JP2020527164A - グラム陰性病原体に対する抗微生物活性を示す抗微生物ペプチド及びその混合物 - Google Patents

グラム陰性病原体に対する抗微生物活性を示す抗微生物ペプチド及びその混合物 Download PDF

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Abstract

本発明は医学及び微生物学の分野、具体的には(特に薬剤耐性を示す又は発生しやすい)グラム陰性病原体が原因の感染症を治療するための手段及び方法に関する。(i)膜透過活性及び/又はLipid II結合活性を有する内膜作用性化合物と、(ii)RRLFRRILRWL−NH(GNP−6)、GNNRPVYIPQPRPPHPRL(GNP−1)、RIWVIWRR−NH(GNP−5)、GIGKHVGKALKGLKGLLKGLGEC(GNP−7)、及びXIVQRIKKWLX−NH(Xは存在しないかKであり、XはR、K、又はAであり、Xは存在しないかRである)からなる群より選択される1又は複数の抗微生物ペプチドと、の混合物が提供される。
【選択図】なし

Description

本発明は医学及び微生物学の分野に関する。より具体的には、本発明は、グラム陰性病原体(特に薬剤耐性を示すか、又は薬剤耐性を生じやすいグラム陰性病原体)が原因のヒト又は動物の感染症を治療するための手段及び方法に関する。
重大な耐性問題が今では臨界点に達し、世界的に重要かつ重大な公衆衛生上の脅威となっている。この半世紀の間に薬効範囲が広いか狭いかに関わらす新規の抗生物質は事実上開発されていない一方、既存の薬剤は急速に効果を失いつつある[1]。人間は年々抗生物質を頼るようになり、これらの薬剤を乱用するようにもなってきた[1]。不運なことに、この使用拡大が細菌の抗生物質耐性を拡大させたことに疑いはない[2,3]。2016年における調査において、抗微生物薬耐性(AMR)の蔓延のために既に毎年700,000件の死亡件数が存在することが指摘されており、この数が将来的には1,000,000件になることが推定されている[4]。
世界保健機関(WHO)は、抗生物質の研究、発見、及び開発を指導するための抗生物質耐性細菌の世界的優先順位リストを明らかにするレポートを発表した[5]。12種類の細菌がリストに挙げられており、トップ3の細菌が「重要」というカテゴリーを構成し、6種類の細菌が「高位」と分類され、残りの3種類が「中位」に規定された。重要なことは、これらの12種類の「スーパーバグ」のうちの9種類がグラム陰性病原体であり、3種類の「重要な」細菌は全てグラム陰性病原体(アシネトバクター・バウマンニイ(Acinetobacter baumannii)(カルバペネム耐性)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(カルバペネム耐性)、及びエンテロバクター科菌(Enterobacteriaceae)(カルバペネム耐性、第3世代セファロスポリン耐性))である。
特に、グラム陰性細菌の防護性外膜は複数種の抗微生物剤が細胞膜に到達することを妨げるための効率的な隔壁として機能するため、このことが多剤耐性(MDR)グラム陰性病原体の治療の困難さを著しく上昇させている[6,7]。この問題に取り組むため、グラム陰性生物に対する新規抗生物質又は新規治療戦略について調査する緊急の必要性が存在する。
本発明者らは、多剤耐性病原体の発生が危険な点に到達したと認識し、既存の薬剤の運用を改善し、且つ、新規薬剤の元を拡大しようとした。より具体的には、本発明者らは、グラム陰性病原性細菌による危機に適切に対応することを可能にする新規化合物及び新規治療戦略を提供することを目標とした。
驚くべきことに、特定のペプチド(本明細書において「グラム陰性外膜撹乱ペプチド」(GNP)と称される)により、グラム陰性病原体に対する既知の抗微生物剤(例えば、グラム陽性細菌に対して一般的に最もよく作用するナイシン及びバンコマイシン)の抗細菌活性を大いに向上することができることが観察された。本明細書において以下に示されるように、選択されたGNPは、商業的に合成され、グラム陰性病原体に対して単独で、又はナイシン若しくはバンコマイシンと組み合わせて検査された。その結果、ある特定のGNPをナイシン又はバンコマイシンと組み合わせることで、5種類の選択された重要なグラム陰性病原体に対して非常に有効な相乗的効果を発揮することが明らかとなった。特に、グラム陰性細菌の増殖を阻害するために必要な各化合物の濃度が劇的に減少した(最大で40倍)。
全体として、本発明において開示されるアプローチは、グラム陰性感染症の治療のための資源と戦略の多様性を拡張すると同時に、抗微生物剤の効力を高め、それらの薬剤のあり得る毒性を低下させ、且つ、グラム陰性細菌が薬剤耐性になる速度を減少させるための非常に有望な方法を提供する。
したがって、本発明は、
(i)膜透過活性及び/又はLipid II結合活性を有する内膜作用性化合物と、
(ii)RRLFRRILRWL−NH(GNP−6)、
GNNRPVYIPQPRPPHPRL(GNP−1)、
RIWVIWRR−NH(GNP−5)、
RRLFRRILRWL−NH(GNP−6)、
GIGKHVGKALKGLKGLLKGLGEC(GNP−7)、及び
IVQRIKKWLXR−NH(GNP−8/−9又はGNP−8変異体)
(ここで、Xは存在しないか、又はKであり、XはR、K、又はAであり、Xは存在しないか、又はRである)
からなる群より選択される1又は複数の抗微生物ペプチドと、
の混合物であって、
上記抗微生物ペプチドは、D−アミノ酸若しくはL−アミノ酸を含んでいてもよいか、D−アミノ酸若しくはL−アミノ酸から構成されていてもよい、上記混合物を提供する。
これらのうち、本発明は、
(i)内膜又は細胞質作用性の化合物と、
(ii)GNNRPVYIPQPRPPHPRL(GNP−1)、RIWVIWRR−NH(GNP−5)、RRLFRRILRWL−NH(GNP−6)、GIGKHVGKALKGLKGLLKGLGEC(GNP−7)、RIVQRIKKWLR−NH(GNP−8)、及びKRIVQRIKKWLR−NH(GNP−9)からなる群より選択される1又は複数の抗微生物ペプチドと、
の混合物であって、
上記抗微生物ペプチドは、D−アミノ酸若しくはL−アミノ酸を含んでいてもよいか、又はD−アミノ酸若しくはL−アミノ酸から構成されていてもよい、上記混合物を提供する。
本発明の抗微生物ペプチドは、膜透過活性及び/又はLipid II結合活性を有する内膜作用性化合物と組み合わせると、グラム陰性病原体に対する活性について驚くべき相乗効果を示す。一実施形態では、内膜作用性化合物は「内膜作用性ポリペプチド」であり、これは、一般的に膜透過活性及び/又はLipid II結合活性を有するリボソーム合成又は非リボソーム合成ペプチドを指し、例えば、ナイシン又は他のランチペプチド(lanthipeptides)又はその誘導体、又はバンコマイシン若しくはその誘導体、ダプトマイシン、ラスパルトマイシン、又はマクロライド系抗生物質を指す。ナイシンのようなランチビオティクス、及びそのランチビオティクス誘導体、並びにバンコマイシンなどの内膜作用性抗生剤が例に挙げられる。別の実施形態では、内膜作用性化合物は、1又は複数のデオキシ糖(通常はクラジノース(cladinose)及びデソサミン(desosamine))が結合していてもよい大環状ラクトン環から構成される一群の天然産物であるマクロライドグループに属する。上記ラクトン環は、通常では14員、15員、又は16員環である。マクロライド類は、ポリケチド類の天然産物に属する。幾つかのマクロライド類は抗生物質活性又は抗真菌活性を有し、医薬品として使用される。本発明において使用されるマクロライド類の例としては、アジスロマイシン(azithromycin)、クラリスロマイシン(clarithromycin)、エリスロマイシン(erythromycin)、フィダキソマイシン(fidaxomicin)、及びテリスロマイシン(telithromycin)が挙げられる。
