JP2021006389A - 液体吐出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】液体吐出装置の大型化を抑え、かつ駆動波形の設計自由度を上げることが可能な液体吐出装置を提供する。【解決手段】液体を吐出する開口を有するノズル24と、ノズル24に連通する圧力室25と、ノズル24から液体を吐出させるべく、圧力室25内の液体に圧力変動を生じさせ圧電素子28と、ノズル24から液体を吐出させずに、ノズル24の中の液面に振動を生じさせる水晶振動子38と、圧電素子28に供給する吐出用駆動波形を生成する吐出用駆動波形生成回路と、水晶振動子38に供給する微振動用駆動波形を生成する微振動用駆動波形生成回路と、を備える。【選択図】図2
Description
本発明は、体積が異なる複数種類の液滴を同一のノズル開口から吐出可能な液体吐出装置に関する。
液体吐出装置は、複数の駆動波形を駆動素子に選択的に印加させることで中間階調を表現し、印刷される画像の解像度を向上させている。例えば、特許文献1には、異なる吐出量となる複数の駆動波形を用いることにより、より解像度の高い画像を印刷することができる液体吐出装置が開示されている。
しかしながら、1駆動周期の駆動波形に含められる駆動波形の形状や数には限りがあり、このため、駆動素子に印加する駆動波形を増やすと駆動波形ごとに駆動波形生成回路が必要となり、液体吐出装置が大型化するという課題がある。
本願の液体吐出装置は、液体を吐出する開口を有するノズルと、前記ノズルに連通する圧力室と、前記ノズルから前記液体を吐出させるべく、前記圧力室内の前記液体に圧力変動を生じさせる吐出用駆動素子と、前記ノズルから前記液体を吐出させずに、前記ノズルの中の液面に振動を生じさせる水晶振動子を有する微振動用駆動素子と、前記吐出用駆動素子に供給する吐出用駆動波形を生成する吐出用駆動波形生成回路と、前記微振動用駆動素子に供給する微振動用駆動波形を生成する微振動用駆動波形生成回路と、を備えることを特徴とする。
上記の液体吐出装置において、前記微振動用駆動素子は、前記圧力室から前記ノズルの開口までの流路において、前記吐出用駆動素子よりも前記ノズルの開口側の流路に対応して設けられることが好ましい。
上記の液体吐出装置において、前記吐出用駆動素子は、前記圧力室の隔壁をなす振動板上に設けられ、前記微振動用駆動素子は、前記振動板上に設けられることが好ましい。
上記の液体吐出装置において、前記吐出用駆動波形生成回路は、前記吐出用駆動素子に供給する異なる形状の複数の駆動波形を含む前記吐出用駆動波形を出力し、前記微振動用駆動波形生成回路は、前記微振動用駆動素子に供給する一定の周期の駆動波形を出力することが好ましい。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度を実際とは異ならしている。
(第1実施形態)
図1は、液体吐出装置としてのプリンターの構成の一例を示す正面図である。以下、プリンターの構成を、図1を参照しながら説明する。
図1は、液体吐出装置としてのプリンターの構成の一例を示す正面図である。以下、プリンターの構成を、図1を参照しながら説明する。
図1に示すように、プリンター1は、記録用紙、布、あるいは樹脂フィルム等の印刷媒体Sの表面に記録ヘッド8から液体状のインク(本発明における液体の一種)を吐出させて、画像やテキスト等の記録を行う装置である。このプリンター1は、フレーム2と、このフレーム2内に配設されたプラテン3と、を備えており、図示しない搬送機構によってプラテン3上に印刷媒体Sが搬送される。
また、フレーム2内には、プラテン3と平行にガイドロッド4が架設されており、このガイドロッド4には、記録ヘッド8及び記録ヘッド8とインクタンク6との間でインクの授受を行うサブタンク7を収容したキャリッジ5が摺動可能に支持されている。このキャリッジ5はガイドロッド4に沿って、印刷媒体Sの搬送方向と直交する主走査方向に往復移動するように構成されている。
本実施形態におけるプリンター1は、印刷媒体Sに対してキャリッジ5を相対的に往復移動させながら記録ヘッド8のノズル24(図2等参照)の開口からインクを吐出させて印刷動作(換言すると記録動作)を行う。
