JP2020531139A - カルシウムエレクトロポレーション送達装置 - Google Patents

カルシウムエレクトロポレーション送達装置 Download PDF

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Abstract

様々な態様において、本開示は患者内の標的組織部位に対してアブレーション治療を施す方法を提供する。この方法は、(a)カテーテルを患者内の標的組織部位へ操縦するステップと、カテーテルは近位部および遠位部を有する長尺状本体と、長尺状本体の遠位部に配置されたバルーン構造物とを備え、バルーン構造物は1種以上のカルシウム塩を含有するカルシウムイオン含有溶液に対して透過性であり得ることと、(b)バルーン構造物を標的組織部位に配置するステップと、(c)標的組織部位にエネルギーを送達するステップと、(d)標的組織部位へのエネルギーの送達の前、最中、および/または後に、バルーン構造物からカルシウムイオン含有溶液を溶出させるステップとを含む。様々な他の態様において、本開示は、特にそのような方法を実施するために用いることができる装置を提供する。

Description

本発明はカルシウムエレクトロポレーション送達装置に関する。
心房細動とは、一般に身体に血流不足をもたらす、不規則で、しばしば急速な拍動である。心房細動の治療として、肺静脈のような胸静脈のアブレーション(焼灼)を含むアブレーション処置が提案されてきた。肺静脈アブレーション中、例えば、カテーテルが心房内に挿入され、左心房の肺静脈および/または肺静脈の入口部付近の組織にエネルギーが送達される。
そのような処置中に、医療従事者は、所望の治療領域を意図せずに不十分に焼灼して(under−ablate)、不可逆的エレクトロポレーションが所望される領域に可逆的エレクトロポレーションしかもたらさないことや、または細胞死の区域を他の場合には可逆的エレクトロポレーションのみが起きるであろう外周領域へ拡張したいと思うことがある。
様々な態様において、本開示は患者内の標的組織部位に対してアブレーション治療を施す方法を提供する。この方法は、(a)カテーテルを患者内の標的組織部位へ操縦するステップと、カテーテルは近位部および遠位部を有する長尺状本体と、長尺状本体の遠位部に配置されたバルーン構造物とを備え、バルーン構造物は1種以上のカルシウム塩を含有するカルシウムイオン含有溶液に対して透過性であり得ることと、(b)バルーン構造物を標的組織部位に配置するステップと、(c)標的組織部位にエネルギーを送達するステップと、(d)標的組織部位へのエネルギーの送達の前、最中、および/または後に、バルーン構造物からカルシウムイオン含有溶液を溶出させるステップとを含む。
上記の態様と組み合わせて用いることができる様々な実施形態において、カルシウムイオン含有溶液は、ハロゲン化カルシウム塩、有機酸のカルシウム塩、リン酸カルシウム、およびそれらの組み合わせのうちから選択された1つ以上のカルシウム塩を含有し得る。ある実施形態では、カルシウムイオン含有溶液は塩化カルシウムを含有してもよい。
上記の態様および実施形態と組み合わせて用いることができる様々な実施形態において、カルシウムイオン含有溶液中のカルシウムイオンの濃度は、少なくとも250ナノモル(nM)であり得る。上記の態様および実施形態と組み合わせて用いることができる様々な実施形態において、カルシウムイオン含有溶液中のカルシウムイオンの濃度は、250nM〜500ミルモル(mM)にわたり得る。
上記の態様および実施形態と組み合わせて用いることができる様々な実施形態において、標的組織部位へのエネルギーの送達の前および/または最中には、1A族金属ハロゲン化物塩を含有する溶液がバルーン構造物から溶出されてもよく、かつカルシウムイオン含有溶液は標的組織部位へのエネルギーの送達後に溶出されてもよい。
上記の態様および実施形態と関連して用いることができる様々な態様において、本開示は、(a)(i)内部室を備え、かつ1種以上のカルシウム塩を含有するカルシウムイオン含有溶液に対して透過性であるバルーン構造物と、(ii)近位端部および遠位端部を有する長尺状本体とを備えたエレクトロポレーションカテーテルであって、バルーン構造物は長尺状本体の遠位端部に配置されている、エレクトロポレーションカテーテルと、(b)(i)カルシウムイオン含有溶液、または(ii)液体担体と混合するとカルシウムイオン含有溶液を生成する乾燥形態にある1種以上のカルシウム塩を収容する1つ以上の第1容器とを備えた装置を提供する。
上記の態様および実施形態と組み合わせて用いることができる様々な実施形態において、1つ以上の第1容器は、シリンジ、およびゴムセプタムを有するバイアルのうちから選択され得る。
上記の態様および実施形態と組み合わせて用いることができる様々な実施形態において、カルシウムイオン含有溶液中のカルシウムイオンの濃度は、少なくとも250nMであり、一般的には250nM〜500mMにわたり得る。
上記の態様および実施形態と組み合わせて用いることができる様々な実施形態において、カルシウムイオン含有溶液の1種以上のカルシウム塩は、ハロゲン化カルシウム塩、有機酸のカルシウム塩、リン酸カルシウムおよびそれらの組み合わせのうちから選択され得る。
上記の態様および実施形態と組み合わせて用いることができる様々な実施形態において、装置は、(a)乾燥形態にある1種以上のカルシウム塩を収容する1つ以上の第1容器と、(b)液体担体を収容する1つ以上の第2容器とを備えていてもよい。
上記の態様および実施形態と組み合わせて用いることができる様々な実施形態において、(a)カテーテルは、バルーンが標的組織部位に配置されるように、患者内の標的組織部位へ操縦されるように構成されており、(b)カテーテルは標的組織部位にエネルギーを送達するように構成されており、かつ(c)カテーテルはバルーン構造物からカルシウムイオン含有溶液を溶出させるように構成されている。
上記の態様および実施形態と組み合わせて用いることができる様々な実施形態において、カテーテルのバルーン構造物は、カルシウムイオン含有溶液に対して透過性である第1部位と、カルシウムイオン含有溶液に対して実質的に不透過性である第2部位とを備え得る。例えば、バルーン構造物の第1部位は多孔質部位(例えば多孔バンド、多孔ストリップなど)であってもよく、バルーン構造物の第2部位は非多孔質部位であってもよい。
上記の態様および実施形態と組み合わせて用いることができる様々な実施形態において、カテーテルのバルーン構造物は、電界紡糸されたバルーン(electrospun balloon)を備えていてもよい。
上記の態様および実施形態と組み合わせて用いることができる様々な実施形態において、カテーテルの長尺状本体は、内部室と流体が流れるように連通した管腔を備えてもよく、その管腔は、カルシウムイオン含有溶液がバルーン構造物の第1部位を透過するように、カルシウムイオン含有溶液を内部室に供給するように構成されている。
上記の態様および実施形態と組み合わせて用いることができる様々な実施形態において、バルーン構造物の内部室内には電極が配置されていてもよい。
上記の態様および実施形態と組み合わせて用いることができる様々な実施形態において、装置は、カテーテルに電気エネルギーを供給するように構成された制御装置をさらに備えていてもよい。
本開示の様々な態様および実施形態の付加的な詳細については、続く説明および添付図面において述べる。本開示の他の特徴および利点は、以下に提供する説明、図面および特許請求の範囲から明白になるであろう。
