定義
「担体ポリマー」は、本発明において使用するための薬剤、例えば薬物とブレンドするために好適なポリマーである。
「薬剤」は、患者、個体、又は対象における治療、診断、又は栄養上の使用を目的とするあらゆる物質である。薬剤としては、薬物、栄養分、ビタミン、及び鉱物が挙げられるがこれらに限定されない。
「分散剤」は、薬剤粒子サイズの最小化及び担体ポリマーマトリックス中での薬剤粒子の分散を補助する物質として定義される。すなわち、分散剤は、システムの製造中の粒子の凝集又は綿状沈殿を最小化又は予防するのを助ける。したがって、分散剤は、抗凝集活性及び抗集合活性(anti−flocculant activity)を有し、担体ポリマーマトリックス中での薬剤粒子の均一な分布の維持を助ける。
「賦形剤」は、薬剤それ自体ではない、薬剤の配合物に加えられるあらゆる物質である。賦形剤としては、結合剤、コーティング剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、香味剤、滑剤、潤滑剤、及び防腐剤が挙げられるがこれらに限定されない。分散剤の特定のカテゴリーは、賦形剤のより一般的なカテゴリーに入る。
「エラスティックポリマー」又は「エラストマー」(「テンシルポリマー」(tensile polymer)とも称される)は、加えられた力によりある期間にわたってその元々の形状から変形することができ、かつその後、加えられた力が除去されるとその元々の形状へ実質的に戻るポリマーである。
「連結ポリマー」は、第1の担体ポリマー−薬剤成分を第2の担体ポリマー−薬剤成分に連結させるなど、あらゆる他のポリマーを連結して一緒にするために好適なポリマーである。連結ポリマーは、典型的に、他の成分の間にリンカー領域を形成する。
「時間依存性ポリマー」又は「時間依存性連結ポリマー」は、胃内滞留システムが胃の中に配置された時に時間依存的方式で分解するポリマーである。時間依存性ポリマーは、典型的に、胃の中における通常のpH変化により影響されない。
「おおよそ一定の血漿レベル」は、胃内滞留システムが胃の中に滞留している期間にわたり測定される平均血漿レベルの2の係数内(すなわち、平均血漿レベルの50〜200%)に留まる血漿レベルを指す。
「実質的に一定の血漿レベル」は、胃内滞留システムが胃の中に滞留している期間にわたり測定される平均血漿レベルのプラス又はマイナス25%以内に留まる血漿レベルを指す。
「親水性治療剤」、「親水性薬剤」、又は「親水性薬物」は、水中に容易に溶解する薬剤である。親水性薬剤は、水中で1mg/ml又はより大きい溶解度を有する薬剤として定義される。あるいは、親水性薬剤は、1−オクタノール/水系において0.5未満のlogPoct(log分配係数Poct、ここでPoct=(1−オクタノール中の濃度)/(H2O中の濃度))を有する薬剤として定義することができる。溶解度又はlogPoctが測定されるpHは、胃環境を近似して1.6である。
「疎水性治療剤」、「疎水性薬剤」、又は「疎水性薬物」は、水中で容易に溶解しない薬剤である。疎水性薬剤は、水中で1mg/ml未満の溶解度を有する薬剤として定義される。あるいは、疎水性薬剤は、1−オクタノール/水系において1より大きいlogPoct(log分配係数)を有する薬剤として定義することができる。あるいは、疎水性治療剤は、水中よりもエタノール中でより高い溶解度を有する薬剤として定義することができる。あるいは、疎水性治療剤は、100%の模擬胃液中よりも40%のエタノール/60%の模擬胃液中でより高い溶解度を有する薬剤として定義することができる。
「生体適合性」は、材料又はシステムを記載するために使用される場合、材料又はシステムが、生物、例えばヒトと接触した時に、有害反応を誘発しないか、又は最小で許容できる有害反応のみを引き起こすことを指し示す。胃内滞留システムの文脈では、生体適合性は、胃腸管の環境において評価される。
「患者」、「個体」、又は「対象」は、哺乳動物、好ましくは、ヒト又は家畜動物、例えば、イヌ又はネコを指す。最も好ましい実施形態では、患者、個体、又は対象はヒトである。
本明細書において使用される粒子の「直径」は、粒子の最も長い寸法を指す。
本明細書に開示されるシステム及び方法を用いて疾患又は障害を「治療」することは、疾患若しくは障害、若しくは疾患若しくは障害の1つ若しくは複数の症状を低減させ若しくは取り除くため、又は疾患若しくは障害若しくは疾患若しくは障害の1つ若しくは複数の症状の進行を遅らせるため、又は疾患若しくは障害若しくは疾患若しくは障害の1つ若しくは複数の症状の重篤度を低減させるために、追加の薬剤を伴い又は伴わずに、本明細書に開示されるシステムの1つ又は複数をそれを必要とする患者に投与することとして定義される。本明細書に開示されるシステム及び方法を用いる疾患又は障害の「抑制」は、疾患若しくは障害の臨床症状を阻害するため、又は疾患若しくは障害の有害な症状の発症を阻害するために、追加の薬剤を伴い又は伴わずに、本明細書に開示されるシステムの1つ又は複数をそれを必要とする患者に投与することとして定義される。治療と抑制との区別は、治療は疾患又は障害の有害な症状が患者において現れた後に行われる一方、抑制は疾患又は障害の有害な症状が患者において現れる前に行われることである。抑制は、部分的、実質的に全体的、又は全体的であり得る。いくつかの疾患又は障害は遺伝性であるので、疾患又は障害のリスクがある患者を同定するために遺伝子スクリーニングを使用することができる。次に、あらゆる有害な症状の出現を抑制するために、本発明のシステム及び方法を使用して、疾患又は障害の臨床症状を発症するリスクがある無症候性患者を処置することができる。
本明細書に開示されるシステムの「治療的使用」は、上記に定義されるように、疾患又は障害を治療するために本明細書に開示されるシステムの1つ又は複数を使用することとして定義される。治療剤、例えば薬物の「治療有効量」は、患者に投与された時に、疾患若しくは障害若しくは疾患若しくは障害の1つ若しくは複数の症状を低減させ若しくは取り除くため、又は疾患若しくは障害若しくは疾患若しくは障害の1つ若しくは複数の症状の進行を遅らせるため、又は疾患若しくは障害若しくは疾患若しくは障害の1つ若しくは複数の症状の重篤度を低減させるために充分な薬剤の量である。治療有効量は、単回用量として患者に投与され得るか、又は分割して複数の用量として投与され得る。
本明細書に開示されるシステムの「予防的使用」は、上記に定義されるように、疾患又は障害を抑制するために本明細書に開示されるシステムの1つ又は複数を使用することとして定義される。薬剤の「予防有効量」は、患者に投与された時に、疾患若しくは障害の臨床症状を抑制するため、又は疾患若しくは障害の有害な症状の発現を抑制するために充分な薬剤の量である。予防有効量は、単回用量として患者に投与され得るか、又は分割して複数の用量として投与され得る。
本明細書において使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別に指し示さなければ、又は文脈が明確にそれ以外であることを規定しなければ、複数の指示対象を含む。
本明細書において数値が「約」という用語又は「おおよそ」という用語を使用して表される場合、指定される値と、指定される値に合理的に近い値との両方が含まれることが理解される。例えば、「約50℃」又は「おおよそ50℃」という記載は、50℃それ自体と、50℃に近い値との両方の開示を含む。したがって、「約X」又は「おおよそX」という語句は、値Xそれ自体の記載を含む。「おおよそ50〜60℃」又は「約50〜60℃」のような範囲が指し示される場合、端点により指定される両方の値が含まれること、及び各端点又は両方の端点に近い値が各端点又は両方の端点について含まれることが理解され、すなわち、「おおよそ50〜60℃」(又は「約50〜60℃」)は、「50〜60℃」及び「おおよそ50〜おおよそ60℃」(又は「約50〜60℃」)の両方を指すことに相当する。
本明細書に開示される数値範囲に関して、成分についてのあらゆる開示される上限は、その成分についてのあらゆる開示される下限と組み合わせられて範囲を提供し得る(但し、上限はそれが組み合わせられる下限より大きい)。開示される上限及び下限のこれらの各組合せが本明細書において明示的に想定される。例えば、特定の成分の量についての範囲が10〜30%、10〜12%、及び15〜20%として与えられる場合、10〜20%及び15〜30%という範囲もまた想定される一方、15%の下限と12%の上限との組合せは可能でなく、それゆえ想定されない。
別段の規定がなければ、組成物中の成分のパーセンテージは、重量パーセント、又は重量/重量パーセントとして表される。組成物中の相対的な重量パーセンテージへの言及は、組成物中の全ての成分を合わせた総重量パーセンテージが100まで合計されると考えられることが理解される。あらゆる特定の成分の重量パーセントがその成分について指定される範囲の限度を外れない限り、1つ又は複数の成分の相対的な重量パーセンテージは、組成物中の成分の重量パーセントが合わせて合計で100になるように上方又は下方に調整され得ることがさらに理解される。
薬剤の分配挙動は、ポリカプロラクトン相(PCL相)と模擬胃液相(SGF相)との間で測定されて、薬剤について2つの相間の分配係数PPCL−SGFを得ることができる。LogPPCL−SGFもまた算出することができる。PPCL−SGF=(ポリカプロラクトンジオール中の濃度)/(FaSSGF中の濃度))となるように、ポリカプロラクトンジオール(MW 530):酢酸エチルの5:1混合物をPCL相として使用することができ、絶食状態模擬胃液(FaSSGF)をSGF相として使用することができる。
本明細書に記載される一部の実施形態は、それらの様々な要素に関して「含む」(comprising)又は「含む」(comprises)として記載される。代替的な実施形態では、それらの要素は、それらの要素に適用される「から本質的になる」(consisting essentially of)又は「から本質的になる」(consists essentially of)という移行句を用いて記載され得る。さらなる代替的な実施形態では、それらの要素は、それらの要素に適用される「からなる」(consisting of)又は「からなる」(consists of)という移行句を用いて記載され得る。したがって、例えば、組成物又は方法がA及びBを含むとして本明細書に開示される場合、「A及びBから本質的になる」その組成物又は方法についての代替的な実施形態及び「A及びBからなる」その組成物又は方法についての代替的な実施形態もまた、本明細書に開示されていると考えられる。同様に、それらの様々な要素に関して「から本質的になる」又は「からなる」として記載される実施形態はまた、それらの要素に適用される「含む」として記載され得る。最後に、それらの様々な要素に関して「から本質的になる」として記載される実施形態はまた、それらの要素に適用される「からなる」として記載してもよく、それらの様々な要素に関して「からなる」として記載される実施形態はまた、それらの要素に適用される「から本質的になる」として記載されてもよい。
組成物又はシステムが、列記された要素「から本質的になる」として記載される場合、組成物又はシステムは、明示的に列記された要素を含有し、かつ、治療されている状態(状態を治療するための組成物の場合)、又は記載されるシステムの特性(システムを含む組成物の場合)に実質的に影響しない他の要素を含有し得る。しかしながら、組成物若しくはシステムは、明示的に列記された要素以外の治療されている状態に実質的に影響するいかなる他の要素も含有しないか(システムを治療するための組成物の場合)、若しくはシステムの特性に実質的に影響するいかなる他の要素も含有せず(システムを含む組成物の場合);又は、組成物若しくはシステムが、治療されている状態若しくはシステムの特性に実質的に影響し得る列記された要素以外の追加の要素を含有する場合、組成物若しくはシステムは、治療されている状態若しくはシステムの特性に実質的に影響するために充分な濃度若しくは量のそれらの追加の要素を含有しない。方法が、列記されたステップ「から本質的になる」として記載される場合、方法は、列記されたステップを含有し、かつ、方法により治療されている状態又は方法により生じるシステムの特性に実質的に影響しない他のステップを含有し得るが、方法は、明示的に列記されたステップ以外に、治療されている状態又は製造されるシステムに実質的に影響するいかなる他のステップも含有しない。
本開示は、いくつもの実施形態を提供する。あらゆる実施形態からのあらゆる特徴は、可能な場合、あらゆる他の実施形態からのあらゆる特徴と組み合わせることができることが想定される。この方法において、開示される特徴の混成的な構成は本発明の範囲内である。
本明細書に開示される実施形態及び方法に加えて、胃内滞留システムの追加の実施形態、並びにそのようなシステムを製造及び使用する方法が国際特許出願第WO2015/191920号、同第WO2015/191925号、同第WO2017/070612号、同第WO2017/100367号、及び同第PCT/US2017/034856号(これらは参照することにより全体が本明細書に組み込まれる)に開示されている。
胃内滞留システムのための薬物−ポリマー配合物及び賦形剤
胃内滞留システム中の薬剤又はその薬学的に許容される塩のための担体材料の選択は、胃内滞留の期間中の薬物の放出プロファイルに影響を及ぼし、以下のセクション「セグメント及び細長部材のための担体ポリマー(担体ポリマー−薬剤成分)」においてより詳細に議論される。薬物の放出は、担体ポリマー−薬剤成分中に含まれる多様な賦形剤によりモジュレートすることができる。可溶性賦形剤としては、P407、オイドラギットE、PEG、ポリビニルピロリドン(PVP)、及びポリビニルアルコール(PVA)が挙げられる。不溶性ウィッキング性賦形剤としては、オイドラギットRS及びオイドラギットRLが挙げられる。分解性賦形剤としては、PLA、PLGA、PLA−PCL、ポリジオキサノン、並びにカプロラクトン及びグリコリドの直鎖状コポリマー;グリコリド、カプロラクトン、及び炭酸トリメチレンのポリアキシャルブロックコポリマー;グリコリド、炭酸トリメチレン、及びラクチドのポリアキシャルブロックコポリマー;グリコリド、炭酸トリメチレン及びコハク酸ポリプロピレンのポリアキシャルブロックコポリマー;カプロラクトン、ラクチド、グリコリド、及び炭酸トリメチレンのポリアキシャルブロックコポリマー;グリコリド、炭酸トリメチレン、及びカプロラクトンのポリアキシャルブロックコポリマー;並びにラクチド、カプロラクトン、及び炭酸トリメチレンの直鎖状ブロックコポリマー;例えば、カプロラクトン(95%)及びグリコリド(5%)の直鎖状コポリマー;グリコリド(68%)、カプロラクトン(29%)、及び炭酸トリメチレン(3%)のポリアキシャルブロックコポリマー;グリコリド(86%)、炭酸トリメチレン(9%)、及びラクチド(5%)のポリアキシャルブロックコポリマー;グリコリド(70%)、炭酸トリメチレン(27%)及びコハク酸ポリプロピレン(2%)のポリアキシャルブロックコポリマー;カプロラクトン(35%)、ラクチド(34%)、グリコリド(17%)、及び炭酸トリメチレン(14%)のポリアキシャルブロックコポリマー;グリコリド(55%)、炭酸トリメチレン(25%)、及びカプロラクトン(20%)のポリアキシャルブロックコポリマー;並びにラクチド(39%)、カプロラクトン(33%)、及び炭酸トリメチレン(28%)の直鎖状ブロックコポリマーが挙げられる。不溶性膨潤性賦形剤としては、ポリビニルアセテート(PVAc)、クロスポビドン、クロスカルメロース、HPMCAS、並びにジオキサノン及びエチレングリコールの直鎖状ブロックコポリマー;ラクチド及びエチレングリコールの直鎖状ブロックコポリマー;ラクチド、エチレングリコール、炭酸トリメチル、及びカプロラクトンの直鎖状ブロックコポリマー;ラクチド、グリコリド、及びエチレングリコールの直鎖状ブロックコポリマー;グリコリド、ポリエチレングリコール、及びエチレングリコールの直鎖状ブロックコポリマー;例えば、ジオキサノン(80%)及びエチレングリコール(20%)の直鎖状ブロックコポリマー;ラクチド(60%)及びエチレングリコール(40%)の直鎖状ブロックコポリマー;ラクチド(68%)、エチレングリコール(20%)、炭酸トリメチル(10%)、及びカプロラクトン(2%)の直鎖状ブロックコポリマー;ラクチド(88%)、グリコリド(8%)、及びエチレングリコール(4%)の直鎖状ブロックコポリマー;グリコリド(67%)、ポリエチレングリコール(28%)、及びエチレングリコール(5%)の直鎖状ブロックコポリマーが挙げられる。界面活性剤としては、レシチン、タウロコレート、SDS、ソルプラス、脂肪酸、及びコリフォールRH40が挙げられる。
放出速度調節ポリマーフィルム
本発明は、特に、胃内滞留システム、胃内滞留システムの細長部材、並びに放出速度調節フィルムを用いてコーティングされた、胃内滞留システム及び胃内滞留システムの細長部材において使用するためのセグメントを提供する。胃内滞留システムの担体ポリマー−薬剤セグメント上又は胃内滞留システムの細長部材上など、胃内滞留システムと共に放出速度調節ポリマーフィルムを使用することは、放出速度調節フィルムを欠いた担体ポリマー−薬剤セグメントを有するシステムに対していくつもの顕著な利点を提供する。放出速度調節ポリマーフィルムは、胃液との最初の接触時の薬剤のバースト放出を低減させる。滞留期間にわたる薬剤放出の線形性は、放出速度調節ポリマーフィルムを使用することにより改善される。これらの利点の両方は、胃内滞留システムからの投与のより良好な調節を提供する。放出速度調節ポリマーフィルムの一部の組成物はまた、そのようなフィルムを欠いたシステムと比較して、アルコールへの曝露時のバースト放出を有意に低減させることができる。
放出速度調節ポリマーフィルムは、担体ポリマー−薬剤セグメントの全体又は部分をコーティングすることができるコーティングである。フィルムは、連続的、不連続的、平坦、又は織り目加工されたものであり得る。それらは、セグメントにわたり滑らかなコーティングであり得るか、又はセグメントの表面上に存在し得る孔の輪郭に沿ったものであり得る。
好ましい実施形態では、本明細書に開示される胃内滞留システムのいずれかの放出速度調節フィルムは、連結ポリマー、腸溶性ポリマー、腸溶性リンカー、時間依存性リンカー、分解性ポリマー、分解性マトリックス、又は胃内滞留システムの他のリンカーを覆わない。放出速度調節ポリマーフィルムが、連結ポリマー、腸溶性ポリマー、腸溶性リンカー、時間依存性リンカー、分解性ポリマー、分解性マトリックス、又は他のリンカーのような1つ又は複数のリンカーを含む細長部材の表面上にコーティングされる場合、フィルムは不連続であり、リンカーを覆わずかつコーティングしない。これは、細長部材を構成することになるセグメントに放出速度調節フィルムを適用した後、コーティングされたセグメントをリンカーを用いて連結させて一緒にし、細長部材を形成することにより容易に達成され;担体ポリマー−薬剤(又は薬剤の塩)を含むセグメントは、したがって、放出速度調節フィルムを用いてコーティングされるが、リンカーは、放出速度調節フィルムによりコーティングされない。
フィルムは、典型的に、胃内滞留システムのセグメントに適用される。フィルムはまた、複数セグメント細長部材の中心エラストマーへの取付けの前に複数セグメント細長部材に適用することができる。フィルムはまた、非セグメント化細長部材(すなわち、1つのセグメントのみを含む細長部材)の中心エラストマーへの取付けの前に非セグメント化細長部材に適用することができる。非セグメント化細長部材は、直接的に、又は分解性マトリックス若しくは連結ポリマーのようなリンカーを介して、中心エラストマーに取り付けることができる。胃内滞留システムのセグメントの例を図1Aに示し、該図では、セグメント102及びセグメント103がリンカー104により連結され、中心エラストマー106に取り付けられている。セグメント102及び104は、担体ポリマー及び薬剤(例えば、薬物)を含む。胃内滞留システムのセグメント上に放出速度調節ポリマーフィルムを使用することにより、本明細書に記載される有利な特徴が提供される。
所望の薬剤放出特性を生成するためにフィルムのいくつものパラメーターを調整することができ、それを以下において議論する。
放出速度調節ポリマーフィルムの化学組成
放出速度調節ポリマーフィルムを形成するために様々なポリマーを使用することができる。ポリエステルは、放出速度調節ポリマーフィルムの作製のための有用な化合物のクラスである。本発明において使用することができるポリエステルとしては、主鎖として脂肪族基を有するポリエステル、例えば、ポリラクトン、例えばポリカプロラクトン(PCL);ポリグリコール酸(PGA);ポリ乳酸(PLA);ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA);ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、例えば、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロシキバレレート(PHV)、及びポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバレレート)(PHBV);ポリエチレンアジペート(PEA);ポリブチレンサクシネート(PBS)、並びに、主鎖中に芳香族基を有するポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、及びポリエチレンナフタレート(PEN)が挙げられる。ブロック又はランダムコポリマー、例えば、上記のポリエステルのモノマー構成要素を組み込んだブロック又はランダムコポリマーなどのヘテロポリマーもまた使用することができ、これには、ラクチド及びカプロラクトンのコポリマー(ポリ−ラクチド−コ−カプロラクトン;PLC)が含まれる。2つ又はそれより多くのポリエステルの混合物もまた使用することができる。
ポリエステルに加えて、酢酸セルロース(CA)、エチルセルロース(EC)、及びアクリレートとメタクリル酸エステルとのコポリマー(例えば、オイドラギットRS)もまた、放出速度調節ポリマーフィルムとして使用することができる。
2つ又はそれより多くの異なる化学物質クラスのポリマーからのポリマーの混合物もまた、放出速度調節ポリマーフィルムを形成するために用いることができる。
放出速度調節ポリマーフィルムは、−R1−O−C(=O)−(式中、R1は、C1〜C12アルキレン基、例えば、C1〜C8アルキレン基又はC1〜C4アルキレン基、2〜12個の炭素原子、2〜8個の炭素原子又は2〜4個の炭素原子を含有するエーテル、及び3〜12個の炭素原子又は3〜8個の炭素原子を含有するポリエーテルからなる群から選択される)の形態の繰返し単位を有するポリエステルを含み得る。ポリエステルは、適宜、ヒドロキシ基、水素、−C1〜C12アルキル基、−C1〜C8アルキル基、又は−C1〜C4アルキル基、又は−C1〜C12−OH、−C1−C8−OH、又は−C1〜C4−OH(アルコール)基を末端に持つことができる。一部の実施形態(embomdiments)では、R1基は、ホモポリマーを形成するためにポリマーの全体を通じて同じ部分であり得る。一部の実施形態では、R1基は、ヘテロポリマーを形成するために、2つ又はそれより多くの異なる部分から選択され得る。ヘテロポリマーは、ランダムコポリマー、又はブロックコポリマーであり得る。
放出速度調節ポリマーフィルムは、少なくとも2つの異なるポリエステルを含むことができ、各異なるポリエステルは、−Rn−O−C(=O)−(式中、異なるポリエステルの少なくとも2つ又はそれより多くがホモポリマーである場合、いずれか1つのホモポリマーのRn基は、いずれかの他のホモポリマーのRn基とは異なり;かつ、異なるポリエステルの少なくとも2つ又はそれより多くがヘテロポリマーである場合、各ヘテロポリマーは、いずれかの他のヘテロポリマーのRn基の変化するパターンとは異なるRn基の変化するパターンを有し;かつ、各Rnは、C1〜C12アルキレン基、2〜12個の炭素原子を含有するエーテル、及び3〜12個の炭素原子を含有するポリエーテルからなる群から選択される)の形態の繰返し単位を有する異なるポリエステルである。
放出速度調節ポリマーフィルムとして使用するための好ましいポリエステルは、ポリカプロラクトン及びポリジオキサノン、特にポリカプロラクトン(PCL)である。約10,000〜約150,000Mn;約20,000〜約120,000Mn;約30,000〜約120,000Mn;約40,000〜約120,000Mn;約50,000〜約110,000Mn;約80,000〜約120,000Mn;約80,000〜約110,000Mn、約60,000〜約100,000Mn;約70,000〜約90,000Mn;約80,000Mn;約90,000Mn;約100,000Mn;約10,000〜約100,000Mn;約10,000〜約80,000Mn;約40,000〜約70,000Mn;約50,000〜約60,000Mn;又は約55,000Mnの数平均分子量を有するPCLを放出速度調節ポリマーフィルムのために使用することができる。約85,000〜95,000Mn、又は約90,000Mnのような、約80,000〜約110,000MnのPCLが好ましい。
ポリカプロラクトンはまた、その固有粘度により特徴付けることができる。約1.0〜約2.5dL/g又は約1.5〜約2.1dL/gのPCLを使用することができる。固有粘度は、CHCl3中25℃で測定することができる。
ポロゲン、可塑剤、及び放出速度調節ポリマーフィルムへの他の添加物
担体ポリマー−薬剤セグメント中の薬剤の放出速度をさらに調整するために、ポロゲン、可塑剤、又はポロゲン及び可塑剤の両方を放出速度調節ポリマーフィルムに加えることができる。
ポロゲンは、放出速度調節ポリマーフィルムから溶け出て、フィルム中に孔を生成する可溶性の添加物である。いくつかの実施形態では、ポロゲンは、胃内滞留システムが胃環境中に配置された時にフィルムから溶け出る。すなわち、セグメントの作製後、胃内滞留システムに組み立てられるセグメント中、及び患者に投与される胃内滞留システム中にポロゲンは残っており;次に、胃内滞留システムが患者に投与されて胃環境と接触した時に、ポロゲンは放出速度調節ポリマーフィルムから溶け出る。別の実施形態では、セグメントが胃内滞留システムに組み立てられる前にポロゲンはフィルムで覆われた担体ポリマー−薬剤セグメントから除去されるか、又は胃内滞留システムが胃環境中に配置される前にポロゲンは胃内滞留システムから除去される。
ポロゲンは、有機又は無機材料であり得る。ポロゲンの例としては、アルカリ金属塩、例えば、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、リン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硝酸カリウム、及び同種のもの;アルカリ土類金属塩、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、及び同種のもの;並びに遷移金属塩、例えば、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸亜鉛、塩化第二銅、及び同種のものが挙げられる。ポロゲンの追加の例としては、サッカリド及び糖、例えば、スクロース、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、アルドヘキソース、アルトロース、タロース、ラクトース、セルロース、単糖、二糖、及び水溶性多糖が挙げられる。ポロゲンの追加の例としては、ソルビトール、マンニトール、ジオール及びポリオールを含む有機脂肪油及び芳香油、例えば、多価アルコール、ポリ(アルキレングリコール)、ポリグリコール、アルキレングリコール、ポリ(a,m)アルキレンジオールエステル又はアルキレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及び水溶性ポリマー材料が挙げられる。使用することができるポロゲンのさらなる例としては、ポロキサマー;ヒプロメロース(HPMC);コリフォールRH40;ポリビニルカプロラクタム;ポリビニルアセテート(PVAc);ポリエチレングリコール(PEG);ソルプラス(BASFから入手可能;ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルアセテート、及びポリエチレングリコールのコポリマー);コポビドン;オイドラギット(E、RS、RL);ポリ(メチルビニルエーテル−alt−無水マレイン酸);ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリソルベート;ポリオキシエチレンステアレート;ポリデキストロース;ポリアクリル酸;アルギネート;ナトリウムデンプングリコレート(SSG);架橋ポリアクリル酸(カーボポール);架橋PVP(クロスポビドン);架橋セルロース(クロスカルメロース);ケイ酸カルシウム;キサンタンガム;及びゲランガムが挙げられる。一部の特に有用なポロゲンとしては、ポビドン、コポビドン、及びポリオキシルヒマシ油が挙げられる。
放出速度調節ポリマーフィルムの重量の約1〜約30%を構成するようにポロゲンを加えることができる。放出速度調節ポリマーフィルムの重量の約1〜約25%、約1〜約20%、約1〜約15%、約1〜約10%、約1約8%、約1〜約5%、約1〜約3%、約5〜約30%、約10〜約30%、約15〜約30%、約20〜約30%、又は約25〜約30%を構成するようにポロゲンを加えることができる。ポロゲンの好ましい範囲は、放出速度調節ポリマーフィルムの重量の約5〜約20%、より好ましくは約10〜約20%である。
放出速度調節ポリマーフィルムの特性をさらに調整するために可塑剤を加えることもできる。使用することができる可塑剤としては、フタル酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、アジピン酸塩、セバシン酸塩、スルホンアミド、コハク酸塩、グリコール酸塩、グリセロール酸塩、安息香酸塩、ミリスチン酸塩、及びハロゲン化フェニルのクラスが挙げられる。使用することができる特定の可塑剤としては、トリアセチン、クエン酸トリエチル、PEG、ポロキサマー、クエン酸トリブチル、及びセバシン酸ジブチルが挙げられる。トリアセチン及びクエン酸トリエチル(TEC)は特に有用である。
放出速度調節ポリマーフィルムの重量の約1〜約35%、約1〜約30%、約1〜約25%、約1〜約20%、約1〜約15%、約1〜約10%、約1〜約8%、約1〜約5%、約1〜約3%、約5〜約40%、約10〜約40%、約15〜約40%、約20〜約40%、約25〜約40%、約30〜約40%、約10〜約30%、約15〜約30%、約20〜約30%、約25〜約30%、又は約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、若しくは約40%を構成するように可塑剤を加えることができる。可塑剤の好ましい範囲は、放出速度調節ポリマーフィルムの重量の約5〜約20%、より好ましくは約10〜約20%である。
加工助剤もまた、放出速度調節ポリマーフィルムに加えることができる。フィルムの加工を補助するために、ステアリン酸マグネシウム、タルク、又はモノステアリン酸グリセロールのような粘着防止剤を加えることができる。そのような粘着防止剤は、約0.5〜約5%、約1〜約3%、又は約2%の量で加えることができる。
放出速度調節ポリマーフィルム中の透過性成分
放出速度調節ポリマーフィルムは、薬剤若しくはその薬学的に許容される塩を透過させる、水を透過させる、又は薬剤若しくはその塩及び水の両方を透過させる透過性成分をさらに含み得る。透過性成分は、したがって、胃内滞留システムの担体ポリマー中への水の流入速度を増加させ、かつ薬剤又はその塩の胃内滞留システムからの放出速度を増加させるように機能することができる。透過性成分は、ポリマー又は膨潤性材料であり得る。透過性成分は、フィルムの重量の約1〜約30%を構成し得る。透過性成分は、SSG(ナトリウムデンプングリコレート)、クロスポビドン、クロスカルメロース、及びカーボポール(PAA;架橋ポリアクリル酸)からなる群から選択され得る。透過性成分を通過する水の通過速度及び薬剤又はその塩の通過速度の少なくとも1つは、透過剤を欠きかつポロゲンの除去により生成される孔を欠いた放出速度調節ポリマーフィルムを通過する水の通過速度又は薬剤の通過速度と比較してより高いものであるべきである。様々な実施形態では、透過性成分を通過する水の通過速度、薬剤若しくはその塩の通過速度、又は水の通過速度及び薬剤若しくはその塩の通過速度の両方は、透過剤を欠きかつポロゲンの除去により生成される孔を欠いた放出速度調節ポリマーフィルムを通過する水の通過速度又は薬剤若しくはその塩の通過速度、又は水の通過速度及び薬剤若しくはその塩の通過速度の両方と比較して、最大約1.5倍、最大約2倍、最大約3倍、最大約4倍、最大約5倍、最大約6倍、最大約7倍、最大約8倍、おおよそ約10倍まで、最大約15倍、最大約20倍、最大約25倍、最大約50倍、又は最大約100倍速い。
フィルムの組合せ
セグメント及び細長部材のための放出速度調節ポリマーフィルムのために使用することができる様々なオプションは以下の通りである(パーセンテージは重量パーセンテージである):
フィルムにおいて使用されるポリマー、約40〜約80%;ポロゲン、約3〜約20%;可塑剤、約3〜約20%;粘着防止剤、約0.5〜約5%;
フィルムにおいて使用されるポリマー、約50〜約72%;ポロゲン、約5〜約20%;可塑剤、約5〜約20%;粘着防止剤、約0.5〜約5%;又は
フィルムにおいて使用されるポリマー、約53〜約65%;ポロゲン、約10〜約20%;可塑剤、約10〜約20%;粘着防止剤、約1〜約3%。
これらのオプションのいずれかにおいて使用することができるポリマーの例は、ポリカプロラクトン及びポリジオキサノンであり;好ましくは、ポリカプロラクトンがポリマーとして使用される。
これらのオプションのいずれかにおいて使用することができるポロゲンの例は、ポビドン、コポビドン、及びポリオキシルヒマシ油である。
これらのオプションのいずれかにおいて使用することができる可塑剤の例としては、クエン酸トリエチル、トリアセチン、PEG、ポロキサマー、クエン酸トリブチル、及びセバシン酸ジブチルが挙げられる。
これらのオプションのいずれかにおいて使用することができる粘着防止剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、タルク、及びモノステアリン酸グリセロールが挙げられる。
放出速度調節ポリマーフィルムのための好ましい組合せは、ポリカプロラクトン、コポビドン、クエン酸トリエチル、及びステアリン酸Mgである。
