3)が破損して繊維補強コンクリート層(5)の接着力が低減することは無く,繊維補強コンクリート層(5)がデッキプレート(2)から剥離することが防止される。
60℃は舗装体内の最高温度の目安とされることが多い温度であり,種々のアスファルト舗装の試験(例えば,夏場のわだち掘れへの抵抗性を調べる「ホイールトラッキング試験」)においては試験温度60℃で行われる。従って,60℃以下の水(温水)に接触しても膨張しなければ,加熱装置等により加熱しない限りMC材は膨張せず,繊維補強コンクリート層(5)の接着力は低減せず,繊維補強コンクリート層(5)がデッキプレート(2)から剥離することが防止される。
60℃は舗装体内の最高温度の目安とされることが多い温度であり,種々のアスファルト舗装の試験(例えば,夏場のわだち掘れへの抵抗性を調べる「ホイールトラッキング試験」)においては試験温度60℃で行われる。従って,60℃以下の水(温水)に接触しても膨張しなければ,加熱装置等により加熱しない限りMC材は膨張せず,繊維補強コンクリート層(5)の接着力は低減せず,繊維補強コンクリート層(5)がデッキプレート(2)から剥離することが防止される。
本発明において,60℃以下の水に接触しても膨張しないMC材の中から,110℃〜130℃に加熱されると膨張するMC材をさらに選択すれば,道路橋の改修や撤去等を行う際に,本発明によりコンクリートを被覆された鋼床版(1)であれば,加熱装置を用いて110℃〜130℃に加熱することにより,MC材が膨張して,繊維補強コンクリート層(5)の接着力が低減し,繊維補強コンクリート層(5)がデッキプレート(2)から容易に剥離する。
ここで,水浸膨張温度が60℃のMC材を含有するエポキシ樹脂系のプライマーにおける膨張開始温度が100℃程度であるため,加熱温度の下限温度が110℃であれば,確実にMC材が膨張して,コンクリート層(5)を剥離することが出来る。
一方,加熱温度の上限が130℃に設定されているため,加熱装置による加熱の際に,耐熱温度が130℃以下の塗装であっても,鋼床版(1)から剥離してしまうことが防止される。
ここで,水浸膨張温度が60℃のMC材を含有するエポキシ樹脂系のプライマーにおける膨張開始温度が100℃程度であるため,加熱温度の下限温度が110℃であれば,確実にMC材が膨張して,コンクリート層(5)を剥離することが出来る。
一方,加熱温度の上限が130℃に設定されているため,加熱装置による加熱の際に,耐熱温度が130℃以下の塗装であっても,鋼床版(1)から剥離してしまうことが防止される。
以下,添付図面を参照して,本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明が適用される鋼床版を示す。
鋼床版1は,鋼板で形成されたデッキプレート2を備えており,明確に図示はされていないがデッキプレート2の外側面には防錆用の塗装膜が設けられている。
鋼床版1は,デッキプレート2の上面に設けられた被覆層3と,この被覆層3上に設けられた接着層4と,この接着層4上に設けられた繊維補強コンクリート層5と,この繊維補強コンクリート層5上に配置されたアスファルト表層6を有している。
図1は本発明が適用される鋼床版を示す。
鋼床版1は,鋼板で形成されたデッキプレート2を備えており,明確に図示はされていないがデッキプレート2の外側面には防錆用の塗装膜が設けられている。
鋼床版1は,デッキプレート2の上面に設けられた被覆層3と,この被覆層3上に設けられた接着層4と,この接着層4上に設けられた繊維補強コンクリート層5と,この繊維補強コンクリート層5上に配置されたアスファルト表層6を有している。
被覆層3は,デッキプレート2の上面を被覆し,エポキシ樹脂系のプライマーを組成物として含んでいる。エポキシ樹脂系のプライマーとして,市販品(例えば,鹿島道路株式会社製の商品名「KSプライマーII」)を用いることができる。
被覆層3は,MC材を含有している。MC材も市販品(例えば,製造元「日本フィライト株式会社」の商品番号「051DU40」)を用いることが可能である。
被覆層3は,MC材を含有している。MC材も市販品(例えば,製造元「日本フィライト株式会社」の商品番号「051DU40」)を用いることが可能である。
接着層4は図1において被覆層3上に設けられており,市販のエポキシ樹脂系の接着剤(例えば,鹿島道路株式会社製の商品名「KSボンド」)を用いることができる。
接着層4の上方の繊維補強コンクリート層5は,繊維により補強を行う繊維補強コンクリートで構成されており,セメント,繊維,骨材を含み,必要に応じて混和剤を含有する。
