JP2021002456A - 透明性の金属微粒子の集まりによってグラフェンの扁平面同士を接合したグラフェン接合体からなる透明導電基材を製造する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】グラフェン接合体からなる透明導電基材を製造する方法を提供する。【解決手段】低密度で低粘度の液体中でグラフェンの集まりを製造する工程は、メタノール中で黒鉛粒子からグラフェンの集まりを製造する。グラフェンの扁平面同士を接合する透明導電性の物質を液相化する工程は、金属微粒子を熱分解で析出する金属化合物をメタノールに分散する。透明導電基材を製造する容器に、グラフェンの扁平面同士を、液相化した透明導電性物質を介して重なり合わせる工程は、容器の底面に、グラフェンの扁平面同士を、メタノール分散液を介して重なり合わせる。液相化した透明導電性物質を固体に変え、該固体の透明導電性物質でグラフェンの扁平面同士を接合し、透明導電基材を容器の底面に形成する工程は、金属化合物を熱分解し、グラフェンの扁平面同士を金属微粒子の集まりで接合し、該グラフェン接合体を容器の底面に該底面の形状として形成する。【選択図】図1
Description
本発明は、透明性の金属微粒子の集まりによってグラフェンの扁平面同士を接合したグラフェン接合体からなる透明導電基材を製造する方法に関わる。
なお、グラフェンは、炭素原子が六角形からなる網目構造を二次元的に形成する炭素原子の集まりからなる単結晶材料である。このため、厚みが0.332nmからなり、可視光線の波長より3桁小さいため、可視光線を透過する透明性を持つ。また、熱伝導率は19.5W/Cmで、金属の中で最も熱伝導率が高い銀の熱伝導率の4.5倍の熱伝導率を持つ。さらに、電気伝導率は7.5×107S/mで、銀の電気伝導率の1.2倍の電気導電率を持つ。
いっぽう、可視光線の波長領域での屈折率が0.4以上で2.4以下である金属からなる第一の特徴と、粒子の大きさが可視光線の波長より1桁小さい微粒子からなる第二の特徴とを兼備する金属微粒子が、互いに接触する部位で金属結合した金属微粒子の集まりは、可視光線の7割以上が金属微粒子の集まりに入射し、金属微粒子の集まりで可視光線が乱反射しないため、透明性を有する。この金属微粒子の集まりは、透明性と金属に準じる熱伝導性と電気伝導性とを兼備する。
従って、透明性の金属微粒子の集まりによってグラフェンの扁平面同士を接合したグラフェン接合体は、一定の面積をもち、グラフェンに準じる透明性と熱伝導性と、金属に準じる電気導電性とを兼備する透明導電基材になる。これによって、透明導電フィルムは、タッチパネル用透明導電フィルム、フレキシブル回路基板、有機ELの透明導電フィルム、有機薄膜太陽電池の透明導電フィルムやフレキシブルLED導電フィルムなどに幅広く適応できる。
なお、グラフェンは、炭素原子が六角形からなる網目構造を二次元的に形成する炭素原子の集まりからなる単結晶材料である。このため、厚みが0.332nmからなり、可視光線の波長より3桁小さいため、可視光線を透過する透明性を持つ。また、熱伝導率は19.5W/Cmで、金属の中で最も熱伝導率が高い銀の熱伝導率の4.5倍の熱伝導率を持つ。さらに、電気伝導率は7.5×107S/mで、銀の電気伝導率の1.2倍の電気導電率を持つ。
いっぽう、可視光線の波長領域での屈折率が0.4以上で2.4以下である金属からなる第一の特徴と、粒子の大きさが可視光線の波長より1桁小さい微粒子からなる第二の特徴とを兼備する金属微粒子が、互いに接触する部位で金属結合した金属微粒子の集まりは、可視光線の7割以上が金属微粒子の集まりに入射し、金属微粒子の集まりで可視光線が乱反射しないため、透明性を有する。この金属微粒子の集まりは、透明性と金属に準じる熱伝導性と電気伝導性とを兼備する。
従って、透明性の金属微粒子の集まりによってグラフェンの扁平面同士を接合したグラフェン接合体は、一定の面積をもち、グラフェンに準じる透明性と熱伝導性と、金属に準じる電気導電性とを兼備する透明導電基材になる。これによって、透明導電フィルムは、タッチパネル用透明導電フィルム、フレキシブル回路基板、有機ELの透明導電フィルム、有機薄膜太陽電池の透明導電フィルムやフレキシブルLED導電フィルムなどに幅広く適応できる。
透明導電基材の製造は、導電性インクないしは導電性ペーストを透明基材に塗布する方法と、透明基材に物理的蒸着や化学的蒸着によって透明導電膜を形成する方法とがある。
例えば、特許文献1に、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫ないしはリンドープ酸化錫からなる導電性酸化物微粒子とバインダ樹脂とからなる導電性ペーストを、基材に塗布ないしは印刷して、透明導電基材を形成する技術が記載されている。
また、特許文献2に、透明プラスチック基材に、マグネトロンスパッタによって、金属酸化物層と酸化ケイ素層と酸化インジウム・スズ層とを積層した透明導電薄膜を形成する技術が記載されている。
例えば、特許文献1に、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫ないしはリンドープ酸化錫からなる導電性酸化物微粒子とバインダ樹脂とからなる導電性ペーストを、基材に塗布ないしは印刷して、透明導電基材を形成する技術が記載されている。
また、特許文献2に、透明プラスチック基材に、マグネトロンスパッタによって、金属酸化物層と酸化ケイ素層と酸化インジウム・スズ層とを積層した透明導電薄膜を形成する技術が記載されている。
しかし、透明基材に透明導電膜を形成する従来の方法は、以下に説明する課題を持つ。
最初に、導電性インクないしは導電性ペーストの塗布によって透明導電膜を形成する課題を説明する。導電性インクないしは導電性ペーストは、いずれも導電性フィラーとして金属微粒子、金属粉末ないしは導電性金属酸化物微粒子を、合成樹脂のバインダと溶媒とからなるビヒクル中に分散させる。このため、導電性フィラーを用いることに起因する課題と、導電性フィラーをビヒクル中に分散させることに起因する課題とを持つ。
第一の課題は、導電性フィラーを用いることに起因する。つまり、塗布ないしは印刷したインクないしはペーストを熱処理して樹脂を硬化させ、硬化した樹脂が導電性フィラーを結合させて透明導電膜を形成する。しかし、硬化した樹脂が、導電性フィラー同士を直接接合することを妨げ、透明導電膜の電気抵抗が増大する。このため、透明導電膜に電流を流すと発熱し、透明導電膜の劣化と剥離が促進される。
第二の課題は、導電性フィラーの分散性に起因する。つまり、導電性フィラーのビヒクル中への分散性が悪いと、熱処理後に導電性フィラーが偏在する。この結果、前記と同様に、透明導電膜の電気抵抗が増大する。いっぽう、導電性フィラーの分散性を高めるために、導電性フィラーに吸着させる有機化合物の量を増やすと、有機化合物が絶縁体であるため、熱処理後の透明導電膜の電気抵抗が増大する。
第三の課題は、導電性フィラー同士の凝集に起因する。導電性フィラーが微細になるほど凝集しやすく、一旦フィラー同士の凝集が起こると、凝集は解除できない。この結果、ビヒクル中へのフィラーの分散性が悪化し、透明導電膜の電気抵抗が増大する。
上記した課題は、導電性フィラーを用いること、また、導電性フィラーを分散させることに起因する原理的な課題であり、解決は難しい。従って、導電性インクないしは導電性ペーストを用いる以外の方法で、透明導電膜を形成する技術が強く求められている。
最初に、導電性インクないしは導電性ペーストの塗布によって透明導電膜を形成する課題を説明する。導電性インクないしは導電性ペーストは、いずれも導電性フィラーとして金属微粒子、金属粉末ないしは導電性金属酸化物微粒子を、合成樹脂のバインダと溶媒とからなるビヒクル中に分散させる。このため、導電性フィラーを用いることに起因する課題と、導電性フィラーをビヒクル中に分散させることに起因する課題とを持つ。
第一の課題は、導電性フィラーを用いることに起因する。つまり、塗布ないしは印刷したインクないしはペーストを熱処理して樹脂を硬化させ、硬化した樹脂が導電性フィラーを結合させて透明導電膜を形成する。しかし、硬化した樹脂が、導電性フィラー同士を直接接合することを妨げ、透明導電膜の電気抵抗が増大する。このため、透明導電膜に電流を流すと発熱し、透明導電膜の劣化と剥離が促進される。
第二の課題は、導電性フィラーの分散性に起因する。つまり、導電性フィラーのビヒクル中への分散性が悪いと、熱処理後に導電性フィラーが偏在する。この結果、前記と同様に、透明導電膜の電気抵抗が増大する。いっぽう、導電性フィラーの分散性を高めるために、導電性フィラーに吸着させる有機化合物の量を増やすと、有機化合物が絶縁体であるため、熱処理後の透明導電膜の電気抵抗が増大する。
第三の課題は、導電性フィラー同士の凝集に起因する。導電性フィラーが微細になるほど凝集しやすく、一旦フィラー同士の凝集が起こると、凝集は解除できない。この結果、ビヒクル中へのフィラーの分散性が悪化し、透明導電膜の電気抵抗が増大する。
上記した課題は、導電性フィラーを用いること、また、導電性フィラーを分散させることに起因する原理的な課題であり、解決は難しい。従って、導電性インクないしは導電性ペーストを用いる以外の方法で、透明導電膜を形成する技術が強く求められている。
次に、物理的蒸着ないしは化学的蒸着によって、透明導電膜を形成する課題について説明する。ここでは、最も汎用的に行われているスパッタ法に絞って課題を説明するが、化学的蒸着に依る透明導電膜の形成も類似した課題を持つ。
第一に、スパッタ法に依る透明導電膜を形成する原理は、イオンを高速でターゲットに衝突させ、ターゲットを構成する原子を叩き出させ、叩き出た原子が透明基板に突入し、原子が堆積されて透明導電膜を形成する。ターゲットから叩き出された原子は、透明基材に向けて直進するため、透明基板の表面状態に応じてノジュールと呼ばれる突起などの欠陥が生じやすい。このため、アニール処理によって構造的な欠陥を修正する必要がある。このアニール処理によって、透明導電膜を形成する費用が増大する。
第二に、ターゲットから原子が叩き出される際に、ターゲットに反跳粒子が生成され、反跳粒子が透明基板に突入すると、透明導電膜にダメージを与える。このため、マグネトロンスパッタ装置を用い、マグネトロンインピーダンスを下げることで放電電圧を下げ、反跳粒子によるダメージを緩和させる。しかし、透明基板を昇温し、長時間放置することが必要になり、耐熱性に劣る、あるいは、昇温時に寸法安定性に劣る、安価な合成樹脂フィルムの透明フィルムに透明導電膜を形成することが難しくなる。
第三に、真空チャンバーをいったん真空引きし、この後、スパッタリングを行う。真空引きの際に、透明基材から水分や異物がガス化し、透明導電膜の雰囲気中に放出され、低抵抗の透明導電膜を形成させる障害になる。このため、予め透明基材を十分に真空引きし、透明基材の表面を真空洗浄する必要がある。この真空洗浄によって、透明導電膜を形成する費用が増大する。
第四に、透明基材に電極パターンを形成する場合は、透明導電膜を形成した後にエッチング処理で透明導電膜をパターニングする。このため、エッチング液に対する耐薬品性を持つ透明基材に限定される。また、透明導電膜を形成する費用は、エッチング処理で増大する。
第五に、スパッタ法で形成した透明導電膜は十分な導電率を持たないため、さらに熱処理を伴うアニール処理が必要になる。このため、昇温した酸素ガスが存在しない雰囲気で、一度形成した透明導電膜を長時間放置してアニール処理を行なう。このアニール処理によって、透明基材の材質が制限される。
第六に、スパッタ法では、ターゲットの中心の直下から一定の距離離れるほど、透明導電膜の抵抗率が高くなる。このため大面積の透明導電膜を作成するには不向きである。
上記した課題は、スパッタ法に依る透明導電膜の形成の原理に起因するため、解決には困難を伴う。従って、スパッタ法以外の方法で、透明導電膜を形成する技術が強く求められている。
第一に、スパッタ法に依る透明導電膜を形成する原理は、イオンを高速でターゲットに衝突させ、ターゲットを構成する原子を叩き出させ、叩き出た原子が透明基板に突入し、原子が堆積されて透明導電膜を形成する。ターゲットから叩き出された原子は、透明基材に向けて直進するため、透明基板の表面状態に応じてノジュールと呼ばれる突起などの欠陥が生じやすい。このため、アニール処理によって構造的な欠陥を修正する必要がある。このアニール処理によって、透明導電膜を形成する費用が増大する。
第二に、ターゲットから原子が叩き出される際に、ターゲットに反跳粒子が生成され、反跳粒子が透明基板に突入すると、透明導電膜にダメージを与える。このため、マグネトロンスパッタ装置を用い、マグネトロンインピーダンスを下げることで放電電圧を下げ、反跳粒子によるダメージを緩和させる。しかし、透明基板を昇温し、長時間放置することが必要になり、耐熱性に劣る、あるいは、昇温時に寸法安定性に劣る、安価な合成樹脂フィルムの透明フィルムに透明導電膜を形成することが難しくなる。
第三に、真空チャンバーをいったん真空引きし、この後、スパッタリングを行う。真空引きの際に、透明基材から水分や異物がガス化し、透明導電膜の雰囲気中に放出され、低抵抗の透明導電膜を形成させる障害になる。このため、予め透明基材を十分に真空引きし、透明基材の表面を真空洗浄する必要がある。この真空洗浄によって、透明導電膜を形成する費用が増大する。
第四に、透明基材に電極パターンを形成する場合は、透明導電膜を形成した後にエッチング処理で透明導電膜をパターニングする。このため、エッチング液に対する耐薬品性を持つ透明基材に限定される。また、透明導電膜を形成する費用は、エッチング処理で増大する。
第五に、スパッタ法で形成した透明導電膜は十分な導電率を持たないため、さらに熱処理を伴うアニール処理が必要になる。このため、昇温した酸素ガスが存在しない雰囲気で、一度形成した透明導電膜を長時間放置してアニール処理を行なう。このアニール処理によって、透明基材の材質が制限される。
第六に、スパッタ法では、ターゲットの中心の直下から一定の距離離れるほど、透明導電膜の抵抗率が高くなる。このため大面積の透明導電膜を作成するには不向きである。
上記した課題は、スパッタ法に依る透明導電膜の形成の原理に起因するため、解決には困難を伴う。従って、スパッタ法以外の方法で、透明導電膜を形成する技術が強く求められている。
いっぽう、グラフェンは様々な方法で製造されるが、透明導電基材として用いる場合は、一定の面積が必要になり、面積が広いグラフェンの製造ほど、製造費用が高価になる。
例えば、特許文献3に、炭化ケイ素の単結晶を熱分解することでグラフェンを製造する方法が記載されている。つまり、炭化ケイ素を不活性雰囲気で加熱し、表面を熱分解させる。この際、昇華温度が相対的に低いケイ素が優先的に昇華し、残存した炭素によってグラフェンが生成される。しかし、炭化ケイ素の単結晶が非常に高価な材料で、面積が広くなるほど単結晶の結晶成長に費用を要する。さらに、1600℃を超える高温で、かつ、真空度が高い雰囲気でケイ素を昇華させるが、ケイ素が僅かでも残存する、あるいは炭素以外の不純物が存在する場合は、熱分解後の残渣物としてグラフェンが生成されない。このため、炭化ケイの単結晶の生成と、単結晶の熱分解処理に係わる費用は高価になる。
さらに、特許文献4に、シート状の単結晶のグラファイト化金属触媒に、炭素系物質を接触させ、還元性雰囲気で熱処理することで、グラフェンを製造する方法が記載されている。第一に、単結晶のグラファイト化金属触媒を製造する製造コストは、炭化ケイ素の単結晶よりさらに高く、面積が広くなるほど単結晶の製造費用が増大する。第二に、単結晶のグラファイト化金属触媒を炭素系物質に接触させる際に、炭素以外の不純物が残存ないしは生成された場合は、グラフェンが生成されない。第三に、水素ガスを含む窒素ガスがリッチな雰囲気で、1000℃を超える高温度で、グラファイト化金属触媒を還元処理する方法は、熱処理費用が高価になる。
