JP2020508167A - 慣性ダンパを備えた往復動手術器具 - Google Patents

慣性ダンパを備えた往復動手術器具 Download PDF

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ディーン ジョシュア
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Abstract

手持ち式往復動手術器具は、往復動手術器具のダイヤフラム組立体の運動量を打ち消すために慣性ダンパを含み得る。慣性ダンパの運動量は、慣性ダンパの運動量がダイヤフラム組立体の運動量に対して大きさが同等であり、方向が反対であるように調整され得る。ダイヤフラム組立体は、切断器具を含み得る。ダイヤフラム組立体および慣性ダンパの組み合わせられた運動量は、正味運動量の低減をもたらす可能性があり、これは外科医が触覚的に経験する往復動手術器具の振動を低減し得、それにより外科医の快適性が改善される。

Description

本開示は、慣性ダンパを有する往復動手術器具に関し、より具体的には、慣性ダンパを有する硝子体切除プローブに関する。本開示はまた、慣性ダンパを備えた往復動手術器具を使用して眼科手術を実施する方法を開示する。
眼科手術は、毎年何万人もの患者の視力を保つためおよび改善するために眼に対して実施される。しかしながら、眼の中のわずかな変化に対する視力の敏感さおよび多くの眼の構造の精巧で繊細な性質を考えると、眼科手術は実施が困難であり、軽微またはまれな手術ミスの低減または手術手技の精度または正確さのほんのわずかな改善は手術後の患者の視力に大きな違いをもたらす可能性がある。
硝子体網膜手術、一種の眼科手術は、硝子体液および網膜など眼の内部部分を伴う様々な繊細な処置を包含する。黄斑上膜;糖尿病性網膜症;硝子体出血;斑円孔;網膜剥離;白内障手術の合併症;または他の眼疾患を含む多くの眼疾患の治療において視覚的感覚能力を改善するために、様々な硝子体網膜手術が用いられている。
硝子体網膜手術中、眼科医は通常、角膜を通して眼の内部の眼底を観察するために外科用顕微鏡を使用し、その間、強膜を貫通する手術用具を導入して、様々な異なる手技のいずれかを実行することができる。外科用顕微鏡は、硝子体網膜手術中に画像化および任意選択的に眼底の照明を提供し得る。硝子体網膜手術中、患者は典型的には手術用顕微鏡の下に仰向けになり、眼を露出させ続けるために開瞼器が使用される。
硝子体網膜手術などの現代の眼科手術は、通常、特殊な外科用プローブ;輸液ポンプ;空気圧バルブ;空気圧ポンプ;空気圧コンプレッサ;アスピレータ;照明源;冷却ファン;レーザ;または他の機器などの複雑な機器を用いて実施される。硝子体網膜手術で使用される外科用プローブは、往復動硝子体切除プローブを含み得る。いくつかの往復動硝子体切除プローブは、外科用プローブに含まれる往復動カッターのデューティサイクルの制御を可能にする二重空気圧作動入力を使用し得る。比較的高い切断速度で動作する外科用プローブは、使用中にかなりの振動を生じる可能性があり、これは不快であり得、また外科医の作業条件に悪影響を及ぼし得る。
本開示は、眼科手術において使用するための往復動手術器具を開示する。往復動手術器具は、ハウジング本体と、ハウジング本体内に形成された第1のチャネルと、ハウジング本体内に形成された第2のチャネルと、第1の質量を有するダイヤフラム組立体とを含み得る。ダイヤフラム組立体は、第1のダイヤフラムと手術用カッターとを含み得る。ダイヤフラムは、ダイヤフラム組立体を第1の方向に変位させるべく第1のチャネルを介して、およびダイヤフラム組立体を第1の方向とは反対の第2の方向に変位させるべく第2のチャネルを介して第1のダイヤフラムに適用される交互の空気圧に応答して第1の方向および第2の方向に往復運動し得る。ダイヤフラム組立体は、第1の方向および第2の方向に変位されているときに第1の運動量を有し得る。往復動手術器具はまた、慣性ダンパを含み得る。慣性ダンパは、慣性ダンパを第2の方向に変位させるべく第1のチャネルを介して、および慣性ダンパを第1の方向に変位させるべく第2のチャネルを介して慣性ダンパに適用される交互の空気圧に応答して第1の方向および第2の方向に往復運動し得る。慣性ダンパは第1の方向および第2の方向に変位されているときに大きさが第1の運動量以下の第2の運動量を有し得、第2の運動量と第1の運動量とは向きが正反対であり得る。
交互の空気圧が眼科手術システムから供給され得る。眼科手術システムは、空気圧パルスを互いに独立して第1のチャネルおよび第2のチャネルに提供するように構成された二重チャネル空気圧アクチュエータと、手術用カッターを通って延びる通路に真空を提供するように構成された吸引システムとを含み得る。往復動手術器具は、手持ち式手術器具であり得る。手持ち式手術器具は硝子体切除プローブである。手術用カッターは、毎秒最大1,000切断サイクルの速度で動作し得る。慣性ダンパは、ハウジング本体に形成された密閉チャネル内を往復運動するように構成された自由質量を含み得る。摺動質量ダンパは、第1のダイヤフラムと同じサイズの第2のダイヤフラムを含み得る。手術用カッターは、その中心軸に沿って第1のダイヤフラムに固定され得る。慣性ダンパは、第1のダイヤフラムよりもサイズが小さい第2のダイヤフラムを含み得る。慣性ダンパは、第1の質量以下の第2の質量を有する金属部分を含み得る。
本開示の範囲はまた、往復動手術器具を操作するための方法を含む。方法は、交互の空気圧パルスに応答して往復動手術器具のダイヤフラム組立体を往復運動させることを含み得る。ダイヤフラム組立体は、主質量を形成し、往復運動の第1の方向および第1の方向とは反対の第2の方向のそれぞれに移動するときに第1の運動量を有し得る。この方法はまた、交互の空気圧パルスに応答して慣性ダンパを往復運動させることを含み得る。慣性ダンパは、往復運動の第1の方向および第2の方向のそれぞれに移動するときに第1の運動量以下の第2の運動量を有し得る。第1の運動量と第2の運動量とは向きが正反対であり得る。
ダイヤフラム組立体は、第1のダイヤフラムと手術用カッターとを含み得る。ダイヤフラム組立体を往復運動させることは、第1のダイヤフラムを第2の方向に変位させるために第1のダイヤフラムの第1の側に空気圧パルスの第1の空気圧パルスを適用することと、第1のダイヤフラムを第1の方向に変位させるために第1のダイヤフラムの第2の側に空気圧パルスの第2の空気圧パルスを適用することとを含み得る。慣性ダンパは、第2のダイヤフラムを含み得る。慣性ダンパを往復運動させることは、第2のダイヤフラムを第1の方向に変位させるために第2のダイヤフラムの第2の側に第1の圧力パルスを適用することと、第2のダイヤフラムを第2の方向に変位させるために第1のダイヤフラムの第1の側に第2の圧力パルスを適用することとを含み得る。往復動手術器具は硝子体切除プローブであり得る。ダイヤフラム組立体は手術用カッターを含み得、手術用カッターは毎秒最大1,000切断サイクルの速度で動作し得る。慣性ダンパを往復運動させることは、往復動手術器具のハウジング本体内に形成された密閉チャネル内で自由質量を往復運動させることを含み得る。ダイヤフラム組立体は、第1のダイヤフラムと、第1のダイヤフラムにその中心軸に沿って固定された手術用カッターとを含み得る。第2のダイヤフラムは、第1のダイヤフラムよりも小さいサイズであり得る。副質量は主質量以下である。
前述の一般的な記載および以下の詳細な記載の両方は、本質的に例示的および説明的であり、本開示の範囲を限定することなく本開示の理解を提供することを意図していることを理解されたい。その点に関して、本開示のさらなる態様、特徴、および利点は、以下の詳細な記載から当業者には明らかであろう。
本開示ならびに本明細書に記載の関連する特徴および利点をより完全に理解するために、次に、添付の図面と併せて読まれる以下の記載を参照する。図面は一定の縮尺で描かれていない場合があり、図面中、同様の数字は同様の特徴を指す。
慣性ダンパを備えた往復動手術器具を用いて患者の目に対して眼科手術を行う外科医を示す。 例示的な摺動質量ダンパの概略図である。 別の例示的な摺動質量ダンパの概略図である。 別の例示的な摺動質量ダンパの概略図である。 さらなる例示的な摺動質量ダンパの概略図である。 ダイヤフラム慣性ダンパを含む例示的な往復動手術器具の概略図である。 ダイヤフラム慣性ダンパを含む例示的な往復動手術器具の詳細図の概略図である。 図3Aに示す手術器具の遠位端の詳細図である。 眼科手術中、慣性ダンパを備えた往復動手術器具を操作するための例示的な方法のフローチャートである。
