JP2021000950A - 操舵角演算装置およびそれを利用したモータ制御装置 - Google Patents

操舵角演算装置およびそれを利用したモータ制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ドライバに起因するトルク以外に、車両の状態、周囲の環境およびドライバの状態のうちの少なくも1つを考慮して、操舵制御に使用される操舵角を演算することができる操舵角演算装置を提供する。【解決手段】操舵角演算装置は、ドライバに起因するトルクTinと、車両情報、周囲環境情報およびドライバ情報の少なくとも1つとに基づいて操舵角(手動操舵指令値θmdac)演算する操舵角演算部(指令値設定部62)を備えている。【選択図】図4

Description

この発明は、操舵角演算装置およびそれを利用したモータ制御装置に関する。
下記特許文献1には、トルクセンサによって検出される操舵トルクに基づいて舵取り車輪の目標転舵角(目標操舵角)を定める下流側規範モデル(操舵機構側規範モデル)を備えた電動パワーステアリング装置が開示されている。この下流側規範モデルは、操舵部材(ステアリングホイールおよびステアリングシャフト)の慣性モーメント、ラック軸のハウジングに対する摩擦等に対応する粘性係数、操舵部材をばねとみなしたときのばね係数および操舵トルクに基づいて、目標転舵角を演算する。
特開2006−175940号公報
この発明の目的は、ドライバに起因するトルク以外に、車両の状態、周囲の環境およびドライバの状態のうちの少なくも1つを考慮して、操舵制御に使用される操舵角を演算することができる操舵角演算装置およびそれを利用したモータ制御装置を提供することである。
請求項1に記載の発明は、ドライバに起因するトルクと、車両情報、周囲環境情報およびドライバ情報の少なくとも1つと、に基づいて操舵角を演算する操舵角演算部を備えている、操舵角演算装置である。
この構成では、ドライバに起因するトルク以外に、車両の状態、周囲の環境およびドライバの状態のうちの少なくも1つを考慮して、操舵制御に使用される操舵角を演算することができる。
請求項2に記載の発明は、前記操舵角演算部は、運動方程式に基づいて前記操舵角を演算するように構成されており、前記運動方程式は、前記ドライバに起因するトルクおよび路面負荷トルクを用いて前記操舵角を演算するための運動方程式であり、前記路面負荷トルクは、車両情報、道路情報およびドライバ情報の少なくとも1つに基づいて設定される、請求項1に記載の操舵角演算装置である。
請求項3に記載の発明は、前記運動方程式は、前記路面負荷トルクを生成するためのばね成分および粘性成分を含み、前記ばね成分は、ばね基礎成分を、車両情報、周囲環境情報およびドライバ情報の少なくとも1つに基づいて補正することにより設定され、前記粘性成分は、粘性基礎成分を、車両情報、周囲環境情報およびドライバ情報の少なくとも1つに基づいて補正することにより設定される、請求項2に記載の操舵角演算装置である。
請求項4に記載の発明は、前記ばね基礎成分は、操舵角に対して所定のばね定数によって定まる線形特性を有しており、前記粘性基礎成分は、操舵速度に対し所定の粘性定数によって定まる線形特性を有している、請求項3に記載の操舵角演算装置である。
請求項5に記載の発明は、前記操舵角演算部は、ドライバに起因するトルクに応じて設定される基本操舵角を、車両情報、周囲環境情報およびドライバ情報の少なくとも1つに基づいて補正することによって、前記操舵角を設定する、請求項1に記載の操舵角演算装置である。
請求項6に記載の発明は、舵角制御用の電動モータを駆動制御するためのモータ制御装置であって、手動操舵指令値を生成する手動操舵指令値生成部と、自動操舵角指令値に前記手動操舵指令値を加算して、統合角度指令値を演算する統合角度指令値演算部と、前記統合角度指令値に基づいて、前記電動モータを角度制御する制御部とを含み、前記手動操舵指令値生成部は、前記請求項1〜5のいずれか一項に記載の操舵角演算装置によって演算される操舵角を、前記手動操舵指令値として生成するように構成されている、モータ制御装置である。
請求項7に記載の発明は、操舵トルクを検出するためのトルク検出器と、実操舵角を検出するための操舵角検出器と、自動操舵制御量を設定する自動操舵制御部と、前記操舵トルクを用いてアシスト制御量を設定するアシスト制御部と、前記自動操舵制御量と前記アシスト制御量とを加算することによって、統合制御量を演算する統合制御量演算部と、前記統合制御量に基づいて舵角制御用の電動モータをトルク制御する制御部と、を含むモータ制御装置であって、前記実操舵角に含まれている、手動操舵およびアシスト制御による操舵角である実手動操舵角を演算する実手動操舵角演算部と、前記実操舵角から前記実手動操舵角を減算することによって実自動操舵角を演算する減算部とをさらに含み、前記自動操舵制御部は、自動操舵角指令値および前記実自動操舵角を用いて前記自動操舵制御量を設定するように構成され、前記実手動操舵角演算部は、前記請求項1〜5のいずれか一項に記載の操舵角演算装置によって演算される操舵角を、前記実手動操舵角として生成するように構成されている、モータ制御装置である。
本発明の第1実施形態に係る電動パワーステアリングシステムの概略構成を示す模式図である。 モータ制御用ECUの電気的構成を説明するためのブロック図である。 角度制御部の構成を示すブロック図である。 手動操舵指令値生成部の構成を示すブロック図である。 操舵トルクTtbに対するアシストトルク指令値Tacの設定例を示すグラフである。 指令値設定部で用いられるリファレンスEPSモデルの一例を示す模式図である。 ロアコラム回転角θに対するばね基礎成分Tbase,kの設定例を示すグラフである。 (a)は、車速Vに基づくばね成分補正ゲインGk,vの設定例を示すグラフであり、(b)は、ヨーレイトyrに基づくばね成分補正ゲインGk,yrおよび横加速度laに基づくばね成分補正ゲインGk,laの設定例を示すグラフであり、(c)は、危険度eに基づくばね成分補正ゲインGk,eの設定例を示すグラフであり、(d)は、覚醒度dに基づくばね成分補正ゲインGk,dの設定例を示すグラフである。 ロアコラム回転速度dθ/dtに対する粘性基礎成分Tbase,cの設定例を示すグラフである。 (a)は、車速Vに基づく粘性成分補正ゲインGc,vの設定例を示すグラフであり、(b)は、ヨーレイトyrに基づく粘性成分補正ゲインGc,yrおよび横加速度laに基づく粘性成分補正ゲインGc,laの設定例を示すグラフであり、(c)は、危険度eに基づく粘性成分補正ゲインGc,eの設定例を示すグラフであり、(d)は、覚醒度dに基づく粘性成分補正ゲインGc,dの設定例を示すグラフである。 ロアコラム回転角θに対するばね基礎成分Tbase,kの他の設定例を示すグラフである。 ロアコラム回転速度dθ/dtに対する粘性基礎成分Tbase,cの他の設定例を示すグラフである。 (a)は、車速Vに基づくばね定数kの設定例を示すグラフであり、(b)は、ヨーレイトyrに基づくばね定数kyrおよび横加速度laに基づくばね定数klaの設定例を示すグラフであり、(c)は、危険度eに基づくばね係数kの設定例を示すグラフであり、(d)は、覚醒度dに基づくばね係数kの設定例を示すグラフである。 (a)は、車速Vに基づく粘性係数cの設定例を示すグラフであり、(b)は、ヨーレイトyrに基づく粘性係数cyrおよび横加速度laに基づく粘性係数claの設定例を示すグラフであり、(c)は、危険度eに基づく粘性係数cの設定例を示すグラフであり、(d)は、覚醒度dに基づく粘性係数cの設定例を示すグラフである。 入力トルクTinに対する手動操舵基本指令値θmdac,baseの設定例を示すグラフである。 (a)は車速Vに基づく補正ゲインGの設定例を示すグラフであり、(b)はヨーレイトyrに基づく補正ゲインGyrおよび横加速度laに基づく補正ゲインGlaの設定例を示すグラフであり、(c)は危険度eに基づく補正ゲインGの設定例を示すグラフであり、(d)は覚醒度dに基づく補正ゲインGの設定例を示すグラフである。 第2実施形態におけるモータ制御用ECUの電気的構成を説明するためのブロック図である。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る電動パワーステアリングシステムの概略構成を示す模式図である。
