JP2021008616A - ポリウレア樹脂組成物、不燃用粉体及びポリウレア樹脂層の形成方法 - Google Patents

ポリウレア樹脂組成物、不燃用粉体及びポリウレア樹脂層の形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリウレア樹脂の本来的な特性を損なうことなく、難燃性(準耐火性)を持たせ、かつ、従来の工法で吹き付け可能なポリウレア樹脂組成物及び吹き付けによるポリウレア樹脂層の形成方法を提供する。【解決手段】ポリウレア樹脂組成物は、ポリアミン質量部100、ポリイソシアネート100質量部〜160質量部、膨張黒鉛15質量部〜30質量部を含み、前記膨張黒鉛の粒径を100メッシュ又はこれより小さい粒径とする。ポリウレア吹付装置100では、ポリアミンとポリイソシアネートの少なくとも一方に膨張黒鉛が添加される。ポリアミンとポリイソシアネートの混合・撹拌によって生成されたポリウレア樹脂は、摂氏60度から摂氏80度の間で加温され、所定の圧力で加圧された後、噴射口52Aから対象物に向けて噴射される。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリウレア樹脂組成物、不燃用粉体及びポリウレア樹脂層の形成方法に関し、特に、耐腐食性、耐摩耗性、防水性、耐衝撃性、伸縮性さらには不燃性に優れたポリウレア樹脂層の形成に有用なポリウレア樹脂組成物、不燃用粉体及びポリウレア樹脂層の形成方法に関する。
従来より、防水性、対衝撃性、耐腐食性等に優れたポリウレア樹脂が提案されている。このポリウレア樹脂のうち、特に、有機高分子化合物としてポリイソシアネートとポリアミンのみを用いて形成される高純度のポリウレア樹脂(純ポリウレア樹脂)は、各種の充填剤を添加することで、耐腐食性、耐摩耗性、防水性、耐衝撃性、紫外線防護性、伸縮性を向上させることができる(ポリウレア樹脂の本来的な特性)。
ポリウレア樹脂は、例えば、コンクリートブロック塀の表面に塗布して樹脂層(1.5mm〜3mm程度)を形成してこれを補強したり、クラックが生じたコンクリート壁の該クラックの内部に注入することでこれを補修/補強することができる。
しかしながら、ポリウレア樹脂は、その他の有機高分子化合物(例えば、ポリウレタン樹脂)と同様に、火災発生時、温度の上昇によって低分子化して可燃性ガスを生じるため容易に燃焼するという欠点があった。
このためポリウレア樹脂を、実際に屋外に設置されたブロック塀や、コンクリート壁のクラックの補修等に使用した場合、更には、その防水性に着目して家屋の屋上等に敷設しようとしても、その可燃性によって当該建物の難燃性(準耐火性)が得られないことから、これら建造物での使用に適さなかった。
ポリウレア樹脂以外の、一般的な他の有機高分子化合物(例えば、ポリウレタン)の充填剤に、ポリリン酸アンモニウム、ホウ砂、膨張黒鉛等を用いることで、これら他の有機高分子化合物に難燃性をもたせることが従来より行われている。
また、ポリウレア樹脂に関しては、他の有機高分子化合物に用いられる上記の各種充填剤を添加することで、難燃性をもたせることが可能であるとの提案が、例えば、次の特許文献、非特許文献で行われている。
特開2017−082229号公報 CN−A−102559022
「ポリウレアの難燃性に関する更なる研究:コーティングおよび難燃剤添加の影響」J−GLOBAL ID 整理番号:11A1320776
特に、上記の非特許文献1には、ポリウレア樹脂に難燃性をもたせるため、従来より他の有機高分子化合物に用いられている難燃添加剤(ポリリン酸アンモニウム、膨張黒鉛、ほう酸亜鉛等)を含ませることが可能である旨、開示されている。
しかしながら、実際に、ポリウレア樹脂に如何なる充填剤をどのような比率で添加するか、更には、これら充填剤を添加したポリウレア樹脂が、依然、本来的な特性(耐腐食性、耐摩耗性、防水性、耐衝撃性、紫外線防護性、伸縮性)を有しているか等について、具体的な開示、示唆が全くない。
ところで、ポリウレア樹脂は、対象物(ブロック塀、コンクリートのクラック等)に吹き付けることで、該対象物の表面に所望の膜厚の層が形成されるのが一般的であるが(吹付け工法)、上記した難燃添加剤(充填剤)を添加したポリウレア樹脂を従来の吹付け工法で、実際に吹き付け可能であるか否かについて、上記何れの特許文献、非特許文献には、全く、開示も示唆もない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ポリウレア樹脂が有する本来的な特性(耐腐食性、耐摩耗性、防水性、耐衝撃性、伸縮性等)を損なうことなく、従来の工法(吹付け工法)で、難燃性、不燃性(好ましくは、準耐火性)を持たせたポリウレア樹脂層を対象物に形成するのに適したポリウレア樹脂組成物、不燃用粉体及び該ポリウレア樹脂組成物を用いたポリウレア樹脂層の形成方法を提供することを目的とする。
第1の発明は、ポリウレア樹脂組成物を、ポリアミン質量部100、ポリイソシアネート100質量部〜160質量部、膨張黒鉛15質量部〜30質量部含むものとし、前記膨張黒鉛の粒径を100メッシュ又はこれより小さい粒径としたものである。
また、第2の発明は、ポリアミン質量部100、ポリイソシアネート100質量部〜160質量部、膨張黒鉛(粒径を100メッシュ又はこれより小さい粒径とする)15質量部〜30質量部を含むポリウレア樹脂組成物を対象物に吹き付けて所望の膜厚のポリウレア樹脂層を形成する方法に、ポリアミンとポリイソシアネートの少なくとも一方に前記膨張黒鉛を添加するステップと、前記ポリアミンと前記ポリイソシアネートを混合・撹拌して生成されるポリウレア樹脂の温度が摂氏60度から摂氏80度の間となるように前記ポリアミンと前記ポリイソシアネートを加温するステップと、前記ポリアミンと該ポリイソシアネートとを混合・撹拌して生成されるポリウレア樹脂の圧力が、所定の圧力となるように前記ポリアミンと前記ポリイソシアネートを加圧するステップと、摂氏60度から摂氏80度に加温され、かつ、前記所定の圧力に加圧された前記ポリウレア樹脂を対象物に吹き付けるステップとを含むものである。
また、第3の発明は、前記第2の発明において、更に、前記ポリアミンと前記ポリイソシアネートを加温するステップで、該ポリイソシアネートに前記膨張黒鉛が添加された場合に該ポリイソシアネートを摂氏70度から摂氏80度に加温し、前記ポリアミンに前記膨張黒鉛が添加された場合に該ポリアミンを摂氏70度から摂氏80度に加温するようにしたものである。
また、第4の発明は、ポリイソシアネートを収容する第1のタンクと、ポリアミンを収容する第2のタンクと、前記第1タンクから供給されるポリイソシアネートの温度を調整する第1の加温手段と、前記第2タンクから供給されるポリアミンの温度を調整する第2の加温手段と、前記第1のタンクから供給されるポリイソシアネートを加圧する第1の加圧手段と、前記第2のタンクから供給されるポリアミンを加圧する第2の加圧手段と、気体を圧縮する圧縮手段と、前記ポリイソシアネートと前記ポリアミンとを混合・撹拌してポリウレア樹脂を生成する生成手段と、噴射口を有し前記生成したポリウレア樹脂を該噴射口から噴射する噴射手段とを具えたポリウレア吹付装置を用いて、第1の発明に係るポリウレア樹脂組成物を対象物に吹き付けてポリウレア樹脂層を形成するに当たり、前記第1の加温手段及び前記第2の加温手段により前記噴射手段における前記ポリウレア樹脂の温度を摂氏60度から摂氏80度に保持し、前記第1の加圧手段及び前記第2の加圧手段により前記噴射手段における前記ポリウレア樹脂の圧力を所定の圧力に加圧し、該加圧されたポリウレア樹脂を前記噴射口より対象物に吹き付けてポリウレア樹脂層を形成するものである。
また、第5の発明は、第4の発明のポリウレア吹付装置の前記噴射口の口径を1.5mmとし、前記第1の加圧手段及び前記第2の加圧手段により調整される前記所定の圧力を23.5MPaから24.0MPaとしたものである。
