以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
<1.飲料製造装置の概要>
図1は飲料製造装置1の外観図である。本実施形態の飲料製造装置1は、焙煎コーヒー豆と液体(ここでは水)からコーヒー飲料を自動製造する装置であり、一回の製造動作につき、コップ一杯分のコーヒー飲料を製造可能である。原料となる焙煎コーヒー豆は、キャニスタ40に収容可能である。飲料製造装置1の下部にはカップの載置部110が設けられており、製造されたコーヒー飲料は注ぎ部10cからカップへ注がれる。
飲料製造装置1は、その外装を形成して内部機構を囲包するハウジング100を備える。ハウジング100は、本体部101と、飲料製造装置1の正面の一部及び側面の一部を覆うカバー部102とに大別される。カバー部102には情報表示装置12が設けられている。情報表示装置12は本実施形態の場合、タッチパネル式のディスプレイであり、各種の情報の表示の他、装置の管理者や飲料の需要者の入力を受け付けることが可能である。情報表示装置12は、移動機構12aを介してカバー部102に取付けられており、移動機構12aによって上下方向に一定の範囲で移動可能である。
カバー部102には、また、豆投入口103と、豆投入口103を開閉する扉103aが設けられている。開閉扉103を開放して豆投入口103へ、キャニスタ40に収容されている焙煎コーヒー豆とは別の焙煎コーヒー豆を、投入することが可能となっている。これにより飲料の需要者に特別な一杯を提供することが可能である。
カバー部102は、本実施形態の場合、アクリルやガラスなどの透光性を有する材料で形成されており、その全体が透過部とされた透明カバーを構成している。このため、カバー部102に覆われたその内側の機構が外部から視認可能となっている。本実施形態の場合、コーヒー飲料を製造する製造部の一部がカバー部102を透して視認可能となっている。本体部101は本実施形態の場合その全体が非透過部とされており、その内部を外部から視認困難である。
図2は、飲料製造装置1の部分正面図であって、飲料製造装置1の正面視でユーザが視認可能な製造部の一部を示す図である。カバー部102や情報表示装置12は想像線で図示されている。
飲料製造装置1の正面部におけるハウジング100は、本体部101と、その外側(前方側)のカバー部102との二重構造となっている。前後方向で本体部101とカバー部102との間に製造部の一部の機構が配置されており、ユーザがカバー部102を介して視認可能である。
カバー部102を介してユーザが視認可能な製造部の一部の機構は、本実施形態の場合、後述する集合搬送部42、グラインダ5A、5B、分離装置6、抽出容器9等である。本体部101の正面部には、奥側に窪んだ矩形状の凹部101aが形成されており、抽出容器9等はこの凹部101a内の奥側に位置している。
カバー部102を介して外部からこれらの機構が視認可能であることにより、管理者にとっては点検や動作確認が容易になる場合がある。また、飲料の需要者にとってはコーヒー飲料の製造過程を楽しむことができる場合がある。
なお、カバー部102は、その右端部においてヒンジ102aを介して本体部101に横開き式に開閉自在に支持されている。カバー部102の左端部には、本体部101とカバー部102とを閉状態に維持する係合部102bが設けられている。係合部102bは例えば磁石と鉄の組合せである。管理者はカバー部102を開放することで、その内側の上述した製造部の一部の点検等を行うことができる。
なお、本実施形態の場合、カバー部102を横開き式としたが縦開き式(上下開き式)としてもよいし、スライド式としてもよい。また、カバー部102が開閉不能な構成であってもよい。
図3は飲料製造装置1の機能の概要図である。飲料製造装置1は、コーヒー飲料の製造部として、豆処理装置2及び抽出装置3を含む。
豆処理装置2は、焙煎コーヒー豆から挽き豆を生成する。抽出装置3は豆処理装置2から供給される挽き豆からコーヒー液を抽出する。抽出装置3は、流体供給ユニット7、後述する駆動ユニット8、抽出容器9及び切替ユニット10を含む。豆処理装置2から供給される挽き豆は、抽出容器9に投入される。流体供給ユニット7は、抽出容器9にお湯を投入する。抽出容器9内で挽き豆からコーヒー液が抽出される。抽出されたコーヒー液を含むお湯が切替ユニット10を介してコーヒー飲料としてカップCに送出される。
<2.流体供給ユニット及び切替ユニット>
流体供給ユニット7及び切替ユニット10の構成について図3を参照して説明する。まず、流体供給ユニット7について説明する。流体供給ユニット7は、抽出容器9へのお湯の供給や、抽出容器9内の気圧の制御等を行う。なお、本書において、気圧を数字で例示している場合、特に断わらない限り絶対圧を意味し、ゲージ圧とは大気圧を0気圧とする気圧である。大気圧とは、抽出容器9の周囲の気圧、又は、飲料製造装置の気圧を指し、例えば、飲料製造装置が海抜0mの地点に設置されている場合は、国際民間航空機関(=「International Civil Aviation Organization」〔[略]ICAO〕)が1976年に制定した国際標準大気(=「International Standard Atmosphere」〔[略]ISA〕)の海抜0mでの基準気圧(1013.25hPa)である。
流体供給ユニット7は配管L1〜L3を含む。配管L1は空気が流通する配管であり、配管L2は水が流通する配管である。配管L3は空気と水の双方が流通可能な配管である。
流体供給ユニット7は、加圧源としてコンプレッサ70を含む。コンプレッサ70は大気を圧縮して送出する。コンプレッサ70は例えばモータ(不図示)を駆動源として駆動される。コンプレッサ70から送出される圧縮空気は、逆止弁71aを介してリザーブタンク(アキュームレータ)71に供給される。リザーブタンク71内の気圧は圧力センサ71bにより監視され、所定の気圧(本実施形態では7気圧(ゲージ圧で6気圧))に維持されるよう、コンプレッサ70が駆動される。リザーブタンク71には排水用のドレイン71cが設けられており、空気の圧縮により生じる水を排水可能となっている。
水タンク72にはコーヒー飲料を構成するお湯(水)が蓄積される。水タンク72には、水タンク72内の水を加温するヒーター72a及び水の温度を計測する温度センサ72bが設けられている。ヒーター72aは温度センサ72bの検出結果に基づいて、蓄積されるお湯の温度を所定の温度(本実施形態では摂氏120度)に維持する。ヒーター72aは例えばお湯の温度が摂氏118度でONとされ、摂氏120度でOFFとされる。
水タンク72には、また、水位センサ72cが設けられている。水位センサ72cは水タンク72内のお湯の水位を検出する。水位センサ72cにより所定の水位よりも水位が下がったことが検出されると、水タンク72に水が供給される。本実施形態の場合、不図示の浄水器を介して水が供給される。浄水器からの配管L2の途中には電磁弁72dが設けられており、水位センサ72cにより水位の低下が検出されると電磁弁72dが開放されて水が供給され、所定の水位に到達すると電磁弁72dが閉鎖されて水の供給が遮断される。こうして水タンク72内のお湯が一定の水位に維持される。なお、水タンク72への給水は一回のコーヒー飲料の製造に使用するお湯を排出する度に行ってもよい。
水タンク72には、また、圧力センサ72gが設けられている。圧力センサ72gは水タンク72内の気圧を検出する。水タンク72には調圧弁72e及び電磁弁72fを介してリザーブタンク71内の気圧が供給される。調圧弁72eはリザーブタンク71から供給される気圧を所定の気圧に減圧する。本実施形態の場合、3気圧(ゲージ圧で2気圧)に減圧する。電磁弁72fは調圧弁72eで調圧された気圧の、水タンク72への供給と遮断とを切り替える。電磁弁72fは、水タンク72への水の供給時を除き、水タンク72内の気圧が3気圧に維持されるように開閉制御される。水タンク72への水の供給時には、水の水圧によって水タンク72に円滑に水が補給されるように、電磁弁72hにより水タンク72内の気圧を水の水圧よりも低い圧力(例えば2.5気圧未満)に減圧する。電磁弁72hは水タンク72内を大気に解放するか否かを切り替え、減圧時には水タンク72内を大気に解放する。また、電磁弁72hは水タンク72への水の供給時以外に、水タンク72内の気圧が3気圧を超える場合に水タンク72内を大気に解放し、水タンク72内を3気圧に維持する。
水タンク72内のお湯は、逆止弁72j、電磁弁72i及び配管L3を介して抽出容器9へ供給される。電磁弁72iを開放することで抽出容器9へお湯が供給され、閉鎖することでお湯の供給が遮断される。抽出容器9へのお湯の供給量は、電磁弁72iの開放時間で管理することができる。しかし、供給量を計測して電磁弁72iの開閉を制御してもよい。配管L3にはお湯の温度を計測する温度センサ73eが設けられており、抽出容器9へ供給される湯温が監視される。
リザーブタンク71の気圧は、また、調圧弁73a、電磁弁73bを介して抽出容器9へ供給される。調圧弁73aはリザーブタンク71から供給される気圧を所定の気圧に減圧する。本実施形態の場合、5気圧(ゲージ圧で4気圧)以下に減圧調整が可能である。電磁弁73bは調圧弁73aで調圧された気圧の、抽出容器9への供給と遮断とを切り替える。抽出容器9内の気圧は圧力センサ73dで検出される。抽出容器9内の加圧時、圧力センサ73dの検出結果に基づいて電磁弁73bが開放され、抽出容器9内を所定の気圧(本実施形態の場合、最大で5気圧(ゲージ圧で4気圧))に加圧する。抽出容器9内の気圧は電磁弁73cで減圧可能である。電磁弁73cは抽出容器9内を大気に解放するか否かを切り替え、圧力異常時(例えば抽出容器9内が5気圧を超える場合)には抽出容器9内を大気に解放する。
一回のコーヒー飲料の製造が終わると、本実施形態の場合、抽出容器9内を水で洗浄する。電磁弁73fは洗浄時に開放され、抽出容器9に水を供給する。