例えば、特許文献3に、炭化ケイ素の単結晶を熱分解することでグラフェンを製造する方法が記載されている。つまり、炭化ケイ素を不活性雰囲気で加熱し、表面を熱分解させる。この際、昇華温度が相対的に低いケイ素が優先的に昇華し、残存した炭素によってグラフェンが生成される。しかし、炭化ケイ素の単結晶が非常に高価な材料で、面積が広くなるほど単結晶の結晶成長に費用を要する。さらに、1600℃を超える高温で、かつ、真空度が高い雰囲気でケイ素を昇華させるが、ケイ素が僅かでも残存する、あるいは炭素以外の不純物が存在する場合は、熱分解後の残渣物としてグラフェンが生成されない。このため、炭化ケイの単結晶の生成と、単結晶の熱分解処理に係わる費用は高価になる。
さらに、特許文献4に、シート状の単結晶のグラファイト化金属触媒に、炭素系物質を接触させ、還元性雰囲気で熱処理することで、グラフェンを製造する方法が記載されている。第一に、単結晶のグラファイト化金属触媒を製造する製造コストは、炭化ケイ素の単結晶よりさらに高く、面積が広くなるほど単結晶の製造費用が増大する。第二に、単結晶のグラファイト化金属触媒を炭素系物質に接触させる際に、炭素以外の不純物が残存ないしは生成された場合は、グラフェンが生成されない。第三に、水素ガスを含む窒素ガスがリッチな雰囲気で、1000℃を超える高温度で、グラファイト化金属触媒を還元処理する方法は、熱処理費用が高価になる。
現在までのグラフェンの製造方法はいずれも、安価な製造方法ではない。さらに、透明導電基材として用いるグラフェンは、一定の面積を持つ必要がある。しかしながら、面積が広くなるほど、グラフェンの製造費用が高価になり、汎用的な透明導電基材として用いることはできない。次に、製造したグラフェンが必ずしもグラフェンでない。つまり、グラフェンは、炭素原子が六角形からなる網目構造を二次元的に形成する炭素原子の集まりからなる単結晶材料であり、不純物が全くない雰囲気で、あるいは、不純物が全く生成されない環境で、炭素原子のみの結晶成長ができなければ、グラフェンが生成されない。さらに、生成したグラフェンが、グラフェンであることを確認するには、エックス線電子分光装置による分析が必要になる。
このため、本発明者は、製造したグラフェンが全て完全なグラフェンで、かつ、極めて簡単な方法で大量のグラフェンを瞬時に製造する方法を見出した(特許文献5)。すなわち、黒鉛の単結晶のみからなり、黒鉛の結晶化が100%進み、さらに、最も安価な炭素材料である、黒鉛粒子から大量のグラフェンを瞬時に製造する技術である。つまり、天然の黒鉛結晶の塊を破砕し、該破砕した黒鉛結晶から鱗片状黒鉛粒子ないしは塊状黒鉛粒子の集まりを選別した黒鉛粒子の集まりを、2枚の平行平板電極の間隙に引き詰め、該2枚の平行平板電極に電界を印加し、該電界の印加によって黒鉛粒子を形成する全ての黒鉛結晶の基底面の層間結合を同時に破壊し、黒鉛結晶の基底面からなるグラフェンを大量に製造する方法である。この方法に依れば、鱗片状黒鉛粒子ないしは塊状黒鉛粒子の僅か1gから、1.62×1013個に及ぶグラフェンの集まりが瞬時に得られる。
しかしながら、黒鉛粒子から製造したグラフェンの面積は小さく、透明導電基材として用いることができない。このため、グラフェンの扁平面同士を安価な方法で接合できれば、面積の広いグラフェン接合体が安価な透明導電基材として用いることができる。従って、黒鉛粒子から製造した安価なグラフェンを用い、グラフェンの扁平面同士を安価に接合する技術が求められている。
このため、本発明者は、製造したグラフェンが全て完全なグラフェンで、かつ、極めて簡単な方法で大量のグラフェンを瞬時に製造する方法を見出した(特許文献5)。すなわち、黒鉛の単結晶のみからなり、黒鉛の結晶化が100%進み、さらに、最も安価な炭素材料である、黒鉛粒子から大量のグラフェンを瞬時に製造する技術である。つまり、天然の黒鉛結晶の塊を破砕し、該破砕した黒鉛結晶から鱗片状黒鉛粒子ないしは塊状黒鉛粒子の集まりを選別した黒鉛粒子の集まりを、2枚の平行平板電極の間隙に引き詰め、該2枚の平行平板電極に電界を印加し、該電界の印加によって黒鉛粒子を形成する全ての黒鉛結晶の基底面の層間結合を同時に破壊し、黒鉛結晶の基底面からなるグラフェンを大量に製造する方法である。この方法に依れば、鱗片状黒鉛粒子ないしは塊状黒鉛粒子の僅か1gから、1.62×1013個に及ぶグラフェンの集まりが瞬時に得られる。
しかしながら、黒鉛粒子から製造したグラフェンの面積は小さく、透明導電基材として用いることができない。このため、グラフェンの扁平面同士を安価な方法で接合できれば、面積の広いグラフェン接合体が安価な透明導電基材として用いることができる。従って、黒鉛粒子から製造した安価なグラフェンを用い、グラフェンの扁平面同士を安価に接合する技術が求められている。
Nair RR,et al.,Science 320,1308(2008)
特許文献5による方法で大量のグラフェンを瞬時に製造できるが、このグラフェンの集まりを用い、グラフェンの扁平面同士を接合したグラフェン接合体を製造する方法は未だに見出されていない。また、グラフェンは、炭素原子が六角形からなる網目構造を二次元的に形成する、単一の結晶子からなる極めて厚みが薄い物質であり、極めて軽量である。このため、特許文献5における電界の印加によって、黒鉛粒子における黒鉛結晶の層間結合を同時に破壊してグラフェンの集まりを製造する際に、グラフェンが飛散する。また、製造後のグラフェンが飛散しやすいため、取り扱いが難しい。
いっぽう、グラフェンの透明性は、非特許文献1によれば、可視光線の透過率は97.7%で、グラフェン1層当たりの吸光度は2.3%である。このため、グラフェンの扁平面同士を接合したグラフェン接合体は、接合したグラフェンの枚数が増えるごとに、透明性が低下する。いっぽう、現在最も汎用的に用いられている透明導電膜として、酸化スズドープ酸化インジウム(In2O3−SnO2、通称ITO)があるが、ITOの可視光線の透過率は84%である。従って、ITOより優れた透明性を得るには、グラフェン接合体において、グラフェンの接合枚数は6枚以内に抑える必要がある。しかし、グラフェンの接合枚数を6枚以内に抑えたグラフェン接合体の厚みは、2.3nm以下と薄く、また、グラフェン接合体が透明であるため、取り扱いが難しい。このため、透明導電性のグラフェンの扁平面同士を透明導電性の物質で接合し、グラフェン接合体の厚みが増えれば、取り扱いが容易な透明導電基材になる。
従って、透明導電基材に適応できるグラフェンの扁平面同士を接合したグラフェン接合体を製造するに当たり、解決すべき課題として次の5つの課題がある。
第一に、低密度で低粘度の液体が充填された容器内で、グラフェンの集まりを製造し、グラフェンの集まりを、低密度で低粘度の液体中に析出させた懸濁体を製造する。これによって、グラフェンの製造時と製造後において、液体中に析出したグラフェンは飛散しない。また、液体中に析出したグラフェンの取り扱いが容易になる。
第二に、グラフェンの扁平面同士を接合する透明導電性の物質を、低粘度の液体として液相化する。これによって、グラフェンの扁平面同士を重ね合わせる処理が、低粘度の液体中で行える。
第三に、透明導電基材を製造する容器に、前記した懸濁体と前記した液相化した透明導電性物質を充填し、扁平面同士が液相化した透明導電性物質を介して重なり合ったグラフェンの集まりを、液相化した透明導電性物質に浸漬させる。これによって、グラフェンの扁平面同士を透明導電性の物質で接合する準備ができる。また、扁平面同士が重なり合ったグラフェンの集まりが、容器の底面に形成され、製造する透明導電基材の形状と表面積の制約がなくなる。いっぽう、グラフェンの厚みが極めて薄いため、厚みに対する表面積の比率であるアスペクト比は極めて大きい。また、グラフェンは厚みが極めて薄く、極めて軽量である。これら2つの特徴を活かせる方法によって、扁平面同士が液相化した透明導電性物質を介して重なり合ったグラフェンの集まりを、液相化した透明導電性物質に浸漬させることができる。
第四に、容器を昇温し、液相化した透明導電性物質を、固体の透明導電性物質に変え、該固体の透明導電性物質によって、グラフェンの扁平面同士を接合し、グラフェン接合体を、前記容器の底面に該底面の形状として形成する。つまり、ITOより優れた透明性を得るには、グラフェンの扁平面同士を接合させる枚数を、6枚以内に抑える必要がある。しかし、グラフェン接合体の厚みは僅か2.3nm以下と薄く、取り扱いが容易でない。このため、グラフェンの扁平面同士を、固体の透明導電性物質で接合したグラフェン接合体が、容器の底面に形成されれば、グラフェン接合体の取り扱いが容易になり、グラフェン接合体を、汎用的な透明導電基材として使用できる。従って、固体の透明導電性物質を、透明性を有する金属微粒子の集まりで構成できれば、透明導電基材が安価に製造できる。
第五に、上記した4つの工程における処理が何れも極めて簡単で、用いる材料が安価な材料である。これによって、安価な黒鉛粒子の集まりを用い、安価な方法でグラフェンの集まりを製造し、安価な方法でグラフェンの扁平面同士を接合し、安価な透明導電基材が容器の底面に製造できる。
グラフェンの扁平面同士を接合したグラフェン接合体から透明導電基材を製造する上で、解決する課題は上記の5つの課題である。
いっぽう、グラフェンの透明性は、非特許文献1によれば、可視光線の透過率は97.7%で、グラフェン1層当たりの吸光度は2.3%である。このため、グラフェンの扁平面同士を接合したグラフェン接合体は、接合したグラフェンの枚数が増えるごとに、透明性が低下する。いっぽう、現在最も汎用的に用いられている透明導電膜として、酸化スズドープ酸化インジウム(In2O3−SnO2、通称ITO)があるが、ITOの可視光線の透過率は84%である。従って、ITOより優れた透明性を得るには、グラフェン接合体において、グラフェンの接合枚数は6枚以内に抑える必要がある。しかし、グラフェンの接合枚数を6枚以内に抑えたグラフェン接合体の厚みは、2.3nm以下と薄く、また、グラフェン接合体が透明であるため、取り扱いが難しい。このため、透明導電性のグラフェンの扁平面同士を透明導電性の物質で接合し、グラフェン接合体の厚みが増えれば、取り扱いが容易な透明導電基材になる。
従って、透明導電基材に適応できるグラフェンの扁平面同士を接合したグラフェン接合体を製造するに当たり、解決すべき課題として次の5つの課題がある。
第一に、低密度で低粘度の液体が充填された容器内で、グラフェンの集まりを製造し、グラフェンの集まりを、低密度で低粘度の液体中に析出させた懸濁体を製造する。これによって、グラフェンの製造時と製造後において、液体中に析出したグラフェンは飛散しない。また、液体中に析出したグラフェンの取り扱いが容易になる。
第二に、グラフェンの扁平面同士を接合する透明導電性の物質を、低粘度の液体として液相化する。これによって、グラフェンの扁平面同士を重ね合わせる処理が、低粘度の液体中で行える。
第三に、透明導電基材を製造する容器に、前記した懸濁体と前記した液相化した透明導電性物質を充填し、扁平面同士が液相化した透明導電性物質を介して重なり合ったグラフェンの集まりを、液相化した透明導電性物質に浸漬させる。これによって、グラフェンの扁平面同士を透明導電性の物質で接合する準備ができる。また、扁平面同士が重なり合ったグラフェンの集まりが、容器の底面に形成され、製造する透明導電基材の形状と表面積の制約がなくなる。いっぽう、グラフェンの厚みが極めて薄いため、厚みに対する表面積の比率であるアスペクト比は極めて大きい。また、グラフェンは厚みが極めて薄く、極めて軽量である。これら2つの特徴を活かせる方法によって、扁平面同士が液相化した透明導電性物質を介して重なり合ったグラフェンの集まりを、液相化した透明導電性物質に浸漬させることができる。
第四に、容器を昇温し、液相化した透明導電性物質を、固体の透明導電性物質に変え、該固体の透明導電性物質によって、グラフェンの扁平面同士を接合し、グラフェン接合体を、前記容器の底面に該底面の形状として形成する。つまり、ITOより優れた透明性を得るには、グラフェンの扁平面同士を接合させる枚数を、6枚以内に抑える必要がある。しかし、グラフェン接合体の厚みは僅か2.3nm以下と薄く、取り扱いが容易でない。このため、グラフェンの扁平面同士を、固体の透明導電性物質で接合したグラフェン接合体が、容器の底面に形成されれば、グラフェン接合体の取り扱いが容易になり、グラフェン接合体を、汎用的な透明導電基材として使用できる。従って、固体の透明導電性物質を、透明性を有する金属微粒子の集まりで構成できれば、透明導電基材が安価に製造できる。
第五に、上記した4つの工程における処理が何れも極めて簡単で、用いる材料が安価な材料である。これによって、安価な黒鉛粒子の集まりを用い、安価な方法でグラフェンの集まりを製造し、安価な方法でグラフェンの扁平面同士を接合し、安価な透明導電基材が容器の底面に製造できる。
グラフェンの扁平面同士を接合したグラフェン接合体から透明導電基材を製造する上で、解決する課題は上記の5つの課題である。
透明性を有する金属結合した金属微粒子の集まりが、グラフェンの扁平面同士を接合してグラフェン接合体を形成するとともに、該グラフェン接合体が前記透明性を有する金属結合した金属微粒子の集まりで覆われた構成からなる透明導電基材を製造する方法は、
2枚の平行平板電極のうちの一方の平行平板電極の表面に、鱗片状黒鉛粒子の集まりないしは塊状黒鉛粒子の集まりを平坦に引き詰め、該平行平板電極を容器に充填されたメタノール中に浸漬させ、さらに、他方の平行平板電極を前記一方の平行平板電極の上に重ね合わせ、前記鱗片状黒鉛粒子の集まりないしは前記塊状黒鉛粒子の集まりを介して、前記2枚の平行平板電極を離間させ、該離間させた2枚の平行平板電極を前記メタノール中に浸漬させる、この後、該2枚の平行平板電極の間隙に直流の電位差を印加する、これによって、該電位差の大きさを前記2枚の平行平板電極の間隙の大きさで割った値に相当する電界が、前記鱗片状黒鉛粒子の集まりないしは前記塊状黒鉛粒子の集まりに印加され、該電界の印加によって、前記鱗片状黒鉛粒子ないしは前記塊状黒鉛粒子を形成する基底面の層間結合の全てが同時に破壊され、前記2枚の平行平板電極の間隙に、前記基底面に相当するグラフェンの集まりが製造される、この後、前記2枚の平行平板電極の間隙を拡大し、該2枚の平行平板電極を前記メタノール中で傾斜させ、さらに、前記容器に左右、前後、上下の3方向の振動を繰り返し加え、前記グラフェンの集まりを、前記2枚の平行平板電極の間隙から前記メタノール中に移動させ、この後、前記容器から前記2枚の平行平板電極を取り出す、これによって、前記容器内に前記グラフェンの集まりが前記メタノール中に析出した懸濁体を製造する、
次に、可視光線の波長領域での屈折率が0.4以上で2.4以下の性質を持つ金属からなる第一の特徴と、粒子の大きさが可視光線の波長より1桁小さい粒状の微粒子からなる第二の特徴を兼備する金属微粒子を熱分解で析出する金属化合物を、メタノールに分散し、該金属化合物のメタノール分散液を作成する、
さらに、透明導電基材の製造に必要な量からなる前記懸濁体と、透明導電基材の製造に必要な量からなる前記メタノール分散液とを、該透明導電基材を製造する容器に充填し、該容器に前後、左右、上下の3方向の振動を繰り返し加える、これによって、前記メタノール分散液が前記懸濁体を構成するメタノールで希釈されるとともに、前記懸濁体を構成する前記グラフェンの集まりが、該グラフェンの扁平面を上にして前記希釈されたメタノール分散液を構成するメタノール中を移動し、該グラフェンの集まりが前記容器の全体に拡散することで、該グラフェンの扁平面同士が重なり合った該グラフェンの集まりが、該容器の底面において、前記希釈されたメタノール分散液に浸漬する、
