JP2020520446A - フェーズドナノポアアレイ - Google Patents

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Abstract

本明細書で説明される技術は、異なる位相を有するAC信号をナノポアセンサチップ内のナノポアセルの異なるグループに印加することができる。ナノポアセルの第1のグループが、暗期間にあり、有用なデータを取得するために、アナログデジタル変換器(ADC)によってサンプリングされない、または最小限にサンプリングされる場合、ナノポアセルの第2のグループは、明期間にあり、この期間の間、ナノポアセルの第2のグループからの出力信号は、アナログデジタル変換器によってサンプリングされる。ADCの参照レベル設定は、ADCのダイナミックレンジを十分に生かすために、印加されたAC信号に基づいて動的に変更される。【選択図】図8

Description

[0001]内径が1ナノメートル程度のポアサイズを有するナノポア膜装置は、迅速なヌクレオチド配列決定において見込みを示してきた。電圧信号が導電性流体に浸漬されたナノポアを横断して印加されるとき、電界は、イオンを、ナノポアを通り導電性流体内を移動させ得る。ナノポアを通る導電性流体内でのイオンの移動は、わずかなイオン電流をもたらし得る。印加電圧は、分子をさらに移動させ、ナノポア内へ、ナノポアを通り、またはナノポアの外に、配列させ得る。イオン電流(または対応する電圧)のレベルは、ナノポアおよびナノポア内に移動された個々の分子の、サイズおよび化学的構造に依存する。
[0002]ナノポアを通り移動するDNA分子(または配列決定されることになる他の核酸分子)の代替として、分子(例えば、DNA鎖に加えられたヌクレオチド)は、個々のサイズおよび/または構造の個々のタグを含み得る。ナノポアを含む回路内のイオン電流または電圧(例えば、積分コンデンサでの)は、分子に対応するナノポアの抵抗の測定方法として測定され得て、それによりナノポア内の個々の分子、および核酸の特定の位置の特定のヌクレオチドの検出が可能になる。
[0003]ナノポアベースの配列決定センサチップは、並行DNA配列決定のためのアレイとして構成される大量のセンサセルを組み込み得る。例えば、ナノポアベースの配列決定センサチップは、100,000以上のDNA分子を並行して配列決定するための二次元アレイ内に配置される100,000以上のセルを含み得る。測定に障害を来すことなくこれほど多くのセルをセンサチップ内に収めるのは困難である場合がある。そのようなセンサチップ上で回路を効率的に動作させることもまた困難である場合がある。
[0004]本明細書で説明される技術は、異なる位相を有するAC信号を、ナノポアセンサチップ内の同じデータサンプリング回路によってサーブされるナノポアセルの異なるグループに印加することに関する。AC信号の異なる位相に起因して、特定の時間期間の間、ナノポアセルの第1のグループが、暗期間にあり得、有用なデータを取得するために、データサンプル回路(例えば、アナログデジタル変換器(ADC))によってサンプリングされない、または最小限にサンプリングされる一方で、ナノポアセルの第2のグループは、明期間にあり得、ナノポアセルの第2のグループからの出力信号は、アナログデジタル変換器によってサンプリングされ得る。ADCの参照レベル設定は、ADCのダイナミックレンジを十分に生かすために、印加されたAC信号に基づいて動的に変更され得る。本明細書で説明される技術は、定期的に変化するDCバイアスを使用するシステムにも適用され得、このシステムもまた、電極が再充電される「暗」期間を有し得る。
[0005]1つの実施形態によると、核酸(例えば、DNA)配列決定のためのセンサチップは、N個のグループに分かれた第1のセルのセットを含み、Nは2以上の整数である。各セルは、核酸分子のヌクレオチドを特徴づけるためにAC信号をセルに提供するように構成されるセル電極を含む。核酸配列決定のためのセンサチップはまた、少なくともN個の回路を含み、少なくともN個の回路の各回路が、別々に構成可能なAC信号をN個のセルグループのセルのそれぞれのグループの1つまたは複数のセル電極に提供するように構成される。
[0006]別の実施形態によると、核酸配列決定のためのセンサチップは、セルのセットを含む。セルのセットの各セルは、ヌクレオチドに接続されたタグを受け取るように構成されるナノポアと、ナノポアが中に存在する膜であって、回路内では膜がコンデンサとして、ナノポアが抵抗器として作用する、膜と、セル第1の端において回路に電気的に接続された第1の電極と、セルの第2の端において回路に接続され、セルのセットの2つ以上のセルによって共有される第2の電極とを含み得る。センサチップはまた、コンデンサを事前充填するために第1の電極を通じて第1のAC信号を印加し、事前充電されたコンデンサをナノポアを介して充電または放電するために第2の電極を通じて第2の信号を印加するように構成される制御回路を含む。
[0007]別の実施形態によると、セルのセットを含むセンサチップを使用して核酸配列決定する方法は、第1のAC信号をセルのセットの第1のセルグループに印加するステップと、第2のAC信号をセルのセットの第2のセルグループに印加するステップとを含み得、第1のAC信号および第2のAC信号は、異なる位相を有する。本方法はまた、第1のAC信号の第1の部分の間、アナログデジタル変換器(ADC)を使用して、第1のセルグループからの出力信号をサンプリングし、第2のセルグループからの出力信号をサンプリングしないステップを含み得る。本方法は、第1のAC信号の第2の部分の間、ADCを使用して、第2のセルグループからの出力信号をサンプリングし、第1のセルグループからの出力信号をサンプリングしないステップをさらに含み得る。
[0008]本発明のこれらの実施形態および他の実施形態は、以下に詳細に説明される。例えば、他の実施形態は、本明細書に説明される方法と関連付けられたシステム、デバイス、およびコンピュータ可読媒体に向けられる。
[0009]言い換えると、本発明は、核酸配列決定のためのセンサチップを提供し、本センサチップは、N個のグループに分かれた第1のセルのセットであって、Nが2以上の整数であり、各セルが、核酸分子のヌクレオチドを特徴づけるためにAC信号をセルに提供するように構成されるセル電極を有する、第1のセルのセットと、少なくともN個の回路であって、少なくともN個の回路の各回路が、別々に構成可能なAC信号をN個のグループの1つまたは複数のセルのそれぞれのグループの1つまたは複数のセル電極に提供するように構成される、少なくともN個の回路と、を備える。
第1のセルのセットの各セルは、第2の信号をセルに提供するように構成される共通電極を含み得、共通電極が、第1のセルのセットの2つ以上のセルによって共有される。第1のセルのセットの各セルは、セル電極と共通電極との間に位置決めされたナノポアをさらに含み得、ナノポアは、ヌクレオチドに接続されたタグを受け取り、セル電極と共通電極との間で可変抵抗器として機能するように構成される。第1のセルのセットの各セルは、セル電極に接続された積分コンデンサをさらに含み得、少なくともN個の回路の各回路は、N個のグループからの1つまたは複数のセルのそれぞれのグループの積分コンデンサをAC信号により事前充電するように構成され得る。この場合、1つまたは複数のセルのグループの事前充電された積分コンデンサは、第2の信号によって充電または放電されるように構成され得る。
センサチップはまた、第1のセルのセットに接続されたサンプリング回路をさらに備え得、N個の回路が、異なるAC信号をN個のグループに提供するように構成され、サンプリング回路が、N個のグループに提供されるAC信号に基づいて、N個のグループの1つまたは複数のセルの1つまたは複数のグループからの電圧信号を選択的にサンプリングするように構成される。第1の時間期間の間、N個のグループの1つまたは複数のセルの第1のグループの1つまたは複数のセル電極に提供されるAC信号の電圧レベルは、1つまたは複数のセルの第1のグループの共通電極に提供される第2の信号の電圧レベルよりも高くてもよく、N個のグループの1つまたは複数のセルの第2のグループの1つまたは複数のセル電極に提供されるAC信号の電圧レベルは、1つまたは複数のセルの第2のグループの共通電極に提供される第2の信号の電圧レベルよりも低くてもよく、サンプリング回路は、1つまたは複数のセルの第1のグループまたは1つまたは複数のセルの第2のグループのいずれかからの電圧信号をサンプリングするが、両方はサンプリングしないように構成され得る。第2の時間期間の間、N個のグループの1つまたは複数のセルの第1のグループの1つまたは複数のセル電極に提供されるAC信号の電圧レベルは、1つまたは複数のセルの第1のグループの共通電極に提供される第2の信号の電圧レベルよりも高くてもよく、N個のグループの1つまたは複数のセルの第2のグループの1つまたは複数のセル電極に提供されるAC信号の電圧レベルは、1つまたは複数のセルの第2のグループの共通電極に提供される第2の信号の電圧レベルよりも高くてもよく、サンプリング回路は、第1のサンプリング速度で、1つまたは複数のセルの第1のグループからの電圧信号をサンプリングするが、1つまたは複数のセルの第2のグループをサンプリングしないこと、第1のサンプリング速度で、1つまたは複数のセルの第2のグループからの電圧信号をサンプリングするが、1つまたは複数のセルの第1のグループをサンプリングしないこと、および、第2のサンプリング速度で、1つまたは複数のセルの第1のグループからの電圧信号をサンプリングし、第3のサンプリング速度で、1つまたは複数のセルの第2のグループからの電圧信号をサンプリングすることのうちの1つを実施するように構成され得、第2および第3のサンプリング速度は、第1のサンプリング速度よりも低い。サンプリング回路はまた、アナログデジタル変換器(ADC)を含み得、サンプリング回路は、N個のグループに提供される異なるAC信号に基づいて、ADCのための参照レベル設定を動的に変更するように構成され得る。
センサチップのAC信号は、矩形波であり得、50%以下のデューティサイクルを有し得る。第2の信号は、AC信号の周波数よりも低い周波数を有する第2のAC信号であり得るか、またはDC信号であり得る。N個の回路は、異なる位相を有するAC信号をN個のグループ内の1つまたは複数のセルの異なるグループに提供するように構成され得る。
センサチップは、N個のグループに分かれた第2のセルのセットをさらに備え得、第2のセルのセットの各セルが、核酸分子のヌクレオチドを特徴づけるためにAC信号をセルに提供するように構成されるセル電極を有し、少なくともN個の回路の各回路が、別々に構成可能なAC信号を、第1のセルのセットのN個のグループのそれぞれのグループの1つまたは複数のセル電極、および第2のセルのセットのN個のグループのそれぞれのグループの1つまたは複数のセル電極に提供するように構成される。加えて、センサチップは、第1のセルのセットに接続され、第1のセルのセットのN個のグループの1つまたは複数のグループからの電圧信号を選択的にサンプリングするように構成される、第1のサンプリング回路と、第2のセルのセットに接続され、第2のセルのセットのN個のグループの1つまたは複数のグループからの電圧信号を選択的にサンプリングするように構成される、第2のサンプリング回路とをさらに備え得る。
センサチップはまた、2つ以上の流体チャネルをさらに備え得、異なる流体チャネル内のセルが、N個のグループの異なるグループに分けられる。少なくともN個の回路の各回路は、スイッチを含み得、スイッチは、セル電極を2つの電圧レベルに交互に接続するように構成され、各スイッチがAC制御信号によって制御される。N個のグループの各々は、少なくとも1つのセルを含み得る。
第1のセルのセットの各セルは、スイッチを含み得、スイッチは、セル電極を2つの電圧レベルに交互に接続するように構成され、各スイッチがAC制御信号によって制御され、少なくともN個の回路の各回路は、それぞれのグループ内の1つまたは複数のセルの1つまたは複数のスイッチを含み、それぞれのグループ内の1つまたは複数のセルの1つまたは複数のスイッチは、同じAC制御信号を受信する。
本発明はまた、セルのセットを備える核酸配列決定のためのセンサチップを提供し、セルのセットの各セルは、ヌクレオチドに接続されたタグを受け取るように構成されるナノポアと、ナノポアが中に存在する膜であって、回路内では膜がコンデンサとして、ナノポアが抵抗器として作用する、膜と、セルの第1の端において回路に電気的に接続された第1の電極と、セルの第2の端において回路に接続され、セルのセットの2つ以上のセルによって共有される第2の電極と、コンデンサを事前充電するために第1の電極を通じて第1のAC信号を印加し、事前充電されたコンデンサをナノポアを介して充電または放電するために第2の電極を通じて第2の信号を印加するように構成される、制御回路と、を備える。
この場合、各セルの第1の電極は、セルのセット内の他のセルの第1の電極から独立していてもよい。セルのセットの各セルは、積分コンデンサをさらに備え得、制御回路は、積分コンデンサを事前充填するために第1の電極を通じて第1のAC信号を印加し、事前充電された積分コンデンサをナノポアを介して充電または放電するために第2の電極を通じて第2の信号を印加するようにさらに構成され得る。第2の信号は、DC信号、または第1のAC信号の周波数よりも低い周波数を有する第2のAC信号であり得る。セルのセットは、アナログデジタル変換器に接続され得る。セルのセットの各セルは、スイッチをさらに備え得、スイッチは、第1の電極を、第1のAC信号を第1の電極に印加するための2つの電圧レベルに交互に接続するようにAC制御信号によって制御されるように構成される。
本発明はまた、N個のグループに分かれた第1のセルのセットであって、Nが2以上の整数であり、各セルが、核酸分子のヌクレオチドを特徴づけるためにAC信号をセルに提供するように構成されるセル電極を有する、第1のセルのセットと、第1のセルのセットに接続され、第1のセルのセットからの出力信号を変換するように構成されるアナログデジタル変換器(ADC)と、第1のAC信号をN個のセルグループの第1のセルグループに印加し、第2のAC信号をN個のセルグループの第2のセルグループに印加し、第1のAC信号の第1の部分の間、ADCに、第1のセルグループからの出力信号を変換させ、第2のセルグループからの出力信号を変換させないようにするように構成される制御回路であって、第1のAC信号および第2のAC信号が異なる位相を有する、制御回路と、を備える、核酸配列決定のためのセンサチップを提供する。
本発明はまた、セルのセットを含むセンサチップを使用して核酸配列決定する方法を提供し、本方法は、第1のAC信号をセルのセットの第1のセルグループに印加するステップと、第2のAC信号をセルのセットの第2のセルグループに印加するステップであって、第1のAC信号および第2のAC信号が異なる位相を有する、ステップと、第1のAC信号の第1の部分の間、アナログデジタル変換器(ADC)を使用して、第1のセルグループからの出力信号をサンプリングし、第2のセルグループからの出力信号をサンプリングしないステップと、第1のAC信号の第2の部分の間、ADCを使用して、第2のセルグループからの出力信号をサンプリングし、第1のセルグループからの出力信号をサンプリングしないステップと、を含む。
第1のAC信号をセルのセットの第1のセルグループに印加するステップは、第1のAC信号を第1のセルグループの各セルのセル電極に印加することを含み得、第2のAC信号をセルのセットの第2のセルグループに印加するステップは、第2のAC信号を第2のセルグループの各セルのセル電極に印加することを含み得る。