また、第6の発明は、前記第4又は第5の発明において、前記ポリイソシアネートに前記膨張黒鉛を添加した場合に、前記第1の加温手段が前記ポリイソシアネートを摂氏70度から摂氏80度に加温し、前記ポリアミンに前記膨張黒鉛を添加した場合に、前記第2の加温手段が前記ポリアミンを摂氏70度から摂氏80度に加温するものである。
また、第7の発明は、ポリウレア樹脂(主として母剤)に添加する不燃用粉体を下記成分(A)(B)(C)及び(D)を含むこととした。
(A)膨張黒鉛
(B)臭素系難燃剤
(C)ポリリン酸メラミン
(D)シリカ粉末
また、第8の発明は、第7の発明において前記成分(A)40質量部に対して、成分(B)80質量部、(C)80質量部、前記成分(D)100質量部とした。
また、第9の発明は、吹付け工法により吹付け可能なポリウレア樹脂組成物を下記成分(ア)(イ)(ウ)(エ)及び(オ)を含むものとした。
(ア)ポリアミンとポリイソシアネートとからなる母剤組成物(母剤)
(イ)膨張黒鉛
(ウ)臭素系難燃剤
(エ)ポリリン酸メラミン
(オ)シリカ粉末
また、第10の発明は、第9の発明において、成分(ア)100質量部に対して、成分(イ)から(オ)の合計を15質量部以上40質量部以下で配合した。
また、第11の発明は、第9又は第10の発明において、成分(ア)100質量部に対して、成分(イ)から(オ)の合計を25質量部以上配合した。
また、第12の発明は、第9の発明において、成分(ア)100質量部に対して、成分(イ)から(オ)の合計を30質量部配合した。
また、第13の発明は、第9から第12の発明において、成分(イ)(ウ)(エ)(オ)を、4:8:8:10の割合で配合した。
また、第14の発明は、不燃性を備えたポリウレア樹脂層を形成するに当たって、ポリウレア樹脂の母剤に第7又は第8の不燃用粉体を添加して得られたポリウレア樹脂組成物を対象物に吹き付けて所望の膜厚に形成する方法であって、ポリアミンとポリイソシアネートの少なくとも一方に不燃用粉体を添加するステップと、前記ポリアミンと前記ポリイソシアネートを混合・撹拌して生成されるポリウレア樹脂の温度が摂氏60度から摂氏80度の間となるように前記ポリアミンと前記ポリイソシアネートを加温するステップと、前記ポリアミンと該ポリイソシアネートとを混合・撹拌して生成されるポリウレア樹脂の圧力が、所定の圧力となるように前記ポリアミンと前記ポリイソシアネートを加圧するステップと、摂氏60度から摂氏80度に加温され、かつ、前記所定の圧力に加圧された前記ポリウレア樹脂を対象物に吹き付けるステップとを含むようにした。
また、第15の発明は、第14の発明において、前記ポリアミンと前記ポリイソシアネートを加温するステップでは、該ポリイソシアネートに前記不燃用粉体が添加された場合に該ポリイソシアネートが摂氏70度から摂氏80度に加温され、前記ポリアミンに前記不燃用粉体が添加された場合に該ポリアミンが摂氏70度から摂氏80度に加温するようにした。
また、第16の発明は、ポリイソシアネートを収容する第1のタンクと、ポリアミンを収容する第2のタンクと、前記第1タンクから供給されるポリイソシアネートの温度を調整する第1の加温手段と、前記第2タンクから供給されるポリアミンの温度を調整する第2の加温手段と、前記第1のタンクから供給されるポリイソシアネートを加圧する第1の加圧手段と、前記第2のタンクから供給されるポリアミンを加圧する第2の加圧手段と、気体を圧縮する圧縮手段と、前記ポリイソシアネートと前記ポリアミンとを混合・撹拌してポリウレア樹脂を生成する生成手段と、噴射口を有し前記生成したポリウレア樹脂を該噴射口から噴射する噴射手段とを具えたポリウレア吹付装置を用いて、ポリアミンとポリイソシアネートからなる母剤組成物に第7又は第8の発明の不燃用粉体を添加して得られたポリウレア樹脂組成物を対象物に吹き付けてポリウレア樹脂層を形成するに当たり、前記第1の加温手段及び前記第2の加温手段により前記噴射手段における前記ポリウレア樹脂の温度を摂氏60度から摂氏80度に保持し、前記第1の加圧手段及び前記第2の加圧手段により前記噴射手段における前記ポリウレア樹脂の圧力を所定の圧力に加圧し、該加圧されたポリウレア樹脂を前記噴射口より対象物に吹き付けてポリウレア樹脂層を形成するようにした。
また、第17の発明は、第16の発明において、前記噴射口の口径を1.5mm、前記所定の圧力を23.5MPaから24.0MPaとした。
また、第18の発明は、第17の発明において、前記第1の加温手段は、前記ポリイソシアネートに前記不燃用粉体が添加された場合に該ポリイソシアネートを摂氏70度から摂氏80度に加温し、前記第2の加温手段は、前記ポリアミンに前記不燃用粉体が添加された場合に該ポリアミンを摂氏70度から摂氏80度に加温するようにした。
第1の発明によれば、ポリアミン100質量部、ポリイソシアネート100質量部から160質量部で混合・撹拌して生成されるポリウレア樹脂に、粒径が100メッシュ又はこれより小さい粒径の膨張黒鉛を15質量部〜30質量部添加したので、従来より用いられているポリウレア吹付装置で、ポリウレア樹脂を対象物に吹き付けることができ、該対象物の表面に所望の膜厚のポリウレア樹脂層が形成可能となる。
このときポリウレア吹付装置(特にスプレーガン装置内部)で膨張黒鉛による目詰まりが生じることもない。このとき形成されるポリウレア樹脂層は、ポリウレア樹脂の本来的な特性を損なうことなく、優れた難燃性(準耐火性)を付加することができる。
また、第2の発明によれば、従来のポリウレア吹付装置を用いた吹付け工法において、ポリアミンとポリイソシアネートの少なくとも一方に前記膨張黒鉛を添加しても、ポリアミンとポリイソシアネートとを混合・撹拌して生成されたポリウレア樹脂の温度を摂氏60度から摂氏80度の間に調整し、かつ、生成されたポリウレア樹脂を所定の圧力に加圧することで、前記生成されたポリウレア樹脂を、ポリウレア吹付装置内部での目詰まりを生じさせることなく対象物に噴射して、所望の膜厚のポリウレア樹脂層を形成することができる。
また、第3の発明によれば、第2の発明において、前記ポリイソシアネートに前記膨張黒鉛が添加された場合に該ポリイソシアネートを摂氏70度から摂氏80度に加温し、前記ポリアミンに前記膨張黒鉛が添加された場合に該ポリアミンを摂氏70度から摂氏80度に加温することで、ポリウレア吹付装置の噴射口からポリウレア樹脂を噴射することができる。
また、第4の発明によれば、第1の発明のポリウレア樹脂組成物を対象物に吹き付けるに当たり、前記第1の加温手段及び前記第2の加温手段により前記噴射部における前記ポリウレア樹脂の温度を摂氏60度から摂氏80度に保持し、前記第1の加圧手段及び前記第2の加圧手段により前記噴射部における前記ポリウレア樹脂の圧力を所定の圧力に加圧するので、該加温/加圧されたポリウレア樹脂を前記噴射口より対象物に吹き付けて所望の膜厚のポリウレア樹脂層を形成することができる。
また、第5の発明によれば、前記噴射口の口径が1.5mm、加圧能力が23.5MPa〜24.0MPaの従来のポリウレア吹付装置で、第1の発明であるポリウレア樹脂組成物を対象物に吹き付けることができる。
また、第6の発明によれば、前記ポリイソシアネートに前記膨張黒鉛が添加された場合に、該ポリイソシアネートを摂氏70度から摂氏80度に加温し、また、前記ポリアミンに前記膨張黒鉛が添加された場合に、該ポリアミンを摂氏70度から摂氏80度に加温することで、ポリウレア樹脂組成物を対象物に吹き付けて所望の膜厚のポリウレア樹脂層を形成できる。
なお、ポリイソシアネート、ポリアミンの双方に膨張黒鉛が添加された場合には、該ポリイソシアネート及び該ポリアミンの双方を、摂氏70度から摂氏80度に調整することで対象物にポリウレア樹脂組成物を吹き付けて所望の膜厚のポリウレア樹脂層を形成することができる。
また、第7の発明によれば、不燃性を持たせるため、ポリウレア樹脂に添加する不燃用粉体に(A)膨張黒鉛、(B)臭素系難燃剤、(C)ポリリン酸メラミン、(D)シリカ粉末を含ませたので、各々の難燃剤として効能を適宜組み合わせることで、所望の不燃性(準耐火性)を持たせることが可能になる。