図示の実施形態では,繊維補強コンクリート層5を構成するセメントとしては,早強ポルトランドセメントや,混合セメント,特殊セメントを用いることが出来る。繊維については,有機繊維,炭素繊維,ガラス繊維等、特に限定はされない。骨材についても特に限定は無く,川砂,山砂,陸砂,再生砂等を適用することが出来る。
接着層4の上方の繊維補強コンクリート層5は,繊維により補強を行う繊維補強コンクリートで構成されており,セメント,繊維,骨材を含み,必要に応じて混和剤を含有する。
図示の実施形態では,繊維補強コンクリート層5を構成するセメントとしては,早強ポルトランドセメントや,混合セメント,特殊セメントを用いることが出来る。繊維については,有機繊維,炭素繊維,ガラス繊維等、特に限定はされない。骨材についても特に限定は無く,川砂,山砂,陸砂,再生砂等を適用することが出来る。
アスファルト表層6はアスファルト混合物で構成されている。図示はされていないが,鋼床版1がアスファルト表層7を有しておらず,繊維補強コンクリート層5の厚みを増大し,その上面を舗装面とするコンクリート舗装を備えることも可能である。
次に図2を参照して,図1で示す鋼床版1の被覆材に含有されるMC材を選択する手順を説明する。
図2において,ステップS1では,60℃以下の水に接触しても膨張しないMC材を選択する。
ステップS1におけるMC材の選択に際しては,候補となる複数種類のMC材をそれぞれ60℃以下の水と混合して(例えば水100gに対してMC材35gの比率で混合して)混合液を作製し,当該混合液を透明な容器内に収容する。その後,それぞれのMC材混合液を恒温養生槽にて常温から60℃〜90℃に加熱し,所定の養生期間(例えば1日)経過後,60℃以下における膨張の有無(体積が増加したか否か)を目視で確認する。そして,60℃以下の水に接触しても膨張しないMC材を選択する。
ステップS1において,60℃以下の水に接触しても膨張しないMC材を選択する具体的な手法については,[実験例1]で後述する。そしてステップS2に進む。
図2において,ステップS1では,60℃以下の水に接触しても膨張しないMC材を選択する。
ステップS1におけるMC材の選択に際しては,候補となる複数種類のMC材をそれぞれ60℃以下の水と混合して(例えば水100gに対してMC材35gの比率で混合して)混合液を作製し,当該混合液を透明な容器内に収容する。その後,それぞれのMC材混合液を恒温養生槽にて常温から60℃〜90℃に加熱し,所定の養生期間(例えば1日)経過後,60℃以下における膨張の有無(体積が増加したか否か)を目視で確認する。そして,60℃以下の水に接触しても膨張しないMC材を選択する。
ステップS1において,60℃以下の水に接触しても膨張しないMC材を選択する具体的な手法については,[実験例1]で後述する。そしてステップS2に進む。
続くステップS2では,ステップS1(60℃以下の水に接触しても膨張しないMC材を選択する工程)で選択された複数種類のMC材の中から,110℃〜130℃に加熱されると膨張するMC材を選択する。
130℃よりも高温となる様に加熱すると,鋼床版裏面において防錆目的で用いられてきた耐熱温度130℃以下の塗装材が耐熱温度を超えて鋼床版から剥離する懸念がある。そのため,加熱温度の上限は130℃とした。一方,水浸膨張温度が60℃のMC材における膨張開始温度が100℃程度であるため,加熱温度の下限を110℃に設定した。
130℃よりも高温となる様に加熱すると,鋼床版裏面において防錆目的で用いられてきた耐熱温度130℃以下の塗装材が耐熱温度を超えて鋼床版から剥離する懸念がある。そのため,加熱温度の上限は130℃とした。一方,水浸膨張温度が60℃のMC材における膨張開始温度が100℃程度であるため,加熱温度の下限を110℃に設定した。
ステップS2(110℃〜130℃に加熱されると膨張するMC材を選択する工程)においては,MC材を混入したプライマーをホットプレートで加熱して膨張したか否かを目視確認して行う選択(ステップS21)と,ナットを用いた剥離試験による選択(ステップS22:第1の選択工程)と,供試体を用いた剥離試験による選択(ステップS23:第2の選択工程)の3段階の選択を実行する。
ここで,MC材を混入したプライマーをホットプレートで加熱して膨張したか否かを目視して行う選択と,ナットを用いた剥離試験による選択と,供試体を用いた剥離試験による選択は,その何れかを省略することが可能である。
