JP2021001617A - 車両用動力伝達装置 - Google Patents

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紘介 鎌田
本池 一利
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Abstract

【課題】車両走行開始時における噛合式クラッチのシンクロメッシュ機構での噛み合い音の発生頻度を低減することができる車両用動力伝達装置を提供する。【解決手段】車両用動力伝達装置16におけるギヤ機構28を経由する第1動力伝達経路PT1は、シンクロメッシュ機構S1付きの噛合式クラッチD1により断接される。シフトレバー98の操作位置POSに応じてディテントプレート106が回動され、その回動に応じてリンク124も回動される。運転者によるPレンジ、Rレンジ、及びNレンジのいずれかへの選択操作に連動して、リンク124の回動運動に応じてロック機構130がロック状態になり、シフトフォーク56aが噛合式クラッチD1を係合状態にさせるように移動させられる。【選択図】図4

Description

本発明は、噛合式クラッチを有する車両用動力伝達装置に関する。
ギヤ機構を経由する第1動力伝達経路と無段変速機を経由する第2動力伝達経路とを有し且つその第1動力伝達経路を断接する噛合式クラッチを備える車両用動力伝達装置において、運転者によるNレンジへの選択操作により噛合式クラッチが解放状態とされるものが知られている。例えば、特許文献1に記載の車両用動力伝達装置がそれである。
特開2016−35285号公報
特許文献1に記載されている車両用動力伝達装置においては、例えば車両走行開始時に運転者によりNレンジからDレンジ又はRレンジへの選択操作が行われると、噛合式クラッチが解放状態から係合状態へと切り替えられて第1動力伝達経路が接続される。噛合式クラッチにはシンクロメッシュ機構が備えられるが、その噛み合い作動時に発生するシンクロメッシュ機構での噛み合い音(所謂カッチン音)が運転者に違和感を与えるおそれがある。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、車両走行開始時における噛合式クラッチのシンクロメッシュ機構での噛み合い音の発生頻度を低減することができる車両用動力伝達装置を提供することにある。
本発明の要旨とするところは、ギヤ機構を経由する第1動力伝達経路と無段変速機を経由する第2動力伝達経路とが入力軸と出力軸との間で選択的に形成される車両用動力伝達装置であって、前記第1動力伝達経路を断接するためのシンクロメッシュ機構付きの噛合式クラッチを有し、運転者によるPレンジ、Rレンジ、及びNレンジのいずれかへの選択操作に連動して前記噛合式クラッチを係合状態とするシフトフォークを有することにある。
本発明の車両用動力伝達装置によれば、前記第1動力伝達経路を断接するためのシンクロメッシュ機構付きの噛合式クラッチが備えられ、運転者によるPレンジ、Rレンジ、及びNレンジのいずれかへの選択操作に連動して前記噛合式クラッチを係合状態とするシフトフォークが備えられる。これにより、車両走行開始時においてNレンジであることにより噛合式クラッチが既に係合状態となっている場合、運転者によりNレンジからDレンジ又はRレンジへの選択操作が行われてもシンクロメッシュ機構での噛み合い作動が実行されず、シンクロメッシュ機構での噛み合い音の発生頻度が低減される。
本発明の一実施例である車両用動力伝達装置を搭載した車両の構成図である。 図1に示す車両用動力伝達装置の走行モードの切り替りを説明するための図である。 図1に示す無段変速機の構成及び油圧制御回路の構成を説明するための図である。 図1に示すシフト位置切替機構、マニュアルバルブ作動機構、シフトフォーク機構、及びロック機構の斜視図である。 図4に示すシフト位置切替機構、マニュアルバルブ作動機構、シフトフォーク機構、及びロック機構の上面図である。 図1に示す噛合式クラッチにおけるシンクロメッシュ機構の噛み合い作動を説明するための断面図であって、噛合式クラッチが解放状態にある図である。 図1に示す噛合式クラッチにおけるシンクロメッシュ機構の噛み合い作動を説明するための断面図であって、噛合式クラッチが係合状態にある図である。
以下、本発明の実施例について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比及び形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明の一実施例である車両用動力伝達装置16(以下、「動力伝達装置16」と記す。)を搭載した車両10の構成図である。
車両10は、例えば、走行用の駆動力源として用いられるエンジン12、エンジン12の動力を駆動輪14に伝達する動力伝達装置16、油圧制御回路46、及び電子制御装置200を備える。
エンジン12は、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関にて構成されている。
動力伝達装置16は、トルクコンバータ20、入力軸22、前後進切替装置26、無段変速機24、ギヤ機構28、出力軸30、カウンタ軸32、出力軸30及びカウンタ軸32に各々相対回転不能に設けられて噛み合う一対のギヤから成る減速歯車装置34、カウンタ軸32に相対回転不能に設けられたギヤ36、ギヤ36に連結されたデフギヤ38、及び車軸40を含む。エンジン12で発生させられた動力(トルク)は、トルクコンバータ20を介して入力軸22に伝達される。
