JP2023527447A - 生体分子の産生システムおよび方法 - Google Patents

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Abstract

【構成】本発明は生体分子産生システムに組み込む構成のバイオリアクターキャビネットに関する。この構成では、当該バイオリアクターキャビネットがバイオリアクターを受け取るのに好適な可動式バイオリアクターキャビネットであることが好ましい。このバイオリアクターキャビネットにはバイオリアクタードッキング・ステーションを設ける。またバイオリアクターキャビネットに、好ましくはバイオリアクターキャビネットの側壁に、接続器を設け、当該システムのバイオリアクターチャンバーなどの生体分子産生システムとペア化した際に送電、信号送信および/またはデータ送信を行うことができる接続器を設ける。また、本発明は生体分子産生システムおよび生体分子を産生する方法にも関する。【選択図】図1A

Description

本発明はウィルスワクチン、抗体または遺伝子治療用産生物の産生分野(製造分野)に関し、そのシステムおよび方法を開示するものである。
生体分子は薬品の分野でその重要性がますます高くなっている。抗体に基づく治療およびRNA、DNAや遺伝子治療は、現在は治療不可能な多くの疾病に対して解決策を与えるものとみられている。さらに、SARS、SARS-CoV-2やMERSなどのウィルス感染症の発生によりワクチン製造設備への需要が高まっている。
培養細胞から生体分子を製造・精製する伝統的な方法は単調で手のかかる上に、時間を取る方法であり、生体分子の製造コストが高すぎる方法である。さらに、大型の設備が必要なことが多く、製造の有効性、製造に必要な全時間および全コストに否定的な影響を与える方法である。
臨床投与に好適な製品を得るために、生体分子を迅速かつ効率的に産生する方法が求められている。さらに、構成が簡単で必要な空間量最小限で済み、例えばベンチや層流キャビネット内に簡単に搬送でき、設置できるシステムも求められている。
本発明の目的は、上記問題の少なくとも一部を解決することである。より具体的には、臨床目的および治療目的に使用できるウィルス粒子、タンパク質および遺伝子治療用産生物の製造に好適な、構成が簡単で、モジュール式の生体分子産生システムを提供することである。
本発明は高い品質条件を維持した状態で、細胞、DNA、RNA、タンパク質、ペプチド類およびウィルス産生物などの生体分子を低コストで製造できる生体分子の産生および/または精製を対象とするシステムおよび解決策を提供するものである。本発明によれば、GMP条件下で生体分子を製造できる。第2の目的は、人間工学的であって、高度なアクセス性を有し、利用する者にとってやさしいシステムであって、融通がきき、かつ好ましくはモジュラー式のシステムを提供することである。本発明のもう一つの目的は、生体分子の高い収率を維持した状態で運転工程量を低減でき、運転経費(OPEX)をかなり抑制でき、かつ高レベルの封じこみを達成できる方法を提供することである。
本発明は上記の問題点の一つかそれ以上に解決策を提供する。このために、本発明は請求項1に記載のバイオリアクターキャビネットを提供する。より具体的には、本発明は生体分子産生システムに組み込む構成のバイオリアクターキャビネットであって、好ましくは車輪式(換言すると可動式)の、バイオリアクターを受け取るのに好適なバイオリアクターキャビネットを提供する。このバイオリアクターキャビネットにはバイオリアクタードッキング・ステーションを設ける。当該バイオリアクターキャビネットに、好ましくはこのキャビネットの側壁に当該生体分子産生システムのバイオリアクターチャンバーなどの生体分子産生システムとペア化した際に送電、(信号)送信および/またはデータ送信を行う接続器を設ける。
バイオリアクターキャビネットの好適な実施態様については、特許請求の範囲のいずれかの請求項に示す。このバイオリアクターキャビネットは小型で、最少のスペースを必要とし、搬送が簡単である。
第2態様において、本発明は請求項24に係るシステムを提供する。より具体的には、本発明は生体分子の産生システムを提供する。当該システムは、
-細胞採取物の生体分子を産生できる精製または濾過できる一つかそれ以上の精製装置または濾過装置を有する少なくとも一つかそれ以上のプロセスチャンバー、および
-バイオリアクターを受け取る構成のバイオリアクターチャンバーを有し、このバイオリアクターチャンバーにバイオリアクターを有するバイオリアクターキャビネットとペア化した際に送電、(信号)送信および/またはデータ送信を行う接続器を設ける。
また、本発明は請求項36に係る生体分子の産生システムも提供する。より具体的には、本発明は生体分子の産生システムを提供する。当該システムは、
-細胞採取物の生体分子を精製または濾過できる一つかそれ以上の精製装置または濾過装置を有するプロセスチャンバー、
-下流側チャンバー、および
-バイオリアクターを受け取るのに好適なバイオリアクターチャンバーを有し、当該バイオリアクターチャンバーを当該プロセスチャンバーと当該下流側チャンバーとの間に設けるとともに、一つかそれ以上のチャンバーに流体接続し、かつ当該バイオリアクターチャンバーにバイオリアクターキャビネットとペア化した際に送電、(信号)送信および/またはデータ送信を行う接続器を設ける。
最後の態様において、本発明は請求項39に係る方法を開示する。より具体的には、本発明はタンパク質、ウィルスまたはウィルス粒子、あるいは遺伝子治療用産生物を産生する方法を提供する。当該方法は、
-バイオリアクターキャビネット、好ましくは可動式/車輪付きバイオリアクターキャビネット内に、生体分子産生システムのバイオリアクターチャンバーにドッキングするバイオリアクターを設ける工程を有し、
-当該バイオリアクターチャンバーの側部に位置する処理チャンバーにおいて当該バイオリアクターからの採取物を精製し、生体分子採取物を産生する。
ある実施態様では、当該バイオリアクターチャンバー内に設けた濃縮器によって当該生体分子採取物をさらに濃縮する。
さらに別な態様では、本発明は生体分子産生システムのチャンバーにバイオリアクターキャビネットをドッキングする方法を開示する。当該方法では、接続器によって当該キャビネットとシステムとの間を接続し、ペア化した際に送電、(信号)送信および/またはデータ送信を行う。
本開示に係るシステムおよび方法によると、高品質要件を維持した状態で、ウィルス産生物などの生体分子を低コストで産生できる。さらに、GMP条件下で生体分子を産生でき、人間工学的な上にアクセス性が高度で、使用者に優しいシステムを提供できる。最後に、本開示の方法論を採用すると、作業工程量を小さく抑えた状態で、生体分子の収率を高くできる上に操業費(OPEX)をかなり低くでき、高レベルの封じ込めを実現できる。
PCT/EP2018/086394 PCT/EP2020/084317 US2021 002 4868
図1A、図1Bおよび図1Cは本開示に係るバイオリアクターキャビネットの異なる実施態様を示す図である。 図1D、図1Eおよび図1Fは本開示に係るバイオリアクターキャビネットの一実施態様を示す横断面図である。 図2は本開示に係るシステムの一実施態様を示す正面図である。 図3は異なる要素の寸法を含む、本開示に係る一実施態様のシステムの上面図である。 図4Aはケーシング全体の寸法を含む、本開示に係る一実施態様のシステムの正面図である。 図4Bは本開示に係る一実施態様のシステムを示す背面図および正面図である。 図5は本開示に係る一実施態様のフロントウィンドを有するシステムを示す詳細な正面図である。 図6Aおよび図6Bは収集容器およびTFFを有する本開示に係るシステムの一実施態様を示す図である。 図7は本開示に係るバイオリアクターの第1実施態様を示す斜視図である。 図8はいくつかの拡大図を含む図7のバイオリアクターを示す斜視図である。 図9A、図9Bおよび図9Cは開示するバイオリアクターのいずれかにおいて細胞を培養する構造化固定床を構成する際に使用する基体材を示す図である。 図10は本開示に係るバイオリアクターの一実施態様のモジュラーバージョンを示す図である。 図11は本開示に係るバイオリアクターの一つの実施態様を示す横断面図である。 図12は図11のバイオリアクターの基底部分を示す横断面図である。 図13は図11のバイオリアクターの中間部分を示す、一部を切り欠いた上面図である。 図14は図11のバイオリアクターの中間部分を示す、一部を切り欠いた上面図である。 図15、図15Aおよび図15Bは本開示に係るバイオリアクターの第3実施態様を示す各種図面である。 図16は図15のバイオリアクターを示す横断面図である。 図17は図15のバイオリアクターを示す横断面図である。 図18は本開示に係るシステムの一実施態様におけるプロセスフローを示す図である。 図19は本開示に係るレベルセンサの一つの考えられる実施態様を示す図である。 図20は本開示に係る圧力センサの一つの考えられる実施態様を示す図である。 図21は本開示に係る流量計の2つの考えられる実施態様を示す図である。 図22は本発明に係る泡捕捉装置の一つの考えられる実施態様を示す図である。 図23は本開示の一つの態様に係る気体供給管を有する流体撹拌装置用の容器を示す図である。 図24は本開示の一態様に係る容器の別な実施態様を示す図である。 図25は本開示の一態様に係る気体供給管を備えたバイオリアクターの別な実施態様を示す図である。 図26および図27は図25のバイオリアクターの別な実施態様を示す図である。 図28~図30は本開示の一態様に係る流れ拡張器(フローエクステンダー)の実施態様を示す図である。 図31は本開示の一態様に係るシステムの各部分を搬送するリフトの一実施態様を示す図である。 図32および図33は本開示に係るバイオリアクターのさらに別な実施態様を示す横断面図である。 図34は本発明の一実施態様に係るフィルターユニットの概略図である。
本発明はタンパク質、RNA、DNA、ウィルス粒子、ウィルスベクター、ウィルスベクターワクチンや抗体などの生体分子を製造または産生する装置、システムおよび方法に関する。
特に定義しない限り、技術用語や科学用語を始めとする、本発明を開示する際に使用するすべての用語は、本発明が属する分野における各当業者が通常理解している意味をもつ。参考として言えば、各用語については、本発明の要旨をよりよく理解してもらうために定義することがある。
本明細書で使用する以下の用語は以下の意味を有する。
本明細書で使用する単数表現(a、an、the)は、文脈が他のことを明示していない限り、単数および複数の両者を含む、例えば、“一つの区画”は一つの区画あるいは2つ以上の区画を指す。
あるパラメータなどの測定可能な値、量、時を表す期間などの前に使用する“約”は、ここに開示する発明の実施に適正である限り、記載した数値の、あるいはこの数値からの±20%かそれ以下、好ましくは±10%かそれ以下、より好ましくは±5%かそれ以下、いっそう好ましくは±1%かそれ以下、よりいっそう好ましくは0.1%かそれ以下の範囲にある数値を包含するものである。なお、修飾語“約”がつく数値それ自体も具体的に含まれるものである。
本明細書に使用する“有する(comprise、comprising、comprisesおよびcomprised of)”は“もつ(include、including includes”または“含有する(contain、containing、containes”と同義であり、これに続くもの、例えば成分などを具体的にさす包括的な用語、即ち制約のない用語であり、従来公知な、あるいは本明細書に記載する付加的な、記載のない成分、特徴、要素、部材、工程の存在を排除、除外するものではない。
さらに、特許請求の範囲を含む本明細書に記載する用語“第1、第2、第3”などの用語は同様な要素間を区別するために使用するもので、特に断らない限り、必ずしも継続的な順番や年代順を示すために使用するものではない。なお、これら用語は適正な事情の下では互換性があり、本明細書に記載する本発明の実施態様は本明細書に記載するか、あるいは図示した以外の順でも操作可能である。
終点による数値範囲を記載するが、当該範囲はこの範囲に包含されるすべての整数および分数を含むだけでなく、記載した終点も包含する。
本明細書全体を通して使用する特定表現“重量%”、“重量パーセント”、“%wt”または“wt%”は、特に断らない限り、各成分の調合物の全重量に基づく相対的な重量を指す。
部材群のうちの一つかそれ以上や少なくとも一つのなどの用語“一つかそれ以上の”あるいは“少なくとも一つの”はそれ自体が明瞭であり、念のために付言すると、これら用語はとりわけ当該部材のうちのいずれか一つ、あるいは当該部材のうちのいずれか2つかそれ以上を指し、例示すると、当該部材のうちの≧3、≧4、≧5、≧6または≧7などを指し、場合によっては当該部材すべてを指す。
特に断らない限り、本発明を開示する際に使用する用語すべては、技術用語であっても、科学的用語であっても、本発明が属する分野の当業者一人ひとりが通常理解している意味を有する。念のために付言すると、本明細書で使用する用語の定義については、本発明の要旨をより良く理解してもらうために記載するもので、これら用語や定義は本発明の理解の一助としてのみ記載するものである。
本明細書全体を通して“一つの実施態様”または“ある実施態様”と言及するが、これは当該実施態様に関連して記載する具体的な特徴、構造または特性が本発明の少なくとも一つの実施態様に包含されることを意味する。本明細書全体を通して特定の成句“一つの実施態様”あるいは“ある実施態様”は必ずしも同じ実施態様を指すものではない。さらに、具体的な特徴、構造または特性については、当業者ならば本開示から理解できるように、一つかそれ以上の実施態様において好適な態様で組み合わせることが可能である。加えて、本明細書に記載する一部の実施態様については、他の実施態様に含まれる一部のみの特徴を有するが、異なる実施態様の特徴については本発明の範囲内で組み合わせ、当業者ならば理解できるように、他の異なる実施態様を構成することができる。例えば、特許請求の範囲では、請求項に記載の実施態様のいずれも併用することが可能である。
“生体分子”とはバイオリアクターに産生する対象となる任意の生物学的物質を指す。生体分子を例示すると、ウィルス、ウィルス様粒子、ウィルス産生物、遺伝子治療用産生物、ウィルスベクター、DNA、RNA、抗体などの蛋白質、炭水化物、脂質、核酸、代謝産物やペプチドである。
“遺伝子治療用産生物”とは遺伝病や遺伝疾患をなどの疾病や疾患を治療または予防する核酸を有する治療用産生物を指す。
“ウィルス性遺伝子治療用産生物”とはウィルスの遺伝物質の一部を治療用核酸で置換し、ウィルスを使用して治療用核酸を患者の細胞に導入するウィルス産生物を指す。レトロウィルス、アデノウィルス、単純ヘルペス、ワクチニアやアデノ関連ウィルスを始めとする多数のウィルスがヒト遺伝子治療に使用されている。
“抗体”とはヒトやその他の動物細胞ラインから誘導されるモノクローナルまたはポリクローナルな任意の免疫グロブリン分子、抗原結合免疫グロブリンフラグメント、免疫グロブリン融合タンパク質を指し、例示すると天然や遺伝子組み換え形態例えばヒト化抗体、ヒト抗体、キメラ抗体、合成抗体、組み換え抗体、ハイブリッド抗体、突然変異抗体、移植抗体やインビトロ生成抗体などである。通常知られている天然免疫グロブリンとしてはIgA(二量体)、IgG、IgE、IgGやIgM(五量体)がある。
“ウィルス”または“ビリオン"とは主にバクテリア、植物や動物などの生体ホスト(宿主)の細胞内でのみ複製し、RNAまたはDNA細胞核、タンパク膜、そしてより複雑なタイプでは周囲膜からなる超微視的(直径が20~300nm程度)感染性病原体を指す。
“バイオリアクター”とは、例えば生物学的産生物または生体分子を産生するために細胞または微生物を培養するための生物学的に活性な環境を支持する任意装置またはシステムを指す。これにはセルスタック、ローラボトル、振とう装置、フラスコ、撹拌式タンク懸濁バイオリアクター、高密度細胞構造化または非構造化固定床バイオリアクター、バッチリアクターなどが含まれる。
“精製”とは標的生体分子の濃度に対して一種かそれ以上の標的不純物または汚染物の濃度を実質的に低下させることを指す。
“タンジェンシャル流れ濾過(Tangential flow filtration:TFF)”とは一つの膜濾過方法を指し、この濾過方法では一つかそれ以上の有孔膜に区切られたスペースに流体を強制的に流し、細孔を通過できる十分小さい分子を濾液即ち浸透液に濾別し、細孔を通過できない程大きな分子は“保持液”にとどめる。“タンジェンシャル流れ”という名称とは具体的には、流体流れの方向が膜に対しておおよそ直交する所謂“デッドエンド式濾過”とは正反対に、流体流れの方向が膜に対しておおよそ平行な事実を指す。
本明細書使用する“ウィルス感染”とは、ウィルスが細胞内に侵入し、このウィルスが細胞内で複製することを指す。
“細胞培養採取物”、“培養採取物”や“採取物”は同義であり、バイオリアクター内の細胞培養から得られた未精製細胞培養物を指す。培養細胞または増殖細胞については、ホスト(宿主)細胞とも言う。
“シリアル、インライン(serial、in-line)”とは一つのユニットまたは装置からの流出液が中間保存することなく、直接次のユニットまたは装置に送られるように装置またはユニットを接続することを意味する。
本明細書で使用する“ドッキング(docking)”は2つの要素間を安定接続することによって、例えば、これら要素がレシピエント/受け取り部か接続部のいずれかを構成できるようにすることを意味する。本開示におけるドッキングの対象はバイオリアクターキャビネットと生体分子の産生システムとの間、あるいはバイオリアクターそれ自体とバイオリアクターキャビネットとの間である。
第1態様において、本開示は生体分子産生システムに組み込むことができる構成のバイオリアクターキャビネットに関する。このバイオリアクターキャビネットの場合、バイオリアクターを受け取る車輪付き(または場合によって可動式)のバイオリアクターキャビネットであるのが好ましく、このバイオリアクターキャビネットにはバイオリアクタードッキング・ステーションを設けることができ、またこのバイオリアクターキャビネットに、好ましくはその側壁に、生体分子産生システムと、例えばそのバイオリアクターチャンバーとペア化した際に送電、(信号)送信および/またはデータ伝送を実施できる接続器を設ける。
ある実施態様では、本開示は生体分子産生システムに組み込むことができる構成のバイオリアクターキャビネットに関する。このバイオリアクターキャビネットの場合、バイオリアクターを受け取る車輪付きのバイオリアクターキャビネットであるのが好ましく、このバイオリアクターキャビネットにはバイオリアクタードッキング・ステーションを設けることができ、またこのバイオリアクターキャビネットの壁に、好ましくはその側壁に、そのバイオリアクターチャンバーとペア化した場合に、生体分子産生システムから送電、(信号)送信および/またはデータ伝送を実施できる接続器を設ける。
ある実施態様では、送電、(信号)送信および/またデータ伝送を実施できる接続器を有する接続手段によって上記生体分子産生システムの上記バイオリアクターチャンバー内に上記バイオリアクターキャビネットをドッキングする。別な実施態様では、上記バイオリアクターキャビネットを上記バイオリアクターチャンバーに物理的に固定する接続を増設する。
さらに別な実施態様では、バイオリアクターキャビネットを産生システムに整合する。産生システムに整合できる別なバイオリアクターキャビネットを設計する利点は、産生システムの外側で一人か二人のオペレータによってバイオリアクターを容易に設置できる点にある。さらに、バイオリアクターキャビネットを取り外す際に、産生システムのすべてのマニホールド接続に安全にアクセスできる。
ある実施態様では、バイオリアクターキャビネットを可動式で設計できる。このように設計すると、上記バイオリアクターキャビネットにこのバイオリアクターキャビネットを可動させることができるか、あるいは搬送できる構造体または構成成分を設けることが可能になる。搬送手段については手動制御式および/また電子制御式の、この分野で好適とされている任意の手段、限定するわけではないが、車輪、トラック、ロールなどを例示できる。あるいは、またはこれに加えて、さらに別な実施態様では、上記バイオリアクターキャビネットに、後で上記バイオリアクターキャビネットを搬送できる昇降機または持上装置を接続できる好適な構造体を設けることができる。好適な実施態様では、バイオリアクターキャビネットは車輪を備える。
バイオリアクターキャビネットについては金属合金、金属やプラスチックなどの当分野で好ましく使用されている任意の素材で構成することができる。一つの実施態様では、バイオリアクターキャビネットはアルミニウムやステンレス鋼などの素材から構成する。特に好ましい実施態様では、上記バイオリアクターキャビネットはステンレス鋼からなる素材で構成する。
本開示のある実施態様では、バイオリアクターキャビネットは一つかそれ以上のハンドルを備えるため、当該キャビネットの操作が容易である。ハンドル(複数の場合もある)があるため、オペレータがハンドルを押すか、引っ張ることによってバイオリアクターキャビネットを動かすことができる。ハンドル(複数の場合もある)は各種のサイズを取ることができ、バイオリアクターキャビネットの外側匡体の異なる位置に設置できる。一部の実施態様では、一つのハンドルをバイオリアクターキャビネットの壁部の全長に沿って設ける。他の実施態様では、二つかそれ以上のハンドルをバイオリアクターキャビネットの正面壁の右側および左側に設ける。
別な実施態様では、これらハンドルは調節可能であり、着脱可能であり、および/または後退可能である。当該ハンドル(複数の場合もある)については、本発明分野で好ましく使用されている任意の素材例えばプラスチック、アルミニウム、鋼、金属合金などで構成することができる。具体的に好ましい実施態様では、当該ハンドル(複数の場合もある)はステンレス鋼製である。ステンレス鋼は耐腐食性が高く、高温で強度を保持する。
好適な実施態様では、ハンドルを当該バイオリアクターキャビネットの正面壁に接続する。この位置の場合、特にオペレータがバイオリアクターキャビネットを生体分子の産生/精製システムにドッキングする際に、精度良くこれを押しかつ操作することができる。ある実施態様では、ハンドルとして金属バーを使用する。この金属バーはバネ負荷式で、両端に2つのロッドを有し、これらロッドを金属バーの中心に向けて引っ張ることができる。ある実施態様では、金属バーの両端から金属バーの中心に向けて引っ張ることによって金属バーをより低い位置まで下げることが可能である。ハンドルを下げることによって、(サンプリングやバイオリアクターキャビネットのシステムへのドッキングなどの)操作が容易になる。
