(本開示の実施の形態に至る経緯)
特許文献1に示される形状検査装置は、例えば本溶接が行われた後の溶接個所における溶接ビードの形状が不良であるか否かを判定することができる。これにより、ユーザは、形状検査装置によって検査された不良個所を修正するための再溶接(以降、リペア溶接と表記)を実行することができた。
近年、上述した溶接個所の検査だけでなく、人手によらず不良個所をリペア溶接する技術が求められている。しかし、特許文献1に係る形状検査措置は、人手によらず溶接個所の不良検査するための技術であり、リペア溶接を自動化することはできない。また、溶接において本溶接および検査は、すべての溶接個所に対して行われる。しかし、リペア溶接は、不良個所に対してのみ実行されるため、生産効率に対する影響が大きかった。
そこで、以下の実施の形態では、不良個所のリペア溶接をより効率化できるリペア溶接システム、リペア溶接方法、検査装置およびロボット制御装置の例を説明する。
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係るリペア溶接システム、リペア溶接方法、検査装置およびロボット制御装置を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
(実施の形態1)
図1は、溶接システム1000のシステム構成例を示す概略図である。溶接システム1000は、ユーザ(例えば溶接作業者あるいはシステム管理者。以下同様。)により入力された情報または予め設定された溶接に関する情報に基づいて、本溶接されたワークWk1の溶接個所の外観検査を自動的に行うとともに、溶接個所のうち溶接不良と判定された不良個所の修正溶接(つまり、リペア溶接)を外観検査の結果に応じて自動的に行う。なお、溶接システム1000は、上述した外観検査とリペア溶接とに加えて、上述した本溶接を自動的に行ってもよい。
溶接システム1000は、大別すると、溶接(例えば本溶接およびリペア溶接)と溶接結果の外観検査とにそれぞれ用いるロボットと、ロボットの作動を制御したり外観検査の結果を処理したりするコントローラと、コントローラへの各種の指令を送る上位装置とを含む。
具体的には、溶接システム1000は、上述したロボットとして、本溶接を行う本溶接ロボットMC1と、本溶接後の溶接個所の外観検査を行う検査ロボットMC2と、本溶接後の溶接個所に不良個所が含まれていた場合のリペア溶接を外観検査の結果に応じて行うリペア溶接ロボットMC3と、を有する。また、溶接システム1000は、上述したコントローラとして、ロボット制御装置2,3と、検査装置4とを有する。また、溶接システム1000は、上述した上位装置として、上位装置1を有する。なお、上位装置1には、モニタMN1と、入力インターフェースUI1と、外部ストレージSTとが接続されてよい。
なお、図示は省略するが、上位装置1あるいはロボット制御装置2,3は、外部ネットワークとの通信(例えば有線通信あるいは無線通信)を行う通信インターフェースをさらに有してもよい。上位装置1あるいはロボット制御装置2,3は、外部ネットワークに接続されている場合、外部ネットワーク上に存在する他の機器(例えばサーバあるいはPC、種々のセンサ装置等)と通信を行える。
図1では、本溶接ロボットMC1は、リペア溶接ロボットMC3と別体として示されている。しかし、溶接システム1000とは異なる他のシステムを用いて本溶接を行う場合、あるいは溶接作業者が手作業で本溶接を行った上で溶接システム1000が外観検査およびリペア溶接のそれぞれを実行する場合には、本溶接ロボットMC1は省かれてよい。
また、本溶接ロボットMC1は、検査ロボットMC2あるいはリペア溶接ロボットMC3のいずれかと一体で構成されてもよい。例えば、リペア溶接ロボットMC3は、本溶接ロボットMC1として作動でき、ワークWk1を溶接する本溶接と、本溶接によって溶接された溶接個所のうち不良個所を修正するリペア溶接との両方を実行してもよい。同様に、例えば、検査ロボットMC2は、本溶接ロボットMC1として作動でき、ワークWk1を溶接する本溶接と、本溶接によって溶接された溶接個所のうち所定の溶接基準を満たさない不良個所の有無を判定する外観検査との両方を実行してもよい。
なお、検査ロボットMC2とリペア溶接ロボットMC3とを1つのロボット(つまり、ロボットの一例としての検査・リペア溶接用ロボットMC23)に統合してもよい。以下の実施の形態1では、説明を分かり易くするために、検査ロボットMC2とリペア溶接ロボットMC3とが一体化された検査・リペア溶接用ロボットMC23を例示し、以下の実施の形態2では、検査ロボットMC2とリペア溶接ロボットMC3とが別体となる構成を例示して説明する。また、本溶接ロボットMC1と検査ロボットMC2とリペア溶接ロボットMC3とを1つのロボットに統合してもよい。
溶接システム1000では、本溶接ロボットMC1、検査ロボットMC2およびリペア溶接ロボットMC3のそれぞれの台数は、図1に示す数に限定されない。例えば、本溶接ロボットMC1、検査ロボットMC2およびリペア溶接ロボットMC3のそれぞれの台数は、複数台であってもよく、また同じ台数でもよいし、異なる台数でもよい。例えば、溶接システム1000は、1台の本溶接ロボットMC1と、3台の検査ロボットMC2と、2台のリペア溶接ロボットMC3とを含んでよい。これにより、溶接システム1000は、システム構成の目的(例えば、各種のロボットの処理範囲あるいは処理速度)に応じて適応的に構成できる。
上位装置1は、モニタMN1と、入力インターフェースUI1と、外部ストレージSTと、ロボット制御装置2,3のそれぞれとの間で通信可能に接続される。図1では、上位装置1は、ロボット制御装置3を介して検査装置4と接続されているが、ロボット制御装置3を介さず、検査装置4と直接に通信可能に接続されてもよい。なお、上位装置1は、モニタMN1および入力インターフェースUI1を一体に含む端末装置PP1でもよく、さらに外部ストレージSTを一体に含んでもよい。この場合、端末装置PP1は、例えば本溶接の実行に先立ってユーザ(上述参照)により使用されるPC(Personal Computer)である。なお、端末装置PP1は、上述したPCに限らず、例えばスマートフォン、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistat)等の通信機能を有するコンピュータ装置でよい。
上位装置1は、ユーザ(上述参照)による入力操作あるいはユーザによって予め設定された情報に基づいて、ワークWk1の本溶接、ワークWk1の溶接個所の外観検査、ワークWk1の溶接個所のうち不良個所(上述参照)のリペア溶接のそれぞれを実行するための制御信号を生成する。上位装置1は、ワークWk1の本溶接の実行に関する制御信号をロボット制御装置2に送る。上位装置1は、ワークWk1の溶接個所の外観検査の実行に関する制御信号、ワークWk1の溶接個所のうち不良個所のリペア溶接の実行に関する制御信号をそれぞれロボット制御装置3に送る。
上位装置1は、検査装置4から受信された溶接個所の外観検査結果を、ロボット制御装置3を介して収集してよい。上位装置1は、収集された外観検査結果を外部ストレージSTに蓄積したり、モニタMN1に出力して表示させたりしてよい。なお、図1に示す検査装置4は、ロボット制御装置3を介して上位装置1と接続されているが、図1に示す接続形態に限定されなくてよい。つまり、検査装置4と上位装置1とは直接的に通信可能に接続されてもよい。
モニタMN1は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)または有機EL(Electroluminescence)等の表示用デバイスを用いて構成されてよい。モニタMN1は、ロボット制御装置3から送られた溶接個所の外観検査結果あるいは後述するアラート画面を表示する。また、モニタMN1の代わりに、あるいはモニタMN1とともにスピーカ(不図示)が上位装置1に接続されてもよく、アラート画面の内容を音声でスピーカを介して出力してもよい。
入力インターフェースUI1は、ユーザの入力操作を検出して上位装置1に出力するユーザインターフェースであり、例えば、マウス、キーボードまたはタッチパネル等を用いて構成されてよい。入力インターフェースUI1は、例えば、ワークWk1への溶接線の指定、溶接線に応じた外観検査基準の設定、溶接システム1000の動作開始あるいは動作終了の操作等を受け付けて上位装置1に出力する。
