JP2020534829A - ウイルスワクチンなどの生体分子の製造システムおよび製造方法 - Google Patents

ウイルスワクチンなどの生体分子の製造システムおよび製造方法 Download PDF

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Abstract

【構成】本発明は、細胞およびウイルス粒子を有する液体を受け取るのに好適なチャンバー(1)を有するバイオリアクター、および濃縮器(2)を有し、この濃縮器に保持液を回収し、かつ上記バイオリアクターの投入部に、あるいは上記濃縮器と上記バイオリアクターとの間に位置する中間容器(4)の投入部に上記保持液を再循環させることを促進するのに適した保持液導管(300、303)を設けた生体分子製造システムに関する。本発明の第2態様および第3態様は生体分子の製造方法、および生体分子を製造するために上記システムを使用することに関する。【選択図】図1

Description

本発明は、ウイルスワクチンを製造(生産、産生)する技術分野に関し、この製造システムおよび製造方法を記述するものである。
病原細菌およびウイルスが原因する疾病数が膨大なため、この技術分野では抗体やウイルスなどの生体分子を効率よく製造することが求められている。
培養された細胞(培養細胞)から生体分子、特にウイルスを精製する従来の方法は冗長な上に時間がかかるため、生体分子の製造ないし生成のコストはきわめて高い。臨床で投与するために適する生成物を得るためには、培養細胞中でウイルスやウイルス蛋白質などの生体分子を製造する迅速かつ効率的な方法が必要である。
本発明は、上記問題のうちの少なくとも一部を解決することを目的とする。本開示は、生体分子の損失を最小に抑え、制限された空間量において高品質の生体分子を確保した状態で生体分子の精製に適応するシステムを記述するものである。第2の目的は、限られた量の操作ステップにもかかわらず生体分子の収量が高く、操作コスト(OPEX)を有意味に抑えることができる上に封じ込み(格納)レベルを高く維持できる方法(論)を提供することにある。
PCT/EP2017/078775
本発明は、請求項1にかかわる生体分子の製造システムを提供するものである。より具体的には、本発明は細胞およびウイルス粒子を含有する液体の受け取りに好適なチャンバーを有するバイオリアクター;および濃縮器を有し、上記濃縮器が保持液を回収するために好適な保持液導管を備え、この導管によって上記保持液を上記バイオリアクターの投入部(input)に、あるいは上記濃縮器と上記バイオリアクターとの間に位置する中間容器の投入部に再循環させる生体分子の製造システムを提供するものである。
第2態様によれば、本発明は請求項18にかかわる方法を提供するものである。より具体的には、本発明は細胞を有する液体を有するバイオリアクター中で生体分子を製造する方法であって、濃縮工程を有し、このバイオリアクターからの生成物を濃縮器で濃縮し、この濃縮器からの生成物を上記バイオリアクターに、あるいは上記濃縮器と上記バイオリアクターとの間に位置する中間容器に再循環させる製造方法を提供するものである。
さらに別な態様によれば、本発明は請求項31にかかわる生体分子を精製するシステムの使用を提供するものである。より具体的には、本発明はウイルスおよび/またはウイルスワクチンを製造する請求項1〜17のいずれかに係るシステムの使用に関する。
定義
特に定義しない限り、技術用語や科学用語を始めとする、発明の開示に使用する用語すべては、本発明が属する分野における当業者が通常に理解する意味で使用する。念のために、本発明をよりよく理解してもらうために、いくつかの用語について定義を下しておく。
本明細書に使用する以下の用語は以下の意味をもつ。
本明細書で使用する単数表現については、文脈上そうでないと明確に示さない限り、単数および複数表現の両者を指すものとする。例えば、“区画”は一つかそれ以上の区画を意味する。
パラメーター、量、一過性の期間などの測定可能な値を指す用語に使用する“約”については、本発明を好適に実施できる限り、具体的に記載した値の±20%以下、好ましくは±10%以下、より好ましくは±5%以下、さらにより好ましくは±1%、さらにより好ましくは±0.1%以下は許容範囲である。なお、修飾語“約”を伴う値についても具体的に開示すると理解されよう。
また、本明細書で使用する“有する”は“含む”、“含有する”などと同義であり、成分などの存在を具体的に示す包括的な、あるいは何の制約もない用語であり、付加的な、明示していない、公知かつ本明細書に記載する成分、特徴、要素、部材、工程などの存在を排除するものではない。
終点による数値範囲の記載には、この範囲に包括される、終点を含むすべての数値および分数を含むものとする。
本明細書全体を通して使用する“重量%”、“重量百分率”などの表現は特に定義しない限り、配合物の全体重量に基づく各成分の相対的な重量を指す。
“生体分子(biomolecule)は、バイオリアクター内で産生(生成)される対象となる任意の生物学的物質を指す。例えば、生体分子はウイルス、ウイルス様粒子、ウイルス産生物、抗体などのタンパク質、炭水化物、脂質、核酸、代謝産物やペプチド類を包含する。
“抗体”はヒトやその他の動物細胞株から誘導されるモノクローナルやポリクローナルな任意の免疫グロブリン分子、抗原結合免疫グロブリン断片または免疫グロブリン融合タンパク質を指し、ヒト化抗体、ヒト抗体、キメラ抗体、合成抗体、組み換え抗体、ハイブリッド抗体、変異抗体、移植抗体およびインビトロ生成抗体などの自然抗体や遺伝子組み換え抗体を包含する。通常よく知られている自然免疫グロブリン抗体にはIgA(二量体)、IgG、IgE、IgGおよびIgM(五量体)がある。
“ウイルス”または“ビリオン”は超顕微鏡的な(直径がおよそ20〜300nm程度の)感染因子を指し、この感染因子は生物ホスト、主に細菌、植物や動物の細胞内でのみ複製し、RNAやDNAコア、タンパク膜からなり、より複雑なタイプでは、サラウンディングエンベロープ(surrounding envelope)からなる。
“バイオリアクター”は、例えば生物学的生成物を製造するための細胞または生物を培養する生物学的活性環境を支持する任意の装置またはシステムを指す。これには、細胞スタック、ローラーボトル、振とう器、フラスコ、撹拌付きタンク懸濁バイオリアクター、高細胞密度固定床灌流バイオリアクターなどが含まれる。
“精製”は、標的生体分子の濃度に対する一つかそれ以上の標的不純物または混入物の濃度の実質的な低下を指す。
“接線流ろ過(TFF)”は、一つかそれ以上の多孔性膜によって境界が定められたスペース内に流体が強制的に通される膜ろ過方法を指す。この方法では、細孔を通る程十分小さい分子は濾液即ち“透過液”内に排出される一方で、細孔を通らないほど大きな分子は“保持液”内に留まる。用語“接線流”は、特に流体流の方向が膜に対してだいたい平行である事実を指し、流れが膜に対してだいたい垂直な所謂デッドエンドろ過とは正反対である。
本明細書で使用する通り、“ウイルス感染”はウイルスが細胞内に侵入し、次に細胞内でウイルスが複製することを指す。
“細胞培養採取物”、“培養採取物”および“採取物”は同義であり、バイオリアクター内での細胞培養から得られた未清澄化細胞培養物を指す。培養細胞または増殖細胞もホスト細胞と呼ぶことができる。
“シリアル、インライン(Serial、in−line)”は、一つのユニットまたは装置から出た流れが、中間保管することなく、直接次のユニットまたは装置に送られるように装置またはユニットを接続することを意味する。
“アイソレーター”または“キャビネット”は同義であり、生物学的物質を安全に取り扱える換気設備付きの実験施設を指す。“アイソレーター”には、病原体で汚染された(あるいは潜在的に汚染された)物質を封じ込める格納アイソレーター、病原体で汚染された(あるいは潜在的に汚染された)物質を封じ込め、かつ(例えば精製標的生体分子などの)生成物を汚染から保護する格納バイオセイフティーキャビネット、および(例えば精製標的生体分子などの)生成物を汚染から保護する層流キャビネットがある。
本発明の一実施態様に従って構成した生体分子の製造システムを示す概略図である。 本発明の別な実施態様に従って構成した生体分子の製造システムを示す概略図である。 図2Aに示すスキームを実施できるシステムの一実施態様を示す図である。 本発明の別な実施態様に従って構成した生体分子の製造/精製システムを示す概略図である。 本発明の別な実施態様に従って構成した生体分子の製造/精製システムを示す概略図である。 本発明の実施態様に従って構成した生体分子の製造システムを示す図である。
本発明は、タンパク質やウイルスなどの生体分子の精製システムおよび精製方法に関する。
第1の態様では、本発明は細胞およびウイルス粒子を有する液体を受け取るために好適なチャンバーを有するバイオリアクターおよび濃縮器を有し、この濃縮器には濃縮生成物を回収し、この濃縮生成物を上記バイオリアクターの投入部に、あるいは上記濃縮器と上記バイオリアクターとの間に位置する中間容器の投入部に再循環させる保持液のライン出力部を設ける生体分子製造システムを提供するものである。
さらなる態様では、本発明は標的生体分子を有する液体を受け取るために好適なチャンバーを有するバイオリアクター、濃縮器、および上記バイオリアクター中の標的生体分子よりも高い濃度で標的生体分子を有する細胞培養採取物を有する中間容器を有する生体分子製造システムを提供するものである。