また、第8の発明によれば、第7の発明の不燃性粉体を、前記成分(A)40質量部に対して、成分(B)80質量部、(C)80質量部、前記成分(D)100質量部としたので、各々の難燃剤としての効能の最適化が図られ、当該不燃性粉体の添加量を抑えつつ、所望の不燃性(準耐火性)を備えたポリウレア樹脂層が実現できる。
また、第9の発明によれば、ポリウレア樹脂組成物を(ア)ポリアミンとポリイソシアネートとからなる母剤組成物、(イ)膨張黒鉛、(ウ)臭素系難燃剤、(エ)ポリリン酸メラミン、(オ)シリカ粉末とで組成することで、各々の難燃剤として効能を適宜組み合わせることで、ポリウレア樹脂層に所望の不燃性(準耐火性)を持たせることが可能になる。
また、第10の発明によれば、第9の発明において成分(ア)100質量部に対して、成分(イ)から(オ)の合計を20質量部〜40質量部としたので、ポリウレア樹脂層に一定時間の燃焼によっても、炎が広がらない程度の不燃性を持たせることができる。
また、第11の発明によれば、第9又は第10の発明において、成分(ア)100質量部に対して、成分(イ)から(オ)の合計を25質量部以上としたので、一定時間の燃焼によっても、ポリウレア樹脂層の炭化が抑えられ、燃焼による液だれが抑制できる程度の不燃性(準耐火性)が可能となる。
また、第12の発明によれば、第9の発明において、成分(ア)100質量部に対して、成分(イ)から(オ)を30質量部としたので、一定時間の燃焼によっても、ポリウレア樹脂層の炭化が殆ど進まず(変形せず)、燃焼による液だれが生じないレベルの不燃性(準耐火性)が可能となる。
また、第13の発明によれば、第9から第12の発明において、成分(イ)(ウ)(エ)(オ)を4:8:8:10の割合で最適化したので、ポリウレア樹脂層に不燃性(準耐火性)を実現する際の不燃用粉体の全体量を少なくすることができ、コスト低減にもなる。
また、第14の発明によれば、第7又は第8の不燃用粉体が添付されたポリウレア樹脂を対象物に吹き付けて所望の膜厚に形成する方法において、不燃用粉体が含まれるポリアミン又はポリイソシアネートを混合・撹拌して生成されるポリウレア樹脂の温度が摂氏60度から摂氏80度の間となり、これを所定の圧力で加圧するので、対象物に吹き付けられたポリウレア樹脂は、均一に形成され、ポリウレア樹脂本体の特性を維持しつつ、優れた不燃性(準耐火性)を実現することができる。
また、第15の発明によれば、不燃用粉体が添加されたポリアミン又はポリイソシアネートが十分に加温されるので、この加温による粘性の低下により、一層安定した均一性のあるポリウレア樹脂層を吹き付けによって形成することができる。
また、第16の発明によれば、ポリアミンとポリイソシアネートからなるポリウレア樹脂の母剤(母剤組成物)に第7又は第8の発明の不燃用粉体を添加したポリウレア樹脂、又は、第9から第13の発明のポリウレア樹脂組成物を対象物に吹き付けてポリウレア樹脂層を形成するに当たり、ポリウレア樹脂の温度を摂氏60度から摂氏80度に保持でき、しかも、噴射手段における前記ポリウレア樹脂の圧力を所定の圧力に加圧できるので、本来的な特性を維持しつつ、所望の不燃性(準耐火性)を備えたポリウレア樹脂層を均一に形成することができる。
また、第17の発明によれば、第16の発明の前記噴射口の口径が1.5mm、前記所定の圧力を23.5MPaから24.0MPaとするだけで、不燃性(準耐火性)を備えたポリウレア樹脂層を吹付け工法により形成することができる。
また、第18の発明によれば、第17の発明の第1、第2の加温手段により、不燃用粉体が添加された場合でも、ポリウレア樹脂組成物の粘性を低めることで、不燃性(準耐火性)を備え等ポリウレア樹脂層を均一に形成することができ、ポリウレア樹脂の本来的な特性を維持しつつ、優れた不燃性(準耐火性)を備えたポリウレア樹脂層が形成できる。
図1は、ポリウレア吹付装置(吹付装置)100の構成を模式的に示した図である。 図2は、ポリウレア樹脂に第2の実施の形態の不燃用粉体を添加しない場合の燃焼実験の様子を示す写真である。 図3は、ポリウレア樹脂の母剤100質量部に対して不燃用粉体を15質量部添加したときの燃焼実験の様子を示す写真である。 図4は、ポリウレア樹脂の母剤100質量部に対して不燃用粉体を20質量部添加したときの燃焼実験の様子を示す写真である。 図2は、ポリウレア樹脂の母剤100質量部に対して不燃用粉体を25質量部添加したときの燃焼実験の様子を示す写真である。 図2は、ポリウレア樹脂の母剤100質量部に対して不燃用粉体を30質量部添加したときの燃焼実験の様子を示す写真である。 図2は、ポリウレア樹脂の母剤100質量部に対して不燃用粉体を40質量部添加したときの燃焼実験の様子を示す写真である。
(第1の実施の形態)
以下、第1の実施の形態に係る難燃性に優れた(好ましくは、準耐火性を具えた)ポリウレア樹脂、及びこれを用いたポリウレア樹脂層の形成手法について説明する。
この第1の実施の形態で用いられるポリウレア樹脂の母剤は、有機高分子化合物としてポリイソシアネートとポリアミンのみを用いたものである(純ポリウレア樹脂)。
有機高分子化合物としてポリイソシアネートとポリアミンのみを用いた純ポリウレア樹脂は、各種の充填剤を添加することで、優れた耐腐食性、耐摩耗性、防水性、耐衝撃性、伸縮性を発揮できる。
まず、純ポリウレア樹脂の「本来的な特性」について説明する。
次の「表1」は、青島沙木新材料有限公司が提供するポリウレア樹脂「Qtech−406」の特性を示すものである。この「Qtech−406」は、添加する充填剤を工夫することで特に「防水性」を高めたものである。
次の「表2」は、青島沙木新材料有限公司が提供するポリウレア樹脂「Qtech−417」の特性を示すものである。この「Qtech−417」は、添加する充填剤を工夫することで特に「弾力性」を高めたものである。
次の「表3」は、青島沙木新材料有限公司が提供するポリウレア樹脂「Qtech−420」の特性を示すものである。この「Qtech−420」は、添加する充填剤を工夫することで特に「耐衝撃性」を高めたものである。
ところで、これらのポリウレア樹脂は、他の有機高分子化合物と同様に、温度上昇に伴う熱分解により低分子量化し、燃焼しやすい気体生成物を発生させるため、火災等の発生時、燃焼がし易い。よって、特に、火気のある場所での使用には向いていない。
ポリウレア樹脂に難燃性を持たせるには、従来より他の有機高分子化合物(例えば、ポリウレタン)に用いられていた難燃化剤(例えば、ポリリン酸アンモニウム、ホウ砂、膨張黒鉛など)を充填剤として使用すること考えられるが(例えば、非特許文献1)、どのような充填剤をどのように添加すれば、上記ポリウレア樹脂の本来的な特性を損なうことなく、難燃性を実現できるかを具体的に検討する必要がある。
さらに、ポリウレア樹脂は、ブロック塀、コンクリート壁のクラック、建物の屋上防水シートに塗布すること等が予定されることから、従来より用いられているポリウレア吹付装置を用いた簡易な工法(吹付け工法)で、これらブロック塀等の対象物に、難燃性(準耐火性)を付加したポリウレア樹脂層を所望の膜厚(1.5〜3mm)に形成できるか否かを具体的に検討する必要がある。
なお、この実施の形態で難燃性(好ましくは、準耐火性)を追加するポリウレア樹脂の組成物は、有機高分子化合物としてポリイソシアネート(A剤)とポリアミン(B剤)のみを用いたもの(純ポリウレア樹脂)であり、ポリアミン100質量部に対して、ポリイソシアネート100質量部〜160質量部とした。
なお、ポリウレア樹脂としては、ポリアミン100質量部に対してポリイソシアネート110質量部とするのが最適であることは、当業者には自明である。
本発明者は、ポリアミン100質量部に対して、ポリイソシアネートを100質量部〜160質量部の範囲で、ポリウレア樹脂に期待されている本来的な特性(代表的な特性である伸縮性の有無で判断)が発揮できることを確認した。