その他の実施形態では、内膜作用性化合物は、ダプトマイシン(daptomycin)又はシプロフロキサシン(ciprofloxacin)である。ダプトマイシンは、グラム陽性生物が原因の全身性及び致命的感染症の治療に使用されるリポペプチド抗生物質である。ダプトマイシンは、土壌腐生生物ストレプトマイセス・ロゼオスポルス(Streptomyces roseosporus)に見られる天然化合物である。ダプトマイシンの特徴的な作用機序のために、ダプトマイシンは複数の薬剤耐性細菌が原因の感染症の治療に有用である。他の具体例としては、ダプトマイシン、ラスパルトマイシン(laspartomycin)、マクロライド及びシプロフロキサシンが挙げられる。
抗微生物ペプチド間に相乗作用が認めることができることは、当技術分野において知られている。例えば、Ludersら(Appl Environ Microbiol. 2003 Mar; 69(3): 1797−1799)は、原核生物抗微生物ペプチド(AMP;より一般的にはバクテリオシンと呼ばれる)であるペヂオシンPA−1、サカシンP、及びキュアバシンA(全て、乳細菌[LAB]により産生)を真核生物AMPである魚由来リューロシジンと組み合わせたときに得られる抗微生物効果について調査した。LAB AMPとリューロシジンは、必要とされる濃度がそれでも比較的に高かったものの、グラム陰性大腸菌株に対して相乗的に作用することがわかった。
Van der Lindenら(Biotechnology Letters 31(8):1265−7 May 2009)は、51残基のヒツジ由来カテリシジンとナイシンのグラム陽性黄色ブドウ球菌1056MRSA株に対する相乗効果を報告しているが、グラム陰性細菌に対しては相乗効果を報告していない。
Zhouら(Frontiers in Cell and Developmental Biology. 2016, 4, p. 1−7 7 p., 7内)は、全長型又は短縮型ナイシンのC末端に、幾つかの抗グラム陰性ペプチド(例えば、アピデシン1b、オンコシン)又はそれらの一部を遺伝的融合することにより、グラム陰性細菌に対するランチビオティクスの活性が改善可能であるかどうか調査した。アピデシン1bからの8アミノ酸(PRPPHPRL)テールがナイシンに取り付けられると、大腸菌(E. coli)CECT101に対するナイシンの活性が2倍よりも高く上昇することがわかった。
さらに、GNP−8及びその変異体以外の上記抗微生物ペプチドの各々は、それら自体が当技術分野において知られている。表1を参照されたい。しかしながら、重要なことに、本発明に記載の内膜作用性ポリペプチドと混合して(すなわち、物理的に別個の要素として)使用される場合の本規定のGNPの相乗効果は、当技術分野において教示又は示唆されていない。

本発明の一実施形態では、内膜作用性ポリペプチドは、ナイシン又はその変異体若しくは誘導体である。ナイシンは、その高い抗細菌活性とヒトに対する低い毒性のため、数十年にわたって天然保存剤として食品産業において使用されてきた[8,9]。実際には、ナイシンが細菌の原形質膜に到達した後、ナイシンの最初の2つの環とLipid IIのピロリン酸に関連する水素結合を介してピロリン酸ケージが形成される。Lipid IIは、(ペンタペプチド部分を除いて)その性質を変更することができず、且つナイシンの経膜配向を促進するので、ピロリン酸ケージは細菌のナイシンに対する低耐性に関与する[10,11]。ナイシン誘導体は当技術分野において知られている。例えば、強化された機能性(活性及び/又は安定性)を示し、それにより臨床的見地からより魅力的となった改変ナイシン誘導体ナイシンV及びナイシンI4Vを参照されたい(Cotter et al. (2013) Nat. Rev. Microbiol. 11 95−105; Field et al., (2015) Bioengineered 6 187−192.)。また、従来の抗生物質の効力を増強するナイシン及びナイシン誘導体の可能性について開示しているFieldらの論文(Front Microbiol.2016 Apr 18;7:508)も参照されたい。一実施形態では、ナイシン誘導体は、最初の3つ/5つの環を含む全長型又は短縮型のナイシンとの融合体である(例えば、Zhouら(Frontiers in Cell and Developmental Biology. 2016, 4, p. 1−7 7 p., 7内)、Liら(Appl Environ Microbiol. 2018 May 31;84(12))、又はMontalban−Lopezら(FEMS Microbiol Rev. 2017 Jan;41(1):5−18)の論文において開示されている)。
別の実施形態では、内膜作用性ポリペプチドは、バンコマイシン又はその誘導体である。バンコマイシンは、WHOによってリスト化された最も有効で安全な医薬品のうちの1つである[12]。バンコマイシンは、糖ペプチド抗生物質の一種であり、グラム陽性細菌を殺菌するそのメカニズムは細胞壁の構築の阻害である[13]。ナイシン及びバンコマイシンは両方とも、ナノモル濃度レベルであっても最小阻害濃度(MIC)でグラム陽性細菌に対して非常に有効である[13−15]。しかしながら、グラム陰性細菌に対するこれらの活性はずっと低い。バンコマイシン誘導体の例としては、ジピコリル−バンコマイシン複合体(Dipi−van)及びYuki Nakamaら(J. Med. Chem., 2010, 53 (6), pp 2528−2533)又は国際公開第2016/134622号パンフレットに開示されているものが挙げられる。
本発明において使用されるナイシン及びバンコマイシン誘導体並びに変異体の例が、表2(表2−1〜2−4)及び表3(表3−1〜3−4)において灰色(WTと同等の活性)又は暗灰色(上昇した活性)で強調されて示されている。一実施形態では、本発明の混合物は、表2に示されるものから選択されるナイシン変異体を含み、ここで、上記ナイシン変異体は、野生型ナイシンと比較して活性が向上していることが好ましい。別の実施形態では、本発明の混合物は、表3に示されるものから選択されるバンコマイシン誘導体を含み、ここで、上記バンコマイシン誘導体は、非改変型バンコマイシンと比較して活性が向上していることが好ましい。
本発明の一実施形態では、上記混合物は、RRLFRRILRWL−NH(GNP−6)、GIGKHVGKALKGLKGLLKGLGEC(GNP−7)、RIVQRIKKWLR−NH(GNP−8)、及びKRIVQRIKKWLR−NH(GNP−9)からなる群より選択される抗微生物ペプチドを含む。
αアミノ酸は自然界に見られる最も一般的な形態であるが、それはL異性体の形で生じるときのみの話である。α炭素上に区別できない水素原子2個有しているグリシンを例外として、α炭素はキラル炭素原子である。したがって、グリシンを除く全てのαアミノ酸は、相互に鏡像であるLアミノ酸又はDアミノ酸と呼ばれる2種類のエナンチオマーのうちのいずれかとして存在することができる。本発明に使用される抗微生物ペプチドは、L−アミノ酸若しくはD−アミノ酸を含んでいてもよいか、又はL−アミノ酸若しくはD−アミノ酸から構成されていてもよい。例えば、1又は複数の「従来の」L−アミノ酸がD−アミノ酸によって置換されていてもよい。一実施形態では、上記抗微生物ペプチドは、L−アミノ酸から構成される。別の実施形態では、上記抗微生物ペプチドは、D−アミノ酸から構成される。D−アミノ酸は、自然界では幾つかの細菌を除いて生物中に生じることは稀である。D−アミノ酸はプロテアーゼ介在性分解に対して高い耐性を有し、且つ、低い免疫原性応答を有する。これにより、D−ペプチドは、本発明の混合物への使用について特に興味深いものになっている。