使用することができる特定のポリマー−ポロゲン−可塑剤−粘着防止剤の組合せとしては、ポリカプロラクトン−ポビドン−クエン酸トリエチル−ステアリン酸Mg;ポリカプロラクトン−コポビドン−クエン酸トリエチル−ステアリン酸Mg;ポリカプロラクトン−ポリオキシルヒマシ油−クエン酸トリエチル−ステアリン酸Mg;ポリカプロラクトン−ポビドン−トリアセチン−ステアリン酸Mg;ポリカプロラクトン−コポビドン−トリアセチン−ステアリン酸Mg;ポリカプロラクトン−ポリオキシルヒマシ油−トリアセチン−ステアリン酸Mg;ポリカプロラクトン−ポビドン−PEG−ステアリン酸Mg;ポリカプロラクトン−コポビドン−PEG−ステアリン酸Mg;ポリカプロラクトン−ポリオキシルヒマシ油−PEG−ステアリン酸Mg;ポリカプロラクトン−ポビドン−ポロキサマー−ステアリン酸Mg;ポリカプロラクトン−コポビドン−ポロキサマー−ステアリン酸Mg;ポリカプロラクトン−ポリオキシルヒマシ油−ポロキサマー−ステアリン酸Mg;ポリカプロラクトン−ポビドン−クエン酸トリブチル−ステアリン酸Mg;ポリカプロラクトン−コポビドン−クエン酸トリブチル−ステアリン酸Mg;ポリカプロラクトン−ポリオキシルヒマシ油−クエン酸トリブチル−ステアリン酸Mg;ポリカプロラクトン−ポビドン−セバシン酸ジブチル−ステアリン酸Mg;ポリカプロラクトン−コポビドン−セバシン酸ジブチル−ステアリン酸Mg;ポリカプロラクトン−ポリオキシルヒマシ油−セバシン酸ジブチル−ステアリン酸Mg;ポリカプロラクトン−ポビドン−クエン酸トリエチル−タルク;ポリカプロラクトン−コポビドン−クエン酸トリエチル−タルク;ポリカプロラクトン−ポリオキシルヒマシ油−クエン酸トリエチル−タルク;ポリカプロラクトン−ポビドン−トリアセチン−タルク;ポリカプロラクトン−コポビドン−トリアセチン−タルク;ポリカプロラクトン−ポリオキシルヒマシ油−トリアセチン−タルク;ポリカプロラクトン−ポビドン−PEG−タルク;ポリカプロラクトン−コポビドン−PEG−タルク;ポリカプロラクトン−ポリオキシルヒマシ油−PEG−タルク;ポリカプロラクトン−ポビドン−ポロキサマー−タルク;ポリカプロラクトン−コポビドン−ポロキサマー−タルク;ポリカプロラクトン−ポリオキシルヒマシ油−ポロキサマー−タルク;ポリカプロラクトン−ポビドン−クエン酸トリブチル−タルク;ポリカプロラクトン−コポビドン−クエン酸トリブチル−タルク;ポリカプロラクトン−ポリオキシルヒマシ油−クエン酸トリブチル−タルク;ポリカプロラクトン−ポビドン−セバシン酸ジブチル−タルク;ポリカプロラクトン−コポビドン−セバシン酸ジブチル−タルク;ポリカプロラクトン−ポリオキシルヒマシ油−セバシン酸ジブチル−タルク;ポリカプロラクトン−ポビドン−クエン酸トリエチル−モノステアリン酸グリセロール;ポリカプロラクトン−コポビドン−クエン酸トリエチル−モノステアリン酸グリセロール;ポリカプロラクトン−ポリオキシルヒマシ油−クエン酸トリエチル−モノステアリン酸グリセロール;ポリカプロラクトン−ポビドン−トリアセチン−モノステアリン酸グリセロール;ポリカプロラクトン−コポビドン−トリアセチン−モノステアリン酸グリセロール;ポリカプロラクトン−ポリオキシルヒマシ油−トリアセチン−モノステアリン酸グリセロール;ポリカプロラクトン−ポビドン−PEG−モノステアリン酸グリセロール;ポリカプロラクトン−コポビドン−PEG−モノステアリン酸グリセロール;ポリカプロラクトン−ポリオキシルヒマシ油−PEG−モノステアリン酸グリセロール;ポリカプロラクトン−ポビドン−ポロキサマー−モノステアリン酸グリセロール;ポリカプロラクトン−コポビドン−ポロキサマー−モノステアリン酸グリセロール;ポリカプロラクトン−ポリオキシルヒマシ油−ポロキサマー−モノステアリン酸グリセロール;ポリカプロラクトン−ポビドン−クエン酸トリブチル−モノステアリン酸グリセロール;ポリカプロラクトン−コポビドン−クエン酸トリブチル−モノステアリン酸グリセロール;ポリカプロラクトン−ポリオキシルヒマシ油−クエン酸トリブチル−モノステアリン酸グリセロール;ポリカプロラクトン−ポビドン−セバシン酸ジブチル−モノステアリン酸グリセロール;ポリカプロラクトン−コポビドン−セバシン酸ジブチル−モノステアリン酸グリセロール;及びポリカプロラクトン−ポリオキシルヒマシ油−セバシン酸ジブチル−モノステアリン酸グリセロールが挙げられる。
上記に列記したコーティングに加えて、表COAT−1及び表COAT−2からのあらゆるコーティングを放出速度調節ポリマーフィルムとして、例えば、それらが適用される細長部材又はセグメントの重量の1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、又は5%の量で使用することができる。コーティングは、約1〜約20%のような、放出速度ポリマーフィルムについて本明細書に開示されるあらゆる量で使用することができる。以下の表の各行は、コーティング配合物を表す。
表COAT−2は、フィルム配合物において使用することができる成分の特定の量を列記する。表COAT−2に列記される量は、各成分のプラス又はマイナス20%まで変動することができる(例えば、10%のP407を含む組成物は、8%のP407から12%のP407まで変動し得る)。コーティングは、約1〜約20%のような、放出速度ポリマーフィルムについて本明細書に開示されるあらゆる量において使用することができる。以下の表の各行は、コーティング配合物を表す。
フィルムの厚さ
放出速度調節ポリマーフィルムは、それらが覆う胃内滞留システムの担体ポリマー−薬剤セグメントと比較して非常に薄いものであるべきである。これは、担体ポリマー−薬剤セグメント中への水の拡散、及びセグメントから出る薬剤の拡散を可能とする。
放出速度調節ポリマーフィルムの厚さは、約1〜約40マイクロメートル、約1〜約30マイクロメートル、又は約1〜約25マイクロメートルであり得る。フィルムは、典型的に、約1〜約20マイクロメートル、例えば、約1〜約20マイクロメートル、約1〜約15マイクロメートル、約1〜約10マイクロメートル、約1〜約5マイクロメートル、約1〜約4マイクロメートル、約1〜約3マイクロメートル、約1〜約2マイクロメートル、約2〜約10マイクロメートル、約5〜約20マイクロメートル、約5〜約10マイクロメートル、約10〜約15マイクロメートル、又は約15〜約20マイクロメートルである。
さらなる実施形態では、放出速度調節ポリマーフィルムは、それが覆う担体ポリマー−薬剤セグメントに強度を実質的に加えない。さらなる実施形態では、放出速度調節ポリマーフィルムは、約20%未満、約10%未満、約5%未満、又は約1%未満をセグメントの強度に対して加える。セグメントの強度は、国際特許出願第WO2017/070612号の実施例18及び同第WO2017/100367号の実施例13に記載される4点曲げたわみ試験(ASTM D790)により測定することができる。
フィルムの重量
放出速度調節ポリマーフィルムは、胃内滞留システムのフィルムが覆う担体ポリマー−薬剤セグメントの重量の約0.1〜20%を構成することができる。放出速度調節ポリマーフィルムは、胃内滞留システムのフィルムが覆う担体ポリマー−薬剤セグメントの重量の約0.1〜15%を構成することができる。放出速度調節ポリマーフィルムは、胃内滞留システムのフィルムが覆う担体ポリマー−薬剤セグメントの重量の約0.1〜10%を構成することができる。フィルムの重量は、胃内滞留システムのフィルムが覆う担体ポリマー−薬剤セグメントの約0.1〜約8%、約0.1〜約5%、約0.1〜約4%、約0.1〜約3%、約0.1〜約2%、約0.1〜約1%、約0.5〜約10%、約0.5〜約8%、約0.5〜約5%、約0.5〜約4%、約0.5〜約3%、約0.5〜約2%、約0.5〜約1%、約1〜約10%、約1〜約8%、約1〜約5%、約1〜約4%、約1〜約3%、又は約1〜約2%を構成することができる。
胃内滞留システムにおいて使用するためのセグメントへの放出速度調節ポリマーフィルムの適用
放出速度調節ポリマーフィルムは、様々な技術を使用して胃内滞留システムにおいて使用するためのセグメントに適用することができる。技術のいくつかは、放出速度調節ポリマーフィルムの配合物の溶液を用いて、担体ポリマー及び薬剤を含むセグメントをコーティングして、フィルムでコーティングされたセグメントを製造することを伴う。次に、フィルムでコーティングされたセグメントを乾燥させる。
物体上にフィルムをコーティングする様々な方法が当該技術分野において公知であり、それらには、ディップコーティング、パンコーティング、スプレーコーティング、及び流動床コーティングが含まれる。流動床コーティングは、ウルスター(Wurster)コーティング又はエアサスペンションコーティングとしても公知である。これらのコーティング方法のために、ポリマー、並びに存在する場合にはあらゆるポロゲン及び可塑剤を含む放出速度調節ポリマーフィルムの配合物が溶液として調製される。ポリマーフィルム配合物の溶液のために使用される溶媒は、典型的に、有機溶媒、例えば、酢酸エチル、ジクロロメタン、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はこれらのあらゆる組合せである。好ましくは、URL www.fda.gov/downloads/drugs/guidances/ucm073395.pdfの米国食品医薬品局のガイドラインに列記されるようなクラス3の溶媒(エタノール、アセトン、及び酢酸エチルを含む)が使用されるが、配合のために必要であれば、クラス2の溶媒(ジクロロメタン及びメタノールを含む)を使用することができる。クラス1及びクラス4の溶媒は、配合物が好適なクラス3又はクラス2の溶媒を用いては調製できない場合にのみ使用されるべきである。
放出速度調節ポリマーフィルムはまた、共押出しによりセグメントに一体化させることができ、この場合セグメント配合物は放出速度調節ポリマーフィルムの周囲の薄層と共に共押出しされる。
以下の例は、放出速度調節ポリマーフィルムを用いるセグメントの作製のためのこれらのコーティング技術の一部の使用を説明する。
全体的なシステムの構成
本発明は、特に、放出速度調節フィルムを用いてコーティングされた、胃内滞留システム、胃内滞留システムの細長部材、並びに胃内滞留システム及び胃内滞留システムの細長部材において使用するためのセグメントを提供する。議論されるように、放出速度調節フィルムは、数多くの利点を提供する。
胃内滞留システムは、異なる構成で作製することができる。胃内滞留システムの「星状(stellate)」構成は「星形(star)」(又は「星印(asterisk)」)構成としても公知である。星状システム100の例を図1Aに図式的に示す。複数の細長部材、又は「アーム」(明瞭性のために1つのそのようなアーム108のみを標示している)は、円盤形の中心エラストマー106に取り付けられている。図1Aに示す細長部材又はアームは、セグメント102及び103を含み、これらはリンカー領域として働く連結ポリマー又はリンカー領域104(再度、明瞭性のために成分は1つのアームにおいてのみ標示されている)により連結されている。この構成は、システムが中心エラストマーにおいて折り畳まれ又は小型化されることを可能とする。図1Bは、図1Aの胃内滞留システムの折り畳まれた構成190を示す(明瞭性のために、2つのアームのみを図1Bにおいて示している)。図1Bのセグメント192及び193、リンカー領域194、エラストマー196、並びにアーム198は、図1Aのセグメント102及び103、リンカー領域104、エラストマー106、並びにアーム108にそれぞれ対応する。折り畳まれた時に、システムの全体的長さは、おおよそ2分の1に低減され、システムは、好都合には、経口投与のために好適なカプセル又は他の容器のような容器に入れることができる。カプセルが胃に到達した時に、カプセルは溶解して、胃内滞留システムを放出する。次に、胃内滞留システムは、折り畳みを解除されて小型化されていない状態となり、それが所望の滞留期間にわたり胃の中で保持される。
リンカー領域104は、図1Aにおいてセグメント102及び103よりわずかに大きい直径として示されているが、それらはセグメントと同じ直径を有して、細長部材102−104−103の全体が滑らかな外側面を有することができる。
いくつかの実施形態では、星状システムは、リンカー領域により中心エラストマーに取り付けられた1つのセグメントのみから構成される細長部材又はアームを有し得る。これは、図1Aにおいてセグメント103が省略されたものに対応する。次に、セグメント102を含む単一セグメントの細長部材は、リンカー104を介して直接的に中心エラストマー106に取り付けられる。リンカーは、連結ポリマー又は分解性マトリックスを含み得る。
星状システムは、エラストマー成分、並びにエラストマー成分に取り付けられた、担体ポリマー及び薬剤又はその塩を含む複数の少なくとも3つの担体ポリマー−薬剤成分を含む、患者の胃への投与のための胃内滞留システムとして説明されることができ、複数の担体ポリマー−薬剤成分のそれぞれは、近位端、遠位端、及びそれらの間の外側面を含む細長部材であり;各細長部材の近位端は、エラストマー成分に取り付けられておりかつエラストマー成分から半径方向に突出しており、各細長部材は、エラストマー成分に取り付けられておらずかつエラストマー成分からの半径方向の距離が近位端よりも大きい位置にある遠位端を有しており;各細長部材は、独立して1つ又は複数のセグメントを含み、各セグメントは、近位端、遠位端、及びそれらの間の外側面を含み;かつ、2つ又はそれより多くのセグメントが細長部材に存在する場合、各セグメントは、リンカー領域を介して隣接するセグメントに取り付けられている。リンカー領域は、連結ポリマー又は分解性マトリックスであり得る。細長部材は、連結ポリマー又は分解性マトリックスを介して中心エラストマーに取り付けられてもよく、接続するポリマーの介在部分を有し得る。複数の少なくとも3つの細長部材、又は複数の細長部材について、細長部材の好ましい数は6であるが、3、4、5、7、8、9、又は10個の細長部材を使用することができる。細長部材は、中心エラストマーの周りに等間隔で配置されるべきであり、N個の細長部材がある場合、隣接する細長部材の間の角度は約360/N度となる。
図1Cは、胃内滞留システムのための別の可能な全体的構成120、すなわちリング構成を示す。セグメント122は、連結ポリマー又はリンカー領域124により連結されている(明瞭性のために、1つのセグメント及び1つのカップリング連結のみを標示している)。この設計における連結ポリマー/リンカー領域はまた、エラストマーとして機能しなければならず、それにより、カプセルのような容器に入れるためにリングをねじって小型化された状態にすることが可能となる。
星状構成の一実施形態では、セグメント102及び103は、薬剤又は薬物とブレンドされた担体ポリマーを含む。リング構成の一実施形態では、セグメント122は、薬剤又は薬物とブレンドされた担体ポリマーを含む。
リンカー領域として働く胃内滞留システムの連結ポリマーは、胃の中でのシステムの滞留期間の間に制御された方式で徐々に分解するように設計される。胃内滞留システムがそのままの形態で小腸へと過度に早く通過する場合、システムはよりいっそう迅速に分解して腸閉塞を回避するように設計される。これは、連結ポリマーとして腸溶性ポリマーを使用することにより容易に達成される。腸溶性ポリマーは、胃において遭遇する酸性pHレベルに比較的耐性であるが、十二指腸において見られるより高いpHレベルにおいて迅速に溶解する。安全要素としての腸溶性連結ポリマーの使用は、小腸へのそのままの胃内滞留システムの望ましくない通過から保護する。腸溶性連結ポリマーの使用はまた、その設計された滞留時間の前に胃内滞留システムを除去する方式を提供し、システムが除去される必要がある場合、患者は重炭酸ナトリウム溶液のような弱アルカリ性溶液を飲むか、又は水和した水酸化マグネシウム(マグネシアミルク)若しくは炭酸カルシウムのような制酸性調製物を摂取することができ、これらは胃におけるpHレベルを上昇させて腸溶性連結ポリマーの迅速な分解を引き起こす。次に、胃内滞留システムは、分解してばらばらになり、患者から除去される。図1Aに示すシステムでは、連結のために使用される少なくとも連結ポリマー104は、そのような腸溶性ポリマーから作られる。
追加の実施形態では、時間依存性連結ポリマー又はリンカーを使用することができる。そのような時間依存性連結ポリマー又はリンカーは、予測可能な時間依存的方式で分解する。いくつかの実施形態では、時間依存性連結ポリマー又はリンカーの分解は、胃腸系のpHの変動により影響されないものであってよい。
追加の実施形態では、異なる種類のリンカーを胃内滞留システムにおいて使用することができる。すなわち、腸溶性リンカー(又は腸溶性連結ポリマー)及び時間依存性リンカー(又は時間依存性連結ポリマー)の両方を使用することができる。いくつかの実施形態では、星状システムの単一の複数セグメント細長部材(アーム)は、セグメントの間のいくつかのリンカー領域における腸溶性リンカー、及びセグメントの間の他のリンカー領域における時間依存性リンカーの両方を使用することができる。
リンカー領域は、典型的に、約100〜約1ミリメートルの幅、例えば、約200〜約1000um、約300〜約1000um、約400〜約1000um、約500〜約1000um、約600〜約1000um、約700〜約1000um、約800〜約1000um、又は約900〜約1000um;又は約100〜約900um 約100〜約800um、約100〜約700um、約100〜約600um、約100〜約500um、約100〜約400um、約100〜約300um、又は約100〜約200umである。リンカー領域は、約100um、約200um、約300um、約400um、約500um、約600um、約700um、約800um、約900um、又は約1000umの幅であってよく、各値は、プラス又はマイナス50um(±50um)であり得る。
星状システムの中心エラストマーのポリマーは、典型的に、腸溶性ポリマーでないが、中心エラストマーのポリマーはまた、それが望ましくかつ実用的である場合、そのような腸溶性ポリマーから作られてもよい。
中心エラストマーは、特定のデュロメーター及び圧縮永久歪みを有するべきである。デュロメーターは、剤形の折り畳みの力及びそれが胃の中に留まるかどうかを決定するので重要であり、好ましい範囲は約60〜約90Aである。圧縮永久歪みは、小型化された構成のカプセルとして貯蔵された時に胃内滞留システムが永久的に変形するのを回避するために可能な限り低いものであるべきである。好ましい範囲は、約10〜約20%の範囲である。これらの要件に適合する材料は、Dow CorningのQP1レンジの液体シリコーンゴムである。中心エラストマーを用いるあらゆる実施形態では、QP1−270(70Aデュロメーター)液体シリコーンゴムを使用することができる。
胃内滞留システムのセグメント及び細長部材は、円形(その場合、セグメントは円筒形である)、多角形(例えば、三角形の断面、長方形の断面、又は正方形の断面を有するセグメント)、又はパイ型(その場合、セグメントは円筒形のセクションである)の断面を有し得る。多角形又はパイ型の断面を有するセグメント、及び胃組織と接触することになる円筒形セクションの末端は、インビボでの安全性を増進させるために、それらの鋭い端部を丸くして丸い角及び端部を提供することができる。すなわち、交差する端部間又は平面間で急激な移行をする代わりに、1つの端部又は平面から別の端部又は平面へ移行するために弧が使用される。したがって、「三角形の断面」は、丸みを帯びた角を有する三角形のような、おおよそ三角形の形状を有する断面を含む。三角形の断面を有するアームは、端部が丸みを帯びており、かつアームの末端の角が丸みを帯びているアームを含む。丸みを帯びた角及び端部はまた、フィレット(fillet)コーナー、フィレット化コーナー、フィレット端部、又はフィレット化端部とも称される。
本明細書において議論されるように、担体ポリマー及び薬剤を含む胃内滞留システムのセグメントは、放出速度調節ポリマーフィルムで覆うことができる。いくつかの実施形態では、セグメントに取り付けられたあらゆる連結ポリマー、分解性マトリックス、又は接続するポリマーの1つ又は複数もまた、放出速度調節ポリマーフィルムにより覆われる。いくつかの実施形態では、セグメントに取り付けられたあらゆる連結ポリマー、分解性マトリックス、又は接続するポリマーの1つ又は複数は、放出速度調節ポリマーフィルムにより覆われない。連結ポリマー(腸溶性ポリマーであり得る)又は分解性マトリックスが放出速度調節ポリマーフィルムにより覆われる場合、脱連結又は分解の動力学は、フィルムで覆われた連結ポリマー又はフィルムで覆われた分解性マトリックスについて決定されるべきである。
放出特性の評価
セグメント、細長部材、及び胃内滞留システムからの薬剤の放出特性は、様々なアッセイにより評価することができる。薬剤放出のアッセイは、実施例において詳細に記載される。セグメント、細長部材、及び胃内滞留システムからのインビトロでの薬剤の放出は、セグメント、細長部材、又は胃内滞留システムを、水、0.1N HCl、絶食状態模擬胃液(FaSSGF)、又は摂食状態模擬胃液(FeSSGF)のような液体中に浸すことにより測定することができる。絶食状態模擬胃液(FaSSGF)は、放出アッセイのために好ましい。模擬胃液は、絶食状態模擬胃液(FaSSGF)又は摂食状態模擬胃液(FeSSGF)のいずれかを指し示し、模擬胃液(SGF)中で測定されるものとして限定が指定される場合、絶食状態模擬胃液(FaSSGF)中又は摂食状態模擬胃液(FeSSGF)中のいずれかで限定が成立すればその限定は満たされる。例えば、セグメントが模擬胃液中で最初の24時間にわたり少なくとも10%の薬剤を放出するとして指し示される場合、セグメントが絶食状態模擬胃液中で最初の24時間にわたり少なくとも10%の薬剤を放出するか、又はセグメントが摂食状態模擬胃液中で最初の24時間にわたり少なくとも10%の薬剤を放出すれば、その限定は満たされる。
エタノールバースト放出は、典型的に、セグメント、細長部材、又は胃内滞留システムを40%のエタノール及び60%の絶食状態模擬胃液の溶液中に1時間浸した後、同じセグメント、細長部材、又は胃内滞留システムを試験期間の残余の間100%の絶食状態模擬胃液中に浸し、適切な時点において薬剤の放出を測定することにより測定される。この試験は、患者の胃に配置された本発明の胃内滞留システムを有する患者によるアルコール飲料の消費の効果をシミュレートするように設計される。
インビトロ試験は、セグメント、細長部材、又は胃内滞留システムを使用して行うことができるが、インビトロ試験のためにセグメントを使用することが、放出特性の迅速な評価のために最も簡便である。異なる条件下で放出速度を比較するためのインビトロ試験が行われる場合(例えば、100%のFaSSGF中での放出対40%のエタノール/60%のFaSSGF中での放出)、比較される溶液を室温、25℃、又は37℃のような同じ温度に保つ。室温(周囲温度)は比較のために好ましい温度であり、一実施形態では、周囲温度は、20℃を下回ったり25℃を超えたりしない(しかし、20℃〜25℃で変動し得る)。
インビボ試験は、イヌ(例えば、ビーグル犬又はハウンド犬)及びブタのような動物において行うことができる。インビボ試験のために胃内滞留システムが使用されるが、これは、個々のセグメント又は細長部材は動物の胃の中に保持されないためである。血液試料を適切な時点において得ることができ、所望の場合、胃内容物をカニューレ又は他の技術によりサンプリングすることができる。
適切な法律、規制、及び施設ガイドラインにしたがって実行されるヒトにおける臨床試験もまた、インビボデータを提供する。
放出プロファイル
放出速度調節ポリマーフィルムを有するセグメントの線形性プロファイルの増加は、同じ担体ポリマー−薬剤組成物を有するが放出速度調節ポリマーフィルムを欠いたセグメントに対して有利な放出特性を提供する。例えば、担体ポリマー、薬剤又はその塩、及び薬剤の放出速度を制御するように構成された放出速度調節ポリマーフィルムを含む胃内滞留システムのセグメントは、模擬胃液中での7日間のインキュベーションにわたり、5日目の間に放出される薬剤又はその塩の量が、2日目の間に放出される薬剤又はその塩の量の少なくとも約40%であるように、放出速度調節ポリマーフィルムが構成された放出プロファイルを有し得る。すなわち、7日間のインキュベーション期間にわたり、96〜120時間目(5日目)に放出される薬剤又はその塩の量は、インキュベーションの24〜48時間目(2日目)の間に放出される薬剤又は塩の量の少なくとも約40%である。いくつかの実施形態では、5日目にわたる放出は、2日目にわたり放出される薬剤又は塩の量の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%である。いくつかの実施形態では、5日目にわたる放出は、2日目にわたり放出される薬剤又は塩の量の少なくとも約40〜約90%、少なくとも約50〜約90%、少なくとも約60〜約90%、少なくとも約70〜約90%、少なくとも約80〜約90%、又は少なくとも約40〜約100%である。これらの実施形態のいずれかでは、薬剤の総量の少なくとも約5%が2日目に放出されかつ薬剤の総量の少なくとも約5%が5日目に放出される、薬剤の総量の少なくとも約5%が2日目に放出されかつ薬剤の総量の少なくとも約7%が5日目に放出される、又は薬剤の総量の少なくとも約7%が2日目に放出されかつ薬剤の総量の少なくとも約7%が5日目に放出される。「薬剤の総量」は、セグメント中に元々存在する薬剤の量を指す。
別の実施形態では、担体ポリマー、薬剤又はその塩、及び薬剤の放出速度を制御するように構成された放出速度調節ポリマーフィルムを含む胃内滞留システムのセグメントは、模擬胃液中での7日間のインキュベーションにわたり、7日目の間に放出される薬剤又はその塩の量が、1日目の間に放出される薬剤又はその塩の量の少なくとも約20%であるように、放出速度調節ポリマーフィルムが構成された放出プロファイルを有し得る。すなわち、7日間のインキュベーション期間にわたり、144〜168時間目(7日目)に放出される薬剤又はその塩の量は、インキュベーションの0〜24時間目(1日目)の間に放出される薬剤又は塩の量の少なくとも約20%である。いくつかの実施形態では、7日目にわたる放出は、1日目にわたり放出される薬剤又は塩の量の少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、又は少なくとも約70%である。いくつかの実施形態では、7日目にわたる放出は、1日目にわたり放出される薬剤又は塩の量の少なくとも約20〜約70%、少なくとも約30〜約70%、少なくとも約40〜約70%、少なくとも約50〜約70%、少なくとも約60〜約70%、又は少なくとも約20〜約100%である。これらの実施形態のいずれかでは、薬剤の総量の少なくとも約7%が1日目に放出されかつ薬剤の総量の少なくとも約4%が7日目に放出される、薬剤の総量の少なくとも約4%が1日目に放出されかつ薬剤の総量の少なくとも約4%が7日目に放出される、又は薬剤の総量の少なくとも約7%が1日目に放出されかつ薬剤の総量の少なくとも約7%が7日目に放出される。「薬剤の総量」は、セグメント中に元々存在する薬剤の量を指す。
本発明の放出速度調節ポリマーフィルムを有するセグメントはまた、模擬胃液中に最初に浸した時により低いバースト放出を有する。一実施形態では、担体ポリマー及び薬剤又はその塩を含む胃内滞留システムのセグメントであって、薬剤の放出速度を制御するように構成された放出速度調節ポリマーフィルムを有するセグメントは、最初の24時間の期間にわたる模擬胃液中でのセグメントからの薬剤の放出が、最初の6時間の期間にわたる模擬胃液中での第2のセグメントからの薬剤の放出より少なくとも約40%低く、第2のセグメントは、担体ポリマー及び薬剤又はその塩の同じ組合せを含むが放出速度調節ポリマーフィルムを欠いており;かつ、7日間の期間にわたる模擬胃液中でのポリマーフィルムを有するセグメントからの薬剤の放出が、i)7日間の期間にわたるポリマーフィルムを欠いた第2のセグメントからの薬剤の放出の少なくとも約60%であるか、又はii)セグメント中に元々存在する薬剤の総量の少なくとも60%であるように、放出速度調節ポリマーフィルムが構成された放出プロファイルを有し得る。さらなる実施形態では、最初の24時間の期間にわたる模擬胃液中でのフィルムを有するセグメントからの薬剤の放出は、最初の6時間の期間にわたる模擬胃液中でのフィルムを有しない第2のセグメントからの薬剤の放出より少なくとも約40%低い、約40〜約50%低い、約40〜約60%低い、又は約40〜約70%低いと共に、7日間の期間にわたる模擬胃液中でのフィルムを有するセグメントからの薬剤の放出は、i)7日間の期間にわたる模擬胃液中でのポリマーフィルムを欠いた第2のセグメントからの薬剤の放出の少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、若しくは約60〜約80%であるか、又はii)セグメント中に元々存在する薬剤の総量の少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、若しくは約60〜約80%である。さらなる実施形態では、7日間の期間にわたる模擬胃液中でのフィルムを有するセグメントからの薬剤の放出は、i)7日間の期間にわたる模擬胃液中でのフィルムを有しない第2のセグメントからの薬剤の放出の少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、若しくは少なくとも約80%(例えば、約60〜約70%、約60〜約80%、約60〜約90%、若しくは約60〜約99%)であるか、又はii)セグメント中に元々存在する薬剤の総量の少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、若しくは少なくとも約80%(例えば、約60〜約70%、約60〜約80%、約60〜約90%、若しくは約60〜約99%)である。
本発明の放出速度調節ポリマーフィルムを有するセグメントはまた、フィルムを欠いたセグメントと比較してエタノール負荷においてより低いバースト放出を有する。一実施形態では、担体ポリマー及び薬剤又はその塩を含む胃内滞留システムのセグメントであって、薬剤の放出速度を制御するように構成された放出速度調節ポリマーフィルムを有するセグメントは、1時間にわたる40%のエタノール/60%の模擬胃液中でのセグメントからの薬剤の放出が、1時間にわたる40%のエタノール/60%の模擬胃液中での第2のセグメントからの薬剤の放出より少なくとも約40%低くなるように、放出速度調節ポリマーフィルムが構成されており、第2のセグメントが、担体ポリマー及び薬剤又はその塩の同じ組合せを含むが放出速度調節ポリマーフィルムを欠いている、放出プロファイルを有し得る。さらなる実施形態では、7日間の期間にわたる模擬胃液中でのフィルムを有するセグメントからの薬剤の放出は、i)7日間の期間にわたる模擬胃液中でのフィルムを有しない第2のセグメントからの薬剤の放出の少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、若しくは少なくとも約80%(例えば、約60〜約70%、約60〜約80%、約60〜約90%、若しくは約60〜約99%)であるか、又はii)i)セグメント中に元々存在する薬剤の総量の少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、若しくは少なくとも約80%(例えば、約60〜約70%、約60〜約80%、約60〜約90%、若しくは約60〜約99%)である。一実施形態では、担体ポリマー及び薬剤又はその塩を含む胃内滞留システムのセグメントであって、薬剤の放出速度を制御するように構成された放出速度調節ポリマーフィルムを有するセグメントは、1時間にわたる40%のエタノール/60%の模擬胃液中でのセグメントからの薬剤の放出が、1時間にわたる100%の模擬胃液中での同等のセグメントからの薬剤の放出と比較して約40%を超えて高くはないように、放出速度調節ポリマーフィルムが構成された放出プロファイルを有し得る。さらなる実施形態では、7日間の期間にわたる模擬胃液中でのフィルムを有するセグメントからの薬剤の放出は、i)7日間の期間にわたる模擬胃液中でのフィルムを有しない第2のセグメントからの薬剤の放出の少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、若しくは少なくとも約80%(例えば、約60〜約70%、約60〜約80%、約60〜約90%、若しくは約60〜約99%)であるか、又はii)セグメント中に元々存在する薬剤の総量の少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、若しくは少なくとも約80%(例えば、約60〜約70%、約60〜約80%、約60〜約90%、若しくは約60〜約99%)である。
放出速度調節ポリマーフィルムコーティングを有するセグメントからの薬剤の放出の線形性もまた向上される。一実施形態では、担体ポリマー及び薬剤又はその塩を含む胃内滞留システムのセグメントであって、薬剤の放出速度を制御するように構成された放出速度調節ポリマーフィルムを有するセグメントは、薬剤の放出速度の最良フィットの線形回帰モデルが、模擬胃液中での最初の7日間の期間にわたり少なくとも約0.8、少なくとも約0.85、又は少なくとも約0.9の決定係数R2を有し(7日間の最初の期間は、セグメントが模擬胃液中に最初に浸された開始時間から測定され;すなわち、7日間の期間は、t=0又は放出プロファイルの原点となる時間を含む);かつ、セグメントが7日間の期間の約40〜約60%の時間内に薬剤又はその塩の約30〜約70%を放出するように、放出速度調節ポリマーフィルムが構成された放出プロファイルを有し得る。
一実施形態では、担体ポリマー及び薬剤又はその塩を含む胃内滞留システムのセグメントであって、薬剤の放出速度を制御するように構成された放出速度調節ポリマーフィルムを有するセグメントは、7日のいずれか1日にわたる放出速度が、7日間にわたる平均の1日当たりの総放出量から約50%以下、約40%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、又は約10%以下の変動であるように、放出速度調節ポリマーフィルムが構成された放出プロファイルを有し得る。
セグメント及び細長部材のための担体ポリマー(担体ポリマー−薬剤成分)
胃内滞留システムのセグメント及び細長部材は担体ポリマー−薬剤成分を含み、担体ポリマー−薬剤成分は、胃環境中で胃内滞留システムから溶出される薬剤(又は薬剤の薬学的に許容される塩)を含む。薬剤は、担体ポリマーにブレンドされて、担体ポリマー−薬剤混合物を形成する。この混合物を、システム中で担体ポリマー−薬剤成分として使用するための所望の形状に形成することができる。薬物又は薬物の塩を担体ポリマーにブレンドして担体ポリマー−薬物混合物を形成した後、薬物又は薬物の塩を、ブレンドされた混合物の全体に分布又は分散させる。賦形剤、抗酸化剤、又は他の成分が担体ポリマー−薬物ブレンド物中に含まれる場合、それらもまた、ブレンドされた混合物の全体に分布又は分散させる。
好ましくは、担体ポリマーは以下の特徴を有する。担体ポリマーは、ホットメルト押出し又は3D印刷技術を使用する押出しを可能とするために、熱可塑性であるべきである。担体ポリマーはまた、必要とされる幾何学形状への押出しを可能とするために、充分に高い溶融強度及び粘度を有するべきである。担体ポリマーは、製造中に薬剤又は薬物が高温に曝露されることを回避するために、低い融解温度(例えば、約120℃未満)を有するべきである。担体ポリマーは、所望の滞留期間中の胃の中での破壊を回避するために、充分な機械的強度(ヤング率、圧縮強度、引張り強度)を有するべきである。担体ポリマーは、薬剤、治療剤、薬物、賦形剤、分散剤、及び他の添加物と安定なブレンド物を形成することができるべきである。
本発明において使用するために好適な例示的な担体ポリマーとしては、親水性セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、セルロースアセテートフタレート、ポリ(ビニルピロリドン)、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、ポリ(ビニルアルコール)、カルボキシビニルポリマー(カルボマー)、カーボポール(登録商標)酸性カルボキシポリマー、ポリカルボフィル、ポリ(エチレンオキシド)(Polyox WSR)、多糖及びそれらの誘導体、ポリアルキレン酸化物、ポリエチレングリコール、キトサン、アルギネート、ペクチン、アカシア、トラガカント、グアーガム、ローカストビーンガム、ビニルピロリドンビニルアセテートコポリマー、デキストラン、天然ゴム、寒天、アガロース、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、フコイダン、ファーセレラン、ラミナラン、イバラノリ属(hypnea)、キリンサイ属(eucheuma)、アラビアゴム、ガティガム、カラヤガム、アラビノガラクタン(arbinoglactan)、アミロペクチン、ゼラチン、ゲラン、ヒアルロン酸、プルラン、スクレログルカン、キサンタン、キシログルカン、無水マレイン酸コポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、アンモニオメタクリレートコポリマー(例えば、オイドラギットRL又はオイドラギットRS)、ポリ(エチルアクリレート−メチルメタクリレート)(オイドラギットNE)、オイドラギットE(ジメチルアミノエチルメチルアクリレート及び中性メチルアクリル酸エステルに基づくカチオンコポリマー)、ポリ(アクリル酸)、ポリメタクリレート/ポリエタクリレート、例えば、ポリ(メタクリル酸)、メチルメタクリレート、及びエチルアクリレート、ポリラクトン、例えば、ポリ(カプロラクトン)、ポリ無水物、例えば、ポリ[ビス−(p−カルボキシフェノキシ)−プロパン無水物]、ポリ(テレフタル酸無水物)、ポリペプチド、例えば、ポリリジン、ポリグルタミン酸、ポリ(オルトエステル)、例えば、ジオール(例えば、ヘキサンジオール、デカンジオール)とのDETOSUのコポリマー、シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール及び米国特許第4,304,767号明細書に記載及び開示され、参照することにより本明細書に組み込まれるポリ(オルト)エステル、デンプン、特にアルファデンプン、及びデンプンベースのポリマー、カルボマー、マルトデキストリン、アミロマルトデキストリン、デキストラン、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、ポリ(エチレンイミン)、ポリウレタン、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、並びにこれらのコポリマー、混合物、ブレンド物及び組合せが挙げられるがこれらに限定されない。ポリカプロラクトン(PCL)は好ましい担体ポリマーである。別の実施形態では、ポリジオキサノンが担体ポリマーとして使用される。胃内滞留システムの実施形態のいずれかでは、胃内滞留システムにおいて使用される担体ポリマーは、ポリカプロラクトン、例えば、約60キロダルトン(kDa)〜約100kDa;75〜85kDa;又は約80kDa;又は約45〜約55kDa;又は約50〜約110,000kDa、又は約80〜約110,000kDaの数平均分子量(Mn)範囲を有する直鎖状ポリカプロラクトンを含み得る。