本方法は、共通信号をセルのセットによって共有される共通電極に印加するステップをさらに含み得、共通信号は、DC信号、または第1のAC信号の周波数および第2のAC信号の周波数よりも低い周波数を有する第3のAC信号である。また、本方法は、第1のAC信号の第3の部分の間、ADCを使用して、第2のセルグループおよび第1のセルグループの両方からの出力信号をサンプリングするステップをさらに含み得る。また、第1のAC信号および第2のAC信号に基づいたADCのための参照レベル設定は、変更され得る。
本発明はまた、上に記載の方法のいずれかの動作を実施するようにコンピュータシステムを制御するための複数の命令を格納するコンピュータ可読媒体を備えるコンピュータ製品を提供する。
本方法はさらに、開示されたコンピュータ製品と、コンピュータ可読媒体に格納された命令を実行するための1つまたは複数のプロセッサとを備えるシステムを提供する。
[0010]ナノポアセルのアレイを備えるナノポアセンサチップの一実施形態の上面図である。 [0011]ポリヌクレオチドまたはポリペプチドを特徴づけるために使用され得る、ナノポアセンサチップ内のナノポアセルの一実施形態である。 [0012]ナノポアベースの、合成による配列決定(ナノ−SBS)技術を用いてヌクレオチド配列決定を実行するナノポアセルの一実施形態である。 [0013]ナノポアセル内の電気回路の一実施形態である。 [0014]ACサイクルの明期間および暗期間中のナノポアセルから取得されたデータポイントの例である。 [0015]例となるナノポアセンサチップ内のナノポアセルのアレイの断面図である。 [0016]ナノポアセルの二次元アレイを含む例となるナノポアセルアレイの上面図である。 [0017]ナノポアセルの二次元アレイを含む例となるナノポアセルアレイの模式図である。 [0018]ナノポアセルアレイのカラム内のナノポアセルから取得されたデータサンプルの例である。 [0019]本開示のある態様による、ナノポアセルの二次元アレイを含む例となるナノポアセルアレイの模式図である。 [0020]本開示のある態様による、ナノポアセルアレイのための制御信号の例である。 [0021]本開示のある態様による、ナノポアセルアレイのカラム内のナノポアセルから取得されたデータサンプルの例である。 [0022]本開示のある態様による、ナノポアセルアレイのための制御信号の例である。 [0023]図14Aは、本開示のある態様による、ナノポアセンサチップ内のADCのための固定の参照レベルを示す図である。 [0024]図14Bは、本開示のある態様による、ナノポアセンサチップ内のADCのための可変の参照レベルを例証する図である。 [0025]本開示のある態様による、セルのセットを含むセンタを使用して核酸配列決定する例となる方法を例証するフローチャートである。 [0026]本開示のある態様によるシステムおよび方法と共に使用可能な一例のコンピュータシステムのブロック図である。
定義
[0027]「核酸」は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、および一本または二本鎖の何れかの形態の、その重合体を指し得る。この用語は、合成の、自然発生的、非自然発生的であり、参照核酸と同様の結合特性を有し、参照ヌクレオチドと同様の挙動で代謝する、周知のヌクレオチドの類似物または修飾された主鎖の残基または連鎖を含む核酸を包含し得る。そのような類似物の例は、それだけには限らないが、ホスホロチオエート、ホスホルアミダイト、メチルホスホン酸塩、キラルメチルホスホン酸塩、2−O−メチルリボヌクレオチド、ペプチド核酸(PNAs)を含み得る。用語、核酸は、遺伝子、cDNA、mRNA、オリゴヌクレオチド、およびポリヌクレオチドと交換可能に用いられ得る。
[0028]用語「鋳型」は、DNA合成のためのDNAヌクレオチドの相補的鎖へ複製される一本鎖核酸分子を示し得る。場合によっては、鋳型は、mRNAの合成中に複製されるDNAの配列を示し得る。
[0029]用語「プライマ」は、DNA合成の開始点を提供する短い核酸配列を示し得る。DNAポリメラーゼなどのDNA合成を触媒する酵素は、新らたなヌクレオチドをDNA複製用プライマに加え得る。
[0030]本明細書で用いられるとき、用語「カラム」は、通常、サンプリングおよび変換回路を共有するナノポアセルアレイ内のナノポアセルを指し得る。カラム内のナノポアセルは、ナノポアセンサチップ上のカラム内に物理的に作製される場合とそうでない場合とがある。
[0031]本明細書で用いられるとき、用語「明期間」は、通常、タグ付けされたヌクレオチドのタグが、AC信号を通して印加される電界によってナノポア内に押し込まれる期間を指す。用語「暗期間」は、通常、タグ付けされたヌクレオチドのタグが、AC信号を通して印加される電界によってナノポア外に押し出される期間を指す。ACサイクルは、明期間および暗期間を含み得る。異なる実施形態では、ナノポアセルを明期間(または暗期間)内に入れるためにナノポアセルに印加される電圧信号の極性は、異なり得る。
[0032]本明細書に開示される技術は、ナノポアベースの核酸配列決定、より具体的には、大量の並行配列決定ナノポアセルを含むナノポアベースの配列決定センサチップによってデータサンプリング速度を増加させることに関する。
[0033]ナノポアベースの、合成による配列決定(ナノ−SBS)においては、より高いサンプリング速度が一般的には所望されるが、それは、例えば、サンプリング速度が高いほど、より短い持続時間を有する事象の観察を可能にし、これにより塩基分類の精度を向上させることができるためである。そのような事象の例は、ナノポアに簡潔に入る非結合ヌクレオチドタグ(ヌクレオチドは、簡潔に結合されるが触媒作用を及ぼされない)、および素早く触媒作用を及ぼされるヌクレオチド(おそらくは、次の位置で触媒作用を及ぼされる同じヌクレオチドが後に続く)を含み得る。しかしながら、例えば、アナログデジタル変換器の限られたサンプリングおよび変換速度、ならびに/またはバス、データ記憶デバイス、もしくはデータ処理回路の限られた帯域幅に起因して、可能性のあるサンプリング速度に対する上限が存在する。
[0034]AC信号は、ナノポアセルのアレイを含むナノポアセンサチップの寿命を改善するためにNano−SBSにおいて使用され得る。例えば、ナノポアセンサチップ内の各ナノポアセルの作用電極には一定レベルが印加され得、万能なAC信号が、ナノポアセルの共有対電極に印加され得る。この例では、各ナノポアセルは、実質的に同じ位相でACサイクルを経る。各ACサイクルは、明期間(タグは、ヌクレオチドを識別するためのナノポア内に押し入れられ得る)、およびデューティサイクルが低くてもよい暗期間を含み得る(すなわち、暗期間は明期間よりもはるかに長くてもよい)。したがって、ナノポアセンサチップのすべてのナノポアセルは、ほぼ同じ時に明期間または暗期間にあることになる。
[0035]明期間の間、カラム内のナノポアセルと関連付けられたデータサンプリングおよび変換回路は、タグおよび結果的に組み込まれているヌクレオチドを識別することの一環として、カラム内の各ナノポアセルからの出力電圧信号を連続的にサンプリングして変換することができる。AC信号は、結合ヌクレオチドタグを明期間にあるナノポア内へ引き込み(通し)、それゆえに測定信号は、どのタグ(したがって、どのヌクレオチド)が現在結合されているかに関する情報を提供する。暗期間の間(任意のヌクレオチドタグがナノポアの外に押し出される)、ナノポア内の任意のヌクレオチドタグに関する情報は、獲得不可能であり、したがって、セルからの出力電圧信号は、ほとんどまたは全く必要がない。さらに、暗期間の間、セルからの出力電圧信号は、いずれにせよ依然としてサンプリングされて変換され得るか、またはデータサンプリングおよび変換回路は、アイドルであり得る。したがって、データサンプリングおよび変換回路の帯域幅のかなりの部分は、少なくとも暗期間の間は有用なデータを取得するために利用されないことがある。
[0036]さらに、高いセル密度を有するナノポアセンサチップでは、単一のサンプリングおよび変換回路が、複数のセルにサービスし得る。したがって、各セルは、サンプリングおよび変換回路のフルサンプリング速度よりもはるかに低い速度でサンプリングされ得る。
[0037]本明細書に開示される技術は、カラム内の一部のナノポアセルが暗期間にあるとき、同じカラム内の一部の他のナノポアセルが明期間にあるように、異なる位相を有するAC信号をカラム内の異なるナノポアセルに印加することによって、上の問題を解決する。例えば、カラム内のナノポアセルは、2つ以上のグループに分けられ得る。一定の電圧レベルが、すべてのナノポアセルの対電極に印加され得、ナノポアセルの各グループ内のナノポアセルの作用電極に印加されるAC信号の位相は、異なる値によって遅延され得る。
[0038]このようにして、任意の所与の時間において、データサンプリングおよび変換回路は、暗期間が、例えば、正規化目的のためだけに、最小限にサンプリングされる状態で、明期間にあるカラム内のナノポアセルの部分からの出力電圧信号をサンプリングして変換し得る。そのようなものとして、回路が任意の所与の時間においてはより少ないセルにサービスしているため、データサンプリングおよび変換は、明期間の間は各ナノポアセルに対してより高い速度で実施され得る。さらには、暗期間が最小限にのみサンプリングされるため、暗期間が不必要に高い速度でサンプリングされる場合とは対照的に、取得されるデータのすべてまたはほぼすべてが有用である。このようにして、実施形態は、任意の時間期間においてサンプリングおよび変換回路によってサービスされるセルの数を低減し、それゆえに、より高速のデータサンプリングおよび変換回路を使用せずともセルあたりのサンプリング速度を増加させることができる。
I.ナノポアベースの配列決定チップ
[0039]図1は、ナノポアセル150のアレイ140を備えるナノポアセンサチップ100の一実施形態の上面図である。各ナノポアセル150は、ナノポアセンサチップ100のシリコン基板上に集積化された制御回路を備える。いくつかの実施形態では、側壁136は、アレイ140に含まれ、ナノポアセル150のグループを分離し得て、その結果、各グループは、特徴づけのための異なるサンプルを受け取り得る。各ナノポアセルは、核酸を配列決定するために用いられ得る。いくつかの実施形態では、ナノポアセンサチップ100は、カバープレート130を備え得る。いくつかの実施形態では、ナノポアセンサチップ100は、コンピュータプロセッサなどの他の回路とインタフェースする複数のピン110も備え得る。
[0040]いくつかの実施形態では、ナノポアセンサチップ100は、例えばマルチチップモジュール(MCM)またはシステムインパッケージ(SiP)などのように同一のパッケージ内に複数チップを含み得る。チップは、例えば、メモリ、プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、データコンバータ、高速I/Oインタフェースなどを含み得る。
[0041]いくつかの実施形態では、ナノポアセンサチップ100は、例えば、脂質懸濁液または他の膜構造化懸濁液、分析物溶液、および/または他の液体、懸濁液、または固体を送達するためのピペット、ロボットアーム、コンピュータプロセッサ、ならびに/あるいはメモリなどの分析物送達メカニズムを含む、本明細書で開示されるプロセスの多様な実施形態を実行する(例えば、自動的に実行する)ための多様な構成要素を含み得るナノチップワークステーション120に接続され(例えば、ドッキングされ)得る。複数のポリヌクレオチドが、ナノポアセル150のアレイ140上で検出され得る。いくつかの実施形態では、各々のナノポアセル150は、個別にアドレス可能であり得る。
II.ナノポア配列決定セル
[0042]ナノポアセンサチップ100内のナノポアセル150は、多数の異なる方法で実施され得る。例えば、いくつかの実施形態では、異なるサイズおよび/または化学的構造のタグが、配列決定されるために、核酸分子内の異なるヌクレオチドに取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、配列決定されることになる核酸分子の鋳型への相補鎖が、別の仕方で重合体がタグ付けされたヌクレオチドを鋳型とハイブリッド形成することによって、合成され得る。いくつかの実施態様では、核酸分子および取り付けられたタグは、両方ともナノポアを通り移動し、ナノポアを通過するイオン電流が、ヌクレオチドに取り付けられたタグの個々のサイズおよび/または構造によって、ナノポア内に存在するヌクレオチドを示し得る。いくつかの実施態様では、タグだけが、ナノポア内へ移動し得る。ナノポア内で異なるタグを検出するために、多数の異なる方法も存在し得る。
A.ナノポア配列決定セル構造
[0043]図2は、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドを特徴づけるために使用され得る、図1のナノポアセンサチップ100内のナノポアセル150のような、ナノポアセンサチップ内の一例のナノポアセル200の一実施形態を示す。ナノポアセル200は、誘電体層201および204から形成されたウェル205と、ウェル205を覆って形成された脂質二重層214と、脂質二重層214上の、脂質二重層214によってウェル205から分離された試料室215とを、含み得る。ウェル205は、ある体積の電解質206を収容し得て、試料室215は、例えば、可溶性タンパク質ナノポア膜貫通分子複合体(PNTMC)などのナノポア、および対象の分析物(例えば、配列決定されることになる核酸分子)を収容するバルク電解質208を保持し得る。
[0044]ナノポアセル200は、ウェル205の底部に作用電極202と、試料室215内に配置された対電極210とを含み得る。信号源228は、電圧信号を作用電極202と対電極210との間に印加し得る。単一のナノポア(例えば、PNTMC)が、電圧信号による電気穿孔法プロセスによって脂質二重層214内へと挿入され、それにより脂質二重層214内のナノポア216を形成し得る。アレイ内の個々の膜(例えば、脂質二重層214または他の膜構造)は、化学的にも電気的にも互いに接続されていないこともある。それゆえ、アレイ内の各ナノポアセルは、独立した配列決定機械であり、対象の分析物に対して作用し、そうでなければ不透過性の脂質二重層を介してイオン電流を調節するナノポアに関連付けられる、単一のポリマー分子に固有のデータを生成する。
[0045]図2に示すように、ナノポアセル200は、シリコン基板などの基板230上に形成され得る。誘電体層201は、基板230上に形成され得る。誘電体層201を形成するために用いられる誘電体材料は、例えば、ガラス、酸化物、窒化物、その他を含み得る。電気的刺激を制御し、ナノポアセル200から検出されるデータを処理する電気回路222は、基板230上および/または誘電体層201内部に形成され得る。例えば、複数のパタニングされた金属層(例えば、金属1〜金属6)が、誘電体層201内に形成され、複数の能動デバイス(例えば、トランジスタ)が、基板230上に製造され得る。いくつかの実施形態では、信号源228は、電気回路222の一部に含まれる。電気回路222は、例えば、増幅器、積算器、アナログデジタル変換器、ノイズフィルタ、フィードバック制御ロジック、および/または多様な他の構成要素を含み得る。電気回路222は、メモリ226に接続されたプロセッサ224にさらに接続され得て、ここでプロセッサ224は、アレイ内に配列されている重合体分子の配列を決定するために、配列決定データを分析することができる。