この後、前記容器を前記金属化合物の熱分解温度に昇温する、これによって、可視光線の波長領域での屈折率が0.4以上で2.4以下の性質を持つ金属からなる第一の特徴と、粒子の大きさが可視光線の波長より1桁小さい粒状の微粒子からなる第二の特徴を兼備する透明性を有する金属微粒子の集まりが、前記グラフェンの表面に一斉に析出し、該金属微粒子同士が互いに接触する部位で金属結合することで、前記グラフェンの扁平面同士が接合され、該扁平面同士が接合されたグラフェン接合体が形成されるとともに、該グラフェン接合体の表面が前記透明性を有する金属結合した金属微粒子の集まりで覆われた構成からなる透明導電基材が、前記容器の底面に該底面の形状として形成される、透明性を有する金属結合した金属微粒子の集まりが、グラフェンの扁平面同士を接合してグラフェン接合体を形成するとともに、該グラフェン接合体が前記透明性を有する金属結合した金属微粒子の集まりで覆われた構成からなる透明導電基材を製造する方法である。
2枚の平行平板電極のうちの一方の平行平板電極の表面に、鱗片状黒鉛粒子の集まりないしは塊状黒鉛粒子の集まりを平坦に引き詰め、該平行平板電極を容器に充填されたメタノール中に浸漬させ、さらに、他方の平行平板電極を前記一方の平行平板電極の上に重ね合わせ、前記鱗片状黒鉛粒子の集まりないしは前記塊状黒鉛粒子の集まりを介して、前記2枚の平行平板電極を離間させ、該離間させた2枚の平行平板電極を前記メタノール中に浸漬させる、この後、該2枚の平行平板電極の間隙に直流の電位差を印加する、これによって、該電位差の大きさを前記2枚の平行平板電極の間隙の大きさで割った値に相当する電界が、前記鱗片状黒鉛粒子の集まりないしは前記塊状黒鉛粒子の集まりに印加され、該電界の印加によって、前記鱗片状黒鉛粒子ないしは前記塊状黒鉛粒子を形成する基底面の層間結合の全てが同時に破壊され、前記2枚の平行平板電極の間隙に、前記基底面に相当するグラフェンの集まりが製造される、この後、前記2枚の平行平板電極の間隙を拡大し、該2枚の平行平板電極を前記メタノール中で傾斜させ、さらに、前記容器に左右、前後、上下の3方向の振動を繰り返し加え、前記グラフェンの集まりを、前記2枚の平行平板電極の間隙から前記メタノール中に移動させ、この後、前記容器から前記2枚の平行平板電極を取り出す、これによって、前記容器内に前記グラフェンの集まりが前記メタノール中に析出した懸濁体を製造する、
次に、可視光線の波長領域での屈折率が0.4以上で2.4以下の性質を持つ金属からなる第一の特徴と、粒子の大きさが可視光線の波長より1桁小さい粒状の微粒子からなる第二の特徴を兼備する金属微粒子を熱分解で析出する金属化合物を、メタノールに分散し、該金属化合物のメタノール分散液を作成する、
さらに、透明導電基材の製造に必要な量からなる前記懸濁体と、透明導電基材の製造に必要な量からなる前記メタノール分散液とを、該透明導電基材を製造する容器に充填し、該容器に前後、左右、上下の3方向の振動を繰り返し加える、これによって、前記メタノール分散液が前記懸濁体を構成するメタノールで希釈されるとともに、前記懸濁体を構成する前記グラフェンの集まりが、該グラフェンの扁平面を上にして前記希釈されたメタノール分散液を構成するメタノール中を移動し、該グラフェンの集まりが前記容器の全体に拡散することで、該グラフェンの扁平面同士が重なり合った該グラフェンの集まりが、該容器の底面において、前記希釈されたメタノール分散液に浸漬する、
この後、前記容器を前記金属化合物の熱分解温度に昇温する、これによって、可視光線の波長領域での屈折率が0.4以上で2.4以下の性質を持つ金属からなる第一の特徴と、粒子の大きさが可視光線の波長より1桁小さい粒状の微粒子からなる第二の特徴を兼備する透明性を有する金属微粒子の集まりが、前記グラフェンの表面に一斉に析出し、該金属微粒子同士が互いに接触する部位で金属結合することで、前記グラフェンの扁平面同士が接合され、該扁平面同士が接合されたグラフェン接合体が形成されるとともに、該グラフェン接合体の表面が前記透明性を有する金属結合した金属微粒子の集まりで覆われた構成からなる透明導電基材が、前記容器の底面に該底面の形状として形成される、透明性を有する金属結合した金属微粒子の集まりが、グラフェンの扁平面同士を接合してグラフェン接合体を形成するとともに、該グラフェン接合体が前記透明性を有する金属結合した金属微粒子の集まりで覆われた構成からなる透明導電基材を製造する方法である。
つまり、本発明における透明導電基材を製造する方法は、次の4つの工程からなる。
第一に、低密度で低粘度のメタノール中で黒鉛粒子の集まりからグラフェンの集まりを製造し、該グラフェンの集まりがメタノール中に析出した懸濁体を製造する。このため、2枚の平行平板電極の間隙に引き詰められた鱗片状黒鉛粒子の集まりないしは塊状黒鉛粒子の集まりを、低密度で低粘度で、かつ、絶縁体であるメタノール中に浸漬させ、2枚の平行平板電極間に直流の電位差を印加させる。これによって、電位差を2枚の平行平板電極の間隙の大きさで割った値に相当する電界が、鱗片状黒鉛粒子の集まりないしは塊状黒鉛粒子の集まりが存在する電極間隙に発生する。この電界は、前記した黒鉛粒子の全てに対し、黒鉛結晶からなる基底面の層間結合を破壊させるのに十分なクーロン力を、基底面の層間結合の担い手である全てのπ電子に同時に与える。これによって、π電子はπ軌道上の拘束から解放され、全てのπ電子がπ軌道から離れて自由電子となる。つまり、π電子に作用するクーロン力が、π軌道の相互作用より大きな力としてπ電子に与えられると、π電子はπ軌道の拘束から解放されて自由電子になる。この結果、基底面の層間結合の担い手である全てのπ電子が、π軌道上に存在しなくなり、黒鉛粒子の全てについて、黒鉛粒子を形成する基底面の層間結合の全てが同時に破壊される。この結果、2枚の平行平板電極の間隙に、基底面の集まり、すなわちグラフェンの集まりが瞬時に製造される。なお、2枚の平行平板電極がメタノール中に浸漬しているため、2枚の平行平板電極の間隙に析出したグラフェンの集まりは飛散しない。この後、2枚の平行平板電極の間隙を拡大し、該2枚の平行平板電極を前記メタノール中で傾斜させ、さらに、容器に左右、前後、上下の3方向の振動を繰り返し加え、グラフェンの集まりを、2枚の平行平板電極の間隙からメタノール中に移動させ、この後、容器から2枚の平行平板電極を取り出す。これによって、容器内にグラフェンの集まりがメタノール中に析出した懸濁体が製造される。なお、製造されたグラフェンは、不純物のない黒鉛結晶のみからなる真性な物質である。これによって、9段落に記載した5つの課題のうち、第1の課題が解決された。
なお、絶縁体であるメタノール中に浸漬した2枚の平行平板電極間に、電位差を印加させると、平行平板電極の間隙に電界が発生する。すなわち、メタノールは比抵抗が3MΩ・cm以上で、誘電率が33の絶縁体である。また、誘電率が24からなるエタノールも絶縁体であり、エタノールの電気導電率は7.5×10−6S/mである。いっぽう、鱗片状黒鉛粒子の電気伝導度が43.9S/mである。従って、エタノールは、導電体である鱗片状黒鉛粒子に比べ、電気導電度が1.7×107倍低い絶縁体である。いっぽう、本発明では、粘度が0.59mPa秒で最も粘度が低く、沸点が64.7℃で最も沸点が低く、最も安価な工業用アルコールあるメタノールを用いる。なお、メタノールの密度は0.7918g/cm3で、最も密度が低いエタノールの密度の0.789g/cm3に近い密度からなる。このように、メタノールは、低密度、低粘度の安価な液体である
第二に、透明性の金属微粒子の集まりを熱分解で析出する原料を、低粘度の液体として液相化する。つまり、可視光線の波長領域での屈折率が、0.4以上で2.4以下の性質を持つ金属からなる第一の特徴と、粒子の大きさが可視光線の波長より1桁小さい粒状の微粒子からなる第二の特徴とを兼備する金属微粒子の集まりは、透明性を有する。これによって、金属微粒子の集まりは、透明性と導電性とを兼備する。このため、こうした特徴を持つ金属微粒子を、熱分解で析出する金属化合物をメタノールに分散し、該金属化合物を分子状態でメタノールに分散し、金属微粒子の原料となる金属化合物を液相化する。なお、金属化合物のメタノール分散液は、メタノールの粘度からなる。これによって、9段落に記載した5つの課題のうち、第2の課題が解決された。
第三に、透明導電基材を製造する容器の底面に、グラフェンの扁平面同士がメタノール分散液を介して重なり合った該グラフェンの集まりを、容器の底面において、メタノール分散液に浸漬させる。このため、透明導電基材の製造に必要な量からなる前記懸濁体と、透明導電基材の製造に必要な量からなる前記メタノール分散液とを、透明導電基材を製造する容器に充填し、該容器に前後、左右、上下の3方向の振動を繰り返し加える。つまり、グラフェンの厚みが極めて薄いため、厚みに対する表面積の比率であるアスペクト比が極めて大きい。また、グラフェンは厚みが極めて薄く、極めて軽量である。いっぽう、メタノール分散液の粘度は、メタノールの粘度からなる低粘度の液体である。また、金属化合物をメタノールに分散する割合は10重量%程度と低く、さらに、メタノール分散液に懸濁体を構成するメタノールと混合されることで、メタノール分散液の密度は、メタノールの密度に近づく。このため、容器に3方向の振動加速度を加えると、メタノール分散液の粘度と密度とが低いため、扁平面を上にしてグラフェンがメタノール分散液中を自在に移動し、容器の全体にグラフェンの集まりが拡散し、扁平面同士がメタノール分散液を介して重なり合ったグラフェンの集まりが、容器の底面に形成される。容器への加振を停止すると、扁平面同士がメタノール分散液を介して重なり合ったグラフェンの集まりが、容器の底面で、メタノール分散液中に浸漬する。なお、容器に加える振動加速度は、グラフェンが極めて軽量であるため、0.2G程度の振動加速度である。これによって、9段落に記載した5つの課題のうち、第3の課題が解決された。
第四に、透明導電基材を、容器の底面に該底面の形状として形成する。このため、容器を前記金属化合物の熱分解温度に昇温する。この際、昇温に順じて次の現象が起こる。最初に、メタノールが気化する。これによって、メタノールに分子状態で分散していた金属化合物は、微細結晶となって析出する。なお、気化したメタノールは、回収して再利用する。また、微細結晶の大きさは、金属化合物の熱分解で析出する40−60nmの金属微粒子の大きさに近い。この結果、グラフェンは、金属化合物の微細結晶の集まりで覆われる。次に、金属化合物の微細結晶が熱分解する。この際、最初に金属化合物の微細結晶が、無機物ないしは有機物と金属とに分解される。さらに、無機物ないしは有機物が気化し、この後、40−60nmの大きさの粒状微粒子である第一の特徴と、可視光線の波長領域での屈折率が0.4以上で2.4以下の性質を持つ金属からなる第二の特徴とを兼備する金属微粒子の集まりが、グラフェンの表面に一斉に析出する。この際、金属微粒子同士が互いに接触する部位で金属結合する。これによって、グラフェンの扁平面同士が金属結合した金属微粒子の集まりを介して接合され、該扁平面同士が接合されたグラフェン接合体が形成されるとともに、該グラフェン接合体が金属結合した金属微粒子の集まりで覆われた透明導電基材が、容器の底面に該底面の形状として形成される。この後、容器に3方向の振動加速度を加え、透明導電基材を容器から解離させ、容器から透明導電基材を取り出す。これによって、9段落に記載した5つの課題のうち、第4の課題が解決された。
いっぽう、黒鉛粒子とメタノールと熱分解で金属を析出する金属化合物とは、いずれも汎用的な工業用素材ないしは工業用薬品である。また、前記した4つの工程は極めて簡単な処理からなる。従って、本方法に依れば、安価な工業用素材ないしは工業用薬品を用い、極めて簡単な処理を連続して実施すると、透明導電基材が製造される。これによって、9段落に記載した5つの課題のうち、第5の課題が解決され、全ての課題が解決された。
以上に説明した方法で製造した透明導電基材は、次の作用効果をもたらす。
第一に、透明導電基材が、容器の底面に該底面の形状として製造されるため、容器の底面の形状に応じて、透明導電基材の形状と面積とが自在に変えられる。このため、透明導電基材の面積と形状との制約がなく、透明導電基材を汎用的な透明導電基材として用いることができる。また、透明導電基材は、グラフェンに準ずる性質と、透明性を有する金属微粒子を構成する金属の性質を兼備し、透明性と熱伝導性と電気導電性に優れる。また、透明導電基材は、金属結合した金属微粒子の集まりで覆われるため、帯電防止機能と電磁波遮蔽機能と放熱機能とを兼備する。さらに、透明導電基材は、安価な材料を用い、安価な方法で製造される。このため、安価な透明導電基材が製造される。
第二に、透明導電基材は、金属微粒子同士の金属結合力に基づく機械的強度を持つ。また、金属微粒子を構成する金属の融点に近い耐熱性と、金属が持つ耐食性を持つ。さらに、金属結合した金属微粒子によってグラフェンの扁平面同士を接合した透明導電基材は、一定の厚みと一定の面積を持つため、取り扱いが容易である。
第三に、透明導電基材を構成する金属結合した金属微粒子の集まりは、可視光線の波長領域で、金属の屈折率が0.4以上で2.4以下であり、空気の屈折率1に近く、7割以上の可視光線が、金属結合した金属微粒子の集まりに入射する。また、金属微粒子の大きさが可視光線の波長より1桁小さいため、金属微粒子の集まりにおいて可視光線は散乱せず、高い透明性をもって金属微粒子の集まりを透過する。さらに、グラフェン接合体における可視光線の透過率は、97.7−2.3×n%である。ここで、nは接合されたグラフェンの枚数である。従って、グラフェンの扁平面同士を接合する枚数を6枚以内にすれば、可視光線の透過率が84%であるITOからなる透明導電膜より透明性が優れる。
第四に、透明導電基材の表面は、金属結合した金属微粒子の集まりで覆われるため、金属微粒子の大きさに基づく凹凸が形成される。このため、表面の凹凸の全表面積は、表面を形成する金属微粒子の数が莫大な数であるため、莫大な広さの表面積を有し、いわゆるフラクタル面に近い面になる。この結果、透明導電基材の表面は、接触角が180度に近い超撥水性を示し、表面に撥水性と撥油性と防汚性がもたらされる。
なお、金属結合した金属微粒子の集まりにおける、可視光線の表面反射率と全光線透過率とは、下記の13段落で、また、金属微粒子の集まりにおける光の散乱は、下記の14段落で説明する。
