[定義]
別段の定義がない限り、本開示との関連で用いられる科学的および技術的用語は、当業者によって一般に理解される意味を有する。
さらに、文脈によって別段の要求がない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含む。
一般に、本明細書に記載の細胞および組織培養、分子生物学、およびタンパク質およびオリゴ−またはポリヌクレオチド化学およびハイブリダイゼーションとの関連で使用される命名法およびそれらの技術は、よく知られたものであり、当該分野において一般に用いられるものである。
「マイクロ流体」によって、流体が循環する通路の寸法が、1ミリメートルよりも小さく、例えば、1μm〜1mmに含まれることを一般に意味する。
「マイクロ流体のプロセス」は、一般に、少量の流体(10−4〜10−18リットル)が1ミリリットルよりも小さい寸法を有するマイクロ流体チャネルを用いて操作されるプロセスを指す。これらのマイクロ流体チャネルは、通常、マイクロ流体デバイス内に、より具体的には、マイクロ流体デバイスのマイクロ流体チップ内に含まれる。本発明の文脈において用いられるマイクロ流体デバイスは、セクション「マイクロ流体デバイス」においてさらに後述される。
本発明の「プロセス(process)」は、方法(method)と呼ばれてもよい。
標準的な技術は、組み換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、および組織培養および形質転換(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)に用いられる。酵素反応および精製技術は、製造元の仕様書に従って、または当該分野において一般に達成されるとおりに、または本明細書において説明されるとおりに、行なわれる。本開示の実施は、逆のことが明確に指示されない限り、当該分野の技術内のウイルス学、免疫学、微生物学、分子生物学および組み換えDNA技術の従来の方法を用いて、その多くは以下に説明目的のために記載される。そのような技術は、文献において完全に説明される。例えば、Sambrook,et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2nd Edition,1989);Maniatis et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual(1982);DNA Cloning:A Practical Approach,vol.I&II(D.Glover,ed.);Oligonucleotide Synthesis(N.Gait,ed.,1984);Nucleic Acid Hybridization(B.Hames&S.Higgins,eds.,1985);Transcription and Translation(B.Hames&S.Higgins,eds.,1984);Animal Cell Culture(R.Freshney,ed.,1986);Perbal,A Practical Guide to Molecular Cloning(1984)を参照。
本明細書に記載の分析化学、合成有機化学、および医薬および調剤化学との関連で使用される命名法、およびそれらの実験手順および技術は、よく知られたものであり、当該分野において一般に用いられるものである。標準的な技術は、化学合成、化学分析、医薬品、製剤、および送達、および患者の治療のために用いられる。
本明細書において一般に用いられる用語「核酸」は、DNA、RNA、miRNAの少なくとも1つの分子または鎖、または、少なくとも1つの核酸塩基、例えば、DNA内に見られる天然起源のプリンまたはピリミジン基(例えば、アデニン「A」、グアニン「G」、チミン「T」、およびシトシン「C」)またはRNA(例えばA、G、ウラシル「U」、およびC)を含むそれらの誘導体または模倣体を指す。用語「核酸」は、用語「オリゴヌクレオチド」を包含する。
「RNA」は、本明細書において、制限されないが、mRNA、tRNA、rRNA、触媒RNA、siRNA、miRNAおよびアンチセンスRNAのような、機能性RNAを指す。1つの好ましい実施態様では、RNAはmRNAを指す。
当業者によって理解されるように、一本鎖の表現は、相補鎖の配列も定義する。したがって、核酸は、表わされた一本鎖の相補鎖も包含する。用語「核酸」は、したがって、相補DNAを包含する。また、当業者によって理解されるように、核酸の多くの変異体が、所定の核酸として同一目的のために用いられ得る。したがって、核酸は、実質的に同一の核酸およびその相補も包含する。また、当業者によって理解されるように、プライマーのような一本鎖核酸は、ハイブリダイゼーション条件、好ましくはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の下で、標的配列にハイブリダイズし得る。したがって、核酸は、ハイブリダイゼーション条件下で標的配列にハイブリダイズするプライマーも包含する。
用語「オリゴヌクレオチド」は、約3〜約500個の核酸塩基の長さの少なくとも1つの分子を指す。例えば、オリゴヌクレオチドは、少なくとも3個の核酸塩基、少なくとも10個の核酸塩基、少なくとも30個の核酸塩基、少なくとも50個の核酸塩基、少なくとも100個の核酸塩基、少なくとも300個の核酸塩基、または少なくとも400個の核酸塩基の長さを有してよい。場合によっては、オリゴヌクレオチドは、500個以内の核酸塩基、300個以内の核酸塩基、100個以内の核酸塩基、50個以内の核酸塩基などの長さを有してよい。任意のこれらの組み合わせも可能であり、例えば、オリゴヌクレオチドの長さは、3〜300個の核酸塩基、好ましくは3〜200個の核酸塩基、より好ましくは3〜100個の核酸塩基であってよい。
これらの定義は、少なくとも1つの一本鎖分子を指すが、一部の実施態様では、少なくとも1つの一本鎖分子と部分的に、実質的に、または完全に相補である少なくとも1つのさらなる鎖も包含する。したがって、一部の実施態様では、前記定義は、二本鎖分子を指す。
したがって、一部の実施態様では、核酸は、1つまたは複数の相補鎖(単数または複数)または分子の鎖を含む特定の配列の「相補(単数または複数)」を含む、少なくとも1つの二本鎖分子を指す。
本明細書において用いられる「遺伝子」は、転写および/または翻訳調節配列および/またはコード領域および/または非翻訳配列(例えば、イントロン、5’−および3’−非翻訳配列)を含むゲノム遺伝子であってよい。遺伝子のコード領域は、アミノ酸配列または機能性RNA、例えば、tRNA、rRNA、触媒RNA、siRNA、miRNAおよびアンチセンスRNAに関してコードしているヌクレオチド配列であってよい。遺伝子は、コード領域(例えば、エクソンおよびmiRNA)に対応するmRNAまたはcDNAであってもよく、任意選択で、それに結合した5’−または3’−非翻訳配列を含んでよい。遺伝子は、インビトロで生産された増幅された核酸分子であってもよく、コード領域の全てまたは一部および/またはそれに結合した5’−または3’−非翻訳配列を含む。
本明細書において用いられる用語「ストリンジェント条件」または「高ストリンジェンシー条件」は、決定されたレベルの相補性を有する核酸間の結合ペアを生じさせるのに適切であるが、前記の決定されたレベルに劣っている相補性を示す核酸間の結合ペアの形成には不適切である条件に相当する。ストリンジェント条件は、ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件の両方の組み合わせであり、配列依存性である。これらの条件は、当業者に公知の方法に従って改変され得る(Tijssen,1993,Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic Acid Probes,Part I,Chapter 2「Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays」,Elsevier,New York)。一般に、高ストリンジェンシー条件は、熱融点(Tm)よりも約5℃低くなるように選択されて、好ましくは、完全に塩基が対になったデュプレックスのTmに近い温度である(Andersen,Nucleic acid Hybridization,Springer,1999,p.54)。ハイブリダイゼーション手順は当技術分野でよく知られていて、例えば、Ausubel,F.M.,Brent,R.,Kingston,R.E.,Moore,D.D.,Seidman,J.G.,Smith,J.A.,Struhl,K.eds.(1998)Current protocols in molecular biology.V.B.Chanda,series ed.New York:John Wiley&Sonsにおいて説明される。
高ストリンジェンシー条件は典型的に、約50℃〜約68℃でのハイブリダイズを含み、ここで前記温度は典型的に、5×SSC/5×デンハート液/1.0%SDS中、および、約60℃〜約68℃で0.2×SSC/0.1%SDS中の洗浄で、標的配列とハイブリダイズされる核酸の最も高い融解温度TMに相当する。例えば、本発明との関連では、少なくとも1つのオリゴヌクレオチド内に含まれるプライマー配列は、相補RNA配列のような相補核酸と、約50℃〜約68℃で、典型的にリザーバー、または液滴または複数の液滴、例えばいわゆる融合液滴または複数の融合液滴内で、典型的にハイブリダイズする。したがって、一例では、前記融合液滴または前記リザーバーは、逆転写酵素組成物および任意選択で溶解組成物をさらに含み、ここで、逆転写酵素組成物は、本明細書において以下のセクション「逆転写」において定義されて、溶解組成物は、以下のセクション「細胞溶解」において定義される。
用語「抗体」は、免疫グロブリン分子、および、免疫グロブリン分子の免疫学的に活性の部分、すなわち、免疫特異的に抗原に結合する抗原結合部位を含む分子を指す。したがって、用語「抗体」は、抗体分子全体だけでなく、抗体フラグメントならびにヒト化抗体のような誘導体を含む抗体の変異体も包含する。従来の抗体では、2本の重鎖は、ジスルフィド結合によって互いに結合されて、それぞれの重鎖は、ジスルフィド結合によって軽鎖に結合される。2つのタイプの軽鎖、ラムダ(λ)およびカッパ(κ)が存在する。抗体分子の機能的活性を決定する5つの主な重鎖クラス(またはアイソタイプ):IgM、IgD、IgG、IgAおよびIgEが存在する。それぞれの鎖は、別個の配列ドメインを含む。軽鎖は、2つのドメイン、可変ドメイン(VL)および定常ドメイン(CL)を含む。重鎖は、4つのドメイン、可変ドメイン(VH)および3つの定常ドメイン(CH1、CH2およびCH3、CHと総称される)を含む。軽鎖(VL)および重鎖(VH)の両方の可変領域は、抗原に対する結合認識および特異性を決定する。軽鎖(CL)および重鎖(CH)の定常領域ドメインは、抗体鎖の関連性、分泌、経胎盤移動性、相補結合、およびFc受容体(FcR)に対する結合のような、重要な生物学的特性を与える。Fvフラグメントは、免疫グロブリンのFabフラグメントのN末部分であり、1本の軽鎖と1本の重鎖の可変部分からなる。抗体の特異性は、抗体結合部位と抗原性決定因子の間の構造的相補性にある。抗体結合部位は、主に高頻度可変性または相補性決定領域(CDR)由来の残基で構成される。時折、非高頻度可変性またはフレームワーク領域(FR)由来の残基は、ドメイン構造全体(したがって結合部位)に影響を及ぼす。相補性決定領域(CDR)はアミノ酸配列を指し、それは共に、ネイティブの免疫グロブリン結合部位の天然のFv領域の結合親和性および特異性を規定する。免疫グロブリンの軽鎖および重鎖は、それぞれ3つのCDRを有し、それぞれ、L−CDR1、L−CDR2、L−CDR3およびH−CDR1、H−CDR2、H−CDR3と指定される。したがって、抗原結合部位は、重鎖および軽鎖V領域のそれぞれ由来のCDRセットを含む6個のCDRを含む。フレームワーク領域(FR)は、CDR間に挿入されたアミノ酸配列、すなわち、Kabatら(National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1991)によって定義されるように、単一種における異なる免疫グロブリン間で相対的に保存されている免疫グロブリン軽鎖および重鎖可変領域の部分を指す。
「抗体フラグメント」は、無傷の抗体の部分、好ましくは、無傷の抗体の抗原結合または可変領域を含む。抗体フラグメントの例は、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFvフラグメント;ダイアボディ;線形抗体(米国特許番号5,641,870;Zapata et al.,Protein Eng.8(10):1057−1062[1995]を参照);単鎖抗体分子;および、抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体を含む。したがって、用語「抗体」は、単鎖抗体、例えばラクダ科抗体、またはナノボディまたはVHHをさらに表わす。
用語「T細胞受容体」は、本明細書において、T細胞(すなわち、Tリンパ球)の表面上に存在する抗原認識分子を指す。この定義は、当技術分野で知られている用語の理解を明示的に含み、例えば、不変CD3鎖との複合体として細胞膜において発現された非常に可変のαまたはβ鎖のジスルフィド結合ヘテロ二量体を含むまたはからなる受容体、または、T細胞のサブセット上にCD3との複合体として細胞膜において発現された可変γおよびδ鎖を含むまたはからなる受容体を含む。
「抗体遺伝子」および「T細胞受容体遺伝子」は、TおよびB細胞成熟の初期段階中に、発達リンパ球においてのみ生じる、V(D)J組み換えと呼ばれる遺伝子組み換えの独特なメカニズムを受ける。それは、体細胞組み換えを含み、B細胞およびT細胞上にそれぞれ見られる抗体/免疫グロブリン(Ig)およびT細胞受容体(TCR)の非常に広範なレパートリーをもたらす。
用語「複数」は、本明細書において、1よりも多い任意の数の関連する物、例えば、500よりも多い、1000よりも多い、2000よりも多い、5000よりも多い、100000よりも多い、例えば、1〜100000、例えば1〜10000、1〜10000、10〜1000、50〜1000、100〜1000、10〜500の関連する物を指す。
[マイクロ流体デバイス]
本発明のマイクロ流体のプロセスは、チップを備えるマイクロ流体デバイス内で行なわれる。
「マイクロ流体チップ」は、一般に、材料(ガラス、シリコンまたはポリマー、例えばPDMS、PMMAまたはCOC)への摩砕、エッチング、アブレーションまたは成形によって作られるマイクロチャネルのセットを指す。マイクロ流体チップは通常、少なくとも1つのチャネルを共に規定する基材および支持体を備える。
本発明の一部の実施態様では、本発明の文脈において用いられるマイクロ流体デバイスは、複数のリザーバーを備えるチップを備える。
本発明の一部の実施態様では、本発明の文脈において用いられるマイクロ流体デバイスは、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルおよび複数のリザーバーを備えるチップを備える。
関連する実施態様では、前記の少なくとも1つのマイクロ流体チャネルは、入口と出口の間に長手方向(X)で伸長する。
関連する実施態様では、複数のリザーバーのそれぞれのリザーバーは、長手方向(X)と0でない角度を形成する上昇方向(Z)に沿って伸長して、それぞれのリザーバーは、長手方向(X)に伸長している前記の少なくとも1つのチャネルの中に開く。
したがって、一部の実施態様では、マイクロ流体デバイスは、
−入口と出口の間に長手方向(X)で伸長している、少なくとも1つのマイクロ流体チャネル、
−複数のリザーバー(それぞれのリザーバーは、長手方向(X)と0でない角度を形成する上昇方向(Z)に沿って伸長して、それぞれのリザーバーは、前記の少なくとも1つのチャネルの中に開く)
を備えるチップを備える。
一部の実施態様では、「少なくとも1つのマイクロ流体チャネル」は、本明細書において、少なくとも1〜100、1〜80、1〜50、1〜40、1〜30、1〜20、1〜10、例えば、1〜6、1〜4、1〜3のチャネルを指す。
一部の実施態様では、上昇方向(Z)と長手方向(X)の間に形成される0でない角度は、85度〜95度、好ましくは90度である。
チャネルの入口は通常、少なくとも1つの流体を注入するために用いられて、チャネルの出口は通常、少なくとも1つの流体を集めるために用いられる。チャネルは通常、入口から出口に向かう主方向に沿って前記の少なくとも1つの流体が流れるのを可能にすることが意図される。
チャネルの入口は、チャネル内を流れることが意図される流体の、少なくとも1つのリザーバー、例えば1〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは、1〜3、例えば、1、2または3個のリザーバーと接続され得る。
チャネルの出口は、チャネルから来る流体を集めるために、少なくとも1つのリザーバー、好ましくは1または2個のリザーバーに接続され得る。
一部の実施態様では、チップは、液滴アレイ、より具体的には、フローティング液滴アレイである。
一部の実施態様では、前記マイクロ流体デバイスは、前記の少なくとも1つの流体の流速を制御するための少なくとも1つの注入デバイスをさらに備える。
「少なくとも1つの流体」は、本明細書において、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5または5よりも多い流体を指してよい。入口で注入される「少なくとも1つの流体」および出口で集められる「少なくとも1つの流体」は、同一の流体または異なる流体であってよい。
注入デバイスは、圧力制御装置またはシリンジ駆動装置を備えてよい。
一部の実施態様では、入口の前記の少なくとも1つの流体は、1、2、3または4つの流体、例えば3つの流体を指す。
したがって、一例では、1つの流体は、例えば、第一のタイプの液滴を含み、1つの第二の流体は、例えば、第二のタイプの液滴を含み、第三の流体は、第一のタイプまたは第二のタイプの液滴の複数を除去してチャンバーを浄化するためのものである。第一のタイプおよび第二のタイプの液滴は、本発明のプロセスの関連で本明細書において以下に定義されるとおりである。前記の例によれば、前記マイクロ流体デバイスは、前記の3つの流体の流速を制御するための注入デバイスをさらに備える。
一部の実施態様では、デバイスは、少なくとも1つの電気システム、好ましくは、チップの特定の領域において電場を誘導するように適合された、1つの電気システムを備える。前記の少なくとも1つの電気システムは、発電機、アノードおよびカソードを備えてよい。
一部の実施態様では、本発明の文脈におけるマイクロ流体デバイスは、デバイスアセンブリにおいて用いられる。
前記デバイスアセンブリは、液滴、例えば、第一のタイプまたは第二のタイプの液滴、例えば、本明細書において以下にさらに定義される単一細胞の液滴またはRT液滴を生産するためのユニットまたは細胞ソーターをさらに備える。
したがって、1つの代替の実施態様では、チップは、第一のタイプまたは第二のタイプの液滴、例えば、本明細書において以下にさらに定義される単一細胞の液滴またはRT液滴を生産するためのユニットを備える。
これらの液滴は、それから、前記の少なくとも1つのマイクロ流体チャネルの中に入口を経由して注入される。
「複数のリザーバー」は、本明細書において、任意の数のリザーバーを指す。リザーバーおよびしたがって複数のリザーバーの数は、好ましくは、1〜100000のリザーバー、例えば1〜10000のリザーバー、例えば、10〜8000、10〜7000、10〜6000、10〜5000、10〜4000、10〜3000、10〜2000、10〜1000、例えば、1000〜10000、1000〜9000、2000〜8000、3000〜7000、4000〜6000、例えば4500〜5500を指す。
本発明の文脈において、言及は、マイクロ流体デバイスの1つのリザーバーに対してなされてよい。しかしながら、当業者は、1つのリザーバーに関して説明されるプロセスは、用いられるチップ内に存在する複数のリザーバーに同時に当てはまることを理解している。
一部の実施態様では、チップのリザーバーは、シリンダーの形状を有する。一部の実施態様では、複数のリザーバーの、リザーバーのサイズは同質である。
マイクロ流体デバイス、より具体的には、マイクロ流体デバイスのチップは、その幾何学的パラメーター、例えば、複数のリザーバーの1つのリザーバーの直径、dreservoir、リザーバーの深さ、hreservoir、注入チャネルの高さ、hchannel、注入チャネルの幅、wchannel、および、複数のリザーバーの個々のリザーバーの間の空間、xによって特徴付けられ得ることが、当業者によって理解される。
[液滴]
「液滴」は一般に、容量の測定を指す。「液滴」は、本発明の文脈において、第二の流体によって囲まれた第一の流体の単離された部分を指す。液滴は必ずしも球状ではないが、例えば外的環境に依存して他の形状も同様に推定され得ることに注意する。
本明細書のプロセスの文脈において用いられる用語「液滴」は、第一のタイプの液滴、第二のタイプの液滴、例えば、単一細胞の液滴またはRT液滴、および融合液滴、または複数の前記液滴を含む。
液滴を調製および注入するための方法は当業者に公知であり、本明細書において以下のセクション「液滴の調製」においてさらに説明される。液滴の調製に関して、液滴のサイズは、ガウス分布のような確率分布に従うことが当業者によって理解される。マイクロ流体の液滴の調製に用いられるパラメーターが、特定の容量を有する複数のマイクロ流体の液滴を得るために選択され得ることがさらに理解される。
一部の実施態様では、本発明のプロセスの文脈における液滴、特に、第一のタイプの液滴または第二のタイプの液滴は、好ましくは、実質的に、単分散である。
「単分散」は、本明細書において、実質的に同一の形状および/またはサイズを有する液滴を指す。
