JP2020528457A - Dna−pkcsを阻害するための薬物治療 - Google Patents

Dna−pkcsを阻害するための薬物治療 Download PDF

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Abstract

DNA二本鎖切断の誘導および薬物治療と組み合わせてエンドスタチンを使用する治療スキームの手段によって腫瘍または癌を治療するための方法。この方法および組成物は、p53機能の欠損に関連する腫瘍もしくは癌、またはp53機能が正常である場合に生じる腫瘍もしくは癌を治療するために使用される。【選択図】なし

Description

発明の分野
本発明は、腫瘍または癌を治療するための方法および薬剤、特に、DNA依存性タンパク質キナーゼ触媒サブユニット(DNA-dependent protein kinase catalytic subunit)(DNA−PKcs)を阻害することにより腫瘍または癌を治療するための方法および薬剤に関する。
発明の背景
腫瘍は、複数の因子が役割を果たし、関与し、多段階で発症する疾患である。化学療法は、腫瘍の治療に重要な役割を果たす。しかしながら、腫瘍細胞は、化学療法薬に対して耐性を生じやすく、これが癌患者の治療に重大な影響を及ぼす。アルキル化剤、白金錯体およびトポイソメラーゼ阻害剤などの慣用化学療法薬は、標的としてDNAを用い、DNA損傷を引き起こしてアポトーシスを誘導することにより腫瘍細胞を死滅させる。従って、DNA損傷の修復は、化学療法薬に対する腫瘍細胞の耐性の重要な理由となると考えられる。化学療法薬により引き起こされるDNA損傷には、塩基の損傷、一本鎖切断(single-strand break)(SSB)、二本鎖切断(double-strand break)(DSB)などを含む多くの形態があるが、このうち、DSB傷害が最も深刻である。哺乳動物細胞では、DSB損傷の修復には、相同組換え(Homologous Recombination)(HR)と非相同末端結合(Nonhomologous End Joining)(NHEJ)の2つの主要な形態がある。HR修復プロセスは、鋳型として姉妹染色分体を用いて損傷したDNA二本鎖を正確に修復するが、細胞周期のS期およびG2期においてのみである。HRに比べ、NHEJは、細胞周期のいずれのステージでも実行可能なより保存的な修復機構である。この修復は相同鋳型を必要とせず、タンパク質の相互作用を用いて損傷した末端を直接接続するものであり、哺乳動物細胞におけるDSB修復の主要な機構である。NHEJの基本プロセスは二本鎖切断後に起こるものであり、Ku70/Ku80がDSB傷害部位の末端に結合し、次いで、KuがDNA−PKcsを動員してDNA−PK複合体を形成し、この複合体がNHEJ修復機構を開始する。DNA−PKcsは、自己リン酸化と下流タンパク質のリン酸化を介して修復シグナルを伝達する。DNA末端処理タンパク質(ヌクレアーゼ、ポリメラーゼなど)は、崩れた末端を連結に適した構造へと処理し、最後に、リガーゼIV−XRCC4−XLF複合体が連結機能を遂行する。それらの中で、DNA−PKcsは、DNA−PK複合体の触媒サブユニットであり、ホスファチジルイノシトール−3−キナーゼ様キナーゼ(phosphatidylinositol-3-kinase-like kinase)(PIKK)ファミリーのメンバーであり、NHEJ修復に中枢的役割を果たす。DNA−PKcsの阻害がDNA傷害薬に対する腫瘍細胞の感受性を著しく高め得ることを示した研究がある(Elaine Willmore, et al. Blood. 2004;103: 4659-4665, Yan Zhao, et al. Cancer Res 2006; 66(10): 5354-62)。DNA−PK阻害剤もまた継続的に開発され、いくつかのDNA−PK阻害剤は臨床試験に入っている。腫瘍を治療するための、化学療法薬と組み合わせたDNA修復阻害剤の使用は有望な分野である。
P53タンパク質は、これまでに最も著明な腫瘍抑制因子の1つであると考えられている。このタンパク質は、腫瘍形成および発症に重要な調節的役割を果たし、細胞周期の休止、細胞老化、DNA損傷の修復およびアポトーシスなどの複数の生命活動プロセスに関与している。化学療法薬の刺激下で、野生型P53はカスパーゼファミリーのタンパク質を活性化し、一連の下流標的遺伝子を調節することによって腫瘍細胞のアポトーシスを引き起こし得ることを示した研究がある(Liz J Valente, et al. BioDiscovery 2013; 8: 3)が、遺伝子欠失または突然変異を含むp53遺伝子異常の発生率は腫瘍で高い。異常なp53遺伝子は、多くの場合、正常な機能の欠損を招き、続いて、化学療法薬に対する腫瘍細胞の感受性を低下させる。正常なP53機能を有する腫瘍は、P53機能の欠損を有する腫瘍よりも化学療法薬に良好に応答することを示した研究がある(Toshiyuki Harada, et al. Cancer Sci 2003; 94: 394-399)。
エンドスタチン(ES)は、1997年ハーバード大学のFolkman教授が率いる研究グループによって発見された内因性新生血管形成阻害剤である。エンドスタチンは、コラーゲンXVIIIのC末端断片として同定された。エンドスタチンは、イン・ビトロ(in vitro)試験およびイン・ビボ(in vivo)試験で、細胞傷害性および薬剤耐性の発達なく、活性化された血管内皮細胞の増殖の阻害、新血管の形成の阻害、ならびに腫瘍の発生および転移の阻害などの活性を示した(O'Reilly MS et al. Cell 1997; 88:277-285; Boehm T. et al. Nature 1997; 390: 404-407)。続いての研究では、エンドスタチンはまた、リンパ内皮細胞の増殖、遊走およびリンパ管形成の阻害、脂肪細胞分化およびインスリン抵抗性の阻害などを含む様々な生物活性を有することが判明した(Zhuo W et al. J Pathol 2010; 222, 249-260, Wang H et al. Diabetes 2015; 64, 2442-2456)。しかし、これまでのところ、エンドスタチンがDNA損傷修復経路を調節することを示す報告は無かった。
本発明は、DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画と組み合わせてエンドスタチンを使用することによって腫瘍または癌を治療するための方法および薬剤を提供する。本発明の方法および組成物は、P53機能の欠損を有する腫瘍もしくは癌、または正常なP53機能を有する腫瘍もしくは癌を治療するために使用することができる。
本発明の1つの態様によれば、エンドスタチンと化学療法薬とを含んでなり、前記化学療法薬がDNA二本鎖切断を誘導する化学療法薬である、医薬組成物が提供される。
いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、薬学上許容される担体をさらに含んでなる。
いくつかの実施形態では、前記化学療法薬は、エトポシドまたはドキソルビシンである。
いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、腫瘍または癌を治療するために使用される。
いくつかの実施形態では、前記腫瘍または癌は、P53機能を欠損している。
いくつかの実施形態では、前記腫瘍または癌は、P53機能が正常である。
いくつかの実施形態では、前記腫瘍または癌は、非小細胞肺癌または黒色腫である。
いくつかの実施形態では、前記エンドスタチンは、
天然ヒトエンドスタチン;
天然ヒトエンドスタチンのN末端に9個の付加的アミノ酸MGGSHHHHHを付加することにより得られるエンドスタチン変異体(ここで、前記エンドセリン変異体のN末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある);または
天然ヒトエンドスタチンを分子量20kDaのモノメトキシポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド(mPEG−ALD)で修飾することにより得られる産物(ここで、それらの結合部位は活性化されたmPEG−ALDアルデヒド基と天然ヒトエンドスタチンのN末端α−アミノ基である)、
である。
本発明の別の態様によれば、エンドスタチンと化学療法薬とを含み、前記化学療法薬がDNA二本鎖切断を誘導する化学療法薬である、薬物の組合せが提供される。
いくつかの実施形態では、前記化学療法薬は、エトポシドまたはドキソルビシンである。
いくつかの実施形態では、前記薬物の組合せは、腫瘍または癌を治療するために使用される。
いくつかの実施形態では、前記腫瘍または癌は、P53機能を欠損している。
いくつかの実施形態では、前記腫瘍または癌は、P53機能が正常である。
いくつかの実施形態では、前記腫瘍または癌は、非小細胞肺癌または黒色腫である。
いくつかの実施形態では、前記エンドスタチンと化学療法薬は、同時にまたは逐次に投与すされる。
いくつかの実施形態では、前記エンドスタチンは、
天然ヒトエンドスタチン;
天然ヒトエンドスタチンのN末端に9個の付加的アミノ酸MGGSHHHHHを付加することにより得られるエンドスタチン変異体(ここで、前記エンドセリン変異体のN末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある);または
天然ヒトエンドスタチンを分子量20kDaのモノメトキシポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド(mPEG−ALD)で修飾することにより得られる産物(ここで、それらの結合部位は活性化されたmPEG−ALDアルデヒド基と天然ヒトエンドスタチンのN末端α−アミノ基である)、
である。
本発明の別の態様によれば、a)エンドスタチンまたはエンドスタチンを含有する医薬組成物である第1の薬剤と;b)化学療法薬である第2の薬剤(ここで、前記化学療法薬は、DNA二本鎖切断を誘導する化学療法薬である)とを含んでなるキットが提供される。
いくつかの実施形態では、前記化学療法薬は、エトポシドまたはドキソルビシンである。
いくつかの実施形態では、前記キットは、腫瘍または癌を治療するために使用される。
いくつかの実施形態では、前記腫瘍または癌は、P53機能を欠損している。
いくつかの実施形態では、前記腫瘍または癌は、P53機能が正常である。
いくつかの実施形態では、前記腫瘍または癌は、非小細胞肺癌または黒色腫である。
いくつかの実施形態では、前記エンドスタチンは、
天然ヒトエンドスタチン;
天然ヒトエンドスタチンのN末端に9個の付加的アミノ酸MGGSHHHHHを付加することにより得られるエンドスタチン変異体(ここで、前記エンドセリン変異体のN末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある);または
天然ヒトエンドスタチンを分子量20kDaのモノメトキシポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド(mPEG−ALD)で修飾することにより得られる産物(ここで、それらの結合部位は活性化されたmPEG−ALDアルデヒド基と天然ヒトエンドスタチンのN末端α−アミノ基である)、
である。
本発明の別の態様によれば、 DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画に対して細胞の感受性を増強するための方法が提供され、前記細胞をエンドスタチンと接触させる工程を含んでなり、前記細胞はP53機能を欠損している。
いくつかの実施形態では、前記細胞は、腫瘍細胞または癌細胞である。
いくつかの実施形態では、前記腫瘍細胞または癌細胞は、非小細胞肺癌細胞または黒色腫細胞である。
いくつかの実施形態では、前記方法は、イン・ビボまたはイン・ビトロで行われる。
いくつかの実施形態では、前記細胞をエンドスタチンと接触させる工程は、DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画と同時にまたは逐次に行われる。
いくつかの実施形態では、前記細胞は、DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画の前にエンドスタチンと接触される。
いくつかの実施形態では、前記細胞は、DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画の後にエンドスタチンと接触される。
いくつかの実施形態では、前記DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画は、放射線療法および/または化学療法薬の投与である。
いくつかの実施形態では、前記化学療法薬は、エトポシドまたはドキソルビシンである。
いくつかの実施形態では、前記エンドスタチンは、
天然ヒトエンドスタチン;
天然ヒトエンドスタチンのN末端に9個の付加的アミノ酸MGGSHHHHHを付加することにより得られるエンドスタチン変異体(ここで、前記エンドセリン変異体のN末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある);または
天然ヒトエンドスタチンを分子量20kDaのモノメトキシポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド(mPEG−ALD)で修飾することにより得られる産物(ここで、それらの結合部位は活性化されたmPEG−ALDアルデヒド基と天然ヒトエンドスタチンのN末端α−アミノ基である)、
である。
本発明の別の態様によれば、腫瘍または癌の治療のための、DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画との併用薬の製造におけるエンドスタチンの使用が提供される。
いくつかの実施形態では、前記腫瘍または癌は、P53機能を欠損している。
いくつかの実施形態では、前記腫瘍または癌は、P53機能が正常である。
いくつかの実施形態では、前記DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画の治療用量は、単独で使用される場合の治療計画の治療用量よりも少ない。