次に切替ユニット10について説明する。切替ユニット10は抽出容器9から送出される液体の送出先を注ぎ部10cと廃棄タンクTとのいずれかに切り替えるユニットである。切替ユニット10は、切替弁10aと切替弁10aを駆動するモータ10bを含む。切替弁10aは、抽出容器9内のコーヒー飲料を送出する場合は注ぎ部10cへ流路を切り替える。コーヒー飲料は注ぎ部10cからカップCへ注がれる。洗浄時の廃液(水)及び残渣(挽き豆)を排出する場合は廃棄タンクTへ流路を切り替える。切替弁10aは本実施形態の場合3ポートのボール弁である。洗浄時には切替弁10aを残渣が通過することから、切替弁10aはボール弁が好適であり、モータ10bはその回転軸を回転することで、流路を切り替える。
<3.豆処理装置>
図1、図2を参照して豆処理装置2について説明する。豆処理装置2は、貯留装置4及び粉砕装置5を含む。
<3−1.貯留装置>
貯留装置4は、焙煎後のコーヒー豆が収容される複数のキャニスタ40を含む。本実施形態の場合、キャニスタ40は三つ設けられている。キャニスタ40は、焙煎コーヒー豆を収容する筒状の本体40aと、本体40aに設けられた取手40bとを含み、飲料製造装置1に対して着脱自在に構成されている。
各キャニスタ40は、互いに異なる種類の焙煎コーヒー豆を収容し、情報表示装置12に対する操作入力によって、コーヒー飲料の製造に用いる焙煎コーヒー豆の種類を選択できるようにしてもよい。種類が異なる焙煎コーヒー豆とは例えばコーヒー豆の品種が異なる焙煎コーヒー豆である。また、種類が異なる焙煎コーヒー豆とは、同じ品種のコーヒー豆であるが、焙煎度が異なる焙煎コーヒー豆であってもよい。また、種類が異なる焙煎コーヒー豆とは、品種も焙煎度も異なる焙煎コーヒー豆でもよい。また、三つのキャニスタ40の少なくともいずれか一つには、複数種類の品種の焙煎コーヒー豆が混合された焙煎コーヒー豆が収容されてもよい。この場合、各品種の焙煎コーヒー豆は、焙煎度が同程度であってもよい。
なお、本実施形態では複数のキャニスタ40を設けたが、一つのキャニスタ40のみが設けられる構成であってもよい。また、複数のキャニスタ40を設けた場合に、同じ種類の焙煎コーヒー豆が全部又は複数のキャニスタ40に収容されてもよい。
各キャニスタ40は計量搬送装置41に着脱自在に装着される。計量搬送装置41は、例えば、電動スクリューコンベアであり、キャニスタ40に収容された所定の量の焙煎コーヒー豆を自動計量して下流側に送出する。
各計量搬送装置41は下流側の集合搬送部42に焙煎コーヒー豆を排出する。集合搬送部42は中空の部材で構成されており、各コンベア41から粉砕装置5(特にグラインダ5A)への焙煎コーヒー豆の搬送通路を形成する。各計量搬送装置41から排出された焙煎コーヒー豆は集合搬送部42の内部を自重によって移動し、粉砕装置5へ流れ落ちる。
集合搬送部42には、豆投入口103に対応する位置に案内部42aが形成されている。案内部42aは豆投入口103から投入された焙煎コーヒー豆を粉砕装置5(特にグラインダ5A)へ案内する通路を形成する。これにより、キャニスタ40に収容された焙煎コーヒー豆以外に、豆投入口103から投入される焙煎コーヒー豆を原料としたコーヒー飲料も製造できる。
<3−2.粉砕装置>
図2及び図4を参照して粉砕装置5を説明する。図4は分離装置6の一部判断斜視図である。粉砕装置5は、グラインダ5A及び5B、及び、分離装置6を含む。グラインダ5A及び5Bは貯留装置4から供給される焙煎コーヒー豆を挽く機構である。貯留装置4から供給される焙煎コーヒー豆は、グラインダ5Aで挽かれた後、グラインダ5Bで更に挽かれて粉状にされ、排出管5Cから抽出容器9へ投入される。
グラインダ5A及び5Bは、豆を挽く粒度が異なっている。グラインダ5Aは粗挽き用のグラインダであり、グラインダ5Bは細挽き用のグラインダである。グラインダ5A、5Bはそれぞれ電動グラインダであり、駆動源であるモータと、モータにより駆動される回転刃等を含む。回転刃の回転数を変化させることで粉砕される焙煎コーヒー豆の大きさ(粒度)を変化可能である。
分離装置6は挽き豆から不要物を分離する機構である。分離装置6はグラインダ5Aとグラインダ5Bとの間に配置された通路部63aを含む。通路部63aはグラインダ5Aから自由落下してくる挽き豆が通過する分離室を形成する中空体である。通路部63aには、挽き豆の通過方向(本実施形態の場合、上下方向。)と交差する方向(本実施形態の場合、左右方向。)に延びる通路部63bが接続されており、この通路部63bには吸引ユニット60が接続されている。吸引ユニット60が通路部63a内の空気を吸引することで、チャフや微粉といった軽量な物体が吸引される。これにより、挽き豆から不要物を分離できる。
吸引ユニット60は遠心分離方式の機構である。吸引ユニット60は、送風ユニット60A及び回収容器60Bを含む。送風ユニット60Aは本実施形態の場合、ファンモータであり、回収容器60B内の空気を上方へ排気する。
回収容器60Bは、分離可能に係合する上部61と下部62とを含む。下部62は上方が開放した有底の筒型をなしており、不要物を蓄積する空間を形成する。上部61は下部62の開口に装着される蓋部を構成する。上部61は、円筒形状の外周壁61aと、これと同軸上に形成された排気筒61bとを含む。送風ユニット60Aは排気筒61b内の空気を吸引するように排気筒61bの上方において上部61に固定されている。上部61には通路部63bが接続されている。通路部63bは排気筒61bの側方に開口している。
送風ユニット60Aの駆動により、図4において矢印d1〜d3で示す気流が発生する。この気流により、通路部63aから不要物を含んだ空気が通路部63bを通って回収容器60B内に吸引される。通路部63bは排気筒61bの側方に開口しているため、不要物を含んだ空気は排気筒61bの周囲を旋回する。空気中の不要物Dは、その重量によって落下し、回収容器60Bの一部に集められる(下部62の底面上に堆積する)。空気は排気筒61bの内部を通って上方に排気される。
排気筒61bの周面には複数のフィン61dが一体に形成されている。複数のフィン61dは排気筒61bの周方向に配列されている。個々のフィン61dは、排気筒61bの軸方向に対して斜めに傾斜している。このようなフィン61を設けたことで、不要物Dを含んだ空気の排気筒61bの周囲の旋回を促進する。
本実施形態の場合、下部62はアクリル、ガラスなどの透光性を有する材料で形成されており、その全体が透過部とされた透明容器を構成している。また、下部62はカバー部102で覆われた部分である(図2)。管理者や飲料の需要者は、カバー部102、下部62の周壁を透して、下部62内に蓄積された不要物Dを視認可能である。管理者にとっては、下部62の清掃タイミングを確認し易い場合があり、飲料の需要者にとっては不要物Dが除去されていることが視認できることで、製造中のコーヒー飲料の品質に対する期待感が高まる場合がある。
このように本実施形態では、貯留装置4から供給される焙煎コーヒー豆は、まず、グラインダ5Aで粗挽きされ、その粗挽き豆が通路部63aを通過する際に、分離装置6によって不要物が分離される。不要物が分離された粗挽き豆は、グラインダ5Bにより細挽きされる。分離装置6で分離する不要物は、代表的にはチャフや微粉である。これらはコーヒー飲料の味を低下させる場合があり、挽き豆からチャフ等を除去することで、コーヒー飲料の品質を向上できる。
焙煎コーヒー豆の粉砕は、一つのグラインダ(一段階の粉砕)であってもよい。しかし、本実施形態のように、二つのグラインダ5A、5Bによる二段階の粉砕とすることで、挽き豆の粒度が揃い易くなり、コーヒー液の抽出度合を一定にすることができる。豆の粉砕の際にはカッターと豆との摩擦により、熱が発生する場合がある。二段階の粉砕とすることで、粉砕時の摩擦による発熱を抑制し、挽き豆の劣化(例えば風味が落ちる)を防止することもできる。
また、粗挽き→不要物の分離→細挽きという段階を経ることで、チャフなどの不要物を分離する際、不要物と挽き豆(必要部分)との質量差を大きくできる。これは不要物の分離効率を上げることができるとともに、挽き豆(必要部分)が不要物として分離されてしまうことを防止することができる。また、粗挽きと細挽きとの間に、空気の吸引を利用した不要物の分離処理が介在することで、空冷によって挽き豆の発熱を抑えることができる。
<4.駆動ユニット及び抽出容器>
<4−1.概要>
抽出装置3の駆動ユニット8及び抽出容器9について図5を参照して説明する。図5は駆動ユニット8及び抽出容器9の斜視図である。駆動ユニット8の大部分は本体部101に囲包されている。
駆動ユニット8はフレームFに支持されている。フレームFは、上下の梁部F1、F2及び梁部F1、F2を支持する柱部F3を含む。駆動ユニット8は、上部ユニット8A、中部ユニット8B及び下部ユニット8Cの三つのユニットに大別される。上部ユニット8Aは梁部F1に支持されている。中部ユニット8Bは梁部F1と梁部F2との間において、梁部F1及び柱部F3に支持されている。下部ユニット8Cは梁部F2に支持されている。
抽出容器9は、容器本体90及び蓋ユニット91を含むチャンバである。抽出容器9のことをチャンバと呼ぶ場合がある。中部ユニット8Bは、容器本体90を着脱自在に保持するアーム部材820を備える。アーム部材820は、保持部材820aと、左右に離間した一対の軸部材820bとを含む。保持部材820aは、Cの字型のクリップ状に形成された樹脂等の弾性部材であり、その弾性力により容器本体90を保持する。保持部材820aは容器本体90の左右の側部を保持し、容器本体90の前方側は露出させている。これにより容器本体90の内部を、正面視で視認し易くなる。
保持部材820aに対する容器本体90の着脱は手動操作で行い、保持部材820aに容器本体90を前後方向後方へ押し付けることで容器本体90が保持部材820aに装着される。また、容器本体90を保持部材820aから前後方向前側へ引き抜くことで、容器本体90を保持部材820aから分離可能である。
一対の軸部材820bは、それぞれ、前後方向に延設されたロッドであり、保持部材820aを支持する部材である。なお、本実施形態では軸部材820bの数を二本としたが、一本でもよいし、三本以上であってもよい。保持部材820aは、一対の軸部材820bの前側の端部に固定されている。後述する機構により、一対の軸部材820bは前後方向に進退され、これにより保持部材820aが前後に進退し、容器本体90を前後方向に平行移動する移動動作を行うことができる。中部ユニット8Bは、また、後述するように、抽出容器9の上下を反転させる回動動作を行うことも可能である。
