[1]実施例
以下、本発明に係る映像配信システムの実施例について図面を参照して説明する。図面に表す同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
図1は実施例に係る映像配信システム1の全体構成を表す。映像配信システム1は、スポーツの映像を配信するシステムであり、特に、複数の選手が同時に競技を行うスポーツの映像を配信する。
上記のスポーツには、例えばマラソンのように複数の選手が一斉にスタートしてゴールを目指すスポーツの他に、ゴルフのように各選手が順番にスタートしてそれぞれプレー(競技)を行い、最終的なスコアを争うスポーツ等がある。いずれも、同時に複数の選手が並行して競技を行うスポーツであるため、通常の中継放送だと、ライブ映像として表示されている選手の現在の競技の状況(現在のプレー等)を観ることはできるが、映像に映っていない選手の現在の競技の状況は観ることができない。
また、選手によっては録画された映像が表示されたり、画面を分割して複数の選手の映像が表示されたりする場合があるが、その場合でも、放送局が選択した選手の録画しか観ることができない。これに対し、映像配信システム1は、視聴する選手の映像を視聴者が自分の意志で切り替えられるようにしていることを特徴とする。本実施例では、映像配信システム1がゴルフの映像を配信する例を説明する。
映像配信システム1は、ネットワーク2と、サーバ装置10と、複数のカメラ20と、表示装置30とを備える。ネットワーク2は、移動体通信網及びインターネット等を含む通信システムであり、自システムにアクセスする装置同士のデータのやり取りを中継する。ネットワーク2には、サーバ装置10及び表示装置30が有線通信で(無線通信でもよい)アクセスし、カメラ20が無線通信でアクセスしている。
カメラ20は、カメラマンによって操作され、上記スポーツ(本実施例ではゴルフ)に参加する複数の選手のうちの特定の選手を継続して撮影する。カメラ20は、無線通信で映像データを送信するため、カメラマンと共に選手に付いてゴルフ場内を自由に移動することができる。本実施例では、カメラ20の台数が十分に足りていて、競技中の各選手にそれぞれ1台のカメラ20が付いて映像を撮影するものとする。
複数のカメラ20は、撮影した映像を示す映像データをサーバ装置10にそれぞれ送信する。サーバ装置10は、送信されてきた複数の映像データが示す複数の選手の映像のうちのいずれかの選手の映像を表示装置30に配信する処理を行う。サーバ装置10は本発明の「情報処理装置」の一例である。配信する映像の選択は、表示装置30を用いてスポーツを視聴する視聴者(表示装置30のユーザ)の操作に基づいて行われる。
表示装置30は、サーバ装置10により配信されるスポーツの映像を表示する装置である。表示装置30は、例えばテレビであるが、スマートフォン又はタブレット端末等であってもよい。表示装置30は、自装置に対する視聴者の操作を示す操作データをサーバ装置10に送信する。サーバ装置10は、送信されてきた操作データが示す操作(詳細は後述する)に基づき映像を特定し、特定した映像を配信する。
例えば、本開示の一実例におけるサーバ装置10、複数のカメラ20及び表示装置30の各装置は、本開示の情報処理を行うコンピュータとして機能してもよい。なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。各装置のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
図2はサーバ装置10のハードウェア構成の一例を表す。サーバ装置10は、物理的には、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信装置14と、バス15などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。プロセッサ11は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ11は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。
サーバ装置10における各機能は、 プロセッサ11、メモリ12などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ11が演算を行い、通信装置14による通信を制御したり、メモリ12及びストレージ13におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
プロセッサ11は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ11は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。例えば、ベースバンド信号処理部、呼処理部などは、プロセッサ11によって実現されてもよい。
また、プロセッサ11は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ13及び通信装置14の少なくとも一方からメモリ12に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。
例えば、サーバ装置10の各機能は、メモリ12に格納され、プロセッサ11において動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ11によって実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ11により同時又は逐次に実行されてもよい。 プロセッサ11は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
メモリ12は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ12は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ12は、本開示の一実施の形態に係る情報処理を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
ストレージ13は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD−ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu−ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ13は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ12及びストレージ13の少なくとも一方を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
通信装置14は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。また、プロセッサ11、メモリ12などの各装置は、情報を通信するためのバス15によって接続される。バス15は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
図3はカメラ20のハードウェア構成の一例を表す。カメラ20は、物理的には、プロセッサ21と、メモリ22と、ストレージ23と、通信装置24と、撮影装置25と、センサ装置26と、入力装置27と、バス28などの部品を含むコンピュータ装置として構成されてもよい。通信装置24は、映像データを無線通信でサーバ装置10に送信するため、十分に高速な無線通信性能を有することが望ましい。撮影装置25は、選手達の映像を撮影するためのハードウェアであり、例えば業務用デジタルビデオカメラと同等の性能を有するビデオカメラである。
センサ装置26は、撮影している選手の競技の状況(本実施例ではプレー状況)に関係する値を測定するセンサ群を有する装置である。センサ装置26は、例えば、カメラ位置(自カメラの位置を表す緯度及び経度)を測定する位置センサと、カメラ方向(自カメラの光軸が向く方位)を測定する方向センサとを備える。センサ装置26の測定値と競技の状況との関係については後述する。入力装置27は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)であり、カメラマンによる入力操作を受け付ける。
図4は表示装置30のハードウェア構成の一例を表す。表示装置30は、物理的には、プロセッサ31と、メモリ32と、ストレージ33と、通信装置34と、表示装置35と、入力装置36と、バス37などの部品を含むコンピュータ装置として構成されてもよい。表示装置35は、表示面351を有し、サーバ装置10から配信される映像を表示面351に表示するハードウェアである。
入力装置36は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。また、入力装置36は、リモコンの操作による入力も受け付ける。なお、表示装置35及び入力装置36が一体となったタッチスクリーンにより映像の表示及び入力の受け付けが行われてもよい。
また、サーバ装置10、複数のカメラ20及び表示装置30は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ11等は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
映像配信システム1が備える各装置における各機能は、各々のプロセッサ、メモリなどのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサが演算を行い、各々の通信装置による通信を制御したり、メモリ及びストレージにおけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
