JP2020519664A - 癌関連障害の治療のためのキナゾリン−ピラゾール誘導体 - Google Patents

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Abstract

A2AおよびA2Bアデノシンレセプターのうちの少なくとも一方の阻害剤である化合物、ならびに該化合物を含む組成物、および該化合物の合成方法は本明細書に記載される。アデノシンA2Aレセプターおよび/またはアデノシンA2Bレセプターによって少なくとも部分的に媒介される癌および免疫関連障害を含む、多様な疾患、障害および状態の治療のための斯かる化合物および組成物の使用。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、35 U.S.C.§119(e)の下、2017年5月17日に出願された米国特許仮出願第62/507,540号に対する優先権の利益を主張する出願であって、そのそれぞれを全体として本明細書中に援用する。
連邦支援研究開発の下でなされた発明の権利に関する声明
適用なし
コンパクトディスクに登録された「配列表」、表またはコンピュータプログラム一覧付録の参照
適用なし
発明の背景
アデノシンは、アデニンとリボース糖分子(リボフラノース)の複合体を含むプリンヌクレオシド化合物である。アデノシンは哺乳動物に天然に存在し、エネルギー移動(アデノシン三リン酸およびアデノシン一リン酸として)およびシグナル伝達(環状アデノシン一リン酸として)を含むいくつかの生化学プロセスにおいて重要な役割を果たす。アデノシンは、心臓血管拡張を含む血管拡張に関連するプロセスにおいても機能し、神経調節物質として作用する(例えば、睡眠を促進することに関与すると考えられる)。これらの生化学プロセスへの関与に加えて、アデノシンは、例えば、上室性頻拍症を治療するための治療的な抗不整脈薬として使用される。本明細書でさらに議論されるように、腫瘍は、免疫機能を阻害し、寛容を促進することによって宿主応答を回避し、アデノシンは、免疫系の腫瘍回避を媒介する上で重要な役割を果たすことが示されている。種々の免疫細胞サブセットおよび内皮細胞上に発現されるA2ARおよびA2BRを介したアデノシンシグナル伝達は、炎症反応中に組織を保護する上で重要な役割を果たすとして確立されている。このように、ある条件下では、アデノシンは腫瘍を免疫破壊から保護する(例えば、Fishman, Pら(2009)Handb Exp Pharmacol 193: 399-441を参照)。
アデノシンレセプターは、内因性リガンドとしてアデノシンを有するプリン作動性Gタンパク質共役レセプターのクラスである。ヒトにおける4種類のアデノシンレセプターは、A1、A2A、A2BおよびA3と呼ばれる。A1の調節は、例えば、神経学的障害、喘息ならびに心および腎不全;A2A疾患の管理および治療のために提案されており;A2Bの調節は、例えば、喘息を含む慢性肺疾患の管理および治療のために提案されており;A3の調節は、例えば、喘息および慢性閉塞性肺疾患、緑内障、癌および脳卒中の管理および治療のために提案されている。
歴史的に、アデノシンレセプターのモジュレータは非選択的である。これは、心臓組織中の4つのアデノシンレセプターのすべてに作用する内因性アゴニストアデノシンが、重度の頻脈の治療のために非経口投与される場合のような、特定の適応症において許容され得る。しかしながら、サブタイプの選択的アデノシンレセプターアゴニストおよびアンタゴニストの使用は、副作用を最小化または排除しながら所望の結果を達成する可能性を提供する。
このように、サブタイプの選択的アデノシンレセプターアゴニストの必要性が当該分野において存在する。本発明は、この必要性に対処し、関連する利点も提供する。
発明の概要
本発明は、アデノシンA2Aレセプター(A2AR)および/またはアデノシンA2Bレセプター(A2BR)を調節する化合物、および、該化合物を含む組成物(例えば、医薬組成物)に関する。斯かる化合物を、その合成方法および組成物を含めて以下に詳細に説明する。
本発明はまた、アデノシンA2Aレセプター(A2AR)および/またはアデノシンA2Bレセプター(A2BR)によって全体的にまたは部分的に媒介される多様な疾患、障害および状態の治療および/または予防のための、斯かる化合物および組成物の使用に関する。斯かる疾患、障害および状態は本明細書の他の箇所で詳細に記載されている。他に指示がない限り、本発明の化合物の使用が本明細書に記載されるときには、斯かる化合物は組成物(例えば、医薬組成物)の形態であり得ることが理解されるべきである。
本明細書で後述するように、本発明の化合物は、アデノシンA2Aレセプター(A2AR)および/またはアデノシンA2Bレセプター(A2BR)を阻害することによってそれらの活性に影響を及ぼすと考えられるが、化合物の根底にある作用機構の正確な理解は本発明を実施するために要求されない。化合物は、代わりに、アデニリルシクラーゼの直接的または間接的阻害を介してその活性に影響を及ぼし得ることが想定される。化合物は、両方のA2Aレセプター(A2AR)および/またはアデノシンA2Bレセプター(A2BR)ならびにアデニリルシクラーゼの阻害を介してそれらの活性に影響を及ぼすことも想定される。本発明の化合物は、本明細書では一般に、アデノシンA2Aレセプター(A2AR)および/またはアデノシンA2Bレセプター(A2BR)阻害剤と呼ばれるが、用語「A2AR/A2BR阻害剤」は、A2AR、A2BRまたはアデニリルシクラーゼの阻害を介して個々に作用する化合物、および/または、A2AR、A2BRおよびアデニリルシクラーゼの阻害を介して作用する化合物を包含するものと理解されるべきである。
A2AおよびA2B細胞表面アデノシンレセプターは種々の腫瘍細胞においてアップレギュレートされることが見出されている。したがって、A2Aおよび/またはA2Bアデノシンレセプターのアンタゴニストは有望な腫瘍学治療剤の新しいクラスを表す。
A2Aアデノシンレセプターの活性化はT制御細胞機能の抑制およびナチュラルキラー細胞の細胞毒性および腫瘍特異的CD4+/CD8+活性の阻害を介して、腫瘍に対する免疫応答の阻害をもたらす。したがって、特異的アンタゴニストによるこのレセプターサブタイプの阻害は癌治療における免疫療法を強化し得る。A2Bアデノシンレセプターの活性化は、微小血管内皮細胞における血管新生因子の発現レベルのアップレギュレーションを介して腫瘍の発生に役割を果たす[例えば、P. Fishmanら、Handb Exp Pharmacol(2009); 193: 399-441を参照]。さらに、アデノシンレセプター2A遮断は、増強された抗腫瘍T細胞応答を介して抗PD-1の効力を増加させることが示されている(P. Beavisら、Cancer Immunol Res DOI: 10.1158/2326-6066。CIR-14-0211 2015年2月11日公開)。 A2ARおよびA2BRの役割のより包括的な議論を以下に記載する。
アデノシン2Aレセプター(A2AR)
A2AR(ADORA2Aとも呼ばれる)はGタンパク質共役型レセプター(GPCR)であり、そのファミリーメンバーは7つの膜貫通αヘリックスを有する。その結晶学的構造に基づいて、A2ARは他の構造的に決定されたGPCR(例えば、β-2アドレナリン作動性レセプター)とは区別されるリガンド結合ポケットを含む。
本明細書の他の箇所に記載されているように、アデノシンは免疫系の腫瘍回避を媒介することに関与する。A2ARはアデノシン誘発性抗炎症応答の媒介において重要で非冗長性の役割を果たす。A2ARは免疫応答を負に調節し、したがって、A2AR活性化の薬理学的阻害は、免疫療法を強化する実行可能な手段であることが実証されている。
上記のように、A2ARの活性化は適応免疫応答に影響を与える。一例として、A2ARは、T細胞機能を激しく阻害するだけでなく、調節性T細胞の発生を促進することによって宿主を過剰な組織破壊から保護する。A2AR活性化は適応免疫応答の強力な阻害剤であるため、腫瘍由来アデノシンは抗腫瘍免疫を遮断するのに関与している。
他の役割に加えて、A2ARは抗炎症性サイトカインを選択的に増強し、PD-1およびCTLA-4のアップレギュレーションを促進し、LAG-3およびFoxp3+制御性T細胞の産生を促進し、調節性T細胞の阻害を媒介することに関与する。PD-1、CTLA-4および他の免疫チェックポイントについては本明細書でさらに論じる。これらの免疫抑制特性のすべてが、腫瘍が宿主応答を回避する機序として同定されているので、A2ARアンタゴニストを含む癌免疫療法レジメンは腫瘍免疫療法を増強することになり得る[一般的に、Naganuma, M.ら(2006)J Immunol 177: 2765-769を参照]。
A2ARアンタゴニストは化学療法および放射線療法において重要な役割を果たすと思われる。機構的には、化学療法または放射線療法中のA2ARアンタゴニストの同時投与は腫瘍特異的調節性T細胞の誘発を同時に防止しながら、腫瘍特異的T細胞の増殖をもたらすために提案されている。さらに、A2ARアンタゴニストを腫瘍ワクチンと組み合わせることは、それらの発散作用機構を考慮して少なくとも相加効果をもたらすと考えられる。最後に、A2ARアンタゴニストは、腫瘍ワクチンおよび他のチェックポイントブロッカーと組み合わせて最も効果的に使用され得る。例えば、PD-1の関与を遮断するだけでなくA2ARを阻害することにより、腫瘍特異的なエフェクターT細胞を消失させる腫瘍の能力を軽減することができる(例えば、Fishman, Pら(2009)Handb Exp Pharmacol 193: 399-441)。さらに、A2ARレセプターを介したアデノシンシグナル伝達は有望な負のフィードバックループであることが判明しており、前臨床試験では、A2AR活性化の遮断が抗腫瘍免疫を顕著に増強することが確認されている(Sitkovsky, MVら(2014)Cancer Immun Res 2: 598-605)。
アデノシン2Bレセプター(A2BR)
A2bR(ADORA2Bとも呼ばれる)は多くの異なる細胞型に見出されるGPCRである。それは、他のアデノシンレセプターサブタイプよりも活性化のために高濃度のアデノシンを必要とする(例えば、A1R、A2ARおよびA3R)(Fredholm BBら(2001)Biochem Pharmacol 61: 443-448)。斯かる状態は、例えば低酸素症が一般的に観察される腫瘍において見られる。他のアデノシンレセプターサブタイプとは対照的に、A2BRは、大量のアデノシン放出に関連する病態生理学的状態において重要な役割を果たし得る。したがって、このアデノシンレセプターサブタイプの選択的遮断または刺激は、他のアデノシンレセプターサブタイプを介して媒介されるアデノシンの多くの重要な生理学的機能を妨げないであろう。しかし、A2BR媒介性阻害を導く経路は完全には理解されていない。
血管新生は腫瘍増殖の中心的な機構を表す。血管新生プロセスは、一連の血管新生因子によって高度に調節され、低酸素に関連する特定の状況下でアデノシンによって誘発される。A2BRはヒト微小血管内皮細胞において発現され、それは血管内皮成長因子(VEGF)などの血管新生因子の発現の調節において重要な役割を果たす。特定の腫瘍型では、低酸素症はA2BRのアップレギュレーションを引き起こすことが観察されており、A2BRが血管新生に対するアデノシンの影響を媒介する上で重要な役割を果たすことを示唆している。したがって、A2BRの遮断は、腫瘍細胞への酸素供給を制限することによって腫瘍増殖を制限し得る。さらに、アデニル酸シクラーゼ活性化を含む実験は、A2BRが特定の腫瘍細胞において唯一のアデノシンレセプターサブタイプであることを示し、これは、A2BRアンタゴニストが特定の腫瘍型に影響を及ぼし得ることを示唆する(例えば、Feoktistov, I.ら(2003)Circ Res 92: 485-492)。
最近のデータは、A2BRモジュレータの正確な役割の理解を複雑にする。上記のように、データは、A2BRが、アデノシンの腫瘍成長および進行への影響を媒介する上で重要な役割を果たすことを確認している。実際、血管新生の阻害およびERK1/2リン酸化の阻害は、A2BRを標的とする潜在的な抗癌治療にとって最も興味深い効果を示す。しかし、血管新生の阻害はA2BRアンタゴニストの使用を必要とするが、他の臨床的に妥当な経路(例えば、MAPキナーゼ経路)を介する成長シグナル伝達の阻害は、A2BRアゴニストによる治療によって達成され得る(例えば、Graham, S.ら(2001)Eur J Pharmaol 420: 19-26)。さらなる実験の結果は、アゴニストおよびアンタゴニストの両方が、疾患の異なる段階およびその治療において使用される場合に、他の治療手段と組み合わせて治療に有用な選択肢を提供することを示し得る。
1つの特定の態様において、本明細書中に提供されているのは、式(I):
(式中、
G1はNまたはCR3aであり;
G2はNまたはCR3bであり;
R3aおよびR3bはそれぞれ独立して、HまたはC1-3アルキルであり;
R1aおよびR1bはそれぞれ独立して、
i)H、
ii)1〜3個のR5置換基により場合により置換されたC1-8アルキル、
iii)1〜3個のR5置換基により場合により置換された-X1-O-C1-8アルキル、
iv)-C(O)-R6
v)1〜3個のR7置換基で場合により置換されたY、および、
vi)1〜3個のR7置換基で場合により置換された-X1-Y、
から成る群から選択されるか、または、
vii)R1aおよびR1bはそれらが結合している窒素とともに、5〜6員ヘテロシクロアルキル間を形成し、該環は1〜3個のR8置換基により場合により置換され、該ヘテロシクロアルキルはO、NおよびSから成る群から選択される0〜2個の追加のヘテロ原子環頂点を有し、
各YはC3-8シクロアルキルまたはO、NおよびSから成る群から選択される1〜3個のヘテロ原子環頂点を有する4〜6員ヘテロシクロアルキルであり;
R2およびR4はそれぞれ独立して、HまたはC1-3アルキルであり;
各X1はC1-6アルキレンであり;
各R5はヒドロキシル、C3-8シクロアルキル、フェニル、-O-フェニル、-C(O)ORaおよびオキソから成る群から独立して選択され;
各R6はC1-8アルキルまたはYであり、そのそれぞれはヒドロキシル、-O-フェニル-、フェニル、および-O-C1-8アルキルから成る群から選択される1〜3個の置換基で場合により置換され;
各R7はC1-8アルキル、ヒドロキシル、-O-C1-8アルキル、オキソおよびC(O)ORaから成る群から独立して選択され;
各R8はC1-8アルキル、ヒドロキシルおよびオキソから成る群から独立して選択され;
添字nは0、1、2または3であり;
各R9はC1-8アルキル、-O-C1-8アルキル、-X1-O-C1-8アルキル、-O-X1-O-C1-8アルキル、-X1-O-X1-O-C1-8アルキル、-C(O)ORa、ハロゲン、シアノ、-NRbRc、Y、-X1-C3-8シクロアルキル、および-X2-Zから成る群から独立して選択され、ここで、X2はC1-6アルキレン、-C1-6アルキレン-O-、-C1-4アルキレン-O-C1-4アルキレン-、-C(O)-、および-S(O)2から成る群から選択され、ZはO、NおよびSから成る群から選択される1〜3個のヘテロ原子環頂点を有する4〜6員ヘテロシクロアルキルであり、およびここで、前記R9置換基のそれぞれは1〜3個のR11で場合により置換され;
R10a、R10b、R10cおよびR10dのそれぞれはH、C1-8アルキル、ハロ、シアノ、-O-C1-8アルキル、-X1-O-C1-8アルキル、-O-X1-O-C1-8アルキル、-S(O)2-C1-6アルキル、-C(O)NRdRe、およびO、NおよびSから成る群から選択される1〜3個のヘテロ原子環頂点を有する4〜6員ヘテロアリールから成る群から独立して選択され、ここで、前記R10a~d置換基のそれぞれは1〜3個のR12で場合により置換されるか、または隣接する環頂点上のR10a、R10b、R10cおよびR10dのうちの2つは場合により組み合わされて、1〜2個のハロゲンで場合により置換される5員複素環式環を形成し;
各R11は-C(O)ORaで場合により置換される、ヒドロキシル、オキソ、ハロ、シアノ、-NRdRe、-C(O)ORa、フェニル、C3-8シクロアルキル、およびC1-4アルキルから成る群から独立して選択され;
各R12はハロ、シアノ、ヒドロキシ、-C(O)ORaから成る群から独立して選択され;そして、
各RaはHまたはC1-6アルキルであり;
各RbおよびRcはH、C1-8アルキル、-S(O)2-C1-6アルキル、-C(O)ORa、および-X1-C(O)ORaから成る群から独立して選択され;および
各RdおよびReはH、C1-8アルキル、-S(O)2-C1-6アルキルから成る群から独立して選択される)
を有する化合物または医薬的に許容され得るその塩、水和物もしくは溶媒和物を提供する。
いくつかの実施形態において、対象(例えば、ヒト)において癌を治療または予防するための方法を本明細書中に提供し、該方法は本明細書に記載の少なくとも1つのA2AR/A2BR阻害剤の治療有効量を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態において、A2AR-媒介免疫抑制の進行を逆行させまたは停止させるのに有効な量で、本明細書に記載の化合物の少なくとも1つを対象に投与することを含む、対象における癌を治療または予防する方法を本明細書中に提供する。いくつかの実施形態において、A2AR-媒介免疫抑制は抗原提示細胞(APC)である。
本明細書に記載の化合物および組成物を用いて治療することができる癌の例としては、限定するわけではないが、前立腺、結腸直腸、膵臓、子宮頸部、胃、子宮内膜、脳、肝臓、膀胱、卵巣、精巣、頭部、頚部、皮膚(メラノーマおよび基底癌を含む)、中皮内壁、白血球(リンパ腫および白血病を含む)、食道、乳房、筋肉、結合組織、肺(小細胞肺癌および非小細胞癌を含む)、副腎、甲状腺、腎臓または骨の癌、神経膠芽腫、中皮腫、腎細胞癌、胃癌、肉腫、絨毛癌、皮膚基底細胞癌および睾丸セミノーマが挙げられる。本発明のいくつかの実施形態において、癌はメラノーマ、結腸癌、膵臓癌、乳癌、前立腺癌、肺癌、白血病、脳腫瘍、リンパ腫、肉腫、卵巣癌、頭頚部癌、子宮頸癌またはカポジ肉腫である。本発明の化合物および組成物による治療の候補である癌は以下でさらに議論される。
本発明は、腫瘍抗原に対する遅延型過敏反応を増加させ、移植後悪性腫瘍の再発までの時間を遅延させ、移植後の無再発生存期間を延長させ、および/または、移植後の長期生存期間を延長するのに十分な治療有効量のA2AR/A2BR阻害剤を投与することによって骨髄移植または末梢血幹細胞移植を受ける対象を治療する方法もまた本明細書中に提供する。
特定の実施形態において、対象(例えば、ヒト)における感染性障害(例えば、ウイルス感染)を治療または予防するための方法もまた本明細書中に提供し、該方法は治療有効量の少なくとも1つのA2AR/A2BR阻害剤(例えば、本発明の新規阻害剤)を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態において、感染性疾患は、ウイルス感染(例えば、慢性ウイルス感染)、細菌感染、真菌感染または寄生虫感染である。特定の実施形態において、ウイルス感染は、ヒト免疫不全ウイルスまたはサイトメガロウイルスである。
さらに他の実施形態において、対象(例えば、ヒト)における免疫関連疾患、障害または状態を治療または予防する方法もまた本明細書中に提供し、該方法は、治療有効量の、本明細書に記載の少なくとも1つのA2AR/A2BR阻害剤を対象に投与することを含む。免疫関連疾患、障害および状態の例を以下に記載する。
A2AR/A2BR活性の調節によって全体的または部分的に治療または予防することができる他の疾患、障害および状態は、本明細書中に提供されるA2AR/A2BR阻害剤化合物のための候補症例である。
本発明は、記載されたA2AR/A2BR阻害剤を1つ以上の追加の薬剤と組み合わせて使用することもまた本明細書中に提供する。1つ以上の追加の薬剤は、いくつかのアデノシンA2Aレセプターおよび/またはアデノシンA2Bレセプター調節活性を有することができ、あるいは、別個の作用機構によって機能してもよい。いくつかの実施形態において、斯かる薬剤は、放射線(例えば、局在化放射線療法または全身放射線療法)および/または非薬理学的性質の他の治療様式を含む。併用療法が利用される場合に、本明細書に記載の化合物および追加の薬剤は、単一の組成物または複数の組成物の形態であることができ、治療様式は、同時、逐次またはある他のレジメンで施用され得る。例として、本発明は、放射線段階の後に化学療法段階が続く治療レジメンを企図する。併用療法は相加的または相乗的効果を有し得る。併用療法の他の利点を以下に記載する。
特定の実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて本明細書に記載のA2AR/A2BR阻害剤を使用する方法もまた本明細書中に提供する。抗原特異的T細胞応答の増幅をもたらす免疫チェックポイントの遮断は、ヒト癌治療において有望なアプローチであることが示されている。遮断のための候補である免疫チェックポイント(リガンドおよびレセプター)であって、その一部が種々のタイプの腫瘍細胞において選択的にアップレギュレートされるものの例としては、PD1(プログラム細胞死タンパク質1);PDL1(PD1リガンド);BTLA(BおよびTリンパ球アテニュエーター);CTLA4(細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4);TIM3(T細胞膜タンパク質3);LAG3(リンパ球活性化遺伝子3);およびキラー阻害性レセプターが挙げられる。免疫チェックポイント阻害剤およびそれとの併用療法は本明細書の他の箇所で詳細に議論される。
他の実施形態において、治療有効量の少なくとも1つのA2AR/A2BR阻害剤および少なくとも1つの化学療法剤を対象に投与することを含む、対象における癌を治療するための方法を本明細書中に提供し、ここで、斯かる化学療法剤としては、限定するわけではないが、アルキル化剤(例えば、クロラムブシル、シクロホスファミド、イソフラミド、メクロレタミン、メルファランおよびウラシルマスタードなどの窒素マスタード;チオテパなどのアジリジン;ブスルファンなどのメタンスルホン酸エステル;ヌクレオシド類似体(例えば、ゲムシタビン);カルムスチン、ロムスチンおよびストレプトゾシンなどのニトロソ尿素;トポイソメラーゼ1阻害剤(例えば、イリノテカン);シスプラチンおよびカルボプラチンなどの白金錯体;生物還元アルキル化剤(例えば、マイトマイシン、プロカルバジン、ダカルバジンおよびアルトレタミン);DNA鎖切断剤(例えば、ブレオマイシン);トポイソメラーゼII阻害剤(例えば、アムサクリン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、ドキソルビシン、エトポシドおよびテニポシド);DNA副溝結合剤(例えば、プリカミジン);抗代謝剤(例えば、メトトレキセートおよびトリメトレキセートなどの葉酸アンタゴニスト;フルオロウラシル、フルオロデオキシウリジン、CB3717、アザシチジン、シタラビンおよびフロクスウリジンなどのピリミジンアンタゴニスト;メルカプトプリン、6-チオグアニン、フルダラビン、ペントスタチンなどのプリンアンタゴニスト;アスパルギナーゼ;およびヒドロキシ尿素などのリボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤);チュブリン相互作用剤(例えば、ビンクリスチン、エストラムスチン、ビンブラスチン、ドセタキソール、エポチロン誘導体およびパクリタキセル);ホルモン剤(例えば、エストロゲン;結合エストロゲン;エチニルエストラジオール;ジエチルスチルベステロール;クロルトリアニセン;イデネストロール;カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、メドロキシプロゲステロンおよびメゲストロールなどのプロゲスチン;およびテストステロン、テストステロンプロピオネート、フルオキシメステロンおよびメチルテストステロンなどのアンドロゲン);副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロンおよびプレドニゾロン);黄体形成ホルモン放出剤またはゴナドトロピン放出ホルモンアンタゴニスト(例えば、ロイプロリドアセテートおよびゴセレリンアセテート);ならびに抗ホルモン抗原(例えば、タモキシフェン、フルタミドなどの抗アンドロゲン剤;およびミトタンおよびアミノグルテチミドなどの抗アドレナリン剤)が挙げられる。本発明はまた、当該分野で公知の他の薬剤(例えば、三酸化二ヒ素)および将来開発される他の化学療法剤と組み合わせてA2AR/A2BR阻害剤を使用することを企図する。
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの化学療法剤と組み合わせて治療有効量の本明細書に記載のA2AR/A2BR阻害剤を投与し、そして、癌生存率がいずれか単独で投与することにより観察される癌生存率よりも大きくなることをもたらす癌を治療する方法を本明細書中に提供する。癌を治療する方法に係るさらなる実施形態において、治療有効量の本明細書に記載のA2AR/A2BR阻害剤を少なくとも1つの化学療法剤と組み合わせて投与すると、腫瘍サイズの縮小または腫瘍成長の遅延が、1つの薬剤単独の投与により観察される腫瘍サイズの縮小または腫瘍成長の遅延よりも優れていることになる。
さらなる実施形態において、本発明は、本明細書に記載の少なくとも1つのA2AR/A2BR阻害剤および少なくとも1つのシグナル伝達阻害剤(STI)の治療有効量を対象に投与することを含む、対象における癌を治療または予防する方法を企図する。特定の実施形態において、少なくとも1つのSTIは、bcr/ablキナーゼ阻害剤、表皮成長因子(EGF)レセプター阻害剤、her-2/neuレセプター阻害剤、および、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(FTI)から成る群から選択される。他の候補となるSTI薬剤は本明細書の他の箇所に記載されている。
本発明は、少なくとも1つの化学療法剤および/または放射線療法と併用してA2AR/A2BR阻害剤を投与することを含む、対象における腫瘍細胞の拒絶反応を増強する方法も企図し、ここで得られる腫瘍細胞の拒絶反応は、A2AR/A2BR阻害剤、化学療法剤または放射線療法のいずれかを単独で投与することによって得られるものより大きい。
さらなる実施形態において、本発明は、少なくとも1つのA2AR/A2BR阻害剤およびA2AR/A2BR阻害剤以外の少なくとも1つの免疫調節剤の治療的有効量を対象に投与することを含む、対象の癌を治療する方法を提供する。特定の実施形態において、少なくとも1つの免疫調節剤は、CD4OL、B7、B7RP1、抗CD40、抗CD38、抗ICOS、4-1BBリガンド、樹状細胞癌ワクチン、IL2、IL12、ELC/CCL19、SLC/CCL21、MCP-1、IL-4、IL-18、TNF、IL-15、MDC、IFN-a/-13、M-CSF、IL-3、GM-CSF、IL-13、および抗-IL-10から成る群から選択される。他の候補免疫調節剤は、本明細書の他の箇所に記載されている。
本発明は、対象(例えば、ヒト)における感染性障害(例えば、ウイルス感染症)を治療または予防するための方法を含む実施形態を企図し、該方法は治療有効量の本明細書に記載の少なくとも1つのA2AR/A2BR阻害剤および治療有効量の抗感染剤を対象に投与することを含む。
本発明のいくつかの実施形態において、追加の治療剤は、例えば顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)またはflt3リガンドを含むサイトカインである。本発明はまた、限定するわけではないが、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタインバー(Epstein-Barr)ウイルス(EBV)、水痘帯状疱疹ウイルス、コクサッキーウイルスおよびヒト免疫不全ウイルス(HIV)を含む、ウイルス感染症(例えば、慢性ウイルス感染)を治療または予防するための方法を企図する。本明細書に記載の化合物(単独で、または、併用療法の成分として)の感染症を治療得るための使用は以下でさらに論じられる。
さらなる実施形態において、感染性障害の治療は治療有効量の本発明のA2AR/A2BR阻害剤の投与と組み合わせたワクチンの同時投与によって行われる。いくつかの実施形態において、ワクチンは、例えば、抗HIVワクチンを含む抗ウイルスワクチンである。他の実施形態において、ワクチンは、結核またはマラリアに対して有効である。さらに他の実施形態において、ワクチンは腫瘍ワクチン(例えば、メラノーマに対して有効なワクチン)であり、腫瘍ワクチンは、遺伝子修飾腫瘍細胞または遺伝子修飾細胞株を含むことができ、それは顆粒球マクロファージ刺激因子(GM-C SF)を発現するようにトランスフェクトされた遺伝子変性腫瘍細胞または遺伝子変性細胞株を含む。特定の実施形態において、ワクチンは、1つ以上の免疫原性ペプチドおよび/または樹状細胞を含む。
いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書に記載の化合物を1つ以上の抗微生物剤と組み合わせて使用する方法を企図する。
A2AR/A2BR阻害剤および少なくとも1つの追加の治療剤を投与することによる感染症の治療に係る特定の実施形態において、A2AR/A2BR阻害剤および追加の治療剤の両方を投与した後に観察される感染症の症状は、いずれかを単独で投与した後に観察される感染症の同症状よりも改善されている。いくつかの実施形態において、観察される感染症の症状は、ウイルス量の減少、CD4+ T細胞数の増加、日和見感染の減少、生存時間の増加、慢性感染の根絶、または、それらの組み合わせであり得る。
図面の簡単な説明
適用なし
発明の詳細な説明
本発明をさらに説明する前に、本発明は本明細書に記載の特定の実施形態に限定されないことが理解され、本明細書で使用される用語は特定の実施形態のみを説明するためのものであり、限定しようとするものではないことも理解される。
ある範囲の値が提供される場合に、明示的に別段の定めがない限り、その範囲の上限と下限との間に、下限の単位の10分の1までの各介在値と、その記載された範囲内の任意の記載された値または介在値は本発明に包含される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立してより小さい範囲に含まれてもよく、また、本発明に包含されるが、記載された範囲内の任意の特定的に除外された限界値に左右される。記載された範囲が限界値の一方または両方を含む場合に、含まれる限界値の一方または両方を除く範囲も本発明に含まれる。他に規定されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
本明細書で使用されるときに、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかに別のことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。請求項はあらゆる任意要素を排除するように作成され得ることにさらに留意されたい。したがって、この記述は、請求項要素の列挙または「否定的」限定の使用に関連して、「専ら」、「唯一の」などのような排他的な用語の使用のための前提として役立つことが意図される。
本明細書で論じられる刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示のためにのみ提供される。さらに、提供される公開日は実際に公開された日付とは異なる場合があり、それは独立して確認する必要があるであろう。
一般
本明細書では、例えば、アデノシンA2Aレセプター(A2AR)および/またはアデノシンA2Bレセプター(A2BR)を阻害するための化合物および組成物、ならびにそれを含む医薬組成物は提供される。また、本明細書には、例えば、アデノシンA2Aレセプター(A2AR)および/またはアデノシンA2Bレセプター(A2BR)の阻害によって媒介される疾患、障害または状態、あるいはその症状を治療または予防する方法も提供される。
定義
他に示されない限り、以下の用語は以下に示す意味を有することが意図される。他の用語は本明細書全体を通して他の箇所で定義される。
「アルキル」という用語は、それ自体または別の置換基の一部として、特に明記しない限り、指定された炭素原子数を有する直鎖または分枝鎖炭化水素基を意味する(すなわち、C1-8は1〜8個の炭素を意味する)。アルキルは、C1-2、C1-3、C1-4、C1-5、C1-6、C1-7、C1-8、C1-9、C1-10、C2-3、C2-4、C2-5、C2-6、C3-4、C3-5、C3-6、C4-5、C4-6およびC5-6などの任意の数の炭素を含む。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなどが挙げられる。
「アルキレン」という用語は、示された炭素原子数を有し、少なくとも2つの他の基を連結する直鎖または分枝鎖の飽和脂肪族基、すなわち二価炭化水素基を指す。アルキレンに結合している2つの部分は、アルキレン基の同じ原子または異なる原子に結合することができる。例えば、直鎖アルキレンは、-(CH2n-の二価基であってよく、nは1,2,3,4,5または6である。代表的なアルキレン基としては、限定するわけではないが、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、sec-ブチレン、ペンチレンおよびヘキシレンが挙げられる。本出願においてX1またはX2基と呼ばれることが多いアルキレン基は置換されていてもまたは置換されていなくてもよい。X1またはX2を含む基が場合により置換された場合に、場合により存在する置換基はその部分のアルキレン部分に存在し得ることが理解される。
用語「シクロアルキル」は、示された数の環原子を有する炭化水素環(例えば、C3-6シクロアルキル)を指し、完全に飽和しているか、または、環頂点間に1個を超える数の二重結合を有することはない。「シクロアルキル」はまた、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタンなどの二環式および多環式炭化水素環を指すことも意味する。いくつかの実施形態において、本開示のシクロアルキル化合物は単環式C3-6シクロアルキル部分である。
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、指示された数の環頂点(または員)を有し、N、OおよびSから選択される1〜5個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子が炭素頂点の1〜5個を置換しているシクロアルキル環を指し、ここで、窒素および硫黄原子は場合により酸化されていてもよく、窒素原子は場合により第四級化されていてもよい。シクロヘテロアルキルは、単環式、二環式または多環式環系であってもよい。シクロヘテロアルキル基の非限定的な例としては、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ブチロラクタム、バレロラクタム、イミダゾリジノン、ヒダントイン、ジオキソラン、フタルイミド、ピペリジン、1,4-ジオキサン、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリン-S-オキシド、チオモルホリン-S,S-オキシド、ピペラジン、ピラン、ピリドン、3-ピロリン、チオピラン、ピロン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、キヌクリジンなどが挙げられる。シクロヘテロアルキル基は、環炭素またはヘテロ原子を介して分子の残部に結合することができる。
本明細書に使用されるときに、本明細書に記載の任意の化学構造における単結合、二重結合または三重結合に交差する波線
は分子の残部への単結合、二重結合または三重結合の結合点を表す。さらに、環(例えば、フェニル環)の中央に延びている結合は利用可能な環頂点のいずれかへの結合を示すことが意図される。当業者は、環に結合しているものとして示される複数の置換基は安定な化合物を提供し、さもなければ、立体的に適合性である環頂点を占有することが理解されるであろう。二価の成分に関して、表示はいずれの方向(順方向または逆方向)をも含むことが意図される。例えば、基「-C(O)NH-」はいずれの方向の結合: -C(O)NH-または-NHC(O)-も含み、同様に、「-O-CH2CH2-」は-O-CH2CH2-および-CH2CH2-O-の両方を含む。
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、単独でまたは別の置換基の一部として、特に明記しない限り、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子を意味する。さらに、「ハロアルキル」などの用語は、モノハロアルキルおよびポリハロアルキルを含むことを意味する。例えば、用語「C1-4ハロアルキル」は、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピルなどを含むことを意味する。
「アリール」という用語は、特に明記しない限り、一緒に縮合しているかまたは共有結合している単環または多環(3つまでの環)であり得る多価不飽和の、典型的には芳香族の炭化水素基を意味する。アリール基の非限定的な例としては、フェニル、ナフチルおよびビフェニルが挙げられる。
「ヘテロアリール」という用語は、N、OおよびSから選択される1〜5個のヘテロ原子を含有するアリール基(または環)を指し、ここで、窒素および硫黄原子は場合により酸化され、窒素原子は場合により第四級化されている。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して分子の残部に結合することができる。ヘテロアリール基の非限定的な例としては、ピリジル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ベンゾトリアジニル、プリル、ベンズイミダゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミンジニル、トリアジニル、キノリニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、イソベンゾフリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾトリアジニル、チエノピリジニル、チエノピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、イミダゾピリジン、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、キノリル、イソキノリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、インダゾリル、プテリジニル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアジアゾリル、ピロリル、チアゾリル、フリル、チエニルなどが挙げられる。ヘテロアリール環のための置換基は以下に記載する許容され得る置換基の群から選択されることができる。
上記の用語(例えば、「アルキル」、「アリール」および「ヘテロアリール」)は、いくつかの実施形態において、場合により置換されたであろう。各タイプの基のための選択される置換基は下記に提供される。
アルキル基(アルキレン、アルケニルおよびアルキニルともしばしば呼ばれる基を含む)のための任意要素の置換基は様々な基であることができ、該基はハロゲン、-OR’、-NR’R”、-SR’、-SiR’R”R”’、-OC(O)R’、-C(O)R’、-CO2R’、-CONR’R”、-OC(O)NR’R”、-NR”C(O)R’、-NR’-C(O)NR”R”’、-NR”C(O)2R’、-NH-C(NH2)=NH、-NR’C(NH2)=NH、-NH-C(NH2)=NR’、-S(O)R’、-S(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-NR’S(O)2R”、-CN(シアノ)、-NO2、アリール、アリールオキシ、オキソ、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルから選択され、それは0〜(2m’+1)の範囲の数であり、ここで、m’ はこのような基にある炭素原子の総数である。R’、R” およびR”’はそれぞれ独立して、水素、非置換C1-8 アルキル、非置換アリール、1〜3個のハロゲン、C1-8 アルコキシまたはC1-8 チオアルコキシ基により置換されたアリール、または、非置換アリール-C1-4 アルキル基を指す。R’ およびR” が同一の窒素原子に結合されている場合に、それらは窒素原子と組み合わされて、3-、4-、5-、6-または7-員環を形成することができる。例えば、-NR’R” は1-ピロリジニルおよび4-モルホリニルを含むことが意図される。
シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキル基のための任意要素の置換基はC(O)OR’により場合により置換されたアルキル、ハロゲン、-OR’、-NR’R”、-SR’、-SiR’R”R”’、-OC(O)R’、-C(O)R’、-CO2R’、-CONR’R”、-OC(O)NR’R”、-NR”C(O)R’、-NR’-C(O)NR”R”’、-NR”C(O)2R’、-NH-C(NH2)=NH、-NR’C(NH2)=NH、-NH-C(NH2)=NR’、-S(O)R’、-S(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-NR’S(O)2R”、-CN (シアノ)、-NO2、アリール、アリールオキシおよびオキソから選択される種々の基であることができる。R’、R”およびR”’はそれぞれ独立して、水素、非置換C1-8アルキル、非置換アリール、1〜3個のハロゲン、C1-8 アルコキシまたはC1-8 チオアルコキシ基により置換されたアリール、または、非置換アリール-C1-4 アルキル基を指す。
同様に、アリールおよびヘテロアリール基のための任意要素の置換基は様々であり、そして一般に、-ハロゲン、-OR’、-OC(O)R’、-NR’R”、-SR’、-R’、-CN、-NO2、-CO2R’、-CONR’R”、-C(O)R’、-OC(O)NR’R”、-NR”C(O)R’、-NR”C(O)2R’、-NR’-C(O)NR”R”’、-NH-C(NH2)=NH、-NR’C(NH2)=NH、-NH-C(NH2)=NR’、-S(O)R’、-S(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-NR’S(O)2R”、-N3、ペルフルオロ(C1-C4)アルコキシおよびペルフルオロ(C1-C4)アルキルから選択され、その数は0から芳香環系上の開放原子価の総数までの範囲であり、そしてR’、R”およびR”’は独立して、水素、C1-8 アルキル、C1-8 ハロアルキル、C3-6 シクロアルキル、C2-8 アルケニルおよびC2-8 アルキニルから選択される。他の適切な置換基としては1〜6個の炭素原子のアルキレンテザーにより環に結合された上記のアリール置換基のそれぞれが挙げられる。
アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子上の2つの置換基は式-T-C(O)-(CH2)q-U-(式中、TおよびUは独立して、-NH-、-O-、-CH2-または単結合であり、そしてqは0〜2の整数である)の置換基により場合により置き換えられていてよい。あるいは、アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子上の2つの置換基は式-A-(CRfRg)r-B-(式中、AおよびBは独立して-CH2-、-O-、-NH-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)2NR’-または単結合であり、rは1〜3の整数であり、そしてRf およびRgはそれぞれ独立してHまたはハロゲンである)の置換基により場合により置き換えられていてよい。そのようにして形成された新たな環の単結合の1つは二重結合により場合により置き換えられていてよい。あるいは、アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子上の2つの置換基は式-(CH2)s-X-(CH2)t-(式中、sおよびtは独立して0〜3の整数であり、そしてXは-O-、-NR’-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-または-S(O)2NR’-である)の置換基により場合により置き換えられていてよい。-NR’-および-S(O)2NR’-中の置換基R’は水素または非置換C1-6アルキルから選択される。
本明細書に使用されるときに、用語「ヘテロ原子」は酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)およびケイ素(Si)を含むことが意図される。
用語「医薬的に許容され得る塩」は活性化合物の塩を包含することが意図され、該塩は本明細書に記載の化合物に見いだされる特定の置換基に応じして、比較的に非毒性の酸または塩基を用いて調製される。本発明の化合物が比較的に酸性の官能基を含む場合には、塩基付加塩はこのような化合物の中性形態を、十分な量の、ニートであるかまたは適切な不活性溶媒中のいずれかの所望の塩基と接触させることにより得ることができる。医薬的に許容され得る塩基に由来する塩の例としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などが挙げられる。医薬的に許容され得る有機塩基に由来する塩としては、第一級、第二級および第三級アミン(置換アミン、環式アミン、天然由来アミンなどを含む)の塩が挙げられ、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N、N'-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどが挙げられる。本発明の化合物が比較的に塩基性の官能基を含む場合には、酸付加塩はこのような化合物の中性形態を、十分な量の、ニートであるかまたは適切な不活性溶媒中のいずれかの所望の酸と接触させることにより得ることができる。医薬的に許容され得る酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸または亜リン酸などの無機酸に由来する塩、ならびに、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの比較的に非毒性の有機酸などに由来する塩が挙げられる。アルギン酸塩などのアミノ酸の塩、および、グルクロン酸またはガラクツロン酸などの有機酸の塩も挙げられる(例えば、Berge, S.M.ら, “Pharmaceutical Salts”, Journal of Pharmaceutical Science, 1977, 66, 1-19を参照)。本発明の特定の化合物は塩基および酸の両方の官能基を含み、それにより、化合物を塩基付加塩または酸付加塩のいずれかに転化させ得る。
化合物の中性形態は、従来の方法で、塩を塩基または酸と接触させ、親化合物を単離することによって再生することができる。化合物の親形態は、極性溶媒への溶解度などの特定の物理的性質において様々な塩形態とは異なるが、それ以外は、塩は本発明の目的のための化合物の親形態と同等である。塩形態に加えて、本発明はプロドラッグ形態である化合物を提供する。本明細書に記載の化合物のプロドラッグは、生理学的条件下で容易に化学変化を受けて本発明の化合物を提供する化合物である。さらに、プロドラッグは、生体外環境において化学的または生化学的方法によって本発明の化合物に転化させることができる。例えば、プロドラッグは、適切な酵素または化学試薬とともに経皮パッチリザーバーに入れたときに、本発明の化合物にゆっくりと転化することができる。プロドラッグは、本明細書の他の箇所でより詳細に記載される。
塩形態に加えて、本発明はプロドラッグ形態である化合物を提供する。本明細書に記載の化合物のプロドラッグは生理学的条件下で容易に化学変化を受けて本発明の化合物を提供する化合物である。さらに、プロドラッグは、生体外環境において化学的または生化学的方法によって本発明の化合物に転化させることができる。例えば、プロドラッグは、適切な酵素または化学試薬とともに経皮パッチリザーバーに入れたときに、本発明の化合物にゆっくりと転化することができる。
本発明の特定の化合物は、非溶媒和形態ならびに水和形態を含む溶媒和形態で存在することができる。一般に、溶媒和形態は非溶媒和形態と同等であり、本発明の範囲内に包含されることが意図される。本発明の特定の化合物は多結晶または非晶形態で存在し得る。一般に、すべての物理的形態は本発明によって企図される使用のために同等であり、本発明の範囲内にあることが意図される。
本発明のある種の化合物は不斉炭素原子(光学中心)または二重結合を有する。ラセミ混合物、ジアステレオマー、幾何異性体、位置異性体および個々の異性体(例えば、分離されたエナンチオマー)はすべて本発明の範囲内に包含されることが意図される。立体化学的描写が示されている場合に、異性体の1つが存在し、他の異性体が実質的に存在しない化合物を指すことが意図される。他の異性体を「実質的に含まない」とは、2つの異性体の比が少なくとも80/20の比、より好ましくは90/10または95/5またはそれ以上であることを示す。いくつかの実施形態において、異性体の1つは少なくとも99%の量で存在するであろう。
本発明の化合物はまた、斯かる化合物を構成する原子の1つ以上に、不自然な割合の原子同位体を含むことができる。同位体の不自然な割合は、自然界に見出される量から問題の原子100%を構成する量までの範囲と定義することができる。例えば、化合物は、例えば、トリチウム(3H)、ヨウ素-125(125I)または炭素-14(14C)などの放射性同位体、または、デューテリウム(2H)または炭素-13(13C)などの非放射性同位体を含むことができる。斯かる同位体の変形体は、本出願内の他の箇所に記載されたものに追加の有用性を提供することができる。例えば、本発明の化合物の同位体変形体は、限定するわけではないが、診断および/または画像化試薬としての、または、細胞傷害性/放射性毒性治療薬としての追加の用途を見出すことができる。さらに、本発明の化合物の同位体変形体は治療中の安全性、忍容性または有効性の向上に寄与することができる、変更した薬物動態特性および薬力学特性を有することができる。本発明の化合物の全ての同位体変形体は放射性であろうとなかろうと、本発明の範囲内に包含されることが意図される。
用語「患者」または「対象」はヒトまたは非ヒト動物(例えば、哺乳動物)を指すために相互互換的に使用される。
例えば、対象、細胞、組織、器官または生物学的流体に適用されるときに、用語「投与」、「投与する」などは、例えば、A2AR/A2BRの阻害剤、それを含む薬学的組成物、または、診断薬を対象、細胞、組織、器官または生物学的流体に接触させることを指す。細胞との関連で、投与には、細胞に対する試薬の接触(例えば、インビトロまたはエクスビボ)、ならびに流体が細胞と接触している流体への試薬の接触を指す。
「治療(処置)する」、「治療(処置)すること」、「治療(処置)」などの用語は、疾患、障害または状態が診断、観察などされた後に開始される行動(A2AR/A2BRの阻害剤またはそれを含む医薬組成物の投与など)を指し、それにより、対象を苦しめている疾患、障害または状態の根底にある原因の少なくとも1つ、または、対象を苦しめている疾患、障害、状態に関連する症状の少なくとも1つを一時的にまたは永久的に排除、低減、抑制、緩和または改善する。したがって、治療(処置)には活性疾患を阻害すること(例えば、疾患、障害または状態の発症またはさらなる推移またはそれに関連する臨床症状を阻止すること)が含まれる。
本明細書で使用するときに、「治療(処置)を必要とする」という用語は、対象が治療を必要とするかまたは治療から恩恵を受けるだろう医師または他の介護者によって行われる判断を指す。この判断は、医師または介護者の専門知識の領域にあるさまざまな要因に基づいて行われる。
用語「予防する」、「予防すること」、「予防」などは、疾患、障害、状態などを発症する対象のリスクを一時的にまたは永久的に予防、抑制、阻害または軽減(例えば、臨床症状がないことにより決定)するように(例えば、疾患、障害、状態またはそれらの症状の開始前に)開始される一連の行動(例えば、A2AR/A2BR阻害剤またはそれを含む医薬組成物の投与など)を指し、または、一般的には、特定の疾患、障害または状態を有する素因がある対象の関連で、その発症を遅らせることを指す。特定の場合には、この用語はまた、疾患、障害または状態の進行を遅らせること、または、有害な状態または望ましくない状態になるその進行を阻害することを指す。
本明細書で使用されるときに、「予防が必要である」という用語は、対象が予防的ケアを必要とする、または、それにより恩恵を受けるだろう医師または他の介護者によってなされる判断を指す。この判断は、医師または介護者の専門知識の領域にあるさまざまな要因に基づいて行われる。
「治療有効量」という語句は、単独または医薬組成物の一部として、そして単回用量または一連の用量のいずれかで、対象に薬剤を投与し、対象に投与されたときの疾患、障害または状態のいずれかの症状、容態または特徴に対していずれかの検出可能な、正の効果を有することができる量を指す。治療有効量は、関連する生理学的効果を測定することによって確認することができ、投与レジメンおよび対照の状態の診断分析などに関連して調整することができる。例として、投与後の特定の時間におけるA2AR/A2BR阻害剤(または、例えばその代謝産物)の血清レベルの測定は、治療有効量が使用されたかどうかの指標であることができる。
「変化を起こすのに十分な量で」という語句は、特定の療法の投与前(例えば、ベースラインレベル)および投与後に測定された指標のレベルの間に検出可能な差があることを意味する。指標としては、客観的パラメータ(例えば、血清濃度)または主観的パラメータ(例えば、対象の健康感)が挙げられる。
「小分子」という用語は、約10kDa未満、約2kDa未満または約1kDa未満の分子量を有する化合物を指す。小分子としては、限定するわけではないが、無機分子、有機分子、無機成分を含む有機分子、放射性原子を含む分子、および、合成分子が挙げられる。治療上、小分子は、細胞に対してより透過性であり、分解しにくく、大きな分子よりも免疫応答を誘発しにくい傾向がある。
「リガンド」という用語は、例えば、レセプターのアゴニストまたはアンタゴニストとして作用することができるペプチド、ポリペプチド、メンブレン結合分子または膜結合分子、またはその複合体を指す。リガンドは、天然および合成リガンド、例えば、サイトカイン、サイトカイン変異体、類似体、突然変異タンパク質、および、抗体由来の結合組成物、ならびに小分子を包含する。この用語はまた、アゴニストでもアンタゴニストでもないが、その生物学的特性、例えばシグナル伝達または接着に有意に影響を及ぼすことなくレセプターに結合することができる薬剤を包含する。さらに、この用語は、膜結合リガンドの可溶性形態に、例えば、化学的方法または組換え方法によって変化された膜結合リガンドを包含する。リガンドまたはレセプターは完全に細胞内にあることができ、すなわち、細胞質ゾル、核または他のいくつかの細胞内コンパートメントに存在し得る。リガンドとレセプターとの複合体は、「リガンド-レセプター複合体」と呼ばれる。
「阻害剤 (inhibitors)」および「アンタゴニスト」または「活性化剤 (activators)」および「アゴニスト」という用語は、それぞれ、例えば、リガンド、レセプター、補因子、遺伝子、細胞、組織または器官の活性化などのための阻害または活性化分子を指す。阻害剤は、例えば遺伝子、タンパク質、リガンド、レセプターまたは細胞を減少させ、遮断させ、活性化を防止し、遅延し、不活性化し、脱感作しまたはダウンレギュレートする分子である。活性化剤は、例えば、遺伝子、タンパク質、リガンド、レセプターまたは細胞を増加させ、活性化させ、促進させ、活性化を増強させ、感作させまたはアップレギュレートする分子である。阻害剤はまた、構成的活性を減少させ、遮断しまたは不活性化する分子として定義され得る。「アゴニスト」は、標的と相互作用して、標的の活性化の増加を引き起こすまたは促進する分子である。「アンタゴニスト」はアゴニストの作用に抗する分子である。アンタゴニストは、アゴニストの活性を防止し、低減し、阻害しまたは中和し、アンタゴニストはまた、同定されたアゴニストが存在しない場合でさえ、標的、例えば、標的レセプターの構成的活性を予防し、阻害しまたは低減させることができる。
「調節する (modulate)」、「調節 (modulation)」などの用語は、A2AR/A2BRの機能または活性を直接または間接的に増加または減少させる分子(例えば、活性化剤または阻害剤)の能力を指す。モジュレータは単独で作用してもよく、または補因子、例えばタンパク質、金属イオンまたは小分子を使用してもよい。モジュレータの例としては、小分子化合物および他の生物有機分子が挙げられる。小分子化合物の多数のライブラリー(例えば、コンビナトリアルライブラリー)は市販されており、モジュレータを同定するための出発点として役立ち得る。当業者は、所望の特性を有する1つ以上の化合物を同定するために、斯かる化合物ライブラリーをスクリーニングすることができ、その後、医薬化学の当業者が、例えば、その類似体および誘導体の合成および評価によって、斯かる1つ以上の化合物を最適化することができる1つ以上のアッセイ(例えば、生化学または細胞ベースのアッセイ)を開発することができる。合成および/または分子モデリング研究はまた、活性化剤の同定に利用することもできる。
