JP2021004745A - がん診断のための代謝バイオマーカー - Google Patents

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Abstract

【課題】新たながんの検出方法などが求められていた。【解決手段】対象に由来する生体試料において、ウリジン二リン酸N−アセチルグルコサミン(UDP−GlcNAc)の量を測定し、その測定値を指標にすることを含む、がんの検出方法。【選択図】なし

Description

本発明は、がん診断のための代謝バイオマーカーなどに関する。
大腸がん、乳がん、及び膵がんは、罹患者数の多いがんである。大腸がんについては、腫瘍が粘膜層に限局している状態で早期に発見できた場合は、外科的治療や内視鏡手術により大腸がんを完治させることが可能である。乳がんについては、早期発見できた場合には、約90%が完治すると言われている。膵がんは、膵臓が他の臓器に囲まれていることなどから発生しても非常に見つけにくいがんである。そのため、大腸がん、乳がん、及び膵がんを含むがんの早期発見法が必要とされている。現在、大腸がんについては、癌胎児性抗原(CEA)やCA19−9が検出のための血液検査マーカーとして用いられている。また、大腸がんについては、CEA、CA15−3、NCC−ST−439が検出のための血液検査マーカーとして用いられている。さらに、膵臓がんについては、CEA、CA19−9、Span−1、DUPAN−2、CA50が検出のための血液検査マーカーとして用いられている。
ここで、特許文献1には、アルドラーゼAを大腸がんマーカーとして用いることが記載されている。また、特許文献2には、尿中ペプチド(m/z 2,332、1,243、1,314、又は2,444)が前立腺がんマーカーとして用いられている。非特許文献1には、がん組織中のシスタチオニンが乳がんマーカーとなり得る可能性が記載されている。さらに非特許文献2には、肺がん組織において、グルタミン酸とUDP−N−アセチルグルコサミンが上昇し、これはタンパク質糖鎖形成の増加を示唆するものであることが記載されている。
特開2017−198509号公報 特許第6312141号明細書
Archives of Biochemistry and Biophysics 604(2016)95−102 Cancer Prevention Research 8(5) (2015)410−418
上記状況において、新たながんの検出方法などが求められていた。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ウリジン二リン酸N−アセチルグルコサミン(UDP−GlcNAc)ががん診断のために有用な代謝バイオマーカーとなり得ることなどを見出し、本発明を完成するに至った。
ここでは、以下に示す、がんの検出方法などが提供される。
[1] 対象に由来する生体試料において、ウリジン二リン酸N−アセチルグルコサミン(UDP−GlcNAc)の量を測定し、その測定値を指標にすることを含む、がんの検出方法。
[2] 前記測定値を基準値と対比して、その値が基準値よりも大きいと認められる場合をがんの存在の指標とする、請求項1記載の方法。
[3] 前記生体試料が、生検試料である、請求項1又は2記載の方法。
[4] 前記がんが、大腸がん、膵がん、又は乳がんである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
[5] 前記測定を質量分析法により行う、請求項1〜4いずれか1項に記載の方法。
[6] 前記質量分析法がMALDI−TOF MS法である請求項5記載の方法。
[7] ウリジン二リン酸N−アセチルグルコサミン(UDP−GlcNAc)からなるがんマーカー。
本発明は、新たながんの検出方法を提供し得る。
質量分析イメージングによる乳腺組織の凍結組織アレイ(正常N:n=35、腫瘍T:n=84)中のUDP−GlcNAcの分析結果を示す図である。H&E染色後の観察でNおよびTと認められた部分の任意の領域内(0.141mm)のUDP−GlcNAc(m/z 606.04)のピーク強度を抽出した。データはMean±SEMとして表記した(Wilcoxon test:***P<0.0001)。腫瘍組織におけるUDP−GlcNAc平均ピーク強度は正常組織よりも5.63倍の高い値を示した。
以下、がんの検出方法などについて詳細に説明する。