図5は各装置が実現する機能構成を表す。サーバ装置10は、映像蓄積部101と、指示受付部102と、映像特定部103と、集計部104と、映像配信部105とを備える。カメラ20は、撮影部201と、測定部202と、入力受付部203と、送信部204とを備える。なお、図1に表す複数のカメラ20は、いずれも図5に表す各部を備える。表示装置30は、操作受付部301と、映像表示部302とを備える。
カメラ20の撮影部201は映像を撮影する機能である。本実施例では、カメラマンは、自分が撮影する対象の選手が決まっていて、撮影対象の選手を少なくとも1番ホールを開始してから18番ホールを終了するまで撮影し続けるよう指示されているものとする(練習場及びホールアウト後のインタビューを含んでもよい)。その結果、撮影部201は、ゴルフを競技中の複数の選手のうちの特定の選手を継続して撮影することになる。撮影部201は、撮影した映像と撮影時刻とを示す映像データを送信部204に供給する供給処理を、撮影処理と並行して行う。
測定部202は、撮影部201により撮影される選手の競技の状況に関係する値を測定する。測定部202は、具体的には、上述したカメラ位置及びカメラ方向を、一定の時間間隔(例えば1秒毎)で繰り返し測定する。カメラマンは、上述したとおり撮影対象の選手と共に移動しながら撮影を行う。カメラマンは、移動の際には、自分と選手との距離(以下「撮影距離」と言う)が概ね一定となるように指示されているものとする。
撮影距離としては、選手がショットを打つときに邪魔にならず且つなるべく近い距離(5〜10m程度)が定められる。撮影距離が一定になることで、カメラ位置及びカメラ方向から、選手の競技位置(競技を行っている位置。本実施例ではプレーしている位置)が算出可能となっている。また、カメラマンは、選手がボールを打つ際(ショット時)には、ボールを打とうとしている選手の後ろに立って映像を撮影するよう指示されているものとする。
図6はアドレス状態の選手P1の後ろからの映像の一例を表す。選手P1は、右打ちであり、飛球線方向A1に向けてボールを打つためのアドレスをしている。カメラマンは、選手P1の両肩を結んだ線、両足を結んだ線及びクラブフェースの向き等から飛球線方向A1を判断し、選手P1の飛球線方向A1とは反対方向側に立って映像を撮影する。
図7はカメラ20と選手P1との位置関係の一例を表す。図7の例では、ショット時の選手P1から撮影距離L1だけ離れたカメラ20が飛球線方向A1の映像を撮影している。選手P1の後ろからカメラ20を飛球線方向A1に向けることで、選手の打ちたい方向がカメラ方向によって表されることになる。測定部202は、カメラ位置及びカメラ方向の測定結果と測定時刻とを示す測定データを送信部204に供給する供給処理を、測定処理と並行して行う。
また、カメラマンは、カメラ20に対して、選手が特定の状態になったときに特定の操作を行うよう指示されているものとする。特定の状態とは、例えば、ボール位置に到着してボールのライ、打ち出す方向及びクラブの番手等を確認するショットの準備に入った状態(準備状態)、アドレスに入った状態(打球状態)、ショットが完了して歩き始めた状態(移動状態)等である。なお、他の選手のショットを待つ状態は例えば準備状態に含まれるものとする。
入力受付部203は、撮影対象の選手が打球状態等の特定の状態になったことを表す操作を受け付ける。カメラ20の入力装置27は、各状態に対応するボタン(準備ボタン、打球ボタン、移動ボタン)を有している。入力受付部203は、例えば準備ボタンが押されると、撮影対象の選手がショットの準備をする状態になったことと、現在時刻とを示す状態データを送信部204に供給する。以上のとおり、送信部204には、映像データ、測定データ及び状態データが供給されてくる。
送信部204は、各部から供給されたデータに自カメラを識別するカメラID(Identification)を付加して、撮影対象の選手に関する選手データとしてサーバ装置10に送信する。映像配信システム1においては、各選手の選手IDが定められており、選手を撮影するカメラ20のカメラIDと、その選手の選手IDとを対応付けた撮影対象テーブルがサーバ装置10に記憶されている。
図8は撮影対象テーブルの一例を表す。図8に表す撮影対象テーブルでは、「P001」、「P002」及び「P003」という選手IDに、「C001」、「C002」及び「C003」というカメラIDがそれぞれ対応付けられている。なお、各IDはあくまで一例であり、同じ番号のIDを対応付ける必要はない。また、選手IDではなく例えば選手名をそのままカメラIDに対応付けてもよい。
サーバ装置10の映像蓄積部101は、複数のカメラ20からそれぞれ送信されてきた複数の選手データを取得して、取得した各選手データを、各選手データが示すカメラIDに対応する選手IDに対応付けて記憶する。
図9は記憶された選手データの一例を表す。図9の例では、例えば「A001(選手A)」、「A002(選手B)」、「A003(選手C)」、・・・という各選手の選手データが記憶されている。
例えば選手Aには、「M1001」というデータ名の映像と、「T1001」等の撮影時刻と、「P1001」等のカメラ位置と、「θ1001」等のカメラ方向と、「移動状態」、「準備状態」、「打球状態」という状態データとが対応付けて記憶されている。撮影時刻は、選手の状態が変化したときの時刻を表している。例えば「T1002」は、選手Aの状態が準備状態から打球状態に変化したときの時刻である。
また、「T1003」は、選手Aの状態が打球状態から準備状態に変化したときの時刻であり、「T1004」は、選手Aの状態が準備状態から移動状態に変化したときの時刻である。なお、打球状態の後に他の選手のショットを待たない場合は選手Cの「T3003」のように打球状態からすぐに移動状態になるが、他の選手のショットを待つ場合は、一旦準備状態になってから移動状態になるものとする。
選手がショットを打った競技位置は、打球状態になった撮影時刻に対応付けられているカメラ位置及びカメラ方向によって表される。例えば選手Aがティーショットを打った競技位置は、選手Aが打球状態になったT1002に対応付けられているカメラ位置P1002及びカメラ方向θ1002によって表され、2打目の競技位置は、選手Aが次に打球状態になったT1006に対応付けられているカメラ位置P1006及びカメラ方向θ1006によって表される。
図9に表すように、映像蓄積部101は、選手データを選手IDに対応付けて記憶することで、記憶した選手データが示す映像、すなわち、選手IDにより識別される特定の選手を継続的に撮影する映像を蓄積する。映像蓄積部101は本発明の「蓄積部」の一例である。映像蓄積部101に蓄積された映像(継続的に撮影された選手の映像)は、表示装置30へのユーザの操作に基づいて配信される。
表示装置30の操作受付部301は、映像の配信に関する操作を受け付ける。操作受付部301は、例えば、映像の配信開始を指示する開始操作を受け付け、受け付けた操作及び自装置の装置IDを示す操作データをサーバ装置10に送信する。サーバ装置10の指示受付部102は、送信されてきた操作データが示す操作に対応する指示を映像の配信に関する指示として受け付ける。指示受付部102は、例えば、操作データが配信の開始操作を示す場合は、開始操作に対応する指示として、配信の開始指示を受け付ける。
指示受付部102は、配信の開始指示を受け付けると、開始指示をしてきた表示装置30の装置IDを映像特定部103に供給する。映像特定部103は、映像蓄積部101に蓄積された選手の映像の中から、配信開始を指示してきた表示装置30に配信すべき映像を特定する。映像特定部103は、映像の配信開始の際には、蓄積された選手の映像のうち、配信開始時に表示する映像を特定するために定められた開始時条件を満たす映像を配信対象の映像として特定する。
映像特定部103は、例えば、競技中の選手の中で最も順位の良い選手の映像が開始時条件を満たすと判断する。ゴルフは、競技中も各選手の順位の途中経過が表されるスポーツであり、各選手のスコア(打数)によって順位が表される。集計部104は、各選手のスコアを集計する。ゴルフ中継においては、各組の選手に同行して、ショットの度に各選手のスコアを数えて中継本部に連絡するスコアラーと呼ばれるボランティアが活動している。
中継本部の担当者は、スコアの連絡を受けると、本部に用意されたスコア入力用の端末に各選手のスコアを入力する。スコア入力用の端末は、入力されたスコア、プレーされたホール及び選手IDを示すスコアデータをサーバ装置10に送信する。集計部104は、送信されてきたスコアデータが示す各ホールのスコアを各選手について合計し、合計スコア、プレー中のホール、順位及び選手IDを各選手について示す集計データを生成する。
映像特定部103は、指示受付部102から装置IDが供給される、すなわち、表示装置30から映像の配信開始を指示されると、集計部104が生成した集計データを参照し、現時点で順位が最もよいスコアの選手の映像、すなわち開始時条件を満たす選手の映像を最初の配信対象の映像として特定する。なお、映像特定部103は、スコアが最もよい選手が複数いる場合は、例えば最もホール数を消化した選手の映像を配信対象の映像として特定してもよい。
また、映像特定部103は、スコアが最もよい選手の消化ホール数も同じ場合は、例えば、最新のホールのスコアを比較して打数が少ない方を上位とし、同スコアの場合は1つ前、2つ前のホールと決着がつくまで遡って、残った選手の映像を最初の配信対象の映像として特定してもよい。いずれの場合も、映像特定部103は、配信開始時には、現在撮影されているリアルタイムの映像を特定する。