外部ストレージSTは、例えばハードディスク(Hard Disk Drive)またはソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)を用いて構成される。外部ストレージSTは、上位装置1により受信された溶接個所の外観検査結果、あるいはアラート画面の内容を示すデータあるいは情報を記憶してよい。
ロボット制御装置2は、上位装置1および本溶接ロボットMC1のそれぞれとの間で通信可能に接続される。ロボット制御装置2は、上位装置1から送られた本溶接の実行に関する制御情報を受信し、その制御情報に基づいて本溶接ロボットMC1を制御してワークWk1に対する本溶接を実行させる。
ロボット制御装置3は、上位装置1、検査装置4、検査ロボットMC2およびリペア溶接ロボットMC3のそれぞれとの間で通信可能に接続される。ロボット制御装置3は、上位装置1から送られたワークWk1の溶接個所に関する情報(例えば、溶接個所の位置情報)を受信する。なお、溶接個所は、ワークWk1が本溶接によって溶接された個所と、ワークWk1がリペア溶接によって修正溶接された個所とを含む。ロボット制御装置3は、受信されたワークWk1の溶接個所に関する情報に基づいて検査ロボットMC2を制御して溶接個所の溶接ビードの形状を検出させる。また、ロボット制御装置3は、受信されたワークWk1の溶接個所に関する情報を、溶接個所の形状を外観検査する検査装置4に送る。また、ロボット制御装置3は、検査装置4から受信された外観検査結果を上位装置1に送る。
また、ロボット制御装置3は、上位装置1から送られたワークWk1のリペア溶接の実行に関する制御情報を受信し、その制御情報に基づいてリペア溶接ロボットMC3を制御し、ワークWk1の溶接個所のうち検査装置4により溶接不良と判定された不良個所をリペア溶接させる。
なお、ロボット制御装置3は、検査ロボットMC2およびリペア溶接ロボットMC3のそれぞれを制御するが、例えば検査ロボットMC2およびリペア溶接ロボットMC3のそれぞれを異なる制御装置を用いて制御してもよい。さらに、溶接システム1000は、1つのロボット制御装置で、本溶接ロボットMC1と検査ロボットMC2とリペア溶接ロボットMC3とを制御してもよい。
検査装置4は、ロボット制御装置3および検査ロボットMC2のそれぞれとの間で通信可能に接続される。検査装置4は、ロボット制御装置3から送られた溶接個所に関する情報と、形状検出部500(図2参照)により生成された溶接個所の溶接ビードの形状データとに基づいて、溶接個所における溶接不良の有無を判定する(外観検査)。検査装置4は、溶接個所のうち溶接不良であると判定された不良個所に関する情報(例えば、不良区間、不良区間の位置情報、不良要因を含み得る)を外観検査結果としてロボット制御装置3に送る。また、検査装置4は、不良個所のリペア溶接ロボットMC3によるリペア溶接が可能であると判定された場合に、リペア溶接における修正の種別およびリペア溶接を行うためのパラメータ等の情報も、外観検査結果としてロボット制御装置3に送る。なお、図1ではロボット制御装置3と検査装置4とを別体として構成しているが、ロボット制御装置3と検査装置4とが単一の装置として構成されてもよい。
本溶接ロボットMC1は、ロボット制御装置2との間で通信可能に接続され、ロボット制御装置2により用意される本溶接プログラム(図示略)に従ってワークWk1に本溶接を実行する。言い換えると、本溶接ロボットMC1は、溶接個所に関する情報と本溶接プログラムとが含まれる、本溶接の実行に関する制御信号をロボット制御装置2から受信すると、この制御信号に基づいて、ワークWk1への本溶接を実行する。
検査ロボットMC2は、ロボット制御装置3および検査装置4のそれぞれとの間で通信可能に接続される。検査ロボットMC2は、ロボット制御装置3により用意される検査プログラム(図示略)に従って、本溶接されたワークWk1の溶接個所の外観検査を行う。言い換えると、検査ロボットMC2は、溶接個所に関する情報と検査プログラムとが含まれる、外観検査の実行に関する制御信号をロボット制御装置3から受信すると、この制御信号に基づいて、本溶接されたワークWk1の溶接個所の溶接ビードの形状データを取得する。
リペア溶接ロボットMC3は、ロボット制御装置3との間で通信可能に接続される。リペア溶接ロボットMC3は、ロボット制御装置3により生成されるリペア溶接プログラム(後述参照、図示略)に従って、ワークWk1の溶接個所のうち不良個所のリペア溶接を行う。言い換えると、リペア溶接ロボットMC3は、不良個所に関する情報とリペア溶接プログラムとが含まれる、リペア溶接の実行に関する制御信号をロボット制御装置3から受信すると、この制御信号に基づいて、ワークWk1の不良個所のリペア溶接を実行する。
図2は、実施の形態1に係る検査・リペア溶接用ロボットMC23の制御を実行する溶接システム1000の内部構成例を示す図である。なお、図2に示す検査・リペア溶接用ロボットMC23は、図1に示した検査ロボットMC2およびリペア溶接ロボットMC3が一体となったロボットである。また、図2では、説明をわかりやすくするためにモニタMN1、入力インターフェースUI1、外部ストレージSTに関する構成を省略する。
検査・リペア溶接用ロボットMC23は、ロボット制御装置3から受信された制御信号に基づいて、本溶接が行われた後のワークWk1における溶接個所の検査を実行する。また、検査・リペア溶接用ロボットMC23は、ロボット制御装置3から受信された制御信号に基づいて、ワークWk1の溶接個所のうち不良個所と判定された個所について、リペア溶接を実行する。
実施の形態1に係る検査・リペア溶接用ロボットMC23は、アーク溶接を行うロボットである。しかし、検査・リペア溶接用ロボットMC23は、アーク溶接以外の、例えばレーザ溶接等を実行可能なロボットであってもよい。このような場合、検査・リペア溶接用ロボットMC23は、溶接トーチ400の代わりにレーザヘッドを備え、光ファイバを介してレーザ発振器に接続されてもよい。検査・リペア溶接用ロボットMC23は、マニピュレータ200と、ワイヤ送給装置300と、溶接ワイヤ301と、溶接トーチ400と、形状検出部500と、を含んで構成される。
マニピュレータ200は、多関節のアームを備え、ロボット制御装置3のロボット制御部36から受信された制御信号に基づいて、溶接トーチ400および形状検出部500の位置を制御する。また、マニピュレータ200は、制御信号に含まれる角度情報に基づいて、ワークWk1に対する溶接トーチ400および形状検出部500の角度を変化させることができる。
ワイヤ送給装置300は、ロボット制御装置3から受信された制御信号に基づいて、溶接ワイヤ301の送給速度を制御する。なお、ワイヤ送給装置300は、溶接ワイヤ301の残量を検出可能なセンサを備えていてもよい。
溶接ワイヤ301は、溶接トーチ400に保持され、ワイヤ送給装置300によってリペア溶接個所に向かって送給される。溶接ワイヤ301は、溶接トーチ400を介して溶接電源装置5から供給される電力によって、溶接ワイヤ301の先端とワークWk1との間に発生したアーク熱によって溶解し、溶接個所を接合する。なお、溶接トーチ400にシールドガスを供給するための構成は、説明の便宜上、これらの図示および説明を省略する。
溶接トーチ400は、溶接ワイヤ301を保持し、溶接電源装置5から電力を供給される。また、溶接トーチ400は、マニピュレータ200によって溶接個所を溶接可能に移動される。
形状検出部500は、例えば3次元形状計測センサであり、ロボット制御装置3から受信された溶接個所の位置情報に基づいて、ワークWk1上の溶接個所を走査可能に構成されたレーザ光源(不図示)と、溶接個所の周辺を含む撮像領域を撮像可能に配置され、溶接個所に照射されたレーザ光のうち反射されたレーザ光の反射軌跡(つまり、溶接個所の形状線)を撮像するカメラ(不図示)とによって構成される。形状検出部500は、カメラによって撮像されたレーザ光に基づく溶接個所の形状データ(画像データ)を検査装置4に送信する。
なお、上述したカメラ(不図示)は、少なくともレンズ(不図示)とイメージセンサ(不図示)とを有して構成される。イメージセンサは、例えばCCD(Charged−Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)の固体撮像素子であり、撮像面に結像した光学像を電気信号に変換する。
次に、上位装置1について説明する。上位装置1は、ユーザ(作業者)による入力操作あるいはユーザ(作業者)によって予め設定された情報に基づいて、溶接個所の検査および不良個所のリペア溶接を実行するための制御信号を生成し、生成された制御信号をロボット制御装置3に送信する。上位装置1は、通信部10と、プロセッサ11と、メモリ12と、を含んで構成される。