また,MC材を混入したプライマーをホットプレートで加熱して膨張したか否かを目視して行う選択と,ナットを用いた剥離試験による選択と,供試体を用いた剥離試験による選択の何れか一つのみで,110℃〜130℃に加熱されると膨張するMC材を選択する工程を実行することも可能である。
ここで,MC材を混入したプライマーをホットプレートで加熱して膨張したか否かを目視して行う選択と,ナットを用いた剥離試験による選択と,供試体を用いた剥離試験による選択は,その何れかを省略することが可能である。
また,MC材を混入したプライマーをホットプレートで加熱して膨張したか否かを目視して行う選択と,ナットを用いた剥離試験による選択と,供試体を用いた剥離試験による選択の何れか一つのみで,110℃〜130℃に加熱されると膨張するMC材を選択する工程を実行することも可能である。
ステップS1に続くステップS21(MC材を混入したプライマーをホットプレートで加熱して膨張したか否かを目視して行う選択)では,ステップS1で選択された複数種類のMC材(60℃以下の水に接触しても膨張しないMC材)を混入したプライマーをホットプレート(加熱可能な鋼板)に塗布し,ホットプレートを目標加熱温度110℃〜130℃に加熱して,塗布されたMC材の膨張を目視で確認する。
ステップS21(ステップS1で選択された複数種類のMC材を混入したプライマーをホットプレートで加熱して膨張したか否かを目視して行う選択工程)の具体的な手法は,実験例2で後述する。そしてステップS22に進む。
ステップS21(ステップS1で選択された複数種類のMC材を混入したプライマーをホットプレートで加熱して膨張したか否かを目視して行う選択工程)の具体的な手法は,実験例2で後述する。そしてステップS22に進む。
ステップS22(ナットを用いた剥離試験によりMC材を選択する工程:第1の選択工程)に際しては,ステップS21で選択された複数のMC材(すなわちステップS1及びステップS21を経て選択されたMC材)について,加熱時の易剥離性を簡略的に評価する方法として加温ナット引張試験(剥離試験)を実施する。
ステップS21で選択されたMC材を混入したプライマーを鋼板上に塗布し,当該プライマーを塗布した鋼板にナットを載置し乾燥させた後,ナットに引張力を作用して,ナットが鋼板から剥離する引張力を測定する(加熱前の引張力の測定)。次に鋼板を加熱してナットに引張力を作用させ,鋼板が110℃〜130℃に加熱された時にナットが鋼板から剥離する引張力(加熱時の引張力)を測定し,加熱時の引張力が加熱前の引張力に対して有意に減少したプライマー(MC材を混入したプライマー)を選択する。
ステップS22のナットを用いた剥離試験による選択工程の具体的な手法は,実験例3で後述する。そしてステップS23に進む。
ステップS21で選択されたMC材を混入したプライマーを鋼板上に塗布し,当該プライマーを塗布した鋼板にナットを載置し乾燥させた後,ナットに引張力を作用して,ナットが鋼板から剥離する引張力を測定する(加熱前の引張力の測定)。次に鋼板を加熱してナットに引張力を作用させ,鋼板が110℃〜130℃に加熱された時にナットが鋼板から剥離する引張力(加熱時の引張力)を測定し,加熱時の引張力が加熱前の引張力に対して有意に減少したプライマー(MC材を混入したプライマー)を選択する。
ステップS22のナットを用いた剥離試験による選択工程の具体的な手法は,実験例3で後述する。そしてステップS23に進む。
ステップS23の工程(供試体を用いた剥離試験による選択工程:第2の選択工程)では,ステップS22で選択されたMC材(ステップS1,ステップS21及びステップS22を経て選択されたMC材)を混入したプライマーと接着剤によって鋼板同士を接着した供試体を用いる。当該供試体を加熱して引張試験(剥離試験)を実施し,目標加熱温度110℃〜130℃における易剥離性と強度を評価する。
ステップS23の供試体を用いた剥離試験による選択工程の具体的な手法は,実験例4で後述する。そしてステップS3に進む。
ステップS23の供試体を用いた剥離試験による選択工程の具体的な手法は,実験例4で後述する。そしてステップS3に進む。
図2において,ステップS3では,ステップS1,ステップS2(ステップS21〜S23)の結果を踏まえて,MC材を決定する。したがってステップS3で決定されるMC材は,60℃以下の水では膨張しないMC材であり,且つ110℃〜130℃に加熱されると膨張するMC材である。
鋼床版1にコンクリートを被覆する方法を実施するに際して,図2のフローチャートを実行することにより選択されたMC材を含有する被覆層3によりデッキプレート2を被覆する。