ここでは、対象におけるがんを検出するための方法であって、対象に由来する生体試料中の特定のがんマーカーの量を測定することで、がんに罹患している可能性を判断することを含む方法が提供される。がんを検出するための方法は、がんの検出のための情報を提供する方法でもある。具体的には、対象に由来する生体試料において、後述の特定のマーカーの量を測定し、その測定値を指標にすることを含む、がんの検出方法が提供される。さらに、前記測定値を基準値と対比して、前記対象における測定値が基準値よりも大きいと認められる場合をがんの存在の指標とするようにしてもよい。例えば、測定値が基準値よりも大きいと認められる場合に、対象ががんに罹患している、または罹患している可能性があると判断する。
測定するがんマーカーとしては、ウリジン二リン酸N−アセチルグルコサミン(UDP−GlcNAc)が挙げられる。
いくつかの態様では、検出するがんとしては、肺がん以外のがんが挙げられる。検出するがんとしては、好ましくは、大腸がん、膵がん、及び乳がんが挙げられる。
「対象」は、ヒトを含む哺乳動物であり、例えば、ヒト、サル、イヌ、ネコ、ラット、マウスが挙げられ、好ましくは、ヒトである。
検出方法には、具体的には、がんマーカーの量の測定工程(工程A)が含まれる。検出方法には、がんの有無の決定工程(工程B)がさらに含まれてよい。以下に、各工程について説明する。
工程Aは、対象に由来する生体試料において、がんマーカーの量を測定する工程をさす。
「生体試料」としては、例えば、生検試料、血液、リンパ液、尿、唾液などが挙げられる。生検試料は、例えば、穿刺吸引(FNA)細胞診、内視鏡生検、針生検、尿細胞診などにより得られた試料である。生検試料は、腫瘍細胞を含むことが知られている又は腫瘍細胞を含んでいる可能性のある生検試料であってよい。生体試料は、対象の膵臓、乳房、消化管、脳、肝臓、心臓、肺、腎臓、胆嚢、膀胱、前立腺、皮膚、骨、軟骨、咽頭、喉頭、口腔など由来の細胞を含んでよい。生体試料は、凍結され、固定され、および/または透過処理されたものでもよく、例えば、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料、および/または凍結包埋試料であってもよい。
なお、生体試料の採取方法や調製方法は特に限定はなく、公知の方法に従って行うことができる。
がんマーカーの量の測定は、公知の方法に従って行うことができる。具体的には、例えば、質量分析方法や測定対象のマーカーを特異的に認識できる抗体を用いる方法、高速液体クロマトグラフィ法などが好適例として挙げられる。
質量分析法としては、例えば、MALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)型質量分析装置、ESI(エレクトロスプレイイオン化法)型、EI(電子イオン化法)型質量分析装置等を用いる方法などが挙げられる。好ましい質量分析法は、MALDI型質量分析装置を用いるMALDI−TOF MS法である。
抗体を用いる方法(免疫学的測定法)としては、例えば、ウェスタンブロット法、放射免疫測定法(RIA)、酵素免疫測定法(ELISA、EIA)、発光免疫測定法、蛍光免疫測定法(エクソスクリーン法等)などが挙げられる。かかる方法において用いる抗体は、がんマーカーに結合する抗体、好ましくは、がんマーカーに特異的に結合する抗体である。抗体は、がんマーカーを良好な感度及び特異性で検出又は捕捉することができるという特徴を有する。ここで、抗体には、その抗原結合性断片も含まれる。抗体は、当業者に周知の方法により作製することができ、例えば、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を用いることができる。また、抗体は、通常公知の方法に従って、標識化や固相化して用いることができる。
ここで、抗体の抗原結合性断片は、抗体の一部であって、抗体と同様に目的のタンパク質に対して特異的な結合性を有する断片を意味する。具体的には、Fab、F(ab’)、Fab’、一本鎖抗体(scFv)、ジスルフィド安定化抗体(dsFv)、2量化体V領域断片(Diabody)、CDRを含むペプチドなどを挙げることができる。
このようにして得られた測定値を用いて、以下の工程Bをさらに行ってもよい。
