触媒系の特定の実施形態をここで説明する。本開示の触媒系は、異なる形態で実施されてもよく、本開示に記載される特定の実施形態に限定されると解釈されるべきではないことが理解されよう。むしろ、本開示が、徹底的かつ完全となり、また主題の範囲を当業者に完全に伝えるように、実施形態が提供される。
一般的な略語は以下のとおりである。
R、Z、M、X、およびnは上で定義したとおりであり、Meはメチルであり、Etはエチルであり、Phはフェニルであり、Bnはベンジルであり、i−Prはイソプロピルであり、t−Buはtert−ブチルであり、t−Octはtert−オクチル(2,4,4−トリメチルペント−2−イル)であり、Tsはトルエンスルホネートであり、THFはテトラヒドロフランであり、Et2Oはジエチルエーテルであり、DMAはジメチルアセトアミドであり、DMEはジメトキシエタンであり、CH2Cl2またはDCMはジクロロメタンであり、CCl4は四塩化炭素であり、EtOHはエタノールであり、CH3CNはアセトニトリルであり、MeCNはアセトニトリルであり、THFはテトラヒドロフランであり、EtOAcは酢酸エチルであり、C6D6は重水素化ベンゼンであり、Benzene−d6は重水素化ベンゼンであり、CDCl3は重水素化クロロホルムであり、DMSO−d6は重水素化ジメチルスルホキシドであり、DBAはジベンジリデンアセトンであり、PPh3はトリフェニルホスフィンであり、PCy3はトリシクロヘキシルホスフィンであり、NEt3はトリエチルアミンであり、NH2Prはプロピルアミンであり、NaHSO3は亜硫酸水素ナトリウムであり、SiO2はシリカゲルであり、Me4Siはテトラメチルシランであり、MeIはヨウ化メチルであり、NaOHは水酸化ナトリウムであり、NaHCO3は重炭酸ナトリウムであり、NaOiBuしはナトリウムtert−ブトキシドであり、K3PO4は三塩基性リン酸カリウムであり、ブラインは飽和食塩水であり、Na2SO4は硫酸ナトリウムであり、MgSO4は硫酸マグネシウムであり、HClは塩酸であり、NH4OHは水酸化アンモニウムであり、KHMDSはカリウムヘキサメチルジシラジドであり、PCl5は五塩化リンであり、SOCl2は塩化チオニルであり、n−BuLiはn−ブチルリチウムであり、AlMe3はトリメチルアルミニウムであり、CuIはヨウ化銅(I)であり、Cs2CO3は炭酸セシウムであり、AgNO3は硝酸銀であり、HfCl4は塩化ハフニウム(IV)であり、HfBn4はハフニウム(IV)テトラベンジルであり、ZrCl4は塩化ジルコニウム(IV)であり、ZrBn4はジルコニウム(IV)テトラベンジルであり、NiBr2(DME)は臭化ニッケル(II)エチレングリコールジメチルエーテル錯体であり、N2は窒素ガスであり、PhMeはトルエンであり、MAOはメチルアルミノキサンであり、MMAOは変性メチルアルミノキサンであり、PTFEはポリテトラフルオロエチレンであり、GCはガスクロマトグラフィーであり、LCは液体クロマトグラフィーであり、NMRは核磁気共鳴であり、HRMSは高分解能質量分析であり、mmolはミリモルであり、g/molはグラム/モルであり、mLはミリリットルであり、Mはモル濃度であり、minは分であり、hは時間であり、dは日である。
「独立して選択される」という用語は、R1、R2、R3、R4、およびR5などのR基は同一であっても異なっていてもよい(例えばR1、R2、R3、R4、およびR5は全て置換アルキルであってもよく、またはR1およびR2は置換アルキルであってもよく、R3はアリールであってもよい、など)ことを示している。R基に関する化学名は、化学名の化学構造に対応する当技術分野において認識される化学構造を伝えることを意図している。したがって、化学名は、当業者に既知の構造的定義を補足し例示することを意図しており、排除することを意図していない。
「プロ触媒」という用語は、活性化剤と組み合わせたときに触媒活性を有する化合物を指す。「活性化剤」という用語は、プロ触媒を触媒的に活性な触媒に転換するようにプロ触媒と化学的に反応する化合物を指す。本明細書で使用されるとき、「助触媒」および「活性化剤」という用語は交換可能な用語である。
ある特定の炭素原子含有化学基を記載するために使用するとき、「(Cx〜Cy)」の形態を有する括弧内の表現は、化学基の非置換形態がxおよびyを含めてx個の炭素原子からy個の炭素原子を有することを意味する。例えば、(C1〜C40)アルキルは、その非置換形態において1〜40個の炭素原子を有するアルキル基である。いくつかの実施形態および一般構造において、ある特定の化学基は、RSなどの1つ以上の置換基によって置換してもよい。括弧付きの「(Cx〜Cy)」を用いて定義されるRS置換化学基は、任意の基RSの同一性に従ってy個を超える炭素原子を含有することができる。例えば、「RSがフェニル(−C6H5)である厳密に1つの基RSで置換された(C1〜C40)アルキル」は、7〜46個の炭素原子を含有し得る。したがって、一般に、括弧付きの「(Cx〜Cy)」を用いて定義される化学基が1つ以上の炭素原子含有置換基RSによって置換されるとき、化学基の炭素原子の最小および最大合計数は、xとyとの両方に、全ての炭素原子含有置換基RS由来の炭素原子の合計数を加えることによって、決定される。
「置換」という用語は、対応する非置換化合物または官能基の炭素原子またはヘテロ原子に結合した少なくとも1個の水素原子(−H)が置換基(例えばRS)によって置き換えられることを意味する。「過置換」という用語は、対応する非置換化合物または官能基の炭素原子またはヘテロ原子に結合した全ての水素原子(H)が置換基(例えばRS)によって置き換えられることを意味する。「多置換」という用語は、対応する非置換化合物または官能の炭素原子またはヘテロ原子に結合した、少なくとも2個であるが全てよりは少ない水素原子が、置換基によって置き換えられることを意味する。「−H」という用語は、別の原子に共有結合している水素または水素ラジカルを意味する。「水素」および「−H」は、交換可能であり、明記されていない限りは、同一の意味を有する。
「(C1〜C40)ヒドロカルビル」という用語は、1〜40個の炭素原子を有する炭化水素ラジカルを意味し、「(C1〜C40)ヒドロカルビレン」という用語は、1〜40個の炭素原子を有する炭化水素ジラジカルを意味し、ここで、各炭化水素ラジカルおよび各炭化水素ジラジカルは、芳香族または非芳香族、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖、環式(3個以上の炭素を有し、単環式および多環式、縮合および非縮合の多環式、ならびに二環式を含む)または非環式であり、1つ以上のRSによって置換されているか、または置換されていない。
この開示において、(C1〜C40)ヒドロカルビルは、非置換もしくは置換(C1〜C40)アルキル、(C3〜C40)シクロアルキル、(C3〜C20)シクロアルキル−(C1〜C20)アルキレン、(C6〜C40)アリール、または(C6〜C20)アリール−(C1〜C20)アルキレン(ベンジル(−CH2−C6H5)など)であることができる。
「(C1〜C40)アルキル」および「(C1〜C18)アルキル」という用語は、非置換または1つ以上のRSによって置換されている、それぞれ、1〜40個の炭素原子を有する飽和直鎖または分岐炭化水素ラジカルおよび1〜18個の炭素原子を有する飽和直鎖または分岐炭化水素ラジカルを意味する。非置換(C1〜C40)アルキルの例は、非置換(C1〜C20)アルキル、非置換(C1〜C10)アルキル、非置換(C1〜C5)アルキル、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、1−ペンチル、1−ヘキシル、1−ヘプチル、1−ノニル、および1−デシルである。置換(C1〜C40)シクロアルキルの例は、置換(C1〜C20)アルキル、置換(C1〜C10)アルキル、トリフルオロメチル、および[C45]アルキルである。「[C45]アルキル」という用語は、置換基を含むラジカル中に最大45個の炭素原子が存在することを意味し、例えば、それぞれ、(C1〜C5)アルキルである1つのRSによって置換された(C27〜C40)アルキルである。各(C1〜C5)アルキルは、メチル、トリフルオロメチル、エチル、1−プロピル、1−メチルエチル、または1,1−ジメチルエチルであることができる。
「(C6〜C40)アリール」という用語は、6〜40個の炭素原子、そのうち少なくとも6〜14個の炭素原子は芳香環炭素原子である、非置換または(1個以上のRSによって)置換された単環式、二環式、または三環式芳香族炭化水素ラジカルを意味する。単環式芳香族炭化水素ラジカルは、1個の芳香環を含み、二環式芳香族炭化水素ラジカルは2つの環を有し、三環式芳香族炭化水素ラジカルは3つの環を有する。二環式または三環式芳香族炭化水素ラジカルが存在するとき、そのラジカルの環の少なくとも1つは芳香族である。芳香族ラジカルの他の1つまたは複数の環は独立して、縮合または非縮合の芳香族または非芳香族であり得る。非置換(C6〜C40)アリールの例としては、非置換(C6〜C20)アリール、非置換(C6〜C18)アリール、2−(C1〜C5)アルキル−フェニル、フェニル、フルオレニル、テトラヒドロフルオレニル、インダセニル、ヘキサヒドロインダセニル、インデニル、ジヒドロインデニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、およびフェナントレンが挙げられる。置換(C6〜C40)アリールの例としては、置換(C1〜C20)アリール、置換(C6〜C18)アリール、2,4−ビス([C20]アルキル)−フェニル、ポリフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、およびフルオレン−9−オン−1−イルが挙げられる。
「(C3〜C40)シクロアルキル」という用語は、非置換であるかまたは1つ以上のRSで置換されている、3〜40個の炭素原子を有する飽和環式炭化水素ラジカルを意味する。他のシクロアルキル基(例えば(C3〜C12)シクロアルキル)は、x〜y個の炭素原子を有し、非置換であるか、または1個以上のRSで置換されているかのいずれかであると同様な仕方で定義される。非置換(C3〜C40)シクロアルキルの例は、非置換(C3〜C20)シクロアルキル、非置換(C3〜C10)シクロアルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、およびシクロデシルである。置換(C3〜C40)シクロアルキルの例は、置換(C3〜C20)シクロアルキル、置換(C3〜C10)シクロアルキル、シクロペンタノン−2−イル、および1−フルオロシクロヘキシルである。
(C1〜C40)ヒドロカルビレンの例としては、非置換または置換の(C6〜C40)アリーレン、(C3〜C40)シクロアルキレン、および(C1〜C40)アルキレン(例えば(C1〜C20)アルキレン)が挙げられる。ジラジカルは、同じ炭素原子上(例えば−CH2−)もしくは隣接する炭素原子(すなわち1,2−ジラジカル)上にあってもよく、または1個、2個、もしくは3個以上の介在炭素原子によって離間されている(例えば1,3−ジラジカル、1,4−ジラジカルなど)。いくつかのジラジカルとしては、1,2−、1,3−、1,4−、またはα,ω−ジラジカルが挙げられ、他のものとしては1,2−ジラジカルが挙げられる。α,ω−ジラジカルは、ラジカル炭素間に最大の炭素骨格間隔を有するジラジカルである。(C2〜C20)アルキレンα,ω−ジラジカルのいくつかの例としては、エタン−1,2−ジイル(すなわち−CH2CH2−)、プロパン−1,3−ジイル(すなわち−CH2CH2CH2−)、2−メチルプロパン−1,3−ジイル(すなわち−CH2CH(CH3)CH2−)が挙げられる。(C6〜C40)アリーレンα,ω−ジラジカルのいくつかの例としては、フェニル−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、またはナフタレン−3,7−ジイルが挙げられる。
「(C1〜C40)アルキレン」という用語は、非置換または1つ以上のRSで置換された炭素数1〜40個の飽和直鎖または分枝鎖のジラジカル(すなわち、ラジカルが環原子上にない)を意味する。非置換(C1〜C40)アルキレンの例は、非置換(C1〜C20)アルキレンであり、非置換−CH2CH2−、−(CH2)3−、−(CH2)4−、−(CH2)5−、−(CH2)6−、−(CH2)7−、−(CH2)8−、−CH2C*HCH3、および−(CH2)4C*(H)CH3が挙げられ、「C*」は、水素原子が、第二級もしくは第三級アルキルラジカルを形成するために除去される炭素原子を表す。置換(C1〜C40)アルキレンの例は、置換(C1〜C20)アルキレン、−CF2−、−C(O)−、および−(CH2)14C(CH3)2(CH2)5−(すなわち、6,6−ジメチル置換ノルマル−1,20−エイコシレン)である。上記のように、2つのRSは一緒になって、(C1〜C18)アルキレンを形成することができ、置換(C1〜C40)アルキレンの例としては、1,2−ビス(メチレン)シクロペンタン、1,2−ビス(メチレン)シクロヘキサン、2,3−ビス(メチレン)−7,7−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、および2,3−ビス(メチレン)ビシクロ[2.2.2]オクタンが挙げられる。
「(C3〜C40)シクロアルキレン」という用語は、非置換または1つ以上のRSによって置換されている、3〜40個の炭素原子を有する環式ジラジカル(すなわち、ラジカルが環原子上にある)を意味する。
「ヘテロ原子」という用語は、水素または炭素以外の原子を指す。1個以上のヘテロ原子を含有する基の例としては、O、S、S(O)、S(O)2、Si(RC)2、P(RP)、N(RN)、−N=C(RC)2、−Ge(RC)2−、または−Si(RC)−が挙げられ、各RCおよび各RPは、非置換(C1〜C18)ヒドロカルビルまたは−Hであり、各RNは非置換(C1〜C18)ヒドロカルビルである。「ヘテロ炭化水素」という用語は、炭化水素の1個以上の炭素原子がヘテロ原子で置き換えられている分子または分子骨格を指す。「(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビル」という用語は1〜40個の炭素原子を有するヘテロ炭化水素ラジカルを意味し、「(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビレン」という用語は1〜40個の炭素原子を有するヘテロ炭化水素ジラジカルを意味する。(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビルまたは(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビレンのヘテロ炭化水素は、1個以上のヘテロ原子を有する。ヘテロヒドロカルビルのラジカルは、炭素原子上またはヘテロ原子上に存在することができる。ヘテロヒドロカルビレンの2つの基は、単一の炭素原子上または単一のヘテロ原子上に存在することができる。さらに、ジラジカルの2つのラジカルのうちの一方は炭素原子上に存在することができ、他方のラジカルは異なる炭素原子上に存在することができ、2つのラジカルのうちの一方は炭素原子上に存在することができ、他方はヘテロ原子上に存在することができ、または、2つのラジカルのうちの一方はヘテロ原子上に存在することができ、他方のラジカルは異なるヘテロ原子上に存在することができる。(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビルおよび(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビレンは各々、非置換または(1つ以上のRSによって)置換されていてもよく、芳香族または非芳香族、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖、環式(単環式および多環式、縮合および非縮合多環式を含む)または非環式であってもよい。