なお、ポリアミン100質量部に対してポリイソシアネート90質量部では、所望の伸縮性が得られず、ポリウレア樹脂の本来的な特性が期待できない。
また、ポリアミン100質量部に対してポリイソシアネート170質量部でも、所望の伸縮性が得られず、ポリウレア樹脂の本来的な特性が期待できない。
ポリウレア樹脂の伸縮性に関しては、その利用目的に応じて要求させる値(上記した「表1」〜「表3」の破断伸び率等)が異なる。すなわち、実際に吹き付けられるコンクリートブロック塀、注入されるコンクリートのクラック、建物の屋上等の使用目的、顧客が要求するスペックによって、許容できる伸縮性等は異なる。
このため本発明者は、上述のようにポリアミン100質量部に対して、ポリイソシアネート100質量部から160質量部のポリウレア樹脂(母剤)であれば、技術常識に照らし、上記例示した使用用途等において十分な伸縮性等が得られると考えた。
なお、防水性に関して、「表4」のNo1〜No5の何れでも問題は生じなかった。
このポリウレア樹脂に難燃性(準耐火性)を如何に持たせるかを検討するため、本発明者は従来より提案されたいた一般的な充填剤(ポリリン酸アンモニウム、ホウ砂、膨張黒鉛(80メッシュ:175〜177ミクロン))を用意し、これを、最適な混合比率であるポリアミン100質量部、ポリイソシアネート110質量部の組成物に添加し、この添加した組成物で、
(1)ポリウレア樹脂層を対象物に従来工法で容易に形成できするか否か
(2)形成されたポリウレア樹脂層が難燃性(準耐火性)を発揮するか否か
を検討した。
結果は、次の「表5」の通りである。
上記「表5」から明らかなように、ポリリン酸アンモニウムを充填剤として20質量部添加したポリウレア樹脂組成物は、非添加のものと比較して難燃性を付加することができるものの、燃焼時にすぐに溶解するため、難燃性(準耐火性)の効果がすぐになくなる。まお、従来のポリウレア吹付装置による吹付け工法でのポリウレア樹脂層の形成は可能である。
ホウ砂(粉状)を充填剤として20質量部添加したポリウレア樹脂組成物は、非添加のものと比較して難燃性を付加することができるものの、燃焼時すぐに溶解するため難燃性(準耐火性)の効果がすぐになくなる。なお、従来のポリウレア吹付装置による吹付け工法でのポリウレア樹脂層の形成は可能である。
従来より広く用いられている膨張黒鉛(80メッシュ=ミクロンに換算すると175〜177ミクロン)を充填剤として15質量部添加したポリウレア樹脂組成物は、非添加のものと比較して極めて優れた難燃性(準難燃性)を実現することができた(ここでは、手塗りで確認)。
しかしながら、膨張黒鉛(80メッシュ)を添加したポリウレア樹脂層を、従来のポリウレア吹付装置で対象物に吹き付けて形成しようとすると、ポリウレア吹付装置内部で生成されたポリウレア樹脂が高圧となるため、ポリウレア吹付装置のスプレーガンの内部や噴射口(1.5mm程度)に粒径の大きい膨張黒鉛が付着し目詰まりを生ずるという不具合がある。
これは膨張黒鉛自体の粒径が大きいこと(80メッシュ)と膨張黒鉛を添加したことによりポリウレア樹脂の粘性が高くなることによる。
以上の結果(「表5」)を踏まえ、本発明者はポリウレア樹脂に難燃性(準耐火性)を付加する充填剤としては膨張黒鉛が最も好ましいと判断した。
そして、膨張黒鉛を用いた際の不具合、すなわち、ポリウレア吹付装置内部(特にスプレーガンの部分)に生じうる目詰まりを、如何に防いで、従来のポリウレア吹付装置をそのまま用いた吹付作業が可能となるポリウレア樹脂組成物を検討した。
ここでポリウレア樹脂層を形成するために従来より使用されているポリウレア吹付装置について説明する。
従来のポリウレア吹付装置としては、例えば、シャム社製の『ポリウレアスプレー機』が知られている。
次の「表6」は、シャム製の『ポリウレアスプレー機(PHX−3)』の仕様書に記載されたポリウレア吹付装置の性能である。
図1は、従来より用いられている一般的なポリウレア吹付装置100の構成を模式的に示した図である。
ポリウレア吹付装置100は、ポリイソシアネート(A剤)を貯留する第1のタンク10と、ポリアミン(B剤)を貯留する第2のタンク20と、圧縮機40と、ポリイソシアネートとポリアミンとを混合撹拌して生成されたポリウレア樹脂(ポリウレア樹脂組成物)を対象物に吹き付けるためのスプレーガン装置50とを備えている。
前記第1のタンク10は、第1の配管11によって前記スプレーガン装置50に連通され、前記第2のタンク20は、第2の配管21によって前記スプレーガン装置50内部に連通されている。
前記第1の配管11の、前記第1のタンク10と前記スプレーガン装置50との間には、第1のポンプ12が設けられている。また、前記第2の配管21の、前記第2のタンク20と前記スプレーガン装置50との間には、第2のポンプ22が設けられている。
前記第1のポンプ12は、圧縮調整機構30からの制御信号によって前記第1のタンク10からスプレーガン装置50に供給されるポリイソシアネートの圧力を調整する。前記第2のポンプ22は、圧縮調整機構30からの制御信号によって前記第2のタンク20からスプレーガン装置50に供給されるポリアミンの圧力を調整する。
前記圧縮調整機構30は、制御部60からの指令を受けて第1のポンプ12、第2のポンプ22に前記制御信号を各々出力する。
これら第1のポンプ12、第2のポンプ22により、スプレーガン装置50内での圧力の最大値は略24MPa程度に調整可能となる(「表6」参照)。
前記第1のポンプ12、前記第2のポンプ22によって、各々加圧されたポリイソシアネート及びポリアミンは、スプレーガン装置50内部で混合・撹拌され、ポリウレア樹脂が生成される。
前記圧縮機40は、第3の配管41によって、前記スプレーガン装置50内部に連通している。この圧縮機40によって圧縮されたエアーは前記プレーガン装置50内部に供給される。
前記第1の配管11には、第1の加温機13が配置され、前記第1のタンク10から前記スプレーガン装置50内部に供給されるポリイソシアネートの温度が所望の温度(少なくとも摂氏60度〜摂氏80度)に調整可能となっている。第1の加温機13によって加温されたポリイソシアネートは、ホースヒーター14によって温度が維持される(加温の最大値は摂氏88度:「表6」参照)。
また、前記第2の配管21には、第2の加温機23が配置され、前記第2のタンク20から前記スプレーガン装置50内部に供給されるポリアミンの温度が所望の温度(摂氏60度〜摂氏80)に調整可能になっている。前記第2の加温機23によって加温されたポリアミンは、ホースヒーター24によって温度が維持される(加温の最大値は摂氏88度:「表6」参照)。
なお、制御部60は、スイッチSWの切り替え状態に基づいて、イソシアネート(A剤)に膨張黒鉛が添加されているか否か、ポリアミン(B剤)に膨張黒鉛が添加されているか否か、膨張黒鉛が添加される量等を認識し、これらの情報に基づいて第1のポンプ12及び第2のポンプ22によるポリウレア樹脂の圧力、第1の加温機13及び第2の加温機23によるポリウレア樹脂の温度を適宜制御する。
この実施の形態では、粒径が100メッシュの膨張黒鉛(充填剤)は、ポリイソシアネート(A剤)に添加される。
このため、第1の加温機13によりポリイソシアネートの温度は摂氏70度〜摂氏80度に調整される。膨張黒鉛が添加されないポリアミンは、第2の加温機23によりポリイソシアネートより低い温度に調整される(摂氏60度〜摂氏70度)。
このように膨張黒鉛が添加されたポリイソシアネートの温度を、添加されていないポリアミンの温度より高く調整するのは、膨張黒鉛の添加によって高まる粘度を、温度を上げることで小さく抑えるためである。このときスプレーガン装置50内部で生成されるポリウレア樹脂は、概ね摂氏60度以上摂氏80度以下となる。
仮に、粒径が100メッシュの膨張黒鉛をポリアミンのみに添加するのであれば、ポリアミンの温度を摂氏70度〜摂氏80度、ポリイソシアネートの温度を摂氏60度〜70度とすればよい。このときスプレーガン装置50内部で生成されるポリウレア樹脂は、概ね摂氏60度以上摂氏80以下となる。