第一に、低密度で低粘度のメタノール中で黒鉛粒子の集まりからグラフェンの集まりを製造し、該グラフェンの集まりがメタノール中に析出した懸濁体を製造する。このため、2枚の平行平板電極の間隙に引き詰められた鱗片状黒鉛粒子の集まりないしは塊状黒鉛粒子の集まりを、低密度で低粘度で、かつ、絶縁体であるメタノール中に浸漬させ、2枚の平行平板電極間に直流の電位差を印加させる。これによって、電位差を2枚の平行平板電極の間隙の大きさで割った値に相当する電界が、鱗片状黒鉛粒子の集まりないしは塊状黒鉛粒子の集まりが存在する電極間隙に発生する。この電界は、前記した黒鉛粒子の全てに対し、黒鉛結晶からなる基底面の層間結合を破壊させるのに十分なクーロン力を、基底面の層間結合の担い手である全てのπ電子に同時に与える。これによって、π電子はπ軌道上の拘束から解放され、全てのπ電子がπ軌道から離れて自由電子となる。つまり、π電子に作用するクーロン力が、π軌道の相互作用より大きな力としてπ電子に与えられると、π電子はπ軌道の拘束から解放されて自由電子になる。この結果、基底面の層間結合の担い手である全てのπ電子が、π軌道上に存在しなくなり、黒鉛粒子の全てについて、黒鉛粒子を形成する基底面の層間結合の全てが同時に破壊される。この結果、2枚の平行平板電極の間隙に、基底面の集まり、すなわちグラフェンの集まりが瞬時に製造される。なお、2枚の平行平板電極がメタノール中に浸漬しているため、2枚の平行平板電極の間隙に析出したグラフェンの集まりは飛散しない。この後、2枚の平行平板電極の間隙を拡大し、該2枚の平行平板電極を前記メタノール中で傾斜させ、さらに、容器に左右、前後、上下の3方向の振動を繰り返し加え、グラフェンの集まりを、2枚の平行平板電極の間隙からメタノール中に移動させ、この後、容器から2枚の平行平板電極を取り出す。これによって、容器内にグラフェンの集まりがメタノール中に析出した懸濁体が製造される。なお、製造されたグラフェンは、不純物のない黒鉛結晶のみからなる真性な物質である。これによって、9段落に記載した5つの課題のうち、第1の課題が解決された。
なお、絶縁体であるメタノール中に浸漬した2枚の平行平板電極間に、電位差を印加させると、平行平板電極の間隙に電界が発生する。すなわち、メタノールは比抵抗が3MΩ・cm以上で、誘電率が33の絶縁体である。また、誘電率が24からなるエタノールも絶縁体であり、エタノールの電気導電率は7.5×10−6S/mである。いっぽう、鱗片状黒鉛粒子の電気伝導度が43.9S/mである。従って、エタノールは、導電体である鱗片状黒鉛粒子に比べ、電気導電度が1.7×107倍低い絶縁体である。いっぽう、本発明では、粘度が0.59mPa秒で最も粘度が低く、沸点が64.7℃で最も沸点が低く、最も安価な工業用アルコールあるメタノールを用いる。なお、メタノールの密度は0.7918g/cm3で、最も密度が低いエタノールの密度の0.789g/cm3に近い密度からなる。このように、メタノールは、低密度、低粘度の安価な液体である
第二に、透明性の金属微粒子の集まりを熱分解で析出する原料を、低粘度の液体として液相化する。つまり、可視光線の波長領域での屈折率が、0.4以上で2.4以下の性質を持つ金属からなる第一の特徴と、粒子の大きさが可視光線の波長より1桁小さい粒状の微粒子からなる第二の特徴とを兼備する金属微粒子の集まりは、透明性を有する。これによって、金属微粒子の集まりは、透明性と導電性とを兼備する。このため、こうした特徴を持つ金属微粒子を、熱分解で析出する金属化合物をメタノールに分散し、該金属化合物を分子状態でメタノールに分散し、金属微粒子の原料となる金属化合物を液相化する。なお、金属化合物のメタノール分散液は、メタノールの粘度からなる。これによって、9段落に記載した5つの課題のうち、第2の課題が解決された。
第三に、透明導電基材を製造する容器の底面に、グラフェンの扁平面同士がメタノール分散液を介して重なり合った該グラフェンの集まりを、容器の底面において、メタノール分散液に浸漬させる。このため、透明導電基材の製造に必要な量からなる前記懸濁体と、透明導電基材の製造に必要な量からなる前記メタノール分散液とを、透明導電基材を製造する容器に充填し、該容器に前後、左右、上下の3方向の振動を繰り返し加える。つまり、グラフェンの厚みが極めて薄いため、厚みに対する表面積の比率であるアスペクト比が極めて大きい。また、グラフェンは厚みが極めて薄く、極めて軽量である。いっぽう、メタノール分散液の粘度は、メタノールの粘度からなる低粘度の液体である。また、金属化合物をメタノールに分散する割合は10重量%程度と低く、さらに、メタノール分散液に懸濁体を構成するメタノールと混合されることで、メタノール分散液の密度は、メタノールの密度に近づく。このため、容器に3方向の振動加速度を加えると、メタノール分散液の粘度と密度とが低いため、扁平面を上にしてグラフェンがメタノール分散液中を自在に移動し、容器の全体にグラフェンの集まりが拡散し、扁平面同士がメタノール分散液を介して重なり合ったグラフェンの集まりが、容器の底面に形成される。容器への加振を停止すると、扁平面同士がメタノール分散液を介して重なり合ったグラフェンの集まりが、容器の底面で、メタノール分散液中に浸漬する。なお、容器に加える振動加速度は、グラフェンが極めて軽量であるため、0.2G程度の振動加速度である。これによって、9段落に記載した5つの課題のうち、第3の課題が解決された。
第四に、透明導電基材を、容器の底面に該底面の形状として形成する。このため、容器を前記金属化合物の熱分解温度に昇温する。この際、昇温に順じて次の現象が起こる。最初に、メタノールが気化する。これによって、メタノールに分子状態で分散していた金属化合物は、微細結晶となって析出する。なお、気化したメタノールは、回収して再利用する。また、微細結晶の大きさは、金属化合物の熱分解で析出する40−60nmの金属微粒子の大きさに近い。この結果、グラフェンは、金属化合物の微細結晶の集まりで覆われる。次に、金属化合物の微細結晶が熱分解する。この際、最初に金属化合物の微細結晶が、無機物ないしは有機物と金属とに分解される。さらに、無機物ないしは有機物が気化し、この後、40−60nmの大きさの粒状微粒子である第一の特徴と、可視光線の波長領域での屈折率が0.4以上で2.4以下の性質を持つ金属からなる第二の特徴とを兼備する金属微粒子の集まりが、グラフェンの表面に一斉に析出する。この際、金属微粒子同士が互いに接触する部位で金属結合する。これによって、グラフェンの扁平面同士が金属結合した金属微粒子の集まりを介して接合され、該扁平面同士が接合されたグラフェン接合体が形成されるとともに、該グラフェン接合体が金属結合した金属微粒子の集まりで覆われた透明導電基材が、容器の底面に該底面の形状として形成される。この後、容器に3方向の振動加速度を加え、透明導電基材を容器から解離させ、容器から透明導電基材を取り出す。これによって、9段落に記載した5つの課題のうち、第4の課題が解決された。
いっぽう、黒鉛粒子とメタノールと熱分解で金属を析出する金属化合物とは、いずれも汎用的な工業用素材ないしは工業用薬品である。また、前記した4つの工程は極めて簡単な処理からなる。従って、本方法に依れば、安価な工業用素材ないしは工業用薬品を用い、極めて簡単な処理を連続して実施すると、透明導電基材が製造される。これによって、9段落に記載した5つの課題のうち、第5の課題が解決され、全ての課題が解決された。
以上に説明した方法で製造した透明導電基材は、次の作用効果をもたらす。
第一に、透明導電基材が、容器の底面に該底面の形状として製造されるため、容器の底面の形状に応じて、透明導電基材の形状と面積とが自在に変えられる。このため、透明導電基材の面積と形状との制約がなく、透明導電基材を汎用的な透明導電基材として用いることができる。また、透明導電基材は、グラフェンに準ずる性質と、透明性を有する金属微粒子を構成する金属の性質を兼備し、透明性と熱伝導性と電気導電性に優れる。また、透明導電基材は、金属結合した金属微粒子の集まりで覆われるため、帯電防止機能と電磁波遮蔽機能と放熱機能とを兼備する。さらに、透明導電基材は、安価な材料を用い、安価な方法で製造される。このため、安価な透明導電基材が製造される。
第二に、透明導電基材は、金属微粒子同士の金属結合力に基づく機械的強度を持つ。また、金属微粒子を構成する金属の融点に近い耐熱性と、金属が持つ耐食性を持つ。さらに、金属結合した金属微粒子によってグラフェンの扁平面同士を接合した透明導電基材は、一定の厚みと一定の面積を持つため、取り扱いが容易である。
第三に、透明導電基材を構成する金属結合した金属微粒子の集まりは、可視光線の波長領域で、金属の屈折率が0.4以上で2.4以下であり、空気の屈折率1に近く、7割以上の可視光線が、金属結合した金属微粒子の集まりに入射する。また、金属微粒子の大きさが可視光線の波長より1桁小さいため、金属微粒子の集まりにおいて可視光線は散乱せず、高い透明性をもって金属微粒子の集まりを透過する。さらに、グラフェン接合体における可視光線の透過率は、97.7−2.3×n%である。ここで、nは接合されたグラフェンの枚数である。従って、グラフェンの扁平面同士を接合する枚数を6枚以内にすれば、可視光線の透過率が84%であるITOからなる透明導電膜より透明性が優れる。
第四に、透明導電基材の表面は、金属結合した金属微粒子の集まりで覆われるため、金属微粒子の大きさに基づく凹凸が形成される。このため、表面の凹凸の全表面積は、表面を形成する金属微粒子の数が莫大な数であるため、莫大な広さの表面積を有し、いわゆるフラクタル面に近い面になる。この結果、透明導電基材の表面は、接触角が180度に近い超撥水性を示し、表面に撥水性と撥油性と防汚性がもたらされる。
なお、金属結合した金属微粒子の集まりにおける、可視光線の表面反射率と全光線透過率とは、下記の13段落で、また、金属微粒子の集まりにおける光の散乱は、下記の14段落で説明する。
ここで、前記した第一の処理において、2枚の平行平板電極の間隙に印加した電界によって、2枚の平行平板電極の間隙に引き詰められた黒鉛粒子を形成する黒鉛結晶からなる基底面の層間結合が、同時に破壊される現象を説明する。
黒鉛粒子における黒鉛結晶を形成する炭素原子は4つの価電子を持つ。このうちの3つの価電子は、基底面、すなわち、グラフェンを形成するσ電子である。このσ電子は、基底面上で隣り合う3つの炭素原子が持つσ電子と互いに120度の角度をなして共有結合し、六角形の強固な網目構造を2次元的に形成する。残り一つの価電子はπ電子であり、基底面に垂直な方向に伸びるπ軌道上に存在する。このπ電子は、基底面に垂直な上下方向で隣り合う炭素原子が持つπ電子と弱い結合力で結合し、この弱い結合力に基づいて基底面が層状に積層される。つまり基底面、すなわちグラフェンは、弱い結合力であるπ軌道の相互作用によって互いに層状に結合されている。このため、黒鉛粒子は、黒鉛結晶からなる基底面で剥がれ易い性質、すなわち、機械的な異方性を持つ。この機械的な異方性は、黒鉛粒子の潤滑性として良く知られている。
こうした黒鉛粒子に電界を印加させると、全てのπ電子に電界によるクーロン力が作用する。π電子に作用するクーロン力が、π電子に作用しているπ軌道の相互作用より大きな力としてπ電子に作用すると、π電子はπ軌道上の拘束から解放される。この結果、全てのπ電子がπ軌道から離れて自由電子となる。これによって、基底面の層間結合の担い手である全てのπ電子がπ軌道上にいなくなるため、基底面の層間結合の全てが同時に破壊される。すなわち、π電子がクーロン力Fによって基底面の層間距離bの距離を動く際に、π電子は仕事W(W=b・F)を行う。この仕事Wが、π電子に作用する1原子当たりのπ軌道の相互作用の大きさである35ミリエレクトロンボルト (エレクトロンボルトは電子が持つエネルギーの大きさを表す単位で、1エレクトロンボルトは1.62×10−19ジュールに相当する)を超えると、π電子はπ軌道の相互作用の拘束から解放されて自由電子になる。例えば、2枚の平行平板電極の間隙を100μmで離間させ、この電極の間隙に10.6キロボルト以上の直流の電位差を印加させると、基底面の層間結合が瞬時に破壊される。このように、安価な黒鉛粒子の集まりに電界を印加するという極めて簡単な手段によって、大量のグラフェンが安価に製造できる。また、基底面の層間結合の全てが同時に破壊するため、得られる微細な物質は、確実に黒鉛結晶からなる基底面であるグラフェンである。
なお、ここで言う黒鉛粒子の集まりとは、1gから100g程度の比較的少量の黒鉛粒子の集まりを言う。つまり、鱗片状黒鉛粒子ないしは塊状黒鉛粒子は、嵩密度が0.2−0.5g/cm3で、粒子の大きさが1−300ミクロンの分布を持つ微細な粒子である。従って、黒鉛粒子の集まりを2枚の平行平板電極の間隙に引き詰めることは容易で、2枚の平行平板電極に電位差を印加することも容易である。2枚の平行平板電極の間隙に電位差を印加すると、黒鉛粒子が引きつめられた全ての領域に電界が発生する。この電界が、π軌道の相互作用より大きなクーロン力としてπ電子に作用し、π電子はπ軌道上の拘束から解放され、自由電子になる。この結果、黒鉛粒子における基底面の層間結合の全てが同時に破壊され、2枚の平行平板電極の間隙に、グラフェンの集まりが製造される。
ここで、懸濁体中に分散されるグラフェンの数を算術で求める。ここでは、全ての黒鉛粒子が、直径が25ミクロンの球から構成されると仮定し、黒鉛の真密度が2.25×103kg/m3であるから、黒鉛粒子の1個の重さは僅かに1.84×10−8gになる。また、黒鉛粒子の厚みの平均値が10ミクロンと仮定すると、層間距離が3.354オングストロームであるので、10ミクロンの厚みを持つ鱗片状黒鉛粒子には297,265個のグラフェンが積層されている。従って、基底面の層間結合を全て破壊することで、僅か1個の球状の黒鉛粒子から297,265個のグラフェンの集まりが得られる。このため、球状の黒鉛粒子の僅か1gの集まりについて、基底面の層間結合の全てを破壊した際に、1.62×1013個からなるグラフェンの集まりが得られる。本製造方法によって、僅かな量の黒鉛粒子の集まりから、莫大な数からなるグラフェンの集まりが得られる。
黒鉛粒子における黒鉛結晶を形成する炭素原子は4つの価電子を持つ。このうちの3つの価電子は、基底面、すなわち、グラフェンを形成するσ電子である。このσ電子は、基底面上で隣り合う3つの炭素原子が持つσ電子と互いに120度の角度をなして共有結合し、六角形の強固な網目構造を2次元的に形成する。残り一つの価電子はπ電子であり、基底面に垂直な方向に伸びるπ軌道上に存在する。このπ電子は、基底面に垂直な上下方向で隣り合う炭素原子が持つπ電子と弱い結合力で結合し、この弱い結合力に基づいて基底面が層状に積層される。つまり基底面、すなわちグラフェンは、弱い結合力であるπ軌道の相互作用によって互いに層状に結合されている。このため、黒鉛粒子は、黒鉛結晶からなる基底面で剥がれ易い性質、すなわち、機械的な異方性を持つ。この機械的な異方性は、黒鉛粒子の潤滑性として良く知られている。
こうした黒鉛粒子に電界を印加させると、全てのπ電子に電界によるクーロン力が作用する。π電子に作用するクーロン力が、π電子に作用しているπ軌道の相互作用より大きな力としてπ電子に作用すると、π電子はπ軌道上の拘束から解放される。この結果、全てのπ電子がπ軌道から離れて自由電子となる。これによって、基底面の層間結合の担い手である全てのπ電子がπ軌道上にいなくなるため、基底面の層間結合の全てが同時に破壊される。すなわち、π電子がクーロン力Fによって基底面の層間距離bの距離を動く際に、π電子は仕事W(W=b・F)を行う。この仕事Wが、π電子に作用する1原子当たりのπ軌道の相互作用の大きさである35ミリエレクトロンボルト (エレクトロンボルトは電子が持つエネルギーの大きさを表す単位で、1エレクトロンボルトは1.62×10−19ジュールに相当する)を超えると、π電子はπ軌道の相互作用の拘束から解放されて自由電子になる。例えば、2枚の平行平板電極の間隙を100μmで離間させ、この電極の間隙に10.6キロボルト以上の直流の電位差を印加させると、基底面の層間結合が瞬時に破壊される。このように、安価な黒鉛粒子の集まりに電界を印加するという極めて簡単な手段によって、大量のグラフェンが安価に製造できる。また、基底面の層間結合の全てが同時に破壊するため、得られる微細な物質は、確実に黒鉛結晶からなる基底面であるグラフェンである。