いくつかの実施形態では、前記腫瘍または癌は、非小細胞肺癌または黒色腫である。
いくつかの実施形態では、前記DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画は、放射線療法および/または化学療法薬である。
いくつかの実施形態では、前記化学療法薬は、エトポシドまたはドキソルビシンである。
いくつかの実施形態では、前記エンドスタチンは、
天然ヒトエンドスタチン;
天然ヒトエンドスタチンのN末端に9個の付加的アミノ酸MGGSHHHHHを付加することにより得られるエンドスタチン変異体(ここで、前記エンドセリン変異体のN末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある);または
天然ヒトエンドスタチンを分子量20kDaのモノメトキシポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド(mPEG−ALD)で修飾することにより得られる産物(ここで、それらの結合部位は活性化されたmPEG−ALDアルデヒド基と天然ヒトエンドスタチンのN末端α−アミノ基である)、
である。
本発明の別の態様によれば、
対象において腫瘍または癌を治療する方法であって、
a)対象においてDNA二本鎖切断を誘導するための治療計画を行うこと;および
b)前記対象にエンドスタチンを投与すること
を含んでなる方法が提供される。
いくつかの実施形態では、前記腫瘍または癌は、P53機能を欠損している。
いくつかの実施形態では、前記腫瘍または癌は、P53機能が正常である。
いくつかの実施形態では、前記DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画の治療用量は、単独で使用される場合の治療計画の治療用量おりも少ない。
いくつかの実施形態では、前記腫瘍または癌は、非小細胞肺癌または黒色腫である。
いくつかの実施形態では、前記の細胞をエンドスタチンと接触させる工程は、前記DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画と同時にまたは逐次に行われる。
いくつかの実施形態では、エンドスタチンは、前記DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画の前に前記対象に投与される。
いくつかの実施形態では、エンドセリンは、前記DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画の後に前記対象に投与される。
いくつかの実施形態では、前記DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画は、放射線療法および/または化学療法薬である。
いくつかの実施形態では、前記化学療法薬は、エトポシドまたはドキソルビシンである。
いくつかの実施形態では、前記対象はヒトである。
いくつかの実施形態では、前記エンドスタチンは、
天然ヒトエンドスタチン;
天然ヒトエンドスタチンのN末端に9個の付加的アミノ酸MGGSHHHHHを付加することにより得られるエンドスタチン変異体(ここで、前記エンドセリン変異体のN末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある);または
天然ヒトエンドスタチンを分子量20kDaのモノメトキシポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド(mPEG−ALD)で修飾することにより得られる産物(ここで、それらの結合部位は活性化されたmPEG−ALDアルデヒド基と天然ヒトエンドスタチンのN末端α−アミノ基である)、
である。
本発明の別の態様によれば、アポトーシスを誘導するための方法であって、
a)細胞においてDNA二本鎖切断を誘導すること;および
b)前記細胞をエンドスタチンと接触させること
を含んでなる方法が提供される。
いくつかの実施形態では、前記細胞は、腫瘍細胞または癌細胞である。
いくつかの実施形態では、前記腫瘍細胞または癌細胞は、P53機能を欠損している。
いくつかの実施形態では、前記腫瘍細胞または癌細胞は、P53機能が正常である。
いくつかの実施形態では、細胞においてDNA二本鎖切断を誘導する工程において適用される用量は、その治療計画が単独で使用される場合に適用される用量よりも少ない。
いくつかの実施形態では、前記腫瘍または癌は、非小細胞肺癌または黒色腫である。
いくつかの実施形態では、細胞においてDNA二本鎖切断を誘導する工程は、前記細胞をエンドスタチンと接触させる工程と同時にまたは逐次に行われる。
いくつかの実施形態では、前記細胞は、前記細胞においてDNA二本鎖切断を誘導する前にエンドスタチンと接触される。
いくつかの実施形態では、前記細胞は、前記細胞においてDNA二本鎖切断を誘導した後にエンドスタチンと接触される。
いくつかの実施形態では、前記DNA二本鎖切断は、前記細胞に照射を行うことまたは前記細胞を化学療法薬と接触させることにより誘導される。
いくつかの実施形態では、前記化学療法薬は、エトポシドまたはドキソルビシンである。
いくつかの実施形態では、前記方法は、イン・ビトロまたはイン・ビボで行われる。
いくつかの実施形態では、前記エンドスタチンは、
天然ヒトエンドスタチン;
天然ヒトエンドスタチンのN末端に9個の付加的アミノ酸MGGSHHHHHを付加することにより得られるエンドスタチン変異体(ここで、前記エンドセリン変異体のN末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある);または
天然ヒトエンドスタチンを分子量20kDaのモノメトキシポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド(mPEG−ALD)で修飾することにより得られる産物(ここで、それらの結合部位は活性化されたmPEG−ALDアルデヒド基と天然ヒトエンドスタチンのN末端α−アミノ基である)、
である。
本発明の別の態様によれば、アポトーシスを誘導するための薬剤の製造におけるエンドスタチンの使用が提供され、前記細胞はDNA二本鎖切断を生じさせられる。
いくつかの実施形態では、前記細胞は、腫瘍細胞または癌細胞である。
いくつかの実施形態では、前記腫瘍細胞または癌細胞は、P53機能を欠損している。
いくつかの実施形態では、前記腫瘍細胞または癌細胞は、P53機能が正常である。
いくつかの実施形態では、前記腫瘍または癌は、非小細胞肺癌または黒色腫である。
いくつかの実施形態では、前記細胞は、放射線照射または化学療法薬への曝露によりDNA二本鎖切断を生じさせられる。
いくつかの実施形態では、前記化学療法薬は、エトポシドまたはドキソルビシンである。
いくつかの実施形態では、前記エンドスタチンは、
天然ヒトエンドスタチン;
天然ヒトエンドスタチンのN末端に9個の付加的アミノ酸MGGSHHHHHを付加することにより得られるエンドスタチン変異体(ここで、前記エンドセリン変異体のN末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある);または
天然ヒトエンドスタチンを分子量20kDaのモノメトキシポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド(mPEG−ALD)で修飾することにより得られる産物(ここで、それらの結合部位は活性化されたmPEG−ALDアルデヒド基と天然ヒトエンドスタチンのN末端α−アミノ基である)、
である。
本発明の別の態様によれば、生体サンプルにおいてDNA−PKcs活性を阻害する方法であって、前記生体サンプルをエンドスタチンと接触させることを含んでなる方法が提供される。
いくつかの実施形態では、前記エンドスタチンは、
天然ヒトエンドスタチン;
天然ヒトエンドスタチンのN末端に9個の付加的アミノ酸MGGSHHHHHを付加することにより得られるエンドスタチン変異体(ここで、前記エンドセリン変異体のN末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある);または
天然ヒトエンドスタチンを分子量20kDaのモノメトキシポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド(mPEG−ALD)で修飾することにより得られる産物(ここで、それらの結合部位は活性化されたmPEG−ALDアルデヒド基と天然ヒトエンドスタチンのN末端α−アミノ基である)、
である。
図1A:クーマシーブルー染色は、SDS−PAGEにより検出した場合、腫瘍細胞においてエンドスタチン結合タンパク質を示した。CNBrは、臭化水素活性化アガロースゲル4Bアフィニティー媒体を表す。図1B:免疫ブロットアッセイにより検出される、腫瘍細胞におけるエンドスタチン結合タンパク質。図1C:共免疫沈降アッセイにより検出される、腫瘍細胞におけるエンドスタチンとDNA−PKcsの相互作用。 図2A:免疫ブロットアッセイは、エンドスタチンが、化学療法薬により誘導されるH1299細胞におけるDNA−PKcsシグナル伝達経路の活性化を阻害したことを示した。図2B:免疫ブロットアッセイは、エンドスタチンが、化学療法薬により誘導されるA549細胞におけるDNA−PKcsシグナル伝達経路の活性化を阻害したことを示した。 図3A:免疫ブロットアッセイは、エンドスタチンが、H1299細胞においてDNA−PKcsにより媒介されるDNA損傷の修復を遅延させたことを示した。図3B:免疫ブロットアッセイは、エンドスタチンが、A549細胞においてDNA−PKcsにより媒介されるDNA損傷の修復を遅延させたことを示した。 図4A:エトポシドと共同したエンドスタチンはH1299細胞のアポトーシスを促進し、これはDNA−PKcsの存在に依存した。**は、P<0.01を表す;nsは、有意差無し。図4B:エトポシドと共同したエンドスタチンはA549細胞のアポトーシスを促進し、これはDNA−PKcsの存在に依存した。**は、P<0.001を表す;nsは、有意差無し。 図5A:エトポシドと共同したエンドスタチンは、H1299−NC細胞の活性を阻害した。は、P<0.05を表し;***は、P<0.001を表す。図5B:エンドスタチンは、H1299−P53細胞の活性に対するエトポシドの阻害効果を増強できない。図5C:エンドスタチンは、A549−NC細胞の活性に対するエトポシドの阻害効果を増強できない。図5D:エトポシドと共同したエンドスタチンは、A549−shP53細胞の活性を阻害した。は、P<0.05を表し;**は、P<0.01を表す。 図6A:エトポシドと共同したエンドスタチンは、H1299−NC細胞の生存を阻害した。***は、P<0.001を表す。図6B:エンドスタチンは、H1299−P53細胞の生存に対するエトポシドの阻害効果を増強できない。nsは、有意差無し。図6C:エンドスタチンは、A549−NC細胞の生存に対するエトポシドの阻害効果を増強できない。nsは、有意差無し。図6D:エトポシドと共同したエンドスタチンは、A549−shP53細胞の生存を阻害した。***は、P<0.001を表す。 図7A:エトポシドと共同したエンドスタチンは、H1299−NC細胞のアポトーシスを促進した。***は、P<0.001を表す。図7B:エンドスタチンは、H1299−P53細胞のアポトーシスを促進するようにエトポシドを増強できない。nsは、有意差無し。図7C:エンドスタチンは、A549−NC細胞のアポトーシスを促進するようにエトポシドを増強できない。nsは、有意差無し。図7D:エトポシドと共同したエンドスタチンは、A549−shP53細胞のアポトーシスを阻害した。***は、P<0.001を表す。 図8A:ドキソルビシンと共同したエンドスタチンは、H1299−NC細胞の活性を阻害した。は、P<0.05を表し;**は、P<0.01を表す。図8B:エンドスタチンは、H1299−P53細胞の活性に対するドキソルビシンの阻害効果を増強できない。図8C:エンドスタチンは、A549−NC細胞の活性に対するドキソルビシンの阻害効果を増強できない。図8D:ドキソルビシンと共同したエンドスタチンは、A549−shP53細胞の活性を阻害した。は、P<0.05を表し;***は、P<0.001を表す。 図9A:エトポシドと共同したエンドスタチンは、MDA−MB−435S細胞の活性を阻害した。は、P<0.05を表し;**は、P<0.01を表す。図9B:エンドスタチンは、A375細胞の活性に対するエトポシドの阻害効果を増強できない。 図10A:免疫ブロットアッセイは、エンドスタチンが、H1299−NC細胞において、DNA−PKcsによる細胞損傷の修復を阻害し、アポトーシス経路の活性化およびDNA−PKcsの分解を促進したことを示した。図10B:免疫ブロットアッセイは、エンドスタチンが、H1299−P53細胞において、エトポシドにより誘導されたDNA損傷、アポトーシス経路の活性化、およびDNA−PKcsの分解に効果を及ぼさなかったことを示した。図10C:免疫ブロットアッセイは、エンドスタチンが、A549−NC細胞において、エトポシドにより誘導されたDNA損傷、アポトーシス経路の活性化、およびDNA−PKcsの分解に効果を及ぼさなかったことを示した。図10D:免疫ブロットアッセイは、エンドスタチンが、A549−shP53細胞において、DNA−PKcsによる細胞損傷の修復を阻害し、アポトーシス経路の活性化およびDNA−PKcsの分解を促進したことを示した。 図11A:エトポシドと共同したエンドスタチンは、H1299−NC細胞において、アポトーシス誘導分子BAXNOXAPUMAP21のmRNA発現レベルを上方調節した。は、P<0.05を表し;**は、P<0.01を表し;***は、P<0.001を表す。図11B:エンドスタチンは、H1299−P53細胞において、エトポシドにより上方調節されたアポトーシス誘導分子BAXNOXAPUMAP21のmRNA発現レベルに効果を及ぼさなかった。nsは、有意差無し。図11C:エンドスタチンは、A549−NC細胞において、エトポシドにより上方調節されたアポトーシス誘導分子BAXNOXAPUMAP21のmRNA発現レベルに効果を及ぼさなかった。nsは、有意差無し。