[0046]作用電極202は、誘電体層201上に形成され、ウェル205の底部の少なくとも一部を形成し得る。いくつかの実施形態では、作用電極202は、金属電極である。非ファラデー性伝導のために、作用電極202は、腐食および酸化に耐性を示す、例えば、白金、金、チタン窒化物、およびグラファイトなどの金属または他の材料で形成され得る。例えば、作用電極202は、電気めっきを用いた白金電極であってもよい。別の実施例では、作用電極202は、チタン窒化物(TiN)作用電極であってもよい。作用電極202は、多孔質であってもよく、それによりその表面積および結果として生じる作用電極202に付随するキャパシタンスを増大させ得る。ナノポアセルの作用電極は、別のナノポアセルの作用電極から独立していることもあることから、作用電極は、本開示内でセル電極と呼ばれ得る。
[0047]誘電体層204は、誘電体層201上に形成され得る。誘電体層204は、ウェル205を囲む壁を形成する。誘電体層204を形成するために用いられる誘電体材料は、例えば、ガラス、酸化物、シリコン一窒化物(SiN)、ポリイミド、または他の適切な疎水性の絶縁材料を含み得る。誘電体層204の上面は、シラン処理され得る。シラン処理は、誘電体層204の上面の上に疎水性層220を形成し得る。いくつかの実施形態では、撥水性層220は、約1.5ナノメートル(nm)の厚さを有する。
[0048]誘電体層壁204によって形成されるウェル205は、作用電極202の上の電解質206の体積を含む。電解質206の体積は、緩衝性を有し、以下の、塩化リチウム(LiCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、グルタミン酸リチウム、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、塩化カルシウム(CaCl)、塩化ストロンチウム(SrCl)、塩化マンガン(MnCl)、および塩化マグネシウム(MgCl)、のうちの1つまたは複数を含み得る。いくつかの実施形態では、電解質206の体積は、約3マイクロメートル(μm)の厚さを有する。
[0049]図2にも示すように、膜は、誘電体層204の上面に形成され、ウェル205全体に及ぶ。いくつかの実施形態では、膜は、疎水性層220の上面に形成された脂質単一層218を含み得る。膜がウェル205の開口に達したとき、脂質単一層208は、ウェル205の開口全体に及ぶ脂質二重層214に遷移し得る。脂質二重層は、例えば、ジフィタノイル−ホスファチジルコリン(DPhPC)、1,2−ジフィタノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、1,2−ジ−O−フィタニル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DoPhPC)、パルミトイル−オレオイル−ホスファチジルコリン(POPC)、ジオレオイル−ホスファチジル−メチルエステル(DOPME)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、スフィンゴミエリン、1,2−ジ−O−フィタニル−sn−グリセロール、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−350]、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−550]、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−750]、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−1000]、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000]、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−ラクトシル、GM1ガングリオシド、リゾホスファチジルコリン(LPC)またはその任意の組合せから選択されるリン脂質を含み、またはそれらから構成され得る。
[0050]示したように脂質二重層214には、例えば、単一のPNTMCによって形成された単一のナノポア216が埋め込まれる。上述のように、ナノポア216は、単一のPNTMCを脂質二重層214内に電気穿孔法によって挿入することによって、形成され得る。ナノポア216は、対象の分析物および/または小さなイオン(例えば、Na、K、Ca2+、Cl)の少なくとも一部分を脂質二重層214の両側間を通過させるのに十分に大きくてもよい。
[0051]試料室215は、脂質二重層214を覆っており、特徴づける対象の分析物の溶液を保持し得る。溶液は、バルク電解質208を含み、最適なイオン濃度への緩衝性を有し、ナノポア216を開口状態に維持するために最適なpHに維持された水性溶液であり得る。ナノポア216は、脂質二重層214を横切り、バルク電解質208から作用電極202へのイオン流のための唯一の経路を提供する。ナノポア(例えば、PNTMC)および対象の分析物に加えて、バルク電解質208は、塩化リチウム(LiCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、グルタミン酸リチウム、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、塩化カルシウム(CaCl)、塩化ストロンチウム(SrCl)、塩化マンガン(MnCl)、および塩化マグネシウム(MgCl)、のうちの1つまたは複数をさらに含み得る。
[0052]対電極(CE)210は、電気化学的電位センサであり得る。いくつかの実施形態では、対電極210は、複数ナノポアセル間で共有され、それゆえ、共通電極とも称され得る。いくつかの場合では、共通の電位および共通電極は、全てのナノポアセルに対して、または少なくとも個々のグループ内の全てのナノポアセルに対して共通であり得る。共通電極は、共通の電位を、ナノポア216と接触するバルク電解質208に印加するように構成可能である。対電極210および作用電極202は、脂質二重層214を横断する電気的刺激(例えば、電圧バイアス)を供給するための信号源228に接続され、脂質二重層214の電気的特性(例えば、抵抗、電気容量、およびイオン電流)を検知のために用いられ得る。いくつかの実施形態では、ナノポアセル200は、参照電極212も含み得る。
[0053]いくつかの実施形態では、多様なチェックが、較正の一部としてナノポアセルの作成中に実施され得る。ナノポアセルが作成された後、さらなる較正ステップが、例えば、所望されるように(例えば、セル中に1ナノポア)実行しているナノポアセルを識別するために、実行されてもよい。そのような較正チェックは、物理的チェック、電圧較正、開放流路較正、および単一のナノポアを有するセルの識別を含み得る。
B.ナノポア配列決定セルの信号検出
[0054]ナノポアセンサチップ100内のナノポアセル150などのナノポアセンサチップ内のナノポアセルは、合成による単分子ナノポアベースの配列決定(ナノ−SBS)技術を用いる並行配列決定を可能にし得る。
[0055]図3は、ナノ−SBS技術を用いてヌクレオチド配列決定を実行するナノポアセル300の一実施形態を示す。ナノ−SBS技術では、配列決定されることになる鋳型332(例えば、ヌクレオチド酸分子または別の対象の分析物)およびプライマは、ナノポアセル300の試料室内のバルク電解質308内に導入され得る。例として、鋳型332は、円形状または直線状であり得る。核酸プライマは、4つの別の仕方で重合体がタグ付けされたヌクレオチド338が付加され得る、鋳型332の一部にハイブリッド形成され得る。
[0056]いくつかの実施形態では、酵素(例えば、DNAポリメラーゼなどのポリメラーゼ334)が、鋳型332への相補鎖を合成するのに用いるナノポア316に関連付けられ得る。例えば、ポリメラーゼ334は、ナノポア316に共有結合していてもよい。ポリメラーゼ334は、ヌクレオチド338のプライマ上への、一本鎖核酸分子を鋳型として用いる取り込みを触媒する。ヌクレオチド338は、4つの異なるタイプA、T、GまたはCのうちの1つであるヌクレオチドを伴うタグ種(「タグ」)を含み得る。タグ付けされたヌクレオチドが、ポリメラーゼ334と正しく複合体を形成するとき、タグは、電気的な力、例えば、脂質二重層314および/またはナノポア316を横断して印加される電圧により生成される電界の存在下で生成される力によってナノポア内に引き込まれ(装填され)得る。タグの尾部は、ナノポア316の筒内に位置決めされ得る。ナノポア316の筒内に保たれるタグは、タグの別個の化学的な構造および/またはサイズにより、固有のイオン遮断信号340を生成し、それにより、タグが取り付けられた付加された塩基を、電子的に同定する。
[0057]本明細書で用いられるとき、「装填された」または「充填された」タグは、認識可能な長さの時間、例えば、0.1ミリ秒(ms)から10000msの間、ナノポア内に位置決めされる、および/または、ナノポア内または近くに留まるタグでもよい。いくつかの場合では、タグは、ヌクレオチドから放出される前に、ナノポア内に装填される。いくつかの例では、装填されたタグが、ヌクレオチド組み込み事象の際に放出された後にナノポアを通過する(および/またはナノポアにより検出される)確率が適度に高く、例えば90%から99%である。
[0058]いくつかの実施形態では、ポリメラーゼ334がナノポア316に接続される前に、ナノポア316のコンダクタンスは、例えば約300ピコジーメンス(300pS)のように高いことがあり得る。タグがナノポア内に装填されるとき、固有のコンダクタンス信号(例えば、信号340)は、タグの別個の化学構造および/またはサイズにより生成される。例えば、ナノポアのコンダクタンスは、約60pS、80pS、100pSまたは120pSであり、それぞれは、タグ付けされたヌクレオチドの4つのタイプのうちの1つに対応する。ポリメラーゼは、次に異性化およびリン酸基転移反応を経て、ヌクレオチドを成長している核酸分子内に組み込み、タグ分子を放出する。
[0059]いくつかの場合では、タグ付けされたヌクレオチドのいくつかは、核酸分子(鋳型)の目下の位置(相補的塩基)と一致し得ない。核酸分子と塩基対合されていないタグ付けされたヌクレオチドも、ナノポアを通過し得る。これらの対合されていないヌクレオチドは、典型的には、正しく対合されたヌクレオチドがポリメラーゼと結合したままである時間スケールより短い時間スケール内で、ポリメラーゼによって拒絶される。対合されていないヌクレオチドに結合されたタグは、ナノポアを迅速に通過し、短期間(例えば、10ms未満)の間検出され得て、一方、対合したヌクレオチドに結合されたタグは、ナノポア内に装填され、長期間(例えば、少なくとも10ms)の間検出され得る。それゆえ、対合されていないヌクレオチドは、ヌクレオチドがナノポア内で検出される時間に少なくとも部分的に基づいて、下流のプロセッサによって識別され得る。
[0060]装填された(充填された)タグを含むナノポアのコンダクタンス(または等価的に抵抗)が、ナノポアを通過する電流を介して測定され得て、タグ種の識別、それによる目下の位置にあるヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態では、直流(DC)信号が、ナノポアセルに印加され得る(例えば、タグがナノポアを通って移動する方向が反転しないように)。しかし、直流を用いた長期間のナノポアセンサの運転は、電極の組成を変化させ得て、ナノポア全体のイオン濃度を不平衡にさせ、ナノポアセルの寿命に影響し得る他の望ましくない効果を有し得る。交流(AC)波形を印加することは、電界移動を低減し、これらの望ましくない効果を回避し、下記のある一定の利点を有し得る。タグ付けされたヌクレオチドを利用する本明細書で説明される核酸配列決定方法は、印加されるAC電圧に完全に共存可能であり、それゆえAC波形が、これらの利点を達成するために用いられ得る。
[0061]AC検出サイクルの間に電極を再充電する能力は、犠牲電極、電流通過反応で分子特性を変化させる電極(例えば、銀を含む電極)、または電流通過反応で分子特性を変化させる電極が使用されるとき、有益であり得る。電極は、直流信号が使用されるとき、検出サイクル中に消耗し得る。再充電は、電極が小さいとき(例えば、平方ミリメートル当たり少なくとも500の電極を有する電極アレイに供給するために十分に小さいとき)問題になり得る、電極が完全に枯渇するなどの消耗限界に到達することを防止し得る。電極寿命は、場合によっては、電極幅と共に進み、少なくとも部分的に、それに依存する。
[0062]ナノポアを通過するイオン電流を測定する好適な状態は、当技術分野で知られており、例が本明細書で提供される。測定は、膜および細孔を横断して印加される電圧により実行され得る。いくつかの実施形態では、電圧は、−400mV〜+400mVの範囲にあり得る。用いられる電圧は、−400mV、−300mV、−200mV、−150mV、−100mV、−50mV、−20mV、および0mVから選択される下限と、+10mV、+20mV、+50mV、+100mV、+150mV、+200mV、+300mV、および+400mVから別々に選択される上限とを有する範囲にあることが好ましい。用いられる電圧は、100mV〜240mVの範囲にあることがさらに好ましく、160mV〜240mVの範囲にあることが最も好ましい。増大された印加電位を用いたナノポアによって異なるヌクレオチド間の識別能力を増大させることが可能である。AC波形およびタグ付けされたヌクレオチドを用いた核酸の配列決定は、その全体が引用することにより本明細書に組み込まれる、2013年11月6日に提出された「Nucleic Acid Sequencing Using Tags(タグを用いた核酸配列決定)」という名称の米国特許公開第US2014/0134616で説明されている。米国2014/0134616で説明されたタグ付けされたヌクレオチドに加えて、配列決定は、例えば、5つの一般的な核酸塩基、アデニン、シトシン、グアニン、ウラシル、およびチミンの(S)−グリセロール・ヌクレオシド・三リン酸塩(gNTPs)などの糖または非環式の部分を欠く、ヌクレオチド類似物を用いて実行され得る(Horhotaら、Organic Letters、8:5345−5347[2006])。
C.ナノポア配列決定セルの電気回路
[0063]図4は、ナノポアセル200などのナノポアセル内の電気回路400(図2の電気回路222の一部分を含み得る)の一実施形態を示す。上述のように、いくつかの実施形態では、電気回路400は、ナノポアセンサチップ内の複数のナノポアセルまたは全てのナノポアセル間で共有され得、それゆえ、共通電極とも称され得る対電極210を含む。共通電極は、電圧源VLIQ420に接続することによって、共通の電位を、ナノポアセル内の脂質二重層(例えば、脂質二重層214)と接触するバルク電解質(例えば、バルク電解質208)に印加するように構成されることが可能である。いくつかの実施形態では、AC非ファラデー性モードが、電圧VLIQをAC信号(例えば、方形波)で変調するために利用され、それをナノポアセル内で脂質二重層に接触するバルク電解質に印加し得る。いくつかの実施形態では、VLIQは、±200〜250mVの大きさおよび例えば25〜400Hzの周波数を有する方形波である。対電極210と脂質二重層(例えば、脂質二重層214)との間のバルク電解質は、例えば100μF以上などの大きなコンデンサ(図示せず)によってモデル化され得る。