分子の「活性」は、リガンドまたはレセプターへの分子の結合性、触媒活性、遺伝子発現または細胞シグナル伝達、分化または成熟を刺激する能力、抗原性活性、他の分子の活性の調節などを記載しまたは指すことができる。「増殖活性」という用語は、正常細胞分裂、ならびに癌、腫瘍、異形成、細胞形質転換、転移および血管形成を促進する、それを必要とする、または、それと特に関連する活性を包含する。
本明細書で使用するときに、「匹敵する (comparable)」、「同等の活性 (comparable atcitivy)」、「と同等の活性 (activity comparable to)」、「同等の効果 (comparable effect)」、「と同等の効果 (effect comparable to)」などは、定量的および/または定性的に見ることができる相対的な用語である。用語の意味は、頻繁に使用される文脈に依存する。一例として、レセプターを活性化する2つの薬剤は、質的観点から匹敵する効果を有すると見なすことができるが、当該技術分野で認められているアッセイ(例えば、用量応答アッセイ)または当該技術分野で認められている動物モデルにおいて決定して、一方の薬剤が他方の薬剤の活性の20%を達成することができるだけならば、2つの薬剤は定量的な観点から匹敵する効果がないと見ることができる。1つの結果を別の結果と比較するときに(例えば、1つの結果を参照標準と比較する)、「匹敵」とは、頻繁に(たとえ常にではなくとも)、1つの結果が参照標準から35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、7%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2未満%または1%未満だけずれている。特定の実施形態において、1つの結果が参照標準から15%未満、10%未満または5%未満でずれた場合に、1つの結果は参照標準に匹敵する。例として、限定するものではないが、活性または効果は、有効性、安定性、溶解性または免疫原性を指すことができる。
「実質的に純粋」は、成分が組成物の全含有量の約50%を超え、典型的には全ポリペプチド含有量の約60%を超えて構成することを示す。より典型的には、「実質的に純粋」とは、全組成物の少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%またはそれ以上が目的の成分である組成物を指す。ある場合には、ポリペプチドは組成物の全含有量の約90%を超えるか、または約95%を超える量を構成するであろう。
「特異的に結合する」または「選択的に結合する」という用語は、リガンド/レセプター、抗体/抗原または他の結合対を指す場合に、タンパク質および他の生物製剤の異種集団におけるタンパク質の存在を決定する結合反応を示す。したがって、指定条件下で、特定のリガンドは特定のレセプターに結合し、サンプル中に存在する他のタンパク質に有意な量で結合しない。意図される方法の抗体または抗体の抗原結合部位に由来する結合性組成物は、その抗原、またはその変異体もしくは突然変異タンパク質に親和性をもって結合し、その親和性は任意の他の抗体またはそれに由来する結合性組成物との親和性よりも少なくとも2倍大きく、少なくとも10倍大きく、少なくとも20倍大きく、または、少なくとも100倍大きい。特定の実施形態において、抗体は、例えばScatchard分析(Munsenら、1980 Analyt. Biochem. 107: 220-239)によって決定して、約109リットル/モルより大きい親和性を有する。
例えば、細胞、組織、器官または生物の「応答」という用語は、生物学的区画内の濃度、密度、接着または移動などの生化学的または生理学的挙動、遺伝子発現の速度または分化の状態の変化であって、該変化が活性化、刺激または治療または遺伝子プログラミングなどの内部機構と相関する変化を包含する。特定の状況において、「活性化」、「刺激」などの用語は、内部機構および外部または環境因子によって調節される細胞活性化を指す。一方、「阻害」、「ダウンレギュレーション」などは反対の効果を指す。
本明細書において相互互換的に使用される「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、遺伝的にコードされたアミノ酸および非遺伝的にコードされたアミノ酸、化学的または生化学的修飾アミノ酸または誘導体化アミノ酸、および、修飾ポリペプチド骨格を有するポリペプチドを含むことができる任意の長さのアミノ酸のポリマー形態を指す。用語には、融合タンパク質が含まれ、限定するわけではないが、異種アミノ酸配列を有する融合タンパク質、N末端メチオニン残基を有するかまたは有しない、異種および同種のリーダー配列を有する融合タンパク質、免疫学的に標識されたタンパク質などが含まれる。
本明細書で使用されるときに、「変異体 (variants)」および「ホモログ」という用語は、参照アミノ酸または核酸配列にそれぞれ類似するアミノ酸配列またはDNA配列を指すために相互互換的に使用される。この用語は、天然に存在する変異体および天然に存在しない変異体を包含する。天然に存在する変異体は、ホモログ(ある種と別の種でアミノ酸またはヌクレオチド配列がそれぞれ異なるポリペプチドおよび核酸)、および、対立遺伝子変異体(種の中の1つの個体と別の個体でそれぞれ異なるアミノ酸またはヌクレオチド配列)。したがって、変異体およびホモログは、天然に存在するDNA配列およびそれによってコードされるタンパク質およびそれらのアイソフォームならびにタンパク質または遺伝子の接合変異体を包含する。この用語はまた、天然に存在するDNA配列から1つ以上の塩基が変化するが、遺伝子コードの縮重に起因して天然に存在するタンパク質に対応するアミノ酸配列になおも翻訳される核酸配列も包含する。天然に存在しない変異体およびホモログには、それぞれ、アミノ酸またはヌクレオチド配列の変化を含むポリペプチドおよび核酸が含まれ、ここで、配列の変化は人為的に導入される(例えば、突然変異タンパク質)。例えば、変化はヒトの介入(「人間の手」)によって実験室で生成される。したがって、天然に存在しない変異体およびホモログは、1つ以上の保存的置換および/またはタグおよび/またはコンジュゲートによって天然に存在する配列と異なるものを指すこともできる。
本明細書で使用されるときに、用語「突然変異タンパク質 (muteins)」は広く突然変異した組換えタンパク質を指す。これらのタンパク質は、通常、単一または複数のアミノ酸置換を有し、部位特異的もしくはランダム突然変異誘発または完全突然変異誘発に供されたクローン化遺伝子、または、完全に合成された遺伝子に由来することが多い。
「DNA」、「核酸」、「核酸分子」、「ポリヌクレオチド」などの用語は、任意の長さのポリマー形態のヌクレオチドを指すために本明細書中で相互互換的に使用され、それはデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、または、その類似体のいずれかである。ポリヌクレオチドの非限定的な例としては、直鎖および環状核酸、メッセンジャーRNA(mRNA)、相補DNA(cDNA)、組換えポリヌクレオチド、ベクター、プローブ、プライマーなどが挙げられる。
アデノシンA2AレセプターおよびアデノシンA2Bレセプターおよびその阻害
上記のように、本発明の化合物がその活性に作用する根底にある作用機構の正確な理解は本発明の実施に必要とされず、化合物(またはそのサブセット)はアデノシンA2Aレセプター(A2AR)および/またはアデノシンA2Bレセプター(A2BR)を阻害するものと考えられる。あるいは、化合物(またはそのサブセット)は、アデニリルシクラーゼ機能を阻害することができる。化合物(またはそのサブセット)はまた、A2Aレセプター(A2AR)、アデノシンA2Bレセプター(A2BR)ならびにアデニリルシクラーゼに対する阻害剤活性を有することができる。本発明の化合物は、本明細書で、一般に、アデノシンA2Aレセプター(A2AR)および/またはアデノシンA2Bレセプター(A2BR)阻害剤と呼ばれるが、用語「A2AR/A2BR阻害剤」は、A2AR、A2BRまたはアデニリルシクラーゼの阻害を介して個々に作用する化合物、および/または、A2AR、A2BRおよびアデニリルシクラーゼの阻害を介して作用する化合物を包含することが理解されるべきである。
望ましい特性を有するアデノシンA2AレセプターおよびアデノシンA2Bレセプター阻害剤の同定
本発明は、部分的には、治療に妥当性がある少なくとも1つの特性または特徴を有するアデノシンA2Aレセプターおよび/またはアデノシンA2Bレセプターの阻害剤の同定に関する。候補阻害剤は、例えば、当該技術分野で受け入れられたアッセイまたはモデルを用いて同定することができ、その例は本明細書に記載されている。
同定後に、候補阻害剤は阻害剤の特性に関するデータ(例えば、薬物動態パラメータ、溶解度または安定性の決定手段)を提供する技術を使用することによって、さらに評価することができる。候補阻害剤と参照標準(現在の阻害剤の「クラス最高」)との比較は、そのような候補の潜在的可能性の指標となる。
本発明の化合物
1つの特定の態様において、本明細書中に提供されているのは、式(I):
(式中、
G1はNまたはCR3aであり;
G2はNまたはCR3bであり;
R3aおよびR3bはそれぞれ独立して、HまたはC1-3アルキルであり;
R1aおよびR1bはそれぞれ独立して、
i)H、
ii)1〜3個のR5置換基により場合により置換されたC1-8アルキル、
iii)1〜3個のR5置換基により場合により置換された-X1-O-C1-8アルキル、
iv)-C(O)-R6
v)1〜3個のR7置換基で場合により置換されたY、および、
vi)1〜3個のR7置換基で場合により置換された-X1-Y、
から成る群から選択されるか、または、
vii)R1aおよびR1bはそれらが結合している窒素とともに、5〜6員ヘテロシクロアルキル間を形成し、該環は1〜3個のR8置換基により場合により置換され、該ヘテロシクロアルキルはO、NおよびSから成る群から選択される0〜2個の追加のヘテロ原子環頂点を有し、
各YはC3-8シクロアルキルまたはO、NおよびSから成る群から選択される1〜3個のヘテロ原子環頂点を有する4〜6員ヘテロシクロアルキルであり;
R2およびR4はそれぞれ独立して、HまたはC1-3アルキルであり;
各X1はC1-6アルキレンであり;
各R5はヒドロキシル、C3-8シクロアルキル、フェニル、-O-フェニル、-C(O)ORaおよびオキソから成る群から独立して選択され;
各R6はC1-8アルキルまたはYであり、そのそれぞれはヒドロキシル、-O-フェニル-、フェニル、および-O-C1-8アルキルから成る群から選択される1〜3個の置換基で場合により置換され;
各R7はC1-8アルキル、ヒドロキシル、-O-C1-8アルキル、オキソおよびC(O)ORaから成る群から独立して選択され;
各R8はC1-8アルキル、ヒドロキシルおよびオキソから成る群から独立して選択され;
添字nは0、1、2または3であり;
各R9はC1-8アルキル、C1-8ハロアルキル、-O-C1-8アルキル、-X1-O-C1-8アルキル、-O-X1-O-C1-8アルキル、-X1-O-X1-O-C1-8アルキル、-C(O)ORa、ハロゲン、シアノ、フェニル、-NRbRc、Y、-X1-C3-8シクロアルキル、および-X2-Zから成る群から独立して選択され、ここで、X2はC1-6アルキレン、-C1-6アルキレン-O-、-C1-6アルキレン-NH-、-C1-4アルキレン-O-C1-4アルキレン-、-C(O)-、および-S(O)2から成る群から選択され、ZはO、NおよびSから成る群から選択される1〜3個のヘテロ原子環頂点を有する4〜6員ヘテロシクロアルキルであり、およびここで、前記R9置換基のそれぞれは1〜3個のR11で場合により置換され;
R10a、R10b、R10cおよびR10dのそれぞれはC1-8アルキル、ハロ、シアノ、-O-C1-8アルキル、-X1-O-C1-8アルキル、-O-X1-O-C1-8アルキル、-S(O)2-C1-6アルキル、-C(O)NRdRe、およびO、NおよびSから成る群から選択される1〜3個のヘテロ原子環頂点を有する4〜6員ヘテロアリールから成る群から独立して選択され、ここで、前記R10a~d置換基のそれぞれは1〜3個のR12で場合により置換されるか、または隣接する環頂点上のR10a、R10b、R10cおよびR10dのうちの2つは場合により組み合わされて、1〜2個のハロゲンで場合により置換される5員複素環式環を形成し;
各R11は-C(O)ORaで場合により置換される、ヒドロキシル、オキソ、ハロ、シアノ、-NRdRe、-C(O)ORa、フェニル、C3-8シクロアルキル、およびC1-4アルキルから成る群から独立して選択され;
各R12はハロ、シアノ、ヒドロキシ、-C(O)ORaから成る群から独立して選択され;そして、
各RaはHまたはC1-6アルキルであり;
各RbおよびRcはH、C1-8アルキル、-S(O)2-C1-6アルキル、-C(O)ORa、および-X1-C(O)ORaから成る群から独立して選択され;および
各RdおよびReはH、C1-8アルキル、-S(O)2-C1-6アルキルから成る群から独立して選択される)
を有する化合物または医薬的に許容され得るその塩、水和物もしくは溶媒和物を提供する。
いくつかの選択される実施形態において、式(I)の化合物は、化合物(式中、各R9はC1-8アルキル、-O-C1-8アルキル、-X1-O-C1-8アルキル、-O-X1-O-C1-8アルキル、-X1-O-X1-O-C1-8アルキル、-C(O)ORa、ハロゲン、シアノ、-NRbRc、Y、-X1-C3-8シクロアルキル、および-X2-Zから成る群から独立して選択され、ここで、X2はC1-6アルキレン、-C1-6アルキレン-O-、-C1-4アルキレン-O-C1-4アルキレン-、-C(O)-、および-S(O)2-から成る群から選択され、ZはO、N、およびSから成る群から選択される1〜3個のヘテロ原子環頂点を有する4〜6員ヘテロシクロアルキルであり、およびここで、前記R9置換基のそれぞれは1〜3個のR11で場合により置換された)である。
いくつかの選択される実施形態において、式(I)の化合物は式(Ia)
によって表される。
いくつかの選択される実施形態において、式(I)の化合物は式(Ib)
によって表される。
いくつかの選択される実施形態において、式(I)、(Ia)、および(Ib)(式中、少なくとも1つのR10はメトキシである)の化合物が提供される。
いくつかの選択される実施形態において、式(I)の化合物は式(Ic)
によって表される。
いくつかの選択される実施形態において、式(I)の化合物は式(Id)
によって表される。
いくつかの選択される実施形態において、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、および(Id)(式中、各R9はC1-8アルキル、-O-C1-8アルキル、-X1-O-C1-8アルキル、-O-X1-O-C1-8アルキル、-X1-O-X1-O-C1-8アルキルから成る群から選択され、ここで、前記R9置換基のそれぞれは1〜3個のR11で場合により独立して置換された)の化合物が提供される。
いくつかの選択される実施形態において、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、および(Id)(式中、各R9は-C(O)ORa、-NRbRc、Y、-X1-C3-8シクロアルキル、および-X2-Zから成る群から独立して選択され、ここで、X2はC1-6アルキレン、-C1-6アルキレン-O-、-C(O)-、および-S(O)2-から成る群から選択され、ZはO、N、およびSから成る群から選択される1〜3個のヘテロ原子環頂点を有する4〜6員ヘテロシクロアルキルであり、およびここで、前記R9置換基のそれぞれは1〜3個のR11で場合により置換された)の化合物が提供される。
いくつかの選択される実施形態において、式(I)の化合物は式(Ie)
によって表される。
いくつかの選択される実施形態において、式(I)の化合物は式(If)
によって表される。
いくつかの選択される実施形態において、式(I)の化合物は式(Ig)
によって表される。
いくつかの選択される実施形態において、式(I)の化合物は式(Ih)
によって表される。
いくつかの選択される実施形態において、式(I)の化合物は式(Ii)
によって表される。
いくつかの選択される実施形態において、本明細書中に提供された化合物は以下の:
から成る群から選択される。
いくつかの選択される実施形態において、表1の任意の1つの化合物が提供される。
合成方法
一般に、本明細書に提供される化合物は下記の実施例に記載されるような従来の方法によって調製することができる。
ドラッグデリバリーおよび/または半減期延長のプロドラッグおよび他の手段
本発明のいくつかの態様において、本明細書に記載の化合物はプロドラッグ形態で投与される。
治療活性の延長をもたらすために、デリバリーのためにキャリアを利用するように薬物分子を操作してもよい。斯かるキャリアは、非共有結合様式で使用されて薬物部分が物理化学的に溶媒-キャリア混合物に配合されるか、または、薬物部分の官能基の1つにキャリア試薬を永久的に共有結合させることによって使用され得る(一般にWO 20150202317を参照)。
いくつかの非共有結合的アプローチは好ましい。例としては、限定するわけではないが、特定の実施形態において、ポリマーキャリアへの非共有結合薬物カプセル封入物を含むデポー製剤は使用される。斯かる製剤において、薬物分子はキャリア材料と組み合わされ、薬物分子がバルクキャリアの内部に分布するように処理される。例としては、注射可能な懸濁液として投与される微小粒子ポリマー-薬物凝集体(例えば、Degradex(登録商標)Microspheres(Phosphorex, Inc.))、単一のボーラス注射として投与されるゲル(例えば、Lupron Depot(登録商標)(AbbVie Inc.))として製剤化されたポリマー-薬物分子凝集体、キャリアが薬物を可溶化することができるポリマーまたは非ポリマー物質であることができるリポソーム製剤(例えば、DepoCyt(登録商標)(Pacira Pharmaceuticals)が挙げられる。これらの製剤において、薬物分子の放出は、キャリアが膨潤しまたは物理的に分解した場合に起こり得る。他の例では、化学的分解は薬物の生物学的環境への拡散を可能にする。斯かる化学分解プロセスは、自己加水分解もしくは酵素で触媒され得る。他の制限の中でも、非共有結合的な薬物カプセル封入は、薬物の制御されない放出の防止を必要とし、生分解に対する薬剤の放出機構の依存性は、患者間の変動性を引き起こす可能性がある。
特定の実施形態において、小分子および大分子の両方を含む薬物分子は永続的な共有結合によりキャリアに結合される。水性流体中で低い溶解度を示す特定の小分子治療剤は、親水性ポリマーへの結合によって可溶化されることができ、その例は本明細書の他の箇所に記載されている。大分子タンパク質に関して、半減期の延長は、例えば、パルミトイル部分による永続的な共有結合修飾、および、延長された半減期を有する別のタンパク質による永続的な共有結合修飾によって達成され得る(例えば、Albuferon(登録商標))。一般に、薬物分子は、キャリアが薬物と共有結合した場合に、生物活性の低下を示す。
ある場合に、非共有結合性ポリマー混合物を含むかまたは永久共有結合を含む薬物分子に関連する制限は、薬物をポリマーキャリアに化学結合させるためのプロドラッグアプローチを用いることによって首尾よく取り組むことができる。これに関連して、不活性であるかまたは薬物部分自体よりも活性の低い治療剤は活性分子物質に予測可能に転化される。放出された薬物と比較してのプロドラッグの生物学的活性の低下は、薬物の徐放または制御放出が望ましい場合に有利である。そのような場合に、薬物の放出は時間の経過と共に起こり、それにより薬物の繰り返し投与および頻繁な投与の必要性が低減される。プロドラッグアプローチはまた、薬物部分自体が胃腸管において吸収されないか、または、最適吸収未満である場合に有利であり得る。これらの場合に、プロドラッグは薬物部分の吸収を促進し、その後、ある後の時間(例えば、第一パス代謝を介して)で切断される。生物学的に活性な薬物分子は、典型的には、キャリア部分と薬物分子のヒドロキシ基、アミノ基またはカルボキシ基との間に形成される一時的結合によってポリマーキャリア部分に連結される。
上記のアプローチはいくつかの制限に関連している。プロドラッグの活性化は、キャリアと薬物分子との間の一時的結合の酵素的または非酵素的切断、または、両者の逐次的な組み合わせ(例えば、酵素的工程とそれに続く非酵素的修飾)によって生じ得る。酵素を含まないインビトロ環境(例えば、水性緩衝溶液)では、エステルまたはアミドなどの一時的結合が加水分解を受ける可能性があるが、対応する加水分解速度は治療上有用な範囲の範囲外にある。対照的に、インビボ環境では、エステラーゼまたはアミダーゼが典型的に存在し、エステラーゼおよびアミダーゼは、2倍から数桁まで大きさで加水分解の反応速度の有意な触媒促進を引き起こし得る(例えば、Greenwaldら、(1999)J Med Chem 42(18): 3857-67)。
本明細書に記載されるように、プロドラッグは、i)生体前駆体およびii)キャリア結合プロドラッグに分類され得る。生物前駆体はキャリア基を含まず、官能基の代謝生成によって活性化される。対照的に、キャリア結合プロドラッグにおいて、活性物質は生物活性物質の官能基で一時的な結合を介してキャリア部分に結合される。好ましい官能基はヒドロキシル基またはアミノ基である。結合化学および加水分解条件の両方は、使用される官能基のタイプに依存する。キャリアは生物学的に不活性(例えば、PEG)であってよく、または、ターゲティング特性(例えば、抗体)を有してもよい。キャリア結合プロドラッグのキャリア部分の切断により、目的の生物活性物質をもたらし、生物活性物質の脱保護された官能基の性質はその生物活性にしばしば寄与する。
特許および科学文献には、一時的結合が不安定なエステル結合である多くの高分子プロドラッグが記載されている。これらの場合に、生物活性物質の官能基はヒドロキシル基またはカルボン酸のいずれかである(例えば、Chengら(2003)Bioconjugate Chem 14: 1007-17を参照)。さらに、生体高分子および特定の小分子薬物が、生物活性物質のアミノ基(例えば、タンパク質のN末端またはリジンアミノ基)にキャリアを結合することがしばしば有利である。プロドラッグの調製の間に、アミノ基は、ヒドロキシル基またはフェノール基に比べてより大きな求核性のために、より化学選択的に取り扱われることができる。これは、非選択的結合反応が広範な特性化または精製を必要とする望ましくない生成物混合物をもたらし、したがって活性成分の反応収率および治療効率を低下させる、多種多様な異なる反応性官能基を含むタンパク質およびペプチドに特に関連する。
一般に、アミド結合は、エステル結合よりも加水分解に対してより安定であり、アミド結合の切断速度は、キャリア結合プロドラッグにおける治療有用性のためには遅すぎる可能性がある。その結果、プロドラッグアミド結合の切断可能性を制御するために、構造化学成分を添加することが有利であり得る。キャリア自体によってもまたは薬物によっても提供されないこれらの追加の切断制御化学成分は、一般に「リンカー」と呼ばれる。プロドラッグリンカーは、一時的結合の加水分解速度に大きな影響を与えることができ、リンカーの化学的性質の変化はしばしば特定の特性をもたらす。標的放出のための特定の酵素によるアミン含有生物活性部分のプロドラッグ活性化は、リンカーの構造が対応する内因性酵素によって基質として認識される構造モチーフを表示することを必要とする。これらの場合に、一時的結合の切断は、酵素によって触媒される一工程プロセスで起こる。例えば、シタラビンの酵素的放出は、様々な種類の腫瘍塊において比較的高いプロテアーゼプラスミンによって行われる。
患者間の変動性は支配的な酵素切断の主要な欠点である。酵素レベルは、酵素的切断によるプロドラッグ活性化の生物学的変動性をもたらす対象間で有意に異なる場合がある。酵素レベルはまた、投与部位に依存して変動し得る(例えば、皮下注射の場合、身体のある領域は他の領域よりも予測可能な治療効果をもたらす)。さらに、酵素依存性キャリア結合プロドラッグの薬物動態的特性のインビボ-インビトロ相関を確立することは困難である。
薬物部分中のアミノ基への一時的結合を使用する他のキャリアプロドラッグはカスケード機構に基づく。カスケード切断は、マスキング基と活性化基との構造的組み合わせから成るリンカー化合物によって可能になる。マスキング基は、エステルまたはカルバメートなどの第一の一時的結合によって活性化基に結合されている。活性化基は、第二の一時的結合(例えば、カルバメート)を介して薬物分子のアミノ基に結合される。第二の一時的結合の安定性または加水分解に対する感受性はマスキング基の存在または非存在に依存する。マスキング基の存在下において、第二の一時的結合は非常に安定であり、薬物分子を治療的に有用な反応速度で放出しそうにないが、一方、マスキング基の非存在下において、この結合は非常に不安定になり、薬物部分の迅速な切断および放出をもたらす。
第一の一時的結合の切断はカスケード機構における律速段階である。第一の段階は、活性化基の分子転位を誘導することができ(例えば、Greenwaldら(1999)J Med Chem 42: 3657-67に記載されているような1,6-脱離)、そして転位は第二の一時的結合を一層より不安定にし、それにより、その切断が誘発される。理想的には、第一の一時的結合の切断速度は、所与の治療シナリオにおける薬物分子の所望の放出速度と同一である。さらに、第二の一時的結合の切断は、その不安定性が第一の一時的な結合の切断によって誘発された後に実質的に瞬時に起こることが望ましい。
別の実施形態は、トリメチルロックラクトン化に基づくポリマーアミノ含有プロドラッグを含む(例えば、Greenwaldら(2000)J Med Chem 43(3): 457-87を参照)。このプロドラッグ系において、置換o-ヒドロキシフェニル-ジメチルプロピオン酸は、エステル、カーボネートまたはカルバメート基を第一の一時的結合としてPEGに結合され、そして第二の一時的結合としてアミド結合によって薬物分子のアミノ基に結合される。薬物放出における律速段階は、第一の結合の酵素的切断であり、次いで、ラクトン化による速いアミド切断が起こり、芳香族ラクトン副生成物が放出される。Greenwaldらによって記載されたプロドラッグ系の主な欠点は、キノンメチドまたは芳香族ラクトンなどの高度に反応性のある潜在的に毒性のある芳香族小分子副生成物の一時的結合の切断後の放出である。潜在的に毒性のある物質は、薬物と1:1の化学量論比で放出され、高いインビボ濃度をとることができる。
1,6-脱離に基づく芳香族活性化基を含むカスケードプロドラッグの特定の実施形態において、マスキング基は構造的にキャリアから分離されている。これは、ポリマーキャリアと活性化基との間の安定な結合を用いることによって達成されることができ、安定な結合はカスケード切断機構に関与しない。キャリアがマスキング基として機能せず、そして活性化基が安定な結合によってキャリアに結合している場合に、潜在的に毒性のある副生成物(活性化基など)の放出は回避される。活性化基およびポリマーの安定した結合はまた、未定義の薬理学で薬物-リンカー中間体の放出を抑制する。
前段落に記載されたアプローチの第一の例は、マンデル酸活性化基に基づくポリマープロドラッグ系を含む(例えば、Shabatら(2004)Chem Eur J 10: 2626-34を参照)。このアプローチでは、マスキング基はカルバメート結合によって活性化基に結合している。活性化基は、アミド結合を介してポリアクリルアミドポリマーに永久的に結合される。触媒抗体によるマスキング基の酵素的活性化の後に、マスキング基は環化によって切断され、薬物が放出される。活性化基は薬物放出後に依然としてポリアクリルアミドポリマーに結合している。同様のプロドラッグ系はマンデル酸活性化基および酵素的に切断可能なエステル結合マスキング基に基づく(例えば、Leeら(2004)Angew Chem 116: 1707-10を参照)。
上記のリンカーを使用する場合に、1,6-脱離工程は依然として反応性の高い芳香族中間体を生成する。芳香族部分がポリマーキャリアに永久に結合したままであっても、潜在的に毒性の副生成物または免疫原性効果を伴う副反応が生じることがある。したがって、酵素依存性でなく、切断の間に反応性芳香族中間体を生成しない脂肪族プロドラッグリンカーを使用して、アミン含有活性剤のポリマープロドラッグを形成するためのリンカー技術を生成することが有利である。そのような1つの例は、組織型プラスミノーゲン活性化剤およびウロキナーゼにおけるアミノ基の可逆的修飾のためにPEG5000-無水マレイン酸を使用する(例えば、(1987)Garmanら、FEBS Lett 223(2): 361-65を参照)。マレアミド酸結合の切断によるpH7.4緩衝液でのインキュベーション時のPEG-uPA結合体からの機能的酵素の再生は、約6時間の半減期の一次速度論に従う。マレアミド酸結合の欠点は、より低いpH値での結合体の安定性の欠如である。
