関連出願の参照
本出願は、2017年1月12日に出願され、かつ「Miniaturization of Quad Port Helical Antenna」と題する米国特許出願第15/304,898号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
本開示は、多入力多出力(MIMO)通信システムおよび他の無線通信システムにおける使用を含む、4つの独立したポートを有する4線巻きヘリカルアンテナ(QHA)の小型化に関する。
4線巻きヘリカルアンテナ(QHA)は、4つの独立したポートを有する4つの別々のヘリックスからなる。QHAは、金属ワイヤ、導電ストリップから構築されてもよく、または適切な給電ネットワークを用いて円偏光放射を生成するために円筒状にラップされた誘電体シート上に印刷されてもよい。QHAは、アンテナダイバーシティ、陸上移動衛星(LMS)通信、ならびに他の衛星通信およびナビゲーションシステムに使用されてきた。
QHAは、多入力多出力(MIMO)システムに適用するために、2素子、3素子または2×2素子アレイにおける円偏波(CP)シングルポートアンテナ素子として使用されてきた。MIMO用途では、2つの独立した物理ポートのみを有するアンテナ素子が通常実装される。4ポートQHAアンテナ素子は、4つの空間的に分離された半波長ダイポールMIMOシステムと比較して、単一アンテナMIMOシステムにおいて実証されていた。アンテナアレイ内のアンテナ素子としてマルチポートQHAを使用することは、アンテナアレイの全体サイズを縮小するのに役立ちこともあり、小型化する目的ならびにコスト削減を提供するために有用であろう。
例示的なマルチポートQHA設計は、2015年8月28日に出願され、「Multi−Filar Helical Antenna」と題する米国特許出願第14/839,192号に記載されており、その全体は参照により本明細書に組み込まれるものとする。例えば、アンテナの高さを低減し、放射パターンを改善し、ポート間の結合を低減し、および/または比較的広いインピーダンス帯域幅を維持するために、この設計を変更することは有用であろう。
本明細書に記載の様々な例は、MIMOおよび他の適切な用途においてアンテナポートの数を増やすことを可能にするQHA用の設計を提供する。本明細書に記載の実施例において1つまたは複数の容量性(例えば金属)導電要素を追加することにより、先行技術のQHAと比較して、よりコンパクトなサイズ、改善された放射パターン、十分に広いインピーダンス帯域幅を有し、コスト削減をもたらすQHAが達成され得る。信号対雑音比(SNR)に対する容量の増加(例えば、ビット/秒として測定される)もまた達成され得る。いくつかの例では、先行技術のQHAと比較して、アンテナ高さの70%近くの低減、放射パターンの改善、対向ポート結合の低減、ならびにアンテナインピーダンスおよびパターン帯域幅の増大を達成し得る。
開示された例示的なQHAは、(例えば、大規模MIMO用途用の)アンテナアレイにおいて4ポートアンテナ素子を使用することを可能にし、これが、2ポートアンテナ素子を使用したアレイと比較して、アレイパネルのサイズを減少させることを可能にし得る(例えば、いくつかの例では約42%のサイズ縮小)。
いくつかの例では、本開示はQHAを記載する。QHAは、共通の長手方向アンテナ軸の周囲に巻回された4つの導電ヘリカルトレースを含む。導電ヘリカルトレースは、選択された周波数帯域で送信または受信するように構成されている。各導電ヘリカルトレースは、それぞれのローンチラインを介してアンテナのそれぞれのポートに接続されている。QHAはまた、導電ヘリカルトレースから絶縁され、導電ヘリカルトレース上(または下)に重ね合わされた少なくとも1つの導電要素を含む。少なくとも1つの導電要素は、周波数帯域においてインピーダンス整合をもたらすように構成される。
いくつかの例では、本開示はアンテナアレイを記載する。アンテナアレイは複数の4ポートQHAを含む。各QHAは、共通の長手方向アンテナ軸の周囲に巻回された4つの導電ヘリカルトレースを含む。導電ヘリカルトレースは、選択された周波数帯域で送信または受信するように構成されている。各導電ヘリカルトレースは、それぞれのローンチラインを介してアンテナのそれぞれのポートに接続されている。各QHAはまた、導電ヘリカルトレースから絶縁され、導電ヘリカルトレース上(または下)に重ね合わされた少なくとも1つの導電要素を含む。少なくとも1つの導電要素は、周波数帯域においてインピーダンス整合をもたらすように構成される。