このように粒径が100メッシュの膨張黒鉛の添加によって粘性が高まる溶剤(ここではA剤)の温度だけを高めることで、加温に必要な電力を抑えることができる。
また、膨張黒鉛をポリイソシアネート(A剤)とポリアミン(B剤)の双方に添加するのであれば、ポリイソシアネートとポリアミンの両方の温度を摂氏70度〜摂氏80度とすれば、双方の粘性を低く抑えることができる。このときスプレーガン装置50内部で生成されるポリウレア樹脂は、概ね摂氏70度〜摂氏80度となる。
前記第1のポンプ12で加圧され前記第1の前記加温機13で加温されたポリイソシアネート(A剤)と、前記第2のポンプ22で加圧され前記第2の加温機23で加温されたポリアミン(B剤)は、共に、前記スプレーガン装置50内部に給送されて混合・撹拌され(衝突混合)、化学反応でポリウレア樹脂が生成される。
前記スプレーガン装置50内部での混合・撹拌により生成されたポリウレア樹脂は、圧縮機40から供給される圧縮空気と混合され、ガン部52のトリガ52Bを引くことで、噴射口52Aから開放され、霧状に噴射される。
このときスプレーガン装置50内部で混合・撹拌されて生成されるポリウレア樹脂は、所定の温度(摂氏60度〜80度)に保たれ、粘性が低くなっているので、噴射口52A(口径1.5mm)の開口時、所望の流量(第1の実施の形態では、10L/min)で噴射される(ポリウレア樹脂は、スプレーガン装置50内部で23.5〜24.0MPa)。
このとき添加されている膨張黒鉛は、粒径が小さく、ポリウレア樹脂の粘性も低いのでスプレーガン装置50内部(特に、噴射口52A)で目詰まりが生じることもない。
このようにポリウレア吹付装置100では、ポリイソシアネート(A剤)、ポリアミン(B剤)が、スプレーガン装置50内部で所望の温度に加温調整できるため、ポリイソシアネート(A剤)とポリアミン(B剤)の反応条件(樹脂反応)を安定化させることができ、かつ、膨張黒鉛が添加されたポリイソシアネート(A剤)又はポリアミン(B剤)を高温に調整することで、膨張黒鉛の添加によって粘性が高くなることを抑えることができる。
ところで、ポリイソシアネートに添加される膨張黒鉛の比率が同じであれば、粒径を小さく(100メッシュ又はこれより小さい粒径)した分だけ、難燃性は低下すると考えられる。
よって、粒径が比較的大きい従来の膨張黒鉛(80メッシュまたはそれ以上の粒径)を添加する場合(ポリアミン100質量部、ポリイソシアネート100質量部〜160質量部に対して膨張黒鉛15質量部=「表5」)と同等の難燃性(準耐火性)を実現させるのであれば、粒径が小さくなった分、膨張黒鉛を添加する量を増やす必要がある(ポリアミン100質量部、ポリイソシアネート100質量部〜160質量部に対して、膨張黒鉛を30質量部)。
このように添加する膨張黒鉛の量を増やせば、混合・撹拌により生成されたポリウレア樹脂の粘性が高くなるが、この実施の形態では、混合・撹拌により生成されたポリウレア樹脂が高温(摂氏60度〜摂氏80度)に調整されるので、粘性を低く抑えたままにすることができ、ポリウレア吹付装置100のスプレーガン装置50からの噴射が可能となる。
また、膨張黒鉛による難燃性(準耐火性)の効果を多少弱めてもよいのであれば、膨張黒鉛の添加量を、粒径が大きい従来の膨張黒鉛を用いた場合(ポリアミン100質量部、ポリイソシアネート100質量部〜160質量部に対して、膨張黒鉛15質量部)と同じにすることもできる。
従来用いられていた粒径80メッシュの膨張黒鉛を、ポリアミン100質量部、ポリイソシアネート100質量部〜160質量部に対して、15質量部添加すれば、火炎が生じることなくポリウレア樹脂が炭化するまでの時間が60秒となるが(「表5」参照)、100メッシュの膨張黒鉛を同量(15質量部)とすれば、火炎が生じることなくポリウレア樹脂が炭化するまでの時間は30秒程度とやや短くなる(後述の「表7」参照)。
以上説明したように、この第1の実施の形態では、従来のポリウレア吹付装置(噴射口の口径1.5mm、加圧能力23.5〜24.0MPa、温度調整が摂氏88度まで可能=「表6」)をそのまま用いることができるように、ポリウレア樹脂に添加する膨張黒鉛の粒径を小さくし(粒径100メッシュ)、添加する量を、ポリアミン100質量部、ポリイソシアネート100質量部〜160質量部に対して15質量部〜30質量部とした。
そして、ポリイソシアネートとポリアミンとを混合・撹拌して生成されたポリウレア樹脂をスプレーガン装置の内部で摂氏60度〜摂氏80度に加温・維持することで、該ポリウレア樹脂を対象物に吹き付け、所望の膜厚のポリウレア樹脂層を形成することができるようになる。このときポリウレア吹付装置100(特に、スプレーガン装置50内部)での目詰まりを生ずることはない。
本発明者は、粒径が100メッシュの膨張黒鉛を添加したポリウレア樹脂(ポリウレア樹脂組成物)を用いて対象物に所定の膜厚(ここでは、2mm)のポリウレア樹脂層を形成した場合の難燃性(準耐火性)を確認した(燃焼実験)。
実験結果は、次の「表7」の通りである。
なお、前述したようにポリウレアの本来的な特性(伸縮性)が十分に発揮されるポリアミンとポリイソシアネートの比率は、ポリアミン100質量部に対してポリイソシアネート100質量部〜160質量部であることから、以下の比率のポリウレア樹脂組成物を用意した。
(1)ポリアミン100質量部、ポリイソシアネート100質量部、膨張黒鉛15質量部=(試料1)
(2)ポリアミン100質量部、ポリイソシアネート100質量部、膨張黒鉛30質量部=(試料2)
(3)ポリアミン100質量部、ポリイソシアネート160質量部、膨張黒鉛15質量部=(試料3)
(4)ポリアミン100質量部、ポリイソシアネート160質量部、膨張黒鉛30質量部=(試料4)
上記各ポリウレア樹脂組成物(試料1〜試料4)は、対象物(20cm×20cmのコンクリート板)に膜厚が2mm程度に形成され、これを室温(20℃程度)で6時間放置し、十分に乾燥させた。
なお、この燃焼実験では、粒径が100メッシュの膨張黒鉛を一定の比率(ポリアミン100質量部、ポリイソシアネート10質量部〜160質量部に対して、膨張黒鉛15質量部〜30質量部)で添加した場合のポリウレア樹脂の難燃性(準耐火性)が確認できれば十分であるから、便宜上、所謂「手塗り」でポリウレア樹脂層を形成して、その難燃性(準耐火性)を確認した。
組成比が異なる(試料1〜試料4)ポリウレア樹脂層(膜厚2mm)が形成されたコンクリート板1〜4を垂直に立て、市販のトーチバーナーでそれぞれの表面を燃焼させた。このときトーチバーナーの炎の先端が、コンクリート板に接するように配置した。
燃焼経過時間と、コンクリート板1〜4の各々の燃焼結果は、次の「表7」の通りである。
なお、第1の実施の形態で得られた難燃性(準耐火性)を確認するため、20cm×20cmのコンクリート板5表面に、80メッシュの膨張黒鉛を含むポリウレア樹脂層(試料5)を厚さ2mmで形成したものを用意した。
この「表7」の実験結果から明らかなように、ポリアミン100質量部、ポリイソシアネート100質量部からなるポリウレア樹脂の母剤に、更に、膨張黒鉛(100メッシュ)を15質量部、30質量部を、それぞれ添加した2つの試料1、試料2でポリウレア樹脂層を形成した何れの場合でも、30秒〜60秒が経過するまでは発火することはなかった。これは、80メッシュの膨張黒鉛30質量部を充填剤として用いた試料5の実験結果(60秒)とほぼ同じ結果であった。
また、ポリアミン100質量部、ポリイソシアネート160質量部からなるポリウレア樹脂の母剤に、膨張黒鉛(100メッシュ)を15質量部、30質量部を添加した2つの試料3、試料4でポリウレア樹脂層を形成した何れの場合でも、30秒〜60秒が経過するまでは発火することはなかった。これは、80メッシュの膨張黒鉛30質量部を充填剤として用いた試料5の実験結果(60秒)とほぼ同じ結果であった。