フレーム2の一側には、液体貯留部の一種であるインクタンク6が搭載されている。インクタンク6に貯留されているインクは、ポンプ9による圧力により供給チューブ10を通じてサブタンク7に導入された後、記録ヘッド8に供給される。
フレーム2の内側において、記録ヘッド8の移動範囲における一側に設けられたホームポジションには、記録ヘッド8のノズル形成面を封止するキャップ12を有するキャッピング機構11が配設されている。キャッピング機構11は、ホームポジションで待機状態にある記録ヘッド8のノズル形成面をキャップ12により封止してノズル24からインクの溶媒が蒸発することを抑制する。また、キャッピング機構11は、記録ヘッド8のノズル形成面を封止した状態で封止空部内を負圧化し、ノズル24からインクや気泡を強制的に吸引するクリーニング動作を行うことができる。
図2は、記録ヘッドの構成を示す断面図である。以下、記録ヘッドの構成を、図2を参照しながら説明する。なお、図2では、インク流路にインクが充填されていない状態が示されている。
第1実施形態における記録ヘッド8は、固定板17と、ノズルプレート18と、連通板19と、アクチュエーターユニット20と、コンプライアンス基板21と、ホルダー22等と、の複数のヘッド構成部材が積層されて接着剤等によって接合されている。なお、以下においては、記録ヘッド8の各構成部材の積層方向を、適宜上下方向として説明する。
アクチュエーターユニット20は、圧力室形成基板26と、第1振動板27と、吐出用駆動素子としての圧電素子28と、保護基板29とが、この順で積層されてユニット化されたものである。本実施形態における圧力室形成基板26は、シリコン単結晶基板から作製されている。この圧力室形成基板26には、圧力室25となる液室が各ノズル24に対応して複数列設されている。この圧力室25は、ノズル列に交差する方向に長尺な液室である。この圧力室25の長手方向の一側の端部には、連通板19のノズル連通口34が連通し、他側の端部には連通板19の個別連通口35が連通する。本実施形態における圧力室形成基板26には、圧力室25の列が2列形成されている。
圧力室形成基板26における連通板19側とは反対側の上面には、圧力室25の隔壁をなす第1振動板27が設けられている。これにより、圧力室25の上部開口がそれぞれ封止される。この第1振動板27は、例えば、圧力室形成基板26の上面に形成された二酸化シリコン(SiO2)からなる弾性膜と、この弾性膜上に形成された酸化ジルコニウム(ZrO2)からなる絶縁体膜と、から成る。
この第1振動板27上における、各圧力室25の上部開口に対応する領域には、吐出用駆動素子としての圧電素子28がそれぞれ形成されている。本実施形態における圧電素子28は、いわゆる撓みモードの圧電素子である。この圧電素子28は、例えば、第1振動板27上に、下電極層と、圧電体層と、及び上電極層(いずれも図示せず)と、が順次積層されてなる。
このように構成された圧電素子28は、下電極層と上電極層との間に両電極の電位差に応じた電界が付与されると、上下方向に撓み変形する。本実施形態では、2列に形成された圧力室25の列に対応して、圧電素子28の列が2列形成されている。
保護基板29は、圧電素子28の列を覆うように第1振動板27上に積層されている。この保護基板29の中央部には、配線基板32が挿通される配線空部33が開設されている。圧電素子28にはリード電極が配置され、リード電極と配線基板32の配線端子とが電気的に接続されている。
この配線基板32を通じてプリンター1の吐出用駆動波形生成回路57から送られてくる吐出用駆動波形が圧電素子28に印加されると、圧電素子28が駆動されて、インクの吐出制御が行われる。保護基板29の内部には、圧電素子28を収容可能な収容空間31が形成されている。この収容空間31は、保護基板29の下面側、換言すると第1振動板27側から上面側、換言するとホルダー22側に向けて保護基板29の高さ方向途中まで形成された窪みである。
本実施形態における保護基板29には、配線空部33の両側に収容空間31がそれぞれ形成されている。アクチュエーターユニット20の下面には、このアクチュエーターユニット20よりも広い面積を有する連通板19が接合される。