薬剤の放出をモジュレートするために他の賦形剤を担体ポリマーに加えることができる。そのような賦形剤は、約1〜15%、好ましくは約5〜10%、より好ましくは約5%又は約10%の量で加えることができる。そのような賦形剤の例としては、ポロキサマー407(コリフォールP407、Sigma商品番号62035として入手可能)、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、CAS番号9003−11−6;H−(OCH2CH2)x−(O−CH(CH3)CH2)y−(OCH2CH2)z−OH(式中、x及びzは約101であり、かつyは約56である));プルロニックP407;オイドラギットE、オイドラギットEPO(Evonikから入手可能);ヒプロメロース(Sigmaから入手可能、商品番号H3785)、コリフォールRH40(Sigmaから入手可能、商品番号07076)、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルアセテート(PVAc)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びソルプラス(BASFから入手可能;ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルアセテート、及びポリエチレングリコールのコポリマー)が挙げられる。好ましい可溶性賦形剤としては、オイドラギットE、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアセテート(PVAc)、及びポリビニルアルコール(PVA)が挙げられる。好ましい不溶性賦形剤としては、オイドラギットRS及びオイドラギットRLが挙げられる。好ましい不溶性膨潤性賦形剤としては、クロスポビドン、クロスカルメロース、ヒプロメロースアセテートサクシネート(HPMCAS)、及びカーボポールが挙げられる。オイドラギットRS及びオイドラギットRLは、第四級アンモニウム基とのエチルアクリレート、メチルメタクリレート及びメタクリル酸エステルのコポリマー(トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド)についてのEvonik(Darmstadt、Germany)の登録商標であり、オイドラギット(登録商標)RLにおいて約1:2:0.2、オイドラギット(登録商標)RSにおいて約1:2:0.1のエチルアクリレート、メチルメタクリレート及びトリメチルアンモニオエチルメタクリレートのモル比を有する。好ましい不溶性膨潤性賦形剤としては、クロスポビドン、クロスカルメロース、ヒプロメロースアセテートサクシネート(HPMCAS)、カーボポール、並びにジオキサノン及びエチレングリコールの直鎖状ブロックコポリマー;ラクチド及びエチレングリコールの直鎖状ブロックコポリマー;ラクチド、エチレングリコール、炭酸トリメチル、及びカプロラクトンの直鎖状ブロックコポリマー;ラクチド、グリコリド、及びエチレングリコールの直鎖状ブロックコポリマー;グリコリド、ポリエチレングリコール、及びエチレングリコールの直鎖状ブロックコポリマー;例えば、ジオキサノン(80%)及びエチレングリコール(20%)の直鎖状ブロックコポリマー;ラクチド(60%)及びエチレングリコール(40%)の直鎖状ブロックコポリマー;ラクチド(68%)、エチレングリコール(20%)、炭酸トリメチル(10%)、及びカプロラクトン(2%)の直鎖状ブロックコポリマー;ラクチド(88%)、グリコリド(8%)、及びエチレングリコール(4%)の直鎖状ブロックコポリマー;グリコリド(67%)、ポリエチレングリコール(28%)、及びエチレングリコール(5%)の直鎖状ブロックコポリマーが挙げられる。
胃内滞留システムのセグメントにおいて使用することができる賦形剤のさらなる例を以下の賦形剤の表に列記する。
胃内滞留システムにおいて使用するための薬剤
胃腸管に又は胃腸管を介して投与することができる薬剤を本発明の胃内滞留システムにおいて使用することができる。薬剤は、担体ポリマー、及び担体ポリマーへのあらゆる他の賦形剤又は他の添加物とブレンドされ、胃内滞留システムにおいて使用するためのセグメントに形成される。薬剤としては、薬物、プロドラッグ、生物学的製剤、及び病気又は損傷に対して有益な効果を生じさせるために投与することができるあらゆる他の物質が挙げられるがこれらに限定されない。本発明の胃内滞留システムにおいて使用することができる薬剤としては、スタチン、例えばロスバスタチン;非ステロイド性抗炎症性薬物(NSAID)、例えばメロキシカム;選択的セロトニン再取込み阻害剤(SSRI)、例えばエスシタロプラム及びシタロプラム;血液希釈剤、例えばクロピドグレル;ステロイド、例えばプレドニゾン;抗精神病剤、例えばアリピプラゾール及びリスペリドン;鎮痛剤、例えばブプレノルフィン;オピオイドアンタゴニスト、例えばナロキソン;抗喘息剤、例えばモンテルカスト;抗認知症薬、例えばメマンチン;心臓グリコシド、例えばジゴキシン;アルファ遮断剤、例えばタムスロシン;コレステロール吸収阻害剤、例えばエゼチミブ;抗痛風治療、例えばコルヒチン;抗ヒスタミン剤、例えばロラタジン及びセチリジン、オピオイド、例えばロペラミド;プロトンポンプ阻害剤、例えばオメプラゾール;抗ウイルス剤、例えばエンテカビル;抗生物質、例えばドキシサイクリン、シプロフロキサシン、及びアジスロマイシン;抗マラリア剤;レボチロキシン;物質乱用の治療、例えばメタドン及びバレニクリン;避妊薬;刺激剤、例えばカフェイン;並びに栄養分、例えば葉酸、カルシウム、ヨウ素、鉄、亜鉛、チアミン、ナイアシン、ビタミンC、ビタミンD、ビオチン、植物抽出物、植物ホルモン、及び他のビタミン又は鉱物が挙げられる。本発明の胃内滞留システムにおける薬剤として使用することができる生物学的製剤としては、たんぱく質、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、及びホルモンが挙げられる。薬剤の例示的なクラスとしては、鎮痛剤;抗鎮痛剤;抗炎症性薬物;解熱剤;抗うつ剤;抗てんかん剤;抗精神病剤;神経保護剤;抗増殖剤、例えば抗がん剤;抗ヒスタミン剤;抗片頭痛薬;ホルモン;プロスタグランジン;抗菌物質、例えば、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤、及び抗寄生虫剤;抗ムスカリン作用剤;抗不安剤;静菌剤;免疫抑制剤;鎮静剤;催眠剤;抗精神病剤;気管支拡張剤;抗喘息薬;心臓血管薬;麻酔薬;抗凝固剤;酵素阻害剤;ステロイド剤;ステロイド性又は非ステロイド性抗炎症剤;コルチコステロイド;ドーパミン作動剤;電解質;胃腸薬;筋肉弛緩剤;栄養剤;ビタミン;副交感神経興奮剤;刺激剤;食欲抑制剤;抗ナルコレプシー剤;並びに抗マラリア薬、例えば、キニーネ、ルメファントリン、クロロキン、アモジアキン、ピリメタミン、プログアニル、クロルプログアニル−ダプソン、スルホンアミド(例えば、スルファドキシン及びスルファメトキシピリダジン)、メフロキン、アトバコン、プリマキン、ハロファントリン、ドキシサイクリン、クリンダマイシン、アルテミシニン、及びアルテミシニン誘導体(例えば、アルテムエーテル、ジヒドロアルテミシニン、アルテエーテル及びアルテスネイト)が挙げられるがこれらに限定されない。「薬剤」という用語は、上述の物質の塩、溶媒和物、多形体、及び共結晶を含む。ある特定の実施形態では、薬剤は、セチリジン、ロスバスタチン、エスシタロプラム、シタロプラム、リスペリドン、オランザピン、ドネペジル、及びイベルメクチンからなる群から選択される。別の実施形態では、薬剤は、抗精神病剤又は抗認知症薬のような神経精神病学的障害を治療するために使用される薬剤、例えばメマンチンである。
本明細書に開示される発明のいくつかの実施形態では、薬剤は、アダマンタン系薬物を除外し得る。本明細書に開示される発明のいくつかの実施形態では、薬剤は、メマンチン;アマンタジン;アダプロミン;ニトロメマンチン;リマンタジン;ブロマンタン;ネラメキサン;若しくはトロマンタジン;又はメマンチン、アマンタジン、アダプロミン、ニトロメマンチン、リマンタジン、ブロマンタン、若しくはトロマンタジンの薬学的に許容される塩のいずれか1つ又は複数を除外し得る。本明細書に開示される発明のいくつかの実施形態では、薬剤は、メマンチンを除外し得る。本明細書に開示される発明のいくつかの実施形態では、薬剤は、メマンチンの塩又はメマンチンの薬学的に許容される塩を除外し得る。
薬剤の結晶形態及び非晶形態
薬剤は、あらゆる好適な結晶形態、又は非晶形態、又は1つ若しくは複数の結晶形態及び非晶形態の両方で本発明の胃内滞留システムにおいて使用することができる。すなわち、胃内滞留システム中に含有される薬剤又は薬物粒子は、結晶形態、非晶形態、又は結晶形態(単一の結晶形態、又は複数の結晶形態のいずれか)と非晶形態との混合物において使用することができ、それにより、所望の放出速度又は所望の物理的若しくは化学的特性を提供する。
目的の薬剤クラス
胃内滞留システムは、患者の服薬順守に困難を示す疾患及び障害の治療において使用するために良好に適しており、したがっていくつかの実施形態では、胃内滞留システムは、医薬レジメンについての患者の服薬順守に問題がある疾患又は障害を治療するために使用される。そのような疾患及び障害としては、神経精神疾患及び障害、認知症及び記憶に影響する他の疾患及び障害、アルツハイマー病、精神病、統合失調症、並びにパラノイアが挙げられる。したがって、胃内滞留システムにおいて使用することができる薬剤としては、抗認知症剤、抗アルツハイマー病剤、及び抗精神病剤が挙げられるがこれらに限定されない。
親水性薬剤
システムにおいて使用することができる例示的な親水性薬剤としては、リスペリドン、セチリジン、メマンチン、及びオランザピンが挙げられる。
疎水性薬剤
システムにおいて使用することができる例示的な疎水性薬剤としては、アリピプラゾール、イベルメクチン、ロスバスタチン、シタロプラム、及びエスシタロプラムが挙げられる。
細長部材及びセグメントの薬剤担持
細長部材、又は細長部材に含まれるセグメントは、薬剤又はその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、薬剤又はその塩(例えば、薬物)は、細長部材又はセグメントの重量の約10〜約40%を構成し、したがって、担体ポリマー及び担体ポリマーにブレンドされる細長部材又はセグメントのあらゆる他の成分は、一緒になって細長部材又はセグメントの重量の残余分を構成する。いくつかの実施形態では、薬剤又はその塩は、細長部材又はセグメントの重量の約10〜約35%、約10〜約30%、約10〜約25%、約10〜約20%、約10〜約15%、約15〜約40%、約20〜約40%、約25〜約40%、約30〜約40%、約35〜約40%、約15〜約35%、約20〜約35%、又は約25〜約40%を構成する。
薬剤又はその塩が細長部材又はセグメントの重量の約40%より多くを構成する細長部材又はセグメントのさらなる実施形態を「細長部材及びセグメントの高薬剤担持」の下で以下に記載する。
細長部材及びセグメントの高薬剤担持
本発明のいくつかの実施形態では、細長部材、又は該細長部材が含まれるセグメントは、薬剤又はその薬学的に許容される塩の高い担持を有し得る。「高い担持」は、一般に、細長部材又はセグメントにおいて、薬剤又はその塩(例えば、薬物)が、細長部材又はセグメントの重量の約40%より多くを構成し、したがって、担体ポリマー及び担体ポリマーにブレンドされる細長部材又はセグメントのあらゆる他の成分が、一緒になって細長部材又はセグメントの重量の約60%未満を構成することを指す。担体ポリマーにブレンドされない細長部材又はセグメントのあらゆる成分は、重量パーセンテージの算出に含まれず、例えば、細長部材が細長部材のセグメント間に挿入された1つ又は複数の分解性マトリックスを有する場合、そのようなマトリックスの重量は、細長部材中の薬剤の重量パーセンテージの算出において細長部材の重量の部分として含まれない。薬剤の担持が約60%まで増加すると、薬剤を担体ポリマーと適切にブレンドすることが増加的に困難となり、薬剤及びポリマーの相分離が起こる傾向がある。したがって、細長部材又はセグメントにおける薬剤の担持は、細長部材の総重量の約60%を超えるべきではない。
したがって、いくつかの実施形態では、細長部材、又は細長部材に含まれるセグメント中の重量による薬剤の量は、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、又は約60%を構成し得る。いくつかの実施形態では、細長部材、又は該細長部材が含まれるセグメント中の重量による薬剤の量は、約40〜約60%、約45〜約60%、約50〜約60%、約55〜約60%、約40〜約55%、約40〜約50%、又は約40〜約45%を構成し得る。いくつかの実施形態では、細長部材、又は該細長部材が含まれるセグメント中の重量による薬剤の量は、約25〜約60%、約30〜約60%、又は約35〜約60%を含み得る。いくつかの実施形態では、細長部材、又は該細長部材が含まれるセグメント中の重量による薬剤の量は、約51〜約60%、約52〜約60%、約53〜約60%、約54〜約60%、約55〜約60%、約56〜約60%、又は約57〜約60%を構成し得る。いくつかの実施形態では、薬剤又はその薬学的に許容される塩は、担体ポリマーの重量の約67〜約150%の重量の量で存在する。
放出速度制御ポリマーフィルムとの高い薬剤又は薬剤塩の担持の組合せは、システムの滞留期間にわたり良好な放出動態を維持しながら、増加した量の薬剤又は薬剤塩を有する胃内滞留システムを提供する。
放出速度調節ポリマーフィルムはまた、約20〜約35%の細長部材、又は該細長部材が含まれるセグメント中の重量による薬剤の量のような、上記の高い担持の値より低い担持と共に使用することができる。高い担持及び高い担持より低い担持の両方をカバーする担持範囲を使用することができ、該範囲は、例えば、約20〜約60%、約25〜約60%、約30〜約60%、約35〜約60%、約20〜約50%、約20〜約40%、又は約25〜約50%である。
ポリマーブレンド物の薬剤放出及び安定性のモジュレーションのための分散剤
担体ポリマー−薬剤成分中の分散剤の使用は、多数の利点を提供する。担体ポリマー−薬剤成分からの薬剤の溶出速度は、以前に記載したように、担体ポリマー(これはそれ自体、複数のポリマー及び非ポリマー成分を含み得る)の組成及び特性;薬剤の物理的及び化学的特性;並びに胃環境を含む多数の要因により影響される。薬剤、特に親水性薬剤のバースト放出を回避し、かつ効果的な放出期間又は滞留期間にわたり薬剤の持続放出を維持することは、システムの重要な特徴である。本発明による分散剤の使用は、放出速度のより良好な制御及びバースト放出の抑制を可能とする。バースト放出及び放出速度は、様々な濃度の分散剤を使用することにより調整することができる。例えば、様々な濃度の異なる分散剤及び異なる賦形剤は、模擬胃液中でのセチリジンのバースト放出を調整することができる。
本発明において使用することができる分散剤としては、二酸化ケイ素(シリカ、SiO2)(親水性ヒュームド);ステアリン酸塩、例えば、ステアリン酸カルシウム及びステアリン酸マグネシウム;微結晶性セルロース;カルボキシメチルセルロース;疎水性コロイダルシリカ;ヒプロメロース;ケイ酸マグネシウムアルミニウム;リン脂質;ポリオキシエチレンステアレート;酢酸亜鉛;アルギン酸;レシチン;脂肪酸;ラウリル硫酸ナトリウム;並びに非毒性金属酸化物、例えば酸化アルミニウムが挙げられる。多孔性無機材料及び極性無機材料を使用することができる。親水性ヒュームド二酸化ケイ素は好ましい分散剤である。1つの特に有用な二酸化ケイ素が、登録商標CAB−O−SIL(登録商標)M−5P(CAS#112945−52−5)の下でCabot Corporation(Boston、Massachusetts、USA)により販売されており、これは約200m2/g±15m2/gのBET表面積を有する親水性ヒュームド二酸化ケイ素である。45ミクロン篩上のこの製品のメッシュ残留物は約0.02%未満である。典型的な一次凝集物サイズは約150〜約300nmであり、個々の粒子サイズは約5〜約50nmの範囲内であり得る。
抗凝集/抗綿状沈殿活性に加えて、分散剤は、システムの製造及び/又は貯蔵の間の相分離を防止するのを助け得る。これは、ホットメルト押出しによるシステムの製造のために特に有用である。
薬剤物質に対する分散剤の重量/重量比は、約0.1〜約5%、約0.1〜約4%、約0.1〜約3%、約0.1〜約2%、約0.1〜約1%、約1〜約5%、約1〜約4%、約1〜約3%、約1〜約2%、約2〜約4%、約2〜約3%、約3〜約4%、約4〜約5%、又は約0.1%、約0.5%、約1%、約2%、約3%、約4%又は約5%であり得る。
分散剤は、担体ポリマー−薬剤成分の約0.1〜約4%、例えば、約0.1〜約3.5%、約0.1〜約3%、約0.1〜約2.5%、約0.1〜約2%、約0.1〜約1.5%、約0.1〜約1%、約0.1〜約0.5%、又は約0.2〜約0.8%を構成し得る。
分散剤はまた、胃内滞留システムが投与された時の初期期間における薬剤又はその薬学的に許容される塩のバースト放出の量をモジュレートするために使用することができる。週毎に1回投与される胃内滞留システムの実施形態では、初回投与後の最初のおおよそ6時間にわたるバースト放出は、システム中の薬剤(又はその塩)の総量の約8%未満、好ましくは約6%未満である。3日毎に1回投与される胃内滞留システムの実施形態では、初回投与後の最初のおおよそ6時間にわたるバースト放出は、システム中の薬剤(又はその塩)の総量の約12%未満、好ましくは約10%未満である。1日1回投与される胃内滞留システムの実施形態では、初回投与後の最初のおおよそ6時間にわたるバースト放出は、システム中の薬剤(又はその塩)の総量の約40%未満、好ましくは約30%未満である。一般に、新たな胃内滞留システムがD日毎に投与され、かつ薬剤(又はその塩)の総質量がMである場合、胃内滞留システムは、初回投与後の最初のおおよそ6時間にわたって、約[(M/D)×0.5]未満、好ましくは約[(M/D)×0.4]未満、又は約[(M/D)×3/8]未満、より好ましくは約[(M/D)×0.3]未満を放出する。さらなる実施形態では、胃内滞留システムは、初回投与後の最初のおおよそ6時間にわたって、少なくとも約[(M/D)×0.25]を放出し、すなわち、システムは、投与初日の最初の4分の1にわたり、1日の投与量の少なくとも約4分の1を放出する。
胃内滞留システムにおいて使用するための安定化剤
多くの薬剤は、胃の中に存在し得る活性酸素種に曝露された時に酸化分解しやすい。システム中に含有される薬剤は、したがって、システムの胃の中での長期的な滞留、及びシステムからの薬剤の持続放出期間に起因して酸化され得る。したがって、薬剤を安定化させて酸化分解及び他の分解を予防するために、システム中に安定化剤又は防腐剤を含めることが望ましい。
トコフェロール、アルファ−トコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、及びフマル酸を含む抗酸化剤のような安定化剤は、担体ポリマー−薬剤成分の約0.1〜約4%、例えば、約0.1〜約3.5%、約0.1〜約3%、約0.1〜約2.5%、約0.1〜約2%、約0.1〜約1.5%、約0.1〜約1%、約0.1〜約0.5%、又は約0.2〜約0.8%を構成し得る。
薬剤の酸化を低減させ又は予防するためにシステムに含めることができる抗酸化性安定化剤としては、アルファ−トコフェロール(約0.01〜約0.05%v/v)、アスコルビン酸(約0.01〜約0.1%w/v)、パルミチン酸アスコルビル(約0.01〜約0.1%w/v)、ブチルヒドロキシトルエン(約0.01〜約0.1%w/w)、ブチルヒドロキシアニソール(約0.01〜約0.1%w/w)、及びフマル酸(最大3600ppm)が挙げられる。ビタミンE、トコフェロール、ビタミンEエステル、トコフェロールエステル、アスコルビン酸、又はカロテン、例えば、アルファ−トコフェロール、ビタミンEサクシネート、アルファ−トコフェロールサクシネート、ビタミンEアセテート、アルファ−トコフェロールアセテート、ビタミンEニコチネート、アルファ−トコフェロールニコチネート、ビタミンEリノレート、又はアルファ−トコフェロールリノレートを抗酸化性安定化剤として使用することができる。
ある特定の薬剤は、特に胃環境において存在する低pHにおいて、pH感受性であり得る。低pHにおける薬剤の分解を低減させ又は予防するためにシステムに含めることができる緩衝化剤又はpH安定化剤化合物としては、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、及び重炭酸ナトリウムが挙げられる。それらは、典型的に、最大約2%w/wの量において使用される。緩衝化剤又はpH安定化剤化合物は、担体ポリマー−薬剤成分の約0.1〜約4%、例えば、約0.1〜約3.5%、約0.1〜約3%、約0.1〜約2.5%、約0.1〜約2%、約0.1〜約1.5%、約0.1〜約1%、約0.1〜約0.5%、又は約0.2〜約0.8%を構成し得る。
抗酸化性安定化剤、pH安定化剤、及び他の安定化剤化合物は、融解した担体ポリマー−薬剤又は薬剤塩の混合物に安定化剤をブレンドすることにより薬剤(又はその薬学的に許容される塩)を含有するポリマーにブレンドされる。薬剤(又はその塩)をポリマー−安定化剤の混合物にブレンドする前に、融解した担体ポリマーに安定化剤をブレンドすることができ;又は担体ポリマー中へのブレンドされた薬剤(又はその塩)−安定化剤の混合物の配合の前に安定化剤を薬剤(又はその塩)とブレンドすることができ;又は安定化剤、薬剤(又はその塩)、及び融解した担体ポリマーを同時にブレンドすることができる。安定化剤をポリマー−薬剤又は薬剤塩の混合物にブレンドする前に、融解した担体ポリマーと薬剤(又はその塩)をブレンドすることもできる。
一実施形態では、システム中に残存する薬剤(又はその塩)の約10%未満は、約24時間の胃内滞留期間の後に分解又は酸化されている。一実施形態では、システム中に残存する薬剤(又はその塩)の約10%未満は、約48時間の胃内滞留期間の後に分解又は酸化されている。一実施形態では、システム中に残存する薬剤(又はその塩)の約10%未満は、約72時間の胃内滞留期間の後に分解又は酸化されている。一実施形態では、システム中に残存する薬剤(又はその塩)の約10%未満は、約96時間の胃内滞留期間の後に分解又は酸化されている。一実施形態では、システム中に残存する薬剤(又はその塩)の約10%未満は、約5日の胃内滞留期間の後に分解又は酸化されている。いくつかの実施形態では、システム中に残存する薬剤(又はその塩)の約10%未満は、約1週間の胃内滞留期間の後に分解又は酸化されている。いくつかの実施形態では、システム中に残存する薬剤(又はその塩)の約10%未満は、約2週間の胃内滞留期間の後に分解又は酸化されている。
一実施形態では、システム中に残存する薬剤(又はその塩)の約5%未満は、約24時間の胃内滞留期間の後に分解又は酸化されている。一実施形態では、システム中に残存する薬剤(又はその塩)の約5%未満は、約48時間の胃内滞留期間の後に分解又は酸化されている。一実施形態では、システム中に残存する薬剤(又はその塩)の約5%未満は、約72時間の胃内滞留期間の後に分解又は酸化されている。一実施形態では、システム中に残存する薬剤(又はその塩)の約5%未満は、約96時間の胃内滞留期間の後に分解又は酸化されている。一実施形態では、システム中に残存する薬剤(又はその塩)の約5%未満は、約5日の胃内滞留期間の後に分解又は酸化されている。いくつかの実施形態では、システム中に残存する薬剤(又はその塩)の約5%未満は、約1週間の胃内滞留期間の後に分解又は酸化されている。いくつかの実施形態では、システム中に残存する薬剤(又はその塩)の約5%未満は、約2週間の胃内滞留期間の後に分解又は酸化されている。
滞留時間
胃内滞留システムの滞留時間は、胃へのシステムの投与と胃からのシステムの脱出との間の時間として定義される。一実施形態では、胃内滞留システムは、約24時間、又は最大約24時間の滞留時間を有する。一実施形態では、胃内滞留システムは、約48時間、又は最大約48時間の滞留時間を有する。一実施形態では、胃内滞留システムは、約72時間、又は最大約72時間の滞留時間を有する。一実施形態では、胃内滞留システムは、約96時間、又は最大約96時間の滞留時間を有する。一実施形態では、胃内滞留システムは、約5日、又は最大約5日の滞留時間を有する。一実施形態では、胃内滞留システムは、約6日、又は最大約6日の滞留時間を有する。一実施形態では、胃内滞留システムは、約7日(約1週間)、又は最大約7日(約1週間)の滞留時間を有する。一実施形態では、胃内滞留システムは、約10日、又は最大約10日の滞留時間を有する。一実施形態では、胃内滞留システムは、約14日(約2週間)、又は最大約14日(約2週間)の滞留時間を有する。
一実施形態では、胃内滞留システムは、約24時間〜約7日の滞留時間を有する。一実施形態では、胃内滞留システムは、約48時間〜約7日の滞留時間を有する。一実施形態では、胃内滞留システムは、約72時間〜約7日の滞留時間を有する。一実施形態では、胃内滞留システムは、約96時間〜約7日の滞留時間を有する。一実施形態では、胃内滞留システムは、約5〜約7日の滞留時間を有する。一実施形態では、胃内滞留システムは、約6〜約7日の滞留時間を有する。
一実施形態では、胃内滞留システムは、約24時間〜約10日の滞留時間を有する。一実施形態では、胃内滞留システムは、約48時間〜約10日の滞留時間を有する。一実施形態では、胃内滞留システムは、約72時間〜約10日の滞留時間を有する。一実施形態では、胃内滞留システムは、約96時間〜約10日の滞留時間を有する。一実施形態では、胃内滞留システムは、約5〜約10日の滞留時間を有する。一実施形態では、胃内滞留システムは、約6〜約10日の滞留時間を有する。一実施形態では、胃内滞留システムは、約7〜約10日の滞留時間を有する。
一実施形態では、胃内滞留システムは、約24時間〜約14日の滞留時間を有する。一実施形態では、胃内滞留システムは、約48時間〜約14日の滞留時間を有する。一実施形態では、胃内滞留システムは、約72時間〜約14日の滞留時間を有する。一実施形態では、胃内滞留システムは、約96時間〜約14日の滞留時間を有する。一実施形態では、胃内滞留システムは、約5〜約14日の滞留時間を有する。一実施形態では、胃内滞留システムは、約6〜約14日の滞留時間を有する。一実施形態では、胃内滞留システムは、約7〜約14日の滞留時間を有する。一実施形態では、胃内滞留システムは、約10〜約14日の滞留時間を有する。
胃内滞留システムは、システムが胃の中に滞留している滞留時間又は滞留期間の少なくとも一部の間に治療有効量の薬剤(又はその塩)を放出する。一実施形態では、システムは、滞留時間の少なくとも約25%の間に治療有効量の薬剤(又はその塩)を放出する。一実施形態では、システムは、滞留時間の少なくとも約50%の間に治療有効量の薬剤(又はその塩)を放出する。一実施形態では、システムは、滞留時間の少なくとも約60%の間に治療有効量の薬剤(又はその塩)を放出する。一実施形態では、システムは、滞留時間の少なくとも約70%の間に治療有効量の薬剤(又はその塩)を放出する。一実施形態では、システムは、滞留時間の少なくとも約75%の間に治療有効量の薬剤(又はその塩)を放出する。一実施形態では、システムは、滞留時間の少なくとも約80%の間に治療有効量の薬剤(又はその塩)を放出する。一実施形態では、システムは、滞留時間の少なくとも約85%の間に治療有効量の薬剤(又はその塩)を放出する。一実施形態では、システムは、滞留時間の少なくとも約90%の間に治療有効量の薬剤(又はその塩)を放出する。一実施形態では、システムは、滞留時間の少なくとも約95%の間に治療有効量の薬剤(又はその塩)を放出する。一実施形態では、システムは、滞留時間の少なくとも約98%の間に治療有効量の薬剤(又はその塩)を放出する。一実施形態では、システムは、滞留時間の少なくとも約99%の間に治療有効量の薬剤(又はその塩)を放出する。
放射線不透過性
システムは任意選択的に放射線不透過性であるため、必要に応じて腹部X線を介して位置を確認することができる。いくつかの実施形態では、システムの構築のために使用される材料の1つ又は複数は、X線可視化のために充分に放射線不透過性である。他の実施形態では、放射線不透過性物質がシステムの1つ若しくは複数の材料に加えられるか、又はシステムの1つ若しくは複数の材料にコーティングされるか、又はシステムの小部分に加えられる。好適な放射線不透過性物質の例は、硫酸バリウム、次炭酸ビスマス、オキシ塩化ビスマス、及び三酸化ビスマスである。これらの材料は、担体ポリマーからの薬物放出又は他のシステムポリマーの所望の特性を変化させないように、胃内滞留システムを構築するために使用されるポリマーにブレンドされないことが好ましい。システム成分の小部分上に、タングステンのような金属製のストライプ又はチップを使用することもできる。
賦形剤及び他の添加物との担体ポリマー−薬剤/薬剤塩の組合せ
担体ポリマー−薬剤又は担体ポリマー−薬剤塩のブレンド物は、様々な賦形剤及び他の添加物を含み得る。以下の表CPE−1は、胃内滞留システムの細長部材又は細長部材のセグメントを構成する組成物中の薬剤又はその塩及び担体ポリマーと組み合わせて使用することができる賦形剤及び他の添加物の組合せを列記する。これらの賦形剤及び他の添加物は、組成物の残りの部分を構成するポリカプロラクトンのような担体ポリマーと薬剤又はその塩(薬剤又は薬剤塩は、組成物の重量の約10〜約60%を構成する)と組み合わせることができる。賦形剤としては、以下のものが挙げられ、これらは、組成物の重量の約1〜約30%、例えば約5〜約20%の範囲内の量で、個々に又はあらゆる組合せで使用することができる:コリフォールP407(ポロキサマー407、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール))、オイドラギットRS(ポリ[エチルアクリレート、メチルメタクリレート、トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド]1:2:0.1)、オイドラギットRL(ポリ[エチルアクリレート、メチルメタクリレート、トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド]1:2:0.2)、PDO(ポリジオキサノン)、PEG−PCL、SIF(BioRelevantのFaSSIF/FaSSGF粉末)、EPO(ジメチルアミノエチルメタクリレート−ブチルメタクリレート−メチルメタクリレートコポリマー)、コリドンVA64(6:4の質量比のビニルピロリドン−ビニルアセテートコポリマー)、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリジン。
他の添加物としては、二酸化ケイ素(例えば、組成物の重量の約0.1〜約5%、例えば、約0.1〜1%又は約0.5%を構成する)及び抗酸化剤、例えば、アルファ−トコフェロール(例えば、組成物の重量の約0.1〜約5%、例えば、約0.1〜1%又は約0.5%を構成する)が挙げられる。以下の表の各行は、担体ポリマー及び薬剤又はその塩と共に使用するための賦形剤及び他の添加物の配合を表す。
表CPE−2は、胃内滞留システムの細長部材又は細長部材のセグメントを構成する組成物中の薬剤又はその塩及び担体ポリマーと組み合わせて使用することができる特定の量の賦形剤及び他の添加物を列記する。
表CPE−2に列記する量は、各成分のプラス又はマイナス20%で変動し得る(例えば、0.5%の20%は0.1%であるので、0.5%のシリカは0.4〜0.6%のシリカで変動し得る)。以下の表の各行は、担体ポリマー及び薬剤又はその塩と共に使用するための賦形剤及び他の添加物の配合を表す。
システムの製造/組立て:三次元印刷
アーム又はアームセグメントのような胃内滞留システムの成分の三次元印刷は、市販の機器を使用して行われる。三次元印刷は、医薬の調製のために使用されてきた;Khaled et al.、「Desktop 3D printing of controlled release pharmaceutical bilayer tablets」、International Journal of Pharmaceutics 461:105−111(2014);米国特許第7,276,252号明細書;Alhnan et al.、「Emergence of 3D Printed Dosage Forms:Opportunities and Challenges」、Pharm.Res.、May 18、2016、PubMed PMID:27194002);Yu et al.、「Three−dimensional printing in pharmaceutics:promises and problems」、J.Pharm.Sci.97(9):3666−3690(2008);及びUrsan et al.、「Three−dimensional drug printing:A structured review」、J.Am.Pharm.Assoc.53(2):136−44(2013)を参照されたい。
三次元印刷用の開始フィードストックは、ポリマー又はポリマーブレンド物(例えば、腸溶性ポリマー、時間依存性ポリマー、又は担体ポリマー、腸溶性ポリマー、若しくは時間依存性ポリマーとの薬剤、薬剤塩、薬物、賦形剤などの1つ若しくは複数のブレンド物)である。製造されるセグメント又は細長部材の1つの領域のために使用されるポリマー又は成分は、ホットメルト押出しを使用して混合及びペレット化される。ポリマー又はブレンドされたポリマー材料は円形ダイを通して押し出され、スプールの周りに巻かれる円筒形繊維を作り出す。
複数のスプールが3Dプリンター(例えば、Hyrel Printer、Hyrel 3D(Norcross、Georgia、United States)から入手可能)に供給されて、それらの代表的なプリントヘッドに供給される。プリントヘッドはノズルにおいて材料を加熱及び融解して、製造されている部品上の特定の位置に材料(ポリマー又はポリマーブレンド物)の薄層を置く。材料は数秒以内に冷却されて硬化し、完全な構造が形成されるまで次の層が加えられる。剤形の品質は、供給速度、ノズル温度、及びプリンターの解像度に依存し、供給速度及びノズル温度を調整して所望の品質を得ることができる。
三次元印刷を使用して、個々の細長部材、又は細長部材のセグメントを製造することができる。本明細書に記載される共押出し方法により作製されたものと同様に、3次元印刷を使用して、圧縮化された「スラブ」のようなバルク構成を作製することもできる。バルク構成は、必要に応じて個々の小片(すなわち、個々の細長部材又は個々のセグメント)に切断することができる。
本発明のいくつかの実施形態では、細長部材の三次元印刷により胃内滞留システムの細長部材、又は「アーム」の全体を製造することが想定される。本発明のいくつかの実施形態では、細長部材のセグメントの三次元印刷により胃内滞留システムの細長部材、又は「アーム」のセグメントを製造することが想定される。いくつかの実施形態では、細長部材又はそのセグメントは、スラブ構成のようなバルク構成の担体ポリマー−薬剤又はポリマー−薬剤塩ブレンド物及びリンカー材料の隣接部分の三次元印刷により製造される。三次元印刷に続いて、バルク構成を細長部材又はそのセグメントの所望の形状を有する小片に切断することができる。三次元印刷に続いて、バルク構成の部分を、細長部材又はそのセグメントの所望の形状を有する小片に圧縮成形することができる。
三次元印刷は、多くの場合、固体材料のロッド又は繊維をプリントヘッドに供給し、熱溶解積層法(押出積層法と呼ばれることもある)として公知の技術で、それを融解してその後の固化により積層させることにより達成される(米国特許第5,121,329号明細書及び同第5,340,433号明細書を参照)。担体ポリマー−薬物成分の製造のための本明細書に記載される方法はまた、胃内滞留システムの成分の三次元印刷を介する製造において使用することができるフィード材料を製造するために使用することができる。
システムの製造/組立て:共押出し