動力伝達装置16では、入力軸22と出力軸30との間で第1動力伝達経路PT1及び第2動力伝達経路PT2のいずれか一方が選択的に形成可能となっている。動力伝達装置16における入力軸22と出力軸30との間で、第1動力伝達経路PT1は、入力軸22から前後進切替装置26及びギヤ機構28を経由して出力軸30に動力を伝達し、第2動力伝達経路PT2は、入力軸22から無段変速機24を経由して出力軸30に動力を伝達する。第1動力伝達経路PT1が形成され、ギヤ機構28を経由してエンジン12の動力が出力軸30に伝達される走行モードが、ギヤ走行モード(低車速)である。第2動力伝達経路PT2が形成され、無段変速機24を経由してエンジン12の動力が出力軸30に伝達される走行モードが、ベルト走行モード(中車速、高車速)である。出力軸30は、減速歯車装置34、カウンタ軸32、ギヤ36、デフギヤ38、及び車軸40を介して駆動輪14に動力を伝達する。
車両10の走行状態に応じて第1動力伝達経路PT1と第2動力伝達経路PT2とを切り替えるために、動力伝達装置16は、前進用クラッチC1、ベルト走行用クラッチC2、後進用ブレーキB1、及び噛合式クラッチD1の断接装置を備える。前進用クラッチC1、ベルト走行用クラッチC2、後進用ブレーキB1、及び噛合式クラッチD1は、何れもアクチュエータによって断接制御される油圧式摩擦係合装置である。ただし、運転者によるPレンジ、Rレンジ、及びNレンジのいずれかへの選択操作、すなわちPレンジの選択操作、Rレンジの選択操作、及びNレンジの選択操作のうちのどれが実行されても、後述するロック機構130により噛合式クラッチD1はその選択操作に機械的に連動して接続(係合)される。
トルクコンバータ20は、周知の流体式動力伝達装置である。トルクコンバータ20はエンジン12から伝達された駆動力を入力軸22に伝達する。
オイルポンプ44は、トルクコンバータ20のポンプ翼車に連結されて配設されている。オイルポンプ44は、エンジン12によって回転駆動されることにより、各種油圧制御のための元圧を油圧制御回路46に供給する。
前後進切替装置26は、前進用クラッチC1と、後進用ブレーキB1と、ダブルピニオン型の遊星歯車装置26pと、を主体として構成されている。遊星歯車装置26pは、サンギヤ26s、キャリア26c、及びリングギヤ26rを有する。キャリア26cと入力軸22とは、一体的に回転させられるように連結されている。リングギヤ26rは、後進用ブレーキB1を介して非回転部材であるケース18に選択的に連結される。サンギヤ26sとキャリア26cとは、前進用クラッチC1を介して選択的に連結される。前後進切替装置26は、前進用クラッチC1を係合状態にすると共に後進用ブレーキB1を解放状態にして車両10を前進走行させる前進モードと、前進用クラッチC1を解放状態にすると共に後進用ブレーキB1を係合状態にして車両10を後進走行させる後進モードと、に切替可能である。
サンギヤ26sは、ギヤ機構28を構成する小径ギヤ48に連結されている。ギヤ機構28は、小径ギヤ48と、ギヤ機構カウンタ軸50と、ギヤ機構カウンタ軸50まわりにそのギヤ機構カウンタ軸50に対して同じ軸中心線CL5(図5乃至7参照)で相対回転不能に設けられて小径ギヤ48と噛み合う大径ギヤ52と、を備える。大径ギヤ52は、小径ギヤ48よりも大径である。ギヤ機構28は、ギヤ機構カウンタ軸50まわりにそのギヤ機構カウンタ軸50に対して軸中心線CL5で相対回転可能に設けられたアイドラギヤ54と、出力軸30まわりにその出力軸30に対して軸中心線CL5で相対回転不能に設けられてアイドラギヤ54と噛み合う出力ギヤ42と、を備える。なお、軸中心線CL5は、ギヤ機構カウンタ軸50、大径ギヤ52、クラッチハブ52a、及びアイドラギヤ54の回転中心線である。出力ギヤ42は、アイドラギヤ54よりも大径である。従って、ギヤ機構28は、入力軸22と出力軸30との間で形成される第1動力伝達経路PT1において、1つのギヤ段を構成して入力軸22の回転速度を変速して出力軸30から出力する有段変速機能を有する。
ギヤ機構28は、ギヤ機構カウンタ軸50まわりに、大径ギヤ52とアイドラギヤ54との間に設けられて、これらの間の動力伝達経路を選択的に接続したり、切断したりする噛合式クラッチD1を備える。噛合式クラッチD1は、第1動力伝達経路PT1を選択的に接続したり、切断したりする係合装置である。噛合式クラッチD1が前進用クラッチC1または後進用ブレーキB1と共に係合されることで第1動力伝達経路PT1が形成される。前進用クラッチC1及び後進用ブレーキB1が共に解放されると、または、噛合式クラッチD1が解放されると、第1動力伝達経路PT1が切断される。噛合式クラッチD1は、シンクロメッシュ機構S1付きであり、噛合式クラッチD1が係合する場合にその回転を同期させる同期機構として公知のシンクロメッシュ機構S1を備える。
無段変速機24は、入力軸22側に設けられた入力側部材である有効径が可変のプライマリプーリ58と、出力側部材である有効径が可変のセカンダリプーリ60と、プライマリプーリ58とセカンダリプーリ60との間に巻き掛けられた伝動ベルト62と、を備える周知のベルト式の無段変速機である。
ベルト走行用クラッチC2は、セカンダリプーリ60と出力軸30との間の動力伝達経路に設けられている。第2動力伝達経路PT2は、ベルト走行用クラッチC2が係合されることで形成される。第2動力伝達経路PT2が形成されると、動力伝達装置16は、エンジン12の動力を入力軸22から無段変速機24を経由して出力軸30へ伝達する。一方で、ベルト走行用クラッチC2が解放されると、第2動力伝達経路PT2は切断される。
動力伝達装置16では、第1動力伝達経路PT1における変速比γgear(=入力軸回転速度Nin/出力軸回転速度Nout)は、無段変速機24における最大変速比γcvtmaxよりも大きな値に設定されている。
電子制御装置200は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。電子制御装置200は、無段変速機24の変速制御やベルト挟圧力制御、複数の油圧式摩擦係合装置(C1,C2,B1,D1)の各々の作動状態を切り替える油圧制御等を実行する。