本システムの場合、強化技術を統合化することによって各区画のサイズを大幅に小さくし、占有面積の小さい製造/精製システムを構築する。このシステムに基づけば、生体分子の製造/精製を連続自動化プロセスとして実施できる。即ち、人間による介入を最小限に抑えた状態で細胞培養から最終の生成物精製までを実施できる。この強化/統合化のプロセスによってすべての区画のアイソレーターへの封じ込めが可能になり、プロセスオペレーターおよび環境の安全性を担保できる。このシステムの占有面積は小さい。いくつかの実施態様の場合、システムの占有面積は約50m未満、約40m未満、約30m未満、約20m未満、約10m未満、約5m未満などである。一部の実施態様の場合、システムの占有面積は約5m〜約10m、約5m〜約20m、約5m〜約30m、約5m〜約40m、約5m〜約50mである。一実施例の場合、占有面積は10m未満である。例えば、7mのシステムは処理単位当たり少なくとも500,000用量のウイルスワクチンを製造でき、あるいは1年当たり約10用量のウイルスワクチンを製造できる。結果的に、この自律的なプロセスは商品のコストだけでなく資本投下量も大幅に削減することによって生体分子製造の経済性に劇的な影響をもつ。
本発明の生体分子の製造システムでは、生体分子製造に必要なインフラの規模を産業レベルで縮小でき、これによって消耗品の量も抑えることができる。本システムを適用すれば、消耗品の使用量を約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上など抑制できる。また、本システムの場合、消耗品の使用量を約10%〜約20%、約10%〜約30%、約10%〜約40%、約10%〜約50%、約10%〜約60%、約10%〜約70%、約10%〜約80%、そして約10%〜約90%に抑えることができる。さらに、安全で効率も高く、費用対効果が高い方法で生体分子を精製できる。
本発明のシステムを適用すると、従来のシステムと比較してはるかに小さい装置を使用して、組み換えタンパク質、ウイルスやウイルス生成物などの生体分子の迅速な製造/精製を行うことができる。さらに、本システムを使用して高収率の生体分子を得ることができ、これによって最終生成物のコストを下げることができる。標的生体分子の回収率を65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上にすることができる。この結果、投資額が低くなり、製造コストも削減でき、相当な作用効果を実現できる。
本発明システムの場合、細胞増殖用の、および/または細胞生成物の製造用の少なくとも一つのバイオリアクターを有する。一つの実施態様では、バイオリアクターは使い捨てのバイオリアクターである。別の実施態様では、バイオリアクターはオートクレーブで処理できる。本システムは粘着性細胞だけでなく非粘着性細胞の増殖に使用できるように設計する。一つの実施態様では、バイオリアクターはバッチバイオリアクターであり、別な実施態様では、灌流バイオリアクターである。灌流バイオリアクターの場合、当容量の培地をバイオリアクターに同時に添加し、かつバイオリアクターから取り出す一方で、細胞をバイオリアクター中に保持する。このように構成すると、新鮮な栄養素の定常源を実現でき、細胞(廃)生成物を一定して取り出すことができる。灌流の場合、従来のバイオリアクターよりも細胞密度がはるかに高くなり、従って製造容量が高くなる。
さらに、灌流バイオリアクターの場合、培地の取り出しプロセス中に分泌物を連続的に収集することができる。バイオリアクターとしては固定床灌流バイオリアクターが好ましい。固定床構成の場合、システム内で細胞増殖がより高い密度で実現でき、これは従来のバイオリアクターよりも小型のバイオリアクターを使用できることを意味する。このバイオリアクターを使用すると、ml当たり少なくとも5千万の細胞密度を容易に実現できるため、本システムでは従来のバイオリアクターよりも小さいバイオリアクターを利用でき、バイオリアクターの高密度細胞培養能力を犠牲にすることもない。従って、上記バイオリアクターを組み込むと、システムに必要なスペースを縮小できる。この形式のバイオリアクターを使用する細胞培養が強化されるため、アイソレーターに設置できるほど十分小さい高細胞密度バイオリアクターをシステムに設けることができる。別な実施態様では、バッチモードと灌流モードの両モードで操作するのが好適なバイオリアクターをシステムに設けることができる。これは、システム内のバイオリアクターが製造/精製プロセスの特定工程に対応できるため有利である。例えば、バイオリアクターを接種時にはバッチモードで、細胞増殖時には灌流モードで操作できる。別な実施態様では、システムのバイオリアクター数は少なくとも2、3、4、5、6、8、10またはそれ以上である。
さらに別な実施態様では、本開示システムはバイオリアクターおよび濃縮器を有する。この濃縮器があるため、液体中の標的生体分子の量を減らさずにシステム内の全液体容量を減らすことによって液体中に存在する標的生体分子の量を増大させることができる。従って、本システムに濃縮器を組み込むと、液体の容量を減らすことができるため、システムが占有するスペース量をさらに小さく抑制することができる。この濃縮器については、ろ過装置およびサイズ排除クロマトグラフィー装置を有するのが好ましい。
本システムの場合、濃縮器には、標的分子の最大部分を有する保持液を回収するために好適であって、この保持液をバイオリアクターの投入部に、あるいは濃縮器とバイオリアクターとの間に位置する中間容器の投入部に再循環させる保持液導管を設ける。保持液を同じ濃縮器に再循環させることによって濃縮した保持液を再循環させることができるため、生体分子をさらに濃縮できる。一つの実施態様では、液体を少なくとも5回、好ましくは少なくとも10回、より好ましくは少なくとも15回、最適には目的の細胞培養収量に達するまで濃縮器に再循環させる。このように構成すると、必要な下流側処理量を削減できる。保持液の再循環により濃縮度の高い生体分子生成物が得られるからである。一つの実施態様では、本システムの導管はポンプ、弁、および例えば濃縮器からバイオリアクターおよび/または中間容器への液体の流れを制御し、かつ監視する流量計またはセンサーを有する。一つの実施態様では、保持液導管などのシステムの導管は検出器(光学検出器)を有する。一つの実施態様では、これら検出器は細胞および標的生体分子の量および/または導管内を移動する混入物(汚染物)を監視できる。
中間容器の容量については、バイオリアクターの容量に対応する容量が好ましい。濃縮した標的生体分子を含む保持液は、最終的に中間容器において採取する。例えば、システムに300Lの培地を灌流モードで使用するほぼ10L程度の容量をもつバイオリアクターを設ける場合、このシステムにはほぼ10L程度の容量をもつ中間容器を設けるのが好ましい。
一つの実施態様では、導管によってバイオリアクターと濃縮器とを接続し、当該バイオリアクターから当該濃縮器への液体の移送を容易にする。あるいは、中間容器をシステムに組み込む場合、導管によってバイオリアクターと中間容器とを接続すると、当該バイオリアクターから当該中間容器への液体の移送が容易になる。さらに、中間容器と濃縮器とを導管によって接続すると、液体は中間容器から濃縮器に移る。最後に、濃縮器からバイオリアクターへの液体移送を容易にする導管を設けることも可能である。一つの実施態様では、中間容器としては使い捨て式か、あるいはオートクレーブで処理可能な容器を使用することができる。
システムの濃縮器については、標的生体分子が存在する液体の容量を縮小させるのに好適な、当業者が熟知している多数の装置から選択できる。一部の実施態様では、濃縮器は一つの型式の濃縮装置(接線流フィルターなど)を有する。一部の実施態様では、濃縮器は2つ以上の形式の濃縮装置(接線流フィルターおよびデッドエンドフィルターなど)を有する。これら装置のほとんどは、ろ過および/またはサイズ排除クロマトグラフィーに基づいている。一つの実施態様では、濃縮器はろ過装置、より好ましくは精密ろ過装置、限外ろ過装置、あるいは精密ろ過装置および限外ろ過装置を併用した装置である。本システムに、標的生体分子が存在する液体の容量を縮小させる限外ろ過装置を設ける場合には、装置の膜を水および低分子量溶質(一般に透過液と呼ばれている)が透過し、生体分子などの巨大分子が保持液中で膜に保持される。さらに別な実施態様では、本システムに接線流ろ過装置(TFF)を設ける。一つの実施態様では、当該TFFは少なくとも一つの中空繊維を有し、この繊維は標的生体分子のほぼすべてを十分保持できる多孔性をもつ細孔を有する一方、細胞培地や溶質などのより小さな混入物は膜の細孔を通過できる。液体を膜や床に通し、固体をフィルターに捕捉するデッドエンドろ過とは対照的に、フィルターを直接流れるのではなく、TFF装置ではフィルターの表面を接線流れが横断する。従って、TFFにはフィルターケーキは発生しない。別な実施態様では、当該TFFには接線流ろ過を行うカセットを設けることができる。さらに別な実施態様では、当該TFFはシングルパス接線流ろ過装置(SP−TFF)である。この装置は、特に抗体などのタンパク質を精製するさいに有利である。
上述したように、本システムには保持液のバイオリアクターの投入部への、あるいは中間容器の投入部への再循環を仲介する保持液導管を設ける。本システムにおける濃縮器としてTFF装置を利用することから生じる付加的な作用効果は、TFF装置を連続灌流プロセスで操作できることである。このため、培地容量を相当縮小できる。例えば、(細胞増殖にアクセスできる表面積を意味する)内部増殖面積が500mの固定床灌流バイオリアクターで操作を開始した場合、本システムは培養容量を50Lの最終容量まで縮小できる。これは、古典的な1000Lのマイクロキャリヤをベースとする培養や6000のローラーボトルをベースとする培養に匹敵するもので、従来技術以上の有意味な改善をもたらす。これは、特にシステムの占有面積が縮小するからである。システムのサイズを縮小できるため、生体分子の製造を閉じ込め度の高い滅菌環境内で実施でき、操作の滅菌性を担保できる。