通信部10は、ロボット制御装置3との間で通信可能に接続される。通信部10は、リペア溶接を実行させるための制御信号をロボット制御装置3に送信する。なお、ここでいうリペア溶接を実行させるための制御信号は、マニピュレータ200、ワイヤ送給装置300および溶接電源装置5のそれぞれを制御するための制御信号を含む。
プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成されて、メモリ12と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、プロセッサ11は、メモリ12に保持されたプログラムおよびデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、セル制御部13の機能を実現する。
セル制御部13は、入力インターフェースUI1を用いたユーザ(作業者)による入力操作と、ユーザ(作業者)によって予め設定され、外部ストレージSTに記憶された情報とに基づいて、リペア溶接を実行するための制御信号を生成する。セル制御部13によって生成された制御信号は、通信部10を介してロボット制御装置3に送信される。
メモリ12は、例えばプロセッサ11の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAM(Random Access Memory)と、プロセッサ11の動作を規定したプログラムおよびデータを格納するROM(Read Only Memory)とを有する。RAMには、プロセッサ11により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。ROMには、プロセッサ11の動作を規定するプログラムが書き込まれている。
また、メモリ12は、ワークに関する情報種別、ワークごとに予め付与されたワークS/N(Serial Number)、ユーザによって設定された溶接個所(溶接線)ごとに付与された溶接線ID等を記憶する。
次に、ロボット制御装置3について説明する。ロボット制御装置3は、上位装置1から受信された制御信号に基づいて、検査装置4、マニピュレータ200、ワイヤ送給装置300、および溶接電源装置5をそれぞれ制御する。ロボット制御装置3は、通信部30と、プロセッサ31と、メモリ32と、プログラム記憶部33と、を含んで構成される。プロセッサ31は、プログラム呼出部34aと、プログラム生成部34bと、検査装置制御部35と、ロボット制御部36と、演算部37と、溶接電源制御部38と、を含んで構成される。
通信部30は、上位装置1および検査装置4との間で通信可能に接続される。通信部30は、上位装置1からリペア溶接を実行するための情報(例えば、溶接個所ごとの溶接方法、位置情報等)を受信する。通信部30は、上位装置1から外観検査を実行するための情報および制御信号(例えば、溶接個所ごとの位置情報、不良判定のための検査条件等)を受信すると、これを検査装置4の通信部40に送信する。また、通信部30は、検査装置4から溶接個所に対する検査結果を受信すると、上位装置1に送信する。
制御部の一例としてのプロセッサ31は、例えばCPUまたはFPGAを用いて構成されて、メモリ32と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、プロセッサ31はメモリ32に保持されたプログラムおよびデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。各部は、プログラム呼出部34a、プログラム生成部34b、検査装置制御部35、ロボット制御部36、演算部37および溶接電源制御部38である。各部の機能は、例えば、溶接個所の外観検査を実行するための検査プログラムを生成する機能、生成された検査プログラムに基づいて、マニピュレータ200および形状検出部500を制御するための制御信号を生成する機能、リペア溶接を実行するためのリペア溶接プログラムを生成する機能、生成されたリペア溶接プログラムに基づいて、マニピュレータ200、ワイヤ送給装置300および溶接電源装置5を制御するための制御信号を生成する機能等である。
メモリ32は、例えばプロセッサ31の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAMと、プロセッサ31の動作を規定したプログラムおよびデータを格納するROMとを有する。RAMには、プロセッサ31により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。ROMには、プロセッサ31の動作を規定するプログラムが書き込まれている。
プログラム記憶部33は、検査プログラムおよびリペア溶接プログラムを記憶する。なお、検査プログラムは、溶接個所ごとの外観検査を実行するためのプログラムであり、検査装置4、マニピュレータ200および形状検出部500等を制御するための制御プログラムである。リペア溶接プログラムは、不良個所のリペア溶接を実行するためのプログラムであり、溶接電源装置5、マニピュレータ200、ワイヤ送給装置300および溶接トーチ400等を制御するための制御プログラムである。リペア溶接プログラムは、電流、電圧、オフセット量、速度、姿勢、方法等のパラメータを含む。
また、プログラム記憶部33は、本溶接の溶接順序および外観検査の検査順序を記憶してよい。これにより、溶接システム1000は、外観検査およびリペア溶接の実行を効率化する目的で検査順序およびリペア順序を設定するような場合であっても、溶接個所と検査結果とを関連付け、不良個所に対する誤ったリペア溶接が行われることを抑制できる。
さらに、プログラム記憶部33は、マニピュレータ200、溶接トーチ400および形状検出部500の可動領域に位置する治具等の緩衝材の位置情報を記憶する。これにより、溶接システム1000は、検査順序およびリペア順序に伴って溶接トーチ400あるいは形状検出部500の移動ルートを設定する場合であっても、マニピュレータ200、溶接トーチ400および形状検出部500と緩衝材との接触による機器の破損を防止できる。これにより、溶接システム1000は、外観検査およびリペア溶接の実行を効率化する目的で検査順序およびリペア順序を設定し、かつこれらの順序に基づいて溶接トーチ400あるいは形状検出部500の移動ルートを設定するような場合であっても、機器を故障させることなく、溶接個所の検査および不良個所のリペア溶接をより効率化できる。
プログラム呼出部34aは、通信部30を介して上位装置1から受信された制御信号に基づいて、溶接個所に応じた外観検査を実行するための検査プログラムをプログラム記憶部33から呼び出す。プログラム呼出部34aは、呼び出した検査プログラムをプログラム生成部34bに出力する。
また、プログラム呼出部34aは、通信部30を介して検査装置4から受信された検査結果に基づいて、不良個所の不良要因に応じたリペア溶接を実行するためのリペア溶接プログラムをプログラム記憶部33から呼び出す。プログラム呼出部34aは、呼び出したリペア溶接プログラムをプログラム生成部34bに出力する。
生成部の一例としてのプログラム生成部34bは、通信部30を介して上位装置1から受信された制御信号に基づいて、溶接個所に応じた外観検査を実行するための検査プログラムを生成する。プログラム生成部34bは、プログラム呼出部34aによって呼び出された検査プログラムを溶接個所ごとに生成する。プログラム生成部34bは、生成された検査プログラムを演算部37に出力する。
なお、溶接システム1000において、検査・リペア溶接用ロボットMC23と本溶接ロボットMC1とが一体となったロボット(つまり、本溶接、検査およびリペア溶接を実行可能なロボット)を用いる場合、プログラム生成部34bは、溶接個所の検査順序を本溶接の溶接順序と逆の順序となるように設定した検査プログラムを生成する。これにより、溶接システム1000は、本溶接の実行後のマニピュレータ200の位置を本溶接開始時の位置に戻さず、すぐに溶接個所の外観検査を実行できる。したがって、溶接システム1000は、溶接個所の外観検査をより効率化できる。
また、プログラム生成部34bは、上述した検査順序について、溶接順序と逆の順序に限定されず、緩衝材の位置情報、外観検査の検査条件(例えば、形状検出部500の角度,姿勢等)に応じて設定してよい。これにより、溶接システム1000は、検査条件に基づいて、溶接個所の外観検査をより効率化できる。