電子制御装置200には、車両10に備えられた各種回転速度センサ64、66、68、70、アクセル操作量センサ72、スロットル開度センサ74、及び操作位置センサ76から、エンジン回転速度Ne[rpm]、入力軸回転速度Nin[rpm]と同値となるプライマリ回転速度Npri[rpm]、セカンダリ回転速度Nsec[rpm]、車速V[km/h]に対応する出力軸回転速度Nout[rpm]、運転者の加速操作の大きさを表すアクセル操作量θacc[%]、スロットル開度tap[%]、車両10に備えられたシフトレバー98の操作位置POSを表す信号がそれぞれ入力される。
電子制御装置200からは、エンジン12を運転制御するためのエンジン制御信号Seがエンジン12へ出力され、無段変速機24の変速制御やベルト挟圧力制御のための油圧制御信号Scvt、前進用クラッチC1,ベルト走行用クラッチC2,後進用ブレーキB1,噛合式クラッチD1の断接制御のための油圧制御信号Scbdが油圧制御回路46へ出力される。
シフトレバー98の操作位置POSには、例えばPレンジ、Rレンジ、Nレンジ、及びDレンジの各走行レンジがある。シフトレバー98の操作位置POSは、運転者によるシフトレバー98の選択操作によって選択される。Pレンジは、動力伝達装置16がニュートラル状態とされ、且つ出力軸30が回転不能に機械的に固定されるパーキングレンジである。動力伝達装置16のニュートラル状態は、例えば前進用クラッチC1、後進用ブレーキB1、及びベルト走行用クラッチC2が共に解放されることで実現される。つまり、動力伝達装置16のニュートラル状態は、第1動力伝達経路PT1及び第2動力伝達経路PT2がいずれも形成されていない状態である。Rレンジは、ギヤ走行モードにて後進走行を可能とする後進走行レンジである。Nレンジは、動力伝達装置16をニュートラル状態とするニュートラルレンジである。Dレンジは、ギヤ走行モードにて前進走行を可能とするか、または、ベルト走行モードにて無段変速機24の自動変速制御を実行して前進走行を可能とするか、の前進走行レンジである。
図2は、図1に示す動力伝達装置16の走行モードの切り替りを説明するための図である。図2において、C1が前進用クラッチC1に対応し、C2がベルト走行用クラッチC2に対応し、B1が後進用ブレーキB1に対応し、D1が噛合式クラッチD1に対応する。「○」は係合された状態、すなわち接続された状態を表し、「×」は解放された状態、すなわち切断された状態を表す。なお、噛合式クラッチD1が係合する場合には、シンクロメッシュ機構S1が作動する。
ギヤ機構28を経由してエンジン12の動力が出力軸30に伝達されるギヤ走行モードでは、前進用クラッチC1及び噛合式クラッチD1が係合される一方、ベルト走行用クラッチC2及び後進用ブレーキB1が解放される。
無段変速機24を経由してエンジン12の動力が出力軸30に伝達されるベルト走行モード(高車速)では、ベルト走行用クラッチC2が係合される一方、前進用クラッチC1、後進用ブレーキB1、及び噛合式クラッチD1が解放される。このように噛合式クラッチD1が解放されるのは、ベルト走行モード中におけるギヤ機構28等の引き摺りをなくすとともに、高車速においてギヤ機構28等が高回転化するのを防止するためである。
ギヤ走行モード(低車速)からベルト走行モード(高車速)、ないしはベルト走行モード(高車速)からギヤ走行モード(低車速)へ切り替えられる場合には、ベルト走行モード(中車速)を過渡的に経由して切り替えられる。ベルト走行モード(中車速)では、ベルト走行用クラッチC2及び噛合式クラッチD1が係合される一方、前進用クラッチC1及び後進用ブレーキB1が解放される。
図3は、図1に示す無段変速機24の構成及び油圧制御回路46の構成を説明するための図である。なお、本明細書において、「油圧(出力圧、及び制御圧を含む)を出力する(或いは供給する)」とは、「そのような油圧となっている作動油を供給する」との意である。
無段変速機24は、プライマリプーリ58及びセカンダリプーリ60と伝動ベルト62との間の摩擦力を介して動力伝達を行う。プライマリプーリ58は、入力軸22に対して同軸に取り付けられた固定シーブ58aと、固定シーブ58aに対して軸まわりに相対回転不能且つ軸方向に移動可能に設けられた可動シーブ58bと、それらの間のV溝幅を変更するために可動シーブ58bに対してプライマリ推力Wpri(=プライマリ制御圧Ppri×受圧面積)を付与する油圧アクチュエータ58cと、を備える。セカンダリプーリ60は、出力軸30に対して同軸に取り付けられた固定シーブ60aと、固定シーブ60aに対して軸まわりに相対回転不能且つ軸方向に移動可能に設けられた可動シーブ60bと、それらの間のV溝幅を変更するために可動シーブ60bに対してセカンダリ推力Wsec(=セカンダリ制御圧Psec×受圧面積)を付与する推力を発生させる油圧アクチュエータ60cと、を備える。
無段変速機24では、前述した電子制御装置200により制御される油圧制御回路46によってプライマリ制御圧Ppri及びセカンダリ制御圧Psecが各々調圧制御されることにより、プライマリ推力Wpri及びセカンダリ推力Wsecが各々制御される。これにより、無段変速機24では、プライマリプーリ58及びセカンダリプーリ60のV溝幅が変化して伝動ベルト62の掛かり径(=有効径)が変更され、変速比γcvt(=プライマリ回転速度Npri/セカンダリ回転速度Nsec)が連続的に変化させられると共に、伝動ベルト62が滑りを生じないようにベルト挟圧力が制御される。
油圧制御回路46は、複数のソレノイドバルブSL、マニュアルバルブ82、プライマリ圧コントロールバルブ84、セカンダリ圧コントロールバルブ86、シーケンスバルブ88、C1アプライバルブ90、及びS1B1切替バルブ92を含む。