ドッキングを行うために、バイオリアクターキャビネットには接続器を設け、この接続器によって生体分子産生システムと、そして場合によっては一つかそれ以上の磁気結合タイプかあるいその他の結合タイプ接続(例えば無線周波数(RF)技術)とペア化した際に送電、(信号)送信および/またはデータ送信を行うことができる。バイオリアクターキャビネットおよびシステム両者は相互に通信でき、データを転送できる。
ある実施態様では、当該接続器は接続部および受け取り部によって産生システムのバイオリアクターチャンバーにバイオリアクターキャビネットを結合できる。当該接続部はバイオリアクターキャビネットに配置でき、一方受け取り部は当該システムのバイオリアクターチャンバー内に配置することができる。
ある実施態様では、接続器としてモジュラー式接続器システムを使用でき、小型のフレームまたはハウジング内に電源と信号接点、イーサネット、光ファイバー、同軸接続器、油圧カップリング、空気圧カップリングまたは熱カップリングとを併設できる。このモジュラー式接続器システムは接続の具体的な要件に従って構成できる。好ましい実施態様では、これら接続器は防水性である。ある実施態様では、バイオリアクターキャビネットのオス接続器は産生システムのメス接続器に接続する。オス接続器とメス接続器とを正確に接続するために、メス接続器はセンタリングピンを備えていてもよい。別な実施態様では、接続器は電子アイを備え、これによって正確な接続を行う。さらに別な実施態様では、接続器は磁気素子を備え、正確な接続を行う。
さらに別な実施態様では、バイオリアクターキャビネットの接続部およびシステムの受け取り部によってバイオリアクターキャビネットをシステムにドッキングし、これらを相互に緊密に接続し、生体分子の産生時にバイオリアクターキャビネットがシステムから離脱することを防ぐ。この接続部および受け取り部はこの分野で好適に使用している、機械的システムや磁気システムなどの任意のシステムであればよい。バイオリアクターキャビネットをシステムから切り離すために、ブレークアウェイ機能を組み込むことができる。
ある実施態様では、当該バイオリアクターキャビネットは生体分子産生システムとペア化した際に送電、(信号)送信および/またはデータ伝送を実施できる接続器とバイオリアクターキャビネットを生体分子産生システムにドッキングする磁気接続器との両者で構成する。ある実施態様では、当該磁気接続器は永久磁石で構成することができる。より好適な別な実施態様では、当該磁石は電磁石であり、電流によって磁場が発生する。永久磁石よりも電磁石が好ましい点は、電流量を制御することによって磁場を迅速に変更できる点である。本願発明では、磁石、より具体的には電磁石を使用するが、これはシステムの安全性を強化するものであり、こうすると、バイオリアクターキャビネットの産生システムへの認可のないドッキングや産生システムからの認可のない取り外しを防ぐことができる。当該システムは当該バイオリアクターキャビネットの磁石と相互作用できる対応する磁気部で構成することができる。ある実施態様では、磁気接続の電源部品(powered part)をシステムに設け、磁気接続のステンレス鋼部品をバイオリアクターキャビネットの後部に設ける。ある実施態様では、これら2つの部品は給電されるとブロックされる。ある実施態様では、これら2つの部品は1000Nの力を受けるとブロックされる。
ある実施態様では、当該接続器およびバイオリアクターキャビネットの一つかそれ以上の磁気接続は異なる壁部に設ける。好適な実施態様では、当該接続器および磁気接続は当該バイオリアクターキャビネットの同じ壁部を設ける。いずれの場合もドッキングが容易になる。
一部の実施態様では、接続器および一つかそれ以上の磁気接続は正面壁とは反対側にあるバイオリアクターキャビネットの壁部に設ける。バイオリアクターキャビネットの正面壁にあるハンドルを使用してバイオリアクターキャビネットを前に押すと、接続器および磁気接続が当該産生システムの反対側にある対応部と簡単に整合できる。
好適な実施態様では、バイオリアクタードッキング・ステーションはバイオリアクターキャビネットの内部にあり、好ましくは当該バイオリアクターキャビネットの壁部によって外部環境から保護されている。この結果、バイオリアクターキャビネットがバイオリアクターを搬送する手段になるだけでなく、搬送時における他の物体との衝突などの有害な偶発事故からバイオリアクターを保護する保護シールドになる。
一部の実施態様では、バイオリアクターキャビネットのドッキングステーションは着脱式の高さ調節装置を有し、これによって当該ドッキングステーション内に当該バイオリアクターを位置決めできる。
このような着脱式の高さ調節装置はバイオリアクターを設置する支持体として機能する。この着脱式高さ調節装置はバイオリアクターキャビネットおよび/またはドッキングステーションに解放自在に取り付けることができ、その寸法はバイオリアクターの大きさおよび寸法に応じて変更することができる。ある実施態様では、着脱式の高さ調節装置によってその寸法にかかわらず、バイオリアクターを位置決めできるため、例えば、バイオリアクターの上部を当該バイオリアクターキャビネットの上面に完全に整合させることができる。例えば、当該バイオリアクターキャビネットは600mの内部培養面をもつバイオリアクターなどの特定の大きさのバイオリアクターに適するように設計することができる。このバイオリアクターキャビネットをより小さなバイオリアクター、例えば内部培養面が200mのバイオリアクターと併用する場合、高さ調節装置を使用して、当該の小型バイオリアクターに対処できるようにすることができる。この場合、当該バイオリアクターおよび当該表面に設けたその出口を人間工学的に操作できる。当該高さ調節装置は使用に適する任意の形状、例えば正方形、矩形、円形に形成することができる。ある実施態様では、当該高さ調節装置は、円柱状あるいはディスク状の要素である。高さ調節装置の表面は調節装置を変形させるものではない。高さ調節装置は本分野で好適な任意の素材、例えばプラスチック、アルミニウム、鋼、金属合金で構成することができる。ステンレス鋼は耐腐食性が高く、高温で強度を保持する素材である。
ある実施態様では、当該バイオリアクターキャビネットは当該キャビネットの上面にバイオリアクター支持プレートを有し、この支持プレートはバイオリアクターを突き入れる凹部を有する。当該凹部によって当該バイオリアクターキャビネットおよびシステムの人間工学的な作用効果を改善できる。一部の実施態様では、このバイオリアクター支持プレートは格子状プレートである。
支持プレートにこれら開口があるため、バイオリアクターキャビネット内で空気流が循環し、そしてさらにバイオリアクターキャビネットの匡体内部にあるバイオリアクターの外観を改善できる。ある実施態様では、このプレートは一つ以上のピースを有する。好適な実施態様では、支持プレートは2つのピースを有する。支持プレートについては、本分野で好ましく採用されている耐腐食性の任意の素材で構成することができる。
好適な実施態様では、バイオリアクターキャビネットはバイオリアクタードッキング・ステーション内に設けたバイオリアクターを有する。
バイオリアクターキャビネットについては、バイオリアクターをその加熱用サポートおよび撹拌用モータとともに納めることができる設計である。この設計のバイオリアクターの場合、3要素(バイオリアクター-加熱用サポート-撹拌用モータ)の据え付けまたは取り外しを容易かつ迅速に実施でき、しかも一人のオペレータで済む。加えて、保持トレーをバイオリアクターキャビネットに設け、これをバイオリアクターチャンバーの主保持トレーに接続できる。この保持トレーには漏れ検出器を配設できる。保持トレーは潜在的にプロセスから漏れ出たものを回収する。ある実施態様では、バイオリアクターキャビネットは二つ以上の保持トレーを有する。ある実施態様では、バイオリアクターキャビネットの異なる保持トレーが異なるレベルにあり、相互に配管で接続することができる。ある実施態様では、保持トレーのうちの一つかそれ以上の最大容量は85Lである。
一部の実施態様では、バイオリアクターキャビネットの一つかそれ以上の壁部に位置決め手段を設けることができ、これによって当該バイオリアクターキャビネットと生体分子産生システムとを整合させ、そしてさらにバイオリアクターキャビネットの当該システム内へのドッキングを強化できる。好適な実施態様では、バイオリアクターキャビネットの複数の壁部に位置決め手段を設けることができ、これによって当該バイオリアクターキャビネットと生体分子産生システムとを整合させ、そしてさらにバイオリアクターキャビネットの当該システム内へのドッキングを強化できる。
当該位置決め手段はバイオリアクターキャビネットを導き、生体分子産生システムに正確に位置決めする際に役立つ。
当該位置決め手段としては当該バイオリアクターキャビネットを当該システム内に導き、かつこれにドッキングする際に役立つ任意の種類の要素で構成することができる。ある実施態様では、当該位置決め手段は当該バイオリアクターキャビネットの側壁内のソケットに組み込んだ車輪やギヤなどの回転軸上の円形か円筒形要素である。
さらに別な実施態様では、当該位置決め手段は各車輪が回転軸にある一対の車輪であり、この場合各対が2つの車輪を有し、第1車輪の回転軸の位置が第2車輪の回転軸方向に直角な位置にある。
さらに別な実施態様では、当該バイオリアクターキャビネットの各側壁部は、例えば当該側壁の反対側に設ける2対の車輪を有し、それぞれが当該側壁の角部に沿ってか、あるいは角部付近に位置する。側壁の両側に車輪があるため、バイオリアクターキャビネットの前後部をバイオリアクターチャンバー内に正確に導くことができる。
ある実施態様では、バイオリアクターチャンバーはさらに一つかそれ以上の受け取り要素を有し、これらがバイオリアクターチャンバー内においてバイオリアクターキャビネットを受け取る。ある実施態様では、バイオリアクターチャンバーはさらに案内部材を有し、これらがバイオリアクターキャビネットをバイオリアクターチャンバーに導く。
ある実施態様では、バイオリアクターキャビネットはさらに傾斜計を備え、これによってバイオリアクターが水平面にあることを確認する。さらに別な実施態様では、この傾斜計をバイオリアクターキャビネットに設置し、バイオリアクターが水平面上にあることを確認する。さらに異なる実施態様では、水平状態限界の最大偏差角を設定し、バイオリアクターキャビネットが完全に水平位置にないことを示す警告を出す。ある実施態様では、傾斜度を摩耗のない半導体センサ要素によって決定する。
一般的なバイオリアクターの場合、寸法(特に高さ)を一定にした状態で構成しているため、治療のために細胞培養が必要な遠隔地(特に発展途上国)に搬送することが難しく、またコストも要する。一定という性質があるため、過去のバイオリアクターの場合各種用途に対処できない。
さらに別な課題もあり、これは所定領域を対象として細胞密度を最大化できる能力に関する。バイオリアクターを対象とする従来の提案は流動床を利用している。このような流動床は細胞増殖の作用が高く、またいくつかの利点をもつが、結果として、この流動床を形成するために必要なバイオリアクターのスペース容量が大きくなる。目的の細胞増殖を実現した状態で非構造化、即ち流動床を使用してバイオリアクターの規模を簡単に大きくすることも重要な課題であるが、当分野における現在の需要は各種の運転条件(例えば取り片づけが制限されている場合における殺菌フード、キャビネットまたはアイソレータなど)で使用することが可能なバイオリアクターにある。
従って、特に遠隔地などで搬送組立が簡単であり、および/または各種の大きさや構成に簡単に対処でき、および/または異なる用途などに簡単に対処できる改良バイオリアクターへの需要が高い。本発明の一部の実施態様では、本開示は生物製剤の製造システムおよび製造に関する。特に、細胞、ウィルス、細胞由来製剤またはウィルス由来製剤の製造システムおよび方法に関する。一部の実施態様では、本発明バイオリアクターを使用して高密度細胞培養を実現できる。例えば、少なくとも2,000,000細胞/ml、少なくとも5,000,000細胞/ml、少なくとも10,000,000細胞/ml、少なくとも20,000,000細胞/ml、少なくとも40,000,000細胞/ml、少なくとも60,000,000細胞/ml、または少なくとも少なくとも100,000,000細胞/mlの密度を実現できる。一部の実施態様では、3百万細胞/ml、2百万細胞/mlまたは2百50万/mlの密度も実現できる。一部の実施態様に係るバイオリアクターの全容量は少なくも1L、少なくとも10L、少なくとも30L、少なくとも40L、あるいは少なくとも50Lである。一部の実施態様では、バイオリアクターの全容量は最大で2500L、最大で200L、最大で150L、最大で100L、あるいは最大で75Lに設定できる。ここでバイオリアクターの全容量はバイオリアクターに満杯になるまで導入できる液体の全容量を指す。ある実施態様では、バイオリアクターは過剰な産生物および流体の排液装置を備える。
一部の実施態様の場合、バイオリアクターの直径はほぼ50~60cmであってもよい。一部の実施態様の場合、バイオリアクターの直径または高さはほぼ約5cm以上、約10cm以上、約15cm以上、約20cm以上、約25cm以上、約30cm以上、約35cm以上、約40cm以上、約45cm以上、約50cm以上、約60cm以上、約70cm以上、約80cm以上、約90cm以上、あるいは約100cm以上に設定してもよい。一部の実施態様では、バイオリアクターに併用することができるカバー部または蓋部の直径はほぼ2cm以上、ほぼ4cm以上、ほぼ5cm以上、ほぼ6cm以上、ほぼ8cm以上、ほぼ10cm以上、ほぼ12cm以上、ほぼ15cm以上、ほぼ20cm以上、ほぼ25cm以上、ほぼ30cm以上、あるいはほぼ50cm以上であってもよい。一部の実施態様では、バイオリアクターの全体高さはほぼ20~50cmであってもよい。
一部の実施態様の場合、バイオリアクターとしては灌流式バイオリアクター、波形バイオリアクター、円筒形バイオリアクター、バッグ式バイオリアクター、移動床式バイオリアクター、充填式バイオリアクター、繊維状バイオリアクター、膜式バイオリアクター、回分式バイオリアクター、連続式バイオリアクター、あるいはこれらの併用系を使用できる。一部の実施態様では、バイオリアクターは好適な素材、例えば、ステンレス鋼、ガラス、アルミニウムやプラスチックにより、あるいはこれら素材から構成できる。一部の実施態様では、バイオリアクターは産生物を分析できる。
本明細書に開示するバイオリアクターへのアクセスは蓋を介して、あるいはドアによって実施できる。一部の実施態様では、このバイオリアクターのアクセス機構は例えばロック/キー機構、パスコードパンチパッド、カードスワイプ、トランスポンダリーダー、指紋スキャナ、網膜スキャナ、センサ、無線周波数識別(RFID)などの自動識別/データ捕獲方法、QRコード、(虹彩認証システムや顔認証システムなどの)バイオメトリクス、磁気ストライプ、光学式文字認証(OCR)、スマートカード、音声認識、あるいはその他のアクセス機構から構成できる。ある実施態様では、このアクセス機構がバイオリアクター自体へのアクセスを規制する。別な実施態様では、アクセス機構はバイオリアクターを有するバイオリアクターキャビネットやバイオリアクターチャンバーへのアクセスを規制する。別な実施態様では、アクセス機構はバイオリアクターおよび/または産生システム全体を制御するプロセス制御器へのアクセスを規制する。
一部の実施態様では、本明細書に開示するバイオリアクターはプロセス制御器を併用できる。一部の実施態様では、生体分子産生システムは一つかそれ以上のプロセス制御器を併用できる。ある実施態様では、一つかそれ以上のプロセス制御器はバイオリアクターおよび生体分子産生システムの両者を制御する構成である。一部の実施態様では、プロセス制御器はバイオリアクターおよび/または生体分子産生システムの運転操作を制御する構成で、複数のセンサ、ローカルコンピュータ、ローカルサーバ、リモートコンピュータ、リモートサーバ、あるいはネットワークを併用できる。一部の実施態様では、バイオリアクターおよび/または生体分子産生システムは一つかそれ以上のセンサ類、例えば温度センサ(熱電対など)、流量センサ、ガスセンサ、レベルセンサやその他のセンサを併用できる。一部の実施態様では、プロセス制御器は産生プロセスの各種態様を制御する構成で、バイオリアクターおよび/または生体分子産生システム内に設けたセンサに結合して、バイオリアクターおよび/または生体分子産生システムにリアルタイムで流れ込む温度、容量流量またはガス流量を制御する。ある実施態様では、プロセス制御器は2つの部分、即ちプログラマブルロジックコントローラ 部(PLC)および監視制御およびデータ収集部(SCADA)に分割する。PLCはシステムのインテリジェンスであり、センサおよびアクチュエータに結合する。PLCはデータのみを有し、パワーは有しない。SCADAは視覚化、データヒストリアンおよび監査証跡にとって重要である。
SCADAシステムはデータヒストリアンを保存したサーバーで作動し、かつ視覚化をサポートする。ある実施態様では、クライアントネットワークをサーバーに直接接続でき、遠隔アクセスできる。一部の実施態様では、プロセス制御器はディスプレイ等のヒューマンマシンインターフェース(HMI)を備える。例示すると、コンピュータモニタ、スマートフォンアプリ、タブレットアプリやアナログディスプレイを挙げることができ、これらにユーザーがアクセスし、(システム内に配設したセンサに基づいて)システム状態をチェックし、かつポンプ、バルブ、加熱器や撹拌機などの各種のアクチュエータによってシステムを制御する。一部の実施態様では、プロセス制御器はキーボード、分離式スマートタブレット、キーパッド、マウスやタッチスクリーンなどの入力装置を備え、従ってユーザーが制御パラメータを入力でき、バイオリアクターの動作を制御できる。一部の実施態様では、プロセス制御器はバイオリアクターへのアクセスを制御できる。
一部の実施態様では、本明細書に開示するバイオリアクターは異なるパラメータをモニタリングするセンサを併用できる。ある実施態様では、センサは電気接続できる。別な実施態様では、センサとして無線センサを利用できる。別な実施態様では、バイオリアクターは電気接続センサおよび無線センサの両者を併用できる。一部の実施態様では、これらセンサは本明細書に開示するバイオリアクターの任意の区画に配設できる。一部の実施態様では、これら本明細書に開示するセンサとしてガスセンサ(酸素、窒素または二酸化炭素センサなど)、pHセンサ、温度センサ、細胞密度センサ、液面(レベル)センサや溶存酸素(DO)センサを使用できる。一部の実施態様では、本明細書に開示するセンサを使用してなかんずくバイオマス即ち細胞密度、溶存酸素分圧、酸素含有量、pH値、温度、圧力、流量、液面高さ、乳酸塩、アンモニウム、炭酸塩、グルコース、あるいは例えば細胞密度を反映する代謝すべき任意の代謝産物などの栄養素の濃度などを測定できる。一部の実施態様では、細胞密度(バイオマス密度)は測定用電極装置を使用する電気インピーダンス分析または電気インピーダンス分光法によって測定できる。一部の実施態様では、本開示に係るバイオリアクターは培養パラメータを測定するセンサを併用できる。一部の実施態様では、本明細書に開示するあるセンサはバイオリアクター内の培地に接触できる。一部の実施態様では、培養パラメータはなかんずく溶存酸素分圧、pH、温度、光学密度、乳酸塩、アンモニウム、炭酸塩、グルコース、あるいは例えば細胞密度を反映する代謝すべき任意の代謝産物などの栄養素の濃度である。ある実施態様では、バイオリアクター内に設けるセンサ部(例えばpHプローブ)は使い捨てセンサであり、またバイオリアクターに接触しないセンサ部(pHセンサのトランスミッタなど)は何度でも使用可能である。一部の実施態様では、本発明のバイオリアクターはここに開示するパラメータに従ってレギュレーションループを使用できる。一部の実施態様では、レギュレーションループは例えば存在する溶存酸素分圧の値に従って注入される酸素の量、細胞によって費消される溶存酸素の量および培地の循環速度を調節でき、センサあるいは本培養分野に一般使用されている他の形式のレギュレーションによって得られるpH値に従ってCOを注入できる。一部の実施態様では、細胞は300mM(160mmHg分圧)かそれ以下、200mM未満、または20mM~150mMの範囲にある溶存酸素濃度への暴露を受ける。一部の実施態様では、約0%、約1%、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約78%、約80%、約90%または約100%の窒素に、および/または約0%、約1%、約5%、約10%、約21%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%または約100%の酸素に細胞を暴露する。一部の実施態様では、純粋な酸素または酸素富化雰囲気に細胞を暴露できる。ある実施態様では、サンプリング装置をバイオリアクターの蓋に接続できる。
一部の実施態様では、本明細書に開示するバイオリアクターは培地を加熱および/または冷却する加熱および/または冷却装置を併用することができる。ある実施態様では、生体分子産生システム内の一つかそれ以上の、あるいはすべての容器は加熱および/または冷却装置を併用できる。一部の実施態様では、加熱装置は電気要素、電気コイルまたは細胞培養分野で一般に使用されているその他の加熱手段、例えばサーモスタット制御ダブルジャケットであればよい。ある実施態様では、加熱手段は加熱プレートである。ある実施態様では、加熱装置は7つの要素からなる。別な実施態様では、各要素は温度センサを備える。さらに別な実施態様では、各要素は温度リミッターを備える。さらに好適な実施態様では、温度リミッターは110°Cに設定する。一部の実施態様では、冷却装置はペルチェ素子などの任意の好適な冷却装置であってもよい。一部の実施態様では、バイオリアクターは使用する培地および気体に関して、気体を導入する少なくとも一つの入り口およびバイオリアクターに含まれる培地を回収する少なくとも一つの出口を備える。一部の実施態様では、気体または気体状混合物と培地の混合物は同じ供給ラインによって供給できる。ある実施態様では、バイオリアクターの入り口はバイオリアクター内の流体をポンプ供給するポンプを併用する。ある実施態様では、バイオリアクターの出口は流体をバイオリアクターの外部にポンプ供給するポンプを併用する。ある実施態様では、システム内の一つかそれ以上のポンプはワトソンマーローペリスタティックポンプ(Watson-Marlow peristatic pump)である。