上記ノズル連通口34の一端に、微振動機構30を構成する微振動用駆動素子としての水晶振動子38を収容する収容凹部39が形成されている。この収容凹部39のノズル連通口34側の開口面は、上記第1振動板27と同様な構成の第2振動板40によって封止されている。そして、水晶振動子38は第2振動板40の収容凹部39側の面に形成されている。この水晶振動子38は、図示しない下電極と、上電極と、が接続されており、微振動用駆動波形が印加されることで振動するように構成されている。
本実施形態において、微振動機構30は、ノズル連通口34の下端、即ち、鉛直方向で最も下側に位置する。これにより、微振動機構30で発生した振動が、ノズル24内の液面に容易に伝搬する。ただし、微振動機構30で発生した振動が、ノズル24内の液面に伝搬すれば、鉛直方向のどの位置に微振動機構30を設置しても問題ない。
連通板19は、圧力室形成基板26と同様にシリコン単結晶基板から作製されている。本実施形態における連通板19には、圧力室25とノズル24とを連通するノズル連通口34と、各圧力室25に共通に設けられたリザーバー36と、リザーバー36と圧力室25とを個別に連通する個別連通口35と、が、例えば異方性エッチングにより形成されている。また、本実施形態における連通板19には、微振動機構30を構成する水晶振動子38を収容する収容凹部39が、上記ノズル連通口34と同様に、例えば異方性エッチングによって形成されている。
リザーバー36は、ノズル列方向に沿って延在する液室であり、本実施形態における連通板19においてノズルプレート18のノズル列毎に対応して2つ形成されている。リザーバー36の下面側の開口部は、コンプライアンス基板21のコンプライアンスシート41によって封止される。なお、1つのノズル列に対して複数のリザーバー36が設けられ、それぞれのリザーバー36に異なる種類のインクが割り当てられる構成を採用することもできる。
リザーバー36は、連通板19の下面側から、例えば異方性エッチングによって形成されている。このリザーバー36には、後述するようにホルダー22に設けられた導入液室48の導入口49を通じてインクが導入される。個別連通口35は、各圧力室25にそれぞれ対応してノズル列方向に沿って複数形成されている。この個別連通口35は、圧力室25の長手方向における他側(即ち、ノズル連通口34に連通する側とは反対側)の端部と連通する。ノズル連通口34は、圧力室25とノズル24とを個別に連通する流路であり、連通板19の厚さ方向を貫通した状態に形成されている。即ち、リザーバー36に導入されたインクは、個別連通口35から各圧力室25にそれぞれ流入し、さらにノズル連通口34を通じてノズル24に供給される。
連通板19において、収容凹部39は、各ノズル24にそれぞれ対応するノズル連通口34の列の間の領域に形成されている。上記のように収容凹部39は、水晶振動子38を収容する空間であり、連通板19の下面側から連通板19の厚さ方向の途中まで、例えば異方性エッチング等によって形成される。この収容凹部39の開口面は、第2振動板40によって封止されている。
第2振動板40は、水晶振動子38の駆動に伴って変位可能な可撓性を有する部材であり、例えば、上記第1振動板27と同様に弾性膜と絶縁体膜とから構成される。そして、水晶振動子38は、この第2振動板40の収容凹部39側の面に形成されている。なお、水晶振動子38のリード電極は、上記した配線空部33内に引き出されており、配線基板32を通じて微振動用駆動波形が印加されることにより、水晶振動子38が振動するように構成されている。
上記の連通板19の下面の略中央部分には、複数のノズル24が形成されたノズルプレート18が接合される。本実施形態におけるノズルプレート18は、連通板19およびアクチュエーターユニット20よりも小さい外形の板材であり、例えば、シリコン単結晶基板又はステンレス鋼等の金属板から構成されている。このノズルプレート18は、連通板19の下面において、リザーバー36の開口から外れた位置であって、ノズル連通口34が開口した領域に、これらのノズル連通口34と複数のノズル24とがそれぞれ連通する状態で接着剤等により接合される。
また、連通板19の下面におけるノズルプレート18から外れた位置には、コンプライアンス基板21が接合される。このコンプライアンス基板21は、連通板19の下面に位置決めされて接合された状態で、連通板19の下面におけるリザーバー36の開口を封止する。