一つの実施態様では、本システムの導管に一つかそれ以上のポンプを設置し、指向性のある液体流れを発生し、かつシステムの異なる部分間における差圧を制御し、あるいはこれらの間に差圧を誘導する。別な実施態様では、ポンプは順方向および逆方向の両方向において動作できる。さらに別な実施態様では、システムの導管に一つかそれ以上のポンプを設置し、濃縮器に液体のクロスフローを送り出すことが好ましい。
本明細書に開示するシステムの導管にセンサーを設置し、細胞増殖に重要なパラメーターを測定し、かつ限定する意図はないが、例示すると液体流量、温度、pH、酸素飽和度および圧力などの精製プロセスパラメーターを測定することができる。さらに、システムの導管に弁を設け、流れの分布を制御することができる。これら弁によって、さらに特定のシステム部分や導管に係合させてもよく、あるいは係合を外してもよい。一部の実施態様では、弁として計量化弁や離散的な弁(オン・オフ弁など)を使用する。一実施例では、弁は離散的な弁である。一部の実施態様では、これら弁によってそれぞれの導管からの液体をサンプリングし、例えば品質制御を行う。
一つの実施態様では、バイオリアクターと濃縮器との間に位置する前置フィルターをシステムに取り付ける。一部の実施態様では、これら前置フィルターの個数は少なくとも1、2、3、4、5、6、8、10かそれ以上である。一部の実施態様では、前置フィルターの多孔度は同じでもよく、あるいは異なっていてもよい。一つの実施例では、本システムは多孔度が異なる、少なくとも2つの前置フィルターを有する。前置フィルターによって濃縮器の目詰まりがなくなる。このためには、前置フィルターの細孔サイズは少なくとも50μm、少なくとも75μm、少なくとも100μm、少なくとも125μm、および最大250μm、最大200μm、最大175μm、最大150μmであるのが好ましい。好適な実施態様では、フィルターの細孔サイズは125μmである。50μmより小さい細孔サイズでは液体流量が十分とはならず、一方250μmより大きい細孔サイズでは、システムの目詰まり原因となる粒子を含有する液体が通り抜ける恐れがある。一つの実施態様では、前置フィルターの細孔サイズは生体分子よりはるかに大きく、細胞デブリおよび細胞集合体を保持できるサイズに設定される。一つの実施態様では、当該前置フィルターとしてはTFFを使用することができ、対象となる当該生体分子より大きい粒子が保持される一方で、生体分子を含むより小さな粒子は当該TFFを通りぬける。別な実施態様では、当該前置フィルターは吸着システムであればよく、例えばクロマトグラフィーに基づく吸着システムを使用することができる。
中間容器をシステムに組み込む場合には、バイオリアクターと中間容器との間に上記前置フィルターを位置させるのが好ましい。このように構成すると、システムにより、中間容器と濃縮器の間の導管には、そのサイズのため潜在的に濃縮器の目詰まりの原因となり得る粒子は存在しなくなる。
システム内に発生する望ましくない物質やプロセスから発生する副生成物については、汚染除去容器に一時的に保管できる。本システムは一つかそれ以上の汚染除去容器を有することができ、また本システムには濃縮器から汚染除去容器(複数の場合もある)に至る排出導管ラインなどの好適な導管を接続し、透過物を廃棄することができる。一部の実施態様では、本システムの汚染除去容器数は少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10か、あるいはそれ以上である。別な実施例は、バイオリアクターから汚染除去容器に至る排出導管ラインであり、生体分子の製造を開始する前に(例えば、細胞のウイルス感染の前に)液体を直接廃棄することができる。
(上流側製造プロセスなどの)生体分子の製造および精製に加えて、本システムには下流側製造プロセスを実施するために好適な装置を組み入れることが可能である。このために、本システムは清澄化区画を有する。この清澄化区画については、バイオリアクターや濃縮器などの上記装置から物理的に分離する必要はなく、後者とスムーズに接続する区画である。清澄化は下流側プロセスの第1工程と考えられ、既に採取された保持液から細胞デブリや他の汚染物を確実に除去する工程である。一部の実施態様では、清澄化区画のフィルター数は少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10か、あるいはそれ以上である。一部の実施態様では、清澄化区画は一種類のフィルターを有する。一部の実施態様では、清澄化区画は多種類のフィルターを有する。さらに別な実施態様では、清澄化区画はデプスフィルター、ろ過助剤として珪藻土を有するフィルター、ミクロフィルター、およびアニオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィーおよび混合モードクロマトグラフィーに基づくフィルターなどの機能性フィルターから選択される一種からそれ以上のフィルターを有する。一つの実施例では、清澄化区画はアニオン交換デプスフィルターおよびミクロろ過装置を有する。清澄化により、ホスト細胞DNAやタンパク質残渣などの残存細胞培養不純物を除去できる。即ち、このように構成すると、生成物流れから残留細胞培養不純物を除去できるため、次の精製区画の正確な機能を担保できる。上記のように、保持液を濃縮器からバイオリアクターまたは中間容器にリサイクルする濃縮工程を使用するため、(従来技術と比較して)清澄化区画のサイズを小さくでき、区画操作をコンパクトにでき、処理時間を短縮できるため、生体分子の製造/精製プロセスの経済面全体を改善できる。一部の実施態様では、清澄化区画は、濃縮器を備えないシステムの清澄化区画よりも少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%小さい。即ち、濃縮器を有するシステムを使用すると、清澄化区画のサイズをシステム内に濃縮器が存在しない場合に必要なサイズの80%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、そして20%以下までに縮小できる。
本明細書に開示するシステムは、別な実施態様では、あるいはさらに別な実施態様では、クロマトグラフィー区画を有する。このクロマトグラフィー区画と清澄化区画とを導管で接続すると、清澄化区画からクロマトグラフィー区画への液体移送を促進できる。クロマトグラフィー区画は標的生体分子をさらに精製するもので、少なくとも一つのクロマトグラフィー装置を有する。一つの実施態様では、クロマトグラフィー装置は高い結合能力をもち、限られたサイクル数で多量の投入容積を処理できる単一のクロマトグラフィー装置を有する。一部の実施態様では、クロマトグラフィー装置は濃縮器を備えていないシステムにおけるクロマトグラフィー装置よりも少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%小さい。即ち、濃縮器を有するシステムを使用すると、クロマトグラフィー装置のサイズをシステム内に濃縮器が存在しない場合に必要なサイズの80%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、そして20%以下までに縮小できる。一つの実施態様では、クロマトグラフィー区画は、直列に配列した吸着システムおよび/または一つかそれ以上の接線流ろ過装置を有する。別な実施態様では、クロマトグラフィー区画は、連続モード操作に好適な混合モードのクロマトグラフィー膜を有する。本システムの第1部分によって確実に容量を縮小できるため、クロマトグラフィー区画に必要なクロマトグラフィー膜容量が従来システムの場合よりも小さい。即ち、本システムを用いると、高価で大型のクロマトグラフィー装置に関連するコストを削減できる。さらに、通常2つの連続的なクロマトグラフィー装置を必要とする従来の生体分子製造/精製システムとは対照的に、発明のシステムは、クロマトグラフィー区画において単工程クロマトグラフィー装置を実装することによって同等の生体分子純度を確保するものである。この結果、生体分子製造の占有面積、製造コストおよび製造時間を顕著に削減でき、製造を改善できる一方で、システム全体にわたってプロセス容量を小さく維持できる。例えば、占有面積が5,000mである従来のポリオワクチン産生システムの場合、一年当たりの製造能力は60,000,000用量であり、製造コストは用量当たり1.2〜1.5米ドルであり、製造処理時間は少なくとも5週間である。本発明の一実施態様に従って構成したポリオワクチンの製造システムの場合、占有面積は1,500m、製造能力は一年当たり40,000,000用量、用量当たりの製造コストは0.22米ドル、製造時間はほぼ3週間である。
一つの実施態様では、本システムで製造/精製した生体分子は精製不活性化ウイルスである。このために、本システムの場合、ウイルス不活性化区画を装備する。このウイルス不活性化区画とクロマトグラフィー区画とを導管によって接続し、クロマトグラフィー区画からウイルス不活性化区画への液体移送を促進する。ウイルス不活性化は、標的生体分子がウイルス粒子である実施態様では、ホルアルデヒドでのクロマトグラフィー後に得られる精製ウイルスを希釈することによって得られる。
