用語の定義
本開示の文脈において、ポリイミドポリマー又は前記ポリイミドポリマーの合成に用いられるモノマーに関して用いられる「四価の基」の用語は、前記ポリマーのバックボーンの一部として機能することができるか、又は処理後にイミド基の一部となる4つの結合(四価)を有する基を意味する。許容される場合、他の置換基が存在してもよいが、前記バックボーン又は前記イミド基に組み込まれることになる種類のものではない。「二価の基」の用語は、2つの指定された部分と連結されている基を意味する。前記二価の基上の許容されるいずれの置換基も、前記指定された部分と同じ種類のものではない。
本開示において、「反応生成物」の用語は、1又は複数の合成工程から形成される生成物を意味する。一般的に、本明細書で述べるポリイミドポリマーを反応生成物として形成するために用いられ得る反応は、少なくとも縮合及びイミド化反応を、また所望により末端封止反応を、含み得る。ある実施形態では、ポリイミド反応生成物は、本明細書で述べるジアミンと酸二無水物とを、縮合、イミド化、及び末端封止反応の順序で反応させることによって形成され得る。ある実施形態では、ポリイミド反応生成物は、本明細書で述べるジアミンと酸二無水物とを、縮合、末端封止、及びイミド化反応の順序で反応させることによって形成され得る。ある実施形態では、前記縮合及び末端封止反応が1工程で行われ、続いてイミド化が行われてもよい。他の実施形態では、前記縮合及び末端封止反応が2工程で行われ、続いてイミド化が行われてもよい。一般的に、本明細書で述べるポリアミック酸ポリマーを反応生成物として形成するために用いられ得る反応は、少なくとも縮合反応を、また所望により末端封止反応を、含み得る。
「アルキル」の用語は、−CH3又は−CH(CH3)2などの、直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基を意味する。「アルキレン」の用語は、−(CH2)2−などの、直鎖状又は分岐鎖状の二価飽和炭化水素基を意味する。「アルケニル」の用語は、−CH=CH−CH3などの、少なくとも1つの二重結合を有する直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を意味する。「アルキニル」の用語は、−C≡C−CH3などの、少なくとも1つの三重結合を有する直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を意味する。「シクロアルキル」の用語は、シクロヘキシルなどの、飽和環式炭化水素基を意味する。「アリール」の用語は、1又は複数の芳香族環を有する炭化水素基を意味する。アリール基の例としては、フェニル(Ph)、フェニレン、ナフチル、ナフチレン、ピレニル、アントリル、及びフェナントリルが挙げられる。「ヘテロアリール」の用語は、少なくとも1個のヘテロ原子(例:N、O、又はS)を有する1又は複数の芳香族環を有する部分を意味する。ヘテロアリール基の例としては、フリル、フリレン、フルオレニル、ピロリル、チエニル、オキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、キナゾリニル、キノリル、イソキノリル、及びインドリルが挙げられる。「脂肪族基」の用語は、直鎖状、分岐鎖状、環式、又は多環式であってよい飽和又は不飽和の非芳香族炭化水素基を意味する。所望により1若しくは複数の酸素、硫黄、若しくは窒素原子、又はこれらの混合を有する脂肪族基は、所望により1若しくは複数の酸素、硫黄、若しくは窒素原子、又はこれらを混合して有する飽和又は不飽和の炭化水素基を意味する。脂肪族基の例としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及びシクロアルキル基が挙げられる。
「1又は複数の」及び「少なくとも1つの」の用語は、交換可能に用いられる。「フィルム」及び「コーティング」の用語は、交換可能に用いられ得る。
「部分」及び「基」の用語は、交換可能に用いられる。同様に、これらの単数形も、交換可能に用いられる。
「粘着性」の用語は、基板上に形成され、依然として実質的な溶媒含有量を有するが、もはや注入性も高い流動性も有しないフィルムを表すために用いられる。
ポリイミドポリマー
ある実施形態では、本開示は、成分(a)、(b)、及び所望により(c)の反応生成物を含有するポリイミドポリマーを特徴とし、ここで(a)、(b)、及び(c)は:
(a)少なくとも1種の構造(I)のジアミン:
(b)少なくとも1種のテトラカルボン酸二無水物、及び、所望により、
(c)アミン又は酸無水物と反応性である第一の官能基と、置換又は無置換のアルケニル基及び置換又は無置換のアルキニル基から成る群より選択される少なくとも1つの第二の官能基とを有する、少なくとも1種の化合物、である。
構造(I)において、R6、R7、R8、R9、及びR10は、それぞれ独立に、Hであるか、置換若しくは無置換の、直鎖状若しくは分岐鎖状のC1〜C6アルキル基であるか、又は置換若しくは無置換のC5〜C8シクロアルキル基であり;各R11は、それぞれ独立に、Hであるか、置換若しくは無置換の、直鎖状若しくは分岐鎖状のC1〜C6アルキル基であるか、又は置換若しくは無置換のC5〜C8シクロアルキル基であり;各R12は、それぞれ独立に、Hであるか、置換若しくは無置換の、直鎖状若しくは分岐鎖状のC1〜C6アルキル基であるか、又は置換若しくは無置換のC5〜C8シクロアルキル基であり;xは0〜3の整数(すなわち、0、1、2、又は3)であり;yは0〜2の整数(すなわち、0、1、又は2)であり;各zは、それぞれ独立に、1〜4の整数である。
R6、R7、R8、R9、R10、R11、及びR12における前記置換若しくは無置換の直鎖状若しくは分岐鎖状のC1〜C6アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、アミル、ヘキシル、及び2−メチルヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。R7、R8、R9、R10、R11、及びR12における前記C5〜C8シクロアルキル基の例としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルが挙げられるが、これらに限定されない。
ある実施形態では、構造(I)において、インダン部分上の−O−(CH2)z−CH=CH2基は−C(R9R10)−基に対してパラ位にあり、他方の−O−(CH2)z−CH=CH2基は前記インダン部分に対してパラ位にある。ある実施形態では、構造(I)において、インダン部分上の−O−(CH2)z−CH=CH2基は−C(R9R10)−基に対してメタ位にあり、他方の−O−(CH2)z−CH=CH2基は前記インダン部分に対してメタ位にある。
ある実施形態では、前記インダン部分上の−NH2基は、前記インダン部分上の−O−(CH2)z−CH=CH2基に対してオルソ位にあり、フェニル部分上の−NH2基は、前記フェニル部分上の−O−(CH2)z−CH=CH2基に対してオルソ位にある。
構造(I)のジアミンの例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
ある実施形態では、本開示のポリイミドは、得られるポリイミドポリマーの溶媒(GBL及びNMPなど)への溶解度が10重量%以上である限りにおいて、構造(I)のジアミンに加え、他のジアミンから作製されてもよい。適切な追加のジアミンの例としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、3−メチル−1,2−ベンゼン−ジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメタナミン、2,5−ジアミノベンゾトリフルオリド、3,5−ジアミノベンゾトリフルオリド、1,3−ジアミノ−2,4,5,6−テトラフルオロベンゼン、4,4’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリン、3,3’−オキシジアニリン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−イソプロピリデンジアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、4,4’ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4−アミノフェニル−3−アミノベンゾエート、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス−(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス−(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1−(4−アミノフェノキシ)−3−(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ビス−(4−フェノキシアニリン)イソプロピリデン、N,N−ビス(4−アミノフェニル)アニリン、ビス(p−ベータ−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、p−ビス−2−(2−メチル−4−アミノペンチル)ベンゼン、p−ビス(1,1−ジメチル−5−アミノペンチル)ベンゼン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3’−ジクロロベンジジン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゼン]、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、(1,3’−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,6−ジアミノ−9H−チオキサンテン−9−オン、2,6−ジアミノアントラセン−9,10−ジオン、9H−フルオレン−2,6−ジアミン、1−(4−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン−5−アミン(別名称として、4,4’−[1,4−フェニレン−ビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、1−(4−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチル−2H−インデン−5−アミン、1−(4−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチル−インダン−5−アミン、[1−(4−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチル−インダン−5−イル]アミン、及び1−(4−アミノフェニル)−2,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−1H−インデン−5−アミン)、5−アミノ−6−メチル−1−(3’−アミノ−4’−メチルフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、4−アミノ−6−メチル−1−(3’−アミノ−4’−メチルフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、5,7−ジアミノ−1,1−ジメチルインダン、4,7−ジアミノ−1,1−ジメチルインダン、5,7−ジアミノ−1,1,4−トリメチルインダン、5,7−ジアミノ−1,1,6−トリメチルインダン、及び5,7−ジアミノ−1,1−ジメチル−4−エチルインダンが挙げられるが、これらに限定されない。本開示のポリマーの作成に使用されうるさらなる追加のジアミンの例としては、本願と所有者を同じくする米国特許仮出願第62/248,557号及び第62/245,562号に記載のものが挙げられる。
好ましい追加のジアミンの例としては、m−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、2,5−ジアミノベンゾトリフルオリド、3,5−ジアミノベンゾトリフルオリド、4,4’−オキシジアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、4−アミノフェニル−3−アミノベンゾエート、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス−(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1−(4−アミノフェノキシ)−3−(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ビス−(4−フェノキシアニリン)イソプロピリデン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゼン]、1,3’−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,6−ジアミノ−9H−チオキサンテン−9−オン、2,6−ジアミノアントラセン−9,10−ジオン、1−(4−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン−5−アミン(別名称として、4,4’−[1,4−フェニレン−ビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、1−(4−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチル−2H−インデン−5−アミン、1−(4−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチル−インダン−5−アミン、[1−(4−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチル−インダン−5−イル]アミン、及び1−(4−アミノフェニル)−2,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−1H−インデン−5−アミン)、5−アミノ−6−メチル−1−(3’−アミノ−4’−メチルフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、4−アミノ−6−メチル−1−(3’−アミノ−4’−メチルフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、5,7−ジアミノ−1,1−ジメチルインダン、4,7−ジアミノ−1,1−ジメチルインダン、5,7−ジアミノ−1,1,4−トリメチルインダン、5,7−ジアミノ−1,1,6−トリメチルインダン、及び5,7−ジアミノ−1,1−ジメチル−4−エチルインダンが挙げられるが、これらに限定されない。