特に、本明細書において以下に示されるように、D−GNPは、L体の相対物と比較して、より高い活性をグラム陰性病原体に対して示す。全ての事例において、濃度はL−GNPのMICと同等であるか、又は最大で4倍低い。これらのデータは、選択されたGNPが受容体と特異的に相互作用しないことを示している。
特定の態様において、上記抗微生物ペプチドは、RRLFRRILRWL−NH(GNP−6)、GIGKHVGKALKGLKGLLKGLGEC(GNP−7)、RIVQRIKKWLR−NH(GNP−8)、及びKRIVQRIKKWLR−NH(GNP−9)からなる群より選択され、上記抗微生物ペプチドは、D−アミノ酸若しくはL−アミノ酸を含むか、又はD−アミノ酸若しくはL−アミノ酸から構成され、上記抗微生物ペプチドがD−アミノ酸から構成されることが好ましい。
第1の態様において、上記ペプチドは、L−アミノ酸又はD−アミノ酸から構成されるRRLFRRILRWL−NHである。第2の態様において、上記ペプチドは、L−アミノ酸又はD−アミノ酸から構成されるGIGKHVGKALKGLKGLLKGLGECである。第3の態様において、上記ペプチドは、XIVQRIKKWLXR−NHであって、ここで、Xは存在しないか、又はKであり、XはR、K、又はAであり、且つ、Xは存在しないか、又はRであり、上記抗微生物ペプチドは、D−アミノ酸若しくはL−アミノ酸を含んでいてもよいか、又はD−アミノ酸若しくはL−アミノ酸から構成されていてもよい。一実施形態では、X及び/又はXは存在しない。別の実施形態では、XがKであり、且つ/又はXがRである。これは、XがR、K、又はAであることと組み合わさってよく、好ましくはXはR又はKである。例えば、上記ペプチドは、L−アミノ酸又はD−アミノ酸から構成されるRIVQRIKKWLR−NH(GNP−8)、KRIVQRIKKWLR−NH(GNP−9)、RIVQRIKKWL−NH(GNP−8.1)、KIVQRIKKWLR−NH(GNP−8.2)、又はAIVQRIKKWLR−NH(GNP−8.3)である。
上記抗微生物ペプチドが、D−アミノ酸若しくはL−アミノ酸を含むか、又はD−アミノ酸若しくはL−アミノ酸から構成されるRIVQRIKKWLR−NH(GNP−8)、好ましくはD−アミノ酸から構成されるRIVQRIKKWLR−NH(本明細書において「GNP−D8」とも呼ばれる)である場合に、非常に良好な結果が得られる。GNP−D8とナイシン/バンコマイシンの組合せにより生じるFICI値は0.078〜0.375の範囲であった。このことは、非常に顕著なインビトロ相乗効果を示唆した。GNP−D8は、ナイシン又はバンコマイシンのどちらかが内膜に到達するための補助として非常に有効であった。
本明細書において提供される混合物には、追加の抗微生物剤を補足すると有利であることは、当業者に理解されるであろう。本発明に係る混合物と、薬学的に許容可能なベヒクル、キャリア、又は希釈剤と、を含む医薬組成物も提供される。
本発明の更なる態様は、アミノ酸配列XIVQRIKKWLX−NHの抗微生物ペプチドに関し、ここで、XはR、K、又はAであり、Xは存在しないか、又はRであり、上記抗微生物ペプチドは、D−アミノ酸若しくはL−アミノ酸を含むか、又はD−アミノ酸若しくはL−アミノ酸から構成され、好ましくはD−アミノ酸から構成される。一実施形態では、本発明は、配列RIVQRIKKWLR−NH(GNP−8)、RIVQRIKKWL−NH(GNP−8.1)、KIVQRIKKWLR−NH(GNP−8.2)、又はAIVQRIKKWLR−NH(GNP−8.3)の抗微生物ペプチドであって、D−アミノ酸若しくはL−アミノ酸を含むか、又はD−アミノ酸若しくはL−アミノ酸から構成され、好ましくはD−アミノ酸から構成される上記抗微生物ペプチドを提供する。
このようなペプチドは、当技術分野において開示又は教示されていない。米国特許出願公開第2015/0344527号明細書は、幾つかの抗微生物ペプチドを教示しており、それらのうち5種類のペプチドが配列RIVQRIKKWLLKWKKLGYを有する。ヒトカテリシジンLL−37から設計された様々な短ペプチド類似体が当技術分野において知られており[25]、それらには配列KRIVQRIKKWLR−NHのKR−12−a2が含まれ、したがって追加のN末端リシンを有し、且つ、本明細書において上記したような微生物ペプチドGNP−9に対応する。驚くべきことに、特定の病原体に対するリシン残基が存在しないと、ナイシンと混合して使用した場合に、抗微生物相乗効果を上昇させることが観察された。表4及び表5を参照されたい。さらに、ペプチドKR−12−a2/GMP−9の第2位のアルギニンのリシン又はアラニンによる置換、及び/又はC末端アルギニンの欠失により、驚くべき抗微生物活性を示す新規ペプチドが得られることがわかった(表10〜表12参照)。
したがって、本発明は、アミノ酸配列XIVQRIKKWLX−NHのペプチドと、薬学的に許容可能なベヒクル、キャリア、又は希釈剤と、を含む医薬組成物にも関し、ここで、XはR、K、又はAであり、Xは存在しないか又はRであり、上記ペプチドは、D−アミノ酸若しくはL−アミノ酸を含むか、又はD−アミノ酸若しくはL−アミノ酸から構成され、好ましくはD−アミノ酸から構成される。一実施形態では、本発明は、ペプチドRIVQRIKKWLR−NH(GNP−8)、ペプチドRIVQRIKKWL−NH2(GNP−8.1)、ペプチドKIVQRIKKWLR−NH2(GNP−8.2)、又はペプチドAIVQRIKKWLR−NH2(GNP−8.3)のうちの1又は複数のペプチドと、D−アミノ酸若しくはL−アミノ酸を含むか、又はD−アミノ酸若しくはL−アミノ酸から構成され、好ましくはD−アミノ酸から構成されるRIVQRIKKWLR−NHのペプチドと、薬学的に許容可能なベヒクル、キャリア、又は希釈剤と、を含む医薬組成物を提供し、ここで、上記ペプチドは、D−アミノ酸若しくはL−アミノ酸を含むか、又はD−アミノ酸若しくはL−アミノ酸から構成され、好ましくはD−アミノ酸から構成される。
また、D−アミノ酸若しくはL−アミノ酸を含むか、又はD−アミノ酸若しくはL−アミノ酸から構成され、好ましくはD−アミノ酸から構成されるアミノ酸配列RIVQRIKKWLR−NHのペプチドを含み、任意に1又は複数の追加の抗微生物剤及び賦形剤を含む殺菌性組成物も提供される。
本発明の組成物は、対象(好ましくは哺乳類対象、より好ましくはヒト対象)における病原性感染症の予防又は治療の方法に使用することが有利であることが、当業者によって理解されるであろう。例えば、上記感染症は、グラム陰性病原体が原因のものであってよい。特定の実施形態では、上記感染症は、大腸菌(E. coli)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、アシネトバクター・バウマンニイ(Acinetobacter baumannii)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloaceae)、及びサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)からなる群より選択される細菌が原因のものである。一実施形態では、上記感染症は、ESKAPE病原体(すなわち、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus gaecium)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、クレブシエラ・ニューモニエ、アシネトバクター・バウマンニイ、緑膿菌、及びエンテロバクター属種)として当技術分野において知られている1又は複数の病原体が原因のものである。
本発明のさらに有利な態様は、対象(好ましくは哺乳類対象、より好ましくはヒト対象)における病原性感染症を予防又は治療する方法におけるペプチド、混合物、又は組成物の使用に関し、ここで、上記病原性感染症は、多剤耐性(MDR)細菌、好ましくは臨床的に関連のあるMDR細菌によって引き起こされる。例えば、上記感染症は、以下の細菌のうちの1又は複数が原因のものである。