映像特定部103は、特定した配信対象の映像に映る選手の選手IDと、映像の配信開始を指示してきた表示装置30の装置IDとを映像配信部105に供給する。映像配信部105は、選手ID及び装置IDが供給されると、供給された選手IDを示す選手データを映像蓄積部101から取得し、供給された選手IDを示す集計データを集計部104から取得する。
映像配信部105は、映像蓄積部101から供給された選手データが示す選手の映像データのうち、映像特定部103から供給された選手IDの選手の映像データを、同じく映像特定部103から供給された装置IDの表示装置30に送信する。また、映像配信部105は、上記の選手の映像に、取得した集計データが示すその選手の選手名、プレー中のホールの情報、スコア及び順位を示す画像を付加してから映像データを送信する。
映像配信部105は、以上のとおり映像データを送信することで、映像特定部103が特定した配信対象の映像を、映像の配信開始を指示してきた表示装置30に対して配信する。表示装置30の映像表示部302は、サーバ装置10から配信されてきた映像を自装置の表示面351に表示する。表示面351は本発明の「表示領域」の一例である。
図10は表示面351に表示された映像の一例を表す。図10の例では、映像表示部302は、選手Aのプレー中の映像と、プレー中のホールの情報(「7」=ホール数、「Par4」、「465yds」)と、選手Gのスコア(「−2」)及び順位(「Leader」=トーナメントリーダー)とを示すプレー画像B1とを表示している。
操作受付部301は、上記のとおり映像の配信が開始された後は、例えば配信の終了を指示するための終了操作等を受け付ける。配信の終了操作が受け付けられると、サーバ装置10の指示受付部102が配信の終了指示を受け付け、映像配信部105が配信を終了する。また、操作受付部301は、表示されている映像を切り替える操作(映像の切替操作)を受け付ける。
図11は映像の切替操作の一例を表す。図11では、左向きの操作C1と、右向きの操作C2と、上向きの操作C3と、下向きの操作C4とが切替操作の一例として表されている。操作受付部301は、例えばリモコンの操作であれば、リモコンに設けられた左右のボタンと上下のボタンに対する操作をそれぞれ操作C1(左ボタン)、C2(右ボタン)、C3(上ボタン)、C4(下ボタン)として受け付ける。
また、操作受付部301は、タッチスクリーンに対する操作であれば、左向き、右向き、上向き、下向きのフリック操作をそれぞれ操作C1、C2、C3、C4として受け付ける。操作受付部301は、受け付けた操作を示す操作データをサーバ装置10に送信する。サーバ装置10の指示受付部102は、送信されてきた操作データが図11に表す上下左右の操作を表す場合、配信する映像の切り替えの指示として受け付け、受け取った操作データを映像特定部103に供給する。
映像特定部103は、供給された操作データが示す操作に対応する条件を満たす映像を、次の表示対象の映像として特定する。具体的には、映像特定部103は、左右の向きの操作の場合は第1条件を満たす映像を表示対象の映像として特定し、上下の向きの操作の場合は第2条件を満たす映像を表示対象の映像として特定する。左右の向きの操作は本発明の「第1操作」の一例であり、以下では「第1切替操作」とも言う。また、上下の向きの操作は本発明の「第2操作」の一例であり、以下では「第2切替操作」とも言う。
映像特定部103は、本実施例では、第1切替操作が行われた場合、表示中の選手が特定の状況にある期間に撮影された映像を、第1条件を満たす表示対象の映像として特定する。また、映像特定部103は、第2切替操作が行われた場合、表示中の選手とは異なる選手が特定の状況にある期間に撮影された映像を、第2条件を満たす表示対象の映像として特定する。
ここでいう「状況」には、競技と直接的に関係する状況(ゴルフであればショットを行う状況等)が含まれることはもちろん、競技中に選手に関連して発生する状況であれば、競技と直接的には関係しない状況(ゴルフであればファンと握手をする状況等)が含まれてもよい。ただし、本実施例では、特定の状況とは、選手が特定のプレーを行っている状況を言うものとする。
特定のプレーとは、例えば、ゴルフにおける各種の状況で行われるショットのことであり、ティーショット、グリーンを狙うショット、アプローチショット、バンカーショット、池越えのショット、インテンショナルスライスショット、インテンショナルフックショット及びロングパット等である。
映像特定部103は、例えば、上述した準備状態及び打球状態の選手のうち、ティーグラウンドからの距離が閾値以内の選手の映像を、ティーショットを行う選手の映像として特定する。映像特定部103は、具体的には、ティーショットを行う選手の準備状態が開始する撮影時刻から打球状態が終了する撮影時刻までの映像を、ティーショットを行う選手の映像として特定する。
映像特定部103は、図9の例であれば、ティーショットを行う選手Aの映像として、1ホール目の準備状態が開始する撮影時刻T1001から打球状態が終了する撮影時刻T1003(=次の準備状態が開始する撮影時刻)までの映像を特定する。また、映像特定部103は、準備状態又は打球状態の選手のうち、バンカー内の位置にいる選手の映像を、バンカーショットを行う選手の映像として特定する。
例えば図9の例において選手Aの1ホール目の2打目がバンカーからのショットである場合、映像特定部103は、バンカーショットを行う選手Aの映像として、2打目の準備状態が開始する撮影時刻T1005から打球状態が終了する撮影時刻T1007(=次の移動状態が開始する撮影時刻)までの映像を特定する。
また、映像特定部103は、打球状態の選手のうち、グリーン上の位置で且つホールまでの距離が閾値以上(例えば10m以上)である選手の映像を、ロングパットを行う選手の映像として特定する。なお、パッティングの場合、準備状態でも選手がホールの近くにいることも多くロングパットか否かの判断が難しいため、準備状態の選手は外している。
また、映像特定部103は、準備状態及び打球状態の選手のうち、グリーンからの距離が所定の範囲(例えば50ヤードから250ヤード)内の選手の映像を、グリーンを狙うショットを行う選手の映像として特定する。また、映像特定部103は、準備状態及び打球状態の選手のうち、池の手前の所定のエリアにいる選手の映像を、池越えのショットを行う選手の映像として特定する。
また、映像特定部103は、準備状態及び打球状態の選手のうち、ホール内の木の手前の所定のエリアにいる選手の映像を、インテンショナルスライスショット(フェアウェイより右側の場合)又はインテンショナルフックショット(フェアウェイより左側の場合)を行う選手の映像として特定する。本実施例では、サーバ装置10が、ユーザが登録した自分の観たい選手の状況として、本実施例では、自分が観たいプレーの種類(ティーショット等)を、ユーザの識別情報(例えば装置ID)に対応付けて記憶する。
映像特定部103は、第1切替操作又は第2切替操作のいずれかの切替操作が行われると、切替操作が行われた表示装置30の装置IDに対応付けられているプレーの種類を読み出し、読み出した種類のプレーが行われる状況を特定の状況として、表示対象の映像を特定する。例えば図10に表すように7番ホールをプレーする選手Aが表示されていて特定の状況で行われるプレーとしてティーショットが読み出されたとする。
映像特定部103は、第1切替操作が行われた場合であれば、表示されている選手Aの1番ホールから6番ホールまでのティーショットの映像を、表示対象の映像として特定する。また、映像特定部103は、第2切替操作が行われた場合であれば、表示されている選手Aとは異なる選手である選手B及びC等のティーショットの映像を、表示対象の映像として特定する。
上記の例では、映像特定部103は、切替操作が行われたときには既に特定の状況が終わっている映像(本実施例では特定のプレーが終了している映像)を特定している。これに限らず、映像特定部103は、切替操作が行われたときに特定の状況になっているがその状況が継続されている映像(本実施例では特定のプレーが開始されているがそのプレーが終了していない、すなわちプレーの途中の映像)を、特定の状況になっていた期間(本実施例では特定のプレーが行われていた期間)に撮影された映像として特定してもよい。
いずれの場合も、映像特定部103は、過去に特定の状況になっていたときの選手の映像(すなわち過去に行われたプレーの映像)を表示対象の映像として特定する。また、映像特定部103は、上記の例では切替操作が行われた場合に、切替操作を行ったユーザが好む種類の状況(特定のプレーが行われる状況)を特定の状況として表示対象の映像を特定した。
これに限らず、映像特定部103は、予めどのユーザにも対応できるように、各種の状況を特定の状況とした場合(例えば各種のプレーを特定のプレーとした場合)の映像を特定しておき、一定の時間間隔(例えば1分毎等)で映像の特定を繰り返してもよい。予め映像を特定することで、切替操作後に映像を特定する場合に比べて、映像の切り替えに要する時間を短くすることができる。
映像配信部105は、切替操作が行われると、上記のとおり特定された映像に切り替える。詳細には、映像配信部105は、第1切替操作が行われると、表示装置30の表示面351に表示される映像を、表示中の選手が特定の状況になっていた期間に撮影された映像に切り替え、第2切替操作が行われると、表示中の選手とは異なる選手が特定の状況になっていた期間に撮影された映像に切り替える。映像配信部105は本発明の「表示制御部」の一例である。
映像配信部105は、第2切替操作による切り替えを、2人以上の選手の映像が蓄積されている場合に行う。2人以上の選手の映像がなければ表示中の選手とは異なる選手の映像が存在しないためである。また、第1切替操作は左向き及び右向きの2種類あり、第2切替操作は上向き及び下向きの2種類あるので、映像配信部105は、操作の向きによって切り替える映像を異ならせる。