電動パワーステアリングシステム1は、車両を操向するための操舵部材としてのステアリングホイール(ハンドル)2と、このステアリングホイール2の回転に連動して転舵輪3を転舵する転舵機構4と、ドライバの操舵を補助するための操舵補助機構5とを備えている。ステアリングホイール2と転舵機構4とは、ステアリングシャフト6および中間軸7を介して機械的に連結されている。
ステアリングシャフト6は、ステアリングホイール2に連結された入力軸8と、中間軸7に連結された出力軸9とを含む。入力軸8と出力軸9とは、トーションバー10を介して相対回転可能に連結されている。
トーションバー10の近傍には、トルクセンサ12が配置されている。トルクセンサ12は、入力軸8および出力軸9の相対回転変位量に基づいて、ステアリングホイール2に与えられた操舵トルク(トーションバートルク)Ttbを検出する。この実施形態では、トルクセンサ12によって検出される操舵トルクTtbは、例えば、左方向への操舵のためのトルクが正の値として検出され、右方向への操舵のためのトルクが負の値として検出され、その絶対値が大きいほど操舵トルクTtbの大きさが大きくなるものとする。
転舵機構4は、ピニオン軸13と、転舵軸としてのラック軸14とを含むラックアンドピニオン機構からなる。ラック軸14の各端部には、タイロッド15およびナックルアーム(図示略)を介して転舵輪3が連結されている。ピニオン軸13は、中間軸7に連結されている。ピニオン軸13は、ステアリングホイール2の操舵に連動して回転するようになっている。ピニオン軸13の先端には、ピニオン16が連結されている。
ラック軸14は、車両の左右方向に沿って直線状に延びている。ラック軸14の軸方向の中間部には、ピニオン16に噛み合うラック17が形成されている。このピニオン16およびラック17によって、ピニオン軸13の回転がラック軸14の軸方向移動に変換される。ラック軸14を軸方向に移動させることによって、転舵輪3を転舵することができる。
ステアリングホイール2が操舵(回転)されると、この回転が、ステアリングシャフト6および中間軸7を介して、ピニオン軸13に伝達される。そして、ピニオン軸13の回転は、ピニオン16およびラック17によって、ラック軸14の軸方向移動に変換される。これにより、転舵輪3が転舵される。
操舵補助機構5は、操舵補助力(アシストトルク)を発生するための電動モータ18と、電動モータ18の出力トルクを増幅して転舵機構4に伝達するための減速機19とを含む。減速機19は、ウォームギヤ20と、このウォームギヤ20と噛み合うウォームホイール21とを含むウォームギヤ機構からなる。減速機19は、伝達機構ハウジングとしてのギヤハウジング内に収容されている。
以下において、減速機19の減速比(ギヤ比)をNで表す場合がある。減速比Nは、ウォームホイール21の回転角であるウォームホイール角θwwに対するウォームギヤ20の回転角であるウォームギヤ角θwgの比θwg/θwwとして定義される。
ウォームギヤ20は、電動モータ18によって回転駆動される。また、ウォームホイール21は、出力軸9に一体回転可能に連結されている。
電動モータ18によってウォームギヤ20が回転駆動されると、ウォームホイール21が回転駆動され、ステアリングシャフト6にモータトルクが付与されるとともにステアリングシャフト6(出力軸9)が回転する。そして、ステアリングシャフト6の回転は、中間軸7を介してピニオン軸13に伝達される。ピニオン軸13の回転は、ラック軸14の軸方向移動に変換される。これにより、転舵輪3が転舵される。すなわち、電動モータ18によってウォームギヤ20を回転駆動することによって、電動モータ18による操舵補助や転舵輪3の転舵が可能となる。電動モータ18には、電動モータ18のロータの回転角を検出するための回転角センサ22が設けられている。
出力軸9に加えられるトルクとしては、電動モータ18によるモータトルクと、モータトルク以外の外乱トルクとがある。モータトルク以外の外乱トルクTlcには、操舵トルクTtb、路面負荷トルク(路面反力トルク)Trl、摩擦トルクT等が含まれる。
操舵トルクTtbは、ドライバによってステアリングホイール2に加えられる力や、ステアリング慣性によって発生する力等によって、ステアリングホイール2側から出力軸9に加えられるトルクである。
路面負荷トルクTrlは、タイヤに発生するセルフアライニングトルク、サスペンションやタイヤホイールアライメントによって発生する力、ラックアンドピニオン機構の摩擦力等によって、転舵輪3側からラック軸14を介して出力軸9に加えられるトルクである。
摩擦トルクTは、出力軸9に加えられる摩擦トルクのうち、操舵トルクTtbおよび路面負荷トルクTrlに含まれていない摩擦トルクである。
車両には、車速Vを検出するための車速センサ23、車両のヨーレイト(車両の回転速度)yrを検出するためのヨーレイトセンサ24、車両の横加速度laを検出するための横加速度センサ25およびドライバを撮影するための車内カメラ26が設けられている。この実施形態では、ヨーレイトyrおよび横加速度laは、例えば、車両が左旋回しているときのヨーレイトおよび横加速度が正の値として検出され、車両が右旋回しているときのヨーレイトおよび横加速度が負の値として検出され、その絶対値が大きいほどヨーレイトおよび横加速度の大きさが大きくなるものとする。
また、車両には、車両の進行方向前方の道路を撮影するCCD(Charge Coupled Device)カメラ27、自車位置を検出するためのGPS(Global Positioning System)28、道路形状や障害物を検出するためのレーダー29および地図情報を記憶した地図情報メモリ30が搭載されている。
車速センサ23、ヨーレイトセンサ24、横加速度センサ25、車内カメラ26、CCDカメラ27、GPS28、レーダー29および地図情報メモリ30は、運転支援制御や自動運転制御を行うための上位ECU(ECU:Electronic Control Unit)201に接続されている。上位ECU201は、CCDカメラ27、GPS28およびレーダー29によって得られる情報および地図情報を元に、周囲環境認識、自車位置推定、経路計画等を行い、操舵や駆動アクチュエータの制御目標値の決定および自動操舵のための自動操舵角指令値θadacの設定を行う。
この実施形態では、自動操舵制御は、例えば、目標軌道に沿って車両を走行させるための制御である。自動操舵角指令値θadacは、車両を目標軌道に沿って自動走行させるための操舵角の目標値である。このような自動操舵角指令値θadacを設定する処理は、周知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
