JP2021004588A - エンジンのノッキング検出システム - Google Patents
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Abstract
【課題】BGLマップの作成が不要なエンジンのノッキング検出システムを提供する。【解決手段】CPU3と記憶装置5とを備えたエンジンのノッキング検出システムにおいて、CPU3が、設定時間前から現在時刻までに入力された燃焼サイクル毎のエンジン振動の設定周波数成分の周波数成分強度の代表値とばらつき度合から上記エンジン振動のバックグランドレベルを演算して記憶装置5に記録し、バックグランドレベルを基準に設定した第1閾値と現在時刻に計測されたエンジン振動の周波数成分強度の現在値を比較し、現在値が第1閾値を超えていることをもってノッキングを検出する。【選択図】図1
Description
本発明は、エンジン(内燃機関)のノッキング検出システムに関する。
エンジンの燃焼室内で未燃ガスが自己発火して振動を起こすと、この振動がエンジン本体に伝わる。この現象がノッキングである。ノッキングはエンジンのエネルギー損失(出力低下)やエンジンの各部への衝撃、燃費低下等の要因となる。従って、ノッキングの発生を精度良く検出することは重要である。
ノッキングを検出するシステムとして振動センサーを用いたものが知られている(特許文献1等参照)。ノッキングは間欠的に発生し、振動センサーの検出信号には、エンジンのバックグランドノイズ(正常燃焼による振動)とノッキングの要因となる異常燃焼による振動とが混在する。従って、振動センサーの検出信号からノッキングを検出するためには、バックグランドノイズと異常燃焼による振動とを識別する必要がある。
特許文献1では、バックグランドノイズがエンジンの回転数や負荷に依存して変化することに基づき、BGL(バックグランドレベル)マップを用いて運転中の振動センサーの検出信号から異常燃焼を検出している。BGLマップは、エンジンの回転数や負荷等のパラメータの組み合わせを変えた様々な条件で実際にエンジンを駆動し、条件毎にバックグランドノイズを計測(周波数測定)することで作成される。
BGLマップを作成するには、出荷前に実際にエンジンを駆動して条件毎のバックグランドノイズのデータを測定しなければならない。バックグランドノイズは同型のエンジンでも個体差があるためエンジンの個体毎に計測しなければならず、BGLマップの作成には時間を要する。出荷後にエンジンの部品や振動センサーを交換した場合には、BGLマップを更新するためにバックグランドノイズのデータを取り直さなければならない。
本発明の目的は、BGLマップの作成が不要なエンジンのノッキング検出システムを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係るエンジンのノッキング検出システムは、CPUと記憶装置とを備え、前記CPUが、設定時間前から現在時刻までに入力された燃焼サイクル毎のエンジン振動の設定周波数成分の周波数成分強度の代表値とばらつき度合から前記エンジン振動のバックグランドレベルを演算して前記記憶装置に記録し、前記バックグランドレベルを基準に設定した第1閾値と現在時刻に計測されたエンジン振動の周波数成分強度の現在値を比較し、前記現在値が第1閾値を超えていることをもってノッキングを検出する。
本発明によれば、BGLマップの作成が不要になる。
以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
−ノッキング検出システム−
図1は本発明の一実施形態に係るノッキング検出システムのシステム構成図である。同図に示したノッキング検出システム1(以下、システム1と略称する)は自動車のエンジン(内燃機関)のノッキングを検出する装置であり、ノッキング検出対象エンジンを搭載した自動車(以下、自車と記載する)に搭載されたコンピューターで構成される。このシステム1は、ADコンバーター2、CPU(中央演算処理装置)3、ROM(リードオンリーメモリー)4、記憶装置5を含んで構成されている。同システム1には、振動センサー10の検出信号が随時入力され、またCAN(Controller Area Network)11を介してエンジン回転数Nが随時入力される。振動センサー10は、例えばエンジン音を集音しエンジン振動としてシステム1に入力するマイクであり、自車に搭載されている。CAN11を介して入力されるエンジン回転数Nは、例えば自車に搭載された回転数センサー(不図示)で検出される。
