JP2020516673A - B型肝炎ウイルス(hbv)感染を有する対象を処置する方法 - Google Patents

B型肝炎ウイルス(hbv)感染を有する対象を処置する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、HBVを標的とするRNAi剤およびHBVワクチンの組み合わせを使用する、B型肝炎ウイルス(HBV)感染、例えば、慢性HBV感染を有する対象を処置する方法を提供する。対象にa)少なとも3つのHBV転写物の発現を阻害するRNAi剤であって、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含むRNAi剤;b)第一HBVコア抗原(HBcAg)ポリペプチドおよび第一HBV表面抗原(HBsAg)ポリペプチドを含むタンパク質ベースのワクチン;およびc)第二HBcAgポリペプチドおよび/または第二HBsAgポリペプチドをコードする発現ベクター構築物を含む核酸ベースのワクチンであって、ここで、第二HBcAgポリペプチドおよび/または第二HBsAgポリペプチドが第一HBcAgポリペプチドおよび/または第一HBsAgポリペプチドの少なくとも一つと少なくとも一つのエピトープを共有するワクチンをHBV感染を有する対象に連続的に投与することを含む、HBV感染の処置に使用するためのRNAi剤およびHBVワクチンを開示する。

Description

関連出願
本出願は、2017年4月18日出願の米国仮出願62/486,618、2017年9月1日出願の米国仮出願62/553,358、2018の3月23日出願の米国仮出願62/646,978および2018年4月11日出願の米国仮出願62/655,862に基づく優先権を主張する。前記仮出願の各々の全内容を、引用により本明細書に包含させる。
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提供し、その全体を引用により包含させる配列表を含む。該ASCIIコピーは、2018年4月12日に作成し、121301-07220_SL.txtなる名称であり、サイズは429,841バイトである。
発明の背景
B型肝炎ウイルス(HBV)は、肝細胞壊死、炎症を引き起こし、硬変および肝細胞癌(HCC)の発症の主要リスク因子である、肝臓に感染するエンベロープDNAウイルスである。世界保健機関(WHO)は、世界中で、主に低〜中所得国で2億4000万の慢性HBV感染個体があり、年間約650,000名がHBV感染の合併症により死亡すると推定している。有効なHBVワクチンは利用可能であり、新生児への誕生時のワクチン接種の努力が、HBV感染の発生率および有病率の減少に効果を示しているが、このようなプログラムは、ここ数年死亡率で実証できる効果はあがっていない(WHO Guidelines for prevention, care and treatment of persons with chronic Hepatitis B Infection, 2015 at apps.who.int/iris/bitstream/10665/154590/1/9789241549059_eng.pdf?ua=1&ua=1)。
HBV感染の疾患負荷を効果的に軽減する、HBV処置のための多数の治療剤が開発されているが、肝細胞核に存在し、ウイルス複製およびウイルスRNAの転写の鋳型となる、共有結合閉環状DNA(cccDNA)を含むウイルスの全復製型を完全に排除できないため、一般に治癒しない。ヌクレオチドおよびヌクレオシドアナログは、安全性および有効性のために一般に慢性HBV感染の処置のゴールドスタンダードと考えられており、HBV複製抑制に効果的であるが、cccDNAを排除せず、ウイルスタンパク質発現を阻止せず、慢性的に投与しなければならず、耐性獲得をもたらし得る。さらに、ヌクレオチ(シ)ド阻害剤での処置は、肝細胞癌(HCC)発症リスクを十分に軽減しない(処置後においても、5〜7年で約7%)。インターフェロンベースの治療は、セロコンバージョンをもたらし得て、患者の約10〜15%が治癒して処置終了を可能とするが、該薬剤は重篤な副作用があり、長期保存には冷蔵しなければならず、HBV感染が最も蔓延している諸国での使用には望ましくない。
慢性HBVの処置は、HBVの免疫応答を回避しまたは抑制する能力によりさらに複雑となり、感染の持続化をもたらす。HBVタンパク質は、免疫阻害性を有し、HBV感染対象の循環HBVタンパク質の圧倒的大部分をなす、B型肝炎s抗原(HBsAg)が含まれる。さらに、B型肝炎e抗原(HBeAg)の除去(セロコンバージョンによる)または血清ウイルス血症における減少は、HBV感染処置中止の持続的管理の開始と相関せず、HBV感染における血液からの血清HBsAgの除去(およびセロコンバージョン)は、HBV感染処置中止の管理に至る、抗ウイルス応答の十分認識された予後指標である。しかしながら、これは、免疫療法を受けている患者のほんの一部でしか見られない。それ故に、稀ではあるが、HBV感染の抑制または排除に十分に強固な免疫応答を患者に負荷し、本疾患の少なくとも機能的治癒をもたらすことが可能である。
発明の概要
本発明は、B型肝炎ウイルス(HBV)感染の処置に使用するためのRNAi剤およびHBVワクチンならびに少なくとも一つのHBV転写物を標的とするRNAi剤および治療ワクチン接種を含む組み合わせ治療または処置レジメンを含む、B型肝炎ウイルス(HBV)感染、例えば、慢性HBV感染を有する対象を処置する方法を提供する。
従って、ある態様において、本発明は、B型肝炎ウイルス(HBV)感染の処置に使用するためのRNAi剤およびHBVワクチンおよびB型肝炎ウイルス(HBV)感染、例えば、慢性HBV感染を有する対象を処置する方法を提供する。方法は、HBV感染を有する対象に、少なとも3つのHBV転写物を標的とするRNAi剤であって、センス鎖およびアンチセンス鎖を含むRNAi剤;HBVコア抗原(HBcAg)およびHBV表面抗原(HBsAg)を含むタンパク質ベースのワクチン;およびHBcAgまたはHBsAgをコードする発現構築物を含む核酸ベースのワクチンであって、該構築物が該タンパク質ベースのワクチンとエピトープを共有するタンパク質をコードするワクチンを投与する、例えば、連続的に投与し、それにより対象を処置するレジメンを含む。
他の態様において、本発明は、B型肝炎ウイルス(HBV)感染、例えば、慢性HBV感染を有する対象を処置するためのレジメンを提供する。レジメンは、少なとも3つのHBV転写物を標的とするRNAi剤であって、センス鎖およびアンチセンス鎖を含むRNAi剤;HBVコア抗原(HBcAg)およびHBV表面抗原(HBsAg)を含むタンパク質ベースのワクチン;およびHBcAgまたはHBsAgをコードする発現構築物を含む核酸ベースのワクチンであって、該構築物が該タンパク質ベースのワクチンとエピトープを共有するタンパク質をコードするワクチンの使用を含む。
ある実施態様において、HBcAgタンパク質またはその免疫原性フラグメントは、タンパク質ベースのワクチンに存在するHBVコア抗原(HBcAg)ポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントとエピトープを共有するおよび/またはHBsAgタンパク質またはその免疫原性フラグメントは、タンパク質ベースのワクチンに存在するHBV表面抗原(HBsAg)ポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントとエピトープを共有する。
ある実施態様において、RNAi剤は少なくとも一つの修飾ヌクレオチドを含む。
ある実施態様において、核酸ベースのワクチンは、HBcAgおよびHBsAgをコードする発現構築物を含む。
ある実施態様において、HBVをコードするRNAi剤は、対象に少なくとも2回投与する。
ある実施態様において、対象に投与されるHBVをコードするRNAi剤は、対象の血清のHBsAgを、少なくとも0.5log 10IU/ml減少させる。ある実施態様において、対象で、タンパク質ベースのワクチンの初回量投与前の血清におけるHBsAgが少なくとも0.5log 10IU/ml減少する。ある実施態様において、対象で、タンパク質ベースのワクチンの初回量投与前の血清におけるHBsAgが少なくとも1log 10IU/ml減少する。ある実施態様において、対象で、ワクチン投与前の血清において2log 10IU/ml以下のHBsAgを有する。
ある実施態様において、RNAi剤は、対象に週1回以下で投与される。ある実施態様において、RNAi剤は、対象に4週に1回以下で投与される。
ある実施態様において、RNAi剤を、0.01mg/kg〜10mg/kg;または0.5mg/kg〜50mg/kg;または10mg/kg〜30mg/kgの用量で対象に投与する。ある実施態様において、RNAi剤は、0.5mg/kg、1mg/kg、1.5mg/kg、3mg/kg、5mg/kg、10mg/kgおよび30mg/kgから選択される用量で対象に投与される。ある実施態様において、RNAi剤の1用量は対象に約週1回;約2週に1回;約3週に1回;約4週に1回投与される;またはRNAi剤の1用量は対象に週1回以下で投与される;またはRNAi剤の1用量は対象に4週に1回以下で投与される。
ある実施態様において、タンパク質ベースのワクチンは、HBsAgの少なくとも一つの決定基およびHBcAgの少なくとも一つの決定基のアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、HBcAgまたはHBsAgをコードする発現ベクター構築物を含む核酸ベースのワクチンは、HBsAgまたはHBcAgの少なくとも一つの決定基の少なくとも一つの決定基を含むアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、HBsAgの決定基は、配列番号22のアミノ酸124〜147と少なくとも90%同一の配列を含む。ある実施態様において、HBsAgの決定基は、配列番号23のアミノ酸99〜168と少なくとも90%同一の配列を含む。
ある実施態様において、HBcAgの決定基は、配列番号24のアミノ酸80を含む配列を含む。ある実施態様において、配列番号24のアミノ酸80を含む配列は、少なくとも配列番号24のアミノ酸70〜90と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、HBcAgの決定基は、配列番号24のアミノ酸138を含む配列を含む。ある実施態様において、配列番号14のアミノ酸80を含む配列は、少なくとも配列番号24のアミノ酸128〜143と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、HBcAgの決定基は、配列番号24の少なくとも40、50、60、70、80、90または100連続アミノ酸と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、HBcAgの決定基は、配列番号24のアミノ酸18〜143と少なくとも90%同一の配列を含む。
ある実施態様において、対象に投与するタンパク質ベースのワクチンは、0.1μg〜1.0mg用量のHBcAgおよび0.1μg〜1.0mg用量のHBsAgを含む。ある実施態様において、1用量のタンパク質ベースのワクチンは対象に約週1回;約2週に1回;約3週に1回;約4週に1回投与される;または1用量のタンパク質ベースのワクチンは、対象に週1回以下で投与される;または1用量のタンパク質ベースのワクチンは、対象に4週に1回以下で投与される。
ある実施態様において、HBcAgタンパク質およびHBsAgタンパク質は、単一製剤で存在する。ある実施態様において、HBcAgタンパク質およびHBsAgタンパク質は、単一製剤で存在しない。ある実施態様において、タンパク質ベースのワクチンはアジュバントを含む。ある実施態様において、アジュバントは、バランスのとれたTh1/Th2応答を刺激する。ある実施態様において、アジュバントは、モノホスホリルリピドA(MPL)、ポリ(I:C)、ポリICLCアジュバント、CpG DNA、ポリICLCアジュバント、STINGアゴニスト、c−ジ−AMP、c−ジ−GMP、c−ジ−CMP;短、平滑断端5’−三リン酸dsRNA(3pRNA)、Rig−Iリガンド、ポリ[ジ(ナトリウムカルボキシレートエチルフェノキシ)ホスファゼン](PCEP))、ミョウバン、ビロソーム、サイトカイン、IL−12、AS02、AS03、AS04、MF59、ISCOMATRIX(登録商標)、IC31(登録商標)またはRig−Iリガンドから選択される。ある実施態様において、アジュバントは、ポリI:Cアジュバント、CpGアジュバント、STINGアゴニストまたはPCEPアジュバントから選択される。
ある実施態様において、タンパク質ベースのワクチンは、対象に少なくとも2回投与する。ある実施態様において、タンパク質ベースのワクチンは、対象に週2回以下投与する。ある実施態様において、タンパク質ベースのワクチンを、対象にRNAi剤の最終用量を投与した日以降に対象に投与する。ある実施態様において、タンパク質ベースのワクチンを、対象にRNAi剤の最終用量を投与したのと同じ日に対象に投与する。ある実施態様において、タンパク質ベースのワクチンを、対象にRNAi剤の最終用量を投与した後1か月以内に対象に投与する。ある実施態様において、タンパク質ベースのワクチンを、対象にRNAi剤の最終用量を投与した後2か月以内に対象に投与する。ある実施態様において、タンパク質ベースのワクチンを、対象にRNAi剤の最終用量を投与した後3か月以内に対象に投与する。
ある実施態様において、本発明の方法は、さらに少なくとも1用量のRNAi剤の投与後かつタンパク質ベースのワクチン投与前に血清HBsAgレベルを決定することを含む。すなわち、血清HBsAgレベルを、対象で少なくとも1用量のRNAi剤の与後かつタンパク質ベースのワクチン投与前に決定する。
ある実施態様において、本発明の方法は、さらに少なくとも1用量のRNAi剤の投与後かつタンパク質ベースのワクチン投与前に血清HBeAgレベルを決定することを含むすなわち、血清HBeAgレベルを、対象で少なくとも1用量のRNAi剤の投与後かつタンパク質ベースのワクチン投与前に決定する。
ある実施態様において、本発明の方法は、さらに少なくとも1用量のRNAi剤の投与後かつタンパク質ベースのワクチン投与前に血清HBsAgレベルおよびHBeAgレベルを決定することを含む。すなわち、血清HBsAgレベルおよび血清HBeAgレベルを、対象で少なくとも1用量のRNAi剤の投与後かつタンパク質ベースのワクチン投与前に決定する。
ある実施態様において、核酸ベースのワクチンは、HBcAgおよびHBsAg両者をコードする少なくとも一つの発現ベクター構築物を含む。ある実施態様において、発現構築物は、単一プロモーターからのHBcAgおよびHBsAg発現を促進する。他の実施態様において、発現構築物は、別々のプロモーターからのHBcAgおよびHBsAgの発現を促進する。
ある実施態様において、少なくとも一つのプロモーターは、呼吸器多核体ウイルス(RSV)プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、PH5プロモーターおよびH1プロモーターから選択される。ある実施態様において、発現構築物はウイルスベクターを含む。ある実施態様において、ウイルスベクターは、アデノウイルスベクター;レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、モロニーマウス白血病ウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター;単純ヘルペスウイルスベクター;SV 40ベクター;ポリオーマウイルスベクター;乳頭腫ウイルスベクター;ピコルナウイルスベクター;ポックスウイルスベクター、オルソポックスウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、改変ワクシニアウイルスAnkara(MVA)ベクター、トリポックスベクター、カナリアポックスベクター、鶏痘ベクター、アデノウイルスベクターおよびエプスタイン・バーウイルスベクターから選択される。ある実施態様において、ウイルスベクターはMVAベクターである。
ある実施態様において、対象に投与される核酸ベースのワクチンは、組織培養感染量(TCID50)が10〜1010 TCID50;または10〜10 TCID50;または10〜10 TCID50で含まれる。
ある実施態様において、核酸ベースのベクターは、最終用量のタンパク質ベースのワクチンが対象に投与された後2週間以降に対象に投与される。
ある実施態様において、方法は、さらに、少なくとも1用量のRNAi剤の投与後かつ核酸ベースのワクチンの投与前に血清HBsAgレベルを決定することを含む。すなわち、血清HBsAgレベルを、少なくとも1用量のRNAi剤の投与後かつ核酸ベースのワクチンの投与前に対象で決定する。ある実施態様において、核酸ベースのワクチンを、対象に少なくとも1用量のタンパク質ベースのワクチンを投与した後の少なくとも0.5log 10の血清HBsAgの減少後、対象に投与する。本レジメンのある実施態様において、単回用量の核酸ベースのワクチンを対象に投与する。
ある実施態様において、方法は、さらに少なくとも1用量のRNAi剤の投与後かつ核酸ベースのワクチンの投与前に血清HBeAgレベルを決定することを含む。すなわち、血清HBeAgレベルを、少なくとも1用量のRNAi剤の投与後かつ核酸ベースのワクチンの投与前に対象で決定する。ある実施態様において、核酸ベースのワクチンを、少なくとも1用量のタンパク質ベースのワクチンを対象に投与した後の少なくとも0.5log 10の血清HBeAgの減少後、対象に投与する。本レジメンのある実施態様において、単回用量の核酸ベースのワクチンを対象に投与する。
ある実施態様において、方法は、さらに少なくとも1用量のRNAi剤の投与後かつ核酸ベースのワクチンの投与前に血清HBsAgレベルおよびHBeAgレベルを決定することを含む。すなわち、血清HBsAgレベルおよび血清HBeAgレベルを、対象において少なくとも1用量のRNAi剤の投与後かつ核酸ベースのワクチンの投与前に決定する。ある実施態様において、核酸ベースのワクチンを、少なくとも1用量のタンパク質ベースのワクチンを対象に投与した後の少なくとも0.5log 10の血清HBsAgおよび血清HBeAgのさらなる減少後、対象に投与する。本レジメンのある実施態様において、単回用量の核酸ベースのワクチンを対象に投与する。
ある実施態様において、方法は、さらに、少なくともHBVを標的とするiRNAの投与前に対象にヌクレオチ(シ)ドアナログを投与することを含む。ある実施態様において、ヌクレオチ(シ)ドアナログは、レジメン全体にわたって投与される。ある実施態様において、ヌクレオチ(シ)ドアナログは、テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(TDF)、テノホビルアラフェナミド(TAF)、ラミブジン、アデホビルジピボキシル、エンテカビル(ETV)、テルビブジン、AGX−1009、エムトリシタビン、クレブジン、リトナビル、ジピボキシル、ロブカビル、ファムビル、FTC、N−アセチル−システイン(NAC)、PC1323、セラダイム−HBV、チモシン−アルファおよびガンシクロビル、ベシフォビル(ANA−380/LB−80380)およびテノフォビル−エクサリエード(tenofovir-exaliades)(TLX/CMX157)から選択される。
ある実施態様において、対象は、RNAi剤投与前に3000IU/ml未満の血清HBsAgを有する。ある実施態様において、対象は、RNAi剤投与前に4000IU/ml未満の血清HBsAgを有する。ある実施態様において、対象は、RNAi剤投与前に5000IU/ml未満の血清HBsAgを有する。
ある実施態様において、対象で、RNAi剤投与後かつ最初の用量のタンパク質ベースのワクチン投与前、少なくとも2ログ10スケールのHBsAgレベルの減少がある。ある実施態様において、対象で、RNAi剤投与後かつ最初の用量のタンパク質ベースのワクチン投与前、少なくとも1ログ10スケールのHBeAgレベルの減少がある。ある実施態様において、対象は、RNAi剤投与後かつ最初の用量のタンパク質ベースのワクチン投与前、少なくとも2ログ10スケールのHBsAgレベルの減少および少なくとも1ログ10スケールのHBeAgレベルの減少がある。
ある実施態様において、対象は、RNAi剤投与後かつ最初の用量のタンパク質ベースのワクチン投与前、500IU/ml以下へのHBsAgレベルの減少がある。ある実施態様において、対象は、RNAi剤投与後かつ最初の用量のタンパク質ベースのワクチン投与前、200IU/ml以下へのHBsAgレベルの減少がある。ある実施態様において、対象は、RNAi剤投与後かつ最初の用量のタンパク質ベースのワクチン投与前、100IU/ml以下へのHBsAgレベルの減少がある。
ある実施態様において、対象は、RNAi剤投与後かつ最初の用量のタンパク質ベースのワクチン投与前、500IU/ml以下へのHBeAgレベルの減少がある。ある実施態様において、対象は、RNAi剤投与後かつ最初の用量のタンパク質ベースのワクチン投与前、200IU/ml以下へのHBeAgレベルの減少がある。ある実施態様において、対象は、RNAi剤投与後かつ最初の用量のタンパク質ベースのワクチン投与前、100IU/ml以下へのHBeAgレベルの減少がある。
ある実施態様において、対象は、RNAi剤投与後かつ最初の用量のタンパク質ベースのワクチン投与前、500IU/ml以下へのHBsAgレベルおよびHBeAgレベルの減少がある。ある実施態様において、対象は、RNAi剤投与後かつ最初の用量のタンパク質ベースのワクチン投与前、200IU/ml以下へのHBsAgレベルおよびHBeAgレベルの減少がある。ある実施態様において、対象は、RNAi剤投与後かつ最初の用量のタンパク質ベースのワクチン投与前、100IU/ml以下へのHBsAgレベルおよびHBeAgレベルの減少がある。
ある実施態様において、対象における血清HBsAgおよびHBeAgのレベルは、核酸ベースのワクチンの投与終了後少なとも3か月、臨床アッセイを使用する検出のレベル未満まで減少する。ある実施態様において、対象における血清HBsAgおよびHBeAgのレベルは、核酸ベースのワクチンの投与終了後少なくとも6か月、臨床アッセイを使用する検出のレベル未満まで減少する。
ある実施態様において、対象における血清HBsAgは、核酸ベースのワクチンの投与終了後少なくとも6か月、臨床アッセイを使用する検出のレベル未満まで減少する。
ある実施態様において、方法は、さらに対象に免疫刺激剤を投与することを含む。ある実施態様において、免疫刺激剤は、ペグ化インターフェロンアルファ2a(PEG−IFN−アルファ−2a)、インターフェロンalfa−2b、PEG−IFN−アルファ−2b、インターフェロンラムダ、組み換えヒトインターロイキン−7およびトール様受容体3、7、8または9(TLR3、TLR7、TLR8、TLR9)アゴニスト、ウイルス侵入阻害剤、Myrcludex、HBsAgの分泌または放出を阻害するオリゴヌクレオチド、REP 9AC、カプシド阻害剤、Bay41−4109、NVR−1221、cccDNA阻害剤、IHVR−25)、ウイルスカプシド、MVAカプシド、免疫チェックポイント制御因子、CTLA−4阻害剤、イピリムマブ、PD−1阻害剤、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、BGB−A317抗体、PD−L1阻害剤、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブおよびアフィマー生物学的製剤からなる群から選択される。
本レジメンのある実施態様において、対象はヒトである。
本レジメンのある実施態様において、RNAi剤は、HBVの4転写物を標的とする。ある実施態様において、RNAi剤は、付属表AのiRNAから選択される。ある実施態様において、RNAi剤は、付属表Aの表2〜11のいずれかの薬剤のいずれかから選択される。ある実施態様において、RNAi剤は、配列番号1(NC_003977.1)のヌクレオチド206〜228、207〜229、210〜232、212〜234、214〜236、215〜237、216〜238、226〜248、245〜267、250〜272、252〜274、253〜275、254〜276、256〜278、258〜280、263〜285、370〜392、373〜395、375〜397、401〜423、405〜427、410〜432、411〜433、422〜444、424〜446、425〜447、426〜448、731〜753、734〜756、1174〜1196、1250〜1272、1255〜1277、1256〜1278、1545〜1567、1547〜1569、1551〜1571、1577〜1597、1579〜1597、1580〜1598、1806〜1825、1812〜1831、1814〜1836、1829〜1851、1831〜1853、1857〜1879、1864〜1886、2259〜2281、2298〜2320または2828〜2850の少なくとも15連続ヌクレオチドを標的とする。ある実施態様において、RNAi剤は、配列番号1(NC_003977.1)のヌクレオチド1579〜1597または1812〜1831の少なくとも15連続ヌクレオチドを標的とする。ある実施態様において、RNAi剤は、配列番号1(NC_003977.1)のヌクレオチド1579〜1597または1812〜1831を標的とする。
ある実施態様において、RNAi剤のアンチセンス鎖は、UGUGAAGCGAAGUGCACACUU(配列番号25)またはAGGUGAAAAAGUUGCAUGGUGUU(配列番号26)の少なくとも15連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む。ある実施態様において、RNAi剤のアンチセンス鎖は、UGUGAAGCGAAGUGCACACUU(配列番号25)またはAGGUGAAAAAGUUGCAUGGUGUU(配列番号26)の少なくとも19連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む。ある実施態様において、RNAi剤のアンチセンス鎖は、UGUGAAGCGAAGUGCACACUU(配列番号25)またはAGGUGAAAAAGUUGCAUGGUGUU(配列番号26)のヌクレオチド配列を含む。
ある実施態様において、RNAi剤のセンス鎖は、GUGUGCACUUCGCUUCACA(配列番号27)またはCACCAUGCAACUUUUUCACCU(配列番号28)の少なくとも15連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む。ある実施態様において、RNAi剤のセンス鎖は、GUGUGCACUUCGCUUCACA(配列番号27)またはCACCAUGCAACUUUUUCACCU(配列番号28)の少なくとも19連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む。ある実施態様において、RNAi剤のセンス鎖は、GUGUGCACUUCGCUUCACA(配列番号27)またはCACCAUGCAACUUUUUCACCU(配列番号28)のヌクレオチド配列を含む。
ある実施態様において、RNAi剤のアンチセンス鎖はUGUGAAGCGAAGUGCACACUU(配列番号25)の少なくとも15連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含み、センス鎖はGUGUGCACUUCGCUUCACA(配列番号27)の少なくとも15連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む。ある実施態様において、RNAi剤のアンチセンス鎖はUGUGAAGCGAAGUGCACACUU(配列番号25)の少なくとも19連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含み、センス鎖はGUGUGCACUUCGCUUCACA(配列番号27)の少なくとも19連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む。ある実施態様において、RNAi剤のアンチセンス鎖はUGUGAAGCGAAGUGCACACUU(配列番号25)のヌクレオチド配列を含み、センス鎖はGUGUGCACUUCGCUUCACA(配列番号27)のヌクレオチド配列を含む。
ある実施態様において、RNAi剤のアンチセンス鎖はAGGUGAAAAAGUUGCAUGGUGUU(配列番号26)の少なくとも15連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含み、RNAi剤のセンス鎖はCACCAUGCAACUUUUUCACCU(配列番号28)の少なくとも15連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む。ある実施態様において、RNAi剤のアンチセンス鎖はAGGUGAAAAAGUUGCAUGGUGUU(配列番号26)の少なくとも19連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含み、RNAi剤のセンス鎖はCACCAUGCAACUUUUUCACCU(配列番号28)の少なくとも19連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む。ある実施態様において、RNAi剤のアンチセンス鎖はAGGUGAAAAAGUUGCAUGGUGUU(配列番号26)のヌクレオチド配列を含み、RNAi剤のセンス鎖はCACCAUGCAACUUUUUCACCU(配列番号28)のヌクレオチド配列を含む。
本レジメンのある実施態様において、該センス鎖のヌクレオチドの実質的に全ておよび該アンチセンス鎖のヌクレオチドの実質的に全ては修飾ヌクレオチドであり、ここで、該センス鎖は、3’末端で結合するリガンドにコンジュゲートする。ある実施態様において、リガンドは、単価リンカー、二価分岐リンカーまたは三価分岐リンカーを介して結合した1以上のGalNAc誘導体である。ある実施態様において、該修飾ヌクレオチドの少なくとも一つは、デオキシ−ヌクレオチド、3’末端デオキシ−チミン(dT)ヌクレオチド、2’−O−メチル修飾ヌクレオチド、2’−フルオロ修飾ヌクレオチド、2’−デオキシ−修飾ヌクレオチド、ロックドヌクレオチド、アンロックドヌクレオチド、配座固定ヌクレオチド、拘束エチルヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、2’−アミノ−修飾ヌクレオチド、2’−O−アリル−修飾ヌクレオチド、2’−C−アルキル−修飾ヌクレオチド、2’−ヒドロキシル−修飾ヌクレオチド、2’−メトキシエチル修飾ヌクレオチド、2’−O−アルキル−修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホロアミド酸、ヌクレオチド含有非天然塩基、テトラヒドロピラン修飾ヌクレオチド、1,5−アンヒドロヘキシトール修飾ヌクレオチド、シクロヘキセニル修飾ヌクレオチド、ホスホロチオエート基含有ヌクレオチド、メチルホスホネート基含有ヌクレオチド、5’−ホスフェート含有ヌクレオチドおよび5’−ホスフェート模倣体含有ヌクレオチドからなる群から選択される。
ある実施態様において、RNAi剤の少なくとも一つの鎖は、少なくとも1ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む。ある実施態様において、RNAi剤の少なくとも一つの鎖は、少なくとも2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む。ある実施態様において、RNAi剤の二本鎖領域は、15〜30ヌクレオチド対長;17〜23ヌクレオチド対長;17〜25ヌクレオチド対長;23〜27ヌクレオチド対長;19〜21ヌクレオチド対長;21〜23ヌクレオチド対長である。
ある実施態様において、RNAi剤の各鎖は、15〜30ヌクレオチド有する。
ある実施態様において、RNAi剤の各鎖は、19〜30ヌクレオチド有する。
ある実施態様において、リガンドは
であり、RNAi剤は所望により下記模式図に示すとおりリガンドにコンジュゲートする。
〔式中、XはOまたはSである。〕。
ある実施態様において、センス鎖はヌクレオチド配列5’−gsusguGfcAfCfUfucgcuucaca−3’(配列番号29)を含み、アンチセンス鎖はヌクレオチド配列5’−usGfsugaAfgCfGfaaguGfcAfcacsusu−3’(配列番号30)を含む;またはセンス鎖はヌクレオチド配列5’−csasccauGfcAfAfCfuuuuucaccu−3’(配列番号31)を含み、アンチセンス鎖はヌクレオチド配列5’−asGfsgugAfaAfAfaguuGfcAfuggugsusu−3’(配列番号32)を含み、ここで、a、cおよびuはそれぞれ2’−O−メチルアデノシン−3’−ホスフェート、2’−O−メチルシチジン−3’−ホスフェートおよび2’−O−メチルウリジン−3’−ホスフェートであり;as、cs、gsおよびusはそれぞれ2’−O−メチルアデノシン−3’−ホスホロチオエート、2’−O−メチルシチジン−3’−ホスホロチオエート、2’−O−メチルグアノシン−3’−ホスホロチオエートおよび2’−O−メチルウリジン−3’−ホスホロチオエートであり;Af、Cf、GfおよびUfはそれぞれ2’−フルオロアデノシン−3’−ホスフェート、2’−フルオロシチジン−3’−ホスフェート、2’−フルオログアノシン−3’−ホスフェートおよび2’−フルオロウリジン−3’−ホスフェートであり;そしてGfsは2’−フルオログアノシン−3’−ホスホロチオエートである。ある実施態様において、RNAi剤はAD−66810またはAD−66816である。
ある実施態様において、タンパク質ベースのワクチンは、HBVの少なくとも4、5、6、7、8、9または10遺伝子型に存在するエピトープを含む。
ある実施態様において、核酸ベースのワクチンは、HBVの少なくとも4、5、6、7、8、9または10遺伝子型に存在するエピトープを含む。
本発明は、さらにここに提供する方法に基づくB型肝炎ウイルス感染を有する対象の処置のためのここに提供するRNAi剤およびワクチンの使用を提供する。ある実施態様において、RNAi剤およびHBVワクチンは、HBV感染を有する対象の処置用医薬の製造に使用される。
本発明は、さらにここに提供するRNAi剤およびワクチンおよびB型肝炎ウイルス感染を有する対象の処置へのその使用に関する処置レジメンを提供する指示を含む、キットを提供する。
本発明を、次の詳細な記載および図面によりさらに説明する。
図1は、約3.2kb二本鎖HBVゲノムの構造の模式図である。HBVゲノムの複製はRNA中間体を経て生じ、約3.5kb、2.4kb、2.1kbおよび0.7kbの4つの重複ウイルス転写物(停止部位は矢印で示す)および3つの読み枠にわたり翻訳される7ウイルスタンパク質(pre−S1、pre−S2、S、P、X、pre−CおよびC)をコードする共通3’末端を産生する。
図2A〜2Eは、トランスジェニックマウスモデルでのsiRNAによるHBVの抑制を示すグラフである。単一皮下3mg/kgまたは9mg/kg用量の対照GalNAc−siRNA(HBVを標的としないsiRNA)、AD−66816またはAD−66810後のHBV1.3−xfsマウス(n=6/群)の血清における(2A)HBsAg、(2B)HBeAgおよび(2C)HBV−DNAのレベル。RT−qPCRおよびグリセルアルデヒド3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GAPDH)の発現に対して正規化により決定した肝臓ライセートからの(2D)総HBV RNAおよび(2E)3.5kb HBV転写物のレベル。
図3は、HBV1.3−xfsマウスのHBVに対する治療ワクチンの投与前のヌクレオシド阻害剤、エンテカビル、HBV−shRNA、対照GalNAc−siRNA、AD−66816またはAD−66810での前処置の効果をアッセイする実験の投与レジメンを示す模式図である。
図4A〜4Cは、図3に示す投与レジメンに基づく処置後のHBV1.3−xfsマウスの血清における(4A)HBsAg、(4B)HBeAgおよび(4C)HBV−DNAのレベルを示すグラフである。
図5A〜5Fは、図3に示す投与レジメンに基づく処置後のHBV1.3−xfsマウスにおけるペプチド(5A)HBs(S208)、(5B)HBc(C93)および(5C)MVA(B8R)に対する肝臓のT細胞免疫応答を示すグラフである。図5D〜5Fは、死亡免疫細胞の不十分な排除に適応させるために実施した図5A〜5Cと同じデータの再分析であり、ペプチド(5D)HBs(S208)、(5E)HBc(C93)および(5F) MVA(B8R)に対する肝臓のT細胞免疫応答を示す。
図6A〜6Cは、図3に示す投与レジメンに基づく処置後のHBV1.3−xfsマウスの肝細胞におけるHBV RNAレベルおよびタンパク質レベルを示す。図6Aは総HBV RNAを示す。図6Bは、RT−qPCRにより決定したGAPDHに対するHBV3.5kb転写物を示す。図6Cは、免疫組織化学染色により検出した肝臓切片mmあたりのHBcAg陽性細胞数を示す。
図7は、HBV1.3−xfsマウスの、HBVに対する治療ワクチンの投与前の対照siRNAまたはAD−66816での前処置の効果をアッセイする実験の投与レジメンの模式図である。
図8A〜8Cは、図7に示す投与レジメンに基づく処置後のHBV1.3−xfsマウスの血清の(8A)HBsAg、(8B)HBeAgおよび(8C)HBV−DNAレベルを示すグラフである。
図9A〜9Dは、図7に示す投与レジメンに基づく処置後のHBV1.3−xfsマウスのペプチド(9A)HBs(S208)、(9B)HBc(C93)、(9C)HBc(Cpool)および(9D)MVA(B8R)に対する肝臓のT細胞免疫応答を示すグラフである。
図10A〜10Cは、図7に示す投与レジメンに基づく処置後のHBV1.3−xfsマウスの肝細胞におけるHBV RNAレベルおよびタンパク質レベルを示す。図10Aは総HBV RNAを示す。図10Bは、RT−qPCRにより決定したGAPDHに対するHBV3.5kb転写物を示す。図10Cは、免疫組織化学染色により検出した肝臓切片mmあたりのHBcAg陽性細胞数を示す。
図11Aおよび11Bは、図7に示す投与レジメンでの6週間レジメン後の最初のワクチン投与後7週目の個々のHBV1.3−xfsマウスの血清における(11A)HBsAgおよび(11B)HBeAgのレベルを示すグラフである。図11Cおよび11Dは、図7に示す投与レジメンでの6週間レジメン後の最初のワクチン投与後7週目の個々のHBV1.3−xfsマウスのHBs(S208)に対する(11C)抗HBs抗体応答および(11D)肝臓のT細胞免疫応答を示すグラフである。
図12は、HBVをコードするAAVベクターで感染させたマウスの、HBVに対する治療ワクチンの投与前の、対照siRNAまたはAD−66816での前処置の効果をアッセイする実験の投与レジメンを示す模式図である。
図13A〜13Gは、図12に示す投与レジメンに基づく。図13Aおよび13Bは、HBV−AAVマウスの血清における(13A)HBsAgおよび(13B)HBeAgのレベルを示すグラフである(差し込み図13Cは、グラフ13Bにおける後の時点の分解部分である)。図13Dは、22週目の血清HBV DNAレベルを示す。図13Dおよび13Eは、22週目の(13D)総HBV DNAおよび(13E)AAV−DNAの肝細胞あたりのコピー数を示す。図13Fおよび13Gは、(13F)GAPDH RNAに対するHBV3.5 RNAおよび(13G)GAPDH RNAに対する総HBV RNAの肝臓での相対的発現を示す。
図14A〜14Cは、図12に示す投与レジメンに基づく(14A)実験の間中の抗HBs抗体応答および(14B)実験116日目の抗HBe抗体応答を示すグラフである。図14Cは、グラフ14Bの後の時点の分解部分である。
図15Aおよび15Bは、図12に示す投与レジメンに基づく実験の間の動物の(15A)ALTレベルおよび(15B)体重を示す。
正式な配列表を本明細書と共に提供し、これは本明細書の一部を形成する。
siRNAターゲティングのための例示的標的配列およびiRNA剤を提供する付属表Aを本明細書と共に提供し、これは本明細書の一部を形成する。
発明の詳細な記載
本発明は、HBV感染の処置における1以上のHBV遺伝子(オープンリーディングフレーム/転写物)のRNA転写物のRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)介在切断を起こすiRNA剤および1以上のHBVタンパク質に対する免疫応答を刺激するB型肝炎ワクチンの使用の処置レジメンおよび方法を提供する。処置レジメンおよび方法は、好ましくは、一定期間内に機能的治癒を提供する。