本開示の原理の理解を促す目的で、ここで図面に示された実装を参照し、それを記載するために特定の用語を使用する。それにもかかわらず、本開示の範囲の限定は意図されていないことが理解されるであろう。記載された装置、用具、方法、および本開示の原理のいずれかのさらなる応用に対するいずれの変更およびさらなる修正も、本開示が関連する技術分野の熟達者が通常想起し得るように十分に考えられる。特に、一実装に関して記載した特徴、構成要素、および/またはステップは、本開示の他の実装に関して記載した特徴、構成要素、および/またはステップと組み合わせることができることが十分に考えられる。
本開示全体を通して、ハイフン付きの参照番号は、ある要素の特定の例を指し、ハイフン付きでない参照番号は、その要素を総称的または集合的に指す。したがって、例として(図示せず)、装置「12−1」は、ある装置クラスの一例を指し、その装置クラスは集合的に装置「12」と呼ばれることがあり、そのうちのいずれか1つは総称的に装置「12」と呼ばれることがある。図面および記載では、同様の番号は同様の要素を表すことを意図している。
往復運動する主質量を含む往復動手術器具は、慣性ダンパを用いて実践することができる。例えば、慣性ダンパは硝子体切除プローブである手術器具に使用されてもよく、ここで往復運動する主質量を表す往復運動カッターは患者の眼の硝子体の小さな部分を切除するように動作可能である。本明細書に記載のいくつかの実装と共に使用することができる硝子体切除プローブの一例は、Alcon Laboratories,Inc.(所在地:6201 South Freeway,Fort Worth,Texas 76134)によって製造されるULTRAVIT(登録商標)手術用プローブである。一般に、硝子体切除プローブは比較的高い切断速度で動作し得る。しかしながら、本開示は硝子体切除プローブにも高切断速度硝子体切除プローブにも限定されない。いくつかの実装では、本明細書に記載の慣性ダンパは、より低い切断速度の硝子体切除プローブ、より低い切断速度で動作する高切断速度硝子体切除プローブ、または主質量もしくは他の往復運動部品が様々な往復運動速度のいずれかで往復運動する硝子体網膜もしくは他の眼科手術で使用するための他の手術器具と共に使用され得る。さらに、本開示の範囲は眼科学に限定されない。むしろ、本明細書に記載の原理は他の医療分野にも適用可能であり得る。
本明細書に記載の慣性ダンパは、往復動手術器具内の主質量の運動量を機械的に打ち消すために逆方向に往復運動する副質量を含み得る。本開示はそのように限定されないが、いくつかの実装では、往復動手術器具内の主質量が二重空気圧作動入力を使用して空気圧式に作動される場合、慣性ダンパ内の副質量は同じ二重空気圧作動入力によって、しかし主質量の運動量を弱めるように反対の運動方向に作動され得る。このようにして、慣性ダンパを有する往復動手術器具によって発生し、往復動手術器具を保持している外科医によって触覚的に知覚される全体的な振動を減少させることができ、これは望ましいことである。
したがって、開示された往復動手術器具は、往復動手術器具を操作する外科医に与えられる振動、ならびに患者に伝達される振動など、往復運動のあらゆる悪影響を軽減し得る慣性ダンパを含む。本明細書に開示されている慣性ダンパを備えた往復動手術器具は、比較的高い往復速度で、例えば硝子体切除プローブが高い切断速度で操作されるときに、使用することができる。往復動手術器具の振動は悪影響として知覚されることがあり、往復動手術器具を使用する外科医の作業条件に悪影響を及ぼす可能性がある。
往復動手術器具100が使用され得る1つの方法が図1に示されており、ここで外科医120が本明細書に開示される慣性ダンパを含む往復動手術器具100を使用して患者130の眼104に対して眼科手術を実施している。図1では、開瞼器140を使用して眼104を露出し、コンタクトレンズ150を眼104上の所定の位置に保持し、外科用顕微鏡102と視覚的に位置合わせして眼104の内部構造の視覚化を容易にする。外科医120は、眼104の内部構造に対して手術を行うために往復動手術器具100を使用する。
例えば、往復動手術器具100が硝子体切除プローブである場合、外科医120は、往復動手術器具100を使用して、用具の機械的作用を含む物理的接触に非常に敏感な網膜などの近くの眼の構造との相互作用を避けながら、実質的に硝子体のみを除去するように注意しつつ、通常は眼104の内部を満たす透明なゲル状の硝子体を除去し得る。外科医120はまた、過度のレベルで潜在的に有害であり得る、硝子体を視覚化するのに使用される光への網膜の露出を制限するようにできるだけ早く眼104から硝子体を除去することを所望し得る。外科医の手122の安定性および往復動手術器具100をミリメートルまたはサブミリメートルの精度で方向付ける外科医の能力は、硝子体切除術の成功または硝子体網膜手術の成功に重要な役割を果たし得る。
しかしながら、外科医が、本明細書の開示内容に従う慣性ダンパを含まない異なる往復動手術器具を使用している場合、正味の機械的振動が発生し、外科医の指先などによって外科医の手122に触覚的に知覚されるかもしれない。振動は外科医120の気をそらす可能性があり、手術を行うことをより困難にし、そして疲労または不快感を引き起こすなどの他の悪影響を及ぼす可能性がある。さらに、そのような振動エネルギーは、眼球組織に伝達され得、そして眼104に損傷をもたらす恐れがある。
対照的に、外科医120が本明細書に開示されるような慣性ダンパを備えた往復動手術器具100を使用しているとき、生成される振動のレベルは実質的に低減され得る。例えば、慣性ダンパが存在して動作しているときでさえ、いくらかの全体的な振動が依然として発生する可能性があるが、全体的な振動は、慣性ダンパなしの往復動手術器具における機械的振動よりも低い振幅を有するだろう。結果として、慣性ダンパを備えた往復動手術器具100からの振動は、外科医120によって触覚的に知覚不可能であり得る、または外科医120によってわずかな振動として触覚的に知覚され得る。外科医120は、往復動手術器具100が硝子体切除プローブ以外の種類の手術器具であるとき、および/または外科医120が硝子体切除術または硝子体網膜手術以外の眼科手術を行っているとき、機械的振動の触覚的知覚において同様の減少を経験し得る。
図1に示すように、往復動手術器具100は、二重空気圧作動入力に対応する構成で示されている。したがって、往復動手術器具100は、複数の管110−1、110−2、および110−3に接続されて示されている。図1に示す実装では、2つの例示的な管110−1および110−2は、主質量の往復運動を協調して作動させるために圧縮空気または別のガスなどの加圧ガスを往復動手術器具100に提供する二重空気圧作動入力を表し得る(図2A、2B、2C、2D、3Aおよび3Bも参照)。以下の記載では圧縮空気に言及しているが、様々な実装において圧縮空気の代わりに別のガスを使用できることが理解されよう。管110−1、110−2への加圧ガス供給の協調は、外部手術装置(図示せず)、例えば管110−1、110−2への圧力パルスを交互にするための対応する空気圧式アクチュエータを含む手術装置によって制御することができる。したがって、第1の管110−1は、主質量の1つの方向への移動を作動させるために圧縮空気を供給することができ、第2の管110−2は、主質量の往復動作を生成するために、反対方向への主質量の移動を作動させるために圧縮空気を供給することができる。さらに、チューブ110−1および110−2は、(図2A、2B、2C、2D、3A、および3Bに示されるものなど)往復動手術器具100の副質量(例えば慣性ダンパ)の逆方向の往復運動を作動させることができる。さらに、眼から物質を除去するために、第3の管110−3を使用して、往復動手術器具100の中央開口部を介して真空を適用することができる。例えば、第3の管110−3は、外科手術中に切り取られた物質を除去するために使用されてもよい。したがって、第3の管110−3(吸引ラインとも呼ばれる)は、例えば切断中に除去される物質の所望の吸引速度に合わせて調整され得る、特定量の負圧を提供する真空ポンプに接続されてもよい。一例では、往復動手術器具100が硝子体切除プローブである場合、硝子体切除術中に所望の吸引速度を達成するために外科医によって負圧(または真空)が調整されてもよい。
往復動手術器具100は、2つの圧縮空気チャネルを有する空気圧式アクチュエータを使用するものとして図2A、2B、2C、3A、および3Bに詳細に記載されているが、異なる実装において他の種類の空気圧式アクチュエータが使用されてもよい。例えば、本明細書に記載の方法および実装は、2つの外部管接続部110(単一の圧縮空気管および吸引管)と共に使用できる、リターンストローク用のばね機構を有する単一チャネル空気圧アクチュエータ(図2D参照)と共に使用することができる。