図11D:エトポシドと共同したエンドスタチンは、A549−shP53細胞において、アポトーシス誘導分子BAXNOXAPUMAP21のmRNA発現レベルを上方調節した。は、P<0.05を表し;**は、P<0.01を表す。 図12A:エンドスタチンは、H1299−NC腫瘍増殖に対するエトポシドの阻害効果を増強した。**は、P<0.01を表す。図12B:エンドスタチンは、H1299−P53腫瘍増殖に対するエトポシドの阻害効果を増強できない。nsは、有意差無し。図12C:エンドスタチンは、A549−NC腫瘍増殖に対するエトポシドの阻害効果を増強できない。nsは、有意差無し。図12D:エンドスタチンは、A549−shP53腫瘍増殖に対するエトポシドの阻害効果を増強した。**は、P<0.01を表す。 図13A:エンドスタチンとエトポシドの併用は、H1299担癌マウスの生存期間の延長に共同作用を示した。は、P<0.05を表す。図13B:エンドスタチンとエトポシドの併用は、エトポシド単独で処置した群では、A549担癌マウスの生存期間をさらに延長することができない。nsは、有意差無し。 図14A:免疫蛍光法は、エトポシドと共同したエンドスタチンがH1299−NC腫瘍の増殖およびDNA−PKcsの発現レベルを阻害したことを示した。は、P<0.05を表し;**は、P<0.01を表す。図14B:免疫蛍光法は、エンドスタチンがH1299−P53腫瘍の増殖およびDNA−PKcsの発現レベルに対するエトポシドの阻害効果を増強できなかったことを示した。nsは、有意差無し。図14C:免疫蛍光法は、エンドスタチンが549−NC腫瘍の増殖およびDNA−PKcsの発現レベルに対するエトポシドの阻害効果を増強できなかったことを示した。nsは、有意差無し。図14D:免疫蛍光法は、エトポシドと共同したエンドスタチンは、A549−shP53腫瘍の増殖およびDNA−PKcsの発現レベルを阻害したことを示した。は、P<0.05を表し;**は、P<0.01を表す。 図15A:免疫ブロットアッセイは、ZBP−エンドスタチンおよびPEG−エンドスタチンが、H1299細胞において、化学療法薬により誘導されたDNA−PKcsシグナル伝達経路の活性化を阻害したことを示した。図15B:免疫ブロットアッセイは、ZBP−エンドスタチンおよびPEG−エンドスタチンが、A549細胞において、化学療法薬により誘導されたDNA−PKcsシグナル伝達経路の活性化を阻害したことを示した。
発明の詳細な説明
本発明において、エンドスタチンは、腫瘍細胞に直接作用し、化学療法薬に対する腫瘍細胞の感受性を調節し得ることが分かる。イン・ビトロ細胞学試験において、エンドスタチンは、P53欠損腫瘍細胞の活性および細胞コロニー形成能に対する化学療法薬の阻害効果を有意に増強し、かつ、化学療法薬により引き起こされる腫瘍細胞のアポトーシスを促進し得ることが分かる。一方、マウス異種移植腫瘍モデルでは、エンドスタチンは、P53欠損非小細胞肺癌異種移植片に対する化学療法薬の増殖阻害効果を有意に増強し、担癌マウスの生存を延長し得る。
本発明において、エンドスタチンが化学療法に対する腫瘍細胞の感受性を調節する機構を、腫瘍細胞においてエンドスタチンと相互作用するタンパク質をスクリーニングすることにより探究するために、エンドスタチンがDNA−PKcsと特異的に相互作用し得ることが判明した。DNA−PKcsは、哺乳動物細胞の非相同末端結合経路における重要なタンパク質であり、細胞におけるDNA二本鎖切断の修復に関与する。エンドスタチンとDNA−PKcsの間の相互作用は、その活性を阻害し、さらにDNA損傷の修復も阻害し得る。P53欠損腫瘍細胞は、化学療法薬に対して耐性を示し、細胞の生存は、DNA−PKcsにより媒介されるDNA修復プロセスに依存する。こうした状況のもと、エンドスタチンは、DNA−PKcsの活性を阻害することによって細胞内にDNA損傷の蓄積を招き、次いで、アポトーシスを誘導し、化学療法薬の治療効果を増強する。正常なP53機能を有する細胞は、化学療法薬により感受性が大きい。P53は、化学療法薬単独の処置下で、カスパーゼ−3により媒介されるアポトーシスを活性化し、カスパーゼ−3の基質としてのDNA−PKcsは、この過程でまた切断されて量が減る。従って、DNA−PKcsを阻害するためにエンドスタチンを使用する効果は決めて限定される。
P53欠損腫瘍細胞におけるエンドスタチンの作用機序は、次のように理解することができる。P53はカスパーゼファミリータンパク質を活性化することができ、一連の下流標的遺伝子を調節することによって腫瘍細胞のアポトーシスを引き起こすことができるので、P53欠損腫瘍細胞は、より高いアポトーシス閾値を有し、エトポシドなどのDNA損傷誘導剤による刺激があれば、DNA−PKcsシグナル伝達経路は活性化され、非相同末端結合経路を介してDNA損傷の修復を媒介する。このような場合、エンドスタチンは、DNA−PKcsと直接結合してその活性を阻害し、細胞においてDNA損傷の蓄積を引き起こすことができ、これらの細胞はDNA修復からアポトーシスへと進行する。この時、カスパーゼ経路の活性化は次にDNA−PKcsの分解をもたらし、さらにDNA修復を遮断し、細胞死を促進する。これに対し、DNA損傷の際に、正常なP53機能を有する腫瘍細胞は、より低いアポトーシス閾値を有し、P53は、アポトーシス関連エフェクターの活性化を誘発する。このような場合、アポトーシスの初期段階では、DNA−PKcsは、P53経路により活性化されたカスパーゼ−3によって分解され、これがさらにDNA修復を減弱する。従って、P53シグナル経路はそれ自体、フィードバック調節ループを形成し得る。正常なP53機能を有する腫瘍細胞では、エンドセリンをDNA−PKcs標的化することによる化学療法感受性の増強効果は理想的でない。
よって、本発明は、エンドスタチンがDNA−PKcsに直接結合してその活性を阻害し得る、すなわち、エンドスタチンはDNA−PKcsの阻害剤であるという発見に本質的に基づく。P53欠損細胞の場合、いずれかの治療方法(例えば、化学療法薬または放射線療法)によりDNA損傷が誘導されると、エンドスタチンは上記の機構を介して細胞のアポトーシスを促進し、それにより、その治療方法に対する細胞の感受性を増強することができる。正常なP53機能を有する細胞であっても、エンドスタチンの使用は、化学療法薬の用量または放射線療法の線量を低減し得る。この時、細胞のDNA損傷は化学療法薬の用量または放射線療法の線量の低減のために低減されるが、エンドスタチンは、DNA−PKcsの活性を阻害し、それにより、細胞内のDNA損傷の蓄積を促進し、アポトーシスを促進し得る。従って、化学療法薬の用量または放射線療法の線量が低減されても元の用量の効果がなお達成され、それにより、化学療法薬または放射線療法の副作用が軽減され、そのコンプライアンスも改善される。
本明細書に記載する「エンドスタチン(ES)」は、その最も広い意味を有し、イン・ビボにおいて血管内皮細胞の増殖、遊走および血管新生を阻害する活性などの天然のエンドスタチン活性を有する様々なタンパク質を含む。
本明細書に記載する「エンドスタチン」は、天然エンドスタチン、好ましくは、天然ヒトエンドスタチンであり得るが、これに限定されない。例えば、エンドスタチンは、マウス、ラット、ブタ、イヌ、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、ネコなどの他の哺乳動物由来の天然エンドスタチンであってもよい。エンドスタチンは、天然源から精製されてもよいし、または組換えタンパク質であってもよい。
本発明で使用される天然ヒトエンドスタチンの配列は、例えば、下記であり得る。
Figure 2020528457
配列中、N末端のMetは、大腸菌(E. coli)により発現される場合、部分的に欠失されていることがある。
本明細書に記載する「エンドスタチン」は、天然エンドスタチンに比べて1または複数のアミノ酸の置換、欠失または付加を有する、天然エンドスタチンの機能的変異体、例えば、操作された機能的変異体であってもよく、血管内皮細胞の増殖、遊走およびイン・ビボ血管新生を阻害する活性など、基本的に同じ生体機能を有する。
本明細書において、用語「機能的変異体」は、アミノ酸配列内に1以上の(例えば、1〜5、1〜10、または1〜15、特に、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、またはそれを超える)アミノ酸の置換、欠失または付加を含むエンドスタチンの変異株を含み、これらの変異株は、血管内皮細胞の増殖、遊走およびイン・ビボ血管新生を阻害するエンドスタチンの活性と同等の生物活性を有する。エンドスタチンの「機能的変異体」の生物活性は、天然エンドスタチン、例えば、天然ヒトエンドスタチンの活性の、例えば、30%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上または90%以上であり得る。「機能的変異体」は、天然変異株または人工変異株、例えば、部位特異的突然変異誘発により得られた突然変異体、または遺伝子組換え法により作出された突然変異体であり得る。
「機能的変異体」の生物活性は、エンドスタチン活性を検出するために当技術分野で周知の方法によって検出することができる。例えば、HMEC細胞を選択することができ、機能的変異体によるHMEC細胞遊走の阻害率が遊走(トランスウェルアッセイ)法を用いて分析され、タンパク質活性を表すために細胞数が計数される(Luo yongzhang et al., Endostatin inhibits tumourlymphangiogenesis and lymphatic metastasis via cell surface nucleolin on lymphangiogenic endothelial cells (J Pathol 2010; 222: 249-260)参照)。
本発明のいくつかの実施形態では、「エンドスタチン」は、可溶性発現を増し、精製を容易にするために、天然ヒトESのN末端に9個の付加的アミノ酸(MGGSHHHHH)を付加することにより得られたES変異体であるZBP−エンドスタチン(商標Endostar)などの天然ヒトエンドスタチンの機能的変異体であり得る。ZBP−エンドスタチンのアミノ酸配列は下記である。
Figure 2020528457
配列中、N末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある。
エンドスタチン機能的変異体の他の例としては、PCT国際出願PCT/CN2012/081210に開示されているエンドスタチン突然変異体、例えば、ES006、ES008、ES011、S02、S09、Z006、Z008、ZN1などが含まれる(これらは総て、それらの全内容が引用することにより本明細書の一部とされる)。
本明細書に記載する「エンドスタチン」はまた、血管内皮細胞の増殖、遊走およびイン・ビボ血管新生を阻害する活性など、天然エンドスタチンと実質的に同じ生体機能を有する、天然エンドスタチンまたはその機能的変異体の誘導体または修飾生成物(例えば、ポリエチレングリコール修飾生成物)であってもよい。
本発明のいくつかの実施形態では、「エンドスタチン」は、天然ヒトエンドスタチンの誘導体、例えば、分子量20kDaのモノメトキシポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド(mPEG−ALD)による天然ヒトESの修飾から得られた生成物であってよく、その結合部位は、活性化されたmPEG−ALDアルデヒド基とN末端α−アミノである。
「DNA依存性タンパク質キナーゼ触媒サブユニット(DNA−PKcs)」は、本明細書に記載する場合、DNA−PK複合体の触媒サブユニットであり、ホスファチジルイノシトール−3−キナーゼ様キナーゼファミリー(PIKK)のメンバーであり、非相同末端結合(NHEJ)修復に中枢的役割を果たす。
「DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画」は、本明細書に記載する場合、治療計画が最終的にDNA二本鎖切断を生じ得る限り、いずれの形態の治療計画であってもよい。治療計画は、例えば、DNAに二本鎖切断を直接引き起こす治療計画であってよい。治療計画はまた、例えば、DNAに一本鎖切断を引き起こし、それにより、最終的にDNAに二本鎖切断をもたらす治療計画であってもよい。治療計画はまた、例えば、染色体損傷を引き起こし、それにより、最終的にDNA二本鎖切断をもたらす治療計画であってもよい。治療計画はまた、例えば、DNA−PKcs阻害により、DNA二本鎖切断を引き起こす治療計画であってもよい。治療計画は、放射線療法または化学療法薬であってよく、1つの化学療法薬またはより多くの異なる化学療法薬の組合せであってよく、あるいは1以上の化学療法薬および放射線療法の併用治療計画であってもよい。
DNA二本鎖切断を誘導するための放射線療法計画は、当技術分野で周知である。放射線療法は、限定されるものではないが、電磁放射線または電離放射線を含むいずれの好適な技術によって行うこともできる。電磁放射線は、例えば、X線、γ線であってよく、電離放射線は、例えば、電子ビームなどであってよい。放射線療法の線量測定も当技術分野で周知である。
本明細書に記載する用語「化学療法薬」は、腫瘍または癌に対して治療効果を有する化合物を指す。本発明で使用可能な化学療法薬は、DNA二本鎖切断を誘導し得る化学療法薬である。例えば、その化学療法薬は、トポイソメラーゼII阻害剤、アルキル化剤、白金錯体、ブレオマイシン、またはドキソルビシン、例えば、限定されるものではないが、エトポシドまたはドキソルビシンであり得る。
本発明において、エンドスタチンは、腫瘍または癌を治療するためにDNA二本鎖切断を誘導するための治療計画と併用可能である。腫瘍または癌は、DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画による処置に好適な腫瘍または癌である。
本明細書に記載する「p53」は、P53と呼ばれる分子量53kDaのタンパク質をコードする腫瘍抑制因子遺伝子である。正常なP53の生体機能は、「ゲノムの守護神」の機能と同様であり、G1期にDNA損傷部位をチェックし、ゲノムの完全性を監視する。損傷があれば、P53タンパク質は、損傷したDNAが修復するために十分な時間を与えるためにDNA複製を妨げる。修復が上手くいかなければ、P53タンパク質はアポトーシスを誘導する。2コピーのp53遺伝子が変異し、これによりP53タンパク質がその正常な機能が失われれば、細胞の増殖は制御を欠くようになり、これらの細胞は癌化する。