胃内滞留システムの成分は共押出しにより製造することができる。「海の島」(islands−in−the−sea)構成のような本明細書において議論されるセグメントの様々な構成の大部分は、三次元印刷又は共押出しのいずれかにより作製することができる。しかしながら、共押出しはより安価であり、そして一般にバッチプロセスとして行われる三次元印刷とは対照的に、連続プロセスとして行うことができる。
「海の島」構成の共押出しは、繊維産業及び光ファイバーの製造のために使用されているが、生物医学システムにはほとんど応用されていない。米国特許第3,531,368号明細書;同第3,716,614号明細書;同第4,812,012号明細書;及びHaslauer et al.、J.Biomed.Mater.Res.B Appl.Biomater.103(5):1050−8頁(2015)を参照。
細長部材(アーム)、又は細長部材(アーム)のセグメントのような胃内滞留システムの成分の共押出しは、所望の構成のためにカスタマイズされた共押出機配管及びカスタマイズされたダイと組み合わせた市販の機器を使用して行うことができる。共押出しのための開始フィードストックは、ポリマー又はポリマーブレンド物(例えば、腸溶性ポリマー、時間依存性ポリマー、又は担体ポリマー、腸溶性ポリマー、若しくは時間依存性ポリマーとの薬剤、薬剤塩、薬物、賦形剤などの1つ若しくは複数のブレンド物)である。製造されるセグメント又は細長部材の1つの領域のために使用されるポリマー又は成分は、ホットメルト押出しを使用して混合及びペレット化される。このようにして形成されたポリマーペレットはシングルスクリュー押出機の上のホッパーに入れられ、乾燥されて表面水分が除去される。ペレットは個々のシングルスクリュー押出機に重力的に供給され、そこでそれらは共押出しのために融解及び加圧される。
次に、適切な融解ポリマーを、複数のチャネルを有する特注設計のダイを通してポンプし、融解ポリマーは必要な幾何学形状を形成する。複合ポリマーブロックを冷却し(水冷、空冷、又はその両方)、以下に限定されないが、三角プリズム、長方形プリズム、又は円筒形(パイ型ウェッジ)のような所望の形状に切断又は型打ちする。
本発明のいくつかの実施形態では、細長部材を共押出しすることにより胃内滞留システムの細長部材、又は「アーム」の全体を製造することが想定される。本発明のいくつかの実施形態では、細長部材のセグメントを共押出しすることにより胃内滞留システムの細長部材、又は「アーム」のセグメントを製造することが想定される。いくつかの実施形態では、細長部材又はそのセグメントは、スラブ構成のようなバルク構成で担体ポリマー−薬剤又は担体ポリマー−薬剤塩ブレンド物及びリンカー材料の隣接部分を共押出しすることにより製造される。共押出しに続いて、バルク構成を細長部材又はそのセグメントの所望の形状を有する小片に切断することができる。共押出しに続いて、バルク構成の部分を、細長部材又はそのセグメントの所望の形状を有する小片に圧縮成形することができる。
いくつかの実施形態では、細長部材又はそのセグメントは、スラブ構成のようなバルク構成で担体ポリマー−薬剤又は担体ポリマー−薬剤塩ブレンド物及びリンカー材料の隣接部分を共押出ししながら、同時に担体ポリマー−薬剤又は担体ポリマー−薬剤塩ブレンド物内の1つ又は複数の追加のポリマー、リンカー材料、又は担体ポリマー−薬剤(又は薬剤塩)ブレンド物及びリンカー材料の両方を共押出しすることにより製造される。担体ポリマー−薬剤又は担体ポリマー−薬剤塩ブレンド物内の1つ又は複数の追加のポリマー、リンカー材料、又は担体ポリマー−薬剤(又は薬剤塩)ブレンド物及びリンカー材料の両方を共押出しすることは、海の島の構成で行うことができる。共押出しに続いて、バルク構成を細長部材又はそのセグメントの所望の形状を有する小片に切断することができる。共押出しに続いて、バルク構成の部分を細長部材又はそのセグメントの所望の形状を有する小片に圧縮成形することができる。
薬剤粒子サイズ及び粉砕
胃内滞留システムにおいて使用される粒子サイズの制御は、最適な薬剤の放出及びシステムの機械的安定性の両方のために重要である。薬剤粒子サイズは、胃液がシステムの担体ポリマー−薬剤セグメントに浸透した時に溶解のために利用可能な薬剤の表面積に影響する。また、システムの「アーム」(細長部材)は直径が比較的小さいので(例えば、1〜5ミリメートル)、アームの直径の数パーセント過剰なサイズの薬剤粒子の存在は、薬剤がデバイスから溶出する前、及び薬剤粒子が以前に占めていた空間に空隙が残った時の溶出後の両方について、より弱いアームを結果としてもたらす。アームのそのような弱化は、所望の滞留期間の終了前に、システムの早期の破損及び通過に繋がる可能性があるため不利である。
一実施形態では、担体ポリマー−薬剤成分へのブレンドのために使用される薬剤粒子は、直径が約100ミクロンより小さい。別の実施形態では、薬剤粒子は、直径が約75ミクロンより小さい。別の実施形態では、薬剤粒子は、直径が約50ミクロンより小さい。別の実施形態では、薬剤粒子は、直径が約40ミクロンより小さい。別の実施形態では、薬剤粒子は、直径が約30ミクロンより小さい。別の実施形態では、薬剤粒子は、直径が約25ミクロンより小さい。別の実施形態では、薬剤粒子は、直径が約20ミクロンより小さい。別の実施形態では、薬剤粒子は、直径が約10ミクロンより小さい。別の実施形態では、薬剤粒子は、直径が約5ミクロンより小さい。
一実施形態では、担体ポリマー−薬剤成分へのブレンドのために使用される薬剤粒子の少なくとも約80%は、直径が約100ミクロンより小さい。別の実施形態では、薬剤粒子の少なくとも約80%は、直径が約75ミクロンより小さい。別の実施形態では、薬剤粒子の少なくとも約80%は、直径が約50ミクロンより小さい。別の実施形態では、薬剤粒子の少なくとも約80%は、直径が約40ミクロンより小さい。別の実施形態では、薬剤粒子の少なくとも約80%は、直径が約30ミクロンより小さい。別の実施形態では、薬剤粒子の少なくとも約80%は、直径が約25ミクロンより小さい。別の実施形態では、薬剤粒子の少なくとも約80%は、直径が約20ミクロンより小さい。別の実施形態では、薬剤粒子の少なくとも約80%は、直径が約10ミクロンより小さい。別の実施形態では、薬剤粒子の少なくとも約80%は、直径が約5ミクロンより小さい。
一実施形態では、担体ポリマー−薬剤成分へのブレンドのために使用される薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は、直径が約1〜約100ミクロンのサイズを有する。別の実施形態では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は、直径が約1〜約75ミクロンのサイズを有する。別の実施形態では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は、約1ミクロンから約50ミクロンの直径のサイズを有する。別の実施形態では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は、直径が約1〜約40ミクロンのサイズを有する。別の実施形態では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は、直径が約1〜約30ミクロンのサイズを有する。別の実施形態では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は、直径が約1〜約25ミクロンのサイズを有する。別の実施形態では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は、直径が約1〜約20ミクロンのサイズを有する。別の実施形態では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は、直径が約1〜約10ミクロンのサイズを有する。別の実施形態では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は、直径が約1〜約5ミクロンのサイズを有する。
一実施形態では、担体ポリマー−薬剤成分へのブレンドのために使用される薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は、直径が約2〜約100ミクロンのサイズを有する。別の実施形態では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は、直径が約2〜約75ミクロンのサイズを有する。別の実施形態では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は、直径が約2〜約50ミクロンのサイズを有する。別の実施形態では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は、直径が約2〜約40ミクロンのサイズを有する。別の実施形態では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は、直径が約2〜約30ミクロンのサイズを有する。別の実施形態では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は、直径が約2〜約25ミクロンのサイズを有する。別の実施形態では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は、直径が約2〜約20ミクロンのサイズを有する。別の実施形態では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は、直径が約2〜約10ミクロンのサイズを有する。別の実施形態では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は、直径が約2〜約5ミクロンのサイズを有する。
一実施形態では、担体ポリマー−薬剤成分へのブレンドのために使用される薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は、直径が約5〜約100ミクロンのサイズを有する。別の実施形態では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は、直径が約5〜約75ミクロンのサイズを有する。別の実施形態では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は、直径が約5〜約50ミクロンのサイズを有する。別の実施形態では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は、直径が約5〜約40ミクロンのサイズを有する。別の実施形態では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は、直径が約5〜約30ミクロンのサイズを有する。別の実施形態では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は、直径が約5〜約25ミクロンのサイズを有する。別の実施形態では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は、直径が約5〜約20ミクロンのサイズを有する。別の実施形態では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は、直径が約5〜約10ミクロンのサイズを有する。
薬剤の粒子サイズは、粉砕により容易に調整することができる。より大きい粒子を所望のサイズのより小さい粒子に低減させるためにいくつもの粉砕技術が利用可能である。流体エネルギー粉砕は、粒子間衝突を使用して粒子のサイズを低減させる乾式粉砕技術である。エアジェットミルと呼ばれる一種の流体エネルギー粉砕は、薬剤粒子間の衝突を最大化するような方式で空気を円筒形チャンバー内に送り込む。ボールミル粉砕は、その主軸の周りを回転する回転円筒形チャンバーを利用する。薬剤及び粉砕材料(例えば、クロム鋼若しくはCR−NI鋼から作られた鋼球、ジルコニアのようなセラミック球、又はプラスチックポリアミド)が衝突して、薬剤の粒子サイズの低減を引き起こす。ボールミル粉砕は、乾燥状態で、又は薬剤及び粉砕材料が液体に不溶であるシリンダーに液体を加えて行うことができる。粉砕に関するさらなる情報は、Water−Insoluble Drug Formulation、Second Edition(Ron Liu編)、Boca Raton、Florida:CRC Press、2008のR.W. Lee et alによる「Particle Size Reduction」というタイトルのチャプター;及びHandbook of Pharmaceutical Granulation Technology、Third Edition(Dilip M.Parikh編)、Boca Raton、Florida:CRC Press/Taylor&Francis Group、2010のA.W.Brzeczko et al.による「Granulation of Poorly Water−Soluble Drugs」というタイトルのチャプター(及びこのハンドブックの他の節)に記載されている。流体エネルギー粉砕(すなわちエアジェット粉砕)は、ボールミル粉砕のような他の乾式粉砕技術と比較してスケールアップにより適するため、好ましい粉砕方法である。
粉砕添加物
所望のサイズの粒子を得ることを補助し、取り扱い中の凝集を最小化するために、粉砕中の薬物材料に物質を加えることができる。シリカ(二酸化ケイ素、SiO2)は安価で広く入手可能でありかつ非毒性であるため、好ましい粉砕添加物である。使用することができる他の添加物としては、シリカ、リン酸カルシウム、粉末セルロース、コロイド状二酸化ケイ素、疎水性コロイダルシリカ、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、タルク、ポリビニルピロリドン、セルロースエーテル、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、及び界面活性剤が挙げられる。特に、直径5ミクロン未満の疎水性粒子は特に凝集しやすく、そのような粒子を粉砕する時に親水性添加物が使用される。約0.1〜約5%の重量/重量比の粉砕添加物、例えばシリカを、流体粉砕又はボールミル粉砕のために使用することができ、又は約0.1〜約4%、約0.1〜約3%、約0.1〜約2%、約0.1〜約1%、約1〜約5%、約1〜約4%、約1〜約3%、約1〜約2%、若しくは約0.1%、約0.5%、約1%、約2%、約3%、約4%若しくは約5%を使用することができる。
粒子の分粒
粉砕後、粒子を適切なサイズのメッシュに通過させて所望のサイズの粒子を得ることができる。所望の最大サイズの粒子を得るために、粒子を所望の最大サイズの穴を有するメッシュに通過させる。大きすぎる粒子はメッシュ上に保持され、メッシュを通過する粒子は所望の最大サイズを有する。所望の最小サイズの粒子を得るために、粒子を所望の最小サイズの穴を有するメッシュに通過させる。メッシュを通過する粒子は小さすぎ、そして所望の粒子はメッシュ上に保持される。
連結ポリマー
1つ若しくは複数の担体ポリマー−薬剤成分を1つ若しくは複数の担体ポリマー−薬剤成分に連結させるため、1つ若しくは複数の担体ポリマー−薬剤成分を1つ若しくは複数のエラストマー成分に連結させるため、又は1つ若しくは複数のエラストマー成分を1つ若しくは複数のエラストマー成分に連結させるために連結ポリマーが使用される。したがって、連結ポリマーは、システムの他の成分間にリンカー領域を形成する。腸溶性ポリマー及び時間依存性ポリマーは、連結ポリマーとしての使用のために好ましい。いくつかの実施形態では、腸溶性ポリマーが連結ポリマーとして使用される。いくつかの実施形態では、pH耐性の、すなわち腸溶性ポリマーよりpH変化に対する感受性が低い時間依存性ポリマーが連結ポリマーとして使用される。いくつかの実施形態では、腸溶性ポリマー及び腸溶性ポリマーよりpH変化に対する感受性が低い時間依存性ポリマーの両方が連結ポリマーとして使用される。
腸溶性ポリマーは、胃で遭遇する条件のような酸性条件下で比較的不溶性であるが、小腸で遭遇するより弱い酸性から塩基性の条件下で可溶性である。小腸の初期部分である十二指腸のpHは約5.4〜6.1の範囲内であるので、約pH5又はそれより高いpHにおいて溶解する腸溶性ポリマーを連結ポリマーとして使用することができる。胃内滞留システムがインタクトなまま幽門弁を通過した場合、腸溶性連結ポリマーは溶解し、連結ポリマーに連結された成分は分解されて、滞留システムによる小腸及び大腸の通過が可能となる。したがって、胃内滞留システムは、起こり得る腸閉塞を回避するように、48時間以内、好ましくは24時間以内、より好ましくは12時間以内、さらにより好ましくは1〜2時間以内に連結ポリマーの溶解により腸環境内で迅速に脱連結されるように設計される。治療中に何らかの理由で胃内滞留システムを迅速に除去しなければならない場合、患者は、胃内滞留システムの即時の脱連結を誘導するために弱塩基性水溶液(例えば、重炭酸溶液)を飲むことができる。
「pH耐性である時間依存性ポリマー」(又はこれと同等に「pH耐性時間依存性ポリマー」)は、腸溶性ポリマーがもはや成分を一緒に連結することがない点まで分解される条件下で、時間依存性ポリマーは依然として、成分を一緒に連結するために充分な機械的強度を有することを意味する。いくつかの実施形態では、時間依存性ポリマーは、約pH7〜約pH8の溶液への暴露後に、約pH2〜約pH3の溶液に暴露した後とほぼ同じ連結能力、すなわちその連結強度の約100%を保持し、ここで暴露は、約1時間、約1日、約3日、又は約1週間である。いくつかの実施形態では、時間依存性ポリマーは、約pH7〜約pH8の溶液への暴露後に、約pH2〜約pH3の溶液に暴露後の連結強度の少なくとも約90%を保持し、ここで暴露は、約1時間、約1日、約3日、又は約1週間である。いくつかの実施形態では、時間依存性ポリマーは、約pH7〜約pH8の溶液への暴露後に、約pH2〜約pH3の溶液に暴露後の連結強度の少なくとも約75%を保持し、ここで暴露は、約1時間、約1日、約3日、又は約1週間である。いくつかの実施形態では、時間依存性ポリマーは、約pH7〜約pH8の溶液への暴露後に、約pH2〜約pH3の溶液に暴露後の連結強度の少なくとも約60%を保持し、ここで暴露は、約1時間、約1日、約3日、又は約1週間である。いくつかの実施形態では、時間依存性ポリマーは、約pH7〜約pH8の溶液への暴露後に、約pH2〜約pH3の溶液に暴露後の連結強度の少なくとも約50%を保持し、ここで暴露は、約1時間、約1日、約3日、又は約1週間である。いくつかの実施形態では、時間依存性ポリマーは、約pH7〜約pH8の溶液への暴露後に、約pH2〜約pH3の溶液に暴露後の連結強度の少なくとも約25%を保持し、ここで暴露は、約1時間、約1日、約3日、又は約1週間である。いくつかの実施形態では、時間依存性ポリマーは、約pH7〜約pH8の溶液への曝露後に、約0.2ニュートン(N)、約0.3N、約0.4N、約0.5N、約0.75N、約1N、約1.5N、約2N、約2.5N、約3N、約4N、又は約5Nの曲げ力の下での破壊に抵抗し、ここで暴露は、約1時間、約1日、約3日、又は約1週間である。連結強度は、4点曲げたわみ試験(ASTM D790)のような連結能力を試験するために機能するあらゆる妥当な試験により測定することができる。
例示的な連結ポリマーとしては、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートサクシネート、メチルセルロースフタレート、エチルヒドロキシセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ポリビニルブチレートアセテート、ビニルアセテート−無水マレイン酸コポリマー、スチレン−マレイン酸モノエステルコポリマー、メタクリル酸メチルメタクリレートコポリマー、メチルアクリレート−メタクリル酸コポリマー、メタクリレート−メタクリル酸−オクチルアクリレートコポリマー、並びにこれらのコポリマー、混合物、ブレンド物及び組合せが挙げられるがこれらに限定されない。本発明において使用することができる腸溶性ポリマーの一部は、それらの溶解pHと共に腸溶性ポリマーの表に列記されている。(Mukherji、Gour及びClive G.Wilson、「Enteric Coating for Colonic Delivery」、Modified−Release Drug Delivery TechnologyのChapter 18(Michael J.Rathbone、Jonathan Hadgraft、Michael S.Roberts編)、Drugs and the Pharmaceutical Sciences Volume 126、New York:Marcel Dekker、2002を参照。)好ましくは、約5又は約5.5以下のpHにおいて溶解する腸溶性ポリマーが使用される。ポリ(メタクリル酸−コ−エチルアクリレート)(商標名オイドラギットL100−55の下で販売されており、オイドラギットはEvonik Rohm GmbH(Darmstadt、Germany)の登録商標である)は好ましい腸溶性ポリマーである。別の好ましい腸溶性ポリマーはヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(ヒプロメロースアセテートサクシネート又はHPMCAS;Ashland,Inc.、Covington、Kentucky、USA)であり、これは、約5.5〜約7.0の調整可能なpHカットオフを有する。セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートサクシネート、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートもまた好適な腸溶性ポリマーである。
一実施形態では、胃内滞留システムにおいて使用される腸溶性ポリマーは、約4より高いpHにおいて溶解する。いくつかの実施形態では、胃内滞留システムにおいて使用される腸溶性ポリマーは、約5より高いpHにおいて溶解する。いくつかの実施形態では、胃内滞留システムにおいて使用される腸溶性ポリマーは、約6より高いpHにおいて溶解する。いくつかの実施形態では、胃内滞留システムにおいて使用される腸溶性ポリマーは、約7より高いpHにおいて溶解する。いくつかの実施形態では、胃内滞留システムにおいて使用される腸溶性ポリマーは、約7.5より高いpHにおいて溶解する。いくつかの実施形態では、胃内滞留システムにおいて使用される腸溶性ポリマーは、約4〜約5のpHにおいて溶解する。いくつかの実施形態では、胃内滞留システムにおいて使用される腸溶性ポリマーは、約4〜約6のpHにおいて溶解する。いくつかの実施形態では、胃内滞留システムにおいて使用される腸溶性ポリマーは、約4〜約7のpHにおいて溶解する。いくつかの実施形態では、胃内滞留システムにおいて使用される腸溶性ポリマーは、約4〜約7.5のpHにおいて溶解する。いくつかの実施形態では、胃内滞留システムにおいて使用される腸溶性ポリマーは、約5〜約6のpHにおいて溶解する。いくつかの実施形態では、胃内滞留システムにおいて使用される腸溶性ポリマーは、約5〜約7のpHにおいて溶解する。いくつかの実施形態では、胃内滞留システムにおいて使用される腸溶性ポリマーは、約5〜約7.5のpHにおいて溶解する。いくつかの実施形態では、胃内滞留システムにおいて使用される腸溶性ポリマーは、約6〜約7のpHにおいて溶解する。いくつかの実施形態では、胃内滞留システムにおいて使用される腸溶性ポリマーは、約6〜約7.5のpHにおいて溶解する。
連結ポリマーとして使用するための追加の好ましいポリマーは時間依存性ポリマー、すなわち、胃環境中において時間依存的方式で分解するポリマーである。例えば、液体可塑剤トリアセチンは模擬胃液中で7日にわたり時間依存的方式でポリマー配合物から放出されるが、Plastoid Bは模擬胃液中で7日間の期間にわたりその強度を保持する。したがって、時間依存的方式で分解するポリマーは、Plastoid B及びトリアセチンを混合することにより容易に調製することができ、Plastoid B−トリアセチン混合物の分解時間は、混合物中で使用されるPlastoid Bの量を増加させる(すなわち、混合物中でより少ないトリアセチンを使用する)ことにより延長させることができ、分解時間は、混合物中で使用されるPlastoid Bの量を減少させる(すなわち、混合物中でより多くのトリアセチンを使用する)ことにより減少させることができる。
様々な時間依存的機構が利用可能である。水溶性の時間依存性ポリマーは、水がポリマーを通過すると分解する。そのようなポリマーの例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルアセテートである。酸可溶性の時間依存性ポリマーは、酸性環境中で経時的に分解する。例としては、オイドラギットEPOが挙げられる。時間依存性ポリマーは水溶性の可塑剤を使用することができ、可塑剤が放出されるにつれて残留ポリマーはもろくなり、胃の力の下で崩壊する。そのようなポリマーの例としては、トリアセチン及びクエン酸トリエチルが挙げられる。
いくつかの実施形態では、担体ポリマー−薬剤成分は、腸溶性ポリマーにより取り付けられたセグメントを含む細長部材である。いくつかの実施形態では、担体ポリマー−薬剤成分は、腸溶性ポリマーによりシステムのエラストマー成分に取り付けられる。これらの実施形態のいずれかでは、腸溶性ポリマーがセグメント間の取付け及びエラストマー成分への細長部材の取付けの両方のために使用される場合、セグメント間の取付けのために使用される腸溶性ポリマーは、エラストマー成分への細長部材の取付けのために使用される腸溶性ポリマーと同じ腸溶性ポリマーであってよく、又はセグメント間の取付けのために使用される腸溶性ポリマーは、エラストマー成分への細長部材の取付けのために使用される腸溶性ポリマーとは異なる腸溶性ポリマーであってよい。セグメント間の取付けのために使用される腸溶性ポリマーは、全て同じ腸溶性ポリマーであってよく、又は全て異なる腸溶性ポリマーであってよく、又はセグメント間の取付けにおけるいくつかの腸溶性ポリマーは同じであってよくかつセグメント間の取付けにおけるいくつかの腸溶性ポリマーは異なってよい。すなわち、各セグメント間の取付けのために使用される腸溶性ポリマー及びエラストマー成分への細長部材の取付けのために使用される腸溶性ポリマーは、独立して選択することができる。
いくつかの実施形態では、担体ポリマー−薬物成分は、腸溶性ポリマー、時間依存性リンカー、若しくは分解性マトリックス、又は腸溶性ポリマー、時間依存性リンカー、及び/若しくは分解性マトリックスのあらゆる組合せによりシステムのエラストマー成分に取り付けられた非セグメント化細長部材である。
本明細書に記載される胃内滞留システムの実施形態のいずれかでは、連結ポリマー又はリンカーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)及びポリカプロラクトン(PCL)を含み得る。これらのブレンド物は、分解性リンカー又は分解性マトリックスを形成するために使用され得る。分解性リンカー又は分解性マトリックスにおけるHPMCAS対ポリカプロラクトンの比は、約80%のHPMCAS:20%のPCL〜約20%のHPMCAS:80%のPCLであり得る。HPMCAS対ポリカプロラクトンの比は、約80%のHPMCAS:20%のPCL〜約20%のHPMCAS:80%のPCL;約70%のHPMCAS:30%のPCL〜約30%のHPMCAS:70%のPCL;約60%のHPMCAS:40%のPCL〜約40%のHPMCAS:60%のPCL;約80%のHPMCAS:20%のPCL〜約50%のHPMCAS:50%のPCL;約80%のHPMCAS:20%のPCL〜約60%のHPMCAS:40%のPCL;約70%のHPMCAS:30%のPCL〜約50%のHPMCAS:50%のPCL;約70%のHPMCAS:30%のPCL〜約60%のHPMCAS:40%のPCL;約20%のHPMCAS:80%のPCL〜約40%のHPMCAS:60%のPCL;約20%のHPMCAS:80%のPCL〜約50%のHPMCAS:50%のPCL;約30%のHPMCAS:70%のPCL〜約40%のHPMCAS:60%のPCL;約30%のHPMCAS:70%のPCL〜約50%のHPMCAS:50%のPCL;又は約80%のHPMCAS:20%のPCL、約70%のHPMCAS:30%のPCL、約60%のHPMCAS:40%のPCL、約50%のHPMCAS:50%のPCL、約40%のHPMCAS:60%のPCL、約30%のHPMCAS:70%のPCL、若しくは約20%のHPMCAS:80%のPCLであり得る。リンカーは、トリアセチン、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチルフタレート、セバシン酸ジブチル、グリセリン、ヒマシ油、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトール−ソルビタン混合物、及びジアセチル化モノグリセリドからなる群から選択される可塑剤をさらに含み得る。
リンカーは、所望の滞留期間後に胃内滞留システムが脱連結して幽門を通過して胃の外へ通過する点に到達することを可能とするために、指定された期間後に充分に弱まるように、又は胃内滞留システムがもはや胃内に保持されないよう充分に弱まるように、選択される。すなわち、リンカーは脱連結の点(脱連結点)まで、又は胃内滞留システムが幽門を通過することができる点(幽門通過点、又は通過点)まで弱くなる。したがって、一実施形態では、ヒトの胃の中で約2日後;ヒトの胃の中で約3日後;ヒトの胃の中で約4日後;ヒトの胃の中で約5日後;ヒトの胃の中で約6日後;ヒトの胃の中で約7日後;ヒトの胃の中で約8日後;ヒトの胃の中で約9日後;ヒトの胃の中で約10日後;又はヒトの胃の中で約2週間後に脱連結するリンカーが使用される。一実施形態では、イヌの胃の中で約2日後;イヌの胃の中で約3日後;イヌの胃の中で約4日後;イヌの胃の中で約5日後;イヌの胃の中で約6日後;イヌの胃の中で約7日後;イヌの胃の中で約8日後;イヌの胃の中で約9日後;イヌの胃の中で約10日後;又はイヌの胃の中で約2週間後に脱連結するリンカーが使用される。一実施形態では、ブタの胃の中で約2日後;ブタの胃の中で約3日後;ブタの胃の中で約4日後;ブタの胃の中で約5日後;ブタの胃の中で約6日後;ブタの胃の中で約7日後;ブタの胃の中で約8日後;ブタの胃の中で約9日後;ブタの胃の中で約10日後;又はブタの胃の中で約2週間後に脱連結するリンカーが使用される。一実施形態では、絶食状態模擬胃液中で約2日後;絶食状態模擬胃液中で約3日後;絶食状態模擬胃液中で約4日後;絶食状態模擬胃液中で約5日後;絶食状態模擬胃液中で約6日後;絶食状態模擬胃液中で約7日後;絶食状態模擬胃液中で約8日後;絶食状態模擬胃液中で約9日後;絶食状態模擬胃液中で約10日後;又は絶食状態模擬胃液中で約2週間後に脱連結するリンカーが使用される。一実施形態では、摂食状態模擬胃液中で約2日後;摂食状態模擬胃液中で約3日後;摂食状態模擬胃液中で約4日後;摂食状態模擬胃液中で約5日後;摂食状態模擬胃液中で約6日後;摂食状態模擬胃液中で約7日後;摂食状態模擬胃液中で約8日後;摂食状態模擬胃液中で約9日後;摂食状態模擬胃液中で約10日後;又は摂食状態模擬胃液中で約2週間後に脱連結するリンカーが使用される。一実施形態では、pH2の水中で約2日後;pH2の水中で約3日後;pH2の水中で約4日後;pH2の水中で約5日後;pH2の水中で約6日後;pH2の水中で約7日後;pH2の水中で約8日後;pH2の水中で約9日後;pH2の水中で約10日後;又はpH2の水中で約2週間後に脱連結するリンカーが使用される。一実施形態では、pH1の水中で約2日後;pH1の水中で約3日後;pH1の水中で約4日後;pH1の水中で約5日後;pH1の水中で約6日後;pH1の水中で約7日後;pH1の水中で約8日後;pH1の水中で約9日後;pH1の水中で約10日後;又はpH1の水中で約2週間後に脱連結するリンカーが使用される。
ヒト、イヌ、又はブタにおける脱連結点又は幽門通過点は、システムが胃から出たとき、すなわち幽門を通過したときに起こる。模擬胃液又は酸性水中でのインビトロ測定について、脱連結点又は幽門通過点は、リンカーが、胃の通常の圧縮力の下で破壊する点、典型的に約0.1〜0.2ニュートンまで弱まるときに起こる。連結強度(破壊点)は、連結能力、すなわちリンカーを破壊するために必要とされる力を試験するために機能するあらゆる妥当な試験、例えば、国際特許出願第WO2017/070612号の実施例18、又は同第WO2017/100367号の実施例12、13、15、17、若しくは18に記載されている4点曲げたわみ試験(ASTM D790)により測定することができる。一実施形態では、脱連結点又は幽門通過点は、リンカーが約0.2Nの力で脱連結する時に到達される。別の実施形態では、脱連結点又は幽門通過点は、リンカーが約0.1Nの力で脱連結する時に到達される。
胃内滞留システムは、リンカーのいずれか又は全てが実際に破壊することなく幽門通過点に到達することができる。リンカーが胃の中に胃内滞留システムをもはや保持できなくなる点まで弱くなるか分解すると、たとえリンカーの1つ、一部、又は全てが破壊しなくても、胃内滞留システムは幽門を通過して小腸(幽門通過点又は通過点)に入る。いくつかの実施形態では、ヒトの胃の中で約2日後;ヒトの胃の中で約3日後;ヒトの胃の中で約4日後;ヒトの胃の中で約5日後;ヒトの胃の中で約6日後;ヒトの胃の中で約7日後;ヒトの胃の中で約8日後;ヒトの胃の中で約9日後;ヒトの胃の中で約10日後;又はヒトの胃の中で約2週間後に通過点まで弱くなるリンカーが使用される。いくつかの実施形態では、イヌの胃の中で約2日後;イヌの胃の中で約3日後;イヌの胃の中で約4日後;イヌの胃の中で約5日後;イヌの胃の中で約6日後;イヌの胃の中で約7日後;イヌの胃の中で約8日後;イヌの胃の中で約9日後;イヌの胃の中で約10日後;又はイヌの胃の中で約2週間後に通過点まで弱くなるリンカーが使用される。いくつかの実施形態では、ブタの胃の中で約2日後;ブタの胃の中で約3日後;ブタの胃の中で約4日後;ブタの胃の中で約5日後;ブタの胃の中で約6日後;ブタの胃の中で約7日後;ブタの胃の中で約8日後;ブタの胃の中で約9日後;ブタの胃の中で約10日後;又はブタの胃の中で約2週間後に通過点まで弱くなるリンカーが使用される。いくつかの実施形態では、絶食状態模擬胃液中で約2日後;絶食状態模擬胃液中で約3日後;絶食状態模擬胃液中で約4日後;絶食状態模擬胃液中で約5日後;絶食状態模擬胃液中で約6日後;絶食状態模擬胃液中で約7日後;絶食状態模擬胃液中で約8日後;絶食状態模擬胃液中で約9日後;絶食状態模擬胃液中で約10日後;又は絶食状態模擬胃液中で約2週間後に通過点まで弱くなるリンカーが使用される。いくつかの実施形態では、摂食状態模擬胃液中で2日後;摂食状態模擬胃液中で3日後;摂食状態模擬胃液中で4日後;摂食状態模擬胃液中で5日後;摂食状態模擬胃液中で6日後;摂食状態模擬胃液中で7日後;摂食状態模擬胃液中で8日後;摂食状態模擬胃液中で9日後;摂食状態模擬胃液中で10日後;又は摂食状態模擬胃液中で約2週間後に通過点まで弱くなるリンカーが使用される。いくつかの実施形態では、pH2の水中で約2日後;pH2の水中で約3日後;pH2の水中で約4日後;pH2の水中で約5日後;pH2の水中で約6日後;pH2の水中で約7日後;pH2の水中で約8日後;pH2の水中で約9日後;pH2の水中で約10日後;又はpH2の水中で約2週間後に通過点まで弱くなるリンカーが使用される。いくつかの実施形態では、pH1の水中で約2日後;pH1の水中で約3日後;pH1の水中で約4日後;pH1の水中で約5日後;pH1の水中で約6日後;pH1の水中で約7日後;pH1の水中で約8日後;pH1の水中で約9日後;pH1の水中で約10日後;又はpH1の水中で約2週間後に通過点まで弱くなるリンカーが使用される。
エラストマー
エラストマー(エラスティックポリマー又はテンシルポリマーとも称される)は、圧縮されたシステムを含有する容器又はカプセルを嚥下することによる胃への投与のために好適な形態に折り畳まれるか又は圧縮されるなどにより、胃内滞留システムが小型化されることを可能とする。胃の中でカプセルが溶解すると、胃内滞留システムは、システムの所望の滞留時間にわたりシステムが患者の幽門括約筋を通過するのを防止する形状に膨張する。したがって、エラストマーは、合理的な貯蔵寿命にわたりカプセルに小型化された構成で貯蔵されることができ、かつカプセルから放出されるとその元々の形状、又はおおよそその元々の形状まで膨張することができるものでなければならない。一実施形態では、エラストマーはシリコーンエラストマーである。一実施形態では、エラストマーは、Dow CorningのQP−1液体シリコーンゴムキットとして販売されているような液体シリコーンゴム(LSR)から形成される。一実施形態では、エラストマーは架橋ポリカプロラクトンである。一実施形態では、エラストマーは腸溶性ポリマー、例えば、腸溶性ポリマーの表に列記される腸溶性ポリマーである。いくつかの実施形態では、システムにおいて使用される連結ポリマーもまたエラストマーである。エラストマーは、胃内滞留システムの星形又は星状の設計における中心ポリマーとしての使用のために好ましい。