また、上位ECU201は、周囲環境認識結果(例えば、周囲の歩行者、車両および路面状況の認識結果)から周囲環境の危険度eを判定する。この実施形態において、周囲環境の危険度eは、0以上1以下の値をとる。周囲環境の危険度が高いほど、eの値は大きくなる。例えば、進行方向に障害物がある場合には、危険度eは大きくなる。
また、上位ECU201は、車内カメラ26によって撮影されたドライバの画像に基づいて、ドライバの覚醒度dを判定する。本実施形態において、覚醒度dは0以上1以下の値をとる。ドライバが眠っている場合、覚醒度dは0となり、完全に目を覚ましている場合、覚醒度dは1となる。なお、上位ECU201は、他の方法によってドライバの覚醒度dを判定してもよい。
上位ECU201によって設定される自動操舵角指令値θadacならびに上位ECU201によって判定される周囲環境の危険度eおよびドライバ覚醒度dは、車載ネットワークを介して、モータ制御用ECU202に与えられる。また、車速センサ23によって検出される車速V、ヨーレイトセンサ24によって検出されるヨーレイトyrおよび横加速度センサ25によって検出される横加速度laは、上位ECU201および車載ネットワークを介して、モータ制御用ECU202に入力される。
トルクセンサ12によって検出される操舵トルクTtb、回転角センサ22の出力信号は、モータ制御用ECU202に入力される。モータ制御用ECU202は、これらの入力信号および上位ECU201から与えられる情報に基づいて、電動モータ18を制御する。
図2は、モータ制御用ECU202の電気的構成を説明するためのブロック図である。
モータ制御用ECU202は、マイクロコンピュータ40と、マイクロコンピュータ40によって制御され、電動モータ18に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)31と、電動モータ18に流れる電流(以下、「モータ電流I」という)を検出するための電流検出回路32とを備えている。
マイクロコンピュータ40は、CPUおよびメモリ(ROM、RAM、不揮発性メモリなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、手動操舵指令値生成部41と、統合角度指令値演算部42と、角度制御部(制御部)43とを含む。
手動操舵指令値生成部41は、手動操舵のための目標操舵角である手動操舵指令値θmdacを設定する。手動操舵指令値生成部41の構成および動作の詳細については、後述する。
統合角度指令値演算部42は、上位ECU201によって設定される自動操舵角指令値θadacに手動操舵指令値θmdacを加算して、統合角度指令値θacmdを演算する。
角度制御部43は、統合角度指令値θacmdに基づいて、電動モータ18を角度制御する。より具体的には、角度制御部43は、操舵角θ(出力軸9の回転角θ)が統合角度指令値θacmdに近づくように、駆動回路31を駆動制御する。
図3は、角度制御部43の構成の一例を示すブロック図である。
角度制御部43は、角度偏差演算部51と、PD制御部52と、電流指令値演算部53と、電流偏差演算部54と、PI制御部55と、PWM制御部56と、回転角演算部57と、減速比除算部58とを含む。
回転角演算部57は、回転角センサ22の出力信号に基づいて、電動モータ18のロータ回転角θを演算する。減速比除算部58は、回転角演算部57によって演算されるロータ回転角θを減速比Nで除算することにより、ロータ回転角θを出力軸9の回転角(実操舵角)θに換算する。
角度偏差演算部51は、統合角度指令値θacmdと実操舵角θとの偏差Δθ(=θacmd−θ)を演算する。PD制御部52は、角度偏差演算部51によって演算される角度偏差Δθに対してPD演算(比例微分演算)を行うことにより、電動モータ18に対するトルク指令値Tを演算する。
電流指令値演算部53は、PD制御部52によって演算されたトルク指令値Tを電動モータ18のトルク定数Kで除算することにより、モータ電流指令値Icmdを演算する。
電流偏差演算部54は、電流指令値演算部53によって得られたモータ電流指令値Icmdと電流検出回路32によって検出されたモータ電流Iとの偏差ΔI(=Icmd−I)を演算する。
PI制御部55は、電流偏差演算部54によって演算された電流偏差ΔIに対するPI演算(比例積分演算)を行うことにより、電動モータ18に流れるモータ電流Iをモータ電流指令値Icmdに導くための駆動指令値を生成する。PWM制御部56は、前記駆動指令値に対応するデューティ比のPWM制御信号を生成して、駆動回路31に供給する。これにより、駆動指令値に対応した電力が電動モータ18に供給されることになる。
次に、手動操舵指令値生成部41の構成および動作について詳しく説明する。
図4は、手動操舵指令値生成部41の構成を示すブロック図である。
手動操舵指令値生成部41は、アシストトルク指令値設定部61と、指令値設定部62とを含む。指令値設定部62は、本発明の「操舵角演算部」の一例である。また、指令値設定部62は、本発明の「手動操舵指令値生成部」の一例でもある。
アシストトルク指令値設定部61は、手動操作に必要なアシストトルクの目標値であるアシストトルク指令値Tacを設定する。アシストトルク指令値設定部61は、トルクセンサ12によって検出される操舵トルクTtbに基づいて、アシストトルク指令値Tacを設定する。操舵トルクTtbに対するアシストトルク指令値Tacの設定例は、図5に示されている。
アシストトルク指令値Tacは、電動モータ18から左方向操舵のための操舵補助力を発生させるべきときには正の値とされ、電動モータ18から右方向操舵のための操舵補助力を発生させるべきときには負の値とされる。アシストトルク指令値Tacは、操舵トルクTtbの正の値に対しては正をとり、操舵トルクTtbの負の値に対しては負をとる。そして、アシストトルク指令値Tacは、操舵トルクTtbの絶対値が大きくなるほど、その絶対値が大きくなるように設定される。
なお、アシストトルク指令値設定部61は、操舵トルクTtbに予め設定された定数を乗算することによって、アシストトルク指令値Tacを演算してもよい。
指令値設定部62は、基本的には、ドライバに起因するトルクTinに基づいて、ドライバがステアリングホイール2を操作した場合に、当該操作に応じた操舵角(出力軸9の回転角θ)を手動操舵指令値θmdacとして設定する。以下において、ドライバに起因するトルクTinを「入力トルクTin」という。この実施形態では、入力トルクTinは、トルクセンサ12によって検出される操舵トルクTtbと、アシストトルク指令値設定部61によって設定されるアシストトルク指令値Tacとの和(Ttb+Tac)である。
指令値設定部62は、さらに、車両情報、周囲環境情報およびドライバ情報の少なくとも1つも考慮して、車両状態、周囲環境およびドライバ状態に適した手動操舵指令値θmdacを設定する。
車両情報としては、例えば、車速、ヨーレイト、横加速度等を挙げることができる。この実施形態では、車両情報として、上位ECU201から与えられる車速V、ヨーレイトyrおよび横加速度laが用いられる。
周囲環境情報としては、例えば、周囲の歩行者の状況、周囲の車両の状況、周囲の路面の状況等を挙げることができる。この実施形態では、周囲環境情報として、上位ECU201から与えられる周囲環境の危険度eが用いられる。
ドライバ状態としては、例えば、ドライバの覚醒度、ドライバの運転準備状態等を挙げることができる。この実施形態では、ドライバ状態として、上位ECU201から与えられるドライバの覚醒度dが用いられる。
指令値設定部62による手動操舵指令値θmdacの設定方法には、例えば、第1方法、第2方法および第3方法がある。以下、これらの方法について説明する。
