JP2020531292A - レーザ加工システム内でレーザビームの焦点位置を決定するための装置、その装置を備えるレーザ加工システム及びレーザ加工システム内でレーザビームの焦点位置を決定するための方法 - Google Patents

レーザ加工システム内でレーザビームの焦点位置を決定するための装置、その装置を備えるレーザ加工システム及びレーザ加工システム内でレーザビームの焦点位置を決定するための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、レーザ加工システム(100)内でレーザビーム(10)の焦点位置(F)を決定するための装置(200)に関する。装置(200)は、レーザビーム(10)の部分を反射させることにより、レーザビーム(10)の第1サブビーム(12)を切り離すように設計されている光学要素(210)と、第1サブビーム(12)がそこまで導かれる空間分解センサ(230)と、空間分解センサ(230)に当たる第1サブビーム(12)の実直径測定値、レーザビーム電力及び校正データを基準として、レーザビーム(10)の焦点位置(F)を決定するように設計されている評価ユニット(240)と、を備える。

Description

本開示は、レーザ加工システム、又はカッティング若しくは溶接ヘッド等のレーザ加工ヘッド内でレーザビームの焦点位置を決定するための装置、かかる装置を含むレーザ加工システム、並びにレーザ加工システム内でレーザビームの焦点位置を決定するための方法に関する。特に、本開示は、リアルタイムでの加工レーザビームの焦点位置の決定及び補正に関する。
レーザを用いて材料を加工するための装置において、例えば、例えばレーザ溶接又はレーザカッティングのためのレーザ加工ヘッドにおいて、レーザ光源又はレーザファイバの端部から出るレーザビームが、ビーム誘導及び集束光学部品によって加工されるべき加工物上に集束又はコリメートされる。デフォルトでは、レーザ加工ヘッドが、コリメータ光学部品及び集束光学部品と共に用いられ、レーザ光は、光ファイバを介して供給される。
レーザ材料加工における課題は、特にマルチキロワット範囲内のレーザ電力によるレーザビーム誘導及び集束のための光学要素の加熱、並びに光学ガラスの屈折率の温度依存性に起因するいわゆる『熱レンズ』である。レーザ材料加工において、熱レンズは、ビーム伝播方向に沿った焦点シフトをもたらし、加工品質に悪影響を及ぼすことがある。
レーザ材料加工プロセス中に、主として2つの機構が光学要素の加熱をもたらす。一方は、レーザ電力の増加であり、他方は、光学要素の汚染である。更に、光学要素は、機械的変形を受けて、屈折率の変化がもたらされることがあり得る。例えば、機械的変形は、光学要素のソケットの熱膨張によって引き起こされることがある。
高品質のレーザ加工を保証するために、各焦点位置を検出すること、及び焦点位置シフトを補償すること、すなわち、高速で正確な焦点位置制御を提供することが必要である。
熱レンズは、焦点シフトだけでなく、ビーム品質の劣化をももたらし、そして、例えば、収差を生じさせることがある。このことは、焦点直径等、全体的なビームコースティックの変化をもたらす。そのため、基準値との単純比較による焦点位置の決定は、不正確である。特に、それは、リアルタイムでの焦点位置の測定及び制御に置き換わることができない。
特許文献1が、オンラインビーム分析のための方法を記載しており、当該方法は、焦点ビームによって加工領域中に導かれるビームの規定割合が、主ビームに垂直に位置する光学要素の反射表面において同軸で後方反射され、この後方反射された部分的ビームがビームスプリッタによって主ビームから分離されることにより、後方反射された部分的ビームが、加工プロセス中にビーム分析に利用可能であり、後方反射された部分的ビームのビーム特性が分析されることを特徴とする。
独国特許102007053632号明細書
本開示の目的は、レーザ加工システム内でレーザビームの焦点位置を決定するための装置、かかる装置を含むレーザ加工システム、及びレーザビームの現在の焦点位置を確実に決定してもよいレーザ加工システム内でレーザビームの焦点位置を決定するための方法を提供することである。特に、本開示の目的は、レーザ加工プロセス中にリアルタイムでレーザビームの焦点位置を決定及び調整することである。