本明細書において上述されて、当業者に公知であるように、液滴は、形状およびサイズの分布に従う。したがって、液滴は、断面径の均一な分布を有してよく、すなわち、液滴は、液滴の約5%以内、約2%以内、または約1%以内が、複数の液滴の全体的な平均直径または容量の約90%未満(または約95%未満、または約99%未満)の、および/または、約110%よりも大きい(または約105%よりも大きい、または約101%よりも大きい)、直径または容量を有するような、直径または容量の分布を有してよい。均一な分布の断面径の液滴を生産するための一部の技術は、2004年4月9日に出願された国際特許出願番号PCT/US2004/010903、表題「Formation and Control of Fluidic Species」(Link et al.,WO2004/091763として2004年10月28日に公表)に開示されていて、参照により本明細書中に援用される。本明細書において液滴の容量またはサイズに対して言及がなされる場合は、この容量またはサイズは、複数の液滴の平均の容量またはサイズを指すことが当業者によって理解される。当業者は、例えば、レーザー光散乱または他の公知技術を用いて、液滴の集団の平均直径を決定することができる。本発明の文脈において形成される液滴は球状であってよく、または特定の場合には非球状であってよい。液滴、特に非球状の液滴の直径は、非球状の液滴と同一の容量を有する完全な数学的球体の直径として得られてよい。
「液滴」または「複数の液滴」、例えば、「複数のRT液滴」または「複数の単一細胞の液滴」は、5nL未満、例えば4nL未満、3nL未満、好ましくは3nL未満の平均容量を有する。一部の実施態様では、前記の複数のマイクロ流体の液滴は、3nL未満、2.5nL未満、2nL未満、1.5nL未満、1nL未満、0.5nL未満、例えば0.1nL〜3nL、0.5nL〜3nL、1nL〜3nL、典型的に、10pL、20pL、30pL、50pL、0.1nL、0.5nL、1nL、1.2nL、1.4nL、1.6nL、1.8nL、2.0nL、2.2nL、2.4nL、2.6nL、2.8nL、3nLの平均容量を有する。
一部の実施態様では、複数のマイクロ流体の液滴の、液滴は、1pL〜5000pL、10pL〜5000pLまたは10pL〜3000pLの平均容量を有する。
一部の実施態様では、複数のマイクロ流体の液滴の、液滴は、1nLと等しいまたはそれ未満の平均容量を有する。
したがって、「融合液滴」または「複数の融合液滴」は、10nL未満の平均容量を有する。一部の実施態様では、前記複数の融合液滴は、9nL未満、8nL未満、7nL未満、6nL未満、5nL未満、4nL未満、3nL未満、2nL未満、1nL未満、0.5nL未満、例えば0.1nL〜10nL、0.1nL〜8nL、0.1nL〜6nL、0.1nL〜5nL、例えば0.1nL〜3nL、0.5nL〜5nL、0.5nL〜3nL、1nL〜3nL、典型的に、0.1nL、0.5nL、1nL、1.2nL、1.4nL、1.6nL、1.8nL、2.0nL、2.2nL、2.4nL、2.6nL、2.8nL、3nL、4nLまたは5nL、例えば11pL〜8000pLの平均容量を有する。
一部の実施態様では、第一のタイプまたは第二のタイプ、好ましくは第一のタイプの複数の液滴は、注入チャネルの高さ(hchannel)よりも小さな平均直径を有する。
一部の実施態様では、第一のタイプまたは第二のタイプ、好ましくは第一のタイプの複数の液滴は、注入チャネルの高さ(hchannel)の30%〜100%、例えば、注入チャネルの高さ(hchannel)の、60%〜100%、70%〜100%;80%〜100%、90%〜100%、92%〜98%、94%〜98%、例えば95%である平均直径を有する。
当業者によって理解されるように、複数の液滴のうちの第一のタイプの少なくとも1つの液滴が、浮力によって、前記の複数のリザーバーの1つのリザーバーの中に移動する場合、特に、第一のタイプの複数の液滴は、上述した注入チャネルの高さ(hchannel)の30%〜100%である平均直径を有する。
一部の実施態様では、第一のタイプまたは第二のタイプ、好ましくは第一のタイプの複数の液滴は、リザーバーの直径(dreservoir)の60%〜95%、例えば70%〜90%、75%〜85%、または75%〜80%、好ましくは75〜80%である平均直径を有する。
一部の実施態様では、第二のタイプの複数の液滴は、注入チャネルの高さ(hchannel)よりも大きな平均直径、例えば、100%〜250%、120%〜250%、150%〜250%、200〜250、好ましくは200%〜250%である平均直径を有する。
当業者によって理解されるように、移行ステップにおいて、第二のタイプの1つの液滴の少なくとも一部が、表面エネルギーの違いに起因して前記の複数のリザーバーの1つのリザーバーの中に入る場合、第二のタイプの複数の液滴は、本明細書において上述した注入チャネルの高さ(hchannel)よりも大きな平均直径を有する。
一部の実施態様では、第二のタイプの複数の液滴は、第一のタイプの液滴よりも小さい、または同じ大きさの、平均直径を有する。
一部の好ましい実施態様では、第一のタイプまたは第二のタイプの複数の液滴、好ましくは第一のタイプの複数の液滴は、1pL〜5000pL、典型的に1pL〜4000pL、1pL〜3000pL、例えば1pL〜500pL、1pL〜400pL、1pL〜300pL、1pL〜200pLまたは1pL〜100pL、好ましくは1pL〜100pLの平均容量を有する。
一部の実施態様では、第二のタイプの複数の液滴は、第一のタイプの複数の液滴の平均容量と等しい平均容量またはそれよりも高い平均容量を有する。
一部の好ましい実施態様では、第二のタイプの複数の液滴は、10pL〜5000pL、10pL〜4000pL、10pL〜3000pL、例えば100pL〜4000pL、100pL〜3000pL、100pL〜2000pLまたは100〜1000pL、好ましくは、100pL〜1000pLの平均容量を有する。
一部の実施態様では、第二のタイプの複数の液滴は、リザーバーの深さ(hreservoir)の100%〜250%、例えば150%〜250%、170%〜230%、180%〜220%、190%〜210%、例えば、リザーバーの深さ(hreservoir)の200%である平均直径を有する。
一部の実施態様では、第二のタイプの複数の液滴は、リザーバーの直径(dreservoir)の70%〜130%、例えば、リザーバーの直径の80%〜120%、90%〜120%、100%〜120%、95%〜115%、95%〜110%、好ましくは、リザーバーの直径(dreservoir)の100〜120%である平均直径を有する。
一部の実施態様では、第二のタイプの液滴がリザーバーの中に部分的に入る場合、第二のタイプの複数の液滴は、リザーバーの直径(dreservoir)よりも大きな平均直径を有する。
本発明の文脈において、マイクロ流体の液滴または複数のマイクロ流体の液滴は、水性組成物を含む。
本発明の文脈における「水性組成物」は、単一細胞の液滴の場合、典型的に、用いられる細胞に適用されて、典型的に、本明細書において以下に定義されるように緩衝された溶液を含む。水性組成物は、RT液滴の場合、例えば逆転写酵素、逆転写組成物および/または溶解組成物をさらに含んでよい。
[液滴の調製]
本発明のプロセスの文脈において、一方のステップでは、第一のタイプの複数の液滴を含む担体流体が、別のステップでは、第二のタイプの複数の液滴を含む担体流体が、前記の少なくとも1つのマイクロ流体チャネル、好ましくは1つのマイクロ流体チャネルの、入口へ注入される。
第一のタイプの液滴は、単一細胞の液滴またはRT液滴のいずれかであり、これらの液滴の特徴は、本明細書において以下のそれぞれ、セクション「単一細胞の液滴をバーコード化するためのマイクロ流体のプロセス」、「単一細胞」および「逆転写」においてさらに定義されて、ここで、第二のタイプの液滴は、第一のタイプの液滴が単一細胞の液滴である場合はRT液滴であり、または、第二のタイプの液滴は、第一のタイプの液滴がRT液滴である場合は単一細胞の液滴である。
当業者は、マイクロ流体の液滴を調製するための技術を知っている。マイクロ流体の液滴内に細胞をカプセル化する技術は、例えば米国特許番号7,708,949、8,337,778、8,765,485、または国際特許出願公開番号WO2004/091763およびWO2006/096571、PCT/EP2016/080341に記載されて、それぞれ参照により本明細書中に援用される。逆転写酵素および少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含むRT液滴を調製する技術は、同一の開示、例えばPCT/EP2016/080341から、当業者によって容易に得ることができる。
一例では、単一細胞の液滴またはRT液滴は、別個のマイクロ流体デバイスにおいて、注入前に調製される。この例では、単一細胞の液滴またはRT液滴は、典型的に、液滴担体油(担体流体)のための1つの入口、および、液滴水相の構成要素のためのさらなる入口を有するマイクロ流体デバイス内で調製される。担体油については、典型的に、例えば0.75%(w/w)界面活性剤(2つのペルフルオロポリエーテルブロック(PFPE)および1つのポリ(エチレン)グリコール(PEG)ブロックを含むPFPE−PEG−PFPEトリブロック共重合体)を含むフッ素化油(例えばHFE−7500)が典型的に用いられる。界面活性剤は典型的に、液滴が融合するのを防ぐために用いられて、量は、例えば、用いられる界面活性剤の物理化学的特性に基づいて調節されてよい。乳化に用いられる担体油は、フッ素化液体に制限されず、炭化水素に基づく流体のような代替の流体(例えば鉱油、ヘキサンなど)、シリコン油および他のタイプの油が成功的に用いられ得る。
単一細胞の液滴の調製に関して、液滴担体油のための1つの入口および、通常はもう1つの入口が、分離された細胞の懸濁液を送達するために用いられる。
RT液滴の調製に関して、一例では、液滴担体油のための1つの入口および、典型的に、2つのさらなる入口が用いられて、(1)逆転写酵素および(2)前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを送達する。
一部の実施態様では、RT液滴の調製に関して、例えば本発明のプロセスの文脈において、RT液滴は、さらなる成分、例えば、少なくとも1つのバーコード配列および少なくとも1つの色素を含む他の液滴と融合され得る。流れている液滴を融合する方法は、当業者に公知であり、例えばWO2010128157A1に記載される。
当業者によって理解されるように、例えば、単一細胞の液滴の場合、1つの液滴内にカプセル化される細胞の数および液滴のサイズは、ポアソンまたはガウス分布のような確率分布に従い、細胞の濃度、主なチャネルの形状、細胞懸濁液および担体流体の注入パラメーターに依存する。
したがって、パラメーターは、その中に1または0個の細胞を有する液滴を得るように適合され得て、したがって、数個の細胞を含む液滴を回避する。
したがって、本発明の文脈において、単一細胞の液滴の少なくとも一部は、1つの単一細胞を含む。
細胞は、本発明の文脈において核酸を含み、したがって、単一細胞を含む本発明の文脈における単一細胞の液滴は、したがって、単一細胞の核酸を含むことが、当業者によって理解される。
単一細胞の液滴の調製と同様に、RT液滴の場合、逆転写酵素および少なくとも1つのオリゴヌクレオチドのカプセル化もポアソンまたはガウス分布のような確率分布に従い、逆転写酵素の濃度、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドの濃度、主なチャネルの形状、逆転写酵素、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドおよび担体流体の注入パラメーターに依存することが、当業者によって理解される。さらに、同様の実施態様では、RT液滴内に含まれる前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、第一のタイプの少なくとも1つの粒子に結合する。
したがって、1つの液滴内にカプセル化される第一のタイプの粒子の数も同様に、ポアソン分布のような確率分布に従い、粒子の濃度、主なチャネルの形状、粒子懸濁液および担体流体の注入パラメーターに依存する。
したがって、パラメーターは、その中に0、1または2個の粒子を有する液滴を得るように適合され得る。したがって、一部の実施態様では、RT液滴の少なくとも一部は、好ましくは、第一のタイプの1つの粒子を含む。
「担体流体」は、液滴の水溶液と非混和性である。
液滴の調製のために用いられる「担体流体」は、当業者に公知であり、通常はフッ素化油である。
したがって、一部の実施態様では、担体流体は、HFE−7500のようなフッ素化油である。
さらに、液滴が融合するのを防ぐために、担体流体は、界面活性剤をさらに含んでよい。
したがって、一部の実施態様では、担体流体は、界面活性剤をさらに含む。
界面活性剤は、界面活性剤の物理化学的特性に応じて、通常、0.1%〜10%、例えば0.1%〜1%または1%〜10%、2%で存在する。一例では、担体流体は、1.5%、1%または0.75%(v/v)の界面活性剤、例えば、2つのペルフルオロポリエーテルブロック(PFPE)および1つのポリ(エチレン)グリコール(PEG)ブロックを含むPFPE−PEG−PFPEトリブロック共重合体を含む。
界面活性剤は、好ましくは、フッ素化流体中に非常に可溶性であり、水相中にほぼ不溶性である。
しかしながら、RTおよび単一細胞の液滴は、後のステップにおいて融合されるので、液滴の調製のために用いられる界面活性剤の選択および濃度は、好ましくは、前記の液滴の融合を妨げない。
[単一細胞]
本明細書において、上記セクション「液滴の調製」において説明されるように、カプセル化条件(単一細胞の液滴を調製するための条件)は、単一細胞の液滴が0または1個の細胞を含む方法で好ましくは選択される。単一細胞を含む液滴のパーセンテージを増大するために、複数の単一細胞の液滴は、複数の単一細胞の液滴を注入するステップの前にスクリーニングおよびソートされる。
さらに、一部の実施態様では、前記の複数の単一細胞の液滴は、複数の単一細胞の液滴を注入する前に、目的の表現型に関してスクリーニングされてよい。
代替の実施態様によれば、前記の複数の単一細胞の液滴は、複数の単一細胞の液滴を注入した後に、第一および/または第二の目的の表現型に関してスクリーニングされてよい。
目的の表現型の例は、生物学的応答の検出である。これらのうち、免疫応答の検出は、抗原特異的抗体の分泌によって誘導されるADCC(抗体依存−細胞媒介細胞傷害性)(3)を検出することによって監視され得る(図1を参照)。
生物学的イベントのうち、免疫応答の検出は、抗原特異的抗体の分泌によって誘導される相補依存性細胞毒性(CDC)(6)を検出することによって監視され得る(図2を参照)。
生物学的イベントのうち、薬物効果の検出は、抗原特異的抗体の分泌によって誘導されるADC(抗体薬物コンジュゲート)を検出することによって監視され得る(図3を参照)。
生物学的イベントのうち、抗原特異的抗体の分泌によって誘導されるアゴニスト/アンタゴニスト抗体のような薬物機能の検出が含まれる(図4、5を参照)。
生物学的イベントのうち、競合アッセイの実施のような薬物機能の検出が含まれる(図6を参照)。
生物学的イベントのうち、抗体の分泌によって仲介されるレポーター細胞の細胞移動性の検出のような薬物機能の検出が含まれる(図6を参照)。そのようなアッセイは、前記液滴の内部のレポーター細胞の挙動の改変をトラックするために用いられ得る。目的の抗原を発現していて、放出されない検出可能なラベルがロードされた標的細胞(1)は、単一細胞の液滴として、IgG産生細胞(2)および粒子と共カプセル化される。液滴は、抗体分泌を可能にする条件でインキュベートされる。分泌された特定の抗体は、標的細胞上に再局在する。その間に、リガンド/アゴニストは、IgG生産と(than)同様の動力学で粒子から拡散して、リガンドの勾配を作り出す。レポーター細胞は、リガンド濃度の関数で粒子の内部に移行する(9)。ブロック抗体(3)の場合、レポーター細胞の進行は変化される。移行はその結果、抗体のブロック/中和活性を評価するために用いられ得る。
したがって、一部の実施態様では、単一細胞の液滴は、複数の単一細胞の液滴を注入する前にスクリーニングおよびソートされる。
マイクロ流体細胞ソーティング技術は当業者に公知であり、例えば、Wyatt Schields,C.et al.(Lab Chip.2015 February 16;15(5):1230−1249)に記載される。
マイクロ流体細胞ソーティング技術の例は、限定されないが、電気泳動、誘電泳動(DEP)、電気浸透流、音響泳動(acoustophoresis)、光マニピュレーション、機械システム、磁気泳動、電気運動的メカニズム、光ピンセットおよび受動型細胞ソーティングを含む。一部の方法は、これらの技術のいくつかを組み合わせてもよい。
受動型細胞ソーティングは、本明細書において、生来の違いに依拠する方法を指し、慣性力、流体力学的な伝播、決定論的な横変位、濾過、一過的な細胞の接着、および細胞の固定化を用いて細胞をソートする。
好ましい実施態様では、単一細胞の液滴は、複数の単一細胞の液滴を注入する前に、音響泳動を用いて、または誘電泳動によって、ソートされる。
一例では、好ましくは、音響泳動、特に、表面弾性波は、例えばUS20130213488A1において説明されるように、選択された液滴を異なるソーティングビンの中に移動させるために用いられる。
さらに好ましい実施態様では、単一細胞の液滴は、例えば、WO2016059182に記載の方法を用いて、注入する前にソートされる。
当業者に公知であるように、これらの方法の一部(例えば、磁気泳動、音響泳動または電気運動的メカニズム)は、単一細胞の標識化を必要とする。しかしながら、ラベルのタイプは、ラベルが必要な場合、分析される細胞に依存する。例を提供すると、磁気泳動に関しては、例えば、細胞は磁性粒子によって標識されるが、例えば赤血球は、それらの天然の鉄含有量に基づいてソートされ得る。あるいは、一部の例では、一部のタイプの細胞は強磁性流体または常磁性溶液を用いて操作される。
ほとんどの実施態様では、単一細胞の液滴は、蛍光色素をさらに含む。
「蛍光色素」は、本明細書において、光励起の際に再発光することのできる蛍光物質を指す。
一部の実施態様では、例えば、細胞ソーティングの文脈において用いられる場合、蛍光色素は、細胞上または細胞内の標的特性を認識する抗体にコンジュゲートされて;色素は、細胞膜または別の細胞構造に関して親和性を有する化学物質に付着されてもよい。一部の実施態様では、蛍光色素は、細胞構造を認識する。
一部の実施態様では、蛍光色素は、制限されないが、反応性およびコンジュゲートされた色素、核酸色素、細胞機能色素、および蛍光タンパク質または蛍光ナノ粒子を含む。
「反応性およびコンジュゲートされた色素」は、限定されないが、キサンテン(例えばフルオレセイン)、ローダミン、クマリンおよびシアニン色素またはAlexa fluor色素のようなそれらの誘導体を含む。
「核色素(Nucleic dye)」は、限定されないが、Sytox色素、DRAQ7、ヨウ化プロピジウム(PI)、および7−アミノアクチノマイシンD(7−AAD)を含む。
「アミン色素」は、細胞のタンパク質のアミン基に結合する。これらの色素は、細胞表面のタンパク質または死滅細胞の細胞内タンパク質に結合する。
「細胞機能色素」は、細胞の特定の代謝条件において蛍光になる色素であり、例えば、カルセインを含む。カルセインは、細胞内Ca2+に結合すると蛍光になる。
「蛍光タンパク質」は当業者に公知であり、限定されないが、GFPまたはEBFPを含む。
「蛍光ナノ粒子」は、限定されないが、例えば、PAN粒子を含む。
当業者によって理解されるように、上述の一部のソーティング技術は、単一細胞の液滴内への粒子の導入を必要とする。
したがって、一部の実施態様では、単一細胞の液滴は、第二のタイプの少なくとも1つの粒子をさらに含む。
一部の実施態様では、前記の第二のタイプの少なくとも1つの粒子は、本明細書において、少なくとも1、少なくとも2 少なくとも3、例えば1よりも多い、例えば1〜10、1〜5、1〜3個の粒子を指す。
一部の実施態様では、第二のタイプの粒子は、蛍光である。
一部の実施態様では、前記の第二のタイプの粒子は、エラストマー粒子、ヒドロゲル粒子、ポリマー粒子または磁性粒子、好ましくはヒドロゲル粒子または磁性粒子からなる群より選択されて、ここで磁性粒子およびヒドロゲル粒子は、本明細書において以下のセクション「オリゴヌクレオチド」において定義される。
一部の実施態様では、磁性粒子は、常磁性粒子または超常磁性粒子である。
「エラストマー粒子」は、本明細書において、例えば、シリコーンエラストマー粒子を指す。
一部の実施態様では、第二のタイプの粒子は、タンパク質、核酸または小分子のような他の分子が付着することができるように官能化される。粒子を官能化する方法は当業者に公知である。
一部の実施態様では、第二のタイプの粒子は、抗体によって官能化される。第二のタイプの粒子は、本明細書において以下に、第一のタイプの粒子との関連でRT液滴のセクションにおいて説明するように、例えば、ストレプトアビジン−ビオチンの結合を用いて、抗体によって官能化され得る。
一部の実施態様では、前記抗体は、単一細胞の構成要素に対して向けられる。
本発明の文脈における「細胞」は、生物学において用いられるように、その通常の意味が与えられて、例えば、細胞は、例えば単細胞生物に関しては生命の機能性非依存性単位として、または、植物および哺乳類のような多細胞生物においてはサブ単位として、存在し得る自律的自己複製単位を指し、全体として、特定の機能を生物の原因に向けて行なうように特殊化される。しかしながら、「細胞」は、有糸分裂の刺激が加えられた場合に細胞分裂が典型的にまだ可能である静止細胞をさらに指してよい。
一部の実施態様では、細胞は、原核生物細胞または真核生物細胞、好ましくは、真核生物細胞を指す。
原核生物細胞から「真核生物細胞」を区別するための定義する特徴は、遺伝物質を含み、核エンベロープによって囲まれた、膜結合型オルガネラ(特に核)を有することである。
本発明の文脈における「真核生物細胞」は、哺乳類細胞、植物細胞および真菌細胞からなる群より選択されて、好ましくは哺乳類の細胞である。
「哺乳類」は、本明細書において、ヒト、飼育動物および家畜、および、動物園、スポーツ、またはペットの動物、例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウサギなどを含む、任意の哺乳類を指す。好ましくは、哺乳類はヒトである。
したがって、一部の実施態様では、細胞は、哺乳類細胞、改変された哺乳類細胞または細胞株または哺乳類免疫細胞である。
一部の実施態様では、哺乳類細胞は、免疫細胞である。
一部の実施態様では、免疫細胞は、制限されないが、B細胞、T細胞、またはハイブリドーマであってよく、好ましくはB細胞である。