映像配信部105は、第1切替操作のうち左向きの操作が行われた場合、表示中の選手が特定の状況になっていた期間を過去に遡りながら映像を切り替え、第1切替操作のうち右向きの操作が行われた場合、表示中の選手が特定の状況になっていた期間を現在に向けて進ませながら映像を切り替える。
図12は第1切替操作による映像の切替の一例を表す。図12の例では、選手Aの4番ホールのティーショットの映像が映っている場合に、左向きの操作が行われると選手Aの3番ホールのティーショットの映像に切り替わり、右向きの操作が行われると選手Aの5番ホールのティーショットの映像に切り替わることが表されている。また、3番(又は5番)ホールのティーショットの映像が映っている場合に右向き(又は左向き)の操作が行われると、4番ホールのティーショットの映像に戻る。
また、映像配信部105は、第2切替操作のうち上向きの操作が行われた場合、表示装置30の表示面351に表示される映像を、表示中の選手と進行度が共通する選手が特定の状況になっていた期間に撮影された映像に切り替える。また、映像配信部105は、第2切替操作のうち下向きの操作が行われた場合、表示装置30の表示面351に表示される映像を、表示中の選手と進行度が共通しない選手が特定の状況になっていた期間に撮影された映像に切り替える。
ゴルフにおいては、通常は2人又は3人の選手が組になって競技エリアを進行しながら競技が行われる。つまり、進行度が共通する選手とは同じ組の選手であり、進行度が共通しない選手とは違う組の選手である。
図13は第2切替操作による映像の切替の一例を表す。図13の例では、最初に選手Aの4番ホールのティーショットの映像が映っている状態を初期状態とする。
映像配信部105は、初期状態から、上向きの操作が行われると選手Aと同組の選手Bの4番ホールのティーショットの映像に切り替え、さらに上向きの操作が行われると選手Aと同組の選手Cの4番ホールのティーショットの映像に切り替える。映像配信部105は、さらに上向きの操作が行われると、映像をループさせて再び選手Aの4番ホールのティーショットの映像に切り替える。
また、映像配信部105は、第1切替操作で3番ホール又は5番ホールのティーショットの映像に切り替えた後に上向きの操作が行われると、3番ホール又は5番ホールのティーショットの映像を同様に選手B、選手Cに切り替える。また、映像配信部105は、初期状態から、下向きの操作が行われると選手Aと違う組の選手Dの4番ホールのティーショットの映像に切り替える。
選手Dは、選手Aの1つ後ろの組の選手である。また、映像配信部105は、選手Dの4番ホールのティーショットの映像を表示させる状態で下向きの操作が行われると、選手Dと違う組(1つ後ろの組)の選手Gの4番ホールのティーショットの映像に切り替え、さらに下向きの操作が行われると、選手Gと違う組(1つ後ろの組)の選手Jの4番ホールのティーショットの映像に切り替える。
また、映像配信部105は、第1切替操作で3番ホール又は5番ホールのティーショットの映像に切り替えた後に下向きの操作が行われると、3番ホール又は5番ホールのティーショットの映像を同様に選手D、選手Gに切り替える。なお、映像配信部105は、違う組の複数の選手のうちの切り替え先の選手を、選手同士の組合せを固定して(選手A、D、G、Jを1つの組にするなど)決めてもよいし、ランダムに決めてもよい。
また、映像配信部105は、所定の条件を満たす選手を切り替え先の選手として決めてもよい。所定の条件とは、例えば現時点で最も順位がよい選手が満たす条件である。また、選手によっては、該当するホールの映像がまだ撮影されていない場合がある。図12の例であれば、選手Jは、まだ5番ホールのティーショットを打っていないものとする。その場合、映像配信部105は、違う組の選手の別のホールでの映像(図12の例では4番ホールのティーショットの映像)に切り替える。
また、映像配信部105は、例えば選手Dの4番ホールのティーショットの映像を表示させる状態で上向きの操作が行われると、選手Dと同じ組の選手E又はFの4番ホールのティーショットの映像に切り替える。同様に、映像配信部105は、選手Gの映像を表示させている場合は選手Gと同じ組の選手H又はIの映像に切り替える。また、ティーショットは全ホールで行われるが、バンカーショット及びロングパット等は、プレーされるホールとされないホールとがある。
その場合、映像配信部105は、図12におけるホールの順番を、特定のプレーの順番に読み替えて切り替えを行う。例えばバンカーショットであれば、選手Aの1回目のバンカーショット、2回目のバンカーショット、3回目のバンカーショットというように読み替える。その場合、選手Aの2回目のバンカーショットの映像を表示させる状態で、上向きの操作が行われると選手Bの2回目のバンカーショットの映像に切り替え、下向きの操作が行われると選手Dの2回目のバンカーショットの映像に切り替える。
映像配信システム1が備える各装置は、上記の構成に基づいて、スポーツ選手の映像を配信する配信処理を行う。
図14は配信処理における各装置の動作手順の一例を表す。図14では、カメラ20が1台だけ表されているが、他のカメラ20も同じ動作を行うものとする。図14に表す動作手順は、例えば、スポーツ中継が始まったことを契機に開始される。
まず、カメラ20(撮影部201)は、選手の映像を撮影する(ステップS11)。次に、カメラ20(測定部202)は、カメラ位置等を測定する(ステップS12)。続いて、カメラ20(入力受付部203)は、撮影対象の選手が打球状態等の特定の状態になったことを表す操作を受け付ける(ステップS13)。そして、カメラ20(送信部204)は、ステップS11からS13までの動作で取得されるデータにカメラIDを付加した選手データをサーバ装置10に送信する(ステップS14)。
なお、ステップS11からS13までの動作は順番が異なっていてもよい。また、ステップS11からS14までの動作は、複数のカメラ20によって繰り返し行われる。サーバ装置10(映像蓄積部101)は、複数のカメラ20からそれぞれ送信されてきた選手データが示す映像を蓄積する(ステップS15)。ここで、表示装置30から映像の配信開始の指示がされたものとする。
まず、サーバ装置10(映像特定部103)は、蓄積された映像の中から最初の配信対象の映像(開始時条件を満たす選手の映像)を特定する(ステップS21)。次に、サーバ装置10(映像配信部105)は、特定された映像を示す映像データを、配信開始の指示をしてきた表示装置30に送信する(ステップS22)。表示装置30(映像表示部302)は、送信されてきた映像データが示す映像を自装置の表示面351に表示する(ステップS23)。
その後、表示装置30に対して映像の切替操作がされたものとする。表示装置30(操作受付部301)は、その切替操作を受け付け(ステップS31)、受け付けた切替操作を示す操作データをサーバ装置10に送信する(ステップS32)。サーバ装置10(映像特定部103)は、送信されてきた操作データが示す切替操作に対応する条件を満たす映像を、次の表示対象の映像として特定する(ステップS33)。
サーバ装置10(映像特定部103)は、第1切替操作が行われた場合は、表示中の選手が特定の状況になっていた期間に撮影された映像を、切替操作に対応する条件(第1条件)を満たす表示対象の映像として特定する。サーバ装置10(映像特定部103)は、第2切替操作が行われた場合は、表示中の選手とは異なる選手が特定の状況になっていた期間に撮影された映像を、切替操作に対応する条件(第2条件)を満たす表示対象の映像として特定する。
次に、サーバ装置10(映像配信部105)は、特定された選手の映像データを表示装置30に送信する(ステップS34)。表示装置30(映像表示部302)は、自装置の表示面351に表示している選手の映像を、送信されてきた映像データが示す選手の映像に切り替える(ステップS35)。ステップS31からS35までの動作は、視聴者が切替操作を行う度に行われる。
本実施例では、上記のとおり、選手の映像を蓄積することで、視聴者が自分の操作によって他の選手の映像に切り替えることができる。また、切替操作(第1切替操作及び第2切替操作)が行われた場合には、選手が特定の状況になっていた期間(本実施例では特定のプレーを行っていた期間)に撮影された映像に切り替えられる。これにより、スポーツ選手の映像配信において、例えば録画映像から早送りや早戻しにより特定の状況における映像(本実施例では特定のプレーが行われている映像)を探す場合に比べて、見逃した特定の状況における映像を簡単に視聴することができる。
また、本実施例では、第2切替操作のうちの上向きの操作により、スポーツの進行度が共通する選手の映像に切り替えられるので、進行度に関係ない切り替えが行われる場合に比べて、表示中の選手と状況の類似度が高い(ゴルフの場合例えば同じホールでプレーしている)選手の映像を簡単に視聴することができる。反対に、第2切替操作のうちの下向きの操作が行われる場合は、表示中の選手との類似度が低い(ゴルフの場合例えば異なるホールでプレーしている)選手の映像を簡単に視聴することができる。
[2]変形例
上述した実施例は本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。また、実施例及び各変形例は必要に応じてそれぞれ組み合わせてもよい。その際は、各変形例について優先順位を付けて(各変形例を実施すると競合する事象が生じる場合にどちらを優先するかを決める順位付けをして)実施してもよい。
[2−1]選手の位置
実施例では、カメラ位置及びカメラ方向から選手の位置が算出されたが、ゴルフのように広い競技エリアにおいて短い撮影距離を維持しながら撮影可能なスポーツでは、カメラ位置がそのまま選手の位置として用いられてもよい。