図1に示すように、往復動手術器具100は、本明細書に開示されているように慣性減衰を含むことができ、往復動手術器具100の往復動作中に発生する機械的振動を内部的に打ち消すことができる。往復動手術器具100内に実装される慣性減衰は、以下でさらに詳細に記載されるように、切断工具が往復運動するときに逆往復運動する往復動手術器具100内に含まれる副質量を含み得る。言い換えれば、副質量は、往復動手術器具100の主往復質量の勢いを機械的に打ち消すために、主質量(例えば、切断工具)と正確に半サイクル位相をずらして往復運動する。副質量の質量は主質量に匹敵し得る。本明細書に開示されるように、慣性減衰システムは往復動手術器具100と機械的に一体化され得るので、外部操作または制御入力は通常ユーザによって提供されず、慣性減衰システムは、以下でさらに詳細に記載されるように、往復動手術器具100内で切断器具を作動させる同じ空気チャネルおよび圧縮空気供給によって自動的に作動される。
図2Aは、図1に示される往復動手術器具100などの往復動手術器具において慣性ダンパとして使用され得る摺動質量ダンパ200−1の一例の選択された要素を示す。図2Aは概略断面図であり、一定の縮尺または遠近法に従って描かれていない。図2Aの摺動質量ダンパ200−1は、第1のチャネル202および第2のチャネル204が中に形成されたハウジング本体208と、副質量206とを含む。
図2Aにおいて、ハウジング本体208は、金属;ポリマー;セラミック;それらの任意の組み合わせなどの材料;または他の任意の所望のまたは適切な材料で作られた中実本体であり得る。ハウジング本体208は、往復動手術器具100と一体的に形成され得る、またはその中に配置され得る。摺動質量ダンパ200−1内に示されるように、ハウジング本体208は、互いに整列する第1のチャネル202および第2のチャネル204を含む。いくつかの実装では、第1のチャネル202および第2のチャネル204は、ハウジング本体208内に同一直線上に形成され得る。図2Aに示されるように、第1のチャネル202および第2のチャネル204は、摺動質量ダンパ200−1のハウジング本体208内の対称中心線211に沿って同一直線上に配置される。第1のチャネル202および第2のチャネル204はそれぞれ中央チャンバ207の第1の端部および第2の端部に配置される。いくつかの実装では、第1のチャネル202および第2のチャネル204は円筒形チャネルであり得るが、第1のチャネル202および第2のチャネル204の他の形状および幾何学的形状が様々な実装において使用されてもよい。第1のチャネル202および第2のチャネル204は、図1に関して上述した管110−1および110−2などのそれぞれの圧縮空気源に独立して接続することができ、それによって、二重作動入力を摺動質量ダンパ200−1に提供することができる。
図2Aでは、第1のチャネル202および第2のチャネル204は、中央チャンバ207と流体連通し、中央チャンバ207はハウジング本体208内に形成され、その中で副質量206が第1の方向210および第1の方向210と反対の第2の方向220において自由質量として往復運動することができる。圧縮空気が第1のチャネル202を介して中央チャンバ207に供給されると、副質量206は第2の方向220に移動する。圧縮空気が第2のチャネル204を介して中央チャンバ207に供給されると、副質量206は第1の方向210に移動する。図示のように、摺動質量ダンパ200−1は、外部から調整および制御される二重空気圧作動入力と共に使用することが企図されている。摺動質量ダンパ200−1は、様々な範囲の圧縮空気の圧力および流速に対処するように寸法決めされてもよいことに留意されたい。
摺動質量ダンパ200−1は、図示されていない追加の特徴をさらに含むことができる。いくつかの実装では、摺動質量ダンパ200−1は、結合具、ガイド、または副質量206をハウジング本体208内に挿入または保持するために使用される他の機構を含み得る。副質量206が円筒形の場合、いくつかの実装では、チャネルまたはスロットなどの機構を使用して、対称中心線211周りの副質量206の回転を防止することができる。
副質量206が中央チャンバ207の内面と接触するところはどこでも界面が存在する。いくつかの実装では、界面は、毎秒最大1,000サイクルの往復頻度での副質量206の往復運動を支持するのに十分な冷却および/または潤滑を伴う低摩擦界面であり得る。例えば、副質量206の外面もしくは中央チャンバ207の内面、またはその両方は低摩擦材料で被覆することができる。例えば、副質量206の外面もしくは中央チャンバ207の内面、またはその両方は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)または低摩擦係数を示す他の材料で被覆することができる。
典型的には、副質量206は、摺動質量ダンパ200−1を含む往復動手術器具100内の主質量(図示せず)以下の質量を有する、またはそれとほぼ同じ質量を有する。摺動質量ダンパ200−1のサイズを制御するために、副質量206は主質量よりも密度の高い材料から形成されてもよい。例えば、摺動質量ダンパ200−1のサイズは、副質量206を高密度材料、例えば主質量よりも高い密度を有する材料から形成することによって縮小することができる。副質量206を形成するために選択される材料は、副質量206の所望の最終サイズに基づいて決定されてもよい。摺動質量ダンパ200−1は往復動手術器具100内に配置されてもよく、副質量206は、副質量206が逆往復運動するときに副質量206が主質量の運動量と概ね反対の運動量を有するように概ね寸法決めされ、配置され得る。このようにして、往復動手術器具100の正味の運動量および正味の機械的振動が低減される。
副質量206の寸法および位置は、主質量と比較した場合の副質量206の相対密度によって影響され得る。例えば、副質量206が鋼などの高密度金属から形成され、主質量がより低い密度のポリマーから形成される場合、副質量206および中央チャンバ207の寸法はそれぞれ主質量および主質量の対応するチャンバより小さくてもよい。図3Bは、主質量および副質量206を形成する材料の密度が主質量および副質量206のサイズに著しい差をもたらす例を示す。
ここで図2Bを参照すると、図1に示されている往復動手術器具100などの往復動手術器具において慣性ダンパとして使用することができる摺動質量ダンパ200−2の例の選択された要素が示されている。図2Bは概略断面図であり、一定の縮尺または遠近法に従って描かれていない。図2Bの摺動質量ダンパ200−2は、第1のチャネル202および第2のチャネル204が中に形成されたハウジング本体208と、副質量206とを含む。図2Bの摺動質量ダンパ200−2において、図2Aの摺動質量ダンパ200−1と比較して、第1のチャネル202および第2のチャネル204の代替構成が示されている。その他の点では、図2Bの摺動質量ダンパ200−2の要素、使用、動作、構造、または任意選択の特徴のいずれも、図2Aの摺動質量ダンパ200−1に関して上述したものと同じであり得る。
図2Bでは、第1のチャネル202および第2のチャネル204は両方とも、副質量206が移動する第1の方向210および第2の方向220にほぼ垂直な位置でハウジング本体208内に配置されている。図2Bの摺動質量ダンパ200−2に示されるように、第1のチャネル202および第2のチャネル204は中央チャンバ207の共通面218に配置されている。
図2Bでは、第1のチャネル202および第2のチャネル204は、中央チャンバ207と流体連通し、中央チャンバ207はハウジング本体208内に形成され、その中で副質量206が第1の方向210および第1の方向210と反対の第2の方向220において自由質量として往復運動することができる。圧縮空気が第1のチャネル202を介して中央チャンバ207に供給されると、副質量206は第2の方向220に移動する。圧縮空気が第2のチャネル204を介して中央チャンバ207に供給されると、副質量206は第1の方向210に移動する。図示のように、摺動質量ダンパ200−2は、外部から調整および制御される二重空気圧作動入力と共に使用することが企図されている。摺動質量ダンパ200−2は、様々な範囲の圧縮空気の圧力および流速に対処するように寸法決めされてもよいことに留意されたい。
図2Aおよび2Bは、第1のチャネル202および第2のチャネル204の潜在的な実装を示しているが、他の多数の実装が可能である。例えば、第1のチャネル202および第2のチャネル204は、いくつかの実装では中央チャンバ207の両側に配置されてもよい。様々な実装では、第1のチャネル202および第2のチャネル204は、中央チャンバ207に対して傾斜をなしてもよい。特に、第1のチャネル202および第2のチャネル204の一方または両方の中心線は、図2Aに示される中心対称線211と斜めの角度をなしてもよい。