図1は本発明の一実施形態に係るノッキング検出システムのシステム構成図である。同図に示したノッキング検出システム1(以下、システム1と略称する)は自動車のエンジン(内燃機関)のノッキングを検出する装置であり、ノッキング検出対象エンジンを搭載した自動車(以下、自車と記載する)に搭載されたコンピューターで構成される。このシステム1は、ADコンバーター2、CPU(中央演算処理装置)3、ROM(リードオンリーメモリー)4、記憶装置5を含んで構成されている。同システム1には、振動センサー10の検出信号が随時入力され、またCAN(Controller Area Network)11を介してエンジン回転数Nが随時入力される。振動センサー10は、例えばエンジン音を集音しエンジン振動としてシステム1に入力するマイクであり、自車に搭載されている。CAN11を介して入力されるエンジン回転数Nは、例えば自車に搭載された回転数センサー(不図示)で検出される。
ADコンバーター2は、振動センサー10から随時入力されるエンジン振動(エンジン音)をアナログ信号からデジタル信号に逐次変換して出力する変換器である。
ROM4は、ノッキングの検出プログラムやプログラムの実行に必要なデータが予め記憶された記憶装置である。
記憶装置5は例えばRAM(ランダムアクセスメモリー)であり、CPU3の動作中にCPU3の演算結果等を随時記録する。記憶装置5はRAMに限らず、その他の半導体メモリーで代替でき、また半導体メモリーに限らずHDD等の磁気記憶媒体で代替することもできる。記憶装置5にはシステム1に備わったものを使用することができるが、例えばメモリーカードのように抜き差し可能なポータブルタイプのものを用いることもできる。
CPU3はROM4から読み込んだプログラム等に従って所定の演算を実行する装置であり、周波数成分強度演算部3a、BGL演算部3b、KNL演算部3c、ノッキング判定部3dを含んで構成されている。周波数成分強度演算部3a、BGL演算部3b、KNL演算部3c、ノッキング判定部3dは、図式化して表したCPU3の機能である。
周波数成分強度演算部3aでは、エンジン振動の所定強度以上の周波数成分のうちノッキング検出に有用な設定周波数成分(例えば7kHz,9kHz,12kHzの成分)が抽出され、それら設定周波数成分の強度を合計することで周波数成分強度fが演算される。演算された周波数成分強度fは、随時記憶装置5に記憶されると共に、BGL演算部3bに出力される。
BGL演算部3bでは、設定時間前から現在時刻までに振動センサー10から入力されたエンジン燃焼サイクル毎の周波数成分強度fの代表値とばらつき度合が演算される。そして、演算した代表値とばらつき度合から現在のエンジン振動についてバックグランドノイズのBGL(バックグランドレベル)が逐次(例えばエンジン燃焼サイクル又は所定の演算サイクルで)演算される(図2)。設定時間分の周波数成分強度fとして、本実施形態では、周波数成分強度演算部3aで演算された直近(例えばエンジン燃焼サイクルの過去10サイクル分)の値が記憶装置5から読み込まれる。BGL演算部3bで演算されたBGLは記憶装置5に記録される。BGL演算部3bの演算内容は図2を用いて後で説明する。
KNL演算部3cでは、CAN11を経由して入力されたエンジン回転数NからKNL(ノッキング閾値)が演算される。KNL(>0)はBGLに加算されて第1閾値f1となる設定値であり、エンジン回転数Nに応じて変化する。第1閾値f1はノッキングの有無を判定するためにノッキング判定部3dで周波数成分強度fについてBGLを基準に設定される値であり、BGLよりも設定値(つまりKNL)だけ高い値である(f1=BGL+KNL)。本実施形態ではエンジン回転数NとKNLとの関係が規定されたリファレンスデータ(例えばデータテーブル)がROM4に予め格納されており、KNL演算部3cではリファレンスデータに従ってエンジン回転数Nに応じたKNLが演算される。リファレンステーブルは、例えば自動車メーカーで計測されたデータを用いて作成することができる。
