JP2020515518A - 改善された血清アルブミン結合剤 - Google Patents

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Abstract

本発明は、血清アルブミンに結合することができるアミノ酸配列に関する。特に、本発明は、血清アルブミンに結合することができる、免疫グロブリン単一可変ドメイン、特に重鎖免疫グロブリン単一可変ドメインに関する。本発明はまた、本明細書に記載の血清アルブミンに結合する免疫グロブリン単一可変ドメインの少なくとも1つを含む、タンパク質、ポリペプチドおよび他の構築物、化合物、分子または化学実体に関する。

Description

本発明は、血清アルブミンに結合することができるアミノ酸配列に関する。
特に、本発明は、血清アルブミンに結合することができる、免疫グロブリン単一可変ドメイン、特に重鎖免疫グロブリン単一可変ドメインに関する。
本明細書に記載の通り、本発明によって提供される免疫グロブリン単一可変ドメインは、好ましくは、ヒト血清アルブミンに(少なくとも)結合する(特に、特異的に結合する)ことができるような、免疫グロブリン単一可変ドメインである。より好ましくは、本明細書にさらに記載の通り、これらの免疫グロブリン単一可変ドメインは、好ましくはさらに、ヒト血清アルブミンと少なくとも1種の他の哺乳動物種に由来する血清アルブミンとの間で交差反応性(本明細書に記載の通り)であるような、免疫グロブリン単一可変ドメインである。
本発明はまた、本明細書に記載の血清アルブミンに結合する免疫グロブリン単一可変ドメインの少なくとも1つを含む、タンパク質、ポリペプチドおよび他の構築物、化合物、分子または化学実体に関する。
免疫グロブリン単一可変ドメインはまた、一般に本明細書において、略称「ISV」または「ISVD」(本明細書において互換的に使用される)を用いて言及される。
本明細書に記載の血清アルブミンに結合する免疫グロブリン単一可変ドメインはまた、本明細書において「本発明のアミノ酸配列」または「本発明の血清アルブミン結合剤」と称される。本明細書にさらに記載の通り、本発明のアルブミン結合剤は、特に、ナノボディ(本明細書にさらに記載の通り)であってよい。
本発明の血清アルブミン結合剤の少なくとも1つを含む、タンパク質、ポリペプチドおよび他の構築物、化合物、分子または化学実体はまた、本明細書において「本発明の化合物」または「本発明のポリペプチド」と称される。好ましくは、本発明の化合物は、タンパク質またはポリペプチドであり、特に、融合タンパク質であってよい。
本発明の他の態様、実施態様、特徴、使用および利点は、本明細書の開示に基づいて当業者に明らかであろう。
本出願において、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン中のアミノ酸残基/位置は、Kabatに従うナンバリングで示される。便宜上、図1は、本明細書において具体的に言及されるいくつかのアミノ酸位置と、いくつかの代替ナンバリング系(AhoおよびIMGTなど。注記:他に明白に指示のない限り、本説明および特許請求の範囲について、Kabatのナンバリングが決め手となる;他のナンバリング系は参考のためだけに与えられる)に従うそれらのナンバリングを列記する表を与える。
CDRに関しては、当技術分野において周知である通り、Kabatの定義(配列変動性に基づくものであり、最も一般的に使用されている)およびChothiaの定義(構造ループ領域の場所に基づくものである)など、VHまたはVHH断片のCDRを定義および説明するための複数の規則がある。例えば、ウェブサイト(http://www.bioinf.org.uk/abs/)を参照されたい。本明細書および特許請求の範囲の目的のために、Kabatに従うCDRを取り上げてもよいが、Abmの定義(Oxford Molecular社のAbM抗体モデリングソフトウェアに基づくものである)がKabatの定義とChothiaの定義の間の最適な折衷案であると見なされるから、CDRは、Abmの定義に基づいて定義されることが最も好ましい。ここでも、ウェブサイト(http://www.bioinf.org.uk/abs/)を参照されたい。
したがって、本明細書および特許請求の範囲において、本明細書に他に明白に定めのない限り、全てのCDRは、Abmの規則に従って定義される。
血清アルブミンに結合することができるISVD(特に、ナノボディ)およびそれらの使用は、例えば、国際公開公報第2004/041865号、国際公開公報第2006/122787号、国際公開公報第2012/175400号、国際公開公報第2015/173325号およびPCT/欧州特許第2016/077973号から、当技術分野において周知であり、これらには、治療用化合物、部分および実体の血清半減期を延長させるための血清アルブミン結合ISVDおよびそれらの使用(これらの出願において定義される通り)が記載されている。例えば、国際公開公報第2006/122787号は、SEQ ID NO:62として、Alb−8と呼ばれるヒト化血清アルブミン結合ナノボディ(本明細書におけるSEQ ID NO:1を参照のこと)を開示している。国際公開公報第2012/175400号は、SEQ ID NO:6として、Alb−23Dと呼ばれるヒト化血清アルブミン結合ナノボディを開示している(本明細書におけるSEQ ID NO:2を参照のこと)。Alb−8およびAlb−23DならびにそれらのCDR(Alb−8およびAlb−23Dについて同じである)のアミノ酸配列は、以下の表Aに、それぞれSEQ ID NO:1、2および3〜8として与えられる。
血清アルブミンに対するISVDを開示しているいくつかの他の参考文献は、国際公開公報第2003/035694号、国際公開公報第2004/003019号、欧州特許第2 139 918号、国際公開公報第2011/006915号および国際公開公報第2014/111550号を含む。
図3Aおよび3Bは、Alb−8(参考)、Alb−23D(参考)、SEQ ID NO:18(本発明)およびSEQ ID NO:19(本発明)のアラインメントを示す。
本発明は、改善された血清アルブミン結合剤、特に、当技術分野において公知の血清アルブミン結合剤と比較して改善された特性を有する血清アルブミン結合剤を提供することを目的とする。特に、本発明は、イヌ血清アルブミンに結合することができ、かつ/または、ヒト血清アルブミンとイヌ血清アルブミンとの間で改善された交差反応性を有する(すなわち、Alb−8および/またはAlb−23Dのような先行技術の血清アルブミン結合剤と比較して)、血清アルブミン結合剤を提供することを目的とする。
Figure 2020515518
Figure 2020515518
一般に、本発明によって提供される血清アルブミン結合ISVDは、以下の点で、SEQ ID NO:18および19の配列のバリアントである:
−これらは、SEQ ID NO:18および/または19の配列と同じCDR(または本質的に同じCDR)を有する(但し、CDRがKabatに従って定義された場合、CDR2は、AISQNSIHTYYANSVKG(SEQ ID NO:10)またはAISQNSIHTYYADSVKG(SEQ ID NO:11)であることができるものとする);そして
−これらは、SEQ ID NO:18および/または19の配列とある特定の配列同一性の程度を有する(その配列同一性の程度は、本明細書にさらに記載の通りである)。
特に、本発明によって提供される血清アルブミン結合ISVDは、一般に、SEQ ID NO:18および/または19の配列と比較して、(限定された)数の「アミノ酸の相違」(本明細書に記載の通り)を有する。これらのアミノ酸の相違は、CDRに存在しても(得られたアミノ酸配列が、本明細書において設定される本発明のアミノ酸配列のさらなる特性を保持するようなものである限り)かつ/またはフレームワーク領域に存在してもよく、特に、フレームワーク領域(Kabatに従ってかつ/またはAbmに従って定義される通り)に存在してよい。例としてかつ非限定的に、これらのアミノ酸の相違は、例えば、ヒト化置換、所望の宿主細胞もしくは宿主生物における発現を改善する置換、分解および/もしくはプロテアーゼに対する安定性および/もしくは耐性を改善する置換、既存の抗体による結合を低減させる突然変異、ならびに/または本発明のアミノ酸配列の配列を最適化することを意図した他の突然変異;または、そのようなアミノ酸の相違の任意の好適な組み合わせであってよい。本明細書のさらなる開示を参照されたい。
第一の態様において、本発明は、ヒト血清アルブミンに結合する(特に、特異的に結合する)ことができ、かつ、以下を有する、ISVDに関する:
−アミノ酸配列TYVMG(SEQ ID NO:9)またはSEQ ID NO:9のアミノ酸配列と2もしくは1つのアミノ酸の相違(本明細書において定義される通り)を有するアミノ酸配列である、CDR1(Kabatに従う);および
−アミノ酸配列AISQNSIHTYYANSVKG(SEQ ID NO:10)もしくはAISQNSIHTYYADSVKG(SEQ ID NO:11)またはSEQ ID NO:10および/もしくはSEQ ID NO:11のアミノ酸配列と3、2もしくは1つのアミノ酸の相違(本明細書において定義される通り)を有するアミノ酸配列である、CDR2(Kabatに従う);および
−アミノ酸配列SRFTSWYTADYEYDY(SEQ ID NO:14)またはSEQ ID NO:14のアミノ酸配列と3、2もしくは1つのアミノ酸の相違(本明細書において定義される通り)を有するアミノ酸配列である、CDR3(Kabatに従う)。
特に、本発明のこの態様に係る血清アルブミン結合剤は、本明細書にさらに記載の通りであってよい(好ましくは、その通りである)。
より具体的な態様において、本発明は、ヒト血清アルブミンに結合する(特に、特異的に結合する)ことができ、かつ、以下を有する、ISVDに関する:
−アミノ酸配列TYVMG(SEQ ID NO:9)である、CDR1(Kabatに従う);および
−アミノ酸配列AISQNSIHTYYANSVKG(SEQ ID NO:10)またはAISQNSIHTYYADSVKG(SEQ ID NO:11)である、CDR2(Kabatに従う);および
−アミノ酸配列SRFTSWYTADYEYDY(SEQ ID NO:14)である、CDR3(Kabatに従う)。
ここでも、本発明のこの態様に係る血清アルブミン結合剤は、本明細書にさらに記載の通りであってよい(好ましくは、その通りである)。
別の態様において、本発明は、ヒト血清アルブミンに結合する(特に、特異的に結合する)ことができ、かつ、以下を有する、ISVDに関する:
−アミノ酸配列GGTFSTYVMG(SEQ ID NO:12)またはSEQ ID NO:12のアミノ酸配列と2もしくは1つのアミノ酸の相違(本明細書において定義される通り)を有するアミノ酸配列である、CDR1(Abmに従う);および
−アミノ酸配列AISQNSIHTY(SEQ ID NO:13)またはSEQ ID NO:13のアミノ酸配列と3、2もしくは1つのアミノ酸の相違(本明細書において定義される通り)を有するアミノ酸配列である、CDR2(Abmに従う);および
−アミノ酸配列SRFTSWYTADYEYDY(SEQ ID NO:14)またはSEQ ID NO:14のアミノ酸配列と3、2もしくは1つのアミノ酸の相違(本明細書において定義される通り)を有するアミノ酸配列である、CDR3(Abmに従う)。
特に、本発明のこの態様に係る血清アルブミン結合剤は、本明細書にさらに記載の通りであってよい(好ましくは、その通りである)。
より具体的な態様において、本発明は、ヒト血清アルブミンに結合する(特に、特異的に結合する)ことができ、かつ、以下を有する、ISVDに関する:
−アミノ酸配列GGTFSTYVMG(SEQ ID NO:12)である、CDR1(Abmに従う);および
−アミノ酸配列AISQNSIHTY(SEQ ID NO:13)である、CDR2(Abmに従う);および
−アミノ酸配列SRFTSWYTADYEYDY(SEQ ID NO:14)である、CDR3(Abmに従う)。
ここでも、本発明のこの態様に係る血清アルブミン結合剤は、本明細書にさらに記載の通りであってよい(好ましくは、その通りである)。
