JP2020536058A - 筋ジストロフィーを処置するための併用療法 - Google Patents

筋ジストロフィーを処置するための併用療法 Download PDF

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Abstract

本開示は、エクソンスキッピングを誘導するアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび非ステロイド系抗炎症性化合物を投与することによって、デュシェンヌ型筋ジストロフィーを処置する方法に関する。一態様では、本開示は、エクソン45のスキッピングに適したデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)遺伝子の変異を有する、DMDを処置することを必要とする患者において、DMDを処置する方法であって、患者に有効量のカシメルセンおよび有効量の非ステロイド系抗炎症性化合物を投与し、これによりDMDを有する患者を処置することを含む、方法を対象とする。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2017年9月28日出願の米国仮出願第62/565,025号および2018年9月27日出願の米国仮出願第62/737,757号に対する優先権を主張し、これらの出願はそれらの全体が参照により本明細書にそれぞれ組み込まれている。
本開示は、筋ジストロフィーの分野、特に、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を処置する方法、およびその欠如がDMDの臨床症状に関連するタンパク質であるジストロフィンの産生を誘導する方法に関する。
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、重篤であり、次第に衰弱し、最後には、死に至る遺伝性X連鎖神経筋疾患である。DMDは、mRNA読み枠を中断する、機能的ジストロフィンタンパク質が存在しないか、またはほとんど存在しないことを特徴とするジストロフィン遺伝子における変異により引き起こされ、筋線維の細胞骨格アクチンを細胞外基質に結合させるタンパク質複合体の非常に重要な部分であるジストロフィンの欠如がもたらされる。ジストロフィンの非存在下では、DMDを有する患者は、予測可能な疾患経路をたどる。通常は男児である罹患患者は、生涯の最初の数年で筋力低下を発症し、小児期に歩行能力を失い、通常、十代後半までに、呼吸補助を必要とする。機能的能力の喪失により自立が失われ、介護者の負荷が増大する。これらの能力は、一旦失われると、回復することはできない。グルココルチコイドの使用などの標準治療の改善があるにもかかわらず、DMDは、結局、依然として致死性疾患のままであり、患者は、通常、20代中盤から後半に、呼吸器不全または心不全が原因で死亡する。
DMDにおける筋組織および機能の進行性喪失は、筋細胞の構造および機能において、生命維持に重要な役割を果たすタンパク質である、機能的ジストロフィンが存在しない、またはほとんど存在しないことにより引き起こされる。DMDの処置に対する治療アプローチの可能性が、より軽症のジストロフィン異常症であるベッカー型筋ジストロフィー(BMD)によって示唆されている。どちらのジストロフィン異常症も、DMD遺伝子における変異によって引き起こされる。DMDでは、「アウトオブフレーム」変異と呼ばれる、プレmRNA読み枠を中断する変異により、機能的ジストロフィンの産生が阻止される。BMDでは「インフレーム」変異は読み枠を中断せず、内部で短縮された機能的ジストロフィンタンパク質の産生をもたらす。
これらの「アウトオブフレーム」変異を回復するための重要なアプローチは、アンチセンスオリゴヌクレオチドを利用して、DMD遺伝子(ジストロフィン遺伝子)の分子変異を排除するか、またはスキッピングすることである。DMDまたはジストロフィン遺伝子は、ヒト身体における最大の遺伝子の1つであり、79のエクソンからなる。アンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)は、プレmRNAの特定の領域、通常、エクソンを標的にして、DMD遺伝子の変異のスキッピングを誘導するよう特異的に設計されており、これにより、これらのアウトオブフレーム変異をインフレームに回復させて、内部で短縮されているが依然として機能的なジストロフィンタンパク質の産生が可能になる。
ジストロフィン遺伝子におけるエクソン45のスキッピングは、すべてのDMD変異の8%を占める、この疾患領域における最も高頻度に見られる一群の変異であるので、ある特定の研究グループにとって目的の領域になっている。エクソン45のスキッピングに適したDMD患者のためのSarepta Therapeutics,Inc.によって開発されている優れたAONは、カシメルセンである。カシメルセンは、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマーすなわちPMOである。
Exondys51(登録商標)(エテプリルセン)は、エクソン51のスキッピングに適したデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)遺伝子の変異が確認された患者における、DMDの処置のため米国食品医薬品局(FDA)により2016年に承認された別のPMOである。しかし、エクソン51スキッピングに適しない患者におけるDMDの処置のための現在の標準治療ガイドラインは、待機的介入と併せてグルココルチコイドの投与を含む。グルココルチコイドは、歩行能力(ambulation)の喪失を遅延させることがあるが、症状を改善する、根本的な遺伝的欠損を改変する、またはDMDに特徴的な機能的ジストロフィンがないことに対処するには十分ではない。
これまでの研究は、DMD患者における炎症を低減するためのステロイドと組み合わせた、少なくとも部分的に機能的なジストロフィンを産生させるためのエクソンスキッピングのためのアンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)の有効性を試験した(その内容が、すべての目的のため、参照により本明細書に組み込まれている、WO2009/054725およびvan Deutekom, et al., N. Engl. J. Med. 2007; 357:2677-86を参照されたい)。しかし、ステロイドによる処置は、免疫系の障害(compromise)、骨強度の低下および成長抑制を含めた、重篤な合併症をもたらす恐れがある。留意すべきことに、これまでの研究のいずれも、DMDの処置のために、非ステロイド系抗炎症性化合物と共にエクソンスキッピングのためアンチセンスオリゴヌクレオチドを患者に投与することを示唆していない。
国際公開第2009/054725号
van Deutekom, et al., N. Engl. J. Med. 2007; 357:2677-86
したがって、患者におけるDMDおよびBMDなどの筋ジストロフィーを処置するための方法の改善が依然として必要とされている。
DMD患者では、機能的ジストロフィンが存在しないことにより、筋線維は機械的ストレスに一層脆弱になり、NF−kB経路の活性化をもたらすことが認識されている。これにより、筋炎症、筋損傷、および筋肉が再生する能力の低下がもたらされる。核内因子κB(NF−κB)は、迅速かつ一過的に、細胞ストレスに応答するよう設計されている、転写調節の進化的に保存された、多形がある、多面発現性の系であり、細胞生存を促進する。古典的NF−κB(cNF−κB)シグナル伝達は、IκBからのIKK媒介性放出による、p65−p50ヘテロ二量体の活性化に関与する。この過程の間に、IκBは、IKK複合体によりリン酸化され、プロテアソームにより速やかに分解を受け、p65−p50ヘテロ二量体を放出し、核移行、およびその後のNF−κB応答遺伝子の転写活性化が可能になる。典型的なcNF−κBに誘導された遺伝子は、p65依存活性を無効にする炎症性サイトカインおよびcNF−κBフィードバック調節産物を含む。IKKα誘導性のp100のp52へのタンパク質分解切断による、RelB−p52ヘテロ二量体の活性化に関与する、IκB非依存性の代替NF−κB経路(altNF−κB)が存在する。さらに、Ser536上のIκB非依存性p65のプールのリン酸化は、p65−p65ヘテロ二量体形成、およびcNF−κB活性化とは区別される遺伝子の活性化をもたらすことが報告されている。しかし、最近の証拠により、この修飾は、p65依存性転写の際にブレーキとして働くことが示唆されている。
これらの経路は、生物の生存および順応に必須であるが、NF−κB系の慢性的な活性化は、制御されない炎症病理をもたらす。このようなものには、ジストロフィン欠乏筋肉が該当し、この場合、cNF−κBの慢性的な活性化は、ジストロフィーマウスおよびDMD患者の筋肉に起こる。NF−κB依存性病因と一致して、DMDのmdxマウスマウスモデルにおける、遺伝的ハプロ不全の実験により、p50ではなく、p65の低下は、ジストロフィー表現型を改善して、筋線維と免疫浸潤の両方に影響を及ぼすことが確認された。したがって、ドミナントネガティブIKKαもしくはIKKβ、またはペプチドをベースとするIKKγ阻害剤を用いる遺伝子療法によるジストロフィー筋におけるNF−κBの阻害は、強い印象を与える治療ポテンシャルを有する。しかし、これらの戦略のどちらも、即時橋渡し(translation)には課題がある。
特に関心のもたれるNF−kBの阻害剤は、CAT−1004としても知られているエダサロネキセント(edasalonexent)である。エダサロネキセントは、NF−kB経路をモジュレートすることにより、DMDに関連する炎症を処置するために開発中のサリチレートおよびドコサヘキサエン酸(DHA)の低分子コンジュゲートである。エダサロネキセントが、一次転帰尺度であるMRIにより測定される筋組成および炎症の判定により、DMD患者において有益な効果を有するかどうかを決定するための臨床試験(NCT02439216)が進行中である。エダサロネキセントは、成人における第I相臨床プログラムにおいて、安全で、十分に耐容され、かつ活性化されたNF−kB経路を阻害することが示された(参照により本明細書に組み込まれている、Donovan et al., The Journal of Clinical Pharmacology, 2017, 57(5), 627-637を参照されたい)。特に関心のもたれるNF−kBの別の阻害剤は、サリチレートおよびEPAのコンジュゲートであるCAT−1041である。CAT−1041は、CAT−1004のサロゲートであり、アナログである。
一態様では、本開示は、エクソン45のスキッピングに適したデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)遺伝子の変異を有する、DMDを処置することを必要とする患者において、DMDを処置する方法であって、患者に有効量のカシメルセンおよび有効量の非ステロイド系抗炎症性化合物を投与し、これによりDMDを有する患者を処置することを含む、方法を対象とする。
別の態様では、本開示は、エクソン45のスキッピングに適したデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)遺伝子の変異を有する、ジストロフィンタンパク質産生を誘導または増加させることを必要とするDMDを有する患者において、ジストロフィンタンパク質産生を誘導または増加させる方法であって、患者に有効量のカシメルセンおよび有効量の非ステロイド系抗炎症性化合物を投与し、これにより患者におけるジストロフィンタンパク質産生を誘導または増加させることを含む、方法を提供する。
一態様では、本開示は、エクソン45のスキッピングに適したデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)遺伝子の変異を有する、DMDを処置することを必要とする患者において、DMDを処置する方法であって、患者に有効量の以下の式のアンチセンスオリゴマーコンジュゲート
または薬学的に許容されるその塩(式中、
Nuはそれぞれ、一緒になって、ターゲティング配列を形成する核酸塩基であり、
Tは、
から選択される部分であり、
は、C〜Cアルキルであり、
は、H、アセチル、または配列番号33〜41のうちの1つから選択される配列を含む細胞透過ペプチドから選択され、
nは、13〜30であり、
ターゲティング配列は、配列番号1〜32のうちの1つから選択される)および有効量の非ステロイド系抗炎症性化合物を投与し、これによりDMDを有する患者を処置することを含む、方法を対象とする。一態様では、Rは、配列番号41からなる細胞透過ペプチドである。一態様では、nは20であり、ターゲティング配列は、配列番号1である。
別の態様では、本開示は、エクソン51のスキッピングに適したデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)遺伝子の変異を有する、ジストロフィンタンパク質産生を誘導または増加させることを必要とするDMDを有する患者において、ジストロフィンタンパク質産生を誘導または増加させる方法であって、患者に有効量の以下の式のアンチセンスオリゴマーコンジュゲート
または薬学的に許容されるその塩(式中、
Nuはそれぞれ、一緒になって、ターゲティング配列を形成する核酸塩基であり、
Tは、
から選択される部分であり、
は、C〜Cアルキルであり、
は、H、アセチル、または配列番号33〜41のうちの1つから選択される配列を含む細胞透過ペプチドから選択され、
nは、13〜30であり、
ターゲティング配列は、配列番号1〜32のうちの1つから選択される)および有効量の非ステロイド系抗炎症性化合物を投与し、これによりDMDを有する患者を処置することを含む、方法を提供する。一態様では、Rは、配列番号41からなる細胞透過ペプチドである。一態様では、nは20であり、ターゲティング配列は、配列番号1である。
一態様では、本開示は、エクソン45のスキッピングに適したデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)遺伝子の変異を有する、DMDを処置することを必要とする患者において、DMDを処置する方法であって、患者に有効量のアンチセンスオリゴマーおよび有効量の非ステロイド系抗炎症性化合物を投与し、これによりDMDを有する患者を処置することを含み、アンチセンスオリゴマーが、カシメルセンまたはDS−5141(第一三共株式会社)である、方法を対象とする。
一部の実施形態では、非ステロイド系抗炎症性化合物は、NF−kB阻害剤である。例えば、一部の実施形態では、NF−kB阻害剤は、本明細書において、CAT−1004とも呼ばれるエダサロネキセント、または薬学的に許容されるその塩である。様々な実施形態では、NF−kB阻害剤は、サリチレートおよびDHAのコンジュゲートであってもよい。一部の実施形態では、NF−kB阻害剤は、CAT−1041または薬学的に許容されるその塩である。ある特定の実施形態では、NF−kB阻害剤は、サリチレートおよびEPAのコンジュゲートである。様々な実施形態では、NF−kB阻害剤は、
または薬学的に許容されるその塩である。
一部の実施形態では、カシメルセンなどのアンチセンスオリゴマーは、毎週、30mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、毎週、10mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、毎週、20mg/kgの用量で投与される。
一部の実施形態では、カシメルセンなどのアンチセンスオリゴマーは、少なくとも12週間、毎週、投与される。
様々な実施形態では、CAT−1004は、33mg/kg/日、67mg/kg/日または100mg/kg/日の用量で投与される。
ある特定の実施形態では、非ステロイド系抗炎症性化合物は、少なくとも12週間、投与される。
様々な実施形態では、非ステロイド系抗炎症性化合物は、カシメルセンなどのアンチセンスオリゴマーの投与前、これと併せて、またはこの後に投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーおよび非ステロイド系抗炎症性化合物は、同時に投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーおよび非ステロイド系抗炎症性化合物は、逐次に投与される。ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、非ステロイド系抗炎症性化合物の投与前に投与される。様々な実施形態では、非ステロイド系抗炎症性化合物は、アンチセンスオリゴマーの投与前に投与される。
一部の実施形態では、カシメルセンなどのアンチセンスオリゴマーは、静脈内投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、35〜60分間かけて静脈内注入物として投与される。
一部の実施形態では、非ステロイド系抗炎症性化合物は、経口投与される。
様々な実施形態では、患者は、7歳またはそれより年齢が高い。ある特定の実施形態では、患者は、約6か月齢〜約4歳の間である。一部の実施形態では、患者は、約4歳〜7歳の間である。
一部の実施形態では、カシメルセンなどのアンチセンスオリゴマーと非ステロイド系抗炎症性化合物との併用処置は、新しいジストロフィン産生を誘導するもしくは増加させる、疾患進行を遅延させる、歩行能力の喪失を減速させるもしくは低減する、筋炎症を軽減する、筋損傷を軽減する、筋機能を改善する、肺機能の喪失を低減する、および/または筋再生を増強する、ならびにそれらの任意の組合せをもたらす。一部の実施形態では、処置は、疾患進行を維持する、遅延させる、または減速させる。一部の実施形態では、処置は、歩行能力を維持するか、または歩行能力の喪失を低減する。一部の実施形態では、処置は、肺機能を維持するか、または肺機能の喪失を低減する。一部の実施形態では、処置は、例えば、6分間歩行試験(6MWT)により測定される、患者における安定な歩行距離を維持する、または増加させる。一部の実施形態では、処置は、10メートルを歩行する/走る時間(すなわち、10メートル歩行/走行試験)を維持する、改善するまたは短縮する。一部の実施形態では、処置は、仰臥からの起立までの時間(すなわち、起立時間試験)を維持する、改善する、または短縮する。一部の実施形態では、処置は、4段の標準階段を上る時間(すなわち、4段の階段登り試験(4-stair climb test))を、維持する、改善する、または短縮する。一部の実施形態では、処置は、例えばMRI(例えば、脚筋のMRI)によって測定される、患者における筋炎症を維持する、改善する、または軽減する。一部の実施形態では、MRIは、下腿筋の変化を測定する。一部の実施形態では、MRIは、T2および/または脂肪率を測定して、筋変性を同定する。MRIは、炎症、浮腫、筋損傷および脂肪浸潤によって引き起こされる筋肉構造および組成の変化を同定することができる。一部の実施形態では、筋力は、ノーススター歩行能力評価(North Star Ambulatory Assessment)によって測定される。一部の実施形態では、筋力は、小児のアウトカムデータ収集質問紙(pediatric outcomes data collection instrument)(PODCI)によって測定される。
一部の実施形態では、カシメルセンなどのアンチセンスオリゴマーと本開示の非ステロイド系抗炎症性化合物との併用処置は、筋炎症を軽減する、筋損傷を軽減する、筋機能を改善する、および/または筋再生を増強する。例えば、処置は、対象における炎症を、安定化する、維持する、改善するまたは軽減することができる。処置はまた、例えば、対象における筋損傷を安定化する、維持する、改善するまたは軽減することができる。処置は、対象における筋機能を、例えば、安定化する、維持する、または改善することができる。さらに、例えば、処置は、対象における筋再生を、安定化する、維持する、改善するまたは増強することができる。一部の実施形態では、処置は、例えば、処置をしない場合に予想される、磁気共鳴画像法(MRI)(例えば、脚筋のMRI)によって測定される、患者における筋炎症を維持する、改善する、または軽減する。
一部の実施形態では、カシメルセンなどのアンチセンスオリゴマーと本開示の非ステロイド系抗炎症性化合物との併用処置は、アンチセンスオリゴマーまたは非ステロイド系抗炎症性化合物のどちらか一方の単独の場合に比べて、患者における筋炎症の軽減をもたらす。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーと本開示の非ステロイド系抗炎症性化合物との併用処置は、アンチセンスオリゴマーまたは非ステロイド系抗炎症性化合物のどちらか一方の単独の場合に比べて、患者における筋線維化の軽減をもたらす。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーと本開示の非ステロイド系抗炎症性化合物との併用処置は、ジストロフィンの増加をもたらす。一部の態様では、患者の大腿四頭筋のジストロフィンの増加をもたらす。一部の態様では、処置は、患者の心筋のジストロフィンの増加をもたらす。一部の態様では、処置は、患者の横隔膜筋のジストロフィンの増加をもたらす。
一部の実施形態では、処置は、DMD患者の血清を炎症のマーカーについてアッセイすることによって測定される。一部の実施形態では、処置は、炎症のバイオマーカーのうちの1つもしくは複数、または組合せのレベルの低下をもたらす。例えば、一部の実施形態では、炎症のバイオマーカーは、以下:サイトカイン(IL−1、IL−6、TNF−αなど)、C反応性タンパク質(CRP)、レプチン、アジポネクチンおよびクレアチンキナーゼ(CK)のうちの1つもしくは複数、またはこれらの組合せである。一部の実施形態では、炎症のバイオマーカーは、当分野において公知の方法によってアッセイされ、例えば、参照により本明細書に組み込まれている、Rocio Cruz-Guzman et al., BioMed Research International, 2015を参照されたい。処置は、処置前のバイオマーカーのレベルに対して、少なくとも、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%または100%、上述のバイオマーカーのうちの1つまたは複数のレベルの低下をもたらすことが企図される。
一部の実施形態では、処置は、6分間歩行試験(6MWT)によって測定される。一部の実施形態では、処置は、10メートル歩行/走行試験によって測定される。様々な実施形態では、処置は、患者における筋炎症の軽減または減少をもたらす。ある特定の実施形態では、患者における筋炎症は、MRI画像化によって測定される。一部の実施形態では、処置は、4段の階段登り試験によって測定される。様々な実施形態では、処置は、起立までの時間の試験によって測定される。一部の実施形態では、処置は、ノーススター歩行能力評価によって測定される。
一部の実施形態では、本開示の方法は、患者にコルチコステロイドを投与することをさらに含む。ある特定の実施形態では、コルチコステロイドは、ベタメタゾン、ブデソニド、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾンまたはデフラザコートである。様々な実施形態では、コルチコステロイドは、カシメルセンなどのアンチセンスオリゴマーの投与前、これ併せて、またはこの後に投与される。
一部の実施形態では、本開示の方法は、患者が、エクソン45スキッピングに適したDMD遺伝子における変異を有することを確認することをさらに含む。ある特定の実施形態では、本開示の方法は、患者が、カシメルセンなどのアンチセンスオリゴマーを投与する前に、エクソン45スキッピングに適したDMD遺伝子における変異を有することを確認することをさらに含む。
一部の実施形態では、患者は、仰臥から独力で起立する能力を失っている。一部の実施形態では、患者は、カシメルセンなどのアンチセンスオリゴマーによる処置の少なくとも1年間前に、仰臥から独力で起立する能力を失う。様々な実施形態では、患者は、アンチセンスオリゴマーによる処置を始めてから1年以内に、仰臥から独力で起立する能力を失う。ある特定の実施形態では、患者は、アンチセンスオリゴマーによる処置を始めてから2年以内に、仰臥から独力で起立する能力を失う。
一部の実施形態では、患者は、カシメルセンなどのアンチセンスオリゴマーによる処置の開始後、少なくとも24週間、歩行能力を維持する。ある特定の実施形態では、患者は、プラセボ対照と比較すると、カシメルセンによる処置の開始直後の少なくとも24週間、歩行能力の喪失の低減を有する。
一部の実施形態では、ジストロフィンタンパク質産生は、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、ウェスタンブロット解析または免疫組織化学(IHC)によって測定される。
他の態様では、本開示は、患者におけるDMDを処置するまたはその進行を遅延させる医薬の製造における、カシメルセンなどのアンチセンスオリゴマーおよび必要に応じた薬学的に許容される担体の使用であって、医薬が、アンチセンスオリゴマーおよび必要に応じた薬学的に許容される担体を含み、処置が、エダサロネキセントおよび必要に応じた薬学的に許容される担体と組み合わせた医薬の投与を含む、使用を提供する。
他の態様では、本開示は、患者におけるDMDを処置するまたはその進行を遅延させる際に使用するための、カシメルセンなどのアンチセンスオリゴマーおよび必要に応じた薬学的に許容される担体であって、処置が、第2の組成物と組み合わせたアンチセンスオリゴマーの投与を含み、第2の組成物が、エダサロネキセントおよび必要に応じた薬学的に許容される担体を含む、アンチセンスオリゴマーおよび必要に応じた薬学的に許容される担体を提供する。
さらに他の態様では、本開示は、患者におけるDMDを処置するまたはその進行を遅延させるための、エダサロネキセントおよび必要に応じた薬学的に許容される担体を含む容器、ならびにエダサロネキセントをカシメルセンなどのアンチセンスオリゴマーおよび必要に応じた薬学的に許容される担体と組み合わせて投与するための指示を含む添付文書を含むキットを提供する。
他の態様では、本開示は、第1の容器、第2の容器および添付文書を含むキットであって、第1の容器が、カシメルセンなどのアンチセンスオリゴマーを含む少なくとも一用量分の医薬を含み、第2の容器が、エダサロネキセントを含む少なくとも一用量分の医薬を含み、添付文書が、医薬の投与によりDMD患者を処置するための指示を含む、キットを提供する。
一部の実施形態では、指示は、カシメルセンなどのアンチセンスオリゴマーおよびエダサロネキセントの同時投与を提示する。一部の実施形態では、指示は、アンチセンスオリゴマーおよびエダサロネキセントの逐次投与を提示する。一部の実施形態では、指示は、エダサロネキセントの投与前に、アンチセンスオリゴマーを投与することを提示する。一部の実施形態では、指示は、アンチセンスオリゴマーの投与前に、エダサロネキセントを投与することを提示する。
本特許または出願ファイルは、カラーで作成されている少なくとも1枚の図面を含む。カラー図面(複数可)を含む本特許または特許出願公開のコピーは、要請および必要な料金の支払いがあれば官庁(the Office)より提供される。
図1は、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PMO)の構造およびホスホロチオエート(PSO)の構造を示す図である。
図2は、正常なジストロフィンプレmRNAの区域を示す図である。
図3は、異常なジストロフィンプレmRNA(DMDの例)の区域を示す図である。
図4は、プレmRNAの「インフレーム」読み取りのエテプリルセンによる回復を示す図である。
図5は、生理食塩水により処置された野生型マウス、生理食塩水により処置されたMdxマウス、CAT−1004により処置されたMdxマウス、M23D PMOにより処置されたMdxマウス、およびCAT−1004と組み合わせたM23D PMOにより処置されたMdxマウスにおける、大腿四頭筋から採取した筋試料における、炎症および線維化を示す図である。
図6は、大腿四頭筋、横隔膜および心臓における、M23D PMOおよびCAT−1004と組み合わせたM23D PMOにより処置したマウスにおける、エクソンスキッピングをグラフ表示した図である。
図7は、CAT−1004、M23D PMO、またはCAT−1004と組み合わせたM23D PMOにより処置された、大腿四頭筋、心臓および横隔膜における、ジストロフィンのレベルを示す図である。
図8は、大腿四頭筋における、ジストロフィン発現の免疫組織化学的分析を示す図である。増加したジストロフィン発現は、CAT−1004と組み合わせたM23D PMOにより処置されたマウスにおいて観察された。
本開示は、ヒトジストロフィンプレmRNAにおけるエクソンスキッピングを誘導するよう設計されているアンチセンスオリゴヌクレオチドを、非ステロイド系抗炎症性化合物と組み合わせて患者に投与することによって、DMDおよびBMDなどの筋ジストロフィーを処置する改善された方法を対象とする。理論に縛られるものではないが、ヒトジストロフィンプレmRNAにおけるエクソンスキッピングを誘導するよう設計されているアンチセンスオリゴヌクレオチドなどのジストロフィン回復剤、およびCAT−1004などのNF−kB阻害剤を投与することによる併用療法は、TNFαを下方調節し、ジストロフィン調節性マイクロRNAのTNFα媒介性増加を阻害することによりベッカー型筋ジストロフィー患者におけるジストロフィン発現を増強することを可能にすると考えられる(Fiorillo et al. Cell reports 2015)。
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、稀で重篤な、生命を脅かす、劣性X連鎖性遺伝による変性神経筋疾患である。ジストロフィン遺伝子における変異によって引き起こされるDMDは、機能的ジストロフィンタンパク質が存在しないか、またはほとんど存在しないことを特徴とし、幼少期から骨格筋機能の進行性悪化を絶え間なくもたらし、通常、30歳までの早死に至る。
この状態を治療するため、本開示のアンチセンス化合物は、変異ヒトジストロフィン遺伝子のプロセシング前RNAの選択領域にハイブリダイズして、それなしでは異常にスプライシングされるジストロフィンmRNAにエクソンスキッピングおよびディファレンシャルスプライシングを誘導し、これにより、筋細胞が、機能的ジストロフィンタンパク質をコードするmRNA転写物を産生することを可能にする。ある特定の実施形態では、生じたジストロフィンタンパク質は、必ずしもジストロフィンの「野生型」形態ではなく、むしろ、ジストロフィンの依然として機能的な、または半機能的な先端の切り取られた形態をしている。
これらの実施形態および関連する実施形態は、筋細胞における機能的ジストロフィンタンパク質のレベルを上昇させることにより、筋ジストロフィー、とりわけ、異常なmRNAスプライシングに起因して、欠損ジストロフィンタンパク質が発現することを特徴とするDMDおよびBMDなどの筋ジストロフィーのそのような形態の予防および処置に有用である。
エクソン45のスキッピングに適したDMD遺伝子の変異が確認された患者のための、Sarepta Therapeutics,Inc.によって開発されているホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PMO)であるカシメルセンは、その安全性および有効性を試験するための臨床研究の対象となっており、臨床開発が進行中である。カシメルセンの核酸塩基配列は、既に記載されている。例えば、Sarepta Therapeutics,Inc.に独占的ライセンスが付与された国際特許出願公開第WO2011/057350号を参照されたい。
一部の実施形態では、筋組織におけるジストロフィンレベルは、ウェスタンブロットによって評価される。
エダサロネキセントは、ジストロフィー筋の処置のための経口により生体利用可能なNF−κB阻害剤の新規なクラスに属する。このクラスの化合物は、細胞内脂肪酸ヒドロラーゼにより加水分解を単に受けやすいリンカーにより互いにコンジュゲートされている、それぞれcNF−κBの活性化を阻害する多不飽和脂肪酸(PUFA)およびサリチル酸からなる。
エダサロネキセント、すなわち[N−(2−[(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエンアミド]エチル)−2−ヒドロキシベンズアミド]は、サリチル酸およびドコサヘキサエン酸(DHA)が、エチレンジアミンリンカーにより共有結合によりコンジュゲートされており、これらの化合物のどちらもNF−κBを阻害する能力を相乗的に利用するよう設計されている、経口投与される低分子である。エダサロネキセントは、ゴールデンレトリバーDMDモデルにおいて、NF−κB p65依存性炎症応答、およびp65によりモジュレートされる下流での炎症誘発性遺伝子を有意に阻害することが示された(Hammers et al., JCI Insight, 2016; 1(21):e90341)。これらの研究はまた、mdxマウスにおいて、エダサロネキセント、またはDHAがエイコサペンタエン酸によって置き換えられた関連アナログCAT−1041を投与すると、炎症および線維化が軽減し、運動持久力が向上すること、およびマウスとイヌのDMDモデルの両方において、横隔膜機能が改善されることを実証した。エダサロネキセントは、成人の3つのプラセボ対照研究を含む第I相臨床プログラムにおいて、安全であること、十分に耐容されること、および活性化されたNF−κB経路を阻害することが示された(参照により本明細書に組み込まれている、Donovan et al., The Journal of Clinical Pharmacology, 2017, 57(5), 627-637を参照されたい)。現在、DMDを有する子供において、エダサロネキセントの安全性および有効性を評価する、第1/2相臨床試験(NCT02439216)が進行中である。
したがって、本明細書に記載されている改善された方法を使用して、DMD患者における炎症を軽減することができ、DMDおよびBMDにおいて見いだされる変異遺伝子などのヒトジストロフィン遺伝子の変異形態にエクソンスキッピングを誘導し、これにより患者を処置することができる。
本明細書に記載されている方法は、筋ジストロフィーを有する患者にとっての処置選択肢の改善をさらに実現し、筋ジストロフィーの関連形態を処置する代替的方法よりもかなり現実的な利点をもたらす。例えば、一部の実施形態では、本改善された方法は、エクソンスキッピング化合物(例えば、PMO)をNF−kB阻害剤(例えば、CAT−1004)と組み合わせて投与した場合に、単剤療法としてのいずれかの薬剤の投与と比較して、ジストロフィン産生の増加に関連する。例えば、一部の実施形態では、改善された方法は、非ステロイド系抗炎症性化合物と一緒に投与した場合に、以前のアプローチよりも多い用量で、および/またはより長い期間、ヒトジストロフィンプレmRNAにおけるエクソンスキッピングを誘導するアンチセンス化合物の投与に関する。他の実施形態では、改善された方法は、非ステロイド系抗炎症性化合物と一緒に投与する場合に、以前のアプローチよりも少ない用量で、および/またはより短い期間、ヒトジストロフィンプレmRNAにおけるエクソンスキッピングを誘導するアンチセンス化合物の投与に関する。
したがって、本開示は、患者における、エクソンスキッピングを誘導することによる、DMDおよびBMDなどの筋ジストロフィーを処置するため、ならびに筋炎症および/または線維化を軽減するための改善された方法に関する。一部の実施形態では、エクソンスキッピングは、ジストロフィンプレmRNAのエクソンにおける標的配列に選択的に結合するカシメルセンなどの中性電荷のホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PMO)を含む有効量のアンチセンスオリゴマー組成物を、有効量の非ステロイド系抗炎症性化合物、特にエダサロネキセントなどのNF−κB阻害剤と組み合わせて投与することにより誘導される。
一態様では、アンチセンスオリゴマーは、アンチセンスオリゴマーの5’末端に結合しているT部分を含み、T部分は、
から選択される。
ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、1つまたは複数の細胞透過ペプチドにコンジュゲートされている(本明細書において「CPP」と称される)。ある特定の実施形態では、1つまたは複数のCPPは、アンチセンスオリゴマーの末端に結合している。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのCPPは、アンチセンスオリゴマーの5’末端に結合している。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのCPPは、アンチセンスオリゴマーの3’末端に結合している。ある特定の実施形態では、第1のCPPは、5’末端に結合しており、第2のCPPは、アンチセンスオリゴマーの3’末端に結合している。
一部の実施形態では、CPPは、アルギニンリッチペプチドである。用語「アルギニンリッチ」とは、少なくとも2つ、好ましくは2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つまたは8つのアルギニン残基を有するCPPを指し、それぞれは、必要に応じて、1つまたは複数の非荷電の疎水性残基によって分離されており、必要に応じて、約6〜14のアミノ酸残基を含有する。本明細書に説明されている通り、CPPは、好ましくは、リンカーを介して、そのカルボキシ末端において、アンチセンスオリゴヌクレオチドの3’および/または5’末端に連結しており、このリンカーは、1つまたは複数のアミノ酸であってもよく、好ましくは、そのアミノ末端において、置換基Rによりキャップされてもおり、Rは、H、アシル、アセチル、ベンゾイルまたはステアロイルから選択される。一部の実施形態では、Rはアセチルである。
以下の表1に見られる通り、本明細書において使用するためのCPPの非限定例には、−(RXR)−R、R−(FFR)−R、−B−X−(RXR)−R、−B−X−R−(FFR)−R、−GLY−R−(FFR)−R、−GLY−R−R、−R−R、−GLY−R−Rおよび−R−Rが含まれ、Rは、H、アシル、ベンゾイルおよびステアロイルから選択され、Rは、アルギニンであり、Xは、6−アミノヘキサン酸であり、Bは、β−アラニンであり、Fは、フェニルアラニンであり、GLY(またはG)は、グリシンである。CPP「R」とは、アミド結合を介して一緒に連結している、5つのアルギニン残基のペプチドを示すことが意図されている(および、単一置換基、例えばRではない)。CPP「R」とは、アミド結合を介して一緒に連結している、6つのアルギニン残基のペプチドを示すことが意図されている(および、単一置換基、例えばRではない)。一部の実施形態では、Rはアセチルである。
例示的なCPPが、表1(配列番号33〜41)に示されている。
CPP、その合成、およびオリゴマーにコンジュゲートする方法は、それらの開示の全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国出願公開第US2012/0289457号ならびに国際特許出願公開第WO2004/097017号、同第WO2009/005793号および同第WO2012/150960号にさらに記載されている。
一部の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、CPPとリンカーとの組合せとして定義されている置換基「Z」を含む。リンカーは、そのカルボキシ末端において、オリゴヌクレオチドの3’末端および/または5’末端にCPPを架橋している。様々な実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、オリゴマーの3’末端に連結されているCPPを1つのみ含み得る。他の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、オリゴマーの5’末端に連結されているCPPを1つのみ含み得る。
Z内のリンカーは、例えば、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのアミノ酸を含むことができる。
特定の実施形態では、Zは、
−C(O)(CHNH−CPP、
−C(O)(CHNH−CPP、
−C(O)(CHNHC(O)(CHNH−CPP、
−C(O)CHNH−CPP、および式:
(式中、CPPは、CPPカルボキシ末端において、アミド結合によりリンカー部分に結合している)から選択される。
様々な実施形態では、CPPは、本明細書に記載され、表1に見られる、アルギニンリッチペプチドである。ある特定の実施形態では、アルギニンリッチCPPは、−R−R、(すなわち、5つのアルギニン残基;配列番号39)であり、Rは、H、アシル、アセチル、ベンゾイルおよびステアロイルから選択される。ある特定の実施形態では、Rはアセチルである。様々な実施形態では、CPPは、配列番号33、34または39から選択され、リンカーは、−C(O)(CHNH−、−C(O)(CHNH−、−C(O)(CHNHC(O)(CHNH−、−C(O)CHNH−、および
からなる群から選択される。 一部の実施形態では、リンカーは、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのアミノ酸を含む。
一部の実施形態では、CPPは、配列番号39であり、リンカーは、Glyである。一部の実施形態では、CPPは、配列番号38である。
ある特定の実施形態では、アルギニンリッチCPPは、−R−R(すなわち、6つのアルギニン残基;配列番号41)であり、Rは、H、アシル、アセチル、ベンゾイルおよびステアロイルから選択される。ある特定の実施形態では、Rはアセチルである。様々な実施形態では、CPPは、配列番号33、34または41から選択され、リンカーは、−C(O)(CHNH−、−C(O)(CHNH−、−C(O)(CHNHC(O)(CHNH−、−C(O)CHNH−および
からなる群から選択される。一部の実施形態では、リンカーは、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのアミノ酸を含む。
一部の実施形態では、CPPは、配列番号41であり、リンカーは、Glyである。一部の実施形態では、CPPは、配列番号40である。
ある特定の実施形態では、Zは、オリゴマーの5’および/または3’末端において、本開示のアンチセンスオリゴマーに共有結合している−C(O)CHNH−R−Rであり、Rは、H、Rのアミノ末端をキャップするアシル、アセチル、ベンゾイルまたはステアロイルである。ある特定の実施形態では、Rはアセチルである。これらの非限定例では、CPPは、−R−R(配列番号40)であり、リンカーは、−C(O)CHNH−(すなわち、GLY)である。Z=−C(O)CHNH−R−Rのこの特定の例はまた、以下の構造:
(式中、Rは、H、アシル、アセチル、ベンゾイルおよびステアロイルから選択される)によって例示される。
様々な実施形態では、CPPは、以下の式:
(式中、Rは、H、アシル、アセチル、ベンゾイルおよびステアロイルから選択される)としても例示される、−R−R(配列番号41)である。ある特定の実施形態では、CPPは、配列番号40である。一部の実施形態では、Rはアセチルである。
一部の実施形態では、CPPは、以下の式:
としても例示される、−(RXR)−R(配列番号33)である。
様々な実施形態では、CPPは、以下の式:
としても例示される、−R−(FFR)−R(配列番号34)である。
様々な実施形態では、Zは、以下:
−C(O)(CHNH−CPP、
−C(O)(CHNH−CPP、
−C(O)(CHNHC(O)(CHNH−CPP、
−C(O)CHNH−CPP、および式:
(式中、CPPは、CPPカルボキシ末端において、アミド結合によりリンカー部分に結合しており、CPPは、
(−R−(FFR)−R)(配列番号34)、
(−(RXR)−R)(配列番号35)、
または(−R−R)(配列番号41)から選択される)から選択される。一部の実施形態では、Rはアセチルである。
A. 定義
「約」とは、参照数量、レベル、値、数、頻度、百分率、寸法、サイズ、量、重量または長さに対して、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1%だけ変わる、数量、レベル、値、数、頻度、百分率、寸法、サイズ、量、重量または長さを意味する。
用語「アルキル」とは、本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、直鎖状または分岐状飽和炭化水素を指す。ある特定の実施形態では、アルキル基は、一級、二級または三級炭化水素である。ある特定の実施形態では、アルキル基は、1〜10個の炭素原子、すなわち、C〜C10アルキルを含む。ある特定の実施形態では、アルキル基は、1〜6個の炭素原子、すなわち、C〜Cアルキルを含む。この用語は、ハロゲン化アルキル基を含む、置換および非置換アルキル基の両方を含む。ある特定の実施形態では、アルキル基は、フッ素化アルキル基である。アルキル基が置換され得る部分の非限定例は、参照により本明細書に組み込まれる、例えば、Greene, et al., Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, Second Edition, 1991に教示されている通り、当業者に公知の、保護されていないかまたは必要な場合保護されているかのどちらかである、ハロゲン(フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード)、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、サルフェート、ホスホン酸、ホスフェートまたはホスホネートからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、アルキル基は、メチル、CF、CCl、CFCl、CFCl、エチル、CHCF、CFCF、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、3−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチルおよび2,3−ジメチルブチルからなる群から選択される。
「エクソン45スキッピングに適した」とは、対象または患者に関して本明細書で使用される場合、ジストロフィンプレmRNAのエクソン45のスキッピングが存在しないと、読み枠をアウトオブフレームにすることで、プレmRNAの翻訳を中断させるか、または重複エクソンの転写を引き起こし、対象または患者が機能的または半機能的ジストロフィンを産生することができなくなるかのいずれかである、ジストロフィン遺伝子における1つまたは複数の変異または重複を有する対象および患者を含むことが意図されている。患者が、エクソンスキッピングに適したジストロフィン遺伝子に変異を有するかどうかの決定は、当業者の範囲内に十分ある(例えば、Aartsma-Rus et al. (2009) Hum Mutat. 30:293-299; Gurvich et al., Hum Mutat. 2009; 30(4) 633-640;およびFletcher et al. (2010) Molecular Therapy 18(6) 1218-1223を参照されたい)。
用語「アンチセンスオリゴマー」および「アンチセンス化合物」および「アンチセンスオリゴヌクレオチド」および「オリゴマー」および「オリゴヌクレオチド」は、本開示において、互換的に使用され、サブユニット間連結基により結合されているサブユニットの配列を指す。塩基対合部分の順序が、ワトソン−クリック塩基対合によって核酸(通常、RNA)中の標的配列に相補性である塩基配列を形成して、標的配列内に核酸:オリゴマーヘテロ二本鎖を形成するように、サブユニットはそれぞれ、(i)リボース糖またはその誘導体、および(ii)それに結合している核酸塩基からなり、ただし、サブユニット、サブユニット間連結基またはその両方のいずれかが、天然に存在しないことを条件とする。ある特定の実施形態では、オリゴマーはPMOである。他の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、2’−O−メチルホスホロチオエートである。他の実施形態では、本開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA)、または2’−O,4’−C−エチレン−架橋核酸(ENA)などの架橋核酸(BNA)である。追加の例示的な実施形態が記載されている。
用語「モルホリノ」、「モルホリノオリゴマー」、または「PMO」は、Summerton, J., et al., Antisense & Nucleic Acid Drug Development, 7: 187-195 (1997)の図2に記載されている、以下の一般構造のホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー:
を指す。本明細書に記載されているモルホリノは、上述の一般構造のすべての立体異性体および立体配置を包含することが意図されている。モルホリノオリゴマーの合成、構造および結合特徴は、これらのすべてが、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第5,698,685号、同第5,217,866号、同第5,142,047号、同第5,034,506号、同第5,166,315号、同第5,521,063号、同第5,506,337号、同第8,076,476号および同第8,299,206号に詳述されている。
ある特定の実施形態では、モルホリノは、オリゴマーの5’または3’末端で「尾部」部分とコンジュゲートして、その安定性および/または溶解度を増加させる。例示的な尾部としては、
が含まれる。
上記の例示的な尾部部分のうち、「TEG」または「EG3」は、以下の尾部部分:
を指す。
上記の例示的な尾部部分のうち、「GT」は、以下の尾部部分:
を指す。
本明細書で使用される場合、用語「−G−R」および「−G−R−Ac」は、互換的に使用され、本開示のアンチセンスオリゴマーにコンジュゲートされているペプチド部分を指す。様々な実施形態では、「G」は、アミド結合によって、「R」にコンジュゲートされているグリシン残基を表し、「R」はそれぞれ、アミド結合によって互いにコンジュゲートされているアルギニン残基を表し、こうして、「R」は、アミド結合によって、互いにコンジュゲートされている5つのアルギニン残基を意味する。アルギニン残基は、任意の立体配置を有することができ、例えば、アルギニン残基は、L−アルギニン残基、D−アルギニン残基、またはD−およびL−アルギニン残基の混合物とすることができる。ある特定の実施形態では、「−G−R」または「−G−R−Ac」は、「尾部」部分の遠位−OHまたはNHに連結されている。ある特定の実施形態では、「−G−R」または「−G−R−Ac」は、本開示のPMOアンチセンスオリゴマーの最も3’のモルホリノサブユニットのモルホリン環窒素(morpholine ring nitrogen)にコンジュゲートされている。一部の実施形態では、「−G−R」または「−G−R−Ac」は、本開示のアンチセンスオリゴマーの3’末端にコンジュゲートされており、以下の式:
または薬学的に許容されるその塩、または
のものである。
本明細書で使用される場合、用語「−G−R」および「−G−R−Ac」は、互換的に使用され、本開示のアンチセンスオリゴマーにコンジュゲートされているペプチド部分を指す。様々な実施形態では、「G」は、アミド結合によって、「R」にコンジュゲートされているグリシン残基を表し、「R」はそれぞれ、アミド結合によって互いにコンジュゲートされているアルギニン残基を表し、こうして、「R」は、アミド結合によって、互いにコンジュゲートされている6つのアルギニン残基を意味する。アルギニン残基は、任意の立体配置を有することができ、例えば、アルギニン残基は、L−アルギニン残基、D−アルギニン残基、またはD−およびL−アルギニン残基の混合物とすることができる。ある特定の実施形態では、「−G−R」または「−G−R−Ac」は、「尾部」部分の遠位−OHまたはNHに連結されている。ある特定の実施形態では、「−G−R」または「−G−R−Ac」は、本開示のPMOアンチセンスオリゴマーの最も3’のモルホリノサブユニットのモルホリン環窒素にコンジュゲートされている。一部の実施形態では、「−G−R」または「−G−R−Ac」は、本開示のアンチセンスオリゴマーの3’末端にコンジュゲートされており、以下の式:
または薬学的に許容されるその塩、または
のものである。
用語「核酸塩基」(Nu)、「塩基対合部分」または「塩基」は、互換的に使用され、天然に存在する、または「ネイティブ」DNAもしくはRNA(例えば、ウラシル、チミン、アデニン、シトシンおよびグアニン)に見いだされるプリンまたはピリミジン塩基、ならびにオリゴマーへの結合親和性などの特性の改善を付与することができる、これらの天然に存在するプリンおよびピリミジンのアナログを指す。例示的なアナログには、ヒポキサンチン(イノシンの塩基構成成分)、2,6−ジアミノプリン;5−メチルシトシン、C5−プロピニル修飾ピリミジン、10−(9−(アミノエトキシ)フェノキサジニル)(G−clamp)などが含まれる。
塩基対合部分のさらなる例には、以下に限定されないが、アシル保護基により保護されているそれらの個々のアミノ基を有するウラシル、チミン、アデニン、シトシン、グアニンおよびヒポキサンチン(イノシン)、2−フルオロウラシル、2−フルオロシトシン、5−ブロモウラシル、5−ヨードウラシル、2,6−ジアミノプリン、アザシトシン、ピリミジンアナログ(シュードイソシトシンおよびシュードウラシルなど)、ならびに他の修飾核酸塩基(8置換プリン、キサンチンまたはヒポキサチンなど)(後者の2つは、天然分解産物である)が含まれる。それらの内容が参照により本明細書に組み込まれている、Chiu and Rana, RNA, 2003, 9, 1034-1048, Limbach et al. Nucleic Acids Research, 1994, 22, 2183-2196、およびRevankar and Rao, Comprehensive Natural Products Chemistry, vol. 7, 313において開示されている修飾核酸塩基もまた企図される。
塩基対合部分のさらなる例には、以下に限定されないが、1つまたは複数のベンゼン環が付加されている、サイズの拡大した核酸塩基が含まれる。その内容が参照により本明細書に組み込まれている、Glen Research catalog (www.glenresearch.com); Krueger AT et al., Acc. Chem. Res., 2007, 40, 141-150; Kool, ET, Acc. Chem. Res., 2002, 35, 936-943; Benner S.A., et al., Nat. Rev. Genet., 2005, 6, 553-543; Romesberg, F.E., et al., Curr. Opin. Chem. Biol., 2003, 7, 723-733; Hirao, I., Curr. Opin. Chem. Biol., 2006, 10, 622-627に記載されている核酸塩基の代替物は、本明細書に記載されているオリゴマーの合成に有用なものとして企図されている。サイズの拡大した核酸塩基の例は、以下に示されている:
そのコード名「SPR−4045」によって以前に知られていた「カシメルセン」は、塩基配列5’−CAATGCCATCCTGGAGTTCCTG−3’(配列番号1)を有するPMOである。カシメルセンは、CAS登録番号1422959−91−8で登録されている。化学名は、all−P−ambo−[P,2’,3’−トリデオキシ−P−(ジメチルアミノ)−2’,3’−イミノ−2’,3’−seco](2’a→5’)(C−A−A−T−G−C−C−A−T−C−C−T−G−G−A−G−T−T−C−C−T−G)5’−[4−({2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}カルボニル)−N,N−ジメチルピペラジン−1−ホスホンアミデート]を含む。
カシメルセンは、以下の化学構造:
および
(式中、1〜22および5’から3’からの各Nuは、
である)
ならびに
を有する。
配列5’−CAATGCCATCCTGGAGTTCCTG−3’は、配列番号1と記載される。
本明細書で使用される場合、構造式内に使用されている一群の括弧は、括弧の間に構造的特徴が繰り返されていることを示す。一部の実施形態では、使用される括弧は、「[」および「]」(“[” and “],”)とすることができ、ある特定の実施形態では、繰り返される構造的特徴を示すために使用される括弧は、「(」および「)」とすることができる。一部の実施形態では、括弧間の構造的特徴の反復回数は、2、3、4、5、6、7などの括弧の外側に表示されている数である。様々な実施形態では、括弧間の構造的特徴の反復回数は、「Z」などの括弧の外側に表示されている変数によって表示されている。
本明細書で使用される場合、直線の結合または波線の結合がある構造式内の不斉炭素原子またはリン原子にひかれた結合は、不斉炭素またはリンの立体化学が未定義であり、すべての形態のキラル中心を含むことが意図されていることを示している。このような例示した例が、以下に図示されている:
本明細書で使用される場合、用語「M23D」は、AVI−4225を意味し、これは、5’末端において、TEG尾部部分を有するマウスジストロフィンエクソン23 プレmRNAにハイブリダイズし、配列GGC CAA ACC TCG GCT TAC CTG AAA T(配列番号30)を有するPMOである。
用語「非ステロイド系抗炎症性化合物」は、ステロイドでも、コルチコステロイドでも、グルココルチコイドでも、タンパク同化ステロイドでも、ミネラロコルチコイドでもない抗炎症性化合物または薬物を指す。ある特定の実施形態では、非ステロイド系抗炎症性化合物は、NF−κB阻害剤である。一部の実施形態では、NF−kB阻害剤は、多不飽和脂肪酸(PUFA)およびサリチル酸からなる。一部の実施形態では、NF−kB阻害剤は、CAT−1004またはCAT−1041である。用語「CAT−1004」は、用語「エダサロネキセント」、すなわち[N−(2−[(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエンアミド]エチル)−2−ヒドロキシベンズアミド]と互換的に使用される。
「ジストロフィン」は、ロッド形状の細胞質タンパク質であり、細胞膜を介して、筋線維の細胞骨格を周囲細胞外基質に結合させているタンパク質複合体の極めて重要な部分である。ジストロフィンは、複数の機能的ドメインを含む。例えば、ジストロフィンは、約14〜240のアミノ酸にアクチン結合ドメイン、および約253〜3040のアミノ酸に中央ロッドドメインを含有する。この大きな中央ドメインは、アルファ−アクチニンおよびスペクトリンと相同性を有する、約109のアミノ酸の24スペクリン様三重らせんエレメントにより形成されている。繰り返し部は、通常、ヒンジ領域とも呼ばれる、4つのプロリンリッチな非繰り返しセグメントにより中断されている。繰り返し部15および16は、ジストロフィンのタンパク質分解切断にとって主要な部位をもたらすようである、18のアミノ酸ストレッチにより分離されている。大部分の繰り返し部の間の配列同一性は、10〜25%の範囲にある。1つの繰り返し部は、3つのアルファ−らせん:1、2および3を含む。アルファ−らせん1および3は、それぞれ、7つのヘリックスターンにより形成されており、恐らくは、疎水性界面を介したコイルドコイルとして相互作用している。アルファ−らせん2は、一層複雑な構造を有しており、グリシンまたはプロリン残基によって分離されている、4つおよび3つのヘリックスターンのセグメントによって形成されている。繰り返し部はそれぞれ、通常、アルファ−らせん2の第1の部分における、アミノ酸47と48の間のイントロンによって中断されている、2つのエクソンによってコードされる。他のイントロンは、通常、らせん3の上に散在している繰り返し部において、様々な位置に見いだされる。ジストロフィンはまた、粘菌(Dictyostelium discoideum)のアルファ−アクチニンのC末端ドメインに相同性を示す、システインリッチセグメント(すなわち、280のアミノ酸中に15個のシステイン)を含めた、約3080〜3360のアミノ酸にシステインリッチドメインを含む。カルボキシ末端ドメインは、約3361〜3685のアミノ酸に存在する。
ジストロフィンのアミノ末端は、F−アクチンに結合し、カルボキシ末端は、筋細胞膜における、ジストロフィン関連タンパク質複合体(DAPC)に結合する。DAPCは、ジストログリカン、サルコグリカン、インテグリンおよびカベオリンを含み、これらの構成成分のいずれかにおける変異により、常染色体遺伝筋ジストロフィーが引き起こされる。ジストロフィンが存在しない場合、DAPCは不安定化し、このことは、メンバータンパク質のレベルを低下させ、ひいては、進行性線維損傷および膜漏出をもたらす。デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)およびベッカー型筋ジストロフィー(BMD)などの筋ジストロフィーの様々な形態では、筋細胞は、主に、正しくないスプライシングをもたらす遺伝子配列における変異のため、ジストロフィンの変化したおよび機能的欠陥のある形態を産生するか、またはジストロフィンを全く産生しない。欠陥のあるジストロフィンタンパク質の優勢な発現またはジストロフィンまたはジストロフィン様タンパク質の完全な欠如により、上記のような、筋変性の迅速な進行がもたらされる。この点では、「欠陥のある」ジストロフィンタンパク質は、当分野で公知の通り、DMDもしくはBMDを有するある特定の対象において産生されるジストロフィンの形態、または検出可能なジストロフィンが存在しないことを特徴とすることができる。
「エクソン」とは、タンパク質をコードする核酸、またはプロセシング前(または前駆体)RNAのいずれかの部分がスプライシングにより取り除かれた後、RNA分子の成熟形態で表される核酸配列の規定された区域を指す。成熟RNA分子は、メッセンジャーRNA(mRNA)、またはrRNAもしくはtRNAなどの非コードRNAの機能的形態とすることができる。ヒトジストロフィン遺伝子は、約79のエクソンを有する。
「イントロン」は、タンパク質に翻訳されない核酸領域(遺伝子内)を指す。イントロンは、前駆体mRNA(プレmRNA)に転写され、次いで、成熟RNAの形成の間、スプライシングにより取り除かれる非コード区域である。
「有効量」または「治療有効量」とは、単回用量としてまたは一連の用量の一部としてのどちらかで、ヒト対象に投与されると、所望の治療効果を生じるのに有効な、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたは非ステロイド系抗炎症性化合物などの治療用化合物の量を指す。
アンチセンスオリゴヌクレオチドの場合、この効果は、選択した標的配列の翻訳もしくは天然のスプライスプロセシングを阻害する、またはジストロフィンの臨床的に意味のある量(統計学的有意性)を産生させることにより、通常、引き起こされる。一部の実施形態では、有効量は、対象を処置するためのある期間の、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、少なくとも10mg/kgまたは少なくとも20mg/kgの組成物である。一部の実施形態では、有効量は、処置前のベースラインジストロフィンレベルに対して、例えば、処置後の対象における正常ジストロフィン率によって測定される、対象におけるジストロフィンレベルを上昇させるための、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、少なくとも10mg/kgまたは少なくとも20mg/kgの組成物である。ある特定の実施形態では、有効量は、患者において、健常者に比べて、例えば、6MWTにおける20%の不足から歩行距離を安定化する、維持する、または改善するための、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、少なくとも10mg/kgまたは少なくとも20mg/kgの組成物である。様々な実施形態では、有効量は、少なくとも10mg/kg〜約20mg/kg、少なくとも20mg/kg〜約30mg/kg、約25mg/kg〜約30mg/kgまたは約30mg/kg〜約50mg/kgである。一部の実施形態では、有効量は、約30mg/kgまたは約50mg/kgである。別の態様では、有効量は、少なくとも24週間、少なくとも36週間または少なくとも48週間にわたって少なくとも20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kgまたは約30mg/kg〜約50mg/kgであり、それによって、処置前のベースラインジストロフィンレベルに比べ、処置後の対象において、例えば、正常ジストロフィン率によって測定して、対象におけるジストロフィンレベルを増加させ、かつ健常者に比べて、患者において、例えば6MWTにおける20%の不足から歩行距離を安定化するまたは改善する。一部の実施形態では、処置は、患者において、正常ジストロフィン率を、0.01〜0.05%、0.01〜0.1%、0.01〜0.15%、0.01〜0.2%、0.01〜0.25%、0.01〜0.28%、0.01〜0.3%、0.01〜0.35%、0.01〜0.4%、0.01〜0.45%、0.01〜0.5%、0.01〜0.6%、0.01〜0.7%、0.01〜0.8%、0.01〜0.9%、0.01〜1%、0.01〜1.25%、0.01〜1.5%、0.01〜2%、0.01〜2.5%、0.03〜0.05%、0.03〜0.1%、0.03〜0.15%、0.03〜0.2%、0.03〜0.25%、0.03〜0.28%、0.03〜0.3%、0.03〜0.35%、0.03〜0.4%、0.03〜0.45%、0.03〜0.5%、0.03〜0.6%、0.03〜0.7%、0.03〜0.8%、0.03〜0.9%、0.03〜1%、0.03〜1.25%、0.03〜1.5%、0.03〜2%、0.03〜2.5%、0.05〜0.1%、0.05〜0.15%、0.05〜0.2%、0.05〜0.25%、0.05〜0.28%、0.05〜0.3%、0.05〜0.35%、0.05〜0.4%、0.05〜0.45%、0.05〜0.5%、0.05〜0.6%、0.05〜0.7%、0.05〜0.8%、0.05〜0.9%、0.05〜1%、0.05〜1.25%、0.05〜1.5%、0.05〜2%、0.05〜2.5%、0.1〜0.15%、0.1〜0.2%、0.1〜0.25%、0.1〜0.28%、0.1〜0.3%、0.1〜0.35%、0.1〜0.4%、0.1〜0.45%、0.1〜0.5%、0.1〜0.6%、0.1〜0.7%、0.1〜0.8%、0.1〜0.9%、0.1〜1%、0.1〜1.25%、0.1〜1.5%、0.1〜2%、0.1〜2.5%、0.2〜0.25%、0.2〜0.28%、0.2〜0.3%、0.2〜0.35%、0.2〜0.4%、0.2〜0.45%、0.2〜0.5%、0.2〜0.6%、0.2〜0.7%、0.2〜0.8%、0.2〜0.9%、0.2〜1%、0.2〜1.25%、0.2〜1.5%、0.2〜2%、0.2〜2.5%、0.25〜0.3%、0.25〜0.35%、0.25〜0.4%、0.25〜0.45%、0.25〜0.5%、0.25〜0.6%、0.25〜0.7%、0.25〜0.8%、0.25〜0.9%、0.25〜1%、0.25〜1.25%、0.25〜1.5%、0.25〜2%、0.25〜2.5%、0.3〜0.35%、0.3〜0.4%、0.3〜0.45%、0.3〜0.5%、0.3〜0.6%、0.3〜0.7%、0.3〜0.8%、0.3〜0.9%、0.3〜1%、0.3〜1.25%、0.3〜1.5%、0.3〜2%、0.3〜2.5%、0.4〜0.5%、0.4〜0.6%、0.4〜0.7%、0.4〜0.8%、0.4〜0.9%、0.4〜1%、0.4〜1.25%、0.4〜1.5%、0.4〜2%、0.4〜2.5%、0.5〜0.6%、0.5〜0.7%、0.5〜0.8%、0.5〜0.9%、0.5〜1%、0.5〜1.25%、0.5〜1.5%、0.5〜2%、0.5〜2.5%、1〜2%、1〜2.5%、2〜2.5%、1〜3%、1〜5%、2〜3%、2〜5%、5〜10%、10〜20%、20〜60%、または30〜50%まで増加させる。
一部の実施形態では、本開示のアンチセンスオリゴマーは、一般に、約10〜160mg/kgまたは20〜160mg/kgの用量で投与される。一部の場合、160mg/kgより多い用量が必要となることがある。一部の実施形態では、i.v.投与向けの用量は、約0.5mg〜160mg/kgである。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーコンジュゲートは、約0.5mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kgまたは10mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーコンジュゲートは、約10mg/kg、11mg/kg、12mg/kg、15mg/kg、18mg/kg、20mg/kg、21mg/kg、25mg/kg、26mg/kg、27mg/kg、28mg/kg、29mg/kg、30mg/kg、31mg/kg、32mg/kg、33mg/kg、34mg/kg、35mg/kg、36mg/kg、37mg/kg、38mg/kg、39mg/kg、40mg/kg、41mg/kg、42mg/kg、43mg/kg、44mg/kg、45mg/kg、46mg/kg、47mg/kg、48mg/kg、49mg/kg 50mg/kg、51mg/kg、52mg/kg、53mg/kg、54mg/kg、55mg/kg、56mg/kg、57mg/kg、58mg/kg、59mg/kg、60mg/kg、65mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、85mg/kg、90mg/kg、95mg/kg、100mg/kg、105mg/kg、110mg/kg、115mg/kg、120mg/kg、125mg/kg、130mg/kg、135mg/kg、140mg/kg、145mg/kg、150mg/kg、155mg/kg、160mg/kg(間のすべての整数を含む)の用量で投与される。一部の実施形態では、オリゴマーは、10mg/kgで投与される。一部の実施形態では、オリゴマーは、20mg/kgで投与される。一部の実施形態では、オリゴマーは、30mg/kgで投与される。一部の実施形態では、オリゴマーは、40mg/kgで投与される。一部の実施形態では、オリゴマーは、60mg/kgで投与される。一部の実施形態では、オリゴマーは、80mg/kgで投与される。一部の実施形態では、オリゴマーは、160mg/kgで投与される。一部の実施形態では、オリゴマーは、50mg/kgで投与される。
一部の実施形態では、処置は、筋細胞膜関連性ジストロフィンタンパク質発現および分布を増加させる。
非ステロイド系抗炎症性化合物では、この効果は、炎症の低下、筋量、筋密度、および/または筋再生の増強により通常、もたらされる。一部の実施形態では、有効量の非ステロイド系抗炎症性化合物は、1日に1〜3回、1日おきに1回、1週間に1回、隔週、1か月に1回、または隔月、約10mg/kg〜約1000mg/kgの間である。一部の実施形態では、有効量は、1日に1〜3回、1日おきに1回、1週間に1回、隔週、1か月に1回、または隔月、約33mg/kg、約67mg/kgまたは約100mg/kgである。
本明細書で使用される場合、用語「機能」および「機能的」などは、生物学的、酵素的または治療的機能を指す。
「機能的」ジストロフィンタンパク質は、通常、DMDまたはBMDを有するある特定の対象に存在するジストロフィンタンパク質の変化したまたは「欠陥」形態と比べて、別段の筋ジストロフィーの特徴である筋組織の進行性分解を低減するのに十分な生物活性を有するジストロフィンタンパク質を一般に指す。ある特定の実施形態では、機能的ジストロフィンタンパク質は、当分野において常套的な技法に従い測定すると、野生型ジストロフィンのin vitroまたはin vivoでの生物活性の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%(間のすべての整数を含む)を有することができる。一例として、筋肉培養物のin vitroでのジストロフィン関連活性は、筋管サイズ、筋原線維組織化(または、組織化崩壊)、収縮活性、およびアセチルコリン受容体の自発的クラスター形成により測定することができる(例えば、Brown et al., Journal of Cell Science. 112:209-216, 1999を参照されたい)。動物モデルもまた、疾患の病因を研究するための貴重なリソースであり、ジストロフィン関連活性を試験する手段を提供する。DMD研究に関する最も幅広く使用されている動物モデルの2つは、mdxマウスおよびゴールデンレトリバー筋ジストロフィー(GRMD)イヌであり、これらのどちらも、ジストロフィンネガティブである(例えば、Collins & Morgan, Int J Exp Pathol 84: 165-172, 2003を参照されたい)。これらの動物モデルおよび他の動物モデルを使用して、様々なジストロフィンタンパク質の機能活性を測定することができる。本開示のエクソンスキッピングアンチセンス化合物のいくつかによって産生される形態などのジストロフィンのトランケート型形態が含まれる。