また、撮影距離を一定にするのが難しい場合は、選手の映像から撮影距離が算出されてもよい。その場合、例えば、映像特定部103が、各選手の身長データを予め記憶しておき、蓄積された映像からパターン認識技術又は機械学習の技術を用いて選手の姿を認識する。そして、映像特定部103は、認識した選手の画像内の大きさと実際の身長とから選手までの距離、すなわち撮影距離を算出し、算出した撮影距離を用いて選手の位置を算出する。
[2−2]特定の状態の選手
実施例では、カメラ20に対して特定の操作が行われたときに選手が特定の状態(準備状態、打球状態及び移動状態)になったことが表されたが、代わりに、選手の映像から特定の状態になったことが判断されてもよい。例えば、映像特定部103が、特定の状態における人の動きを示すデータを予め記憶しておく。
そして、映像特定部103は、蓄積された映像からパターン認識技術等を用いて選手の姿を認識し、認識した姿が示す動きと特定の状態における人の動きとの類似度が閾値以上になった場合に、その選手が特定の状態であると判断する。なお、人の動きを示すデータがなくとも、映像特定部103は、機械学習の技術を用いて、特定の状態における選手の映像の特徴を学習することで、特定の状態にある選手を判断してもよい。
[2−3]スポーツ
映像配信システム1は、ゴルフ以外にも、例えば、マラソン、駅伝、自転車競技、自動車競技、セーリング等を配信してもよい。マラソン等はいずれも複数の選手が同時に競技を行うスポーツである。また、例えばラリーのように各選手が一斉にスタートせずに個別にタイムアタックを行う競技であっても、蓄積された過去の映像を配信する映像配信システム1の配信対象となる。
ラリー及びセーリング等のようにカメラマンが選手に接近することが難しい競技では、例えばヘリコプター等から遠隔で撮影してもよいし、ドローンを追尾させて撮影してもよい。いずれの場合でも、撮影距離が決められていれば、カメラ位置及びカメラ方向から、選手の位置を求めることができる。なお、前述したように、機材の画像内の大きさと実際の大きさとに基づいて撮影距離を算出し、選手の位置を算出してもよい。また、自動車及びヨット等に設けられた測位装置による測定値を状態データの代わりに映像蓄積部101が取得して、選手の位置が求められてもよい。
なお、ラリー及びヨット等では複数の選手が1台の車及びヨット等を走行させる場合がある。その場合、映像蓄積部101は、複数の選手を特定の選手として継続的に撮影する映像を取得してもよいし、複数の選手の各個人を別々に特定の選手として継続的に撮影する映像を取得してもよい。また、サッカー及び野球等のように競技場内で行われるスポーツの選手を撮影対象としてもよい。その場合でも、各選手を継続的に撮影するカメラ20を用意することで、選手の映像を切り替えることができる。
[2−4]映像の蓄積
映像蓄積部101は、同じ試合で撮影された映像だけでなく、他の試合で撮影された映像も蓄積してもよい。蓄積される映像が多いほど、特定の状況において撮影された映像(例えば特定のプレーを撮影した映像)も増えるので、例えばアルバトロスやホールインワンのように珍しいプレーの映像を表示させやすくなる。
[2−5]カメラの台数
実施例では競技中の各選手にそれぞれ1台のカメラ20が付いて映像を撮影したが、選手の数の方が多ければ、例えば人気のある選手、順位が上位の選手又はランダムな選手を選んで撮影するようにしてもよい。また、カメラ20の台数が選手の数よりも多ければ、1人の選手に対して2台以上のカメラ20を付けて映像を撮影してもよい。その場合、1人の選手の2以上の映像のうちどちらが配信されてもよい。
但し、映像配信システム1においては、表示中の選手を2通りの操作で第1条件を満たす選手又は第2条件を満たす選手のいずれかに切り替えるため、少なくとも3台以上のカメラ20が、3人以上の選手をそれぞれ撮影する必要がある。そうすることで、映像配信部105が、3人以上の選手について取得された映像のいずれかを表示領域に表示させ、表示させた映像を、第1条件を満たす選手及び第2条件を満たす選手のいずれかの映像に切り替えることができる。
[2−6]カメラと選手の対応付け
実施例では、図8に表す撮影対象テーブルに表すように1台のカメラ20と1人の選手を対応付けたが、1人の選手に2台以上のカメラ20を対応付けてもよい。具体的には、1台は選手の姿を映し、もう1台は選手が打ったボールを映すようにしてもよい。また、カメラ20の台数が競技中の選手の人数よりも少ない場合に、1台のカメラ20に2人以上の選手を対応付けて、例えば同組の選手を順番に撮影させてもよい。
また、選手に対応付けるカメラ20をラウンドの途中で変更してもよいし、選手に対応付けるカメラ20の数をラウンドの途中で変更してもよい。具体的には、例えば、前半9ホールは2人に1台のカメラ20で撮影し、後半9ホールは1人に1台のカメラ20で撮影してもよい。いずれの場合も、各選手とプレーするホールとカメラ20との対応付けが撮影対象テーブル等によって行われていればよい。
[2−7]映像の特定方法
映像特定部103は、実施例と異なる方法で映像を特定してもよい。例えば、カメラ20の入力受付部203が、選手の状況の入力を受け付けるようにして、映像特定部103が、状態データが示す選手の状況に基づいて特定の状況にある選手を特定してもよい。また、カメラ20への入力がない場合は次のように特定の状況にある選手を特定すればよい。
例えば、映像特定部103が、選手の映像を解析して選手の輪郭を抽出し、輪郭の形がアドレス時の形(予めマッチング用の画像を記憶しておく)に類似する場合に打球状態であると判断する。そして、映像特定部103は、打球状態になったときの選手の位置に基づき、上記方法と同様に特定の状況にある選手(この場合は特定のプレーをしている選手)を特定する(例えばティーグラウンドで打球状態になった選手はティーショットを行う状況にある選手として特定する)。
また、例えば選手を撮影するカメラ20とボールの落下地点を撮影するカメラ20が協働して1人の選手の映像を撮影する場合、映像特定部103は、飛んでいくボールの映像も映像として特定する。例えば、カメラ20の入力装置27が、打球ボタンに加えて飛球開始ボタン及び飛球終了ボタンを有しておき、ボールが打たれたときに選手側のカメラマンが飛球開始ボタンを押し、ボールが停止したときに落下地点側のカメラマンが飛球終了ボタンを押すようにしてもよい。
映像特定部103は、選手側の映像のうち打球状態が開始された撮影時刻から飛球状態が開始された撮影時刻(飛球開始ボタンが押された時刻)までを前半の映像として特定する。また、映像特定部103は、飛球状態が開始された撮影時刻から飛球状態が終了した撮影時刻(飛球終了ボタンが押された時刻)までの映像を後半の映像として特定する。
なお、映像特定部103は、ボタン操作がされた時刻で飛球状態の開始を判断する代わりに、前述した映像の解析を行って、選手がスイング後のフィニッシュの体勢になったときに飛球状態が開始されたと判断してもよい。また、マラソン等の競技では、映像特定部103は、例えばトップ争いをしている状況、独走している状況、前の選手を追い抜く状況及びラップタイムが上がった状況等にある選手を特定の状況にある選手として特定する。
また、ラリー等の競技では、映像特定部103は、例えば最高速度で走行している状況又は走行が難しい区間を走行している状況等にある選手を特定の状況にある選手として特定する。映像特定部103は、独走等のプレーを行う選手を、例えば各選手の位置及び単位時間毎の位置の変化量(つまり速度)に基づいて特定する。以上のとおり、映像特定部103は、カメラ20のセンサの測定値、選手に付帯するセンサの測定値及びカメラマンの操作等に基づいて、特定の状況にある選手を特定すればよい。
なお、映像配信部105は、特定の状況にある選手が複数いる場合、その状況における競技の成績がよい選手の映像ほど優先して切り替えを行ってもよい。本変形例では、集計部104が、各選手のスコアだけでなく、各種のスタッツを集計する。スタッツとは、競技の傾向を表す統計的な数値のことであり、例えば平均ドライビングディスタンス、フェアウェイキープ率、パーオン率及び平均パット数等のことである。
スタッツの中には、特定の状況において行われるプレーとの関連性が高いものがある。例えば特定の状況において行われるプレーがティーショットであれば、平均ドライビングディスタンス及びフェアウェイキープ率等との関連性が高い。特定の状況において行われるプレーがアプローチショットであれば、パーオン率及びアプローチ後のカップまでの平均距離等との関連性が高い。特定の状況において行われるプレーがパットであれば、平均パット数及び3パット率等との関連性が高い。
映像特定部103は、特定の状況にある選手が複数いる場合、その状況において行われるプレーとの関連性が高いスタッツを集計部104から読み出し、読み出したスタッツの成績が良い選手の映像から順番に優先して表示対象の映像として特定する。映像配信部105は、こうして特定された映像に切り替えることで、特定の状況における競技の成績がよい選手の映像ほど優先して切り替えを行う。これにより、見逃した特定の状況の映像を視聴する場合に、より上手な選手の映像を先に観ることができる。
[2−8]選手の順位
映像配信部105は、実施例と異なる方法で映像を切り替えてもよい。本変形例では、映像配信部105は、第2切替操作が行われると、表示装置30の表示面351に表示される映像を、表示中の選手とは異なる選手のうち、表示中の選手との所定の時点での順位の関係が所定の関係になっている選手が特定の状況になっていた期間に撮影された映像に切り替える。所定の順位の関係とは、例えば順位の差が閾値(例えば1位差〜3位差程度)以下という関係である。