一つの実施態様では、バイオリアクターから濃縮器へのプロセス流れは、プロセス制御器やプロセス制御装置によって制御する。この制御器がバイオリアクターのパラメーターだけでなくプロセス流れのパラメーターを制御/操作し、そして上記の(pH、温度および/またはDO等の)一つかそれ以上のセンサーからのデータを監視/記録する。さらに、当該制御器が濃縮器の機能および濃縮器から中間容器への、およびその逆の保持液の再循環を制御する。このために、当該制御器にはソフトウェアを搭載し、システムのプロセス流れおよびパラメーターを監視/制御し、そして記録する。制御器はシステムの次の部分に流れる液体流れを管理でき、これによって標的生体分子の製造および生成を制御できる。液体流れについては、システム内に存在するポンプおよび/または弁の機能を制御することによってシステム内の制御器によって管理するのが好ましい。一つの実施態様では、プロセス制御装置はシステムのプロセス流れを自動制御する。
制御器に接続できるコンピュータを介して使用者は制御器にアクセスできる。この制御器があるため、WifiやBluetooth接続などの無線型式や制御器に存在するUSB接続などの有線型式の一つかそれ以上のデータ転送装置を介してデータを送り出すことができる。別な、あるいはさらに別な実施態様では、制御器の接続部がITネットワークにアクセスできる。さらに別な実施態様では、スクリーンを制御器に接続するため、システムの使用者が、あるいは運転者がプロセス流れおよび測定パラメーターを追うことができるだけでなく、例えば一定のサブプロセスを開始するか、あるいは停止することによってシステムを手動操作できる。
さらに別な、あるいは他の実施態様では、上記のバイオリアクター(1)、濃縮器(2)および中間容器(4)を統合するドッキングステーションに制御器を統合できる。ドッキングステーションに制御器を統合するため、制御器をシステムに組み込むさいにシステムをコンパクトに維持できる。
本発明のシステム内において各区画を最適化しているため、各区画の構造をコンパクト化でき、システムに属するすべての区画を一つのキャビネット、アイソレーターや格納容器(containment enclosure)に組み込むことができる。このため、必要なスペースを縮小できるだけでなく、このシステムを使用するさいの安全性を強化できる。さらに、区画間を接続するため、格納容器から出ることなく製造工程および精製工程を実施でき、安全に関するリスクを最小限に封じ込める。
システムのコンパクトな構造のため、別な、あるいはさらに別な態様では、本システムを例えばコンテナまたはトレーラー内での生体分子製造/精製用の携帯システムとして使用できる。即ち、本システムは移動式システムとして構成できる。別な、あるいはさらに別な実施態様では、プラットフォームの区画も、例えば各区画またはアイソレーターを移動式スキッドに設置することによって移動方式で構成できる。さらに別な実施態様では、本システムはモジュラー方式で集成化できる。
別な、あるいはさらに別な実施態様では、本システムさらに格納容器を有し、この格納容器に区画、アイソレーターおよび/またはシステムのうちの一つかそれ以上を格納する。一部の実施態様では、この格納容器に、使用者および/または原料が格納容器に入る少なくとも一つの入り口および使用者および/または原料が格納容器から出る少なくとも一つの出口を設ける。格納容器入り口手段および出口手段は、当該システムの区画によって実施される作用に関するデータの回収、監視および/または記録を行うプロセス制御装置またはプロセス制御器によって自動的に開閉する。このために、プロセス制御器は、(ウイルスの不活性化など)一定のタスクの終了などのプロセスによる投入信号発生時に入り口または出口をロックするかロックを外す。格納容器の出入りを自動的に制御すると、安全な条件下にある場合にのみ格納容器を確実に開けることができる。一つの実施態様では、本システムは複数の制御装置を有する。別な、あるいはさらに別な実施態様では、本システムの区画は格納容器内のアイソレーターに設置する。孤立区画については、これらアイソレーター間に存在し、開閉できる構成の仕切りによって相互に接続でき、あるいは分離できる。開放構成では、一つのアイソレーターから別のアイソレーターにアクセスが可能である。即ち、アイソレーターへの、および/またはアイソレーター間へのアクセスについては、当該仕切りの開閉によって可能になる。別な実施態様では、区画を単一のアイソレーターに設置し、開閉できるように構成した仕切りによって分離するため、一つのアイソレーターから別なアイソレーターへの原料または流体のアクセスおよび移送を行うか、あるいはブロックできる。当該仕切り部分の開閉によっても、(ウイルスの不活性化など)一定のタスクの終了などのプロセスによる投入信号発生時にプロセス制御装置やプロセス制御器によって自動的に制御でき、さらにシステムの安全な使用を保証できる。当該仕切りには、配管類(tubins or pipings)などの導管を通すことができる開口を設けることができる。
仕切り部分および/または入り口および/または出口手段については、アルミニウム、ステンレス鋼、グラスファイバーやその他の好適な材料などの強靭な材料から製作できる。仕切り部分および/または入り口および/または出口手段にはリフトゲート形ドア、スイングドア、シャッターまたはスライディングドアを設置でき、またガラスパネルまたはプレキシガラスパネルを設置できる。アイソレーターおよび格納システムについては、欧州規格および米国規格に従って製造、集成化するが、この格納システムは外部環境から内部環境を分離するものである。
例えばロック/キー機構、パスコードパンチパッド、カードスワイプ、トランスポンダーリーダー、指紋スキャナー、網膜スキャナー、センサー、無線識別法(RFID)などの自動識別/データ取り込み法、バイオメトリクス(虹彩/顔認証システムなど)、磁気ストライプ、光学式文字認証(OCR)、スマートカード、音声認証などの好適なアクセス機構やその他のアクセス機構などを使用して、仕切り部分および/または入り口および/または出口のロックを外すことができる。
本システムに入室する使用者については、分離された区画の外に留まるのが好ましい。品質制御のためのサンプリングを行うために、分離された区画に、一つの実施態様では、可撓性スリーブを設ける。このスリーブを介して使用者は区画に対して限定的かつ間接的なアクセスを行う。区画の内容物は使用者から分離されたままである。これらの格納(封じ込め)/分離措置を講じるため、使用者にとってリスクの高い生体分子の製造および精製のために本システムを使用できる。例えば、本システムは不活性化された精製ウイルスからなるワクチンの製造に必要な多量の生ウイルスの精製に好適である。後者については、ハイレベルのBSL−3格納(封じ込め)が必要である。
本システムの要部としてアイソレーターおよび格納容器を統合しているため、生物学的安全基準を順守することがより簡単になり、またそのコストも低くなり、環境およびオペレーターを汚染するリスクが少なくなる。
一つの実施態様では、生体分子の産生システムは、
細胞を有する液体を受け取るのに好適なチャンバーを有する固定床灌流バイオリアクターを有する上流側プロセス区画、および好ましくはTFFなどの濃縮器であって、この濃縮器から保持液などの液体排出物を回収し、かつこの液体排出物を上記バイオリアクターの投入部に、あるいは上記濃縮器と上記バイオリアクターとの間に位置する中間容器の投入部に再循環させるのに好適な保持液導管を設けた濃縮器、
清澄化区画、
クロマトグラフィー区画、および
適宜使用するウイルス不活性化区画を有し、
これらの区画を一つかそれ以上のアイソレーター内に設ける。一部の実施態様では、上記区画は少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10かそれ以上のアイソレーター内に設ける。一部の実施態様では、アイソレーターは単一の区画、あるいは2つ以上の区画を有することができる。
一つの実施例では、本発明システムは上流側プロセスを有する少なくとも一つの第1アイソレーター、および下流側プロセスを有し、清澄化区画およびクロマトグラフィー区画を有する第2アイソレーターを有する。
当該システムについては、少なくとも3つのアイソレーターを有するのが好ましい。第1アイソレーターは上記上流側プロセスを有し、第2アイソレーターは上記清澄化区画およびクロマトグラフィー区画を有し、そして第3アイソレーターは上記不活性化区画を有する。上記第1アイソレーターについては、上記第2アイソレーターとスムーズに連絡するのが好ましく、上記第2アイソレーターについては、上記第3アイソレーターとスムーズに連絡するのが好ましい。
さらに、上記アイソレーターは仕切りによって相互接続または相互分離することができ、これら仕切りは開閉構成を取ることができる。これについては、既に詳しく説明した通りである。
最後の実施態様では、アイソレーターは上記のように格納容器に格納されることになる。
一つの実施態様では、本発明のウイルス製造システムは細胞およびウイルス粒子を有する液体を受け取るのに好適なチャンバーを有する固定床灌流バイオリアクター、および中空のファイバー接線流ろ過(TFF)装置を有し、このTFFに保持液を回収し、かつこの保持液を上記バイオリアクターの投入部へ、あるいは上記TFFと上記バイオリアクターとの間に位置する中間容器の投入部への再循環を促進するのに好適な保持液導管を設ける。
第2態様は、生体分子の製造方法に関し、この方法では細胞を有する液体を有するバイオリアクター内で上記生体分子を製造する。この方法の濃縮工程で上記バイオリアクターの排出物を濃縮器で濃縮し、この濃縮器の排出物を上記バイオリアクターに、あるいは上記濃縮器と上記バイオリアクターとの間に位置する中間容器に再循環させる。当業者にとって明らかなように、各実施態様に記載したシステムはこの方法を実施するのに好適なシステムである。