また、一定時間の燃焼の後に生じた試料表面の状態も、試料1〜試料4、及び試料5とで見た目でも差異がなかった。
これらのことから、膨張黒鉛の粒径を従来の80メッシュ(175〜177ミクロン)から100メッシュ(147〜149ミクロン)に変更しても、膜厚2mm程度のポリウレア樹脂層に関し、30秒〜60秒に亘った燃焼に十分に耐えられることが分かった。
以上のように、ポリアミン100質量部に対してポリイソシアネート100質量部〜160質量部としたポリウレア樹脂の母剤に、充填剤として100メッシュの膨張黒鉛を15質量部〜30質量部を添加し(ポリウレア樹脂組成物)、これを吹き付けてポリウレア樹脂層を形成した場合でも、粒径の大きい(80メッシュ又はそれ以上の粒径)膨張黒鉛を充填剤として用いた場合と同等の優れた難燃性(準耐火性)が得られた。
ポリアミン100質量部に対してポリイソシアネート100質量部〜160質量部のポリウレア樹脂(母剤)に、膨張黒鉛を15質量部〜30質量部添加したものは、従来より用いられているポリウレア吹付装置100において、混合・撹拌して生成される。
この生成されたポリウレア樹脂は、ポリウレア吹付装置100のスプレーガン装置50内で摂氏60〜80度に加温調整されるので粘性が低く抑えられ、当該噴射口(口径1.5mm)から対象物に十分に吹き付けが可能になる。
このときスプレーガン装置50内部でのポリウレア樹脂の圧力を23.5〜24.0MPaに調整することで噴射口52Aからの噴出量を10L/minとすることができる。
なお、膨張黒鉛は、添加する膨張黒鉛の量が少ない方が形成後のポリウレア樹脂層の本来的な特性を損なうおそれが少なく、また、膨張黒鉛が少なくて済む分、製造コストを低くすることができる。よって、その使用目的によっては、ポリアミン100質量部、ポリイソシアネート100質量部〜160質量部に対して、膨張黒鉛15質量部とすることで、形成されたポリウレア樹脂層に不燃性(準耐火性)を付加しつつ、製造コストを抑えることができる。
なお、第1の実施の形態では、膨張黒鉛の粒径を100メッシュの場合について説明したが、粒径を100メッシュより小さい粒径としても、従来のポリウレア吹付装置100を用いたポリウレア樹脂の吹き付けは十分に可能である。
これは粒径が更に小さくなればポリウレア吹付装置100(特にスプレーガン装置50内部)での目詰まりの虞れがなくなるからである。
このとき膨張黒鉛の添加によって粘性が高くなるのであれば、膨張黒鉛が添加された溶液(A剤又はB剤)の温度調整を更に高くすればよい(例えば、「表6」のポリウレア吹付装置であれば摂氏88度近くまで)。
このように膨張黒鉛の粒径をより小さくしたときに、十分な難燃性(準耐火性)を達成するために添加する量を増やすことも可能であるが、その場合には混合・撹拌により生成されるポリウレア樹脂の調整温度を更にあげることで、粘性を低く抑えたままスプレーガン装置50からの吹き付けを可能にすることができる。
なお、上記した実施の形態では、主として、粒径が100メッシュの膨張黒鉛をイソシアネートに添加する例をあげて説明したが、膨張黒鉛はポリアミンにのみ添加してもよいし、ポリイソシアネートとポリアミンの両方に添加してもよいのは当然である。
(第2の実施の形態)
次に、本願の第2の実施の形態について図2〜図7を用いて説明する。
この第2の実施の形態で、ポリアミンとポリイソシアネートからなる母剤(この第2の実施の形態でも第1の実施の形態と同様の純度の高い母剤が用いられる)に添加される不燃性粉体は、少なくとも以下を含む。
(A)膨張黒鉛(粒径100メッシュ)
(B)臭素系難燃剤
(C)ポリリン酸メラミン
(D)シリカ粉末
なお、膨張黒鉛は、第1の実施の形態のポリウレア吹付装置100を用いてポリウレア樹脂層を形成できるように、粒径を100メッシュより小さいものとした。因みに、ポリウレア吹付装置100の吹き付け圧力、温度調整、開口部の大きさを適宜設計変更すれば、膨張黒鉛の粒径を80メッシュ程度とすることも可能である。
また、上記した不燃用粉体における各成分(A)〜(D)の最適な割合は以下の通りである。
(A)膨張黒鉛: 40質量部
(B)臭素系難燃剤: 80質量部
(C)ポリリン酸メラミン:80質量部
(D)シリカ粉末: 100質量部
かかる構成の「不燃性粉体」を、ポリアミンとポリイソシアネートとからなるポリウレア樹脂の母剤(母剤組成物)にどの程度(何%)添加するかは、吹付け工法で実際に形成するポリウレア樹脂層にどの程度の「不燃性(準耐火性)」を実現するかによって異なる。
そこで、本発明者は、ポリウレア樹脂の母剤(ポリアミンとポリイソシアネート)に添加する「不燃用粉体」の割合を以下の(2)〜(6)のように変え、それぞれの割合で「不燃性(準耐火性)」がどの程度実現できるかを燃焼実験によって確認した。
なお、以下の燃焼実験を行うに当たっては、(A)の膨張黒鉛は、伊藤黒鉛工業社の「9510045(−100mesh)」、(B)の臭素系難燃剤は、帝人株式会社の「ファイヤガード(FG8500)」である(「ファイヤガード」は、帝人株式会社の登録商標)、(C)のポリリン酸メラミンは、クラリアントケミカルズ株式会社の「EXOLIT AP462」を用いた(「EXOLIT」は、クラリアント プロドゥクテ(ドイチュラント)ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの登録商標)。
また、(D)シリカ粉末に関しては、市販されている一般的なシリカ粉末(微粒二酸化ケイ素、低融点ガラス粉末)を用いた。
(1) 0%(図2)
(2)15%(図3)
(3)20%(図4)
(4)25%(図5)
(5)30%(図6)
(6)40%(図7)
この燃焼実験を行なうに当たっては、不燃用粉体を添加しないポリウレア樹脂(1)、不燃用粉体を添加したポリウレア樹脂(2)〜(6)を用いて、300mm×300mm、厚さ9mmのベニア板の表面に、ポリウレア樹脂層を厚さ3mm程度にそれぞれ形成した試料を用意した(図2〜図7)。なお、燃焼実験に当たっては、所謂「手塗り」によって試料を作製したが、「手塗り」によってムラが生じ得るポリウレア樹脂層するよりも、ポリウレア吹付装置100を用いた「吹付け工法」によるポリウレア樹脂層の方が、膜質の均一性に優れ、ポリウレア樹脂層の本体的な特性及び本発明による不燃性(準耐火性)が優れる。
上記用意した(1)〜(6)の各試料を用いて120秒間(2分間)の燃焼実験を行った実験結果を図2〜図7に示す。
燃焼実験は、各試料(1)〜(6)を垂直に立てて、燃焼面から150mm離れた位置からトーチバーナーで、2分間、炎を垂直に当てた(バーナーの温度は約1200度)。
第2の実施の形態に係る「不燃用粉体」を添加しない(1)の場合(0%)には、図2に示すように、15秒経過時点で、バーナー炎が当たる箇所の変色が始まり、30秒経過時点では、煙がたちはじめ、液だれも始まる。60秒経過時点では液だれが著しくなり煙も多くなる。1分30秒経過時点では、液だれが激しくなり、ベニア板の地が見え始め、1分50秒経過したとき延焼し始めた。
「不燃用粉体」を15%添加した(2)の場合には、図3に示すように、燃焼開始から10秒経過時点で、バーナー炎が当たる箇所が膨らみはじめ、30秒経過時点では、膨らみが増して炭化が進み、樹脂の溶融による液だれが始まった(この間、瞬間的に炎が生じるもすぐ消え、延焼することはなかった)。60秒経過時点では液だれが著しくなり炎が大きくなった(ここでも燃え広がることはなかった)。1分20秒経過時点では、さらに液だれが激しくなり、ベニア板の地が見え始め、1分30秒経過時点ではバーナーの炎が当たる箇所の樹脂が溶け落ち、ベニア板の一部が燃えたがポリウレア樹脂層自体が延焼することはなかった。