<4−2.抽出容器>
図6を参照して抽出容器9について説明する。図6は抽出容器9の閉状態及び開状態を示す図である。上記のとおり、抽出容器9は中部ユニット8Bにより上下が反転される。図6の抽出容器9は、蓋ユニット91が上側に位置している基本姿勢を示している。以下の説明において上下の位置関係を述べる場合、特に断らない限りは基本姿勢における上下の位置関係を意味するものとする。
容器本体90は有底の容器であり、ネック部90b、肩部90d、胴部90e及び底部90fを有するボトル形状を有している。ネック部90bの端部(容器本体90の上端部)には、容器本体90の内部空間と連通する開口90aを画定するフランジ部90cが形成されている。
ネック部90b及び胴部90eは、いずれも円筒形状を有している。肩部90dは、ネック部90bと胴部90eとの間の部分であり、その内部空間の断面積が胴部90e側からネック部90b側へ向かって徐々に小さくなるようにテーパ形状を有している。
蓋ユニット91は開口90aを開閉するユニットである。蓋ユニット91の開閉動作(昇降動作)は上部ユニット8Aにより行われる。
容器本体90は、本体部材900及び底部材901を含む。本体部材900は、ネック部90b、肩部90d、胴部90eを形成する上下が開放した筒部材である。底部材901は底部90fを形成する部材であり、本体部材900の下部に挿入されて固定される。本体部材900と底部材901との間にはシール部材902が介在し、容器本体90内の気密性を向上する。
本実施形態の場合、本体部材900はアクリル、ガラスなどの透光性を有する材料で形成されており、その全体が透過部とされた透明容器を構成している。管理者や飲料の需要者は、カバー部102、容器本体90の本体部材900を透して、容器本体90内でのコーヒー飲料の抽出状況を視認可能である。管理者にとっては、抽出動作を確認し易い場合があり、飲料の需要者にとっては抽出状況を楽しめる場合がある。
底部材901の中心部には凸部901cが設けられ、この凸部901cには、容器本体90内を外部に連通させる連通穴や、この連通穴を開閉する弁(図8の弁903)が設けられている。連通穴は、容器本体90内を洗浄する際の廃液及び残渣の排出に用いられる。凸部901cにはシール部材908が設けられており、シール部材908は、上部ユニット8Aまたは下部ユニット8Cと底部材901との間を気密に維持するための部材である。
蓋ユニット91は、帽子状のベース部材911を備える。ベース部材911は、凸部911d、及び、閉時にフランジ部90cと重なる鍔部911cを有する。凸部911dには、容器本体90における凸部901cと同じ構造とされており、容器本体90内を外部に連通させる連通穴や、この連通穴を開閉する弁(図8の弁913)が設けられている。凸部911dの連通穴は、主に、容器本体90内へのお湯の注入とコーヒー飲料の送出に用いられる。凸部911dにはシール部材918aが設けられている。シール部材918aは、上部ユニット8Aまたは下部ユニット8Cとベース部材911との間を気密に維持するための部材である。蓋ユニット91には、また、シール部材919が設けられている。シール部材919は、蓋ユニット91の閉時に蓋ユニット91と容器本体90との気密性を向上する。蓋ユニット91には濾過用のフィルタが保持される。
<4−3.上部ユニット及び下部ユニット>
上部ユニット8A及び下部ユニット8Cについて図7、図8を参照して説明する。図7は上部ユニット8A及び下部ユニット8Cの一部の構成を示す正面図であり、図8は図7の縦断面図である。
上部ユニット8Aは、操作ユニット81Aを含む。操作ユニット81Aは容器本体90に対する蓋ユニット91の開閉操作(昇降)及び凸部901c及び911dの弁の開閉操作を行う。操作ユニット81Aは、支持部材800、保持部材801、昇降軸802及びプローブ803を含む。
支持部材800はフレームFに対する相対位置が変化しないように固定して設けられており、保持部材801を収容する。支持部材800は、また、配管L3と支持部材800内を連通させる連通部800aを備える。配管L3から供給されるお湯、水および気圧が連通部800aを介して支持部材800内に導入される。
保持部材801は、蓋ユニット91を着脱自在に保持可能な部材である。保持部材801は蓋ユニット91の凸部911d又は底部材901の凸部901cが挿入される円筒状の空間を有すると共に、これらを着脱自在に保持する機構を備える。この機構は、例えば、スナップリング機構であり、一定の押圧力により係合し、一定の分離力により係合が解除される。配管L3から供給されるお湯、水および気圧は、連通部800a及び保持部材801の連通穴801aを介して抽出容器9内へ供給可能である。
保持部材801は支持部材800内を上下方向にスライド自在に設けられた可動部材でもある。昇降軸802はその軸方向が上下方向となるように設けられている。昇降軸802は支持部材800の天部を上下方向に気密に貫通し、支持部材800に対して上下に昇降自在に設けられている。
昇降軸802の下端部には保持部材801の天部が固定されている。昇降軸802の昇降によって保持部材801が上下方向にスライドし、凸部911dや凸部901cへの保持部材801の装着と分離を行うことができる。また、容器本体90に対する蓋ユニット91の開閉を行うことができる。
昇降軸802の外周面にはリードスクリュー機構を構成するねじ802aが形成されている。このねじ802aにはナット804bが螺着されている。上部ユニット8Aは、モータ804aを備えており、ナット804bはモータ804aの駆動力によって、その場で(上下に移動せずに)回転される。ナット804bの回転によって昇降軸802が昇降する。
昇降軸802は、中心軸に貫通穴を有する管状の軸であり、この貫通穴にプローブ803が上下にスライド自在に挿入されている。プローブ803は保持部材801の天部を上下方向に気密に貫通し、支持部材800及び保持部材801に対して上下に昇降自在に設けられている。
プローブ803は、凸部911d、901cの内部に設けた弁913、903を開閉する操作子であり、プローブ803の降下により弁913、903を閉状態から開状態とし、プローブ803の上昇により弁を開状態から閉状態(不図示のリターンばねの作用による)とすることができる。
プローブ803の外周面にはリードスクリュー機構を構成するねじ803aが形成されている。このねじ803aにはナット805bが螺着されている。上部ユニット8Aは、モータ805aを備えており、ナット805bはモータ805aの駆動力によって、その場で(上下に移動せずに)回転するように設けられている。ナット805bの回転によってプローブ803が昇降する。
下部ユニット8Cは、操作ユニット81Cを含む。操作ユニット81Cは、操作ユニット81Aを上下に反転した構成であり、凸部911d、901cの内部に設けた弁913、903の開閉操作を行う。操作ユニット81Cも蓋ユニット91の開閉が可能な構成であるが、本実施形態では操作ユニット81Cを蓋ユニット91の開閉には用いない。
以下、操作ユニット81Aの説明と略同じであるが、操作ユニット81Cについて説明する。操作ユニット81Cは、支持部材810、保持部材811、昇降軸812及びプローブ813を含む。
支持部材810はフレームFに対する相対位置が変化しないように固定して設けられており、保持部材811を収容する。支持部材810は、また、切替ユニット10の切替弁10aと支持部材810内を連通させる連通部810aを備える。容器本体90内のコーヒー飲料、水、挽き豆の残渣が連通部810aを介して切替弁10aに導入される。
保持部材811は、蓋ユニット91の凸部911d又は底部材901の凸部901cが挿入される円筒状の空間を有すると共に、これらを着脱自在に保持する機構を備える。この機構は、例えば、スナップリング機構であり、一定の押圧力により係合し、一定の分離力により係合が解除される。容器本体90内のコーヒー飲料、水、挽き豆の残渣が連通部810a及び保持部材811の連通穴811aを介して切替弁10aに導入される。
保持部材811は支持部材810内を上下方向にスライド自在に設けられた可動部材でもある。昇降軸812はその軸方向が上下方向となるように設けられている。昇降軸812は支持部材800の底部を上下方向に気密に貫通し、支持部材810に対して上下に昇降自在に設けられている。
昇降軸812の下端部には保持部材811の底部が固定されている。昇降軸812の昇降によって保持部材811が上下方向にスライドし、凸部901cや凸部911dへの保持部材811の装着と分離を行うことができる。
昇降軸812の外周面にはリードスクリュー機構を構成するねじ812aが形成されている。このねじ812aにはナット814bが螺着されている。下部ユニット8Cは、モータ814aを備えており、ナット814bはモータ814aの駆動力によって、その場で(上下に移動せずに)回転される。ナット814bの回転によって昇降軸812が昇降する。
昇降軸812は、中心軸に貫通穴を有する管状の軸であり、この貫通穴にプローブ813が上下にスライド自在に挿入されている。プローブ813は保持部材811の底部を上下方向に気密に貫通し、支持部材810及び保持部材811に対して上下に昇降自在に設けられている。
プローブ813は、凸部911d、901cの内部に設けた弁913、903を開閉する操作子であり、プローブ813の上昇により弁913、903を閉状態から開状態とし、プローブ813の降下により弁を開状態から閉状態(不図示のリターンばねの作用による)とすることができる。
プローブ813の外周面にはリードスクリュー機構を構成するねじ813aが形成されている。このねじ813aにはナット815bが螺着されている。下部ユニット8Cは、モータ815aを備えており、ナット815bはモータ815aの駆動力によって、その場で(上下に移動せずに)回転するように設けられている。ナット815bの回転によってプローブ813が昇降する。