ある実施態様では、バイオリアクター内部のpHはベース調整キットによって調整する。ある実施態様では、このベース調整キットは2つの部分、ベースを含むバッグ体、およびバイオリアクターに接続し、場合に応じてバッグを充填する移転体を有する。ある実施態様では、バッグ体はフックに掛ける。ある実施態様では、バッグ体は5Lの使い捨てバッグを有する。好適な実施態様では、無菌接続を使用してバイオリアクターにバッグ体を取り付ける。ある実施態様では、ワトソンマーローペリスタティックポンプなどのポンプによってベースをバイオリアクターに取り付ける。
一部の実施態様では、バイオリアクターにおける培地の循環は撹拌機によって実施できる。一部の実施態様では、撹拌機として回転式で非接触式の磁気インペラ、ブレード式かネジ式システム、あるいは外部循環システムを利用できる。一部の実施態様では、撹拌機はディスクブレードタービン、湾曲ブレードタービン、オープンブレード式の流体箔軸方向インペラ(open blade fluid foil axisl impeller)、ピッチドブレードを備えたタービンインペラ、あるいは3枚のブレードからなるインペラで構成できる。好適な実施態様では、バイオリアクターは5つの磁石を備えた磁気撹拌機で構成する。さらに好ましい実施態様では、磁気撹拌機はバイオリアクターに設けたプロペラを制御する。さらに別な実施態様では、プロペラは使い捨てプロペラである。一部の実施態様では、撹拌機の流量は約0.01リットル/分未満、約0.05リットル/分未満、約0.1リットル/分未満、約0.5リットル/分未満、約1リットル/分未満、約2リットル/分未満、約5リットル/分未満、約10リットル/分未満、約15リットル/分未満、約20リットル/分未満、約50リットル/分未満、約100リットル/分未満、約150リットル/分~約160リットル/分以上、約180リットル/分未満、約200リットル/分未満、あるいは約250リットル/分未満に設定できる。好適な実施態様では、撹拌機の流量はHMIによって制御する。
一部の実施態様では、本明細書に開示するバイオリアクターは固定床を有する。一部の実施態様では、この固定床は構造化固定床(即ち複製が容易で、全体として均質な上に実質的に固定された床であって、配向はランダムではなく、またランダムに非構造化されていない床であり、この品質を満足した上に各種のサイズまたは形状を取ることができる床を意味する)である。一部の実施態様では、構造化固定床は基体ディスクを積層して構成する。ディスクの基体層については、一つの基体層の第1側部または第2側部を隣接する基体層の第1側部または第2側部に向けて積層する。一部の実施態様では、構造化固定床は管状部の周囲に螺旋状に延在する。一部の実施態様では、構造化固定床は小さな容量内に大きな細胞増殖面を確保した状態で、培地および細胞を循環させることができる。一部の実施態様では、構造化固定床はメッシュで構成でき、あるいはメッシュ構造を備える。一部の実施態様では、メッシュ構造またはメッシュはフィラメント、ワイヤまたはスレッドからなるネットワークまたはウェブ状パターンからなる構造で構成できる。一部の実施態様では、このネットワークは三次元組織で形成した孔、開口またはパーフォレーションを構成できる。一部の実施態様では、構造化固定床は細胞および細胞培地の曲がりくねった経路を構成できる。一部の実施態様では、この曲がりくねった経路またはチャネルが乱流を発生するため、細胞および細胞培地の構造化固定床への取り込みが容易になる。一部の実施態様では、メッシュ構造は細胞固定化構造である。一部の実施態様では、メッシュ構造は細胞および培地の流れのスペーサー層またはスペーサー部分を形成する。一部の実施態様では、メッシュ構造は細胞固定化およびスペーサー層の2つの作用を行う。
一部の実施態様では、スペーサー層を使用するため曲がりくねった経路の形成が容易になる。一部の実施態様では、構造化固定床は一つかそれ以上の細胞固定化層は細胞が付着し増殖する表面を有し、細胞固定化部を形成する一つかそれ以上の細胞固定化層を併用できる。一部の実施態様では、細胞固定化層には一つかそれ以上のスペーサー層が隣接する。一部の実施態様では、スペーサー層はスペーサー部分を形成する構造を取ることができる。一部の実施態様では、スペーサー部があるため細胞および培地が開いているが曲がりくねった経路を通過できる。一部の実施態様では、スペーサー層の構成あるいは性質は、スペーサー層が曲がりくねって開かれた経路を作り、細胞や細胞培地がこのスペーサーの表面及び細胞固定化層に平行に移動するように選択されることができる。一部の実施態様では、スペーサー部分によって形成される曲がりくねった経路あるいはチャンネルは、細胞や細胞培地が固定化層に進入することを促す乱流を生み出す。
一部の実施態様では、スペーサー層はメッシュで構成でき、あるいはメッシュ構造を備える。一部の実施態様では、メッシュ構造またはメッシュはフィラメント、ワイヤまたはスレッドからなるネットワークまたはウェブ状パターンからなる構造で構成できる。一部の実施態様では、このネットワークは三次元組織で形成した孔、開口またはパーフォレーションを構成できる。一部の実施態様では、スペーサー部分および固定化部分のスペーサー層および/または細胞固定化層はポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、プラズマ処理ポリエチレン、プラズマ処理ポリエステル、プラズマ処理ポリプロピレン、あるいはプラズマ処理ポリアミドなどの生体適合性ポリマーから形成できる。一部の実施態様では、スペーサー層または細胞固定化層はシリカ、ポリスチレン、アガロース、スチレンジビニルベンゼン、ポリアクリロニトリルやラテックスから構成できる。一部の実施態様では、これら層は親水性でもよく、疎水性でもよい。一部の実施態様では、これら層は親水性である。一部の実施態様では、細胞固定化部分は織布製でもよく、不織布製であってもよい。一部の実施態様では、細胞固定化部分およびスペーサー部分は交互に配置できる。一部の実施態様では、交互配置部分は垂直位置に交互に配置してもよく、あるいは水平位置に交互に配置してもよい。一部の実施態様では、細胞固定化部分は層状でもよく、あるいは垂直位置または水平位置で交互に配置してもよい。一部の実施態様では、一つかそれ以上の層は接続していてもよい。一部の実施態様では、細胞固定化層の一つかそれ以上の層は一つかそれ以上のスペーサー層上に重ねてもよく、(あるいは逆であってもよい)。一部の実施態様では、本明細書に開示する構造化床は螺旋構造やモノリス構造などの構造や異なる形状の構造にきつく、あるいはゆるく圧延するか、あるいは流体が層の表面に対して平行に、あるいは直角に流れる状態で上下層の形で構成してもよい。
一部の実施態様では、固定床増殖表面は面積が1m~2m、7~30m、150~600m、2,400mであればよく、バイオリアクターの異なるサイズ(高さまたは直径)の範囲内で変更可能である。上述したように、複数の固定床については1つ、2つ、3つ、4つかそれ以上の固定床を積層することができる。ある実施態様では、当該固定床増殖表面は面積が例えば200mか、あるいは600mであってもよい。
一部の実施態様では、インペラ速度については、圧力降下が生じた際にこれを小さく抑え、バイオリアクターの底部から上部にかけて、あるいは上部から底部にかけて一定の線形速度を維持するように調節することができる。このような場合、細胞へのせん断応力はバイオリアクターの全サイズに係らず一定に維持できる。一部の実施態様では、スパージャー(sparger)も併用することができる。一部の実施態様では、スパージャー処理時インペラの動作を中断して気泡が固定床に混じることを防止するのが望ましい。
一部の実施態様では、一つかそれ以上のバイオリアクター部品は可撓性を示す。一部の実施態様では、一つかそれ以上のバイオリアクター部材は剛性を示す。一部の実施態様では、一つかそれ以上のバイオリアクター部材はポリカーボネートで構成する。一部の実施態様では、一つかそれ以上のバイオリアクター部材は剛性ポリカーボネートで構成する。一部の実施態様では、バイオリアクター容器はポリカーボネートで構成する。一部の実施態様では、一つかそれ以上のバイオリアクター部材は射出成形によって形成する。
ある実施態様では、ここに全体を参考として援用するPCT/EP2018/086394に記載があるバイオリアクターをシステムに設ける。手短に説明すると、モジュラー式であって、拡大時や縮小時でも、均質性および反復性からすぐれた細胞培養結果を実現した状態で一つかそれ以上の構造化固定床を利用して製造および使用を容易にするバイオリアクターを設ける。
一部の実施態様では、このモジュラー式バイオリアクターは第1チャンバーを有する基底部分、固定床を受け取る第2の外側チャンバーの少なくとも一部および第2の外側チャンバーからの流体流れを第1チャンバーに戻す第3の内側チャンバーの少なくとも一部を形成する中間部分、およびこの中間部分を覆うカバー部分を有する。固定床は構造化固定床で形成してもよく、また中間部分は管状部材で構成してもよい。この場合、構造化固定床は管状部材周囲に螺旋状に延在する。あるいは、中間部分は固定床の内壁で構成してもよい。いずれの実施態様でも、中間部分はそれぞれが構造化固定床に対応する複数の中間部材を有していてもよい。
一部の実施態様では、複数の中間部材のうちの少なくとも一つはパーフォレーション(有孔化)して、少なくとも一つの中間部材の下にある第1の構造化固定床から少なくとも一つの中間部材の上にある第2の構造化固定床に流体が流れる構成にする。一部の実施態様では、複数の中間部材のそれぞれは管状であり、各構造化固定床は管状中間部材の周囲に巻き付けた螺旋状床で構成する。有孔支持体は構造化固定床に対して設けることができる。
一部の実施態様では、中間部分はさらにモジュラー式バイオリアクターの周辺部を形成する管状ケーシングを併用することができる。この管状ケーシングはバイオリアクターを加熱、冷却または断熱するスペースを形成する。中間部分はそれぞれが相互に接続する複数の中間部材で構成することができる。
一部の実施態様では、中間部分は少なくとも一つの中間部材に係合し、固定床を受け取る外側の第2チャンバーの内壁を形成する配管を有する。この配管がこの下にある第1中間部材およびこの上にある第2中間部材に係合する。第2中間部材は第3の内側チャンバーに沿って流体膜を形成する開口を備えることができる。垂直ロッドなどの支持体を設けて、第1中間部材から第2中間部材を支持することができる。
一部の実施態様では、カバー部分は複数のポートを有するキャップで構成する。一部の実施態様では、カバー部分は着脱可能なキャップで構成する。着脱可能なキャップの外径は中間部分の外径未満であってもよい。着脱可能なキャップの外径は中間部分の外径以上でもよい。ポートのうちの少なくとも一つはネジ式の金属インサートを備えることができる。カバー部の外径は中間部分の外径に等しいか大きくてもよい。
中間部分については、基部内に少なくとも部分的に位置する構成の中間部材で構成することができる。中間部材はさらに流体流れを妨害する流れディスラプター(flow disruptor)を備えることができる。
基底部分は固定床を有する第2の外側チャンバーに流体連絡する第1チャンバーのラジアル外側方向にさらに別なチャンバーを備えることができる。このさらに別なチャンバーについては、第1チャンバーから当該チャンバーに流体を伝達する複数の開口を有する直立壁によって一部を形成することができる。
一部の実施態様では、基底部分に撹拌機を設ける。中間部分が外部の駆動装置に整合するように左右に動き外部の駆動装置に整合するように第1チャンバー内に撹拌機を吊り下げることができる構成である。
一部の実施態様では、撹拌機を収容する容器を設ける。一部の実施態様では、この容器は中心入り口および複数のラジアル配向出口を有する。中心入り口には分流器を対応させることができる。いずれの実施態様でも、いずれのバイオリアクターから独立した個別構成部材として、撹拌機は複数の湾曲ブレードで構成することができる。
一部の実施態様では、第3の内側チャンバーに流入する流体流れを複数の細流に分割するために複数の流れディスラプターを設ける。複数の流れディスラプターには対応してリングを設けることができる。一部の実施態様では、気体が細流の一つの後ろにあるスペースに流入できる一つかそれ以上の導管を設ける。一つかそれ以上の導管は複数の流れディスラプターを有する構造体に接続することができる。例えば、第1導管を当該構造体に接続してもよく、あるいは第1導管および第2導管の両者を当該構造体に接続してもよい。あるいは、第1導管および第2導管は当該構造体に接続しなくてもよい。
本開示のさらに別な態様に係る装置は細胞培養装置である。この培養装置はモジュラー式バイオリアクターを備え、このバイオリアクターは中心カラムおよび/または外側ケーシングの両者に着脱自在に接続する基底部分を備える。外側ケーシングおよび中心カラムが一緒になって細胞培養区画を形成する。
実現可能な実施態様では、複数の積層した構造化固定床のそれぞれを中心カラムに巻き付ける。中心カラムは相互に接続した第1配管および第2配管を備え、複数の構造化固定床の第1の構造化固定床を第1配管に巻き付け、そして複数の構造化固定床の第2の構造化固定床を第2配管に巻き付ける。一部の実施態様では、中心カラムは複数の構造化固定床のうちの少なくとも2つの間に延在する有孔支持体に係合する第1配管および第2配管を備える。
いずれの実施態様でも、構造化固定床は第2の外側チャンバーまたは区画に挿入し、あるいはこれから取り外すカートリッジで構成することができる。
本開示の別な実施態様に係るバイオリアクターは細胞培養バイオリアクターである。このバイオリアクターは流体を撹拌する撹拌機を受け取る構成の第1チャンバーを有する基底部材で構成することができる。場合によって着脱式の、第1中心カラムは基底部材に取り付けることができ、この第1中心カラムが細胞を培養する第2の外側チャンバーおよび第2の外側チャンバーからの流体流れを第1チャンバーに戻す第3の内側チャンバーの少なくとも一部を形成する。
本実施態様では、あるいはいずれの実施態様でも、第2の外側チャンバーは第1の構造化固定床を有する。本実施態様では、あるいはいずれの実施態様でも、第1の構造化固定床は螺旋状床を有し、かつ第1中心カラムに巻き付けるか、あるいはこのカラムを包み込むことができる。第2中心カラムも第2の外側チャンバーの少なくとも一部を形成でき、そしてさらに第1の構造化固定床から垂直に離間した第2の構造化固定床を有する。第1および第2の構造化固定床の間に有孔支持体を設けることができる。
いずれの実施態様でも、第2の構造化外側チャンバーは非構造化床を有する。
本発明のさらに別な実施態様は流体接続した細胞を培養するバイオリアクターに関する。このバイオリアクターは流体撹拌用撹拌機を有する第1チャンバー、細胞を培養する複数の積層床を有する第2の外側チャンバー、および第2の外側チャンバーからの流体を第1チャンバーに戻す第3の内側チャンバーを有する。別な実施態様では、バイオリアクターは流体撹拌用撹拌機を有する第1チャンバー、細胞を培養する複数の積層床を有する第2の内側チャンバー、および第2の内側チャンバーからの流体を第1チャンバーに戻す第3の内側チャンバーを有する。
一部の実施態様では、バイオリアクターは第1チャンバーを有する基部部分、第2の外側チャンバーの少なくとも一部および第3の内側チャンバーの少なくとも一部を形成する中間部分、および中間部分に被さるカバー部分を有する。本実施態様では、あるいは他の実施態様でも、中間部分は複数の積層床からなる第1床を支持する第1支持体を有する。中間部分は複数の積層床からなる第2床を支持する第2支持体を有し、基部部分およびカバー部分に着脱自在に接続できる構成である。
一部の実施態様では、第2の外側チャンバーは外側壁と境を接する。バイオリアクターはさらにこの外側壁に対してスペースを形成する外側ケーシングを併用することができ、このスペースは第2の外側チャンバーを断熱、加熱または冷却するスペースである。
本発明のさらに別な態様は当該バイオリアクタープラットフォームと併用するバイオリアクターに関する。このバイオリアクターは流体とともに生じる細胞培養に好適である。ある実施態様では、このバイオリアクターは流体撹拌用撹拌機を有する第1チャンバー、細胞を培養する少なくとも一つの床を有する第2の外側チャンバー、および第2の外側チャンバーからの流体を第1チャンバーに戻す第3の内側チャンバーを有する。第2の外側チャンバーは外側壁と境を接し、さらにこの外側壁に対してスペースを形成する外側ケーシングを有していてもよく、このスペースは第2の外側チャンバーを断熱、加熱または冷却するスペースである。別な実施態様では、バイオリアクターは流体撹拌用撹拌機を有する第1チャンバー、細胞を培養する少なくとも一つの床を有する第2の内側チャンバー、および第2の内側チャンバーからの流体を第1チャンバーに戻す第3の外側チャンバーを有する。第3の外側チャンバーは外側壁と境を接してもよく、さらにこの外側壁に対してスペースを形成する外側ケーシングを有していてもよく、このスペースは第3の外側チャンバーを断熱、加熱または冷却するスペースである。
本実施態様では、あるいはその他の実施態様でも、少なくとも一つの床は螺旋状床や積層/層化床などの構造化固定床を有するが、非構造化床でもよい。内側チャンバーは(この床と別体でもよく、あるいは一部を構成してもよい)少なくとも一つの配管によって形成することができる。この少なくとも一つの配管は少なくとも一つの床と境を接する第1支持体および第2支持体に接続することができる。第1支持体および第2支持体は外側壁に接続してもよく、また第1支持体および第2支持体は少なくとも一部が有孔であってもよい。
本開示は第1および第2の積層した構造化床を備えたバイオリアクターに関する。このバイオリアクターはさらに第1および第2の積層した構造化床に当接するスクリーンを併用することができる。第1および第2の積層床は螺旋状床などの構造化床であってもよい。
本開示はバイオリアクターの中心カラムを形成する構造化固定床を有するバイオリアクターにも関する。構造化固定床としては螺旋状床を使用することができる。構造化固定床の内面に流体が透過しないため、構造化固定床に流体を戻して、例えば上から下に、再循環させる中心カラムを形成できる。バイオリアクターはモジュラー式であってもよく、場合によっては積層内の各床間に隙間またはスペースを残した状態で、複数の積層構造化固定床を設けることができる。
本明細書に記載するような小型バイオリアクターの場合、接種材料を(遠心分離などによって)濃縮しなければならない問題がある。さもなければ、バイオリアクターが接種材料量(最大作業量-最少作業量<非濃縮接種材料)に対処できなくなるからである。場合にもよるが、最大作業量を最小化するためにバイオリアクターを一部空にする必要が出てくる。
一般的に、バイオリアクター表面m当たり5,000~25,000の細胞量が必要である。600mのバイオリアクターの場合、これは3×1010~15×1010の生存し得る細胞量に相当する。これは相当な細胞量であり、9ないし10社の細胞工場の細胞採取量に相当する。
本開示は当該接種材料を濃縮する必要なくバイオリアクターに接種する方法にも関する。このために、本方法では再循環モードでバイオリアクターに接種し、プロセスの後段相で接種材料レシピエント(recipent)を変更する。
ある実施態様では、本方法は以下の工程を有する。
-バイオリアクターに培地を充填し、この培地のpHを平衡化する工程、
-細胞培地容量内に十分な量の細胞を有する接種材料を調製する工程であって、(遠心分離などによって)接種材料を濃縮しない工程。一例として、150mのバイオリアクターを使用対象として6Lの接種材料を調製できる。この接種材料はバッグやビンなどの接種材料レシピエントに入れる工程。
-接種材料レシピエントはバイオリアクターに接続し、好ましくは公知で目的にあう任意手段によって穏やかに撹拌する。
-バイオリアクターと接種材料レシピエントとの間に循環ループを確立し、細胞を培地とともに当該レシピエントから当該バイオリアクターに、あるいは逆に循環させる。循環は接種材料の容量およびバイオリアクターの大きさに応じて好適な時間量続行する。一般的に、循環時間は1時間から10時間の範囲にあるか、あるいは1時間から4時間の範囲内にあることができる。この時間までに、生存可能な細胞が当該バイオリアクター内部に存在する固定床に取り付き、そして固定される必要がある。生存できない細胞はバイオリアクターかレシピエントのいずれかの懸濁液中に残留することになる。
-いったん循環時間が終了すると、接種材料レシピエントは当該バイオリアクターから切り離される。
-細胞はバイオリアクター内部で増殖(バッチ増殖)し、この後細胞を含まない新たな培地を再循環させるか、好ましくは使い捨て容器などの再循環培地容器で再循環モードを続ける。一つの実施態様では、当該容器はバッグである。
上記方法では、細胞接種材料を濃縮する必要がなく、再循環ループ内に生存できない細胞や付着しない細胞が取り残される恐れはない。この方法は小型(固定床)バイオリアクターに効率よく接種でき、作業量を小さく抑えた状態で高細胞密度を確保できる。また(トリプシンなどの)細胞を収集するため使用する望ましくない賦形剤を除去できる。賦形剤を除去できなければ、細胞増殖に否定的な影響を与えることになる。ある実施態様では、バイオリアクターの接種密度は1×10~1×10細胞/cm、より好ましくは5×10細胞/cmなどの2×10~8×10細胞/cmである。ある実施態様では、採取時の細胞密度は5×10~5×10細胞/cm、より好ましくは1.5×10細胞/cmなどの1×10~4×10細胞/cmである。
ある実施態様の方法は次の通りである。
-所定容量の培地内に所定量の細胞を含有する接種レシピエントを、培地容量を備えたバイオリアクター結合する工程、
-前記接種レシピエントの内容物を前記バイオリアクターに循環させかつこのレシピエントに戻すことによって細胞を前記固定床に居つかせる(populate)工程、および
-循環の終了後に前記レシピエントを前記バイオリアクターから切り離す工程を有する固定床バイオリアクターの接種方法である。
当該方法を使用して、本明細書に開示するシステムに存在するバイオリアクターに接種する。
好適な実施態様では、状態調節はバイオリアクター容器内で実施できる。
(細胞増殖段階時に培地状態調整容器への再循環を利用するバイオリアクターなどを使用する)別な実施態様では、2つの再循環工程を利用する。即ち、接種時に第1再循環を行い、細胞の増殖時に第2再循環工程を行う。