ここで図2Cを参照すると、図1に示されている往復動手術器具100などの往復動手術器具と共に慣性ダンパとして使用することができる摺動質量ダンパ200−3の一例の選択された要素が示されている。図2Cは概略断面図であり、一定の縮尺または遠近法で描かれていない。図2Cの摺動質量ダンパ200−3は、第1のチャネル202および第2のチャネル204が中に形成されたハウジング本体208と、ハウジング本体208内に形成された中央チャンバ207内に配置された副質量206とを含む。
図2Cに示す摺動質量ダンパ200−3は、摺動質量慣性ダンパ200−2と比較して代替の実装である。摺動質量ダンパ200−3。具体的には、摺動質量慣性ダンパ200−3は、往復動手術器具100などの往復動手術器具と一体的に形成されるか、またはその中に配置されるハウジング本体208を含み得る。他の点では、摺動質量ダンパ200−3の要素、使用、動作、構造または任意選択の特徴のいずれも、図2Aに示す摺動質量ダンパ200−1に関して上述したものと同じであり得る。しかしながら、摺動質量慣性ダンパ200−3は、本明細書に開示されるように、慣性減衰のない往復動手術器具のための外部装置として形成されたハウジング本体208を含み得る。したがって、摺動質量慣性ダンパ200−3は、慣性減衰およびそれに対応する振動の低減をもたらすために、二重空気圧作動入力を有する従来の往復動手術器具と遡及的に適合する追加または別個の装置として使用され得る。
具体的には、図2Cの摺動質量慣性ダンパ200−3は、第1の経路222に沿って圧縮空気を輸送する通過チャネル212と、第2の経路224に沿って圧縮空気を輸送する通過チャネル214とを含む。第2の経路224は第1の経路222から独立している。一例では、通過チャネル212は第1の管110−1(図1に示す)を使用して接続することができ、通過チャネル214は第2の管110−2(同じく図1に示す)を使用して接続することができる。第1の管110−1および第2の管110−2は、その近位端で、それぞれ、第1および第2のタブ110−1、110−2に供給される加圧ガスの協調性を制御する外部手術装置に結合されてもよい。いくつかの実装では、外部手術装置は、Alcon Laboratories,Inc.(所在地:6201 South Freeway,Fort Worth,Texas 76134)によって製造されているConstellation(登録商標)Vision Systemなどの手術用コンソールであってもよい。第1および第2の管110−1、110−2の遠位端は、それぞれの第1および第2の通過チャネル212、214に結合されてもよい。このようにして、摺動質量ダンパ200−3は、往復動手術器具を駆動する既存の機器と共に使用することができる。
第1および第2の通過チャネル212、214の出力部において、通過チャネル212、214の機械的結合部(図示せず)が、往復動手術器具に固定式外部アタッチメントを提供し得、その結果、本明細書に開示されているように、往復動手術器具と摺動質量ダンパ200−3との間の運動量の十分な伝達が慣性減衰のために生じる。例えば、摺動質量ダンパ200−3は、通過チャネル212、214が往復動手術器具の対応する空気入り口と整列するように、往復動手術器具の所与のモデルまたは実装に合うように特に寸法決めされてもよい。いくつかの実装では、摺動質量ダンパ200−3は、吸引ラインに接続を提供するために第3の通過チャネル(図示せず)を含み得る。
図2Cでは、通過チャネル212は第1のチャネル202と流体連通し、通過チャネル214は第2のチャネル204と流体連通する。第1のチャネル202および第2のチャネル204は両方とも、副質量206が移動する第1の方向210および第2の方向220に対してほぼ垂直な位置でハウジング本体208内に配置されている。第1の方向210および第2の方向220は、概して、往復動手術器具における主質量の運動方向に対応する。摺動質量ダンパ200−3の異なる実装において、通過チャネル212および通過チャネル214の異なる向きを使用することができることに留意されたい。さらに、他の実装では、第1の方向210および第2の方向220は、平行であり得るが、主質量の運動に対してオフセットされる;主質量の運動方向から角度的にオフセットされる;あるいは他の方法で主質量の運動方向とは無関係に方向付けられる。
図2Cでは、第1のチャネル202および第2のチャネル204は、中央チャンバ207と流体連通し、中央チャンバ207はハウジング本体208内に形成され、その中で副質量206が第1の方向210および第1の方向210と反対の第2の方向220において自由質量として往復運動することができる。圧縮空気が第1のチャネル202を介して中央チャンバ207に供給されると、副質量206は第2の方向220に移動する。圧縮空気が第2のチャネル204を介して中央チャンバ207に供給されると、副質量206は第1の方向210に移動する。図示のように、摺動質量ダンパ200−3は、外部から調整および制御される二重空気圧作動入力と共に使用することが企図されている。摺動質量ダンパ200−3は、様々な範囲の圧縮空気の圧力および流速に対処するように寸法決めされてもよいことに留意されたい。
次に図2Dを参照すると、摺動質量ダンパ200−4の一例の選択された要素が示されている。摺動質量ダンパ200−4は往復動手術器具と共に慣性ダンパとして使用され得る。図2Cは概略断面図であり、一定の縮尺または遠近法で描かれていない。図2Dの摺動質量ダンパ200−4は、第1のチャネル202と中央チャンバ207とが中に形成されたハウジング本体208を含む。摺動質量ダンパ200−4はまた、中央チャンバ207内に配置されその中で往復運動可能な副質量206も含む。図2Dに示す摺動質量ダンパ200−4は、図2Cに示す摺動質量ダンパ200−3と対比をなす代替実装である。具体的には、摺動質量慣性ダンパ200−4は、(一方向に作動させるための)単一の空気圧作動入力を受け入れるように実践されかつ(逆方向に戻すための)機械的ばねを含む往復動手術プローブと共に使用できる、またはその中に含めることができる。他の点では、摺動質量ダンパ200−4の要素、使用、動作、構造または任意選択の特徴のいずれも、図2Cに示す摺動質量ダンパ200−3に関して上述したものと同じであり得る。したがって、摺動質量慣性ダンパ200−4は、本明細書に開示されるように、慣性減衰のない往復動手術器具用の外部装置として形成されたハウジング本体208を含み得る。したがって、摺動質量慣性ダンパ200−4は、慣性減衰およびそれに対応する振動の低減をもたらすために、単一空気圧作動入力を有する従来の往復動手術器具と遡及的に適合する追加または別個の装置として使用され得る。
具体的には、摺動質量慣性ダンパ200−4は、第1の経路222に沿って圧縮ガス(例えば、圧縮空気)を輸送する通過チャネル212を含む。一例では、通過チャネル212は第1の管110−1を使用して接続することができる。このようにして、摺動質量ダンパ200−4は、例えば図1に示す往復動手術器具100などの往復動手術器具を駆動する既存の機器と共に使用することができる。第1の管110−1または第2の管110−2と同様の空気圧管が、往復動手術器具への加圧ガスの適用を制御する外部手術装置に近位端で結合されてもよい。いくつかの例では、外部手術装置は、例えば、上述のような手術用コンソールであり得る。空気圧管の遠位端は、通過チャネル212に結合されてもよい。
通過チャネル212の出力部において、通過チャネル212の機械的結合部(図示せず)が、往復動手術器具に固定式外部アタッチメントを提供し得、その結果、本明細書に開示されているように、往復動手術器具と摺動質量ダンパ200−4との間の運動量の十分な伝達が慣性減衰のために生じる。例えば、摺動質量ダンパ200−4は、通過チャネル212が往復動手術器具の対応する空気入口と整列するように、往復動手術器具の所与のモデルまたは実装に合うように特に寸法決めされてもよい。いくつかの実装では、摺動質量ダンパ200−4は、吸引ラインに接続を提供するために第2の通過チャネル(図示せず)を含み得る。
図2Dでは、通過チャネル212は第1のチャネル202と流体連通する。第1のチャネル202は、副質量206が移動する第1の方向210および第2の方向220に対してほぼ垂直な位置でハウジング本体208内に配置されている。第1の方向210および第2の方向220は、概して、往復動手術器具における主質量の運動方向に対応する。摺動質量ダンパ200−4の異なる実装において、通過チャネル212の異なる向きを使用することができることに留意されたい。さらに、他の実装では、第1の方向210および第2の方向220は、平行であり得るが、往復動手術器具の主質量の運動に対してオフセットされる;主質量の運動方向から角度的にオフセットされる;あるいは他の方法で主質量の運動方向とは無関係に方向付けられる。