なお、ここで言う黒鉛粒子の集まりとは、1gから100g程度の比較的少量の黒鉛粒子の集まりを言う。つまり、鱗片状黒鉛粒子ないしは塊状黒鉛粒子は、嵩密度が0.2−0.5g/cm3で、粒子の大きさが1−300ミクロンの分布を持つ微細な粒子である。従って、黒鉛粒子の集まりを2枚の平行平板電極の間隙に引き詰めることは容易で、2枚の平行平板電極に電位差を印加することも容易である。2枚の平行平板電極の間隙に電位差を印加すると、黒鉛粒子が引きつめられた全ての領域に電界が発生する。この電界が、π軌道の相互作用より大きなクーロン力としてπ電子に作用し、π電子はπ軌道上の拘束から解放され、自由電子になる。この結果、黒鉛粒子における基底面の層間結合の全てが同時に破壊され、2枚の平行平板電極の間隙に、グラフェンの集まりが製造される。
ここで、懸濁体中に分散されるグラフェンの数を算術で求める。ここでは、全ての黒鉛粒子が、直径が25ミクロンの球から構成されると仮定し、黒鉛の真密度が2.25×103kg/m3であるから、黒鉛粒子の1個の重さは僅かに1.84×10−8gになる。また、黒鉛粒子の厚みの平均値が10ミクロンと仮定すると、層間距離が3.354オングストロームであるので、10ミクロンの厚みを持つ鱗片状黒鉛粒子には297,265個のグラフェンが積層されている。従って、基底面の層間結合を全て破壊することで、僅か1個の球状の黒鉛粒子から297,265個のグラフェンの集まりが得られる。このため、球状の黒鉛粒子の僅か1gの集まりについて、基底面の層間結合の全てを破壊した際に、1.62×1013個からなるグラフェンの集まりが得られる。本製造方法によって、僅かな量の黒鉛粒子の集まりから、莫大な数からなるグラフェンの集まりが得られる。
ここで、表面反射率と全光線透過率とを説明する。光が基材に入射する際に、空気と基材との屈折率の差に応じて表面反射が生じる。従って、透明のガラスでも表面反射によるロスが発生し、全光線透過率は100%にならない。ちなみに、厚さが2mmのフロートガラスでは、可視光線の波長領域において全光線透過率は約90%である。基材に垂直に入射した光の表面における表面反射率Rは、基材の屈折率nと空気の屈折率mとからなる数式1によって算出される。また、全光線透過率Tは表面反射率Rからなる数式2によって算出される。従って、屈折率が0.4の金属は、金属微粒子の集まりに入り込む全光線透過率は67%になり、屈折率が2.4の金属は、金属微粒子の集まりに入り込む全光線透過率は69%となり、7割以上の可視光線が金属微粒子の集まりに入り込む。
数1
R=(n―m)2/(n+m)2
数2
T=(1−R)2
数1
R=(n―m)2/(n+m)2
数2
T=(1−R)2
次に、光の散乱を説明する。可視光線が粒子の集まりに照射された際の光の散乱は、数式3に示すレイリー散乱式が適応できる。数式3におけるSは散乱の比率を意味する散乱係数で、λは可視光線の波長で、Dは粒子径で、mは粒子の屈折率で、πは円周率である。従って、散乱係数Sの大きさは、可視光線の波長λに対する粒子径Dの比率D/λの4乗に依存し、また、粒子径Dの2乗と、屈折率mにも依存する。金属微粒子の大きさDが、可視光の波長λより1桁小さいため、比率D/λは小さく、また、粒子径Dも十分に小さい。さらに、金属の屈折率mが0.4以上で2.4以下の値である。従って、散乱係数Sは極めて小さく、金属微粒子の集まりでは可視光線が散乱せず、金属微粒子の集まりは高い透明性を示す。
数3
S=4/3・π5/λ4・D6{(m2−1)/(m2+1)}2
数3
S=4/3・π5/λ4・D6{(m2−1)/(m2+1)}2
10段落に記載した透明導電基材を製造する方法は、
10段落に記載した金属化合物が、金属がニッケルないしはアルミニウムからなる第1の特徴と、微粒子の大きさが可視光線の波長より1桁小さい第2の特徴を兼備する金属微粒子を熱分解で析出する金属化合物であり、該金属化合物を10段落に記載した金属化合物として用い、10段落に記載した透明導電基材を製造する方法に従って透明導電基材を製造する、10段落に記載した透明導電基材を製造する方法である。
10段落に記載した金属化合物が、金属がニッケルないしはアルミニウムからなる第1の特徴と、微粒子の大きさが可視光線の波長より1桁小さい第2の特徴を兼備する金属微粒子を熱分解で析出する金属化合物であり、該金属化合物を10段落に記載した金属化合物として用い、10段落に記載した透明導電基材を製造する方法に従って透明導電基材を製造する、10段落に記載した透明導電基材を製造する方法である。
つまり、ニッケルないしはアルミニウムは、可視光線の波長領域(380−750nm)での屈折率が0.4以上で2.4以下であり、7割以上の可視光線が前記した金属結合した金属微粒子の集まりに入射する。また、ニッケルないしはアルミニウムからなる微粒子の大きさが、可視光線の波長より1桁小さく、14段落に記載した金属結合した金属微粒子の集まりにおける可視光線の散乱係数Sは極めて小さく、金属結合した金属微粒子の集まりにおいて、可視光線は散乱せず、高い透明性を示す。
すなわち、ニッケルの屈折率は、380nmで1.61、波長が長くなるとと共に増大し、539nmで1.75、709nmで2.21、729nmで2.28、750nmで2.34である。いっぽう、ニッケル微粒子の集まりの表面で、空気とニッケルとの屈折率の違いで光線が反射する。この際、光線の透過率は、380nmで89%、539nmで86%、709nmで74%、729nmで72%、750nmで70%になる。また、ニッケル微粒子の大きさは、可視光線の波長より1桁小さい。従って、赤色の可視光線の成分の一部が、ニッケル微粒子の集まりの表面で反射されるが、ニッケル微粒子の集まりに入り込んだ光線は、散乱することなくニッケル微粒子の集まりを透過する。このため、ニッケル微粒子の集まりは透明性を示す。
また、アルミニウムの屈折率は、800nmで最大の2.80で、波長が短くなるにつれ急減し、750nmで2.40、708nmで1.91、560nmで空気の屈折率1に最も近づき、450nmで0.620、380nmで0.45となる。いっぽう、アルミニウム微粒子の集まりの表面で、空気とアルミニウムとの屈折率の違いで光線が反射する。この際、光線の透過率は、750nmで69%、708nmで81%、560nmで100%、450nmで89%、380nmで73%である。また、アルミニウム微粒子の大きさは、可視光線の波長より1桁小さい。このため、アルミニウム微粒子の集まりの表面で、赤色と紫色との可視光線の一部が反射されるが、アルミニウム微粒子の集まりに入り込んだ光は、散乱することなくアルミニウム微粒子の集まりを透過する。このため、アルミニウム微粒子の集まりは、透明性を示す。
以上に説明したように、金属がアルミニウムの場合は、赤色と紫色との可視光線を構成する光線の一部が、アルミニウム微粒子の集まりの表面で反射され、また、金属がニッケルの場合は、赤色の可視光線を構成する光線の一部が、ニッケル微粒子の集まりの表面で反射され、これらの光線に相当する色彩を放つが、金属微粒子の集まりは可視光線を散乱しないため透明性を持つ。従って、ニッケルないしはアルミニウムからなる金属結合した金属微粒子の集まりは、透明性と導電性とを兼備して、透明導電基材を構成する。
すなわち、ニッケルの屈折率は、380nmで1.61、波長が長くなるとと共に増大し、539nmで1.75、709nmで2.21、729nmで2.28、750nmで2.34である。いっぽう、ニッケル微粒子の集まりの表面で、空気とニッケルとの屈折率の違いで光線が反射する。この際、光線の透過率は、380nmで89%、539nmで86%、709nmで74%、729nmで72%、750nmで70%になる。また、ニッケル微粒子の大きさは、可視光線の波長より1桁小さい。従って、赤色の可視光線の成分の一部が、ニッケル微粒子の集まりの表面で反射されるが、ニッケル微粒子の集まりに入り込んだ光線は、散乱することなくニッケル微粒子の集まりを透過する。このため、ニッケル微粒子の集まりは透明性を示す。
また、アルミニウムの屈折率は、800nmで最大の2.80で、波長が短くなるにつれ急減し、750nmで2.40、708nmで1.91、560nmで空気の屈折率1に最も近づき、450nmで0.620、380nmで0.45となる。いっぽう、アルミニウム微粒子の集まりの表面で、空気とアルミニウムとの屈折率の違いで光線が反射する。この際、光線の透過率は、750nmで69%、708nmで81%、560nmで100%、450nmで89%、380nmで73%である。また、アルミニウム微粒子の大きさは、可視光線の波長より1桁小さい。このため、アルミニウム微粒子の集まりの表面で、赤色と紫色との可視光線の一部が反射されるが、アルミニウム微粒子の集まりに入り込んだ光は、散乱することなくアルミニウム微粒子の集まりを透過する。このため、アルミニウム微粒子の集まりは、透明性を示す。
以上に説明したように、金属がアルミニウムの場合は、赤色と紫色との可視光線を構成する光線の一部が、アルミニウム微粒子の集まりの表面で反射され、また、金属がニッケルの場合は、赤色の可視光線を構成する光線の一部が、ニッケル微粒子の集まりの表面で反射され、これらの光線に相当する色彩を放つが、金属微粒子の集まりは可視光線を散乱しないため透明性を持つ。従って、ニッケルないしはアルミニウムからなる金属結合した金属微粒子の集まりは、透明性と導電性とを兼備して、透明導電基材を構成する。
10段落に記載した透明導電基材を製造する方法は、
10段落に記載した金属化合物が、無機物の分子ないしはイオンからなる配位子が、ニッケルないしはアルミニウムからなる金属イオンに配位結合した金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体であり、該無機金属化合物からなる錯体を10段落に記載した金属化合物として用い、10段落に記載した透明導電基材を製造する方法に従って透明導電基材を製造する、10段落に記載した透明導電基材を製造する方法である。
10段落に記載した金属化合物が、無機物の分子ないしはイオンからなる配位子が、ニッケルないしはアルミニウムからなる金属イオンに配位結合した金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体であり、該無機金属化合物からなる錯体を10段落に記載した金属化合物として用い、10段落に記載した透明導電基材を製造する方法に従って透明導電基材を製造する、10段落に記載した透明導電基材を製造する方法である。
つまり、無機金属化合物からなる錯体は、還元雰囲気の180℃−220℃の比較的低い温度で熱分解が完了し金属を析出する。また、最も汎用的なアルコールであるメタノールに、10重量%に近い割合で分散する。このため、無機金属化合物からなる錯体は、10段落に記載した金属化合物になる。
すなわち、無機物の分子ないしはイオンからなる配位子が、金属イオンに配位結合した金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体を、還元雰囲気で熱処理すると、配位結合部が最初に分断され、無機物と金属とに分解される。さらに昇温すると、無機物が気化熱を奪って気化し、すべての無機物の気化が完了した後に金属が析出する。つまり、錯体を構成するイオンの中で、分子の中央に位置する金属イオンが最も大きい。このため、金属イオンと配位子との距離が最も長い。従って、錯体を還元雰囲気で熱処理すると、金属イオンが配位子と結合する配位結合部が最初に分断され、金属と無機物とに分解する。さらに温度が上がると、無機物が気化熱を奪って気化し、気化が完了した後に、金属が析出する。この際、無機物が低分子量であるため、無機物の分子量に応じた180−220℃の低い温度で無機物の気化が完了する。このような錯体として、アンモニアNH3が配位子となって金属イオンに配位結合するアンミン金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体、塩素イオンCl−が、ないしは塩素イオンCl−とアンモニアNH3とが配位子となって金属イオンに配位結合するクロロ金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体、シアノ基CN−が配位子イオンとなって金属イオンに配位結合するシアノ金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体、臭素イオンBr−が配位子イオンとなって金属イオンに配位結合するブロモ金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体、沃素イオンI−が配位子イオンとなって金属イオンに配位結合するヨード金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体などがある。また、このような分子量が小さい無機金属化合物からなる錯体は、合成が容易で最も安価な金属錯イオンを有する金属錯体である。
従って、無機金属化合物からなる錯体は、10段落に安価な金属化合物になる。
すなわち、無機物の分子ないしはイオンからなる配位子が、金属イオンに配位結合した金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体を、還元雰囲気で熱処理すると、配位結合部が最初に分断され、無機物と金属とに分解される。さらに昇温すると、無機物が気化熱を奪って気化し、すべての無機物の気化が完了した後に金属が析出する。つまり、錯体を構成するイオンの中で、分子の中央に位置する金属イオンが最も大きい。このため、金属イオンと配位子との距離が最も長い。従って、錯体を還元雰囲気で熱処理すると、金属イオンが配位子と結合する配位結合部が最初に分断され、金属と無機物とに分解する。さらに温度が上がると、無機物が気化熱を奪って気化し、気化が完了した後に、金属が析出する。この際、無機物が低分子量であるため、無機物の分子量に応じた180−220℃の低い温度で無機物の気化が完了する。このような錯体として、アンモニアNH3が配位子となって金属イオンに配位結合するアンミン金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体、塩素イオンCl−が、ないしは塩素イオンCl−とアンモニアNH3とが配位子となって金属イオンに配位結合するクロロ金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体、シアノ基CN−が配位子イオンとなって金属イオンに配位結合するシアノ金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体、臭素イオンBr−が配位子イオンとなって金属イオンに配位結合するブロモ金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体、沃素イオンI−が配位子イオンとなって金属イオンに配位結合するヨード金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体などがある。また、このような分子量が小さい無機金属化合物からなる錯体は、合成が容易で最も安価な金属錯イオンを有する金属錯体である。
従って、無機金属化合物からなる錯体は、10段落に安価な金属化合物になる。
10段落に記載した透明導電基材を製造する方法は、
10段落に記載した金属化合物が、カルボン酸におけるカルボキシル基を構成する酸素イオンが、ニッケルないしはアルミニウムからなる金属イオンに共有結合する第一の特徴と、前記カルボン酸が飽和脂肪酸で構成される第二の特徴とを兼備するカルボン酸金属化合物であり、該カルボン酸金属化合物を10段落に記載した金属化合物として用い、10段落に記載した透明導電基材を製造する方法に従って透明導電基材を製造する、10段落に記載した透明導電基材を製造する方法である。