次の詳細な記載は、HBV遺伝子の発現を阻害するiRNAを含む組成物の製造および使用方法ならびにHBV遺伝子の発現阻害または減少により利益を受ける疾患および障害を有する対象を処置するための組成物、使用および方法を開示する。
I. 定義
本発明がより容易に理解され得るように、いくつかの用語をまず定義する。さらに、パラメータの値または値の範囲が記載されているとき、記載される値の中間の値および範囲も本発明の一部であることが意図されることは理解すべきである。
単数表現は、ここでは、文法的対象物の1または1を超える(すなわち、少なくとも1)をいう。例として、「要素」は、1つの要素または1を超える要素、例えば、複数の要素を意味する。
用語「含む」は、ここでは、用語「含むが、限定されない」を意味するために使用し、両者は相互交換可能に使用される。
用語「または」は、文脈から明らかに他意が示されない限り、用語「および/または」を意味するために使用し、両者は相互交換可能に使用される。
用語「約」は、当分野で許容される典型的範囲内を意味するためにここで使用する。例えば、「約」は、平均からの2標準偏差内として理解され得る。ある実施態様において、「約」は±10%を意味する。ある実施態様において、「約」は±5%を意味する。約が一連の数字または範囲の前にあるとき、「約」は、該一連のまたは範囲内の数字の各々を修飾し得ると理解される。
数字または一連の数字の前の用語「少なくとも」は、用語「少なくとも」に隣接した数字および、文脈から明らかである、論理的に包含される全てのその後の数字または整数を含むと理解される。例えば、核酸分子のヌクレオチド数は整数でなければならない。例えば、「21ヌクレオチド核酸分子の少なくとも18ヌクレオチド」は、18、19、20または21ヌクレオチドが指示される性質を有することを意味する。少なくともが一連の数字または範囲の前にあるならば、「少なくとも」は、該一連のまたは範囲内の数字の各々を修飾し得ると理解される。
ここで使用する「以下」または「未満」は、その用語に隣接する値および、文脈から当然の、論理的なそれより低い値または整数から0までと理解される。例えば、「2以下のヌクレオチド」のオーバーハングを有する二本鎖は、2、1または0ヌクレオチドオーバーハングを有する。「以下」が一連の数字または範囲の後ろにあるとき、「以下」は、該一連のまたは範囲内の数字の各々を修飾し得ると理解される。ここで使用する範囲は、上限および下限両者を含む。
配列と転写物または他の配列上のその指定位置の間に矛盾があるならば、本明細書で引用するヌクレオチド配列が優先する。
本発明の種々の実施態様を、当業者が適切とする限り、組み合わせ得る。
ここで使用する「B型肝炎ウイルス」は用語「HBV」と相互交換可能に使用し、ヘパドナウイルス科に属する周知の非細胞変性、肝指向性DNAウイルスをいう。
HBVゲノムは、重複読み枠を有する一部二本鎖の、環状DNAである(例えば、図1参照)。
HBVゲノムによりコードされる、サイズに基づき4つの転写物(ここでは、「遺伝子」または「オープンリーディングフレーム」と称し得る)がある。これらは、C、X、PおよびSと呼ばれるオープンリーディングフレームを含む。コアタンパク質は、遺伝子C(HBcAg)によりコードされる。B型肝炎e抗原(HBeAg)は、プレ−コア(pre−C)タンパク質のタンパク質分解プロセシングにより産生される。DNAポリメラーゼは遺伝子Pによりコードされる。遺伝子Sは、表面抗原(HBsAg)をコードする遺伝子である。HBsAg遺伝子は、一つの長いオープンリーディングフレームであり、それは3つのフレーム内「開始」(ATG)コドンを含み、pre−S1+pre−S2+S、pre−S2+SまたはSの大型、中型および小型S抗原と呼ばれる3つのサイズが異なるポリペプチドをもたらす。表面抗原は、HBVのエンベロープの装飾に加えて、またウイルス成分粒子の一部であり、これは、ビリオン粒子と比較して大過剰で産生され、免疫寛容および抗HBsAg抗体隔離に役割を有し、それにより感染性粒子を免疫検出から回避させる。遺伝子Xによりコードされる非構造的タンパク質の機能は、十分には理解されていないが、転写トランス活性化および複製に役割を有し、肝臓癌の発症と関連する。例示的タンパク質配列は、添付の配列表に提供される(例えば、配列番号1、3、16および20参照)。
HBVは、ウイルスゲノムの核への侵入、脱外被および輸送を含む多段階が関与する、複製過程で逆転写酵素を利用する数DNAウイルスの一つである。最初は、HBVゲノムの複製は、RNA中間体の産生を含み、次いでこれが逆転写されて、DNAウイルスゲノムを産生する。
細胞がHBVに感染すると、ウイルスゲノム弛緩環状DNA(rcDNA)が細胞核に輸送され、エピソーム共有結合閉環状DNA(cccDNA)に変換され、これはウイルスmRNAの転写鋳型として働く。転写および核搬出後、細胞質ウイルスプレゲノムRNA(pgRNA)はHBVポリメラーゼおよびカプシドタンパク質と組合されて、ヌクレオカプシドを形成し、その中で、ポリメラーゼ触媒逆転写がマイナス鎖DNAを生じ、これがその後プラス鎖DNAにコピーされて、子孫rcDNAゲノムを形成する。次いで、成熟ヌクレオカプシドはウイルスエンベロープタンパク質に包被されて、ビリオン粒子として放出されるかまたは核まで往復して細胞内cccDNA増幅経路によりcccDNAリザーバーを増幅する。cccDNAはHBV複製サイクルの必須成分であり、感染の確立およびウイルス持続性を担う。
HBV感染は、二つの異なる粒子の産生に至る:1)HBcAgが集合したウイルスカプシドを含み、HBV表面抗原を有する脂質膜からなるエンベロープで覆われる感染性HBVウイルス自体(またはデーン粒子)および2)非感染性である小型または中型形態のB型肝炎表面抗原HBsAgを含むウイルス成分粒子(またはSVP)。産生された各ウイルス粒子である、10,000を超えるSVPが血中に放出される。そして、SVP(およびそれらが担持するHBsAgタンパク質)は、血中のウイルスタンパク質の圧倒的大部分を占める。HBV感染細胞は、HBVe−抗原(HBeAg)と称されるプレ−コアタンパク質の可溶性タンパク分解産物も分泌する。
A〜Hと命名されるHBVの8遺伝子型は決定されており、二つのさらなる遺伝子型IおよびJが提案されており、各々異なる地理的分布を有する。ウイルスは非細胞変性的であり、ウイルス特異的細胞性免疫が、肝疾患が6か月で解消するHBV急性感染またはしばしば進行性肝傷害を伴う慢性HBV感染への暴露の転帰への主決定因子である。
用語「HBV」は、HBVの遺伝子型(A〜J)の何れも含む。HBVゲノムの対照配列の完全コード配列は、例えば、GenBank Accession Nos. GI:21326584(配列番号1)およびGI:3582357(配列番号3)にみることができる。アンチセンス配列は、それぞれ配列番号2および4に提供される。C、X、PおよびSタンパク質のアミノ酸配列は、例えばNCBI Accession numbers YP_009173857.1(Cタンパク質); YP_009173867.1およびBAA32912.1(Xタンパク質); YP_009173866.1およびBAA32913.1(Pタンパク質);およびYP_009173869.1, YP_009173870.1, YP_009173871.1およびBAA32914.1(Sタンパク質)(配列番号5〜13)にみることができる。HBV遺伝子型D、株aywからのタンパク質およびDNA配列は、配列番号14〜17に提供される。HBV遺伝子型A、株adwからのタンパク質およびDNA配列は、配列番号18〜21に提供される。
HBVmRNA配列のさらなる例は、一般に利用可能なデータベース、例えば、GenBank、UniProtおよびOMIMから容易に入手可能である。The International Repository for Hepatitis B Virus Strain Dataは、http://www.hpa-bioinformatics.org.uk/HepSEQ/main.phpでアクセスし得る。
ここで使用する用語「HBV」はまた、HBVゲノムの天然に存在するDNA配列多様性、すなわち、遺伝子型A〜Jおよびそのバリアントもいう。
ここで使用する「エピトープ」はまた「抗原決定基」または「決定基」とも称され、免疫系、特に抗体、B細胞および/またはT細胞により認識されるタンパク質抗原の部分と理解される。エピトープは、立体構造エピトープおよび直線状エピトープを含む。タンパク質は、十分な長さまたはサイズのアミノ酸配列ならびに抗体、B細胞および/またはT細胞により認識される抗原性を共有するとき、エピトープである。MHCクラスI分子により提示されるT細胞エピトープは、一般に約8〜11アミノ酸長のペプチドであり、一方MHCクラスII分子は、約13〜17アミノ酸長の長いペプチドを提示する。立体構造エピトープは一般に非連続的であり、長いアミノ酸配列に及ぶ。
ここで使用する用語「ヌクレオチ(シ)ドアナログ」または「逆転写酵素阻害剤」は、ヌクレオチドまたはヌクレオシドに構造的に類似するDNA複製の阻害剤であり、特にHBVcccDNAの複製を阻害し、宿主(例えば、ヒト)DNAの複製を顕著に阻害しない。このような阻害剤は、テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(TDF)、テノホビルアラフェナミド(TAF)、ラミブジン、アデホビルジピボキシル、エンテカビル(ETV)、テルビブジン、AGX−1009、エムトリシタビン、クレブジン、リトナビル、ジピボキシル、ロブカビル、ファムビル、FTC、N−アセチル−システイン(NAC)、PC1323、セラダイム−HBV、チモシン−アルファ、ガンシクロビル、ベシフォビル(ANA−380/LB−80380)およびテノホビル−エクサリエード(TLX/CMX157)を含む。ある実施態様において、ヌクレオチ(シ)ドアナログはエンテカビル(ETV)である。ヌクレオチ(シ)ドアナログは、多数の供給源から商業的に入手可能であり、ラベルの指示(例えば、一般に特定用量で経口投与)に従いまたはHBV処置において技術を有する実施者により決定されたとおりここに提供する方法で使用される。
ここで使用する「標的配列」は、一次転写産物のRNAプロセシングの産物であるmRNAを含む、HBV転写物の転写中に形成されるmRNA分子のヌクレオチド配列の連続部分である。ある実施態様において、配列の標的部分は、HBV転写物の転写中に形成されたmRNA分子のヌクレオチド配列の部分またはその近くのiRNA依存性切断の基質として働くのに少なくとも十分長い。ある実施態様において、標的配列はHBV転写物のタンパク質コード領域内である。
標的配列は、約9〜36ヌクレオチド長、例えば、約15〜30ヌクレオチド長であり得る。例えば、標的配列は約15〜30ヌクレオチド、15〜29、15〜28、15〜27、15〜26、15〜25、15〜24、15〜23、15〜22、15〜21、15〜20、15〜19、15〜18、15〜17、18〜30、18〜29、18〜28、18〜27、18〜26、18〜25、18〜24、18〜23、18〜22、18〜21、18〜20、19〜30、19〜29、19〜28、19〜27、19〜26、19〜25、19〜24、19〜23、19〜22、19〜21、19〜20、20〜30、20〜29、20〜28、20〜27、20〜26、20〜25、20〜24,20〜23、20〜22、20〜21、21〜30、21〜29、21〜28、21〜27、21〜26、21〜25、21〜24、21〜23または21〜22ヌクレオチド長であり得る。上記範囲および長さの中間の範囲および長さも、本発明の一部であると考えられる。
ここで使用する用語「配列を含む鎖」は、標準ヌクレオチド命名法を使用して引用される配列により説明されるヌクレオチド鎖を含むオリゴヌクレオチドをいう。
「G」、「C」、「A」、「T」および「U」は、各々一般にそれぞれ塩基としてグアニン、シトシン、アデニン、チミジンおよびウラシルを含むヌクレオチドをいう。しかしながら、用語「リボヌクレオチド」または「ヌクレオチド」はまた、下にさらに詳述する修飾ヌクレオチドまたは代替置換部分も記述し得ることは理解される。当業者は、グアニン、シトシン、アデニンおよびウラシルを他の部分に置換することが、そのような置換部分を担持するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの塩基対形成性を実質的に変更することなく実施できることを十分に承知している。例えば、限定しないが、塩基としてイノシンを含むヌクレオチドは、アデニン、シトシンまたはウラシルを含むヌクレオチドと塩基対形成し得る。従って、ウラシル、グアニンまたはアデニンを含むヌクレオチドを、本発明で注目するdsRNAのヌクレオチド配列において、例えば、イノシンを含むヌクレオチドに置換し得る。他の例において、オリゴヌクレオチドのどこかのアデニンおよびシトシンを、それぞれグアニンおよびウラシルで置換し、標的mRNA内にG−Uゆらぎ塩基対形成を形成し得る。このような置換部分を含む配列は、本発明で注目する組成物および方法に適する。
ここで使用する「RNAi剤」、「iRNA剤」、「siRNA剤」などは、好ましくはHBVの全血清型にわたり保存されるHBVゲノムの領域を標的とし、好ましくは、1を超えるHBV転写物の発現阻害により、HBVライフサイクルの全段階、例えば、複製、集合、ウイルスの分泌およびウイルス抗原の分泌を阻害するよう設計される、二本鎖RNAである。特に、HBVゲノムの転写がポリシストロニック、重複RNAをもたらすため、本発明において使用する単一HBV転写物を標的とするRNAi剤は、好ましくはHBV転写物の大部分または全ての発現に著しい阻害をもたらす。全HBV転写物は、少なくとも部分的に重複し、同じポリアデニル化シグナルを共有する。それ故に、全てのウイルス転写物は、同一3'末端を有し、それ故に、X遺伝子を標的とする本発明のRNAi剤は、全ウイルス転写物を標的とし、X遺伝子発現だけでなく、プレゲノムRNA(pgRNA)を含む全ての他のウイルス転写物の発現も阻害するはずである。さらに、本発明のRNAi剤は、pgRNA、HBV構造的遺伝子、ポリメラーゼおよびHBVX遺伝子を標的とすることにより、HBVウイルス複製を阻害するよう設計されている。さらに、免疫寛容に役割を有するSVPおよび他のウイルスタンパク質のサイレンシングに介在するよう設計されており、それにより対象の免疫系がHBV感染を制御し、排除する免疫応答が搭載されるように、ウイルス抗原の存在を検出し、応答することを可能とする。理論に拘束されることを意図しないが、これらのRNAi剤における前記性質および特定の標的部位および/または特定の修飾の組み合わせまたは下位の組み合わせは、本発明のRNAi剤の有効性、安定性、安全性、効力および耐久性の改善に寄与すると考えられる。このような薬剤は、例えば、PCT公開WO2016/077321、WO2012/024170、WO2017/027350およびWO2013/003520に開示されており、それらの内容を引用により本明細書に包含させる。RNAi剤の例示的標的部位および例示的RNAi剤は、本明細書の一部を構成する、ここに添付する付属表Aに提供される。用語RNAi剤は、さらに、肝臓特異的プロモーター下、人工mi(cro)RNAへのshRNA送達のためのshRNA、例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV)8ベクターを含み;所望によりオフターゲット遺伝子制御を抑えるためのshRNセンス鎖に対する共送達デコイ(“TuD」)がMichler et al., 2016 (EMBO Mol. Med., 8:1082-1098)に記載され、引用により本明細書に包含させる。
iRNA剤の各鎖のヌクレオチドの大部分はリボヌクレオチドであり得るが、ここに詳述するとおり、各または両鎖は、1以上の非リボヌクレオチド、例えば、デオキシリボヌクレオチドおよび/または修飾ヌクレオチドを含み得る。さらに、本明細書で使用する限り、「RNAi剤」は、化学修飾を有するリボヌクレオチドを含んでよく;RNAi剤は、複数ヌクレオチドに相当な修飾を含み得る。
ここで使用する用語「修飾ヌクレオチド」は、独立して、修飾糖部分、修飾ヌクレオチド間結合および/または修飾核酸塩基を有する、ヌクレオチドをいう。それ故に、用語修飾ヌクレオチドは、ヌクレオシド間結合、糖部分または核酸塩基に、例えば、官能基または原子の、置換、付加または除去を含む。本発明薬剤での使用に適する修飾は、ここに開示するまたは当分野で知られる全てのタイプの修飾を含む。任意のこのような修飾は、siRNAタイプ分子で使用される限り、本明細書および特許請求の範囲の目的のために、「RNAi剤」に包含される。
ここで使用する「治療HBVワクチン」などは、1以上のHBVタンパク質に対する免疫応答、好ましくはエフェクターT細胞誘発応答を誘発する、ペプチドワクチン、ベクターベースのワクチンを含むDNAワクチンまたは細胞ベースのワクチンであり得る。好ましくは、ワクチンは、複数のHBV血清型、好ましくは全HBV血清型と交差反応する多エピトープワクチンである。多数の治療HBVワクチンが当分野で知られ、全臨床および臨床開発の種々の段階にある。タンパク質ベースのワクチンは、B型肝炎表面抗原(HBsAg)およびコア抗原(HBcAg)ワクチンを含む(例えば、Li et al., 2015, Vaccine. 33:4247-4254、引用により本明細書に包含)。例示的DNAワクチンは、HB-110(Genexine, Kim et al., 2008. Exp Mol Med. 40: 669-676.)、pDPSC18(PowderMed)、INO-1800(Inovio Pharmaceuticals)、HB02 VAC-AND(ANRS)およびCVI-HBV-002(CHA Vaccine Institute Co., Ltd.)を含む。例示的タンパク質ベースのワクチンはTheravax/DV-601(Dynavax Technologies Corp.)、εPA-44(Chongqing Jiachen Biotechnology Ltd.)およびABX 203(ABIVAX S.A.)を含む。例示的細胞ベースのワクチンはHPDCs-T immune therapy(Sun Yat-Sen University)を含む。組み合わせワクチンおよび製品も知られ、HepTcellTM(FP−02.2ワクチン(ペプチド)+IC31(登録商標)アジュバント(組み合わせペプチド−オリゴヌクレオチドアジュバント)(米国特許公開2013/0330382、2012/0276138、および2015/0216967、これら各々の全内容を、引用により本明細書に包含させる));GS−4774(Gilead、融合タンパク質S、コアXワクチン+Tarmogen T細胞免疫刺激剤)、pSG2.HBs/MVA.HBs(タンパク質プライム/ウイルスベクターブースト、Oxxon Therapeutics)およびタンパク質プライム/改変ワクシニアウイルスAnkaraベクターブースト(MVA発現ベクターのHBsAgおよびHBsAgタンパク質+HBcAgおよびHBsAg、Backes et al., 2016, Vaccine. 34:923-32およびWO2017121791、両者は引用により本明細書に包含させる)。
ここで使用する用語「アジュバント」は、長期保護免疫を誘発するために共投与される、抗原に対する免疫応答を促進(例えば、増強、加速または延長)する薬剤と理解される。実質的な免疫応答は、アジュバント自体を指向しない。アジュバントは、病原体成分、粒子アジュバントおよび組み合わせアジュバント(例えば、www.niaid.nih.gov/research/vaccine-adjuvants-types参照)を含むが、これらに限定されない。病原体成分(例えば、モノホスホリルリピドA(MPL)、ポリ(I:C)、ポリICLCアジュバント、CpG DNA、c−ジ−AMP、c−ジ−GMP、c−ジ−CMP;短、平滑断端5’−三リン酸dsRNA(3pRNA)RIG−1リガンドおよびエマルジョン、例えばポリ[ジ(ナトリウムカルボキシレートエチルフェノキシ)ホスファゼン](PCEP))は、自然免疫細胞内または表面上の種々の受容体を標的とすることにより、ワクチンに対する早期非特異的または自然免疫応答の誘発を助け得る。自然免疫系は、適応免疫応答に影響し、これはワクチンが標的とする病原体に対する長期持続性保護を提供する。粒子アジュバント(例えば、ミョウバン、ビロソーム、サイトカイン、例えば、IL−12)は、免疫系を刺激でき、また免疫細胞への抗原送達を増強し得る、極めて小さな粒子を形成する。組み合わせアジュバント(例えば、AS02、AS03およびAS04(全てGSK);MF59(Novartis);ISCOMATRIX(登録商標)(CSL Limited);およびIC31(登録商標)(Altimmune)は、複数の保護的免疫応答を誘発する。単独で使用したとき中程度の効果を有するアジュバントは、共使用したとき、より強力な免疫応答を誘発し得る。
本発明の好ましい実施態様において、本発明で使用するアジュバントは、液性および細胞性免疫応答を促進する。このために、バランスのとれたTh1/Th2ヘルパーT細胞応答は、抗体による中和応答ならびにエフェクター細胞による毒性T細胞応答を支持するために望まれる。好ましくは、アジュバントはバランスのとれたTh1/Th2応答を提供する。ある実施態様において、アジュバントは、ポリI:Cアジュバント、ポリICLCアジュバント、CpGアジュバント、STINGアゴニスト(c−ジ−AMPアジュバント、c−ジ−GMPアジュバントまたはc−ジ−CMPアジュバント)、ISCOMATRIX(登録商標)アジュバント、PCEPアジュバントおよびRig−I−リガンドアジュバントの1以上である。ある実施態様において、アジュバントはポリI:Cアジュバント、CpGアジュバント、STINGアゴニストまたはPCEPアジュバントである。ある実施態様において、アジュバントはミョウバンではない。
ここで使用する「免疫刺激剤」は、抗原と無関係に投与しても、しなくてもよい免疫応答を刺激する薬剤である。免疫刺激剤は、ペグ化インターフェロンアルファ2a(PEG−IFN−アルファ−2a)、インターフェロンアルファ−2b、PEG−IFN−アルファ−2b、インターフェロンラムダ、組み換えヒトインターロイキン−7およびトール様受容体3、7、8または9(TLR3、TLR7、TLR8、TLR9)アゴニスト、ウイルス侵入阻害剤(例えば、Myrcludex)、HBsAgの分泌または放出を阻害するオリゴヌクレオチド(例えば、REP 9AC)、カプシド阻害剤(例えば、Bay41−4109およびNVR−1221)、cccDNA阻害剤(例えば、IHVR−25)を含むが、これらに限定されない。ある実施態様において、免疫刺激剤はウイルスカプシド、所望により空ウイルスカプシド、例えば、MVAカプシドを含み得る。
免疫刺激剤はまた免疫チェックポイント制御因子も含み得る。免疫チェックポイント制御因子は、刺激性または阻害性であり得る。ここで使用する免疫チェックポイント制御因子は免疫応答を増強する。免疫チェックポイント制御因子は、CTLA−4阻害剤、例えばイピリムマブ、PD−1阻害剤、例えばニボルマブ、ペムブロリズマブおよびBGB−A317抗体を含むが、これらに限定されない。PD−L1阻害剤は、アフィマー(affimer)バイオ治療剤に加えて、アテゾリズマブ、アベルマブおよびデュルバルマブを含む。
ここで使用する「対象」は、霊長類(例えばヒト、非ヒト霊長類、例えば、サルおよびチンパンジー)、非霊長類(例えば、マウスモデルまたはHBVで感染させ得る他の動物モデル)を含む、哺乳動物などの動物である。ある実施態様において、対象は、HBV遺伝子発現または複製の減少により利益を受ける疾患、障害または状態を処置されているまたは評価されているヒトなどのヒトである。ある実施態様において、対象は慢性B型肝炎ウイルス(HBV)感染を有する。ある実施態様において、対象は慢性B型肝炎ウイルス(HBV)感染およびD型肝炎ウイルス(HDV)感染の両方を有する。
ここで使用する用語「処置する」または「処置」は、血清HBV DNAまたは肝臓HBVccc DNAの存在血清または肝臓HBV抗原の存在、例えば、HBsAgまたはHBeAgを含むが、これらに限定されない、HBV感染を有する対象における徴候または症状の1以上の軽減を含むが、これらに限定されない、有益なまたは所望の結果をいう。HBV感染の診断基準は、当分野で周知である。「処置」はまた、処置非存在下での余命と比較した生存延長またはHCC発症のリスク低減も意味し得る。
ある実施態様において、HBV関連疾患は慢性B型肝炎(CHB)である。ある実施態様において、対象は、HBVに少なくとも5年感染している。ある実施態様において、対象はHBVに少なくとも10年感染している。ある実施態様において、対象は、出生時HBVに感染している。慢性B型肝炎疾患を有する対象は免疫寛容であり、壊死性炎症性肝疾患を伴う活動性慢性感染を有し、検出可能な壊死性炎症非存在下で肝細胞代謝回転が増加しまたは活動性疾患の証拠が全くなく、非活動性慢性感染を有し、また無症候性であり得る。慢性B型肝炎疾患を有する対象はHBsAg陽性であり、高ウイルス血症(≧10 HBV−DNAコピー数/ml血液)または低ウイルス血症(<10 HBV−DNAコピー数/ml血液)を有する。慢性活動性肝炎を有する患者は、特に高複製状態の間、急性肝炎に類似する症状を有し得る。CHB対象におけるHBV感染の残留性は、cccHBV DNA残留性をもたらす。ある実施態様において、CHBを有する対象はHBeAg陽性である。他の実施態様において、CHBを有する対象はHBeAg陰性である。
好ましい実施態様において、HBV感染処置は、B型肝炎の「機能的治癒」をもたらす。ここで使用する用語「機能的治癒」は、循環HBsAgの排除と理解され、好ましくは臨床的に適切なアッセイを使用してHBsAg抗体が検出不可能となる状態への転換を伴う。例えば、検出不可能な抗体は、化学発光微粒子免疫アッセイ(CMIA)または任意の他の免疫アッセイで測定して、10mIU/mlより低いシグナルを含み得て、抗HBsセロコンバージョンとも称し得る。機能的治癒は、HBVの全復製型の排除を必要としない(例えば、肝臓からのcccDNA)。抗HBsセロコンバージョンは、慢性感染患者あたり年間約0.2〜1%で自然に生ずる。しかしながら、抗HBsセロコンバージョン後でも、HBVの低レベルの残留が数十年観察され、完全治癒ではなく、機能的治癒が生じていることを示す。メカニズムに拘束されないが、免疫系がHBVを監視し続ける得るようにしておくことが提案される。機能的治癒は、HBV感染のあらゆる処置の中断を可能とする。しかしながら、HBV感染の「機能的治癒」は、HBV感染、例えば、肝線維症、HCC、硬変に起因する疾患または状態の予防または処置には不十分であり得る。
対象におけるHBV遺伝子発現もしくはHBV複製のレベルまたは疾患マーカーまたは症状の文脈での用語「低減」は、該レベルの統計学的に有意な減少をいう。減少は、例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上であり得る。HBV感染のモニタリングにおいて、log10スケールが、抗原血症(例えば、血清のHBsAgレベル)またはウイルス血症(血清のHBV DNAレベル)のレベルの記載のために一般に使用される。1 log 10減少は90%減少(10%残存)、2 log 10減少は99%減少(1%残存)などと理解される。ある実施態様において、疾患マーカーは、検出レベル未満まで低減される。
ある実施態様において、疾患マーカーの発現が正常化され、すなわち、このような障害がない個体についての正常範囲内であるとして許容されるレベルまで減少し、例えば、ALTまたはASTなどの疾患マーカーのレベルが、このような障害がない個体についての正常範囲内であるとして許容されるレベルまで減少する。疾患関連レベルが正常レベルから上昇したとき、変化を、正常範囲上限(ULN)から計算する。疾患関連レベルが正常レベルから低下したとき、変化を正常範囲下限(LLN)から計算する。低下は、対象の値と正常値の変化のパーセント差である。例えば、正常ASTレベルは、10〜40単位/リットルと報告され得る。処置前、対象のASTレベルが200単位/リットル(すなわち、ULNの5倍、正常範囲上限を160単位/リットル超えるl)であり、処置後、対象のASTレベルが120単位/リットル(すなわち、ULNの3倍、正常範囲上限を80単位/リットル超える)であるならば、上昇ASTは、正常に向かって50%(80/160)減少した。
ここで使用する用語「阻害」は、「減少」、「サイレンシング」、「下方制御」、「抑制」および他の類似用語と相互交換可能に使用され、あらゆるレベルの阻害を含む。好ましくは、阻害は統計学的に有意なまたは臨床的に顕著な阻害である。
用語「HBV遺伝子の発現阻害」は、1以上のHBVウイルスタンパク質(例えば、例えば、preS1/2−S、preS、S、P、X、preCおよびC)をコードするあらゆるHBV転写物(例えば、3.5kb、2.4kb、2.1kbまたは0.7kb転写物)ならびにHBV遺伝子のバリアントまたは変異体のノックダウンをいうことを意図する。
「HBV遺伝子の発現阻害」は、HBV遺伝子または転写物の任意の顕著なレベルの阻害、例えば、HBV遺伝子S、P、XまたはCまたはこれらの任意の組み合わせ、例えば、S、PおよびCの発現の少なくとも部分的抑制を含む。HBV遺伝子の発現は、HBV遺伝子発現と関連する任意の可変値、例えば、HBVmRNAレベル、HBVタンパク質レベルおよび/またはHBVcccDNAレベルのレベルまたはレベル変化に基づき、評価し得る。このレベルは、例えば、対象由来のサンプルを含む、個々の細胞または細胞群で評価でき、例えば、レベルを血清でモニターし得る。
本発明の方法のある実施態様において、HBV遺伝子の発現は、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%またはアッセイでの検出レベル未満まで阻害される。好ましい実施態様において、HBV遺伝子の発現阻害は、遺伝子発現レベルの臨床的に適切な阻害、例えば、HBVタンパク質に対するワクチンへの有効な免疫応答を可能にするのに十分な阻害をもたらす。
HBV遺伝子の発現阻害は、HBV遺伝子が転写され、HBV遺伝子の発現が阻害されるように処置されている(例えば、細胞または細胞集団と本発明のRNAi剤との接触によりまたは本発明のRNAi剤の、該細胞が存在するまたは存在した対象への投与により)最初の細胞または細胞群(このような細胞は、例えば、対象由来のサンプルに存在し得る)により発現されるRNAの量の、最初の細胞または細胞群と実質的に同一であるが、そのように処置されていない第二の細胞または細胞群(対照細胞)と比較した減少により顕在化され得る。好ましい実施態様において、阻害は、PCT公開WO2016/077321(その内容を全体として引用により本明細書に包含させる)の実施例2に提供されるrtPCR方法で評価し、インビトロアッセイを、10nM濃度で二本鎖を有する適切に適合した細胞株で行い、処置細胞を、対照細胞のmRNAレベルのパーセンテージとして、次の式を使用して表す。
あるいは、HBV遺伝子の発現阻害を、例えば、ここに記載する、HBV遺伝子発現と機能的に関連するパラメータの減少の点で評価し得る。HBV遺伝子サイレンシングは、構成的にまたはゲノム編集によりHBV遺伝子を発現する任意の細胞で、当分野で知られる任意のアッセイにより決定し得る。
HBVタンパク質の発現阻害は、細胞または細胞群により発現されるHBVタンパク質レベル(例えば、対象由来のサンプルで発現されるタンパク質レベル)の減少により顕在化し得る。上記のとおり、mRNA抑制の評価について、処置細胞または細胞群のタンパク質発現レベル阻害を、対照細胞または細胞群または血清のタンパク質レベルのパーセンテージとして表し得る。
HBV遺伝子の発現阻害の評価に使用し得る対照細胞または細胞群は、本発明のRNAi剤とまだ接触させていない細胞または細胞群を含む。例えば、対照細胞または細胞群は、RNAi剤で対象を処置する前の個々の対象(例えば、ヒトまたは動物対象)に由来し得る。別の実施態様において、レベルを適切な対照サンプル、例えば、既知集団対照サンプルと比較し得る。
細胞または細胞群により発現されるHBV RNAレベルまたは循環HBV RNAレベルを、mRNA発現を評価するための当分野で知られる任意の方法を使用して、好ましくはPCT公開WO2016/077321の実施例2またはここに提供する実施例1に提供するrtPCR方法を使用して、決定し得る。ある実施態様において、サンプルのHBV遺伝子の発現(例えば、総HBV RNA、HBV転写物、例えば、HBV3.5kb転写物)レベルを、転写ポリヌクレオチドまたはその一部、例えば、HBV遺伝子のRNAの検出により特定する。RNAは、例えば、酸フェノール/グアニジンイソチオシアネート抽出(RNAzol B; Biogenesis)、RNeasy RNA調製キット(Qiagen(登録商標))またはPAX遺伝子(PreAnalytix, Switzerland)の使用を含む、RNA抽出技法を使用して、細胞から抽出し得る。リボ核酸ハイブリダイゼーションを利用する典型的アッセイ形式は、核ランオンアッセイ、RT−PCR、RNase保護アッセイ(Melton et al., Nuc. Acids Res. 12:7035)、ノーザンブロッティング、インサイチュハイブリダイゼーションおよびマイクロアレイ分析を含む。循環HBVmRNAは、内容全体を引用により本明細書に包含させる、PCT公開WO2012/177906に記載の方法を使用して、検出し得る。
ある実施態様において、HBV遺伝子の発現レベルは、核酸プローブを使用して決定する。ここで使用する用語「プローブ」は、特定のHBV遺伝子に選択的に結合することができるあらゆる分子をいう。プローブは、当業者により合成できまたは適切な生物学的調製物に由来し得る。プローブは、標識されるように特に設計され得る。プローブとして利用され得る分子の例は、RNA、DNA、タンパク質、抗体および有機分子を含むが、これらに限定されない。
単離RNAを、ハイブリダイゼーションまたは増幅アッセイに使用でき、これは、サザンまたはノーザン分析、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)分析およびプローブアレイを含むが、これらに限定されない。mRNAレベルを決定する一つの方法は、単離mRNAと、HBVmRNAとハイブリダイズできる核酸分子(プローブ)の接触を含む。ある実施態様において、mRNAを固体表面に固定化し、例えば単離mRNAをアガロースゲル上に流すことにより、プローブと接触させ、該ゲルからのmRNAを、ニトロセルロースなどの膜に移すことを含む。別の実施態様において、プローブを固体表面に固定し、例えば、Affymetrix(登録商標)遺伝子チップアレイで、mRNAを、プローブと接触させる。当業者は、HBV mRNAレベル決定に使用するために既知mRNA検出方法を容易に適合できる。
サンプルにおけるHBV遺伝子の発現レベルを決定する別の方法は、例えば、RT−PCR(Mullis、1987、米国特許4,683,202に示す実験的実施態様)、リガーゼ連鎖反応(Barany (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:189-193)、自立型配列複製(Guatelli et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:1874-1878)、転写増幅系(Kwoh et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:1173-1177)、Q−ベータレプリカーゼ(Lizardi et al. (1988) Bio/Technology 6:1197)、ローリングサークル複製(Lizardi et al.、米国特許5,854,033)または任意の他の核酸増幅方法による、例えばサンプルのmRNAの、核酸増幅または逆転写酵素(cDNA調製のため)、続く当業者に周知の技法を使用する増幅分子の検出の過程を含む。これらの検出スキームは、核酸分子が極めて少数で存在するならば、そのような分子の検出に特に有用である。本発明の具体的態様において、HBV遺伝子の発現レベルは、例えば、ここに提供する方法を使用する、定量的蛍光性RT−PCR(すなわち、TaqManTM System)により決定する。
HBV RNAの発現レベルを、膜ブロット(例えばノーザン、サザン、ドットなどのハイブリダイゼーション分析で使用する)またはマイクロウェル、試験管、ゲル、ビーズまたは繊維(または結合核酸を含むあらゆる固体支持体)を使用してモニターし得る。米国特許5,770,722、5,874,219、5,744,305、5,677,195および5,445,934参照(これら各々の内容全体を引用により本明細書に包含する)。HBV発現レベル決定はまた溶液での核酸プローブの使用も含み得る。
好ましい実施態様において、RNA発現レベルを、リアルタイムPCR(qPCR)を使用して評価する。これらの方法の使用は、本明細書の実施例に記載し、例示される。
HBVタンパク質発現レベルは、タンパク質レベル測定について当分野で知られる任意の方法を使用して、決定し得る。このような方法は、例えば、電気泳動、キャピラリー電気泳動、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、超拡散クロマトグラフィー、流体またはゲル沈降反応、吸収スペクトロスコピー、比色分析アッセイ、分光光度アッセイ、フローサイトメトリー、免疫拡散法(単または二重)、免疫電気泳動、ウェスタンブロッティング、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸着検定法(ELISAs)、免疫蛍光アッセイ、電気化学発光アッセイなどを含む。
ある実施態様において、本発明の方法の有効性を、HBV感染の症状の軽減の検出またはモニタリングによりモニターし得る。症状は、当分野で知られる任意の方法を使用して評価され得る。
ここで使用する用語「B型肝炎ウイルス関連疾患」または「HBV関連疾患」は、HBV感染または複製が原因のまたはそれと関連する疾患または障害である。用語「HBV関連疾患」は、HBV遺伝子発現または複製の減少により利益を受ける疾患、障害または状態を含む。HBV関連疾患の非限定的例は、例えば、D型肝炎ウイルス感染;肝炎デルタ;慢性B型肝炎;肝線維症;末期肝疾患;クリオグロブリン血症;肝細胞癌を含む。
ここで使用する用語「サンプル」は、対象から単離されたまたはそこから調製された液体、細胞または組織の収集物ならびに対象内に存在する液体、細胞または組織を含む。生物学的液体の例は、血液、血清、血漿、免疫細胞、リンパ、尿、唾液などを含む。組織サンプルは、組織、臓器または局在性領域からのサンプルを含み得る。例えば、サンプルは、特定の臓器、臓器の一部もしくは液体またはこれら臓器内の液体もしくは細胞であり得る。ある実施態様において、サンプルは、肝臓(例えば、肝臓全体または肝臓のある区域または肝臓内の特定タイプの細胞、例えば、肝細胞、常在性肝臓免疫細胞)由来であり得る。好ましい実施態様において、「対象由来のサンプル」は、対象から採血した血液またはそれ由来の血漿、血清もしくは選択細胞プール(例えば、免疫細胞集団)をいう。さらなる実施態様において、「対象由来のサンプル」は、対象から得た肝臓組織(またはその小成分)をいう。
ここで使用する「コード配列」は、特定のアミノ酸配列をコードするDNA配列をいうことは理解される。ある実施態様において、DNA配列はRNA配列から逆転写され得る。ある実施態様において、iRNA、例えば、shRNAは、コード配列を標的とする。
用語「適当な制御配列」などは、ここで、コード配列の上流(5’非コード配列)、途中または下流(3’非コード配列)に位置するヌクレオチド配列をいい、これは、関連コード配列の転写、RNAプロセシングまたは安定性または翻訳に影響を与える。制御配列はプロモーター、翻訳リーダー配列、イントロンおよびポリアデニル化認識配列を含み得る。
ここで使用する「プロモーター」は、コード配列または機能的にRNAの発現を制御できるDNA配列をいう。一般に、コード配列はプロモーター配列の3’側に位置する。プロモーターは、その全体を天然遺伝子に由来してよく、または天然で見られる異なるプロモーターに由来する異なる要素からなってよくまたは合成DNAセグメントを含んでよい。プロモーターは、特定の細胞型のまたは発育の種々の段階でのまたは異なる微小環境条件に応答したコード配列の発現を選択するように選択され得る。ある実施態様において、プロモーターは、肝臓で活性なプロモーター、例えば、肝臓特異的プロモーターである。多くのプロモーター配列が当分野で知られ、特定の状況での適切なプロモーター配列の選択は、当業者の能力の範囲内である。