マニュアルバルブ82は、運転者によるシフトレバー98の選択操作に連動して後述のマニュアルバルブ作動機構120によって機械的に油路が切り替えられる。マニュアルバルブ82は、シフトレバー98がDレンジにあるときには、入力されたモジュレータ圧PMを前進油圧PDとして出力し、シフトレバー98がRレンジにあるときには、入力されたモジュレータ圧PMを後進油圧PRとして出力する。マニュアルバルブ82は、シフトレバー98がNレンジ或いはPレンジにあるときには、油圧の出力を遮断し、前進油圧PD及び後進油圧PRを排出側へ導く。前進油圧PDは、Dレンジ圧又はドライブ圧ともいう。後進油圧PRは、Rレンジ圧又はリバース圧ともいう。なお、モジュレータ圧PMは、ライン圧PLを元圧として、不図示のモジュレータバルブにより一定値に調圧された油圧である。ライン圧PLは、オイルポンプ44が発生する油圧を元圧として、不図示のプライマリレギュレータバルブにより例えばスロットル開度tap等で表されるエンジン負荷に応じて調圧された油圧である。
複数のソレノイドバルブSLは、各々、電子制御装置200により電流制御されることで、モジュレータ圧PM又は前進油圧PDを元圧として各々調圧した油圧を出力する。複数のソレノイドバルブSLは、C1用ソレノイドバルブSL1、C2用ソレノイドバルブSL2、D1用ソレノイドバルブSLG、プライマリ用ソレノイドバルブSLP、及びセカンダリ用ソレノイドバルブSLSを含む。C1用ソレノイドバルブSL1、C2用ソレノイドバルブSL2、及びD1用ソレノイドバルブSLGは、ノーマリークローズ式の電磁弁である。プライマリ用ソレノイドバルブSLP及びセカンダリ用ソレノイドバルブSLSは、ノーマリーオープン式の電磁弁である。ノーマリークローズ式の電磁弁は、例えば電子制御装置200からの駆動電流が途絶える断線時には油圧を出力しないオフフェール状態とされる一方で、ノーマリーオープン式の電磁弁は、断線時には最大油圧を出力するオンフェール状態とされる。
C1用ソレノイドバルブSL1は、前進油圧PDを元圧として、前進用クラッチC1の油圧アクチュエータC1aへ供給される油圧であるC1制御圧Pc1となり得るSL1出力圧Psl1を出力する。C2用ソレノイドバルブSL2は、前進油圧PDを元圧として、ベルト走行用クラッチC2の油圧アクチュエータC2aへ供給される油圧であるC2制御圧Pc2となり得るSL2出力圧Psl2を出力する。
D1用ソレノイドバルブSLGは、モジュレータ圧PMを元圧として、噛合式クラッチD1の作動状態を切り替えるための油圧アクチュエータS1aへ供給される油圧であるS1制御圧Ps1となり得るSLG出力圧Pslgを出力する。すなわち、D1用ソレノイドバルブSLGは、噛合式クラッチD1を作動させるS1制御圧Ps1を調圧する。なお、このSLG出力圧Pslgは、シフトレバー98がRレンジに選択操作されてマニュアルバルブ82から後進油圧PRが出力される後進走行時には、後進用ブレーキB1の油圧アクチュエータB1aへ供給される油圧であるB1制御圧Pb1となり得る。すなわち、D1用ソレノイドバルブSLGは、後進走行時には、後進用ブレーキB1を作動させるB1制御圧Pb1を調圧する。
プライマリ用ソレノイドバルブSLPは、モジュレータ圧PMを元圧として、プライマリプーリ58の油圧アクチュエータ58cへ供給される油圧であるプライマリ制御圧Ppriを制御するためのSLP出力圧Pslpを出力する。セカンダリ用ソレノイドバルブSLSは、モジュレータ圧PMを元圧として、セカンダリプーリ60の油圧アクチュエータ60cへ供給される油圧であるセカンダリ制御圧Psecを制御するためのSLS出力圧Pslsを出力する。
プライマリ圧コントロールバルブ84は、ライン圧PLを元圧として、SLP出力圧Pslpに基づいて作動させられることでプライマリ制御圧Ppriを調圧する。セカンダリ圧コントロールバルブ86は、ライン圧PLを元圧として、SLS出力圧Pslsに基づいて作動させられることでセカンダリ制御圧Psecを調圧する。
シーケンスバルブ88は、SLP出力圧Pslpに基づいて、SL2出力圧Psl2を油圧アクチュエータC2aへ供給する油路を形成する正常位置と、前進油圧PDを油圧アクチュエータC2aへ供給する油路を形成するフェール位置と、に弁位置が択一的に切り替えられる。シーケンスバルブ88は、モジュレータ圧PMや不図示のスプリングによって正常位置に付勢される。シーケンスバルブ88は、SLP出力圧Pslpの作用によってフェール位置へ切り替えられる。例えば、シーケンスバルブ88は、断線等によってC2用ソレノイドバルブSL2がオフフェール状態となったときに所定圧以上のSLP出力圧Pslpが出力されると、フェール位置へ切り替えられる。このフェール位置に切り替えられた場合、シフトレバー98の操作位置POSがDレンジにあると、油圧アクチュエータC2aへ強制的に前進油圧PDが供給されてベルト走行用クラッチC2が係合される。SL2出力圧Psl2や前進油圧PDは、シーケンスバルブ88を介してC2制御圧Pc2として油圧アクチュエータC2aへ供給される。
C1アプライバルブ90は、SL1出力圧Psl1及びC2制御圧Pc2に基づいて、SL1出力圧Psl1を油圧アクチュエータC1aへ供給する油路を形成する通常状態としての正常位置と、C1制御圧Pc1を排出側へ導く油路を形成するタイアップ防止状態としてのフェール位置と、に弁位置が択一的に切り替えられる。C1アプライバルブ90は、SL1出力圧Psl1及びC2制御圧Pc2が共に付与されることでフェール位置に切り替えられる。SL1出力圧Psl1は、C1アプライバルブ90を介してC1制御圧Pc1として油圧アクチュエータC1aへ供給される。C1アプライバルブ90は、C1制御圧Pc1としてSL1出力圧Psl1を油圧アクチュエータC1aへ供給する油路を遮断することで前進用クラッチC1とベルト走行用クラッチC2との同時係合によるタイアップを防止するフェールセーフバルブとして機能する。