いくつかの例では、本開示は、QHAを製造する方法を記載する。本方法は、可撓性誘電体の第1の表面上にトレースとして4つの導電ヘリカルトレースを設けるステップを含む。各導電ヘリカルトレースは、アンテナのそれぞれのポートに接続するためのテールおよびそれぞれのローンチラインを備えている。導電ヘリカルトレースは、選択された周波数帯域で送信または受信するように構成されている。本方法はまた、可撓性誘電体の異なる第2の表面上に少なくとも1つの導電要素を設けるステップを含む。少なくとも1つの導電要素は、導電ヘリカルトレースから絶縁され、導電ヘリカルトレースの上に重ね合わされるように配置される。少なくとも1つの導電要素は、周波数帯域においてインピーダンス整合をもたらすように構成される。本方法はまた、導電ヘリカルトレースが共通の長手方向アンテナ軸の周囲にヘリカル巻線を形成するように可撓性誘電体をラップするステップを含む。
少なくとも1つの導電要素は、少なくとも1つの導電リングおよび/または導電パッチを含み得る。1つの導電パッチのセット、または2つ以上の導電パッチのセットがあってもよい。
ここで、例として、本出願の例示的な実施形態を示す添付の図面を参照する。
図1Aは、例示的な先行技術のQHAの概略図である。
図1Bは、図1AのQHAの散乱パラメータ(Sパラメータ)を示すグラフである。
図1Cは、図1AのQHAの放射パターンを示すグラフである。
図2は、導電パッチを有する例示的なQHAの概略図である。
図3は、導電リングを有する例示的なQHAの概略図である。
図4Aは、2.3GHz〜2.7GHzの周波数帯域用に調整された、導電リングを有する別の例示的なQHAの概略図である。
図4Bは、図4AのQHAおよび比較先行技術のQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図4Cは、図4AのQHAおよび比較先行技術のQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図4Dは、図4AのQHAおよび比較先行技術のQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図4Eは、図4AのQHAおよび比較先行技術のQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図5Aは、2.3GHz〜2.7GHzの周波数帯域に対して調整された、導電パッチを有する別の例示的なQHAの概略図である。
図5Bは、図5AのQHAおよび比較先行技術のQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図5Cは、図5AのQHAおよび比較先行技術のQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図5Dは、図5AのQHAおよび比較先行技術のQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図5Eは、図5AのQHAおよび比較先行技術のQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図6Aは、2.3GHz〜2.7GHzの周波数帯域に対して調整された、導電リングを有する別の例示的なQHAの概略図である。
図6Bは、図6AのQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図6Cは、図6AのQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図7Aは、2.3GHz〜2.7GHzの周波数帯域に対して調整された、導電パッチを有する別の例示的なQHAの概略図である。
図7Bは、図7AのQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図7Cは、図7AのQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図8Aは、1.9GHzから2.3GHzの周波数帯域用に調整された、導電パッチを有する別の例示的なQHAの概略図である。