<4−4.中部ユニット>
中部ユニット8Bについて図5及び図9を参照して説明する。図9は中部ユニット8Bの模式図である。中部ユニット8Bは抽出容器9を支持する支持ユニット81Bを含む。支持ユニット81Bは上述したアーム部材820の他、ロック機構821を支持するユニット本体81B’を含む。
ロック機構821は、蓋ユニット91を容器本体90に対して閉状態に維持する機構である。ロック機構821は、蓋ユニット91の鍔部911cと容器本体90のフランジ部90cとを上下に挟持する一対の把持部材821aを含む。一対の把持部材821aは、鍔部911cとフランジ部90cとを挟み込んで嵌合するC字型の断面を有しており、モータ822の駆動力により左右方向に開閉される。一対の把持部材821aが閉状態の場合、図9の囲み図において実線で示すように、各把持部材821aは鍔部911cとフランジ部90cとを上下に挟み込むようにしてこれらに嵌合し、蓋ユニット91が容器本体90に対して気密にロックされる。このロック状態においては、保持部材801を昇降軸802によって上昇させて蓋ユニット91を開放しようとしても、蓋ユニット91は移動しない(ロックは解除されない)。つまり、保持部材801を用いて蓋ユニット91を開放する力よりもロック機構821によるロックの力の方が強く設定されている。これにより異常時に容器本体90に対して蓋ユニット91が開状態になることを防止することができる。
また、一対の把持部材821aが開状態の場合、図9の囲み図において破線で示すように、鍔部911cとフランジ部90cから各把持部材821aが離間した状態となり、蓋ユニット91と容器本体90とのロックが解除される。
保持部材801が蓋ユニット91を保持した状態にあり、かつ、保持部材801を降下位置から上昇位置に上昇する場合、一対の把持部材821aが開状態の場合には容器本体90から蓋ユニット91が分離される。逆に一対の把持部材821aが閉状態の場合には蓋ユニット91に対する保持部材801が解除され、保持部材801だけが上昇することになる。
中部ユニット8Bは、また、モータ823を駆動源としてアーム部材820を前後方向に水平移動する機構を含む。これにより、アーム部材820に支持された容器本体90を後側の抽出位置(状態ST1)と、前側の豆投入位置(状態ST2)との間で移動することができる。豆投入位置は、容器本体90に挽き豆を投入する位置であり、蓋ユニット91が分離された容器本体90の開口90aに、グラインダ5Bで挽かれた挽き豆が排出管5Cから投入される。換言すると、排出管5Cの位置は、豆投入位置に位置している容器本体90の上方である。
抽出位置は、容器本体90が操作ユニット81A及び操作ユニット81Cによる操作が可能となる位置であり、プローブ803、813と同軸上の位置であって、コーヒー液の抽出を行う位置である。抽出位置は豆投入位置よりも奥側の位置である。図5、図7及び図8はいずれも容器本体90が抽出位置にある場合を示している。このように、挽き豆の投入と、コーヒー液の抽出及び水の供給とで、容器本体90の位置を異ならせることにより、コーヒー液抽出時に発生する湯気が、挽き豆の供給部である排出管5Cに付着することを防止できる。
中部ユニット8Bは、また、モータ824を駆動源として支持ユニット81Bを前後方向の軸825回りに回転させる機構を含む。これにより、容器本体90(抽出容器9)の姿勢をネック部90bが上側の正立姿勢(状態ST1)からネック部90bが下側の倒立姿勢(状態ST3)へ変化させることができる。抽出容器9の回動中は、ロック機構821により容器本体90に蓋ユニット91がロックされた状態が維持される。正立姿勢と倒立姿勢とで抽出容器9は上下が反転される。正立姿勢における凸部901cの位置に、倒立姿勢では凸部911dが位置する。また、正立姿勢における凸部911dの位置に、倒立姿勢では凸部901cが位置する。このため、倒立姿勢では弁903に対する開閉操作を操作ユニット81Aが行うことができ、また、弁913に対する開閉操作を操作ユニット81Cが行うことができる。
<5.制御装置>
図10を参照して飲料製造装置1の制御装置11について説明する。図10は制御装置11のブロック図である。
制御装置11は飲料製造装置1の全体を制御する。制御装置11は、処理部11a、記憶部11b及びI/F(インタフェース)部11cを含む。処理部11aは例えばCPU等のプロセッサである。記憶部11bは例えばRAMやROMである。I/F部11cは外部デバイスと処理部11aとの間の信号の入出力を行う入出力インタフェースを含む。I/F部11cは、また、インターネットなどの通信ネットワーク15を介してサーバ16、携帯端末17とデータ通信が可能な通信インタフェースを含む。サーバ16は、通信ネットワーク15を介してスマートフォン等の携帯端末17との通信が可能であり、例えば、飲料の需要者の携帯端末17から飲料製造の予約や、感想などの情報を受信可能である。飲料製造装置1と、サーバ16と、携帯端末17とを含んで、抽出対象からコーヒー飲料液を抽出するためのシステムを構成する。
飲料の需要者(ユーザ)は、携帯端末17から飲料製造のためのプロファイル設定を行うことが可能である。図17は、携帯端末17上で表示されるプロファイル設定画面の一例を示す図である。ユーザは、図17の画面1801により、携帯端末17上で抽出湯量等を調整可能である。図17の画面1801は、情報表示装置12に表示される設定項目と基本的に同じものであり、ユーザは、例えば、カフェに訪問する前に、携帯端末17上で抽出湯量等を好みの値に調整しておくことができる。
表示領域1802により、ユーザは、コーヒー豆の量を任意に調整して設定することができる。また、表示領域1803により、ユーザは、挽き粒度を任意に調整して設定することができる。また、表示領域1804により、ユーザは、蒸らし湯量を任意に調整して設定することができる。また、表示領域1805により、ユーザは、蒸らし時間を任意に調整して設定することができる。また、表示領域1806により、ユーザは、抽出湯量を任意に調整して設定することができる。また、表示領域1807により、ユーザは、抽出圧力を任意に調整して設定することができる。また、表示領域1808により、ユーザは、抽出時間を任意に調整して設定することができる。
ボタン1809は、表示領域1802〜1808の内容を確定するためのボタンである。図17の場合、ボタン1809が押下されると、表示領域1802〜1808の内容が保存され、2次元コードが表示される。ユーザは、例えば、カフェに訪問し、携帯端末17に表示された2次元コードを情報表示装置12の撮像部にかざすことにより、表示領域1802〜1808の内容を情報表示装置12に伝えることができる。ボタン1809は、2次元コードを表示するためのボタンでなくても良い。例えば、表示領域1802〜1808の内容を確定して保存するためのボタンでも良く、情報表示装置12に対して近距離無線通信I/Fを介して、表示領域1802〜1808の内容を送信するようにしても良い。
図17のようなコーヒー飲料の抽出のためのパラメータ調整を携帯端末17上で可能とすることにより、ユーザは、手軽にバリスタのようなコーヒー抽出操作の感覚を味わうことができる場合がある。本実施形態では、図17のようなコーヒー飲料の抽出のためのパラメータを、抽出プロファイルもしくはレシピと称する。
処理部11aは記憶部11bに記憶されたプログラムを実行し、情報表示装置12からの指示或いはセンサ群13の検出結果若しくはサーバ16からの指示に基づいて、アクチュエータ群14を制御する。センサ群13は飲料製造装置1に設けられた各種のセンサ(例えばお湯の温度センサ、機構の動作位置検出センサ、圧力センサ等)である。アクチュエータ群14は飲料製造装置1に設けられた各種のアクチュエータ(例えばモータ、電磁弁、ヒーター等)である。
次に、水タンク72の送液量調節装置について説明する。本実施形態では、水タンク72から抽出容器9へのお湯の供給(注湯)は、図12に示すように水タンク72が構成された送液量調節装置により行われる。図12は送液量調節装置720の概要図、図13は図12のIV−IV線断面図及び別例の断面図(構成例EX31)である。送液量調節装置720は、水タンク72と同様、コーヒー飲料を構成するお湯(水)を蓄積するタンクであるとともに、一定量のお湯を送出する機能を有する装置である。これにより、一杯分のコーヒー飲料に必要なお湯を順次送出する。しかも、送出する一杯分のお湯の量は変更可能である。以下の説明において、水タンク72に関連する構成と同じ機能を有する構成については、同じ符号を付している。
送液量調節装置720は、お湯を蓄積するタンク720aを有する。タンク720aの外壁は、周壁721、周壁721の上端部に接合された上壁723、及び、周壁721の下端部に接合された底壁724を含み、図13の断面図に示すようにタンク720aは全体として円筒形状を有している。タンク720a内には仕切壁722が設けられており、その内部空間が仕切壁722によって、外側の円筒状の空間725と、内側の円柱状の空間726Aとに区画されている。本実施形態の場合、仕切壁722は周壁721と同心に配置された円筒形状の壁体であるが、図13の構成例EX31に示すように仕切壁722が周壁721に対して偏心していてもよい。
空間725はお湯を貯留する貯留部を構成する。空間725のことを貯留部725とも呼ぶ。空間726Aの上部には可動部材727cが配置され、その下部の空間726はお湯を貯留する貯留部を構成する。空間726のことを貯留部726とも呼ぶ。貯留部725と貯留部726とを共通の壁体である仕切壁722で仕切ることにより、別々の壁体で区画するよりも、タンク720aの小型化を図れる。
貯留部725には、貯留部725内の水を加温するヒーター72a及び水の温度を計測する温度センサ72bが設けられている。ヒーター72aは温度センサ72bの検出結果に基づいて、蓄積されるお湯の温度を所定の温度(本実施形態では摂氏120度)に維持する。ヒーター72aは例えばお湯の温度が摂氏118度でONとされ、摂氏120度でOFFとされる。