一つの実施態様では、本発明の生体分子製造方法は、システムの導管に取り付けたポンプおよび弁を使用して、指向性のある液体の流れをシステムに誘導し、システムの異なる部分(segments)を可逆的に係合させかつ係合を外す。一部の実施態様では、濃縮器内に限外ろ過装置を使用する。濃縮器内に存在する限外ろ過装置の目詰まりを避けるために、液体をまず前置フィルターに通し、液体から大きな固体粒子を取り除くが、この前置フィルターは対象の生体分子は通す。一部の実施態様では、前置フィルターの細孔径はほぼ125μmであり、カットオフはほぼ100kDaである。製造方法の一実施態様では、再循環された保持液を中間容器に回収し、濃縮化された細胞培養物を得ることによって保持液を収集するのが好ましい。一つの実施態様では、バイオリアクターや中間容器などのシステムの要部には、一つかそれ以上のセンサーを設け、限定するものではないが、例示するとpH、温度および溶存酸素を測定する。即ち、バイオリアクターおよび中間容器は濃縮化細胞培養物のpHおよび温度を制御できる。
場合にもよるが、濃縮化細胞培養物はpHを目的値に調節してから、下流側プロセスに回す。さらに、適宜行うエンドヌクレアーゼ処理を濃縮化された細胞培養採取物に行い、タンパク質を傷つけずに濃縮化細胞培養採取物に存在するDNAおよびRNAを分解する。エンドヌクレアーゼ処理工程によって濃縮化細胞培養採取物に凝集が発生するのを防止でき、さらなる下流側処理の条件を最適化できる。
一つの実施態様では、当該方法はさらに下流側処理工程を有し、これら処理工程は濃縮化細胞培養採取物を清澄化することによって清澄化細胞培養採取物を得る工程および/または清澄化細胞培養採取物にクロマトグラフィー工程を実施することによって目的の生体分子を精製する工程を有する。
上述したように、本発明方法は必要な装置をコンパクトにできるため、制限された量のスペース内で実施でき、従ってアイソレーター内で、場合によっては格納容器内でさえ実施できる。従って、本発明の方法は特にタンパク質(抗体)およびウイルスなどの生体分子を精製するのに適する。後者の場合、本方法はさらに精製したウイルス生成物に実施するウイルス不活性化工程を有し、この工程ではウイルスを不活性化組成物で処理することが好ましい。不活性化組成物については、ホルムアルデヒド、少なくとも1種の洗浄剤、少なくとも1種の酸やこれらを併用したものから選択する。他の不活性化組成物も使用することができ、過硫酸カリウム溶液(市販名Virkon(登録商標))、水酸化ナトリウムや漂白剤を例示することができる。ウイルスの不活性化にはホルムアルデヒドやホルマリンを使用するのが好ましい。即ち、本発明方法のさらに好ましい実施態様では、精製生体分子は、例えば不活性化ポリオウイルスワクチンなどのワクチンの製剤化に使用する精製した不活性化ウイルスである。本発明方法は、特にウイルスか不活性化ウイルス粒子である生体分子の製造および精製に好適である。
本発明方法およびシステムによれば、きわめて高い安全レベルを確保でき、これらの使用に関連して健康リスクや環境リスクをきわめて低いレベルに抑えることができる。即ち、さらに別な態様では、本発明は上記のシステムをウイルスの製造および/またはウイルスワクチンの製造に使用することに関する。
なお、本発明は以上説明してきた設計態様に制限されるものではなく、特許請求の範囲を見直すことなく一部の変更を実施例に加えることが可能である。例えば、ポリオワクチンを例示して本発明を説明してきたが、ロタウイルスや狂犬病ワクチンなどに本発明を適用できることは明白である。
図1は、本発明の一実施態様に従って生体分子を製造するシステムの概略図である。
この概略図は、細胞およびウイルス粒子を有する液体を有することができる細胞培地を有するバイオリアクター(1)、および濃縮器排出物を回収し、この排出物を上記バイオリアクター(1)の投入部に再循環させる保持液ライン導管(300)を設けた濃縮器(2)を有する生体分子を製造するシステムを示す図である。バイオリアクター(1)および濃縮器(2)については、バイオリアクター(1)から濃縮器(2)への液体の移送を促進する導管(301)によって接続する。濃縮器(2)の目詰まりを避けるために、まず液体を前置フィルター(7)に通し、液体から大きな固体粒子を取り除く一方で、対象となる生体分子を透過する。システムの導管にポンプ(5)を取り付け、指向性のある液体流れを発生し、システムの異なる部分間の差圧を制御するか、あるいはこの差圧を誘導し、濃縮器(2)に液体のクロスフローを発生する。さらに、システムの導管に弁(6)を取り付け、流れ分布を制御する。これら弁によって特定のシステム部分や導管への係合が可能になり、また係合を外すことも可能になる。最後に、濃縮器(2)から汚染除去容器(8)に至る排出物導管(302)ラインを設け、透過物を廃棄する。汚染除去容器(8)は少なくとも一つの廃物容器(タンクなど)を有し、ここにシステム内に発生した望ましくない物質やプロセス副生物を一時的に保管できる。
濃縮器の場合、液体内の標的分子の量を減らすことなく全液体容量を縮小することによって液体に存在する標的生体分子を増量できる。このように、本システムの本実施態様の場合、同じ濃縮器(2)に液体を再循環させることによって標的生体分子を有する濃縮保持液を再循環させ、生体分子をさらに濃縮させる。このように構成すると、必要な下流側プロセス数をより少なくできる。濃縮度の高い生体分子生成物が液体の再循環によって得られるからである。
図2Aは、本発明の別な実施態様に従って生体分子を製造するシステムを示す概略図である。
図2Aの概略図に示すように、生体分子を製造するシステムは、細胞およびウイルス粒子を有する液体を受け取るために好適なチャンバーを有するバイオリアクター(1)、および濃縮器排出物を回収し、保持液排出物を濃縮器(2)とバイオリアクター(1)との間に位置する中間容器(4)または濃縮器ビンの投入部に再循環させる保持液ライン排出部(303)を設けた濃縮器(2)を有する。バイオリアクター(1)および中間容器(4)については、バイオリアクター(1)から中間容器(4)への液体移送を促進する導管によって接続する。あるいは、バイオリアクター(1)から直接濃縮器(2)に接続した付加的な導管(図示なし)を設けて、バイオリアクター(1)から濃縮器(2)に液体を移送することも可能である。さらに、ポンプ(5)を有する導管(306)によって中間容器(4)と濃縮器(2)とを接続し、中間容器(4)から濃縮器(2)への液体の移送を促進してもよい。濃縮器の場合、液体中の標的分子を減量することなく全液体容量を減少することによって液体中に存在する標的生体分子を増量する。
一つの実施態様では、2つの気体接続部(connections)が存在し、一つの接続部(304)はバイオリアクター(1)に入り、そして一つの接続管(305)がバイオリアクター(1)から出る。さらに、バイオリアクター(1)には好適な培地中のリンス済み、分離済みかつ中和済みの細胞前培地を有する接種容器(10)およびバイオリアクター(1)内部のpHを調節するベース(13)入り口を接続する。
複数型式の濃縮器が本システムに好適に使用でき、本実施態様のシステムには濃縮器として動作する接線流ろ過装置(TFF)を設ける。このTFFはほぼすべての標的生体分子を保持する一方で、培地や溶質などのより小さい汚染物質を膜の細孔に通すことができる。この目的のために、そして一つの考えられる実施態様では、TFFに特定の多孔度、例えば培地や溶質などのより小さな汚染物質が透過物中に止まった状態で、ほぼすべての標的生体分子を保持する程十分な多孔度をもつ少なくとも一つの中空ファイバーを設けることができる。TFF濃縮器(2)は、標的生体分子を有する保持液の中間容器(4)の投入部への再循環を仲介する。TFF濃縮器(2)から汚染除去容器(8)に至る排出導管(307)ラインを設け、透過物を廃棄する。汚染除去容器(8)はタンクなどの少なくとも一つの廃棄物容器を有し、この容器内にシステム内に発生する望ましくない物質やプロセスの副生物を一時的に保管する。システム導管にはポンプ(5、501)および弁(6)を設け、指向性のある液体流れを発生し、システムの異なる部分(fragments)間の差圧を制御し、そして液体をTFF濃縮器(2)にクロスフローとして流す。
濃縮器(2)の場合、液体中の標的分子を減量させることなく全液体容量を減少できるようにすることによって液体に存在する標的生体分子を増量できる。本システムによって液体容量を減少させると、工業レベルでの生体分子の製造に必要なインフラストラクチュアを縮小でき、これによって消耗品の量を減らすことができる。さらに、本システムのTFF濃縮器(2)は、連続灌流モードで自動操作できる。この結果、作業員の介入を最小限に抑制でき、安全リスクを押し下げ、コストを抑制できる。
図2Bは、図2Aに示すスキームを実施することを可能にするシステムを示す図である。