10段落に記載した金属化合物が、カルボン酸におけるカルボキシル基を構成する酸素イオンが、ニッケルないしはアルミニウムからなる金属イオンに共有結合する第一の特徴と、前記カルボン酸が飽和脂肪酸で構成される第二の特徴とを兼備するカルボン酸金属化合物であり、該カルボン酸金属化合物を10段落に記載した金属化合物として用い、10段落に記載した透明導電基材を製造する方法に従って透明導電基材を製造する、10段落に記載した透明導電基材を製造する方法である。
つまり、二つの特徴を持つカルボン酸金属化合物は、大気雰囲気の290−430℃で熱分解が完了し金属を析出する。また、最も汎用的なアルコールであるメタノールに対し、10重量%に近い濃度で分散する。このため、カルボン酸金属化合物は、10段落に記載した金属化合物になる。なお、オクチル酸金属化合物の熱分解温度は、大気雰囲気の290℃であり、カルボン酸金属化合物の中で最も低い。いっぽう、窒素雰囲気でのオクチル酸金属化合物の熱分解温度は、大気雰囲気より50℃高い340℃である。
すなわち、カルボン酸のカルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンに共有結合する第一の特徴と、カルボン酸が飽和脂肪酸からなる第二の特徴とを兼備するカルボン酸金属化合物においては、金属イオンが最も大きいイオンであり、カルボキシル基を構成する酸素イオンと金属イオンとの距離が、他のイオン同士の距離より長くなる。こうした分子構造上の特徴を持つカルボン酸金属化合物を大気雰囲気で熱処理すると、カルボン酸の沸点を超えると、カルボキシル基を構成する酸素イオンと金属イオンとの結合部が最初に分断され、カルボン酸と金属とに分離する。さらに、カルボン酸が飽和脂肪酸から構成される場合は、炭素原子が水素原子に対して過剰となる不飽和構造を持たないため、カルボン酸の分子量と数とに応じて、カルボン酸が気化熱を奪って気化し、気化が完了すると金属が析出する。こうしたカルボン酸金属化合物として、オクチル酸金属化合物、ラウリン酸金属化合物、ステアリン酸金属化合物などがある。なお、オクチル酸の沸点は228℃であり、ラウリン酸の沸点は296℃であり、ステアリン酸の沸点は361℃である。従って、これらのカルボン酸金属化合物は、290−430℃の大気雰囲気で熱分解が完了する。また、メタノールに10重量%に近い割合で分散する。なお、窒素雰囲気でのカルボン酸金属化合物の熱分解は、50℃程度高温側にシフトする。
さらに、カルボン酸金属化合物は、容易に合成できる安価な工業用薬品である。すなわち、最も汎用的な有機酸であるカルボン酸を、強アルカリと反応させるとカルボン酸アルカリ金属化合物が生成され、カルボン酸アルカリ金属化合物を無機金属化合物と反応させると、カルボン酸金属化合物が合成される。従って、有機金属化合物の中で最も安価な有機金属化合物である。このため、18段落で説明した無機金属化合物からなる錯体より熱処理温度が高いが、錯体より安価な金属化合物である。
従って、カルボン酸金属化合物は、10段落に記載した安価な金属化合物になる。
すなわち、カルボン酸のカルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンに共有結合する第一の特徴と、カルボン酸が飽和脂肪酸からなる第二の特徴とを兼備するカルボン酸金属化合物においては、金属イオンが最も大きいイオンであり、カルボキシル基を構成する酸素イオンと金属イオンとの距離が、他のイオン同士の距離より長くなる。こうした分子構造上の特徴を持つカルボン酸金属化合物を大気雰囲気で熱処理すると、カルボン酸の沸点を超えると、カルボキシル基を構成する酸素イオンと金属イオンとの結合部が最初に分断され、カルボン酸と金属とに分離する。さらに、カルボン酸が飽和脂肪酸から構成される場合は、炭素原子が水素原子に対して過剰となる不飽和構造を持たないため、カルボン酸の分子量と数とに応じて、カルボン酸が気化熱を奪って気化し、気化が完了すると金属が析出する。こうしたカルボン酸金属化合物として、オクチル酸金属化合物、ラウリン酸金属化合物、ステアリン酸金属化合物などがある。なお、オクチル酸の沸点は228℃であり、ラウリン酸の沸点は296℃であり、ステアリン酸の沸点は361℃である。従って、これらのカルボン酸金属化合物は、290−430℃の大気雰囲気で熱分解が完了する。また、メタノールに10重量%に近い割合で分散する。なお、窒素雰囲気でのカルボン酸金属化合物の熱分解は、50℃程度高温側にシフトする。
さらに、カルボン酸金属化合物は、容易に合成できる安価な工業用薬品である。すなわち、最も汎用的な有機酸であるカルボン酸を、強アルカリと反応させるとカルボン酸アルカリ金属化合物が生成され、カルボン酸アルカリ金属化合物を無機金属化合物と反応させると、カルボン酸金属化合物が合成される。従って、有機金属化合物の中で最も安価な有機金属化合物である。このため、18段落で説明した無機金属化合物からなる錯体より熱処理温度が高いが、錯体より安価な金属化合物である。
従って、カルボン酸金属化合物は、10段落に記載した安価な金属化合物になる。
実施形態1
本実施形態は、18段落で説明した無機金属化合物からなる錯体の実施形態であり、低温で熱分解して金属を析出する金属化合物として、無機物の分子ないしはイオンからなる配位子が、金属イオンに配位結合した金属錯イオンを有する金属錯体が適切であることを説明する。すなわち、金属錯体は無機物の分子量が小さいため、還元雰囲気での熱処理温度が相対的に低い温度で熱分解する。ここでは、金属をニッケルとし、熱分解でニッケルを析出するニッケル化合物について説明する。
最初にメタノールに分散するニッケル化合物を説明する。硫酸ニッケルと塩化ニッケルは水に溶け、ニッケルイオンが溶解し、多くのニッケルイオンがニッケルの析出に参加できない。また、水酸化ニッケルと酸化ニッケルはメタノールに分散しない。このため、こうした分子量が低い無機ニッケル化合物は、ニッケルを析出する原料として適切でない。
次に熱分解でニッケルを析出するニッケル化合物を説明する。ニッケル化合物からニッケルが生成される化学反応の中で、最も簡単な処理による化学反応に熱分解反応がある。つまり、ニッケル化合物を昇温するだけで、ニッケル化合物が熱分解してニッケルが析出する。さらに、ニッケル化合物の熱分解温度が低ければ熱処理温度が低く、安価な費用で透明導電基材が形成できる。無機物からなる分子ないしはイオンが配位子となって、分子構造の中央に位置するニッケルイオンに配位結合したニッケル錯イオンを有する無機ニッケル錯体は、無機物の分子量が小さければ、還元雰囲気で熱分解する温度は、分子量がより大きい有機物が配位子を形成する有機ニッケル錯体が大気雰囲気で熱分解する温度より低い。このため、無機ニッケル錯体は、有機ニッケル錯体より相対的に高価な物質であるが、より低い温度でニッケルを析出するため、安価な費用で透明導電基材が形成できる。
すなわち、無機ニッケル錯体を構成する分子の中でニッケルイオンが最も大きい。ちなみに、ニッケル原子の共有結合半径は101pmであり、一方、窒素原子の共有結合半径の71pmであり、酸素原子の共有結合半径は66pmである。このため、無機ニッケル錯体の分子構造においては、配位子がニッケルイオンに配位結合する配位結合部の距離が最も長い。従って、還元雰囲気の熱処理で、最初に配位結合部が分断され、ニッケルと無機物とに分解し、無機物の気化が完了した後にニッケルが析出する。
このような無機ニッケル錯体の中で、アンモニアNH3が配位子となってニッケルイオンに配位結合するアンミン錯体、塩素イオンCl−が、ないしは、塩素イオンCl−とアンモニアNH3とが配位子となってニッケルイオンに配位結合するクロロ錯体は、他のニッケル錯体に比べて相対的に合成が容易であるため、相対的に安価な製造費用で製造できる。また、こうした無機ニッケル錯体は、アンモニアガスや水素ガスなどの還元性雰囲気で熱処理すると、配位子の分子量が小さいため、200℃より低い温度で配位結合部位が最初に分断され、この後、200℃前後の温度でニッケルが析出する。さらに、メタノールに10重量%近くまで分散する。このようなニッケル錯イオンとして、例えば、ヘキサアンミンニッケルイオン[Ni(NH3)6]2+があり、ニッケル錯体として、例えば、ヘキサアンミンニッケル塩化物[Ni(NH3)6]Cl2やヘキサアンミンニッケル硝酸塩[Ni(NH3)6](NO3)2がある。
本実施形態は、18段落で説明した無機金属化合物からなる錯体の実施形態であり、低温で熱分解して金属を析出する金属化合物として、無機物の分子ないしはイオンからなる配位子が、金属イオンに配位結合した金属錯イオンを有する金属錯体が適切であることを説明する。すなわち、金属錯体は無機物の分子量が小さいため、還元雰囲気での熱処理温度が相対的に低い温度で熱分解する。ここでは、金属をニッケルとし、熱分解でニッケルを析出するニッケル化合物について説明する。
最初にメタノールに分散するニッケル化合物を説明する。硫酸ニッケルと塩化ニッケルは水に溶け、ニッケルイオンが溶解し、多くのニッケルイオンがニッケルの析出に参加できない。また、水酸化ニッケルと酸化ニッケルはメタノールに分散しない。このため、こうした分子量が低い無機ニッケル化合物は、ニッケルを析出する原料として適切でない。
次に熱分解でニッケルを析出するニッケル化合物を説明する。ニッケル化合物からニッケルが生成される化学反応の中で、最も簡単な処理による化学反応に熱分解反応がある。つまり、ニッケル化合物を昇温するだけで、ニッケル化合物が熱分解してニッケルが析出する。さらに、ニッケル化合物の熱分解温度が低ければ熱処理温度が低く、安価な費用で透明導電基材が形成できる。無機物からなる分子ないしはイオンが配位子となって、分子構造の中央に位置するニッケルイオンに配位結合したニッケル錯イオンを有する無機ニッケル錯体は、無機物の分子量が小さければ、還元雰囲気で熱分解する温度は、分子量がより大きい有機物が配位子を形成する有機ニッケル錯体が大気雰囲気で熱分解する温度より低い。このため、無機ニッケル錯体は、有機ニッケル錯体より相対的に高価な物質であるが、より低い温度でニッケルを析出するため、安価な費用で透明導電基材が形成できる。
すなわち、無機ニッケル錯体を構成する分子の中でニッケルイオンが最も大きい。ちなみに、ニッケル原子の共有結合半径は101pmであり、一方、窒素原子の共有結合半径の71pmであり、酸素原子の共有結合半径は66pmである。このため、無機ニッケル錯体の分子構造においては、配位子がニッケルイオンに配位結合する配位結合部の距離が最も長い。従って、還元雰囲気の熱処理で、最初に配位結合部が分断され、ニッケルと無機物とに分解し、無機物の気化が完了した後にニッケルが析出する。
このような無機ニッケル錯体の中で、アンモニアNH3が配位子となってニッケルイオンに配位結合するアンミン錯体、塩素イオンCl−が、ないしは、塩素イオンCl−とアンモニアNH3とが配位子となってニッケルイオンに配位結合するクロロ錯体は、他のニッケル錯体に比べて相対的に合成が容易であるため、相対的に安価な製造費用で製造できる。また、こうした無機ニッケル錯体は、アンモニアガスや水素ガスなどの還元性雰囲気で熱処理すると、配位子の分子量が小さいため、200℃より低い温度で配位結合部位が最初に分断され、この後、200℃前後の温度でニッケルが析出する。さらに、メタノールに10重量%近くまで分散する。このようなニッケル錯イオンとして、例えば、ヘキサアンミンニッケルイオン[Ni(NH3)6]2+があり、ニッケル錯体として、例えば、ヘキサアンミンニッケル塩化物[Ni(NH3)6]Cl2やヘキサアンミンニッケル硝酸塩[Ni(NH3)6](NO3)2がある。
実施形態2
本実施形態は、熱分解で金属を析出する第二の原料として、熱分解温度は前記した無機金属化合物からなる錯体より高いが錯体より安価な材料として、カルボン酸のカルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンに共有結合する第一の特徴と、カルボン酸が飽和脂肪酸からなる第二の特徴とを兼備するカルボン酸金属化合物が適切であることを説明する。なお、カルボン酸金属化合物の中で、オクチル酸金属化合物の熱分解温度は、大気雰囲気の290℃と最も低い。いっぽう、窒素雰囲気でのオクチル酸金属化合物の熱分解温度は、大気雰囲気より50℃高い340℃である。ここでは金属をアルミニウムとし、カルボン酸アルミニウム化合物について説明する。
前記したニッケル錯体と同様に、熱分解でアルミニウムを析出するアルミニウム化合物は、第一にメタノールに分散し、第二に熱分解でアルミニウムを析出するこれら2つの性質を兼備する必要がある。
最初に、メタノールに分散するアルミニウム化合物を説明する。塩化アルミニウムは水に溶け、水酸化アルミニウムと塩酸に加水分解する。また、水酸化アルミニウムはメタノールに分散しない。さらに、硫酸アルミニウムはメタノールに溶解し、アルミニウムイオンが溶出する。また、酸化アルミニウムは、メタノールに分散しない。このため、これらの分子量が小さい無機アルミニウム化合物は、メタノールに分散しない。
次に有機アルミニウム化合物は、熱分解でアルミニウムを析出する性質を持つ。有機アルミニウム化合物からアルミニウムが生成される化学反応の中で、最も簡単な化学反応に熱分解反応がある。つまり、有機アルミニウム化合物を昇温するだけで、アルミニウムが析出する。さらに、有機アルミニウム化合物の合成が容易でれば安価に製造できる。こうした性質を兼備する有機アルミニウム化合物に、カルボン酸アルミニウム化合物がある。
すなわち、カルボン酸アルミニウム化合物の組成式は、Al(COOR)3で表わせられる。Rは炭化水素で、この組成式はCmHnである(ここでmとnとは整数)。カルボン酸アルミニウム化合物を構成するイオンの中で、分子の中央に位置するアルミニウムイオンAl3+が最も大きい。従って、アルミニウムイオンAl3+とカルボキシル基を構成する酸素イオンO−とが共有結合する場合は、アルミニウムイオンAl3+と酸素イオンO−との距離が最大になる。この理由は、アルミニウムイオン原子の共有結合半径は121pmであり、酸素イオン原子の共有結合半径は66pmであり、炭素原子の共有結合半径は73pmであることによる。このため、アルミニウムイオンとカルボキシル基を構成する酸素イオンとが共有結合するカルボン酸アルミニウム化合物は、カルボン酸の沸点において、結合距離が最も長いアルミニウムイオンとカルボキシル基を構成する酸素イオンとの結合部が最初に分断され、アルミニウムとカルボン酸とに分離する。さらに昇温すると、カルボン酸が飽和脂肪酸であれば、カルボン酸が気化熱を奪って気化し、カルボン酸の気化が完了した後にアルミニウムが析出する。こうしたカルボン酸アルミニウム化合物として、オクチル酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウムなどがある。このようなカルボン酸アルミニウム化合物の多くは、金属石鹸として市販されている安価な工業用薬品である。
さらに、飽和脂肪酸の沸点が低ければ、カルボン酸アルミニウム化合物は低い温度で熱分解し、アルミニウムが析出する熱処理費用が安価で済む。飽和脂肪酸を構成する炭化水素が長鎖構造である場合は、長鎖が長いほど、つまり、飽和脂肪酸の分子量が大きいほど、飽和脂肪酸の沸点が高い。ちなみに、分子量が200.3であるラウリン酸の大気圧での沸点は296℃であり、分子量が284.5であるステアリン酸の大気圧での沸点は361℃である。