上壁723のうち、貯留部725を画定する部分には、リザーブタンク71(図3参照)内の気圧が供給される配管が接続されており、ここには電磁弁72fが設けられている。送液量調節装置720は貯留部725内の気圧を検出するセンサ(不図示。例えば図3の圧力センサ72gに相当するセンサ。)を備え、電磁弁72fは調圧弁72e(図3参照)で調圧された気圧の、貯留部725への供給と遮断とを切り替える。電磁弁72fは、貯留部725への水の供給時を除き、貯留部725内の気圧が所定の気圧、例えば3気圧に維持されるように開閉制御される。
上壁723のうち、貯留部725を画定する部分には、また、貯留部725を大気に連通させる配管が接続されており、ここには電磁弁72hが設けられている。貯留部725への水の供給時には、水の水圧によって貯留部725に円滑に水道水が補給されるように、電磁弁72hにより貯留部725の気圧を2.5気圧未満に減圧する。電磁弁72hは水タンク72内を大気に解放するか否かを切り替え、減圧時には貯留部725内を大気に解放する。また、電磁弁72hは貯留部725への水の供給時以外に、貯留部725内の気圧が例えば3気圧を超える場合に貯留部725を大気に解放し、貯留部725を3気圧に維持する。
底壁724のうち、貯留部725を画定する部分には、貯留部725に水を供給する配管L2が接続されており、ここには電磁弁72dが設けられている。電磁弁72dは、後述する水位センサ72cの検出結果に基づき開閉制御され、貯留部725内のお湯の水位を制御する。
底壁724のうち、貯留部725を画定する部分には、また、貯留部725内のお湯を排出する配管L2’が接続されており、ここには電磁弁72d’が設けられている。電磁弁72d’は、貯留部725内のお湯を廃棄する場合に開放され、貯留部725内のお湯が配管L2’へ排出される。
貯留部726は、可動部材727cの移動により、その容積が変更可能な空間である。貯留部726には、配管728a、電磁弁728及び配管728bを介して貯留部725からお湯が供給される。配管728aは、底壁724のうち、貯留部725を画定する部分と電磁弁728との間を接続する。配管728bは、底壁724のうち、貯留部726を画定する部分と電磁弁728との間を接続する。
電磁弁728は、本実施形態の場合、三方向弁であり、配管728bと配管728aとの連通及び遮断の切り替えと、配管728bと配管728cとの連通及び遮断の切り替えとを行うことができる。また、電磁弁728はいずれの配管同士も遮断することも可能である。配管728cは、貯留部726内のお湯を抽出容器9へ送出するための配管である。
配管728bと配管728aとの連通及び遮断とを切り替えることにより、貯留部725と貯留部726との連通と遮断とを切り替えることができる。配管728bと配管728cとの連通及び遮断とを切り替えることにより、貯留部726内のお湯の送出と貯留とを切り替えることができる。
電磁弁728は、配管728bと配管728aとを連通している場合、配管728bと配管728cとを遮断する。逆に、配管728bと配管728cとを連通している場合、配管728bと配管728aとを遮断する。図中の電磁弁728に示す矢印は、電磁弁728の動作状態を示しており、図12の例の場合、配管728bと配管728cとを連通し、配管728bと配管728aとを遮断している状態を示している。
なお、本実施形態では、電磁弁728を三方向弁とすることで、一つの電磁弁728により、これらの切り替えを行うように構成した。しかし、配管728bを二つに分け、一方の配管728bと配管728aとの連通及び遮断を切り替える弁と、他方の配管728bと配管728cとの連通及び遮断を切り替える弁と、を設けた構成も採用可能である。
送液量調節装置720は、駆動ユニット727を備える。駆動ユニット727は、貯留部726から送出する湯量に対応して制御され、貯留部726の容積を変化する。コーヒーカップのサイズに応じて、一杯分の必要湯量が異なる。駆動ユニット727は、こうしたコーヒーカップのサイズ等に対応して適切な湯量が貯留部726から送出されるように、貯留部726の容積を調節する。
本実施形態の駆動ユニット727は、可動部材727cを上下に移動させることで貯留部726の容積を変化させる機構である。可動部材727cは空間726Aに挿入され、上下方向にスライドするように構成されたピストン状の部材であり、その底面727dが貯留部726の上側の壁体を構成する。底面727dの昇降により、貯留部726の容積が変化することになる。
なお、貯留部726の容積は、本実施形態のようにその上側の壁体の位置を移動することにより変化させるのではなく、下側や側部の壁体の位置を移動させることにより変化させる構成も採用可能である。
可動部材727cは、仕切壁722の内面とシールを構成するシール部材(不図示)を含み、仕切壁722の内面を液密に摺動する。但し、可動部材727cの周面には上下方向に延びる溝727eが形成されており、溝727eにおいて、仕切壁722の内面と隙間を有している。
この溝727eは、仕切壁722を厚み方向に貫通する開口722aと連通するように形成されている。開口722aは、貯留部725のお湯の最高水位(後述するセンサ731bの位置)よりも上側の位置に形成されており、貯留部725と空間726Aとを連通させる空気連通部である。開口722a及び溝727eを介して、貯留部725と貯留部726とで空気が連通し、これらの空間内の気圧は同じとなる。なお、貯留部725及び726を常時大気圧とする場合は、大気に連通する通路を個別に設けてもよい。
駆動ユニット727は、駆動源として上壁723に支持されたモータ727aを含み、また、可動部材727cを移動する移動機構としてネジ軸727bを含む。ネジ軸727bは上下方向に延設され、モータ727aの駆動力により回転する。可動部材727cは、その上面に開口したネジ穴727fを有しており、このネジ穴727fにネジ軸727bが係合している。可動部材727cは不図示の回り止めがなされており、ネジ軸727bの回転により上下方向に移動する。回り止めは、例えば、仕切壁722の内面と可動部材727cの周面に設けた、上下方向に延びる凹部と凸部であってもよい。
本実施形態では、可動部材727cを移動させる移動機構として、ネジ軸727bとネジ穴727fとからなるネジ機構を用いたが、これに限られず、ラック−ピニオン機構等、他の機構も採用可能である。
水位センサ72cは、貯留部725のお湯の水位を測定する測定ユニットである。水位センサ72cは、上下に延びる中空円柱状の貯留部729と、貯留部729内に設けられたフロート730と、フロート730を検知する下側のセンサ731a及び上側のセンサ731bとを含む。
貯留部729は、センサ731aよりも下側の位置の連通部729aで貯留部725と連通し、かつ、センサ731bよりも上側の位置の連通部729bで貯留部725と連通している。貯留部725のお湯は連通部729aを介して貯留部729へ流入する。連通部729bは、貯留部725と貯留部729とを連通させる空気連通部であり、連通部729bを介して貯留部725と貯留部729とで空気が連通する。したがって、貯留部729のお湯の水位は貯留部725のお湯の水位と等しくなる。
本実施形態の場合、貯留部729は、ガラスやアクリルなど、透過性を有する部材で構成される。これにより、貯留部729のお湯の水位を外部から視認可能であり、その結果、貯留部725のお湯の水位をユーザが確認できることになる。無論、貯留部725の周壁(721)の一部に透過部を設けてその水位を視認可能とする構成も採用可能である。
フロート730は貯留部729内において、お湯に浮かぶものであればどのようなものでもよい。
センサ731a及び731bは、例えば、光センサ(フォトインタラプタ)であり、フロート730を貯留部729の外部から検知する。センサ731aによりフロート730が検知されると、電磁弁72dを開放して貯留部725へ水が供給される。つまり、センサ731aは貯留部725のお湯の水位の下限を監視する。水位の下限はヒーター72aよりも高い位置に設定されており、ヒーター72aによる空焚きを防止できる。
センサ731bによりフロート730が検知されると、電磁弁72dを閉鎖して貯留部725への水の供給を停止する。つまり、センサ731bは貯留部725のお湯の水位の上限を監視する。
水位センサ72cと同等の構成を貯留部725の内部に構築することも可能である。しかし、本実施形態のように、貯留部725の外部に水位センサ72cを構築することで、外部から貯留部725の水位を確認し易くなる。
<6.動作制御例>
処理部11aが実行する飲料製造装置1の制御処理例について図11(A)及び(B)、図12、図14、図15、図16を参照して説明する。図11(A)は一回のコーヒー飲料製造動作に関わる制御例を示している。製造指示前の飲料製造装置1の状態を待機状態と呼ぶ。待機状態における各機構の状態は以下の通りである。なお、図14及び図15では、動作の説明上、電磁弁728を電磁弁728−1と電磁弁728−2として示している。図12で配管728bと配管728aとを連通させた状態は、図14及び図15で電磁弁728−1を開状態とし、電磁弁728−2を閉鎖した状態に対応する。一方、図12で配管728bと配管728cとを連通させた状態は、図14及び図15で電磁弁728−1を閉鎖し、電磁弁728−2を開状態とした状態に対応する。
抽出装置3は図5の状態にある。抽出容器9は正立姿勢で、かつ、抽出位置に位置している。ロック機構821は閉状態であり、蓋ユニット91は容器本体90の開口90aを閉鎖している。保持部材801は降下位置にあり、凸部911dに装着されている。保持部材811は上昇位置にあり、凸部901cに装着されている。弁903及び913は閉状態にある。切替弁10aは操作ユニット8Cの連通部810aを廃棄タンクTと連通させる。
待機状態において、コーヒー飲料の製造指示があると、図11(A)の処理が実行される。S1では予熱処理が実行される。この処理は容器本体90内にお湯を注ぎ、容器本体90を事前に加温する処理である。まず、弁903及び913を開状態とする。これにより、配管L3、抽出容器9、廃棄タンクTが連通状態となる。