一般に、本発明の異なる態様に係る血清アルブミン結合剤は、好ましくは、
−少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%のSEQ ID NO:18および/または19の配列との配列同一性の程度(存在し得るCDRおよび任意のC末端伸長は、配列同一性の程度を決定する際に考慮されない)を有するような;
および/または:
−SEQ ID NO:18および/または19の配列と7つ以下の、好ましくは5つ以下の、例えば3、2もしくは1つだけの「アミノ酸の相違」(本明細書において定義される通りであり、存在し得るCDRおよび任意のC末端伸長は考慮されない)を有するような、血清アルブミン結合剤である。
本発明の異なる態様に係る血清アルブミン結合剤は、一般に好ましくは、ProteOnを使用して決定された場合に(実施例1を参照されたい)、ヒト血清アルブミンに、10−5〜10−12モル/リットルもしくはより少ない、好ましくは10−7〜10−12モル/リットルもしくはより少ない、そして、より好ましくは10−8〜10−12モル/リットルの解離定数(KD)で、かつ/または、少なくとも10−1、好ましくは少なくとも10−1、より好ましくは少なくとも10−1、例えば少なくとも1012−1の結合親和性で結合するような、血清アルブミン結合剤である。好ましくは、本発明の血清アルブミン結合剤は、ここでもProteOnを使用して決定された場合に(ここでも、実施例1を参照されたい)、所望の抗原に、500nM未満、好ましくは200nM未満、より好ましくは10nM未満、例えば500pM未満の親和性で結合する。
本発明の異なる態様に係る血清アルブミン結合剤は、好ましくはまた、(ヒト)血清アルブミンへの結合に関してSEQ ID NO:18のアミノ酸配列と競合する、および/または、(ヒト)血清アルブミンへのSEQ ID NO:18のアミノ酸配列の結合を「交差遮断する」(本明細書において定義される通り)ような、血清アルブミン結合剤である。
好ましくは、本発明のアルブミン結合剤は、SEQ ID NO:18と本質的に同じヒト血清アルブミン上のアミノ酸残基および/またはエピトープに結合するような、さらにより好ましくは、SEQ ID NO:18と本質的に同じアミノ酸相互作用を共有するような、アルブミン結合剤である。この目的のために、具体的であるが非限定的な態様によれば、本発明のアルブミン結合剤は、好ましくは、SEQ ID NO:18の配列と同じCDRを有するか、または、SEQ ID NO:18の配列と比較して、好ましくは、それらのCDR内に、SEQ ID NO:18と同じもしくは本質的に同じヒト血清アルブミンとのアミノ酸相互作用を受けることが依然として可能であるような突然変異(保存的アミノ酸置換など)のみを含有するかのいずれかである。
本発明の異なる態様に係る血清アルブミン結合剤は、一般に好ましくはまた、ヒト血清アルブミンと以下の哺乳動物種:イヌ、ラット、マウス、ウサギ、モルモット、ブタ、ヒツジ、ウシおよびカニクイザルの少なくとも1種に由来する、好ましくは少なくとも2種に由来する、より好ましくは少なくとも3種に由来する、最大で本質的に全てに由来する血清アルブミンとの間で交差反応性であるような、血清アルブミン結合剤である。特に、本発明の異なる態様に係る血清アルブミン結合剤は、ヒト血清アルブミンとイヌ血清アルブミンとの間で、好ましくはまた、一方のヒト血清アルブミンおよび/またはイヌ血清アルブミンと他方のラット血清アルブミン、マウス血清アルブミンおよびカニクイザルに由来する血清アルブミンの少なくとも1種、好ましくは少なくとも2種、より好ましくは3種全てとの間で(少なくとも)交差反応性であるような、血清アルブミン結合剤である。これに関して、本発明の血清アルブミン結合剤は、Alb−11および/またはAlb−23Dと(本質的に)同じCDRを有する血清アルブミン結合剤と比較して、改善された交差反応性(特に、一方のヒト血清アルブミンと他方のイヌ血清アルブミンとの間で)を有し得る。以下の実験項のデータを参照されたい。
参考のために、図11は、異なる哺乳動物種に由来する血清アルブミンのアラインメントを与える(情報源:http://macromoleculeinsights.com/albumin.php、図11におけるアミノ酸ナンバリングは、前記ウェブページで使用されるナンバリングである)。便宜上、ヒト血清アルブミンの配列において、本発明のアミノ酸配列の推定エピトープの一部であると推測されるアミノ酸のストレッチが強調されている。いかなる特定の機序または仮説にも限定されないが、本発明のアミノ酸配列は、本発明のアミノ酸配列が交差反応性である哺乳動物の血清アルブミンのアミノ酸配列内に存在するアミノ酸残基の対応するストレッチ(その内の1つ以上のアミノ酸残基)に(本質的に)結合することができると推測される。
一般に、本発明の血清アルブミン結合剤が、ここでも共にProteOnを使用して決定された場合に(ここでも、実施例1を参照されたい)、ヒト血清アルブミンに、500nM未満、好ましくは200nM未満、より好ましくは10nM未満の親和性で;また、前記種由来の血清アルブミンに、500nM未満、好ましくは200nM未満、より好ましくは10nM未満の親和性で結合することができるとき、本発明の血清アルブミン結合剤は、ヒト血清アルブミンとこれらの種の1種由来の血清アルブミンとの間で交差反応性であると見なすことができる。
本発明の異なる態様に係る血清アルブミン結合剤は、好ましくはまた、
−6時間超、好ましくは12時間超、より好ましくは24時間超、さらにより好ましくは72時間超;例えば、約1週間、2週間、最大でヒトにおける血清アルブミンの半減期(19日前後であると推定される)である、ヒトにおける血清半減期(t1/2ベータとして表される)を有するような;
および/または:
−治療用部分または実体に連結されたときに、得られた本発明のポリペプチドに、6時間超、好ましくは12時間超、より好ましくは24時間超、さらにより好ましくは72時間超;例えば、約1週間、2週間、最大でヒトにおける血清アルブミンの半減期(19日前後であると推定される)である、ヒトにおける血清半減期(t1/2ベータとして表される)を付与するような、血清アルブミン結合剤である。
ヒト以外の哺乳動物種における半減期は、数ある要因の中でも、主に、前記哺乳動物種由来の血清アルブミンに対する本発明のアルブミン結合剤の結合特性(親和性など)、さらには、前記種におけるナイーブな血清アルブミンの半減期に依存する。本発明の好ましい実施態様によれば、本発明の血清アルブミン結合剤が、ヒト血清アルブミンと別の哺乳動物種由来の血清アルブミンとの間で交差反応性(本明細書において定義される通り)であるとき、前記種において決定されたときの本発明の血清アルブミン結合剤(および/または前記血清アルブミン結合剤を含む本発明の化合物)の半減期は、前記種におけるナイーブな血清アルブミンの半減期の、好ましくは少なくとも5%、例えば少なくとも10%、より好ましくは少なくとも25%、例えば約50%、おそらく最大で100%である。
SEQ ID NO:18の配列と比較して、本発明の血清アルブミン結合剤は、好ましくはまた、(少なくとも):
−1つ以上のヒト化置換;
および/または
−既存の抗体による結合を低減させる1つ以上の突然変異(すなわち、アミノ酸置換、欠失または付加、特に、置換);
を含有し、場合により、本明細書に記載の通りの1つ以上のさらなる突然変異を含有してよい。
好適なヒト化置換(およびそれらの好適な組み合わせ)については、例えば、国際公開公報第09/138519号(または国際公開公報第09/138519号に引用される先行技術)および国際公開公報第08/020079号(または国際公開公報第08/020079号に引用される先行技術)、ならびに国際公開公報第08/020079号からの表A−3〜A−8(可能性のあるヒト化置換を示している一覧である)を参照されたい。そのようなヒト化置換のいくつかの好ましいが非限定的な例は、Q108LおよびA14Pまたはそれらの好適な組み合わせである。そのようなヒト化置換はまた、本明細書に記載の通りの1つ以上の他の突然変異と(例えば、既存の抗体による結合を低減させる1つ以上の突然変異と)好適に組み合わせてもよい。
既存の抗体による結合を低減させることができる好適な突然変異(およびそのような突然変異の好適な組み合わせ)については、例えば、国際公開公報第2012/175741号および国際公開公報第2015/173325号を、また、例えば、国際公開公報第2013/024059号および国際公開公報第2016/118733号を参照されたい。本明細書に記載の通り、そのような突然変異は、1つ以上のアミノ酸置換、欠失または付加(特に、置換)(それらの好適な組み合わせ)を含むことができ、その突然変異は、いわゆるISVのC末端領域中にあることが多い。例えば、そのような突然変異は、11、13、14、15、40、41、42、82、82a、82b、83、84、85、87、88、89、103、108位の1つ以上にある突然変異(特に、置換)ならびに/またはC末端VTVSS配列中の1つ以上の位置(すなわち、109、110、111、112および113位)にある突然変異を含むことができ、11、89、110および/または112位にある1つ以上の突然変異が特に好ましい。そのような突然変異のいくつかの好ましいが非限定的な例は、突然変異後、指定の位置に、以下のアミノ酸残基の1つ:11L、11K、11V、14A、14P、41A、41L、41P、41S、41T、42E、42G、87A、87T、89A、89L、89T、108L、110K、110Q、112Kおよび/もしくは112Q(ここで、11L、89A、89L、89T、110K、110Q、112Kおよび112Qが特に好ましい);または、そのような置換の任意の好適な組み合わせ、例えば、例としてかつ非限定的に:11Vと89Lもしくは89Tとの組み合わせ;11Vと110Kもしくは110Qとの組み合わせ;または11Vと89Lおよび110Kもしくは110Qとの組み合わせが存在するような好適な置換である(必要な場合に)。既存の抗体による結合を低減させるそのような突然変異はまた、本明細書に記載の通りの1つ以上の他の突然変異と(例えば、1つ以上のヒト化置換と)好適に組み合わせてもよい。
必要に応じて(本明細書にさらに記載の通り、特に、本発明の血清アルブミン結合剤が、それが存在する本発明の化合物のC末端に存在し、かつ/または、そのC末端を形成するとき)、既存の抗体の結合を低減させるために、本発明の血清アルブミン結合剤(および、本明細書にさらに記載の通り、また本発明の化合物)はまた、C末端伸長(C末端アラニン残基など)も含んでもよい。国際公開公報第2012/175741号に記載の通り、そのようなC末端伸長は、既存の抗体による結合を低減させる。好適なC末端伸長は、一般に、本明細書にさらに記載することができ、特に、式(X)[式中、Xは、任意の天然に存在するアミノ酸であることができ(しかし好ましくは、システインではない)、そして、nは、1、2、3、4または5であることができる]を有することができる。ここでも、国際公開公報第2012/175741号を、また、例えば国際公開公報第2015/173325号、国際公開公報第2013/024059号および国際公開公報第2016/118733号を参照されたい。そのようなC末端伸長の存在はまた、本明細書に記載の他の突然変異の1つ以上と(例えば、1つ以上のヒト化置換および/または既存の抗体による結合を低減させる1つ以上の突然変異と)好適に組み合わせてもよい。
本発明の血清アルブミン結合剤中に存在し得る他の突然変異は、例としてかつ非限定的に、所望の宿主細胞もしくは宿主生物における発現を改善する1つ以上の突然変異(特に、置換)、分解および/もしくはプロテアーゼに対する安定性および/もしくは耐性を改善する1つ以上の突然変異(特に、置換)、ならびに/または本発明のアミノ酸配列の配列を最適化することを意図した1つ以上の他の突然変異(例としてかつ非限定的に、二量体を形成するアルブミン結合剤の任意の傾向を(さらに)低減させる1つ以上の突然変異);または、そのような突然変異の任意の好適な組み合わせを含む。