所定の時点とは、例えば現時点である。その場合、映像特定部103は、第2切替操作が行われた場合に、集計部104から最新の順位を読み出して、表示中の選手との順位の差が閾値以下の選手の映像(特定の状況になっていた期間に撮影された映像)を、第2条件を満たす表示対象の映像として特定する。映像配信部105は、こうして特定された映像に切り替えることで、表示中の選手との現時点での順位の差が閾値以下の選手の映像に切り替える。
この場合、例えば現時点の上位の選手の映像を観ているときには上位に近い選手の映像を続けて観ることができる。なお、所定の時点として、表示中の選手が特定の状況になっていた時点が用いられてもよい。この場合、例えば映像蓄積部101が、各選手の映像の撮影時刻に対応付けて、その撮影時刻における各選手の順位を集計部104から読み出して蓄積しておく。
そして、映像特定部103は、第2切替操作が行われた場合に、特定の状況になっていた選手のうち、表示中の選手が特定の状況になっていた撮影時刻(例えば特定のプレーを行っていた撮影時刻)に対応付けて蓄積されている順位が上記条件を満たす(表示中の選手との順位の差が閾値以下の)選手の映像を、第2条件を満たす表示対象の映像として特定する。この場合、例えば2日目のカットライン上の選手の映像を観ているときに、同じくカットライン上の選手の映像を続けて観ることができる。
なお、所定の時点としては、他にも、例えば途中で雨又は強風等の所定の気象状況になった場合に、その気象状況になった時間帯における時点が用いられてもよい。その場合、同じ気象状況で行われた競技の映像を続けて観ることができる。また、所定の順位の関係も上記関係に限らない。例えば、順位の2桁目が同じ関係(10位台、20位台等)及び順位の変化傾向が近い関係(上昇傾向、下降傾向等)等が所定の順位の関係として用いられてもよい。
[2−9]競技場所
本変形例では、映像配信部105が、第2切替操作が行われると、表示中の選手とは異なる選手が特定の状況になっていた期間に撮影された映像のうち、表示中の選手と競技を行っている場所が共通する映像に切り替える。共通する競技場所とは、例えば同じホールである。
本変形例の映像特定部103は、第2切替操作が行われた場合に、表示中の映像の撮影時刻におけるカメラ位置からプレー中のホールを特定し、特定したホールで行われた競技の映像を、第2条件を満たす表示対象の映像として特定する。映像配信部105は、こうして特定された映像に切り替えることで、表示中の選手と競技を行っている場所が共通する映像に切り替える。
なお、共通する競技場所は、上記以外にも、例えば同じホールの同じ区域(ティーグラウンド、フェアウェイ、ラフ、バンカー、グリーン等)であってもよいし、同じゴルフ場であってもよい。いずれの場合も、視聴者は、競技を行っている場所に関係なく映像が切り替えられる場合に比べて、表示中の選手が競技を行っている場所で同じように特定の状況になっている選手(表示中の選手と同じ選手の場合もある)の映像を簡単に観ることができる。
また、映像配信部105は、第2切替操作が行われると、表示装置30の表示面351に表示される映像を、表示中の選手とは異なる選手が特定の状況になっている期間に撮影された映像のうち、表示中の選手と競技を行う場所の特徴が共通する状況における映像に切り替えてもよい。競技を行う場所の特徴が共通する状況とは、例えば規定打数(パー3、パー4、パー5)が共通するホールでプレーするという状況、打ち下ろしの場所でプレーするという状況、打ち上げの場所でプレーするという状況、特定の草(バミューダ芝等)が生えたラフでプレーするという状況等である。
競技を行う場所の特徴が用いられる場合、映像特定部103は、例えばゴルフ場の各場所の特徴を記憶しておき、第2切替操作が行われた場合に、表示中の映像の撮影時刻におけるカメラ位置から選手が競技を行っている場所を特定し、特定した場所と特徴が共通する場所で行われた競技の映像を、第2条件を満たす表示対象の映像として特定する。
映像配信部105は、こうして特定された映像に切り替えることで、表示中の選手と競技を行っている場所の特徴が共通する選手の映像に切り替える。これにより、視聴者は、競技が行われる場所の特徴に関係なく映像が切り替えられる場合に比べて、表示中の選手が競技を行っている場所と特徴が共通する他の場所で同じように特定の状況になっている選手の映像を簡単に観ることができる。
[2−10]共通属性
本変形例では、映像配信部105が、第2切替操作が行われると、表示装置30の表示面351に表示される映像を、表示中の選手とは異なる選手が特定の状況になっている期間に撮影された映像のうち、表示中の選手と競技者としての属性が共通する選手の映像に切り替える。競技者としての属性とは、例えば、身長、体重及び出身(国、地域、学校等)等の個人の身体的特徴又は競技経験を推測可能な経歴を表す属性である。
また、競技者としての属性には、スポーツのプレースタイルも含まれる。プレースタイルとは、例えばゴルフであれば、フェードヒッター、ドローヒッター、飛ばし屋、ショットメーカー及びパット巧者等のスタイルである。本変形例の映像特定部103は、例えばシステムの運用者が登録した各選手の属性を選手IDに対応付けて記憶しておき、第2切替操作が行われた場合に、表示中の選手の選手IDに対応付けて記憶されている属性を読み出す。
映像特定部103は、読み出した属性と共通する属性の数を選手毎に計数する。映像特定部103は、特定の状況になっている選手の映像が複数ある場合、共通属性が多い選手の映像を優先して第2条件を満たす表示対象の映像として特定する。映像配信部105は、こうして特定された映像に切り替えることで、表示中の選手と競技者としての属性が共通する映像に切り替える。
競技者としての属性が共通していると、属性が共通しない場合に比べて、競技の行い方も似たものになりやすい。例えばドローヒッター同士やフェードヒッター同士では、ティーショットの狙い目が同じになりやすい。本変形例によれば、視聴者は、選手の属性に関係なく映像が切り替えられる場合に比べて、表示中の選手と競技の行い方が似ている選手の映像を簡単に観ることができる。
[2−11]ユーザの視聴傾向
本変形例では、ユーザの視聴傾向に基づいて映像が切り替えられる。本変形例の映像特定部103は、第2切替操作が行われた場合に、配信される映像が表示される表示装置30のユーザ(すなわち視聴者)が視聴する選手の傾向を判定し、判定した傾向に基づいて第2条件を満たす選手を判断する。映像特定部103は本発明の「判定部」の一例である。
映像特定部103は、ユーザに関する情報に基づいてそのユーザが視聴する選手の傾向を判定する。映像特定部103は、例えば、ユーザの視聴履歴をユーザに関する情報として用いて、映像が撮影される複数の選手のうち、特定の個人を視聴する傾向を判定する。特定の個人を視聴する傾向とは、選手の競技の内容や順位に関わらずその選手個人を視聴する可能性が他の選手を視聴する可能性に比べて高いという視聴傾向である。
映像配信部105は、表示装置30に映像を配信すると、配信した映像に関する情報を配信履歴として記憶する。配信履歴には、映像に映っている選手の選手ID、配信先の表示装置30の装置ID及び配信時間が含まれている。映像特定部103は、配信履歴を参照し、第2切替操作が行われた表示装置30の装置IDに対応付けられている選手IDの配信時間の合計を算出する。
映像特定部103は、算出した合計時間が多い選手から順番に視聴する可能性が高い選手であるという傾向を、ユーザの視聴傾向として判定する。なお、映像特定部103は、視聴回数が多い選手から順番に視聴する可能性が高い選手であるという傾向を判定してもよい。映像特定部103は、判定した視聴可能性の高さに基づいて各選手の優先順位を決定する。
映像特定部103は、例えば、判定した視聴可能性が高い選手ほど高い優先順位を決定する。映像特定部103は、第2切替操作のうちの下向きの操作が行われた場合は、決定した優先順位が高い選手の映像から順番に、第2条件を満たす映像だと判断して、映像を特定する。つまり、映像特定部103は、下向きの操作が行われる度に、表示中の選手よりも優先順位が1つ低い選手の映像を特定する。
また、映像特定部103は、第2切替操作のうちの上向きの操作が行われた場合は、決定した優先順位が低い選手の映像から順番に、第2条件を満たす映像だと判断して、表示対象の映像を特定する。つまり、映像特定部103は、上向きの操作が行われる度に、表示中の選手よりも優先順位が1つ高い選手の映像を特定する。
映像配信部105は、以上のとおり特定された映像に切り替えることで、表示装置30の表示面351に表示される映像を、第2切替操作が行われた場合に、表示中の選手とは異なる選手のうち判定された視聴可能性の高さに応じた選手が特定の状況になっていた期間に撮影された映像に切り替える。
ユーザが視聴する可能性が高い選手ほど、そのユーザが好きな選手であると言える。そこで、上記の優先順位で映像が切り替えられることで、ユーザは映像を切り替えた際に自分が好きな選手を先に観ることができる。また、第2切替操作によって優先順位が高い方の選手の映像にも優先順位が低い方の選手の映像にも切り替えられるので、一度見た映像を再度観たい場合に簡単に表示させることができる。
なお、視聴可能性の判定方法は上記方法に限らない。映像特定部103は、例えば、ユーザもスポーツを行う場合、競技者としての属性がユーザと共通する度合いに基づいて視聴可能性を判定してもよい。具体的には、映像特定部103は、ユーザと共通する属性が多い選手ほど視聴する可能性が高いと判定する。また、映像特定部103は、競技内の順位が高い選手又は特定の順位(例えばカットライン付近の順位)に近い選手ほど視聴する可能性が高いと判定してもよい。
また、映像特定部103は、競技エリアを特定の進行度(例えば最終組及びその前の組等)で競技を行う選手ほど視聴する可能性が高いと判定してもよい。また、映像特定部103は、各選手の視聴履歴、共通属性、競技内順位、進行度にポイントを付与し、付与したポイントの合計値が大きい選手ほど視聴する可能性が高いと判定してもよい。その際、各ポイントには、重みを付けてもよい。いずれの場合も、ユーザは映像を切り替えた際に自分が好きな選手を先に観ることができる。