本実施形態におけるコンプライアンス基板21は、コンプライアンスシート41と、これを支持する支持板42とが接合されて構成されている。連通板19の下面には、コンプライアンス基板21のコンプライアンスシート41が接合されて、連通板19と支持板42との間にコンプライアンスシート41が挟まれた状態となる。
コンプライアンスシート41は、可撓性を有する薄膜、例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)等の合成樹脂材料により作製されている。支持板42は、コンプライアンスシート41よりも剛性が高く且つ厚みのあるステンレス鋼等の金属材料で形成されている。この支持板42のリザーバー36に対向する領域には、このリザーバー36の下面開口に倣った形状に支持板42の一部が除去されたコンプライアンス開口43が形成されている。このため、リザーバー36の下面側の開口は、可撓性を有するコンプライアンスシート41のみで封止されている。換言すると、コンプライアンスシート41は、リザーバー36の一部を区画している。
支持板42の下面におけるコンプライアンス開口43に対応する部分は、固定板17によって封止される。これにより、コンプライアンスシート41の可撓領域と、これに対向する固定板17との間には、コンプライアンス空間44が形成されている。そして、このコンプライアンス空間44におけるコンプライアンスシート41の可撓領域が、インク流路内、特にリザーバー36内の圧力変動に応じてリザーバー36側またはコンプライアンス空間44側に変位する。したがって、支持板42の厚みは、コンプライアンス空間44として必要な高さに応じて定められている。
ホルダー22は、平面視において連通板19と略同一形状を呈し、その下面側にはアクチュエーターユニット20を収容する収容空部46が形成されている。そして、収容空部46にアクチュエーターユニット20が収容された状態でホルダー22の下面が連通板19によって封止される。
このホルダー22の平面視における略中央部分には、収容空部46と連通する挿通空部47が開設されている。この挿通空部47は、アクチュエーターユニット20の配線空部33とも連通する。上記の配線基板32は、挿通空部47を通じて配線空部33に挿入されるように構成されている。
また、ホルダー22の内部において、挿通空部47および収容空部46の両側には、連通板19のリザーバー36と連通する導入液室48が形成されている。また、ホルダー22の上面には、導入液室48と連通する導入口49がそれぞれ開設されている。
導入液室48には、インクタンク6(図1参照)から送られてきたインクが導入口49を通じて導入される。すなわち、インクタンク6から送られてきたインクは、導入口49、導入液室48、およびリザーバー36へと導入され、リザーバー36から個別連通口35を通じて各圧力室25に供給される。
固定板17は、例えば、ステンレス鋼等の金属製の板材である。本実施形態における固定板17には、ノズルプレート18に対応する位置に、ノズルプレート18に形成されたノズル24を露出させるため、ノズルプレート18の外形に倣った形状の貫通口17aが厚さ方向を貫通する状態で形成されている。本実施形態では、この固定板17における固定板17の下面と貫通口17aにおけるノズルプレート18の露出部分とにより、ノズル形成面が構成されている。なお、固定板17は、記録ヘッド8を保持する図示しないケース等の保持部材に固定される。
そして、上記構成の記録ヘッド8では、導入液室48からリザーバー36、個別連通口35、圧力室25、及びノズル連通口34を通ってノズル24に至るまでのインク流路内がインクで満たされた状態で、プリンターコントローラー55からの駆動信号に従い圧電素子28が駆動されることにより、圧力室25内のインクに圧力振動が生じ、この圧力振動によって所定のノズル24からインクが吐出される。
図3は、プリンターの電気的な構成を示すブロック図である。以下、プリンターの電気的な構成を、図3を参照しながら説明する。
本実施形態におけるプリンター1は、媒体搬送機構51と、キャリッジ移動機構52と、リニアエンコーダー53と、キャッピング機構11と、記録ヘッド8と、及びこれらを制御するプリンターコントローラー55と、を備えている。