このとき、可動部材727cは、図14(a)に示すように、所定の初期位置に位置している。そして、一杯分の湯量を貯留部726に収容可能なように、図14(b)に示すように、可動部材727cを上部に移動する。そして、配管728bと配管728aとを連通させるように電磁弁728を切替え、予備加熱用に予め定められた少量(蒸らし用の湯量よりも少ない)のお湯を貯留部726に貯留させる。そして、図14(c)に示すように、配管728bと配管728cとを連通させるように電磁弁728を切替え、予備加熱用の少量のお湯を抽出容器9に注入する。
水タンク72には調圧弁72e及び電磁弁72fを介してリザーブタンク71内の気圧が供給され、そして、調圧弁72eはリザーブタンク71から供給される気圧を所定の気圧に減圧する。本実施形態の場合、3気圧(ゲージ圧で2気圧)に減圧する。減圧していく過程で、図14(d)に示すように、水タンク72の水の沸騰が促進され、蒸気が開口722a及び貯留部726、配管728cを介して、抽出容器9に供給される。このとき、電磁弁728は、配管728bと配管728cとを所定期間連通させるように制御されている。タンク720aから蒸気が抽出容器9に送出されることで、タンク720a内の圧力が低下し、タンク720a内のお湯が攪拌され、上層の比較的高温のお湯、下層の比較的低温のお湯が混ざり、平均化された結果、目標温度に達していない場合(例えば摂氏118度を下回る場合)は、ヒーター72aがオンされてタンク720aのお湯を沸かすことになる。配管728bと配管728cとが遮断された後も、図14(e)及び図14(f)に示すように、3気圧まで減圧するまでは、水タンク72内の沸騰は継続する。
そして、図14(g)に示すように、配管728bと配管728aとを連通させるように電磁弁728を切替え、蒸らし分の量(例えば30cc)のお湯を貯留部726に貯留させる。その後、図14(h)に示すように、配管728bと配管728aとを遮断する。以上の処理により、抽出容器9の内部が予熱され、これに続くコーヒー飲料の製造において、お湯が冷めることを低減できる。
S2ではグラインド処理を行う。ここでは焙煎コーヒー豆を粉砕し、その挽き豆を容器本体90に投入する。まず、ロック機構821を開状態とし、保持部材801を上昇位置に上昇する。蓋ユニット91は保持部材801に保持され、保持部材801と共に上昇する。この結果、蓋ユニット91は容器本体90から分離する。保持部材811は降下位置に降下する。容器本体90を豆投入位置に移動する。続いて、貯留装置4及び粉砕装置5を作動する。これにより、貯留装置4から一杯分の焙煎コーヒー豆がグラインダ5Aに供給される。グラインダ5A及び5Bで焙煎コーヒー豆が二段階で挽かれ、かつ、分離装置6で不要物が分離される。挽き豆は容器本体90に投入される。
容器本体90を抽出位置に戻す。保持部材801を降下位置に降下して容器本体90に蓋ユニット91を装着する。ロック機構821を閉状態とし、蓋ユニット91を容器本体90に気密にロックする。保持部材811は上昇位置に上昇する。弁903、913のうち、弁903は開状態とし、弁913は閉状態とする。
S3では抽出処理を行う。ここでは容器本体90内の挽き豆からコーヒー液を抽出する。図11(B)はS3の抽出処理のフローチャートである。本実施形態では、S3の抽出処理におけるお湯の各注入動作で、抽出容器9内の気圧を変化させている。図16は、S3の抽出処理における抽出容器9内の気圧の変化を示す図である。以下、図15及び図16の細実線と細い破線を参照しながら、S3の抽出処理を説明する。図16の太実線と太い破線については後述する。
S11では抽出容器9内の挽き豆を蒸らすため、一杯分のお湯よりも少ない量のお湯(例えば30cc)を抽出容器9に注入する。ここでは、図15(i)に示すように、配管728bと配管728cとを連通させるように電磁弁728を切替え、蒸らし用のお湯を抽出容器9に注入する。そのとき、電磁弁73bを所定時間だけ開放したのちに閉鎖する。これにより、図16の期間1601に示すように、抽出容器9内の空気が例えば1気圧から1.7気圧まで加圧される。その後、図15(j)に示すように、配管728bと配管728cとを遮断し、図16の期間1602に示すように、所定時間(例えば、15000ms)待機してS11の処理を終了する。この処理によって挽き豆を蒸らすことができる。挽き豆を蒸らすことで、挽き豆に含まれる炭酸ガスを放出させ、その後の抽出効果を高めることができる。なお、図16では、細実線によって抽出容器9内の気圧の変化を示し、細い破線によって抽出容器9内の湯量の変化を示している。期間1601では、上記の気圧の変化とともに、お湯が30cc供給される。期間1602では、お湯は30ccのままである。
S12では、図15(k)に示すように、配管728bと配管728cとを連通させるように電磁弁728を切替え、一杯分のうち所定量のお湯(例えば40cc)を抽出容器9へ注入する。ここでは、電磁弁73bを所定時間だけ開放したのちに閉鎖する。これにより、図16の期間1603に示すように、抽出容器9内の空気が例えば1.7気圧から3気圧まで加圧される。
S12の処理によって抽出容器9内を、摂氏100度を超える温度(例えば摂氏110度程度)の状態とすることができる。S13では、配管728bと配管728cとが連通された状態で、一杯分のうち残りのお湯(例えば30cc)を抽出容器9へ注入する。さらに、S13では、抽出容器9内を加圧する。ここでは電磁弁73bを所定時間(例えば1000ms)開放して閉鎖し、図16の期間1604に示すように、抽出容器9内をお湯が沸騰しない気圧(例えば5気圧程度(ゲージ圧で4気圧程度))に加圧する。図16の期間1601での蒸らし用注湯量と、期間1603での注湯量と、期間1604での注湯量との合計湯量は、所定量(例えば100cc)となるよう調整され得る。その後、配管728bと配管728cとを遮断し、弁903を閉状態とする。図15(l)はこの時点に対応しており、図15(l)の状態が維持されている間、以下のS14及びS15の処理が行われる。
続いて、S14の処理において、浸漬式抽出(S141)とチャンバ減圧(S142)が行われる。S13により抽出容器9内が例えば5気圧に加圧されると、図16の期間1605に示すように、この状態を所定時間(例えば1000ms)維持し、その後、5気圧から例えば1.5気圧まで急減圧する。ここでは、抽出容器9内の気圧をお湯が沸騰する気圧に切り替える。具体的には、弁913を開状態とし、電磁弁73cを所定時間(例えば1000ms)開放して閉鎖することにより、抽出容器9内が大気に解放される。その後、弁913を再び閉状態とする。
抽出容器9内が沸点圧よりも低い気圧に急激に減圧され、抽出容器9内のお湯が一気に沸騰する。抽出容器9内のお湯、挽き豆は、抽出容器9内で爆発的に飛散する。これにより、お湯を均一に沸騰させることができる。また、挽き豆の細胞壁の破壊を促進させることができ、その後のコーヒー液の抽出を更に促進させることができる。また、この沸騰により挽き豆とお湯を撹拌させることもできるため、コーヒー液の抽出を促進させることができる。こうして本実施形態ではコーヒー液の抽出効率を向上することができる。急減圧後、図16の期間1606に示すように、この状態を所定時間(例えば3000ms)維持する。その後、電磁弁73cを所定時間だけ開放したのち閉鎖することにより、1.5気圧から例えば1気圧までさらに減圧する。そして、図16の期間1607に示すように、この状態を所定時間(例えば1000ms)維持する。
本実施形態では、上記のようなS14の処理により、高温高圧下での浸漬式によるコーヒー液の抽出が行われる。高温高圧下での浸漬式の抽出では、以下の効果が見込める。一つ目は、高圧にすることで、挽き豆の内部にお湯を浸透させ易くし、コーヒー液の抽出を促進させることができる。二つ目は、高温にすることで、コーヒー液の抽出が促進される。三つ目は、高温にすることで挽き豆に含まれるオイルの粘性を下げ、オイルの抽出が促進される。これにより香り高いコーヒー飲料を製造できる。加えて、S14において例えば5気圧から1.5気圧、1.5気圧から1気圧への2段階で減圧を行っているため、5気圧から1気圧への1段階の減圧に比べると、抽出容器9内の圧力変動を抑えることができ、抽出容器9に圧力変動を緩和するための構成を設ける必要がなく、その結果、構成が大きくなることを防ぐことができる場合がある。
お湯(高温水)の温度は、摂氏100度を超えていればよいが、より高温である方がコーヒー液の抽出の点で有利である。一方、お湯の温度を高くするためには一般にコストアップとなる。したがって、お湯の温度は、例えば、摂氏105度以上、または、摂氏110度以上、或いは、摂氏115度以上とし、また、例えば、摂氏130度以下、または、摂氏120度以下としてもよい。気圧はお湯が沸騰しない気圧であればよい。S14で1気圧で1秒間維持した後、電磁弁73bを所定時間だけ開放したのち閉鎖することにより、所定の気圧(例えば1.5気圧)に加圧する。また、期間1607では、このような加圧により、抽出容器9内へつながる配管内の極少量の液(5cc程度)を抽出容器9内に押し込むことができる場合がある。
S15では抽出容器9を正立姿勢から倒立姿勢へ反転する。ここでは、保持部材801を上昇位置に、保持部材811を降下位置にそれぞれ移動する。そして、支持ユニット81Bを回転させる。その後、保持部材801を降下位置に、保持部材811を上昇位置にそれぞれ戻す。倒立姿勢の抽出容器9は、ネック部90bや蓋ユニット91が下側に位置することになる。S15の期間は、図16の期間1608に対応する。抽出容器9の反転後、電磁弁73cを所定時間だけ開放したのち閉鎖することにより、1気圧まで減圧する。そして、図16の期間1609に示すように、この状態を所定時間(例えば2000ms)維持する。また、本実施形態では、抽出容器9の反転後に、抽出容器9への注湯を行う。具体的には、図15(m)に示すように、配管728bと配管728cとを連通させるように電磁弁728を切替え、所定量のお湯(例えば80cc)を抽出容器9へ注入する。