この目的は、独立請求項の主題によって達成される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項において特徴付けられる。
本開示の実施形態に従って、レーザ加工システム内でレーザビームの焦点位置を決定するための装置が提供される。装置は、レーザビームの第1サブビームを切り離すためにレーザビームの部分を反射するように構成された光学要素と、第1サブビームをそこに誘導可能な空間分解センサと、空間分解センサに入射する第1サブビームの実直径、レーザビーム電力及びレーザビーム電力に依存した校正データに基づいて、レーザビームの焦点位置を決定するように構成された評価ユニットと、を備える。光学要素は、レーザビームのビーム経路内に配列されている。
本開示の更なる実施形態に従って、レーザ加工システム内でレーザビームの焦点位置を決定するための装置が、提供される。装置は、レーザビームの部分を反射させて、レーザビームの第1サブビームを切り離すように構成された光学要素と、第1サブビームの強度分布を検出するための空間分解センサと、検出された強度分布に基づいて第1サブビームの実直径を決定するように、及び実直径、レーザビーム電力及び校正データからレーザビームの実焦点位置を決定するように構成された評価ユニットと、を備える。装置は、リアルタイムでの焦点位置制御のために構成されてもよい。
本開示の好ましい随意の実施形態及び特定の態様は、従属請求項、図面及び本説明から明らかになるであろう。
本発明に従って、焦点位置は、後方反射の測定された直径、瞬間のレーザ電力及び直径についての電力依存校正データを用いてリアルタイムで算出される。それに基づいて、焦点位置は、焦点位置が、例えば、標的焦点位置に対応するように調整されてもよい。空間分解センサのデータは、また、更なる同定を可能にしてもよい。例えば、電力分布は、光学部品が非常に汚染されているときに影響を受け、それで、ホットスポットが空間分解センサにおいて認識され得る場合がある。別の可能性は、特定のレーザ電力についての(標的)電力分布又はビーム直径を比較することによって、光学部品のミスアセンブリ(例えば、誤ってねじ込まれたレンズ)を検出することである。
好ましくは、光学要素は、透過性光学要素である。透過性光学要素は、レーザビームの第1部分を伝達する、及びレーザビームの少なくとも1つの第2部分を反射させるように構成されてもよい。例えば、要素の表面によって反射させられたレーザビームの第2部分が、第1サブビームを形成してもよい。このように、加工レーザビームであってもよいレーザビームの部分は、レーザビームから切り離されて、レーザビームの焦点位置の決定のために用いられる。
実施形態に従って、光学要素は、第1表面と、第1表面の反対側の第2表面と、を有し、第1表面は、第1サブビームを反射するように構成され、第2表面は、レーザビームのうちの第2サブビームを反射するように構成され、装置は、第1サブビームだけが空間分解センサ上に導かれるように構成されている。言い換えると、光学要素の単一の後方反射だけが、空間分解センサ上に導かれるか又は、単一の直径だけが用いられて、現在の焦点位置を決定してもよい。
第2サブビームは、様々な方法で除去されてもよい。この目的のために、光学要素の少なくとも1つの表面が、反射を増幅又は低減するためのコーティングを有してもよい。別の例では、光学要素は、光学要素の両方の表面からの反射が確実に空間的に分離されるための十分な厚さを有することにより、ただ1つの反射後方が空間分解センサに当たる。しかし、本開示は、それに限定されず、そして、ビームスプリッタ等の、2つの後方反射を分離する別の方法が用いられてもよい。
いくつかの実施形態では、光学要素は、レーザ加工システムの光軸に対して傾斜している。例えば、光学要素は、約45°以下だけ光軸に対して傾斜していることにより、第1サブビーム又は後方反射は、レーザビームのビーム経路から離れる方に及び空間分解センサに向かって導かれてもよい。例えば、第1サブビームは、光学要素の最後又は裏側表面(すなわち、空間分解センサから離れる方に面する側面)の後方反射であってもよく、そして、傾斜することによって空間分解センサ上に導かれ得てもよい。