一部の実施態様では、細胞または複数の細胞は、本明細書において、異なるタイプの細胞または異なる条件に曝された同一タイプまたは起源の細胞を指す。
1つの特定の実施態様では、細胞は、非哺乳類細胞である。
1つのさらなる特定の実施態様では、非哺乳類細胞は、酵母細胞、鳥類細胞またはサメ細胞である。
上述のように、単一細胞の液滴は通常、水性組成物を含み、前記水性組成物は、用いられる細胞に典型的に適合されて、本明細書において以下に定義される緩衝された溶液を典型的に含む。
当業者に公知であるように、細胞は核酸を含み、ここで核酸は、本明細書において上記に定義されるとおりである。
本発明のプロセスの文脈における細胞は、好ましくは生細胞である。死滅細胞から生きた細胞を分離する方法は当業者に公知である。
[細胞溶解]
当業者に公知であるように、単一細胞内に存在する核酸は、前記細胞が溶解したときに放出される。
本発明の文脈において用いられる「細胞溶解」は、酵素的、物理的、および/または化学的手段、またはそれらの任意の組み合わせ、特に、酵素的、物理的、および/または化学的手段によって達成され得る。他の細胞破壊の方法が用いられてもよい。後述する細胞溶解方法は、単一細胞の液滴または融合液滴のような液滴内に存在する場合に、または液滴を含まないリザーバー内に存在する場合に、細胞の溶解に適用する。
したがって、一部の実施態様では、単一細胞または細胞は、酵素的、物理的、および/または化学的細胞溶解を用いて、本発明のプロセスの文脈における溶解ステップにおいて溶解される。
細胞壁を除去するための「酵素的方法」は、当該分野において十分に確立されている。酵素は一般に市販されていて、ほとんどの場合、生物学的由来から元々は単離されたものである。一般的に用いられる酵素は、リゾチーム、リゾスタフィン、ジモラーゼ(zymolase)、ムタノリシン、グリカナーゼ、プロテアーゼ、およびマンノースを含む。
当業者によって知られるように、「化学的細胞溶解」は、脂質−脂質、脂質−タンパク質およびタンパク質−タンパク質の相互作用を破壊することによって、細胞を取り囲んでいる脂質バリアを破壊する、洗浄剤のような化学物質を用いて達成される。細胞溶解のための理想的な洗浄剤は、細胞のタイプおよび由来に依存する。非イオン性および双性イオン性洗浄剤は、より穏やかな洗浄剤である。非イオン洗剤のトリトンXシリーズおよび3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−l−プロパンスルホナート(CHAPS)、双性イオン性洗浄剤は、これらの目的のために一般に用いられる。対照的に、イオン性洗浄剤は強力な可溶化剤であり、タンパク質を変性させる傾向があり、それにより、タンパク質の活性および機能を破壊する。SDSは、タンパク質に結合して変性させるイオン性洗浄剤であり、細胞を破壊するために当該分野において広く用いられる。
「物理的細胞溶解」は、超音波処理、ヒートショック、アイスショックまたはエレクトロポレーションの使用を指す。
一例では、細胞は、コールドショックを用いて溶解される。これは、本発明のプロセスの文脈において、例えば、複数のリザーバーにおいて単一細胞を含むチップを冷却することによって達成される。
本明細書において以下に述べられるように、一部の実施態様では、RT液滴または複数のRT液滴、融合液滴または複数の融合液滴、または複数のリザーバーは、溶解組成物を含む。
一部の実施態様では、溶解組成物は、リゾチーム、リゾスタフィン、ジモラーゼ、ムタノリシン、グリカナーゼ、プロテアーゼ、およびマンノースからなる群より選択される酵素を含む。
好ましい一実施態様では、本発明の文脈における溶解組成物は、塩化マグネシウム、洗浄剤、緩衝された溶液およびRNase阻害剤を含む。
一部の実施態様では、洗浄剤は、トリトン−X−100、NP−40、ノニデットP40、およびTween−20およびIGEPAL CA 630からなる群より選択される。
緩衝された溶液の非限定的な例は、Tris−HCl、Hepes−KOH、Pipes−NaOH、マレイン酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、ギ酸、乳酸、コハク酸、酢酸、ピバル酸(トリメチル酢酸)、ピリジン、ピペラジン、ピコリン酸、L−ヒスチジン、MES、Bis−トリス、bis−トリスプロパン、ADA、ACES、MOPSO、PIPES、イミダゾール、MOPS、BES、TES、HEPES、DIPSO、TAPSO、TEA(トリエタノールアミン)、N−エチルモルホリニウム、POPSO、EPPS、HEPPS、HEPPSO、トリス、トリシン、グリシルグリシン、ビシン、TAPS、モルホリン、N−メチルジエタノールアミン、AMPD(2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール)、ジエタノールアミン、AMPSO、ホウ酸、CHES、グリシン、CAPSO、エタノールアミン、AMP(2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール)、ピペラジン、CAPS、1,3−ジアミノプロパン、CABS、またはピペリジンを含んでよい(www.reachdevices.com/Protein/BiologicalBuffers.htmlも参照)。RNase阻害剤の非限定的な例は、RNase OUT、IN、SuperIN Rnase、および、広範囲のRNAseを標的化する阻害剤(例えば、A、B、C、1およびT1)を含んでよい。
本明細書において以下のセクション「単一細胞の核酸をバーコード化するためのマイクロ流体のプロセス」において述べられるように、化学的溶解は、液滴に適用される場合、典型的にRT液滴と単一細胞の液滴を融合した後に生じる。一部の実施態様では、細胞溶解は、好ましくは表現型アッセイを行なった後に、例えば、目的の表現型を有する単一細胞を遺伝子型決定するためのプロセスのステップb)の後に生じる。
当業者によって理解されるように、逆転写酵素および逆転写酵素組成物および溶解組成物のような構成要素は、さらなる構成要素が添加されると希釈されて、例えば、溶解組成物は、一例では、RTおよび単一細胞の液滴が融合されると、希釈される。
したがって、溶解組成物の成分に関して与えられる濃度は、好ましくは、例えば液滴融合後の最終濃度として与えられる。したがって、当業者は、リザーバー、またはRT液滴内に存在する最初の濃度を適合させることを理解している。
一部の実施態様では、塩化マグネシウムの濃度は、1mM〜20mMである。
一部の実施態様では、洗浄剤の濃度は、0.1%〜10%である。
一例では、溶解組成物は、典型的に0.2%トリトン、3mM MgCl2、50mM Tris−HCl(pH7.4)である。
[逆転写(RT)]
本発明のプロセスの文脈における1つのステップにおいて、複数のRT液滴が注入されて、ここでRT液滴の少なくとも一部は、逆転写酵素(RT)および少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む。
目的の表現型を有する単一細胞を遺伝子型決定するためのマイクロ流体のプロセスの文脈において、逆転写酵素(RT)および少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、複数のリザーバーのそれぞれのリザーバー内に提供される。
「逆転写酵素(RT)」は、逆転写と呼ばれるプロセスにおいて、核酸テンプレート、特にRNAテンプレートから、相補DNA(cDNA)を生産するために用いられる酵素である。
一部の実施態様では、逆転写酵素は、Superscriptase I、Superscriptase II、Superscriptase III、Superscriptase IV、Murine Leukemia RT、SmartScribe RTまたはMultiScribe RTからなる群より選択される。
一部の実施態様では、逆転写酵素は、テンプレートスイッチ活性を有する。
テンプレートスイッチ活性は、ユニバーサル配列によってcDNAを独特に標識化することを可能にする。テンプレートスイッチ活性を用いることは、前記のユニバーサル配列によってその5’末端が独特に標識化されたcDNAをもたらす。ユニバーサル配列は、本明細書において、5’Rapid Amplification of cDNA End(RACE)のために典型的に用いられる配列を指す。どのようにして5’RACEを行なうか、および、どのユニバーサル配列が用いられ得るか、当業者は一般に知っている。
本発明のプロセスの文脈において、逆転写は、第一のタイプの少なくとも1つの液滴を第二のタイプの少なくとも1つの液滴と融合した後に、または任意選択で、目的の表現型を有する単一細胞を遺伝子型決定するプロセスのステップc)の後に液滴を伴わずにプロセスが行なわれた場合に生じる。
したがって、本明細書において溶解組成物の文脈において上述したように、逆転写酵素のような成分は、溶解組成物、逆転写酵素または逆転写組成物のような異なる成分が混合されると希釈されることが、当業者によって理解される。したがって、本明細書において以下に任意の成分に関して与えられる濃度は、好ましくは、例えば液滴融合後に存在する最終濃度として与えられる。
一部の実施態様では、逆転写酵素の濃度は、1〜50U/μl、好ましくは5〜25U/μl、例えば12.5U/μlである。
「逆転写」または「RT反応」は、全細胞のRNAまたはポリ(A)RNA、逆転写酵素、プライマー、dNTPおよびRNase阻害剤を用いることによって、一本鎖RNAが一本鎖相補DNA(cDNA)に逆転写されるプロセスである。逆転写の産物は、そのテンプレートRNAにハイブリダイズした一本鎖cDNAを含むRNA/DNAデュプレックスであることが、当業者によって理解される。さらに理解されるように、前記RNA/DNAデュプレックスは、逆転写に用いられるプライマー配列を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドにさらに結合される。
したがって、例えば、単一細胞の核酸をバーコード化するためのマイクロ流体のプロセスのステップb)において、核酸を逆転写することは、単一細胞のcDNAをもたらすことが、当業者によって理解される。
したがって、一部の実施態様では、融合液滴の少なくとも一部は、単一細胞溶解物由来の核酸の逆転写によって生産された単一細胞cDNAをさらに含む。
したがって、一部の実施態様では、液滴が用いられない場合、リザーバーは、単一細胞溶解物由来の核酸の逆転写によって生産された単一細胞cDNAをさらに含む。
一部の実施態様では、前記cDNAは、一本鎖相補DNAを指す。
さらなる実施態様では、前記cDNAは、RNA/DNAデュプレックスで含まれる。
一部の実施態様では、RNA/DNAデュプレックスは、逆転写されていて、合成されたcDNAおよび/または少なくとも1つのオリゴヌクレオチドのプライマー配列に部分的または全長にわたって、まだなおハイブリダイズするRNAを指す。
当業者によって理解されるように、一部の実施態様では、RNA/DNAデュプレックスは、ハイブリダイゼーションステップ、例えばステップa)において、核酸(好ましくはmRNA)がハイブリダイズされて、逆転写ステップ、例えばステップb)において、逆転写に用いられた、プライマー配列を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドに結合される。
当業者によって理解されるように、一部の実施態様では、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドおよびしたがってRNA/DNAデュプレックスは、第一のタイプの粒子に結合される。
一部の実施態様では、複数のリザーバー、RT液滴または複数のRT液滴または融合液滴または複数の融合液滴は、逆転写酵素組成物を含む。
一部の実施態様では、逆転写酵素組成物は、プロテアーゼ阻害剤、dNTPおよび/またはDTT、好ましくはプロテアーゼ阻害剤、dNTPおよびDTTを含む。
一部の実施態様では、プロテアーゼ阻害剤は、複数のプロテアーゼ阻害剤を含む。
一部の実施態様では、プロテアーゼ阻害剤は、ロイペプチンヘミ硫酸塩、ペプスタチンA、AEBSF、アプロチニン、ベスタチン塩酸塩、E−64およびPMSFからなるリストより選択される。
例えば、プロテアーゼ阻害剤は、ロイペプチンヘミ硫酸塩、ペプスタチンA、AEBSF、アプロチニン、ベスタチン塩酸塩、E−64およびPMSFの1つまたは複数を含んでよい。
本明細書において用いられる用語「dNTP」は、デオキシヌクレオシド三リン酸、例えばデオキシアデノシン−5’−三リン酸(dATP、「A」)、デオキシシチジン−5’−三リン酸(dCTP、「C」)、デオキシグアノシン−5’−三リン酸(dGTP、「G」)、デオキシチミジン−5’−三リン酸(dTTP、「T」)またはデオキシウリジン−5’−三リン酸(dUTP、「U」)を指す。用語「dNTP」は、A、C、G、T、またはUの塩基対合を模倣することのできる、または、縮重モードで塩基対合することのできる、改変塩基および塩基類似体、例えば、AまたはG、CまたはT、AまたはC、GまたはT、GまたはC、またはAまたはTと対になる塩基(ヌクレオチド類似体と呼ばれる)を含むデオキシヌクレオシド三リン酸も指すことが意図される。前記ヌクレオチド類似体は、本明細書において以下にさらに説明されるように、例えば精製のために用いられ得る。
逆転写酵素組成物の成分に関して与えられる濃度は、好ましくは、例えば、液滴融合後の融合液滴内に存在する最終濃度として与えられることを、当業者は理解する。
一部の実施態様では、DTTの濃度は、1mM〜10mM、好ましくは5mMである。
一部の実施態様では、dNTPの濃度は、0.01mM〜10mM、好ましくは0.1〜1mM、より好ましくは0.5mMである。
一部の実施態様では、逆転写酵素組成物は、RNase阻害剤をさらに含む。RNase阻害剤は、本明細書において上記のセクション「細胞溶解」において定義される。
[オリゴヌクレオチド]
用語「オリゴヌクレオチド」は、本明細書において上記に定義されるとおりである。
本発明のマイクロ流体のプロセスの文脈における「少なくとも1つのオリゴヌクレオチド」は、プライマー配列を含む。
「プライマー配列」は、典型的に、目的の核酸と完全にまたはほぼ完全に一致するように設計された10〜50ヌクレオチドの長さの短い一本鎖核酸であり、捕捉されて、それから、典型的にPCRによって増幅または典型的にRTによって逆転写される。プライマー配列は、それらがハイブリダイズする、すなわち、好ましくはストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下、より好ましくは高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下でそれらがハイブリダイズする核酸に「特異的」であり、または、それらがハイブリダイズする核酸(標的配列とも呼ばれる)に相補またはほぼ相補である。
「ストリンジェント条件」または「高ストリンジェンシー条件」は、本明細書において上記に定義されるとおりである。
典型的に、プライマー配列は、核酸合成に関する開始点としての役割を果たし、核酸ポリメラーゼのようなポリメラーゼ酵素がプライマー配列を伸長させて相補鎖を複製するのを可能にする。プライマー配列は、標的核酸に相補であってよく、それにハイブリダイズしてよい。一部の実施態様では、プライマー配列は、合成のプライマー配列である。
一部の実施態様では、プライマー配列は、非天然起源のプライマー配列である。プライマー配列は典型的に、10〜50個のヌクレオチドの長さを有する。例えば、プライマー配列は、10〜40、10〜30、10〜20、25〜50、15〜40、15〜30、20〜50、20〜40、または20〜30個のヌクレオチドの長さを有してよい。一部の実施態様では、プライマー配列は、18〜24個のヌクレオチドの長さを有する。
一部の実施態様では、プライマー配列は、ポリT配列、ランダムDNA配列、および遺伝子特異的配列からなる群より選択される。
本明細書において言及される「ポリT配列」は、10〜50、10〜40、10〜30、10〜20、25〜50、15〜40、15〜30、20〜50、20〜40、または20〜30個のチミン「T」を含む配列である。ポリT配列は、mRNA内に存在するポリAテールとハイブリダイズする。
一部の実施態様では、ランダムDNA配列は、6〜50、6〜50、6〜40、6〜30、6〜20、10〜50、10〜40、25〜50、15〜40、15〜30、20〜50、20〜40、または20〜30個のヌクレオチドのような、任意の適切な長さであってよい。
特定の一実施態様では、プライマー配列は、遺伝子特異的配列であり、遺伝子は、抗体重鎖可変遺伝子、抗体重鎖定常遺伝子、抗体軽鎖可変遺伝子、抗体軽鎖定常遺伝子、αT細胞受容体遺伝子(可変または定常)、βT細胞受容体遺伝子(可変または定常)、δT細胞受容体遺伝子(可変または定常)、または、トランスクリプトーム分析に関するパネルのために選択される遺伝子からなる群より選択される。
表現「抗体重鎖可変遺伝子」、「抗体重鎖定常遺伝子」、「抗体軽鎖可変遺伝子」および「抗体軽鎖定常遺伝子」における用語「抗体」は、本明細書において上記に定義されるとおりである。
表現「αT細胞受容体遺伝子」、「βT細胞受容体遺伝子」および「δT細胞受容体遺伝子」または「γT細胞受容体遺伝子」における用語「T細胞受容体」は、本明細書において上記に定義されるとおりである。
単語「遺伝子」は、本明細書において上記に定義されるとおりである。
複数のリザーバーのそれぞれのリザーバー内または1つのRT液滴内に存在する少なくとも1つのオリゴヌクレオチドの数は、1つの単一細胞から転写およびバーコード化される、異なる核酸の数、特に、RNAの数に適合することを、当業者は理解している。
したがって、表現「少なくとも1つのオリゴヌクレオチド」における「少なくとも1つ」は、1つの液滴またはリザーバー内に存在する異なるオリゴヌクレオチドの数を指し、ここで、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドの1つのオリゴヌクレオチドは、そのプライマー配列が別のオリゴヌクレオチドとは異なる。
一部の実施態様では、表現「少なくとも1つのオリゴヌクレオチド」における「少なくとも1つ」は、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9少なくとも10個のオリゴヌクレオチドを指す。一部の実施態様では、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、1〜100個のオリゴヌクレオチド、1〜80、1〜60、1〜40、1〜30、1〜20、1〜10、好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9個のオリゴヌクレオチドを指す。
「少なくとも1つのオリゴヌクレオチド」は、したがって、RT液滴内またはそれぞれのリザーバー内に特定の濃度で存在する少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを指し、したがって、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチド由来の1つのオリゴヌクレオチドは、その結果、同一配列の複数のオリゴヌクレオチドを指すことが理解される。
例えば、細胞のトランスクリプトームが転写およびバーコード化される場合は、本明細書において以下にさらに定義されるように、ポリTプライマー配列のような全てのmRNAに特異的なプライマー配列を有するオリゴヌクレオチドが用いられて、一方で、遺伝子特異的トランスクリプトームが転写およびバーコード化される場合は、本明細書において以下にさらに定義されるように、遺伝子特異的プライマー配列を含むオリゴヌクレオチドが用いられることが、当業者によってさらに理解される。
オリゴヌクレオチドの数は、トランスクリプトームが転写およびバーコード化される特異的遺伝子の少なくとも数に対応することが理解される。
特定の一実施態様では、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、少なくとも2つのオリゴヌクレオチドであり、前記の少なくとも2つのオリゴヌクレオチドの一方は、抗体重鎖可変遺伝子のような一方の遺伝子に特異的なプライマー配列を含み、他方のオリゴヌクレオチドは、抗体軽鎖可変遺伝子のような別の遺伝子に特異的なプライマー配列を含む。
別の特定の実施態様では、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、少なくとも2つのオリゴヌクレオチドであり、前記の少なくとも2つのオリゴヌクレオチドの一方は、例えば、αT細胞受容体遺伝子またはβT細胞受容体遺伝子またはγT細胞受容体に特異的なプライマー配列を含み、前記の少なくとも2つのオリゴヌクレオチドの他方は、例えば、δT細胞受容体遺伝子に特異的なプライマー配列を含む。
別の特定の実施態様では、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、少なくとも3つのオリゴヌクレオチドであり、前記の少なくとも3つのオリゴヌクレオチドの1番目は、例えば、αT細胞受容体遺伝子に特異的なプライマー配列を含み、前記の少なくとも3つのオリゴヌクレオチドの2番目は、例えば、βT細胞受容体遺伝子に特異的なプライマー配列を含み、前記の少なくとも3つのオリゴヌクレオチドの3番目は、例えば、ポリAmRNAに特異的なプライマー配列を含む。
「トランスクリプトーム」は一般に、1つの細胞または細胞集団内の全てのメッセンジャーRNA分子のセットを指す。したがって、「細胞のトランスクリプトーム」または「単一細胞のトランスクリプトーム」は、本明細書において、1つの細胞内の全てのメッセンジャーRNA分子のセットを指す。
当業者によって理解されるように、遺伝子特異的トランスクリプトームは、したがって、1つの遺伝子から得られる全てのメッセンジャーRNA分子のセットを指す。
当業者によって知られるように、異なる遺伝子産物(いわゆるアイソフォーム)は、1つの遺伝子によってコードされてよい。したがって、遺伝子特異的トランスクリプトームは、1つの特異的遺伝子の少なくとも1つの特異的アイソフォームのメッセンジャーRNA分子、例えば、1つの特異的遺伝子の1、2、3、4またはより多くの特異的アイソフォームのメッセンジャーRNA分子、または、1つの特異的遺伝子の全てのアイソフォームのメッセンジャーRNA分子をさらに指してよい。