ある実施態様では、培地の状態調整用(再)循環ループも設定することができる。このループが固定床リアクターを培地の状態調節容器に流体接続し、これによって状態調節容器内の細胞培養培地をバイオリアクターに送り出す。培地の状態調節容器からの培地が入り口を介してバイオリアクターに流入する。この入り口は細胞接種材料の注入ポートを備え、接種および細胞増殖を開始する。バイオリアクター容器には一つかそれ以上の出口を設け、これを介して細胞培養培地が容器から流れ出る。さらに、細胞または細胞産生物は出口を介して流出させてもよい。バイオリアクターからの流出物を分析するために、一つかそれ以上のセンサをライン中に設けることができる。一部の実施態様では、システムはバイオリアクターに流れ込む流れを制御する流れ制御ユニットを備える。例えば、流れ制御ユニットは(Oセンサなどの)一つかそれ以上のセンサから信号を受信し、この信号に基づいて、バイオリアクターに対して入り口の上流側にある(ペリスタティックポンプなどの)ポンプに信号を送信することによってバイオリアクターへの流れを調節する。従って、センサによって測定した一つかそれ以上のファクターの組み合わせに基づいて、ポンプがバイオリアクターへの流れを制御し、目的の細胞培養状態を求めることができる。
培地の状態調節容器は懸濁バッチ、流加培養バッチや灌流培養などのバイオプロセス分野において使用されている一般的なバイオリアクターで見られるセンサおよび制御素子を組み入れることができる。限定する意図はないが、DO酸素センサ、pHセンサ、脱酸素器/ガス散布ユニット、温度プローブ、および栄養素添加/塩基添加ポートを例示できる。散布ユニットに供給するガス混合物はN、OおよびCOなどのガス流れ制御器によって制御できる。培地の状態調節容器には培地混合用インペラを組み込む。上記にリストアップしたセンサによって測定されたすべての培地パラメータは培地の状態調節容器に連絡し、細胞培養培地の状態の測定および/またはこれを目的のレベルまでにする調節を実行できる培地の状態調節制御ユニットによって制御できる。ある実施態様では、培地の状態調節容器はバイオリアクター容器とは別の容器とするため、細胞を培養する培地とは別の培地の状態調節を実施でき、次に状態調節を行った培地を細胞培養スペースに供給できる点で有利である。
このため、本明細に記載するシステムには接種材料レシピエントを当該バイオリアクターに結合する手段および接種材料および場合に応じて新たな状態調節培地を前記バイオリアクターに再循環させる手段を設けることができる。接種材料レシピエントは本明細書に記載する3つのチャンバー(バイオリアクター、プロセスチャンバー、または下流側チャンバー)のいずれかの内部に存在できるが、前記バイオリアクターチャンバーの内部に存在するのが好ましい。ある実施態様では、接種材料はスキッド(skid)に設ける。
さらに別な態様では、本開示は生体分子の産生システムにも関し、このシステムは細胞収集物の生体分子を精製または濾過できる一つかそれ以上の精製装置または濾過装置およびバイオリアクターを受け取る構成のバイオリアクターチャンバーを有する。一つの実施態様では、当該バイオリアクターチャンバーがバイオリアクターを有するバイオリアクターキャビネットとペア化した際に送電、(信号)送信および/またはデータ送信できる接続器を設ける。ある実施態様では、システムは追加処理、製薬化あるいは包装用のモジュールなどの別なモジュールに結合する。
好適な実施態様では、システムは93cm×200cmのドアを通過できるパッケージの形で設計できる。さらに、システムは保守が容易になる形で設計でき、重要な各部はリフトやその他の特別な工具を使用せずに二人の作業員によって簡単に取り外すことができ、また各部の保守作業時間は2時間未満である。
全体を覆うケーシングはシステムの主構造体である。実施可能な実施態様では、寸法は2445mm×2496mm×950mmである。一部の実施態様では、プロセスチャンバーおよび下流側チャンバーのフィルター数に応じてシステムの長さを短縮できる。一つの実施態様では、全体ケーシングの設置面積は約2m~約10mであるが、好ましい設置面積は約3m~約5mであり、より好ましい設置面積は約3mである。
別な実施態様では、システムには全体を本明細書に援用するPCT/EP2020/084317およびUS2021 002 4868に記載されているバイオリアクターを設ける。短く説明すると、このバイオリアクターは固定式の細胞培地および細胞培地床に液体を送り込む撹拌機を備え、この撹拌機は容器内に設置する。ある実施態様では、撹拌機は導管に接続する。ある実施態様では、導管は気泡を容器に送る注入器を備える。ある実施態様では、この撹拌機は注入器から発生する気泡を第1の気泡よりも小さな第2の大きさの第2気泡に転換し、液体とともに細胞培養床に送り出す。大きさが小さいため、第2気泡はスペーサー層および固定床の隣接細胞固定化層(あるいは他の利用可能な経路)が形成するチャネルに効率よく流れ込む。このため、固定床内で増殖する細胞の酸素化がさらに亢進し、インペラの速度および液体流量を増加させる必要はない。さらに、ガスが撹拌機容器内に、あるいはその近くに放出され、結果として流れが生じ、バイオリアクター内に有害な空気ポケットが発生しない。よく知られているように、この空気ポケットはバイオリアクターの運転を中断しない限り除去がきわめて難しい。
ある実施態様では、このシステムは制御ソフトウェアを装備する。このソフトウェアによってシステム内のパラメータ測定値を収集、伝送、処理および可視化できる。さらに、この制御ソフトウェアはこれらパラメータを調節することもできる。限定するわけではないが、パラメータとしてはpH、温度、溶存酸素、容量または容積、栄養分、レベルおよび膜貫通圧力を例示できる。ある実施態様では、制御ソフトウェアはシステム動作が適正でない時に警告信号を表示できる。ある実施態様では、ネットワークへの接続を介してシステムに遠隔アクセスできる。ある実施態様では、制御システムに接続したスマートタブレットを介して使用者がシステムを制御する。
システムは搬送を可能にする車輪または軌道を備えた可動式システムである。
ある実施態様では、システムは壁部に装着できるように設計する。好適な実施態様では、生体分子の非産生時にシステムを保守できるようにこのシステムを車輪に設置する。一部の実施態様では、車輪にブレーキおよび方向ロックを取り付け、システムの不必要な動きを防止する。
好適な実施態様では、各チャンバーは当該チャンバーの動作域に対向して壁シートまたはバックシートを有する。この壁シートまたはバックシートには当該チャンバーの機能発揮に必要なポンプ、配管、電気ソケットおよび/またはマニホールドから選ぶ一つかそれ以上の機器を設ける。
前記バックシートは好ましくはチャンバー背部の垂直な金属シートで、当該チャンバーを制限する。一つの実施態様では、このバックシートは、少なくとも対応するチャンバーで使用されるプロセス機器および使い捨てマニホールドを支持する。さらに別な実施態様では、バックシートはすべてのプロセス機器(即ちポンプ、弁、センサ)および使い捨てマニホールドを支持する。ある実施態様では、システム内で実行されるプロセスに応じて、モジュール式バックシートの型、特定のハードウェアを備えた異なるバックシートを設計し、将来のニーズや条件に備えて互換性や交換に対処できる設計を行う。複数のバックシートは一体化し、異なるプロセスニーズに答えるものとする。さらに、これらバックシートの併用および位置は任意の時点においてその場で調節し、多品製造を容易に行うようにする。各バックシートについては、モータ、ネットワークケーブル、電源などのすべての構成部材をこのシートの背部に装着した状態で、オペレータがアクセスするすべての機器および装置とともに設計する。このように設計すると、保守が容易になり、アクセス度が高くなり、粒子が減少し、また安全性が高くなる。
一部の実施態様では、システム内の各チャンバーの使用者が取り扱う領域はフロントウィンドで保護する。一つの実施態様では、当該フロントウィンドには隙間を設け、操作時にアクセスできるようにするのが好ましい。さらに別な実施態様では、フロントウィンドは封着できるようにする。ある実施態様では、ウィンドの開口はロック装置によってロックできる。ある実施態様では、当該ロック装置は制御ソフトウェアによって制御できる。ある実施態様では、ソフトウェアが命令を発し、プロセスの開始準備が整い次第ロック装置をロックし、プロセスの全期間を通じてロック装置をロック状態に維持する。ある実施態様では、チャンバーの左側部ドアにはロック装置が備わる。ある実施態様では、当該ロック装置は電源部分と電源投入後にブロックされるステンレス鋼部分からなる電磁石である。ある実施態様では、2つの部分は1000Nの力でブロックする。ある実施態様では、ウィンド開口は一つ以上のロック装置でロックされる。ある実施態様では、ウィンド開口は3つのロック装置でロックされる。ある実施態様では、ウィンドはシステムの運転時にロックする。ある実施態様では、システムの緊急停止装置を作動する。即ち、すべての動作中のアクチュエータをプロセスチャンバー内で停止し、ロック状態のウィンドへの力の印加時にプロセスを保留状態に設定する。ウィンドおよび側部ドアをロックすることによって、オペレータの安全を保障するとともに、(チャンバーの上部から来る)空気層流の効率を確保する。
ある実施態様では、システムの全体ケーシングはフロントウィンドを有し、作業スペースとともに200mmを始めとする100~300mmの隙間を有する。この隙間があるため、プロセスチャンバーから空気を排気でき、運転時にこれにアクセスすることが可能になる。このような全体設計をもつため、オペレータがチャンバーの正面に位置できる。ウィンドは(熱可塑性)プラスチックやガラスなどの本分野に好適な任意の素材で構成してもよい。特に好適な実施態様では、当該ウィンドはプレキシガラスで構成する。このプレキシガラスは軽量で、ガラスよりも飛散防止性が強い。
ある実施態様では、ウィンドは開放でき、オペレータがより簡単にアクセスできる。当該ウィンドは垂直方向に開放でき、当該システムまたはチャンバーの側部に向けて、あるいは水平方向に、またはシステム上部に向けて開放できる。ウィンドは手動または自動開閉できる。
目的生体分子の産生タスクまたは精製タスクを完全に遂行することを可能にするために、当該バイオリアクターチャンバーにはバイオリアクターキャビネットを設ける。当該バイオリアクターキャビネットはバイオリアクターキャビネットおよびシステムに接続部品および受け取り部品を有する接続システムによってシステムに接続する。
一つの実施態様では、バイオリアクターキャビネットおよびシステム間を接続し、バイオリアクターキャビネットをシステムにドッキングするため、両者を堅く相互接続でき、生体分子の産生時バイオリアクターキャビネットがシステムから外れることがない。好適な実施態様では、磁気接続を利用する。当該磁石としては電磁石を使用することができ、電流によって磁場を発生する。永久磁石よりも電磁石の有利な点は電流量を制御することによって磁場を素早く変更できる点にある。本願発明では、磁石、より具体的には電磁石を使用することによってシステムの安全性がより強くなる。バイオリアクターの産生システムへの権限のないドッキングやこれから権限のない取り外しを防止できるからである。当該システムは当該バイオリアクターキャビネットの磁石と相互作用する対応する磁気部品で構成することができる。ある実施態様では、当該磁気接続はソフトウェアによって制御する。
またドッキングを行いかつ機能を発揮させるために、バイオリアクターキャビネットに、生体分子産生システムとペア化した際に送電、(信号)送信および/またデータ送信を行う接続器、および当該生体分子産生システムへの接続を行う好ましくは磁気接続を設ける。ある実施態様では、当該接続器は接続部分および受け取り部分で構成することができる。当該接続部分は当該バイオリアクターキャビネットに配置し、当該受け取り部分を当該バイオリアクターチャンバー内の凹部に配置することができる。あるいは、この構成を反対にしてもよい。ある実施態様では、磁気接続の電源部をシステムに配置し、磁気接続のステンレス鋼部はバイオリアクターキャビネットの背部に設ける。ある実施態様では、一旦電源を投入した後は、これら2つの部分はブロックされることになる。ある実施態様では、これら2つの部分は1000Nの力でブロックする。
ある実施態様では、バイオリアクターキャビネットのオス接続器は産生システムのメス接続器に接続する。好適な実施態様では、オス接続器とメス接続器とを正確に接続するために、メス接続器はセンタリングピンを備えていてもよい。
好適な実施態様では、接続器としてモジュラー式接続器システムを使用でき、このシステムでは電源と信号接点、イーサネット、光学ファイバー、同軸接点、油圧カップリング、空気圧カップリングおよび熱カップリングとを小型フレームまたはハウジング内において併用できる。このモジュラー式接続器システムは接続の具体的な必要条件に従って構成できる。好適な実施態様では、これら接続器は防水性である。
バイオリアクターキャビネットについては、信頼性が高く、またプラグ接続可能な状態で送電、(信号)送信およびデータ送信が可能な工業用接続器に接続することになる。
当該バイオリアクターキャビネットとしては上記のバイオリアクターキャビネットが好ましい。一部の実施態様では、システムのバイオリアクターキャビネットは処理チャンバー面から突き出ている。このため、システムを使用するオペレータにとって人間工学的な条件が改善するため、バイオリアクターキャビネット内の各種要素へのアクセスがより簡単になる。
ある実施態様では、バイオリアクターキャビネットおよびバイオリアクターチャンバーは独立型生体分子産生システムとして機能できる。別な実施態様では、バイオリアクターチャンバーおよびバイオリアクターキャビネットは一つかそれ以上の上流側(プロセスチャンバー)または下流側チャンバーに接続する。
ある実施態様では、バイオリアクターキャビネットをバイオリアクターチャンバーに接続してから、バイオリアクターキャビネットおよびバイオリアクターチャンバーを上流側(プロセスチャンバー)または下流側チャンバーに精製または清澄化用として接続する。
ある実施態様では、(上流側処理用か下流側処理用のいずれかの)バイオリアクターチャンバーおよびプロセスチャンバーは予め組み立てておく。ある実施態様では、バイオリアクターチャンバーを下流側チャンバーに接続し、別な実施態様ではバイオリアクターチャンバー/プロセスチャンバーを下流側チャンバーに接続する。
本システムおよび当該システムのチャンバーには、当該バイオリアクターの採取物をさらに精製または濾過できる装置を設けることになる。採取物はバイオリアクターを発生源とする培地を含有するか、あるいはバイオリアクター内で培養された細胞の溶解物(lysate)である。当該精製手段は細胞デブリ、脂質、ホスト細胞タンパク質やDNAの清澄化、凝集、沈殿だけでなく、上澄みの濃縮を目的とする限界濾過、タンジェンシャル流れ濾過、あるいは化学的状態(pH、導電性、イオン強度など)の変更のうちの一つかそれ以上を併用して構成することができる。当該手段としては捕捉モードやフロースルーモードでのクロマトグラフィーを挙げることができ、クロマトグラフィーはパックモード、モノリスモード、膜系モードまたは流動床モードで実施でき、クロマトグラフィーを流動床モードで実施する場合、沈殿や遠心分離によって分離した古典的な培地や外部磁場によって分離した(常)磁性培地を利用できる。また、上記手段のうち任意の手段を併用することも可能である。
このような装置としては、一つかそれ以上のクロマトグラフィーに限定するものではないが、アフィニティークロマトグラフィー、(アニオンまたはカチオンなど)イオン交換クロマトグラフィー、疎水性インターアクションクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、抗IgM樹脂、タンパク質A、タンパク質Gや抗IgG樹脂などの親和性樹脂を充填したカラムである免疫親和性クロマトグラフィー、あるいはこれらを併用した装置を挙げることができる。アニオン交換は採取した上澄みに含まれる異なる産生物間の電荷差を利用する交換である。中性荷電の産生物はアニオン交換クロマトグラフィーカラムカートリッジを止まることなく通過するが、荷電不純物は止まる。カラムサイズについては、被精製蛋白質のタイプおよび/または当該蛋白質を精製すべき溶液の容量に基づいて変更することができる。
このためにある実施態様では、当該バイオリアクターチャンバーにTFFなどの濃縮器、場合に応じてこの濃縮器からの流出物を受け取り、これを再循環させて当該濃縮器に、あるいは下流側プロセスに戻す構成の流体収集容器を設ける。好適な実施態様では、TFFなどの濃縮器だけでなく流体収集容器も当該バイオリアクターの前記バックシートに接続する。
ある実施態様では、チャンバーのバイオリアクターおよび濃縮器は当該バイオリアクターから当該濃縮器への液体輸送を容易にする導管によって接続する。あるいは、ある容器をシステム内に組み込む場合には、バイオリアクターから入り口を介してこの中間容器への流体輸送を容易にする導管によってバイオリアクターおよび当該容器を接続する。さらに、これら容器および濃縮器も当該容器から濃縮器までの流体輸送を可能にする濃縮器供給導管によって接続する。好適な実施態様では、濃縮器はピンチ弁などの一つかそれ以上の弁によって制御する。ある実施態様では、収集容器から濃縮器に液体をポンプ搬送する。さらに別な実施態様では、ポンプは使い捨てポンプである。好適な実施態様では、ポンプは使い捨て式のダイアフラムポンプである。ある実施態様では、収集容器は流体が濃縮器をバイパスできる導管で構成する。最終的には、濃縮器からバイオリアクターへの液体輸送を容易にする導管も設置できる。好適な実施態様では、収集容器は少量添加用の入り口を有する。好適な実施態様では、CO用の入り口を有する。好適な実施態様では、収集容器は一種かそれ以上の緩衝液を対象とする入り口を有する。一つの実施態様では、収集容器は一つかそれ以上のレベルセンサを有する。好適な実施態様では、収集容器は気泡トラップ接続用導管を有する。バイオプロセス時の発泡は解決すべき大きな技術課題である。バイオリアクターに使用する培地の発泡傾向は各種の直接的な微生物細胞の剥奪および汚染だけでなく、間接的な悪影響を引き起こす。即ち、化学的な脱気泡剤の添加により培地が変性し、これが微生物代謝レベルでの毒性につながり、また下流側処理装置の汚染につながる。ある実施態様では、システムはこのシステムから泡を除去する泡トラップを備える。
ある実施態様では、収集容器は収集容器の搬送を容易にする一つかそれ以上のハンドルを備える。ある実施態様では、中間容器として使い捨て式の、廃棄可能および/またはオートクレーブで処理可能な容器を使用することができる。当該容器の形状については、当業者にとって公知で、この目的に適う任意の形状でもよい。
ある実施態様では、システムの各部品および複数部品はシステムにリフトによって設置および/またはこれから取り外す。ある実施態様では、濃縮器(例えばTFFカートリッジ)、収集容器、ポンプヘッドおよび必要な配管はリフトによって搬送する。ある実施態様では、リフトは設置すべき各部品を搬送する車輪、および各部品を把持するホールダーを備える。ある実施態様では、リフトは収集容器のハンドルの間にホールダーを位置決めすることで収集容器(および接続部品)を把持する。
ある実施態様では、システム収集容器やバイオリアクターなどの一つかそれ以上の容器は使い捨て容器である。ある実施態様では、システムの容器の一つかそれ以上の容器は剛性容器である。ある実施態様では、システムの容器の一つかそれ以上は可撓性容器である。ある実施態様では、レベルセンサ、流量計、圧力センサ、温度センサやpHセンサなどのセンサ類はシステムの一つかそれ以上の容器内に設置するか、あるいは接続する。ある実施態様では、これらセンサは使い捨てセンサである。流量計は配管を介して外部から非浸襲的に流体をモニタである。ある実施態様では、流量計は濾過ポンプの後ろに設置し、これを使用して濾液流れを測定する。ある実施態様では、流量計を透過導管に設け、これを使用して透過流を測定する。圧力センサはシステムを過剰圧力から保護する。好適な実施態様では、単独の圧力センサをシステム内の全ポンプの下流側に設ける。ある実施態様では、収集容器のレベル測定は20cm範囲にあるレベルを測定する3つの容量式レベルセンサで行う。ある実施態様では、レベルセンサの一部はバックシート上のプロセスチャンバー内に設けるため、収集容器に接触させて運転する必要がある。レベルセンサによって、収集容器内の液体レベルを連続的に測定できる。ある実施態様では、システムは一つかそれ以上のpHセンサを備える。ある実施態様では、収集容器がpHセンサを有する。ある実施態様では、pHセンサは収集容器内部の流体に接触するpHプローブおよびトランスミッタを備える。ある実施態様では、pHプローブは使い捨てpHプローブである。ある実施態様では、pHプローブは何度でも使用できるpHプローブである。ある実施態様では、トランスミッタは使い捨てトランスミッタである。ある実施態様では、トランスミッタは何度でも使用できるトランスミッタである。好適な実施態様では、pHプローブは使い捨てpHプローブで、トランスミッタは何度でも使用できるトランスミッタである。ある実施態様では、バイオリアクターおよび収集容器へのガス流れは一つかそれ以上のマスフローコントローラ(MFC)によって制御される。ある実施態様では、3つのMFCを使用し、それぞれ空気、COおよびOを利用してバイオリアクター内部のpHおよびDOを制御する。ある実施態様では、一つのMFCを使用してOでスパージャー内部のDOを制御する。ある実施態様では、一つのMFCを使用し、空気またはCOで収集容器内のpHを制御する。ある実施態様では、複数のMFCをMFCブロック内でグループ化する。さらに別な実施態様では、MFCブロックはバイオリアクターキャビネット内部に設ける。ある実施態様では、MFCブロックはバイオリアクターチャンバーの電気キャビネット内に設ける。
システムの濃縮器については、当業者にとって公知な、標的生体分子が存在する液体の容量を減量するために好適な多数の装置から選択する。一部の実施態様では、濃縮器は(タンジェンシャル流れフィルターなどの)一種の濃縮装置を備える。一部の実施態様では、濃縮器は2種以上の濃縮装置(タンジェンシャル流れフィルターおよびデッドエンドフィルターなど)を備える。これら装置の大半は濾過および/またはサイズ排除クロマトグラフィーに基づく。一つの実施態様では、濃縮器は濾過装置、より好ましくは精密濾過装置、透析濾過装置、あるいは精密濾過と透析濾過を併用した装置である。システムに標的生体分子が存在する液体の容量を小さく抑える透析濾過装置を設ける場合、この装置の膜に水および一般には透過物と呼ばれている低分子量溶質が通過するが、生体分子などのマクロ分子は濃縮液ないし副産物(retentate)内の膜に保持される。