用語「操作可能に結合」は、一方の機能が他方に影響するような、単一核酸フラグメント上への複数核酸配列の結合をいう。例えば、プロモーターは、コード配列の発現に影響を与え得るならば、該コード配列と操作可能に結合する(すなわち、コード配列はプロモーターの転写制御下にある)。
ここで使用する用語「発現」は、本主題のテクノロジーの核酸フラグメントに由来する、センス(mRNA)またはアンチセンスRNAまたはRNAi剤(例えば、shRNA)の転写および安定な蓄積をいう。「過発現」は、正常または非形質転換生物での産生レベルを超える、トランスジェニックまたは組み換え生物での遺伝子産物の産生をいう。
ここで使用する「発現ベクター」または「発現構築物」は、プロモーター制御下でのコード配列発現を可能にするために、コード配列がプロモーター配列に操作可能に結合した核酸をいう。発現ベクターは、ウイルスベクターまたはプラスミドベクターを含むが、これらに限定されない。発現ベクターを細胞に送達する方法は当分野で知られる。
II. 本発明の処置方法
本発明は、HBV感染の処置における、HBV遺伝子の発現を減少させるための薬剤、例えば、1以上のHBV転写物のRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)介在切断を起こすiRNA剤および1以上のHBVタンパク質に対する免疫応答を刺激するB型肝炎ワクチンの連続的使用のための処置レジメンおよび方法を提供する。処置レジメンおよび方法は、好ましくは一定期間内にHBVの機能的治癒を提供する。
ここに提供する処置レジメンおよび方法は、HBV感染のための、処置および好ましくは機能的治癒を提供する複数治療剤の順序付けられた投与を含む。本方法で使用される薬剤は当分野で知られる。しかしながら、薬剤は、単独では、大部分の患者でHBV疾患負荷の一貫したかつ永続的な減少ができず、例えば、HBsAgレベルの2 log 10、好ましくは1log 10IU/mlまたは検出レベル未満への減少ができない。HBV疾患負荷の顕著な減少、例えば、HBsAgレベルの2 log 10、好ましくは1log 10IU/mlまたは検出レベル未満への減少は、相当数の対象で、治療剤投与を中断する機会を提供し、HBVの機能的治癒を提供する。メカニズムに拘束されないが、HBVを標的とするiRNA剤の投与を含むここに提供する処置レジメンおよび方法は、対象で、複数用量の治療ワクチン投与により誘発される有効な免疫応答を可能とするために十分な強度および期間、HBV抗原および核酸を実質的に減少させることが提案される。ここに提供するレジメンおよび方法は、安定して、相当数の対象、好ましくは対象の少なくとも30%、40%、50%、60%または70%で疾患負荷の実質的減少および機能的治癒を提供する。
HBV感染のトランスジェニックマウスモデルであるHBV1.3xfsを使用して、ここに提供する組み合わせ治療を評価した。一次試験は、二つの異なる化学修飾GalNAc−HBVを標的とするiRNA剤(AD−66816およびAD−66810)の、血清におけるHBsAgおよびHBeAgタンパク質およびHBV DNAのレベルを、3mg/kgまたは9mg/kgの単独皮下用量で、少なくとも21日間阻害する有効性を評価するために使用し、類似の有効性であった。非HBViRNA対照で顕著なノックダウンは観察されなかった(図2参照)。この結果に基づき、3mg/kgの低用量を、組み合わせ治療試験に選択した。
第一の組み合わせ治療治験において(図3参照)、マウスを6処置レジメンの一つで前処置した(n=6/群):
(1)前処置無し;
(2)0週目の初日から開始して、試験を通してエンテカビル1μg/ml水溶液;
(3)対照iRNA剤の0週目、4週目、8週目および12週目の初日の3mg/kg用量;
(4)HBVをコードするshRNAをコードする発現ベクター(HBV−shRNA)の0週目の初日の1回用量(Michler et al., 2016);または
(5−6)AD−66816またはAD−66810(総称的に、HBV−siRNA)の0週目、4週目、8週目および12週目の初日の3mg/kg用量。
12週目および14週目の初日に、31.9μg 合成ホスホロチオエート化CpGODN 1668 (CpG)および25μg ポリ[ジ(ナトリウムカルボキシレートエチル−フェノキシ)ホスファゼン](PCEP)でアジュバントされた組み換え発現酵母HBsAg(15μg)および大腸菌発現HBcAg(15μg)の混合物を、タンパク質プライムワクチン接種として、全マウスに皮下投与した(Backes, 2016)。
16週目の初日、HBsAgまたはHBcAgを発現する改変ワクシニアウイルスAnkara(各ウイルス5×10粒子)の混合物を、ブーストワクチン接種として、全マウスに投与した(Backes, 2016)。
血液サンプルを0週目、2週目、4週目、8週目、12週目、16週目および17週目の初日に得て、HBsAg、HBeAgおよびHBV DNAのレベルについてアッセイした。群1、2および3(偽、エンテカビル、対照iRNA剤)のマウスで観察されたHBsAgおよびHBeAgレベルの結果は類似した(図4Aおよび4B)。HBV−shRNAまたはHBV−siRNA単独で、血清におけるHBsAg、HBeAgおよびHBV DNAの有意な減少を起こした。3用量プライム−ブーストワクチン接種スキームは、全群でのHBsAgのさらなる減少と、HBV−shRNAおよびHBV−siRNA群の一部動物でのHBsAgレベルの検出レベル未満への減少をもたらした。しかしながら、ワクチン処置は、いずれの群でもHBeAgレベルを減少させなかった。HBV DNAレベルは、エンテカビル単独で定量限界未満まで減少せず、3用量プライム−ブーストワクチンの効果は検出されなかった(図4C)。偽処置およびHBV−shRNA、HBV−siRNAおよび対照siRNAでの処置はすべてHBV DNAレベルを減少させ、HBV−DNAレベルは全群でプライム−ブーストワクチンによりさらに減少した。これらのデータは、RNAiが、ウイルス抗原減少においてヌクレオチ(シ)ドアナログ治療より優れることを示す。また、RNAiとその後のワクチン接種の組み合わせは、いずれかの薬剤単独より、HBsAgおよびHBV DNAレベルに大きな効果を有する。
実験最終日(17週目初日)、マウスを屠殺し、肝臓を採取した。肝臓内CD8+T細胞応答を、Backes, 2016に提供される方法を使用して、HBsAg、HBcAgおよびMVAウイルス粒子の応答について評価した。HBV−shRNAまたはHBV−siRNAで処置したマウスは、HBsAgおよびHBcAgに対してCD8+免疫応答を産生できた(図5Aおよび5B)。偽、エンテカビルまたは対照siRNA群で、HBV抗原に対する顕著な免疫応答は観察されなかった。しかしながら、MVAウイルスに対する類似の免疫応答が、前処置またはウイルス抗原レベルと無関係に全動物で観察され(図5C)、ワクチン接種が全動物で等しくよく働いていることを示し、有効な免疫系の存在を示す。図5A〜Cに示すデータは、最初の分析中の死亡免疫細胞の不十分な排除に適応させるために実施した再分析であった。2回目の分析で得たデータ(図5D〜Fに示す)もまた、HBV−shRNAまたはHBV−siRNAで前処理したマウスのみが、治療ワクチン接種後にHBV特異的CD8+T細胞応答を産生できるが、MVA特異的応答は前処置に影響されなかったことを示す。2回目の分析の分散の減少は、死亡細胞のより厳密な排除による。これらのデータは、RNAi処置が、ヌクレオシドアナログでの現在の標準処置とは対照的に、HBV特異的T細胞免疫を回復でき、治療ワクチン接種後HBV特異的CD8 T細胞応答を誘発できることを示す。
血清は、HBV抗原に対する抗体免疫応答についても評価した。ワクチンは、HBV−siRNAまたはHBV−shRNA前処置を受けていた動物においてのみT細胞免疫応答を誘発できたが、HBsAgおよびHBcAgに対する抗体応答は、17週目までの評価した時点で、前処置にかかわらず全群にわたり類似した。HBeAg抗体応答は検出されなかった。これらのデータは、高HBV抗原負荷が、B細胞応答ではなく、主にHBV特異的T細胞を阻害することを示す。
肝臓もRT−qPCRおよび肝臓GAPDH転写物に対する正規化によりHBV転写物の存在について評価した。HBV−shRNAまたはHBV−siRNAで処置したマウスは、HBV転写物レベルの有意な減少を示した(図6Aおよび6B)。偽およびエンテカビルまたは対照siRNA群で有意差は観察されなかった。肝臓切片を、肝臓での抗ウイルス効果を評価するために、コア抗原の発現について免疫組織化学染色により分析した(図6C)。ワクチン接種前に前処置しなかった動物において、平均で、83肝細胞/mmのHBc細胞質発現があった。この数字は、エンテカビルまたは対照siRNAで前処置した動物と有意には違わなかった。しかしながら、細胞質HBcAg陽性細胞の数は、AAV−shRNAまたはHBV siRNA前処置動物で有意に減少した。これらのデータは、組み合わせRNAi/ワクチン接種治療が、血清の抗原だけでなく、肝臓のウイルス抗原発現も抑制することを示す。
HBVワクチンレジメンに対する免疫応答の増強についてshRNAまたはsiRNAを使用するHBV抗原の発現抑制が効果的である示されたため、HBV抗原抑制の期間が、HBV免疫応答増強に効果を有するか否かを決定する試験を設計した。HBV1.3xfsマウスモデルを使用して、マウスを、8週間、6週間または3週間HBV−siRNA AD−66816で対照siRNAで8週間、3mg/kg/用量皮下投与、続いて、PCEP+CPGではなく、10μg c−ジ−AMPをアジュバントとして使用する以外、上記プライム−ブーストワクチン投与レジメンに従い、処置した(8および3群についてn=6、6週群についてn=6)(図7参照)。
HBsAg、HBeAgおよびHBV DNA各々のレベルの有意な減少が、AD−66816の最初の投与後観察された(図8A〜8C)。HBsAgのさらに有意な減少がワクチンブーストで処置後観察され、8週間前処置群で観察された最大減少はアッセイでの検出レベル未満であり、全処置動物でHBsAgレベルの5 log 10を超える減少を示した。免疫化は、HBV DNAのわずかなさらなる減少(<0.5 log 10)をもたらし、HBeAgレベルのさらなる減少はなかった。これらのデータは、治療ワクチン接種の有効性がワクチン接種開始前の抗原抑制の期間と相関することを示す。HBV特異的CD8 T細胞応答の再構成は数週間かかり、6週間または好ましくは8週間前処置が、3週間前処置よりも大きなHBsAgノックダウンをもたらす。
同様に、肝臓でのHBsAgおよびHBcAgに対するT細胞応答はHBV抗原ノックダウンの期間と相談し、HBV抗原抑制の期間が長いほど、T細胞応答は大きくなる(図9A〜9C)。MVAウイルス抗原に対する類似する応答が、前処置と無関係に全群にわたり観察された(図9D)。抗体応答は、全群にわたり類似した。
肝臓もRT−qPCRおよび肝臓GAPDH転写物に対する正規化によりHBV転写物の存在について評価した。長い前処置期間は、HBV RNAノックダウンのレベルが高くなる傾向にあった(図10Aおよび10B)。
肝臓切片を、肝臓での処置の抗ウイルス効果を評価するために、HBcAgの細胞質発現について免疫組織化学染色により分析した(図10C)。ワクチン接種前に対照siRNAで前処置した動物において、平均で、172肝細胞/mmがHBcの細胞質発現を示した。ワクチン接種前のHBV抑制期間が長いほど、細胞質HBcAg陽性肝細胞の減少が徐々に増え、8週間前処置群で平均12細胞質HBcAg陽性肝細胞/mmであった。これらのデータは、ワクチン接種前の長い抗原抑制で観察されるHBV特異的CD8+T細胞応答の増加が、肝臓のHBV抗原発現減少に至ることを示す。応答の耐久性を評価するために、血液サンプルを、6週間のAD−66816 HBV−siRNAで前処置したマウス(n=6)でブーストワクチン接種の投与後2週目および3週目に採取した。6匹のマウス中3匹で、HBsAgレベルはアッセイでの検出レベル未満への低下が続いた(図11Aおよび11B)。特に、ワクチン接種開始時に最高HBsAgおよびHBeAgレベルを有していた3匹の動物(2、4および5)は、ワクチン接種後抗原力価の減少を示さず、実験終了に向かって、抗原力価がリバウンドした。対照的に、ワクチン接種開始時に最低抗原力価を有していた3匹の動物(1、3および6)は、HBsAgが検出限界未満までさらなる減少を示した。これらのデータは、ここに提供する処置レジメンを使用して機能的治癒が可能であることを示す。これらのデータはまた、ワクチン接種開始時の抗原レベルが、治療ワクチン接種に対する応答に影響し得ることも示唆する。最後に、メカニズムに拘束されないが、これらのデータは、治療ワクチン接種後の抗原レベル減少が、少なくとも一部、CD8+T細胞により介在されることを示唆する。これらのデータは、HBV DNA複製単独の阻害ではなく、循環HBV抗原(例えば、HBsAg、HBcAg)のノックダウンが、HBV治療ワクチン、例えば、プライムブースト治療ワクチン接種レジメンに対する免疫応答を増強することを示す。すなわち、免疫応答は、免疫応答がCD8+T細胞の免疫応答であるため、ヌクレオチ(シ)ド阻害剤単独ではなく、siRNAとの前処置で増強できる。
必要なノックダウン強度および期間は、例えば、対象の疾患負荷レベルによる。循環抗原のレベルが高いほど、免疫応答増強のために必要なHBV抗原ノックダウンの強度および期間は大きくなる。血清におけるHBsAgのノックダウンは、治療ワクチンで処置前の対象のレベルから少なくとも0.5 log 10(IU/ml)、好ましくは1 log 10(IU/ml)、1.5 log 10(IU/ml)、2 log 10(IU/ml)またはそれ以上である。ある実施態様において、血清HBsAgレベルは、ワクチン投与前の2.5 log 10(IU/ml)、2 log 10(IU/ml)、1.5 log 10(IU/ml)以下である。
さらに、ここで示されるとおり、HBV抗原ノックダウンの期間が長いほど、より強固な免疫応答となる傾向がある。それ故に、少なくとも4週間、6週間または8週間の期間の十分に低いレベルまでの血清HBsAgのノックダウンが、ワクチン投与前に好ましい。
第二の一連の実験を、アデノ随伴ウイルス感染系を使用する後天的HBV感染のマウスモデルにおける組み合わせsiRNA/ワクチン接種処置レジメンの試験のために設計した。これらの試験について、野生型C57/Bl6マウス(9週齢)に、遺伝子型Dの1.2倍過剰な長さのHBVゲノムを担持するアデノ随伴ウイルス血清型8(AAV8)(AAV−HBV1.2)を、i.v.で2×1010ゲノム相当量注射した(例えば、Yang, et al. (2014) Cell and Mol Immunol 11:71参照)。AAV形質導入(−28日目)4週間後から開始して、動物を0日目、29日目および57日目に対照siRNAまたはHBV siRNA(HBVAD−66816またはAD−66810)の3用量で処置し、続いて買各群の半分の動物を57日目および70日目にHBsAg、HbcAgおよび10μg c−ジ−AMPでのプライムタンパク質ワクチン接種および84日目にMVA−HBsおよびMVA−HBcでのブーストからなるワクチンレジメンで処置した。処置レジメンを図12に示す。
AAV−HBV1.2形質導入後、HBsAgおよびHBeAg値は、HBVトランスジェニックマウス(HBVxfs)で見られるレベルと同等レベルまで上がった(例えば、図13Aおよび13B参照)。HBV siRNAで処置したマウスは、HBsAgおよびHBeAgレベルが約500IU/ml未満であるような、HBsAgレベルの約2 log 10スケールのおよびHBeAgレベルの1 log 10スケールを超える平均減少を示し、一方対照siRNAは抗原レベルに効果はなかった。ワクチンレジメンを受けなかったHBV siRNAの一方で処置された動物は、siRNAの最後の適用後抗原レベルのゆっくりしたリバウンドを示した。抗原血症は18週間後にベースラインレベルに戻った。HBV−siRNAおよびワクチンレジメンの組み合わせ処置は、実験の間、検出限界未満へのHBsAgおよびHBeAgが減少する、耐久性応答をもたらした。HBsAgおよびHBeAgレベルの減少はMVAブースト投与前に観察されタンパク質ワクチン接種が治癒に十分であり得ることを示唆する。血清および肝臓HBV DNAおよびRNA両者は、HBV−siRNAおよびワクチンレジメンの組み合わせ処置後有意に減少した(図13D〜13H)。これは、RNAi介在抑制が抗原発現を強く減少できるが、ワクチンレジメンでの処置は応答の耐久性を延長することを示す。
対照siRNAを受けた動物のワクチンレジメン単独は、一過性の抗原レベルの減少を生じ、これは実験の終わりに向けてリバウンドした。対照的に、HBV−siRNAおよびワクチン接種を受けた全動物で、HBsAgおよびHBeAgレベルは、ワクチン接種開始後検出限界未満まで低下した。抗原レベルは、最後のsiRNA適用少なくとも22週間後測定した時点まで、全て大部分検出不可能であった(図13Aおよび13B)。HBV siRNA前処置動物の抗原血症の耐久性喪失は、対照siRNA前処置動物でリバウンドした抗原と対照的であり、さらに免疫制御が、ワクチン接種前に低い抗原力価を有した動物でのみ達成されたことを示す。
抗原血症消失と一致して、HBV siRNAとワクチンレジメンで処置した動物は、高力価の抗HBs抗体を発生させ、全ワクチン接種動物で抗HBsおよび抗HBeセロコンバージョンをもたらした(図14)。siRNA前処置動物は、10倍高く、より一貫した抗HBs力価を発生させ、完全にかつ永続的に、血清HBsAgおよびHBeAgを浄化できた。興味深いことに、HBV siRNA処置後ワクチン接種した3/12マウスは、15〜22週目に抗HBeレベルの一過性の低下を示し、HBeAgの低レベル再発をもたらし(図13C)、これも同様に制御された。対照siRNAとワクチンレジメンを受けた動物で抗HBs抗体も測定されたが、レベルは低かった。さらに、HBV siRNAとワクチンレジメンを受けた動物のみが抗HBe抗体を生じた。併せて、機能的治癒はsiRNA処置レジメンまたは治療ワクチン接種レジメン単独では達成されなかった。しかしながら、抗原血症消失ならびに抗HBsおよび抗HBe抗体発生は、組み合わせHBV siRNAとワクチンレジメンが機能的治癒を達成できることを示す。
実験を通して、動物のALTおよび体重をモニターした。抗原血症消失は、ワクチン接種レジメンと共にHBV siRNAを受けた処置群で見られるALT活性のわずかな増加と一致した(図15A)。これらの群は、組み合わせHBV siRNA−ワクチンレジメンを受けなった全ての他の処置群と比較して、有意なしかし、中程度の(両者とも反復測定二元配置ANOVAによりp>0.05以下;ワクチン接種開始後の時点のみ比較)増加を示した。メカニズムに拘束されないが、組み合わせHBV siRNA−ワクチンレジメンにより誘発されるCD8+T細胞が、HBV発現肝細胞を殺し、ALTを上昇させることが示唆される。
動物の体重を実験を通して測定し、処置の耐容性をモニターした。siRNA処置と無関係に、実験を通して一定の増加を示した。ワクチン接種した動物は、ワクチン接種後にわずかな一過性の体重減少(約5%)を示したが、9日以内に正常レベルまで回復し、その後対照群と同等に体重が増加した(図15B)。併せて、ALT活性および体重データ両者とも、siRNAのみ、ワクチンのみならびに組み合わせsiRNA/ワクチンレジメンを含む全実験処置が十分に耐容性であることを示す。
血清のHBsAgレベルノックダウンのためのsiRNAの投与数およびタイミングは、例えば、使用する特定の薬剤による。ここでの方法で使用され、例えば、付属表AおよびPCT公開WO2016/077321(その内容を全体として引用により本明細書に包含させる)に提供される例示的GalNAc siRNAの期間および効力によって、単回用量のsiRNAが、治療ワクチン投与前に必要なノックダウンのレベルおよび期間の提供に十分であり得る。図4に示すとおり、単回用量のAAVベクターコード化shRNAは、HBV抗原およびHBV DNAの耐久性ノックダウン提供に十分であった。当業者は、HBV疾患状態を、例えば、血中HBsAgレベルの測定によりモニターし、特定の対象に適するsiRNAおよびワクチン投与のタイミングおよびレベルを決定できる。
多数の治療HBVワクチンが当分野で知られ、ここに記載されている。好ましい実施態様において、ここで使用するプロトコールのようなプライム−ブーストワクチン接種プロトコールが好ましい。しかしながら、ここに提供するHBV抗原ノックダウン方法は、単独で投与したときに不十分であることが知られているものを含み、当分野で知られる他の治療HBVワクチンと組み合わせて、使用できる。ワクチン接種は、タンパク質または核酸形態の少なくとも2用量の抗原を含む。ある実施態様において、ワクチン接種は、3用量のタンパク質ベースのワクチンを含む。好ましい実施態様において、方法は、異種性ワクチン投与、すなわち、少なくとも一つのタンパク質ベースのワクチン用量および少なくとも一つの核酸ベースのワクチン用量を含む。ワクチンおよび投与レジメンの例示的実施態様は、例えば、内容を全体として引用により本明細書に包含させる、PCT公開WO2017/121791に提供される。
ここに提供する方法はHBcAgまたはHBsAgをコードする発現ベクター構築物を含む核酸ベースのワクチンの使用を含み、ここで、構築物は該タンパク質ベースのワクチンとエピトープを共有するタンパク質をコードする。それ故に、核酸ベースのワクチンも、タンパク質ベースのワクチンも、完全長タンパク質を提供する必要がないことは明確に理解される。核酸ベースのワクチンおよびタンパク質ベースのワクチンは、HBcAgまたはHBsAgに存在する少なくとも一つの共有エピトープを提供する必要があり、完全長タンパク質が提供される必要はない。上記のとおり、エピトープは比較的短い、一般に約8〜11アミノ酸長ペプチドであるMHCクラスI分子であってよく、一方、MHCクラスII分子は、約13〜17アミノ酸長ペプチドで長く存在し、立体構造エピトープは長い。しかしながら、タンパク質抗原および複数エピトープをコードするタンパク質抗原のためのコード配列が好ましいことは理解される。さらに、タンパク質ベースのワクチンに存在するおよび核酸ベースのワクチンによりコード化される抗原は、同一であっても、同一でなくてもよいことは理解される。抗原は免疫原性に関して選択されるべきであることも明らかである。このような抗原は、当分野で周知である。
ある実施態様において、タンパク質ベースのワクチンおよび核酸ベースのワクチンの投与順は、ここに提供する方法で例示する順番と比較して逆である。すなわち、核酸ベースのワクチンをまず投与し、タンパク質ベースのワクチンを2番目に投与する。ある実施態様において、計3用量のワクチンが投与され、2用量の核酸ベースのワクチンに続いて、単一1用量のタンパク質ベースのワクチンである。別の実施態様において、単回用量の核酸ベースのワクチンの後に、2用量のタンパク質ベースのワクチンである。他の実施態様において、1用量の各ワクチンが投与される。
好ましい実施態様において、プライム−ブーストワクチン接種方法は、タンパク質抗原とアジュバントの共使用を含む。本方法で使用するための適切なアジュバントは、抗原に対する細胞ベースの応答を促進する。アジュバントは、好ましくはバランスのとれたTh1/Th2応答を提供する。
ここに提供するsiRNA+ワクチン方法を、HBV処置の標準治療であるヌクレオチ(シ)ド阻害剤の投与と組み合わせて使用し得る。ある実施態様において、対象を、siRNA+ワクチン処置レジメンでの処置前にヌクレオチ(シ)ド阻害剤で処置する。ある実施態様において、対象を、siRNA+ワクチン処置レジメンでの処置の間、ヌクレオチ(シ)ド阻害剤で処置する。ある実施態様において、ヌクレオチ(シ)ド阻害剤を、HBVにより標的とされる核酸治療(例えば、siRNA、shRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド)投与前に、HBV感染と関連する先在炎症を低減するために投与する。
ある実施態様において、対象を、HBV処置に使用される他剤で前処置または同時処置し得る。このような薬剤は、免疫刺激剤(例えば、ペグ化インターフェロンアルファ2a(PEG−IFN−α2a)、インターフェロンアルファ−2b、組み換えヒトインターロイキン−7およびトール様受容体7(TLR7)アゴニスト)、ウイルス侵入阻害剤(例えば、Myrcludex)、HbsAgの分泌または放出を阻害するオリゴヌクレオチド(例えば、REP 9AC)、カプシド阻害剤(例えば、Bay41−4109およびNVR−1221)、cccDNA阻害剤(例えば、IHVR−25)、Rig−Iリガンドまたは免疫チェックポイント制御因子を含むが、これらに限定されない。ある実施態様において、免疫刺激剤はRig−Iリガンドまたは免疫チェックポイント制御因子である。機能的治癒は、少なくとも3か月、好ましくは6か月の50IU/ml未満へのHBsAg減少またはHBsAgへの検出可能な抗体応答の持続期間を含む。好ましい実施態様において、機能的治癒は、少なくとも3か月、好ましくは6か月の50IU/ml未満のHBsAgおよびHBsAgに対する検出可能な抗体応答の持続期間を含む。
A. 本発明の方法において使用するRNAi剤
本発明は、少なくとも一つのHBV転写物および好ましくは3または4HBV転写物(オープンリーディングフレーム、ここでは遺伝子と称することもある)の発現を阻害する、iRNAの使用を含む。HBVゲノムの高度に凝縮された構造のため、3または4HBV転写物の発現を阻害する単一iRNAの設計が可能である(図1参照)。単純化のために、ここでは、「HBV転写物」と称する。好ましい実施態様は、1を超えるHBV転写物(またはオープンリーディングフレーム)、好ましくは少なとも3つのHBV転写物(またはオープンリーディングフレーム)の阻害を含むことは明らかである。さらに、8つのHBV遺伝子型および2つの提案されたさらなる遺伝子型があり、それらがさらに公開配列からの変異を含み得ることは理解される。それ故に、あるiRNA剤は、特定の遺伝子型およびHBVに感染した対象に基づき、異なる数の遺伝子を阻害し得る。
ある実施態様において、iRNA剤は、HBV感染を有する対象における細胞のHBV転写物の発現阻害またはレベルの減少のための二本鎖リボ核酸(dsRNA)分子を含む。dsRNAは、相補性領域を有するアンチセンス鎖を含み、これは、HBV転写物の発現で形成されるmRNAの少なくとも一部と相補的である。相補性領域は、約30ヌクレオチド以下長(例えば、約30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19または18ヌクレオチド長以下)を有する。HBV遺伝子を発現する細胞との接触により、iRNAは、少なくとも1、好ましくは3または4HBV遺伝子の発現を選択的に阻害する。好ましい実施態様において、発現の阻害は、実施例に提供する、適切な細胞株でのqPCR方法により決定する。活性のインビトロ評価のために、パーセント阻害を、PCT公開WO2016/077321の実施例2に提供される方法を使用して、10nM 二本鎖最終濃度の単一用量で決定する。インビボ試験について、処置後のレベルを、例えば、適切な歴史的対照と比較するかまたは、例えば、ベースライン値が対象について利用可能でないときプールした集団サンプル対照と比較して、減少レベルを決定することができる。適切な対照は、当業者により注意深く選択されるべきである。
dsRNAは、dsRNAが使用されるであろう条件下で、相補的であり、ハイブリダイズして二本鎖構造を形成する、2つのRNA鎖を含む。dsRNAの一方の鎖(アンチセンス鎖)は、標的配列に実質的に相補性および一般に完全に相補性である、相補性領域を含む。標的配列は、HBV遺伝子の発現中、形成されるmRNAの配列に由来し得る。複数HBV遺伝子型が知られているため、iRNA剤は、好ましくはできるだけ多くの遺伝子型にわたり、HBV遺伝子の発現を阻害するように設計される。1以上のHBV遺伝子型に完全に相補性のsiRNAは、全遺伝子型に完全に相補性ではないことが理解される。他の鎖(センス鎖)は、適当な条件下で合わさったとき、2鎖がハイブリダイズし、二本鎖構造を形成するように、アンチセンス鎖と相補性である領域を含む。本明細書の他の箇所に記載し、当分野で知ら得るとおり、dsRNAの相補性配列も、別々のオリゴヌクレオチドにあるのとは異なり、単一核酸分子の自己相補性領域として含まれ得る。
一般に、二本鎖構造は、15〜30塩基対長、例えば、15〜29、15〜28、15〜27、15〜26、15〜25、15〜24、15〜23、15〜22、15〜21、15〜20、15〜19、15〜18、15〜17、18〜30、18〜29、18〜28、18〜27、18〜26、18〜25、18〜24、18〜23、18〜22、18〜21、18〜20、19〜30、19〜29、19〜28、19〜27、19〜26、19〜25、19〜24、19〜23、19〜22、19〜21、19〜20、20〜30、20〜29、20〜28、20〜27、20〜26、20〜25、20〜24、20〜23、20〜22、20〜21、21〜30、21〜29、21〜28、21〜27、21〜26、21〜25、21〜24、21〜23または21〜22塩基対長である。上記範囲および長さの中間の範囲および長さも、本発明の一部であると考えられる。
同様に、標的配列に対する相補性領域は、15〜30ヌクレオチド長、例えば、15〜29、15〜28、15〜27、15〜26、15〜25、15〜24、15〜23、15〜22、15〜21、15〜20、15〜19、15〜18、15〜17、18〜30、18〜29、18〜28、18〜27、18〜26、18〜25、18〜24、18〜23、18〜22、18〜21、18〜20、19〜30、19〜29、19〜28、19〜27、19〜26、19〜25、19〜24、19〜23、19〜22、19〜21、19〜20、20〜30、20〜29、20〜28、20〜27、20〜26、20〜25、20〜24,20〜23、20〜22、20〜21、21〜30、21〜29、21〜28、21〜27、21〜26、21〜25、21〜24、21〜23または21〜22ヌクレオチド長である。上記範囲および長さの中間の範囲および長さも、本発明の一部であると考えられる。
ある実施態様において、dsRNAは約15〜20ヌクレオチド長または約25〜30ヌクレオチド長である。一般に、dsRNAは、ダイサー酵素の基質として働くのに十分長い。例えば、約21〜23ヌクレオチド長より長いdsRNAが、ダイサーの基質として働き得ることは当分野で周知である。当業者にはまた認識されるとおり、切断の標的とされるRNAの領域は、最もしばしば大型のRNA分子、多くはmRNA分子の一部である。適切であれば、mRNA標的の「一部」は、切断のためにRNAi指向される基質となり得る十分な長さのmRNA標的の連続配列である(すなわち、RISC経路を経る切断)。
二本鎖領域、例えば、約9〜36塩基対、例えば、約10〜36、11〜36、12〜36、13〜36、14〜36、15〜36、9〜35、10〜35、11〜35、12〜35、13〜35、14〜35、15〜35、9〜34、10〜34、11〜34、12〜34、13〜34、14〜34、15〜34、9〜33、10〜33、11〜33、12〜33、13〜33、14〜33、15〜33、9〜32、10〜32、11〜32、12〜32、13〜32、14〜32、15〜32、9〜31、10〜31、11〜31、12〜31、13〜32、14〜31、15〜31、15〜30、15〜29、15〜28、15〜27、15〜26、15〜25、15〜24、15〜23、15〜22、15〜21、15〜20、15〜19、15〜18、15〜17、18〜30、18〜29、18〜28、18〜27、18〜26、18〜25、18〜24、18〜23、18〜22、18〜21、18〜20、19〜30、19〜29、19〜28、19〜27、19〜26、19〜25、19〜24、19〜23、19〜22、19〜21、19〜20、20〜30、20〜29、20〜28、20〜27、20〜26、20〜25、20〜24,20〜23、20〜22、20〜21、21〜30、21〜29、21〜28、21〜27、21〜26、21〜25、21〜24、21〜23または21〜22塩基対の二本鎖領域が、dsRNAの一次機能的部分であることも当業者は認識する。それ故に、ある実施態様において、切断について所望のRNAを標的とする、例えば、15〜30塩基対の機能的二本鎖に処理される程度において、30塩基対を超える二本鎖領域を有するRNA分子またはRNA分子の複合体はdsRNAである。それ故に、当業者は、ある実施態様において、miRNAがdsRNAであることを認識する。他の実施態様において、dsRNAは天然に存在するmiRNAではない。他の実施態様において、HBV遺伝子発現の標的に有用なiRNA剤は、大型dsRNAの切断により、標的細胞で産生されない。
二本鎖領域は、RISC経路を経る所望の標的RNAの特定の分解を可能にする任意の長さでよく、約9〜36塩基対長、例えば、約15〜30塩基対長、例えば、約9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35または36塩基対長、例えば約15〜30、15〜29、15〜28、15〜27、15〜26、15〜25、15〜24、15〜23、15〜22、15〜21、15〜20、15〜19、15〜18、15〜17、18〜30、18〜29、18〜28、18〜27、18〜26、18〜25、18〜24、18〜23、18〜22、18〜21、18〜20、19〜30、19〜29、19〜28、19〜27、19〜26、19〜25、19〜24、19〜23、19〜22、19〜21、19〜20、20〜30、20〜29、20〜28、20〜27、20〜26、20〜25、20〜24,20〜23、20〜22、20〜21、21〜30、21〜29、21〜28、21〜27、21〜26、21〜25、21〜24、21〜23または21〜22塩基対長の範囲であり得る。上記範囲および長さの中間の範囲および長さも、本発明の一部であると考えられる。
二本鎖構造を形成する2つの鎖は、一つの大型RNA分子の異なる部分であってよく、または別々のRNA分子であってよい。2つの鎖が一つの大型分子の一部であり、それ故に二本鎖構造を形成する一方の鎖の3’末端と各他方の鎖の5’末端の間のヌクレオチドの中断されていない鎖で連結されているならば、連結RNA鎖は「ヘアピンループ」と称される。ヘアピンループは、少なくとも一つの不対ヌクレオチドを含み得る。ある実施態様において、ヘアピンループは、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも23またはそれ以上の不対ヌクレオチドを含み得る。
ある実施態様において、本発明のdsRNA剤は、テトラループを含む。dsRNAの文脈で、ここで使用する「テトラループ」は、隣接するワトソン−クリックハイブリダイズヌクレオチドの安定性に寄与する、安定な二次構造を形成する4つのヌクレオチドからなるループ(一本鎖領域)をいう。理論に拘束されないが、テトラループは、相互作用の積み重ねにより隣接ワトソン−クリック塩基対を安定化し得る。さらに、テトラループ内の4ヌクレオチド間の相互作用は、非ワトソン−クリック塩基対形成、積み重ね相互作用、水素結合および接触相互作用を含むが、これらに限定されない(Cheong et al., Nature 1990 Aug 16;346(6285):680-2; Heus and Pardi, Science 1991 Jul 12;253(5016): 191-4)。テトラループは、4つの無作為塩基からなる単純モデルループ配列から予測されるより、高い、隣接二本鎖の融点(Tm)増加に寄与する。例えば、テトラループは、少なくとも2塩基対長の二本鎖を含むヘアピンで、10mM NaHPO中、少なくとも55℃の融点を付与し得る。テトラループは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドおよびそれらの組み合わせを含み得る。RNAテトラループの例は、テトラループのUNCGファミリー(例えば、UUCG)、テトラループのGNRAファミリー(例えば、GAAA)およびCUUGテトラループを含む。(Woese et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 1990 Nov;87(21):8467-71 ; Antao et al., Nucleic Acids Res. 1991 Nov l l;19(21):5901-5)。DNAテトラループの例は、テトラループのd(GNNA)ファミリー(例えば、d(GTTA))、テトラループのd(GNRA)ファミリー、テトラループのd(GNAB)ファミリー、テトラループのd(CNNG)ファミリー、テトラループのd(TNCG)ファミリーofs(例えば、d(TTCG))を含む(Nakano et al. Biochemistry, 41 (48), 14281 -14292, 2002; Shinji et al. Nippon Kagakkai Koen Yokoshu vol.78th; no.2; page.731 (2000))。
本発明のある実施態様において、例えば、内容を引用により全体として本明細書に包含させる米国特許公開2011/0288147に記載のような、テトラループおよび修飾ヌクレオチド含有dsNAが意図される。あるこのような実施態様において、本発明のdsNAは、第一鎖および第二鎖を有し、ここで、該第一鎖および第二鎖は、19〜25ヌクレオチド長の二本鎖領域を形成し、第一鎖は、第一鎖−第二鎖二本鎖領域を超えて伸びる3’領域を含み、テトラループを含み、dsNAは、第一鎖の3’末端と第二鎖の5’末端の間に中断を含む。
所望により、中断は、テトラループ含有二本鎖核酸(dsNA)の突出ダイサー切断部位に位置する。任意の他の本発明の二本鎖オリゴヌクレオチドにおけるとおり、本発明のテトラループ含有二本鎖は、例えば、2’−O−メチル、2’−フルオロ、逆位塩基、GalNAc部分などを含む、ここに開示するまたは当分野で他に知られるあらゆる範囲の修飾を含んでよい。一般に、テトラループ含有dsNAの両鎖の全ヌクレオチドは、テトラループ含有dsNAが、脂質ナノ粒子または送達過程中dsNAを分解から保護するある他の送達方法を使用して送達されるつもりならば、化学修飾される。しかしながら、ある実施態様において、1以上のヌクレオチドは修飾されない。
dsRNAの実質的に相補性の2鎖が別々のRNA分子に含まれるとき、これらの分子は、必要はないが、共有結合により接続され得る。2鎖が、二本鎖構造を形成する一方の鎖の3’末端と各他方の鎖の5’末端の間の中断されていないヌクレオチドの鎖以外の手段で共有結合により接続されるならば、連結構造は「リンカー」と称する。これらRNA鎖は、同一または異なる数のヌクレオチドを有し得る。塩基対の最大数は、dsRNAの最短鎖のヌクレオチドから、二本鎖に存在するあらゆるオーバーハングを減じたものである。二本鎖構造に加えて、RNAiは1以上のヌクレオチドオーバーハングを含み得る。
ここに記載するdsRNAは、さらに1以上の一本鎖ヌクレオチドオーバーハング、例えば、1、2、3または4ヌクレオチドを含む。少なくとも一つのヌクレオチドオーバーハングを有するdsRNAは、平滑末端対応物に対して、予想外に優れた阻害性質を有し得る。ヌクレオチドオーバーハングは、デオキシヌクレオチド/ヌクレオシドを含む、ヌクレオチド/ヌクレオシドアナログを含むまたはこれからなることができる。オーバーハングは、センス鎖、アンチセンス鎖またはこれらの任意の組み合わせにあり得る。さらに、オーバーハングのヌクレオチドは、dsRNAのアンチセンスまたはセンス鎖の5’末端、3’末端または両端にあり得る。ある実施態様において、長い、伸長したオーバーハングが可能である。
dsRNAは、当分野で知られる標準方法により合成され得る。本発明のiRNA化合物は、2段階手順を使用して製造し得る。まず、二本鎖RNA分子の個々の鎖を別々に製造する。次いで、成分鎖をアニールする。siRNA化合物の個々の鎖を、液相または固相有機合成または両者を使用して製造し得る。ある実施態様において、iRNA化合物は、細胞に送達された発現ベクターから産生される。
ある態様において、本発明のdsRNAは、少なくとも2つのヌクレオチド配列、センス配列および抗センス配列を含む。センス鎖は、付属表Aの表のいずれかに提供される配列の群から選択され、センス鎖の対応するアンチセンス鎖は、付属表Aの表のいずれかに提供される配列の群から選択される。