[0064]図4は、作用電極(例えば、作用電極202)および脂質二重層(例えば、脂質二重層214)の電気特性を表す電気モデル422も示す。電気モデル422は、脂質二重層に関連付けられたキャパシタンスをモデル化するコンデンサ426(CBilayer)と、ナノポア内の個々のタグの存在に基づいて変化し得る、ナノポアに関連付けられた可変抵抗をモデル化する抵抗器428(RPORE)とを含む。電気モデル422は、2重層キャパシタンス(CDouble Layer)を有し、作用電極202およびウェル205の電気特性を表すコンデンサ424も含む。作用電極202は、他のナノポアセル内の作用電極から独立した別個の電位を印加するように構成され得る。
[0065]パスデバイス406は、脂質二重層および作用電極を電気回路400から接続または切断するために使用され得るスイッチである。パスデバイス406は、電圧刺激がナノポアセル内の脂質二重層を横断して印加されることを有効化または無効化するために、メモリビットによって制御され得る。脂質が、脂質二重層を形成するために堆積される前では、2つの電極間のインピーダンスは、セルのウェルが封止されていないため、非常に低く、それゆえパスデバイス406は、短絡状態を回避するために開路に維持され得る。パスデバイス406は、脂質溶媒がナノポアセルに堆積されてナノポアセルのウェルを封止した後、閉じられ得る。
[0066]回路400は、オンチップ積分コンデンサ408(ncap)をさらに含み得る。積分コンデンサ408は、リセット信号403を使用しスイッチ401を閉じ、その結果、積分コンデンサ408が電圧源VPRE405に接続されることによって、事前充電され得る。いくつかの実施形態では、電圧源VPRE405は、例えば、900mVの大きさの固定の正電圧を提供する。スイッチ401が閉じられているとき、積分コンデンサ408は、電圧源VPRE405の正電圧レベルまで事前充電され得る。
[0067]積分コンデンサ408が事前充電された後、リセット信号403が使用されスイッチ401が開路され、その結果、積分コンデンサ408は、電圧源VPRE405から切断される。この時点では、電圧源VLIQのレベルにより、対電極210の電位は、作用電極202(および積分コンデンサ408)の電位より高いレベルにあるか、その反対でもあり得る。例えば、電圧源VLIQからの方形波の正位相の間(例えば、AC電圧源信号サイクルの明または暗期間)、対電極210の電位は、作用電極202の電位より高いレベルにある。電圧源VLIQからの方形波の負位相の間(例えば、AC電圧源信号サイクルの暗または明期間)、対電極210の電位は、作用電極202の電位より低いレベルにある。したがって、いくつかの実施形態では、積分コンデンサ408は、対電極210と作用電極202との間の電位差により、明期間の間に電圧源VPRE405の事前充電された電圧レベルからさらに高いレベルまで充電され、暗期間中により低いレベルに放電され得る。他の実施形態では、充電および放電は、それぞれ暗期間および明期間に発生し得る。
[0068]積分コンデンサ408は、1kHz、5kHz、10kHz、100kHz、またはそれを超え得る、アナログデジタル変換器(ADC)410のサンプリング速度による固定された期間に、充電または放電され得る。例えば、1kHzのサンプリング速度で、積分コンデンサ408は、約1msの期間中、充電/放電し、次に、電圧レベルがサンプリングされ、積分期間の終わりにADC410によって変換され得る。個々の電圧レベルは、ナノポア内の個々のタグ種に対応し、それゆえ、鋳型上の目下の位置でのヌクレオチドに対応し得る。
[0069]ADC410によるサンプリングされた後、積分コンデンサ408は、リセット信号403を使用しスイッチ401を閉じ、その結果、積分コンデンサ408が電圧源VPRE405に再接続されることによって、再び事前充電され得る。積分コンデンサ408を事前充電するステップと、積分コンデンサ408が充電または放電する一定の期間待機するステップと、積分コンデンサの電圧レベルをADC410によってサンプリングおよび変換するステップとが、配列決定プロセスの間中サイクルで繰り返され得る。
[0070]デジタルプロセッサ430は、例えば、正規化、データバッファリング、データフィルタリング、データ圧縮、データ削減、イベント抽出、またはナノポアセルアレイからのADC出力データを多様なデータフレームへのアセンブリングなどのために、ADC出力データを処理し得る。いくつかの実施形態では、デジタルプロセッサ430は、塩基判定などのさらに下流の処理を実行し得る。デジタルプロセッサ430は、ハードウェア(例えば、GPU、FPGA、ASICなどの内部の)またはハードウェアとソフトウェアとの組合せとして実装され得る。
[0071]したがって、ナノポアを横断して印加される電圧信号は、ナノポアの個々の状態を検出するために用いられ得る。ナノポアの可能な状態の1つは、タグが取り付けられたポリホスフェートがナノポアの筒に存在しない場合、開放チャネル状態である。ナノポアの別の4つの可能な状態は、タグが取り付けられたポリホスフェートヌクレオチドの4つの異なるタイプ(A、T、GまたはC)のうちの1つがナノポアの筒内に保持されるときの状態に各々対応する。ナノポアのさらに別の可能な状態は、脂質二重層が断裂するときである。
[0072]積分コンデンサ408での電圧レベルが、固定された期間後に測定されるとき、ナノポアの異なる状態は、異なる電圧レベルの測定値をもたらし得る。これは、積分コンデンサ408(すなわち、時間に対する積分コンデンサ408の電圧のグラフの傾きの程度)での電圧減衰率(放電による減少または充電による増大)が、ナノポアの抵抗(例えば、抵抗器RPORE428の抵抗)に依存するからである。より詳しくは、異なる状態のナノポアに関連付けられた抵抗が、分子(タグ)の別個の化学構造に起因して異なるので、異なる対応する電圧減衰率は、観察され得るようになり、ナノポアの異なる状態を識別するために用いられ得る。電圧減衰曲線は、RC時定数τ=RCを有する指数関数曲線であり得て、ここで、Rは、ナノポアに関連付けられた抵抗(すなわち、RPORE428)であり、Cは、Rに並列の膜に関連付けられたキャパシタンス(すなわち、コンデンサ426(CBilayer))である。ナノポアセルの時定数は、例えば、約200〜500msであり得る。減衰曲線は、二重層の詳細な実施により、指数関数曲線に正確に一致し得ないが、減衰曲線は、指数関数曲線に類似し、単調であり得て、それゆえ、タグの検出を可能にする。
[0073]いくつかの実施形態では、開放チャネル状態にあるナノポアに関連付けられた抵抗は、100Mohm〜20Gohmまでの範囲内にあり得る。いくつかの実施形態では、タグが、ナノポアの筒内部に存在する状態にあるナノポアに関連付けられた抵抗は、200MOhm〜40GOhmまでの範囲内にあり得る。他の実施形態では、積分コンデンサ408は、ADC410へ導く電圧が、電気モデル422内の電圧減衰によりやはり変化することになるため、省略され得る。
[0074]積分コンデンサ408での電圧の減衰率は、異なる方法で決定され得る。上で説明したように、電圧減衰率は、一定の時間間隔の間の電圧減衰を測定することによって決定され得る。例えば、積分コンデンサ408での電圧は、最初に時間t1でADC410により測定され、次に、電圧は、時間t2でADC410により再び測定される。時間曲線に対する積分コンデンサ408での電圧の傾きがより急であるとき、電圧差はより大きく、電圧曲線の傾きがより緩やかなとき、電圧差はより小さい。このように、電圧差は、積分コンデンサ408での電圧の減衰率を、ゆえに、ナノポアセルの状態を決定するための測定基準として用いられ得る。
[0075]他の実施形態では、電圧減衰率は、選択された電圧減衰量のために必要な持続時間を測定することによって決定され得る。例えば、電圧が第1の電圧レベルV1から第2の電圧レベルV2に降下または増大するのに必要な時間が測定され得る。時間に対する電圧曲線の傾きがより急であるとき、必要な時間はより少なく、時間に対する電圧曲線の傾きがより緩やかなとき、必要な時間はより大きい。このように、必要な測定時間は、積分コンデンサncap408での電圧の減衰率を、ゆえに、ナノポアセルの状態を決定するための測定基準として用いられ得る。当業者には、例えば、電流測定技術を含む、ナノポアの抵抗を測定するために必要とされ得る多様な回路を理解されよう。
[0076]いくつかの実施形態では、電気回路400は、オンチップに、パスデバイス(例えば、パスデバイス406)および追加のコンデンサ(例えば、積分コンデンサ408(ncap))を含まないことがあり、それによりナノポアベースの配列決定チップのサイズの削減を支援する。膜(脂質二重層)の薄い性質のため、膜に関連付けられたキャパシタンス(例えば、コンデンサ426(CDilayer))のみで、追加のオンチップのキャパシタンスを必要とすることなく必要なRC時定数を生み出すのに十分とすることができる。それゆえ、コンデンサ426は、積分コンデンサとして使用され得て、電圧信号VPREによって事前充電され、続いて、電圧信号VLIQによって放電または充電され得る。そうでなければ電気回路内にオンチップで作製される追加のコンデンサおよびパスデバイスをなくすことにより、ナノポア配列決定チップ内の単一のナノポアセルのフットプリントを著しく減少させることができ、それにより、(例えば、ナノポア配列決定チップ内の数百万ものセルを有する)ますます多くのセルを含むためにナノポア配列決定チップを拡大することが容易になる。
D.ナノポアセル内でのデータサンプリング
[0077]核酸の配列決定を実行するために、積分コンデンサ(例えば、積分コンデンサ408(ncap))またはコンデンサ426(CBilayer)の電圧レベルは、タグ付けされたヌクレオチドが核酸に加えられている間に、ADC(例えば、ADC410)によってサンプリングされ変換され得る。ヌクレオチドのタグは、例えば、VLIQがVPREより低いような印加電圧のとき、対電極および作用電極を介して印加される、ナノポアを横断する電界によって、ナノポアの筒内へと押し入れられ得る。
1.充填
[0078]充填事象は、タグ付けされたヌクレオチドが、鋳型(例えば、核酸断片)に取り付けられ、タグがナノポアの筒の内外に進むときにあたる。これは、充填事象の間に複数回発生し得る。タグが、ナノポアの筒内にあるとき、ナノポアの抵抗は、より高く、より低い電流がナノポアを通り流れ得る。
[0079]配列決定の間、タグは、いくつかのACサイクル状態でナノポア内に存在しないことがあり(開放チャネル状態と呼ぶ)、この場合電流は、ナノポアのより低い抵抗のために、最も高い。タグがナノポアの筒内へ引き込まれるとき、ナノポアは、明モードである。タグがナノポアの筒外へと押し出されるとき、ナノポアは、暗モードである。
2.明および暗期間
[0080]ACサイクルの間、積分コンデンサでの電圧は、ADCによって複数回サンプリングされ得る。例えば、ある実施形態では、AC電圧信号が、システム全体に、例えば、約100Hzで印加され、ADCの取得速度は、セルあたり約2000Hzであり得る。このように、ACサイクル(AC波形のサイクル)毎に取得される約20のデータポイント(電圧測定値)が存在し得る。AC波形の1サイクルに対応するデータポイントは、1セットと呼ばれ得る。ACサイクル毎のデータポイントの1セット内には、例えば、明モード(期間)に対応し得る、VLIQがVPREより低いときキャプチャされるサブセットが存在し得て、このときタグは、ナノポアの筒内へと押し込まれる。別のサブセットは、暗モード(期間)に対応し得て、このときタグは、例えば、VLIQがVPREより高いとき、印加される電界によってナノポアの筒外へと押し出される。
3.測定電圧
[0081]データポイント毎に、スイッチ401が開路のとき、積分コンデンサ(例えば、積分コンデンサ408(ncap)またはコンデンサ426(CBilayer))における電圧は、例えば、VLIQがVPREより高いとき、VPREからVLIQに増大し、VLIQがVPREより低いとき、VPREからVLIQに減少するように、VLIQによる充電/放電の結果として減衰する挙動で変化していく。最終的な電圧値は、VLIQから作用電極の電荷だけずれる。積分コンデンサでの電圧レベルの変化率は、ナノポアを含み、結果としてナノポア内の分子(例えば、タグ付けされたヌクレオチドのタグ)を含み得る、二重層の抵抗の値によって支配され得る。電圧レベルは、スイッチ401が開路した後の所定時間に測定され得る。
[0082]スイッチ401は、データ収集速度で動作し得る。スイッチ401は、通常、ADCによる測定の直後の2回のデータ取得間の比較的短時間、閉路され得る。スイッチは、複数データポイントがサイクル毎に収集されることを可能にする。スイッチ401が開路のままのとき、積分コンデンサでの電圧レベルおよび、それゆえ、ADCの出力値は、完全に減衰し、そこに留まり得る。そのような複数の測定は、固定されたADC(例えば、平均化され得る、より多数の測定による8ビットから14ビット)を用いたより高い分解能を可能にさせ得る。複数の測定は、ナノポア内に充填される分子に関する動態情報をさらに提供し得る。時間の情報により、どれだけの長さで充填が発生するかの決定を可能にさせ得る。これは、核酸鎖に加えられる複数のヌクレオチドが配列決定されつつあるか否かを判定することを支援することにも用いられ得る。
[0083]図5は、ACサイクルの明期間および暗期間中のナノポアセルから取得されたデータポイントの例を示す。図5では、データポイントでの変化は、図解目的用に強調されている。作用電極または積分コンデンサに印加される電圧(VPRE)は、例えば、900mVなどの一定のレベルにある。ナノポアセルの対電極に印加される電圧信号510(VLIQ)は、方形波として示されるAC信号であり、このときデューティサイクルは、50%以下、例えば約40%のような任意の好適な値であり得る。
[0084]明期間520の間、対電極に印加される電圧信号510(VLIQ)は、作用電極に印加される電圧VPREより低く、その結果、タグは、作用電極および対電極に印加される、異なる電圧レベルに起因する電界によって、ナノポアの筒内に押し込まれ得る(例えば、タグ上の電荷および/またはイオンの流れにより)。スイッチ401が開路のとき、ADCの前のノードでの(例えば、積分コンデンサでの)電圧は、減少していく。電圧データポイントが取得された後(例えば、指定された期間の後)、スイッチ401は、閉路され得て、測定ノードでの電圧は、VPREへと再び戻るように増大していく。プロセスは、複数の電圧データポイントを測定するために繰り返され得る。このようにして、複数のデータポイントは、明期間の間に取得され得る。
[0085]図5に示すように、VLIQ信号の符号の変化の後の明期間内の第1のデータポイント522(第1のポイントデルタ(FPD)とも呼ばれる)は、後続のデータポイント524よりも低いことがあり得る。これは、ナノポア内にタグが存在しないからであり(開流路)、それゆえ、それは低抵抗および高放電率を有するためであり得る。いくつかの例では、第1のデータポイント522は、図5に示すようなVLIQレベルを超え得る。これは、信号をオンチップコンデンサに接続する二重層のキャパシタンスに起因し得る。データポイント524は、充填事象が発生した、すなわち、タグがナノポアの筒内に押し込まれた後取得され得て、この場合ナノポアの抵抗、およびそれゆえの積分コンデンサの放電速度は、ナノポアの筒内に押し込まれるタグの個々のタイプに依存する。データポイント524は、以下で説明するように、CDouble Layer424で生成される電荷により、測定毎にわずかに減少し得る。