ある実施形態では、ジアミンの合計量に対する構造(I)のジアミンのモルパーセントは、約30%以上(例:約35%以上、約40%以上、約45%以上、又は約50%以上)約100%以下(例:約95%以下、約90%以下、約80%以下、約75%以下、又は約70%以下)である。
一般的に、本明細書で述べるポリイミドポリマーを形成するためには、構造(I)のジアミン及び所望により追加のジアミンが、少なくとも1種のテトラカルボン酸二無水物と反応されてよい。好ましいテトラカルボン酸二無水物は、Y部分を備えた構造(V)を有する。
前記Y部分は、下記a)〜e)から成る群より選択される四価の有機基である。
a)置換又は無置換のC6〜C18アリール又はヘテロアリール基
b)置換又は無置換の直鎖状、分岐鎖状、環式、又は縮合多環式であるC2〜C18アルキレン基
c)置換又は無置換のヘテロ環式基
d)R31〜R41が、それぞれ独立して、水素原子、又は置換若しくは無置換の直鎖状若しくは分岐鎖状のC1〜C10アルキル基(例:部分的又は完全にハロゲンで置換されたC1〜C10アルキル基)であり、L3〜L6が、それぞれ独立して、置換若しくは無置換の炭素原子、酸素原子、硫黄原子、−(C=O)−基、−[S(=O)2]−基、又は−(S=O)−基である、構造(VI−a)、(VI−b)、(VI−c)、(VI−d)、(VI−e)、(VI−f)、(VI−g)、(VI−h)、(VI−i)、又は(VI−j)の四価の基
e)D1及びD2が、それぞれ独立に:
1.置換又は無置換の単環式又は多環式であるC5〜C18脂肪族基、及び
2.置換又は無置換のC6〜C18アリール又はヘテロアリール基
から成る群より選択され、L1が:
1.単結合、
2.置換又は無置換の直鎖状、分岐鎖状、単環式、又は多環式であるC1〜C20アルキレン基、
3.置換又は無置換のC2アルケニレン基、
4.C2アルキニレン基、
5.置換又は無置換のC6〜C18アリール又はヘテロアリール基、
6.酸素原子、
7.硫黄原子、
8.−(C=O)−基、
9.−[S(=O)2]−基、
10.−(S=O)−基、
11.−[C(=O)O]−基、
12.−[C(=O)NH]−基、及び
13.n3が1〜約6の範囲内の整数であり、R61及びR62が、それぞれ独立に、水素原子、又は置換若しくは無置換の直鎖状若しくは分岐鎖状であるC1〜C6アルキル基(例:部分的又は完全にハロゲンで置換されたC1〜C6アルキル基)である、−[O(C(R61)2(CR62)2O)n3]−基
から成る群より選択される二価の連結基である、四価の基[D1−L1−D2]。
二価の連結基L1の例としては、限定されないが、以下に示される連結基が挙げられ、ここで、n3は、上述の定義通りであり、n4及びn5は、それぞれ独立に、1〜約6の範囲内の整数である。
Yの適切な例としては、以下の部分が挙げられるが、これらに限定されない。
前記Y部分を有する適切なテトラカルボン酸二無水物モノマーの例としては、ピロメリット酸二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、フェナントレン−8,9,10−テトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタ−7−エン−3,4,8,9−テトラカルボン酸二無水物、テトラシクロ[4.4.1.02,5.07,10]ウンデカン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物、エチレングリコールビス(無水トリメリテート)、及び5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物が挙げられるが、これらに限定されない。
前記Y部分を有する好ましいテトラカルボン酸二無水物モノマーの例としては、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタ−7−エン−3,4,8,9−テトラカルボン酸二無水物、テトラシクロ[4.4.1.02,5.07,10]ウンデカン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物、エチレングリコールビス(無水トリメリテート)、及び5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物が挙げられるが、これらに限定されない。
ある実施形態では、テトラカルボン酸二無水物モノマーの例としては、以下が挙げられる。
ある実施形態では、構造(I)のジアミン(及び所望により追加のジアミン)は、少なくとも1種のテトラカルボン酸二無水物と反応して、構造(VII)のポリアミック酸を生じる。
ここで、Xの少なくとも一部は、構造X1である。
構造X1において、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、x、y、及びzは、上記で定義された通りである。
構造(VII)のポリアミック酸は、当業者に公知である数多くの合成手順又はこれらの手順の変型例によって合成され得る。一般的に、構造(VII)のポリアミック酸は、1又は複数のジアミンと1又は複数のテトラカルボン酸二無水物との縮合重合反応を介して形成され得る。例えば、1又は複数のジアミンと1又は複数のテトラカルボン酸二無水物とが、前記モノマー、そして好ましくは、得られる前記ポリアミック酸を溶解するのに適する溶媒の存在下で、接触され得る。
ある実施形態では、ポリアミック酸を作製するために、前記ジアミン成分及びテトラカルボン酸二無水物成分が、同時に、又は固体若しくは溶液の形態の前記成分のうちの一方を前記他方の成分の溶液へ投入することによって(すべての物質の完全な溶解は起こらない可能性がある)、反応容器中へ投入される。前記両成分を同時に投入することは、投入に要する時間が短縮されることから、生産性の観点から有利である。一般的に、前記ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分との前記縮合重合反応は、約15℃〜約80℃において、約1〜約48時間にわたって行われ得る。
本発明において有用である適切な重合溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ガンマ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセタミド、テトラメチレンスルホン、p−クロロフェノール、m−クレゾール、ジエチレングリコールメチルエーテル、メチル−3−メトキシプロプリオネート(methyl-3-methoxyproprionate)、エチル−3−エトキシプロピオネート、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及び2−クロロ−4−ヒドロキシトルエンが挙げられるが、これらに限定されない。これらの溶媒は、単独で、又は2つ以上の組み合わせで用いられてもよい。これらの溶媒の中で、N−メチル−2−ピロリドン、ガンマ−ブチロラクトン、及びN,N−ジメチルアセタミドが好ましく、N−メチル−2−ピロリドンがより好ましい。ある実施形態では、これらの溶媒と組み合わせて、前記ポリイミドに対する貧溶媒が、前記ポリアミック酸を析出させない量で用いられてもよい。かかる貧溶媒の例としては、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、及びo−ジクロロベンゼンが挙げられる。用いられる前記貧溶媒の量は、好ましくは、前記溶媒の合計量に対して50重量パーセント以下(ゼロを含む)である。こうして作製される前記ポリアミック酸は、非溶媒又は貧溶媒中で析出させることによって単離され、ろ過によって回収され得る。
ある実施形態では、テトラカルボン酸二無水物成分に対するジアミン成分のモル比は、1.00超であってよい。得られる種は、アミノ末端を有するポリアミック酸(例:構造(VIIa)のポリアミック酸)である。テトラカルボン酸二無水物成分に対するジアミン成分のモル比は、概して1.01〜1.40の範囲内であってよい。ある実施形態では、テトラカルボン酸二無水物に対するジアミンのモル比として、約1.05〜1.33が用いられる。ある実施形態では、テトラカルボン酸二無水物に対するジアミンのモル比として、約1.05〜1.25が用いられる。ある実施形態では、テトラカルボン酸二無水物に対するジアミンのモル比として、約1.05〜1.20が用いられる。
ジアミンに対して過剰のテトラカルボン酸二無水物が用いられる場合、テトラカルボン酸二無水物に対するジアミンの適切なモル比は、約0.8〜約0.99の範囲内である。テトラカルボン酸二無水物に対するジアミンの好適なモル比は、約0.83〜約0.98の範囲内である。ある実施形態では、テトラカルボン酸二無水物に対するジアミンの好適なモル比は、約0.87〜約0.98の範囲内である。ある実施形態では、テトラカルボン酸二無水物に対するジアミンの好適なモル比は、約0.91〜約0.98の範囲内である。モル過剰のテトラカルボン酸二無水物が用いられる場合、無水物末端を有するポリアミック酸(例:構造(VIIb)のポリアミック酸)が作製される。
当業者であれば、構造(VIIa)及び(VIIb)のポリアミック酸を本開示のポリイミドポリマーへ変換するための複数の合成経路が存在することを理解するであろう。1つの経路は、化学イミド化技術又は熱イミド化技術を用いて構造(VIIa)及び(VIIb)のポリアミック酸をイミド化し、構造(VIIIa)及び(VIIIb)のポリイミドを形成することである。この反応に続いて、前記末端基と反応性である第一の官能基と、置換又は無置換のアルケニル基及び置換又は無置換のアルキニル基から選択される少なくとも1つの第二の官能基と、を有する化合物を用いて、前記末端基(例:構造(VIIa)中の末端NH2、及び構造(VIIb)中の末端無水物)の末端封止反応が行われ得る。別の選択肢として、構造(VIIa)又は構造(VIIb)中の前記末端基の前記末端封止反応がまず行われ、続いて化学イミド化又は熱イミド化が行われてもよい。
別の合成経路は、ラジカル感受性基、酸反応性基、及び前記縮合反応に干渉せず、後で官能化することのできる官能基から選択される追加の官能基を有するモノアミン又は一無水物を、前記重合反応中に含めることである。かかる実施形態では、前記末端封止反応は、前記イミド化反応と一緒に行われる。
前記熱イミド化は、例えば、約100℃〜約400℃(例:約200℃〜約300℃、又は約250℃)の範囲内の温度において、固相で行われ得る。別の実施形態では、前記熱イミド化は、約100℃〜約250℃の範囲内の温度において、溶液中で行われ得る。前記熱処理がこの温度範囲内で行われる場合、イミド化反応性を所望される範囲内に制御することができ、未反応のポリアミック酸が最小限に抑えられる。ある実施形態では、この方法による熱イミド化は、前記ポリマー末端基の反応の前に行われるのが最適である。
前記ポリアミック酸は、共沸熱処理手順を用いて脱水されてもよい。この反応の例は、米国特許第5478915号に記載されている。例えば、前記ポリアミック酸の合成が完了した後、トルエンが添加され、前記溶液は、ディーンスタークトラップで水を回収しながら155℃で共沸還流される。
ある実施形態では、構造(VIIIa)又は(VIIIb)のポリイミドは、化学イミド化によって作製される。例えば、化学イミド化剤(例:脱水剤)が、構造(VIIa)又は(VIIb)のポリアミック酸に添加されてよい。この化学イミド化剤は、前記ポリアミック酸基の閉環脱水プロセスを触媒して、前記ポリマーバックボーンにイミド官能基を形成することができる。前記ポリアミック酸が合成後に単離される場合は、前記ポリアミック酸は、相溶性溶媒中に再溶解されてよい。通常、化学イミド化が用いられる場合、前記イミド化反応は、前記ポリアミック酸を単離することなく行われる。
前記ポリアミック酸をイミド化するために、適切な脱水剤が、単独で、又は非求核塩基と組み合わせて用いられてもよい。適切な脱水剤の例としては、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ペルフルオロブタンスルホン酸、無水酢酸、無水プロピオン酸、及び無水酪酸が挙げられるが、これらに限定されない。用いられる場合、用いられる前記非求核塩基は、前記末端封止反応で用いられる非求核塩基と同一であっても、又は異なっていてもよい。適切な非求核塩基の例としては、ピリジン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、2−メチルピリジン、2,6−ルチジン、3,5−ルチジン、ピコリン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)などが挙げられるが、これらに限定されない。