本システムの場合、バイオセイフティーキャビネットやアイソレーター内で使用できるように設計し、プロセス開発作業および生物学的物質のパイロットスケールの製造の両者に使用でき、後者の場合臨床試験用物質の製造だけでなく、少量の商業的製造にも利用可能である。本システムの場合、粘着性細胞だけでなく、非粘着性細胞の増殖にも使用できる設計である。このために、本システムはバイオリアクター(1)、好ましくは固定床バイオリアクターを有する。バイオリアクターの固定床には構造的要素を設け、これら要素の表面上で細胞を増殖する。このような要素の一つの実例は、本明細書にも援用するPCT/EP2017/078775に開示がある。即ち、細胞を増殖し、流体分布および乱流を促進する螺旋構造である。これら要素はポリエチレン、好ましくは親水化ポリエチレンで形成する。一つの実施態様では、バイオリアクター(1)は使い捨て式のものだけを使用する。液体移送や気体移送のためにシステムに存在する導管は図示していない。バイオリアクター(1)は少なくとも2つの流体接続部を有する。一つの接続部は流体がバイオリアクターに流入する接続部であり、もう一つの接続部は流体が流出する接続部である。この最後の接続部の場合、一旦空にした後のバイオリアクター(1)内部のデッドスペースを最小限に抑えるように設計してある。さらに別な実施態様では、当該バイオリアクター(1)に気体用接続部を設け、気体を流入/流出させる。好ましい実施態様では、3つの気体用接続部が存在する。そのうちの2つはバイオリアクター(1)に入る接続部であり、残りの一つは当該バイオリアクター(1)を出る接続部である。バイオリアクター(1)についてはさらに、有利にはプロセス内制御(in−process control)およびプロセス最終分析(end of process analysis)の両者を目的として、好ましくはバイオリアクター(1)の上部からサンプリングできるように設計する。サンプリングについては、シリンジやこれと同等な集成体を用いて行う。
バイオリアクター(1)内における循環については、羽根車(impeller)を使用して、好ましくは磁気駆動式羽根車を使用して行う。当該バイオリアクター(1)の内容物を加熱するか、あるいは当該バイオリアクター(1)内に導入する培地を加熱する加熱要素を設けることができる。バイオリアクター(1)の蓋には、バイオリアクター(1)内の温度、pHおよび/または溶存酸素を測定する一つかそれ以上のセンサーを設ける。
バイオリアクター(1)からの液体排出物については、導管によって濃縮器ボトルとしても知られている中間容器(4)に移送することになる。このような中間容器(4)としてはペットボトルが使用でき、このペットボトルの容量は約500mL〜約5000mLであればよい。この中間容器(4)については、TFFを使用することができる濃縮器(2)に接続することができる。標的生体分子を有する中間容器(4)からの液体については、ポンプ(501)によって濃縮器(2)に移送することになる。当該ポンプ(501)は、一つの実施態様では、濃縮器(2)の内部に2000s−1のせん断速度を発生できる。次に、濃縮器(2)の保持液は中間容器(4)に戻されることになるが、液体廃棄物は(図2Bに示してはいないが、好ましくは廃棄物ボトルに)廃棄することになる。中間容器(4)から濃縮器(2)に、あるいはその逆に保持液を再循環するため、濃縮度の高い生体分子生成物が得られることになり、さらなる下流側処理(クロマトグラフィーによる精製など)に、あるいは臨床試験などの各種試験のソースとして利用することができる。
バイオリアクター(1)から濃縮器(2)へのプロセス流れについては、プロセス制御器によって制御する。システムのコンパクト度を維持するために、そして特にバイオセイフティーキャビネットやアイソレーターの内部に使用されるサイズであることを考慮して、制御器は、上記のバイオリアクター(1)、濃縮器(2)および中間容器(4)を受け取る設計のドッキングステーション(30)に統合する。この制御器はバイオリアクターパラメーターだけでなく、プロセス流れパラメーターを制御かつ演算し、上記の(pH、温度および/またはDO用の)一つかそれ以上のセンサーからのデータを監視かつ記録する。さらに、この制御器は好ましくは中間容器(4)と濃縮器(2)との間にあるポンプ(5、501)の機能を制御することによって濃縮器(2)の機能および濃縮器(2)からの中間容器(4)への、あるいは逆の保持液の再循環を制御する。
この目的から、当該制御器にはシステムのプロセス流れおよびパラメーターを監視、制御かつ記録するソフトウェアを搭載する。制御器への使用者のアクセスについては、制御器に差し込むことが可能なコンピュータを介して行う。この制御器によって当該ドッキングステーションに存在する一つかそれ以上のUSB接続部を介してデータを送り出すことができ、またITネットワークにアクセスすることができる。ドッキングステーションに存在するタッチスクリーンなどのスクリーン(29)によって、使用者がプロセス流れおよび測定されたパラメーターを追うことができるだけでなく、例えば一定のサブプロセスを開始または停止することによって、システムを手動操作することができる。
さらに、上述したように、制御器を統合したドッキングステーション(30)によってベース(13)をバイオリアクター(1)に送るボトルをドッキングできる。このようなボトルとしてはペットボトルを使用することができ、その容量は500mL〜5000mLである。当該ドッキングステーション(30)によって接種材料(10)/添加剤(図示せず)をバイオリアクター(1)に送るボトルをドッキングできる。潜在的にあふれ出る液体を捕捉する保持トレーを設けることができる。
ドッキングステーション(30)については、(0.5M NaOHなどの)NaOH溶液、エタノールなどのアルコールやVirkon(登録商標)などの殺ウイルス剤で洗浄できる材料を使用して構成するのが好ましい。ドッキングステーション(30)については、蒸気化過酸化水素(VHP)を使用する殺菌レジームに等しく耐性を示すものでなければならない。好ましい実施態様では、当該ドッキングステーション(30)の材料は耐腐食性金属である。このドッキングステーション(30)は、標準的な110−230V、50−60Hz電源などの電源から電力を供給できる。
従って、本発明は携帯式の生体分子製造装置にも関する。この装置はバイオリアクターおよびTFFなどの濃縮器を有し、当該バイオリアクターと濃縮器との間に中間容器が位置し、当該中間容器および濃縮器を保持液導管によって接続するため、濃縮器の排出部から当該中間容器の投入部に液体を再循環させることができ、そして当該バイオリアクター、濃縮器および中間容器を携帯式のドッキングステーション内に設ける。当該ドッキングステーションが生体分子製造プロセスを制御できる統合化制御器を有する。
図3および図4は、本発明の実施態様に従って構成したウイルス製造/精製システムを示す概略図である。
図示のシステムにおける上流側処理工程では、バイオリアクター(1)内においてウイルス粒子を製造し、濃縮器(2)を使用して細胞培養物を濃縮する。好ましくは、上流側処理工程(USP)を実施する装置は、バイオセイフティーキャビネットまたはアイソレーター(14)内に格納する。
目的の生体分子を製造する場合だけに適する細胞の前培養培地をバイオリアクター(1)内に接種するために得る。接種に先立ち、バイオリアクター(1)を組み立て、増殖培地タンク(9)から増殖培地を与え、少なくとも一つのタンク(502)を使用して、培地をバイオリアクター(1)内に供給する。培地については、好適には25℃〜37℃の温度に予め加熱し、混合してからバイオリアクターに移す。こうすると、細胞が新しい培地(増殖に否定的な影響を与える)と接触した時に低温ショックを受けることがなくなるだけでなく、すべての培地中の栄養素が混合され、必要な量で存在することになる。培地は、塩、アミノ酸、ビタミン類、炭水化物、脂質および一種かそれ以上のタンパク質成長因子の明確な混合物を有する液体であってもよい。培養培地は栄養素を細胞には運び込み、そして逆に廃棄物を除去し、代謝廃棄物の毒性のある蓄積を防止するものである。細胞培養パラメーターについても接種に先立って明らかにしておく。図3の実施態様では、バイオリアクター(1)にはさらに導管を介して好適な増殖培地内におけるリンス済み、分離済み、中和済みの細胞前培地を有する接種容器(10)、および当業者にとっては公知な成長因子などの付加的な添加剤を有する添加剤容器(11)を接続する。さらに、バイオリアクター(1)には気体取り入れ口(図示せず)および/または取り出し口(305)およびバイオリアクター(1)内部のpHを調節するためのベース(13)取り入り口を設ける。接種後、バイオリアクター(1)は、バッチモードで2〜6時間、好ましくは3〜4時間か操作するのが好ましい。次の工程で、好適な時間か、あるいは目的の細胞密度が得られるまで細胞増殖を行う。この細胞増殖時間中は灌流モードでバイオリアクター(1)を操作するのが好ましい。一つの実施態様では、バイオリアクター(1)の直前か直後のシステム内にポンプ(502、503)を設け、バイオリアクター(1)内の培地の流れを制御する。細胞に目的のウイルスを感染させる前に、使用済み増殖培地を希釈によってウイルス粒子製造に好適な増殖培地と交換する。廃棄した増殖培地を汚染除去容器(8)に回収する。あるいは、バイオリアクターに存在する増殖培地を廃棄し、次にバイオリアクター内の細胞にウイルス粒子の製造に好適な増殖培地を与えることによって増殖培地を交換する。細胞の感染については、ウイルスシードをバイオリアクター(1)に供給し、バイオリアクター(1)を次に1〜4時間、より好ましくは2時間バッチモードで操作して行うのが好ましい。
本発明の生体分子の製造/精製方法では、ポンプ(5、501、502、503)および弁(6)を使用する。システムの導管に取り付けたこれらポンプおよび弁によって液体の指向性のある流れをシステムに誘導するとともに、システムの異なる部分を可逆的に係合し、かつ係合を外す。