ある実施態様において、センス鎖は、付属表Aの表のいずれかに提供される配列の群から選択され、センス鎖の対応するアンチセンス鎖は、付属表Aの表のいずれかに提供される配列の群から選択される。この態様において、2配列の一方は、2配列の他方と相補性であり、配列の一方は、HBV遺伝子の発現により産生されるmRNAの配列と実質的に相補性である。従って、この態様において、dsRNAは、2つのオリゴヌクレオチドを含み、ここで、1つのオリゴヌクレオチドは、付属表Aの表のいずれかにセンス鎖として記載され、第二オリゴヌクレオチドは、付属表Aの表のいずれかにセンス鎖の対応するアンチセンス鎖として記載される。ある実施態様において、dsRNAの実質的に相補性の配列は、別々のオリゴヌクレオチドに含まれる。他の実施態様において、dsRNAの実質的に相補性の配列は、単一オリゴヌクレオチドに含まれる。
付属表Aの表の配列のいくつかは、修飾またはコンジュゲート配列として記載されるが、本発明のiRNA、例えば、本発明のdsRNAのRNAは、非修飾、非コンジュゲートまたはそこに記載されているのと異なって修飾またはコンジュゲートされている、付属表Aの表に示す配列のいずれかを含み得る。さらなる標的部位は、例えば、PCT公開WO2016/077321、WO2012/024170、WO2017/027350およびWO2013/003520;およびMichler, 2016に提供され、これらの各々の内容を全体として引用により本明細書に包含させる。
約20〜23塩基対、例えば、21塩基対の二本鎖構造を有するdsRNAが、RNA干渉誘発に特に効果的であるとして支持されていることは、当業者は十分に知っている(Elbashir et al., EMBO 2001, 20:6877-6888)。しかしながら、他者は、短いまたは長いRNA二本鎖構造も効果的であることを発見している(Chu and Rana (2007) RNA 14:1714-1719; Kim et al. (2005) Nat Biotech 23:222-226)。上記実施態様において、付属表Aの表のいずれかに提供されるオリゴヌクレオチド配列の性質により、ここに記載するdsRNAは、最小21ヌクレオチド長の少なくとも一つの鎖を含む。付属表Aの表のいずれかの配列の一つから一端または両端の数ヌクレオチドのみを減じた短い二本鎖が、上記dsRNAと同様に効果的であり得ることは、合理的に予測される。従って、付属表Aの表のいずれかの配列の一つに由来し、HBV遺伝子の発現を阻害する能力が、完全配列を含むdsRNAと5%、10%、15%、20%、25%または30%阻害まで異ならない少なくとも15、16、17、18、19、20またはそれ以上の連続ヌクレオチドを有するdsRNA。
ここに記載するiRNAは、例えば、HBV遺伝子型の配列多様性のため、標的配列または1以上のHBV標的配列に対する1以上のミスマッチを含み得る。ある実施態様において、ここに記載するiRNAは、3以下のミスマッチを含む。iRNAのアンチセンス鎖が標的配列に対するミスマッチを含むならば、ミスマッチ領域が相補性領域の中心に存在しないことが好ましい。iRNAのアンチセンス鎖が標的配列に対するミスマッチを含むならば、ミスマッチが相補性領域の5’または3’末端から最後の5ヌクレオチド以内に制限されるのが好ましい。例えば、23ヌクレオチドiRNA剤について、HBV遺伝子の領域に相補性である鎖は、一般に中心13ヌクレオチド内に何らミスマッチを含まない。ここに記載する方法または当分野で知られる方法を、標的配列に対するミスマッチを含むiRNAが、HBV遺伝子の発現阻害に効果的であるか否かの決定に使用できる。HBV遺伝子の発現阻害におけるミスマッチを有するiRNAの有効性の考察は、特にHBV遺伝子における特定の相補性領域が、種々の遺伝子型で多型配列変種を有することが知られているとき、重要である。
i. 本発明の方法で使用するための修飾iRNA
ある実施態様において、本発明で使用するiRNAのRNA、例えば、dsRNAは非修飾であり、例えば、発現ベクターから産生されたとき、例えば、当分野で知られ、ここに記載する化学修飾またはコンジュゲーションを含まない。他の実施態様において、本発明のiRNAのRNA、例えば、dsRNAは、安定性または他の有益な特徴を増強するために、化学修飾される。本発明のある実施態様において、本発明のiRNAのヌクレオチドの実質的に全ては修飾される。本発明の他の実施態様において、本発明のiRNAのヌクレオチドの全ては修飾される。「ヌクレオチドの実質的に全てが修飾される」本発明のiRNAは、大部分、しかし完全にではなく、修飾され、5、4、3、2または1を超えない非修飾ヌクレオチドを含み得る。
本発明で注目する核酸は、引用により本明細書に包含させる、“Current protocols in nucleic acid chemistry,” Beaucage, S.L. et al. (Edrs.), John Wiley & Sons, Inc., New York, NY, USAに記載のもののような、当分野で十分確立されている方法により合成または修飾され得る。修飾は、例えば、末端修飾、例えば、5’末端修飾(リン酸化、コンジュゲーション、逆位結合)または3’末端修飾(コンジュゲーション、DNAヌクレオチド、逆位結合など);塩基修飾、例えば、安定化塩基、不安定化塩基または拡大されたレパートリーのパートナーと塩基対形成する塩基での置換、塩基の除去(脱塩基ヌクレオチド)またはコンジュゲート塩基;糖修飾(例えば、2’位または4’位)または糖の置換;またはホスホジエステル結合の修飾または置換を含む主鎖修飾を含む。ここに記載する実施態様で有用なiRNA化合物の具体例は、修飾主鎖を含むまたは天然ヌクレオシド間結合を含まないRNAを含むが、これらに限定されない。修飾主鎖を有するRNAは、とりわけ、主鎖にリン原子を有しないものを含む。本明細書の目的でおよび当分野で時に言及されるとおり、ヌクレオシド間主鎖にリン原子を有しない修飾RNAも、オリゴヌクレオシドとして見なされ得る。ある実施態様において、修飾iRNAは、ヌクレオシド間主鎖にリン原子を有する。
修飾RNA主鎖は、例えば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチルおよび3’−アルキレンホスホネートおよびキラルホスホネートを含む他のアルキルホスホネート、ホスフィネート、3’−アミノホスホロアミド酸およびアミノアルキルホスホロアミド酸を含むホスホロアミド酸、チオノホスホロアミド酸、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステルおよび正常3’−5’結合を有するボラノホスフェート、その2’−5’結合アナログおよびヌクレオシド単位の隣接対が3’−5’から5’−3’または2’−5’から5’−2’に結合している逆位極性を有するものを含む。種々の塩、混合塩および遊離酸形態も包含される。
上記リン含有結合の製造を教示する代表的米国特許は、米国特許3,687,808;4,469,863;4,476,301;5,023,243;5,177,195;5,188,897;5,264,423;5,276,019;5,278,302;5,286,717;5,321,131;5,399,676;5,405,939;5,453,496;5,455,233;5,466,677;5,476,925;5,519,126;5,536,821;5,541,316;5,550,111;5,563,253;5,571,799;5,587,361;5,625,050;6,028,188;6,124,445;6,160,109;6,169,170;6,172,209;6、239,265;6,277,603;6,326,199;6,346,614;6,444,423;6,531,590;6,534,639;6,608,035;6,683,167;6,858,715;6,867,294;6,878,805;7,015,315;7,041,816;7,273,933;7,321,029;および米国特許RE39464を含むが、これらに限定されず、これら各々の内容を、全体として引用により本明細書に包含させる。
リン原子を中に含まない修飾RNA主鎖は、短鎖アルキルまたはシクロアルキルヌクレオシド間結合、混合ヘテロ原子およびアルキルまたはシクロアルキルヌクレオシド間結合または1以上の短鎖ヘテロ原子またはヘテロ環ヌクレオシド間結合により形成される、主鎖を含む。これらは、モルホリノ結合(一部ヌクレオシドの糖部分から形成);シロキサン主鎖;スルフィド、スルホキシドおよびスルホン主鎖;ホルムアセチルおよびチオホルムアセチル主鎖;メチレンホルムアセチルおよびチオホルムアセチル主鎖;アルケン含有主鎖;スルファメート主鎖;メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノ主鎖;スルホネートおよびスルホンアミド主鎖;アミド主鎖;および混合N、O、SおよびCH成分部分を含むその他を含む。
上記オリゴヌクレオシドの製造を教示する代表的米国特許は、米国特許5,034,506;5,166,315;5,185,444;5,214,134;5,216,141;5,235,033;5,64,562;5,264,564;5,405,938;5,434,257;5,466,677;5,470,967;5,489,677;5,541,307;5,561,225;5,596,086;5,602,240;5,608,046;5,610,289;5,618,704;5,623,070;5,663,312;5,633,360;5,677,437;および5,677,439を含むが、これらに限定されず、これら各々の内容を、全体として引用により本明細書に包含させる。
他の実施態様において、ヌクレオチド単位の糖およびヌクレオシド間結合両者、すなわち、主鎖が新しい基で置換される、適当なRNA模倣体がiRNAでの使用のために意図される。塩基単位は、適切な核酸標的化合物とのハイブリダイゼーションのために維持される。優れたハイブリダイゼーション性質を有することが示されているRNA模倣体である、一つのこのようなオリゴマー化合物は、ペプチド核酸(PNA)と称される。PNA化合物において、RNAの糖主鎖は、アミド含有主鎖、特にアミノエチルグリシン主鎖で置換される。核酸塩基は維持され、主鎖のアミド部分のアザ窒素原子に直接的または間接的に結合する。PNA化合物の製造を教示する代表的米国特許は、米国特許5,539,082;5,714,331;および5,719,262を含むが、これらに限定されず、これら各々の内容を、全体として引用により本明細書に包含させる。本発明のiRNAにおける使用に適するさらなるPNA化合物は、例えば、Nielsen et al., Science, 1991, 254, 1497-1500に記載される。
本発明で注目されるある実施態様は、ホスホロチオエート主鎖を有するオリゴヌクレオシド、特に上記米国特許5,489,677のヘテロ原子主鎖−CH−NH−CH−、−CH−N(CH)−O−CH−[メチレン(メチルイミノ)またはMMI主鎖として知られる]、−CH−O−N(CH)−CH−、−CH−N(CH)−N(CH)−CH−および−N(CH)−CH−CH−[ここで、天然ホスホジエステル主鎖は−O−P−O−CH−として表される]および上記米国特許5,602,240のアミド主鎖を有するRNAを含む。ある実施態様において、ここで注目するRNAは、上記米国特許5,034,506のモルホリノ主鎖構造を有する。
修飾RNAはまた1以上の置換糖部分を含み得る。ここで注目するiRNA、例えば、dsRNAは、2’位に次の一つを含み得る:OH;F;O−、S−またはN−アルキル;O−、S−またはN−アルケニル;O−、S−またはN−アルキニル;またはO−アルキル−O−アルキル(ここで、アルキル、アルケニルおよびアルキニルは、置換または非置換C〜C10アルキルまたはC〜C10アルケニルおよびアルキニルであり得る)。例示的な適当な修飾は、O[(CH)O]CH、O(CH).OCH、O(CH)NH、O(CH)CH、O(CH)ONHおよびO(CH)ON[(CH)CH)]を含み、ここで、nおよびmは1〜約10である。他の実施態様において、dsRNAは、2’位に次の一つを含む:C〜C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルカリール、アラルキル、O−アルカリールまたはO−アラルキル、SH、SCH、OCN、Cl、Br、CN、CF、OCF、SOCH、SOCH、ONO、NO、N、NH、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、インターカレーター、iRNAの薬物動態性質を改善する基またはiRNAの薬力学性質を改善する基および類似の性質を有する他の置換基。ある実施態様において、修飾は、2’メトキシエトキシ(2’−O−CHCHOCH、2’−O−(2−メトキシエチル)または2’−MOEとしても知られる)(Martin et al., Helv. Chim. Acta, 1995, 78:486-504)、すなわち、アルコキシ−アルコキシ基を含む。他の例示的修飾は、下記例に記載する2’−ジメチルアミノオキシエトキシ、すなわち、2’−DMAOEとしても既知の、O(CH)ON(CH)基および2’−ジメチルアミノエトキシエトキシ(当分野で2’−O−ジメチルアミノエトキシエチルまたは2’−DMAEOEとしても知られる)、すなわち、2’−O−CH−O−CH−N(CH)を含む。
他の修飾は、2’−メトキシ(2’−OCH)、2’−アミノプロポキシ(2’−OCHCHCHNH)および2’−フルオロ(2’−F)を含む。類似の修飾を、iRNAのRNAの他の位置、特に3’末端ヌクレオチドまたは2’−5’結合dsRNAの糖の3’位および5’末端ヌクレオチドの5’位にも行い得る。iRNAは、ペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル部分などの糖模倣体を有し得る。このような修飾糖構造の製造を教示する代表的米国特許は、米国特許4,981,957;5,118,800;5,319,080;5,359,044;5,393,878;5,446,137;5,466,786;5,514,785;5,519,134;5,567,811;5,576,427;5,591,722;5,597,909;5,610,300;5,627,053;5,639,873;5,646,265;5,658,873;5,670,633;および5,700,920を含むが、これらに限定されず、これらの一部は、本願と所有者が共通し、前記の各々の内容を、全体として引用により本明細書に包含させる。
iRNAのRNAはまた、核酸塩基(しばしば当分野では単に「塩基」と称される)修飾または置換を含む。ここで使用する「非修飾」または「天然」核酸塩基は、プリン塩基アデニン(A)およびグアニン(G)およびピリミジン塩基チミン(T)、シトシン(C)およびウラシル(U)を含む。修飾核酸塩基は、他の合成および天然核酸塩基、例えばデオキシ−チミン(dT)、5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、6−メチルおよびアデニンおよびグアニンの他のアルキル誘導体、2−プロピルおよびアデニンおよびグアニンの他のアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミンおよび2−チオシトシン、5−ハロウラシルおよびシトシン、5−プロピニルウラシルおよびシトシン、6−アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5−ウラシル(シュードウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシルおよび他の8−置換アデニンおよびグアニン、5−ハロ、特に5−ブロモ、5−トリフルオロメチルおよび他の5−置換ウラシルおよびシトシン、7−メチルグアニンおよび7−メチルアデニン、8−アザグアニンおよび8−アザアデニン、7−デアザグアニンおよび7−デアザアデニンおよび3−デアザグアニンおよび3−デアザアデニンを含む。さらに核酸塩基は、米国特許3,687,808に記載のもの、Modified Nucleosides in Biochemistry, Biotechnology and Medicine, Herdewijn, P. ed. Wiley-VCH, 2008に記載のもの;The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering, pages 858-859, Kroschwitz, J. L, ed. John Wiley & Sons, 1990に記載のもの、Englisch et al., Angewandte Chemie, International Edition, 1991, 30, 613に記載のものおよびSanghvi, Y S., Chapter 15, dsRNA Research and Applications, pages 289-302, Crooke, S. T. and Lebleu, B., Ed., CRC Press, 1993に記載のものを含む。これらの核酸塩基の一部は、本発明で注目されるオリゴマー化合物の結合親和性に特に有用である。これらは、5−置換ピリミジン、6−アザピリミジンおよびN−2、N−6および2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシルおよび5−プロピニルシトシンを含む0−6置換プリンを含む。5−メチルシトシン置換は、核酸二本鎖安定性を0.6〜1.2℃だけ上昇させることが示されており(Sanghvi, Y. S., Crooke, S. T. and Lebleu, B., Eds., dsRNA Research and Applications, CRC Press, Boca Raton, 1993, pp. 276-278)、特に2’−O−メトキシエチル糖修飾と組み合わさったとき、例示的塩基置換である。
上記修飾核酸塩基ならびに他の修飾核酸塩基の一部の製造を教示する代表的米国特許は、上記米国特許3,687,808、4,845,205;5,130,30;5,134,066;5,175,273;5,367,066;5,432,272;5,457,187;5,459,255;5,484,908;5,502,177;5,525,711;5,552,540;5,587,469;5,594,121、5,596,091;5,614,617;5,681,941;5,750,692;6,015,886;6,147,200;6,166,197;6,222,025;6,235,887;6,380,368;6,528,640;6,639,062;6,617,438;7,045,610;7,427,672;および7,495,088を含むが、これらに限定されず、これら各々の内容を、全体として引用により本明細書に包含させる。
iRNAのRNAは、1以上のロックド核酸(LNA)を含むように修飾されてもよい。ロックド核酸は、リボース部分が2’炭素と4’炭素を連結する余分の橋を含む修飾リボース部分を有する、ヌクレオチドである。この構造は、効果的に3’エンド配座構造のリボースを「ロック」する。siRNAへのロックド核酸の付加は、血清におけるsiRNA安定性を増強し、オフターゲット効果を低減することが示されている(Elmen, J. et al., (2005) Nucleic Acids Research 33(1):439-447; Mook, OR. et al., (2007) Mol Canc Ther 6(3):833-843; Grunweller, A. et al., (2003) Nucleic Acids Research 31(12):3185-3193)。
ある実施態様において、本発明のiRNAは、UNA(アンロックド核酸)ヌクレオチドである1以上の単量体を含む。UNAは、糖の結合のいずれかが除去されており、アンロックド「糖」残基を形成する、アンロックド非環式核酸である。一例において、UNAはまたC1’−C4’間の結合(すなわちC1’炭素とC4’炭素間の共有結合性炭素−酸素−炭素結合)が除去されている単量体も含む。他の例において、糖のC2’−C3’結合(すなわちC2’炭素とC3’炭素間の共有結合性炭素−炭素結合)が除去されている(引用により本明細書に包含させるNuc. Acids Symp. Series, 52, 133-134 (2008)およびFluiter et al., Mol. Biosyst., 2009, 10, 1039参照)。
iRNAのRNAはまた1以上の二環式糖部分を含むようにも修飾され得る。「二環式糖」は、2原子の架橋による、フラノシル環修飾である。「二環式ヌクレオシド」(「BNA」)は、糖環の2炭素原子を連結する橋を含み、それにより二環式環系を形成する、糖部分を有するヌクレオシドである。ある実施態様において、橋は、糖環の4’−炭素と2’−炭素を接続する。それ故に、ある実施態様において、本発明の薬剤は1以上のロックド核酸(LNA)を含み得る。ロックド核酸は、リボース部分が2’炭素と4’炭素を連結する余分の橋を含む修飾リボース部分を有する、ヌクレオチドである。換言すると、LNAは、4’−CH−O−2’橋を含む二環式糖部分を含むヌクレオチドである。この構造は、効果的に3’エンド配座構造のリボースを「ロック」する。siRNAへのロックド核酸の付加は、血清におけるsiRNA安定性を増強し、オフターゲット効果を低減することが示されている(Elmen, J. et al., (2005) Nucleic Acids Research 33(1):439-447; Mook, OR. et al., (2007) Mol Canc Ther 6(3):833-843; Grunweller, A. et al., (2003) Nucleic Acids Research 31(12):3185-3193)。本発明のポリヌクレオチドで使用するための二環式ヌクレオシドの例は、4’および2’リボシル環原子の間に橋を含むヌクレオシドを含むが、これに限定されない。ある実施態様において、本発明のアンチセンスポリヌクレオチド剤は、4’と2’の橋を含む、1以上の二環式ヌクレオシドを含む。このような4’と2’が架橋された二環式ヌクレオシドの例は、4’−(CH)−O−2’(LNA);4’−(CH)−S−2’;4’−(CH)−O−2’(ENA);4’−CH(CH)−O−2’(別名「拘束エチル」または「cEt」)および4’−CH(CHOCH)−O−2’(およびそのアナログ;、例えば、米国特許7,399,845参照);4’−C(CH)(CH)−O−2’(およびそのアナログ;例えば、米国特許8,278,283参照);4’−CH−N(OCH)−2’(およびそのアナログ;例えば、米国特許8,278,425参照);4’−CH−O−N(CH)−2’(例えば、US20040171570参照);4’−CH−N(R)−O−2’(ここで、RはH、C−C12アルキルまたは保護基である)(例えば、米国特許7,427,672参照);4’−CH−C(H)(CH)−2’(例えば、Chattopadhyaya et al., J. Org. Chem., 2009, 74, 118-134参照);および4’−CH−C(=CH)−2’(およびそのアナログ;、例えば、米国特許8,278,426参照)を含むが、これらに限定されない。前記の各々の内容を、全体として引用により本明細書に包含させる。
ロックド核酸ヌクレオチドの製造を教示するさらなる代表的米国特許および米国特許公開は、次のものを含むが、これらに限定されない:米国特許6,268,490;6,525,191;6,670,461;6,770,748;6,794,499;6,998,484;7,053,207;7,034,133;7,084,125;7,399,845;7,427,672;7,569,686;7,741,457;8,022,193;8,030,467;8,278,425;8,278,426;8,278,283;US20080039618;およびUS20090012281、これら各々の内容を、全体として引用により本明細書に包含させる。
例えばα−L−リボフラノースおよびβ−D−リボフラノースを含む、1以上の立体化学糖配置を有する前記二環式ヌクレオシドの何れも製造できる(WO99/14226参照)。
iRNAのRNAはまた、1以上の拘束エチルヌクレオチドを含むようにも修飾し得る。ここで使用する「拘束エチルヌクレオチド」または「cEt」は、4’−CH(CH)−O−2’橋を含む二環式糖部分を含む、ロックド核酸である。ある実施態様において、拘束エチルヌクレオチドは、ここで「S−cEt」と称する、S立体構造である。
本発明のiRNAはまた以上の「配座固定ヌクレオチド」(「CRN」)も含み得る。CRNは、リボースのC2’炭素とC4’炭素またはリボースのC3炭素とC5’炭素を連結するリンカーを有するヌクレオチドアナログである。CRNは、リボース環を安定な立体構造にロックし、mRNAに対するハイブリダイゼーション親和性を増加させる。リンカーは、少ないリボース環パッカリングとなるように、安定性および親和性のために最適位置に酸素を配置するのに十分な長さである。
上記CRNの製造を教示する代表的刊行物は、US20130190383およびWO2013036868を含むが、これらに限定されず、これら各々の内容を、全体として引用により本明細書に包含させる。
RNA分子の末端への安定化の可能性のある修飾は、N−(アセチルアミノカプロイル)−4−ヒドロキシプロリノール(Hyp−C6−NHAc)、N−(カプロイル−4−ヒドロキシプロリノール(Hyp−C6)、N−(アセチル−4−ヒドロキシプロリノール(Hyp−NHAc)、チミジン−2’−0−デオキシチミジン(エーテル)、N−(アミノカプロイル)−4−ヒドロキシプロリノール(Hyp−C6−アミノ)、2−ドコサノイル−ウリジン−3”−ホスフェート、逆位塩基dT(idT)およびその他を含み得る。この修飾の開示は、WO2011005861にみることができる。
本発明のiRNAのヌクレオチドの他の修飾は、5’ホスフェートまたは5’ホスフェート模倣体、例えば、RNAi剤のアンチセンス鎖における5’末端ホスフェートまたはホスフェート模倣体を含む。適当なホスフェート模倣体は、例えばUS20120157511に開示され、その内容を全体として引用により本明細書に包含させる。
ある特定の実施態様において、本発明の方法において使用するRNAi剤は、付属表Aの表の何れかに列記された薬剤の群から選択される薬剤である。これらの薬剤はさらにリガンドを含み得る。
ii. リガンドにコンジュゲートしたiRNA
本発明のiRNAのRNAの他の修飾は、iRNAの活性、細胞分布または細胞取り込みを増強する1以上のリガンド、部分またはコンジュゲートのRNAへの化学連結である。このような部分は、脂質部分、例えば、コレステロール部分(Letsinger et al., Proc. Natl. Acid. Sci. USA, 1989, 86: 6553-6556)、コール酸(Manoharan et al., Biorg. Med. Chem. Let., 1994, 4:1053-1060)、チオエーテル、例えば、ベリル−S−トリチルチオール(Manoharan et al., Ann. N.Y. Acad. Sci., 1992, 660:306-309; Manoharan et al., Biorg. Med. Chem. Let., 1993, 3:2765-2770)、チオコレステロール(Oberhauser et al., Nucl. Acids Res., 1992, 20:533-538)、脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオールまたはウンデシル残基(Saison-Behmoaras et al., EMBO J, 1991, 10:1111-1118; Kabanov et al., FEBS Lett., 1990, 259:327-330; Svinarchuk et al., Biochimie, 1993, 75:49-54)、リン脂質、例えば、ジ−ヘキサデシル−rac−グリセロールまたはトリエチル−アンモニウム1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−ホスホネート(Manoharan et al., Tetrahedron Lett., 1995, 36:3651-3654; Shea et al., Nucl. Acids Res., 1990, 18:3777-3783)、ポリアミンまたはaポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al., Nucleosides & Nucleotides, 1995, 14:969-973)またはアダマンタン酢酸(Manoharan et al., Tetrahedron Lett., 1995, 36:3651-3654)、パルミチル部分(Mishra et al., Biochim. Biophys. Acta, 1995, 1264:229-237)またはオクタデシルアミンまたはヘキシルアミノ−カルボニルオキシコレステロール部分(Crooke et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 1996, 277:923-937)を含むが、これらに限定されない。
ある実施態様において、リガンドは、取り込まれているiRNA剤の分布、ターゲティングまたは寿命を変える。好ましい実施態様において、リガンドは、例えば、該リガンドがない種と比較して、選択標的、例えば、分子、細胞または細胞型、区画、例えば、体内の細胞もしくは臓器区画、組織、臓器または領域への親和性増強を提供する。好ましいリガンドは、二本鎖核酸の二本鎖対形成に参加しない。
リガンドは、タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)、低密度リポタンパク質(LDL)またはグロブリン);炭水化物(例えば、デキストラン、プルラン、キチン、キトサン、イヌリン、シクロデキストリン、N−アセチルガラクトサミンまたはヒアルロン酸);または脂質などの天然に存在する物質を含み得る。リガンドはまた、合成ポリマー、例えば、合成ポリアミノ酸などの組み換えまたは合成分子であり得る。ポリアミノ酸の例は、ポリリシン(PLL)、ポリLアスパラギン酸、ポリL−グルタミン酸、スチレン−マレイン酸無水物コポリマー、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)コポリマー、ジビニルエーテル−マレイン無水物コポリマー、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミドコポリマー(HMPA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン、ポリ(2−エチルアクリル酸)、N−イソプロピルアクリルアミドポリマーまたはポリホスファジンなどのポリアミノ酸を含む。ポリアミンの例は、ポリエチレンイミン、ポリリシン(PLL)、スペルミン、スペルミジン、ポリアミン、シュードペプチド−ポリアミン、ペプチド模倣ポリアミン、デンドリマーポリアミン、アルギニン、アミジン、プロタミン、カチオン性脂質、カチオン性ポルフィリン、ポリアミンの4級塩またはアルファヘリカルペプチドを含む。
リガンドはまた、腎細胞などの特定の細胞型に結合する、ターゲティング基、例えば、細胞または組織ターゲティング剤、例えば、レクチン、糖タンパク質、脂質またはタンパク質、例えば、抗体も含み得る。ターゲティング基はまた、甲状腺刺激ホルモン、メラニン細胞刺激ホルモン、レクチン、糖タンパク質、界面活性剤タンパク質A、ムチン炭水化物、多価ラクトース、単価または多価ガラクトース、N−アセチル−ガラクトサミン、N−アセチル−グルコサミン多価マンノース、多価フコース、グリコシル化ポリアミノ酸、トランスフェリン、ビスホスホネート、ポリグルタメート、ポリアスパルテート、脂質、コレステロール、ステロイド、胆汁酸、葉酸、ビタミンB12、ビタミンA、ビオチンまたはRGDペプチドまたはRGDペプチド模倣体でもあり得る。ある実施態様において、リガンドは単価または多価ガラクトースを含む。ある実施態様において、リガンドはコレステロールを含む。
リガンドの他の例は、色素、挿入剤(例えばアクリジン)、架橋剤(例えばソラレン、マイトマイシンC)、ポルフィリン(TPPC4、テキサフィリン、サフィリン)、多環式芳香族炭化水素(例えば、フェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ(例えばEDTA)、親油性分子、例えば、コレステロール、コール酸、アダマンタン酢酸、1−ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3−ビス−O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メントール、1,3−プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3−(オレオイル)リトコール酸、O3−(オレオイル)コレン酸、ジメトキシトリチルまたはフェノキサジン)およびペプチドコンジュゲート(例えば、アンテナペディペプチド、Tatペプチド)、アルキル化剤、ホスフェート、アミノ、メルカプト、PEG(例えば、PEG−40K)、MPEG、[MPEG]、ポリアミノ、アルキル、置換アルキル、放射標識マーカー、酵素、ハプテン(例えばビオチン)、輸送/吸収促進剤(例えば、アスピリン、ビタミンE、葉酸)、合成リボヌクレアーゼ(例えば、イミダゾール、ビスイミダゾール、ヒスタミン、イミダゾールクラスター、アクリジン−イミダゾールコンジュゲート、テトラアザマクロ環のEu3+錯体)、ジニトロフェニル、HRPまたはAPを含む。
リガンドは、例えば、肝細胞などの特定の細胞型に結合する、タンパク質、例えば、糖タンパク質またはペプチド、例えば、共リガンドに特定の親和性を有する分子または抗体、抗体であり得る。リガンドはまた、ホルモンおよびホルモン受容体を含み得る。それらはまた、脂質、レクチン、炭水化物、ビタミン、補因子、多価ラクトース、単価または多価ガラクトース、N−アセチル−ガラクトサミン、N−アセチル−グルコサミン多価マンノースまたは多価フコースなどの非ペプチド種も含み得る。リガンドは、例えば、リポ多糖、p38 MAPキナーゼのアクティベーターまたはNF−κBのアクティベーターであり得る。
リガンドは、例えば、細胞の微小管、微小線維または中間径フィラメントの破壊による、例えば、細胞の細胞骨格の破壊により、iRNA剤の細胞への取り込みを増加できる物質、例えば、薬物であり得る。薬物は、例えば、タクソン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、サイトカラシン、ノコダゾール、ジャスプラキノリド、ラトランクリンA、ファロイジン、スウィンホリドA、インダノシンまたはミオセルビンであり得る。
ある実施態様において、ここに記載するiRNAに結合するリガンドは、薬物動態モジュレーター(PKモジュレーター)として働く。PKモジュレーターは、脂溶性物、胆汁酸、ステロイド、リン脂質アナログ、ペプチド、タンパク質結合剤、PEG、ビタミンなどを含む。例示的PKモジュレーターは、コレステロール、脂肪酸、コール酸、リトコール酸、ジアルキルグリセリド、ジアシルグリセリド、リン脂質、スフィンゴ脂質、ナプロキセン、イブプロフェン、ビタミンE、ビオチンなどを含むが、これらに限定されない。多数のホスホロチオエート結合を含むオリゴヌクレオチドも血清タンパク質に結合することが知られ、故に、主鎖に複数のホスホロチオエート結合を含む短オリゴヌクレオチド、例えば、約5塩基、10塩基、15塩基または20塩基のオリゴヌクレオチドも、リガンドとして本発明に受け入れられる(例えばPK調節リガンドとして)。さらに、血清成分(例えば血清タンパク質)に結合するアプタマーも、ここに記載する実施態様においてPK調節リガンドとして使用するのに適する。
本発明のリガンド−コンジュゲートオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドへの連結分子の結合に由来するもののような、ペンダント反応性官能基を担持するオリゴヌクレオチドの使用により合成され得る(下記)。この反応性オリゴヌクレオチドは、直接市販のリガンド、多様な保護基のいずれかを担持する合成されたリガンドまたは結合する連結部分を有するリガンドと反応させ得る。
本発明のコンジュゲートで使用するオリゴヌクレオチドは、固相合成の周知技法により、好都合にかつ日常的に製造され得る。このような合成用装置は、例えば、Applied Biosystems(Foster City, Calif.)を含むいくつかのベンダーから販売されている。当分野で知られる該合成の任意の他の手段は、これに加えてまたはこれに代えて用いられ得る。ホスホロチオエートおよびアルキル化誘導体などの他のオリゴヌクレオチドを製造する類似技法の使用も知られる。
本発明のリガンド−コンジュゲートオリゴヌクレオチドおよび配列特異的な連結オリゴヌクレオチドを担持するリガンド−分子において、オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオシドを、標準的ヌクレオチドまたはヌクレオシド前駆体または、連結部分をすでに担持するヌクレオチドまたはヌクレオシドコンジュゲート前駆体、リガンド分子をすでに担持するリガンド−ヌクレオチドまたはヌクレオシド−コンジュゲート前駆体または非ヌクレオシドリガンド担持構成要素を利用して、適当なDNA合成装置で組み立て得る。
連結部分をすでに担持するヌクレオチド−コンジュゲート前駆体を使用するとき、配列特異的な連結ヌクレオシドの合成を、一般に完了し、次いでリガンド分子を連結部分と反応させて、リガンド−コンジュゲートオリゴヌクレオチドを形成する。ある実施態様において、本発明のオリゴヌクレオチドまたは連結ヌクレオシドを、市販され、オリゴヌクレオチド合成に一般に使用される標準的ホスホラミダイトおよび非標準的ホスホラミダイトに加えて、リガンド−ヌクレオシドコンジュゲート由来のホスホラミダイトを使用して自動化合成装置により合成する。
1. 脂質コンジュゲート
ある実施態様において、リガンドまたはコンジュゲートは脂質または脂質ベースの分子である。このような脂質または脂質ベースの分子は、好ましくは血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)を結合する。HSA結合リガンドは、体内の標的組織、例えば、非腎臓標的組織へのコンジュゲートの分布を可能とする。例えば、標的組織は、肝臓の実質細胞を含む、肝臓であり得る。HSAと結合できる他の分子もリガンドとして使用し得る。例えば、ナプロキセンまたはアスピリンが使用され得る。脂質または脂質ベースのリガンドは、(a)コンジュゲートの分解に対する抵抗性を増加させる、(b)標的細胞または細胞膜へのターゲティングまたは輸送を増加させるまたは(c)血清タンパク質、例えば、HSAへの結合の調節に使用し得ることができる。
脂質ベースのリガンドは、コンジュゲートの標的組織への結合阻害、例えば、制御に使用し得る。例えば、HSAへの結合が強いほど、脂質または脂質ベースのリガンドは、腎臓を標的化する可能性が低く、それ故に体内から除去される可能性が低い。脂質または脂質ベースのリガンドは、HSAへの結合が弱いほど、コンジュゲートを腎臓に向けるのに使用し得る。
好ましい実施態様において、脂質ベースのリガンドはHSAに結合する。好ましくは、コンジュゲートが好ましくは非腎臓組織に分布されるように、十分な親和性でHSAと結合する。しかしながら、親和性が、HSA−リガンド結合が可逆性であり得ないほど強くないのが好ましい。
他の好ましい実施態様において、脂質ベースのリガンドは、コンジュゲートが好ましくは腎臓に分布しないように、HSAに弱く結合するかまたは全く結合しない。腎細胞を標的とする他の部分をまた、脂質ベースのリガンドの代わりにまたはそれに加えて使用し得る。
他の態様において、リガンドは、標的細胞、例えば、増殖性細胞により取り込まれる、部分、例えば、ビタミンである。例えば、悪性または非悪性型の望まれない細胞増殖により特徴づけられる障害、例えば、癌細胞の処置に特に有用である。例示的ビタミンはビタミンA、EおよびKを含む。他の例示的ビタミンは、ビタミンB、例えば、葉酸、B12、リボフラビン、ビオチン、ピリドキサールまたは肝細胞などの標的細胞により取り込まれる他のビタミンもしくは栄養素を含む。また包含されるのは、HSAおよび低密度リポタンパク質(LDL)である。
2. 細胞透過剤
他の態様において、リガンドは、細胞透過剤、好ましくはヘリカル細胞透過剤である。好ましくは、薬剤は両親媒性である。例示的薬剤は、tatまたはアンティナペディアなどのペプチドである。薬剤がペプチドであるならば、それは、ペプチジル模倣体、逆転異性体、非ペプチドまたはシュード−ペプチド結合およびD−アミノ酸の使用を含み、修飾され得る。ヘリカル薬剤は、好ましくは親油性および疎油性相を有する、好ましくはアルファ−ヘリカル剤である。