本実施形態におけるプリンターコントローラー55は、制御回路56と、吐出用駆動波形生成回路57と、微振動用駆動波形生成回路58等と、を備えている。
制御回路56は、プリンター全体の制御を行うための演算処理装置であり、図示しないCPUや記憶装置等から構成されている。制御回路56は、記憶装置に記憶されているプログラム等に従って、プリンター1における各ユニットを制御する。また、本実施形態における制御回路56は、外部機器等から受信した印刷ジョブデータに基づき、印刷動作の際、記録ヘッド8のノズル24からインクを吐出させるための吐出データを生成し、吐出データを記録ヘッド8のヘッドコントローラー59に送信する。
また、制御回路56は、キャリッジ5の移動(即ち、主走査)に伴ってリニアエンコーダー53から出力されるエンコーダー信号からタイミング信号を生成する。吐出用駆動波形生成回路57は、このタイミング信号を受信する毎に駆動波形を出力する。この吐出用駆動波形生成回路57は、駆動波形に関する波形データに基づいて、アナログの電圧信号を生成し、これを図示しない増幅回路により増幅して吐出用駆動波形を生成する。吐出用駆動波形生成回路57により発生された吐出用駆動波形は、記録ヘッド8のヘッドコントローラー59に送信される。なお、吐出用駆動波形生成回路57は、圧電素子を駆動して液体を噴射するプリンターに備えられる公知の駆動波形生成回路を採用できる。
また、微振動用駆動波形生成回路58は、上記水晶振動子38の駆動にかかわる微振動用駆動波形を生成し、ヘッドコントローラー59に出力する。微振動用駆動波形は、例えば、水晶振動子38を共振状態にする一定の周期の駆動波形を含む。
キャリッジ移動機構52は、タイミングベルト等を介して走行させる図示しない駆動モーター(例えば、DCモーター)等を備え、キャリッジ5に搭載された記録ヘッド8をガイドロッド4に沿って主走査方向に移動させる。媒体搬送機構51は、印刷媒体Sをプラテン3上に順次送り出して副走査を行う。
また、リニアエンコーダー53は、キャリッジ5に搭載された記録ヘッド8の走査位置に応じたエンコーダー信号を、主走査方向における位置情報としてプリンターコントローラー55の制御回路56に出力する。制御回路56は、リニアエンコーダー53側から受信したエンコーダー信号に基づいて記録ヘッド8の走査位置(現在位置)を把握する。
記録ヘッド8は、ヘッドコントローラー59と、圧電素子28と、水晶振動子38と、ノズル異常検知部60と、を備える。
ノズル異常検知部60は、記録ヘッド8の各ノズル24の吐出異常(換言すると吐出不良)を検知する機構である。このノズル異常検知部60により、印刷動作中にノズル24についてインクの吐出が正常に行われているか否かの検査が行われる。本実施形態におけるノズル異常検知部60は、インクの吐出時に圧電素子28が駆動された際の圧力室25内のインクに生じる振動に基づく圧電素子28の起電力信号を検知信号として制御回路56に出力するように構成されている。
制御回路56は、ノズル異常検知部60から出力される検知信号に基づきノズル24からのインクの吐出について異常の有無を判定する。ノズル24からインクが吐出されないノズル抜けの場合や、ノズル24からインクが吐出されるとしても、正常なノズル24と比較してインクの量や飛翔速度(初速)が極端に低下している場合などの異常時には、上記の検知信号の周期成分や振幅成分が、予め取得されている正常時の周期や振幅と比較して異なる。
特に、圧力室25からノズル24までのノズル連通口34内に気泡が存在する場合、検知信号の振幅や周期が正常時から著しく変化する。この検知信号、即ち、起電力信号に基づく吐出異常の検知は周知であるため詳細な説明は省略するが、この検知方法により気泡による吐出異常を検知することが可能である。
なお、吐出異常の検知方法としては、例示したような圧電素子28の起電力によるものには限られず、例えば、ノズル24から吐出されるインク滴を光学的に検知することによる方法等、周知の種々の方法を採用することができる。
このように構成されたプリンター1は、印刷動作において、媒体搬送機構51によって印刷媒体Sを順次搬送すると共に、印刷媒体Sに対して記録ヘッド8を主走査方向に相対移動させながら、記録ヘッド8のノズル24から液体の一種であるインクをインク滴として吐出させて、印刷媒体S上にインク滴を着弾させることにより画像等を印刷する。