ある実施態様では、当該TFFには標的生体分子のほぼすべてを保持するのに十分な多孔度をもつ細孔を有する少なくとも一つの中空繊維を設けるが、増殖培地や溶質などのより小さな汚染物は膜の細孔を通過できる。液体は膜または床を通過するが、固形物はフィルターに捕えられるデッドエンド濾過とは対照的に、TFF装置ではタンジェンシャル流れフィルターの表面を横断できるため、TFF内に濾過ケーキは発生することはない。別な実施態様では、当該TFFにはタンジェンシャル流れが生起するカセット/カートリッジを設けることができる。さらに別な実施態様では、当該TFFは単一パス方式タンジェンシャル流れ濾過(SP-TFF)である。この装置は抗体などの蛋白質を精製する際に特に有利である。一部の実施態様では、TFFは面積が約1000cm~約2000cm、好ましくは約1500cmの膜を備える。TFFは再使用することができ、もう一度使用することができ、および/または廃棄することができる。一部の実施態様では、TFFはプラグアンドプレイ(plug and play)である。
さらに別な実施態様では、キットを設ける。このキットはTFFカートリッジおよび予め組み立てておいた一つかそれ以上のマニホールドで構成する。この一つかそれ以上のマニホールドは配管、殺菌接続器を有し、そして場合に応じて一つかそれ以上の圧力センサを有するのが好ましい。一つの実施態様では、当該一つかそれ以上の圧力センサは廃棄できる。
上記のように、本システムにはバイオリアクターの入力部または容器の入力部への濃縮液/副産物(retentate)の再循環を仲介する濃縮液/副産物用導管を設ける。本システム内に濃縮器としてTFF装置の実装に付随する作用効果は、TFF装置が連続灌流プロセスでの運転に適合する点である。このため、培地容量を大きく濃縮できる。
好適な実施態様では、TFFを付設した収集容器はバイオリアクターの後ろにあるバイオリアクターチャンバーの中心に位置する。TFFは支持体を利用して収集容器に接続する。収集容器-TFF-およびTFFポンプ装置はシステムのバックグランド金属シートに取り付ける。一つの実施態様では、収集容器およびTFFについては、一旦バイオリアクターのキャビネットを取り外した後に設けてもよく、あるいは外してもよい。さらに別な実施態様では、5リットル未満の試薬を添加するため、バックを吊るすために支持部をバイオリアクターのチャンバー内に形成する。
一つの実施態様では、収集容器にポンプを使用してバイオリアクターの採取細胞を充填する。収集容器-TFFをバイオリアクターまたは気泡トラップへのマニホールド接続は無菌接続として行う。ベンゾナーゼおよびNaClをバッグ内で調合し、バッグ支持体(即ちフック)を使用して、これらバッグをプロセスチャンバー内に吊り下げる。一つの実施態様では、一基の単独ポンプを使用してこれらの試薬を収集容器に添加する。容量精度を維持するためには、バッグに正確な試薬量を充填するか、あるいは流量計で蠕動ポンプを制御する必要がある。収集容器内の均質性については、TFFポンプを使用してTFFを再循環する再循環ループによって確保する。透過液ラインからくる廃棄物は(システムの外側にある)廃棄物タンク/容器/バッグ/ラインに収集し、この廃棄物タンク/容器/バッグ/ラインへの接続は無菌接続として行う。好適な実施態様では、当該タンク/容器/バッグ/ラインはベントシステムおよび/またはチェックバルブを備え、逆流が起きないようにする必要がある。理想的には、切断システムを採用する必要がある。一部の実施態様では、TFF濃縮後にさらに精製または濾過を行う装置に産生物を送る。これら精製装置または濾過装置の直前に気泡検出器を設け、収集容器が空になった時点を検出するとともに、気泡または液体の存在を確認する。ある実施態様では、気泡検出器は超音波センサを備える。一つの実施態様では、産生物ロスを最小限に抑えるために、収集容器およびTFFは洗浄する。一つの実施態様では、チェーシング緩衝剤を収集容器およびTFFループ内に添加し、場合に応じてループ内のチェーシング緩衝剤を一定の時間再循環させ、産生物量を小さくする洗浄を行う。洗浄後、プロセス空気をTFFの入り口に送り、産生物を押し、デッド容量をできるだけ小さくする。さらに別な実施態様では、収集容器を排水するため、空隙容量も小さくなる。ある実施態様では、サンプリング装置を収集容器に接続し、サンプルを集める。さらに別な実施態様では、サンプリング装置は収集容器の上部に接続する。
収集容器の一般的な目的はガンマ線を照射した“プラグアンドプレイ/使用準備”溶液を得ることにある。ある実施態様では、容器をポリプロピレン設計で構成し、ホールダー使用して側部にTFFを吊り下げることができるようにする。選択したTFFにガンマ線を照射し、ガンマ線に対して安定なマニホールド(収集容器+ポンプ+TFF)を完成する。
本開示に係るシステムの実施態様は第1にバイオリアクターを有するバイオリアクターキャビネットを有するバイオリアクターチャンバーを備える。バイオリアクター内で処理を行い、培養した細胞から生体分子を産生する。得られた産生物は場合に応じて、バイオリアクターチャンバーに接続し、かつ隣接するプロセスチャンバー内で精製する。ある実施態様では、培養した細胞はさらに処理する前に溶解する。ある実施態様では、さらに処理する前に培養細胞からDNAを取り出す。このプロセスチャンバーは一つかそれ以上の精製装置、清澄化装置または濾過装置を備え、細胞採取物の生体分子を精製または濾過する。
別な態様では、本開示は生体分子の産生システムにも関する。このシステムは細胞採取物の生体分子を精製、清澄化または濾過する一つかそれ以上の精製装置、清澄化装置または濾過装置を有するプロセスチャンバー、下流側チャンバーおよびバイオリアクターを受け取る構成のバイオリアクターチャンバーを備える。当該バイオリアクターチャンバーは当該プロセスチャンバーと当該下流側チャンバーとの間に位置し、これら両チャンバーに流体接続する。当該バイオリアクターチャンバーには接続器を設け、バイオリアクターおよび当該バイオリアクターキャビネットに接続する接続システムを有するバイオリアクターキャビネットとペア化する際に送電、(信号)送信および/またはデータ送信を行う。別な実施態様では、バイオリアクターチャンバーはプロセスチャンバーと下流側チャンバーには設けず、システムの外側に設ける。
ある実施態様では、流体接続は一つかそれ以上の介在するマニホールド、容器、装置などを有する。
ある実施態様では、前記の一つかそれ以上の濾過装置または精製装置は出口ラインと液体接続し、当該出口ラインは当該濾過装置または精製装置に対して平行に位置し、垂直方向に立ち上がり、当該出口ラインに垂直流れを引き起こす部分を有する。
ある実施態様では、プロセスチャンバーは深層濾過システムを備える。この濾過システム内のフィルター数は任意に変更できる。ある実施態様では、プロセスチャンバーの壁部の一つかそれ以上は自立式構成であるため、プロセスチャンバーを拡張でき、また濾過システム内にフィルターを余分に付設できる。フィルターをシステムの側部に設けるため、膨大な数のフィルターを設ける必要があっても、それに十分対処できる設計である。フィルター数はシステム寸法に直接影響するものである。ある実施態様では、深層濾過システムは一つかそれ以上の高性能ポリエーテルスルフォン(PES)液体フィルターを備える。
一つの実施態様では、プロセスチャンバーはこのチャンバーにおいてプロセスを実施するために必要な装置、機器および使い捨てマニホールドを有する。一つの実施態様では、プロセスチャンバーは生体分子の産生に必要な装置、機器および使い捨てマニホールドを有する。別な実施態様では、プロセスチャンバーは遺伝子治療法に必要な装置、機器および使い捨てマニホールドを有する。さらに別な実施態様では、プロセスチャンバーは抗体の産生に必要な装置、機器および使い捨てマニホールドを有する。さらに別な実施態様では、プロセスチャンバーはウィルスワクチンの産生に必要な装置、機器および使い捨てマニホールドを有する。プロセスチャンバーの場合、機器、装置、マニホールドや無菌接続部品に簡単にアクセスできるものでなければならない。作業スペースは地上約90cmの位置にあり、オペレータが立ったまま作業を実施できる。
プロセスチャンバー内で行うプロセスは一つかそれ以上のモジュールに分割できる。一つの実施態様では、プロセスチャンバーは複数のモジュールを有する。別な実施態様では、一つかそれ以上のモジュールに対応するハードウェアを設置するか、あるいは一つかそれ以上のパネル内に少なくとも部分的に設置する。さらに別な実施態様では、各モジュールはハードウェアを設置した一枚の(あるいは複数枚の)パネルである。一つの実施態様では、すべてのパネルはプロセスチャンバーに対して固定する。モジュラー式構成/パネルの場合、将来の需要や必要性に応じて相互変換でき、またこれに簡単に対処できる。各パネルについては、オペレータがすべての機器や装置にアクセスできる状態で設計し、その背部にモータ、ネットワークケーブルや電源などのすべての技術的構成要素を設置するのが好ましい。一つの実施態様では、パネルはバックエンドキャビネットの一部を形成する。一つの実施態様では、バックエンドキャビネットはモジュラー式設計である。
一次清澄化として知られているこの第1精製工程や濾過工程の終了後に、採取物をバイオリアクターチャンバー内で濃縮する。濃縮器としては例えばTFFを使用できる。場合に応じて、透析濾過(diafiltration)を使用して採取物をバッファ交換する。
透析濾過はより小さな分子を膜洗浄し、対象となる分子を濃縮液に維持する分別プロセスである。透析濾過は塩や交換バッファを除去するために使用できる。即ち、限外モジュールは一つのバッファを別なバッファに交換するために使用でき、透析用のより効率の高い代替モジュールである。透析濾過はpHを中和するために使用でき、(細胞産生物を濃縮する)濃縮工程として利用できる。
さらに別な実施態様では、本システムは当該バイオリアクアーチャンバーの側面に下流側チャンバーを備える。下流側チャンバーでは、バイオリアクターチャンバー内の濃縮工程(およびバッファ交換工程)後に採取物をさらに場合に応じて清澄化処理する。この工程は二次清澄化工程として知られている。
ある実施態様では、当該下流側チャンバーは当該バイオリアクターチャンバーおよび/またはプロセスチャンバーに流体接続する。好適な実施態様では、当該下流側チャンバーは当該バイオリアクターチャンバーに流体接続する。別な実施態様では、下流側チャンバーの精製装置または清澄化装置は最初に産生物をみる前にこれを廃棄物タンクに流す。この後、収集容器が空になるまで収集容器の産生物を下流側チャンバーの装置に送る。さらに別な実施態様では、特定の時間チェーシングバッファで装置を洗浄する。このチェーシング工程には収集容器の洗浄サイクルおよびTFFを併用する。バッファはシステムの外側に用意し、培地に関して左側でシステムに導入する。一部の実施態様では、具体的に使用するポンプについてはバッファを添加するようにスケジュールを組む。ある実施態様では、プロセスチャンバーから収集容器および廃棄物容器に採取物を移す装置(所謂バイオハーベスト供給装置)を設ける。
別な実施態様では、(透析濾過バッファ装置と呼ぶ)装置を設ける。この装置はプロセスチャンバーの透析濾過バッファ供給管から始まりバイオリアクターチャンバーの収集容器および下流側チャンバーの二次清澄化システムで、あるいはバイオリアクターチャンバーの収集容器から下流側チャンバーの二次清澄化システムで終了する。ある実施態様では、この透析濾過バッファ装置はバッファ供給装置に接続する。このバッファ供給装置がバッファを清澄化フィルターに送り、フィルターを濡らし、プライミングの用意を整える。ある実施態様では、このバッファ供給装置は4つの入り口接続および使い捨てポンプヘッドを備える。
別な実施態様では、(浸透液/廃棄物装置と呼ぶ)装置が下流側チャンバー内のTFF浸透液および廃棄物容器に接続する。さらに別な実施態様では、(バルク産生物出口装置と呼ぶ)装置が二次清澄化装置または透析濾過バッファ装置を廃棄物容器および移転用バッグに接続する。
本発明はさらに清澄化フィルターなどのフィルターをベントする革新的な方法を提供するものでもある。使用に先立ち、これらのフィルターの場合プライミングの準備を整え、ベントする必要がある。古典的な方法では、ポンプによってプライミング溶液の添加によってフィルターに無菌ベントする。このベントはプライミング溶液がベントライン(一般にフィルター上部)に達するまで行う。溶液添加時、当該フィルターの出口ラインは閉じる。この閉じた状態では、プライミング溶液の一部が当該フィルターに接続したボトルに流入する。この溶液がベントラインに達すると、ポンプが停止し、ベントラインが(手動)クランプまたはピンチ弁などによって閉じる。この時点で、フィルターがプライミングし、これをベントする(フィルター内部に空気はない)。一旦出口ラインが再び開くと、フィルターが使用できる。この操作は手動操作なので、いくつかのリスクが伴う。実際、オペレータがプライミング溶液のベントラインに達したことを見逃した場合、ベントに接続したボトルがプライミング溶液によって急速に充填され、ボトルのベントに目詰まりが発生する。この結果、圧力が高くなり、圧力が過剰になり、漏れの危険が生じることになる。さらに、フィルターが透明ではなく、従ってオペレータ(複数の場合もある)がフィルター内部のレベルが高くなっているかどうか、あるいはどの程度まで高くなっているかを視認できなくなる問題が生じる。
結論すると、上記操作には最大限のケアと注意が必要なために、この操作には少なくとも二人のオペレータが必要である。大半の場合、これらオペレータが流量を手動調節し、この工程を注意しながら行うことになる。オペレータ(複数の場合もある)は液体がベントラインに達した際に直ちにこれに対応し、ポンプを停止しなければならない。
この工程の自動化は難しくリスクが伴う。使用する廃棄式マニホールドおよびフィルターは通常高圧に耐えることができないからである。
本発明は上記問題の解決策を提供することを目的とする。このために本発明では、清澄化フィルターなどのフィルターを、上記リスクを回避できかつ上記問題を解決できる新規かつ革新的な方法でベントしかつプライミングする。
本発明方法では、フィルターに接続し、このフィルターを上方移動させるライン(垂直上昇配管)を使用し、連通容器の原理によってこれをフィルター内部のレベルに到達させる。このように構成すると、出口ラインがフィルターと平行関係で充填され、同じレベルに到達する(連通容器原理)。この後者によって、出口ラインがプライミング時およびベント時に開いたままになり、圧力が過剰になることがなくなる。システム内の圧力の一部が過剰になると、プライミング溶液が出口ラインの内部に押し込まれることになる。
詳細には、本方法では以下の工程を利用する。即ち、
-ベントライン(フィルターの上部)が開き(自動ピンチ弁)、ベントを有する殺菌ボトルに接続する。出口ラインをフィルターに設け、当該出口ラインの一部を当該フィルター(複数の場合もある)に対して垂直かつ平行に立ち上げる。
-ポンプによってプライミング溶液をフィルターに添加する。この溶液がフィルター(複数の場合もある)を充填している状態で、出口ラインの垂直部も充填する。フィルターが完全に充填され、そして溶液が当該フィルターのベントラインに達するまで充填は続ける。ベントラインに達したことはバブルセンサなどの液体センサによって検出する。当該液体センサは当該出口ラインの垂直部に存在するのが好ましい。
-一旦ベントラインに達した後は、ベントラインを閉じる(自動ピンチ弁)。この工程で、フィルターをプライミングしかつベントし(内部には空気は存在しない)、ここでフィルターは使用できる。
場合に応じて、(デジタル)圧力センサを配設し、これを使用して、緊急時や技術的問題の発生時にシステムを停止できる。
上記方法によって一旦ベントラインを閉じた後直ちにフィルターが使用可能になる。これによって、手動操作は絶対最小値に限定でき、プライミング/ベント時に都合の悪いことが生じるリスクを最小限に抑えることができる。
ある実施態様には、清澄化フィルターなどのフィルターをベントしかつプライミングする方法を示す。この方法では、当該フィルターは出口ラインに液体接続し、当該出口ラインは当該フィルターに平行に位置し、垂直方向に立ち上がる部分を有するため、当該出口ラインに垂直流れを形成できる。また、プライミング溶液はポンプによって当該フィルターに加え、そして当該プライミング溶液はプライミング時当該フィルターおよび当該出口ラインの当該垂直部分を充填する。
当該充填処理は溶液が当該フィルターのベントラインに達するまで続き、その後にベントラインが好ましくは自動的に閉じる。
上記方法は本明細書に記載するシステムに使用できる。このために、清澄化フィルターなどのフィルターに出口ラインを設けることができ、この出口ラインは当該フィルターに平行に位置する垂直部分を有し、当該フィルターに液体接続する。(当該フィルター上部にある)ベントラインを開閉する構成の自動ピンチを採用する。バブルセンサなどのデジタル液体検知器はベントラインに配置でき、漏れを防止し、あるいは緊急時にシステムを停止させることが可能になる。
生体分子を積極的に産生する実施態様では、当該システムはバイオリアクターキャビネットとペア化する。
好適な実施態様では、バイオリアクターキャビネットはシステムの中央部に配設する。この位置では、オペレータがよりよくアクセスでき、配設面積も小さい。
システムから取り外し可能な独立したバイオリアクターキャビネットとペアリングするため、プロセスの他のすべての要素へのアクセスが改善する。バイオリアクターキャビネットの取り外し時にオペレータがシステム内部に立ち入ることができるからである。同様に、マニホールド設置時に、バイオリアクターキャビネットをシステムから取り外し、そしてバイオリアクターおよび容器を設置する。その後に、バイオリアクターキャビネットをシステムに再接続できるため、人間工学的な制約を改善できる。
ある実施態様では、流路の一部、細胞培地、バッファ、廃棄物容器あるいは原薬容器のうちの一つかそれ以上はバイオリアクターキャビネットの外側に設け、標準的な無菌接続器で接続する。
好適な実施態様では、システムは可動式である。このために、チャンバーは移動を可能にする車輪やその他の要素で構成することができる。車輪を付設すると、システムを移動かつ搬送できる。
ある実施態様では、システムはGMP製造領域内に設置できる設計を取る。なお、清浄化を目的として、システムは簡単に異なる場所に搬送できる。ある実施態様では、システムは標準的なVHPデコンタミネーションサイクルなどに耐性を示す設計を取る。ある実施態様では、システムは室内環境のみに適合し、室温を周囲温度に維持する必要がある。
本発明の好適な実施態様では、システムはシステム周囲から空気を抽出し、当該空気を好ましくはHEPAフィルターによって濾過し、かつ濾過された空気を当該システムチャンバーに送るHVACシステムを有する。
HVACシステムは適正な品質レベルの空気をシステムチャンバーに供給でき、産生物に対する保護を強化するシステムである。好適な実施態様では、換気を行い、システムチャンバーにCグレードの環境グレードISO 7(ISO14644に定義されている)を確保する。
好適実施態様では、空気は周囲のグレードCまたはDエリアから抽出し、HEPA(H14)で濾過し、システムチャンバーに吹き込む。作業プランレベルのウィンドギャップによってシステムから排気する。(作業エリア内の)システムチャンバー内部の空気流(下向き流)の好ましい速度は作業プランおよびバックシートから15cmの位置で0.45m/sである。好適な実施態様では、HVACシステムは相互に取り付けた3つのブロックで構成する。各ブロックがファン付きの一つのフィルターHEPA(H14)を有し、各HEPAは完全性試験を行うことができ、また一人のエンジニアによる交換が簡単で、ファンは一人のオペレータによって簡単に交換できるとともに、保守作業のためにアクセスできる。100%DOP中心接続については、当分野では完全性試験が簡単であるとみられている。ある実施態様では、各HEPAフィルターは磁気インジケータによってモニタできる。ある実施態様では、一つかそれ以上のシステムチャンバーの上に膜拡散スクリーンを設け、これらチャンバー内部に均質な空気流を発生する。ある実施態様では、膜拡散スクリーンはステンレス鋼フレームおよびステンレス鋼メッシュを有する。
一部の実施態様では、HVACシステムは当該チャンバーの上部に配設する。好適な実施態様では、このシステムは中心カラム周囲につなぎ、HVACシステムをカラム上端に設ける。好適な実施態様では、空気流は一方向のみに流れ、テクニカルエンクロージャのバックプレートとガラスとの間に案内される。ガラスは当分野で好ましいとされている任意の素材例えばプレキシグラス、ガラスやポリカーボネート(PC)で構成できる。
一部の実施態様では、システム内の各チャンバーの背部には電気キャビネットを設ける。この電気キャビネットが当該チャンバー内に存在する機器の電気部品を収容する。
機器に送電し、かつプロセスを制御する電気キャビネットはシステムの後側に一体化する。好適な実施態様では、これら電気キャビネットはバックシート、テクニカルエンクロージャおよび回路板用スペースで構成する。一部の実施態様では、電気キャビネットはステンレス鋼で構成され、システムの後ドアを開けることによりアクセスできる。バックシートは電気キャビネットに固定し、機器および電子部品を適正に固定する。一部の実施態様では、運転中の保守作業時にアクセスできる重要な構成部材については、チャンバーの正面部に設ける一方で、すべての端子ボックス、ワイヤおよび電子部品は背部に設け、運転時これらにはアクセスできない。好適な実施態様では、電気キャビネットについては取り外し、交換、取り換えおよび/または相互交換はいずれも可能である。ある実施態様では、電気キャビネットはモジュラー構成である。ある実施態様では、システムは少なくとも一つの電気キャビネットを備える。さらに別な実施態様では、システムは複数の電気キャビネットを備える。好適な実施態様では、システムは9つの電気キャビネットを備える。さらに別な実施態様では、システム(バイオリアクターチャンバー、プロセスチャンバーおよび下流側チャンバー)内のチャンバーのそれぞれは3つの電気キャビネットを備える。
さらに別な態様では、本発明はタンパク質、ウィルス、ウィルス粒子や遺伝子治療用産生物などの生体分子を産生する、以上説明してきたシステムを使用することにも関する。
好適な実施態様では、システム内部の流路は使い捨て配管マニホールドで相互接続した使い捨て消費部材(バイオリアクター、フィルター、TFF膜、ボトル、サンプリング装置、使い捨てセンサなど)で構成した完全密閉システムである。ある実施態様では、流路はサンプリングシステムを備える。ある実施態様では、泡トラップに収集容器を接続する。ある実施態様では、バイオリアクターは使い捨て構成で、上下の液体バイオリアクタードレン、液体サンプルライン、気泡または泡トラップおよび基底部構成体などを対象とする予め組み込んだ使い捨てマニホールドを備える。