したがって、一部の実施態様では、本発明の文脈における単一細胞の核酸はRNAであり、ここでRNAは、本明細書において上記に定義されるとおりである。
さらなる実施態様では、mRNAは、ポリA配列(ポリAテールとも呼ばれる)を含む。
さらに、一部の特定の実施態様では、本発明の文脈における「核酸の少なくとも一部」は、少なくとも1つの核酸、好ましくは、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5個の核酸またはそれよりも多くを指す。ある特定では、ステップa)およびb)の核酸は、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の核酸を指す。
本発明のプロセスは、単一細胞の全ての核酸までの1つの特異的核酸から逆転写するために用いられ得る。
したがって、さらなる実施態様では、本明細書の文脈における「核酸の少なくとも一部」は、1〜100000個の核酸、例えば1〜80000、1〜60000、1〜40000、例えば1、1000、2000、4000、6000、8000、10000、12000、14000、16000、20000、25000、30000、45000、50000個の核酸を指す。したがって、一部の実施態様では、本明細書における核酸は、全ての遺伝子のRNAを指す。
上述のように、本発明のプロセスは、遺伝子特異的トランスクリプトームのレトロ転写(retrotranscribing)も指す。
したがって、一部の実施態様では、本明細書における核酸は、少なくとも1つの特異的遺伝子のRNAを指す。
前記の少なくとも1つの特異的遺伝子は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、例えば1〜10、1〜5個の遺伝子、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の遺伝子であってよい。
一部の実施態様では、前記の少なくとも1つの特異的遺伝子は、抗体重鎖可変遺伝子、抗体重鎖定常遺伝子、抗体軽鎖可変遺伝子、抗体軽鎖定常遺伝子、αT細胞受容体遺伝子、βT細胞受容体遺伝子、およびδT細胞受容体遺伝子およびγT細胞受容体遺伝子からなる群より選択される。
一部の実施態様では、特異的遺伝子は、細胞表現型の情報をさらに得るように、および、遺伝子発現に基づいて細胞を分類するように選択されてもよい。
一部の実施態様では、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、プロモーターおよび/またはスペーサー配列をさらに含む。
プロモーターおよび/またはスペーサー配列は、好ましくは5’末端に向かって位置して、または、プライマー配列の5’末端に位置する。プロモーター配列の例は、限定されないが、T7プロモーター、T3プロモーター、またはSP6プロモーターを含む。
一部の実施態様では、オリゴヌクレオチドは、バーコード配列をさらに含む。
したがって、一部の実施態様では、オリゴヌクレオチドは、5’から3’に、バーコード配列およびプライマー配列を含む。
本明細書における「バーコード配列」(または単に「バーコード」と呼ばれる)は、その配列によって別の核酸配列から区別され得る独特の核酸配列を指し、したがって、別のバーコード配列を保有している別の核酸から区別することができるように核酸配列を独特に標識することを可能にする。
一部の実施態様では、バーコード配列は、例えば、核酸が一緒にプールされた後でさえ、他の細胞から放出された核酸から、単一細胞によって放出された核酸を独特に同定する。
一部の実施態様では、バーコード配列は、例えば、異なる細胞または他の由来から生じる、何十、何百、または実に何千もの核酸を区別するために用いられる。
一部の実施態様では、バーコード配列は任意の適切な長さである。バーコード配列は、好ましくは、バーコード配列を他のバーコード配列から区別するのに十分な長さである。一部の実施態様では、バーコード配列は、1〜5、1〜10、5〜15、または15個よりも多いヌクレオチド、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、72、74、76、78、80、85、90またはそれよりも多くのヌクレオチド、例えば50〜85、60〜80、70〜80個のヌクレオチドの長さを有する。
一部の実施態様では、バーコード配列は、1よりも多いバーコード配列からなり、したがって、「少なくとも1つのバーコード配列」と呼ばれてよい。
関連する実施態様では、異なるバーコード配列は、潜在的バーコード配列の「プール」から得てよく、それら自体、split and poll合成によって典型的に生産されたものである。バーコード配列が1よりも多いバーコード配列からなる場合、バーコード配列は、潜在的バーコード配列の同一または異なるプールから得てよい。配列のプールは、例えば、ランダムに、または、例えば、バーコード配列を解読する際のエラーが検出され得て場合によっては修正され得るように特定の距離(例えば、Hamming距離)で分離されることにより、配列がエラーの検出および/または修正を可能にするように、任意の適切な技術を用いて選択されてよい。プールは、任意の数の潜在的バーコード配列、例えば、少なくとも100、少なくとも300、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも3,000、少なくとも5,000、少なくとも10,000、少なくとも30,000、少なくとも50,000、少なくとも100,000、少なくとも300,000、少なくとも500,000、または少なくとも1,000,000個のバーコード配列を有してよい。
1つの「プール」または1よりも多いプールから得られた異なるバーコード配列を結合するための方法は、当業者に公知であり、限定されないが、リガーゼの使用および/またはアニーリングまたはプライマー伸長方法の使用を含む。
リガーゼの非限定的な例は、DNAリガーゼI、DNAリガーゼII、DNAリガーゼIII、DNAリガーゼIV、T4 DNAリガーゼ、T7 DNAリガーゼ、T3 DNAリガーゼ、E.coli DNAリガーゼ、Taq DNAリガーゼなどのようなDNAリガーゼを含む。多くのそのようなリガーゼは、商業的に購入され得る。
一部の実施態様では、バーコード配列は、二本鎖または一本鎖核酸である。
一部の実施態様では、オリゴヌクレオチドは、unique molecular identifier(UMI)をさらに含む。UMIは、バーコード配列の3’末端または5’末端に位置する。
「Unique molecular identifier」(UMI)配列は、当業者によく知られていて、例えば、Kivioja et al(Nature Method,2012,vol9,N°1)に記載される。UMI配列は、重複した解読の生物情報学の除去を可能にする。
一部の実施態様では、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、はじめに、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを第一のタイプの少なくとも1つの粒子に結合することによって、リザーバーまたは液滴、特にRT液滴内に導入される。
前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを一時的に粒子に結合することは、大量のオリゴヌクレオチドを有する粒子を提供することを可能にすることが、当業者によって理解される。さらに、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを、はじめに粒子に結合することは、特に液滴が用いられる場合、それぞれの液滴、例えばRT液滴への前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドの導入を促進する。
したがって、一部の実施態様では、リザーバーまたはRT液滴は、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドが結合する第一のタイプの少なくとも1つの粒子をさらに含む。
本明細書における第一のタイプの少なくとも1つの粒子は、第一のタイプの少なくとも1、2、3、4、5またはそれよりも多くの粒子、好ましくは第一のタイプの1つの粒子を指す。
当業者によって理解されて、本明細書において上記に説明されるように、1つのRT液滴内にカプセル化される第一のタイプの粒子の数および液滴のサイズは、ポアソン分布のような確率分布に従い、第一のタイプの粒子の濃度、逆転写組成物または溶解組成物のような水性組成物の注入パラメーター、主なチャネルの形状、第一のタイプの粒子および担体流体の注入パラメーターに依存する。
したがって、一部の実施態様では、パラメーターは、第一のタイプの2、1または0個の粒子をその中に有するRT液滴を得るように適合され得て、したがって、第一のタイプの2個よりも多い粒子を含む液滴を回避する。
関連する実施態様では、パラメーターは、第一のタイプの1または0個の粒子をその中に有するRT液滴を得るように適合され得て、したがって、第一のタイプの1個よりも多い粒子を含む液滴を回避する。
一部の実施態様では、第一のタイプの少なくとも1つの粒子は、第一のタイプの約2個以内の粒子/液滴でRT液滴内にカプセル化されて、好ましくは、さらなる実施態様では、第一のタイプの少なくとも1つの粒子は、約1個以内の粒子/液滴で液滴内にカプセル化されて、または、第一のタイプの少なくとも1つの粒子は、優先的に1粒子/液滴で液滴内にカプセル化されて、または、第一のタイプの少なくとも1つの粒子は、平均して1粒子/液滴で液滴内にカプセル化される。
同様に、液滴が用いられない場合、一部の実施態様では、それぞれのリザーバーは、好ましくは、第一のタイプの約2個以内の粒子/リザーバー、好ましくは、約1個以内の粒子/リザーバー、または1粒子/リザーバー、または平均して1粒子/リザーバーを含む。
第一のタイプの粒子または第二のタイプの粒子のような「粒子」は、本発明の文脈において、微粒子を指す。
一部の実施態様では、粒子は、ヒドロゲル粒子、ポリマー粒子または磁性粒子である。
粒子は、不規則または規則的な形状を有してよい。例えば、粒子は、球状、楕円体、または立方体であってよい。
一部の実施態様では、本発明の文脈における粒子は、ヒドロゲル粒子である。
「ヒドロゲル粒子」は、例えば、国際特許出願番号WO2008/109176、表題「Assay and other reactions involving droplets」に記載される。ヒドロゲルの例は、限定されないが、アガロース、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、またはアクリルアミド系のゲル、例えば、ビス−アクリルアミド、ポリアクリルアミド、ストレプトアビジンアクリルアミド、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド、またはポリN−イソプロピルポリアクリルアミドまたはそれらの混合物を含む。一例では、ヒドロゲル粒子は、アクリルアミド、ビス−アクリルアミドおよびストレプトアビジン(strepatvidine)アクリルアミドを含む。
別の実施態様のセットでは、粒子は、1つまたは複数のポリマーを含み、したがって、本明細書において「ポリマー粒子」と呼ばれる。例示的なポリマーは、限定されないが、ポリスチレン(PS)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリイソプレン(PIP)、ポリ(乳酸)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、および/または、これらおよび/または他のポリマーの混合物および/またはコポリマーを含む。
加えて、一部の実施態様では、粒子は磁性であり、したがって「磁性粒子」と呼ばれて、粒子の磁性操作を可能にし得る。
例えば、磁性粒子は、鉄または他の磁性材料を含んでよい。
粒子、特に第一のタイプまたは第二のタイプの粒子は、タンパク質、核酸または小分子のような他の分子が付着することができるように官能化されてもよい。したがって、本発明の一部の実施態様は、例えば、核酸、タンパク質、小分子、または本明細書に記載されるもののような他の種のライブラリーを定義する粒子のセットに関する。一例では、前記粒子は、抗体によって官能化される。一部の実施態様では、前記抗体は、細胞の構成要素に対して向けられる。
一部の実施態様では、粒子、特に第一のタイプの粒子は、蛍光である。
一部の実施態様では、粒子は、ストレプトアビジンを含む。ストレプトアビジンは、本明細書において上記に定義した粒子の表面に連結され得る。
一部の実施態様では、第一または第二のタイプの粒子は、0,1pL〜100pL、例えば0,1pL〜500pL、0,1pL〜400pL、0,1pL〜400pL、0,1pL〜300pL、例えば0,5pL〜300pL、0,5pL〜250pL、0,5pL〜200pL、1pL〜250pL、1pL〜200pL、好ましくは1pL〜200pL.、典型的に100pL〜200pL、例えば150pLのサイズを有する。
一部の実施態様では、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、第一のタイプの少なくとも1つの粒子に共有結合または非共有結合されて、第一のタイプの少なくとも1つの粒子は、本明細書において上記に定義される。
「非共有結合」は、本明細書において、例えば、ストレプトアビジン−ビオチン結合を指す。他の非共有結合は当業者に公知であり、例えば、アビジンビオチン結合またはヒスタグおよびニッケル結合である。
「共有結合」は、本明細書において、例えばアミノ結合またはアクリルホスホラミダイト結合を指す。
「ストレプトアビジン」は一般に、細菌Streptomyces avidiniiから精製された52.8kDaタンパク質を指す。ストレプトアビジンホモ−四量体は、約10−14mol/Lの解離定数(Kd)でビオチンに関して異常に高い親和性を有し、ストレプトアビジンに対するビオチンの結合は、天然に知られる最も強力な非共有相互作用の1つである。
好ましい実施態様では、非共有結合は、ストレプトアビジン−ビオチン結合である。
ストレプトアビジン−ビオチン結合は、当業者に公知である。
したがって、一部の実施態様では、第一のタイプの粒子は、例えば、ストレプトアビジンを含み、同一の実施態様において、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、ビオチンを含む。換言すれば、少なくとも1つのタイプのオリゴヌクレオチドは、ビオチンによって官能化される。
少なくとも1つのタイプのオリゴヌクレオチドを第一のタイプの粒子に結合するために用いられる結合のタイプとは独立に、少なくとも1つのタイプのオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのリンカー配列をさらに含んでよい。
したがって、さらなる実施態様では、「少なくとも1つのタイプのオリゴヌクレオチド」または単に「オリゴヌクレオチド」は、少なくとも1つのリンカー配列をさらに含み、前記リンカー配列は、好ましくは5’末端付近に含まれる。
場合によっては、オリゴヌクレオチドは、上述のプライマー配列に対して、シーケンシングのための1つまたは複数のプライマー配列をさらに含んでよい。シーケンシングのためのそのようなプライマー配列の例は、限定されないが、P5プライマー、P7プライマー、PE1プライマー、PE2プライマー、A19プライマー、または本明細書において議論される他のプライマーを含む。
したがって、一部の実施態様では、少なくとも1つのタイプのオリゴヌクレオチドは、5’から3’に、任意選択でリンカー配列、任意選択でプロモーター配列、任意選択でシーケンシングのためのプライマー配列、任意選択でバーコード配列、任意選択でUMIおよびプライマー配列を含んでよい。
一部の実施態様では、したがって、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、5’末端を介して第一のタイプの粒子に結合されることが、当業者によって理解される。
しかしながら、一部の代替の実施態様では、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、3’末端を介して第一のタイプの粒子に結合されてよい。
一部の実施態様では、「リンカー配列」は、それによって、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドが第一のタイプの粒子に任意選択で結合される配列である。
「本明細書において、任意選択で結合される」は、粒子に結合された前記の少なくとも1つのタイプのオリゴヌクレオチドがRT液滴または複数のRT液滴またはリザーバー内にロードされた時点で、RT液滴または融合液滴またはリザーバーが第一のタイプの粒子および前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含み、前記の少なくとも1つのタイプのオリゴヌクレオチドが前記の第一のタイプの粒子に結合されないように、前記の少なくとも1つのタイプのオリゴヌクレオチドが放出される可能性を指す。
好ましくは、リンカー配列は、例えば、酵素および/または光切断のような適切な刺激の適用の際に切断され得る切断可能なリンカー配列である。
「切断可能なリンカー」は、限定されないが、TEV、トリプシン、トロンビン、カテプシンB、カテプシン(cathespin)D、カテプシンK、カスパーゼlumatrixメタロプロテイナーゼ配列、ホスホジエステル、リン脂質、エステル、−ガラクトース、ジアルキルジアルコキシシラン、シアノエチル基、スルホン、エチレングリコリルジコハク酸、2−N−アシルニトロベンゼンスルホンアミド、a−チオフェニルエステル、不飽和ビニルスルフィド、活性化後のスルホンアミド、マロンジアルデヒド(MDA)−インドール誘導体、レブリノイルエステル、ヒドラゾン、アシルヒドラゾン、アルキルチオエステル、ジスルフィド架橋、アゾ化合物、2−ニトロベンジル誘導体、フェナシルエステル、8−キノリニルベンゼンスルホン酸、クマリン、ホスホトリエステル、ビス−アリールヒドラゾン、ビマン ビ−チオプロピオン酸誘導体、パラメトキシベンジル誘導体、tert−ブチルカルバメート類似体、ジアルキルまたはジアリールジアルコキシシラン、オルトエステル、アセタール、アコニチル、ヒドラゾン、b¬チオプロピオネート、ホスホロアミデート、イミン、トリチル、ビニルエーテル、ポリケタル、アルキル2−(ジフェニルホスフィノ)ベンゾエート誘導体、アリルエステル、8−ヒドロキシキノリンエステル、ピコリン酸エステル、ビシナルジオール類、およびセレニウム化合物(例えば、Leriche G、Chisholm L、Wagner Aを参照)を含んでよい。
切断可能なリンカーは、当業者によく知られていて、Chemical Biology、例えばLeriche H.et al.(Bioorg Med Chern.15;20(2):571−82.2012)にさらに記載される。切断条件および試薬は、限定されないが、酵素、求核/塩基性試薬、還元剤、光照射、求電子/酸性試薬、有機金属および金属試薬、および酸化試薬を含む。
一部の実施態様では、本発明のプロセスは、例えば、RT液滴内に取り込まれた後またはリザーバー内に提供された後に、前記の粒子由来の第一のタイプの少なくとも1つの粒子に結合された少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを放出するステップをさらに含む。
さらに、一部の実施態様では、はじめに第一のタイプの少なくとも1つの粒子に結合された前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、単一細胞の核酸を逆転写する前に、前記の第一のタイプの少なくとも1つの粒子から放出される。
一部の実施態様では、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを放出するステップは、単一細胞およびRT液滴を融合する前または後、細胞を溶解した後、および/または、単一細胞の核酸を逆転写する前に生じてよい。
当業者は、オリゴヌクレオチドの少なくとも一部を放出するために選択される時点に応じて、用語「オリゴヌクレオチドの少なくとも一部」は、例えば、本明細書において上記に定義されるように、細胞によって放出された核酸またはDNA/RNAデュプレックスにハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドの少なくとも一部を指すことを理解している。
一部の実施態様では、オリゴヌクレオチドの少なくとも一部は、酵素、求核/塩基性試薬、還元剤、光照射、求電子/酸性試薬、有機金属および金属試薬、および酸化試薬のような任意の手段を用いて放出され得る。
一部の実施態様では、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、酵素および/または光切断を用いて放出され得る。例えば、エンドヌクレアーゼは、リンカー配列または任意の他の配列を切断して、第一のタイプの粒子からオリゴヌクレオチドの少なくとも一部を放出するために用いられてよい。
さらなる実施態様では、オリゴヌクレオチドの放出は、ストレプトアビジンビオチン結合のような結合を破壊することを指す。ストレプトアビジンビオチン結合を破壊する方法は当業者に公知であり、ストレプトアビジンの酵素消化および/またはストレプトアビジンの変性を含む。
一部の実施態様では、オリゴヌクレオチドは、ストレプトアビジンの酵素消化によって放出される。
前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドの濃度は、少なくとも10nM、好ましくは少なくとも100nMである。
一部の実施態様では、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドの濃度は、少なくとも150nM、少なくとも200nM、少なくとも300nM、少なくとも400nM、少なくとも500nM、少なくとも600nM、少なくとも700nM、少なくとも800nM、少なくとも900nMおよび少なくとも1μM、例えば、100nM〜5μM、100nM〜4μM、100nM〜3μM、100nM〜2μM、100nM〜1μM、好ましくは100nM〜500nMである。
一例では、プライマー配列はポリTプライマー配列であり、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドの濃度は、100nM〜3300nM(3.3μMに相当)である。