一実施形態では、連結ポリマー及びエラストマーの両方は腸溶性ポリマーであり、これはシステムが腸に入った場合に、又はシステムの通過を誘導するために患者が弱塩基性溶液を飲んだ場合に、システムの担体ポリマー−薬剤小片へのより完全な破損を提供する。
使用することができるエラストマーの例としては、Dow Corning QP−1キットを使用して形成されるもののようなシリコーン;ウレタン架橋ポリカプロラクトン;ポリ(アクリロイル6−アミノカプロン酸)(PA6ACA);ポリ(メタクリル酸−コ−エチルアクリレート)(オイドラギットL100−55);及びポリ(アクリロイル6−アミノカプロン酸)(PA6ACA)とポリ(メタクリル酸−コ−エチルアクリレート)との混合物(オイドラギットL100−55)が挙げられる。
柔軟な連結ポリマー、すなわち、エラストマー連結ポリマー又はエラストマーは、胃内滞留システムの星形又は星状の設計において中心ポリマーとして使用される。星状又は星形の構成の中心エラストマーとして使用するために特に好ましいエラストマーはシリコーンゴムである。液体シリコーンゴム(LSR)は、所望の形状に容易に成形して硬化させることができる。架橋ジメチル及びメチル−ビニルシロキサンコポリマー並びに強化シリカを含むDow Corning QP−1シリーズは、そのようなシリコーンゴムポリマーの例である(例えば、ウェブサイトwww.dowcorning.com/DataFiles/090276fe8018ed07.pdfを参照)。次に、非セグメント化細長部材又は担体ポリマー−薬剤成分のセグメントを含む細長部材を中心シリコーンゴムエラストマーに取り付けることができる。星状の設計において中心エラストマーとして使用することができる別のエラストマーは架橋ポリカプロラクトンである。
胃内滞留システムの特定の構成は国際特許出願WO2017/100367号に開示されており、それらの構成のいずれも本明細書に開示される胃内滞留システムのために使用することができる。
システムの寸法
システムは、患者がシステムを飲み込むことを可能とする(又は、例えば栄養チューブ又は胃瘻チューブのような代替的な手段により、システムが胃に導入されることを可能とする)寸法を有する小型化された状態を取ることができなければならない。典型的に、システムは、カプセルのような容器により小型化された状態で保持される。システムが胃の中に入ると、システムは容器から放出されて、小型化されていない状態、すなわち、システムが幽門括約筋を通過するのを防止して胃の中でのシステムの保持を可能とする寸法を有する、拡張したコンホメーションを取る。
したがって、システムは、薬局において一般的に使用される種類の標準サイズのカプセル内に入れることができるべきである。米国において使用される標準的なカプセルサイズは、以下のカプセルの表において以下において提供される(URL www.regulations.gov/#!documentDetail;D=FDA−2013−N−1434−0002の「Draft Guidance for Industry on Size,Shape,and Other Physical Attributes of Generic Tablets and Capsules」を参照)。これらはカプセルの外形寸法であり、寸法はカプセル製造業者間でわずかに異なるので、システムは、示される外径より約0.5〜1mm小さく、カプセルの表に示す長さより約1〜2mm短い構成を取ることができるべきである。
カプセルは、ゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロースのような当該技術分野において周知の材料から作ることができる。一実施形態では、カプセルは、胃環境中で溶解するが、口腔又は食道環境においては溶解せず、胃に到達する前のシステムの早期放出を防止する材料から作られる。
一実施形態では、システムは、例えば、図1Bに示すような方式で、カプセルにフィットするために小型化された状態に折り畳まれるか、又は圧縮される。カプセルが胃の中で溶解すると、システムは、例えば、図1Aに示すような方式で、胃での保持のために好適な構成を取る。好ましいカプセルサイズは00及び00el(00elサイズのカプセルは、000カプセルのおおよその長さ及び00カプセルのおおよその幅を有する)であり、次いでこれは、折り畳まれたシステムの長さ及び直径を制約する。
システムが容器から放出されると、システムは、胃内滞留システムが幽門括約筋を通過するのを防止するために好適な寸法を有する小型化されていない状態を取る。一実施形態では、システムは、それぞれ少なくとも2cmの長さの少なくとも2つの直交する寸法を有し、すなわち、胃内滞留システムは、少なくとも2つの直交する方向にわたり少なくとも約2cmの長さを有する。別の実施形態では、小型化されていない状態のシステムの外周は、平面上に投影された時に、それぞれが少なくとも2cmの長さの2つの直交する寸法を有する。2つの直交する寸法は、独立して、約2〜約7cm、約2〜約6cm、約2〜約5cm、約2〜約4cm、約2〜約3cm、約3〜約7cm、約3〜約6cm、約3〜約5cm、約3〜約4cm、約4〜約7cm、約4〜約6cm、約4〜約5cm、又は約4〜約4cmの長さを有し得る。これらの寸法は、胃内滞留システムが幽門括約筋を通過するのを防止する。N個のアーム(Nは3より大きいか又は3に等しく、例えば、N=6である)を有する星形ポリマーについて、アームは、それぞれが上述したような長さである少なくとも2つの直交する寸法をシステムが有するような寸法を有し得る。これらの2つの直交する寸法は、胃内滞留システムの保持を促進するために、上述したように選択される。
システムは、最終的に所望の滞留時間(滞留期間)の終わりに胃の中で分解されるように設計され、分解された時点において、システムの残りの成分は、システムが幽門括約筋、小腸、及び大腸を通過するのを可能とする寸法となる。そして、システムは排便により、又は小腸及び大腸でのシステムの最終的な完全な溶解により身体から除かれる。したがって、所望の滞留期間の終わりに連結ポリマー又は分解性マトリックスが破壊又は溶解した時に、胃内滞留システムの脱連結された成分が幽門括約筋を通過して消化管から除かれるために好適な寸法を有するような構成で、連結ポリマー又は分解性マトリックスは本発明の胃内滞留システム中に配置される。
システムのポリマー組成
担体ポリマー、連結ポリマー、及びエラストマーのための個々のポリマーの選択は、薬物溶出速度(担体ポリマーと、他の要因とに依存する)、システムの滞留時間(ポリマーのいずれか、主に連結ポリマーの分解に依存する)、システムが腸に通過する場合のシステムの脱連結時間(本明細書において議論されるように、主に連結ポリマーの腸分解速度に依存する)、及び圧縮形態におけるシステムの貯蔵寿命(主にエラストマーの特性に依存する)のようなシステムの多くの特性に影響を及ぼす。システムは胃腸管に投与されるので、システム成分の全ては胃腸環境と生体適合性であるべきである。
担体ポリマー−薬物成分からの薬物の溶出速度は、それ自体がいくつものポリマー及び非ポリマー成分の混合物であり得る担体ポリマーの組成及び特性;親水性/疎水性、荷電状態、pKa、及び水素結合能力のような薬物の特性;並びに胃環境の特性などの多数の要因により影響される。胃の水性環境において、薬物、特に親水性薬物のバースト放出を回避し(バースト放出は、胃の中にシステムが最初に配置された時の活性医薬成分の高い初期送達を指す)、数日から1又は2週間の期間にわたり薬物の持続放出を維持することが課題である。
胃の中でのシステムの滞留時間は、リンカー領域において使用される連結ポリマーの選択により調整される。胃の機械的作用及び変動するpHが最終的に腸溶性連結ポリマーを弱めるので、腸溶性連結ポリマーの使用にかかわらず、システムは最終的に胃の中で分解される。胃の中において時間依存的方式で分解する連結ポリマーはまた、システムが分解するまでの時間を調整し、それゆえ滞留時間を調整するために使用することができる。システムが分解すると、システムは腸内へ通過した後に除かれる。
システムにおいて使用されるエラストマーは、システムの貯蔵寿命にとって中心的である。システムが圧縮された時に、エラストマーは機械的応力にさらされる。次に応力はポリマークリープを引き起こすことがあり、これが充分に大規模な場合、システムがカプセル又は他の容器から放出された時に、システムが小型化されていない構成に戻ることを防ぐことができ、次にこれは胃からのシステムの早期通過に繋がる。ポリマークリープはまた温度依存的であり得、したがって、エラストマー及び他のポリマー成分を選択する時に、システムの予測される貯蔵条件もまた考慮される必要がある。
システム成分及びポリマーは、胃環境中で、膨潤するべきではなく、又は最小の膨潤を有するべきである。成分は、滞留の期間にわたり胃環境中にある時に、約20%以下、約10%以下、又は好ましくは約5%以下の膨潤であるべきである。
担体ポリマー−薬剤(又は薬剤塩)成分の製造方法
ポリマーマトリックスへの薬剤(又はその薬学的に許容される塩)の組込みのためのブレンド温度は、典型的に、約80〜約120℃の範囲内であるが、その範囲外の温度で最良にブレンドされるポリマーのためにより高い又はより低い温度を使用することができる。特定のサイズの薬剤(又はその塩)粒子が使用され、かつブレンドの間及び後に粒子のサイズが維持されることが所望される場合、粒子の所望のサイズを維持するように、ブレンドは薬剤(又はその塩)の融点より低い温度で行うことができる。それ以外に、ポリマー及び薬剤(又はその塩)の両方を融解させる温度を使用することができる。ブレンド温度は、薬剤(又はその塩)の分解温度より低いものであるべきである。一実施形態では、薬剤(又はその塩)の約2%未満が製造中に分解される。一実施形態では、薬剤(又はその塩)の約1.5%未満が製造中に分解される。一実施形態では、薬剤(又はその塩)の約1%未満が製造中に分解される。一実施形態では、薬剤(又はその塩)の約0.75%未満が製造中に分解される。一実施形態では、薬剤(又はその塩)の約0.5%未満が製造中に分解される。一実施形態では、薬剤(又はその塩)の約0.4%未満が製造中に分解される。一実施形態では、薬剤(又はその塩)の約0.3%未満が製造中に分解される。一実施形態では、薬剤(又はその塩)の約0.2%未満が製造中に分解される。一実施形態では、薬剤(又はその塩)の約0.15%未満が製造中に分解される。一実施形態では、薬剤(又はその塩)の約0.1%未満が製造中に分解される。一実施形態では、薬剤(又はその塩)の約0.05%未満が製造中に分解される。一実施形態では、薬剤(又はその塩)の約0.04%未満が製造中に分解される。一実施形態では、薬剤(又はその塩)の約0.03%未満が製造中に分解される。一実施形態では、薬剤(又はその塩)の約0.02%未満が製造中に分解される。一実施形態では、薬剤(又はその塩)の約0.01%未満が製造中に分解される。
ホットメルト押出しを使用して、担体ポリマー−薬剤(又は薬剤塩)成分を調製することができる。シングルスクリュー、又は好ましくはツインスクリューシステムを使用することができる。記載するように、粒子のサイズをブレンドの間及び後に維持することが所望される場合、薬剤又はその塩を分解しない温度において溶融し得る担体ポリマーを使用するべきである。それ以外に、ポリマー及び薬剤又はその塩の両方を溶融させる温度を使用することができる。
溶融及びキャスティングもまた、担体ポリマー−薬剤(又はその塩)成分を調製するために使用することができる。担体ポリマー及び薬剤(又はその塩)、並びにあらゆる他の所望の成分が一緒に混合される。担体ポリマーを溶融させ、薬剤(又はその塩)粒子が溶融物中に均一に分布するように溶融物を混合し、型に注ぎ、冷却させる。
担体ポリマー−薬剤(又はその塩)成分を調製するために溶媒キャスティングもまた使用することができる。ポリマーを溶媒中に溶解させ、薬剤(又はその塩)の粒子を加える。薬剤(又はその塩)粒子のサイズが維持されるべき場合、粒子のサイズ特徴の変化を回避するように、薬剤(又はその塩)粒子を溶解しない溶媒を使用するべきである。それ以外に、ポリマー及び薬剤(又はその塩)粒子の両方を溶解する溶媒を使用することができる。次に、溶媒−担体ポリマー−薬剤(又はその塩)粒子混合物(又は溶媒−担体粒子−薬剤/薬剤塩溶液)を混合して、粒子を均一に分布させ(又は溶液を完全に混合し)、型に注ぎ、溶媒を蒸発させる。
システムの製造/組立て:中心エラストマーへの細長部材の取付け
図1Aに示すような星状胃内滞留システムについて、胃内滞留システムの細長部材、又は「アーム」は、数多くの方法で中心エラストマーに取り付けることができる。中心ポリマーを短い「星印」アームとキャスティング又は成形することができ、リンカーポリマーを使用して細長部材を中心エラストマーの星印アームに取り付けることができる。あるいは、中心エラストマーは、細長部材の近位端が突出する型の中で成形することができる。エラストマーセットは、硬化し、又はそうでなければ、固まって、中心エラストマーの本体に延びた細長部材の部分と共にその所望の形態となる。あるいは、細長部材を堅固に挿入することができるキャビティを用いて中心エラストマーを作製することができる。
本発明は、したがって、胃内滞留システムの製造方法であって、本明細書に開示されるようなあらゆる薬物−担体ポリマー−賦形剤配合物を含む材料から形成される少なくとも3つの細長部材を作製することと;細長部材を中心エラストマーに取り付けて、胃内滞留システムを形成することと、を含む、方法を含む。細長部材は、放出速度制御ポリマーフィルムを有する少なくとも1つのセグメントを含み得る。胃内滞留システムの細長部材は、「ハブ及びスポーク」構成のように、中心エラストマーから半径方向に突出する。細長部材又は「アーム」の好ましい数は6個である。しかしながら、3、4、5、7、又は8個の細長部材を有する星状システムもまた使用することができる。
いくつかの実施形態では、放出速度調節ポリマーフィルムを有するセグメントを含むアームを含む、あらゆる担体ポリマー−薬剤配合物を含む細長部材又は「アーム」は、分解性マトリックス、連結ポリマー、又は接続するポリマーを含む他の要素に熱溶着、溶媒溶着、又は他の方法で取り付けることができ、これらは次いで中心エラストマーに取り付けられる。いくつかの実施形態では、アームは、中心エラストマーに直接的に取り付けられる。分解性マトリックス、連結ポリマー、又は接続するポリマーセグメントは、細長部材を取り付ける前に中心エラストマーに溶着又は他の方法で取り付けることができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるようなあらゆる薬物−担体ポリマー−賦形剤配合物を含むアームは、中心エラストマーに取り付けられた短いポリカプロラクトン「星印」アームのようなポリカプロラクトンセグメントに熱溶着させることができる。リンカーセグメントは、薬物−担体ポリマー−賦形剤配合物アームを取り付ける前に短い「星印」アームに溶着させることができる。140〜170℃の温度でのMW80,000のPCLセグメントへの薬物−担体ポリマー−賦形剤配合物アームの熱溶着、及びその後の8℃での24時間の冷却は、より強い溶接を結果としてもたらした。したがって、一実施形態では、本明細書に開示されるようなあらゆる薬物−担体ポリマー−賦形剤配合物を含む細長部材を中心エラストマーに取り付けて胃内滞留システムを形成することは、約140〜約170℃の温度で、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%のポリカプロラクトン(例えば、MW80,000のPCL)を含む星印アーム又は他のセグメントのような他のシステム成分に細長部材を熱溶着すること、その後に約5〜約10℃、又は約8℃のような約2〜約14℃の温度で約12〜約48時間、他のシステム成分に取り付けられた溶着された部材を冷却することを含み得る。他のシステム成分は、あるいは、リンカー要素であり得る。
システムの製造/組立て
胃内滞留システムの細長部材が中心エラストマーに取り付けられると、システムは、小型化された構成に折り畳まれて、貯蔵、輸送、及び最終的な投与のためにカプセルに入れることができる。システムは、自動化された機械的工程で又は手で折り畳まれ、適切なサイズ及び材料のカプセルに入れることができる。胃内滞留システムの製造及び組立て、並びにカプセルへの胃内滞留システムのパッケージングに関するさらなる詳細は、国際特許出願第WO2015/191920号、同第WO2015/191925号、同第WO2017/070612号、同第WO2017/100367号、及び同第PCT/US2017/034856号において見出すことができる。
担体ポリマー−薬剤/放出速度調節フィルムの組合せ
フィルムでコーティングされたセグメントからの所望の放出特性を提供するために、様々な担体ポリマー−薬剤セグメント配合物をあらゆる所与の放出速度調節フィルムと共に使用することができる。同様に、様々な放出速度調節フィルムをあらゆる所与の担体ポリマー−薬剤セグメント配合物と共に使用することができる。担体ポリマー−薬剤/フィルムの1つの有用な組合せは、約15〜約40%の薬剤、P407、シリカ、及びビタミンEサクシネートの1つ又は複数から選択される約3〜約15%の賦形剤を含み、残りがポリカプロラクトン(PCL)から構成されるセグメントであり;及び約75〜約95%のポリカプロラクトンであり、残りがコポビドンポロゲンを含む放出速度調節フィルムを含み、フィルムの重量は、基礎となるセグメントの重量の約0.5〜約2%であり、かつ/又はフィルムの厚さは約3〜約10ミクロンの範囲内である。例示的な組合せは、27.5%の薬剤、6%の賦形剤(P407、シリカ、ビタミンEサクシネート)、及び66.5%のPCLであり、フィルムは90%のPCL、10%のコポビドンポロゲンであり、フィルムの重量は、基礎となるセグメントの重量の約1%である。
担体ポリマー―薬剤/フィルムの別の有用な組合せは、約30〜約50%の薬剤、約10〜約30%の可塑剤、P407、シリカ、及びビタミンEサクシネートの1つ又は複数から選択される約0〜約10%の賦形剤を含み、残りがポリカプロラクトン(PCL)から構成されるセグメントであり;及び約75〜約95%のポリカプロラクトンであり、残りがコポビドンポロゲンを含む放出速度調節フィルムを含み、フィルムの重量は、基礎となるセグメントの重量の約0.5〜約3%であり、かつ/又はフィルムの厚さは約3〜約12ミクロンの範囲内である。
胃内滞留システムを使用する治療方法
胃内滞留システムを使用して、長期間にわたる薬物又は薬剤の投与を必要とする状態を治療することができる。好ましい実施形態では、胃内滞留システムはヒトに投与される。数ヶ月、数年、又は無期限に服用される薬剤又は薬物の長期投与のための、週に1回又は2週毎に1回のような定期的な胃内滞留システムの投与は、患者の服薬順守及び簡便性において実質的な利点を提供し得る。したがって、本発明の胃内滞留システムは、3日毎に1回、5日毎に1回、週に1回、10日毎に1回、又は2週毎に1回、投与することができる。投与頻度は、投与される胃内滞留システムの設計された胃内滞留期間と一致するようにタイミングがとられるため、胃内滞留システムがその滞留期間の後に胃を通過するのとほぼ同時に、新たな胃内滞留システムが投与される。
胃内滞留システムが患者に投与されると、システムは、胃内滞留の期間にわたり薬剤又は薬物の持続放出を提供する。胃内滞留の期間後、システムは分解して胃を通過する。したがって、1週間の胃内滞留期間を有するシステムについて、患者は、毎週新たなシステムを飲み込む(又は他の方法を介して胃に投与される)ことになる。したがって、一実施形態では、合計の所望の治療期間T−total(T−totalは治療の所望の長さの日数である)にわたる日数D(D日は胃内滞留期間の日数である)の胃内滞留期間を有する本発明の胃内滞留システムを用いるシステム中の薬剤又は薬物による患者の治療方法は、合計の所望の治療期間にわたり、経口投与又は他の方法により、D日毎に患者の胃の中に新たな胃内滞留システムを導入することを含む。患者に投与される胃内滞留システムの数は、(T−total)を(D日)で割ったものとなる。例えば、1年(T−total=365日)にわたる患者の治療が所望され、かつシステムの胃内滞留期間が7日(D日=7日)である場合、新たなシステムが7日毎に1回投与されることになるので、おおよそ52個の胃内滞留システムが365日にわたり患者に投与されることになる。
あるいは、患者は、胃内滞留システムの効果的な放出期間の終わりに新たな胃内滞留システムを飲み込む(又は他の方法を介して胃に投与される)ことができる。「効果的な放出期間」又は「効果的な放出時間」は、胃内滞留システムがシステム中に含有される有効量の薬剤を放出する期間である。したがって、一実施形態では、合計の所望の治療期間T−total(T−totalは治療の所望の長さの日数である)にわたる日数E(E日は効果的な放出期間の日数である)の効果的な放出期間を有する本発明の胃内滞留システムを用いるシステム中の薬剤による患者の治療方法は、合計の所望の治療期間にわたり、経口投与又は他の方法により、E日毎に患者の胃の中に新たな胃内滞留システムを導入することを含む。患者に投与される胃内滞留システムの数は、(T−total)を(E日)で割ったものとなる。例えば、1年(T−total=365日)にわたる患者の治療が所望され、かつシステムの効果的な放出期間が7日(E日=7日)である場合、新たなシステムが7日毎に1回投与されることになるので、おおよそ52個の胃内滞留システムが365日にわたり患者に投与されることになる。
胃内滞留システムの経胃送達の薬物動態
本発明の胃内滞留システムは、薬剤の従来の経口配合物のバイオアベイラビリティと比べて、システムの投与後にAUCinfにより測定される薬剤の高いバイオアベイラビリティを提供する。システムはまた、薬剤のおおよそ一定の血漿レベル又は実質的に一定の血漿レベルの維持を提供する。
2つの異なる配合物である配合物Aと配合物Bとの相対バイオアベイラビリティFRELは以下の通りに定義される:
FREL=100×(AUCA×DoseB)/(AUCB×DoseA)
(式中、AUCAは配合物Aについての曲線下面積であり、AUCBは配合物Bについての曲線下面積であり、DoseAは使用される配合物Aの投与量であり、DoseBは使用される配合物Bの投与量である)。薬剤血漿濃度対時間のプロットについての曲線下面積AUCは、通常、同じ時点における配合物の相対バイオアベイラビリティを提供するために、各配合物の投与後の同じ時間(t)に測定される。AUCinfは、「無限」時間にわたり、すなわち、最初の投与で開始して、薬剤の血漿レベルがごくわずかな量まで低下する時点で終わる期間にわたり測定又は算出されるAUCを指す。
一実施形態では、本発明の胃内滞留システムにより提供される薬剤の実質的に一定の血漿レベルは、従来の経口配合物中で連日投与された時の薬剤の血漿レベルのトラフレベル以上(すなわち、即時放出配合物中で連日投与された薬剤のCmin)から、従来の経口配合物中で連日投与された時の薬剤のピーク血漿レベル以下(すなわち、即時放出配合物中で連日投与された薬剤のCmax)までの範囲内であり得る。一部の実施形態では、本発明の胃内滞留システムにより提供される薬剤の実質的に一定の血漿レベルは、従来の経口配合物中で連日投与された時の薬剤のピーク血漿レベル(すなわち、即時放出配合物中で連日投与された薬剤のCmax)の約50〜約90%であり得る。本発明の胃内滞留システムにより提供される薬剤の実質的に一定の血漿レベルは、従来の経口配合物中で連日投与された時の薬剤の平均血漿レベル(すなわち、即時放出配合物中で連日投与された薬剤のCave)の約75〜約125%であり得る。本発明の胃内滞留システムにより提供される薬剤の実質的に一定の血漿レベルは、従来の経口配合物中で連日投与された時の薬剤の血漿レベルのトラフレベル(すなわち、即時放出配合物中で連日投与された薬剤のCmin)以上、例えば、Cminの約100〜約150%であり得る。
本発明の胃内滞留システムは、同じ量の薬剤を含む即時放出形態により提供されるバイオアベイラビリティの少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、又は少なくとも約80%の、システムから放出される薬剤のバイオアベイラビリティを提供し得る。上記のように、バイオアベイラビリティは、血漿濃度−時間曲線下面積(AUCinf)により測定される。
胃内滞留システムの溶解プロファイル、バイオアベイラビリティ及び薬物動態
溶解:本明細書に記載される胃内滞留システムは、長期間にわたり薬剤又はその薬学的に許容される塩の安定した放出を提供する。システムは、胃の中での滞留期間にわたり治療有効量の薬剤又はその塩を放出するように設計される。薬剤(又はその塩)の放出は、特定の環境における所与の滞留システムからの薬剤(又はその塩)の溶解プロファイル(溶出プロファイル、放出速度)を確立するためにインビトロ又はインビボで測定することができる。溶解プロファイルは、所与の期間にわたりシステムから溶出するシステム中に存在する薬剤(又はその塩)の元々の量のパーセンテージとして指定することができる。
したがって、いくつかの実施形態では、胃内滞留システム中に含有される薬剤(又はその塩)は、所与の環境において、0時間〜24時間の間に10〜20%の放出の溶解プロファイルを有し得る。すなわち、目的の環境中への胃内滞留システムの最初の導入後の24時間の期間にわたり、システム中に含有される開始薬剤(又はその塩)の10〜20%がシステムから溶出する。
目的の環境は、1)患者の胃(すなわち、インビボ環境)、又は2)模擬胃液(すなわち、インビトロ環境)であり得る。
本発明の胃内滞留システムは、薬剤(又はその塩)の従来の経口配合物のバイオアベイラビリティと比べて、システムの投与後にAUCinfにより測定される薬剤(又はその塩)の高いバイオアベイラビリティを提供する。システムはまた、薬剤(又はその塩)の実質的に一定の血漿レベルの維持を提供する。
放出についての目的のパラメーターとしては、胃内滞留システムの滞留期間にわたる放出の線形性、滞留期間にわたる放出の標準偏差(これは放出の線形性に関連し、0の標準偏差は、放出が全滞留期間にわたり直線であることを指し示す)、滞留の最初の6時間にわたる放出(すなわち、初期投与時のバースト放出)、及び滞留期間にわたる薬剤(又はその塩)の総放出量が挙げられる。好ましい滞留期間は7日であるが、他の期間、例えば、2、3、4、5、6、8、9、10、11、12、13、又は14日もまた有用であり得る。
滞留期間にわたる薬剤(又はその塩)放出の線形性は、滞留の各24時間の期間に放出される量を指す。7日間の滞留期間について、薬剤(又はその塩)のおおよその量がそれぞれの日に放出される、すなわち、薬剤(又はその塩)放出の線形性が最大化されることが望ましい。これは、滞留期間にわたる1日当たりの薬剤又は薬剤塩放出の標準偏差を最小化する。いくつかの実施形態では、胃内放出システムは、滞留期間にわたり、約100%未満、約90%未満、約80%未満、約70%未満、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、又は約5%未満の1日当たりの薬剤(又はその塩)放出の変動(又は標準偏差)を有する。一部の実施形態では、滞留期間は、約3日、約7日、約10日、又は約2週間であり得る。
バースト放出、すなわち、初期滞留期間(例えば、胃内滞留システムの投与の6時間、12時間、又は24時間後)にわたる放出を最小化することが、予測可能かつ安定した放出プロファイルを維持するために望ましい。Tが滞留期間にわたる総薬剤(又はその塩)放出量であり(質量の単位における)、かつDが滞留期間の日数である場合、完全に線形の放出は、おおよそT/Dの質量の薬剤(又はその塩)が1日当たりで放出されることを意味する。バースト放出が測定される期間が最初の6時間である場合、線形放出プロファイルは、0.25×T/Dの質量の薬剤(又はその塩)が最初の6時間の間に放出されることを結果としてもたらす。D日の滞留期間にわたり放出される薬剤(又はその塩)の総量のパーセンテージでは、線形放出は1日当たり薬剤(又はその塩)の約100/D%であり、最初の6時間にわたる線形放出は25/D%となる(なお、この文脈における100%は、どれほどの量の薬剤(又はその塩)が初期配合物中に含有されているかにかかわらず、放出される薬剤(又はその塩)の総量を指し示す)。したがって、7日間の滞留期間について、最初の6時間にわたる線形放出は、7日間の期間にわたり放出される薬剤(又はその塩)の総量の約3.6%となる。
いくつかの実施形態では、投与後の滞留の最初の6時間の間に、胃内滞留システムは、D日の滞留期間にわたり放出される薬剤(又はその塩)の総質量Tの約0.2〜約2×T/D、又はD日の滞留期間にわたり放出される薬剤(又はその塩)の総質量Tの約0.2〜約1.75×T/D、又はD日の滞留期間にわたり放出される薬剤(又はその塩)の総質量Tの約0.2〜約1.5×T/D、又はD日の滞留期間にわたり放出される薬剤(又はその塩)の総質量Tの約0.2〜約1.25×T/D、又はD日の滞留期間にわたり放出される薬剤(又はその塩)の総質量Tの約0.2〜約1×T/D、又はD日の滞留期間にわたり放出される薬剤(又はその塩)の総質量Tの約0.2〜約0.8×T/D、又は約0.2〜約0.75×T/D、又は約0.2〜約0.7×T/D、又は約0.2〜約0.6×T/D、又は約0.2〜約0.5×T/D、又は約0.2〜約0.4×T/D、又は約0.2〜約0.3×T/D、又は約0.25〜約2×T/D、又は約0.3〜約2×T/D、又は約0.4〜約2×T/D、又は約0.5〜約2×T/D、又は約0.6〜約2×T/D、又は約0.7〜約2×T/D、又は約0.25〜約1.5×T/D、又は約0.3〜約1.5×T/D、又は約0.4〜約1.5×T/D、又は約0.5〜約1.5×T/D、又は約0.6〜約1.5×T/D、又は約0.7〜約1.5×T/D、又は約0.25〜約1.25×T/D、又は約0.3〜約1.25×T/D、又は約0.4〜約1.25×T/D、又は約0.5〜約1.25×T/D、又は約0.6〜約1.25×T/D、又は約0.7〜約1.25×T/D、又は約0.25〜約1×T/D、又は約0.3〜約1×T/D、又は約0.4〜約1×T/D、又は約0.5〜約1×T/D、又は約0.6〜約1×T/D、又は約0.7〜約1×T/D、又は約0.25×T/D、又は約0.25〜約0.8×T/D、又は約0.3〜約0.8×T/D、又は約0.4〜約0.8×T/D、又は約0.5〜約0.8×T/D、又は約0.6〜約0.8×T/D、又は約0.7〜約0.8×T/D、又は約0.8×T/D、約1×T/D、約1.25×T/D、約1.5×T/D、又は約2×T/Dを放出する。
胃内滞留システムのいくつかの実施形態では、投与後の滞留の最初の6時間の間に、胃内滞留システムは、滞留期間にわたり放出される薬剤(又はその塩)の総質量の約2〜約10%、又は約3〜約10%、又は約4〜約10%、又は約5〜約10%、又は約6〜約10%、又は約7〜約10%、又は約8〜約10%、又は約9〜約10%、又は約2〜約9%、又は約2〜約8%、又は約2〜約7%、又は約2〜約6%、又は約2〜約5%、又は約2〜約4%、又は約2〜約3%を放出する。
胃内滞留システムが約7日の滞留期間を有する胃内滞留システムのいくつかの実施形態では、投与後の滞留の最初の6時間の間に、胃内滞留システムは、7日の滞留期間にわたり放出される薬剤(又はその塩)の総質量の約2〜約10%、又は約3〜約10%、又は約4〜約10%、又は約5〜約10%、又は約6〜約10%、又は約7〜約10%、又は約8〜約10%、又は約9〜約10%、又は約2〜約9%、又は約2〜約8%、又は約2〜約7%、又は約2〜約6%、又は約2〜約5%、又は約2〜約4%、又は約2〜約3%を放出する。
いくつかの実施形態では、投与後の滞留の最初の24時間の間に、胃内滞留システムは、滞留期間にわたり放出される薬剤(又はその塩)の総質量の約10〜約35%、又は約10〜約30%、又は約10〜約25%、又は約10〜約20%、又は約10〜約15%、又は約15〜約35%、又は約15〜約35%、又は約15〜約30%、又は約20〜約30%、又は約25〜約35%、又は約25〜約30%、又は約30〜約35%を放出する。
胃内滞留システムが約7日の滞留期間を有するいくつかの実施形態では、投与後の滞留の最初の24時間の間に、胃内滞留システムは、7日の滞留期間にわたり放出される薬剤(又はその塩)の総質量の約10〜約35%、又は約10〜約30%、又は約10〜約25%、又は約10〜約20%、又は約10〜約15%、又は約15〜約35%、又は約15〜約35%、又は約15〜約30%、又は約20〜約30%、又は約25〜約35%、又は約25〜約30%、又は約30〜約35%を放出する。
放出速度に対するpHの効果の低減
放出速度調節ポリマーフィルムを含む本明細書に記載される胃内滞留システム、及び胃内滞留システムのセグメントは、類似の組成であるが放出速度調節ポリマーフィルムを欠いた胃内滞留システム又は胃内滞留システムのセグメントからの放出と比較して、異なるpH値における薬剤又はその薬学的に許容される塩の放出の低減したばらつきを有する。
ある特定の薬剤、又はその塩の溶解度は、異なるpH値において異なり得る。例えば、リスペリドンの溶解度は、胃のpH範囲のより低い酸性端(例えば、pH4.8)におけるよりも胃のpH範囲のより酸性端(例えば、pH1.5)において有意により高い。リスペリドンは、したがって、より低いpHにおいてより速い溶解速度を有し、より低いpHにおいて胃内滞留システムからより速く放出される傾向を有する。胃のpHはいくつもの要因に起因して経時的に異なり得るので、異なるpH値における所与の薬剤又はその塩の放出速度の変動の低減は、所与の期間にわたり線形の溶解プロファイルを提供するのを補助する。
所与の第1のpH値及び所与の第2のpH値における所与の薬剤又はその塩についてのpH依存的放出速度比RRpHは、以下のように表すことができる:
RRpH=(第1のpHにおける放出速度)/(第2のpHにおける放出速度)
第1及び第2のpHにおける放出速度が同一である場合、RRpHは1となる。第1のpHにおける放出速度が第2のpHにおける放出速度より高い場合、RRpHは1より大きく、第1のpHにおける放出速度が第2のpHにおける放出速度より低い場合、RRpHは1より小さくなる。異なるpH値における放出のばらつきを低減させるために、可能な限り1に近いRRpHの値が望ましい。
pH依存的放出速度比係数RRFpHは、2つのpH値における放出速度の差異の係数として定義することができる。RRFpHは、RRpHが1より大きい場合はRRpHと同じであり、RRpHが1より小さい場合はRRpHの逆数である。
胃内滞留システムの放出速度比は、約1〜約6のあらゆる2つの異なるpH値において、及び一般に、少なくとも約1pH単位だけ離れたpH値、例えば、少なくとも約2pH単位だけ離れた、少なくとも約3pH単位だけ離れた、又は少なくとも約4pH単位だけ離れたpH値において、測定することができる。2つの有用な値は、約1.5の第1のpH及び約4.8の第2のpHであり、これは胃のpHの典型的な低pH及び高pHの最端を表す。放出速度比は、約pH1〜pH2、例えばpH1.5のFaSSGFを含むFaSSGFのような、目的のpHに調整された模擬胃液中で測定することができる。放出速度比はまた、酢酸アンモニウム(例えば、約pH4.8)のような目的のpHの緩衝系中で測定することができる。放出速度比は、約1時間、約2時間、約3時間、約6時間、約12時間、約24時間、約48時間、約72時間、約96時間、約5日、約6日、約7日、約8日、約9日、約10日、又は約2週のような期間にわたり2つの異なるpH値において胃内滞留システムからの放出を測定することにより算出することができる。
放出速度調節フィルムを含む本明細書に記載される胃内滞留システム及び胃内滞留システムのセグメントは、約1より大きい、約2より大きい、約3より大きい、約4より大きい、約5より大きい、約6より大きい、約10より大きい、約20より大きい、又は約1〜約20、約1〜約10、約1〜約6、約1〜約4、約1〜約3、約1〜約2.5、約1〜約2.2、約1〜約2、約1〜約1.9、約1〜約1.8、約1〜約1.7、約1〜約1.6、約1〜約1.5、約1〜約1.4、約1〜約1.3、約1〜約1.2、約1〜約1.1、約1.1〜約2、約1.2〜約2、約1.3〜約2、約1.4〜約2、又は約1.5〜約2の、第1のpHが1.5でありかつ第2のpHが4.8であるか、又は代替的には第1のpH及び第2のpHが共に約pH1〜約pH6でありかつ少なくとも約3pH単位だけ離れている、pH依存的放出速度比係数RRFpHを有し得る。