図2Dでは、第1のチャネル202は中央チャンバ207と流体連通し、中央チャンバ207はハウジング本体208内に形成される。副質量206は中央チャンバ207内に配置され、中央チャンバ207内で、第1の方向210および第1の方向210と反対の第2の方向220に自由質量として往復運動することができる。圧縮空気などの圧縮ガスが第1のチャネル202を介して中央チャンバ207に供給されると、副質量206は第1の方向210に移動する。結果として、機械的ばね216は圧縮される。加圧ガスの空気圧が除去されると、圧縮された機械的ばね216は伸張して副質量206を第2の方向220に移動する。示されるように、摺動質量ダンパ200−4は、外部から調整および制御される単一空気圧作動入力と共に使用することが企図されている。摺動質量ダンパ200−4は、様々な範囲の圧縮空気の圧力および流速に対処するように寸法決めされてもよいことに留意されたい。第1のチャネル202および機械的ばね216に対する副質量206の特定の移動の向きが示されているが、異なる実装において異なる向きおよび配置が副質量の往復運動をもたらし得ることは理解されよう。
図3Aは、ダイヤフラム慣性ダンパ306を含む往復動手術器具100−1の断面図を示す。図3Aは、必ずしも一定の縮尺または遠近法で描かれているわけではない。図3Aに示されるように、往復動手術器具100−1の特定の態様は、中心軸311に関して回転対称であり得る。図3Aにおいて、往復動手術器具100−1は、上述のULTRAVIT(登録商標)手術プローブと同様であり得る。ULTRAVIT(登録商標)手術プローブと同様に、往復動手術器具100−1は、往復カッター302の二重空気圧作動を使用する硝子体切除プローブである。往復カッター302は、管303とカッターツール305とを含む。示される例では、遠位部分305は、管303の管腔309内に受容される。しかしながら、他の例では、管303および遠位部分305は、単一の一体部品であり得る。さらに他の実装では、遠位部分305と管303とは任意の所望の方法で接合することができる。
往復カッター302の遠位部分305は、管腔313を含み、ハウジング本体307に固定された外側管315内で移動可能である。管腔309および管腔313は、集合的に吸引経路を画定するためにポート318と流体連通し、吸引経路を介して、吸引された物質が往復動手術器具100−1を通り、そこから外へと搬送される。外側管315は、閉じた遠位端319と、外側管315の側壁321に形成されたポート317とを含む。遠位端305が往復運動するときに遠位端305によって切断されるように、物質はポート317を通って外側管315に入ることができる。したがって、遠位端305および外側管315は協働してギロチンタイプの方法で物質を切断する。切断された物質は、遠位部分305の管腔313および管303の管腔309を介して往復動手術器具100−1から吸引される。
図3Aでは、往復動手術器具100−1は、空気圧コネクタまたは継手を受容し得る第1のチャネル314および第2のチャネル316を有することを示している。例えば、第1のチャネル314は、それを通して空気圧が伝達され得る第1の管(例えば、図1に示される第1の管110−1)を受容し得る一方、第2のチャネル316は、それを通して空気圧が伝達され得る第2の管を受容し得る(例えば、同じく図1に示される第2の管100−2。したがって、第1のチャネル314および第2のチャネル316は、前述の二重空気圧作動を容易にするためにそれらを介して圧縮空気を受け入れることができる2つの独立した圧縮空気チャネルを表すことができる。
図3Aに示すように、ダイヤフラム慣性ダンパ306に加えて、往復動手術器具100−1はまた、主ダイヤフラム304を含む。図示の例では、主ダイヤフラムの外周はハウジング本体307に固定されている一方、主ダイヤフラム304の内周は往復カッター302の管303に固定されている。往復カッター302と主ダイヤフラム304とは一緒になって主質量を形成している。主ダイヤフラム304は、中心軸311の周りに環状に配置され、中心軸311を中心としている。中心軸311はまた、往復カッター302の中心軸を定める。吸引された物質を往復動手術器具100−1から引き出すために、ポート318、管腔309、および管腔313に低圧または真空が適用される。遠位切断部分305は、切断器具302が両方とも中心軸311と平行である第1の方向330および第2の方向340にポート317を越えて外側管315内で往復運動する間に硝子体の小部分を切断することができる。
真空がポート318に適用されると、物質、そのような切断された硝子体は、往復カッター302の管腔309および313を通過して往復動手術器具100−1を出ることができる。ポート318を介して適用される真空は、例えばOリングシールであり得る環状シール310などの1つまたは複数のシールの使用を通して往復カッター302に限定され得る。他の実装は、往復動手術器具100−1からの物質の除去を可能にするための代替構造を提供し得る。
いくつかの実装では、往復動手術器具100−1のハウジング本体307は、単一の一体的に形成された構成要素であり得る。他の実施態様では、ハウジング本体307は、2つ以上の別々の構成要素から形成されてもよい。上述のように、主ダイヤフラム304は、図示のように、主ダイヤフラム304の外径または周囲でハウジング本体307に環状に固定することができる。他の実装では、主ダイヤフラム304は、他の方法でハウジング本体307に固定されてもよい。図示の実装では、往復カッター302は、主ダイヤフラム304に形成された中央開口を通って延び、主ダイヤフラム304の内周に固定される。様々な方法を使用して往復カッター302を主ダイヤフラム304に固定することができる。したがって、主ダイヤフラム304の動きは、往復カッター302の対応する動きを引き起こす。主ダイヤフラム304が第1の方向330に移動すると、往復カッター302は第1の方向330に移動する。主ダイヤフラム304が第2の方向340に移動すると、往復カッター302は第2の方向340に移動する。
往復動手術器具100−1はまた、中心軸311の周りに環状に配置され中心軸311を中心とするダイヤフラム慣性ダンパ306を含む。ダイヤフラム慣性ダンパ306は、副ダイヤフラムを表し、それを通って往復カッター302が延びる中央開口部を含む。ダイヤフラム慣性ダンパ306のシール312が、ダイヤフラム慣性ダンパ306と管303との間に配置され、管303がダイヤフラム慣性ダンパ306に対して低摩擦で動くことを可能にする低摩擦シールを形成する。
摺動シール312およびダイヤフラム慣性ダンパ306は一緒になって往復動手術器具100−1の副質量を形成する。ダイヤフラム慣性ダンパ306は、主ダイヤフラム304と同様に描写されるように、ダイヤフラム慣性ダンパ306の外径または周辺でハウジング本体307に環状に固定されてもよい。様々な実装において、ダイヤフラム慣性ダンパ306は、別の方法でハウジング本体307に固定されてもよい。
図示の実装では、シール312は、往復カッター302の管303の周りに環状に配置され、管303に対して流体シールを形成する。シール312は、往復カッター302がダイヤフラム慣性ダンパ306から独立して第1の方向330および第2の方向340に自由に動くことを可能にする。したがって、シール312は、低摩擦材料であるがそれでもなお連続動作を可能にするべく十分な耐摩耗性を有する低摩擦材料を使用して形成することができる。シール312は、任意の方法でダイヤフラム慣性ダンパ306に固定することができる。例えば、シール312は、接着剤、溶接でダイヤフラム慣性ダンパ306に接着されてもよく、あるいは他の場合では、ダイヤフラム慣性ダンパ306およびシール312は一体的に形成されてもよい。さらにまた、ダイヤフラム慣性ダンパ306およびシール312は、任意の方法で接合することができる。