本明細書に記載の薬剤または治療計画を用いて治療可能な腫瘍または癌は、P53機能が欠損していてもよい。P53機能が欠損した腫瘍または癌には、一部の細胞または総ての細胞にP53機能が欠損した腫瘍または癌が含まれる。P53機能が欠損した細胞は、P53機能が完全に欠損した細胞または細胞P53機能が部分的に欠損した細胞であり得る。P53機能の完全な欠損は、例えば、P53が野生型である細胞に比べてのP53の生体機能の完全な欠損であり得る。P53機能の部分的欠損は、例えば、P53が野生型である細胞に比べてのP53の生体機能の部分的欠損または減弱であり得る。P53機能が欠損した細胞は、例えば、正常細胞に比べてP53タンパク質の発現および/または活性の低下または混乱を示してもよく、これは、例えば、そのコード核酸の突然変異によるか、またはそのレギュレーターをコードする核酸の突然変異により生じ得る。P53タンパク質の発現および/または活性の低下または混乱は、P53タンパク質の不在、P53タンパク質の完全な不活性化、P53タンパク質量の減少、またはP53タンパク質機能の低下として現れ得る。「突然変異」とは、1以上のヌクレオチドの挿入、欠失または置換を含み得る。
P53機能が完全に欠損した細胞では、細胞は放射線療法または化学療法薬に感受性がない。これは、放射線療法または化学療法薬は細胞においてDNA損傷を引き起こし、これがDNA−PKcsシグナル伝達経路を活性化し、非相同末端結合経路を介してDNA損傷修復を媒介するが、P53機能の損失のために、カスパーゼは容易には活性化されないからである。DNA−PKcsの存在下では、損傷は時間内に修復可能であり、これにより細胞はある程度治療計画に耐性となり、容易にはアポトーシスに至らない。エンドスタチンは、DNA−PKcsの活性を阻害し、細胞内のDNA損傷の蓄積を促進し、アポトーシスを促進し得る。従って、P53機能が欠損した細胞、特に、腫瘍細胞または癌細胞では、放射線療法または化学療法薬などのDNA二本鎖切断を誘導するための治療計画で処置される場合、エンドスタチンは、DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画に対するこれらの細胞の感受性を増強し、DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画の治療効果を促進し得る。
P53機能の欠損がない(すなわち、P53機能が正常に機能する)細胞では、これらの細胞は、放射線療法または化学療法薬により感受性が高い。アポトーシスの初期段階では、DNA−PKcsは、P53経路により活性化されたカスパーゼ−3により分解され、エンドスタチンはその感受性を有意に高めることはない。しかしながら、エンドスタチンはDNA−PKcs活性を阻害し得るので、エンドスタチンの使用は、放射線療法または化学療法薬などのDNA二本鎖切断を誘導するための治療計画の用量を低減し得る。「DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画の用量を低減する」とは、単独で使用されるDNA二本鎖切断を誘導するための治療計画の用量と比較した際に、DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画の用量が、エンドスタチンと併用される場合に少なくなり得るが、同じ治療効果を達成し得ることを指す。言い換えれば、DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画がエンドスタチンと併用される場合に、適用されるその用量は、DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画が単独で使用される場合に通常適用される用量を超えない。
DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画が放射線療法である場合、用量は放射線量を指す。放射線療法が単独で行われる場合に通常適用される用量は、例えば、1〜100Gyであり得る。放射線療法がエンドスタチンと併用される場合、放射線量は、その放射線療法が単独で適用される場合の線量に比べて1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、またはさらには90%低減され得る。
DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画が化学療法薬である場合、用量は、化学療法薬の投与量を指す。化学療法薬がエンドスタチンと併用される場合、化学療法薬の用量は、その化学療法薬が単独投与される場合の用量に比べて1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、またはさらには90%低減され得る。
P53機能が部分的に欠損した細胞では、DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画で処置される場合、血管内皮阻害が上記効果の両方を有する可能性があり、これはDNA二本鎖切断を誘導するための治療計画に対するこれらの細胞の感受性を高め、そのDNA二本鎖切断を誘導するための治療計画の治療効果を促進し得るだけでなく、そのDNA二本鎖切断を誘導するための治療計画の用量も低減し得る。
本発明の医薬組成物、組合せ薬物もしくはキットにおけるエンドスタチンの量、または本発明の使用もしくは方法におけるエンドスタチンの量は、腫瘍細胞においてDNA−PKcsを有効に阻害し得る量である。
本明細書に記載の腫瘍には、良性および悪性腫瘍が含まれ、腫瘍細胞の倍加とは、制御を欠いた、また進行性の組織学的細胞増殖を指す。これらの増殖のあるものは良性であるが、またあるものは「悪性」であり、生物の死をもたらし得る。侵襲性の細胞増殖の顕在化に加え、悪性腫瘍は周囲の組織に浸潤し、転移する。本明細書に記載の癌には一般に、悪性固形腫瘍、ならびに白血病、リンパ腫、および通常腫瘍塊としては存在しないが血管またはリンパ細網系に分布するその他の癌が含まれる。
本発明の治療計画を使用することによる腫瘍または癌の治療は、アポトーシスを誘導することにより達成される。従って、腫瘍または癌に対する本発明の治療計画の治療効果は、腫瘍細胞または癌細胞の起源と密接な関連があるわけではなく、細胞の分子タイピングに関連する。例えば、本発明の方法による治療に好適な腫瘍または癌は、P53欠損であり得る。本発明の治療計画で治療可能な腫瘍または癌としては、限定されるものではないが、固形腫瘍/悪性腫瘍、粘液性および円形細胞癌、局所進行腫瘍、転移性癌、ヒト軟組織肉腫(ユーイング肉腫を含む)、癌転移(リンパ転移を含む)、扁平上皮癌(特に、頭頸部扁平上皮癌、食道扁平上皮癌)、口腔癌、血液性悪性腫瘍(多発性骨髄腫を含む)、白血病(急性リンパ球性白血病、急性非リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、および有毛細胞白血病を含む)、滲出性リンパ腫(体腔性リンパ腫)、胸腺リンパ腫、肺癌(小細胞癌を含む)、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、副腎皮質癌、ACTH産生腫瘍、非小細胞肺癌、乳癌(小細胞および乳管癌を含む)、消化器癌(胃癌、結腸癌、結腸直腸癌を含む)、結腸直腸腫瘍形成を伴うポリープ、膵臓癌、肝臓癌、泌尿器癌(原発性表在性膀胱腫瘍、膀胱の浸潤性移行上皮癌および筋層浸潤性膀胱癌を含む膀胱癌を含む)、前立腺癌、女性生殖管の悪性腫瘍(卵巣癌、原発性腹膜上皮細胞腫瘍、子宮頸癌、子宮内膜癌、膣癌、外陰癌、子宮癌、および濾胞性固形癌を含む)、男性生殖管の悪性腫瘍(精巣癌および陰茎癌を含む)、腎臓癌(腎細胞癌を含む)、脳癌(内因性脳腫瘍、神経芽腫、星状細胞系脳腫瘍、神経膠腫、中枢神経系における転移性腫瘍細胞浸潤を含む)、骨癌(骨腫および骨肉腫を含む)、皮膚癌(黒色腫、ヒト皮膚ケラチノサイトの進行性腫瘍、扁平上皮癌を含む)、甲状腺癌、網膜芽細胞腫、神経芽腫、腹膜漏出、悪性胸膜漏出、中皮腫、ビルムス腫瘍、胆嚢癌、栄養膜腫瘍、血管外皮腫、およびカポジ肉腫が含まれる。いくつかの実施形態では、本発明の治療計画は、非小細胞肺癌または黒色腫を治療するために好適である。
本発明に記載の「治療」または「治療効果」には、例えば、腫瘍細胞または癌細胞の増殖、浸潤もしくは転移の阻害もしくは軽減など、または症状の軽減、生存期間の延長などが含まれる。
本明細書に記載の対象は、限定されるものではないが、脊椎動物、哺乳動物、齧歯類(例えば、ハムスター、ラット、マウス)、イヌ科(例えば、イヌ)、ネコ科(例えば、ネコ)、ウマ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、霊長類(例えば、チンパンジー、類人猿もしくはサル)、またはヒトを含み得る。本明細書に記載の細胞には、限定されるものではないが、脊椎動物、哺乳動物、齧歯類(例えば、ハムスター、ラット、マウス)、イヌ科(例えば、イヌ)、ネコ科(例えば、ネコ)、ウマ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、霊長類(例えば、チンパンジー、類人猿もしくはサル)、またはヒトの細胞を含み得る。
本発明において、エンドスタチンおよびDNA二本鎖切断を誘導するための治療計画の投与は、同時にまたは逐次に行うことができる。逐次に行う場合、まずエンドスタチンを投与し、次いで、DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画を行うこともできるし、またはまずDNA二本鎖切断を誘導するための治療計画を行い、次いで、エンドスタチンを投与することもできる。
本発明はまた、生体サンプルにおいてDNA−PKcs活性を阻害する方法であって、前記生体サンプルをエンドスタチンと接触させることを含んでなる方法を提供する。本明細書に記載の「生体サンプル」とは、限定されるものではないが、細胞培養物またはその抽出物;哺乳動物から得られた生検材料またはその抽出物;および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙もしくはその他の体液またはそれらの抽出物を含む生きている生物のイン・ビトロサンプルを指す。生体サンプルにおけるDNA−PKcs活性の阻害は、当業者に知られた様々な目的のために使用可能である。例としては、限定されるものではないが、バイオアッセイにおけるDNA−PKcsの阻害が挙げられる。一実施形態では、生体サンプルにおいてDNA−PKcs活性を阻害する方法は、非治療的方法に限定される。
本明細書において、用語「薬学上許容される担体」とは、固体または液体希釈剤、増量剤、酸化防止剤、および安定剤など、安全に投与可能な物質を指す。投与経路に応じて、限定されるものではないが、糖類、デンプン、セルロースおよびそれらの誘導体、マルトース、ゼラチン、タルク、硫酸カルシウム、植物油、合成油、ポリオール、アルギン酸、リン酸バッファー、乳化剤、等張性生理食塩水、および/または発熱性物質除去水を含む、当技術分野で周知の様々な異なる担体が投与可能である。
本明細書において、用語「薬物の組合せ」または「組合せ」は、併用される種々の薬物または治療計画の種々の特定の組合せを含む。例えば、異なる薬物が併用される場合、併用される種々の薬物は、混合物もしくは複合体の形態で存在してもよいし、またはそれぞれ別個の実体中に存在し、同時にもしくは逐次に対象に投与されてもよい。薬物と非薬物的治療計画が併用される場合には、その薬物と治療計画は同時にまたは逐次に対象に投与可能である。
本明細書に記載の医薬組成物、エンドスタチン、および/またはDNA二本鎖切断を誘導するための治療計画は、治療上有効な量で投与することができる。本明細書において、「治療上有効な量」は、対象において臨床家が望む生物学的応答または医学的応答を生じるのに十分な有効化合物の量を指す。本発明において、エンドスタチンの治療上有効な量は、例えば、腫瘍細胞においてDNA−PKcsを有効に阻害し得る量であり得る。本発明において、医薬組成物、エンドスタチン、および/またはDNA二本鎖切断を誘導するための治療計画の「治療上有効な量」は、投与経路、対象の体重、齢、および状態などの因子に従って当業者により決定することができる。例えば、医薬組成物、エンドスタチンおよび/または化学療法薬に関して、典型的な一日用量は有効成分0.01mg〜100mg/体重kgの範囲であり得、放射線療法に関して、典型的な一日用量は1〜5Gyの範囲であり得る。
本発明により提供される薬物は、散剤および注射剤などの臨床上許容される投与形として処方することができる。対象には、本発明の医薬組成物、エンドスタチン、および/または化学療法薬を任意の好適な経路、例えば、経口投与、静脈内注入、筋肉内注射、皮下注射、腹膜下投与、直腸投与、舌下投与、または吸入、経皮投与によって投与可能である。
本発明で言及した種々の方法はイン・ビボまたはイン・ビトロで実施可能である。
本発明で言及した種々の方法は、非治療的であってもよい。
特に断りのない限り、本明細書で使用される科学用語および技術用語は、当業者に一般に理解されている意味を有するものとする。一般に、本明細書に使用される細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、およびタンパク質および核酸化学に関連する命名法および技術は、当技術分野で周知かつ慣用のものである。
特に断りのない限り、本明細書で使用される方法および技術は一般に、当技術分野で周知かつ慣例の方法に従って、また、本明細書に示されるもしくは引用される種々の参照文献に記載されている様式で実施される。
以下の実施例では、使用されるエンドスタチンは、Beijing Protgen Biotechnology Development Co., Ltd. (Protgen)からの、大腸菌により発現された組換え天然ヒトエンドスタチンであり、下記のアミノ酸配列を有する。
Figure 2020528457
配列中、N末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある。