放出速度調節フィルムを含む本明細書に記載される胃内滞留システム及び胃内滞留システムのセグメントは、約0.05〜約20、約0.1〜約10、約0.2〜約5、約0.25〜約4、約0.3〜約3、0.4〜約2.5、約0.5〜約2、約0.6〜約2、約0.7〜約2、約0.8〜約2、約0.9〜約2、約1〜約20、約1〜約10、約1〜約5、約1〜約4、約1〜約3、約1〜約2、約1.1〜約2、約1.2〜約2、約1.3〜約2、約1.4〜約2、又は約1.5〜約2の、第1のpHが約1.5でありかつ第2のpHが約4.8であるか、又は代替的には第1のpH及び第2のpHが共に約pH1〜約pH6でありかつ少なくとも約3pH単位だけ離れている、pH依存的放出速度比RRpHを有し得る。放出速度調節フィルムを含む本明細書に記載される胃内滞留システム及び胃内滞留システムのセグメントは、約1〜約2.5、約1〜約2.2、約1〜約2、約1〜約1.9、約1〜約1.8、約1〜約1.7、約1〜約1.6、約1〜約1.5、約1〜約1.4、約1〜約1.3、約1〜約1.2、又は約1〜約1.1;又は約1より大きい、約1.5より大きい、約2より大きい、約3より大きい、約4より大きい、約5より大きい、約10より大きい、又は約20より大きい、第1のpHが1.5でありかつ第2のpHが4.8であるか、又は代替的には第1のpH及び第2のpHが共に約pH1〜約pH6でありかつ少なくとも約3pH単位だけ離れている、pH依存的放出速度比RRpHを有し得る。放出速度調節フィルムを含む本明細書に記載される胃内滞留システム及び胃内滞留システムのセグメントは、約0.05〜約1、約0.1〜約1、約0.25〜約1、約0.3〜約1、約0.4〜約1、約0.5〜約1、約0.6〜約1、約0.7〜約1、約0.8〜約1、又は約0.9〜約1;又は約0.9未満、約0.8未満、約0.7未満、約0.6未満、約0.5未満、約0.4未満、約0.3未満、約0.2未満、約0.1未満、又は約0.05未満の、第1のpHが1.5でありかつ第2のpHが4.8であるか、又は代替的には第1のpH及び第2のpHが共に約pH1〜約pH6でありかつ少なくとも約3pH単位だけ離れている、pH依存的放出速度比RRpHを有し得る。
胃内滞留システムからの薬剤及びその薬学的に許容される塩のpH依存的放出速度比は、異なるpH値における薬剤又はその塩の溶解度に有意差がある場合、理想的な値である1から逸脱する傾向がある。本明細書に記載される胃内滞留システムにおいて使用される2つの異なるpH値における薬剤又はその薬学的に許容される塩の溶解度の差異は、おおよそ、約1.25若しくはそれより大きい係数、約1.5若しくはそれより大きい係数、約3若しくはそれより大きい係数、約4若しくはそれより大きい係数、約5若しくはそれより大きい係数、約10若しくはそれより大きい係数、約20若しくはそれより大きい係数、約30若しくはそれより大きい係数、約40若しくはそれより大きい係数、約50若しくはそれより大きい係数、約75若しくはそれより大きい係数、又は約100若しくはそれより大きい係数;又は約2〜約100、約2〜約75、約2〜約50、約2〜約20、約2〜約10、約5〜約100、約5〜約75、約5〜約50、約5〜約20、又は約5〜約10の係数であり得、ここで2つの異なるpH値は約pH1〜約pH6、例えば約pH1.5及び約pH4.8であり、又は第1のpH及び第2のpHは少なくとも約3pH単位だけ離れている。一般に、2つの異なるpH値における薬剤又はその薬学的に許容される塩の溶解度の差異が大きくなるほど、放出速度調節ポリマーフィルムは、胃内滞留システムからのpH依存的放出速度の差異の低減のためにより有用となる。例えば、約pH1〜約pH6の2つの異なるpH値(例えば、約pH1.5及び約pH4.8)における薬剤又はその薬学的に許容される塩の溶解度の差異が約5若しくはそれより大きい係数であるか、又は値が少なくとも約3pH単位離れている第1のpH値及び第2のpH値における薬剤若しくはその薬学的に許容される塩の溶解度の差異が約5若しくはそれより大きい係数である場合(例えば、pH1.5における12mg/mlの溶解度及びpH4.8における2mg/mlの溶解度を有する薬剤は、6の係数の、2つの異なるpH値における溶解度の差異を有する)、放出速度調節ポリマーフィルムは、胃内滞留システムからのpH依存的放出速度の差異の低減において非常に有用である。しかしながら、放出速度調節ポリマーフィルムは、2つの異なるpH値において薬剤又はその薬学的に許容される塩に何らかの溶解度の差異がある場合、pH依存的放出速度比を1により近くシフトさせるために使用することができ、また放出速度調節ポリマーフィルムは、異なるpH値において薬剤の溶解度に有意差がない場合であっても、本明細書に開示される他の目的のために使用することができる。
本明細書に記載される胃内滞留システム及び胃内滞留システムのセグメントのために使用される放出速度調節ポリマーフィルムは、放出速度調節フィルムを欠いた同じ胃内滞留システムにおける逸脱と比較して、約10%、約25%、約33%、約50%、約75%、又は約1.25、約1.5、約2、若しくは約3の係数だけ、胃内滞留システムのpH依存的放出速度比係数RRFpHにおける理想的な値である1からの逸脱を低減させることができる。pH依存的放出速度比係数RRFpHの逸脱は(RRFpH−1)として定義され、これはまた、pH依存的放出速度比係数RRFpHの1からの逸脱と称することができる。例えば、放出速度調節ポリマーフィルムを欠いた第1の胃内滞留システムがpH1.5において9及びpH4.8において3の任意単位の放出速度を有する場合、そのpH依存的放出速度比係数RRFpHは(9/3)=3であり、理想的な値である1(2つのpH値における放出速度が等しい)から2単位だけ逸脱している。第1の胃内滞留システムと同じ成分を有するが、放出速度調節ポリマーフィルムも含む第2の胃内滞留システムがpH1.5において4及びpH4.8において2の任意単位の放出速度を有する場合、そのpH依存的放出速度比係数RRFpHは(4/2)=2であり、理想的な値である1から1単位だけ逸脱している。したがって、フィルムを欠いたシステムについての理想的な値からの逸脱は2単位であり、かつフィルムを有するシステムについての理想的な値からの逸脱は1単位であるので、放出速度調節ポリマーコーティングは、2の係数だけ、理想的な値からのpH依存的放出速度比係数RRFpHの逸脱を低減させた。
キット及び製造品
本発明の胃内滞留システムを用いる患者の治療のためのキットもまた本明細書において提供される。キットは、例えば、所望の総治療期間にわたる患者への定期的な投与のために充分な数の胃内滞留システムを含有し得る。総治療期間の日数が(T−total)であり、かつ胃内滞留システムが(D日)の滞留時間を有する場合、キットは、D日毎の投与のために((T−total)/(D日))(整数に丸められる)に等しい数の胃内滞留システムを含有する。あるいは、総治療期間の日数が(T−total)であり、かつ胃内滞留システムが(E日)の効果的な放出期間を有する場合、キットは、E日毎の投与のために((T−total)/(E日))(整数に丸められる)に等しい数の胃内滞留システムを含有する。キットは、例えば、容器(容器はカプセルであり得る)中にいくつもの胃内滞留システムを含有してよく、任意選択的にまた、投与レジメン、治療期間、又は胃内滞留システム及び/若しくは胃内滞留システム中に含有される薬剤若しくは薬物の使用に関連する他の情報の印刷された若しくはコンピュータ読取り可能な説明書を含有し得る。例えば、患者のために処方された総治療期間が1年であり、かつ胃内滞留システムが1週間の滞留時間又は1週間の効果的な放出期間を有する場合、キットは、週に1回同じ曜日(例えば、毎週土曜日)に1カプセルを飲み込むべきとする説明書と共に、各カプセルが1つの胃内滞留システムを含有する52個のカプセルを含有し得る。
所望の総治療期間にわたる患者への定期的な投与のために充分な数の胃内滞留システムを含み、かつ任意選択的に、投与レジメン、治療期間、又は胃内滞留システム及び/若しくは胃内滞留システム中に含有される薬剤若しくは薬物の使用に関連する他の情報の説明書を含む製造品もまた、本発明に含まれる。製造品は、適切なパッケージング中、例えば、ディスペンサー、トレイ、又は処方された間隔での胃内滞留システムの投与において患者を補助する他のパッケージング中で供給され得る。
例示的な実施形態
本発明を以下の実施形態によりさらに説明する。各実施形態の特徴は、適切かつ実用的な場合、他の実施形態のいずれかと組み合わせることができる。
実施形態1.胃内滞留システムのセグメントであって、セグメントが、担体ポリマー;薬剤又はその塩;及び薬剤又はその塩の放出速度を制御するように構成された放出速度調節ポリマーフィルムを含み、模擬胃液中でのセグメントの7日間のインキュベーションにわたり、5日目の間にセグメントから放出される薬剤又はその塩の量が、2日目の間に放出される薬剤又はその塩の量の少なくとも約40%であり;かつ、セグメント中の薬剤又はその塩の総量の少なくとも約7%が2日目に放出されかつ薬剤又はその塩の総量の少なくとも約7%が5日目に放出される、セグメント。
実施形態2.胃内滞留システムのセグメントであって、セグメントが、担体ポリマー;薬剤又はその塩;及び薬剤又はその塩の放出速度を制御するように構成された放出速度調節ポリマーフィルムを含み、模擬胃液中でのセグメントの7日間のインキュベーションにわたり、7日目の間にセグメントから放出される薬剤又はその塩の量が、1日目の間に放出される薬剤又はその塩の量の少なくとも約20%であり;かつ、セグメント中の薬剤又はその塩の総量の少なくとも約4%が1日目に放出されかつ薬剤又はその塩の総量の少なくとも約4%が7日目に放出される、セグメント。
実施形態3.胃内滞留システムのセグメントであって、セグメントが、担体ポリマー、薬剤又はその塩;及び薬剤又はその塩の放出速度を制御するように構成された放出速度調節ポリマーフィルムを含み、1時間にわたる40%のエタノール/60%の模擬胃液中でのセグメントからの薬剤又はその塩の放出が、1時間にわたる100%の模擬胃液中での同等のセグメントからの薬剤又はその塩の放出と比較して約40%を超えて高くはないように、放出速度調節ポリマーフィルムが構成されている、セグメント。
実施形態4.胃内滞留システムのセグメントであって、セグメントが、担体ポリマー、薬剤又はその塩;及び薬剤又はその塩の放出速度を制御するように構成された放出速度調節ポリマーフィルムを含み、1時間にわたる40%のエタノール/60%の模擬胃液中でのセグメントからの薬剤又はその塩の放出が、1時間にわたる40%のエタノール/60%の模擬胃液中での第2のセグメントからの薬剤又はその塩の放出より少なくとも約40%低くなるように、放出速度調節ポリマーフィルムが構成されており、第2のセグメントが、担体ポリマー及び薬剤又はその塩の同じ組合せを含むが放出速度調節ポリマーフィルムを欠いている、セグメント。
実施形態5.胃内滞留システムのセグメントであって、セグメントが、担体ポリマー、薬剤又はその塩;及び薬剤又はその塩の放出速度を制御するように構成された放出速度調節ポリマーフィルムを含み、最初の6時間の期間にわたる模擬胃液中でのセグメントからの薬剤又はその塩の放出が、最初の6時間の期間にわたる模擬胃液中での第2のセグメントからの薬剤又はその塩の放出より少なくとも約40%低くなるように、放出速度調節ポリマーフィルムが構成されており、第2のセグメントが、担体ポリマー及び薬剤又はその塩の同じ組合せを含むが放出速度調節ポリマーフィルムを欠いており;かつ、7日間の期間にわたる模擬胃液中でのセグメントからの薬剤又はその塩の放出が、セグメント中に元々存在する薬剤又はその塩の総量の少なくとも約60%である、セグメント。
実施形態6.7日間の期間にわたる模擬胃液中でのセグメントからの薬剤又はその塩の放出が、セグメント中に元々存在する薬剤又はその塩の総量の少なくとも約70%の放出である、実施形態5のセグメント。
実施形態7.7日間の期間にわたる模擬胃液中でのセグメントからの薬剤又はその塩の放出が、セグメント中に元々存在する薬剤又はその塩の総量の少なくとも約80%の放出である、実施形態5のセグメント。
実施形態8.胃内滞留システムのセグメントであって、セグメントが、担体ポリマー;薬剤又はその塩;及び放出速度調節ポリマーフィルムを含み、模擬胃液中でのセグメントからの薬剤又はその塩の放出速度の最良フィットの線形回帰モデルが、最初の7日間の期間にわたり少なくとも約0.8の決定係数R2を有するように、ポリマーフィルムが薬剤又はその塩の放出速度を制御するように構成されており;かつ、セグメントが、7日間の期間の約40〜約60%の時間内に薬剤又はその塩の約40〜約60%を放出する、セグメント。
実施形態9.模擬胃液中でのセグメントからの薬剤又はその塩の放出速度の最良フィットの線形回帰モデルが、最初の7日間の期間にわたり少なくとも約0.9の決定係数R2を有するように、ポリマーフィルムが薬剤又はその塩の放出速度を制御するように構成されており;かつ、セグメントが、7日間の期間の約40〜約60%の時間内に薬剤又はその塩の約40〜約60%を放出する、実施形態8のセグメント。
実施形態10.胃内滞留システムのセグメントであって、担体ポリマー;薬剤又はその塩;及び放出速度調節ポリマーフィルムを含み、7日のいずれの1日にわたるセグメントからの放出速度も、7日にわたるセグメントからの平均の1日当たりの総放出量から約25%以下の変動であるように、ポリマーフィルムが、模擬胃液中での7日間の期間にわたるセグメントからの薬剤又はその塩の放出速度を制御するように構成されている、セグメント。
実施形態11.放出速度調節ポリマーフィルムが、1つ又は複数のポリエステル材料を含む、実施形態1〜10のいずれか1つに記載の胃内滞留システムのセグメント。
実施形態12.ポリマーフィルムが、−R1−O−C(=O)−(式中、R1は、C1〜C12アルキレン基、2〜12個の炭素原子を含有するエーテル、及び3〜12個の炭素原子を含有するポリエーテルからなる群から選択される)の形態の繰返し単位を有するポリエステルを含む、実施形態11のセグメント。
実施形態13.ポリマーフィルムがポリカプロラクトン又はポリジオキサノンを含む、実施形態11のセグメント。
実施形態14.ポリマーフィルムが約10,000〜約150,000Mnのポリカプロラクトンを含む、実施形態11のセグメント。
実施形態15.ポリマーフィルムが約80,000〜約110,000Mnのポリカプロラクトンを含む、実施形態11のセグメント。
実施形態16.ポリマーフィルムが約90,000Mnのポリカプロラクトンを含む、実施形態11のセグメント。
実施形態17.ポリマーフィルムが、約1.5〜約2.1dL/gの固有粘度を有するポリカプロラクトンを含む、実施形態11のセグメント。
実施形態18.ポリマーフィルムがポロゲンをさらに含む、実施形態1〜17のいずれか1つのセグメント。
実施形態19.ポロゲンが、水溶性ポリマー、水溶性小分子、無機塩、又は有機塩を含む、実施形態1〜17のいずれか1つのセグメント。
実施形態20.ポロゲンがフィルムの重量の約1〜約30%を構成する、実施形態1〜17のいずれか1つのセグメント。
実施形態21.ポロゲンが、アルカリ金属塩、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、リン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硝酸カリウム、アルカリ土類金属塩、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、遷移金属塩、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸亜鉛、塩化第二銅、サッカリド、糖、例えば、スクロース、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、アルドヘキソース、アルトロース、タロース、ラクトース、セルロース、単糖、二糖、水溶性多糖、ソルビトール、マンニトール、有機脂肪油及び芳香油、ジオール及びポリオール、多価アルコール、ポリ(アルキレングリコール)、ポリグリコール、アルキレングリコール、ポリ(a,m)アルキレンジオールエステル、アルキレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性ポリマー材料、ポロキサマー、ヒプロメロース(HPMC)、コリフォールRH40、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルアセテート(PVAc)、ポリエチレングリコール(PEG)、ソルプラス(ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルアセテート、及びポリエチレングリコールのコポリマー)、コポビドン、オイドラギット(E、RS、RL)、ポリ(メチルビニルエーテル−alt−無水マレイン酸)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリソルベート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリデキストロース、ポリアクリル酸、アルギネート、ナトリウムデンプングリコレート、架橋ポリアクリル酸(カーボポール)、架橋PVP(クロスポビドン)、架橋セルロース(クロスカルメロース)、ケイ酸カルシウム、キサンタンガム、及びゲランガムからなる群から選択される、実施形態1〜17のいずれか1つのセグメント。
実施形態22.ポロゲンが、ポビドン、コポビドン、及びポリオキシルヒマシ油からなる群から選択される、実施形態1〜17のいずれか1つのセグメント。
実施形態23.胃内滞留システムのセグメントであって、セグメントが、担体ポリマー;薬剤又はその塩;放出速度調節ポリマーフィルムを含み、ポリマーフィルムが1つ又は複数のポリエステル材料を含む、セグメント。
実施形態24.ポリマーフィルムが、−R1−O−C(=O)−(式中、R1は、C1〜C12アルキレン基、2〜12個の炭素原子を含有するエーテル、及び3〜12個の炭素原子を含有するポリエーテルからなる群から選択される)の形態の繰返し単位を有するポリエステルを含む、実施形態23のセグメント。
実施形態25.ポリマーフィルムがポリカプロラクトン又はポリジオキサノンを含む、実施形態23のセグメント。
実施形態26.ポリマーフィルムが約10,000〜約150,000Mnのポリカプロラクトンを含む、実施形態23のセグメント。
実施形態27.ポリマーフィルムが約80,000〜約110,000Mnのポリカプロラクトンを含む、実施形態23のセグメント。
実施形態28.ポリマーフィルムが約90,000Mnのポリカプロラクトンを含む、実施形態23のセグメント。
実施形態29.ポリマーフィルムが、約1.5〜約2.1dL/gの固有粘度を有するポリカプロラクトンを含む、実施形態23のセグメント。
実施形態30.胃内滞留システムのセグメントであって、セグメントが、担体ポリマー;薬剤又はその塩;放出速度調節ポリマーフィルムを含み、ポリマーフィルムが、ポリカプロラクトン、酢酸セルロース、及びエチルセルロースからなる群から選択される材料を含む、セグメント。
実施形態31.胃内滞留システムのセグメントであって、セグメントが、担体ポリマー;薬剤又はその塩;及び放出速度調節ポリマーフィルムを含み、ポリマーフィルムがセグメントの総重量の約0.1〜約10%を構成する、セグメント。
実施形態32.ポリマーフィルムがセグメントの総重量の約0.1〜約5%を構成する、実施形態31のセグメント。
実施形態33.ポリマーフィルムがセグメントの総重量の約0.5〜約5%を構成する、実施形態31のセグメント。
実施形態34.ポリマーフィルムがセグメントの総重量の約0.5〜約2%を構成する、実施形態31のセグメント。
実施形態35.ポリマーフィルムがセグメントの総重量の約1〜約2%を構成する、実施形態31のセグメント。
実施形態36.胃内滞留システムのセグメントであって、セグメントが、担体ポリマー;薬剤又はその塩;及び放出速度調節ポリマーフィルムを含み、ポリマーフィルムが約1〜約20ミクロンの厚さを有する、セグメント。
実施形態37.ポリマーフィルムが約5〜約15ミクロンの厚さを有する、実施形態36のセグメント。
実施形態38.ポリマーフィルムが、−R1−O−C(=O)−(式中、R1は、C1〜C12アルキレン基、2〜12個の炭素原子を含有するエーテル、及び3〜12個の炭素原子を含有するポリエーテルからなる群から選択される)の形態の繰返し単位を有するポリエステルを含む、実施形態31〜37のいずれか1つのセグメント。
実施形態39.ポリマーフィルムがポリカプロラクトン又はポリジオキサノンを含む、実施形態31〜37のいずれか1つのセグメント。
実施形態40.ポリマーフィルムが約10,000〜約150,000Mnのポリカプロラクトンを含む、実施形態31〜37のいずれか1つのセグメント。
実施形態41.ポリマーフィルムが約80,000〜約110,000Mnのポリカプロラクトンを含む、実施形態31〜37のいずれか1つのセグメント。
実施形態42.ポリマーフィルムが約90,000Mnのポリカプロラクトンを含む、実施形態31〜37のいずれか1つのセグメント。
実施形態43.ポリマーフィルムが、約1.5〜約2.1dL/gの固有粘度を有するポリカプロラクトンを含む、実施形態31〜37のいずれか1つのセグメント。
実施形態44.胃内滞留システムのセグメントであって、セグメントが、担体ポリマー;薬剤又はその塩;及び放出速度調節ポリマーフィルムを含み、ポリマーフィルムがポロゲンをさらに含む、セグメント。
実施形態45.ポロゲンが、水溶性ポリマー、水溶性小分子、無機塩、又は有機塩を含む、実施形態44のセグメント。
実施形態46.ポロゲンがフィルムの重量の約1〜約30%を構成する、実施形態44又は実施形態45のセグメント。
実施形態47.ポロゲンが、アルカリ金属塩、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、リン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硝酸カリウム、アルカリ土類金属塩、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、遷移金属塩、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸亜鉛、塩化第二銅、サッカリド、糖、例えば、スクロース、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、アルドヘキソース、アルトロース、タロース、ラクトース、セルロース、単糖、二糖、水溶性多糖、ソルビトール、マンニトール、有機脂肪油及び芳香油、ジオール及びポリオール、多価アルコール、ポリ(アルキレングリコール)、ポリグリコール、アルキレングリコール、ポリ(a,m)アルキレンジオールエステル、アルキレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性ポリマー材料、ポロキサマー、ヒプロメロース(HPMC)、コリフォールRH40、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルアセテート(PVAc)、ポリエチレングリコール(PEG)、ソルプラス(ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルアセテート、及びポリエチレングリコールのコポリマー)、コポビドン、オイドラギット(E、RS、RL)、ポリ(メチルビニルエーテル−alt−無水マレイン酸)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリソルベート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリデキストロース、ポリアクリル酸、アルギネート、ナトリウムデンプングリコレート、架橋ポリアクリル酸(カーボポール)、架橋PVP(クロスポビドン)、架橋セルロース(クロスカルメロース)、ケイ酸カルシウム、キサンタンガム、及びゲランガムからなる群から選択される、実施形態44〜46のいずれか1つのセグメント。
実施形態48.ポロゲンが、ポビドン、コポビドン、及びポリオキシルヒマシ油からなる群から選択される、実施形態44〜46のいずれか1つのセグメント。
実施形態49.ポリマーフィルムが可塑剤をさらに含む、実施形態44〜48のいずれか1つのセグメント。
実施形態50.可塑剤がフィルムの重量の約1〜40%を構成する、実施形態49のセグメント。
実施形態51.可塑剤が、フタル酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、アジピン酸塩、セバシン酸塩、スルホンアミド、コハク酸塩、グリコール酸塩、グリセロール酸塩、安息香酸塩、ミリスチン酸塩、ハロゲン化フェニル、トリアセチン、クエン酸トリエチル、PEG、及びポロキサマーからなる群から選択される、実施形態49又は実施形態50のセグメント。
実施形態52.可塑剤がクエン酸トリエチル及びトリアセチンからなる群から選択される、実施形態49又は実施形態50のセグメント。
実施形態53.ポリマーフィルムが、−R1−O−C(=O)−(式中、R1は、C1〜C12アルキレン基、2〜12個の炭素原子を含有するエーテル、及び3〜12個の炭素原子を含有するポリエーテルからなる群から選択される)の形態の繰返し単位を有するポリエステルを含む、実施形態44〜52のいずれか1つのセグメント。
実施形態54.ポリマーフィルムがポリカプロラクトン又はポリジオキサノンを含む、実施形態44〜52のいずれか1つのセグメント。
実施形態55.ポリマーフィルムが約10,000〜約150,000Mnのポリカプロラクトンを含む、実施形態44〜52のいずれか1つのセグメント。
実施形態56.ポリマーフィルムが約80,000〜約110,000Mnのポリカプロラクトンを含む、実施形態44〜52のいずれか1つのセグメント。
実施形態57.ポリマーフィルムが約90,000Mnのポリカプロラクトンを含む、実施形態44〜52のいずれか1つのセグメント。
実施形態58.ポリマーフィルムが、約1.5〜約2.1dL/gの固有粘度を有するポリカプロラクトンを含む、実施形態44〜52のいずれか1つのセグメント。
実施形態59.胃内滞留システムのセグメントであって、セグメントが、担体ポリマー;薬剤又はその塩;及び放出速度調節ポリマーフィルムを含み、ポリマーフィルムが、薬剤又はその塩を透過させかつ水を透過させる透過性成分をさらに含む、セグメント。
実施形態60.透過性成分がポリマー又は膨潤性材料である、実施形態59のセグメント。
実施形態61.透過性成分がフィルムの重量の約1〜約30%を構成する、実施形態59又は実施形態60のセグメント。
実施形態62.透過性成分が、SSG、クロスポビドン、クロスカルメロース、及びカーボポール(PAA)からなる群から選択される、実施形態59〜61のいずれか1つのセグメント。
実施形態63.ポリマーフィルムが可塑剤をさらに含む、実施形態59〜62のいずれか1つのセグメント。
実施形態64.可塑剤がフィルムの重量の約1〜40%を構成する、実施形態63のセグメント。
実施形態65.可塑剤が、フタル酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、アジピン酸塩、セバシン酸塩、スルホンアミド、コハク酸塩、グリコール酸塩、グリセロール酸塩、安息香酸塩、ミリスチン酸塩、ハロゲン化フェニル、トリアセチン、クエン酸トリエチル、PEG、ポロキサマー、クエン酸トリブチル、及びセバシン酸ジブチルからなる群から選択される、実施形態63又は実施形態64のセグメント。
実施形態66.可塑剤がクエン酸トリエチル及びトリアセチンからなる群から選択される、実施形態63又は実施形態64のセグメント。
実施形態67.ポリマーフィルムが、−R1−O−C(=O)−(式中、R1は、C1〜C12アルキレン基、2〜12個の炭素原子を含有するエーテル、及び3〜12個の炭素原子を含有するポリエーテルからなる群から選択される)の形態の繰返し単位を有するポリエステルを含む、実施形態59〜66のいずれか1つのセグメント。
実施形態68.ポリマーフィルムがポリカプロラクトン又はポリジオキサノンを含む、実施形態59〜66のいずれか1つのセグメント。
実施形態69.ポリマーフィルムが約10,000〜約150,000Mnのポリカプロラクトンを含む、実施形態59〜66のいずれか1つのセグメント。
実施形態70.ポリマーフィルムが約80,000〜約110,000Mnのポリカプロラクトンを含む、実施形態59〜66のいずれか1つのセグメント。
実施形態71.ポリマーフィルムが約90,000Mnのポリカプロラクトンを含む、実施形態59〜66のいずれか1つのセグメント。
実施形態72.ポリマーフィルムが、約1.5〜約2.1dL/gの固有粘度を有するポリカプロラクトンを含む、実施形態59〜66のいずれか1つのセグメント。
実施形態73.患者への投与のための胃内滞留システムであって、胃内滞留システムが、エラストマー成分、及びエラストマー成分に取り付けられた少なくとも3つの細長部材を含み、各細長部材が、近位端、遠位端、及びそれらの間の外側面を含み、各細長部材の近位端が、エラストマー成分に取り付けられておりかつエラストマー成分から半径方向に突出しており、各細長部材が、エラストマー成分に取り付けられておらずかつエラストマー成分からの半径方向の距離が近位端よりも大きい位置にある遠位端を有しており;少なくとも1つの細長部材が、実施形態1〜72のいずれか1つのセグメントを含む、胃内滞留システム。
実施形態74.実施形態1〜72のいずれか1つの少なくとも1つのセグメントを含む、患者への投与のための胃内滞留システム。
実施形態75.胃内滞留システムのセグメントの製造方法であって、ポリマーフィルム配合物の溶液を用いて担体ポリマー及び薬剤又はその塩を含むセグメントをコーティングして、フィルムでコーティングされたセグメントを製造すること;並びにフィルムでコーティングされたセグメントを乾燥させることを含む、方法。
実施形態76.コーティングがディップコーティングにより行われる、実施形態75の方法。
実施形態77.コーティングがパンコーティングにより行われる、実施形態75の方法。
実施形態78.コーティングがスプレーコーティングにより行われる、実施形態75の方法。
実施形態79.コーティングが流動床コーティングにより行われる、実施形態75の方法。
実施形態80.ポリマーフィルム配合物の溶液において使用される溶媒が有機溶媒を含む、実施形態75〜79のいずれか1つの方法。
実施形態81.ポリマーフィルム配合物において使用される溶媒が、酢酸エチル、ジクロロメタン、アセトン、イソプロピルアルコール、又はこれらのあらゆる組合せを含む、実施形態80の方法。
実施形態82.胃内滞留システムのセグメントの製造方法であって、ポリマーフィルム及び担体ポリマーと薬剤又はその塩との混合物を共押出しすることを含む、方法。
実施形態83.ポリマーフィルム配合物が、−R1−O−C(=O)−(式中、R1は、C1〜C12アルキレン基、2〜12個の炭素原子を含有するエーテル、及び3〜12個の炭素原子を含有するポリエーテルからなる群から選択される)の形態の繰返し単位を有するポリエステルを含む、実施形態75〜82のいずれか1つの方法。
実施形態84.ポリマーフィルム配合物がポリカプロラクトン又はポリジオキサノンを含む、実施形態75〜82のいずれか1つの方法。
実施形態85.ポリマーフィルム配合物が約10,000〜約150,000Mnのポリカプロラクトンを含む、実施形態75〜82のいずれか1つの方法。
実施形態86.ポリマーフィルム配合物が約80,000〜約110,000Mnのポリカプロラクトンを含む、実施形態75〜82のいずれか1つの方法。
実施形態87.ポリマーフィルム配合物が約90,000Mnのポリカプロラクトンを含む、実施形態75〜82のいずれか1つの方法。
実施形態88.ポリマーフィルム配合物が、約1.5〜約2.1dL/gの固有粘度を有するポリカプロラクトンを含む、実施形態75〜82のいずれか1つの方法。
実施形態89.ポリマーフィルムがポロゲンをさらに含む、実施形態75〜88のいずれか1つの方法。
実施形態90.ポロゲンが、水溶性ポリマー、水溶性小分子、無機塩、又は有機塩を含む、実施形態75〜88のいずれか1つの方法。
実施形態91.ポロゲンがフィルムの重量の約1〜約30%を構成する、実施形態75〜88のいずれか1つの方法。
実施形態92.ポロゲンが、アルカリ金属塩、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、リン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硝酸カリウム、アルカリ土類金属塩、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、遷移金属塩、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸亜鉛、塩化第二銅、サッカリド、糖、例えば、スクロース、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、アルドヘキソース、アルトロース、タロース、ラクトース、セルロース、単糖、二糖、水溶性多糖、ソルビトール、マンニトール、有機脂肪油及び芳香油、ジオール及びポリオール、多価アルコール、ポリ(アルキレングリコール)、ポリグリコール、アルキレングリコール、ポリ(a,m)アルキレンジオールエステル、アルキレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性ポリマー材料、ポロキサマー、ヒプロメロース(HPMC)、コリフォールRH40、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルアセテート(PVAc)、ポリエチレングリコール(PEG)、ソルプラス(ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルアセテート、及びポリエチレングリコールのコポリマー)、コポビドン、オイドラギット(E、RS、RL)、ポリ(メチルビニルエーテル−alt−無水マレイン酸)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリソルベート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリデキストロース、ポリアクリル酸、アルギネート、ナトリウムデンプングリコレート、架橋ポリアクリル酸(カーボポール)、架橋PVP(クロスポビドン)、架橋セルロース(クロスカルメロース)、ケイ酸カルシウム、キサンタンガム、及びゲランガムからなる群から選択される、実施形態75〜88のいずれか1つの方法。
実施形態93.ポロゲンが、ポビドン、コポビドン、及びポリオキシルヒマシ油からなる群から選択される、実施形態75〜88のいずれか1つの方法。
実施形態94.中心エラストマーが液体シリコーンゴムから形成されている、実施形態73の胃内滞留システム。
実施形態95.細長部材が、分解性マトリックスを介して中心エラストマーに取り付けられている、実施形態73又は実施形態94の胃内滞留システム。
実施形態96.分解性マトリックスがHPMC−AS及びポリカプロラクトンを含む、実施形態95の胃内滞留システム。
実施形態97.患者に胃内滞留システムを投与する方法であって、小型化された状態の実施形態73、74、又は94〜96のいずれか1つの胃内滞留システムを含有する容器を患者に投与することを含み、容器が患者の胃に入り、胃に入った後に溶解して胃内滞留システムを放出し、胃内滞留システムがその後に小型化されていない状態をとる、方法。
実施形態98.患者がヒトである、実施形態97の方法。
実施形態99.胃内滞留システムを含有する容器が、嚥下、栄養チューブ、又は胃瘻チューブにより投与される、実施形態97又は98の方法。
実施形態100.薬剤又はその塩が、アダマンタン系薬物及びアダマンタン系薬物の塩のいずれでもない、実施形態1〜72のいずれか1つのセグメント、実施形態73、74、94、95、若しくは96のいずれか1つの胃内滞留システム、又は実施形態75〜93若しくは97〜99のいずれか1つの方法。
実施形態101.治療有効量の薬剤又はその薬学的に許容される塩を含む胃内滞留システムであって、胃内滞留システムが、小型化された構成及び小型化されていない構成を有し、