工程Bは、工程Aで得られたがんマーカーの量に基づいてインビトロでがんの有無を決定(又は評価)する工程である。具体的には、工程Bでは、がんマーカーの量の測定値を基準値と対比して、その測定値が基準値よりも大きいと認められる場合をがんの存在の指標とする。決定方法の一例として、がんマーカーの量の測定値が基準値と比較して大きいと認められるときに、生体試料中にがんが存在している、又はがんが存在している可能性があると決定(又は評価)する方法が挙げられる。ここで、「決定」とは、検出方法において得られた測定結果に基づいて、生体試料中のがんの存在、又はがんの存在の可能性を評価することを指す。
「基準値」とは、例えば、正常な生体試料におけるがんマーカーの量の測定値、又はがんが存在することが確認された生体試料(陽性試料)に含まれるがんマーカーの量と、複数の正常な生体試料(陰性試料)に含まれるがんマーカーの量とを測定して対比し、その結果に基づき高確率に陽性試料と陰性試料とを区別できる値とする。
正常な生体試料は、健常者由来の生体試料、がん細胞が存在しないことが確認されている、がんに罹患した対象由来の生体試料などである。
いくつかの態様では、正常な生体試料は健常者由来の生体試料である。健常者とは、少なくともがんに罹患していない個体、好ましくは健康な個体をいう。さらに、健常者は、対象と同一の生物種であることを要する。例えば、検出に供する対象がヒトの場合には、健常者もヒトでなければならない。健常者の身体的条件は、がんの検出をすべき対象のそれと同一又は近似することが好ましい。身体的条件とは、例えば、ヒトの場合であれば、人種、性別、年齢、身長、及び体重である。
別のいくつかの態様では、正常な生体試料は、がん細胞が存在しないことが確認されている、がんに罹患した対象由来の生体試料である。正常な生体試料の対象は、がんの検出をすべき対象と同一であってもよいし、あるいは異なってもよい。異なる場合、正常な生体試料の対象の身体的条件は、対象のそれと同一又は近似することが好ましい。身体的条件とは、例えば、ヒトの場合であれば、人種、性別、年齢、身長、及び体重である。
正常な生体試料としては、対象由来の生体試料と同種の試料であることが好ましい。正常な生体試料は、例えば、対象由来の生体試料が生検試料である場合、生検試料が好ましい。
正常な生体試料におけるがんマーカーの量は、工程Aで説明をした対象由来の生体試料におけるがんマーカーの量の測定方法と同様の方法で測定することが好ましい。正常な生体試料におけるマーカーの量は、対象由来の生体試料におけるがんマーカーの量を測定する都度、新たに測定することもできるが、予め測定しておいたがんマーカーの量を利用することもできる。特に、正常な生体試料を採取した健常者などの様々な身体的条件におけるがんマーカーの量を予め測定しておき、その値をコンピューターに入力してデータベース化しておけば、対象の身体的条件を当該コンピューターに入力することで、その対象との比較に最適な身体的条件を有する正常な生体試料のがんマーカーの量を即座に利用できるので便利である。
基準値が正常な生体試料におけるがんマーカーの量の測定値である場合の決定方法の一例として、がんマーカーの量の測定値が基準値と比較して統計学的に有意に大きいと認められるときに、生体試料中にがんが存在している、又はがんが存在している可能性があると決定(又は評価)する方法が挙げられる。
「統計学的に有意」とは、例えば、得られた値の危険率(有意水準)が5%、1%、0.1%、0.01%、0.001%、または、0.0001%より小さい場合が挙げられる。それ故、測定値について「統計学的に有意に大きい」とは、対象由来の生体試料から得られたがんマーカーの量と基準値との間の量的差異を統計学的に処理したときに両者間に有意差があり、かつ対象由来の生体試料におけるがんマーカーの量が基準値と比較して相対的に多いことをいう。例えば、がんマーカーの量に関して、対象由来の生体試料から得られたがんマーカーの量が基準値(例えば、正常部位のがんマーカーの量)よりも、例えば2倍以上、好ましくは3倍以上、より好ましくは5倍以上大きい場合が該当する。統計学的処理の検定方法は、有意性の有無を判断可能な公知の検定方法を適宜使用すればよく、特に限定しない。例えば、スチューデントt検定法、多重比較検定法などを用いることができる。
対象由来の生体試料におけるがんマーカーの量の測定値が基準値よりも統計学的に優位に大きい場合、その生体試料にがん細胞が存在する、又はがん細胞が存在する可能性があると評価する。
基準値が、がんが存在することが確認された生体試料(陽性試料)に含まれるがんマーカーの量と、複数の正常な生体試料(陰性試料)に含まれるがんマーカーの量とを測定して対比し、その結果に基づき高確率に陽性試料と陰性試料とを区別できる値である場合の決定方法の一例として、がんマーカーの量の測定値が基準値と比較して大きいと認められるときに、生体試料中にがんが存在している、又はがんが存在している可能性があると決定(又は評価)する方法が挙げられる。