使用されるZBP−エンドスタチンは、Beijing Protgen Biotechnology Development Co., Ltd. (Protgen)により提供された、天然ヒトエンドスタチンのN末端に9個の付加的アミノ酸(MGGSHHHHH)を付加することにより得られたエンドスタチン変異体であり(Fu Y et al. Biochemistry 2010, 49, 6420-6429)、そのアミノ酸配列は下記の通りである。
Figure 2020528457
配列中、N末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある。
使用されるPEG−エンドスタチンは、ポリエチレングリコール(PEG)により修飾された天然ヒトエンドスタチン、すなわち、天然ヒトエンドスタチン分子を分子量20kDaのモノメトキシポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド(mPEG−ALD)で修飾することにより得られた産物であり、その結合部位は、活性化されたmPEG−ALDアルデヒド基とエンドスタチンのN末端α−アミノ基である。これはBeijing Protgen Biotechnology Development Co., Ltd. (Protgen)により提供された。
非小細胞肺癌H1299細胞株(P53欠損)、A549細胞株(P53野生型)、および黒色腫MDA−MB−435S細胞株(P53変異型)およびA375細胞株(P53野生型)は、National Experimental Cell Resource Sharing Platform (China Infrastructure of Cell Line Resource)から購入した。P53安定過剰発現H1299細胞株(H1299−P53)およびP53安定ノックダウンA549細胞株(A549−NC)は、レンチウイルスキット(Shanghai Genepharma社から購入)を用いて構築し、この場合、A549細胞においてP53をノックダンするために使用したshRNAにより標的化されるP53配列は、5’−GACTCCAGTGGTAATCTAC−3’であった。ウイルストランスフェクションおよび安定細胞株の構築は、キットの説明書に従って行った。H1299−NCおよびA549−NCは、H1299細胞およびA549細胞をそれぞれブランクレンチウイルスでトランスフェクトすることにより得られた安定細胞株であった。
実施例1 エンドスタチンはDNA−PKcsと直接相互作用した
本実施例で使用したCNBr活性化セファロース4Bは、Sigma社から購入した。まず、説明書に従い、エンドスタチンおよびウシ血清アルブミン(BSA)をそれぞれCNBr活性化セファロース4Bに結合させ、A549細胞溶解液とともにインキュベートした。プルダウンされたタンパク質に対してSDS−PAGE電気泳動を行い、クーマシーブルーで染色した。質量分析により、DNA−PKcsを、エンドスタチンと相互作用したタンパク質として同定した(図1A)。次に、免疫ブロット試験により、H1299細胞およびA549細胞の両溶解液中のDNA−PKcsタンパク質が、エンドスタチンが結合したCNBr活性化セファロース4Bによって沈降可能であることが実証された(図1B)。この2者間の相互作用をさらに確認するために、H1299細胞およびA549細胞を、エンドサイトーシスのためにエンドスタチンとともに2時間インキュベートした。細胞溶解液にDNA−PKcsの抗体を混合した後、プロテインA/Gビーズと同時インキュベートした。免疫ブロットアッセイにより、エンドスタチンはDNA−PKcsによって共沈降し得ることが確認され、これにより、2者間の相互作用が証明された(図1C)。
実施例2 エンドスタチンは腫瘍細胞において化学療法薬により誘導されたDNA−PKcsシグナル伝達経路の活性化を阻害した
本実施例では、DNA−PKcsの既知の基質であるAKTおよびP53を、DNA−PKcs経路に対するエンドスタチンの阻害効果を確認するための検出指標として使用した。腫瘍細胞(非小細胞肺癌H1299細胞およびA549細胞を含む)を6つの処理群に分けた。第1群:陰性対照;第2群:エトポシド(10μM、1時間)処理;第3群:エンドスタチン(10μg/ml、1時間)処理;第4群:エンドスタチン(10μg/ml、エトポシドの1時間前に添加)とエトポシド(10μM、1時間)による併用処理;第5群:NU7026(10μM、1時間)処理;第6群:NU7026(10μM、エトポシドの1時間前に添加)とエトポシド(10μM、1時間)による併用処理、なお、NU7026はDNA−PKcs阻害剤であった。免疫ブロットアッセイ結果(図2、p−DNA−PKcs(S2056)は、DNA−PKcsのリン酸化レベルを表し、S2056は、そのリン酸化部位を表し;p−AKT(S473)は、AKTのリン酸化レベルを表し、S473は、そのリン酸化部位を表し;p−P53(S15)は、P53のリン酸化レベルを表し、S15は、そのリン酸化部位を表す)は、対照群に比べて、エトポシド処理は、DNA−PKcsシグナル伝達経路のレベルを活性化し;エンドスタチン処理は、DNA−PKcsシグナル伝達経路のレベルに影響を及ぼさず;エンドスタチンとエトポシドの組合せは、エトポシドによるDNA−PKcsシグナル伝達経路の活性化を阻害したことを示した。NU7026処理は、DNA−PKcsシグナル伝達経路のレベルに影響を及ぼさず;NU7026とエトポシドの組合せは、エトポシドによるDNA−PKcsシグナル伝達経路の活性化を阻害した。
実施例3 エンドスタチンはDNA−PKcsにより媒介されるDNA損傷修復を遅延させた
本実施例では、DSBs損傷の程度を表すためにγH2AXのレベルを使用した。腫瘍細胞(H1299細胞およびA549細胞を含む)を8つの処理群に分けた。第1群:陰性対照、細胞を0時間で回収した;第2群:細胞をエトポシド(10μM)処理1時間の後に回収した;第3群:エトポシド(10μM)処理1時間後に、それを新鮮培地に置き換え、細胞を2時間後に回収した;第4群、エトポシド(10μM)処理1時間後に、それを新鮮培地に置き換え、細胞を5時間後に回収した;第5〜第8群はまずエンドスタチン(10μg/ml)で1時間前処理し、その後、処理はそれぞれ第1〜第4群に相当した。免疫ブロットアッセイ結果は、エトポシド処理細胞によりもたらされたDNA損傷が第1〜第4群において培地から薬物を除去した後に徐々に修復され、γH2AXレベルは5時間にベースラインに戻ったことを示した。第5〜第8群では、エンドスタチンの併用はγH2AXレベルの低下を遅延させ、これは細胞におけるDSBs損傷の修復が遅延されたことを証明した(図3)。
実施例4 エンドスタチンはDNA−PKcsの存在に依存して化学療法に対する腫瘍細胞の感受性を調節した
本実施例では、腫瘍細胞(H1299細胞およびA549細胞を含む)を8つの処理群に分けた。第1〜第4群では、細胞を対照siRNAでトランスフェクトし、最後の4群では、細胞を、DNA−PKcsを特異的にノックダウンしたsiRNAでトランスフェクトした。DNA−PKcsのsiRNA配列は:フォワード5’−CAGGGUUUAAUCAGAAUAUTT−3’、リバース5’−AUAUUCUGAUUAAACCCUGTT−3’である。siRNAトランスフェクション法は、トランスフェクション試薬リポフェクタミン2000の説明書に従って行った。次に、第8群では、細胞を薬物で処理した。第1群および第4群:対照群;第2群および第5群:エンドスタチン(10μg/ml、16時間)処理;第3群および第6群:エトポシド(H1299では10μM、A549では1μM、16時間)処理;第4群および第8群:エンドスタチン(10μg/ml、エトポシドの1時間前に添加)とエトポシド(H1299では10μM、A549では1μM、16時間)の併用。細胞を回収し、アネキシンV−FITC/PIアポトーシス検出キットの説明書に従って操作を行った。アポトーシスはフローサイトメトリーにより検出した。A549細胞はP53野生型細胞であり、H1299細胞はP53欠損細胞であった。結果は、A549細胞は化学療法薬に対する感受性がより高く、同程度のアポトーシスが生じた場合、H1299細胞のエトポシド濃度はA549細胞のエトポシド濃度よりはるかに高かったことを示した。これに基づけば、エンドスタチンの付加は、エトポシドにより誘導されるアポトーシスをさらに促進すると考えられる(図4)。DNA−PKcsをノックダウンした後には、このエトポシドにより誘導されるアポトーシス促進におけるエンドスタチンの役割は減弱した。
実施例5 エトポシドと共同したエンドスタチンはP53欠損腫瘍細胞の活性を阻害した
まず、レンチウイルスキット(Shanghai Genepharma社から購入)を用いてP53安定過剰発現H1299細胞株(H1299−P53)およびP53安定ノックダウンA549細胞株(A549−NC)を構築した。A549細胞においてP53をノックダウンするために使用したshRNAにより標的化されるP53配列は、5’−GACTCCAGTGGTAATCTAC−3’であった。ウイルストランスフェクションおよび安定細胞株の構築はキットの説明書に従って行った。構築された腫瘍細胞(H1299−NC、H1299−P53、A549−NC、A549−shP53)を96ウェルプレート(1000細胞/ウェル)に播種し、8つの処理群に分けた。第1群〜第4群では、種々の濃度のエトポシド(0μM、0.1μM、1μM、10μM)を含有する培地を各ウェルに加えた。第5群〜第8群は、まず、10μg/mlのエンドスタチンを含有する培地で1時間前処理し、次に、種々のエトポシド濃度を含有する培地を、第5群〜第8群のエトポシド終濃度がそれぞれ0μM、0.1μM、1μM、および10μMとなるように加えた。12時間の処理後、薬物含有培地を通常培地に置き換え、細胞をさらに72時間培養した。細胞活性を、CCK8キットの説明書(同仁堂、東京、日本)に従って測定した。結果は、P53欠損腫瘍細胞では(図5AおよびD)、エンドスタチンは腫瘍細胞に対するエトポシドの毒性を増強し得ることを示した。正常なP53機能を有する腫瘍細胞では(図5BおよびC)、エトポシドは、腫瘍細胞の活性を有意に阻害することができ、エンドスタチンは、エトポシドの阻害効果を有意には増強しなかった。
実施例6 エトポシドと共同したエンドスタチンはP53欠損腫瘍細胞の生存を阻害した
腫瘍細胞(H1299−NC、H1299−P53、A549−NC、A549−shP53)を4つの処理群に分けた。第1群:陰性対照;第2群:エンドスタチン(10μg/ml、16時間)処理;第3群:エトポシド(1μM、16時間)処理;第4群:エンドスタチン(10μg/ml、エトポシドの1時間前に添加)とエトポシド(1μM、16時間)による併用処理。処理後、細胞をトリプシンで消化し、計数し、6ウェルプレートに1000細胞/ウェルで再播種した。細胞を通常培地で14日間培養して細胞コロニーを形成させた。細胞コロニー計数値の結果は、P53欠損腫瘍細胞では(図6AおよびD)、エンドスタチンが腫瘍細胞コロニー形成能に対するエトポシドの阻害効果を増強し、腫瘍細胞の生存力を低下させ得ることを示した。正常なP53機能を有する腫瘍細胞では(図6BおよびC)、エトポシドは、腫瘍細胞のコロニー形成能を有意に阻害することができ、エンドスタチンは、エトポシドの阻害効果を有意には増強しなかった。
実施例7 エトポシドと共同したエンドスタチンはP53欠損腫瘍細胞のアポトーシスを促進した
腫瘍細胞(H1299−NC、H1299−P53、A549−NC、A549−shP53)を4つの処理群に分けた。第1群:陰性対照;第2群:エンドスタチン(10μg/ml、16時間)処理;第3群:エトポシド(1μM、16時間)処理;第4群:エンドスタチン(10μg/ml、エトポシドの1時間前に添加)とエトポシド(1μM、16時間)による併用処理。培養培地に浮遊しているアポトーシス細胞および接着細胞を回収し、これらの細胞を、0.05mg/mlのヨウ化プロピジウム(PI)を含有する500μlのPBSに懸濁させ、室温、暗所で15分間染色し、フローサイトメトリー(BD FACS Calibur)により検出した。PI陽性細胞がアポトーシス細胞を表す。結果は、P53欠損腫瘍細胞では(図7AおよびD)、エンドスタチンは、腫瘍細胞のアポトーシスを促進するエトポシドの能力を増強し得ることを示した。正常なP53機能を有する腫瘍細胞では(図7BおよびC)、エトポシドは、腫瘍細胞のアポトーシスを有意に促進することができ、エンドスタチンは、エトポシドのアポトーシス誘導効果を有意には増強しなかった。
実施例8 ドキソルビシンと共同したエンドスタチンはP53欠損腫瘍細胞の活性を阻害した
本実施例では、エンドスタチンが化学療法に対するP53欠損腫瘍細胞の感受性を高め得ることを確認するために別の化学薬剤ドキソルビシンを使用した。操作プロセスは実施例5と同じであった。結果は、P53欠損腫瘍細胞(H1299−NCおよびA549−shP53)では(図8AおよびD)、エンドスタチンは、腫瘍細胞に対するドキソルビシンの毒性を増強し得ることを示した。正常なP53機能を有する腫瘍細胞(H1299−P53およびA549−NC)では(図8BおよびC)、ドキソルビシンは、腫瘍細胞の活性を有意に阻害することができ、エンドスタチンは、ドキソルビシンの阻害効果を有意には増強しなかった。
実施例9 エンドスタチンと共同したエトポシドの阻害効果は他種の腫瘍細胞にも適用可能であった
本実施例では、P53状態の異なる他種の腫瘍細胞の化学療法薬感受性に対するエンドスタチンの調節機能を確認するために、別の腫瘍種(黒色腫)の2つの細胞株、MDA−MB−435S細胞株(P53変異型)およびA375細胞株(P53野生型)を使用した。操作プロセスは実施例5と同じであった。結果は、MDA−MB−435S細胞では(図9AおよびD)、エンドスタチンは、腫瘍細胞に対するエトポシドの毒性を増強し得ることを示した。A375細胞では(図9BおよびC)、エトポシドは、腫瘍細胞の活性を有意に阻害することができ、エンドスタチンは、エトポシドの阻害効果を有意には増強しなかった。
実施例10 エンドスタチンは、P53欠損腫瘍細胞において細胞損傷を修復するためのDNA−PKcsを阻害し、アポトーシス経路の活性化およびDNA−PKcsの分解を誘導した