[0086]暗期間530の間、対電極に印加される電圧信号510(VLIQ)は、作用電極に印加される電圧VPREより高く、その結果、何れのタグも、ナノポアの筒外に押し出され得る。スイッチ401が開路のとき、測定ノードでの電圧は、電圧信号510(VLIQ)の電圧レベルがVPREより高いので、増大する。電圧データポイントが取得された後(例えば、指定された期間の後)、スイッチ401は、閉路され得て、測定ノードでの電圧は、VPREへと再び戻るように減少していく。プロセスは、複数の電圧データポイントを測定するために繰り返され得る。このように、複数のデータポイントは、第1のポイントデルタ532および後続のデータポイント534を含む暗期間の間に取得され得る。上述のように、暗期間の間に、何れのヌクレオチドタグもナノポアの外に押し出され、それゆえ、任意のヌクレオチドタグに関する最小限度の情報が取得され、さらに正規化に用いられる。したがって、暗期間の間のセルからの出力電圧信号は、ほとんどまたは全く必要がない場合がある。
[0087]図5は、明期間540の間、対電極に印加される電圧信号510(VLIQ)は、作用電極に印加される電圧VPREより低いにもかかわらず、充填事象が発生しない(開経路)ことも示す。したがって、ナノポアの抵抗は低く、積分コンデンサの放電速度は高い。結果的に、第1のデータポイント542および後続のデータポイント544を含む、取得されたデータポイントは、低電圧レベルを示す。
[0088]明または暗期間の間に測定される電圧は、ナノポアの一定の抵抗(例えば、1つのタグがナノポア内にある間に所与のACサイクルの明モードの間に形成される)の測定毎にほぼ同一であると期待され得るが、このことは、電荷が2重層コンデンサ424(CDouble Layer)で生成する場合であり得ない。この電荷生成は、ナノポアセルの時定数をより長くさせる結果をもたらし得る。結果的に、電圧レベルは移動し、それにより測定値がサイクル内のデータポイント毎に減少するという結果をもたらし得る。このように、サイクル内で、データポイントは、図5に示すように、ある程度データポイントから別のデータポイントへ変化し得る。
4.塩基決定
[0089]ナノポアセンサチップの有効なナノポアセル毎に、生成モードが、核酸を配列決定するために実行され得る。配列決定中に取得されるADC出力データは、より高い精度を提供するために、正規化され得る。正規化は、サイクル形状およびベースラインシフトなどの偏位効果を引き起こし得る。正規化の後、実施形態は、充填された経路の電圧のクラスタを決定し得て、ここで各クラスタは、異なるタグ種、およびそれゆえの異なるヌクレオチドに対応する。クラスタは、所与のヌクレオチドに対応する所与の電圧の確率を算出するために使用され得る。別の例として、クラスタは、異なるヌクレオチド(塩基)間での差別化のための分離電圧を決定するために用いられ得る。
[0090]配列決定処理に関するさらなる詳細は、例えば、「Nanopore−Based Sequencing With Varying Voltage Stimulus(電圧刺激を変化させるナノポアベースの配列決定)」という名称の米国特許公開第2016/0178577、「Nanopore−Based Sequencing With Varying Voltage Stimulus(電圧刺激を変化させるナノポアベースの配列決定)」という名称の米国特許公開第2016/0178554、「Non−Destructive Bilayer Monitoring Using Measurement Of Bilayer Response To Electrical Stimulus(電気的刺激に応答した二重層の測定を用いた非破壊二重層モニタリング)」という名称の米国特許出願第15/085,700、および「Electrical Enhancement Of Bilayer Formation(二重層形成の電気的促進)」という名称の米国特許出願第15/085,713の中で見つけることができる。
III.ナノポアセルアレイ
[0091]配列決定ナノポアセルがナノポアセンサチップ上に配置されるとき、多くの核酸分子は並行して配列決定され得る。各セルは、いくつかの専用回路(例えば、積分コンデンサ)を有し得るが、いくつかの回路、例えば、ADC、信号源、電極、または制御回路を共有することもできる。
[0092]図6は、図1に示されるA−A線に沿って見たナノポアセンサチップ140内のナノポアセル150のアレイなどの、例となるナノポアセンサチップ内のナノポアセルのアレイ600の断面図である。図6は、ナノポアセルのアレイ600の行またはカラム内の複数のナノポアセルを示す。図2に関して上に説明されるように、各ナノポアセルは、ナノポアセンサチップのシリコン基板630および/または誘電体層601上に集積化された電気回路622を含む。各ナノポアセルは、誘電体層601および604によって形成されるそれぞれのウェル605、ならびにウェル605の底部に作用電極602を含む。ウェル605は、電解質の体積606を保持することができる。脂質二重層614は、誘電体層604上に形成され、各ウェル605を覆い得る。脂質二重層614は、各ウェル605の上部にナノポア616を含む。脂質二重層614の上部の試料室615は、分析されるべき分子、重合体がタグ付けされたヌクレオチド、または上に説明されるようなプライマを含み得るバルク電解質608を保持するように構成され得る。分析されるべき分子670は、例えば、ポリメラーゼと分子670との間の相互作用によって、ナノポア616上にドッキングされ得る)。いくつかの実施形態では、側壁636(図1に示される側壁136など)が、ナノポアセルのグループを分離するためにアレイ600に含まれ得て、その結果、各グループは、特徴づけのための異なるサンプルを受け取り得る。いくつかの実施形態では、ナノポアセンサチップは、試料室615を囲むカバープレート630を含み得る。
[0093]異なるナノポアセルからの対電極610は、試料室615内に配置され得、共通VLIQをナノポアセルに印加するための電圧源628に接続され得る。異なるナノポアセルのための対電極610は、共通電極を形成するために互いに物理的に接続され得る。異なるナノポアセルの作用電極602は、共通電圧源に接続され得るか、または異なる電圧源に独立して接続され得る。いくつかの実施形態では、異なるナノポアセルの電気回路622は、バス660に接続され得、異なるナノポアセルの積分コンデンサ上の電圧レベルは、以下に詳細に説明されるように異なるナノポアセルを連続して選択することによって、バス660を通じて連続的に読み出され得る。
[0094]図7は、ナノポアセル708の二次元アレイを含む、例となるナノポアセルアレイ700の上面図である。ナノポアセルアレイ700は、数千または数百万ものナノポアセルを含み得る。例えば、1つの実施形態では、ナノポアセルアレイ700は、512の線および512のカラム内に配置された512×512のナノポアセルを含み得る。いくつかの実施形態では、ナノポアセルアレイ700は、異なるバンク706にグループ分けされ得、各バンクが、ナノポアセルアレイ700内のナノポアセルのサブセットを含み得る。いくつかの実施形態では、ナノポアセルアレイ700の各カラム内のナノポアセルは、一緒にグループ化され得、各カラム内のナノポアセルの積分コンデンサにおける電圧レベルは、ADC712によってサンプリングされて変換され得る。カラム内のナノポアセルは、ナノポアセンサチップの全体の面積および電力消費を低減するために、同じADCを共有し得る。
[0095]行ドライバおよび事前充電回路718は、1つまたは複数の行内のナノポアセルを選択的に事前充電するために使用され得る(例えば、図4のスイッチ401を閉じて、行選択線(またはワード線)714を使用して1つまたは複数の行内のナノポアセルをVPREに接続することによって)。行ドライバおよび事前充電回路718はまた、行選択線(すなわち、ワード線)714を使用して各行を連続的に選択するために使用され得る。選択された行上のナノポアセルの積分コンデンサは、対応するカラム線716に接続され得る(例えば、オンチップ積分コンデンサ408(ncap)とADC410と間のスイッチ(図示せず)を通じて、またはオンチップ積分コンデンサ408(ncap)が使用されない場合には、パスデバイス406を通じて)。選択された行上のナノポアセルからの電圧信号は、任意選択的に、対応するカラム増幅器720によって処理され(例えば、検知されて増幅され)、対応するADC712によってデジタル出力に変換され得る。いくつかの実施形態では、複数のカラムが、同じカラム増幅器およびADCによってサーブされ得る。
[0096]図8は、ナノポアセル802の二次元アレイを含む、例となるナノポアセルアレイ800の模式図である。ナノポアセルアレイ800は、ナノポアセンサチップのすべてのナノポアセルを含み得るか、またはナノポアセンサチップのナノポアセルのサブセット(例えば、バンク)のみを含み得る。各ナノポアセル802の作用電極は、電圧源(例えば、図4のVPRE)(図示せず)に接続され得、各ナノポアセル802の対電極は、共通信号VLIQに接続され得る。ナノポアセルアレイ800は、複数のカラム線820を含み、各カラム線820が、同じカラム内のナノポアセル802に接続され、かつADC840に接続される。ナノポアセルアレイ800は、M行のナノポアセル802を含み、M行の各々は、行選択線810−0から810−M−1によって選択可能である。
[0097]配列決定プロセスの間、各ナノポアセル802の積分コンデンサは、まず、作用電極に印加される電圧源VPREによって事前充電され得(例えば、図4に示されるようなスイッチ401を通じて)、共通信号VLIQは、上に説明されるように、ナノポアセル802の対電極に印加され得る。ナノポアセル802上の積分コンデンサが充電/放電された後、M行の各々が連続的に選択され得て、行上のナノポアセルの積分コンデンサを対応するカラム線および対応するADCに接続する。積分コンデンサは、寄生コンデンサを通じて接続することを防ぐためにバッファされ得る。あるカラムのためのADC840は、こうして、カラム内のナノポアセルの積分コンデンサの電圧レベルを連続してサンプリングして変換し得る。
[0098]このようにして、データサンプルの1つのセットは、それぞれの事前充電および充電/放電動作後にナノポアセルアレイのカラム内のナノポアセルから取得され得る。複数の事前充電および充電/放電動作が、ACサイクルの明および暗期間において実施されるとき、データサンプルの複数のセットが取得され得、データサンプルの各セットが、カラム内のナノポアセルの各々からの1つのデータサンプルを含む。
[0099]図9は、ACサイクルの間の、ナノポアセルアレイ800などのナノポアセルアレイのカラム内のナノポアセルから取得されたデータサンプルの例を例証する。図9では、横軸は、配列決定プロセスの間の時間を表す。図9は、ACサイクルの明期間の時間Tの間、合計でK個のサンプルが、カラムにサーブするADCによって各ナノポアセルから取得され得ることを示す。
[0100]図8に関して上に説明されるように、ナノポアセルアレイのカラムは、各々が異なる行上にあるM個のナノポアセルを含み得る。ADCは、行0内のナノポアセルについての1つのデータサンプル、行1内のナノポアセルについての1つのデータサンプル、(中略)、および行M−1内のナノポアセルについての1つのデータサンプルを取得し得る。各ADC取得は、ナノポアセルの電極に印加されるAC信号よりもはるかに高速であるクロック信号によって制御され得る。カラム内の各ナノポアセルが一度サンプリングされると、カラム内のナノポアセルは、再び、電圧源VPREによって事前充電され、共通信号VLIQによって充電/放電され得る。その後、第2のデータサンプルが、カラム内のM個のナノポアセルの各々から連続的にまたはパイプライン内で取得され得る。配列決定プロセスは、明期間の間、カラム内のM個のナノポアセルの各々からK個のサンプルを取得するために繰り返され得る。その結果、合計でM×K個のサンプルが、明期間の時間Tの間、各カラム内のM個のナノポアセルから取得され得る。したがって、ADCのサンプル速度は、明期間の時間Tの間にM×K個のサンプルを取得するために、少なくともM×K/Tであり得る。データサンプルは、暗期間の間、同様の様式で取得され得る。
IV.フェーズドナノポアセルアレイ
[0101]上に論じられるように、例えばアナログデジタル変換器の限られたサンプリングおよび変換速度、ならびに/またはバス、データ記憶デバイス、もしくはデータ処理回路の限られた帯域幅に起因して、可能性のあるサンプリング速度に対する上限が存在する。カラム内のすべてのナノポアセルが共通VLIQ信号によって制御されるとき、ほぼすべての有用なデータが、共通明期間の間に取得される一方、暗期間の間、有用なデータは、ほとんどまたは全く取得されないことがある。したがって、データサンプリングおよび変換回路の帯域幅のかなりの部分は、少なくとも暗期間の間は有用なデータを取得するために利用されないことがある。
[0102]本明細書に開示される技術は、異なる位相を有するAC信号をカラム内の異なるナノポアセルに印加することによって、上の問題を解決し、サンプリングおよび変換回路のセルあたりの効果的なサンプリング速度を増加させる。その結果、一部のナノポアセルが暗期間にあるとき、一部の他のナノポアセルは明期間にあり、共有サンプリングおよび変換回路によってサンプリングされている。例えば、いくつかの実施形態では、カラム内のナノポアセルは、2つ以上のグループに分けられ得る。共通VLIQが、すべてのナノポアセルの対電極に印加され得、ナノポアセルの各グループ内のナノポアセルの作用電極に印加されるAC信号VPREの位相が、異なる値によって遅延され得る。このようにして、任意の所与の時間において、データサンプリングおよび変換回路は、暗期間が、例えば、正規化目的のためだけに、最小限にサンプリングされる状態で、明期間にあるカラム内のナノポアセルの部分からの出力電圧信号をサンプリングして変換し得る。そのようなものとして、データサンプリングおよび変換は、明期間にある各ナノポアセルに対してより高い速度で実施され得る。さらには、暗期間が最小限にのみサンプリングされるため、暗期間が不必要に高い速度でサンプリングされる場合とは対照的に、取得されるデータのすべてまたはほぼすべてが有用である。
A.アーキテクチャ
[0103]図10は、本開示のある態様による、ナノポアセル1002の二次元アレイを含む、例となるナノポアセルアレイ1000の模式図である。図8のナノポアセルアレイ800と同様に、ナノポアセルアレイ1000は、ナノポアセンサチップのすべてのナノポアセルを含み得るか、またはナノポアセンサチップのナノポアセルのサブセットのみを含み得る。ナノポアセルアレイ1000は、複数のカラム線1020を含み、各カラム線1020が、同じカラム内のナノポアセル1002に接続され、かつADC1040に接続される。ナノポアセルアレイ1000は、M行のナノポアセル1002を含み、M行の各々は、行選択線1010によって選択可能である。ナノポアセルアレイ1000内のナノポアセル1002は、N個のグループに分けられ得、Nは、2からカラム内のナノポアセルの総数の間の任意の数であり得る。1つの実施形態では、ナノポアセルアレイ1000は、N個のグループの各グループがM/N行内にナノポアセルを含み得るように分けられ得る。他の実施形態では、ナノポアセルアレイ1000内のナノポアセル1002は、異なる様式でN個のグループに分けられ得る。例えば、一部のグループは、一部の他のグループよりも多くのナノポアセルを有し得る。いくつかの実施形態では、ナノポアセルは1行おきに同じグループ内にあり得る。いくつかの実施形態では、ナノポアセルは行の対ごとに交代で同じグループ内にあり得る。いくつかの実施形態では、グループ内のナノポアセルは、同じ領域内にあり得る。いくつかの実施形態では、グループ内のナノポアセルは、同じ領域内にないことがあり、他のグループ内のナノポアセルによって分離され得る。
