JP2020524515A - 軟骨細胞を産生するための細胞リプログラミング法 - Google Patents

軟骨細胞を産生するための細胞リプログラミング法 Download PDF

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Abstract

本発明は、供給源細胞をリプログラミングして、軟骨細胞を産生するための方法および組成物であって、供給源細胞において、1つまたはそれより多い転写因子またはその変異体のタンパク質発現を活性化するかまたは増加させる工程を含む、前記方法および組成物に関する。

Description

関連出願
本出願は、その全内容が本明細書に援用される、オーストラリア仮出願AU2017902385に優先権を主張する。
発明の分野
本発明は、ある細胞タイプを別の細胞タイプに転換するための方法および組成物に関する。特に、本発明は、細胞の軟骨細胞への分化転換またはリプログラミングに関する。
変性疾患によって引き起こされる関節軟骨病変および進行性軟骨喪失は、先進国における身体障害への主要な寄与要因である。変形性関節症(OA)は、滑膜関節に対するすべての主要な外傷的傷害の最終的なそして一般的な経路に相当する。OAは、変性性関節疾患の最も一般的な型であり、そして身体疼痛および身体障害の主因である。先進社会における軟骨に関連する問題は、高齢集団および肥満発生率の増加により、将来的に劇的に増加すると予測される。
軟骨は、無血管組織であり、代謝活性および細胞密度は低く、主に、コラーゲンおよびプロテオグリカンが豊富な細胞外マトリックスからなる。修復細胞供給源へのアクセスが生得的に劣っている結果として、損傷を受けた軟骨の再生能は低い。
現在、損傷を受けた関節軟骨の元来の構造および機能を回復することが可能な、有効な薬物療法はない。このため、OAおよび関連する整形外科障害を治療するための、細胞に基づく療法および生物学的な療法の発展が生じてきた。現在の臨床療法は、分節する関節の天然硝子質軟骨構造を再生するには不適切であり、その代わり、機械的に劣った線維軟骨を生じ、長期には治療の失敗のリスクが非常に増加する。さらに、細胞に基づく療法が完全な能力に達しうるには、新規細胞供給源および培養法が必要である。
細胞に基づく再生療法は、傷害、疾患または年齢によって損傷を受けた組織を置換するための特定の細胞タイプの生成を必要とする。細胞置換療法は、自身の容易にアクセス可能な組織、例えば皮膚または血液から直接、多様な療法的に重要な細胞タイプを迅速に生成する潜在能力を有する。こうした免疫学的にマッチした細胞はまた、移植後の拒絶に関してより少ないリスクを課すであろう。さらに、これらの細胞は、最終分化しているため、より少ない腫瘍原性を表すであろう。OAの背景において、自己軟骨細胞および自己軟骨形成成体幹細胞を用いた、いくつかの臨床試験がある。これらの治療は、患者間可変性、クローン多様性、一貫しない能力、限定されたドナー組織およびGMP実験室における高価な増殖によって特徴づけられる。今日まで、構造、内容物、または組織化に関して、その天然の正常な型に軟骨を再生可能である細胞供給源はない。
分化転換は、多能性状態を経ずに、1つの細胞タイプを別のものに転換するプロセスであり、再生医薬に非常に有望でありうるが、いまだに信頼可能に適用されていない。1つの体細胞タイプの表現型を別のものにスイッチすることは可能でありうるが、転換に必要な要素を同定することは困難であり、そして大部分の場合、これらは未知である。細胞タイプの同一性を直接リプログラミングする要因の同定は、現在、とりわけ、ありうる要因のセットを徹底的に実験で試験する費用によって制限されており、これは非効率的で拡張不能なアプローチである。
1つの細胞タイプを別のものに転換するために必要な要因を同定するために、そして特に、状態を治療する際に有用性を有しうる、例えば軟骨細胞移植が必要な場合の、軟骨細胞への細胞タイプの転換のために、新規で、そして/または改善された方法に関する必要性がある。
本明細書における、いかなる先行技術への言及も、この先行技術がいかなる権威においても共通の一般的な知識の一部を形成することの承認または示唆ではなく、あるいはこの先行技術が、当業者によって、関連すると理解されるか、見なされるか、そして/または先行技術の他の部分と組み合わされると合理的に予期されうることの承認または示唆ではない。
本発明は、供給源細胞をリプログラミングするための方法であって、供給源細胞において、1つまたはそれより多い転写因子またはその変異体のタンパク質発現を増加させる工程を含む、ここで、該供給源細胞がリプログラミングされて、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す、ここで:
−供給源細胞が、皮膚線維芽細胞、胚性幹細胞、または脱分化した軟骨細胞からなる群より選択され、そして
−転写因子が、表1〜4に列挙するものの1つまたはそれより多くである
前記方法を提供する。
本発明は、供給源細胞から、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す細胞を生成する方法であって:
−供給源細胞において、1つまたはそれより多い転写因子またはその変異体の量を増加させ;そして
−軟骨細胞への分化を可能にするために十分な時間および条件下で、供給源細胞を培養し;それによって、供給源細胞から、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す細胞を生成する工程を含む、ここで:
−供給源細胞が、皮膚線維芽細胞、胚性幹細胞、および脱分化した軟骨細胞からなる群より選択され;そして
−転写因子が、表1〜4に列挙するものの1つまたはそれより多くである
前記方法を提供する。
本発明はまた、皮膚線維芽細胞、胚性幹細胞、または脱分化した軟骨細胞をリプログラミングするための方法であって、供給源細胞において、表1〜4中の転写因子またはその変異体の1つまたはそれより多くのタンパク質発現を増加させる工程を含む、ここで、供給源がリプログラミングされて、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す、前記方法も提供する。
本発明は、供給源細胞を、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す細胞にリプログラミングするための方法であって:i)供給源細胞または供給源細胞を含む細胞集団を提供し;ii)前記供給源細胞を、1つまたはそれより多い転写因子の発現を活性化するかまたは増加させる1つまたはそれより多い剤と接触させ;そしてiii)前記細胞または細胞集団を培養し、そして任意に、軟骨細胞の少なくとも1つの特性に関して、細胞または細胞集団を監視する工程を含む、ここで:
−供給源細胞が、皮膚線維芽細胞、胚性幹細胞、および脱分化した軟骨細胞からなる群より選択され;
−転写因子が、表1〜4に列挙するものの1つまたはそれより多くである
前記方法を提供する。
本発明は、供給源細胞を、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す細胞にリプログラミングするための方法であって:i)供給源細胞または供給源細胞を含む細胞集団を提供し;ii)前記供給源細胞を、1つまたはそれより多い転写因子の発現を活性化するかまたは増加させる1つまたはそれより多い小分子と接触させ;そしてiii)前記細胞または細胞集団を培養し、そして任意に、軟骨細胞の少なくとも1つの特性に関して、細胞または細胞集団を監視する工程を含む、ここで:
−供給源細胞が、皮膚線維芽細胞、胚性幹細胞、および脱分化した軟骨細胞からなる群より選択され;
−転写因子が、表1〜4に列挙するものの1つまたはそれより多くである
前記方法を提供する。
好ましくは、転写因子は、SOX9、PPAR γ、BMP−2、PITX1、TGFβ3、VDRおよびRUNX1の1つまたはそれより多くである。より好ましくは、SOX9、PPAR γ、BMP−2、PITX1、TGFβ3、VDRおよびRUNX1の群におけるすべての転写因子が、供給源細胞と1つまたはそれより多い小分子の接触の結果、活性化されるかまたは増加した発現を有する。
好ましくは、転写因子の転写を活性化するかまたは増加させるための小分子は、[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、ベータ−エストラジオール、カルシトリオール、シグリタゾン、カルトゲニン、塩化リチウム、メラトニン、およびロージン(rhosin)塩酸塩の1つまたはそれより多くである。より好ましくは、8つすべての小分子を用いる。
本発明は、供給源細胞を、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す細胞にリプログラミングするための方法であって:i)供給源細胞または供給源細胞を含む細胞集団を提供し;ii)前記供給源細胞を、1つまたはそれより多い転写因子をコードするヌクレオチド配列を含む1つまたはそれより多い核酸でトランスフェクションし;そしてiii)前記細胞または細胞集団を培養し、そして任意に、軟骨細胞の少なくとも1つの特性に関して、細胞または細胞集団を監視する工程を含む、ここで:
−供給源細胞が、皮膚線維芽細胞、胚性幹細胞、および脱分化した軟骨細胞からなる群より選択され;
−転写因子が、表1〜4に列挙するものの1つまたはそれより多くである
前記方法を提供する。
本明細書記載の本発明のいずれかの方法において、供給源細胞は線維芽細胞であり、そしてターゲット細胞は軟骨細胞であり、そして転写因子は、表1または4に列挙する転写因子のいずれかの1つまたはそれより多くである。
好ましい態様において、表1の単一の行に列挙する転写因子のすべてを用いてもよい。あるいは、因子は、以下に列挙する転写因子およびタンパク質の組み合わせであってもよい:
a)PPRX2、PITX1、SMAD6、FOXC1、SIX2、AHR、FOSBおよびJUNB;
b)BARX1、PPRX2、SMAD6、FOXC1、SIX2、AHR、FOSBおよびJUNB;
c)BARX1、PITX1、PPRX2、FOXC1、SIX2、AHR、FOSBおよびJUNB;
d)BARX1、PITX1、SMAD6、PPRX2、SIX2、AHR、FOSBおよびJUNB;
e)BARX1、PITX1、SMAD6、FOXC1、PPRX2、AHR、FOSBおよびJUNB;
f)BARX1、PITX1、SMAD6、FOXC1、SIX2、PPRX2、FOSBおよびJUNB;
g)BARX1、PITX1、SMAD6、FOXC1、SIX2、AHR、PPRX2およびJUNB;または
h)BARX1、PITX1、SMAD6、FOXC1、SIX2、AHR、FOSBおよびPPRX2。
好ましくは、線維芽細胞は皮膚線維芽細胞である。
本明細書に記載する本発明のいずれかの方法において、供給源細胞は胚性幹細胞であり、そしてターゲット細胞は軟骨細胞であり、そして転写因子は、表2に列挙する転写因子のいずれかの1つまたはそれより多くである。
好ましい態様において、表2の単一の行に列挙する転写因子のすべてを用いてもよい。あるいは、因子は、以下に列挙する転写因子およびタンパク質の組み合わせであってもよい:
a)HOXA11、PITX1、SMAD6、NFKB1、FOXC1、AHR、SIX2およびJUNB;
b)BARX1、PRRX2、SMAD6、NFKB1、FOXC1、AHR、SIX2およびJUNB;
c)BARX1、PITX1、TGFB3、NFKB1、FOXC1、AHR、SIX2およびJUNB;
d)BARX1、PITX1、SMAD6、IRF1、FOXC1、AHR、SIX2およびJUNB;
e)BARX1、PITX1、SMAD6、NFKB1、PRRX2、AHR、SIX2およびJUNB;
f)BARX1、PITX1、SMAD6、NFKB1、FOXC1、PRRX2、SIX2およびJUNB;
g)BARX1、PITX1、SMAD6、NFKB1、FOXC1、AHR、PRRX2およびJUNB;または
h)BARX1、PITX1、SMAD6、NFKB1、FOXC1、AHR、SIX2およびFOSB。
好ましくは、胚性幹細胞は、ヒト胚性幹細胞である。
本明細書記載の本発明のいずれかの方法において、供給源細胞は脱分化した軟骨細胞であり、そしてターゲット細胞は軟骨細胞であり、そして転写因子は、表3に列挙する転写因子のいずれかの1つまたはそれより多くである。
好ましい態様において、表3の単一の行に列挙する転写因子のすべてを用いてもよい。あるいは、因子は、以下に列挙する転写因子およびタンパク質の組み合わせであってもよい:
a)IL11、SOX5、VEGFA、RUNX1、VDR、NR2F1、FOSBおよびPRRX1;
b)SOX9、TCF4、VEGFA、RUNX1、VDR、NR2F1、FOSBおよびPRRX1;
c)SOX9、SOX5、HOXA7、RUNX1、VDR、NR2F1、FOSBおよびPRRX1;
d)SOX9、SOX5、VEGFA、TCF4、VDR、NR2F1; FOSBおよびPRRX1;
e)SOX9、SOX5、VEGFA、RUNX1、TCF4、NR2F1、FOSBおよびPRRX1;
f)SOX9、SOX5、VEGFA、RUNX1、VDR、HOXA7、FOSBおよびPRRX1;
g)SOX9、SOX5、VEGFA、RUNX1、VDR、NR2F2、FOSBおよびPRRX1;
h)SOX9、SOX5、VEGFA、RUNX1、VDR、NR2F1、HOXA7およびPRRX1;または
i)SOX9、SOX5、VEGFA、RUNX1、VDR、NR2F1、FOSBおよびHOXA7。
好ましくは、軟骨細胞の少なくとも1つの特性は、いずれかの1つまたはそれより多いターゲット細胞マーカーの上方制御、および/または細胞形態における変化である。関連するマーカーは、本明細書に記載され、そして当業者に知られる。軟骨細胞に関する例示的なマーカーには:CD44、CD49、CD10、CD9、CD95、インテグリンα10β1、CD105、SOX9、SMAD3、SOX5、SOX6、SMAD 5/6、硫酸化グリコサミノグリカン(GAG)の産生、アグリカン、II型コラーゲン(COL2A1の発現)が含まれる。
典型的には、軟骨細胞分化に適した条件には、十分な時間、および適切な培地中で、細胞を培養する工程が含まれる。培養の十分な時間は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13,14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30日間であってもよい。適切な培地は、表6に示すものであってもよい。
本明細書に記載するいずれかの方法において、方法には、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す細胞を増殖させ、集団において、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す細胞の比率を増加させる工程をさらに含んでもよい。細胞を増殖させる工程は、以下に記載するように、細胞集団を生成するために十分な時間および条件下で、培養中にあってもよい。
本明細書に記載するいずれかの方法において、方法には、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す細胞または細胞を含む細胞集団を、個体に投与する工程がさらに含まれてもよい。
本発明はまた、初代軟骨細胞の脱分化を防止するための方法も提供する。脱分化を防止するためのアプローチは、脱分化した細胞を再分化した軟骨細胞にリプログラミングするためのアプローチを反映することが理解されるであろう。こうしたものとして、脱分化した軟骨細胞を再分化した軟骨細胞にリプログラミングするための、本明細書に記載するいずれかの他の方法はまた、初代軟骨細胞の脱分化を防止するためにも使用可能である。
本発明はまた、本明細書に記載するような方法によって産生された、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す細胞も提供する。細胞は単離された細胞であってもよい。
本発明はまた、細胞の少なくとも5%が、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示し、そして本明細書に記載するような方法によって産生される細胞集団も提供する。好ましくは、集団中の細胞の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%が、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す。細胞集団は、単離された集団、または実質的に純粋な細胞集団であってもよい。