・大腸菌ATCC25922株
・大腸菌ATCC BAA−2452株
・大腸菌B1927株、臨床分離体
・クレブシエラ・ニューモニエATCC700603株
・クレブシエラ・ニューモニエATCC BAA−2524株
・クレブシエラ・ニューモニエB1945株、臨床分離体
・緑膿菌ATCC27853株
・緑膿菌ATCC BAA−2108株
・緑膿菌B1954株、臨床分離体
・アシネトバクター・バウマンニイATCC17978株
・アシネトバクター・バウマンニイATCC BAA−1605株
・アシネトバクター・バウマンニイB2026株、臨床分離体
特定の態様において、本発明は、対象(好ましくは哺乳類対象、より好ましくはヒト対象)における病原性感染症を予防又は治療する方法におけるペプチドGNP−D6の使用を提供し、ここで、上記病原性感染症は、以下の細菌のうちの1又は複数が原因のものである:大腸菌ATCC BAA−2452株、大腸菌B1927株、クレブシエラ・ニューモニエATCC BAA−2524株、クレブシエラ・ニューモニエB1945株、緑膿菌ATCC BAA−2108株、緑膿菌B1954株、アシネトバクター・バウマンニイATCC BAA−1605株、アシネトバクター・バウマンニイB2026株。
また、本明細書では、グラム陰性病原体に対する内膜作用性化合物の治療有効性及び治療効力を増強するための方法が提供され、ここで、上記内膜化合物は、ナイシン、バンコマイシン、及びそれらの機能性誘導体からなる群より選択されることが好ましく、上記方法は、RRLFRRILRWL−NH(GNP−6)、GNNRPVYIPQPRPPHPRL(GNP−1)、RIWVIWRR−NH(GNP−5)、RRLFRRILRWL−NH(GNP−6)、GIGKHVGKALKGLKGLLKGLGEC(GNP−7)、RIVQRIKKWLR−NH(GNP−8)、RIVQRIKKWL−NH(GNP−8.1)、KIVQRIKKWLR−NH(GNP−8.2)、AIVQRIKKWLR−NH(GNP−8.3)、及びKRIVQRIKKWLR−NH(GNP−9)からなる群より選択される抗微生物ペプチドの存在下で、上記グラム陰性病原体と上記内膜作用性化合物を接触させることを含み、ここで、上記抗微生物ペプチドは、D−アミノ酸若しくはL−アミノ酸を含んでいてもよいか、又はD−アミノ酸若しくはL−アミノ酸から構成されていてもよい。
本発明の更なる態様は、グラム陰性病原体に対する内膜作用性ポリペプチドの治療有効性及び治療効力を高めるための抗微生物ペプチドの使用に関し、ここで、上記抗微生物ペプチドは、GNNRPVYIPQPRPPHPRL(GNP−1)、RIWVIWRR−NH(GNP−5)、RRLFRRILRWL−NH(GNP−6)、GIGKHVGKALKGLKGLLKGLGEC(GNP−7)、RIVQRIKKWLR−NH(GNP−8)、及びKRIVQRIKKWLR−NH(GNP−9)からなる群より選択され、D−アミノ酸若しくはL−アミノ酸を含んでいてもよいか、又はD−アミノ酸若しくはL−アミノ酸から構成されていてもよい。本明細書において上記された抗微生物ペプチド及び内膜作用性ポリペプチドと同じ好ましい傾向が適用される。
相乗効果判定プレートの模式図である。階乗用量マトリックス(factorial dose matrix)を用いて、2種類の段階希釈された単一化合物の全ての混合物を試験した。増殖対照のウェルには抗生物質を添加しなかった一方、無菌対照のウェルには培地のみを添加した。 5種類の異なるグラム陰性病原体に対する様々な組み合わせのFICI。パネルA〜パネルE:異なるグラム陰性病原体に対してのナイシン/バンコマイシン+GNP。(A)大腸菌LMG15862株。 5種類の異なるグラム陰性病原体に対する様々な組み合わせのFICI。パネルA〜パネルE:異なるグラム陰性病原体に対してのナイシン/バンコマイシン+GNP。(B)クレブシエラ・ニューモニエ。 5種類の異なるグラム陰性病原体に対する様々な組み合わせのFICI。パネルA〜パネルE:異なるグラム陰性病原体に対してのナイシン/バンコマイシン+GNP。(C)緑膿菌LMG6395株。 5種類の異なるグラム陰性病原体に対する様々な組み合わせのFICI。パネルA〜パネルE:異なるグラム陰性病原体に対してのナイシン/バンコマイシン+GNP。(D)アシネトバクター・バウマンニイLMG01041株。 5種類の異なるグラム陰性病原体に対する様々な組み合わせのFICI。パネルA〜パネルE:異なるグラム陰性病原体に対してのナイシン/バンコマイシン+GNP。(E)エンテロバクター・アエロゲネスLMG02094株。 5種類の異なるグラム陰性病原体に対する様々な組み合わせのFICI。パネルA〜パネルE:異なるグラム陰性病原体に対してのナイシン/バンコマイシン+GNP。パネルF:5種類のグラム陰性病原体に対してのナイシン+GNP−8/D8及びバンコマイシン+GNP−8/D8。異なる色は異なる組合せに対応する。 ナイシン/バンコマイシン+GNP−8/GNP−D8の阻害分析。パネルA〜E:異なるグラム陰性病原体に対するナイシン/バンコマイシン+GNP。(A)大腸菌LMG15862株。注記:ここでのナイシン及びペプチドの実際の出発濃度は、グラム陰性病原体に対して単独で使用されるときのナイシン、バンコマイシン、又はGNPのMIC、すなわち病原体に対するナイシン/バンコマイシン+GNP−8/GNP−D8の阻害効果である。対照と非常に顕著な違いが存在することがわかる。抗生物質及びGNPのFICIを計算するために使用したこの組合せでは、病原体の増殖が完全に阻害された。GNP−6/GNP−D6のFICIは比較的に高い(わずかに低い相乗効果)が、必要な実際の絶対MIC値はGNP8又はGNP−D8の値よりもずっと低い値であることに留意されたい。 ナイシン/バンコマイシン+GNP−8/GNP−D8の阻害分析。パネルA〜E:異なるグラム陰性病原体に対するナイシン/バンコマイシン+GNP。(B)クレブシエラ・ニューモニエ。注記:ここでのナイシン及びペプチドの実際の出発濃度は、グラム陰性病原体に対して単独で使用されるときのナイシン、バンコマイシン、又はGNPのMIC、すなわち病原体に対するナイシン/バンコマイシン+GNP−8/GNP−D8の阻害効果である。対照と非常に顕著な違いが存在することがわかる。抗生物質及びGNPのFICIを計算するために使用したこの組合せでは、病原体の増殖が完全に阻害された。GNP−6/GNP−D6のFICIは比較的に高い(わずかに低い相乗効果)が、必要な実際の絶対MIC値はGNP8又はGNP−D8の値よりもずっと低い値であることに留意されたい。 ナイシン/バンコマイシン+GNP−8/GNP−D8の阻害分析。パネルA〜E:異なるグラム陰性病原体に対するナイシン/バンコマイシン+GNP。(C)緑膿菌LMG6395株。注記:ここでのナイシン及びペプチドの実際の出発濃度は、グラム陰性病原体に対して単独で使用されるときのナイシン、バンコマイシン、又はGNPのMIC、すなわち病原体に対するナイシン/バンコマイシン+GNP−8/GNP−D8の阻害効果である。対照と非常に顕著な違いが存在することがわかる。抗生物質及びGNPのFICIを計算するために使用したこの組合せでは、病原体の増殖が完全に阻害された。GNP−6/GNP−D6のFICIは比較的に高い(わずかに低い相乗効果)が、必要な実際の絶対MIC値はGNP8又はGNP−D8の値よりもずっと低い値であることに留意されたい。 ナイシン/バンコマイシン+GNP−8/GNP−D8の阻害分析。パネルA〜E:異なるグラム陰性病原体に対するナイシン/バンコマイシン+GNP。(D)アシネトバクター・バウマンニイLMG01041株。注記:ここでのナイシン及びペプチドの実際の出発濃度は、グラム陰性病原体に対して単独で使用されるときのナイシン、バンコマイシン、又はGNPのMIC、すなわち病原体に対するナイシン/バンコマイシン+GNP−8/GNP−D8の阻害効果である。