さらに、プログラム生成部34bは、緩衝材の位置情報、設定された検査順序および検査条件に基づいて、形状検出部500の移動ルートを設定してよい。これにより、溶接システム1000は、溶接個所の外観検査をより効率化できる。
また、プログラム生成部34bは、通信部30を介して検査装置4から受信された検査結果に基づいて、不良個所の不良要因に応じたリペア溶接を実行するためのリペア溶接プログラムを生成する。プログラム生成部34bは、プログラム呼出部34aによって呼び出されたリペア溶接プログラムを不良個所ごとに生成する。プログラム生成部34bは、生成されたリペア溶接プログラムを演算部37に出力する。
なお、プログラム生成部34bは、リペア溶接を実行するためのリペア順序を、溶接個所の検査順序と異なる順序に設定したリペア溶接プログラムを生成する。これにより、溶接システム1000は、外観検査の実行後のマニピュレータ200の位置に応じて、最も近くに位置する不良個所のリペア溶接を実行できる。したがって、溶接システム1000は、溶接個所の外観検査をより効率化できる。
また、プログラム生成部34bは、上述したリペア順序および緩衝材の位置情報に基づいて、リペア溶接の際の溶接トーチ400の移動ルートを設定してよい。これにより、溶接システム1000は、マニピュレータ200の移動に要する時間を短縮でき、不良個所のリペア溶接をより効率化できる。
さらに、プログラム生成部34bは、検査結果に基づいて、不良要因に応じて必要な溶接トーチ400の温度、または溶接トーチ400の温度,リペア溶接範囲等から推定されるリペア溶接後のワークWk1の冷却時間等を推定してよい。プログラム生成部34bは、推定結果に基づいて、さらに不良個所ごとのリペア溶接に要する時間を推定し、すべての不良個所に対するリペア溶接の完了時間が最も短くなるようにリペア順序および溶接トーチ400の移動ルートを設定してよい。これにより、溶接システム1000は、不良個所のリペア溶接をより効率化できる。
なお、上述したリペア順序の設定は、検査ロボットMC2とリペア溶接ロボットMC3とが別体のロボットである場合にも、不良個所のリペア溶接をより効率化でき、有効である。
演算部37は、プログラム生成部34bから入力された検査プログラムに基づいて、検査装置制御部35によって制御される検査装置4および形状検出部500のそれぞれを制御するための演算を実行する。例えば、演算部37は、溶接個所の位置情報に基づいて、溶接個所および溶接個所の周辺を含む撮像領域を撮像可能な撮像位置、撮像距離を演算する。演算部37は、演算結果を含む検査プログラムを検査装置制御部35およびロボット制御部36に出力する。
また、演算部37は、プログラム生成部34bから入力されたリペア溶接プログラムに基づいて、ロボット制御部26によって制御されるマニピュレータ200およびワイヤ送給装置300を制御するための演算と、溶接電源制御部38によって制御される溶接電源装置5を制御するための演算とを実行する。例えば、演算部37は、不良個所の位置情報に基づいて、リペア溶接に必要なオフセット量を演算する。演算部37は、演算結果を含むリペア溶接プログラムをロボット制御部36および溶接電源制御部38に出力する。
検査装置制御部35は、演算部37から受信された検査プログラムに基づいて、検査装置4を制御するための制御信号を生成する。生成された制御信号は、通信部30を介して検査装置4に送信される。
ロボット制御部36は、演算部37から受信されたリペア溶接プログラムに基づいて、マニピュレータ200およびワイヤ送給装置300を制御するための制御信号を生成する。また、ロボット制御部36は、演算部37から受信された検査プログラムに基づいて、マニピュレータ200を制御するための制御信号を生成する。ロボット制御部36は、生成された制御信号に基づいて、マニピュレータ200およびワイヤ送給装置300を制御する。
次に、検査装置4について説明する。検査装置4は、形状検出部500によって取得された溶接個所ごとの溶接ビードの形状データに基づいて、ワークWk1の溶接個所の外観検査を実行する。検査装置4は、外観検査により溶接個所の良否判定、不良個所の修正可否判定、自動リペア溶接の可否判定等を行う。検査装置4は、通信部40と、プロセッサ41と、メモリ42と、検査結果記憶部43と、を含んで構成される。
通信部40は、ロボット制御装置3との間で通信可能に接続される。なお、通信部40は、上位装置1との間で直接通信可能に接続されてもよい。通信部40は、上位装置1またはロボット制御装置3から、外観検査を実行するための情報および制御信号(例えば、溶接個所ごとの位置情報、不良判定のための検査条件等)を受信する。外観検査を実行するための情報は、溶接個所に関する情報として、例えばワーク種別、ワークS/N、溶接線ID等を含んでよい。
また、通信部40は、溶接個所ごとの検査結果を上位装置1またはロボット制御装置3に送信する。
プロセッサ41は、例えばCPUまたはFPGAを用いて構成されて、メモリ42と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、プロセッサ41はメモリ42に保持されたプログラムおよびデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。各部は、形状検出制御部44、データ処理部45、判定閾値記憶部46および判定部47を含む。各部の機能は、例えば、ロボット制御装置3から受信された溶接個所の外観検査を実行するための制御信号に基づいて形状検出部500を制御する機能、形状検出部500から受信された溶接ビードの形状データに基づいて、画像データを生成する機能、生成された画像データに基づいて、溶接個所に対する検査を実行する機能等である。
メモリ42は、例えばプロセッサ41の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAMと、プロセッサ41の動作を規定したプログラムおよびデータを格納するROMとを有する。RAMには、プロセッサ41により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。ROMには、プロセッサ31の動作を規定するプログラムが書き込まれている。
検査結果記憶部43は、検査結果判定部47によって生成された溶接個所ごとの検査結果を記憶する。検査結果記憶部43は、例えばハードディスク(HDD:Hard Disk Drive)、ソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)等によって構成される。
形状検出制御部44は、ロボット制御装置3から受信された溶接個所に応じた外観検査を実行するための制御信号に基づいて、形状検出部500を制御させる。形状検出制御部44は、形状検出部500が溶接個所を撮像可能(形状検出可能)な位置に位置すると、レーザ光線を照射させて溶接個所における溶接ビードの形状データを取得させる。形状検出制御部44は、形状検出部500によって取得された形状データを受信し、この形状データをデータ処理部45に出力する。
処理部の一例としてのデータ処理部45は、形状検出制御部44から入力された溶接個所における溶接ビードの形状データを画像データに変換する。形状データは、例えば、溶接ビードの表面に照射されたレーザ光線の反射軌跡からなる形状線の点群データである。データ処理部45は、入力された形状データに対して統計処理を実行し、溶接個所における溶接ビードの形状に関する画像データを生成する。なお、データ処理部45は、溶接ビードの位置および形状を強調するために、溶接ビードの周縁部分を強調したエッジ強調補正を行ってもよい。データ処理部45は、生成された画像データを検査結果判定部47に出力する。
判定閾値記憶部46は、溶接個所に応じて不良の判定(つまり、検査)を実行するために溶接個所ごとに設定された検査条件を記憶する。検査条件は、各検査項目に対する閾値として記憶され、例えば溶接個所の位置ずれに関する閾値、溶接ビードの高さに関する閾値、溶接ビードの幅に関する閾値等である。また、判定閾値記憶部46は、リペア溶接後の各閾値として、顧客から要求される品質を満たす程度の許容範囲(例えば、溶接ビードの高さに関する最小許容値、最大許容値等)を記憶する。なお、これらの各閾値は、本溶接後の検査条件とリペア溶接後の検査条件とが異なる検査条件として設定されてよい。
また、判定閾値記憶部46は、溶接個所ごとに検査回数の上限値を記憶してよい。これにより、検査装置4は、リペア溶接による不良個所の修正回数が所定の回数を上回るものに関して、リペア溶接による不良個所の修正が困難あるいは不可能と判定することができる。したがって、溶接システム1000は、生産効率の低下を抑制することができる。