さらなるアプローチは、N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)グリシンアミド(ビシン)リンカーに基づくPEGカスケードプロドラッグ系を含む(例えば、(2004)J Med Chem 47: 726-34を参照)。この系において、2つのPEGキャリア分子は一時的結合を介して、薬物分子のアミノ基に結合したビシン分子に結合される。プロドラッグ活性化の第一の工程は、両方のPEGキャリア分子をビシン活性化基のヒドロキシ基と結合させる第一の一時的結合の酵素的切断を含む。PEGとビシンとの間の異なる結合は、異なるプロドラッグ活性化反応速度をもたらす。プロドラッグの活性化の第二の工程は、ビシン活性化基を薬物分子のアミノ基に結合させる第二の一時的結合の切断を含む。この系の欠点は、この第二の一時的ビシンアミド結合のゆっくりとした加水分解速度であり、その結果、本来の親薬物分子と比較して異なる薬物動態的特性、免疫原性、毒性および薬力学的特性を示すビシン修飾プロドラッグ中間体が放出される。
特定の実施形態において、ジペプチドは、酵素または生体輸送系の基質であるため、標的化するまたは標的化される輸送のためのプロドラッグの開発に利用される。ジペプチドプロドラッグ形成のための非酵素的経路、すなわち、分子内環化を受けて対応するジケトピペラジン(DKP)を形成し、活性薬物を放出する能力は、明確に定義されていない。
いくつかの実施形態において、ジペプチドは、薬物パラセタモールのジペプチドエステルについて記載されているように、エステル結合を介して薬物部分に結合される(Gomesら(2005)Bio&Med Chem Lett)。この場合に、環化反応は、エステル炭素原子上のペプチドのN末端アミンの求核性攻撃で、テトラヘドラル中間体を形成し、続いてアミンから脱離基オキシアニオンへのプロトン移動が行われ、ペプチド結合が同時に形成され、環状DKP生成物および遊離薬物を提供することから成る。この方法はインビトロでヒドロキシル含有薬物に適用可能であるが、緩衝液中よりもずっと速い速度で対応するジペプチドエステルがパラセタモールを放出するので、インビボでエステル結合の酵素加水分解と競合することがわかった(Gomesら(Molecules 12(2007)2484-2506)。ジペプチド系プロドラッグのペプチダーゼに対する感受性は、ジペプチドモチーフ中に少なくとも1つの非天然アミノ酸を組み込むことによって対処することができる。しかしながら、エステル結合を切断することができる内因性酵素はペプチダーゼに限定されず、斯かるプロドラッグ切断の酵素依存性は依然として予測不能なインビボ性能を生じる。
いくつかの実施形態において、酵素依存性は、DKPプロドラッグに意図的に操作され、例えば、ジペプチドエステルプロドラッグはジペプチドのアミノ末端でホルミル化され、そして酵素的脱ホルミル化を用いてジケトピペラジン形成を開始させ、その後に、エステルジペプチドを切断させ、次いで、薬物分子を放出させる(例えば、米国特許第7,163,923号明細書を参照)。さらなる例として、オクタペプチドは、ビンブラスチンの4-ヒドロキシル基にエステル結合によって結合され、N末端ヘキサペプチドの特異的酵素除去後のDKP形成によるエステル結合切断を受ける(Bradyら(2002)J Med Chem 45: 4706-15)。
DKP形成反応の範囲はまた、アミドプロドラッグに拡張されている。例えば、米国特許第5,952,294号明細書は、シタラビンのジペプチジルアミドプロドラッグのジケトピペラジン形成を用いたプロドラッグ活性化を記載している。この場合に、ジペプチドのカルボニルとシタラビンの芳香族アミノ基との間に一時的結合が形成される。しかしながら、キャリアまたは他の半減期延長部分または官能基が存在しないような結合体については、徐放効果を達成することはできないようである。
ジペプチド伸長のジケトピペラジン形成を介してペプチドを放出することができるGLP-1などの生物活性ペプチドを含むジペプチドプロドラッグも記載されている(例えば、WO2009/099763を参照)。生物活性ペプチド部分は、生物活性ペプチドの延長循環を達成するために、そのアミノ酸側鎖残基の1つに追加のPEG鎖を含むことができる。しかしながら、このアプローチはいくつかの重大な欠点に関連している。第一に、PEG鎖は、その生物活性を損なうことなくペプチドに結合されなければならず、これは多くのペプチド系生物活性剤にとって達成するのが困難であり得る。第二に、ペグ化ペプチド自体が生物活性であるので、ジペプチド性プロ部分はペプチドの生物活性に影響を及ぼし、そのレセプター結合特性に悪影響を及ぼし得る。
阻害剤の特性を促進するための修飾
本明細書中に開示される治療様式の1つ以上の物理的特性および/またはそれらが適用される様式を改善することは、しばしば有益であり、時には不可欠である。物理的特性の改善としては、例えば、水溶性、生物学的利用能、血清半減期および/または治療的半減期を増加させる方法および/または生物活性を調節する方法が挙げられる。
当該分野で公知の修飾としては、ペグ化、Fc融合およびアルブミン融合が挙げられる。一般に、大分子薬剤(例えば、ポリペプチド)に関連するが、斯かる修飾は最近、特定の小分子で評価されている。例として、Chiang, M. ら(J. Am. Chem. Soc., 2014, 136(9): 3370-73)は、免疫グロブリンFcドメインに結合したアデノシン2aレセプターの小分子アゴニストを記載している。小分子Fc結合体は強力なFcレセプターとアデノシン2aレセプターとの相互作用を保持し、非結合小分子と比較して優れた特性を示した。小分子治療薬へのPEG分子の共有結合も記載されている(Li、W.ら、Progress in Polymer Science, 2013 38: 421-44)。
治療的および予防的使用
本発明は、広い範囲の疾患、障害および/または状態、および/またはその症状の治療または予防における本明細書に記載のA2AR/A2BR阻害剤の使用を企図する。以下では、特定の用途について詳細に説明するが、本発明はそれに限定されないことを理解されたい。さらに、特定の疾患、障害および状態の一般的なカテゴリーが以下に述べられるが、いくつかの疾患、障害および状態は1つより多くのカテゴリーの構成要素であることができ、そして他は、開示されるカテゴリーのいずれかの構成要素ではないこともあり得る。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の疾患、障害および/または状態は、少なくとも部分的に、アデノシンA2Aレセプター(A2AR)によって媒介される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の疾患、障害および/または状態は、少なくとも部分的に、アデノシンA2Bレセプター(A2BR)によって媒介される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の疾患、障害および/または状態は、少なくとも部分的にA2ARおよびA2BRの両方によって媒介される。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のA2AR/A2BR阻害剤は、A2AR媒介性免疫抑制の進行を逆行させるか、または、停止させるのに有効な量で投与される。
腫瘍関連障害
本発明によれば、A2AR/A2BR阻害剤は、癌、例えば、子宮、子宮頸部、乳房、前立腺、精巣、胃腸管(例えば、食道、口腔咽頭、胃、小腸または大腸、結腸または直腸)、腎臓、腎臓細胞、膀胱、骨、骨髄、皮膚、頭頸部、肝臓、胆嚢、心臓、肺、膵臓、唾液腺、副腎、甲状腺、脳(例えば、神経膠腫)、神経節、中枢神経系(CNS)および末梢神経系(PNS)の癌、および、造血系および免疫系(例えば、脾臓または胸腺)の癌を含む、増殖性状態または障害を治療または予防するために使用されうる。本発明はまた、例えば、免疫原性腫瘍、非免疫原性腫瘍、休止腫瘍、ウイルス誘発性癌(例えば、上皮細胞癌、内皮細胞癌、扁平上皮癌およびパピローマウイルス)、腺癌、リンパ腫、癌腫、黒色腫、白血病、骨髄腫、肉腫、奇形癌、化学的に誘導される癌、転移および血管新生を含む、他の癌関連疾患、障害または状態を治療または予防する方法を提供する。本発明は、例えば、調節性T細胞および/またはCD8+T細胞の活性を調節することによって、腫瘍細胞または癌細胞抗原に対する耐性を減少させることを企図する(例えば、Ramirez-Montagutら(2003)Oncogene 22: 3180-87;およびSawayaら(2003)New Engl. J. Med. 349: 1501-09)。特定の実施形態において、腫瘍または癌は結腸癌、卵巣癌、乳癌、黒色腫、肺癌、膠芽細胞腫または白血病である。癌関連疾患、障害および状態という用語の使用は、癌に直接的または間接的に関連する状態を広く指すことが意図され、例えば、血管新生および異形成などの前癌状態を含む。
特定の実施形態において、癌は、転移性であるかまたは転移性になる危険性があるか、または、放散性組織中に存在することがあり、血液または骨髄の癌(例えば、白血病)を含む。いくつかのさらなる実施形態において、本発明の化合物は、T細胞耐性を克服するために使用されうる。
いくつかの実施形態において、本発明は、A2AR/A2BR阻害剤および少なくとも1つの追加の治療剤または診断剤(その例は本明細書の他の箇所に記載されている)を用いて増殖性状態、癌、腫瘍または前癌状態を治療する方法を提供する。
免疫および炎症関連障害
本明細書中で使用されるときに、「免疫疾患」、「免疫状態」、「免疫障害」、「炎症性疾患」、「炎症状態」、「炎症性障害」などの用語は、本明細書に記載のA2AR/A2BR阻害剤によって処置することができ、それにより、幾らかの治療的利益が得られる炎症性成分を有する免疫関連状態(例えば、自己免疫性疾患)または障害を広く包含することが意図される。このような状態は、しばしば他の疾患、障害および状態と密接に絡み合っている。例として、「免疫状態」は、癌、腫瘍および血管新生などの増殖性状態を指すことができ、(急性および慢性)感染症、腫瘍および免疫系による根治に抵抗性がある癌を含む。
本発明のA2AR/A2BR阻害剤は免疫応答を増加または増強するために、ワクチンの有効性の向上を含む予防接種を改善し、そして炎症を増加させるために使用することができる。免疫不全疾患、免疫抑制治療、急性および/または慢性感染症ならびに老化に関連する免疫不全は本明細書に開示される化合物を用いて治療することができる。A2AR/A2BR阻害剤はまた、骨髄移植、化学療法または放射線療法を受けたものを含む、医原的に誘発された免疫抑制に苦しむ患者の免疫系を刺激するために使用することができる。
本開示の特定の実施形態において、A2AR/A2BR阻害剤は、アジュバント活性を提供することによって、抗原に対する免疫応答を増加または増強するために使用される。特定の実施形態において、少なくとも1つの抗原またはワクチンは、抗原またはワクチンに対する免疫応答を延長するために、本発明の少なくとも1つのA2AR/A2BR阻害剤と組み合わせて対象に投与される。限定するわけではないが、ウイルス、細菌および真菌、またはその一部、タンパク質、ペプチド、腫瘍特異的抗原および核酸ワクチンを含む少なくとも1つの抗原剤またはワクチン成分を、本発明の少なくとも1つのA2AR/A2BR阻害剤と組み合わせて含む治療組成物も提供される。
本発明の化合物および組成物で治療または予防することができる免疫および炎症関連疾患、障害および状態の非限定的なリストとしては、関節炎(例えば、関節リウマチ)、腎不全、狼瘡、喘息、乾癬、大腸炎、膵炎、アレルギー、線維症、外科的合併症(例えば、炎症性サイトカインが治癒を妨げる場合)、貧血および線維筋痛が挙げられる。慢性炎症に関連し得る他の疾患および障害としては、アルツハイマー病、うっ血性心不全、脳卒中、大動脈弁狭窄症、動脈硬化症、骨粗鬆症、パーキンソン病、感染症、炎症性腸疾患(例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎)、アレルギー性接触性皮膚炎および他の湿疹、全身性硬化症、移植および多発性硬化症が挙げられる。
他の免疫関連障害の中でも、A2AR/A2BR機能の阻害が、免疫学的寛容および子宮内の胎児拒絶の予防において役割を果たすができることも考えられる。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のA2AR/A2BR阻害剤は、免疫エフェクター細胞の数を減少させるために免疫抑制剤と組み合わせることができる。
A2AR/A2BR阻害剤が(例えば、現在の治療法の制限のために)特に有効でありうる前記疾患、障害および状態のいくつかを以下でより詳細に説明する。
関節の膜内層(滑膜)における慢性炎症を一般に特徴とする関節リウマチ(RA)は、米国人口の約1%(約210万人)が発症している。炎症プロセスにおけるTNF-aおよびIL-1を含むサイトカインの役割のさらなる理解により、疾患変性抗リウマチ薬(DMARD)の新しいクラスの開発および導入を可能になった。薬剤(そのいくつかはRAの治療法と重なる)としては、ENBREL(エタネルセプト)、REMICADE(インフリキシマブ)、HUMIRA(アダリムマブ)およびKINERET(アナキンラ)が挙げられる。これらの薬剤のいくつかは、症状を緩和し、構造的損傷の進行を抑制し、特に患者集団において身体機能を改善するが、改善された有効性、相補的な作用機構およびより少ない/より軽度の副作用を有する代替薬剤が依然として必要とされている。
一般的な免疫介在性の慢性皮膚疾患の一群である乾癬は、米国で450万人を超える人々が発症しており、そのうち150万人が中等度から重度の疾患を有すると考えられている。さらに、乾癬患者の10%以上が関節周囲の骨および結合組織に損傷を与える乾癬性関節炎を発症する。乾癬の根底にある生理機能の改善された理解は、例えば、疾患の炎症性の原因であるTリンパ球およびサイトカインの活性を標的とする薬剤の導入をもたらした。斯かる薬剤として、TNF-α阻害剤(関節リウマチ(RA)の治療にも使用され、ENBREL(エタネルセプト)、REMICADE(インフリキシマブ)およびHUMIRA(アダリムマブ)を含む)、および、AMEVIVE(アレファート)およびラピバ(エファリズマブ)などのT細胞阻害剤が挙げられる。これらの薬剤のいくつかは、特定の患者集団においてある程度有効であるが、すべての患者を効果的に治療することは示されていない。
微生物関連障害
本発明は、A2AR/A2BR阻害剤による治療が有益でありうる任意のウイルス性、細菌性、真菌性、寄生虫性または他の感染性疾患、障害または状態の治療および/または予防における本明細書に記載のA2AR/A2BR阻害剤の使用を企図する。
考慮されるウイルス性疾患、障害および状態の例としては、限定するわけではないが、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、HIV、AIDS(悪液質、認知症、下痢などの症状を含む)、ヘルペスシンプレックスウイルス(HSV)、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、水痘帯状疱疹ウイルス、コクサッキーウイルスおよびサイトメガロウイルス(CMV)が挙げられる。
斯かる疾患のさらなる例としては、ブドウ球菌および連鎖球菌感染(例えば、それぞれ黄色ブドウ球菌および連鎖球菌サングニス)、リーシュマニア、トキソプラズマ、トリコモナス、ジアルジア、カンジダアルビカンス、炭疽菌および緑膿菌(pseudomonas aeruginosa)が挙げられる。いくつかの実施形態において、疾患または障害としては、マイコバクテリウム感染(例えば、マイコバクテリウム・レプレーまたはマイコバクテリウム・ツベルクローシス)またはリステリア・モノサイトゲネスまたはトキソプラズマ・ゴンディによって引き起こされる感染が挙げられる。本発明の化合物は、敗血症の治療、細菌増殖の減少または阻害、および、炎症性サイトカインの低減または阻害に使用することができる。
さらなる実施形態は、限定するわけではないが、ドノバン‐リーシュマニア(Leishmania donovani)、熱帯リーシュマニア(Leishmania tropica)、大形リーシュマニア(Leishmania major)、リーシュマニアアエチオピカ(Leishmania aethiopica)、メキシコリーシュマニア(Leishmania mexicana)、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)、卵形マラリア原虫(Plasmodium ovale)または四日熱マラリア原虫(Plasmodium malariae)を含む寄生虫感染の治療を企図する。しばしば、予防的に(例えば、対象が寄生虫感染の頻度が高い地域に移動する前に)抗寄生虫療法が施される。
CNS関連および神経学的障害
A2AR/A2BRの阻害はまた、認知機能および運動機能の障害に関連する障害を含む、神経系、神経精神医学的、神経変性または中枢神経系との関連を有する他の疾患、障害および状態を有する患者にとって重要な治療戦略でありうる。例としては、パーキンソン病、余分なピラミッド症候群(EPS)、錐体外路症候群(EPS)、ジストニア、座礁症、遅発性ジスキネジー、不穏下肢症候群(RLS)、てんかん、睡眠時周期的四肢運動(PLMS)、注意欠陥障害、うつ病、不安、痴呆、アルツハイマー病、ハンチントン病、多発性硬化症、脳虚血、出血性脳卒中、くも膜下出血および外傷性脳損傷が挙げられる。
脳および脊髄におけるミエリンの炎症および瘢痕の複数の領域を含む重度の衰弱性自己免疫疾患である多発性硬化症(MS)に罹患している対象は、現在の治療が症状を緩和しまたは障害の進行を遅らせるだけなので、本明細書に記載のA2AR/A2BR阻害剤によって特に助けられることができる。
同様に、A2AR/A2BR阻害剤は、患者の思考、記憶および言語プロセスを著しく損なう脳疾患であるアルツハイマー病(AD)、および、異常な運動、剛性および振戦などを特徴とするCNSの進行性障害であるパーキンソン病(PD)のような神経変性疾患に罹患している対象にとって特に有利であることができる。これらの障害は進行性であり、衰弱性であり、治癒薬は入手不能である。
他の障害
本発明の実施形態は、少なくとも幾らかのレベルのA2AR/A2BR阻害から利益を得ることができる他の障害の治療または予防のための、本明細書に記載のA2AR/A2BR阻害剤の対象への投与を企図する。斯かる疾患、障害および状態としては、例えば、心臓血管(例えば、心臓虚血)、胃腸(例えば、クローン病)、代謝(例えば、糖尿病)、肝臓(例えば、肝線維症、NASHおよびNAFLD)、肺(例えば、COPDおよび喘息)、眼疾患(例えば、糖尿病性網膜症)、および、腎臓(例えば、腎不全)障害が挙げられる。
医薬組成物
本発明のA2AR/A2BR阻害剤は、対象への投与に適した組成物の形態であることができる。一般に、斯かる組成物は、A2AR/A2BR阻害剤および1つ以上の医薬的に許容され得るまたは生理学的に許容され得る希釈剤、キャリアまたは賦形剤を含む「医薬組成物」である。特定の実施形態において、A2AR/A2BR阻害剤は治療上許容される量で存在する。医薬組成物は、本発明の方法において使用することができる。したがって、例えば、医薬組成物は、本明細書に記載の治療および予防方法および使用を実施するために、エクスビボまたはインビボで対象に投与することができる。
本発明の医薬組成物は、意図された投与方法または投与経路に適合するように製剤化することができる。例示的な投与経路を本明細書に記載する。さらに、医薬組成物は本発明によって企図される疾患、障害および状態を治療または予防するために、本明細書に記載される他の治療的に活性な薬剤または化合物と組み合わせて使用されうる。
活性成分(例えば、A2AR/A2BR機能の阻害剤)を含有する医薬組成物は、経口使用に適した形態、例えば、錠剤、カプセル、トローチ、ロゼンジ、水性または油性懸濁液、分散性粉末または顆粒、エマルション、硬または軟カプセル、または、シロップ、溶液、マイクロビーズまたはエリキシル剤であることができる。経口使用を意図した医薬組成物は、医薬組成物の製造のための当該分野で公知の任意の方法に従って調製することができ、斯かる組成物は、例えば、甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤などの1種以上の薬剤を含み、医薬的にエレガントで口当たりの良い製剤を提供することができる。錠剤、カプセル剤などは、錠剤の製造に適した無毒性の医薬的に許容され得る賦形剤との混合物中に活性成分を含有する。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの希釈剤、コーンスターチまたはアルギン酸などの顆粒化剤および崩壊剤、ゼラチンまたはアカシアなどの結合剤、および、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクなどの潤滑剤であることができる。
経口投与に適した錠剤、カプセル剤などは、コーティングされていなくてよく、または、公知の技術によってコーティングされてもよく、それにより、胃腸管における崩壊および吸収を遅延させ、持続作用を提供することができる。例えば、グリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートなどの時間遅延材料を使用することができる。これらはまた、当該技術分野で公知の技術によってコーティングして、制御放出のための浸透性治療用錠剤を形成することができる。追加の薬剤としては、生分解性または生体適合性の粒子またはポリマー物質を挙げることができ、ポリエステル、ポリアミン酸、ヒドロゲル、ポリビニルピロリドン、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、エチレン-ビニルアセテート、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、硫酸プロタミンまたはラクチド/グリコリドコポリマー、ポリラクチド/グリコリドコポリマーまたはエチレンビニルアセテートコポリマーが挙げられ、それにより、投与された組成物のデリバリーを制御することができる。例えば、経口剤は、コアセルベーション技術または界面重合、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン-マイクロカプセルまたはポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセルのそれぞれの使用によって、または、コロイド薬物デリバリー系において調製されたマイクロカプセル中に封入することができる。コロイド分散系としては、巨大分子複合体、ナノカプセル、マイクロスフェア、マイクロビーズおよび脂質ベースの系が挙げられ、水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセルおよびリポソームを含む。上記の製剤の調製方法は当業者に明らかであろう。
経口使用のための製剤は、活性成分が不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、カオリンまたは微結晶性セルロースと混合された硬ゼラチンカプセルとして、または、活性成分が、水または、ピーナッツ油、流動パラフィンまたはオリーブ油などの油媒体と混合された軟ゼラチンカプセルとして提供されてよい。
水性懸濁液は、その製造に適した賦形剤との混合物として活性材料を含有する。斯かる賦形剤は、懸濁剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアラビアゴム、分散剤または湿潤剤、例えば、天然由来ホスファチド(例えば、レシチン)、または、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンステアレート)、または、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、または、エチレンオキシドと、脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)であることができる。水性懸濁液はまた、1種以上の防腐剤を含有してもよい。
油性懸濁液は、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油またはヤシ油などの植物油、または、流動パラフィンなどの鉱油中に活性成分を懸濁させることによって製剤化することができる。油性懸濁液は、増粘剤、例えば、蜜蝋、硬質パラフィンまたはセチルアルコールを含有してよい。口当たりの良い経口製剤を提供するために、上記のような甘味剤および香味剤を添加することができる。
水を添加することによって水性懸濁液を調製するのに適した分散性粉末および顆粒は、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤および1種以上の防腐剤との混合物として活性成分を提供する。好適な分散剤または湿潤剤および懸濁剤は本明細書において例示される。
本発明の医薬組成物はまた、水中油型エマルジョンの形態であってもよい。油性相は、植物油、例えばオリーブ油またはラッカセイ油、または、鉱油、例えば流動パラフィン、または、これらの混合物でありうる。適切な乳化剤は、天然起源のガム、例えば、アカシアガムまたはトラガカントガム、天然起源のホスファチド、例えば、大豆、レシチン、および、脂肪酸に由来するエステルまたは部分エステルなど、ヘキシトール無水物、例えばソルビタンモノオレエート、および、部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであることができる。
医薬組成物は、典型的には、本発明によって企図される治療有効量のA2AR/A2BR阻害剤および1種以上の医薬的におよび生理学上許容され得る配合剤を含む。適切な医薬的に許容され得るまたは生理学上許容され得る希釈剤、キャリアまたは賦形剤として、は、限定するわけではないが、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸および重硫酸ナトリウム)、防腐剤(例えば、ベンジルアルコール、メチルパラベン、p-ヒドロキシ安息香酸エチルまたはn-プロピル)、乳化剤、懸濁剤、分散剤、溶媒、充填剤、増量剤、洗浄剤、緩衝剤、ビヒクル、希釈剤および/またはアジュバントが挙げられる。例えば、適切なビヒクルは生理食塩水またはクエン酸緩衝生理食塩水であることができ、非経口投与のための医薬組成物に一般的な他の材料を補充されていてよい。中性緩衝生理食塩水または血清アルブミンと混合した生理食塩水は、さらなる例示的なビヒクルである。当業者は本明細書で企図される医薬組成物および剤形において使用されうる様々な緩衝液を容易に認識するであろう。典型的な緩衝剤としては、限定するわけではないが、医薬的に許容され得る弱酸、弱塩基またはそれらの混合物が挙げられる。一例として、緩衝剤成分は、リン酸、酒石酸、乳酸、コハク酸、クエン酸、酢酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸およびそれらの塩などの水溶性材料であることができる。許容され得る緩衝剤としては、例えば、トリス緩衝剤、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N'-(2-エタンスルホン酸)(HEPES)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸ナトリウム塩(MES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)およびN-トリス[ヒドロキシメチル]メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPS)が挙げられる。
医薬組成物を製剤化した後に、溶液、懸濁液、ゲル、エマルジョン、固体または脱水または凍結乾燥粉末として滅菌バイアルに保存することができる。斯かる製剤は、すぐに使用できる形態、使用前に再構成する必要がある凍結乾燥形態、使用前に希釈する必要がある液体形態、または、他の許容可能な形態のいずれかで保存することができる。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、一回使用容器(例えば、一回使用バイアル、アンプル、シリンジまたは自己注射器(例えば、EpiPen(登録商標)に類似))で提供され、一方、複数回使用容器(例えば、複数回使用バイアル)は他の実施形態で提供される。
製剤はまた、リポソーム、ヒドロゲル、プロドラッグおよびマイクロカプセル化デリバリーシステムを含む、制御放出製剤など、身体からの急速な分解または除去から組成物を保護するためのキャリアを含むこともできる。例えば、グリセリルモノステアレートまたはグリセリルステアレートなどの時間遅延材料を単独で、または、ワックスと組み合わせて使用することができる。任意のドラッグデリバリー装置を用いてA2AR/A2BR阻害剤を送達することができ、それにはインプラント(例えば、移植可能なポンプ)およびカテーテルシステム、低速注入ポンプおよびデバイスを含み、これらの全ては当業者に周知である。
