JP2020515290A - 完全および断片化マーカーに関する方法 - Google Patents

完全および断片化マーカーに関する方法 Download PDF

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Abstract

本明細書に記載される発明は、バリエーションを、分析標識が付着した粒子に結合させ、サンプルから粒子を分離すること、続いて粒子から分析標識を除去すること、および分析標識を測定することによって分析物分子を測定することにより、サンプル中の全ての分析物のバリエーションを単離する方法を対象とする。次いで分離された粒子上の分析標識は、バリエーションと結合する分析物のバリエーションを測定するのに使用することができる。【選択図】図1

Description

関連出願
本出願は、2017年4月1日付けで出願された「Method For Complete And Fragmented Markers」という表題の米国仮特許出願第62/480,370号の合衆国法典第35巻第119条に基づく優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
背景
本発明は、非希少分子に対して希少分子を濃縮および検出するための方法に関する。一部の形態において、本発明は、希少分子および非希少分子の1つまたはそれより多くの異なる集団を含有する疑いのあるサンプル中で、希少分子の1つまたはそれより多くの異なる集団を検出するための方法、装置およびキットに関する。一部の形態において、本発明は、サンプル中を自由に循環する希少分子の1つまたはそれより多くの異なる集団を検出するための方法およびキットに関する。他の形態において、本発明は、希少細胞および非希少細胞の1つまたはそれより多くの異なる集団を含有する疑いのあるサンプル中における希少細胞に関連する、希少分子の1つまたはそれより多くの異なる集団を検出するための方法およびキットに関する。
10μL当たり1〜50,000コピーの範囲(フェムトモル濃度(fM)またはそれ未満)における希少分子の検出は、希少分子で見出される数をはるかに超える分子のコピー数を必要とする従来のアフィニティーアッセイでは達成できない。例えば、イムノアッセイは、典型的には1ピコモル濃度(pM)またはそれ未満の検出限界を達成できない。イムノアッセイは、典型的には10−12(1pM)を超えない抗体の親和性結合定数によって制限される。イムノアッセイは、オフレートが一般的に10−13であるため少なくとも100倍過量の抗体を必要とし、サンプル中の全ての分析物の完全な結合は、抗体の溶解性によって制限される。この抗体の溶解性の同じ問題が、従来のイムノアッセイがアトモル濃度未満の検出レベルを達成することを阻んでいる。
また細胞に結合したまたは細胞内に含有される希少分子の検出は、単一の細胞から蔓延する可能性がある疾患の診断などの医療用途にも重要である。循環希少分子の検出は、希少分子と非希少分子の混合物を含有するサンプルのために複雑になる。このような材料は、細胞性、例えば細胞内部であってもよいし、または「無細胞の」材料であり、いかなる無傷細胞にも結合または会合していないものであり得る。無細胞の希少分子は、例えば組織中のがんの診断などの医療用途において重要である。がんの場合、希少分子は、組織から循環中に流れることから、無細胞の希少分子は、全身に分布する、罹患組織中、例えば腫瘍中の希少分子の総量と相関することが理解されている。無細胞分析は、サンプル中の全ての分子のうちのごく一部から、循環希少分子を単離および検出することを必要とする。無細胞分子が組織中の罹患細胞から末梢血液に流れると、これらの分子は、健康な細胞から流れた分子と混合される。例えば、1cmの罹患組織中には、およそ10個の細胞が存在する。この組織塊を5Lの血液(平均的な成人の血液体積)に完全に溶解させたとしても、血液10mL当たりわずか200万個の細胞にしかならず、血液10mL当たり平均7500万個の白血球および500億個の赤血球が存在し、それぞれが非希少分子を放出すると考えれば、これらは希少とみなされると予想される。
サンプル中のペプチドおよびタンパク質のバリエーションの複雑さは、それぞれのタンパク質およびペプチドの測定が望ましい場合、重大な問題の原因となる。これらのバリエーションの問題は、ペプチドおよびタンパク質の単離のために抗体を利用した研究でSELDIアフィニティー質量分析方法を使用することによって実証されてきた(Pugia、Glycoconj J 2007)。ペプチドおよびタンパク質は、酵素の作用下において、生物系中でフラグメント化され翻訳後修飾を受けることがわかっている。例えば、異なる患者の生物学的サンプル中で、フラグメント化および糖結合の結果として尿トリプシン阻害剤の高度なバリエーションが検出され、何百もの異なる形態が検出された。検出された形態は、患者、疾患、サンプルタイプ、および単離に使用されたアフィニティー剤によって様々であった。固有のアフィニティー剤は、他のタンパク質に対して異なる交差反応性を示した。このバリエーションが、分析に関する問題の原因である。例えば、同じペプチドまたはタンパク質に由来する別個の固有のフラグメントの測定は、しばしば異なる結果をもたらす。どのフラグメントが程度の差はあるが重要であるかの決定が必要であり、類似のフラグメントの合計が必要な場合もあり、方法に使用されるアフィニティー試薬が、特定のフラグメントに対して程度の差はあるが反応性を有する可能性がある。これらのバリアントが、バリアントの機能を変化させる可能性がある他の生体分子と結合するようになると、ペプチドおよびタンパク質のバリエーションが増加する。
イムノアッセイ法は、各バリアントを独立して検出できるものでなければならないことが多いため、ペプチドおよびタンパク質における高度なバリエーションは問題になる。サンドイッチイムノアッセイは、典型的には、分析物の固有のフラグメントまたは形態を特異的に測定するのに使用され、2つの別個の場所を結合させることによりバリエーションを測定することに依存する。サンドイッチイムノアッセイは、2つの別個の抗体が同じフラグメントに結合するための十分なスペースを必要とするが、これらのフラグメントは、他のバリアントと同じペプチドまたはタンパク質領域を含有するため、特異的なアッセイのための抗体への結合に適していない領域が存在することが多い。他の生体分子による追加の結合は、抗体をブロックしたりまたは交差反応性を引き起こしたりする可能性がある。高度なバリエーションを含むペプチドおよびタンパク質のイムノアッセイによる測定における問題の例をいくつか挙げると、システインは、ジスルフィド結合を形成する可能性があり、他の二次分子がフラグメントと結合したり、または切断されて抗体結合を変更したりする可能性がある。マルチプレクシングは、イムノアッセイ法にとって別の問題であるが、これは、ほとんどの方法が、化学発光か、蛍光か、または比色かにかかわらず光学検出標識使用するが、これは同じ分析中の同時測定のために分解可能なシグナルを限られた数しか提供しないためである。この理由のために、数百から数千ものバリエーションの分析は、光学システムにとって問題である。これらの方法は、コストと複雑さを増すマルチプレックスなパネルおよびアレイでの複数の別個の測定を必要とする。
高度なバリエーションの問題を解決するための一般的な代替アプローチは、酵素、プロテアーゼやペプチダーゼの作用のための基質として測定されるペプチドまたはタンパク質の使用によるものである。これらの測定は、観察されたプロテアーゼ活性に基づき、酵素、プロテアーゼ、ペプチダーゼおよびそれらの阻害剤を測定するのに使用することができる。例えば、これらの方法は、トリプシンファミリーのセリンプロテアーゼ(エラスターゼ、カテプシン、トリプターゼ、トリプシン、カリクレイン、トロンビン、プラスミンならびに第VII因子および第X因子)およびそれらの阻害剤(ビクニン、ウリスタチン、および尿トリプシン阻害剤)を分析するのに使用されてきた(Corey、US6955921)。これらの場合、ペプチドは基質として使用され、アミノ酸切断部位で発色団に付着する。プロテアーゼで切断されると、フラグメントが放出され、活性化されて、発色する。公知の量のプロテアーゼが添加されたときに、阻害剤の濃度が測定される。ここで阻害剤はプロテアーゼ活性を低減させるため、阻害剤の量は放出された基質の量に反比例する。しかしながら発色団は干渉を受けやすく、サンプルpH、酸化剤、還元剤、または反応物によって色が元に戻ったり、または早く発色しすぎたりする。
発色団に関連する問題をなくすために、ペプチドまたはタンパク質基質を測定するための質量分析法の使用が使用されてきた。例えばこれは、レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系に関して示されている。このシステムにおいて、アンジオテンシノゲンI(AngI)(DRVYIHPFHL)は、レニンによる酵素的切断における2つのC末端アミノ酸の切断によってAngII(DRVYIHPF)に変換される(Popp 2014)。AngIの測定は、アフィニティービーズに固定された抗AngI抗体を利用して、血漿から内因性AngIを安定同位体で標識されたAngIと同時に捕獲することによって、血漿レニン活性アッセイを可能にする。血漿サンプルは、分割され、37℃で3時間または氷上のいずれかでインキュベートされる。2つの血漿インキュベーション条件のAngI濃度における差の決定は、患者の血漿レニン活性の計算を可能にする。この酵素の、すなわちプロテアーゼおよびペプチダーゼのアッセイは、それでもなお干渉を受けやすく、活性は、サンプルpH、サンプルの安定性、阻害剤、補因子、時間および温度によって阻害されるかまたは活性化される。
質量分析(MS)は、わずかなサンプル消費で(1マイクロリットル(μL)またはそれ未満で)小分子をpMもの低い濃度で検出するのに非常によく適した極めて高感度で特異的な技術である。MSはまた、標識された試薬を必要とすることなく、単一のアッセイで複雑な生物学的媒体中に存在する数百もの成分を同時に測定する能力(マルチプレクシング)も有する。この方法は、生物学的な複雑さがオーバーラップするシグナル(同重体干渉)を引き起こしたり、またはイオン抑制の原因となったりするまで、特異性および感受性をもたらす。MSと液体クロマトグラフィー(LC−MS)などの分離前工程との組合せは、感受性を増加させ、同重体干渉を制限し、多量の非分析サンプル要素によってイオン抑制を克服する広く使用される方法である。しかしながらこれは、分析の実行時間、コスト、およびサンプル調製の複雑さを大いに増加させる。タンデムMS(MS/MS)は、高いバックグラウンド干渉の場合におけるシグナル−ノイズ比の増加と同重体の分析物(同じ親の質量−電荷比(m/z)を有する)の区別の両方のために使用できるが、質量分析計内において固有の断片化を示す。しかしながら、MS/MSデータの分析は、特に翻訳後修飾されたタンパク質およびペプチドの場合、単純な作業ではなく、それでもなお、特にイオン化が不十分なフラグメントの場合、イオン抑制の影響を受ける。飛行時間型質量分析計(MALDI−TOF)を使用するマトリックス支援レーザー脱離/イオン化は、少量の分子の高感度分析によく適している。しかしながら、サンプルの複雑さとマトリックス干渉のために同重体干渉が頻繁に生じる。
MSの現状は、目的のマーカーを分離できないこと(サンプル調製物)、臨床サンプルにおける高いバックグラウンドによる感受性の損失、一部のフラグメントの非効率的なイオン化、および血液などの複雑なサンプルにおける同重体干渉における上述した問題のために、一般的な臨床診断システムと競合するレベルではない。加えてMSは、サンプル中に存在するより容易にイオン化可能な分子によるイオン抑制のために特定の物質を検出できないことが多い。これらの問題は、典型的には、誤った結果をもたらす。
MSによるタンパク質およびペプチドの分析および定量に、タンパク質分解による消化が利用されることが多い。消化は、タンパク質またはペプチドを、LC−MSを用いた場合と同様にMS分析の前によりよく分離できる、より小さい、より容易に検出可能なフラグメントに破壊するのに役立つ。分析感受性を増加させるのに役立つ一方で、タンパク質分解による消化はしばしば再現性がない。全てのタンパク質および結合した形態を断片化できるわけではなく、特定のフラグメントは、検出が容易ではなく(方法は、容易にイオン化可能なフラグメントに偏る)、様々なマトリックス要素が使用される消化酵素を阻害する可能性があり、冗長なアミノ酸配列は、データ分析中にあいまいさをもたらす可能性がある。これらの条件下で検出されたフラグメントはしばしば、それらが関連する分子領域ではないため、臨床状況と関連しない。加えて、フラグメントの定量は、安定同位体内部標準の包含を必要とする。
MSによる感受性および定量の問題を解決する1つのアプローチは、測定しようとする分子に標識を化学的に付加することである(Demmer 2012)。この質量標識アプローチは、質量分析による細胞、組織、ペプチド、およびタンパク質の検出では有用であった。化学的な標識付けは、公知の質量の電荷を有する基を、測定しようとする分子に化学反応によって直接導入することによってなされる。これらの質量標識アプローチは、質量をより容易にイオン化し固有に同定できるようにする一方で、それでもなお同重体干渉の影響を受け、分析物が質量標識の導入に適した官能基を有することを必要とし、測定しようとする分析物の質量によって制限される。それゆえに、これらの現在の質量スペクトル分析方法に関連する問題を回避または低減するために、他のアプローチが模索された。
1つの一般的なアプローチは、分析物を捕獲し、MSによる検出の前に汚染物質を除去するためにアフィニティー剤を利用するものであり、これはしばしばアフィニティー質量分析と呼ばれる。アフィニティー質量分析の1つの方法は、表面増強レーザー脱離およびイオン化またはSELDI(米国特許第5,719,060号および6,225,047号、いずれもHutchensおよびYip)である。この方法は、捕獲された分子のイオン化に役立つ表面に分析物を特異的に吸収させるために、アフィニティー剤を使用する(Zhu 2006)。他の例としては、サンプルが存在する表面を有するフレキシブルまたはリジッドのいずれかの固体基板上のアフィニティー剤が挙げられる。他の「アフィニティー質量分析」方法は、抗体のように、液体への単離とそれに続くイオン化のための捕獲表面または粒子に付着したアフィニティー剤を使用する。これらの方法は、臨床的な測定ではうまく使用されてきたが(Popp 2014)、しばしばMSによって検出可能なフラグメントを生産するために酵素的消化を必要とする。このサンプル調製方法は、なおオートメーション化するには難しく複雑な多段階プロセスであり、臨床実験室で使用される他の検出技術と競合するレベルではない。
アフィニティー剤を利用する質量標識アプローチは、目的の希少細胞分子に対する抗体に金属をカップリングすることによって達成された(Bandura 2009、Lee 2008)。この例では、全サンプルが噴霧に供され、希少分子の存在をアッセイするのに金属含量が使用されることから、サンプル全体の破壊が起こる。PugiaのPCT/US2015/033278では、第四級アンモニウム化合物を、ジスルフィド結合を介してナノ粒子に付着させる。さらにナノ粒子を、希少分子のためのアフィニティー剤にコンジュゲートさせる。ここで化学物質は、ジスルフィド結合、すなわちジチオスレイトール(DTT)またはトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)を破壊することによりアフィニティー剤から質量標識を放出させるための「変質剤」として使用される。この方法は、サンプル中の限られた数のペプチドおよびタンパク質バリアントを検出することができるμMレンジでの感受性をもたらす。ナノ粒子および質量標識を使用する質量分析のためにアフィニティー剤と質量標識付けを組み合わせることは、09/24/16付けで出願されたCooksのPCT/US16/53610に示される。この例において、アフィニティータグおよび第四アンモニウム基を有する質量標識は、切断可能なケタール結合によって粒子に接続される。この方法は、アフィニティー剤への接続のためにアフィニティータグを使用する。この方法は、サンプル中の限られた数のペプチドおよびタンパク質バリアントを検出することができるnMレンジでの高感度をもたらすが、アフィニティータグが非分析物分子に結合することによる特異性の欠如の影響を受けた。そのためこの方法は分析物の全てのバリエーションを正確に測定できず、それゆえに偽陽性が生じる。
一部の標識付け戦略、例えば相対的および絶対的定量のための同重体タグ(iTRAQ(商標)、SCIEX)またはタンデム質量タグ(TMT(商標)、サーモ・サイエンティフィック(Thermo Scientific))などは、マルチプレックスなサンプル測定および相対的な定量に適した直接の標識付けアプローチを提供する。TMTおよびiTRAQのどちらにおいても、別々のタンパク質分解による消化産物は、N末端アミノ酸に加えてシステイン、リシン、およびカルボニル部分に固有の電荷を有する基を導入する試薬と反応する。次いで標識されたサンプルをプールし、同じLC−MSの試行で分析する。結果は、同じLC−MS分析内で相対的に定量できるマルチプレックス化可能な(10プレックスまでの)アッセイである。この試薬は、同じプール中の分析された異なるサンプルから、同一なペプチドにつき固有のレポーターイオンを生産する、同重体の、クロマトグラフィーによって区別できない誘導体化されたペプチドを生産することによってマルチプレクシングを可能にする。この方法はそれでもなお、LCによる事前分離、タンパク質分解による消化、加えて独立したサンプル誘導体化の追加の複雑さに依存するため、これまでに論じられた方法に付随する同じ問題を被る。
US6955921 米国特許第5,719,060号 米国特許第6,225,047号 PCT/US2015/033278 PCT/US16/53610
Pugia、Glycoconj J 2007
この分野は、サンプル中のペプチドおよびタンパク質の全てのバリエーションを検出することが可能な改善された方法を必要とする。この方法は、さらなる酵素処理、ペプチダーゼ反応に依存しないと予想され、単一の決定で分析物のありとあらゆるバリエーションを測定することができる。アフィニティー剤と分析的標識付けとを組み合わせる新しい方法は、サンプル中のペプチドおよびタンパク質のバリエーションに対して感受性であり、患者やサンプルにわたり一貫した測定が可能でなければならない。
発明の概要
本明細書に記載の発明は、サンプル中の分析物分子のバリエーションの単離方法であって、バリエーションを、付着した分析標識およびアフィニティー剤で粒子に結合させること、サンプルから粒子を分離すること、粒子から分析標識を除去すること、それに続き分析物分子の間接的な分析のために分析標識を測定することによる、方法を対象とする。
本発明に係る一部の例は、全ての分析物のバリエーションを、分析用標識を受け入れる粒子に結合させることによる、サンプル中の全ての分析物のバリエーションを単離する方法であって、複数の同一な分析標識は、X−Y結合によって粒子に付着しており、X−Y結合を破壊することによって放出される、方法を対象とする。
本発明に係る一部の例は、分析物の第1のバリエーションを第1の分析標識を有する粒子に結合させ、分析物の追加のバリエーションを追加の分析標識を有する粒子にさらに結合させることによる、サンプル中の分析物の第1のバリエーションの単離方法であって、全ての分析標識は、X−Y結合によって付着しており、X−Y結合を破壊することによって放出される、上記方法を対象とする。
本発明に係る一部の例は、全ての分析物のバリエーションを分析標識を有する粒子に結合させることによる、サンプル中の分析物のバリエーションを単離する方法であって、複数の同一なアフィニティー剤は、X−Y結合によって粒子に付着しているが、X−Y結合を破壊する条件によって放出されない、上記方法を対象とする。
本発明に係る一部の例は、分析物の第1のバリエーションを第1のアフィニティー剤を有する粒子に結合させ、分析物の追加のバリエーションを追加のアフィニティー剤を有する粒子にさらに結合させることによる、サンプル中の分析物の第1のバリエーションの単離方法であって、全てのアフィニティー剤は、X−Y結合によって付着しているが、X−Y結合を破壊することによって放出される、上記方法を対象とする。
本明細書で提供される図面は正確な縮尺ではなく、本明細書に記載される原理に従って特定の例を理解することを容易にする目的のために提供され、例証として提供され、添付の特許請求の範囲を限定しない。
図1は、本明細書に記載される原理に従う装置、方法、またはキットによって検出される分析物のバリエーションの形成の例を例示する略図である。分析物の元の形態、例えば遺伝子産物1の形成は、フラグメント化(例えばプロテアーゼ)により分析物のバリエーションを生成できる薬剤2の基の作用を受け、それにより10個またはそれより多くのフラグメント3が生じる。フラグメント化3によって達成される分析物のバリエーションは、10個またはそれより多くの追加のバリエーション5を生じる分析物のバリエーションを生成できる薬剤4の基の作用を受ける。付加による分析物のバリエーション5は、例えばタンパク質を、フラグメント化により分析物のバリエーションを生成できる10個またはそれより多くの追加のバリエーション7に結合させることによって、分析物のバリエーションを生成できる薬剤6の基の作用を受け、それにより10個またはそれより多くのフラグメント3が生じる。3サイクル後、分析物のバリエーションの数は、すでに106個である。 図2は、抗原11(項目4)などの分析物のバリエーションを含有する溶液とインキュベートした場合の、分析物の特異的なバリエーションを、分析標識9(項目2)および付着したアフィニティー剤10(項目3)を付着させた粒子8(項目1)に結合させることによって、サンプル中の分析物の1つまたはそれより多くのバリエーションを単離するための本明細書に記載される原理に従う方法の例を描写する略図である。分析物の捕獲されたバリエーション12(項目5)を有する粒子は、無傷の分析標識を有するバルクのサンプルから単離され、ここで複数の同一な分析標識は、X−Y結合によって粒子に付着しており、X−Y結合を破壊することによって放出されて、分析標識13(項目6)を遊離状態にし、参照標準(項目8)との比較によって放出された分析標識14(項目7)の検出および定量化を可能にする。 図3は、抗原21(項目6)などの分析物のバリエーションを含有する溶液とインキュベートした場合、全ての分析物のバリエーションを、付着した分析標識17(項目2)および固有の付着したアフィニティー剤18、19、および20(項目3、4および5)を有する粒子16(項目1)に結合させることによって、サンプル中の全ての分析物のバリエーションを単離する方法を対象とする、本明細書に記載される原理に従う方法の例を描写する別の略図である。分析物の捕獲されたバリエーション、例えば抗原22、23、および24(項目7、8および9)を有する粒子は、無傷の分析標識を有するバルクのサンプルから単離され、ここで複数の同一な分析標識は、X−Y結合によって粒子に付着しており、X−Y結合を破壊することによって放出されて、分析標識25(項目10)を遊離状態にし、参照標準26(項目11)との比較によって放出された分析標識25(項目10)の検出および定量化を可能にする。 図4は、抗原33(項目7)などの分析物のバリエーションを含有する溶液とインキュベートした場合、全ての分析物のバリエーションを、付着した固有の分析標識29および30(項目3および4)ならびに付着した固有のアフィニティー剤31および32(項目5および6)を有する複数の粒子27および28(項目1および2)に結合させることによって、サンプル中の全ての分析物のバリエーションを単離する本明細書に記載される原理に従う方法の例を描写する追加の略図である。分析物の捕獲されたバリエーション、例えば抗原34および35(項目8および9)を有する粒子は、無傷の分析標識を有するバルクのサンプルから単離され、ここで複数の同一な分析標識は、X−Y結合によって粒子に付着しており、X−Y結合を破壊することによって放出されて、分析標識36および37(項目10および11)を遊離状態にし、参照標準38(項目12)との比較によって放出された分析標識36および37(項目10および11)のマルチプレックス化可能な検出および定量化を可能にする。
発明の詳細な説明
本明細書に記載される発明に係る方法、装置およびキットは、希少分子の検出または単離において用途がある。このような用途の例としては、例証として、これに限定されないが、バリエーションを、付着した分析標識で粒子に結合させ、サンプルから粒子を分離すること、続いて粒子から分析標識を除去すること、および分析標識の測定により分析物分子を測定することにより、分析物のバリエーションを単離する方法が挙げられる。