ジストロフィン合成または産生の「誘導」または「回復」という用語は、一般に、本明細書に記載されているアンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置後に、筋ジストロフィーを有する患者において、ジストロフィンのトランケート型形態を含めた、ジストロフィンタンパク質が産生されることを指す。一部の実施形態では、処置は、患者において、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、10%、20%、30%、40%または50%(間のすべての整数を含む)、新しいジストロフィン産生の増加をもたらす。一部の実施形態では、処置は、患者において、約0.01〜0.05%、0.01〜0.1%、0.01〜0.15%、0.01〜0.2%、0.01〜0.25%、0.01〜0.28%、0.01〜0.3%、0.01〜0.35%、0.01〜0.4%、0.01〜0.45%、0.01〜0.5%、0.01〜0.6%、0.01〜0.7%、0.01〜0.8%、0.01〜0.9%、0.01〜1%、0.01〜1.25%、0.01〜1.5%、0.01〜2%、0.01〜2.5%、0.03〜0.05%、0.03〜0.1%、0.03〜0.15%、0.03〜0.2%、0.03〜0.25%、0.03〜0.28%、0.03〜0.3%、0.03〜0.35%、0.03〜0.4%、0.03〜0.45%、0.03〜0.5%、0.03〜0.6%、0.03〜0.7%、0.03〜0.8%、0.03〜0.9%、0.03〜1%、0.03〜1.25%、0.03〜1.5%、0.03〜2%、0.03〜2.5%、0.05〜0.1%、0.05〜0.15%、0.05〜0.2%、0.05〜0.25%、0.05〜0.28%、0.05〜0.3%、0.05〜0.35%、0.05〜0.4%、0.05〜0.45%、0.05〜0.5%、0.05〜0.6%、0.05〜0.7%、0.05〜0.8%、0.05〜0.9%、0.05〜1%、0.05〜1.25%、0.05〜1.5%、0.05〜2%、0.05〜2.5%、0.1〜0.15%、0.1〜0.2%、0.1〜0.25%、0.1〜0.28%、0.1〜0.3%、0.1〜0.35%、0.1〜0.4%、0.1〜0.45%、0.1〜0.5%、0.1〜0.6%、0.1〜0.7%、0.1〜0.8%、0.1〜0.9%、0.1〜1%、0.1〜1.25%、0.1〜1.5%、0.1〜2%、0.1〜2.5%、0.2〜0.25%、0.2〜0.28%、0.2〜0.3%、0.2〜0.35%、0.2〜0.4%、0.2〜0.45%、0.2〜0.5%、0.2〜0.6%、0.2〜0.7%、0.2〜0.8%、0.2〜0.9%、0.2〜1%、0.2〜1.25%、0.2〜1.5%、0.2〜2%、0.2〜2.5%、0.25〜0.3%、0.25〜0.35%、0.25〜0.4%、0.25〜0.45%、0.25〜0.5%、0.25〜0.6%、0.25〜0.7%、0.25〜0.8%、0.25〜0.9%、0.25〜1%、0.25〜1.25%、0.25〜1.5%、0.25〜2%、0.25〜2.5%、0.3〜0.35%、0.3〜0.4%、0.3〜0.45%、0.3〜0.5%、0.3〜0.6%、0.3〜0.7%、0.3〜0.8%、0.3〜0.9%、0.3〜1%、0.3〜1.25%、0.3〜1.5%、0.3〜2%、0.3〜2.5%、0.4〜0.5%、0.4〜0.6%、0.4〜0.7%、0.4〜0.8%、0.4〜0.9%、0.4〜1%、0.4〜1.25%、0.4〜1.5%、0.4〜2%、0.4〜2.5%、0.5〜0.6%、0.5〜0.7%、0.5〜0.8%、0.5〜0.9%、0.5〜1%、0.5〜1.25%、0.5〜1.5%、0.5〜2%、0.5〜2.5%、1〜2%、1〜2.5%、2〜2.5%、1〜3%、1〜5%、2〜3%、2〜5%、5〜10%、10〜20%、20〜60%、または30〜50%、新しいジストロフィン産生の増加をもたらす。
一部の実施形態では、処置は、正常ジストロフィン率を、対象における正常値の少なくとも0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、約0.1%、約0.2%、約0.25%、約0.28%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5、約5%、約10%、約15%、約20%、約30%、約40%または約50%まで増加させる。他の実施形態では、処置は、正常ジストロフィン率を、対象における正常値の約0.01%〜約0.1%、約0.01%〜約0.2%、約0.01%〜約0.3%、約0.01%〜約0.04%、約0.01%〜約0.05%、約0.1%〜約1%、約0.01%〜約0.15%、約0.5%〜約1%、約1%〜約1.5%、1%〜約2%、約1%〜約2.5%、約1.5%〜約2.5%、約0.5%〜約2.5%、約0.5%〜約5%、約1%〜約5%または約1%〜約10%まで増加させる。一部の実施形態では、処置は、筋細胞膜関連性ジストロフィンタンパク質発現および分布を増加させる。処置後の患者における正常ジストロフィン率、ならびに/または筋細胞膜関連性ジストロフィンタンパク質の発現および分布は、ウェスタンブロット解析などの公知技法を使用して、筋肉の生検後に決定することができる。例えば、筋肉の生検材料は、患者における上腕二頭筋などの好適な筋肉から採取することができる。
ジストロフィンのレベルならびに/または筋細胞膜関連性ジストロフィンタンパク質の発現および分布の解析は、処置前および/もしくは処置後、または処置の経過全体にわたる時点において行われてもよい。一部の実施形態では、処置後の生検材料は、処置前の生検材料から対側の筋肉から採取される。処置前および処置後のジストロフィン発現の研究は、ジストロフィンのための任意の好適なアッセイを使用して行うことができる。一部の実施形態では、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体などの、ジストロフィン用のマーカーである抗体を使用して、筋肉の生検材料からの組織切片に関して免疫組織化学的検出が行われる。例えば、ジストロフィンに対して高感度のマーカーであるMANDYS106抗体を使用することができる。任意の好適な二次抗体が、使用されてもよい。
一部の実施形態では、ジストロフィンのレベルは、ウェスタンブロット解析によって決定される。正常な筋試料は、ジストロフィンを100%有する。したがって、ジストロフィンのレベルは、正常値の百分率として表すことができる。処置前の筋肉および復帰変異体筋肉における微量レベルのジストロフィンの存在についてコントロールするため、ベースラインは、処置後筋肉における正常ジストロフィン率を決定する場合、各患者に由来する処置前筋肉を使用して設定することができる。これは、その患者における、処置後筋肉における正常ジストロフィン率を決定するための閾値として使用され得る。一部の実施形態では、モノクローナルまたはポリクローナル抗ジストロフィン抗体を用いるウェスタンブロット解析を使用して、正常ジストロフィン率を決定することができる。例えば、Novacastra製の抗ジストロフィン抗体NCL−Dys1が使用されてもよい。正常ジストロフィン率はまた、サルコグリカン複合体(β、γ)および/またはニューロンNOSの構成成分の発現を決定することにより分析することもできる。
一部の実施形態では、カシメルセンなどの本開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置は、処置をしない場合に予想される、DMDを有する患者における進行性の呼吸筋機能異常および/または不全を減速させる、または軽減する。一部の実施形態では、本開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置は、処置をしない場合に予想される通気補助の必要性を低減し得る、またはなくすことができる。一部の実施形態では、疾患の経過を追跡するための呼吸機能の測定、および潜在的な治療介入の評価には、最大吸気圧(MIP)、最大呼気圧(MEP)および努力肺活量(FVC)が含まれる。MIPおよびMEPは、ヒトが、それぞれ、吸気および呼気の間に発生し得る圧力のレベルを測定するものであり、呼吸筋力の感度の高い尺度である。MIPは、横隔膜の筋力低下の尺度である。
一部の実施形態では、MEPは、MIPおよびFVCを含めた、他の肺機能検査の変化前に低下することがある。ある特定の実施形態では、MEPは、呼吸機能異常の初期の指標となることがある。ある特定の実施形態では、FVCは、最大吸気後の強制呼気の間に吐き出される空気の総体積を測定するために使用されることがある。DMDを有する患者では、FVCは、10代前半まで、身体の成長に相伴って増加する。しかし、成長は、疾患進行および筋力低下の進行により減速するか、または妨げられるので、肺活量は下降期に入り、10〜12歳を過ぎると、1年あたり約8〜8.5パーセントの平均速度で低下する。ある特定の実施形態では、予測されるMIPパーセント(体重に対して調整されるMIP)、予測されるMEPパーセント(年齢に対して調整されるMEP)、および予測されるFVCパーセント(年齢および身長に対して調整されるFVC)は、補助的な解析である。
本明細書で使用される場合、「十分な長さ」とは、標的ジストロフィンプレmRNAにおいて、少なくとも8つ、より一般には、8〜30の連続する核酸塩基に相補性のアンチセンスオリゴヌクレオチドを指す。一部の実施形態では、十分な長さのアンチセンスは、標的ジストロフィンプレmRNAにおいて、少なくとも8、9、10、11、12、13、14または15の連続する核酸塩基を含む。他の実施形態では、十分な長さのアンチセンスは、標的ジストロフィンプレmRNAにおいて、少なくとも16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30の連続する核酸塩基を含む。様々な実施形態では、十分な長さのオリゴヌクレオチドは、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39および40、またはこれより多いヌクレオチドのオリゴヌクレオチドを含めた、長さが約10〜約50のヌクレオチドである。一部の実施形態では、十分な長さのオリゴヌクレオチドは、長さが10〜約30のヌクレオチドである。様々な実施形態では、十分な長さのオリゴヌクレオチドは、長さが15〜約25のヌクレオチドである。ある特定の実施形態では、十分な長さのオリゴヌクレオチドは、長さが20〜30または20〜50のヌクレオチドである。様々な実施形態では、十分な長さのオリゴヌクレオチドは、長さが25〜28のヌクレオチドである。
用語「ミスマッチ」(複数可)とは、塩基対合規則によれば、標的プレmRNAにマッチしない、オリゴマー核酸塩基配列における1つまたは複数の核酸塩基(連続しているか、間をあけているかのどちらかである)を指す。完全相補性が、多くの場合、望ましいが、一部の実施形態は、標的プレmRNAに関して、1つまたは複数のミスマッチを含むことができるが、好ましくは6つ、5つ、4つ、3つ、2つまたは1つのミスマッチを含むことができる。オリゴマー内の任意の位置においてバリエーションが含まれる。ある特定の実施形態では、本開示のアンチセンスオリゴマーは、内部の末端バリエーション近辺に、核酸塩基配列のバリエーションを含み、存在する場合、5’および/または3’末端の約6つ、5つ、4つ、3つ、2つまたは1つのサブユニット内に、通常、存在する。ある特定の実施形態では、1つ、2つまたは3つの核酸塩基が、除去され得るが、依然として、的確な結合をもたらすことができる。
「増強する」もしくは「増強すること」、または「増加する」もしくは「増加すること」、または「刺激する」もしくは「刺激的すること」とは、一般に、アンチセンス化合物なしまたは対照化合物のどちらかによって引き起こされる応答に比べて、細胞または対象における、一層大きな生理的応答(すなわち、下流での効果)を生じる、または引き起こす1つまたは複数のアンチセンス化合物または組成物の能力を指す。測定可能な生理的応答は、当分野における理解および本明細書における記載から明白な他の応答の中で、筋組織における、ジストロフィンタンパク質の機能的形態の発現の増加またはジストロフィン関連生物活性の増加を含むことができる。約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%の筋機能の向上または改善を含めた、向上した筋機能も測定することができる。筋肉の約1%、2%、%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%におけるジストロフィン発現の増加を含めた、機能的ジストロフィンのレベルも測定することができる。例えば、25〜30%のジストロフィンが存在する場合、約40%の筋機能改善が起こり得ることが示されている(例えば、DelloRusso et al, Proc Natl Acad Sci USA 99: 12979-12984, 2002を参照されたい)。「増加した」または「増強された」量は、通常、「統計学的に有意な」量であり、アンチセンス化合物なし(薬剤が存在しない)または対照化合物によって生じる量の1.1、1.2、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50倍の、または50倍超(例えば、500、1000倍)(すべての整数、および間の小数点および1より大きいものを含む、例えば、1.5、1.6、1.7、1.8など)である増加を含むことができる。
用語「軽減する」または「阻害する」は、診断技術における常套的技法に準拠して測定すると、本明細書に記載されている疾患または状態の症状などの関連する生理的応答または細胞応答を「低下させる」、1つまたは複数の本開示のアンチセンス化合物の能力に一般に関することができる。関連する生理的応答または細胞応答(in vivoまたはin vitro)は、当業者に明白であり、筋ジストロフィーの症状もしくは病理の軽減、またはDMDもしくはBMDを有する個体において発現するジストロフィンの変化した形態などのジストロフィンの欠陥形態の発現の低下を含むことができる。応答の「低下」は、アンチセンス化合物なしまたは対照組成物によって生じる応答と比べて、統計学的に有意であり得、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%の低下(間のすべての整数を含む)を含み得る。
本明細書に記載される、表2中の配列番号1〜32、およびそれらのバリアントのいずれか1つまたは複数を含むポリヌクレオチド配列を発現するベクターなどの、本開示のジストロフィンオリゴマーターゲティング配列を発現することが可能なベクター送達系も含まれる。「ベクター」または「核酸構築物」とは、ポリヌクレオチドが挿入され得る、またはクローニングされ得る、例えば、プラスミド、バクテリオファージ、酵母またはウイルスから誘導される、ポリヌクレオチド分子、好ましくはDNA分子を意味する。ベクターは1つまたは複数の特有の制限部位を含んでもよく、標的細胞もしくは組織またはそれらの前駆体細胞もしくは組織を含めた規定された宿主細胞において、自律複製をすることができ得るか、または規定された宿主のゲノムと統合され得、こうして、クローニングされた配列が再生可能となる。したがって、ベクターは、自律複製するベクター、すなわち、その複製が染色体の複製とは無関係である染色体外実体、例えば、線状もしくは閉環状プラスミド、染色体外エレメント、ミニ染色体または人工染色体として存在するベクターとすることができる。ベクターは、自己複製を確実にする任意の手段を含むことができる。代替的に、ベクターは、宿主細胞に導入されると、ゲノムに組み込まれ、それが組み込まれた染色体(複数可)と一緒に複製されるものとすることができる。
個体(例えば、ヒトなどの哺乳動物)または細胞の「処置」は、個体または細胞の自然経過を改変する試みに使用される任意のタイプの介入である。処置は、以下に限定されないが、医薬組成物または併用療法の投与を含み、予防的に、または病理的事象の開始後もしくは病原体への接触後に行われ得る。処置は、筋ジストロフィーのある特定の形態における場合と同様に、ジストロフィンタンパク質に関連する疾患または状態の症状または病理に及ぼす任意の所望の効果を含み、例えば、処置されている疾患または状態の1つまたは複数の測定可能なマーカーの最小限の変化または改善を含むことができる。処置されている疾患もしくは状態の進行速度を低下させる、その疾患もしくは状態の発症を遅延させる、またはその発症の重症度を軽減することを目的とすることができる、「予防的」処置も含まれる。「処置」または「予防」は、疾患もしくは状態、またはそれらの関連症状の完全な根絶、治癒または予防を必ずしも示すものではない。
一部の実施形態では、非ステロイド系抗炎症性化合物と組み合わせた本開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置は、新しいジストロフィン産生を誘導するもしくは増加させ、処置をしない場合に予想される、疾患進行を遅延させる、歩行能力の喪失を減速させるもしくは低減する、筋炎症を軽減する、筋損傷を軽減する、筋機能を改善する、肺機能の喪失を低減する、および/もしくは筋再生を増強する、またはこれらの任意の組合せをもたらす。一部の実施形態では、処置は、疾患進行を維持する、遅延させる、または減速させる。一部の実施形態では、処置は、歩行能力を維持するか、または歩行能力の喪失を低減する。一部の実施形態では、処置は、肺機能を維持するか、または肺機能の喪失を低減する。一部の実施形態では、処置は、例えば、6分間歩行試験(6MWT)により測定される、患者における安定な歩行距離を維持する、または増加させる。一部の実施形態では、処置は、10メートルを歩行する/走行する時間(すなわち、10メートル歩行/走行試験)を維持する、改善するまたは短縮する。一部の実施形態では、処置は仰臥からの起立までの時間(すなわち、起立時間試験)を、維持する、改善する、または短縮する。一部の実施形態では、処置は、4段の標準階段を上る時間(すなわち、4段の階段登り試験)を、維持する、改善するまたは短縮する。一部の実施形態では、処置は、例えばMRI(例えば、脚筋のMRI)によって測定される、患者における筋炎症を維持する、改善する、または軽減する。一部の実施形態では、MRIは、下腿筋(lower leg muscle)の変化を測定する。一部の実施形態では、MRIは、T2および/または脂肪率を測定して、筋変性を同定する。MRIは、炎症、浮腫、筋損傷および脂肪浸潤によって引き起こされる筋肉構造および組成の変化を同定することができる。一部の実施形態では、筋力は、ノーススター歩行能力評価によって測定される。一部の実施形態では、筋力は、小児のアウトカムデータ収集質問紙(PODCI)によって測定される。
一部の実施形態では、本開示の非ステロイド系抗炎症性化合物と組み合わせた本開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置は、筋炎症を軽減する、筋損傷を軽減する、筋機能を改善する、および/または筋再生を増強する。例えば、処置は、対象における炎症を、安定化する、維持する、改善するまたは軽減することができる。処置は、対象における筋損傷を、例えば、安定化する、維持する、改善するまたは軽減することもできる。処置は、対象における筋機能を、例えば、安定化する、維持する、または改善することができる。さらに、例えば、処置は、対象における筋再生を、安定化する、維持する、改善するまたは増強することができる。一部の実施形態では、処置は、例えば、処置をしない場合に予想される、磁気共鳴画像法(MRI)(例えば、脚筋のMRI)によって測定される、患者における筋炎症を維持する、改善する、または軽減する。
一部の実施形態では、本開示の非ステロイド系抗炎症性化合物と組み合わせた本開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置は、新しいジストロフィン産生を増加させ、処置をしない場合に予想される歩行能力の喪失を減速させるまたは低減する。例えば、処置は、対象における、歩行能力を安定化する、維持する、改善するまたは向上することができる(例えば、歩行能力の安定化)。一部の実施形態では、処置は、例えば、McDonaldら(参照により本明細書に組み込まれている、Muscle Nerve, 2010; 42:966-74)により記載されている6分間歩行試験(6MWT)により測定される、患者における安定な歩行距離を維持する、または増加させる。6分間歩行距離(6MWD)の変化は、絶対値、変化率または%予測値の変化として表すことができる。一部の実施形態では、処置は、健常者と比べて、6MWTにおいて、対象における20%の不足から安定な歩行距離を維持する、または改善する。6MWTにおける、健常者の典型的な成績と比べたDMD患者の成績は、%予測値を算出することにより決定することができる。例えば、%予測6MWDは、男性の場合、以下の式を使用して算出することができる:196.72+(39.81×年齢)−(1.36×年齢)+(132.28×身長(メートル))。女性の場合、%予測6MWDは、以下の式を使用して算出することができる:188.61+(51.50×年齢)−(1.86×年齢)+(86.10×身長(メートル))(参照により本明細書に組み込まれている、Henricson et al. PLoS Curr., 2012, version 2)。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置は、患者における安定な歩行距離を、ベースラインから、3、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30または50メートルより長く増加させる(間のすべての整数を含む)。
DMDを有する患者の筋機能の喪失は、正常な小児期の成長および発達のバックグラウンドに対して起こり得る。実際に、DMDを有する一層若い小児は、進行性筋障害があるにもかかわらず、約1年間の経過にわたり、6MWTの間に歩行した距離の増加を示すことができる。一部の実施形態では、DMDを有する患者からの6MWDは、通常、発達中の対照対象と、ならびに年齢および性別の一致する対象からの既存の規範データと比べる。一部の実施形態では、正常な成長および発達は、規範データに当てはまる、年齢および身長に基づく式を使用して明らかにし得る。このような式を使用して、DMDを有する対象において、6MWDをパーセント予測(%予測)値に変換することができる。ある特定の実施形態では、%予測6MWDデータの解析は、正常な成長および発達を明らかにする方法を表し、若年齢(例えば、7歳未満または7歳に等しい)における機能の獲得は、DMDを有する患者の能力を改善したことよりもむしろ安定していることを表すことを示すことができる(参照により本明細書に組み込まれている、Henricson et al. PLoS Curr., 2012, version 2)。
「共投与」または「共投与すること」または「併用療法」とは、本明細書で使用される場合、一般には、本明細書において開示されている1つまたは複数の非ステロイド系抗炎症性化合物と組み合わせた、DMDエクソンスキッピングアンチセンスオリゴヌクレオチドの投与を指す。言い換えると、用語「共投与すること」または「共投与」または「併用療法」は、1つまたは複数の非ステロイド系抗炎症性化合物および必要に応じて本明細書において開示されている1つまたは複数のグルココルチコイドを含む薬学的に許容される剤形中、相伴って、カシメルセンなどのDMDエクソンスキッピングアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与することを意味する。本明細書において開示されている併用療法における各治療剤は、標準的な薬務に従い、単独で、または治療剤、および1種もしくは複数の薬学的に許容される担体、添加剤および賦形剤を含む医薬(本明細書において、医薬組成物とも呼ばれる)のどちらか一方で投与され得る。各治療剤は、化合物または薬学的に許容されるその塩を別個に製剤化することにより調製することができ、これらのどちらも、同時にまたは別個に、のどちらか一方で投与され得る。さらに2つの製剤を、単一パッケージに入れて、いわゆるキット製剤を提供することができる。いくつかの構成では、どちらの化合物も単一製剤中に含まれてもよい。
本明細書において開示されている併用療法における各治療剤は、同時に(すなわち、同じ医薬で)、同時に(すなわち、任意の順序で次々と投与される別個の医薬で)、または任意の順序で逐次、投与され得る。併用療法における治療剤が、様々な剤形(1つの薬剤が、錠剤またはカプセル剤であり、別の薬剤が、滅菌液体である)にある、および/または様々な投薬スケジュール、例えば毎日投与向けに製剤化されている錠剤もしくはカプセル剤、および毎週1回、2週毎に1回または3週毎に1回などの非経口投与向けに製剤化された組成物で投与される場合、逐次投与が特に有用である。
一部の実施形態では、用語「共投与すること」または「共投与」または「併用療法」は、カシメルセンなどのDMDエクソンスキッピングアンチセンスオリゴヌクレオチドを、本明細書において開示されている1つまたは複数の非ステロイド系抗炎症性化合物および必要に応じて1つまたは複数のグルココルチコイドを含む薬学的に許容される剤形において同時に、投与することを意味する:(i)同じ剤形において、例えば、同じ錠剤または医薬製剤において(カシメルセンなどのDMDエクソンスキッピングアンチセンスオリゴヌクレオチド、本明細書において開示されている1つまたは複数の非ステロイド系抗炎症性化合物、および必要に応じて1つまたは複数のグルココルチコイドおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を意味する)、(ii)同一投与様式を有する別個の剤形において、例えば、カシメルセンなどのDMDエクソンスキッピングアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび薬学的に許容される担体を含む非経口投与に好適な第1の医薬組成物、本明細書において開示されている1つまたは複数の非ステロイド系抗炎症性化合物および薬学的に許容される担体を含む非経口投与に好適な第2の医薬組成物、ならびに必要に応じて、本明細書において開示されている1つまたは複数のグルココルチコイドおよび薬学的に許容される担体を含む非経口投与に好適な第3の医薬組成物を含むキットにおいて、および(iii)異なる投与様式を有する別個の剤形において、例えば、カシメルセンなどのDMDエクソンスキッピングアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび薬学的に許容される担体を含む非経口投与に好適な第1の医薬組成物、本明細書において開示されている1つまたは複数の非ステロイド系抗炎症性化合物および薬学的に許容される担体を含む経口投与に好適な第2の医薬組成物、ならびに必要に応じて、本明細書において開示されている1つまたは複数のグルココルチコイドおよび薬学的に許容される担体を含む経口投与に好適な第3の医薬組成物を含むキットにおいて。
さらに、本開示の利益を与えられた当業者は、本明細書において開示されている1つより多い非ステロイド系抗炎症性化合物が投与されている場合、この薬剤は、同一投与様式を共有する必要はないことを理解している、例えば、キットは、カシメルセンなどのDMDエクソンスキッピングアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび薬学的に許容される担体を含む非経口投与に好適な第1の医薬組成物、本明細書において開示されている第1の非ステロイド系抗炎症性化合物および薬学的に許容される担体を含む経口投与に好適な第2の医薬組成物を含む。当業者は、「共投与すること」または「共投与」の文脈において、上で言及されている同時投与(concomitant administration)は、DMDエクソンスキッピングアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物、および非ステロイド系抗炎症性化合物を含む医薬組成物(複数可)は、同一スケジュールで、すなわち、同一時間および日で、または異なるスケジュールで、すなわち、必ずしも区別可能でないが異なるスケジュールで、投与され得ることを意味することを理解している。
その点では、DMDエクソンスキッピングアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物、および非ステロイド系抗炎症性化合物を含む医薬組成物(複数可)が、異なるスケジュールで投与される場合、このような異なるスケジュールはまた、本明細書において、「バックグラウンド」または「バックグラウンド投与」と称されてもよい。例えば、DMDエクソンスキッピングアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物は(複数可)、1日2回、ある剤形で投与されてもよく、非ステロイド系抗炎症性化合物を含む医薬組成物は、1日1回、投与されてもよく、こうして、DMDエクソンスキッピングアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物は、必ずではないが、毎日投与の1つの間に、非ステロイド系抗炎症性化合物を含む医薬組成物(複数可)と同時に投与されてもよい。「共投与すること」、「共投与」または「併用療法」に対する他の好適な変形形態は、本開示の利益を与えられる当業者に容易に明らかであり、この用語の意味の一部である。
「慢性投与」とは、本明細書で使用される場合、連続的、規則的、長期間投与、すなわち実質的な中断のない周期的投与を指す。例えば、患者において、筋ジストロフィーを処置する目的のため、少なくとも数週間または数か月間または数年間の期間にわたって毎日。例えば、患者において、筋ジストロフィーを処置する目的のため、少なくとも数か月または数年間の期間にわたって、毎週(例えば、少なくとも6週間、毎週、少なくとも12週間、毎週、少なくとも24週間、毎週、少なくとも48週間、毎週、少なくとも72週間、毎週、少なくとも96週間、毎週、少なくとも120週間、毎週、少なくとも144週間、毎週、少なくとも168週間、毎週、少なくとも180週間、毎週、少なくとも192週間、毎週、少なくとも216週間、毎週、または少なくとも240週間、毎週)。
「周期的投与」とは、本明細書で使用される場合、用量間で間隔を設けた投与を指す。例えば、周期的投与は、繰り返されてもよい、固定間隔(例えば、毎週、毎月)での投与を含む。
「プラセボ」は、本明細書で使用される場合、効果を有していない物質を指し、対照として使用され得る。
「プラセボ対照」とは、本明細書で使用される場合、併用療法、アンチセンスオリゴヌクレオチド、非ステロイド系抗炎症性化合物および/または別の医薬組成物ではなくプラセボを受ける対象または患者を指す。プラセボ対照は、同一の変異状態を有し得る、類似した年齢にあり得る、類似した歩く能力を有し得る、およびまたは対象もしくは患者と同じ併用薬(concomitant medication)(ステロイドなどを含む)を受けることができる。
「対象」または「患者」は、本明細書で使用される場合、本開示のアンチセンス化合物により処置され得る、症状を示すか、または症状を示すリスクにある任意の動物であって、DMDもしくはBMD、またはこれらの状態に関連する症状のいずれか(例えば、筋線維喪失)を有する、またはこれらを有するリスクがある対象などの、任意の動物を含む。好適な対象(患者)は、実験動物(マウス、ラット、ウサギまたはモルモットなど)、家畜、および家庭動物またはペット(ネコまたはイヌなど)を含む。非ヒト霊長類、および一部の実施形態では、ヒト患者が含まれる。
「小児患者」とは、本明細書で使用される場合、1〜21歳(これらを含む)の患者である。
アンチセンス分子の命名システムが提案されており、様々なアンチセンス分子を区別するよう公開されている(Mann et al., (2002) J Gen Med 4, 644-654を参照されたい)。この命名法は、下に示すように、すべて同じ標的領域に向けられた、いくつかのわずかに異なるアンチセンス分子を試験する場合、とりわけ関連性のあるものになった
:H#A/D(x:y)。
第1の文字は、種(例えばH:ヒト、M:ネズミ、C:イヌ)を表す。「#」は、標的ジストロフィンエクソン番号を表す。「A/D」は、それぞれ、エクソンの開始部および末端部における受容体または供与体スプライス部位を示す。(x y)は、アニーリング座標(annealing coordinate)を表し、この場合、「−」または「+」は、それぞれ、イントロンまたはエクソンの配列を示す。例えば、A(−6+18)は、標的エクソンの前にイントロンの最後の6つの塩基があること、および標的エクソンの最初の18の塩基があることを示す。最も近接するスプライス部位は、受容体になり、したがって、これらの座標は、「A」から始まることになる。供与体スプライス部位におけるアニーリング座標の記載は、D(+2−18)とすることができ、この場合、最後の2つのエクソン塩基、および最初の18のイントロン塩基が、アンチセンス分子のアニーリング部位に相当する。A(+65+85)により表される、全体がエクソンであるアニーリング座標は、そのエクソンの先頭から65番目のヌクレオチドと85番目のヌクレオチドの間にある部位である。
B. アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびその使用
エクソン45のスキッピングに影響を及ぼすジストロフィン遺伝子のプレmRNAを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドは、本開示の方法に従って使用される。
このようなアンチセンスオリゴマーは、mRNAの翻訳を遮断もしくは阻害するよう、または天然のプレmRNAのスプライスプロセシングを阻害するよう設計され得、これがハイブリダイズする標的配列「に向けられる」または「に対して標的化される」と言うことができる。標的配列は、通常、mRNAのAUG開始コドン、翻訳抑制オリゴマー、またはmRNAのプロセシング前のスプライス部位、スプライス抑制オリゴマー(SSO)を含む領域である。スプライス部位に対する標的配列は、プロセシング前のmRNAにおいて、正常なスプライス受容体結合部の下流の5’末端の1〜約25の塩基対を有するmRNA配列を含むことができる。一部の実施形態では、標的配列は、スプライス部位を含むか、またはエクソンコード配列内に完全に含まれるか、またはスプライス受容体もしくは供与体部位に及ぶ、プロセシング前のmRNAの任意の領域とすることができる。オリゴマーは、上記の方法で標的の核酸に対して標的化されると、タンパク質、ウイルスまたは細菌などの、生物学的に関連性のある標的「に対して標的化される」と、より一般には言われる。
ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトジストロフィンプレmRNAのエクソン45の標的領域に特異的にハイブリダイズし、エクソン45スキッピングを誘導する。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、カシメルセンである。
カシメルセンは、天然の核酸構造の再設計体である、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PMO)と呼ばれる新規な合成アンチセンスRNA治療剤の異なるクラスに属する(図1)。カシメルセンは、ジストロフィンプレmRNAのエクソン45標的領域にハイブリダイズするPMOであり、エクソン45のスキッピングを誘導する。