本発明はまた、本明細書に開示するような軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す細胞を産生するためのキットにも関する。いくつかの態様において、キットは、本明細書に記載する転写因子またはその変異体をコードする1つまたはそれより多い核酸配列を有する1つまたはそれより多い核酸を含む。
代替態様において、キットは、本明細書に記載する1つまたはそれより多い転写因子またはその変異体の発現を活性化するかまたは増加させるための1つまたはそれより多い小分子を含む。より好ましくは、キットは、以下の小分子:[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、ベータ−エストラジオール、カルシトリオール、シグリタゾン、カルトゲニン、塩化リチウム、メラトニン、およびロージン(rhosin)塩酸塩の1つまたはそれより多くを含む。
好ましくは、キットを用いて、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す細胞を産生してもよい。好ましくは、キットを、皮膚線維芽細胞、胚性幹細胞または脱分化した軟骨細胞である供給源細胞とともに用いてもよい。いくつかの態様において、キットは、本明細書に開示するような方法にしたがって、供給源細胞を、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す細胞にリプログラミングするための使用説明書をさらに含む。好ましくは、本発明は、本明細書記載の本発明の方法で用いた際のキットを提供する。
本発明は、少なくとも1つの軟骨細胞、および軟骨細胞において1つまたはそれより多い転写因子の活性またはタンパク質発現を増加させる少なくとも1つの剤を含む、組成物に関する。さらに、転写因子は、本明細書記載の転写因子のいずれであってもよい。好ましくは、転写因子は、表1〜4に記載されるようなものである。
本発明のいずれかの態様において、剤は、[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、オールトランスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸、ベータ−エストラジオール、カルシトリオール、シグリタゾン、カルトゲニン、塩化リチウム、メラトニン、ロージン塩酸塩、ロイコボリンおよびフォルスコリンの1つまたはそれより多くであってもよい。
いずれかの態様において、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDAC阻害剤)、または供給源細胞においてクロマチンを開放するためのいずれかの他の分子を用いて、小分子剤の有効性を増加させてもよい。1つの例において、分子はHDAC阻害剤、ボリノスタットである。
典型的には、本明細書に記載するような転写因子のタンパク質発現または量は、細胞と、転写因子の発現を活性化するかまたは増加させる剤を接触させることによって増加する。いずれかの態様において、剤は:ヌクレオチド配列、タンパク質、アプタマーおよび小分子、リボソーム、RNAi剤およびペプチド核酸(PNA)ならびにその類似体または変異体からなる群より選択される。特定の態様において、剤は外因性である。好ましい態様において、剤は小分子である。特定の態様において、ヌクレオチド配列は、1つまたはそれより多い転写因子の発現を増加させるための、転写活性化系の一部(例えばCRISPR/Cas9系またはTALENで使用するためのgRNA)として含まれる。
いくつかの態様において、小分子は:[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、オールトランスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸、ベータ−エストラジオール、カルシトリオール、シグリタゾン、カルトゲニン、塩化リチウム、メラトニン、ロージン塩酸塩、ロイコボリンおよびフォルスコリンより選択される。
好ましくは、小分子剤には、レチノイン酸、あるいはその類似体または誘導体が含まれ:[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、オールトランスレチノイン酸および9−シスレチノイン酸のいずれかの1つまたはそれより多くが含まれる。
いくつかの態様において、本明細書に記載するような1つまたはそれより多い転写因子のタンパク質発現または量を増加させるために、小分子の組み合わせを用いる。例えば、特定の態様において、小分子の組み合わせには、少なくともレチノイン酸あるいはその類似体または誘導体およびカルシトリオールが含まれる。あるいは、小分子の組み合わせには、少なくとも[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、カルシトリオール、ロイコボリン、ボリノスタットおよびフォルスコリンが含まれる。あるいは、小分子の組み合わせには、少なくとも(オールトランス)レチノイン酸、9−シスレチノイン酸、カルシトリオール、ロイコボリンが含まれてもよい。
特定の好ましい態様において、小分子の組み合わせは:[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、ベータ−エストラジオール、カルシトリオール、シグリタゾン、カルトゲニン、塩化リチウム、メラトニン、およびロージン塩酸塩である。あるいは、小分子の組み合わせは:[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、カルシトリオール、ロイコボリン、フォルスコリンおよびボリノスタットである。あるいは、小分子の組み合わせは:オールトランスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸、カルシトリオール、ロイコボリンおよびボリノスタットである。
いくつかの態様において、本明細書に記載するような転写因子のタンパク質発現または量は、細胞において、転写因子をコードするか、またはその機能的断片をコードするヌクレオチド配列を含む少なくとも1つの核酸を導入することによって増加する。好ましくは、転写因子をコードするヌクレオチド配列は、表3に列挙する寄託番号を持つ配列に対して、少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である。
好ましくは、核酸にはさらに、異種プロモーターが含まれる。好ましくは、核酸はベクター、例えばウイルスベクターまたは非ウイルスベクター中にある。好ましくは、ベクターは、宿主細胞ゲノム内に組み込まれないゲノムを含むウイルスベクターである。ウイルスベクターは、レトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターであってもよい。
本明細書に記載するようないずれかの方法は、in vitro、ex vivoまたはin vivoで実行される1つまたはそれより多い、あるいはすべての工程を有してもよい。
さらなる態様において、本発明は、変形性関節症または軟骨組織の変性によって特徴づけられる他の状態を治療する方法における使用のための、[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、オールトランスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸、ベータ−エストラジオール、カルシトリオール、シグリタゾン、カルトゲニン、塩化リチウム、メラトニン、ロージン塩酸塩、ロイコボリン、ボリノスタットおよびフォルスコリンの1つまたはそれより多くを提供する。好ましくは、本発明は、変形性関節症または軟骨組織の変性によって特徴づけられる他の状態を治療する方法における使用のため、少なくともレチノイン酸またはその誘導体(例えば[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、オールトランスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸)を含む。あるいは、本発明は、変形性関節症または軟骨組織の変性によって特徴づけられる他の状態を治療する方法における使用のため、少なくともカルシトリオールを含む。より好ましくは、本発明は、変形性関節症または軟骨組織の変性によって特徴づけられる他の状態を治療する方法における使用のため、少なくともレチノイン酸またはその誘導体およびカルシトリオールを含む。
さらに好ましい態様において、本発明は、変形性関節症または軟骨組織の変性によって特徴づけられる他の状態を治療する方法における使用のための[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、ベータ−エストラジオール、カルシトリオール、シグリタゾン、カルトゲニン、塩化リチウム、メラトニン、およびロージン塩酸塩を提供する。さらに、本発明は、変形性関節症または軟骨組織の変性によって特徴づけられる他の状態を治療する方法における使用のための[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、カルシトリオール、ロイコボリン、フォルスコリンおよびボリノスタットを提供する。さらになお、本発明は、変形性関節症または軟骨組織の変性によって特徴づけられる他の状態を治療する方法における使用のためのオールトランスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸、カルシトリオール、ロイコボリンおよびボリノスタットを提供する。
本発明はまた、変形性関節症または軟骨組織の変性によって特徴づけられる他の状態を治療する方法であって、こうした治療を必要とする個体に、[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、オールトランスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸、ベータ−エストラジオール、カルシトリオール、シグリタゾン、カルトゲニン、塩化リチウム、メラトニン、ロージン塩酸塩、ロイコボリン、ボリノスタットおよびフォルスコリンの1つまたはそれより多くを含む組成物を投与し、それによって、個体において、変形性関節症または他の状態を治療する工程を含む、前記方法も提供する。好ましくは、組成物は、少なくともレチノイン酸またはその誘導体(例えば[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、オールトランスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸)を含む。あるいは、組成物は少なくともカルシトリオールを含む。より好ましくは、組成物は少なくともレチノイン酸またはその誘導体およびカルシトリオールを含む。
さらに、本発明は、変形性関節症または軟骨組織の変性によって特徴づけられる他の状態の治療のための医薬品の製造における、[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、オールトランスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸、ベータ−エストラジオール、カルシトリオール、シグリタゾン、カルトゲニン、塩化リチウム、メラトニン、ロージン塩酸塩、ロイコボリン、ボリノスタットおよびフォルスコリンの1つまたはそれより多くの使用を含む。好ましくは、本発明は、変形性関節症または軟骨組織の変性によって特徴づけられる他の状態の治療のための医薬品の製造における、少なくともレチノイン酸またはその誘導体(例えば[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、オールトランスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸)の使用を含む。あるいは、本発明は、変形性関節症または軟骨組織の変性によって特徴づけられる他の状態の治療のための医薬品の製造における、少なくともカルシトリオールの使用を含む。より好ましくは、本発明は、少なくともレチノイン酸またはその誘導体およびカルシトリオールの使用を含む。
さらに好ましい態様において、本発明は、変形性関節症または軟骨組織の変性によって特徴づけられる他の状態の治療のための医薬品の製造における[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、ベータ−エストラジオール、カルシトリオール、シグリタゾン、カルトゲニン、塩化リチウム、メラトニン、およびロージン塩酸塩の使用を提供する。さらに、本発明は、変形性関節症または軟骨組織の変性によって特徴づけられる他の状態の治療のための医薬品の製造における[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、カルシトリオール、ロイコボリン、フォルスコリンおよびボリノスタットの使用を提供する。さらになお、本発明は、変形性関節症または軟骨組織の変性によって特徴づけられる他の状態の治療のための医薬品の製造におけるオールトランスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸、カルシトリオール、ロイコボリンおよびボリノスタットの使用を提供する。
なお、さらに、本発明は、変形性関節症または軟骨組織の変性によって特徴づけられる他の状態を治療する方法における使用のための、[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、オールトランスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸、ベータ−エストラジオール、カルシトリオール、シグリタゾン、カルトゲニン、塩化リチウム、メラトニン、ロージン塩酸塩、ロイコボリン、ボリノスタットおよびフォルスコリンの1つまたはそれより多くを含む、薬学的組成物を提供する。好ましくは、薬学的組成物は、少なくともレチノイン酸またはその誘導体(例えば[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、オールトランスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸)を含む。あるいは、薬学的組成物は、少なくともカルシトリオールを含む。より好ましくは、薬学的組成物は、少なくともレチノイン酸またはその誘導体およびカルシトリオールを含む。
本発明は、変形性関節症または軟骨組織の変性によって特徴づけられる他の状態を治療する方法における使用のための、[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、ベータ−エストラジオール、カルシトリオール、シグリタゾン、カルトゲニン、塩化リチウム、メラトニン、およびロージン塩酸塩を含む薬学的組成物を提供する。さらに、本発明は、変形性関節症または軟骨組織の変性によって特徴づけられる他の状態を治療する方法における使用のための、[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、カルシトリオール、ロイコボリン、フォルスコリンおよびボリノスタットを含む薬学的組成物を提供する。さらになお、本発明は、変形性関節症または軟骨組織の変性によって特徴づけられる他の状態を治療する方法における使用のためのオールトランスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸、カルシトリオール、ロイコボリンおよびボリノスタットを含む薬学的組成物を提供する。
本発明のさらなる側面および先行する段落に記載する側面のさらなる態様は、例として、そして付随する図に言及しながら提供する、以下の説明から明らかになるであろう。
本明細書で開示し、そして定義する本発明は、言及する、あるいは本文または図から明らかである個々の特徴の2つまたはそれより多くのすべての代替の組み合わせに拡張されることが理解されるであろう。これらの異なる組み合わせはすべて、本発明の多様な代替側面を構成する。