本明細書に記載される発明に係る一部の例は、バリエーションを、付着した分析標識も有する粒子に付着したアフィニティー剤を介して粒子に結合させ、サンプルから粒子を分離すること、続いて粒子から分析標識を除去すること、および分析標識の測定により分析物分子を測定することにより、サンプル中の分析物分子のバリエーションを単離する方法である。
本明細書に記載される発明に係る一部の例は、バリエーションを、X−Y結合によって付着した分析標識も有する粒子にX−Y結合によって付着したアフィニティー剤を介して粒子に結合させることにより、サンプル中の分析物分子のバリエーションを単離する方法である。粒子がサンプルから分離され、その後、分析標識が、分析標識を粒子に接続するX−Y結合の破壊を介して粒子から放出される。次いで、分析物分子の間接的な測定の手段として、放出された分析標識の測定が実行される。
本発明に係る一部の例は、無細胞の分析物のバリエーションの検出または単離を対象とし、一方で他の例は、細胞に結合しているかまたは細胞中に含有されている分析物のバリエーションの検出または単離を対象とする。他の例は、非希少細胞の存在から除去された希少細胞中に包含される分析物のバリエーションの単離および検出を対象とする。一部の例において、希少細胞は、多孔質マトリックスによって、非希少細胞の存在から除去される。
用語「分析物のバリエーション」は、生物学的または非生物学的な起源の分子の部分、断片、フラグメントまたは改変であり、例えば、代謝産物、補因子、基質、アミノ酸、金属、ビタミン、脂肪酸、生体分子、ペプチド、炭水化物のような小分子、複合糖質、脂質、核酸、ポリペプチド、受容体、酵素、タンパク質のような巨大分子、加えて、細胞構造、ペルオキシソーム、小胞体、エンドソーム、エキソゾーム、リソソーム、ミトコンドリア、細胞骨格、膜、核、細胞外マトリックスなどの細胞および組織、または典型的に測定される他の分子が挙げられる。
上記の図面の簡単な説明で説明したように、図1は、フラグメント化、付加、または結合による「分析物のバリエーション」の形成の例を描写する略図であり、プロテアーゼまたはペプチダーゼの基がタンパク質などの単一の巨大分子に作用し、続いて単一のタンパク質のバリエーションの生成した基を作り出すように作用する酵素の基による追加の反応が起こる例を示す。分析物のバリエーションは、細胞および組織の部分および断片に加えて小分子から生成することができる。また結合および会合反応も、未結合形態とは異なるバリエーションである結合形態を生成することによって、「分析物のバリエーション」に追加の差をもたらす。
本明細書に記載される原理に従う一部の例は、分析物および非分析物分子のバリエーションの1つまたはそれより多くの異なる集団を含有する疑いのあるサンプル中における、分析物のバリエーションの1つまたはそれより多くの異なる集団を検出する方法を対象とする。用語「分析物のバリエーション」は、分子、これらに限定されないが、炭水化物、脂質、核酸、ペプチドおよびタンパク質などの生体分子を含む。これらの分析物のバリエーションは、分析物のバリエーションを形成するように作用する酵素、プロテアーゼ、ペプチダーゼ、タンパク質および阻害剤を測定するのに使用することができる。これらの分析物のバリエーションは、天然または人工(man-made)の起源として、例えば生物学的起源、治療剤などとして形成され得る。これらの分析物のバリエーションは、分析物のフラグメント化、付加、結合または他の改変から意図的に生じさせることができる。本明細書に記載される原理に従う一部の例は、分析物のバリエーションが形成されるように、単離方法の前にペプチダーゼ、酵素、阻害剤または他の試薬を添加することを対象とする。これらの分析物のバリエーションは、方法を用いた分析の前に分析物のバリエーションを単離するための意図的な親和性反応の結果であってもよい。
用語「分析標識」は、多孔質マトリックス上で直接的に、または液体中のいずれかで、光学的、MS、または電気化学的手段によって検出可能なシグナルを生成することが可能な化学物質(有機または無機)を指す。分析標識は、分析物のバリエーションに特異的なアフィニティー剤に付着していてもよいし、または標識粒子に付着していてもよい。加えて、分析標識は、化学結合を破壊することによって、アフィニティー剤または標識粒子から放出させることができる。分析標識は、アフィニティー剤、粒子の標識、または分析物のバリエーションを同定するのに使用することができる。分析標識は、アフィニティー剤、標識粒子または分析物のバリエーションのための同定可能なコードとして使用する(バーコード化する)ことができる。一部の例において、分析標識は、分析標識と構造的に類似しているかまたは同一な較正物質としての内部標準を用いて測定することができる。
本明細書に記載される発明に係る一部の例は、分析物のバリエーションの検出のための分析標識として質量標識を使用する方法を対象とする。用語「質量標識」は、希少分子または希少分子に関するアフィニティータグの存在および/または量に対応しており、それらを決定するのに使用される固有の質量スペクトルシグネチャーを有する分子を指す。質量標識は加えて、蛍光性、化学発光または電気化学的な性質を有していてもよい。質量標識は、一部の場合において、固有のフラグメント化パターンを有するペプチドであってもよい。電荷は、永続的な電荷であってもよいし、または一時的な電荷であってもよい。
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを指すのに本明細書では同義的に使用される。この用語は、1つまたはそれより多くのアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工的な化学模倣物質であるアミノ酸ポリマーに加えて、天然に存在するアミノ酸ポリマーや天然に存在しないアミノ酸ポリマーにも適用される。
用語「アフィニティー剤」は、特異的な分子に選択的に結合することが可能な分子を指す。アフィニティー剤は、目的の分析物のバリエーションと直接結合させてもよいし、またはアフィニティータグに方向付けてもよい。アフィニティー剤は、捕獲粒子または標識粒子に付着していてもよいし、または分析物のバリエーションまたはアフィニティータグをアフィニティー剤に引き付ける静電気、疎水性、空間的、イオン性または他の相互作用を介して粒子と結合させてもよい。
用語「標識粒子」は、連結によって分析標識およびアフィニティー剤に結合した粒子を指す。用語「捕獲粒子」は、連結によって追加のアフィニティー剤またはアフィニティータグに付着した粒子を指し、分析物のバリエーションを捕獲するために使用することができる。用語「連結」は、2つの基間の結合を指し、X−Y結合と表される。アフィニティー剤は、X−Y結合である連結によって標識粒子に付着し、分析標識は、X−Y結合である連結によって標識粒子に付着している。この連結は、本明細書に記載されるような特定の条件に供されたとき切断可能(cleavable)であってもよいし、または永続的であってもよい(使用される条件下で切断を受けない)。結合という用語は、典型的には化学結合であり、すなわち共有結合またはイオン結合である。好ましい連結は、共有結合による連結である。
本明細書に記載される発明に係る一部の例は、複数の分析標識を標識粒子に付着させて、粒子上で分析標識を増幅することを使用する、分析物を測定する方法を対象とする。増幅方法を対象とする一部の例において、アフィニティー剤で標識粒子に付着した複数の分析標識が存在する。他の例において、追加のアフィニティー剤を捕獲粒子に連結させて、捕獲粒子を、多孔質マトリックスまたは磁石上にアフィニティー剤を有する標識粒子を単離するのに使用することができる。本明細書に記載される原理に従う他の例は、分析物のバリエーションの結合および分離方法であって、標識粒子および細胞が、多孔質マトリックスまたは磁気粒子上で単離され、分析のために保持された材料と結合する、上記方法を対象とする。
本明細書に記載される発明に係る例は、分析のための方法およびキットを対象とする。本明細書に記載される原理に従う他の例は、分析のための装置を対象とする。
本明細書に記載される発明に係る分析物の単一のバリエーションの検出のための方法、装置またはキットの例は、図2に描写される。上記の図2の簡単な説明で説明したように、この例において、分析標識およびアフィニティー剤は、分析物のバリエーションに結合することが可能であるが、これは、標識粒子上の分析標識と、アフィニティー剤および標識粒子の間の別個の連結との間に形成された連結を介して付着している。第1の工程において、アフィニティー剤が付着した標識粒子は、分析物のバリエーションを含有するサンプルと混合される。第2の工程において、アフィニティー剤は、分析物のバリエーションに結合し、標識粒子をそのまま捕獲してもよいし、または捕獲された粒子または細胞と結合させて、多孔質マトリックスでのサイズ排除ろ過、磁気分離、または遠心分離などの様々な手段によってサンプルから除去してもよい。この方式で、粒子に結合した分析物のバリエーションは、分析物のバリエーションに結合していない粒子から分離される。第3の工程において、抗原などの分析物の捕獲されたバリエーションを有する標識粒子は、X−Y結合を破壊することによって標識粒子から分析標識を放出し、参照標準との比較による放出された分析標識の定量可能な検出を可能にする条件に供される。
本明細書に記載される発明に係る1種または複数の分析物の複数のバリエーションの検出のための方法、装置またはキットの別の例は、図3に描写される。上記の図3の説明で説明したように、この例において、分析標識および複数のアフィニティー剤は、1つまたは複数の分析物の異なるバリエーションに結合することが可能であるが、これらは、標識粒子上の分析標識と、アフィニティー剤および標識粒子の間の別個の連結との間に形成された連結を介して付着している。第1の工程において、アフィニティー剤が付着した標識粒子は、1種または複数の分析物のバリエーションを含有するサンプルと混合される。第2の工程において、アフィニティー剤は、1種または複数の分析物のバリエーションに結合し、標識粒子をそのまま捕獲してもよいし、または捕獲された粒子または細胞と結合させて、多孔質マトリックスでのサイズ排除ろ過、磁気分離、または遠心分離などの様々な手段によってサンプルから除去してもよい。この方式で、粒子に結合した1種または複数の分析物のバリエーションは、1種または複数の分析物のバリエーションに結合していない粒子から分離される。第3の工程において、抗原などの1種または複数の分析物の捕獲されたバリエーションを有する標識粒子は、X−Y結合を破壊することによって標識粒子から分析標識を放出し、参照標準との比較による放出された分析標識の定量可能な検出を可能にする条件に供される。
本明細書に記載される発明に係る1種または複数の分析物の複数のバリエーションを検出するための分析の方法、装置またはキットのさらなる例は、図4に描写される。上記の図4の説明で説明したように、分析標識を有する標識粒子と結合させることによる、サンプル中の1種または複数の分析物のバリエーションの単離の例が示される。第1の工程において、固有のアフィニティー剤が付着した複数の標識粒子は、1種または複数の分析物のバリエーションを含有するサンプルと混合される。複数の粒子は、それぞれ固有のアフィニティー剤および固有の分析標識と共に使用される。第2の工程において、アフィニティー剤は、1種または複数の分析物のバリエーションに結合し、標識粒子をそのまま捕獲してもよいし、または捕獲された粒子または細胞と結合させて、多孔質マトリックスでのサイズ排除ろ過、磁気分離、または遠心分離などの様々な手段によってサンプルから除去してもよい。この方式で、粒子に結合した1種または複数の分析物のバリエーションは、1種または複数の分析物のバリエーションに結合していない粒子から分離される。第3の工程において、抗原などの1種または複数の分析物の捕獲されたバリエーションを有する標識粒子は、X−Y結合を破壊することによって標識粒子から分析標識を放出し、参照標準との比較による同じサンプル中の放出された複数の分析標識の定量可能な検出を可能にする条件に供される。
分析物のバリエーションの例
記載された原理によれば、「分析物のバリエーション」は、生物学的または非生物学的な起源の分子由来であってもよい。分析物のバリエーションとしては、これらに限定されないが、炭水化物、脂質、核酸、ペプチドおよびタンパク質などの生体分子が挙げられる。分析物のバリエーションは、反応、生物学的プロセス、疾患、または意図的な反応の結果であってもよく、疾患または自然の状態を測定するのに使用することができる。分析物のバリエーションは、分子、例えば人工または天然の起源のタンパク質、酵素、生物製剤またはペプチドにおける変化から得られるものであってもよく、そのようなものとしては、生物活性および非生物活性分子、例えば、医療用デバイス、治療的使用、診断的使用で使用されるもの、プロセスの測定に使用されるもの、ならびに食物として、農業において、生産において、プロバイオティクスまたはプレバイオティクスとして使用されるもの、微生物または細胞生産において使用されるもの、細胞の成長、測定または制御に関するプロセスのための化学物質として使用されるもの、食品安全性および環境の評価に使用されるもの、動物用製品で使用されるもの、および化粧品で使用されるものが挙げられる。
分析物のバリエーションは、より大きい部分または結合した形態のフラグメントであってもよく、それ自体は、他の分子、例えば酵素、ペプチダーゼなどを測定するのに使用することができる。他の分子、例えば酵素、ペプチダーゼなどの測定は、分析物のバリエーション、例えば酵素またはタンパク質分解による生成物の形成に基づいていてもよい。他の分子、例えば天然阻害剤、合成阻害剤などの測定は、分析物のバリエーションの形成の欠如に基づいていてもよい。
分析物のバリエーションは、酵素的改変または非酵素的改変による、翻訳または翻訳後修飾の結果としてのバリエーションであってもよい。翻訳後修飾は、タンパク質生合成中またはその後におけるタンパク質の共有結合の改変を指す。翻訳後修飾は、酵素的または非酵素的化学反応を介したものでもよい。リン酸化は、酵素活性を制御するための極めて一般的なメカニズムであり、最も一般的な翻訳後修飾である。酵素は、オキシドレダクターゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼ、リガーゼまたはトランスフェラーゼであってもよく、これらは、6000種を超えるエントリーを有するhttp://enzyme.expasy.org/またはhttp://www.enzyme-database.org/などの酵素分類データベースにおいて一般的に公知のものなどであり得る。
分析物のバリエーションの一般的な改変としては、膜局在化のための疎水性基の付加、酵素活性強化のための補因子の付加、ジフタミド形成、ハイプシン形成、エタノールアミンホスホグリセロールの付着、アシル化、アルキル化、アミド結合形成、例えばアミノ酸付加またはアミド化、ブチリル化、ビタミンK依存性ガンマ−カルボキシル化[15]、グリコシル化、結果として糖タンパク質が生じるアルギニン、アスパラギン、システイン、ヒドロキシリジン、セリン、スレオニン、チロシン、またはトリプトファンのいずれかへのグリコシル基の付加、マロニル化、ヒドロキシル化、ヨウ素化、ヌクレオチド付加、例えばADP−リボシル化、リン酸エステル(O−連結)またはホスホロアミデート(N−連結)形成、例えばリン酸化またはアデニリル化、プロピオニル化、ピログルタメート形成、S−グルタチオン付加、S−ニトロシル化、S−スルフェニル化(sulfenylation)(S−スルフェニル化(sulphenylation)ともいう)、サクシニル化または硫酸化が挙げられる。非酵素的改変としては、糖の付着、カルバミル化、カルボニル化または意図的な組み換えまたは合成コンジュゲーション、例えばビオチン化またはアフィニティー剤の付加、例えばヒスチジン酸化、シスチン残基間のジスルフィド結合の形成、またはペグ化(ポリエチレンオキシド基の付加)が挙げられる。
ペプチドやタンパク質などの分析物の意図的なフラグメント化およびバリエーションの形成のための一般的な試薬としては、ペプチダーゼまたはペプチドやタンパク質と反応することがわかっている試薬が挙げられる。意図的なフラグメント化は、プロテアーゼ(ペプチダーゼまたはプロテイナーゼとも称される)やペプチドおよびタンパク質配列と反応することがわかっている化学物質に関して予測された切断部位に基づき、特異的なフラグメントを生成することができる。意図的なフラグメント化のための一般的なペプチダーゼおよび化学物質としては、Arg−C、Asp−N、BNPS oNCS/尿素、カスパーゼ、キモトリプシン(低い特異性)、クロストリパイン、CNBr、エンテロキナーゼ、第Xa因子、ギ酸、Glu−C、グランザイムB、HRV3Cプロテアーゼ、ヒドロキシルアミン、ヨード安息香酸、Lys−C、Lys−N、穏やかな酸加水分解、NBS、NTCB、エラスターゼ、ペプシンA、プロリルエンドペプチダーゼ、プロテイナーゼK、TEVプロテアーゼ、サーモリシン、トロンビン、およびトリプシンが挙げられる。フラグメント化の意図的な阻害のための一般的な試薬としては、酵素、ペプチダーゼ、プロテアーゼ、還元剤、酸化剤、上記で列挙した化学物質などを含む、酵素、ペプチダーゼ、プロテアーゼの化学反応物および化学的阻害剤が挙げられる。
壊れやすい連結(breakable linkage)の例
本発明によれば、分析標識およびアフィニティー剤は、連結によって標識粒子に付着している。加えて、分析標識は、連結を破壊することによってアフィニティー剤または標識粒子から放出される。壊れやすい連結は、「X−Y結合」と定義される。語句「X−Y結合」は、アフィニティー剤または分析標識の標識粒子への壊れやすい接続を可能にする分子の基を指す。語句「X−Y結合」は、連結を破壊しやすいようにした分子の基を指す。分析標識は、標識粒子上の原子(X)に連結する原子(Y)を含有する。アフィニティー剤は、標識粒子上の原子(X)に連結する原子(Y)を含有していてもよい。X−Y結合としては、スルフィド、ピリジル、ジスルフィド、エステル、エーテル、チオエステル、アミド、チオアミド、N−酸化物、窒素−窒素、チオエーテル、ペプチド、カルボキシレート、キレート、グアニジン、金属などを挙げることができる。X−Y結合は、例えば、脂肪族炭化水素鎖、ポリペプチド、ポリマー、芳香族炭化水素、脂肪族脂肪酸、タンパク質、金属、炭水化物、有機アミン、エーテル、エステル、スルフィド、ホスフェート、スルフェート、核酸、有機アルコール、およびその他のもの(上記で列挙した化合物の混合物など)、例えばその構造が置換、質量および鎖長によって変更され得るものの一部であってもよい。高分子材料の場合において、反復単位の数は、アフィニティー剤または分析標識との反応が最適化されるような方式で調整される。一部の場合において、X−Y結合は、アフィニティー剤または分析標識と標識粒子との間にスペースが生じるような長さのリンカー基の一部であってもよい。
一部の例において、分析標識に結合する原子(Y)は、原子(X)への結合を形成するチオール基であってもよく、原子(X)もまた、チオール基、例えばアルキル基上のチオール基、芳香族基、ペプチドおよびタンパク質である。他の例において、ジスルフィド結合の接続は、分析標識またはアフィニティー剤上の遊離のチオールと粒子上に存在するピリジルジチオール基との反応の結果であってもよい。
一部の例において、XおよびYは、S、O、C、P、N、B、Si、Ni、Pd、Co、Ag、Fe、Cu、またはAuのあらゆる組合せであってもよい。結合基中に存在する官能基としては、エステル、チオエステル、アミド、チオアミド、エーテル、グアニジン、N−酸化物、窒素−窒素、チオエーテル、カルボキシレートなどを挙げることができる。さらなる他の例において、XまたはYは、金属と結合する分子、例えば金属と結合するアフィニティー剤、分析標識または標識粒子に付着した金属キレート化剤であってもよく、例えば、これらに限定されないが、システイン、ヒスチジン、アルギニンもしくはチロシンまたはチオール基を含有するタンパク質、ペプチドまたは分子、例えば、ポリヒスチジンタグ、ポリアルギニンタグ、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GSTタグ)、免疫グロブリンまたは他の多くのものなどが挙げられる。
一部の場合において、X−Y連結基によって標識粒子に付加されたアフィニティー剤は、個別に結合するアフィニティー剤またはアフィニティータグである。アフィニティータグとアフィニティー剤の対としては、これらに限定されないが、アフィニティー剤としてのストレプトアビジンまたはニュートラアビジンに結合するアフィニティータグとしてのビオチン、アフィニティー剤として抗フルオレセイン抗体に結合するフルオレセインが挙げられる。アフィニティータグとしては、抗体またはタンパク質に結合し、これらのアフィニティー剤への結合パートナーとして役立つ可能性がある他の分子が挙げられる。他の例において、これらのアフィニティータグは、抗体ではないタンパク質と結合する分子であってもよく、そのようなものとしては、例えば、これらに限定されないが、ストレプトアビジン−タクチン(tactin)タンパク質と結合するストレプII(strep II)タグペプチド(配列番号19WSHPQFEKを有するペプチド)、ストレプトアビジンタンパク質と結合するストレプトアビジン結合(SBP)ペプチドタグ(配列番号20MDEKTTGWRGGHVVEGLAGELEQLRARLEHHPQGQREPを有するペプチド)、カルモジュリンと結合するカルモジュリン結合ペプチド(CBP)(配列番号21GVMPREETDSKTASPWKSARを有するペプチド)が挙げられる。他の例において、アフィニティータグは、アフィニティー剤としてマルトース結合タンパク質(MBP)(396アミノ酸残基)に結合するアミロースのような炭水化物分子であってもよい。一部の場合において、アフィニティータグは、分析物のバリエーションと結合する抗体に結合したビオチンなどの第2のアフィニティー剤に付加されていてもよい。この場合、ニュートラアビジンは、X−Y連結によって標識粒子に付加されたアフィニティー剤であり、ニュートラアビジンは、ビオチンと結合し、ビオチンは、分析物のバリエーションと結合できる抗体に結合する。
一部の場合において、アフィニティータグは、分析物のバリエーションに直接付着していてもよい。その例としては、これらに限定されないが、FLAGポリペプチドタグ(配列番号22DYKDDDDKを有するペプチド)、インフルエンザヘマグルチニン(HA)ポリペプチドタグ(配列番号23YPYDVPDYAを有するペプチド)、c−Mycポリペプチドタグ(配列番号24EQKLISEEDLを有するペプチド)、S−タグポリペプチドタグ(配列番号25KETAAAKFERQHMDEを有するペプチド)、翻訳されたペプチドまたは他の分子に共有結合するピューロマイシンが挙げられる。これらの分析物のバリエーションを有するアフィニティータグは、X−Y連結基によって標識粒子に付加されるアフィニティー剤として抗体と結合する。一部の場合において、これらのアフィニティータグは、様々な宿主生物(大腸菌(E.coli)、酵母、昆虫、および哺乳類細胞)のための様々なベクターを使用してそれをcDNAのサブクローニングまたは遺伝子発現させる間、組換えタンパク質に融合されているポリペプチドであってもよい。加えて、アフィニティータグは、分析物に特性を追加することができ、例えばMBPやS−タグアフィニティータグは、タンパク質である希少分子の溶解性を増加させ、FLAGペプチドタグは、特異的なプロテアーゼ、例えばエンテロキナーゼ(エンテロペプチダーゼ)で切断することができる。
分析標識の例
本明細書に記載される原理に従う一部の例において、分析標識は、本方法、キットおよび装置における1つまたはそれより多くの分析物のバリエーションの異なる集団の検出および測定のために採用される。分析標識は、サンプル中の1種またはそれより多くのバリエーションの存在および量に関する情報を得るために分析方法を使用して検出可能な分子、金属、イオン、原子、または電子である。本明細書に記載される原理は、希少分子および非希少分子の1つまたはそれより多くの異なる集団を含有する疑いのあるサンプル中における分析物の1種またはそれより多くの異なるバリエーションを検出する分析標識を使用する方法を対象とする。一部の例において、分析物のバリエーションは、細胞中にあるか、または細胞起源のものである。他の例において、分析物のバリエーションは、細胞を含まないかまたは「無細胞」である。他の例において、分析物のバリエーションは、細胞である。本明細書に記載される原理に従う一部の例において、所定濃度の分析物のバリエーションの1つまたはそれより多くの異なる集団は、多孔質マトリックスまたは捕獲粒子上に保持され、反応して、多孔質マトリックスまたは捕獲粒子から分析標識を生成する。
分析標識は、多孔質マトリックス上に保持され、膜から分析液体に放出されると検出することができる。分析標識は、捕獲粒子または細胞上に保持され、捕獲粒子または細胞から分析液体に放出されると、検出することができる。一部の例において、分析標識は、分析標識前駆体から分析液体に放出されるが、分析物のバリエーションは放出されない。他の例において、分析標識は、分析標識前駆体から分析液体に放出され、分析物のバリエーションも放出される。他の例において、分析標識は、分析物のバリエーションと共に分析標識前駆体から分析液体に放出されない。