そのような突然変異のいくつかの非限定的な例は、突然変異後、指定の位置に、以下のアミノ酸残基の1つ:16G、49A、61D、74S、75K、76N、82Mおよび83R;または、そのような置換の任意の好適な組み合わせ(例えば、74〜76位にSKNモチーフを形成するために)が存在するような好適な置換である(必要な場合に)。また、必要に応じて(本明細書にさらに記載の通り)、本発明の血清アルブミン結合剤は、特に、本発明の血清アルブミン結合剤が、それが存在する本発明の化合物のN末端に存在し、かつ/または、そのN末端を形成するとき、1位にDを有してよい(すなわち、SEQ ID NO:18および/または19の配列と比較したE1D突然変異)。そのような突然変異は、ここでも、本明細書に記載の通りの1つ以上の他の突然変異と(例えば、1つ以上のヒト化置換および/または既存の抗体による結合を低減させる1つ以上の突然変異と)好適に組み合わせてよい。
本発明のアミノ酸配列中に存在し得る他の突然変異は、本明細書の開示に基づいて当業者に明らかであろう。
また、単一の突然変異(または突然変異の好適な組み合わせ)が複数の機能または利点を提供することも可能である。例としてかつ非限定的に、ヒト化Q108L置換もまた、既存の抗体による結合を低減させ得る。
本発明のアミノ酸配列(すなわち、それら自体または好適な組み合わせ)中に存在し得るアミノ酸残基(すなわち、SEQ ID NO:18のアミノ酸配列と比較した突然変異)のいくつかの好ましいが非限定的な例は、以下を含む:11V(すなわち、L11V)、14P(すなわち、A14P)、16G(すなわち、D16G)、49A(すなわち、S49A)、61D(すなわち、N61D)、74S(すなわち、D74S)、82M(すなわち、L82M)、83R(すなわち、K83R)、89L(すなわち、V89L)、89T(すなわち、V89T)、110K(例えば、T110K)または110Q(例えば、T110Q);ならびに、必要に応じて(本明細書にさらに記載の通り)、1D(例えば、E1D)および/または本明細書において定義される通りのC末端伸長(X)(114Aなど)。また、図4Aおよび4Bに示される配列および突然変異を参照されたい。例えば、そのようなアミノ酸残基(すなわち、SEQ ID NO:18のアミノ酸配列と比較した突然変異)の好適な組み合わせのいくつかの好ましいが非限定的な例は、以下:
−L11V、T14P、D16G、N61D、D74S、K83R、V89L
−L11V、T14P、D16G、D74S、L82M、K83R、V89L
−L11V、T14P、D16G、N61D、D74S、L82M、K83R、V89L
−L11V、T14P、D16G、S49A、D74S、K83R、V89L
−L11V、T14P、D16G、S49A、N61D、D74S、K83R、V89L
−L11V、T14P、D16G、S49A、D74S、L82M、K83R、V89L
−L11V、T14P、D16G、S49A、N61D、D74S、L82M、K83R、V89L
−L11V、T14P、D74S、K83R、V89L
を含み、そして、他の好適な組み合わせは、本明細書の開示に基づいて当業者に明らかであろう。
本発明のいくつかの好ましいが非限定的なアミノ酸配列は、(i)11位がVであり、89位がLである;(ii)89位がTである;(iii)74〜76位がSKNモチーフを形成する;(iv)11位がVであり、89位がLであり、74〜76位がSKNモチーフを形成する;および(iv)89位がTであり、74〜76位がSKNモチーフを形成する、アミノ酸配列であり;本発明のそのアミノ酸配列は、本明細書にさらに記載の通りである(したがって、また、本明細書に記載の通りの1つ以上のさらなるアミノ酸突然変異を好適に含有することができる)。
本発明のアミノ酸配列のいくつかの好ましいが非限定的な例は、以下の通り、図2に与えられる:
−C末端アラニン伸長を有しない本発明のアミノ酸配列の例であるSEQ ID NO:18〜26;
−C末端伸長を有する本発明のアミノ酸配列の例であるSEQ ID NO:27〜35(各場合に、一般に好ましいC末端伸長であるC末端アラニン伸長によって例示される);および
−N末端E1D突然変異を有する本発明のアミノ酸配列の例であるSEQ ID NO:36〜44。
本明細書のさらなる開示に基づいて、当業者には、実際に以下のことが明らかであろう:
−C末端伸長を有する本発明のアルブミン結合剤(例えば、SEQ ID NO:27〜35のもの)はしばしば、これらが存在する本発明のポリペプチド(本明細書において定義される通り)として使用される/そのC末端に存在する;
−E1D突然変異を有する本発明のアルブミン結合剤(例えば、SEQ ID NO:36〜44のもの)はしばしば、これらが存在する本発明のポリペプチドとして使用される/そのN末端に存在する;
−C末端伸長もE1D突然変異も有さない本発明のアルブミン結合剤(例えば、SEQ ID NO:18〜26のもの)はしばしば、本発明のポリペプチドの「中央」のどこかに存在する。
SEQ ID NO:18〜44のアミノ酸配列の各々と、それを含むタンパク質、ポリペプチドならびに他の化合物および構築物(本明細書にさらに記載の通り)は、本発明のさらなる態様を形成する。
さらなる態様において、本発明は、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:37、SEQ ID NO:38、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:40、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:42、SEQ ID NO:43、および/または SEQ ID NO:44のアミノ酸配列の1つであるアミノ酸配列に関する;そして、本発明のこれらのアミノ酸配列の各々(ならびに本発明のそのようなアミノ酸配列を含む本明細書において定義される通りの本発明のポリペプチド)は、本発明のさらなる態様を形成する。
本明細書にさらに記載の通り、本発明によって提供されるアミノ酸配列は、ヒト血清アルブミンに結合することができる、特に、特異的に(本明細書に記載の通り)結合することができる、タンパク質である。したがって、これらを、(ヒト)血清アルブミンに結合するための結合ユニットまたは結合ドメインとして使用して、例えば、半減期(本明細書において定義される通り)の増加を治療用化合物、部分または実体に付与することができる。治療用化合物、部分または実体の半減期を増加させるための血清アルブミン結合ドメインの使用については、例えば、国際公開公報第2004/041865号、国際公開公報第2006/122787号、欧州特許第2 139 918号、国際公開公報第2011/006915号、国際公開公報第2012/175400号および/または国際公開公報第2014/111550号を参照されたい。本発明の血清アルブミン結合剤を、一般に、これらの参考文献に記載の血清アルブミン結合剤と同じ方法および同じ目的で使用することができる。
いくつかのさらなる非限定的な態様において、本発明はまた、以下に関する:
−本明細書に記載の通りの少なくとも1つの本発明の血清アルブミン結合剤(ここでも、本明細書において「本発明の化合物」または「本発明のポリペプチド」とも称される)を含むかまたはそれから本質的になる、タンパク質、ポリペプチドおよび他の構築物、分子または化学実体;
−本発明の血清アルブミン結合剤および/または本発明の化合物を発現/産生させるための方法;
−本発明の血清アルブミン結合剤および/または本発明の化合物を発現または産生させることができる、宿主細胞、宿主生物または他の(発現)系;
−本発明の血清アルブミン結合剤および/または本発明の化合物を含む組成物および生成物(薬学的組成物および生成物など);
−本発明の血清アルブミン結合剤および/または本発明の化合物をコードする、ヌクレオチド配列および核酸、例えば(発現)ベクター;
−本発明の化合物および/または本発明の化合物の使用、例えば、治療用化合物、部分または実体の(血清)半減期を増加させるための本発明の化合物の使用、ならびに本発明の化合物の治療的および/または予防的使用。
本発明のこれらのおよびさらなる態様、実施態様、利点、適用および使用は、本明細書のさらなる説明から明らかとなろう。
本明細書において:
−用語「免疫グロブリン単一可変ドメイン」(「ISV」または「ISVD」とも称される)は、一般に、別の可変ドメインとの相互作用なし(例えば、従来の4−鎖モノクローナル抗体のVHドメインとVLドメインとの間に必要とされるようなVH/VL相互作用なし)に機能的な抗原結合部位を形成することができる、免疫グロブリン可変ドメイン(VH、VHHまたはVLドメインを含む、重鎖ドメインまたは軽鎖ドメインであり得る)を指すために使用される。ISVDの例は、当業者に明らかであり、例えば、ナノボディ(VHH、ヒト化VHHおよび/またはラクダ化VH、例えばラクダ化ヒトVHを含む)、IgNARドメイン、VHドメインであるかまたはVHドメインに由来する(単一ドメイン)抗体(dAb(商標)など)、およびVLドメインであるかまたはVLドメインに由来する(単一ドメイン)抗体(dAb(商標)など)を含む。本明細書において他に明白に言及のない限り、重鎖可変ドメイン(VHドメインまたはVHHドメインなど)に基づくおよび/またはそれに由来するISVDが一般に好ましい。最も好ましくは、本明細書において他に明白に指示のない限り、ISVDは、ナノボディである。
−用語「ナノボディ」は、一般に、国際公開公報第2008/020079号または国際公開公報第2009/138519号において定義される通りであり、したがって、具体的な態様において、一般にVHH、ヒト化VHHもしくはラクダ化VH(ラクダ化ヒトVHなど)、または、一般に配列最適化されたVHH(例えば、化学安定性および/または溶解性、公知のヒトフレームワーク領域との最大重複ならびに最大発現のために最適化された)を表す。ナノボディ(NanobodyまたはNanobodies)という用語は、Ablynx N.V.の登録商標であり、したがって、Nanobody(登録商標)および/またはNanobodies(登録商標)とも称され得ることに留意する;
−一般に、本明細書において他に指示のない限り、本明細書において言及されるISVD、ナノボディ、ポリペプチド、タンパク質ならびに他の化合物および構築物は、ヒト(および/または、場合によりまた温血動物、特に哺乳動物)における疾患または障害の予防または治療における使用を意図している。したがって、一般に、本明細書に記載のISVD、ナノボディ、ポリペプチド、タンパク質ならびに他の化合物および構築物は、好ましくは、(生物学的)薬物または他の薬学的もしくは治療的に活性な化合物のおよび/または薬学的生成物または組成物の一部として使用することができるようなもの、ならびに/または、好適に該一部であることができるようなものである。そのような薬物、化合物または生成物は、好ましくは、例えば予防もしくは治療を必要とする被検体の予防もしくは治療のためのまたは例えば臨床試験の一部としての、ヒトへの投与に適するようなものである。本明細書にさらに記載の通り、この目的のために、そのような薬物または化合物は、本発明によって提供されるISVDに加えて、他の部分、実体または結合ユニット(また本明細書に記載の通り、例えば、ISVDに基づくまたはナノボディに基づく生物学的製剤の薬物動態または薬力学特性、例えばその半減期に影響を及ぼす、1つ以上の他のさらなる治療用部分および/または1つ以上の他の部分であってよい)を含有してよい。そのようなさらなる治療用部分または他の部分の好適な例は、当業者に明らかであり、例えば、一般に、任意の治療的に活性なタンパク質、ポリペプチドまたは他の結合ドメインもしくは結合ユニット、ならびに、例えば国際公開公報第2009/138159号の149〜152ページに記載されているものなどの修飾を含むことができる。ISVDに基づく生物学的製剤またはナノボディに基づく生物学的製剤は、好ましくは、治療薬であるかまたは治療薬(予防薬および診断を含む)として使用することを意図しており、この目的のために、好ましくは、治療上関係する標的(例えば、RANK−L、vWF、IgE、RSV、CXCR4、IL−23または他のインターロイキンなど)に対する少なくとも1つのISVDを含有する。そのようなISVDに基づくまたはナノボディに基づく生物学的製剤のいくつかの具体的であるが非限定的な例については、実施例8〜18、および、また例えばAblynx N.V.