小分子を用いて、軟骨細胞にリプログラミングされた線維芽細胞の巨視的外見。 SOX9発現に基づく線維芽細胞・軟骨細胞転換の時間経過。 軟骨細胞にリプログラミングされた線維芽細胞におけるSMADシグナル伝達タンパク質の発現。 軟骨細胞にリプログラミングされた線維芽細胞の3Dペレット。 細胞由来のペレットの組織学的分析:A:対照(A)およびB:小分子[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、ベータ−エストラジオール、カルシトリオール、シグリタゾン、カルトゲニン、塩化リチウム、メラトニン、およびロージン塩酸塩での処理後。 小分子カクテルを用いた、培養増殖させ、脱分化させたヒト関節軟骨細胞の再分化。軟骨細胞をヒト軟骨から単離し、そして数回の継代(x6)を通じて、2D培養で増殖させ、脱分化を誘導した。増殖した細胞を、小分子を伴いまたは伴わず、正常酸素および低酸素下で、2D培養で2週間インキュベーションした。細胞に提供された小分子は:[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、ベータ−エストラジオール、カルシトリオール、シグリタゾン、カルトゲニン、塩化リチウム、メラトニン、およびロージン塩酸塩である。2つのハウスキーピング遺伝子(真核生物翻訳伸長因子2;EEFおよびβ2−マクログロブリン)に対するqPCRを用いて、SOX9発現を定量化した;n=1。 小分子カクテルを用いた、培養増殖させ、脱分化させたヒト関節軟骨細胞の再分化。軟骨細胞をヒト軟骨から単離し、そして数回の継代(x6)を通じて、2D培養で増殖させ、脱分化を誘導した。増殖した細胞を、小分子を伴いまたは伴わず、正常酸素および低酸素下で、2D培養で2週間インキュベーションした。細胞に提供された小分子は:[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、ベータ−エストラジオール、カルシトリオール、シグリタゾン、カルトゲニン、塩化リチウム、メラトニン、およびロージン塩酸塩である。2つのハウスキーピング遺伝子(真核生物翻訳伸長因子2;EEFおよびβ2−マクログロブリン)に対するqPCRを用いて、SOX9発現を定量化した;n=1。 ヒト皮膚線維芽細胞から軟骨細胞への転換中の多様な時点での軟骨細胞遺伝子マーカーSMAD3、COL10A1、ACAN、COL2A1およびCOL1A2の発現。 ヒト皮膚線維芽細胞から軟骨細胞への転換中の多様な時点での軟骨細胞遺伝子マーカーSMAD3、COL10A1、ACAN、COL2A1およびCOL1A2の発現。 ヒト線維芽細胞(HDF)から軟骨細胞への転換中の細胞の免疫蛍光染色。細胞を、リプログラミング因子(IRES−GFP)または対照(GFPのみ)をコードするレンチウイルスに感染させた。第1行はDAPIによる核染色を示し、第2列はGFP染色を示し、第3列は軟骨細胞マーカー、アグリカンに関する染色を示し、そして第4列は同じ視野の位相画像を示す。 ヒト線維芽細胞(HDF)から軟骨細胞への転換中の細胞の免疫蛍光染色。細胞を、誘導性プロモーターの制御下で転写因子を、または対照(GFPのみ)をコードするレンチウイルスに感染させた。第1行はDAPIによる核染色を示し、第2列はGFP染色を示し、第3列は軟骨細胞マーカー、アグリカンに関する染色を示し、そして第4列は同じ視野の位相画像を示す。 ヒト線維芽細胞(HDF)から軟骨細胞への転換中の細胞の免疫蛍光染色。細胞を、誘導性プロモーターの制御下で転写因子を、または対照(GFPのみ)をコードするレンチウイルスに感染させた。第1行はDAPIによる核染色を示し、第2列はGFP染色を示し、第3列は軟骨細胞マーカーRUNX2に関する染色を示し、そして第4列は同じ視野の位相画像を示す。 小分子を用いた、増殖させ、脱分化させたヒト関節軟骨細胞の再分化。小分子とのインキュベーション後のSOX9の発現を示すqPCRデータ。陰性対照:DMSO(ビヒクル)。陽性対照:TGFβ。小分子カクテル:「8つすべて」(表7を参照されたい);「E」(表8を参照されたい)および「F」(表9を参照されたい)。 小分子を用いた、増殖させ、脱分化させたヒト関節軟骨細胞の再分化。小分子とのインキュベーション後のSOX5の発現を示すqPCRデータ。陰性対照:DMSO(ビヒクル)。陽性対照:TGFβ。小分子カクテル:「8つすべて」(表7を参照されたい);「E」(表8を参照されたい)および「F」(表9を参照されたい)。 小分子を用いた、増殖させ、脱分化させたヒト関節軟骨細胞の再分化。小分子とのインキュベーション後のII型コラーゲンの発現を示すqPCRデータ。陰性対照:DMSO(ビヒクル)。陽性対照:TGFβ。小分子カクテル:「8つすべて」(表7を参照されたい);「E」(表8を参照されたい)および「F」(表9を参照されたい)。 小分子を用いた、増殖させ、脱分化させたヒト関節軟骨細胞の再分化。小分子とのインキュベーション後のI型コラーゲン(脱分化のマーカー)およびX型コラーゲン(肥大性変形性関節症(hypertrophic osteoarthritis)のマーカー)の発現を示すqPCRデータ。陰性対照:DMSO(ビヒクル)。陽性対照:TGFβ。小分子カクテル:「8つすべて」(表7を参照されたい);「E」(表8を参照されたい)および「F」(表9を参照されたい)。 小分子を用いた、新鮮に単離した初代軟骨細胞の脱分化の防止。小分子とのインキュベーション後のSOX9の発現を示すqPCRデータ。小分子は軟骨細胞の脱分化を防止した。陰性対照:DMSO(ビヒクル)。陽性対照:TGFβ。小分子カクテル:「8つすべて」(表7を参照されたい);「E」(表8を参照されたい)および「F」(表9を参照されたい)。
本発明の特定の態様に対して、ここで詳細に言及するであろう。本発明は、その態様と組み合わせて記載されるが、本発明がこれらの態様に限定されないことが理解されるであろう。それとは逆に、本発明は、請求項によって定義されるような本発明の範囲内に含まれうる、すべての代替物、修飾、および同等物を含むと意図される。
当業者は、本発明の実施において使用されうる、本明細書に記載するものと類似のまたは同等の多くの方法および材料を認識するであろう。本発明は、いかなる意味でも、記載する方法および材料に限定されない。本明細書に開示し、そして定義する本発明は、言及されるか、あるいは本文または図から明らかである個々の特徴の2つまたはそれより多くのすべての代替の組み合わせに拡張されることが理解されるであろう。これらの異なる組み合わせはすべて、本発明の多様な代替側面を構成する。
本明細書を解釈する目的のため、単数形で用いられる用語にはまた複数形も含まれ、そして逆も当てはまる。本明細書において、文脈が明らかに別に要求しない限り、用語「含む(comprise)」、ならびに該用語の変形、例えば「含んでいる(comprising)」、「含む(comprises)」および「含まれる(comprised)」は、さらなる添加物、構成要素、整数または工程を排除するとは意図されない。
細胞をリプログラミングするプロセスは、細胞が生じうる子孫のタイプを改変し、そしてこうしたプロセスには、順方向プログラミングおよび分化転換の別個のプロセスが含まれる。いくつかの態様において、多分化能細胞または多能性細胞の順方向プログラミングは、多分化能細胞または多能性細胞よりも、より分化した表現型を有する細胞タイプの少なくとも1つの特性を示す細胞を提供する。他の態様において、1つの体細胞の分化転換は、別の体細胞タイプの少なくとも1つの特性を示す細胞を提供する。
本発明は、供給源細胞が、ターゲット細胞になる直前に、人工多能性幹細胞(iPS)になることを伴わない、供給源細胞からターゲット細胞への直接リプログラミングまたは分化転換のための組成物および方法を提供する。iPS細胞技術と比較して、分化転換は、非常に効率的であり、そして下流適用のため、奇形腫形成のリスクは非常に低い。さらに、分化転換は、1つの細胞タイプから別のタイプへの直接転換のため、in vivoで使用可能である一方、iPS細胞技術はそのようには使用できない。
本発明は、特に、供給源細胞の軟骨細胞への分化転換に対して向けられる。これらの軟骨細胞は、置換軟骨が提供される必要がある場合を含む、変性性関節疾患によって特徴づけられる状態いずれかを患う個体における、自己軟骨細胞移植を含めて、広範囲の適用に有用性を有しうる。本発明の方法にしたがって治療されうる状態の例には、変形性関節症、関節リウマチ、乾癬性関節炎、反応性関節炎および淋菌性関節炎が含まれる。
本発明はまた、多数回の培養継代の結果として脱分化されている、培養増殖させた軟骨細胞の「再分化」のための方法も提供する。さらに、本発明には、増殖させた細胞培養において、軟骨細胞の脱分化を防止するための方法も含まれる。したがって、方法は、初代軟骨細胞が、個体から得られ、そしてin vitroで培養されるシナリオにおいて適用を有する。初代軟骨細胞を培養するための先行技術の方法が、数回の継代後、細胞の脱分化を生じることが知られる。しかし、本発明の方法は、脱分化を防止するか、あるいは細胞を軟骨細胞に「再分化」させることによって、脱分化を逆転させるように、軟骨細胞を培養するための方法および条件を提供することによって、この限界を克服する。
もちろん、本発明はまた、本明細書に記載する方法にしたがって、例えば、傷害の部位(例えば損傷を受けた関節またはその他)で、脱分化した軟骨細胞を治療し、それによって、脱分化した軟骨細胞の、in vivoでの再分化、そしてしたがって、生理学的に活性である軟骨細胞への転換を刺激することによって、細胞をin vivoで軟骨細胞に転換するシナリオも意図する。
本明細書において、「分化転換」は、細胞の形態学的および機能的特性が、(中間の多能性状態または前駆体細胞タイプを経ることなく)別の細胞タイプのものに転換されるように、1つのタイプの(または1つのタイプの体細胞の特性を有する)体細胞をリプログラミングする方法を指す。用語、分化転換は、用語「細胞系譜リプログラミング」または「細胞リプログラミング」または「細胞転換」と交換可能に使用可能である。用語、分化転換には、必然的に、細胞が、分化した細胞タイプの特性のいくつかまたはすべての特性をもはや所持しないように、脱分化されている状況が含まれる。この情報の特に好ましい適用において、脱分化した軟骨細胞は、軟骨細胞にリプログラミングされるかまたは「再分化」することも可能である。
供給源細胞は、体細胞または疾患細胞を含めて、本明細書に記載するいずれかの細胞タイプであってもよい。体細胞は、成体細胞、あるいは成体または非胚性細胞の1つまたはそれより多い検出可能な特性を示す、成体由来の細胞であってもよい。疾患細胞は、疾患または状態の1つまたはそれより多い検出可能な特性を示す細胞であってもよく、例えば細胞は、軟骨形成能の喪失と関連する変性状態を伴う個体から得られた、脱分化した軟骨細胞であってもよい。好ましい供給源細胞には、線維芽細胞(皮膚線維芽細胞を含む)、胚性幹細胞、および脱分化した軟骨細胞が含まれる。
本明細書において、用語「体細胞」は、生殖系列細胞とは対照的に、生物の体を形成するいずれかの細胞を指す。哺乳動物において、生殖系列細胞(「配偶子」としてもまた知られる)は、精子および卵子であり、これらは受精中に融合して、接合子と呼ばれる細胞を産生し、ここからすべての哺乳動物胚が発生する。哺乳動物の体内のすべての他の細胞タイプは、これらが作製される精子および卵子(生殖母細胞)ならびに未分化幹細胞を除いて、体細胞であり:内臓、皮膚、骨、血液、および結合組織は、すべて、体細胞で構成される。いくつかの態様において、体細胞は、「非胚性体細胞」であり、これは、胚に存在せずまたは胚から得られておらず、そしてin vitroでこうした細胞の増殖から生じない体細胞を意味する。いくつかの態様において、体細胞は、「成体体細胞」であり、これは、胚または胎児以外の生物に存在し、そしてこれらから得られるか、あるいはin vitroでこうした細胞の増殖から生じる細胞を意味する。例えばテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)のレベルを増加させることによって、体細胞を不死化して、細胞の限定されない供給を提供することも可能である。例えば、内因性遺伝子からのTERTの転写を増加させることによって、あるいはいずれかの遺伝子送達法または系を通じて、導入遺伝子を導入することによって、TERTのレベルを増加させることも可能である。
別に示さない限り、本明細書に記載するように、供給源細胞をリプログラミングするための方法は、in vivoおよびin vitroの両方で実行可能である(in vivoで実施する場合、体細胞は、被験体内に存在し、そしてしたがって、これにはin situ転換も含まれ、そしてin vitroで実施する場合、培養中で維持されている単離体細胞を用いる)。
胚性細胞、例えば胚性幹細胞は、胚性細胞株に由来する細胞であってもよく、そして胚または胎児に直接由来していなくてもよい。あるいは、胚性細胞は、胚または胎児に由来してもよいが、細胞は、胚または胎児の破壊または発生に対するいかなる負の影響も伴わずに得られるかまたは単離されている。
分化した体細胞は、胎児、新生児、年少者または成体の、ヒトを含む霊長類個体由来の細胞を含めて、本発明の方法において、適切な供給源細胞である。適切な体細胞には、限定されるわけではないが、骨髄細胞、上皮細胞、内皮細胞、線維芽細胞、造血細胞、角化細胞、肝細胞、腸細胞、間葉系細胞、骨髄前駆細胞および脾臓細胞が含まれる。あるいは、体細胞は、それ自体、他のタイプの細胞に増殖および分化可能な細胞であってもよく、これには血液幹細胞、筋/骨幹細胞、脳幹細胞および肝臓幹細胞が含まれる。適切な体細胞は、転写因子をコードする遺伝物質を含む転写因子の取り込みのため、受容性であるか、または科学的文献において一般的に知られる方法を用いて、受容性にされることが可能である。取り込みを増進する方法は、細胞タイプおよび発現系に応じて多様でありうる。適切な形質導入効率を有する受容性体細胞を調製するために用いられる例示的な条件は、一般の当業者に周知である。出発体細胞は、約24時間の倍加時間を有してもよい。
用語「単離細胞」は、本明細書において、元来見られた生物から除去されている細胞、またはこうした細胞の子孫を指す。任意に、細胞は、例えば他の細胞の存在下で、in vitroで培養されている。任意に、細胞は、後に、第二の生物内に導入されるか、または該細胞(または該細胞がその子孫である細胞)が単離された生物内に再導入される。
用語、細胞の単離された集団に関して「単離された集団」は、本明細書において、細胞の混合されたまたは異種の集団から取り除かれ、そして分離されている細胞集団を指す。いくつかの態様において、単離された集団は、細胞が単離されたかまたは濃縮された異種集団に比較した際、実質的に純粋な細胞集団である。
用語、特定の細胞集団に関して「実質的に純粋な」は、総細胞集団を構成する細胞に関して、少なくとも約75%、好ましくは少なくとも約85%、より好ましくは少なくとも約90%、そして最も好ましくは少なくとも約95%純粋である細胞集団を指す。言い換えると(Recast)、用語、ターゲット細胞集団に関して「実質的に純粋な」または「本質的に精製された」は、本明細書の用語によって定義した際、ターゲット細胞またはその子孫ではない細胞を約20%より少なく、より好ましくは約15%、10%、8%、7%より少なく、最も好ましくは約5%、4%、3%、2%、1%より少なく、または1%未満しか含有しない細胞集団を指す。
本明細書において、「軟骨細胞」への言及は、軟骨細胞の特性を有するいずれかの細胞への言及を指す。細胞は、細胞表面マーカー、遺伝子発現レベルまたは巨大分子の産生を含む、1つまたはそれより多いマーカーに基づいて、軟骨細胞の特性を有すると定義されてもよい。特性はまた、1つまたはそれより多い形態学的特質であってもよい。
例えば、本発明のいずれかの態様において、軟骨細胞に特徴的なタンパク質マーカーは、SOX9、SOX5、SOX6、SMAD3、SMAD5、SMAD6、CD44、CD49、CD10、CD9、CD95、インテグリンα10β1、CD105、VEGF、COL2A1である。本発明のいずれかの態様において、硫酸化グリコサミノグリカン(GAG)の産生、アグリカンの沈着、ヒアルロン酸およびII型コラーゲンの産生は、軟骨細胞に特徴的でありうる。
本発明のいずれかの態様において、軟骨細胞に特徴的な形態学的特質には、白色細胞外マトリックスの発展および立方状の外見の発展が含まれてもよい。