検査結果判定部47は、データ処理部45から入力された溶接個所における溶接ビードの画像データと、判定閾値記憶部46に記憶された溶接個所の検査条件とに基づいて、溶接個所が不良であるか否かを判定する。検査結果判定部47は、不良個所があると判定された場合には、不良個所の位置(不良個所の開始位置と終了位置)を計測し、不良個所を分析して不良種別の一例としての不良要因を判定する。検査結果判定部47は、計測された不良個所の位置情報および判定された不良要因に基づいて、溶接個所の検査結果を生成す。検査結果判定部47は、生成された検査結果を検査結果記憶部43に記憶するとともに、ロボット制御装置3に送信する。
なお、検査結果判定部47は、溶接個所に不良個所がないと判定した場合には、不良個所がないことを通知するアラートを生成し、生成されたアラートを、ロボット制御装置3を介して上位装置1に送信する。上位装置1に送信されたアラートは、モニタMN1に送信されて表示され、ユーザに通知される。
また、検査結果判定部47は、同一のワークWk1に対する検査回数の上限値を記憶する。これにより、検査装置4は、リペア溶接によって不良個所を修正する際に所定の回数を超えると、リペア溶接による不良個所の修正が困難あるいは不可能と判定することができ、溶接システム1000の生産効率の低下を抑制することができる。検査結果判定部47は、同一のワークWk1に対する検査回数が所定の回数を超えると、アラートを生成する。生成されたアラートは、ロボット制御装置3を介して上位装置1に送信される。上位装置1に送信されたアラートは、モニタMN1に送信されて表示され、ユーザに通知される。
なお、検査装置4は、上記以外の内容のアラートを生成してもよい。このアラートもまた、ロボット制御装置3を介して、上位装置1に送信される。上位装置1に送信されたアラートは、モニタMN1に送信されて表示され、ユーザに通知される。
溶接電源装置5は、溶接電源制御部38から入力された制御信号に基づいて、溶接トーチ400に供給する電力および電力供給時間等を制御する。
次に、図3を参照して、溶接システム1000の動作手順例について説明する。図3は、実施の形態1に係る溶接システム1000の動作手順例を示すフローチャートである。なお、図3で説明する溶接システム1000は、本溶接、検査およびリペア溶接を実行可能な1つのロボットを備える溶接システム1000の動作手順例について説明するが、図1および図2に示すように、本溶接ロボットMC1と検査・リペア溶接用ロボットMC23とによって構成される溶接システム1000であってもよい。本溶接ロボットMC1と検査・リペア溶接用ロボットMC23とによって構成される溶接システム1000の動作手順例は、以下で説明するステップSt1の処理が省略される。
ロボット制御装置3は、本溶接を実行するため、所定の溶接手順を含む本溶接プログラムを生成する。ロボット制御装置3は、生成された本溶接プログラムに基づいて、マニピュレータ200、ワイヤ送給装置300および溶接電源装置5を制御し、本溶接を実行する(St1)。
ロボット制御装置3は、外観検査を実行するため、溶接手順と逆の順序の検査手順を含む検査プログラムを生成する。ロボット制御装置3は、生成された検査プログラムに基づいて、検査装置4、マニピュレータ200および形状検出部500を制御し、溶接個所ごとに設定された検査条件に基づく外観検査を実行する(St2)。
検査装置4は、溶接個所において検査条件を満たさない不良個所(不合格個所)があるか否かを判定する(St3)。
検査装置4は、ステップSt3の処理における判定結果に基づいて、不良個所(不合格個所)がある場合(St3,YES)には、ワークWk1に対する現在の検査回数が、ユーザによって設定された検査回数N回(つまり、検査回数の上限)以下であるか否かを判定する(St4)。
一方、検査装置4は、ステップSt3の処理における判定結果に基づいて、不良個所(不合格個所)がない場合(St3,NO)には、不良個所がなくリペア溶接が不要である旨を通知するアラートを生成する。検査装置4は、生成されたアラートを、ロボット制御装置3を介して上位装置1に送信する。なお、上位装置1に送信されたアラートは、モニタMN1に表示されてユーザに通知される。溶接システム1000は、不良個所(不合格個所)がない場合(St3,NO)の処理に移行した場合、動作を終了する。
検査装置4は、ステップSt4の処理における判定結果に基づいて、ワークWk1に対する現在の検査回数がN回以下である場合(St4,YES)には、不良個所の位置情報、不良要因等を含む検査結果を検査結果記憶部43に記憶するとともに、ロボット制御装置3に送信する。ロボット制御装置3は、受信された検査結果に基づいて、不良個所のリペア溶接を実行するため、検査順序と異なるリペア順序を設定したリペア溶接プログラムを生成する(St5)。
一方、検査装置4は、ステップSt4の処理における判定結果に基づいて、ワークWk1に対する現在の検査回数がN回以下でない場合(St4,NO)には、これ以上リペア溶接を実行しても不良個所の修正が困難である旨を通知するアラートを生成する(St6)。検査装置4は、生成されたアラートを、ロボット制御装置3を介して上位装置1に送信する。なお、上位装置1に送信されたアラートは、モニタMN1に表示されてユーザに通知される。溶接システム1000は、ワークWk1に対する現在の検査回数がN回以下でない場合(St4,NO)の処理に移行した場合、動作を終了する。
ロボット制御装置3は、生成された生成されたリペア溶接プログラムに基づいて、マニピュレータ200a、ワイヤ送給装置300および溶接電源装置5を制御し、リペア溶接を実行する(St7)。
溶接システム1000は、ステップSt7における処理(リペア溶接)を実行した後、ステップSt2の処理に移行する。なお、溶接システム1000は、ステップSt6の処理を終了してステップSt2の処理に移行する場合、リペア溶接された溶接個所の外観検査のみを実行してもよい。
以上により、実施の形態1に係る溶接システム1000は、不良個所のリペア溶接をより効率化できる。
図4は、溶接順序、検査順序およびリペア順序の一例を示す図である。図4には、本溶接による複数の溶接個所WD1,WD2,WD3,WD4のそれぞれと、複数の不良個所NG1,NG2,NG3のそれぞれとを概略図で示す。
複数の溶接個所WD1〜WD4のそれぞれは、本溶接する方向として矢印Q1で示される方向に応じた順序(つまり、溶接個所WD1、溶接個所WD2、溶接個所WD3、溶接個所WD4の順序)で本溶接される。溶接個所WD1は、溶接開始位置を位置P1、溶接終了位置を位置P2とする溶接個所である。溶接個所WD2は、溶接開始位置を位置P3、溶接終了位置を位置P4とする溶接個所である。溶接個所WD3は、溶接開始位置を位置P5、溶接終了位置を位置P6とする溶接個所である。溶接個所WD4は、溶接開始位置を位置P7、溶接終了位置を位置P8とする溶接個所である。
複数の溶接個所WD1〜WD4のそれぞれは、検査する方向として矢印R1で示される方向に応じた順序(つまり、溶接個所WD4、溶接個所WD3、溶接個所WD2、溶接個所WD1の順序)に設定される。検査順序は、このように溶接順序の逆の順序に設定される。なお、実施の形態1に係る各順序(溶接順序、検査順序、リペア順序)は、図4に示す方向(つまり、移動ルート)に沿って設定される順序であってよい。
検査装置4は、溶接個所WD4で不良個所NG1、溶接個所WD3で不良個所NG2、溶接個所WD1で不良個所NG3のそれぞれを不良と判定し、検出結果を生成する。
検出結果は、検査日時、不良個所NG1〜NG3のそれぞれに対する不良要因(NG要因)および不良位置(NG個所)を含んで生成される。具体的には、検査結果は、不良個所NG1について「NG要因=AAA,NG個所(x1,y1,z1)」、不良個所NG2について「NG要因=BBB,NG個所(x2,y2,z2)」、不良個所NG3について「NG要因=CCC,NG個所(x3,y3,z3)」のように生成される。
ロボット制御装置3は、検査結果に基づいて、リペア溶接する方向として矢印Q1で示される方向に応じた順序(つまり、不良個所NG1、不良個所NG2、不良個所NG3の順序)に設定したリペア溶接プログラムを生成する。ロボット制御装置3は、生成されたリペア溶接プログラムに基づいて、複数の不良個所NG1〜NG3のそれぞれに対するリペア溶接を実行する。
以上により、実施の形態1に係る溶接システム1000は、溶接個所の外観検査および不良個所のリペア溶接をより効率化できる。