本開示の実施形態に従った例示的なアブレーションシステムを示す図。 本開示の実施形態に従った患者の心臓内の標的組織部位における例示的なアブレーションシステムを示す図。 本開示の実施形態に従った一室多孔質バルーン構造物を備えたカテーテルの遠位端部の概略破断図。 本開示の実施形態に従った二室多孔質バルーン構造物を備えたカテーテルの遠位端部の概略破断図。 本開示の実施形態に従った二室多孔質バルーン構造物を備えたカテーテルの遠位端部の概略破断図。 本開示の実施形態に従った放射線不透過性マーカを有する三室多孔質バルーン構造物を備えたカテーテルの遠位端部の概略破断図。 本開示の実施形態に従った静脈の入口部付近の静脈内に配置された多孔質バルーン構造物を備えたカテーテルの遠位端部の概略破断図。
不整脈(例えば心房細動、瘢痕と健全な心筋とが混在する領域における梗塞後リエントラントサイクル(re−entrant cycles)など)を引き起こす心臓内の異常な電気信号を防止するために、医療従事者は、しばしば様々な技術を用いて心臓組織を焼灼する。医療従事者はまた、植え込まれた医療装置が移動してしまう(dislodged)可能性を低減するために心臓の一部(例えば左心耳)を焼灼したいと思うこともある。これらの細胞を焼灼する1つの方法は、細胞における細孔の形成、およびそれに次ぐ細胞死を引き起こす不可逆的エレクトロポレーションを用いることである。この点に関して、電界は電気エネルギーを受容する細胞のアポトーシスおよび/または非熱的壊死(non−thermal necrosis)を引き起こすと考えられている。
医療従事者が細胞を適切に焼灼するために充分な電力を使用していない場合、または電場の端で可逆的エレクトロポレーションしか受けていない細胞まで焼灼区域を拡大したいと思う場合には、近くの組織を損傷しない付加的な細胞破壊の方法が望ましいであろう。可逆的および不可逆的エレクトロポレーション中に形成される細孔を用いることにより、細胞内にカルシウムイオンを含む化学種を注入する可能性が提供される。
標的組織の不可逆的エレクトロポレーション治療に関連する付加的な細胞死を促進するのを助けるために、本開示の一態様によれば、エレクトロポレーション治療が施行される前、最中、および/または後に、カルシウムイオン(Ca2+)が標的組織に送達される。
カルシウムイオンを送達する潜在的な利点は、他の場合にはカルシウムイオンの不在下では可逆的エレクトロポレーションのみが生じるであろう領域において不可逆的エレクトロポレーションの領域が生成され、それにより不可逆的エレクトロポレーション治療の有効性を増大し得るということである。例えば、エレクトロポレーション処置中に、医療従事者は、(a)標的治療領域を意図せずに不十分に焼灼して、可逆的エレクトロポレーションしかもたらさないことや、(b)細胞死の区域を他の場合には可逆的エレクトロポレーションのみが生じる外周領域へ拡張したいと思うことや、かつ/または(c)熱的加熱を懸念して、標的治療領域を典型的には可逆的エレクトロポレーションをもたらすであろう電力レベルに意図的に供することがある。本開示の1つの潜在的な利点は、これらの領域の不可逆的エレクトロポレーションが達成され得るということである。
本開示の様々な実施形態において、エレクトロポレーション治療を受ける組織は心臓組織である。例えば、さらに以下で議論するように、アブレーションカテーテルが左心房内に挿入されて、(a)(例えば心房細動を治療するために)左心房の肺静脈の入口部付近の組織に、(b)(例えば、心臓がボストン サイエンティフィック コーポレーションからのウォッチマン(Watchman)(商標)のような左心耳閉鎖装置または別の心臓装置を移動させてしまうのを防止するために)左心耳に、または(c)他の心臓組織にエネルギーが送達され得る。
様々な実施形態において、カルシウムイオンは、カルシウムイオンがエレクトロポレーション治療にごく近接して放出されるように、カルシウムイオン含有溶液の形態で、エレクトロポレーション治療を行うためにも使用されるバルーンカテーテルを通じて送達される。
カルシウムイオンは、例えば、1種以上の可溶性カルシウム塩を含有する溶液を用いて送達されてもよい。可溶性カルシウム塩の例としては、特に塩化カルシウム、臭化カルシウムおよびヨウ化カルシウムのようなハロゲン化カルシウム塩;特に乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム、リンゴ酸カルシウム、酢酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、アスコルビン酸カルシウム、酪酸カルシウムおよびギ酸カルシウムのような有機酸(アミノ酸を含む)のカルシウム塩;特にクエン酸リンゴ酸カルシウム、乳酸リンゴ酸カルシウム(calcium lactate malate)、乳酸グルコン酸カルシウムおよび乳酸クエン酸カルシウム(calcium lactate citrate)のような混合有機酸のカルシウム塩;および特にリン酸カルシウムが挙げられる。塩化カルシウムは、その高い可溶性および入手し易さの結果として、特に有用なカルシウム塩である。しかしながら、同様に他の水溶性カルシウム塩を用いてもよい。
本開示のカルシウムイオン含有溶液中のカルシウムイオン濃度は、例えば、少なくとも250nMであり、より典型的には少なくとも約1mMであり得る。本開示のカルシウムイオン含有溶液中のカルシウムイオン濃度は、典型的には、例えば250nM〜500mMにわたり、より典型的には1mM〜100mmにわたり得る。例えば、本開示のカルシウムイオン含有溶液中のカルシウムイオン濃度は、250nMから、500nMから/まで、1マイクロモル(μΜ)から/まで、10μΜから/まで、100μΜから/まで、250μΜから/まで、500μΜから/まで、1mMから/まで、2.5mMから/まで、5mMから/まで、10mMから/まで、25mMから/まで、50mMから/まで、100mMから/まで、250mMから/まで、500mMまでにわたり得る(すなわち、カルシウムイオン濃度は前述の値のうちの任意の2つの間にわたり得る)。
カルシウムイオン含有溶液は、例えば、シリンジ、バイアル、アンプル、バッグまたは他の容器(例えば本願に別記するようなエレクトロポレーションバルーンカテーテルと相互作用するように構成された任意の容器)に貯蔵され得る。1種以上の可溶性カルシウム塩は、乾燥組成物として、例えばシリンジ、バイアル、アンプル、バッグまたは他の容器で出荷されてもよく、また投与前に適当な液体担体(例えば、滅菌注射用蒸留水、生理食塩水、リン酸塩緩衝液、撮像用造影剤(imaging contrast agent)を含有する溶液など)と混合されてもよい。また、カルシウムイオン含有溶液の1つ以上の容器、乾燥形態にある可溶性カルシウム塩の1つ以上の容器、および/または液体担体の1つ以上の容器を供給して、キットを形成してもよい。そのようなキットは、本願に別記するようなエレクトロポレーションバルーンカテーテルも含んでいてもよい。
本願では、イオン含有溶液がバルーンの表面上の1つ以上の多孔質領域を通ってバルーンの表面から放出されるエレクトロポレーションバルーンカテーテルについて説明する(「多孔質」および「透過性」は、本願ではイオン含有溶液が放出され得るバルーンカテーテルの部位を記述するために区別なく用いられてもよい)。ある実施形態では、治療の間に多孔質領域からカルシウムイオン含有溶液のみが放出される。ある実施形態では、治療の間に多孔質領域から付加的なイオン含有溶液が放出されてもよい。例えば、1A族金属(例えばLi、Na、Kなど)およびハロゲン化物(例えばCl、Br、Iなど)の塩の第1イオン含有溶液、例えば、塩化ナトリウム溶液または塩化カリウム溶液は、エレクトロポレーション処置の実施を目的として、多孔質領域から放出され得る。続いて、かつ/または予め、第2イオン含有溶液、より具体的にはカルシウムイオン含有溶液が、細胞死の増進を目的として、多孔質領域から放出されてもよい。