一般に皮下または筋肉内に投与されるデポー注射も、決められた時間にわたって本明細書に開示のA2AR/A2BR阻害剤を放出するために利用されうる。デポー注射は、通常、固体または油ベースであり、一般に、本明細書に記載の製剤成分の少なくとも1つを含む。当業者は可能な製剤およびデポー注射の使用に精通している。
医薬組成物は、滅菌注射用水性または油性懸濁液の形態であってよい。この懸濁液は、本明細書に記載の適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて公知の技術に従って配合することができる。滅菌注射用製剤は、非毒性の非経口的に許容され得る希釈剤または溶媒中の滅菌注射溶液または懸濁液であってよく、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液とする。使用することができる許容される希釈剤、溶媒および分散媒としては、水、リンゲル溶液、等張性塩化ナトリウム溶液、Cremophor EL (商標)(BASF, Parsippany, NJ)またはリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、および、それらの適切な混合物が挙げられる。さらに、滅菌不揮発性油は、溶媒または懸濁媒として従来から使用されている。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性の固定油を使用することができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は注射剤の調製に用途を見い出す。吸収を遅らせる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムまたはゼラチン)を含めることによって、特定の注射可能な製剤の持続的な吸収を達成することができる。
本発明は、直腸投与のための坐剤の形態のA2AR/A2BR阻害剤の投与を企図している。坐剤は、常温では固体であるが直腸温度では液体である適切な非刺激性賦形剤と薬物を混合することによって調製することができ、したがって直腸内で溶解して薬物を放出する。斯かる材料としては、限定するわけではないが、カカオバターおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
本発明によって企図されるA2AR/A2BR阻害剤は、現在知られているかまたは将来開発される任意の他の適切な医薬組成物(例えば、鼻または吸入使用のためのスプレイ)の形態であることができる。
投与経路
本発明は、A2AR/A2BR阻害剤およびその組成物の投与を任意の適切な様式で企図する。投与の適切な経路としては、経口、非経口(例えば、筋肉内、静脈内、皮下(例えば、注射または移植)、腹腔内、嚢内、関節内、腹腔内、大脳内(intraparenchymal)および脳室内)、鼻、膣、舌下、眼内、直腸、直腸、局所(例えば、経皮)、頬側および吸入が挙げられる。一般に皮下または筋肉内に投与されるデポー注射もまた、決められた時間にわたって本明細書に開示されるA2AR/A2BR阻害剤を放出するために利用されうる。
本発明の特定の実施形態は経口投与を企図する。
併用療法
本発明は、1種以上の活性治療剤(例えば、化学療法薬)と併用するか、または他の予防もしくは治療手段(例えば、放射線)と組み合わせたA2AR/A2BR阻害剤の使用を企図する。斯かる併用療法において、種々の活性薬剤はしばしば、異なる相補的な作用機構を有する。斯かる併用療法は、薬剤の1つ以上の用量の減少を可能にし、それにより、1つ以上の薬剤に関連する有害作用を低減または排除することによって特に有利でありうる。さらに、斯かる併用療法は、根底にある疾患、障害または状態に対して相乗的な治療または予防効果を有し得る。
本明細書中で使用されるときに、「併用」は、別々に投与されてよく、例えば、(例えば、キットで提供されうるようにまたは2つの完全に分離された医薬品製剤として)別個の投与のために別々に製剤化されうる療法、および単一の製剤(すなわち、「同時処方」)で一緒に投与されうる療法を含む。
特定の実施形態において、(単数もしくは複数の)A2AR/A2BR阻害剤および(単数もしくは複数の)追加の薬剤は、例えば、(単数もしくは複数の)該阻害剤が1もしくは複数の他の薬剤の前または後に投与される場合に、順次に投与または適用される。他の実施形態において、(単数もしくは複数の)A2AR/A2BR阻害剤は、(単数もしくは複数の)追加の薬剤と同時に(またはほぼ同時に)投与される。その(単数もしくは複数の)A2AR/A2BR阻害剤および(単数もしくは複数の)追加の薬剤は、例えば、2つ以上の別個の製剤中に存在してよく、または、単一の製剤(すなわち、同時処方)に組み合わされてよい。(単数もしくは複数の)A2AR/A2BR阻害剤および(単数もしくは複数の)追加の薬剤が順次に投与されるかまたは同時に投与されるかどうかにかかわらず、それらは本発明の目的のために組み合わせて投与されると考えられる。
本発明のA2AR/A2BR阻害剤は状況に適する任意の様式で、少なくとも1つの他の(活性な)薬剤と組み合わせて使用することができる。1つの実施形態において、少なくとも1つの活性薬剤および本発明の少なくとも1つのA2AR/A2BR阻害剤による治療はある時間にわたって維持される。別の実施形態において、本発明のA2AR/A2BR阻害剤での治療が一定の投薬レジメンで維持されている間に、少なくとも1つの活性剤による治療は低減または中止される(例えば、対象が安定している場合)。さらなる実施形態において、本発明のA2AR/A2BR阻害剤による治療が低減されている間に(例えば、より低用量、より低頻度投与またはより短い治療レジメン)、少なくとも1つの活性剤による治療は低減または中止される(例えば、対象が安定している場合)。さらに別の実施形態において、少なくとも1つの活性薬剤による治療は、低減されまたは中止され(例えば、対象が安定している場合)、本発明のA2AR/A2BR阻害剤による治療は増加される(例えば、より高用量、より高頻度投与またはより長い治療レジメン)。さらに別の実施形態において、少なくとも1つの活性薬剤による治療は維持され、そして本発明のA2AR/A2BR阻害剤による治療は低減または中止される(例えば、より低用量、より低頻度投与またはより短い治療レジメン)。さらに別の実施形態において、少なくとも1つの活性薬剤による治療および本発明のA2AR/A2BR阻害剤による治療は増加される(例えば、より高用量、より高頻度投与またはより長い治療レジメン)。
腫瘍関連障害
本発明は、A2AR/A2BR阻害剤および少なくとも1つのさらなる治療剤または診断剤、あるいは治療手段を用いて、増殖状態、癌、腫瘍または前癌性疾患、障害または状態を治療および/または予防する方法を提供する。いくつかの実施形態において、追加の治療剤または診断剤は、化学療法剤、免疫腫瘍薬(例えば、免疫チェックポイント阻害剤または他の免疫調節薬)、細胞ベースの治療剤、腫瘍溶解性ウイルス、または放射線である。
化学療法剤の例としては、限定するわけではないが、チオテパおよびシクロホスファミドなどのアルキル化剤、ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファンなどのアルキルスルホネート、ベンゾドパ、カルボコン、メトレドパおよびウレドパなどのアジリジン、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミドおよびトリメチロールメラミンを含むエチレンイミンおよびメチルアメルアミン、チオラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベムビチン、フェネステリン、プレドニミスチン、トロポスファミド、ウラシルマスタードなどの窒素マスタード、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなどのニトロソ尿素、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウトラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアミシン、カラビシン、カミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デオルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、ミトマイシン、マイコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ズルビシンなどの抗生物質、メトトレキセートおよび5-フルオロウラシル(5-FU)などの抗代謝物、デノプテリン、プテロプテリン、トリメトレキセートなどの葉酸類似体、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5-FUなどのピリミジン類似体、カロテストロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メチピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎、フォリン酸などの葉酸補充剤、アセグラトン、アルドホスファミドグリコシド、アミノレブリン酸、アムサクリン、ベストラブシル、ビスアントレン、エダトレキサート、デフォファミン、デメコルシン、ジアジノン、エルロチミシン、酢酸エリプチニウム、エトグルシド、硝酸ガリウム、ヒドロキシウレア、レンティナン、ロニダミン、ミトグアゾン、ミトキサントロン、モピダモール、ニトラクリン、ペントスタチン、フェナメト、ピラルビシン、ポドフィリン酸、2-エチルヒドラジド、プロカルバジン、ラゾキサン、シゾフィラン、スピロゲルマニウム、テヌアゾン酸、トリアジクノン、2,2', 2"-トリクロロトリエチルアミン、ウレタン、ビンデシン、ダカルバジン、マンノムスチン、ミトブロニトール、ミトラクトール、ピポブロマン、ガシトシン、アラビノシド(Ara-C)、シクロホスファミド、チオテパ、タキソイド、例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル、クロラムブシル、ゲムシタビン、6-チオグアニン、メルカプトプリン、白金および白金配位錯体、例えばオキサリプラチン、シスプラチンおよびカルボプラチン、ビンブラスチン、エトポシド(VP-16)、イフォスファミド、マイトマイシンC、ミトキサントロン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ナベルビン、ノヴァントロン、テニポシド、ダウノマイシン、アミノプテリン、ゼローダ、イバンドロン酸塩、CPT11、トポイソメラーゼ阻害剤、ジフルオロメチルオルニチン(DMFO)、レチノイン酸、エスペラミシン、カペシタビン、および、上記のいずれかの医薬的に許容され得る塩、酸または誘導体が挙げられる。
化学療法剤としてはまた、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害性4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキソキシン、ケオキシフェン、オナプリストンおよびトレミフェンを含む抗エストロゲンなどの腫瘍に対するホルモン作用を調節または阻害するよう作用する抗ホルモン剤、および、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリドおよびゴセレリンなどの抗アンドロゲン剤、および、上記のいずれかの医薬的に許容され得る塩、酸または誘導体が挙げられる。特定の実施形態において、併用療法は、ホルモンまたは関連ホルモン剤の投与を含む。
本発明は、上記のあらゆる医薬的に許容され得る塩、酸または誘導体を包含する。
本発明は、癌の免疫療法分野で有用な剤(例えば、免疫チェックポイント阻害剤などの免疫腫瘍薬)と組み合わせた、本明細書中に記載のA2AR/A2BR機能の阻害剤の使用を企図する。
すべての癌に特徴的な膨大な数の遺伝的および後成的変化は、免疫系が腫瘍細胞を正常な対応物と区別するために使用できる多様な抗原を提供する。T細胞の場合に、T細胞レセプター(TCR)による抗原認識によって開始される応答の最終的な振幅(例えば、サイトカイン産生または増殖のレベル)および品質(例えば、サイトカイン産生のパターンなどの、生成される免疫応答のタイプ)は共刺激シグナルと阻害シグナル(免疫チェックポイント)との間のバランスによって調節される。正常な生理学的条件下では、免疫チェックポイントは、自己免疫の予防(すなわち、自己寛容の維持)にとって、また免疫系が病原体感染に応答している場合の組織の損傷からの保護にとっても重要である。免疫チェックポイントタンパク質の発現は、重要な免疫抵抗機構として腫瘍によって調節不全になりうる。
T細胞は、i)すべての細胞コンパートメント中のタンパク質に由来するペプチドの選択的認識のためのそれらの能力のために、ii)抗原発現細胞(細胞傷害性Tリンパ球(CTL)としても知られているCD8 +エフェクターT細胞による)を直接認識して殺傷する能力、および、iii)適応性および先天性エフェクター機構を統合するCD4 +ヘルパーT細胞による多様な免疫応答を調整する能力のために、内因性抗腫瘍免疫を治療的に操作する努力の主要な焦点であった。臨床状況において、抗原特異的T細胞応答の増幅をもたらす免疫チェックポイントの遮断は、ヒト癌治療において有望なアプローチであることが示されている。
T細胞媒介性免疫は、応答を最適化するために刺激シグナルおよび阻害シグナルを相殺することによってそれぞれ調節される複数の逐次工程を含む。免疫応答におけるほとんど全ての阻害シグナルは細胞内シグナル伝達経路を最終的に調節するが、その多くは膜レセプターを介して開始され、そのリガンドは膜結合または可溶性(サイトカイン)のいずれかである。T細胞活性化を調節する共刺激性および阻害性レセプターおよびリガンドは、正常組織と比較して癌において過剰発現されないことが多いが、T細胞エフェクター機能を調節する阻害性リガンドおよびレセプターは腫瘍細胞上でまたは腫瘍微小環境に関連した非形質転換細胞上で一般に過剰発現される。可溶性および膜結合レセプター-リガンド免疫チェックポイントの機能は、例えばアゴニスト抗体(共刺激経路のため)またはアンタゴニスト抗体(阻害経路のため)を用いて調節することができる。したがって、現在、癌治療のために承認されているほとんどの抗体とは対照的に、免疫チェックポイントを遮断する抗体は、腫瘍細胞を直接的に標的とするのではなく、内在性抗腫瘍活性を増強するために、リンパ球レセプターまたはそれらのリガンドを標的とする[Pardoll,(2012年4月)Nature Rev. Cancer 12: 252-64を参照]。
免疫チェックポイント(リガンドおよびレセプター)であって、その一部が遮断の候補である種々のタイプの腫瘍細胞において選択的にアップレギュレートされるもの例としては、PD1(プログラム細胞死タンパク質1)、CTLA4(細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4)、PDL1(PD1リガンド)、BTLA(BおよびTリンパ球アテニュエーター)、TIM3(T細胞免疫グロブリンおよびムチン含有タンパク質3)、LAG3(リンパ球活性化遺伝子3)、TIGIT(IgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫レセプター)、および、i)キラー細胞免疫グロブリン様レセプター(KIR)およびii)C型レクチンレセプター(II型膜貫通レセプターファミリーの構成要素)の2つのクラスに構造的特徴から分けることができるキラー阻害レセプターが挙げられる。レセプター(例えば、2B4(CD244としても知られる)レセプター)およびリガンド(例えば、B7-H3(CD276としても知られている)、B7-H4(B7-S1、B7xおよびVCTN1としても知られている)、およびB7−H7などの特定のB7ファミリー阻害性リガンド)の両方を含む、他のあまりうまく規定されていない免疫チェックポイントは文献に記載されている[Pardoll,(2012年4月)Nature Rev. Cancer 12: 252-64を参照]。他の免疫チェックポイントとしては、Galectin-1、Galectin-9、CEACAM-1、CD48、CD69、CD113、GPR56、VISTA、2B4、GARP、PD1H、LAIR1、TIM-1、およびTIM-4が挙げられる。これらのうちのいくつかに関する特徴を以下に記載する。
本発明は、上述の免疫チェックポイントレセプターおよびリガンドの阻害剤ならびに記載されていない免疫チェックポイントレセプターおよびリガンドと組み合わせて、本明細書に記載のA2AR/A2BR機能の阻害剤の使用を企図する。以下に示すように、免疫チェックポイントの特定のモジュレータは監督官庁によって承認されたが、その一方で、他のものは後期段階開発中である。
1つの態様において、免疫腫瘍剤はCTLA-4アンタゴニスト、例えばアンタゴニストCTLA-4抗体である。適切なCTLA-4抗体としては、例えば、YERVOY(イピリムマブ)およびトレメリムマブが挙げられる。説明するために、2011年にメラノーマの治療が承認された時点で、完全ヒト化CTLA4モノクローナル抗体イピリムマブ(YERVOY; Bristol-Myers Squibb)は米国で規制当局の承認を受ける最初の免疫チェックポイント阻害剤となった。関節リウマチの治療にCTLA4および抗体(CTLA4-Ig; abatcept(ORENCIA; Bristol-Myers Squibb))を含む融合タンパク質は使用されており、他の融合タンパク質は腎臓移植患者に有効であることが示されており、エプスタインバーウイルスに感作される。
別の態様において、免疫腫瘍薬は、拮抗性PD-1抗体などのPD-1拮抗薬である。好適なPD-1抗体としては、規制当局の承認を受け入れたいくつかの薬剤および臨床開発中であるその他のものが挙げられる。KEYTRUDA(ペムブロリズマブ; Merck)は、切除不能または転移性黒色腫の治療、ならびに転移性非小細胞肺癌(NSCLC)に罹患している患者(その腫瘍がEGFRまたはALKゲノム腫瘍異常を伴わず、FDA承認済試験によって測定した場合に高いPD-L1発現[腫瘍割合スコア(TPS)≧50%]を有する)の一次治療のために承認された。PD-1阻害抗体OPDIVO(ニボルマブ; Bristol-Myers Squibb)は、白金を用いた化学療法に対してかまたはその後の進行性を有する転移性NSCLCの治療のために、切除不能または転移性黒色腫の治療のためにYERVOY(イピリムバブ)と組み合わせてに適応される。開発中の他の抗PD1抗体の例としては、ラムブロリズマブ(Merck)、MEDI-0680(AMP-514; WO2012/145493)およびピジリズマブ(CT-011)が挙げられる。Novartis(PDR001)および他のバイオ製薬会社もまたPD1プログラムを有する。
別の態様において、免疫腫瘍剤はPD-L1アンタゴニスト、例えばアンタゴニストPD-L1抗体である。適切なPD-L1抗体としては、例えば、アテゾリズマブ(MPDL3280A; WO2010/077634)、ドゥバルマブ(MEDI4736)、BMS-936559(WO2007/005874)およびMSB0010718C(WO02013/79174)が挙げられる。PD-1レセプターを標的とする別のアプローチは、AMP-224と呼ばれるIgG1のFc部分に融合したPD-L2(B7-DC)の細胞外ドメインから成る組換えタンパク質である。
さらに別の態様において、免疫腫瘍薬はTIM-3拮抗薬である。進行した固形腫瘍を患っている患者において、抗TIM-3抗体TSR-022(Tesaro; Waltham, MA)を単独療法としておよび抗PD-1抗体と組み合わせて評価するために、臨床試験が開始された。Novartisはまた抗TIM-3プログラム(MGB453)も有しており、さらに、活性抗TIM3開発プログラム(例えば、Agenus(Lexington, MA))を有する他のいくつかのバイオ製薬会社が存在する。
別の態様において、免疫腫瘍剤はLAG-3アンタゴニスト、例えばアンタゴニストLAG-3抗体である。適切なLAG3抗体としては、例えば、BMS-986016(WO2010/19570、WO2014/08218)、または、IMP-731またはIMP-321(WO2008/132601、WO2009/44273)が挙げられる。Novartisはまた抗LAG-3(LAG525)プログラムも有している。
さらに別の態様において、免疫腫瘍薬は拮抗性TIGIT抗体などのTIGIT拮抗薬である。好適なTIGIT抗体としては、例えば、RG6058/MTIG 7192A(Roche/Genentech)、MK-7684(Merck)、OMP-313M32(Oncomed)、およびBMS-986027(Bristol-Myers Squibb)が挙げられる。
T細胞および他の免疫細胞上で他の免疫調節性レセプターを標的化することを試みる剤が開発中である(例えばNaidoo, J. et al. (2014) British J Cancer 111:2214-19を参照)。斯かる剤としては、例えばCD-137、OX40、およびグルココルチコイド誘発TNFR関連タンパク質(GITR)などのBおよびT細胞に対する共刺激分子の作動薬が挙げられる。
別の態様において、免疫腫瘍剤はCD137(4-1BB)アゴニスト、例えばアゴニストCD137抗体である。適切なCD137抗体としては、例えば、ウレルマブおよびPF-05082566(WO2012/32433)、NCT01471210、およびNCT01775631が挙げられる。
別の態様において、免疫腫瘍剤はGITRアゴニスト、例えばアゴニストGITR抗体である。適切なGITR抗体としては、例えば、BMS-986153、BMS-986156、TRX-518(WO2006/105021、WO2009/009116)およびMK-4166(WO2011/028683)が挙げられる。ヒト化抗GITR mAb(TRX518)もまた、インビトロにおいてヒトリンパ球細胞の共刺激活性化を高め、臨床実験において評価されている。
別の態様において、免疫腫瘍剤はOX40アゴニスト、例えばアゴニストOX40抗体である。適切なOX40抗体としては、例えば、MEDI-6383またはMEDI-6469が挙げられる。
別の態様において、免疫腫瘍剤はOX4OLアンタゴニスト、例えばアンタゴニストOX40抗体である。適切なOX4OLアンタゴニストとしては、例えば、RG-7888(WO2006/029879)が挙げられる。
別の態様において、免疫腫瘍剤はCD40アゴニスト、例えばアゴニストCD40抗体である。さらに別の実施形態において、免疫腫瘍剤はCD40アンタゴニスト、例えばアンタゴニストCD40抗体である。適切なCD40抗体としては、例えば、ルカツムマブまたはダセツズマブが挙げられる。
別の態様において、免疫腫瘍剤はCD27アゴニスト、例えばアゴニストCD27抗体である。適切なCD27抗体としては、例えば、バリリルマブ(Celldex)が挙げられる。
別の態様において、免疫腫瘍剤はMGA271(B7H3に対する)(WO2011/109400)である。
本発明はまた、膜結合型リガンドのB7ファミリーのメンバーを調節する剤と共に、本明細書中に記載したA2AR/A2BR阻害剤を含む併用療法を企図するものであり、そしてB7ファミリーのメンバーとしては、B7-1、B7-2、B7-H1(PD-L1)、B7-DC(PD-L2)、B7-H2(ICOS-L)、B7-H3、B7-H4、B7-H5(Vista)、およびB7-H6が挙げられ、B7ファミリーメンバーの一部は先に記載されている。
さらに別の態様において、本発明のA2AR/A2BR阻害剤は免疫腫瘍薬と組み合わせて使用されてもよく、ここで、該免疫腫瘍薬は、Tが細胞活性化を阻害するサイトカイン/ケモカイン、または免疫応答を刺激するために、T細胞活性化を刺激するサイトカイン/ケモカインである。サイトカイン/ケモカインの例としては、ELC/CCL19、SLC/CCL21、MCP-1、IL-3、IL-4、IL-6、IL-10、IL-13、MDC、IFNα/β、M-CSF、GM-CSF、TGF-β、およびVEGFが挙げられる。
併用療法のためのさらに他の薬剤としては、マクロファージまたは単球を阻害または枯渇させる薬剤が挙げられ、限定するわけではないが、CSF-1Rアンタゴニストを含み、RG7155(WO2011/70024、WO2011/107553、WO2011/131407、WO2013/87699、WO2013/119716、WO2013/132044)またはFPA-008(WO2011/140249; WO2013169264; WO2014/036357)を含むCSF-1Rアンタゴニスト抗体を含む。
他の態様において、開示されたA2AR/A2BR阻害剤は陽性補助刺激レセプターを連結するアゴニスト剤、抑制性レセプターを介したシグナル伝達を弱める遮断剤、Tregを枯渇させるまたは阻害する薬剤(例えば、抗CD25モノクローナル抗体(例えば、ダクリズマブ))を用いる)、T細胞アネルギーまたは疲労を逆行/予防する薬剤、および、腫瘍部位で自然免疫活性化および/または炎症を引き起こす薬剤と共に使用することができる。
ある実施形態において、本発明は、腫瘍増殖の相加的または相乗的抑制を達成するために、シグナル伝達阻害剤(STI)と組み合わせて、本明細書に記載のA2AR/A2BR阻害剤を投与することを含む、腫瘍増殖の腫瘍抑制方法を提供する。本明細書に使用されるときに、「シグナル伝達阻害剤」という用語は、シグナル伝達経路における1つ以上の工程を選択的に阻害する薬剤を指す。本発明のシグナル伝達阻害剤(STI)としては、(i)bcr/ablキナーゼ阻害剤(例えば、GLEEVEC)、(ii)キナーゼ阻害剤および抗体を含む表皮成長因子(EGF)レセプター阻害剤、(iii)her-2/neuレセプター阻害剤(例えば、HERCEPTIN)、(iv)AktファミリーキナーゼまたはAkt経路の阻害剤(例えば、ラパマイシン)、(v)細胞周期キナーゼ阻害剤(例えば、フラボピリドール)、(vi)ホスファチジルイノシトールキナーゼ阻害剤が挙げられる。
免疫調節に関与する薬剤はまた、癌患者における腫瘍増殖の抑制のために本明細書に記載のA2AR/A2BR阻害剤と組み合わせて使用することができる。免疫抑制剤の例としては、免疫機能および癌発生を含めたいくつかの生理学的かつ病理学的プロセスを強く調整するビタミンA誘導体であるレチノイドが挙げられる(Carratu, MR et al. (Oct 2012) Br J Pharmacol. 167(3):483-92を参照)。
A2AR/A2BR阻害剤はまた、幹細胞ベースの治療法と組み合わせて使用されてもよく、そしてその治療法は、癌に取り組むために別の有望なストラテジーを表す。いくつかの幹細胞型が腫瘍に対して固有の指向性を示し、そして、治療薬を発現するように設計されたときに、これらの病理的送達ビヒクルは悪性腫瘍の部位を効率的に標的化できる(Stuckey, D. (2014) Nature Reviews Cancer 14:683-91; 01 Sep 2014にオンラインで公開, doi:10.1038/nrc3798を参照)。
本発明は、NK細胞ベースの治療法と組み合わせた、本明細書中に記載のA2AR/A2BR阻害剤の使用を企図する。初期臨床および前臨床データには多くの裏付けがあるが、斯かる治療法はまだ、多施設臨床試験段階をおこなう必要がある。NK細胞ベースの治療法はまた、多く様々な事前、メインテナンス、およびレイトラインの治療法に相補的であってもよい(Dahlberg, C. et al. (2015) Front Immunol 6:605; 30 Nov 2015にオンラインで公開, doi: 10.3389/fimmu.2015.00605を参照)。
本明細書中に記載したA2AR/A2BR阻害剤は、さまざまな癌を治療するために現在評価されている複数のタイプの癌ワクチンの1もしくは複数と組み合わせて効果を生じ得る。
斯かる癌ワクチンは、一般的に、以下のカテゴリーの1つに該当する。
腫瘍細胞ワクチンは、患者に注入し戻されたときに患者の免疫系を活性化するそれらの能力を高めるように取り出され、そして、エクスビボにおいて修飾された患者の癌細胞に由来する。ほとんどの腫瘍細胞ワクチンが自家(そのワクチンは、それらが後に使用されるのと同じ患者から採取された腫瘍細胞から作製されている)であるが、他の腫瘍細胞ワクチンは同種異系である(そのワクチンは治療される患者以外のだれかからの腫瘍細胞から作製される)。規定の腫瘍抗原は、自己免疫のリスクを減少させるが、免疫応答が単一のエピトープに向けられるので、腫瘍は抗原損失変化によって破壊を回避する。単一抗原に対する免疫応答が同じ腫瘍の他の抗原に対する免疫につながることが時々あるので、「エピトープ多様性」または「誘発された免疫性」のプロセスがこの減衰を緩和し得る。
抗原ワクチンは、全体の腫瘍細胞よりむしろ1つだけまたは少数の抗原を使用することによって免疫系を高める。抗原ワクチンは特定のタイプの癌に特異的であり得るが、自家腫瘍細胞ワクチンと異なり、それは特定の患者のために作製されていない。