ある実施形態では、前記化学イミド化プロセスは、適切な脱水剤及び非求核塩基と共に、約60℃〜約130℃で、約6時間〜約48時間にわたって行われる。前記脱水剤及び非求核塩基は、等モル濃度で用いられてよい。別の実施形態では、非求核塩基に対する脱水剤のモル比は、約1.1〜約10である(例:約1.25〜5、又は約1.5〜約3.0)。1つの実施形態では、混合物中に存在する前記ポリアミック酸の合計量に対して約90モル%〜200モル%の脱水剤が、前記イミド化反応を完了するために用いられる。好ましくは、100モル%〜160モル%の脱水剤が、前記イミド化プロセスを完了するために用いられる。
イミド化による構造(VIIIa)又は(VIIIb)のポリイミドの形成は、イミド環構造に帰属される1770〜1700cm−1の赤外スペクトルにおける特徴的な吸収を観察することによって確認することができる。ある実施形態では、本開示のポリマーは、少なくとも約90%(例:少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99、又は約100%)イミド化されている。
構造(VIIa)及び(VIIIa)のポリマーの前記末端NH2基は、所望により、アミンと反応性である第一の官能基と、置換又は無置換のアルケニル基(例〜C2〜C6アルケニル基)及び置換又は無置換のアルキニル基(例〜C2〜C6アルキニル基)から選択される少なくとも1つの第二の官能基と、を有する末端封止化合物との反応によって、末端封止されてよい。かかる末端封止化合物の例としては、置換又は無置換のアルケニル基及び置換又は無置換のアルキニル基から選択される少なくとも1つの第二の官能基をさらに有する酸塩化物化合物、ジカルボン酸無水物、エポキシド化合物、及びイソシアネート化合物が挙げられるが、これらに限定されない。置換アルケニル基の例としては、限定されないが、アクリレート、メタクリレート、スチルベン、及びビニルエーテルが挙げられる。アルキニル基上の置換基の例としては、限定されないが、アルキル(例:Me又はEt)、アリール(例:フェニル又は置換フェニル)、アルカノイル(例:アセチル)、及びアロイル(例:ベンゾイル)が挙げられる。
前記末端NH2基に対して反応性である第一の官能基を有し、さらに置換又は無置換のアルケニル基及び置換又は無置換のアルキニル基から選択される少なくとも1つの第二の官能基を有する末端封止化合物の例としては、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
構造(VIIa)及び(VIIIa)のポリマーを末端封止するための前記反応性官能基として、無水物が用いられる場合、ポリアミック酸が生成される。構造(VIIa)のポリマーの末端ポリアミック酸は、前記バックボーンポリアミック酸がイミド化される際にイミド化され得る。構造(VIIIa)のポリマーの末端ポリアミック酸は、自発的に、若しくは単離及び乾燥の過程でイミド化され得るか、又は穏和な加熱下若しくは最小限の脱水剤によって容易にイミド化され得る。
構造(VIIb)及び(VIIIb)のポリマーの末端無水物基は、無水物と反応性である第一の官能基を有し、さらに置換又は無置換のアルケニル基及び置換又は無置換のアルキニル基から選択される少なくとも1つの第二の官能基を有する化合物との反応によって、末端封止され得る。かかる化合物の例としては、置換又は無置換のアルケニル基及び置換又は無置換のアルキニル基から選択される少なくとも1つの第二の官能基をも有するアミン化合物、アルコール、及びチオールが挙げられるが、これらに限定されない。
これらの基準を満たす反応性基を有する適切な末端封止化合物の例としては、限定されないが、以下の化合物が挙げられる。
場合によっては、前記末端無水物基との反応を促進するために、非求核塩基が用いられ得る。適切な非求核塩基の例としては、ピリジン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、2−メチルピリジン、2,6−ルチジン、3,5−ルチジン、ピコリン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)などが挙げられるが、これらに限定されない。
構造(VIIb)及び(VIIIb)のポリマーが、アミン含有化合物で末端封止される場合、ポリアミック酸が生成される。この状況では、構造(VIIb)のポリマーがイミド化される際に、前記末端部もイミド化される。アミン含有化合物による構造(VIIIb)のポリマーの前記末端封止から得られた前記ポリアミック酸は、単離することができる。別の選択肢として、前記末端ポリアミック酸は、前記ポリイミドの形成の過程で、又は形成後に、熱イミド化又は化学イミド化されてもよい。
ある実施形態では、本開示の生成ポリイミドは、水及び/又は有機溶媒中への析出によって単離され、ろ過によって回収され、乾燥されてよい。別の実施形態では、本開示のインダン含有ポリイミドは、その溶液を、水と適切な水不混和性溶媒との混合物に添加することによって単離されてもよい。前記ポリイミドポリマー中のインダン部分の極性がより低いという性質のために、より低い極性の水不混和性溶媒中の溶解度がより高いことから、ほとんどのポリイミドとは異なり、本開示のポリイミドを、より高い極性の反応溶媒/水混合物から抽出することができる。この抽出されたポリマー溶液は、水で洗浄することによって精製されてよく、続いて水層の分離、様々な揮発性化合物の蒸留、及びそれに続いての高沸点溶媒中への抽出が行われてよい。
本開示のポリイミドは、一般的に、約120ppm/℃未満、好ましくは、約80ppm/℃未満、より好ましくは、約60ppm/℃未満のCTEを有し、ガンマ−ブチロラクトン(GBL)、シクロペンタノン(CP)、及びジメチルスルホキシド(DMSO)、並びにこれらの混合物などの有機溶媒に可溶性である。1つの実施形態では、本開示のポリイミドは、約50ppm/℃〜約70ppm/℃のCTEを有する。1つの実施形態では、本開示のポリイミドは、約40ppm/℃〜約60ppm/℃のCTEを有する。1つの実施形態では、本開示のポリイミドは、約40ppm/℃未満のCTEを有する。加えて、一般的に、本開示のポリイミドポリマーは、GBL、CP、DMSO、及び/又はこれらの混合物でありうる溶媒に対して約20グラム/100グラム溶媒〜約40グラム/100グラム溶媒の溶解度を有する。
本開示のポリイミドは、一般的に、2000ダルトン〜100000ダルトン、好ましくは、6000ダルトン〜40000ダルトン、より好ましくは、8000ダルトン〜30000ダルトンの重量平均分子量(GPCを用い、ポリスチレン標準を用いて測定)を有する。
ポリイミド含有組成物
ある実施形態では、本開示は:
(A)上述の成分(a)、(b)、及び所望により(c)の反応生成物(例:縮合及びイミド化生成物)を含む少なくとも1種のポリイミドポリマー;
(B)前記ポリイミドポリマー上の置換若しくは無置換のアルケニル基又は置換若しくは無置換のアルキニル基と反応することができる少なくとも1つの官能基を有する少なくとも1種の反応性官能性化合物(RFC);
(C)前記ポリイミドポリマー上の置換若しくは無置換のアルケニル基又は置換若しくは無置換のアルキニル基と前記RFCとの反応を(例えば、熱、光、又はその他の放射線の存在下において)開始することができる開始剤;並びに
(D)少なくとも1種の溶媒
を含む組成物(例:感光性組成物)を特徴とする。
成分(B)の前記反応性官能性化合物(RFC)は、一般的に、前記ポリイミドポリマー上の末端官能基(例:上述のポリイミドポリマー上の前記第二の官能基)と反応することができる官能基を少なくとも1つ有する。前記RFCは、モノマー又はオリゴマーであってよい。前記オリゴマーは、多くのモノマー単位を有していてよく、最終物質にさらなる反応を組込むことができる。かかるモノマー単位/オリゴマーの例は、以下の種類:アクリレート、エステル、ビニルアルコール、ウレタン、尿素、イミド、アミド、カルボキサゾール、カーボネート、ピラノース、シロキサン、尿素−ホルムアルデヒド、及びメラミン−ホルムアルデヒド、のうちの1又は複数をベースとしている。前記RFCは、一般的に、前記ポリイミドポリマー上の置換又は無置換のアルケニル基及び置換又は無置換のアルキニル基から選択される前記少なくとも1つの第二の官能基との放射線、熱、又は酸触媒反応を可能とする末端及び/又はペンダント反応性官能基を少なくとも1つ有する。1つの実施形態では、前記RFC上の前記反応性官能基は、二重結合又は三重結合を含む。
前記RFC上の反応性官能基の適切な例としては、ビニル基、アリル基、ビニルエーテル基、プロペニルエーテル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、−SiH基、及び−SH(チオール)基が挙げられるが、これらに限定されない。
1つの実施形態では、RFCの適切な例としては、ウレタンアクリレートオリゴマーが挙げられるが、これに限定されない。ウレタンアクリレートオリゴマーとの用語は、ウレタンマルチ(メタ)アクリレート、マルチウレタン(メタ)アクリレート、及びマルチウレタンマルチ(メタ)アクリレートなど、ウレタン結合を有し且つ(メタ)アクリレート(例:アクリレート又はメタクリレート)官能基を有する化合物のクラスを意味する。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの種類は、例えば、Coady et al.による米国特許第4,608,409号及びChisholm et al.による米国特許第6,844,950号に記載されている。RFCの他の具体例としては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エトキシル化ビスフェノール−A−ジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ−/ヘキサ−(メタ)アクリレート、イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)−イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールトリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールトリ(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート変性尿素−ホルムアルデヒド樹脂、(メタ)アクリレート変性メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、及び(メタ)アクリレート変性セルロースが挙げられる。
チオール基を有するRFC化合物の例としては、トリメチロールプロパントリス(メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトアセテート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、及びエトキシル化トリメチロールプロパントリ−3−メルカプトプロピオネートが挙げられるが、これらに限定されない。ビニルエーテル基を有するRFC化合物の例としては、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)ビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、及びビス[4−(ビニルオキシ)ブチル](4−メチル−1,3−フェニレン)ビスカルバメートが挙げられるが、これらに限定されない。SiH基を有するRFC化合物の一例は、Hybrid Plasticsから入手可能であるオクタシランPOSS(登録商標)SH1310である。エポキシド基を有するRFC化合物の例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル及び1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
前記組成物中に用いられる成分(C)の前記開始剤(例:光開始剤)は、前記組成物又は前記組成物の一部が光及び/又は熱に曝露された場合に、前記ポリイミドポリマー上の前記第二の官能基と前記反応性官能性化合物との反応を開始することができる化合物である。前記組成物中に用いられる開始剤には、加熱された際に、又は露光波長の光を吸収することによって、フリーラジカルを発生させることで機能するものがある。前記組成物中に用いられる開始剤には、加熱された際に、又は露光波長の光を吸収することによって、酸を発生させることで機能するものもある。前記組成物中に用いられる開始剤には、加熱された際に、又は露光波長の光を吸収することによって、塩基性化合物を発生させることで機能するものもある。フリーラジカル光開始剤の例は、BASF製の1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(Irgacure184)である。光活性開始剤の例は、Aldrich製のカタログ番号526940のトリフェニルスルホニウムトリフレートなどの光酸発生剤である。ある実施形態では、本明細書で述べる開始剤は、前記ポリイミドポリマー上の前記第二の官能基と前記反応性官能性化合物との反応も触媒することができ、したがって、触媒としても作用する。