による様々な出願(例えば、例としてかつ非限定的に、国際公開公報第2004/062551号、国際公開公報第2006/122825号、国際公開公報第2008/020079号および国際公開公報第2009/068627号)、ならびに、例えば(かつ非限定的に)国際公開公報第2006/038027号、国際公開公報第2006/059108号、国際公開公報第2007/063308号、国際公開公報第2007/063311号、国際公開公報第2007/066016号および国際公開公報第2007/085814号などの出願を参照されたい。また、本明細書にさらに記載の通り、さらなる部分は、(ヒト)血清アルブミンなどの(ヒト)血清タンパク質に対して指向される本明細書に記載の通りのISVDまたはナノボディであってよく、そのようなISVDまたはナノボディはまた、治療的使用、特に、本明細書に記載のTNF結合剤の半減期の延長におけるおよび/またはそのための治療的使用に有用であり得る。例えば、一般に半減期延長のための血清−アルブミン結合ナノボディの使用を記載している、国際公開公報第2004/041865号、国際公開公報第2006/122787号および国際公開公報第2012/175400号を参照されたい。また、本明細書において、本明細書において他に明白に言及のない限り、本明細書において言及される全ての用語は、国際公開公報第2009/138519号(または国際公開公報第2009/138519号に引用される先行技術)または国際公開公報第2008/020079号(または国際公開公報第2008/020079号に引用される先行技術)に与えられている意味を有する。また、方法または技術が本明細書に具体的に記載されていない場合、国際公開公報第2009/138519号(または国際公開公報第2009/138519号に引用される先行技術)または国際公開公報第2008/020079号(または国際公開公報第2008/020079号に引用される先行技術)に記載の通り実施することができる。また、本明細書に記載の通り、本発明の任意のISVDまたは化合物を含む任意の薬学的生成物または組成物はまた、薬学的生成物または組成物において使用するためのそれ自体公知の1つ以上のさらなる成分(すなわち、意図する薬学的形態に応じて)、および/または、例えば、治療的使用を意図した1つ以上の他の化合物または活性成分(すなわち、組み合わせ生成物を提供するための)を含んでもよい。
また、本明細書または特許請求の範囲において使用されるとき、以下の用語は、国際公開公報第2009/138519号の62〜75ページに与えられている意味と同じ意味を有し、かつ/または、適用可能な場合にはそこに記載されている様式で決定することができる:「アゴニスト」、「アンタゴニスト」、「インバースアゴニスト」、「非極性の非荷電アミノ酸残基」、「極性の非荷電アミノ酸残基」、「極性の荷電アミノ酸残基」、「配列同一性」、「正確に同じ」および「アミノ酸の相違」(2つのアミノ酸配列の配列比較に言及する場合)、「本質的に単離された(形態)(の)」、「ドメイン」、「結合ドメイン」、「抗原決定基」、「エピトープ」、(抗原)「に対する」または「に対して指向される」、「特異性」および「半減期」。加えて、用語「モジュレートすること」および「モジュレートするため」、「相互作用部位」、「〜に特異的な」、「交差遮断する」、「交差遮断された」および「交差遮断すること」ならびに「pHに本質的に非依存性の」は、Ablynx N.V.の国際公開公報第2010/130832号の74〜79ページに定義されている通りである(および/または、そこに記載されている通り決定することができる)。また、本発明の構築物、化合物、タンパク質またはポリペプチドに言及するとき、「一価の」、「二価の」(または「多価の」)、「二重特異性の」(または「多重特異性の」)、および「二重パラトピックな」(または「多重パラトピックな」)のような用語は、国際公開公報第2009/138519号、国際公開公報第2010/130832号または国際公開公報第2008/020079号に与えられている意味を有してよい。
用語「半減期」は、本明細書において言及されるISVD、ナノボディ、ISVDに基づく生物学的製剤、ナノボディに基づく生物学的製剤または任意の他のアミノ酸配列、化合物もしくはポリペプチドに関して本明細書において使用される場合、一般に、国際公開公報第2008/020079号の57ページの段落o)に記載の通り、かつ、本明細書において言及される通り定義することができ、例えば、配列もしくは化合物の分解および/または配列もしくは化合物の自然機序によるクリアランスまたは隔離に起因して、アミノ酸配列、化合物またはポリペプチドの血清濃度が、インビボにおいて50%低減される時間を指す。本発明のアミノ酸配列、化合物またはポリペプチドのインビボ半減期は、それ自体公知の任意の様式で、例えば薬物動態分析によって決定することができる。好適な技術は、当業者に明らかであり、例えば、一般に国際公開公報第2008/020079号の57ページの段落o)に記載の通りであってよい。また国際公開公報第2008/020079号の57ページの段落o)に言及されている通り、半減期は、t1/2−アルファ、t1/2−ベータおよび曲線下面積(AUC)などのパラメーターを使用して表すことができる。これに関して、用語「半減期」は、本明細書において使用される場合、特に、t1/2−ベータまたは終末相半減期(t1/2−アルファおよび/またはAUCまたはその両方も考慮されなくてよい)を指すことに留意するべきである。例えば、以下の実験項、ならびに、Kenneth, A et al: Chemical Stability of Pharmaceuticals: A Handbook for Pharmacists and Peters et al, Pharmacokinetic analysis: A Practical Approach (1996)などの標準的な教科書を参照されたい。また、“Pharmacokinetics”, M Gibaldi & D Perron, published by Marcel Dekker, 2nd Rev. edition (1982)も参照されたい。同様に、用語「半減期の増加」または「増加された半減期」もまた、国際公開公報第2008/020079号の57ページの段落o)に定義されている通りであり、特に、t1/2−アルファおよび/もしくはAUCまたは両方の増加にかかわらず、t1/2−ベータの増加を指す。
用語が本明細書において具体的に定義されないとき、その用語は、当業者に明らかであろう当技術分野における通常の意味を有する。例えば、Sambrook et al, “Molecular Cloning: A Laboratory Manual” (2nd.Ed.), Vols. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989); F. Ausubel et al,eds., “Current protocols in molecular biology”, Green Publishing and Wiley Interscience, New York (1987); Lewin, “Genes II”, John Wiley & Sons, New York, N.Y., (1985); Old et al., “Principles of Gene Manipulation: An Introduction to Genetic Engineering”, 2nd edition, University of California Press, Berkeley, CA (1981); Roitt et al., “Immunology” (6th. Ed.), Mosby/Elsevier, Edinburgh (2001); Roitt et al., Roitt’s Essential Immunology, 10th Ed. Blackwell Publishing, UK (2001); および Janeway et al., “Immunobiology” (6th Ed.), Garland Science Publishing/Churchill Livingstone, New York (2005)などの標準的な教科書、ならびに本明細書に引用される一般的な背景技術を参照されたい。
また、本明細書において既に示した通り、ナノボディのアミノ酸残基は、Kabatらによって与えられるVHについての一般的なナンバリング(“Sequence of proteins of immunological interest”, US Public Health Services, NIH Bethesda, MD、Publication No. 91)に従って、Riechmann and Muyldermans, J. Immunol. Methods 2000 Jun 23; 240 (1-2): 185-195の文献のラクダ由来のVHHドメインに適用される通り;または本明細書において言及される通りナンバリングされる。このナンバリングに従って、ナノボディのFR1は、1〜30位にアミノ酸残基を含み、ナノボディのCDR1は、31〜35位にアミノ酸残基を含み、ナノボディのFR2は、36〜49位にアミノ酸を含み、ナノボディのCDR2は、50〜65位にアミノ酸残基を含み、ナノボディのFR3は、66〜94位にアミノ酸残基を含み、ナノボディのCDR3は、95〜102位にアミノ酸残基を含み、そして、ナノボディのFR4は、103〜113位にアミノ酸残基を含む。[これに関して、以下のことに留意すべきである−VHドメインについておよびVHHドメインについて当技術分野において周知である通り−CDRの各々におけるアミノ酸残基の総数は、変動してよく、かつ、Kabatのナンバリングによって示されるアミノ酸残基の総数に対応していなくてよい(すなわち、Kabatのナンバリングに従う1つ以上の位置は、実際の配列において占有されていなくてよく、または、実際の配列は、Kabatのナンバリングによって可能となる数よりも多くのアミノ酸残基を含有してよい)。これは、一般に、Kabatに従うナンバリングが、実際の配列におけるアミノ酸残基の実際のナンバリングに対応していても対応していなくてもよいことを意味する。しかしながら、一般に、Kabatのナンバリングに従って、かつ、CDRにおけるアミノ酸残基の数に関係なく、Kabatのナンバリングに従う1位は、FR1の開始に対応し(および逆もまた同様)、Kabatのナンバリングに従う36位は、FR2の開始に対応し(および逆もまた同様)、Kabatのナンバリングに従う66位は、FR3の開始に対応し(および逆もまた同様)、そして、Kabatのナンバリングに従う103位は、FR4の開始に対応する(および逆もまた同様)と言うことができる]。
ラクダ由来のVHHドメインにもナノボディにも同様に適用できる、VHドメインのアミノ酸残基をナンバリングするための代替法は、Chothia等(Nature 342, 877-883 (1989))によって記載されている方法、いわゆる「AbMの定義」およびいわゆる「接触定義」である。しかしながら、本説明、態様および図面において、他に指示のない限り、RiechmannおよびMuyldermansによってVHHドメインに適用されている通りKabatに従うナンバリングに倣う。
また、本明細書において他に明白に指示のない限り、図面、任意の配列表および実験項/実施例は、本発明をさらに例証するためだけに与えられること、ならびに、本発明の範囲および/または添付の特許請求の範囲を限定するものといかようにも判断または解釈されるべきではないことに留意すべきである。
本明細書にさらに記載の通り、治療用化合物、部分または実体、例えばポリペプチド、タンパク質、化合物(低分子を非限定的に含む)または他の治療用実体の半減期を増加させるために、本発明の血清アルブミン結合剤を、部分、結合ユニットまたは融合パートナーとして有利に使用することができる。
したがって、別の態様において、本発明は、本発明の血清アルブミン結合剤および1つ以上の他のアミノ酸配列、(結合)ドメイン、結合ユニットまたは他の部分もしくは化学実体を含むかまたはそれから本質的になる、ポリペプチド、タンパク質、構築物、化合物または他の化学実体を提供する。