「不燃用粉体」を20%添加した(3)の場合には、図4に示すように、燃焼開始から10秒経過時点で、バーナーの炎が当たる箇所の炭化がはじまり、20秒経過時点では、その箇所を中心に炭化が進み膨らみが増した(このとき瞬間的に炎が生じたが、すぐに消えた)。30秒経過時点では液だれが始まり、60秒経過時点で液だれが著しくなった。1分30秒経過時点では、液だれがさらに著しくなり、時折生じる炎が目立つようになった(この場合でもポリウレア樹脂に炎が燃え広がることはなかった)。2分経過時点では、液だれが激しくなり燃焼面の炭化による膨張も激しくなった(依然、炎が広がることはなかった)。全体を通じて十分な不燃性(準耐火性)が実現できた。
「不燃用粉体」を25%添加した(4)の場合には、図5に示すように、燃焼開始から10秒経過時点で、バーナー炎が当たる箇所が変色し(殆ど炭化は始まらない)、30秒経過時点では、炭化が目立つようになった(一瞬、炎が生じるもすぐに消え、液だれもない)。30秒から60秒経過時点は状態は殆ど変わらない。1分30秒経過時点では液だれが目立つようになるものの燃焼面(バーナー炎が当たる箇所)に著しい変化はなかった。1分30秒〜2分経過時点までも大きな変化はなく、燃焼面が広がる程度であった。全体を通じて、樹脂の液だれは生じるものの、(3)の場合と比べても、十分な不燃性(準耐火性)が得られた。
「不燃用粉体」を30%添加した(5)の場合には、図6に示すように、燃焼開始から10秒経過時点で、バーナー炎が当たる箇所を中心に少し変色した(殆ど炭化は始まらない)。30秒経過時点までは殆ど変わらず、少し炭化が進む程度であった。60秒経過時点では炭化が目立つようになった(一瞬、炎が生じるもすぐに消え、液だれも生じない)。1分30秒経過時点では、一瞬生じる炎が大きく感じられるもののすぐに消え、燃え広がることもない。1分30秒経過時点以降、2分経過しても、液だれが生ずることもなく、燃焼面(バーナー炎が当たる箇所)に殆ど変化はなかった。
「不燃用粉体」を40%添加した(6)の場合は、上述した30%添加したときと、殆ど同じで、燃焼面の変色、炭化の広がり方が30%添加時に比べて、少し狭い程度であった。
このようにポリイソシアネートとポリアミンとからなるポリウレア樹脂の母剤(母剤組成物)に対し不燃用粉体を30%、40%の何れの場合でも、上記のように少なくとも2分間の燃焼実験の間、炎も煙も目立つほど生ずることはなく、きわめて優れた不燃性(準耐火性)が実現できた。しかも、バーナーの炎によって変色、炭化する範囲が時間が経過しても殆ど広がることもなく、樹脂の液だれも生じない。
以上のことから、燃焼時に、単にポリウレア樹脂自体の燃焼を防ぐのであれば「不燃用粉体」の添加量は、ポリウレア樹脂の母剤100質量部に対して15質量部(15%)程度でも良い。
また、一定時間以上のポリウレア樹脂層での炎の広がりを防止するだけの不燃性(準耐火性)を実現したいのであれば、「不燃性粉体」の添加量は、ポリウレア樹脂の母剤100質量部に対して20質量部(20%)程度でよいことが解る。
また、「炎の広がり」を防止するのみならず、燃焼面の炭化、膨張を抑え、液だれも抑える程度の不燃性(準耐火性)を実現したいのであれば、「不燃性粉体」の添加量は、ポリウレア樹脂(母剤)100質量部に対して25質量部(25%)程度となる。
さらに、「炎の広がり」を防止し、かつ、燃焼面の炭化、膨張をも抑え、液だれを生じさせない程度の不燃性(準耐火性)を実現したいのであれば「不燃性粉体」の添加量は、ポリウレア樹脂(母剤)100質量部に対して30質量部(30%)とすればよい。この場合、2分間の燃焼実験を通して、ポリウレア樹脂層は、燃焼時の変形が殆どない。なお、不燃用粉体を40%添加した場合、30%の場合と不燃性(準耐火性)について違いがない。よって、ポリウレア樹脂の本来的な特性を保持するには、不純物をできるだけ少なくすべきこと、さらにはポリウレア樹脂層を形成する際のコストを抑えることを鑑みれば、不燃用粉体を30%添加すれば十分である。
以上説明した不燃性(準耐火性)を有するポリウレア樹脂を、実際に対象物に吹き付けるに当たっては、第1の実施の形態のポリウレア吹付装置100を用いることができる(図1)。
これは、この第2の実施の形態の「不燃用粉体」に添加される「膨張黒鉛」が100メッシュだからである。
ポリウレア吹付装置(吹付装置)100で「不燃用粉体」を含むポリウレア樹脂(ポリウレア樹脂組成物)を対象物に吹き付けるには、以下の手法が用いられる。なお、ポリウレア吹付装置100の構成、作用については、第1の実施の形態で説明しているため、この第2の実施の形態では、その詳細な説明は省略する。
(1) まず、ポリアミンとポリイソシアネートの少なくとも一方に不燃用粉体を、所望の量(この実施の形態では、15%〜40%)添加する。
(2) ポリアミンとポリイソシアネートを混合・撹拌して生成したポリウレア樹脂の温度を摂氏60度から摂氏80度の間となるように加温する。
(3) ポリアミンとポリイソシアネートを混合・撹拌して生成したポリウレア樹脂の圧力を所定の圧力となるようにポリアミンとポリイソシアネートを加圧する。
(4) 摂氏60度から摂氏80度に加温され、かつ、所定の圧力に加圧された前記ポリウレア樹脂を対象物に吹き付ける。
この際、ポリアミンとポリイソシアネートを加温するに当たっては、ポリイソシアネートに不燃用粉体を添加した場合には、ポリイソシアネートを摂氏70度から摂氏80度に加温する。
一方、ポリアミンに不燃用粉体を添加した場合には、ポリアミンを摂氏70度から摂氏80度に加温する。これらの加温は、ポリウレア吹付装置100に設けられた加温器13,23によって行われる。
このポリウレア吹付装置100では、前述したように噴射口の口径が1.5mm、前記所定の圧力が23.5MPaから24.0MPaであるため、粒径が100メッシュ(又はこれより粒径の小さい)膨張黒鉛を含んだ不燃用粉体がポリウレア樹脂の母剤(母剤組成物)に添加されていても、ポリウレア吹付装置100を用いて、対象物にポリウレア樹脂層を均一に形成することができる。
また、ポリウレア吹付装置100によれば、ポリイソシアネートに不燃用粉体が添加された場合に該ポリイソシアネートを摂氏70度から摂氏80度に加温することで、その粘性を低く抑えられ、ポリアミンに不燃用粉体が添加された場合に該ポリアミンを摂氏70度から摂氏80度に加温することで、その粘性を低く抑えられるので、ポリウレア樹脂(ポリウレア樹脂組成物)の全体としての粘性を低くでき、粒径が100メッシュ(又はこれより粒径の小さい)の膨張黒鉛を含む「不燃用粉体」をポリウレア樹脂の母剤に添加しても、当該ポリウレア樹脂(ポリウレア樹脂組成物)を対象物に均一に吹き付けて形成することができる。均一な吹付けにより形成されたポリウレア樹脂層は、ポリウレア樹脂の本来的な特性を損なうことなく、優れた不燃性(準耐火性)を実現する。
また、このポリウレア吹付装置100による吹付け工法は、対象物のある作業現場で、その都度、適宜、ポリウレア樹脂層を効率よく形成することができ、不燃性(準耐火性)を備えたポリウレア樹脂層の形成/設置作業の効率が飛躍的に改善される。
10 第1のタンク
11 第1の配管
12 第1のポンプ(第1の加圧手段)
13 第1の加温機(第1の加温手段)
14,24 ホースヒーター
20 第2のタンク
21 第2の配管
22 第2のポンプ(第2の加圧手段)
23 第2の加温機(第2の加温手段)
30 圧縮調整機構
40 圧縮機(圧縮手段)
41 第3の配管
50 スプレーガン装置(生成手段、噴射手段)
52 ガン部
52A 噴射口
52B トリガー
60 制御部
SW スイッチ

Claims (18)

  1. ポリアミン質量部100、ポリイソシアネート100質量部〜160質量部、膨張黒鉛15質量部〜30質量部を含むポリウレア樹脂組成物であって、前記膨張黒鉛の粒径を100メッシュ又はこれより小さい粒径としたことを特徴とするポリウレア樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載のポリウレア樹脂組成物を対象物に吹き付けて所望の膜厚のポリウレア樹脂層を形成するポリウレア樹脂層の形成方法であって、