[第1方法]
第1方法においては、指令値設定部62は、図6に示されるリファレンスEPSモデルを用いて、手動操舵指令値θmdacを設定する。
図6のリファレンスEPSモデルは、ロアコラムを含む単一慣性モデルである。ロアコラムは、出力軸9およびウォームホイール21に対応する。図6において、Jは、ロアコラムの慣性であり、θは、ロアコラムの回転角であり、dθ/dtは、ロアコラムの回転速度である。ロアコラムには、操舵トルクTtb、電動モータ18から出力軸9に作用するトルクN・T(以下、「出力軸換算モータトルク」という。)および路面負荷トルク(仮想反力トルク)Trlが与えられる。このリファレンスEPSモデルにおいては、操舵トルクTtbと出力軸換算モータトルクN・Tとの和(Ttb+N・T)が、入力トルクTinとなる。
リファレンスEPSモデルの運動方程式は、次式(1)で表される。
・dθ/dt=Tin+Trl …(1)
路面負荷トルクTrlは、ばね成分Trl,kおよび粘性成分Trl,cを用いて、次式(2)で表される。
rl=−Trl,k−Trl,c …(2)
したがって、前記式(1)の運動方程式は、次式(3)で表すことができる。
・dθ/dt=Tin−Trl,k−Trl,c …(3)
ばね成分Trl,kは、次式(4)に示すように、ばね基礎成分Tbase,kを、ばね成分補正ゲインGによって補正することにより設定される。
rl,k=Tbase,k×G …(4)
ばね基礎成分Tbase,kは、例えば、kbaseを予め設定されたばね定数とすると、次式(5)で表される。
base,k=kbase・θ …(5)
この場合、ロアコラム回転角θとばね基礎成分Tbase,kとの関係は、図7に示すように線形となる。
ばね成分補正ゲインGは、例えば、次式(6)で表される。
=Gk,v・Gk,yr・Gk,la・Gk,e・Gk,d …(6)
k,v:車速Vに基づくばね成分補正ゲイン
k,yr:ヨーレイトyrに基づくばね成分補正ゲイン
k,la:横加速度laに基づくばね成分補正ゲイン
k,e:危険度eに基づくばね成分補正ゲイン
k,d:覚醒度dに基づくばね成分補正ゲイン
図8(a)は、車速Vに基づくばね成分補正ゲインGk,vの設定例を示すグラフである。車速Vが0のときは、補正ゲインGk,vは所定の最大値max(=Gk,v,max)に設定される。車速VがV1または−V1のときは、補正ゲインGk,vは所定の最小値min(=Gk,v,min)に設定される。車速Vの絶対値がV1以下の範囲では、補正ゲインGk,vは、車速Vの絶対値が大きくなるほど小さくなるように設定される。車速Vの絶対値がV1よりも大きい範囲では、補正ゲインGk,vは、車速Vの絶対値が大きくなるほど大きくなるように設定される。
これにより、車速Vの絶対値がV1以下の低速時には、車速Vの絶対値が大きくなるほどばね成分Trl,kが小さくなるように、ばね基礎成分Tbase,kを補正することが可能となる。一方、車速Vの絶対値がV1以上の中高速時には、車速Vの絶対値が大きくなるほどばね成分Trl,kが大きくなるように、ばね基礎成分Tbase,kを補正することが可能となる。
図8(b)は、ヨーレイトyrに基づくばね成分補正ゲインGk,yrおよび横加速度laに基づくばね成分補正ゲインGk,laの設定例を示すグラフである。ヨーレイトyrが0のときには、補正ゲインGk,yrは所定の最低値min(=Gk,yr,min)に設定される。補正ゲインGk,yrは、ヨーレイトyrの絶対値が大きくなるほど大きくなるように設定される。
横加速度laに基づくばね成分補正ゲインGk,laの設定例も、ヨーレイトyrに基づくばね成分補正ゲインGk,yrの設定例と同様であるので、その説明を省略する。
これにより、ヨーレイトyrまたは横加速度laの絶対値が大きいほど、ばね成分Trl,kが大きくなるように、ばね基礎成分Tbase,kを補正することが可能となる。
図8(c)は、危険度eに基づくばね成分補正ゲインGk,eの設定例を示すグラフである。危険度eが0のときには、補正ゲインGk,eは1に設定される。危険度eが1のときには、補正ゲインGk,eは所定の最大値max(=Gk,e,max)に設定される。そして、危険度eが0〜1の範囲内では、危険度eが大きくなるほど、補正ゲインGk,eは大きな値に設定される。これにより、危険度eが大きいほど、ばね成分Trl,kが大きくなるように、ばね基礎成分Tbase,kを補正することが可能となる。
図8(d)は、覚醒度dに基づくばね成分補正ゲインGk,dの設定例を示すグラフである。覚醒度dが0のときには、補正ゲインGk,dは所定の最大値max(=Gk,d,max)に設定される。覚醒度dが1のときには、補正ゲインGk,dは1に設定される。そして、覚醒度dが0〜1の範囲内では、覚醒度dが大きくなるほど、補正ゲインGk,dは小さな値に設定される。これにより、覚醒度dが小さいほど、ばね成分Trl,kが大きくなるように、ばね基礎成分Tbase,kを補正することが可能となる。
粘性成分Trl,cは、次式(7)に示すように、粘性基礎成分Tbase,cを、粘性成分補正ゲインGで補正することにより設定される。
rl,c=Tbase,c×G …(7)
粘性基礎成分Tbase,cは、cbaseを予め設定された粘性定数とすると、次式(8)で表される。
base,c=−cbase・dθ/dt …(8)
この場合、ロアコラム回転速度dθ/dtと粘性基礎成分Tbase,cとの関係は、図9に示すように線形となる。
粘性成分補正ゲインGは、例えば、次式(9)で表される。
=Gc,v・Gc,yr・Gc,la・Gc,e・Gc,d …(9)
c,v:車速Vに基づく粘性成分補正ゲイン
c,yr:ヨーレイトyrに基づく粘性成分補正ゲイン
c,la:横加速度laに基づく粘性成分補正ゲイン
c,e:危険度eに基づく粘性成分補正ゲイン
c,d:覚醒度dに基づく粘性成分補正ゲイン
図10(a)は、車速Vに基づく粘性成分補正ゲインGc,vの設定例を示すグラフである。車速Vが0のときは、補正ゲインGc,vは所定の最大値max(=Gc,v,max)に設定される。補正ゲインGc,vは、車速Vの絶対値が大きくなるほど小さくなるように設定される。これにより、車速Vの絶対値が大きくなるほど、粘性成分Trl,cが小さくなるように、粘性基礎成分Tbase,cを補正することが可能となる。
図10(b)は、ヨーレイトyrに基づく粘性成分補正ゲインGc,yrおよび横加速度laに基づく粘性成分補正ゲインGc,laの設定例を示すグラフである。ヨーレイトyrが0のときには、補正ゲインGc,yrは所定の最小値min(=Gk,la,min)に設定される。補正ゲインGc,yrは、ヨーレイトyrの絶対値が大きくなるほど大きくなるように設定される。
横加速度laに基づく粘性成分補正ゲインGc,laの設定例も、ヨーレイトyrに基づく粘性成分補正ゲインGc,yrの設定例と同様であるので、その説明を省略する。
これにより、ヨーレイトyrまたは横加速度laの絶対値が大きいほど、粘性成分Trl,cが大きくなるように、粘性基礎成分Tbase,cを補正することが可能となる。
図10(c)は、危険度eに基づく粘性成分補正ゲインGc,eの設定例を示すグラフである。危険度eが0のときには、補正ゲインGc,eは1に設定される。危険度eが1のときには、補正ゲインGc,eは所定の最大値max(=Gc,e,max)に設定される。そして、危険度eが0〜1の範囲内では、危険度eが大きくなるほど、補正ゲインGc,eは大きな値に設定される。これにより、危険度eが大きいほど、粘性成分Trl,cが大きくなるように、粘性基礎成分Tbase,cを補正することが可能となる。