胃内滞留システムが、中心エラストマーに取り付けられた複数の細長部材を含み、少なくとも1つの細長部材が、担体ポリマー、薬剤又はその薬学的に許容される塩、及び少なくとも1つの細長部材の表面上にコーティングされた放出速度調節ポリマーフィルムを含み;胃内滞留システムが、指定された胃内滞留期間にわたり薬剤又はその薬学的に許容される塩を放出するように構成されている、胃内滞留システム。
実施形態102.薬剤がアダマンタン−クラスの薬剤及びアダマンタン−クラスの薬剤の薬学的に許容される塩のいずれでもない、実施形態101の胃内滞留システム。
実施形態103.細長部材がリンカーを介して中心エラストマーに取り付けられており、リンカーが、弱まるか又は分解して、指定された胃内滞留期間の後に胃内滞留システムが幽門を通過するのを可能とするように構成されている、実施形態101又は実施形態102の胃内滞留システム。
実施形態104.少なくとも1つの細長部材が、リンカーにより連結された少なくとも2つのセグメントを含み、リンカーが、弱まるか又は分解して、指定された胃内滞留期間の後に胃内滞留システムが幽門を通過するのを可能とするように構成されている、実施形態101又は実施形態102の胃内滞留システム。
実施形態105.放出速度調節ポリマーフィルムが、1つ又は複数のポリエステル材料を含む、実施形態101〜104のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施形態106.ポリマーフィルムが、−R1−O−C(=O)−(式中、R1は、C1〜C12アルキレン基、2〜12個の炭素原子を含有するエーテル、及び3〜12個の炭素原子を含有するポリエーテルからなる群から選択される)の形態の繰返し単位を有するポリエステルを含む、実施形態105の胃内滞留システム。
実施形態107.ポリマーフィルムがポリカプロラクトン又はポリジオキサノンを含む、実施形態106の胃内滞留システム。
実施形態108.ポリマーフィルムが約10,000〜約150,000Mnのポリカプロラクトンを含む、実施形態107の胃内滞留システム。
実施形態109.ポリマーフィルムが約80,000〜約110,000Mnのポリカプロラクトンを含む、実施形態107の胃内滞留システム。
実施形態110.ポリマーフィルムが約90,000Mnのポリカプロラクトンを含む、実施形態107の胃内滞留システム。
実施形態111.ポリマーフィルムが、約1.5〜約2.1dL/gの固有粘度を有するポリカプロラクトンを含む、実施形態107の胃内滞留システム。
実施形態112.ポリマーフィルムがポロゲンをさらに含む、実施形態101〜111のいずれか1つの胃内滞留システム。
実施形態113.ポロゲンが、水溶性ポリマー、水溶性小分子、無機塩、又は有機塩を含む、実施形態112の胃内滞留システム。
実施形態114.ポロゲンがフィルムの重量の約5〜約30%を構成する、実施形態112又は実施形態113の胃内滞留システム。
実施形態115.ポロゲンが、アルカリ金属塩、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、リン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硝酸カリウム、アルカリ土類金属塩、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、遷移金属塩、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸亜鉛、塩化第二銅、サッカリド、糖、例えば、スクロース、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、アルドヘキソース、アルトロース、タロース、ラクトース、セルロース、単糖、二糖、水溶性多糖、ソルビトール、マンニトール、有機脂肪油及び芳香油、ジオール及びポリオール、多価アルコール、ポリ(アルキレングリコール)、ポリグリコール、アルキレングリコール、ポリ(a,m)アルキレンジオールエステル、アルキレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性ポリマー材料、ポロキサマー、ヒプロメロース(HPMC)、コリフォールRH40、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルアセテート(PVAc)、ポリエチレングリコール(PEG)、ソルプラス(ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルアセテート、及びポリエチレングリコールのコポリマー)、コポビドン、オイドラギット(E、RS、RL)、ポリ(メチルビニルエーテル−alt−無水マレイン酸)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリソルベート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリデキストロース、ポリアクリル酸、アルギネート、ナトリウムデンプングリコレート、架橋ポリアクリル酸(カーボポール)、架橋PVP(クロスポビドン)、架橋セルロース(クロスカルメロース)、ケイ酸カルシウム、キサンタンガム、及びゲランガムからなる群から選択される、実施形態112〜114のいずれか1つの胃内滞留システム。
実施形態116.ポロゲンが、ポビドン、コポビドン、及びポリオキシルヒマシ油からなる群から選択される、実施形態112〜114のいずれか1つの胃内滞留システム。
実施形態117.ポリマーフィルムが可塑剤をさらに含む、実施形態101〜116のいずれか1つの胃内滞留システム。
実施形態118.可塑剤が、クエン酸トリエチル、トリアセチン、PEG、ポロキサマー、クエン酸トリブチル、又はセバシン酸ジブチルを含む、実施形態117の胃内滞留システム。
実施形態119.可塑剤がフィルムの重量の約5〜約30%を構成する、実施形態117又は実施形態118の胃内滞留システム。
実施形態120.ポリマーフィルムが粘着防止剤をさらに含む、実施形態101〜119のいずれか1つの胃内滞留システム。
実施形態121.粘着防止剤が、ステアリン酸マグネシウム、タルク、及びモノステアリン酸グリセロールからなる群から選択される、実施形態120の胃内滞留システム。
実施形態122.担体ポリマーがポリラクトンを含む、実施形態101〜121のいずれか1つの胃内滞留システム。
実施形態123.ポリラクトンがポリカプロラクトンを含む、実施形態122の胃内滞留システム。
実施形態124.ポリカプロラクトンが約60,000〜約100,000の平均Mnを有する、実施形態123の胃内滞留システム。
実施形態125.ポリカプロラクトンが約75,000〜約85,000の平均Mnを有する、実施形態123の胃内滞留システム。
実施形態126.ポリカプロラクトンが約80,000の平均Mnを有する、実施形態123の胃内滞留システム。
実施形態127.細長部材が少なくとも1つの賦形剤をさらに含む、実施形態101〜126のいずれか1つの胃内滞留システム。
実施形態128.少なくとも1つの賦形剤がポリアルキレングリコールを含む、実施形態127の胃内滞留システム。
実施形態129.ポリアルキレングリコールが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、及びPEGとPPGとのブロックコポリマーからなる群から選択される、実施形態128の胃内滞留システム。
実施形態130.ポリアルキレングリコールがPEGとPPGとのブロックコポリマーを含む、実施形態128の胃内滞留システム。
実施形態131.PEGとPPGとのブロックコポリマーが、H−(OCH2CH2)x−(O−CH(CH3)CH2)y−(OCH2CH2)z−OH(式中、x及びzは約101であり、かつyは約56である)を含む、実施形態130の胃内滞留システム。
実施形態132.細長部材が抗酸化剤をさらに含む、実施形態101〜131のいずれか1つの胃内滞留システム。
実施形態133.細長部材がシリカをさらに含む、実施形態101〜132のいずれか1つの胃内滞留システム。
実施形態134.中心エラストマーがシリコーンゴムを含む、実施形態101〜133のいずれか1つの胃内滞留システム。
実施形態135.複数の細長部材が少なくとも3つの細長部材を含む、実施形態101〜134のいずれか1つの胃内滞留システム。
実施形態136.複数の細長部材が6つの細長部材である、実施形態101〜134のいずれか1つの胃内滞留システム。
実施形態137.システムが、ヒト患者に投与された時に約4〜約8日の胃内滞留期間を有する、実施形態101〜136のいずれか1つの胃内滞留システム。
実施形態138.システムが、ヒト患者に投与された時に約7〜約10日の胃内滞留期間を有する、実施形態101〜136のいずれか1つの胃内滞留システム。
実施形態139.システムが、水性環境中で最初の24時間の期間内にシステム中に存在する薬剤又はその薬学的に許容される塩の初期量の約10〜20%の溶解により特徴付けられる溶解プロファイルを有するように構成されている、実施形態101〜138のいずれか1つの胃内滞留システム。
実施形態140.システムが、水性環境中で最初の48時間の期間内にシステム中に存在する薬剤又はその薬学的に許容される塩の初期量の約20〜40%の溶解により特徴付けられる溶解プロファイルを有するように構成されている、実施形態101〜138のいずれか1つの胃内滞留システム。
実施形態141.水性環境が哺乳動物の胃である、実施形態139又は実施形態140の胃内滞留システム。
実施形態142.水性環境がヒト患者の胃である、実施形態139又は実施形態140の胃内滞留システム。
実施形態143.水性環境が模擬胃液、絶食状態模擬胃液、又は摂食状態模擬胃液である、実施形態139又は実施形態140の胃内滞留システム。
実施形態144.システムが、約10〜約400mgの薬剤又はその薬学的に許容される塩を含む、実施形態101〜143のいずれか1つの胃内滞留システム。
実施形態145.胃内滞留システムであって、胃内滞留システムが、担体ポリマー;
薬剤又はその塩;及び薬剤又はその塩の放出速度を制御するように構成された放出速度調節ポリマーフィルムを含み;模擬胃液中でのシステムの7日間のインキュベーションにわたり、5日目の間にシステムから放出される薬剤又はその塩の量が、2日目の間に放出される薬剤又はその塩の量の少なくとも約40%であり;かつ、システム中の薬剤又はその塩の総量の少なくとも約7%が2日目に放出されかつ薬剤又はその塩の総量の少なくとも約7%が5日目に放出される、胃内滞留システム。
実施形態146.胃内滞留システムであって、胃内滞留システムが、担体ポリマー;薬剤又はその塩;及び薬剤又はその塩の放出速度を制御するように構成された放出速度調節ポリマーフィルムを含み;模擬胃液中でのシステムの7日間のインキュベーションにわたり、7日目の間にシステムから放出される薬剤又はその塩の量が、1日目の間に放出される薬剤又はその塩の量の少なくとも約20%であり;かつ、システム中の薬剤又はその塩の総量の少なくとも約4%が1日目に放出されかつ薬剤又はその塩の総量の少なくとも約4%が7日目に放出される、胃内滞留システム。
実施形態147.胃内滞留システムであって、胃内滞留システムが、担体ポリマー、薬剤又はその塩;及び薬剤又はその塩の放出速度を制御するように構成された放出速度調節ポリマーフィルムを含み;1時間にわたる40%のエタノール/60%の模擬胃液中でのシステムからの薬剤又はその塩の放出が、1時間にわたる100%の模擬胃液中での同等のセグメントからの薬剤又はその塩の放出と比較して約40%を超えて高くはないように、放出速度調節ポリマーフィルムが構成されている、胃内滞留システム。
実施形態148.胃内滞留システムであって、胃内滞留システムが、担体ポリマー、薬剤又はその塩;及び薬剤又はその塩の放出速度を制御するように構成された放出速度調節ポリマーフィルムを含み、1時間にわたる40%のエタノール/60%の模擬胃液中でのシステムからの薬剤又はその塩の放出が、1時間にわたる40%のエタノール/60%の模擬胃液中での第2のシステムからの薬剤又はその塩の放出より少なくとも約40%低くなるように、放出速度調節ポリマーフィルムが構成されており、第2のシステムが、担体ポリマー及び薬剤又はその塩の同じ組合せを含むが放出速度調節ポリマーフィルムを欠いている、胃内滞留システム。
実施形態149.胃内滞留システムであって、胃内滞留システムが、担体ポリマー、薬剤又はその塩;及び薬剤又はその塩の放出速度を制御するように構成された放出速度調節ポリマーフィルムを含み、最初の6時間の期間にわたる模擬胃液中でのシステムからの薬剤又はその塩の放出が、最初の6時間の期間にわたる模擬胃液中での第2のシステムからの薬剤又はその塩の放出より少なくとも約40%低くなるように、放出速度調節ポリマーフィルムが構成されており、第2のシステムが、担体ポリマー及び薬剤又はその塩の同じ組合せを含むが放出速度調節ポリマーフィルムを欠いており;かつ、7日間の期間にわたる模擬胃液中でのシステムからの薬剤又はその塩の放出が、システム中に元々存在する薬剤又はその塩の総量の少なくとも約60%である、胃内滞留システム。
実施形態150.7日間の期間にわたる模擬胃液中でのシステムからの薬剤又はその塩の放出が、システム中に元々存在する薬剤又はその塩の総量の少なくとも約70%の放出である、実施形態149の胃内滞留システム。
実施形態151.7日間の期間にわたる模擬胃液中でのシステムからの薬剤又はその塩の放出が、システム中に元々存在する薬剤又はその塩の総量の少なくとも約80%の放出である、実施形態149の胃内滞留システム。
実施形態152.胃内滞留システムであって、胃内滞留システムが、担体ポリマー;薬剤又はその塩;及び放出速度調節ポリマーフィルムを含み、模擬胃液中でのシステムからの薬剤又はその塩の放出速度の最良フィットの線形回帰モデルが、最初の7日間の期間にわたり少なくとも約0.8の決定係数R2を有するように、ポリマーフィルムが薬剤又はその塩の放出速度を制御するように構成されており;かつ、システムが、7日間の期間の約40〜約60%の時間内に薬剤又はその塩の約40〜約60%を放出する、胃内滞留システム。
実施形態153.持続放出薬剤剤形を提供する胃内滞留システムであって、胃内滞留システムが、治療有効量の薬剤又はその薬学的に許容される塩及び担体ポリマーを含む複数の細長部材であって、薬剤又はその薬学的に許容される塩が細長部材の全体にわたって分布するように、薬剤又はその塩が担体ポリマーとブレンドされている、複数の細長部材、及び少なくとも1つの細長部材をコーティングする放出速度調節ポリマーフィルムを含み;複数の細長部材が中心エラストマーに取り付けられており;かつ、前記胃内滞留システムが薬剤又はその薬学的に許容される塩の持続放出を提供する、胃内滞留システム。
実施形態154.細長部材が、賦形剤及び抗酸化剤からなる群から選択される1つ又は複数の追加の成分をさらに含み、薬剤又はその薬学的に許容される塩及び1つ又は複数の追加の成分が細長部材の全体にわたって分布するように、1つ又は複数の追加の成分が薬剤又はその塩及び担体ポリマーと共にブレンドされている、実施形態153の胃内滞留システム。
実施形態155.担体ポリマー、薬剤又はその薬学的に許容される塩、及び存在する場合は1つ又は複数の追加の成分を融解させかつそれらを一緒に混合することにより、担体ポリマーが、薬剤又はその薬学的に許容される塩及び存在する場合は1つ又は複数の追加の成分とブレンドされている、実施形態153又は実施形態154の胃内滞留システム。
実施形態156.細長部材がリンカーを介して中心エラストマーに取り付けられており、リンカーが、弱まるか又は分解して、指定された胃内滞留期間の後に胃内滞留システムが幽門を通過するのを可能とするように構成されている、実施形態153〜155のいずれか1つの胃内滞留システム。
実施形態157.少なくとも1つの細長部材が、リンカーにより連結された少なくとも2つのセグメントを含み、リンカーが、弱まるか又は分解して、指定された胃内滞留期間の後に胃内滞留システムが幽門を通過するのを可能とするように構成されている、実施形態153〜155のいずれか1つの胃内滞留システム。
実施形態158.ポリマーフィルム配合物の溶液を用いて細長部材をコーティングして、フィルムでコーティングされた細長部材を製造すること;及びフィルムでコーティングされた細長部材を乾燥させることにより、放出速度調節ポリマーフィルムが細長部材にコーティングされている、実施形態156の胃内滞留システム。
実施形態159.ポリマーフィルム配合物の溶液を用いてセグメントをコーティングして、フィルムでコーティングされたセグメントを製造すること;及びフィルムでコーティングされたセグメントを乾燥させることにより、放出速度調節ポリマーフィルムがセグメントにコーティングされている、実施形態157の胃内滞留システム。
実施形態160.コーティングがディップコーティングにより行われる、実施形態158又は実施形態159の胃内滞留システム。
実施形態161.コーティングがパンコーティングにより行われる、実施形態158又は実施形態159の胃内滞留システム。
実施形態162.コーティングがスプレーコーティングにより行われる、実施形態158又は実施形態159の胃内滞留システム。
実施形態163.コーティングが流動床コーティングにより行われる、実施形態158又は実施形態159の胃内滞留システム。
実施形態164.ポリマーフィルム配合物の溶液において使用される溶媒が有機溶媒を含む、実施形態158〜163のいずれか1つの胃内滞留システム。
実施形態165.ポリマーフィルム配合物において使用される溶媒が、酢酸エチル、ジクロロメタン、アセトン、イソプロピルアルコール、又はこれらのあらゆる組合せを含む、実施形態164の胃内滞留システム。
実施形態166.ポリマーフィルム及び担体ポリマーと薬剤又はその薬学的に許容される塩との混合物を共押出しして、セグメント又は細長部材を形成することにより作製された、放出速度調節ポリマーフィルムでコーティングされた胃内滞留システムのセグメント又は放出速度調節ポリマーフィルムでコーティングされた胃内滞留システムの細長部材。
実施形態167.放出速度調節ポリマーフィルムでコーティングされた胃内滞留システムのセグメント又は放出速度調節ポリマーフィルムでコーティングされた胃内滞留システムの細長部材の製造方法であって、ポリマーフィルム及び担体ポリマーと薬剤又はその薬学的に許容される塩との混合物を共押出しして、セグメント又は細長部材を形成することを含む、方法。
実施形態168.胃内滞留システムの製造方法であって、薬剤又はその薬学的に許容される塩が担体ポリマー−薬剤ブレンド物又は担体ポリマー−薬剤塩ブレンド物の全体にわたって分布するように、薬剤又はその塩を含む薬剤を担体ポリマーとブレンドして、担体ポリマー−薬剤ブレンド物又は担体ポリマー−薬剤塩ブレンド物を形成すること;担体ポリマー−薬剤ブレンド物又は担体ポリマー−薬剤塩ブレンド物から複数の細長部材を形成することであって、薬剤又はその塩が細長部材の全体にわたって分布する、形成すること;放出速度調節ポリマーフィルムを用いて複数の細長部材をコーティングすること;及び複数の細長部材を中心エラストマーに取り付けることを含む、方法。
実施形態169.少なくとも1つの細長部材が、リンカーにより連結された少なくとも2つのセグメントを含み、リンカーが、指定された胃内滞留期間の後には各細長部材の少なくとも2つのセグメントをもはや連結しないように構成される、実施形態168の方法。
実施形態170.胃内滞留システムの製造方法であって、薬剤又はその薬学的に許容される塩が担体ポリマー−薬剤ブレンド物又は担体ポリマー−薬剤塩ブレンド物の全体にわたって分布するように、薬剤又はその塩を含む薬剤を担体ポリマーとブレンドして、担体ポリマー−薬剤ブレンド物又は担体ポリマー−薬剤塩ブレンド物を形成すること;担体ポリマー−薬剤ブレンド物又は担体ポリマー−薬剤塩ブレンド物から複数のセグメントを形成することであって、薬剤又はその塩がセグメントの全体にわたって分布する、形成すること;放出速度調節ポリマーフィルムを用いてセグメントをコーティングすること;少なくとも2つのセグメントをリンカーを介して連結させて細長部材を作ることにより複数の細長部材を形成すること;及び複数の細長部材を中心エラストマーに取り付けることを含む、方法。
実施形態171.薬剤又はその薬学的に許容される塩並びに賦形剤及び抗酸化剤からなる群から選択される1つ又は複数の追加の成分が担体ポリマー−薬剤ブレンド物又は担体ポリマー−薬剤塩ブレンド物の全体にわたって分布するように、1つ又は複数の追加の成分を薬剤又はその塩及び担体ポリマーとブレンドすることをさらに含む、実施形態168〜170のいずれか1つの方法。
実施形態172.薬剤又はその薬学的に許容される塩及び存在する場合は1つ又は複数の追加の成分をブレンドすることが、担体ポリマー、薬剤又はその薬学的に許容される塩、及び存在する場合は1つ又は複数の追加の成分を融解させかつそれらを一緒に混合することを含む、実施形態168〜171のいずれか1つの方法。
実施形態173.細長部材がリンカーを介して中心エラストマーに取り付けられ、リンカーが、指定された胃内滞留期間の後には細長部材を中心エラストマーにもはや連結しないように構成されている、実施形態168〜172のいずれか1つの方法。
実施形態174.放出速度調節ポリマーフィルムを細長部材又はセグメントにコーティングすることが、ポリマーフィルム配合物の溶液を用いて細長部材又はセグメントをコーティングして、フィルムでコーティングされた細長部材又はフィルムでコーティングされたセグメントを製造すること;及びフィルムでコーティングされた細長部材又はフィルムでコーティングされたセグメントを乾燥させることを含む、実施形態168〜173のいずれか1つの方法。
実施形態175.コーティングがディップコーティングを含む、実施形態168〜174のいずれか1つの方法。
実施形態176.コーティングがパンコーティングを含む、実施形態168〜174のいずれか1つの方法。
実施形態177.コーティングがスプレーコーティングを含む、実施形態168〜174のいずれか1つの方法。
実施形態178.コーティングが流動床コーティングを含む、実施形態168〜174のいずれか1つの方法。
実施形態179.ポリマーフィルム配合物の溶液において使用される溶媒が有機溶媒を含む、実施形態174〜178のいずれか1つの方法。
実施形態180.ポリマーフィルム配合物において使用される溶媒が、酢酸エチル、ジクロロメタン、アセトン、イソプロピルアルコール、又はこれらのあらゆる組合せを含む、実施形態179の方法。
実施形態181.実施形態168〜180の方法のいずれかにより製造された、胃内滞留システム。
実施形態182.放出速度調節ポリマーフィルムでコーティングされた胃内滞留システムのセグメント又は放出速度調節ポリマーフィルムでコーティングされた胃内滞留システムの細長部材の製造方法であって、ポリマーフィルム及び担体ポリマーと薬剤又はその薬学的に許容される塩との混合物を共押出しして、セグメント又は細長部材を形成することを含む方法。
実施形態183.持続放出薬剤剤形を提供する胃内滞留システムであって、胃内滞留システムが、治療有効量の薬剤又はその薬学的に許容される塩及び水性環境中で薬剤又はその塩の持続放出を提供するように構成された放出速度調節ポリマーフィルムを含み、システムが、水性環境中で最初の24時間の期間内にシステム中に存在する薬剤の初期量の約10〜20%の溶解により特徴付けられる溶解プロファイルを有する、胃内滞留システム。
実施形態184.システムが、水性環境中で最初の48時間の期間内にシステム中に存在する薬剤の初期量の約20〜40%の溶解により特徴付けられる溶解プロファイルを有する、実施形態183の胃内滞留システム。
実施形態185.水性環境がヒト患者の胃である、実施形態183又は実施形態184の胃内滞留システム。
実施形態186.水性環境が模擬胃液である、実施形態183又は実施形態184の胃内滞留システム。
実施形態187.システムが、ヒト患者に投与された時に少なくとも約4日の胃内滞留期間を有する、実施形態183〜186のいずれか1つの胃内滞留システム。
実施形態188.システムが約7日の胃内滞留期間を有する、実施形態187の胃内滞留システム。
実施形態189.薬剤又はその薬学的に許容される塩が、薬剤又はその塩の持続放出を提供するように構成された成分とブレンドされている、実施形態183〜188のいずれか1つの胃内滞留システム。
実施形態190.胃内滞留システムが、担体ポリマー及び少なくとも1つの賦形剤をさらに含み、かつ薬剤又はその薬学的に許容される塩及び少なくとも1つの賦形剤が担体ポリマー内に分散されている、実施形態189の胃内滞留システム。
実施形態191.胃内滞留システムのセグメントであって、セグメントが、担体ポリマー;薬剤又はその塩;及び薬剤又はその塩の放出速度を制御するように構成された放出速度調節ポリマーフィルムを含み、模擬胃液中でのセグメントの7日間のインキュベーションにわたり、5日目の間にセグメントから放出される薬剤又はその塩の量が、2日目の間に放出される薬剤又はその塩の量の少なくとも約40%であり;かつ、セグメント中の薬剤又はその塩の総量の少なくとも約7%が2日目に放出されかつ薬剤又はその塩の総量の少なくとも約7%が5日目に放出される、セグメント。
実施形態192.持続放出薬剤剤形を提供する胃内滞留システムであって、胃内滞留システムが、複数の細長部材を含み、少なくとも1つの細長部材が治療有効量の薬剤又はその薬学的に許容される塩及び担体ポリマーを含み、かつ、薬剤又はその薬学的に許容される塩が少なくとも1つの細長部材の全体にわたって分布するように、薬剤又はその塩が担体ポリマーとブレンドされており;薬剤又はその薬学的に許容される塩が少なくとも1つの細長部材の重量の約40〜約60%を構成し;複数の細長部材が中心エラストマーに取り付けられており;かつ、該胃内滞留システムが薬剤又はその薬学的に許容される塩の持続放出を提供する、胃内滞留システム。
実施形態193.持続放出薬剤剤形を提供する胃内滞留システムであって、胃内滞留システムが、複数の細長部材であって、少なくとも1つの細長部材が治療有効量の薬剤又はその薬学的に許容される塩及び担体ポリマーを含み、薬剤又はその薬学的に許容される塩が少なくとも1つの細長部材の全体にわたって分布するように、薬剤又はその塩が担体ポリマーとブレンドされている、複数の細長部材、及び少なくとも1つの細長部材をコーティングする放出速度調節ポリマーフィルムを含み;薬剤又はその薬学的に許容される塩が少なくとも1つの細長部材の重量の約40〜約60%を構成し;複数の細長部材が中心エラストマーに取り付けられており;かつ、該胃内滞留システムが薬剤又はその薬学的に許容される塩の持続放出を提供する、胃内滞留システム。
実施形態194.薬剤又はその薬学的に許容される塩が、少なくとも1つの細長部材又はセグメントに取り付けられたあらゆるエラストマー又はリンカーの重量を除外して、実施形態101〜144、152〜165、181、183〜190、192若しくは193の少なくとも1つの細長部材の重量の約40〜約60%又は実施形態166若しくは実施形態191のセグメントの重量の約40〜約60%を構成する、実施形態101〜144、152〜165、181、183〜190、192若しくは193のいずれか1つの胃内滞留システム、又は実施形態166若しくは実施形態191のセグメント。
実施形態195.薬剤又はその薬学的に許容される塩が、実施形態101〜144、152〜165、181、183〜190、192若しくは193の少なくとも1つの細長部材の重量の約51〜約60%又は実施形態166若しくは実施形態191のセグメントの重量の約51〜約60%を構成する、実施形態101〜144、152〜165、181、183〜190、192若しくは193のいずれか1つの胃内滞留システム、又は実施形態166若しくは実施形態191のセグメント。
実施形態196.薬剤又はその薬学的に許容される塩が担体ポリマーの重量の約67〜約150%の重量の量で存在する、実施形態145〜152のいずれか1つの胃内滞留システム。
実施形態197.薬剤又はその薬学的に許容される塩がドネペジル又はその塩を含む、実施形態73、74、94、95、96、101〜165、181、183〜190、192若しくは193のいずれか1つの胃内滞留システム、又は実施形態1〜72、166、若しくは191のいずれか1つのセグメント、又は実施形態75〜93、97〜99、167〜180、若しくは182のいずれか1つの方法。
実施形態198.薬剤又はその薬学的に許容される塩がドキシサイクリン又はその塩を含む、実施形態73、74、94、95、96、101〜165、181、183〜190、192若しくは193のいずれか1つの胃内滞留システム、又は実施形態1〜72、166、若しくは191のいずれか1つのセグメント、又は実施形態75〜93、97〜99、167〜180、若しくは182のいずれか1つの方法。
実施形態199.薬剤又はその薬学的に許容される塩が細長部材又はセグメントの重量の約10〜約40%を構成する、実施形態73、74、94、95、96、101〜165、181、183〜190、192若しくは193のいずれか1つの胃内滞留システム、又は実施形態1〜72、166、若しくは191のいずれか1つのセグメント、又は実施形態75〜93、97〜99、167〜180、若しくは182のいずれか1つの方法。
実施形態200.薬剤又はその薬学的に許容される塩が細長部材又はセグメントの重量の約40〜約60%を構成する、実施形態73、74、94、95、96、101〜165、181、183〜190、192若しくは193のいずれか1つの胃内滞留システム、又は実施形態1〜72、166、若しくは191のいずれか1つのセグメント、又は実施形態75〜93、97〜99、167〜180、若しくは182のいずれか1つの方法。
本発明を以下の非限定的な実施例によりさらに説明する。
実施例1:モノリシックマトリックス配合物からの薬物放出は経時的に遅くなる
モノリシックポリマーマトリックス配合物を経時的な薬物放出速度について試験した。図2Aから分かるように、メマンチン塩酸塩の代表的なモノリシックポリマーマトリックス配合物は、経時的に漸減的な放出速度を示した(以下の表1を参照)。全ての配合物は、0.5%w/wのシリカ、0.5%w/wのアルファトコフェロール、以下に列記した薬物含有量及び賦形剤、並びに残部の80kポリカプロラクトン(PCL)を含有した。M17:20%w/wのメマンチン、7%のオイドラギットE、2%のP407;M18:20%w/wのメマンチン、25%のオイドラギットRS、5%のP407;M27:20%w/wのメマンチン、10%のオイドラギットRS、5%のP407;M48:35%w/wのメマンチン、2%のポロキサマーP188。モノリシックポリマーマトリックス配合物についてのこの遅くなる経時的な薬物放出方式は、マトリックスベースの薬物放出についてのHiguchiモデルに合致する。Higuchiモデルでは、累積放出量は時間の平方根に比例し、比例定数はマトリックスの特性(多孔度、湾曲)及び薬物溶解度に依存する(Dash et al.、Acta Poloniae Pharmaceutica−Drug Research、Vol.67 No.3 pp.217n223、2010)。時間と累積放出量の2乗との線形の関係性が、試験した広範囲の薬物−ポリマーブレンド物について観察され、代表を図2Bに示す。マトリックスからの薬物放出は、ポリマーマトリックスの特性を変更することにより加速又は減速させることができたが、各場合において、放出速度は経時的に有意に遅くなった。試験したモノリシックマトリックスシステムにおいて、1日目に送達された薬物の用量は、典型的に、7日目に送達された用量より4〜6倍多かった。この漸減的な用量プロファイルはある特定の応用について許容され得るが、多くの適応症のためにより線形の放出プロファイルが所望される。試験したメマンチン塩酸塩の約50個の配合物についての放出量に対する線形性を図2Cに示す。7日にわたる総放出量(表1のX値)を(7日目の放出/1日目の放出)の比(表1のY値)に対して図2Cにプロットしている。プロットの右上隅により近い配合物(良好な総放出量及び放出の良好な線形性が起こる)が好ましい。図2Cから分かるように、7日目の薬物放出は、典型的に、1日目の放出の10〜30%であった。1日目の放出に対する7日目の放出の比により測定される放出の線形性は、7日目において総放出量と負に相関した。したがって、マトリックスベースのシステムの開発において、7日間の治療時間内の完全な放出の達成は、Higuchiモデルに合致する放出の線形性を犠牲にすることを必要とする。
実施例2A:ディップコーティングされたポリカプロラクトンは優れたエタノール抵抗性を提供する
酢酸セルロース(CA)、エチルセルロース(EC)、アクリレートとメタクリル酸エステルとのコポリマー(例えば、オイドラギットRS)及びポリカプロラクトン(PCL)を放出速度調節ポリマーフィルムとして試験した。
配合物の調製
メマンチン塩酸塩をHaake MiniCTW micro−compounderでPCL及び他の賦形剤とブレンドした。成分を100〜120℃で10分間バッチ混合した後、2mmのシリンダーに押し出した。融解した押出物を三角形横断面の20mmのロッド形状の圧縮型にプレスし、室温で冷却した。
代表的な配合物を表1に列記する。
ディップコーティング
コーティング成分を適切な有機溶媒中に溶解させることによりコーティング溶液を調製した。エタノール放出試験において使用したコーティング溶液の組成を図3Aに示す。薬物アームを鉗子で掴み、コーティング溶液中に完全に浸漬させ、直ちに取り出した。コーティングされたアームをドラフトチャンバー中で終夜乾燥させた。
インビトロ放出
絶食状態模擬胃液(FaSSGF)を製造業者の説明書(www.biorelevant.com)に従って調製した。個々のコーティングされた薬物アームを10mLの放出媒体中、振盪インキュベーター中において37℃で7日間インキュベートした。放出媒体中の薬物含有量は、典型的に、HPLCにより6時間後、24時間後、その後7日まで1日毎に分析した。各時点において、放出媒体の全体積を新たな媒体で置き換えた。エタノール放出試験のために、薬物アームを試験の最初の1時間にわたりFaSSGF中40%のエタノール中でインキュベートした。1時間後、放出媒体を分析のためにサンプリングし、エタノール放出媒体を7日間の試験の残りの部分のためにFaSSGFで置き換えた。
エタノールに対するコーティング安定性
薬物アームを上記のように調製し、薬物アームは、20%w/wのメマンチン塩酸塩、0.5%のシリカ、0.5%のアルファトコフェロール、25%のオイドラギットRS、5%のP407、及び残部の80k PCLを含有した。アームを、図3Aに記載のコーティング溶液を使用してディップコーティングすることによりコーティングした。コーティングされた薬物アームからのメマンチン放出をFaSSGF中において7日間と、FaSSGF中40%のエタノール中において1時間の後にFaSSGF中において7日の残りの期間とにわたり評価した。40%のエタノール中での1時間の間、薬物含有量を15分間隔で分析した。結果を図3B〜3Eに示す。
各場合において、放出は最初の1時間の間のエタノールへの曝露で加速された。エタノール中での用量減弱に抵抗する能力に関してコーティング間で明確な差異が観察された。オイドラギットRSのようなエタノール可溶性コーティングは用量減弱に対して最も感受性であり、6時間内に薬物放出の5倍より大きい増加があった(図3B)。PCLのようなエタノール中で不溶性のコーティングは、エタノールへの曝露での薬物放出の最小の変化を実証した(図3C)。エチルセルロース(図3D)及び酢酸セルロース(図3E)コーティングは中間のエタノール安定性を示した。エタノールからFaSSGFへの切換え後、放出プロファイルの残りの部分は、一般に、エタノール曝露なしでFaSSGF中で観察された放出プロファイルに類似していた。
実施例2B:パンコーティングされたポリカプロラクトン
パンコーティング
この実験は、7日にわたる線形放出を有する剤形を作製するために、医薬パンコーティングプロセスを使用してM57(20%w/wのメマンチン、62%w/wの80k PCL、12%w/wのオイドラギットRL、5%w/wのコリフォールP407、0.5%w/wのシリカ、0.5%w/wのα−トコフェロール)薬物担持アーム上のエチルセルロース(EC)コーティングを調べるために行った。
9:1のEC:可塑剤クエン酸トリエチル(TEC)比及び2.3〜10%w/vの固体濃度でTECを用いて100%のアセトン中及び80:20のアセトン:イソプロピルアルコール中の両方でECの溶液を調製した。次に、溶液をVector LDCS医薬パンコーターを使用して薬物担持アームに塗布した。コーティング溶液を、小量の薬物担持アームを加えたプラセボアームの予め秤量した土台に塗布した。パン速度を20RPMに設定し、製造物温度はおおよそ35〜40℃であった。コーティング後、アームをおおよそ5分間乾燥させて、あらゆる残留アセトンを除去した。コーティングされたプラセボ及び薬物担持アームのバッチ全体を秤量して、塗布されたコーティングの質量増加パーセントを決定した。コーティングは、おおよそ2〜7%w/wの質量増加パーセントまで塗布された。