特定の実施形態において、カルシウムイオン含有溶液は、改善された電気伝導性を提供するために、1A族金属ハロゲン化物塩(例えばNaCl、KClなど)をさらに含有してもよい。
バルーンの表面からカルシウムイオン含有溶液を放出することにより、カルシウムイオンがエレクトロポレーションによって影響を及ぼされる組織と直接接触することが可能となる。加えて、バルーンは、エレクトロポレーションを受けている組織の領域にカルシウムイオンを閉じ込めるのを助け、治療領域におけるカルシウムイオンの希釈を妨げるであろう。従って、カルシウムイオンは、いくつかの実施形態では、エレクトロポレーションの前および/または最中に送達され得る。カルシウムイオンがエレクトロポレーション前に送達される場合には、エレクトロポレーションに用いられる電圧よりはるかに低い電圧がカルシウムイオンを細胞内に送り込むために印加され得る。カルシウムイオンはまた、カルシウムイオンの希釈を最小限にすることを保証するために、エレクトロポレーション後に送達されてもよく、その場合には、電圧は、例えばエレクトロポレーションにおいて用いられる電圧と同一であってもよいし、またはこの段階における電圧はカルシウムをバルーンから細胞に送り込むために用いられているので、電圧はまたエレクトロポレーションにおいて用いられる電圧よりはるかに低い電圧であってもよい。バルーンはまた、可逆的エレクトロポレーションのみを経験した可能性があるアブレーション区域の端にカルシウムイオンを送達して、それらの部位の細胞死を増進してもよい。最終的に、任意の過剰なカルシウムは血流中で希釈されて、標的組織の外側の健全な正常組織への損傷を防止する。
図1は、本開示の実施形態に従った例示的なアブレーションシステム100を示している。示したように、システム100は血管アクセス用の寸法および形状に形成されたカテーテル102を含んでいる。カテーテル102は遠位端部104と近位端部106とを有する。一態様において、カテーテル102の近位端部106は、近位部110および遠位部112を有するハンドル108を備える。医師は、アブレーションを伴う治療処置中にハンドル108によってアブレーションシステム100を操作し得る。ハンドル108は、カテーテル102の制御および/または少なくとも1つのイオン含有溶液源152、例えばカルシウムイオン含有溶液、アブレーション用エネルギー源154、並びに、ある実施形態では、マッピング源、制御ソフトウェア/ハードウェア、温度表示器などとのカテーテル102の接続を容易にするための、複数の導管、管腔、導体および電線を備え得る。ハンドル108は、少なくとも1つのイオン含有溶液源152およびアブレーション用エネルギー源154、並びに所望により、マッピングエネルギー源、制御ソフトウェアなどが作動可能に結合され得る接続ポート113をさらに備えてもよい。
カテーテル102は、近位端部116および遠位端部118を有する長尺状本体114を備えることができる。長尺状本体114は、検知した信号および/またはアブレーションエネルギーを伝達するための導電体(例えば電線)を収容してもよい。長尺状本体114は円形断面形状を備え得るが、楕円形、多角形(例えば、三角形、矩形など)および様々な他の形状のような他の断面形状を用いることができる。長尺状本体114は金属およびポリマーを含むが、これらに限定されない様々な材料から製造されてもよい。場合によって、長尺状本体114は、体温においてその形状を保持し、かつ著しく柔らかくならない不活性な弾性材料、例えばPebax(登録商標)、ポリエチレン、またはHytrel(登録商標)(ポリエステル)から予め形成されてもよい。長尺状本体114は可撓性であり、標的組織部位、例えば心臓内の領域に至る曲がりくねった経路を蛇行して進むことができてもよい。長尺状本体114はまた、屈曲の量を制限するために、例えば、硬い材料から製造されるか、またはコーティングまたはコイルで補強されることによって、半硬質(semi−rigid)であってもよい。
場合によって、長尺状本体114の遠位端部118の(標的組織部位に至る曲がりくねった経路を蛇行して進むような)移動は、ハンドル108内に含まれた制御機構122によって制御することができる。システム100は、(例えば遠位端部118付近に)制御機構122によって制御される長尺状本体114の関節結合部分(articulating section)を備えることができる。長尺状本体114の遠位端部118は、偏向または屈曲させられてもよい。本体の関節結合部分は、体内管腔(例えば脈管構造)を通るカテーテル102の挿入および/または標的組織位置における電極の配置を容易にし得る。上記の関節結合は1つ以上の自由度を与え、上/下および/または左/右の関節結合を可能にする。
カテーテル102の遠位端部104は、長尺状本体114の遠位端部118に配置された先端部分124を備える。先端部分124は、近位部134と、遠位部136とを備える。様々な実施形態の場合において、先端部分124はエレクトロポレーションバルーン142を備え得る。
エレクトロポレーションバルーン142は、アブレーション処置中に高周波(radio frequency:RF)エネルギーまたは直流電流(direct current:DC)を伝導して損傷(lesions)を形成するように構成され得る。例えば、エレクトロポレーションバルーン142は、不整脈の源である心筋組織にアブレーションエネルギーを送達し得る。エレクトロポレーションバルーン142は、はんだ付けまたは溶接のような適当な手段を用いて、電線126に結合され得る。電線126は、カテーテル102の長尺状本体114を通って延びる管腔144を通過し、アブレーションシステム100に外部接続された発電機に電気的に接続され得る。長尺状本体114はまた、イオン含有溶液をエレクトロポレーションバルーン142に導入し、かつイオン含有溶液をエレクトロポレーションバルーン142から除去するための1つ以上の流体送達管腔を収容することもできる。
エレクトロポレーションバルーン142はまた、エネルギー送達地点においてリアルタイムで局所的な心臓内の電気的活動(マップ)を測定するように構成されていてもよい。エレクトロポレーションバルーン142によって、医師がアブレーション電極と接している組織の電気的活動を測定することにより損傷形成を確認することが可能となり得る(例えば、電気的活動がないことは焼灼された組織を示しているのに対して、電気的活動があることは生きている、すなわち未焼灼の組織を示している)。場合によって、心筋組織における電気的事象が電気記録図、単相活動電位(monophasic action potentials:MAP)、等時性電気活動マップ(isochronal electrical activity maps)などを生成するために検知され得るように、エレクトロポレーションバルーン142に結合された電線126はまた、マッピング信号プロセッサに電気的に接続されていてもよい。