多孔質マトリックスまたは分析液体を分析に供して、それぞれの異なる分析標識の存在および/または量を決定することができる。それぞれの異なる分析標識の存在および/または量は、サンプル中の標的の希少分子のそれぞれ異なる集団の存在および/または量に関する。分析標識は、光学的、電気化学的、または質量分析方法によって、光学的分析標識、電気化学的分析標識または質量分析用分析標識(質量標識)として測定することができる。それぞれの異なるタイプの標識の存在および/または量は、光学的分析標識、電気化学的分析標識または質量分析用分析標識かどうかにかかわらず互いに関連する可能性があり、それにより、多孔質基質および/または捕獲粒子上に保持される標的の希少分子のそれぞれ異なる集団の存在および/または量を決定することができる。
一部の例において、分析標識を含む分析液体は、分析器によってサンプリングされる液体を受ける領域に移すことができる。他の例において、分析標識を含む分析液体は、分析器によってサンプリングされる多孔質マトリックス上に保持されていてもよい。他の場合において、液体を受ける領域は、分析器の内部であってもよく、分析標識を含む分析液体を直接分析することができる。一部の分析の例において、多孔質マトリックスを除去し、分析器中に置き、そこで分析標識の分析を実行し、それぞれの異なる1種または複数の分析物のバリエーションの存在および/または量に関する情報に変換される。
本明細書に記載される発明に係る一部の方法において、分析標識は、分析標識前駆体からの放出によって生成される。多くの例において、分析標識は、化学物質と反応して結合が破壊された後に生成することができる。他の例において、分析標識は、分析標識前駆体基質、例えば、例を挙げると、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、フラボオキシダーゼ(flavo-oxidase)酵素、ウレアーゼまたはメチルトランスフェラーゼなどの酵素との反応を受けて標識を生成する化学種から生成される。他の例において、分析標識は、電子またはイオン、例えば電気化学発光(ECL)標識との反応の後に生成し得る。
上述したように、1つまたはそれより多くの結合基X−Yは、切断剤によって切断される切断可能な部分である。切断剤の性質は、切断可能な部分の性質によって決まる。切断可能な部分の切断は、例えば、酸化、還元、加溶媒分解、例えば加水分解、光分解、加熱分解、電気分解、超音波破砕、および化学的置換の1つまたはそれより多くを含む化学的または物理的な方法によって達成することができる。切断可能な部分および対応する切断剤の例としては、例証として、これらに限定されないが、例えば、還元剤を使用して切断可能なジスルフィド、例えば、チオール;酸化剤を使用して切断可能なジオール、例えば、過ヨウ素酸塩;過マンガン酸塩または四酸化オスミウムによって切断可能なジケトン;ヒドロ亜硫酸塩で切断可能なエーテル、エステル、ジアゾ連結またはオキシム連結;塩基性条件下で切断可能なβ−スルホン;塩基で切断可能なα−炭素が例えばカルボニルまたはニトロで活性化されているテトラアルキルアンモニウム、トリアルキルスルホニウム、テトラアルキルホスホニウム;アルカリ性条件下で例えばヒドロキシルアミン、アンモニアまたはトリアルキルアミン(例えば、トリメチルアミンまたはトリエチルアミン)などの加水分解剤を使用して切断可能なエステルおよびチオエステル結合;還元により消去が起こる、キノン;光分解で切断可能な置換ベンジルエーテル;熱的に切断可能な炭酸塩;リガンドをより高い親和性のリガンドで置き換えられ得る、金属キレート;一重項酸素で切断可能なチオエーテル;酸性条件下で切断可能な、ヒドラゾン連結;第四アンモニウム塩(例えば水酸化ナトリウム水溶液によって結合できる);トリフルオロ酢酸で切断可能な部分、例えば、ベンジルアルコール誘導体、テイコプラニンアグリコン、アセタールおよびチオアセタールなど;例えばHFまたはクレゾールを使用して切断可能なチオエーテル;スルホニル(例えば、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、またはチオアニソールによって結合できる);求核剤で切断可能な部位、例えばフタルアミド(例えば置換ヒドラジンで切断可能);媒体のイオン強度を変化させること、破壊的なイオン性物質を添加すること、pHを低下または上昇させること、界面活性剤を添加すること、超音波破砕、および/または電荷を有する化学物質を添加することによって切断を行うことができる、イオン会合(逆の電荷を有する部分の引力);および例えば300nmまたはそれより大きい波長での紫外線などの適切な波長を有する光で切断可能な、光で切断可能な結合が挙げられる。
一例において、切断可能な連結は、N−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート)(SPDP)とのコンジュゲーションを使用して形成することができる。例えば、アミン官能基を含む標識粒子は、SPDPにコンジュゲートされ、次いで得られたコンジュゲートは、チオール官能基を含有する分析標識と反応させることができ、それによりコンジュゲートへの質量標識部分の連結が生じる。ジスルフィド還元剤(例えば、ジチオスレイトール(DTT)またはトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)など)を切断剤として採用して、分析標識としてチオール化したペプチドを放出させることができる。
語句「光学的分析標識」は、光学的手段、例えば:化学発光標識、例えば、ルミノール、イソルミノール、アクリジニウムエステル、アダマンチル1,2−ジオキセタンアリールホスフェート、金属誘導体または当分野の研究者にとって一般的に入手可能な他のもの;蛍光標識、例えば、フルオレセイン、ランタニド金属、ヘキスト(Hoechst)33258、R−フィコシアニン、B−フィコエリトリン、R−フィコエリトリン、ローダミン、DyLight(商標)色素、テキサスレッド、金属または当分野の研究者にとって一般的に入手可能な他の一覧(http://www.fluorophores.org/を参照);または発色性の標識、例えばテトラメチルベンジジン(TMB)、粒子、金属などによる特異的な検出を可能にする分子の基を指す。光学的分析標識は、顕微鏡、カメラ、光学的読取装置、色度計、蛍光測定器、ルミノメーター、反射計などのような光学的方法によって検出可能である。
語句「電気化学的分析標識」は、電位差、容量性および酸化還元活性化合物を指し、例えば、Pt、Ag、Pd、Auなどの金属;または金ゾル、酸化グラフェンなどの粒子;またはフェロセン、フェロシアニド、Os(VI)bipyなどの電子輸送分子;または電気化学的な酸化還元活性分子、例えば、芳香族アルコールおよびアミン、例えば4−アミノフェニルリン酸エステル、2−ナフトール、パラニトロフェノールリン酸エステルなど;チオールもしくはジスルフィド、例えば芳香族化合物、脂肪族、アミノ酸、ペプチドおよびタンパク質上のもの;酸素、窒素、または硫黄のような非炭素環原子を含有する芳香族複素環式、例えばイミダゾール、インドール、キノロン、チアゾール、ベンゾフランなどである。電気化学的分析標識は、インピーダンス、キャパシタンス、電流測定法、電気化学インピーダンス分光法および他の測定によって検出可能である。
標識粒子は、例えば、1〜約10個の分析標識、または約10〜約10個の分析標識、または約10〜約10個の分析標識、または約10〜約10個の分析標識、または約10〜約10個の分析標識を含んでいてもよい。標識粒子は、X−Y連結を介した付着によって分析標識と結合を形成することが可能な、タンパク質、ポリペプチド、ポリマー、粒子、炭水化物、核酸、脂質または他の巨大分子で構成されていてもよい。それぞれの標識粒子が多くの分析標識を生成することができるため、単一の標識粒子上の複数の分析標識が増幅を可能にする。
語句「質量標識」または「質量分析用分析標識」は、それぞれの異なる1種または複数の分析物のバリエーションの存在および/または量に対応し、それを決定するのに使用される固有の質量分析シグネチャーを生成する分子の基を指す。質量標識は、既定の構造および分子量を有する分子であり、そのようなものとしては、これらに限定されないが、例えば、ペプチド、ポリマー、脂肪酸、炭水化物、有機アミン、核酸、および有機アルコールが挙げられる。質量標識の分子量は、例えば置換および鎖のサイズによって変更することができる。高分子材料の場合において、反復単位の数は、質量標識から形成され、質量分析計によって検出された1種または複数のイオンが、バックグラウンドの干渉がない領域中に存在するように調整される。
「質量標識」は、質量分析によって分析に供されたときに固有の質量分析パターンを生じるあらゆる分子である。「質量標識前駆体」は、それから質量標識を形成または生成できるあらゆる分子、粒子、またはその両方の組合せである。質量標識前駆体は、変更剤の作用を介して、切断によって、部分との反応によって、誘導体化によって、または付加によって、または例えば分子、電荷または原子のサブトラクションによって、または上記のものの2つまたはそれより多くの組合せによって質量標識に変換することができる。
質量標識前駆体の性質は、例えば、質量標識の性質、採用されるMS方法の性質、採用されるMS検出器の性質、標的の希少分子の性質、アフィニティー剤の性質、採用されるあらゆるイムノアッセイの性質、サンプルの性質、採用されるあらゆる緩衝液の性質、分離の性質の1つまたはそれより多くによって決まる。一部の例において、質量標識前駆体は、置換および/または鎖のサイズによって質量を変更できる分子である。質量標識前駆体から生産された質量標識は、分析しようとするサンプル中に存在しないと予想される既定の分子量および構造を有する分子である。さらに、質量標識は、MS検出器によって検出可能と予想され、サンプルまたは分析液体によってバックグラウンドの干渉の影響を受けないと予想される。質量標識を生産するための本明細書に記載される原理に従う方法で使用するための質量標識前駆体の例としては、例証として、これらに限定されないが、例えば、ポリペプチド、有機および無機ポリマー、脂肪酸、炭水化物、環状炭化水素、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、有機カルボン酸、有機アミン、核酸、有機アルコール(例えば、アルキルアルコール、アシルアルコール、フェノール、ポリオール(例えば、グリコール)、チオール、エポキシド、第一、第二および第三アミン、インドール、第三および第四アンモニウム化合物、アミノアルコール、アミノチオール、フェノール系アミン、インドールカルボン酸、フェノール酸、ビニル基含有の酸、カルボン酸エステル、リン酸エステル、カルボン酸アミド、ポリアミドおよびポリエステルからのカルボン酸、ヒドラゾン、オキシム、トリメチルシリルエノールエーテル、アセタール、ケタール、カルバメート、グアニジン、イソシアネート、スルホン酸、スルホンアミド、スルホニル硫酸エステル、モノグリセリド、グリセロールエーテル、スフィンゴシン塩基、セラミン(ceramine)、セレブロシド、ステロイド、プロスタグランジン、炭水化物、ヌクレオシドならびに治療薬物が挙げられる。
質量標識として機能する可能性があるペプチドの例としては、例証として、これらに限定されないが、ヒスチジン、リシン、フェニルアラニン、ロイシン、アラニン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、トリプトファン、プロリン、バリン、チロシン、グリシン、スレオニン、セリン、アルギニン、システインおよびイソロイシンならびにそれらの誘導体の2つまたはそれより多くを含有するペプチドが挙げられる。一部の例において、ペプチドは、約100〜約3,000Daの分子量を有し、3〜30アミノ酸を含有していてもよく、天然に存在するものまたは合成のいずれでもよい。ペプチド中のアミノ酸の数は、例えば採用されるMS技術の性質によって決定される。例えば、検出のためにMALDIを使用する場合、ペプチドは、約600〜約3,000の範囲おn質量を有していてもよく、約6〜約30個のアミノ酸で構成される。代替として、質量分析のためにエレクトロスプレーイオン化を使用する場合、ペプチドは、約100〜約1,000の範囲の質量を有し、例えば1〜30個のアミノ酸またはその誘導体で構成される。一部の例において、ペプチド標識中のアミノ酸の数は、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30であり得る。質量標識としては、イオン化された基、例えば、第四アンモニウム塩、例えばカルニチン、アルギニン塩、グアニジン塩およびそれらの誘導体;芳香族第四アンモニウム塩、例えばイミダゾール、ピロール、ヒスチジン、キノリン、ピリジン、インドール、プリン、ピリミジンなど;テトラアルキルアンモニウムイオン、トリアルキルスルホニウムイオン、テトラアルキルホスホニウムイオンならびに他の例を挙げることができる。
質量標識としてのペプチドの使用は、数々の利点を有する。そのような利点としては、これらに限定されないが、以下:1)タンパク質、抗体、粒子および他の生化学物質へのコンジュゲーションが比較的容易であること;2)質量を変更して多くの様々な質量にすることが比較的容易であり、したがってマルチプレックスなアッセイ様式および標準を提供できること;および3)検出に使用される質量分析計との最適な性能のために分子量を調整できることが挙げられる。コンジュゲーションに関して、ペプチドは、コンジュゲーションで採用される末端システインを有していてもよい。効率的なイオン化で役立つように、ペプチドは、永久的に電荷を有する、または容易にイオン化可能なアミン基を有していてもよい。一部の例において、ペプチドは、N末端における遊離アミンおよび/またはC末端における遊離酸を有する。一部の例において、ペプチドは、1種またはそれより多くの安定同位体を取り込んでいるか、または1種またはそれより多くの安定同位体で誘導体化されている。ペプチドは、小分子にとって対応する結合パートナーに結合させるために、例えばビオチンまたはフルオレセインなどの小分子にコンジュゲートしていてもよく、ここで結合パートナーは、ビオチンの例ではストレプトアビジンであり、またはフルオレセインの例では抗体である。
ポリペプチド質量標識は、アミノ酸の反復単位または配列で構成されるあらゆる質量標識である。ポリペプチド質量標識の場合、アミノ酸サブユニットの同一性および/または数を調整して、バックグラウンドの干渉の影響を受けない質量分析シグネチャーまたはピークを呈示する質量標識を得ることができる。さらに、質量分析用分析標識は、試験されるサンプル中に存在しない固有の質量分析シグネチャーを有する分析標識前駆体から生産してもよい。ポリペプチド分析標識前駆体は、単一の分析で1つより多くの結果を得るためのマルチプレックスな測定を可能にする、追加のアミノ酸または誘導体化されたアミノ酸を含んでいてもよい。ポリペプチド質量標識前駆体の例としては、これらに限定されないが、例えば、ポリグリシン、ポリアラニン、ポリセリン、ポリスレオニン、ポリシステイン、ポリバリン、ポリロイシン、ポリイソロイシン、ポリメチオニン、ポリプロリン、ポリフェニルアラニン、ポリチロシン、ポリトリプトファン、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン、ポリグルタミン、ポリヒスチジン、ポリリシンおよびポリアルギニンが挙げられる。一部の例において、ポリペプチドは、触媒作用によって改変される。例えば、例証として、これに限定されないが、フェノールおよび芳香族アミンは、触媒としてペルオキシダーゼ酵素を使用して、ポリスレオニンに付加することができる。別の例において、例証として、これらに限定されないが、触媒としてペルオキシダーゼ酵素を使用して、電子を芳香族アミンに移すことができる。別の例において、例証として、これに限定されないが、触媒としてホスファターゼを使用して、リン酸を有機リン酸から除去することができる。
別の例において、誘導体化剤は、質量標識前駆体から質量標識を生成するのに採用される。例えば、ジニトロフェニルおよび他のニトロフェニル誘導体は、質量標識前駆体から形成することができる。他の例としては、例証として、これらに限定されないが、エステル化、アシル化、シリル化、保護的なアルキル化、ケトンとシッフ塩基などの塩基との縮合による誘導体化、環化、蛍光性誘導体、および無機アニオンの形成が挙げられる。誘導体化反応は、MS分析の前に、親和性反応の後に行ってもよいし、またはアフィニティー試薬にコンジュゲートされる質量標識前駆体を生成するのに使用してもよい。
一部の例において、質量標識前駆体としては、1種またはそれより多くの同位体、例えば、これらに限定されないが、H、13C、および18Oなど、例えば、質量標識前駆体から誘導される質量標識中に残る上記同位体を挙げることができる。質量標識は、質量分析シグネチャーに基づき検出することができる。一部の例において、質量標識前駆体は、相対的に結合の切断を引き起こす可能性が高いものであり、例えば、これらに限定されないが、例えばアルキル化されたアミン、アセタール、第一アミンおよびアミドなどである。
内部標準は、質量スペクトル分析の重要な側面である。一部の例において、第2の質量標識または構造的に類似した化合物は、標的の希少分子の検出に使用される質量標識を定量するのに使用される分析液体に付加される(内部標準として)。一部の場合において、内部標準は、同重体であるが(質量標識と同じ親のm/zを有する)、質量分析計の内部で断片化されると固有の質量分析パターンを示す。他の場合において、内部標準は、親のm/zが質量標識のm/zとわずかに異なるように選択される。内部標準はまた、追加のアミノ酸または誘導体化されたアミノ酸を含有していてもよい。代替として、内部標準は、例えば、これらに限定されないがH(D)、13C、および18Oなどの1種またはそれより多くの同位体元素を取り込むことによっても調製することができる。このような場合、質量標識(または内部標準)は、天然に存在する物質と異なる質量を有する。例えば、グリセロール−C−d7、酢酸ナトリウム−C−d7、ピルビン酸ナトリウム−C−d7、D−グルコース−C−d7、重水素化グルコース、およびデキストロース−C−d7は、それぞれグリセロール、酢酸ナトリウム、ピルビン酸ナトリウム、グルコースおよびデキストロースのための内部標準として役立つと予想される。
一部の場合において、マルチプレックスな分析のための内部標準および/または同重体の質量標識は、ペプチド質量標識の基準の分子量を変化させないままで、質量分析計の内部でフラグメント化されると異なる質量標識ペプチドごとに固有の質量分析シグネチャーを生じるようなアミノ酸置換を有する異なるペプチドを利用する。このようなペプチドの例としては、これらに限定されないが、528.7.7Daの分子量を有するGAIIRおよびAAIVR、または631.8Daの分子量を有するRAAVICおよびRGIAICのアミノ酸配列が挙げられる。他の場合において、同重体の質量標識ペプチドおよび内部標準は、質量分析中のフラグメント化により1つまたはそれより多くの固有の検出可能なフラグメントが生産されるようなスクランブル化したアミノ酸配列を利用する。内部標準またはマルチプレックス化可能な質量標識として使用可能なスクランブル化したアミノ酸配列を有する質量標識ペプチドの例としては、これらに限定されないが、全て527.7Daの分子量を有するGAIIR、AIIGR、およびIGIARのアミノ酸配列が挙げられる。
質量標識ペプチドは、遊離のアミン基(例えばN末端アミン)または遊離のカルボキシル基(例えばC末端カルボキシル基)が変更されて異なる官能基になるように改変することができる。例を挙げれば、これらに限定されないが、遊離アミンは、アセチル基、ホルミル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、スクシニル(Suc)、クロロアセチル(Cl−Ac)、マレイミド(Mal)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)、ブロモアセチル(Br−Ac)、ニトリロトリアセチル、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸(HPP)、リポ酸(LA)、ペグ化、アリルオキシカルボニル(Alloc)などになるように改変されていてもよい。遊離のカルボキシル基改変の例としては、これらに限定されないが、アミド化(NH2)、ペプチドアルデヒド、アルコールペプチド、クロロメチルケトン(CMK)、7−アミノ−4−メチルクマリン(AMC)、p−ニトロアニリン(pNA)、パラニトロフェノール(−ONP)、ヒドロキシスクシンイミドエステル(−OSu)などが挙げられる。一例として、これらに限定されないが、遊離アミンおよび/またはカルボキシル基への改変は、イオン化効率を増加させる、質量分析パターンを変更する、同重体質量標識ペプチドを生成する、質量標識ペプチドを標識粒子にカップリングしたり、または質量標識ペプチドの質量を変更したりするのに使用できる官能基を導入する目的のためになされてもよい。
MS分析は、正確な同定および測定のために分子の質量対電荷比(m/z)を決定する。イオンの生成(イオン化)は、数々の技術によって達成することができ、そのような技術としては、これらに限定されないが、例えば、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)、大気圧化学イオン化(APCI)、エレクトロスプレーイオン化(ESI)、誘導性エレクトロスプレーイオン化(iESI)、化学イオン化(CI)、電子衝撃イオン化(EI)、高速原子衝撃(FAB)、電界脱離/電界イオン化(FC/FI)、サーモスプレーイオン化(TSP)、およびナノスプレーイオン化が挙げられる。質量は、数々の技術により質量分析計でモニターされ、そのような技術としては、例証として、これらに限定されないが、例えば、飛行時間型(TOF)、イオントラップ、四重極質量フィルター、磁気セクター、電気セクター、およびフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FTICR)が挙げられる。MS方法は、連続して繰り返すことができ(MSn)、その場合、親イオンが選択され、フラグメント化に供され、その後、MS分析器内で生成したフラグメントが測定される。フラグメントは、それに続く分析のために、MS分析器内で追加のフラグメント化に供してもよい。サンプル処理工程はしばしば、MS分析、例えば、一例として、これらに限定されないが、液体クロマトグラフィー(LC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、イオン移動度分光計(IMS)、および親和性分離などの前に実行される。
質量分析による分析の後、それぞれの異なる質量標識の存在および/または量は、標的の希少細胞および/または粒子に結合した標的の希少分子のそれぞれ異なる集団の存在および/または量に関連付けられる。質量標識と標的分子との関係は、標的分子に特異的なアフィニティー剤の使用を介して確立される。較正物質は、質量標識からのシグナルの量と、サンプル中の標的の希少分子の量との関係を確立するのに採用される。
アフィニティー剤の例
アフィニティー剤は、標的分子に選択的に結合することが可能な分子である。選択的な結合とは、一方の分子を特異的に認識し、それと比較して実質的に低い程度で他方の分子を認識することを含む。用語「結合」または「結合した」は、2つの部分が互いに関連する方式を指す。
アフィニティー剤は、特定の分子に選択的に結合することが可能な、免疫グロブリン、タンパク質、ペプチド、金属、炭水化物、金属キレート化剤、核酸、または他の分子であり得る。選択的な結合とは、2つの異なる分子のうち一方を他方に対して特異的に認識し、それと比較して実質的に低い程度で他の分子を認識することを含む。会合は、非共有結合、例えば特異的なイオン結合、疎水性結合、ポケット結合などを介したものである。対照的に、「非特異的な結合」は、一般的であり、類似の分子のクラスのいずれの特定の分子にも特異的ではない分子間の疎水性または静電的相互作用などの数々の要因に起因するものであり得る。
免疫グロブリンであるアフィニティー剤としては、例えばIgA、IgD、IgE、IgG1、IgG2a、IgG2bおよびIgG3、IgMなどの様々なクラスおよびアイソタイプなどを含む全長抗体またはそのフラグメントを挙げることができる。それらのフラグメントとしては、例えば、Fab、FvおよびF(ab’)2、およびFab’を挙げることができる。加えて、特定の分子の結合親和性が維持される限り、免疫グロブリンまたはそのフラグメントの集合体、ポリマー、およびコンジュゲートも必要に応じて使用することができる。