ノッキング判定部3dでは、周波数成分強度演算部3aで演算された周波数成分強度f、BGL演算部3bで演算されたBGL、KNL演算部3cで演算されたKNLに基づき、現在時刻におけるノッキングの有無が判定される(後述)。具体的には、周波数成分強度fの現在値(現在時刻に計測されたエンジン振動の周波数成分強度f)が第1閾値f1と比較され、現在の周波数成分強度fが第1閾値f1を超えていることをもってノッキングの発生が検出される。f>f1=BGL+KNL(つまりf−BGL>KNL)の条件が満たされれば、ノッキングが生じていると判定される。現在の周波数成分強度fが第1閾値f1以下(f−BGL≦KNL)であればノッキングは生じていないとの判定となる(ノッキングは検出されない)。このノッキングの有無に関する判定結果は、記憶装置5に記録されると共に、CAN11を介してエンジンコントローラユニット(不図示)に出力され、例えば燃料噴射制御の基礎情報として利用される。なお、ノッキング判定部3dと記憶装置5との間のデータの流れは、図2において図の簡潔性の観点で図示を省略してある。
−ノッキング検出手順−
図2は本実施形態に係るノッキング検出システムによるノッキングの検出手順を表すフローチャートである。同図の一連の手順は、例えばキースイッチからエンジン始動の情報が入力されたら開始され、エンジン稼働中に所定のサイクルタイムでCPU3により繰り返し実行される。
図2は本実施形態に係るノッキング検出システムによるノッキングの検出手順を表すフローチャートである。同図の一連の手順は、例えばキースイッチからエンジン始動の情報が入力されたら開始され、エンジン稼働中に所定のサイクルタイムでCPU3により繰り返し実行される。
(ステップS01,S02)
図2の手順を開始すると、システム1は、ADコンバーター2でデジタル信号化された振動センサー10の現在の信号を入力すると共に(ステップS01)、CAN11を介して現在のエンジン回転数Nを入力する(ステップS02)。
図2の手順を開始すると、システム1は、ADコンバーター2でデジタル信号化された振動センサー10の現在の信号を入力すると共に(ステップS01)、CAN11を介して現在のエンジン回転数Nを入力する(ステップS02)。
(ステップS03〜S05)
システム1は次に、周波数成分強度演算部3aにおいて、設定周波数成分(7kHz,9kHz,12kHzの成分)の強度を合計して周波数成分強度fを演算し(ステップS03)、KNL演算部3cでエンジン回転数NからKNLを演算する(ステップS04)。システム1は、エンジン回転数N及び演算した周波数成分強度fの値を記憶装置5に記録する(ステップS05)。その際、システム1は、エンジン回転数Nからエンジンの燃焼サイクルを割り出し、燃焼サイクル毎に周波数成分強度f及びエンジン回転数Nの値を記憶装置5に記録する。
システム1は次に、周波数成分強度演算部3aにおいて、設定周波数成分(7kHz,9kHz,12kHzの成分)の強度を合計して周波数成分強度fを演算し(ステップS03)、KNL演算部3cでエンジン回転数NからKNLを演算する(ステップS04)。システム1は、エンジン回転数N及び演算した周波数成分強度fの値を記憶装置5に記録する(ステップS05)。その際、システム1は、エンジン回転数Nからエンジンの燃焼サイクルを割り出し、燃焼サイクル毎に周波数成分強度f及びエンジン回転数Nの値を記憶装置5に記録する。
(ステップS06)
次に、システム1は、BGL演算部3bにおいて、設定時間前から現在時刻まで(直近10サイクル分)の周波数成分強度fを記憶装置5から読み込み、それら周波数成分強度fの代表値、及び周波数成分強度のばらつき度合を演算する(ステップS06)。本実施形態では、代表値として10サイクル分の周波数成分強度fの平均値faveを演算する場合を例示するが、中央値や最頻値等の他の値で代用することもできる。また、周波数成分強度のばらつき度合として10サイクル分の周波数成分強度fの標準偏差fstdを演算する場合を例示するが、分散等の他の値で代用することもできる。