図4は、本実施形態における微振動用駆動波形生成回路58の一例を示す回路図である。微振動用駆動波形生成回路58が備える発振回路は、従来の水晶素子の発振回路と同等であり、CMOSインバータと帰還抵抗Rf7とで形成した増幅回路と、ドレイン抵抗RD8とドレイン容量Cdと水晶振動子38とトリマーコンデンサCgとで形成された帰還回路とで構成される。水晶振動子38は外部負荷容量などで、発振周波数を決めることができ、以下の式1で計算できる。
本実施形態の水晶振動子38の発振回路は、吐出用駆動波形生成回路57と比較して用いる部品点数が少ないため、微振動用駆動波形生成回路58の小型化が望める。また、水晶振動子38は、一度発振周波数を決めてしまえば、一定周期の電圧をかけることで設定した発振周波数で発振する。従って、微振動用の波形を設計する必要がなくなる。本実施形態では、吐出用駆動波形内に微振動用の駆動パルスを入れる必要がないため、その分、吐出用駆動波形の1周期内に含まれる吐出用駆動パルスの形状や数など設計自由度が上がる。言い換えれば、複数の階調を表現するため、吐出用駆動波形の1画素に相当する所定の周期内に、異なる形状の複数の吐出用駆動パルスを含む吐出用駆動波形を吐出用駆動波形生成回路57から出力することができる。これにより、吐出用駆動波形の複数の吐出用駆動パルスから、画像の階調に合わせた吐出用駆動パルスを選択して圧電素子28に供給することにより、印刷する画像の品質を画質させることができる。
以上述べたように、第1実施形態に係るプリンター1によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)第1実施形態によれば、微振動用駆動素子を水晶振動子38とすることで、微振動用駆動素子を圧電素子にした場合の駆動波形生成回路よりも微振動用駆動波形生成回路58を構成する部品の点数を少なくでき、微振動用駆動波形生成回路58の構成を容易に小型化できる。また、吐出用駆動波形と、微振動用駆動波形と、を分けたので、吐出用駆動波形の1周期内に微振動用の駆動パルスを入れる必要がなく、吐出用の駆動パルスの形状や数など設計自由度が上がる。
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態の記録ヘッドの構成を示す断面図である。図6は、図5の記録ヘッドのA部をノズル側から見た平面図である。以下、第2実施形態の記録ヘッドの構成を、図5及び図6を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と同一の構成部位については、同一の番号を使用し、重複する説明は省略する。
図5は、第2実施形態の記録ヘッドの構成を示す断面図である。図6は、図5の記録ヘッドのA部をノズル側から見た平面図である。以下、第2実施形態の記録ヘッドの構成を、図5及び図6を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と同一の構成部位については、同一の番号を使用し、重複する説明は省略する。
第2実施形態の記録ヘッド8aは、第1実施形態の記録ヘッド8と同様の構成を有しているが、更に、微振動機構62を構成する水晶振動子63と、水晶振動子63を収容する収容凹部64と、第3振動板65とを備えている。
図5及び図6に示すように、収容凹部64は、微振動機構30を構成する収容凹部39に対し、ノズル連通口34を挟んで対称に形成されている。この収容凹部64のノズル連通口34側の開口面は、上記第1振動板27、及び第2振動板40と同様な構成の第3振動板65によって封止されている。そして、水晶振動子63は、第3振動板65の収容凹部64側の面に形成されている。この水晶振動子63は、水晶振動子38と同様に、図示しない下電極、上電極が接続されており、微振動用駆動波形が印加されることにより振動するように構成されている。
第2実施形態によれば、微振動機構30及び微振動機構62が同時に発振することで、ノズル24内の液面に伝搬する振動が共振し、より伝搬しやすくなる。このとき、微振動機構30の発振周波数及び微振動機構62の発振周波数は、同一であることが望ましいが、その限りではない。また、ノズル連通口34に隣接している微振動機構30は、ノズル内の液面に振動を伝搬できるならば、その数は問わない。