抗体は、希少分子に特異的であり、モノクローナルまたはポリクローナルであってもよい。このような抗体は、当業界において周知の技術、例えば宿主の免疫化と血清の収集(ポリクローナル)によって、または連続ハイブリッド細胞株の調製と分泌されたタンパク質の収集(モノクローナル)によって、または少なくとも天然抗体の特異的な結合に必要なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列またはその変異誘発した型をクローニングし発現させることによって調製することができる。
ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体は、当業界において周知の技術によって調製することができる。例えば、1つのアプローチにおいて、モノクローナル抗体は、体細胞ハイブリダイゼーション技術により得られる。モノクローナル抗体は、KohlerおよびMilstein、Nature 265:495〜497、1975の標準的な技術に従って生産することができる。モノクローナル抗体技術の総論は、Lymphocyte Hybridomas、Melchersら編、Springer-Verlag(New York 1978)、Nature 266: 495(1977)、Science 208: 692(1980)、およびMethods of Enzymology 73(パートB):3〜46(1981)に見出される。一般的に、モノクローナル抗体は、例えば、これらに限定されないが、クロマトグラフィー、例えば、DEAEクロマトグラフィー、ABxクロマトグラフィー、およびHPLCクロマトグラフィー;およびろ過などの公知の技術によって精製することができる。
加えてアフィニティー剤は、希少細胞のタイプ分けまたは細胞の生物学的な細胞内プロセスの測定のために使用される希少分子に選択的に結合することが可能な「細胞アフィニティー剤」であってもよい。これらのアフィニティー剤は、特定の細胞型に関連する抗原を特異的に認識してそれに結合する免疫グロブリンであってもよく、この場合、抗原は細胞の一成分である。細胞アフィニティー剤は、細胞中または細胞上に吸収させることが可能である。選択的な細胞結合は、典型的には、結合対(アフィニティー剤と標的の希少分子)の特異的な構造によって相対的に決まる分子間の結合を含む。選択的な結合は、非特異的な認識を頼らない。
標識および捕獲粒子の例
アフィニティー剤は、希少分子を検出または単離する目的のための分析標識および/または粒子に付着させることができる。この付着は「標識粒子」を介して行うことができ、順にこれを分析標識に付着させる。アフィニティー剤はまた、結合したおよび未結合の分析標識または希少分子の分離を可能にする「捕獲粒子」に付着させることもできる。用語「付着した」または「付着」は、2つの部分が接続される方式を指す。これは、2つの部分間の直接結合もしくは2つの部分間の結合基、共有結合またはそれ以外の方法によって達成することができる。代替として、アフィニティー剤は、追加の「結合パートナー」を使用して分析標識および/または粒子に付着させることができる。語句「結合パートナー」は、それぞれのパートナーを他方の分子および他方ではない分子と結合させるアフィニティー剤または「アフィニティータグ」の特異的な結合対のメンバーである分子を指す。一部の例において、アフィニティータグは、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質、例えば、ポリヒスチジンタグ、ポリアルギニンタグ、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GSTタグ)、免疫グロブリンまたは他の多くのものであってもよい。一部の場合において、アフィニティー剤は、なかでも、抗原と抗体またはハプテンと抗体、ビオチンとアビジン、ビオチンとニュートラアビジン、ビオチンとストレプトアビジン、IgGとプロテインA、二次抗体と一次抗体、抗体と蛍光標識などの免疫学的な対のメンバーであってもよい。
「標識粒子」は、リンカーアームまたは結合対を介してアフィニティー剤に付着する微粒子材料である。「標識粒子」は、標識粒子と分析標識との間、加えて標識粒子とアフィニティー剤またはタグとの間にX−Yの切断可能な連結を形成することが可能である。標識粒子のサイズは、1〜108個の分析標識および1〜108個のアフィニティー剤またはタグを受け入れられるほど十分に大きい。単一の標識粒子における分析標識とアフィニティー剤またはタグ分析標識およびアフィニティー剤またはタグとの比率は、例えば、108対1、106対1、または105対1、または104対1、または103対1、または102対1、または10対1であってもよい。標識粒子に関連するアフィニティー剤またはタグおよび分析標識の数は、例えば、アフィニティー剤またはタグの性質およびサイズ、標識粒子の性質およびサイズ、リンカーアームの性質、標識粒子上の官能基の数およびタイプ、ならびに分析標識上の官能基の数およびタイプの1つまたはそれより多くによって決まる。
標識粒子は、捕獲粒子と組み合わせて使用することができ、その場合、捕獲粒子は、特定の分析物のバリエーションに特異的な追加のアフィニティー剤に付着している。「捕獲粒子」および/または標識粒子は、直接の連結または結合対を介してアフィニティー剤またはタグに付着させることができる微粒子材料である。標識または捕獲粒子実体の組成は、有機または無機であってもよいし、磁性または非磁性であってもよい。有機ポリマーとしては、例証として、これらに限定されないが、例えば、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ポリ(塩化ビニル)、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルブテン)、ポリスチレン、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸ヒドロキシエチル)、ポリ(スチレン/ジビニル−ベンゼン)、ポリ(スチレン/アクリレート)、ポリ(エチレンテレフタレート)、デンドリマー、メラミン樹脂、ナイロン、ポリ(ビニルブチレート)が挙げられ、これらは、それ自体で、またはラテックスなどの他の材料との併用のいずれかで使用される。また粒子は、例えば、炭素(例えば、カーボンナノチューブ)、金属(例えば、金、銀、および鉄、加えてそれらの金属酸化物)、コロイド、デンドリマー、デンドロン、およびリポソームで構成されていてもよい。一部の例において、粒子は、シリカであってもよい。
他の一部の例において、粒子は、磁気粒子であってもよい。粒子は、一例として、これらに限定されないが、遊離のカルボン酸、アミンまたはトシル基を提示するか、またはそれらを提示するように改変されていてもよい。一部の例において、粒子は、メソポーラスであってもよく、孔内に分析標識を包含していてもよい。
標識または捕獲粒子の直径は、例えば、希少分子の性質、サンプルの性質、細胞の透過性、細胞のサイズ、核酸のサイズ、アフィニティー剤のサイズ、分離のために適用された磁力、ろ過マトリックスの性質および孔径、粒子のマトリックスへの接着、粒子の表面、マトリックスの表面、液体のイオン強度、液体の表面張力および液体中の成分、関連する標識粒子の数、サイズ、形状および分子構造の1つまたはそれより多くによって決まる。一部の例において、捕獲粒子の平均直径は、少なくとも1μmであるが、約20μm以下である。
用語「透過性」は、細胞壁または細胞膜などのバリアを通過して拡散する粒子および分子の能力を意味する。細胞内部の希少分子の検出の場合において、標識粒子の直径は、アフィニティー剤(標識粒子に付着した)が細胞に入ることが可能な程度に小さくなければならない。代替として、標識粒子とアフィニティー剤との連結は、アフィニティー剤が細胞内部に接近できる程度の長さと透過性を有していなければならない。標識粒子は、「透過性」を増加させることができる材料でコーティングされていてもよく、そのような材料としては、コラゲナーゼ、ペプチド、タンパク質、脂質、界面活性剤、および細胞に対する粒子の透過性を増加させることがわかっている他の化学物質としては、コラゲナーゼ、ペプチド、タンパク質、脂質、界面活性剤、および細胞に対する粒子の透過性を増加させることがわかっている他の化学物質などが挙げられる。
多孔質マトリックスがろ過分離工程で採用される場合、標識粒子の直径は、多孔質マトリックスの孔を効率的に通過する程度に小さくなければならない。加えて、捕獲粒子の直径は、マトリックス上に結合した希少分子を保持するために、多孔質マトリックスの孔を通過しない程度の大きさでなければならない。細胞に結合した希少分子の検出の場合において、細胞は、多孔質マトリックスの孔を通過しない程度のサイズを有していなければならない。本明細書に記載される原理に従う一部の例において、標識粒子の平均直径は、少なくとも0.01マイクロメートル(10nm)および約10μm以下であると予想される。一部の例において、表面への粒子の接着は、粒子がマトリックスの孔より小さい直径を有するにもかかわらず多孔質マトリックス上に保持される程度に強い。
アフィニティー剤は、結合基による捕獲粒子または標識粒子への直接の付着によって調製することができる。また結合基は、多糖類、ペプチド、タンパク質、ヌクレオチド、およびデンドリマーなどの巨大分子であってもよい。結合基は、1つまたはそれより多くの切断可能なまたは切断不可能な連結部分を含有していてもよい。切断可能な部分の切断は、電気化学的還元を介して達成してもよいし、化学的または物理的な方法を介して達成してもよい。このような方法は、例えば、酸化、還元、加溶媒分解、例えば加水分解、光分解、加熱分解、電気分解、超音波破砕、および化学的置換をさらに含んでいてもよい。光切断可能な結合は、例えば、適切な波長を有する光、例えば紫外線で切断可能なものである。切断剤の性質は、切断可能な部分の性質によって決まる。
粒子とアフィニティー剤との間の結合基は、それぞれ独立して水素、炭素、酸素、硫黄、窒素、およびリンから、通常は、水素、炭素および酸素から一般的になる群から選択される1個から約200個またはそれより多くの原子の鎖であり得る。結合基中のヘテロ原子の数は、約0〜約8個、約1〜約6個、または約2〜約4個の範囲であり得る。結合基の原子は、例えば、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、またはアラルコキシ基の形態の、水素以外の原子、例えば、炭素、酸素および窒素の1つまたはそれより多くで置換されていてもよい。一般的な規則として、特定の結合基の長さは、本明細書で開示される方法に関する機能を発揮する連結された分子の能力を有する結合基によって引き起こされる干渉が最小になるという条件で、合成の便宜がもたらされるように任意に選択することができる。
分離および単離後に保持される標識および捕獲粒子の量に関して再現性を得ることが、希少分子分析のために重要である。加えて、細胞に入る粒子の量の知見が、特異的な結合の量を最大化するために重要である。洗浄後に残る粒子の量を知ることが、非選択的な結合の量を最小化するために重要である。これらの決定を行うためには、粒子が蛍光、有色、または化学発光標識を含む「光学的標識」を含むかどうかが役に立つ。それゆえに、標識粒子の存在は、光学的標識の存在に基づき測定することができる。光学的標識を顕微鏡法によって測定し、結果を、分析物を含有するサンプルと分析物が欠失したサンプルとに関して比較することができる。蛍光標識としては、これらに限定されないが、例えば、dylight(商標)、FITC、ローダミン化合物、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタルアルデヒド(phthaldehyde)、蛍光性の希土類キレート、アミノクマリン、ウンベリフェロン、オキサジン、テキサスレッド、アクリドン、ペリレン、インダセン(indacine)、例えば、4,4−ジフルオロ−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセンおよびそのバリアント、9,10−ビス−フェニルエチニルアントラセン、スクアライン色素ならびにフルオレサミンが挙げられる。次いで蛍光顕微鏡または蛍光分光計を使用して、標識粒子の配置および量を決定することができる。化学発光標識の例としては、例を挙げると、ルミノール、アクリジニウムエステルおよびアクリジニウムスルホンアミドが挙げられる。有色標識としては、例を挙げると、有色粒子、金粒子、比色反応を引き起こす酵素が挙げられる。
多孔質マトリックスおよびろ過の例
本明細書に記載の例において、多孔質マトリックスは、単離および/または希少分子の検出中に捕獲粒子および細胞を単離するのに使用される。粒子が、物理的に粒子が孔を通過できる程度にマトリックスの孔径より小さい場合、多孔質マトリックスが使用される。他の例において、粒子は、物理的に粒子が孔を通過できない程度にマトリックスの孔径より大きい。
本明細書に記載される原理に従う一部の方法において、サンプルは、希少分子のそれぞれ異なる集団ごとに、分析標識および標識粒子からなるアフィニティー剤とインキュベートされる。アフィニティー剤は、希少分子の集団のうち1つの希少分子に特異的であり、それに結合する特異的な結合パートナーを含む。希少分子は、細胞に結合していてもよいし、または無細胞であってもよい。アフィニティー剤は、分析標識および標識粒子と共に、膜の表面上に保持される。
一部の例において、ろ過に使用される多孔質マトリックスは、孔が、未結合の標識粒子は孔を通過できるが、希少分子を含む細胞は前記細胞に結合する標識粒子と共に多孔質マトリックス上に保持されるのに十分なサイズを有するようなものである。さらに他の方法において、標識粒子上のアフィニティー剤は加えて、「結合パートナー」または「サンドイッチアッセイ」を介して捕獲粒子(例えば磁気粒子)または表面に結合することができる。先に述べた場合において、捕獲粒子は、多孔質マトリックスの表面上に保持される。
一部の例において、希少分子の1つまたはそれより多くの異なる集団の濃度を、非希少分子の濃度より高くして、濃縮したサンプルを形成することができる。一部の例において、サンプルは、多孔質マトリックスを使用するろ過手順に供され、この手順は、非希少分子を多孔質マトリックスに通過させながら希少分子を保持することによって希少分子の濃度を増加させるものである。1つまたはそれより多くの希少分子が非細胞性である、すなわち細胞または他の生物学的な粒子に関連していない事象において、サンプルは、1つまたはそれより多くの捕獲粒子実体と組み合わされ、この場合、各捕獲粒子実体は、非細胞性の希少分子の集団のそれぞれの非細胞性の希少分子に対する結合パートナーを含み、非細胞性の希少分子を粒子の形態にする、すなわち粒子に結合した非細胞性の希少分子を形成することができる。サンプルと捕獲粒子実体の組合せは、非細胞性の希少分子と対応する捕獲粒子実体の結合パートナーとの結合を許容する期間および温度で保持される。多孔質マトリックス上のサンプルに圧力勾配(すなわち真空)を適用することにより、非希少細胞、非希少分子、および他のサンプル内容物がマトリックスを通過しやすくなる。適用される圧力勾配は、例えば、希少細胞の異なる集団および/または粒子試薬の性質およびサイズ、多孔質マトリックスの性質、および多孔質マトリックスの孔のサイズの1つまたはそれより多くによって決まる。
サンプルと多孔質マトリックスとの接触は、上記で論じられたように表面上への細胞性の希少分子および/または粒子に結合した非細胞性の希少分子の保持を達成するのに十分な期間続けられる。期間は、例えば、希少細胞の異なる集団および/または粒子に結合した希少分子の性質およびサイズ、多孔質マトリックスの性質、多孔質マトリックスの孔のサイズ、多孔質マトリックス上の血液サンプルに適用された真空のレベル、ろ過しようとする体積、および多孔質マトリックスの表面積の1つまたはそれより多くによって決まる。一部の例において、接触の期間は、例えば、約1分〜約1時間、約5分〜約1時間、または約5分〜約45分、または約5分〜約30分、または約5分〜約20分、または約5分〜約10分、または約10分〜約1時間、または約10分〜約45分、または約10分〜約30分、または約10分〜約20分である。
本明細書に記載される原理に従う方法で採用されるそれぞれ異なるアフィニティー剤の量は、例えば、希少分子のそれぞれ異なる集団の性質および可能性のある量、分析標識の性質、付着の性質、アフィニティー剤の性質、存在する場合の細胞の性質、採用される場合の粒子の性質、ならびに採用される場合のブロッキング剤の量および性質の1つまたはそれより多くによって決まる。一部の例において、採用されるそれぞれの異なる改変されたアフィニティー剤の量は、例えば、約0.001μg/μL〜約100μg/μL、または約0.001μg/μL〜約80μg/μL、または約0.001μg/μL〜約60μg/μL、または約0.001μg/μL〜約40μg/μL、または約0.001μg/μL〜約20μg/μL、または約0.001μg/μL〜約10μg/μL、または約0.5μg/μL〜約100μg/μL、または約0.5μg/μL〜約80μg/μL、または約0.5μg/μL〜約60μg/μL、または約0.5μg/μL〜約40μg/μL、または約0.5μg/μL〜約20μg/μL、または約0.5μg/μL〜約10μg/μLである。
多孔質マトリックスは、本明細書に記載される発明に従って、液体不透過性の固体または半固体材料である(ただしマトリックスの1つまたはそれより多くの孔を通過することを除く)。多孔質マトリックスは、多孔質マトリックスホルダーおよび液体をホールドするウェルと連通している。多孔質マトリックスとホルダーとの連通は、接着剤の使用によって達成することができる。ホルダー中の多孔質マトリックスと液体をホールドするウェルとの連通は、直接の接触を介していてもよいし、またはフレキシブルなガスケット表面を用いたものでもよい。
多孔質マトリックスは、固体または半固体材料であり、有機または無機の水不溶性の材料で構成されていてもよい。多孔質マトリックスは、水分を吸収しにくいものであり、これは、膜が液体を吸収できないことを意味する。一部の例において、多孔質マトリックスによって吸収される液体の量は、約2%(体積に基づき)未満、または約1%未満、または約0.5%未満、または約0.1%未満、または約0.01%未満、または0%である。多孔質マトリックスは、非繊維性であり、これは、膜の少なくとも95%が繊維を含まず、または少なくとも99%が繊維を含まず、または少なくとも99.5%が繊維を含まず、または少なくとも99.9%が繊維を含まず、または100%が繊維を含まないことを意味する。
多孔質マトリックスは、様々な形状を有していてもよく、例えば平らな、または平坦な表面(例えば、ストリップ、ディスク、フィルム、マトリックス、およびプレート)であってもよい。マトリックスは、多種多様の材料から製作することができ、そのような材料は、天然に存在する、または合成の、ポリマー性または非ポリマー性の材料であり得る。多孔質マトリックスの形状は、例えば、膜のためのホルダーの性質または形状、微小流体工学的な表面、液体をホールドするウェルの1つまたはそれより多くによって決まる。一部の例において、多孔質マトリックスの形状は、例えば、円形、卵形、長方形、正方形、トラックエッチド(track-etched)、平らな、または平坦な表面(例えば、ストリップ、ディスク、フィルム、膜、およびプレート)である。
多孔質マトリックスおよびホルダーは、多種多様の材料から製作することができ、そのような材料は、天然に存在する、または合成の、ポリマー性または非ポリマー性の材料であり得る。多孔質マトリックスを製作するためのこのような材料の例としては、例証として、これらに限定されないが、例えば、ポリカーボネート、ポリ(塩化ビニル)、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルブテン)、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリ(エチレンテレフタレート)、ナイロン、ポリ(ビニルブチレート)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、ポリ(ビニルブチレート)、ポリイミド、ポリウレタン、およびパリレン(paraylene)などのプラスチック;シラン;ケイ素;窒化ケイ素;グラファイト;セラミック材料(例えば、アルミナ、ジルコニア、PZT、炭化ケイ素、窒化アルミニウムなど);金属材料(例えば、金、タンタル、タングステン、白金、およびアルミニウムなど);ガラス(例えば、ホウケイ酸塩、ソーダ石灰ガラス、およびpyrex(登録商標)など);および生体吸収性ポリマー(例えば、ポリ乳酸、ポリカプロラクトンおよびポリグリコール酸(polyglycoic acid)など)が挙げられ、これらはそれ自体で、または互いにおよび/もしくは他の材料との併用のいずれかで使用される。多孔質マトリックスおよびホルダーの製作のための材料は、水分を吸収しにくいものであり、例えば、セルロース(紙を含む)、ニトロセルロース、酢酸セルロース、レーヨン、ジアセテート、リグニン、鉱物繊維、繊維性タンパク質、コラーゲン、合成繊維(例えばナイロン、ダクロン、オレフィン繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維など)などの繊維性材料、または他の繊維性材料(ガラス繊維、金属繊維)を含まず、これらは、水分を吸収しやすく、および/または透過性であり、したがって本明細書に記載される原理に従っていない。多孔質マトリックスおよびホルダーの製作のための材料は、同一の材料であってもよいし、または異なる材料であってもよい。
それぞれの液体をホールドするウェルに対する多孔質マトリックスは、少なくとも1つの孔を含み、1平方センチメートル(cm)当たり約2,000,000個以下の孔を含む。一部の例において、1cm当たりの多孔質マトリックスの孔の数は、例えば、1〜約2,000,000、または1〜約1,000,000、または1〜約500,000、または1〜約200,000、または1〜約100,000、または1〜約50,000、または1〜約25,000、または1〜約10,000、または1〜約5,000、または1〜約1,000、または1〜約500、または1〜約200、または1〜約100、または1〜約50、または1〜約20、または1〜約10、または2〜約500,000、または2〜約200,000、または2〜約100,000、または2〜約50,000、または2〜約25,000、または2〜約10,000、または2〜約5,000、または2〜約1,000、または2〜約500、または2〜約200、または2〜約100、または2〜約50、または2〜約20、または2〜約10、または5〜約200,000、または5〜約100,000、または5〜約50,000、または5〜約25,000、または5〜約10,000、または5〜約5,000、または5〜約1,000、または5〜約500、または5〜約200、または5〜約100、または5〜約50、または5〜約20、または5〜約10個である。多孔質マトリックス中の孔の密度は、例えば、多孔質マトリックスの表面積の約1%〜約20%、または約1%〜約10%、または約1%〜約5%、または約5%〜約20%、または約5%〜約10%である。一部の例において、多孔質マトリックスの孔のサイズは、本明細書に記載される原理に従って形成された液滴を通過させながら液体を優先的に保持するのに十分なサイズである。多孔質マトリックスの孔のサイズは、例えば、液体の性質、細胞のサイズ、捕獲粒子のサイズ、分析標識のサイズ、分析物のサイズ、標識粒子のサイズ、非希少分子のサイズ、および非希少細胞のサイズによって決まる。一部の例において、多孔質マトリックスの孔の平均サイズは、例えば、約0.1〜約20マイクロメートル、または約0.1〜約5マイクロメートル、または約0.1〜約1マイクロメートル、または約1〜約20マイクロメートル、または約1〜約5マイクロメートル、または約1〜約2マイクロメートル、または約5〜約20マイクロメートル、または約5〜約10マイクロメートルである。
マトリックス内の孔は、本明細書に記載される原理に従って、例えば、超小型電子機械(MEMS)技術、金属酸化物半導体(CMOS)技術、マイクロシーブを生産するためのマイクロ加工プロセス、レーザー技術、放射線照射、鋳型法、およびマイクロ機械加工、またはそれらの組合せによって製作することができる。
一部の場合において、多孔質マトリックスは、ホルダーに永久的に付着されており、このホルダーは、液体をホールドするウェルの底部および真空マニホールドの上部に連通させることができ、この場合、多孔質マトリックスは、液体が液体をホールドするウェルから真空マニホールドに流動できるように配置される。一部の例において、ホルダー中の多孔質マトリックスは、微小流体工学的な表面、上部カバー表面および/または底部カバー表面に連通していてもよい。ホルダーは、多孔質マトリックスの材料に適合するあらゆる好適な材料で構築されていてもよい。このような材料の例としては、一例として、これらに限定されないが、多孔質マトリックスに関して上記で列挙した材料のいずれかが挙げられる。ハウジングの材料と多孔質マトリックスの材料は、同じであってもよいし、または異なっていてもよい。またホルダーは、非多孔質ガラスまたはプラスチックフィルムで構築されていてもよい。