いくつかの実施形態に従って、装置は、レーザビームのレーザビーム電力を測定又は決定するように構成された電力センサを備える。電力センサは、瞬間の又は現在のレーザビーム電力(又は、『レーザ電力』と呼ばれる)を測定又は決定してもよい。その代替として、装置は、現在のレーザビーム電力に関するデータがそれを介して受け取られてもよいデータインタフェースを備えてもよい。この場合、レーザ加工システムは、データインタフェースを介して装置と通信することにより、評価ユニットに現在のレーザビーム電力に関するデータを提供してもよい電力センサを備えてもよい。
典型的には、評価ユニットは、現在のレーザビーム電力、標的焦点位置及び校正データに基づいて、第1サブビームの標的直径を決定するように更に構成され、当該標的直径は、レーザ電力の関数として測定されたビーム直径であってもよい。言い換えると、サブビームの直径がどの程度の大きさでなければならないかが決定されてもよい。実直径との比較、又は標的焦点位置の実焦点位置との比較によって、焦点位置の制御が実行されてもよい。例えば、制御は、実直径が実質的に標的直径に対応し、それによって実焦点位置が実質的に標的焦点位置に対応するように実行されてもよい。
実施形態に従って、光学要素は、レーザビームの焦点領域内に配列されてもよい。特に、光学要素は、集束光学部品と焦点位置(又は、加工物等の、レーザビームの加工領域)との間に配列されてもよい。
好ましくは、光学要素は、保護ガラスである。保護ガラスは、レーザ加工ヘッド等の、レーザ加工システムの出力側に配列されてもよい。保護ガラスは、レーザ加工システム内部の(光学)要素、特に集束光学部品を汚染、例えば、はね散り又は燻りによって生じる汚染から保護するために提供されてもよい。
実施形態に従って、装置は、空間分解センサ上に第1サブビームを結像させるための光学システム、及び/又はサブビームのための少なくとも1つの光学フィルタ、及び/又はサブビームのための偏向装置を含んでもよい。光学フィルタは、後方反射を光学的にフィルタリングすることにより、検出に好適な又は最適な波長又は波長範囲が空間分解センサに到達してもよい。その結果、例えば、センサ信号内のバックグラウンド又はノイズが低減されてもよい。光学フィルタは、また、空間分解センサに対する信号強度を調整するように構成されてもよい。例えば、偏向装置は、1つ又は複数のミラーあるいは1つ又は複数のビームスプリッタによって後方反射を偏向させることにより、後方反射が空間分解センサ上に導かれてもよい。
本開示の別の態様に従って、レーザ加工システムが提供される。レーザ加工システムは、レーザビームを提供するためのレーザ素子と、加工物上にレーザビームを集束させるための集束光学部品と、レーザ加工システム内でレーザビームの焦点位置を決定するための上記の装置と、を備える。レーザ加工システムは、レーザカッティングヘッド又はレーザ溶接ヘッドであってもよい。
好ましくは、レーザ加工システムは、レーザ素子によって提供されたレーザビームをコリメートするためのコリメータ光学部品を備える。特に、焦点位置を決定するための装置の光学要素が、集束光学部品の焦点領域内に、すなわち、集束光学部品の下流のビーム経路内に配列されてもよい。言い換えると、装置の光学要素は、集束光学部品の下流のビーム出力側に配列されてもよい。
本開示の実施形態に従って、レーザ加工システム内でレーザビームの焦点位置を決定する方法が、提供される。方法は、レーザビームのビーム経路内に配列された光学要素の後方反射を切り離すことと、後方反射の直径を測定することと、後方反射の実直径、レーザビーム電力及び校正データに基づいて、レーザビームの焦点位置を決定することと、を含む。
本開示の更なる実施形態に従って、レーザ加工システム内でレーザビームの焦点位置を決定する方法が、提供される。方法は、レーザビームのビーム経路内に配列された光学要素の後方反射又はサブビームを切り離すことと、後方反射の空間分解強度分布を検出することと、検出された強度分布から後方反射の実直径を決定することと、後方反射の実直径、レーザビーム電力及び校正データに基づいて、レーザビームの実焦点位置を決定することと、を含む。