特に、本発明は、直接的にまたは1つ以上の好適なリンカーもしくはスペーサーを介して互いに好適に連結されている本発明の血清アルブミン結合剤および1つ以上(例えば1または2つ)の治療用部分(同じであっても異なっていてもよく、例えば、同じ標的または異なる標的に対して指向されてよく、同じ標的に指向されるとき、前記標的の同じまたは異なるエピトープ、部分、ドメインまたはサブユニットに対して指向されてよい)を含む、ポリペプチド、タンパク質、構築物、化合物または他の化学実体を提供する。そのようなポリペプチド、タンパク質または構築物は、例としてかつ非限定的に、本明細書にさらに記載の通り、融合タンパク質であってよい。
本発明は、そのようなポリペプチド、タンパク質、構築物または化合物の治療的使用、および、そのようなポリペプチド、タンパク質、構築物または化合物を含む薬学的組成物にさらに関する。
一態様において、少なくとも1つの治療用部分は、治療用タンパク質、ポリペプチド、化合物、因子または他の実体を含むかまたはそれから本質的になる。好ましい実施態様において、治療用部分は、所望の抗原または標的に対して指向され、所望の抗原に結合することができ(特に、所望の抗原に特異的に結合することができ)、かつ/または、所望の標的と相互作用することができる。別の実施態様において、少なくとも1つの治療用部分は、治療用タンパク質またはポリペプチドを含むかまたはそれから本質的になる。さらなる実施態様において、少なくとも1つの治療用部分は、結合ドメインもしくは結合ユニット、例えば免疫グロブリンもしくは免疫グロブリン配列(免疫グロブリンの断片を含むが、それに限定されない)、例えば抗体もしくは抗体断片(ScFv断片を含むが、それに限定されない)、または、別の好適なタンパク質骨格、例えばプロテインAドメイン(Affibodies(商標)など)、テンダミスタット、フィブロネクチン、リポカリン、CTLA−4、T細胞受容体、設計されたアンキリンリピート、アビマーおよびPDZドメイン(Binzetal., Nat. Biotech 2005, Vol 23:1257)、ならびにDNAもしくはRNAアプタマーを非限定的に含むDNAもしくはRNAに基づく結合部分(Ulrichetal., Comb Chem High Throughput Screen 2006 9(8):619-32)を含むかまたはそれから本質的になる。
なお別の態様において、少なくとも1つの治療用部分は、重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインなどの抗体可変ドメインを含むかまたはそれから本質的になる。
好ましい態様において、少なくとも1つの治療用部分は、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体、「dAb」またはナノボディ(VHH、ヒト化VHHまたはラクダ化VHなど)またはIgNARドメインなどの、少なくとも1つの免疫グロブリン単一可変ドメインを含むかまたはそれから本質的になる。
具体的な実施態様において、少なくとも1つの治療用部分は、少なくとも1つの一価のナノボディ、または、二価の、多価の、二重特異性もしくは多重特異性のナノボディ構築物を含むかまたはそれから本質的になる。
本発明の血清アルブミン結合剤および1つ以上の治療用部分を含む、ポリペプチド、(融合)タンパク質、構築物または化合物は、一般に、上記に引用された先行技術(国際公開公報第04/041865号、国際公開公報第06/122787号、国際公開公報第2012/175400号および国際公開公報第2015/173325号など;また、例えば、国際公開公報第2004/003019号、欧州特許第2 139 918号、国際公開公報第2011/006915号および国際公開公報第2014/111550号を参照されたい)に記載の通りである(その通り調製および使用される)ことができるが、但し、前に記載の半減期増加部分の代わりに本発明の血清アルブミン結合剤を用いる。
本発明の血清アルブミン結合剤および1つ以上の治療用部分を含む、ポリペプチド、(融合)タンパク質、構築物または化合物は、一般にかつ好ましくは、治療用部分または部分それ自体と比較して、増加された半減期(本明細書に記載の通りであり、好ましくはt1/2−ベータとして表される)を有する。
一般に、本明細書に記載の化合物、ポリペプチド、構築物または融合タンパク質は、好ましくは、(ヒトまたはマウスもしくはカニクイザルなどの好適な動物のいずれかにおいて測定された場合に)対応する治療用部分それ自体の半減期よりも少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも2倍、例えば少なくとも5倍、例えば少なくとも10倍または20倍超大きい半減期(ここでも、本明細書に記載の通りであり、好ましくはt1/2−ベータとして表される)を有する。
また、好ましくは、任意のそのような化合物、ポリペプチド、融合タンパク質または構築物は、対応する治療用部分それ自体の半減期と比較して、1時間超、好ましくは2時間超、より好ましくは6時間超、例えば12時間超増加された、ヒトにおける半減期(ここでも、本明細書に記載の通りであり、好ましくはt1/2−ベータとして表される)を有する。
また、好ましくは、本発明の化合物またはポリペプチドは、1時間超、好ましくは2時間超、より好ましくは6時間超、例えば12時間超、例えば約1日、2日、1週間、2週間、最大でヒトにおける血清アルブミンの半減期(19日前後であると推定される)である、ヒトにおける半減期(ここでも、本明細書に記載の通りであり、好ましくはt1/2−ベータとして表される)を有する。
言及した通り、一態様において、本発明の血清アルブミン結合剤は、(1つ以上の)免疫グロブリン単一可変ドメイン、例えばドメイン抗体、単一ドメイン抗体、「dAb」、VHHまたはナノボディ(例えば、VHH、ヒト化VHHまたはラクダ化VH、例えばラクダ化ヒトVH)の半減期を増加させるために使用される。
したがって、本発明の一実施態様は、直接的にまたは場合により1つ以上の好適なリンカーもしくはスペーサーを介して互いに好適に連結されている本発明の血清アルブミン結合剤および1つ以上(例えば、1または2つ)の免疫グロブリン単一可変ドメイン配列を含む、ポリペプチド、構築物または融合タンパク質に関する。本明細書において言及される通り、そのようなポリペプチド、構築物または融合タンパク質に存在するそのような免疫グロブリン単一可変ドメインは、各々独立して、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体、「dAb」またはナノボディ(例えば、VHH、ヒト化VHHまたはラクダ化VH、例えばラクダ化ヒトVH)であってよく;そして、1つの具体的であるが非限定的な態様によれば、これらの免疫グロブリン単一可変ドメインの少なくとも1つ(最大で全て)は、2または3つのジスルフィド架橋を含む。好ましくは、本発明のそのような化合物に存在するISVDは全て、ナノボディである。
本発明の化合物がそのC末端にISVD(例えば、本発明の血清アルブミン結合剤または治療用標的に対して指向されるISVD)を有するとき、前記C末端ISVD(ひいては、伸長によって、本発明の化合物全体)は、好ましくは、そのC末端にC末端伸長を有する。このC末端伸長は、ISVDの最後のC末端アミノ酸残基(通常は、Kabatに従う113位にあるアミノ酸残基である)に直接連結される(ISVDの配列が113位の前に終了するような1つ以上のアミノ酸欠失をISVDが含有しない限り)。したがって、一般に、C末端伸長は、C末端ISVのC末端VTVSS配列(SEQ ID NO:15)(ひいては、伸長によって、本発明の化合物のC末端TVTSS配列に)またはC末端ISVD配列に対応するC末端ISVDのC末端配列に直接連結される(例えば、C末端ISVDの前記C末端配列が、T110K、T110Q、S112KまたはS112Kなどの通常のVTVSS配列と比較して、1つ以上の置換または欠失を含有する場合)。
また、本発明の化合物がそのC末端に本発明の血清アルブミン結合剤を有する場合、本発明の前記血清アルブミン結合剤が前記C末端伸長を担持することが当業者に明らかであろう。
一般に、本明細書において使用される任意のC末端伸長(すなわち、本発明の化合物のC末端および/または本発明の血清アルブミン結合剤のC末端にある)は、一般に、国際公開公報第2012/174741号または国際公開公報第2015/173325号に記載の通りであることができる(また、例えば、国際公開公報第2103/024059号および国際公開公報第2016/118733号を参照されたい)。特に、C末端伸長は、式(X)[式中、nは、1〜10、好ましくは1〜5、例えば1、2、3、4または5(好ましくは、1または2、例えば1)であり;そして、各Xは、天然に存在するアミノ酸残基から独立して選択される(しかし、好ましい一態様によれば、それはシステイン残基を全く含まない)、好ましくは、アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)またはイソロイシン(I)からなる群より独立して選択される(好ましくは天然に存在する)アミノ酸残基である]を有してよい。
そのようなC末端伸長X(n)のいくつかの好ましいが非限定的な態様によれば、Xおよびnは、以下の通りであることができる:
(a)n=1およびX=Ala;
(b)n=2および各X=Ala;
(c)n=3および各X=Ala;
(d)n=2および少なくとも1つのX=Ala(ここで、残りのアミノ酸残基Xは、任意の天然に存在するアミノ酸から独立して選択されるが、好ましくは、Val、Leuおよび/またはIleから独立して選択される);
(e)n=3および少なくとも1つのX=Ala(ここで、残りのアミノ酸残基Xは、任意の天然に存在するアミノ酸から独立して選択されるが、好ましくは、Val、Leuおよび/またはIleから独立して選択される);
(f)n=3および少なくとも2つのX=Ala(ここで、残りのアミノ酸残基Xは、任意の天然に存在するアミノ酸から独立して選択されるが、好ましくは、Val、Leuおよび/またはIleから独立して選択される);
(g)n=1およびX=Gly;
(h)n=2および各X=Gly;
(i)n=3および各X=Gly;
(j)n=2および少なくとも1つのX=Gly(ここで、残りのアミノ酸残基Xは、任意の天然に存在するアミノ酸から独立して選択されるが、好ましくは、Val、Leuおよび/またはIleから独立して選択される);
(k)n=3および少なくとも1つのX=Gly(ここで、残りのアミノ酸残基Xは、任意の天然に存在するアミノ酸から独立して選択されるが、好ましくは、Val、Leuおよび/またはIleから独立して選択される);
(l)n=3および少なくとも2つのX=Gly(ここで、残りのアミノ酸残基Xは、任意の天然に存在するアミノ酸から独立して選択されるが、好ましくは、Val、Leuおよび/またはIleから独立して選択される);
(m)n=2および各X=AlaまたはGly;
(n)n=3および各X=AlaまたはGly;
(o)n=3および少なくとも1つのX=AlaまたはGly(ここで、残りのアミノ酸残基Xは、任意の天然に存在するアミノ酸から独立して選択されるが、好ましくは、Val、Leuおよび/またはIleから独立して選択される);または
(p)n=3および少なくとも2つのX=AlaまたはGly(ここで、残りのアミノ酸残基Xは、任意の天然に存在するアミノ酸から独立して選択されるが、好ましくは、Val、Leuおよび/またはIleから独立して選択される);
ここで、態様(a)、(b)、(c)、(g)、(h)、(i)、(m)および(n)が特に好ましく、n=1または2である態様が好ましく、そして、n=1である態様が特に好ましい。
また、好ましくは、本発明の血清アルブミン結合剤に存在する任意のC末端伸長が、(遊離)システイン残基を含有しないことに留意すべきである(前記システイン残基が、さらなる官能化、例えばペグ化に使用されるまたはそれを意図している場合を除く)。
有用なC末端伸長のいくつかの具体的であるが非限定的な例は、以下のアミノ酸配列である:A、AA、AAA、G、GG、GGG、AG、GA、AAG、AGG、AGA、GGA、GAAまたはGAG。