最後の態様では、本発明は以上記載してきた実施態様のいずれかに係るシステムによって蛋白質、ウィルスまたはウィルス粒子、あるいは遺伝子治療用産生物などの生体分子を産生する連鎖方法にも関する。当該方法は生体分子産生システムのバイオリアクターチャンバー内にドッキングするバイオリアクターキャビネット、好ましくは車輪付きバイオリアクターキャビネットに設けたバイオリアクターを提供する工程を有し、当該バイオリアクターチャンバーの側面に配置した処理チャンバーにおいて当該バイオリアクターからの採取物を濾過または精製して生体分子採取物を製造し、当該バイオリアクターチャンバー内に位置する濃縮器によって当該生体分子採取物をさらに濃縮する。
一部の実施態様では、当該バイオリアクターチャンバーの側面にある当該下流側チャンバー内に存在する一つかそれ以上のフィルターにおいて当該生体分子採取物をインラインで清澄化する。
本システムの一実施態様における考えられるプロセス流れはウィルス粒子などの生体分子の産生、例えばワクチンやウィルス遺伝子治療用産生物の産生を意図する。このために、バイオリアクターチャンバーに埋設したバイオリアクターキャビネット内部のバイオリアクターで細胞を培養する。培地およびバッファはバイオリアクターチャンバーに接続した外部供給バッグによってバイオリアクターに供給する。産生サイクル時に発生する廃棄物は廃棄物容器に導かれた後、バイオリアクター採取物は溶解(溶菌)し、プロセスチャンバーに搬送し、ここで精製装置または濾過装置を使用して濾過を行う。この工程後、産生物を採取するか、あるいはバイオリアクターチャンバーに移し、収集容器およびTFFによって濃縮を行ってから、下流側チャンバー内の精製装置または濾過装置に濃縮液を搬送する。さらに上流側処理または下流側処理が必要な場合に備えて当該システムには付随的なチャンバーを付設する。
具体的な実施態様では、本発明は(治療用の)遺伝子治療用製品、好ましくはヒト遺伝子治療用製品、より好ましくはウィルスベクターを使用して、患者に遺伝子物質を導入するヒト遺伝子治療用製品を産生するシステムおよび方法を提供するものである。
ある実施態様では、当該ウィルスベクターとしてはレトロウィルス、アデノウィルス、単純ヘルペス、牛痘、レンチウィルスやアデノ随伴ウィルスを挙げることができる。
感染相時、ウィルスをバイオリアクターに添加する。ある実施態様では、ウィルス感染キットによってバイオリアクターにウィルスを添加する。ある実施態様では、ウィルス感染キットはウィルス感染プロセス用2液ボトルおよび2つのスペア接続で構成する。ある実施態様では、Watson-Marlow蠕動ポンプなどのポンプによってウィルスをバイオリアクターに添加する。
ある実施態様では、核酸除去を目的としてエンドヌクレアーゼをバイオリアクターに添加する。ある実施態様では、少量添加を目的として入り口を介してエンドヌクレアーゼをバイオリアクターに添加する。ある実施態様では、エンドヌクレアーゼはウィルスベクター製造およびワクチン製造時の核酸除去の理想的なツールである。さらに別な実施態様では、5リットルの使い捨てボトルおよび特別な接続で構成するエンドヌクレアーゼ装置によってエンドヌクレアーゼを添加する。ある実施態様では、Watson-Marlow蠕動ポンプなどのポンプによってエンドヌクレアーゼをバイオリアクターに添加する。ある実施態様では、このエンドヌクレアーゼはベンゾナーゼエンドヌクレアーゼであり、このものはDNAおよびRNAの両者を塩基選択性のない、小さな3~5の塩基対(<6kDa)フラグメントに分解する。ベンゾナーゼエンドヌクレアーゼを使用すると、ウィルス精製収率がさらに高くなり、下流側クロマトグラフィーおよび濾過装置が汚れることがなくなり、また供給流粘度が小さくなる付随的な作用効果が得られる。
ある実施態様では、使い捨てバッグおよび2つの特別な接続で構成する移入装置によって移入試薬をバイオリアクターに添加する。
別な実施態様では、産生する当該生体分子はインフルエンザワクチン、SARSワクチン、MERSワクチン、COVID-19ワクチン、麻疹ワクチン、狂犬病ワクチン、ジカ熱ワクチン、ポリオワクチン、流行性耳下腺炎ワクチンや風疹ワクチンなどのワクチン類である。
以下、限定を意図しない添付図面を参照して本発明を詳細に説明する。
図面の説明
本発明は以下に記載し、および/または添付図面に示す実施態様に限定を受けるものではないだけでなく、本発明に係る方法は発明の範囲から逸脱することなく多数の異なる態様で実現することができる。
バイオリアクターキャビネット001の一つの実施態様を示す図1Aを参照して説明する。矢印はバイオリアクターキャビネット001にバイオリアクター100、200、300、加熱支持体(図示省略)および撹拌モータ(図示省略)を設置できる位置を示す。バイオリアクター100、200、300はバイオリアクタードッキング・ステーション044に設置する。さらに、移動構造としての車輪005を図1Aに明示する。2つのハンドル004、004´を備えているため、バイオリアクターキャビネット001の操作が容易になる。着脱式の高さ調節器006は200mのバイオリアクター100、200、300に対処できる。
図1Bにバイオリアクターキャビネット001の別な実施態様を示す。バイオリアクターキャビネット001の正面壁に一つのハンドル004を接続するため、特に当該バイオリアクターキャビネットにドッキングする際に、バイオリアクターキャビネット001の操作が容易になる。バイオリアクターキャビネットには車輪005(または可動性を与える他の部材)を付設するため、移動が簡単になる。バイオリアクター100、200、300、当該バイオリアクターの培地を加熱する加熱支持体(図示省略)および撹拌モータ(図示省略)はバイオリアクターキャビネット001内に設置する。着脱式の高さ調整器006はディスク状構造を取るため、200mのバイオリアクター100、200、300に対処できる上に、バイオリアクター114の上面レベルをバイオリアクターキャビネット008の上面レベルに確実に整合できる。より大型の(例えば表面積が600mのバイオリアクター)バイオリアクター100、200、300を使用する場合、高さ調節器006は使用しなくてもよい。接続器009の接続部分および磁性接続010は当該バイオリアクターキャビネットの正面壁011に対向するバイオキャビネット001の壁部に設ける。接続器009の接続部分および磁性接続010は、図1Bに示すように、バイオリアクターキャビネット001の同じ壁部に必ずしも設ける必要はないが、同じ壁部に設けると、当該バイオリアクターキャビネット001の人間工学特性が改善するとともに取り扱いが容易になる。接続器009の接続部分および磁性接続010については、生体分子産生システムに存在する対応部分に係合できる設計である。図1Bに示す実施態様では、バイオリアクターキャビネット001の各側壁012には、これら側壁の角部に位置決め手段を設ける。これら位置決め手段は基本的に一対の車輪013である。各対の車輪は2つの車輪を備え、第1車輪は第2車輪の方向に対して直角に位置する。バイオリアクターキャビネットはこのキャビネット008の上面にグリッド状のバイオリアクター支持プレート014を有し、このプレートは凹部015を備えるため、バイオリアクター表面114を突きだすことが可能になる。当該バイオリアクターキャビネット001は内部をシェルフ016に分割することができ、材料およびハードウェアをストックできる。本実施態様のバイオリアクターキャビネットは2つの保持トレー037を有する。バイオリアクターキャビネットの異なる保持トレー037は異なるレベルにあり、相互に配管038によって接続する。
図1Cは図1Bのさらに詳細な実施態様を示す図である。一つのハンドル004をバイオリアクターキャビネット001の正面壁011に接続するため、特に当該インバイオリアクターキャビネット001をドッキングする際のバイオリアクターキャビネット001の操作が容易になる。バイオリアクターキャビネット001には車輪/キャスター005を付設するため、その移動が容易になる。あるいは、キャビネット001に可動性を与える他の部材を使用することも可能である。バイオリアクター100、200、300、当該バイオリアクターの培地を加熱する加熱支持体(図示省略)および撹拌モータ(図示省略)はバイオリアクターキャビネット内に設置する。着脱式の高さ調整器006はディスク状構造を取るため、200mのバイオリアクターに対処できる上に、バイオリアクター114の上面レベルをバイオリアクターキャビネット008の上面レベルに確実に整合できる。接続器009の接続部分および磁性接続010は当該バイオリアクターキャビネットの正面壁011に対向するバイオキャビネットの壁部に設ける。図1Cに示す実施態様では、バイオリアクターキャビネット001の各側壁012には、これら側壁の角部に位置決め手段を設ける。これら位置決め手段は基本的に一対の車輪013である。各対の車輪は2つの車輪を備え、第1車輪は第2車輪の方向に対して直角に位置する。バイオリアクターキャビネットはこのキャビネットの上面にグリッド状のバイオリアクター支持プレート014を有し、このプレートは凹部015を備えるため、バイオリアクター表面114を突きだすことが可能になる。当該バイオリアクターキャビネット001は内部をシェルフ016に分割することができ、材料およびハードウェアをストックできる。バイオリアクターは内部区画を形成する外部ケーシングまたはハウジング112、およびこの内部区画を覆う取り外し可能なカバーまたは上面114を有し、これらには(スパージャーなどによって)流体や気体を選択的に導入、あるいは排出する取り外し可能なカバーまたはキャップCを備えた開口またはポートP、プローブ、センサ、試料採取器(サンプラー)などを備えることができる。
図1D~図1Fは本発明に係る実施態様の横断面を示す図である。バイオリアクターキャビネット001の正面壁011に一つのハンドル004を接続するため、特に当該バイオリアクターキャビネット001にドッキングする際に、バイオリアクターキャビネット001の操作が容易になる。バイオリアクターキャビネット001には車輪005(または可動性を与える他の部材)を付設するため、移動が簡単になる。
図1E~図1Fに示すように、バイオリアクター100、200、300、当該バイオリアクターの培地を加熱する加熱支持体(図示省略)および撹拌モータ(図示省略)はバイオリアクターキャビネット001内に設置する。着脱式の高さ調整器006はディスク状構造を取るため、200mのバイオリアクターに対処できる上に、バイオリアクター114の上面レベルをバイオリアクターキャビネット008の上面レベルに確実に整合できる。バイオリアクターキャビネット001はこのキャビネットの上面にグリッド状のバイオリアクター支持プレート014を有し、このプレートは凹部015を備えるため、バイオリアクター表面114を突きだすことが可能になる。当該バイオリアクターキャビネット001は内部をシェルフ016に分割することができ、材料およびハードウェアをストックできる。バイオリアクターは内部区画を形成する外部ケーシングまたはハウジング112、およびこの内部区画を覆う取り外し可能なカバーまたは上面114を有し、これらには(スパージャーなどによって)流体や気体を選択的に導入、あるいは排出する様々な開口またはポートP、プローブ、センサ、試料採取器などを備えることができる。
図2は本発明のある実施態様に係る生体分子システム017の正面図であり、プロセスチャンバー018、下流側チャンバー019およびバイオリアクターキャビネット001内にバイオリアクター100、200、300を受け取る構成のバイオリアクターチャンバー020を示す。このため、システム017には凹部021を設け、当該システム017内にバイオリアクターキャビネット001を受け取ることができる。バイオリアクターチャンバー020は必須のもので、プロセスチャンバー018および下流側チャンバー019は適宜使用するチャンバーであって、個別にバイオリアクターチャンバー020に接続できる。バイオリアクター100、200、300は内部区画を形成する外部ケーシングまたはハウジング112(図示省略)、およびこの内部区画を覆う取り外し可能カバーまたは上面114を有する。システム内の各チャンバーの使用者が扱うエリアはフロントウィンド022で保護し、そしてこのフロントウィンドには運転時のアクセスを可能にする隙間023を設けるのが好ましい。
図3はプロセスチャンバー018、下流側チャンバー019およびバイオリアクターチャンバー020を有する本発明の実施態様に係るシステム017を示す上面図である。本システム017のバイオリアクターキャビネット001は、当該システムに取り付ける際、プロセスチャンバー018から突きでるため、オペレータがバイオリアクターキャビネット001により簡単にアクセスできる。システム内の各チャンバーの背部に電気キャビネット024を配置できる。これら電気キャビネットは電源を機器に送り、プロセスを制御するもので、バックシート025、テクニカルエンクロージャ028および回路板029用のスペースで構成する。この実施態様では、電気キャビネットはステンレス鋼製であり、システムのバックドアを開けることによってアクセス可能である。バックシート025は電気キャビネット024の正面に固定するため、機器を適正に固定でき、また電子部品を目につかないようすることが可能になる、運転時保守を目的としてアクセス可能な重要な構成部品はチャンバーの正面部内に設け、この状態ですべての端子ボックス、ワイヤおよび電子部品は背部に設けるため運転時にはアクセスできない。
図4Aは本発明の実施態様に係るシステム017を示す正面図である。このシステムは細胞採取物の生体分子を精製できるか、あるいは濾過できる一つかそれ以上の精製装置または濾過装置を有するプロセスチャンバー018、下流側チャンバー019およびバイオリアクターチャンバー020を備える。バイオリアクターチャンバーがバイオリアクターキャビネット001内にバイオリアクター100、200を受け取る構成である。バイオリアクターキャビネット001については、バイオリアクターチャンバー020にあるガイド036およびバイオリアクターキャビネット001にある車輪013によってバイオリアクターチャンバーに導かれる。全体ケーシング026が本システムの主構造である。一部の実施態様では、システム017の長さはプロセスチャンバー018および下流側チャンバー019内のフィルター数に応じて短縮できる。当該システムの全体ケーシング026を構成する素材は耐腐食性である。図4Aに示す実施態様では、金属要素は表面粗さ(算術平均粗さ)がRa≦1.2μmのステンレス鋼SS316で構成する。
図4Bに、図4Aに示すシステム017の背面図および正面図である。HVACシステム027はチャンバー018、019、020の上部に設置するため、適正な品質レベルの空気をシステムチャンバーに確実に供給できる。当該システムのケーシングの後側および側部は電気キャビネット024および空気圧キャビネット030で構成し、これらは当該システムの重要な電気構成部材および空気圧構成部材である。このため、これら電気構成部材および空気圧構成部材へのオペレータによるアクセスが容易になる上に、オペレータが生体分子の産生スペースに立ち入る必要がなくなる。
図5はフロントウィンド022を有する本発明の実施態様に係るシステムの正面図の細部を示す図である。好適な実施態様では、本システムの全体ケーシングのフロントウィンドは作業平面031を備えた200mmの隙間023を有する。この隙間があるため、プロセスチャンバー018から排気を行い、運転時にアクセスできる。この全体的な設計のために、オペレータがチャンバーの正面で作業を行える。ある実施態様では、ウィンドは2つの異なる開け方で(垂直方向かつ水平方向に)開けることができる。
図6Aに本発明に係るシステム017の好適な実施態様を示す。この実施態様では、バイオリアクター020は産生システム017の中心(中央)に配置し、この産生システムの側部にプロセスチャンバー018および下流側チャンバー019が位置する。このバイオリアクターチャンバー020によってバイオリアクター100、200、300を有するバイオリアクターキャビネット001をドッキングできる。このために、バイオリアクターチャンバー020に当該バイオリアクターキャビネット001を受け取ることができる凹部(図示省略)を設ける。バイオリアクターキャビネットのドッキングを容易にするために、バイオリアクターキャビネット001にハンドル004が存在する。バイオリアクターキャビネット001は移動を容易にする車輪005を有する。バイオリアクター100、200、300は内部区画を形成する外部ケーシングまたはハウジング(図示省略)、およびこの内部区画を覆う取り外し可能なカバーまたは上面114を有し、これらには(スパージャーなどによって)流体や気体を選択的に導入、あるいは排出する取り外し可能なカバーまたはキャップCを備えた開口またはポートP、プローブ、センサ、試料採取器などを備えることができる。
バイオリアクターポートからのバイオリアクター採取物はプロセスチャンバー018に搬送することになり、流体搬送を行う適正配管類039を設ける。プロセスチャンバー018には細胞採取物の生体分子を精製または濾過する一つかそれ以上の精製装置または濾過装置032を設ける。精製装置または濾過装置032には、当該精製装置または濾過装置032に平行な垂直部分502を有する出口ラインを設け、使用に先立って当該精製装置または濾過装置032を安全にプライミングしかつベントを行う。当該精製装置または濾過装置に接続する入り口ライン503を介してプライミング溶液を送る。このフィルターとしては例えば深層濾過システムを使用することができる。産生すべき産生物に応じて、プロセスチャンバー018内のフィルター数は任意に変更できる。フィルターはシステムの側部に設けるため、きわめて多数のフィルターを付設する必要がある場合、この設計は自由度がきわめて高い。作業スペース031は地面から約90cmのところに設定するため、オペレータは立ったまま作業を実施できる。
プロセスチャンバー018内のバックグランド金属シート025については、オペレータがすべての機器類および装置類にアクセスできる設計であり、背部028にはモータ、ネットワークケーブル、電源などの技術上必要なすべての構成部材を設置する。
バイオリアクターチャンバー020には収集容器033およびTFF034を設け、採取物の濃縮を行う。収集容器033およびTFF034は相互に流体接続し、いずれもバイオリアクター100、200の後ろにあるバイオリアクターチャンバー020の中心に設ける。収集容器033-TFF034-TFFポンプ(図示省略)はシステム017のバックグランド金属シート025に取り付ける。バイオリアクターキャビネット001が当該システム017にドッキングしていない場合には、収集容器033およびTFF034へのアクセスが可能である。TFF034を介してTFFポンプ(図示省略)で形成する再循環ループを使用するため、収集容器内の均質性を確保できる。TFF034から、濃縮された生体分子採取物は当該システムの下流側チャンバー019に移送できる。ここでも同様に、適正な配管類039を設けて流体移送を実施できる。当該下流側チャンバー019はプロセスチャンバー018から反対側にある当該バイオリアクターチャンバー020の側部に位置する。下流側チャンバー019の付設は場合に応じて行う。下流側チャンバー019では、採取物はバイオリアクターチャンバー020での濃縮工程後にさらに清澄化できる。当該下流側チャンバー019はバイオリアクターチャンバー020に流体接続し、細胞採取物の生体分子を精製または濾過できる一つかそれ以上の精製装置または濾過装置032を有する。下流側チャンバーのバックシート025には、当該チャンバーの機能に必要なポンプ、配管類、電気ソケットおよび/またはマニホールドを設ける。テクニカルエンクロージャ028の背部には、モータ、ネットワークケーブル、電源などのテクニカル構成部材すべてを設置する必要がある。
図6Bは図6Aの実施態様を示す異なる視点から見た図である。
本発明の一態様に係る細胞培養バイオリアクター100の一実施態様を示す図7を参照して説明を続ける。一部の実施態様では、バイオリアクター100は内部区画を形成する外部ケーシングまたはハウジング112、およびこの内部区画を覆う取り外し可能なカバーまた114を有し、これらには(スパージャーなどによって)流体や気体を選択的に導入、あるいは排出する取り外し可能なカバーまたはキャップCを備えた開口またはポートP、プローブ、センサ、試料採取器などを備えることができる。
バイオリアクターハウジング112が形成する内部区画内では、バイオリアクター100の全体に流体流れまたはガス流れを送るいくつかの区画またはチャンバーを設けることができる。図8に示すように、一部の実施態様では、チャンバーはバイオリアクター100の基底部に、あるいは基底部付近に第1チャンバー116を備えることができる。一部の実施態様では、この第1チャンバー116はバイオリアクター100内に流体流れを発生する撹拌機を備えることができる。一部の実施態様では、撹拌機は“ドロップイン式(drop-in)の回転非接触型磁性インペラ118の形を取る撹拌機であってもよく、以下にさらに説明するように、このインペラは流体が流入しかつ流出する複数の開口を有する容器(図示省略)内に収められるか、あるいは収容することができる。
一部の実施態様では、撹拌の結果、流体が(図8に矢印Aで示すように)上昇流になり、バイオリアクター100の外周部分または周囲部分に沿って環状チャンバー120に流入する。一部の実施態様では、このバイオリアクターは構造化螺旋状床122などの固定床を受け取る構成で、運転時に、増殖する細胞を収容するか、あるいは保持することができる。図8に示すように一部の実施態様では、螺旋状床122はカートリッジの形を取り、このカートリッジは使用時点でチャンバー120に落とし込むか、あるいは配置することができる。一部の実施態様では、この螺旋状床122は輸送に先立つ工場での製造時に予め組み込むことができる。
一部の実施態様では、チャンバー120から流出する流体は螺旋状床122の一方の側(上側)のチャンバー124に回し、ここでこの流体を(酸素や窒素などの)気体に暴露する。一部の実施態様では、流体は次にラジアル方向内向きに流れ、中心の戻りチャンバー126に流入する。一部の実施態様では、この戻りチャンバーはカラム形態を取り、構造化螺旋状床の中心開口によって形成するのではなく、無孔導管または配管128によって形成できる。一部の実施態様では、戻りチャンバー126が流体を第1チャンバー116(リターン矢印R)に戻し、バイオリアクター100に再循環させるため、連続ループが生じる(本実施態様では基底部から上部への連続ループ)。一部の実施態様では、温度プローブやセンサTなどのセンサを設けてチャンバー126内の流体の温度を検出することも可能である。一部の実施態様では、(pHセンサ、酸素センサ、溶存酸素センサや温度センサなどの)センサ類についても、チャンバー116に流体が流入(再流入)する前の位置に設けることができる。本明細書に記載するこれらセンサ類およびプローブ類は再使用可能なものでもよく、一回使用式のものでもよく、および/または使い捨て式のものでもよい。