好ましくは、方法は、標的焦点位置、レーザビーム電力及び校正データに基づいて、レーザビームの後方反射の標的直径を決定することを含む。標的直径を決定することは、校正データの外挿又は内挿を更に備えてもよい。焦点位置を調整することは、実直径と標的直径とを比較することによって実行されてもよい。例えば、焦点位置は、対応する機構によって調整されて、測定された直径(すなわち、実焦点位置)が標的直径(すなわち、標的焦点位置)に対応してもよい。
方法は、本明細書に記載された実施形態に従って、レーザ加工システムとレーザ加工システム内でレーザビームの焦点位置を決定するための装置の特徴及び特性を備え、及び実装してもよい。
本開示の実施形態に従ってレーザ加工システム内でレーザビームの焦点位置を決定するための装置を有するレーザ加工システムを表す図である。 本開示の実施形態に従ってレーザ加工システム内でレーザビームの焦点位置を決定するための装置、並びにレーザ加工システムのコリメータ光学部品及び集束光学部品についての詳細を表す図である。 本開示の実施形態に従って現在の焦点位置及び焦点位置の補正を決定するために用いられる校正データを表す図である。
本開示の実施形態が、図面に示され、以下で更に詳細に説明されることになる。
以下において、特に明記しない限り、同様の参照番号が、同様の均等な要素に用いられることになる。
図1は、本開示の実施形態に従うレーザ加工システム100を表す。図2は、レーザ加工システム100の焦点位置Fを決定するための装置200、並びにコリメータ光学部品及び集束光学部品115、120の詳細を表す。
レーザ加工システム100は、カッティングヘッド又は溶接ヘッド等の加工ヘッド101を備えてもよく、又はかかる加工ヘッド101であってもよい。図1は、例として、レーザ加工システム100の又はレーザビーム10のビーム経路の直線構造を表す。しかし、例えば90°の角度の角度付き構造を有することも可能であることが理解されるであろう。明確にするために、レーザビーム10だけが図1に示され、それのビーム経路は完全には表されていない。
レーザ加工システム100は、レーザビーム10(『加工ビーム』又は『加工レーザビーム』とも呼ばれる)を提供するためのレーザ素子110を備える。レーザ素子110は、光ファイバを備えてもよく、又はレーザビーム10が加工ヘッド101中にそれを介して供給される光ファイバであってもよい。レーザ加工システム100は、レーザビーム10をコリメートするための、コリメータレンズ又は複数のレンズを有するズームシステム等コリメータ光学部品115を備えてもよい。レーザビーム10は、随意の光学装置140を介してレーザ素子110からコリメータ光学部品115まで伝播してもよく、当該随意の光学装置は、コリメータ光学部品、レンズ若しくは開口、又はその組合せの前方にある保護ガラスであってもよい。
典型的には、レーザ加工システム100は、加工物1上にレーザビーム10を集束させるための、焦点レンズ等の集束光学部品120を備える。コリメータ光学部品115及び集束光学部品120は、加工ヘッド101に統合されてもよい。例えば、加工ヘッド101は、コリメータモジュールを備えてもよく、当該コリメータモジュールは、加工ヘッド101と統合されるか又は加工ヘッド101上に据え付けられる。
実施形態に従って、レーザ加工システム100又は加工ヘッド101等のその部分は、加工方向20に沿って移動可能であってもよい。加工方向20は、加工物1に対する、溶接方向及び/又は加工ヘッド101等のレーザ加工システム100の移動方向であってもよい。特に、加工方向20は、水平方向であってもよい。加工方向20は、また、『給送方向』と呼ばれることがある。
レーザ加工システム100又はレーザ加工ヘッド101は、本開示の実施形態に従ってレーザビーム10の焦点位置を決定するための装置200を備える。図1及び2に表す装置200は、レーザビーム10の第1サブビーム12を分離するために、レーザビーム10の部分を反射するように構成された少なくとも1つの光学要素210、第1サブビーム12がそれに方向付け可能な空間分解センサ230、空間分解センサ230上に入射する第1サブビーム12の実直径に基づいて、レーザビーム10の焦点位置Fを決定するように構成された評価ユニット240、レーザビーム電源、及び/又は校正データを備える。その代替として、光学装置200は、複数の光学要素を備えてもよく、当該複数の光学要素のそれぞれは、レーザビームのうちの少なくとも1つのサブビームを切り離す。