S1B1切替バルブ92は、後進油圧PRに基づいて、SLG出力圧Pslgを油圧アクチュエータS1aへ供給する油路を形成し且つB1制御圧Pb1を排出側へ導く油路を形成する非後進位置と、モジュレータ圧PMを油圧アクチュエータS1aへ供給する油路を形成し且つSLG出力圧Pslgを油圧アクチュエータB1aへ供給する油路を形成する後進位置と、に弁位置が択一的に切り替えられる。S1B1切替バルブ92は、後進油圧PRが付与されることで後進位置に弁位置が切り替えられる。シフトレバー98がRレンジ以外のレンジに選択操作された場合には、SLG出力圧PslgがS1B1切替バルブ92を介してS1制御圧Ps1として油圧アクチュエータS1aへ供給され、且つ、B1制御圧Pb1が排出側へ導かれる。一方、シフトレバー98がRレンジに選択操作された場合には、SLG出力圧PslgがS1B1切替バルブ92を介してB1制御圧Pb1として油圧アクチュエータB1aへ供給され、且つ、モジュレータ圧PMが油圧アクチュエータS1aへ供給される。
図4は、図1に示すシフト位置切替機構100、マニュアルバルブ作動機構120、シフトフォーク機構56、及びロック機構130の斜視図である。図5は、図4に示すシフト位置切替機構100、マニュアルバルブ作動機構120、シフトフォーク機構56、及びロック機構130の上面図(図4において上側から見た図)である。図4では、後述するコントロールレバー104及びディテントプレート106が左まわり(反時計回り)に回動された状態が実線で示され、コントロールレバー104及びディテントプレート106が右まわり(時計回り)に回動された状態が一部の構成部材について破線で示されている。
シフト位置切替機構100は、マニュアルシャフト102、コントロールレバー104、ディテントプレート106、係合ローラ108、及び板バネ110を備える。
軸中心線CL1を中心とする円筒状のマニュアルシャフト102には、コントロールレバー104の一端部が固設されている。コントロールレバー104は、シフトレバー98の選択操作に機械的に連動して作動する。運転者によってシフトレバー98の操作位置POSが切り替えられると、それに応じてコントロールレバー104が軸中心線CL1を中心にして回動させられる。これにより、コントロールレバー104に固設されたマニュアルシャフト102も、軸中心線CL1を中心にして回動させられる。
ディテントプレート106は、マニュアルシャフト102にかしめ、圧入等により固設されており、ディテントプレート106とマニュアルシャフト102とは一体的に軸中心線CL1まわりに回動可能に構成されている。
ディテントプレート106の外周端縁には、波形形状の凹凸面(カム面)が設けられている。ディテントプレート106の凹凸面には、各シフト位置にそれぞれ対応してディテントプレート106を位置決めするための谷(係合凹面)が複数箇所(本実施例では、P、R、N、Dの4箇所)形成されている。
凹凸面には、係合ローラ108が接触させられている。板バネ110において、その一端部側の先端には係合ローラ108が取り付けられ、その他端部側は固定されている。係合ローラ108は、板バネ110の固定された他端部側に対して回動可能に支持されている。板バネ110は、凹凸面に向けて係合ローラ108を所定の押圧力で押圧している、すなわち付勢している。これにより、ディテントプレート106の凹凸面に形成された複数箇所の谷位置のいずれか1つに付勢された係合ローラ108が落ち込むことによりディテントプレート106の回動位置が各シフト位置に応じた複数箇所のいずれか1つに位置決めされる。例えば、Pレンジ、Rレンジ、Nレンジ、及びDレンジのいずれか1つに選択操作されたシフトレバー98の操作位置POSに応じて、シフト位置切替機構100は、それぞれPシフト位置、Rシフト位置、Nシフト位置、及びDシフト位置のいずれか1つにシフト位置が切り替えられる。
軸中心線CL1に対して凹凸面が設けられた側とは反対側のディテントプレート106の端部には、パーキングロック機構112のパーキングロッドが回動可能に連結されている。なお、シフト位置切替機構100がPシフト位置に切り替えられた場合には、パーキングロック機構112は出力軸30(図1参照)が回転しないように固定する。
マニュアルバルブ作動機構120は、回動軸122、リンク124、係合ロッド126、及び連結部材128を備える。
リンク124は、運動を伝達する部材であり、ディテントプレート106の回動運動を連結部材128の直線運動として伝達する。リンク124は、例えば細長い板体である。リンク124の一端部に設けられた円筒形の貫通孔と、ディテントプレート106の凹凸面側においてDシフト位置よりも周方向へ広がる突出部に設けられた円筒形の貫通孔と、の両方に円筒形の連結部材124aが挿入されている。リンク124の中央部は、回動軸122に連結されて固定されている。回動軸122は、軸中心線CL2まわりに回動可能に構成されている。これにより、リンク124は、軸中心線CL2まわりに回動可能である。リンク124の他端部は、連結部材124bにより係合ロッド126に連結されている。なお、軸中心線CL2は、軸中心線CL1と平行である。
軸中心線CL1方向から見てリンク124とディテントプレート106とが重なる領域では、リンク124は、ディテントプレート106の一端面との間に隙間を有しており、ディテントプレート106の回動を阻害しない構成となっている。軸中心線CL1方向から見てディテントプレート106の外周端縁と回動軸122との間の領域において、軸中心線CL1方向(軸中心線CL2方向と同じ)におけるディテントプレート106と回動軸122に連結されたリンク124の中央部との段差に応じてリンク124がその厚み方向に曲げられている。軸中心線CL1方向から見て回動軸122と係合ロッド126との間の領域において、軸中心線CL1方向における回動軸122に連結されたリンク124の中央部と係合ロッド126に連結されたリンク124の他端部との段差に応じてリンク124がその厚み方向に曲げられている。また、リンク124の幅は、その一端部及び他端部よりも中央部が幅広とされている。