結果として生じた薬物担持アームは全て、コーティングが充分に接着されていなかった。コーティングされたプラセボ及び活性アームは視覚的欠陥を有しており、コーティングは明らかに薬物アームマトリックスと接触していなかった。コーティングは、薬物アームの表面を引っ掻くことにより容易に除去することができた。コーティングの接着力の欠如は、コーティング層と表面との充分な統合を可能としない滑らかな表面を薬物アームが有することに起因するようであった。
実施例3:PCLを用いるディップコーティングのための溶媒選択
この実施例は、PCLフィルムのディップコーティングのために有用な溶媒の研究を実証する。
ディップコーティングは、浸漬された材料上に連続的なポリマーフィルムを残すために充分な濃度で揮発性溶媒中にコーティングポリマーを溶解することを必要とする。コーティングの厚さ、次いで薬物放出速度は、溶液濃度及び/又は粘度を変更することによりモジュレ―トすることができる。80k PCLコーティングについて、薬物放出に対してある程度の制御を提供するポリマー層を堆積させるために、約3%wt/volの最小溶液濃度が必要であった。ロバストなコーティング性能のために、5〜10%wt/volの濃度が好ましい。これは、コーティング溶媒中のPCLの高い溶解度を必要とし、コーティングを塗布するために使用することができる可能な溶媒系を制限する。図4は、PCLフィルムのディップコーティングのために使用される溶媒を要約する。ジクロロメタン及び酢酸エチルの両方は、高濃度においてPCLを溶解させること及び良好な性能を有する均一なコーティングを形成することができた。処理中の作業者の安全のために、ジクロロメタンよりも酢酸エチルを好ましい溶媒として選択した。ポロゲンを組み込んだコーティングについて、適切な溶媒選択基準は、充分な濃度のポロゲンの溶解を含む。必要な場合、酢酸エチル/イソプロパノールのような共溶媒系が、PCLコーティング溶液へのポロゲンの添加を可能とする。
実施例4:ポロゲンを含むコーティングは線形かつ完全な放出を達成する
5%w/vのPCLコーティング溶液を用いて薬物アームマトリックスをコーティングすることにより、コーティングしていない薬物配合物からのバースト放出を制御することができたが、それはまた、7日以内に放出される総薬物を約90%(コーティングなし)から約60%の累積放出量に低減させた。この実験では、線形放出プロファイルの速度を上昇させかつ7日以内に放出される累積薬物を増加させることについての5%w/vのPCLコーティングへのポロゲンの添加の効果を試験した。溶解試験を絶食状態SGF媒体中で7日間行った。
コーティング処理は、薬物担持M77配合物(アーム)をコーティング溶液中に浸漬することにより行った。80k PCLのコーティング溶液を、90:10のPCL対ポロゲン(コリドンVA64、コリフォールRH40及びPVP)を用いて5%w/vにて酢酸エチル中で調製した。PVPの場合、8:2の酢酸エチル対イソプロピルアルコール(IPA)の共溶媒系を使用した。実施例2Aに記載のインビトロ放出(溶解)アッセイを行って、様々なポロゲンを使用してコーティング溶液へのポロゲンの添加の効果を試験した。
外部コーティング層へのポロゲンの添加は、非コーティング配合物の累積の7日間の放出と同様に、バースト放出を制御しながら、累積の7日間の放出を>80%まで増加させる。この試験からの溶解結果は、ポロゲンを含む制御放出コーティングが、高い7日間の累積薬物放出を達成しながら、バースト放出の制御及び放出の線形性の向上を可能とすることを示した(図5)。
実施例5:ポロゲンの組込みはPCLベースのコーティングの放出動態の再現性を向上させる
2回の別々の実験(実験1及び実験2)で実施例2に記載したように薬物担持配合物(アーム)をコーティング溶液中に浸漬することにより、コーティング処理を行った。各実験用に2つのコーティング溶液を調製した:酢酸エチル中の5%w/vの80k PCLのみ、そしてポロゲン(コリドンVA64)溶液を含む80k PCLを、90:10のPCL対ポロゲンを用いて5%w/vで酢酸エチル中にて調製した。実験1及び2の両方について、実施例2のインビトロ放出方法に記載したように剤形をFaSSGF中で7日間インキュベートすることにより溶解アッセイを行った。
この試験からの溶解結果(図6)は、80k PCLコーティング溶液へのポロゲンの添加は、実験1及び実験2の薬物放出プロファイルのバッチ間再現性を向上させるために役立つことを示した。PCLのみのコーティング溶液は、実験1及び実験2の放出プロファイルのばらつきに繋がる(図6)。
実施例6:放出速度はポロゲンの比率を変更することにより調整することができる
この実験は、ディップコーティング後の剤形の放出速度の調整に対する、80k PCL及びポロゲンコーティングの組成の変更の効果を試験するために行った。80k PCL及びポロゲンのコーティング溶液は、90:10及び70:30のPCL対ポロゲンの2つの異なる比において実施例3及び4に記載したように適切な溶媒を用いて5%w/vで調製した。薬物アームをディップコーティングし、実施例2に記載したように溶解試験を7日間行った。
この試験からの溶解結果(図7)は、試験した様々なポロゲン(コリドンVA64、コリフォールRH40及びPVP)について、70:30のPCL:ポロゲン比でコーティングされた薬物アームが、90:10のPCL:ポロゲン比でコーティングされたアームより速い放出プロファイルを有することを示した。コーティング溶液中のポロゲンの量の増加は、様々なポロゲンをPCLコーティング溶液に添加した場合に、コーティングされた配合物からの薬物放出速度を増加させる(図7)。ポロゲンのレベルの変更は、コーティングされた剤形の放出速度の調整を可能とする(図7)。
実施例7:放出の線形性はコーティングにおいて使用されるポロゲンの種類に依存する
この実験は、PCLコーティング中のポロゲンポリ(エチレングリコール)(PEG6000)のレベルが投与単位の放出速度にどのように影響するかを調べるために行った。PCLとPEG6000との比の変更と共に一定量の可塑剤を使用してコーティング溶液を調製した。
70:30、80:20及び90:10の比のPCL対PEG6000及び30%のクエン酸トリエチルを用いて、加工助剤として2%のステアリン酸マグネシウムを用いて材料をコーティングすることにより、酢酸エチル中3.3%w/vでPCL、PEG6000及びTECの溶液を調製した。次に、溶液をVector LDCS医薬パンコーターを使用してM57(20%w/wのメマンチン、62%w/wの80k PCL、12%w/wのオイドラギットRL、5%w/wのコリフォールP407、0.5%w/wのシリカ、0.5%w/wのα−トコフェロール)薬物担持アームに塗布した。コーティング溶液を、小量(おおよそ80アーム)の薬物担持アームを加えたプラセボアーム(おおよそ500g)の予め秤量した土台に塗布した。パン速度を20〜22RPMに設定し、製造物温度はおおよそ40℃であった。コーティング後、アームをおおよそ5分間乾燥させて、あらゆる残留酢酸エチルを除去した。コーティングされたプラセボ及び薬物担持アームのバッチ全体を秤量して、塗布されたコーティングの質量増加パーセントを決定した。薬物アームは、おおよそ2.5%w/wの質量増加までコーティングされた。
この試験からの溶解結果は、コーティングへのPEG6000の組込みは、線形放出プロファイルを結果としてもたらさず、実験1及び2(両方とも80:20のPCL:PEG6000と30%のTECでコーティングされ、おおよそ2.5%の質量増加があった)に示されたようなバッチ間で一貫した結果を生成しないことを示した(図8)。コーティング中にPCLとPEG6000との相分離が観察され、これが制御放出の欠如の原因の可能性がある。
実施例8:コーティング中の可塑剤濃度を使用して放出速度を調整することができる(パンコーティング)
この実験は、PCLコーティング中の可塑剤TECのレベルが、医薬パンコーター中でのコーティング後の投与単位の放出速度にどのように影響するかを調べるために行った。様々なレベルの可塑剤TECと共に固定比のPCLとポロゲンコポビドンを使用して、コーティング溶液を調製した。
80:20の比のPCL対コポビドンを用いて、酢酸エチル中3.3%w/vでPCL及びコポビドンの溶液を調製した。クエン酸トリエチルをこの溶液に10又は30%wTEC/wポリマーのレベルで加えた。ステアリン酸マグネシウム(2%w/wのポリマー)を加工助剤として加えた。次に、溶液をVector LDCS医薬パンコーターを使用してM77(27.5%w/wのメマンチン、66.5%w/wの80k PCL、5%w/wのコリフォールP407、0.5%w/wのシリカ、0.5%w/wのα−トコフェロール)薬物担持アームに塗布した。コーティング溶液を、小量(おおよそ80アーム)の薬物担持アームを加えたプラセボアーム(おおよそ450g)の予め秤量した土台に塗布した。パン速度を20〜22RPMに設定し、製造物温度はおおよそ40℃であった。コーティング後、アームをおおよそ5分間乾燥させて、あらゆる残留酢酸エチルを除去した。コーティングされたプラセボ及び薬物担持アームのバッチ全体を秤量して、塗布されたコーティングの質量増加パーセントを決定した。薬物アームをおおよそ1.5%及び2.5%w/wの質量増加までコーティングした。
これらのアームについての溶解結果は、コーティング溶液中のTECの量を調整することにより放出速度を調整できることを示す(図9A及び図9B)。TEC対PCLの比の増加は、PCL対コポビドンの比及びコーティング質量増加%が一定に保持された時により速い溶解を結果としてもたらす。
実施例9:ポロゲンの比を変更することにより放出速度を調整することができる(パンコーティング)
この実験は、PCLコーティング中のポロゲンコポビドンのレベルが、医薬パンコーティング後の投与単位の放出速度にどのように影響するかを調べるために行った。PCL対コポビドンの比の変更と共に一定量の可塑剤を使用してコーティング溶液を調製した。
80:20のPCL対コポビドンの比を用いて酢酸エチル中3.3%w/vでPCL及びコポビドンの溶液を調製した。クエン酸トリエチルを溶液に10又は30%wTEC/wポリマーのレベルで加えた。ステアリン酸マグネシウムの2%w/wのポリマーを加工助剤として加えた。次に、溶液をVector LDCS医薬パンコーターを使用して薬物担持アームに塗布した。コーティング溶液を、小量(おおよそ80アーム)のM77(27.5%w/wのメマンチン、66.5%w/wの80k PCL、5%w/wのコリフォールP407、0.5%w/wのシリカ、0.5%w/wのα−トコフェロール)薬物担持アームを加えたプラセボアーム(おおよそ500g)の予め秤量した土台に塗布した。パン速度を20〜22RPMに設定し、製造物温度はおおよそ40℃であった。コーティング後、アームをおおよそ5分間乾燥させて、あらゆる残留酢酸エチルを除去した。コーティングされたプラセボ及び薬物担持アームのバッチ全体を秤量して、塗布されたコーティングの質量増加パーセントを決定した。薬物アームをおおよそ2.5%w/wの質量増加までコーティングした。
これらのアームについての溶解結果は、コーティング溶液中のPCL:コポビドンの比を調整することにより放出速度を調整できることを示す(図10A及び図10B)。PCL:コポビドンの比の増加は、TECの量及びコーティング質量増加%が一定に保持された時により遅い溶解を結果としてもたらす。
実施例10:パンコーティングにより塗布されたコーティングは最小のコーティング質量で放出速度を制御することができる
この実験は、PCLパンコーティングされた薬物担持アームの低コーティング重量(約6〜12μmのコーティング厚さの範囲を与える<2.5%w/wの質量増加)が放出速度を制御し、7日間の線形放出を与えることができるかどうかを調べるために行った。
80:20のPCL対コポビドンの比を用いて酢酸エチル中3.3%w/vでPCL及びコポビドンの溶液を調製した。クエン酸トリエチルを溶液に10又は30%wTEC/wポリマーのレベルで加えた。ステアリン酸マグネシウムの2%w/wのポリマーを加工助剤として加えた。次に、溶液をVector LDCS医薬パンコーターを使用して薬物担持アームに塗布した。コーティング溶液を、小量(おおよそ80アーム;おおよそ10g)のM77(27.5%w/wのメマンチン、66.5%w/wの80k PCL、5%w/wのコリフォールP407、0.5%w/wのシリカ、0.5%w/wのα−トコフェロール)薬物担持アームを加えたプラセボアーム(おおよそ500g)の予め秤量した土台に塗布した。パン速度を20〜22RPMに設定し、製造物温度はおおよそ40℃であった。コーティング後、アームをおおよそ5分間乾燥させて、あらゆる残留酢酸エチルを除去した。コーティングされたプラセボ及び薬物担持アームのバッチ全体を秤量して、塗布されたコーティングの質量増加パーセントを決定した。薬物アームをおおよそ1.5%w/wの質量増加までコーティングした。これらのアームについての溶解データは、2.5%未満かつ1.5%程度の低いコーティング質量増加パーセントで放出速度を制御できることを示す(図11)。
実施例11:ウルスターコーター中での薬物ポリマーアームのコーティング
薬物ポリマーアームはまた、ウルスターコーティング処理を使用して流動床中でコーティングすることができる。この処理では、薬物ポリマーアームは、ウルスターカラムを循環させながら、加熱空気で流動化され、コーティング溶液、例えば酢酸エチル中の5%w/wのPCLでコーティングされる。溶解したコーティング溶液は、それらがウルスターカラムに入りカラムの下に位置する噴霧ゾーンを通過する時に、薬物ポリマーアームに塗布される。アームがカラムを通って移動し、ポリマー薬物アームの土台に戻って循環するにつれて、溶媒蒸発が起こる。このプロセスは、適切な量のコーティングが薬物ポリマーアームに塗布されるまで続けられる。次に、コーティング噴霧を止めて、熱及び空気を流して残存している溶媒を追い出すことによりアームが乾燥される。
実施例12:コーティングされた薬物アームは、アルコール負荷の非存在下でコーティングされていない剤形よりも一貫したメマンチンHClの薬物血清レベルに繋がる
体重9.3〜11.1kgの8匹の雄ビーグル犬(n=4/群)をこの試験において使用した。用量投与の前にイヌを12時間絶食させた。剤形は、アセトン中6.67%のエチルセルロースw/vの溶液でディップコーティングされたか又はコーティングされていないM57(20%w/wのメマンチン、62%w/wの80k PCL、12%w/wのオイドラギットRL、5%w/wのコリフォールP407、0.5%w/wのシリカ、0.5%w/wのα−トコフェロール)薬物アームに熱溶着された90Aデュロメーターのポリウレタンエラストマーからなるものであった。メマンチンは、7日にわたり推定約22mg/日の潜在的放出のために、約155mg/剤形の総担持で薬物ポリマーアームに組み込んだ。(実施例12〜14における動物実験用の配合物を表2に列記する)。
コーティング及び非コーティング剤形を投与直前にカプセルに入れた。カプセルをイヌの喉の奧に入れ、嚥下後、イヌの缶詰食品のフードチェイスを行った。投与前、並びに投与後2、4、6、24、48、72、96、120、144及び168時間に、左又は右頸静脈から血液試料(2mL)を回収した。血液試料をK3EDTAチューブに回収し、5,000rpmで5分間の遠心分離により血漿を回収した。たんぱく質沈殿法及びその後のLC−MS/MSによる定量を使用して、血漿試料をメマンチン含有量について分析した(図12)。
実施例13:基礎となる配合物の変動にかかわらず、PCLコーティングは一定に近い血漿薬物濃度を結果としてもたらす:6匹のイヌの試験
体重9.1〜10.8kgの6匹の雄ビーグル犬をこの試験において使用した。用量投与の前にイヌを12時間絶食させた。剤形は、酢酸エチル中5%のPCL w/vの溶液を用いてディップコーティングされたM69(27.5%w/wのメマンチン、56.5%w/wの80k PCL、12%w/wのオイドラギットRL、3%w/wのコリフォールP407、0.5%w/wのシリカ、0.5%w/wのα−トコフェロール)薬物アームに熱溶着された90Aデュロメーターのポリウレタンエラストマーからなるものであった。メマンチンは、7日にわたり推定約26mg/日の潜在的放出のために、約183mg/剤形の総担持で薬物ポリマーアームに組み込んだ。(メマンチン配合物について上記の表2を参照)。コーティング及び非コーティング剤形を投与直前にカプセルに入れた。
カプセルをイヌの喉の奧に入れ、嚥下後、イヌの缶詰食品のフードチェイスを行った。投与前、並びに投与後2、4、6、24、48、72、96、120、144及び168時間に、左又は右頸静脈から血液試料(2mL)を回収した。血液試料をK3EDTAチューブに回収し、5,000rpmで5分間の遠心分離により血漿を回収した。たんぱく質沈殿法及びその後のLC−MS/MSによる定量を使用して、血漿試料をメマンチン含有量について分析した。試験の結果を図13に示す。
実施例14:基礎となる配合物の変動にかかわらず、PCLコーティングは一定に近い血漿薬物濃度を結果としてもたらす:16匹のイヌの試験
体重8.2〜10.1kgの16匹の雄ビーグル犬をこの試験において使用した。用量投与の前にイヌを12時間絶食させた後、3つの異なる給餌レジメンの1つに供した:(用量投与前1時間の食餌、用量投与1時間後の食餌、及び用量投与4時間後の食餌)。剤形は、酢酸エチル中4.5%のPCL/0.5%のコリドンVA64(w/v)の溶液を用いてコーティングされた50/50のPCL/HPMAS分解性マトリックス及びM77(27.5%w/wのメマンチン、66.5%w/wの80k PCL、5%w/wのコリフォールP407、0.5%w/wのシリカ、0.5%w/wのα−トコフェロール)薬物アームに溶着された60AデュロメーターのLSRエラストマーIRからなるものであった。メマンチンは、7日にわたり推定約21mg/日の潜在的放出のために、約145mg/剤形の総担持で薬物ポリマーアームに組み込んだ(メマンチン配合物について上記の表2を参照)。コーティング及び非コーティング剤形を投与直前にカプセルに入れた。
カプセルをイヌの喉の奧に入れ、嚥下後、イヌの缶詰食品のフードチェイスを行った。投与前、並びに投与後2、4、6、8、24、48、72、96、120、144、168、192及び240時間に、左又は右頸静脈から血液試料(2mL)を回収した。血液試料をK3EDTAチューブに回収し、5,000rpmで5分間の遠心分離により血漿を回収した。たんぱく質沈殿法及びその後のLC−MS/MSによる定量を使用して、血漿試料をメマンチン含有量について分析した。結果を図14に示す。
比較のために、同じ動物に28mgのメマンチンを含有するナメンダXRを投与し、類似の方式で血漿試料を回収し、分析した。個々の動物についての薬物動態パラメーターを図16に示す。剤形及びナメンダXRの平均Cmax値はそれぞれ46.1±15.2及び64.9±20.7ng/mLであり、剤形及びナメンダXRの平均AUC値はそれぞれ7438±1590及び1,113±382時間*ng/mLであった。摂食/絶食条件の範囲にかかわらず、コーティングされた剤形で観察されたCmax及びAUCのばらつきは、ナメンダXRと同等又はそれ未満であった。剤形のCmax及びAUCの相対標準偏差(RSD)はそれぞれ33%及び21%であり、ナメンダXRについての対応するRSDは32%及び34%であった。加えて、剤形投与後に観察されたCmaxは、より低用量のナメンダXRの後に観察された値より低かった。剤形投与後に観察されたAUCは、ナメンダXRのAUCよりおおよそ7倍高く、メマンチンのバイオアベイラビリティは両方の配合物について類似していたことを指し示す。
実施例15:薬物−ポリマーマトリックスのコーティングは薬物放出の線形性を増加させる
メマンチン塩酸塩の約50個の配合物について放出量に対する線形性を評価し、該配合物では、薬物−ポリマーマトリックスを、非コーティング配合物と比較して、本発明にしたがってコーティングした(実施例1)。7日にわたる総放出量(表3のX値)を(7日目の放出/1日目の放出)の比(表3のY値)に対して図15にプロットしている。プロットの右上隅により近い配合物(良好な総放出量及び放出の良好な線形性が起こる)が好ましい。図15から分かるように、7日目の薬物放出は、1日目の放出の最大100%であった。1日目の放出に対する7日目の放出の比により測定される放出の線形性は、多くの配合物について30%より大きく、7日目に完全に近い累積放出量を示した多くの配合物を含んでいた。本発明のシステムでは、ほぼ線形の放出を維持しながら(7日目の放出/1日目の放出>0.3)、7日間の治療時間で完全な放出を達成することが可能である。コーティング配合物は表3に列記される通りであった。
実施例16:メマンチン高薬物担持
この実験は、高薬物担持メマンチン配合物の押出しを調べるために行った。メマンチン配合物を35、40、45及び55%w/wのAPI(それぞれM103、M104、M105及びM106と命名)で押出した。全ての押出しは500gスケールで行った。表4の配合物を配合し、Leistritz 18インチホットメルト押出機を用いて使用して異形押出しをした。各配合物をバッグブレンドして均質な混合物を作製した。ブレンドした粉末を押出機ホッパーに供給し、0.5kg/時の供給速度を使用して配合した。押出物を冷却し、インラインカッターを使用してペレット化して、異形押出しに適切なサイズ(約0.6〜2.0mm)のペレットを作製した。
次に、ペレットをツインスクリュー押出機に供給し、特注の三角ダイを使用して0.4〜0.5kg/時の供給速度で異形押出しをした。異形押出しをした薬物アームの試料を最初の10分間2分毎に採取し、プロセスの開始、中間、及び終了時に1つの追加の試料を採取した。M105及びM106の試料についてメマンチン含有量分析を行った。結果は、85〜115%のアッセイを有する全ての試料で合理的な均一性を示す(図17を参照)。試料を流して絶食模擬胃液(FaSSGF)に溶解させた。全ての試料は、3〜4日間にわたり完全な放出を示した(図18を参照)。
実施例17:放出速度を制御するための高薬物担持メマンチンのコーティング
この実験は、ポリカプロラクトン、ポロゲンコポビドン及び可塑剤クエン酸トリエチル(TEC)を含有するコーティングが、LCDSパンコーター中で塗布された時に、M103、M104、及びM105の放出速度をどのように制御できるかを調べるために行った。
PCL、コポビドン及びクエン酸トリエチルの2つの溶液を、酢酸エチル中3.3%w/vで調製した。第1のコーティング溶液(C1)は、95:5の比のPCL対コポビドン及び10%のTECのコーティング材料を、加工助剤としての2%のステアリン酸マグネシウムと共に含有していた。第2の溶液(C2)は、80:20の比のPCL対コポビドン及び15%のTECのコーティング材料を、加工助剤としての2%のステアリン酸マグネシウムと共に含有していた。次に、溶液をVector LDCS医薬パンコーターを使用して薬物担持アームに塗布した。コーティング溶液を、おおよそ5gのM105薬物担持アームを加えたおおよそ480gのプラセボアームに塗布した。パン速度を20〜22RPMに設定し、製造物温度はおおよそ40℃であった。コーティング後、アームをおおよそ5分間乾燥させて、あらゆる残留酢酸エチルを除去した。コーティングされたプラセボ及び薬物担持アームのバッチ全体を秤量して、塗布されたコーティングの質量増加パーセントを決定した。薬物アームをおおよそ2.5%及び5.0%w/wの質量増加までコーティングした。
プロセスをM103及びM104について繰り返した。コーティング溶液C1及びC2を再び調製し、おおよそ10gのM103及び10gのM104薬物担持アームを加えたおおよそ465gのプラセボアームを含有するコーティングパンに適用した。処理条件は前の段落と同じであった。
全てのコーティングされた材料をFaSSGFへの溶解のために流した。結果は、C1コーティング溶液中のより少量のポロゲン及び可塑剤が、C2配合物でコーティングされた薬物アームと比較した時に類似のコーティング重量で比較的遅い溶解を結果としてもたらすことを示した。図19は、C1コーティング、C2コーティング、及びコーティングなしの配合物M103の溶解のグラフを示す。図20は、C1コーティング、C2コーティング、及びコーティングなしの配合物M104の溶解のグラフを示す。図21は、C1コーティング、C2コーティング、及びコーティングなしの配合物M105の溶解のグラフを示す。両方のコーティング配合物について、コーティング重量の増加はより遅い溶解を引き起こす。これらの溶解実験は、わずか1.5%のコーティング重量を用いて、試験した全ての高薬物担持メマンチン配合物からの放出速度を制御できることを示す。コーティングされた配合物は、対応する非コーティング配合物より高い線形性を示す。例えば、C1コーティングを有する配合物M104は、1.5%、2.5%、5.1%のコーティング重量についてそれぞれ0.89、0.84、0.73の相関係数(R2)値を示し、C2コーティングを有するM104は、1.5%、2.5%、5.2%のコーティング重量についてそれぞれ0.98、0.98、0.96の相関係数(R2)値を示すが、コーティングされていないM104配合物は0.58の相関係数(R2)値を示す。
実施例18:放出量を増加させるための高薬物担持配合物のコーティング
この実験は、ポリカプロラクトンコーティングを使用して実施例17からのAPI放出量を増加させるために行い、LCDSパンコーターで塗布した時のM104及びM107の放出速度を制御するために、ポロゲン及び可塑剤クエン酸トリエチル(TEC)の量を増加させた。
PCL、コポビドン及びクエン酸トリエチルの6つの追加の溶液を酢酸エチル中3.3%w/vで調製した。第1のコーティング溶液(C3)は、70:30の比のPCL対コポビドン及び30%のTECのコーティング材料を、加工助剤としての2%のステアリン酸マグネシウムと共に含有していた。第2の溶液(C4)は、80:20の比のPCL対コポビドン及び30%のTECのコーティング材料を、加工助剤としての2%のステアリン酸マグネシウムと共に含有していた。第3の溶液(C5)は、70:30の比のPCL対コポビドン及び20%のTECのコーティング材料を、加工助剤としての2%のステアリン酸マグネシウムと共に含有していた。第4の溶液(C6)は、80:20の比のPCL対コポビドン及び20%のTECのコーティング材料を、加工助剤としての2%のステアリン酸マグネシウムと共に含有していた。第5の溶液(C7)は、75:25の比のPCL対コポビドン及び15%のTECのコーティング材料を、加工助剤としての2%のステアリン酸マグネシウムと共に含有していた。第6の溶液(C8)は、80:20の比のPCL対コポビドン及び10%のTECのコーティング材料を、加工助剤としての2%のステアリン酸マグネシウムと共に含有していた。コーティング配合物を表5に要約する。次に、溶液をVector LDCS医薬パンコーターを使用して薬物担持アームに塗布した。コーティング溶液を、おおよそ5gのM105薬物担持アームを加えたおおよそ480gのプラセボアームに塗布した。パン速度を20〜22RPMに設定し、製造物温度はおおよそ40℃であった。コーティング後、アームをおおよそ5分間乾燥させて、あらゆる残留酢酸エチルを除去した。コーティングされたプラセボ及び薬物担持アームのバッチ全体を秤量して、塗布されたコーティングの質量増加パーセントを決定した。薬物アームをおおよそ1.25%及び2.5%w/wの質量増加までコーティングした。全ての実験についてM104及びM107を同じバッチでコーティングした。
全てのコーティングされた材料をFaSSGFへの溶解のために流した。結果は、C3、C4、C5及びC7コーティング溶液中の増加した量のポロゲン及び可塑剤が、試験したコーティング重量で、非コーティングアームと比較して本質的に薬物放出の制御をもたらさないことを示した。しかしながら、コーティングC6及びC8は、全てのコーティング重量で両方の薬物アーム配合物について7日間にわたり持続放出を示す。20%以下のコポビドン及び20%以下のクエン酸トリエチルを含むコーティングのみが、非コーティング薬物アームと比較して制御放出を示す。図22は、C3コーティング、C4コーティング、及びコーティングなしの配合物M104の溶解のグラフを示す。図23は、C5コーティング、C6コーティング、C7コーティング、及びコーティングなしの配合物M104の溶解のグラフを示す。図24は、C3コーティング、C4コーティング、C5コーティング、及びコーティングなしの配合物M107の溶解のグラフを示す。図25は、C6コーティング、C7コーティング、C8コーティング、及びコーティングなしの配合物M107の溶解のグラフを示す。
実施例19:PCLを用いたドネペジル高薬物担持配合物のパンコーティング
この実験は、ポリカプロラクトン(PCL)コーティングが医薬パンコーター中でのコーティング後の投与単位からのドネペジルの放出速度にどのように影響するかを実証するために行った。PCL、コポビドン及びクエン酸トリエチル(TEC)の溶液は、70:17:13の比のPCL対コポビドン対TECを用いて酢酸エチル中3.3%w/vで調製した。Vector LDCS医薬パンコーターを使用して40%のドネペジルHCl(w/w)を含有する薬物担持アームに溶液を塗布した。コーティング溶液を、小量(おおよそ80アーム)の薬物担持アームを加えたプラセボアーム(おおよそ450g)の予め秤量した土台に塗布した。パン速度を20〜22RPMに設定し、製造物温度はおおよそ40℃であった。コーティング後、アームをおおよそ5分間乾燥させて、あらゆる残留酢酸エチルを除去した。コーティングされたプラセボ及び薬物担持アームのバッチ全体を秤量して、塗布されたコーティングの質量増加パーセントを決定した。薬物アームをおおよそ2.5%及び5%w/wの質量増加までコーティングした。
コーティングあり又はなしで50mgの配合されたマトリックスの3連の試料を、10mlのFaSSGFを含有する15mlのコニカルチューブに入れた。チューブを37℃、200rpmのインキュベーターシェーカーに入れた。おおよそ0.25、1、2、3、4、5、6及び7日目に1mlのアリコートを回収した。各サンプリング時に、残留した媒体を廃棄し、10mlの新たなFaSSGFで置き換えた。試料アリコートをHPLCで直接的に分析した。結果を図26に示し、結果は、コーティングがアームからの薬物の放出の線形性を向上させることを実証する。
実施例20:ディップコーティングはドキシサイクリン高薬物担持配合物の放出速度制御を提供する
薬物アーム配合物の調製:最初に加熱スクリュー上に土台を形成するためのPCLを加えた後、粉末化した活性医薬成分を賦形剤と共に、次いで必要とされるPCLの残部と共に加えることにより、Haake MiniCTW micro−compounderにおいてドキシサイクリンヒクラートをPCL及び他の賦形剤とブレンドした。バッチ混合は100℃、75rpmで10分間行い、試料を20〜30rpmで2mmのシリンダーに押し出し、圧縮成形して18mm又は20mmの長い三角形横断面形態を得、それを室温で冷却及び硬化させた。使用したアーム配合物を表6に列記する。
ディップコーティング:賦形剤を20mLのシンチレーションバイアル中に秤量し、磁気撹拌棒を加え、溶媒を加え、蓋をし、ボルテックスすることによりコーティング溶液を調製し、透明な均質な溶液が達成されるまでそれを25℃(EC)又は40℃(PCL)で終夜撹拌した。コーティング溶液の組成を表7に列記し、溶媒中の溶液状のコーティング材料(例えば、80k PCL)のパーセンテージを指し示している(例えば、酢酸エチル)。薬物アームを鉗子で掴み、コーティング溶液中に完全に浸漬させ、直ちに取り出した。コーティングされたアームをドラフトチャンバー中で終夜乾燥させた。
インビトロ放出:各配合物を7日間の絶食状態模擬胃液(FaSSGF)中での放出について評価した。コーティングあり又はなしのおおよそ50mgの配合されたマトリックスを切断し、10mlのFaSSGFを含有する15mlのコニカルチューブに入れた。チューブを37℃、200rpmのインキュベーターシェーカーに入れた。おおよそ0.25、1、2、3、4、5、6及び7日目に1mlのアリコートを回収した。各サンプリング時に、残留した媒体を廃棄し、10mlの新たなFaSSGFで置き換えた。試料アリコートをHPLCで直接的に分析した。
図27は、80k PCLコーティングを有するDX21ドキシサイクリンヒクラートホットメルト押出し(HME)配合物からの放出曲線を示す。図28は、エチルセルロースコーティングを有するDX21ドキシサイクリンヒクラートHME配合物からの放出曲線を示す。図29は、80k PCLコーティングを有するDX23ドキシサイクリンヒクラートHME配合物からの放出曲線を示す。図30は、エチルセルロースコーティングを有するDX23ドキシサイクリンヒクラートHME配合物からの放出曲線を示す。
結果は、適切な放出速度調節フィルムの使用によりドキシサイクリンの放出をモジュレ―ト及び制御することができ、例えば、図27に示すように、酢酸エチル中の15%のPCL及び18%のPCL溶液へのディップコーティングにより高度に線の放出速度が7日にわたり達成されたことを示す。
実施例21:PCLを用いたリスペリドン高薬物担持配合物のパンコーティングに起因する放出に対するpH効果の低減
この実験は、ポリカプロラクトン(PCL)コーティングが医薬パンコーター中でのコーティング後の投与単位からのリスペリドンの放出速度に対する媒体pHの効果の低減に影響するかどうかを評価するために行った。リスペリドンは、胃のpH範囲のより低い酸性端(例えば、pH4.8)よりも胃のpH範囲のより酸性端(例えば、pH1.5)において溶解度が有意に高く、より低いpHにおいてより速い溶解速度を結果としてもたらす薬物の例である。PCLベースのコーティングにより付与される放出速度制御は、経時的に異なるpHにおいて放出される薬物のパーセント間の比を低減させることが示される。
PCL、コポビドン及びクエン酸トリエチル(TEC)の溶液は、68:22:10の比のPCL対コポビドン対TECを用いて酢酸エチル中3.3%w/vで調製した。溶液を、Vector LDCS医薬パンコーターを使用して40%のリスペリドン(w/w)を含有するリスペリドン担持アームの2つの異なる配合物に塗布した。配合物1は、40%のリスペリドン、10%のソルプラス、5%のコリドンCL、5%のP407、0.5%のα−トコフェロールコハク酸塩、0.5%のシリカM5P、及び39%の凍結粉砕したPurac PC17ポリカプロラクトンからなるものであった。配合物2は、40%のリスペリドン、5%のリン酸二カルシウム、5%のP407、0.5%のα−トコフェロールコハク酸塩、0.5%のシリカM5P、及び49%の凍結粉砕したPurac PC17ポリカプロラクトンからなるものであった。コーティング溶液を、小量(おおよそ40アーム)の薬物担持アームを加えたプラセボアーム(おおよそ450g)の予め秤量した土台に塗布した。パン速度を20〜22RPMに設定し、製造物温度はおおよそ40℃であった。コーティング後、アームをおおよそ5分間乾燥させて、あらゆる残留酢酸エチルを除去した。コーティングされたプラセボ及び薬物担持アームのバッチ全体を秤量して、塗布されたコーティングの質量増加パーセントを決定した。薬物アームをおおよそ4.5%w/wの質量増加までコーティングした。
コーティングあり又はなしの約50mgの配合されたマトリックスの試料を、10mlのFaSSGF(pH1.5)又は酢酸アンモニウム(pH4.8)を含有する20mlのガラスバイアルに入れた。チューブを37℃、200rpmのインキュベーターシェーカーに入れた。おおよそ6及び24時間の時点で1mlのアリコートを回収した。各サンプリング時に、残留した媒体を廃棄し、10mlの新たなFaSSGF又は新たな酢酸アンモニウム緩衝液(pH4.8)で置き換えた。試料アリコートをHPLCで直接的に分析した。放出速度調節コーティングの存在は、6時間の時点で測定される放出速度に対するpHの効果をおおよそ半分にし、24時間の時点で測定される放出に対するpHの効果を約1/3低減させた。結果を表8に示し、結果は、コーティングは媒体pHに対する速度の相対的依存性の差異を低減させることを実証する。
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以上の発明は、理解を明確にする目的で説明及び実施例によりある程度詳細に記載されてきたが、ある特定の変更及び修飾が実施されることは当業者に明らかである。したがって、本明細書の説明及び実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。