その後,エポキシ樹脂系の接着層4を被覆層3の上に積層する。
そして,セメントを含むコンクリートを接着層4に積層して繊維補強コンクリート層5を形成し,さらに繊維補強コンクリート層5上にアスファルト表層6を配置して,図1に示す鋼床版1を構成する。
鋼床版1にコンクリートを被覆する方法を実施するに際して,図2のフローチャートを実行することにより選択されたMC材を含有する被覆層3によりデッキプレート2を被覆する。
その後,エポキシ樹脂系の接着層4を被覆層3の上に積層する。
そして,セメントを含むコンクリートを接着層4に積層して繊維補強コンクリート層5を形成し,さらに繊維補強コンクリート層5上にアスファルト表層6を配置して,図1に示す鋼床版1を構成する。
図示の実施形態によれば,60℃の雰囲気温度では膨張しないが60℃の温水では膨張するMC材を含有するエポキシ樹脂系のプライマーは選択されない。そのため,60℃以下の水に接触しても膨張しないMC材をエポキシ樹脂系のプライマーに含有或いは混入したものが選択されるので,図示の実施形態により鋼床版1に繊維補強コンクリート(コンクリート)を被覆すれば,60℃の水(温水)が浸透してもMC材は膨張せず,被覆層3が破損して繊維補強コンクリート層5の接着力が低減することもなく,繊維補強コンクリート層5がデッキプレート2から剥離することが防止される。
60℃以下の水(温水)に接触しても膨張しなければ,加熱装置により加熱を行わない限りMC材は膨張せず,繊維補強コンクリート層5の接着力は低減せず,繊維補強コンクリート層5がデッキプレート2から剥離することが防止される。
60℃以下の水(温水)に接触しても膨張しなければ,加熱装置により加熱を行わない限りMC材は膨張せず,繊維補強コンクリート層5の接着力は低減せず,繊維補強コンクリート層5がデッキプレート2から剥離することが防止される。
また図示の実施形態においては,110℃〜130℃に加熱されると膨張するMC材が選択されるので,道路橋の改修や撤去等を行う際に,加熱装置を用いて110℃〜130℃に加熱すればMC材が確実に膨張して,繊維補強コンクリート層5の接着力が低減し,繊維補強コンクリート層5がデッキプレート2から容易に剥離する。
ここで,水浸膨張温度が60℃のMC材における膨張開始温度が一般的には100℃程度であるため,加熱温度の下限温度を110℃に設定すれば,加熱装置による加熱によって確実にMC材が膨張して,コンクリート層5を剥離することが出来る。
一方,加熱温度の上限が130℃に設定されているため,加熱装置による加熱の際に,鋼床版1の塗装の耐熱温度が130℃以下でも,当該塗装が剥離してしまうことが防止される。
ここで,水浸膨張温度が60℃のMC材における膨張開始温度が一般的には100℃程度であるため,加熱温度の下限温度を110℃に設定すれば,加熱装置による加熱によって確実にMC材が膨張して,コンクリート層5を剥離することが出来る。
一方,加熱温度の上限が130℃に設定されているため,加熱装置による加熱の際に,鋼床版1の塗装の耐熱温度が130℃以下でも,当該塗装が剥離してしまうことが防止される。
以下,実験例について説明する。
[実験例1]
実験例1により,60℃以下の水に接触しても膨張しない材料をMC材として選択する工程(図2のステップS1)を具体的に説明する。
実験例1では,各MC材35gと水100g(常温)とを混合し,当該混合液を透明なプラスチック容器内に収容し,混合液を収容した透明な容器を恒温養生槽内にて温度60℃,65℃,70℃,75℃,80℃,85℃,90℃の順に1日毎に加熱し(養生期間を1日として,養生温度を1日毎に昇温し),当該MC材と水との混合物の膨張の有無(体積の増加の有無)を目視で確認した。
[実験例1]
実験例1により,60℃以下の水に接触しても膨張しない材料をMC材として選択する工程(図2のステップS1)を具体的に説明する。
実験例1では,各MC材35gと水100g(常温)とを混合し,当該混合液を透明なプラスチック容器内に収容し,混合液を収容した透明な容器を恒温養生槽内にて温度60℃,65℃,70℃,75℃,80℃,85℃,90℃の順に1日毎に加熱し(養生期間を1日として,養生温度を1日毎に昇温し),当該MC材と水との混合物の膨張の有無(体積の増加の有無)を目視で確認した。
実験例1では,前記複数のMC材として,以下の11種類のMC材を候補とした。
MC材A(製造元「松本油脂製薬株式会社」,商品番号「F−48D」:従来品),
MC材B(製造元「松本油脂製薬株式会社」の商品番号「F−65D」),