さらなる例では、プライマー配列は、遺伝子特異的なプライマー配列であり、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドの濃度は、100nMまたは1000nM(1μMに相当)である。
一部の実施態様では、マイクロ流体の液滴内の前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドのそれぞれのオリゴヌクレオチドの濃度は、少なくとも10nM、好ましくは少なくとも100nMである。
一部の実施態様では、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドのそれぞれのオリゴヌクレオチドの濃度は、少なくとも150nM、少なくとも200nM、少なくとも300nM、少なくとも400nM、少なくとも500nM、少なくとも600nM、少なくとも700nM、少なくとも800nM、少なくとも900nMおよび少なくとも1μM、例えば、100nM〜5μM、100nM〜4μM、100nM〜3μM、100nM〜2μM、100nM〜1μM、好ましくは100nM〜500nMである。
上記によれば、一部の実施態様では、リザーバー、RT液滴または複数のRT液滴は、溶解組成物をさらに含み、前記溶解組成物は、本明細書において上記のセクション「細胞溶解」において定義される。
一部の実施態様では、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドの濃度は、リザーバー内、RT液滴内または融合液滴内の濃度を指す。
一部の実施態様では、RT液滴は、複数のRT液滴を注入する前にスクリーニングおよびソートされてよい。
したがって、一部の実施態様では、RT液滴は、第二のタイプの粒子をさらに含み、前記の第二のタイプの粒子は、セクション「単一細胞」において定義されるとおりである。
したがって、一部のさらなる実施態様では、RT液滴は、本明細書において上記に定義される色素をさらに含む。
[増幅およびシーケンシング]
一部の実施態様では、本発明のプロセスは、前記のバーコード化された単一細胞cDNAを回収した後に、バーコード化された単一細胞cDNAを増幅するステップをさらに含む。一部の実施態様では、前記増幅ステップは、取り込まれなかったオリゴヌクレオチドを除去した後に行なわれる。一部の実施態様では、前記増幅ステップは、本明細書において以下に定義されるシーケンシングステップの前に行なわれる。
一部の実施態様では、増幅ステップは、多重反応、別個のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(図11を参照)、等温増幅、または線形増幅で行なわれる。
一部の実施態様では、線形増幅は、インビトロ転写である。
一部の実施態様では、本発明のプロセスにおいて生産されるバーコード化された単一細胞cDNAは、シンプレックスおよび/またはマルチプレックスqPCR反応のようなqPCRを用いて定量化される。
さらなる実施態様では、本発明のプロセスは、バーコード化された単一細胞cDNAをシーケンスするステップをさらに含む。
本発明の文脈において、一部の実施態様では、バーコード化された単一細胞cDNAをシーケンスするステップは、本明細書において、バーコード化された単一細胞cDNAをシーケンシングライブラリーに最初に接触させて、シーケンシングライブラリーから、バーコード化された単一細胞cDNAに対応する目的の配列をそれぞれ増幅することを指す。
一部の実施態様では、バーコード化された単一細胞cDNAをシーケンスするステップは、シーケンシングライブラリーに対して次世代シーケンシング(NGS)プロトコルを行なうステップを含んでよい(図12を参照)。
特定の実施態様では、NGSプロトコルは、試薬キットのフローセルあたり4pM〜20pMのシーケンシングライブラリーの量をローディングするステップを含む。
一部の実施態様では、NGSシーケンシングプロトコルは、シーケンシングライブラリーの量または試薬キットのフローセルに対して、5〜60%のPhiXを加えるステップをさらに含む。
[単一細胞の核酸をバーコード化するためのマイクロ流体のプロセス]
「バーコード化」は、本明細書において、遺伝子配列(本明細書において上記のセクション「オリゴヌクレオチド」において定義されるいわゆるバーコード配列)を核酸に付加して、別の付加された遺伝子配列(すなわち別の独特のバーコード配列)を有する核酸から前記バーコード核酸を区別するのを可能にすることを指す。
本発明者らはプロセスを開発して(図8を参照)、ここで、チップを備えるマイクロ流体デバイスにおいて、核酸を含む1つの単一細胞の液滴は、プライマー配列を有するオリゴヌクレオチドおよび逆転写酵素を含む液滴と特異的に融合する。それから、核酸が逆転写されて、最終的に、逆転写中またはその後にバーコード化される。このプロセスの1つの利点は、1つの単一細胞の液滴が1つのRT液滴と特異的に融合されるので、無駄になる材料の量が少ないことである。さらなる利点は、使用されなかったバーコードが除去されること、およびしたがって、cDNAがシーケンスされるときにシグナル対ノイズ比が改善されることである。
さらなる利点は、単一細胞のRT−PCRを続けるためのプライマーとして、バーコード自体が用いられ得ることである(図7を参照)。
したがって、本発明は、単一細胞の核酸をバーコード化するためのマイクロ流体のプロセスに言及し、前記方法は、以下のステップを含む:
−少なくとも1つのマイクロ流体チャネルおよび複数のリザーバーを備えるチップを備えるマイクロ流体デバイスを提供するステップ、
−マイクロ流体チャネルの入口に、担体流体内に分散された第一のタイプの複数の液滴を含む担体流体を注入するステップ(ここで、第一のタイプの液滴は、単一細胞の液滴またはRT液滴のいずれかであり、ここで、RT液滴の少なくとも一部は、逆転写酵素および少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含み、およびここで、単一細胞の液滴の少なくとも一部は、1つの単一細胞を含み、ここで、前記単一細胞は、単一細胞の核酸を含む)、
−複数のリザーバーに関して、第一の移行ステップ(ここで、複数の液滴のうちの第一のタイプの少なくとも1つの液滴は、浮力によって前記の複数のリザーバーの1つのリザーバー内に動かされる)、
−マイクロ流体チャネルの入口に、担体流体内に分散された第二のタイプの複数の液滴を含む担体流体を注入するステップ、ここで、第二のタイプの液滴は、単一細胞の液滴またはRT液滴のいずれかであり、およびここで、第一のタイプの液滴が単一細胞の液滴である場合は第二のタイプの液滴はRT液滴であり、または、第一のタイプの液滴がRT液滴である場合は第二のタイプの液滴は単一細胞の液滴である)、
−複数のリザーバーに関して、第二の移行ステップ(ここで、第二のタイプの少なくとも1つの液滴の少なくとも一部は、前記の複数のリザーバーの1つのリザーバーの中に入る)、
−複数のリザーバーに関して、前記の第一のタイプの少なくとも1つの液滴を、それぞれのリザーバー内、またはその縁で、前記の第二のタイプの少なくとも1つの液滴と融合して、それにより、融合液滴をもたらすステップ、
−および、以下のステップをさらに含む:
a)それぞれの融合液滴に関して、前記融合液滴内で、単一細胞の核酸の少なくとも一部を少なくとも1つのオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせるステップ、
b)それぞれの融合液滴内で、前記融合液滴内に存在する単一細胞の核酸の少なくとも一部を逆転写して、それにより、単一細胞のcDNAをもたらすステップ、および
c)ステップb)において得られた単一細胞のcDNAに、少なくとも1つのバーコード配列を付着させるステップ(ここで前記の少なくとも1つのバーコード配列は、前記単一細胞の同一性をコードする)、
または
−さらに以下のステップを含む:
a)それぞれの融合液滴に関して、前記の融合液滴内で、少なくとも1つの細胞由来の単一細胞の核酸の少なくとも一部を少なくとも1つのオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせるステップ(ここで前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのバーコード配列を含む)、
b)それぞれの融合液滴内で、前記の融合液滴内に存在する単一細胞の核酸の少なくとも一部を逆転写して、それにより、バーコード化された単一細胞のcDNAをもたらすステップ(ここで前記の少なくとも1つのバーコード配列は、前記単一細胞の同一性をコードする)。
単一細胞の液滴またはRT液滴を調製および注入する技術は、当業者によく知られていて、セクション「液滴の調製」においてさらに説明される。
一部の実施態様では、第一のタイプの液滴は、単一細胞の液滴である。実施態様の別のセットでは、第一のタイプの液滴は、RT液滴である。単一細胞の液滴およびRT液滴に関する特性は、本明細書において上記に、以前のセクション、特に、セクション「液滴」、「単一細胞」、「逆転写」および「オリゴヌクレオチド」において説明される。したがって、これらのセクションにおいて提供される「単一細胞の液滴」または「RT液滴」に対して言及する説明は、「単一細胞の核酸をバーコード化するためのマイクロ流体のプロセス」と呼ばれるこのセクションに完全に当てはまる。
本発明のマイクロ流体のプロセスの文脈における「少なくとも1つのオリゴヌクレオチド」は、プライマー配列を含む。前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドおよびプライマー配列は、本明細書において上記のセクション「オリゴヌクレオチド」において定義される。
一部の実施態様では、第一の移行ステップにおいて、「第一のタイプの少なくとも1つの液滴」は、第一のタイプの1、2または3、好ましくは1または2、より好ましくは1つの液滴を指す。
したがって、好ましい実施態様では、第一の移行ステップにおいて、複数のリザーバーに関して、第一のタイプの1つの液滴は、浮力によってそれぞれのリザーバー内に受け入れられる。
「浮力」は一般に、流体によって発揮される、沈められた物体の重量に対抗する上向きの力を指す。本発明の文脈において、浮力は、担体流体によって発揮される、前記担体流体内に沈められた液滴の重量に対抗する上向きの力を指す。
したがって、一部の実施態様では、マイクロ流体デバイスは、複数のリザーバーがチャネルの上であって、第一のタイプの少なくとも1つの液滴が、浮力によって、上に配向されたリザーバー内に入るように配向される。この実施態様では、担体流体は、水溶液の密度よりも高い密度を有する。
一部の実施態様では、第一のタイプの少なくとも1つの液滴の第一の移行ステップは、複数のリザーバーの50%〜100%、例えば60%〜100%、70%〜100%、90%〜100%、例えば90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%および100%の占有をもたらし、好ましくは少なくとも1つの液滴の移行ステップは、複数のリザーバーの90%〜100%の占有をもたらす。
「占有」は、本明細書において、少なくとも1つの液滴によって占有されるリザーバーの合計数と比較したリザーバーの数を指す。50%の占有は、例えば、リザーバーの50%が少なくとも1つの液滴によって占有されることを意味する。
一部の実施態様では、第一のタイプの少なくとも1つの液滴の第一の移行ステップは、注入された液滴の10%〜100%、例えば、20%〜100%、30%〜100%、40%〜100%、50%〜100%、60%〜100%、70%〜100%、80%〜100%;90%〜100%、好ましくは80%〜100%の捕捉効率をもたらす。
「捕捉効率」は、リザーバー内に捕捉される、入口に注入された液滴の合計数と比較した液滴の数を指す。50%の捕捉効率は、例えば、提供された複数の液滴の合計数の50%がリザーバー内に捕捉されることを意味する。
一部の実施態様では、第二のタイプの少なくとも1つの液滴の第二の移行ステップにおいて、第二のタイプの1、2または3、好ましくは1または2、より好ましくは1つの液滴を指す。
第二の移行ステップにおいて、第二のタイプの少なくとも1つの液滴は、リザーバーの寸法、第二のタイプの液滴の寸法および第二のタイプの液滴の寸法に応じて、リザーバーの中に完全にまたは部分的にのみ移行する。これらの寸法は、セクション「液滴」および「マイクロ流体デバイス」においてさらに定義される。
したがって、一部の実施態様では、第二のタイプの少なくとも1つの液滴の少なくとも一部は、第二のタイプの少なくとも1つの液滴の合計容量の50%〜100%、例えば、60%〜100%、65%〜100%、70%〜100%、75%〜100%、80%〜100%、85%〜100%、90%〜100%、95%〜100%、好ましくは90%〜100%を指す。
したがって、代替の実施態様では、第二のタイプの少なくとも1つの液滴の少なくとも一部は、第二のタイプの少なくとも1つの液滴の合計容量の1〜50%、1%〜40%、1%〜30%、例えば、2%〜30%、5%〜30%、10%〜30%、好ましくは10%〜30%を指す。
一部の実施態様では、複数のリザーバーに関して、第二の移行ステップにおいて、第二のタイプの少なくとも1つの液滴の少なくとも一部は、浮力または表面エネルギーの違い、好ましくは表面エネルギーの違いに起因して、前記の複数のリザーバーの1つのリザーバーの中に入る。
一部の実施態様では、第二のタイプの少なくとも1つの液滴の第二の移行ステップは、複数のリザーバーの50〜100%、例えば60%〜100%、70%〜100%、90%〜100%、例えば90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%および100%の占有をもたらし、好ましくは、第二のタイプの少なくとも1つの液滴の移行ステップは、複数のリザーバーの90%〜100%の占有をもたらす。
一部の実施態様では、第二のタイプの少なくとも1つの液滴の第二の移行ステップは、注入された液滴の10%〜100%、例えば20%〜100%、30%〜100%、40%〜100%、50%〜100%、60%〜100%、70%〜100%、80%〜100%;90%〜100%、好ましくは80%〜100%の捕捉効率をもたらす。
「占有」および「捕捉効率」は、本明細書において上記に定義したとおりである。
一部の実施態様では、第一のタイプの液滴または第二のタイプの液滴は、第二のタイプの少なくとも1つの粒子をさらに含み、第二のタイプの前記の少なくとも1つの粒子は本明細書において上記のセクション「単一細胞」において定義されて、粒子は、本明細書において上記のセクション「オリゴヌクレオチド」において定義される。
一部の実施態様では、プロセスは、複数のリザーバーに関して、前記の少なくとも1つの単一細胞に対する表現型アッセイをそれぞれのリザーバーに関して行なうステップをさらに含む。
当業者によって理解されるように、一部の実施態様では、表現型アッセイを行なうステップは、細胞を試薬に曝露するステップをさらに要する。したがって、一部の実施態様では、単一細胞は、パラメーター測定前、測定中、または測定後に、1つまたは複数の試薬に曝される。
したがって、一部の実施態様では、単一細胞の液滴は、前記の単一細胞アッセイを行なうのに必要な1つまたは複数の試薬をさらに含む。
したがって、一部の実施態様では、前記の1つまたは複数の試薬は、単一細胞の液滴内に取り込まれる。
一部の実施態様では、表現型アッセイは、液滴を融合するステップの前に行なわれる。一部の実施態様では、表現型アッセイは、細胞を溶解する前に行なわれる。表現型アッセイは、画像を撮って、それにより、それぞれのリザーバーに関して前記の少なくとも1つの単一細胞の表現型をマッピングするステップをさらに含む。「表現型アッセイ」および「画像を撮る」ステップは、本明細書において以下のセクション「目的の表現型を有する単一細胞を遺伝子型決定するためのプロセス」において定義される。
本発明のプロセスの文脈において、融合するステップは、複数のリザーバーに関して行なわれる。当業者によって理解されるように、融合は、例えば、特に液滴を融合するために電場が用いられる場合、チップの選択領域において行なわれる。したがって、融合ステップに関する一部の実施態様では、複数のリザーバーは、チップの複数のリザーバーの一部のリザーバーを指す。
当業者によって理解されるように、一例では、表現型アッセイの結果に基づき、当業者は、RT液滴および単一細胞の液滴が融合される複数のリザーバーを選択する。
一部の実施態様では、融合するステップにおいて、それぞれのリザーバーに関して、第一のタイプの少なくとも1つの液滴は、温度、電場、抗乳化剤またはイオン力、好ましくは、電場を用いて、第二のタイプの少なくとも液滴と融合される。液滴を融合する方法は当業者に公知であり、例えば、WO2010128157A1に記載される。
一部の実施態様では、第一のタイプの少なくとも1つの液滴は、電場を用いて第二のタイプの少なくとも1つの液滴と融合されて、電場は、少なくとも1秒、例えば少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10秒、典型的に8秒間、10kHzおよび500Vである。
一部の実施態様では、融合ステップは、第一のタイプの液滴および第二のタイプの液滴の間の80%〜100%、例えば、85%〜100%、90%〜100%、92%〜100%;93%〜100%、94%〜100%、95%〜100%、96%〜100%、97%〜100%、98%〜100%、例えば、第一のタイプの液滴および第二のタイプの液滴の間の98%、99%、100%、好ましくは90%〜100%の融合効率をもたらす。
「第一のタイプの液滴および第二のタイプの液滴の間の融合効率」は、本明細書において、イベントの数を指し、第一のタイプの1つの液滴および第二のタイプの1つの液滴の提供は、イベントの合計数に対する比較で融合液滴をもたらし、第一のタイプおよび第二のタイプの1つの液滴は、一緒に与えられる。
一部の実施態様では、プロセスは、複数のリザーバーに関して、例えば、少なくとも1つの単一細胞の液滴または融合液滴の細胞を溶解して、単一細胞から単一細胞の液滴または融合液滴へ核酸を放出するステップをさらに含む。
したがって、本発明のプロセスの一部の実施態様では、ハイブリダイズするステップa)のようなハイブリダイズするステップにおいて、および、逆転写ステップb)のような逆転写ステップにおいて、言及される核酸は、放出された核酸である。
細胞を溶解するステップは、第一のタイプの少なくとも1つの液滴を前記の第二のタイプの少なくとも1つの液滴と融合するステップの前または前記液滴を融合するステップの後に生じてよい。細胞を融解するために用いられ得る方法は、本明細書において上記のセクション「細胞溶解」において記載される。
当業者によって理解されるように、細胞を溶解するために選択される方法は、溶解に関して選択される時点、すなわち液滴融合の前または後に依存し得る。
例えば、酵素的溶解または化学的溶解は、酵素的または化学的溶解に必要な構成要素が典型的にRT液滴内に含まれるので、典型的に融合ステップ後に用いられる。
好ましい一実施態様では、細胞溶解ステップは、本発明の文脈において用いられる液滴を破壊しない。
したがって、一部の実施態様では、RT液滴または複数のRT液滴は、溶解組成物を含み、溶解組成物は、本明細書において上記のセクション「細胞溶解」において定義される。
一部の実施態様では、本発明の方法は、少なくとも1回のパージするステップをさらに含む。
本発明の文脈における「少なくとも1回のパージするステップ」は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4回のパージするステップを指す。
例えば、デバイスは典型的に、残りの空気を除去するために、第一のタイプの複数の液滴を注入する前にパージされ得る。
例えば、デバイスは典型的に、複数のリザーバー内に移行しなかった第一のタイプの液滴を除去するために、第一のタイプの複数の液滴を注入した後にパージされ得る。
例えば、デバイスは典型的に、複数のリザーバー内に少なくとも部分的に移行しなかった第二のタイプの液滴を除去するために、第二のタイプの複数の液滴を注入した後にパージされ得る。
本発明のプロセスのステップa)は、それぞれの融合液滴に関して、単一細胞の核酸の少なくとも一部を、前記融合液滴内の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドとハイブリダイズするステップを指す。
「ハイブリダイゼーション」は、本明細書において、プライマー配列、例えば前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチド内に存在するプライマー配列が、核酸の相補核酸配列にアニールする現象を指し、したがって、当業者に知られるように、ハイブリダイゼーションに用いられる温度は、用いられるプライマー配列および/またはRT酵素に依存する。
一例では、ハイブリダイゼーションステップ、例えば、ハイブリダイゼーションステップa)またはb)は、例えば1時間、55℃〜60℃で、液滴をインキュベートすることによって行なわれる。
ステップb)における単一細胞の核酸の少なくとも一部の逆転写は、本明細書において上記のセクション「逆転写」においてさらに定義される。
一部の実施態様では、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、プライマー配列および少なくとも1つのバーコード配列を含み、ここで、「少なくとも1つのオリゴヌクレオチド」、「少なくとも1つのバーコード配列」および「プライマー配列」は、本明細書において上記のセクション「オリゴヌクレオチド」において定義される。
関連する実施態様において、例えばステップb)の逆転写は、したがって、バーコード化されたcDNAをもたらす。本明細書において上記に説明される異なる実施態様によれば、前記のバーコード化されたcDNAは、第一のタイプの粒子に結合されてよく、またはされなくてよい。
一部の実施態様では、本発明のプロセスは、逆転写ステップの後に、チャネルの出口において融合液滴を回収するステップをさらに含む。
「回収するステップ」は、本明細書において、逆転写によって生産されたcDNAまたはバーコード化cDNAを含むマイクロ流体の液滴を集めるステップを指す。