(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビルは非置換または置換であることができる。(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビルの非限定的な例としては、(C1〜C40)ヘテロアルキル、(C1〜C40)ヒドロカルビル−O−、(C1〜C40)ヒドロカルビル−S−、(C1〜C40)ヒドロカルビル−S(O)−、(C1〜C40)ヒドロカルビル−S(O)2−、(C1〜C40)ヒドロカルビル−Si(RC)2−、(C1〜C40)ヒドロカルビル−N(RN)−、(C1〜C40)ヒドロカルビル−P(RP)−、(C2〜C40)ヘテロシクロアルキル、(C2〜C19)ヘテロシクロアルキル−(C1〜C20)アルキレン、(C3〜C20)シクロアルキル−(C1〜C19)ヘテロアルキレン、(C2〜C19)ヘテロシクロアルキル−(C1〜C20)ヘテロアルキレン、(C1〜C40)ヘテロアリール、(C1〜C19)ヘテロアリール−(C1〜C20)アルキレン、(C6〜C20)アリール−(C1〜C19)ヘテロアルキレン、または(C1〜C19)ヘテロアリール−(C1〜C20)ヘテロアルキレンが挙げられる。
「(C4〜C40)ヘテロアリール」という用語は、4〜40個の総炭素原子および1〜10個のヘテロ原子を有する、非置換または(1つ以上のRSによって)置換された単環式、二環式、または三環式のヘテロ芳香族炭化水素ラジカルを意味する。単環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは1つのヘテロ芳香環を含み、二環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは2つの環を有し、三環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは3つの環を有する。二環式または三環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルが存在するとき、そのラジカルにおける環のうちの少なくとも1つはヘテロ芳香族である。ヘテロ芳香族ラジカルの他の1つまたは複数の環は独立して、縮合または非縮合および芳香族または非芳香族であることができる。他のヘテロアリール基(例えば、一般に(Cx〜Cy)ヘテロアリール、例えば、(C4〜C12)ヘテロアリール)は、x〜y個の炭素原子(4〜12個の炭素原子など)を有し、かつ非置換または1つ以上のRSで置換されているものと同様な様式で定義される。単環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは5員環または6員環である。5員環単環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは5マイナスh個の炭素原子を有し、hはヘテロ原子の数であり、1、2、または3であることができ、各ヘテロ原子はO、S、N、またはPであり得る。
5員環ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルの例としては、ピロール−1−イル、ピロール−2−イル、フラン−3−イル、チオフェン−2−イル、ピラゾール−1−イル、イソキサゾール−2−イル、イソチアゾール−5−イル、イミダゾール−2−イル、オキサゾール−4−イル、チアゾール−2−イル、1,2,4−トリアゾール−1−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−イル、テトラゾール−1−イル、テトラゾール−2−イル、およびテトラゾール−5−イルが挙げられる。6員環単環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは6マイナスh個の炭素原子を有し、hは、ヘテロ原子の数であり、1または2であることができ、ヘテロ原子はNまたはPであり得る。
6員環ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルの例としては、ピリジン−2−イル、ピリミジン−2−イル、およびピラジン−2−イルが挙げられる。二環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは縮合5,6−または6,6−環系であり得る。縮合5,6−環系二環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルの例としては、インドール−1−イルおよびベンズイミダゾール−1−イルである。縮合6,6−環系二環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルの例としては、キノリン−2−イルおよびイソキノリン−1−イルである。三環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは縮合5,6,5−、5,6,6−、6,5,6−、または6,6,6−環系であり得る。縮合5,6,5−環系の例としては、1,7−ジヒドロピロロ[3,2−f]インドール−1−イルである。縮合5,6,6−環系の例は、1H−ベンゾ[f]インドール−1−イルである。縮合6,5,6−環系の例としては、9H−カルバゾール−9−イルである。縮合6,5,6−環系の例としては、9H−カルバゾール−9−イルである。縮合6,6,6−環系の例としては、アクリジン−9−イルである。
(C1〜C40)ヘテロアルキルという用語は、1〜40個の炭素原子および1個以上のヘテロ原子を含有する飽和直鎖または分岐鎖ラジカルを意味する。ヘテロアルキルまたはヘテロアルキレンのヘテロ原子としては、Si(RC)3、Ge(RC)3、Si(RC)2、Ge(RC)2、P(RP)2、P(RP)、N(RN)2、N(RN)、N、O、ORC、S、SRC、S(O)、およびS(O)2を挙げることができ、ヘテロアルキル基およびヘテロアルキレン基の各々は、非置換であるか、または1つ以上のRSによって置換されている。
非置換(C2〜C40)ヘテロシクロアルキルの例としては、非置換(C2〜C20)ヘテロシクロアルキル、非置換(C2〜C10)ヘテロシクロアルキル、アジリジン−1−イル、オキセタン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、ピロリジン−1−イル、テトラヒドロチオフェン−S,S−ジオキシド−2−イル、モルホリン−4−イル、1,4−ジオキサン−2−イル、ヘキサヒドロアゼピン−4−イル、3−オキサ−シクロオクチル、5−チオ−シクロノニル、および2−アザ−シクロデシルが挙げられる。
「ハロゲン原子」または「ハロゲン」という用語は、フッ素原子(F)、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)、またはヨウ素原子(I)のラジカルを意味する。「ハロゲン化物」という用語は、フッ化物(F−)、塩化物(Cl−)、臭化物(Br−)、またはヨウ化物(I−)のハロゲン原子のアニオン形態を意味する。
「飽和」という用語は、炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合、ならびに(ヘテロ原子含有基において)炭素−窒素、炭素−リン、および炭素−ケイ素二重結合を欠くことを意味する。飽和化学基が1つ以上の置換基RSで置換されている場合、1つ以上の二重結合および/または三重結合は任意選択的に置換基RS中に存在していてもよい。「不飽和」という用語は、1個以上の炭素−炭素二重結合もしくは炭素−炭素三重結合、または(ヘテロ原子含有基において)1つ以上の炭素−窒素二重結合、炭素−リン二重結合、もしくは炭素−ケイ素二重結合を含有することを意味し、もしある場合、置換基RS中に、もしある場合、芳香環中またはヘテロ芳香環中に存在し得る二重結合を含まない。
本開示の実施形態は、式(I)に従う金属−配位子錯体を含む触媒系を含む。
式(I)において、Mはチタン、ジルコニウム、またはハフニウムから選択される金属であり、その金属は+2、+3、または+4の形式酸化状態にあり、nは0、1、2、または3であり、mは1または2であり、金属−配位子錯体は、6つ以下の金属−配位子結合を有し、全体的に電荷中性である。各R1および各R2は、(C1〜C40)ヒドロカルビル、(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビル、(C1〜C40)アリール、(C1〜C40)ヘテロアリール、ハロゲン、および−Hから独立して選択され、R1およびR2は任意選択的に互いに共有結合している。R1およびR2が互いに共有結合している際には、少なくとも1つのリン含有環構造が、R1およびR2の部分から形成され得る。
実施形態では、式(I)の金属−配位子錯体の化学基(例えばX、Rなど)のいずれか1つまたは各々は、非置換でもよく、または少なくとも1つの置換基RSで置換されてもよい。いくつかの実施形態では、式Iの金属−配位子錯体の化学基のうちの少なくとも1つは独立して、1つ以上の置換基RSを含有する。
実施形態では、触媒系は、式(I)に従う金属−配位子錯体を含むことができ、式中、mは1であり、各Xは、(C1〜C40)ヒドロカルビル、(C1〜C40)ヒドロカルビレン、(C6〜C20)アリール、(C5〜C20)ヘテロアリール、シクロペンタジエニル、および置換シクロペンタジエニルからなる群から独立して選択される単座または二座配位子である。そのような実施形態では、Xが置換または非置換シクロペンタジエニルではないとき、R3は、(C1〜C40)ヒドロカルビル、(C5〜C20)ヘテロアリール、(C6〜C40)アリール、(C5〜C40)ヘテロアリール、非置換(C1〜C40)アルキル、またはハロゲン化フェニルラジカルから選択され、そして任意選択的にR2に共有結合される。また、そのような実施形態では、任意のXが置換または非置換シクロペンタジエニルであるとき、R3は、少なくとも1つのRSで置換された(C6〜C40)アリールおよび少なくとも1つのRSで置換された(C5〜C40)ヘテロアリールからなる群から選択され、RSは(C1〜C40)ヒドロカルビルおよび(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビルからなる群より選択される。
さらなる実施形態では、触媒系は、式(I)に従う金属−配位子錯体を含むことができ、式中、mは1であり、R1およびR2は(C6〜C40)アリール、例えばフェニルなどである。そのような実施形態では、R3は、(C1〜C40)ヒドロカルビルおよび(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビルからなる群から選択される少なくとも1つの基RSで置換されたフェニル基であってもよく、またはR3は、2つ以上のRSで置換されたフェニル基であってもよく、ここで各RSは独立して(C1〜C40)ヒドロカルビルである。例示的な実施形態では、R1およびR2はフェニルなどの(C6〜C40)アリールであってもよく、(C6〜C40)アリールは、例えば1−メチルエチルなどの1つ以上の基RSで置換されてもよい。
他の実施形態では、触媒系は、式(I)に従う金属−配位子錯体を含むことができ、式中、mは2であり、各Xは、(C1〜C40)ヒドロカルビル、(C1〜C40)ヒドロカルビレン、(C6〜C20)アリール、(C5〜C20)ヘテロアリール、および置換または非置換シクロペンタジエニルからなる群から独立して選択される単座または二座配位子である。そのような実施形態では、任意のXが置換または非置換シクロペンタジエニルであるとき、各R3は、(C1〜C40)ヒドロカルビル、(C5〜C20)ヘテロアリール、(C6〜C40)アリール、(C5〜C40)ヘテロアリール、非置換(C1〜C40)アルキル、またはハロゲン化フェニルラジカルから独立して選択される。また、そのような実施形態では、任意のXが置換または非置換シクロペンタジエニルでないとき、R3は、少なくとも1つのRSで置換された(C6〜C40)アリールおよび少なくとも1つのRSで置換された(C5〜C40)ヘテロアリールからなる群から選択され、RSは(C1〜C40)ヒドロカルビルおよび(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビルからなる群より選択される。
式(I)の金属−配位子錯体においてmが2であるとき、金属−配位子錯体は式(II)に従う構造を有する。
式中、R1、R2、R3、およびXは、式(I)で定義したとおりであり、nは0、1、または2である。式(II)に従う全ての金属−配位子錯体も式(I)に従う錯体であることは容易に理解されるべきである。したがって、式(II)に従う金属−配位子錯体に関して記載された実施形態は、必然的に式(I)に従う錯体に適用される。
他の実施形態では、触媒系は式(II)に従う金属−配位子錯体を含むことができ、各R1および各R2はフェニルである。そのような実施形態では、R3は、(C1〜C40)ヒドロカルビルおよび(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビルからなる群から選択される少なくとも1つの基RSで置換されたフェニル基であってもよく、または各R3は、2つの基RSで置換されたフェニル基であってもよく、ここで各基RSは独立して(C1〜C40)ヒドロカルビルである。さらなる実施形態では、各RSは1−メチルエチルである。
式(I)の金属−配位子錯体中のMは、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、またはハフニウム(Hf)などの遷移金属を含むことができ、その金属は+2、+3、または+4の形式酸化状態にある。式(I)の(X)nの下付き文字nは1、2、または3である。下付き文字nは、金属−配位子錯体が6個以下の金属−配位子結合を有し、全体として電荷中性であるように、1、2、または3つの配位子Xの同一性(identity)を考慮して選択される。
式(I)および(II)の金属−配位子錯体中の金属Mは、金属−配位子錯体を調製するために、続いて一段合成または多段合成に曝される金属前駆体に由来し得る。好適な金属前駆体は、単量体(1つの金属中心)または二量体(2つの金属中心)であることができ、あるいは2より大きい複数の金属中心、例えば、3、4、5、または5より大きい金属中心を有することができる。好適なハフニウムおよびジルコニウムの前駆体の具体例としては、HfCl4、HfMe4、Hf(CH2Ph)4、Hf(CH2CMe3)4、Hf(CH2SiMe3)4、Hf(CH2Ph)3Cl、Hf(CH2CMe3)3Cl、Hf(CH2SiMe3)3Cl、Hf(CH2Ph)2Cl2、Hf(CH2CMe3)2Cl2、Hf(CH2SiMe3)2Cl2、Hf(NMe2)4、Hf(NEt2)4、およびHf(N(SiMe3)2)2Cl2;ZrCl4、ZrMe4、Zr(CH2Ph)4、Zr(CH2CMe3)4、Zr(CH2SiMe3)4、Zr(CH2Ph)3Cl、Zr(CH2CMe3)3Cl、Zr(CH2SiMe3)3Cl、Zr(CH2Ph)2Cl2、Zr(CH2CMe3)2Cl2、Zr(CH2SiMe3)2Cl2、Zr(NMe2)4、Zr(NEt2)4、Zr(NMe2)2Cl2、Zr(NEt2)2Cl2、およびZr(N(SiMe3)2)2Cl2、TiMe4、TiBn4、TiCl4、およびTi(CH2Ph)4が挙げられるが、それらに限定されない。これらの例のルイス塩基付加物も金属前駆体として好適であり、例えば、エーテル、アミン、チオエーテル、およびホスフィンがルイス塩基として好適である。具体例としては、HfCl4(THF)2、HfCl4(SMe2)2、およびHf(CH2Ph)2Cl2(OEt2)が挙げられる。活性化金属前駆体は、イオン性または双性イオン化合物、(M(CH2Ph)3+)(B(C6F5)4−)または(M(CH2Ph)3+)(PhCH2B(C6F5)3−)などであることができ、MはHfまたはZrであると上で定義されている。