PMOは、in vivoの非臨床的観察に基づいた、潜在的な臨床的利点をもたらす。PMOは、in vivoにおいて、安定性を確実とするために、ヌクレアーゼによる酵素分解からRNAを保護する、RNAの糖環への修飾を組み込んでいる。PMOは、一部には、RNA、DNAおよび多数の他の合成アンチセンスRNAオリゴヌクレオチドに見いだされる5員のリボフラノシル環を置き換える6員の合成モルホリノ環の使用により、天然核酸および他のアンチセンスオリゴヌクレオチドのクラスとは区別される。
PMOに特異的な非荷電ホスホロジアミデート連結基は、タンパク質へのオフターゲット結合の低減を潜在的にもたらすと考えられる。PMOは、他の臨床段階の合成アンチセンスRNAオリゴヌクレオチドに使用される負に帯電したホスホロチオエート連結基の代わりに、各モルホリノ環に連結した非荷電ホスホロジアミデート連結基を有する。
DMD遺伝子におけるアウトオブフレーム変異により引き起こされるDMDの処置に対する潜在的なアプローチは、インフレーム変異により引き起こされるBMDとして公知のジストロフィン異常症のより軽度の形態により示唆される。アウトオブフレーム変異をインフレーム変異に変換する能力により、仮説では、mRNA読み枠が保存され、内部で短くされた依然として機能的なジストロフィンタンパク質が産生される。エテプリルセンは、これを達成するよう設計された。
カシメルセンは、ジストロフィンプレmRNAを標的としてエクソン45のスキッピングを誘導し、その結果、エクソン45は、成熟したスプライシングされたmRNA転写物から排除されるか、またはスキッピングされる。エクソン45をスキッピングすることによって、中断した読み枠は、インフレーム変異へと回復する。DMDは、様々な遺伝的サブタイプからなるが、カシメルセンは、ヒトジストロフィンプレmRNAのエクソン45をスキッピングするように特異的に設計された。エクソン45のスキッピングに適したDMD変異は、エクソン45に隣接するエクソンの欠失を含み(すなわち、エクソン44またはエクソン46の欠失を含む)、DMD患者のサブグループ(8%)を構成する。
エクソン45のスキッピングを誘導するPMOの配列は、ジストロフィンプレmRNAのエクソン45の(−03+19)における特定の標的領域に相補性となるように設計されている。PMO中の各モルホリノ環は、DNAに見いだされる4つの複素環式核酸塩基(アデニン、シトシン、グアニンおよびチミン)の1つに連結している。
標的としたプレmRNA配列とのPMOのハイブリダイゼーションは、プレmRNAのスプライシング複合体の形成を妨害し、成熟mRNAからエクソン45を取り除く。カシメルセンの構造および立体配置は、相補配列に対する配列特異的塩基対合を可能にする。例えば、ジストロフィンプレmRNAのエクソン51をスキッピングするよう設計されているPMOであるエテプリルセンは、ジストロフィンプレmRNAのエクソン51に含まれる相補配列に対する配列特異的塩基対合を可能にする。
ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、以下の式のオリオゴマー(oliogomer):
(式中、
Nuはそれぞれ、一緒になって、ターゲティング配列を形成する核酸塩基であり、
Tは、
から選択される部分であり、
は、C〜Cアルキルであり、Rは、H、アセチル、または配列番号33〜41のうちの1つから選択される配列を含む細胞透過ペプチドから選択され、nは、13〜30であり、ターゲティング配列は、配列番号1〜32のうちの1つから選択される)である。一態様では、Rは、配列番号41からなる細胞透過ペプチドである。一態様では、nは20であり、ターゲティング配列は、配列番号1である。
C. オリゴマー化学の特徴
本開示のアンチセンスオリゴマーは、様々なアンチセンスオリゴマーの化学物質を使用することができる。オリゴマーの化学物質の例には、限定なしに、前述のいずれかの組合せを含む、モルホリノオリゴマー、ホスホロチオエート修飾オリゴマー、2’−O−メチル修飾オリゴマー、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA)、ホスホロチオエートオリゴマー、2’−O−MOE修飾オリゴマー、2’−フルオロ修飾オリゴマー、2’O,4’C−エチレン架橋核酸(ENA)、トリシクロ−DNA、トリシクロ−DNAホスホロチオエートサブユニット、2’−O−[2−(N−メチルカルバモイル)エチル]修飾オリゴマーが含まれる。ホスホロチオエートおよび2’−O−Me修飾化学物質を組み合わせて、2’−O−Me−ホスホロチオエート骨格を生成することができる。例えば、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、PCT公開第WO/2013/112053号および同第WO/2009/008725号を参照されたい。本開示のオリゴマー化学物質の例示的な実施形態は、以下にさらに記載されている。
1.ペプチド核酸(PNA)
ペプチド核酸(PNA)は、骨格が、ピリミジンまたはプリン塩基が結合しているN−(2−アミノエチル)グリシン単位からなる、デオキシリボース骨格と構造的に同形である、DNAのアナログである。天然ピリミジンおよびプリン塩基を含有するPNAは、ワトソン−クリック塩基対合則に従い、相補性オリゴマーとハイブリダイズし、塩基対認識に関してDNAを模倣する。PNAの骨格は、ホスホジエステル結合ではなく、ペプチド結合によって形成され、PNAは、アンチセンス用途に十分適するようになる(以下の構造を参照されたい)。この骨格は非荷電であり、その結果、通常よりも高い熱的安定性を示す、PNA/DNAまたはPNA/RNA二本鎖をもたらす。PNAは、ヌクレアーゼやプロテアーゼによって認識されない。PNAの非限定例は、以下に図示されている。
PNAは、天然構造に対してラジカル構造変化があるにもかかわらず、らせん形態で、DNAまたはRNAに配列特異的に結合することができる。PNAの特徴には、相補性DNAまたはRNAへの高い結合親和性、一塩基ミスマッチにより引き起こされる不安化効果、ヌクレアーゼおよびプロテアーゼに対する耐性、塩濃度と無関係な、DNAまたはRNAとのハイブリダイゼーション、およびホモプリンDNAとの三重鎖形成が含まれる。PANAGENE(商標)は、独自の(proprietary)Bts PNAモノマー(Bts;ベンゾチアゾール−2−スルホニル基)および独自のオリゴマー化法を開発した。Bts PNAモノマーを使用するPNAオリゴマー化は、脱保護、カップリングおよびキャッピングの繰り返しサイクルからなる。PNAは、当分野で公知の任意の技法を使用して合成的に生成することができる。例えば、米国特許第6,969,766号、同第7,211,668号、同第7,022,851号、同第7,125,994号、同第7,145,006号および同第7,179,896号を参照されたい。PNAの調製に関する、米国特許第5,539,082号、同第5,714,331号および同第5,719,262号も参照されたい。PNA化合物のさらなる教示は、Nielsen et al., Science, 254:1497-1500, 1991に見いだすことができる。上述のいずれも、その全体が、参照により組み込まれている。
ある特定の実施形態では、表2中の配列番号1〜32のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、PNAオリゴマーであってもよい。ある特定の実施形態では、配列番号1(5’−CAATGCCATCCTGGAGTTCCTG−3’)のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、PNAオリゴマーであってもよい。
2. ロックド核酸(LNA)
アンチセンスオリゴマーはまた、「ロックド核酸」サブユニット(LNA)を含んでもよい。「LNA」は、架橋核酸(BNA)と呼ばれる修飾のクラスのメンバーである。BNAは、C30エンド(ノーザン)糖パッカーにおけるリボース環の立体構造を固定する共有結合性連結(covalent linkage)を特徴としている。LNAの場合、架橋は、2’−O位と4’−C位との間のメチレンからなる。LNAは、骨格の事前構築および塩基スタッキングを増強して、ハイブリダイゼーションおよび熱的安定性を向上させる。
LNAの構造は、例えば、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている、Wengel, et al., Chemical Communications (1998) 455; Koshkin et al., Tetrahedron (1998) 54:3607; Jesper Wengel, Accounts of Chem. Research (1999) 32:301; Obika, et al., Tetrahedron Letters (1997) 38:8735; Obika, et al., Tetrahedron Letters (1998) 39:5401;およびObika, et al., Bioorganic Medicinal Chemistry (2008) 16:9230に見いだすことができる。LNAの非限定例は、以下に図示されている。
本開示のアンチセンスオリゴマーは、1つまたは複数のLNAを組み込むことができる。一部の場合、アンチセンスオリゴマーは、LNAから完全になることができる。個々のLNAヌクレオシドサブユニットの合成、およびそれらのオリゴマーへの組み込みに関する方法は、例えば、そのそれぞれの全体が参照により組み込まれている、米国特許第7,572,582号、同第7,569,575号、同第7,084,125号、同第7,060,809号、同第7,053,207号、同第7,034,133号、同第6,794,499号および同第6,670,461号に記載されている。典型的なサブユニット間リンカーは、ホスホジエステルおよびホスホロチオエート部分を含む。代替的に、非リン含有リンカーが使用されてもよい。さらなる実施形態は、LNAサブユニットがそれぞれDNAサブユニットによって分離されるアンチセンスオリゴマー含有LNAを含む。ある特定のアンチセンスオリゴマーは、LNAとDNAの交互サブユニットからなり、この場合、サブユニット間リンカーは、ホスホロチオエートである。
2’O,4’C−エチレン−架橋核酸(ENA)は、BNAのクラスの別のメンバーである。非限定例は、以下に図示されている。
ENAオリゴマーおよびその調製は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、Obika et al., Tetrahedron Lett (1997) 38 (50): 8735に記載されている。本開示のアンチセンスオリゴマーは、1つまたは複数のENAサブユニットを組み込んでいてもよい。
ある特定の実施形態では、表2中の配列番号1〜32のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、LNAオリゴマーであってもよい。ある特定の実施形態では、表2中の配列番号1のアンチセンスオリゴヌクレオチド(5’−CAATGCCATCCTGGAGTTCCTG−3’)は、LNAオリゴマーであってもよい。
ある特定の実施形態では、表2中の配列番号1〜32のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、BNAオリゴマーであってもよい。ある特定の実施形態では、表2中の配列番号1のアンチセンスオリゴヌクレオチド(5’−CAATGCCATCCTGGAGTTCCTG−3’)は、BNAオリゴマーであってもよい。
ある特定の実施形態では、表2中の配列番号1〜32のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ENAオリゴマーであってもよい。ある特定の実施形態では、表2中の配列番号1のアンチセンスオリゴヌクレオチド(5’−CAATGCCATCCTGGAGTTCCTG−3’)は、ENAオリゴマーであってもよい。
3. アンロックド核酸(UNA)
アンチセンスオリゴマーはまた、アンロックド核酸(UNA)サブユニットを含んでもよい。UNAおよびUNAオリゴマーは、サブユニットのC2’−C3’結合が切断されているRNAのアナログである。LNAは、立体構造的に制限(DNAおよびRNAに対する)されている一方、UNAは非常にフレキシブルである。UNAは、例えば、WO2016/070166に開示されている。UNAの非限定例は、以下に図示されている。
典型的なサブユニット間リンカーは、ホスホジエステルおよびホスホロチオエート部分を含む。代替的に、非リン含有リンカーが使用されてもよい。
ある特定の実施形態では、表2中の配列番号1〜32のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、UNAオリゴマーであってもよい。ある特定の実施形態では、表2中の配列番号1のアンチセンスオリゴヌクレオチド(5’−CAATGCCATCCTGGAGTTCCTG−3’)は、UNAオリゴマーであってもよい。
4. ホスホロチオエート
「ホスホロチオエート」(またはS−オリゴ)は、非架橋酸素の1つが、硫黄により置き換えられている、正常なDNAのバリアントである。ホスホロチオエートの非限定例は、以下に図示されている。
ヌクレオチド間結合の硫化は、5’→3’および3’→5’DNA POL1エクソヌクレアーゼ、ヌクレアーゼS1およびP1、RNアーゼ、血清ヌクレアーゼならびにヘビ毒ホスホジエステラーゼを含めた、エンドヌクレアーゼおよびエクソヌクレアーゼの作用を低下させる。ホスホロチオエートは、2つの主要経路:ホスホン酸水素上の二硫化炭素中の元素性硫黄の溶液の作用、またはテトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)もしくは3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン1,1−ジオキシド(BDTD)のどちらか一方による亜リン酸トリエステルの硫化法により作製される(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、Iyer et al., J. Org. Chem. 55, 4693-4699, 1990を参照されたい)。後者の方法は、大部分の有機溶媒に元素性硫黄が不溶であること、および二硫化炭素の毒性の問題を回避する。TETDおよびBDTD法はまた、一層高い純度のホスホロチオエートをもたらす。
ある特定の実施形態では、表2中の配列番号1〜32のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエートオリゴマーであってもよい。ある特定の実施形態では、表2中の配列番号1のアンチセンスオリゴヌクレオチド(5’−CAATGCCATCCTGGAGTTCCTG−3’)は、ホスホロチオエートオリゴマーであってもよい。
5. トリシクロ−DNAおよびトリシクロ−ホスホロチオエートサブユニット
トリシクロ−DNA(tc−DNA)は、ヌクレオチドがそれぞれ、骨格の立体構造上のフレキシビリティを制限して、ねじれ角γの骨格幾何学形状を最適化する、シクロプロパン環の導入により修飾されている、拘束されたDNAアナログのクラスである。ホモベーシック(homobasic)アデニンおよびチミン含有tc−DNAは、相補性RNAと非常に安定したA−T塩基対を形成する。トリシクロ−DNAおよびその合成は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、国際特許出願公開第WO2010/115993号に記載されている。本開示のアンチセンスオリゴマーは、1つまたは複数の三環DNAサブユニットを組み込むことができる。一部の場合、アンチセンスオリゴマーは、三環DNAサブユニットから完全になることができる。
トリシクロ−ホスホロチオエートサブユニットは、ホスホロチオエートサブユニット間連結基を有するトリシクロ−DNAサブユニットである。トリシクロ−ホスホロチオエートサブユニットおよびその合成は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、国際特許出願公開第WO2013/053928号に記載されている。本開示のアンチセンスオリゴマーは、1つまたは複数の三環DNAサブユニットを組み込むことができる。一部の場合、アンチセンスオリゴマーは、三環DNAサブユニットから完全になることができる。三環DNA/三環ホスホロチオエートサブユニットの非限定例は、以下に図示されている。
ある特定の実施形態では、表2中の配列番号1〜32のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、三環ホスホロチオエートオリゴマーであってもよい。ある特定の実施形態では、表2中の配列番号1のアンチセンスオリゴヌクレオチド(5’−CAATGCCATCCTGGAGTTCCTG−3’)は、三環ホスホロチオエートオリゴマーであってもよい。
6. 2’−O−メチルオリゴマー、2’−O−MOEオリゴマーおよび2’−Fオリゴマー
「2’−O−Meオリゴマー」分子は、リボース分子の2’−OH残基にメチル基を有する。2’−O−Me−RNAは、DNAと同じ(または類似の)挙動を示すが、ヌクレアーゼ分解から保護されている。2’−O−Me−RNAはまた、さらなる安定化のために、ホスホロチオエートオリゴマー(PTO)と組み合わされてもよい。2’O−Meオリゴマー(ホスホジエステルまたはホスホロチオエート)は、当分野における常套的技法に従い、合成することができる(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、Yoo et al., Nucleic Acids Res. 32:2008-16, 2004を参照されたい)。2’−O−Meオリゴマーの非限定例は、以下に図示されている。
2’−O−メトキシエチルオリゴマー(2’−O−MOE)は、リボース分子の2’−OH残基にメトキシエチル基を有しており、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、Martin et al., Helv. Chim. Acta, 78, 486-504, 1995において議論されている。2’−O−MOEサブユニットの非限定例は、以下に図示されている。
2’−フルオロ(2’−F)オリゴマーは、2’−OHの代わりに、2’位にフルオロラジカルを有する。2’−Fオリゴマーの非限定例は、以下に図示されている。
2’−フルオロオリゴマーは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、WO2004/043977にさらに記載されている。
2’−O−メチル、2’−O−MOEおよび2’−Fオリゴマーはまた、以下に図示されている1つまたは複数のホスホロチオエート(PS)連結基を含んでもよい。
さらに、2’−O−メチル、2’−O−MOEおよび2’−Fオリゴマーは、例えば、以下に図示されている2’−O−メチルPSオリゴマードリサペルセン中にあるように、オリゴマー全体にPSサブユニット間連結基を含んでもよい。
代替的に、2’−O−メチル、2’−O−MOEおよび/または2’−Fオリゴマーは、以下に図示されている通り、オリゴマーの末端にPS連結基を含んでもよい。
(式中、
Rは、CHCHOCH(メトキシエチルまたはMOE)であり、
X、YおよびZは、それぞれ、指定されている5’ウイング、中央ギャップおよび3’ウイングの各領域内に含まれるヌクレオチド数を表す)。
本開示のアンチセンスオリゴマーは、1つまたは複数の2’−O−メチル、2’−O−MOEおよび2’−Fサブユニットを組み込むことができ、本明細書に記載されているサブユニット間連結基のいずれかを利用することができる。一部の例では、本開示のアンチセンスオリゴマーは、2’−O−メチル、2’−O−MOEまたは2’−Fサブユニットから完全になることができる。本開示のアンチセンスオリゴマーの一実施形態は、2’−O−メチルサブユニットから完全になる。
ある特定の実施形態では、表2中の配列番号1〜32のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、2’−O−Meオリゴマーであってもよい。ある特定の実施形態では、表2中の配列番号1のアンチセンスオリゴヌクレオチド(5’−CAATGCCATCCTGGAGTTCCTG−3’)は、2’−O−Meオリゴマーであってもよい。
ある特定の実施形態では、表2中の配列番号1〜32のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、2’−O−メトキシエチルオリゴマーであってもよい。ある特定の実施形態では、表2中の配列番号1のアンチセンスオリゴヌクレオチド(5’−CAATGCCATCCTGGAGTTCCTG−3’)は、2’−O−メトキシエチルオリゴマーであってもよい。
ある特定の実施形態では、表2中の配列番号1〜32のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、2’−フルオロオリゴマーであってもよい。ある特定の実施形態では、表2中の配列番号1のアンチセンスオリゴヌクレオチド(5’−CAATGCCATCCTGGAGTTCCTG−3’)は、2’−フルオロオリゴマーであってもよい。
7. 2’−O−[2−(N−メチルカルバモイル)エチル]オリゴマー(MCE)
MCEは、本開示のアンチセンスオリゴマーにおいて有用な2’−O修飾リボヌクレオシドの別の例である。ここで、2’−OHは、ヌクレアーゼ耐性を高める2−(N−メチルカルバモイル)エチル部分に誘導体化される。MCEオリゴマーの非限定例は、以下に図示されている。
MCEおよびその合成は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、Yamada et al., J. Org. Chem. (2011) 76(9):3042-53に記載されている。本開示のアンチセンスオリゴマーは、1つまたは複数のMCEサブユニットを組み込んでいてもよい。
ある特定の実施形態では、表2中の配列番号1〜32のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、MCEオリゴマーであってもよい。ある特定の実施形態では、表2中の配列番号1のアンチセンスオリゴヌクレオチド(5’−CAATGCCATCCTGGAGTTCCTG−3’)は、MCEオリゴマーであってもよい。
8. 立体特異的オリゴマー
立体特異的オリゴマーは、リン含有連結基のそれぞれの立体化学が、合成方法により固定され、こうして、実質的に立体的に純粋なオリゴマーが生成されるものである。立体特異的オリゴマーの非限定例は、以下に図示されている。
上記の例において、オリゴマーのリンはそれぞれ、同じ立体配置を有する。追加例には、本明細書に記載されているオリゴマーが含まれる。例えば、LNA、ENA、トリシクロ−DNA、MCE、2’−O−メチル、2’−O−MOE、2’−Fおよびモルホリノをベースとするオリゴマーは、例えば、ホスホロチオエート、ホスホジエステル、ホスホロアミデート、ホスホロジアミデートまたは他のリン含有ヌクレオシド間連結基などの立体特異的リン含有ヌクレオシド間連結基を用いて調製され得る。立体特異的オリゴマー、調製方法、キラル制御合成、キラル設計、およびこのようなオリゴマーの調製に使用するためのキラル補助基は、例えば、その各々の全体が参照により本明細書に組み込まれている、WO2017192664、WO2017192679、WO2017062862、WO2017015575、WO2017015555、WO2015107425、WO2015108048、WO2015108046、WO2015108047、WO2012039448、WO2010064146、WO2011034072、WO2014010250、WO2014012081、WO20130127858およびWO2011005761に詳述されている。
立体特異的オリゴマーは、RまたはS立体配置において、リン含有ヌクレオシド間連結基を有することができる。連結基の立体配置が制御されているキラルなリン含有連結基は、「立体的に純粋な」と称される一方、連結基の立体配置が制御されていないキラルなリン含有連結基は、「ステレオランダム」と称される。ある特定の実施形態では、本開示のオリゴマーは、複数の立体的に純粋な、およびステレオランダムな連結基を含み、こうして、得られるオリゴマーは、該オリゴマーの事前に指定された位置に、立体的に純粋なサブユニットを有する。立体的に純粋なサブユニットの位置の例は、図7Aおよび7Bにおいて、国際特許出願公開第WO2017/062862A2号に提示されている。実施形態では、オリゴマー中のキラルなリン含有連結基はすべて、ステレオランダムである。実施形態では、オリゴマー中のキラルなリン含有連結基はすべて、立体的に純粋である。
n個のキラルなリン含有連結基を有するオリゴマーの実施形態(nは、1またはそれより大きい整数である)では、オリゴマー中のn個のキラルなリン含有連結基のすべてが、ステレオランダムである。n個のキラルなリン含有連結基を有するオリゴマーの実施形態(nは、1またはそれより大きい整数である)では、オリゴマー中のn個のキラルなリン含有連結基のすべてが、立体的に純粋である。n個のキラルなリン含有連結基を有するオリゴマーの実施形態(nは、1またはそれより大きい整数である)では、オリゴマー中のn個のリン含有連結基の少なくとも10%(最も近い整数)が、立体的に純粋である。n個のキラルなリン含有連結基を有するオリゴマーの実施形態(nは、1またはそれより大きい整数である)では、オリゴマー中のn個のリン含有連結基の少なくとも20%(最も近い整数)が、立体的に純粋である。n個のキラルなリン含有連結基を有するオリゴマーの実施形態(nは、1またはそれより大きい整数である)では、オリゴマー中のn個のリン含有連結基の少なくとも30%(最も近い整数)が、立体的に純粋である。n個のキラルなリン含有連結基を有するオリゴマーの実施形態(nは、1またはそれより大きい整数である)では、オリゴマー中のn個のリン含有連結基の少なくとも40%(最も近い整数)が、立体的に純粋である。n個のキラルなリン含有連結基を有するオリゴマーの実施形態(nは、1またはそれより大きい整数である)では、オリゴマー中のn個のリン含有連結基の少なくとも50%(最も近い整数)が、立体的に純粋である。n個のキラルなリン含有連結基を有するオリゴマーの実施形態(nは、1またはそれより大きい整数である)では、オリゴマー中のn個のリン含有連結基の少なくとも60%(最も近い整数)が、立体的に純粋である。n個のキラルなリン含有連結基を有するオリゴマーの実施形態(nは、1またはそれより大きい整数である)では、オリゴマー中のn個のリン含有連結基の少なくとも70%(最も近い整数)が、立体的に純粋である。n個のキラルなリン含有連結基を有するオリゴマーの実施形態(nは、1またはそれより大きい整数である)では、オリゴマー中のn個のリン含有連結基の少なくとも80%(最も近い整数)が、立体的に純粋である。n個のキラルなリン含有連結基を有するオリゴマーの実施形態(nは、1またはそれより大きい整数である)では、オリゴマー中のn個のリン含有連結基の少なくとも90%(最も近い整数)が、立体的に純粋である。
n個のキラルなリン含有連結基を有するオリゴマーの実施形態(nは、1またはそれより大きい整数である)では、オリゴマーは、同じ立体配向(すなわち、SまたはRのどちらか一方)の少なくとも2個の連続する立体的に純粋なリン含有連結基を含有する。n個のキラルなリン含有連結基を有するオリゴマーの実施形態(nは、1またはそれより大きい整数である)では、オリゴマーは、同じ立体配向(すなわち、SまたはRのどちらか一方)の少なくとも3個の連続する立体的に純粋なリン含有連結基を含有する。n個のキラルなリン含有連結基を有するオリゴマーの実施形態(nは、1またはそれより大きい整数である)では、オリゴマーは、同じ立体配向(すなわち、SまたはRのどちらか一方)の少なくとも4個の連続する立体的に純粋なリン含有連結基を含有する。n個のキラルなリン含有連結基を有するオリゴマーの実施形態(nは、1またはそれより大きい整数である)では、オリゴマーは、同じ立体配向(すなわち、SまたはRのどちらか一方)の少なくとも5個の連続する立体的に純粋なリン含有連結基を含有する。n個のキラルなリン含有連結基を有するオリゴマーの実施形態(nは、1またはそれより大きい整数である)では、オリゴマーは、同じ立体配向(すなわち、SまたはRのどちらか一方)の少なくとも6個の連続する立体的に純粋なリン含有連結基を含有する。n個のキラルなリン含有連結基を有するオリゴマーの実施形態(nは、1またはそれより大きい整数である)では、オリゴマーは、同じ立体配向(すなわち、SまたはRのどちらか一方)の少なくとも7個の連続する立体的に純粋なリン含有連結基を含有する。n個のキラルなリン含有連結基を有するオリゴマーの実施形態(nは、1またはそれより大きい整数である)では、オリゴマーは、同じ立体配向(すなわち、SまたはRのどちらか一方)の少なくとも8個の連続する立体的に純粋なリン含有連結基を含有する。n個のキラルなリン含有連結基を有するオリゴマーの実施形態(nは、1またはそれより大きい整数である)では、オリゴマーは、同じ立体配向(すなわち、SまたはRのどちらか一方)の少なくとも9個の連続する立体的に純粋なリン含有連結基を含有する。n個のキラルなリン含有連結基を有するオリゴマーの実施形態(nは、1またはそれより大きい整数である)では、オリゴマーは、同じ立体配向(すなわち、SまたはRのどちらか一方)の少なくとも10個の連続する立体的に純粋なリン含有連結基を含有する。n個のキラルなリン含有連結基を有するオリゴマーの実施形態(nは、1またはそれより大きい整数である)では、オリゴマーは、同じ立体配向(すなわち、SまたはRのどちらか一方)の少なくとも11個の連続する立体的に純粋なリン含有連結基を含有する。n個のキラルなリン含有連結基を有するオリゴマーの実施形態(nは、1またはそれより大きい整数である)では、オリゴマーは、同じ立体配向(すなわち、SまたはRのどちらか一方)の少なくとも12個の連続する立体的に純粋なリン含有連結基を含有する。n個のキラルなリン含有連結基を有するオリゴマーの実施形態(nは、1またはそれより大きい整数である)では、オリゴマーは、同じ立体配向(すなわち、SまたはRのどちらか一方)の少なくとも13個の連続する立体的に純粋なリン含有連結基を含有する。n個のキラルなリン含有連結基を有するオリゴマーの実施形態(nは、1またはそれより大きい整数である)では、オリゴマーは、同じ立体配向(すなわち、SまたはRのどちらか一方)の少なくとも14個の連続する立体的に純粋なリン含有連結基を含有する。n個のキラルなリン含有連結基を有するオリゴマーの実施形態(nは、1またはそれより大きい整数である)では、オリゴマーは、同じ立体配向(すなわち、SまたはRのどちらか一方)の少なくとも15個の連続する立体的に純粋なリン含有連結基を含有する。n個のキラルなリン含有連結基を有するオリゴマーの実施形態(nは、1またはそれより大きい整数である)では、オリゴマーは、同じ立体配向(すなわち、SまたはRのどちらか一方)の少なくとも16個の連続する立体的に純粋なリン含有連結基を含有する。n個のキラルなリン含有連結基を有するオリゴマーの実施形態(nは、1またはそれより大きい整数である)では、オリゴマーは、同じ立体配向(すなわち、SまたはRのどちらか一方)の少なくとも17個の連続する立体的に純粋なリン含有連結基を含有する。n個のキラルなリン含有連結基を有するオリゴマーの実施形態(nは、1またはそれより大きい整数である)では、オリゴマーは、同じ立体配向(すなわち、SまたはRのどちらか一方)の少なくとも18個の連続する立体的に純粋なリン含有連結基を含有する。n個のキラルなリン含有連結基を有するオリゴマーの実施形態(nは、1またはそれより大きい整数である)では、オリゴマーは、同じ立体配向(すなわち、SまたはRのどちらか一方)の少なくとも19個の連続する立体的に純粋なリン含有連結基を含有する。n個のキラルなリン含有連結基を有するオリゴマーの実施形態(nは、1またはそれより大きい整数である)では、オリゴマーは、同じ立体配向(すなわち、SまたはRのどちらか一方)の少なくとも20個の連続する立体的に純粋なリン含有連結基を含有する。
ある特定の実施形態では、表2中の配列番号1〜32のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、立体特異的オリゴマーであってもよい。ある特定の実施形態では、表2中の配列番号1のアンチセンスオリゴヌクレオチド(5’−CAATGCCATCCTGGAGTTCCTG−3’)は、立体特異的オリゴマーであってもよい。
9. モルホリノオリゴマー
本開示の例示的な実施形態は、以下の一般構造のホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー:
および、Summerton, J., et al., Antisense & Nucleic Acid Drug Development, 7: 187-195 (1997)の図2に記載されているホスホロジアミデートモルホリノオリゴマーに関する。本明細書に記載されているモルホリノは、上述の一般構造の立体異性体および互変異性体のすべてを包含することが意図されている。モルホリノオリゴマーの合成、構造および結合特徴は、これらのすべてが、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第5,698,685号、同第5,217,866号、同第5,142,047号、同第5,034,506号、同第5,166,315号、同第5,521,063号、同第5,506,337号、同第8,076,476号および同第8,299,206号に詳述されている。
ある特定の実施形態では、モルホリノは、オリゴマーの5’または3’末端で「尾部」部分とコンジュゲートして、その安定性および/または溶解度を増加させる。例示的な尾部には、
が含まれ、「尾部」部分の遠位−OHまたは−NHは、必要に応じて、細胞透過ペプチドに連結されている。
ある特定の実施形態では、表2中の配列番号1〜32のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、モルホリノオリゴマーであってもよい。ある特定の実施形態では、表2中の配列番号1のアンチセンスオリゴヌクレオチド(5’−CAATGCCATCCTGGAGTTCCTG−3’)は、モルホリノオリゴマーであってもよい。
10. 核酸塩基修飾および置換
ある特定の実施形態では、本開示のアンチセンスオリゴマーは、RNA核酸塩基およびDNA核酸塩基からなる(当分野では、多くの場合、単に「塩基」と称される)。RNA塩基は、アデニン(A)、ウラシル(U)、シトシン(C)およびグアニン(G)として一般に知られている。DNA塩基は、アデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)およびグアニン(G)として一般に知られている。様々な実施形態では、本開示のアンチセンスオリゴマーは、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T)、アデニン(A)、5−メチルシトシン(5mC)、ウラシル(U)およびヒポキサンチン(I)からなる。
ある特定の実施形態では、オリゴマー中の1つまたは複数のRNA塩基またはDNA塩基は、RNA塩基またはDNA塩基以外の塩基により修飾または置換されていてよい。修飾または置換塩基を含有するオリゴマーは、核酸中に最も一般に見られる1つまたは複数のプリンまたはピリミジン塩基が、それほど一般的ではない塩基または非天然塩基により置き換えられているオリゴマーを含む。
プリン塩基は、以下の一般式により記載されている通り、イミダゾール環に縮合しているピリミジン環を含む。
アデニンおよびグアニンは、核酸中に最も一般に見られる、2つのプリン核酸塩基である。他の天然に存在するプリンには、以下に限定されないが、N−メチルアデニン、N−メチルグアニン、ヒポキサンチンおよび7−メチルグアニンが含まれる。
ピリミジン塩基は、以下の一般式によって記載されている6員のピリミジン環を含む。
シトシン、ウラシルおよびチミンは、核酸中に最も一般に見られるピリミジン塩基である。他の天然に存在するピリミジンには、以下に限定されないが、5−メチルシトシン、5−ヒドロキシメチルシトシン、シュードウラシルおよび4−チオウラシルが含まれる。一実施形態では、本明細書に記載されているオリゴマーは、ウラシルの代わりのチミン塩基を含む。