当業者はまた、軟骨細胞のものから供給源細胞の特徴を区別する(言い換えると、供給源細胞表現型の喪失に関して試験する)ための手段を知っているであろう。例えば、本明細書の実施例に提供するように、軟骨細胞の産生のための適切な供給源細胞には、皮膚線維芽細胞、胚性幹細胞および脱分化した軟骨細胞が含まれる。当業者は、皮膚線維芽細胞および軟骨細胞の特性の間を容易に区別することが可能であり、例えば:I型コラーゲンの産生は、皮膚線維芽細胞に特徴的であり、そして軟骨細胞に特徴的であるII型コラーゲンの産生とは区別されるものとする。
さらに、当業者は、脱分化した軟骨細胞および(分化した)軟骨細胞の特性の間を区別することが可能であろう。例えば、脱分化した軟骨細胞は、分化した軟骨細胞のマーカー遺伝子発現の漸進的な喪失によって特徴づけられる(例えば、SOX9、SMAD3、SMAD6、SMAD5、CD44、CD49、CD10、CD9、CD95、インテグリンα10β1、CD105、VEGF、SOX5/6、硫酸化グリコサミノグリカンGAG、アグリカン、ヒアルロン酸およびII型コラーゲンのいずれか1つの発現減少または喪失)。脱分化した軟骨細胞はまた、線維芽細胞遺伝子、I型コラーゲンの発現増加によっても特徴づけられる。
供給源細胞は、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す場合、本発明の方法によって、軟骨細胞に転換されているか、または軟骨細胞様細胞になっていると決定される。例えば、ヒト線維芽細胞は、線維芽細胞が、本発明記載の処理後、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す場合、軟骨細胞様細胞に転換されたと同定されるであろう。典型的には、細胞は、軟骨細胞の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つまたはそれより多くの特性を示すであろう。例えば、いずれかの1つまたはそれより多い軟骨細胞マーカーの上方制御および/または細胞形態の変化が検出可能になった場合、細胞は、軟骨細胞様細胞であると同定されるかまたは決定される。軟骨細胞マーカーの例には、SOX9、COL2A1、SMAD3、SMAD5、SMAD6、CD44、CD49、CD10、CD9、CD95、インテグリンα10β1、CD105が含まれ、そして細胞形態は、立方状の外見である。
本発明のいずれかの側面において、細胞形態、遺伝子発現プロファイル、活性アッセイ、タンパク質発現プロファイル、表面マーカープロファイル、または分化能の分析によって、軟骨細胞特性を決定してもよい。特性またはマーカーの例には、本明細書に記載するものおよび当業者に知られるものが含まれる。適切なマーカーの他の例には、例えば、細胞によるII型コラーゲン、アグリカンおよび硫酸化グリコサミノグリカン(GAG)の産生に関するものが含まれる。
皮膚線維芽細胞を、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す細胞に転換するために使用可能な転写因子または他のタンパク質を、以下の表1に示す。
表1の各行に示すような転写因子またはタンパク質のいずれかの1つまたはそれより多くを用いて、皮膚線維芽細胞を軟骨細胞に分化転換することも可能である。例えば、各行に示すような、いずれかの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つまたは8つすべての転写因子のタンパク質発現または量を、本発明の目的のために用いてもよい。
表1:皮膚線維芽細胞を軟骨細胞にリプログラミングするための因子
本明細書において、被覆率(%被覆度)は、列挙する転写因子によって直接制御されており、そして供給源細胞およびターゲット細胞タイプの間で、発現が改変されていると予測される遺伝子の割合を指す。例えば、表1の第1行に示す転写因子は、その発現が、供給源細胞をターゲット細胞に転換するためにターゲティングされている遺伝子の97.75%の発現を直接制御する。
本発明者らはまた、上記の好ましい転写因子群に加えて、他のものに関して容易に置換可能であるいくつかの転写因子またはタンパク質があることも見出してきている。例えば、表1の第1行に示すような転写因子の好ましい群、BARX1、PITX1、SMAD6、FOXC1、SIX2、AHR、FOSBおよびJUNBの背景において、本発明者らは、これらの転写因子のいずれも、転写因子PPRX2で置換可能であることを見出してきている。言い換えると、所定の因子、BARX1、PITX1、SMAD6、FOXC1、SIX2、AHR、FOSBおよびJUNBのいずれかのタンパク質発現または量を増加させることが不可能である場合(例えば、発現を直接増加させるために利用可能な核酸構築物がない場合、または発現増加を刺激するための転写因子を直接ターゲティングする小分子がない場合)、その代わり、PPRX2の発現を増加させるよう試みることが可能である。言い換えると、本発明の方法にしたがって、皮膚線維芽細胞を軟骨細胞に分化転換するよう試みる際、転写因子PPRX2は、BARX1、PITX1、SMAD6、FOXC1、SIX2、AHR、FOSBおよびJUNBのいずれに対しても置換可能である。
胚性幹細胞を、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す細胞に転換するために使用可能な転写因子を、以下の表2に示す。
表2の各行に示すような転写因子のいずれかの1つまたはそれより多くを用いて、胚性幹細胞を軟骨細胞に転換することも可能である。例えば、各行に示すようないずれかの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つまたは8つすべての転写因子のタンパク質発現または量を、本発明の目的のために用いてもよい。
表2:胚性幹細胞を軟骨細胞にリプログラミングするための転写因子
本発明者らはまた、表2に示すような転写因子の上記の好ましい群に加えて、他のものに関して容易に置換可能であるいくつかの転写因子があることも見出している。例えば、表2の第1行に示すような転写因子の好ましい群、BARX1、PITX1、SMAD6、NFKB、FOXC1、AHR、SIX2、およびJUNBの背景において、本発明者らは、転写因子PITX1、FOXC1、SIX2およびAHRのいずれも、転写因子PPRX2で置換可能であることを見出してきている。言い換えると、所定の転写因子、PITX1、FOXC1、SIX2およびAHRのいずれかのタンパク質発現または量を増加させることが不可能である場合(例えば、発現を直接増加させるために利用可能な核酸構築物がない場合、または発現増加を刺激するための転写因子を直接ターゲティングする小分子がない場合)、その代わり、PPRX2の発現を増加させるよう試みることが可能である。言い換えると、本発明の方法にしたがって、胚性幹細胞を軟骨細胞に分化転換するよう試みる際、転写因子PPRX2は、PITX1、FOXC1、SIX2およびAHRのいずれに対しても置換可能である。
なお、さらに、表2の第1行に示すような転写因子の好ましい群の背景において、本発明者らは、転写因子BARX1が、転写因子HOXA11で置換可能であることを見出してきている。さらに、転写因子SMAD6はTGFβ3で置換可能であり、NFκBはIRF1で置換可能であり、そしてJUNBはFOXBで置換可能である。言い換えると、所定の転写因子、BARX1、SMAD6、NFκBおよびJUNBのいずれかのタンパク質発現または量を増加させることが不可能である場合(例えば、発現を直接増加させるために利用可能な核酸構築物がない場合、または発現増加を刺激するための転写因子を直接ターゲティングする小分子がない場合)、その代わり、それぞれ、HOXA11、TGFβ3、IRF1またはJUNBの発現を増加させるよう試みることが可能である。
脱分化した軟骨細胞を、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す細胞に転換するために使用可能な転写因子を以下の表3に示す。
表2の各行に示すような転写因子のいずれかの1つまたはそれより多くを用いて、脱分化した軟骨細胞を軟骨細胞に転換することも可能である。例えば、各行に示すようないずれかの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つまたは8つすべての転写因子のタンパク質発現または量を、本発明の目的のために用いることも可能である。
表3:脱分化した軟骨細胞を軟骨細胞にリプログラミングするための転写因子
本発明者らはまた、表3に示すような転写因子の上記の好ましい群に加えて、他のものに関して容易に置換可能であるいくつかの転写因子があることも見出している。例えば、表3の第1行に示すような転写因子の好ましい群、SOX9、SOX5、VEGFA、RUNX1、VDR、NR2F1、FOSBおよびPRRX1の背景において、本発明者らは、転写因子SOX9は、タンパク質IL11で置換可能であることを見出してきている。言い換えると、転写因子SOX9のタンパク質発現または量を増加させることが不可能である場合(例えば、発現を直接増加させるために利用可能な核酸構築物がない場合、または発現増加を刺激するための転写因子を直接ターゲティングする小分子がない場合)、その代わり、IL11の発現を増加させるよう試みることが可能である。言い換えると、本発明の方法にしたがって、脱分化した軟骨細胞を(再分化)軟骨細胞に分化転換するよう試みる際、IL11は、SOX9に対して置換可能である。
なお、さらに、本発明者らは、表3の第1行に示すような転写因子の好ましい群の背景において、転写因子SOX5、RUNX1およびVDRが、転写因子TCF4で置換可能であることを見出してきている。さらに、転写因子VEGFA、NR2F1、FOSBおよびPRRX1はHOXA7で置換可能である。NR2F1はHOXA7またはNR2F2のいずれかで置換可能である。
本明細書で言及する転写因子およびタンパク質は、HUGO遺伝子命名委員会(HGNC)記号によって言及される。表4は、本明細書に列挙する因子に関する例示的なEnsemble遺伝子IDおよびUniprot IDを提供する。ヌクレオチド配列はEnsemblデータベース(Flicekら(2014). Nucleic Acids Research Volume 42, Issue D1. Pp. D749−D755)バージョン83由来である。本発明での使用がやはり意図されるのは、本明細書に言及する因子のいずれかの相同体、オルソログまたはパラログである。
当業者は、例えば、供給源細胞における転写因子の量の増加を提供するか、あるいは供給源細胞において転写因子を組換え的に発現するための核酸等を提供する目的のため、本発明の方法を実行する際に、この情報を用いてもよいことを認識するであろう。
表4:本明細書に言及する転写因子およびタンパク質のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を同定する寄託番号。
ポリペプチドに言及した際の用語「変異体」は、全長ポリペプチドに対して、少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一である。本発明は、表1および2に列挙する転写因子の変異体ならびに表3に列挙する配列を含めて、本明細書に記載する転写因子の変異体の使用を意図する。変異体は、全長ポリペプチドの断片または天然存在スプライス変異体であってもよい。変異体は、ポリペプチドの断片に対して、少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一であるポリペプチドであってもよく、ここで、断片は、全長野生型ポリペプチドまたはそのドメインが、関心対象の機能的活性、例えば供給源細胞タイプのターゲット細胞タイプへの転換を促進する能力を有する限り、少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%である。いくつかの態様において、ドメインは、配列のいずれかのアミノ酸位から始まって、そしてC末端に伸長し、長さ少なくとも100、200、300、または400アミノ酸である。タンパク質の活性を排除するかまたは実質的に減少させるような当該技術分野に知られる変動は、好ましくは回避される。いくつかの態様において、変異体は、全長ポリペプチドのNおよび/またはC末端部分を欠き、例えばいずれかの末端から、最大10、20、または50アミノ酸を欠く。いくつかの態様において、ポリペプチドは、成熟(全長)ポリペプチドの配列を有し、これによって、1つまたはそれより多い部分、例えばシグナルペプチドが、正常細胞内タンパク質分解的プロセシング中に(例えば翻訳と同時のまたは翻訳後プロセシング中に)除去されている、ポリペプチドを意味する。天然に発現する細胞から精製することによる以外で、タンパク質を産生するいくつかの態様において、タンパク質はキメラポリペプチドであり、これによって、該タンパク質が2つまたはそれより多い異なる種に由来する部分を含有することを意味する。天然に発現する細胞から精製することによる以外で、タンパク質を産生するいくつかの態様において、タンパク質は誘導体であり、これによって、これらの配列がタンパク質の生物学的活性を実質的に減少させない限り、タンパク質に関連しないさらなる配列を、タンパク質が含むことを意味する。当業者は、特定のポリペプチド変異体、断片、または誘導体が、機能性であるかどうかを知っているか、または当該技術分野に知られるアッセイを用いて、容易に確認することが可能である。例えば、実施例において本明細書に開示するようなアッセイを用いて、転写因子の変異体が、供給源細胞をターゲット細胞タイプに転換する能力を評価してもよい。他の好適なアッセイには、検出可能なマーカー、例えばルシフェラーゼをコードする核酸配列に機能可能であるように連結された転写因子結合部位を含有するレポーター構築物の転写を活性化する能力を測定することが含まれる。本発明の特定の態様において、機能的変異体または断片は、全長野生型ポリペプチドの活性の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%またはそれより多くを有する。
用語、転写因子の量を増加させることに関する、「の量を増加させる」は、関心対象の細胞(例えば供給源細胞、例えば線維芽細胞)における転写因子の量を増加させることを指す。いくつかの態様において、転写因子の量は、転写因子の量が、対照(例えば前記発現カセットのいずれも導入されていない線維芽細胞)に比較して、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれより多い場合、関心対象の細胞(例えば1つまたはそれより多い転写因子をコードするポリヌクレオチドの発現を指示する発現カセットが導入されている細胞)において「増加している」。しかし、転写因子(あるいはそれをコードするプレmRNAまたはmRNA)の転写、翻訳、安定性または活性の量、割合または効率を増加させるいずれかの方法を含む、転写因子の量を増加させるいずれかの方法が意図される。さらに、転写発現の負の制御因子の下方制御または干渉、存在する翻訳の効率の増加(例えばSINEUP)もまた考慮される。
用語「剤」は、本明細書において、限定されるわけではないが、小分子、核酸、ポリペプチド、ペプチド、薬剤、イオン等のいずれかの化合物または物質を意味する。「剤」は、限定なしに、合成および天然存在タンパク質性および非タンパク質性実体を含む、いずれかの化学的実体または部分であってもよい。いくつかの態様において、剤は、限定なしに、タンパク質、オリゴヌクレオチド、リボザイム、DNAザイム、糖タンパク質、siRNA、リポタンパク質、アプタマー、ならびにその修飾および組み合わせ等を含む、核酸、核酸類似体、タンパク質、抗体、ペプチド、アプタマー、核酸、アミノ酸、または炭水化物のオリゴマーである。特定の態様において、剤は、化学部分を有する小分子である。例えば、化学部分は、未置換または置換アルキル、芳香族、または複素環部分を含み、マクロライド、レプトマイシンおよび関連する天然産物またはその類似体が含まれる。化合物は、所望の活性および/または特性を有することが知られてもよいし、または多様な化合物のライブラリーから選択されてもよい。
本発明の特に好ましい態様において、剤は小分子である。
小分子を、転写因子を活性化するか、転写因子の量を増加させるか、または転写因子をコードする遺伝子の発現を増加させるために用いる場合、小分子は、以下を含む群より選択されてもよい:
・[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、
・ベータ−エストラジオール、
・カルシトリオール、
・シグリタゾン、
・カルトゲニン、
・塩化リチウム、
・メラトニン、
・ロージン塩酸塩、
・ロイコボリンカルシウム(葉酸)、