加熱された際にフリーラジカルを発生させる開始剤の具体例としては、ベンゾイルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−アミルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、コハク酸ペルオキシド、ジ(n−プロピル)ペルオキシジカーボネート、2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2−アゾビスイソブチレート、4,4−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などが挙げられるが、これらに限定されない。
高エネルギー放射線に露光された際にフリーラジカルを発生させる開始剤(光開始剤としても知られる)の具体例としては、NCI−831(株式会社ADEKA製)、1,8−オクタンジオン、1,8−ビス[9−(2−エチルヘキシル)−6−ニトロ−9H−カルバゾール−3−イル]−1,8−ビス(O−アセチルオキシム)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF製Irgacure184)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとベンゾフェノンとのブレンド(BASF製Irgacure500)、2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド(BASF製Irgacure1800、1850、及び1700)、2,2−ジメトキシル−2−アセトフェノン(BASF製Irgacure651)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニル−ホスフィンオキシド(BASF製Irgacure819)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(BASF製Irgacure907)、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド(BASF製Lucerin TPO)、エトキシ(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(BASF製Lucerin TPO−L)、ホスフィンオキシドとヒドロキシケトンとベンゾフェノン誘導体とのブレンド(Sartomer製ESACURE KTO46)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(Merck製Darocur1173)、ベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンゾジメチルケタール、1,1,1−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、m−クロロアセトフェノン、プロピオフェノン、アントラキノン、ジベンゾスベルロンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
非イオン性の種類の光活性開始剤の具体例は、(5−トルイルスルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−2−メチルフェニル−アセトニトリル(BASF製Irgacure121)、フェナシルp−メチルベンゼンスルホネート、ベンゾインp−トルエンスルホネート、(p−トルエン−スルホニルオキシ)メチルベンゾイン、3−(p−トルエンスルホニルオキシ)−2−ヒドロキシ−2−フェニル−1−フェニルプロピルエーテル、N−(p−ドデシルベンゼンスルホニルオキシ)−1,8−ナフタルイミド、N−(フェニル−スルホニルオキシ)−1,8−ナフタルイミド、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、1−p−トルエンスルホニル−1−シクロヘキシルカルボニルジアゾメタン、2−ニトロベンジルp−トルエンスルホネート、2,6−ジニトロベンジルp−トルエンスルホネート、及び2,4−ジニトロベンジルp−トリフルオロメチルベンゼンスルホネートなどである。
イオン性の種類の光活性開始剤の具体例は、トリフェニルスルホニウムメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムペルフルオロオクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム4−メチルフェニルスルホネート、4−メチルフェニル−ジフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリアリールスルホニウムビス(トリメチルスルホニル)イミド、トリアリールスルホニウムトリス(トリメチルスルホニル)メチド、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロプロパンスルホネート、ジフェニルヨードニウム4−メチルフェニルスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロメタンスルホネート、及びビス(4−シクロヘキシルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネートなどである。
本開示の組成物において有用である適切な溶媒(D)としては、アルコール、ケトン、ラクトン、エーテル、アミド、イミド、及びエステルが挙げられ得る。前記溶媒は、典型的には、前記組成物のすべての成分を溶解し、良好なフィルムをキャストするべきであり、前記組成物の化合反応(例:成分(A)と(B)との架橋反応)を妨げてはならない。有機溶媒の適切な例としては、ガンマ−ブチロラクトン(GBL)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセタミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジエチルホルムアミド、ジエチルアセタミド、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、2−ヘプタノン、シクロペンタノン(CP)、シクロヘキサノン、n−ブチルアセテート(nBA)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、エチルラクテート(EL)、プロピルラクテート、3−メチル−3−メトキシブタノール、テトラリン、イソホロン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、メチル3−メトキシプロピオネート、エチル3−エトキシプロピオネート、ジエチルマロネート、エチレングリコール 1,4:3,6−ジアンヒドロソルビトール,2,5−ジメチルエーテル(2,5−ジメチルイソソルビド)、1,4:3,6−ジアンヒドロソルビトール2,5−ジエチルエーテル(2,5−ジエチルイソソルビド)、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい溶媒は、ガンマ−ブチロラクトン(GBL)、シクロペンタノン(CP)、シクロヘキサノン、2,5−ジメチルエーテル(2,5−ジメチルイソソルビド)、エチルラクテート(EL)、及びジメチルスルホキシド(DMSO)である。これらの溶媒は、単独で、又は組み合わせて用いられてよい。
ある実施形態では、ポリイミド(A)の量は、前記組成物の総重量に対して、好ましくは、約2〜約50重量%、より好ましくは、約5〜約45重量%、さらにより好ましくは、約10〜約40重量%である。
ある実施形態では、少なくとも1つの反応性官能基を有する成分(B)の量は、前記組成物の総重量に対して、好ましくは、約1〜約25重量%、より好ましくは、約2〜約20重量%、さらにより好ましくは、約5〜約15重量%である。
ある実施形態では、成分(C)の量は、前記組成物の総重量に対して、好ましくは、約0.0001〜約20重量%、より好ましくは、約0.01〜約15重量%、さらにより好ましくは、約1〜約10重量%である。
ある実施形態では、成分(D)の量は、前記組成物の総重量に対して、好ましくは、約40〜約98重量%、より好ましくは、約50〜約95重量%、さらにより好ましくは、約60〜約90重量%である。
接着促進剤、界面活性剤、及び可塑剤などであるがこれらに限定されない他の添加剤が、本開示の組成物に添加されてもよい。追加の添加剤の量は、前記組成物の総重量に対して、0%〜約15%の範囲内であってよい。
適切な接着促進剤は、“Silane Coupling Agent”Edwin P.Plueddemann,1982 Plenum Press,New Yorkに記載されている。接着促進剤のクラスとしては、ビニルアルコキシシラン、メタクリロキシアルコキシシラン(例:3−メタクリル−オキシプロピルジメトキシ−メチルシラン及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)、メルカプトアルコキシシラン、アミノアルコキシシラン、エポキシアルコキシシラン、及びグリシジルオキシアルコキシシランが挙げられるが、これらに限定されない。
本開示の組成物中に用いられ得る適切な接着促進剤の例は、構造(XIV)で表すことができる。
ここで、R81及びR82は、独立して、置換若しくは無置換のC1〜C10直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、又は置換若しくは無置換のC3〜C10シクロアルキル基であり、pは、1〜3の整数であり、n6は、1〜6の整数であり、R83は、以下の部分のうちの1つであり:
ここで、R84、R85、R86、及びR87は、独立してC1〜C4アルキル基、又はC5〜C7シクロアルキル基である。好ましい接着促進剤は、R83が以下から選択されるもの(メタクリレート/アクリレートを含む)である。
構造(XIV)を有する適切な接着促進剤の例としては、ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、ガンマ−グリシジルオキシプロピル−メチルジエトキシシラン、グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、及びガンマ−メルカプトプロピル−メチルジメトキシシランが挙げられるが、これらに限定されない。
ある実施形態では、前記接着促進剤は、チオール基を持たないケイ素化合物を含有する。ある実施形態では、前記接着促進剤は、アクリル部分を持たないケイ素化合物を含有する。ある実施形態では、前記接着促進剤は、エポキシ基を持たないケイ素化合物を含有する。
前記所望により含まれうる接着促進剤が用いられる場合、その濃度は、前記組成物の総重量に対して約0.1重量%〜約5重量%の範囲内である。接着促進剤の好ましい量は、約0.2重量%〜約1.5重量%である。接着促進剤のより好ましい量は、約0.3重量%〜約1重量%である。
本開示の組成物はまた、所望により、少なくとも1つの界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤が用いられる場合、本開示の組成物の総重量に対して、約0.001〜約2重量%で、好ましくは、約0.01〜約1重量%で添加されうる。適切な界面活性剤の例としては、特開昭62−36663号、特開昭61−226746号、特開昭61−226745号、特開昭62−170950号、特開昭63−34540号、特開平7−230165号、特開平8−62834号、特開平9−54432号、及び特開平9−5988号に記載の界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。
本開示の組成物は、所望により、少なくとも1つの可塑剤を含有していてもよい。前記所望により存在してよい可塑剤の濃度は、用いられる場合、前記組成物の総重量に対して約1重量%〜約10重量%の範囲内であってよい。可塑剤の好ましい量は、約2重量%〜約10重量%であってよい。
ある実施形態では、上述の組成物を用いて、本明細書で述べるドライフィルム構造体のポリマー層が作製され得る。かかる組成物は、少なくとも1つのナノ粒子(例:複数のナノ粒子)をさらに含んでよい。前記ナノ粒子は、1又は複数のポリマー、無機材料、及び/又は金属から作製されてよい。この用途に適する前記ナノ粒子は、好ましくは、200μm未満の直径であり、本開示の組成物の他の成分と適合性を有する。かかるナノ粒子の例は、その内容が参照により本明細書に援用される米国特許第6,291,070号及び同第6,844,950号に見出される。理論に束縛されるものではないが、前記ナノ粒子は、前記ドライフィルム構造体の前記ポリマー層の機械的特性(例:CTE)及び電気的特性(例:誘電性)を改善し得るものと考えられる。
ナノ粒子の例としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化ハフニウム、CdSe、CdS、CdTe、CuO、酸化亜鉛、酸化ランタン、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化ストロンチウム、酸化カルシウムチタン、チタン酸ナトリウム、及びニオブ酸カリウムが挙げられる。前記ナノ粒子は、表面処理されたナノ粒子であっても、又は未処理のナノ粒子であってもよい。
ある実施形態では、本開示の組成物は、上述のポリイミドポリマーと連続相を形成する第二のポリマーを含む。ある実施形態では、本開示の組成物は、上述のポリイミドポリマーと非連続相を形成するポリマーを実質的に含まない。
本開示はまた、本明細書で述べる組成物を様々な目的のために用いる方法も特徴とする。例えば、ある実施形態では、コート基板を形成するために、前記方法は、以下の工程:
a)本開示の組成物で基板をコーティングして、前記基板上にフィルム(例:粘着性フィルム)を有するコート基板を形成すること、及び
b)前記コート基板を乾式加熱して(例:約50℃〜約200℃の温度)、乾燥されたフィルムを有するコート基板を形成すること
を含み得る。
ある実施形態では、非パターン化コーティング基板を形成するために、前記方法は、以下の工程:
a)本開示の組成物で基板をコーティングして、前記基板上にフィルム(例:粘着性フィルム)を有するコート基板を形成すること;
b)第一の乾式加熱工程において、前記コート基板を乾式加熱して(例:約50℃〜約150℃の温度)、乾燥されたフィルムを有するコート基板を形成すること;
c)前記乾燥されたフィルムを熱又は放射線に曝露して、乾燥され曝露されたフィルムを有するコート基板を形成すること、及び
d)所望により、第二の乾式加熱工程において、乾燥され曝露されたフィルムを有する前記コート基板を乾式加熱すること(例:約50℃〜約200℃の温度)
を含み得る。
ある実施形態では、前記方法は、本明細書で述べる組成物を用いてパターン化されたレリーフイメージを作製するためのリソグラフィ法である。かかる実施形態では、本明細書で述べる組成物は、ネガティブ感光性樹脂組成物として用いられ得る。かかる実施形態では、前記方法は:
a)本開示の組成物で基板をコーティングして、前記基板上にフィルム(例:粘着性フィルム)を有するコート基板を形成すること;
b)第一の乾式加熱工程において、前記コート基板を乾式加熱して(例:約50℃〜約150℃の温度)、乾燥されたフィルムを有するコート基板を形成すること;
c)前記乾燥されたフィルムを、マスク又はテンプレートを介して放射線に露光して、乾燥されパターン露光されたフィルムを有するコート基板を形成すること;
d)所望により、第二の乾式加熱工程において、乾燥されパターン露光されたフィルムを有する前記コート基板を乾式加熱して(例:約50℃〜約150℃の温度)、前記フィルムの前記露光された部分を架橋又は硬化すること;
e)前記乾燥されパターン露光されたフィルムの一部分を現像剤(例:溶媒又は溶媒の混合物を含有する)で現像して、前記基板上にレリーフイメージを形成すること(例:前記現像剤を、前記フィルムの未露光部分の少なくとも一部と接触させることによって)、及び
f)所望により、前記基板上の前記レリーフイメージを、溶媒又は溶媒の混合物でリンスすること、及び;
g)所望により、第三の乾式加熱工程において、レリーフイメージを有する前記基板を乾式加熱すること(例:約50℃〜約200℃の温度)
を含み得る。
ある実施形態では、前記基板の前記コーティングは、スピンコーティング、スリットコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、及びインクジェットを含むがこれらに限定されない適切ないかなる方法によって行われてもよい。当業者であれば、任意の用途に対してどのコーティング法が適するかが分かるであろう。
ある実施形態では、前記第一、第二、又は第三の乾式加熱工程は、一定温度での、又は1〜20℃/分の速度での昇温によるホットプレート上での接触加熱又は近接加熱を用いて行われてよい。ある実施形態では、前記第一、第二、又は第三の乾式加熱工程は、オーブン中、真空下又は大気圧下のいずれかにおいて、一定温度で、又は1〜20℃/分の速度での昇温によって行われてもよい。用いられる乾式加熱法に関わらず、前記第一、第二、又は第三の乾式加熱工程は、単一工程又は複数工程のいずれで行われてもよい。適切な乾式加熱手段の例としては、限定されないが、ホットプレート、赤外ランプ、対流オーブン、及びインクジェット印刷ヘッド上の発熱体が挙げられる。当業者であれば、任意の用途に対してどの乾式加熱法が適するかが分かるであろう。
ある実施形態では、光、又は他の放射線(例:紫外光、可視光、電子ビーム放射線、又はX線)を用いた前記露光工程は、前記具体的な組成物中の前記開始剤に対して適するように行われる。i−線(365nm)、h−線(405nm)、又はg−線(436nm)のUV光を用いることが好ましい。一般的に、前記露光工程の結果として、前記組成物を硬化又は架橋することができ、前記続いての現像工程において溶解されなくなる。当業者であれば、任意の用途に対してどの種類の高エネルギー放射線が適するかが分かるであろう。
ある実施形態では、マスク又はテンプレートを介しての前記フィルムの光又は他の放射線への露光後、未露光部分は、現像液を用いることによって除去され、パターンが形成される。現像剤の好ましい例としては、有機溶媒又は有機溶媒の混合物が挙げられる。有機溶媒の適切な例としては、ガンマ−ブチロラクトン(GBL)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセタミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジエチルホルムアミド、ジエチルアセタミド、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、2−ヘプタノン、シクロペンタノン(CP)、シクロヘキサノン、n−ブチルアセテート(nBA)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、エチルラクテート(EL)、プロピルラクテート、3−メチル−3−メトキシブタノール、テトラリン、イソホロン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、メチル3−メトキシプロピオネート、エチル3−エトキシプロピオネート、ジエチルマロネート、エチレングリコール 1,4:3,6−ジアンヒドロソルビトール2,5−ジメチルエーテル(2,5−ジメチルイソソルビド)、1,4:3,6−ジアンヒドロソルビトール2,5−ジエチルエーテル(2,5−ジエチルイソソルビド)、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい溶媒は、ガンマ−ブチロラクトン(GBL)、シクロペンタノン(CP)、シクロヘキサノン、2,5−ジメチルエーテル(2,5−ジメチルイソソルビド)、エチルラクテート(EL)、n−ブチルアセテート(nBA)、及びジメチルスルホキシド(DMSO)である。これらの溶媒は、前記イメージの質を改善するために、単独で、又は2つ以上を組み合わせて用いられてよい。
ある実施形態では、前記現像は、上述の現像剤を前記露光されたフィルム上にスプレーすること、前記基板を現像剤中に浸漬すること又は前記現像剤中に浸漬した状態で前記基板に超音波を適用すること、前記基板を回転させながら前記現像剤をスプレーすることなど、適切ないかなる方法によって行われてもよい。当業者であれば、任意の用途に対してどの現像方法が適するかが分かるであろう。現像時間は、約20秒間〜約3分間の範囲内であってよい。ある実施形態では、前記現像時間は、約30秒間〜約2分間の範囲内であってよい。ある実施形態では、前記現像時間は、約45秒間〜約90秒間の範囲内であってよい。ある実施形態では、複数の現像工程が用いられてもよい。ある実施形態では、2又は3つの現像工程が用いられてよい。ある実施形態では、2又は3つの現像工程が用いられ、各現像工程は、約25秒間〜約45秒間を要する。
ある実施形態では、前記現像後、所望により行われるリンス処理が、有機リンス溶媒を用いて行われてもよい。有機リンス溶媒の適切な例としては、限定されないが、イソプロピルアルコール、メチルイソブチルカルビノール(MIBC)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、アミルアルコールなどのアルコール、n−ブチルアセテート(nBA)、エチルラクテート(EL)、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)などのエステル、シクロペンタノン(CP)などのケトン、並びにこれらの混合物が挙げられる。リンス溶媒を用いて前記リンス処理が実施され、残渣が除去され得る。
ある実施形態では、前記第一の乾式加熱工程温度は、約50℃〜約120℃である。ある実施形態では、前記第一の乾式加熱工程温度は、約70℃〜約120℃である。ある実施形態では、前記第一の乾式加熱工程温度は、約80℃〜約120℃である。
ある実施形態では、第二の乾式加熱工程が、現像の前に組み込まれてもよい。ある実施形態では、前記第二の乾式加熱工程温度は、約40℃〜約150℃である。ある実施形態では、前記第二の乾式加熱工程温度は、約50℃〜約120℃である。ある実施形態では、前記第二の乾式加熱工程温度は、約50℃〜約110℃である。
ある実施形態では、第三の乾式加熱工程が、現像の後に組み込まれてもよい。ある実施形態では、前記第三の乾式加熱工程温度は、約100℃〜約200℃である。ある実施形態では、前記第三の乾式加熱工程温度は、約120℃〜約180℃である。
ある実施形態では、基板上に形成された前記フィルムの厚さは、好ましくは、0.5μm〜200μmである。用いられるおおよそのフィルム厚さは、具体的な用途によって決定されることになる。当業者であれば、どのフィルム厚さ又はフィルム厚さの範囲が適しているかが分かるであろう。
ドライフィルム構造体
本開示のある実施形態は、キャリア基板、保護層、及び前記キャリア基板と前記保護層との間のポリマー層を含むドライフィルム構造体に関する。前記ポリマー層は、上述の成分(A)、(B)、及び(C)を含有する組成物を含み得る。
ある実施形態では、上述のポリイミド含有組成物を用いて、ドライフィルムの前記ポリマー層が作製され得る。例えば、ドライフィルム構造体を作製するために、先に述べた少なくとも1つのポリイミドポリマー、少なくとも1つの反応性官能性化合物(RFC)、少なくとも1つの開始剤、及び少なくとも1種の溶媒を、均一な溶液が得られるまで混合することによって、ポリマー層組成物がまず作製される。所望により、接着促進剤、界面活性剤、可塑剤、ナノ粒子、及び1又は複数の追加のポリマーなどの他の成分が、前記ポリマー層組成物を作製するために用いられてもよい。こうして得られた前記ポリマー層組成物は、次に、キャリア基板上にコーティングされて、ポリマー層が形成され得る。
ある実施形態では、本開示のドライフィルム構造体の作製に用いられる前記ポリマー層組成物は、それがキャリア基板上にコーティングされる前に、ろ過媒体を用いてろ過されてもよい。
ある実施形態では、前記ろ過プロセスは、0.2μm以下のポアサイズを有するメンブレンフィルターを用いることによって行われる。ある実施形態では、前記メンブレンフィルターの材料は、好ましくは、ポリプロピレン又はTeflonである。ある実施形態では、前記ろ過プロセスにおいて、ポリプロピレンフィルターのみが用いられる。そのような場合、ホルムアミドとフィルター表面との接触角は、接触角を測定するための標準的な試験で測定された場合、30度〜80度の範囲内であり得る。ある実施形態では、Teflonのフィルターのみが用いられる。そのような場合、ホルムアミドとフィルター表面との接触角は、80度超であり得る。ある実施形態では、ポリプロピレン及びTeflonの両方のフィルターを用いた多段階ろ過が用いられる。
ある実施形態では、中空糸メンブレンフィルターが、前記ポリマー層組成物のろ過に用いられ得る。かかる中空糸メンブレンフィルターの例は、例えば、その内容が参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第20070254243号に記載されている。
ある実施形態では、前記ドライフィルム構造体中の前記ポリマー層は、約0.5GPa以上(例:約1GPa以上、約1.5GPa以上、約2GPa以上、又は約2.5GPa以上)〜約5GPa以下(例:約4.5GPa以下、約4GPa以下、約3.5GPa以下、又は約3GPa以下)のヤング率を有し得る。
ある実施形態では、本開示は、ドライフィルム構造体の作製方法を特徴とする。前記方法は(a)キャリア基板を、先に述べた少なくとも1つのポリイミドポリマー、少なくとも1つの反応性官能性化合物(RFC)、少なくとも1つの開始剤、及び少なくとも1種の溶媒を含有する組成物でコーティングすること、(b)前記コーティングされた組成物を乾燥して、第一のポリマー層を形成すること、及び(c)前記第一のポリマー層に保護層を適用して、ドライフィルム構造体を形成すること、を含む。
本開示のある実施形態は、ろ過されたポリマー層溶液からドライフィルム構造体を作製するための方法について述べる。例えば、先に述べた前記ろ過されたポリマー層溶液は、キャリア基板上にまずコーティングされて、第一のポリマー層が形成され得る。前記キャリア基板は、典型的には、製造、保存、及びそれに続く加工の過程での前記ドライフィルム構造体の前記第一のポリマー層のための機械的支持体として機能する。
ある実施形態では、前記キャリア基板は、単一又は複数層フィルムであり、所望により、前記ドライフィルム構造体の前記第一のポリマー層と接触することになる前記フィルムの表面を改質するための処理を受けたものである。ある実施形態では、多層キャリア基板の1又は複数の層は、粒子を含有していてもよい。粒子の例としては、二酸化ケイ素粒子(凝集したシリカなど)、炭酸カルシウム粒子、アルミナ粒子、酸化チタン粒子、及び硫酸バリウム粒子などの無機粒子;架橋ポリスチレン粒子、アクリル粒子、及びイミド粒子などの有機粒子;並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。理論に束縛されるものではないが、前記粒子は、前記キャリア基板の接着特性を改善し得るものであり、及び前記キャリア基板上にコーティングされた前記第一のポリマー層の均一性を改善し得るものと考えられる。