図4では、複数の溶接個所WD1〜WD4のそれぞれが、ほぼ一直線上に位置する場合の溶接順序、検査順序およびリペア順序の一例について説明した。図5では、複数の溶接個所WD5,WD6,WD7,WD8のそれぞれが、円弧を描くように位置する場合の溶接順序、検査順序およびリペア順序の一例について説明する。図5は、溶接順序、検査順序およびリペア順序の一例を示す図である。
複数の溶接個所WD5〜WD8のそれぞれは、本溶接する方向として矢印Q2で示される方向に応じた順序(つまり、溶接個所WD5、溶接個所WD6、溶接個所WD7、溶接個所WD8の順序)で本溶接される。溶接個所WD5は、溶接開始位置を位置P9、溶接終了位置を位置P10とする溶接個所である。溶接個所WD6は、溶接開始位置を位置P11、溶接終了位置を位置P12とする溶接個所である。溶接個所WD7は、溶接開始位置を位置P13、溶接終了位置を位置P14とする溶接個所である。溶接個所WD8は、溶接開始位置を位置P15、溶接終了位置を位置P16とする溶接個所である。
複数の溶接個所WD5〜WD8のそれぞれは、検査する方向として矢印R2で示される方向に応じた順序(つまり、溶接個所WD8、溶接個所WD7、溶接個所WD6、溶接個所WD5の順序)に設定される。検査順序は、このように溶接順序の逆の順序に設定される。
検査装置4は、溶接個所WD8で不良個所NG4、溶接個所WD7で不良個所NG5、溶接個所WD5で不良個所NG6のそれぞれを不良と判定し、検出結果を生成する。
検出結果は、検査日時、不良個所NG4〜NG6のそれぞれに対する不良要因(NG要因)および不良位置(NG個所)を含んで、生成される。なお、図5において、検査結果は図示を省略している。
ロボット制御装置3は、検査結果に基づいて、リペア溶接する方向として矢印Q2で示される方向に応じた順序(つまり、不良個所NG4、不良個所NG5、不良個所NG6の順序)に設定したリペア溶接プログラムを生成する。ロボット制御装置3は、生成されたリペア溶接プログラムに基づいて、複数の不良個所NG4〜NG6のそれぞれに対するリペア溶接を実行する。
以上により、実施の形態1に係る溶接システム1000は、溶接個所の外観検査および不良個所のリペア溶接をより効率化できる。
次に、図6を参照して図5に示す複数の不良個所NG4〜NG6のそれぞれのリペア溶接の実行において、溶接トーチ400の移動ルートを設定する例について説明する。図6は、リペア順序の一例を示す図を示す図である。
図6に示す複数の治具S1,S2,S3のそれぞれは、マニピュレータ200および溶接トーチ400の可動領域内にある緩衝材である。複数の治具S1〜S3のそれぞれの位置情報は、プログラム記憶部33に記憶されている。プログラム生成部34bは、これらの位置情報と不良個所の位置情報とに基づいて、リペア順序を設定し、溶接トーチ400の移動ルートQ3を設定する。移動ルートQ3は、図5に示すリペア溶接する方向として矢印Q2(つまり、溶接トーチ400の移動ルートQ2)のようにすべての溶接個所のそれぞれを移動することなく、不良個所の位置に基づいて設定される。なお、図6に示す移動ルートQ3は一例であることは言うまでもない。
また、移動ルートQ3は、上述したように不良個所ごとのリペア溶接に要する時間を推定し、すべての不良個所に対するリペア溶接の完了時間が最も短くなるように設定されてよい。これにより、溶接システム1000は、不良個所のリペア溶接をより効率化できる。
(実施の形態2)
実施の形態1に係る溶接システム1000は、検査ロボットMC2およびリペア溶接ロボットMC3が一体の検査・リペア溶接用ロボットMC23における溶接個所の検査およびリペア溶接を実行する例について説明した。実施の形態2に係る溶接システム1000は、検査とリペア溶接とが別体のロボットで実行される場合の溶接個所の検査およびリペア溶接を実行する例について説明する。このような場合、リペア溶接ロボットMC3は、検査結果に含まれる不良個所の位置情報に基づいてリペア溶接を実行できないため、検査結果に含まれる不良個所の位置情報をリペア溶接ロボットがリペア溶接可能な位置情報に変換する必要がある。
図7は、実施の形態2に係る検査ロボットMC2およびリペア溶接ロボットMC3の構成例を示す図である。図8は、実施の形態2に係る検査ロボットMC2およびリペア溶接ロボットMC3のそれぞれの制御に関する溶接システム1000の内部構成例を示す図実施の形態2に係る溶接システム1000の内部構成例は、実施の形態1に係る溶接システム1000の内部構成とほぼ同一の構成を有する。実施の形態1と同一の構成要素については同一の符号を用いることで、その説明を省略する。
ロボット制御装置2は、本溶接およびリペア溶接を実行するためのリペア溶接ロボットMC3を制御するための制御装置である。つまり、実施の形態2に係る本溶接は、リペア溶接ロボットMC3を用いて実行される。なお、本溶接とリペア溶接とが、別体のロボット(つまり、本溶接ロボットMC1,リペア溶接ロボットMC3)で実行されてもよいことは言うまでもない。
ロボット制御装置2は、上位装置1から受信された制御信号に基づいて、マニピュレータ202、ワイヤ送給装置300、および溶接電源装置5をそれぞれ制御する。ロボット制御装置2は、通信部20と、プロセッサ21と、メモリ22と、プログラム記憶部23と、を含んで構成される。プロセッサ21は、プログラム呼出部24aと、プログラム生成部24bと、溶接電源制御部25と、ロボット制御部26と、演算部27と、変換行列記憶部28と、座標変換部29と、を含んで構成される。
通信部20は、上位装置1との間で通信可能に接続される。通信部20は、上位装置1から本溶接およびリペア溶接を実行するための情報(例えば、溶接個所ごとの溶接方法、位置情報等)を受信する。
プロセッサ21は、例えばCPUまたはFPGAを用いて構成されて、メモリ22と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、プロセッサ21はメモリ22に保持されたプログラムおよびデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。各部は、プログラム呼出部24a、プログラム生成部24b、溶接電源制御部25、ロボット制御部26、演算部27、変換行列記憶部28および座標変換部9である。各部の機能は、例えば、溶接個所の本溶接を実行するための本溶接プログラムを生成する機能、溶接個所の検査結果に基づいて、リペア溶接を実行するためのリペア溶接プログラムを生成する機能等である。
メモリ22は、例えばプロセッサ21の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAMと、プロセッサ21の動作を規定したプログラムおよびデータを格納するROMとを有する。RAMには、プロセッサ21により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。ROMには、プロセッサ21の動作を規定するプログラムが書き込まれている。また、メモリ22は、リペア溶接ロボットMC3に予め設定されたリペア溶接座標系ΣW2の情報を記憶する。
プログラム記憶部23は、本溶接プログラムおよびリペア溶接プログラムを記憶する。なお、本溶接プログラムは、本溶接を実行するためのプログラムであり、溶接電源装置5、マニピュレータ202、ワイヤ送給装置300および溶接トーチ401等を制御するための制御プログラムである。
また、プログラム記憶部23は、本溶接の溶接順序およびリペア溶接のリペア順序を記憶してよい。これにより、溶接システム1000は、リペア溶接の実行をより効率化できる。
さらに、プログラム記憶部23は、マニピュレータ202および溶接トーチ401の可動領域に位置する治具等の緩衝材の位置情報を記憶する。これにより、溶接システム1000は、リペア順序に伴って溶接トーチ401の移動ルートを設定する場合であっても、マニピュレータ202および溶接トーチ401と緩衝材との接触による機器の破損を防止できる。これにより、溶接システム1000は、リペア溶接の実行を効率化するためのリペア順序を設定し、かつこれらの順序に基づいて溶接トーチ401の移動ルートを設定するような場合であっても、機器を故障させることなく、不良個所のリペア溶接をより効率化できる。
プログラム呼出部24aは、通信部20を介して上位装置1から受信された制御信号に基づいて、本溶接を実行するための本溶接プログラムをプログラム記憶部23から呼び出す。プログラム呼出部24aは、呼び出された本溶接プログラムをプログラム生成部24bに出力する。