光学要素210は、レーザビーム10のビーム経路内に配列され、そして、レーザビーム10から、第1サブビーム12を形成するレーザビーム10の部分を切り離す。光学要素210は、光軸又はレーザビーム伝播方向に対して、90°に等しくない角度か又は約45°の角度等のある角度で配列されてもよい。光学要素210として、保護ガラス等が提供されてもよい。本発明に従って、第1サブビーム12の現在の直径が測定され、そして、現在の焦点位置が、現在のレーザビーム電源及び校正データを用いて決定される。このように、レーザビームの焦点位置が、リアルタイムで(オンラインで)決定及び補正されてもよい。特に、リアルタイムでの焦点位置測定、及びそれによってリアルタイムでの焦点位置制御をも可能にするレーザ材料加工のためのシステムが、構造的にコンパクトでモジュール式の態様で提供されてもよい。
空間分解センサ230は、第1サブビーム12が空間分解センサ230のセンサ平面232に実質的に垂直に入射するように配列されてもよい。例えば、空間分解センサ230のセンサ平面232は、光学要素210に実質的に平行に指向させられてもよい。このようにして、直径の歪みが解消されてもよい。第1サブビーム12の断面が、実質的に円形又は環形であってもよいが、それに制限されない。校正データが、サブビームの円形状及び/又は楕円形状等の任意の好適な形状及び直径について決定されてもよい。円でない形状又は楕円でない形状については、例えば、平均直径が算出されて用いられてもよい。
空間分解センサ230として、任意のセンサを使用することが可能であり、当該センサによって、例えば、空間分解センサ230に入射するビーム、すなわちサブビームの直径が決定されてもよい。例えば、カメラが、空間分解センサ230として用いられ、当該カメラのセンサ表面が、例えばCCDセンサによって形成される。センサ230は、入射するサブビーム12の強度分布を検出するように構成されてもよい。これから、評価ユニットが、サブビーム12の現在の直径を測定してもよい。
レーザビーム10の焦点位置Fは、レーザ加工システム100の光軸2に実質的に平行であるように画定又は指定されてもよい。図1において、焦点位置Fは、一例として、加工物1の表面上方に表されている。レーザ加工システム100は、実施形態に従って、焦点位置Fを調整するための機構150を備えてもよい。装置200によって決定された焦点位置Fに基づいて、機構150は、焦点位置Fを調整してもよい。例えば、焦点位置Fは、例えば、加工物1の表面上又はその内部等の加工物1の領域内の標的焦点位置に対応するように調整されてもよい。焦点位置Fを調整するための機構150は、例えば、焦点位置制御のために、コリメータ光学部品115及び/又は集束光学部品120等のビーム誘導光学部品のうちの少なくとも1つの光学要素を変位させる作動装置を備えてもよい。
装置200の光学要素210は、集束光学部品120の後の又は集束光学部品120の下流のレーザビーム10のビーム経路内にある、集束光学部品120の焦点領域内に配列されてもよい。特に、光学要素210は、集束光学部品120と焦点位置Fとの間に配列されてもよい。典型的には、光学要素210は、集束光学部品120とビームノズル130との間に配設されることにより、加工ヘッド101の内部及び特に集束光学部品120を汚染から保護する。
いくつかの実施形態では、光学要素210は、透過性光学要素である。透過性光学要素は、レーザビーム10の第1部分を透過するように及びレーザビーム10の少なくとも1つの第2部分を反射するように構成されてもよい。レーザビーム10の第1部分は、材料加工のために加工物1に指向させられてもよい。レーザビームの第2部分は、ビーム経路から切り離されて、レーザビーム10の焦点位置Fを決定するために用いられてもよい。言い換えると、レーザビーム10のサブビーム又は後方反射は、『主ビーム』とも呼ばれるレーザビーム10の分離された部分又はビーム部分である。