図9Aは本開示のバイオリアクターに使用する構造化固定床、特に螺旋状床122の基材の一実施態様を示す図である。一部の実施態様では、メッシュ構造体で構成した一つかそれ以上のスペーサー層122bに隣接して一つかそれ以上の細胞固定化層122aを設ける。一部の実施態様では、場合に応じて、層化処理を数回行って積層構成や層化構成を得てもよい。一部の実施態様では、スペーサー層122bに含めたメッシュ構造が(固定化層122aの素材に懸濁または捕捉された図9Bの細胞Lを参照)細胞の曲がりくねった経路を形成し、そして細胞培地が特許請求の範囲に記載したものの一部を構成し、2つの固定化層122a間の層化時に流体が流れるように構成することができる。この構成を採用する結果、構造化固定床内に細胞の均質性が維持される。一部の実施態様では、このような曲がりくねった経路を形成する際には他のスペーサー構造も使用できる。図9Aに示す一部の実施態様では、構造化固定床は次に(複数の構成部材部分に設けることができる導管128などの)軸またはコアにそって螺旋状に、あるいは同軸状に転動できる。一部の実施態様では、構造化固定床の複数の層は緊密に巻き付ける。一部の実施態様では、コアの直径、層の長さおよび/または量が最終的に装置または基材の大きさを決定するものになる。一部の実施態様では、各層122a、122bの厚さは0.1~5mm、0.01~10mmまたは0.001~15mmであってもよい。
本開示の一つの態様に係る一部の実施態様におけるバイオリアクター100については、モジュラー式で設計することができる。一部の実施態様では、モジュラー式バイオリアクターは複数の離散的なモジュールで構成でき、これらモジュールは相互作用して、製造時のモジュールの均質性によって高度に予測可能な方法で細胞培養に適するスペースを形成できる。一部の実施態様では、モジュラー式バイオリアクターは特定の形状または形態に限定を受けない(例えば、円筒形でもよく、用途に応じて構造化固定床または非構造化床を備える)。これについては図10に例示する。一部の実施態様では、モジュールは基底部モジュール130が形成する基底部分、中間モジュール140(これについては以下の記載に詳しく説明するように、多数の積層可能モジュール部分から形成することができる)が形成する中間部分、適宜使用する導管または配管128などの中心モジュール(これについは中間モジュールの一部ともみなすことができる)、および例えば蓋または取り外し可能なカバー114が形成するカバーモジュールで構成することができる。一部の実施態様では、これらモジュールは個々の構成部材として個別製造してもよく、意図する用途に応じて製造設備で組み立て(そして、使用地点に輸送され)てもよく、あるいは最終使用地点での意図する用途に応じて組み立ててもよい。一部の実施態様では、バイオリアクター100のモジュールは相互作用を行い、例えば構造化または非構造化固定床などの固定床を使用する密度の高い方法で細胞培養を行う場所を構築する。
本発明に係るバイオリアクター200の別な実施態様を図11~図14に示す。一部の実施態様では、バイオリアクター(モジュラー式であっても、あるいは単独ユニットとして予め組み立てる型式であっても)は基底部分、中間部分およびカバー部分で構成できる。一部の実施態様では、基底部分は基底部品で構成できる。一部の実施態様では、中間部分は中間部品250および/または270で構成できる。一部の実施態様では、中間部品250および270は同じではない。一部の実施態様では、カバー部分はカバー部品280で構成できる。図11を参照して説明すると、基底部品230は外壁232および内壁234で構成してもよく、これらが撹拌機(図示省略)を受け取る第1チャンバー216を形成することになる。一部の実施態様では、内壁234は流体が第2の、ラジアル方向外向きチャンバー220に流れる開口234aを備え、このチャンバー220が外壁232と境を接する(図12)。
図12から理解できるように、一部の実施態様では、内壁234は溝236などの複数の接続器を有してもよく、これら接続器が図13に示すように、第1中間部品250にあるタング250aなどの対応する接続器に係合する。一部の実施態様では、内壁234の高さは、図8から理解できるように、一部の実施態様では、外壁232より高くてもよく、あるいは低くてもよい。図11を参照して説明すると、一部の実施態様では、第1の中間部品250は基底部品230内に少なくとも部分的に嵌めることができる。
一部の実施態様では、基底部品230は溝237(図11)などの周囲に接続器を有してもよい。一部の実施態様では、接続器または溝237は単に外壁262の一部に過ぎない第2中間部品270の対応する接続器を受け取る構成である。一部の実施態様では、中間部品270の内部には第3チャンバー224内の複数の固定床274を設置できるが、(単独のモノリシック固定床も使用でき、本実施態様やその他の実施態様では任意の大きさ、形状または形態であってもよい)。これは支持体を介在することによって支持できるが、固定床の隣接部分間には隙間Gを設けることも可能である。この隙間を使用しなくてもよく、この場合には上の固定床を下の固定床の上に載せ、支持することができる。
一部の実施態様では、構造化固定床は図9、図9A、図9Bおよび図9Cに示すように、螺旋状形態であってもよく(この螺旋状形態は本明細書やその他に記載されているバイオリアクターの任意の実施態様で実施できる)。螺旋状床の場合、内壁266の周囲に巻きつけてもよく、これが基底部品230内の第1チャンバー216に流体を戻す第5チャンバー228を形成する。内壁266は、図示のように、多重積層管状部品で構成してもよい。一部の実施態様では、これら多重積層管状部品では存在する固定床数に応じて高さを調節できる(例えば、各積層床に対して一つの管状部品を設けてもよい)(図11)。
一部の実施態様では、カバー部品280または蓋部品は第2中間部品270に対して着脱自在に接続し、液体が空気などの気体と出合う第4チャンバー226を形成する。一部の実施態様では、カバー部品と第2中間部品との接続については、外壁262の上端、あるいは本明細書に開示する任意のアクセス機構を受け取る溝282などの接続器によって実施できる。蓋部品またはカバー部品280には各種のポートPを設けることができる(図11)。
図11および図14に戻って説明すると、中間部品250のさらなる細部を示す。一部の実施態様では、中間部品250は複数のラジアル方向に延在する支持体254を備えることができ、これらが、隣接する第3チャンバー224において載置された際に、構造化固定床を支持することになる。一部の実施態様では、支持体254の高さHが十分高く、流体が十分な上向き速度を発生し、これが第3チャンバー224に流入し、固定床274の全部分を通過する(図11)。
一部の実施態様では、環状の内壁258は支持体254の内端に接続できる。内壁258は直径が(ネスティングなどによって)当該内壁に接続することもできる中間部品270の内壁266の直径に対応する。一部の実施態様では、内壁266は流体を第5チャンバー228から第1チャンバー216に運ぶ流路を形成できる。一部の実施態様では、この流路内に流れ破壊器(flow disruptor)260を設けることができるため、第5チャンバー228内にいかなる渦流も発生することはない。
一部の実施態様では、図11から理解できるように、ある一つの固定床モジュールから細胞培養チャンバー224内の次の隣接する固定床モジュールへの流れは連続流れ、即ち中断のない流れである。一部の実施態様では、外側チャンバー224は構造化固定床、非構造化固定床や非構造化床などを使用することができる多重化固定床を通る連続流路を形成することができる。一部の実施態様では、予め設計しかつ一致する固定床モジュールに連続的な、妨害のない流れが流れるため、細胞増殖や他の処理の均質性が増し、細胞培養操作の一貫性が強まり、積層床から測定値を取り、またはサンプルを採取する能力が強くなる。これは、(以下に記載するように多孔性支持体とは逆に)遮断仕切り板が存在する場合には実現が容易ではない。最後に、構造化床実施態様では、バイオリアクター全体の製造がそれほど複雑ではなく、またそれほど労働集約的でもない。一つの固定床モジュールから他のモジュールに特性や特徴をマッチさせる労力が大幅に小さくなるからである。
以下、図15および図16を参照して説明を続ける。なお、図15および図16はバイオリアクター300の第3実施態様を示す概略図であり、明示を目的として断面図としてある。一部の実施態様では、バイオリアクター300(モジュラー設計であっても、あるいは単独ユニットして予め組み立てる設計であっても)はカバー333を備えた外側ハウジング331で構成し、いずれも流体導入または流体排出を可能にする各種の開口またはポートを備えることができる。一部の実施態様では、バイオリアクターハウジング331内にいくつかの区画またはチャンバーを設ける。これらチャンバーはバイオリアクター300内に流体流れを引き起こす “ドロップイン式(drop-in)の回転非接触型磁性インペラ318や本明細書に開示する撹拌機を備えた第1チャンバー316を有する。図15Aに示すように、一部の実施態様では、インペラ318は流体が流入しかつ流出する入り口および出口として作用する複数の開口318bを有するハウジングまたは容器318aなどのハウジング内に収容、捕捉または収納することができる(あるいは他の形態の撹拌機も利用可能である)。一部の実施態様では、第1チャンバー316のラジアル方向外向きにある第2のまたはシステム外の管状チャンバー320流体が流入するように撹拌を行う。
一部の実施態様では、流体は次に(図16に矢印で示すように)上向きに流れ、バイオリアクター300の中間の外側部分に沿って第3の環状チャンバー324に流入する。一部の実施態様では、この外側部分は構造化螺旋状床325などの固定床を受け取る形で構成できるが、他の形態も使用可能である。この固定床は使用時増殖している細胞を収容することができる。一部の実施態様では、螺旋状固定床325は使用地点でチャンバー324に落とし込むだけでよいカートリッジの形を取ることができるが、輸送に先立つ製造時にチャンバーに予め組み込んでもよい。
一部の実施態様では、第3チャンバー324を出た流体は次に第4チャンバー326に回すことができ、ここで(空気などの)気体に暴露されてから、ラジアル方向内向きに流れ、第5チャンバー328に流入する。この第5チャンバーはカラムの性質を有し、流体をバイオリアクター310により再循環させるためにこの流体を第1チャンバー316に戻すので、結果的に連続ループが生じる。一部の実施態様では、温度プローブまたは温度センサTや本明細書に記載するその他のセンサを設けて、例えば第5チャンバーに直接流れ込む流体の温度などのパラメータを検出することもでき、この位置(流体が固定床325に流入(あるいは再流入)する前の位置)にはセンサ(例えばpHセンサや溶存酸素センサ)を付設することも可能である。
図15Bの一部を切り欠いた図から理解できるように、第3チャンバー324は上部プレート330および下部プレート332と境を接していてもよく、これらプレートは通例細胞を含まない流体が固定床325に流入または流出する開口または孔を有する。一部の実施態様では、下部プレート332は中心開口332aを備え、流体が第5チャンバー328から第1チャンバー316に移り、再循環するように構成できる。一部の実施態様では、上部プレート330は開口330aを備え、ここに流体が移動し、第5チャンバー即ち戻りチャンバー328に流入できるように構成できる。
一部の実施態様では、上部プレート330の支持体は中空の、全体として円筒形の配管334で構成するが、他の形状も採用できる。一部の実施態様では、この配管334の両端はプレート330、332内の対応する溝330b、332bに嵌合することができる(場合にもよるが、下部プレート332は図示の実施態様のインペラハウジングまたはインペラ容器318aと一体化できる)。一部の実施態様では、全体として垂直なロッド336などの支持体を使用して、プレート330の支持作用をさらに強化できる。一部の実施態様では、この垂直ロッド336はいかなる意味においても対応するチャンバー328内の流体流れを妨害することはない。一部の実施態様では、ロッド336の両端はプレート330、332の凹部に設けてもよく、あるいは(ロッキング接続、ボルトや接着剤など)適正な締め付け装置やロッキング機構によって所定位置に載置することができる。
図16およびこれに付したアクション矢印から理解できるように、流体を撹拌する結果として、一部の実施態様では、流体はチャンバー316から外向きに流れ、チャンバー320に流れ込む。一部の実施態様では、流体は次に方向を転じ、固定床を有するチャンバー324を垂直に通過し、チャンバー328に流入する。流体は次にチャンバー328に対して内向きになり、開口332aを介して第1チャンバー316に戻る。一部の実施態様では、流体を培地と呼ぶことができる。
図17の構成を参照してさらに説明を続けると、一部の実施態様では、上部プレート330の周囲に開口330cを設け、流体を配管334が形成する内壁に直接沿って流す。この構成を採用すると、流体の薄い層または膜が発生し、これが流下する状態で、第5チャンバー328を通過する。一部の実施態様では、これによって第1チャンバー316に戻る前に第5チャンバー328の気体(空気)に暴露される流体の容量が増加する。一部の実施態様では、この構成を採用すると、サイズをより大きくするために必要な、あるいは細胞増殖速度を速くするために必要な酸素移動をより強め、産生物に基づいてプロセスパラメータを調節できる。一部の実施態様では、最初に限られた量の細胞培地を添加することによって流体膜を発生する“滝(waterfall)”を形成し、ごく小さな溢流を作り出す。あるいは、一部の実施態様では、細胞培地および細胞を添加し、次に固定床での細胞培養時に、チャンバー328などの対応するチャンバー内の培地を(例えば浸漬管を使用して)引き出すことによって当該“滝”を形成する。
図18にシステム017の実施態様における考えられるプロセス流れを示す。このプロセスでは、ウィルス粒子などの生体分子を産生し、ワクチンまたはウィルス遺伝子治療用産生物を製造する。このために、バイオリアクターチャンバー020内に埋設したバイオリアクターキャビネット001内のバイオリアクター100、200、300内で細胞を培養する。培地040およびバッファ041は外部供給の、バイオリアクターチャンバーに接続したバッグによってバイオリアクターに供給される。産生サイクル時に生じる廃棄物は廃棄物容器042に導かれる。この後、バイオリアクター採取物を溶菌し、プロセスチャンバー018に搬送し、ここで精製装置または濾過装置032を使用して濾過を行う。この工程の後に、産生物を採取するか、あるいはバイオリアクターチャンバー020に搬送し、収集容器033およびTFF034によって濃縮を行う。その後、下流側チャンバー019内の精製装置か濾過装置032に濃縮液を搬送する。さらに上流側処理または下流側処理が必要な場合には、付設チャンバー043を当該システムに接続する。
当業者には自明なように、図18に示すプロセス流れは例示であり、本発明に関連して他のプロセス流れのシーケンスを利用することができる。
図19に本開示に係るレベルセンサの実施可能な実施態様を示す。このようなレベルセンサを用いると、収集容器の液面レベルを外部から連続測定できる。
図20に本開示に係る圧力センサの実施可能な実施態様を示す。このような圧力センサの場合、システムに過剰圧力が加わることがなくなる。
図21に本開示に係る流量計の2つの実施可能な実施態様を示す。このような流量計を使用すると、配管を介して外部から非浸襲的に流体をモニタできる。
図22に本開示に係る気泡トラップの実施可能な実施態様を示す。このような気泡トラップを使用すると、水溶液から気泡を排除できる。
図23に容器140の実施可能な実施態様を示す。当業者ならば、このような容器140の壁部はバイオリアクターの残りの部分から独立して形成でき、あるいはバイオリアクターの他の壁部や他の部分と一体化できることは理解できるはずである。例えば、図23の場合、このような容器の底部はバイオリアクターの底部によって形成される。液体流れを発生するために、容器140に複数の開口141を設けることができ、これら開口の一つかそれ以上を液体が流入および流出する入り口として、あるいは出口として構成する(図23に例示するアクション矢印I(IN)およびO(OUT)に留意)。一部の実施態様では、容器140から出た液体は上向きに流れ、螺旋状床などの構造化床に流入し、次に容器140の開口141を介して入口に戻る。当業者ならば、この操作を逆にできることを理解できるはずである。気泡の安定性および適正な注入位置を確保するために、容器140の側壁に沿って配管142を接続できる。
バイオリアクターにおいて細胞培養培地を循環させた状態で、細胞培養培地に移送する気体を増量することが望ましい場合がある。本開示の一つの態様によれば、これは図24を参照して説明するように、空気や酸素などの気体の流れをバイオリアクターに導入することによって実施できる。具体的には、(殺菌空気などの)気体を注入する注入器を設け、容器140内のインペラ118などの撹拌機が発生する流体に遠心分離ポンプ位置やその付近において気泡を注入する。一部の実施態様では、注入器はバイオリアクターの外部にある気体供給源(例えば図25およびず26を参照)に接続でき、かつこれの任意の壁部に接続できる注入器導管または配管142で構成することができる。例えば、この配管142は図25および図26に示すように、バイオリアクター100のカバー114に接続できる。あるいは、配管142は図24に示すように、容器140の位置に隣接するバイオリアクターの基底部に沿う位置においてバイオリアクター100に接続できる。
一部の実施態様では、図24に示すように、バイオリアクター100の液体に気体を供給する配管142の出口は容器140の内部にあるか、あるいはこの内部に流体連絡し、従って入り口Iと出口Oとの間に流体経路内に位置することになる。なお、例えば配管142をバイオリアクター100の別な壁部や表面に通す場合には、配管142の出口は中心チャンバー126内に設けることも可能である。図25には、配管142がカバー114を通って、容器140に隣接するバイオリアクターの中心チャンバーの下部に入り込んでいる状態を示し、そして図26には、配管142が容器140に入り込み、配管の開放した遠位端部が容器の内部区画に液体を直接送るか、あるいはこれに直接流体連絡している状態を示す。
いずれの実施態様でも、配管142を介してバイオリアクター100に注入した酸素含有気体(空気など)が流体中に比較的大きなサイズの気泡を形成する。この配管が単に妨害のない開放端部を有しているからである。あるいは、スパージャーなどの装置を使用して発生したより小さな気泡を専用ノズルや対応する振動機システムに使用することも可能である。いずれの場合でも、配管142の開放端部またはノズルを上記のように位置決めする結果、より大きな“マクロ気泡”またはより小さな“ミクロ気泡”(サイズ1)が、これらがバイオリアクター100のポンプを形成する撹拌機(例えば撹拌機として作用する回転インペラ118)が発生する乱流およびせん断作用に直面する前の位置に放出されることになる。この撹拌がより大きなマクロ気泡をより小さなサイズでより多数の気泡即ち“ミクロ気泡”に分割するか、あるいはより小さなミクロ気泡をサイズがいっそう小さく、より多くの気泡(サイズ2)に分割する。撹拌機容器140(使用する場合)内における気泡の滞留時間を長くすると、撹拌機の速度および設計と相俟ってより多くの気泡が発生する。
インペラ118が回転する結果、これらミクロ気泡が次に図示のバイオリアクター100内においてラジアル(放射状)方向外向きおよび上向きに流れる液体によって運ばれることになる。当業者ならば、ポンプ方向を逆にすると、逆の流れパターンが生じることを理解できるはずである。
より小さなサイズを前提条件にした場合、ミクロ気泡はスペーサー層122bおよび固定床122の隣接細胞固定化層122a(または利用できる経路)が形成するチャネルに入り、これを通過できることがより好ましい。これが固定床内で増殖する細胞の酸素化をさらに促すが、対応してインペラ118の速度および結果的に生じる液流流量を増す必要はない。さらに、気体が撹拌機容器140内に、あるいはこの近くに放出され、この結果生じる流れのために、バイオリアクター100に有害な空気ポケットが発生することがなくなる。この空気ポケットはバイオリアクターの運転を止めない限り取り除くことは極めて困難である。
なお、本発明の別な実施態様では、(サイズ2の)ミクロ気泡が構造化固定床122を通過する際に、これらがより小さくかつより数の多いミクロ気泡(サイズ3)に分割する。例えば、これは気泡が固定床122内にスペーサー層122bおよび/または隣接する細胞固定化層122aなどによって形成されるチャネル内に流入し、利用できるすべての曲がりくねった(あるいは迷路状の)経路を通過する。これら気泡が移動している間、より大きな気泡がさらにいっそう小さなミクロ気泡に分割し、次に固定床122から流出する。この結果、固定床122内の滞留時間中の気体転移が強くなり、一旦気体が通過して固定床から流出した気泡のサイズが流入時点よりも実際にはさらにいっそう小さくなる(そしてより多くなる)。これは図示の実施態様のスペーサー層122bのメッシュに係合する気泡によってせん断力が生じるためである。
図25および図26に示すように、バイオリアクター122の図示の態様では、固定床122から流出する液体が中心チャンバー126まで進み、ここで配管128によって形成することができる壁部の内面に直接沿ってこの液体が流れる。中心チャンバー126内の液面レベルは固定床122の液面レベルより低くできる。液体の薄層または“膜”が発生し、これが(本実施態様では)下向きに流れる状態で、中心チャネル126を通過する。一部の実施態様では、この気液界面が作用して、第1チャンバー116に戻り、最終的に固定床122に再流入する前に気体(空気など)に暴露される液体の容量が増す。これは撹拌機が発生するポンプ作用のためである。一部の実施態様では、この結果として、よりサイズの大きいバイオリアクターに必要な、あるいはさもなければ細胞増殖速度を増すか、あるいは産生する生体分子に基づいてプロセスパラメータを調節するために必要な酸素移転をより強化できる。