また、プログラム呼出部24aは、通信部20を介して検査装置4から受信された検査結果に基づいて、不良個所の不良要因に応じたリペア溶接を実行するためのリペア溶接プログラムをプログラム記憶部23から呼び出す。プログラム呼出部24aは、呼び出したリペア溶接プログラムをプログラム生成部24bに出力する。
プログラム生成部24bは、通信部20を介して上位装置1から受信された制御信号に基づいて、本溶接を実行するための本溶接プログラムを生成する。プログラム生成部24bは、プログラム呼出部24aによって呼び出された本溶接プログラムを生成する。プログラム生成部24bは、生成された本溶接プログラムを演算部27に出力する。
また、プログラム生成部24bは、通信部20を介して検査装置4から受信された検査結果と、座標変換部29から入力されたリペア溶接座標系ΣW2における不良個所の位置情報とに基づいて、不良個所の不良要因に応じたリペア溶接を実行するためのリペア溶接プログラムを生成する。プログラム生成部24bは、プログラム呼出部24aによって呼び出されたリペア溶接プログラムを不良個所ごとに生成する。プログラム生成部24bは、生成されたリペア溶接プログラムを演算部27に出力する。
なお、プログラム生成部24bは、リペア溶接を実行するためのリペア順序を、溶接個所の検査順序と異なる順序に設定したリペア溶接プログラムを生成する。これにより、溶接システム1000は、不良個所の数および位置に応じて、効率的にリペア溶接を実行できる。したがって、溶接システム1000は、溶接個所のリペア溶接をより効率化できる。
また、プログラム生成部24bは、上述したリペア順序および緩衝材の位置情報に基づいて、リペア溶接の際の溶接トーチ401の移動ルートを設定してよい。これにより、溶接システム1000は、マニピュレータ202の移動に要する時間を短縮でき、不良個所のリペア溶接をより効率化できる。
さらに、プログラム生成部24bは、検査結果に基づいて、不良要因に応じて必要な溶接トーチ401の温度、または溶接トーチ401の温度,リペア溶接範囲等から推定されるリペア溶接後のワークWk1の冷却時間等を推定してよい。プログラム生成部24bは、推定結果に基づいて、さらに不良個所ごとのリペア溶接に要する時間を推定し、すべての不良個所に対するリペア溶接の完了時間が最も短くなるようにリペア順序および溶接トーチ401の移動ルートを設定してよい。これにより、溶接システム1000は、不良個所のリペア溶接をより効率化できる。
演算部27は、プログラム生成部24bから入力された本溶接プログラムあるいはリペア溶接プログラムに基づいて、ロボット制御部26によって制御されるマニピュレータ202およびワイヤ送給装置300を制御するための演算と、溶接電源制御部25によって制御される溶接電源装置5を制御するための演算とを実行する。例えば、演算部27は、不良個所の位置情報に基づいて、リペア溶接に必要なオフセット量を演算する。演算部27は、演算結果を含むリペア溶接プログラムを溶接電源制御部25およびロボット制御部26に出力する。
ロボット制御部26は、演算部27から受信された本溶接プログラムあるいはリペア溶接プログラムに基づいて、マニピュレータ202およびワイヤ送給装置300を制御するための制御信号を生成する。ロボット制御部26は、生成された制御信号に基づいて、マニピュレータ202およびワイヤ送給装置300を制御する。
変換行列記憶部28は、検査装置4によって取得された検査座標系ΣW1に基づく不良個所の位置情報(座標情報)をリペア溶接ロボットMC3がリペア溶接可能なリペア溶接座標系ΣW2に基づく位置情報(座標情報)に変換するための変換行列を導出して、記憶する。具体的には、変換行列記憶部28は、同一ワークWk2に対して異なる3点のそれぞれの位置にリペア溶接ロボットMC3が保持する溶接トーチ401および検査ロボットMC2が保持する形状検出部501を位置した状態で、リペア溶接座標系ΣW2と検査座標系ΣW1とによって得られるそれぞれの座標系に基づく位置情報(座標情報)を用いて、変換行列を導出する。記憶された変換行列は、座標変換部29によって参照される。
座標変換部29は、変換行列記憶部28に記憶された変換行列を参照して、検査装置4によって取得された不良個所の位置情報(座標情報)をリペア溶接ロボットMC3がリペア溶接可能なリペア溶接座標系ΣW2に基づく位置情報(座標情報)に変換する。座標変換部29は、変換されたリペア溶接座標系ΣW2に基づく不良個所の位置情報を、プログラム生成部24bに出力する。
なお、変換行列記憶部28および座標変換部29は、ロボット制御装置3aによって検査座標系ΣW1に基づく不良個所の位置情報(座標情報)をリペア溶接ロボットMC3がリペア溶接可能なリペア溶接座標系ΣW2に基づく位置情報(座標情報)に変換される場合には、省略されてよい。
次に、ロボット制御装置3aについて説明する。ロボット制御装置3aは、上位装置1から受信された制御信号に基づいて、検査装置4を制御する。ロボット制御装置3aは、通信部30と、プロセッサ31aと、メモリ32と、プログラム記憶部33と、を含んで構成される。プロセッサ31aは、プログラム呼出部34cと、プログラム生成部34dと、検査装置制御部35aと、ロボット制御部36aと、演算部37aと、変換行列記憶部38aと、座標変換部39aと、を含んで構成される。
通信部30は、上位装置1および検査装置4との間で通信可能に接続される。通信部30は、上位装置1から外観検査を実行するための情報および制御信号(例えば、溶接個所ごとの位置情報、不良判定のための検査条件等)を受信し、これを検査装置4の通信部40に送信する。また、通信部30は、検査装置4から溶接個所に対する検査結果を受信すると、上位装置1に送信する。
プロセッサ31は、例えばCPUまたはFPGAを用いて構成されて、メモリ32と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、プロセッサ31はメモリ32に保持されたプログラムおよびデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。各部は、プログラム呼出部34c、プログラム生成部34d、検査装置制御部35a、ロボット制御部36a、演算部37a、変換行列記憶部38aおよび座標変換部39aである。各部の機能は、例えば、溶接個所の外観検査を実行するための検査プログラムを生成する機能、生成された検査プログラムに基づいて、マニピュレータ201および形状検出部501を制御するための制御信号を生成する機能等である。
メモリ32は、例えばプロセッサ31の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAMと、プロセッサ31の動作を規定したプログラムおよびデータを格納するROMとを有する。RAMには、プロセッサ31により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。ROMには、プロセッサ31の動作を規定するプログラムが書き込まれている。また、メモリ22は、検査ロボットMC2に予め設定された検査座標系ΣW1の情報を記憶する。
プログラム記憶部33は、検査プログラムを記憶する。なお、検査プログラムは、溶接個所ごとの外観検査を実行するためのプログラムであり、検査装置4、マニピュレータ201および形状検出部501等を制御するための制御プログラムである。
さらに、プログラム記憶部33は、マニピュレータ201および形状検出部501の可動領域に位置する治具等の緩衝材の位置情報を記憶する。これにより、溶接システム1000は、検査順序に伴って形状検出部501の移動ルートを設定する場合であっても、マニピュレータ201および形状検出部501と緩衝材との接触による機器の破損を防止できる。これにより、溶接システム1000は、外観検査の実行を効率化する目的で検査順序を設定し、かつこの検査順序に基づいて形状検出部501の移動ルートを設定するような場合であっても、機器を故障させることなく、溶接個所の検査をより効率化できる。
プログラム呼出部34cは、通信部30を介して上位装置1から受信された制御信号に基づいて、溶接個所に応じた外観検査を実行するための検査プログラムをプログラム記憶部33から呼び出す。プログラム呼出部34cは、呼び出した検査プログラムをプログラム生成部34dに出力する。
プログラム生成部34dは、通信部30を介して上位装置1から受信された制御信号に基づいて、溶接個所に応じた外観検査を実行するための検査プログラムを生成する。プログラム生成部34dは、プログラム呼出部34cによって呼び出された検査プログラムを溶接個所ごとに生成する。プログラム生成部34dは、生成された検査プログラムを演算部37aに出力する。