[0104]ナノポアセルアレイ1000内の各ナノポアセル1002の対電極は、一定の電圧レベルであり得る共通信号VLIQ(図示せず)に接続され得る。N個のグループの各グループ内のナノポアセル1002の作用電極は、共通信号VPRE(1030)に接続され得、N個のグループのための信号VPRE(すなわち、VPRE1、VPRE2、(中略)、VPREN)は、N個のグループに独立して印加され得、互いに異なる位相にあり得る。例えば、N個のグループのための信号VPREは、同じ信号源からのものであり得るが、遅延線またはゲートによって異なって遅延され得る。遅延は、以下の図11に例証されるように、サンプリングが主に明期間の間であることを可能にする。このようにして、より高い粒度での制御は、ナノポアセルのより多くのグループが異なるVPRE信号を受信することにより達成され得る。グループ化は、同じVPRE信号をグループ内のナノポアセルに印加することによって電気的に行われるため、グループ化は、ナノポアセルの作用電極がサブグループレベルまたはセルレベルにおいて独立してアドレス可能であるときには、スケーラブルかつ動的に構成可能であり得る。
[0105]いくつかの実装形態では、各ナノポアセルは、スイッチを含み得る。スイッチは、図4のスイッチ401、例えば、スイッチ401の上流、またはスイッチ401と並列に接続され得るが、協調制御信号を伴う。スイッチは、ナノポアセルの作用電極(および電圧信号VPRE405)を高電圧レベルまたは低電圧レベルに選択的に接続し得る。例えば、スイッチは、作用電極が、AC制御信号のサイクルのある部分の間は高電圧レベルに接続され得、サイクルの別の部分の間は低電圧レベルに接続され得るように、方形波または矩形波信号などのAC制御信号によって制御され得る。いくつかの実施形態では、スイッチは、逆制御信号によって制御される2つのスイッチを使用して実装され得、この場合、一方のスイッチは、作用電極を高電圧レベルに接続するように構成され得、もう一方のスイッチは、作用電極を低電圧レベルに接続するように構成され得る。AC制御信号は、デジタルクロック信号などのデジタル信号であり得る。高電圧レベルは、共通信号VLIQよりも高くてもよく、低電圧レベルは、共通信号VLIQよりも低くてもよい。そのようなものとして、AC VPRE信号は、ナノポアセルに効果的に印加され得る。異なるVPRE信号は、異なるデジタルAC制御信号(例えば、異なる位相遅延を有する)をナノポアセルに印加することによって、異なるナノポアセルに印加され得る。いくつかのナノポアセルは、ナノポアセルのN個のグループのグループを形成するために、同じ位相を有するデジタルAC制御信号を受信し得る。このようにして、グループは、1つまたは複数のナノポアセルを含み得、ナノポアセルのグループ化は、より柔軟かつ動的であり得る。例えば、グループ化は、ナノポアセルに印加されるデジタルAC制御信号を変更することによって動的に変更され得、同じ付近にないナノポアセルが、グループを形成し得る。
[0106]いくつかの実装形態では、ナノポアセンサチップは、ナノポアセンサチップのナノポアセルの上に2つ以上の異なる流体チャネルを含み得る。ナノポアセンサチップ内のナノポアセルは、それらが入っている流体チャネルに基づいてグループ化され得る。例えば、異なる流体チャネル内のナノポアセルは、異なるグループに割り当てられ得る。いくつかの実装形態では、2つ以上の流体チャネル内のナノポアセルが、一緒にグループ化され得る。異なるAC信号VLIQは、次いで、異なるグループ内のナノポアセルの対電極を駆動するために使用され得る。例えば、異なるグループ内のナノポアセルの対電極を駆動するためのAC信号は、異なる位相または遅延を有し得る。VLIQ信号の異なる位相の結果として、異なるグループ内のナノポアセルは、異なる時に明期間にあり得、したがって異なるグループ内のナノポアセルの出力は、共有サンプリング回路によって異なる時にサンプリングされ得る。
B.異なる位相を有する異なるセルグループのAC信号
[0107]図11は、本開示のある態様による、ナノポアセルアレイ1000などのナノポアセルアレイのための例となるAC信号(VPRE)を例証する。M行を有するナノポアセルアレイ1000内のナノポアセルは、N個のグループに分けられ得る。図11は、複数のグラフを含み、各グラフは、N個のグループのセルグループに印加されるAC信号および対応するサンプル点を示す。図11の横軸は、配列決定プロセスの間の時間を表す。
[0108]図11に示されるように、ナノポアセルアレイ1000内の各ナノポアセルの対電極は、一定の電圧レベルであり得る共通信号VLIQに接続され得る。N個のグループの各グループ内のナノポアセルの作用電極は、信号VPREに接続され得、N個のグループのための信号VPRE(すなわち、VPRE1、VPRE2、(中略)、VPREN)は、互いと異なる位相にあり得る。
[0109]いくつかの実施形態では、N個のグループのための信号VPREは各々、明期間にほぼ等しい時間期間によって他から徐々に遅延され得る。図11に示される例では、N VPRE信号は、高電圧レベルと低電圧レベルとの間でトグルする矩形AC信号である。VPRE信号は、1つのグループ内のナノポアセルが明期間にあるとき(例えば、VLIQがVPREよりも低いとき)、他のグループ内のナノポアセルが暗期間にあるように、互いから遅延される。
[0110]例えば、グループ1内のナノポアセルでは、明期間の間、信号VPRE1は、一定のVLIQよりも高いことがある高電圧レベルにあり得、VPRE1によって制御されるグループ1内の各ナノポアセル内の積分コンデンサは、まず、VPRE1の高電圧レベルに事前充電され得る。次いで、積分コンデンサは、VPRE1から切断され、ナノポアを通じて低レベル信号VLIQによって放電され得る。放電の速度は、ナノポアの抵抗に依存し、このナノポアの抵抗は、異なる構造およびサイズのタグが上に説明されるようにナノポアの筒内へ押し込まれるときに変化し得る。積分コンデンサの電圧レベルは、積分コンデンサが選択された時間期間の間放電された後、サンプリングおよび変換回路(例えば、ADC)によって測定され得る。1つまたは複数のサンプルは、明期間の間にこの様式でナノポアセルから取得され得る。
[0111]VPRE1によって制御されるグループ1内のナノポアセルが幅Tの明期間にあるとき、信号VPRE2からVPRENによって制御されるグループ2−N内のナノポアセルは、それぞれ、暗期間にあり得る。この時間期間Tの間、MではなくM/N個の、カラム内のナノポアセルが1つのADCによってサーブされ得る。したがって、時間期間Tの間、各ナノポアセルについてK個のサンプルを取得するために、(M×K/T)/Nのサンプリング速度を有するADCが使用され得る。言い換えると、M×K/Tのサンプリング速度を有するADCは、時間期間Tの間、各ナノポアセルについてK×N(Kではなく)個のサンプルを取得することができる可能性がある。したがって、各ナノポアセルは、より速い速度でサンプリングされ得(例えば、N倍速い)、それゆえに、より短い持続時間を有する事象を検出し得る。
[0112]信号VPRE1が低電圧レベルにトグルした後、グループ1内のナノポアセルは、暗期間に入り得る。暗期間の間、信号VPRE1は、一定のVLIQレベルよりも低い可能性がある低電圧レベルにあり得、ヌクレオチドと関連付けられたタグは、ナノポアの外へ押し出され得る。様々な実施形態では、暗期間の間データサンプルは取得されないことがあるか、または暗期間の終わり(もしくは始まり)における1つもしくは複数のデータサンプルが、各ACサイクル内で、例えば、正規化の目的のために、取得され得る。暗期間におけるサンプリングをさらに制限するために、一部の暗期間のみが、例えば、8暗期間ごとなど、n暗期間ごとにサンプリングされ得る。暗期間においてデータサンプルを取得するために、VPRE1によって制御されるグループ1内の各ナノポアセル内の積分コンデンサは、まず、VPRE1の低電圧レベルに事前充電され得る。次いで、積分コンデンサは、VPRE1から切断され、ナノポアを通じて信号VLIQによって充電され得る。充電速度は、上に説明されるようなナノポアの抵抗に依存する。
[0113]信号VPRE1が低電圧レベルへトグルした後、信号VPRE2は、信号VPRE2によって制御されるグループ2内のナノポアセルが、明期間に入り得るように、低電圧レベルから高電圧レベルへトグルし得、グループ2内のナノポアセルからのデータサンプルは、共有サンプリングおよび変換回路によって取得され得る。上に説明されるように、複数のデータサンプルが、明期間の間、グループ2内の各ナノポアセルについて取得され得、グループ2内の各ナノポアセルからの1つまたは複数のデータサンプルは、正規化の目的のために、1つまたは複数のACサイクルの間、暗期間の終わりに取得され得る。
[0114]グループ3〜Nの各々におけるナノポアセルは、連続して明期間に入り得、各グループ内のナノポアセルの各々からの複数のデータサンプルは、上に説明される様式で共有サンプリングおよび変換回路によって取得され得る。グループNからのナノポアセルが明期間から暗期間に入った後、グループ1からのナノポアセルは、配列決定データサンプリングのための新しいACサイクルにおいて再び明期間に入り得る。
[0115]図12は、本開示のある態様による、ナノポアセルアレイ1000などのナノポアセルアレイのカラム内のナノポアセルから取得された例となるデータサンプルを例証する。図12の横軸は、配列決定プロセスの間の時間を表す。図内の灰色のボックスは、行選択事象を示す。ナノポアセルアレイのカラムは、各々が異なる行上にあるM個のナノポアセルを含む。M個のナノポアセルは、N個の異なるグループに分けられ、各グループ内にM/N個のナノポアセルを有する。VPRE1の影響下にあるグループ1内のナノポアセル(行0からM/N−1内のナノポアセル)が、明期間Tにあるとき、信号VPRE2〜VPRENによって制御されるグループ2〜Nのナノポアセルは、それぞれ、暗期間にあり得る。したがって、明期間Tの間、行0〜M/N−1内のナノポアセルからの出力のみが、カラムにサーブするADCによって取得され得る。
[0116]グループ1内のナノポアセルの各々は、高レベルの信号VPRE1に事前充電され、ナノポアを通じて信号VLIQによって放電され得る。選択された放電時間の後、ADCは、行0内のナノポアセルについての1つのデータサンプル、行1内のナノポアセルについての1つのデータサンプル、(中略)、行M/N−1内のナノポアセルについて1つのデータサンプルを取得し得る。グループ1に属するカラム内の各セルが一度サンプリングされると、グループ1内のナノポアセルの各々は、高レベルの信号VPRE1に再び事前充電され、ナノポアを通じて信号VLIQによって放電され得る。選択された放電時間の後、ADCは、行0内のナノポアセルについての第2のデータサンプル、行1内のナノポアセルについての第2のデータサンプル、(中略)、および行M/N−1内のナノポアセルについての第2のデータサンプルを取得し得る。配列決定プロセスは、明期間の間、グループ1内のM/N個のナノポアセルの各々から複数のサンプルを取得するために繰り返され得る。したがって、M×K/Tのサンプリング速度を有するADCでは、図9に例証される明期間Tの間ナノポアセルの各々から取得されるK個のサンプルと比較して、合計でΝ×Κ個のサンプルが、明期間Tの間、グループ1内のM/N個のセルの各々から取得され得る。したがって、ナノポアセルアレイ800内のナノポアセルと比較して、ナノポアセルアレイ1000内の各ナノポアセルは、より速いサンプリングおよび変換回路を使用することなくN倍速く測定され得、それゆえに、より短い持続時間を有する事象を検出することができる。
[0117]同様に、グループ2内の(またはグループ3からNのいずれかの)ナノポアセルが明期間にあり、他のグループ内のナノポアセルが暗期間にあるとき、合計でΝ×Κ個のサンプルが、明期間Tの間、グループ2内の(またはグループ3からNのいずれかの)M/N個のセルの各々から取得され得る。
[0118]このようにして、データサンプリングおよび変換回路は、データサンプリングおよび変換回路の全体的な速度が変わらないとしても、所与の時間におけるカラム内のナノポアセルの一部分にのみサーブすることによって、より高いサンプリング速度でナノポアセルの部分内の各ナノポアセルからの出力信号をサンプリングして変換することができる。したがって、より短い持続時間を有する事象が検出され得る。
[0119]加えて、または代替的に、AC制御信号(例えば、VPRE)の周波数は、明期間の間に取得されるサンプルの数を増大することを伴って、または伴わずに、増大され得る。その結果、一定数のユニット(例えば、塩基)を用いて重合体分子を配列決定することにかかる時間期間は、より短いACサイクルが理由で、より短くなり得る。加えて、効果的なサンプリング速度は、より短いACサイクルを有する各ナノポアセルではより高くなることから、より短い持続時間を有する事象が検出され得る。
[0120]図11および図12は、ナノポアセルの異なるグループのための異なるVPRE信号の明期間同士が重複しないことが実施形態を例証する。そのような実施形態は、各AC制御信号の明期間が、グループの数Nによって分割されるACサイクルの期間より短いとき、すなわち、AC制御信号のデューティサイクルが1/Nを超えないときに起こり得る。例えば、ナノポアセルアレイ内のナノポアセルが2つのグループに分けられ、AC制御信号のデューティサイクルが50%を超えない、すなわち、明期間が暗期間に等しいかそれよりも短いとき、ナノポアセルの2つのグループのVPRE信号の明期間同士の重複は発生しないことがある。図11および図12内の異なるグループのためのVPRE信号は、いくつかの同様のプロパティ(例えば、同じ電圧レベル、デューティサイクル、およびサイクル時間)を有して示され、異なる遅延によって同じ信号源から派生され得るが、各ナノポアセルの作用電極が他のナノポアセルの作用電極とは独立していてもよいことから、異なるグループのためのVPRE信号は、互いと独立していてもよい。したがって、VPRE信号は、異なる電圧レベル、デューティサイクル、サイクル時間、および位相を有し得る。
[0121]上に説明されるように、いくつかの実装形態では、各ナノポアセルは、ナノポアセルの作用電極(およびVPRE)を高電圧レベルおよび低電圧レベルに交互に接続するようにAC制御信号によって制御され得るスイッチを含み得る。高電圧レベルは、共通信号VLIQよりも高くてもよく、低電圧レベルは、共通信号VLIQよりも低くてもよい。したがって、異なる位相を有するVPRE信号は、スイッチのために異なる位相を有するデジタルAC制御信号を使用して、ナノポアセルの異なるグループの、または異なる別個のナノポアセルの作用電極に効果的に印加され得る。