対照と非常に顕著な違いが存在することがわかる。抗生物質及びGNPのFICIを計算するために使用したこの組合せでは、病原体の増殖が完全に阻害された。GNP−6/GNP−D6のFICIは比較的に高い(わずかに低い相乗効果)が、必要な実際の絶対MIC値はGNP8又はGNP−D8の値よりもずっと低い値であることに留意されたい。 ナイシン/バンコマイシン+GNP−8/GNP−D8の阻害分析。パネルA〜E:異なるグラム陰性病原体に対するナイシン/バンコマイシン+GNP。(E)エンテロバクター・アエロゲネスLMG02094株。注記:ここでのナイシン及びペプチドの実際の出発濃度は、グラム陰性病原体に対して単独で使用されるときのナイシン、バンコマイシン、又はGNPのMIC、すなわち病原体に対するナイシン/バンコマイシン+GNP−8/GNP−D8の阻害効果である。対照と非常に顕著な違いが存在することがわかる。抗生物質及びGNPのFICIを計算するために使用したこの組合せでは、病原体の増殖が完全に阻害された。GNP−6/GNP−D6のFICIは比較的に高い(わずかに低い相乗効果)が、必要な実際の絶対MIC値はGNP8又はGNP−D8の値よりもずっと低い値であることに留意されたい。 グラム陰性病原体に対して組み合わせて試験されたときのナイシン/バンコマイシン/GNPの正確な濃度。A〜E:異なるグラム陰性病原体に対するナイシン+GNP。A:指示株:大腸菌LMG15862株。 グラム陰性病原体に対して組み合わせて試験されたときのナイシン/バンコマイシン/GNPの正確な濃度。A〜E:異なるグラム陰性病原体に対するナイシン+GNP。B:指示株:クレブシエラ・ニューモニエ。 グラム陰性病原体に対して組み合わせて試験されたときのナイシン/バンコマイシン/GNPの正確な濃度。A〜E:異なるグラム陰性病原体に対するナイシン+GNP。C:指示株:緑膿菌LMG6395株。 グラム陰性病原体に対して組み合わせて試験されたときのナイシン/バンコマイシン/GNPの正確な濃度。A〜E:異なるグラム陰性病原体に対するナイシン+GNP。D:指示株:アシネトバクター・バウマンニイLMG01041株。 グラム陰性病原体に対して組み合わせて試験されたときのナイシン/バンコマイシン/GNPの正確な濃度。A〜E:異なるグラム陰性病原体に対するナイシン+GNP。E:指示株:エンテロバクター・アエロゲネスLMG02094株。 グラム陰性病原体に対して組み合わせて試験されたときのナイシン/バンコマイシン/GNPの正確な濃度。A〜E:異なるグラム陰性病原体に対するナイシン+GNP。F:グラム陰性病原体に対するバンコマイシン+GNP8。 グラム陰性病原体に対して組み合わせて試験されたときのナイシン/バンコマイシン/GNPの正確な濃度。A〜E:異なるグラム陰性病原体に対するナイシン+GNP。G:グラム陰性病原体に対してのバンコマイシン+GNP−D8。
実施例1〜実施例8の材料及び方法
1.1.材料及びペプチド
以前に記載されたように[26]、HPLCを使用してナイシンの精製と定量を実施した。Sigma−Aldrich(カナダ)からバンコマイシンを購入した。Proteogenix(フランス)及びPepscan(オランダ)によって合成ペプチドが供給された。
1.2.細菌株と培養条件
本研究において使用された細菌を表4に示す。使用した細菌は全て、ベルギー微生物保存機関(BCCM)から得られた。
大腸菌、クレブシエラ・ニューモニエ、緑膿菌、アシネトバクター・バウマンニイ、エンテロバクター・アエロゲネスは、37℃でルリア・ベルターニ(LB)培地中に振盪(200rpm)して培養されるか、又はLB寒天培地上で培養された。ナイシン、バンコマイシン、合成ペプチド(GNP)、及び混合試験の最小阻害濃度(MIC)をそれぞれ検討するために、これらの株の全てを使用した。
1.3.最小阻害濃度(MIC)の決定
Wiegand及びHilpert[27]に従って、滅菌ポリプロピレンマイクロタイタープレート内での液体増殖阻害微小希釈アッセイにより反復してMIC検査を実施した。最初に、適切な寒天プレート上に指示株を画線(streaked on)し、一晩培養した。無作為に3〜5個のコロニーを選別し、生理食塩水(0.9%(重量/体積)NaCl)中に再懸濁して、OD625が約0.08〜0.13(1〜2×10CFU/mL)の細菌懸濁液を作製した。ミュラー・ヒントン培地(MHB)を使用して1:100の比率でこの懸濁液を希釈した。最終接種材料は5×10CFU/mLである。各株について、ペプチドを含まない第11列を増殖対照として含め、培地のみのウェルからなる第12列を無菌対照として含めた。抗微生物剤を1つずつ1/2に段階希釈し、各ウェルに希釈した50μLの細菌懸濁液を添加して最終体積が100μLになるようにした。ウェル11から10μLを取り出し、1000倍に希釈して固形培地上に1/10懸濁液をプレーティングすることにより、増殖対照を達成した。マイクロタイタープレート及びコロニー計数対照を、振盪せずに37℃で16〜20時間にわたって保温し、マイクロプレートリーダー(Tecan infinite F200)を使用してOD600を測定して増殖阻害を評価した。対照寒天プレート上のコロニーの数は、接種材料の濃度と実験の有効性を確実にするために約50でなくてはならなかった。指示株の可視可能な増殖を阻害する抗微生物剤の最低濃度が、MICとして特定される。
1.4.ナイシンとGNPの相乗効果検査
標準チェッカーボード培地微小希釈アッセイ[28,29]を実行することにより、相乗効果の検査を実施した。ナイシン(薬品X)を、X軸の第1列から第10列まで2倍段階希釈して負荷した一方、GNP(薬品Y)を、Y軸のA行からH行まで8行に2倍段階希釈して負荷した(図1)。元のペプチド濃度はそれぞれのMICであった。上記の通り、ペプチドを含まない増殖対照として第11列を使用しており、MHB培地のみのウェルを含む第12列を無菌対照として含めた。50μLの新しい細菌懸濁液をウェル1〜11に添加した。プレート上の各ウェルの最終体積は100μLである。
1.5.バンコマイシンとGNPの相乗効果検査
方法1.4と同様に、相乗効果の検査を実施した。X軸とY軸について別々にバンコマイシンとGNPを2倍段階希釈した。
1.6.相乗性を計算するためのアルゴリズム
上記併用療法が相加的であるか、相乗的であるか、又は拮抗的であるのか判定するため、部分阻害濃度(FIC)インデックス[30]を計算した。
FICI=FICa+FICb
=MICac/MICa+MICbc/MICb[28、30]。
MICa/MICbは、化合物A/B単独のMICである。MICacは、化合物Bと組み合わせた化合物AのMICであり、MICbcは、化合物Aと組み合わさったときの化合物BのMICである。FICは、化合物単独のMICを、他の化合物と組み合わせた化合物のMICにより除算したものである。FICaは化合物AのFICであり、FICbは化合物BのFICである。FICIは次のように解釈される。相乗的、FICI≦0.5;相加的、0.5<FICI<1;中立的、1<FICI<2;拮抗的、FICI>2。
実施例1:ナイシン及びL体GNPの単独でのグラム陰性病原体に対する活性
ナイシン及びL−アミノ酸ベースのGNPの活性検査を、5種類のグラム陰性病原体に対して実施した。MICの結果を表5に示す。GNPのMICは、ペプチド及び病原体の間で相互に非常に異なっており、2μMから256μM超まで変化したことがわかる。全GNPの中でGNP−4が最低の活性を示した一方、GNP−5及びGNP−6は最も強力である。
実施例2:混合物中のナイシンとL体GNPの相乗効果
方法1.4に従って、ナイシンとGNPの相乗効果を決定した。GNPのMICは異なっているが、それらの全てをナイシンと組み合わせて、大腸菌に対して検査した。結果を表6に示した。各組合せに対して2種類のFICIが示されている。