樹状細胞ワクチンは、患者の免疫細胞を取り出し、そして、癌細胞または癌抗原に曝露することによってエクスビボにおいて作り出された自家ワクチンである。樹状細胞は癌細胞を破壊し、その後、T細胞がそれらを認識できるようにそこから抗原を誘導し、その結果、免疫反応が開始する。抗原特異的T細胞が産生され、エクスビボにおいて増やされ、その後、患者に再注入され、これにより、抗原を含む体内の任意の癌細胞に対して免疫応答を開始する(Palucka, K et al. (April 2012) Nature Reviews Cancer 12:265-77; doi:10.1038/nrc3258を参照)。樹状細胞ワクチンは癌治療に関して最も成功を示した。樹状細胞ワクチンsipuleucel-T(PROVENGE; Dendreon)は進行した前立腺癌の治療向けに承認された。
ベクターベースのワクチンは実際には癌ワクチンの異なったカテゴリーでないが(例えば、ベクターベースの抗原ワクチンが存在する)、ベクターが一度に2つ以上の癌抗原を送達するのに使用できるので、それらは別々に見られることが多く、そしてそれは、身体の免疫系が応答をより開始しやすくさせるであろうし、そしてウイルスや細菌などのベクターは、身体からのそれら自身の免疫応答を引き起こすだろうし、そしてそれは、総合的な免疫応答をさらに強くするのを助ける可能性がある。
さらに他の実施形態において、本発明は、低分子干渉RNA(siRNAs)と組み合わせて、本明細書中に記載の化合物を含む治療法を企図する。斯かる抗癌療法は、癌関連siRNAライブラリーの樹立とスクリーニングおよび抗癌剤の標的発見と癌療法におけるそれらの適用にかかわる。顕著な遺伝子サイレンシングと腫瘍増殖退縮を誘発するための脂質、重合体、特に金ナノ粒子の使用を含めた、siRNAsのいくつかの送達アプローチが現在企図されている(例えばGuo, W et al. (Sep 2013) Clin J Cancer 32(9):488-93; doi: 10.5732/cjc.012.10280を参照)。
他の実施形態において、本明細書中に記載したA2AR/A2BR阻害剤は、これだけに限定されるものではないが、temsirolimus(CCI-779)、evirolimus(RAD-001)またはsirolimus(ラパマイシン)を含めたマクロライド化合物などのmTOR阻害剤と組み合わせて使用されてもよい。さらなる実施形態において、本明細書中に記載したA2AR/A2BR阻害剤は、SOCS(サイトカインシグナルの抑制因子)を含めたSTAT阻害剤;PIAS1、PIAS2、PIAS3、PIAS4、PIASxa、PIASxb、およびPIASyを含めたPIAS(活性化されたStatsのタンパク質阻害剤)、Nifuroxazide(5-ニトロ-2-フラルデヒドロ-p-ヒドロキシベンゾイルヒドラゾン)、N-[2-(1,3,4-オキサジアゾリル]-4-キノリンカルボキサミド、非ペプチド性小分子阻害剤、Stattic、STA-21、LLL-3、LLL12、XZH-5、S31-201、SF-1066、SF-1087、17o、Cryptotanshinon、FLL32、C188-9、LY5、BP-1108、BP-1075、Galiellalactone、JQ1、STX-0119、FLLL11、FLLL12、FLLL32、FLLL62、ホルモン誘導ニコチニルヒドラジン、IS3 295、オリゴヌクレオチド標的化STAT経路、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)標的化STAT経路、AZD9150(ISIS-STAT3RxまたはISIS 481464、STAT3に対する合成ASO、STAT3デコイオリゴヌクレオチド(ODN)、STAT3-siRNA、STAT3-G-カルテット、STAT5-ODN、STAT5-siRNA、OPB-31121、ペプチドおよびペプチド模倣体阻害剤、XpYL、Ac-pYLPQTV-NH3、ISS610、S31-M2001、およびCJ-1383と組み合わせて使用されてもよい。他の実施形態において、追加の剤はJAK阻害剤であり、そしてその例としては、チルホスチンAG490、CP-690550、ルキソリチニブ(INCB018424)、TG101348(SAR30253)、レスタウルチニブ(CEP701)、CYT387、パクリチニブ(SB1518)、AZD1480、XL019、およびLY2784544が挙げられる(例えばMascarenhas et al. (2012) Curr Med Chem 19(26):4399-413を参照)。
本発明の化合物はまた、癌の治療のための抗体ベースの治療法と組み合わせて使用されてもよい。斯かる治療法としては、腫瘍抗原に対するモノクローナル抗体の使用;抗体-薬剤コンジュゲート(ADC)、そしてそれはリンパ腫および固形腫瘍のための強力な新しい治療の選択肢を示す;モノクローナル抗体と毒素の複合体;および免疫調整抗体が挙げられる(Scott, A. et al. (April 2012) Nature Reviews Cancer 12:278-287; doi:10.1038/nrc3236)。
開示のA2AR/A2BR阻害剤と組み合わせて使用され得る他の剤およびモダリティとしては、T細胞アジュバント、細菌性リポ多糖およびオリゴヌクレオチドによる免疫刺激、および骨髄移植が挙げられる。
本発明は、キメラ抗原レセプター(CAR)T細胞および抗原特異的T細胞レセプター(TCR)細胞療法を含めた、様々な形態の養子細胞療法(ACT)と組み合わせた、本明細書中に記載の化合物の使用を企図する。(患者の自家培養T細胞を利用する)ACTは、患者特異的癌療法としての有望さを示した(Snook and Waldman (2013) Discov Med 15(81):120-25)。規定の特異性の抗原標的化レセプターをT細胞に挿入する遺伝子工学アプローチの使用は、ACTの潜在的能力を大いに拡大した。
(人工的なT細胞レセプター、キメラT細胞レセプター、およびキメラ免疫レセプターとしても知られている)CARの使用は、癌(例えば、BおよびT細胞リンパ腫の治療)および他の悪性腫瘍のための新たな治療法を示す。CAR T細胞は、一般的に、着目の腫瘍上に存在する既知の抗原に特異的な細胞外免疫グロブリン(Ig)ドメイン(例えば、モノクローナル抗体またはその部分)を含有する設計された分子を発現するように修飾された患者由来T細胞を含む、細胞内シグナリングドメインに結合した、遺伝子組み換えT細胞レセプターである。
CAR T細胞療法の開始は患者からのT細胞の取り出しを含む。次いで、T細胞は、既知の癌に特異的な抗原に対して向けられたCARを発現するように遺伝子を組換えられる。十分な数へのエクスビボにおける増幅に続いて、自家細胞は患者に注射して戻され、癌細胞の抗原特異的破壊をもたらす。Vigneron, N. et al. ((15 July 2013) Cancer Immunity 13:15)は、400超の腫瘍抗原性ペプチドを含有するT細胞に規定されたヒト腫瘍抗原に関するデータベースを記載する。腫瘍抗原の例としては、CD19、CD20、CD22、ROR1、メソテリン、CD33/IL3Ra、c-Met、PSMA、Glycolipid F77、EGFRvIII、GD-2、NY-ESO-1 TCR、MAGE A3 TCR、またはあらゆるそれらの組み合わせが挙げられる。ある場合には(同種異系ACTとして知られる)、他のヒト被験者からのT細胞が、患者自身の免疫系によるACTの破壊を予防するために、例えばβ2-ミクログロブリン(b2m)などの特定のドナー由来タンパク質の遺伝子操作を必要とするプロセスに、CAR発現のための基質として利用されてもよい。
CAR T細胞療法は、多くの適応症に関して前臨床および臨床開発中である。例えば、CD19陽性B細胞悪性腫瘍、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、および非ホジキンリンパ腫(NHL)向けのCAR T治療法は臨床開発中であり、かつ、CAR T細胞療法はまた、急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫、およびいくつかの固形腫瘍型によっても調査されている。
本発明は、共通の腫瘍抗原および/または(抗原特異的TCR細胞療法として知られている)独特な腫瘍抗原を標的化する剤および治療法と組み合わせた、本明細書中に開示された化合物の使用を企図する。腫瘍抗原は2つのカテゴリー:共通の腫瘍抗原(多くの腫瘍によって発現される)および独特な腫瘍抗原(物理的または化学的癌原性物質によって誘発される突然変異から生じ、そのため、個々の腫瘍によってのみ発現される)、に分割される。共通の腫瘍抗原の主要なファミリーは、それらが特定の組織または腫瘍型に制限されるかどうか、およびそれらが腫瘍関連自己抗原対改変自己または非自己抗原を表すかどうかに基づいて分類されてもよい。癌免疫療法における現在の取り組みの大部分は、腫瘍関連新生抗原の標的化に向けられるが、共通TCR(T細胞レセプター)および/または抗原の発見は、より低い変異負担を有する腫瘍型に特に関連している。共通抗原を標的化することもまた、特に癌予防の設定において記号論学的に簡単である。癌における共通抗原の例としては次のものが挙げられる:分化抗原(例えば、MelanA、gp110およびチロシナーゼ);異常発現された腫瘍関連抗原(例えば、Her2およびMuc-1);C/G抗原(例えば、MAGEファミリーおよびNY ESO-1):Stemness抗原(例えば、SOX2およびOCT4;ウイルス性癌タンパク質(例えば、HPV E6);および再発性の体細胞突然変異(例えば、B-Raf V600E(黒色腫));生殖細胞遺伝子、そしてそれには、MAGEA、MAGEB、およびMAGECとして知られるX染色体の3つの領域内に散在した25の機能遺伝子を含む、メラノーマ抗原をコードする(MAGE)遺伝子が挙げられる。X染色体上の他の癌-生殖細胞遺伝子ファミリーとしては、BAGE、GAGE、LAGE/NY-ESO1、およびSSX遺伝子が挙げられる。ペプチドはまたcyclin-A1に由来すると同定され、そしてそれは、精巣および急性骨髄性白血病で発現される。共通の癌抗原に向けたTCRを発現するACTは、本明細書中に記載した化合物と組み合わせて使用されてもよい。
独特な腫瘍抗原に関して、それらが発現の腫瘍特異的パターンを示すので、以下の2つのクラスの抗原:i)ウイルスタンパク質由来の抗原、ii)腫瘍の遺伝子コードのポイント突然変異または他の改変由来の抗原、が腫瘍特異的T細胞応答を誘発し得る(例えばVigneron, N., BioMed Res Intl Vol 2015 (2015), Article ID 948501; dx.doi.org/10.1155/2015/948501を参照)。
ウイルスは、子宮頚癌、上咽頭癌、肝臓癌、およびいくつかの白血病を含めた数タイプの癌の起源である。これらの癌では、ウイルスタンパク質が腫瘍細胞内で産生され、そして、T細胞によって検出され得る抗原性ペプチドを生じさせる。突然変異遺伝子によってコードされた抗原性ペプチドは、一般的に、それらが同定される腫瘍に独特である。例えば黒色腫、肺癌、および特定のタイプの結腸直腸癌などの高い突然変異率を有する腫瘍は、より変異した抗原を担持すると予想され、そのため、より免疫原性である。一部の患者では、抗腫瘍性CTL反応はほとんどが変異エピトープに対して向けられる。
従来の遺伝学的アプローチは、T細胞活性の所望の調節物質を発現する(または過剰発現する)ようにT細胞を修飾するか、またはT細胞活性の望ましくない調節物質の発現を減少または排除するようにT細胞を修飾するために使用されていてもよい。例えば、T細胞における免疫チェックポイント(例えば、PD-1)の発現の調節が治療的有益であり得る。腫瘍特異的T細胞を産生する最近の方法としては、腫瘍特異性をそれらに与えるようなレセプターを有する患者リンパ球の遺伝的修飾が挙げられる。次いで、T細胞をエクスビボにおいて増やされ、そして、養子細胞移植プロトコールを使用して患者に再び注入される。T細胞を修飾するのに使用される遺伝子としては、T細胞レセプターやキメラ抗原レセプターをコードするものが挙げられる(例えばKershaw, MH et al., Clinical& Translational Immunology (2014) 3, e16; doi:10.1038/cti.2014.7を参照)。本発明は、斯かる修飾T細胞に基づく治療薬を伴った本明細書中に記載の化合物の使用を企図する。
腫瘍組織から単離されたTIL(腫瘍浸潤リンパ球)のACTもまた、ヒト黒色腫で有望な結果をもたらし、そしてそれは、膵臓の腺癌および消化管腫瘍を含めた他のタイプの癌への適用をもたらした。TILは、外科的に切除された腫瘍からエクスビボにおいて増やされ、次いで、患者へと再び注入され戻されてもよい。転移性黒色腫患者のためのこの治療法は、3年間にわたる持続的な20%の完全奏功に関連している[例えばDhodapkar, K. and Dhodapkar, M. (2016) PNAS 113(29):7944-45; doi: 10.1073/pnas.1608860113を参照]。本発明は、斯かるTILに基づく治療薬を伴った本明細書中に記載の化合物の使用を企図する。
あらゆる場合において、様々な形態のACTと組み合わせた本明細書中に記載の化合物の使用としては、インビトロにおける斯かる化合物を用いたACT生成物の治療、すなわち、細胞培養において治療用細胞産物が増やされるか、活性化されるか、または別の方法で修飾されると同時に、斯かる患者へのACTの投与前、投与中または投与後のその患者への斯かる化合物の投与、が挙げられる。
代謝および心臓血管疾患
本発明は、A2AR/A2BR阻害剤および少なくとも1つの追加の治療剤または診断剤を用いて、特定の心臓血管および/または代謝関連疾患、障害および状態ならびにそれらに関連する障害を治療および/または予防する方法を提供する。
高コレステロール血症(およびアテローム性動脈硬化症)の治療のための併用療法に有用な治療剤の例としては、コレステロールの酵素的合成を阻害するスタチン(例えば、CRESTOR、LESCOL、LIPITOR、MEVACOR、PRAVACOLおよびZOCOR)、コレステロールを封鎖し、その吸収を阻止する胆汁酸樹脂(例えば、COLESTID、LO-CHOLEST、PREVALITE、QUESTRANおよびWELCHOL)、コレステロール吸収を遮断するエゼチミブ(ZETIA)、トリグリセリドを減少させ、適度にHDLを増加させるフィブリン酸(例えば、TRICOR)、LDLコレステロールおよびトリグリセリドを適度に低減させるナイアシン(例えば、NIACOR)、および、上記の組み合わせ(例えば、VYTORIN(シムバスタチンとエゼチミブ)が挙げられる。本明細書に記載のA2AR/A2BR阻害剤と組み合わせて使用する候補となり得る代替のコレステロール治療剤としては、様々な補助剤およびハーブ(例えば、ニンニク、ポリコサノールおよびググル)が挙げられる。
本発明は、上記のいずれかの医薬的に許容され得る塩、酸または誘導体を包含する。
免疫および炎症関連障害
本発明は、免疫関連疾患、障害および状態、ならびに、炎症成分を有する疾患、障害および状態を、A2AR/A2BR阻害剤および少なくとも1つのさらなる治療剤または診断剤を用いて治療および/または予防するための方法を提供する。
併用療法に有用な治療剤の例としては、限定するわけではないが、以下のもの:非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えばアスピリン、イブプロフェンおよび他のプロピオン酸誘導体(アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロキシ酸、カルプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルプロフェン、フルルビプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ミロプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸およびチオキサプロフェン)、酢酸誘導体(インドメタシン、アセメタシン、アルクロフェナック、クリダナク、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、フェンクロジン酸、フェンチアザク、フイロフェナク、イブフェナク、イソキセパック、オクスピナク、スリンダク、チオピナク、トルメチン、ジドメタシンおよびゾメピラク)、フェナム酸誘導体(フルフェナム酸、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフラム酸およびトルフェナム酸)、ビフェニルカルボン酸誘導体(ジフルニサルおよびフルフェニサル)、オキシカム(イソオキシカム、ピロオキシカム、スドオキシカムおよびテノオキシカム)、サリチレート(アセチルサリチル酸、スルファサラジン)およびピラゾロン(アパゾン、ベズピペリロン、フェプラゾン、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン)が挙げられる。他の併用としては、シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害剤が挙げられる。
併用のための他の活性薬剤としては、プレドニゾロン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、ベタメタゾン、デキサメタゾンまたはヒドロコルチゾンなどのステロイドが挙げられる。斯かる併用はステロイドの1つ以上の悪影響がステロイド必要用量を漸減させることによって低減しまたは排除することができるので特に有利でありうる。
例えば、関節リウマチを治療するために併用で使用されうる活性剤のさらなる例としては、サイトカイン抑制性抗炎症薬(CSAID)、TNF、LT、IL-10、IL-2、IL-6、IL-7、IL-8、IL-15、IL-16、IL-18、EMAP-II、GM-CSF、FGFまたはPDGFなどの、他のヒトサイトカインまたは増殖因子に対する抗体またはアンタゴニストが挙げられる。
活性剤の特定の組み合わせは、自己免疫およびその後の炎症性カスケードの様々な点で干渉することができ、そして、キメラ、ヒト化またはヒトTNF抗体、REMICADE、抗TNF抗体断片(例えばCDP870)などのTNFアンタゴニスト、および、可溶性p55またはp75 TNFレセプター、その誘導体、p75TNFRIgG (ENBREL.)またはp55TNFR1gG (LENERCEPT)、可溶性IL-13レセプター、およびTNFα変換酵素(TACE)阻害剤が挙げられ、同様に、IL-1阻害剤(例えば、インターロイキン-1変換酵素阻害剤)も有効でありうる。他の組み合わせとしては、インターロイキン11、抗P7およびP-セレクチン糖タンパク質リガンド(PSGL)が挙げられる。本明細書に記載のA2AR/A2BR阻害剤との併用で有用な薬剤の他の例としては、インターフェロン-131a(AVONEX)、インターフェロン-13b(BETASERON)、コパキソン、高圧酸素、静脈内免疫グロブリン、クラブリビン、および、他のヒトサイトカインまたは成長因子に対する抗体またはそれらのアンタゴニスト(例えば、CD40リガンドおよびCD80に対する抗体)が挙げられる。
微生物病
本発明は、A2AR/A2BR阻害剤および少なくとも1つの追加の治療薬または診断薬(例えば、1つ以上の他の抗ウイルス剤および/または1つ以上のウイルス療法と関連しない薬剤)を用いて、ウイルス、細菌、真菌および寄生虫の疾患、障害および状態ならびにそれらに関連する障害を治療および/または予防する方法を提供する。
斯かる併用療法としては、様々なウイルスライフサイクル段階を標的とし、異なる作用機構を有する抗ウイルス剤が挙げられ、限定するわけではないが、以下のものが挙げられる:ウイルスアンコーティングの阻害剤(例えば、アマンタジンおよびリマンチジン)、逆転写酵素阻害剤(例えば、アシクロビル、ジドブジンおよびラミブジン)、インテグラーゼを標的とする薬剤、転写因子のウイルスDNAへの結合を遮断する薬剤、翻訳に影響を及ぼす薬剤(例えば、アンチセンス分子)(例えば、ホルミルセン)、翻訳/リボザイム機能を調節する薬剤、プロテアーゼ阻害剤、ウイルス構築モジュレータ(例えば、リファンピシン)、ヌクレオシドアナログ逆転写酵素阻害剤(例えば、アジドチミジン(AZT)、ddl、ddC、3TC、d4T)などの抗レトロウイルス剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(例えば、エファビレンツ、ネビラピン)、ヌクレオチドアナログ逆転写酵素阻害剤、および、ウイルス粒子の放出を防止する薬剤(例えば、ザナミビルおよびオセルタミビル)が挙げられる。特定のウイルス感染(例えば、HIV)の治療および/または予防は、しばしば、抗ウイルス剤の群(「カクテル」)を用いる。
本明細書に記載のA2AR/A2BR阻害剤と併用して使用することが企図される他の抗ウイルス剤としては、限定するわけではないが、アバカビル、アデフォビル、アマンタジン、アンプレナビル、アンプリジェン、アルビドール、アタザナビル、アトリプラ、ボセプレビルテット、シドフォビル、コンビビル、ダルナビル、デラビルジン、ジダノシン、ドコサノール、エドックスジン、エムトリシタビン、エンフビルタイド、エンテカビル、ファモプレナビル、フォスプレナビル、フォスカーネット、フォスフォネット、http://en.wikipedia.org/wiki/Fusion_inhibitorガンシクロビル、イバシタビン、イムノビル、イドクスウリジン、イミキモド、インジナビル、イノシン、様々なインターフェロン(例えば、ペグインターフェロンアルファ-2a)、ロピナビル、ロビリド、マラビロック、モロキシジン、メシザゾン、ネルフィナビル、ネクサビル、ペンシクロビル、ペラミビル、プレコナリル、ポドフィロロトキシン、ラルテグラビル、リバビリン、リトナビル、ピラミジン、サキナビル、スタブジン、テラプレビル、テノホビル、チプラナビル、トリフルリジン、トリジビル、トロンタジン、ツルバダ、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ビクリビロク、ビダラビン、ビラミジンおよびザルシタビンが挙げられる。
本発明は、本明細書に記載のA2AR/A2BR機能の阻害剤を抗寄生虫剤と併用して使用することを企図する。斯かる薬剤としては、限定するわけではないが、チアベンダゾール、パモ酸ピランテル、メベンダゾール、プラジカンテル、ニコロサミド、ビチオノール、オキサムニクイン、メトリフォネート、イベルメクチン、アルベンダゾール、エフロルニチン、メラルソプロール、ペンタミジン、ベンズニダゾール、ニフルチモクスおよびニトロイミダゾールが挙げられる。当業者は、寄生虫疾患の治療に有用性を見い出すことができる他の薬剤を認識している。
本発明の実施形態は、細菌障害の治療または予防に有用な薬剤と併用して、本明細書に記載のA2AR/A2BR阻害剤を使用することを企図する。抗細菌剤は、化学構造に基づく作用機構に基づくことおよび活性スペクトルに基づくことを含む、様々な様式で分類することができる。抗細菌剤の例としては、細菌細胞壁を標的とする薬剤(例えば、セファロスポリンおよびペニシリン)または細胞膜(例えば、ポリミキシン)を標的とする薬剤、または、必須細菌酵素に干渉する薬剤(例えば、スルホンアミド、リファマイシンおよびキノリン)が挙げられる。タンパク質合成を標的とするほとんどの抗細菌剤(例えば、テトラサイクリンおよびマクロライド)は静菌性であるが、アミノグリコシドなどの薬剤は殺細菌性である。抗細菌剤を分類する別の手段はそれらの標的特異性に基づき、「狭スペクトル」薬剤は特定のタイプの細菌(例えば、連鎖球菌などのグラム陽性細菌)を標的とし、「広域スペクトル」薬剤は広範囲の細菌に対して活性を有する。当業者は、特定の細菌感染における使用に適切な抗細菌剤のタイプを認識している。
本発明の実施形態は、真菌疾患の治療または予防に有用な薬剤と併用して、本明細書に記載のA2AR/A2BR阻害剤を使用することを企図する。抗真菌剤としては、ポリエン(例えば、アンホテリシン、ナイスタチンおよびピマリシン)、アゾール(例えば、フルコナゾール、イトラコナゾールおよびケトコナゾール)、アリルアミン(例えば、ナフチフィンおよびテルビナフィン)およびモルホリン(例えば、アモロルフィン)、および、代謝拮抗物質(例えば、5-フルオロシトシン)が挙げられる。
本発明は、上記の薬剤(および薬剤のクラスの構成要素)の医薬的に許容され得る塩、酸または誘導体を包含する。
投薬
本発明のA2AR/A2BR阻害剤は、例えば、投与の目標(例えば、所望の解決の程度)、製剤が投与されている対象の年齢、体重、性別および健康状態および身体状態、投与経路、ならびに疾患、障害、状態またはその症状の性質に依存する量で対象に投与することができる。投薬レジメンはまた、投与される薬剤に関連するあらゆる有害作用の存在、性質および程度を考慮に入れることができる。有効な投与量および投与レジメンは、例えば、安全性および用量漸増試験、インビボ研究(例えば、動物モデル)、および、当業者に公知の他の方法から容易に決定することができる。
一般に、投薬パラメータは、投薬量が、対象に対して不可逆的に有毒でありうる量(最大耐量(MTD))未満であり、対象に対して測定可能な効果を生じさせるのに必要な量以上であることを指示する。斯かる量は、例えば、投与経路および他の因子を考慮して、ADMEに関連する薬物動態パラメータおよび薬力学パラメータによって決定される。
有効用量(ED)は、それを摂取する対象のある割合で治療応答または所望の効果を生じる薬剤の用量または量である。薬剤の「中央有効量」またはED50は、投与される集団の50%において治療応答または所望の効果を生じる薬剤の用量または量である。ED50は、薬剤の効果の合理的な期待の尺度として一般的に使用されるが、必ずしも医師が関連するすべての因子を考慮して適切と考える用量ではない。したがって、ある状況では、有効量は計算されたED50よりも大きく、他の状況では有効量は計算されたED50よりも小さく、さらに他の状況では有効量は計算されたED50と同じである。
さらに、本発明のA2AR/A2BR阻害剤の有効量は、対象に1回または複数回投与したときに、健康な対象と比較して所望の結果を生じる量であることができる。例えば、特定の障害を経験している対象では、有効な用量は、その障害の診断パラメータ、測定値、マーカーなどを少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%であり、または90%を超えて改善する用量であることができ、ここで、100%は正常な対象によって示される診断パラメータ、測定値、マーカーなどとして定義される。
特定の実施形態において、本発明によって企図されるA2AR/A2BR阻害剤は、所望の治療効果を得るために、約0.01mg/kg〜約50mg/kg、または、約1mg/kg〜約25 mg/kgの対象の体重/日の用量で、1日当たり1回またはそれ以上(例えば、経口的に)投与される。
経口剤の投与のために、組成物は、活性成分1.0〜1000ミリグラム、特に1.0、3.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0および1000.0ミリグラムの活性成分を含有する錠剤、カプセル剤等の形態で提供することができる。
特定の実施形態において、所望のA2AR/A2BR阻害剤の用量は「単位剤形」に含まれる。 「単位剤形」という語句は、所望の効果を生じるのに十分な所定量のA2AR/A2BR阻害剤を、単独で、または、1種以上の追加の薬剤との組み合わせで含有する、物理的に区別される単位を指す。単位剤形のパラメータは、特定の薬剤および達成されるべき効果に依存することが理解されるであろう。
キット
本発明はまた、本明細書に記載の化合物およびその医薬組成物を含むキットを企図する。キットは、一般に、以下に記載されるように、様々な構成要素を収容する物理的構造の形態であり、例えば、上記方法の実施において利用されうる。
キットは本明細書に開示の1つ以上の化合物(例えば、滅菌容器中に提供される)を含むことができ、対象への投与に適した医薬組成物の形態でありうる。本明細書に記載の化合物は、投与の前に、使用準備が整った形態(例えば、錠剤またはカプセル)、または、例えば再構成または希釈を必要とする形態(例えば、粉末)で提供することができる。本明細書に記載の化合物が、使用者によって再構成または希釈される必要がある形態である場合に、キットはまた、本明細書に記載の化合物と共にまたはそれとは別々にパッケージされる希釈剤(例えば、滅菌水)、緩衝剤、医薬的に許容され得る賦形剤などを含みうる。併用療法が企図される場合に、キットは、いくつかの薬剤を別々に含有してよく、または、キット中に既に組み合わされていてもよい。キットの各構成要素は、個々の容器内に封入され、様々な容器のすべてが単一のパッケージ内にあってもよい。本発明のキットは、そこに収容された構成要素を適切に維持するために必要な条件(例えば、冷蔵または凍結)のために設計されることができる。