好ましくはまた、本発明の化合物がそのC末端にISVD(例えば、本発明の血清アルブミン結合剤または治療用標的に対して指向されるISVD)を有するとき、(少なくとも)前記C末端ISVDは、好ましくは、既存の抗体による結合を低減させる1つ以上の突然変異(すなわち、本発明の血清アルブミン結合剤について本明細書に記載の通り、ならびに、国際公開公報第2012/175741号および国際公開公報第2015/173325号、また例えば国際公開公報第2013/024059号および国際公開公報第2016/118733号により一般に記載されている通り)を含有する、さらにより好ましくは、本明細書に記載の通りのC末端伸長に加えてそれを含有する。これに関して、本発明の化合物がそのC末端に本発明の血清アルブミン結合剤を有する場合、(少なくとも)本発明の前記血清アルブミン結合剤が、好ましくは、そのような突然変異を含有する(すなわち、好ましくは、C末端伸長に加えて)ことが当業者に明らかであろう。
より一般に、本発明の具体的な態様によれば、本発明の化合物が2つ以上のISVD(例えば、本発明の血清アルブミン結合剤および治療用標的に対する1つ以上のISVD)を含有するとき、好ましくはこれらのISVD全てが既存の抗体への結合を低減させる突然変異を含有する(ここでも、好ましくは、本発明の化合物がそのC末端にISVDを有する場合、C末端ISVDに連結されているC末端伸長に加えて)。
本発明の化合物がそのN末端にISVD(例えば、本発明の血清アルブミン結合剤または治療用標的に対して指向されるISVD)を有するとき、前記N末端ISVD(ひいては、伸長によって、本発明の化合物全体)は、好ましくは、1位にDを含有する。これに関して、ここでも、本発明の化合物がそのN末端に本発明の血清アルブミン結合剤を有する場合、本発明の前記血清アルブミン結合剤が、好ましくは、1位にDを有する(例えば、SEQ ID NO:18および/または19の配列と比較したE1D突然変異、例えばSEQ ID NO:36〜44の本発明のアミノ酸配列)ことが当業者に明らかであろう。
いくつかのさらなる態様において、本発明は、少なくとも1つ(好ましくは1つのみ)の本発明の血清アルブミン結合剤および少なくとも1つ(例えば1、2または3つ)の治療用部分または実体(前記血清アルブミン結合剤および1つ以上の治療用部分または実体は、場合により1つ以上の好適なリンカーを介して好適に連結されている)を含むかまたはそれから本質的になる、タンパク質、ポリペプチドまたは他の化合物もしくは構築物に関し、そのタンパク質、ポリペプチド、化合物、構築物は、以下のようなものである:
−そのC末端にISVDを有するとき、前記タンパク質、ポリペプチド、化合物、構築物(そのC末端ISVD)は、そのC末端にC末端伸長(X)(本明細書にさらに記載の通り)を有する;および/または
−そのC末端にISVDを有するとき、少なくとも前記C末端ISVDは、既存の抗体の結合を低減させる1つ以上の突然変異(本明細書にさらに記載の通り)を含有する;
−そのN末端にISVDを有するとき、前記タンパク質、ポリペプチド、化合物、構築物(そのN末端ISVD)は、好ましくは、1位にDを含有する;および/または
−その前記ISVDにおいて、そのタンパク質、ポリペプチドまたは他の化合物は、そのN末端にISVDを有してもよく、その場合、前記N末端ISVD末端は、好ましくは、1位にDまたはE1Dを有する;
−好ましくは、前記タンパク質、ポリペプチド、化合物、構築物に存在するISVDの本質的に全てが、既存の抗体の結合を低減させる1つ以上の突然変異(本明細書にさらに記載の通り)を含有する。
本発明の具体的な一態様によれば、本発明の化合物に存在する治療用部分は全て、ISVD(すなわち、治療用標的に対するISVD)であり、特に重鎖ISVDであり、より特定するとナノボディ(すなわち、治療用標的に対するナノボディ)である。
例としてかつ非限定的に、そのような本発明の化合物は、以下を含んでよい:
−1コピーの本発明の血清アルブミン結合剤および治療用標的に対する1つのISVD(好ましくはナノボディ);または
−1コピーの本発明の血清アルブミン結合剤および治療用標的に対する2つのISVD(好ましくは2つのナノボディ)(そのISVDは、同じであっても異なっていてもよく、異なるときには、同じ標的に対して、同じ標的上の異なるエピトープに対してまたは異なる治療用標的に対して指向されてよい);または
−1コピーの本発明の血清アルブミン結合剤および治療用標的に対する3つのISVD(好ましくは3つのナノボディ)(そのISVDは、同じであっても異なっていてもよく、異なるときには、同じ標的に対して、同じ標的上の異なるエピトープに対してまたは異なる治療用標的に対して指向されてよい)。
本発明の構築物、融合タンパク質またはポリペプチドのいくつかの非限定的な例を以下の通り図示することができ、式中、「[Alb]」は、本発明の血清アルブミン結合剤を表し、「[治療用部分1]」および「[治療用部分2]」は、治療用部分(言及した通り、各々独立して、免疫グロブリン単一可変ドメインであってよい)を表し、「−」は、好適なリンカー(任意であり;好適な例は、9GSおよび35GSリンカーである)を表し、そして、N末端は左側にあり、C末端は右側にある:
[Alb]−[治療用部分1]
[治療用部分1]−[Alb]−X(n)
[Alb]−[治療用部分1]−[治療用部分1]
[治療用部分1]−[治療用部分1]−[Alb]−X(n)
[治療用部分1]−[Alb]−[治療用部分1]
[Alb]−[治療用部分1]−[治療用部分2]
[治療用部分1]−[治療用部分2]−[Alb]−X(n)
[治療用部分1]−[Alb]−[治療用部分2]
治療用部分が治療用標的に対するISVD(好ましくはナノボディ)であるとき、好ましいが非限定的な本発明の構築物、融合タンパク質またはポリペプチドを以下の通り図示することができ、式中、「[Alb]」は、本発明の血清アルブミン結合剤を表し、「[治療用ISVD1]」および「[治療用ISVD2]」は、治療用標的に対するISVD(そのISVDは、同じであっても異なっていてもよく、異なるときには、同じ標的に対して、同じ標的上の異なるエピトープに対してまたは異なる治療用標的に対して指向されてよい)を表し、「−」は、好適なリンカー(任意である)を表し、X(n)は、本明細書に記載の通りのC末端伸長を表し、そして、N末端は左側にあり、C末端は右側にある:
[Alb]−[治療用ISVD1]−X(n)
[治療用ISVD1]−[Alb]−X(n)
[Alb]−[治療用ISVD1]−[治療用ISVD1]−X(n)
[治療用ISVD1]−[治療用ISVD1]−[Alb]−X(n)
[治療用ISVD1]−[Alb]−[治療用ISVD1]−X(n)
[Alb]−[治療用ISVD1]−[治療用ISVD2]−X(n)
[治療用ISVD1]−[治療用ISVD2]−[Alb]−X(n)
[治療用ISVD1]−[Alb]−[治療用ISVD2]−X(n)
したがって、別の態様において、本発明は、本発明の血清アルブミン結合剤ならびに少なくとも1つの他のナノボディ(例えば、1または2つの他のナノボディ、同じであっても異なっていてもよい)であって、好ましくは所望の標的(好ましくは、治療用標的である)に対して指向される前記少なくとも1つの他のナノボディおよび/または治療、予防および/または診断目的に有用または好適な別のナノボディを含む、多重特異性(特に、二重特異性)ナノボディ構築物に関する。ここでも、本発明の血清アルブミン結合剤および他のナノボディは、直接的にまたは場合により1以上の好適なリンカーもしくはスペーサーを介して互いに好適に連結されていてよい。
1つ以上のナノボディを含有する多価および多重特異性ポリペプチドおよびそれらの調製物の一般的説明については、また、Conrath et al., J. Biol. Chem., Vol. 276, 10. 7346-7350, 2001; Muyldermans, Reviews in Molecular Biotechnology 74 (2001), 277-302;ならびに、例えば国際公開公報第96/34103号、国際公開公報第99/23221号、国際公開公報第04/041862号、国際公開公報第2006/122786号、国際公開公報第2008/020079号、国際公開公報第2008/142164号または国際公開公報第2009/068627号を参照されたい。
例を挙げれば、本発明の化合物のいくつかの例は、SEQ ID NO:46〜52に与えられ、SEQ ID NO:45の抗HER2−ナノボディが抗標的ナノボディの代表例として使用され、そして、構成ナノボディが本発明の化合物の異なる位置にある。SEQ ID NO:46〜49の化合物は、本発明の二価の二重特異性化合物の例証であり、そして、SEQ ID NO:50〜52の化合物は、本発明の三価の二重特異性化合物の例証である。各場合に、該化合物は、E1D突然変異およびC末端アラニン残基を含有し、代表例であるが非限定的な例の好適なリンカー(すなわち、SEQ ID NO:47および48における15GSリンカーならびに/またはSEQ ID NO:46および49〜52における35GSリンカー)の使用を含有する。
本発明のいくつかの具体的な多重特異性および/または多価ポリペプチドのいくつかの他の例を、本明細書において言及されているAblynx N.V.による出願に見いだすことができる。特に、半減期を増加させるための血清タンパク質に対する少なくとも1つのナノボディを含む多価および多重特異性構築物、それをコードする核酸、それを含む組成物、前述の調製物、ならびに前述の使用の一般的説明について、上述した国際出願国際公開公報第04/041865号および国際公開公報第06/122787号(本明細書に記載の本発明の血清アルブミン結合剤は、一般に、Alb−8などの本明細書に記載の半減期延長ナノボディと同様に使用することができる)、ならびに、例えば国際公開公報第04/041862号、国際公開公報第2006/122786号、国際公開公報第2008/020079号、国際公開公報第2008/142164号または国際公開公報第2009/068627号に与えられるそのような構築物の一般的説明および具体例を参照されたい。
本発明はまた、本発明のアルブミン結合剤、化合物またはポリペプチドをコードするヌクレオチド配列または核酸に関する。本発明は、前述のヌクレオチド配列または核酸およびそれ自体公知の遺伝子構築物のための1つ以上の要素を含む、遺伝子構築物をさらに含む。遺伝子構築物は、プラスミドの形態であってもベクターの形態であってもよい。ここでも、そのような構築物は、一般に、Ablynx N.V.の公開特許出願、例えば、国際公開公報第04/041862号、国際公開公報第2006/122786号、国際公開公報第2008/020079号、国際公開公報第2008/142164号または国際公開公報第2009/068627号などに記載の通りであることができる。
本発明はまた、そのようなヌクレオチド配列もしくは核酸を含有するおよび/または本発明のアルブミン結合剤、化合物もしくはポリペプチドを発現する(または発現することができる)、宿主または宿主細胞に関する。ここでも、そのような宿主細胞は、一般に、Ablynx N.V.の公開特許出願、例えば、国際公開公報第04/041862号、国際公開公報第2006/122786号、国際公開公報第2008/020079号、国際公開公報第2008/142164号または国際公開公報第2009/068627号などに記載の通りであることができる。
本発明はまた、本発明のアルブミン結合剤、化合物またはポリペプチドを調製するための方法であって、本明細書に記載の通りの宿主細胞を、前記宿主細胞が本発明のアルブミン結合剤、化合物またはポリペプチドを産生または発現するような条件下で培養または維持することを含み、場合により、そのように産生された本発明のアルブミン結合剤、化合物またはポリペプチドを単離することをさらに含む方法に関する。ここでも、そのような方法は、一般に、Ablynx N.V.の公開特許出願、例えば、国際公開公報第04/041862号、国際公開公報第2006/122786号、国際公開公報第2008/020079号、国際公開公報第2008/142164号または国際公開公報第2009/068627号などに記載の通り実施することができる。