リンク124の回動に応じて、係合ロッド126は軸中心線CL2まわりに回動させられる。係合ロッド126は、連結部材128の環状溝に係合させられている。連結部材128は、マニュアルバルブ82のスプール弁子82aの一端部に固設されている。係合ロッド126が回動すると、その回動に伴って連結部材128及びスプール弁子82aが、そのスプール弁子82aにおける軸中心線CL3方向へ移動させられる。各シフト位置に応じて予め設定されたスプール弁子82aの複数の移動位置のうち、シフトレバー98で選択された操作位置POSに対応したシフト位置に応じた移動位置へスプール弁子82aが移動させられる。
例えば、図5においてディテントプレート106が軸中心線CL1を中心にして右まわりに回動すると、リンク124が軸中心線CL2を中心にして左まわりに回動し、スプール弁子82aが軸中心線CL3方向においてマニュアルバルブ82側に押し出される。例えば、図5においてディテントプレート106が軸中心線CL1を中心にして左まわりに回動すると、リンク124が軸中心線CL2を中心にして右まわりに回動し、スプール弁子82aが軸中心線CL3方向においてマニュアルバルブ82側から引き戻される。このように、マニュアルバルブ作動機構120は、ディテントプレート106の軸中心線CL1まわりの回動運動を、リンク124を介してスプール弁子82aの軸中心線CL3方向の直線運動に変換する。
図6は、図1に示す噛合式クラッチD1におけるシンクロメッシュ機構S1の噛み合い作動を説明するための断面図であって、噛合式クラッチD1が解放状態にある図である。図7は、図1に示す噛合式クラッチD1におけるシンクロメッシュ機構S1の噛み合い作動を説明するための断面図であって、噛合式クラッチD1が係合状態にある図である。
噛合式クラッチD1は、クラッチハブ52a、クラッチギヤ134、及びスリーブ136を備える。クラッチハブ52aは、ギヤ機構カウンタ軸50まわりにそのギヤ機構カウンタ軸50に対して同じ軸中心線CL5で相対回転不能に設けられている。クラッチギヤ134は、アイドラギヤ54とクラッチハブ52aとの間に配置されてアイドラギヤ54に固設されている。スリーブ136は軸中心線CL5を中心とする円筒状であり、スリーブ136の内周面にはスプライン歯148が設けられている。スプライン歯148がクラッチハブ52aに対してスプライン嵌合されることにより、スリーブ136とギヤ機構カウンタ軸50とは相対回転不能且つ軸中心線CL5方向に相対移動可能となっている。なお、軸中心線CL5は、クラッチハブ52a、クラッチギヤ134、及びスリーブ136の回転中心線である。
噛合式クラッチD1が有するシンクロメッシュ機構S1は、キースプリング140、キースプリング140によってスリーブ136に係合させられたシフティングキー142、所定の遊びを有する状態でシフティングキー142と共に回転させられるシンクロナイザリング144、及びクラッチギヤ134に設けられたコーン部146を含む。なお、シンクロナイザリング144の回転中心線は、軸中心線CL5である。後述するC字形であるシフトフォーク56aの内周部は、スリーブ136の外周部に設けられた溝に嵌め込まれ、スリーブ136を回転させながら軸中心線CL5方向に移動可能な構成となっている。
軸中心線CL5方向におけるスリーブ136の位置には、スリーブ136のスプライン歯148がクラッチギヤ134のスプライン歯152から離間している位置すなわち解放位置と、スリーブ136のスプライン歯148がクラッチギヤ134のスプライン歯152と噛み合っている位置すなわち係合位置と、がある。スリーブ136が解放位置に移動させられると、噛合式クラッチD1は解放状態になり、スリーブ136が係合位置に移動させられると、噛合式クラッチD1は係合状態になる。
図6及び図7に基づいて、噛合式クラッチD1の断接状態を切り替えるためのシフトフォーク機構56について説明する。シフトフォーク機構56は、シフトフォーク56a、フォークシャフト56b、スプリング56c、及び油圧アクチュエータS1aを備える。
フォークシャフト56bは、軸中心線CL4を中心とする円筒状である。フォークシャフト56bは、その軸中心線CL4方向における一端部側においてシフトフォーク56aを、例えばボルト等により連結固定している。なお、軸中心線CL4と軸中心線CL5とは互いに平行である。そのため、フォークシャフト56bが軸中心線CL4方向に移動すると、シフトフォーク56aが軸中心線CL5方向に一体的に移動する構成となっている。フォークシャフト56bは、その軸中心線CL4方向における他端部側においてスプリング56cを介しケース18に固定されている。スプリング56cは、フォークシャフト56bに対して軸中心線CL4における矢印Bの方向への付勢力(解放状態とする付勢力)を付与している。
噛合式クラッチD1を係合させるS1制御圧Ps1が油圧アクチュエータS1aに供給されると、S1制御圧Ps1による押圧力がスプリング56cの付勢力に抗し、フォークシャフト56bが軸中心線CL4における矢印Aの方向に移動させられて図7に示すように噛合式クラッチD1が係合状態になる。噛合式クラッチD1を解放させるS1制御圧Ps1が油圧アクチュエータS1aに供給されると、スプリング56cの付勢力によりフォークシャフト56bが軸中心線CL4における矢印Bの方向に移動させられて図6に示すように噛合式クラッチD1が解放状態になる。なお、軸中心線CL4は軸中心線CL5と平行であるため、矢印Aの方向と矢印Bの方向とは、軸中心線CL4及び軸中心線CL5方向において互いに反対方向である。また、図4乃至7に示された矢印A及び矢印Bが表す方向は、図面が異なってもそれぞれ同じ方向を表している。S1制御圧Ps1は、電子制御装置200から油圧制御回路46へ出力される油圧制御信号Scbd(図1参照)により制御される。