MC材C(製造元「松本油脂製薬株式会社」の商品番号「F−100MD」),
MC材D(製造元「松本油脂製薬株式会社」の商品番号「FN−100SD」),
MC材E(製造元「株式会社クレハ」の商品番号「H850D」),
MC材F(製造元「日本フィライト株式会社」の商品番号「051DU40」),
MC材G(製造元「日本フィライト株式会社」の商品番号「053DU40」),
MC材H(製造元「日本フィライト株式会社」の商品番号「031DU40」),
MC材I(製造元「日本フィライト株式会社」の商品番号「920DU120」),
MC材J(製造元「徳山積水工業株式会社」の商品番号「EML101」),
MC材K(製造元「徳山積水工業株式会社」の商品番号「EMH204」)。
MC材A(製造元「松本油脂製薬株式会社」,商品番号「F−48D」:従来品),
MC材B(製造元「松本油脂製薬株式会社」の商品番号「F−65D」),
MC材C(製造元「松本油脂製薬株式会社」の商品番号「F−100MD」),
MC材D(製造元「松本油脂製薬株式会社」の商品番号「FN−100SD」),
MC材E(製造元「株式会社クレハ」の商品番号「H850D」),
MC材F(製造元「日本フィライト株式会社」の商品番号「051DU40」),
MC材G(製造元「日本フィライト株式会社」の商品番号「053DU40」),
MC材H(製造元「日本フィライト株式会社」の商品番号「031DU40」),
MC材I(製造元「日本フィライト株式会社」の商品番号「920DU120」),
MC材J(製造元「徳山積水工業株式会社」の商品番号「EML101」),
MC材K(製造元「徳山積水工業株式会社」の商品番号「EMH204」)。
実験例1の結果を示す図3において,視認によりMC材A〜Kと水の混合物に膨張が確認された場合は該当温度に「×」を記入し,視認によっては膨張が確認されなかった場合は該当温度に「〇」を記入した。
図3で示す様に,実験例1では,従来品であるMC材Aに加えて,MC材G,MC材Hと水の混合物は60℃で膨張が視認された。なお,MC材A,G,Hと水の混合物は,常温23℃では膨張していない。60℃で膨張したMC材G及びMC材Hは本発明について適用することは困難と判断して,実験例2以降のサンプルからは除外した。ただしMC材Aは、比較のため、実験例2以降のサンプルに加えられている。
実験例1から明らかな様に,60℃の雰囲気温度では膨張しないが60℃の温水では膨張するMC材を含有するエポキシ樹脂系のプライマーは選択されず,鋼床版に使用することが確実に防止される。
図3で示す様に,実験例1では,従来品であるMC材Aに加えて,MC材G,MC材Hと水の混合物は60℃で膨張が視認された。なお,MC材A,G,Hと水の混合物は,常温23℃では膨張していない。60℃で膨張したMC材G及びMC材Hは本発明について適用することは困難と判断して,実験例2以降のサンプルからは除外した。ただしMC材Aは、比較のため、実験例2以降のサンプルに加えられている。
実験例1から明らかな様に,60℃の雰囲気温度では膨張しないが60℃の温水では膨張するMC材を含有するエポキシ樹脂系のプライマーは選択されず,鋼床版に使用することが確実に防止される。
[実験例2]
実験例2では,実験例1で選択されたMC材(MC材A〜F,I〜K)から,110℃〜130℃に加熱されると膨張するMC材を選択する工程であって,MC材を混入したプライマーをホットプレートで加熱して膨張したか否かを目視確認して行う選択工程(図2のステップS21)の一例を具体的に示している。
実験例2のサンプルは,市販のエポキシ樹脂系のプライマー(鹿島道路株式会社製の商品名「KSプライマーII」)にMC材を含有させて製造した。MC材の含有量(質量)は,プライマーの質量の35%とした。
鋼板(φ100mm)にMC材を含有(混入)した前記プライマーを塗布して十分乾燥させた後に,ホットプレートで加熱して90℃〜150℃の温度域(実験において目標とする温度域は110℃〜130℃)での膨張性を目視した。
ここで鋼床版を150℃以上まで加熱すると塗装が損傷する恐れがあるため,実験例2においては150℃まで昇温しても膨張しないMC材は不適当であるとした。
実験例2では,実験例1で選択されたMC材(MC材A〜F,I〜K)から,110℃〜130℃に加熱されると膨張するMC材を選択する工程であって,MC材を混入したプライマーをホットプレートで加熱して膨張したか否かを目視確認して行う選択工程(図2のステップS21)の一例を具体的に示している。