FICIは次のように解釈される:相乗的、FICI≦0.5;相加的、0.5<FICI<1。したがって、ナイシンはGNP−2とGNP−3について相加的であり、大腸菌に対して検査されたその他のペプチドの全てについては相乗的であると結論することができる。GNP−8+ナイシンの混合物が最良の組合せのようであったが、別々の抗微生物剤として使用される場合の元の濃度の1/4と1/30まで作用濃度を下げることができる。
ナイシン+GNP4のFICIは0.375であった。これは、3μMのナイシンと8μMのGNP−4の混合物、又は1.5μMのナイシンと16μMのGNP−4の混合物により大腸菌の増殖を完全に阻害することが可能であることを意味する。しかしながら、8μM又は16μMという濃度は、インビボ検査で使用するにはやはりどちらかというと高い濃度である。したがって、相乗効果を判定するための以下の実験では、GNP−1、GNP−5、GNP−6、GNP−7、及びGNP−8のペプチドに焦点を当てる。
クレブシエラ・ニューモニエ、緑膿菌、アシネトバクター・バウマンニイ、及びエンテロバクター・アエロゲネスに対する混合試験の結果を表7(表7−1〜7−2)に示す。0.1よりも低いFICIを示すために赤色を使用したが、これは、ナイシン及びGNPの濃度の両方が少なくとも30倍低いことを示している。混合物の効率(μM)は、クレブシエラ・ニューモニエに対して最高であり、緑膿菌LMG6395株に対して最低であった。ナイシン+GNP−8の混合物(1.5μMナイシン+0.5μM GNP−8又は0.75μMナイシン+1μM GNP−8)及びナイシン+GNP−9の混合物(3μMナイシン+1μM GNP−9又は0.75μMナイシン+4μM GNP−9)は、クレブシエラ・ニューモニエに対して最良の相乗効果を示す組合せである。これらの混合物では、ナイシン及びGNP−8のMICは、元のMICの1/32又は1/64ほどの低さであり得る。一方、緑膿菌及びエンテロバクター・アエロゲネスが指示株として使用された場合、幾つかの混合物は、2種類の化合物の間での相加的効果を及ぼすことも示された。GNP−6及びGNP−7は、上記5種類のグラム陰性病原体の全てに対して、ナイシンとの混合物の状態で相乗的に作用するように見受けられた。大半の事例において、これらのMICは4〜8倍まで低下し得る。
実施例3:グラム陰性病原体に対するバンコマイシンとD体GNPの混合物の活性
これまでの実施例において示してきたように、GNP−6、GNP−7、GNP−8、及びGNP−9のペプチドは、ナイシンとの混合物の状態で特有の相乗効果をグラム陰性病原体に対して示す。GNP−8ペプチドとGNP−9ペプチドの配列は非常に似ているが、GNP−8は有している正味の(正の)電荷がより少ないが、その電荷は体により好適に吸収され、且つ、利用されている可能性がある。この実施例では、D−アミノ酸からのみ構成されるGNP−6ペプチド、GNP−7ペプチド、及びGNP−8ペプチド(それぞれGNP−D6、GNP−D7、及びGNP−D8と呼ぶ)を評価した。
重要且つ広く使用されている内膜作用性糖ペプチドであるバンコマイシンを選択して、GNPとの相乗効果を検査した。ナイシンと同様に、バンコマイシンも細胞膜と接触し、細胞壁合成を阻害する。
表8は、5種類のグラム陰性病原体に対して個々の薬剤として使用された場合のバンコマイシン並びにGNP−D6、GNP−D7、及びGNP−D8のMICを示している。予想されたように、バンコマイシン単独ではグラム陰性細菌に対して有効ではない。グラム陰性病原体の防護的外膜が、バンコマイシンが内膜に到達することを妨げることが主な理由であり得る。驚くべきことに、これらのD体のGNPは、L体のGNPと比較するとグラム陰性病原体に対して上昇した活性を示すことがわかった。
実施例4:D体GNPとの混合物中のナイシンの相乗効果
本実施例は、ナイシンとD体GNPの混合物の抗微生物活性を示す。表9(表9−1〜表9−2)に示す通り、ナイシン+GNP−D8は5種類のグラム陰性病原体の全てに対して高い効率を示し、クレブシエラ・ニューモニエ、アシネトバクター・バウマンニイ及びエンテロバクター・アエロゲネスについてのFICI値は0.1よりも低い。大腸菌を指示株として使用した場合、GNP−6+ナイシン及びGNP−7+ナイシンの効果は相加的であることが示された。クレブシエラ・ニューモニエに対するGNP−D8及びナイシンのFICIは0.063又は0.073であり、GNP−8+ナイシンのFICIは0.047である。大腸菌及びエンテロバクター・アエロゲネスを指示株と使用した場合にも、このような高レベルの相乗効果が観察された。図2に、相乗効果のデータ分析を示す。
実施例5:バンコマイシンとGNP−8/GNP−D8又はGNP−6/GNP−D6の相乗効果
バンコマイシンとGNPの混合物を使用して抗微生物検査も実施した。これまでの実施例によれば、相乗性検査においてGNP−8及びGNP−D8が非常に良い成績を収めた。そこで、これらをバンコマイシンとの混合物の状態で、5種類のグラム陰性病原体に対して検査した。表10に示されるように、混合物は両方とも、5種類のグラム陰性病原体の全てに対して高い相乗効果を示した。化合物の濃度は両方とも、MIC単独の1/32〜1/8まで低下した。クレブシエラ・ニューモニエについてのFICIは0.094であり、これは両方の化合物のMICが同時に16倍又は32倍低下したことを意味する。相乗効果のデータ分析を図3に示す。表11は、GNP−6/GNP−D6とバンコマイシンについて観察された相乗効果を示している。
実施例6:GNP−8/GNP−9変異体とナイシン/バンコマイシンの相乗効果
本実施例では、GNP−8/GNP−9に基づく6種類ワンセットの変異体ペプチドを設計し、合成し、検査した。変異体GNP−8.1、GNP−8.2、GNP−8.3、GNP−8.4、GNP−8.5、及びGNP−8.6の配列を表12に示す。
変異体GNP8−1では、このペプチドの正味の電荷を減少させるために、GNP−8のC末端アルギニンが欠失された。N末端アルギニンは、変異体GNP8−2ではリシンで置換され、変異体GNP8−3ではアラニンで置換された。GNP8−4及びGNP8−5では、親水性及び正の電荷を増加させるために、バリン及びグルタミンがアルギニン及びリシンにより置換された。GNP8−4及びGNP8−5では、アルギニンとリシンの順序が逆転された。変異体GNP8−6では、C末端のロイシン残基を欠失することにより、同じ正味の電荷を有するが、正に帯電したC末端アミノ酸間の空間が狭くなったペプチドが得られた。
5種類のグラム陰性病原体に対するナイシン、バンコマイシン及びde GNP−8変異体の各々単独の活性が表13に記載されており、ナイシン又はバンコマイシンとのペプチド混合物の結果が表14(表14−1〜表14−3)及び表15(表15−1〜表15−3)に記載されている。バンコマイシン単独では、グラム陰性病原体に対して非常に控えめであり、5種類の選択されたグラム陰性病原体の増殖を抑えるためには少なくとも32μMのバンコマイシンが必要であった。さらに、クレブシエラ・ニューモニエ、緑膿菌、及びエンテロバクター・アエロゲネスに対するバンコマイシンのMICはそれぞれ128μM、128μM、及び192μMであった。特に、個々のGNP−8変異体のMICは、互いに非常に異なっていた。GNP−8と比較すると、GNP8−1、GNP8−2、及びGNP8−3はある特定の細菌に対して同等の活性を示す一方で、クレブシエラ・ニューモニエ、アシネトバクター・バウマンニイ、及びエンテロバクター・アエロゲネスに対するGNP8−4、GNP8−5、及びGNP8−6のMICは全て256μMより上であった。これらの結果は、ペプチドの抗微生物活性に対するコア配列IVQRIKKWLの重要性を強調している。
実施例8:多剤耐性病原体に対するバンコマイシン、GNP−D6、及びGNP−D8の活性
数種類の多剤耐性(MDR)グラム陰性病原体に対して、バンコマイシン、GNP−D6、及びGNP−D8を個々に検査した(表16)。MIC値を表17に示す。