図8Bは、図8AのQHAおよび比較先行技術のQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図8Cは、図8AのQHAおよび比較先行技術のQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図8Dは、図8AのQHAおよび比較先行技術のQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図8Eは、図8AのQHAおよび比較先行技術のQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図9Aは、3.4GHz〜3.6GHzの周波数帯域に対して調整された、導電パッチを有する別の例示的なQHAの概略図である。
図9Bは、図9AのQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図9Cは、図9AのQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図10Aは、図5AのQHAを組み込んだアンテナアレイの概略図である。
図10Cは、図10Aのアレイにおいて、ポート1がオンのアンテナ素子の放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図10Cは、図10Aのアレイにおいて、ポート1がオンのアンテナ素子の放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図10Dは、2ポートアンテナのアンテナアレイと4ポートアンテナのアンテナアレイとを比較する概略図である。
図11は、鋭い屈曲部を有するローンチラインを示す例示的なQHAの拡大概略図である。
図12Aは、非円筒形ジオメトリを有し、導電リングを含む例示的なQHAの概略図である。
図12Bは、図12AのQHAおよび比較先行技術のQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図12Cは、図12AのQHAおよび比較先行技術のQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図12Dは、図12AのQHAおよび比較先行技術のQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図12Eは、図12AのQHAおよび比較先行技術のQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図13は、上部プレートを有する例示的なQHAの概略図である。
図14は、上部リングを有する例示的なQHAの概略図である。
図15は、外殻を有する例示的なQHAの概略図である。
図16は、同心誘電体層を使用して形成された例示的なQHAの概略図である。
図17は、複数の導電リングを有する例示的なQHAの概略図である。
図18Aは、2つの導電パッチのセットを有する例示的なQHAの概略図である。
図18Bは、図18AのQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図18Cは、図18AのQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図19Aは、中心ロッドを有する例示的なQHAの概略図である。
図19Bは、図19AのQHAの放射パターンおよびSパラメータを中央ロッドのないQHAと比較して示すグラフである。
図19Cは、図19AのQHAの放射パターンおよびSパラメータを中央ロッドのないQHAと比較して示すグラフである。
図20は、開示されたQHAの一例を製造する例示的な方法を説明するフローチャートである。
様々な図において同様の参照番号が使用して同様の構成要素を示すことがある。