図2は、本開示の実施形態に従った患者の心臓200内の標的組織部位における例示的な組織アブレーションシステムを示している。より具体的には、図2に示す心臓200は、本願で検討する様々な態様に従った装置220を用いて肺静脈アブレーション処置を受けていてもよい。装置220は、バルーン構造物224に接続された長尺状本体222を有するカテーテルを備え得る。装置220は、患者に外部に位置していてもよい、エネルギー源および制御装置(例えば高周波(RF)または直流(DC)システム、図示せず)、並びに1つ以上のイオン含有溶液源(図示せず)に接続され得る。バルーン構造物224は長尺状本体222の遠位端部付近に位置し得る。バルーン構造物224の1つ以上の内部室は、長尺状本体222内に配された1つ以上の流体送達管腔と流体が流れるように連通し得る。1つ以上の流体送達管腔は、1種以上のイオン含有溶液を患者の外部の供給源からバルーン構造物224内に運ぶために用いられる。長尺状本体222およびバルーン構造物224は、アブレーションエネルギーが印加され得る組織部位に送達され得る。
図2に示すように、長尺状本体222は患者の心臓200の左心房202内に配置され得る。より具体的には、場合によって、装置220は、大腿静脈および下大静脈(図示せず)を通って心臓200の右心房204に進入し得る。装置220は、心房中隔206の穿刺穴(puncture)に通されて、左心房202にアクセスし得る。左心房202から、装置220は肺静脈口210,212,214または216のうちのいずれかを通って配置されて、肺静脈218のような肺静脈に進入し得る。場合によって、装置220は内部におけるカテーテルの操縦(internal catheter steering)によって送達されてもよく、装置220は、事前配置されたガイドワイヤ上を通って、または同ガイドワイヤ上において送達されるオーバーザワイヤー装置(over−the−wire device)であってもよく、送達カテーテル/シースまたはラピッドエクスチェンジカテーテルが装置220の挿入および配置を支援するために用いられてもよく、または前述の技術の組み合わせが用いられてもよい。
装置220を(図2に示すような肺静脈218内の)組織部位に配置した後、バルーン構造物224は拡張され得る。バルーン構造物224は、膨張媒体としてイオン含有溶液(例えば、生理食塩水、カルシウムイオン含有溶液など)を用いて膨張させてもよい。バルーン構造物224が肺静脈218のような脈管内に配置される場合、バルーン構造物224の膨張により、バルーン構造物224の外面は脈管の内壁と接触し得る。場合によっては、肺静脈218が適切にシールされることを保証するために、造影剤をカテーテルから(例えばカテーテルの上流端から)放出することができる。場合によっては、バルーン構造物224の上または中に配された1つ以上の電極(図示せず)を通じて、アブレーションエネルギーが印加され得る。加えて、バルーン構造物224の1つ以上の部分は、イオン含有溶液が、その部分を通ってその部分から滲出するか、溶出するか、しみ出るか、または他の場合には透過し得るような透過性を有し得る。場合によっては、イオン含有溶液は、肺静脈218の内壁に接触し得るカルシウムイオン含有溶液であってもよい。
アブレーションエネルギーは、外部供給源/制御装置によって生成され、長尺状本体222の1つ以上の管腔内の電線を通ってバルーン構造物224に関連付けられた1つ以上の電極(図示せず)に伝えられた電界によって、バルーン構造物224の1つ以上の部分を介して印加され得る。電気エネルギーは、バルーン構造物224の表面上の1つ以上の電極から、および/またはバルーン構造物224内の1つ以上の電極から、バルーン構造物224の外面から滲出するイオン含有溶液によって、肺静脈218の内壁に直接伝達され得る。電界は、アブレーションエネルギーを受容する組織に少なくとも部分的に細胞死をもたらすことにより、肺静脈218の壁内の神経線維に沿って活動性を変化させ得る。場合によっては、アブレーション用の電界を印加している間に、バルーン構造物224から組織へのイオン含有溶液の透過を継続することができる。
アブレーションプロセスは、アブレーションエネルギーを受容する組織へのカルシウムイオン含有溶液の送達と同時に実施されてもよいし、またはアブレーションプロセスは、カルシウムイオン含有溶液の送達と連続して実施されてもよい。例えば、1A族金属のハロゲン化物塩の第1イオン含有溶液、例えば塩化ナトリウム溶液が、エレクトロポレーション処置の実施を目的として、バルーン構造物224から放出され得る。続いて、および/または予め、カルシウムイオン含有溶液が、細胞死の増進を目的として、バルーン構造物224から放出され得る。
場合によっては、電界は、バルーン構造物224内に配された1つ以上の電極に直流電流を印加することにより生成され得る。直流電流の使用により、アブレーションエネルギーを受容する組織に細胞死がもたらされ得る。直流電流は、可逆的であるか、または不可逆的である(例えば、細孔が閉鎖しない)細孔を肺静脈218の壁の細胞内に形成し得る。肺静脈218の壁と接触したバルーン構造物224は、アブレーションエネルギーの下流への拡散を軽減するとともに、標的領域の制御された直接的なアブレーションを提供し得る。
本開示による使用のためのバルーン構造物224は、とりわけ、下記の組み合わせを含む下記のもの、すなわち、熱可塑性ポリウレタンを含むポリウレタン、例えば、とりわけポリカーボネート系ポリウレタン(例えばBIONATE、CHRONOFLEXなど)、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン、ポリエーテル系およびポリエステル系ポリウレタン(例えばTECOTHANE、PELLETHANEなど)、ポリイソブチレン系ポリウレタン、並びにポリシロキサン系ポリウレタン;とりわけポリ(スチレン−b−イソブチレン−b−スチレン(SIBS)トリブロックコポリマーのようなスチレン−イソブチレンブロックコポリマーおよびスチレン−イソプレン−ブタジエンブロックコポリマーを含むスチレンアルキレンブロックコポリマー;とりわけポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ(ビニリデンフルオリド−CO−ヘキサフルオロプロピレン)(PVDF−HFP)およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含むフルオロポリマー;とりわけポリエチレンテレフタラートのような非生物分解性ポリエステル、並びにポリカプロラクトン(PCL)およびポリ乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)のような生分解性ポリエステルを含むポリエステル;とりわけポリジメチルシロキサンを含むシリコーン;およびとりわけナイロン(例えばナイロン6)およびポリエーテルブロックアミドを含むポリアミドを含む、様々な材料から形成され得る。
多孔質部位および非多孔質部位を有するバルーンは、当業において既知の任意の方法によって提供され得る。ある有用な実施形態において、そのようなバルーンは、他の可能なプロセスの中でも、電界紡糸(エレクトロスピニング)、フォーススピニングまたはメルトブローイングのような繊維形成プロセスを併用して形成され得る。電界紡糸は、電荷を用いてポリマー含有流体(例えばポリマー溶液またはポリマー溶融物)からポリマー繊維を形成するプロセスである。フォーススピニングは遠心力を用いて繊維を形成するプロセスである。メルトブローイングは、ポリマー溶融物をダイに通して押し出し、次いで伸張させ、高速空気で冷却して繊維を形成するプロセスである。