実施例8:バンコマイシン及びGNP−D6/GNP−D8の細胞傷害性及び溶血活性
ヒトHEK293細胞を使用して、バンコマイシン、GNP−D6、及びGNP−D8の細胞傷害性を評価した。各ウェルに50μLのCellTiter−Glo試薬を添加し、5分間保温した後に、SpectraMax i3で発光を測定することによりATPレベルを測定した。様々な濃度の化合物が存在する状態で得られたシグナルを、これらの添加化合物が無い対照ウェルについて得られたシグナルと比較することにより、細胞生存度に対する効果を決定した。その後、それらの効果を算出し、IC50値として表し、表17に示した。
バンコマイシン及びGNP−D8は、検査した濃度ではATPレベルに影響しないことが示されている。GNP−D6のIC50が32.9μMであった一方で、グラム陰性病原体の増殖を抑えるための作用濃度は常に2μMである(表10)。
新鮮なヒト赤血球(HRBc)を溶血検査に使用した。様々な濃度の検査化合物と共に37℃で1時間保温した後に、上清の吸光度を測定した。HC50を表18に示した。それぞれ500μM及び300μMの濃度でも、バンコマイシン及びGNP−D8はHRBcに対して溶血を誘導しなかった。GNP−D6のHC50は168.9μMであり、後者はGNP−D6の作用濃度よりも80倍高かった。
結論として、バンコマイシン及びGNP−D8は、検査した濃度においてはヒト赤血球の溶解を引き起こすこともなければ、ヒト細胞株HEK−239に対して有意な傷害性を示すこともない。このことは、バンコマイシン、GNP−D6、及びGNP−D8の使用が安全であり、ヒト細胞に対して傷害性を引き起こさないことを示している。
実施例9:臨床的に意義あるグラム陰性病原体に対する抗微生物活性
本実施例では、確立された培地微小希釈法を用いて、12種類の異なる細菌株に対するペプチドGNP−D6(「D6−ペプチド」)及びGNP−D8(「D8−ペプチド」)の抗細菌活性を、単独及びバンコマイシンと組み合わせて検査する。CLSI(米国臨床検査標準協議会)ガイドラインに従って検査を実施した。本実験で得られた情報は、μg/mL単位で表される最小阻害濃度、すなわちMICの決定であった。並行して、細胞生存度に対する効果について個々のペプチド、バンコマイシン、及びそれらの組合せをHEK293細胞株において検査した。
バンコマイシン及びペプチドを単独で、128μg/mLから始まる複数の濃度において検査した。バンコマイシンとペプチドの3種類の異なる組合せ、すなわち、バンコマイシン+D6ペプチドを1/0.3、1/0.1、及び1/0.03の比率で、また、バンコマイシン及びD8ペプチドを1/1、1/0.3、及び1/0.1の比率で検査した。
検査した細菌株は、大腸菌、クレブシエラ・ニューモニエ、緑膿菌、及びアシネトバクター・バウマンニイの株であり、各種の細菌について1つはATCC品質管理株であり、1つはATCC耐性株であり、1つは臨床分離体であった。
材料及び方法
1.1.材料
1.1.1.検査化合物
・バンコマイシン塩酸塩:Sigma、V2002−250MG、ロット番号037M4008V
・D6ペプチド
・D8(D−KR)ペプチド
1.1.2.微生物株及び細胞
・大腸菌ATCC25922株
・大腸菌ATCC BAA−2452株
・大腸菌B1927株、臨床分離体
・クレブシエラ・ニューモニエATCC700603株
・クレブシエラ・ニューモニエATCC BAA−2524株
・クレブシエラ・ニューモニエB1945株、臨床分離体
・緑膿菌ATCC27853株
・緑膿菌ATCC BAA−2108株
・緑膿菌B1954株、臨床分離体
・アシネトバクター・バウマンニイATCC17978株
・アシネトバクター・バウマンニイATCC BAA−1605株
・アシネトバクター・バウマンニイB2026株、臨床分離体
・HEK293、ECACC、カタログ番号85120602)
1.1.3.培地及び装置
・BBL(商標)ミュラー・ヒントン培地:REF275730、ロット番号7009699、Becton Dickinson
・ミュラー・ヒントン寒天培地2:参照番号97580−500G−F、ロット番号BCBV4646、Sigma
・ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM):カタログ番号41966−029、Gibco
・ウシ胎児血清(FBS):カタログ番号F7524、Sigma
・非必須アミノ酸(NEAA)100×:カタログ番号11140−035、Gibco
・リン酸緩衝生理食塩水(PBS):pH7.4(10x)、Gibco、カタログ番号70011−036、ロット番号1972020
・BioPhotometer、Eppendorf
・SpectraMax i3マイクロプレートリーダー、Molecular Devices
1.2.方法
1.2.1.ペプチドの調製
検査のために、ペプチド(固形物)をPBS中に溶解して5mg/mLの溶液を調製した。バンコマイシンを5mg、1mLの滅菌水にを溶解して調製した。
化合物単独の検査のために、これらのPBS溶液のうち、76.8μLをディープウェル中の1423.2μLのMH培地中に移した。組合せの検査のために、バンコマイシンとD6ペプチドを1:0.3、1:0.1、及び1:0.03の比率で混合し(76.8μLのバンコマイシン+23.1μLのD6+1400.1μLのMH培地;76.8μLのバンコマイシン+7.7μLのD6+1415.5μLのMH培地;76.8μLのバンコマイシン+2.6μLのD6+1420.6μLのMH培地)、バンコマイシンとD8ペプチドを1:1、1:0.3、及び1:0.1の比率で混合した(76.8μLのバンコマイシン+76.8μLのD8+1346.4μLのMH培地;76.8μLのバンコマイシン+23.1μLのD8+1400.1μLのMH培地;76.8μLのバンコマイシン+7.7μLのD8+1415.5μLのMH培地)。これらの作用溶液のうち、100μLを96ウェルアッセイプレートの第3列に移した。アッセイプレートには、第3列のウェルを除く全てのウェルに50μLのMH培地を予め満たした。ペプチド及びバンコマイシンの添加の際には、50μLを第3列から第4列に移した後で、第4列から第5列に移し、それを繰り返した。このようにして、ペプチド及びバンコマイシンを2倍段階希釈して96ウェルアッセイプレートに蒔いて、128〜0.25μg/mLの終濃度範囲にした。
1.2.2.接種材料の調製
使用した微生物は全て、MH寒天プレート上に播種されることにより、−70℃で保存されたスキムミルクから再生された。翌日に、各微生物の単一コロニーを再び新しい寒天プレート上に画線した。翌日、直接コロニー懸濁法を用いて、各微生物について0.5マクファーランド標準に等価の濁度を達成している培地溶液を調製した。これにより、1〜2×10CFU/mLを含む懸濁液が得られた。これらの懸濁液をMH培地で100×に希釈して、2〜8×10CFU/mLの最終部生物数にすることにより、実際の接種材料を調製した。各株の微生物について、20mLのこれらの接種材料溶液を調製した。96ウェルプレートの第2列から第12列まで、50μLのこれらの溶液を各ウェルに移した。第1列には、ウェル当たり50μLの純粋な培地を添加した。このように、第1列を、使用した培地の無菌対照として使用し、第2列を、微生物増殖の対照として使用し、プレートの残りを、MIC決定のために使用した。全てのプレートを37℃で16〜24時間にわたって保温した。
1.2.3.MICの決定
96ウェルプレート内での細菌増殖の目視検査によりMICを決定した。細菌の可視可能な増殖が無い第1列を、その特定の行について検査されたペプチド又は混合物のMIC値として決定した。
1.2.4.細胞生存度の評価