ロック機構130は、前述したように、運転者によるPレンジ、Rレンジ、及びNレンジのいずれかへの選択操作に機械的に連動して噛合式クラッチD1を係合させる機構である。ロック機構130は、連結部材56d及び係合ロッド124dを備える。回動軸122に連結されたリンク124の中央部とリンク124の一端部との間において、係合ロッド124dが連結部材124cによりリンク124に連結されている。連結部材56dは、フォークシャフト56bの外周部において、係合ロッド124dに対向して固設されている。
例えば、図5においてディテントプレート106が軸中心線CL1を中心にして左まわりに回動すると、リンク124が軸中心線CL2を中心にして右まわりに回動し、リンク124に連結された係合ロッド124dは連結部材56dを矢印Aの方向に押し出す。これにより、ロック機構130がロック状態となり、リンク124からロック機構130を介してフォークシャフト56bに対して矢印Aの方向に移動させる押圧力が付与される。例えば、図5においてディテントプレート106が軸中心線CL1を中心にして右まわりに回動すると、リンク124が軸中心線CL2を中心にして左まわりに回動し、リンク124は連結部材56dを矢印Aの方向に押し出さない。これにより、ロック機構130がアンロック状態(解除状態)となり、リンク124からロック機構130を介したフォークシャフト56bに対する矢印Aの方向に移動させる押圧力の付与がなくなる。
シフト位置切替機構100がPシフト位置、Rシフト位置、及びNシフト位置のうちのどれに切り替えられても、ロック機構130による矢印Aの方向への押圧力がスプリング56cの付勢力に抗して、フォークシャフト56bに連結されたシフトフォーク56aが矢印Aの方向に移動し、前述したようにスリーブ136が軸中心線CL5方向における係合位置側(図7参照)へ移動させられるようにロック機構130が構成されている。したがって、シフトフォーク56aは、運転者によるPレンジ、Rレンジ、及びNレンジのいずれかへの選択操作に機械的に連動して噛合式クラッチD1を係合状態とする。シフト位置切替機構100がDシフト位置に切り替えられると、ロック機構130による矢印Aの方向への押圧力が無くなり、スプリング56cの付勢力とS1制御圧Ps1による押圧力とによってフォークシャフト56bに連結されたシフトフォーク56aが矢印Aの方向又は矢印Bの方向に移動させられるようにロック機構130が構成されている。ロック機構130がロック状態である場合、シフトフォーク56aを矢印Aの方向へ移動させようとする押圧力は、車両10が停車中やエンジン12が停止中であっても付与される。
まず、噛合式クラッチD1が解放状態から係合状態になる場合におけるシンクロメッシュ機構S1の噛み合い作動について説明する。シフトフォーク56aが矢印Aの方向に移動させられると、スリーブ136が解放位置(図6参照)から矢印Aの方向に移動させられる。このスリーブ136の矢印Aの方向への移動により、シフティングキー142を介してシンクロナイザリング144がコーン部146を押圧し、その間の摩擦によってクラッチハブ52aとクラッチギヤ134との間で動力伝達が行われるようになる。スリーブ136が更に矢印Aの方向に移動させられると、スプライン歯148はシンクロナイザリング144に設けられたスプライン歯150、更にはクラッチギヤ134に設けられたスプライン歯152と噛み合わされる。これにより、スリーブ136が係合位置に移動させられることとなって噛合式クラッチD1が係合状態となり、クラッチハブ52aとクラッチギヤ134とが一体的に接続されて第1動力伝達経路PT1における前後進切替装置26と出力軸30との間の動力伝達経路が形成される。
つぎに、噛合式クラッチD1が係合状態から解放状態になる場合の作動について説明する。シフトフォーク56aが矢印Bの方向に移動させられると、スリーブ136が係合位置(図7参照)から矢印Bの方向に移動させられる。このスリーブ136の矢印Bの方向への移動により、スプライン歯148はクラッチギヤ134に設けられたスプライン歯152、更にはシンクロナイザリング144に設けられたスプライン歯150との噛合が解かれる。スリーブ136が更に矢印Bの方向に移動させられると、シフティングキー142を介したシンクロナイザリング144のコーン部146への押圧がなくなる。これにより、スリーブ136が解放位置に移動させられることとなって噛合式クラッチD1が解放状態となり、クラッチハブ52aとクラッチギヤ134との間の動力伝達経路が切断される、すなわち第1動力伝達経路PT1における前後進切替装置26と出力軸30との間の動力伝達経路が切断される。
Pレンジ、Rレンジ、及びNレンジのいずれかが運転者によりシフトレバー98の操作位置POSとして選択操作された場合、ロック機構130によって噛合式クラッチD1は係合状態となるように作動させられる。Dレンジが運転者によりシフトレバー98の操作位置POSとして選択操作された場合、噛合式クラッチD1はロック機構130では断接制御されず、油圧アクチュエータS1aへ供給されるS1制御圧Ps1により断接制御される。Pレンジ、Rレンジ、及びNレンジのいずれかが運転者によりシフトレバー98の操作位置POSとして選択操作されて噛合式クラッチD1が係合状態で車両10が停車した場合には、車両10が停車中やエンジン12が停止中であってもロック機構130により噛合式クラッチD1の係合状態は維持される。