図10(d)は、覚醒度dに基づく粘性成分補正ゲインGc,dの設定例を示すグラフである。覚醒度dが0のときには、補正ゲインGc,dは所定の最大値max(=Gc,d,max)に設定される。覚醒度dが1のときには、補正ゲインGc,dは1に設定される。そして、覚醒度dが0〜1の範囲内では、覚醒度dが大きくなるほど、補正ゲインGc,dは小さな値に設定される。これにより、覚醒度dが小さいほど、粘性成分Trl,cが大きくなるように、粘性基礎成分Tbase,cを補正することが可能となる。
前記式(4)〜(9)から、前記式(3)の運動方程式は、次式(10)で表される。
・dθ/dt=(Ttb+N・T)−{(kbase・θ)・Gk,v・Gk,yr・Gk,la・Gk,e・Gk,d}−{(cbase・dθ/dt)・Gc,v・Gc,yr・Gc,la・Gc,e・Gc,d} …(10)
指令値設定部62は、前記式(10)のTtbにトルクセンサ12によって検出される操舵トルクTtbを代入し、前記式(10)のN・Tにアシストトルク指令値設定部61によって設定されるアシストトルク指令値Tacを代入して、前記式(10)の微分方程式を解くことにより、ロアコラムの回転角θを演算する。そして、指令値設定部62は、得られたロアコラムの回転角θを手動操舵指令値θmdacとして設定する。
第1方法では、前記式(4)のばね基礎成分Tbase,kとしては、図7に示すように、コラム回転角度θに対して線形に変化するばね基礎成分Tbase,kが用いられている(前記式(5)参照)。しかし、ばね基礎成分Tbase,kとしては、図11に示すように、コラム回転角度θに対して非線形に変化するばね基礎成分Tbase,kを用いてもよい。この場合、ばね定数を、コラム回転角度θの関数F(θ)で表すと、ばね基礎成分Tbase,kは、次式(11)で表される。
base,k=F(θ)・θ …(11)
この場合、前記式(10)におけるkbaseは、F(θ)に置き換えられる。この場合には、ばね基礎成分Tbase,k(=F(θ)・θ)としては、コラム回転角度θの前回値θc(n―1)に対応するばね基礎成分Tbase,kを、今回のばね基礎成分Tbase,kとして用いることができる。
また、第1方法では、前記式(7)の粘性基礎成分Tbase,cとしては、図9に示すように、コラム回転速度dθ/dtに対して線形に変化する粘性基礎成分Tbase,cが用いられている(前記式(8)参照)。しかし、粘性基礎成分Tbase,cとしては、図12に示すように、コラム回転速度dθ/dtに対して非線形に変化する粘性基礎成分Tbase,cを用いてもよい。この場合、粘性定数を、コラム回転速度dθ/dtの関数F(dθ/dt)で表すと、粘性基礎成分Tbase,cは、次式(12)で表される。
base,c=F(dθ/dt)・dθ/dt …(12)
この場合、前記式(10)におけるcbaseは、F(dθ/dt)に置き換えられる。この場合には、粘性基礎成分Tbase,c(=F(dθ/dt)・dθ/dt)としては、コラム回転速度dθ/dtの前回値dθ/dt(n―1)に対応する粘性基礎成分Tbase,cを、今回の粘性基礎成分Tbase,cとして用いることができる。
また、第1方法では、ばね成分補正ゲインGは、Gk,v、Gk,yr、Gk,la、Gk,eおよびGk,dの5種類の補正ゲインに基づいて設定されている。しかし、ばね成分補正ゲインGは、これらの5種類の補正ゲインから任意に選択された1つまたは2以上の任意の組み合わせに基づいて設定されてもよい。
例えば、ばね成分補正ゲインGは、次式(13)または(14)に基づいて設定されてもよい。
=Gk,v・Gk,yr・Gk,e …(13)
=Gk,v・Gk,la・Gk,d …(14)
また、粘性成分補正ゲインGは、Gc,v、Gc,yr、Gc,la、Gc,eおよびGc,dの5種類の補正ゲインに基づいて設定されている。しかし、粘性成分補正ゲインGは、これらの5種類の補正ゲインから任意に選択された1つまたは2以上の任意の組み合わせに基づいて設定されてもよい。
例えば、粘性成分補正ゲインGは、次式(15)または(16)に基づいて設定されてもよい。
=Gc,v・Gck,yr・Gc,e …(15)
=Gc,v・Gc,la・Gck,d …(16)
[第2方法]
第2方法においても、指令値設定部62は、図6に示されるリファレンスEPSモデルを用いて、手動操舵指令値θmdacを設定する。第2方法においても、リファレンスEPSモデルの運動方程式は、前記式(3)によって表される。
しかし、第2方法では、前記式(3)の右辺のばね成分Trl,kは、次式(17)に示すように、ばね基礎成分Tbase,kを、ばね成分補正トルクTで補正することによって設定される。また、前記式(3)の右辺の粘性成分Trl,cは、次式(18)に示すように、粘性基礎成分Tbase,cを、粘性成分補正トルクTで補正することによって、設定される。
rl,k=Tbase,k+T …(17)
rl,c=Tbase,c+T …(18)
base,kおよびTbase,cは、それぞれ前記式(5)および前記式(8)で表される。
前記式(17)のばね成分補正トルクTは、例えば、次式(19)で表され、前記式(18)の粘性成分補正トルクTは、例えば、次式(20)で表される。
=k・θ+kyr・θ+kla・θ+k・θ+k・θ
…(19)
=c・dθ/dt+cyr・dθ/dt+cla・dθ/dt+c・dθ/dt+c・dθ/dt …(20)
前記式(19)において、kは車速Vに基づくばね定数、kyrはヨーレイトyrに基づくばね定数、klaは横加速度laに基づくばね定数、kは危険度eに基づくばね定数、kは覚醒度dに基づくばね定数である。前記式(20)において、cは車速Vに基づく粘性定数、cyrはヨーレイトyrに基づく粘性定数、claは横加速度laに基づく粘性定数、cは危険度eに基づく粘性定数、cは覚醒度dに基づく粘性定数である。
図13(a)は、車速Vに基づくばね定数kの設定例を示すグラフである。車速Vが0のときは、ばね定数kは所定の最大値max(=kv,max)に設定される。車速VがV2または−V2のときには、ばね定数kは、所定の最小値min(=kv,min)に設定される。車速Vの絶対値がV2以下の範囲では、ばね定数kは、車速Vの絶対値が大きくなるにしたがって小さくなるように設定される。車速Vの絶対値がV1よりも大きい範囲では、ばね定数kは、車速Vの絶対値が大きくなるにしたがって大きくなるように設定される。
これにより、車速Vの絶対値がV1以下の低速時には、車速Vの絶対値が大きくなるほどばね成分Trl,kが小さくなるように、ばね基礎成分Tbase,kを補正することが可能となる。一方、車速Vの絶対値がV1以上の中高速時には、車速Vの絶対値が大きくなるほどばね成分Trl,kが大きくなるように、ばね基礎成分Tbase,kを補正することが可能となる。
図13(b)は、ヨーレイトyrに基づくばね定数kyrおよび横加速度laに基づくばね定数klaの設定例を示すグラフである。ヨーレイトyrが0のときには、ばね定数kyrは0に設定される。ばね定数kyrは、ヨーレイトyrの絶対値が大きくなるほど大きくなるように設定される。
横加速度laに基づくばね定数klaの設定例も、ヨーレイトyrに基づくばね定数kyrの設定例と同様であるので、その説明を省略する。
これにより、ヨーレイトyrまたは横加速度laの絶対値が大きいほど、ばね成分Trl,kが大きくなるように、ばね基礎成分Tbase,kを補正することが可能となる。