実験例2のサンプルは,市販のエポキシ樹脂系のプライマー(鹿島道路株式会社製の商品名「KSプライマーII」)にMC材を含有させて製造した。MC材の含有量(質量)は,プライマーの質量の35%とした。
鋼板(φ100mm)にMC材を含有(混入)した前記プライマーを塗布して十分乾燥させた後に,ホットプレートで加熱して90℃〜150℃の温度域(実験において目標とする温度域は110℃〜130℃)での膨張性を目視した。
ここで鋼床版を150℃以上まで加熱すると塗装が損傷する恐れがあるため,実験例2においては150℃まで昇温しても膨張しないMC材は不適当であるとした。
実験例2の結果を示す図4において,目標加熱温度110℃〜130℃での膨張が確認されたサンプル(MC材を含有したプライマー)には「〇」が記入されており,併せて膨張開始温度が記入されている。また,目標加熱温度110℃〜130℃での膨張が確認されなかった場合に「×」を記入した。MC材B及びMC材Kについては140℃で膨張が確認されたため,「△」とした。
実験例2の結果,目標加熱温度110℃〜130℃で膨張が確認されたのはMC材Fであった。念のため140℃での膨張が確認されたMC材B及びMC材Kについても,次に述べる実験例3の対象にして,その他のMC材については実験例3,実験例4の対象から除外した。
実験例2の結果,目標加熱温度110℃〜130℃で膨張が確認されたのはMC材Fであった。念のため140℃での膨張が確認されたMC材B及びMC材Kについても,次に述べる実験例3の対象にして,その他のMC材については実験例3,実験例4の対象から除外した。
[実験例3]
110℃〜130℃に加熱されると膨張する材料を選択する際に,実験例1で選択された60℃以下の水では膨張しないMC材から,実験例2により110℃〜140℃に加熱されると膨張するMC材F,B,Kを選択した。
実験例3では,MC材F,B,Kの各々を含有したプライマーを,鋼板上に塗布し,当該鋼板にナットを載置して乾燥させた後,鋼板を加熱してナットに引張力を作用させ,鋼板が110℃〜130℃に加熱されたときにナットが鋼板から剥離したサンプルに含有されたMC材を選択した(加温ナット引張試験或いは剥離試験:第1の選択工程:図2のステップS22)。
実験例3では,プライマーとしては市販品(鹿島道路株式会社製の商品名「KSプライマーII」)を用いた。MC材の含有量(質量)は,プライマーの質量の35%とした。そして比較のため,従来品であるMC材Aを塗布した場合についても引張試験を行っている。
110℃〜130℃に加熱されると膨張する材料を選択する際に,実験例1で選択された60℃以下の水では膨張しないMC材から,実験例2により110℃〜140℃に加熱されると膨張するMC材F,B,Kを選択した。
実験例3では,MC材F,B,Kの各々を含有したプライマーを,鋼板上に塗布し,当該鋼板にナットを載置して乾燥させた後,鋼板を加熱してナットに引張力を作用させ,鋼板が110℃〜130℃に加熱されたときにナットが鋼板から剥離したサンプルに含有されたMC材を選択した(加温ナット引張試験或いは剥離試験:第1の選択工程:図2のステップS22)。
実験例3では,プライマーとしては市販品(鹿島道路株式会社製の商品名「KSプライマーII」)を用いた。MC材の含有量(質量)は,プライマーの質量の35%とした。そして比較のため,従来品であるMC材Aを塗布した場合についても引張試験を行っている。
加温ナット引張試験(剥離試験)に際して,前記MC材を含有したプライマーの鋼板への塗布量は0.15kg/m2とした。MC材を含有したプライマーの塗布後,鋼板上にナットを載置し,40℃の恒温室内で所定期間(例えば3日間)養生し,乾燥させた。
加温ナット引張試験(剥離試験)では,最初に加熱前にナットを引っ張り,加熱前の引張強度(非加熱時の引張強度)を測定した。
次に,鋼板を所定温度(90℃,110℃,120℃,130℃)まで加熱しながらナットを引っ張り,加熱後の引張強度を求めた。
加熱前後の引張強度の差により,MC材の違いによる易剥離性能を簡略的に評価した。
加熱条件としては,段階的に温度を上昇させた場合と,120〜130℃を所定時間(例えば30分間)持続させた場合の2種類とした。
加温ナット引張試験(剥離試験)では,最初に加熱前にナットを引っ張り,加熱前の引張強度(非加熱時の引張強度)を測定した。
次に,鋼板を所定温度(90℃,110℃,120℃,130℃)まで加熱しながらナットを引っ張り,加熱後の引張強度を求めた。
加熱前後の引張強度の差により,MC材の違いによる易剥離性能を簡略的に評価した。