一部の実施態様では、融合液滴を回収するステップは、X軸の周りで45度〜135度、好ましくは90度、デバイスを回転させるステップ、および、デバイスをパージするステップを含む。融合液滴は、それから、出口において集められ得る。
一部の実施態様では、逆転写ステップの後にチャネルの出口において融合液滴を回収するステップは、少なくとも1回の洗浄ステップを含む。
融合液滴を洗浄した後、融合液滴の下流プロセスは、バーコード化されていないcDNAを含む液滴と比較して、バーコード化cDNAを含む液滴に関して異なってよい。
当業者は、バーコード化cDNAは、バーコード配列が原因でcDNAが区別され得るため、1つの細胞から得られるバーコード化単一細胞cDNAは別の細胞のバーコード化単一細胞cDNAと混合され得るので、異なって処理されてよいことを理解している。これに反して、バーコード化されていないcDNAは、粒子に結合された場合に混合され得るだけである。
したがって、一部の実施態様では、cDNAはバーコード化されず、関連する実施態様では、ステップb)の逆転写によって生産されたcDNAが回収されて、それから、少なくとも1つのバーコードがステップc)において付着される。ステップc)においてバーコードを付着した後に、バーコード化cDNAは、典型的に、その後の増幅およびシーケンシングライブラリー調製のためにさらに用いられる(図11を参照)。
一部の実施態様では、cDNAはバーコード化されて、関連する実施態様では、ステップb)の逆転写によって生産されたバーコード化cDNAが回収されて、典型的に、その後の増幅およびシーケンシングライブラリー調製のためにさらに用いられる。
その後の増幅およびシーケンシングライブラリー調製は、本明細書において上記のセクション「増幅およびシーケンシング」において定義されるとおりである(図11を参照)。
したがって、一部の実施態様では、本発明のプロセスは、融合液滴の少なくとも一部において逆転写によって生産されたバーコード化単一細胞cDNAを回収するステップをさらに含む。
より正確には、関連する実施態様において、回収するステップは、逆転写によって生産されたバーコード化cDNAを含むマイクロ流体の液滴を集めるステップ、マイクロ流体の液滴を破壊するステップ、および、前記のマイクロ流体の液滴の油相から、水性組成物内に含まれるバーコード化cDNAを分離するステップを指す。
核酸、特にバーコード化cDNAを、液滴から単離する方法は、当業者に公知であり、例えば、マイクロ流体の液滴を集めるステップ、および、典型的にペルフルオロ−オクタノール(v/vエマルション)を用いてマイクロ流体の液滴を破壊するステップを含む。それから、水相と油相が分離されるまで、以前のステップにおいて得られたエマルションをインキュベートする。一例では、水相は、典型的に、例えば、4℃にて10,000gで10分間、遠心分離されて、cDNAを含む上清が回収される。
一部の実施態様では、プロセスは、取り込まれなかったオリゴヌクレオチドを除去するステップをさらに含む。
「取り込まれなかったオリゴヌクレオチドを除去するステップ」は、cDNAおよび最終的に取り込まれなかったオリゴヌクレオチドを含む水性組成物を、精製基質と接触させるステップを含み、精製基質は、取り込まれなかったオリゴヌクレオチドを除去する。当業者によって理解されるように、取り込まれなかったオリゴヌクレオチドを除去するステップに供されるcDNAは、好ましくはバーコード化cDNAである。
一部の実施態様では、精製基質は、ビーズまたは粒子を含み、任意選択でカラムを形成してよい。さらなる例では、取り込まれなかったオリゴヌクレオチドは、例えばアクリルアミドアミドゲルを用いたサイズ選択によって除去される。
一部の実施態様では、「取り込まれなかったオリゴヌクレオチドを除去する」ステップは、cDNAを含む水性組成物をエキソヌクレアーゼと接触させて、液滴の少なくとも一部の水性組成物において取り込まれなかったオリゴヌクレオチドを分解するステップを含む。
関連する実施態様では、エキソヌクレアーゼは、cDNAを含む水性組成物から、一本鎖核酸配列を分解する。
例えば、ステップb)またはc)において得られるバーコード化cDNAのようなcDNAは、典型的にRNA/DNA複合体の形態で存在し、したがって前記エキソヌクレアーゼから保護されることが、当業者によって理解される。
一部の実施態様では、本明細書において上記に定義される、1つまたは複数のヌクレオチドアナログを含むcDNAは、cDNA配列または分子の精製を促進する。
当業者によって理解されるように、特定の実施態様では、精製されたcDNAは、取り込まれなかったオリゴヌクレオチドを含まない。
一部の実施態様では、cDNAは、RNAse Aによってさらに処理される。
「RNAse A」は、一本鎖RNAをCおよびU残基において特異的に分解するエンドリボヌクレアーゼである。
一部の実施態様では、RNAse Aは、10〜1000μg/μL、好ましくは50〜200μg/μL、例えば100μg/μLの濃度である。
一部の実施態様では、cDNAは、プロテイナーゼKによってさらに処理される。
「プロテイナーゼK」は、広範囲に使用されるセリンプロテアーゼであり、優先的に疎水性アミノ酸の後ろでタンパク質を消化する。
一部の実施態様では、プロテイナーゼKは、0.1〜5mg/mL、好ましくは0.1〜1mg/mL、例えば0.8mg/mLの濃度である。
回収されたcDNAは、それから、典型的に、本明細書において上記のセクション「増幅およびシーケンシング」において定義される、その後の増幅およびシーケンシングライブラリー調製にさらに用いられる(図5も参照)。
本明細書において上記のセクション「オリゴヌクレオチド」において説明されるように、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドが第一のタイプの少なくとも1つの粒子に結合される実施形態では、融合液滴内に存在する核酸を逆転写することは、RNA/DNA複合体の形態で第一のタイプの少なくとも1つの粒子に結合した単一細胞cDNAをもたらす。
さらに、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドがバーコード配列を含まない実施態様では、逆転写によって得られて前記の第一のタイプの少なくとも1つの粒子に結合されたcDNAは、バーコード化されない。
したがって、関連する実施態様では、単一細胞cDNAを回収するステップは、本明細書において、マイクロ流体の液滴を破壊するステップ、および、水性組成物内に含まれる第一のタイプの少なくとも1つの粒子に結合した単一細胞cDNAを前記のマイクロ流体の液滴の油相から分離するステップを指す。
マイクロ流体の液滴を破壊する方法は当業者に公知であり、ペルフルオロ−オクタノール(v/vエマルション)の使用を典型的に含む。
粒子に結合したcDNAは、当業者に公知の方法を用いて油相から分離され得る。例えば、粒子が磁性粒子である場合は、cDNAは磁石を用いて分離され得る。別の例では、粒子がヒドロゲル粒子である場合は、cDNAは沈降によって分離される。
第一のタイプの少なくとも1つの粒子に結合したcDNAを油相から分離するステップは、第一のタイプの複数の粒子を含むプールをもたらし、それぞれの粒子に、1つの細胞のcDNAが結合されている。
関連する実施態様では、前記の少なくとも1つのバーコード配列を、例えばステップc)において、単一細胞cDNAに付着するために、本発明のプロセスは、第一のタイプの少なくとも1つの粒子に結合した単一細胞cDNAを、複数のリザーバー内に分配するステップをさらに含み、ここで第一のタイプの少なくとも1つの粒子、好ましくは第一のタイプの1つの粒子(単一細胞のcDNAが結合している)は、それぞれのリザーバー内に受け入れられる。そのようなリザーバーは、例えばウェル、典型的に、96ウェルプレートのようなウェルプレートであってよい。
一部の関連する実施態様では、本発明のプロセスは、バーコード配列を、ステップb)において得られた単一細胞cDNAに付着させるステップc)をさらに含み、前記の少なくとも1つのバーコード配列は、前記単一細胞の同一性をコードする。
前記の少なくとも1つのバーコード配列は、本明細書において上記のセクション「オリゴヌクレオチド」において定義されるとおりである。好ましい実施態様では、前記の少なくとも1つのバーコードが転写ステップの後に付着される場合は、前記の少なくとも1つのバーコード配列は、好ましくは一本鎖核酸である。1つのバーコード配列または1よりも多いバーコード配列が付着されてよいことが、当業者によって理解される。1よりも多いバーコード配列が付着される場合、互いに付着される個々のバーコード配列は、結局のところ1つの最終的なバーコード配列となる。これらの個々のバーコード配列は、その後のサイクルにおいて付着されてよい。
一部の実施態様では、バーコード配列を付着するステップc)は、UMI配列を付着するステップをさらに含み、前記UMI配列は、本明細書において上記のセクション「オリゴヌクレオチド」において定義されるとおりである。
バーコード配列またはUMI配列を付着させる方法は当業者に公知であり、例えば、リガーゼの使用を含み、および/またはアニーリングまたはプライマー伸長方法を用いる。
一部の実施態様では、バーコード配列を付着するステップc)は、単一細胞cDNAに付着しなかったバーコードを除去するための洗浄ステップが後に続いてよい。
一部の実施態様では、プロセスは、取り込まれなかったオリゴヌクレオチドを除去するステップをさらに含む。取り込まれなかったオリゴヌクレオチドを除去する方法は、本明細書において上記にさらに記載される。
cDNAが第一のタイプの少なくとも1つの粒子に付着される実施態様では、プロセスは、前記の第一のタイプの少なくとも1つの粒子からcDNAまたはバーコード化cDNAを放出するステップをさらに含む。オリゴヌクレオチドを放出する方法は、本明細書において上記のセクション「オリゴヌクレオチド」において記載されて、cDNAは前記オリゴヌクレオチドを介して粒子に結合されるので、必要な変更を加えてcDNAの放出に当てはまる。
好ましくは、cDNAを放出するステップは、ステップc)においてバーコード配列を付着した後に生じる。
一部の実施態様では、バーコード配列を付着するステップc)の後に、バーコード化cDNAを回収するステップが続く。
バーコード化cDNAを回収するステップは、本明細書において、バーコード化cDNAを集めるステップを指す。
回収されたバーコード化cDNAは、それから、典型的に、本明細書において上記のセクション「増幅およびシーケンシング」において定義されるその後の増幅およびシーケンシングライブラリー調製のためにさらに用いられる(図11を参照)。
さらに、一部の実施態様では、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、粒子を伴わずにRT液滴内に導入されたものであり、または、任意選択で、逆転写の前に前記粒子から放出されたものである。
したがって、本発明のプロセスのこれらの実施態様は、転写後に、粒子に付着されていないcDNAをもたらすことが、当業者によって理解される。さらに、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドがバーコード配列を含まない実施態様では、前記cDNAはバーコード化されない。
したがって、関連する実施態様では、RT液滴は、ポリマーをさらに含む。
したがって、一部の実施態様では、融合液滴は前記ポリマーを含むことが当業者によって理解される。
一部の実施態様では、前記ポリマーは、溶液の形態である。
一部の実施態様では、前記ポリマーは、アルギン酸、アガロース、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、またはアクリルアミド系ゲル、例えば、ビス−アクリルアミド、ポリアクリルアミド、ストレプトアビジンアクリルアミド、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド、またはポリN−イソプロピルポリアクリルアミドまたはそれらの混合物からなる群より選択される。
さらなる実施態様では、ポリマーは、核酸を捕捉するように官能化される。
核酸を捕捉するようにポリマーを官能化する方法は当業者に公知であり、限定されないが、ストレプトアビジン、ヒスチジンタグ、ビオチン、カルモジュリン、SNAP−tag、ビオチン、Acryditeを含む。
関連する実施態様では、融合液滴は、本明細書において上記に記載されるように回収される。
関連する実施態様では、本明細書において上記に定義される融合液滴を回収するステップは、融合液滴を重合するステップをさらに含む。
例えば、アルギン酸のようなヒドロゲルは、カルシウムイオンの添加によって重合され得る。他の場合では、クロスリンカーとも呼ばれる重合イニシエーター(例えば、アクリルアミドに関してTEMEDおよび過硫酸アンモニウム)が、液滴に添加されてよい。
融合液滴を重合する場合、ステップb)において生産された単一細胞cDNAが、前記の重合された液滴内に含まれることが当業者によって理解される。
一部の実施態様では、重合は、架橋によって得られる。
一部の実施態様では、クロスリンカーが、例えば拡散によって融合液滴に添加される。
代替の実施態様では、RT液滴はクロスリンカーを含む。したがって、一部の実施態様では、融合液滴も前記クロスリンカーを含むことが、当業者によって理解される。
一部の実施態様では、クロスリンカーは、重合のために活性化される。
特に、RT液滴がクロスリンカーを含む場合、前記クロスリンカーは、重合のための活性化を必要とする。
一部の実施態様では、クロスリンカーは、熱またはUVによって活性化される。
関連する実施態様では、ステップc)においてcDNAにバーコードを付着させるために、本発明のプロセスは、単一細胞cDNAを含む重合液滴を複数のリザーバー内に分配するステップをさらに含み、ここで、好ましくは、1つの重合液滴は、それぞれのリザーバー内に受け入れられる。リザーバーは、ウェル、典型的に、96ウェルプレートである。
小さな核酸、例えばバーコード配列、ならびに酵素、例えばリガーゼは、本明細書において上記に定義されるポリマー内に移行し得ることが、当業者に公知である。
したがって、バーコード配列を付着させるステップc)は、粒子に付着したcDNAに関して本明細書において上記に説明したのと同一の方法で、前記ポリマー内に含まれるcDNAに当てはまる。バーコードをcDNAに付着するステップは、したがって、本明細書において上記に定義されるように、粒子に付着されたcDNAに対して言及する実施態様において当てはまる。
したがって、バーコードは、3’または5’末端に付着されてよい。
一部の実施態様では、バーコード配列を付着するステップc)は、本明細書において上記に定義されるUMI配列を付着するステップをさらに含む。
一部の実施態様では、バーコード配列を付着するステップc)は、cDNAに付着しなかったバーコードを除去するための洗浄ステップが後に続く。
一部の実施態様では、プロセスは、取り込まれなかったオリゴヌクレオチドを除去するステップをさらに含む。取り込まれなかったオリゴヌクレオチドを除去するステップは、本明細書において上記に定義される。
一部の実施態様では、プロセスは、バーコード化cDNAを、重合液滴から放出するステップをさらに含む。cDNAは、単純な拡散、光切断または電気泳動によって、重合液滴から放出され得る。
好ましくは、cDNAを放出するステップは、ステップc)においてバーコード配列を付着するステップの後に生じる。
一部の実施態様では、バーコード配列を付着するステップc)は、バーコード化cDNAを回収するステップが後に続く。回収されたバーコード化cDNAは、それから、典型的に、本明細書において上記のセクション「増幅およびシーケンシング」において定義されるその後の増幅およびシーケンシングライブラリー調製のためにさらに用いられる(図11を参照)。
[目的の表現型を有する単一細胞を遺伝子型決定するためのプロセス]
「遺伝子型決定」は一般に、生化学的方法を用いて個々の核酸配列を決定するプロセスを指す。本発明の文脈における遺伝子型決定は、単一細胞、特に、目的の単一細胞の核酸配列を決定するステップを指す。
「表現型」は通常、生物の観察することのできる特性または形質、例えばその形態、発達、生化学的または生理学的特性の混成を指す。表現型は、生物の遺伝子コードの発現、その遺伝子型、ならびに、環境因子および2つの間の相互作用の影響から生じる。本発明の文脈において、単一細胞の表現型は、特定の特性の存在または不存在、例えば、特定の抗体の存在または不存在、または、特定の抗原の存在または不存在または特定の活性の存在または不存在を指し、それは、典型的に、表現型アッセイを用いて観察または同定される。
目的の表現型の例は、生物学的応答の検出である。これらのうち、免疫応答の検出は、抗原特異的抗体の分泌によって誘導されるADCC(抗体依存−細胞媒介細胞傷害性)(3)を検出することによって監視され得る(図1を参照)。
生物学的イベントのうち、免疫応答の検出は、抗原特異的抗体の分泌によって誘導される相補依存性細胞毒性(CDC)(6)を検出することによって監視され得る(図2を参照)。
生物学的イベントのうち、薬物効果の検出は、抗原特異的抗体の分泌によって誘導されるADC(抗体薬物コンジュゲート)を検出することによって監視され得る(図3を参照)。
生物学的イベントのうち、抗原特異的抗体の分泌によって誘導されるアゴニスト/アンタゴニスト抗体のような薬物機能の検出が含まれる(図4、5を参照)。
生物学的イベントのうち、競合アッセイの実施のような薬物機能の検出が含まれる(図6を参照)。
生物学的イベントのうち、抗体の分泌によって仲介されるレポーター細胞の細胞移動性の検出のような薬物機能の検出が含まれる(図6を参照)。そのようなアッセイは、前記液滴の内部のレポーター細胞の挙動の改変をトラックするために用いられ得る。目的の抗原を発現していて、放出されない検出可能なラベルがロードされた標的細胞(1)は、単一細胞の液滴として、IgG産生細胞(2)および粒子と共カプセル化される。液滴は、抗体分泌を可能にする条件でインキュベートされる。分泌された特定の抗体は、標的細胞上に再局在する。その間に、リガンド/アゴニストは、IgG生産と(than)同様の動力学で粒子から拡散して、リガンドの勾配を作り出す。レポーター細胞は、リガンド濃度の関数で粒子の内部に移行する(9)。ブロック抗体(3)の場合、レポーター細胞の進行は変化される。移行はその結果、抗体のブロック/中和活性を評価するために用いられ得る。
したがって、単一細胞を遺伝子型決定するためのプロセスの文脈において、複数のリザーバー内、例えば、典型的に96ウェルプレートのリザーバー内、またはマイクロ流体デバイスのリザーバー内に存在する単一細胞は、最初に表現型決定されて、それから遺伝子型決定される。発明者らは、色素と組み合わせて特定のバーコードの使用に基づき、シーケンシング後に、バーコード化された単一細胞cDNAの遺伝子配列を前記単一細胞に関して観察される表現型と関連付けることが可能なプロセスを開発した。
したがって、本発明は、目的の表現型を有する単一細胞を遺伝子型決定するためのプロセスに対して言及し、前記方法は、
−複数のリザーバーを提供するステップ、および
a)複数のリザーバーに関して、少なくとも1つのバーコード配列および少なくとも1つの色素をそれぞれのリザーバーに関して提供するステップ(ここで前記の少なくとも1つのバーコード配列は、前記の少なくとも1つの色素の色および濃度と関連する)、および、アレイの画像を撮って、それにより、それぞれのリザーバーに関して前記の少なくとも1つの色素の色および強度をマッピングするステップ;および
b)複数のリザーバーに関して、少なくとも1つの単一細胞をそれぞれのリザーバーに関して提供して、前記の少なくとも1つの単一細胞に対して表現型アッセイをそれぞれのリザーバーに関して行なうステップ、および、画像を撮って、それにより、それぞれのリザーバーに関して前記の少なくとも1つの単一細胞の表現型をマッピングするステップ;
ここでステップa)はステップb)の前に行なわれる、または、ステップb)はステップa)の前に行なわれる;それから、
c)複数のリザーバーに関して、ステップb)において得られた単一細胞の表現型を、それぞれのリザーバーに関して、ステップa)において得られた前記の少なくとも1つの色素の色および強度に対して関連付けるステップ;および
−複数のリザーバーに関して、前記の少なくとも1つの単一細胞の核酸をそれぞれのリザーバーに関して逆転写して、前記の少なくとも1つの色素の色および濃度と関連する前記の少なくとも1つのバーコード配列でバーコード化された単一細胞cDNAを得るステップ;および
−前記の少なくとも1つの単一細胞の表現型と遺伝子型を関連付けるステップを含む。
好ましい一実施態様では、前記プロセスは、マイクロ流体のプロセスである。
一部の好ましい実施態様では、複数のリザーバーは、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルを備えるマイクロ流体デバイス内に含まれる。したがって、一実施態様では、プロセスは、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルおよび複数のリザーバーを備えるチップを備えるマイクロ流体デバイスを提供するステップを含む、マイクロ流体のプロセスである。
したがって、本発明は、目的の表現型を有する単一細胞を遺伝子型決定するためのマイクロ流体のプロセスに対してさらに言及し、前記方法は、
−複数のリザーバーを備えるチップを備えるマイクロ流体デバイスを提供するステップ、および
a)複数のリザーバーに関して、少なくとも1つのバーコード配列および少なくとも1つの色素をそれぞれのリザーバーに関して提供するステップ(ここで前記の少なくとも1つのバーコード配列は、前記の少なくとも1つの色素の色および濃度と関連する)、および、アレイの画像を撮って、それにより、それぞれのリザーバーに関して前記の少なくとも1つの色素の色および強度をマッピングするステップ;および
b)複数のリザーバーに関して、少なくとも1つの単一細胞をそれぞれのリザーバーに関して提供するステップ、および、前記の少なくとも1つの単一細胞に対して表現型アッセイをそれぞれのリザーバーに関して行なうステップ、および、画像を撮って、それにより、それぞれのリザーバーに関して前記の少なくとも1つの単一細胞の表現型をマッピングするステップ;
ここでステップa)はステップb)の前に行なわれる、または、ステップb)はステップa)の前に行なわれる;それから、
c)複数のリザーバーに関して、ステップb)において得られた単一細胞の表現型を、それぞれのリザーバーに関して、ステップa)において得られた前記の少なくとも1つの色素の色および強度に対して関連付けるステップ;および