DNA−PKcsはカスパーゼ−3の基質であり、活性化されたカスパーゼ−3はDNA−PKcsを切断してそれを分解することを示した研究がある(T. Itoh et al. Journal of dermatological science, 2001; 25, 72-77, K. M. Henkels et al. Cancer research, 1997; 57, 4488-4492)。本実施例では、腫瘍細胞(H1299−NC、H1299−P53、A549−NC、A549−shP53)を6つの処理群に分けた。第1群:陰性対照;第2群:エンドスタチン(10μg/ml、16時間)処理;第3群:エトポシド(10μM、16時間)処理;第4群:エンドスタチン(10μg/ml、エトポシドの1時間前に添加)とエトポシド(10μM、16時間)による併用処理;第5群:z−DEVD−fmk(10μM、エトポシドの1時間前に添加)とエトポシド(10μM、16時間)による併用処理;第6群:z−DEVD−fmk(10μM)とエンドスタチン(10μg/ml)(エトポシドの1時間前に添加)、次いで、エトポシド(10μM、16時間)による併用処理、なお、z−DEVD−fmkは、カスパーゼ−3阻害剤であった。免疫ブロットアッセイは、DNA−PKcs、PARP、γH2AXおよびカスパーゼ−3シグナル伝達経路を検出した。結果(図10に示されるように、p−DNA−PKcs(S2056)は、DNA−PKcsのリン酸化レベルを表し、S2056は、そのリン酸化部位を表す)は、対照群に比べて、P53欠損腫瘍細胞(図10AおよびD)および正常なP53機能を有する腫瘍細胞(図10BおよびC)の両方で、エンドスタチンは、上記のシグナル伝達経路レベルに影響を及ぼさず;P53欠損腫瘍細胞では、エトポシドは、上記のシグナル伝達経路に有意な効果を示さず;エトポシドに比べて、エンドスタチンとエトポシドの組合せは、γH2AXの有意な増大を伴って、カスパーゼ−3の活性化ならびにDNA−PKcsおよびPARPの分解を有意に促進し;z−DEVD−fmkとエトポシドの組合せは、上記のシグナルレベルに有意な効果を示さず;z−DEVD−fmkは、エンドスタチンとエトポシドの共同作用をある程度逆転させ得ることを示した。正常なP53機能を有する腫瘍細胞では、エトポシド単独により処理およびエンドスタチンとエトポシドによる併用処理はどちらも有意なカスパーゼ−3の活性化、DNA−PKcsおよびPARPの分解、ならびにγH2AXの増大を示し;z−DEVD−fmkとびエトポシドの組合せは、エトポシドの効果をある程度逆転させ;z−DEVD−fmkとエンドスタチンとエトポシドの組合せは、z−DEVD−fmkがエトポシドの効果を逆転させ、DNA−PKcsのタンパク質レベルを回復させ、エンドスタチンとエトポシドの共同作用をある程度反映したことを示した。
実施例11 エトポシドと共同したエンドスタチンはP53欠損腫瘍細胞においてアポトーシス誘導分子の発現を上方調節した
腫瘍細胞(H1299−NC、H1299−P53、A549−NC、A549−shP53)を4つの処理群に分けた。第1群:陰性対照;第2群:エンドスタチン(10μg/ml、16時間)処理;第3群:エトポシド(1μM、16時間)処理;第4群:エンドスタチン(10μg/ml、エトポシドの1時間前に添加)とエトポシド(1μM、16時間)による併用処理。細胞を上記のように処理した後、それらの細胞の全RNAを抽出し、それらの細胞のBAX、NOXA、PUMA、およびP21のmRNAレベルでの相対的変化をリアルタイムPCRにより検出した。使用したプライマーは下表に示す。
Figure 2020528457
結果は、P53欠損腫瘍細胞では(図11AおよびD)、エンドスタチンは、エトポシドを増強してアポトーシス誘導分子を上方調節し得ることを示した。正常なP53機能を有する腫瘍細胞では(図11BおよびC)、エトポシドは、上記のアポトーシス誘導分子を有意に上方調節することができ、エンドスタチンは、エトポシドのアポトーシス誘導効果を有意には増強しなかった。
実施例12 エンドスタチンはP53欠損腫瘍増殖に対するエトポシドの阻害効果を増強した
腫瘍細胞(H1299−NC、H1299−P53、A549−NC、A549−shP53)を、6〜8週齢のヌードマウス(Beijing Weitong Lihua Experimental Animal Technology Co., Ltd.)に皮下接種した。担癌ヌードマウスを各群6〜8個体として4群に無作為に分け、異なる薬物処置を行った。第1群:陰性対照;第2群:エンドスタチン(20mg/kg、腹腔内注射、1日1回)処置;第3群:エトポシド(2mg/kg、腹腔内注射、2日毎に1回)処置;第4群:エンドスタチン(20mg/kg、腹腔内注射、1日1回)とエトポシド(2mg/kg、腹腔内注射、2日毎に1回)による併用処置。腫瘍体積を1日おきに測定した。投与2〜4週間後に、マウスを犠牲にし、さらなる使用のために腫瘍組織を摘出した。結果は、P53欠損マウス腫瘍モデルでは(図12AおよびD)、対照群に比べて、エンドスタチンの腫瘍抑制率は19.6%(H1299−NC、19日目)および37.1%(A549−shP53、27日目)であり;エトポシドの腫瘍抑制率は28.0%(H1299−NC、19日目)および39.3%(A549−shP53、27日目)であり;エンドスタチンとエトポシドの組合せは、腫瘍増殖の阻害に共同作用を示し、腫瘍抑制率は66.9%(H1299−NC、19日目)および65.8%(A549−shP53、27日目)であったことを示した。正常なP53機能を有するマウス腫瘍モデルでは(図12BおよびC)、対照群に比べて、エンドスタチンの腫瘍抑制率は33.8%(H1299−P53、19日目)および40.9%(A549−NC、27日目)であり;エトポシドの腫瘍抑制率は、30.0%(H1299−P53、19日目)および34.0%(A549−NC、27日目)であり;エンドスタチンは、腫瘍増殖に対するエトポシドの阻害効果を増強できず、組合せの腫瘍抑制率は37.7%(H1299−P53、19日目)および32.2%(A549−NC、27日目)であった。
実施例13 エンドスタチンとエトポシドの併用はP53欠損担癌マウスの生存の延長に共同作用を示した
H1299細胞およびA549細胞を活発で増殖能のある状態で培養し、腫瘍の収集、群分け、および投与方法は実施例12と同様とした。25日後に投与を止め、マウスの生存を毎日記録し、マウスの生存曲線をプロットした。結果は、H1299マウス腫瘍モデルでは(図13A)、対照群に比べて、エンドスタチン処置群の生存期間中央値は対照群よりも24.2%長く;エトポシド処置群の生存期間中央値は対照群よりも30.3%長く;エンドスタチンとエトポシドの組合せは、マウスの生存期間の延長に共同作用を示し、生存期間中央値は対照群よりも72.7%長かったことを示した。正常なP53機能を有するマウス腫瘍モデルでは(図13B)、対照群に比べて、エンドスタチン処置群およびエトポシド処置群は、マウスの生存期間をある程度延長することができ、エンドスタチンとエトポシドの組合せは、マウスの生存期間の延長に共同作用を示さなかった。
実施例14 エトポシドと共同したエンドスタチンはP53欠損腫瘍の増殖およびDNA−PKcsの発現レベルを阻害した
実施例12で摘出した腫瘍組織を固定および包埋した後に切片とした。腫瘍組織中のPCNA(腫瘍細胞の活発な増殖状態を示すマーカー分子)およびDNA−PKcsタンパク質を免疫蛍光技術により染色し、レーザー共焦顕微鏡(ニコンA1)で観察し、画像を取得した。試験結果を図14に示すが、青はDAPI染色細胞の核を表し、緑はDNA−PKcsタンパク質を表し、赤はPCNAタンパク質を表す。図14Aに示すH1299−NC腫瘍組織を例に挙げれば、左の1段目はDNA−PKcs単一染色を表し、緑の領域はDNA−PKcsタンパク質の発現レベルを表す。左の2段目はDNA−PKcs(緑)と核(青)を重畳した結果を表し、重複部分は藍色で示す。左の3段目はPCNA単一染色を表し、赤の領域はPCNAタンパク質の発現レベルを表し、腫瘍細胞増殖の強度を示す。左の4段目はPCNA(赤)と核(青)を重畳した結果を表し、重複部分を紫で示す。同様に、図14B、C、およびDは、それぞれH1299−P53、A549−NC、およびA549−shP53腫瘍組織におけるPCNAおよびDNA−PKcsの発現を示す。この図のタンパク質染色および画像配置の順序は図12Aと一致する。定量結果は、P53欠損マウス腫瘍モデルでは(図14AおよびD)、対照群に比べて、エンドスタチンおよびエトポシドはどちらも腫瘍細胞の増殖をある程度減弱し、DNA−PKcsのタンパク質レベルを低下させることができ;エンドスタチンとエトポシドの組合せは共同作用的に働くことができ、エトポシド処置群に比べて腫瘍増殖およびDNA−PKcsタンパク質レベルをより有意に阻害し得ることを示した。正常なP53機能を有するマウス腫瘍モデルでは(図14BおよびC)、対照群に比べて、エンドスタチン、エトポシド、およびエンドスタチンとエトポシドの組合せは、腫瘍細胞の増殖を低減し、DNA−PKcsのタンパク質レベルを低下させることができ、エンドスタチンは、腫瘍増殖に対するエトポシドの阻害効果およびDNA−PKcsのタンパク質レベルに対するエトポシドの効果を増強しなかった。
実施例15 ZBP−エンドスタチンおよびPEG−エンドスタチンは腫瘍細胞において化学療法薬により誘導されたDNA−PKcsシグナル伝達経路の活性化を阻害した
本実施例では、ZBP−エンドスタチンおよびPEG−エンドスタチンによるDNA−PKcs経路の阻害を、DNA−PKcsおよびAKTの活性化レベルを検出することにより確認した。腫瘍細胞(H1299細胞およびA549細胞を含む)を6つの処理群に分けた。第1群:陰性対照;第2群:エトポシド(10μM、1時間)処理;第3群:ZBP−エンドスタチン(10μg/ml、1時間)処理;第4群:ZBP−エンドスタチン(10μg/ml、エトポシドの1時間前に添加)とエトポシド(10μM、1時間)による併用処理;第4群:PEG−エンドスタチン(10μg/ml、1時間)処理;第6群:PEG−エンドスタチン(10μg/ml、エトポシドの1時間前に添加)およびエトポシド(10μM、1時間)による併用処理。免疫ブロットアッセイ結果は、対照群に比べて、エトポシド処理はH1299細胞およびA549細胞においてDNA−PKcsシグナル伝達経路のレベルを活性化し(p−DNA−PKcs(S2056)およびp−AKT(S473)の免疫ブロットアッセイの結果に示されるように、p−DNA−PKcs(S2056)は、DNA−PKcsのリン酸化レベルを表し、S2056は、そのリン酸化部位を表し、p−AKTは、AKTのリン酸化レベルを表し、S473は、そのリン酸化部位を表す);ZBP−エンドスタチンまたはPEG−エンドスタチンとエトポシドの組合せは、エトポシドによるDNA−PKcsシグナル伝達経路の活性化を阻害したことを示した(図15)。

いくつかの実施形態では、前記エンドスタチンは、
天然ヒトエンドスタチン;
天然ヒトエンドスタチンのN末端に9個の付加的アミノ酸MGGSHHHHH(配列番号1)を付加することにより得られるエンドスタチン変異体(ここで、前記エンドセリン変異体のN末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある);または
天然ヒトエンドスタチンを分子量20kDaのモノメトキシポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド(mPEG−ALD)で修飾することにより得られる産物(ここで、それらの結合部位は活性化されたmPEG−ALDアルデヒド基と天然ヒトエンドスタチンのN末端α−アミノ基である)、
である。
いくつかの実施形態では、前記エンドスタチンは、
天然ヒトエンドスタチン;
天然ヒトエンドスタチンのN末端に9個の付加的アミノ酸MGGSHHHHH(配列番号1)を付加することにより得られるエンドスタチン変異体(ここで、前記エンドセリン変異体のN末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある);または
天然ヒトエンドスタチンを分子量20kDaのモノメトキシポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド(mPEG−ALD)で修飾することにより得られる産物(ここで、それらの結合部位は活性化されたmPEG−ALDアルデヒド基と天然ヒトエンドスタチンのN末端α−アミノ基である)、
である。
いくつかの実施形態では、前記エンドスタチンは、
天然ヒトエンドスタチン;
天然ヒトエンドスタチンのN末端に9個の付加的アミノ酸MGGSHHHHH(配列番号1)を付加することにより得られるエンドスタチン変異体(ここで、前記エンドセリン変異体のN末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある);または
天然ヒトエンドスタチンを分子量20kDaのモノメトキシポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド(mPEG−ALD)で修飾することにより得られる産物(ここで、それらの結合部位は活性化されたmPEG−ALDアルデヒド基と天然ヒトエンドスタチンのN末端α−アミノ基である)、
である。
いくつかの実施形態では、前記エンドスタチンは、
天然ヒトエンドスタチン;
天然ヒトエンドスタチンのN末端に9個の付加的アミノ酸MGGSHHHHH(配列番号1)を付加することにより得られるエンドスタチン変異体(ここで、前記エンドセリン変異体のN末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある);または
天然ヒトエンドスタチンを分子量20kDaのモノメトキシポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド(mPEG−ALD)で修飾することにより得られる産物(ここで、それらの結合部位は活性化されたmPEG−ALDアルデヒド基と天然ヒトエンドスタチンのN末端α−アミノ基である)、
である。
いくつかの実施形態では、前記エンドスタチンは、
天然ヒトエンドスタチン;