図3Aに示すように、主ダイヤフラム304は、主ダイヤフラム304とダイヤフラム慣性ダンパ306とによって3つの別々のサブチャンバ324、325および326に分割されるチャンバ323内に配置される。サブチャンバ324および326は互いにおよび通路328を介して第1のチャネル324と流体連通している。サブチャンバ325は、通路329を介して第2のチャネル316と流体連通している。シール310および331が、サブチャンバ324の近位端に配置され、ハウジング本体307と管303との間に流体シールを提供するためにそれらの間に配置されている。いくつかの例では、シール310および331によって提供されるシールは、液密シールであり得る。他の例では、シール310および331によって提供されるシールは液密ではない可能性がある。シール308がサブチャンバ326の遠位端にかつハウジング本体307と管303との間に配置されてそれらの間に流体シールを形成する。いくつかの例では、シール308によって提供されるシールは液密シールであり得る。他の例では、シール308によって提供されるシールは液密ではない可能性がある。いくつかの例では、シール308、310、および331のうちのいずれか1つまたはすべては、Oリングシールであり得る。図示の例では、往復カッター302の管303に対してシールを形成するために2つの環状シール310および331が含まれている。しかしながら、他の実装では、1つ、2つ、または任意の数のシールを使用することができる。
図示のように、圧縮空気が第1のチャネル314に供給されると、圧縮空気は通路328を介してサブチャンバ324および326に流れ込み、主ダイヤフラム304および往復カッター302を第1の方向330に移動させ、ダイヤフラム慣性ダンパ306を第2の方向340に移動させる。圧縮空気が第2のチャネル316に供給されると、圧縮空気はサブチャンバ325に流れ込み、主ダイヤフラム304および切断器具302を第2の方向340に移動させ、ダイヤフラム慣性ダンパ306を第1の方向330に移動させる。したがって、圧縮空気(例えば、空気圧パルス)が、サブチャンバ324および326と、サブチャンバ325とに交互に供給されると、主ダイヤフラム304および切断器具302は往復運動し、その間ダイヤフラム慣性ダンパ306は逆往復運動する。したがって、ダイヤフラム304およびダイヤフラム慣性ダンパ306は同じ空気圧パルスに応答して互いに反対方向に動く。図3Aに示される往復動手術器具100−1の実装の結果として、切断器具302の往復運動とダイヤフラム慣性ダンパ306の逆往復運動とは、同じ二重入口圧縮ガスが主ダイヤフラム304およびダイヤフラム慣性ダンパ306に使用されるので、同じ頻度で生じる。ダイヤフラム304およびダイヤフラム慣性ダンパ306がこのように動くと、ダイヤフラム304およびダイヤフラム慣性ダンパ306のそれぞれの運動量は実質的にそれぞれ相殺され、手術中に往復動手術器具100−1によって発生する振動の量を低減する。
さらに、主ダイヤフラム304およびダイヤフラム慣性ダンパ306は同様に構成することができる。例えば、主ダイヤフラム304およびダイヤフラム慣性ダンパ306は、同様の密度の材料から構成されてもよく、および/または同様のサイズを有してもよい。その結果、主ダイヤフラム304およびダイヤフラム慣性ダンパ306は、同等のサイズおよび質量を有することができる。結果として、主ダイヤフラム304およびダイヤフラム慣性ダンパ306は、両方が同様の質量と、同じガス圧による作動に応答する同様の大きさの速度とを有するので、往復運動中に同等の運動量を有する。したがって、主ダイヤフラム304および切断器具302が変位されると、主ダイヤフラム304および切断器具302の組み合わせは、ダイヤフラム慣性ダンパ306によって示される運動量と大きさが同様であり得るが反対方向の運動量を示す。運動量は、主ダイヤフラム304と切断器具302との組み合わせがガスの同じ圧力パルスに対してダイヤフラム慣性ダンパ306の方向と反対の方向に移動するので、反対である。結果として、往復動手術器具100−1の正味の運動量は、手術中に減少する可能性がある。いくつかの実装では、正味の運動量はゼロ;ほぼゼロ;ダイヤフラム慣性ダンパ306を欠く同様に構成された往復動手術器具の正味運動量よりも少なくとも80%低い、または少なくとも90%低い可能性がある。正味運動量の減少は、図3Aの往復動手術器具100−1の振動の減少と、往復動手術器具100−1を保持している外科医によって知覚される触覚振動の対応する減少とをもたらし得る。
いくつかの実装では、主ダイヤフラム304および切断器具302から形成された主質量、ならびにダイヤフラム慣性ダンパ306および摺動シール312から形成された副質量は、同様の質量を有し得る。例えば、副質量は、主質量の少なくとも80%または少なくとも90%を有し得る。副質量が主質量より幾分大きいときでも、正味運動量の有用な減少が実現され得る。様々な実装において、主質量および副質量の両方は100mg未満;200mg未満;500mg未満;または750mg未満であり得る。しかしながら、本開示の範囲はそのように限定されない。むしろ、主質量および副質量は、所望のまたは選択された量であり得る。例えば、質量は750mgより大きくても100mg未満でもよい。図3Aの例示的な往復動手術器具100−1などの往復動手術器具において使用され得る1つの例において、切断器具302は、約350mgの質量を有し得る。ダイヤフラム慣性ダンパ306は、直径が7.5mm、厚さが1mmのステンレス鋼ディスクを含み得、その結果、質量は約350mgとなる。一般に、ダイヤフラム慣性ダンパ306の材料、直径、および厚さは、主ダイヤフラム304の質量と同様の質量を提供するように変えることができる。
往復動手術器具100−1は、図示されていないがそれにもかかわらず往復動手術器具100−1の形成または操作を容易にする追加の特徴をさらに含むことができる。例えば、上で説明したように、シール312と切断器具302との間に存在する界面は、低摩擦界面であり得る。往復動手術器具100−1に含まれる様々な界面は、毎秒最大1,000サイクルの往復運動頻度で切断器具302およびシール312の往復運動を支持することができる。例えば、シール312の内側環状表面、切断器具302の外側環状表面、または互いに界面を形成するその両方は、PTFEまたは類似の材料などの低摩擦材料でコーティングすることができる。
ここで図3Bを参照すると、ダイヤフラム慣性ダンパ320を含む別の例示的な往復動手術器具100−2の選択された要素が示されている。図3Bは、往復動手術器具100−2の中央断面図であるが、必ずしも一定の縮尺または遠近法で描かれているわけではない。図3Bに示されるように、往復動手術器具100−2の特定の態様は、中心軸311に関して回転対称であり得る。図3Bにおいて、往復動手術器具100−2は、往復動手術器具100−2が往復カッター302の二重空気圧作動を使用する硝子体切除プローブであるという点においてULTRAVIT(登録商標)手術プローブと同様であり得る。
図3Bにおいて、往復動手術器具100−2は、図3Aの往復動手術器具100−1に関して上述したものと多くの態様および特徴において類似している。しかしながら、往復動手術器具100−2では、中心軸311の周りに配置されて切断器具302によって貫通される副質量を有する代わりに、ダイヤフラム慣性ダンパ320がハウジング本体307内の中心軸から離れて配置され、切断器具302によって貫通されていない。さらに、主ダイヤフラム304および往復動手術器具100−2は、ハウジング本体307内に形成された共通のチャンバ内に配置されていない。代わりに、主ダイヤフラムは第1のチャンバ350内に配置され、ダイヤフラム慣性ダンパ320は第2のチャンバ352内に配置されている。したがって、往復動手術器具100−2は、図3Aに示す往復動手術器具100−1のシール312と同様のシールの必要性を排除する。さらに、往復動手術器具100−2において、ダイヤフラム慣性ダンパ320は、主ダイヤフラム304よりも密度の高い材料から形成されてもよく、図3Bの例示的な実装に示すように、主ダイヤフラム304よりも小さい寸法であってもよい。
往復動手術器具100−2は、空気圧コネクタまたは継手を受容し得る第1のチャネル314および第2のチャネル316を有することを示している。例えば、第1のチャネル314は第1の管110−1を受容し得る一方、第2のチャネル316は第2の管100−2(図1参照)を受容し得る。したがって、第1のチャネル314および第2のチャネル316は、前述の二重空気圧作動を容易にするためにそれらを介して圧縮空気が受容される2つの独立した圧縮空気チャネルを表すことができる。
図3Bに示されるように、図示されるように、主ダイヤフラム304は、主ダイヤフラム304の外径においてハウジング本体307に環状に固定されてもよい。様々な実装において、主ダイヤフラム304は他の方法でハウジング本体307に固定されてもよい。特に、図示の例では、主ダイヤフラム304の外周は、ハウジング本体307に固定されている。切断器具302の管303は主ダイヤフラム304に形成された中央開口部を通って延び、主ダイヤフラム304の内周に固定される。切断器具302を主ダイヤフラム304に固定するために様々な方法を使用することができる。したがって、主ダイヤフラム304が移動すると、対応して切断器具302が移動する。主ダイヤフラム304が第1の方向330に移動すると、切断器具302は第1の方向330に移動する。主ダイヤフラム304が第2の方向340に移動すると、切断器具302は第2の方向340に移動する。