式(I)に従う金属−配位子錯体において、各Xは、共有結合、配位結合、またはイオン結合を介してMと結合する。nが1であるとき、Xは単座配位子または二座配位子であることができ、nが2であるときは、各Xは独立して選択された単座配位子であり、他の基Xと同じかまたは異なっていてもよく、金属−配位子錯体は全体的に電荷中性である。いくつかの実施形態では、単座配位子はモノアニオン性配位子であり得る。モノアニオン性配位子は−1の正味の形式酸化状態を有する。各モノアニオン性配位子は独立して、水素化物、(C1〜C40)ヒドロカルビルカルバニオン、(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビルカルバニオン、ハライド、ニトレート、カーボネート、ホスフェート、スルフェート、HC(O)O−、HC(O)N(H)−、(C1〜C40)ヒドロカルビルC(O)O−、(C1〜C40)ヒドロカルビルC(O)N((C1〜C20)ヒドロカルビル)−、(C1〜C40)ヒドロカルビルC(O)N(H)−、RKRLB−、RKRLN−、RKO−、RKS−、RKRLP−、またはRMRKRLSi−であることができ、各RK、RL、およびRMは独立して、水素、(C1〜C40)ヒドロカルビル、もしくは(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビルであるか、またはRKおよびRLは一緒になって、(C2〜C40)ヒドロカルビレンもしくは(C1〜C20)ヘテロヒドロカルビレンを形成し、RMは上で定義したとおりである。
他の実施形態では、金属−配位子錯体の少なくとも1つの単座配位子Xは、中性配位子であることができる。特定の実施形態では、中性配位子は、RXNRKRL、RKORL、RKSRL、またはRXPRKRLなどの中性ルイス塩基基であり、各RXは独立して、水素、[(C1〜C10)ヒドロカルビル]3Si(C1〜C10)ヒドロカルビル、(C1〜C40)ヒドロカルビル、[(C1〜C10)ヒドロカルビル]3Si、または(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビルであり、各RKおよびRLは独立して、上で定義したとおりである。
さらに、金属−配位子錯体の各Xは、ハロゲン、非置換(C1〜C20)ヒドロカルビル、非置換(C1〜C20)ヒドロカルビルC(O)O−、またはRKRLN−から独立して選択される単座配位子であることができ、ここで、RKおよびRLの各々は独立して、非置換(C1〜C20)ヒドロカルビルである。いくつかの実施形態では、金属−配位子錯体の各単座配位子Xは、塩素原子、(C1〜C10)ヒドロカルビル(例えば(C1〜C6)アルキルまたはベンジル)、非置換(C1〜C10)ヒドロカルビルC(O)O−、またはRKRLN−であり、RKおよびRLの各々は独立して、非置換(C1〜C10)ヒドロカルビルである。
いくつかの実施形態では、触媒系は、式(I)または式(II)のいずれかに従う金属−配位子錯体を含むことができ、式中、少なくとも2つの基Xが存在するように、nが2であるかまたは2より大きく、任意の2つの基Xが結合して二座配位子を形成することができる。二座配位子を含む例示的な実施形態では、二座配位子は中性二座配位子であることができる。一実施形態では、中性二座配位子は、式(RD)2C=C(RD)−C(RD)=C(RD)2のジエンであり、式中、各RDは独立して、H、非置換(C1〜C6)アルキル、フェニル、またはナフチルである。いくつかの実施形態では、二座配位子は、モノアニオン性−モノ(ルイス塩基)配位子である。いくつかの実施形態では、二座配位子は、ジアニオン性配位子である。ジアニオン性配位子は、−2の正味の形式酸化状態を有する。一実施形態では、各ジアニオン性配位子は独立して、カーボネート、オキサレート(すなわち−O2CC(O)O−)、(C2〜C40)ヒドロカルビレンジカルバニオン、(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビレンジカルバニオン、ホスフェート、またはスルフェートである。
さらなる実施形態では、Xは、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2,2−ジメチルプロピル、トリメチルシリルメチル、フェニル、ベンジル、クロロ、メトキシ、およびエトキシから選択される。いくつかの実施形態では、nは2であり、各Xは同じである。場合によっては、少なくとも2つのXは互いに異なる。他の実施形態では、nは、2であり、各Xは、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2,2−ジメチルプロピル、トリメチルシリルメチル、フェニル、ベンジル、およびクロロのうちの異なる1つである。一実施形態では、nは、2であり、少なくとも2つのXは独立して、モノアニオン性単座配位子である。特定の実施形態では、nは、2であり、2つのX基は一緒になって、二座配位子を形成する。さらなる実施形態では、二座配位子は、2,2−ジメチル−2−シラプロパン−1,3−ジイルまたは1,3−ブタジエンである。
例示的実施形態では、触媒系は、任意のプロ触媒1〜19の構造を有する式(I)に従う金属−配位子錯体を含むことができる。
助触媒成分
式(I)の金属−配位子錯体を含む触媒系は、それを活性化助触媒に接触させること、もしくはそれを活性化助触媒と組み合わせることによって、または金属系オレフィン重合反応で使用するための当技術分野で既知の技術などの活性化技術を使用することによって、触媒活性にすることができる。本明細書に使用するのに好適な活性化助触媒としては、アルキルアルミニウム、ポリマーまたはオリゴマーアルモキサン(アルミノキサンとしても知られる)、中性ルイス酸、および非ポリマー、非配位性、イオン形成化合物(酸化条件下でのそのような化合物の使用を含む)が挙げられる。好適な活性化技術は、バルク電気分解である。前述の活性化助触媒および技術のうちの1つ以上の組み合わせもまた企図される。「アルキルアルミニウム」という用語は、モノアルキルアルミニウムジヒドリドもしくはモノアルキルアルミニウムジハライド、ジアルキルアルミニウムヒドリドもしくはジアルキルアルミニウムハライド、またはトリアルキルアルミニウムを意味する。ポリマーアルモキサンまたはオリゴマーアルモキサンの例としては、メチルアルモキサン、トリイソブチルアルミニウム修飾メチルアルモキサン、およびイソブチルアルモキサンを挙げることができる。
ルイス酸活性化助触媒は、本明細書に記載の(C1〜C20)ヒドロカルビル置換基を含有する第13族金属化合物を含む。いくつかの実施形態では、第13族金属化合物は、トリ((C1〜C20)ヒドロカルビル)−置換アルミニウムまたはトリ((C1〜C20)ヒドロカルビル)−ホウ素化合物である。他の実施形態では、第13族金属化合物は、トリ(ヒドロカルビル)−置換アルミニウム、トリ((C1〜C20)ヒドロカルビル)−ホウ素化合物、トリ((C1〜C10)アルキル)アルミニウム、トリ((C6〜C18)アリール)ホウ素化合物、およびそれらのハロゲン化(過ハロゲン化を含む)誘導体である。さらなる実施形態では、第13族金属化合物は、トリス(フルオロ置換フェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。いくつかの実施形態では、活性化助触媒は、トリス((C1〜C20)ヒドロカルビルボレート(例えば、トリチルテトラフルオロボレート)またはトリ((C1〜C20)ヒドロカルビル)アンモニウムテトラ((C1〜C20)ヒドロカルビル)ボラン(例えば、ビス(オクタデシル)メチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)である。本明細書で使用されるとき、「アンモニウム」という用語は、((C1〜C20)ヒドロカルビル)4N+、((C1〜C20)ヒドロカルビル)3N(H)+、((C1〜C20)ヒドロカルビル)2N(H)2+、(C1〜C20)ヒドロカルビルN(H)3+、またはN(H)4+である窒素カチオンを意味し、各(C1〜C20)ヒドロカルビルは、2つ以上存在するときは、同じでも異なっていてもよい。
中性ルイス酸活性化助触媒の組み合わせとしては、トリ((C1〜C4)アルキル)アルミニウムとハロゲン化トリ((C6〜C18)アリール)ホウ素化合物、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとの組み合わせを含む混合物が挙げられる。他の実施形態は、そのような中性ルイス酸混合物とポリマーまたはオリゴマーアルモキサンとの組み合わせ、および単一の中性ルイス酸、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとポリマーまたはオリゴマーアルモキサンとの組み合わせである。(金属−配位子錯体):(トリス(ペンタフルオロ−フェニルボラン):(アルモキサン)[例えば(第4族金属−配位子錯体):(トリス(ペンタフルオロ−フェニルボラン):(アルモキサン)]のモル数比は、1:1:1〜1:10:30であり、他の実施形態では1:1:1.5〜1:5:10である。
式(I)の金属−配位子錯体を1つ以上の助触媒、例えばカチオン形成助触媒、強ルイス酸、またはそれらの組み合わせと組み合わせることによって、式(I)の金属−配位子錯体を含む触媒系を活性化して活性触媒組成物を形成することができる。好適な活性化助触媒としては、ポリマーまたはオリゴマーアルミノキサン、特にメチルアルミノキサン、ならびに不活性、相溶性、非配位性、イオン形成性化合物が挙げられる。例示的な好適な助触媒としては、変性メチルアルミノキサン(MMAO)、ビス(水素化タローアルキル)メチル、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(1−)アミン、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
いくつかの実施形態では、2つ以上の前述の活性化助触媒を互いに組み合わせて使用することができる。特に好ましい組み合わせは、トリ((C1〜C4)ヒドロカルビル)アルミニウム、トリ((C1〜C4)ヒドロカルビル)ボラン、またはホウ酸アンモニウムとオリゴマーもしくはポリマーアルモキサン化合物との混合物である。式(I)の1つ以上の金属−配位子錯体の総モル数と1つ以上の活性化助触媒の総モル数との比は、1:10,000〜100:1である。いくつかの実施形態では、この比は、少なくとも1:5000であり、他のいくつかの実施形態では少なくとも1:1000、および10:1以下であり、さらに他のいくつかの実施形態では、1:1以下である。アルモキサンを単独で活性化助触媒として使用する場合、用いられるアルモキサンのモル数は、式(I)の金属−配位子錯体のモル数の少なくとも100倍であることが好ましい。トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを単独で活性化助触媒として使用するとき、いくつかの他の実施形態では、式(I)の1つ以上の金属−配位子錯体の総モル数に対して用いられるトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランのモル数は、0.5:1〜10:1、1:1〜6:1、または1:1〜5:1である。残りの活性化助触媒は一般に、式(I)の1つ以上の金属−配位子錯体の総モル量におおよそ等しいモル量で用いられる。
ポリオレフィン
前の段落に記載した触媒系は、オレフィン、主にエチレンおよびプロピレンの重合に利用することができる。いくつかの実施形態では、重合スキーム中に単一種類のオレフィンまたはα−オレフィンのみが存在し、ホモポリマーを生成する。しかしながら、追加のα−オレフィンを重合手順に組み込んでもよい。追加のα−オレフィンコモノマーは、典型的には、20個以下の炭素原子を有する。例えば、α−オレフィンコモノマーは、3〜10個の炭素原子、または3〜8個の炭素原子を有し得る。例示的なα−オレフィンコモノマーとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、および4−メチル−1−ペンテンが挙げられるが、それらに限定されない。例えば、1つ以上のα−オレフィンコモノマーは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、および1−オクテンからなる群から、または代替的に1−ヘキセンおよび1−オクテンからなる群から選択することができる。
エチレン系ポリマー、例えばエチレンのホモポリマーおよび/またはインターポリマー(コポリマーを含む)ならびにα−オレフィンなどの任意選択的な1つ以上のコモノマーは、エチレン由来の単位を少なくとも50重量パーセント含むことができる。「少なくとも50重量パーセントから」によって包含される個々の値および部分範囲は全て、別の実施形態として本明細書に開示され、例えば、エチレン系ポリマー、エチレンのホモポリマーおよび/またはインターポリマー(コポリマーを含む)、α−オレフィンなどの任意選択的な1つ以上のコモノマーは、エチレン由来の単位を少なくとも60重量パーセント、エチレン由来の単位を少なくとも70重量パーセント、エチレン由来の単位を少なくとも80重量パーセント、エチレン由来の単位を50〜100重量パーセント、またはエチレン由来の単位を80〜100重量パーセント含むことができる。
いくつかの実施形態では、エチレン系ポリマーは、エチレン由来の単位を少なくとも90モルパーセント含むことができる。少なくとも90モルパーセントからの個々の値および部分範囲はすべて本明細書に含まれ、本明細書では別々の実施形態として開示される。例えば、エチレン系ポリマーは、エチレン由来の単位を少なくとも93モルパーセント、単位を少なくとも96モルパーセント、エチレン由来の単位を少なくとも97モルパーセント、または代替的に、エチレン由来の単位を90〜100モルパーセント、エチレン由来の単位を90〜99.5モルパーセント、エチレン由来の単位を97〜99.5モルパーセント含むことができる。
エチレン系ポリマーのいくつかの実施形態では、追加のα−オレフィンの量は、50%未満であり、他の実施形態は、少なくとも1モルパーセント(mol%)〜20mol%含み、さらなる実施形態では、追加のα−オレフィンの量は少なくとも5mol%〜10mol%である。いくつかの実施形態では、追加のα−オレフィンは1−オクテンである。
任意の従来の重合プロセスを使用してエチレン系ポリマーを生成してもよい。そのような従来の重合プロセスとしては、1つ以上の従来の反応器、例えばループ反応器、等温反応器、流動床気相反応器、撹拌槽型反応器、バッチ反応器などの並列、直列、またはそれらの任意の組み合わせを使用する、溶液重合プロセス、気相重合プロセス、スラリー相重合プロセス、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、二重反応器系、例えば二重ループ反応器系において、溶液重合によって生成することができ、ここで、エチレン、および任意選択的に1つ以上のα−オレフィンは、本明細書に記載の触媒系および任意選択的に1つ以上の助触媒の存在下で重合される。別の実施形態では、エチレン系ポリマーは、二重反応器系、例えば二重ループ反応器系において、溶液重合によって生成することができ、ここで、エチレン、および任意選択的に1つ以上のα−オレフィンは、本開示および本明細書に記載の触媒系および任意選択的に1つ以上の他の触媒の存在下で重合される。本明細書に記載の触媒系は、任意選択的に1つ以上の他の触媒と組み合わせて、第1の反応器または第2の反応器において使用することができる。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、二重反応器系、例えば二重ループ反応器系において、溶液重合によって生成することができ、ここで、エチレン、および任意選択的に1つ以上のα−オレフィンは、本明細書に記載の触媒系の存在下で両方の反応器において重合される。
別の実施形態では、エチレン系ポリマーは、単一反応器系、例えば単一ループ反応器系において、溶液重合で生成することができ、ここで、エチレン、および任意選択的に1つ以上のα−オレフィンは、本開示内に記載の触媒系および任意選択的に1つ以上の助触媒の存在下で、前の段落に記載のように重合される。