・フォルスコリン、および
・レチノイン酸(オールトランスまたは9−シス)。
本明細書において、AM580は、[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(CAS番号102121−60−8)を指し、そして選択的RARαアゴニストとして作用するレチノイン酸類似体である。AM580は、軟骨細胞分化中に中枢的な役割を果たす転写因子SOX9の強力な刺激因子である。AM580を、カタログ番号0760でTocrisからを含めて、いくつかの商業的供給者から購入してもよい。
レチノイン酸のいずれかの類似体は、SOX9の発現を増加させる/刺激するためを含めて、本発明の方法において有用性を有しうることが理解されるであろう。例えば、レチノイン酸類似体AM580の利用に加えて、小分子は、(オールトランス)レチノイン酸または9−シスレチノイン酸であってもよい。(オールトランス)レチノイン酸(CAS番号:302−79−4)はまた、トレチノインまたはATRAとしても知られ、そしてカタログ番号R2615でSigmaからを含めて、いくつかの商業的供給者から購入可能である。9−シスレチノイン酸はまた、アルトレチノイン(CAS番号:5300−03−8)としても知られ、カタログ番号R4643でSigmaからを含めて、いくつかの商業的供給源から購入可能である。
SOX9の量を増加させることに加えて、レチノイン酸(およびその類似体、例えばAM580)を用いて、NR2F1、RUNX1、SOX5、およびHOXA7を活性化し/その量を増加させてもよい。
本明細書において、ベータ−エストラジオール(ベータ−エストラジオール(oestradiol)またはβ−エストラジオールともスペリングする)は、内因性エストロゲン受容体アゴニストを指し、これはまた、8R,9S,13S,14S,17S)−13−メチル−6,7,8,9,11,12,14,15,16,17−デカヒドロシクロペンタ[α]フェナントレン−3,17−ジオール、エストラ−1,3,5(10)トリエン−3,17β−ジオール、または17β−エストラジオールとも称される。ベータ−エストラジオールはまた、そのCAS番号50−28−2によっても称されうる。ベータ−エストラジオールは、転写因子PITX1の発現を刺激することも可能であり、該因子は、軟骨形成細胞の分化および成熟に非常に重要である。PITX1の喪失または不活性化は、正常後肢発生の喪失、および適切な軟骨発生の防止を導く。ベータ−エストラジオールは、カタログ番号2824でTocrisからを含めて、いくつかの商業的供給者から購入可能である。
本明細書において、カルシトリオールは、1,25−ジヒドロキシコレカルシフェロールまたは1,25−ジヒドロキシビタミンD3(CAS番号32222−06−3)を指す。カルシトリオールは、ビタミンDのホルモン活性代謝産物であり、そしてビタミンD受容体(VDR)の活性化因子である。VDRは、核受容体であり、軟骨細胞内で、破骨細胞形成の制御因子であり、そして肥大性分化に対する影響を有する。カルシトリオールはまた、VDRの刺激を通じて、転写因子VEGFの発現を間接的に刺激するためにも使用可能である。さらに、カルシトリオールを用いて、JUNBを活性化し/その量を増加させることも可能である。カルシトリオールは、カタログ番号2551でTocrisからを含めて、いくつかの商業的供給者から購入可能である。
本明細書において、シグリタゾンは、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)の選択的アゴニストを指す。シグリタゾンは、CAS番号74772−77−3を有するチアゾリジンジオンであり、そしてカタログ番号1307でTocrisからを含めて、いくつかの商業的供給者から購入可能である。シグリタゾンは、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)の選択的アゴニストであり、これは次に、VEGFAの発現を刺激することも可能である。軟骨内のPPARγそしてその結果VEGFAの活性化を通じた血管系の刺激はまた、完全に機能性の組織での治癒の促進を導きうる。
本明細書において、カルトゲニンは、2−[(ビフェニル−4−イル)カルバモイル]安息香酸、N−ビフェニル(biphenul)−4−イル−フタル酸または4’−フェニル−フタルアニル酸(CAS番号4727−31−5)を指す。カルトゲニンは、例えばカタログ番号4513でTocris等、いくつかの商業的供給者から購入可能である。カルトゲニンは、RUNX1経路の活性化を通じて、ヒト間葉系幹細胞の軟骨形成分化を誘導した。
本明細書において、塩化リチウム(LiCl)は、本発明にしたがって使用可能なイオン性化合物である。LiClは、TGFβ3経路を直接ターゲティングし、そしてそれによって間接的に転写因子SOX9およびアグリカン(軟骨特異的プロテオグリカンコアタンパク質、CSPCPまたはコンドロイチン硫酸プロテオグリカン1としても知られる)の発現を増加させる。TGFβ3を介して、LiClはまた、細胞におけるII型コラーゲンの量も増加させうる。塩化リチウム(CAS番号7447−41−8)は、いくつかの商業的供給者から、例えばカタログ番号85144112でSigmaから得ることができる。
本明細書において、メラトニンは、メラトニン受容体のホルモンアゴニストであり、そしてまた、N−アセチル−5−メトキシ−トリプタミン(CAS番号73−31−4)としても知られる。メラトニンは、BMP−2の発現を上方制御するために用いられ、これは次に、SMAD6の発現を上方制御する。メラトニンは、カタログ番号3550でTocrisからを含めて、いくつかの商業的供給者から得ることができる。
本明細書において、ロージン塩酸塩(D−トリプトファン(2E)−2−(6−キノキサリニルメチレン)ヒドラジド塩酸塩;CAS番号1281870−42−5)は、RhoAのグアニンヌクレオチド交換因子への結合を阻害する、Rho GTPアーゼ阻害剤である。ロージン塩酸塩は、転写因子SOX9の発現を増加させ、これは次いで、SOX5およびSOX6の発現に対して下流効果を有する。SOX5、SOX6およびSOX9は、すべて軟骨形成中に発現され、そしてタンデムで働いて、軟骨形成マーカーを発現する。ロージン塩酸塩は、カタログ番号5003でTocrisからを含めて、いくつかの商業的供給者から購入可能である。
本明細書において、ロイコボリンカルシウム(CAS番号1492−18−8)はまた、フォリン酸としても知られる。フォリン酸は、テトラヒドロ葉酸の5−ホルミル誘導体である。これは、容易に他の還元葉酸誘導体(例えば5,10−メチレンテトラヒドロフォレート、5−メチルテトラヒドロフフォレート)に転換され、したがって、葉酸のものと同等のビタミン活性を有する。転写因子PPRX1の量を増加させるため、ロイコボリンを用いてもよい。ロイコボリンカルシウムは、カタログ番号PHR1541でSigmaからを含めて、いくつかの商業的供給者から購入可能である。
本明細書において、フォルスコリン(コレオノールとしてもまた知られる、CAS番号66428−89−5)は、インドの植物コレウス(Coleus)(プレクトランサス・バルバツス(Plectranthus barbatus))によって産生されるラブダン・ジテルペンである。他の名称には、パシャナブヘディ(pashanabhedi)、インド・コレウス、マカンディ(makandi)、HL−362、NKH477、およびマオ・ホウ・キアオ・ルイ・フア(mao hou qiao rui hua)が含まれる。天然産物の大きなジテルペンファミリーの他のメンバーと同様、フォルスコリンは、ゲラニルゲラニルピロリン酸(GGPP)から得られる。フォルスコリンは、テトラヒドロピラン由来複素環の存在を含めて、いくつかのユニークな機能的要素を含有する。フォルスコリンは、転写因子FOSBの量を増加させるために用いられうる。フォルスコリンは、カタログ番号1099でTocrisからを含めて、いくつかの商業的供給者から購入可能である。
特定の好ましい態様において、1つより多い小分子を本発明の方法にしたがって用いる場合、AM580、オールトランスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸、β−エストラジオール、カルシトリオール、シグリタゾン、カルトゲニン、塩化リチウム、メラトニン、ロージン塩酸塩、ロイコボリン、ボリノスタット、およびフォルスコリンのいずれかの2つ、いずれかの3つ、いずれかの4つ、いずれかの5つ、いずれかの6つ、またはいずれかの7つを用いる。好ましくは、少なくともAM580(またはレチノイン酸、あるいはオールトランスまたは9−シスレチノイン酸の代替類似体)およびカルシトリオールを用いる。
さらにさらなる態様において、1つまたはそれより多い小分子は、AM580、β−エストラジオール、カルシトリオール、シグリタゾン、カルトゲニン、塩化リチウム、メラトニン、およびロージン塩酸塩の8つすべてであってもよい。
さらになお、1つまたはそれより多い小分子は、AM580、カルシトリオール、ロイコボリン、ボリノスタットおよびフォルスコリンの5つすべてであってもよい。
あるいは、1つまたはそれより多い小分子は、(オールトランス)レチノイン酸、9−シスレチノイン酸、カルシトリオール、ロイコボリンおよびボリノスタットの5つすべてであってもよい。
表5:皮膚線維芽細胞の軟骨細胞への転換のための小分子剤およびターゲット転写因子
本発明のさらにさらなる態様において、小分子または転写因子のプロモーター領域へのアクセス可能性を増加させる分子を、本発明のアプローチと組み合わせて用いてもよい。例えば、クロマチンを開放する分子を、転写因子のいずれかの組み合わせと、または本明細書に記載するいずれかの小分子と組み合わせて用いてもよい。クロマチンを開放するために用いてもよい分子の一例は、ボリノスタットである。
本明細書において、ボリノスタット(CAS番号:149647−78−9、スベラニロヒドロキサム酸、スベロイル+アニリド+ヒドロキサム酸としても知られ、SAHAと略され、そして「ゾリンザ」として販売される)は、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)を阻害する、より大きなクラスのメンバーである。ボリノスタットはまた、やはりヒストン脱アセチル化酵素の活性部位に見られる亜鉛イオンのキレート剤としても作用する。ボリノスタットは、カタログ番号4652でTocrisからを含めて、商業的供給者から購入可能である。
用語「外因性」は、細胞または生物におけるタンパク質、遺伝子、核酸、またはポリヌクレオチドと関連して用いた際、人工的または天然手段によって、細胞または生物内に導入されているタンパク質、遺伝子、核酸、またはポリヌクレオチドを指し;あるいは、細胞と関連して用いた際、人工的または天然手段によって、単離され、そして続いて他の細胞または生物内に導入される細胞を指す。外因性核酸は、異なる生物または細胞に由来していてもよいし、あるいは生物または細胞内に天然に存在する1つまたはそれより多いさらなる核酸コピーであってもよい。外因性細胞は、異なる生物由来であってもよいし、または同じ生物由来であってもよい。限定されない例として、外因性核酸は、天然細胞のものと異なる染色体位置にあるものであるか、またはそうでなければ、天然に見られるものとは異なる核酸配列によって隣接されている。外因性核酸はまた、染色体外、例えばエピソームベクターであってもよい。
供給源細胞タイプからターゲット細胞タイプへの転換に必要な1つまたはそれより多い転写因子の量を増加させる能力に関する、1つまたはそれより多い候補剤のスクリーニングには、転写因子の産生または発現を可能にする系と、候補剤を接触させ、そして転写因子の量が増加しているかどうかを決定する工程が含まれてもよい。系は、in vivo、例えば生物における組織または細胞であってもよいし、あるいはin vitroの生物から単離された細胞またはin vitro転写系、あるいは細胞または組織におけるex vivoであってもよい。転写因子の量を、直接または間接的に、そしてタンパク質またはRNA(例えばmRNAまたはプレmRNA)いずれかの量を決定することによって、測定してもよい。候補剤は、転写因子をコードする遺伝子の転写におけるいずれかの工程を増加させるか、または対応するmRNAの翻訳を増加させることによって、転写因子の量を増加させるように機能する。あるいは、候補剤は、転写因子をコードする遺伝子の転写のリプレッサーの阻害活性、あるいは転写因子をコードするmRNAまたは転写因子自体のタンパク質の分解を引き起こす分子の活性を減少させてもよい。
適切な検出手段には、放射性核種、酵素、補酵素、蛍光体(fluorescer)、化学発光体、色素原、酵素基質または補因子、酵素阻害剤、補欠分子族錯体、フリーラジカル、粒子、色素等の標識の使用が含まれる。こうした標識試薬を、多様な周知のアッセイ、例えばラジオイムノアッセイ、酵素イムノアッセイ、例えばELISA、蛍光イムノアッセイ等で用いてもよい。例えば、米国特許第3,766,162号;第3,791,932号;第3,817,837号;および第4,233,402号を参照されたい。
本発明の方法には、ハイスループットスクリーニング適用が含まれる。例えば、転写因子の産生または発現を可能にする系のアリコットを、マルチウェルプレートの異なるウェル内で、複数の候補剤に曝露する、本発明にしたがったいずれかのアッセイを含む、ハイスループットスクリーニングアッセイを用いてもよい。さらに、本開示にしたがったハイスループットスクリーニングアッセイは、いずれかの種類のミニチュア化アッセイ系において、複数の候補剤に曝露された、転写因子の産生または発現を可能にする系のアリコットを伴う。
開示の方法は、限定されるわけではないが、例えばプレートあたり24、48、96または384ウェルのマルチウェルプレート、マイクロチップまたはスライドを含めて、ミニチュア化のいずれかの許容されうる方法を通じて、アッセイ系において、「ミニチュア化」されてもよい。マイクロチップ支持体上で行えるようにアッセイサイズを減少させてもよく、これには、好適に、より少ない量の試薬および他の材料が含まれる。ハイスループットスクリーニングにつながるプロセスのいかなるミニチュア化も本発明の範囲内である。
本発明のいずれかの方法において、ターゲット細胞を、供給源細胞を得た哺乳動物と同じ哺乳動物内にトランスファーしてもよい。言い換えると、本発明の方法で用いる供給源細胞は、自己細胞であってもよく、すなわちターゲット細胞を投与しようとする同じ個体から得られていてもよい。あるいは、ターゲット細胞を、別の個体内に同種間でトランスファーしてもよい。好ましくは、細胞は、個体における医学的状態を治療するかまたは防止する方法において、被験体に対して自己である。
用語「細胞培養培地」(本明細書においてまた、「培養培地」または「培地」とも称される)は、細胞生存性を維持し、そして増殖を補助する栄養素を含有する、細胞を培養するための培地である。細胞培養培地は、適切な組み合わせで以下のいずれを含有してもよい:塩(単数または複数)、緩衝剤(単数または複数)、アミノ酸、グルコースまたは他の糖(単数または複数)、抗生物質、血清または血清置換物、および他の構成要素、例えばペプチド増殖因子等。特定の細胞タイプに通常用いられる細胞培養培地は、当業者に知られる。本発明の方法で使用するための例示的な細胞培養培地を、表6に示す。
表6.多様な細胞タイプを培養するために使用可能な細胞培養培地
本明細書に記載するような核酸または核酸を含むベクターには、上記の表4に言及する1つまたはそれより多い配列、あるいは表1〜3に列挙するいずれかの1つまたはそれより多い転写因子をコードする配列が含まれてもよい。
用語「発現」は、適用可能である場合、限定されるわけではないが、例えば、転写、翻訳、フォールディング、修飾およびプロセシングを含めて、RNAおよびタンパク質を産生し、そして適切であるように、タンパク質を分泌する際に関与する細胞プロセスを指す。
用語「単離された」または「部分的に精製された」は、本明細書において、核酸またはポリペプチドの場合、天然供給源に見られるように核酸またはポリペプチドとともに存在する、そして/または細胞によって発現されるか、または分泌されるポリペプチドの場合、分泌された際に、核酸またはポリペプチドとともに存在するであろう、少なくとも1つの他の構成要素(例えば核酸またはポリペプチド)から分離された核酸またはポリペプチドを指す。化学的に合成された核酸またはポリペプチド、あるいはin vitro転写/翻訳を用いて合成されたものは、「単離された」と見なされる。