切断器具302および主ダイヤフラム304は一緒になって主質量を形成する。主ダイヤフラム304は、中心軸311の周りに環状に配置され、中心軸311を中心にして置かれ、中心軸311は切断器具302の中心を同じく形成する。上で説明したように、切断器具302は、物質が吸引される通路309を画定する。通路309はポート318と流体連通しており、ポート318は前述のように低圧または真空を適用する吸引ラインを受け入れることができる。
ダイヤフラム慣性ダンパ320は、主ダイヤフラム304および切断器具302とは別に配置されている。ダイヤフラム慣性ダンパ320は、往復動手術器具100−2の副質量を形成する副ダイヤフラムを表している。ダイヤフラム慣性ダンパ320は、主ダイヤフラム304と同様に図示されるように、ダイヤフラム慣性ダンパ320の外径でハウジング本体307に環状に固定されてもよい。様々な実装において、ダイヤフラム慣性ダンパ320は、他の方法でハウジング本体307に固定されてもよい。図示のように、ダイヤフラム慣性ダンパ320はより高密度の材料を使用して形成することができるので、ダイヤフラム慣性ダンパ320は主ダイヤフラム304よりもサイズを小さく(場合によってはかなり小さく)することができる。例えば、主ダイヤフラム304および/または切断器具302がポリマー材料またはアルミニウムなどの比較的軽量の金属を用いて形成されるとき、ダイヤフラム慣性ダンパ320は鋼などのより重い金属を用いて形成されてもよく、主ダイヤフラム304および切断器具302の運動量を相殺するために同等の質量をなおも有し得る。
主ダイヤフラム304は、第1のチャンバ350を第1のサブチャンバ354と第2のサブチャンバ356とに分割する。ダイヤフラム慣性ダンパ320は第2のチャンバ352を第3のサブチャンバ358と第4のサブチャンバ360とに分割する。往復動手術器具100−2の動作中に相殺する運動量を提供するように、主ダイヤフラム304およびダイヤフラム慣性ダンパ320をオフセット方向に移動させるように、通路が第1および第2のチャンバ350および352を連結する。第1の通路362は第1のチャネル314と第1のサブチャンバ354との間の流体連通を提供し、第2の通路364は第1のチャネル314と第4のサブチャンバ360との間の流体連通を提供する。さらに、第3の通路366は第2のチャネル316と第2のサブチャンバ356と間の流体連通を提供する。第4の通路368は、第2のチャネル316と第3のサブチャンバ358との間の流体連通を提供する。図3Aの断面図では、通路368は2つの非連続部分として示されている。しかしながら、通路368は第1のチャンバ350の周りでハウジング本体307を通って引き回されるので、2つの部分は1つの連続通路を形成する。したがって、空気圧が第1のチャネル314を介して適用されると、空気圧は第1の通路362を通って第1のサブチャンバ354へ移動し、そして主ダイヤフラム304および切断器具302を第1の方向330に変位させる。同時に、第1のチャネル314からの空気圧は、第2の通路364を通って第4のサブチャンバ360内に伝達され、ダイヤフラム慣性ダンパ320を第1の方向とは反対の第2の方向340に変位させる。その結果、空気圧が第1のチャネル314に適用されると、主ダイヤフラム304およびダイヤフラム慣性ダンパ320は同時に反対方向に動く。第2のチャネル316に適用された空気圧は、第3の通路366を通って第2のサブチャンバ356に伝達され、そこで空気圧は主ダイヤフラム304および切断器具302を第2の方向340に変位させる。同時に、第2のチャネル316からの空気圧は第4の通路368を介して第3のサブチャンバ358に伝達され、そこで空気圧はダイヤフラム慣性ダンパ320を第1の方向に変位させる。その結果、空気圧が第2のチャネル316に適用されると、主ダイヤフラム304およびダイヤフラム慣性ダンパ320は再び同時に反対方向に動く。したがって、空気圧のパルスが第1のポート314および第2のポート316に交互に適用されると、主ダイヤフラム304およびダイヤフラム慣性ダンパ320は反対方向に往復運動するようにされる。すなわち、主ダイヤフラム304および切断器具302が往復運動する一方、ダイヤフラム慣性ダンパ320は逆往復運動する。空気圧パルスを使用して主ダイヤフラム304およびダイヤフラム慣性ダンパ320の両方を同時に作動させるので、切断器具302の往復運動とダイヤフラム慣性ダンパ320の逆往復運動とは同じ頻度で起こる。
図3Bに示されかつ上で説明したような実装において、切断器具302の通路309はポート318と流体連通している。ポート318に真空を適用すると、物質、そのような切断された硝子体が切断器具302の通路309を通過し、往復動手術器具100−2を出る可能性がある。ポート318を介して適用された真空は、Oリングシールであり得る環状シール310などの1つまたは複数のシールの使用を介して切断器具302に限定され得る。他の実装は、往復動手術器具100−2からの物質の除去を可能にするための代替構造を提供し得る。
往復動手術器具100−2のハウジング本体307は、単一の一体的に形成された構成要素であり得る。他の実施態様では、ハウジング本体307は、2つ以上の別々の構成要素から形成されてもよい。
上述のように、異なる物理的寸法を有するにもかかわらず、主ダイヤフラム304およびダイヤフラム慣性ダンパ320は、同等の質量を有するように構成されてもよい。例えば、主ダイヤフラム304およびダイヤフラム慣性ダンパ320は、異なる密度を有する材料から形成することができる。結果として、主ダイヤフラム304およびダイヤフラム慣性ダンパ320の両方は、往復運動中に同等の運動量を生成する。なぜなら、両者は同様の質量を有するからである。したがって、動作中、主ダイヤフラム304と切断器具302との組み合わせは、ダイヤフラム慣性ダンパ320が有する運動量と大きさが同様であり得るが、逆方向の動きのために、方向が反対の運動量を有する。したがって、ダイヤフラム慣性ダンパ320は、大きさが同じまたはほぼ同じである主ダイヤフラム304と切断器具302との組み合わせの運動量と逆の運動量を有すると見なすことができる。その結果、往復動手術器具100−2の正味の運動量が減少する可能性がある。いくつかの実装では、正味の運動量はゼロ;ほぼゼロ;ダイヤフラム慣性ダンパ320を欠く同様に構成された往復動手術器具の正味運動量よりも少なくとも80%低い;または少なくとも90%低い可能性がある。正味運動量の減少は、図3Bの往復動手術器具100−2の振動の減少と、往復動手術器具100−2を保持している外科医によって知覚される触覚振動の対応する減少とをもたらし得る。
いくつかの実装では、主ダイヤフラム304および切断器具302によって形成された主質量、ならびにダイヤフラム慣性ダンパ320によって形成された副質量は、同様または同等のサイズを有し得る。例えば、副質量は、主質量の少なくとも80%または少なくとも90%であり得る。副質量が主質量より幾分大きいときでも、正味運動量の有用な減少が実現され得る。様々な実装において、主質量および副質量の両方は100mg未満;200mg未満;500mg未満;または750mg未満であり得る。しかしながら、本開示の範囲はそのように限定されない。むしろ、主質量および副質量は、所望のまたは選択された量であり得る。例えば、質量は750mgより大きくても100mg未満でもよい。図3Bの例示的な往復動手術器具100−2などの往復動手術器具において使用され得る1つの例において、切断器具302は、約350mgの質量を有し得る。ダイヤフラム慣性ダンパ320は、直径が7.5mm、厚さが1mmのステンレス鋼ディスクを含み得、その結果、質量は約350mgとなる。一般に、ダイヤフラム慣性ダンパ320の材料、直径、および厚さは、主ダイヤフラム304の質量と同様の質量を提供するように変えることができる。
往復動手術器具100−2は、図示されていないがそれにもかかわらず往復動手術器具100−2の形成または操作を容易にする追加の特徴をさらに含むことができる。往復動手術器具100−2に含まれる様々な界面は、毎秒最大1,000サイクルの往復運動頻度で切断器具302の往復運動を支援し得る。