電界紡糸またはフォーススピニングのような紡糸プロセス用のポリマー溶液を形成するための溶媒は溶液中のポリマーに依存するであろう。そのような溶媒としては、とりわけ、例えば、アセトン、アセトニトリル、ヘプタン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、エタノール、酢酸エチル、メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、キシレンおよびそれらの組み合わせが挙げられる。電界紡糸ための典型的な電圧は、他の可能性の中でも、5000〜30000ボルトにわたる。
ある実施形態において、ポリマー繊維をバルーン形の型の内部空洞内に、またはバルーン形の型の外面上に適当な繊維成形プロセス(例えば電界紡糸法など)を用いて形成してもよいし、または予め形成したポリマー繊維をバルーン形の型の内部空洞内に、またはバルーン形の型の外面上に配置してもよい。型は、除去可能な材料、例えば、その後に融解または溶解され得る材料から形成され得る。ある実施形態では、ポリマー繊維は、氷で形成されたバルーン形の型の外表面上に形成される。
繊維がバルーンの形状に集成されたら(例えば、型内または型上に依然として残存している間、または型からの除去後)、流動室温硬化性材料、流動熱硬化性材料または流動UV硬化性材料、例えば、特に硬化性ポリジメチルシロキサン(PDMS)材料などのような硬化性流動材料、または熱可塑性溶融物が、1つ以上の非多孔質部位を確立することが望まれるそれらの領域の繊維に付与され得る。硬化(硬化性材料が用いられる場合)または冷却(熱可塑性溶融物が用いられる場合)により、多孔質部位および非多孔質部位を有するバルーンが生成される。
1つの特定の例では、カリフォルニア州カーピンテリア所在のニューシルテクノロジー エルエルシー(NuSil(TM) Technology LLC)から入手可能なMed−1515 RTVシリコーン室温接着剤のようなUV硬化性接着剤を繊維に付与して、繊維構造内の小間隙を塞ぐことによって、1つ以上の非多孔質部位を生成してもよい。接着剤は希釈されなくてもよいし、またはヘプタンもしくはキシレンで希釈されてもよい。接着剤:溶媒の質量/質量希釈レベルは、他の値の中でも、例えば、3:1〜1:5(例えば3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4または1:5)に及び得る。
別法では、硬化性流動材料または熱可塑性溶融物は、非多孔質部位が所望される領域のバルーン形中空型の内部空洞内またはバルーン形内部鋳型の外面上に付与されてもよい。
材料が少なくとも部分的に流体の形態のままである間(例えば、熱硬化性材料が未硬化であるか、または部分的にのみ硬化されている場合、または熱可塑性材料がその融点またはそれ以上で保持されている場合)に、例えば電界紡糸法または別法を用いて、ポリマー繊維を材料上に付与してもよい。材料が少なくとも部分的に流体の形態にあるので、ポリマー繊維の少なくとも一部は材料内に浸透する。硬化(硬化性材料が用いられる場合)または冷却(熱可塑性溶融物が用いられる場合)すると、多孔質部位および非多孔質部位を有するバルーンが生成される。
上記の方法および他の方法を用いて、近位端部、遠位端部、多孔質部位、非多孔質部位、および少なくとも1つの内部室を有するバルーン構造物が形成される。
不可逆的エレクトロポレーション(IRE)中、電界紡糸されたバルーンの1つ以上の多孔質領域は、治療中の組織近傍に配置される。DCアブレーションからの高周波エネルギーまたは熱損傷とは異なり、IREは組織との接触を必要としない。むしろ、IREは、その上の電界に細胞膜のエレクトロポレーションと、それに続く細胞死を引き起こさせることにより作用する。不可逆的エレクトロポレーションのために用いられる印加電圧は用途によって異なることがあり、本願に記載するシステムについては、典型的な印加電圧は、他の可能性の中でも、例えば1000V〜3000Vに及び得る。電界の強さは、他の可能性の中でも、例えば400V/cm〜3000V/cmにわたり得る。不可逆的エレクトロポレーションのために用いられるパルス時間も用途によって異なることがあり、本願に記載するシステムについては、電圧は、典型的には、他の可能性の中でも、0.5μs〜200μs、より典型的には10μs〜100μsに及ぶパルスとして印加される。他の可能性の中でも10〜200パルスが送達され得る。
前述したように、いくつかの実施形態において、カルシウム送達に関連して、エレクトロポレーションにおいて用いた電圧よりも低い電圧を用いてもよい。これらの実施形態では、印加電圧は、他の可能性の中でも、例えば200V〜400Vにわたり、電界の強さは、他の可能性の中でも、例えば80V/cm〜400V/cmにわたり得る。
ある実施形態において、本願に記載する処置は、電気エネルギーが送達される装置、例えば1つ以上の電極が配置された不可逆的エレクトロポレーション(IRE)バルーン装置と併せて提供され得る。
図3は、本開示の実施形態に従った、組織部位にアブレーション治療を施すための例示的な装置300の切り取り図を示している。装置300は、長尺状本体302を有するカテーテルを備えている。長尺状本体302の遠位部またはその付近にはバルーン構造物304が存在する。バルーン構造物304は長尺状本体302に取り付けられていてもよいし、または長尺状本体302上に形成されていてもよい。
バルーン構造物304は、少なくともその一部が第1の透過性を有する第1部分306を備え得る。バルーン構造物304は、イオン含有溶液のような流動膨張媒体がバルーン構造物304に提供されるのに応答して膨張するように構成されている。さらに、バルーン構造物304の第1部分306は、長尺状本体302を組織部位に固定すると同時に、バルーン構造物304の膨張に応答して第1部分306を介して流体を透過させるように構成され得る(流体は、例えば、生理食塩水またはカルシウムイオン含有溶液のようなイオン含有溶液であり得る)。
例えば、バルーン構造物304は、流体に対して透過性である多孔質部位306pを第1部分306内に備えてもよく、一方、第1部分306の残部は流体に対して実質的に不透過性である。よって、バルーン構造物304の少なくとも一部306pは透過性であり得る。
バルーン構造物304はアブレーションのための標的組織部位に配置され得る。バルーン構造物304は、多孔質部位306pが体内管腔の壁に隣接するように、脈管または心腔のような体内管腔内で展開するように構成され得る。第1部分306は、多孔質部位306pを介して、流体(例えばイオン含有溶液)を組織部位(例えば体内管腔の壁)へ透過させ得る。
装置300はまた、組織部位にエネルギーを送達するように構成された1つ以上の電極も備え得る。図3に示すように、装置300はバルーン構造物304内に配された電極312を備えている。場合によっては、電極312は、第1部分306の中に配されており、電極312に印加される直流電流に応答してエネルギーを送達するように構成され得る。電極312からのエネルギーは、外部供給源/制御装置(図示せず)によって生成され、長尺状本体302内の電線を通って伝えられる電界によって、バルーン構造物304の第1部分306の外表面を通じて印加され得る。電気エネルギーは、バルーン構造物304の第1部分306の多孔質部位306pを通って滲出するイオン含有溶液によって組織部位(例えば血管壁)に伝達され得る。電界は、エネルギーを受容する組織に対して少なくとも部分的に細胞死をもたらし得る。場合によっては、アブレーションのための電界を印加している間に、バルーン構造物304の第1部分306の多孔質部位306pを介した組織へのイオン含有溶液の透過を継続することができる。この点に関して、電界はイオン含有溶液をバルーンに連続的に送り込んでいる間に印加されてもよいし、またはイオン含有溶液のバルーン内への流れが短時間停止されている間に印加されてもよく、その間、イオン含有溶液は、バルーン内の残留圧力により、バルーンから漏出し続ける。