さらに、プログラム生成部34dは、緩衝材の位置情報、設定された検査順序および検査条件に基づいて、形状検出部501の移動ルートを設定してよい。これにより、溶接システム1000は、溶接個所の外観検査をより効率化できる。
演算部37aは、プログラム生成部34dから入力された検査プログラムに基づいて、検査装置制御部35aによって制御される検査装置4および形状検出部501のそれぞれを制御するための演算を実行する。例えば、演算部37aは、溶接個所の位置情報に基づいて、溶接個所および溶接個所の周辺を含む撮像領域を撮像可能な撮像位置、撮像距離を演算する。演算部37aは、演算結果を含む検査プログラムを検査装置制御部35aおよびロボット制御部36aに出力する。
検査装置制御部35aは、演算部37aから受信された検査プログラムに基づいて、検査装置4を制御するための制御信号を生成する。生成された制御信号は、通信部30を介して検査装置4に送信される。
ロボット制御部36aは、演算部37aから受信された検査プログラムに基づいて、検査ロボットMC2に予め設定された検査座標系ΣW1に基づく制御を実行する。ロボット制御部36aは、マニピュレータ201を制御するための制御信号を生成し、制御を実行する。
ロボット制御装置2によって、検査座標系ΣW1に基づく不良個所の位置情報(座標情報)をリペア溶接ロボットMC3がリペア溶接可能なリペア溶接座標系ΣW2に基づく位置情報(座標情報)に変換されない場合、ロボット制御装置3aは、変換行列記憶部38aおよび座標変換部39aを含んで構成されてよい。以下、変換行列記憶部38aおよび座標変換部39aについて説明する。
変換行列記憶部38aは、検査座標系ΣW1に基づく不良個所の位置情報(座標情報)をリペア溶接ロボットMC3がリペア溶接可能なリペア溶接座標系ΣW2に基づく位置情報(座標情報)に変換するための変換行列を導出して、記憶する。具体的には、変換行列記憶部38aは、同一ワークWk2に対して異なる3点のそれぞれの位置にリペア溶接ロボットMC3が保持する溶接トーチ401および検査ロボットMC2が保持する形状検出部501を位置した状態で、リペア溶接座標系ΣW2と検査座標系ΣW1とによって得られるそれぞれの座標系に基づく位置情報(座標情報)を用いて、変換行列を導出する。記憶された変換行列は、座標変換部39aによって参照される。
座標変換部39aは、変換行列記憶部38aに記憶された変換行列を参照して、検査装置4によって取得された不良個所の位置情報(座標情報)をリペア溶接ロボットMC3がリペア溶接可能なリペア溶接座標系ΣW2に基づく位置情報(座標情報)に変換する。座標変換部39aは、変換されたリペア溶接座標系ΣW2に基づく不良個所の位置情報に基づく検査結果を生成し、上位装置1を介してロボット制御装置2に送信する。
検査ロボットMC2は、ロボット制御装置3aから受信された制御信号に基づいて、溶接個所の溶接ビードの形状を検出し、検出結果に基づいて溶接ビードごとの形状データを取得する。検査ロボットMC2は、取得された溶接ビードごとの形状データを検査装置4に送信する。検査ロボットMC2は、マニピュレータ201と、形状検出部501と、を含んで構成される。
マニピュレータ201は、所謂ロボットアームであり、多関節軸を有するロボットである。マニピュレータ201は、ロボット制御装置3aから受信された制御信号に基づいて、形状検出部501の位置を制御する。
形状検出部501は、例えば3次元形状計測センサであり、ロボット制御装置3aから受信された溶接個所の位置情報に基づいて、溶接個所の形状データ(画像データ)を取得し、検査装置4に送信する。
リペア溶接ロボットMC3は、ロボット制御装置3aから受信された溶接個所の検査結果(つまり、不良個所に関する情報)に基づいて、不良個所に対するリペア溶接を実行する。リペア溶接ロボットMC3は、マニピュレータ202と、ワイヤ送給装置300と、溶接ワイヤ301と、溶接トーチ401と、を含んで構成される。
マニピュレータ202は、ロボット制御装置2から受信されたリペア溶接に関する制御信号に基づいて、溶接トーチ401の位置および角度を制御する。
溶接トーチ401は、溶接ワイヤ301を保持し、溶接電源装置5から電力を供給される。また、溶接トーチ400は、マニピュレータ202によって溶接個所を溶接可能に移動される。
以上により、実施の形態2に係る溶接システム1000は、検査とリペア溶接とが別体のロボットで実行される場合であっても、溶接個所の外観検査および不良個所のリペア溶接をより効率化できる。
以上により、実施の形態1に係る溶接システム1000は、ワークWk1の溶接個所の外観を検査する検査装置4と、ワークWk1を溶接するロボットMC23を制御するロボット制御装置3と、を備え、検査装置4は、ワークWk1の溶接個所のうち所定の基準に従って不良個所を検出し、ロボット制御装置3は、不良個所をリペア溶接するリペア順序を、不良個所の検出順序と異なる順序に設定したリペア溶接プログラムを生成し、リペア溶接プログラムに従うリペア溶接の実行をロボットMC23に指示する。
これにより、実施の形態1に係る溶接システム1000は、不良個所のリペア溶接をより効率化できる。
また、実施の形態1に係る溶接システム1000におけるロボット制御装置3は、リペア溶接の実行後に、リペア溶接が実行された不良個所の外観の検査を検査装置に指示する。これにより、実施の形態1に係る溶接システム1000は、不良個所が修正されたか否かを再度自動的に検査できる。
また、実施の形態1に係る溶接システム1000における検査装置4は、不良個所の不良要因を判定し、ロボット制御装置3は、不良要因に基づいて、リペア溶接に必要なリペア溶接温度が高い(つまり、リペア溶接の際の溶接トーチ400の温度)不良個所を優先するリペア順序を設定する。これにより、実施の形態1に係る溶接システム1000は、リペア溶接後のワークWk1の冷却時間が長い個所を優先的にリペア溶接することができるため、不良個所のリペア溶接をより効率化できる。
また、実施の形態1に係る溶接システム1000におけるロボット制御装置3は、ワークWk1を保持する治具の位置情報を記憶し、治具の位置情報に基づいて、ロボットMC23の溶接トーチ400の移動距離が最短となるようにリペア順序を設定する。これにより、実施の形態1に係る溶接システム1000は、不良個所のリペア溶接をより効率化できる。
また、実施の形態1に係る溶接システム1000におけるロボット制御装置3は、ワークWk1の溶接個所を検査する検査順序を、溶接個所の溶接順序と異なる検査順序に設定し、検査順序に基づく不良個所の外観の検査を検査装置に指示する。これにより、実施の形態1に係る溶接システム1000は、溶接個所の外観検査をより効率化できる。
また、実施の形態1に係る溶接システム1000における検査装置4によって実行される検査順序は、溶接順序と逆の順序である。これにより、実施の形態1に係る溶接システム1000は、溶接個所の外観検査をより効率化できる。
また、実施の形態1に係る溶接システム1000における検査装置4は、ワークWk1を溶接するロボットMC23を制御するロボット制御装置3と接続され、ワークWk1の溶接個所の外観を検査する検査装置4であって、ワークWk1の溶接個所のうち所定の基準に従って不良個所を検出する処理部45と、不良個所の検出結果と、不良個所をリペア溶接するリペア順序を不良個所の検出順序と異なる順序に設定したリペア溶接プログラムの生成の指示とをロボット制御装置に送信する通信部40と、を備える。
これにより、実施の形態1に係る溶接システム1000における検査装置4は、溶接個所の外観検査をより効率化できる。
また、実施の形態1に係る溶接システム1000におけるロボット制御装置3は、ワークWk1を溶接するロボットMC23を制御するロボット制御装置3と接続され、ワークWk1の溶接個所の外観を検査する検査装置4であって、ワークWk1の溶接個所のうち所定の基準に従って不良個所の検出結果および検出順序を受信する通信部30と、不良個所の検出結果および検出順序に基づいて、検出順序と異なるリペア順序で不良個所をリペア溶接するリペア溶接プログラムを生成する生成部34bと、リペア溶接プログラムに従うリペア溶接の実行をロボットに指示する制御部31と、を備える。
これにより、実施の形態1に係る溶接システム1000におけるロボット制御装置3は、不良個所のリペア溶接をより効率化できる。
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。