図1Aは、例えば米国特許出願第14/839,192号に記載されているような例示的な先行技術の4線巻きヘリカルアンテナ(QHA)10を示している。QHA10は、4つの螺旋状に巻回された導電ヘリカルトレース12(巻線またはフィラとも呼ばれる)を含み、各導電ヘリカルトレース12は、それぞれのローンチライン16を介してそれぞれのポート14に接続される。各導電ヘリカルトレース12は、上述の特許出願に記載されているような拡張基部と隆起高さを有し得る。各導電ヘリカルトレース12は独立して給電され、4ポートQHA10となる。4ポートQHAはまた、クアッドポートアンテナまたはクアッドアンテナと呼ばれることもある。導電ヘリカルトレース12は、隣接する導電ヘリカルトレース12間で90°の角距離だけ隔てられており、長さが等しく、同じ方向に同じピッチで巻回されている。図示の例では、QHA10は、グランドプレーン18、本例では導電反射板として機能することができる金属製のグランドプレーン18に取り付けられている。グランドプレーン18は、放射パターンのサイドローブを(グランドプレーン18から離れる)順方向に向ける手助けをすることが可能であるが、いくつかの例では、グランドプレーン18は省略されてもよい。導電ヘリカルトレース12は、例えば中空円筒として形成される誘電体上のトレースとして、または支持面の周囲に導電ヘリカルトレース12を巻回することによって設けてもよい。一般に、導電ヘリカルトレース12は、銅などの任意の適切な導電性材料で形成し得る。
QHA10の高さh1は、動作周波数の1波長λ未満であってもよい。例えば、QHA10は0.75λの高さh1を有してもよい。2.5GHzの動作周波数では、QHA10の高さhは約90mmである。図1Bは、2.3GHzから2.7GHzの範囲の動作周波数にわたる例示的なQHA10の散乱パラメータ(Sパラメータ)を示す。図1Cは、2.5GHzの動作周波数における例示的なQHA10の放射パターンを示す。例示的なQHA10は、2.3GHzから2.7GHzの動作範囲で約16%の広いインピーダンス帯域幅、および約−10dBの最大結合を有することが分かった。しかしながら、放射パターンの改善、ならびにアンテナ高さの低減が望まれる場合がある。
以下に提供される例では、例えば導電パッチまたは導電リングの形態の容量性要素を組み込んだ様々なQHAの設計が説明される。そのような設計がQHAの高さの低減を可能にすることが分かっており、また改善された放射パターンを提供し得る。関心のある異なる周波数帯域に対して異なる設計が調整されてもよく、これは5G無線用途に特に関連し得る。以下の表は、以下で詳しく説明するいくつかの例を示している。
図2は、導電パッチ210組み込んだ例示的なQHA200を示す概略図である。例示的なQHA200は、誘電体上に印刷またはエッチングすることによって設け得る複数の導電ヘリカルトレース202、この場合は4つの導電ヘリカルトレース202を含む。例えば、導電ヘリカルトレース202は、次に円柱形にラップされ得る可撓性誘電体(例えば、3.4の誘電率(DK)および0.127mmの厚さを有するDuPont(登録商標)Pyralux(登録商標) AP可撓性回路材料)をエッチングすることによって設けてもよい。導電ヘリカルトレース202は他の方法で、例えば支持表面の周囲に導電ワイヤまたはストリップを巻回することによって、あるいは同軸誘電体ケーブルをエッチングすることによって設け得る。
図2の例における導電ヘリカルトレース202は、隣接する導電ヘリカルトレース202間に90°の分離角をもって等間隔に離間されている。導電ヘリカルトレース202は、巻き数、ピッチ、長さ、幅、および巻き方向において互いに類似していてもよい。図2の例では、導電ヘリカルトレース202はそれぞれ、動作周波数の1波長λ未満(例えば、λ/4)の長さを有し、1ターン未満で完了し、その長さ全体にわたって実質的に一定の幅を有する。各導電ヘリカルトレース202は1完全巻き未満で巻回されているが、導電ヘリカルトレース202は依然としてQHA200の共通の中央長手方向z軸の周囲に螺旋状に巻回されていると見なされることに留意されたい。他の例(以下でさらに論じるいくつかの例を含む)では、導電ヘリカルトレース202は、1回または複数回の巻きを完了してもよく、可変幅を有してもよく、および/または均等または不均等の幅の2つ以上の分岐部に分割してもよい。一般に、導電ヘリカルトレース202の寸法および構成は、アンテナ設計の一部として、適切な同調技術を使用して、所望のアンテナ特性を達成するように選択され得る。適切であり得る導電ヘリカルトレース202の例示的な寸法および構成は、参照により先に盛り込まれている米国特許出願第14/839,192号に記載されている。QHA200の調整は、例えばシミュレーションの助けを借りて実行してもよい。