図13(c)は、危険度eに基づくばね係数kの設定例を示すグラフである。危険度eが0のときには、ばね係数kは0に設定される。危険度eが1のときには、ばね係数kは所定の最大値max(=ke,max)に設定される。そして、危険度eが0〜1の範囲内では、危険度eが大きくなるほど、ばね係数kは大きな値に設定される。これにより、危険度eが大きいほど、ばね成分Trl,kが大きくなるように、ばね基礎成分Tbase,kを補正することが可能となる。
図13(d)は、覚醒度dに基づくばね係数kの設定例を示すグラフである。覚醒度dが0のときには、ばね係数kは所定の最大値max(=kd,max)に設定される。覚醒度dが1のときには、ばね係数kは0に設定される。そして、覚醒度dが0〜1の範囲内では、覚醒度dが大きくなるほど、ばね係数kは小さな値に設定される。これにより、覚醒度dが小さいほど、ばね成分Trl,kが大きくなるように、ばね基礎成分Tbase,kを補正することが可能となる。
図14(a)は、車速Vに基づく粘性係数cの設定例を示すグラフである。車速Vが0のときは、粘性係数cは所定の最大値max(=cv,max)に設定される。、粘性係数cは、車速Vの絶対値が大きくなるほど小さくなるように設定される。これにより、車速Vが大きくなるほど、粘性成分Trl,cが小さくなるように、粘性基礎成分Tbase,cを補正することが可能となる。
図14(b)は、ヨーレイトyrに基づく粘性係数cyrおよび横加速度laに基づく粘性係数claの設定例を示すグラフである。ヨーレイトyrが0のときには、粘性係数cyrは0に設定される。粘性係数cyrは、ヨーレイトyrの絶対値が大きくなるほど大きくなるように設定される。
横加速度laに基づく粘性係数claの設定例も、ヨーレイトyrに基づく粘性係数cyrの設定例と同様であるので、その説明を省略する。
これにより、ヨーレイトyrまたは横加速度laの絶対値が大きいほど、粘性成分Trl,cが大きくなるように、粘性基礎成分Tbase,cを補正することが可能となる。
図14(c)は、危険度eに基づく粘性係数cの設定例を示すグラフである。危険度eが0のときには、粘性係数cは0に設定される。危険度eが1ときには、粘性係数cは所定の最大値max(=ce,max)に設定される。そして、危険度eが0〜1の範囲内では、危険度eが大きくなるほど、粘性係数cは大きな値に設定される。これにより、危険度eが大きいほど、粘性成分Trl,cが大きくなるように、粘性基礎成分Tbase,cを補正することが可能となる。
図14(d)は、覚醒度dに基づく粘性係数cの設定例を示すグラフである。覚醒度dが0のときには、粘性係数cは所定の最大値max(=cd,max)に設定される。覚醒度dが1のときには、粘性係数cは0に設定される。そして、覚醒度dが0〜1の範囲内では、覚醒度dが大きくなるほど、粘性係数cは小さな値に設定される。これにより、覚醒度dが小さいほど、粘性成分Trl,cが大きくなるように、粘性基礎成分Tbase,cを補正することが可能となる。
前記式(5),(8),(17)〜(20)から、前記式(3)の運動方程式は、次式(21)で表される。
・dθ/dt=(Ttb+N・T)−{(kbase+k+kyr+kla+k+k)・θ)}−{(cbase+c+cyr+cla+c+c)・dθ/dt} …(21)
指令値設定部62は、前記式(21)のTtbにトルクセンサ12によって検出される操舵トルクTtbを代入し、前記式(21)のN・Tにアシストトルク指令値設定部61によって設定されるアシストトルク指令値Tacを代入して、前記式(21)の微分方程式を解くことにより、ロアコラムの回転角θを演算する。そして、指令値設定部62は、得られたロアコラムの回転角θを手動操舵指令値θmdacとして設定する。
第2方法では、前記式(17)のばね基礎成分Tbase,kとしては、図7に示すように、コラム回転角度θに対して線形に変化するばね基礎成分Tbase,kが用いられているが、図11に示すように、コラム回転角度θに対して非線形に変化するばね基礎成分Tbase,kを用いてもよい。この場合、ばね定数を、コラム回転角度θの関数F(θ)で表すと、ばね基礎成分Tbase,kは、前記式(11)で表される。この場合、前記式(21)のkbaseは、F(θ)で置き換えられる。
また、第2方法では、前記式(18)の粘性基礎成分Tbase,cとしては、図9に示すように、コラム回転速度dθ/dtに対して線形に変化する粘性基礎成分Tbase,cが用いられているが、図12に示すように、コラム回転速度dθ/dtに対して非線形に変化する粘性基礎成分Tbase,cを用いてもよい。この場合、粘性定数を、コラム回転速度dθ/dtの関数F(dθ/dt)で表すと、粘性基礎成分Tbase,cは、前記式(12)で表される。この場合、前記式(21)のcbaseは、F(dθ/dt)で置き換えられる。
また、第2方法では、ばね成分補正トルクTは、k・θ、kyr・θ、kla・θ、k・θおよびk・θの5種類の補正トルクに基づいて設定されている。しかし、ばね成分補正トルクTは、これらの5種類の補正トルクから任意に選択された1つまたは2以上の任意の組み合わせに基づいて設定されてもよい。
例えば、ばね成分補正トルクTは、次式(22)または(23)に基づいて設定されてもよい。
=k・θ+kyr・θ+k・θ …(22)
=k・θ+kla・θ+k・θ …(23)
また、粘性成分補正トルクTは、c・dθ/dt、cyr・dθ/dt、cla・dθ/dt、c・dθ/dtおよびc・dθ/dtの5種類の補正トルクに基づいて設定されている。しかし、粘性成分補正トルクTは、これらの5種類の補正トルクから任意に選択された1つまたは2以上の任意の組み合わせに基づいて設定されてもよい。
例えば、粘性成分補正トルクTは、次式(24)または(25)に基づいて設定されてもよい。
=c・dθ/dt+cyr・dθ/dt+c・dθ/dt …(24)
=c・dθ/dt+cla・dθ/dt+c・dθ/dt …(25)
[第3方法]
第3方法では、指令値設定部62は、次式(26)に基づいて、手動操舵指令値θmdacを設定する。
θmdac=G・θmdac,base …(26)
式(26)において、θmdac,baseは、入力トルクTin(=Ttb+Tac)に応じて設定される手動操舵基本指令値である。入力トルクTinに対する手動操舵基本指令値θmdac,baseの設定例は、図15に示されている。手動操舵基本指令値θmdac,baseは、入力トルクTinの値に対しては正をとり、入力トルクTinの負の値に対しては負をとる。そして、手動操舵基本指令値θmdac,baseは、入力トルクTinの絶対値が大きくなるほど、その絶対値が大きくなるように設定される。θmdac,baseは、予め設定されたマップまたは関数F(Tin)に基づいて演算される。
前記式(26)において、Gは、手動操舵基本指令値θmdac,baseを補正するための補正ゲインであり、例えば、次式(27)で表される。
G=G・Gyr・Gla・G・G …(27)
:車速Vに基づく補正ゲイン
yr:ヨーレイトyrに基づく補正ゲイン
la:横加速度laに基づく補正ゲイン
:危険度eに基づく補正ゲイン
:覚醒度dに基づく補正ゲイン
図16(a)は、車速Vに基づく補正ゲインGの設定例を示すグラフである。車速Vが零のときは、補正ゲインGは所定の最小値min(=Gv,min)に設定される。車速VがV3または−V3のときは、補正ゲインGは所定の最大値max(=Gv,max)に設定される。車速Vの絶対値がV3以下の範囲では、補正ゲインGは、車速Vの絶対値が大きくなるほど大きくなるように設定される。車速Vの絶対値がV3よりも大きい範囲では、補正ゲインGは、車速Vの絶対値が大きくなるほど小さくなるように設定される。