典型的には、光学要素210は、ガラスでできており、特に保護ガラスであってもよい。保護ガラスは、ビーム出口側のビームノズル130に配列されてもよい。保護ガラスは、例えば、はね散り又は燻りによって生じる汚染からレーザ加工システム内部の(光学)要素、特に集束光学部品120を保護するために提供されてもよい。
光学要素210は、第1表面212と、第1表面212の反対側の第2表面214と、を有する。表面は、平坦な表面であってもよい。典型的には、第1表面212と第2表面214とは、互いに実質的に平行である。第1サブビーム12は、第1表面212又は第2表面214から反射されてもよい。特に、第1サブビーム12は、光学要素210の第1表面212から反射されてもよい。第1表面212は、ビーム出口側に面する表面であってもよく、つまり、それは、焦点位置Fに面してもよい。言い換えると、光学要素210の第1表面212は、空間分解センサ230から離れる方に面する表面(例えば、光学要素210の後方表面)であってもよい。
実施形態に従って、第1表面212は、第1サブビーム12を反射するように構成され、第2表面は、レーザビームの第2サブビーム(図示せず)を反射するように構成されている。装置200は、第1サブビーム12だけが空間分解センサ230まで導かれるように構成されてもよい。言い換えると、単一の後方反射だけが、空間分解センサ230まで導かれてもよいか、又は単一の直径だけが、焦点位置を決定するために用いられてもよい。
第2サブビームは、様々な方法で除去されてもよい。一例では、光学要素210は、十分な厚さを有することにより、光学要素210の両方の表面からの反射が確実に空間的に分離されて、1つの後方反射だけが、位置検知センサに入射してもよい。その代替又は追加として、第1及び/又は第2表面212、214は、また、反射特性を増幅又は減衰させるコーティングを有してもよい。しかし、本開示は、それに限定されず、ビームスプリッタ又はフィルタ等の、2つの後方反射を分離する別の方法が用いられてもよい。
いくつかの実施形態において、光学要素210は、レーザ加工システム100の光軸2に対して傾斜している。例えば、光学要素210は、光軸2に対して45°以下だけ傾斜していることにより、第1サブビーム12又は後方反射は、レーザビーム10のビーム経路から離れる方に、及び空間分解センサ230に向かって導かれてもよい。しかし、本開示は、それに限定されず、光学要素210は、レーザ加工システム100の光軸2に実質的に垂直に指向させられてもよい。特に、第1表面212及び第2表面214は、光軸2に実質的に垂直であるように指向させられてもよい。かかる場合、第1サブビーム12は、ビームスプリッタ等の好適な偏向装置を介して空間分解センサ230に向かって導かれてもよい。
いくつかの実施形態に従って、装置200は、現在のレーザビーム電力を検出するための手段を備える。装置200又はレーザ加工システム100若しくはレーザ加工ヘッドは、例えば、レーザビーム10のレーザビーム電力を測定又は決定するように構成された電力センサ220を備えてもよい。電力センサ220は、瞬間の又は現在のレーザビーム電力を測定又は決定してもよい。その代替として、装置200は、データインタフェースを備えてもよく、当該データインタフェースを介して、現在のレーザビーム電力に関するデータが、例えば、レーザ加工システム100若しくはレーザ加工ヘッドの制御装置又はレーザ素子110によって受け取られてもよい。
典型的には、評価ユニット240は、現在のレーザビーム電力、標的焦点位置及び校正データに基づいて、第1サブビーム12の標的直径を決定するように更に構成され、当該標的直径は、レーザ電力の関数として測定されたビーム直径であってもよい。言い換えると、加工プロセス中に、サブビームの直径が、所与のレーザビーム電力及び焦点位置に対して、どの程度の大きさでなければならないかが決定されてもよい。更に、評価ユニット240は、校正データ及び取得された又は決定された現在の若しくは瞬間のデータを用いて、リアルタイムで現在の焦点位置を決定するように構成されてもよい。この瞬間のデータは、空間分解センサのデータ、及び電力センサ220によって取得されたか又はインターフェイスを介して提供された瞬間の電力データに基づいて決定された瞬間のビーム直径を含んでもよい。標的直径を実直径と、又は標的焦点位置を実焦点位置と比較することによって、焦点位置の制御が実行されてもよい。例えば、制御は、実直径が標的直径に実質的に対応し、その結果、標的焦点位置に実質的に対応する実焦点位置をもたらすように実行されてもよい。これらのプロセスは、レーザ加工プロセス中に少なくとも部分的に又は完全に実行されてもよい。