用語「ベクター」は、宿主または供給源細胞内に導入するためにDNA配列を挿入可能であるキャリアーDNA分子を指す。好ましいベクターは、連結されている核酸の自律複製および/または発現が可能であるものである。これらが機能可能であるように連結されている遺伝子の発現を指示することが可能なベクターは、本明細書において、「発現ベクター」と称される。したがって、「発現ベクター」は、宿主細胞において、関心対象の遺伝子の発現に必要とされる必要な制御領域を含有する特殊化ベクターである。いくつかの態様において、関心対象の遺伝子は、ベクター中の別の配列に機能可能であるように連結されている。ベクターはウイルスベクターまたは非ウイルスベクターであってもよい。ウイルスベクターを用いる場合、ウイルスベクターは複製不全であることが好ましく、これは例えば複製のためにコードするすべてのウイルス核酸を除去することによって達成可能である。複製不全ウイルスベクターは、なおその感染特性を保持し、そして複製するアデノウイルスベクターと類似の方式で細胞に進入するが、ひとたび細胞に受け入れられたら、複製不全ウイルスベクターは、複製もまた増殖もしない。ベクターはまた、リポソームおよびナノ粒子、ならびにDNA分子を細胞に送達する他の手段も含む。
用語「機能可能であるように連結された」は、コード配列の発現に必要な制御配列が、コード配列の発現を達成するように、コード配列に関して適切な位置でDNA分子中に配置されることを意味する。この同じ定義はときに、発現ベクターにおけるコード配列および転写制御要素(例えばプロモーター、エンハンサー、および終結要素)の配置に適用される。用語「機能可能であるように連結された」には、発現しようとするポリヌクレオチド配列の直前に適切な開始シグナル(例えばATG)を有し、そして発現制御配列の制御下でのポリヌクレオチド配列の発現、およびポリヌクレオチド配列にコードされる所望のポリペプチドの産生を可能にする正しい読み枠を維持することが含まれる。
用語「ウイルスベクター」は、細胞への核酸構築物のキャリアーとしての、ウイルスまたはウイルス関連ベクターの使用を指す。構築物は、感染または細胞内への形質導入のため、レトロウイルスおよびレンチウイルスベクターを含む、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、または単純ヘルペスウイルス(HSV)またはその他のような非複製性の不全ウイルスゲノム内に、組み込まれ、そしてパッケージングされてもよい。ベクターは、細胞ゲノム内に取り込まれてもまたは取り込まれなくてもよい。構築物には、望ましい場合、トランスフェクションのためのウイルス配列も含まれてもよい。あるいは、構築物は、エピソーム複製可能なベクター、例えばEPVおよびEBVベクター内に取り込まれてもよい。
本明細書において、用語「アデノウイルス」は、アデノウイルス科のウイルスを指す。アデノウイルスは、ヌクレオカプシドおよび二本鎖直鎖DNAゲノムで構成される、中程度の大きさ(90〜100nm)の非エンベロープ(裸の)正二十面体ウイルスである。
本明細書において、用語「非組込みウイルスベクター」は、宿主ゲノム内に組み込まれないウイルスベクターを指し;該ウイルスベクターによって送達される遺伝子の発現は一時的である。宿主ゲノム内への組込みはほとんどまたはまったくないため、非組込みウイルスベクターは、ゲノムにおいて、ランダムな点で挿入することによるDNA突然変異を産生しない利点を有する。例えば、非組込みウイルスベクターは、染色体外に留まり、そしてその遺伝子を宿主ゲノム内に挿入せず、潜在的に内因性遺伝子の発現を破壊することがない。非組込みウイルスベクターには、限定されるわけではないが、以下:アデノウイルス、アルファウイルス、ピコルナウイルス、およびワクシニアウイルスが含まれうる。これらのウイルスベクターは、これらのいずれも、ある稀な状況においては、ウイルス核酸を宿主細胞ゲノム内に組み込む可能性があるにもかかわらず、該用語を本明細書で用いる際、「非組込み」ウイルスベクターである。重要なことは、本明細書に記載する方法で用いるウイルスベクターは、使用する条件下で、一般に、またはその生活環の主な部分として、宿主細胞ゲノム内にその核酸を組み込まないことである。
療法において使用するための安全性を増加させ、望ましい場合、選択および濃縮マーカーを含め、そして含有するヌクレオチド配列の発現を最適化するため、科学文献に一般的に知られる方法を用いて、本明細書記載のベクターを構築し、そして操作してもよい。ベクターには、ベクターが供給源細胞タイプにおいて自己複製することを可能にする、構造的構成要素が含まれるはずである。例えば、既知のエプスタイン・バーoriP/核抗原−1(EBNA−1)の組み合わせ(例えば、その全体が本明細書に示されたかのように援用される、Lindner, S.E.およびB. Sugden, The plasmid replicon of Epstein−Barr virus: mechanistic insights into efficient, licensed, extrachromosomal replication in human cells, Plasmid 58:1 (2007)を参照されたい)は、ベクター自己複製を支持するために十分であり、そして哺乳動物、特に霊長類、細胞において機能することが知られる他の組み合わせもまた使用してもよい。本発明で使用するために適した発現ベクターの構築のための標準的な技術は、一般の当業者に周知であり、そして、その全体が示されるかのように本明細書に援用される、Sambrook Jら, “Molecular cloning: a laboratory manual,”(第3版 Cold Spring harbor Press, Cold Spring Harbor, N. Y. 2001)などの刊行物に見出されうる。
本発明の方法において、転換に必要な適切な転写因子をコードする遺伝材料を、1つまたはそれより多いリプログラミングベクターを通じて、供給源細胞内に送達する。各転写因子を、供給源細胞におけるポリヌクレオチドの発現を駆動しうる異種プロモーターに機能可能であるように連結された転写因子をコードするポリヌクレオチド導入遺伝子として、供給源細胞内に導入してもよい。
適切なリプログラミングベクターは、感染性または複製適合性ウイルスを生じさせるために十分なウイルスゲノムのすべてまたは一部をコードしない、エピソームベクター、例えばプラスミドを含めて、本明細書に記載するいずれかのものであるが、ベクターは、1つまたはそれより多いウイルスから得られる構造要素を含有してもよい。1つまたは複数のリプログラミングベクターを単一の供給源細胞内に導入してもよい。1つまたはそれより多い導入遺伝子を、単一のリプログラミングベクター上に提供してもよい。1つの強い恒常的な転写プロモーターが、発現カセットとして提供されてもよい、複数の導入遺伝子のための転写制御を提供してもよい。ベクター上の別個の発現カセットが、別個の強い恒常性プロモーターの転写制御下にあってもよく、これらのプロモーターは、同じプロモーターのコピーであってもよいし、または別個のプロモーターであってもよい。多様な異種プロモーターが当該技術分野に知られ、そしてこれらを、転写因子の所望の発現レベルなどの要因に応じて用いてもよい。以下に例示するように、供給源細胞において、別個の強度を有する別個のプロモーターを用いて、別個の発現カセットの転写を制御することが好適でありうる。転写プロモーターの選択における別の考慮は、プロモーター(単数または複数)をサイレンシングするレートである。当業者は、遺伝子(単数または複数)の産物が、リプログラミング法において、その役割を完了したかまたは実質的に完了した後、1つまたはそれより多い導入遺伝子または導入遺伝子発現カセットの発現を減少させることが好適でありうることを認識するであろう。例示的なプロモーターは、ヒトEF1α伸長因子プロモーター、CMVサイトメガロウイルス極初期プロモーター、およびCAGニワトリアルブミンプロモーター、ならびに他の種由来の対応する相同プロモーターである。ヒト体細胞において、EF1αおよびCMVはどちらも、強いプロモーターであるが、CMVプロモーターの制御下での導入遺伝子の発現が、EF1αプロモーターの制御下での導入遺伝子の発現よりもより早期に停止されるように、前者は後者よりも、より効率的にサイレンシングされる。転写因子は、リプログラミング効率を調節するために変動させうる相対比で、供給源細胞において発現されうる。好ましくは、複数の導入遺伝子が単一の転写物上にコードされる場合、内部リボソーム進入部位が、転写プロモーターから遠位の、導入遺伝子(単数または複数)の上流に提供される。因子の相対比は、送達する因子に応じて多様でありうるが、本開示を把握している一般の当業者は、因子の最適な比を決定可能である。
当業者は、複数のベクターを通じるよりも、単一のベクターを通じて、すべての因子を導入する方が好適に効率的であるが、総ベクターサイズが増加するにつれて、ベクターを導入することがますます困難になることを認識するであろう。当業者はまた、ベクター上の転写因子の位置が、時間的発現および生じるリプログラミング効率に影響を及ぼしうることを認識するであろう。こうしたものとして、出願者らは、ベクターの組み合わせに対して、因子の多様な組み合わせを使用した。リプログラミングを支持する、いくつかのこうした組み合わせを本明細書に示す。
リプログラミングベクター(単数または複数)を導入した後、そして供給源細胞がリプログラミングされている間、ベクターはターゲット細胞中に存在し続けることが可能であり、この間、導入された導入遺伝子が転写され、そして翻訳される。導入遺伝子発現は、ターゲット細胞タイプにリプログラミングされている細胞においては、好適に下方制御されるかまたは停止されてもよい。リプログラミングベクター(単数または複数)は、染色体外にとどまってもよい。極端に低い効率で、ベクター(単数または複数)は、細胞ゲノム内に組み込まれうる。以下の実施例は、本発明を例示することを意図し、いかなる意味でも限定することを意図しない。
本発明とともに使用するための、細胞、組織または生物の形質転換のための核酸送達に適した方法には、本明細書に記載するような、または一般の当業者に知られるであろうような、核酸(例えばDNA)が細胞、組織または生物内に導入されうる、実質的にいずれかの方法が含まれると考えられる(例えば、StadtfeldおよびHochedlinger, Nature Methods 6(5):329−330 (2009); Yusaら, Nat. Methods 6:363−369 (2009); Woltjenら, Nature 458, 766−770 (9 Apr. 2009))。こうした方法には、限定されるわけではないが、ex vivoトランスフェクションによるなどのDNAの直接送達(Wilsonら, Science, 244:1344−1346, 1989、NabelおよびBaltimore, Nature 326:711−713, 1987)が含まれ、任意に、脂質に基づくトランスフェクション試薬、例えばFugene6(Roche)またはリポフェクタミン(Invitrogen)を用いても、注入(各々、本明細書に援用される、米国特許第5,994,624号、第5,981,274号、第5,945,100号、第5,780,448号、第5,736,524号、第5,702,932号、第5,656,610号、第5,589,466号および第5,580,859号)によってもよく、これにはマイクロインジェクション(本明細書に援用される、HarlandおよびWeintraub, J. Cell Biol., 101:1094−1099, 1985;米国特許第5,789,215号)が含まれ;エレクトロポレーション(本明細書に援用される、米国特許第5,384,253号; Tur−Kaspaら, Mol. Cell Biol., 6:716−718, 1986; Potterら, Proc. Nat’l Acad. Sci. USA, 81:7161−7165, 1984)によってもよく;リン酸カルシウム沈殿(GrahamおよびVan Der Eb, Virology, 52:456−467, 1973; ChenおよびOkayama, Mol. Cell Biol., 7(8):2745−2752, 1987; Rippeら, Mol. Cell Biol., 10:689−695, 1990)によってもよく;DEAE−デキストランを用いた後、ポリエチレングリコールを用いることによってもよく(Gopal, Mol. Cell Biol., 5:1188−1190, 1985);直接超音波装填(Fechheimerら, Proc. Nat’l Acad. Sci. USA, 84:8463−8467, 1987)によってもよく;リポソーム仲介性トランスフェクション(NicolauおよびSene, Biochim. Biophys. Acta, 721:185−190, 1982; Fraleyら, Proc. Nat’l Acad. Sci. USA, 76:3348−3352, 1979; Nicolauら, Methods Enzymol., 149:157−176, 1987; Wongら, Gene, 10:87−94, 1980; Kanedaら, Science, 243:375−378, 1989; Katoら, J Biol. Chem., 266:3361−3364, 1991)によってもよく、そして受容体仲介性トランスフェクション(WuおよびWu, Biochemistry, 27:887−892, 1988; WuおよびWu, J. Biol. Chem., 262:4429−4432, 1987)によってもよく;そしてこうした方法のいずれかの組み合わせによってもよく、これらの各々は本明細書に援用される。
会合する分子の細胞内への導入を仲介可能ないくつかのポリペプチドが以前記載されてきており、そしてこれは本発明に適応可能である。例えば、Langel (2002) Cell Penetrating Peptides: Processes and Applications, CRC Press, Pharmacology and Toxicology Seriesを参照されたい。膜を渡る輸送を増進するポリペプチド配列の例には、限定されるわけではないが、ショウジョウバエ(Drosophila)ホメオタンパク質、アンテナペディア転写タンパク質(AntHD)(Joliotら, New Biol. 3: 1121−34, 1991; Joliotら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88: 1864−8, 1991; Le Rouxら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 9120−4, 1993)、単純ヘルペスウイルス構造タンパク質VP22(ElliottおよびO’Hare, Cell 88: 223−33, 1997);HIV−1転写活性化因子TATタンパク質(GreenおよびLoewenstein, Cell 55: 1179−1188, 1988; FrankelおよびPabo, Cell 55: 1 289−1193, 1988);カポジFGFシグナル配列(kFGF);タンパク質形質導入ドメイン−4(PTD4);ペネトラチン、M918、トランスポータン−10;核局在化配列、PEP−Iペプチド;両親媒性ペプチド(例えば、MPGペプチド);送達増進輸送体、例えば米国特許第6,730,293号に記載されるもの(限定されるわけではないが、少なくとも5〜25またはそれより多い連続アルギニン、あるいは30、40または50アミノ酸の連続セット中に5〜25またはそれより多いアルギニンを含むペプチド配列を含むペプチド配列を含み;限定されるわけではないが、十分な、例えば少なくとも5つのグアニジノまたはアミジノ部分を有するペプチドを含む);ならびに商業的に入手可能なペネトラチンTM1ペプチド、およびフランス・パリのDiatos S.A.より入手可能なVectocell(登録商標)プラットホームのDiatosペプチドベクター(「DPV」)が含まれる。WO/2005/084158およびWO/2007/123667、ならびに該文献に記載されるさらなる輸送体もまた参照されたい。これらのタンパク質は形質膜を通過可能であるだけでなく、他のタンパク質、例えば本明細書に記載する転写因子を付着させると、これらの複合体の細胞取り込みを刺激するために十分である。
本発明には、以下の限定されない実施例が含まれる。
実施例1