これにより、車速VがV3以下の低速時には、車速Vの絶対値が大きくなるほど手動操舵指令値θmdacが大きくなるように、手動操舵基本指令値θmdac,baseを補正することが可能となる。一方、車速Vの絶対値がV3以上の中高速時には、車速Vの絶対値が大きくなるほど手動操舵指令値θmdacが小さくなるように、手動操舵基本指令値θmdac,baseを補正することが可能となる。
図16(b)は、ヨーレイトyrに基づく補正ゲインGyrおよび横加速度laに基づく補正ゲインGlaの設定例を示すグラフである。ヨーレイトyrが0のときには、補正ゲインGyrは所定の最大値max(=Gyr,max)に設定される。補正ゲインGyrは、ヨーレイトyrの絶対値が大きくなるほど、小さくなるように設定される。
横加速度laに基づく補正ゲインGlaの設定例も、ヨーレイトyrに基づく補正ゲインGyrの設定例と同様であるので、その説明を省略する。
これにより、ヨーレイトyrまたは横加速度laの絶対値が大きいほど、手動操舵指令値θmdacが小さくなるように、手動操舵基本指令値θmdac,baseを補正することが可能となる。
図16(c)は、危険度eに基づく補正ゲインGの設定例を示すグラフである。危険度eが0のときには、補正ゲインGは所定の最大値max(=Ge,max)に設定される。危険度eが1のときには、補正ゲインGは0に設定される。そして、危険度eが0〜1の範囲内では、危険度eが大きくなるほど、補正ゲインGは小さな値に設定される。これにより、危険度eが大きいほど、手動操舵指令値θmdacが小さくなるように、手動操舵基本指令値θmdac,baseを補正することが可能となる。
図16(d)は、覚醒度dに基づく補正ゲインGの設定例を示すグラフである。覚醒度dが0のときには、補正ゲインGは0に設定される。覚醒度dが1のときには、補正ゲインGは所定の最大値max(=Gd,max)に設定される。そして、覚醒度dが0〜1の範囲内では、覚醒度dが大きくなるほど、補正ゲインGは大きな値に設定される。これにより、覚醒度dが小さいほど、手動操舵指令値θmdacが小さくなるように、手動操舵基本指令値θmdac,baseを補正することが可能となる。
第3方法では、補正ゲインGは、G、Gyr、Gla、GおよびGの5種類の補正ゲインに基づいて設定されている。しかし、補正ゲインGは、これらの5種類の補正ゲインから任意に選択された1つまたは2以上の任意の組み合わせに基づいて設定されてもよい。
例えば、補正ゲインGは、次式(28)または(29)に基づいて演算されてもよい。
G=G・Gyr・G …(28)
G=G・Gla・G …(29)
第1実施形態では、自動操舵角指令値θadacに手動操舵指令値θmdacが加算されて、統合角度指令値θacmdが演算され、この統合角度指令値θacmdに基づいて電動モータ18が制御される。これにより、手動操舵制御と自動操舵制御との間で切り替えを行うことなく、自動操舵制御主体での操舵制御を行いながら手動操舵が可能な協調制御を実現できる。また、手動操舵制御と自動操舵制御との間での移行をシームレスに行うことができるので、手動操舵を行う際にドライバに違和感を与えない。
また、第1実施形態では、手動操舵指令値θmdacを、ドライバに起因するトルク(入力トルクTin)だけではなく、車両情報、周囲環境情報およびドライバ情報をも用いて演算している。これにより、入力トルクTinのみならず車両状態、周囲環境状況およびドライバ状態に適した手動操舵指令値θmdacを演算することができる。これにより、手動操舵指令値θmdacを入力トルクTinのみに基づいて演算する場合に比べて、より安全でかつより違和感のない操舵を実現することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る電動パワーステアリングシステムについて説明する。第2実施形態に係る電動パワーステアリングシステムの全体構成は、図1に示す第1実施形態に係る電動パワーステアリングシステムの全体構成と同様である。第2実施形態では、第1実施形態に比べて、モータ制御用ECUの構成が異なっている。
図17は、第2実施形態におけるモータ制御用ECU202の電気的構成を説明するためのブロック図である。
モータ制御用ECU202は、マイクロコンピュータ70と、マイクロコンピュータ70によって制御され、電動モータ18に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)31と、電動モータ18に流れる電流(以下、「モータ電流I」という)を検出するための電流検出回路32とを備えている。
マイクロコンピュータ70は、CPUおよびメモリ(ROM、RAM、不揮発性メモリなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、アシスト制御部71と、自動操舵制御部72と、統合トルク演算部(統合制御量演算部)73と、トルク制御部(制御部)74と、実操舵角演算部75と、実自動操舵角演算部76とを含む。
アシスト制御部71は、手動操舵に必要なアシストトルクの目標値であるアシストトルク指令値(アシスト制御量)Tacを設定する。アシスト制御部71は、トルクセンサ12によって検出される操舵トルクTtbに基づいて、アシストトルク指令値Tacを設定する。操舵トルクTtbに対するアシストトルク指令値Tacの設定例は、前述した図5の操舵トルクTtbに対するアシストトルク指令値Tacの設定例と同様なので、その説明を省略する。
自動操舵制御部72は、角度偏差演算部72AとPD制御部72Bとを備えている。角度偏差演算部72Aは、上位ECU201から与えられる自動操舵角指令値θadacと実自動操舵角演算部76から与えられる実自動操舵角θadとの偏差Δθ(=θadac−θad)を演算する。PD制御部72Bは、角度偏差Δθに対してPD演算(比例微分演算)を行うことにより、自動操舵に必要な自動操舵トルク指令値(自動操舵制御量)Tadを設定する。
統合トルク演算部73は、アシストトルク指令値Tacに自動操舵トルク指令値Tadを加算することによって、統合トルク指令値(統合制御量)Tを演算する。
トルク制御部74は、トルク(電流)フィードバック制御により、電動モータ18のモータトルクが統合トルク指令値Tに近づくように駆動回路31を駆動する。
実操舵角演算部75は、回転角センサ22の出力信号に基づいて、出力軸9の回転角θを演算する。具体的には、実操舵角演算部75は、回転角演算部75Aと減速比除算部75Bとを含む。回転角演算部75Aは、回転角センサ22の出力信号に基づいて、電動モータ18のロータ回転角θを演算する。減速比除算部75Bは、回転角演算部45Aによって演算されるロータ回転角θを減速機19の減速比Nで除算することにより、ロータ回転角θを出力軸9の回転角(実操舵角)θに換算する。
実操舵角θは、操舵トルクTtbおよびアシストトルク指令値Tacに基づく手動操舵分の操舵角(以下、実手動操舵角θmdという)と、自動操舵トルク指令値Tadに基づく自動操舵分の操舵角(以下、実自動操舵角θadという)とを含んでいる。
実自動操舵角演算部76は、操舵トルクTtbとアシストトルク指令値Tacと実操舵角θとに基づいて、実自動操舵角θadを演算する。具体的には、実自動操舵角演算部76は、実手動操舵角演算部76Aと減算部76Bとを含む。
実手動操舵角演算部76Aは、ドライバに起因するトルク(入力トルク)Tin、車両情報、周囲環境情報およびドライバ情報に基づいて、実手動操舵角θmdを演算する。この実施形態では、入力トルクTinは、トルクセンサ12によって検出される操舵トルクTtbと、アシスト制御部71によって設定されるアシストトルク指令値Tacとの和(Ttb+Tac)である。