いくつかの実施形態において、装置200が、第1サブビーム12等の後方反射を空間分解センサ230上に結像させるための光学部品を有してもよい。更なる実施形態において、装置200は、第1サブビーム12等の後方反射のための少なくとも1つの光学フィルタを随意に備える。光学フィルタは、検出に好適な又は最適な波長が、空間分解センサ230に到達するように、後方反射を光学的にフィルタリングしてもよい。この方法において、例えば、センサ信号内のバックグラウンド又はノイズが、低減されてもよい。光学フィルタは、また、空間分解センサ230に対して信号強度を調整するためのフィルタを備えてもよく、当該空間分解センサは、光学センサであってもよい。
図3は、本開示の実施形態に従って、現在の焦点位置を決定するために用いられてもよい校正データを表す。特に、1kW(実線)及び6kW(破線)での校正データ、並びに1kW<L<6kWの電力Lついて計算された標的直径(点線)が表されており、これらは、例えば、内挿によって決定されてもよい。その代替として、別のアルゴリズムが、内挿又は外挿のために用いられてもよい。図3は、コリメータ光学部品の電圧値の関数としてビーム直径を表す。コリメータ電圧と相関することがある、焦点位置の関数としての表現が、また、可能であろう。例えば、ビーム品質の劣化に起因する、レーザ電力の標的直径への影響が明瞭に見てとられてもよい。
本開示に従って、レーザビームの実焦点位置は、後方反射又はサブビーム12の実直径、実レーザビーム電力及び校正データに基づいて決定されてもよい。特に、所与のレーザ電力に対する直径の測定された実値が、実焦点位置(又は、コリメータレンズの対応する電圧値)に対応する。
いくつかの実施形態において、レーザビームの後方反射の標的直径が、標的焦点位置、レーザビーム電力及び校正データに基づいて算出されてもよい。図3を参照すると、後方反射の標的直径は、所与のレーザ電力に対する標的焦点位置(又は、コリメータレンズの対応する電圧値)から生じる。焦点位置の偏差は、測定された実直径(又は、実焦点位置)を標的直径(又は、標的焦点位置)と比較することによって決定されてもよい。例えば、焦点位置は、実直径が標的直径に対応し、したがって、実焦点位置が標的焦点位置に対応するように、コリメータ光学部品をシフトさせることによって変更させられてもよい。この概念は、光学部品が汚染されたときでさえ確固としており、それのときでもリアルタイムで正確な焦点位置制御を可能にする。
校正データは、多数のレーザ電力値に対して測定又は提供されてもよい。校正データが内挿又は外挿されて、別のレーザ電力値についての校正データを取得してもよい。
本発明に従って、焦点位置は、後方反射の測定された直径、瞬間のレーザ電力及び直径についての電力依存校正データを用いて、リアルタイムで算出されてもよい。それに基づいて、焦点位置は、例えば、焦点位置が標的焦点位置に対応するように調整されてもよい。空間分解センサのデータは、また、更なる同定を可能にしてもよい。例えば、電力分布は、光学部品がかなり汚染されると影響を受け、そのとき、ホットスポットが、空間分解センサにおいて認識可能である。別の可能性は、特定のレーザ電力について(標的)電力分布又はビーム直径を比較することによって、光学部品の組立てミス(例えば、間違ってねじ込まれたレンズ)を検出することである。

Claims (15)

  1. レーザ加工システム(100)内でレーザビーム(10)の焦点位置(F)を決定するための装置(200)であって、
    前記レーザビーム(10)の部分を反射することにより、前記レーザビーム(10)の第1サブビーム(12)を切り離すように構成された光学要素(210)と、
    前記第1サブビーム(12)の強度分布を検出するための空間分解センサ(230)と、
    前記検出された強度分布に基づいて前記第1サブビーム(12)の実直径を決定するように、及び前記実直径、レーザビーム電力及び校正データから前記レーザビーム(10)の実焦点位置(F)を決定するように構成された評価ユニット(240)と、を備える装置(200)。