ある場合において、上述したように、電界は電極312に直流電流を印加することにより生成され得る。直流電流の使用により、アブレーションエネルギーを受容する組織に細胞死がもたらされ得る。直流電流は、組織部位の細胞内に、可逆的であるか、または不可逆的である(例えば、細孔が閉鎖しない)細孔を形成し得る。組織に隣接したバルーン構造物304は、アブレーションエネルギーの下流への拡散を軽減するとともに、標的領域の制御された直接的なアブレーションを提供し得る。さらに本開示に従ってカルシウムイオンを送達することにより、他の場合にはカルシウムイオンの不在下では可逆的エレクトロポレーションが生じるであろう領域において不可逆的エレクトロポレーションの領域が生成され、それにより不可逆的エレクトロポレーション治療の有効性を増大し得る。
ある実施形態において、電気エネルギーの印加中にバルーン構造物304から放出されるイオン含有溶液は、カルシウムイオン含有溶液である。
ある実施形態では、カルシウムイオン含有溶液ではない第1イオン含有溶液が電気エネルギーの印加中にバルーン構造物304から放出され(例えば、第1イオン含有溶液は塩化ナトリウムのような1A族ハロゲン化物溶液であり得る)、カルシウムイオン含有溶液は電気エネルギーの印加の前および/または後に放出される。1つの特定の例において、カルシウムイオン含有溶液は電気エネルギーの印加後にバルーン構造物304内に導入される。例えば、カルシウムイオン含有溶液は第1流体送達管腔を介してバルーン構造物304内に導入され、それと同時に第2流体送達管腔を介してバルーン構造物304から流体を除去し得る。第1イオン含有溶液を収容しているバルーン構造物304にカルシウムイオン含有溶液を導入することで、カルシウムイオン含有溶液と第1イオン含有溶液との混合が生じるため、バルーン構造物304内に導入されるカルシウムイオン含有溶液中のカルシウムイオンの濃度は、多孔質部位306pまたはバルーン構造物304から最終的に放出されるカルシウムイオンの濃度よりも高いであろう。
図4に別の実施形態を示す。図4は本開示の実施形態に従った、組織部位にアブレーション治療を施すための別の例示的な装置400の切り取り図を示している。装置400は、長尺状本体402を有するカテーテルを備えている。長尺状本体402の遠位部またはその付近にはバルーン構造物404が存在する。バルーン構造物404は長尺状本体302に取り付けられていてもよいし、または長尺状本体402上に形成されていてもよい。
バルーン構造物404は、第1室を形成する第1部分406と、第2室を形成する第2部分408とを備え得る。第1部分406は第2部分408上に堆積されるか、または取り付けられ得る。バルーン構造物404は、イオン含有溶液に対して透過性である多孔質部位406pを第1部分406に備え、一方、第1部分406の残部はイオン含有溶液に対して実質的に不透過性であり得る。第2部分408は、イオン含有溶液に対して実質的に不透過性であり得る。バルーン構造物404は、例えばイオン含有溶液のような膨張媒体がバルーン構造物404に提供されるのに応答して膨張するように構成され得る。場合によっては、第1部分406および第2部分408を単一の膨張媒体を用いて膨張させてもよいし、または第1部分406および第2部分408を第1膨張媒体および第2膨張媒体を用いて別々に膨張させてもよい。結果として、場合によっては、バルーン構造物404の第1部分406は、バルーン構造物404の膨張に応答して、第1部分406を介してイオン含有溶液を透過させるように構成され(イオン含有溶液は、例えば生理食塩水またはカルシウムイオン含有溶液などであってもよい)、バルーン構造物404の第2部分408は長尺状本体402を組織部位に固定するように構成され得る。
バルーン構造物404はアブレーションのための標的組織部位に配置され得る。例えば、バルーン構造物404は、多孔質部位406pが体内管腔の壁に隣接するように、体内管腔(例えば、血管脈管、心房など)内で展開するように構成され得る。多孔質部位406pは、イオン含有溶液を組織部位(例えば体内管腔壁)へ透過させ得る。加えて、第2部分408は長尺状本体402を組織部位に固定するように構成され得る。
装置400は、組織部位にエネルギーを送達するように構成された1つ以上の電極を備え得る。図4に示すように、装置はバルーン構造物404内に配された電極412を備えている。場合によっては、電極412は、第1部分406の中に配されており、電極412に印加される直流電流に応答してエネルギーを送達するように構成され得る。電極412からのエネルギーは、外部供給源/制御装置(図示せず)によって生成され、長尺状本体402内の電線413を通って伝えられる電界によって、バルーン構造物404の第1部分406の外表面を通じて印加され得る。電気エネルギーは、第1部分406の多孔質部位406pを通って滲出するイオン含有溶液によって組織部位(例えば血管壁)に伝達され得る。電界は、エネルギーを受容する組織に少なくとも部分的に細胞死をもたらし得る。場合によっては、アブレーション用の電界を印加している間に、バルーン構造物404の第1部分406の多孔質部位406pから組織へのイオン含有溶液の透過を継続することができる。
ある場合において、上述したように、電界は電極412に直流電流を印加することにより生成され得る。直流電流の使用により、アブレーションエネルギーを受容する組織に細胞死がもたらされ得る。直流電流は、組織部位の細胞内に、可逆的であるか、または不可逆的である(例えば、細孔が閉鎖しない)細孔を形成し得る。組織に隣接したバルーン構造物404は、アブレーションエネルギーの下流への拡散を軽減するとともに、標的領域の制御された直接的なアブレーションを提供し得る。さらに本開示に従ってカルシウムイオンを送達することにより、他の場合にはカルシウムイオンの不在下では可逆的エレクトロポレーションが生じるであろう領域において不可逆的エレクトロポレーションの領域が生成され、それにより不可逆的エレクトロポレーション治療の有効性を増大し得る。
装置400はまた、電極412とともに接地または閉ループを形成するように構成された先端電極416を備えてもよい。電極412と同様に、先端電極416は長尺状本体402内の電線417を介して外部供給源/制御装置に接続され得る。外部供給源/制御装置は、例えば、RFアブレーションエネルギーまたは直流電流を印加し得る。
場合によっては、電極412および/または先端電極416はまた、局所的な心臓内の電気的活動を測定するように構成されていてもよい。電線413および/または電線417はまた、心筋組織における電気的事象が電気記録図、単相活動電位(MAP)、等時性電気活動マップなどを生成するために検知され得るように、マッピング信号プロセッサに電気的に接続されていてもよい。電極412および/または先端電極416により、医師が組織部位の電気的活動を測定することが可能となり得る(例えば、電気的活動がないことは焼灼された組織を示しているのに対して、電気的活動があることは生きている組織を示している)。