次のフェーズで、ウイルス生成が生じる。この目的のため、インライン濃縮を伴う灌流モードでバイオリアクター(1)を操作する。バイオリアクター(1)、濃縮器(2)および中間容器(4)の弁およびポンプがシステム内に存在する場合には、それらを開き、そしてモーターを作動する。濃縮器(2)に存在する限外ろ過装置の目詰まりを避けるため、液体を最初に前置フィルター(7)に通し、液体から大きな固体粒子を除去するが、対象となる生体分子は透過する。前置フィルターの細孔サイズがほぼ125μmで、カットオフがほぼ100kDaであるのが好ましい。液体の濃縮は本発明方法に従って行う。即ち、限外ろ過装置、好ましくは接線流ろ過(TFF)装置、より好ましくは中空繊維TFFである濃縮器(2)に液体を通すことによって行う。このTFFは限られた時間量で連続モードに従って操作し、主に液体および小さい溶質を含有する透過物を汚染除去装置(8)に廃棄することによって対象となる生体分子を濃縮する一方で、保持液に存在する対象生体分子のほとんどを図3に示す中間容器(4)に、あるいは図4に示すバイオリアクター(1)に再循環させる。こうすると、さらなる下流側処理を行う前に標的生体分子を有する液体の容量を大幅に小さくできる。
ウイルス製造フェーズのピーク後に、濃縮器(2)と中間容器(4)またはバイオリアクター(1)との間を再循環して保持液を中間容器(4)に回収することによってこれを採取する。次に、新しい増殖培地をバイオリアクター(1)に供給することなくシステムを操作する。バイオリアクター(1)が空になった後は、一つの実施態様では、汚れのない培地を再充填し、目的の時間量リンスを行い、この後残っている液体を濃縮器で再濃縮し、目的の容量減少が得られるまで中間容器(4)に再循環させる。最後に、中間容器(4)において濃縮器(2)の再循環排出物を採取し、濃縮された細胞培養採取物を得る。あるいは、図4に示すように中間容器(4)の不在下で濃縮器(2)とバイオリアクター(1)との間を再循環している保持液をバイオリアクター(1)において回収することによってこれを採取する。図3に示すシステムの一部として中間容器(4)を設けることは、バイオリアクター(1)にリンスして上記のように残っている液体を採取できる一方で、さらなる下流側処理を行う前に、リンス液の容量を濃縮器によって小さくできる作用効果を実現できる。
場合にもよるが、pH調節溶液(35)を使用して、下流側処理のために濃縮した細胞培養採取物のpHを目的の値に調節する。この溶液(35)は図3に示すように中間容器(4)に、あるいは図4(この図にはpH調節溶液は図示していない)のバイオリアクター(1)に接続する。さらに、適宜行うエンドヌクレアーゼ処理については、濃縮した細胞培養採取物に対して行い、タンパク質に傷を与えない状態で、濃縮した細胞培養採取物に存在するDNAおよびRNAを分解する。このエンドヌクレアーゼ処理工程により、濃縮した細胞培養採取物が凝集することを防止し、従って次の下流側処理(DSP)条件を最適化できる。
図3および図4のシステムのDSP工程を行う装置は清澄化区画(19)、クロマトグラフィー区画(21)およびウイルス不活性化区画(24)を有する。
清澄化区画(19)およびクロマトグラフィー区画(21)については、単一のバイオセイフティーキャビネットまたはアイソレーター(141)内に格納するのが好ましい。清澄化はDSPの第1工程と考えられ、既に採取された保持液や細胞培養採取物から細胞デブリや他の汚染物を確実に除去する工程である。清澄化区画(19)は、例えば、生成物流れから残留固体汚染物を除去し、次のDSP工程の機能を正確に担保する多数のアニオン交換デプスフィルター(15)を有する。清澄化細胞培養物、あるいは清澄化保持液を清澄化採取物容器(20)に回収し、システムのクロマトグラフィー区画(21)に移す。清澄化区画(19)からクロマトグラフィー区画(21)への液体移送を促進する導管(22)によってクロマトグラフィー区画(21)と清澄化区画(19)を接続する。
このクロマトグラフィー区画(21)によって標的生体分子をさらに精製する。クロマトグラフィー区画(21)は単一の混合モードクロマトグラフィー装置(16)を有し、この装置(16)は高い結合能力を示し、限られたサイクル数で多量の投入量を処理でき、連続モード操作に好適である。クロマトグラフィー区画(21)はさらにクロマトグラフィー採取容器(23)を有する。システムの第1部分によって確実に容量を抑制できるため、クロマトグラフィー区画(21)におけるクロマトグラフィー装置(16)の必要なサイズは従来システムよりも小さい。従って、本システムによれば、高価な上に大きいクロマトグラフィー装置に関連するコストを削減できる。
第3アイソレーター(142)はウイルス不活性化区画(24)を有し、クロマトグラフィー区画(21)からウイルス不活性化区画(24)への液体移送を促進する導管(25)によってウイルス不活性区画(24)とクロマトグラフィー区画(21)とを接続する。ウイルスの不活性化については、不活性化容器(26)内においてホルムアルデヒドを用いてクロマトグラフィーを行った後に得られた精製ウイルスを希釈することによって行う。次に、調製容器(27)内に不活性化ウイルス粒子を有する溶液の特性を調節することによってウイルスの不活性化を実施する。この調節は、例えば溶液の塩濃度かpHの調節によって行うことができる。
最後に、精製されかつ不活性化されたウイルス粒子を多量に有する溶液をアイソレーターの外側でバルク容器(28)に安全に回収するか、あるいはこれに移す。
図5および図6は、例えば抗体やウイルス粒子などの生体分子を製造し、本発明の一実施態様に従ってワクチンを調製するシステムを示す図である。
図5は、本発明の一実施態様に従って不活性化ポリオウイルスを製造/精製する統合化システムを示す図である。このシステムはいくつかの区画を有し、これら区画については、格納容器(図6に示す)内の3つの異なるバイオセイフティーキャビネットまたはアイソレーター(14、141、142)に設ける。
第1アイソレーター(14)は、細胞およびウイルス粒子を有する液体を受け取るのに好適なチャンバーを有するバイオリアクター(1)、および濃縮器(2)を有する上流製造/精製区画を有し、この濃縮器(2)に保持液ライン出力部(303)を設け、この濃縮器(2)に濃縮器(2)の排出物を回収し、かつこの排出物(保持液)を当該濃縮器(2)と当該バイオリアクター(1)との間に位置する中間容器(4)の投入部に再循環させる。
第2アイソレーター(141)は、清澄化区画(19)およびクロマトグラフィー区画(20)を有する。上流側製造/精製区画および清澄化区画(19)については、上流側製造/精製区画から清澄化区画(19)への液体移送を促進導管によって接続する。清澄化は下流側プロセスの第1工程と考えられ、既に採取された保持液から細胞デブリや他の汚染物を確実に除去する工程である。清澄化区画(19)は、生成物流れから残留固体汚染物を除去し、次の下流側プロセスの機能を正確に担保する多数のアニオン交換デプスフィルター(15)を有する。清澄化細胞培養採取物、あるいは清澄化保持液については、清澄化された培養物容器(20)に回収してから、システムのクロマトグラフィー区画(21)に移す。システム内の清澄化区画(19)を操作すると、コンパクトな区画操作が可能になり、処理時間を短縮できるため、生体分子の製造/精製プロセス全体の経済性を改善できる。
このクロマトグラフィー区画(21)によって標的生体分子をさらに精製する。クロマトグラフィー区画(21)および清澄化区画(19)については、清澄化区画(19)からクロマトグラフィー区画(21)への液体移送を促進する導管(22)によって接続する。クロマトグラフィー区画(21)は単一の混合モードクロマトグラフィー装置(16)を有し、この装置(16)は高い結合能力を示し、限られたサイクル数で多量の投入物を処理でき、連続モード操作に好適である。クロマトグラフィー区画(21)はさらに一つかそれ以上のクロマトグラフィー採取容器(23)を有する。システムの第1部分によって確実に容量を抑制できるため、クロマトグラフィー区画(21)におけるクロマトグラフィー装置(16)の必要なサイズは従来システムよりも小さい。本発明システムでは、例えばクロマトグラフィーカラムを100倍縮小できる。従って、本システムによれば、高価な上に大きいクロマトグラフィー装置に関連するコストを削減できる。加えて、通常2つの連続的なクロマトグラフィー装置を存在させる必要がある従来技術の生体分子製造/精製システムとは対照的に、本発明システムの場合、クロマトグラフィー区画(21)内で単一工程クロマトグラフィー装置(16)を操作することによって等価な生体分子精製および収量を担保できる。この結果、生体分子製造の占有面積を格段に縮小でき、製造コストを格段に削減でき、製造時間を格段に短縮でき、その一方でシステム全体を通してプロセス容量を小さく維持できる。
第3アイソレーター(142)はウイルス不活性化区画(24)を有する。ウイルス不活性化区画(24)とクロマトグラフィー区画(21)とは、クロマトグラフィー区画(21)からウイルス不活性化区画(24)への液体移送を促進する導管(25)によって接続する。ウイルス不活性化については、不活性化容器(26)内にホルムアルデヒドでクロマトグラフィーを行った後に得られる精製ウイルスを希釈することによって行う。このウイルス不活性後に、調製容器(27)内の不活性化ウイルス粒子を有する溶液の特性を調節する。
異なるアイソレーターまたは安全キャビネット(14、141、142)については、これらアイソレーター間に存在し、開閉できる構成の仕切り(31)によって相互に接続でき、あるいは相互分離できる。図5に示す仕切り(31)は透明材料から構成できる。当該仕切りの開閉についても、さらにシステムの安全な使用を保証するため、(ウイルスの不活性化など)一定のタスクの終了などのプロセスによる投入信号発生時にプロセス制御装置(図5には示していない)によって自動的に制御するようにしてもよい。当該仕切りには導管を通す開口を設ける。