次に、システム1は、BGL演算部3bにおいて、設定時間前から現在時刻まで(直近10サイクル分)の周波数成分強度fを記憶装置5から読み込み、それら周波数成分強度fの代表値、及び周波数成分強度のばらつき度合を演算する(ステップS06)。本実施形態では、代表値として10サイクル分の周波数成分強度fの平均値faveを演算する場合を例示するが、中央値や最頻値等の他の値で代用することもできる。また、周波数成分強度のばらつき度合として10サイクル分の周波数成分強度fの標準偏差fstdを演算する場合を例示するが、分散等の他の値で代用することもできる。
(ステップS07〜S09)
平均値faveと標準偏差fstdを求めたら、システム1は、BGL演算部3bにおいて、標準偏差fstdより大きく設定した値(本実施形態ではfstdの2倍の値)を周波数成分強度の平均値faveに加算して第2閾値f2を演算する。システム1は更に、BGL演算部3bにおいて、現在の周波数成分強度fと第2閾値f2とを比較して現在の周波数成分強度fが第2閾値f2よりも大きいか(f2=fave+2fstd<f?)を判定する(ステップS07)。fave+2fstd<fである場合、システム1はステップS08に手順を移し、上記代表値よりも大きく設定した値(本例では周波数成分強度の平均値faveに標準偏差fstdを加算した値)をBGLに設定する(BGL=fave+fstd)。また、fave+2fstd≧fである場合、システム1はステップS09に手順を移し、上記代表値(本例では周波数成分強度の平均値fave)をBGLに設定する(BGL=fave)。
平均値faveと標準偏差fstdを求めたら、システム1は、BGL演算部3bにおいて、標準偏差fstdより大きく設定した値(本実施形態ではfstdの2倍の値)を周波数成分強度の平均値faveに加算して第2閾値f2を演算する。システム1は更に、BGL演算部3bにおいて、現在の周波数成分強度fと第2閾値f2とを比較して現在の周波数成分強度fが第2閾値f2よりも大きいか(f2=fave+2fstd<f?)を判定する(ステップS07)。fave+2fstd<fである場合、システム1はステップS08に手順を移し、上記代表値よりも大きく設定した値(本例では周波数成分強度の平均値faveに標準偏差fstdを加算した値)をBGLに設定する(BGL=fave+fstd)。また、fave+2fstd≧fである場合、システム1はステップS09に手順を移し、上記代表値(本例では周波数成分強度の平均値fave)をBGLに設定する(BGL=fave)。
なお、第2閾値f2は、場面(例えば走行状況)に応じて妥当性の高いBGL(ひいては第1閾値f1)の演算を試みることを趣旨とする値であり、その演算方法は適宜変更可能である。本実施形態の場合、f>f2であればバックグランドノイズや周波数成分強度のばらつき度合が大きな加速走行等の場面、f≦f2であればバックグランドノイズや周波数成分強度のばらつき度合が小さな定速走行等の場面が推定される。このことについては、後で図3〜図6で具体例を挙げる。
(ステップS10〜S12)
BGLを決定したら、システム1は、ノッキング判定部3dにおいて、現在の周波数成分強度fが第1閾値f1よりも大きいか(f>f1=BGL+KNLであるか)つまりf−BGL>KNLであるかを判定する(ステップS10)。f−BGL>KNLである場合、システム1はステップS11に手順を移し、ノッキングが生じていると判定(ノッキングを検出)して、その旨を表す信号を記憶装置5に記憶すると共にCAN11に出力する。f−BGL≦KNLである場合、システム1はステップS12に手順を移し、ノッキングは生じていないと判定して(ノッキングを検出せず)その旨を表す信号を記憶装置5に記憶すると共にCAN11に出力する。或いは、f−BGL≦KNLである場合、ステップS12においてシステム1が何等信号を出力しない構成としても良い。ステップS10〜S12の判定が終了したら、システム1は図2の手順における現在のサイクルを終了して次のサイクルを開始する。