加熱条件としては,段階的に温度を上昇させた場合と,120〜130℃を所定時間(例えば30分間)持続させた場合の2種類とした。
段階的に温度を上昇させた場合の結果を示す図5において,温度の上昇に伴い引張強度の低下が確認された。MC材A及びMC材Fを含有(混合)したプライマーを塗布した場合には,目標とする温度域(110℃〜130℃)では引張強度が有意に低下することが確認され,易剥離機能を発揮していることが確認された。
一方,MC材B及びMC材Kを含有したプライマーを塗布した場合は,130℃近傍まで引張強度は低下せず,膨張させたい温度域(110℃〜130℃)では易剥離機能を発揮しない温度領域が存在することが明らかである。
一方,MC材B及びMC材Kを含有したプライマーを塗布した場合は,130℃近傍まで引張強度は低下せず,膨張させたい温度域(110℃〜130℃)では易剥離機能を発揮しない温度領域が存在することが明らかである。
図5の段階的に温度を上昇させた場合において目標温度域(110℃〜130℃)での易剥離機能が確認されたMC材F及びMC材A(従来品)を実験対象として,120〜130℃を所定時間(30分間)持続させた場合の結果が図6に示されている。
図6から明らかな様に,引張強度は0.15〜0.2N/mm2の範囲で推移しており,図5における目標温度域での引張強度と同等の結果となった。従って,図6においても,MC材F(MC材Fを含有したプライマー)が易剥離機能を発揮していることが示されている。但し,図6において,経時変化による引張強度の変化は見られない。
MC材は,膨張開始からある温度域に達すると最も大きく膨張し,更に加熱すると収縮していく特性を持つ。図6の様に一定の温度で加熱時間を30分程度持続させるという条件下では,加熱時間の影響が少ないことが確認出来た。
図6から明らかな様に,引張強度は0.15〜0.2N/mm2の範囲で推移しており,図5における目標温度域での引張強度と同等の結果となった。従って,図6においても,MC材F(MC材Fを含有したプライマー)が易剥離機能を発揮していることが示されている。但し,図6において,経時変化による引張強度の変化は見られない。
MC材は,膨張開始からある温度域に達すると最も大きく膨張し,更に加熱すると収縮していく特性を持つ。図6の様に一定の温度で加熱時間を30分程度持続させるという条件下では,加熱時間の影響が少ないことが確認出来た。
[実験例4]
実験例4では,実験例3で具体的に示した第1の選択工程で選択されたMC材(MC材F)について,供試体を用いた加温直接引張試験(剥離試験)を行う第2の選択工程(図2のステップS23)を具体的に検証した。なお,比較のため,実験例4では従来品であるMC材Aと,MC材を混入していないプライマーについても,実験対象に加えている。実験例4において,プライマーとしては市販品(鹿島道路株式会社製の商品名「KSプライマーII」)を用いた。
加温直接引張試験に際して,供試体として,2枚の鋼板(φ100mm)の間にMC材を含有するプライマー(或いはMC材を混入していないプライマー)と接着剤(鹿島道路株式会社製の商品名「KSボンド」)を積層し,以て,当該2枚の鋼板同士を接着した複合供試体を採用した。当該複合供試体では,一方の鋼板に前記プライマーを0.15kg/m2塗布して完全に乾燥させた後,プライマーに積層する様に前記接着剤を1.4kg/m2塗布して,もう一方の鋼板と接着した。
ここで,MC材の含有量(質量)は,プライマーの質量の35%とした。そして加温直接引張試験における試験温度は,120℃及び130℃とした。
実験例4では,実験例3で具体的に示した第1の選択工程で選択されたMC材(MC材F)について,供試体を用いた加温直接引張試験(剥離試験)を行う第2の選択工程(図2のステップS23)を具体的に検証した。なお,比較のため,実験例4では従来品であるMC材Aと,MC材を混入していないプライマーについても,実験対象に加えている。実験例4において,プライマーとしては市販品(鹿島道路株式会社製の商品名「KSプライマーII」)を用いた。
加温直接引張試験に際して,供試体として,2枚の鋼板(φ100mm)の間にMC材を含有するプライマー(或いはMC材を混入していないプライマー)と接着剤(鹿島道路株式会社製の商品名「KSボンド」)を積層し,以て,当該2枚の鋼板同士を接着した複合供試体を採用した。当該複合供試体では,一方の鋼板に前記プライマーを0.15kg/m2塗布して完全に乾燥させた後,プライマーに積層する様に前記接着剤を1.4kg/m2塗布して,もう一方の鋼板と接着した。