S16では透過式のコーヒー液抽出を行い、カップCにコーヒー飲料を送出する。ここでは、切替弁10aを切り替えて注ぎ部10cと操作ユニット81Cの通路部810aとを連通させる。また、弁903、913をいずれも開状態とする。本実施形態では、S16のコーヒー液抽出において、蒸気によるコーヒー液の送出と、リザーブタンク71からのエアーによるコーヒー液の送出を行う。蒸気によるコーヒー液の送出として、まず、抽出容器9の反転後の抽出容器9への注湯(図15(m))の後、水タンク72へ水を補給する(図15(n))。期間1609の所定時間の待機後に調圧弁72e及び電磁弁72fを介して水タンク72内を1気圧から2.0気圧に加圧する。ここで、配管728bと配管728cとは連通されているので、水タンク72内の蒸気が抽出容器9に供給されていくと、水タンク72内の気圧が下がり沸騰が促進される。タンク720aから蒸気が抽出容器9に送出されることで、タンク720a内の圧力が低下し、目標温度に達していない場合(例えば摂氏118度を下回る場合)は、ヒーター72aがオンされてタンク720aのお湯を沸かすことになる。このときの蒸気の圧力で抽出容器9内の気圧は1.6気圧程度となり、コーヒー液がお湯に溶け込んだコーヒー飲料が蓋ユニット91に設けたフィルタを透過してカップCに送出される。この期間は、図16の期間1610に対応する。フィルタは挽き豆の残渣が漏出することを規制する。以上のような構成により、水タンク72内が沸騰することにより攪拌され温度分布を均一とすることができ、また、コーヒー液の抽出を高温下で行うことができる場合がある。そして、図15(o)に示すように、配管728bと配管728cとを遮断する。
次に、リザーブタンク71からの圧力の供給によるコーヒー液の送出として、電磁弁73bを所定時間だけ開放したのち閉鎖することにより、抽出容器9内を所定の気圧(例えば2.0気圧)に加圧する。その結果、コーヒー液がお湯に溶け込んだコーヒー飲料が蓋ユニット91に設けたフィルタを透過してカップCに送出される。この期間は、図16の期間1611に対応する。フィルタは挽き豆の残渣が漏出することを規制する。以上のような構成により、コーヒー飲料を複数の圧力源によって送出させる。また、複数の圧力源のうち、最後に最も大きな圧力によってコーヒー飲料を送出させるので、送出構造部分のコーヒー飲料の残留を低減させることができる場合がある。
本実施形態では、S14での浸漬式の抽出とS16での透過式の抽出とを併用することによりコーヒー液の抽出効率を向上できる。抽出容器9が正立姿勢の状態では、挽き豆が胴部90eから底部90fに渡って堆積する。一方、抽出容器9が倒立姿勢の状態では、挽き豆が肩部90dからネック部90bに渡って堆積する。ネック部90bの断面積よりも胴部90eの断面積の方が大きく、倒立姿勢での挽き豆の堆積厚さは正立姿勢での堆積厚さよりも厚くなる。つまり、挽き豆は抽出容器9が正立姿勢の状態では相対的に薄く、広く堆積し、倒立姿勢の状態では相対的に厚く、狭く堆積する。
本実施形態の場合、S14の浸漬式抽出は抽出容器9が正立姿勢の状態で行われるので、お湯と挽き豆とを広範囲にわたって接触させることができ、コーヒー液の抽出効率を向上できる。但し、この場合はお湯と挽き豆とが部分的に接触する傾向にある。一方、S16の透過式抽出は抽出容器9が倒立姿勢の状態で行われるので、お湯がより多くの挽き豆と接触しながら堆積した挽き豆を通過することになる。お湯がより万遍なく挽き豆と接触することになり、コーヒー液の抽出効率を更に向上することができる。
図11(A)に戻り、S3の抽出処理の後は、S4の排出処理を行う。ここでは抽出容器9内の清掃に関する処理を行う。抽出容器9の清掃は、抽出容器9を倒立姿勢から正立姿勢に戻し、抽出容器9に水(浄水)を供給することで行う。そして、抽出容器9内を加圧し、抽出容器9内の水を挽き豆の残渣と共に廃棄タンクTへ排出する。
以上により一回のコーヒー飲料製造処理が終了する。以降、同様の処理が製造指示毎に繰り返される。一回のコーヒー飲料の製造に要する時間は、例えば、60〜90秒程度である。
図16は、情報表示装置12に表示された一例を示す図でもある。図16では、抽出中の抽出容器9内の圧力や湯量を実際に測定した結果を、抽出の進行に伴ってリアルタイムでプロット表示していく一例を示している。図16において、細実線は、一杯のコーヒーを抽出する際に目標とする抽出容器9内の圧力の変化を示し(圧力変化グラフ)、細い破線は、一杯のコーヒーを抽出する際に目標とする抽出容器9内の湯量の変化を示している(液量変化グラフ)。図11では、図16の細実線と細い破線を用いて、飲料製造装置1の制御処理を説明した。また、図16の太い実線は、実際のコーヒー抽出中にリアルタイムに変化する抽出容器9内の圧力変化をリアルタイムでプロットしている様子を示し、太い破線は、実際のコーヒー抽出中にリアルタイムに変化する抽出容器9内の湯量の変化をリアルタイムでプロットしている様子を示している。抽出容器9内の圧力や湯量は、抽出容器9内に圧力センサや水位センサを設けてその計測値を取得するようにしても良いし、圧力センサ72g、水位センサ72cで得られる計測値に基づいて取得するようにしても良い。
図16では、期間1601〜1605、及び1606の途中までプロットし、現在の抽出工程が期間1606の途中まで進行し、抽出容器9内の圧力が1.2気圧、抽出容器9内の湯量が100ccであることを示している。つまり、このまま期間1606の途中以降、抽出工程が進行していくと、抽出容器9内の圧力や湯量を逐次、実際に測定した結果が逐次プロットされて表示されていく。また、図16は、各種バルブの不具合やお湯や圧力の経路、抽出容器9における漏れ等により、各期間で目標の圧力や湯量まで実際には到達できていないことを示している。つまり、図17による表示により、ユーザは、目標値と実際の値とを比較可能となる。
図16では、抽出容器9内の目標とする圧力の変化、抽出容器9内の目標とする湯量の変化、計測した抽出容器9内の圧力の変化、計測した抽出容器9内の湯量の変化、を示していた。しかしながら、抽出容器9内の目標とする圧力の変化と、計測した抽出容器9内の圧力の変化とを表示するようにしても良い。または、抽出容器9内の目標とする湯量の変化と、計測した抽出容器9内の湯量の変化とを表示するようにしても良い。
また、図16では、期間1601〜1611の各期間の長さを均一に示しているが、各期間の実際の時間の長さに対応する間隔で、グラフを情報表示装置12に表示するようにしても良い。上記では、期間1601〜1611は期間として説明したが、工程として良く、例えば、期間1601〜1611は、順に、蒸らし用注湯工程、蒸らし工程、1回目の注湯工程、加圧工程、高圧浸漬後の急減圧工程(圧力の大気解放工程1)、待機状態後の急減圧工程(圧力の大気解放工程2)、待機工程1、容器姿勢変更工程(容器反転工程)、待機工程2、飲料送出工程1、飲料送出工程2等としても良い。
また、図16の細実線及び細い破線で示した抽出容器9内の圧力や湯量、各期間の長さのグラフを予め複数パターン記憶しておき、それぞれを表示可能とし、ユーザ(例えば店員、客)に好みのパターンを選択させ、その選択されたパターンとなるように抽出容器9内の圧力や湯量、各期間の長さを制御することで一杯のコーヒーを抽出するようにしても良い。
また、図16に示す、抽出容器9内の目標とする圧力の変化、抽出容器9内の目標とする湯量の変化、計測した抽出容器9内の圧力の変化、計測した抽出容器9内の湯量の変化等をコーヒー一杯分抽出する全期間に渡って表示し、当該抽出容器9内の目標とする圧力の変化、抽出容器9内の目標とする湯量の変化、計測した抽出容器9内の圧力の変化、計測した抽出容器9内の湯量の変化を記憶手段に記憶するようにし、さらに、情報表示装置12等の操作部に対するユーザ操作に応じて、再度表示可能としても良い。そのような構成により、例えば、ユーザは、抽出されたコーヒーの味と、情報処理装置12に表示されたグラフとから別の味やフレーバーとなるようにレシピを修正する際の参考にすることができる場合がある。また、情報表示装置12で表示された図16の情報を示す画面上で、ユーザは、グラフに対するタッチ操作により、各期間(各工程)の時間幅、圧力/湯量の目標値を調整するようにしても良い。
図21は、情報表示装置12に表示された他の一例を示す図である。本実施形態では、図21(a)の画面2101に示すように、飲料製造装置1に登録されているレシピのパラメータをチャートとして表示させることができる。なお、本実施形態では、「チャート」の用語は、図、表、グラフといった各表現形態の意味を含むものとする。画面2101では、レシピに基づいて取得された飲料製造装置1内の計測値を表すチャート2102、2103、2104、2105と、レシピのパラメータの値を表すレシピチャート2106が表示されている。画面2101では、横軸は、図11等で説明した飲料製造装置1の各制御工程を示し、縦軸は、各パラメータの大きさを表している。
チャート2102は、抽出容器9内の圧力の計測値であり、チャート2103は、コーヒー飲料の注ぎ部10cの温度の計測値である。また、チャート2104は、流路の温度の計測値であり、例えば配管L3に設けられた温度センサ73eの計測値である。また、チャート2105は、水タンク72内の湯温の計測値である。これらの計測値は、図21(a)に示すものに限られず、飲料製造装置1内で計測された他の値が表示されるようにしても良い。
レシピチャート2106は、飲料製造装置1において登録されているレシピのパラメータを表しており、図21(a)では、登録されているレシピのパラメータのうち、抽出容器9内の圧力を表している。図21(a)では、レシピチャート2106の一例として抽出容器9内の圧力を表しているが、抽出容器9内の湯量など他のパラメータであっても良い。図21(a)に示すような画面2101によって、ユーザは、レシピが表すパラメータと飲料製造装置1内の計測値とを比較することができる場合がある。なお、ユーザは、飲料製造装置1によりコーヒー飲料を提供するスタッフや管理者の場合や、コーヒー飲料を注文した一般客の場合がある。
以下、図21(a)の画面2101が表示される処理について説明する。