キットは、その中の構成要素の同定情報およびそれらの使用説明書(例えば、投薬パラメータ、作用機構、薬物動態学および薬力学を含む活性構成要素の臨床薬理学、有害作用効果、禁忌など)を含むラベルまたはパッケージングインサートを含むことができる。ラベルまたはインサートには、ロット番号または有効期限などの製造元情報を含めることができる。ラベルまたはパッケージングインサートは、例えば、構成要素を収容する物理的構造に組み込まれてよく、物理的構造内に別々に収容されてよく、または、キットの構成要素に貼り付けられてもよい(例えばアンプル、チューブまたはバイアル)。
ラベルまたはインサートは、ディスク(例えば、ハードディスク、カード、メモリディスク)、光ディスク、例えば、CDまたはDVD-ROM/RAM、DVD、MP3、磁気テープなどのコンピュータ可読性媒体、または、RAMおよびROMなどの電気的記憶媒体、または、これらのハイブリッド、例えば磁気/光記憶媒体、フラッシュ媒体またはメモリ型カードをさらに含み、または、それに取り込まれることができる。いくつかの実施形態において、実際の指示書はキットには存在しないが、例えばインターネットを介して遠隔源から指示書を取得するための手段は提供される。
実験
以下の実施例は、本発明をどのように製造し使用するかについての完全な開示および説明を当業者提供した提示されており、発明者が発明の範囲を限定することを意図するものでなく、また、発明者が以下の実験が行われたことまたは行われうる実験のすべてであることを示すことを意図するものではない。現在形で記載されている例示的な記述は、必ずしも実施されたものではなく、ここに記載された種類のデータ等を得るために記述を実施することができることが理解されるべきである。使用される数(例えば、量、温度など)に関して正確さを保つための努力がなされているが、ある程度の実験誤差および偏差は考慮されるべきである。
他に示されない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏(℃)であり、圧力は大気圧またはそれに近い。次のような標準的な略語が使用される。wt= 野生型、bp =塩基対、kb =キロ塩基、nt =ヌクレオチド、aa =アミノ酸、sまたはsec=秒、min =分、hまたはhr =時間、ng =ナノグラム、μg =マイクログラム、mg =ミリグラム、g =グラム、kg =キログラム、dlまたはdL =デシリットル、plまたは1AL =マイクロリットル、mlまたはmL =ミリリットル、1またはL =リットル、μM =マイクロモル濃度、mM =ミリモル濃度、M =モル濃度、kDa =キロダルトン、i.m. =筋肉内、i.p. =腹腔内、SCまたはSQ =皮下、QD =毎日、BID = 1日2回、QW =毎週、QM =毎月、HPLC =高速液体クロマトグラフィー、BW =体重、U =単位、ns =統計的に有意ではない、PBS =リン酸緩衝食塩水、IHC =免疫組織化学、DMEM =ダルベッコ変法イーグル培地、EDTA =エチレンジアミン四酢酸。
材料および方法
以下の一般的な材料および方法を使用した(示されている場合)か、または、以下の実施例で使用することができる。
分子生物学における標準的な方法は、科学文献に記載されている(例えば、Sambrook and Russell(2001)Molecular Cloning, 3rd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.;およびAusubelら(2001)Current Protocols in Molecular Biology, Vols.1-4, John Wiley and Sons, Inc., New York, N.Y. (該文献には、細菌細胞におけるクローニングおよびDNA突然変異誘発(Vol.1)、哺乳動物細胞および酵母におけるクローニング(Vol. 2)、複合糖質およびタンパク質の発現(Vol.3)およびバイオインフォマティクス(Vol.4))について記載されている))。
科学文献には、免疫沈降、クロマトグラフィー、電気泳動、遠心分離および結晶化、ならびに化学分析、化学修飾、翻訳後修飾、融合タンパク質の産生およびタンパク質のグリコシル化を含むタンパク質精製のための方法が記載されている(例えば、Coliganら(2000)Current Protocols in Protein Science, Vol.1-2、John Wiley and Sons, Inc., NY)。
例えば、抗原フラグメント、リーダー配列、タンパク質フォールディング、機能ドメイン、グリコシル化部位および配列アラインメントを決定するためのソフトウェアパッケージおよびデータベースは利用可能である(例えば、GCG Wisconsin Package(Accelrys, Inc., San Diego, CA)およびDeCypherTM(TimeLogic Corp., Crystal Bay, NV))。
文献には、本明細書に記載の化合物の評価の基礎として役立ちうるアッセイおよび他の実験技術が充分に存在する。
実施例
請求項に記載の化合物の調製のための一般方法
当業者は、特許請求の範囲に示される分子を調製するために利用可能な様々な方法が存在することを認識するであろう。一般に、特許請求の範囲に記載の化合物を合成するための有用な方法は4つの部分からなり、aおよびb断片の連結(またはb環の環化によるa-b-c部分の形成)、bおよびc断片の連結(またはb環の環化によるa-b-c部分の形成)、およびすべての断片に存在する官能基の修飾を任意の順序で行うことができる。化合物の構築に有用な本発明の化合物の断片a〜cへの逆合成切断を以下に示す:
特許請求された化合物の調製のためのいくつかの方法は例示的なものである(式1〜5)。式1は、適切な官能化断片cを合成する方法の1つを実証する。式1の場合に、容易に入手可能な2-アミノ安息香酸を、尿素を用いた縮合と、それに続く塩化ホスホリルを用いた処理を介してキナゾリンに変換する。
あるいは、キナゾリンおよびキノリン環の形成に関して、さまざまな方法が当該技術分野で知られている(例えば、Joule et al., “Heterocyclic Chemistry”, Chapman & Hall, New York, or “Synthesis of Quinazolines” in http://www.organic-chemistry.org/synthesis/heterocycles/benzo-fused/quinazolines.shtmを参照)。
式2は、スズキ反応による断片bとcとの間に結合を形成する1つの方法を示す。式2の場合に、Zは、Cl、Br、I、OTfなどの適切な基から選択されてよく、-B(OR)2は、ボロン酸またはエステルであり、カップリングは、遷移金属触媒、好ましくは 適切なリガンドを有する白金である。
カップリングは有機または無機塩基の使用によって補助されてもよく、スズキカップリングを容易にするための様々な条件が当技術分野で公知である。カップリングパートナーの官能化は、式3に例示されるように逆転されてもよい。当業者は、所望の生成物をもたらす他の可能な組み合わせが存在することを認識するであろう。b断片とc断片との間の結合の形成は、a断片とb断片との間の連結の形成の前または後に起こることができ、基はc断片とb断片の連結の前または後にさらに修飾されうる。
あるいは、b断片は、アジド-アルキンのフイスゲン(Huisgen)1,3-双極子付加環化(式4)を介してa断片とc断片との間の環付加により形成されうる。式4の場合に、適切に官能化されたaおよびc断片は、アジドとアルキンとの付加環化反応において一緒に組み合わせることができる。この反応は、銅触媒または他の触媒の使用によって促進されうる。
断片bがトリアゾールである場合に、環はまた、パラジウム媒介によるアジ化ナトリウムのアルケニルハライドへの付加(Barluengaら、Angew. Chem. Int. Ed., 2006, 45, 6893-6896)、アジ化物のニトロアルケンへのAmberlyst-15触媒付加(Zhangら、Synthesis, 2016,48,131-135)、アニリンによるN-トシルヒドロゾンのI2/TBPB媒介酸化的付加環化(Caiら、Org. Lett., 2014, 16, 5108-5111)および他の多くの方法(www.organic-chemistry.org/synthesis/heterocycles/1,2,3-triazoles.shtmの「1,2,3-トリアゾールの合成」を参照)により合成されうる。当業者であれば、この転化を行うために利用可能な多種多様な方法が存在することを理解するであろう。
式5は、アルキル化により断片aとbとの間に結合を形成する1つの方法を実証する。式5の場合に、図7において、ZはCl、Br、I、OTfなどの適切な求電子性試薬であり、カップリングは有機または無機塩基により媒介される。本発明の任意の特定の化合物の最も効率的な調製のために、当業者は、断片の連結のタイミングおよび順序、および、断片中に存在する官能基の修飾は任意の所定の化合物の調製で変更し得る。
上記の様々な方法を用いて本発明の化合物を調製したが、そのいくつかは実施例に例示されている。
実施例1: 4-{1-[(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)メチル]-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル}-8-メトキシキナゾリン-2-アミンの合成
工程1: 丸底フラスコに6.73 g(29.4 mmol、1 equiv.)のジクロロ-キナゾリン、413 mg(0.6 mmol、2 mol%)のPdCl2(PPh3)2および223 mg(1.2 mmol、4 mol%)のCuIを充填した。含有物を減圧排気し、そしてN2で3回バックフィルした。118 mLの脱気THFをフラスコに加え、それに続いて12.3 mL(88 mmol、3 equiv.)の脱気Et3Nおよび6.6 mL(29.4 mmol、1 equiv.)の脱気TIPS-アセチレンを加えた。反応混合物をN2下、室温にて5時間撹拌した。次に、反応混合物を50 mLのEtOAcで希釈し、分液漏斗に移し、それに続いて(1:1)NH4Cl/NH4OH(2 x 50 mL)と塩水(1 x 50 mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濃縮して、さらなる精製なしで使用される茶色がかったオイルを得た。
工程2: 丸底フラスコに工程1からのクロロキナゾリン生成物と100 mLのTHFを充填した。パラ-メトキシベンジルアミン(11.5 mL、88.2 mmol、3 equiv.)を加え、そして反応混合物を一晩60℃まで加熱した。次に、反応混合物を周囲温度まで冷まし、EtOAcで希釈し、水で洗浄し、10%のクエン酸水溶液で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、そして濃縮した。残留した茶色の固形物をさらなる精製なしで使用した。
工程3: 丸底フラスコに工程2からのキナゾリン生成物と60 mLのTHFを充填した。水(2.6 mL、147 mmol、5 equiv.)を加え、そして反応混合物を氷/水浴で冷却した。TBAF(THF中に1M、2.9 mL、2.9 mmol、0.1 equiv.)を加え、そして氷浴を取り外した。反応混合物を室温にて70分間撹拌した後、EtOAcで希釈し、そして、半飽和NH4Cl水溶液でクエンチした。層が分離し、そして有機層をNa2SO4上で乾燥させ、SiO2上で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(CH2Cl2中に0-50%のEtOAc)によって精製し、黄色の固形物として所望の生成物を提供した(7.90 g、工程を通じて84%)。
工程4: 70℃にてメチル1H-ピラゾール-5-カルボキシラート(3.15 g、25.0 mmol)、シクロプロピルボロン酸(4.30 g、50.0 mmol)、炭酸ナトリウム(5.30 g、50.0 mmol)、およびジクロロエタン(125 mL)の混合物に、銅(II)アセタート(4.55 g、25.0 mmol) 、1,10-フェナントロリン(4.50 g、25.0 mmol)、およびジクロロエタン(31 mL)の加熱した懸濁液を加えた。次に、反応混合物を大気中、70℃にて4時間激しく撹拌した。反応混合物を冷まし、Celite(登録商標)を通して濾過した。溶媒を取り除き、そして残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中に0-100%のEtOAc)によって精製して、所望の生成物を淡緑色のオイル(2.25 g; 54%)として提供した。
工程5: THF(5 mL)中のステップ1からの生成物(831 mg、5.00 mmol)の溶液に、LiBH4(5 mL、10.0 mmol、THF中の2M溶液)を室温にて滴下して加えた。反応混合物を65℃にて90分間加熱した。次に、反応混合物を、0℃に冷却し、飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチし、そしてさらに1時間撹拌した。混合物を酢酸エチル(3 x 25 mL)によって抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。未精製の中間体に、MTBE(20 mL)、DPPA(1.08 mL、5.00 mmol)、およびDBU(748 mL、5.00 mmol)を加え、そしてその混合物を室温にて3日間撹拌した。MTBE(50 mL)を加え、そして有機相を水(4 x 100 mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。未精製のアジドをMTBE中の0.25M溶液として保存した。
工程6: 2:1アセトン:水(1.2 mL)中の実施例1b(3.6 mL、0.90 mmol、MTBE中に0.25M)、アルキン(実施例1a、95.7 mg、0.30 mmol)、銅(II)スルファート(1 mg、0.003 mmol)、アスコルビン酸ナトリウム(3 mg、0.015 mmol)を60℃にて2時間加熱した。混合物を酢酸エチル(3 x 25 mL)によって抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を除去し、そして未精製物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中に0-100%のEtOAc)によって精製して、所望の中間体を黄色の固形物として提供した。TFA(3 mL)を加え、そして混合物を70℃にて3時間加熱した。TFAを気流下で除去し、そして残渣を飽和重炭酸ナトリウムで中和し、濾過によって得られた固形物を回収し、MTBEと水で洗浄して、黄色の固形物として所望の生成物を得た(51 mgと、47%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.65 (s, 1H), 8.62 - 8.53 (m, 1H), 7.78 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.21 - 7.13 (m, 2H), 6.86 (br s, 2H), 6.31 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 5.68 (s, 2H), 3.88 (s, 3H), 3.74 - 3.67 (m, 1H), 1.06 - 0.90 (m, 4H)。C18H19N8OのESI MS [M+H]+, 計算値 363.2, 実測値 363.1。
実施例2: 8-メトキシ-4-[1-(1H-ピラゾール-3-イルメチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル]キナゾリン-2-アミンの合成
工程1: 1:1 DCM/THF(150 mL)中の3-(クロロメチル)-1H-ピラゾールヒドロクロリド(2.30 g、15.0 mmol)の懸濁液に、ジヒドロピラン(2.80 mL、33.0 mmol)を加えた。反応混合物を室温にて14時間撹拌した。揮発物を除去し、そして残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中に0-50%のEtOAc)によって精製して、所望の生成物を無色のオイルとして提供した(2.12 g; 70%)。
工程2: DMSO(10 mL)中の工程1からの生成物(1.00 g、5.00 mmol)の溶液に、アジ化ナトリウム(341 mg、5.25 mmol)を加えた。反応混合物を40℃にて3時間撹拌した。MTBE(100 mL)を加え、そして有機相を水(4 x 100 mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。有機相を濃縮し、そしてMTBE中の0.25M溶液として保存した。
工程3: 目標化合物を実施例1と同様の様式で合成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.97 (s, 1H), 8.61 (s, 1H), 8.59 - 8.48 (m, 1H), 7.74 (s, 1H), 7.23 (s, 1H), 7.14 (s, 1H), 6.85 (s, 2H), 6.34 (s, 1H), 5.71 (s, 2H), 3.86 (s, 3H)。C15H14N8OのESI MS [M+H]+, 計算値 323.1, 実測値 323.2。
実施例3: 8-フルオロ-4-[1-(1H-ピラゾール-3-イルメチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル]キナゾリン-2-アミンの合成
目標化合物を実施例2と同様の様式で合成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.13 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 8.82 (s, 1H), 7.91 - 7.79 (m, 1H), 7.75 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 7.53 - 7.44 (m, 1H), 6.38 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 5.80 (s, 2H)。C14H12FN8のESI MS [M+H]+, 計算値 311.1, 実測値 311.2。
実施例4: メチル1-(プロパン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシラート(4a)およびメチル1-(プロパン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-カルボキシラート(4b)の合成
工程a: メチル1H-ピラゾール-5-カルボキシラート(2.52 g、20.0 mmol)、2-ヨウ化プロパン(2.10 mL、21.0 mmol)、炭酸セシウム(7.17 g、22.0 mmol)、およびアセトニトリル(100 mL)の混合物を室温にて20時間撹拌した。固形物を濾過によって除去した。溶媒を除去し、そして残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中に0-50%のEtOAc)によって精製して、所望の生成物を無色のオイルとして提供した(4a、1.16 g、35%)。N-1位置異性体(4b)もまた、無色のオイルとして単離した(935 mg; 28%)。2種類の生成物の位置化学を暫定的に割り当てた。
実施例5: 8-メトキシ-4-(1-{[1-(プロパン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イル]メチル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)キナゾリン-2-アミンの合成
工程1: THF(6.9 mL)中の工程aからの生成物(1.16 g、6.90 mmol)の溶液に、LiBH4(6.9 mL、13.8 mmol、THF中の2M溶液)を室温にて滴下して加えた。反応混合物を65℃にて2時間加熱した。次に、反応混合物を冷まし、飽和塩化アンモニウム溶液で慎重にクエンチし、さらに1時間撹拌した。混合物を酢酸エチル(3 x 25 mL)によって抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。未精製の中間体にMTBE(7.2 mL)、DPPA(1.55 mL、7.20 mmol)、およびDBU(1.08 mL、7.20 mmol)を加え、そして混合物を室温にて24時間撹拌した。MTBE(50 mL)を加え、有機相を水(4 x 100 mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。未精製のアジドをMTBE中の0.25M溶液として保存した。
工程2: 目標化合物を実施例1の工程6と同様の様式で合成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.65 (s, 1H), 8.61 - 8.54 (m, 1H), 7.78 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.20 - 7.14 (m, 2H), 6.86 (br s, 2H), 6.30 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 5.70 (s, 2H), 4.50 (hept, J = 6.8 Hz, 1H), 3.88 (s, 3H), 1.40 (d, J = 6.7 Hz, 6H)。C18H21N8OのESI MS [M+H]+, 計算値 365.2, 実測値 365.1。
実施例6: 8-メトキシ-4-(1-{[1-(プロパン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-イル]メチル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)キナゾリン-2-アミンの合成
目標化合物を実施例5と同様の様式で合成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.69 (s, 1H), 8.58 - 8.52 (m, 1H), 7.47 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.20 - 7.14 (m, 2H), 6.87 (br s, 2H), 6.37 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 5.94 (s, 2H), 4.79 (hept, J = 6.5 Hz, 1H), 3.88 (s, 3H), 1.28 (d, J = 6.5 Hz, 6H)。C18H21N8OのESI MS [M+H]+, 計算値 365.2, 実測値 365.1。
実施例7: 8-メトキシ-4-{1-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)メチル]-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル}キナゾリン-2-アミンの合成
目標化合物を実施例5と同様の様式で合成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.64 (s, 1H), 8.62 - 8.55 (m, 1H), 7.70 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 7.19 - 7.14 (m, 2H), 6.86 (br s, 2H), 6.33 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 5.68 (s, 2H), 3.88 (s, 3H), 3.82 (s, 3H)。C16H17N8OのESI MS [M+H]+, 計算値 337.2, 実測値 337.1。
実施例8: 8-メトキシ-4-{1-[(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)メチル]-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル}キナゾリン-2-アミンの合成
目標化合物を実施例5と同様の様式で合成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.70 (s, 1H), 8.59 - 8.53 (m, 1H), 7.42 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 7.20 - 7.14 (m, 2H), 6.87 (br s, 2H), 6.38 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 5.91 (s, 2H), 3.89 (s, 3H), 3.88 (s, 3H)。C16H17N8OのESI MS [M+H]+, 計算値 337.2, 実測値 337.1。
実施例9: 8-メトキシ-4-[1-({1-[(3R)-オキソラン-3-イル]-1H-ピラゾール-3-イル}メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル]キナゾリン-2-アミンの合成
目標化合物を実施例5と同様の様式で合成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.66 (s, 1H), 8.61 - 8.53 (m, 1H), 7.80 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.20 - 7.12 (m, 2H), 6.86 (br s, 2H), 6.34 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 5.70 (s, 2H), 5.06 - 4.97 (m, 1H), 4.01 - 3.92 (m, 2H), 3.92 - 3.84 (m, 4H), 3.84 - 3.76 (m, 1H), 2.43 - 2.31 (m, 1H), 2.29 - 2.18 (m, 1H)。C19H21N8O2のESI MS [M+H]+, 計算値 393.2, 実測値 393.2。
実施例10: 8-メトキシ-4-[1-({1-[(3S)-オキソラン-3-イル]-1H-ピラゾール-3-イル}メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル]キナゾリン-2-アミンの合成
目標化合物を実施例5と同様の様式で合成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.66 (s, 1H), 8.60 - 8.53 (m, 1H), 7.80 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.20 - 7.13 (m, 2H), 6.86 (br s, 2H), 6.34 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 5.70 (s, 2H), 5.06 - 4.97 (m, 1H), 4.00 - 3.92 (m, 2H), 3.92 - 3.84 (m, 4H), 3.84 - 3.75 (m, 1H), 2.42 - 2.31 (m, 1H), 2.30 - 2.19 (m, 1H)。C19H21N8O2のESI MS [M+H]+, 計算値 393.2, 実測値 393.1。
実施例11: メチル1-[2-(オキサン-2-イルオキシ)エチル]-1H-ピラゾール-5-カルボキシラート(11a)およびメチル1-[2-(オキサン-2-イルオキシ)エチル]-1H-ピラゾール-3-カルボキシラート(11b)の合成
丸底フラスコ内でピラゾール誘導体(3.0 g、23.8 mmol)を乾燥MeCN中に溶解した。この溶液に、N2下でCs2CO3(7.8 g、23.8 mmol)および2-ブロモエトキシ-2-H-ピラン(5.9 g、28.6 mmol)を加えた。反応混合物を50℃にて1.5時間撹拌した。室温に冷ました後に、固形物を濾別した。濾液を濃縮し、そして未精製物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、1.2 gの11a(20%)および3.6 gの11b(60%)を得た。それほど極性のない生成物を暫定的にN-1アルキル化物11aとし、より極性の生成物をN-2-アルキル化物11bとした。
実施例12: 2-(3-{[4-(2-アミノ-8-メトキシキナゾリン-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル]メチル}-1H-ピラゾール-1-イル)エタン-1-オールの合成