[0122]上に説明されるように、いくつかの実装形態では、ナノポアセンサチップ内のナノポアセルは、それらが入っている流体チャネルに基づいてグループ化され得、図11に関して説明されるように各グループのために異なるAC信号VPREを使用するのではなく、異なるAC信号VLIQが、異なるグループ内のナノポアセルの対電極を駆動するために使用され得る。そのような実装形態では、異なるグループのためのVLIQ信号は、VPRE信号が図11において構成されるやり方と同様に、異なって遅延され得る。異なるグループ内のナノポアセルの出力は、ナノポアセルが図12に関して説明されるようにサンプリングされるやり方と同様のやり方で、共有サンプリング回路(例えば、ADC)によって異なる時にサンプリングされ得る。
C.適応および選択的サンプリング
[0123]いくつかの実装形態では、VPRE信号は、ナノポアセルの異なるグループに印加される異なるVPRE信号の明期間同士に重複期間が存在し得るように構成され得る。そのような実装形態では、データサンプリングおよび変換回路または制御回路は、異なるACサイクル内の各重複期間の間ナノポアセルのグループがサンプリングされて変換されることになる出力電圧信号を決定するように構成され得る。
[0124]図13は、本開示のある態様による、ナノポアセルアレイ1000などのナノポアセルアレイのための例となる制御信号(VPRE)を示す。図13の横軸は、配列決定プロセスの間の時間を表す。図13に示されるように、ナノポアセルアレイ1000内の各ナノポアセルの対電極は、一定の電圧レベルであり得る共通信号VLIQに接続され得る。N個のグループの各グループ内のナノポアセルの作用電極は、信号VPREに接続され得、N個のグループのための信号VPRE(すなわち、VPRE1、VPRE2、(中略)、VPREN)は、互いと異なる位相にある。例えば、信号VPREのデューティサイクルが1/Nを超える場合、N個のグループのための信号VPREのうちの1つまたは複数は各々、明期間よりも短い時間期間によって他から徐々に遅延され得る。その結果、ナノポアセルの異なるグループに印加される異なるVPRE信号の明期間同士に重複期間が存在し得る。そのような実装形態の利点は、50%よりも高い明期間を有するデューティサイクルが使用され得ること、またはセルが2つを超えるグループに分割され、異なる位相を有する2つを超える信号によって制御され得ることである。
[0125]非重複明期間の間、明期間にあるナノポアセルアレイ1000のグループ内の各ナノポアセルは、図8に示されるナノポアセルよりも高い速度でサンプリングされ得る(図11および図12に関して上に説明されるように)。いくつかの場合では、重複期間の間、データサンプリングおよび変換回路または制御回路は、サンプリングされるべきナノポアセルのグループを動的に決定し得る一方、重複明期間にあるナノポアセルの他のグループからの出力信号を無視する。いくつかの場合では、重複間隔の間、明期間にある異なるグループ内のナノポアセルのサンプリング速度は、1つを超えるグループからのナノポアセルが明期間にあるために、低減され得る。例えば、いくつかの場合では、明期間にある異なるグループ内のナノポアセルのサンプリング速度は、等しいが、1つのグループのみが明期間にあるときのサンプリング速度に対して低減された速度にあり得る。他の場合では、明期間にある異なるグループ内のナノポアセルのサンプリング速度は、低減されかつ異なった速度にあり得る。
D.利点
[0126]本開示に説明される技術は、共通制御信号をすべてのナノポアセルに印加するのではなく、個々のセルレベルで、またはグループレベルでなど、より高い粒度でナノポアセルを制御することを可能にする。そのようなものとして、明期間にあるセルの数は、経時的により一定であり得、明期間にある各セルのためのサンプリングおよび変換速度は、利用可能なリソースが任意の所与の時間においてより効率的に利用され得るために、データサンプリングおよび変換回路の全体的な速度を変更することなく、増大され得る。
[0127]上に説明されるように、短い持続時間を有する事象を検出するために各ナノポアセルのための効果的なサンプリング速度を増加させ、配列決定時間を低減することに加えて、他の利点が、本明細書に開示される技術を使用して達成され得る。例えば、データサンプリングおよび変換回路の帯域幅は、配列決定に有用であるデータサンプルを取得するために任意の所与の時間において十分に生かされ得る。それゆえに、より高い密度またはより大きい数のセルを有するナノポアセンサチップが可能になり得る。加えて、または代替的に、暗期間にあるセルから取得されるサンプリングされるデータの低減により、ナノポアセンサチップから輸送され、後続の記憶または処理回路によって処理されるべきデータの量は低減され得、これにより、より低い性能(例えば、速度または帯域幅)または容量(例えば、メモリ空間またはデータチャネル)を有する回路が使用され得ることから、配列決定システムの費用を低減し得る。
[0128]さらに、同じ時間の間、一部のナノポアセルが暗期間にある一方、一部の他のナノポアセルが明期間にあることから、および共通VLIQがセルの対電極に印加される(またはそれらによって共有される)ことから、対電極上の総電流は、任意の所与の時間において少なくとも部分的に低減され得る。これは、暗期間にあるセルからの電流と明期間にあるセルからの電流との反対極性によって引き起こされ、対電極内へ流れる電子および電極から流れ出る電子は、対電極上の正味電流を低減させ得る。さらには、VPRE信号のAC性が理由で、対電極および各セルのための作用電極上の電流もまた経時的に平衡され得る。
[0129]いくつかの実装形態では、一定の電圧レベルであるのではなく、対電極に印加されるVLIQ信号もまたAC信号であり得るが、作用電極に印加されるVPRE信号よりも低い周波数にあり得る。このようにして、所与の時間において、暗期間にあるセルからの電流と明期間にあるセルからの電流との間に任意の不均衡が存在する場合でさえ(例えば、デューティサイクルが50%とは異なり、暗期間にあるナノポアセルのいくつかのグループが、明期間にあるナノポアセルのいくつかのグループとは異なり得るため)、対電極上の全体的な電流は、経時的に平衡され得る。そのようなものとして、対電極上での電圧降下、それゆえに出力電圧のシフトは、低減され得る。
V.ADC入力レンジ制御
[0130]多くの場合において、測定されるべき積分コンデンサ(例えば、積分コンデンサ408(ncap))上の電圧レベルは、特定のより小さい範囲内に密集し得る。したがって、ADCの入力レンジが固定される場合には、ADCのダイナミックレンジは、十分に生かされない場合がある。ADCのダイナミックレンジを十分に生かすために、ADCの入力レンジは、測定されるべき予測電圧レベルに基づいてADCの参照レベルを適応的に変更することによって、動的に変更され得る。
[0131]ADCにおいて、ADCのフルスケール入力レンジおよび共通モード電圧は、正の参照レベル(VREFP)および負の参照レベル(VREFN)など、ADCの参照レベルに依存し得る。共通モード電圧は、VREFPおよびVREFNの平均であり得る。ADCによってサンプリングされるべき信号がVREFNに近い電圧レベルにあるとき、ADCの入力は、ゼロスケールに近くなり得、すなわち、ADCの出力は、可能性のある最も低い値に近い値を表し得る。正確な出力コードは、例えば、ストレートバイナリ、オフセットバイナリ、2の補数などを含み得る、ADCの符号化方式に依存し得る。
[0132]ADCによってサンプリングされるべき信号がVREFPに近い電圧レベルにあるとき、ADCの入力は、フルスケール近くにあり得、ADCの出力は、可能性のある最も高い値に近い値を表し得る。ADCのダイナミックレンジを十分に生かすため(すなわち、ADCが分解することができる信号振幅の範囲)、入力信号レベルは、特定のより小さい範囲内に密集されるのではなく、VREFPとVREFNとの間により完全に分散されることが望ましい。8ビットADCでは、入力信号レベルが0V〜1Vの間である場合、VREFPは、1Vに設定され得、VREFNは、0Vに設定され得、またADCは、約4mVよりも大きい差を有する2つの信号レベルを区別することができてもよい。入力信号レベルが0.25V〜0.5Vの間である場合、VREFPは、0.5Vに設定され得、VREFNは、0.25Vに設定され得、またADCは、約1mVよりも大きい差を有する2つの信号レベルを区別することができてもよい。
[0133]しかしながら、図11または図13に示されるように、いくつかの場合では、ADCによってサンプリングされるべき積分コンデンサの電圧レベルは、VPRE信号の低電圧レベルと高電圧レベルとの間のフルレンジ内に分散されないことがある。したがって、ADCの固定の参照レベル(VREFPおよびVREFN)では、出力コードが、可能性のあるすべてのコード(例えば、8ビットADCのための256の異なるコード)の一部分のみを含み得るため、または言い換えると、信号レベルが、ADCの可能性のある最大解像度で分解されないことがあるために、ADCのダイナミックレンジは、十分に生かされないことがある。
[0134]図14Aは、ナノポアセンサチップ内のADCのための固定の参照レベルを示す。図14Aに示されるように、ADCによってサンプリングされるべき積分コンデンサの電圧レベル1430は、VPREの低電圧レベル1410またはVPREの高電圧レベル1420に近くてもよい。したがって、これらすべての電圧レベルをADCの入力レンジ内に含めるために、ADCのためのVREFPは、フルスケール入力近くの飽和(例えば、オーバーシュートによって引き起こされる)および/またはゆがみを回避するために、VPREの高電圧レベル1420をわずかに上回るレベルに設定され得る。ADCのためのVREFNは、VPREの低電圧レベル1410をわずかに下回るレベルに設定され得る。しかしながら、積分コンデンサの電圧レベルは、入力レンジの中間部分(模様付領域1440として示される)の範囲に入らない。したがって、ADCのフルスケール入力レンジの中間レンジは、全く使用されないことがあり、ADCのダイナミックレンジは十分に生かされないことがある。ADCのダイナミックレンジを十分に生かすために、ADCの参照レベルは、ADCの入力レンジが模様付領域1440を含まないように動的に変更され得る。
[0135]図14Bは、ナノポアセンサチップ内のADCのための可変の参照レベルを示す。参照レベルは、参照レベルVREFPおよびVREFNを含み、これらがADCのフルスケール入力レンジおよび共通モード電圧を決定する。参照レベルVREFPおよびVREFNは、ナノポアセルを明および暗期間に入らせるVPRE信号により変化し得る。したがって、ADCのフルスケール入力レンジおよび/または共通モードは、明および暗期間の間、異なり得る。この様式では、ナノポアセルの出力電圧信号は、ADCのフルスケール入力レンジの特定の狭い範囲内にのみ分散されるのではなく、ADCのフルスケール入力レンジ内により良好に適合し得る。
[0136]例えば、図14Bに示されるように、暗期間においてデータサンプル1430を取得するために、VREFPは、VLIQを下回るレベル1450に設定され得る。ADCの入力レンジ(斜線領域として示される)が、VLIQを下回りかつレベル1450と1460との間の領域のみを含むが、積分コンデンサの電圧レベルが範囲内に入らないレベル1450を上回る領域を含まないように、VREFNは、VPREの低電圧レベル1455を下回るレベル1460に設定され得る。明期間においてデータサンプルを取得するため、VREFPは、VPREの高電圧レベル1475を上回るレベル1470に設定され得、VREFNは、VLIQを上回るレベル1480に設定され得る。したがって、ADCの入力レンジ(斜線領域として示される)は、VLIQを上回りかつレベル1470と1480との間の領域のみを含み得るが、積分コンデンサの電圧レベルが範囲内に入らないレベル1480を下回る領域を含まない。同じ参照設定が、あるグループの暗期間1490の間、使用され得、このときデータサンプルは、そのグループ内のナノポアセルから取得されず、データサンプルは、明期間にある他のグループ内のナノポアセルから取得される。
[0137]このようにして、ADCの入力レンジ(および共通モード入力)は、積分コンデンサの電圧レベルが入り得る範囲のみを含むように動的に変更され得る。したがって、入力レンジ内の電圧レベルは、ADCの可能性のある最大解像度で分解され得る。
VI.セルあたりのサンプリング速度を増加させる方法の例
[0138]図15は、本開示のある態様による、セルのセットを含むセンサを使用して核酸配列決定する方法の例を例証するフローチャート1500である。フローチャート1500によって例証される方法は、異なる位相を有するAC信号をナノポアセンサチップ内のナノポアセルの異なるグループに印加することができる。その結果、一部のナノポアセルが暗期間にあるとき、一部の他のナノポアセルは、明期間にあり、共有サンプリングおよび変換回路によってサンプリングされている。したがって、本方法は、任意の時点においてサンプリングおよび変換回路によってサービスされるセルの数を低減し、それゆえに、より高速のデータサンプリングおよび変換回路を使用せずにセルあたりのサンプリング速度を増加させることができる。
[0139]ブロック1510において、図6の回路622などの第1の回路は、第1のAC信号をナノポアセンサチップ内のセルのセットの第1のセルグループに印加し得る。図10に関して上に説明されるように、ナノポアセンサチップ内のセルのセットは、複数のグループに分けられ得、各グループは、他のグループから独立しており、AC信号をナノポアセルの第1のグループに印加するための対応する回路を有し得る。AC信号は、矩形波であり得、選択されたデューティサイクルを有し得る。AC信号は、グループ内の各ナノポアセルの作用電極、例えば、図4内のナノポアセル400の作用電極402または図6内の作用電極602に印加され得る。
[0140]ブロック1520において、第2の回路は、第2のAC信号をセルのセットの第2のセルグループに印加し得る。いくつかの実施形態では、第1のAC信号および第2のAC信号は、異なる位相を有し得、異なる遅延によって同じ信号源から派生され得る。いくつかの実施形態では、第1のAC信号および第2のAC信号はまた、振幅、デューティサイクル、または周波数のうちの少なくとも1つにおいて異なり得る。
[0141]ブロック1530において、第1のAC信号の第1の部分の間、第1のセルグループは、明期間にあり得、アナログデジタル変換器は、第1のセルグループからの出力信号をサンプリングし得る。同じ時間期間の間、第2のセルグループは、第1のAC信号と第2のAC信号との間の位相差に起因して暗期間にあり得、第2のセルグループからの出力信号は、アナログデジタル変換器によってサンプリングされなくてもよい。したがって、第1のAC信号の第1の部分の間、アナログデジタル変換器は、第1のセルグループのみにサーブし得る。
[0142]ブロック1540において、第1のAC信号の第2の部分の間、第1のセルグループは、暗期間にあり得、アナログデジタル変換器は、第1のセルグループからの出力信号をサンプリングしなくてもよい。同じ時間期間の間、第2のセルグループは、明期間にあり得、第2のセルグループからの出力信号は、アナログデジタル変換器によってサンプリングされ得る。したがって、第1のAC信号の第2の部分の間、アナログデジタル変換器は、第2のセルグループのみにサーブし得る。図11に示されるようないくつかの実施形態では、第1のセルグループの明期間と第2のセルグループの明期間との間に重複が存在しないことがある。図13に示されるような他の実施形態では、第1のセルグループの明期間および第2のセルグループの明期間は、部分的に重複し得、異なる方式が、図13に関して上に説明されるように、2つのセルグループからの出力信号がアナログデジタル変換器によってどのようにサンプリングされ得るかを決定するために使用され得る。