[2−12]組合せ
映像特定部103は、特定の状況にある選手が複数いる場合、上述した特定の状況における競技の成績、選手の順位、競技場所、共通属性及びユーザの視聴傾向というパラメータを組み合わせて、表示対象の映像を特定してもよい。映像特定部103は、例えば、特定の状況にある各選手に対して各パラメータに応じたポイントをそれぞれ付与し、付与したポイントの合計が大きい選手の映像から順番に表示対象の映像として特定する。
なお、上記の各ポイントには、各パラメータの重要度(ユーザの関心との関係性が高いパラメータほど重要)に応じて重み付けを行ってもよい。いずれの場合も、映像特定部103が、第2切替操作が行われた場合に、表示中の選手とは異なる選手が特定の状況になっていた期間に撮影された映像を特定し、映像配信部105が、こうして特定された映像への切り替えを行えばよい。これにより、スポーツ選手の映像配信において、実施例と同様に、見逃した特定の状況における映像を簡単に視聴することができる。
[2−13]未表示の映像
映像配信部105は、切替操作(第1切替操作及び第2切替操作の両方又はいずれか)が行われた場合に、表示装置30の表示面351に表示される映像を、選手(第1切替操作の場合は表示中の選手、第2切替操作の場合は表示中の選手とは異なる選手)が特定の状況になっていた期間に撮影された映像のうち、表示装置30の表示面351にまだ表示されていない映像に切り替えてもよい。
図13の例で説明する。映像配信部105は、選手Aの4番ホールのティーショットの映像が表示されている状態で、右向きの第1切替操作が行われると選手Aの5番ホールのティーショットの映像に切り替える。続いて、左向きの第1切替操作が行われると、映像配信部105は、選手Aの4番、5番ホールのティーショットの映像は表示済みなので、未表示の選手Aの3番ホールのティーショットの映像に切り替える。
また、映像配信部105は、選手Aの4番ホールのティーショットの映像が表示されている状態から上向きの第2切替操作が2回行われると、選手Bの4番ホールのティーショットの映像、選手Cの4番ホールのティーショットの映像に順次切り替える。続いて、再度上向きの第2切替操作が行われると、映像配信部105は、選手A、B、Cの4番ホールのティーショットの映像は全て表示済みなので、その旨を示すメッセージ(「全て表示済みなので他の切替操作を行ってください。」という文字列等)を表示させてもよい。
また、映像配信部105は、別の切替操作が行われたものと見做して未表示の映像に切り替えてもよい。別の切替操作は、例えば反対向きの第2切替操作(つまり下向きの第2切替操作)でもよいし、第2切替操作ではなく第1切替操作であってもよい。上記のとおり未表示の映像に切り替えることで、表示の有無に関係なく切り替えが行われる場合に比べて、より多くの映像を視聴させることができる。
[2−14]映像へのリンク
映像配信部105は、特定の映像へのリンクを表示させてもよい。本変形例では、映像特定部103が、選手が特定の状況になっていた期間に撮影された映像のうちからいずれかの映像を、リンク先の映像として選択する。この場合の映像特定部103は本発明の「選択部」の一例である。
映像特定部103は、例えば、試合会場となったゴルフ場における名物ホールで競技を行う選手の映像をリンク先の映像として選択する。また、表示装置30の操作受付部301がリンク作成の操作を受け付けるようにしておいて、映像特定部103が、リンク作成の操作が受け付けられたときに表示されていた映像をリンク先の映像として選択してもよい。
また、映像特定部103は、配信される映像を視聴する複数のユーザによる視聴時間又は視聴回数が最も多い映像をリンク先の映像として選択してもよい。また、映像特定部103は、2以上の映像(例えば視聴時間又は視聴回数が多い方から所定の数の映像)をリンク先の映像として選択してもよい。映像配信部105は、選択された映像へのリンクを表示装置30の表示面351に表示させる。
図15は表示されたリンクの一例を表す。図15の例では、表示装置30の映像表示部302が、選手Kの競技中の映像と、リンクD1、L2及びL3を表示している。各リンクとしては、例えばリンク先の選手の映像のサムネイル画像が用いられるが、図15では図を見やすくするため選手名で示している。なお、選手の映像のサムネイル画像だと小さくてどの選手か分かりにくいため、例えば予め撮影された選手の上半身又は顔を大きく映したアップショット映像がリンクとして用いられてもよい。
いずれかのリンクを選択する操作(つまりリンクへの操作)が行われると、映像配信部105は、表示面351に表示される映像を、映像特定部103により選択された映像のうち、ユーザの操作により選択されたリンクに対応する映像に切り替える。図15の例では、選手TへのリンクD1が操作されると、選手Tの映像が表示され、選手MへのリンクD2が操作されると、選手Mの映像が表示される。
リンクによる表示が行われることで、切替操作を行うよりも早く選択された選手の映像を観ることができる。なお、映像配信部105は、図15の例では、例えば視聴時間の長さが上位3人の選手T、選手M、選手Iのリンクを視聴時間が長い順に上から表示させているものとする。映像配信部105は、図15の例とは異なる配置でリンクを表示させてもよい。
図16はリンクの配置の一例を表す。図16の例では、映像配信部105は、各選手の組を示す組画像K3、K4、K5、K6、K7(それぞれ第3組から第7組を表す)を表示させている。ここで、表示中の選手Kは第5組で、リンク先の選手T、M、Iは第7組、第5組、第3組であるものとする。そこで、映像配信部105は、表示中の選手Kが第5組にいることを示す選手画像E1を組画像K5に重ねて表示させている。
また、映像配信部105は、第3組の選手IのリンクD3を組画像K3に重ねて表示させ、第5組の選手MのリンクD2を組画像K5に重ねて表示させ、第7組の選手TのリンクD1を組画像K7に重ねて表示させている。以上のとおり、映像配信部105は、選択された映像へのリンクを、そのリンクが示す映像に映る選手の位置と表示中の選手の位置との関係に応じた位置に配置して表示させる。
例えば選手MのリンクD2が選手Kの選手画像E1と同じ組画像に重ねられていることから、選手Mは選手Kと同じ組であることが分かる。また、選手Iは選手Kの2つ前の組であり、選手Tは選手Kの2つ後の組であることが分かる。以上のとおりリンクが表示されることで、ユーザは、表示中の選手とリンク先の選手との位置関係を直感的に把握することができる。
なお、図16の例において、組画像は表示されなくてもよい。その場合でも、選手画像とリンクとの位置関係から、表示中の選手とリンク先の選手との位置関係(前の組か、後ろの組か、同じ組か)が直感的に把握可能である。
[2−15]メイン画面とサブ画面
映像配信部105は、選手の映像を配信する表示領域をメインの表示領域(以下「メイン画面」と言う)及びサブの表示領域(以下「サブ画面」と言う)に分けておき、切替操作(第1切替操作又は第2切替操作)が行われた場合に次に表示される予定の選手の映像をサブ画面に表示させてもよい。
図17は本変形例で表示面351に表示される映像の一例を表す。図17の例では、映像配信部105は、メイン画面Mn1と、サブ画面Sb11、Sb12、Sb13、Sb14、Sb15(各々を区別しない場合は「サブ画面Sb10」と言う)とを表示させている。サブ画面Sb11の左右と上下に、サブ画面Sb12(左)、Sb13(右)、Sb14(上)、Sb15(下)がそれぞれ配置されている。
図17の例では、映像配信部105は、メイン画面Mn1に選手Aの4番ホールのティーショットの映像を表示させている。また、映像配信部105は、メイン画面Mn1に表示されている選手の映像をサブ画面Sb11にも表示させる。図17の例では、選手Aの4番ホールの映像であることを示す「選手A−4」という文字列をサブ画面Sb11に示している。
本変形例では、映像特定部103が、第1切替操作及び第2切替操作が行われる前から、第1切替操作及び第2切替操作が行われた場合の表示対象の映像を予め特定しておく。そして、映像配信部105は、予め特定された表示対象の映像をサブ画面Sb10に表示させる。図17の例では、映像配信部105は、図13の例において第1切替操作が行われた場合の表示対象の映像(左向き操作だと選手Aの3番ホール、右向き操作だと選手Aの5番ホール)をサブ画面Sb12、Sb13に表示させている。
また、映像配信部105は、図13の例において第2切替操作が行われた場合の表示対象の映像(上向き操作だと選手Bの4番ホール、下向き操作だと選手Dの4番ホール)をサブ画面Sb14、Sb15に表示させている。図17の例で例えば第2切替操作のうちの上向きの操作が行われた場合、映像配信部105は、メイン画面Mn1に表示されている選手の映像を、サブ画面Sb14に表示していた選手Bの4番ホールのティーショットの映像に切り替える。
上記のとおりサブ画面に選手の映像を表示させることで、切替操作を行ったときに次に映る選手が予め分かるようになり、サブ画面を表示させない場合に比べて、観たい選手の映像を探しやすいようにすることができる。なお、サブ画面の表示方法は、図17の例に限らない。映像配信部105は、例えばサブ画面Sb11を表示せずにサブ画面Sb12〜Sb15だけを表示させてもよいし、さらにサブ画面を3画面、2画面又は1画面だけ表示させてもよい。