他の好適な塩基には、以下に限定されないが:2,6−ジアミノプリン、オロト酸、アグマチジン、リシジン、2−チオピリミジン(例えば、2−チオウラシル、2−チオチミン)、G−clampおよびその誘導体、5−置換ピリミジン(例えば、5−ハロウラシル、5−プロピニルウラシル、5−プロピニルシトシン、5−アミノメチルウラシル、5−ヒドロキシメチルウラシル、5−アミノメチルシトシン、5−ヒドロキシメチルシトシン、Super T)、7−デアザグアニン、7−デアザアデニン、7−アザ−2,6−ジアミノプリン、8−アザ−7−デアザグアニン、8−アザ−7−デアザアデニン、8−アザ−7−デアザ−2,6−ジアミノプリン、Super G、Super AおよびN4−エチルシトシン、またはそれらの誘導体;N−シクロペンチルグアニン(cPent−G)、N−シクロペンチル−2−アミノプリン(cPent−AP)およびN−プロピル−2−アミノプリン(Pr−AP)、シュードウラシルまたはそれらの誘導体;ならびに2,6−ジフルオロトルエンのような縮重塩基もしくはユニバーサル塩基または無塩基部位(例えば、1−デオキシリボース、1,2−ジデオキシリボース、1−デオキシ−2−O−メチルリボースのような欠けている塩基(absent base);または環酸素が窒素に置き換わっているピロリジン誘導体(アザリボース))が含まれる。Super A、Super GおよびSuper Tの誘導体の例は、参照により本明細書に完全に組み込まれている、米国特許第6,683,173号(Epoch Biosciences)に見いだすことができる。cPent−G、cPent−APおよびPr−APは、siRNAに組み込まれると、免疫刺激作用を低下させることが示された(Peacock H. et al. J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 9200)。シュードウラシルは、ウリジンにおける場合と同様に、通常のN−グリコシドよりはむしろC−グリコシドを含む、ウラシルの天然に存在する異性化型である。シュードウリジン含有合成mRNAは、ウリジン含有mPvNAに比べて、改善された安全性プロファイルを有することがある(参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、WO2009127230)。
ある特定の核酸塩基は、本開示のアンチセンスオリゴマーの結合親和性を増加させるのに特に有用である。これらは、5−置換ピリミジン、6−アザピリミジン、ならびに2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシルおよび5−プロピニルシトシンを含めたN−2、N−6およびO−6置換プリンを含む。5−メチルシトシン置換は、核酸の二本鎖安定性を0.6〜1.2℃、増加させることが示されており、さらに一層具体的には、2’−O−メトキシエチル糖修飾と組み合わされている場合、現在のところ、好ましい塩基置換である。さらなる例示的な修飾核酸塩基は、核酸塩基の少なくとも1個の水素原子がフッ素により置き換えられているものを含む。
ある特定の実施形態では、表2中の配列番号1〜32のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の核酸塩基修飾または置換を含んでもよい。ある特定の実施形態では、表2中の配列番号1のアンチセンスオリゴヌクレオチド(5’−CAATGCCATCCTGGAGTTCCTG−3’)は、1つまたは複数の核酸塩基修飾または置換を含んでもよい。
D. エクソンスキッピングによってジストロフィン読み枠を回復させるための使用
79のエクソンをすべて含有する正常なジストロフィンmRNAは、正常なジストロフィンタンパクを産生する。図2のグラフは、エクソン47からエクソン53までのジストロフィンプレmRNAおよび成熟mRNAの小さな区域を図示している。各エクソンの形状は、コドンがエクソン間でどのように分割されているかを図示している。1つのコドンは、3つのヌクレオチドからなることに留意すべきである。長方形形状のエクソンは、完全コドンから始まり、これで終わる。矢印形状のエクソンは、完全コドンから始まるが、コドンのヌクレオチド番号1しか含有しない分割コドンで終わる。このコドンのヌクレオチド番号2および番号3は、山形形状から始まる次のエクソンに含まれている。
ジストロフィン遺伝子に由来する全エクソンのないジストロフィンmRNAは、通常、DMDをもたらす。図3のグラフは、DMDをもたらすことが知られている、遺伝子の変異(エクソン50の欠失)のタイプを例示している。エクソン49は、完全コドンで終わり、エクソン51は、コドンの2番目のヌクレオチドから始まるので、エクソン49より後の読み枠はシフトし、アウトオブフレームmRNA読み枠および変異から下流の正しくないアミノ酸の取り込みをもたらす。その後の機能的C末端ジストログリカン結合ドメインが存在しないことにより、不安定なジストロフィンタンパク質の生成がもたらされる。
別のエクソンスキッピングPMOであるエテプリルセンは、エクソン51をスキッピングして、mRNA読み枠を回復する。エクソン49は、完全コドンで終わり、エクソン52は、コドンの1番目のヌクレオチドから始まるので、エクソン51の欠失は、読み枠を回復して、その結果、「インフレーム」BMD変異に類似した、無傷のジストログリカン結合部位を有する、内部が短くなったジストロフィンタンパク質の産生をもたらす(図4)。
ジストロフィンmRNAオープンリーディングフレームを回復するためにエクソンスキッピングを使用して、DMD表現型を改善する実現可能性は、非臨床調査によって支持されている。DMDのジストロフィー動物モデルでの多くの研究により、エクソンスキッピングによるジストロフィンの回復は、筋力および機能の確実な改善をもたらすことが示された(Sharp 2011; Yokota 2009; Wu 2008; Wu 2011; Barton-Davis 1999; Goyenvalle 2004; Gregorevic 2006; Yue 2006; Welch 2007; Kawano 2008; Reay 2008; van Putten 2012)。この説得力のある例は、エクソンスキッピング(PMOを使用)治療後のジストロフィンレベルを、同一組織における筋機能と比較した研究に由来している。ジストロフィーmdxマウスでは、マウス特異的PMOで処置した前脛骨(TA)筋がストレス誘導性収縮後にその最大力能力(maximum force capacity)の約75%を維持した一方、反対側の未処置TA筋はその最大力能力の約25%しか維持しなかった(p<0.05)(Sharp 2011)。別の研究では、3匹のジストロフィーCXMDイヌ(2〜5か月齢)に、その遺伝子変異に特異的なPMOを使用したエクソンスキッピング治療を週1回、5〜7週間または1週おきに1回、22週間、受けさせた。エクソンスキッピング治療後、3匹のイヌすべてが、骨格筋に全身に広がるジストロフィンの大きな発現、およびベースラインと比較すると、歩行能力(15mランニングテスト)の維持または改善を実証した。対照的に、年齢の一致する未処置CXMDイヌは、研究期間を通じて、歩行能力の著明な低下を示した(Yokota 2009)。
PMOは、mdxマウス、およびヒトDMD全転写物を発現するヒト化DMD(hDMD)マウスモデルのどちらも、等モル濃度でのエクソンスキッピング活性がホスホロチオエートより高いことを示した(Heemskirk 2009)。正常ヒト骨格筋細胞またはエクソン51スキッピングに適した様々な変異を有するDMD患者由来の筋細胞において、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)およびウェスタンブロット(WB)を使用したin vitroでの実験では、エテプリルセンがエクソン51スキッピングの強力な誘導因子であることが同定された。hDMDマウスモデルでは、エテプリルセン誘導性エクソン51スキッピングが、in vivoで確認されている(Arechavala-Gomeza 2007)。
ヒトジストロフィンプレmRNAのエクソン45の標的領域に特異的にハイブリダイズして、エクソン45のスキッピングを誘導する、アンチセンスオリゴヌクレオチドの効果を解析するための臨床的転帰には、ジストロフィン陽性線維率(PDPF)、6分間歩行試験(6MWT)、歩行能力の喪失(LOA)、ノーススター歩行能力評価(NSAA)、肺機能検査(PFT)、外部補助なしに(仰臥位から)起立する能力、デノボジストロフィン産生および他の機能的尺度が含まれる。
E. カシメルセン投与に関する臨床所見および転帰
カシメルセン(SRP−4045)は、エクソン45のスキッピングに適したDMD遺伝子の変異が確認された患者における、進行中の第I/II相臨床研究(研究4045−101)において評価中である。
研究4045−101は、DMD患者における、SRP−4045(カシメルセン)の第I/II相研究である。この研究は、エクソン45のスキッピングに適したデュシェンヌ型筋ジストロフィーを有する患者において、2つのパート、すなわち、SRP−4045の無作為化二重盲検プラセボ対照、用量漸増、安全性、耐容性および薬物動態研究(パート1)と、その後の非盲検有効性および安全性評価(パート2)である。一次転帰尺度は、有害事象の出現率[時間枠:約12週間(パート1)]を含む。二次転帰尺度は、血漿中の薬物濃度[時間枠:約12週間(パート1)]を含む。有効性は、このような生活の質に関する質問票を評価し、肺および上肢機能の試験は、この研究の非盲検部分の間に、定期的にスケジュール化した訪問時に評価する。
この研究のさらなる詳細は、www.clinicaltrials.org(NCT02530905)に見いだされる。
F. 研究4045−301(核心):
研究4045−301は、DMD患者における、SRP−4045(カシメルセン)およびSRP−4053(ゴロディルセン)の研究である。この研究は、SRP−4045およびSRP−4053の有効性および安全性を評価するための、二重盲検プラセボ対照多施設、48週間の研究である。エクソン45または53をスキッピングすることによって修正され得るアウトオブフレームの欠失を有する適格患者を無作為化して、48週間、それぞれ、30mg/kgのSRP−4045または30mg/kgのSRP−4053(合わせた活性剤群(active group)、66名の患者)またはプラセボ(33名の患者)を毎週1回、静脈内(IV)注入する。臨床的有効性は、6分間歩行試験などの機能試験を含めた、定期的なスケジュール化された研究訪問時に評価する。患者はすべて、ベースラインにおいて筋肉の生検を受け、研究の過程で第2の筋肉の生検を受ける。安全性は、研究全体にわたり、有害事象(AE)の収集、検査室試験、心電図(ECG)、心エコー図(ECHO)、バイタルサインおよび身体検査により評価する。血液試料は、両方の薬物の薬物動態を評価するため、研究全体にわたり、定期的に採取する。一次転帰尺度は、ベースラインからの6分間歩行試験(6MWT)の変化[時間枠:ベースラインから48週目まで]を含み、二次転帰尺度は、ジストロフィン陽性線維率[時間枠:ベースラインから24週目および48週目まで]、およびベースラインからの予測される最大吸気圧(MIP)%、予測される最大呼気圧(MEP)%の変化[時間枠:ベースラインから48週目まで]を含む。この研究のさらなる詳細は、www.clinicaltrials.org(NCT02500381)に見いだされる。
6分間歩行試験
日々のヒト機能における歩行能力の重要な役割、およびDMDにおけるその不可避の喪失の影響が考慮されて、迅速承認のために、3年目の6MWTは、「中間の」臨床的有効性転帰と考えることができる。
6MWT評価は、国際的指針に従い、標準化した法で行う。
歩行能力の喪失
歩行能力障害および不可逆性歩行能力の喪失(LOA)は、DMDに特徴的な進行性筋変性の顕著な特徴である。それは、疾患進行の重症度の信頼性の高い総合的な指標であり、6MWTなどの機能尺度と強く相関している。それはまた、動機的要因によってそれほど影響を受けない。さらに、LOAは、換気サポートの必要性などの、他の主な疾患マイルストーンおよび生存を予測する(Bello 2016)。一旦、車椅子に余儀なくされると、他の症状が矢継ぎ早に続く傾向がある。
ノーススター歩行能力評価(NSAA)
NSAAは、DMDを有する歩行能力のある患者の機能を測定するために特に設計された、臨床医が報告する転帰文書である。17項目は、それぞれ、0〜2の順序尺度でスコア化され、床からの起立、階段の昇降、10メートルの歩行/走行および頭の持ち上げなどの能力の評価を含む。
外部補助なしに起立する能力
仰臥位から起立する能力は、DMD患者にとって極めて重要活動であり、早期に失われる能力の1つであり、歩行能力の喪失を予測し得る。起立する能力の喪失は、1〜2年以内の歩行能力の喪失を予測し得ることが示唆されている。
肺機能検査
ジストロフィー過程は、横隔膜を含めた呼吸筋に影響するので、DMDにおける呼吸機能は、経時的に、次第に損なわれ、著しく高い罹患率および死亡率に至る。処置男児は、ベースラインデータまたは自然史のデータと比べた場合、予測されるFVC%によって測定されるとおり、呼吸筋機能の悪化がより緩徐になる傾向がある。さらに、予測されるMEP%および予測されるMIP%もまた、処置によって、予期されるよりも一層ゆっくりと退行することがあるが、これらのパラメーターに関する科学文献は一層、限られる。
アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび代替化学物質
他の実施形態では、本開示において使用するためのさらなるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、表2中の配列番号1〜32として示されている配列から選択することができる。一部の実施形態では、本開示において使用するためのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、それらの各々が参照により本明細書に組み込まれている、WO2004/048570、WO2004/083432、US8,324,371、WO2009/054725、WO2010/050801、WO2010/123369、WO2012/109296、WO2013/100190に見いだされる。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、様々な化学物質を使用して生成することができる。例えば、PMOであることに加え、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、2’−O−メチル−ホスホロチオエート、すなわちAONとすることができ、この場合、オリゴヌクレオチド中のあらゆるヌクレオチドは、2’位において修飾されており、こうして、得られた構造は、2’位にメトキシ基を有し、オリゴヌクレオチド中のヌクレオチドのすべてが、ホスホロチオエート連結基(天然に存在するRNAおよびDNAに見いだされるホスホジエステル連結基の代わり)により連結されている。Rがメトキシ(すなわち、−OCH)である図1は、2’−O−メチル−ホスホロチオエートの化学構造を表す。ドリサペルセンは、2’−O−メチル−ホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチドの例である。
ホスホロチオエートは、補体活性化および炎症誘発性作用、凝固障害、血小板減少症、脈管傷害および肝クッパ−細胞好塩基球増加を含む、動物における、いくつかの他の標的臓器への毒性を引き起こすことが知られている(Levin 1998; Monteith 1999; Levin 2001; Henry 2008; Frazier 2014; Engelhardt 2015; Frazier 2015)。T細胞依存性抗体応答、および末梢血TおよびB細胞部分集団の免疫表現型(合計/ヘルパー/細胞傷害性T細胞、B細胞およびNK細胞)を含んだ、幼若ラットにおける免疫系の発生の徹底的な評価により、エテプリルセン、PMO、は、免疫応答に対して有害作用を有さないことが実証された。
本開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、モルホリノまたは2’−O−メチル−ホスホロチオエートであることに加え、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA)、または2’−O,4’−C−エチレン−架橋核酸(ENA)などの架橋核酸(BNA)であってもよい。
一部の実施形態では、本開示は、ジストロフィンプレmRNAにおける選択された標的に結合して、エクソン45の効率的かつ一貫したスキッピングを誘導することが可能なアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、機能的ジストロフィン遺伝子産物の合成を排除する変異から発生する。これらのデュシェンヌ型筋ジストロフィー遺伝子欠損は、通常、欠失、重複もしくはマイクロ欠失、または読み枠を中断する挿入などの、ノンセンス変異またはゲノム再配列である。ヒトジストロフィン遺伝子は、大きく複雑な遺伝子であり、79のエクソンは互いにスプライシングされて、約11,000の塩基のオープンリーディングフレームを有する成熟mRNAを産生するので、これらの変異が起こり得る位置が多数、存在する。したがって、ジストロフィン遺伝子における、様々な疾患を引き起こす変異の多くに対処するための、包括的なアンチセンスオリゴヌクレオチドをベースとする治療法は、多数のエクソンが、スプライシング過程の間に、除去の標的になり得ることを必要とする。さらに、アンチセンスオリゴヌクレオチドをベースとする治療法は、非ステロイド系抗炎症性化合物により行われてもよい。
本開示の例示的な実施形態は、ホスホロジアミデート骨格連結基を有するモルホリノオリゴヌクレオチドに関する。アンチセンスオリゴヌクレオチドを含めた、非荷電骨格連結基を有するモルホリノオリゴヌクレオチドは、例えば、それらのすべてが、参照により本明細書に明確に組み込まれている、(Summerton and Weller 1997)、ならびに共同所有されている米国特許第5,698,685号、同第5,217,866号、同第5,142,047号、同第5,034,506号、同第5,166,315号、同第5,185,444号、同第5,521,063号、同第5,506,337号、同第8,076,476号および同第8,299,206号に詳述されている。
モルホリノをベースとするサブユニットの重要な特性には、1)安定な非荷電骨格連結基によってオリゴマー形態で連結することができること、2)形成されたポリマーが、比較的短いオリゴヌクレオチド(例えば、10〜15塩基)中で、約45℃を超えるTm値で、標的RNAを含めた相補性塩基標的核酸とハイブリダイズすることができるよう、ヌクレオチド塩基(例えば、アデニン、シトシン、グアニン、チミジン、ウラシルおよびイノシン(ヒポキサンチン))を補助することができること、3)オリゴヌクレオチドが、能動的にまたは受動的に哺乳動物細胞に輸送され得ること、および4)アンチセンスオリゴヌクレオチド:RNAヘテロ二重鎖が、それぞれ、RNAアーゼおよびRNアーゼH分解に耐性となることができることが含まれる。
ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、上記および下記で引用した参照文献に詳述されている方法を使用し、段階的な固相合成によって調製することができる。一部の場合、アンチセンス化合物に1つまたは複数の追加の化学部分を追加して、例えば、薬物動態を増強する、または化合物の捕捉もしくは検出を促進することが望ましいことがある。本明細書に記載されている尾部部分などのこのような部分は、標準的合成法に従い、共有結合により結合され得る。例えば、ポリエチレングリコール部分または他の親水性ポリマー、例えば、1〜100個のモノマーサブユニットを有するものを追加すると、溶解度の増強に有用となることがある。
フルオレセインまたは放射標識基などのリポーター部分は、検出のために結合されていてもよい。代替的に、オリゴマーに結合しているリポーター標識は、標識化抗体またはストレプトアビジンに結合することが可能な、抗原またはビオチンなどのリガンドであってもよい。アンチセンス化合物の結合または修飾のための部分の選択の際には、一般に、生体適合性があり、かつ望ましくない副作用なしに対象によって耐容される可能性が高いグループの化学化合物を選択することが、当然ながら望ましい。
アンチセンス用途に使用するためのオリゴマーは、一般に、長さが約10〜約50個のサブユニットの範囲にある。一部の実施形態では、本開示のアンチセンスオリゴマーは、長さが、例えば、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個または35個のサブユニットを含めた、約10〜30個のサブユニットの範囲にある。様々な実施形態では、本開示のオリゴマーは、25〜28個のサブユニットを有する。
各モルホリノ環構造は、塩基対合部分を補助して、塩基対合部分の配列を形成し、この配列は、通常、処置されている細胞または対象において、選択されたアンチセンス標的にハイブリダイズするよう設計されている。塩基対合部分は、ネイティブDNAもしくはRNA(例えば、A、G、C、TまたはU)、またはヒポキサンチン(ヌクレオシドイノシンの塩基構成成分)もしくは5−メチルシトシンなどのアナログに見いだされるプリンまたはピリミジンであり得る。
各分子における対応する位置の十分な数が、互いに水素結合することができるヌクレオチドによって占有されている場合、オリゴヌクレオチド、およびDNAまたはRNAは、互いに相補性である。したがって、「特異的にハイブリダイズすることが可能な」および「相補性」は、相補性または正確な対が十分な程度にあることを示すために使用される用語であり、こうして、オリゴヌクレオチドとDNAまたはRNA標的との間に、安定かつ特異的な結合が起こる。アンチセンス分子の配列は、特異的にハイブリダイズすることが可能となるのに、そのターゲティング配列の配列と100%相補性であることを必要としないことが当分野において理解されている。アンチセンス分子は、標的DNAまたはRNA分子への化合物の結合が、標的DNAまたはRNAの正常な機能を妨害して、利用性を失わせる場合、特異的にハイブリダイズすることが可能であり、特異的結合が望ましい条件下、すなわち、in vivoアッセイまたは処置の場合、生理的条件下で、およびin vitroアッセイの場合、アッセイが行われる条件下で、アンチセンス化合物の非ターゲティング配列への非特異的結合を回避するのに十分な程度の相補性が存在する。
上記の方法を使用して、その生物機能に影響を及ぼすことなく、短くすることが可能なタンパク質内部からの任意のエクソンを欠失させることが可能なアンチセンス分子を選択することが可能であるが、エクソン欠失は、短くなった転写されたmRNAにおける読み枠のシフトをもたらすべきではない。したがって、3つのエクソンの線状配列において、第1のエクソンの末端が、コドン中の3つのヌクレオチドのうちの2つをコードし、次のエクソンが、欠失される場合、次に、線状配列の第3のエクソンは、コドンに対してヌクレオチドトリプレットを完成することが可能な単一ヌクレオチドから始まらなければならない。第3のエクソンが、単一でヌクレオチドから始まらない場合、トランケート型または非機能性タンパク質の産生をもたらすと思われる読み枠のシフトが存在するであろう。
構造タンパク質中のエクソンの末端におけるコドン配列は、常にコドンの末端で中断されるとは限らず、その結果、mRNAのインフレーム読み取りを確実にするため、プレmRNAから1つより多いエクソンを欠失させることが必要となり得ることが理解される。このような状況では、複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、本開示の方法によって選択されることが必要となり得、この場合、各々のアンチセンスヌクレオチドは、欠失されることになるエクソンにおいて、スプライシングの誘発を担う異なる領域に向かう。
アンチセンス分子と二本鎖を形成する間のプレmRNAの分解を回避するため、本方法において使用されるアンチセンス分子は、内因性RNアーゼHによる切断を最小化または防止するように適合されていてもよい。細胞内、またはRNアーゼHを含有する粗製抽出物中のどちらかで、非メチル化オリゴヌクレオチドによりRNAを処置すると、プレmRNA:アンチセンスオリゴヌクレオチド二本鎖の分解がもたらされるので、上記の特性は非常に好ましい。このような分解を回避することができる、またはこれを誘発し得ない修飾アンチセンス分子の任意の形態を、本方法において使用することができる。RNAと二本鎖を形成した場合に、細胞のRNアーゼHによって切断されないアンチセンス分子の例は、2’−O−メチル誘導体である。2’−O−メチル−オリゴリボヌクレオチドは、細胞環境および動物組織内で非常に安定であり、RNAとのそれらの二本鎖は、リボまたはデオキシリボ相当物よりも高いTm値を有する。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、アンチセンス分子の好ましい形態であるが、本開示は、以下に限定されないが、オリゴヌクレオチド模倣体を含めた、他のオリゴマーアンチセンス分子を包含する。
様々な実施形態では、この開示において有用なアンチセンス化合物は、修飾された骨格または非天然のヌクレオシド間連結基を含有するオリゴヌクレオチドを含む。本明細書において定義されている通り、修飾骨格を有するオリゴヌクレオチドは、骨格中のリン原子を保持するもの、および骨格中にリン原子を有さないものを含む。この本明細書の目的のため、および当分野において時に参照されている通り、ヌクレオシド間骨格中にリン原子を有さない修飾オリゴヌクレオチドも、オリゴヌクレオシドと見なされ得る。
所与の化合物中のすべての位置が、均質に修飾されている必要はなく、実際に、上述の修飾の1つより多くが、単一化合物中、またはさらにオリゴヌクレオチド内の単一ヌクレオシドに組み込まれてもよい。
G. 非ステロイド系抗炎症性化合物
本開示の一態様によれば、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を有する対象において、炎症を処置もしくは軽減する、および/または筋再生を増強することが可能な非ステロイド系抗炎症性化合物が提供される。一部の実施形態では、非ステロイド系抗炎症性化合物は、NF−κB阻害剤である。
デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、進行性筋変性を特徴とし、機能的ジストロフィン遺伝子産物の合成を排除するジストロフィン遺伝子の変異によって引き起こされる。機能的ジストロフィンが存在しないことにより、機械的ストレス、筋細胞の炎症、筋損傷、および筋組織を再生する能力の低減を受けやすい筋線維となる。したがって、アンチセンスオリゴヌクレオチドをベースとする治療法により行われる非ステロイド系抗炎症性をベースとする治療法は、炎症によって引き起こされるDMDの症状、およびジストロフィン遺伝子中の変異を引き起こす疾患を標的にし、除くことに対処することができる。
NF κB阻害剤
NF−κBは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、ならびに他の骨格筋障害および稀な疾患において活性化されている分子である。DMDにおいてジストロフィンが存在しないことは、筋細胞膜への傷害の結果として、NF−κBレベルを増加させる引き金となる(Donovan, J. (2014))。NF−κBレベルの上昇により、炎症、組織損傷および線維化がもたらされ、これらはすべて、DMD患者における、筋変性および筋量の低下の一因となる。さらに、このシグナル伝達分子の活性化により、筋損傷がもたらされ、筋再生が妨げられる。
NF−κBは、非刺激細胞において、IκBとの細胞質複合体中に存在する転写因子のファミリーである(例えば、Gilmore, T. D. (2006) Oncogene 25, 6680-6684を参照されたい)。刺激はIκBのリン酸化をもたらし、これにより、その分解がもたらされ、遊離NF−κBが、核へと移行して標的遺伝子を活性化することが可能となる(Gilmore, T. D. (2006))。NF−κBにより調節される標的は、TNF−α、IL−6およびIL−1βなどの炎症誘発性サイトカイン、ならびにシクロオキシゲナーゼ2などの酵素を含む。NF−κBの活性化は、IκB分解を防止する機構によって遮断され得、NF−κBを細胞質中に留まらせ得る。例えば、IκBの分解は、IκBをリン酸化するキナーゼである、IKKβを阻害するサリチレートによって薬理学的に、またはIκBのリン酸化抵抗性バリアントの使用によって遺伝子学的に遮断され得る(Kopp, E. and Ghosh, S. (1994) Science 265, 956-959; Van Antwerp, D. J., et al., (1996) Science 274, 787-789)。
NF−kBの活性化は、筋タンパク質の分解、およびサイトカイン(例えば、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−β(IL−β))、ケモカイン、細胞接着分子および組織分解酵素(例えば、マトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP−9)などの炎症誘発性メディエータの誘発をもたらす。NF−κBの活性化はまた、筋再生に必要な、筋幹細胞の分化を抑制する。具体的には、NF−κBの活性化は、衛星幹細胞が、筋細胞を発生させるために分化する前駆細胞である筋芽細胞に分化するのを阻止する。
DMD患者では、NF−κBの活性化は、他の臨床症状の開始前に、筋組織中に観察される。さらに、免疫細胞、およびDMD患者の変性する筋線維は、活性化NF−κBのレベルの上昇を継続的に示す。証拠はまた、機械的ストレスは、筋肉におけるNF−κBを活性化し、NF−κB媒介性炎症を推進することを示唆する。筋肉の一層迅速な悪化が、機械的ストレスおよび炎症の増加と共に、筋肉において観察される(例えば、大腿四頭筋および膝腱)。
DMDを有する患者において、NF−κBの阻害剤を使用して、筋炎症を軽減し、筋再生を増強することができる。したがって、NF−κB阻害剤は、一層長い期間、DMD患者に筋機能を保持させることにより、DMD患者に利益をもたらすことができる。NF−κB活性を低下させるか、またはそうでない場合、筋変性を遮断する、および/もしくは筋再生を促進する薬剤は、それ自体、またはジストロフィン発現を回復させる他の薬剤との併用療法としてのどちらかで、DMDの処置に有用となり得る。
NF−κB阻害剤の例には、NF−カッパB経路阻害剤、p105をベースとするNF−カッパBスーパーリプレッサ、IMS−088、シメチジン+シクロホスファミド+ジクロフェナク+スルファサラジン、ナノクルクミン、デノスマブ、SCB−633、組換え抗RANK−L mAb、組換えヒトリンホトキシン誘導体、POP2、クルクミンおよびレスベラトロールアナログ、NFW9C−25、IB−RA、SKLB−023、KPT−350、EC−70124、REM−1086、AMG−0102、SGD−2083、タレンフルルビル、NF−kB阻害剤、コビトリモド(cobitolimod)、クルクミンアナログ、CBL−0137、FE−999301、抗がん治療剤、SPA−0355、KIN−219、NFカッパBデコイオリゴプログラム、バルドキソロンメチル、TAK1−NF−kBNF−kB阻害剤、S−414114、メサラミン+N−アセチルシステイン、CU−042、デュアルp53−mdm2/NF−カッパB阻害剤、TNFアルファNF−kB阻害剤、リポソームクルクミン、CBL−0137、IB−RA、CPC−551、IMD−0560、AMG−0103、AKBA、KD−018、アゼライン酸、メパクリン、NBDペプチド、トリフルサル、KN−013、HMPL−004、IMD−1041、PPL−003、RGN−352、RGN−137が含まれる。NF−kB阻害剤の追加例には、エダサロネキセント(CAT−1004)およびCAT−1041が含まれる。一実施形態では、NF−kB阻害剤は、エダサロネキセントである。
エダサロネキセントおよびCAT−1041は、ジストロフィー筋の処置のための経口により生体利用可能なNF−κB阻害剤の新規なクラスに属する。これらの化合物は、細胞内の脂肪酸ヒドロラーゼによる加水分解だけを受けやすいリンカーによって互いにコンジュゲートされている、それぞれcNF−κBの活性化を阻害する多不飽和脂肪酸(PUFA)およびサリチル酸からなる。これらの化合物は、cNF−κBの活性化をin vitroで阻害することが示されており、長期の処置は、DMDのmdxマウスおよびゴールデンレトリバー筋ジストロフィー(GRMD)イヌモデルの両方の表現型を改善することが示されている(Hammers et al., JCI Insight, 2016; 1(21):e90341)。一部の実施形態では、このクラスのNF−κB阻害剤は、DMD患者において、有効な処置として働き、疾患進行を減速させることができる。
ジストロフィン発現を負に制御するマイクロRNAのTNFα媒介性調節が観察された(Fiorillo et al. Cell reports 2015)。特に、TNFαは、ジストロフィン調節性マイクロRNAを増加させる(Fiorillo et al. Cell reports 2015)。したがって、一部の実施形態では、NF−kBの阻害は、TNFαを下方調節して、ベッカー型筋ジストロフィー患者における、ジストロフィン発現の増強を可能にするはずである。DMD患者は、ジストロフィン発現を本質的に有しておらず、一部の実施形態では、ジストロフィン回復剤(例えば、PMO)とNF−kB阻害剤による併用処置レジメンを使用して、ジストロフィン発現を増強することができる。
a. 脂肪酸アセチル化サリチレート
脂肪酸アセチル化サリチレートは、NF−κB活性を阻害して、炎症を軽減することができる化合物である(参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第8,173,831号を参照されたい)。このクラスの化合物は、化学リンカーにより連結されたサリチレートおよびオメガ−3多不飽和脂肪酸(PUFA)を含む二官能性低分子を含む。構造上、これらの化合物の部分クラスは、式:
(式中、
、R、RおよびRは、H、Cl、F、CN、NH、−NH(C〜Cアルキル)、−N(C〜Cアルキル)、−NH(C(O)C〜Cアルキル)、−N(C(O)C〜Cアルキル)、−C(O)H、−C(O)C〜Cアルキル、−C(O)OC〜Cアルキル、−C(O)NH、−C(O)NH(C〜Cアルキル)、−C(O)N(C〜Cアルキル)、−C〜Cアルキル、−O−C〜Cアルキル、−S(O)C〜Cアルキルおよび−S(O)〜Cアルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
およびWは、それぞれ独立して、なし、OもしくはNHであるか、またはWおよびWがどちらもNHである場合、WおよびWのどちらも、一緒になって、ピペリジン部分を形成することができ、
は、存在する場合、Qが存在しないことを必要とする、必要に応じた結合を表し、
aおよびcは、それぞれ独立して、H、CH、−OCH、−OCHCHまたはC(O)OHであり、
bは、H、CH、C(O)OHまたはO−Zであり、
dは、HまたはC(O)OHであり、
n、o、pおよびqは、それぞれ、独立して、0または1であり、
Zはそれぞれ、H、または
であるが、
ただし、化合物中に少なくとも1つの
が存在することを条件とし、
rはそれぞれ、独立して2または3であり、
sはそれぞれ、独立して5または6であり、
tはそれぞれ、独立して0または1であり、
Qは、なし、C(O)CH、Z
であり、
eは、Hであるか、または天然に存在するアミノ酸の側鎖のいずれか1つであり、
は、なし、−O−または−N(R)−であり、
Rは、HまたはC〜Cアルキルであり、
Tは、H、C(O)CHまたはZである)
によって記載することができる。これらの化合物の部分クラスでは、Wは、NHである。さらなる部分クラスでは、rは、2であり、sは、6であり、Zは、
である。
脂肪酸アセチル化サリチレートの合成は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、WO2010/006085A1に一般に記載されている。