リガンドは、ペプチドまたはペプチド模倣体であり得る。ペプチド模倣体(ここでは、オリゴペプチド模倣体とも称する)は、天然ペプチドに類似する規定三次元構造に折りたたまれ得る、分子である。iRNA剤へのペプチドおよびペプチド模倣体の結合は、細胞認識および吸収増強によるなど、iRNAの薬物動態分布に影響し得る。ペプチドまたはペプチド模倣体部分は、約5〜50アミノ酸長、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45または50アミノ酸長であり得る。
ペプチドまたはペプチド模倣体は、例えば、細胞浸透ペプチド、カチオン性ペプチド、両親媒性ペプチドまたは疎水性ペプチド(例えば、主にTyr、TrpまたはPheからなる)であり得る。ペプチド部分は、デンドリマーペプチド、拘束ペプチドまたは架橋ペプチドであり得る。他の例において、ペプチド部分は、疎水性膜移行配列(MTS)を含み得る。例示的疎水性MTS含有ペプチドは、アミノ酸配列AAVALLPAVLLALLAP(配列番号33)を有するRFGFである。疎水性MTSを含むRFGFアナログ(例えば、アミノ酸配列AALLPVLLAAP(配列番号34))も、ターゲティング部分であり得る。ペプチド部分は、細胞膜を超えるペプチド、オリゴヌクレオチドおよびタンパク質を含む、大極性分子を担持し得る「送達」ペプチドであり得る。例えば、HIV Tatタンパク質(GRKKRRQRRRPPQ(配列番号35)およびショウジョウバエアンテナペディタンパク質(RQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号36)からの配列が、送達ペプチドとして機能し得ることが判明している。ペプチドまたはペプチド模倣体は、ファージディスプレーライブラリーまたはone-bead-one-compound(OBOC)組み合わせライブラリーから同定されたペプチドなど、DNAの無作為配列によりコード化され得る(Lam et al., Nature, 354:82-84, 1991)。細胞ターゲティング目的のために取り込まれた単量体単位を経てdsRNA剤に繋がれたペプチドまたはペプチド模倣体は、アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)−ペプチドまたはRGD模倣体である。ペプチド部分は、約5アミノ酸〜約40アミノ酸の範囲の長さでり得る。ペプチド部分は、安定性増加または立体構造性質指向のために構造的修飾を有し得る。下記構造的修飾の何れも利用し得る。
本発明の組成物および方法で使用し得るRGDペプチドは、直線状または環状であってよく、特定の組織へのターゲティングを促進するために、修飾、例えば、グリコシル化またはメチル化されていてよい。RGD含有ペプチドおよびペプチド模倣体は、D−アミノ酸ならびに合成RGD模倣体を含み得る。RGDに加えて、インテグリンリガンドを標的とする他の部分を使用し得る。このリガンドの好ましいコンジュゲートは、PECAM−1またはVEGFを標的とする。
「細胞浸透ペプチド」は、細胞、例えば、細菌または真菌細胞などの微生物細胞またはヒト細胞などの哺乳動物細胞を透過できる。微生物細胞透過ペプチドは、例えば、α−ヘリカル直線状ペプチド(例えば、LL−37またはCeropin P1)、ジスルフィド結合含有ペプチド(例えば、α−デフェンシン、β−デフェンシンまたはバクテネシン)または1個または2個の支配アミノ酸のみを含むペプチド(例えば、PR−39またはインドリシジン)であり得る。A細胞浸透ペプチドはまた、核局在化シグナル(NLS)を含み得る。例えば、細胞浸透ペプチドは、HIV−1 gp41の融合ペプチドドメインおよびSV40大T抗原のNLS由来のMPGなどの二連両親媒性ペプチドであり得る(Simeoni et al., Nucl. Acids Res. 31:2717-2724, 2003)。
3. 炭水化物コンジュゲート
本発明の組成物および方法のある実施態様において、iRNAオリゴヌクレオチドは、さらに炭水化物を含む。炭水化物コンジュゲートiRNAは、ここに記載する、インビボ治療使用に適する核酸および組成物のインビボ送達に有利である。ここで使用する「炭水化物」は、少なくとも6炭素原子(直線状、分岐または環状であり得る)と各炭素原子に結合した酸素、窒素または硫黄原子の1以上の単糖単位からなる炭水化物自体である化合物;または一部として少なくとも6炭素原子(直線状、分岐または環状であり得る)と各炭素原子に結合した酸素、窒素または硫黄原子の1以上の単糖単位からなる炭水化物部分を有する、化合物をいう。代表的炭水化物は、糖(単、二、三および約4、5、6、7、8または9単糖単位を含むオリゴ糖)ならびにデンプン、グリコーゲン、セルロースおよび多糖ガムなどの多糖を含む。特定の単糖は、C5以上(例えば、C5、C6、C7またはC8)の糖を含む;二および三糖は、2または3単糖単位(例えば、C5、C6、C7またはC8)を有する糖を含む。
ある実施態様において、本発明の組成物および方法において使用する炭水化物コンジュゲートは単糖である。他の実施態様において、本発明の組成物および方法において使用する炭水化物コンジュゲートは、次のものからなる群から選択される。
ある実施態様において、単糖は、
などのN−アセチルガラクトサミンである。
ここに記載する実施態様で使用するための他の代表的炭水化物コンジュゲートは、XまたはYの一方がオリゴヌクレオチドならば、他方は水素であるときの
を含むが、これにら限定されない。
本発明のある実施態様において、GalNAcまたはGalNAc誘導体は、単価リンカーを経て本発明のiRNA剤に結合する。ある実施態様において、GalNAcまたはGalNAc誘導体は、二価リンカーを経て本発明のiRNA剤に結合する。本発明のさらに他の実施態様において、GalNAcまたはGalNAc誘導体は、三価リンカーを経て本発明のiRNA剤に結合する。
ある実施態様において、本発明の二本鎖RNAi剤は、iRNA剤に結合した1個のGalNAcまたはGalNAc誘導体を含む。他の実施態様において、本発明の二本鎖RNAi剤は、複数(例えば、2、3、4、5または6)のGalNAcまたはGalNAc誘導体を含み、各々独立して二本鎖RNAi剤の複数のヌクレオチドに、複数の単価リンカーを経て結合する。
ある実施態様において、例えば、本発明のiRNA剤の2つの鎖が、複数の不対ヌクレオチドを含むヘアピンループを形成する一方の鎖の3’末端と各他方の鎖の5’末端の間の中断されていないヌクレオチドの鎖により接続される一つの大型分子の一部であるとき、ヘアピンループ内の各不対ヌクレオチドは、独立して単価リンカーを経て結合するGalNAcまたはGalNAc誘導体を含み得る。ヘアピンループは、二本鎖の一方の鎖における伸長オーバーハングによっても形成され得る。
ある実施態様において、炭水化物コンジュゲートは、さらに、PKモジュレーターまたは細胞浸透ペプチドなどの、しかし、これに限定されない、上記の1以上の付加的リガンドを含み得る。
本発明での使用に適するさらなる炭水化物コンジュゲートは、WO2014179620およびWO2014179627に記載のものを含み、これら各々の内容全体を引用により本明細書に包含する。
4. リンカー
ある実施態様において、ここに記載するコンジュゲートまたはリガンドは、切断可能または非切断可能であり得る種々のリンカーにより、iRNAオリゴヌクレオチドに結合され得る。
用語「リンカー」または「連結基」は、化合物の二つの部分を接続する、例えば、化合物の二つの部分を共有結合する、有機部分を意味する。リンカーは、一般に直接結合または酸素または硫黄などの原子、NR8、C(O)、C(O)NH、SO、SO、SONHなどの単位または、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルケニル、アルキルアリールアルキニル、アルケニルアリールアルキル、アルケニルアリールアルケニル、アルケニルアリールアルキニル、アルキニルアリールアルキル、アルキニルアリールアルケニル、アルキニルアリールアルキニル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルケニル、アルキルヘテロアリールアルキニル、アルケニルヘテロアリールアルキル、アルケニルヘテロアリールアルケニル、アルケニルヘテロアリールアルキニル、アルキニルヘテロアリールアルキル、アルキニルヘテロアリールアルケニル、アルキニルヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロシクリルアルキル、アルキルヘテロシクリルアルケニル、アルキルヘテロシクリルアルキニル、アルケニルヘテロシクリルアルキル、アルケニルヘテロシクリルアルケニル、アルケニルヘテロシクリルアルキニル、アルキニルヘテロシクリルアルキル、アルキニルヘテロシクリルアルケニル、アルキニルヘテロシクリルアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、アルキニルアリール、アルキルヘテロアリール、アルケニルヘテロアリール、アルキニルヘテロアリール(1以上のメチレンがO、S、S(O)、SO、N(R8)、C(O)、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換ヘテロ環式で中断または停止していてよく、ここで、R8は水素、アシル、脂肪族または置換脂肪族である)を含むが、これらに限定されない原子鎖を含む。ある実施態様において、リンカーは、約1〜24原子、2〜24、3〜24、4〜24、5〜24、6〜24、6〜18、7〜18、8〜18原子、7〜17、8〜17、6〜16、7〜16または8〜16原子である。
切断可能連結基は、細胞外で十分に安定であるが、標的細胞に侵入したら、リンカーが共に保持している2部分を放出するように切断するものである。好ましい実施態様において、切断可能連結基は、標的細胞でまたは第一引用条件下(これは、例えば、細胞内状態を模倣または代表するよう選択され得る)で、対象の血液または第二引用条件下(これは、例えば、血液または血清で見られる状態を模倣または代表するよう選択され得る)より少なくとも約10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍またはそれ以上または少なくとも約100倍速く切断される。
切断可能連結基は、切断因子、例えば、pH、酸化還元電位または分解分子の存在に感受性である。一般に、切断因子は、血清または血液中より細胞内で優勢であるかまたは高いレベルまたは活性である。このような分解因子の例は、例えば、酸化的または還元的酵素または、細胞に存在する、酸化還元切断可能連結基を還元により分解できる、メルカプタンなどの還元剤;エステラーゼ;エンドソームまたは酸性環境を作り得る薬剤、例えば、5以下のpHをもたらすもの;酸一般、ペプチダーゼ(基質特異的であり得る)およびホスファターゼとして作用することにより、酸切断可能連結基を加水分解または分解できる酵素を含む、特定の基質に選択的なまたは基質選択性がない酸化還元剤を含む。
ジスルフィド結合などの切断可能結合基はpHに感受性であり得る。ヒト血清のpHは7.4であり、一方平均細胞内pHは、約7.1〜7.3とわずかに低い。エンドソームは、より酸性のpHであり、5.5〜6.0範囲であり、リソソームは、約5.0のさらに酸性pHを有する。あるリンカーは、好ましいpHで切断される切断可能連結基を有し、それによりカチオン性脂質をリガンドから細胞または細胞の所望の区画内に放出する。
リンカーは、特定の酵素により切断可能な切断可能連結基を含み得る。リンカーに取り込まれる切断可能連結基のタイプは、標的とされる細胞による。例えば、肝臓ターゲティングリガンドは、エステル基を含むリンカーを経てカチオン性脂質に結合し得る。肝細胞はエステラーゼに富み、それ故にリンカーは、エステラーゼリッチではない細胞型より肝細胞で効率的に切断される。エステラーゼに富む他の細胞型は、肺、腎臓皮質および精巣の細胞を含む。
ペプチド結合を含むリンカーを、ターゲティング細胞型が、肝細胞および滑膜細胞などペプチダーゼに富むとき、使用し得る。
一般に、候補切断可能連結基の適性は、分解剤(または条件)が候補連結基を切断する能力の試験により評価し得る。候補切断可能連結基を、血液中でまたは他の非標的組織と接触したとき、切断に抵抗する能力について試験するのも望ましいことがある。それ故に、第一条件と第二条件の間(ここで、第一は、標的細胞における切断を示すように選択され、第二は他の組織または生物学的液体、例えば、血液または血清における切断を示すように選択される)の切断の相対的感受性を決定し得る。評価は、無細胞系、細胞、細胞培養、臓器または組織培養または動物全体で実施し得る。無細胞または培養条件下で初期評価を行い、さらに動物全体で評価して確認することが有用であり得る。好ましい実施態様において、有用な候補化合物は、血液または血清(または細胞外条件を模倣するよう選択されたインビトロ条件下)と比較して、細胞(または細胞内条件を模倣するよう選択されたインビトロ条件下)で少なくとも約2倍、4倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍または約100倍速く開裂される。
a. 酸化還元切断可能連結基
ある実施態様において、切断可能連結基は、酸化または還元により切断される、酸化還元切断可能連結基である。還元的に切断可能連結基の例は、ジスルフィド連結基(−S−S−)である。切断可能連結基の候補が適当な「還元的切断可能連結基」であるかまたは例えば特定のiRNA部分および特定のターゲティング剤での使用に適するかを決定するために、ここに記載する方法を実施し得る。例えば、候補を、細胞、例えば、標的細胞で観察される切断速度を模倣する、当分野で知られる反応材を使用して、ジチオトレイトール(DTT)または他の還元剤とインキュベーションして評価し得る。候補をまた、血液または血清条件を模倣するよう選択された条件でも評価し得る。一つの態様では、候補化合物は、血液で最大約10%切断される。他の実施態様において、有用な候補化合物は、血液(または細胞外条件を模倣するよう選択されたインビトロ条件下)と比較して、細胞(または細胞内条件を模倣するよう選択されたインビトロ条件下)で少なくとも約2倍、4倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍または約100倍速く切断される。候補化合物の切断速度は、細胞内媒体を模倣するよう選択した条件下で、標準的酵素反応速度論アッセイを使用し、細胞外媒体を模倣するよう選択した条件と比較して決定し得る。
b. ホスフェートベースの切断可能連結基
他の実施態様において、切断可能リンカーは、ホスフェートベースの切断可能連結基を含む。ホスフェートベースの切断可能連結基は、ホスフェート基を分解または加水分解する薬剤により切断される。細胞内のホスフェート基を切断する薬剤の例は、細胞内のホスファターゼなどの酵素である。ホスフェートベースの連結基の例は、−O−P(O)(ORk)−O−、−O−P(S)(ORk)−O−、−O−P(S)(SRk)−O−、−S−P(O)(ORk)−O−、−O−P(O)(ORk)−S−、−S−P(O)(ORk)−S−、−O−P(S)(ORk)−S−、−S−P(S)(ORk)−O−、−O−P(O)(Rk)−O−、−O−P(S)(Rk)−O−、−S−P(O)(Rk)−O−、−S−P(S)(Rk)−O−、−S−P(O)(Rk)−S−、−O−P(S)(Rk)−S−である。好ましい実施態様は、−O−P(O)(OH)−O−、−O−P(S)(OH)−O−、−O−P(S)(SH)−O−、−S−P(O)(OH)−O−、−O−P(O)(OH)−S−、−S−P(O)(OH)−S−、−O−P(S)(OH)−S−、−S−P(S)(OH)−O−、−O−P(O)(H)−O−、−O−P(S)(H)−O−、−S−P(O)(H)−O、−S−P(S)(H)−O−、−S−P(O)(H)−S−、−O−P(S)(H)−S−である。好ましい実施態様は、−O−P(O)(OH)−O−である。これらの候補は、上記に準ずる方法を使用して、評価され得る。
c. 酸切断可能連結基
他の実施態様において、切断可能リンカーは、酸切断可能連結基を含む。酸切断可能連結基は、酸性条件下で切断される、連結基である。好ましい実施態様において酸切断可能連結基は、約6.5以下(例えば、約6.0、5.75、5.5、5.25、5.0以下)のpHの酸性環境でまたは一般的な酸として作用し得る酵素などの薬剤により、切断される。細胞で、エンドソームおよびリソソームなどの特定の低pH小器官が、酸切断可能連結基のための切断環境を提供する。酸切断可能連結基の例は、アミノ酸のヒドラゾン、エステルおよびエステルを含むが、これらに限定されない。酸切断可能群は、一般式−C=NN−、C(O)Oまたは−OC(O)を有し得る。好ましい実施態様は、エステル(アルコキシ基)の酸素に結合した炭素がアリール基、置換アルキル基またはジメチルペンチルもしくはt−ブチルなどの三級アルキル基であるときである。これらの候補は、上記に準ずる方法を使用して、評価され得る。
d. エステルベースの連結基
他の実施態様において、切断可能リンカーは、エステルベースの切断可能連結基を含む。エステルベースの切断可能連結基は、細胞のエステラーゼおよびアミダーゼなどの酵素により切断される。エステルベースの切断可能連結基の例は、アルキレン基、アルケニレン基およびアルキニレン基のエステルを含むが、これらに限定されない。エステル切断可能連結基は、一般式−C(O)O−または−OC(O)−を有する。これらの候補は、上記に準ずる方法を使用して、評価され得る。
e. ペプチドベースの切断基
さらに他の実施態様において、切断可能リンカーは、ペプチドベースの切断可能連結基を含む。ペプチドベースの切断可能連結基は、細胞のペプチダーゼおよびプロテアーゼなどの酵素により切断される。ペプチドベースの切断可能連結基は、オリゴペプチド(例えば、ジペプチド、トリペプチドなど)およびポリペプチドを産生するように、アミノ酸間に形成されたペプチド結合である。ペプチドベースの切断可能群は、アミド基(−C(O)NH−)を含まない。アミド基は、任意のアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン間で形成され得る。ペプチド結合は、ペプチドおよびタンパク質を産生するように、アミノ酸間で形成された特別なタイプのアミド結合である。ペプチドベースの切断基は、一般にペプチドおよびタンパク質を産生するアミノ酸間で形成されたペプチド結合(すなわち、アミド結合)に限定され、アミド官能基全体を含まない。ペプチドベースの切断可能連結基は、一般式−NHCHRAC(O)NHCHRBC(O)−を有し、ここで、RAおよびRBは、2つの隣接アミノ酸のR基である。これらの候補は、上記に準ずる方法を使用して、評価され得る。
ある実施態様において、本発明のiRNAは、リンカーを経て炭水化物にコンジュゲートする。本発明の組成物および方法のリンカーとコンジュゲートしたiRNA炭水化物の非限定的例は、XまたはYの一方がオリゴヌクレオチドであり、他方が水素であるときの、次のものを含むが、これらに限定されない。
本発明の組成物および方法のある実施態様において、リガンドは、二価または三価分岐リンカーを介して結合した1以上の「GalNAc」(N−アセチルガラクトサミン)誘導体を含む。
ある実施態様において、本発明のdsRNAは、式(XXXII)〜(XXXV)のいずれかに示す構造の基から選択される二価または三価分岐リンカーにコンジュゲートする。
〔式中、
q2A、q2B、q3A、q3B、q4A、q4B、q5A、q5Bおよびq5Cは、各場合独立して、0〜20を表し、ここで、反復単位は同一でも異なってもよく;
2A、P2B、P3A、P3B、P4A、P4B、P5A、P5B、P5C、T2A、T2B、T3A、T3B、T4A、T4B、T4A、T5B、T5Cは、各場合独立して、非存在、CO、NH、O、S、OC(O)、NHC(O)、CH、CHNHまたはCHOであり;
2A、Q2B、Q3A、Q3B、Q4A、Q4B、Q5A、Q5B、Q5Cは、各場合独立して、非存在、アルキレン、置換アルキレンであり、ここで、1以上のメチレンは、O、S、S(O)、SO、N(R)、C(R’)=C(R’’)、C≡CまたはC(O)の1以上で中断または終了してよく;
2A、R2B、R3A、R3B、R4A、R4B、R5A、R5B、R5Cは、各場合独立して、非存在、NH、O、S、CH、C(O)O、C(O)NH、NHCH(R)C(O)、−C(O)−CH(R)−NH−、CO、CH=N−O、
またはヘテロシクリルであり;
2A、L2B、L3A、L3B、L4A、L4B、L5A、L5BおよびL5Cはリガンドを表し;すなわち、各場合、各々独立して、単糖(例えばGalNAc)、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖または多糖であり;そしてRはHまたはアミノ酸側鎖である。〕
三価コンジュゲートGalNAc誘導体は、標的遺伝子の発現阻害のためのRNAi剤で使用するのに特に有用であり、例えば、式(XXXV)
〔式中、L5A、L5BおよびL5CはGalNAc誘導体などの単糖を表す。〕
である。
適当な二価および三価分岐リンカー群コンジュゲートGalNAc誘導体の適当な例は、式II、VII、XI、XおよびXIIIとして上記の構造を含むが、これらに限定されない。
RNAコンジュゲートの製造を教示する代表的米国特許は、米国特許4,828,979;4,948,882;5,218,105;5,525,465;5,541,313;5,545,730;5,552,538;5,578,717、5,580,731;5,591,584;5,109,124;5,118,802;5,138,045;5,414,077;5,486,603;5,512,439;5,578,718;5,608,046;4,587,044;4,605,735;4,667,025;4,762,779;4,789,737;4,824,941;4,835,263;4,876,335;4,904,582;4,958,013;5,082,830;5,112,963;5,214,136;5,082,830;5,112,963;5,214,136;5,245,022;5,254,469;5,258,506;5,262,536;5,272,250;5,292,873;5,317,098;5,371,241、5,391,723;5,416,203、5,451,463;5,510,475;5,512,667;5,514,785;5,565,552;5,567,810;5,574,142;5,585,481;5,587,371;5,595,726;5,597,696;5,599,923;5,599,928および5,688,941;6,294,664;6,320,017;6,576,752;6,783,931;6,900,297;7,037,646;8,106,022を含むが、これらに限定されず、これら各々の内容を、全体として引用により本明細書に包含させる。
ある化合物の全位置が均一に修飾される必要はなく、実際1を超える前記修飾を、iRNA内の単一化合物または単一ヌクレオシドに取り込み得る。本発明はまた、キメラ化合物であるiRNA化合物も含む。
本発明の状況における「キメラ」iRNA化合物または「キメラ」は、各々少なくとも一つの単量体単位、すなわち、dsRNA化合物の場合はヌクレオチドからなる、2以上の化学的に異なる領域を含む、iRNA化合物、好ましくはdsRNAである。これらのiRNAは、一般にiRNAにヌクレアーゼ分解に対する抵抗性増加、細胞取り込み増加または標的核酸に対する結合親和性増加を付与するように、RNAが修飾されている、少なくとも一つの領域を含む。iRNAのさらなる領域は、RNA:DNAまたはRNA:RNAハイブリッドの切断ができる酵素の基質として役立ち得る。例として、RNase Hは、RNA:DNA二本鎖のRNA鎖を切断する細胞エンドヌクレアーゼである。それ故に、RNase Hの活性化は、RNA標的の切断をもたらし、それにより遺伝子発現のiRNA阻害の効率を大きく増強する。結果として、同じ標的領域にハイブリダイズするホスホロチオエートデオキシdsRNAと比較して、キメラdsRNAを使用したとき、短いiRNAで同等な結果がしばしば得られ得る。RNA標的の切断は、ゲル電気泳動および、必要であれば、当分野で知られる関連核酸ハイブリダイゼーション技法により日常的に検出できる。
ある場合、iRNAのRNAは、非リガンド基で修飾され得る。多数の非リガンド分子が、iRNAの活性、細胞分布または細胞取り込みを増強するためにiRNAにコンジュゲートされており、このようなコンジュゲーションを実施する方法は、科学文献から入手可能である。このような非リガンド部分は、脂質部分、例えばコレステロール(Kubo, T. et al., Biochem. Biophys. Res. Comm., 2007, 365(1):54-61; Letsinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1989, 86:6553)、コール酸(Manoharan et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 1994, 4:1053)、チオエーテル、例えば、ヘキシル−S−トリチルチオール(Manoharan et al., Ann. N.Y. Acad. Sci., 1992, 660:306; Manoharan et al., Bioorg. Med. Chem. Let., 1993, 3:2765)、チオコレステロール(Oberhauser et al., Nucl. Acids Res., 1992, 20:533)、脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオールまたはウンデシル残基(Saison-Behmoaras et al., EMBO J., 1991, 10:111; Kabanov et al., FEBS Lett., 1990, 259:327; Svinarchuk et al., Biochimie, 1993, 75:49)、リン脂質、例えば、ジ−ヘキサデシル−rac−グリセロールまたはトリエチルアンモニウム1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−H−ホスホネート(Manoharan et al., Tetrahedron Lett., 1995, 36:3651; Shea et al., Nucl. Acids Res., 1990, 18:3777)、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al., Nucleosides & Nucleotides, 1995, 14:969)またはアダマンタン酢酸(Manoharan et al., Tetrahedron Lett., 1995, 36:3651)、パルミチル部分(Mishra et al., Biochim. Biophys. Acta, 1995, 1264:229)またはオクタデシルアミンまたはヘキシルアミノ−カルボニル−オキシコレステロール部分(Crooke et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 1996, 277:923)を含む。このようなRNAコンジュゲートを教示する代表的米国特許は、上に記載する。典型的コンジュゲーションプロトコールは、配列の一か所以上にアミノリンカーを担持するRNAの合成を含む。次いで、アミノ基を、適切なカップリングまたは活性化剤を使用して、コンジュゲートする分子と反応させる。コンジュゲーション反応は、固体支持体になお結合しているRNAで、またはRNAの切断後溶液相で実施し得る。HPLCによるRNAコンジュゲートの精製は、一般に純粋コンジュゲートを提供する。
iii. 本発明のiRNAの送達
本発明のiRNAの細胞、例えば、HBVに感染したヒト対象などの対象内の細胞への送達は、多数の種々の方法により達成され得る。送達は、iRNA、例えば、dsRNAを含む組成物の対象への投与により、直接的にも実施され得る。あるいは、インビボ送達を、iRNAをコードし、発現を指示する1以上のベクターの投与により、間接的にも実施し得る。これらの選択肢を、さらに下に記載する。
一般に、核酸分子(インビトロまたはインビボ)を送達するあらゆる方法を、本発明のiRNAでの使用のために適応し得る(例えば、引用により全体として本明細書に包含させるAkhtar S. and Julian RL. (1992) Trends Cell. Biol. 2(5):139-144およびWO9402595参照)。インビボ送達について、iRNA分子の送達のために考慮すべき因子は、例えば、送達分子の生物学的安定性、不特定の効果の予防および標的組織への送達分子の蓄積である。疾患処置のためのiRNAの全身投与するためには、RNAを修飾するか、または薬物送達系を使用して送達される;両方法は、インビボでのエンドおよびエキソヌクレアーゼによるdsRNAの速やかな分解を阻止する。RNAの修飾または医薬担体の使用も、標的組織へのiRNA組成物のターゲティングを可能とし、望ましくないオフターゲット効果を回避し得る。iRNA分子を、細胞取り込みを増強し、分解を阻止するために、コレステロールなどの親油性基への化学コンジュゲーションにより修飾し得る。別の実施態様において、iRNAを、ナノ粒子、デンドリマー、ポリマー、リポソームまたはカチオン性送達系などの薬物送達系を使用して送達し得る。正荷電カチオン性送達系は、iRNA分子(負荷電)の結合を促進し、負に荷電した細胞膜での相互作用を増強して、細胞によるiRNAの効率的取り込みを可能とする。カチオン性脂質、デンドリマーまたはポリマーはiRNAに結合するかまたは小胞もしくはミセルの形成を誘発することができる(例えば、Kim SH., et al (2008) Journal of Controlled Release 129(2):107-116参照)。小胞またはミセルの形成は、全身投与されたとき、iRNAの分解をさらに阻止する。カチオン性iRNA複合体の製造および投与の方法は、十分に当業者の能力の範囲内である(例えば、引用により全体として本明細書に包含させる、Sorensen, DR., et al (2003) J. Mol. Biol 327:761-766; Verma, UN., et al (2003) Clin. Cancer Res. 9:1291-1300; Arnold, AS et al (2007) J. Hypertens. 25:197-205参照)。iRNAの全身送達に有用な薬物送達系のいくつかの非限定的例は、DOTAP(Sorensen, DR., et al (2003), supra; Verma, UN., et al (2003), supra)、オリゴフェクタミン、「固体核酸脂質粒子」(Zimmermann, TS., et al (2006) Nature 441:111-114)、カルジオリピン(Chien, PY., et al (2005) Cancer Gene Ther. 12:321-328; Pal, A., et al (2005) Int J. Oncol. 26:1087-1091)、ポリエチレンイミン(Bonnet ME., et al (2008) Pharm. Res. Aug 16 Epub ahead of print; Aigner, A. (2006) J. Biomed. Biotechnol. 71659)、Arg−Gly−Asp(RGD)ペプチド(Liu, S. (2006) Mol. Pharm. 3:472-487)およびポリアミドアミン(Tomalia, DA., et al (2007) Biochem. Soc. Trans. 35:61-67; Yoo, H., et al (1999) Pharm. Res. 16:1799-1804)を含む。ある実施態様において、iRNAは、全身投与のためにシクロデキストリンと複合体を形成する。iRNAおよびシクロデキストリンの投与方法および医薬組成物は、引用により全体として本明細書に包含させる、米国特許7,427,605にみることができる。ある実施態様において、iRNA剤を、pH依存性エンドソーム脱出を促進するために、両親媒性ペプチドと投与し得る(例えば、引用により本明細書に包含させる、Bartz et al., 2011. Biochem. J. 435:475-87参照)。
1. 本発明で使用するためのベクターコード化iRNA
HBV遺伝子を標的とするiRNAを、DNAまたはRNAベクターに挿入した転写単位から発現させ得る(例えば、Couture, A, et al., TIG. (1996), 12:5-10; Skillern, A., et al.、WO00/22113、WO00/22114および米国特許6,054,299参照)。HBVを標的とするshRNAの発現のための例示的発現ベクターはMichler et al., 2016に提供され、これは、(i)肝臓特異的プロモーター下に人工マイ(クロ)RNA内に包埋されたshRNA;(ii)過剰RNAiトリガーでの飽和が毒性となり得る律速細胞因子である共発現アルゴノート−2;または(iii)オフターゲット遺伝子制御を抑えるためのshRNセンス鎖に対する共送達デコイ(「TuD」)を含む、送達のためのアデノ随伴ウイルス(AAV)8ベクターを開示する。細胞培養試験で使用されたshRNA shHBV4〜7を発現するプラスミドは、Grimm et al, 2006(Nature 441: 537 - 541)により先に報告された、H1プロモーター、続くオリゴヌクレオチド挿入のための2つのBbsI部位およびRSVプロモーターを含む、自己相補性AAVベクタープラスミドへの各shRNAコード化オリゴヌクレオチドの直接挿入によりクローン化された。このような構築物も、発現ベクターのために適切にサイズ調製されるならば、ワクチン抗原の発現にも使用し得る。
発現は、使用する特定の構築物および標的組織または細胞型により、一過性(数日〜数週間)または持続性(数週間から数か月またはそれ以上)であり得る。これらの導入遺伝子は、直線状構築物、環状プラスミドまたは、統合もしくは非統合ベクターであり得るウイルスベクターとして導入できる。導入遺伝子はまた、染色体外プラスミドとして遺伝性であることを可能にするようにも、構築され得る(Gassmann, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1995) 92:1292)。
iRNAの個々の鎖または複数の鎖は、発現ベクターでプロモーターから転写される。2つの別々の鎖が、例えば、dsRNAの産生のために、発現されるとき、2つの別々の発現ベクターは、標的細胞に共導入され得る(例えば、トランスフェクションまたは感染による)。あるいは、dsRNAの各個々の鎖を、両者が同じ発現プラスミドに位置する、プロモーターにより転写させ得る。ある実施態様において、dsRNAは、dsRNAが幹およびループ構造を有するように、リンカーポリヌクレオチド配列により連結された、逆方向反復ポリヌクレオチドとして発現させ得る。
iRNA発現ベクターは、一般にDNAプラスミドまたはウイルスベクターである。真核生物細胞と、好ましくは脊椎動物細胞と適合性の発現ベクターを使用して、ここに記載するiRNAの発現のための組み換え構築物を産生できる。真核生物細胞発現ベクターは、当分野で周知であり、多数の商業的供給源から入手可能である。一般に、このようなベクターは、所望の核酸セグメントの挿入のための簡便な制限部位を含んで提供される。iRNA発現ベクターの送達は、皮下、静脈内または筋肉内投与によるなど全身性であり得る。このようなベクターはまた、核酸ベースのワクチンからのウイルス抗原発現にも使用し得る。
ここに開示する方法および組成物で利用され得るウイルスベクター系は、(a)アデノウイルスベクター;(b)レンチウイルスベクター、モロニーマウス白血病ウイルスなどを含むがこれに限定されないレトロウイルスベクター;(c)アデノ随伴ウイルスベクター;(d)単純ヘルペスウイルスベクター;(e)SV 40ベクター;(f)ポリオーマウイルスベクター;(g)乳頭腫ウイルスベクター;(h)ピコルナウイルスベクター;(i)オルソポックス、例えば、改変ワクシニアウイルスAnkaraベクターを含むワクシニアウイルスベクターまたはトリポックス、例えばカナリアポックスまたは鶏痘などのポックスウイルスベクター;および(j)ヘルパー依存性またはガットレスアデノウイルスを含むが、これらに限定されない。複製欠損ウイルスもまた有利であり得る。異なるベクターは、細胞のゲノムに取り込まれるようになるか、または取り込まれない。構築物は、所望により、トランスフェクションのためのウイルス配列を含み得る。あるいは、構築物を、エピソーム複製が可能なベクター、例えばEPVおよびEBVベクターに取り込み得る。iRNAまたはHBV抗原の組み換え発現のための構築物は、一般に、標的細胞でのiRNAの発現を確実にするために、制御要素、例えば、プロモーター、エンハンサーなどを必要とする。ベクターおよび構築物について考慮される他の態様を、さらに下に記載する。
このような構築物およびベクターは、発現ベクターのために適切にサイズ調製されるならば、ワクチン抗原の発現にも使用し得る。このような制限は、当業者には十分理解される。
B. 本発明の方法で使用するための治療HBVワクチン
本発明のレジメンおよび方法で使用する治療HBVワクチンは、1以上のHBVタンパク質に対して、免疫応答、好ましくはエフェクターT細胞誘発応答を誘発する、ペプチドワクチン、ベクターベースのワクチンを含むDNAワクチンまたは細胞ベースのワクチンである。好ましくは、ワクチンは、複数のHBV血清型、好ましくは全HBV血清型と交差反応する多エピトープワクチンである。
治療ワクチンは、既に確立された病原体感染を認識し、制御または排除するように患者の免疫系を活性化するために設計される。これは、侵入病原体の迅速な抗体介在中和を促進するように設計される、予防ワクチン接種と異なる。肝炎、ヘルペスまたは乳頭腫ウイルスなどの持続性ウイルスの制御および排除は、多特異的および多機能的エフェクターT細胞応答を必要とする。これらのT細胞応答は、理想的には連続して発現されるウイルス抗原に指向し、病原体を抑制し続ける。治療ワクチンは、多数の慢性感染について開発中である。B型肝炎ウイルス感染は、慢性B型肝炎の自然免疫介在回復およびウイルスの排除が、ごく稀に観察されているため、治療ワクチン接種による処置の候補である。
強固なT細胞応答が、HBV治癒の達成に必要であると考えられる。HBV特異的CD4+およびCD8+T細胞応答は、HBV感染が回復した患者で容易に検出可能であるが、HBV特異的T細胞は稀であり、慢性B型肝炎ではおそらく大量の循環ウイルスHBeAgおよびHBsAgにより、機能的に損傷されている。T細胞は、細胞毒性活性によりHBV感染細胞を排除するが、非細胞溶解性様式でHBV遺伝子の発現および複製も制御する。
慢性B型肝炎の免疫寛容を克服する目的で、エフェクターT細胞応答を誘発するためのDNAもしくはペプチドワクチンまたはベクターもしくは細胞ベースのワクチンを使用する、前臨床モデルで、種々のアプローチが試験されている。十分に異なるHBV遺伝子型および最も頻繁なHLA型をカバーする多エピトープ治療ワクチン候補が開発されている。適切なペプチド提示は示されているが、免疫原性は限定的であり、この経過は臨床では反映されなかった。非包括的一覧を下の表に示す。
既存の予防ワクチンは、慢性感染患者のHBV特異的免疫を回復するために提供されているが、機能的治癒の提供には失敗している。これらのウイルス成分粒子ベースのワクチンは、慢性ヘパドナウイルス感染の動物モデルでHBV複製を減少できたが、慢性B型肝炎の患者では成功していない。ミョウバンをアジュバントとする、抗原−抗体(HBsAg−HBIG)免疫原性複合体治療ワクチン候補は、最初は、二重盲験式、ブラセボ対照、フェーズIIb臨床試験で有望な結果を示したが、450名の患者を含むフェーズIII臨床試験は期待外れであった。これは、ミョウバンベースのアジュバントを用いるウイルス成分粒子ワクチンが予防ワクチンとして設計され、優先的に抗体を誘発するが、治療有効性に必要である細胞毒性T細胞応答は誘発しないとの事実による可能性が高い。
あるいは、HBVエンベロープタンパク質をコードするDNAワクチンは、HBV特異的T細胞を誘発するよう設計されたが、成功は限定的であった。DNAベースのワクチンが抗体応答をほとんど誘発しないため、HBeAgまたはHBsAgセロコンバージョンの達成に失敗する。HBVエンベロープタンパク質をコードするHBVpreS/S領域を包含する、別のDNAプライム、ポックスウイルス−ブーストワクチンはチンパンジーで有望な結果を示したが、また臨床フェーズIIa治験で失敗し、慢性HBV保菌者で持続性T細胞応答もウイルス血症減少も誘発しなかった。T細胞補助または十分広い、多特異的免疫応答の誘発に失敗している可能性がある。