各導電ヘリカルトレース202は、それぞれのローンチライン206を介してそれぞれのポート204に接続されている。この例では、4つの導電ヘリカルトレース202はそれぞれ独立してそれぞれのポート204に供給され、4ポートQHA200が得られる。グランドプレーン208は、任意の適切な導電材料から形成されてもよく、導電反射体として機能してもよい。各導電ヘリカルトレース202は、信号を送信または受信するために、それぞれのポート204を介してアンテナフィードネットワーク(図示せず)に接続してもよい。
QHA200は、導電ヘリカルトレース202から電気的に絶縁された、1つまたは複数の導電要素、この例では導電パッチ210を含む。例えば、図2のQHA200は、4つの導電パッチ210を含む。導電パッチ210は、各導電ヘリカルトレース202が少なくとも部分的に導電パッチ210により重ね合わされるように配置される。例えば、各導電ヘリカルトレース202は、図2示すように異なるそれぞれの導電パッチ210により部分的に重ね合わされてもよい。いくつかの例では、単一の導電パッチ210は、2つ以上の導電ヘリカルトレース202に重ね合わせてもよい。いくつかの例では、単一の導電ヘリカルトレース202は、2つ以上の導電パッチ210によって重ね合わされ得る。導電パッチ210の数は、導電ヘリカルトレース202の数より多くても少なくてもよい。本開示では、用語「重ね合わされる」は、導電ヘリカルトレース202が誘電体または支持面を通して投影されるとき導電パッチ210と重なることを示すのに使用され、「重ね合わされる」とは、必ずしも導電ヘリカルトレース202と導電パッチ210とが物理的に接触していることを意味するものではなく、また「重ね合わされる」とは、導電ヘリカルトレース202と導電パッチ210とが設けられる順序を何ら必要とせず、導電パッチ210は導電ヘリカルトレース202上に重ね合わされるか、導電ヘリカルトレース202の下に重ね合わされると説明され得る。導電ヘリカルトレース202と導電パッチ210とは互いに絶縁されていてもよい。
導電パッチ210は、導電ヘリカルトレース202が設けられている表面とは反対側の誘電体基板の表面上に印刷することによって設けてもよい。あるいは、導電パッチ210は2つの誘電体層の間にパッチ210を挟むことによって提供され(例えば、導電パッチ210は二層誘電体の内側または内層に提供される)、導電ヘリカルトレース202は2つの誘電体層の外面上に提供され得る。いくつかの例では、導電パッチ210が1つの誘電体層に印刷され、導電ヘリカルトレース202が別の誘電体層に印刷され、次いでこれらの誘電体層が互いに積層されてもよい。導電パッチ210が導電ヘリカルトレース202から電気的に絶縁され、導電ヘリカルトレース202の上に重ね合わされる限り、導電パッチ210を提供するための任意の適切な方法を使用し得る。
導電パッチ210は、長さ、幅および/またはピッチが互いに類似していてもよい。図2の例では、導電パッチ210はその長さ全体にわたって実質的に一定の幅を有するが、他の例では導電パッチ210は可変幅を有するか、または異なるジオメトリ(不規則なジオメトリを含む)を有し得る。図示されるように、導電パッチ210は0°のピッチを有する、すなわち、導電パッチ210の長手方向軸は概してQHA200の底部に対して平行である。
図2は4つの導電パッチ210を示しているが、いくつかの例では、1つのより長い導電パッチが2つ以上のより短い導電パッチ210の機能を果たすようにより長い導電パッチを使用し得る。
導電パッチ210の位置、寸法および構成は、アンテナ設計の調整の一部として、所望のアンテナ特性を達成するように選択されてもよい。そのような調整は、導電ヘリカルトレース202の設計の調整と併せて実行し得る。
QHA200の高さh2は、先行技術のQHAと比較して減少されてもよく、アンテナの特性は、先行技術のQHAと比較して維持または改善され得る。例えば、導電パッチ210を含むことにより、QHA200は、同じ周波数帯域に同調された先行技術のQHAと比較して、改善された放射パターンおよび低減されたアンテナ高さh2を達成し得る。このような性能特性を実証するために、例示的なシミュレーションが以下にさらに説明される。