BGLを決定したら、システム1は、ノッキング判定部3dにおいて、現在の周波数成分強度fが第1閾値f1よりも大きいか(f>f1=BGL+KNLであるか)つまりf−BGL>KNLであるかを判定する(ステップS10)。f−BGL>KNLである場合、システム1はステップS11に手順を移し、ノッキングが生じていると判定(ノッキングを検出)して、その旨を表す信号を記憶装置5に記憶すると共にCAN11に出力する。f−BGL≦KNLである場合、システム1はステップS12に手順を移し、ノッキングは生じていないと判定して(ノッキングを検出せず)その旨を表す信号を記憶装置5に記憶すると共にCAN11に出力する。或いは、f−BGL≦KNLである場合、ステップS12においてシステム1が何等信号を出力しない構成としても良い。ステップS10〜S12の判定が終了したら、システム1は図2の手順における現在のサイクルを終了して次のサイクルを開始する。
−具体例−
図3は定速走行中であって本実施形態のノッキング検出システムでノッキングが検出されないエンジン振動の一例を説明する図、図4は定速走行中であって本実施形態のノッキング検出システムでノッキングが検出されるエンジン振動の一例を説明する図である。これらの図に示した例では、自車が定速走行していることから過去10サイクルにおいては周波数成分強度fが小幅に増減している。また、いずれの場合も第2閾値f2(=fave+2fstd)より現在の周波数成分強度fが小さいため、過去10サイクルの周波数成分強度fの平均値faveがBGLに設定されている(図2、ステップS07→S09)。そして、図3のように現在の周波数成分強度fが第1閾値f1(=fave+KNL)以下である場合には、ノッキングは生じていないと判定される(図2、ステップS07→S09→S10→S12)。反対に図4のように現在の周波数成分強度fが第1閾値f1を超える場合には、ノッキングが検出される(図2、ステップS07→S09→S10→S11)。
図3は定速走行中であって本実施形態のノッキング検出システムでノッキングが検出されないエンジン振動の一例を説明する図、図4は定速走行中であって本実施形態のノッキング検出システムでノッキングが検出されるエンジン振動の一例を説明する図である。これらの図に示した例では、自車が定速走行していることから過去10サイクルにおいては周波数成分強度fが小幅に増減している。また、いずれの場合も第2閾値f2(=fave+2fstd)より現在の周波数成分強度fが小さいため、過去10サイクルの周波数成分強度fの平均値faveがBGLに設定されている(図2、ステップS07→S09)。そして、図3のように現在の周波数成分強度fが第1閾値f1(=fave+KNL)以下である場合には、ノッキングは生じていないと判定される(図2、ステップS07→S09→S10→S12)。反対に図4のように現在の周波数成分強度fが第1閾値f1を超える場合には、ノッキングが検出される(図2、ステップS07→S09→S10→S11)。
図5は加速走行中であって本実施形態のノッキング検出システムでノッキングが検出されないエンジン振動の一例を説明する図、図6は加速走行中であって本実施形態のノッキング検出システムでノッキングが検出されるエンジン振動の一例を説明する図である。これらの図に示した例では、自車が加速走行していることから過去10サイクルにおいては周波数成分強度fが徐々に増加している。いずれの場合も第2閾値f2(=fave+2fstd)より現在の周波数成分強度fが大きいため、過去10サイクルの周波数成分強度fの平均値faveよりも標準偏差fstdだけ高くBGLが設定されている(図2、ステップS07→S08)。そして、図5のように現在の周波数成分強度fが第1閾値f1(=fave+KNL)以下である場合には、ノッキングは生じていないと判定される(図2、ステップS07→S08→S10→S12)。反対に図6のように現在の周波数成分強度fが第1閾値f1を超える場合には、ノッキングが検出される(図2、ステップS07→S08→S10→S11)。
−効果−
(1)本実施形態では、設定時間前からの周波数成分強度fの代表値とばらつき度合からBGLを随時演算するので、予めBGLマップを作成しておく必要がない。BGLマップが不要となる結果、自動車メーカーにおけるBGLの計測が不要となり、自動車の出荷等に要する時間を大幅に短縮できる。また、設定時間の設定、代表値やばらつき度合の演算方法、第1閾値の演算方法(KNLの設定)等を変更することで、ノッキング検出の精度や感度を柔軟に調整できる。