当分野で知られるあらゆるワクチンが、ここに提供する方法およびレジメンに使用され得る。好ましい実施態様は、実施例に提供され、かつPCT公開WO2017/121791(その内容を全体として引用により本明細書に包含させる)に提供される、2回投与するタンパク質抗原および1回投与する核酸ワクチンのプライム−ブーストワクチン接種スキームを含む。上記のとおり、ワクチンにおけるタンパク質抗原の配列および核酸ベースのワクチンによりコード化されるアミノ酸配列は必ずしも同一ではない。それらは、これらワクチンの連続的投与が所望のプライム−ブースト効果を有するように、単に少なくとも一つのエピトープ、好ましくは複数エピトープを共有しなければならない。さらに、ここに記載するとおり、好ましい実施態様において、ここに提供する処置レジメンは、複数の、全てではないにしても、HBV血清型にわたり効果的な処置レジメンを提供する。それ故に、対象に送達される抗原は、対象に感染しているHBVウイルスにより発現される抗原と同一の抗原配列を有さなくてよい。
決定基として知られる、HBV抗原のある部分が、HBVへの感染の最初の免疫応答の間に産生される抗体の主標的であることは知られる。例えば、HBsAgは、226アミノ酸遺伝子(配列番号8または22)の主要親水性領域(MHR、アミノ酸100〜169)内のアミノ酸124〜147に位置する「1個の」決定基エピトープを有する。この「1個の」決定基は、急性B型肝炎の最初の免疫応答の間の抗HBs抗体の主標的の一つである。ある実施態様において、HBsAgの免疫原性フラグメントは、完全長タンパク質と比較して小さなエンベロープタンパク質(配列番号23)のアミノ酸位置に対応する、少なくともアミノ酸99〜168を含む(例えば、Lada et al., J. Virol.(2006) 80:2968-2975参照;この内容を全体として引用により本明細書に包含させる)。
同様に、決定基は、HBcAgで同定されている(例えば、Salfeld et al., J. Virol. (1989) 63:798-808参照; この内容を全体として引用により本明細書に包含させる)。完全長コアタンパク質は、183アミノ酸長であり、集合ドメイン(アミノ酸1〜149)および核酸結合ドメイン(アミノ酸150〜183)からなる。3つの異なる主要決定基が特徴づけられている。集合コア(HBc)および直線状HBe関連決定基(HBel)のHBc抗原性を担う単一立体構造決定基は、いずれもアミノ酸80付近の重複親水性配列にマッピングされた;第二HBe決定基(HBe2)は、アミノ酸138の近傍の位置に割り当てられたが、その抗原性のために、アミノ酸10〜140の伸張配列の分子内関与が必要であることが判明した。一般に、このような免疫原性フラグメントは、完全長コアタンパク質と比較して、配列番号24に示す配列位置に対応して、少なくともアミノ酸18〜143を含む。類似配列が配列番号10で同定され得る。
好ましい実施態様において、ワクチンは、HBsAgまたはHBcAgの少なくとも一つの決定基を含むアミノ酸配列を含むかまたはアミノ酸配列をコードする。特に、ある実施態様において、HBsAgを標的とするワクチンは、少なくともHBsAgのアミノ酸127〜147のアミノ酸配列を含み、例えば、小エンベロープタンパク質(配列番号23)のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸99〜168を含む。ある実施態様において、親水性配列を標的とするワクチンは、少なくともHBcAgのアミノ酸80付近またはアミノ酸80またはアミノ酸138を含む配列番号43の少なくともアミノ酸138付近のアミノ酸配列、例えば、少なくとも40アミノ酸部分、少なくとも50アミノ酸部分、少なくとも60アミノ酸部分、少なくとも70アミノ酸部分、少なくとも80アミノ酸部分、少なくとも90アミノ酸部分または少なくとも100アミノ酸部分またはそのコード配列を含む。好ましい実施態様において、HBcAgを標的とする抗原の抗原アミノ配列は、配列番号24のアミノ酸80または138に対して少なくとも20アミノ酸N末端およびC末端を含む。ある実施態様において、HBcAgを標的とするワクチンは、少なくともHBsAgのアミノ酸10〜140または18〜143のアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、ワクチンは、配列番号22、23または24の何れか1以上のアミノ酸配列全体を含むかまたはアミノ酸配列全体をコードする。
異なるアミノ酸配列をコードする、異なる核酸配列を有するHBVの複数血清型があることは理解される。それ故に、タンパク質ベースのワクチンのアミノ酸配列または核酸ベースのワクチンによりコード化されるアミノ酸配列は、配列番号で提供される配列と100%同一ではないかもしれない。本発明のある実施態様において、タンパク質ベースのワクチンのアミノ酸配列または核酸ベースのワクチンによりコード化されるアミノ酸配列は、配列番号22、23または24の一部と少なくとも90%同一、少なくとも91%同一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一または少なくとも98%同一である。さらなる例示的HBsAgおよびHBcAgアミノ酸配列は、配列表に提供される。上記配列におけるHBsAgおよびHBcAg決定基に対応する適切な配列を同定するためのアラインメント方法は当分野で知られる。
ワクチンは、好ましくはMVAウイルスを、10〜10組織培養感染量(TCID)50/mlの濃度範囲、好ましくは10〜5×10 TCID50/mlの濃度範囲、より好ましくは10〜10 TCID50/mlの濃度範囲、最も好ましくは10〜10 TCID50/mlの濃度範囲で含む。
ヒトのための好ましいワクチン接種用量は10〜10 TCID50を含み、最も好ましくは10 TCID50または10 TCID50または10 TCID50の用量である。
本発明の好ましい方法は、タンパク質ベースのワクチンおよび核酸ベースのワクチン両者の投与を含む。しかしながら、他の方法は、タンパク質抗原のみの投与を含む。あまり好ましくない実施態様は、抗原コード化核酸のみの投与を含む。
i. アジュバント
ここで使用する「アジュバント」は、は、長期保護免疫を誘発するために共に投与される、抗原に対する免疫応答を促進(例えば、増強、加速または延長)する薬剤と理解される。実質的な免疫応答は、アジュバント自体には指向されない。アジュバントは、病原体成分、粒子アジュバントおよび組み合わせアジュバント(www.niaid.nih.gov/research/vaccine-adjuvants-types参照)を含むが、これらに限定されない。病原体成分(例えば、モノホスホリルリピドA(MPL)、ポリ(I:C)、CpG DNA、エマルジョン、例えばポリ[ジ(ナトリウムカルボキシレートエチルフェノキシ)ホスファゼン](PCEP))は、自然免疫細胞内または表面上の種々の受容体を標的とすることにより、ワクチンに対する早期非特異的または自然免疫応答の誘発を助け得る。自然免疫系は、適応免疫応答に影響し、これはワクチンが標的とする病原体に対する長期持続性保護を提供する。粒子アジュバント(例えば、ミョウバン、ビロソーム、サイトカイン、例えば、IL−12)は、免疫系を刺激でき、また免疫細胞への抗原送達を増強し得る、極めて小さな粒子を形成する。組み合わせアジュバント(例えば、AS02、AS03およびAS04(GSK);MF59(Novartis);およびIC31(登録商標)(Altimmune)は、複数の保護的免疫応答を誘発する。単独で使用したとき中程度の効果を有するアジュバントは、に使用したとき、より強力な免疫応答を誘発し得る。ある実施態様において、好ましいアジュバントは、c−ジ−AMP、c−ジ−GMP、c−ジ−CMP、ポリICLC、CpG、ISCOMATRIX(登録商標)、AS02、AS03、AS04またはRIG−Iリガンド、例えば、5’ 3P−RNAを含む。ある実施態様において、HBV抗原を発現する核酸を伴うまたは伴わないウイルスカプシドをアジュバントとして使用し得る。例えば、MVA−のみまたはDNAプライム、MVAブーストまたはアデノウイルスベクタープライム−MVAブーストなどのT細胞を優先的に刺激するワクチンを、本発明の方法で使用し得る。
本発明の好ましい実施態様において、本発明で使用するアジュバントは、上記のとおり液性および細胞免疫応答を促進する。ある実施態様において、アジュバントは、バランスのとれたTh1/Th2応答を提供する。
ii. 非アジュバント免疫刺激剤および付加的薬剤
本発明の方法は、さらにHBV処置または免疫応答刺激に使用される付加的薬剤の投与を含む。このような薬剤は、免疫刺激剤(例えば、ペグ化インターフェロンアルファ2a(PEG−IFN−α2a)、インターフェロンアルファ−2b、組み換えヒトインターロイキン−7およびトール様受容体3、7、8または9(TLR3、TLR7、TLR8またはTLR9)アゴニスト)、ウイルス侵入阻害剤(例えば、Myrcludex)、HBsAgの分泌または放出を阻害するオリゴヌクレオチド(例えば、REP 9AC)、カプシド阻害剤(例えば、Bay41−4109およびNVR−1221)、cccDNA阻害剤(例えば、IHVR−25)、Rig−I−リガンド、STINGアゴニスト、HBVに対する抗体ベースの免疫療法(HBVに対する単、二または三特異的抗体)または免疫チェックポイント制御因子を含み得る。このような薬剤は当分野で知られる。
C. 本発明の方法で使用するためのヌクレオチドおよびヌクレオシドアナログ
ヌクレオチドおよびヌクレオシドアナログは、一般に安全かつ安価と考えられるため、HBV感染の標準治療として考えられる。しかしながら、ヌクレオチドおよびヌクレオシドアナログはHBV感染を治癒できず、耐性の発生を引き起こし得て、無期限に服用する必要がある。ヌクレオチドアナログおよびヌクレオシドアナログは、テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(TDF)、テノホビルアラフェナミド、ラミブジン、アデホビルジピボキシル、エンテカビル(ETV)、テルビブジン、AGX−1009、エムトリシタビン、クレブジン、リトナビル、ジピボキシル、ロブカビル、ファムビル、FTC、N−アセチル−システイン(NAC)、PC1323、セラダイム−HBV、チモシン−アルファ、ガンシクロビル、ベシフォビル(ANA−380/LB−80380)およびテノホビル−Exalidex(TXL/CMX157)を含むが、これらに限定されない。ある実施態様において、ヌクレオチ(シ)ドアナログは、エンテカビル(ETV)またはテノフォビルまたはその誘導体である。ある実施態様において、ヌクレオチ(シ)ドアナログはラミブジンではない。ヌクレオチ(シ)ドアナログは、多数の供給源から商業的に入手可能であり、ラベルの指示(例えば、一般に特定用量で経口投与)に従いまたはHBV処置において技術を有する実施者により決定されたとおりここに提供する方法で使用される。
III. HBVを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド
本発明は、少なくとも一つのHBV転写物および好ましくは3または4HBV転写物の切断を促進する、iRNAの使用を含む。アンチセンスオリゴヌクレオチドを、ここに提供する本発明の方法で、少なくとも一つのHBV転写物、好ましくは3または4HBV転写物の切断を促進するように、同様に使用され得る。HBVを標的とする例示的アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、米国特許公開2013/0035366、2012/0207709および2004/0127446に提供され、これら各々の内容を、全体として引用により本明細書に包含させる。
上に提供するsiRNAの送達のためのコンジュゲート、リンカーおよび製剤を、アンチセンスオリゴヌクレオチド治療剤の製剤および対象への送達に使用し得ることは、当業者に理解される。
IV. 本発明の医薬組成物
本発明はまた本発明で使用するための、iRNAまたはワクチンを含む医薬組成物および製剤も含む。承認された治療剤は、製剤され、その添付文書に示される経路により投与されることは理解される。
ある実施態様において、ここに提供されるのは、ここに記載するiRNAまたはワクチンおよび薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物である。iRNAまたはワクチンを含む医薬組成物は、HBV感染を有する対象の処置に有用である。このような医薬組成物は、例えば、皮下(SC)、筋肉内(IM)または静脈内(IV)送達による、非経腸送達による、例えば、全身投与のための、送達方式に基づき、製剤される。
本発明で使用する医薬RNAi組成物を、少なくとも一つのHBV転写物のレベルを顕著に減少させるのに十分な投与量で投与する。一般に、本発明のiRNAの適当な用量は、1日あたり約0.001〜約200.0ミリグラム/レシピエントのキログラム体重の範囲、一般に約1〜50mg/キログラム体重/日の範囲である。一般に、本発明のiRNAの適当な用量は、約0.1mg/kg〜約5.0mg/kg、好ましくは約0.3mg/kgおよび約3.0mg/kgの範囲である。反復投与レジメンは、定期的な、例えば、隔週または年1回の治療量のiRNAの投与を含む。ある実施態様において、iRNAを、約月1回から約四半期に1回(すなわち、約3か月に1回)投与する。好ましい実施態様において、RNAi剤は皮下投与される。
ワクチンの製剤および投与は、投与するワクチンの性質による。タンパク質プライム−発現ベクターブーストワクチン接種戦略で、タンパク質ベースのプライミングワクチンを約2週間、3週間または4週間離れて投与し、第二のタンパク質ベースのワクチン用量を投与後、約2週間、3週間または4週間後発現ベクターワクチンブーストを投与する。ある実施態様において、タンパク質ベースのワクチンの第一および第二用量の間に、約2週間ある。ある実施態様において、第二用量のタンパク質ベースのワクチンとDNA発現ベクターワクチンブーストの間に約2週間ある。ある実施態様において、プライムおよびブーストワクチン接種は、筋肉内、皮内または皮下から独立して選択される経路により投与される。
本発明で使用する医薬核酸ベースのワクチンを、プライム剤またはブースト剤として、免疫応答の促進に十分な用量で投与し得る。投与する核酸ベースのワクチンの量は、例えば、ワクチンのデザインによる。ここに提供するレジメンが既存の核酸ベースのワクチンの使用を含み得るため、治療有効性および安全性に基づく適切な投与量は、使用する特定の薬剤に基づかなければならない。
本発明で使用するための医薬タンパク質ベースのワクチンは、プライム剤またはブースト剤として、免疫応答の促進に十分な投与量で投与し得る。投与するタンパク質ベースのワクチンの量は、例えば、使用するアジュバントによる。タンパク質ベースのワクチンは、例えば、約5〜100mg/kg/用量、約10〜50mg/kg/用量または約20〜40mg/kg/用量で投与し得る。ここに提供するレジメンが既存のタンパク質ベースのワクチンの使用を含み得るため、治療有効性および安全性に基づく適切な投与量に関する知識は、使用する特定の薬剤に基づくべきである。
初期処置レジメン後、処置剤を、低頻度ベースで投与し得る。好ましい実施態様において、ここに提供する処置レジメンおよび方法は、レジメン完了後または診断基準が機能的治癒、例えば、好ましくは、ここに提供する方法での検出レベル未満までのHBsAgレベル減少およびHBsAgに対する検出可能な免疫応答を示した後、処置中止を可能とする、機能的治癒をもたらす。
当業者は、ある因子が、疾患または障害の重症度、先の処置、対象の一般的健康状態または年齢および存在する他の疾患を含むが、これらに限定されない、対象の効果的処置に必要な投与量およびタイミングに影響し得ることを認識する。さらに、治療有効量の組成物での対象の処置は、単一処置または一連の処置を含み得る。本発明方法およびレジメンで使用する個々の治療剤の効果的投与量およびインビボ半減期の推定は、本明細書の他の箇所に記載され、当分野で知られる、慣用法を使用してまたは適切な動物モデルを使用するインビボ試験に基づき、行い得る。
A. 膜性分子集合体を含むiRNA製剤
本発明の組成物および方法で使用するためのiRNAは、膜性分子集合体、例えば、リポソームまたはミセルでの送達のために製剤し得る。ここで使用する用語「リポソーム」は、少なくとも一つの二重層、例えば、1個の二重層または複数の二重層に配置された両親媒性脂質からなる小胞をいう。リポソームは、親油性物質および水性内部から形成された膜を有する、単層および多層小胞を含む。水性部分はiRNA組成物を含む。親油性物質は、水性内部を、一般にiRNA組成物を含まないが、いくつかの例では含んでもよい水性外面から分離する。リポソームは、活性成分の作用部位への移送および送達に有用である。リポソーム膜が生物学的膜と構造的に類似しているため、リポソームを組織に適用したとき、リポソーム二重層は、細胞膜の二重層と融合する。リポソームと細胞の混合が進むにつれて、iRNAを含む、内部水性内容物は、細胞に送達され、そこで、iRNAは標的RNAと特異的に結合でき、iRNAに介在できる。ある場合、リポソームはまた例えば、特定の細胞型にiRNAを指向させるようにも特に標的化される。
iRNA剤を含むリポソームは、多様な方法で製造し得る。一例において、リポソームの脂質成分を、脂質成分とミセルが形成されるように、界面活性剤に溶解する。例えば、脂質成分は、両親媒性カチオン性脂質または脂質コンジュゲートであり得る。界面活性剤は、高臨界ミセル濃度を有することができ、非イオン性であり得る。例示的界面活性剤は、コール酸、CHAPS、オクチルグルコシド、デオキシコール酸およびラウロイルザルコシンを含む。次いで、iRNA剤製剤を、脂質成分を含むミセルに加える。脂質のカチオン性基がiRNA剤と相互作用し、iRNA剤周囲に凝縮して、リポソームを形成する。凝集後、界面活性剤を、例えば、透析により除去して、iRNA剤のリポソーム製剤を得る。
必要であれば、凝集を助ける担体化合物を凝集反応中に、例えば、制御された添加により、加え得る。例えば、担体化合物は、核酸以外のポリマー(例えば、スペルミンまたはスペルミジン)。pHも凝集を支持するよう調節できる。
送達媒体の構造的成分としてポリヌクレオチド/カチオン性脂質複合体を取り込む安定なポリヌクレオチド送達媒体を製造する方法は、例えば、WO9637194にさらに記載され、その内容を全体として引用により本明細書に包含させる。リポソーム形成はまた、Felgner, P. L. et al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA 8:7413-7417, 1987;米国特許4,897,355;米国特許5,171,678; Bangham, et al. M. Mol. Biol. 23:238, 1965; Olson, et al. Biochim. Biophys. Acta 557:9, 1979; Szoka, et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75: 4194, 1978; Mayhew, et al. Biochim. Biophys. Acta 775:169, 1984; Kim, et al. Biochim. Biophys. Acta 728:339, 1983;およびFukunaga, et al. Endocrinol. 115:757, 1984に記載の例示的方法の1以上の態様も含み得る。送達媒体としての使用に適するサイズの脂質凝集体を製造する一般に使用される技法は、超音波処理および凍結融解+押し出しを含む(例えば、Mayer, et al. Biochim. Biophys. Acta 858:161, 1986参照)。一貫して小さく(50〜200nm)、比較的均一な凝集体が望まれるとき、微小流動化が使用され得る(Mayhew, et al. Biochim. Biophys. Acta 775:169, 1984)。これらの方法は、iRNA剤製剤のリポソームへの充填に容易に適合される。
リポソームは、二つの広いクラスに分けられる。カチオン性リポソームは、正荷電リポソームであり、負荷電核酸分子と相互作用して、安定な複合体を形成する。正荷電核酸/リポソーム複合体は負荷電細胞表面と結合し、エンドソームに内在化する。エンドソーム内の酸性pHのために、リポソームは破裂し、内容物を細胞質に放出する(Wang et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 1987, 147, 980-985)。
pH感受性または負荷電したリポソームは、その複合体ではなく、核酸を捕捉する。核酸および脂質両者の電荷が類似するため、複合体形成ではなく、反発が起こる。それにもかかわらず、一部核酸は、これらリポソームの水性内部の中に捕捉される。pH感受性リポソームは、チミジンキナーゼ遺伝子をコードする遺伝子の、培養細胞単層への送達に使用されている。外来遺伝子の発現は、標的細胞で検出されている(Zhou et al., Journal of Controlled Release, 1992, 19, 269-274)。
リポソーム組成物の一つの主要なタイプは、天然由来ホスファチジルコリン以外のリン脂質を含む。中性リポソーム組成物は、例えば、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)またはジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)から形成され得る。アニオン性リポソーム組成物は、一般にジミリストイルホスファチジルグリセロールから形成されるが、アニオン性融合型リポソームは、主にジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)から形成される。他のタイプのリポソーム組成物は、ホスファチジルコリン(PC)、例えば、大豆PCおよび卵PCから形成される。他のタイプは、リン脂質またはホスファチジルコリンまたはコレステロールの混合物から形成される。
インビトロおよびインビボでリポソームを細胞に導入する他の方法の例は、米国特許5,283,185および5,171,678;WO94/00569;WO93/24640;WO91/16024; Felgner, J. Biol. Chem. 269:2550, 1994; Nabel, Proc. Natl. Acad. Sci.USA 90:11307, 1993; Nabel, Human Gene Ther. 3:649, 1992; Gershon, Biochem. 32:7143, 1993;およびStrauss EMBO J. 11:417, 1992を含む。
非イオン性リポソーム系、特に非イオン性界面活性剤およびコレステロールを含む系も、皮膚への薬物送達への有用性について試験されている。NovasomeTM I(ジラウリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン−10−ステアリルエーテル)およびNovasomeTM II(ジステアリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン−10−ステアリルエーテル)を含む非イオン性リポソーム製剤は、マウス皮膚の真皮へのシクロスポリンAの送達に使用された。結果は、このような非イオン性リポソーム系が、シクロスポリンAの皮膚の種々の層への沈着の促進に効果的であったことを示した(Hu et al. S.T.P.Pharma. Sci., 1994, 4(6) 466)。
リポソームはまた「立体的に安定化された」リポソームも含み、この用語は、ここで使用する限り、リポソームに取り込まれたとき、特殊化脂質を欠くリポソームと比較して、循環寿命を延長させる、1以上の特殊化脂質を含むリポソームをいう。立体的に安定化されたリポソームの例は、リポソームの小胞形成脂質部分の一部が(A)モノシアロガングリオシドGM1などの1以上の糖脂質を含むまたは(B)ポリエチレングリコール(PEG)部分などの1以上の親水性ポリマーで誘導体化されているものである。何らかの特定の理論に拘束されることを意図しないが、当分野では、少なくともガングリオシド、スフィンゴミエリンまたはPEG誘導体化脂質を含む立体的に安定化されたリポソームについて、これらの立体的に安定化されたリポソームの延長された循環半減期は、網内系(RES)の細胞への取り込み減少に由来すると考えられる(Allen et al., FEBS Letters, 1987, 223, 42; Wu et al., Cancer Research, 1993, 53, 3765)。
1以上の糖脂質を含む種々のリポソームは当分野で知られる。Papahadjopoulos et al. (Ann. N.Y. Acad. Sci., 1987, 507, 64)は、モノシアロガングリオシドGM1、硫酸ガラクトセレブロシドおよびホスファチジルイノシトールの、リポソームの血液半減期を改善する能力を報告している。これらの発見は、Gabizon et al. (Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1988, 85, 6949)により拡大された。米国特許4,837,028およびWO88/04924(両方ともAllen et al.)は、(1)スフィンゴミエリンおよび(2)ガングリオシドGM1またはガラクトセレブロシド硫酸エステルを含むリポソームを開示する。米国特許5,543,152は、スフィンゴミエリンを含むリポソームを開示する。1,2−sn−ジミリストイルホスファチジルコリンを含むリポソームは、WO9713499(Lim et al.)に開示される。
カチオン性リポソームは、細胞膜に融合されることができるとの利点を有する。非カチオン性リポソームは、原形質膜に効率的には融合され得ないが、インビボでマクロファージにより取り込まれ、iRNA剤のマクロファージへの送達に使用され得る。
リポソームのさらなる利点は、天然リン脂質から得たリポソームは生体適合性および生分解性であり;リポソームは広範囲の水および脂質可溶性薬物を取り込むことができ;リポソームは内部区画に封入されたiRNA剤を代謝および分解から保護できることである(Rosoff, in "Pharmaceutical Dosage Forms," Lieberman, Rieger and Banker (Eds.), 1988, volume 1, p. 245)。リポソーム製剤製造における重要な考察は、リポソームの脂質表面電荷、小胞サイズおよび水性体積である。
正荷電合成カチオン性脂質、N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド(DOTMA)を、組織培養細胞の細胞膜の負荷電脂質と融合し、iRNA剤の送達をもたらし得る脂質−核酸複合体を形成するように、核酸と自然に相互作用する、小リポソームの形成のために使用できる(DOTMAおよびそのDNAとの使用についての記載に関して、例えば、Felgner, P. L. et al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA 8:7413-7417, 1987および米国特許4,897,355参照)。
DOTMAアナログ、1,2−ビス(オレオイルオキシ)−3−(トリメチルアンモニア)プロパン(DOTAP)を、リン脂質と組み合わせで使用して、DNA複合小胞を形成し得る。リポフェクチンTM(Bethesda Research Laboratories, Gaithersburg, Md.)は、自然に負荷電ポリヌクレオチドと相互作用して、複合体を形成する正荷電DOTMAリポソームを含む生存組織培養細胞への高度にアニオン性の核酸の送達に有効な薬剤である。十分な正荷電リポソームが使用されたとき、得られた複合体の正味電荷も正である。この方法で調製された正荷電複合体は、自然に負荷電細胞表面と結合し、原形質膜と融合し、機能的核酸を、例えば、組織培養細胞に、効率的に送達する。他の商業的に入手可能なカチオン性脂質、1,2−ビス(オレオイルオキシ)−3,3−(トリメチルアンモニア)プロパン(「DOTAP」)(Boehringer Mannheim, Indianapolis, Indiana)は、オレオイル部分がエーテル結合ではなく、エステルで連結されている点で、DOTMAと異なる。
他の報告されているカチオン性脂質化合物は、例えば、2タイプの脂質の一つにコンジュゲートしているカルボキシスペルミンを含む、多様な部分にコンジュゲートしているものおよび5−カルボキシスペルミルグリシンジオクタオレオイルアミド(「DOGS」)(TransfectamTM、Promega, Madison, Wisconsin)およびジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン5−カルボキシスペルミル−アミド(「DPPES」)(例えば、米国特許5,171,678参照)などの化合物を含む。
他のカチオン性脂質コンジュゲートは、DOPEと組み合わせてリポソームに製剤されている、脂質のコレステロールでの誘導体化(「DC−Chol」)を含む(Gao, X. and Huang, L., Biochim. Biophys. Res. Commun. 179:280, 1991)。ポリリシンのDOPEへのコンジュゲーションにより製造されるリポポリリシンは、血清存在下でのトランスフェクションに効果的であることが報告されている(Zhou, X. et al., Biochim. Biophys. Acta 1065:8, 1991)。ある細胞株について、コンジュゲートカチオン性脂質を含むこれらのリポソームは、DOTMA含有組成物より低い毒性を示し、より効率的なトランスフェクションを提供するとされている。他の商業的に入手可能なカチオン性脂質製品は、DMRIEおよびDMRIE−HP(Vical, La Jolla, California)およびリポフェクタミン(DOSPA)(Life Technology, Inc., Gaithersburg, Maryland)を含む。オリゴヌクレオチド送達に適する他のカチオン性脂質は、WO98/39359およびWO96/37194に記載される。
リポソーム製剤は、局所投与に特に適する。リポソームは、他の製剤を超えるいくつかの利点を提供する。このような利点は、薬物の高全身吸収と関連する副作用の減少、所望の標的への投与薬物の蓄積増加および皮膚にiRNA剤を投与する能力である。いくつかの実践では、リポソームはiRNA剤の上皮細胞への送達およびまた皮膚組織、例えば、皮膚へのiRNA剤の浸透増強のために使用される。例えば、リポソームは局所的に適用できる。リポソームとして製剤された薬物の皮膚への局所送達は、実証されている(例えば、Weiner et al., Journal of Drug Targeting, 1992, vol. 2,405-410 and du Plessis et al., Antiviral Research, 18, 1992, 259-265; Mannino, R. J. and Fould-Fogerite, S., Biotechniques 6:682-690, 1988; Itani, T. et al. Gene 56:267-276. 1987; Nicolau, C. et al. Meth. Enz. 149:157-176, 1987; Straubinger, R. M. and Papahadjopoulos, D. Meth. Enz. 101:512-527, 1983; Wang, C. Y. and Huang, L., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:7851-7855, 1987参照)。
iRNAを含むリポソームは、高度に変形可能に製造できる。このような変形能は、リポソームが、該リポソームの平均半径より小さい細孔を通って浸透することを可能とし得る。例えば、トランスファーソームは、変形可能リポソームの1種である。トランスファーソームは、標準的リポソーム組成への端面アクティベーター、通常界面活性剤の添加により製造され得る。iRNA剤を含むトランスファーソームは、皮膚のケラチン生成細胞にiRNA剤を送達するために、感染により、例えば、皮下に送達され得る。無傷の哺乳動物皮膚を通過するためには、脂質小胞は、各々が直径50nm未満である一連の微細孔を、適当な経皮勾配の影響下に、通過しなければならない。さらに、脂質性質のため、これらのトランスファーソームは、自己最適化(例えば、皮膚の細孔の形に適応)、かつ自己修復可能であり、しばしばその標的に断片化せずに到達でき、しばしば自己負荷可能であり得る。
本発明に受け入れられる他の製剤は、WO2008042973に記載される。
界面活性剤は、エマルジョン(マイクロエマルジョンを含む)およびリポソームなどの製剤に広く適用される。天然および合成起源の多くのタイプの界面活性剤の性質を分類および順位付けする最も一般的方法は、親水性/親油性バランス(HLB)である。親水性基(「頭部」としても知られる)の性質は、製剤で使用される種々の界面活性剤の分類のための最も有用な手段を提供する(Rieger, in “Pharmaceutical Dosage Forms”, Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., 1988, p. 285)。
界面活性剤分子がイオン化されていないならば、非イオン性界面活性剤として分類される。非イオン性界面活性剤は、医薬品および化粧品に広く適用され、広範囲のpH値にわたり使用可能である。一般にそのHLB値範囲は、構造によって2〜約18である。非イオン性界面活性剤は、非イオン性エステル、例えば、エチレングリコールエステル、プロピレングリコールエステル、グリセリルエステル、ポリグリセリルエステル、ソルビタンエステル、スクロースエステルおよびエトキシル化エステルを含む。非イオン性アルカノールアミドおよびエーテル、例えば、脂肪アルコールエトキシレート、プロポキシル化アルコールおよびエトキシル化/プロポキシル化ブロックポリマーもこの群に入る。ポリオキシエチレン界面活性剤は、非イオン性界面活性剤群で最もポピュラーな一群である。
界面活性剤分子が、水に溶解または分散したとき負電荷を有するならば、界面活性剤はアニオン性として分類される。アニオン性界面活性剤は、カルボキシレート、例えば石鹸、アシルラクチレート、アミノ酸のアシルアミド、硫酸エステル、例えば、アルキル硫酸エステルおよびエトキシル化アルキル硫酸エステル、スルホネート、例えば、アルキルベンゼンスルホネート、アシルイセチオネート、アシルタウレートおよびスルホスクシネートおよびホスフェートを含む。アニオン性界面活性剤クラスの最も重要なメンバーは、アルキル硫酸エステルおよび石鹸である。
界面活性剤分子が、水に溶解または分散したとき正電荷を有するならば、界面活性剤はカチオン性として分類される。カチオン性界面活性剤は、4級アンモニウム塩およびエトキシル化アミンを含む。4級アンモニウム塩は、このクラスで最も使用されるメンバーである。
界面活性剤分子が正または負電荷を有する能力を有するならば、界面活性剤は両性として分類される。両性界面活性剤は、アクリル酸誘導体、置換アルキルアミド、N−アルキルベタインおよびフォスファチドを含む。
医薬品、製剤およびエマルジョンにおける界面活性剤の使用は、レビューされている(Rieger, in “Pharmaceutical Dosage Forms”, Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., 1988, p. 285)。
本発明の方法で使用するiRNAは、ミセル製剤としても提供され得る。「ミセル」は、ここでは、両親媒性分子が、分子の疎水性部分全部が内向きであり、親水性部分を周囲の水相と接触させるように球状構造に配置された、特定のタイプの分子集合体をいう。環境が疎水性であるならば、逆配置が存在する。
B. 脂質粒子
本発明のiRNA、例えば、dsRNAは、脂質製剤、例えば、LNPまたは他の核酸−脂質粒子に完全に封入され得る。適切なプロモーター制御下に、ウイルス抗原に関するコード配列を含む発現ベクターまたはRNAを送達のための脂質粒子に製剤できる。
ここで使用する用語「LNP」は、安定な核酸−脂質粒子をいう。LNPは、一般にカチオン性脂質、非カチオン性脂質および粒子凝集を阻止する脂質(例えば、PEG−脂質コンジュゲート)を含む。LNPは、静脈内(i.v.)注射後に長い循環寿命を示し、遠位部位(例えば、投与部位と物理的に離れた部位)に蓄積されるため、全身適用に、高度に有用なである。LNPは、WO0003683に示す封入された縮合剤−核酸複合体を含む、「pSPLP」を含む。本発明の粒子は、一般に平均直径約50nm〜約150nm、より一般に約60nm〜約130nm、より一般に約70nm〜約110nm、最も一般に約70nm〜約90nmを有し、実質的に非毒性である。さらに、核酸は、本発明の核酸−脂質粒子に存在するとき、水溶液でヌクレアーゼでの分解に抵抗性である。核酸−脂質粒子およびその製造方法は、例えば、米国特許5,976,567;5,981,501;6,534,484;6,586,410;および6,815,432;US20100324120およびWO9640964に開示される。
ある実施態様において、脂質対薬物比(質量/質量比)(例えば、脂質対dsRNA比)は、約1:1〜約50:1、約1:1〜約25:1、約3:1〜約15:1、約4:1〜約10:1、約5:1〜約9:1または約6:1〜約9:1の範囲である。上記範囲の中間も、本発明の一部であると考えられる。
カチオン性脂質は、例えば、N,N−ジオレイル−N,N−ジメチルアンモニウムクロライド(DODAC)、N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウムブロマイド(DDAB)、N−(I−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド(DOTAP)、N−(I−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド(DOTMA)、N,N−ジメチル−2,3−ジオレイルオキシ)プロピルアミン(DODMA)、1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2−ジリノレニルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、1,2−ジリノレイルカルバモイルオキシ−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−C−DAP)、1,2−ジリノレイルオキシ−3−(ジメチルアミノ)アセトキシプロパン(Dlin−DAC)、1,2−ジリノレイルオキシ−3−モルホリノプロパン(DLin−MA)、1,2−ジリノレオイル−3−ジメチルアミノプロパン(DLinDaP)、1,2−ジリノレイルチオ−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−S−DMA)、1−リノレオイル−2−リノレイルオキシ−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−2−DMAP)、1,2−ジリノレイルオキシ−3−トリメチルアミノプロパン塩化物塩(DLin−TMA.Cl)、1,2−ジリノレオイル−3−トリメチルアミノプロパン塩化物塩(DLin−TAP.Cl)、1,2−ジリノレイルオキシ−3−(N−メチルピペラジノ)プロパン(DLin−MPz)または3−(N,N−ジリノレイルアミノ)−1,2−プロパンジオール(DLinAP)、3−(N,N−ジオレイルアミノ)−1,2−プロパンジオール(DOAP)、1,2−ジリノレイルオキソ−3−(2−N,N−ジメチルアミノ)エトキシプロパン(DLin−EG−DMA)、1,2−ジリノレニルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノメチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−DMA)またはそのアナログ、(3aR,5s,6aS)−N,N−ジメチル−2,2−ジ((9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエニル)テトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−5−アミン(ALN100)、(6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イル4−(ジメチルアミノ)ブタノエート(MC3)、1,1’−(2−(4−(2−((2−(ビス(2−ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2−ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン−1−イル)エチルアザンジイル)ジドデカン−2−オール(Tech G1)またはこれらの混合物であり得る。カチオン性脂質は、粒子に存在する全脂質の約20mol%〜約50mol%または約40mol%を構成し得る。他の実施態様において、化合物2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソランを、脂質−siRNナノ粒子の製造に使用し得る。