エチレン系ポリマーは、1つ以上の添加剤をさらに含むことができる。そのような添加剤としては、帯電防止剤、色増強剤、染料、潤滑剤、顔料、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、加工助剤、紫外線安定剤、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。エチレン系ポリマーは、任意の量の添加剤を含むことができる。エチレン系ポリマーは、エチレン系ポリマーおよび1つ以上の添加剤の重量に基づいて、そのような添加剤を合計約0〜約10重量パーセント損なうことができる。エチレン系ポリマーは、充填剤をさらに損なう場合があり、その充填剤としては、有機または無機充填剤を挙げることができるが、それらに限定されない。そのような充填剤、例えば炭酸カルシウム、タルク、Mg(OH)2は、エチレン系ポリマーおよび1つ以上の添加剤、充填剤、または両方の重量に基づいて、約0〜約20重量パーセントのレベルで存在し得る。エチレン系ポリマーは、1つ以上のポリマーとさらに配合されてブレンドを形成することができる。
本開示に記載の触媒系の実施形態は、形成されたポリマーの高分子量および組み込まれたコモノマーの量の結果として、独特のポリマー特性をもたらす。
実施例1:N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−P,P−ジフェニルホスフィン酸アミドの合成
2,6−ジイソプロピルアニリン(4.00g、22.6mmol)を撹拌したジエチルエーテル溶液(50mL)に、N2雰囲気下で、わずかに過剰のトリエチルアミン(2.1g、21mmol)を添加した。その溶液を撹拌しながら、Ph2PClのジエチルエーテル溶液(4.52g、20.5mmol)を滴加し、その溶液を一晩撹拌した。その懸濁液を濾過し、沈殿物を2アリコートのジエチルエーテル(合計50mL)でさらに洗浄した。溶媒を減圧除去し、50mLのCH2Cl2に溶解させた。その溶液を−35℃に冷却し、H2O2水溶液(30%、1.39g)を滴加した。溶液を室温に温め、1時間撹拌した。溶媒を減圧除去し、残渣をジエチルエーテル50mLと一緒にすりつぶした。固体を集め、ジエチルエーテルでさらに洗浄すると、生成物がほぼ定量的収率で得られた。
H NMR(CDCl3):1.04(d,J=8Hz,12H)、3.59(sept,J=8Hz,2H)、4.43(d,J=Hz,1H)、7.05(m,2H),7.17(m,1H)、、7.42(m,4H)、7.49(m,2H)、7.73(m,4H)。13C NMR(CDCl3):23.7、28.4、123.5(d)、127.3(d)、128.3(d)、131.4、131.8(d)、131.9(d)、132.7、147.5(d)。31P NMR(CDCl3):21.6(s)
実施例2:プロ触媒1の合成
Zr(CH2Ph)4(241mg、0.53mmol)を撹拌したトルエン(5mL)溶液に、N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−P,P−ジフェニルホスフィン酸アミド(200mg、0.53mmol)のトルエン懸濁液を添加した。その透明な溶液を室温で一晩撹拌した。次いで溶媒を減圧除去し、残渣を5mLのヘキサンと一緒にすりつぶした。固体生成物を濾過により集め、さらに乾燥させると、生成物がほぼ定量的収率で得られた。
H NMR(C6D6):0.60(br s,6H)、1.28(br s,6H)、2.37(s,4H)、3.44(sept,J=8Hz,2H)、6.88(m,4H)、6.93−7.02(m,11H)、7.12−7.19(m,9H)、7.27(m,4H)。31P NMR(C6D6):41.4(s)。
実施例3:プロ触媒2の合成
Zr(CH2Ph)4(181mg、0.40mmol)を撹拌したトルエン(5mL)溶液に、N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−P,P−ジフェニルホスフィン酸アミド(300mg、0.79mmol)のトルエン懸濁液を添加した。その透明な溶液を室温で一晩撹拌した。次いで溶媒を減圧除去し、残渣を5mLのヘキサンと一緒にすりつぶした。固体生成物を濾過により集め、さらに乾燥させると、生成物がほぼ定量的収率で得られた。
H NMR(C6D6):1.01(br s,24H)、3.02(br s,4H)、3.57(br s,4H)、6.85−7.05(m,19H)、7.14(m,7H)、7.45(m,10H)。31P NMR(C6D6):39.2(s)。
実施例4:プロ触媒3の合成
Hf(CH2Ph)4(489mg、0.90mmol)を撹拌したトルエン(5mL)溶液に、N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−P,P−ジフェニルホスフィン酸アミド(340mg、0.90mmol)のトルエン懸濁液を添加した。その透明な溶液を室温で一晩撹拌した。次いで溶媒を減圧除去し、残渣を5mLのヘキサンと一緒にすりつぶした。固体生成物を濾過により集め、さらに乾燥させると、生成物がほぼ定量的収率で得られた。
H NMR(C6D6):0.49(br s,6H)、1.32(br s,6H)、2.22(s,4H)、3.32(sept,J=8Hz,2H)、6.85(m,4H),6.94(m,6H)、7.09(m,8H)、7.24(m,10H)。31P NMR(C6D6):39.2(s)。
実施例5:プロ触媒4の合成
Hf(CH2Ph)4(252mg、0.46mmol)を撹拌したトルエン(5mL)溶液に、N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−P,P−ジフェニルホスフィン酸アミド(350mg、0.92mmol)のトルエン懸濁液を添加した。その透明な溶液を室温で一晩撹拌した。次いで溶媒を減圧除去し、残渣を5mLのヘキサンと一緒にすりつぶした。固体生成物を濾過により集め、さらに乾燥させると、生成物がほぼ定量的収率で得られた。
H NMR(C6D6):1.00(br s,24H)、2.65(br s,4H)、3.64(br s,4H)、6.84(m,2H)、6.95(m,13H)、7.20(m,11H)、7.31(m,4H)、7.56(m,8H)。31P NMR(C6D6):38.7(s)。
バッチ反応器重合のための手順
反応環境に導入する前に、原料(エチレン、1−オクテン)およびプロセス溶媒(ExxonMobil CorporationからISOPAR Eという商標で市販されている狭い沸点範囲の高純度イソパラフィン溶媒)をモレキュラーシーブで精製した。1ガロン(3.79L)の撹拌オートクレーブ反応器にISOPAR Eおよび1−オクテンを入れた。次いで、反応器を120℃に加熱し、エチレンを充填して全圧を約420psigとした。触媒組成物は、修飾メチルアルミノキサン(MMAO)と一緒に、所望の金属−配位子錯体(前述のように調製)と助触媒([HNMe(C81137)2][B(C6F5)4])とを混合し、追加の溶媒を加えて総体積を約15〜20mLとすることによって、不活性雰囲気下のドライボックスにおいて調製した。次いで、活性化触媒混合物を反応器中に急速注入した。重合中にエチレンを供給し、必要に応じて反応器を冷却することによって、反応器圧力および温度を一定に保った。10分後、エチレンの供給を止め、溶液を窒素パージした樹脂製ケトルに移した。ポリマーを真空オーブン中で徹底的に乾燥させ、重合実験の間に反応器を熱いISOPAR Eで徹底的にすすいだ。
触媒効率および得られたポリマーの特性を、それぞれ式(I)に従う構造を有する触媒1〜4について評価した。重合はバッチ反応器内で行った。
表1のデータは120℃の重合温度で得られた。クエンチ時間は、50psiのエチレンを取り込むのに必要な時間を示している。重合は、目標とする取り込みに到達した時点または1800秒後のいずれかにおいて、どちらかが最初に起こった時に、COによってクエンチする。
プロ触媒1〜2は、比較触媒由来のポリマーの分子量よりも小さい分子量を有するポリマーを提供した。具体的には、プロ触媒1〜2は20,000g/mol未満の分子量を有するポリマーを生成し、比較触媒は74,858g/molの分子量を有するポリマーを生成した。一方、プロ触媒3〜4は実質的により大きい分子量を有するポリマーを生成し、両方とも比較触媒由来のポリマーの分子量よりも大きい少なくとも350,000g/molである。
測定基準
密度
密度について測定される試料は、全体が参照により本明細書に組み込まれるASTM D−1928に従って調製する。測定は、全体が参照により本明細書に組み込まれるASTM D−792、方法Bを使用して、試料プレスの1時間以内に行う。
メルトインデックス
メルトインデックス(I2)は、参照により全体が本明細書に組み込まれるASTM−D 1238に従って、190℃/2.16kgの条件下で測定し、10分当たりに溶出されるグラム数で報告する。メルトフローレート(I10)は、ASTM−D 1238に従って、190℃/10kgの条件下で測定し、10分当たりに溶出されるグラム数で報告する。
オクテン含有量
各試料中の1−オクテンのモル%(mol%)は、CH3面積(1382.7〜1373.5波数)のCH2面積(1525〜1400波数)に対する比をとり、エチレン−コ−1−オクテンポリマー標準に関するNMR分析により生成された標準曲線に正規化することによって決定した。
結晶化溶出分画
コモノマー分布分析は、結晶化溶出分画(CEF)(PolymerChar、スペイン)(B Monrabal et al,Macromol.Symp.257,71−79(2007))を用いて実行する。600ppmの酸化防止剤であるブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を有するオルト−ジクロロベンゼン(ODCB)を溶媒として使用する。試料調製は、オートサンプラを160℃で2時間振盪させながら、(特記しない限り)4mg/mL用いて行う。注入量は、300μLである。CEFの温度プロファイルは、3℃/分で110℃〜30℃での結晶化、30℃で5分間の熱平衡、3℃/分で30℃〜140℃での溶出である。結晶化中の流量は0.052mL/分である。溶出中の流量は0.50mL/分である。データは1データポイント/秒で収集する。
CEFカラムは、0.125−インチ(0.3175−cm)のステンレスチューブを備え、Dow Ch−emical Companyによって、125μm±6%のガラスビーズ(MO−SCI Specialty Products)で充填されている。ガラスビーズは、Dow Chemical Companyからの要求によりMO−SCI Specialtyによって酸洗浄される。カラム容量は、2.06mLである。カラム温度較正は、ODCB中のNIST標準参照物質線状ポリエチレン1475a(1.0mg/mL)およびエイコサン(2mg/mL)の混合物を用いて行う。NIST線状ポリエチレン1475aが101.0℃でピーク温度を有し、エイコサンが30.0℃のピーク温度を有するように、溶出加熱速度を調節することによって温度を較正する。CEFカラム分解能は、NIST線状ポリエチレン1475a(1.0mg/ml)とヘキサコンタン(Fluka、purum、≧97.0%、1mg/mL)との混合物を用いて計算される。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
以下の手順に従って、エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマーを、それらの特性についてGPCにより試験した。GPCシステムはWaters(Milford、MA)からなる。オンボード示差屈折計(RI)を備えた150℃高温クロマトグラフ(他の好適な高温GPC機器としては、Polymer Laboratories(Shropshire、UK)モデル210およびモデル220が挙げられる)。追加の検出器としては、Polymer ChAR(Valencia,Spain)製のIR4赤外線検出器、Precision Detector(Amherst,Mass.)2角度レーザー光散乱検出器モデル2040、およびViscotek(Houston,Tex.)150R4−毛管溶液粘度計を挙げることができる。最後の2つの独立した検出器と、少なくとも1つの最初の検出器と、を有するGPCは、時に「3D−GPC」と称されるが、用語「GPC」単独では一般に従来のGPCを指す。試料に応じて、光散乱検出器の15度または90度のいずれかが計算のために使用される。
データ収集は、Viscotek TriSEC software,Version 3および4−channel Viscotek Data Manager DM400を使用して行う。このシステムには、Polymer Laboratories(Shropshire,UK)製のオンライン溶媒脱気機器も備わっている。4つの長さ30cmのShodex HT803 13ミクロンカラムまたは4つの20ミクロンの混合細孔サイズで充填された30cmのPolymer Labカラムなどの好適な高温GPC(MixA LS、Polymer Lab)カラムを使用することができる。試料のカルーセルコンパートメントを140℃で操作し、カラムコンパートメントは150℃で操作する。50ミリリットルの溶媒中0.1グラムのポリマーの濃度で試料を調製した。クロマトグラフ溶媒および試料調製溶媒は、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する。両方の溶媒を窒素でスパージした。ポリエチレン試料を160℃で4時間穏やかに撹拌する。注入量は200マイクリットル(μL)である。GPCを通る流速は、1mL/分に設定される。
効率の測定
触媒効率は、溶液重合プロセスにおいて使用される触媒の量に対して、生成されたポリマーの量に関して測定する。その重合温度は少なくとも130℃である。
実施例を実行する前に、21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準を実行することによって、GPCカラムセットを較正する。標準の分子量(Mw)は、1モルあたり580〜8,400,000グラム(g/mol)の範囲であり、標準は6つの「カクテル」混合物に含有される。各標準混合物は、個々の分子量間で少なくとも10の分離を有している。標準混合物は、Polymer Laboratories(Shropshire,UK)から購入する。ポリスチレン標準は、1,000,000g/mol以上の分子量とするには50mLの溶媒中0.025gで調製し、1,000,000g/mol未満の分子量とするには50mLの溶媒中0.05gで調製する。ポリスチレン標準を、80℃で30分間、静かに撹拌しながら溶解した。狭い標準混合物を、最初に実行し、分解を最小限に抑えるために、最高分子量(Mw)成分が減少する順に実行する。ポリスチレン標準ピーク分子量は、Mark−Houwink定数を用いてポリエチレンMwに変換される。定数を得たら、溶出カラムの関数としてのポリエチレン分子量およびポリエチレン固有粘度に関する2つの線形基準通常較正(linear reference conventional calibrations)を構築するために2つの値を使用する。
特許請求の範囲に記載の主題の趣旨および範囲から逸脱することなく、説明した実施形態に様々な修正を加えることができることが当業者には明らかであろう。したがって、本明細書は、そのような変更および変形が添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内に入る限り、記載した実施形態の変更および変形をカバーすることが意図される。
触媒系の特定の実施形態をここで説明する。本開示の触媒系は、異なる形態で実施されてもよく、本開示に記載される特定の実施形態に限定されると解釈されるべきではないことが理解されよう。むしろ、本開示が、徹底的かつ完全となり、また主題の範囲を当業者に完全に伝えるように、実施形態が提供される。
一般的な略語は以下のとおりである。