かかる基準値は、統計処理などにより求めることができる。統計処理としては、例えば、Receiver−Operating−Characteristics(ROC)曲線を用いた解析などが挙げられる。ここで、ROC曲線から、「基準値」としての至適閾値(cut−off値)を求める方法としては、Youden index(感度+特異度−1)を用いる方法が一般的である(Akobeng,AK.et al.Acta Paediatrica 96:644−647,2007)。この方法では、Youden index(感度+特異度−1)が最大となりうる点が感度及び特異度ともにバランスのとれた値を示す点であることから、この診断成績を示す値をcut−off値とし、「基準値」として採用することが好ましい。
対象由来の生体試料におけるがんマーカーの量の測定値が基準値よりも大きい場合、その生体試料にがん細胞が存在する、又はがん細胞が存在する可能性があると評価する。
検出すべきがんの病期は、特に限定はなく、早期がんから末期がんに及ぶ。
このように、がんの検出方法は、生体試料中のがんマーカーの量を測定する態様を含む。がんの検出方法によって、対象由来の生体試料中のがん細胞の存在の有無を決定又は評価することができるだけでなく、対象のがんの罹患の有無の決定又は評価、がん細胞を含む生体試料とがん細胞を含まない生体試料の識別、がんを罹患している対象と健常者の識別、がん患者においてがんの存在する生体試料とがんの存在しない生体試料の識別などを可能にする。
また、前記解析において、例えば、対象ががんに罹患していると判断された場合においては、健常者のがんマーカー量を対象の治療前のがんマーカー量に設定し、治療後のがんマーカーの量を対象のがんマーカーの量として対比することで、治療後のがんマーカーの量が減少していることが示された場合は、当該治療ががんの治療に有効である可能性が高いと判断することができる。従って、がん治療を受ける前と受けた後において、がんマーカーの量を測定し、治療後の値が治療前の値より小さい場合に、当該治療が効果を有すると判断することを含む、がん治療の評価方法が提供され得る。
上記のようにがんの検出方法で得られた結果を利用して、対象ががんに罹患している又は罹患する可能性があることに関する診断を下す場合には、上記がんマーカーの検出結果に加えて、他のマーカーでの検出結果や、他の検査結果などを組み合わせて、総合的に判断して、診断を下すようにしても良い。このように、複数の検出結果および検査結果を組み合わせることで、より正確に対象ががんに罹患していることに関する診断を下すことができる。
また、がんの検出方法により得られた検出結果は、がんの予防または治療薬を投与すべき対象の選定にも有用である。したがって、ここでは、以下の、がんの予防または治療方法も提供する。
がんの検出方法によりがんに罹患している又は罹患する可能性があることが示された対象に、がんの予防または治療薬を投与することを含む、がんの予防または治療方法。
がんの予防または治療薬としては、例えば、公知の予防または治療薬を用いることができる。
また、がんを検出するためのキットが提供され得る。がん検出キットは、例えば、対象由来の生体試料中のがん細胞の存在の有無を決定又は評価するために、あるいは、がんの予防、改善又は治療に有用な候補物質をスクリーニングするために、直接又は間接的に利用され得る。
がん検出キットは、がんマーカーを特異的に認識し又はそれに特異的に結合可能な物質が包含される。がんマーカーを特異的に認識し又はそれに特異的に結合可能な物質としては、例えば、抗体を挙げることができる。抗体は、固相担体に結合されていてもよい。がん検出キットは、抗体に加えて、標識二次抗体、標識の検出に必要な基質、担体、洗浄バッファー、試料希釈液、酵素基質、反応停止液、精製された標準物質としてのタンパク質、使用説明書などから選択される少なくも1つ以上を含んでいてもよい。なお、がんマーカーを特異的に認識し又はそれに特異的に結合可能な抗体は、前述の通りである。
がん検出キットは、生体試料中のがんマーカーの量を測定する際に抗体を用いる方法(例えば、ウェスタンブロット法、ELISA法、エクソスクリーン法等)に用いることができる。
がん検出キットを用いて、例えば、健常者と対象の生体サンプル中に存在するがんマーカーの量を測定して、両者のがんマーカーの量に有意差が生じた場合には、対象におけるがんの罹患の決定及び/又は診断を行うことができる。