−複数のリザーバーに関して、前記の少なくとも1つの単一細胞の核酸をそれぞれのリザーバーに関して逆転写して、前記の少なくとも1つの色素の色および濃度と関連する前記の少なくとも1つのバーコード配列でバーコード化された単一細胞cDNAを得るステップ;および
−前記の少なくとも1つの単一細胞の表現型と遺伝子型を関連付けるステップを含む。
目的の表現型を有する単一細胞を遺伝子型決定するためのマイクロ流体のプロセスの文脈において、「マイクロ流体のプロセス」および「マイクロ流体デバイス」は、本明細書において上記のセクション「定義」において定義されるとおりである。
「バーコード配列」は、本明細書において上記のセクション「オリゴヌクレオチド」において定義されるとおりである。
「複数のリザーバー」は、本明細書において上記のセクション「マイクロ流体デバイス」において定義されるとおりである。
一部の実施態様では、「少なくとも1つのバーコード配列」における「少なくとも1つ」および「少なくとも1つの色素」における「少なくとも1つ」は、1よりも多い、2よりも多い、3よりも多い、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個のバーコード配列および/または色素、好ましくは2、3、4、または5個のバーコード配列および/または色素、より好ましくは、2、3または4個のバーコード配列および/または色素、さらにより好ましくは、2または3個のバーコード配列および/または色素、例えば、2個のバーコード配列および/または色素を指す。
一部の実施態様では、色素は蛍光色素を指す。蛍光色素は、本明細書において上記のセクション「単一細胞」において定義されるとおりである。
一部の好ましい実施態様では、前記の少なくとも1つのバーコードおよび前記の少なくとも1つの色素は、1つの溶液において提供される。
一部の実施態様では、前記の少なくとも1つのバーコードおよび前記の少なくとも1つの色素は、互いに結合されない。
一部の実施態様では、前記の少なくとも1つのバーコードおよび前記の少なくとも1つの色素は、互いに共有結合されない。
一部の実施態様では、前記の少なくとも1つのバーコードおよび前記の少なくとも1つの色素は、非共有結合を用いて意図的に結合されない。
「意図的に」は、本明細書において、一部の実施態様では、前記の少なくとも1つのバーコードおよび前記の少なくとも1つの色素が、非共有結合を誘導するための特定の条件に曝されない、すなわち、例えばストレプトアビジンおよびビオチンを用いて、非共有結合を用いて互いに結合するように改変されないという事実を指す。しかしながら、前記の少なくとも1つの色素の性質および前記の少なくとも1つのバーコード配列の核酸の性質に起因して、場合によっては、前記の少なくとも1つの色素および前記の少なくとも1つのバーコード配列は、非共有相互作用によって互いに関連し得ることが、当業者によって理解される。これらの「非共有相互作用」は、静電気効果、π効果、ファンデルワールス力、および疎水性効果を含む。
一部の実施態様では、前記の少なくとも1つのバーコードは、少なくとも1つの色素と一緒に提供されて、前記の少なくとも1つの色素は、公知濃度で提供される。
一部の実施態様では、前記の少なくとも1つの色素は、0.1nM〜100μM、例えば1nM〜50μM、1nM〜30μM、1μM〜50μM、1μM〜30μM、好ましくは1nM〜30μMである。用いられる濃度は、前記の少なくとも1つの色素の性質に依存することが、当業者によって理解される。
一部の好ましい実施態様では、2つのバーコード配列が提供される場合は2つの色素が提供されて、3つのバーコード配列が提供される場合は3つの色素が提供される。
少なくとも1つのバーコード配列が1つのバーコード配列を指して、少なくとも1つの色素が1つの色素を指す場合は、第一のリザーバー内に提供されるバーコード配列は、別のリザーバー内に提供されるバーコード配列とは異なり、第一のリザーバー内にバーコード配列と一緒に提供される色素は、別のリザーバー内にバーコード配列と一緒に提供される色素とは異なり、および/または、これらの色素の濃度は異なることが、当業者によって理解される。
少なくとも1つのバーコード配列が2つのバーコード配列を指し、好ましくは、少なくとも1つの色素が2つの色素を指す場合、その結果、第一のリザーバー内に提供される2つのバーコード配列の少なくとも1つは、他のリザーバー内に提供される2つのバーコード配列の少なくとも1つとは異なり、第一のリザーバー内に2つのバーコード配列と一緒に提供される2つの色素の少なくとも1つは、他のリザーバー内に2つのバーコード配列と一緒に提供される2つの色素の少なくとも1つの色素とは異なり、および/または、第一のリザーバー内に2つのバーコード配列と一緒に提供される2つの色素の少なくとも1つの濃度は、他のリザーバー内に2つのバーコード配列と一緒に提供される2つの色素の少なくとも1つの色素の濃度とは異なることが、当業者によってさらに理解される。
ステップa)における「画像を撮るステップ」は、本明細書において、当業者に公知の任意の方法、例えば、蛍光顕微鏡、共焦点顕微鏡または蛍光イメージング技術によって、画像を撮るステップを指す。
さらに理解しやすいステップa)が、それぞれのリザーバーにおいて2つのバーコードおよび2つの色素を用いて、2つのリザーバー(AおよびB)に関して本明細書において以下に例示され、ステップa)をこの例に限定しない。例えば、バーコード1は、典型的に10μMの濃度で、溶液中に典型的にAlexa fluor 405(紫)と一緒に提供される。バーコード2は、典型的に15μMの濃度で、溶液中に典型的にAlexa fluor 532(緑)と一緒に提供される。バーコード1は、10μMの濃度でAlexa fluor 405と関連して、バーコード2は、15μMの濃度でAlexa fluor 532と関連する。両方のバーコード、バーコード1およびバーコード2が、1つのリザーバー(リザーバーA)内に一緒に提供される場合は、バーコードに付随する2つの色素の色および濃度は混合される。典型的に、蛍光顕微鏡画像を考慮すると、蛍光シグナルの強度および色は、それぞれのリザーバー(リザーバーAを含む)に関して記録される。その結果、参照スケールに基づいて、リザーバーA内に存在する2つの色素の混合物に関して記録された色および強度は、バーコード1および2の組み合わせと関連すると結論付けることが可能である。
ここで、別のリザーバー(リザーバーBと呼ばれる)内に、バーコード1が10μMの濃度でAlexa fluor 405と一緒に提供されて、バーコード3が20μMの濃度で例えばAlexa 546と一緒に提供された場合、リザーバーBは、リザーバーAとは別の色および強度を有する。したがって、ステップa)において撮られる画像に基づいて、参照スケールを用いて、リザーバーBにおける色素の混合物に関して記録された色および強度は、バーコード1および3の組み合わせと関連すると結論付けることが可能である。
したがって、ステップa)においてアレイの画像を撮ることは、複数のリザーバーのそれぞれのリザーバーに関して、それぞれのリザーバー内に存在する前記の少なくとも1つの色素の色および強度をマッピングするのを可能にする。さらに、それぞれのリザーバーに関してマッピングされる色および強度は、これらのリザーバー内に存在する前記の少なくとも1つのバーコード配列と関連する。したがって、当業者は、複数のリザーバーのそれぞれのリザーバーに関してステップa)において得られた画像から、どちらの少なくとも1つのバーコード配列が前記リザーバー内に提供されたのか、結論付けることができる。
ステップa)における前記の少なくとも1つのバーコード配列および前記の少なくとも1つの色素は、当業者に公知の任意の方法によって提供され得る。
一部の実施態様では、複数のリザーバーに関して、前記の少なくとも1つのバーコード配列は、複数のリザーバーのそれぞれのリザーバーの表面に対して結合される。
関連する実施態様では、前記の少なくとも1つのバーコード配列をリザーバーの表面に結合するステップは、溶液内の前記の少なくとも1つの色素に影響を与えない。語句「溶液内の前記の少なくとも1つの色素に影響を与えない」は、色素が溶液内に残ることを意味する。
少なくとも1つのバーコード配列のような核酸を表面に結合する方法は、当業者に公知であり、例えばUS5412087に記載される。これらの方法は、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを第一のタイプの少なくとも1つの粒子に結合するステップの文脈において、本明細書において上記のセクション「オリゴヌクレオチド」にさらに記載される。
したがって、一部の実施態様では、複数のリザーバーに関して、前記の少なくとも1つのバーコード配列は、リザーバーの表面に共有結合または非共有結合される。「非共有結合」、「共有結合」、「ストレプトアビジン」は、本明細書において上記のセクション「オリゴヌクレオチド」において定義されるとおりである。
好ましい実施態様では、非共有結合はストレプトアビジン−ビオチン結合である。
ストレプトアビジン−ビオチン結合は、当業者に公知である。したがって、一例では、リザーバーの表面は、例えば、本明細書において上記のセクション「オリゴヌクレオチド」において定義されるヒドロゲルによってコーティングされて、前記ヒドロゲルは、ストレプトアビジンによって官能化されてよく、前記の少なくとも1つのバーコード配列は、ビオチンによって官能化される。
一部の実施態様では、前記の少なくとも1つのバーコード配列が1よりも多いバーコード配列を指す場合、一部の実施態様では、バーコード配列は、リザーバーの表面に連続して結合されることが当業者によって理解される。したがって、第一のバーコード配列は、本明細書において上記に記載のリザーバーの表面に結合して、それから、第二のバーコード配列が第一のバーコード配列に付着して、バーコード配列の数に応じて、最終的に、第三のバーコード配列が第二のバーコード配列に付着されるなどである。
代替の実施態様では、バーコード配列は互いに付着されて、前記(少なくとも1つ)のバーコード配列をリザーバーの表面に結合する前に、1つのバーコード配列をもたらす。
一部のさらなる実施態様では、前記の少なくとも1つのバーコード配列は、UMI配列にさらに付着されて、ここで前記UMI配列は、本明細書において上記のセッション「オリゴヌクレオチド」において定義されるとおりである。
核酸を互いに付着させる方法、または、2つのバーコード配列またはUMI配列をバーコード配列に付着させる方法は、当業者に公知であり、限定されないが、リガーゼの使用を含み、および/または、アニーリングまたはプライマー伸長方法を用いる。
したがって、一部の実施態様では、前記の少なくとも1つのバーコード配列および前記の少なくとも1つの色素が提供される溶液は、リガーゼをさらに含む。リガーゼの例は、本明細書において上記のセクション「オリゴヌクレオチド」に与えられる。
前記の少なくとも1つのバーコードをリザーバーの表面に結合するために用いられる結合タイプとは独立に、バーコード配列は、少なくとも1つのリンカー配列をさらに含んでよい。
一部の実施態様では、バーコード配列は、5’末端または3’末端、好ましくは5’末端を用いて、好ましくは表面に結合される。
一部の実施態様では、前記の少なくとも1つのバーコード配列が1よりも多いバーコード配列を指す場合、ウェルの表面に結合されている第一のバーコード配列(すなわち、5’末端または3’末端、好ましくは5’末端に位置するバーコード配列)は、その5’末端または3’末端、好ましくは5’末端に、少なくとも1つのリンカー配列を含むことが、当業者によって理解される。
一部の実施態様では、「リンカー配列」は、それを用いて前記の少なくとも1つのバーコードが任意選択でリザーバーの表面に結合されている配列である。
「本明細書において、任意選択で結合される」は、本明細書において以下にさらに説明されるように、少なくとも1つのバーコード配列が少なくとも1つのプライマー配列に好ましく付着されるように、少なくとも1つのバーコード配列が放出される可能性を指す。
好ましくは、リンカー配列は、本明細書において上記のセクション「オリゴヌクレオチド」において定義されるように、切断可能なリンカー配列である。
したがって、一部の実施態様では、本発明のプロセスは、リザーバーの表面に結合された少なくとも1つのバーコード配列を放出するステップをさらに含む。
一部の実施態様では、当該方法が、本明細書において以下にさらに説明されるように液滴内で行なわれる場合、前記の少なくとも1つのバーコード配列は、特に、少なくとも1つのRT液滴内に放出される。
一部の実施態様では、前記の少なくとも1つのバーコード配列は、RT液滴をリザーバーの表面と接触させることにより、少なくとも1つのRT液滴内に放出される。
一部の実施態様では、RT液滴は、濡らすステップによって表面と接触される。
したがって、一部の実施態様では、前記の少なくとも1つのバーコード配列は、濡らすステップによって少なくとも1つのRT液滴内に放出される。
「濡らすステップ」は、本明細書において、半固形または固相上の液相の表面エネルギーの変化を指す。
さらに、一部の実施態様では、リザーバーの表面に結合された前記の少なくとも1つのバーコード配列は、単一細胞の核酸を逆転写する前に前記表面から放出される。
さらに、一部の実施態様では、リザーバーの表面に結合された前記の少なくとも1つのバーコード配列は、少なくとも1つの単一細胞を溶解する前に前記表面から放出される。
液滴内で行なわれる場合、一部の実施態様では、リザーバーの表面に結合された前記の少なくとも1つのバーコード配列は、少なくとも1つの単一細胞の液滴およびRT液滴を融合する前に、前記表面から放出される。
一部の実施態様では、前記の少なくとも1つのバーコードは、酵素、求核/塩基性試薬、還元剤、光照射、求電子/酸性試薬、有機金属および金属試薬、および酸化試薬のような任意の手段を用いて放出され得る。
一部の実施態様では、前記の少なくとも1つのバーコードは、酵素および/または光切断を用いて放出され得る。例えば、エンドヌクレアーゼは、リンカー配列または任意の他の配列を切断してリザーバーの表面から前記の少なくとも1つのバーコード配列を放出するために用いられ得る。
さらなる実施態様では、前記の少なくとも1つのバーコード配列を放出するステップは、本明細書において上記のセクション「オリゴヌクレオチド」において記載されるストレプトアビジンビオチン結合のような結合を破壊するステップを指す。
一部の実施態様では、前記の少なくとも1つのバーコードは、ストレプトアビジンの酵素的消化によって放出される。
バーコード配列を放出するのに必要な構成要素は、複数のリザーバーのそれぞれにおいて、または、液滴内、例えばRT液滴内で行なわれる場合、典型的に、RT液滴が表面と接触された場合に前記の少なくとも1つのバーコード配列が放出されるように、当業者に公知の任意の方法によって提供され得ることが、当業者によって理解される。
プロセスのステップb)において、複数のリザーバーに関して、少なくとも1つの単一細胞は、それぞれのリザーバー内に提供される。
「少なくとも1つの単一細胞」は、本明細書において上記のセクション「単一細胞」において定義されて、好ましくは、1つの単一細胞を指す。
「表現型アッセイ」は、本明細書において、細胞の表現型、より具体的には単一細胞の表現型を同定することを可能にする方法を指す。「表現型」は、本明細書において上記に定義されるとおりである。
一部の実施態様では、表現型アッセイは、DNA配列の検出;RNA配列の検出;タンパク質、炭水化物、脂質、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される分子の検出;小分子の検出;活性の検出;イオン濃度の検出;イオン潜在性の検出;還元−酸化の潜在性の検出から選択される。
表現型アッセイに応じて、前記の少なくとも1つの単一細胞は、任意の適切なアッセイ方法を用いて選択パラメーターに関して分析され得て、定性的および/または定量的であってよい。適切な検出方法は、とりわけ、分光学的方法、電気的方法、流体力学的方法、イメージング方法、および/または生物学的方法、特に、単一細胞の分析に適用されるものまたは適用可能なものを含んでよい。これらの方法は、とりわけ、単一または多数の値、時間依存的または時間非依存性(例えば、安定状態またはエンドポイント)値、および/または、平均または(時間的および/または空間的に)分散した値の検出を含んでよい。これらの方法は、アナログおよび/またはデジタル値を測定および/または出力し得る。
「分光学的方法」は一般に、光(または波状粒子)の任意の特性、特に、サンプルとの相互作用を介して変更される特性の検出を含んでよい。適切な分光学的方法は、とりわけ、吸収、発光(光発光、化学発光、および電気化学発光を含む)、磁気共鳴(核および電子スピン共鳴を含む)、散乱(光散乱、電子散乱、および中性子散乱を含む)、回折、円偏光二色性、および旋光を含んでよい。
適切な「光発光方法」は、とりわけ、生物発光共鳴エネルギー伝達(BRET)、蛍光強度(FLINT)、蛍光偏光(FP)、蛍光共鳴エネルギー伝達(FRET)、蛍光寿命(FLT)、全内反射蛍光(TIRF)、蛍光相関分光法(FCS)、光漂白後蛍光回復法(FRAP)、蛍光活性化セルソーティング(FACS)、およびそれらのリン光および他のアナログを含んでよい。
当業者によって理解されるように、一部の実施態様では、表現型アッセイの実施は、細胞を試薬に曝露するステップをさらに必要とする。
したがって、一部の実施態様では、単一細胞は、パラメーター測定前、測定中、または測定後に、1つまたは複数の試薬に曝される。
一部の実施態様では、単一細胞は、ステップb)において提供される前に、1つまたは複数の試薬に曝される。
一部の実施態様では、言及される試薬は、限定されないが、化学的/生物学的細胞モジュレーター、検出/アッセイ試薬、溶媒、バッファー、培地、洗浄溶液を含む。
「化学的モジュレーターまたは生物学的モジュレーター」は、細胞との相互作用に関して試験される任意の試薬を含んでよい。相互作用は一般に、粒子に対する特異的な結合および/または粒子(またはモジュレーター)に対する任意の検出可能な遺伝子型および/または表現型の効果を含む。化学的/生物学的モジュレーターは、受容体と相互作用するリガンド(例えば、アンタゴニスト、アゴニスト、ホルモンなど)、イオン、気体、炭水化物、脂質、有機物、ポリマー、タンパク質、小分子、または核酸、特にsiRNAを含んでよい。
「検出/アッセイ試薬」は、とりわけ、染料、色素、ラベル、酵素、基質、補助因子、および/または特異的結合パートナー(SBP)を含んでよい。
一部の実施態様では、ステップb)における「画像を撮るステップ」は、用いられる表現型アッセイに適用される当業者に公知の任意の方法、典型的に、分光学的方法を用いて、画像を撮るステップを指す。特に、画像を撮るステップは、アレイまたはラインカメラを備えた明視野顕微鏡または蛍光顕微鏡を用いて画像を撮るステップを指す。
当業者は、用いられる試薬と用いられる表現型アッセイの適用の仕方、および、画像を撮るための技術を知っている。
ステップb)における画像を撮るステップは、それぞれのリザーバーに関して、それぞれのリザーバー内に含まれる単一細胞の表現型のマッピングをもたらす。
したがって、ステップa)において得られた画像およびステップb)において得られた画像に基づいて、ステップc)において、当業者は、複数のリザーバーに関して、1つのリザーバー内でステップb)において得られた表現型を、同一のリザーバーに関してステップa)において得られた前記の少なくとも1つの色素の色および強度に関連付けることができ、ステップa)において得られた前記の少なくとも1つの色素の色および強度は、前記の同一のリザーバー内に提供された少なくとも1つのバーコード配列と関連する。
したがって、当業者はしたがって、ステップc)において、複数のリザーバーに関して、1つのリザーバー内で観察される少なくとも1つの単一細胞の表現型を、前記の同一のリザーバー内に提供された少なくとも1つのバーコード配列と関連付けることができる。
一部の実施態様では、プロセスは、以下のステップから選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11のステップをさらに含む:
−少なくとも1回のパージするステップ、
−複数のリザーバーに関して、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドをそれぞれのリザーバーに関して提供するステップ(ここで前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、プライマー配列を含む)、
−複数のリザーバーに関して、前記の少なくとも1つのバーコード配列をそれぞれのリザーバーに関して前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドに付着させるステップ、
−複数のリザーバーに関して、溶解組成物をそれぞれのリザーバーに関して提供するステップ、
−複数のリザーバーに関して、前記の少なくとも1つの単一細胞をそれぞれのリザーバーに関して溶解させるステップ、
−複数のリザーバーに関して、逆転写酵素および逆転写酵素組成物をそれぞれのリザーバーに関して提供するステップ、
−複数のリザーバーに関して、単一細胞の核酸の少なくとも一部をそれぞれのリザーバーに関して前記の少なくとも1つのバーコード化されたオリゴヌクレオチドとハイブリダイズするステップ、
−バーコード化された単一細胞cDNAを回収するステップ、
−前記のバーコード化されたcDNAから、取り込まれていないオリゴヌクレオチドを除去するステップ、
−バーコード化された単一細胞cDNAを増幅するステップ、
−バーコード化された単一細胞cDNAをシーケンスするステップ。
これらのさらなるステップは、「単一細胞の核酸をバーコード化するためのマイクロ流体のプロセス」の文脈で、本明細書において上記に説明した。したがって、上述のステップに関する説明全体における実施態様および特徴は、それらの全体でこれらのステップに適用可能であることが、当業者によって理解される。
例えば、セクション「液滴の調製」、「オリゴヌクレオチド」、「逆転写」および「単一細胞の核酸をバーコード化するためのマイクロ流体のプロセス」における、「少なくとも1つのオリゴヌクレオチド」に対して言及する説明は、「目的の表現型を有する単一細胞を遺伝子型決定するためのプロセス」と呼ばれるセクションに完全に適用可能である。セクション「定義」、「逆転写」、「オリゴヌクレオチド」および「単一細胞の核酸をバーコード化するためのマイクロ流体のプロセス」における「プライマー」または「プライマー配列」に対して言及する説明は、「目的の表現型を有する単一細胞を遺伝子型決定するためのプロセス」と呼ばれるセクションに完全に適用可能である。