R、Z、M、X、およびnは上で定義したとおりであり、Meはメチルであり、Etはエチルであり、Phはフェニルであり、Bnはベンジルであり、i−Prはイソプロピルであり、t−Buはtert−ブチルであり、t−Octはtert−オクチル(2,4,4−トリメチルペント−2−イル)であり、Tsはトルエンスルホネートであり、THFはテトラヒドロフランであり、Et 2 Oはジエチルエーテルであり、DMAはジメチルアセトアミドであり、DMEはジメトキシエタンであり、CH 2 Cl 2 またはDCMはジクロロメタンであり、CCl 4 は四塩化炭素であり、EtOHはエタノールであり、CH 3 CNはアセトニトリルであり、MeCNはアセトニトリルであり、THFはテトラヒドロフランであり、EtOAcは酢酸エチルであり、C 6 D 6 は重水素化ベンゼンであり、Benzene−d6は重水素化ベンゼンであり、CDCl 3 は重水素化クロロホルムであり、DMSO−d6は重水素化ジメチルスルホキシドであり、DBAはジベンジリデンアセトンであり、PPh 3 はトリフェニルホスフィンであり、PCy 3 はトリシクロヘキシルホスフィンであり、NEt 3 はトリエチルアミンであり、NH 2 Prはプロピルアミンであり、NaHSO 3 は亜硫酸水素ナトリウムであり、SiO 2 はシリカゲルであり、Me 4 Siはテトラメチルシランであり、MeIはヨウ化メチルであり、NaOHは水酸化ナトリウムであり、NaHCO 3 は重炭酸ナトリウムであり、NaOiBuしはナトリウムtert−ブトキシドであり、K 3 PO4は三塩基性リン酸カリウムであり、ブラインは飽和食塩水であり、Na 2 SO 4 は硫酸ナトリウムであり、MgSO 4 は硫酸マグネシウムであり、HClは塩酸であり、NH 4 OHは水酸化アンモニウムであり、KHMDSはカリウムヘキサメチルジシラジドであり、PCl 5 は五塩化リンであり、SOCl 2 は塩化チオニルであり、n−BuLiはn−ブチルリチウムであり、AlMe 3 はトリメチルアルミニウムであり、CuIはヨウ化銅(I)であり、Cs 2 CO 3 は炭酸セシウムであり、AgNO 3 は硝酸銀であり、HfCl 4 は塩化ハフニウム(IV)であり、HfBn 4 はハフニウム(IV)テトラベンジルであり、ZrCl 4 は塩化ジルコニウム(IV)であり、ZrBn 4 はジルコニウム(IV)テトラベンジルであり、NiBr 2 (DME)は臭化ニッケル(II)エチレングリコールジメチルエーテル錯体であり、N 2 は窒素ガスであり、PhMeはトルエンであり、MAOはメチルアルミノキサンであり、MMAOは変性メチルアルミノキサンであり、PTFEはポリテトラフルオロエチレンであり、GCはガスクロマトグラフィーであり、LCは液体クロマトグラフィーであり、NMRは核磁気共鳴であり、HRMSは高分解能質量分析であり、mmolはミリモルであり、g/molはグラム/モルであり、mLはミリリットルであり、Mはモル濃度であり、minは分であり、hは時間であり、dは日である。
「独立して選択される」という用語は、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 、およびR 5 などのR基は同一であっても異なっていてもよい(例えばR 1 、R 2 、R 3 、R 4 、およびR 5 は全て置換アルキルであってもよく、またはR 1 およびR 2 は置換アルキルであってもよく、R 3 はアリールであってもよい、など)ことを示している。R基に関する化学名は、化学名の化学構造に対応する当技術分野において認識される化学構造を伝えることを意図している。したがって、化学名は、当業者に既知の構造的定義を補足し例示することを意図しており、排除することを意図していない。
「プロ触媒」という用語は、活性化剤と組み合わせたときに触媒活性を有する化合物を指す。「活性化剤」という用語は、プロ触媒を触媒的に活性な触媒に転換するようにプロ触媒と化学的に反応する化合物を指す。本明細書で使用されるとき、「助触媒」および「活性化剤」という用語は交換可能な用語である。
ある特定の炭素原子含有化学基を記載するために使用するとき、「(C x 〜C y )」の形態を有する括弧内の表現は、化学基の非置換形態がxおよびyを含めてx個の炭素原子からy個の炭素原子を有することを意味する。例えば、(C 1 〜C 40 )アルキルは、その非置換形態において1〜40個の炭素原子を有するアルキル基である。いくつかの実施形態および一般構造において、ある特定の化学基は、R S などの1つ以上の置換基によって置換してもよい。括弧付きの「(C x 〜C y )」を用いて定義されるR S 置換化学基は、任意の基R S の同一性に従ってy個を超える炭素原子を含有することができる。例えば、「R S がフェニル(−C 6 H 5 )である厳密に1つの基R S で置換された(C 1 〜C 40 )アルキル」は、7〜46個の炭素原子を含有し得る。したがって、一般に、括弧付きの「(C x 〜C y )」を用いて定義される化学基が1つ以上の炭素原子含有置換基R S によって置換されるとき、化学基の炭素原子の最小および最大合計数は、xとyとの両方に、全ての炭素原子含有置換基R S 由来の炭素原子の合計数を加えることによって、決定される。
「置換」という用語は、対応する非置換化合物または官能基の炭素原子またはヘテロ原子に結合した少なくとも1個の水素原子(−H)が置換基(例えばR S )によって置き換えられることを意味する。「過置換」という用語は、対応する非置換化合物または官能基の炭素原子またはヘテロ原子に結合した全ての水素原子(H)が置換基(例えばR S )によって置き換えられることを意味する。「多置換」という用語は、対応する非置換化合物または官能の炭素原子またはヘテロ原子に結合した、少なくとも2個であるが全てよりは少ない水素原子が、置換基によって置き換えられることを意味する。「−H」という用語は、別の原子に共有結合している水素または水素ラジカルを意味する。「水素」および「−H」は、交換可能であり、明記されていない限りは、同一の意味を有する。
「(C 1 〜C 40 )ヒドロカルビル」という用語は、1〜40個の炭素原子を有する炭化水素ラジカルを意味し、「(C 1 〜C 40 )ヒドロカルビレン」という用語は、1〜40個の炭素原子を有する炭化水素ジラジカルを意味し、ここで、各炭化水素ラジカルおよび各炭化水素ジラジカルは、芳香族または非芳香族、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖、環式(3個以上の炭素を有し、単環式および多環式、縮合および非縮合の多環式、ならびに二環式を含む)または非環式であり、1つ以上のR S によって置換されているか、または置換されていない。
この開示において、(C 1 〜C 40 )ヒドロカルビルは、非置換もしくは置換(C 1 〜C 40 )アルキル、(C 3 〜C 40 )シクロアルキル、(C 3 〜C 20 )シクロアルキル−(C 1 〜C 20 )アルキレン、(C 6 〜C 40 )アリール、または(C 6 〜C 20 )アリール−(C 1 〜C 20 )アルキレン(ベンジル(−CH 2 −C 6 H 5 )など)であることができる。
「(C 1 〜C 40 )アルキル」および「(C 1 〜C 18 )アルキル」という用語は、非置換または1つ以上のR S によって置換されている、それぞれ、1〜40個の炭素原子を有する飽和直鎖または分岐炭化水素ラジカルおよび1〜18個の炭素原子を有する飽和直鎖または分岐炭化水素ラジカルを意味する。非置換(C 1 〜C 40 )アルキルの例は、非置換(C 1 〜C 20 )アルキル、非置換(C 1 〜C 10 )アルキル、非置換(C 1 〜C 5 )アルキル、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、1−ペンチル、1−ヘキシル、1−ヘプチル、1−ノニル、および1−デシルである。置換(C 1 〜C 40 )シクロアルキルの例は、置換(C 1 〜C 20 )アルキル、置換(C 1 〜C 10 )アルキル、トリフルオロメチル、および[C 45 ]アルキルである。「[C 45 ]アルキル」という用語は、置換基を含むラジカル中に最大45個の炭素原子が存在することを意味し、例えば、それぞれ、(C 1 〜C 5 )アルキルである1つのR S によって置換された(C 27 〜C 40 )アルキルである。各(C 1 〜C 5 )アルキルは、メチル、トリフルオロメチル、エチル、1−プロピル、1−メチルエチル、または1,1−ジメチルエチルであることができる。
「(C 6 〜C 40 )アリール」という用語は、6〜40個の炭素原子、そのうち少なくとも6〜14個の炭素原子は芳香環炭素原子である、非置換または(1個以上のR S によって)置換された単環式、二環式、または三環式芳香族炭化水素ラジカルを意味する。単環式芳香族炭化水素ラジカルは、1個の芳香環を含み、二環式芳香族炭化水素ラジカルは2つの環を有し、三環式芳香族炭化水素ラジカルは3つの環を有する。二環式または三環式芳香族炭化水素ラジカルが存在するとき、そのラジカルの環の少なくとも1つは芳香族である。芳香族ラジカルの他の1つまたは複数の環は独立して、縮合または非縮合の芳香族または非芳香族であり得る。非置換(C 6 〜C 40 )アリールの例としては、非置換(C 6 〜C 20 )アリール、非置換(C 6 〜C 18 )アリール、2−(C 1 〜C 5 )アルキル−フェニル、フェニル、フルオレニル、テトラヒドロフルオレニル、インダセニル、ヘキサヒドロインダセニル、インデニル、ジヒドロインデニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、およびフェナントレンが挙げられる。置換(C 6 〜C 40 )アリールの例としては、置換(C 1 〜C 20 )アリール、置換(C 6 〜C 18 )アリール、2,4−ビス([C 20 ]アルキル)−フェニル、ポリフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、およびフルオレン−9−オン−1−イルが挙げられる。
「(C 3 〜C 40 )シクロアルキル」という用語は、非置換であるかまたは1つ以上のR S で置換されている、3〜40個の炭素原子を有する飽和環式炭化水素ラジカルを意味する。他のシクロアルキル基(例えば(C 3 〜C 12 )シクロアルキル)は、x〜y個の炭素原子を有し、非置換であるか、または1個以上のR S で置換されているかのいずれかであると同様な仕方で定義される。非置換(C 3 〜C 40 )シクロアルキルの例は、非置換(C 3 〜C 20 )シクロアルキル、非置換(C 3 〜C 10 )シクロアルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、およびシクロデシルである。置換(C 3 〜C 40 )シクロアルキルの例は、置換(C 3 〜C 20 )シクロアルキル、置換(C 3 〜C 10 )シクロアルキル、シクロペンタノン−2−イル、および1−フルオロシクロヘキシルである。
(C 1 〜C 40 )ヒドロカルビレンの例としては、非置換または置換の(C 6 〜C 40 )アリーレン、(C 3 〜C 40 )シクロアルキレン、および(C 1 〜C 40 )アルキレン(例えば(C 1 〜C 20 )アルキレン)が挙げられる。ジラジカルは、同じ炭素原子上(例えば−CH 2 −)もしくは隣接する炭素原子(すなわち1,2−ジラジカル)上にあってもよく、または1個、2個、もしくは3個以上の介在炭素原子によって離間されている(例えば1,3−ジラジカル、1,4−ジラジカルなど)。いくつかのジラジカルとしては、1,2−、1,3−、1,4−、またはα,ω−ジラジカルが挙げられ、他のものとしては1,2−ジラジカルが挙げられる。α,ω−ジラジカルは、ラジカル炭素間に最大の炭素骨格間隔を有するジラジカルである。(C 2 〜C 20 )アルキレンα,ω−ジラジカルのいくつかの例としては、エタン−1,2−ジイル(すなわち−CH 2 CH 2 −)、プロパン−1,3−ジイル(すなわち−CH 2 CH 2 CH 2 −)、2−メチルプロパン−1,3−ジイル(すなわち−CH 2 CH(CH 3 )CH 2 −)が挙げられる。(C 6 〜C 40 )アリーレンα,ω−ジラジカルのいくつかの例としては、フェニル−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、またはナフタレン−3,7−ジイルが挙げられる。
「(C 1 〜C 40 )アルキレン」という用語は、非置換または1つ以上のR S で置換された炭素数1〜40個の飽和直鎖または分枝鎖のジラジカル(すなわち、ラジカルが環原子上にない)を意味する。非置換(C 1 〜C 40 )アルキレンの例は、非置換(C 1 〜C 20 )アルキレンであり、非置換−CH 2 CH 2 −、−(CH 2 ) 3 −、−(CH 2 ) 4 −、−(CH 2 ) 5 −、−(CH 2 ) 6 −、−(CH 2 ) 7 −、−(CH 2 ) 8 −、−CH 2 C*HCH 3 、および−(CH 2 ) 4 C*(H)CH 3 が挙げられ、「C*」は、水素原子が、第二級もしくは第三級アルキルラジカルを形成するために除去される炭素原子を表す。置換(C 1 〜C 40 )アルキレンの例は、置換(C 1 〜C 20 )アルキレン、−CF 2 −、−C(O)−、および−(CH 2 ) 14 C(CH 3 ) 2 (CH 2 ) 5 −(すなわち、6,6−ジメチル置換ノルマル−1,20−エイコシレン)である。上記のように、2つのR S は一緒になって、(C 1 〜C 18 )アルキレンを形成することができ、置換(C 1 〜C 40 )アルキレンの例としては、1,2−ビス(メチレン)シクロペンタン、1,2−ビス(メチレン)シクロヘキサン、2,3−ビス(メチレン)−7,7−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、および2,3−ビス(メチレン)ビシクロ[2.2.2]オクタンが挙げられる。
「(C 3 〜C 40 )シクロアルキレン」という用語は、非置換または1つ以上のR S によって置換されている、3〜40個の炭素原子を有する環式ジラジカル(すなわち、ラジカルが環原子上にある)を意味する。
「ヘテロ原子」という用語は、水素または炭素以外の原子を指す。1個以上のヘテロ原子を含有する基の例としては、O、S、S(O)、S(O) 2 、Si(R C ) 2 、P(R P )、N(R N )、−N=C(R C ) 2 、−Ge(R C ) 2 −、または−Si(R C )−が挙げられ、各R C および各R P は、非置換(C 1 〜C 18 )ヒドロカルビルまたは−Hであり、各R N は非置換(C 1 〜C 18 )ヒドロカルビルである。「ヘテロ炭化水素」という用語は、炭化水素の1個以上の炭素原子がヘテロ原子で置き換えられている分子または分子骨格を指す。「(C 1 〜C 40 )ヘテロヒドロカルビル」という用語は1〜40個の炭素原子を有するヘテロ炭化水素ラジカルを意味し、「(C 1 〜C 40 )ヘテロヒドロカルビレン」という用語は1〜40個の炭素原子を有するヘテロ炭化水素ジラジカルを意味する。(C 1 〜C 40 )ヘテロヒドロカルビルまたは(C 1 〜C 40 )ヘテロヒドロカルビレンのヘテロ炭化水素は、1個以上のヘテロ原子を有する。ヘテロヒドロカルビルのラジカルは、炭素原子上またはヘテロ原子上に存在することができる。ヘテロヒドロカルビレンの2つの基は、単一の炭素原子上または単一のヘテロ原子上に存在することができる。さらに、ジラジカルの2つのラジカルのうちの一方は炭素原子上に存在することができ、他方のラジカルは異なる炭素原子上に存在することができ、2つのラジカルのうちの一方は炭素原子上に存在することができ、他方はヘテロ原子上に存在することができ、または、2つのラジカルのうちの一方はヘテロ原子上に存在することができ、他方のラジカルは異なるヘテロ原子上に存在することができる。(C 1 〜C 40 )ヘテロヒドロカルビルおよび(C 1 〜C 40 )ヘテロヒドロカルビレンは各々、非置換または(1つ以上のR S によって)置換されていてもよく、芳香族または非芳香族、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖、環式(単環式および多環式、縮合および非縮合多環式を含む)または非環式であってもよい。