ある実施形態では、前記キャリア基板は、非常に優れた光学的透明性を有し、前記第一のポリマー層にレリーフパターンを形成するために用いられる化学線に対して実質的に透明である。ある実施形態では、前記キャリア基板は、低い表面粗度を有し得る。前記キャリア基板は、一般的に、充分な強度を有するべきであり、また、前記第一のポリマー層を形成するために用いられる前記溶媒に不溶性であるべきである。前記キャリア基板は、続いての使用に際して前記ドライフィルム構造体の残りの部分(例:前記第一のポリマー層)から除去されてよく、又は製造されたデバイスの最終構造の一部を形成してもよい。前記キャリア基板が、剥離などによって前記最終デバイスから最終的に除去される状況では、前記キャリア基板と前記第一のポリマー層との接着性は、容易な分離を可能とするために充分に弱い必要がある。かかる実施形態では、前記キャリア基板は、前記キャリア基板の除去を容易とするために、前記第一のポリマー層によってコーティングされるべき表面上に剥離層を有してよい。前記キャリア基板が前記最終デバイスの一部である場合では、接着性は、前記キャリア基板の剥離を防止するために高い必要がある。
前記キャリア基板の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステルコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、セロファン、ポリ塩化ビニルコポリマー、ポリアミド、ポリイミド、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレンなどの様々なプラスチックフィルムがあり得る。加えて、2つ以上のプラスチックフィルム又は2つ以上のポリマーを含有する組み合わせ材料が用いられてもよい。非常に優れた光学的透明性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)が、特に好ましい。前記キャリア基板の厚さは、約10μm以上(例:約15μm以上、約20μm以上、約30μm以上、約40μm以上、約50μm以上、又は約60μm以上)〜約150μm以下(例:約140μm以下、約120μm以下、約100μm以下、約90μm以下、約80μm以下、又は約70μm以下)の範囲内であってよい。前記キャリア基板のヤング率は、約100MPa以上(例:約150MPa以上、約200MPa以上、又は約250MPa以上)〜約500MPa以下(例:約450MPa以下、約400MPa以下、又は約350MPa以下)の範囲内であってよい。
前記キャリア基板は、コロナ処理をされて、又はコロナ処理をされずに用いられてよい。コロナは、金属電極又は絶縁電極にわたって高周波高電圧エネルギーを放電することによって発生されるイオン化された空気である。この電極は、接地ロール上に配置される。フィルムの前記コロナ処理は、表面の汚染物を除去し、結合部位を作り出し、及び表面エネルギーを高めることによって、接着のための表面を最適化し得る。ある実施形態では、コロナ処理は、前記キャリア基板フィルムを巻き取ってロールを形成する過程で、前記フィルムをコロナプロセスに通すことによって行われ得る。これによって、前処理されたコロナフィルムが作製される。かかるコロナ処理キャリア基板フィルムは、市販されている。別の選択肢は、「オンラインコロナ処理」であり、この場合、前記キャリア基板フィルムが、前記第一のポリマー層組成物を前記キャリア基板上にコーティングする直前にコロナチャンバーを通される。キャリア基板のオンラインコロナ処理は、印刷品質を改善し、コーティングのピンホール発生を防止し、及びドライフィルム構造体の生産性を高め得る。
前記ドライフィルム構造体の前記第一のポリマー層を形成するためのコーティング法は、特に限定されない。例えば、スプレーコーティング、ロールコーティング、回転コーティング、スリットコーティング、圧縮コーティング、カーテンコーティング、ダイコーティング、ワイヤバーコーティング、及びナイフコーティングなどの方法が、前記第一のポリマー層を形成するために用いられ得る。前記第一のポリマー層を形成するために用いられる乾燥温度は、前記成分、前記有機溶媒、及び含有率に応じて様々となり得る。ある実施形態では、乾燥は、約60℃以上(例:約65℃以上、約70℃以上、又は約75℃以上)〜約120℃以下(例:約105℃以下、約90℃以下、又は約85℃以下)の温度で、約30秒間以上(例:約1分間以上、約2分間以上、約4分間以上、又は約6分間以上)〜約15分間以下(例:約12分間以下、約10分間以下、又は約8分間以下)にわたって行われる。前記乾燥手段の例は、熱風を用いる対流オーブンであるが、適切ないかなる加熱手段が用いられてもよい。
本開示の前記ドライフィルム構造体の前記第一のポリマー層の厚さは、特に限定されない。前記厚さは、好ましくは、約2μm以上(例:約5μm以上、約10μm以上、約20μm以上、約25μm以上、約30μm以上、約35μm以上、又は約40μm以上)及び/又は約100μm以下(例:約90μm以下、約80μm以下、約70μm以下、約60μm以下、約50μm以下、又は約45μm以下)である。ある実施形態では、前記第一のポリマー層は、比較的小さい厚さを有し得る。かかる実施形態では、前記第一のポリマー層は、約10μm以下(例:約5μm以下、約4μm以下、又は約3μm以下)の厚さを有し得る。
ある実施形態では、溶融粘度及び融点が、上述の第一のポリマー層の重要な熱特性であり得る。これらの特性のいずれも、前記ドライフィルム構造体を基板上に効果的に積層するために極めて重要であり得る。
ある実施形態では、前記ドライフィルム構造体は、約60℃〜約140℃の温度で約10ポイズ以上(例:約20ポイズ以上、約30ポイズ以上、約40ポイズ以上、又は約50ポイズ以上)及び/又は150ポイズ以下(例:約140ポイズ以下、約130ポイズ以下、約120ポイズ以下、約110ポイズ以下、約100ポイズ以下、又は約90ポイズ以下)の溶融粘度を有する第一のポリマー層を有する。理論に束縛されるものではないが、前記第一のポリマー層の溶融粘度が低過ぎると、積層の過程で前記第一のポリマー層のオーバーフローが発生し得るものと考えられる。この結果、前記積層されたフィルムのフィルム厚さに一貫性がなくなり、及び基板裏面が汚染される。前記溶融粘度が高過ぎると、ポリマーの流動が異常に遅くなる可能性があり、この結果、そのようにして形成された層中にボイド及び気泡が発生する。さらに、前記キャリア基板がパターン化される場合、低いポリマー流動性によって、前記パターンの不完全で不適切な充填が引き起こされ得る。
ある実施形態では、前記第一のポリマー層は、約60℃以上(例:65℃以上、約70℃以上、約75℃以上、又は約80℃以上)及び/又は約140℃以下(例:約135℃以下、約130℃以下、約125℃以下、又は約120℃以下)の融点を有する。理論に束縛されるものではないが、前記第一のポリマー層の融点が低過ぎる場合、典型的には連続プロセスによるものである前記ドライフィルムスタックの形成が妨げられる程度まで、ドライフィルムの形成が妨げられ得るものと考えられる。前記融点が高過ぎる場合、前記第一のポリマー層と前記キャリア基板との積層の過程で高温が必要となり、前記高温は、前記キャリア基板の溶融を引き起こす可能性があり、それによって、前記ドライフィルムスタックが崩壊する。加えて、高融点を有する第一のポリマー層が低温積層プロセスで用いられる場合、前記第一のポリマー層の前記キャリア基板との接着性が不良となり得る。
ある実施形態では、前記ドライフィルム構造体は、保護層(例:保護フィルム又は保護カバーシート)を含み、それによって、前記第一のポリマー層は、前記保護層と前記キャリア基板との間に配置される。前記保護層は、輸送及び保存の過程で第一のポリマー層を保護することができ、前記粘着性の第一のポリマー層がそれ自体に接着することが防止される。ある実施形態では、前記保護層は、単一又は複数層フィルムであり、所望により、前記ドライフィルム構造体の前記第一のポリマー層と接触することになる前記フィルムの表面を改質するための処理を受けたものである。前記保護層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、又は他の適するいかなるポリマーから作られていてもよい。ある実施形態では、前記第一のポリマー層に対する前記保護層の接着性は、前記第一のポリマー層に対する前記キャリア基板の接着性よりも低い。このことにより、前記第一のポリマー層を前記キャリア層からも分離してしまうことなく、前記保護層を前記第一のポリマー層から容易に分離することができる。前記保護層は、ロール圧縮法によって、前記第一のポリマー層に積層され得る。
ある実施形態では、前記保護層は、約100MPa以上(例:約150MPa以上、約200MPa以上、又は約250MPa以上)〜約500MPa以下(例:約450MPa以下、約400MPa以下、又は約350MPa以下)の範囲内のヤング率を有し得る。
一般的に、本明細書で述べる前記ドライフィルム構造体を用いて、前記第一のポリマー層を基板(例:電子基板)に積層することができる。ある実施形態では、前記ドライフィルム構造体の前記第一のポリマー層は、真空、熱、及び圧力がボイドレス積層(voidless lamination)のために組み合わされる差圧ラミネータ(differential pressure laminator)を用いることで、いかなる種類の基板(例:電子基板)にも積層することができる。適切な電子基板の例としては、ケイ素基板、銅基板、アルミニウム基板、酸化ケイ素基板、窒化ケイ素基板、ガラス基板、有機積層体基板、又は誘電材料基板が挙げられる。例えば、前記ドライフィルム構造体の前記保護層は、剥がし取られてよく、続いて、前記構造体の残りの部分(例:キャリア基板上の第一のポリマー層)が、基板サイズに切断されてよい。別の例として、前記ドライフィルム構造体が、まず前記基板サイズに切断されてよく、続いて、前記保護層が剥がし取られて、前記第一のポリマー層が基板上に積層されてもよい。ある実施形態では、手作業で、又は現時点で利用可能である吐出装置の補助で予め積層されたこれらの基板は、スライド搭載プラテン上に配置され、又はチャンバー中で位置決めされる。スループットを高めるために、様々な厚さ及び形状の基板が相互混合されてもよい。次に、前記基板は、内蔵精密デジタルタイマーによって決定された時間にわたる真空保持(vacuum dwell)に掛けられ得る。この時間に続いて、予熱されたシリコーンゴムダイアフラムが、加工物上に降ろされ得る。この作業により、スプリング搭載プラテンアセンブリの下にある小ギャップを閉じることができ、下部の加熱プラテンとの直接の熱接触が得られる。前記上部及び下部の加熱プラテンの両方の温度は、内蔵温度コントローラによって独立して制御され得る。差圧ラミネータは、一般的に、前記ダイヤフラム上に陽圧を加えることができ、有効積層圧力が劇的に増加される。圧力保持時間は、前記真空保持に用いられたものと同一のタイマーで調節され得る。サイクルの完了後、引き出し機構が引き戻されてよく、前記積層された基板は、さらなる加工のために取り出されてよい。
ある実施形態では、前記第一のポリマー層は、平面圧縮法又は熱ロール圧縮法で前記ドライフィルム構造体の前記第一のポリマー層を予備積層した後、60℃〜140℃での真空積層を介して基板に積層され得る。熱ロール積層が用いられる場合、前記ドライフィルム構造体は、熱ロールラミネータ中に配置されてよく、前記保護層は、前記第一のポリマー層/キャリア基板から剥がし取られてよく、及び前記第一のポリマー層は、熱及び圧力と共にローラーを用いて、基板に接触され、積層されてよい。
ある実施形態では、上述の積層プロセスで用いられる積層温度は、約50℃以上(例:約70℃以上、約80℃以上、約90℃以上、又は約100℃以上)〜約220℃以下(例:約190℃以下、約170℃以下、約130℃以下、又は約110℃以下)である。上述の積層プロセスで用いられる圧力は、約1.5psi以上(例:約3psi以上、約5psi以上、約10psi以上、約15psi以上、又は約20psi以上)から、好ましくは、約70psi以下(例:約60psi以下、約50psi以下、約40psi以下、又は約30psi以下)である。上述の積層プロセスで用いられる真空は、約0.2トル以上〜約5トル以下であってよい。上述の積層プロセスで用いられるローラーの速度は、約1cm/分以上(例:約5cm/分以上、約10cm/分以上、約25cm/分以上、又は約50cm/分以上)〜約600cm/分以下(例:約500cm/分以下、約400cm/分以下、約300cm/分以下、約200cm/分以下、又は約100cm/分以下)であってよい。
ある実施形態では、本開示は、積層体を形成する方法を特徴とする。前記方法は、(a)本明細書で述べる前記ドライフィルム構造体から前記保護層を除去すること;及び(b)工程(a)で得られた前記フィルム構造体を電子基板上に適用して、積層体を形成すること、を含み得る。ある実施形態では、前記方法は、さらに、前記第一のポリマー層をパターン化層に変換することを含み得る。前記変換は、前記積層体中の前記第一のポリマー層を化学線に露光することを含み得る。かかる実施形態では、前記変換は、さらに、前記第一のポリマー層の露光の前又は後に、前記キャリア基板を除去することを含み得る。前記第一のポリマー層が化学線に露光された後、前記変換は、さらに、前記露光された第一のポリマー層を現像して、レリーフパターンを有するパターン化層を形成することを含み得る。
ある実施形態では、電子基板上の前記積層された第一のポリマー層は、所望されるパターンのフォトマスクを介して露光され、それによって、前記第一のポリマー層中の露光された領域が架橋される。露光に用いられる活性エネルギービームの例としては、電子ビーム、紫外光、及びX線が挙げられ、紫外光が好ましい。光源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、ハロゲンランプなどを用いることが可能である。露光線量は、典型的には、約100mJ/cm2〜約1000mJ/cm2である。