天然ヒトエンドスタチンのN末端に9個の付加的アミノ酸MGGSHHHHH(配列番号1)を付加することにより得られるエンドスタチン変異体(ここで、前記エンドセリン変異体のN末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある);または
天然ヒトエンドスタチンを分子量20kDaのモノメトキシポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド(mPEG−ALD)で修飾することにより得られる産物(ここで、それらの結合部位は活性化されたmPEG−ALDアルデヒド基と天然ヒトエンドスタチンのN末端α−アミノ基である)、
である。
いくつかの実施形態では、前記エンドスタチンは、
天然ヒトエンドスタチン;
天然ヒトエンドスタチンのN末端に9個の付加的アミノ酸MGGSHHHHH(配列番号1)を付加することにより得られるエンドスタチン変異体(ここで、前記エンドセリン変異体のN末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある);または
天然ヒトエンドスタチンを分子量20kDaのモノメトキシポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド(mPEG−ALD)で修飾することにより得られる産物(ここで、それらの結合部位は活性化されたmPEG−ALDアルデヒド基と天然ヒトエンドスタチンのN末端α−アミノ基である)、
である。
いくつかの実施形態では、前記エンドスタチンは、
天然ヒトエンドスタチン;
天然ヒトエンドスタチンのN末端に9個の付加的アミノ酸MGGSHHHHH(配列番号1)を付加することにより得られるエンドスタチン変異体(ここで、前記エンドセリン変異体のN末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある);または
天然ヒトエンドスタチンを分子量20kDaのモノメトキシポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド(mPEG−ALD)で修飾することにより得られる産物(ここで、それらの結合部位は活性化されたmPEG−ALDアルデヒド基と天然ヒトエンドスタチンのN末端α−アミノ基である)、
である。
いくつかの実施形態では、前記エンドスタチンは、
天然ヒトエンドスタチン;
天然ヒトエンドスタチンのN末端に9個の付加的アミノ酸MGGSHHHHH(配列番号1)を付加することにより得られるエンドスタチン変異体(ここで、前記エンドセリン変異体のN末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある);または
天然ヒトエンドスタチンを分子量20kDaのモノメトキシポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド(mPEG−ALD)で修飾することにより得られる産物(ここで、それらの結合部位は活性化されたmPEG−ALDアルデヒド基と天然ヒトエンドスタチンのN末端α−アミノ基である)、
である。
いくつかの実施形態では、前記エンドスタチンは、
天然ヒトエンドスタチン;
天然ヒトエンドスタチンのN末端に9個の付加的アミノ酸MGGSHHHHH(配列番号1)を付加することにより得られるエンドスタチン変異体(ここで、前記エンドセリン変異体のN末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある);または
天然ヒトエンドスタチンを分子量20kDaのモノメトキシポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド(mPEG−ALD)で修飾することにより得られる産物(ここで、それらの結合部位は活性化されたmPEG−ALDアルデヒド基と天然ヒトエンドスタチンのN末端α−アミノ基である)、
である。
本発明で使用される天然ヒトエンドスタチンの配列は、例えば、下記であり得る。
Figure 2020528457
配列中、N末端のMetは、大腸菌(E. coli)により発現される場合、部分的に欠失されていることがある。
本発明のいくつかの実施形態では、「エンドスタチン」は、可溶性発現を増し、精製を容易にするために、天然ヒトESのN末端に9個の付加的アミノ酸(MGGSHHHHH(配列番号1))を付加することにより得られたES変異体であるZBP−エンドスタチン(商標Endostar)などの天然ヒトエンドスタチンの機能的変異体であり得る。ZBP−エンドスタチンのアミノ酸配列は下記である。
Figure 2020528457
配列中、N末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある。
以下の実施例では、使用されるエンドスタチンは、Beijing Protgen Biotechnology Development Co., Ltd. (Protgen)からの、大腸菌により発現された組換え天然ヒトエンドスタチンであり、下記のアミノ酸配列を有する。
Figure 2020528457
配列中、N末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある。
使用されるZBP−エンドスタチンは、Beijing Protgen Biotechnology Development Co., Ltd. (Protgen)により提供された、天然ヒトエンドスタチンのN末端に9個の付加的アミノ酸(MGGSHHHHH(配列番号1))を付加することにより得られたエンドスタチン変異体であり(Fu Y et al. Biochemistry 2010, 49, 6420-6429)、そのアミノ酸配列は下記の通りである。
Figure 2020528457
配列中、N末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある。
非小細胞肺癌H1299細胞株(P53欠損)、A549細胞株(P53野生型)、および黒色腫MDA−MB−435S細胞株(P53変異型)およびA375細胞株(P53野生型)は、National Experimental Cell Resource Sharing Platform (China Infrastructure of Cell Line Resource)から購入した。P53安定過剰発現H1299細胞株(H1299−P53)およびP53安定ノックダウンA549細胞株(A549−NC)は、レンチウイルスキット(Shanghai Genepharma社から購入)を用いて構築し、この場合、A549細胞においてP53をノックダンするために使用したshRNAにより標的化されるP53配列は、5’−GACTCCAGTGGTAATCTAC−3’(配列番号4)であった。ウイルストランスフェクションおよび安定細胞株の構築は、キットの説明書に従って行った。H1299−NCおよびA549−NCは、H1299細胞およびA549細胞をそれぞれブランクレンチウイルスでトランスフェクトすることにより得られた安定細胞株であった。
実施例4 エンドスタチンはDNA−PKcsの存在に依存して化学療法に対する腫瘍細胞の感受性を調節した
本実施例では、腫瘍細胞(H1299細胞およびA549細胞を含む)を8つの処理群に分けた。第1〜第4群では、細胞を対照siRNAでトランスフェクトし、最後の4群では、細胞を、DNA−PKcsを特異的にノックダウンしたsiRNAでトランスフェクトした。DNA−PKcsのsiRNA配列は:フォワード5’−CAGGGUUUAAUCAGAAUAUTT−3’(配列番号5)、リバース5’−AUAUUCUGAUUAAACCCUGTT−3’(配列番号6)である。siRNAトランスフェクション法は、トランスフェクション試薬リポフェクタミン2000の説明書に従って行った。次に、第8群では、細胞を薬物で処理した。第1群および第4群:対照群;第2群および第5群:エンドスタチン(10μg/ml、16時間)処理;第3群および第6群:エトポシド(H1299では10μM、A549では1μM、16時間)処理;第4群および第8群:エンドスタチン(10μg/ml、エトポシドの1時間前に添加)とエトポシド(H1299では10μM、A549では1μM、16時間)の併用。細胞を回収し、アネキシンV−FITC/PIアポトーシス検出キットの説明書に従って操作を行った。アポトーシスはフローサイトメトリーにより検出した。A549細胞はP53野生型細胞であり、H1299細胞はP53欠損細胞であった。結果は、A549細胞は化学療法薬に対する感受性がより高く、同程度のアポトーシスが生じた場合、H1299細胞のエトポシド濃度はA549細胞のエトポシド濃度よりはるかに高かったことを示した。これに基づけば、エンドスタチンの付加は、エトポシドにより誘導されるアポトーシスをさらに促進すると考えられる(図4)。DNA−PKcsをノックダウンした後には、このエトポシドにより誘導されるアポトーシス促進におけるエンドスタチンの役割は減弱した。
実施例5 エトポシドと共同したエンドスタチンはP53欠損腫瘍細胞の活性を阻害した
まず、レンチウイルスキット(Shanghai Genepharma社から購入)を用いてP53安定過剰発現H1299細胞株(H1299−P53)およびP53安定ノックダウンA549細胞株(A549−NC)を構築した。A549細胞においてP53をノックダウンするために使用したshRNAにより標的化されるP53配列は、5’−GACTCCAGTGGTAATCTAC−3’(配列番号4)であった。ウイルストランスフェクションおよび安定細胞株の構築はキットの説明書に従って行った。構築された腫瘍細胞(H1299−NC、H1299−P53、A549−NC、A549−shP53)を96ウェルプレート(1000細胞/ウェル)に播種し、8つの処理群に分けた。第1群〜第4群では、種々の濃度のエトポシド(0μM、0.1μM、1μM、10μM)を含有する培地を各ウェルに加えた。第5群〜第8群は、まず、10μg/mlのエンドスタチンを含有する培地で1時間前処理し、次に、種々のエトポシド濃度を含有する培地を、第5群〜第8群のエトポシド終濃度がそれぞれ0μM、0.1μM、1μM、および10μMとなるように加えた。12時間の処理後、薬物含有培地を通常培地に置き換え、細胞をさらに72時間培養した。細胞活性を、CCK8キットの説明書(同仁堂、東京、日本)に従って測定した。結果は、P53欠損腫瘍細胞では(図5AおよびD)、エンドスタチンは腫瘍細胞に対するエトポシドの毒性を増強し得ることを示した。正常なP53機能を有する腫瘍細胞では(図5BおよびC)、エトポシドは、腫瘍細胞の活性を有意に阻害することができ、エンドスタチンは、エトポシドの阻害効果を有意には増強しなかった。
Figure 2020528457

Claims (76)

  1. エンドスタチンと化学療法薬とを含んでなり、前記化学療法薬がDNA二本鎖切断を誘導する化学療法薬である、医薬組成物。
  2. 薬学上許容される担体をさらに含んでなる、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記化学療法薬がエトポシドまたはドキソルビシンである、請求項1または2に記載の医薬組成物。
  4. 腫瘍または癌の治療において使用するための請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  5. 前記腫瘍または癌はP53機能を欠損している、請求項4に記載の医薬組成物。
  6. 前記腫瘍または癌はP53機能が正常である、請求項5に記載の医薬組成物。
  7. 前記腫瘍または癌が非小細胞肺癌または黒色腫である、請求項5または6に記載の医薬組成物。
  8. 前記エンドスタチンが
    天然ヒトエンドスタチン;
    天然ヒトエンドスタチンのN末端に9個の付加的アミノ酸MGGSHHHHHを付加することにより得られるエンドスタチン変異体(ここで、前記エンドセリン変異体のN末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある);または
    天然ヒトエンドスタチンを分子量20kDaのモノメトキシポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド(mPEG−ALD)で修飾することにより得られる産物(ここで、それらの結合部位は活性化されたmPEG−ALDアルデヒド基と天然ヒトエンドスタチンのN末端α−アミノ基である)、
    である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  9. エンドスタチンと化学療法薬とを含み、前記化学療法薬がDNA二本鎖切断を誘導する化学療法薬である、薬物の組合せ。
  10. 前記化学療法薬がエトポシドまたはドキソルビシンである、請求項9に記載の薬物の組合せ。
  11. 腫瘍または癌の治療において使用するための請求項9または10に記載の薬物の組合せ。
  12. 前記腫瘍または癌はP53機能を欠損している、請求項11に記載の薬物の組合せ。
  13. 前記腫瘍または癌はP53機能が正常である、請求項11に記載の薬物の組合せ。
  14. 前記腫瘍または癌が非小細胞肺癌または黒色腫である、請求項12または13に記載の薬物の組合せ。
  15. 前記エンドスタチンおよび化学療法薬が同時にまたは逐次に投与される、請求項9〜14のいずれか一項に記載の薬物の組合せ。
  16. 前記エンドスタチンが、
    天然ヒトエンドスタチン;
    天然ヒトエンドスタチンのN末端に9個の付加的アミノ酸MGGSHHHHHを付加することにより得られるエンドスタチン変異体(ここで、前記エンドセリン変異体のN末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある);または
    天然ヒトエンドスタチンを分子量20kDaのモノメトキシポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド(mPEG−ALD)で修飾することにより得られる産物(ここで、それらの結合部位は活性化されたmPEG−ALDアルデヒド基と天然ヒトエンドスタチンのN末端α−アミノ基である)、
    である、請求項9〜15のいずれか一項に記載の薬物の組合せ。