また、映像配信部105は、次に映る予定の選手だけでなく、切替操作(第1切替操作又は第2切替操作)を2回以上繰り返したときに映る予定の選手の映像をサブ画面に表示させてもよい。具体的には、映像配信部105は、例えば第1サブ画面と第2サブ画面を用意しておき、次に映る予定の選手を第1サブ画面に表示させ、次の次に(切替操作を2回繰り返したときに)映る予定の選手を第2サブ画面に表示させる。これにより、複数回の切替操作により映る選手が予め分かるようになるため、次に映る予定の選手だけを表示させる場合に比べて、さらに観たい選手を探しやすいようにすることができる。
[2−16]開始時条件
実施例では、競技中の選手の中で最も順位の良い選手が開始時条件を満たしたが、開始時条件はこれに限らない。例えば、トーナメントの主催者又は視聴者が選手の優先順位を予め定めておき、競技中の選手の中で最も優先順位の高い選手が開始時条件を満たしてもよい。また、競技中の選手の中で最もホール数を消化した選手又は打数が最も少ない(スタートしたばかりの)選手が開始時条件を満たしてもよい。また、後述する表示選手の切替時条件を開始時条件として用いてもよい。
[2−17]第1操作及び第2操作
実施例では、左右の向きの操作が第1操作の一例として行われ、上下の向きの操作が第2操作の一例として行われたが、第1操作及び第2操作はこれらに限らない。例えば、上下の向きの操作が第1操作で左右の向きの操作が第2操作であってもよい。また、第1操作子への操作が第1操作で第2操作子への操作が第2操作であってもよい。また、タップ操作が第1操作でフリック操作が第2操作であってもよい。また、音声操作が可能な場合に、第1語句の発声が第1操作で第2語句の発声が第2操作であってもよい。要するに、定められた2通りの操作であれば、どのような操作が第1操作及び第2操作であってもよい。
[2−18]各機能を実現する装置
図5に表す各機能を実現する装置は、上述した装置に限らない。例えば、サーバ装置10が実現する機能の一部(映像特定部103及び集計部104等)を外部装置が実現してもよい。なお、サーバ装置10及び外部装置は、いずれも、クラウドサービスにより提供されるコンピュータ資源であってもよい。
また、上記の各例では、映像特定部103が、視聴傾向の判定、リンク先の映像の選択及び配信対象の映像の特定を行っていたが、これらの動作(判定、選択及び特定)を別々の機能が行ってもよい。また、映像特定部103による動作と映像配信部105による動作(映像の配信等)を1つの機能が行ってもよい。要するに、映像配信システム1全体として図5に表された機能が実現され、選手の映像が配信されるようになっていれば、装置毎の機能分担及び各機能が行う動作の範囲は自由に定められてよい。
[2−19]発明のカテゴリ
本発明は、上述したサーバ装置10及び表示装置30という情報処理装置の他、それらの情報処理装置及びカメラ20のような撮影手段を備える情報処理システム(映像配信システム1はその一例)としても捉えられる。また、本発明は、それらの情報処理装置が実施する処理を実現するための情報処理方法としても捉えられるし、それらの情報処理装置を制御するコンピュータを機能させるためのプログラムとしても捉えられる。このプログラムは、それを記憶させた光ディスク等の記録媒体の形態で提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してコンピュータにダウンロードさせ、それをインストールして利用可能にするなどの形態で提供されてもよい。
[2−20]機能ブロック
なお、上記実施例の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。たとえば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)や送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
[2−21]入出力の方向
情報等(※「情報、信号」の項目参照)は、上位レイヤ(又は下位レイヤ)から下位レイヤ(又は上位レイヤ)へ出力され得る。複数のネットワークノードを介して入出力されてもよい。
[2−22]入出力された情報等の扱い
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
[2−23]判定方法
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
[2−24]適用システム
本開示において説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE−A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT−Advanced、4G(4th generation mobile communication system)、5G(5th generation mobile communication system)、FRA(Future Radio Access)、NR(new Radio)、W−CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi−Fi(登録商標))、IEEE 802.16(WiMAX(登録商標))、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及びこれらに基づいて拡張された次世代システムの少なくとも一つに適用されてもよい。また、複数のシステムが組み合わされて(例えば、LTE及びLTE−Aの少なくとも一方と5Gとの組み合わせ等)適用されてもよい。
[2−25]処理手順等
本開示において説明した各態様/実施例の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
[2−26]入出力された情報等の扱い
入出力された情報等は特定の場所(例えばメモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
[2−27]ソフトウェア
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
[2−28]システム等
本開示において使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
[2−29]パラメータ等
本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。
[2−30]サーバ/クライアント
サーバ及びクライアントの少なくとも一方は、送信装置、受信装置、通信装置などと呼ばれてもよい。なお、サーバ及びクライアントの少なくとも一方は、移動体に搭載されたデバイス、移動体自体などであってもよい。当該移動体は、乗り物(例えば、車、飛行機など)であってもよいし、無人で動く移動体(例えば、ドローン、自動運転車など)であってもよいし、ロボット(有人型又は無人型)であってもよい。
なお、サーバ及びクライアントの少なくとも一方は、必ずしも通信動作時に移動しない装置も含む。例えば、基地局及び移動局の少なくとも一方は、センサなどのIoT(Internet of Things)機器であってもよい。また、本開示におけるサーバは、クライアント端末で読み替えてもよい。
例えば、サーバ及びクライアント端末間の通信を、複数のユーザ端末間の通信(例えば、D2D(Device-to-Device)、V2X(Vehicle-to-Everything)などと呼ばれてもよい)に置き換えた構成について、本開示の各態様/実施形態を適用してもよい。この場合、上述のサーバ装置10が有する機能を表示装置30が有する構成としてもよい。同様に、本開示におけるクライアント端末は、サーバで読み替えてもよい。この場合、上述の表示装置30が有する機能をサーバ装置10が有する構成としてもよい。
[2−31]情報、信号
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
[2−32]「判断」、「決定」
本開示で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。
また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。また、「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
[2−33]「に基づいて」の意味
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
[2−34]「第1の」、「第2の」
本開示において使用する「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみが採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
[2−35]「手段」
上記の各装置の構成における「手段」を、「部」、「回路」、「デバイス」等に置き換えてもよい。
[2−36]「含む」等
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
[2−37]冠詞
本開示において、例えば、英語でのa,an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
[2−38]「異なる」
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
[2−39]「及び」、「又は」
本開示において、「A及びB」でも「A又はB」でも実施可能な構成については、一方の表現で記載された構成を、他方の表現で記載された構成として用いてもよい。例えば「A及びB」と記載されている場合、他の記載との不整合が生じず実施可能であれば、「A又はB」として用いてもよい。
[2−40]態様のバリエーション等
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。