図27はバイオリアクター100のさらに別な実施例を示す。この実施例は複数の積層床(2層ではあるが、任意数の層も利用可能である)で構成する。このバイオリアクター構成では、気体注入器を設けて、気体供給源に接続した対応する部分(例えばハウジング112aなど)やマニホールド144を通る個々の配管142を使用して構成することができる積層体の各固定床122の入り口端部にある位置に新たな気体を供給する。導入時気泡のサイズは大きくてもよいが、一旦対応する固定床122を通過した後は、このサイズは実際には導入時のサイズよりも小さくなる。これは図示の実施態様ではスペーサー層122bのメッシュに係合する気泡によってせん断力が発生するためである。あるいは、固定床部分の入り口でのクラウドの発生を抑えるために、場合によっては振動子を併用するスパージャー/ノズルシステムを使用して気泡を小さくしてもよい。
さらに(またはこれに代えて)、固定床に戻る前に、液体培地が気相と接触した状態で移動する距離および時間を延長することによって気体移動係数kLaの値を大きくしてもよい。一つの実施可能な実施態様では、拡張流れパターンは流れ拡張器によって確立できる(なお、本明細書では、拡張器はポリマーや金属などの適切な材料で構成することができ、気体と接触している滞留時間を長くするために液体が流れる必要がある表面積の大きい構造体を意味する)。また以下に説明するように、流れ拡張器とともに気液境界に通常発生する拡散層を最小限に抑える乱流を発生する流れ破壊器(flow disruptor)を使用することも望ましい。当業者ならば、非構造化充填床バイオリアクターを始めとする任意の固定床バイオリアクター設計に流れ拡張器および/または流れ破壊器を導入できることを理解できるはずである。図28に示すように、流れ拡張器150は液体がラジアル方向に移動している間流動する、あるいは滝状に流れる一連の同軸レッジまたはステップ(concentric ledges or steps)158を有する修正形態で使用することができる。この修正形態を利用すると、液体の滞留時間を延長できるだけでなく、液体がステップ158に沿っておよび/またステップ158上を流れている状態で方向を転じる際ある程度の乱流を発生する。
固定床122が外側(環状)チャンバー120内にある場合、図29に示すように、拡張器150も中心チャンバー126内に設けることができる。この実施例では、拡張器150は固定床122から流出しかつチャンバー126に上から流入する液体の膜内に曲がりくねった流れを発生するために垂直方向かつ円周方向に離間配置することができるセグメント化壁部180で形成する迷路状構造を有する。このため、通常生じる拡散層を目的通り破壊でき、液体がチャンバー124、126内部の気体と結びつき、これによって気体移動を改善できる。流れの破壊を引き起こす流れ拡張器(flow extender)150の構造はピンやフォークなどの形態を取ることも可能である。図30に示すように、例えばピン182やその他の破壊構造で構成する拡張器150も、固定床122が中心チャンバー126内にある場合には、チャンバー120に設けることができる。
図31は本開示の一態様に係るシステムの各部を搬送するリフト403の実施態様を示す図である。このリフトは装着すべき各部品を搬送する車輪401、および各部品を保持する保持装置402(図示省略)を備える。
図32および図33に固定床496を備えたモジュラー式バイオリアクター400の別な実施態様を示す。一部の実施態様では、基底部430およびカバー部470は外側ケーシング492に接続し、中間部450の周囲に隙間またはスペースを構成する。一部の実施態様では、この隙間Gまたはスペースを利用して、中間部450に対応する固定床の温度を制御する加熱効果または冷却効果を確保することができる。隙間Gまたはスペースについては、固定床内の細胞増殖細胞に近く、かつ温度変動の影響を受けやすいバイオリアクターの中間領域の壁部を単に断熱するだけでもよい。このように断熱すると、バイオリアクターの基底部430の底部に加わる熱が固定床(複数の場合もある)496内の付着細胞に作用することがなくなる。
図32には、本明細書に開示する任意の実施態様において使用することができるバイオリアクター内にスパージング(散布)を利用できることを示す図である。図示の構成では、第5チャンバー428に設けたスパージャー494によってスパージングを行う。結果として発生する気泡は戻り流体流れに対する逆流として上向きに流れる。
これら図面には、恐らくは図33が最善と考えられるが、中間部品450が内部配管436に係合できることも示す。これら配管は流体不透過であり、基底部430に流れを戻すチャンバー428を構成し、ここで撹拌を行い、流れを戻し、(開示する実施態様のいずれにおいても)下から固定床に流入し、そして上方に流れる。これら配管436については、図示のように一つの配管が存在する各固定床496に対応し、2つの中間部450が各配管436に係合する(例えば一つは下から係合し、一つは上から係合する)。なお、この実施態様やその他の実施態様の場合、螺旋状床の最も内側のラップなどの固定床の最内面を流体不透過性にするか、あるいは状態調節して流体不透過性にすることによって同様な機能を発揮できることに留意する必要がある。例えば、この最内面は流体不透過性材や疎水性材で被覆処理すると、固定床(複数の場合もある)に流体を保持でき、またチャンバー428が形成する中心カラムを通る流体の明確な戻り流を維持することができる。
図34は清澄化用フィルターなどのフィルター装置500を示す概略図である。図から理解できるように、当該フィルターはこのフィルターに平行な垂直部分502を有する出口ライン501を備え、当該フィルター装置500の使用に先立って安全にプライミングかつベント(通気)を行うことができる。プライミング溶液の供給については、フィルター500に接続する入り口ライン503を介してポンプ504によって行う。このフィルターも記載するように垂直部502を有する出口ライン501に液体接続する。フィルター500の上部に接続したベントライン505はプライミング溶液の添加時には開放する。ベントライン505の開閉は自動化ピンチ弁506によって調節できる。当業者にとって明らかなように、ベントラインの調整には公知な他の選択肢もある。場合に応じて、入り口503に、および/または出口ライン501内に自動化(ピンチ)弁507、508を配することができる。ベントライン505にはデジタル式の液体検出器509を設け、ベントライン内の液体を監視できる。また、入り口ライン503にデジタル式圧力センサ510を設け、入り口ライン503内の圧力を監視できる。ベントライン505の端部にはベント511が存在し、このベントライン505はボトル512内で終端し、過剰なプライミング溶液がある場合にはこれを回収する。
図34に示すシステムは図6Aおよび図6Bに示すシステム内で、特に具体的にはプロセスチャンバー018内で運転できる。当業者にとっては明らかなように、当該原理はプライミングおよびベントを必要とし、かつシステムの他のチャンバーのいずれかに存在する他のフィルターにも適用できる。
001 バイオリアクターキャビネット
004、004´ ハンドル
005 車輪/キャスター
006 高さ調節器
008 バイオリアクターキャビネット
009 接続器
010 磁性接続
011 正面壁
012 側壁
013 車輪
014 バイオリアクター支持プレート
015 凹部
016 シェルフ
017 生体分子システム
018 プロセスチャンバー
019 下流側チャンバー
020 バイオリアクターチャンバー
021 凹部
022 フロントウィンド
023 隙間
024 電気キャビネット
025 バックシート
026 全体ケーシング
027 HVACシステム
028 テクニカルエンクロージャ
029 回路板
030 空気圧キャビネット
031 作業平面
032 精製装置または濾過装置
033 収集容器
034 TFF
036 ガイド
037 保持トレー
038 配管
039 配管
040 培地
041 バッファ
042 廃棄物容器
043 付設チャンバー
044 バイオリアクタードッキング・ステーション
100 バイオリアクター
112 ハウジング
112a ハウジング
114 バイオリアクター
114 上面
114 カバー
116 第1チャンバー
118 回転非接触型磁性インペラ
120 環状チャンバー
122 構造化螺旋状床
122a 細胞固定化層
122b スペーサー層
124 チャンバー
126 戻りチャンバー/中心チャンバー
128 無孔導管または配管
130 基底部モジュール
140 中間モジュール/容器
141 開口
142 配管
144 マニホールド
150 流れ拡張器
158 ステップ
180 セグメント化壁部
182 ピン
200 バイオリアクター
216 第1チャンバー
220 第2チャンバー
224 第3チャンバー/細胞培養チャンバー
226 第4チャンバー
228 第5チャンバー
230 基底部品
232 外壁
234 内壁
234a 開口
236 溝
237 溝
250 中間部品
250a タング
254 支持体
258 環状の内壁
260 流れ破壊器
262 外壁
266 内壁
270 中間部品
274 固定床
280 カバー部品
282 溝
300 バイオリアクター
316 第1チャンバー
318 回転非接触型磁性インペラ
318a インペラ容器
318b 開口
320 第2チャンバー
324 第3チャンバー
325 構造化螺旋状床
326 第4チャンバー
328 第5チャンバー
330 上部プレート
330a 開口
330b 溝
330c 開口
331 外側ハウジング/バイオリアクターハウジング
332 下部プレート
332a 中心開口
332b 溝
333 カバー
334 配管
336 ロッド
400 モジュラー式バイオリアクター
401 車輪
402 保持装置
403 リフト
428 第5チャンバー
430 基底部
436 内部配管
450 中間部
470 カバー部
492 外側ケーシング
494 スパージャー
496 固定床
500 フィルター装置
501 出口ライン
502 垂直部分
503 入り口ライン
504 ポンプ
505 ベントライン
506 自動化ピンチ弁
507、508 自動化(ピンチ)弁
509 液体検出器
510 圧力センサ
511 ベント
512 ボトル
A 矢印
C キャップ
G 隙間
H 高さ
I 入り口
O 出口
P ポート
R リターン矢印
T センサ

Claims (50)

  1. 生体分子産生システムに組み込まれる構成のバイオリアクターキャビネットであって、
    前記バイオリアクターキャビネットが好ましくはバイオリアクターを受け取るのに適したモバイル式バイオリアクターキャビネットであり、前記バイオリアクターキャビネットにはバイオリアクタードッキング・ステーションが設けられ、前記バイオリアクターキャビネットに、より好ましくは前記バイオリアクターキャビネットの側壁に、前記システムのバイオリアクターチャンバーなどの生体分子産生システムとペア化した際に送電、信号送信および/またはデータ送信を可能にする接続器が設けられることを特徴とするバイオリアクターキャビネット。
  2. 接続手段によって前記バイオリアクターキャビネットがバイオリアクターチャンバーなどの前記生体分子産生システムにドッキングする構成で、この接続手段が送電、信号送信および/またはデータ送信を可能にする接続器および前記バイオリアクターキャビネットを前記バイオリアクターチャンバーに物理的に固定する付随的な接続を有する請求項1に記載のバイオリアクターキャビネット。
  3. 前記付随的な接続が一つかそれ以上の磁性接続、好ましくは一つかそれ以上の電磁石またはRFシステムである請求項2に記載のバイオリアクターキャビネット。
  4. 前記バイオリアクターキャビネットが車輪付きキャビネットである請求項1~3のいずれか一項に記載のバイオリアクターキャビネット。
  5. 前記バイオリアクターキャビネットがプラットホームの取り扱いを容易にするハンドルを有する請求項1~4のいずれか一項に記載のバイオリアクターキャビネット。
  6. 前記バイオリアクターキャビネットの正面壁に前記ハンドルが接続された請求項5に記載のバイオリアクターキャビネット。
  7. 前記接続器および磁性接続が前記バイオリアクターキャビネットの同じ壁部に設けられた請求項1~6のいずれか一項に記載のバイオリアクターキャビネット。
  8. 前記正面壁に対向する前記バイオリアクターキャビネットの壁部に前記接続器および一つかそれ以上の磁性接続が設けられた請求項7に記載のバイオリアクターキャビネット。
  9. 前記バイオリアクタードッキング・ステーションが前記バイオリアクターキャビネット内部にあり、好ましくは前記バイオリアクターキャビネットの壁部によって外部環境からガードされている請求項1~8のいずれか一項に記載のバイオリアクターキャビネット。
  10. 前記バイオリアクタードッキング・ステーションが前記バイオリアクターを位置決めするための着脱式高さ調節器を有する請求項1~9のいずれかに一項に記載のバイオリアクターキャビネット。
  11. 前記バイオリアクターキャビネットの側壁に、前記プラットホームを生体分子産生システムに整合させる位置決め手段が設けられた請求項1~10のいずれか一項に記載のバイオリアクターキャビネット。
  12. 前記位置決め手段が回転軸上の車輪やギヤなどの円形要素または円筒形要素であり、これら要素が前記バイオリアクターキャビネットの側壁内のソケットに組み込まれた請求項11に記載のバイオリアクターキャビネット。
  13. 前記位置決め手段が一対の車輪であり、各車輪が回転軸上にあり、各対が2つの車輪を有し、第1車輪の回転軸が第2車輪の回転軸方向に対して直角方向に位置決めされた請求項12に記載のバイオリアクターキャビネット。
  14. 各側壁が、これら側壁の角部に位置する2対の車輪を有する請求項13に記載のバイオリアクターキャビネット。
  15. バイオリアクター表面を突きだすことができる凹部を有する、前記バイオリアクターキャビネットの上面にバイオリアクター支持プレートを有する請求項1~14のいずれか一項に記載のバイオリアクターキャビネット。
  16. 前記バイオリアクター支持プレートがグリッド状プレートである請求項15に記載のバイオリアクターキャビネット。
  17. さらに、前記バイオリアクタードッキング・ステーション上に載置するバイオリアクターを有する請求項1~16のいずれか一項に記載のバイオリアクターキャビネット。
  18. 前記バイオリアクターが円筒形バイオリアクターまたは管状バイオリアクターである請求項17に記載のバイオリアクターキャビネット。
  19. 前記バイオリアクターが細胞を培養する固定床を有する請求項17または請求項18に記載のバイオリアクターキャビネット。
  20. 前記固定床が、螺旋状床を任意に有する構造化固定床である請求項17~19のいずれか一項に記載のバイオリアクターキャビネット。
  21. 前記バイオリアクターが、
    第1チャンバーを有する基底部分、
    前記固定床を受け取る第2外側チャンバーの少なくとも一部、および前記第2外側チャンバーから流体流れを前記第1チャンバーに戻す第3内側チャンバーの少なくとも一部を形成する中間部分、および
    前記中間部分の上に位置するカバー部分を有する請求項17~20のいずれか一項に記載のバイオリアクターキャビネット。
  22. 前記バイオリアクターが使い捨てバイオリアクターである請求項17または請求項21に記載のバイオリアクターキャビネット。
  23. 前記固定床の表面積が10m~800m、好ましくは200m~600mである請求項17~22のいずれか一項に記載のバイオリアクターキャビネット。
  24. 細胞採取物から生体分子を産生できる一つかそれ以上の濾過装置または精製装置を有する少なくとも一つのプロセスチャンバー、およびバイオリアクターを受け取るのに適した構成のバイオリアクターチャンバーを有し、このバイオリアクターチャンバーに、バイオリアクターを有するバイオリアクターキャビネットとペア化した際に送電、信号送信および/またはデータ送信を行う接続器が設けられることを特徴とする生体分子の産生システム。
  25. 前記システムが可動システム、好ましくは搬送を行う車輪付きシステムである請求項24に記載のシステム。
  26. 各チャンバーがこれの操作領域に対向して壁部またはバックシートを有し、前記壁部またはバックシートに前記チャンバーの機能を発揮させるために必要なポンプ、配管、電気ソケットおよび/またはマニホールドから選択する一つかそれ以上の器具が設けられた請求項24に記載のシステム。
  27. 各チャンバーの使用者が扱う領域がフロントウィンドで保護され、前記フロントウィンドには好ましくは隙間が設けられ、運転時にアクセスできる構成にした請求項24に記載のシステム。
  28. 前記バイオリアクターチャンバーの壁部にTFFなどの濃縮器、および前記濃縮器からの溢出液を受け取り、これを前記濃縮器に戻すのに適した構成の流体収集容器が設けられた請求項1~27のいずれか一項に記載のシステム。
  29. 前記システムがこのシステムの周囲から空気を抽出し、好ましくはHEPAフィルターによって前記空気を濾過し、濾過した空気を前記システムチャンバーに送り込むHVACシステムを有する請求項1~28のいずれか一項に記載のシステム。
  30. 前記HVACシステムが前記チャンバーの上部に載置される請求項29に記載のシステム。
  31. 各チャンバーの背部に電気キャビネットが設けられ、前記電気キャビネットに前記チャンバー内に存在する器具の電気部品が収容される請求項1~30のいずれか一項に記載のシステム。
  32. 前記バイオリアクターチャンバーに前記請求項のいずれかに記載されたバイオリアクターチャンバーが設けられ、前記磁性接続および前記接続器によってこのバイオリアクターキャビネットが前記システムに接続される請求項1~31のいずれか一項に記載のシステム。
  33. 前記バイオリアクターキャビネットが処理チャンバーの平面から突き出る請求項32に記載のシステム。
  34. 前記バイオリアクターチャンバーの側部に位置する下流側チャンバーを有する請求項1~33のいずれか一項に記載のシステム。
  35. 前記下流側チャンバーが前記バイオリアクターチャンバーに流体接続している請求項34に記載のシステム。
  36. 前記の一つかそれ以上の濾過装置または精製装置が出口ラインに液体接続し、前記出口ラインが前記濾過装置または精製装置に平行に位置し、かつ垂直方向に立ち上がり、前記出口ラインに垂直流れを発生する部分を有する請求項1~35のいずれか一項に記載のシステム。
  37. 細胞採取物の生体分子を精製または濾過する一つかそれ以上の精製装置または濾過装置を有するプロセスチャンバー、下流側チャンバー、およびバイオリアクターを受け取るのに適した構成のバイオリアクターチャンバーを有し、前記バイオリアクターチャンバーが前記プロセスチャンバーと前記下流側チャンバーとの間に位置するとともにこれら両チャンバーに流体接続し、前記バイオリアクターチャンバーに、バイオリアクターを有するバイオリアクターキャビネットとペア化した際に送電、信号送信および/またはデータ送信を行う接続器が設けられたことを特徴とする生体分子の産生システム。
  38. 前記システムが請求項1~37のいずれかに記載されたバイオリアクターキャビネットとペア化される請求項37に記載のシステム。
  39. 前記システムが可動式システムである請求項1~38のいずれか一項に記載のシステム。
  40. 請求項1~39のいずれかに記載されたシステムによってタンパク質、ウィルスまたはウィルス粒子などの生体分子あるいは遺伝子治療用産生物を産生する方法。
  41. 請求項1~40に記載されたシステムのタンパク質、ウィルスまたはウィルス粒子などの生体分子産生、あるいは遺伝子治療用産生物への使用。
  42. 生体分子産生システムのバイオリアクターチャンバーにドッキングする車輪付きバイオリアクターキャビネット内にバイオリアクターを設ける工程を有し、前記バイオリアクターチャンバーの側部に位置する処理チャンバー内で前記バイオリアクターからの採取物を清澄化して、生体分子採取物を産生し、前記バイオリアクターチャンバー内に位置する濃縮器によって前記生体分子採取物をさらに濃縮する、タンパク質、ウィルスやウィルス粒子などの生体分子、あるいは遺伝子治療用産生物を産生することを特徴とする方法。
  43. 濃縮された前記生体分子採取物が前記バイオリアクターチャンバーの側部に位置する下流側チャンバーにおいてさらに濾過される請求項42に記載の方法。
  44. 接続手段によって前記バイオリアクターキャビネットを前記バイオリアクターチャンバーにドッキングし、この接続手段が送電、信号送信および/またデータ送信を行う接続器および前記バイオリアクターキャビネットを前記バイオリアクターチャンバーに物理的に固定する付随的な接続を有する請求項42又は請求項43に記載の方法。
  45. 所定容量の培地中に所定量の細胞を有する接種材料レシピエントを所定容量の培地を有するバイオリアクターに結合する工程、
    前記接種材料レシピエントの内容物を前記バイオリアクターに循環させるとともに前記レシピエントに戻すことによって前記細胞を固定床に植えつける工程、および
    一旦循環が終了したあとに、前記レシピエントを前記バイオリアクターから切り離す工程
    を有することを特徴とする固定床バイオリアクターへの接種方法。
  46. 前記方法を使用して、前記請求項のいずれかに記載のシステム内に存在するバイオリアクターに接種を行う請求項45に記載の方法。
  47. 前記接種材料レシピエントが前記バイオリアクターチャンバー内に存在するか、あるいは前記プロセスチャンバーまたは下流側チャンバー内に存在する請求項46に記載の方法。
  48. 清澄化フィルターなどのフィルターをベントしかつプライミングする方法であって、前記フィルターが出口ラインと液体接続し、前記出口ラインが前記フィルターに対して平行に位置しかつ垂直方向に立ち上がる部分を有し、前記出口ラインに垂直流れを発生し、ポンプによって前記フィルターにプライミング溶液を添加し、そしてプライミング時に前記プライミング溶液が前記フィルターおよび前記出口ラインの前記垂直の部分を充填することを特徴とする方法。
  49. 前記溶液が前記フィルターのベントラインに達するまで充填を続行し、この後に前記ベントが閉じられ、好ましくは自動的に閉じられる請求項48に記載の方法。
  50. 前記請求項のいずれかに記載のシステムにおいて前記方法が使用される請求項48又は請求項49に記載の方法。
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