いくつかの場合において、装置400はまた、ペーシング電極414a,414bも備え得る。ペーシング電極414a,414bはバルーン構造物404内に配され得る。ペーシング電極414a,414bは、心筋組織における電気的事象が電気記録図、単相活動電位(MAP)、等時性電気活動マップなどを生成するために検知され得るように、マッピング信号プロセッサに電気的に接続され得る。ペーシング電極414a,414bにより、医師が組織部位の電気的活動を測定することが可能となり得る。(例えば、電気的活動がないことは焼灼された組織を示しているのに対して、電気的活動があることは生きている組織を示している)。電極412によって印加されるアブレーションエネルギーは、アブレーション治療の標的位置を決定するために用いられ得る、ペーシング電極414a,414bによって測定された電気的活動に基づいて変更されてもよい。
図5に別の実施形態を示す。図5は、本開示の実施形態に従った、組織部位にアブレーション治療を施すための例示的な装置500の切り取り図を示している。装置500は、長尺状本体502を有するカテーテルを備えている。長尺状本体502の遠位部またはその付近にはバルーン構造物504が存在する。
図4に類似して、図5のバルーン構造物504は、第1室を形成する第1部分506と、第2室を形成する第2部分508とを備え得る。バルーン構造物504は、イオン含有溶液に対して透過性である2つの多孔質部位506pを第1部分506に備え、一方、第1部分506の残部はイオン含有溶液に対して実質的に不透過性である。第2部分508は、イオン含有溶液に対して実質的に不透過性であり得る。バルーン構造物504は膨張媒体がバルーン構造物504に提供されるのに応答して膨張するように構成され得る。場合によっては、第1部分506および第2部分508を単一の膨張媒体(例えば、イオン含有溶液)を用いて膨張させてもよいし、または第1部分506および第2部分508を第1膨張媒体および第2膨張媒体を用いて別々に膨張させてもよい。結果として、場合によっては、バルーン構造物504の第1部分506は、バルーン構造物504の膨張に応答して、第1部分506を介してイオン含有溶液を透過させるように構成され(イオン含有溶液は、例えば生理食塩水、カルシウムイオン含有溶液などであってもよい)、バルーン構造物504の第2部分508は長尺状本体502を組織部位に固定するように構成され得る。
バルーン構造物504はアブレーションのための標的組織部位に配置され得る。バルーン構造物504は、多孔質部位506pが体内管腔の壁に隣接するように、体内管腔(例えば、血管脈管、心房など)内で展開するように構成され得る。多孔質部位506pは、イオン含有溶液を組織部位(例えば体内管腔の壁)へ透過させ得る。加えて、第2部分508は長尺状本体502を組織部位に固定するように構成され得る。
図4に類似して、図5の装置500は、バルーン構造物504内に配された電極512と、電極512とともに接地または閉ループを形成するように構成された先端電極516と、ペーシング電極514a,514bとを備え得る。これらの構成要素は、図4に関連して説明したそれに類似した方法で操作され得る。
図6にさらに別の実施形態を示す。図6は本開示の実施形態に従った、組織部位にアブレーション治療を施すための例示的な装置600の切り取り図を示している。装置600は、長尺状本体602を有するカテーテルを備えている。長尺状本体602の遠位部またはその付近にはバルーン構造物604が存在する。
図6のバルーン構造物604は、第1室を形成する第1部分606aと、第2室を形成する第2部分608と、第3室を形成する第3部分606bとを備え得る。バルーン構造物604は、1つは第1部分606aに存在し、もう1つは第3部分606bに存在する2つの多孔質部位606pを備え得る。それらの多孔質部位606pはイオン含有溶液に対して透過性であり、一方、第1部分および第3部分606a,606bの残部はイオン含有溶液に対して実質的に不透過性である。第2部分608は、イオン含有溶液に対して実質的に不透過性であり得る。バルーン構造物604は膨張媒体がバルーン構造物604に提供されるのに応答して膨張するように構成され得る。場合によっては、第1部分606a、第2部分608、および第3部分606bを単一の膨張媒体(例えば、イオン含有溶液)を用いて膨張させてもよいし、または第1部分606a、第2部分608、および第3部分606bを別個の膨張媒体を用いて別々に膨張させてもよい。結果として、場合によっては、バルーン構造物604の第1部分および第3部分606a,606bは、バルーン構造物604の膨張に応答して、それらの部分を介してイオン含有溶液を透過させるように構成され(イオン含有溶液は、例えば生理食塩水、カルシウムイオン含有溶液などであってもよい)、バルーン構造物604の第2部分608は長尺状本体602を組織部位に固定するように構成され得る。
バルーン構造物604はアブレーションのための標的組織部位に配置され得る。バルーン構造物604は、多孔質部位606pの一方または双方が体内管腔の壁に隣接するように、体内管腔(例えば、血管脈管、心房など)内で展開するように構成され得る。多孔質部位606pは、イオン含有溶液を組織部位(例えば脈管壁)へ透過させ得る。加えて、第2部分608は長尺状本体602を組織部位に固定するように構成され得る。
図6のバルーン構造物604はまた、第1部分606aに存在する電極612と、第3部分606bに存在する電極614と、先端電極616とを備え得る。電極612は、電極614とともに接地または閉ループを形成するように構成され得る。電極612,614の各々もまた、先端電極616とともに接地または閉ループを形成するように構成され得る。これらの構成要素は、図4に関連して説明したそれに類似した方法で操作され得る。
図7にさらに別の実施形態を示す。図7は本開示の実施形態に従った、組織部位にア
ブレーション治療を施すための例示的な装置700の切り取り図を示している。装置700は、長尺状本体702を有するカテーテルを備えている。長尺状本体702の遠位部またはその付近にはバルーン構造物704が存在する。
図7のバルーン構造物704は、第1室706aiを形成する第1部分706aと、第2室708ai,708biを形成する第2部分708a,708bと、第3室706biを形成する第3部分706bとを備え得る。図7に示した実施形態では、2つの第2室708ai,708biを形成する2つの第2部分708a,708bが存在するが、他の(例えば、図6に類似した)実施形態では、単一の第2室を備えた単一の第2部分が用いられてもよい。
バルーン構造物704は、1つは第1部分706aに存在し、もう1つは第3部分706bに存在する2つの多孔質部位706pa,706pbを備え得る。それらの多孔質部位706pa,706pbはイオン含有溶液に対して透過性であり、一方、第1部分および第3部分706a,706bの残部はイオン含有溶液に対して実質的に不透過性である。第2部分708a,708bは、イオン含有溶液に対して実質的に不透過性であり得る。バルーン構造物604は、膨張媒体がバルーン構造物704に提供されるのに応答して膨張するように構成され得る。場合によっては、第1部分706a、第2部分708a,708bおよび第3部分706bを単一の膨張媒体(例えばイオン含有溶液)を用いて膨張させてもよいし、または第1部分706a、第2部分708a,708bおよび第3部分706bを別個の膨張媒体を用いて別々に膨張させてもよい。結果として、場合によっては、バルーン構造物704の第1部分および第3部分706a,706bは、バルーン構造物704の膨張に応答して、それらの部分を介してイオン含有溶液を透過させるように構成され(イオン含有溶液は、例えば生理食塩水、カルシウムイオン含有溶液などであってもよい)、バルーン構造物704の第2部分708a、708bは長尺状本体702を組織部位に固定するように構成され得る。