ある実施態様において、脂質−siRNA粒子は、63.0±20nmの粒子径および0.027 siRNA/脂質比で、40%2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン:10%DSPC:40%コレステロール:10%PEG−C−DOMG(モルパーセント)を含む。
イオン化可能/非カチオン性脂質は、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレイル−ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレイル−ホスファチジルエタノールアミン4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(DOPE−mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル−ホスファチジル−エタノールアミン(DSPE)、16−O−モノメチルPE、16−O−ジメチルPE、18−1−trans PE、1−ステアロイル−2−オレオイル−ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、コレステロールまたはこれらの混合物を含むが、これらに限定されないアニオン性脂質または中性脂質であり得る。非カチオン性脂質は、コレステロールが含まれるならば、粒子に存在する全脂質の約5mol%〜約90mol%、約10mol%または約58mol%であり得る。
粒子の凝集を阻止するコンジュゲート脂質は、例えば、限定しないが、PEG−ジアシルグリセロール(DAG)、PEG−ジアルキルオキシプロピル(DAA)、PEG−リン脂質、PEG−セラミド(Cer)またはこれらの混合物を含む、ポリエチレングリコール(PEG)−脂質であり得る。PEG−DAAコンジュゲートは、例えば、PEG−ジラウリルオキシプロピル(Ci)、PEG−ジミリスチルオキシプロピル(Ci)、PEG−ジパルミチルオキシプロピル(Ci)またはPEG−ジステアリルオキシプロピル(C])であり得る。粒子の凝集を阻止するコンジュゲート脂質は、粒子に存在する全脂質の0mol%〜約20mol%または約2mol%であり得る。
ある実施態様において、核酸−脂質粒子は、さらに、コレステロールを、粒子に存在する全脂質の、例えば、約10mol%〜約60mol%または約48mol%で含む。
ある実施態様において、リピドイドND98・4HCl(MW 1487)(引用により本明細書に包含させるUS20090023673参照)、コレステロール(Sigma-Aldrich)およびPEG−セラミドC16(Avanti Polar Lipids)を、脂質−dsRNナノ粒子(すなわち、LNP01粒子)の製造に使用できる。エタノール中の各々の原液を次のとおり製造する:ND98、133mg/ml;コレステロール、25mg/ml、PEG−セラミドC16、100mg/ml。次いで、ND98、コレステロールおよびPEG−セラミドC16原液を、例えば、42:48:10モル濃度比で合わせる。合わせた脂質溶液を、最終エタノール濃度が約35〜45%であり、最終酢酸ナトリウム濃度が約100〜300mMであるように、水性dsRNA(例えば、酢酸ナトリウムpH5中)と混合する。脂質−dsRNナノ粒子は、一般に混合により自然に形成される。所望の粒子径分布によって、得られたナノ粒子混合物を、例えば、Lipex Extruder(Northern Lipids, Inc)などのサーモバレル押し出し機を使用して、ポリカーボネート膜(例えば、100nmカットオフ)を通して押し出し得る。ある例では、押し出し工程を省き得る。エタノール除去および同時の緩衝液交換を、例えば、透析またはタンジェンシャルフロー濾過により達成し得る。緩衝液を、約pH7、例えば、約pH6.9、約pH7.0、約pH7.1、約pH7.2、約pH7.3または約pH7.4の、例えば、リン酸緩衝化食塩水(PBS)と交換し得る。
LNP01製剤は、例えば、引用により本明細書に包含させる、WO2008042973に記載される。
さらなる例示的脂質−dsRNA製剤を、表1に示す。
XTC含有製剤はPCT公開WO2010/088537に記載され、その内容を全体として引用により本明細書に包含させる。
MC3含有製剤は、例えば、米国公開2010/0324120に記載され、その内容を全体として引用により本明細書に包含させる。
ALNY−100含有製剤はPCT公開WO2010/054406に記載され、その内容を全体として引用により本明細書に包含させる。
C12−200含有製剤はPCT公開WO2010/129709に記載され、その内容を全体として引用により本明細書に包含させる。
経口投与のための組成物および製剤は散剤または顆粒剤、マイクロ粒子剤、ナノ粒子剤、水もしくは非水性媒体中の懸濁液剤もしくは溶液剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤、サシェ剤、錠剤またはミニタブレット剤を含む。濃厚剤、風味剤、希釈剤、乳化剤、分散助剤または結合剤が望ましいことがあり得る。ある実施態様において、経口製剤は、本発明で注目されるdsRNAを浸透増強剤界面活性剤およびキレート剤の1以上と共に投与するものである。適当な界面活性剤は、脂肪酸またはそのエステルもしくは塩、胆汁酸またはその塩を含む。適当な胆汁酸/塩は、ケノデオキシコール酸(CDCA)およびウルソデオキシケノデオキシコール酸(UDCA)、コール酸、デヒドロコール酸、デオキシコール酸、グルコール酸、グリコール酸、グリコデオキシコール酸、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、ナトリウムタウロ−24,25−ジヒドロ−フシデートおよびナトリウムグリコジヒドロフシデートを含む。適当な脂肪酸は、アラキドン酸、ウンデカン酸、オレイン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノオレイン、ジラウリン、グリセリル1−モノカプレート、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アシルカルニチン、アシルコリンまたはモノグリセリド、ジグリセリドまたは薬学的に許容されるその塩(例えば、ナトリウム)を含む。ある実施態様において、浸透増強剤の組み合わせ、例えば、脂肪酸/塩と胆汁酸/塩の組み合わせが使用される。一つの例示的組み合わせは、ラウリン酸ナトリウム塩、カプリン酸およびUDCAである。さらに浸透増強剤は、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−20−セチルエーテルを含む。本発明で注目されるdsRNAを、噴霧乾燥粒子を含む顆粒形態でまたはマイクロもしくはナノ粒子を形成するために複合体化させて、経口送達し得る。DsRNA複合体化剤は、ポリ−アミノ酸;ポリイミン;ポリアクリレート;ポリアルキルアクリレート、ポリオキシエタン、ポリアルキルシアノアクリレート;カチオン化ゼラチン、アルブミン、デンプン、アクリレート、ポリエチレングリコール(PEG)およびデンプン;ポリアルキルシアノアクリレート;DEAE誘導体化ポリイミン、プルラン(pollulans)、セルロースおよびデンプンを含む。適当な複合体化剤は、キトサン、N−トリメチルキトサン、ポリ−L−リシン、ポリヒスチジン、ポリオルニチン、ポリスペルミン、プロタミン、ポリビニルピリジン、ポリチオジエチルアミノメチルエチレンP(TDAE)、ポリアミノスチレン(例えば、p−アミノ)、ポリ(メチルシアノアクリレート)、ポリ(エチルシアノアクリレート)、ポリ(ブチルシアノアクリレート)、ポリ(イソブチルシアノアクリレート)、ポリ(イソヘキシルシアノアクリレート)、DEAE−メタクリレート、DEAE−ヘキシルアクリレート、DEAE−アクリルアミド、DEAE−アルブミンおよびDEAE−デキストラン、ポリメチルアクリレート、ポリヘキシルアクリレート、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(DL−乳酸−コ−グリコール酸(PLGA)、アルギネートおよびポリエチレングリコール(PEG)を含む。dsRNAのための経口製剤およびその製造は、米国特許6,887,906および6,747,014およびUS20030027780に詳述され、その各々を引用により本明細書に包含させる。
本発明の医薬組成物は、溶液、エマルジョンおよびリポソーム含有製剤を含むが、これらに限定されない。これらの組成物は、予め形成された液体、自己乳化固体および自己乳化半固体を含むが、これらに限定されない多様な成分から産生され得る。特に好ましいのは、肝臓癌などの肝障害を処置するとき、肝臓を標的とする製剤である。
簡便には単位投与量形態で提供され得る本発明の医薬製剤は、医薬業界で周知の慣用技法により製造できる。このような技法は、活性成分と医薬担体または添加物を合わせる工程を含む。一般に、製剤は、活性成分と液体担体または微粉化固体担体または両者を均一におよび密接に合わせ、次いで、必要であれば、製品を形作ることにより、製造する。
V. 本発明の方法の使用
本発明は、種々の方法および処置レジメンを記載する。本方法は、ここに提供するRNAi剤およびワクチンの使用として提供され得ることは理解される。すなわち、本発明は、B型肝炎感染を有する対象を処置する方法において使用するための、
a) 少なとも3つのHBV転写物を標的とするRNAi剤であって、センス鎖およびアンチセンス鎖を含むRNAi剤;
b) HBVコア抗原(HBcAg)およびHBV表面抗原(HBsAg)を含むタンパク質ベースのワクチン;および
c) HBcAgまたはHBsAgをコードする発現ベクター構築物を含む核酸ベースのワクチン(ここで、構築物は該タンパク質ベースのワクチンとエピトープを共有するタンパク質をコードする);(それにより対象を処置する);
を提供する。
使用は、ここに提供する全てのバリエーションおよび例示的RNAi剤、タンパク質ベースのワクチンおよび核酸ベースのワクチンを含む。
VI. 本発明の方法を実施するためのキット
本発明は、B型肝炎感染を有する対象の処置のための種々の方法、処置レジメンおよび薬剤の使用を記載する。本発明の方法の実施のための薬剤は、ここに提供する開示に基づき製造され得ることは理解される。このようなキットは、
a) 少なとも3つのHBV転写物を標的とするRNAi剤であって、センス鎖およびアンチセンス鎖を含むRNAi剤;
b) HBVコア抗原(HBcAg)およびHBV表面抗原(HBsAg)を含むタンパク質ベースのワクチン;
c) HBcAgまたはHBsAgをコードする発現ベクター構築物を含む核酸ベースのワクチン(ここで、構築物は該タンパク質ベースのワクチンとエピトープを共有するタンパク質をコードする);(それにより対象を処置する);および
d) B型肝炎感染を有する対象を処置する方法において使用するための指示
を含む。
使用は、ここに提供する全てのバリエーションおよび例示的RNAi剤、タンパク質ベースのワクチンおよび核酸ベースのワクチンを含む。キットの構成要素を、例えば、箱に一緒にし得る。ある実施態様において、本発の構成要素は、例えば、異なる保存必須要件のために、別々に提供されるが、例えば、使用のための添付文書に基づき、共に使用するために提供される。
本発明を、次の実施例によりさらに説明するが、これを限定的と解釈してはならない。本明細書ならびに図面、付属表Aおよび配列表を通して引用した全ての引用文献、特許および特許出願公開は、引用により本明細書に包含させる。
実施例1. 材料および方法
例示的iRNA
例示的iRNA標的部位ならびに非修飾および修飾siRNA配列を、付属表Aの表に提供する。
下記実験に使用した化学修飾HBV−siRNA二本鎖は、次の配列を有する。


修飾核酸配列のヌクレオチド単量体の略語は、付属表Aの表1に提供される。
AD−66810の標的部位はGTGTGCACTTCGCTTCACA(配列番号39)であり、これはNC_003977.1(配列番号1)のヌクレオチド1579〜1597である。
AD−66816の標的部位はCACCATGCAACTTTTTCACCT(配列番号40)であり、これはNC_003977.1(配列番号1)のヌクレオチド1812〜1832である。
HBV−siRNAの細胞培養評価
hNTCP発現HepG2細胞を、デュプリケートで感染させた(100感染効率(MOI))HBV粒子/細胞(サブタイプayw))。感染後4日目、細胞をトリプシン処理し、多ウェルプレートに再播種し、対照またはHBV−siRNA AD−66810(上記表に示す化学修飾ならびにそれぞれ配列番号37および30に示すセンスおよびアンチセンス配列を有する)またはAD−66816(上記表に示す化学修飾ならびにそれぞれ配列番号38および32に示すセンスおよびアンチセンス配列を有する)でトランスフェクトし、各々、リポフェクタミン(登録商標)RNAiMaxを使用して100nM、10nMまたは1nMを送達した。上清を再播種後3日目、6日目、10日目、13日目および17日目に採取し、HBeAgおよびHBsAgレベルを、非トランスフェクト対照に対して決定した。HBsAgおよびHBeAgレベルを、Abbott Architect免疫アッセイ分析装置(Abbott Laboratories, Abbott Park, IL, USA)で測定する化学発光微粒子免疫測定法(CMIA)を使用して、決定した。
マウス、siRNA投与およびワクチン接種
HBV−トランスジェニックマウス(系統HBV1.3xfs(HBV遺伝子型D、サブタイプayw))は、施設ガイドラインに従う特定の病原体フリー条件下で社内飼育由来であった。
siRNA投与について、図面および下記実施例に示すとおりマウスに、HBV−shRNA発現のために、3mg/kgまたは9mg/kg用量の対照siRNAまたはHBV−siRNA(修飾AD−66810または修飾AD−66816)を皮下投与するか;または1×1011 AAV粒子を尾静脈注射により静脈内投与した。
タンパク質ワクチン接種について、マウスを、50μl PBS中31.91μgの合成ホスホロチオエート化CpG ODN 1668および25μg ポリ[ジ(ナトリウムカルボキシレートエチル−フェノキシ)ホスファゼン](PCEP)と混合した組み換え酵母HBsAgおよび大腸菌HBcAg(APP Latvijas Biomedicinas, Riga, Latvia)で皮下的に免疫化した。
組み換えMVAは、先に記載のとおり、相同組み換えおよび宿主範囲選択により産生した(Staib et al., 2003. Biotechniques. 34:694-700)。HBcAg全体(遺伝子型D、サブタイプayw)およびHBsAgオープンリーディングフレーム(遺伝子型A、サブタイプaywまたはadw)を、MVAトランスファープラスミドpIIIΔHR−PH5またはpIIIΔHR−P7.5にクローン化し、それによりHBVタンパク質を早期/後期ワクシニアウイルス特異的プロモーターPH5(HBcAg ayw/HBsAg ayw/HBsAg adw)またはP7.5(HBsAg ayw)の制御下においた。各ウイルスの構築後、遺伝子発現、挿入DNAの配列およびウイルス純度を確認した。ワクチン製剤産生のために、MVAをCEFで通常どおり繁殖させ、スクロースを通す超遠心分離により精製し、1mM Tris−HCl pH9.0で再構成し、標準的法に従い力価測定した(Staib et al., 2004. Methods Mol Biol. 269:77-100)。MVAワクチン接種について、マウスに500μl PBS中各組み換えMVA1×10感染単位で腹腔内にワクチン接種した。
特定の投与レジメンを下の実施例および図3、7および12に提供する。
血清学的分析
HBsAgおよびHBeAgの血清レベルを、Abbott Architect免疫アッセイ分析装置(Abbott Laboratories, Abbott Park, IL, USA)で測定する化学発光微粒子免疫測定法(CMIA)を使用する、1:33希釈で決定し;抗HBsレベルを1:100希釈で決定した。リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応による血清HBV力価の定量および血清中のHBV DNAレベル決定を、Untergasser et al., 2006(Hepatology. 43:539-47)に記載のとおり実施した。HBV DNAの量を、処置前DNAレベルに対して正規化した。
抗HBc抗体のレベルを、BEPIIIプラットフォームでのEnzgnost抗HBcモノクローナル試験(Both Siemens Healthcare, Eschborn, Germany)を使用して、1:20希釈で決定した。サンプルの測定値が直線範囲を超えたならば、適宜、高いまたは低い希釈を使用した。
リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応による血清HBV力価の定量および血清中のHBV DNAレベル決定を、Untergasser et al., 2006(Hepatology. 43:539-47)に記載のとおり実施した。HBV DNAの量を、処置前DNAレベルに対して正規化した。
ALT活性を、レフロトロンGPT/ALT試験(Roche Diagnostics, Mannheim, Germany)を使用して、リン酸緩衝化食塩水(PBS)中1:4希釈で採血日に測定した。
リンパ球刺激アッセイ
肝臓関連リンパ球(LAL)をStross et al., 2012(Hepatology 56:873-83)に記載のとおり単離し、1mg/ml ブレフェルジンA(Sigma-Aldrich, Taufkirchen, Germany)存在下、12時間、H2−kb−またはH−2Db−制限ペプチド(Backes, 2016参照)で刺激した。細胞をエチジウムモノアジドブロマイド(Invitrogen(登録商標), Karlsruhe, Germany)で生存/死染色し、抗CD16/CD32−Fc−Block(BD Biosciences, Heidelberg, Germany)でブロックした。表面マーカーをPB−コンジュゲート抗CD8−アルファおよびPE−コンジュゲート抗CD4(eBiosciences, Eching, Germany)で染色した。細胞内サイトカイン染色(ICS)を、製造業者の推奨に従いCytofix/Cytopermキット(BD Biosciences, Heidelberg, Germany)を使用して、FITC抗IFN−ガンマ(XMG1.2)、PE−Cy7抗TNF−アルファおよびAPC抗IL−2(eBiosciences, Ech-ing, Germany)で実施した。同じデータを2回分析し、2回目は、死亡細胞をより厳密に排除した。
HBc発現肝細胞の免疫組織化学染色
肝臓を採取し、4%パラホルムアルデヒドで固定し、パラフィン包埋した。肝臓を薄切りし(2μm)、切片を一次抗体としてウサギ抗HBcAg(Diagnostic Biosystems, Pleasanton, CA; #RP 017; 1:50希釈;100℃で30分間、EDTAで回収)およびホースラディッシュペルオキシド結合二次抗体で染色した。Ventana緩衝液でのインキュベーションおよび染色を、NEXES免疫組織化学ロボット(Ventana Instruments)でIVIEW DAB Detection Kit(Ventana Instruments)またはBond MAX(Leica Biosystems)で実施した。分析について、スライドをSCN 400スライドスキャナーを使用してスキャンし、陽性細胞を、統合Tissue AI softwareを使用して計数した(両者ともLeica Biosystems)。
肝臓ライセートからのHBV転写物
肝臓ライセートからのHBV RNAの分析について、RNAをRNeasy mini kit(Qiagen)を用いて30mg 肝臓組織から抽出し、cDNAをSuperscript III kit(Thermo Fisher Scientific)で合成した。HBV転写物を、3.5kb転写物のみに特異的なプライマー(フォワードプライマー5’−GAGTGTGGATTCGCACTCC−3’(配列番号41);リバースプライマー5’−GAGGCGAGGGAGTTCTTCT−3’(配列番号42))または全HBV転写物の共通3'末端に結合するプライマー(フォワードプライマー5’−TCACCAGCACCATGCAAC−3’(配列番号43);リバースプライマー5’−AAGCCACCCAAGGCACAG−3’(配列番号44))で増幅させた(変性:95℃で5分;増幅:95℃で3秒、60℃で30秒(40サイクル))(Yan et al., 2012)。結果を、マウスGAPDH発現に対して正規化した(フォワードプライマー5’−ACCAACTGCTTAGCCC−3’(配列番号45);リバースプライマー5’−CCACGACGGACACATT−3’(配列番号46))(変性:95℃で5分;増幅:95℃で15秒、60℃で10秒、72℃で25秒(45サイクル))。全PCR反応を、LightCycler 480(Roche Diagnostics)で実施した。
AAV−HBVマウスモデル
AAVマウスモデルについて、野生型C57/Bl6マウス(9週齢;6動物/処置群)に、遺伝子型Dの1.2倍過剰な長さのHBVゲノムを担持する、アデノ随伴ウイルス血清型8(AAV8)(AAV−HBV1.2)の2×1010ゲノム等量(geq)をi.v.注射した(−28日目)(例えば、Yang, et al. (2014) Cell and Mol Immunol 11:71参照)。AAV形質導入4週間から開始して(0日目)、動物を対照siRNAまたはHBV siRNA(AD−66816またはAD−66810)の3回の注射(3mg/kg bw、n=12/群)で処置した(0日目、29日目および57日目)。各siRNA処置群を2群(n=6/群)に分け、57日目および70日目に組み換えHBsAg、HBcAg(各15μg)および10μg c−ジ−AMPを投与し、84日目にMVA−HBsおよびMVA−HBc(各5×10geq)でブーストからなるワクチンレジメンで処置しないか、または処置した。処置レジメンを示す模式図を図12に提供する。
実施例2 − HepG2−NTCP細胞培養におけるHBV−siRNAの評価およびHBVxfsマウスにおける用量検定実験
抗HBV siRNAを、上記のとおり、修飾AD−66810または修飾AD−66816 HBV−siRNAまたは対照siRNAの一つの1nM、10nMまたは100nMで処置したHBV感染HepG2−NTCP細胞を使用するインビトロ感染モデルで、HBV抗原およびDNAの効率的ノックダウンについて評価した。上清をsiRNA処置後3日目、6日目、10日目、13日目および17日目に採取し、非トランスフェクト対照と比較して、HBeAgおよびHBsAgレベルについてアッセイした。両HBV−siRNAは、HBeAgおよびHBsAg両者の発現を効果的にノックダウンし、最高レベルのノックダウンは13日目および17日目に観察された。対照siRNAで顕著なノックダウンは観察されなかった。これらのデータは、AD−66810またはAD−66816 HBV−siRNAが、HBV感染のインビトロ系で持続性様式でHBV抗原発現のノックダウンに効果的であることを示す。
次いで、HBVおよび対照siRNAを慢性B型肝炎のHBVxfsトランスジェニックモデルで試験した。HBVxfsマウスは、肝臓特異的プロモーターの制御下に発現する、統合HBVゲノムを含む。約10週齢で、マウスに3mg/kgまたは9mg/kg用量のAD−66810またはAD−66816 HBV−siRNAまたは対照siRNAの一つ(n=6/群)を投与した。血液サンプルをsiRNA処置後6日目、13日目および21日目に採取し、血清を調製した。血清のHBeAg、HBsAgおよびHBV DNAレベル(図2A〜2C)は、上記のとおり決定した。さらに、RNAを肝臓から単離し、総HBV RNAおよびHBV3.5kB転写物レベルをYan, 2012の方法を使用して検出し、GAPDH発現に対して正規化した(図2Dおよび2E)。
両用量のHBV−siRNAの両者は、HBsAgおよびHBeAg発現を効果的にノックダウンし、対照レベルと比較して血清のHBV DNAレベルを減少させることが示された(図2A〜2C参照)。さらに、GAPDH DNAに対する総肝臓HBV RNAおよびGAPDH RNAレベルに対する3.5kb HBV RNAは、対照レベルと比較して、両用量のthe HBV siRNAで強度に減少した(図2Dおよび2E)。Bこれらの結果に基づき、3mg/kg用量をさらなる実験での使用のために選択した。
実施例3 − HBVトランスジェニックマウスモデルにおける治療ワクチン投与前のヌクレオチ(シ)ドアナログに対するsiRNAでの抗原負荷の減少比較
HBVxfsマウスモデルでHBVを標的とするsiRNAがHBsAgおよびHBeAgの発現を効果的にノックダウンし、血清のHBV DNAレベルを減少できることが証明されたため、プライム−ブーストレジメンを使用する治療ワクチン投与前のヌクレオシドアナログエンテカビルまたはHBV−siRNAでのマウスの処置の効果を試験した。処置スキームを図3に示す。
マウスを、プライム−ブーストレジメンを使用するワクチン接種前に6処置レジメンの一つで前処置した(n=6/群):
(1)前処置無し;
(2)0週目の処置にから開始して、試験を通してエンテカビル1μg/ml水溶液(Luetgehetmann et al., 2011, Gastroenterology.140:2074-83に提供される計算に基づき約4mg/日の予想用量);
(3)対照iRNA剤の0週目、4週目、8週目および12週目の初日の3mg/kg用量;
(4)HBVをコードするshRNAをコードする発現ベクター(HBV−shRNA)の0週目の初日の1回用量(Michler et al., 2016);または
(5−6)0週目、4週目、8週目および12週目の初日に3mg/kg用量の修飾AD−66816または修飾AD−86610(総称的にHBV−siRNA)。
12週目および14週目の初日に、31.9μg 合成ホスホロチオエート化CpGODN 1668 (CpG)および25μg ポリ[ジ(ナトリウムカルボキシレートエチル−フェノキシ)ホスファゼン](PCEP)でアジュバントされた組み換え発現酵母HBsAg(15μg)および大腸菌発現HBcAg(15μg)の混合物を、タンパク質−プライムワクチン接種(Backes, 2016)として全マウスに皮下投与した。
16週目の初日、HBsAgまたはHBcAgを発現する改変ワクシニアウイルスAnkaraの混合物(各ウイルス5×10粒子)を、ブーストワクチン接種として、全マウスに投与した(Backes, 2016)。
血液サンプルを0週目、2週目、4週目、8週目、12週目、16週目および17週目の初日に得て、それから調製した血清サンプルでHBsAg、HBeAgおよびHBV DNAのレベルについてアッセイした。結果を図4に示す。
群1、2および3(偽、エンテカビル、対照iRNA剤)のマウスのHBsAgおよびHBeAgレベルは類似した。HBV−shRNAまたはHBV−siRNA(AD−66816またはAD−86610)単独で、血清におけるHBsAg、HBeAgおよびHBV DNAの有意な減少を起こした(図4A〜4C)。3用量プライム−ブーストワクチン接種スキームは、全群でのHBsAgのさらなる減少と、HBV−shRNAおよびHBV−siRNA群の一部動物でのHBsAgレベルの検出レベル未満への減少をもたらした。しかしながら、ワクチン処置は、いずれの群でもHBeAgレベルを減少させなかった。メカニズムに拘束されないが、HBsAgは減少して、HBeAgしないのは、e抗原ではなく、Cタンパク質のタンパク質分解プロセシングにより産生される、s抗原に対するワクチンにより誘発された免疫応答によりもたらされることが提販される(下記図5参照)。
HBV DNAレベルは、エンテカビル単独で定量限界未満まで減少せず、3用量プライム−ブーストワクチンの効果は検出されなかった(図4C)。偽処置およびHBV−shRNA、HBV−siRNAおよび対照siRNAでの処置はすべてHBV DNAレベルを減少させ、HBV−DNAレベルは全群でプライム−ブーストワクチンによりさらに減少した。この実験で、偽処置および対照siRNAがHBV DNAレベルを減少させた理由は不明であった。他の実験では対照siRNAでの処置に応答したHBV DNAの減少は観察されなかった(例えば、図2Cおよび8C参照)。これらのデータは、RNAiが、ウイルス抗原減少においてヌクレオチ(シ)ドアナログ治療より優れることを示す。また、RNAiおよびその後のワクチン接種は、いずれかの薬剤単独を超える、HBsAgおよびHBV DNAレベルに対する組み合わせた効果を有する。
実験最終日(17週目の初日)、マウスを屠殺し、肝臓を採取した。肝臓関連リンパ球を肝臓から単離し、ペプチド刺激後、CD8+T細胞応答を細胞内サイトカイン染色により測定した。特に、肝臓内CD8+T細胞応答を、Backes, 2016に提供される方法を使用して、HBsAg、HBcAgおよびMVAウイルス粒子の応答について評価した。データを、図5A〜5Cに提供する最初の分析では死亡免疫細胞の排除が不十分であったため、死亡免疫細胞の排除のために二つの異なる閾値を使用して2回分析した。2回目の分析を図5D〜5Fに示す。2回目の分析は1回目の分析の結果を確認する。
ワクチン接種前にHBV−shRNAまたはHBV−siRNAで前処置したマウスは、HBsAgおよびHBcAgに対するCD8+T細胞免疫応答を産生でき(図5A、5B、5Dおよび5E)、細胞毒性T細胞が、HBV抗原レベルがワクチン接種前に十分であるとき、HBV感染を排除できることを示す。偽、エンテカビルまたは対照siRNA群でHBV抗原に対する顕著なCD8+T細胞免疫応答は観察されなかった。前処置またはウイルス抗原レベルと無関係の、全動物におけるMVAウイルスに対する顕著なかつ類似のCD8+T細胞免疫応答は、ワクチン接種が全動物で等しく良好に働いており、HBV抗原レベルにより影響されないことを示し、それによりコンピテント免疫系の存在を示す(図5Cおよび5F)。偽処置動物と他の何れの群の間でも抗体産生の有意差は観察されず、高HBV抗原レベルがT細胞耐容性を誘発し得ることを示す。
これらのデータは、RNAi処置が、ヌクレオシドアナログでの現在の標準処置とは対照的に、治療ワクチン接種後に、HBV特異的T細胞免疫を肝臓で回復でき、HBV特異的CD8+T細胞応答を誘発できることを示す。強固なCD8+エフェクターT細胞応答は、ウイルス排除および機能的治癒と結び付けられている(例えば、Thimme et al., 2003. J. Virol. 77:68-76, and Backes et al., 2016. Vaccine. 34:923-932参照)。
RNAも肝臓から単離し、総HBV RNAおよびHBV3.5kB転写物レベルをYan, 2012の方法を使用して検出し、GAPDH発現に対して正規化した。マウスのワクチン投与前のHBV−siRNAまたはHBV−shRNAでの処置は、偽処置対照と比較して、HBV総RNAおよびHBV3.5kb転写物の有意な減少をもたらした(図6Aおよび6B)。偽処置対照と比較して、ワクチン接種前にエンテカビルまたは対照siRNAで処置したマウスで、HBV総RNAおよびHBV3.5kb転写物の有意な変化は観察されなかった。これらのデータは、HBV siRNAおよびshRNA両者が、対照およびエンテカビル群とは対照的に、HBV転写物レベルの減少に成功したことを示す。
さらに、肝臓におけるHBV抗原発現を、肝臓切片のHBcについて免疫組織化学染色し、mmあたりのHBc陽性細胞を計測することにより分析した(図6C)。エンテカビルまたは対照siRNAではなく、HBV siRNAまたはshRNAで前処置した動物群のみが、ワクチン接種後、HBc発現減少を示した。
実験を通して、体重およびALTレベルをモニターした。偽処置対照と比較して、処置群の何れでも有意な差は観察されなかった。
実施例4 − HBVトランスジェニックマウスモデルにおける免疫化に応答したHBV抗原ノックダウンの有効期間の評価
HBVワクチンレジメンに対する免疫応答の増強についてshRNAまたはsiRNAを使用するHBV抗原の発現抑制が効果的である示されたため、HBV抗原抑制の時間の長さが、HBV免疫応答の増強に効果を有するか否かを決定する試験を設計した。処置スキームを図7に示す。
HBV1.3xfsマウスモデルを使用して、マウスを、HBV−siRNA AD−66816(修飾)を8週間、6週間または3週間または対照siRNAを8週間、3mg/kg/用量を皮下投与して処置した。PCEP+CPGではなくc−ジ−AMPをタンパク質投与でのアジュバントとして使用する以外、siRNA投与は上記プライム−ブーストワクチンレジメンの投与に従った(n=6/群)。それ故に、8週群のマウス(n=6)は3用量のsiRNAを受け、3回目の用量をワクチン投与1日目に投与した。6週群のマウス(n=12)は2用量のsiRNAを受け、2回目の用量をワクチン投与1日目の2週間前に投与した。最後に、3週群のマウス(n=6)は1用量のsiRNAを受け、該用量をワクチン投与1日目の3週間前に投与した。
血液サンプルを、−8週目、−6週目、−4週目、−2週目、0週目、2週目、4週目および6週目の初日、0週目の初日の最初の用量のワクチン投与前(負の数)および後に採取した。上記のとおり、血清を調製し、HBsAg、HBeAgおよびHBV DNAレベルを評価した。
各HBsAg、HBeAgおよびHBV DNAの有意な減少が、AD−66816の最初の投与後観察された(図8A〜8C)。HBsAgのさらに有意な減少が、ワクチンブーストでの処置後に観察され、8週間前処置群で観察された最大減少はアッセイでの検出レベル未満であり、全処置動物でHBsAgレベルの5 log 10を超える減少を示した。免疫化は、siRNA処置により有意に減少していた、HBV DNAのわずかなさらなる減少(<0.5 log 10)をもたらした。ワクチン接種レジメンに応答したHBeAgレベルのさらなる減少は観察されなかった。
これらのデータは、治療ワクチン接種の有効性がワクチン接種開始前の抗原抑制の期間と相関することを示す。HBV特異的CD8+T細胞応答の再構成は数週間かかり、3週間前処置より6週間、または好ましくは8週間前処置する。
実験最終日、免疫化開始後6週目の初日、マウスを屠殺し、各群6マウスから肝臓を採取した。上記のとおり肝臓関連リンパ球を単離し、リンパ球刺激アッセイを実施した。特に、肝臓内CD8+T細胞応答を、Backes, 2016に提供される方法を使用して、HBsAg、HBcAgおよびMVAウイルス粒子の応答について評価した。肝臓でのHBsAgおよびHBcAgに対するT細胞応答は、HBV抗原ノックダウンの期間と相関し、HBV抗原での高い免疫応答レベルが観察される期間が長いと、T細胞応答が大きくなる傾向にあった(図9A〜9C参照)。MVAウイルス抗原に対する類似する応答が、前処置と無関係に全群にわたり観察され、ワクチン接種が全動物で等しく良好に働いており、HBV抗原レベルにより影響されないことを示し、コンピテント免疫系の存在を示す(図9D)。対照siRNA処置動物と他の何れの群の間にも、抗体産生の有意な差は観察されなかった。これは、HBV特異的CD8+T細胞応答の再構成がすぐに起こらず、動物が、3週間のみと比較して、少なくとも6週間または8週間HBV抗原力価が低下していたならば、治療ワクチン接種後強い応答が見られることを示す。T細胞応答と対照的に、B細胞免疫がHBV抗原力価により顕著に影響されないと考えられるとの先の知見をさらに確認する。
RNAも肝臓から単離し、総HBV RNAおよびHBV3.5kB転写物レベルをYan, 2012の方法を使用して検出し、GAPDH発現に対して正規化した。マウスのワクチン投与前のHBV−siRNA AD−66816での処置は、対照siRNA処置対照と比較して、肝臓ライセートのHBV総RNAおよびHBV3.5kb転写物の有意な減少をもたらした(図10Aおよび10B)。さらに、肝臓のHBV抗原発現を、免疫組織化学染色およびmmあたりのHBc陽性細胞の計数により分析した(図10C)。HBV特異的CD8応答の観察された増加と、siRNA前処置の期間延長に相関して、HBc発現細胞数の減少が肝臓で観察された。これらの結果は、CD8+T細胞応答が肝臓での抗原発現を阻止しなかったことを示す。
応答の耐久性を評価するために、血液サンプルを、6週間処置レジメンを使用するAD−66816 HBV−siRNAで前処置したマウスでブーストワクチン接種の投与後2週目および3週目に採取した(図11A〜11D)。6匹のマウス中3匹で、HBsAgレベルはアッセイでの検出レベル未満への低下が続いた(図11A)。実験中、HBeAgレベルの類似する減少は観察されなかった(図11B)。これらのデータは、ここに提供するsiRNA−ワクチン接種組み合わせ治療による最大効果が、CD8+T細胞応答の裁量評価の終了時点として選択した、MVAワクチン接種後1週間を超えて持続したことを示す。投与レジメンの6週間レジメン後の最初にワクチン投与後7週目の抗HBs抗体応答(図11C)およびHBs(S208)に対する肝臓のT細胞免疫応答(図11D)。抗体応答は、動物間で変化した。
これらのデータは、ここに提供する処置レジメンを使用して機能的治癒が可能であることを示す。さらに、これらのデータは、少なくとも短期間の実験内で、HBsAgおよびHBeAg負荷が低いほど、HB抗原の免疫排除および免疫応答を増強するレベルは大きく成り得ることを示す。
実験を通して、体重およびALTレベルをモニターした。偽処置対照と比較して、処置群の何れでも有意な差は観察されなかった。
実施例5 − AAV−HBVマウスモデルにおける免疫化に対する応答のHBV抗原ノックダウンの有効期間評価
トランスジェニックマウスモデルにおけるsiRNA−ワクチン組み合わせ処置レジメンの有効性が証明されたため、AAV−HBV感染マウスモデルを使用して、後天的感染モデルにおける処置レジメンの有効性を試験した(例えば、Yang, et al. (2014) Cell Mol Immunol 11:71参照)。このマウスモデルは、複製可能HBVゲノムを担持する組み換えアデノ随伴ウイルス(AAV)で感染後、持続性HBVウイルス血症を示す。
HBVトランスジェニックマウスモデルとAAV−HBVマウスモデルの間に多数の差がある。HBVトランスジェニックマウスは、本質的に生まれたときからHBV抗原を発現できるのに対し、AAV−HBVモデルは、マウスの生存中の後の時点でHBVゲノムの導入を可能とする。これは、免疫寛容に対する効果を有し得る。さらに、HBVトランスジェニックマウスは、体内の全細胞に導入遺伝子を担持し、「漏出性」肝臓外発現の可能性を提供する。AAV8血清型は肝臓の外の細胞に感染できるが、強い肝臓指向性を有する。さらに、トランスジェニックマウスでHBV感染を排除することは不可能である。トランスジェニックHBV発現肝細胞が殺されたとき、新しいHBV発現細胞に置き換わる。感染モデルにおいて、感染細胞が殺されたならば、新たな分裂細胞は、細胞分裂時点では感染していない。
9週齢C57/Bl6マウスをAAV−HBV(−28日目)で感染させた。次いで、マウスを対照siRNAの一つまたは2つのHBV−siRNA、修飾AD−66816または修飾AD−66810の一つで、3mg/kgを、0日目、29日目および57日目(すなわち、0週間、4週間、8週間)に皮下投与して処置した(n=12/群)。各siRNA処置群を2群に分けた(n=6/群)。1群をHBVワクチンプロトコール(タンパク質プライムを57日目および70日目ならびにMVAブーストを84日目、すなわち、それぞれ8週目、10週目および12週目)で処置し、1群はしなかった。投与レジメンを示す模式図を図12に提供する。マウスを、血清HBsAg、HBeAg、抗HBs抗体、体重およびALTについて実験を通してモニターした。抗HBe抗体レベルも定期的に試験した。