システム内の各区画を最適化できるため、各区画の構造をコンパクトにでき、システムに属するすべての区画を、図6に示すように、いくつかのアイソレーター(14、141、142、143)を格納する単一の格納容器(32)に組み込むことができる。さらに、図6に示す実施態様の格納容器(32)は、システム内に生じる望ましくない物質やプロセスの副生物を一時的に保管する少なくとも一つの廃棄物タンクを有する多数の汚染除去容器(図示せず)、汚染除去区画、オートクレーブ(34)およびサンプリング用アイソレーターまたはバイオセーフティーキャビネット(143)を有する。システム内の各区画を最適化しているため、必要なスペースを小さく抑制できるだけでなく、本システム使用時の安全性を高めることができる。さらに、区画間を接続するため、アイソレーター(14、141、142)から生成物を出すことなく製造/精製工程を実施でき、従って安全リスクを最小限に抑えることができる。
本システムは、バイオリアクターパラメーターだけでなくプロセスの流れパラメーターを制御し、かつ演算するプロセス制御装置または制御器を有する。この制御器は、さらにシステム全体に存在し、例えばpH、温度および/またはDOを測定する一つかそれ以上のセンサーからデータを監視し、かつ記録する。さらに、プロセス制御装置または制御器は格納容器(32)の入り口および/または出口の開閉を制御するだけでなく、異なる区画またはアイソレーター(14、141、142)間の開放自在な間仕切りまたは仕切り(31)のロッキングやロッキング解除を制御する。本実施態様では、開放自在なガラスドア(31)によって仕切りを可逆的に分離する。制御器にスクリーン(29)を設け、使用者がプロセスの流れおよび測定されたパラメーターを追うことができるだけでなく、例えば一定のサブプロセスを開始あるいは停止することによってシステムを自動操作できる。
システムの格納容器(32)に入室する運転員(17)は、分離された区画(14、141、142、143)の外側に止まった状態を維持できる。品質制御のためにサンプリングするために、分離された区画に可撓性スリーブ(18)を設ける。このスリーブを介して運転員(17)の区画へのアクセスは限られた間接的なアクセスであり、区画の内容物は運転員(17)から分離されたままにおかれる。システムの要部としてアイソレーター(14、141、142、143)と格納容器(32)とを統合しているため、生物学的安全規則を順守することがより簡単になり、コストも低下し、環境汚染および運転員汚染のリスクが小さくなる。
本システムは、精製かつ不活性化ウイルスなどの生体分子の自動化された監視付きの大規模なGMP産生に好適である。
1:バイオリアクター
2:TFF濃縮器、濃縮器
4:中間容器
5、501、502、504:ポンプ
6:弁
7:前置フィルター
8:汚染除去容器
9:増殖培地タンク
10:接種容器、接種材料
11:添加剤容器
13:ベース
14:第1アイソレーター
15:アニオン交換デプスフィルター
16:混合モードクロマトグラフィー装置
17:運転員
18:可撓性スリーブ
19:清澄化区画
20:清澄化培養物容器
21:クロマトグラフィー区画
23:クロマトグラフィー採取容器
24:ウイルス不活性化区画
25:導管
26:不活性化容器
27:調製容器
28:バルク容器
29:スクリーン
30:ドッキングステーション
31:仕切り
32:格納容器
34:オートクレーブ
35:pH調節溶液
141:第2アイソレーター
142:第3アイソレーター
143:バイオセーフティーキャビネット
300:保持液ライン導管
301:導管
302:排出物導管
303:保持液ライン出力部
304:接続部
305:接続管、取り出し口
306:導管
307:排出導管
502、503:ポンプ

Claims (34)

  1. 標的生体分子を有する液体を受け取るのに好適なチャンバーを有するバイオリアクター、および
    濃縮器を有し、この濃縮器に保持液を回収し、かつ前記バイオリアクターの投入部に、あるいは前記濃縮器と前記バイオリアクターとの間に位置する中間容器の投入部に前記保持液を再循環させることを促進するのに適した保持液導管を設けたことを特徴とする生体分子産生システム。
  2. 前記バイオリアクターから前記濃縮器への液体移送を促進する導管によって前記バイオリアクターと前記濃縮器とを接続する請求項1に記載のシステム。
  3. 前記バイオリアクターから前記中間容器への液体移送を促進する導管によって前記バイオリアクターと前記中間容器とを接続し、そして前記中間容器から前記濃縮器への液体移送を促進する導管によって前記中間容器と前記濃縮器とを接続する請求項1に記載のシステム。
  4. 前記バイオリアクターが灌流バイオリアクターである請求項1〜3のいずれか1項に記載のシステム。
  5. 前記バイオリアクターがバッチバイオリアクターである請求項1〜4のいずれか1項に記載のシステム。
  6. 前記導管に一つかそれ以上のポンプを取り付け、前記濃縮器に前記液体のクロスフローを発生する請求項1〜5のいずれか1項に記載のシステム。
  7. 前記濃縮器が限外ろ過装置か、あるいはマイクロろ過装置である請求項1〜6のいずれか1項に記載のシステム。
  8. 前記濃縮器が接線流ろ過装置である請求項1〜7のいずれか1項に記載のシステム。
  9. 前記バイオリアクターと前記濃縮器との間にフィルターが位置する請求項2に記載のシステム。
  10. 前記バイオリアクターと前記中間容器との間にフィルターが位置する請求項3に記載のシステム。
  11. さらに、汚染除去容器を有する請求項1〜10のいずれか1項に記載のシステム。
  12. 清澄化区画を有する請求項1〜11のいずれか1項に記載のシステム。
  13. クロマトグラフィー区画を有する請求項1〜12のいずれか1項に記載のシステム。
  14. ウイルス不活性化区画を有する請求項1〜13のいずれか1項に記載のシステム。
  15. 格納容器を有する請求項1〜14のいずれか1項に記載のシステム。
  16. 前記区画を仕切りによって相互に接続または分離し、この仕切りを開放構成か、あるいは閉鎖構成にした請求項1〜15のいずれか1項に記載のシステム。
  17. 前記システムを自動制御するプロセス制御装置を有する請求項1〜16のいずれか1項に記載のシステム。
  18. 標的生体分子を有する液体を受け取るのに好適なチャンバーを有する固定床灌流バイオリアクター、および濃縮器、好ましくはTFFを有し、前記濃縮器に、この濃縮器からの保持液などの液体排出物を回収し、かつこの液体排出物を前記バイオリアクターの投入部に、あるいは前記濃縮器と前記バイオリアクターとの間に位置する中間容器の投入部に再循環させるのに好適な保持液導管を設けた上流側プロセス区画、
    清澄化区画、
    クロマトグラフィー区画、および
    適宜使用するウイルス不活性化区画を有し、
    前記区画を一つかそれ以上のアイソレーター内に設けたことを特徴とするウイルスなどの生体分子の精製システム。
  19. 液体を有するバイオリアクター内で生成する生体分子の製造方法であって、この方法は濃縮工程を有し、前記バイオリアクターからの排出物を濃縮器内で濃縮し、前記の濃縮器の排出物を前記バイオリアクターに、あるいは前記濃縮器と前記バイオリアクターとの間に位置する中間容器に再循環させることを特徴とする製造方法。
  20. 前記バイオアクターを灌流モードおよび/またはバッチモードで操作する請求項19に記載の方法。
  21. ポンプを使用して、前記液体の指向性のある流れを誘導する請求項19〜20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 前記濃縮器が限外ろ過装置か、あるいはマイクロろ過装置である請求項19〜21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 前記濃縮器が接線流ろ過装置である請求項19〜22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 前記液体をフィルターに通してから、前記濃縮器に移す請求項19〜23のいずれか1項に記載の方法。
  25. 前記液体をフィルターに通してから、前記中間容器に移す請求項19〜24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 前記濃縮器の再循環された排出物を前記中間容器から採取し、これによって濃縮された細胞培養採取物を得る請求項19〜25のいずれか1項に記載の方法。
  27. 前記の濃縮された細胞培養採取物を清澄化し、これによって清澄化細胞培養採取物を得る請求項19〜26のいずれか1項に記載の方法。
  28. 前記の清澄化細胞培養採取物にクロマトグラフィー工程を実施することによって前記生体文子をさらに清澄化する請求項19〜27のいずれか1項に記載の方法。
  29. 前記生体分子がウイルスである請求項19〜28のいずれか1項に記載の方法。
  30. ホルムアルデヒドを使用して前記ウイルスを不活性化する請求項19〜29のいずれか1項に記載の方法。
  31. 前記生体分子が精製され、不活性化されたウイルスである請求項19〜30のいずれか1項に記載の方法。
  32. タンパク質、ウイルスおよび/またはウイルスワクチンなどの生体分子の製造への請求項1〜18のいずれか1項に記載のシステムの使用。
  33. ウイルスワクチン、好ましくはウイルスワクチンの製剤化に前記生体分子を使用する請求項32に記載のシステムの使用。
  34. ドッキングステーションおよび統合制御器を有し、このドッキングステーションはバイオリアクターおよび中間容器を受け取るように配されたことを特徴とする統合バイオリアクタープラットフォーム。
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