プラスチックフィルム材料の例としては、ポリスチレン、ポリアルキレン、ポリオレフィン、エポキシ、Teflon(登録商標)、PET、クロロフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、PE−TFE、PE−CTFE、液晶ポリマー、Mylar(登録商標)、ポリエステル、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンスルフィド、およびPVCプラスチックフィルムが挙げられる。プラスチックフィルムは、例えばアルミニウムなどを用いて金属で覆うこともできる。プラスチックフィルムは、相対的に低い水分透過速度、例えば1日当たり0.001mg/mを有していてもよい。多孔質マトリックスは、熱結合、機械的な固定を使用した接着、または永久的な接着剤、例えば乾式接着剤、例えばポリ酢酸ビニル、感圧接着剤、例えばアクリレートベースのポリマー、コンタクト接着剤、例えば天然ゴムおよびポリクロロプレン、ホットメルト接着剤、例えばエチレン−酢酸ビニル、ならびに反応型接着剤、例えばポリエステル、ポリオール、アクリル酸、エポキシ、ポリイミド、シリコーンゴムベースの、ならびに改変されたアクリレートおよびポリウレタン組成物、天然の接着剤、例えばデキストリン、カゼイン、リグニンの使用を介した接着によって、ホルダーに永久的に固定され付着されていてもよい。プラスチックフィルムまたは接着剤は、導電性材料であってもよく、導電性材料のコーティングまたは材料は、ホルダー表面の特異的な領域にわたりパターン化することができる。
ホルダー中の多孔質マトリックスは、一般的にろ過モジュールの一部であり、この場合、多孔質マトリックスは、ろ過中の便利な使用のためのアセンブリの一部である。ホルダーは、関連する表面との接触を容易にするが、これらの表面に永久的に固定され付着されておらず、除去できる表面を有する。上部ガスケットは、液体をホールドするウェル間の取り外し可能なホルダーに適用したものでもよい。底部ガスケットは、真空マニホールド間の取り外し可能なホルダーに適用したものでもよい。ガスケットは、圧縮による液体または空気不透過性のシール形成を容易にするフレキシブルな材料である。ホルダーは、ガスケット材料で構築されていてもよい。ガスケット形状の例としては、多孔質マトリックスから真空マニホールドに流動させるための切り抜かれた領域を有する、平坦な、エンボス加工された、パターン化された、または成形されたシート、リング、円形、卵形が挙げられる。ガスケット材料の例としては、紙、ゴム、シリコーン、金属、コルク、フェルト、ネオプレン、ニトリルゴム、ガラス繊維、ポリテトラフルオロエチレン、例えばPTFEまたはTeflon、またはプラスチックポリマー、例えばポリクロロトリフルオロエチレンが挙げられる。
一部の例において、真空は、非希少細胞のマトリックス通過を容易にするために、多孔質マトリックス上の濃縮されて処理されたサンプルに適用される。適用された真空のレベルは、例えば、生物学的な粒子の異なる集団の性質およびサイズ、多孔質マトリックスの性質、および多孔質マトリックスの孔のサイズの1つまたはそれより多くによって決まる。一部の例において、適用された真空のレベルは、例えば、約1ミリバール〜約100ミリバール、または約1ミリバール〜約80ミリバール、または約1ミリバール〜約50ミリバール、または約1ミリバール〜約40ミリバール、または約1ミリバール〜約30ミリバール、または約1ミリバール〜約25ミリバール、または約1ミリバール〜約20ミリバール、または約1ミリバール〜約15ミリバール、または約1ミリバール〜約10ミリバール、または約5ミリバール〜約80ミリバール、または約5ミリバール〜約50ミリバール、または約5ミリバール〜約30ミリバール、または約5ミリバール〜約25ミリバール、または約5ミリバール〜約20ミリバール、または約5ミリバール〜約15ミリバール、または約5ミリバール〜約10ミリバールである。一部の例において、真空は、振動真空であり、これは、真空が規則的または不規則なインターバルで間欠的に適用されることを意味し、このインターバルは、例えば、約1秒〜約600秒、または約1秒〜約500秒、または約1秒〜約250秒、または約1秒〜約100秒、または約1秒〜約50秒、または約10秒〜約600秒、または約10秒〜約500秒、または約10秒〜約250秒、または約10秒〜約100秒、または約10秒〜約50秒、または約100秒〜約600秒、または約100秒〜約500秒、または約100秒〜約250秒であり得る。このアプローチにおいて、血液サンプルに真空を適用する期間の一部または全部において、例えば、約0ミリバール〜約10ミリバール、または約1ミリバール〜約10ミリバール、または約1ミリバール〜約7.5ミリバール、または約1ミリバール〜約5.0ミリバール、または約1ミリバール〜約2.5ミリバールで真空を振動させる。振動真空は、例えばオン−オフのスイッチを使用して達成され、自動的に行ってもよいし、または手動で行ってもよい。
処理されたサンプルと多孔質マトリックスとの接触は、多孔質マトリックスの表面上への希少細胞または粒子に結合した希少分子の保持を達成して、上記で論じられたように希少細胞または粒子に結合した希少分子の異なる集団を有する多孔質マトリックスの表面を得るのに十分な期間にわたり続けられる。期間は、例えば、希少細胞または粒子に結合した希少分子の異なる集団の性質およびサイズ、多孔質マトリックスの性質、多孔質マトリックスの孔のサイズ、多孔質マトリックス上のサンプルに適用された真空のレベル、ろ過しようとする体積、および多孔質マトリックスの表面積の1つまたはそれより多くによって決まる。一部の例において、接触の期間は、例えば、約1分〜約1時間、約5分〜約1時間、または約5分〜約45分、または約5分〜約30分、または約5分〜約20分、または約5分〜約10分、または約10分〜約1時間、または約10分〜約45分、または約10分〜約30分、または約10分〜約20分である。
希少分子の例
語句「希少分子」は、サンプル中の分析物として検出可能な分子を指す。1つまたはそれより多くの分析物のバリエーションは、希少分子の特定の集団の指標である。語句「分子の集団」は、希少分子のグループを特異的に定義する分子構造の共通部分を有する希少分子のグループを指す。語句「〜に特異的な」は、共通の希少分子が、希少分子のグループを他の分子から区別することを意味する。
語句「無細胞の希少分子」は、細胞に結合していない希少分子、および/またはサンプル中を自由に循環する希少分子を指す。このような非細胞性の希少分子としては、疾患の医療診断および処置において有用な生体分子が挙げられる。疾患の医療診断としては、これらに限定されないが、例えば、がん、心臓の損傷、心臓血管疾患、神経疾患、血流遮断/鬱血(hemostasis/hemastasis)、胎児母体評価、生殖能、骨の状態、ホルモンレベル、ビタミン、アレルギー、自己免疫疾患、高血圧、腎疾患、代謝性疾患、糖尿病、肝疾患、感染症の検出のためのバイオマーカー、および疾患の医療診断において有用な他の生体分子が挙げられる。
以下は、希少分子を測定できるサンプルの非限定的な例である。分析しようとするサンプルは、希少分子を含有する疑いのあるサンプルである。サンプルは、生物学的サンプルであってもよいし、または非生物学的サンプルであってもよい。生物学的サンプルは、植物、動物、原生生物、または動物界、真菌類、植物界、クロミスタ界、もしくは原虫類などの他の生物由来であってもよいし、または他の真核生物種もしくは細菌、古細菌、または他の原核生物種由来であってもよい。非生物学的サンプルとしては、水溶液、環境上の生成物、化学反応の生産物、廃棄物流、食物、供給原料、肥料、燃料などが挙げられる。生物学的サンプルとしては、例えば、全血、血清、血漿、痰、リンパ液、精液、エキソゾーム、脂質、膣粘液、便、尿、脊髄液、唾液、便、脳脊髄液、涙、粘液、または組織などの生体液が挙げられる。生体組織としては、例証として、毛髪、皮膚、臓器または他の体の一部からの断片または切り出された組織が挙げられ、例えば希少分子は、組織、例えば肺、気管支、結腸、直腸、細胞外マトリックス、皮膚、血管、茎、リード、根、種、花、膵臓、前立腺、乳房、肝臓、胆管、膀胱、卵巣、脳、中枢神経系、腎臓、骨盤、子宮体部、口腔もしくは咽頭またはがん由来であってもよい。多くの例において、サンプルは、水性サンプル、例えば尿、全血、血漿または血清サンプルであってもよいし、他の例において、サンプルは、試験のために溶液または懸濁液にしなければならない。
サンプルは、細胞、例えば非希少細胞および希少細胞などを含有するサンプルであってもよく、この場合、希少分子は、希少細胞から検出される。細胞からの希少分子は、あらゆる生物由来であってもよく、これらに限定されないが、例えば、病原体、例えば細菌、ウイルス、真菌、および原虫類;悪性細胞、例えば悪性新生物またはがん細胞;循環内皮細胞;循環腫瘍細胞;循環がん幹細胞;循環がん間充織細胞(mesochymal cell);循環上皮細胞;胎児細胞;免疫細胞(B細胞、T細胞、マクロファージ、NK細胞、単球);および幹細胞などに由来するものでもよい。本明細書に記載される発明に係る方法の他の例において、試験しようとするサンプルは、これらに限定されないが、例えば植物または動物対象などの生物由来の血液サンプルである。本明細書に記載される原理に従う方法の一部の例において、試験しようとするサンプルは、これに限定されないが、例えば哺乳動物対象などの生物由来のサンプルである。希少分子を有する細胞は、哺乳動物の組織、例えば、肺、気管支、結腸、直腸、膵臓、前立腺、乳房、肝臓、胆管、膀胱、卵巣、脳、中枢神経系、腎臓、骨盤、子宮体部、口腔または咽頭またはがん由来であってもよい。
希少分子のフラグメントは、目的のペプチダーゼを測定するのに使用することができ、このようなペプチダーゼとしては、ペプチダーゼ(プロテアーゼとしても公知)のオンラインデータベースのMEROPSに含まれるもの、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、メタロ、アスパラギン、セリン、スレオニンおよび一般的なペプチダーゼの触媒タイプの合計約902212種の異なる配列を有するペプチダーゼなどが挙げられ、これらは、さらに類別され、以下の経路に関して列挙されたものが挙げられる:2−オキソカルボン酸代謝、ABC輸送体、アフリカトリパノソーマ症、アラニン、アスパラギン酸およびグルタミン酸代謝、同種移植片拒絶反応、アルツハイマー病、アミノ糖およびヌクレオチド糖代謝、アメーバ症、AMPKシグナル伝達経路、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、抗原のプロセシングおよび提示、アポトーシス、アラキドン酸代謝、アルギニンおよびプロリン代謝、不整脈原性右室心筋症(ARVC)、喘息、自己免疫性甲状腺疾患、B細胞受容体シグナル伝達経路、細菌の分泌システム、基本転写因子、ベータ−アラニン代謝、胆汁分泌、アミノ酸の生合成、二次代謝産物の生合成、不飽和脂肪酸の生合成、ビオチン代謝、ビスフェノール分解、膀胱がん、cAMPシグナル伝達経路、炭素代謝、心筋収縮、細胞接着分子(CAM)、細胞周期、細胞周期−酵母、シャーガス病(アメリカトリパノソーマ症)、化学発がん現象、コリン作動性シナプス、結腸直腸がん、補体および凝血カスケード、シアノアミノ酸代謝、システインおよびメチオニン代謝、サイトカイン−サイトカイン受容体相互作用、サイトゾルのDNA感知経路、芳香族化合物の分解、拡張型心筋症、ジオキシン分解、DNA複製、背腹軸形成、薬物代謝−他の酵素、内分泌および他の因子によって制御されたカルシウム再吸収、エンドサイトーシス、ヘリコバクター・ピロリ(helicobacter pylori)感染における上皮細胞シグナル伝達、エプスタイン−バーウイルス感染、エストロゲンシグナル伝達経路、ファンコーニ貧血経路、脂肪酸伸長、接着斑、葉酸生合成、foxOシグナル伝達経路、グルタチオン代謝、グリセロ脂質代謝、グリセロリン脂質代謝、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)−アンカー生合成、グリオキシル酸およびジカルボン酸代謝、GnRHシグナル伝達経路、移植片対宿主病、ヘッジホッグシグナル伝達経路、造血細胞系統、B型肝炎、単純ヘルペス感染、HIF−1シグナル伝達経路、hippoシグナル伝達経路、ヒスチジン代謝、相同組換え、HTLV−I感染、ハンチントン病、肥大性心筋症(HCM)、インフルエンザA、インスリンシグナル伝達経路、レジオネラ症、リーシュマニア症、白血球の経内皮移動、リシン生合成、リソソーム、マラリア、MAPKシグナル伝達経路、減数分裂−酵母、黒色腫、代謝経路、シトクロムP450による生体異物の代謝、多様な環境における微生物代謝、がんにおけるマイクロRNA、ミネラル吸収、ミスマッチ修復、ナチュラルキラー細胞媒介性細胞傷害、神経刺激性リガンド−受容体相互作用、NF−カッパBシグナル伝達経路、窒素代謝、NOD様受容体シグナル伝達経路、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、ノッチシグナル伝達経路、嗅覚伝達、卵母細胞の減数分裂、破骨細胞分化、他のグリカン分解、卵巣ステロイド生成、酸化的リン酸化、p53シグナル伝達経路、膵臓分泌、パントテン酸およびCoA生合成、パーキンソン病、がんにおける経路、ペニシリンおよびセファロスポリン生合成、ペプチドグリカン生合成、ペルオキシソーム、百日咳、ファゴソーム、フェニルアラニン代謝、フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファン生合成、フェニルプロパノイド生合成、PI3K−Aktシグナル伝達経路、植物病原体の相互作用、血小板活性化、PPARシグナル伝達経路、プリオン病、プロテアソーム、タンパク質の消化および吸収、タンパク質輸送、小胞体におけるタンパク質プロセシング、がんにおけるプロテオグリカン、プリン代謝、ピリミジン代謝、ピルビン酸代謝、Rap1シグナル伝達経路、Rasシグナル伝達経路、アクチン細胞骨格の制御、自食作用の制御、腎細胞癌、レニン−アンジオテンシン系、逆行性の内在性カンナビノイドシグナル伝達、リウマチ様関節炎、RIG−I様受容体シグナル伝達経路、RNA分解、RNA輸送、唾液の分泌、サルモネラ感染、セロトニン作動性シナプス、小細胞肺がん、スプライセオソーム、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)感染、全身性エリテマトーデス、T細胞受容体シグナル伝達経路、タウリンおよびヒポタウリン代謝、テルペノイド骨格生合成、TGF−ベータシグナル伝達経路、TNFシグナル伝達経路、Toll様受容体シグナル伝達経路、トキソプラズマ病、がんにおける転写の誤制御、トリプトファン代謝、結核、2成分系、I型糖尿病、ユビキノンおよび他のテルペノイド−キノン生合成、ユビキチン媒介タンパク質分解、バンコマイシン耐性、ウイルス性発がん、ウイルス性心筋炎、ビタミン消化および吸収、Wntシグナル伝達経路。
希少分子のフラグメントは、合計約133535種の異なる配列を含むMEROPS(ペプチダーゼ阻害剤のオンラインデータベース)に含まれる目的のペプチダーゼ阻害剤を測定するのに使用することができ、この場合、ファミリーは、相同性を有する相同なペプチダーゼ阻害剤のセットである。相同性は、そのファミリーに属するそのタイプの阻害剤、またはそのタイプの阻害剤に相同であること、したがってそのメンバーであることがすでに示されている別のタンパク質のいずれかに対して有意なアミノ酸配列の類似性によって示される。示されるファミリーの参照生物としては、オボムコイド阻害剤ユニット3(シチメンチョウ(Meleagris gallopavo))、アプロチニン(ウシ(Bos taurus))、ダイズ由来クニッツ型トリプシン阻害剤(ダイズ(Glycine max))、プロテイナーゼ阻害剤B(クワイ(Sagittaria sagittifolia))、アルファ−1−ペプチダーゼ阻害剤(ヒト(Homo sapiens))、ホヤ類トリプシン阻害剤(マボヤ(Halocynthia roretzi))、シコクビエ種子のトリプシン/アルファ−アミラーゼ阻害剤(シコクビエ(Eleusine coracana))、トリプシン阻害剤MCTI−1(ニガウリ(Momordica charantia))、カイコガ属のズブチリシン阻害剤(カイコガ(Bombyx mori))、ペプチダーゼB阻害剤(サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae))、マリノスタチン(アルテロモナス属種)、エコチン(大腸菌(Escherichia coli))、ボーマン−バーク阻害剤ユニット1(ダイズ)、エグリンc(ヒルド・メディシナリス(Hirudo medicinalis))、ヒルジン(ヒルド・メディシナリス)、アンチスタシン阻害剤ユニット1(ハエミンテリア・オフィシナリス(Haementeria officinalis))、ストレプトマイセスズブチリシン阻害剤(ストレプトマイセス・アルボグリセオルス(Streptomyces albogriseolus))、分泌型白血球ペプチダーゼ阻害剤ドメイン2(ヒト)、マスタードトリプシン阻害剤−2(シロガラシ(Sinapis alba))、ペプチダーゼ阻害剤LMPI阻害剤ユニット1(トノサマバッタ(Locusta migratoria))、ジャガイモペプチダーゼ阻害剤II阻害剤ユニット1(ジャガイモ(Solanum tuberosum))、セクレトグラニンV(ヒト)、BsuPIペプチダーゼ阻害剤(バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis))、pinA Lonペプチダーゼ阻害剤(腸内細菌ファージT4)、シスタチンA(ヒト)、オボシスタチン(ovocystatin)(ニワトリ(Gallus gallus))、メタロペプチダーゼ阻害剤(ジャララカ(Bothrops jararaca))、カルパスタチン阻害剤ユニット1(ヒト)、細胞傷害性Tリンパ球抗原−2アルファ(ハツカネズミ(Mus musculus))、エキスタチン(equistatin)阻害剤ユニット1(ウメボシイソギンチャク(Actinia equina))、サバイビン(ヒト)、アスピン(ブタ回虫(Ascaris suum))、サッカロペプシン阻害剤(サッカロマイセス・セレビジエ)、timp−1(ヒト)、ストレプトマイセスメタロペプチダーゼ阻害剤(ストレプトマイセス・ニグレセンス(Streptomyces nigrescens))、ジャガイモメタロカルボキシペプチダーゼ阻害剤(ジャガイモ)、メタロペプチダーゼ阻害剤(ディケヤ・クリサンテミ(Dickeya chrysanthemi))、アルファ−2−マクログロブリン(ヒト)、シャガシン(chagasin)(森林型熱帯リーシュマニア(Leishmania major))、オプリン(oprin)(南オポッサム(Didelphis marsupialis))、メタロカルボキシペプチダーゼA阻害剤(Ascaris suum)、ヒルのメタロカルボキシペプチダーゼ阻害剤(ヒルド・メディシナリス)、ラテキシン(latexin)(ヒト)、クリトシピン(clitocypin)(ハイイロシメジ(Lepista nebularis))、proSAAS(ヒト)、バキュロウイルスP35カスパーゼ阻害剤(ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)核多角体病ウイルス)、p35相同体(アムサクタ・ムーレイ(Amsacta moorei)エントモポックスウイルス)、セリンカルボキシペプチダーゼY阻害剤(サッカロマイセス・セレビジエ)、ダニ抗凝固ペプチド(ヒメダニ(Ornithodoros moubata))、マダニン(madanin)1(フタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis))、スクワッシュのアスパラギン酸ペプチダーゼ阻害剤(キュウリ(Cucumis sativus))、スタフォスタチン(staphostatin)B(スタフィロコッカス・アウレウス)、スタフォスタチンA(スタフィロコッカス・アウレウス)、トリアビン(triabin)(トリアトーマ・パリジペンニス(Triatoma pallidipennis))、好酸球前駆体主要塩基性タンパク質(pro-eosinophil major basic protein)(ヒト)、トロンボスタシン(thrombostasin)(ノサシバエ(Haematobia irritans))、レンチヌス属のペプチダーゼ阻害剤(シイタケ(Lentinula edodes))、ブロメイン(bromein)(パイナップル(Ananas comosus))、ダニカルボキシペプチダーゼ阻害剤(リピケファルス・ブルサ(Rhipicephalus bursa))、ストレプトパイン(streptopain)阻害剤(ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes))、ファルスタチン(falstatin)(熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum))、シマダニン(chimadanin)(フタトゲチマダニ)、{クワガタソウ属}トリプシン阻害剤(フラサバソウ(Veronica hederifolia))、バリエジン(variegin)(アムブリオンマ・バリエガツム(Amblyomma variegatum))、バクテリオファージラムダCIIIタンパク質(バクテリオファージラムダ)、トロンビン阻害剤(グロッシーナ・モーシタンス(Glossina morsitans))、アノフェリン(anophelin)(アノフェレス・アルビマヌス(Anopheles albimanus))、アスペルギルス属のエラスターゼ阻害剤(アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus))、AVR2タンパク質(パッサロラ・フルバ(Passalora fulva))、IseAタンパク質(バチルス・ズブチリス)、トキソスタチン(toxostatin)−1(トキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii))、AmFPI−1(アンテラエア・ミリッタ(Antheraea mylitta))、cvSI−2(アメリカガキ(Crassostrea virginica))、マクロシピン(macrocypin)1(カラカサタケ(Macrolepiota procera))、HflC(大腸菌)、オリクチン(oryctin)(オリクテス・リノセロス(Oryctes rhinoceros))、トリプシン阻害剤(オシロイバナ(Mirabilis jalapa))、F1Lタンパク質(ワクシニアウイルス)、NvCIカルボキシペプチダーゼ阻害剤(サラサアマガイ(Nerita versicolor))、シズルド(Sizzled)タンパク質(アフリカツメガエル(Xenopus laevis))、EAPH2タンパク質(スタフィロコッカス・アウレウス)、およびボーマン−バーク様トリプシン阻害剤(オドラナ・バーサビリス(Odorrana versabilis))が挙げられる。希少分子のフラグメントは、ペプチダーゼ阻害剤の合成阻害を測定するのに使用することができる。上述のデータベースはまた、あらゆるメンバーまたは上記で列挙したファミリーの阻害特性を模擬できる何千種もの異なる小分子阻害剤の例も含む。