前記キャリア基板は、前記露光の前又は後に、剥離によって除去されてよい。
前記露光後、前記ドライフィルム構造体の前記第一のポリマー層は、約50℃以上(例:約55℃以上、約60℃以上、又は約65℃以上)〜約100℃以下(例:約95℃以下、又は約90℃以下、約85℃以下、約80℃以下、約75℃以下、又は約70℃以下)まで、約60秒間以上(例:約65秒間以上又は約70秒間以上)〜約90秒間以下(例:約85秒間以下又は約80秒間以下)にわたって熱処理され得る。前記熱処理は、通常、ホットプレート又はオーブンを用いることによって達成される。
前記露光後、前記ドライフィルム構造体の前記第一のポリマー層は、現像剤を用いることによって現像されて、未露光部分が除去され得る。現像は、例えば、浸漬法又はスプレー法によって行われてよい。現像後、前記積層された基板上の前記感光性第一のポリマー層中に、マイクロホール及び微細ラインが作製され得る。
前記第一のポリマー層を現像するための現像剤の例としては、有機溶媒又は有機溶媒の混合物が挙げられる。有機溶媒の適切な例としては、ガンマ−ブチロラクトン(GBL)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−エチル−2−ピロリドン、N−ブチル−2−ピロリドン、N−ホルミルモルホリン、ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセタミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジエチルホルムアミド、ジエチルアセタミド、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、2−ヘプタノン、シクロペンタノン(CP)、シクロヘキサノン、n−ブチルアセテート(nBA)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、エチルラクテート(EL)、プロピルラクテート、3−メチル−3−メトキシブタノール、テトラリン、イソホロン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、メチル3−メトキシプロピオネート、エチル3−エトキシプロピオネート、ジエチルマロネート、エチレングリコール 1,4:3,6−ジアンヒドロソルビトール2,5−ジメチルエーテル(2,5−ジメチルイソソルビド)、1,4:3,6−ジアンヒドロソルビトール2,5−ジエチルエーテル(2,5−ジエチルイソソルビド)、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい溶媒は、ガンマ−ブチロラクトン(GBL)、シクロペンタノン(CP)、シクロヘキサノン、2,5−ジメチルエーテル(2,5−ジメチルイソソルビド)、エチルラクテート(EL)、n−ブチルアセテート(nBA)、及びジメチルスルホキシド(DMSO)である。これらの溶媒は、前記イメージの質を改善するために、単独で、又は2つ以上を組み合わせて用いられてよい。
ある実施形態では、前記現像剤及び前記第一のポリマー層中の前記ポリイミドポリマーは、約3以下(例:約2.5以下、約2以下、約1.5以下、又は約1以下)及び/又は約0.1以上(例:約0.2以上、約0.5以上、約0.7以上、又は約1以上)の相対的エネルギー差(RED)を有し得る。
ある実施形態では、前記現像後、所望により行われるリンス処理が、有機リンス溶媒を用いて行われてもよい。有機リンス溶媒の適切な例としては、イソプロピルアルコール、メチルイソブチルカルビノール(MIBC)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、及びアミルアルコールなどのアルコール;n−ブチルアセテート(nBA)、エチルラクテート(EL)、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)などのエステル;シクロペンタノン(CP)などのケトン;並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。リンス溶媒を用いて前記リンス処理が実施されて、残渣が除去され得る。
ある実施形態では、前記現像工程の後又は前記所望により行われるリンス処理工程の後、所望により行われる乾式加熱工程が、約120℃以上(例:約130℃以上、約140℃以上、約150℃以上、約160℃以上、約170℃以上、約180℃以上)〜約250℃以下(例:約240℃以下、約230℃以下、約220℃以下、約210℃以下、約200℃以下、又は約190℃以下)の範囲内の温度で行われてもよい。乾式加熱時間は、約5分間以上(例:約10分間以上、約20分間以上、約30分間以上、約40分間以上、約50分間以上、又は約60分間以上)及び/又は約5時間以下(例:約4時間以下、約3時間以下、約2時間以下、又は約1.5時間以下)である。この乾式加熱工程は、前記残された第一のポリマー層から残留溶媒を除去することができ、さらに、前記残された第一のポリマー層を硬化することもできる。硬化は、空気中で、又は好ましくは、窒素ブランケット下で行われてよく、適切ないかなる加熱手段によって行われてもよい。
前記第一のポリマー層が熱開始剤を含有する実施形態では、硬化工程は、前記第一のポリマー層の前記電子基板への前記積層の後、及び前記キャリア基板の除去の前又は後に行われてよい。
ある実施形態では、前記乾式加熱工程後に得られた前記乾式加熱された第一のポリマー層は、約180℃以上(例:約190℃以上、約200℃以上、又は約210℃以上)のガラス転移温度を有する。ある実施形態では、前記乾式加熱工程後に得られた前記乾式加熱された第一のポリマー層は、約320℃以下(例:約310℃以下、約300℃以下、又は約290℃以下)のガラス転移温を有する。本明細書で用いられる場合、前記第一のポリマー層のガラス転移温度は、温度に対する寸法変化(μ)をプロットした熱機械分析曲線上での最初の屈曲点として定義される。
ある実施形態では、前記乾式加熱された第一のポリマー層のガラス転移温度が高いことは、デバイス製造の続いての加工工程、及びそれに続くより長いデバイス寿命にわたるデバイスの使用の過程において、フィルムの移動を防止するために望ましいものであり得る。半田付けなどのいくつかの製造加工工程では、高い温度が必要である。前記乾式加熱された第一のポリマー層のガラス転移温度が高いことは、前記得られるデバイスの機械的一体性を維持するのに有用であり得る。
一般的に、上述の方法は、半導体デバイスに用いられことになる物品を形成するために用いられ得る。かかる物品の例としては、半導体基板、エレクトロニクス用フレキシブルフィルム、ワイヤー絶縁、ワイヤーコーティング、ワイヤーエナメル、又はインク付け基板が挙げられる。かかる物品から作製され得る半導体デバイスの例としては、集積回路、発光ダイオード、太陽電池、及びトランジスタが挙げられる。
ある実施形態では、上述のプロセスの結果、電子基板及び前記電子基板上に積層されたパターン化層(例:レリーフパターンを有する)を含む物品が得られ、ここで、前記パターン化層は、少なくとも1つのポリイミドポリマーを含む。理論に束縛されるものではないが、こうして形成された前記パターン化層は、比較的高い解像度で比較的小さい厚さを有し得るものと考えられる。例えば、前記パターン化層は、約5ミクロン以下(例:約4ミクロン以下又は約3ミクロン以下)の厚さを有し得るものであり、約2ミクロン以下のフィーチャサイズを有する要素を少なくとも1つ含み得る。
ある実施形態では、前記パターン化層は、約1GPa以上(例:約2GPa以上、約3GPa以上、約4GPa以上、又は約5GPa以上)〜約20GPa以下(例:約18GPa以下、約16GPa以下、約14GPa以下、約12GPa以下、又は約10GPa以下)のヤング率を有し得る。ある実施形態では、前記パターン化層は、前記ドライフィルム構造体の前記第一のポリマー層のヤング率の約200%から約300%高いヤング率を有し得る。
ある実施形態では、上述の前記ドライフィルム構造体は、さらに、少なくとも1つの水溶性ポリマーを含有する第二のポリマー層を含んでよい。本明細書で定義される場合、「水溶性」ポリマーとは、25℃の水に対して少なくとも5重量%の溶解度を有するポリマーを意味する。適切な水溶性ポリマーの例は、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アクリル酸)及びその塩、ポリ(メタクリル酸)及びその塩、ポリ(アクリルアミド)及びその塩、ポリ(メタクリルアミド)及びその塩、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)及びその塩、ポリ(2−オキサゾリン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、ポリサッカリド、デキストラン、シクロデキストラン、並びに部分加水分解されたポリ酢酸ビニルから成る群より選択され得る。
ある実施形態では、前記第二のポリマー層は、前記ドライフィルム構造体中の前記第一のポリマー層と前記キャリア基板との間に存在してよい。かかる実施形態では、前記ドライフィルム構造体が電子基板上に積層され、前記キャリア基板が除去される場合、こうして形成された積層体は、前記電子基板、前記第一のポリマー層(感光性であってよい)、及び前記第二の水溶性ポリマー層をこの順番で含む。かかる実施形態では、前記第二のポリマー層は、保護層として作用することによって、前記第一のポリマー層の露光後引き置き安定性を改善し得る。かかる実施形態では、前記第二のポリマー層は、前記積層体の化学線への露光の後、及び現像の前に、水を用いることによって除去され得る。
ある実施形態では、前記第二のポリマー層は、前記ドライフィルム構造体中の前記第一のポリマー層と前記保護層との間に存在してもよい。かかる実施形態では、前記ドライフィルム構造体が電子基板上に積層され、前記キャリア基板が除去される場合、こうして形成された積層体は、前記電子基板、前記第二の水溶性ポリマー層、及び前記第一のポリマー層(感光性であってよい)をこの順番で含む。かかる実施形態では、前記第二のポリマー層は、前記電子基板が有機現像剤に対して感受性を有する場合に(例:前記電子基板が有機基板である場合)、前記電子基板の保護層として作用し得る。かかる実施形態では、現像後、前記水溶性第二のポリマー層の一部(すなわち、前記第一のポリマー層の未露光/現像済み部分の下にある部分)は、水を用いることによって除去され得るものであり、及び第二のポリマー層の残りの部分(すなわち、前記第一のポリマー層の露光/未現像部分の下にある部分)は、こうして形成されるデバイス中に残され得る。
本明細書で引用されるすべての刊行物(例:特許、特許出願公開、及び論文)の内容は、その全体が参照により本明細書に援用される。
以下の例は、本開示の原理及び実践についてより明確に説明するために提供される。本開示が記載される例に限定されないことは理解されるべきである。
合成例1
1−(3’−ニトロ−4’−ヒドロキシフェニル)−1,3,3−トリメチル−(6−ニトロ)インダン−5−オール
メカニカルスターラー及び還流冷却管を備えた三口丸底フラスコに、200mlの酢酸中の26.8グラムの3−(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,3−トリメチルインダン−5−オールを添加する。混合物を、50℃で加温し、次に175ml(2.3モル当量)の硝酸(比重:1.38)を、50℃で約1時間かけて溶液に滴下する。その後、前記溶液を50℃で1時間放置する。次に、結晶化された物質を充分に析出させるために、スラリー濃度を調節しながら、150mlの水を前記溶液に添加する。固体をろ過し、50%メタノール水溶液で洗浄し、次に風乾する。最後に、粗混合物を、95%エタノールから再結晶する。
合成例2
1−(3’−ニトロ−4’−アリルオキシフェニル)−1,3,3−トリメチル−(6−ニトロ)5−アリルオキシインダン
メカニカルスターラー及び還流冷却管を備えた三口丸底フラスコに、合成例1で得た35.8グラムの1−(3’−ニトロ−4’−ヒドロキシフェニル)−1,3,3−トリメチル−(6−ニトロ)インダン−5−オール、15グラムの臭化アリル、100グラムのテトラヒドロフラン、及び1.3グラムの水酸化カリウムを添加する。混合物を、8時間還流し、次に室温まで冷却する。冷えた溶液を、10重量%塩酸溶液で中和する。中和した溶液を、1Lの蒸留水中で沈澱させる。固体をろ過によって単離し、次にフィルターケーキを、100mlの蒸留水でさらに洗浄する。粗固体を、エタノール水溶液からの再結晶によって精製する。
合成例3
1−(3’−アミノ−4’−アリルオキシフェニル)−1,3,3−トリメチル−(6−アミノ)−5−アリルオキシインダン
メカニカルスターラーを備えた圧力反応器に、合成例2から得た43.8グラムの1−(3’−ニトロ−4’−アリルオキシフェニル)−1,3,3−トリメチル−(6−ニトロ)5−アリルオキシインダン、0.44グラムの5%Pt/C、0.044グラムのH3PO2、0.07グラムの[VO(acac)2]、200グラムのトルエンを添加する。5バールのH2圧下、100℃で反応を行う。反応の完了後、溶液を濃縮乾固する。粗固体を、エタノール水溶液からの再結晶によって精製する。
合成例4(ポリ−1)