図3は、導電パッチが導電リングで置き換えられている別の例示的なQHA300を示す概略図である。図3のQHA300は、図2のQHA200と同様に、それぞれのローンチライン306を介してそれぞれのポート304に接続され、グランドプレーン308上に取り付けられた(上述したように寸法および構成の選択可能な変形を伴う)4つの導電ヘリカルトレース302を含む。1つまたは複数の導電パッチの代わりに、QHA300の導電要素は、全ての導電ヘリカルトレース302の上に重ね合わされるように配置される導電リング310である。概念的には、導電リング310は、QHA300の外周全体に完全に延出する導電パッチと考え得る。導電リング310は、上述の導電パッチ210と同様の方法で設けてもよい。
導電リング310は、図3に示すように、全体を通して実質的に一定の幅を有し得る。他の例では、導電リング310は可変幅を有してもよい。リングとして説明されているが、導電リング310は非円形のジオメトリを有していてもよい。例えば、導電リング310は、正方形または他の規則的または不規則的なジオメトリの外周に沿ってもよい。導電リング310は、ゼロではないピッチ角を有してもよく、または0°のピッチを有してもよく、すなわち(図3の例のように)グランドプレート308と実質的に平行であってもよい。導電リング310のピッチに関係なく、導電リング310はQHA300の長手方向のz軸を中心とする。導電リング310の位置、寸法および構成は、アンテナ設計の調整の一部として、所望のアンテナ特性を達成するように選択されてもよい。そのような調整は、導電ヘリカルトレース302の設計の調整と併せて実行し得る。
図2の例と同様に、図3の例において導電性リング310を含めることにより、同じ周波数帯域に調整された先行技術のQHAと比較して、QHA300の高さh3の低減および改善された放射パターンを可能にし得、同時にポート間の望ましい結合および広いインピーダンス帯域幅を維持し得る。このような性能特性を実証するために、例示的なシミュレーションが以下にさらに説明される。
一般に、導電要素(例えば、1つまたは複数の導電パッチ210または導電リング310)を含めることにより、アンテナ特性が向上し得る。導電要素は、金属製であっても、または他の任意の適切な導電性材料から作製されてもよい。導電パッチ210の代わりに導電リング310を使用することにより、結果異なるアンテナ性能がもたらされる可能性がある。例えば、導電パッチ210の代わりに導電リング310を使用することにより、1.9GHzから2.3GHzの周波数帯域で正方形ベースのQHAラップする設計の場合に、より望ましい放射パターンを提供し得る。どの導電要素を使用するか、または導電リング310と導電パッチ210の組み合わせを使用すべきかどうかの選択は、アンテナ設計の調整の一部であってもおよび/または支持構造のジオメトリ(正方形ベースまたは円形ベース)に依存してもよく、またシミュレーションの助けを借りて実行されてもよい。
本明細書に開示される例示的なQHAの性能を説明するために、いくつかの例示的なシミュレーション結果がここで議論される。これらのシミュレーションは説明のためだけに提供されており、限定または約束を意図するものではない。
図4Aは、導電リング410を有する例示的なQHA400を示す。このQHA400の性能は、2.3GHzから2.7GHzの周波数帯域についてシミュレートされ、結果は、2.5GHzの動作周波数について以下に説明される。適切な調整を通して、アンテナの高さは0.75λになるように選択された。この例における導電リング410は、2mm=0.017λの幅を有し、(QHA400の底部からリング410の下端までを測定して)45mm=0.375λの高さに配置されている。例示的なQHA400のシミュレーションは、同一の寸法および構成を有するが導電リングがない先行技術のQHA(図示せず)について行われたシミュレーションと比較し得る。
図4Bおよび図4Cは、それぞれ、比較先行技術のQHAの放射パターンおよび散乱パラメータ(Sパラメータ)を示す。比較のために、図4AのQHA400の放射パターンおよびSパラメータはそれぞれ、図4Dおよび図4Eに示される。これらのグラフから分かるように、導電リング410を含めることにより、2.3GHzから2.7GHzの周波数帯域において−12dB未満のインピーダンス整合で、改善された放射パターンがもたらされる。
図5Aは、4つの導電パッチ510を有する例示的なQHA500を示す。この例示的なQHA500は、2.3GHzから2.7GHzの周波数帯域に対して調整された。一般に、QHAの寸法は以下の式を用いて計算し得る。