(1)本実施形態では、設定時間前からの周波数成分強度fの代表値とばらつき度合からBGLを随時演算するので、予めBGLマップを作成しておく必要がない。BGLマップが不要となる結果、自動車メーカーにおけるBGLの計測が不要となり、自動車の出荷等に要する時間を大幅に短縮できる。また、設定時間の設定、代表値やばらつき度合の演算方法、第1閾値の演算方法(KNLの設定)等を変更することで、ノッキング検出の精度や感度を柔軟に調整できる。
(2)また、BGLの演算の基礎となる設定時間分の周波数成分強度fの代表値として平均値faveを用いたことにより、設定時間分の周波数成分強度fの全ての値がBGLに反映される。平均値faveは設定時間分の周波数成分強度fの全ての値の総和から求められるため、設定時間内の周波数成分強度fの全体的な傾向がBGLの演算に反映される点がメリットである。また、例えば代表値として最頻値を採用した場合に比べて少ないサンプル数(サイクル数)の周波数成分強度fでも一定の妥当性が見込め、BGLの演算に要する演算容量が抑えられて高い処理速度を確保する上で有利である。
但し、代表値の採り方は設計思想により変更可能である。例えば設定時間分の周波数成分強度fの最頻値を代表値として演算する場合、設定時間中の周波数成分強度fに極端に高い又は低い値が含まれていても、そのような極端な値がBGLの値に与える影響を抑えられるメリットがある。中央値を採用する場合も最頻値と同じく極端な値の影響が抑えられ、また最頻値に比べて比較的少ないサンプル数でもBGLの妥当性の低下が抑えられるメリットがある。また、平均値、最頻値、中央値のうちの複数を演算し、それらの値に基づいて代表値を演算(例えば最大値選択、最小値選択、平均値演算等)することも考えられる。
(3)本実施形態では、第1閾値がBGLよりもエンジン回転数Nに応じたKNLだけ高い値に設定される。つまり、第1閾値はエンジン回転数Nにも応じて柔軟に調整される。これによってもノッキング判定の妥当性の向上を期待することができる。
(4)設定時間分の周波数成分強度fの代表値をBGLに用いることで、ばらつき度合を加算する場合に比べてBGLを小さ目の値に設定でき、ひいては第1閾値f1を低めに設定できる。例えば定速走行時のように周波数成分強度fのばらつき度合やバックグランドノイズが小さい場面でノッキングの検出感度の向上が期待できる。
(5)反対に、設定時間分の周波数成分強度fの代表値よりも大きく設定した値(本実施形態ではfave+fstd)をBGLに用いることで、BGLを大き目の値に設定でき、ひいては第1閾値f1を高めに設定できる。例えば加速走行時のように周波数成分強度fのばらつき度合やバックグランドノイズが増す場面でノッキングの誤検出の抑制効果が期待できる。
(6)特に本実施形態においては、第2閾値f2と現在の周波数成分強度fを比較し、その比較結果によりBGLの演算方法を変更する。第2閾値f2は設定時間分の周波数成分強度fの代表値とばらつき度合に基づいて設定される値(本実施形態ではfave+2fstd)である。こうした第2閾値f2を用いることで、f>f2であればバックグランドノイズや周波数成分強度のばらつき度合が大きな加速走行等の場面、f≦f2であればバックグランドノイズや周波数成分強度のばらつき度合が小さな定速走行等の場面が推定され得る。この推定に応じてBGL、ひいては第1閾値を柔軟に調整することで、ノッキング検出の感度や精度を適正化することができる。
−変形例−
上記実施形態では、BGLの演算の基礎に用いる過去の周波数成分強度fのサンプリング期間(設定時間)を一定の期間(上記では10サイクル分)としたが、設定期間が状況に応じて変化する構成としても良い。例えばCAN11を介してエンジン回転数N、スロットル開度、車速の情報を入力し、これら情報の少なくとも1つに応じて設定期間を可変とする構成とすることができる。例えば車速の変化が大きい場合は設定期間が長いとノッキングの検出精度の低下が懸念される。この観点では、車速変化の大きさと設定期間の長さを反比例の関係に規定したリファレンスデータをROM4に格納しておき、車速変化に応じて周波数成分強度fのサンプリング期間を変える構成が考えられる。