図13Aおよび13Bは、AAV−HBVウイルスで形質導入2週間以内のトランスジェニックマウスに見られるのと同等の、HBsAgおよびHBeAgレベル増加を示す。対照siRNAのみで処置したマウスは、HBVを、慢性感染ヒト(HBsAgレベル約2,000IU/ml、HBVウイルス血症10−10IU/ml)と同等のレベルで8か月を超えて複製した。HBV siRNA AD−66816およびAD−66810は、HBsAgをそれぞれ2および2.5 log 10減少させ、HBeAgを≧1 log 10減少させた。効果は、siRNA処置停止後少なくとも4週間持続し、その後、抗原血症がゆっくりリバウンドし、18週後にベースラインレベルとなった(図13Aおよび13B)。
肝臓内HBV DNA(図13D)およびAAV DNA(図13E)レベルを、上記のとおりqPCRにより22週目に決定した。GAPDH RNAに対するHBV3.5 RNA(図13F)およびGAPDH RNAに対する総HBV RNA(図13G)の肝臓における相対的発現をrtPCRを使用して決定した。合わせたsiRNA−ワクチンプロトコールで処置したマウスは、22週目時点で未処置対照またはsiRNAまたはワクチン処置単独と比較して、総HBV DNAおよびAAV DNAの有意な減少を示した(図13Dおよび13E)。特に、総HBV DNAレベルは、組み合わせ処置の結果として、細胞あたり1コピー未満まで減少した(図13D)。合わせたsiRNA−ワクチンプロトコールで処置したマウスはまた、他の全処置レジメンと比較して、GAPDH RNA発現に対して相対的なHBV3.5kb RNA発現レベルの有意な減少を示した(図13F)。GAPDH RNAに対する総HBV RNA発現の有意な減少は、ワクチンまたはsiRNA単独での処置と比較して観察された(図13G)。これらのデータは、siRNA単独またはHBVに対する治療ワクチンの短期の投与がHBV感染の持続的な抑制に不十分であることを示唆する。HBV発現のsiRNAノックダウン後のHBVの免疫介在制御は、持続性であった。最後のsiRNA投与22週目に、siRNAの効果は、ワクチン接種なしでHBV siRNAのみを受けた群で見られるとおり、漸減した。siRNA−ワクチンプロトコールで処置したマウスは、siRNA投与終了後長期にHBV DNAおよびRNA抑制を維持した。
免疫応答は、siRNA単独処置下のこれらの完全に免疫適格性のマウスで観察されなかったが、ワクチン処置は、全ワクチン接種動物で抗HBsセロコンバージョンをもたらした(図14Aおよび14B)。しかしながら、siRNA前処置動物は、10倍高く、より一定した抗HBs力価をもたらし、完全かつ持続性に血清HBsAgおよびHBeAgを排除できた。対照的に、抗HBeセロコンバージョンは、HBV siRNAで前処置した動物でのみ観察された。興味深いことに、HBV siRNA処置後ワクチン接種した12匹のマウス中3匹が、抗HBeのレベル減少と同時発生するHBeAgの一過性再発を15〜22週目に示した(図13C)。メカニズムに拘束されないが、HBeAg再発は、ワクチンによる記憶免疫応答誘発により制御されたと提案される。併せて、siRNAと異種性プライム−ブーストワクチンの組み合わせによるHBV抗原発現の抑制は、HBV抗原に対する免疫寛容の破壊に十分である。連続的治療は、持続性HBV感染のマウスモデルで顕著な肝臓損傷なしに長期機能的治癒を達成した。
図14Aおよび14Bは、HBV siRNAとワクチンレジメンで処置した動物が高力価の抗HBs抗体および抗HBe抗体を生じたことを示す。抗HBs抗体レベルは、最後のワクチン投与後も増加し続けた。対照siRNAとワクチンレジメンを受けた動物で抗HBs抗体も測定されたが、レベルは有意に低かった。さらに、HBV siRNAとワクチンレジメンを受けた動物のみ抗HBe抗体を生じ、抗HBeセロコンバージョンを達成した。siRNAおよびワクチンを使用する組み合わせ治療は、十分に耐容性であるように見えた。全マウスは等しく体重が増加し、軽度なALT上昇のみ(正常上限の<2倍)観察された(図15Aおよび15B)。抗原血症喪失は、ワクチン接種レジメンと共にHBV siRNAを受けた処置群で見られるALT活性のわずかな増加と一致した(図15A)。これらの群は、組み合わせHBV siRNA−ワクチンレジメンを受けたかった他の全処置群と比較して、有意な、しかし軽度の増加を示した(両者とも反復測定二元配置ANOVAによりp>0.05以下;ワクチン接種開始後の時点のみ比較)。siRNA処置と無関係に、全動物は、実験を通して体重が一定に増加した。ワクチン接種した動物は、ワクチン接種後にわずかな一過性の体重減少(約5%)を示したが、9日以内に正常レベルまでリバウンドし、その後対照群と同等に体重増加した(図15B)。
メカニズムに拘束されないが、ここに提供するデータは、高レベルのHBV抗原発現が常に循環HBsAgとして検出され、HBeAgがHBV特異的CD8+T細胞応答を阻止することを強く示唆し、これは、慢性B型肝炎の将来的な免疫療法に大きな影響を有する。慢性B型肝炎の2種の異なるマウスモデルを使用して、HBV特異的免疫調節が、RNAiベースの治療を使用する肝細胞のHBVタンパク質発現抑制により復帰し得ることが提案される。このようなRNAiによるHBV抗原の減少は、標準治療ヌクレオ(チ)シドアナログとは対照的に、HBV感染の制御に必要な強いHBV特異的CD8+T細胞応答の治療ワクチン接種による誘発を可能とする。
付属表A
等価物
当業者は、ここに記載する特定の実施態様および方法の多くの等価物を、認識するかまたは日常的な程度を超えない実験を使用して、確認できる。このような等価物は次の特許請求の範囲の範囲に包含されることを意図する。

Claims (112)

  1. B型肝炎ウイルス(HBV)感染の処置に使用するためのRNAi剤ならびにタンパク質ベースのワクチンおよび核酸ベースのワクチンを含むHBVワクチンまたはHBV感染を有する対象を処置する方法であって、HBV感染を有する対象に
    a)少なとも3つのHBV転写物の発現を阻害するRNAi剤であって、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含むRNAi剤;
    b)第一HBVコア抗原(HBcAg)ポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントおよび第一HBV表面抗原(HBsAg)ポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントを含むタンパク質ベースのワクチン;および
    c)第二HBcAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントおよび/または第二HBsAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントをコードする発現ベクター構築物を含む核酸ベースのワクチン
    を連続的に投与することを含み、
    ここで、第二HBcAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントおよび/または第二HBsAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントが第一HBcAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントおよび/または第一HBsAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントの少なくとも一つと少なくとも一つのエピトープを共有し;それにより対象を処置する、方法。
  2. RNAi剤が少なくとも一つの修飾ヌクレオチドを含む、請求項1に記載の使用または方法。
  3. 核酸ベースのワクチンが第二HBcAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントおよび第二HBsAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントをコードする発現ベクター構築物を含む、請求項1または2に記載の使用または方法。
  4. 少なくとも2用量のRNAi剤が対象に投与される、請求項1〜3の何れかに記載の使用または方法。
  5. RNAi剤が、対象の血清HBsAgレベルが少なくとも0.5log 10IU/ml減少するように対象に投与される、請求項1〜4の何れかに記載の使用または方法。
  6. 対象の血清HBsAgレベルが、最初の用量のタンパク質ベースのワクチン投与前に少なくとも0.5log 10IU/ml減少する、請求項1〜5の何れかに記載の使用または方法。
  7. 対象の血清HBsAgレベルが、最初の用量のタンパク質ベースのワクチン投与前に少なくとも1log 10IU/ml減少する、請求項1〜6の何れかに記載の使用または方法。
  8. 対象の血清HBsAgレベルが、最初の用量のタンパク質ベースのワクチン投与前に少なくとも2log 10IU/ml減少する、請求項1〜7の何れかに記載の使用または方法。
  9. 対象の血清のHBeAgレベルが、最初の用量のタンパク質ベースのワクチン投与前に少なくとも1log 10IU/ml減少する、請求項1〜8の何れかに記載の使用または方法。
  10. 最初の用量のタンパク質ベースのワクチン投与前に、対象の血清HBsAgレベルが少なくとも2log 10IU/ml減少し、対象の血清のHBeAgレベルが少なくとも1log 10IU/ml減少する、請求項1〜9の何れかに記載の使用または方法。
  11. 対象が、RNAi剤投与後かつ最初の用量のタンパク質ベースのワクチン投与前に500IU/ml以下の血清HBsAgレベルを有する、請求項1〜10の何れかに記載の使用または方法。
  12. 対象が、RNAi剤投与後かつ最初の用量のタンパク質ベースのワクチン投与前に200IU/ml以下の血清HBsAgレベルを有する、請求項1〜10の何れかに記載の使用または方法。
  13. 対象が、RNAi剤投与後かつ最初の用量のタンパク質ベースのワクチン投与前に100IU/ml以下の血清HBsAgレベルを有する、請求項1〜10の何れかに記載の使用または方法。
  14. 対象が、RNAi剤投与後かつ最初の用量のタンパク質ベースのワクチン投与前に500IU/ml以下の血清HBeAgレベルを有する、請求項1〜13の何れかに記載の使用または方法。
  15. 対象が、RNAi剤投与後かつ最初の用量のタンパク質ベースのワクチン投与前にHBeAgレベル〜200IU/ml以下の血清HBeAgレベルを有する、請求項1〜13の何れかに記載の使用または方法。
  16. 対象が、RNAi剤投与後かつ最初の用量のタンパク質ベースのワクチン投与前にHBeAgレベル〜100IU/ml以下の血清HBeAgレベルを有する、請求項1〜13の何れかに記載の使用または方法。
  17. 対象が、RNAi剤投与後かつ最初の用量のタンパク質ベースのワクチン投与前に500IU/ml以下の血清HBeAgレベルおよび500IU/ml以下の血清HBsAgレベルを有する、請求項1〜16の何れかに記載の使用または方法。
  18. 対象が、RNAi剤投与後かつ最初の用量のタンパク質ベースのワクチン投与前に200IU/ml以下の血清HBeAgレベルおよび200IU/ml以下の血清HBsAgレベルを有する、請求項1〜16の何れかに記載の使用または方法。
  19. 対象が、RNAi剤投与後かつ最初の用量のタンパク質ベースのワクチン投与前に100IU/ml以下の血清HBeAgレベルおよび100IU/ml以下の血清HBsAgレベルを有する、請求項1〜16の何れかに記載の使用または方法。
  20. RNAi剤の1用量が、対象に週1回以下で投与される、請求項1〜19の何れかに記載の使用または方法。
  21. RNAi剤の1用量が、対象に4週に1回以下で投与される、請求項1〜19の何れかに記載の使用または方法。
  22. RNAi剤が、0.01mg/kg〜10mg/kg;または0.5mg/kg〜50mg/kg;または10mg/kg〜30mg/kgの用量で対象に投与される、請求項1〜21の何れかに記載の使用または方法。
  23. RNAi剤が、対象に0.5mg/kg、1mg/kg、1.5mg/kg、3mg/kg、5mg/kg、10mg/kgおよび30mg/kgからなる群から選択される用量で投与される、請求項1〜21の何れかに記載の使用または方法。
  24. 第一HBcAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントが少なくとも一つのHBcAg決定基を含み、第一HBsAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントが少なくとも一つのHBsAg決定基を含む、請求項1〜23の何れかに記載の使用または方法。
  25. 第二HBcAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントが少なくとも一つのHBcAg決定基を含み、第二HBsAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントが少なくとも一つのHBsAg決定基を含む、請求項1〜24の何れかに記載の使用または方法。
  26. 第一および/または第二HBsAg決定基が配列番号22のアミノ酸124〜147と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、請求項24または25に記載の使用または方法。
  27. 第一および/または第二HBsAg決定基が配列番号23のアミノ酸99〜168と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、請求項24または25に記載の使用または方法。
  28. 第一および/または第二HBcAg決定基が配列番号24のアミノ酸残基80を含むアミノ酸配列を含む、請求項24または25に記載の使用または方法。
  29. 配列番号24のアミノ酸80を含む配列が少なくとも配列番号24のアミノ酸70〜90と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、請求項28に記載の使用または方法。
  30. 第一および/または第二HBcAg決定基が配列番号24のアミノ酸残基138を含むアミノ酸配列を含む、請求項28に記載の使用または方法。
  31. 配列番号14のアミノ酸80を含む配列が少なくとも配列番号24のアミノ酸128〜143と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、請求項28に記載の使用または方法。
  32. 第一および/または第二HBcAg決定基が、配列番号24の少なくとも40、50、60、70、80、90または100連続アミノ酸と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、請求項28または31の何れかに記載の使用または方法。
  33. HBcAgの決定基は、配列番号24のアミノ酸18〜143と少なくとも90%同一の配列を含む、請求項25に記載の使用または方法。
  34. 対象に投与するタンパク質ベースのワクチンの1用量が約0.1μg〜約1.0mgの第一HBcAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントおよび約0.1μg〜約1.0mgの用量の第一HBsAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントを含む、請求項1〜33の何れかに記載の使用または方法。
  35. 第一HBcAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントおよび第一HBsAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントが単一タンパク質ベースのワクチン製剤に存在する、請求項1〜34の何れかに記載の使用または方法。
  36. タンパク質ベースのワクチンがさらにアジュバントを含む、請求項1〜35の何れかに記載の使用または方法。
  37. アジュバントがバランスのとれたTh1/Th2応答を刺激する、請求項36に記載の使用または方法。
  38. アジュバントがモノホスホリルリピドA(MPL)、ポリ(I:C)、ポリICLCアジュバント、CpG DNA、ポリICLCアジュバント、STINGアゴニスト、c−ジ−AMP、c−ジ−GMP、c−ジ−CMP;短、平滑断端5’−三リン酸dsRNA(3pRNA)Rig−Iリガンド、ポリ[ジ(ナトリウムカルボキシレートエチルフェノキシ)ホスファゼン](PCEP))、ミョウバン、ビロソーム、サイトカイン、IL−12、AS02、AS03、AS04、MF59、ISCOMATRIX(登録商標)、IC31(登録商標)またはRig−Iリガンドからなる群から選択される、請求項36に記載の使用または方法。
  39. アジュバントがポリI:Cアジュバント、CpGアジュバント、STINGアゴニストまたはPCEPアジュバントからなる群から選択される、請求項36に記載の使用または方法。
  40. 1用量のタンパク質ベースのワクチンが、対象に少なくとも2回投与される、請求項1〜39の何れかに記載の使用または方法。
  41. 1用量のタンパク質ベースのワクチンが、対象に2週毎に1回以下で投与される、請求項40に記載の使用または方法。
  42. 1用量のタンパク質ベースのワクチンが、対象にRNAi剤の最終用量を投与した日以降に対象に投与される、請求項1〜41の何れかに記載の使用または方法。
  43. 1用量のタンパク質ベースのワクチンが、対象にRNAi剤の最終用量投与と同日に対象に投与する、請求項42に記載の使用または方法。
  44. 1用量のタンパク質ベースのワクチンが、対象にRNAi剤の最終用量投与後1か月以内に対象に投与する、請求項1〜42の何れかに記載の使用または方法。
  45. 1用量のタンパク質ベースのワクチンが、対象にRNAi剤の最終用量投与後3か月以内に対象に投与する、請求項1〜42の何れかに記載の使用または方法。
  46. 対象の血清HBsAgレベルが、少なくとも1用量のRNAi剤の投与後かつタンパク質ベースのワクチン投与前に決定される、請求項1〜45の何れかに記載の使用または方法。
  47. 対象の血清のHBeAgレベルが、少なくとも1用量のRNAi剤の投与後かつタンパク質ベースのワクチン投与前に決定される、請求項1〜45の何れかに記載の使用または方法。
  48. 対象の血清のHBsAgレベルおよびHBeAgレベルが、少なくとも1用量のRNAi剤の投与後かつタンパク質ベースのワクチン投与前に決定される、請求項1〜45の何れかに記載の使用または方法。
  49. 核酸ベースのワクチンが、第二HBcAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントおよび第二HBsAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントをコードする少なくとも一つの発現ベクター構築物を含む、請求項1〜45の何れかに記載の使用または方法。
  50. 少なくとも一つの発現構築物が、第二HBcAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントおよび第二HBsAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントの発現を促進するプロモーターを含む、請求項49に記載の使用または方法。
  51. 少なくとも一つの発現構築物が、第一および第二プロモーターを含み、第一プロモーターは第二HBcAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントの発現を促進し、第二プロモーターは第二HBsAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントの発現を促進する、請求項49に記載の使用または方法。
  52. 少なくとも一つのプロモーターが、呼吸器多核体ウイルス(RSV)プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、PH5プロモーターおよびH1プロモーターからなる群から選択される、請求項50または51に記載の使用または方法。
  53. 発現構築物が、ウイルスベクターを含む、請求項1〜52の何れかに記載の使用または方法。
  54. ウイルスベクターが、アデノウイルスベクター;レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、モロニーマウス白血病ウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター;単純ヘルペスウイルスベクター;SV 40ベクター;ポリオーマウイルスベクター;乳頭腫ウイルスベクター;ピコルナウイルスベクター;ポックスウイルスベクター、オルソポックスウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、改変ワクシニアウイルスAnkara(MVA)ベクター、トリポックスベクター、カナリアポックスベクター、鶏痘ベクターおよびエプスタイン・バーウイルスベクターからなる群から選択される、請求項53に記載の使用または方法。
  55. ウイルスベクターが、MVAベクターである、請求項53に記載の使用または方法。
  56. 対象に投与される核酸ベースのワクチンの1用量が、10〜1010 組織培養感染量(TCID50);または10〜10 TCID50;または10〜10 TCID50のTCID50を含む、請求項1〜55の何れかに記載の使用または方法。
  57. 核酸ベースのワクチンの1用量が、タンパク質ベースのワクチンの最終用量が対象に投与された後2週間以降に対象に投与される、請求項1〜56の何れかに記載の使用または方法。
  58. 少なくとも1用量のRNAi剤投与後の対象の血清HBsAgレベルが、核酸ベースのワクチンの1用量の投与前に決定される、請求項1〜57の何れかに記載の使用または方法。
  59. 第1用量の核酸ベースのワクチンが、対象の血清HBsAgレベルが少なくとも1用量のタンパク質ベースのワクチン投与後少なくとも0.5log 10IU/mlまでさらに減少したときに対象に投与される、請求項1〜58の何れかに記載の使用または方法。
  60. 単回用量の核酸ベースのワクチンを対象に投与する、請求項1〜59の何れかに記載の使用または方法。
  61. ヌクレオチ(シ)ドアナログを対象に投与することをさらに含む、請求項1〜60の何れかに記載の使用または方法。
  62. 少なくとも1用量のヌクレオチ(シ)ドアナログが対象へのRNAi剤の投与前に対象に投与されるか;または複数用量のヌクレオチ(シ)ドアナログが対象に投与される、請求項61に記載の使用または方法。
  63. ヌクレオチ(シ)ドアナログがテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(TDF)、テノホビルアラフェナミド(TAF)、ラミブジン、アデホビルジピボキシル、エンテカビル(ETV)、テルビブジン、AGX−1009、エムトリシタビン、クレブジン、リトナビル、ジピボキシル、ロブカビル、ファムビル、FTC、N−アセチル−システイン(NAC)、PC1323、セラダイム−HBV、チモシン−アルファおよびガンシクロビル、ベシフォビル(ANA−380/LB−80380)およびテノホビル−エクサリエード(TLX/CMX157)からなる群から選択される、請求項61または62に記載の使用または方法。
  64. 対象における血清HBsAgレベルが、RNAi剤投与前に3000IU/ml未満、4000IU/ml未満または5000IU/ml未満である、請求項1〜63の何れかに記載の使用または方法。
  65. 対象における血清HBsAgレベルが、核酸ベースのワクチンの投与終了後少なくとも6か月、臨床アッセイを使用する検出のレベル未満まで減少する、請求項1〜64の何れかに記載の使用または方法。
  66. 対象における血清HBeAgレベルが、核酸ベースのワクチンの投与終了後少なくとも6か月間、臨床アッセイを使用する検出レベル未満に減少している、請求項1〜64の何れかに記載の使用または方法。
  67. 対象における血清HBsAgおよびHBeAgレベルが、核酸ベースのワクチンの投与終了後少なくとも6か月間、臨床アッセイを使用する検出のレベル未満まで減少している、請求項1〜64の何れかに記載の使用または方法。
  68. 免疫刺激剤を対象に投与することさらに含む、請求項1〜67の何れかに記載の使用または方法。
  69. 免疫刺激剤が、ペグ化インターフェロンアルファ2a(PEG−IFN−アルファ−2a)、インターフェロンアルファ−2b、PEG−IFN−アルファ−2b、インターフェロンラムダ、組み換えヒトインターロイキン−7およびトール様受容体3、7、8または9(TLR3、TLR7、TLR8、TLR9)アゴニスト、ウイルス侵入阻害剤、Myrcludex、HBsAgの分泌または放出を阻害するオリゴヌクレオチド、REP 9AC、カプシド阻害剤、Bay41−4109、NVR−1221、cccDNA阻害剤、IHVR−25)、ウイルスカプシド、MVAカプシド、免疫チェックポイント制御因子、CTLA−4阻害剤、イピリムマブ、PD−1阻害剤、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、BGB−A317抗体、PD−L1阻害剤、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブおよびアフィマー生物学的製剤からなる群から選択される、請求項68に記載の使用または方法。
  70. 対象がヒトである、請求項1〜69の何れかに記載の使用または方法。
  71. RNAi剤が、4つのHBV転写物の発現を阻害する、請求項1〜70の何れかに記載の使用または方法。
  72. RNAi剤が、少なとも3つのHBV転写物の発現を阻害する、請求項1〜70の何れかに記載の使用または方法。
  73. RNAi剤が、付属書Aの何れかにおけるRNAi剤から選択される、請求項1〜72の何れかに記載の使用または方法。
  74. RNAi剤が、付属表Aの表2〜11の何れかにおけるRNAi剤から選択される、請求項73に記載の使用または方法。
  75. RNAi剤が、配列番号1(NC_003977.1)のヌクレオチド1579〜1597、206〜228、207〜229、210〜232、212〜234、214〜236、215〜237、216〜238、226〜248、245〜267、250〜272、252〜274、253〜275、254〜276、256〜278、258〜280、263〜285、370〜392、373〜395、375〜397、401〜423、405〜427、410〜432、411〜433、422〜444、424〜446、425〜447、426〜448、731〜753、734〜756、1174〜1196、1250〜1272、1255〜1277、1256〜1278、1545〜1567、1547〜1569、1551〜1571、1577〜1597、1580〜1598、1806〜1825、1812〜1831、1814〜1836、1829〜1851、1831〜1853、1857〜1879、1864〜1886、2259〜2281、2298〜2320または2828〜2850の少なくとも15連続ヌクレオチドを標的とする、請求項1〜74の何れかに記載の使用または方法。
  76. RNAi剤が、配列番号1(NC_003977.1)のヌクレオチド1579〜1597または1812〜1831の少なくとも15連続ヌクレオチドを標的とする、請求項1〜75の何れかに記載の使用または方法。
  77. RNAi剤が、配列番号1(NC_003977.1)のヌクレオチド1579〜1597または1812〜1831を標的とする、請求項1〜75の何れかに記載の使用または方法。
  78. RNAi剤のアンチセンス鎖が、5’−UGUGAAGCGAAGUGCACACUU−3’(配列番号25)または5’−AGGUGAAAAAGUUGCAUGGUGUU−3’(配列番号26)のヌクレオチド配列の少なくとも15連続ヌクレオチドを含む、請求項75に記載の使用または方法。
  79. RNAi剤のアンチセンス鎖が、5’−UGUGAAGCGAAGUGCACACUU−3’(配列番号25)または5’−AGGUGAAAAAGUUGCAUGGUGUU−3’(配列番号26)のヌクレオチド配列の少なくとも19連続ヌクレオチドを含む、請求項75に記載の使用または方法。
  80. RNAi剤のアンチセンス鎖が、5’−UGUGAAGCGAAGUGCACACUU−3’(配列番号25)または5’−AGGUGAAAAAGUUGCAUGGUGUU−3’(配列番号26)のヌクレオチド配列を含む、請求項75に記載の使用または方法。
  81. RNAi剤のセンス鎖が、5’−GUGUGCACUUCGCUUCACA−3’(配列番号27)または5’−CACCAUGCAACUUUUUCACCU−3’(配列番号28)のヌクレオチド配列の少なくとも15連続ヌクレオチドを含む、請求項75〜80の何れかに記載の使用または方法。
  82. RNAi剤のセンス鎖が、5’−GUGUGCACUUCGCUUCACA−3’(配列番号27)または5’−CACCAUGCAACUUUUUCACCU−3’(配列番号28)のヌクレオチド配列の少なくとも19連続ヌクレオチドを含む、請求項75〜80の何れかに記載の使用または方法。
  83. RNAi剤のセンス鎖が、5’−GUGUGCACUUCGCUUCACA−3’(配列番号27)または5’−CACCAUGCAACUUUUUCACCU−3’(配列番号28)のヌクレオチド配列を含む、請求項75〜80の何れかに記載の使用または方法。
  84. RNAi剤のアンチセンス鎖が、5’−UGUGAAGCGAAGUGCACACUU−3’(配列番号25)のヌクレオチド配列の少なくとも15連続ヌクレオチドを含み、センス鎖が5’−GUGUGCACUUCGCUUCACA−3’(配列番号27)のヌクレオチド配列の少なくとも15連続ヌクレオチドを含む、請求項75〜77の何れかに記載の使用または方法。
  85. RNAi剤のアンチセンス鎖が、5’−UGUGAAGCGAAGUGCACACUU−3’(配列番号25)のヌクレオチド配列の少なくとも19連続ヌクレオチドを含み、センス鎖が5’−GUGUGCACUUCGCUUCACA−3’(配列番号27)のヌクレオチド配列の少なくとも19連続ヌクレオチドを含む、請求項75〜77の何れかに記載の使用または方法。
  86. RNAi剤のアンチセンス鎖が、5’−UGUGAAGCGAAGUGCACACUU−3’(配列番号25)のヌクレオチド配列を含み、センス鎖が5’−GUGUGCACUUCGCUUCACA−3’(配列番号27)のヌクレオチド配列を含む、請求項75〜77の何れかに記載の使用または方法。
  87. RNAi剤のアンチセンス鎖が、5’−AGGUGAAAAAGUUGCAUGGUGUU−3’(配列番号26)のヌクレオチド配列の少なくとも15連続ヌクレオチドを含み、RNAi剤のセンス鎖が5’−CACCAUGCAACUUUUUCACCU−3’(配列番号28)のヌクレオチド配列の少なくとも15連続ヌクレオチドを含む、請求項75〜77の何れかに記載の使用または方法。
  88. RNAi剤のアンチセンス鎖が、5’−AGGUGAAAAAGUUGCAUGGUGUU−3’(配列番号26)のヌクレオチド配列の少なくとも19連続ヌクレオチドを含み、RNAi剤のセンス鎖が5’−CACCAUGCAACUUUUUCACCU−3’(配列番号28)のヌクレオチド配列の少なくとも19連続ヌクレオチドを含む、請求項75〜77の何れかに記載の使用または方法。
  89. RNAi剤のアンチセンス鎖が、5’−AGGUGAAAAAGUUGCAUGGUGUU−3’(配列番号26)のヌクレオチド配列を含み、RNAi剤のセンス鎖が5’−CACCAUGCAACUUUUUCACCU−3’(配列番号28)のヌクレオチド配列を含む、請求項75〜77の何れかに記載の使用または方法。
  90. 該センス鎖のヌクレオチドの実質的に全ておよび該アンチセンス鎖のヌクレオチドの実質的に全てが修飾ヌクレオチドであり、
    ここで、該センス鎖が、3’末端で結合するリガンドにコンジュゲートする、請求項1〜89の何れかに記載の使用または方法。
  91. リガンドが、単価リンカー、二価分岐リンカーまたは三価分岐リンカーを介して結合した1以上のGalNAc誘導体である、請求項90に記載の使用または方法。
  92. 該修飾ヌクレオチドの少なくとも一つがデオキシ−ヌクレオチド、3’末端デオキシ−チミン(dT)ヌクレオチド、2’−O−メチル修飾ヌクレオチド、2’−フルオロ修飾ヌクレオチド、2’−デオキシ−修飾ヌクレオチド、ロックドヌクレオチド、アンロックドヌクレオチド、配座固定ヌクレオチド、拘束エチルヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、2’−アミノ−修飾ヌクレオチド、2’−O−アリル−修飾ヌクレオチド、2’−C−アルキル−修飾ヌクレオチド、2’−ヒドロキシル−修飾ヌクレオチド、2’−メトキシエチル修飾ヌクレオチド、2’−O−アルキル−修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホロアミド酸、ヌクレオチド含有非天然塩基、テトラヒドロピラン修飾ヌクレオチド、1,5−アンヒドロヘキシトール修飾ヌクレオチド、シクロヘキセニル修飾ヌクレオチド、ホスホロチオエート基含有ヌクレオチド、メチルホスホネート基含有ヌクレオチド、5’−ホスフェート含有ヌクレオチドおよび5’−ホスフェート模倣体含有ヌクレオチドからなる群から選択される、請求項91に記載の使用または方法。
  93. RNAi剤の少なくとも一つの鎖が、少なくとも1ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む、請求項1〜92の何れかに記載の使用または方法。
  94. RNAi剤の少なくとも一つの鎖が、少なくとも2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む、請求項1〜92の何れかに記載の使用または方法。
  95. RNAi剤の二本鎖領域が、15〜30ヌクレオチド対長である、請求項1〜92の何れかに記載の使用または方法。
  96. RNAi剤の二本鎖領域が、17〜23ヌクレオチド対長である、請求項1〜92の何れかに記載の使用または方法。
  97. RNAi剤の二本鎖領域が、17〜25ヌクレオチド対長である、請求項1〜92の何れかに記載の使用または方法。
  98. RNAi剤の二本鎖領域が、23〜27ヌクレオチド対長である、請求項1〜92の何れかに記載の使用または方法。
  99. RNAi剤の二本鎖領域が、19〜21ヌクレオチド対長である、請求項1〜92の何れかに記載の使用または方法。
  100. RNAi剤の二本鎖領域が、21〜23ヌクレオチド対長である、請求項1〜92の何れかに記載の使用または方法。
  101. RNAi剤の各鎖が、15〜30ヌクレオチド有する、請求項1〜92の何れかに記載の使用または方法。
  102. RNAi剤の各鎖が、19〜30ヌクレオチド有する、請求項1〜92の何れかに記載の使用または方法。
  103. リガンドが、
    である、請求項90に記載の使用または方法。
  104. RNAi剤が、下記模式図
    〔式中、XはOまたはSである。〕
    に示すとおりリガンドにコンジュゲートする、請求項90に記載の使用または方法。
  105. RNAi剤が、AD−66810またはAD−66816である、請求項1〜75の何れかに記載の使用または方法。
  106. 第一HBcAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメント、および/または第一HBsAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントが、HBVの少なくとも4つの遺伝子型に存在する少なくとも一つの決定基を含む、請求項1〜105の何れかに記載の使用または方法。
  107. 第一HBcAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメント、および/または第一HBsAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントが、HBVの少なくとも6つの遺伝子型に存在する少なくとも一つの決定基を含む、請求項1〜105の何れかに記載の使用または方法。
  108. 第一HBcAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメント、および/または第一HBsAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントが、HBVの少なくとも7つの遺伝子型に存在する少なくとも一つの決定基を含む、請求項1〜105の何れかに記載の使用または方法。
  109. 第二HBcAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメント、および/または第二HBsAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントがHBVの少なくとも4つの遺伝子型に存在する少なくとも一つの決定基を含む、請求項1〜108の何れかに記載の使用または方法。
  110. 第二HBcAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメント、および/または第二HBsAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントがHBVの少なくとも6つの遺伝子型に存在する少なくとも一つの決定基を含む、請求項1〜108の何れかに記載の使用または方法。
  111. 第二HBcAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメント、および/または第二HBsAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントがHBVの少なくとも7つの遺伝子型に存在する少なくとも一つの決定基を含む、請求項1〜108の何れかに記載の使用または方法。
  112. HBV感染を有する対象を処置するためのキットであって
    a)少なとも3つのHBV転写物の発現を阻害するRNAi剤であって、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含むRNAi剤;
    b)第一HBVコア抗原(HBcAg)ポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントおよび第一HBV表面抗原(HBsAg)ポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントを含むタンパク質ベースのワクチン;および
    c)第二HBcAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントおよび/または第二HBsAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントをコードする発現ベクター構築物を含む核酸ベースのワクチンであって、
    ここで、第二HBcAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントおよび/または第二HBsAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントが第一HBcAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントおよび/または第一HBsAgポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントの少なくとも一つと少なくとも一つのエピトープを共有するワクチン;および
    d)請求項1〜111の何れかに記載の使用または方法に従い使用するための指示
    を含む、キット。
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WO2023145755A1 (ja) * 2022-01-25 2023-08-03 公益財団法人川崎市産業振興財団 経皮投与用のrnaを含む組成物および当該組成物の投与方法

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