ダイヤフラム慣性ダンパ306または320などのダイヤフラム慣性ダンパは、本明細書に記載されかつ図3Aおよび3Bに示す例によって示されるような原理を適用することによって、様々な往復動手術器具100に組み込むことができる。さらに、図2Aの摺動質量ダンパ200−1などの摺動質量ダンパ;または図2Bの摺動質量ダンパ200−2;または図2Cの摺動質量ダンパ200−3;または図2Dの摺動質量ダンパ200−4;または別の種類のアクチュエータを含む別の慣性ダンパは、図3Aおよび3Bに関連して本明細書に記載されている原理を適用することによって、別の往復動手術器具100に組み込むことができる。例えば、往復動手術器具100−1または100−2と同様の往復動手術器具において、ダイヤフラム慣性ダンパ306または320の代わりに摺動質量ダンパを使用することができる。
図4は、本明細書に記載されているように、往復動手術器具100を操作するための例示的な方法400のフローチャートを提供する。方法400に記載されている特定の操作は、任意選択であり得る、および/または異なる実装において再編成され得る。方法400は、本明細書に記載の往復動手術器具100−1および100−2などの往復動手術器具の任意の実装を使用して実施することができる。
ステップ402において、往復動手術器具に配置されたダイヤフラム組立体が、交互の空気圧パルスに応答して往復運動し、ダイヤフラム組立体は主質量を形成し、往復運動の各交互方向に移動するときに第1の運動量を有する。ステップ404において、同じく往復動手術器具内に配置されたダンパが、ダイヤフラム組立体とは反対の交互の方向にダンパを往復運動させることによって同じ交互の空気圧に応答して逆往復運動する。ダンパは副質量を形成し、往復運動の交互の方向のそれぞれに移動するときに第1の運動量以下の第2の運動量を有する。第2の運動量は、ダイヤフラム組立体の第1の運動量と向きが正反対であり、その結果、ステップ406において、ダイヤフラム組立体の第1の運動量がダンパの第2の運動量によって打ち消されて、往復動手術器具の振動を低減する。ダイヤフラム組立体は、ダイヤフラム304と同様のものとすることができるダイヤフラムと、切断器具302と同様のものとすることができる切断器具とを含むことができる。様々な実装において、第1の運動量は第2の運動量とほぼ同じ大きさを有することができる。他の実装では、第1の運動量は、第2の運動量の少なくとも70%〜80%、少なくとも80%〜90%、または少なくとも90%〜100%の大きさを有し得る。いくつかの実装では、第1の運動量は第2の運動量よりも大きくてもよく、他の実装では、第2の運動量は第1の運動量よりも大きくてもよい。主質量および副質量のそれぞれの往復運動および逆往復運動は、往復動手術器具によって発生し、往復動手術器具を保持する外科医によって触覚的に知覚される全体的な振動を減少させ得る。
上に開示された主題は、限定的ではなく例示的であると見なされるべきであり、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の趣旨および範囲内にあるすべてのそのような修正、改善、および他の実施形態を網羅することを意図する。したがって、法律によって許容される最大限の範囲で、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物の最も広い許容可能な解釈によって決定されるべきであり、前述の詳細な記載によって制限も限定もされない。

Claims (15)

  1. 眼科手術で使用するための往復動手術器具であって、
    ハウジング本体と、
    前記ハウジング本体内に形成された第1のチャネルと、
    前記ハウジング本体内に形成された第2のチャネルと、
    第1の質量を有するダイヤフラム組立体であって、
    第1のダイヤフラム、および
    手術用カッターを備え、前記第1のダイヤフラムは、前記ダイヤフラム組立体を第1の方向に変位させるべく前記第1のチャネルを介して、および前記ダイヤフラム組立体を前記第1の方向とは反対の第2の方向に変位させるべく前記第2のチャネルを介して前記第1のダイヤフラムに適用される交互の空気圧に応答して第1の方向および第2の方向に往復運動するように作動され、前記ダイヤフラム組立体は、前記第1の方向および前記第2の方向に変位されているときに第1の運動量を有する、
    ダイヤフラム組立体と、
    慣性ダンパであって、前記慣性ダンパを前記第2の方向に変位させるべく前記第1のチャネルを介して、および前記慣性ダンパを前記第1の方向に変位させるべく前記第2のチャネルを介して前記慣性ダンパに適用される前記交互の空気圧に応答して前記第1の方向および前記第2の方向に往復運動するように作動され、前記慣性ダンパは前記第1の方向および前記第2の方向に変位されているときに大きさが前記第1の運動量以下の第2の運動量を有し、前記第2の運動量と前記第1の運動量とは向きが正反対である、
    慣性ダンパと
    を備える往復動手術器具。
  2. 前記交互の空気圧が眼科手術システムから供給され、前記眼科手術システムは、
    前記空気圧パルスを互いに独立して前記第1のチャネルおよび前記第2のチャネルに提供するように構成された二重チャネル空気圧アクチュエータと、
    前記手術用カッターを通って延びる通路に真空を提供するように構成された吸引システムと
    を備える、請求項1に記載の往復動手術器具。
  3. 前記往復動手術器具が手持ち式手術器具である、請求項1に記載の往復動手術器具。
  4. 前記慣性ダンパが、前記ハウジング本体内に形成された密閉チャネル内を往復運動するように構成された自由質量を含む、請求項1に記載の往復動手術器具。
  5. 前記摺動質量ダンパが、前記第1のダイヤフラムと同じサイズの第2のダイヤフラムを含む、請求項1に記載の往復動手術器具。
  6. 前記手術用カッターが前記第1のダイヤフラムにその中心軸に沿って固定される、請求項5に記載の往復動手術器具。
  7. 前記慣性ダンパが、前記第1のダイヤフラムよりもサイズが小さい第2のダイヤフラムを含む、請求項1に記載の往復動手術器具。
  8. 前記慣性ダンパが、前記第1の質量以下の第2の質量を有する金属部分を含む、請求項1に記載の往復動手術器具。
  9. 眼科手術で使用するための、ダイヤフラム組立体と慣性ダンパとを備える往復動手術器具の操作方法であって、
    交互の空気圧パルスに応答して前記ダイヤフラム組立体を往復運動させることであって、前記ダイヤフラム組立体は主質量を形成し、前記往復運動の第1の方向および前記第1の方向とは反対の第2の方向のそれぞれに移動するときに第1の運動量を有する、往復運動させること、および
    前記交互の空気圧パルスに応答して前記慣性ダンパを往復運動させることであって、前記慣性ダンパは、前記往復運動の前記第1の方向および前記第2の方向のそれぞれに移動するときに前記第1の運動量以下の第2の運動量を有し、前記第1の運動量と前記第2の運動量とは向きが正反対である、往復運動させること
    を含む方法。
  10. 前記ダイヤフラム組立体が第1のダイヤフラムと手術用カッターとを備え、前記ダイヤフラム組立体を往復運動させることが、
    前記第1のダイヤフラムを第2の方向に変位させるために前記第1のダイヤフラムの第1の側に前記空気圧パルスの第1の空気圧パルスを適用すること、および
    前記第1のダイヤフラムを前記第1の方向に変位させるために前記第1のダイヤフラムの第2の側に前記空気圧パルスの第2の空気圧パルスを適用すること
    を含む、請求項9に記載の方法。
  11. 前記慣性ダンパが第2のダイヤフラムを含み、前記慣性ダンパを往復運動させることが、
    前記第2のダイヤフラムを前記第1の方向に変位させるために前記第2のダイヤフラムの第2の側に前記第1の圧力パルスを適用すること、および
    前記第2のダイヤフラムを前記第2の方向に変位させるために前記第1のダイヤフラムの第1の側に前記第2の圧力パルスを適用すること
    を含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記慣性ダンパを往復運動させることが、
    前記往復動手術器具のハウジング本体内に形成された密閉チャネル内で自由質量を往復運動させること
    を含む、請求項9に記載の方法。
  13. 前記ダイヤフラム組立体が第1のダイヤフラムと、前記第1のダイヤフラムにその中心軸に沿って固定された手術用カッターとを含む、請求項9に記載の方法。
  14. 前記第2のダイヤフラムが、前記第1のダイヤフラムよりもサイズが小さい、請求項11に記載の方法。
  15. 前記副質量が前記主質量以下である、請求項9に記載の方法。
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