代謝的に興味のある希少分子としては、これらに限定されないが、ACC アセチル補酵素Aカルボキシラーゼ、Adpn アディポネクチン、AdipoR アディポネクチン受容体、AG アンヒドログルシトール、AGE 終末糖化産物、Akt プロテインキナーゼB、AMBK プレアルファ−1−ミクログロブリン/ビクニン、AMPK 5’−AMP活性化プロテインキナーゼ、ASP アシル化刺激タンパク質、Bik ビクニン、BNP B型ナトリウム利尿ペプチド、CCL ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド、CINC 化学誘引物質、CTF アディポネクチン受容体のC末端フラグメント、CRP C反応性タンパク質、DGAT アシルCoAジアシルグリセロールトランスフェラーゼ、DPP−IV ジペプチジルペプチダーゼ−IV、EGF 上皮増殖因子、eNOS 内皮NOS、EPO エリスロポイエチン、ET エンドセリン、Erk 細胞外シグナル調節キナーゼ、FABP 脂肪酸結合タンパク質、FGF 線維芽細胞増殖因子、FFA 遊離脂肪酸、FXR ファルネソイドX受容体a、GDF 増殖分化因子、GH 成長ホルモン、GIP グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド、GLP グルカゴン様ペプチド−1、GSH グルタチオン、GHSR 成長ホルモン分泌促進因子受容体、GULT グルコース輸送体、GCD59 糖化CD59(通称glyCD59)、HbA1c ヘモグロビンA1c、HDL 高密度リポタンパク質、HGF 肝細胞増殖因子、HIF 低酸素誘導因子、HMG 3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼ、I−α−I インター−α阻害剤、Ig−CTF AdipoRの免疫グロブリン結合C末端フラグメント、インスリン、IDE インスリン分解酵素、IGF インスリン様増殖因子、IGFBP IGF結合タンパク質、IL インターロイキンであるサイトカイン、ICAM 細胞間接着分子、JAK STAT ヤヌスキナーゼ/シグナルトランスデューサーおよび転写活性化剤、JNK c−JunN末端キナーゼ、KIM 腎臓損傷分子、LCN−2 リポカリン、LDL 低密度リポタンパク質、L−FABP 肝臓型脂肪酸結合タンパク質、LPS リポ多糖、Lp−PLA2 リポタンパク質関連ホスホリパーゼA2、LXR 肝臓X受容体、LYVE 内皮ヒアルロナン受容体、MAPK マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ、MCP 単球走化性タンパク質、MDA マロンジアルデヒド、MIC マクロファージ阻害サイトカイン、MIP マクロファージ炎症性タンパク質、MMP マトリックスメタロプロテイナーゼ、MPO ミエロペルオキシダーゼ、mTOR 哺乳類のラパマイシン標的、NADH ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、NGF 神経成長因子、NFκB 活性化B細胞の核内因子カッパ軽鎖エンハンサー、NGAL 好中球ゼラチナーゼリポカリン、NOS 一酸化窒素合成酵素、NOX NADPHオキシダーゼ、NPY 神経ペプチドY、インスリン、プロインスリン、cペプチド、OHdG ヒドロキシデオキシグアノシン、oxLDL 酸化低密度リポタンパク質、P−α−I プレインターロイキン−α−阻害剤、PAI−1 プラスミノゲン活性化因子阻害剤、PAR プロテアーゼ活性化受容体、PDF 胎盤増殖因子、PDGF 血小板由来増殖因子、PKA プロテインキナーゼA、PKC プロテインキナーゼC、PI3K ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ、PLA2 ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ、PLC ホスホリパーゼC、PPAR ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体、PPG 食後血糖、PS ホスファチジルセリン、PR プロテイナーゼ(Protienase)、PYY ペプチドYのような神経ペプチド、RAGE AGE受容体、ROS 活性酸素種、S100 カルグラニュリン、sCr 血清クレアチニン、SGLT2 ナトリウム−グルコース輸送体2、SFRP4 分泌型フリッツルド関連タンパク質4前駆体、SREBP ステロール調節エレメント結合タンパク質、SMAD ステライルアルファモチーフドメイン含有するタンパク質、SOD スーパーオキシドジスムターゼ、sTNFR 可溶性TNFα受容体、TACE TNFαアルファ切断プロテアーゼ、TFPI 組織因子経路阻害剤、TG トリグリセリド、TGFβ トランスフォーミング増殖因子−β、TIMP メタロプロテイナーゼの組織阻害剤、TNFα 腫瘍壊死因子−α、TNFR TNFα受容体、THP タム−ホースフォールタンパク質、TLR Toll様受容体、TnI トロポニンI、tPA 組織プラスミノゲン活性化因子、TSP トロンボスポンジン、Uri ウリスタチン、uTi 尿トリプシン阻害剤、uPA ウロキナーゼ−タイププラスミノゲン活性化因子、uPAR uPA受容体、VCAM 血管細胞接着分子、VEGF 血管内皮増殖因子、およびYKL−40 キチナーゼ−3様タンパク質の濃度に影響を与えるものが挙げられる。
膵臓組織によって高度に発現されるかまたは膵臓で見出される目的の希少分子としては、インスリン、プロインスリン、c−ペプチド、PNLIPRP1 膵リパーゼ関連タンパク質1、SYCN コリン(syncollin)、PRSS1 プロテアーゼ、セリン、1(トリプシン1)細胞内、CTRB2 キモトリプシノーゲンB2細胞内、CELA2A キモトリプシン様エラスターゼファミリー、メンバー2A、CTRB1 キモトリプシノーゲンB1細胞内、CELA3A キモトリプシン様エラスターゼファミリー、メンバー3A細胞内、CELA3Bキモトリプシン様エラスターゼファミリー、メンバー3B細胞内、CTRC キモトリプシンC(カルデクリン(caldecrin))、CPA1 カルボキシペプチダーゼA1(膵臓)細胞内、PNLIP 膵リパーゼ、およびCPB1 カルボキシペプチダーゼB1(組織)、AMY2A アミラーゼ、アルファ2A(膵臓)、PDX1 インスリンプロモーター因子1、MAFA 転写因子のMafファミリー、GLUT2 グルコース輸送体2型、ST8SIA1 アルファ−N−アセチルノイラミニドアルファ−2,8−シアリルトランスフェラーゼ、CD9 テトラスパニン、ALDH1A3 アルデヒドデヒドロゲナーゼ、CTFR 嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子、加えて糖尿病自己免疫抗体、例えばGAD、IA−2、IAA、ZnT8に対するものなどが挙げられる。
希少分子のフラグメントとしては、天然においてインスリンに作用することが知られている以下のペプチダーゼ;アルカエリシン(archaelysin)、デュオデナーゼ(duodenase)、カルパイン−1、アンモジターゼ(ammodytase)サブファミリーM12Bペプチダーゼ、ALE1ペプチダーゼ、CDFペプチダーゼ、カテプシンE、メプリンアルファサブユニット、ジェルドハギン(jerdohagin)(トリメレスラス・ジェルドニイ(Trimeresurus jerdonii))、カルボキシペプチダーゼE、二塩基性プロセシングエンドペプチダーゼ、ヤプシン(yapsin)−1、ヤプシンA、PCSK1ペプチダーゼ、アミノペプチダーゼB、PCSK1ペプチダーゼ、PCSK2ペプチダーゼ、インスリジン、マトリックスメタロペプチダーゼ−9などによって生成されるインスリン、プロインスリンまたはcペプチドのものが挙げられる。これらのフラグメントとしては、これらに限定されないが、以下の配列:配列番号1 MALWMRLLPLLALLALWGP、配列番号2 MALWMRLLPL、配列番号3 ALLALWGPD、配列番号4 AAAFVN−QHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTR、配列番号5 PAAAFVNQHLCGSHLVEALYLVC、配列番号6 PAAAFVNQHLCGS、配列番号7 CGSHLVEALYLV、配列番号8 VEALYLVC、配列番号9 LVCGERGF、配列番号10 FFYTPK、配列番号11 REAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSL、配列番号12 REAEDLQVGQVE、配列番号13 LGGGPGAG、配列番号14 SLQPLALEGSL、配列番号15 GIVEQCCTSICSLYQLENYCN、配列番号16 GIVEQCCTSICSLY、配列番号17 QLENYCN、および配列番号18 CSLYQLEの75%の正確な相同性の範囲内のバリエーションが挙げられる。バリエーションは、天然のおよび改変されたアミノ酸を含む。
インスリンの希少分子のフラグメントは、フラグメントの形成に基づきインスリンに作用するペプチダーゼを測定するのに使用することができる。そのようなものとしては、天然の公知のペプチダーゼの一覧および生物系に追加されたその他のものが挙げられる。インスリンの追加の希少分子のフラグメントは、フラグメント形成の欠如に基づきインスリンに作用するペプチダーゼの阻害剤を測定するのに使用することができる。これらの阻害剤としては、アディポネクチン受容体のC末端フラグメント、ビクニン、ウリスタチン、ならびにアルカエリシン、デュオデナーゼ、カルパイン−1、アンモジターゼサブファミリーM12Bペプチダーゼ、ALE1ペプチダーゼ、CDFペプチダーゼ、カテプシンE、メプリンアルファサブユニット、ジェルドハギン(トリメレスラス・ジェルドニイ)、カルボキシペプチダーゼE、二塩基性プロセシングエンドペプチダーゼ、ヤプシン−1、ヤプシンA、PCSK1ペプチダーゼ、アミノペプチダーゼB、PCSK1ペプチダーゼ、PCSK2ペプチダーゼ、インスリジン、および阻害剤データベースにおいて列挙されたマトリックスメタロペプチダーゼ−9の他の公知の天然および合成阻害剤が挙げられる。
生物活性治療用タンパク質およびペプチドの希少分子のフラグメントは、治療有効性、安定性、使用、代謝、生物学的経路への作用(例えばプロテアーゼ、ペプチダーゼ、酵素、受容体または他の生体分子との作用)、経路の阻害作用および生物系との他の相互作用を示すものとして、その存在または非存在を測定するのに使用することができる。例としては、これらに限定されないが、http://crdd.osdd.net/などの承認された治療用ペプチドおよびタンパク質のデータベース、加えて栄養補助食品、プロバイオティクス、食品安全性、動物用製品、および化粧品用途のためのペプチドおよびタンパク質の他のデータベースで列挙されたものが挙げられる。467種の承認されたペプチドおよびタンパク質療法の一覧は、がん、代謝性疾患、血液学的疾患、免疫疾患、遺伝的障害、ホルモン障害、骨の障害、心臓障害、感染症、呼吸器障害、神経障害、補助療法、眼の障害、ならびに吸収不良障害で使用するための生物活性タンパク質およびペプチドの例を含む。生物活性タンパク質およびペプチドとしては、抗トロンビン、線維素溶解剤、酵素、抗新生物剤、ホルモン、不妊治療剤、免疫抑制剤、骨関連の薬剤、抗糖尿病剤、および抗体として使用されるものが挙げられる。
治療用タンパク質およびペプチドのいくつかの具体的な例としては、グルカゴン、グレリン、レプチン、成長ホルモン、プロラクチン、ヒト胎盤性ラクトゲン、黄体形成ホルモン、胞刺激ホルモン、絨毛性ゴナドトロピン、甲状腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、バソプレシン、オキシトシン、アンジオテンシン、副甲状腺ホルモン、ガストリン、ブセレリン、抗血友病因子、パンクレリパーゼ、インスリン、インスリンアスパルト、ブタインスリン、インスリンリスプロ、インスリンイソファン、インスリングルリジン、インスリンデテミル、インスリングラルギン、免疫グロブリン(immunglobulin)、インターフェロン、ロイプロリド、デニロイキン、アスパラギナーゼ、チロトロピン、アルファ−1−プロテイナーゼ阻害剤、エキセナチド、アルブミン、凝血因子、アルグルコシダーゼアルファ、サケカルシトニン、バソプレシン、上皮増殖因子(EGF)、コレシストキニン(CCK−8)、ワクチン(vacine)、ヒト成長ホルモンなどが挙げられる。治療用タンパク質およびペプチドのいくつかの新しい例としては、GLP−1−GCG、GLP−1−GIP、GLP−1、GLP−1−GLP−2、およびGLP−1−CCKBが挙げられる。
脂肪組織によって高度に発現される目的の希少分子としては、これらに限定されないが、ADIPOQ アディポネクチン、C1Qおよびコラーゲンドメイン含有、TUSC5 腫瘍抑制因子候補5、LEP レプチン、CIDEA 細胞死誘導DFFA様エフェクターa、CIDEC 細胞死誘導DFFA様エフェクターC、FABP4 脂肪酸結合タンパク質4、脂肪細胞、LIPE、GYG2、PLIN1 ペリリピン1、PLIN4 ペリリピン4、CSN1S1、PNPLA2、RP11−407P15.2タンパク質LOC100509620、LGALS12 レクチン、ガラクトシド結合、可溶性12、GPAM グリセロール−3−リン酸アシルトランスフェラーゼ、ミトコンドリア、PR325317.1予測タンパク質、ACACB アセチル−CoAカルボキシラーゼベータ、ACVR1C アクチビンA受容体IC型、AQP7 アクアポリン7、CFD 補体因子D(アジプシン(adipsin))m CSN1S1カゼインアルファs1、FASN 脂肪酸シンターゼGYG2グリコゲニン2、KIF25 キネシンファミリーメンバー25、LIPE リパーゼ、ホルモン感受性、PNPLA2 パタチン様ホスホリパーゼドメイン含有2、SLC29A4 溶質標識ファミリー29(受動拡散型ヌクレオシド輸送体)、メンバー4、SLC7A10 溶質標識ファミリー7(中性アミノ酸輸送体軽鎖、ascシステム)、メンバー10、SPX スペキシンホルモン、およびTIMP4 TIMPメタロペプチダーゼ阻害剤4が挙げられる。
副腎および甲状腺によって高度に発現される目的の希少分子としては、これらに限定されないが、CYP11B2 シトクロムP450、ファミリー11、サブファミリーB、ポリペプチド2、CYP11B1 シトクロムP450、ファミリー11、サブファミリーB、ポリペプチド1、CYP17A1 シトクロムP450、ファミリー17、サブファミリーA、ポリペプチド1、MC2R メラノコルチン2受容体(副腎皮質刺激ホルモン)、CYP21A2 シトクロムP450、ファミリー21、サブファミリーA、ポリペプチド2、HSD3B2 ヒドロキシ−デルタ−5−ステロイドデヒドロゲナーゼ、3ベータ−およびステロイドデルタ−イソメラーゼ2、TH チロシンヒドロキシラーゼ、AS3MT 亜ヒ酸メチルトランスフェラーゼ、CYP11A1 シトクロムP450、ファミリー11、サブファミリーA、ポリペプチド1、DBH ドーパミンベータ−ヒドロキシラーゼ(ドーパミンベータモノオキシゲナーゼ)、HSD3B2 ヒドロキシ−デルタ−5−ステロイドデヒドロゲナーゼ、3ベータ−およびステロイドデルタ−イソメラーゼ2、TH チロシンヒドロキシラーゼ、AS3MT 亜ヒ酸メチルトランスフェラーゼ、CYP11A1 シトクロムP450、ファミリー11、サブファミリーA、ポリペプチド1、DBH ドーパミンベータ−ヒドロキシラーゼ(ドーパミンベータ−モノオキシゲナーゼ)、AKR1B1 アルド−ケトレダクターゼファミリー1、メンバーB1(アルドースレダクターゼ)、NOV 腎芽腫過剰発現、FDX1 フェレドキシン1、DGKK ジアシルグリセロールキナーゼ、カッパ、MGARP ミトコンドリアに局在するグルタミン酸リッチタンパク質、VWA5B2 フォン−ウィルブランド因子Aドメイン含有5B2、C18orf42 第18染色体オープンリーディングフレーム42、KIAA1024、MAP3K15 マイトジェン活性化タンパク質キナーゼキナーゼキナーゼ15、STAR ステロイド産生急性調節タンパク質カリウムチャネル、サブファミリーK、メンバー2、NOV 腎芽腫過剰発現、PNMT フェニルエタノールアミンN−メチルトランスフェラーゼ、CHGB クロモグラニンB(セクレトグラニン1)、およびPHOX2A ペアード様ホメオボックス2aが挙げられる。
骨髄によって高度に発現される目的の希少分子としては、これらに限定されないが、DEFA4 デフェンシンアルファ4コルチコスタチン(corticostatin)、PRTN3 プロテイナーゼ3、AZU1 アズロシジン1、DEFA1 デフェンシンアルファ1、ELANE エラスターゼ、好中球発現、DEFA1B デフェンシンアルファ1B、DEFA3 デフェンシンアルファ3好中球特異的、MS4A3 膜貫通4−ドメイン、サブファミリーA、メンバー3(造血細胞特異的)、RNASE3 リボヌクレアーゼRNアーゼAファミリー3、MPO ミエロペルオキシダーゼ、HBD ヘモグロビン、デルタ、およびPRSS57 プロテアーゼ、セリン57が挙げられる。
脳によって高度に発現される目的の希少分子としては、これらに限定されないが、GFAP グリア細胞繊維性酸性タンパク質、OPALIN オリゴデンドロサイトのミエリン傍絞輪部および内部のループタンパク質、OLIG2 希突起膠細胞系転写因子2、GRIN1 イオンチャネル型グルタミン酸受容体、N−メチルD−アスパラギン酸1、OMG 希突起膠細胞ミエリン糖タンパク質、SLC17A7 溶質標識ファミリー17(小胞グルタミン酸輸送体)、メンバー7、C1orf61 第1染色体オープンリーディングフレーム61、CREG2 E1A刺激遺伝子2の細胞リプレッサー、NEUROD6 ニューロン分化6、ZDHHC22 ジンクフィンガーDHHC型含有22、VSTM2B V−セットおよび膜貫通ドメイン含有2B、およびPMP2 末梢ミエリンタンパク質2が挙げられる。
子宮内膜、卵巣、または胎盤によって高度に発現される目的の希少分子としては、これらに限定されないが、MMP26 マトリックスメタロペプチダーゼ26、MMP10 マトリックスメタロペプチダーゼ10(ストロメライシン2)、RP4−559A3.7 特徴付けられていないタンパク質およびTRHチロトロピン放出ホルモンが挙げられる。
消化管、唾液腺、食道、胃、十二指腸、小腸、または結腸によって高度に発現される目的の希少分子としては、これらに限定されないが、GKN1 ガストロキン(Gastrokine)1、GIF 胃内因子(ビタミンB合成)、PGA5 ペプシノーゲン5グループI(ペプシノーゲンA)、PGA3 ペプシノーゲン3、グループI(ペプシノーゲンA)、PGA4 ペプシノーゲン4グループI(ペプシノーゲンA)、LCT ラクターゼ、DEFA5 デフェンシン、アルファ5パネート細胞特異的、CCL25 ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド25、DEFA6 デフェンシンアルファ6パネート細胞特異的、GAST ガストリン、MS4A10 膜貫通4−ドメインサブファミリーAメンバー10、ATP4AおよびATPアーゼ、H+/K+交換アルファポリペプチドが挙げられる。
心臓または骨格筋によって高度に発現される目的の希少分子としては、これらに限定されないが、NPPB ナトリウム利尿ペプチドB、TNNI3 トロポニンI型3(心臓)、NPPA ナトリウム利尿ペプチドA、MYL7 ミオシン軽鎖7調節、MYBPC3 ミオシン結合タンパク質C(心臓)、TNNT2 トロポニンT型2(心臓)、LRRC10 ロイシンリッチリピート含有10、ANKRD1 アンキリンリピートドメイン1(心筋)、RD3L 網膜変性3様、BMP10 骨形成タンパク質10、CHRNE コリン作動性受容体ニコチン性イプシロン(筋肉)、およびSBK2 SH3ドメイン結合キナーゼファミリーメンバー2が挙げられる。
腎臓によって高度に発現される目的の希少分子としては、これらに限定されないが、UMOD ウロモジュリン、TMEM174 膜貫通タンパク質174、SLC22A8 溶質標識ファミリー22(有機アニオン輸送体)メンバー8、SLC12A1 溶質標識ファミリー12(ナトリウム/−カリウム/塩化物輸送体)メンバー1、SLC34A1 溶質標識ファミリー34(II型ナトリウム/−リン酸輸送体)メンバー1、SLC22A12 溶質標識ファミリー22(有機アニオン/ウレート輸送体)メンバー12、SLC22A2 溶質標識ファミリー22(有機 カチオン輸送体)メンバー2、MCCD1 ミトコンドリアのコイルドコイルドメイン1、AQP2 アクアポリン2(集合尿細管)、SLC7A13 溶質標識ファミリー7(アニオン性アミノ酸輸送体)メンバー13、KCNJ1 カリウム内向き整流チャネル、サブファミリーJメンバー1、およびSLC22A6 溶質標識ファミリー22(有機アニオン輸送体)メンバー6が挙げられる。
肺によって高度に発現される目的の希少分子としては、これらに限定されないが、SFTPC サーファクタントタンパク質C、SFTPA1 サーファクタントタンパク質A1、SFTPB サーファクタントタンパク質B、SFTPA2 サーファクタントタンパク質A2、AGER 終末糖化産物特異的受容体、SCGB3A2 セクレトグロビンファミリー3Aメンバー2、SFTPD サーファクタントタンパク質D、ROS1 プロトオンコジーン1受容体チロシンキナーゼ、MS4A15 膜貫通4−ドメインサブファミリーAメンバー15、RTKN2 ロテキン(rhotekin)2、NAPSA ナプシンAアスパラギン酸ペプチダーゼ、およびLRRN4 ロイシンリッチリピートニューロン4が挙げられる。
肝臓または胆嚢によって高度に発現される目的の希少分子としては、これらに限定されないが、APOA2 アポリポプロテインA−II、A1BG アルファ−1−B糖タンパク質、AHSG アルファ−2−HS−糖タンパク質、F2凝血因子II(トロンビン)、CFHR2 補体因子H関連2、HPX ヘモペキシン、F9 凝固第IX因子、CFHR2 補体因子H関連2、SPP2 分泌型リンタンパク質2(24kDa)、C9 補体成分9、MBL2 マンノース結合レクチン(プロテインC)2可溶性、およびCYP2A6 シトクロムP450ファミリー2サブファミリーAポリペプチド6が挙げられる。
精巣または前立腺によって高度に発現される目的の希少分子としては、これらに限定されないが、PRM2 プロタミン2PRM1プロタミン1、TNP1 トランジションタンパク質1(ヒストンからプロタミンへの置き換えの間)、TUBA3C チューブリン、アルファ3c、LELP1 後期角質肥厚膜様プロリンリッチ1、BOD1L2 細胞分裂における染色体の二方向性1様2(biorientation of chromosomes in cell division 1-like 2)、ANKRD7 アンキリンリピートドメイン7、PGK2 ホスホグリセリン酸キナーゼ2、AKAP4 Aキナーゼ(PRKA)アンカータンパク質4、TPD52L3 腫瘍タンパク質D52様3、UBQLN3 ユビキリン3およびACTL7Aアクチン様7Aが挙げられる。
希少細胞および希少細胞のマーカーの例
希少細胞は、サンプル中の非希少細胞の量と比較して相対的に少ない量でサンプル中に存在する細胞である。一部の例において、希少細胞は、希少細胞を含有する疑いのあるサンプル中、総細胞集団の約10−8重量%〜約10−2重量%の量で存在する。語句「細胞性の希少分子」は、細胞に結合する希少分子を指し、サンプル中を自由に循環していてもよいし、またはそうでなくてもよい。このような細胞性の希少分子としては、上述したような疾患の医療診断において有用な生体分子が挙げられ、そのようなものとしてはさらに、無細胞の希少分子としてこれまでに記載された全ての希少分子および使用、ならびに希少細胞の測定に使用される生体分子に関するものも挙げられる。希少細胞は、これらに限定されないが、例えば、悪性細胞、例えば悪性新生物またはがん細胞;循環細胞、内皮細胞(CD146);上皮細胞(CD326/EpCAM);間充織細胞(VIM)、細菌細胞、ウイルス、皮膚細胞、性細胞、胎児細胞;免疫細胞(白血球、例えば好塩基球、顆粒球(CD66b)および好酸球、リンパ球、例えばB細胞(CD19、CD20)、T細胞(CD3、CD4、CD8)、形質細胞、ならびにNK細胞(CD56)、マクロファージ/単球(CD14、CD33)、樹状細胞(CD11c、CD123)、Treg細胞など)、幹細胞/前駆体(CD34)、他の血液細胞、例えば前駆細胞、芽細胞、赤血球、血小板、血小板(CD41、CD61、CD62)および未成熟細胞;組織由来の他の細胞、例えば、肝臓、脳、膵臓、筋肉、脂肪、肺、前立腺、腎臓、尿路、脂肪、骨髄、子宮内膜、消化管、心臓、精巣などに由来する他の細胞であり得る。
語句「細胞の集団」は、それらの表面上または細胞内部に抗原または核酸を有する細胞のグループであって、ここで抗原はグループの細胞の全てで共通であり、抗原は細胞のグループに特異的であるものを指す。このような抗原または核酸は、「希少細胞マーカー」と呼ばれる。非希少細胞は、サンプル中の希少細胞の量と比較して相対的に多くの量で存在する細胞である。一部の例において、非希少細胞は、非希少細胞および希少細胞を含有する疑いのあるサンプルおける総細胞集団中の希少細胞の量の、少なくとも約10倍、または少なくとも約10倍、または少なくとも約10倍、または少なくとも約10倍、または少なくとも約10倍、または少なくとも約10倍、または少なくとも約10倍、または少なくとも約10倍である。非希少細胞は、これらに限定されないが、例えば、白血球、血小板、および赤血球であり得る。
用語「希少細胞マーカー」としては、これらに限定されないが、がん細胞型バイオマーカー、がんバイオマーカー、化学療法抵抗性バイオマーカー、転移能バイオマーカー、および細胞型マーカー、細胞の免疫表現型検査のための標的を提供する細胞表面分子の同定および調査に使用されるプロトコールである表面抗原分類(命名または分類決定基の一群であり、しばしばCDと略記される)が挙げられる。がん細胞型バイオマーカーとしては、例証として、これらに限定されないが、例えば、サイトケラチン(CK)(CK1、CK2、CK3、CK4、CKS、CK6、CK7、CK8およびCK9、CK10、CK12、CK13、CK14、CK16、CK17、CK18、CK19ならびにCK2)、上皮細胞接着分子(EpCAM)、N−カドヘリン、E−カドヘリンおよびビメンチンが挙げられる。突然変異に起因する治療上の関連性を有する可能性がある腫瘍性タンパク質および腫瘍遺伝子としては、これらに限定されないが、例えば、WAF、BAX−1、PDGF、JAGGED1、NOTCH、VEGF、VEGHR、CAlX、MIB1、MDM、PR、ER、SELS、SEM1、PI3K、AKT2、TWIST1、EML−4、DRAFF、C−MET、ABL1、EGFR、GNAS、MLH1、RET、MEK1、AKT1、ERBB2、HER2、HNF1A、MPL、SMAD4、ALK、ERBB4、HRAS、NOTCH1、SMARCB1、APC、FBXW7、IDH1、NPM1、SMO、ATM、FGFR1、JAK2、NRAS、SRC、BRAF、FGFR2、JAK3、RA、STK11、CDH1、FGFR3、KDR、PIK3CA、TP53、CDKN2A、FLT3、KIT、PTEN、VHL、CSF1R、GNA11、KRAS、PTPN11、DDR2、CTNNB1、GNAQ、MET、RB1、AKT1、BRAF、DDR2、MEK1、NRAS、FGFR1、およびROS1が挙げられる。