当業者によって理解されるように、「それぞれのリザーバーにおいて、前記の少なくとも1つのバーコード配列を前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドに付着させる」ために用いられる方法は、単一細胞の核酸をバーコード化するためのプロセスにおけるステップc)の文脈で説明した「単一細胞のcDNAにバーコード配列を付着させる」ために用いられる方法、または、本明細書において上記に説明した「少なくとも1つのバーコード配列をUMI配列に付着させるステップ」または「バーコード配列を互いに付着させる」における方法と同一である。したがって、少なくとも1つのバーコード配列を少なくとも1つのオリゴヌクレオチドに付着させるための方法は当業者に公知であり、典型的に、限定されないが、リガーゼの使用および/またはアニーリングまたはプライマー伸長方法の使用を含む。リガーゼの例は、本明細書において上記のセクション「オリゴヌクレオチド」に与えられる。一部の実施態様では、バーコード配列は、好ましくは、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドの5’末端において前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドに付着されて、5’から3’にバーコード配列およびプライマー配列を含むオリゴヌクレオチドをもたらす。したがって、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドが少なくとも1つの粒子に結合される場合、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、好ましくは、前記の少なくとも1つのバーコード配列を付着する前に放出される。
さらに、セクション「定義」、「細胞溶解」、「逆転写」、「オリゴヌクレオチド」および「単一細胞の核酸をバーコード化するためのマイクロ流体のプロセス」において「溶解組成物」に対して言及する説明は、「目的の表現型を有する単一細胞を遺伝子型決定するためのプロセス」と呼ばれるセクションに完全に適用可能である。同様に、セクション「細胞溶解」、「逆転写」、「オリゴヌクレオチド」および「単一細胞の核酸をバーコード化するためのマイクロ流体のプロセス」において、「少なくとも1つの単一細胞を溶解する」ステップに対して言及する説明は、「目的の表現型を有する単一細胞を遺伝子型決定するためのプロセス」と呼ばれるセクションに完全に適用可能である。
セクション「定義」、「RT液滴の調製」、「逆転写」、「オリゴヌクレオチド」および「単一細胞の核酸をバーコード化するためのマイクロ流体のプロセス」における、「逆転写酵素」および「逆転写酵素組成物」または「逆転写のステップ」に対して言及する説明は、「目的の表現型を有する単一細胞を遺伝子型決定するためのプロセス」と呼ばれるセクションに完全に適用可能である。
セクション「定義」および「単一細胞の核酸をバーコード化するためのマイクロ流体のプロセス」における、「ハイブリダイズするステップ」に対して言及する説明は、「目的の表現型を有する単一細胞を遺伝子型決定するためのプロセス」と呼ばれるセクションに完全に適用可能である。
一部の実施態様では、バーコード化された単一細胞cDNAを回収するステップは、本明細書において、リザーバーから、逆転写によって生産されたバーコード化cDNAを単離するステップを指す。
セクション「単一細胞の核酸をバーコード化するためのマイクロ流体のプロセス」における「取り込まれなかったオリゴヌクレオチドを除去する」ステップに対して言及する説明は、「目的の表現型を有する単一細胞を遺伝子型決定するためのプロセス」と呼ばれるセクションに完全に適用可能である。
セクション「増幅およびシーケンシング」における、「バーコード化された単一細胞cDNAを増幅する」ステップおよび「バーコード化された単一細胞cDNAをシーケンスする」ステップに対して言及する説明は、「目的の表現型を有する単一細胞を遺伝子型決定するためのプロセス」と呼ばれるセクションに完全に適用可能である。
ステップb)における単一細胞は核酸を含むことが、当業者によって理解される。
本明細書において上記に記載のように、1つのリザーバー内で少なくとも1つの単一細胞を溶解するステップは、前記リザーバー内に、単一細胞由来の核酸の放出をもたらすことが、当業者によって理解される。
一部の実施態様では、細胞を溶解するステップは、転写ステップの前に生じる。一部の好ましい実施態様では、細胞を溶解するステップは、表現型アッセイを行なうステップb)の後に生じる。
上記によれば、一部の実施態様において、目的の表現型を有する単一細胞を遺伝子型決定するためのマイクロ流体のプロセスは、以下を含む:
−複数のリザーバーを備えるチップを備えるマイクロ流体デバイスを提供するステップ、および
1.複数のリザーバーに関して、少なくとも1つのバーコード配列および少なくとも1つの色素をそれぞれのリザーバーに関して提供するステップ(ここで前記の少なくとも1つのバーコード配列は、前記の少なくとも1つの色素の色および濃度と関連する)、および、アレイの画像を撮って、それにより、それぞれのリザーバーに関して色素の色および強度をマッピングするステップ;および
2.複数のリザーバーに関して、少なくとも1つの単一細胞をそれぞれのリザーバーに関して提供するステップ、および、前記の少なくとも1つの単一細胞に対して表現型アッセイをそれぞれのリザーバーに関して行なうステップ、および、画像を撮って、それにより、それぞれのリザーバーに関して前記の少なくとも1つの単一細胞の表現型をマッピングするステップ;
ここでステップa)はステップb)の前に行なわれる、または、ステップb)はステップa)の前に行なわれる;それから
3.複数のリザーバーに関して、ステップb)において得られた表現型をそれぞれのリザーバーに関して、ステップa)において得られた色素の色および強度に関連付けるステップ;および
−任意選択で、複数のリザーバーに関して、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドをそれぞれのリザーバーに関して提供するステップ(ここで前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、プライマー配列を含む)、
−任意選択で、複数のリザーバーに関して、前記の少なくとも1つのバーコード配列をそれぞれのリザーバーに関して前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドに付着させるステップ、
−任意選択で、複数のリザーバーに関して、溶解組成物をそれぞれのリザーバーに関して提供するステップ、
−任意選択で、複数のリザーバーに関して、前記の少なくとも1つの単一細胞をそれぞれのリザーバーに関して溶解させるステップ、
−任意選択で、複数のリザーバーに関して、逆転写酵素および逆転写酵素組成物をそれぞれのリザーバーに関して提供するステップ、
−任意選択で、複数のリザーバーに関して、前記の単一細胞の核酸の少なくとも一部をそれぞれのリザーバーに関して前記の少なくとも1つのバーコード化されたオリゴヌクレオチドとハイブリダイズするステップ、
−複数のリザーバーに関して、前記の少なくとも1つの単一細胞の核酸をそれぞれのリザーバーに関して逆転写して、前記の少なくとも1つの色素の色および濃度と関連する前記の少なくとも1つのバーコード配列によってバーコード化された単一細胞のcDNAを得るステップ;
−任意選択で、バーコード化された単一細胞cDNAを回収するステップ、
−任意選択で、前記のバーコード化されたcDNAから、取り込まれていないオリゴヌクレオチドを除去するステップ、
−任意選択で、バーコード化された単一細胞cDNAを増幅するステップ、
−任意選択で、バーコード化された単一細胞cDNAをシーケンスするステップ、および
−前記の少なくとも1つの単一細胞の表現型と遺伝子型を関連付けるステップ。
一部の実施態様では、目的の表現型を有する単一細胞を遺伝子型決定するためのプロセスは、液滴内で行なわれる。液滴は、本明細書において上記のセクション「液滴」において定義されるとおりである。
したがって、少なくとも1つの単一細胞は、単一細胞の液滴と呼ばれる液滴内に提供される。「液滴」、「単一細胞」および「単一細胞の核酸をバーコード化するためのマイクロ流体のプロセス」のような以前のセクションにおける、「単一細胞の液滴」に対して言及する説明は、「目的の表現型を有する単一細胞を遺伝子型決定するためのプロセス」と呼ばれるセクションに完全に適用可能である。
関連する実施態様では、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドおよび逆転写酵素は、本明細書においてRT液滴と呼ばれる液滴内に提供される。したがって、「定義」、「液滴」、「液滴の調製」、「単一細胞」、「細胞溶解」、「逆転写」、「オリゴヌクレオチド」および「単一細胞の核酸をバーコード化するためのマイクロ流体のプロセス」のような先行するセクションにおける、「RT液滴」に対して言及する説明は、「目的の表現型を有する単一細胞を遺伝子型決定するためのプロセス」と呼ばれるセクションに完全に適用可能である。
当業者によって理解されるように、特定の実施態様では、RT液滴または単一細胞の液滴は、「単一細胞の核酸をバーコード化するためのマイクロ流体のプロセス」の文脈において本明細書において上記に説明されるように、最初に提供され得る。したがって、一部の実施態様では、プロセスは、以下のステップを含む:
−マイクロ流体チャネルの入口に、担体流体内に分散された第一のタイプの複数の液滴を含む担体流体を注入するステップ(ここで、第一のタイプの液滴は、単一細胞の液滴またはRT液滴のいずれかであり、ここで、RT液滴の少なくとも一部は、逆転写酵素および少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含み、およびここで、単一細胞の液滴の少なくとも一部は、1つの単一細胞を含み、ここで、前記単一細胞は、単一細胞の核酸を含む)、
−複数のリザーバーに関して、第一の移行ステップ(ここで、複数の液滴のうち、第一のタイプの少なくとも1つの液滴は、前記の複数のリザーバーの1つのリザーバーの中に入る)、
−マイクロ流体チャネルの入口に、担体流体内に分散された第二のタイプの複数の液滴を含む担体流体を注入するステップ(ここで、第二のタイプの液滴は、単一細胞の液滴またはRT液滴のいずれかであり、およびここで、第一のタイプの液滴が単一細胞の液滴である場合は第二のタイプの液滴はRT液滴であり、または、第一のタイプの液滴がRT液滴である場合は第二のタイプの液滴は単一細胞の液滴である)、
−複数のリザーバーに関して、第二の移行ステップ(ここで、第二のタイプの1つの液滴の少なくとも一部は、前記の複数のリザーバーの1つのリザーバー内に入る)。
セクション「単一細胞の核酸をバーコード化するためのマイクロ流体のプロセス」におけるこれらのステップに対して言及する説明は、「目的の表現型を有する単一細胞を遺伝子型決定するためのマイクロ流体のプロセス」と呼ばれるセクションに完全に適用可能である。
一部の実施態様では、これらのステップは、それぞれのリザーバーに関して前記の少なくとも1つの単一細胞に対する表現型アッセイを行なうステップb)の前に行なわれてよい。当業者によって理解されるように、本明細書において上記に記載されるステップb)の表現型アッセイは、液滴内に存在する場合は単一細胞に対して行なわれ得る。
当業者によってさらに理解されるように、表現型アッセイは、単一細胞の液滴が複数のリザーバー内に提供される場合、または、単一細胞の液滴およびRT液滴の両方が複数のリザーバー内に提供される場合に行なわれ得る。
一部の実施態様では、第一の移行ステップにおいて、複数の液滴のうち、第一のタイプの少なくとも1つの液滴は、浮力、流体力学的な力によって、または物理場(phycsical field)、好ましくは浮力によって、前記の複数のリザーバーの1つのリザーバーの中に入る。
当業者によってさらに理解されるように、プロセスが液滴内で行なわれる場合、当該方法は、
−複数のリザーバーに関して、前記の第一のタイプの少なくとも1つの液滴を、それぞれのリザーバー内、またはその縁で、前記の第二のタイプの少なくとも1つの液滴と融合して、それにより、融合液滴をもたらすステップをさらに含む。
好ましい一実施態様では、融合するステップは、表現型アッセイを行なうステップb)の後に好ましくは行なわれる。
「単一細胞の核酸をバーコード化するためのマイクロ流体のプロセス」のような以前のセクションにおける融合するステップに対して言及する説明は、「目的の表現型を有する単一細胞を遺伝子型決定するためのマイクロ流体のプロセス」と呼ばれるセクションに完全に適用可能である。
一部の実施態様では、プロセスが液滴内で行なわれる場合、前記の少なくとも1つのバーコード配列および前記の少なくとも1つの色素は、本明細書において上記に定義されるそれぞれのリザーバー内に提供される。したがって、一部の実施態様では、ステップa)において前記の少なくとも1つの色素の画像を撮った後に、前記の少なくとも1つのバーコード配列は、例えば本明細書において上述した濡らすステップによって、RT液滴内に取り込まれる。
あるいは、一部の実施態様では、前記の少なくとも1つのバーコード配列および前記の少なくとも1つの色素は、逆転写酵素および複数のRT液滴のRT液滴内の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドと一緒に提供される。
関連する実施態様では、前記の少なくとも1つのバーコード配列は、RT液滴内に存在する前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドに付着されて、少なくとも1つのバーコード化されたオリゴヌクレオチドをもたらす。バーコード配列をオリゴヌクレオチドに付着する方法は、本明細書において上記に記載される。一部の関連する実施態様では、RT液滴は、リガーゼをさらに含む。
「目的の表現型を有する単一細胞を遺伝子型決定するためのプロセス」が液滴内で行なわれる場合、プロセスは、ステップc)の後に、以下のステップをさらに含む:
−それぞれの融合液滴に関して、少なくとも1つの細胞由来の単一細胞の核酸の少なくとも一部を、前記の少なくとも1つのバーコード化されたオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせるステップ、
−それぞれの融合液滴において、前記融合液滴内に存在する単一細胞の核酸の少なくとも一部を逆転写して、それにより、バーコード化された単一細胞のcDNAをもたらすステップ(ここで前記バーコード配列は、前記単一細胞の同一性をコードする)。
「単一細胞の核酸をバーコード化するためのマイクロ流体のプロセス」のような以前のセクションにおける、ハイブリダイズおよび逆転写のステップに対して言及する説明は、「目的の表現型を有する単一細胞を遺伝子型決定するためのマイクロ流体のプロセス」と呼ばれるセクションに完全に適用可能である。
液滴内で行なわれる場合、本発明のプロセスは、逆転写ステップの後にチャネルの出口において融合液滴を回収するステップをさらに含む。「融合液滴を回収するステップ」は、本明細書において、セクション「単一細胞の核酸をバーコード化するためのマイクロ流体のプロセス」において本明細書において上記に記載のバーコード化cDNAを含むマイクロ流体の液滴を集めるステップを指す。
「少なくとも1つのオリゴヌクレオチド」に関して、一部の実施態様では、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、第一のタイプの少なくとも1つの粒子に結合される。一部の実施態様では、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、はじめに前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを第一のタイプの少なくとも1つの粒子に結合することによって、リザーバーまたは液滴、特にRT液滴内に導入される。
したがって、セクション「オリゴヌクレオチド」および「単一細胞の核酸をバーコード化するためのマイクロ流体のプロセス」のような以前のセクションにおける、第一のタイプの少なくとも1つの粒子に結合した少なくとも1つのオリゴヌクレオチド(oligionucleotide)に対して言及する説明は、「目的の表現型を有する単一細胞を遺伝子型決定するためのマイクロ流体のプロセス」と呼ばれるセクションに完全に適用可能である。
したがって、一部の実施態様では、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、前記の第一のタイプの少なくとも1つの粒子に共有結合または非共有結合されて、ここで、「共有結合」または「非共有結合」および「第一のタイプの少なくとも1つの粒子」は、本明細書において上記のセクション「オリゴヌクレオチド」において定義される。
第一のタイプの粒子に少なくとも1つのタイプのオリゴヌクレオチドを結合するために用いられる結合のタイプとは独立に、前記の少なくとも1つのタイプのオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのリンカー配列をさらに含んでよく、前記リンカー配列は、本明細書において上記のセクション「オリゴヌクレオチド」において定義されるとおりである。
したがって、さらなる実施態様では、「少なくとも1つのタイプのオリゴヌクレオチド」または単に「オリゴヌクレオチド」は、少なくとも1つのリンカー配列をさらに含み、前記リンカー配列は、好ましくは5’末端または3’末端、より好ましくは5’末端に含まれる。
したがって、一部の実施態様では、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、3’末端または5’末端、好ましくは5’末端を介して、第一のタイプの粒子に結合されることが、当業者によって理解される。
一部の実施態様では、本発明のプロセスは、第一のタイプの少なくとも1つの粒子に結合した前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを、リザーバーまたはRT液滴内に取り込まれた後に、前記粒子から放出するステップをさらに含む。
さらに、一部の実施態様では、はじめに第一のタイプの少なくとも1つの粒子に結合された前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、単一細胞の核酸を逆転写する前に、前記の第一のタイプの少なくとも1つの粒子から放出される。
さらに、一部の実施態様では、はじめに第一のタイプの少なくとも1つの粒子に結合された前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、前記の少なくとも1つのバーコードに付着する前または後に、前記の第一のタイプの少なくとも1つの粒子から放出される。
前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを放出するステップは、単一細胞およびRT液滴を融合する前または後;好ましくは、液滴を融合する前に生じ得る。
前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを放出するステップは、単一細胞を溶解した後であるが単一細胞の核酸を逆転写する前に生じ得る。
1つのリザーバーまたは液滴内に存在するオリゴヌクレオチドの数は、1つの単一細胞から転写およびバーコード化される異なる核酸の数、特にRNAの数に適合されることが、当業者によって理解される。リザーバーまたは液滴内のオリゴヌクレオチドの数は、セクション「オリゴヌクレオチド」においてRT液滴内のオリゴヌクレオチドの適合に関して説明したのと同一の様式で適合される。したがって、表現「少なくとも1つのオリゴヌクレオチド」における「少なくとも1つ」は、1つのリザーバーまたは液滴内に存在する異なるオリゴヌクレオチドの数を指し、ここで、前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドの1つのオリゴヌクレオチドは、そのプライマー配列によって別のオリゴヌクレオチドとは異なる。表現「少なくとも1つのオリゴヌクレオチド」における「少なくとも1つ」は、セクション「オリゴヌクレオチド」において定義されるとおりである。
前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドの濃度は、本明細書において上記のセクション「オリゴヌクレオチド」において定義されるとおりである。
前記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドの濃度は、少なくとも10nM、好ましくは少なくとも100nMである。
本出願全体を通して、用語「および/または」は、それが繋ぐ1つまたは複数のケースが生じ得ることを包含するものとして解釈される文法的接続詞である。例えば、語句「配列がエラーの検出および/または修正を可能にする」における表現「エラーの検出および/または修正」は、配列がエラーの検出を可能にし得ることおよび配列がエラーの修正を可能にし得ること、または、配列がエラーの検出を可能にし得ることまたは配列がエラーの修正を可能にし得ることを示す。
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形「a」、「an」および「the」は、内容が明確に別段の指示をしない限り、複数の言及、例えば言及される複数の物を含む。
本出願全体を通して、用語「含む(comprising)」は、全ての、明示して述べられた特徴、ならびに、任意選択の、さらなる、明示していないものも包含すると解釈されるべきである。本明細書において用いられる用語「含む(comprising)」の使用は、明示して述べられた特徴以外の特徴が存在しない実施態様(すなわち「からなる」)も開示する。
説明全体において、1つのセクションにおいて説明される特徴は、本説明の他のセクションに完全に適用可能である。したがって、本発明は、説明の異なるセクションにおいて説明される実施態様の組み合わせをさらに含む。