重合反応を、機械撹拌器、熱電対、及び前記反応の過程全体を通して窒素圧力を陽圧に保持するための窒素入口部を備えたジャケット付き1リットル三口丸底フラスコ中で行う。前記フラスコに、50.91グラムのベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物(BTDA)、17.55グラムの2,2’−ビス−(3,4−ジカルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)及び200グラムの無水NMPを投入する。内容物を18〜20℃で撹拌する。合成例3で得た78.29グラムの1−(3’−アミノ−4’−アリルオキシフェニル)−1,3,3−トリメチル−(6−アミノ)−5−アリルオキシインダンを、瓶の中で250グラムの乾燥NMPに溶解する。ジアミン溶液を、室温で1時間にわたって、ポンプによって前記フラスコに添加する。混合物を、60℃に加温し、3時間撹拌する。
上記で形成したポリアミック酸を末端封止するために、6.42グラムの4−メタクリロキシエチルトリメリット酸無水物(META)を前記フラスコに投入する。混合物を、60℃で3時間撹拌する。
前記イミド化反応を行うために、40.2グラムの無水酢酸及び7.91グラムのピリジンを前記フラスコに投入する。反応混合物を、100℃に加温し、12時間撹拌する。溶液を室温に冷却し、4リットルの脱イオン水へ激しく撹拌しながら滴下して、ポリマーを析出させる。前記ポリマーをろ過によって回収し、1リットルの脱イオン水で洗浄する。ケーキを1リットルのメタノールで再度スラリー化し、ろ過する。ウェットケーキを、空気中で12時間乾燥し、次に前記ポリマーを、70℃で12時間真空乾燥する。得られたポリイミドポリマー(ポリ−1)の分子量を、GPCによって測定する。
合成例5(ポリ−2)
重合反応を、機械撹拌器、熱電対、及び前記反応の過程全体を通して窒素圧力を陽圧に保持するための窒素入口部を備えたジャケット付き1リットル三口丸底フラスコ中で行う。前記フラスコに、50.91グラムのベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物(BTDA)、11.94グラムのドデカヒドロ−4,10:5,9−ジメタノ−1H,3H−ナフト[2,3−c:6,7−c′]ジフラン−1,3,6,8−テトロン(DMDA)及び200グラムの無水NMPを投入する。内容物を18〜20℃で撹拌する。39.96グラムの1−(4−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン−5−アミン(DAPI)及び合成例3で得た18.91グラムの1−(3’−アミノ−4’−アリルオキシフェニル)−1,3,3−トリメチル−(6−アミノ)−5−アリルオキシインダンを、瓶の中で165グラムの乾燥NMPに溶解する。ジアミン溶液を、室温で1時間にわたって、ポンプによって前記フラスコに添加する。混合物を、60℃に加温し、3時間撹拌する。
上記で形成したポリアミック酸を末端封止するために、6.42グラムの4−メタクリロキシエチルトリメリット酸無水物(META)を前記フラスコに投入する。混合物を、60℃で3時間撹拌する。
前記イミド化反応を行うために、40.2グラムの無水酢酸及び7.91グラムのピリジンを前記フラスコに投入する。反応混合物を、100℃に加温し、12時間撹拌する。ポリマーを合成例4と同様に処理し、得られたポリイミドポリマー(ポリ−2)の分子量を、GPCによって測定する。
合成例6(ポリ−3)
重合反応を、機械撹拌器、熱電対、及び前記反応の過程全体を通して窒素圧力を陽圧に保持するための窒素入口部を備えたジャケット付き1リットル三口丸底フラスコ中で行う。前記フラスコに、50.91グラムのベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物(BTDA)、11.94グラムのドデカヒドロ−4,10:5,9−ジメタノ−1H,3H−ナフト[2,3−c:6,7−c′]ジフラン−1,3,6,8−テトロン(DMDA)及び200グラムの無水NMPを投入する。内容物を18〜20℃で撹拌する。合成例3で得た75.64グラムの1−(3’−アミノ−4’−アリルオキシフェニル)−1,3,3−トリメチル−(6−アミノ)−5−アリルオキシインダンを、瓶の中で215.1グラムの乾燥NMPに溶解する。ジアミン溶液を、室温で1時間にわたって、ポンプによって前記フラスコに添加する。混合物を、60℃に加温し、3時間撹拌する。
上記で形成したポリアミック酸を末端封止するために、6.42グラムの4−メタクリロキシエチルトリメリット酸無水物(META)を前記フラスコに投入する。混合物を、60℃で3時間撹拌する。
前記イミド化反応を行うために、40.2グラムの無水酢酸及び7.91グラムのピリジンを前記フラスコに投入する。反応混合物を、100℃に加温し、12時間撹拌する。ポリマーを合成例4と同様に処理し、得られたポリイミドポリマー(ポリ−3)の分子量を、GPCによって測定する。
合成例7(ポリ−4)
重合反応を、機械撹拌器、熱電対、及び前記反応の過程全体を通して窒素圧力を陽圧に保持するための窒素入口部を備えたジャケット付き1リットル三口丸底フラスコ中で行う。前記フラスコに、50.91グラムのベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物(BTDA)、12.24グラムの4,4’−オキシジフタル酸無水物及び200グラムの無水NMPを投入する。内容物を18〜20℃で撹拌する。合成例3で得た77.21グラムの1−(3’−アミノ−4’−アリルオキシフェニル)−1,3,3−トリメチル−(6−アミノ)−5−アリルオキシインダンを、瓶の中で232.3グラムの乾燥NMPに溶解する。ジアミン溶液を、室温で1時間にわたって、ポンプによって前記フラスコに添加する。混合物を、60℃に加温し、3時間撹拌する。
前記イミド化反応を行うために、80.4グラムの無水酢酸及び7.91グラムのピリジンを前記フラスコに投入する。反応混合物を、100℃に加温し、12時間撹拌する。ポリマーを合成例4と同様に処理し、得られたポリイミドポリマー(ポリ−4)の分子量を、GPCによって測定する。
組成物例1
メカニカルスターラーを備えた三口丸底フラスコに、60グラムのGBL、10グラムの合成例4で得られたポリマーであるポリ−1、0.6グラムのPolyFox6320(OMNOVA Solutionsから入手可能)のGBL中0.5%溶液、0.3グラムの3−エトキシシリルプロピルエトキシカルバメート、0.4グラムのNCI−831(商品名、株式会社ADEKAから入手可能)、及び4.0グラムのテトラエチレングリコールジメタクリレートを添加する。上記組成物を、メカニカルスターラーで24時間撹拌し、次に0.2μmフィルター(Meissner Filtration Product,Inc.製Ultradyne、カタログ番号CFTM0.2−44B1)を用いてろ過する。
プロセス例1
組成物例1からの感光性組成物を、シリコンウェハ上にスピンコーティングして、約8ミクロンの厚さのコーティングを形成する。前記コーティングされたウェハを、110℃で210秒間乾式加熱する。前記感光性ポリイミドフィルムを、広帯域UV露光ツール(Carl Suss MA−56)により、所望される露光パターンを有するマスクを介して露光する。
前記露光後、未露光部分を、60重量%GBL及び40重量%シクロペンタノンの混合物を現像剤として用いることで除去し、続いて前記現像されたフィルムをPGMEAでリンスしてパターンを形成する。パターン形成後、前記現像されたフィルムを、60℃で3分間加熱する。得られたフィルムを、フィルム欠陥について光学顕微鏡で確認する。前記フィルムを、対流オーブン中、N2雰囲気下、190℃で1時間硬化する。
組成物例2
合成例4からのポリ−1の代わりに合成例5からのポリ−2のポリイミドを用いた以外は、組成物例2の記載と同じ方法によって、本例の組成物を作製する。
プロセス例2
組成物例2からの感光性組成物を、シリコンウェハ上にスピンコーティングして、約9ミクロンの厚さのコーティングを形成する。前記コーティングされたウェハを、100℃で3分間乾式加熱する。前記感光性ポリイミドフィルムを、広帯域UV露光ツール(Carl Suss MA−56)により、所望される露光パターンを有するマスクを介して露光する。
前記露光後、未露光部分を、65重量%GBL及び35重量%シクロペンタノンの混合物を現像剤として用いることで除去し、続いて前記現像されたフィルムをPGMEAでリンスしてパターンを形成する。パターン形成後、前記現像されたフィルムを、50℃で3分間加熱する。得られたフィルムを、フィルム欠陥について光学顕微鏡で確認する。前記フィルムを、対流オーブン中、N2雰囲気下、200℃で1時間硬化する。
組成物例3
メカニカルスターラーを備えた三口丸底フラスコに、45.0グラムのGBL、10.0グラムのシクロペンタノン、10.0グラムのジメチルスルホキシド(DMSO)、10.0グラムの合成例6で得られたポリマー(ポリ−3)、0.5グラムのPolyFox6320(OMNOVA Solutionsから入手可能)のGBL中0.5%溶液、0.4グラムの3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、0.5グラムのジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、及び3.75グラムのペンタエリスリトールトリアクリレートを添加する。上記組成物を、メカニカルスターラーで30時間撹拌し、次に0.2μmフィルター(Meissner Filtration Product,Inc.製Ultradyne、カタログ番号CFTM0.2−44B1)を用いてろ過する。
ドライフィルム例DF−1
組成物例3で得られたろ過済感光性溶液を、キャリア基板として用いられる厚さ25μmを有するポリエチレンナフタレートフィルム上に塗布し、220°Fで乾燥して、厚さがおよそ9.0ミクロンのポリマー層を得る。このポリマー層上に、ロール圧縮によってポリエチレンフィルムを積層して保護層を形成する。
ドライフィルム積層体例L−1
前記保護層を剥離によって除去した後、前記ドライフィルムDF−1(6”×6”)の前記ポリマー層を、4”Wafernet銅コーティングウェハ上に置く。前記ポリマー層を、110℃での真空積層及び続いて30psiの圧力に120秒間供することによって、前記Cuコーティングウェハ上に積層する。前記積層プロセスは、ニュージャージー州のOPTEK製DPL−24A差圧ラミネータを用いて行う。得られた感光性ポリマー層のフィルム厚さは、9.0ミクロンである。
積層されたDF−1のリソグラフィ評価
例L−1においてDF−1で積層された前記銅ウェハの前記キャリア基板を除去する。次に、前記感光性ポリマー層を、開始露光エネルギーを100mJ/cm2として露光エネルギーを25mJcm2ずつ増加させるパターン化露光アレイ(patterned exposure array)でi−線ステッパーを用い、化学線に露光する。次に、前記露光されたフィルムを、55℃で3分間加熱し、60重量%GBL及び40重量%シクロペンタノンを含有する溶液により、30秒間のパドル現像を2回用いて現像する。次に、前記フィルムをPGMEAで洗浄する。レリーフパターンが得られる。
組成物例4
メカニカルスターラーを備えた三口丸底フラスコに、40.0グラムのGBL、10.0グラムのシクロペンタノン、10.0グラムのシクロヘキサノン、10.0グラムの合成例7で得られたポリマーであるポリ−4、0.25グラムのPolyFox6320(OMNOVA Solutionsから入手可能)のGBL中0.5%溶液、0.35グラムの3−トリエトキシシリルプロピルエチルカルバメート、0.2グラムのジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、0.2グラムのNCI−831(商標、株式会社ADEKAから入手可能)、2.0グラムのテトラエチレングリコールアクリレート、及び2.0グラムのペンタエリスリトールトリアクリレートを添加する。上記組成物を、メカニカルスターラーで36時間撹拌し、次に0.2μmフィルター(Meissner Filtration Product,Inc.製Ultradyne、カタログ番号CFTM0.2−44B1)を用いてろ過する。
ドライフィルム例DF−2
組成物例4で得られたろ過済感光性溶液を、キャリア基板として用いられる厚さ25μmを有するポリエチレンナフタレートフィルム上に塗布し、220°Fで乾燥して、厚さがおよそ11.0ミクロンのポリマー層を得る。このポリマー層上に、ロール圧縮によってポリエチレンフィルムを積層して保護層を形成する。
ドライフィルム積層体例L−2
前記保護層を剥離によって除去した後、前記ドライフィルムDF−2(6”×6”)の前記ポリマー層を、4”Wafernet銅コーティングウェハ上に置く。前記ポリマー層を、115℃での真空積層及び続いて25psiの圧力に120秒間供することによって、前記Cuコーティングウェハ上に積層する。前記積層プロセスは、ニュージャージー州のOPTEK製DPL−24A差圧ラミネータを用いて行う。得られた感光性ポリマー層のフィルム厚さは、11.0ミクロンである。
積層されたDF−2のリソグラフィ評価
例L−2においてDF−2で積層された前記銅ウェハの前記キャリア基板を除去する。次に、前記感光性ポリマー層を、開始露光エネルギーを100mJ/cm2として露光エネルギーを25mJcm2ずつ増加させるパターン化露光アレイ(patterned exposure array)でi−線ステッパーを用い、化学線に露光する。次に、前記露光されたフィルムを、50℃で3分間加熱し、60重量%GBL及び40重量%シクロペンタノンを含有する溶液により、30秒間のパドル現像を2回用いて現像する。次に、前記フィルムをPGMEAで洗浄する。レリーフパターンが得られる。フィルムをその後190℃で90分間加熱する。