[0143]図15はデータ処理を連続プロセスとして説明しているが、動作の多くは、並行または同時に実施され得ることに留意されたい。加えて、動作の順序は並べ替えられてもよい。動作は、図に含まれない追加のステップを有してもよい。いくつかの動作は、任意選択的であり得、それゆえに、様々な実施形態においては省略され得る。1つのブロックにおいて説明されるいくつかの動作は、別のブロックにおける動作と一緒に実施されてもよい。例えば、いくつかの動作は、並行して実施されてもよい。さらには、本方法の実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、またはそれらの任意の組み合わせで実装され得る。
VII.コンピュータシステム
[0144]本明細書で説明したコンピュータシステムの任意のものは、任意の適切な数のサブシステムを利用し得る。そのようなサブシステムの例は、図16のコンピュータシステム10内で示した。いくつかの実施形態では、コンピュータシステムは、単一のコンピュータ装置を含み、ここでサブシステムは、コンピュータ装置の構成要素であり得る。他の実施形態では、コンピュータシステムは、各々がサブシステムであり、内部に構成要素を有する、複数のコンピュータ装置を含み得る。コンピュータシステムは、デスクトップおよびラップトップコンピュータ、タブレット、携帯電話、ならびに他の携帯機器を含み得る。
[0145]図16で示したサブシステムは、システムバス75を介して相互接続されている。プリンタ74、キーボード78、記憶デバイス79、ディスプレイアダプタ82に接続されているモニタ76、およびその他などの付加的なサブシステムを示す。I/O制御装置71に接続された外付けおよび入出力(I/O)デバイスは、入出力(I/O)ポート77(例えば、USB、Fire Wire(登録商標))などの当技術分野で知られている任意の数の手段によって、コンピュータシステムに接続され得る。例えば、I/Oポート77または外部インタフェース81(例えば、イーサネット(登録商標)、Wi−Fi、など)は、コンピュータシステム10をインターネットなどの広域ネットワーク、マウス入力装置、またはスキャナに接続するために用いられ得る。システムバス75を介した相互接続により、サブシステム間での情報交換を可能にするだけでなく、セントラルプロセッサ73が、各サブシステムと通信すること、システムメモリ72または記憶デバイス79(例えば、ハードドライブまたは光ディスクなどの固定ディスク)からの複数の命令実行を制御することを可能にする。システムメモリ72および/または記憶デバイス79は、コンピュータ可読媒体を含み得る。別のサブシステムは、カメラ、マイクロフォン、加速度計、その他などのデータ収集デバイス85である。本明細書で説明したデータの任意のものは、ある構成要素から別の構成要素へ出力され得て、ユーザに出力され得る。
[0146]コンピュータシステムは、例えば、外部インタフェース81によって、内部インタフェースによって、または1つの構成要素から別の構成要素へ接続され得るおよび取り外され得るリムーバル記憶デバイスを介して、共に接続される、複数の同一の構成要素またはサブシステムを含み得る。いくつかの実施形態では、コンピュータシステム、サブシステム、または装置は、ネットワークを通して通信し得る。そのような事例では、あるコンピュータは、クライアント、別のコンピュータは、サーバと考えることができ、ここで各々は、同一のコンピュータシステムの一部であり得る。クライアントおよびサーバは、各々複数のシステム、サブシステム、または構成要素を含み得る。
[0147]実施形態の態様は、ハードウェア(例えば、特定用途向け集積回路またはフィールドプログラマブルゲートアレイ)を用いて、および/またはモジュラーまたは統合された様式の一般にプログラム可能なプロセッサを伴う、コンピュータソフトウェアを用いて、制御ロジックの形態で実施され得る。本明細書で使用されるとき、プロセッサは、同一の集積チップ上のシングルコアプロセッサ、マルチコアプロセッサ、または単一の回路基板上のマルチプロセシングユニット、あるいはネットワーク接続されたプロセッサを含む。本開示および本明細書で提供された教示に基づいて、ハードウェアならびにハードウェアおよびソフトウェアの組合せを用いて、本発明の実施形態を実施するための他の方法および/または方法が、当業者には、知られ、かつ理解されよう。
[0148]本出願で説明されるソフトウェアの構成要素または機能の任意のものは、例えばJava(登録商標)、C、C++、C#、Objective−C、Swiftなどの任意の好適なコンピュータ言語、または例えば、従来のまたはオブジェクト指向の技術を用いたPerlもしくはPythonなどのスクリプト言語を用いてプロセッサによって実行されるソフトウェアコードとして実装され得る。ソフトウェアコードは、一連の命令または指令として、保存および/または伝送用の、コンピュータ可読媒体上に格納され得る。好適な非一時的コンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、ハードドライブ、フロッピーディスクなどの磁気媒体、コンパクトディスク(CD)もしくはDVD(デジタル多用途ディスク)などの光学的媒体、またはフラッシュメモリ、などを含み得る。コンピュータ可読媒体は、そのような記憶または伝送デバイスの任意の組合せであり得る。
[0149]そのようなプログラムは、さらにエンコードされ、インターネットを含む、多様なプロトコルに従う有線、光学、および/または無線ネットワークを介した伝送に適応された、搬送波信号を用いて伝送され得る。そのように、コンピュータ可読媒体は、そのようなプログラムを用いてエンコードされたデータ信号を使用して作成され得る。プログラムコードを用いてエンコードされたコンピュータ可読媒体は、互換性のあるデバイスを用いて包装され得て、または別個に他のデバイスから供給され得る(例えば、インターネットでのダウンロード)。任意のそのようなコンピュータ可読媒体は、個々のコンピュータ製品(例えば、ハードドライブ、CD、または完全なコンピュータシステム)上にまたは内部に備えられ得て、また、システムまたはネットワーク内部の異なるコンピュータ製品上にまたは内部に存在し得る。コンピュータシステムは、本明細書で説明した成果の任意のものをユーザに提供するための、モニタ、プリンタ、または他の好適なディスプレイを含み得る。
[0150]本明細書で説明した方法の任意のものは、ステップを実行するように構成され得る1つまたは複数のプロセッサを含むコンピュータシステムを用いて、全体的にまたは部分的に実行され得る。したがって、各ステップまたはステップの各グループを実行する異なる構成要素を潜在的に有する、本明細書で説明した方法の任意のもののステップを、実行するように構成されたコンピュータシステムに、実施形態は、向けられ得る。番号を付されたステップが提示されたが、本明細書の方法のステップは、同時にまたは異なる順序で実行され得る。さらに、これらのステップの部分は、他の方法からの他のステップの部分と共に用いられ得る。また、ステップの全てまたは部分は、任意選択的であり得る。さらに、任意の方法の任意のステップは、モジュール、ユニット、回路、またはこれらのステップを実行するための他の手段を用いて、実行され得る。
[0151]個々の実施形態の個別の詳細が、本発明の実施形態の技術概念および範囲から逸脱することのなく、任意の好適な方法で組み合わされ得る。しかし、本発明の他の実施形態は、各々の個別の態様に関する特定の実施形態に、またはこれらの個別の態様の特定の組合せに、向けられ得る。
[0152]本発明の例示の実施形態の上述の説明は、図解および説明の目的で提示されてきた。網羅的であること、または本発明を、説明されたそのものの形式に限定することを意図するものではなく、多数の変形例および変形形態が、上述の教示に照らして、可能である。
[0153]列挙の「a」、「an」、または「the」は、具体的にそうでないことに示さない限り、「1つまたは複数」を意味することを意図する。「or」のを使用法は、具体的にそうでないことに示さない限り、「排他的論理和」でなく、「包含的論理和」を意味することを意図する。「第1の」構成要素への言及は、第2の構成要素がもたらされることを必ずしも必要としない。さらに「第1の」または「第2の」構成要素への言及は、明確に規定されない限り、言及された構成要素を特定の位置に限定しない。

Claims (15)

  1. N個のグループに分かれた第1のセルのセットであって、Nが2以上の整数であり、各セルが、核酸分子のヌクレオチドを特徴づけるためにAC信号を前記セルに提供するように構成されるセル電極を有する、第1のセルのセット、および、
    少なくともN個の回路であって、前記少なくともN個の回路の各回路が、別々に構成可能なAC信号を前記N個のグループの1つまたは複数のセルのそれぞれのグループの1つまたは複数のセル電極に提供するように構成される、少なくともN個の回路、
    を備える、核酸配列決定のためのセンサチップ。
  2. 前記第1のセルのセットの各セルが、第2の信号を前記セルに提供するように構成される共通電極を含み、前記共通電極が、前記第1のセルのセットの2つ以上のセルによって共有される、請求項1に記載のセンサチップ。
  3. 前記第1のセルのセットの各セルが、前記セル電極と前記共通電極との間に位置決めされたナノポアをさらに含み、前記ナノポアが、ヌクレオチドに結合されたタグを受け取り、前記セル電極と前記共通電極との間で可変抵抗器として機能するように構成される、請求項2に記載のセンサチップ。
  4. 前記第1のセルのセットの各セルが、前記セル電極に接続された積分コンデンサを含み、
    前記少なくともN個の回路の各回路が、前記N個のグループからの1つまたは複数のセルのそれぞれのグループの前記積分コンデンサを前記AC信号により事前充電するように構成される、請求項2に記載のセンサチップ。
  5. 1つまたは複数のセルのグループの前記事前充電された積分コンデンサが、前記第2の信号によって充電または放電されるように構成される、請求項4に記載のセンサチップ。
  6. 前記第1のセルのセットに接続されたサンプリング回路をさらに備え、
    前記N個の回路が、異なるAC信号を前記N個のグループに提供するように構成され、
    前記サンプリング回路が、前記N個のグループに提供される前記AC信号に基づいて、前記N個のグループの1つまたは複数のセルの1つまたは複数のグループからの電圧信号を選択的にサンプリングするように構成される、請求項2に記載のセンサチップ。
  7. 前記N個の回路が、異なる位相を有するAC信号を前記N個のグループ内の1つまたは複数のセルの異なるグループに提供するように構成される、請求項1に記載のセンサチップ。
  8. N個のグループに分かれた第2のセルのセットをさらに備え、前記第2のセルのセットの各セルが、核酸分子のヌクレオチドを特徴づけるためにAC信号を前記セルに提供するように構成されるセル電極を有し、
    前記少なくともN個の回路の各回路が、別々に構成可能なAC信号を、前記第1のセルのセットの前記N個のグループのそれぞれのグループの1つまたは複数のセル電極、および前記第2のセルのセットの前記N個のグループのそれぞれのグループの1つまたは複数のセル電極に提供するように構成される、請求項1に記載のセンサチップ。
  9. 2つ以上の流体チャネルをさらに備え、異なる流体チャネル内のセルが、前記N個のグループの異なるグループに分けられる、請求項1に記載のセンサチップ。
  10. 前記少なくともN個の回路の各回路が、スイッチを含み、前記スイッチが、セル電極を2つの電圧レベルに交互に接続するように構成され、
    各スイッチが、AC制御信号によって制御される、請求項1に記載のセンサチップ。
  11. 前記第1のセルのセットの各セルが、スイッチを含み、前記スイッチが、セル電極を2つの電圧レベルに交互に接続するように構成され、
    各スイッチが、AC制御信号によって制御され、
    前記少なくともN個の回路の各回路が、前記それぞれのグループ内の前記1つまたは複数のセルの1つまたは複数のスイッチを含み、
    前記それぞれのグループ内の前記1つまたは複数のセルの前記1つまたは複数のスイッチが、同じAC制御信号を受信する、請求項1に記載のセンサチップ。
  12. セルのセットを備える核酸配列決定のためのセンサチップであって、前記セルのセットの各セルが、
    ヌクレオチドに接続されたタグを受け取るように構成されるナノポア、
    前記ナノポアが中に存在する膜であって、回路内では前記膜がコンデンサとして、前記ナノポアが抵抗器として作用する、前記膜、
    前記セルの第1の端において前記回路に電気的に接続された第1の電極、
    前記セルの第2の端において前記回路に接続され、前記セルのセットの2つ以上のセルによって共有される第2の電極、および、
    制御回路、を備え、
    前記制御回路が、
    前記コンデンサを事前充填するために前記第1の電極を通じて第1のAC信号を印加し、前記事前充電されたコンデンサを前記ナノポアを介して充電または放電するために前記第2の電極を通じて第2の信号を印加するように構成される、
    核酸配列決定のためのセンサチップ。
  13. 核酸配列決定のためのセンサチップであって、
    N個のグループに分かれた第1のセルのセットであって、Nが2以上の整数であり、各セルが、核酸分子のヌクレオチドを特徴づけるためにAC信号を前記セルに提供するように構成されるセル電極を有する、第1のセルのセット、
    前記第1のセルのセットに接続され、前記第1のセルのセットからの出力信号を変換するように構成されるアナログデジタル変換器(ADC)、および、
    制御回路、を備え、
    前記制御回路が、
    第1のAC信号を前記N個のセルグループの第1のセルグループに印加し、
    第2のAC信号を前記N個のセルグループの第2のセルグループに印加し、
    前記第1のAC信号の第1の部分の間、前記ADCに、前記第1のセルグループからの出力信号を変換させ、前記第2のセルグループからの出力信号を変換させないようにするように構成され、前記第1のAC信号および前記第2のAC信号が異なる位相を有する、核酸配列決定のためのセンサチップ。
  14. セルのセットを含むセンサチップを使用して核酸配列決定する方法であって、
    第1のAC信号を前記セルのセットの第1のセルグループに印加するステップ、
    第2のAC信号を前記セルのセットの第2のセルグループに印加するステップであって、前記第1のAC信号および前記第2のAC信号が異なる位相を有する、前記ステップ、
    前記第1のAC信号の第1の部分の間、アナログデジタル変換器(ADC)を使用して、前記第1のセルグループからの出力信号をサンプリングし、前記第2のセルグループからの出力信号をサンプリングしないステップ、および、
    前記第1のAC信号の第2の部分の間、前記ADCを使用して、前記第2のセルグループからの出力信号をサンプリングし、前記第1のセルグループからの前記出力信号をサンプリングしないステップ、を含む、前記方法。
  15. 請求項14に記載の方法の動作を実施するようにコンピュータシステムを制御するための複数の命令を格納するコンピュータ可読媒体を備えるコンピュータ製品。
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