    ポリアミンとポリイソシアネートの少なくとも一方に前記膨張黒鉛を添加するステップと、
    前記ポリアミンと前記ポリイソシアネートを混合・撹拌して生成されるポリウレア樹脂の温度が摂氏60度から摂氏80度の間となるように前記ポリアミンと前記ポリイソシアネートを加温するステップと、
    前記ポリアミンと該ポリイソシアネートとを混合・撹拌して生成されるポリウレア樹脂の圧力が、所定の圧力となるように前記ポリアミンと前記ポリイソシアネートを加圧するステップと、
    摂氏60度から摂氏80度に加温され、かつ、前記所定の圧力に加圧された前記ポリウレア樹脂を対象物に吹き付けるステップとを含んでいることを特徴とするポリウレア樹脂層の形成方法。
  3. 前記ポリアミンと前記ポリイソシアネートを加温するステップでは、該ポリイソシアネートに前記膨張黒鉛が添加された場合に該ポリイソシアネートが摂氏70度から摂氏80度に加温され、前記ポリアミンに前記膨張黒鉛が添加された場合に該ポリアミンが摂氏70度から摂氏80度に加温されることを特徴とする請求項2に記載のポリウレア樹脂層の形成方法。
  4. ポリイソシアネートを収容する第1のタンクと、ポリアミンを収容する第2のタンクと、前記第1タンクから供給されるポリイソシアネートの温度を調整する第1の加温手段と、前記第2タンクから供給されるポリアミンの温度を調整する第2の加温手段と、前記第1のタンクから供給されるポリイソシアネートを加圧する第1の加圧手段と、前記第2のタンクから供給されるポリアミンを加圧する第2の加圧手段と、気体を圧縮する圧縮手段と、前記ポリイソシアネートと前記ポリアミンとを混合・撹拌してポリウレア樹脂を生成する生成手段と、噴射口を有し前記生成したポリウレア樹脂を該噴射口から噴射する噴射手段とを具えたポリウレア吹付装置を用いて、請求項1に記載のポリウレア樹脂組成物を対象物に吹き付けてポリウレア樹脂層を形成するに当たり、
    前記第1の加温手段及び前記第2の加温手段により前記噴射手段における前記ポリウレア樹脂の温度を摂氏60度から摂氏80度に保持し、
    前記第1の加圧手段及び前記第2の加圧手段により前記噴射手段における前記ポリウレア樹脂の圧力を所定の圧力に加圧し、
    該加圧されたポリウレア樹脂を前記噴射口より対象物に吹き付けてポリウレア樹脂層を形成することを特徴とするポリウレア樹脂層の形成方法。
  5. 前記噴射口の口径が1.5mm、前記所定の圧力が23.5MPaから24.0MPaであることを特徴とする請求項4に記載のポリウレア樹脂層の形成方法。
  6. 前記第1の加温手段は、前記ポリイソシアネートに前記膨張黒鉛が添加された場合に該ポリイソシアネートを摂氏70度から摂氏80度に加温し、
    前記第2の加温手段は、前記ポリアミンに前記膨張黒鉛が添加された場合に該ポリアミンを摂氏70度から摂氏80度に加温することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のポリウレア樹脂層の形成方法。
  7. 下記成分(A)(B)(C)及び(D)を含むことを特徴とする不燃用粉体。
    (A)膨張黒鉛
    (B)臭素系難燃剤
    (C)ポリリン酸メラミン
    (D)シリカ粉末
  8. 前記成分(A)40質量部に対して、成分(B)80質量部、(C)80質量部、前記成分(D)100質量部としたことを特徴とする請求項7に記載の不燃用粉体。
  9. 下記成分(ア)(イ)(ウ)(エ)及び(オ)を含むことを特徴とするポリウレア樹脂組成物。
    (ア)ポリアミンとポリイソシアネートとからなる母剤組成物
    (イ)膨張黒鉛
    (ウ)臭素系難燃剤
    (エ)ポリリン酸メラミン
    (オ)シリカ粉末
  10. 前記成分(ア)100質量部に対して、成分(イ)から(オ)の合計を15質量部以上40質量部以下としたことを特徴とする請求項9に記載のポリウレア樹脂組成物。
  11. 前記成分(ア)100質量部に対して、成分(イ)から(オ)の合計を25質量部以上としたことを特徴とする請求項9又は請求項10に記載のポリウレア樹脂組成物。
  12. 前記成分(ア)100質量部に対して、成分(イ)から(オ)の合計を30質量部としたことを特徴とする請求項9に記載のポリウレア樹脂組成物。
  13. 前記成分(イ)(ウ)(エ)(オ)は、4:8:8:10の割合で配合されることを特徴とする請求項9から請求項12の何れかに記載の不燃用粉体。
  14. ポリアミンとポリイソシアネートからなる母剤組成物に請求項7又は請求項8に記載の不燃用粉体を添加して得られたポリウレア樹脂組成物を対象物に吹き付けて所望の膜厚のポリウレア樹脂層を形成するポリウレア樹脂層の形成方法であって、
    ポリアミンとポリイソシアネートの少なくとも一方に不燃用粉体を添加するステップと、
    前記ポリアミンと前記ポリイソシアネートを混合・撹拌して生成されるポリウレア樹脂の温度が摂氏60度から摂氏80度の間となるように前記ポリアミンと前記ポリイソシアネートを加温するステップと、
    前記ポリアミンと該ポリイソシアネートとを混合・撹拌して生成されるポリウレア樹脂の圧力が、所定の圧力となるように前記ポリアミンと前記ポリイソシアネートを加圧するステップと、
    摂氏60度から摂氏80度に加温され、かつ、前記所定の圧力に加圧された前記ポリウレア樹脂を対象物に吹き付けるステップとを含んでいることを特徴とするポリウレア樹脂層の形成方法。
  15. 前記ポリアミンと前記ポリイソシアネートを加温するステップでは、該ポリイソシアネートに前記不燃用粉体が添加された場合に該ポリイソシアネートが摂氏70度から摂氏80度に加温され、前記ポリアミンに前記不燃用粉体が添加された場合に該ポリアミンが摂氏70度から摂氏80度に加温されることを特徴とする請求項14に記載のポリウレア樹脂層の形成方法。
  16. ポリイソシアネートを収容する第1のタンクと、ポリアミンを収容する第2のタンクと、前記第1タンクから供給されるポリイソシアネートの温度を調整する第1の加温手段と、前記第2タンクから供給されるポリアミンの温度を調整する第2の加温手段と、前記第1のタンクから供給されるポリイソシアネートを加圧する第1の加圧手段と、前記第2のタンクから供給されるポリアミンを加圧する第2の加圧手段と、気体を圧縮する圧縮手段と、前記ポリイソシアネートと前記ポリアミンとを混合・撹拌してポリウレア樹脂を生成する生成手段と、噴射口を有し前記生成したポリウレア樹脂を該噴射口から噴射する噴射手段とを具えたポリウレア吹付装置を用いて、
    ポリアミンとポリイソシアネートからなる母剤組成物に請求項7又は請求項8に記載の不燃用粉体を添加して得られたポリウレア樹脂組成物を対象物に吹き付けてポリウレア樹脂層を形成するに当たり、
    前記第1の加温手段及び前記第2の加温手段により前記噴射手段における前記ポリウレア樹脂の温度を摂氏60度から摂氏80度に保持し、
    前記第1の加圧手段及び前記第2の加圧手段により前記噴射手段における前記ポリウレア樹脂の圧力を所定の圧力に加圧し、
    該加圧されたポリウレア樹脂を前記噴射口より対象物に吹き付けてポリウレア樹脂層を形成することを特徴とするポリウレア樹脂層の形成方法。
  17. 前記噴射口の口径が1.5mm、前記所定の圧力が23.5MPaから24.0MPaであることを特徴とする請求項16に記載のポリウレア樹脂層の形成方法。
  18. 前記第1の加温手段は、前記ポリイソシアネートに前記不燃用粉体が添加された場合に該ポリイソシアネートを摂氏70度から摂氏80度に加温し、
    前記第2の加温手段は、前記ポリアミンに前記不燃用粉体が添加された場合に該ポリアミンを摂氏70度から摂氏80度に加温することを特徴とする請求項16又は請求項17に記載のポリウレア樹脂層の形成方法。
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