さらに、飽和脂肪酸が分岐鎖構造を有する飽和脂肪酸である場合は、直鎖構造の飽和脂肪酸より鎖の長さが短く、沸点は低くなる。これによって、分岐鎖構造を有する飽和脂肪酸からなるカルボン酸アルミニウム化合物は、相対的に低い温度で熱分解温度する。さらに、分岐鎖構造を有する飽和脂肪酸は極性を持つため、分岐鎖構造を有する飽和脂肪酸からなるカルボン酸アルミニウム化合物も極性を持ち、メタノールなどの極性を持つ有機溶剤に相対的に高い割合で分散する。このような分岐構造の飽和脂肪酸としてオクチル酸がある。オクチル酸の大気圧での沸点は228℃で、ラウリン酸より沸点が68℃低い。このため、アルミニウムを析出する原料として、熱分解温度が低いオクチル酸アルミニウムが望ましい。オクチル酸アルミニウムは、大気雰囲気において290℃で熱分解が完了してアルミニウムが析出し、メタノールに10重量%まで分散する。
また、カルボン酸アルミニウム化合物は合成が容易で、安価な有機アルミニウム化合物である。つまり、カルボン酸を水酸化ナトリウムなどの強アルカリ溶液中で反応させると、カルボン酸アルカリ金属化合物が生成される。このカルボン酸アルカリ金属化合物を、硫酸アルミニウムなどの無機アルミニウム化合物と反応させると、カルボン酸アルミニウム化合物が生成される。
以上に説明したように、オクチル酸アルミニウムAl(C7H15COO)3は、熱分解温度が低いため、熱分解でアルミニウムを析出する原料として適している。
本実施形態は、熱分解で金属を析出する第二の原料として、熱分解温度は前記した無機金属化合物からなる錯体より高いが錯体より安価な材料として、カルボン酸のカルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンに共有結合する第一の特徴と、カルボン酸が飽和脂肪酸からなる第二の特徴とを兼備するカルボン酸金属化合物が適切であることを説明する。なお、カルボン酸金属化合物の中で、オクチル酸金属化合物の熱分解温度は、大気雰囲気の290℃と最も低い。いっぽう、窒素雰囲気でのオクチル酸金属化合物の熱分解温度は、大気雰囲気より50℃高い340℃である。ここでは金属をアルミニウムとし、カルボン酸アルミニウム化合物について説明する。
前記したニッケル錯体と同様に、熱分解でアルミニウムを析出するアルミニウム化合物は、第一にメタノールに分散し、第二に熱分解でアルミニウムを析出するこれら2つの性質を兼備する必要がある。
最初に、メタノールに分散するアルミニウム化合物を説明する。塩化アルミニウムは水に溶け、水酸化アルミニウムと塩酸に加水分解する。また、水酸化アルミニウムはメタノールに分散しない。さらに、硫酸アルミニウムはメタノールに溶解し、アルミニウムイオンが溶出する。また、酸化アルミニウムは、メタノールに分散しない。このため、これらの分子量が小さい無機アルミニウム化合物は、メタノールに分散しない。
次に有機アルミニウム化合物は、熱分解でアルミニウムを析出する性質を持つ。有機アルミニウム化合物からアルミニウムが生成される化学反応の中で、最も簡単な化学反応に熱分解反応がある。つまり、有機アルミニウム化合物を昇温するだけで、アルミニウムが析出する。さらに、有機アルミニウム化合物の合成が容易でれば安価に製造できる。こうした性質を兼備する有機アルミニウム化合物に、カルボン酸アルミニウム化合物がある。
すなわち、カルボン酸アルミニウム化合物の組成式は、Al(COOR)3で表わせられる。Rは炭化水素で、この組成式はCmHnである(ここでmとnとは整数)。カルボン酸アルミニウム化合物を構成するイオンの中で、分子の中央に位置するアルミニウムイオンAl3+が最も大きい。従って、アルミニウムイオンAl3+とカルボキシル基を構成する酸素イオンO−とが共有結合する場合は、アルミニウムイオンAl3+と酸素イオンO−との距離が最大になる。この理由は、アルミニウムイオン原子の共有結合半径は121pmであり、酸素イオン原子の共有結合半径は66pmであり、炭素原子の共有結合半径は73pmであることによる。このため、アルミニウムイオンとカルボキシル基を構成する酸素イオンとが共有結合するカルボン酸アルミニウム化合物は、カルボン酸の沸点において、結合距離が最も長いアルミニウムイオンとカルボキシル基を構成する酸素イオンとの結合部が最初に分断され、アルミニウムとカルボン酸とに分離する。さらに昇温すると、カルボン酸が飽和脂肪酸であれば、カルボン酸が気化熱を奪って気化し、カルボン酸の気化が完了した後にアルミニウムが析出する。こうしたカルボン酸アルミニウム化合物として、オクチル酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウムなどがある。このようなカルボン酸アルミニウム化合物の多くは、金属石鹸として市販されている安価な工業用薬品である。
さらに、飽和脂肪酸の沸点が低ければ、カルボン酸アルミニウム化合物は低い温度で熱分解し、アルミニウムが析出する熱処理費用が安価で済む。飽和脂肪酸を構成する炭化水素が長鎖構造である場合は、長鎖が長いほど、つまり、飽和脂肪酸の分子量が大きいほど、飽和脂肪酸の沸点が高い。ちなみに、分子量が200.3であるラウリン酸の大気圧での沸点は296℃であり、分子量が284.5であるステアリン酸の大気圧での沸点は361℃である。
さらに、飽和脂肪酸が分岐鎖構造を有する飽和脂肪酸である場合は、直鎖構造の飽和脂肪酸より鎖の長さが短く、沸点は低くなる。これによって、分岐鎖構造を有する飽和脂肪酸からなるカルボン酸アルミニウム化合物は、相対的に低い温度で熱分解温度する。さらに、分岐鎖構造を有する飽和脂肪酸は極性を持つため、分岐鎖構造を有する飽和脂肪酸からなるカルボン酸アルミニウム化合物も極性を持ち、メタノールなどの極性を持つ有機溶剤に相対的に高い割合で分散する。このような分岐構造の飽和脂肪酸としてオクチル酸がある。オクチル酸の大気圧での沸点は228℃で、ラウリン酸より沸点が68℃低い。このため、アルミニウムを析出する原料として、熱分解温度が低いオクチル酸アルミニウムが望ましい。オクチル酸アルミニウムは、大気雰囲気において290℃で熱分解が完了してアルミニウムが析出し、メタノールに10重量%まで分散する。
また、カルボン酸アルミニウム化合物は合成が容易で、安価な有機アルミニウム化合物である。つまり、カルボン酸を水酸化ナトリウムなどの強アルカリ溶液中で反応させると、カルボン酸アルカリ金属化合物が生成される。このカルボン酸アルカリ金属化合物を、硫酸アルミニウムなどの無機アルミニウム化合物と反応させると、カルボン酸アルミニウム化合物が生成される。
以上に説明したように、オクチル酸アルミニウムAl(C7H15COO)3は、熱分解温度が低いため、熱分解でアルミニウムを析出する原料として適している。
実施例1
本実施例は、10段落に記載した製造方法に従って、グラフェンの集まりがメタノール中に析出した懸濁体を製造する実施例である。
最初に、2リットルのメタノールを、1.2m×1.2mの底面をもち、底が浅い容器に充填した。
次に、2枚の平行平板電極の間隙に電界が発生する電極の有効面積が、1m×1mである平行平板電極を用意し、2枚の平行平板電極を100μmの間隙で重ね合わせ、この間隙に黒鉛粒子を満遍なく引き詰める。なお、黒鉛粒子を粒径が25μmの球と仮定し、黒鉛粒子の厚みの平均値が10μmと仮定した場合、2枚の平行平板電極で作られる100μmの間隙に、黒鉛粒子を満遍なく引き詰めた場合、6.4×107個の黒鉛粒子が存在する。この黒鉛粒子の集まりに、10.6キロボルト以上の直流電圧を印加すると、全ての黒鉛粒子の基底面の層間結合が同時に破壊される。この際、1.9×1013個のグラフェンの集まりが得られ、用いる黒鉛粒子の集まりは、僅かに1.18gである。
このため、電界が発生する電極の有効面積が1m×1mである平行平板電極の表面に、鱗片状黒鉛粒子(例えば、伊藤黒鉛工業株式会社のXD100)の5gを重ねて引き詰めた。この平行平板電極を、メタノールが充填された容器に浸漬し、さらに、もう一方の平行平板電極を前記の平行平板電極の上に重ね合わせ、2枚の平行平板電極を100μmの間隙で離間させ、12キロボルトの直流電圧を電極間に加えた。次に、2枚の平行平板電極の間隙を拡大し、さらに、2枚の平行平板電極をメタノール中で傾斜させ、0.2Gからなる3方向の振動加速度を容器に繰り返し加え、この後、容器から2枚の平行平板電極を取り出した。
次に、容器内の複数の試料を無差別に取り出し、電子顕微鏡を用いて観察と分析を行なった。電子顕微鏡は、JFEテクノリサーチ株式会社の極低加速電圧SEMを用いた。この装置は、100ボルトからの極低加速電圧による表面観察が可能で、試料に導電性の被膜を形成せずに直接試料の表面が観察できる特徴を持つ。試料からの反射電子線の900−1000ボルトの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行った。いずれの試料も厚みがごく薄い一枚の扁平粉であった。次に、特性エックス線のエネルギーとその強度を画像処理した結果、炭素原子のみ存在した。従って、試料はグラフェンであることが確認できた。
本実施例は、10段落に記載した製造方法に従って、グラフェンの集まりがメタノール中に析出した懸濁体を製造する実施例である。
最初に、2リットルのメタノールを、1.2m×1.2mの底面をもち、底が浅い容器に充填した。
次に、2枚の平行平板電極の間隙に電界が発生する電極の有効面積が、1m×1mである平行平板電極を用意し、2枚の平行平板電極を100μmの間隙で重ね合わせ、この間隙に黒鉛粒子を満遍なく引き詰める。なお、黒鉛粒子を粒径が25μmの球と仮定し、黒鉛粒子の厚みの平均値が10μmと仮定した場合、2枚の平行平板電極で作られる100μmの間隙に、黒鉛粒子を満遍なく引き詰めた場合、6.4×107個の黒鉛粒子が存在する。この黒鉛粒子の集まりに、10.6キロボルト以上の直流電圧を印加すると、全ての黒鉛粒子の基底面の層間結合が同時に破壊される。この際、1.9×1013個のグラフェンの集まりが得られ、用いる黒鉛粒子の集まりは、僅かに1.18gである。
このため、電界が発生する電極の有効面積が1m×1mである平行平板電極の表面に、鱗片状黒鉛粒子(例えば、伊藤黒鉛工業株式会社のXD100)の5gを重ねて引き詰めた。この平行平板電極を、メタノールが充填された容器に浸漬し、さらに、もう一方の平行平板電極を前記の平行平板電極の上に重ね合わせ、2枚の平行平板電極を100μmの間隙で離間させ、12キロボルトの直流電圧を電極間に加えた。次に、2枚の平行平板電極の間隙を拡大し、さらに、2枚の平行平板電極をメタノール中で傾斜させ、0.2Gからなる3方向の振動加速度を容器に繰り返し加え、この後、容器から2枚の平行平板電極を取り出した。
次に、容器内の複数の試料を無差別に取り出し、電子顕微鏡を用いて観察と分析を行なった。電子顕微鏡は、JFEテクノリサーチ株式会社の極低加速電圧SEMを用いた。この装置は、100ボルトからの極低加速電圧による表面観察が可能で、試料に導電性の被膜を形成せずに直接試料の表面が観察できる特徴を持つ。試料からの反射電子線の900−1000ボルトの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行った。いずれの試料も厚みがごく薄い一枚の扁平粉であった。次に、特性エックス線のエネルギーとその強度を画像処理した結果、炭素原子のみ存在した。従って、試料はグラフェンであることが確認できた。
実施例2
本実施例は、17段落に記載した無機物の分子ないしはイオンからなる配位子が、ニッケルイオンに配位結合したニッケル錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体を、10段落に記載した金属化合物として用い、10段落に記載した透明導電基材を製造する方法に従って、透明導電基材を製造する実施例である。
ニッケル錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体として、22段落に記載したヘキサアンミンニッケル硝酸塩[Ni(NH3)6](NO3)2(例えば、三津和化学薬品株式会社の製品)を用いた。最初に、ヘキサアンミンニッケル硝酸塩の29g(0.1モルに相当する)が、10重量%になるようにメタノールに分散した。このメタノール分散液の10ccと、実施例1で作成した懸濁体の20ccとを、12cm×12cm×1cmからなる底の浅い容器に充填し、容器に0.2Gからなる前後、左右、上下の3方向の振動加速度を、各々の1分間ずつ、合計9分間繰り返し加えた。この後、容器をアンモニア雰囲気の熱処理炉に配置し、20℃/分の昇温速度で210℃まで昇温し、210℃に5分間放置し、容器を徐冷した後に、容器から試料を取り出した。
最初に、試料の複数の表面における光学性能を、光線透過率とヘイズ値とから調べた。分光光度計(株式会社島津製作所の製品UV−1280)に依る可視光線の波長領域(380−750nm)での光線透過率は、86−88%と高い値を持った。また、ヘーズメータ(スガ試験株式会社のヘーズメータHZ−V3)によるヘイズ値は2%未満であった。この結果、試料は高い透明性を持った。
次に、試料の複数の表面における表面抵抗を、表面抵抗計によって測定した(例えば、シムコジャパン株式会社の表面抵抗計ST−4)。表面抵抗値は1×103Ω/□であったため、金属に近い表面抵抗を有した。
さらに、試料の複数の表面を、実施例1と同様に、電子顕微鏡で観察した。最初に、塗膜が形成された部位の表面からの反射電子線について、900−1000ボルトの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行った。表面は40−60nmの大きさの粒状微粒子の集まりで満遍なく覆われていた。次に、複数の表面からの反射電子線について、900−1000ボルトの間にあるエネルギーを抽出して画像処理を行い、画像の濃淡で微粒子の材質を分析した。いずれの粒状微粒子にも濃淡が認められず、微粒子は単一原子から構成されていることが分かった。さらに、複数の表面からの特性エックス線のエネルギーとその強度を画像処理し、微粒子を構成する元素の種類を分析した。粒状微粒子はニッケル原子のみで構成されていたため、粒状微粒子は、ニッケルの粒状微粒子である。
次に、試料の側面に形成されたニッケル微粒子の集まりをはぎ落し、試料の側面を電子顕微鏡で観察した。試料の側面からの反射電子線の900−1000ボルトの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行った。ニッケル微粒子の大きさより著しく厚みが薄い物質が、250nmに近い間隔で5層重なっていた。
さらに、試料の表面に12cm×12cmのアルミニウムの板を載せ、このアルミニウムの板に2kgの重りを載せたが、試料は破壊されなかった。このため、試料は一定の機械的強度を持つことが分かった。
これらの結果から、次のことが分かった。第一に、接触したニッケル微粒子同士が金属結合し、金属結合したニッケル微粒子が5層積層してニッケル微粒子の集まりを形成した。第二に、グラフェンの扁平面同士が、ニッケル微粒子の集まりを介して5層重なり合って接合され、グラフェンの扁平面同士が重なり合って接合したグラフェン接合体が、容器の底面に形成された。図1は、試料側面のニッケル微粒子の集まりをはぎ落した後の側面の一部を、模式的に拡大した図である。1はニッケル微粒子で、2はグラフェンである。
本実施例は、17段落に記載した無機物の分子ないしはイオンからなる配位子が、ニッケルイオンに配位結合したニッケル錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体を、10段落に記載した金属化合物として用い、10段落に記載した透明導電基材を製造する方法に従って、透明導電基材を製造する実施例である。