本発明はまた、少なくとも1つの本発明の化合物またはポリペプチドと場合により少なくとも1つの薬学的に許容し得る担体、希釈剤または賦形剤とを含む薬学的組成物に関する。そのような調製物、担体、賦形剤および希釈剤は、一般に、Ablynx N.V.の公開特許出願、例えば、国際公開公報第04/041862号、国際公開公報第2006/122786号、国際公開公報第2008/020079号、国際公開公報第2008/142164号または国際公開公報第2009/068627号などに記載の通りであってよい。
しかしながら、本発明の化合物またはポリペプチドは増加された半減期を有するので、これらは、好ましくは、血液循環に投与される。よって、本発明の化合物またはポリペプチドが血液循環に、例えば、静脈内に、注射または点滴を介して侵入することを可能にする任意の好適な様式で、または任意の他の好適な様式(経口投与、皮下投与、筋肉内投与、皮膚を通じた投与、鼻腔内投与、肺を介した投与などを含む)で、これらを投与することができる。好適な投与の方法および経路は、ここでも、例えばまた、Ablynx N.V.の公開特許出願、例えば、国際公開公報第04/041862号、国際公開公報第2006/122786号、国際公開公報第2008/020079号、国際公開公報第2008/142164号または国際公開公報第2009/068627号などの教示から当業者に明らかであろう。
したがって、別の態様において、本発明は、本発明の化合物またはポリペプチドの使用によって予防または治療され得る少なくとも1つの疾患または障害の予防および/または治療のための方法であって、それを必要とする被験体に、薬学的に活性な量の本発明の化合物またはポリペプチドおよび/またはそれを含む薬学的組成物を投与することを含む方法に関する。本明細書に記載の通りの本発明の化合物またはポリペプチドの使用によって予防または治療され得る疾患および障害は、一般に、本発明の化合物またはポリペプチドに存在する治療用部分または部分の使用によって予防または治療され得る疾患および障害と同じである。
本発明の状況下において、用語「予防および/または治療」は、疾患を予防および/または治療することを含むだけでなく、一般に、疾患の発症を予防すること、疾患の進行を遅延または反転させること、疾患に関連する1つ以上の症状の発症を予防または遅延させること、疾患に関連する1つ以上の症状を低減および/または緩和すること、疾患および/またはそれに関連する任意の症状の重症度および/または持続期間を低減させることならびに/または疾患および/またはそれに関連する任意の症状の重症度のさらなる増加を防止すること、疾患によって引き起こされる任意の生理学的損傷を予防、低減または反転させること、ならびに、一般に処置されている患者に有益である任意の薬理作用も含む。
処置されるべき被験体は、任意の温血動物であってよいが、特に哺乳動物であり、より特定するとヒトである。当業者に明らかであるように、処置されるべき被験体は、特に、本明細書において言及される疾患および障害を患っているかまたはそのリスクのある人である。
別の実施態様において、本発明は、免疫療法のための方法、特に、受動免疫療法のための方法であって、本明細書において言及される疾患および障害を患っているかまたはそのリスクのある被験体に、薬学的に活性な量の本発明の化合物またはポリペプチドおよび/またはそれを含む薬学的組成物を投与することを含む方法に関する。
本発明の化合物もしくはポリペプチドおよび/またはそれを含む組成物は、予防または治療されるべき疾患または障害を予防および/または治療することに適した処置レジメンに従って投与される。臨床医は、一般に、予防または治療されるべき疾患または障害、処置されるべき疾患の重症度および/またはその症状の重症度、使用されるべき本発明の具体的なポリペプチド、投与の具体的な経路および使用されるべき薬学的製剤または組成物、患者の年齢、性別、体重、食事、全身状態、ならびに臨床医に周知の類似の要因などの要因に応じて、好適な処置レジメンを決定することができる。
一般に、処置レジメンは、本発明の1つ以上の化合物もしくはポリペプチド、またはそれを含む1つ以上の組成物の、1つ以上の薬学的に有効な量または用量での投与を含む。投与されるべき具体的な量または用量は、臨床医によって、ここでも上記の要因に基づいて決定され得る。
一般に、本明細書において言及される疾患および障害の予防および/または治療のために、かつ、処置されるべき具体的な疾患または障害、使用されるべき本発明の化合物またはポリペプチドの効力および/または半減期、具体的な投与経路ならびに使用される具体的な薬学的製剤または組成物に応じて、本発明の化合物またはポリペプチドは、一般に、1グラム〜0.01マイクログラム/体重kg/日、好ましくは0.1グラム〜0.1マイクログラム/体重kg/日、例えば約1、10、100または1000マイクログラム/体重kg/日の量で、連続的に(例えば、点滴によって)、単一日用量としてまたは日中の複数の分割用量としてのいずれかで投与される。臨床医は、一般に、本明細書において言及される要因に応じて、好適な日用量を決定することができる。また、特定の事例では、臨床医は、例えば上記の要因および臨床医の専門的判断に基づいて、これらの量から逸脱するという選択をしてもよいことが明らかであろう。一般に、本質的に同じ経路を介して投与される同じ標的に対する同等な従来の抗体または抗体断片について通常投与される量から、しかしながら親和性/アビディティ、有効性、生体内分布、半減期および当業者に周知の類似の因子における相違を考慮して、投与されるべき量に関するいくつかの指針を得ることができる。
また、本発明の化合物が本発明の半減期延長血清アルブミン結合剤を含有するので、これらは、本質的に連続的に(例えば、点滴によって)投与される必要はなく、これらを好適な間隔(当業者によって決定されるべき)で投与することができる。例えば、これらを、2日毎に1回、4日毎に1回、1週間に1回、2週間毎に1回、いくつかの事例では4日週間毎に1回またはさらに少ない頻度で、例えば注射または点滴によって、投与することができる(好適な用量で)。
本発明の一態様は、少なくとも1つの本発明の化合物またはポリペプチドを含む薬学的組成物であって、1週間に1回〜4週間毎に1回、特に7日毎に1回〜21日毎に1回、例えば7日または14日毎に1回の間隔での投与を意図している前記組成物に関する。
通常、上の方法において、単一の本発明のポリペプチドが使用される。しかしながら、2つ以上の本発明のポリペプチドを組み合わせて使用することも本発明の範囲内である。
本発明のポリペプチドはまた、1つ以上のさらなる薬学的に活性な化合物または成分と組み合わせて、すなわち、組み合わせ処置レジメンとして使用されてもよく、これは、相乗効果をもたらしても、もたらさなくてもよい。ここでも、臨床医は、上記の要因および臨床医の専門的判断に基づいて、そのようなさらなる化合物または成分、ならびに好適な組み合わせ処置レジメンを選択することができる。
特に、本発明のポリペプチドを、本発明の融合タンパク質または構築物で予防または治療できる疾患および障害の予防および/または治療に使用されるまたは使用できる、他の薬学的に活性な化合物または成分と組み合わせて使用してよく、その結果として、相乗効果が得られても得られなくてもよい。
本発明に従って使用される処置レジメンの有効性は、臨床医に明らかであるように、関与する疾患または障害についてそれ自体公知の任意の様式で決定してよく、かつ/または、追跡してよい。臨床医はまた、必要に応じておよび/または個々の場合に応じて、所望の治療効果を達成するために、不要な副作用を回避、制限もしくは低減させるために、および/または、一方で所望の治療効果を達成することと他方で望ましくない副作用を回避、制限もしくは低減させることの間の適切な均衡を達成するために、特定の処置レジメンを変更または改変することができる。
一般に、所望の治療効果が達成されるまでおよび/または所望の治療効果が維持される限り、その処置レジメンに従う。ここでも、臨床医によってこれが決定され得る。
本発明の他の態様、実施態様、利点および適用は、本明細書のさらなる説明から明らかとなろう。
本発明は、ここで、以下の非限定的な好ましい態様、実施例および図面によってさらに説明される:
本明細書において具体的に言及されるいくつかのアミノ酸位置といくつかの代替ナンバリング系(AhoおよびIMGTなど)に従うそれらのナンバリングを列記する表である; 本明細書において言及されるアミノ酸配列を列記する; SEQ ID NO:18および19の配列(本発明)とSEQ ID NO:1および2の先行技術配列のアラインメントを示す; SEQ ID NO:18〜44のアラインメントを示す; 異なる哺乳動物種由来の血清アルブミンのアラインメントを与える。 SEQ ID NO:19の血清アルブミン結合剤(本発明)の存在下での、コートされたHSAへのSEQ ID NO:1(参考)−cMycHis6の結合を示すグラフである。1.5nM SEQ ID NO:1−cMycHis6および一連の濃度のHis6Flag3−SEQ ID NO:1(参考)、Flag3His6−SEQ ID NO:19(本発明)またはcAblys3−Flag3His6(参考)を、コートされたHSA上でインキュベートした。結合したSEQ ID NO:1−cMycHis6をヤギ抗cMycおよびHRP標識ウサギ抗ヤギ抗体で検出した。 SEQ ID NO:19の血清アルブミン結合剤(本発明)の存在下での、FcRnへのHSAの結合を示すグラフである。ヒトFcRn−ヒトβ2ミクログロブリンヘテロ二量体をCM5チップ上に固定した。50mM NaPO4+150mM NaCl+0.05% Tween−20 pH6.0中、2μMナノボディの非存在下または存在下での、1μM HSAの結合をBiacore T100装置でモニタリングした。
本出願全体を通して引用されている参考書(参考文献、発行特許、公開特許出願、および同時係属中の特許出願を含む)の全ての内容全体は、参照によって、特に本明細書の上記で言及される教示に対して、本明細書に明示的に組み入れられる。
実験項
実施例1 血清アルブミンに対する親和性
ヒト(Sigma-Aldrich A3782)、カニクイザル(社内で作製)、マウス(Albumin Bioscience 2601)、ラット(Sigma-Aldrich A4538)、ウサギ(Sigma-Aldrich A0764)、モルモット(Gentaur GPSA62)、ブタ(Sigma-Aldrich A4414)、ヒツジ(Sigma-Aldrich A3264)、イヌ(Abcam 119814)およびウシ(Sigma-Aldrich A3059)血清アルブミン(SA)に対するSEQ ID NO:19の血清アルブミン結合剤(本発明)の親和性を、ProteOn XPR36(BioRad)装置での表面プラズモン共鳴(SPR)を介して測定した。血清アルブミンを、ProteOn Amine Coupling Kit(BioRad)を使用して、アミンカップリングを介してGLC ProteOnチップ上に固定した。異なる濃度(300nM、100nM、33.3nM、11.1nM、3.7nMおよび1.23nM)のSEQ ID NO:19の血清アルブミン結合剤(本発明)を、HBS−P+pH7.4緩衝液(GE Healthcare)中に45μL/分で120秒間注入し、続いて、900秒間解離させた。ウサギ、ヒツジおよびウシSA上でのSEQ ID NO:19の血清アルブミン結合剤(本発明)の結合は、全く観察されないか、または非常に小さかった。ヒト、カニクイザル、ラット、マウスおよびモルモットSAに対するSEQ ID NO:19の血清アルブミン結合剤(本発明)の親和性は、SEQ ID NO:1のアルブミン結合剤のそれぞれの親和性と比較して高かった。結果を以下の表1に与えており、SEQ ID NO:19の血清アルブミン結合剤(本発明)がイヌおよびブタSAと交差反応性であることを示す。
Figure 2020515518