1%NEAA及び10%FBSを添加した100μLのDMEM培地中に、ウェル当たり30,000細胞の濃度でHEK293細胞を96ウェルプレートに播種した。100μLの滅菌PBSを境界セルに満たした。翌日、細胞に化合物を添加した。まず、96ウェルV底プレートにおいて、PBS中に化合物を2倍に希釈した。その後、96ディープウェルプレートにおいて、終濃度まで化合物を培地と混合した。3枚のプレートから増殖培地を吸引除去し、100μLの調製済み化合物と置き換えた。化合物の検査は二組の複製実験で行った。各ウェルに50μLのCellTiter−Glo試薬を添加し、5分間保温した後に、SpectraMax i3で発光を測定することにより、ATPレベルを測定した。様々な濃度の化合物が存在する状態で得られたシグナルを、対照ウェルについて得られたシグナルと比較することにより、細胞生存度に対する検査化合物の潜在的な効果を決定した。その後、それらの潜在的効果を算出し、IC50値(μg/mL)として表した。
結果
検査したペプチド及び組合せのMICを表19及び表20に示す。
表21は、HEK293細胞における検査化合物のIC50値(μg/mL)として提示される、細胞生存度に対するペプチド及びバンコマイシンとペプチドの組合せの効果を示している。
これらのデータは、細胞傷害性がD6については低く、D8については非常に低いことを示している。
表2及び表3の参照文献
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Claims (17)

  1. (i)膜透過活性及び/又はLipid II結合活性を有する内膜作用性化合物と、
    (ii)RRLFRRILRWL−NH(GNP−6)、
    GNNRPVYIPQPRPPHPRL(GNP−1)、
    RIWVIWRR−NH(GNP−5)、
    GIGKHVGKALKGLKGLLKGLGEC(GNP−7)、及び
    IVQRIKKWLX−NH
    (ここで、Xは存在しないか、又はKであり、XはR、K、又はAであり、Xは存在しないか、又はRである)
    からなる群より選択される1又は複数の抗微生物ペプチドと、
    の混合物であって、
    前記1又は複数の抗微生物ペプチドは、D−アミノ酸若しくはL−アミノ酸を含んでいてもよいか、又はD−アミノ酸若しくはL−アミノ酸から構成されていてもよい、前記混合物。
  2. 前記抗微生物ペプチドが、
    RRLFRRILRWL−NH(GNP−6)、
    GIGKHVGKALKGLKGLLKGLGEC(GNP−7)、
    RIVQRIKKWLR−NH(GNP−8)、
    RIVQRIKKWL−NH(GNP−8.1)、
    KIVQRIKKWLR−NH(GNP−8.2)、
    AIVQRIKKWLR−NH(GNP−8.3)、及び
    KRIVQRIKKWLR−NH(GNP−9)
    からなる群より選択される、請求項1に記載の混合物。
  3. 前記1又は複数の抗微生物ペプチドがL−アミノ酸から構成される、請求項1又は請求項2に記載の混合物。
  4. 前記1又は複数の抗微生物ペプチドがD−アミノ酸から構成される、請求項1又は請求項2に記載の混合物。
  5. 前記抗微生物ペプチドが、
    RRLFRRILRWL−NH(GNP−6)、
    RIVQRIKKWLR−NH(GNP−8)、
    RIVQRIKKWL−NH(GNP−8.1)、
    KIVQRIKKWLR−NH(GNP−8.2)、
    AIVQRIKKWLR−NH(GNP−8.3)、及び
    KRIVQRIKKWLR−NH(GNP−9)
    からなる群より選択され、
    好ましくは前記抗微生物ペプチドはD−アミノ酸から構成される、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の混合物。
  6. 前記抗微生物ペプチドが、D−アミノ酸若しくはL−アミノ酸を含むか、又はD−アミノ酸若しくはL−アミノ酸から構成されるRRLFRRILRWL−NH(GNP−6)又はRIVQRIKKWLR−NH(GNP−8)であり、
    好ましくは前記抗微生物ペプチドはD−アミノ酸から構成される、請求項5に記載の混合物。
  7. 前記内膜作用性化合物が、内膜作用性ポリペプチドであり、好ましくはナイシン、バンコマイシン、並びに表2又は表3に記載されるそれらの物質の活性型変異体及び活性型誘導体からなる群より選択される内膜作用性ポリペプチドである、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の混合物。
  8. 前記内膜作用性ポリペプチドがナイシン又はバンコマイシンである、請求項7に記載の混合物。
  9. 前記内膜作用性化合物がマクロライドグループに属する、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の混合物。
  10. IVQRIKKWLX−NHという配列の抗微生物ペプチドであって、
    ここで、XはR、K、又はAであり、Xは存在しないか、又はRであり、
    前記抗微生物ペプチドは、D−アミノ酸若しくはL−アミノ酸を含むか、又はD−アミノ酸若しくはL−アミノ酸から構成され、好ましくはD−アミノ酸から構成される、前記抗微生物ペプチド。
  11. RIVQRIKKWLR−NH(GNP−8)、RIVQRIKKWL−NH(GNP−8.1)、KIVQRIKKWLR−NH(GNP−8.2)、又はAIVQRIKKWLR−NH(GNP−8.3)、好ましくはRIVQRIKKWLR−NH(GNP−8)という配列の抗微生物ペプチドであって、
    D−アミノ酸若しくはL−アミノ酸を含むか、又はD−アミノ酸若しくはL−アミノ酸から構成され、好ましくはD−アミノ酸から構成される、請求項10に記載の抗微生物ペプチド。
  12. 請求項10又は請求項11に記載のペプチドを含み、
    任意に1又は複数の更なる抗微生物剤、及び賦形剤を含む殺菌性組成物。
  13. 請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の混合物又は請求項10若しくは請求項11に記載の抗微生物ペプチドと、
    薬学的に許容可能なベヒクル、キャリア、又は希釈剤と、
    を含む医薬組成物。
  14. 対象におけるグラム陰性病原体が原因の病原体感染症を予防又は治療する方法に使用される、請求項13に記載の組成物。
  15. 前記感染症が、大腸菌、クレブシエラ・ニューモニエ、緑膿菌、アシネトバクター・バウマンニイ、エンテロバクター・クロアカ、及びサルモネラ・エンテリカからなる群より選択される細菌によって引き起こされ、好ましくは前記細菌が多剤耐性(MDR)細菌である、請求項14に記載の使用のための組成物。
  16. グラム陰性病原体に対する内膜作用性化合物の治療有効性及び治療効力を増強するための方法であって、
    RRLFRRILRWL−NH(GNP−6)、
    GNNRPVYIPQPRPPHPRL(GNP−1)、
    RIWVIWRR−NH(GNP−5)、
    GIGKHVGKALKGLKGLLKGLGEC(GNP−7)、
    RIVQRIKKWLR−NH(GNP−8)、
    RIVQRIKKWL−NH(GNP−8.1)、
    KIVQRIKKWLR−NH(GNP−8.2)、
    AIVQRIKKWLR−NH(GNP−8.3)、及び
    KRIVQRIKKWLR−NH(GNP−9)
    からなる群より選択され、D−アミノ酸若しくはL−アミノ酸を含むか、又はD−アミノ酸若しくはL−アミノ酸から構成される抗微生物ペプチドの存在下で、前記内膜作用性化合物を前記グラム陰性病原体と接触させることを含む、前記方法。
  17. 前記内膜化合物が、ナイシン若しくはバンコマイシン、又は表2若しくは表3に記載されるそれらの物質の活性型変異体若しくは活性型誘導体である、請求項16に記載の方法。
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