  2. 前記光学要素(210)は、透過性光学要素及び/又は保護ガラスである、請求項1に記載の装置(200)。
  3. 前記光学要素(210)は、前記レーザ加工システム(100)の光軸(2)に対して好ましくは45°以下だけ傾斜した状態で配列されている、請求項1又は2に記載の装置(200)。
  4. 前記レーザビーム(10)の前記レーザビーム電力を測定するか又は決定するように構成された電力センサ(220)を更に備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置(200)。
  5. 前記レーザビーム(10)の前記レーザビーム電力に関するデータを受け取るためのデータインタフェースを更に備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置(200)。
  6. 前記校正データは、前記レーザビーム電力の関数として測定されたビーム直径を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置(200)。
  7. 前記評価ユニット(240)は、前記レーザビーム電力、標的焦点位置及び前記校正データに基づいて、前記第1サブビーム(12)の標的直径を決定するように更に構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置(200)。
  8. レーザ加工システム(100)であって、
    レーザビーム(10)を提供するためのレーザ素子(110)と、
    前記レーザビーム(10)を加工物(1)上に集束させるための集束光学部品(120)と、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置(200)と、を備えるレーザ加工システム(100)。
  9. 前記評価ユニット(240)は、前記第1サブビーム(12)の前記実直径を標的直径と比較するように構成され、前記レーザ加工システム(100)は、前記レーザ加工システム(100)の少なくとも1つの光学要素、特に前記集束光学部品(120)を調整することによる前記比較に基づいて、焦点位置制御のために前記焦点位置を調整するように構成されている、請求項8に記載のレーザ加工システム(100)。
  10. 前記装置(200)の前記光学要素(210)は、前記レーザ加工システムのビーム経路内で前記集束光学部品(120)の下流に配列されている、請求項10に記載レーザ加工システム(100)。
  11. 前記レーザ加工システム(100)は、レーザカッティングヘッド若しくはレーザ溶接ヘッド(101)を備えるか、又はレーザカッティングヘッド若しくはレーザ溶接ヘッド(101)である、請求項10又は11に記載のレーザ加工システム(100)。
  12. レーザ加工システム(100)内でレーザビーム(10)の焦点位置(F)を決定するための方法であって、
    前記レーザビーム(10)のビーム経路内に配列された光学要素(120)の後方反射(12)を切り離すステップと、
    前記後方反射(12)の空間分解強度分布を検出するステップと、
    前記検出された強度分布から前記後方反射(12)の実直径を決定するステップと、
    前記後方反射(12)の前記実直径、レーザビーム電力及び校正データに基づいて、前記レーザビーム(10)の実焦点位置(F)を決定するステップと、を含む方法。
  13. 標的焦点位置、前記レーザビーム電力及び前記校正データに基づいて、前記レーザビーム(10)の前記後方反射の標的直径を決定するステップを更に含む、請求項12に記載の方法。
  14. 前記実焦点位置を決定するステップ及び/又は前記標的直径を決定するステップは、前記校正データの外挿又は内挿を更に含む、請求項12又は13に記載の方法。
  15. 前記実直径と前記標的直径とを比較するステップと、
    前記比較に基づいて前記焦点位置を調整するステップと、を更に含む、請求項12、13又は14に記載の方法。
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