炎症と闘う際に、脂肪酸アセチル化サリチレートの重要な利点は、それらの構成成分の部分が相乗的に機能することができることである(米国特許第8,173,831号を参照されたい)。細胞外での分解に対する抵抗性があるが、細胞内酵素によって切断され得る化学リンカーが選択される(米国特許第8,173,831号を参照されたい)。化学リンカーは、サリチレートおよびオメガ−3PUFAの分子がそれらの薬理学的作用を発揮しないようにする、サリチレートおよびオメガ−3PUFAの一部に結合している。したがって、無傷の脂肪酸アセチル化サリチレートは不活性であり、血液循環中に化合物が存在する場合、オフターゲット作用を低減する。しかし、標的細胞に入ると、化学リンカーの分解により、サリチレートおよびオメガ−3PUFAが放出される。サリチレートは、IκBの分解を阻止し、これにより、細胞質にNF−κBを留まらせ、サイトカインなどの炎症誘発性因子の転写を遮断する(Kopp, E. and Ghosh, S. (1994))。オメガ−3PUFAは、IL−10などの抗炎症性サイトカイン、およびアジポネクチンなどのアジポカインを増加させる。循環オメガ−3PUFAのレベルの上昇は、TNF−αおよびIL−6のレベルの低下に相関する(Ferrucci, L. et al., (2006) J. Clin. Endocrin. Metab. 91, 439-446)。サリチレートおよびオメガ−3PUFAは、別個に投与されると、様々な細胞または組織に侵入し得るが、脂肪酸アセチル化サリチレートは、2つの活性分子を、同じ細胞に標的化させることを可能にする。さらに、サリチレートは、オメガ−3PUFAが抗炎症経路を活性化している間、炎症誘発性経路を阻害するので、脂肪酸サリチレートは、1セットのみの調節経路を標的とする化合物よりも、炎症を効果的に阻止する。
i. エダサロネキセント
高い治療ポテンシャルを有する脂肪酸アセチル化サリチレートの例は、CAT−1004とも称される、エダサロネキセントである(Milne, J. et al., Neuromuscular Disorders, Volume 24, Issue 9, 825 (2014))。N−(2−[(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエンアミド]エチル)−2−ヒドロキシベンズアミド]は、サリチル酸およびドコサヘキサエン酸(DHA)が、エチレンジアミンリンカーを介して共有結合によりコンジュゲートされており、これらの化合物の両方がNF−κBを阻害する能力を相乗的に利用するよう設計されている、経口投与向けの新規低分子である。CAT−1004(コード名)はまた、その国際一般名「エダサロネキセント」によっても知られており、CAS登録番号1204317−86−1と割り当てられることが報告されており、以下の構造:
を有する。WHO Drug Information, Vol. 29, No. 4, 2015。
一部の実施形態では、CAT−1004は、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第8,173,831号に記載されている通り、例えば、カプセル剤中で経口送達向けに製剤化され得る。CAT−1004中のPUFAは、ドコサヘキサエン酸(DHA)である(Milne, J. et al., (2014))。オメガ−3DHAは、複数の機構を介する、抗炎症経路の引き金となる(例えば、Chapkin, et al., (2009) Prostaglandins Leukot. Essent. Fatty Acids 81, 187-191を参照されたい)。CAT−1004は、mdxマウスにおいて、筋再生を増強し、筋変性および炎症を軽減し、筋機能を保存することが示されている(Milne, J. et al., (2014))。mdxマウスに関する長期研究において、CAT−1004処置によって、横隔膜の機能が改善され、累積走行距離が増加する(Milne, J. et al., (2014))。DMDのイヌモデルでは、CAT−1004は、p65サブユニットのDNAへの結合の低下、および炎症性メディエータTNF−αの分泌低下によって証拠付けられる通り、NF−κB活性を低下させる。ヒトでは、CAT−1004の投与によって、全血中の炎症のバイオマーカーが低下する。健常な成人ヒトでは、CAT−1004処置はまた、プラセボによる処置または別個の分子としてサリチレートおよびオメガ−3DHAによる処置と比べて、NF−κBのp65サブユニットのレベルを低下させる。
一部の実施形態では、処置は、炎症のバイオマーカーについて、DMD患者の血清をアッセイすることによって測定される。一部の実施形態では、処置は、炎症のバイオマーカーのうちの1つもしくは複数、または組合せのレベルの低下をもたらす。例えば、一部の実施形態では、炎症のバイオマーカーは、以下:サイトカイン(IL−1、IL−6、TNF−αなど)、C反応性タンパク質(CRP)、レプチン、アジポネクチンおよびクレアチンキナーゼ(CK)のうちの1つもしくは複数、またはこれらの組合せである。一部の実施形態では、処置は、プラセボによる、または別個の分子としてサリチレートおよびオメガ−3DHAによる処置と比べて、NF−κBのp65サブユニットのレベルを低下させる。一部の実施形態では、炎症のバイオマーカーは、当分野において公知の方法によってアッセイされ、例えば、参照により本明細書に組み込まれている、Rocio Cruz-Guzman et al., BioMed Research International, 2015を参照されたい。処置は、処置前のバイオマーカーのレベルに対して、少なくとも、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%または100%、上述のバイオマーカーの1つまたは複数のレベルの低下をもたらす。
ii. CAT−1041
潜在的な治療的価値のある別の脂肪酸アセチル化サリチレートは、CAT−1041である。CAT−1041は、ホモログであり、CAT−1004に構造上類似しているが、そのPUFA部分としてエイコサペンタエン酸(EPA)を有する。mdxマウスに関する長期の研究では、CAT−1041処置は、筋機能を保存し、骨格筋重量を増加させ、筋線維化を軽減させる。CAT−1041はまた、mdxマウスにおける心筋症を軽減することがある。
b. CAT−1004の合成
CAT−1004の合成は、WO2010/006085A1に記載されており、その内容は、すべての目的のため、参照により本明細書に組み込まれている。エチレンジアミンを、指示薬としてのブロモクレゾールグリーン(bromoaresal green)を含有する水に溶解する。
青色から淡黄色の遷移がちょうど達成されるまで、水中のメタンスルホン酸を加える。この溶液をエタノールにより希釈し、激しく撹拌する。この混合物に、ジメトキシエタン中のCbz−CIの溶液および50%w/v水性AcOKを20℃で同時に加え、指示薬の淡黄色〜緑色を維持する。添加が完了した後、この混合物を撹拌し、低温で真空下で濃縮し、揮発物を除去する。残留物を水と一緒に振とうして、ろ過する。次に、ろ液をトルエンにより洗浄し、過剰の40%水性NaOHにより塩基性にし、トルエンで抽出する。有機層をブラインにより洗浄し、NaSOで脱水し、蒸発させ、ベンジル2−アミノエチルカルバメートを油状物として得る。
酢酸エチル中のベンジル2−アミノエチルカルバメート、イミダゾール、サリチル酸の混合物に、酢酸エチル中のDCCの溶液を加える。この混合物を撹拌して、ろ過する。この溶液を減圧下で濃縮し、粗生成物をシリカクロマトグラフィーにより精製して、ベンジル2−(2−ヒドロキシベンズアミド)エチルカルバメートを白色固体として得る。
MeOH中のベンジル2−(2−ヒドロキシベンズアミド)エチルカルバメートおよびPd/Cの混合物をH雰囲気下で撹拌する。この混合物をろ過して、減圧下で濃縮する。粗生成物をシリカクロマトグラフィーにより精製して、N−2−(アミノエチル)2−ヒドロキシベンズアミドを白色粉末として得る。
CHCN中のN−2−(アミノエチル)2−ヒドロキシベンズアミド、DHAおよびEtNの混合物に、HATUを加える。この混合物を撹拌して、減圧下で濃縮する。残留物をブラインにより処理し、EtOAcで抽出する。合わせた有機層を1M HCl、ブライン、5% NaHCOおよびブラインにより洗浄する。有機溶液をMgSOで脱水し、減圧下で濃縮する。粗生成物をシリカクロマトグラフィーによって精製して、N−(2−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエンアミドエチル)−2−ヒドロキシベンズアミドを薄黄色油状物として得る。
H. DMDのmdxマウスモデル
mdxマウスは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の研究に有用であり、一般に許容されている動物モデルである(その内容が、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれている、Mann et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 2001, Jan 2:98(1):42-7)。mdxマウスは、ジストロフィン遺伝子内の遺伝子変異により、完全長ジストロフィンの発現が不十分である。特に、mdxジストロフィーマウスは、ジストロフィン遺伝子のエクソン23に変異を有し、これにより、ジストロフィンの合成が、早く停止する。
mdxマウスにおける変異エクソンは、これをアンチセンスオリゴヌクレオチドの標的とすることにより除去され得る。この結果が、エクソンスキッピングであり、ジストロフィン発現を、正常な筋肉のそれと同等なレベルまで回復させる。
mdxマウスは、顕著な骨格筋変性期、およびその後に再生を示す。マウスが老化するにつれて、横隔膜などのある特定の筋肉タイプは、弱化および線維化の増加を示す。
I. 非ステロイド系抗炎症性化合物の特定
追加の非ステロイド系抗炎症性化合物は、DMDのmdxマウスモデルを使用して特定することができる。例えば、mdxマウスを、ある期間(例えば、4週間、6週間、8週間、3か月、4か月、5か月、6か月など)、目的の化合物により処置し、次に、筋炎症の軽減および/またはジストロフィンの増加について試験することができる。本明細書に記載されている方法の非ステロイド系抗炎症性化合物として使用することができる化合物によりmdxマウスを処置すると、筋量の保存、ジストロフィンの増加、および/または筋肉耐久性の改善がもたらされる。筋肉耐久性は、回し車での回転数に基づいて、週の走行距離の平均および走行距離の合計を測定することによりアッセイすることができる。筋肉耐久性は、死後の引張り力、大きな力および特定の力の発生を測定することによりアッセイすることもできる。
J. 医薬組成物および処置の方法
ある特定の実施形態では、本開示は、本明細書に記載されているアンチセンスオリゴヌクレオチドの送達に好適な製剤または組成物を提供する。したがって、ある特定の実施形態では、本開示は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体(添加物)および/または賦形剤と一緒に製剤化された有効量のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む薬学的に許容される組成物を提供する。アンチセンスオリゴヌクレオチドを単独で投与することは可能であるが、様々な実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、医薬製剤(組成物)として投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、カシメルセンである。
ある特定の実施形態では、本開示は、本明細書に記載されている非ステロイド系抗炎症性化合物の送達に好適な製剤または組成物を提供する。したがって、ある特定の実施形態では、本開示は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体(添加物)および/または賦形剤と一緒に製剤化された有効量の非ステロイド系抗炎症性化合物を含む薬学的に許容される組成物を提供する。非ステロイド系抗炎症性化合物を単独で投与することは可能であるが、様々な実施形態では、非ステロイド系抗炎症性化合物は、医薬製剤(組成物)として投与される。一部の実施形態では、非ステロイド系抗炎症性化合物は、NF−κB阻害剤である。
本開示の併用療法は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの送達に好適な製剤または組成物、および非ステロイド系抗炎症性化合物の送達に好適な製剤または組成物を含む。
本開示の併用療法は、単独で投与されてもよく、または別の治療剤と一緒に投与されてもよい。本開示の併用療法の投与前、これと共に、これに続いて、追加の治療剤を投与してもよい。例えば、本開示の併用療法は、ステロイドおよび/または抗生物質と一緒に投与されてもよい。ある特定の実施形態では、バックグランドステロイド療法(例えば、間欠的または長期的/継続的バックグランドステロイド療法)を受けている患者に本開示の併用療法が投与される。当業者であれば、このような患者は、ステロイド(またはコルチコステロイド)の継続的な長期使用を受けているものであり、本開示の併用療法などの別の処置がその上から投与されることを理解する。例えば、一部の実施形態では、患者は、併用療法の投与前に、コルチコステロイドにより処置されており(例えば、4〜6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間、21週間、22週間、23週間もしくは24週間、またはこれより長い週数)、このステロイド療法を受け続ける。ステロイドは、グルココルチコイドまたはプレドニゾンであり得る。コルチゾールなどのグルココルチコイドは、炭水化物、脂肪およびタンパク質の代謝を制御し、リン脂質の放出の防止、好酸球作用およびいくつかの他の機構の低下により抗炎症性である。アルドステロンなどのミネラルコルチコイドは、主に、腎臓内のナトリウム滞留を促進することにより、電解質および水のレベルを制御する。コルチコステロイドは、脊椎動物の副腎皮質において天然に産生されるステロイドホルモン、および実験室において合成されるこれらのホルモンのアナログを含む化学物質のクラスである。コルチコステロイドは、ストレス応答、免疫応答、および炎症の調節、炭水化物代謝、タンパク質異化、血液電解質レベルおよび挙動を含めた、生理過程の幅広い範囲に関与する。コルチコステロイドには、以下に限定されないが、ベタメタゾン、ブデソニド、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロンおよびプレドニゾンが含まれる。本開示の組成物の投与の前、それと共に、またはその後に投与され得る目的の1つの特定のステロイドは、デフラザコートおよびその製剤(例えば、MP−104、Marathon Pharmaceuticals LLC)である。
一部の実施形態では、併用療法による患者の処置は、ステロイドの一層高い用量および併用療法の非存在下で達成されるものと類似レベル、同一レベルの、またはそれよりもかなり優れた有効性を維持するために必要なステロイド共治療の量を減量することができる。一部の実施形態では、患者は、疾患状態または進行の類似レベルの患者の場合のステロイドの推奨用量(例えば、CDC/TREAT−NMDガイドラインによって推奨される;Bushby K, Lynn S, Straub V. Collaborating to bring new therapies to the patient: the TREAT-NMD model. Acta Myo 2009;28:12-15を参照されたい)よりも、少なくとも5(例えば、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、32、35、37、40、45、50、55、60、65または70)%少ない、デフラザコートまたはプレドニゾンなどのステロイドの投与量が投与され得る。一部の実施形態では、併用療法を処置された患者は、所与のステロイドの推奨用量の約75%〜約80%の間で投与される。
ガイドラインによれば、午前中に投与されるプレドニゾンの推奨開始用量は、0.75mg/kg/日であり、デフラザコートの推奨開始用量は、0.9mg/kg/日である。一部の小児は、医薬の投与後、数時間、短時間の挙動副作用(過活動、情緒不安定)を経験する。これらの小児の場合、午後に医薬を投与すると、これらの難事の一部が軽減され得る。歩行能力のある個体の場合、投与量は、小児が約40kg(体重)に到達するまで成長するにつれて、一般に増量される。プレドニゾンの最大用量は、通常、約30mg/日が上限とされ、デフラザコートの最大用量は、36mg/日が上限とされる。長期ステロイド療法が維持されている、歩くことができない10代の子供は、通常、体重が40kgを超えており、1kgあたりのプレドニゾン投与量は、多くの場合、0.3〜0.6mg/kg/日の範囲まで減量される。この投与量は、約30mgの上限未満であるが、実質的な利益があることを実証している。
ステロイドの維持用量の決定は、患者の成長、ステロイド療法に対する患者の応答、および副作用の負荷との間のバランスである。この決定は、行われた試験の結果、および副作用が管理または耐容され得ない問題であるか否かに基づいて、医療機関の訪問毎に吟味する必要がある。機能低下を示し始める、ステロイドの比較的少ない投与量(1kgの体重あたりの開始用量未満)を使用しているDMD患者では、「機能レスキュー」調整を考慮することが必要となることがある。この状況では、ステロイドの投与量は、目標まで増量し、次に、患者は、約2〜3か月後に任意の利益について再評価される。
投与され得る他の薬剤は、患者細胞およびDMDのマウスモデルにおいて、アンチセンス媒介性エクソンスキッピングを増強することが示されている、ダントロレンなどのリアノジン受容体のアンタゴニストを含む(参照により本明細書に組み込まれている、G. Kendall et al. Sci Tranl Med 4:164-160 (2012))。
核酸分子を送達するための方法は、例えば、Akhtar et al., 1992, Trends Cell Bio., 2:139;およびDelivery Strategies for Antisense Oligonucleotide Therapeutics, ed. Akhtar; Sullivan et al., PCT WO94/02595に記載されている。これらのプロトコールおよび他のプロトコールは、アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば、カシメルセンを含めた、実質的に任意の核酸分子の送達に利用することができる。
以下に詳述する通り、本開示の医薬組成物は以下:(1)経口投与、例えば、ドレンチ剤(水溶液剤もしくは非水溶液剤、または懸濁液剤)、錠剤、例えば口内、舌下および全身吸収を目的とするもの、ボーラス剤、散剤、顆粒剤、舌に塗布するためのペースト剤;(2)例えば、例えば無菌溶液剤もしくは懸濁液剤として皮下、筋肉内、静脈内もしくは硬膜外注射、または徐放性製剤による非経口投与、(3)例えば、皮膚に塗布されるクリーム剤、軟膏剤または放出制御貼付剤、または噴霧剤としての局所施用、(4)例えば、ペッサリー剤、クリーム剤またはフォーム剤として膣内または直腸内、(5)舌下、(6)眼、(7)経皮、または(8)経鼻に適合したものを含めた固体または液体形態で投与するよう特別に製剤化され得る。
「薬学的に許容される」という言い回しは、妥当な医療的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応もしくは他の問題、または合併症なしに、ヒトおよび動物の組織に接触して使用するのに好適な、妥当な利益/リスク比に見合う化合物、物質、組成物および/または剤形を指すために本明細書において使用される。
本明細書において使用される言い回し「薬学的に許容される担体」は、1つの臓器または身体の一部から別の臓器または身体の一部まで対象化合物を運搬または輸送することに関与する、薬学的に許容される物質、組成物、または液体もしくは固体充填剤、賦形剤、添加剤、製造助剤(例えば、滑沢剤、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムもしくはステアリン酸亜鉛、またはステアリン酸)などのビヒクル、または溶媒封入物質を意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合し、患者に有害ではないという意意味で、「許容可能な」ものでなければならない。
薬学的に許容される担体として働くことができる物質の一部の例には、限定なしに、(1)ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖、(2)トウモロコシデンプンおよびバレイショデンプンなどのデンプン、(3)カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのセルロースおよびその誘導体、(4)粉末トラガカント、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)カカオ脂および坐剤用ワックスなどの添加剤、(9)ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油などの油、(10)プロピレングリコールなどのグリコール、(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール、(12)オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル、(13)寒天;(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝化剤、(15)アルギン酸、(16)発熱物質不含水、(17)等張性生理食塩水、(18)リンゲル液、(19)エチルアルコール、(20)pH緩衝溶液、(21)ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ無水物、ならびに(22)医薬製剤に使用される他の非毒性適合物質が含まれる。
本開示の化合物およびオリゴヌクレオチドを含む製剤に好適な薬剤のさらなる非限定例には、薬物が様々な組織の中に侵入するのを増強することができるPEGコンジュゲート核酸、リン脂質コンジュゲート核酸、親油性部分を含む核酸、ホスホロチオエート、Pグリコタンパク質阻害剤(Pluronic P85など)、埋込み後に持続放出送達させるためのポリ(DL−ラクチド−コグリコリド)マイクロスフェアなどの生分解性ポリマー(Emerich, D F et al., 1999, Cell Transplant, 8, 47-58)Alkermes, Inc. Cambridge, Mass.、および薬物を血液脳関門を通過させて送達することができ、ニューロンによる取込み機序を改変するができる、ポリブチルシアノアクリレート製のものなどの充填ナノ粒子(Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry, 23, 941-949, 1999)が含まれる。
本開示はまた、ポリ(エチレングリコール)脂質を含有する表面修飾リポソーム(PEG修飾したもの、分岐状および非分岐状のもの、もしくはそれらの組合せ物、または長時間循環リポソームあるいはステルスリポソーム)を含む組成物の使用も特徴とする。アンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、様々な分子量の共有結合により結合しているPEG分子を含むことができる。これらの製剤は、標的組織中に薬物の蓄積を増加させる方法を提供する。このクラスの薬物担体は、オプソニン化および単核食細胞系(MPSまたはRES)による除去に耐性を示し、それにより封入薬物の血中循環時間を延長し、組織への曝露を増加させることができる(Lasic et al. Chem. Rev. 1995, 95, 2601-2627; Ishiwata et al., Chem. Pharm. Bull. 1995, 43, 1005-1011)。このようなリポソームは、恐らくは、血管新生した標的組織での血管外漏出および捕捉により、腫瘍に選択的に蓄積することが示されている(Lasic et al., Science 1995, 267, 1275-1276; Oku et al., 1995, Biochim. Biophys. Acta, 1238, 86-90)。長時間循環リポソームは、特に、MPSの組織に蓄積することが知られている従来の陽イオン性リポソームと比較して、DNAおよびRNAの薬物動態および薬力学を増強する(Liu et al., J. Biol. Chem. 1995, 42, 24864-24870; Choi et al., 国際PCT公開第WO96/10391号; Ansell et al.、国際PCT公開第WO96/10390号; Holland et al.、国際PCT公開第WO96/10392号)。長時間循環リポソームはまた、それが肝臓および脾臓などの代謝活動が盛んなMPS組織における蓄積を回避することが可能であることに基づけば、陽イオンリポソームと比べて、薬物をヌクレアーゼ分解から一層高い程度に保護する可能性が高い。
さらなる実施形態では、本開示は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えばヒトジストロフィンプレmRNAのエクソン45の標的領域に特異的にハイブリダイズしてエクソン53のスキッピングを誘導する、例えば、米国特許第6,692,911号、同第7,163,695号および同第7,070,807号に記載されているとおり、送達のために調製されたカシメルセンなどのアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。この点に関して、一部の実施形態では、本開示は、リシンとヒスチジンとのコポリマー(HK)(米国特許第7,163,695号、同第7,070,807号および同第6,692,911号に記載されている)を単独で、またはPEG(例えば、分岐状もしくは非分岐状PEG、またはその両方の混合物)と組み合わせて、PEGおよび標的指向性部分と組み合わせて、あるいは架橋剤と組み合わせた上記のいずれかを含む組成物中でアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、グルコン酸修飾ポリヒスチジンまたはグルコニル化ポリヒスチジン/トランスフェリン−ポリリシンを含む組成物中のアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。当業者は、組成物内でHisおよびLysと特性が類似したアミノ酸が置換され得ることも認識している。
アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび非ステロイド系抗炎症性化合物のある特定の実施形態は、アミノまたはアルキルアミノなどの塩基性官能基を含有することができ、したがって、薬学的に許容される酸と薬学的に許容される塩を形成することが可能である。この点で、用語「薬学的に許容される塩」は、本開示の化合物の比較的非毒性の無機酸付加塩および有機酸付加塩を指す。これらの塩は、投与用ビヒクルもしくは剤形の製造プロセスにおいて、インサイチュで、または遊離塩基形態の本開示の精製化合物と好適な有機酸または無機酸とを個々に反応させ、こうして形成された塩を後の精製の間に単離することにより調製することができる。代表的な塩には、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩およびラウリルスルホン酸塩などが含まれる(例えば、Berge et al. (1977) "Pharmaceutical Salts", J. Pharm. Sci. 66:1-19を参照されたい)。
アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/または非ステロイド系抗炎症性化合物の薬学的に許容される塩には、例えば非毒性の有機酸または無機酸に由来する、本化合物の従来の非毒性塩または第四級アンモニウム塩が含まれる。例えば、このような従来の非毒性塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸に由来するもの、および、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタン二スルホン酸、シュウ酸、イソチオン酸などの有機酸から調製される塩が含まれる。
ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/または非ステロイド系抗炎症性化合物は、1つまたは複数の酸性官能基を含むことができ、したがって、薬学的に許容される塩基とともに薬学的に許容される塩を形成することができる。これらの場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、本開示の化合物の比較的非毒性の無機塩基付加塩および有機塩基付加塩を指す。これらの塩も同様に、投与用ビヒクルもしくは剤形の製造プロセスにおいて、インサイチュで、または、遊離酸形態の精製化合物を薬学的に許容される金属陽イオンの水酸化物、炭酸塩または炭酸水素塩などの好適な塩基と、アンモニアと、または薬学的に許容される有機第一級、第二級もしくは第三級アミンと個々に反応させることにより調製することができる。代表的なアルカリ塩またはアルカリ土類塩には、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩およびアルミニウム塩などが含まれる。塩基付加塩の形成に有用な代表的な有機アミンには、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどが挙げられる(例えば、Berge et al.、上記を参照されたい)。
ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの湿潤剤、乳化剤および滑沢剤、ならびに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤および着香剤、保存剤および抗酸化剤も、組成物中に存在することができる。
薬学的に許容される抗酸化剤の例には、(1)アスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性抗酸化剤、(2)パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ−トコフェロールなどの油溶性抗酸化剤、および(3)クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート剤が含まれる。
本開示の製剤は、経口、経鼻、局所(口内および舌下を含む)、直腸、膣および/または非経口投与に好適なものを含む。製剤は、単位剤形で提供することが好都合となり得、薬学分野で周知の任意の方法により調製され得る。担体物質と組み合わせて単一剤形を製造することができる活性成分の量は、処置される宿主、具体的な投与様式に応じて変わる。担体物質と組み合わせて単一剤形を製造することができる活性成分の量は、一般に、効果が生じる化合物の量となる。一般に、この量は、100パーセントのうち、約0.1パーセント〜約99パーセントの活性成分の範囲である。一部の実施形態では、この量は、約5パーセント〜約70パーセント、または約10パーセント〜約30パーセントの範囲である。
ある特定の実施形態では、本開示の製剤は、シクロデキストリン、セルロース、リポソーム、ミセル形成剤、例えば、胆汁酸およびポリマー担体、例えばポリエステルおよびポリ酸無水物から選択される添加剤、ならびにアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/または非ステロイド系抗炎症性化合物を含む。ある特定の実施形態では、上記の製剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/または非ステロイド系抗炎症性化合物を経口的に生体利用可能にする。
これらの製剤または組成物を調製する方法は、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/または非ステロイド系抗炎症性化合物と、担体および必要に応じて1つまたは複数の副成分とを合わせることを含む。一般に、製剤は、本開示の化合物と、液体担体もしくは微粉固体担体、またはそれらの両方とを均一かつ密に合わせ、次いで必要な場合、製品を成形することにより調製される。
経口投与に好適な本開示の製剤は、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ剤(風味を付けた基剤、通常、スクロース、およびアカシアまたはトラガカントを使用する)、散剤、顆粒剤の形態、または水性もしくは非水性液体中溶液剤もしくは懸濁液剤として、または水中油型もしくは油中水型液体エマルションとして、またはエリキシル剤もしくはシロップ剤として、またはパステル剤(ゼラチンとグリセリンまたはスクロースとアカシアなどの不活性基剤を使用する)として、および/または洗口剤としてなどとすることができ、それぞれが、活性成分として所定量の本開示の化合物を含有する。アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/または非ステロイド系抗炎症性化合物はまた、ボーラス剤、舐剤またはペースト剤として投与されてもよい。
経口投与向けの本開示の固形剤形(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣錠剤、散剤、顆粒剤、トローチ剤など)では、活性成分をクエン酸ナトリウムもしくは第二リン酸カルシウムなどの1種もしくは複数の薬学的に許容される担体、および/または以下のうちいずれか:(1)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよび/またはケイ酸などの充填剤または増量剤、(2)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアカシアなどの結合剤、(3)グリセロールなどの保湿剤、(4)寒天、炭酸カルシウム、バレイショデンプンまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のシリケートおよび炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、(5)パラフィンなどの溶解遅延剤、(6)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、ならびにポロキサマーおよびラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤、(7)例えば、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセロールおよび非イオン性界面活性剤などの湿潤剤、(8)カオリンおよびベントナイトクレイなどの吸収剤、(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸およびそれらの混合物などの滑沢剤、(10)着色剤、ならびに(11)クロスポビドンまたはエチルセルロースなどの制御放出剤と混合してもよい。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、医薬組成物はまた、緩衝化剤を含んでもよい。同様のタイプの固形組成物が、ラクトースまたは乳糖などの添加剤および高分子量ポリエチレングリコールなどを用いた軟質および硬質ゼラチンカプセル剤中に充填剤として使用されてもよい。
錠剤は、必要に応じて1つまたは複数の副成分とともに圧縮または成形することにより作製され得る。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性賦形剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムまたは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤または分散剤を使用して調製され得る。成形錠剤は、不活性液体賦形剤で湿潤させた粉末化合物の混合物を好適な機械で成形することにより作製され得る。