  17. a)エンドスタチンまたはエンドスタチンを含有する医薬組成物である第1の薬剤と;b)化学療法薬である第2の薬剤(ここで、前記化学療法薬は、DNA二本鎖切断を誘導する化学療法薬である)とを含んでなるキット。
  18. 前記化学療法薬がエトポシドまたはドキソルビシンである、請求項17に記載のキット。
  19. 腫瘍または癌の治療において使用するための請求項17または18に記載のキット。
  20. 前記腫瘍または癌はP53機能を欠損している、請求項19に記載のキット。
  21. 前記腫瘍または癌はP53機能が正常である、請求項19に記載のキット。
  22. 前記腫瘍または癌が非小細胞肺癌または黒色腫である、請求項20または21に記載のキット。
  23. 前記エンドスタチンが、
    天然ヒトエンドスタチン;
    天然ヒトエンドスタチンのN末端に9個の付加的アミノ酸MGGSHHHHHを付加することにより得られるエンドスタチン変異体(ここで、前記エンドセリン変異体のN末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある);または
    天然ヒトエンドスタチンを分子量20kDaのモノメトキシポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド(mPEG−ALD)で修飾することにより得られる産物(ここで、それらの結合部位は活性化されたmPEG−ALDアルデヒド基と天然ヒトエンドスタチンのN末端α−アミノ基である)、
    である、請求項17〜22のいずれか一項に記載のキット。
  24. DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画に対して細胞の感受性を増強するための方法であって、前記細胞をエンドスタチンと接触させる工程を含んでなり、前記細胞はP53機能を欠損している、方法。
  25. 前記細胞が腫瘍細胞または癌細胞である、請求項24に記載の方法。
  26. 前記腫瘍細胞または癌細胞が非小細胞肺癌細胞または黒色腫細胞である、請求項25に記載の方法。
  27. イン・ビボまたはイン・ビトロで行われる、請求項24〜26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記の細胞をエンドスタチと接触させる工程が、DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画と同時にまたは逐次に行われる、請求項24〜27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記細胞が、DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画の前にエンドスタチンと接触される、請求項28に記載の方法。
  30. 前記細胞が、DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画の後にエンドスタチンと接触される、請求項29に記載の方法。
  31. 前記DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画が放射線療法および/または化学療法薬の投与である、請求項24〜30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 前記化学療法薬がエトポシドまたはドキソルビシンである、請求項31に記載の方法。
  33. 前記エンドスタチンが、
    天然ヒトエンドスタチン;
    天然ヒトエンドスタチンのN末端に9個の付加的アミノ酸MGGSHHHHHを付加することにより得られるエンドスタチン変異体(ここで、前記エンドセリン変異体のN末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある);または
    天然ヒトエンドスタチンを分子量20kDaのモノメトキシポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド(mPEG−ALD)で修飾することにより得られる産物(ここで、それらの結合部位は活性化されたmPEG−ALDアルデヒド基と天然ヒトエンドスタチンのN末端α−アミノ基である)、
    である、請求項24〜32のいずれか一項に記載の方法。
  34. 腫瘍または癌の治療のための、DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画との併用薬の製造におけるエンドスタチンの使用。
  35. 前記腫瘍または癌はP53機能を欠損している、請求項34に記載の使用。
  36. 前記腫瘍または癌はP53機能が正常である、請求項34に記載の使用。
  37. 前記DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画の治療用量が単独で使用される場合の治療計画の治療用量よりも少ない、請求項36に記載の使用。
  38. 前記腫瘍または癌が非小細胞肺癌または黒色腫である、請求項34〜37のいずれか一項に記載の使用。
  39. 前記DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画が放射線療法および/または化学療法薬である、請求項34〜38のいずれか一項に記載の使用。
  40. 前記化学療法薬がエトポシドまたはドキソルビシンである、請求項39に記載の使用。
  41. 前記エンドスタチンが、
    天然ヒトエンドスタチン;
    天然ヒトエンドスタチンのN末端に9個の付加的アミノ酸MGGSHHHHHを付加することにより得られるエンドスタチン変異体(ここで、前記エンドセリン変異体のN末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある);または
    天然ヒトエンドスタチンを分子量20kDaのモノメトキシポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド(mPEG−ALD)で修飾することにより得られる産物(ここで、それらの結合部位は活性化されたmPEG−ALDアルデヒド基と天然ヒトエンドスタチンのN末端α−アミノ基である)、
    である、請求項34〜40のいずれか一項に記載の使用。
  42. 対象において腫瘍または癌を治療する方法であって、
    a)前記対象においてDNA二本鎖切断を誘導するための治療計画を行うこと;および
    b)前記対象にエンドスタチンを投与すること
    を含んでなる、方法。
  43. 前記腫瘍または癌はP53機能を欠損している、請求項42に記載の方法。
  44. 前記腫瘍または癌はP53機能が正常である、請求項42に記載の方法。
  45. 前記DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画の治療用量が、単独で使用される場合の治療計画の治療用量よりも少ない、請求項44に記載の方法。
  46. 前記腫瘍または癌が非小細胞肺癌または黒色腫である、請求項42〜45のいずれか一項に記載の方法。
  47. 前記の細胞をエンドスタチンと接触させる工程が、前記DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画と同時にまたは逐次に行われる、請求項42〜46のいずれか一項に記載の方法。
  48. エンドスタチンが前記DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画の前に前記対象に投与される、請求項47に記載の方法。
  49. エンドセリンがDNA二本鎖切断を誘導するための治療計画の後に前記対象に投与される、請求項47に記載の方法。
  50. 前記DNA二本鎖切断を誘導するための治療計画が放射線療法および/または化学療法薬である、請求項42〜49のいずれか一項に記載の方法。
  51. 前記化学療法薬がエトポシドまたはドキソルビシンである、請求項50に記載の方法。
  52. 前記対象がヒトである、請求項42〜51のいずれか一項に記載の方法。
  53. 前記エンドスタチンが、
    天然ヒトエンドスタチン;
    天然ヒトエンドスタチンのN末端に9個の付加的アミノ酸MGGSHHHHHを付加することにより得られるエンドスタチン変異体(ここで、前記エンドセリン変異体のN末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある);または
    天然ヒトエンドスタチンを分子量20kDaのモノメトキシポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド(mPEG−ALD)で修飾することにより得られる産物(ここで、それらの結合部位は活性化されたmPEG−ALDアルデヒド基と天然ヒトエンドスタチンのN末端α−アミノ基である)、
    である、請求項42〜52のいずれか一項に記載の方法。
  54. a)細胞においてDNA二本鎖切断を誘導すること;および
    b)前記細胞をエンドスタチンと接触させること
    を含む、アポトーシスを誘導するための方法。
  55. 前記細胞が腫瘍細胞または癌細胞である、請求項54に記載の方法。
  56. 前記腫瘍細胞または癌細胞はP53機能を欠損している、請求項55に記載の方法。
  57. 前記腫瘍細胞または癌細胞はP53機能が正常である、請求項55に記載の方法。
  58. 細胞においてDNA二本鎖切断を誘導する工程において適用される用量が、その治療計画が単独で使用される場合に適用される用量よりも少ない、請求項57に記載の方法。
  59. 前記腫瘍または癌が非小細胞肺癌または黒色腫である、請求項55〜58のいずれか一項に記載の方法。
  60. 細胞においてDNA二本鎖切断を誘導する工程が、前記細胞をエンドスタチンと接触させる工程と同時にまたは逐次に行われる、請求項54〜59のいずれか一項に記載の方法。
  61. 前記細胞が、前記細胞においてDNA二本鎖切断を誘導する前にエンドスタチンと接触される、請求項60に記載の方法。
  62. 前記細胞が、前記細胞においてDNA二本鎖切断を誘導された後にエンドスタチンと接触される、請求項60に記載の方法。
  63. 前記DNA二本鎖切断が、前記細胞に照射を行うことまたは前記細胞を化学療法薬と接触させることにより誘導される、請求項54〜62のいずれか一項に記載の方法。
  64. 前記化学療法薬がエトポシドまたはドキソルビシンである、請求項63に記載の方法。
  65. イン・ビトロまたはイン・ビボで行われる、請求項54〜64のいずれか一項に記載の方法。
  66. 前記エンドスタチンが、
    天然ヒトエンドスタチン;
    天然ヒトエンドスタチンのN末端に9個の付加的アミノ酸MGGSHHHHHを付加することにより得られるエンドスタチン変異体(ここで、前記エンドセリン変異体のN末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある);または
    天然ヒトエンドスタチンを分子量20kDaのモノメトキシポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド(mPEG−ALD)で修飾することにより得られる産物(ここで、それらの結合部位は活性化されたmPEG−ALDアルデヒド基と天然ヒトエンドスタチンのN末端α−アミノ基である)、
    である、請求項42〜52のいずれか一項に記載の方法。
  67. 細胞においてアポトーシスを誘導するための薬剤の製造におけるエンドスタチンの使用であって、前記細胞はDNA二本鎖切断を生じさせられる、使用。
  68. 前記細胞が腫瘍細胞または癌細胞である、請求項67に記載の使用。
  69. 前記腫瘍細胞または癌細胞はP53機能を欠損している、請求項68に記載の使用。
  70. 前記腫瘍細胞または癌細胞はP53機能が正常である、請求項68に記載の使用。
  71. 前記腫瘍または癌が非小細胞肺癌または黒色腫である、請求項68〜70のいずれか一項に記載の使用。
  72. 前記細胞は放射線照射または化学療法薬への曝露によりDNA二本鎖切断を生じさせられる、請求項67〜71のいずれか一項に記載の使用。
  73. 前記化学療法薬がエトポシドまたはドキソルビシンである、請求項72に記載の使用。
  74. 前記エンドスタチンが、
    天然ヒトエンドスタチン;
    天然ヒトエンドスタチンのN末端に9個の付加的アミノ酸MGGSHHHHHを付加することにより得られるエンドスタチン変異体(ここで、前記エンドセリン変異体のN末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある);または
    天然ヒトエンドスタチンを分子量20kDaのモノメトキシポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド(mPEG−ALD)で修飾することにより得られる産物(ここで、それらの結合部位は活性化されたmPEG−ALDアルデヒド基と天然ヒトエンドスタチンのN末端α−アミノ基である)、
    である、請求項67〜73のいずれか一項に記載の使用。
  75. 生体サンプルにおいてDNA−PKcs活性を阻害する方法であって、前記生体サンプルをエンドスタチンと接触させることを含んでなる、方法。
  76. 前記エンドスタチンが、
    天然ヒトエンドスタチン;
    天然ヒトエンドスタチンのN末端に9個の付加的アミノ酸MGGSHHHHHを付加することにより得られるエンドスタチン変異体(ここで、前記エンドセリン変異体のN末端のMetは、大腸菌により発現される場合、部分的に欠失されていることがある);または
    天然ヒトエンドスタチンを分子量20kDaのモノメトキシポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド(mPEG−ALD)で修飾することにより得られる産物(ここで、それらの結合部位は活性化されたmPEG−ALDアルデヒド基と天然ヒトエンドスタチンのN末端α−アミノ基である)、
    である、請求項75に記載の方法。

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