(C 1 〜C 40 )ヘテロヒドロカルビルは非置換または置換であることができる。(C 1 〜C 40 )ヘテロヒドロカルビルの非限定的な例としては、(C 1 〜C 40 )ヘテロアルキル、(C 1 〜C 40 )ヒドロカルビル−O−、(C 1 〜C 40 )ヒドロカルビル−S−、(C 1 〜C 40 )ヒドロカルビル−S(O)−、(C 1 〜C 40 )ヒドロカルビル−S(O) 2 −、(C 1 〜C 40 )ヒドロカルビル−Si(R C ) 2 −、(C 1 〜C 40 )ヒドロカルビル−N(R N )−、(C 1 〜C 40 )ヒドロカルビル−P(R P )−、(C 2 〜C 40 )ヘテロシクロアルキル、(C 2 〜C 19 )ヘテロシクロアルキル−(C 1 〜C 20 )アルキレン、(C 3 〜C 20 )シクロアルキル−(C 1 〜C 19 )ヘテロアルキレン、(C 2 〜C 19 )ヘテロシクロアルキル−(C 1 〜C 20 )ヘテロアルキレン、(C 1 〜C 40 )ヘテロアリール、(C 1 〜C 19 )ヘテロアリール−(C 1 〜C 20 )アルキレン、(C 6 〜C 20 )アリール−(C 1 〜C 19 )ヘテロアルキレン、または(C 1 〜C 19 )ヘテロアリール−(C 1 〜C 20 )ヘテロアルキレンが挙げられる。
「(C 4 〜C 40 )ヘテロアリール」という用語は、4〜40個の総炭素原子および1〜10個のヘテロ原子を有する、非置換または(1つ以上のR S によって)置換された単環式、二環式、または三環式のヘテロ芳香族炭化水素ラジカルを意味する。単環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは1つのヘテロ芳香環を含み、二環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは2つの環を有し、三環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは3つの環を有する。二環式または三環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルが存在するとき、そのラジカルにおける環のうちの少なくとも1つはヘテロ芳香族である。ヘテロ芳香族ラジカルの他の1つまたは複数の環は独立して、縮合または非縮合および芳香族または非芳香族であることができる。他のヘテロアリール基(例えば、一般に(C x 〜C y )ヘテロアリール、例えば、(C 4 〜C 12 )ヘテロアリール)は、x〜y個の炭素原子(4〜12個の炭素原子など)を有し、かつ非置換または1つ以上のR S で置換されているものと同様な様式で定義される。単環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは5員環または6員環である。5員環単環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは5マイナスh個の炭素原子を有し、hはヘテロ原子の数であり、1、2、または3であることができ、各ヘテロ原子はO、S、N、またはPであり得る。
5員環ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルの例としては、ピロール−1−イル、ピロール−2−イル、フラン−3−イル、チオフェン−2−イル、ピラゾール−1−イル、イソキサゾール−2−イル、イソチアゾール−5−イル、イミダゾール−2−イル、オキサゾール−4−イル、チアゾール−2−イル、1,2,4−トリアゾール−1−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−イル、テトラゾール−1−イル、テトラゾール−2−イル、およびテトラゾール−5−イルが挙げられる。6員環単環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは6マイナスh個の炭素原子を有し、hは、ヘテロ原子の数であり、1または2であることができ、ヘテロ原子はNまたはPであり得る。
6員環ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルの例としては、ピリジン−2−イル、ピリミジン−2−イル、およびピラジン−2−イルが挙げられる。二環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは縮合5,6−または6,6−環系であり得る。縮合5,6−環系二環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルの例としては、インドール−1−イルおよびベンズイミダゾール−1−イルである。縮合6,6−環系二環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルの例としては、キノリン−2−イルおよびイソキノリン−1−イルである。三環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは縮合5,6,5−、5,6,6−、6,5,6−、または6,6,6−環系であり得る。縮合5,6,5−環系の例としては、1,7−ジヒドロピロロ[3,2−f]インドール−1−イルである。縮合5,6,6−環系の例は、1H−ベンゾ[f]インドール−1−イルである。縮合6,5,6−環系の例としては、9H−カルバゾール−9−イルである。縮合6,5,6−環系の例としては、9H−カルバゾール−9−イルである。縮合6,6,6−環系の例としては、アクリジン−9−イルである。
(C 1 〜C 40 )ヘテロアルキルという用語は、1〜40個の炭素原子および1個以上のヘテロ原子を含有する飽和直鎖または分岐鎖ラジカルを意味する。ヘテロアルキルまたはヘテロアルキレンのヘテロ原子としては、Si(R C ) 3 、Ge(R C ) 3 、Si(R C ) 2 、Ge(R C ) 2 、P(R P ) 2 、P(R P )、N(R N ) 2 、N(R N )、N、O、OR C 、S、SR C 、S(O)、およびS(O) 2 を挙げることができ、ヘテロアルキル基およびヘテロアルキレン基の各々は、非置換であるか、または1つ以上のR S によって置換されている。
非置換(C 2 〜C 40 )ヘテロシクロアルキルの例としては、非置換(C 2 〜C 20 )ヘテロシクロアルキル、非置換(C 2 〜C 10 )ヘテロシクロアルキル、アジリジン−1−イル、オキセタン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、ピロリジン−1−イル、テトラヒドロチオフェン−S,S−ジオキシド−2−イル、モルホリン−4−イル、1,4−ジオキサン−2−イル、ヘキサヒドロアゼピン−4−イル、3−オキサ−シクロオクチル、5−チオ−シクロノニル、および2−アザ−シクロデシルが挙げられる。
「ハロゲン原子」または「ハロゲン」という用語は、フッ素原子(F)、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)、またはヨウ素原子(I)のラジカルを意味する。「ハロゲン化物」という用語は、フッ化物(F − )、塩化物(Cl − )、臭化物(Br − )、またはヨウ化物(I − )のハロゲン原子のアニオン形態を意味する。
「飽和」という用語は、炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合、ならびに(ヘテロ原子含有基において)炭素−窒素、炭素−リン、および炭素−ケイ素二重結合を欠くことを意味する。飽和化学基が1つ以上の置換基R S で置換されている場合、1つ以上の二重結合および/または三重結合は任意選択的に置換基R S 中に存在していてもよい。「不飽和」という用語は、1個以上の炭素−炭素二重結合もしくは炭素−炭素三重結合、または(ヘテロ原子含有基において)1つ以上の炭素−窒素二重結合、炭素−リン二重結合、もしくは炭素−ケイ素二重結合を含有することを意味し、もしある場合、置換基R S 中に、もしある場合、芳香環中またはヘテロ芳香環中に存在し得る二重結合を含まない。
本開示の実施形態は、式(I)に従う金属−配位子錯体を含む触媒系を含む。
式(I)において、Mはチタン、ジルコニウム、またはハフニウムから選択される金属であり、その金属は+2、+3、または+4の形式酸化状態にあり、nは0、1、2、または3であり、mは1または2であり、金属−配位子錯体は、6つ以下の金属−配位子結合を有し、全体的に電荷中性である。各R 1 および各R 2 は、(C 1 〜C 40 )ヒドロカルビル、(C 1 〜C 40 )ヘテロヒドロカルビル、(C 1 〜C 40 )アリール、(C 1 〜C 40 )ヘテロアリール、ハロゲン、および−Hから独立して選択され、R 1 およびR 2 は任意選択的に互いに共有結合している。R 1 およびR 2 が互いに共有結合している際には、少なくとも1つのリン含有環構造が、R 1 およびR 2 の部分から形成され得る。
実施形態では、式(I)の金属−配位子錯体の化学基(例えばX、Rなど)のいずれか1つまたは各々は、非置換でもよく、または少なくとも1つの置換基R S で置換されてもよい。いくつかの実施形態では、式Iの金属−配位子錯体の化学基のうちの少なくとも1つは独立して、1つ以上の置換基R S を含有する。
実施形態では、触媒系は、式(I)に従う金属−配位子錯体を含むことができ、式中、mは1であり、各Xは、(C 1 〜C 40 )ヒドロカルビル、(C 1 〜C 40 )ヒドロカルビレン、(C 6 〜C 20 )アリール、(C 5 〜C 20 )ヘテロアリール、シクロペンタジエニル、および置換シクロペンタジエニルからなる群から独立して選択される単座または二座配位子である。そのような実施形態では、Xが置換または非置換シクロペンタジエニルではないとき、R 3 は、(C 1 〜C 40 )ヒドロカルビル、(C 5 〜C 20 )ヘテロアリール、(C 6 〜C 40 )アリール、(C 5 〜C 40 )ヘテロアリール、非置換(C 1 〜C 40 )アルキル、またはハロゲン化フェニルラジカルから選択され、そして任意選択的にR 2 に共有結合される。また、そのような実施形態では、任意のXが置換または非置換シクロペンタジエニルであるとき、R 3 は、少なくとも1つのR S で置換された(C 6 〜C 40 )アリールおよび少なくとも1つのR S で置換された(C 5 〜C 40 )ヘテロアリールからなる群から選択され、R S は(C 1 〜C 40 )ヒドロカルビルおよび(C 1 〜C 40 )ヘテロヒドロカルビルからなる群より選択される。
さらなる実施形態では、触媒系は、式(I)に従う金属−配位子錯体を含むことができ、式中、mは1であり、R 1 およびR 2 は(C 6 〜C 40 )アリール、例えばフェニルなどである。そのような実施形態では、R 3 は、(C 1 〜C 40 )ヒドロカルビルおよび(C 1 〜C 40 )ヘテロヒドロカルビルからなる群から選択される少なくとも1つの基R S で置換されたフェニル基であってもよく、またはR 3 は、2つ以上のR S で置換されたフェニル基であってもよく、ここで各R S は独立して(C 1 〜C 40 )ヒドロカルビルである。例示的な実施形態では、R 1 およびR 2 はフェニルなどの(C 6 〜C 40 )アリールであってもよく、(C 6 〜C 40 )アリールは、例えば1−メチルエチルなどの1つ以上の基R S で置換されてもよい。
他の実施形態では、触媒系は、式(I)に従う金属−配位子錯体を含むことができ、式中、mは2であり、各Xは、(C 1 〜C 40 )ヒドロカルビル、(C 1 〜C 40 )ヒドロカルビレン、(C 6 〜C 20 )アリール、(C 5 〜C 20 )ヘテロアリール、および置換または非置換シクロペンタジエニルからなる群から独立して選択される単座または二座配位子である。そのような実施形態では、任意のXが置換または非置換シクロペンタジエニルであるとき、各R 3 は、(C 1 〜C 40 )ヒドロカルビル、(C 5 〜C 20 )ヘテロアリール、(C 6 〜C 40 )アリール、(C 5 〜C 40 )ヘテロアリール、非置換(C 1 〜C 40 )アルキル、またはハロゲン化フェニルラジカルから独立して選択される。また、そのような実施形態では、任意のXが置換または非置換シクロペンタジエニルでないとき、R 3 は、少なくとも1つのR S で置換された(C 6 〜C 40 )アリールおよび少なくとも1つのR S で置換された(C 5 〜C 40 )ヘテロアリールからなる群から選択され、R S は(C 1 〜C 40 )ヒドロカルビルおよび(C 1 〜C 40 )ヘテロヒドロカルビルからなる群より選択される。
式(I)の金属−配位子錯体においてmが2であるとき、金属−配位子錯体は式(II)に従う構造を有する。
式中、R 1 、R 2 、R 3 、およびXは、式(I)で定義したとおりであり、nは0、1、または2である。式(II)に従う全ての金属−配位子錯体も式(I)に従う錯体であることは容易に理解されるべきである。したがって、式(II)に従う金属−配位子錯体に関して記載された実施形態は、必然的に式(I)に従う錯体に適用される。
他の実施形態では、触媒系は式(II)に従う金属−配位子錯体を含むことができ、各R 1 および各R 2 はフェニルである。そのような実施形態では、R 3 は、(C 1 〜C 40 )ヒドロカルビルおよび(C 1 〜C 40 )ヘテロヒドロカルビルからなる群から選択される少なくとも1つの基R S で置換されたフェニル基であってもよく、または各R 3 は、2つの基R S で置換されたフェニル基であってもよく、ここで各基R S は独立して(C 1 〜C 40 )ヒドロカルビルである。さらなる実施形態では、各R S は1−メチルエチルである。
式(I)の金属−配位子錯体中のMは、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、またはハフニウム(Hf)などの遷移金属を含むことができ、その金属は+2、+3、または+4の形式酸化状態にある。式(I)の(X) n の下付き文字nは1、2、または3である。下付き文字nは、金属−配位子錯体が6個以下の金属−配位子結合を有し、全体として電荷中性であるように、1、2、または3つの配位子Xの同一性(identity)を考慮して選択される。
式(I)および(II)の金属−配位子錯体中の金属Mは、金属−配位子錯体を調製するために、続いて一段合成または多段合成に曝される金属前駆体に由来し得る。好適な金属前駆体は、単量体(1つの金属中心)または二量体(2つの金属中心)であることができ、あるいは2より大きい複数の金属中心、例えば、3、4、5、または5より大きい金属中心を有することができる。好適なハフニウムおよびジルコニウムの前駆体の具体例としては、HfCl 4 、HfMe 4 、Hf(CH 2 Ph) 4 、Hf(CH 2 CMe 3 ) 4 、Hf(CH 2 SiMe 3 ) 4 、Hf(CH 2 Ph) 3 Cl、Hf(CH 2 CMe 3 ) 3 Cl、Hf(CH 2 SiMe 3 ) 3 Cl、Hf(CH 2 Ph) 2 Cl 2 、Hf(CH 2 CMe 3 ) 2 Cl 2 、Hf(CH 2 SiMe 3 ) 2 Cl 2 、Hf(NMe 2 ) 4 、Hf(NEt 2 ) 4 、およびHf(N(SiMe 3 ) 2 ) 2 Cl 2 ;ZrCl 4 、ZrMe 4 、Zr(CH 2 Ph) 4 、Zr(CH 2 CMe 3 ) 4 、Zr(CH 2 SiMe 3 ) 4 、Zr(CH 2 Ph) 3 Cl、Zr(CH 2 CMe 3 ) 3 Cl、Zr(CH 2 SiMe 3 ) 3 Cl、Zr(CH 2 Ph) 2 Cl 2 、Zr(CH 2 CMe 3 ) 2 Cl 2 、Zr(CH 2 SiMe 3 ) 2 Cl 2 、Zr(NMe 2 ) 4 、Zr(NEt 2 ) 4 、Zr(NMe 2 ) 2 Cl 2 、Zr(NEt 2 ) 2 Cl 2 、およびZr(N(SiMe 3 ) 2 ) 2 Cl 2 、TiMe 4 、TiBn 4 、TiCl 4 、およびTi(CH 2 Ph) 4 が挙げられるが、それらに限定されない。これらの例のルイス塩基付加物も金属前駆体として好適であり、例えば、エーテル、アミン、チオエーテル、およびホスフィンがルイス塩基として好適である。具体例としては、HfCl 4 (THF) 2 、HfCl 4 (SMe 2 ) 2 、およびHf(CH 2 Ph) 2 Cl 2 (OEt 2 )が挙げられる。活性化金属前駆体は、イオン性または双性イオン化合物、(M(CH 2 Ph) 3 + )(B(C 6 F 5 ) 4 − )または(M(CH 2 Ph) 3 + )(PhCH 2 B(C 6 F 5 ) 3 − )などであることができ、MはHfまたはZrであると上で定義されている。