工程1: 丸底フラスコ内でピラゾール-メチルエステル誘導体11b(1.0 g、3.9 mmol)を乾燥THF中に溶解した。この溶液に、THF中のLiBH4の1.0M溶液(3.9 mL、7.9 mmol)を加えた。反応混合物を還流下で1時間撹拌した。室温まで冷ました後に、飽和NH4Clを加え、30分間撹拌した。有機層を分離し、水層をEtOAc(2 x 50 mL)で抽出した。合わせた有機層を、MgSO4上で乾燥させ、濃縮し、そして3.9 mLのトルエン中に再溶解した。この混合物にDPPA(1.1 mL、5.1 mmol)およびDBU(0.8 mL、5.1 mmol)を加えた。反応混合物を60℃にて10時間加熱した。室温に冷ました後に、溶媒を除去し、そして未精製物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、686 mgのアジド誘導体を得た(70%、2工程)。
工程2: 表題化合物を実施例1と同様の様式で合成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.64 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 8.56 (dd, J = 5.9, 3.9 Hz, 1H), 7.70 (t, J = 2.1 Hz, 1H), 7.17 - 7.12 (m, 2H), 6.85 (s, 2H), 6.30 (t, J = 2.1 Hz, 1H), 5.68 (s, 2H), 4.88 (t, J = 5.3 Hz, 1H), 4.11 (t, J = 5.6 Hz, 2H), 3.86 (s, 3H), 3.70 (q, J = 5.5 Hz, 2H)。C17H18N8O2のESI MS [M+H]+, 計算値 367.2, 実測値 367.3。
実施例13: 2-(5-{[4-(2-アミノ-8-メトキシキナゾリン-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル]メチル}-1H-ピラゾール-1-イル)エタン-1-オールの合成
表題化合物を実施例12と同様の様式で合成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.69 (d, J = 1.1 Hz, 1H), 8.55 (ddd, J = 5.5, 3.9, 1.2 Hz, 1H), 7.45 (s, 1H), 7.20 - 7.11 (m, 2H), 6.85 (s, 2H), 6.32 (s, 1H), 5.92 (s, 2H), 5.00 (t, J = 5.2 Hz, 1H), 4.27 (t, J = 5.5 Hz, 2H), 3.87 (s, 3H), 3.68 (q, J = 5.6 Hz, 2H)。C17H18N8O2のESI MS [M+H]+, 計算値 367.2, 実測値 367.1。
実施例14: 1-(3-{[4-(2-アミノ-8-メトキシキナゾリン-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル]メチル}-1H-ピラゾール-1-イル)-2-メチルプロパン-2-オールの合成
工程1: メチル1H-ピラゾール-3-カルボキシラート(2.52 g、20 mmol、1 equiv.)をDMF(20 mL)中に溶解した。K2CO3(5.53 g、40 mmol、2 equiv.)を加え、続いて、1-クロロ-2-メチル-2-プロパノール(2.67 mL、26 mmol、1.3 equiv.)を加えた。反応混合物を40時間80℃まで加熱し、室温まで冷ました。反応混合物を水中に注ぎ入れ、EtOAcで抽出し、そして合わせた有機抽出物を水と塩水で洗浄した。有機層を濃縮し、そして未精製の残渣を、SiO2(25-100%のEtOAc/ヘキサン)によって精製して、表題化合物を静置することで固形化する無色のオイルとして提供した(2.08 g、53%の収率)。
工程2: 上記の工程からのエステル(1.87 g、9.44 mmol、1 equiv.)をTHF(40 mL)中に溶解した。反応混合物を0℃に冷却し、そして固形のLiAlH4(1.08 g、28.3 mmol、3 equiv.)を慎重に加えた。反応混合物を50分間撹拌し、そして1.08 mLの水、1.08 mLの1N NaOH、および3.24 mLの水を慎重に加えることによって反応をクエンチした。混合物を約5分間撹拌し、Na2SO4のプラグを通して濾過し、そして濃縮した。未精製の残渣(1.50 g、粘稠の無色のオイル)をさらなる精製なしで次の工程に使用した。
工程3および工程4: 表題化合物を実施例1と同様の様式で合成して、59 mgの黄褐色の固形物を生成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.69 - 8.61 (m, 1H), 8.61 - 8.52 (m, 1H), 7.67 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 7.17 (d, J = 5.3 Hz, 2H), 6.85 (s, 2H), 6.41 - 6.27 (m, 1H), 5.70 (s, 2H), 4.77 - 4.63 (m, 1H), 4.00 (s, 2H), 3.88 (s, 3H), 1.04 (s, 6H)。C18H22N8O2のESI MS [M+H]+, 計算値 395.2, 実測値 395.1。
実施例15: 7-フルオロ-8-メトキシ-4-(1-{[1-(プロパン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イル]メチル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)キナゾリン-2-アミンの合成
表題化合物を実施例1と同様の様式で合成して、75 mgの黄褐色の固形物を提供した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.95 (s, 1H), 8.73 (s, 1H), 7.78 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.35 - 7.22 (m, 1H), 6.30 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 5.72 (s, 2H), 4.60 - 4.40 (m, 1H), 4.01 (d, J = 1.7 Hz, 3H), 1.40 (dd, J = 6.6, 1.1 Hz, 6H)。C18H19FN8OのESI MS [M+H]+, 計算値 383.2, 実測値 383.1。
実施例16: 7-フルオロ-8-メトキシ-4-(1-{[1-(プロパン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-イル]メチル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)キナゾリン-2-アミンの合成
表題化合物を実施例1と同様の様式で合成して、85 mgの黄褐色の固形物を提供した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.85 (ddd, J = 9.3, 5.9, 1.1 Hz, 1H), 8.72 (d, J = 1.1 Hz, 1H), 7.48 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 7.20 (ddd, J = 10.6, 9.4, 1.0 Hz, 1H), 7.08 (s, 2H), 6.37 (dd, J = 1.8, 1.0 Hz, 1H), 5.95 (s, 2H), 4.79 (p, J = 6.5 Hz, 1H), 3.99 (d, J = 1.0 Hz, 3H), 1.28 (dd, J = 6.5, 1.1 Hz, 6H)。C18H19FN8OのESI MS [M+H]+, 計算値 383.2, 実測値 383.2。
実施例17: 8-クロロ-4-(1-{[1-(プロパン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イル]メチル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)キナゾリン-2-アミンの合成
表題化合物を実施例1と同様の様式で合成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.03 (dd, J = 8.4, 1.3 Hz, 1H), 8.69 (s, 1H), 7.87 (dd, J = 7.5, 1.3 Hz, 1H), 7.76 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.22 (dd, J = 8.4, 7.5 Hz, 1H), 7.15 (s, 2H), 6.29 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 5.70 (s, 2H), 4.47 (hept, J = 6.6 Hz, 1H), 1.39 (s, 3H), 1.38 (s, 3H)。C17H17ClN8のESI MS [M+H]+, 計算値 369.1, 実測値 369.1。
実施例18: 8-クロロ-4-(1-{[1-(プロパン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-イル]メチル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)キナゾリン-2-アミンの合成
表題化合物を実施例1と同様の様式で合成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.01 (dd, J = 8.5, 1.3 Hz, 1H), 8.73 (s, 1H), 7.88 (dt, J = 7.5, 1.3 Hz, 1H), 7.46 (s, 1H), 7.22 (ddd, J = 8.5, 7.5, 1.2 Hz, 1H), 7.16 (s, 2H), 6.36 (s, 1H), 5.94 (s, 2H), 4.78 (hept, J = 6.5 Hz, 1H), 1.28 (s, 3H), 1.26 (s, 3H)。C17H17ClN8のESI MS [M+H]+, 計算値 369.1, 実測値 369.1。
実施例19: 4-{1-[(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)メチル]-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル}-8-メトキシキノリン-2-アミンの合成
工程1: CH2Cl2(20 mL)中の4-クロロ-8-メトキシキノリン(1 g, 5.16 mmol, 1equiv.)の溶液にm-CPBA(約75%、2.37 g, 10.3 mmol, 2equiv.)を加えた。反応混合物を一晩撹拌し、そして10%のKOH水溶液でクエンチした。層を分離し、そして有機層を乾燥させ、濃縮して、N-オキシド誘導体(796 mg、74%)をオレンジ色の固形物として提供した。
工程2: PhCF3(19 mL)中の工程1の生成物(796 mg, 3.82 mmol, 1equiv.)とt-ブチルアミン(2 mL, 19.1 mmol, 5equiv.)の溶液を氷/水浴中で冷やし、Ts2O(2.87 g, 8.8 mmol, 2.3equiv.)を一度に加えた。10分後に、トリフルオロ酢酸(9.6 mL, 2.5 mL/mmolの基質)を加え、そして反応混合物を70 ℃に予熱したヒートブロック内に一晩置いた。反応混合物を濃縮し、そして残渣をCH2Cl2中に溶解し、10%のKOH水溶液で洗浄した。有機層を濃縮し、そして未精製の残渣をSiO2によるフラッシュクロマトグラフィー(0-25%のMeOH/CH2Cl2)によって精製して、2-アミノ-4-クロロ-8-メトキシキノリン(390 mg、49%)を黄色の固形物として提供する。工程3および4を実施例28と同様な様式で実施して、51 mgの表題化合物を提供した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.63 (s, 1H), 7.77 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.68 (dd, J = 8.3, 1.3 Hz, 1H), 7.10 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.03 (d, J = 3.1 Hz, 2H), 6.53 (s, 2H), 6.29 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 5.63 (s, 2H), 3.87 (s, 3H), 3.71 (dq, J = 7.3, 3.7 Hz, 1H), 1.08 - 0.90 (m, 4H)。C19H19N7OのESI MS [M+H]+, 計算値 362.2, 実測値 362.1。
実施例20: 8-フルオロ-4-(1-{[1-(プロパン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イル]メチル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)キノリン-2-アミンの合成
表題化合物を実施例19と同様の様式で合成して、60 mgの黄褐色の固形物を提供した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.70 (d, J = 2.6 Hz, 1 H), 8.06 - 7.91 (m, 1H), 7.76 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 7.34 (d, J = 10.7 Hz, 1H), 7.20 - 7.05 (m, 2H), 6.81 (s, 2H), 6.29 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 5.66 (s, 2H), 4.57 - 4.42 (m, 1H), 1.46 - 1.35 (m, 6H)。C18H18FN7のESI MS [M+H]+, 計算値 352.2, 実測値 352.2。
解析方法:
LC: Agilent1100シリーズ;質量分析計: Agilent G6120BA、シングル四重極
LC- MS方法: Agilent Zorbax Eclipse Plus C18、4.6 × 100mm、3.5 μM、35 ℃、1.5 mL/分の流量、100% Bの時点での0.5分間の洗浄を伴った2.5分間の0%から100%へのBのグラジエント; A=0.1%のギ酸/5%のアセトニトリル/94.9%の水; B=0.1%のギ酸/5%の水/94.9%のアセトニトリル
フラッシュカラム: ISCO Rf+
逆相HPLC法: ISCO-EZまたはAgilent 1260; カラム: Kinetex 5 μm EVO C18 100A; 250 × 21.2 mm (Phenomenex)
表1: 特定の例 (有効性: A2ARおよびA2BR KB: +は>1 μMを意味し、++は100 nM〜1 μMを意味し、+++は<100 nMを意味する)
本発明を実施するために本発明の発明者に知られている最良の形態を含む、本発明の特定の実施形態を本明細書に記載する。上記を読むことにより、開示された実施形態の説明、バリエーションが当業者に明らかになる可能性があり、当業者は斯かるバリエーションを適切なものとして用いることができることが期待される。したがって、本発明は、本明細書に具体的に記載されているものとは別の方法で実施され、そして本発明は、適用法によって許容される通り、添付の特許請求の範囲に記載された主題のすべての変更および同等物を含むことが意図されている。さらに、本明細書中で別段の指示がない限り、あるいは文脈上で明らかに矛盾しない限り、それらのすべての可能なバリエーションにおける上記の要素の任意の組み合わせは本発明に包含される。
各々個別の刊行物または特許出願があたかも参照により具体的かつ個別に援用されていることを示すように、本明細書に引用されるすべての刊行物、特許出願、受託番号および他の参考文献は、参照により本明細書に援用される。

Claims (38)

  1. 式(I):
    (式中、
    G1はNまたはCR3aであり;
    G2はNまたはCR3bであり;
    R3aおよびR3bはそれぞれ独立して、HまたはC1-3アルキルであり;
    R1aおよびR1bはそれぞれ独立して、
    i)H、
    ii)1〜3個のR5置換基により場合により置換されたC1-8アルキル、
    iii)1〜3個のR5置換基により場合により置換された-X1-O-C1-8アルキル、
    iv)-C(O)-R6
    v)1〜3個のR7置換基で場合により置換されたY、
    vi)1〜3個のR7置換基で場合により置換された-X1-Y、
    から成る群から選択され、かつ、
    vii)R1aおよびR1bはそれらが結合している窒素とともに、5〜6員ヘテロシクロアルキル間を形成し、該環は1〜3個のR8置換基により場合により置換され、該ヘテロシクロアルキルはO、NおよびSから成る群から選択される0〜2個の追加のヘテロ原子環頂点を有し、
    各YはC3-8シクロアルキルまたはO、NおよびSから成る群から選択される1〜3個のヘテロ原子環頂点を有する4〜6員ヘテロシクロアルキルであり;
    R2およびR4はそれぞれ独立して、HまたはC1-3アルキルであり;
    各X1はC1-6アルキレンであり;
    各R5はヒドロキシル、C3-8シクロアルキル、フェニル、-O-フェニル、-C(O)ORaおよびオキソから成る群から独立して選択され;
    各R6はC1-8アルキルまたはYであり、そのそれぞれはヒドロキシル、-O-フェニル-、フェニル、および-O-C1-8アルキルから成る群から選択される1〜3個の置換基で場合により置換され;
    各R7はC1-8アルキル、ヒドロキシル、-O-C1-8アルキル、オキソおよびC(O)ORaから成る群から独立して選択され;
    各R8はC1-8アルキル、ヒドロキシルおよびオキソから成る群から独立して選択され;
    添字nは0、1、2または3であり;
    各R9はC1-8アルキル、-O-C1-8アルキル、-X1-O-C1-8アルキル、-O-X1-O-C1-8アルキル、-X1-O-X1-O-C1-8アルキル、-C(O)ORa、ハロゲン、シアノ、-NRbRc、Y、-X1-C3-8シクロアルキル、および-X2-Zから成る群から独立して選択され、ここで、X2はC1-6アルキレン、-C1-6アルキレン-O-、-C1-6-アルキレン-NH-、-C1-4アルキレン-O-C1-4アルキレン-、-C(O)-、および-S(O)2から成る群から選択され、ZはO、NおよびSから成る群から選択される1〜3個のヘテロ原子環頂点を有する4〜6員ヘテロシクロアルキルであり、およびここで、前記R9置換基のそれぞれは1〜3個のR11で場合により置換され;
    R10a、R10b、R10cおよびR10dのそれぞれはH、C1-8アルキル、ハロ、シアノ、-O-C1-8アルキル、-X1-O-C1-8アルキル、-O-X1-O-C1-8アルキル、-S(O)2-C1-6アルキル、-C(O)NRdRe、およびO、NおよびSから成る群から選択される1〜3個のヘテロ原子環頂点を有する4〜6員ヘテロアリールから成る群から独立して選択され、ここで、前記R10a~d置換基のそれぞれは1〜3個のR12で場合により置換されるか、または隣接する環頂点上のR10a、R10b、R10cおよびR10dのうちの2つは場合により組み合わされて、1〜2個のハロゲンで場合により置換される5員複素環式環を形成し;
    各R11は-C(O)ORaで場合により置換される、ヒドロキシル、オキソ、ハロ、シアノ、-NRdRe、-C(O)ORa、フェニル、C3-8シクロアルキル、およびC1-4アルキルから成る群から独立して選択され;
    各R12はハロ、シアノ、ヒドロキシ、-C(O)ORaから成る群から独立して選択され;そして、
    各RaはHまたはC1-6アルキルであり;
    各RbおよびRcはH、C1-8アルキル、-S(O)2-C1-6アルキル、-C(O)ORa、および-X1-C(O)ORaから成る群から独立して選択され;および
    各RdおよびReはH、C1-8アルキル、-S(O)2-C1-6アルキルから成る群から独立して選択される)
    によって表される化合物、または医薬的に許容され得るその塩、水和物もしくは溶媒和物。
  2. 式中、各R9はC1-8アルキル、-O-C1-8アルキル、-X1-O-C1-8アルキル、-O-X1-O-C1-8アルキル、-X1-O-X1-O-C1-8アルキル、-C(O)ORa、ハロゲン、シアノ、-NRbRc、Y、-X1-C3-8シクロアルキル、および-X2-Zから成る群から独立して選択され、ここで、X2はC1-6アルキレン、-C1-6アルキレン-O-、-C1-4アルキレン-O-C1-4アルキレン-、-C(O)-、および-S(O)2-から成る群から選択され、ZはO、N、およびSから成る群から選択される1〜3個のヘテロ原子環頂点を有する4〜6員ヘテロシクロアルキルであり、およびここで、前記R9置換基のそれぞれは1〜3個のR11で場合により置換された、請求項1に記載の化合物。
  3. 式(Ia):
    を有する、請求項1に記載の化合物、または医薬的に許容され得るその塩、水和物もしくは溶媒和物。
  4. 式(Ib):
    を有する、請求項1に記載の化合物、または医薬的に許容され得るその塩、水和物もしくは溶媒和物。
  5. 式中、R10a、R10b、R10cまたはR10dのうちの少なくとも1つがメトキシである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
  6. 式(Ic)
    を有する、請求項1に記載の化合物、または医薬的に許容され得るその塩、水和物もしくは溶媒和物。
  7. 式(Id)
    を有する、請求項1に記載の化合物、または医薬的に許容され得るその塩、水和物もしくは溶媒和物。
  8. 式中、各R9はC1-8アルキル、-O-C1-8アルキル、-X1-O-C1-8アルキル、-O-X1-O-C1-8アルキル、-X1-O-X1-O-C1-8アルキルから成る群から選択され、ここで、前記R9置換基のそれぞれは1〜3個のR11で場合により独立して置換された、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物、または医薬的に許容され得るその塩、水和物もしくは溶媒和物。
  9. 式中、各R9は-C(O)ORa、-NRbRc、Y、-X1-C3-8シクロアルキル、および-X2-Zから成る群から独立して選択され、ここで、X2はC1-6アルキレン、-C1-6アルキレン-O-、-C(O)-、および-S(O)2-から成る群から選択され、ZはO、N、およびSから成る群から選択される1〜3個のヘテロ原子環頂点を有する4〜6員ヘテロシクロアルキルであり、およびここで、前記R9置換基のそれぞれは1〜3個のR11で場合により置換された、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物、または医薬的に許容され得るその塩、水和物もしくは溶媒和物。
  10. 式(Ie):
    を有する、請求項1に記載の化合物、または医薬的に許容され得るその塩、水和物もしくは溶媒和物。
  11. 式(If):
    を有する、請求項1に記載の化合物、または医薬的に許容され得るその塩、水和物もしくは溶媒和物。
  12. 式中、R10a、R10bおよびR10cのそれぞれはH、Cl、F、およびOCH3から成る群から独立して選択される、請求項11に記載の化合物。
  13. 式(Ig):
    を有する、請求項1に記載の化合物、または医薬的に許容され得るその塩、水和物もしくは溶媒和物。
  14. 式(Ih):
    を有する、請求項1に記載の化合物、または医薬的に許容され得るその塩、水和物もしくは溶媒和物。
  15. 式(Ii):
    を有する、請求項1に記載の化合物、または医薬的に許容され得るその塩、水和物もしくは溶媒和物。
  16. 以下の:
    から成る群から選択される、請求項1に記載の化合物、または医薬的に許容され得るその塩、水和物もしくは溶媒和物。
  17. 表1の化合物から選択される、請求項1に記載の化合物。
  18. 請求項1〜17のいずれか一項に記載の化合物および医薬的に許容され得る賦形剤を含む、医薬組成物。
  19. アデノシンA2Aレセプター(A2AR)および/またはアデノシンA2Bレセプター(A2BR)により少なくとも部分的に媒介される疾患、障害または状態の治療方法であって、前記方法が治療的に許容され得る量の請求項1〜17のいずれか一項に記載の化合物を、該治療を必要とする対象に投与することを含む、方法。
  20. 前記疾患、障害または状態はA2ARにより少なくとも部分的に媒介される、請求項19に記載の方法。
  21. 前記疾患、障害または状態はA2BR により少なくとも部分的に媒介される、請求項19に記載の方法。
  22. 前記疾患、障害または状態はA2AR およびA2BRにより少なくとも部分的に媒介される、請求項19に記載の方法。
  23. 前記化合物はA2AR-媒介免疫抑制の進行を逆行させるか、または停止させるために有効な量で投与される、請求項20に記載の方法。
  24. 前記疾患、障害または状態は癌である、請求項19〜23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記癌は前立腺、結腸、直腸、膵臓、子宮頸部、胃、子宮内膜、脳、肝臓、膀胱、卵巣、精巣、頭部、頚部、皮膚(メラノーマおよび基底癌を含む)、中皮内壁、白血球(リンパ腫および白血病を含む)、食道、乳房、筋肉、結合組織、肺(小細胞肺癌および非小細胞癌を含む)、副腎、甲状腺、腎臓または骨の癌であるか;または、神経膠芽腫、中皮腫、腎細胞癌、胃癌、肉腫(カポジ肉腫を含む)、絨毛癌、皮膚基底細胞癌または睾丸セミノーマである、請求項24に記載の方法。
  26. 前記癌はメラノーマ、結腸癌、膵臓癌、乳癌、前立腺癌、肺癌、白血病、脳腫瘍、リンパ腫、卵巣癌、およびカポジ肉腫からなる群より選ばれる、請求項24に記載の方法。
  27. 前記疾患、障害または状態は免疫関連疾患、障害または状態である、請求項19〜23のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記免疫関連疾患、障害または状態は関節リウマチ、腎不全、狼瘡、喘息、乾癬、大腸炎、膵炎、アレルギー、線維症、貧血性線維筋痛症、アルツハイマー病、うっ血性心不全、脳卒中、大動脈弁狭窄症、動脈硬化症、骨粗鬆症、パーキンソン病、感染症、クローン病、潰瘍性大腸炎、アレルギー性接触性皮膚炎および他の湿疹、全身性硬化症および多発性硬化症からなる群より選ばれる、請求項27に記載の方法。
  29. 請求項1〜17のいずれか一項に記載の化合物および少なくとも1種の追加の治療剤を含む、組み合わせ物。
  30. 前記少なくとも1種の追加の治療剤は、化学療法剤、免疫および/または炎症調節剤、抗高コレステロール血症剤、または抗感染剤である、請求項29に記載の組み合わせ物。
  31. 前記少なくとも1種の追加の治療剤は免疫チェックポイント阻害剤である、請求項29に記載の組み合わせ物。
  32. 前記免疫チェックポイント阻害剤はPD1、PDL1、BTLA、LAG3、TIM-3、B7ファミリーのメンバーまたはCTLA4のうちの少なくとも1つの活性を遮断する、請求項31に記載の組み合わせ物。
  33. 対象における癌の治療方法であって、有効量の請求項1〜17のいずれか一項に記載の化合物および免疫チェックポイント阻害剤を前記対象に投与することを含む、方法。
  34. 前記免疫チェックポイント阻害剤はPD1、PDL1、BTLA、LAG3、TIM-3、B7ファミリーのメンバーまたはCTLA4のうちの少なくとも1つの活性を遮断する、請求項33に記載の方法。
  35. 前記化合物および前記免疫チェックポイント阻害剤は組み合わせて投与される、請求項33に記載の方法。
  36. 前記化合物および前記免疫チェックポイント阻害剤は逐次的に投与される、請求項33に記載の方法。
  37. 前記化合物は前記免疫チェックポイント阻害剤の後に投与される、請求項33に記載の方法。
  38. 前記化合物は前記免疫チェックポイント阻害剤の前に投与される、請求項33に記載の方法。
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