上記実施形態では、BGLの演算の基礎に用いる過去の周波数成分強度fのサンプリング期間(設定時間)を一定の期間(上記では10サイクル分)としたが、設定期間が状況に応じて変化する構成としても良い。例えばCAN11を介してエンジン回転数N、スロットル開度、車速の情報を入力し、これら情報の少なくとも1つに応じて設定期間を可変とする構成とすることができる。例えば車速の変化が大きい場合は設定期間が長いとノッキングの検出精度の低下が懸念される。この観点では、車速変化の大きさと設定期間の長さを反比例の関係に規定したリファレンスデータをROM4に格納しておき、車速変化に応じて周波数成分強度fのサンプリング期間を変える構成が考えられる。
図2のステップS07において周波数成分強度fに応じてBGLの演算方法を場合分けする例を説明したが、この点についても適宜変更可能である。例えば車速やエンジン回転数N、スロットル開度等、自動車の走行速度の変化に関連する値をCAN11から入力し、これらの値に基づいて定速走行か加速走行かを判定する構成としても良い。
第1閾値f1の演算に用いる設定値としてエンジン回転数Nに応じたKNLを採用した場合を例に挙げて説明したが、事前の計測や検討に基づいて予め設定された固定値(エンジン回転数Nによらず一定の値)を設定値に採用することも考えられる。
上記実施形態では、自動車のエンジンをノッキング検出対象にした場合を例に挙げて説明したが、本発明は内燃機関としてのエンジンのノッキング検出に広く適用可能である。例えば油圧ショベル等の建設機械や船舶のエンジンのノッキング検出にも適用可能である。ガソリンエンジンに限らずディーゼルエンジン等のノッキング検出にも適用可能である。
1…ノッキング検出システム、2…ADコンバーター、3…CPU、3a…周波数成分強度演算部、3b…BGL演算部、3c…KNL演算部、3d…ノッキング判定部、4…ROM、5…記憶装置、10…振動センサー、11…CAN、BGL…バクグランドレベル、f…周波数成分強度、f1…第1閾値、f2…第2閾値、fave…(代表値)、fstd…標準偏差(ばらつき度合)、KNL…ノッキング閾値(エンジン回転数に応じた設定値)
Claims (6)
- CPUと記憶装置とを備え、
前記CPUが、
設定時間前から現在時刻までに入力された燃焼サイクル毎のエンジン振動の設定周波数成分の周波数成分強度の代表値とばらつき度合から前記エンジン振動のバックグランドレベルを演算して前記記憶装置に記録し、
前記バックグランドレベルを基準に設定した第1閾値と現在時刻に計測されたエンジン振動の周波数成分強度の現在値を比較し、前記現在値が第1閾値を超えていることをもってノッキングを検出する
エンジンのノッキング検出システム。 - 請求項1のエンジンのノッキング検出システムにおいて、前記代表値が平均値であるエンジンのノッキング検出システム。
- 請求項1のエンジンのノッキング検出システムにおいて、前記第1閾値が前記バックグランドレベルよりもエンジン回転数に応じた設定値だけ高い値であるエンジンのノッキング検出システム。
- 請求項1のエンジンのノッキング検出システムにおいて、前記バックグランドレベルが前記代表値であるエンジンのノッキング検出システム。
- 請求項1のエンジンのノッキング検出システムにおいて、前記バックグランドレベルが前記代表値よりも大きく設定した値であるエンジンのノッキング検出システム。
- 請求項1のエンジンのノッキング検出システムにおいて、
前記ばらつき度合より大きく設定した値を前記代表値に加算した第2閾値と前記現在値を比較し、
前記現在値が第2閾値より大きければ前記代表値よりも大きく設定した値を前記バックグランドレベルに設定し、前記現在値が第2閾値以下であれば前記代表値を前記バックグランドレベルに設定する
エンジンのノッキング検出システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019119479A JP2021004588A (ja) | 2019-06-27 | 2019-06-27 | エンジンのノッキング検出システム |
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