式(I)に従う金属−配位子錯体において、各Xは、共有結合、配位結合、またはイオン結合を介してMと結合する。nが1であるとき、Xは単座配位子または二座配位子であることができ、nが2であるときは、各Xは独立して選択された単座配位子であり、他の基Xと同じかまたは異なっていてもよく、金属−配位子錯体は全体的に電荷中性である。いくつかの実施形態では、単座配位子はモノアニオン性配位子であり得る。モノアニオン性配位子は−1の正味の形式酸化状態を有する。各モノアニオン性配位子は独立して、水素化物、(C 1 〜C 40 )ヒドロカルビルカルバニオン、(C 1 〜C 40 )ヘテロヒドロカルビルカルバニオン、ハライド、ニトレート、カーボネート、ホスフェート、スルフェート、HC(O)O − 、HC(O)N(H) − 、(C 1 〜C 40 )ヒドロカルビルC(O)O − 、(C 1 〜C 40 )ヒドロカルビルC(O)N((C 1 〜C 20 )ヒドロカルビル) − 、(C 1 〜C 40 )ヒドロカルビルC(O)N(H) − 、R K R L B − 、R K R L N − 、R K O − 、R K S − 、R K R L P − 、またはR M R K R L Si − であることができ、各R K 、R L 、およびR M は独立して、水素、(C 1 〜C 40 )ヒドロカルビル、もしくは(C 1 〜C 40 )ヘテロヒドロカルビルであるか、またはR K およびR L は一緒になって、(C 2 〜C 40 )ヒドロカルビレンもしくは(C 1 〜C 20 )ヘテロヒドロカルビレンを形成し、R M は上で定義したとおりである。
他の実施形態では、金属−配位子錯体の少なくとも1つの単座配位子Xは、中性配位子であることができる。特定の実施形態では、中性配位子は、R X NR K R L 、R K OR L 、R K SR L 、またはR X PR K R L などの中性ルイス塩基基であり、各R X は独立して、水素、[(C 1 〜C 10 )ヒドロカルビル] 3 Si(C 1 〜C 10 )ヒドロカルビル、(C 1 〜C 40 )ヒドロカルビル、[(C 1 〜C 10 )ヒドロカルビル] 3 Si、または(C 1 〜C 40 )ヘテロヒドロカルビルであり、各R K およびR L は独立して、上で定義したとおりである。
さらに、金属−配位子錯体の各Xは、ハロゲン、非置換(C 1 〜C 20 )ヒドロカルビル、非置換(C 1 〜C 20 )ヒドロカルビルC(O)O−、またはR K R L N−から独立して選択される単座配位子であることができ、ここで、R K およびR L の各々は独立して、非置換(C 1 〜C 20 )ヒドロカルビルである。いくつかの実施形態では、金属−配位子錯体の各単座配位子Xは、塩素原子、(C 1 〜C 10 )ヒドロカルビル(例えば(C 1 〜C 6 )アルキルまたはベンジル)、非置換(C 1 〜C 10 )ヒドロカルビルC(O)O−、またはR K R L N−であり、R K およびR L の各々は独立して、非置換(C 1 〜C 10 )ヒドロカルビルである。
いくつかの実施形態では、触媒系は、式(I)または式(II)のいずれかに従う金属−配位子錯体を含むことができ、式中、少なくとも2つの基Xが存在するように、nが2であるかまたは2より大きく、任意の2つの基Xが結合して二座配位子を形成することができる。二座配位子を含む例示的な実施形態では、二座配位子は中性二座配位子であることができる。一実施形態では、中性二座配位子は、式(R D ) 2 C=C(R D )−C(R D )=C(R D ) 2 のジエンであり、式中、各R D は独立して、H、非置換(C 1 〜C 6 )アルキル、フェニル、またはナフチルである。いくつかの実施形態では、二座配位子は、モノアニオン性−モノ(ルイス塩基)配位子である。いくつかの実施形態では、二座配位子は、ジアニオン性配位子である。ジアニオン性配位子は、−2の正味の形式酸化状態を有する。一実施形態では、各ジアニオン性配位子は独立して、カーボネート、オキサレート(すなわち − O 2 CC(O)O − )、(C 2 〜C 40 )ヒドロカルビレンジカルバニオン、(C 1 〜C 40 )ヘテロヒドロカルビレンジカルバニオン、ホスフェート、またはスルフェートである。
さらなる実施形態では、Xは、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2,2−ジメチルプロピル、トリメチルシリルメチル、フェニル、ベンジル、クロロ、メトキシ、およびエトキシから選択される。いくつかの実施形態では、nは2であり、各Xは同じである。場合によっては、少なくとも2つのXは互いに異なる。他の実施形態では、nは、2であり、各Xは、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2,2−ジメチルプロピル、トリメチルシリルメチル、フェニル、ベンジル、およびクロロのうちの異なる1つである。一実施形態では、nは、2であり、少なくとも2つのXは独立して、モノアニオン性単座配位子である。特定の実施形態では、nは、2であり、2つのX基は一緒になって、二座配位子を形成する。さらなる実施形態では、二座配位子は、2,2−ジメチル−2−シラプロパン−1,3−ジイルまたは1,3−ブタジエンである。
例示的実施形態では、触媒系は、任意のプロ触媒1〜19の構造を有する式(I)に従う金属−配位子錯体を含むことができる。
助触媒成分
式(I)の金属−配位子錯体を含む触媒系は、それを活性化助触媒に接触させること、もしくはそれを活性化助触媒と組み合わせることによって、または金属系オレフィン重合反応で使用するための当技術分野で既知の技術などの活性化技術を使用することによって、触媒活性にすることができる。本明細書に使用するのに好適な活性化助触媒としては、アルキルアルミニウム、ポリマーまたはオリゴマーアルモキサン(アルミノキサンとしても知られる)、中性ルイス酸、および非ポリマー、非配位性、イオン形成化合物(酸化条件下でのそのような化合物の使用を含む)が挙げられる。好適な活性化技術は、バルク電気分解である。前述の活性化助触媒および技術のうちの1つ以上の組み合わせもまた企図される。「アルキルアルミニウム」という用語は、モノアルキルアルミニウムジヒドリドもしくはモノアルキルアルミニウムジハライド、ジアルキルアルミニウムヒドリドもしくはジアルキルアルミニウムハライド、またはトリアルキルアルミニウムを意味する。ポリマーアルモキサンまたはオリゴマーアルモキサンの例としては、メチルアルモキサン、トリイソブチルアルミニウム修飾メチルアルモキサン、およびイソブチルアルモキサンを挙げることができる。
ルイス酸活性化助触媒は、本明細書に記載の(C 1 〜C 20 )ヒドロカルビル置換基を含有する第13族金属化合物を含む。いくつかの実施形態では、第13族金属化合物は、トリ((C 1 〜C 20 )ヒドロカルビル)−置換アルミニウムまたはトリ((C 1 〜C 20 )ヒドロカルビル)−ホウ素化合物である。他の実施形態では、第13族金属化合物は、トリ(ヒドロカルビル)−置換アルミニウム、トリ((C 1 〜C 20 )ヒドロカルビル)−ホウ素化合物、トリ((C 1 〜C 10 )アルキル)アルミニウム、トリ((C 6 〜C 18 )アリール)ホウ素化合物、およびそれらのハロゲン化(過ハロゲン化を含む)誘導体である。さらなる実施形態では、第13族金属化合物は、トリス(フルオロ置換フェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。いくつかの実施形態では、活性化助触媒は、トリス((C 1 〜C 20 )ヒドロカルビルボレート(例えば、トリチルテトラフルオロボレート)またはトリ((C 1 〜C 20 )ヒドロカルビル)アンモニウムテトラ((C 1 〜C 20 )ヒドロカルビル)ボラン(例えば、ビス(オクタデシル)メチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)である。本明細書で使用されるとき、「アンモニウム」という用語は、((C 1 〜C 20 )ヒドロカルビル) 4 N + 、((C 1 〜C 20 )ヒドロカルビル) 3 N(H) + 、((C 1 〜C 20 )ヒドロカルビル) 2 N(H) 2 + 、(C 1 〜C 20 )ヒドロカルビルN(H) 3 + 、またはN(H) 4 + である窒素カチオンを意味し、各(C 1 〜C 20 )ヒドロカルビルは、2つ以上存在するときは、同じでも異なっていてもよい。
中性ルイス酸活性化助触媒の組み合わせとしては、トリ((C 1 〜C 4 )アルキル)アルミニウムとハロゲン化トリ((C 6 〜C 18 )アリール)ホウ素化合物、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとの組み合わせを含む混合物が挙げられる。他の実施形態は、そのような中性ルイス酸混合物とポリマーまたはオリゴマーアルモキサンとの組み合わせ、および単一の中性ルイス酸、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとポリマーまたはオリゴマーアルモキサンとの組み合わせである。(金属−配位子錯体):(トリス(ペンタフルオロ−フェニルボラン):(アルモキサン)[例えば(第4族金属−配位子錯体):(トリス(ペンタフルオロ−フェニルボラン):(アルモキサン)]のモル数比は、1:1:1〜1:10:30であり、他の実施形態では1:1:1.5〜1:5:10である。
式(I)の金属−配位子錯体を1つ以上の助触媒、例えばカチオン形成助触媒、強ルイス酸、またはそれらの組み合わせと組み合わせることによって、式(I)の金属−配位子錯体を含む触媒系を活性化して活性触媒組成物を形成することができる。好適な活性化助触媒としては、ポリマーまたはオリゴマーアルミノキサン、特にメチルアルミノキサン、ならびに不活性、相溶性、非配位性、イオン形成性化合物が挙げられる。例示的な好適な助触媒としては、変性メチルアルミノキサン(MMAO)、ビス(水素化タローアルキル)メチル、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(1−)アミン、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
いくつかの実施形態では、2つ以上の前述の活性化助触媒を互いに組み合わせて使用することができる。特に好ましい組み合わせは、トリ((C 1 〜C 4 )ヒドロカルビル)アルミニウム、トリ((C 1 〜C 4 )ヒドロカルビル)ボラン、またはホウ酸アンモニウムとオリゴマーもしくはポリマーアルモキサン化合物との混合物である。式(I)の1つ以上の金属−配位子錯体の総モル数と1つ以上の活性化助触媒の総モル数との比は、1:10,000〜100:1である。いくつかの実施形態では、この比は、少なくとも1:5000であり、他のいくつかの実施形態では少なくとも1:1000、および10:1以下であり、さらに他のいくつかの実施形態では、1:1以下である。アルモキサンを単独で活性化助触媒として使用する場合、用いられるアルモキサンのモル数は、式(I)の金属−配位子錯体のモル数の少なくとも100倍であることが好ましい。トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを単独で活性化助触媒として使用するとき、いくつかの他の実施形態では、式(I)の1つ以上の金属−配位子錯体の総モル数に対して用いられるトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランのモル数は、0.5:1〜10:1、1:1〜6:1、または1:1〜5:1である。残りの活性化助触媒は一般に、式(I)の1つ以上の金属−配位子錯体の総モル量におおよそ等しいモル量で用いられる。
ポリオレフィン
前の段落に記載した触媒系は、オレフィン、主にエチレンおよびプロピレンの重合に利用することができる。いくつかの実施形態では、重合スキーム中に単一種類のオレフィンまたはα−オレフィンのみが存在し、ホモポリマーを生成する。しかしながら、追加のα−オレフィンを重合手順に組み込んでもよい。追加のα−オレフィンコモノマーは、典型的には、20個以下の炭素原子を有する。例えば、α−オレフィンコモノマーは、3〜10個の炭素原子、または3〜8個の炭素原子を有し得る。例示的なα−オレフィンコモノマーとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、および4−メチル−1−ペンテンが挙げられるが、それらに限定されない。例えば、1つ以上のα−オレフィンコモノマーは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、および1−オクテンからなる群から、または代替的に1−ヘキセンおよび1−オクテンからなる群から選択することができる。
エチレン系ポリマー、例えばエチレンのホモポリマーおよび/またはインターポリマー(コポリマーを含む)ならびにα−オレフィンなどの任意選択的な1つ以上のコモノマーは、エチレン由来の単位を少なくとも50重量パーセント含むことができる。「少なくとも50重量パーセントから」によって包含される個々の値および部分範囲は全て、別の実施形態として本明細書に開示され、例えば、エチレン系ポリマー、エチレンのホモポリマーおよび/またはインターポリマー(コポリマーを含む)、α−オレフィンなどの任意選択的な1つ以上のコモノマーは、エチレン由来の単位を少なくとも60重量パーセント、エチレン由来の単位を少なくとも70重量パーセント、エチレン由来の単位を少なくとも80重量パーセント、エチレン由来の単位を50〜100重量パーセント、またはエチレン由来の単位を80〜100重量パーセント含むことができる。
いくつかの実施形態では、エチレン系ポリマーは、エチレン由来の単位を少なくとも90モルパーセント含むことができる。少なくとも90モルパーセントからの個々の値および部分範囲はすべて本明細書に含まれ、本明細書では別々の実施形態として開示される。例えば、エチレン系ポリマーは、エチレン由来の単位を少なくとも93モルパーセント、単位を少なくとも96モルパーセント、エチレン由来の単位を少なくとも97モルパーセント、または代替的に、エチレン由来の単位を90〜100モルパーセント、エチレン由来の単位を90〜99.5モルパーセント、エチレン由来の単位を97〜99.5モルパーセント含むことができる。
エチレン系ポリマーのいくつかの実施形態では、追加のα−オレフィンの量は、50%未満であり、他の実施形態は、少なくとも1モルパーセント(mol%)〜20mol%含み、さらなる実施形態では、追加のα−オレフィンの量は少なくとも5mol%〜10mol%である。いくつかの実施形態では、追加のα−オレフィンは1−オクテンである。
任意の従来の重合プロセスを使用してエチレン系ポリマーを生成してもよい。そのような従来の重合プロセスとしては、1つ以上の従来の反応器、例えばループ反応器、等温反応器、流動床気相反応器、撹拌槽型反応器、バッチ反応器などの並列、直列、またはそれらの任意の組み合わせを使用する、溶液重合プロセス、気相重合プロセス、スラリー相重合プロセス、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、二重反応器系、例えば二重ループ反応器系において、溶液重合によって生成することができ、ここで、エチレン、および任意選択的に1つ以上のα−オレフィンは、本明細書に記載の触媒系および任意選択的に1つ以上の助触媒の存在下で重合される。別の実施形態では、エチレン系ポリマーは、二重反応器系、例えば二重ループ反応器系において、溶液重合によって生成することができ、ここで、エチレン、および任意選択的に1つ以上のα−オレフィンは、本開示および本明細書に記載の触媒系および任意選択的に1つ以上の他の触媒の存在下で重合される。本明細書に記載の触媒系は、任意選択的に1つ以上の他の触媒と組み合わせて、第1の反応器または第2の反応器において使用することができる。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、二重反応器系、例えば二重ループ反応器系において、溶液重合によって生成することができ、ここで、エチレン、および任意選択的に1つ以上のα−オレフィンは、本明細書に記載の触媒系の存在下で両方の反応器において重合される。