ある特定の実施態様において、希少細胞は、例証として、これらに限定されないが、CD136、CD105/エンドグリン、CD144/VE−カドヘリン、CD145、CD34、Cd41、CD136、CD34、CD90、CD31/PECAM−1、ESAM、VEGFR2/Fik−1、Tie−2、CD202b/TEK、CD56/NCAM、CD73/VAP−2、クローディン5、Z0−1、およびビメンチンなどのマーカーを使用して検出される内皮細胞であり得る。転移能バイオマーカーとしては、これらに限定されないが、ウロキナーゼ型プラスミノゲン活性化因子(uPA)、組織プラスミノゲン活性化因子(tPA)、アディポネクチン受容体のC末端フラグメント(アディポネクチン受容体C末端フラグメントまたはアディポネクチンCTF)、キナーゼ(AKT−PIK3、MAPK)、血管接着分子(例えば、ICAM、VCAM、E−セレクチン)、サイトカインシグナル伝達(TNF−α、IL−1、IL−6)、活性酸素種(ROS)、プロテアーゼ活性化受容体(PAR)、メタロプロテイナーゼ(TIMP)、トランスフォーミング増殖因子(TGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、内皮ヒアルロナン受容体1(LYVE−1)、低酸素誘導因子(HIF)、成長ホルモン(GH)、インスリン様増殖因子(IGF)、上皮増殖因子(EGF)、胎盤増殖因子(PDF)、肝細胞増殖因子(HGF)、神経成長因子(NGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、増殖分化因子(GDF)、VEGF受容体(可溶性Flt−1)、マイクロRNA(MiR−141)、カドヘリン(VE、N、E)、S100Ig−CTF核内受容体(例えば、PPARα)、プラスミノゲン活性化因子阻害剤(PAI−1)、CD95、セリンプロテアーゼ(例えば、プラスミンおよびADAMなど);セリンプロテアーゼ阻害剤(例えば、ビクニン);マトリックスメタロプロテイナーゼ(例えば、MMP9);マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤(例えば、TIMP−1);およびDNAの酸化的損傷が挙げられる。
化学療法抵抗性バイオマーカーとしては、例証として、これらに限定されないが、PL2L piwi様、5T4、ADLH、β−インテグリン、α−6−インテグリン、c−kit、c−met、LIF−R、ケモカイン(例えば、CXCR7、CCR7、CXCR4)、ESA、CD20、CD44、CD133、CKS、TRAF2およびABC輸送体、CD45またはCD31を欠如しているがCD34を含有するがん細胞であって、がん幹細胞の指標であるもの;ならびにCD44を含有するがCD24を欠如しているがん細胞が挙げられる。
細胞由来の希少分子は、あらゆる生物に由来するものであってもよく、そのような生物としては、これらに限定されないが、例えば、細菌、ウイルス、真菌、および原虫類などの病原体;悪性新生物またはがん細胞などの悪性細胞;循環内皮細胞;循環腫瘍細胞;循環がん幹細胞;循環がん間充織細胞;循環上皮細胞;胎児細胞;免疫細胞(B細胞、T細胞、マクロファージ、NK細胞、単球);ならびに幹細胞が挙げられる。本明細書に記載される原理に従う方法の一部の例において、試験しようとするサンプルは、これに限定されないが、例えばヒト対象などの哺乳動物由来の血液サンプルである。
目的の希少細胞は、免疫細胞であってもよく、その例としては、これらに限定されないが、白血球(WBC)、Treg(調節性T細胞)、B細胞、T細胞、マクロファージ、単球、抗原提示細胞(APC)、樹状細胞、好酸球、および顆粒球のマーカーが挙げられる。例えば、これらに限定されないが、CD3、CD4、CD8、CD11c、CD14、CD15、CD16、CD19、CD20、CD31、CD33、CD45、CD52、CD56、CD61、CD66b、CD123、CTLA−4、免疫グロブリン、タンパク質受容体およびサイトカイン受容体などのマーカー、ならびに白血球上に存在する他のCDマーカーを、細胞が目的の希少細胞ではないことを示すのに使用することができる。
特定には、白血球マーカーの非限定的な例としては、CD45抗原(タンパク質チロシンホスファターゼ受容体C型またはPTPRCとしても公知)が挙げられ、これは、元々は白血球共通抗原と称されており、全ての白血球を検出することにおいて有用である。加えて、CD45は、希少細胞とみなされる可能性がある異なるタイプの白血球を識別するのに使用することができる。例えば、顆粒球は、CD45+、CD15+、またはCD16+、またはCD66b+によって示され;単球は、CD45+、CD14+によって示され;Tリンパ球は、CD45+、CD3+によって示され;Tヘルパー細胞は、CD45+、CD3+、CD4+によって示され;細胞傷害性T細胞は、CD45+、CD3+、CDS+によって示され;Bリンパ球は、CD45+、CD19+またはCD45+、CD20+によって示され;血小板は、CD45+、CD61+によって示され;ナチュラルキラー細胞は、CD16+、CD56+、およびCD3−によって示される。さらに、2種の一般的に使用されるCD分子、すなわちCD4およびCD8は、一般的に、それぞれヘルパーおよび細胞傷害性T細胞のマーカーとして使用される。これらの分子は、CD3+と組み合わせて定義されるが、これは、一部の他の白血球もこれらのCD分子を発現するためである(一部のマクロファージは低いレベルのCD4を発現し、樹状細胞は高いレベルのCD11c、およびCD123を発現する)。これらの例は、全てのマーカーを網羅したものではなく、単なる例である。
一部の場合において、リンパ球の希少分子のフラグメントとしては、リンパ球の一部として生産されたタンパク質およびペプチド、例えば、免疫グロブリン鎖、主要組織適合複合体(MHC)分子、T細胞受容体、抗原性ペプチド、サイトカイン、ケモカインおよびそれらの受容体(例えば、インターロイキン、C−X−Cケモカイン受容体など)、プログラム死−リガンドおよび受容体(Fas、PDL1など)、ならびにリンパ球の一部であるかまたはリンパ球に結合するかのいずれかである他のタンパク質およびペプチドが挙げられる。
他の場合において、希少細胞は、幹細胞であってもよく、その例としては、これらに限定されないが、PL2L piwi様、5T4、ADLH、β−インテグリン、α6インテグリン、c−kit、c−met、LIF−R、CXCR4、ESA、CD20、CD44、CD133、CKS、TRAF2およびABC輸送体、CD45またはCD31を欠如しているが、CD34を含有するがん細胞であって、がん幹細胞の指標であるもの;ならびにCD44を含有するがCD24を欠如しているがん細胞などの幹細胞マーカーの希少分子のフラグメントが挙げられる。幹細胞マーカーとしては、一般的な多能性マーカー、例えばFoxD3、E−Ras、Sall4、Stat3、SUZ12、TCF3、TRA−1−60、CDX2、DDX4、Miwi、Mill GCNF、Oct4、Klf4、Sox2、c−Myc、TIF1βPiwil、ネスチン、インテグリン、notch、AML、GATA、Esrrb、Nr5a2、C/EBPα、Lin28、Nanog、インスリン、neuroD、アディポネクチン、アディポネクチン受容体、FABP4、PPAR、およびKLF4などが挙げられる。
他の場合において、希少細胞は、病原体、細菌、もしくはウイルスまたはそれらの属であってもよく、その例としては、これらに限定されないが、グラム陽性菌(例えば、エンテロコッカス属種のB群連鎖球菌属、例えば、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌属種のストレプトコッカス・ビリダンス(Streptococcus viridans)、スタフィロコッカス・アウレウスおよびスタフィロコッカス・サプロフィティクス(Staphylococcus saprophyicus)、乳酸桿菌属およびそれらの耐性株);酵母、例えば、これらに限定されないが、例えば、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)など;グラム陰性細菌、例えば、これらに限定されないが、大腸菌、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、シトロバクター・コセリ(Citrobacter koseri)、シトロバクター・フロインデイ(Citrobacter freundii)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、モルガネラ・モルガニイ(Morganella morganii)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、類ジフテリア菌(gnb)、ロゼブリア(Rosebura)、ユーバクテリウム・ハリイ(Eubacterium hallii)、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(Faecalibacterium prauznitzli)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseria)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、バクテロイデス・テタイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron)、プレボテラ・インターメディア(Prevotella Intermedia)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、ユーバクテリウム・レクタレ(Eubacterium rectale)、ラクトバチルス・アミロボラス(Lactobacillus amylovorus)、バチルス・ズブチリス、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)、ユーバクテリウム・レクタレ、E.エリジェンス(E.eligens)、E.ドリクム(E.dolichum)、B.テタイオタオミクロン、E.レクタレ、放線菌門、プロテオバクテリア、B.テタイオタオミクロン、バクテロイデス、ユーバクテリウム・ドリクム(Eubacterium dolichum)、ブルガータス(Vulgatus)、B.フラギリス(B.fragilis)、細菌門、例えばファーミクテス門(Firmicuties)(クロストリジウム属、杆菌、モリキューテス綱)、フソバクテリウム門、放線菌門、藍藻類、バクテロイデス門、古細菌、プロテオバクテリア、およびそれらの耐性株;ウイルス、例えば、これらに限定されないが、HIV、HPV、Flu、およびMRSAなど;ならびに性感染症が挙げられる。希少細胞病原体を検出する場合において、希少細胞病原体集団に結合するアフィニティー剤を含む捕獲粒子が添加される。加えて、病原体上の細胞性希少分子の各集団につき、集団中の細胞性希少分子に結合する細胞性希少分子のアフィニティー剤を含む試薬が添加される。
上述したように、本明細書に記載される原理に従う一部の例は、天然細胞および合成細胞を含む細胞を検出する方法を対象とする。細胞は通常、標的の希少分子、非希少細胞および希少細胞を含有する疑いのある生物学的サンプルに由来する。サンプルは、生物学的サンプルであってもよいし、または非生物学的サンプルであってもよい。生物学的サンプルは、哺乳類対象であってもよいし、または非哺乳類対象であってもよい。哺乳類対象は、例えばヒトであってもよいし、または他の動物種であってもよい。
方法を実行するためのキット
本明細書に記載される原理に従って方法を実行するための装置および試薬は、本方法を適宜実行するのに有用なキット中に存在していてもよい。一実施態様において、キットは、パッケージ化された組合せで、単離しようとする1種またはそれより多くの異なる希少分子のための改変されたアフィニティー剤を含む。キットはまた、細胞性希少分子につき1種またはそれより多くのアフィニティー剤、多孔質マトリックス、捕獲粒子、ならびに分析標識の噴霧、ろ過および反応のための溶液を含んでいてもよい。標識粒子の組成物は、例えば、捕獲粒子実体に関して上述した通りであり得る。多孔質マトリックスおよび電極は、アセンブリの形態であってもよく、この場合、アセンブリは、ベント、毛細管、チャンバー、液体の入口および出口を有していてもよい。多孔質マトリックスは、取り外し可能であってもよいし、またはアセンブリに永久的に固定されていてもよい。
希少分子の分析のために使用される方法に応じて、希少細胞および無細胞サンプルからの分子の抽出中、その前またはその後に、本明細書の以下でより詳細に論じられる試薬を、サンプルを処理するのに使用してもよいし、または使用しなくてもよい。
本発明の方法中に起こす必要がある反応を実質的に最適化し、さらに方法の感度を最適化する試薬の濃度をもたらすために、キット中の様々な試薬の相対量は、幅広く変更することができる。適切な環境下で、キット中の試薬の1つまたはそれより多くは、賦形剤を含む乾燥粉末、通常は凍結乾燥粉末として提供することができ、これは、溶解させると本明細書に記載される原理に従う方法を実行するのに適切な濃度を有する試薬溶液をもたらすと予想される。キットはさらに、本明細書に記載される原理に従って試薬を利用する方法の使用説明書を含んでいてもよい。
語句「少なくとも」は、本明細書で使用される場合、特定された項目の数が、列挙された数に等しくてもよいし、またはそれより大きくてもよいことを意味する。語句「約」は、本明細書で使用される場合、列挙された数がプラスまたはマイナス10%異なっていてもよいことを意味し、例えば、「約5」は4.5〜5.5の範囲を意味する。
スプレー溶媒は、エレクトロスプレー質量分析法で採用されるあらゆるスプレー溶媒であってもよい。一部の例において、エレクトロスプレーイオン化のための溶媒としては、これらに限定されないが、例えば、極性有機化合物、例えば、アルコール(例えば、メタノール、エタノールおよびプロパノール)、アセトニトリル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、およびニトロメタンなど;非極性有機化合物、例えば、ヘキサン、トルエン、シクロヘキサンなど;ならびに水、またはそれらの2種またはそれより多くの組合せが挙げられる。任意選択で、溶媒は、調節剤として酸または塩基の1種またはそれより多くを含有していてもよく、その例としては、例えば、揮発性の塩および緩衝液、例えば、酢酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、揮発性の酸、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、ヘプタフルオロ酪酸、ドデシル硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸、ならびに不揮発性の塩または緩衝液、例えば、ナトリウムおよびカリウムの塩化物およびリン酸塩などが挙げられる。
多くの例において、上述したスプレー溶媒は、水性媒体と組み合わせて使用してもよく、水性媒体は、単に水であってもよいし、または有機溶媒、例えば、極性非プロトン性溶媒、極性プロトン性溶媒、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、有機酸、またはアルコールや、水と混和性を有する非極性溶媒、例えばジオキサンなどを、体積に基づき、約0.1%〜約50%、または約1%〜約50%、または約5%〜約50%、または約1%〜約40%、または約1%〜約30%、または約1%〜約20%、または約1%〜約10%、または約5%〜約40%、または約5%〜約30%、または約5%〜約20%、または約5%〜約10%の量で含有していてもよい。一部の例において、水性媒体のpHは、約4〜約9の範囲の中程度のpHである。望ましいpHを達成し、あらゆるインキュベーション期間中にpHを維持するために、様々な緩衝液を使用することができる。例示的な緩衝液としては、これらに限定されないが、ホウ酸塩、リン酸塩(例えば、リン酸緩衝塩類溶液)、炭酸塩、TRIS、バルビタール、PIPES、HEPES、MES、ACES、MOPS、およびBICINEが挙げられる。
細胞溶解試薬は、細胞膜の完全性で溶解剤を破壊することによって細胞の細胞内の内容物を放出させることを含むものである。多数の溶解剤が当業界において公知である。採用され得る溶解剤は、物理的なものおよび/または化学的なものであり得る。物理的溶解剤としては、例えば、ブレンド、グライディング、および超音波破砕、ならびにそれらの2種またはそれより多くの組合せが挙げられる。化学的溶解剤としては、これらに限定されないが、例えば、非イオン性洗浄剤、アニオン性洗浄剤、両性洗浄剤、低いイオン強度の水溶液(低張溶液)、細菌性の物質、および補体依存性の溶解を引き起こす抗体、ならびにそれらの2種またはそれより多くの組合せ、ならびに上記のものの2種またはそれより多くの組合せが挙げられる。溶解剤として採用され得る非イオン性洗浄剤としては、合成洗浄剤と天然洗浄剤の両方が挙げられる。
採用される溶解剤の性質および量または濃度は、例えば、細胞の性質、細胞性内容物の性質、行われる分析の性質、および溶解剤の性質によって決まる。溶解剤の量は、少なくとも細胞の内容物を放出させるために細胞の溶解を引き起こすのに十分な量である。一部の例において、溶解剤の量は、例えば、約0.0001%〜約0.5%、約0.001%〜約0.4%、約0.01%〜約0.3%、約0.01%〜約0.2%、約0.1%〜約0.3%、約0.2%〜約0.5%、約0.1%〜約0.2%(パーセンテージは重量に基づく)である。
脂質の除去は、例証として、これらに限定されないが、洗浄剤、界面活性剤、溶媒、および結合剤、ならびに上記のものの2種またはそれより多くの組合せを使用して行うことができる。上記で論じられたような溶解剤としての界面活性剤または洗浄剤の使用は、細胞溶解物と脂質の除去の両方を達成する。脂質を除去するための溶解剤の量は、少なくとも、細胞膜から、脂質の少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%を除去するのに十分な量である。一部の例において、溶解剤の量は、例えば、約0.0001%〜約0.5%、約0.001%〜約0.4%、約0.01%〜約0.3%、約0.01%〜約0.2%、約0.1%〜約0.3%、約0.2%〜約0.5%、約0.1%〜約0.2%(重量パーセンテージ)である。
一部の例において、細胞からタンパク質を除去するかまたは変性させることが望ましい場合があり、これは、タンパク質分解剤、例えば、これらに限定されないが、プロテアーゼ、熱、酸、フェノール、およびグアニジニウム塩など、ならびにそれらの2種またはそれより多くの組合せを使用して達成することができる。タンパク質分解剤の量は、少なくとも、細胞中のタンパク質の少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%を分解するのに十分な量である。一部の例において、溶解剤の量は、例えば、約0.0001%〜約0.5%、約0.001%〜約0.4%、約0.01%〜約0.3%、約0.01%〜約0.2%、約0.1%〜約0.3%、約0.2%〜約0.5%、約0.1%〜約0.2%(重量パーセンテージ)である。
一部の例において、サンプルは、対象の体から、好適な容器に、例えば、これらに限定されないが、カップ、バッグ、ボトル、毛細管、または針などに収集される。血液サンプルは、例えば、vacutainer(登録商標)容器に収集されてもよい。容器は、サンプルが送達される収集用の媒体を含有していてもよい。収集用の媒体は、乾燥状態でもよいし、または液体でもよく、血液サンプルと混合すると血液サンプル中の血小板の非活性化を達成するのに有効な量の血小板非活性化薬剤を含んでいてもよい。
例えば、これらに限定されないが、キレート剤、例えば、三酢酸成分もしくはその塩、四酢酸成分もしくはその塩、五酢酸部分もしくはその塩、または六酢酸部分もしくはその塩を含むキレート剤などの血小板非活性化剤がサンプルに付加されてもよい。一部の例において、キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびその塩、またはエチレングリコールテトラアセテート(EGTA)およびその塩である。血小板非活性化薬剤の有効量は、例えば、血小板非活性化薬剤の性質、血液サンプルの性質、血小板活性化のレベルおよびイオン強度の1つまたはそれより多くによって決まる。一部の例において、抗血小板剤がEDTAの場合、容器中の乾燥EDTAの量は、血液1mL当たり約1.0〜約2.0mg、または血液1mL当たり約1.5mgの濃度を生じると予想される量である。血小板非活性化薬剤の量は、少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約99%の血小板非活性化を達成するのに十分な量である。
通常、中程度の温度が採用され、そのような温度は、例えば、約5℃〜約70℃、または約15℃〜約70℃、または約20℃〜約45℃の範囲であり得る。インキュベーション期間は、例えば、約0.2秒〜約6時間、または約2秒〜約1時間、または約1〜約5分である。
多くの例において、上記の組合せは、水性媒体中に提供され、水性媒体は、単に水であってもよいし、または有機溶媒、例えば、極性非プロトン性またはプロトン性溶媒、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、有機酸、またはアルコールや、水と混和性を有する非極性溶媒、例えばジオキサンなどを、体積に基づき、約0.1%〜約50%、または約1%〜約50%、または約5%〜約50%、または約1%〜約40%、または約1%〜約30%、または約1%〜約20%、または約1%〜約10%、または約5%〜約40%、または約5%〜約30%、または約5%〜約20%、または約5%〜約10%の量で含有していてもよい。
採用される水性媒体の量は、例えば、これらに限定されないが、サンプルの性質および量、試薬の性質および量、希少細胞の安定性、および希少分子の安定性などの多数の要因によって決まる。本明細書に記載される原理に従う一部の例において、サンプル10mL当たりの水性媒体の量は、例えば、約5mL〜約100mL、または約5mL〜約80mL、または約5mL〜約60mL、または約5mL〜約50mL、または約5mL〜約30mL、または約5mL〜約20mL、または約5mL〜約10mL、または約10mL〜約100mL、または約10mL〜約80mL、または約10mL〜約60mL、または約10mL〜約50mL、または約10mL〜約30mL、または約10mL〜約20mL、または約20mL〜約100mL、または約20mL〜約80mL、または約20mL〜約60mL、または約20mL〜約50mL、または約20mL〜約30mLである。
希少分子の1つまたはそれより多くが細胞の一部である場合、水性媒体はさらに、細胞を溶解させるための溶解剤を含んでいてもよい。溶解剤は、細胞のマトリックスの完全性を破壊することによって細胞の細胞内の内容物を放出させる化合物または化合物の混合物である。溶解剤の例としては、これらに限定されないが、例えば、非イオン性洗浄剤、アニオン性洗浄剤、両性洗浄剤、低いイオン強度の水溶液(低張溶液)、細菌性の物質、脂肪族アルデヒド、および補体依存性の溶解を引き起こす抗体が挙げられる。様々な補助的な材料が、希釈媒体中に存在していてもよい。水性媒体中の材料の全てが、望ましい作用または機能を達成するのに十分な濃度または量で存在する。