ニッケル錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体として、22段落に記載したヘキサアンミンニッケル硝酸塩[Ni(NH3)6](NO3)2(例えば、三津和化学薬品株式会社の製品)を用いた。最初に、ヘキサアンミンニッケル硝酸塩の29g(0.1モルに相当する)が、10重量%になるようにメタノールに分散した。このメタノール分散液の10ccと、実施例1で作成した懸濁体の20ccとを、12cm×12cm×1cmからなる底の浅い容器に充填し、容器に0.2Gからなる前後、左右、上下の3方向の振動加速度を、各々の1分間ずつ、合計9分間繰り返し加えた。この後、容器をアンモニア雰囲気の熱処理炉に配置し、20℃/分の昇温速度で210℃まで昇温し、210℃に5分間放置し、容器を徐冷した後に、容器から試料を取り出した。
最初に、試料の複数の表面における光学性能を、光線透過率とヘイズ値とから調べた。分光光度計(株式会社島津製作所の製品UV−1280)に依る可視光線の波長領域(380−750nm)での光線透過率は、86−88%と高い値を持った。また、ヘーズメータ(スガ試験株式会社のヘーズメータHZ−V3)によるヘイズ値は2%未満であった。この結果、試料は高い透明性を持った。
次に、試料の複数の表面における表面抵抗を、表面抵抗計によって測定した(例えば、シムコジャパン株式会社の表面抵抗計ST−4)。表面抵抗値は1×103Ω/□であったため、金属に近い表面抵抗を有した。
さらに、試料の複数の表面を、実施例1と同様に、電子顕微鏡で観察した。最初に、塗膜が形成された部位の表面からの反射電子線について、900−1000ボルトの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行った。表面は40−60nmの大きさの粒状微粒子の集まりで満遍なく覆われていた。次に、複数の表面からの反射電子線について、900−1000ボルトの間にあるエネルギーを抽出して画像処理を行い、画像の濃淡で微粒子の材質を分析した。いずれの粒状微粒子にも濃淡が認められず、微粒子は単一原子から構成されていることが分かった。さらに、複数の表面からの特性エックス線のエネルギーとその強度を画像処理し、微粒子を構成する元素の種類を分析した。粒状微粒子はニッケル原子のみで構成されていたため、粒状微粒子は、ニッケルの粒状微粒子である。
次に、試料の側面に形成されたニッケル微粒子の集まりをはぎ落し、試料の側面を電子顕微鏡で観察した。試料の側面からの反射電子線の900−1000ボルトの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行った。ニッケル微粒子の大きさより著しく厚みが薄い物質が、250nmに近い間隔で5層重なっていた。
さらに、試料の表面に12cm×12cmのアルミニウムの板を載せ、このアルミニウムの板に2kgの重りを載せたが、試料は破壊されなかった。このため、試料は一定の機械的強度を持つことが分かった。
これらの結果から、次のことが分かった。第一に、接触したニッケル微粒子同士が金属結合し、金属結合したニッケル微粒子が5層積層してニッケル微粒子の集まりを形成した。第二に、グラフェンの扁平面同士が、ニッケル微粒子の集まりを介して5層重なり合って接合され、グラフェンの扁平面同士が重なり合って接合したグラフェン接合体が、容器の底面に形成された。図1は、試料側面のニッケル微粒子の集まりをはぎ落した後の側面の一部を、模式的に拡大した図である。1はニッケル微粒子で、2はグラフェンである。
実施例3
本実施例は、19段落に記載したカルボン酸金属化合物がカルボン酸アルミニウム化合物であり、カルボン酸アルミニウム化合物を10段落に記載した金属化合物として用い、10段落に記載した透明導電基材を製造する方法に従って、透明導電基材を製造する実施例である。
カルボン酸アルミニウム化合物として、23段落に記載したオクチル酸アルミニウムAl(C7H15COO)3(例えば、ホープ製薬株式会社の製品)を用いた。最初に、オクチル酸アルミニウムの46g(0.1モルに相当する)を、10重量%になるようにメタノールに分散した。このメタノール分散液の16ccと、実施例1で作成した懸濁体の20ccとを、12cm×12cm×1cmからなる底の浅い容器に充填し、容器に0.2Gからなる前後、左右、上下の3方向の振動加速度を、各々の1分間ずつ、合計9分間繰り返し加えた。この後、容器を大気雰囲気の熱処理炉に配置し、20℃/分の昇温速度で290℃まで昇温し、290℃に1分間放置し、容器を徐冷した後に、容器から試料を取り出した。
試料の複数の表面における光学性能を、実施例2と同様に、光線透過率とヘイズ値とから調べた。分光光度計に依る可視光線の波長領域(380−750nm)での光線透過率は、86−88%と高い値を持った。また、ヘーズメータによるヘイズ値は2%未満であった。この結果、試料は高い透明性を持った。また、試料の複数の表面における表面抵抗を、実施例2と同様に、表面抵抗計によって測定した。表面抵抗値は1×103Ω/□であったため、金属に近い表面抵抗を有した。
さらに、試料の複数の表面を、実施例2と同様に、電子顕微鏡で観察した。この結果、試料の表面は、40−60nmの大きさのアルミニウムの粒状微粒子の集まりで満遍なく覆われていた。さらに、実施例2と同様に、試料の側面に形成されたアルミニウム微粒子の集まりをはぎ落し、試料の側面を電子顕微鏡で観察した。この結果、アルミニウム微粒子の大きさより著しく厚みが薄い物質が、250nmに近い間隔で5層重なっていた。従って、金属結合したアルミニウム微粒子が5層積層してアルミニウム微粒子の集まりを形成し、グラフェンの扁平面同士が、アルミニウム微粒子の集まりを介して5層重なり合って接合され、グラフェンの扁平面同士が重なり合って接合したグラフェン接合体が、容器の底面に形成された。
なお、実施例2と同様に、試料の表面に12cm×12cmのアルミニウムの板を載せ、このアルミニウムの板に2kgの重りを載せたが、試料は破壊されなかった。このため、試料は一定の機械的強度を持つことが分かった。
本実施例は、19段落に記載したカルボン酸金属化合物がカルボン酸アルミニウム化合物であり、カルボン酸アルミニウム化合物を10段落に記載した金属化合物として用い、10段落に記載した透明導電基材を製造する方法に従って、透明導電基材を製造する実施例である。
カルボン酸アルミニウム化合物として、23段落に記載したオクチル酸アルミニウムAl(C7H15COO)3(例えば、ホープ製薬株式会社の製品)を用いた。最初に、オクチル酸アルミニウムの46g(0.1モルに相当する)を、10重量%になるようにメタノールに分散した。このメタノール分散液の16ccと、実施例1で作成した懸濁体の20ccとを、12cm×12cm×1cmからなる底の浅い容器に充填し、容器に0.2Gからなる前後、左右、上下の3方向の振動加速度を、各々の1分間ずつ、合計9分間繰り返し加えた。この後、容器を大気雰囲気の熱処理炉に配置し、20℃/分の昇温速度で290℃まで昇温し、290℃に1分間放置し、容器を徐冷した後に、容器から試料を取り出した。
試料の複数の表面における光学性能を、実施例2と同様に、光線透過率とヘイズ値とから調べた。分光光度計に依る可視光線の波長領域(380−750nm)での光線透過率は、86−88%と高い値を持った。また、ヘーズメータによるヘイズ値は2%未満であった。この結果、試料は高い透明性を持った。また、試料の複数の表面における表面抵抗を、実施例2と同様に、表面抵抗計によって測定した。表面抵抗値は1×103Ω/□であったため、金属に近い表面抵抗を有した。
さらに、試料の複数の表面を、実施例2と同様に、電子顕微鏡で観察した。この結果、試料の表面は、40−60nmの大きさのアルミニウムの粒状微粒子の集まりで満遍なく覆われていた。さらに、実施例2と同様に、試料の側面に形成されたアルミニウム微粒子の集まりをはぎ落し、試料の側面を電子顕微鏡で観察した。この結果、アルミニウム微粒子の大きさより著しく厚みが薄い物質が、250nmに近い間隔で5層重なっていた。従って、金属結合したアルミニウム微粒子が5層積層してアルミニウム微粒子の集まりを形成し、グラフェンの扁平面同士が、アルミニウム微粒子の集まりを介して5層重なり合って接合され、グラフェンの扁平面同士が重なり合って接合したグラフェン接合体が、容器の底面に形成された。
なお、実施例2と同様に、試料の表面に12cm×12cmのアルミニウムの板を載せ、このアルミニウムの板に2kgの重りを載せたが、試料は破壊されなかった。このため、試料は一定の機械的強度を持つことが分かった。
以上に説明した実施例の結果から、以下のことが分かった。
第一に、実施例1の結果から、10段落に記載した方法によって、グラフェンの集まりがメタノール中に析出した懸濁体が製造されることが証明された。
第二に、実施例2の結果から、10段落、15段落及び17段落に記載した方法によって、透明性を有するニッケル微粒子の集まりが、グラフェンの扁平面同士を接合してグラフェン接合体を形成するとともに、グラフェン接合体がニッケル微粒子の集まりで覆われた構成からなる透明導電基材が製造されることが証明された。
第三に、実施例3の結果から、10段落、15段落及び19段落に記載した方法によって、透明性を有するアルミニウム微粒子の集まりが、グラフェンの扁平面同士を接合してグラフェン接合体を形成するとともに、グラフェン接合体がアルミニウム微粒子の集まりで覆われた構成からなる透明導電基材が製造されることが証明された。
第一に、実施例1の結果から、10段落に記載した方法によって、グラフェンの集まりがメタノール中に析出した懸濁体が製造されることが証明された。
第二に、実施例2の結果から、10段落、15段落及び17段落に記載した方法によって、透明性を有するニッケル微粒子の集まりが、グラフェンの扁平面同士を接合してグラフェン接合体を形成するとともに、グラフェン接合体がニッケル微粒子の集まりで覆われた構成からなる透明導電基材が製造されることが証明された。
第三に、実施例3の結果から、10段落、15段落及び19段落に記載した方法によって、透明性を有するアルミニウム微粒子の集まりが、グラフェンの扁平面同士を接合してグラフェン接合体を形成するとともに、グラフェン接合体がアルミニウム微粒子の集まりで覆われた構成からなる透明導電基材が製造されることが証明された。
1ニッケル微粒子 2 グラフェン
Claims (4)
- 透明性を有する金属結合した金属微粒子の集まりが、グラフェンの扁平面同士を接合してグラフェン接合体を形成するとともに、該グラフェン接合体が前記透明性を有する金属結合した金属微粒子の集まりで覆われた構成からなる透明導電基材を製造する方法は、
2枚の平行平板電極のうちの一方の平行平板電極の表面に、鱗片状黒鉛粒子の集まりないしは塊状黒鉛粒子の集まりを平坦に引き詰め、該平行平板電極を容器に充填されたメタノール中に浸漬させ、さらに、他方の平行平板電極を前記一方の平行平板電極の上に重ね合わせ、前記鱗片状黒鉛粒子の集まりないしは前記塊状黒鉛粒子の集まりを介して、前記2枚の平行平板電極を離間させ、該離間させた2枚の平行平板電極を前記メタノール中に浸漬させる、この後、該2枚の平行平板電極の間隙に直流の電位差を印加する、これによって、該電位差の大きさを前記2枚の平行平板電極の間隙の大きさで割った値に相当する電界が、前記鱗片状黒鉛粒子の集まりないしは前記塊状黒鉛粒子の集まりに印加され、該電界の印加によって、前記鱗片状黒鉛粒子ないしは前記塊状黒鉛粒子を形成する基底面の層間結合の全てが同時に破壊され、前記2枚の平行平板電極の間隙に、前記基底面に相当するグラフェンの集まりが製造される、この後、前記2枚の平行平板電極の間隙を拡大し、該2枚の平行平板電極を前記メタノール中で傾斜させ、さらに、前記容器に左右、前後、上下の3方向の振動を繰り返し加え、前記グラフェンの集まりを、前記2枚の平行平板電極の間隙から前記メタノール中に移動させ、この後、前記容器から前記2枚の平行平板電極を取り出す、これによって、前記容器内に前記グラフェンの集まりが前記メタノール中に析出した懸濁体を製造する、
次に、可視光線の波長領域での屈折率が0.4以上で2.4以下の性質を持つ金属からなる第一の特徴と、粒子の大きさが可視光線の波長より1桁小さい粒状の微粒子からなる第二の特徴を兼備する金属微粒子を熱分解で析出する金属化合物を、メタノールに分散し、該金属化合物のメタノール分散液を作成する、
さらに、透明導電基材の製造に必要な量からなる前記懸濁体と、透明導電基材の製造に必要な量からなる前記メタノール分散液とを、該透明導電基材を製造する容器に充填し、該容器に前後、左右、上下の3方向の振動を繰り返し加える、これによって、前記メタノール分散液が前記懸濁体を構成するメタノールで希釈されるとともに、前記懸濁体を構成する前記グラフェンの集まりが、該グラフェンの扁平面を上にして前記希釈されたメタノール分散液を構成するメタノール中を移動し、該グラフェンの集まりが前記容器の全体に拡散することで、該グラフェンの扁平面同士が重なり合った該グラフェンの集まりが、該容器の底面において、前記希釈されたメタノール分散液に浸漬する、
この後、前記容器を前記金属化合物の熱分解温度に昇温する、これによって、可視光線の波長領域での屈折率が0.4以上で2.4以下の性質を持つ金属からなる第一の特徴と、粒子の大きさが可視光線の波長より1桁小さい粒状の微粒子からなる第二の特徴を兼備する透明性を有する金属微粒子の集まりが、前記グラフェンの表面に一斉に析出し、該金属微粒子同士が互いに接触する部位で金属結合することで、前記グラフェンの扁平面同士が接合され、該扁平面同士が接合されたグラフェン接合体が形成されるとともに、該グラフェン接合体の表面が前記透明性を有する金属結合した金属微粒子の集まりで覆われた構成からなる透明導電基材が、前記容器の底面に該底面の形状として形成される、透明性を有する金属結合した金属微粒子の集まりが、グラフェンの扁平面同士を接合してグラフェン接合体を形成するとともに、該グラフェン接合体が前記透明性を有する金属結合した金属微粒子の集まりで覆われた構成からなる透明導電基材を製造する方法である。 - 請求項1に記載した透明導電基材を製造する方法は、
請求項1に記載した金属化合物が、金属がニッケルないしはアルミニウムからなる第1の特徴と、微粒子の大きさが可視光線の波長より1桁小さい第2の特徴を兼備する金属微粒子を熱分解で析出する金属化合物であり、該金属化合物を請求項1に記載した金属化合物として用い、請求項1に記載した透明導電基材を製造する方法に従って透明導電基材を製造する、請求項1に記載した透明導電基材を製造する方法である。 - 請求項1に記載した透明導電基材を製造する方法は、
請求項1に記載した金属化合物が、無機物の分子ないしはイオンからなる配位子が、ニッケルないしはアルミニウムからなる金属イオンに配位結合した金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体であり、該無機金属化合物からなる錯体を請求項1に記載した金属化合物として用い、請求項1に記載した透明導電基材を製造する方法に従って透明導電基材を製造する、請求項1に記載した透明導電基材を製造する方法である。 - 請求項1に記載した透明導電基材を製造する方法は、
請求項1に記載した金属化合物が、カルボン酸におけるカルボキシル基を構成する酸素イオンが、ニッケルないしはアルミニウムからなる金属イオンに共有結合する第一の特徴と、前記カルボン酸が飽和脂肪酸で構成される第二の特徴とを兼備するカルボン酸金属化合物であり、該カルボン酸金属化合物を請求項1に記載した金属化合物として用い、請求項1に記載した透明導電基材を製造する方法に従って透明導電基材を製造する、請求項1に記載した透明導電基材を製造する方法である。
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