糖衣錠剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤などの本開示の医薬組成物の錠剤および他の固形剤形は、必要に応じて、割線が入れられ、または医薬製剤分野で周知の腸溶コーティング剤および他のコーティング剤などのコーティング剤およびシェルを用いて調製されてもよい。それらはまた、例えば、様々な割合でヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用して、その中の活性成分の低速または制御放出を実現するよう製剤化されて、所望の放出プロファイル、他のポリマーマトリックス、リポソームおよび/またはマイクロスフェアをもたらすことができる。それらは、迅速放出されるよう製剤化する、例えば凍結乾燥させてもよい。それらは、例えば、細菌保持フィルターにろ過することにより、または使用直前に滅菌水もしくは何らかの他の滅菌注射用媒体に溶解することができる滅菌固形組成物の形態の滅菌剤を組み込むことにより、滅菌され得る。これらの組成物はまた、必要に応じて乳白剤を含有してもよく、活性成分を、必要に応じて遅延させて、胃腸管のある部分でしか放出しない、またはここで優先的に放出する組成物であってよい。使用することができる組成物を埋め込む例には、ポリマー物質およびワックスが含まれる。活性成分はまた、適切な場合、上記の添加剤の1つまたは複数を含む、マイクロカプセル化形態とすることもできる。
本開示の化合物の経口投与用の液体剤形には、薬学的に許容されるエマルション剤、マイクロエマルション剤、溶液剤、懸濁液剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。活性成分に加えて、液体剤形は、例えば、水または他の溶媒などの当分野において一般に使用される不活性賦形剤、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタン脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物を含有してもよい。
不活性賦形剤の他に、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、香味剤、着色剤、着香剤および保存剤などのアジュバントを含むことができる。
懸濁液剤は、活性化合物に加えて、懸濁化剤を、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、マイクロクリスタリンセルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにそれらの混合物として含有し得る。
直腸または膣投与用の製剤は、坐剤として提供されてもよく、坐剤は、1つまたは複数の本開示の化合物と、例えばカカオ脂、ポリエチレングリコール、坐剤用ワックスまたはサリチレートを含む1つまたは複数の好適な無刺激性添加剤または担体とを混合することにより調製することができ、かつ坐剤は、室温では固体であるが、体温では液体であり、したがって、直腸または膣腔の中で融解して活性化合物を放出する。
本明細書において提供されるオリゴマーの局所または経皮投与向け製剤または剤形には、散剤、噴霧剤、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、溶液剤、貼付剤および吸入剤が含まれる。アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/または非ステロイド系抗炎症性化合物を、薬学的に許容される担体および必要とされ得る任意の保存剤、緩衝剤または噴射剤と無菌条件下で混合し得る。軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤およびゲル剤は、本開示の活性化合物に加えて、動物性および植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛またはそれらの混合物などの添加剤を含有することができる。
散剤および噴霧剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/または非ステロイド系抗炎症性化合物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末またはこれらの物質の混合物などの添加剤を含有することができる。噴霧剤は、クロロフルオロ炭化水素、ならびにブタンおよびプロパンなどの揮発性非置換炭化水素などの慣用的な噴射剤をさらに含有することができる。
経皮貼付剤は、身体への本開示のオリゴマーの制御送達を実現するという追加の利点を有する。このような剤形は、オリゴマーを適切な媒体に溶解または分散させることにより作製することができる。吸収促進剤を用いて、皮膚を通過する薬剤の流れを増加させることもできる。このような流れ速度は、当分野において公知の方法のなかでも特に、速度制御膜を設けるか、またはポリマーマトリックスもしくはゲルに薬剤を分散させるかのどちらかにより制御することができる。
非経口投与に好適な医薬組成物は、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/または非ステロイド系抗炎症性化合物と、1種もしくは複数の薬学的に許容される滅菌等張性水溶液もしくは非水溶液、分散液、懸濁液またはエマルション、あるいは使用直前に滅菌注射用溶液または分散液に復元され得る滅菌粉末とを含むことができ、該医薬組成物は、糖、アルコール、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、製剤を意図するレシピエントの血液と等張にする溶質、または懸濁化剤もしくは増粘剤を含有してもよい。本開示の医薬組成物に使用され得る好適な水性および非水性担体の例には、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)および好適なそれらの混合物、オリーブ油などの植物油、ならびにオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルが含まれる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用により、分散液の場合、必要な粒子サイズの維持により、および界面活性剤の使用により維持することができる。
これらの組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤などのアジュバントを含有してもよい。アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/または非ステロイド系抗炎症性化合物に及ぼす微生物の作用の予防は、様々な抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの含有によって確実にすることができる。糖、塩化ナトリウムなど等張剤を組成物に含めることが望ましいこともある。さらに、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅延させる作用剤を含めることにより、注射用医薬形態の長期吸収をもたらすことができる。
一部の場合、薬物の効果を持続させるため、皮下または筋肉内注射からの薬物の吸収を減速させることが望ましい。これは、当分野において公知の方法のなかでも特に、水難溶性を有する結晶性またはアモルファス性物質の液体懸濁液の使用により達成され得る。次に、薬物の吸収速度はその溶解速度に依存し、ひいては結晶サイズおよび結晶形態に依存し得る。代替的に、薬物を油性ビヒクルに溶解するまたは懸濁させることにより、非経口投与される薬物形態の遅延吸収が達成される。
注射可能なデポ剤形態は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中にアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/または非ステロイド系抗炎症性化合物のマイクロ封入マトリックスを形成することにより作製され得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/または非ステロイド系抗炎症性化合物のポリマーに対する比ならびに使用する具体的なポリマーの性質に応じて、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/または非ステロイド系抗炎症性化合物の放出速度が制御され得る。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が含まれる。デポ剤の注射製剤はまた、身体組織と適合性のあるリポソームまたはマイクロエマルションに薬物を捕捉することにより調製され得る。
アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/または非ステロイド系抗炎症性化合物を医薬品としてヒトおよび動物に投与する場合、それ自体で、または薬学的に許容される担体と共に、例えば、0.1〜99%または10〜30%の活性成分を含有する医薬組成物として投与され得る。
上記の通り、本開示の製剤または調製物を、経口的に、非経口的に、全身に、局所に、直腸に、または筋肉内投与で投与し得る。それらは、通常、各投与経路に好適な形態で投与される。例えば、それらは、錠剤またはカプセル形態で、注射、吸入、眼ローション剤、軟膏剤、坐剤などにより、注射、注入または吸入による投与により、ローション剤または軟膏剤により局所的に、および坐剤により直腸に投与される。
本明細書において使用される「非経口投与」および「非経口的に投与される」という言い回しは、経腸および局所投与以外の、通常、注射による投与様式を意味し、限定なしに、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、真皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊髄内および胸骨内への注射および注入を含む。
本明細書において使用される「全身投与」、「全身に投与される」、「末梢投与」および「末梢に投与される」という言い回しは、化合物、薬物または他の物質を中枢神経系内に直接投与するのではなく、患者の系に入り、したがって、代謝および他の同様の過程を受けるように投与すること、例えば、皮下投与を意味する。
選択される投与経路に関わらず、好適な水和形態で使用され得るアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/もしくは非ステロイド系抗炎症性化合物、ならびに/または本開示の医薬組成物は、当業者に公知の従来の方法によって薬学的に許容される剤形に製剤化され得る。本開示の医薬組成物中の活性成分の実際の投与量レベルは、患者に対して許容されない毒性を示すことなく、具体的な患者、組成物および投与様式に関して、所望の応答を達成するのに効果的な活性成分の量が得られるよう変えることができる。
本開示の医薬組成物は、筋ジストロフィーの処置のために、患者に長期投与によって投与されてもよい。例えば、医薬組成物は、少なくとも数週間、もしくは数か月間、もしくは数年間の期間の間、毎日、または、少なくとも数か月もしくは数年間、毎週(例えば、少なくとも6週間、毎週、少なくとも12週間、毎週、少なくとも24週間、毎週、少なくとも48週間、毎週、少なくとも72週間、毎週、少なくとも96週間、毎週、少なくとも120週間、毎週、少なくとも144週間、毎週、少なくとも168週間、毎週、少なくとも180週間、毎週、少なくとも192週間、毎週、少なくとも216週間、毎週、または少なくとも240週間、毎週)、投与されてもよい。
代替的に、本開示の医薬組成物は、用量間で間隔を設けた周期的投与によって投与されてもよい。例えば、医薬組成物は、再度行われてもよい、固定間隔(例えば、毎週、毎月)で投与されてもよい。
選択する投与量レベルは、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/もしくは非ステロイド系抗炎症性化合物、またはそれらのエステル、塩もしくはアミドの活性、投与経路、投与時間、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/または非ステロイド系抗炎症性化合物の排出または代謝の速度、吸収の速度および程度、処置期間、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/または非ステロイド系抗炎症性化合物と一緒に使用される他の薬物、化合物および/または物資、処置される患者の年齢、性別、体重、状態、全般的健康状態および既往歴、ならびに医療分野において周知の同様の因子を含めた様々な因子に依存する。
本明細書において提供される併用療法は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)に罹患している対象を処置するために、DMDエクソンスキッピングアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび抗炎症性化合物の投与を含む。一部の実施形態では、本開示は、DMDを有する対象を処置するために、エクソンスキッピングアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびNF−κB阻害剤の投与を提供する。一部の実施形態では、NF−κB阻害剤は、CAT−1004またはCAT−1041である。ある特定の実施形態では、エクソンスキッピングアンチセンスオリゴヌクレオチドは、カシメルセンである。
一部の実施形態では、本開示は、DMDを有する対象におけるジストロフィンタンパク質産生を誘導または増加させるために、エクソンスキッピングアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびNF−κB阻害剤を投与することを提供する。一部の実施形態では、NF−κB阻害剤は、CAT−1004またはCAT−1041である。ある特定の実施形態では、エクソンスキッピングアンチセンスオリゴヌクレオチドは、カシメルセンである。
一部の実施形態では、カシメルセンは、毎週、30mg/kgの用量で投与される。
一部の実施形態では、カシメルセンは、少なくとも12週間、毎週、投与される。
様々な実施形態では、CAT−1004は、約33mg/kg/日、約67mg/kg/日または約100mg/kg/日の用量で投与される。一部の実施形態では、CAT−1004は、約33mg/kg、約67mg/kg、約100mg/kg、約125mg/kg、約150mg/kg、約175mg/kg、約200mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、CAT−1004は、約1g/日、2g/日、4g/日、6g/日、8g/日および10g/日の用量で投与される。
様々な実施形態では、CAT−1004は、300mg、1000mg、2000mg、4000mgまたは6000mgの用量で投与される。一部の実施形態では、CAT−1004は、毎日、投与される。例えば、CAT−1004は、少なくとも14日間、1か月間、3か月間、6か月間、9か月間、12か月間、毎日、投与され得る。
ある特定の実施形態では、非ステロイド系抗炎症性化合物は、少なくとも12週間、投与される。ある特定の実施形態では、非ステロイド系抗炎症性化合物は、少なくとも36週間、投与される。
様々な実施形態では、非ステロイド系抗炎症性化合物は、カシメルセンの投与前、これと併せて、またはこの後に投与される。一部の実施形態では、カシメルセンおよび非ステロイド系抗炎症性化合物は、同時に投与される。一部の実施形態では、カシメルセンおよび非ステロイド系抗炎症性化合物は、逐次に投与される。ある特定の実施形態では、カシメルセンは、非ステロイド系抗炎症性化合物の投与前に投与される。様々な実施形態では、非ステロイド系抗炎症性化合物は、カシメルセンの投与前に投与される。
一部の実施形態では、カシメルセンは、静脈内投与される。一部の実施形態では、カシメルセンは、35〜60分間かけて静脈注入として投与される。
一部の実施形態では、非ステロイド系抗炎症性化合物は、経口投与される。一部の実施形態では、CAT−1004は、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第8,173,831号に記載されている通り、例えば、カプセル剤中での経口送達向けに製剤化される。
様々な実施形態では、患者は、7歳またはそれより年齢が高い。ある特定の実施形態では、患者は、約6か月齢〜約4歳の間である。一部の実施形態では、患者は、約4歳〜7歳の間である。
一部の実施形態では、カシメルセンと非ステロイド系抗炎症性化合物との併用処置は、新しいジストロフィン産生を誘導するまたは増加させる、疾患進行を遅延させる、歩行能力の喪失を減速させるもしくは低減する、筋炎症を軽減する、筋損傷を軽減する、筋機能を改善する、肺機能の喪失を低減する、および/または筋再生を増強する、ならびにそれらの任意の組合せをもたらす。一部の実施形態では、処置は、疾患進行を維持する、遅延させる、または減速させる。一部の実施形態では、処置は、歩行能力を維持するか、または歩行能力の喪失を低減する。一部の実施形態では、処置は、肺機能を維持するか、または肺機能の喪失を低減する。一部の実施形態では、処置は、例えば、6分間歩行試験(6MWT)により測定される、患者における安定な歩行距離を維持する、または増加させる。一部の実施形態では、処置は、10メートルを歩行する/走る時間(すなわち、10メートル歩行/走行試験)を維持する、改善するまたは短縮する。一部の実施形態では、処置は仰臥から起立までの時間(すなわち、起立時間試験)を維持する、改善する、または短縮する。一部の実施形態では、処置は、4段の標準階段を上る時間(すなわち、4段の階段登り試験)を維持する、改善する、または短縮する。一部の実施形態では、処置は、例えばMRIに(例えば、脚筋のMRI)よって測定される、患者における筋炎症を維持する、改善する、または軽減する。一部の実施形態では、MRIは、下腿筋の変化を測定する。一部の実施形態では、MRIは、T2および/または脂肪率を測定して、筋変性を同定する。MRIは、炎症、浮腫、筋損傷および脂肪浸潤によって引き起こされる筋肉構造および組成の変化を同定することができる。一部の実施形態では、筋力は、ノーススター歩行能力評価によって測定される。一部の実施形態では、筋力は、小児のアウトカムデータ収集質問紙(PODCI)によって測定される。
一部の実施形態では、カシメルセンと本開示の非ステロイド系抗炎症性化合物との併用処置は、筋炎症を軽減する、筋損傷を軽減する、筋機能を改善する、および/または筋再生を増強する。例えば、処置は、対象における炎症を、安定化する、維持する、改善するまたは軽減することができる。処置はまた、対象における筋損傷を、例えば、安定化する、維持する、改善するまたは軽減することができる。処置は、対象における筋機能を、例えば、安定化する、維持する、または改善することができる。さらに、例えば、処置は、対象における筋再生を、安定化する、維持する、改善するまたは増強することができる。一部の実施形態では、処置は、例えば、磁気共鳴画像法(MRI)(例えば、脚筋のMRI)によって測定される、処置をしない場合に予想される患者における筋炎症を維持する、改善する、または軽減する。
一部の実施形態では、処置は、6分間歩行試験(6MWT)によって測定される。一部の実施形態では、処置は、10メートル歩行/走行試験によって測定される。様々な実施形態では、処置は、患者における筋炎症の軽減または減少をもたらす。ある特定の実施形態では、患者における筋炎症は、MRI画像化によって測定される。一部の実施形態では、処置は、4段の階段登り試験によって測定される。様々な実施形態では、処置は、起立時間試験によって測定される。一部の実施形態では、処置は、ノーススター歩行能力評価によって測定される。
一部の実施形態では、本開示の方法は、患者にコルチコステロイドを投与することをさらに含む。ある特定の実施形態では、コルチコステロイドは、ベタメタゾン、ブデソニド、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾンまたはデフラザコートである。様々な実施形態では、コルチコステロイドは、カシメルセンの投与前、これと併せて、またはこの後に投与される。
一部の実施形態では、本開示の方法は、患者がエクソン45スキッピングに適したDMD遺伝子における変異を有することを確認することをさらに含む。ある特定の実施形態では、本開示の方法は、カシメルセンを投与する前に、患者がエクソン45スキッピングに適したDMD遺伝子における変異を有することを確認することをさらに含む。
一部の実施形態では、患者は、仰臥から独力で起立する能力を失っている。一部の実施形態では、患者は、カシメルセンによる処置の少なくとも1年前に、仰臥から独力で起立する能力を失う。様々な実施形態では、患者は、カシメルセンによる処置を始めてから1年以内に、仰臥から独力で起立する能力を失う。ある特定の実施形態では、患者は、カシメルセンによる処置を始めてから2年以内に、仰臥から独力で起立する能力を失う。
一部の実施形態では、患者は、カシメルセンによる処置を開始後少なくとも24週間、歩行能力を維持する。ある特定の実施形態では、患者は、プラセボ対照と比較すると、カシメルセンによる処置を開始した直後の少なくとも24週間、歩行能力の喪失の軽減を有する。
一部の実施形態では、ジストロフィンタンパク質産生は、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、ウェスタンブロット解析または免疫組織化学(IHC)によって測定される。
一部の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、カシメルセン)の投与量は、DMDまたはBMDを処置するのに十分な期間にわたり、約30mg/kgである。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、約25mg/kg〜約50mg/kgの間(例えば、約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50mg/kg)の用量で、例えば、1週間に1回、患者に投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、約25mg/kg〜約50mg/kgの間(例えば、約30mg/kg〜約50mg/kg、約25mg/kg〜約40mg/kg、約28mg/kg〜約32mg/kgまたは約30mg/kg〜約40mg/kg)の用量で、例えば、1週間に1回、患者に投与される。
一部の実施形態では、ヒトジストロフィンプレmRNAにおけるエクソンスキッピングを誘導するためのアンチセンス化合物は、非ステロイド系抗炎症性化合物との併用療法として使用した場合、以前のアプローチより少ない用量および/または短い期間および/または少ない頻度で投与される。
一部の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1週間に1回、静脈内投与される。ある特定の実施形態では、注入時間は、約15分間〜約4時間である。一部の実施形態では、注入時間は、約30分間〜約3時間である。一部の実施形態では、注入時間は、約30分間〜約2時間である。一部の実施形態では、注入時間は、約1時間〜約2時間である。一部の実施形態では、注入時間は、約30分間〜約1時間である。一部の実施形態では、注入時間は、約60分間である。一部の実施形態では、注入時間は、35〜60分間である。
一部の実施形態では、非ステロイド系抗炎症性化合物(例えば、NF−κB阻害剤(例えば、CAT−1004))に関する投与量は、約33mg/kg、67mg/kgまたは100mg/kgである。一部の実施形態では、非ステロイド系抗炎症性化合物は、約10mg/kg〜約1000mg/kgの間(例えば、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900または1000mg/kg)の用量で、例えば、1日1回、1日2回、1日3回、1日おきに1回、1週間に1回、2週間に1回、1か月に1回、または2か月に1回、患者に投与される。一部の実施形態では、有効量は、1日1回、1日2回、1日3回、1日おきに1回、1週間に1回、2週間に1回、1か月に1回、または2か月に1回で、約10mg/kg〜約50mg/kg、または約10mg/kg〜約100mg/kg、または約50mg/kg〜約100mg/kg、または約50mg/kg〜約200mg/kg、または約100mg/kg〜約300mg/kg、または約100mg/kg〜約500mg/kg、または約200mg/kg〜約600mg/kg、または約500mg/kg〜約800mg/kg、または約500mg/kg〜約1000mg/kgである。
代替的に、絶対的には、例えば、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、80mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg、800mg、850mg、900mg、950mg、1000mg、1500mg、2000mg、2500mg、3000mg、3500mg、4000mg、4500mg、5000mg、5500mg、6000mg、6500mg、7000mg、7500mg、8000mg、8500mg、9000mg、9500mgまたは10,000mgの投与量が投与され得る。本化合物は、数日間、数週間、数か月、または数年間の期間にわたり投与され得る。
一部の実施形態では、非ステロイド系抗炎症性化合物は、1日1回、1日2回、1日3回、1週間に1回、2週間に1回、1か月に1回、または2か月に1回、経口投与される。
非ステロイド系抗炎症性化合物は、経口投与向けに、例えば錠剤またはゲルキャップ剤(gel cap)で製剤化され得る。化合物を含む製剤は、食物と一緒に、または絶食状態で使用され得る。製剤が食物と一緒に使用される場合、食物の内容が、活性化合物の吸収を促進するよう調整されてもよい。例えば、製剤は、低脂肪または高脂肪食と一緒に使用され得る。製剤は、単回投与として、または複数の周期用量で、例えば、1日に1回、2回または3回の用量で投与され得る。活性化合物の投与量は、対象のサイズに基づいて調整されてもよい。
併用療法(アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび非ステロイド系抗炎症性化合物)の投与の後に、またはそれと共に、抗生物質、ステロイドまたは他の薬剤が投与されてもよい。処置レジメンは、表示されている通り、処置下にある対象の免疫アッセイ、他の生化学試験および生理的検査の結果に基づいて調整(用量、頻度、経路など)され得る。
核酸分子は、本明細書に記載されている通りおよび当分野で公知の通り、限定されないが、リポソームへの封入、イオントフォレーシスにより、またはヒドロゲル、シクロデキストリン、生分解性ナノカプセルおよび生体接着性マイクロスフェアなどの他のビヒクルへの組込みによるものを含めた、当業者に公知の様々な方法により細胞に投与することができる。ある特定の実施形態では、マイクロエマルション化技術を利用して、親油性(不水溶性)医薬剤の生体利用率を改善することができる。例には、トリメトリン(Dordunoo, S. K., et al., Drug Development and Industrial Pharmacy, 17(12), 1685-1713, 1991およびREV 5901 (Sheen, P. C., et al., J Pharm Sci 80(7), 712-714, 1991)が含まれる。有益性のなかでもとりわけ、マイクロエマルション化は、循環系の代わりにリンパ系に吸収されるよう優先的に方向付けて、それにより肝臓を迂回し、肝胆道循環中での化合物の破壊を防ぐことにより生体利用率の増強をもたらす。
本開示の一態様では、製剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/または非ステロイド系抗炎症性化合物と少なくとも1種の両親媒性担体とから形成されるミセルを含有し、このミセルは約100nm未満の平均直径を有する。様々な実施形態は、約50nm未満の平均直径を有するミセルを提供し、ある特定の実施形態は、約30nm未満またはさらには約20nm未満の平均直径を有するミセルを提供する。
すべての好適な両親媒性担体が企図されるが、様々な実施形態では、担体は、一般に、一般に安全と認められる(Generally−Recognized−as−Safe)(GRAS)ステータスを有し、本開示の化合物を可溶化し、後の段階で溶液が複合水相(ヒトの胃腸管に見られるものなど)と接触すると、該化合物をマイクロエマルション化し得るものである。通常、これらの要件を満たす両親媒性成分は、2〜20のHLB(親水性と親油性のバランス)値を有し、その構造は、C−6〜C−20の範囲内の直鎖脂肪族ラジカルを含む。例は、ポリエチレン−グリコール化脂肪グリセリドおよびポリエチレングリコールである。
両親媒性担体の例には、様々な完全または部分水素化植物油から得られるものなどの、飽和および一不飽和ポリエチレングリコール化脂肪酸グリセリドが含まれる。このような油は、トリ脂肪酸グリセリド、ジ脂肪酸グリセリドおよびモノ脂肪酸グリセリドと、例えば、カプリン酸4〜10%、カプリン酸3〜9%、ラウリン酸40〜50%、ミリスチン酸14〜24%、パルミチン酸4〜14%およびステアリン酸5〜15%を含む、対応する脂肪酸のジポリエチレングリコールエステルおよびモノポリエチレングリコールエステルとからなるのが有利となり得る。別の有用なクラスの両親媒性担体には、飽和または一不飽和脂肪酸との部分エステル化ソルビタンおよび/もしくはソルビトール(SPAN(登録商標)シリーズ)、または対応するエトキシ化アナログ(TWEEN(登録商標)シリーズ)が含まれる。
Gelucireシリーズ、Labrafil、LabrasolまたはLauroglycol(いずれもGattefosse Corporation、Saint Priest、Franceによって製造および流通が行われている)、PEG−モノ−オレエート、PEG−ジ−オレエート、PEG−モノ−ラウレートおよびジラウレート、レシチン、ポリソルベート80など(米国および世界にあるいくつかの会社により製造および流通が行われている)を含めた市販の両親媒性担体が特に有用となり得る。
ある特定の実施形態では、本開示の組成物を好適な宿主細胞に導入するため、リポソーム、ナノカプセル、微粒子、マイクロスフェア、脂質粒子、ベシクルなどの使用によって送達を行うことができる。特に、本開示の組成物は、送達するために、脂質粒子、リポソーム、ベシクル、ナノスフェア、ナノ粒子などのいずれかに封入して製剤化し得る。製剤化およびこのような送達用ビヒクルの使用は、公知の従来技法を用いて実施することができる。
本開示における使用に好適な親水性ポリマーは、易水溶性であり、ベシクル形成性脂質に共有結合により結合することができ、毒性作用なしにin vivoでの耐容性がある(すなわち、生体適合性である)ものである。好適なポリマーには、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ乳酸(ポリラクチドとも呼ばれる)、ポリグリコール酸(ポリグリコリドとも呼ばれる)、ポリ乳酸−ポリグリコール酸コポリマー、およびポリビニルアルコールが含まれる。ある特定の実施形態では、ポリマーは、約100もしくは120ダルトンから約5,000もしくは10,000ダルトンまで、または約300ダルトン〜約5,000ダルトンの分子量を有する。他の実施形態では、ポリマーは、約100〜約5,000ダルトンの分子量を有するか、または約300〜約5,000ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコールである。ある特定の実施形態では、ポリマーは、750ダルトンのポリエチレングリコール(PEG(750))である。ポリマーは、その中のモノマーの数によって定義することもできる。本開示の様々な実施形態は、少なくとも約3つのモノマーのポリマーを利用し、このようなPEGポリマーは、3つのモノマーからなる(約150ダルトン)。
本開示において使用するのに好適となり得る他の親水性ポリマーには、ポリビニルピロリドン、ポリメトキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、およびヒドロキシメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースなどの誘導体化セルロースが含まれる。
ある特定の実施形態では、本開示の製剤は、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルのポリマー、ポリビニルポリマー、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタンおよびそれらのコポリマー、セルロース、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、乳酸およびグリコール酸のポリマー、ポリ無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリ(酪酸(butic acid))、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド−co−カプロラクトン)、多糖、タンパク質、ポリヒアルロン酸、ポリシアノアクリレート、ならびにそれらのブレンド、混合物またはコポリマーからなる群から選択される生体適合性ポリマーを含む。
シクロデキストリンは、6個、7個または8個のグルコース単位からなり、それぞれα、βまたはγのギリシャ文字により命名される環式オリゴ糖である。グルコース単位は、α−1,4−グルコシド結合によって連結されている。糖単位がいす型立体配座である結果として、(C−2、C−3の)第二級ヒドロキシル基がすべて、環の一方に位置するが、C−6の第一級ヒドロキシル基はすべて、他方に位置している。その結果、外面が親水性となり、シクロデキストリンが水溶性となる。対照的に、シクロデキストリンの空洞は、C−3およびC−5原子の水素ならびエーテル様酸素よって覆われているので、疎水性である。これらのマトリックスにより、例えば、17α−エストラジオールなどのステロイド化合物を含めた様々な相対的に疎水性の化合物との複合体形成が可能となる(例えば、van Uden et al. Plant Cell Tiss. Org. Cult. 38:1-3-113 (1994)を参照されたい)。複合体形成は、ファンデルワールス相互作用および水素結合形成によって起こる。シクロデキストリンの化学的性質の概説に関しては、Wenz, Agnew. Chem. Int. Ed. Engl., 33:803-822 (1994)を参照されたい。
シクロデキストリン誘導体の物理化学的特性は、その種類および置換度に大きく依存する。例えば、それらの水への溶解性は、不溶性(例えば、トリアセチル−ベータ−シクロデキストリン)〜147%の可溶性(w/v)(G−2−ベータ−シクロデキストリン)の範囲にある。さらに、それらは多数の有機溶媒に可溶である。シクロデキストリンの特性は、その溶解性を増加または低下させることにより様々な製剤構成成分の溶解性を制御することを可能にする。
多数のシクロデキストリンおよびその調製方法が記載されている。例えば、Parmeter(I), et al.(米国特許第3,453,259号)およびGramera, et al.(米国特許第3,459,731号)は電気的に中性なシクロデキストリンを記載した。他の誘導体には、陽イオン特性を有するシクロデキストリン[Parmeter(II)、米国特許第3,453,257号]、不溶性架橋シクロデキストリン(Solms、米国特許第3,420,788号)および陰イオン特性を有するシクロデキストリン[Parmeter(III)、米国特許第3,426,011号]が含まれる。陰イオン特性を有するシクロデキストリン誘導体の中で、カルボン酸、亜リン酸、亜ホスフィン酸、ホスホン酸、リン酸、チオホスホン酸、チオスルフィン酸およびスルホン酸が、親シクロデキストリンに結合されている[Parmeter(III)、上記を参照されたい]。さらに、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン誘導体がStella, et al.(米国特許第5,134,127号)により記載されている。