ここで,MC材の含有量(質量)は,プライマーの質量の35%とした。そして加温直接引張試験における試験温度は,120℃及び130℃とした。
実験例4の結果を示す図7において,MC材を混入していないプライマーでは,120℃〜130℃においても1.0N/mm2以上の引張強度を有していた。
一方で,MC材Aを含有するプライマーを用いた場合と,MC材Fを含有するプライマーを用いた場合では,試験温度が上がるに連れて引張応力が低下し,130℃での引張強度は0.1N/mm2以下であった。
全体的な傾向として,MC材Aを含有するプライマーを用いた場合と比較してMC材Fを含有するプライマーを用いた場合の方が引張強度は有意に低くなっており,MC材Fを含有するプライマーは,従来品のMC材Aを含有するプライマーに比較して優れた易剥離性を発揮したことが確認された。
実験例2〜4により,110℃〜130℃に加熱されると膨張し易剥離機能を有するMC材が選択されることが明らかである。そのため,鋼床版で広く汎用されている耐熱温度130℃以下の塗装材により塗装されたとしても,繊維補強コンクリート層を剥離するために加熱する際に,当該塗装材の耐熱温度を超えて加熱されて,鋼床版から剥離しまうことが防止される。
一方で,MC材Aを含有するプライマーを用いた場合と,MC材Fを含有するプライマーを用いた場合では,試験温度が上がるに連れて引張応力が低下し,130℃での引張強度は0.1N/mm2以下であった。
全体的な傾向として,MC材Aを含有するプライマーを用いた場合と比較してMC材Fを含有するプライマーを用いた場合の方が引張強度は有意に低くなっており,MC材Fを含有するプライマーは,従来品のMC材Aを含有するプライマーに比較して優れた易剥離性を発揮したことが確認された。
実験例2〜4により,110℃〜130℃に加熱されると膨張し易剥離機能を有するMC材が選択されることが明らかである。そのため,鋼床版で広く汎用されている耐熱温度130℃以下の塗装材により塗装されたとしても,繊維補強コンクリート層を剥離するために加熱する際に,当該塗装材の耐熱温度を超えて加熱されて,鋼床版から剥離しまうことが防止される。
実験例1〜実験例4の結果,60℃以下の温度の水(温水)が浸透しても膨張せず,110℃〜130℃に加熱されると膨張し易剥離機能を有するMC材,すなわち鋼床版1の被覆層3(図1)の材料として適したMC材としては,MC材A〜Kの中では,MC材F(製造元「日本フィライト株式会社」の商品番号「051DU40」)が選択できることを確認した。
図示の実施形態はあくまでも例示であり,本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
1・・・鋼床版
2・・・デッキプレート(鋼板)
3・・・被覆層
4・・・接着層
5・・・繊維補強コンクリート層(コンクリート層)
2・・・デッキプレート(鋼板)
3・・・被覆層
4・・・接着層
5・・・繊維補強コンクリート層(コンクリート層)
Claims (2)
- 60℃以下の水に接触しても膨張しない熱膨張性マイクロカプセルを選択し,以て,60℃の雰囲気温度では膨張しないが60℃の温水では膨張する熱膨張性マイクロカプセルを使用することを防止する工程と,
選択された熱膨張性マイクロカプセルを含有するエポキシ樹脂系のプライマーから成る被覆材により鋼板を被覆して被覆層を形成する工程と,
エポキシ樹脂系の接着層を前記被覆層の上に積層する工程と,
セメントを含むコンクリートを前記接着層に積層してコンクリート層を形成する工程を有することを特徴とする鋼床版にコンクリートを被覆する方法。 - 熱膨張性マイクロカプセルを選択する前記工程では,
60℃の雰囲気温度では膨張しないが60℃の温水では膨張する熱膨張性マイクロカプセルを使用しないために60℃以下の水に接触しても膨張しない熱膨張性マイクロカプセルを選択し,
選択された熱膨張性マイクロカプセルから110℃〜130℃に加熱されると膨張する熱膨張性マイクロカプセルをさらに選択する請求項1の鋼床版にコンクリートを被覆する方法。
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Legal Events
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A02 | Decision of refusal |
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