一部の例において、サンプルのタンパク質、ペプチド、核酸または細胞を固定することが望ましい場合がある。固定は、タンパク質、ペプチドおよび核酸の構造を不動にして保存し、インビボのような条件中の細胞に厳密に似た、目的の抗原を特異的なアフィニティー剤によって認識できる条件下で細胞を維持する。採用される固定剤の量は、核酸または細胞を保存するが、それに続くアッセイにおいて誤った結果をもたらさない量である。固定剤の量は、例えば、固定剤の性質および細胞の性質の1つまたはそれより多くによって決まる。一部の例において、固定剤の量は、例えば、重量に基づき、約0.05%〜約0.15%、または約0.05%〜約0.10%、または約0.10%〜約0.15%である。細胞の固定を行うための薬剤としては、これらに限定されないが、例えば、架橋剤、例えばアルデヒド試薬(例えば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、およびパラホルムアルデヒドなど);アルコール(例えば、C〜Cアルコール、例えばメタノール、エタノールおよびイソプロパノールなど);ケトン(例えばC〜Cケトン、例えばアセトンなど)が挙げられる。C〜CまたはC〜Cという表記は、アルコールまたはケトン中の炭素原子の数を指す。1回またはそれより多くの洗浄工程が、緩衝化された水性媒体を使用して、固定した細胞上で行われてもよい。
固定が採用される例において、核酸の抽出は、増幅の前に、脱固定の手順を含んでいてもよい。脱固定は、例えば、例証として、これらに限定されないが、熱もしくは架橋結合を戻すことが可能な化学物質、または両方の組合せを採用することによって達成することができる。
本技術を利用する一部の例において、希少細胞を透過化に供することが必要な場合がある。透過化は、細胞膜を通過する目的の核酸への接近を提供する。採用される透過化剤の量は、細胞膜を破壊し、核酸への接近を許容する量である。透過化剤の量は、例えば、透過化剤の性質ならびに希少細胞の性質および量の1つまたはそれより多くによって決まる。一部の例において、透過化剤の量は、重量に基づき、例えば、約0.1%〜約0.5%、または約0.1%〜約0.4%、または約0.1%〜約0.3%、または約0.1%〜約0.2%、または約0.2%〜約0.5%、または約0.2%〜約0.4%、または約0.2%〜約0.3%である。希少細胞の透過化を行うための透過化剤としては、これらに限定されないが、例えば、アルコール(例えば、C〜Cアルコール、例えばメタノールおよびエタノールなど);ケトン(例えば、C〜Cケトン、例えばアセトンなど);洗浄剤(例えば、サポニン、Triton(登録商標)X−100、およびTween(登録商標)−20など);が挙げられる。1回またはそれより多くの洗浄工程が、緩衝化された水性媒体を使用して、透過化された細胞に行われてもよい。
以下の実施例はさらに、本発明の具体的な実施態様を限定ではなく例証として説明するものであり、本発明の説明を意図しており、本発明の範囲の限定は意図していない。本明細書で開示される部およびパーセンテージは、別段の指定がない限り体積に基づく。
全ての化学物質は、別段の規定がない限りシグマ−アルドリッチ(Sigma-Aldrich)社(ミズーリ州セントルイス)から購入することができる。
略語:
WBC=白血球
DAPI=4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール
DMSO=ジメチルスルホキシド(サーモフィッシャー・サイエンティフィック(ThermoFisher Scientific))
min=分
μm=マイクロメートル
mL=ミリリットル
mg=ミリグラム
μg=マイクログラム
PBS=リン酸緩衝塩類溶液(3.2mMのNaHPO、0.5mMのKHPO、1.3mMのKCl、135mMのNaCl、pH7.4)
EDTA=エチレンジアミン四酢酸のカリウム塩
mBar=ミリバール
w/w=重量対重量
RT=室温
hr=時間
QS=十分な量
ACN=アセトニトリル
TFA=トリフルオロ酢酸
TCEP=トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(シグマ−アルドリッチ)
SPDP=N−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート)
SH−ニュートラアビジン=スルフヒドリル改変ニュートラアビジン
ニュートラアビジン=ビオチンのアフィニティー剤
Ab=抗体
mAb=モノクローナル抗体
vol=体積
MW=分子量
wt.=重量
分析物細胞=SKBR3ヒト乳がん細胞(ATCC)
Her2nue=ヒト上皮増殖因子受容体2
分析物のバリエーション=溶解したSKBR3ヒト乳がん細胞(ATCC)から得られたHer2nue
Her2nueのアフィニティー剤=モノクローナル抗Her2nue抗体(NB3クローン)(ATCC)
標識粒子=プロピルアミンで官能化したシリカナノ粒子80nm
スライドガラス=FISHERBRAND(商標)SUPERFROST(商標)プラス顕微鏡スライド(サーモフィッシャー・サイエンティフィック社)
ブロッキング剤=カゼイン、ブロッキング溶液(キャンドアバイオサイエンス社(Candor Biosience GmbH)、アルゴイ、ドイツ)
捕獲粒子=粒子への直接のコンジュゲーションによって作製されたストレプトアビジン(バングスラボラトリーズ社(Bangs Lab Inc.))と抗Her2nue抗体(NB3クローン、ATCCから)を有するBioMag(登録商標)ヒドロキシルシリカマイクロ粒子(46.2mg/mL、1.5μm)
磁石=ダイナル(Dynal)磁気粒子コンセントレーター
多孔質マトリックス=WHATMAN(登録商標)NUCLEOPORE(商標)トラックエッチマトリックス、直径25mmならびに孔径8.0および1.0μM
MS=Thermo LTQ(リニアイオントラップ)質量分析計(サーモ・エレクトロン・ノースアメリカ社(Thermo Electron North America LLC)製)でのナノエレクトロスプレーイオン化による質量分析。
以下の例は、本明細書に記載される原理に従っており、バリエーションを、X−Y結合によって分析標識にも付着した粒子にX−Y結合によって付着したアフィニティー剤を介して粒子に結合させ、サンプルから粒子を分離すること、続いて粒子から分析標識を除去すること、および分析標識へのX−Y結合を破壊する条件によって放出させた後に分析標識を測定することによって、分析物分子を測定することにより、サンプル中の分析物分子のバリエーションを単離する方法である。
実施例1
X−Y結合による分析標識およびアフィニティー剤の粒子付着
X−Y結合によるアフィニティー剤および分析標識の付着は、−S−S−結合(ジスルフィド)を利用する以下の実施例で示される。この実施例において、アミノ化されたシリカナノ粒子(標識粒子)を、DMSO中に懸濁して20mg/mLの最終濃度にした。別個のチューブ中で、SPDPをDMSO中に溶解させて20ナノモル/μLの最終濃度にした。SPDPストック溶液を、DMSO中の20mg/mLのアミノ化されたシリカナノ粒子に、穏やかに回転させながら一滴ずつ添加した。混合物を絶えず混合しながら室温で少なくとも60分反応させた。反応時間が経過した後、反応混合物を遠心分離し、上清を除去して捨て、粒子をDMSOに再懸濁した。この洗浄手順を追加で3回繰り返し、その後SPDPと反応したナノ粒子を超音波破砕によって再懸濁して3.3mg/mLの最終濃度にした。
遊離のSH(分析標識)を含むペプチドをPBS−EDTA中に溶解させた。ニュートラアビジン(アフィニティータグ)、ニュートラアビジン1個当たり平均1個の遊離のチオールを含有する(トラウト試薬とのコンジュゲーションを介して)ように予め改変し、これ分析標識を含有する溶液に添加した。分析標識およびニュートラアビジンの最終濃度は、それぞれおよそ1mMおよび20μMであった。SH−ペプチド/SH−ニュートラアビジンの溶液に、DMSO中のSPDP改変ナノ粒子の懸濁液を添加し、反応物を一晩撹拌しながら室温でインキュベートした。反応後、粒子PBSで3回を洗浄し、1mLのPBSに再懸濁した。
XがNi、Co、FeまたはCuなどの金属である場合のX−Y結合を作製するために、シリカアミンナノ粒子をエチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのキレート剤にコンジュゲートさせて、金属と結合させることができる。XがPd、Ag、またはAuなどの金属である場合のX−Y作製するために、シリカアミンナノ粒子を、キレート剤としてのスルフヒドリル(−SH)基にコンジュゲートさせて、金属と結合させる。シリカアミン標識にコンジュゲートした金属を、S、O、C、P、N、B、SiであるYを介した、スルフィド、エーテル、エステル、チオエステル、アミド、ケタール、チオアミド、N−酸化物、窒素−窒素、またはチオエーテルである結合の形成を使用することによってアフィニティー剤または分析標識に付着させた。これらの結合は、金属基への結合を形成するためのO、C、P、N、またはBアニオンなどの標準的なキレート金属有機化学によって形成可能であった。XがO、C、P、N、またはBなどの有機原子である場合のX−Y結合を作製するために、X基をカルボン酸に付着し、Y基をアミン基に付着させる連結剤に、シリカアミンナノ粒子をコンジュゲートした。カルボン酸をシリカアミンナノ粒子に付着させ、アミン基をアフィニティー剤および分析標識に付着させた。次いでX−Y結合は、スルフィド(−S−S−)、エーテル(−C−O−)、エステル(−[C=O]−O−C−)、チオエステル(−[C=O]−S−C−)、アミド(−[C=O]−N−C)、ケタール((−C−O−))、チオアミド([C=O]−N−S)、N−酸化物(−N−O−)、窒素−窒素(−N−N−)、またはチオエーテル(−S−O−)を含むように変更することが可能であった。
実施例2
実施例1からの粒子を用いた分析物分子のバリエーションの単離
サンプル中の分析物分子のバリエーションの一例としてヒト上皮増殖因子受容体2(Her2nue)を使用する以下の実施例で、バリエーションを、アフィニティー剤を介して粒子に結合させることによる分析物分子のバリエーションの単離を示す。Her2nueタンパク質は、図1に示されるメカニズムによって切断されて多くのバリエーションに変換されることが見出された。単離は、バリエーションを、ビオチン(アフィニティータグ)にコンジュゲートしたHer2nueのためのアフィニティー剤を介して粒子に結合させることによって実証される。
この実施例において、ニュートラアビジンは、X−Y結合によって、この実施例ではS−S−結合によって粒子に結合するビオチンのためのアフィニティー剤として機能した。また標識粒子は、同じS−S結合によって付着した分析標識を有する。この実施例において、サンプルからの粒子の分離は、2つの手段で実証される。第1の場合において、粒子は、細胞上の、すなわちSKBR3細胞上のHer2nueバリエーションに結合し、結合した粒子を、サイズ排除ろ過により細胞と分離する。第2の場合において、粒子は、無細胞の、すなわち溶解したSKBR細胞からのHer2nue結合バリエーションに結合し、粒子に結合したHer2nueを、Her2nueのための第2のアフィニティー剤を有する捕獲粒子と分離する。捕獲粒子は、磁力によって粒子に結合したHer2nueを用いて除去される。
1mL当たりおよそ2×10個のがん細胞(SKBR3)を含有する溶液500μLを遠心分離することによって、Her2nueタンパク質を細胞の形態で調製した。約1mLのPBSを添加して、チューブを数回転倒させて混合することにより細胞ペレットを洗浄し、再度、2000の相対遠心力で3分間遠心分離し、洗浄液を除去した。1mLのPBS中の0.2%Triton−Xを添加することによって細胞を透過化し、チューブを数回転倒させ、7分インキュベートし、続いて洗浄した。1mLの断片化したカゼインの緩衝液を添加することによって低減された非特異的な結合に対して細胞をブロッキングし、混合物を穏やかにボルテックスで混合した。混合物を再度遠心分離し、液体を除去し、この工程をもう一度繰り返した。細胞混合物をPBSで1mLに希釈し、10μLのサンプルを顕微鏡下で検査して、細胞数を決定した。Her2nueタンパク質を、細胞を溶解させることによって無細胞の形態で調製した。試験するためのサンプルを、健康なドナーから血液を収集することによって調製し(9mL/ドナー)、Transfixチューブ中で最大5日間貯蔵した。血液サンプルを、ストックを使用したSKBR3ヒト乳がん細胞(ATCC)細胞であるHer2nueバリエーションでスパイクし、約1000個/0.5mLの細胞を得た。第2の血液サンプルも、血液0.5mL中の約1000個の溶解したSKBR3細胞でスパイクして、分析物分子の無細胞のバリエーションを得た。
無細胞のHer2nue分子のバリエーションを単離するために、まず溶解したSKBR3細胞を含むサンプルを、1mLサンプルに50μLの捕獲粒子を添加することによって、捕獲粒子(抗Her2nue抗体とコンジュゲートした磁気ビーズ)上で捕獲した。サンプルを転倒することによって混合し、混合物を室温で15分インキュベートして、粒子に無細胞のHer2nue分子のバリエーションを捕獲させた。これに続いて、追加のHer2neuアフィニティー剤と共に標識粒子を添加した。チューブを1700gで3分遠心分離することによって(または1μmの孔を有する多孔質膜でろ過すること、または磁石を用いてバイアルの壁に捕獲することによって)捕獲粒子を単離し、上清除去した。磁気ビーズを250μLのPBSで希釈して、ビーズのペレットを懸濁した。粒子をPBSで5回洗浄した。
細胞性Her2nue分子のバリエーションの単離のために、以前の公開された方法(Pugiaら、A Novel Strategy for Detection and Enumeration of Circulating Analyte Cell Populations in Metastatic Cancer Patients Using Automated Fluidic Filtration and Multiplex Immunoassay PLoS ONE 014166(2015))に従って、まずSKBR3細胞を真空を使用して多孔質マトリックス上に捕獲して、流体力を得た。無傷のSKBR3細胞およびWBCを含む全血をPBSで希釈し、これまでに記載されたろ過プロセスに従ってろ過した。このプロセスへの唯一の変更は、多孔質マトリックスを備えた標準的なELISAプレートのために真空ろ過ユニット(バイオテック社(Biotek Inc))を使用したことであった。サンプルを、8.0μmの孔を有する膜に通過させてろ過した。ろ過中、多孔質マトリックス上のサンプルを陰圧に、すなわち大気圧から約−100mBarより大きい減圧に晒した。ろ過中、−10から−100mBarまでの様々な減圧を適用した。希釈したサンプルを混合せずにろ過ステーションに設置し、希釈したサンプルを多孔質マトリックスに通過させてろ過した。SKBR3細胞の回収率は、各サンプルにつき>60%であった。
次いで単離されたSKBR3細胞を親和性反応によって標識粒子と反応させた。これは、以前の公開された方法および粒子に従って実行される。まとめると、ろ過後、多孔質マトリックスをPBSで洗浄し、サンプルをホルムアルデヒドで固定し、PBSで洗浄し、PBS中の0.2%TRITON(登録商標)X100を使用して透過化に供し、PBSで再度洗浄した。マトリックス上にPBS中の10%カゼインのブロッキング緩衝液を分散させるブロッキング工程を採用した。5分のインキュベーション期間後、マトリックスをPBSで洗浄して、マトリックスへの非特異的な結合をブロックした。第1の親和性反応にブロッキング工程と透過化工程を実行し、第2および第3の親和性反応には繰り返さなかった。各親和性反応の後に、5回のPBS TWEEN(登録商標)界面活性剤での洗浄を行った。次いで希少細胞を、CK8/18の抗体に付着した蛍光標識を用いた親和性反応および免疫細胞化学(ICC)を使用して測定した。SBKR3細胞中にのみDy550が存在していたことを示す顕微鏡によって実証された通り、Her2nueに対するmAbは、SBKR細胞に結合したが、WBCには結合しなかった。
どちらの場合も、サンプルには白血球(WBC)や赤血球(RBC)などの非希少分子が混入していた。細胞の場合、WBC中のSBKR細胞の純度は0.1〜0.01%であった。捕獲粒子を使用するか、または混入したWBCまたはRBCには結合しないが目的のフラグメントに結合する抗体を有するSBKR3細胞中かにかかわらず、高いパーセンテージのHer2nue分子バリエーション(>80%)が捕獲された。本方法は、より多くのHer2nueアフィニティー剤(TA1またはNB3クローン)が同じ粒子に付着したかどうかにかかわらず機能し、さらに、異なるアフィニティー剤と固有の分析標識が異なる粒子に付着している場合に機能した。
実施例3
X−Y結合を破壊することによる粒子からの分析標識の除去
まず単離された細胞または粒子をX−Y結合を破壊するための試薬で処理し、標識粒子から分析標識を放出させた。X−Y結合が−S−S−の場合、サンプルを、10μLの放出溶液(10mMのTCEP、10mMの酢酸アンモニウム緩衝液、pH4.5中の5nMの内部標準)で処理して、分析標識を放出させた。質量分析法(MS)による分析から、>90%の捕獲および放出効率が実証された。一連の実験を実行して、全血サンプル中の細胞および無細胞のHer2nue分子バリエーションを検出するための分析感度を計算した。全血に添加された0、50、100、200、500、および1000個の無傷のまたは溶解したSKBR3細胞を用いたサンプルの測定によって、観察された分析感受性を決定した。細胞捕獲の数を顕微鏡技術で光学的に数えることで確認することによって、本方法の限界を、ゼロレベルのシグナルの10倍と決定した。複数のタイプの分析標識、光学顕微鏡、質量分析、化学発光、電気化学および顕微鏡による蛍光読み出しを使用したところ、検出限界は同等であった。表1に、典型的な検出限界を報告する。加えて、細胞および無細胞の検出限界も同等であった。表1に、典型的な検出限界を報告する。
本明細書に記載される原理に従っており、全ての分析物のバリエーションを分析標識を有する粒子に結合させることによるサンプル中の分析物のバリエーションの単離方法を対象とする実施例2、4、5および6に関する表1のデータでは、検出限界が示される;ここで複数の同一なアフィニティー剤は、X−Y結合によって粒子に付着されているが、X−Y結合を破壊する条件によって放出されない。壊れやすくないX−Y結合の使用である実施例1において、X−Y結合が壊れやすい実施例2と比較して、方法の感度はかなり低く、約100〜400個のSKBR3細胞を検出することができない。驚くべきことに、実施例3の場合のように、粒子上のアフィニティー剤をアフィニティータグで置き換えると、方法は、実施例2における約100〜400個の検出が不可能である。予想通りに、実施例5の場合のように、粒子上で複数のアフィニティー剤が使用される場合、または本発明に従って異なるアフィニティー剤を有する複数の粒子が使用される場合、方法は、実施例2における約100〜400個よりかなり少ない細胞を検出することが可能である。加えて、アフィニティー剤へのX−Y結合が破壊されない場合、検出された細胞の数は実施例2と同じままである。総合すると、これは、分析標識およびアフィニティー剤をX−Y結合によって粒子に付着させる本発明の利益を実証する。
本出願で引用された全ての特許、特許出願および公報は、そのような特許、出願および公報で引用された全ての参考文献を含め、それぞれ個々の特許、特許出願または公報がそれぞれ個々に表されたのと同程度に、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
上記で本発明の多くの実施態様を開示し、現在好ましい実施態様を示したが、多くの他の実施態様およびバリエーションが、本発明の開示の範囲内および以下に記載の添付の特許請求の範囲内で可能である。したがって、提供される好ましい実施態様および実施例の詳細は、である限定として解釈されないものとする。本明細書において使用される用語は、限定というより単に説明的なものであり、特許請求された発明の本質または範囲から逸脱することなく様々な変化、多数の均等物を作製できることが理解されると予想される。
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7.全てが参照により本明細書に組み入れられる、2018年3月30日付けで出願されたMethods And Apparatus For Removal Of Small Volume From A Filtration Deviceという表題の共同所有の係属中の米国特許出願第15/941,059号および2018年3月30日付けで出願されたMethods And Apparatus For Selective Nucleic Acid Analysisという表題の第15/941,125号。
1 遺伝子産物
2 薬剤
3 フラグメント
4 薬剤
5 バリエーション
6 薬剤
7 バリエーション
8 粒子
9 分析標識
10 アフィニティー剤
11 抗原
12 バリエーション
13 分析標識
14 分析標識
16 粒子
17 分析標識
18、19、20 アフィニティー剤
21、22、23、24 抗原
25 分析標識
26 参照標準
27、28 粒子
29、30 分析標識
31、32 アフィニティー剤
33、34、35 抗原
36、37 分析標識
38 参照標準

Claims (19)

  1. 分析物サンプル中のバリエーションを単離および測定する方法であって、
    (a)バリエーションを有する前記分析物サンプルを、分析標識を付着させた粒子に結合させること;
    (b)サンプルから、得られた粒子を分離すること;
    (c)粒子から、分析標識を除去すること;および
    (d)分析標識を測定することによって、分析物分子を測定すること
    を含む、上記方法。
  2. 分析標識が、X−Y結合によって粒子に付着しており、X−Y結合を破壊することによって放出される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記分析物のバリエーションが、1つまたはそれより多くのアフィニティー剤によって前記粒子に結合する、請求項1に記載の方法。
  4. 前記アフィニティー剤が、X−Y結合によって付着しており、X−Y結合を破壊することによって放出される、請求項1に記載の方法。
  5. 分析標識を付着させるのに使用されるX−Y結合が、スルフィド、エーテル、エステル、チオエステル、アミド、ケタール、チオアミド、N−酸化物、窒素−窒素、またはチオエーテルである、請求項2に記載の方法。
  6. アフィニティー剤を付着させるのに使用されるX−Y結合が、スルフィド、エーテル、エステル、チオエステル、アミド、ケタール、チオアミド、N−酸化物、窒素−窒素、またはチオエーテルである、請求項4に記載の方法。
  7. X−Yが、S、O、C、P、N、B、Si、Ni、Pd、Fe、Co、Ag、Cu、またはAuからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
  8. X−Yが、S、O、C、P、N、B、Si、Ni、Pd、Fe、Co、Ag、Cu、またはAuからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
  9. X−Y結合が、アフィニティー剤または分析標識と標識粒子との間にスペースが生じるような長さのリンカー基の一部であってもよい、請求項2に記載の方法。
  10. 複数の分析物のバリエーションに対する前記アフィニティー剤が、同じ粒子に付着している、請求項3に記載の方法。
  11. 複数の粒子が、異なるアフィニティー剤でバリエーションと結合し、粒子に付着した分析標識を有する、請求項1に記載の方法。
  12. 分析物のバリエーションが、人工であってもよいし、または天然起源のものであってもよい、請求項1に記載の方法。
  13. 分析物のバリエーションが、生物活性分子であってもよいし、または非生物活性分子であってもよい、請求項1に記載の方法。
  14. 分析物のバリエーションが、細胞性であってもよいし、または無細胞であってもよい、請求項1に記載の方法。
  15. 分析物のバリエーションが、阻害のバリエーションを引き起こす他の分子の測定値であってもよい、請求項1に記載の方法。
  16. 分析物のバリエーションが、意図的なものであってもよいし、またはフラグメント化、付加または結合により生成したものでもよい、請求項1に記載の方法。
  17. 前記分析物のバリエーションが、代謝産物、補因子、基質、アミノ酸、金属、ビタミン、脂肪酸、生体分子、ペプチド、炭水化物など、加えて、複合糖質、脂質、核酸、ポリペプチド、受容体、酵素、タンパク質のような巨大分子、加えて細胞構造、ペルオキシソーム、小胞体、エンドソーム、エキソゾーム、リソソーム、ミトコンドリア、細胞骨格、膜、核、細胞外マトリックスなどの細胞および組織、または典型的に測定される他の分子であり得る、請求項1に記載の方法。
  18. 分析物のバリエーションと結合する粒子が、多孔質マトリックス、捕獲粒子、細胞もしくは磁気粒子またはそれらの組合せによって除去される、請求項1に記載の方法。
  19. 分析標識が、質量分析法、蛍光、化学発光または光学的標識またはそれらの組合せによって検出される、請求項1に記載の方法。
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