リポソームは、水性内部区画を取り囲む少なくとも1つの脂質二重層膜からなる。リポソームは膜のタイプおよびサイズにより特徴付けることができる。小さい単一ラメラベシクル(SUV)は、単一膜を有し、通常、直径が0.02〜0.05μmの間の範囲にある。大きな単一ラメラベシクル(LUV)は、通常、0.05μmより大きい。オリゴラメラの大きなベシクルおよび多重ラメラベシクルは、通常、同心円状の膜層を複数有し、通常、0.1μmより大きい。同心円状ではない、いくつかの膜を有するリポソーム、すなわち、大きい方のベシクル中に含まれた小さい方のいくつかのベシクルを多小胞ベシクル(multivesicular vesicle)と呼ぶ。
本開示の一態様は、アンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、カシメルセン)および/または非ステロイド系抗炎症性化合物を含むリポソームを含む製剤であって、運搬能が増加したリポソームが得られるようリポソーム膜が配合されている製剤に関する。代替として、またはさらに、本開示の化合物は、リポソームのリポソーム二重層内に含めてもよく、またはリポソーム二重層表面に吸着させてもよい。アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/または非ステロイド系抗炎症性化合物は、脂質界面活性剤と凝集され、リポソームの内部空間内に含めて運ばれてもよい。このような場合、活性剤−界面活性剤の凝集物の破壊作用に耐性を示すようリポソーム膜が配合される。
本開示の一部の実施形態によれば、PEG鎖が脂質二重層の内側表面からリポソームにより封入された内部空間内に伸びて、脂質二重層の外側から周囲環境内に伸びるように、リポソームの脂質二重層は、ポリエチレングリコール(PEG)により誘導体化された脂質を含む。
本開示のリポソーム内に含まれている活性剤は、可溶化形態にある。界面活性剤と活性剤の凝集物(目的の活性剤を含有するエマルションまたはミセルなど)が、本開示によるリポソームの内部空間内に捕捉され得る。界面活性剤は、活性剤を分散および可溶化させるよう作用し、以下に限定されないが、様々な鎖長(例えば、約C14〜約C20)の生体適合性リゾホスファチジルコリン(LPG)を含めた任意の好適な脂肪族、脂環式または芳香族界面活性剤から選択され得る。PEG脂質などのポリマー誘導体化脂質は、それがミセル/膜融合を阻害するよう作用し、界面活性剤分子へのポリマー付加が界面活性剤のCMCを低下させ、ミセル形成を補助するので、ミセル形成にも利用することができる。一部の実施形態は、例えば、マイクロモルの範囲内のCMOを有する界面活性剤を含む。CMCがより高い界面活性剤を利用して、本開示のリポソーム内に捕捉されたミセルを調製してもよい。
本開示によるリポソームは、当分野において公知の様々な技法のいずれかによって調製することができる。例えば、米国特許第4,235,871号、公開PCT出願WO96/14057、New RRC, Liposomes: A practical approach, IRL Press, Oxford (1990), pages 33-104、Lasic DD, Liposomes from physics to applications, Elsevier Science Publishers BV, Amsterdam, 1993を参照されたい。例えば、本開示のリポソームは、望ましい誘導体化脂質の最終モルパーセントに相当する脂質濃度で、リポソーム中において、事前に形成したリポソームを脂質グラフトポリマーからなるミセルに曝露させるなどにより、親水性ポリマーにより誘導体化した脂質を事前に形成したリポソーム内に拡散させることによって調製され得る。親水性ポリマーを含有するリポソームは、当分野において公知のホモジナイズ化、脂質領域水和または押出し技法により形成することもできる。
別の例示的な製剤手順では、最初に、活性剤を超音波処理により、疎水性分子を容易に可溶化するリゾホスファチジルコリンまたは他の低CMC界面活性剤(ポリマーグラフト脂質を含む)に分散させる。次に、得られた活性剤のミセル懸濁液を使用して、好適なモルパーセントのポリマーグラフト脂質またはコレステロールを含有する乾燥脂質試料を再水和する。次に、当分野で公知の押出し技法を使用して脂質と活性剤の懸濁液からリポソームを形成し、得られたリポソームを標準的なカラム分離により未封入溶液から分離する。
本開示の一態様では、選択したサイズ範囲にある実質的に均一なサイズを有するようリポソームを調製する。1つの有効なサイズ決定方法は、選択した均一細孔サイズを有する一連のポリカーボネート膜にリポソームの水性懸濁液を押し出して通すことを含む。膜の細孔サイズは、その膜に通して押し出すことによって生成するリポソームの最大サイズにほぼ相当する。例えば、米国特許第4,737,323号(1988年4月12日)を参照されたい。ある特定の実施形態では、DharmaFECT(登録商標)およびLipofectamine(登録商標)などの試薬を利用して、ポリヌクレオチドまたはタンパク質を細胞内に導入することができる。
本開示の製剤の放出特性は、封入材料、封入薬物の濃度および放出調節剤の存在に依存する。例えば、例えば胃内のような低pHまたは腸内のようなより高いpHでしか放出しないpH感受性コーティング剤を使用して、放出をpH依存性になるよう操作することができる。腸溶性コーティング剤を使用して、胃を通過した後まで放出が起こらないようにすることができる。複数のコーティング剤または様々な物質に封入したシアナミドの混合物を使用して、胃内で最初の放出を得て、その後、腸内で後の放出を得ることができる。水の取込みまたはカプセルからの拡散による薬物の放出を増加させることができる、塩または細孔形成剤を含めることによって放出を操作することもできる。薬物の溶解度を改変する添加剤を使用して、放出速度を制御することもできる。マトリックスの分解またはマトリックスからの放出を増強する作用剤もまた、組み込まれ得る。それらは、化合物に応じて、薬物に添加することができる、分離相として(すなわち、微粒子として)添加することができる、またはポリマー相に共溶解させることができる。大部分の場合、その量は0.1〜30パーセント(w/wポリマー)の間にするべきである。分解促進剤のタイプには、硫酸アンモニウムおよび塩化アンモニウムなどの無機塩、クエン酸、安息香酸およびアスコルビン酸などの有機酸、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛および水酸化亜鉛などの無機塩基、および硫酸プロタミン、スペルミン、コリン、エタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンなどの有機塩基、ならびにTween(登録商標)およびPluronic(登録商標)などの界面活性剤が含まれる。マトリックスにミクロ構造を与える細孔形成剤(すなわち、無機塩および糖などの水溶性化合物)を微粒子として添加する。その範囲は、通常、1〜30パーセント(w/wポリマー)の間である。
粒子の消化管内での滞留時間を改変することにより取込みを操作することもできる。これは、例えば、粒子を粘膜付着性ポリマーでコーティングするか、または封入材料として粘膜付着性ポリマーを選択することにより達成することができる。例には、キトサン、セルロース、とりわけポリアクリレート(本明細書で使用される場合、ポリアクリレートとは、アクリレート基、ならびにシアノアクリレートおよびメタクリレートなどの修飾アクリレート基を含めたポリマーを指す)などの遊離カルボキシル基を有する大部分のポリマーが含まれる。
アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/または非ステロイド系抗炎症性化合物は、外科用または医療デバイスまたはインプラント内に含まれるよう製剤化されてもよく、またはこれらによって放出されるよう適合させてもよい。ある特定の態様では、インプラントをアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/または非ステロイド系抗炎症性化合物によりコーティングしてもよく、またはそうでない場合、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/または非ステロイド系抗炎症性化合物により処置してもよい。例えば、生体適合性および/または生分解性ポリマーなどのヒドロゲルまたは他のポリマーを使用して、インプラントを本開示の組成物によりコーティングすることができる(すなわち、ヒドロゲルまたは他のポリマーを使用することにより、組成物を医療用デバイスでの使用に適合させることができる)。医療用デバイスを薬剤でコーティングするためのポリマーおよびコポリマーは当分野において周知である。インプラントの例には、以下に限定されないが、ステント、薬物溶出ステント、縫合糸、プロテーゼ、血管カテーテル、透析カテーテル、脈管移植片、人工心臓弁、心臓ペースメーカー、植込み型除細動器、IV針、ピン、スクリュー、プレートなどの骨固定および形成用デバイス、ならびに創傷治癒のための他のデバイスおよび人工組織マトリックスが含まれる。
本明細書に提供される方法に加えて、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/または非ステロイド系抗炎症性化合物は、他の医薬品から類推してヒト医療または獣医療に使用するのに好都合な任意の方法で投与するよう製剤化することができる。アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/または非ステロイド系抗炎症性化合物、ならびにその対応する製剤は、単独で、または筋芽細胞移植、幹細胞療法、アミノグリコシド系抗生物質の投与、プロテアソーム阻害剤および上方調節療法(例えば、ジストロフィンの常染色体パラログであるユートロフィンの上方調節)などの筋ジストロフィーの処置における他の治療戦略との併用療法として投与されてもよい。
熟練医師であれば、任意の特定の動物および状態に対して最適な投与経路および任意の投与量を容易に決定することが可能であるため、記載した投与経路は指針として意図されているに過ぎない。新しい機能性遺伝物質をin vitroおよびin vivoの両方で細胞内に導入する複数のアプローチが、試みられてきた(Friedmann (1989) Science, 244:1275-1280)。これらのアプローチには、発現される遺伝子の改変レトロウイルスへの組込み(Friedmann (1989) 上記; Rosenberg (1991) Cancer Research 51(18), suppl.: 5074S-5079S);非レトロウイルスベクター(例えば、アデノ随伴ウイルスベクター)への組込み(Rosenfeld, et al. (1992) Cell, 68:143-155; Rosenfeld, et al. (1991) Science, 252:431-434);または異種性プロモーター−エンハンサーエレメントに連結した導入遺伝子のリポソームによる送達(Friedmann (1989), 上記; Brigham, et al. (1989) Am. J. Med. Sci., 298:278-281; Nabel, et al. (1990) Science, 249:1285-1288; Hazinski, et al. (1991) Am. J. Resp. Cell Molec. Biol., 4:206-209;およびWang and Huang (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. (USA), 84:7851-7855);リガンド特異的陽イオンに基づく輸送系への連結(Wu and Wu (1988) J. Biol. Chem., 263:14621-14624)または裸のDNA、発現ベクターの使用(Nabel et al. (1990), 上記); Wolff et al. (1990) Science, 247:1465-1468)が含まれる。導入遺伝子を組織内に直接注入すると、局所発現しか生じない(Rosenfeld (1992)、上記); Rosenfeld et al. (1991)、上記; Brigham et al. (1989)上記; Nabel (1990)上記; およびHazinski et al. (1991)、上記)。Brighamらのグループ(Am. J. Med. Sci. (1989) 298:278-281およびClinical Research (1991) 39 (abstract))は、DNAリポソーム複合体の静脈内または気管内投与後に、マウスの肺のみにin vivoでトランスフェクトが起こることを報告している。ヒト遺伝子療法の手順の総説論文の例は、Anderson, Science (1992) 256:808-813である。
さらなる実施形態では、本開示の医薬組成物は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、Han et al., Nat. Comms. 7, 10981 (2016)に提示されている炭水化物をさらに含むことができる。一部の実施形態では、本開示の医薬組成物は、5%のヘキソース炭水化物を含んでもよい。例えば、本開示の医薬組成物は、5%のグルコース、5%のフルクトースまたは5%のマンノースを含んでもよい。ある特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、2.5%のグルコースおよび2.5%のフルクトースを含んでもよい。一部の実施形態では、本開示の医薬組成物は、5体積%の量で存在するアラビノース、5体積%の量で存在するグルコース、5体積%の量で存在するソルビトール、5体積%の量で存在するガラクトース、5体積%の量で存在するフルクトース、5体積%の量で存在するキシリトール、5体積%の量で存在するマンノース、2.5体積%の量でそれぞれ存在するグルコースとフルクトースとの組合せ物、および5.7体積%の量で存在するグルコースと2.86体積%の量で存在するフルクトースと1.4体積%の量で存在するキシリトールとの組合せ物から選択される炭水化物を含んでもよい。
K. キット
本開示はまた、筋ジストロフィー(例えば、DMDまたはBMD)を有する患者を処置するためのキットを提供し、このキットは、好適な容器に包装された少なくともアンチセンス分子(例えば、ジストロフィンプレmRNAのエクソン1〜79のうちのいずれか1つまたは複数に、例えば、本明細書における表2中の配列番号1〜32のアンチセンスオリゴヌクレオチドのいずれか1つに特異的にハイブリダイズすることが可能な1つまたは複数のアンチセンスオリゴヌクレオチド)および好適な容器に包装されている非ステロイド系抗炎症剤(例えば、CAT−1004などのNF−κB阻害剤)を、その使用のための指示と一緒に含む。キットはまた、緩衝剤、安定化剤などの周辺試薬も含んでもよい。当業者は、上の方法の適用が他の多くの疾患の処置に使用するのに好適なアンチセンス分子および/または非ステロイド系抗炎症性化合物の特定に幅広い適用範囲を有することを理解するべきである。
一実施形態では、キットは、エダサロネキセントおよび必要に応じた薬学的に許容される担体を含む容器、ならびに患者におけるDMDを処置するまたはその進行を遅延させるために、エダサロネキセントをカシメルセン、必要に応じた薬学的に許容される担体と組み合わせて投与するための指示を含む添付文書を含む。
別の実施形態では、キットは、第1の容器、第2の容器および添付文書を含み、第1の容器は、カシメルセンを含む少なくとも1回分の用量の医薬を含み、第2の容器は、エダサロネキセントを含む少なくとも1回分の用量の医薬を含み、添付文書は、医薬の投与によりDMD患者を処置するための指示を含む。
一部の実施形態では、指示は、カシメルセンおよびエダサロネキセントの同時投与を提示する。一部の実施形態では、指示は、カシメルセンおよびエダサロネキセントの逐次投与を提示する。一部の実施形態では、指示は、エダサロネキセントの投与前に、カシメルセンを投与することを提示する。一部の実施形態では、指示は、カシメルセンの投与前に、エダサロネキセントを投与することを提示する。
材料および方法:
CAT−1004食餌の調製
CAT−1004の薬物動態用量研究をマウスにおいて行い、ヒトにおいてCAT−1004と等価な曝露を与える、食事中のCAT−1004の濃度を決定した。この研究に基づいて、1%CAT−1004の食事を調製し、−20℃または−80℃のどちらかで保管した。この食餌を、マウスのケージに加える24時間前に、冷凍庫から取り出した。
MdxマウスにおけるPMOおよびCAT−1004の有効性研究
野生型(WT)(C57BL/10ScSn/J)およびMdx(C57BL/10ScSn−Dmdmdx/J)マウスを使用して、CAT−1004と組み合わせた、M23D PMO(AVI−4225)の有効性を試験した。5週齢のマウスは、Jackson Labsから取得し、1週間、順応させた。処置期間は4週間とし、マウスが6週齢になったときに開始した。マウスは、以下の5つの処置群に分け、各々はN=12とした:(1)生理食塩水により処置された野生型マウス、(2)生理食塩水により処置されたMdxマウス、(3)CAT−1004により処置されたMdxマウス、(4)M23D PMOにより処置されたMdxマウス、および(5)CAT−1004と組み合わせたM23D PMOにより処置されたMdxマウス。マウスに、IV注射による40mg/kgで、M23D PMO(AVI−4225)を毎週、投与し、マウスの食事に含ませたCAT−1004(1%)により処置した。非CAT−1004動物にはすべて、通常の食事となる対照食が与えられ、非M23D PMO動物にはすべて、生理食塩水のIV注射を毎週、投与した。食物消費は、厳密念にモニタリングし、食餌は、週2回、取り替えた。マウスは、10週齢(第1の用量の4週間後)で屠殺した。大腿四頭筋、横隔膜および心臓は、それぞれの処置群の各々から採取した。
エクソンスキッピング、ジストロフィンタンパク質解析および組織学
エクソンスキッピング解析では、大腿四頭筋、横隔膜および心臓の組織の試料をホモジナイズした。ホモジナイズ後、GE RNAspinキット(GE Healthcare Life Sciencesカタログ番号:25−0500−70)を使用して、各々の組織からRNAを抽出した。続いて、RT−PCRを行い、エクソン23スキッピングを解析した。エクソン23スキッピングは、キャリパーイメージングによって決定した。予想された断片は、スキッピングされなかったものは445bpおよびスキッピングされたものは245bpであった。スキッピング率は、以下の式を使用して決定した:%スキッピング=スキッピングされたものの容量モル濃度/(スキッピングされなかったもの+スキッピングされたものの容量モル濃度)×100%。
ジストロフィンタンパク質は、ウェスタンブロット解析および免疫組織化学によって解析した。ウェスタンブロット解析の場合、メスを使用して、心臓、横隔膜および大腿四頭筋の組織試料を削り取り、次に、溶解した。タンパク質溶解物の全タンパク質濃度は、Pierce(商標)BCAプロテインアッセイキット(ThermoFisher Scientific、カタログ番号23225)を使用して測定した。50ugのタンパク質試料を調製し、電気泳動によりタンパク質ゲル上を泳動させて、ウェスタンブロッティングのための膜に転写した。膜は、室温で1時間、5%脱脂乳中でブロッキングし、次に、5%脱脂乳中、4℃で16〜18時間もしくは室温で2時間、1:1000の抗ジストロフィン一次抗体(Abcam、カタログ番号ab15277)と共に、または1:5000抗アクチニン(Sigma、A7811)と共にインキュベートした。インキュベート後、膜を洗浄し、次に、室温で1時間、1:10,000の二次抗体(ジストロフィンの場合、ヤギ抗ウサギHRPコンジュゲート(BioRad、カタログ番号1706515)、またはアクチニンの場合、ヤギ抗マウスHRPコンジュゲート(BioRad、カタログ番号1706516))と共にインキュベートした。膜をClarity Western ECL Solution(BioRad、カタログ番号1705061)と共にインキュベートし、次に、ChemiDoc Touch自動露光設定で可視化した。
免疫組織化学の場合、凍結した大腿四頭筋の切片を、順次、切断し、クリオスタットを使用してスライド上にマウントした。切片をPBS中で再水和し、次に、室温で1時間、マウスオンマウス(MOM)ブロッキング用緩衝液でブロッキングした。ブロッキング用緩衝液を取り除いた後、ジストロフィン一次抗体(希釈度1:250、ウサギ、Abcam、カタログ番号ab15277)およびラミニン(1:250)を抗体希釈緩衝液中で加え、4℃で一晩、インキュベートした。一次抗体を取り除き、切片を洗浄した後、室温で1〜2時間、二次抗体Alexa−Fluoro488ヤギ抗ウサギ(1:10000希釈度)と共にインキュベートした。洗浄後、切片をすすぎ、DAPIを含む封入剤を用いてスライドガラスにのせた。
組織学研究を行うため、連続切片を個々の組織のそれぞれから得た。ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色、ならびにピクロシリウスレッド染色を行った。具体的には、組織を5分間、氷冷アセトン中に固定し、次に、ディセンディング(descending)エタノール溶液中で再水和した。再水和した切片をヘマトキシリンに浸漬し、水道水ですすぎ、70%エタノールに浸漬し、次に、エオシンに浸漬した。次に、組織を脱水し、キシレンに浸漬して、次に、2:1パーマウント:キシレン溶液中でスライド上にマウントした。ピクロシリウスレッド染色の場合、再水和した組織を、室温で1時間、ピクロシリウスレッド溶液中でインキュベートした。次に、この組織を0.5%酢酸、次に、無水アルコールですすいだ後、2:1パーマウント:キシレン溶液中でマウントした。
(実施例1)
M23D PMOと組み合わせたCAT−1004は、Mdxマウスにおいて炎症および線維化を軽減する。
デュシェンヌ型筋ジストロフィーにおいて、エクソンスキッピングアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびNF−Kb阻害剤の併用処置の有効性を評価するため、Mdxマウスモデルにおいて、M23D PMOおよびCAT−1004を利用した。炎症および線維化に及ぼす効果は、(1)生理食塩水により処置された野生型マウス、(2)生理食塩水により処置されたmdxマウス、(3)CAT−1004により処置されたmdxマウス、(4)M23D PMOにより処置されたmdxマウス、および(5)CAT−1004と組み合わせたM23D PMOにより処置されたmdxマウスの、大腿四頭筋から採取した筋肉の試料を解析することにより決定した。組織切片は、上記の材料および方法の項目で記載した通り、線維化についてピクロシリウスレッド染色によって、炎症および線維化について、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色によって解析した。
単剤療法として、M23D PMOまたはCAT−1004のどちらかで、Mdxマウスを処置すると、生理食塩水により処置されたMdxマウスと比べて、炎症および線維化の軽減がもたらされた。驚くべきことに、CAT−1004と組み合わせたM23D PMOによりMdxマウスを処置すると、CAT−1004単独またはM23D単独で処置したマウスに比べて、炎症および線維化の軽減がもたらされた(図9)。これらの結果は、併用処置が、筋線維の完全性を増強することを示している。
(実施例2)
M23D PMO、およびCAT−1004と組み合わせたM23D PMOにより処置したMdxマウスにおける、エクソンスキッピングおよびジストロフィン産生。
CAT−1004と組み合わせたM23D PMOにより処置されたマウスにおける、エクソンスキッピングおよびジストロフィン産生の程度を解析するため、筋肉の試料を、(1)生理食塩水により処置された野生型マウス、(2)生理食塩水により処置されたmdxマウス、(3)CAT−1004により処置されたmdxマウス、(4)M23D PMOにより処置されたmdxマウス、および(5)CAT−1004と組み合わせたM23D PMOにより処置されたmdxマウスの大腿四頭筋、横隔膜および心臓から採取した。エクソン23スキッピングに関するRT−PCR解析を行い、およびウェスタンブロット解析を行い、ジストロフィンタンパク質レベルを決定した。
M23D PMOにより処置したMdxマウス、およびCAT−1004と組み合わせたM23D PMOにより処置したマウスの大腿四頭筋、横隔膜および心臓の筋肉において、エクソンスキッピングが観察された(図10)。驚くべきことに、M23D PMO単独療法による処置に比べて、CAT−1004と組み合わせたM23D PMOにより処置したマウスの大腿四頭筋、横隔膜および心臓の筋肉において、ジストロフィン産生の増強が観察された(図11)。これらの結果により、ジストロフィンレベルの上昇は、これらの薬剤が単独で使用されると、これらの薬剤によるジストロフィンの上方調節の有効性が低いことが知られている組織である心臓にまで広がったことが示された。留意すべきことに、エクソンスキッピングもジストロフィン産生も、CAT−1004単剤療法で処置されたmdxマウスでは観察されなかった(図10および11)。
(実施例3)
大腿四頭筋における、ジストロフィン発現の免疫組織化学的分析
ジストロフィン発現をさらに分析するため、(1)生理食塩水により処置された野生型マウス、(2)生理食塩水により処置されたmdxマウス、(3)CAT−1004により処置されたmdxマウス、(4)M23D PMOにより処置されたmdxマウス、および(5)CAT−1004と組み合わせたM23D PMOにより処置されたmdxマウスの、大腿四頭筋から採取した筋肉の切片において、免疫組織化学的分析を行った。
組織切片を、ジストロフィンおよびラミニンの両方で染色した。これらの結果が、図12に示されている。生理食塩水により処置されたMdx対照マウスまたはCAT−1004単剤療法により処置されたMdxマウスと比較して、ジストロフィン発現の増加が、M23D PMO単剤療法、およびCAT−1004と組み合わせたM23D PMOにより処置されたMdxマウスにおいて観察された。これらの結果により、併用処置は、筋細胞膜のジストロフィンをさらに増強することが示された。
本明細書において引用されている、刊行物および特許出願はすべて、あたかも個々の刊行物または特許出願のそれぞれが、具体的かつ個々に、参照により組み込まれていることが示されているかのごとく、参照により本明細書に組み込まれている。
参考文献
配列表
以下の表2において、示されている任意の「T」またはすべてを、「U」に置き換えることができ、示されている任意の「U」またはすべてを、「T」によって置き換えることができる。
本特許または出願ファイルは、カラーで作成されている少なくとも1枚の図面を含む。カラー図面(複数可)を含む本特許または特許出願公開のコピーは、要請および必要な料金の支払いがあれば官庁(the Office)より提供される。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
エクソン45のスキッピングに適したデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)遺伝子の変異を有する、DMDを処置することを必要とする患者において、DMDを処置する方法であって、
前記患者に有効量のカシメルセンおよび有効量の非ステロイド系抗炎症性化合物を投与し、
これにより、DMDを有する前記患者を処置すること
を含む、方法。
(項目2)
前記非ステロイド系抗炎症性化合物が、NF−kB阻害剤である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記NF−kB阻害剤が、エダサロネキセントまたはCAT−1041、または薬学的に許容されるそれらの塩から選択される、項目2に記載の方法。
(項目4)
カシメルセンが、毎週、30mg/kgの用量で投与される、項目1に記載の方法。
(項目5)
エダサロネキセントが、67mg/kg/日の用量で投与される、項目3に記載の方法。
(項目6)
エダサロネキセントが、100mg/kg/日の用量で投与される、項目3に記載の方法。
(項目7)
前記非ステロイド系抗炎症性化合物が、カシメルセンを最初に投与する前に、少なくとも12週間、投与される、項目1に記載の方法。
(項目8)
カシメルセンおよび前記非ステロイド系抗炎症性化合物が、同時にまたは逐次に投与される、項目1に記載の方法。
(項目9)
カシメルセンが、前記非ステロイド系抗炎症性化合物の前記投与前に投与される、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記非ステロイド系抗炎症性化合物が、カシメルセンの前記投与前に投与される、項目8に記載の方法。
(項目11)
処置が、カシメルセンまたは前記非ステロイド系抗炎症性化合物の単独投与に比べて、前記患者における筋炎症の軽減をもたらす、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目12)
処置が、単独のカシメルセンまたは前記非ステロイド系抗炎症性化合物のどちらか一方に比べて、前記患者における筋線維化の軽減をもたらす、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目13)
処置が、カシメルセンまたは前記非ステロイド系抗炎症性化合物の単独投与に比べて、前記患者におけるジストロフィンの増加をもたらす、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目14)
エクソン45のスキッピングに適したデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)遺伝子の変異を有する、ジストロフィンタンパク質産生を誘導または増加させることを必要とするDMDを有する患者において、ジストロフィンタンパク質産生を誘導または増加させる方法であって、前記患者に有効量のカシメルセンおよび有効量の非ステロイド系抗炎症性化合物を投与し、これにより前記患者におけるジストロフィンタンパク質産生を誘導または増加させることを含む、方法。
(項目15)
前記非ステロイド系抗炎症性化合物が、NF−kB阻害剤である、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記NF−kB阻害剤が、エダサロネキセントまたはCAT−1041、または薬学的に許容されるそれらの塩から選択される、項目15に記載の方法。
(項目17)
カシメルセンおよび前記非ステロイド系抗炎症性化合物が、同時に投与される、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目18)
カシメルセンおよび前記非ステロイド系抗炎症性化合物が、逐次に投与される、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目19)
患者におけるDMDを処置するまたはその進行を遅延させる医薬の製造における、カシメルセンおよび必要に応じた薬学的に許容される担体の使用であって、前記医薬が、カシメルセンおよび必要に応じた薬学的に許容される担体を含み、前記処置が、エダサロネキセントおよび必要に応じた薬学的に許容される担体と組み合わせた前記医薬の投与を含む、使用。
(項目20)
患者におけるDMDを処置するまたはその進行の遅延させる際に使用するための、カシメルセンおよび必要に応じた薬学的に許容される担体であって、前記処置が、第2の組成物と組み合わせたカシメルセンの投与を含み、前記第2の組成物が、エダサロネキセントおよび必要に応じた薬学的に許容される担体を含む、カシメルセンおよび必要に応じた薬学的に許容される担体。
(項目21)
エダサロネキセントおよび必要に応じた薬学的に許容される担体を含む容器、ならびに患者におけるDMDを処置するまたはその進行を遅延させるために、カシメルセン、必要に応じた薬学的に許容される担体と組み合わせてエダサロネキセントを投与するための指示を含む添付文書を含むキット。

Claims (21)

  1. エクソン45のスキッピングに適したデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)遺伝子の変異を有する、DMDを処置することを必要とする患者において、DMDを処置する方法であって、
    前記患者に有効量のカシメルセンおよび有効量の非ステロイド系抗炎症性化合物を投与し、
    これにより、DMDを有する前記患者を処置すること
    を含む、方法。
  2. 前記非ステロイド系抗炎症性化合物が、NF−kB阻害剤である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記NF−kB阻害剤が、エダサロネキセントまたはCAT−1041、または薬学的に許容されるそれらの塩から選択される、請求項2に記載の方法。
  4. カシメルセンが、毎週、30mg/kgの用量で投与される、請求項1に記載の方法。
  5. エダサロネキセントが、67mg/kg/日の用量で投与される、請求項3に記載の方法。
  6. エダサロネキセントが、100mg/kg/日の用量で投与される、請求項3に記載の方法。
  7. 前記非ステロイド系抗炎症性化合物が、カシメルセンを最初に投与する前に、少なくとも12週間、投与される、請求項1に記載の方法。
  8. カシメルセンおよび前記非ステロイド系抗炎症性化合物が、同時にまたは逐次に投与される、請求項1に記載の方法。
  9. カシメルセンが、前記非ステロイド系抗炎症性化合物の前記投与前に投与される、請求項8に記載の方法。
  10. 前記非ステロイド系抗炎症性化合物が、カシメルセンの前記投与前に投与される、請求項8に記載の方法。
  11. 処置が、カシメルセンまたは前記非ステロイド系抗炎症性化合物の単独投与に比べて、前記患者における筋炎症の軽減をもたらす、前記請求項のいずれかに記載の方法。
  12. 処置が、単独のカシメルセンまたは前記非ステロイド系抗炎症性化合物のどちらか一方に比べて、前記患者における筋線維化の軽減をもたらす、前記請求項のいずれかに記載の方法。
  13. 処置が、カシメルセンまたは前記非ステロイド系抗炎症性化合物の単独投与に比べて、前記患者におけるジストロフィンの増加をもたらす、前記請求項のいずれかに記載の方法。
  14. エクソン45のスキッピングに適したデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)遺伝子の変異を有する、ジストロフィンタンパク質産生を誘導または増加させることを必要とするDMDを有する患者において、ジストロフィンタンパク質産生を誘導または増加させる方法であって、前記患者に有効量のカシメルセンおよび有効量の非ステロイド系抗炎症性化合物を投与し、これにより前記患者におけるジストロフィンタンパク質産生を誘導または増加させることを含む、方法。
  15. 前記非ステロイド系抗炎症性化合物が、NF−kB阻害剤である、請求項14に記載の方法。
  16. 前記NF−kB阻害剤が、エダサロネキセントまたはCAT−1041、または薬学的に許容されるそれらの塩から選択される、請求項15に記載の方法。
  17. カシメルセンおよび前記非ステロイド系抗炎症性化合物が、同時に投与される、前記請求項のいずれかに記載の方法。
  18. カシメルセンおよび前記非ステロイド系抗炎症性化合物が、逐次に投与される、前記請求項のいずれかに記載の方法。
  19. 患者におけるDMDを処置するまたはその進行を遅延させる医薬の製造における、カシメルセンおよび必要に応じた薬学的に許容される担体の使用であって、前記医薬が、カシメルセンおよび必要に応じた薬学的に許容される担体を含み、前記処置が、エダサロネキセントおよび必要に応じた薬学的に許容される担体と組み合わせた前記医薬の投与を含む、使用。
  20. 患者におけるDMDを処置するまたはその進行の遅延させる際に使用するための、カシメルセンおよび必要に応じた薬学的に許容される担体であって、前記処置が、第2の組成物と組み合わせたカシメルセンの投与を含み、前記第2の組成物が、エダサロネキセントおよび必要に応じた薬学的に許容される担体を含む、カシメルセンおよび必要に応じた薬学的に許容される担体。
  21. エダサロネキセントおよび必要に応じた薬学的に許容される担体を含む容器、ならびに患者におけるDMDを処置するまたはその進行を遅延させるために、カシメルセン、必要に応じた薬学的に許容される担体と組み合わせてエダサロネキセントを投与するための指示を含む添付文書を含むキット。
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