ところで、このシンクロメッシュ機構S1の噛み合い作動においては、噛み合い音(所謂カッチン音)が発生する場合がある。例えば、動力伝達装置16にロック機構130が無い場合には、シフトレバー98がNレンジに選択操作され、且つエンジン12が停止状態(車両10が停車状態)にあると、油圧アクチュエータS1aへ供給されるS1制御圧Ps1が低下して噛合式クラッチD1が解放状態になる。そのため、車両10が停止状態からギヤ走行モード(低車速)による走行状態に移行する車両走行開始時においてはオイルポンプ44が回転駆動されて作動油の油圧が所定圧に上昇したタイミングで噛合式クラッチD1の係合作動、すなわちシンクロメッシュ機構S1の噛み合い作動が実行される。このように作動油の油圧の上昇による噛合式クラッチD1の係合作動では、運転者の意図しないタイミングでシンクロメッシュ機構S1の噛み合い音が発生してしまい、運転者に違和感を与えるおそれがある。
ところで、車両10は、不図示のシフト操作規制機構を備える。車両10がベルト走行モード(高車速)になった場合には、シフト操作規制機構は、シフトレバー98の選択操作を規制してDレンジ以外の選択操作ができないようにする。例えば、そのようなシフト操作規制機構は、電子制御装置200により制御される。
また、車両10は、不図示で公知のシフトロック解除ボタンを備える。車両10は、急発進など運転者の誤操作を防止するために、エンジン12を始動し、ブレーキペダルを踏んでいないと、シフトレバー98をPレンジからそれ以外のレンジへ切り替えできないようにシフトロックが行われる。しかし、シフトロック解除ボタンが操作されて解除操作が行われると、故障などでエンジン12が始動しなくなっても、シフトレバー98によるDレンジへの選択操作が可能となるように構成されている。
本実施例によれば、第1動力伝達経路PT1を断接するためのシンクロメッシュ機構S1付きの噛合式クラッチD1が備えられ、運転者によるPレンジ、Rレンジ、及びNレンジのいずれかへの選択操作に連動して噛合式クラッチD1を係合状態とするシフトフォーク56aが備えられる。これにより、車両走行開始時においてNレンジであることにより噛合式クラッチD1が既に係合状態となっている場合、運転者によりNレンジからDレンジ又はRレンジへの選択操作(所謂ガレージシフト)が行われてもシンクロメッシュ機構S1での噛み合い作動が実行されず、シンクロメッシュ機構S1での噛み合い音の発生頻度が低減される。車両走行開始時にすでに第1動力伝達経路PT1が形成されているため、車両10の発進性能やガレージシフトでの発進性能が向上する。
本実施例によれば、ベルト走行モード(高車速)になった場合には、シフトレバー98の選択操作が規制され、Dレンジ以外の選択ができないようになる。すなわち、ベルト走行モード(高車速)におけるPレンジ、Rレンジ、又はNレンジへの選択操作が阻止される。これにより、高車速時において運転者によりPレンジへ選択操作されることによって、パーキングロック機構112での出力軸30に設けられたギヤにそのギヤを固定する歯が高速で跳ね返される現象(所謂ラチェッティング)が防止されて、パーキングロック機構112の損傷が抑制される。また、高車速時において運転者によりNレンジへ選択操作されることによって、Nレンジでの惰性走行(アクセルペダルが踏み込まれていない状態の走行)における焼付きなどが抑制される。
本実施例によれば、車両10が他の車両に牽引される場合(被牽引時)には、シフトレバー98によるDレンジの選択操作又はシフトロック解除ボタンによる解除操作を伴うシフトレバー98によるDレンジの選択操作により、シフトフォーク56aの作動による噛合式クラッチD1の係合状態(ロック機構130のロック状態)が解除される。これにより、被牽引時におけるギヤ機構28等の引き摺りがなくなり、入力軸22が高回転となりすぎることが抑制される。入力軸22が高回転となりすぎることが抑制されることにより、焼付きが抑制されて被牽引性が確保される。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
前述の実施例では、シフトレバー98の選択操作に連動してシフトフォーク56aを軸中心線CL5方向に移動させる機構と、シフトレバー98の選択操作に連動してマニュアルバルブ82のスプール弁子82aを軸中心線CL3方向に移動させる機構と、において、シフトレバー98からシフト位置切替機構100を経由してリンク124までの運動を伝達する機構が共用されていたが、これに限られない。例えば、シフト位置切替機構100が共用されつつ、シフトフォーク56aを軸中心線CL5方向に移動させる機構は、マニュアルバルブ作動機構120のリンク124とは別のリンクが設けられても良い。或いは、シフトフォーク56aを軸中心線CL5方向に移動させる機構は、マニュアルバルブ82のスプール弁子82aを軸中心線CL3方向に移動させる機構とは別のシフト位置切替機構及びリンクが設けられても良い。
なお、上述したのはあくまでも本発明の実施例であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
16:車両用動力伝達装置
22:入力軸
24:無段変速機
28:ギヤ機構
30:出力軸
56a:シフトフォーク
D1:噛合式クラッチ
PT1:第1動力伝達経路
PT2:第2動力伝達経路
S1:シンクロメッシュ機構

Claims (1)

  1. ギヤ機構を経由する第1動力伝達経路と無段変速機を経由する第2動力伝達経路とが入力軸と出力軸との間で選択的に形成される車両用動力伝達装置であって、
    前記第1動力伝達経路を断接するためのシンクロメッシュ機構付きの噛合式クラッチを有し、運転者によるPレンジ、Rレンジ、及びNレンジのいずれかへの選択操作に連動して前記噛合式クラッチを係合状態とするシフトフォークを有する
    ことを特徴とする車両用動力伝達装置。
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