図19は、図21(a)の画面2101を表示するための画面1901の一例を示す図である。画面1901は、例えば、飲料製造装置1の管理者が閲覧可能なメンテナンス画面である。画面1901には、例えば、モータドライバや水位センサ等の各部のステータスや、テストモードの実施項目などが表示される。画面1901のボタン1902は、飲料製造装置1に登録されているレシピに基づいて画面2101を表示するための指示ボタンである。ボタン1902が押下されると、例えば、図20に示すように表示されているテーブル形式のレシピから、画面2101上でのレシピチャート2106へ切り替えて表示される。
図20は、飲料製造装置1内で登録されているレシピの各パラメータがテーブル形式で表示されている一例を示す図である。図20のレシピ2001は、例えば、図17の携帯端末17上で表示される設定画面上で設定された内容に基づいて取得されたものであっても良いし、画面1901上で設定された内容に基づくものであっても良い。または、飲料製造装置1でコーヒー飲料の送出の際に情報表示装置12上で受け付けた内容に基づくものであっても良い。レシピ2001は、例えば、画面1901のロードボタン1909が押下されることで取得され、レシピ変更ボタン1908が押下されることで表示される。即ち、ユーザは、登録されているレシピの情報を一旦、テーブル形式で表示させ、ボタン1902により画面2101でチャート表示させることができる場合がある。レシピ2001の設定値2002は、設定画面上で受け付けた設定値を示し、送信値2003は、飲料製造装置1を制御するための値である。設定値2002と送信値2003は、単位変換された関係であり、例えば、抽出時間「8」に対しての送信値2003は、「8000」秒に変換された値を意味する。
画面1901の選択項目1903は、レシピをチャート表示させる際のオプションの選択を受け付ける。即ち、選択を受け付けた項目分の計測値が画面2101上でレシピチャート2106と合わせて表示される。例えば、項目1905が選択された場合には、画面2101上でチャート2105が表示される。例えば、項目1906が選択された場合には、画面2101上でチャート2104が表示される。また、例えば、項目1907が選択された場合には、画面2101上でチャート2103が表示される。選択項目1903には、画面2101で表示可能な計測値の種類に応じた数のオプションの項目が表示される。
項目1904が選択された状態で、ボタン1902が押下されると、図21(b)の画面2111のように、レシピチャート2106のみが表示される。そのような表示制御により画面上に表示される情報を絞り、ユーザのレシピのパラメータの補正(レシピの変更)の利便性を向上させることができる場合がある。
画面2111のレシピチャート2106上において、ユーザは、タッチ操作等により、レシピのパラメータを補正することができる。ユーザの変更操作として、レシピチャート2106上の黒丸で表されたポイント、例えば時間軸方向もしくはパラメータの大きさ方向へのポイントの移動を受付可能である。その際、1つのポイントについて、パラメータの大きさ方向への移動を受け付ける際には、その工程において隣接するポイントも連動して移動させる。例えば、「回転後ウェイト」工程におけるポイント2112について、圧力値を大きくする方向(即ち図中上方向)に移動させる場合、「回転後ウェイト」工程における隣接するポイント2113も連動して、圧力値を大きくする方向に移動させる。
上記では、項目1904が選択された場合には、レシピチャート2106のみを表示するとして説明したが、項目1905〜1907で選択された項目とともに表示するようにしても良い。そのような構成により、ユーザは、所望の計測値と比較しながら、レシピの変更を行うことができる場合がある。画面2111上でレシピのパラメータの補正を受け付けた後、画面1901上のセーブボタン1910が押下されると、変更されたパラメータの情報を含むレシピが、変更されたレシピとして登録される。また、レシピチャート2106を修正してレシピを修正する例を示してきたが、計測値2102〜2105等のチャートをレシピとして登録し、飲料製造の際に呼び出してレシピとして利用可能にしてもよい。また、計測値2102〜2105等のチャートを画面2101上で、ここまでレシピチャート2106の修正方法として例示してきた方法(例えばタッチ操作)と同じ方法で修正してレシピとして登録し、飲料製造の際に呼び出してレシピとして利用可能にしてもよい。また、レシピのパラメータの値を表すレシピチャートとして抽出容器9内の目標とする圧力のチャートを例示してきたが、コーヒーマシン内部の所定の箇所(例えば抽出容器9)の目標とする湯量のチャート、温度のチャート、水温のチャートをレシピチャートとして画面2101上に表示し、ここまでレシピチャート2106の修正方法として例示してきた方法(例えばタッチ操作)と同じ方法で修正しレシピとして登録し、飲料製造の際に呼び出してレシピとして利用可能にしてもよい。
図18は、レシピチャートの表示処理を示すフローチャートである。図18の処理は、例えば、処理部11aのCPUが記憶部11bにROMに記憶されたプログラムをロードして実行することにより実現される。
S101において、処理部11aは、レシピチャート2106の表示の指示の受付けを待機する。ここで、レシピチャート2106の表示の指示とは、例えば、ボタン1902のボタンの押下である。レシピチャート2106の表示の指示を受け付けたと判定された場合、S102へ進む。
S102において、処理部11aは、レシピチャート2106を表示させるためのオプション情報を取得する。ここで、オプション情報とは、例えば、選択項目1903の項目1904〜1907の選択情報である。
S103において、処理部11aは、S102で取得されたオプション情報に基づいて、表示データを生成する。例えば、項目1905〜1907で選択された項目の各計測値を取得し、チャートを表示するための表示データを生成する。また、図20のレシピ2001に基づき、レシピチャート2106を表示するための表示データを生成する。S104において、処理部11aは、S103で生成された表示データに基づき、情報表示装置12に表示させる。その際、項目1903の選択状況に応じて、画面2101、画面2111のいずれかが表示されるように制御されても良い。
S105において、処理部11aは、レシピチャート2106に対する補正があるか否かを判定する。例えば、画面2111上でポイント2112の移動があり且つ画面1901のセーブボタン1910が押下された場合には、レシピチャート2106に対する補正があると判定する。レシピチャート2106に対する補正がないと判定された場合には、図18の処理を終了する。一方、レシピチャート2106に対する補正があると判定された場合、S106に進む。
S106において、処理部11aは、画面2111上で補正されたパラメータを含むレシピを、変更されたレシピとして登録する。その際、変更されたレシピを、変更前のレシピに代えて登録する(即ち更新)ようにしても良いし、変更前のレシピとともに別名称の指定を受け付けて登録するようにしても良い。S106の後、図18の処理を終了する。
以上の説明では、図16、図19〜図21の画面は、情報表示装置12に表示されるとして説明した。しかしながら、情報表示装置12ではなく、飲料製造装置1と異なる装置において表示されるようにしても良い。例えば、図10に示す携帯端末17やネットワーク15に接続されたPCにおいて、図16、図19〜図21の画面を表示するようにしても良い。その場合、処理部11aは、図16、図19〜図21の画面を表示するためのデータ(例えばHTMLファイル)をシステム内の携帯端末17やPCに通信ネットワーク15を介して送信する。そのように構成することで、例えば、遠隔地にいるユーザ(例えば管理者)が、飲料製造装置1に登録されたレシピを自身のメンテナンス用のPC上で変更し、その変更されたレシピの内容を飲料製造装置1に送信することができる場合がある。
<実施形態のまとめ>
上記の実施形態の飲料製造装置は、登録されているレシピのパラメータの情報を表示部(12、17)にチャート表示する表示制御手段(S104)と、前記表示制御手段により表示された前記パラメータの情報に対する変更操作を受け付ける受付手段(S105)と、前記変更操作により変更されたパラメータの情報を含むレシピを、変更されたレシピとして登録する登録手段(S106)とを備えることを特徴とする。そのような構成により、レシピのパラメータの情報をチャート表示し、そのパラメータの情報に対する変更操作を受け付けた場合、変更されたパラメータの情報を含むレシピを、変更されたレシピとして登録することができる。
また、前記変更操作は、前記パラメータの大きさと、時間幅との少なくとも一つに対する変更操作である(図21(b))ことを特徴とする。また、前記変更操作は、チャート上での変更操作である(図21(b))ことを特徴とする。そのような構成により、チャート上において、パラメータの大きさと時間幅との少なくとも一つに対する変更操作を受け付けることができる。
また、前記表示制御手段は、前記登録されているレシピに基づいて得られる計測値をさらに前記表示部に表示させる(図21(a))ことを特徴とする。そのような構成により、例えば、レシピに基づいて得られる圧力の変化を表示させることができる。
また、前記登録されているレシピが表す前記パラメータの情報を取得する取得手段(1909)、をさらに備えることを特徴とする。そのような構成により、例えば、テーブル形式で保存されているパラメータの情報を取得することができる。
また、前記表示部(12)は、前記飲料製造装置に設けられていることを特徴とする。また、前記表示部(17)は、前記飲料製造装置と異なる装置に設けられていることを特徴とする。そのような構成により、レシピのパラメータの情報を、飲料製造装置に設けられている表示部、もしくは、飲料製造装置と異なる装置に設けられている表示部にチャート表示させることができる。
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。