線維芽細胞から軟骨細胞への転換のための候補転写因子は、Rackhamら(2016) Nature Genetics, 48(3): 331−335に以前記載された方法にしたがって同定された。
正常酸素または低酸素条件下、単層(2D)で、線維芽細胞を増殖させた。軟骨は、十分な血管系が存在しないため、特に低酸素の環境であることが知られることから、両方の条件下で実験を行った。低酸素条件下での実験の実行は、該方法論でin vivo治療を推定可能であることを示す。
以下の表7に示すような小分子の混合物を、表に明記する濃度で、線維芽細胞培養に添加した:
表7:皮膚線維芽細胞を軟骨細胞に転換するために用いる小分子
10日間の期間に渡って、線維芽細胞は巨視的外見を変え、そして培養中の単離天然軟骨細胞と関連する典型的な立方状外見をとった(図1)。
実施例2
遺伝子発現研究を行って、分子レベルで転換を確認した。実施例1由来の転換線維芽細胞を採取し、そしてRNAを抽出して、軟骨形成遺伝子(例えばアグリカンおよびII型コラーゲン)の下流上方制御を駆動する転写因子である、SOX9の発現を決定した。
遺伝子発現実験の結果は、線維芽細胞の軟骨細胞表現型への転換を確認する。図2は、第9日をピークとし、そして少なくともさらに3日間(実験が終了するまで)、レベルを安定化させる、処理した細胞におけるSOX9の漸次的上方制御を示す。
幹細胞の軟骨形成中のSOX9の上方制御は、SMADと呼ばれるタンパク質の上流シグナル伝達ファミリーによって駆動される。SMADファミリーメンバーの発現を、表7に示す小分子と組み合わせて、2Dで14日間培養した線維芽細胞で決定した。図2および3に示す結果は、SMAD3、SMAD5およびSMAD6の発現増加を示し、転換された細胞が、成熟軟骨細胞に発生することを示す。
軟骨形成の駆動は、2Dから3D培養への移動を必要とする。発生中に行われる軟骨形成細胞の凝縮(condensation)は、軟骨細胞の成熟を駆動する際の非常に重要な工程である。転換された軟骨細胞で凝縮が起こっているかどうかを決定するため、2D培養で14日間増殖させた細胞を、遠心分離によってペレットにし、そしてさらに21日間培養する。ペレットは、巨視的に表れる、白色細胞外マトリックスを集積させ、そして触れると固いようであった(天然軟骨と類似)。これらの特徴は、細胞の治療群でのみ観察され、対照群では観察されず、対照群は柔らかく、そして分散していた(図4を参照されたい)。
処理した細胞の細胞ペレット(ここで、軟骨細胞の特性を示している)を、組織学によるさらなる分析に供した。細胞を、ヘマトキシリンおよびエオジン(H&E染色)によって、広いマトリックス沈着に関して、そして軟骨形成分化のマーカーに関して(アグリカンおよびII型コラーゲンの沈着)染色した。線維芽細胞マーカー、I型コラーゲンの存在を検出するための染色もまた行って、ドナー細胞表現型の喪失を評価した。
図5Aは、対照(未処理)細胞の組織学的結果を示す。細胞ペレットは小さく、マトリックス沈着はほとんどないようである。軟骨形成マーカーに関する染色は陰性であったが、I型コラーゲンに関しては陽性であり、線維芽細胞タイプから軟骨細胞への転換がなかったことが示された。図5Bは、処理した細胞に関する結果を示す。細胞ペレットは対照細胞に関するものより大きく、そして細胞外マトリックスに関して広範に染色される。重要なことに、細胞は、アグリカンおよびII型コラーゲンに関して陽性に染色された。
実施例3
軟骨細胞をヒト軟骨から得た。細胞を、数回の継代を通じて2Dに増殖させ、脱分化を誘導した(変形性関節症において、または初代軟骨細胞のin vitroでの典型的な継代において生じるような、疾患または脱分化軟骨細胞を再現するため)。
増殖した細胞を、実施例1に列挙する小分子を伴いまたは伴わず、正常酸素および低酸素条件下で、2D培養で2週間インキュベーションした。
再分化が起こるかどうかを決定するため、細胞に対して、遺伝子発現分析を行った。SOX9遺伝子発現は、脱分化した軟骨細胞が、「天然」または再分化した軟骨細胞に転換されていることを示した(図6)。
結論:
適切な転写因子の発現を増加させ、そして線維芽細胞を軟骨細胞にロバストに転換するために使用可能な、小分子セットが同定されてきている。同じ分子はまた、脱分化した軟骨細胞を再分化軟骨細胞に転換するためにも有用である。
実施例4
ヒト皮膚線維芽細胞を7x10細胞/cmでウェルプレート上に植え付け、24時間後、LSGS(Life Technologies)を含む培地106中で、転写因子のウイルス形質導入を行った。植え付けた翌日、転写因子BARX1、PITX1、SMAD6、FOXC1、SIX2、AHRおよびJUNBならびにIRES−GFPをコードするレンチウイルス粒子を、ポリブレン(Merck Millipore)を含む培地106中で細胞に形質導入した。次いで、形質導入直後に60分間、ウェルプレートを1900rpmで遠心分離した。第2日、培地を軟骨細胞分化培地(DMEM(Life Technologies))、10%FBS(Life Technologies)、1x非必須アミノ酸(Life Technologies)、100U/mlペニシリン・ストレプトマイシン(Life Technologies)、5ng/ml BFGF(Miltenyi Biotec)で置き換えた。実験全体で、培地を2日ごとに交換した。実験を2Dで行い、そして第14日で終了した。
形質導入後、第0日、第7日および第14日に、軟骨細胞マーカーの遺伝子発現を行って、線維芽細胞から軟骨細胞への転換を監視した(図7)。同じ時点で、細胞をアグリカン(軟骨細胞マーカー)に関して染色した(図8)。データは、線維芽細胞から軟骨細胞への転換の成功を示す(例えば、図8における転写因子で形質導入した細胞におけるアグリカンの陽性染色の存在)。
実施例5
ヒト皮膚線維芽細胞を植え付け、そして実施例4に記載するものと類似の方法を用いて、転写因子のドキシサイクリン誘導性発現をコードするレンチウイルス粒子でトランスフェクションした。転写因子は、BARX1、PITX1、SMAD6、FOXC1、SIX2、AHR、FOSBおよびJUNBであった。ドキシサイクリンを用いて、転写因子発現を誘導した。EGFPをコードするレンチウイルス粒子を陰性対照として用いた。
第7日、細胞をアグリカンおよびRUNX2(どちらも軟骨細胞分化のマーカー)に関して染色した(図9および10を参照されたい)。対照に比較して、転写因子の発現に際して、アグリカンおよびRUNX2の有意な上方制御があった。
実施例6
損傷を受けていないヒト軟骨から得た軟骨細胞を、実施例3に記載する方法に類似の小分子とともに、in vitroでインキュベーションした。DMSO(ビヒクル)を陰性対照として含めた。TGFβは、軟骨形成分化を駆動することが知られるため、この増殖因子を陽性対照として用いた。
小分子混合物は表7に記載するとおりである(「8つすべて」)か、または以下にさらに記載するとおりであった。
表8:代替小分子混合物E
表9:代替小分子混合物F
実施例7
増殖した細胞を、表7(「8つすべて」)、8(組み合わせE)および9(組み合わせF)に列挙する小分子を伴いまたは伴わず、正常酸素および低酸素条件下、2D培養で2週間インキュベーションした。
細胞に対して、遺伝子発現分析を行い、再分化が起こったかどうかを決定した。SOX9遺伝子発現は、脱分化した軟骨細胞が、「天然」または再分化軟骨細胞に転換したことを示した(図11)。小分子は、軟骨細胞分化の子のマーカーのレベルを増加させる際、TGFβよりもより有効であった。
SOX5遺伝子発現はまた、陰性対照に比較して、小分子混合物EおよびFとインキュベーションした際にも増加した。このマーカーの増加は、低酸素条件よりも正常酸素条件下でより明らかであった(図12)。
さらに、II型コラーゲンの発現は、TGFβによるよりも、小分子によって、より高い度合いまで増加した(図13)。
1つの個体から得た細胞からの予備的結果によって、アグリカンの発現もまた、表8および9で同定する混合物でのインキュベーション後、低酸素条件において、やはり増加する。
TGFβとは対照的に、実施例1で試験した小分子(「8つすべて」)、ならびに表8および9に列挙するような小分子はすべて、1型コラーゲン(未分化または脱分化軟骨細胞のマーカー)およびX型コラーゲン(変形性関節症において、一般的に発現する肥大性因子)の発現を減少させた(図14)。
実施例8
患者から取り除いた組織から軟骨細胞を単離した。細胞をフラスコ内に植え付け、そして48時間接着/順応することを可能にした。培地を、小分子を含有する細胞転換培地で9日間置き換えた。
TGFβは、軟骨形成分化を駆動することが知られるため、この増殖因子を陽性対照として、培地中に含めた。
結果(図15)は、初代軟骨細胞の脱分化を防止しうる、細胞培地中の小分子の使用を示す。

Claims (55)

  1. 供給源細胞をリプログラミングして、軟骨細胞を産生するための方法であって、供給源細胞において、1つまたはそれより多い転写因子またはその変異体のタンパク質発現を増加させる工程を含む、ここで、該供給源細胞がリプログラミングされて、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す、ここで:
    −該供給源細胞が皮膚線維芽細胞であり、
    −該1つまたはそれより多い転写因子が、表1に列挙する転写因子より選択される
    前記方法。
  2. 供給源細胞から、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す細胞を生成する方法であって:
    −供給源細胞において、1つまたはそれより多い転写因子またはその変異体の量を増加させ;そして
    −ターゲット細胞への分化を可能にするために十分な時間および条件下で、該供給源細胞を培養し;それによって、供給源細胞から、ターゲット細胞の少なくとも1つの特性を示す細胞を生成する工程を含む、ここで:
    −該供給源細胞が皮膚線維芽細胞であり、
    −該転写因子が、表1に列挙するものの1つまたはそれより多くである
    前記方法。
  3. 表1の単一の行に示す転写因子のタンパク質発現または量が増加している、請求項1または2の方法。
  4. 以下の転写因子:
    a)PPRX2、PITX1、SMAD6、FOXC1、SIX2、AHR、FOSBおよびJUNB;
    b)BARX1、PPRX2、SMAD6、FOXC1、SIX2、AHR、FOSBおよびJUNB;
    c)BARX1、PITX1、PPRX2、FOXC1、SIX2、AHR、FOSBおよびJUNB;
    d)BARX1、PITX1、SMAD6、PPRX2、SIX2、AHR、FOSBおよびJUNB;
    e)BARX1、PITX1、SMAD6、FOXC1、PPRX2、AHR、FOSBおよびJUNB;
    f)BARX1、PITX1、SMAD6、FOXC1、SIX2、PPRX2、FOSBおよびJUNB;
    g)BARX1、PITX1、SMAD6、FOXC1、SIX2、AHR、PPRX2およびJUNB;または
    h)BARX1、PITX1、SMAD6、FOXC1、SIX2、AHR、FOSBおよびPPRX2
    のタンパク質発現または量が増加している、請求項1または2の方法。
  5. 供給源細胞をリプログラミングして、軟骨細胞を産生するための方法であって、供給源細胞において、1つまたはそれより多い転写因子またはその変異体のタンパク質発現を増加させる工程を含む、ここで、該供給源細胞がリプログラミングされて、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す、ここで:
    −該供給源細胞が皮膚線維芽細胞であり、
    −該1つまたはそれより多い転写因子が、BARX1、PITX1、SMAD6、FOXC1、SIX2、AHR、FOSBおよびJUNBの1つまたはそれより多くである
    前記方法。
  6. 転写因子が、BARX1、PITX1、SMAD6、FOXC1、SIX2、AHR、およびJUNBである、請求項5の方法。
  7. 軟骨細胞への分化を可能にするために十分な時間および条件下で、前記皮膚線維芽細胞を培養し;それによって、該皮膚線維芽細胞から、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す細胞を生成する工程を含む、請求項5または6の方法。
  8. 前記皮膚線維芽細胞を、該1つまたはそれより多い転写因子をコードする少なくとも1つの核酸配列と接触させ、それによって、該1つまたはそれより多い転写因子の発現を増加させることによって、該1つまたはそれより多い転写因子またはその変異体のタンパク質発現または量を、該皮膚線維芽細胞において増加させる、請求項5〜7のいずれか一項の方法。
  9. 供給源細胞をリプログラミングして、軟骨細胞を産生するための方法であって、供給源細胞において、1つまたはそれより多い転写因子またはその変異体のタンパク質発現を増加させる工程を含む、ここで、該供給源細胞がリプログラミングされて、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す、ここで:
    −該供給源細胞が胚性幹細胞であり、そして
    −該1つまたはそれより多い転写因子が、表2に列挙する転写因子より選択される
    前記方法。
  10. 供給源細胞から、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す細胞を生成する方法であって:
    −供給源細胞において、1つまたはそれより多い転写因子またはその変異体の量を増加させ;そして
    −ターゲット細胞への分化を可能にするために十分な時間および条件下で、供給源細胞を培養し;それによって、供給源細胞から、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す細胞を生成する工程を含む、ここで:
    −供給源細胞が胚性幹細胞であり;
    −転写因子が、表2に列挙するものの1つまたはそれより多くである
    前記方法。
  11. 表2の単一の行に示すような転写因子のタンパク質発現または量が増加している、請求項9または10の方法。
  12. 以下の転写因子:
    a)HOXA11、PITX1、SMAD6、NFKB1、FOXC1、AHR、SIX2およびJUNB;
    b)BARX1、PRRX2、SMAD6、NFKB1、FOXC1、AHR、SIX2およびJUNB;
    c)BARX1、PITX1、TGFB3、NFKB1、FOXC1、AHR、SIX2およびJUNB;
    d)BARX1、PITX1、SMAD6、IRF1、FOXC1、AHR、SIX2およびJUNB;
    e)BARX1、PITX1、SMAD6、NFKB1、PRRX2、AHR、SIX2およびJUNB;
    f)BARX1、PITX1、SMAD6、NFKB1、FOXC1、PRRX2、SIX2およびJUNB;
    g)BARX1、PITX1、SMAD6、NFKB1、FOXC1、AHR、PRRX2およびJUNB;または
    h)BARX1、PITX1、SMAD6、NFKB1、FOXC1、AHR、SIX2およびFOSB
    のタンパク質発現または量が増加している、請求項9または10の方法。
  13. 脱分化した軟骨細胞をリプログラミングして、再分化した軟骨細胞を産生するための方法であって、供給源細胞において、1つまたはそれより多い転写因子またはその変異体のタンパク質発現を増加させる工程を含む、ここで、該脱分化した軟骨細胞がリプログラミングされて、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す、ここで:
    −該1つまたはそれより多い転写因子が、表3に列挙する転写因子より選択される
    前記方法。
  14. 脱分化した軟骨細胞から、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す細胞を生成する方法であって:
    −脱分化した軟骨細胞において、1つまたはそれより多い転写因子またはその変異体の量を増加させ;そして
    −軟骨細胞への再分化を可能にするために十分な時間および条件下で、該脱分化した軟骨細胞を培養する工程を含む、ここで:
    −該転写因子が、表3に列挙するものの1つまたはそれより多くである
    前記方法。
  15. 表3の単一の行に示すような転写因子のタンパク質発現または量が増加している、請求項13または14の方法。