この実施形態では、車両情報として、上位ECU201から与えられる車速V、ヨーレイトyrおよび横加速度laが用いられる。この実施形態では、周囲環境情報として、上位ECU201から与えられる周囲環境の危険度eが用いられる。この実施形態では、ドライバ状態として、上位ECU201から与えられるドライバの覚醒度dが用いられる。
実手動操舵角演算部76Aは、第1実施形態における指令値設定部62(図4参照)による手動操舵指令値θmdacの演算方法と、同様な方法(第1方法、第2方法または第3方法)によって、実手動操舵角θmdを演算する。言い換えれば、実手動操舵角演算部76Aは、第1実施形態における指令値設定部62によって演算される手動操舵指令値θmdacを、実手動操舵角θmdとして演算すればよい。
この際、前述の第1方法、第2方法および第3方法で使用される手動操舵指令値θmdacは、実手動操舵角θmdに置き換えられる。また、前述の第3方法で使用される手動操舵基本指令値θmdac,baseは、実手動基本操舵角θmd,baseに置き換えられる。実手動操舵角演算部76Aは、本発明の「操舵角演算部」の一例である。
減算部76Bは、実操舵角演算部75によって演算される実操舵角θから実手動操舵角演算部76Aによって演算される実手動操舵角θmdを減算することによって、実自動操舵角θadを演算する。この実自動操舵角θadが、自動操舵制御部72に与えられる。
第2実施形態では、実自動操舵角演算部76によって、実操舵角θに含まれる自動操舵制御による操舵角である実自動操舵角θadが演算される。自動操舵トルク指令値Tad(自動操舵制御量)を設定する際に用いられる実自動操舵角θadに手動操舵に基づく操舵角(手動操舵およびアシスト制御による操舵角)が含まれていないので、自動操舵制御中に手動操舵が行われる場合であっても、適正な自動操舵制御量が設定され、適切な自動操舵制御を行うことができる。
また、自動操舵トルク指令値Tadに目標アシストトルク指令値Tacを加算して演算された統合トルク指令値Tに基づいて電動モータ18を制御することにより、自動操舵制御主体での操舵制御を行いながら手動操舵に応じたアシスト制御を実現できる。これにより、自動操舵制御と、手動操舵に応じたアシスト制御御との共存が可能となり、双方間での移行をシームレスに行うことができる。
また、第2実施形態では、実手動操舵角θmdを、ドライバに起因するトルク(入力トルクTin)だけではなく、車両情報、周囲環境情報およびドライバ情報をも用いて演算している。これにより、入力トルクTinのみならず車両状態、周囲環境状況およびドライバ状態に適した実手動操舵角θmdを演算することができる。これにより、実手動操舵角θmdを入力トルクTinのみに基づいて演算する場合に比べて、より安全でかつより違和感のない操舵を実現することができる。
以上、この発明の第1および第2実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。前述の第1および第2実施形態では、入力トルクTinとして、トルクセンサ12によって検出される操舵トルクTtbと、アシストトルク指令値設定部61(またはアシスト制御部71)によって設定されるアシストトルク指令値Tacとの和(Ttb+Tac)が用いられている。しかし、入力トルクTinとして、操舵トルクTtbおよびアシストトルク指令値Tacのうちのいずれか一方のみを用いてもよい。
その他、この発明は、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1…電動パワーステアリングシステム、18…電動モータ、41…手動操舵指令値生成部、42…統合角度指令値演算部、43…角度制御部、61…アシストトルク指令値設定部、62…指令値設定部、71…アシスト制御部、72…自動操舵制御部、73…統合トルク演算部(統合制御量演算部)、74…トルク制御部、75…実操舵角演算部、76…実自動操舵角演算部、76A…実手動操舵角演算部、76B…減算部

Claims (7)

  1. ドライバに起因するトルクと、
    車両情報、周囲環境情報およびドライバ情報の少なくとも1つと、に基づいて操舵角を演算する操舵角演算部を備えている、操舵角演算装置。
  2. 前記操舵角演算部は、運動方程式に基づいて前記操舵角を演算するように構成されており、
    前記運動方程式は、前記ドライバに起因するトルクおよび路面負荷トルクを用いて前記操舵角を演算するための運動方程式であり、
    前記路面負荷トルクは、車両情報、道路情報およびドライバ情報の少なくとも1つに基づいて設定される、請求項1に記載の操舵角演算装置。
  3. 前記運動方程式は、前記路面負荷トルクを生成するためのばね成分および粘性成分を含み、
    前記ばね成分は、ばね基礎成分を、車両情報、周囲環境情報およびドライバ情報の少なくとも1つに基づいて補正することにより設定され、
    前記粘性成分は、粘性基礎成分を、車両情報、周囲環境情報およびドライバ情報の少なくとも1つに基づいて補正することにより設定される、請求項2に記載の操舵角演算装置。
  4. 前記ばね基礎成分は、操舵角に対して所定のばね定数によって定まる線形特性を有しており、
    前記粘性基礎成分は、操舵速度に対し所定の粘性定数によって定まる線形特性を有している、請求項3に記載の操舵角演算装置。
  5. 前記操舵角演算部は、ドライバに起因するトルクに応じて設定される基本操舵角を、車両情報、周囲環境情報およびドライバ情報の少なくとも1つに基づいて補正することによって、前記操舵角を設定する、請求項1に記載の操舵角演算装置。
  6. 舵角制御用の電動モータを駆動制御するためのモータ制御装置であって、
    手動操舵指令値を生成する手動操舵指令値生成部と、
    自動操舵角指令値に前記手動操舵指令値を加算して、統合角度指令値を演算する統合角度指令値演算部と、
    前記統合角度指令値に基づいて、前記電動モータを角度制御する制御部とを含み、
    前記手動操舵指令値生成部は、前記請求項1〜5のいずれか一項に記載の操舵角演算装置によって演算される操舵角を、前記手動操舵指令値として生成するように構成されている、モータ制御装置。
  7. 操舵トルクを検出するためのトルク検出器と、
    実操舵角を検出するための操舵角検出器と、
    自動操舵制御量を設定する自動操舵制御部と、
    前記操舵トルクを用いてアシスト制御量を設定するアシスト制御部と、
    前記自動操舵制御量と前記アシスト制御量とを加算することによって、統合制御量を演算する統合制御量演算部と、
    前記統合制御量に基づいて舵角制御用の電動モータをトルク制御する制御部と、を含むモータ制御装置であって、
    前記実操舵角に含まれている、手動操舵およびアシスト制御による操舵角である実手動操舵角を演算する実手動操舵角演算部と、
    前記実操舵角から前記実手動操舵角を減算することによって実自動操舵角を演算する減算部とをさらに含み、
    前記自動操舵制御部は、自動操舵角指令値および前記実自動操舵角を用いて前記自動操舵制御量を設定するように構成され、
    前記実手動操舵角演算部は、前記請求項1〜5のいずれか一項に記載の操舵角演算装置によって演算される操舵角を、前記実手動操舵角として生成するように構成されている、モータ制御装置。
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