以上述べたように、第2実施形態に係る記録ヘッド8aを備えるプリンターによれば、以下の効果を得ることができる。
(2)第2実施形態によれば、微振動機構30及び微振動機構62をノズル連通口34の円周上に配置することで、ノズル24内の液面に、その振動を容易に伝搬できる。
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態の記録ヘッドの構成を示す断面図である。以下、第3実施形態の記録ヘッド8の構成を、図7を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と同一の構成部位については、同一の番号を使用し、重複する説明は省略する。
図7は、第3実施形態の記録ヘッドの構成を示す断面図である。以下、第3実施形態の記録ヘッド8の構成を、図7を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と同一の構成部位については、同一の番号を使用し、重複する説明は省略する。
第3実施形態の記録ヘッド8bは、水晶振動子66が、圧力室25の天面に積層されている振動板としての第1振動板27上に圧電素子28と隣り合う形で積層されている。この水晶振動子66は、第1実施形態の水晶振動子38と同様に、図示しない下電極、上電極が接続されており、微振動用駆動波形が印加されることにより振動するように構成されている。
第3実施形態によれば、水晶振動子66が第1振動板27上に設置されているため、その振動を容易に伝搬できる。また、第1実施形態における収容凹部39のような、連通板19に行う加工工程を減らすことができるため、製造上のコストを抑えることもできる。
以上述べたように、第3実施形態に係る記録ヘッド8bを備えるプリンターによれば、以下の効果を得ることができる。
(3)第3実施形態によれば、水晶振動子66をアクチュエーターユニット20内の第1振動板27上に設けることにより、その振動を容易に伝搬でき、製造上のコストも低減できる。
本発明は、圧力室25からノズル24に至る流路を有し、駆動素子の駆動によりノズルから液体を吐出させる記録ヘッド及びこれを備える液体吐出装置に適用することができる。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材吐出ヘッド、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材吐出ヘッド、バイオチップ(生物化学素子)の製造に用いられる生体有機物吐出ヘッド等を複数備える記録ヘッド、及び、これを備える液体吐出装置にも本発明を適用することができる。
以下に、実施形態から導き出される内容を記載する。
液体吐出装置は、液体を吐出する開口を有するノズルと、前記ノズルに連通する圧力室と、前記ノズルから前記液体を吐出させるべく、前記圧力室内の前記液体に圧力変動を生じさせる吐出用駆動素子と、前記ノズルから前記液体を吐出させずに、前記ノズルの中の液面に振動を生じさせる水晶振動子を有する微振動用駆動素子と、前記吐出用駆動素子に供給する吐出用駆動波形を生成する吐出用駆動波形生成回路と、前記微振動用駆動素子に供給する微振動用駆動波形を生成する微振動用駆動波形生成回路と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、微振動用駆動素子を水晶振動子とすることで、微振動用駆動波形を単調な交流波形にできるため、微振動用駆動波形生成回路を構成する部品の点数を少なくでき、微振動用駆動波形生成回路の構成を容易に小型化できる。また、吐出用駆動波形と、微振動用駆動波形と、を分けたので、吐出用駆動波形の1周期内に微振動用駆動波形を入れる必要がなく、吐出用駆動波形の形状や数など設計自由度が上がる。
上記の液体吐出装置において、前記微振動用駆動素子は、前記圧力室から前記ノズルの開口までの流路において、前記吐出用駆動素子よりも前記ノズルの開口側の流路に対応して設けられることが好ましい。