バルーン構造物704はアブレーションのための標的組織部位に配置され得る。バルーン構造物704は、多孔質部位706pa,706pbの少なくとも一方が体内管腔壁に隣接するように、体内管腔(例えば、血管脈管、心房など)内で展開するように構成され得る。このように、多孔質部位706pa,706pbの少なくとも一方は、イオン含有溶液を組織部位(例えば体内管腔の壁)へ透過させ得る。加えて、第2部分708a,708bは長尺状本体702を組織部位に固定するように構成され得る。例えば、図7に見られるように、バルーン構造物704は、多孔質部位706paが静脈720の壁に隣接するように、静脈720の入口部720o付近の静脈720内において拡張されてもよい。
図7のバルーン構造物704はまた、第1部分706aの電極712と、第3部分706bの電極714と、先端電極716とを備え得る。電極712は、電極714とともに接地または閉ループを形成し、かつ/または先端電極716とともに接地または閉ループを形成するように構成され得る。これらの構成要素は、図4に関連して説明したそれに類似した方法で操作され得る。
例えば、場合によっては、電界は電極712に直流電流を印加することにより生成され得る。前述したように、直流電流の使用により、アブレーションエネルギーを受容する組織に細胞死がもたらされ得る。組織に隣接したバルーン構造物704は、アブレーションエネルギーの下流への拡散を軽減するとともに、標的領域の制御された直接的なアブレーションを提供し得る。さらに本開示に従ってカルシウムイオンを送達することにより、他の場合にはカルシウムイオンの不在下では可逆的エレクトロポレーションが生じるであろう領域において不可逆的エレクトロポレーションの領域が生成され、それにより不可逆的エレクトロポレーション治療の有効性を増大し得る。
ある実施形態において、電気エネルギーの印加中に多孔質部位706pa,706pbから放出されるイオン含有溶液は、カルシウムイオン含有溶液であり得る。
ある実施形態では、カルシウムイオン含有溶液ではない第1イオン含有溶液が電気エネルギーの印加中に多孔質部位706pa,706pbから放出され(例えば、第1イオン含有溶液は塩化ナトリウムのような1A族ハロゲン化物溶液であってもよい)、カルシウムイオン含有溶液は電気エネルギーの印加の前および/または後に多孔質部位706pa,706pbの少なくとも一方から放出されてもよい。1つの特定の例において、示した実施形態について、第1イオン含有溶液(例えば生理食塩水)は電気エネルギーの印加中に第1部分706aの第1室706ai内に導入され、カルシウムイオン含有溶液は電気エネルギーの印加後に第1部分706aの第1室706ai内に導入される。例えば、カルシウムイオン含有溶液は第1流体送達管腔(図示せず)を介して第1部分706aの第1室706ai内に導入され、それと同時に第2流体送達管腔(図示せず)を介して第1部分706aから流体を除去してもよい。第1イオン含有溶液を収容している第1部分706aの第1室706aiにカルシウムイオン含有溶液を導入することで、カルシウムイオン含有溶液と第1イオン含有溶液との混合が生じるため、第1流体送達管腔から第1部分706aの第1室706ai内に導入されるカルシウムイオン含有溶液中のカルシウムイオンの濃度は、多孔質部位706paから最終的に放出されるカルシウムイオンの濃度よりも高いであろう。

Claims (15)

  1. (a)(i)内部室を備え、かつ1種以上のカルシウム塩を含有するカルシウムイオン含有溶液に対して透過性であるバルーン構造物と、(ii)近位端部および遠位端部を有する長尺状本体とを備えたエレクトロポレーションカテーテルであって、前記バルーン構造物は前記長尺状本体の遠位端部に配置されている、エレクトロポレーションカテーテルと、
    (b)(i)カルシウムイオン含有溶液、または(ii)液体担体と混合するとカルシウムイオン含有溶液を生成する、乾燥形態にある前記1種以上のカルシウム塩を収容する1つ以上の第1容器とを備える装置。
  2. 前記1つ以上の第1容器は、シリンジ、およびゴムセプタムを備えたバイアルのうちから選択される、請求項1に記載の装置。
  3. 前記1つ以上のカルシウム塩は、ハロゲン化カルシウム塩、有機酸のカルシウム塩、リン酸カルシウム、およびそれらの組み合わせのうちから選択される、請求項1または2に記載の装置。
  4. 前記カルシウムイオン含有溶液は塩化カルシウムを含有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置。
  5. 前記カルシウムイオン含有溶液中のカルシウムイオンの濃度は、少なくとも250nMである、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置。
  6. 前記カルシウムイオン含有溶液中のカルシウムイオンの濃度は、250nM〜500mMにわたる、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置。
  7. (a)乾燥形態にある前記1種以上のカルシウム塩を収容する1つ以上の第1容器と、(b)液体担体を収容する1つ以上の第2容器とを備える、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の装置。
  8. 前記バルーン構造物は、前記カルシウムイオン含有溶液に対して透過性である第1部位と、前記カルシウムイオン含有溶液に対して実質的に不透過性である第2部位とを備える、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の装置。
  9. 前記バルーン構造物の第1部位は多孔質部位であり、前記バルーン構造物の第2部位は非多孔質部位である、請求項8に記載の装置。
  10. 前記多孔質部位は、多孔質バンドの形態にある、請求項9に記載の装置。
  11. 前記バルーン構造物は電界紡糸されたバルーンを備える、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の装置。
  12. 前記長尺状本体は、前記内部室と流体が流れるように連通した管腔を備え、前記管腔は、前記カルシウムイオン含有溶液が前記バルーン構造物を透過するように、前記カルシウムイオン含有溶液を前記内部室に供給するように構成されている、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の装置。
  13. 前記バルーン構造物の内部室内には電極が配置されている、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の装置。
  14. 前記バルーン構造物の内部室内に配置された電極とともに接地または閉ループを形成するように構成された先端電極をさらに備える、請求項13に記載の装置。
  15. 前記エレクトロポレーションカテーテルに電気エネルギーを供給するように構成された制御装置をさらに備える、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の装置。
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