別の実施形態では、エチレン系ポリマーは、単一反応器系、例えば単一ループ反応器系において、溶液重合で生成することができ、ここで、エチレン、および任意選択的に1つ以上のα−オレフィンは、本開示内に記載の触媒系および任意選択的に1つ以上の助触媒の存在下で、前の段落に記載のように重合される。
エチレン系ポリマーは、1つ以上の添加剤をさらに含むことができる。そのような添加剤としては、帯電防止剤、色増強剤、染料、潤滑剤、顔料、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、加工助剤、紫外線安定剤、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。エチレン系ポリマーは、任意の量の添加剤を含むことができる。エチレン系ポリマーは、エチレン系ポリマーおよび1つ以上の添加剤の重量に基づいて、そのような添加剤を合計約0〜約10重量パーセント損なうことができる。エチレン系ポリマーは、充填剤をさらに損なう場合があり、その充填剤としては、有機または無機充填剤を挙げることができるが、それらに限定されない。そのような充填剤、例えば炭酸カルシウム、タルク、Mg(OH) 2 は、エチレン系ポリマーおよび1つ以上の添加剤、充填剤、または両方の重量に基づいて、約0〜約20重量パーセントのレベルで存在し得る。エチレン系ポリマーは、1つ以上のポリマーとさらに配合されてブレンドを形成することができる。
本開示に記載の触媒系の実施形態は、形成されたポリマーの高分子量および組み込まれたコモノマーの量の結果として、独特のポリマー特性をもたらす。
実施例1:N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−P,P−ジフェニルホスフィン酸アミドの合成
2,6−ジイソプロピルアニリン(4.00g、22.6mmol)を撹拌したジエチルエーテル溶液(50mL)に、N 2 雰囲気下で、わずかに過剰のトリエチルアミン(2.1g、21mmol)を添加した。その溶液を撹拌しながら、Ph 2 PClのジエチルエーテル溶液(4.52g、20.5mmol)を滴加し、その溶液を一晩撹拌した。その懸濁液を濾過し、沈殿物を2アリコートのジエチルエーテル(合計50mL)でさらに洗浄した。溶媒を減圧除去し、50mLのCH 2 Cl 2 に溶解させた。その溶液を−35℃に冷却し、H 2 O 2 水溶液(30%、1.39g)を滴加した。溶液を室温に温め、1時間撹拌した。溶媒を減圧除去し、残渣をジエチルエーテル50mLと一緒にすりつぶした。固体を集め、ジエチルエーテルでさらに洗浄すると、生成物がほぼ定量的収率で得られた。
H NMR(CDCl 3 ):1.04(d,J=8Hz,12H)、3.59(sept,J=8Hz,2H)、4.43(d,J=Hz,1H)、7.05(m,2H),7.17(m,1H)、、7.42(m,4H)、7.49(m,2H)、7.73(m,4H)。 13 C NMR(CDCl 3 ):23.7、28.4、123.5(d)、127.3(d)、128.3(d)、131.4、131.8(d)、131.9(d)、132.7、147.5(d)。 31 P NMR(CDCl 3 ):21.6(s)
実施例2:プロ触媒1の合成
Zr(CH 2 Ph) 4 (241mg、0.53mmol)を撹拌したトルエン(5mL)溶液に、N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−P,P−ジフェニルホスフィン酸アミド(200mg、0.53mmol)のトルエン懸濁液を添加した。その透明な溶液を室温で一晩撹拌した。次いで溶媒を減圧除去し、残渣を5mLのヘキサンと一緒にすりつぶした。固体生成物を濾過により集め、さらに乾燥させると、生成物がほぼ定量的収率で得られた。
H NMR(C 6 D 6 ):0.60(br s,6H)、1.28(br s,6H)、2.37(s,4H)、3.44(sept,J=8Hz,2H)、6.88(m,4H)、6.93−7.02(m,11H)、7.12−7.19(m,9H)、7.27(m,4H)。 31 P NMR(C 6 D 6 ):41.4(s)。
実施例3:プロ触媒2の合成
Zr(CH 2 Ph) 4 (181mg、0.40mmol)を撹拌したトルエン(5mL)溶液に、N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−P,P−ジフェニルホスフィン酸アミド(300mg、0.79mmol)のトルエン懸濁液を添加した。その透明な溶液を室温で一晩撹拌した。次いで溶媒を減圧除去し、残渣を5mLのヘキサンと一緒にすりつぶした。固体生成物を濾過により集め、さらに乾燥させると、生成物がほぼ定量的収率で得られた。
H NMR(C 6 D 6 ):1.01(br s,24H)、3.02(br s,4H)、3.57(br s,4H)、6.85−7.05(m,19H)、7.14(m,7H)、7.45(m,10H)。 31 P NMR(C 6 D 6 ):39.2(s)。
実施例4:プロ触媒3の合成
Hf(CH 2 Ph) 4 (489mg、0.90mmol)を撹拌したトルエン(5mL)溶液に、N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−P,P−ジフェニルホスフィン酸アミド(340mg、0.90mmol)のトルエン懸濁液を添加した。その透明な溶液を室温で一晩撹拌した。次いで溶媒を減圧除去し、残渣を5mLのヘキサンと一緒にすりつぶした。固体生成物を濾過により集め、さらに乾燥させると、生成物がほぼ定量的収率で得られた。
H NMR(C 6 D 6 ):0.49(br s,6H)、1.32(br s,6H)、2.22(s,4H)、3.32(sept,J=8Hz,2H)、6.85(m,4H),6.94(m,6H)、7.09(m,8H)、7.24(m,10H)。 31 P NMR(C 6 D 6 ):39.2(s)。
実施例5:プロ触媒4の合成
Hf(CH 2 Ph) 4 (252mg、0.46mmol)を撹拌したトルエン(5mL)溶液に、N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−P,P−ジフェニルホスフィン酸アミド(350mg、0.92mmol)のトルエン懸濁液を添加した。その透明な溶液を室温で一晩撹拌した。次いで溶媒を減圧除去し、残渣を5mLのヘキサンと一緒にすりつぶした。固体生成物を濾過により集め、さらに乾燥させると、生成物がほぼ定量的収率で得られた。
H NMR(C 6 D 6 ):1.00(br s,24H)、2.65(br s,4H)、3.64(br s,4H)、6.84(m,2H)、6.95(m,13H)、7.20(m,11H)、7.31(m,4H)、7.56(m,8H)。 31 P NMR(C 6 D 6 ):38.7(s)。
バッチ反応器重合のための手順
反応環境に導入する前に、原料(エチレン、1−オクテン)およびプロセス溶媒(ExxonMobil CorporationからISOPAR Eという商標で市販されている狭い沸点範囲の高純度イソパラフィン溶媒)をモレキュラーシーブで精製した。1ガロン(3.79L)の撹拌オートクレーブ反応器にISOPAR Eおよび1−オクテンを入れた。次いで、反応器を120℃に加熱し、エチレンを充填して全圧を約420psigとした。触媒組成物は、修飾メチルアルミノキサン(MMAO)と一緒に、所望の金属−配位子錯体(前述のように調製)と助触媒([HNMe(C 81137 ) 2 ][B(C 6 F 5 ) 4 ])とを混合し、追加の溶媒を加えて総体積を約15〜20mLとすることによって、不活性雰囲気下のドライボックスにおいて調製した。次いで、活性化触媒混合物を反応器中に急速注入した。重合中にエチレンを供給し、必要に応じて反応器を冷却することによって、反応器圧力および温度を一定に保った。10分後、エチレンの供給を止め、溶液を窒素パージした樹脂製ケトルに移した。ポリマーを真空オーブン中で徹底的に乾燥させ、重合実験の間に反応器を熱いISOPAR Eで徹底的にすすいだ。
触媒効率および得られたポリマーの特性を、それぞれ式(I)に従う構造を有する触媒1〜4について評価した。重合はバッチ反応器内で行った。
表1のデータは120℃の重合温度で得られた。クエンチ時間は、50psiのエチレンを取り込むのに必要な時間を示している。重合は、目標とする取り込みに到達した時点または1800秒後のいずれかにおいて、どちらかが最初に起こった時に、COによってクエンチする。
プロ触媒1〜2は、比較触媒由来のポリマーの分子量よりも小さい分子量を有するポリマーを提供した。具体的には、プロ触媒1〜2は20,000g/mol未満の分子量を有するポリマーを生成し、比較触媒は74,858g/molの分子量を有するポリマーを生成した。一方、プロ触媒3〜4は実質的により大きい分子量を有するポリマーを生成し、両方とも比較触媒由来のポリマーの分子量よりも大きい少なくとも350,000g/molである。
測定基準
密度
密度について測定される試料は、全体が参照により本明細書に組み込まれるASTM D−1928に従って調製する。測定は、全体が参照により本明細書に組み込まれるASTM D−792、方法Bを使用して、試料プレスの1時間以内に行う。
メルトインデックス
メルトインデックス(I 2 )は、参照により全体が本明細書に組み込まれるASTM−D 1238に従って、190℃/2.16kgの条件下で測定し、10分当たりに溶出されるグラム数で報告する。メルトフローレート(I 10 )は、ASTM−D 1238に従って、190℃/10kgの条件下で測定し、10分当たりに溶出されるグラム数で報告する。
オクテン含有量
各試料中の1−オクテンのモル%(mol%)は、CH 3 面積(1382.7〜1373.5波数)のCH 2 面積(1525〜1400波数)に対する比をとり、エチレン−コ−1−オクテンポリマー標準に関するNMR分析により生成された標準曲線に正規化することによって決定した。
結晶化溶出分画
コモノマー分布分析は、結晶化溶出分画(CEF)(PolymerChar、スペイン)(B Monrabal et al,Macromol.Symp.257,71−79(2007))を用いて実行する。600ppmの酸化防止剤であるブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を有するオルト−ジクロロベンゼン(ODCB)を溶媒として使用する。試料調製は、オートサンプラを160℃で2時間振盪させながら、(特記しない限り)4mg/mL用いて行う。注入量は、300μLである。CEFの温度プロファイルは、3℃/分で110℃〜30℃での結晶化、30℃で5分間の熱平衡、3℃/分で30℃〜140℃での溶出である。結晶化中の流量は0.052mL/分である。溶出中の流量は0.50mL/分である。データは1データポイント/秒で収集する。
CEFカラムは、0.125−インチ(0.3175−cm)のステンレスチューブを備え、Dow Ch−emical Companyによって、125μm±6%のガラスビーズ(MO−SCI Specialty Products)で充填されている。ガラスビーズは、Dow Chemical Companyからの要求によりMO−SCI Specialtyによって酸洗浄される。カラム容量は、2.06mLである。カラム温度較正は、ODCB中のNIST標準参照物質線状ポリエチレン1475a(1.0mg/mL)およびエイコサン(2mg/mL)の混合物を用いて行う。NIST線状ポリエチレン1475aが101.0℃でピーク温度を有し、エイコサンが30.0℃のピーク温度を有するように、溶出加熱速度を調節することによって温度を較正する。CEFカラム分解能は、NIST線状ポリエチレン1475a(1.0mg/ml)とヘキサコンタン(Fluka、purum、≧97.0%、1mg/mL)との混合物を用いて計算される。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
以下の手順に従って、エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマーを、それらの特性についてGPCにより試験した。GPCシステムはWaters(Milford、MA)からなる。オンボード示差屈折計(RI)を備えた150℃高温クロマトグラフ(他の好適な高温GPC機器としては、Polymer Laboratories(Shropshire、UK)モデル210およびモデル220が挙げられる)。追加の検出器としては、Polymer ChAR(Valencia,Spain)製のIR4赤外線検出器、Precision Detector(Amherst,Mass.)2角度レーザー光散乱検出器モデル2040、およびViscotek(Houston,Tex.)150R4−毛管溶液粘度計を挙げることができる。最後の2つの独立した検出器と、少なくとも1つの最初の検出器と、を有するGPCは、時に「3D−GPC」と称されるが、用語「GPC」単独では一般に従来のGPCを指す。試料に応じて、光散乱検出器の15度または90度のいずれかが計算のために使用される。
データ収集は、Viscotek TriSEC software,Version 3および4−channel Viscotek Data Manager DM400を使用して行う。このシステムには、Polymer Laboratories(Shropshire,UK)製のオンライン溶媒脱気機器も備わっている。4つの長さ30cmのShodex HT803 13ミクロンカラムまたは4つの20ミクロンの混合細孔サイズで充填された30cmのPolymer Labカラムなどの好適な高温GPC(MixA LS、Polymer Lab)カラムを使用することができる。試料のカルーセルコンパートメントを140℃で操作し、カラムコンパートメントは150℃で操作する。50ミリリットルの溶媒中0.1グラムのポリマーの濃度で試料を調製した。クロマトグラフ溶媒および試料調製溶媒は、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する。両方の溶媒を窒素でスパージした。ポリエチレン試料を160℃で4時間穏やかに撹拌する。注入量は200マイクリットル(μL)である。GPCを通る流速は、1mL/分に設定される。
効率の測定
触媒効率は、溶液重合プロセスにおいて使用される触媒の量に対して、生成されたポリマーの量に関して測定する。その重合温度は少なくとも130℃である。
実施例を実行する前に、21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準を実行することによって、GPCカラムセットを較正する。標準の分子量(Mw)は、1モルあたり580〜8,400,000グラム(g/mol)の範囲であり、標準は6つの「カクテル」混合物に含有される。各標準混合物は、個々の分子量間で少なくとも10の分離を有している。標準混合物は、Polymer Laboratories(Shropshire,UK)から購入する。ポリスチレン標準は、1,000,000g/mol以上の分子量とするには50mLの溶媒中0.025gで調製し、1,000,000g/mol未満の分子量とするには50mLの溶媒中0.05gで調製する。ポリスチレン標準を、80℃で30分間、静かに撹拌しながら溶解した。狭い標準混合物を、最初に実行し、分解を最小限に抑えるために、最高分子量(Mw)成分が減少する順に実行する。ポリスチレン標準ピーク分子量は、Mark−Houwink定数を用いてポリエチレンMwに変換される。定数を得たら、溶出カラムの関数としてのポリエチレン分子量およびポリエチレン固有粘度に関する2つの線形基準通常較正(linear reference conventional calibrations)を構築するために2つの値を使用する。
特許請求の範囲に記載の主題の趣旨および範囲から逸脱することなく、説明した実施形態に様々な修正を加えることができることが当業者には明らかであろう。したがって、本明細書は、そのような変更および変形が添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内に入る限り、記載した実施形態の変更および変形をカバーすることが意図される。