なお、本明細書に記載した全ての文献及び刊行物は、その目的にかかわらず参照によりその全体を本明細書に組み込むものとする。
また、本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を実施できる。発明を実施するための形態、実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図ならびに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々に修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1:がんマーカーの選定
九州大学病院にてがんと診断された患者から外科的に切除したヒト腫瘍組織を2〜5mm角に切り、等間隔に並べた後にOTC compound(サクラファインテックジャパン製)やcarboxymethyl cellulose(東京化成製)などの包埋剤を用いて包埋し凍結することで、乳がんのfrozen tissue microarray(fTMA)を作製した。外科的に切除された切除献体に、マージンとして付随する正常部位を非癌部として使用し、同様にfTMAを作製した。なお、すべての試薬は市販品で調製可能である。
ここで、癌部と非癌部は次のように見分けた。先ず、採取した生体試料から組織切片を作製し、スライドに固定化した。スライド作成時に組織を数〜数十マイクロメートル間隔で連続的に切片化し、質量分析用のスライドとほぼ同じ断面のスライドを作製した。これをヘマトキシリン・エオジン(HE)染色し、癌部と非癌部の境界を診断した。
このfTMAからクライオミクロトーム(Leica製)を用いて8〜15ミクロン程度の薄切片を切り出し、Indium tin oxideにてコーティングされた導電性スライドガラス上にマウントした。
iMLayer(島津製作所製)を用いて、9−aminoacridinを0.2〜2ミクロンの膜厚になるようスライドガラスに蒸着した後、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析装置(AXIMA Performance;島津製作所製)を用いて、下記の条件で質量分析イメージングを行なった。
検出対象:m/z値(質量対電荷比)300−1000
解像度 1mmあたり400ピクセル(1ピクセルは50μm)
解析用ソフトウェアであるBioMapを用いて、興味領域から質量分析スペクトルを出力し、興味領域間の質量分析スペクトルを比較した。
その結果、癌部・非癌部の比較において統計的に優位に強度の高い質量ピークとしてm/z=606.07を見出した(Wilcoxon test:p<0.0001)。MS/MS分析の結果および免疫染色の結果から、本ピークがUDP−N−acetylglucosamine(UDP−GlcNAc)であると同定した。
ここで、図1は、H&E染色後の観察で非癌部(N:正常)および癌部(T:腫瘍)と認められた部分の任意の領域内(0.141mm)のUDP−GlcNAc(m/z 606.04)のピーク強度を抽出した図である。データはMean±SEMとして表記した(Wilcoxon test:***P<0.0001)。腫瘍組織におけるUDP−GlcNAc平均ピーク強度は正常組織よりも5.63倍の高い値を示した。

Claims (7)

  1. 対象に由来する生体試料において、ウリジン二リン酸N−アセチルグルコサミン(UDP−GlcNAc)の量を測定し、その測定値を指標にすることを含む、がんの検出方法。
  2. 前記測定値を基準値と対比して、その値が基準値よりも大きいと認められる場合をがんの存在の指標とする、請求項1記載の方法。
  3. 前記生体試料が、生検試料である、請求項1又は2記載の方法。
  4. 前記がんが、大腸がん、膵がん、又は乳がんである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記測定を質量分析法により行う、請求項1〜4いずれか1項に記載の方法。
  6. 前記質量分析法がMALDI−TOF MS法である請求項5記載の方法。
  7. ウリジン二リン酸N−アセチルグルコサミン(UDP−GlcNAc)からなるがんマーカー。
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