この構成によれば、微振動用駆動素子を吐出用駆動素子よりノズルの開口側に配置することで、ノズル内の液体に容易に振動を与えることができる。
上記の液体吐出装置において、前記吐出用駆動素子は、前記圧力室の隔壁をなす振動板上に設けられ、前記微振動用駆動素子は、前記振動板上に設けられることが好ましい。
この構成によれば、微振動用駆動素子を振動板上に設けることで、液体に振動を容易に伝搬することができる。また、連通板に係る加工工程が減るため、製造上のコストを低減できる。
上記の液体吐出装置において、前記吐出用駆動波形生成回路は、前記吐出用駆動素子に供給する異なる形状の複数の駆動波形を含む前記吐出用駆動波形を出力し、前記微振動用駆動波形生成回路は、前記微振動用駆動素子に供給する一定の周期の駆動波形を出力することが好ましい。
この構成によれば、微振動用駆動素子を水晶振動子とすることで、微振動用駆動波形を単調な交流波形にできるため、微振動用駆動波形生成回路を構成する部品の点数を少なくでき、微振動用駆動波形生成回路の構成を容易に小型化できる。また、吐出用駆動波形と、微振動用駆動波形と、を分けたので、吐出用駆動波形の1周期内に微振動用駆動波形を入れる必要がなく、吐出用駆動波形の形状や数など設計自由度が上がる。
1…液体吐出装置としてのプリンター、2…フレーム、3…プラテン、4…ガイドロッド、5…キャリッジ、6…インクタンク、7…サブタンク、8,8a,8b…記録ヘッド、9…ポンプ、10…供給チューブ、11…キャッピング機構、12…キャップ、17…固定板、18…ノズルプレート、19…連通板、20…アクチュエーターユニット、21…コンプライアンス基板、22…ホルダー、24…ノズル、25…圧力室、26…圧力室形成基板、27…振動板としての第1振動板、28…吐出用駆動素子としての圧電素子、29…保護基板、30…微振動機構、32…配線基板、33…配線空部、34…ノズル連通口、35…個別連通口、36…リザーバー、38…微振動用駆動素子としての水晶振動子、39…収容凹部、40…第2振動板、41…コンプライアンスシート、42…支持板、43…コンプライアンス開口、44…コンプライアンス空間、46…収容空部、47…挿通空部、48…導入液室、49…導入口、51…媒体搬送機構、52…キャリッジ移動機構、53…リニアエンコーダー、55…プリンターコントローラー、56…制御回路、57…吐出用駆動波形生成回路、58…微振動用駆動波形生成回路、59…ヘッドコントローラー、60…ノズル異常検知部、62…微振動機構、63…水晶振動子、64…収容凹部、65…第3振動板、66…水晶振動子。
Claims (4)
- 液体を吐出する開口を有するノズルと、
前記ノズルに連通する圧力室と、
前記ノズルから前記液体を吐出させるべく、前記圧力室内の前記液体に圧力変動を生じさせる吐出用駆動素子と、
前記ノズルから前記液体を吐出させずに、前記ノズルの中の液面に振動を生じさせる水晶振動子を有する微振動用駆動素子と、
前記吐出用駆動素子に供給する吐出用駆動波形を生成する吐出用駆動波形生成回路と、
前記微振動用駆動素子に供給する微振動用駆動波形を生成する微振動用駆動波形生成回路と、
を備えることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1に記載の液体吐出装置であって、
前記微振動用駆動素子は、前記圧力室から前記ノズルの開口までの流路において、前記吐出用駆動素子よりも前記ノズルの開口側の流路に対応して設けられることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の液体吐出装置であって、
前記吐出用駆動素子は、前記圧力室の隔壁をなす振動板上に設けられ、
前記微振動用駆動素子は、前記振動板上に設けられることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の液体吐出装置であって、
前記吐出用駆動波形生成回路は、前記吐出用駆動素子に供給する異なる形状の複数の駆動波形を含む前記吐出用駆動波形を出力し、
前記微振動用駆動波形生成回路は、前記微振動用駆動素子に供給する一定の周期の駆動波形を出力することを特徴とする液体吐出装置。
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