  16. 軟骨細胞の細胞培養の脱分化を防止する方法であって:
    −細胞培養における軟骨細胞中の1つまたはそれより多い転写因子またはその変異体の量を増加させ、それによって、該軟骨細胞の脱分化を防止し、そして軟骨細胞の細胞培養における軟骨細胞の少なくとも1つの特性を維持する、ここで該転写因子は、表3に列挙するものの1つまたはそれより多くである、
    工程を含む、前記方法。
  17. 以下の転写因子:
    a)IL11、SOX5、VEGFA、RUNX1、VDR、NR2F1、FOSBおよびPRRX1;
    b)SOX9、TCF4、VEGFA、RUNX1、VDR、NR2F1、FOSBおよびPRRX1;
    c)SOX9、SOX5、HOXA7、RUNX1、VDR、NR2F1、FOSBおよびPRRX1;
    d)SOX9、SOX5、VEGFA、TCF4、VDR、NR2F1; FOSBおよびPRRX1;
    e)SOX9、SOX5、VEGFA、RUNX1、TCF4、NR2F1、FOSBおよびPRRX1;
    f)SOX9、SOX5、VEGFA、RUNX1、VDR、HOXA7、FOSBおよびPRRX1;
    g)SOX9、SOX5、VEGFA、RUNX1、VDR、NR2F2、FOSBおよびPRRX1;
    h)SOX9、SOX5、VEGFA、RUNX1、VDR、NR2F1、HOXA7およびPRRX1;または
    i)SOX9、SOX5、VEGFA、RUNX1、VDR、NR2F1、FOSBおよびHOXA7
    のタンパク質発現または量が増加している、請求項13〜16のいずれか一項の方法。
  18. 前記脱分化した軟骨細胞が、軟骨細胞の増殖培養から得られるか、または変形性関節症を患う個体由来の生物学的試料から得られる、請求項13〜15または17のいずれか一項の方法。
  19. 前記転写因子が、SOX9、SOX5、VEGFA、RUNX1、VDR、NR2F1、FOSBおよびPRRX1の1つまたはそれより多くである、請求項13〜18のいずれか一項の方法。
  20. 前記転写因子が、SOX9、SOX5、VEGFA、RUNX1、VDR、NR2F1、FOSBおよびPRRX1である、請求項13〜19のいずれか一項の方法。
  21. 供給源細胞を、1つまたはそれより多い転写因子の発現または量を増加させる剤と接触させることによって、該供給源細胞において、該1つまたはそれより多い転写因子またはその変異体のタンパク質発現または量を増加させる、先行する請求項のいずれか一項の方法。
  22. 前記剤が:核酸、タンパク質、アプタマー、小分子、リボソーム、RNAi剤およびペプチド核酸(PNA)、ならびにその類似体または変異体からなる群より選択される、請求項21の方法。
  23. 供給源細胞を、1つまたはそれより多い転写因子の発現または量を増加させる、1つまたはそれより多い小分子と接触させることによって、該供給源細胞において、該1つまたはそれより多い転写因子またはその変異体のタンパク質発現または量を増加させる、請求項1〜22のいずれか一項の方法。
  24. 1つまたはそれより多い小分子が:[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、オールトランスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸、ベータ−エストラジオール、カルシトリオール、シグリタゾン、カルトゲニン、塩化リチウム、メラトニン、ロージン(rhosin)塩酸塩、ロイコボリン、ボリノスタットおよびフォルスコリンからなる群より選択される、請求項23の方法。
  25. 前記供給源細胞を、[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、ベータ−エストラジオール、カルシトリオール、シグリタゾン、カルトゲニン、塩化リチウム、メラトニン、およびロージン塩酸塩と接触させる、請求項21の方法。
  26. 前記供給源細胞を、[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、カルシトリオール、ロイコボリン、ボリノスタットおよびフォルスコリンと接触させる、請求項21の方法。
  27. 前記供給源細胞を、オールトランスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸、カルシトリオール、ロイコボリンおよびボリノスタットと接触させる、請求項21の方法。
  28. 前記剤が、表1〜4のいずれか1つに列挙する1つまたはそれより多い転写因子をコードする核酸である、請求項21の方法。
  29. 前記供給源細胞を、軟骨細胞への分化を可能にするために十分な時間および条件下で培養する工程が、表6に示すような適切な培地中で、細胞を、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13,14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30日間培養する工程を含む、請求項2〜4、9〜12または13〜15のいずれか一項記載の方法。
  30. 細胞の培養を低酸素条件下で実行する、請求項29記載の方法。
  31. 軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す細胞を、個体に投与する工程をさらに含む、先行する請求項のいずれか一項記載の方法。
  32. 軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す細胞であって、請求項1〜31のいずれか一項記載の方法によって産生される、前記細胞。
  33. 細胞の少なくとも5%が、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す細胞集団であって、細胞が請求項1〜31のいずれか一項記載の方法によって産生される、前記細胞集団。
  34. 集団中の細胞の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%が、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す、請求項33記載の細胞集団。
  35. 軟骨細胞の少なくとも1つの特性が、形態学的マーカー、1つまたはそれより多い遺伝子の発現、あるいは1つまたはそれより多いペプチドまたはタンパク質/多糖複合体の産生より選択される、請求項1〜31のいずれか一項の方法。
  36. 変形性関節症または軟骨組織の変性によって特徴づけられる他の状態の治療のための医薬品の製造における:[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、オールトランスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸、ベータ−エストラジオール、カルシトリオール、シグリタゾン、カルトゲニン、塩化リチウム、メラトニン、ロージン塩酸塩、ロイコボリン、ボリノスタットおよびフォルスコリンからなる群より選択される化合物の1つまたはそれより多くの使用。
  37. 変形性関節症または軟骨組織の変性によって特徴づけられる他の状態を治療する方法における使用のための、請求項33または34のいずれか一項記載の細胞集団の使用。
  38. 変形性関節症または軟骨組織の変性によって特徴づけられる他の状態を治療する方法における使用のための、[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、オールトランスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸、ベータ−エストラジオール、カルシトリオール、シグリタゾン、カルトゲニン、塩化リチウム、メラトニン、ロージン塩酸塩、ロイコボリン、ボリノスタットおよびフォルスコリンの1つまたはそれより多く。
  39. 変形性関節症または軟骨組織の変性によって特徴づけられる他の状態を治療する方法であって、こうした治療を必要とする個体に、[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、オールトランスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸、ベータ−エストラジオール、カルシトリオール、シグリタゾン、カルトゲニン、塩化リチウム、メラトニン、ロージン塩酸塩、ロイコボリン、ボリノスタットおよびフォルスコリンの1つまたはそれより多くを含む組成物を投与し、それによって、個体において、変形性関節症または他の状態を治療する工程を含む、前記方法。
  40. 変形性関節症または軟骨組織の変性によって特徴づけられる他の状態を治療する方法における使用のための、[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、オールトランスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸、ベータ−エストラジオール、カルシトリオール、シグリタゾン、カルトゲニン、塩化リチウム、メラトニン、ロージン塩酸塩、ロイコボリン、ボリノスタットおよびフォルスコリンの1つまたはそれより多くを含む、薬学的組成物。
  41. 軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す細胞を産生するための、請求項1〜31のいずれか一項記載の方法における使用のためのキットであって、[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、オールトランスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸、ベータ−エストラジオール、カルシトリオール、シグリタゾン、カルトゲニン、塩化リチウム、メラトニン、ロージン塩酸塩、ロイコボリン、ボリノスタットおよびフォルスコリンの1つまたはそれより多くを含み、任意に、供給源細胞を、ターゲット細胞の少なくとも1つの特性を示す細胞にリプログラミングするための使用説明書をさらに含む、前記キット。
  42. 供給源細胞タイプの軟骨細胞細胞タイプへの転換を促進するために有用な剤を同定するための方法であって:
    −本明細書記載のいずれかの方法による、供給源細胞タイプの軟骨細胞への転換に必要な1つまたはそれより多い転写因子を決定し;
    −供給源細胞タイプの軟骨細胞への転換に必要な1つまたはそれより多い転写因子の量を増加させる能力に関して、1つまたはそれより多い候補剤をスクリーニングする工程を含む;
    ここで、1つまたはそれより多い転写因子の量を増加させる剤を、供給源細胞タイプの軟骨細胞への転換を促進するために有用な剤と決定する
    前記方法。
  43. 軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す細胞を産生するための、請求項1〜31のいずれか一項記載の方法における使用のためのキットであって、本明細書に記載するような1つまたはそれより多い転写因子をコードするヌクレオチド配列を含む1つまたはそれより多い核酸を含み、任意に、供給源細胞を、ターゲット細胞の少なくとも1つの特性を示す細胞にリプログラミングするための使用説明書をさらに含む、前記キット。
  44. 供給源細胞をリプログラミングして、軟骨細胞を産生するためのプロセスであって、供給源細胞において、1つまたはそれより多い転写因子またはその変異体のタンパク質発現を増加させる工程を含む、ここで該供給源細胞はリプログラミングされて、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す、ここで:
    −該供給源細胞が皮膚線維芽細胞であり、
    −該1つまたはそれより多い転写因子が、BARX1、PITX1、SMAD6、FOXC1、SIX2、AHR、FOSBおよびJUNBの1つまたはそれより多くである
    前記プロセス。
  45. 転写因子が、BARX1、PITX1、SMAD6、FOXC1、SIX2、AHR、およびJUNBである、請求項44のプロセス。
  46. 皮膚線維芽細胞を、軟骨細胞への分化を可能にするために十分な時間および条件下で培養し;それによって、皮膚線維芽細胞から、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す細胞を生成する工程をさらに含む、請求項44または45のプロセス。
  47. 皮膚線維芽細胞を、1つまたはそれより多い転写因子をコードする少なくとも1つの核酸配列と接触させ、それによって、1つまたはそれより多い転写因子の発現を増加させることによって、1つまたはそれより多い転写因子またはその変異体のタンパク質発現または量を、皮膚線維芽細胞において増加させる、請求項44〜46のいずれか一項のプロセス。
  48. 脱分化した軟骨細胞から、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す細胞を生成するためのプロセスであって、脱分化した軟骨細胞において、1つまたはそれより多い転写因子またはその変異体の量を増加させ;そして
    −該脱分化した軟骨細胞を、軟骨細胞への分化を可能にするために十分な時間および条件下で培養し;それによって、脱分化した軟骨細胞から、軟骨細胞の少なくとも1つの特性を示す細胞を生成する工程を含む、ここで:
    −該転写因子が:SOX9、SOX5、VEGFA、RUNX1、VDR、NR2F1、FOSBおよびPRRX1の1つまたはそれより多くである
    前記プロセス。
  49. 軟骨細胞細胞培養の脱分化を防止するプロセスであって:
    −細胞培養における軟骨細胞中の1つまたはそれより多い転写因子またはその変異体の量を増加させ、それによって、該軟骨細胞の脱分化を防止し、そして軟骨細胞の細胞培養における軟骨細胞の少なくとも1つの特性を維持する、ここで転写因子は、SOX9、SOX5、VEGFA、RUNX1、VDR、NR2F1、FOSBおよびPRRX1の1つまたはそれより多くである
    工程を含む、前記プロセス。
  50. 転写因子が、SOX9、SOX5、VEGFA、RUNX1、VDR、NR2F1、FOSBおよびPRRX1である、請求項48または49のプロセス。
  51. 皮膚線維芽細胞を、1つまたはそれより多い転写因子をコードする少なくとも1つの核酸配列と接触させ、それによって、1つまたはそれより多い転写因子の発現を増加させることによって、該1つまたはそれより多い転写因子またはその変異体のタンパク質発現または量を、該皮膚線維芽細胞において増加させる、請求項44〜50のいずれか一項のプロセス。
  52. 皮膚線維芽細胞を:[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、オールトランスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸、ベータ−エストラジオール、カルシトリオール、シグリタゾン、カルトゲニン、塩化リチウム、メラトニン、ロージン塩酸塩、ロイコボリン、ボリノスタットおよびフォルスコリンより選択される1つまたはそれより多い小分子と接触させることによって、該1つまたはそれより多い転写因子またはその変異体のタンパク質発現または量を、該皮膚線維芽細胞において増加させる、請求項44〜50のいずれか一項のプロセス。
  53. 細胞を、[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、ベータ−エストラジオール、カルシトリオール、シグリタゾン、カルトゲニン、塩化リチウム、メラトニン、およびロージン塩酸塩と接触させる、請求項52のプロセス。
  54. 細胞を、[4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(AM580)、カルシトリオール、ロイコボリン、ボリノスタットおよびフォルスコリンと接触させる、請求項52のプロセス。
  55. 細胞を、オールトランスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸、カルシトリオール、ロイコボリンおよびボリノスタットと接触させる、請求項52のプロセス。
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