アルブミンの血中長半減期は、主に2つの特徴から推進される:(i)アルブミンの大きなサイズ(65kDa)がその糸球体濾過を制限すること、ならびに、(ii)アルブミンがFcRnに低いpH(pH6)で結合し、初期エンドソームから細胞外環境へのリサイクルによって、内皮細胞および上皮細胞における受動エンドサイトーシス後のリソソーム中でアルブミンが分解することを防ぐこと。アルブミン結合およびその後のリサイクルを通じて長血清半減期をもたらすアルブミン結合ナノボディについて、これらは、5.0〜7.4のpH範囲でアルブミンに結合したままである必要がある。参考としてSEQ ID NO:1(参考)を含め、pH5、pH6およびpH7.4でのHSAからのSEQ ID NO:19の血清アルブミン結合剤(本発明)の解離速度を上記の通りProteOn装置で測定した。SEQ ID NO:19の血清アルブミン結合剤(本発明)およびSEQ ID NO:1(参考)を、それぞれ500nMおよび300nMで、HBS−P+pH7.4緩衝液に注入した。解離緩衝液は、それぞれ、50mM NaOAc/HOAc+150mM NaCl+0.05% Tween−20 pH5.0、50mM NaOAc/HOAc+150mM NaCl+0.05% Tween−20 pH6.0およびHBS−P+pH7.4であった。解離を2700秒間分析した。SEQ ID NO:19の血清アルブミン結合剤(本発明)についての解離速度は、5.0〜7.4のpH範囲にわたって有意差はない。結果を表2に示す。
Figure 2020515518
実施例2 エピトープ
エピトープビニングを競合ELISAで分析した。ヒト血清アルブミンを、PBS中4℃で一晩、125ng/mlでコーティングした。PBS+1%カゼインでブロッキングした後、1.5nM SEQ ID NO:1(参考)−cMycHis6および一連の濃度の競合剤(His6Flag3−SEQ ID NO:19の血清アルブミン結合剤(本発明)、陽性対照としてのHis6Flag3−SEQ ID NO:1(参考)、または陰性対照としてのニワトリ卵白リゾチーム結合単一ドメイン抗体cAblys3−Flag3His6)を加えた。結合したSEQ ID NO:1(参考)−cMycHis6を、ヤギ抗cMyc(Abcam ab19234)およびHRP標識ウサギ抗ヤギ(Genway 18-511-244226)抗体で検出した。SEQ ID NO:19の血清アルブミン結合剤(本発明)およびSEQ ID NO:1(参考)は、HSA上の同一のエピトープに結合しない(図6)。
実施例3 SAとFcRnとの間の相互作用への干渉
アルブミン結合およびその後のリサイクルを介して長半減期をもたらすSEQ ID NO:19の血清アルブミン結合剤(本発明)について、それは、FcRnへのアルブミンの結合に干渉すべきではない。Biacore T100(GE Healthcare)装置にてSPRでこれを分析した。ヒトFcRn−ヒトβ2ミクログロブリンヘテロ二量体(Sino Biological CT009-H08H)を、標準的なアミンカップリング(Biacore amine coupling kit)を介してCM5チップ上に固定した。50mM NaPO4+150mM NaCl+0.05% Tween−20 pH6.0中の1μM HSAおよび2μM ナノボディ(His6Flag3−SEQ ID NO:19の血清アルブミン結合剤(本発明)、His6Flag3−SEQ ID NO:1(参考)またはcAblys3−Flag3His6)の混合物を10μl/分で120秒間注入し、続いて、600秒間解離させた。結合曲線を、ナノボディの非存在下の1μM HSAの結合曲線と定性的に比較した。SEQ ID NO:19の血清アルブミン結合剤(本発明)は、FcRnへのHSAの結合に干渉しなかった(図7)。
実施例4 イヌにおけるPKプロファイル
単回静脈内(i.v.)投薬後の三価のナノボディ構築物(SEQ ID NO:53)の薬物動態をイヌにおいて研究する。三価の構築物をピキア・パストリス(Pichia pastoris)において生産し、C末端にSEQ ID NO:21のアルブミン結合ナノボディを有する呼吸器合胞体ウイルス(RSV)に対する2つのナノボディを含む(この3つのナノボディは、(Gly4Ser)7リンカーを使用して互いに連結されている)。
12匹の絶食した健康な雄のビーグル犬(健康は、事前研究の健康診査によって決定された)において、構築物の薬物動態プロファイルを薬物動態研究(非交差型、単回投薬)で評価する。構築物を静脈内に投与する。
動物を一晩絶食(但し、水は継続して摂取可能)させた後に投薬し、投薬前、投薬の24、168、および336時間後に血液試料を採取する(総絶食時間は24時間を超えない)。投薬の4時間後に、または24、168、および336時間の血液採取直後に食餌を戻す。また、研究中、体重を記録および追跡する。
血漿用の全血1ml(または投薬前ならびに24、168および336時間時に2〜3ml)を、投薬前ならびに初期投薬の5、15、30分後および1、4、8、12、24、72、168、240、336、504、および672時間後に末梢血管から採取する。血清処理用の採取試料を室温で維持し、凝固させる。冷却遠心機(4℃を維持するように設定)を使用して血液を10,000rpmで2分間遠心分離する。試料は、分析(関係するナノボディ構築物の濃度の測定を含む)に供されるまで、採取から30分以内に凍結される。

Claims (18)

  1. 以下を有する、(ヒト)血清アルブミンに結合することができる免疫グロブリン単一可変ドメインであるアミノ酸配列:
    −アミノ酸配列GGTFSTYVMG(SEQ ID NO:12)またはSEQ ID NO:12のアミノ酸配列と2もしくは1つのアミノ酸の相違(本明細書において定義される通り)を有するアミノ酸配列である、CDR1(Abmに従う);および
    −アミノ酸配列AISQNSIHTY(SEQ ID NO:13)またはSEQ ID NO:13のアミノ酸配列と3、2もしくは1つのアミノ酸の相違(本明細書において定義される通り)を有するアミノ酸配列である、CDR2(Abmに従う);および
    −アミノ酸配列SRFTSWYTADYEYDY(SEQ ID NO:14)またはSEQ ID NO:14のアミノ酸配列と3、2もしくは1つのアミノ酸の相違(本明細書において定義される通り)を有するアミノ酸配列である、CDR3(Abmに従う)。
  2. 以下を有する、請求項1に記載のアミノ酸配列:
    −アミノ酸配列GGTFSTYVMG(SEQ ID NO:12)である、CDR1(Abmに従う);および
    −アミノ酸配列AISQNSIHTY(SEQ ID NO:13)である、CDR2(Abmに従う);および
    −アミノ酸配列SRFTSWYTADYEYDY(SEQ ID NO:14)である、CDR3(Abmに従う)。
  3. ProteOnを使用して決定された場合に、ヒト血清アルブミンに100nMよりも良好、好ましくは50nMよりも良好な親和性で結合することができる、請求項1に記載のアミノ酸配列。
  4. 重鎖免疫グロブリン単一可変ドメインである、先行する請求項のいずれか一項に記載のアミノ酸配列。
  5. VHH、ヒト化VHHまたはラクダ化VH(特に、ラクダ化ヒトVH)である、先行する請求項のいずれか一項に記載のアミノ酸配列。
  6. 6時間超、好ましくは12時間超、より好ましくは24時間超、さらにより好ましくは72時間超である、ヒトにおける血清半減期(t1/2ベータとして表される)を有するような;
    および/または:
    治療用部分または実体に連結されたときに、得られた本発明のポリペプチドに、6時間超、好ましくは12時間超、より好ましくは24時間超、さらにより好ましくは72時間超である、ヒトにおける血清半減期(t1/2ベータとして表される)を付与するような、先行する請求項のいずれか一項に記載のアミノ酸配列。
  7. 少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%のSEQ ID NO:18および/または19の配列との配列同一性の程度(存在し得るCDRおよび任意のC末端伸長は、配列同一性の程度を決定する際に考慮されない)を有する;
    および/または:
    SEQ ID NO:18および/または19の配列と7つ以下の、好ましくは5つ以下の、例えば3、2もしくは1つだけの「アミノ酸の相違」(本明細書において定義される通りであり、存在し得るCDRおよび任意のC末端伸長は考慮されない)を有する、先行する請求項のいずれか一項に記載のアミノ酸配列。
  8. 少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%のSEQ ID NO:18の配列との配列同一性の程度(存在し得るCDRおよび任意のC末端伸長は、配列同一性の程度を決定する際に考慮されない)を有する;
    および/または:
    SEQ ID NO:18の配列と7つ以下の、好ましくは5つ以下の、例えば3、2もしくは1つだけの「アミノ酸の相違」(本明細書において定義される通りであり、存在し得るCDRおよび任意のC末端伸長は考慮されない)を有する、先行する請求項のいずれか一項に記載のアミノ酸配列。
  9. 少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%のSEQ ID NO:19の配列との配列同一性の程度(存在し得るCDRおよび任意のC末端伸長は、配列同一性の程度を決定する際に考慮されない)を有する;
    および/または:
    SEQ ID NO:19の配列と7つ以下の、好ましくは5つ以下の、例えば3、2もしくは1つだけの「アミノ酸の相違」(本明細書において定義される通りであり、存在し得るCDRおよび任意のC末端伸長は考慮されない)を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のアミノ酸配列。
  10. SEQ ID NO:18の配列と比較して、既存の抗体による結合を低減させる1つ以上の突然変異を含有する、先行する請求項のいずれか一項に記載のアミノ酸配列。
  11. VHHであり、かつ、SEQ ID NO:18の配列と比較して、1つ以上のヒト化置換を含有する、先行する請求項のいずれか一項に記載のアミノ酸配列。
  12. (ヒト)血清アルブミンに結合することができる免疫グロブリン単一可変ドメインであり、かつ、SEQ ID NO:18〜44から選択される、アミノ酸配列。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の少なくとも1つのアミノ酸配列を含む、タンパク質、ポリペプチドまたは他の構築物、化合物、分子もしくは化学実体。
  14. 少なくとも1つの治療用部分または実体を含む、請求項13に記載のタンパク質、ポリペプチドまたは他の構築物、化合物、分子もしくは化学実体。
  15. 融合タンパク質である、請求項13または14に記載のタンパク質、ポリペプチドまたは他の構築物、化合物、分子もしくは化学実体。
  16. 6時間超、好ましくは12時間超、より好ましくは24時間超、さらにより好ましくは72時間超である、ヒトにおける血清半減期(t1/2ベータとして表される)を有する、請求項13〜15のいずれか一項に記載のタンパク質、ポリペプチドまたは他の構築物、化合物、分子もしくは化学実体。
  17. 請求項13〜16のいずれか一項に記載のタンパク質、ポリペプチドまたは他の構築物、化合物、分子もしくは化学実体であって、
    そのC末端にISVDを有するとき、前記タンパク質、ポリペプチド、化合物、構築物(そのC末端ISVD)が、そのC末端にC末端伸長(X)(本明細書にさらに記載の通り)を有する;および/または
    そのC末端にISVDを有するとき、少なくとも前記C末端ISVDが、既存の抗体の結合を低減させる1つ以上の突然変異(本明細書にさらに記載の通り)を含有する;および/または
    そのN末端にISVDを有するとき、前記タンパク質、ポリペプチド、化合物、構築物(そのN末端ISVD)が、好ましくは、1位にDを含有する;および/または
    その前記ISVDにおいて、そのタンパク質、ポリペプチドまたは他の化合物が、そのN末端にISVDを有してもよく、その場合、前記N末端ISVD末端が、好ましくは、1位にDまたはE1Dを有する;および/または
    好ましくは、前記タンパク質、ポリペプチド、化合物、構築物に存在するISVDの本質的に全てが、既存の抗体の結合を低減させる1つ以上の突然変異を含有する、ような、タンパク質、ポリペプチドまたは他の構築物、化合物、分子もしくは化学実体。
  18. 請求項13〜17のいずれか一項に記載のタンパク質、ポリペプチドまたは他の構築物、化合物、分子もしくは化学実体を含む、薬学的組成物。
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