ここで、HはQHAの全高、Leは円柱の周りをN回転する長さ、Lfdは各導電ヘリカルトレースのローンチ高さ、Ltはテール長、Wbは各導電ヘリカルトレースの幅、Rは円柱の半径である。各ヘリカルトレース502の全長は、Le+Lfd+Ltの合計であるが、Nは長さLeの巻き数のカウントである(すなわち、LfdおよびLtはNの計算に含まれない)ことに留意されたい。
2.5GHzの動作周波数において、例示的なQHA500は、39mm=0.325λの高さおよび42mm=0.350λの直径を有する。この例では、各導電パッチ510は、16.5mm=0.138λの長さ、7mm=0.058λの幅を有し、それぞれ(QHA500の底部からパッチ510の下端までを測定した場合)26mm=0.217λの高さに配置される。各導電ヘリカルトレース502は全長85mmを有し、これはLe=70mm=0.583λ、10mmのローンチ高さおよび5mmのテール長の合計である。各導電ヘリカルトレース502は9mmの幅を有する。各導電ヘリカルトレース502は、QHA500のテールおよびローンチ高さ以降、かつ19.5°のピッチ角から開始して、0.5回の巻きを有する。
図5のQHA500について、2.3GHz〜2.7GHzの周波数帯域におけるSパラメータは以下の通りであることが分かった。
例示的なQHA500のシミュレーションは、同一の寸法および構成を有するが導電パッチのない先行技術のQHA(図示せず)について行われたシミュレーションと比較し得る。図5Bおよび図5Cは、先行技術のQHAおよび例示的なQHA500のSパラメータをそれぞれ示す。導電パッチ510を含めることによって、QHA500に対するインピーダンス整合が改善されることが分かる。
2.3GHz、2.5GHz、および2.7GHzの動作周波数における比較先行技術のQHAのアンテナ素子(ポート1がオンの状態)の放射パターンを図5Dに示す。比較のために、同じ動作周波数における例示的なQHA500(ポート1がオンの状態)の対応する放射パターンを図5Eに示す。導電パッチ510を含めることにより、QHA500の放射パターンが改善されることが分かる。
図6Aは、導電リング610を有する例示的なQHA600を示す。この例示的なQHA600は、2.3GHzから2.7GHzの周波数帯域に対して調整された。2.5GHzの動作周波数では、例示的なQHA500は、高さ39mm=0.325λおよび直径42mm=0.350λを有する。この例における導電リング610は、2mm=0.017λの幅を有し、(QHA600の底部からリング610の下端まで測定した場合)30mm=0.25λの高さに配置されている。例示的なQHA600の寸法は、図5Aの例示的QHA500の寸法と同一であり、異なる点は、導電パッチ510の代わりに導電リング610が使用されていることである。
例示的なQHA600のシミュレーションは、同一の寸法および構成を有するが導電リングを持たない先行技術のQHA(例示的なQHA500に関して上述した比較先行技術のQHAと同じ)について行われたシミュレーションと比較され得る。2.3GHz〜2.7GHzの周波数帯域におけるSパラメータは以下の通りであることが分かった。
図6Bは、例示的なQHA600についてシミュレートされたSパラメータを示すグラフである。これは、先行技術のQHAに対するSパラメータのグラフを示す図5Dと比較し得る。図6Cは、2.3GHz、2.5GHz、および2.7GHzの動作周波数における例示的なQHA600の放射パターンを示す。比較のために、比較先行技術のQHAの放射パターンを図5Dに示す。これらのシミュレーション結果によって示されるように、例示的なQHA600は、先行技術のQHAと比較して、改善されたリターンロスおよび放射パターン特性を示す。
図7Aは、4つの導電パッチ710を有する例示的なQHA700を示す。この例示的なQHA700は、2.3GHzから2.7GHzの周波数帯域に対して調整された。2.5GHzの動作周波数では、例示的なQHA700は、28mm=0.233λの高さおよび50mm=0.417λの直径を有する。この例における導電パッチ710はそれぞれ、31.4mm=0.262λの長さおよび7mm=0.058λの幅を有する。各導電パッチ710は、(QHA700の底部から各パッチ710の下端まで測定した場合)6mm=0.05λの高さに配置される。各導電ヘリカルトレース702は、45mmの全長を有し、これはLe=30mm=0.250λ、ローンチ高さ10mmおよびテール長5mmの合計である。各導電ヘリカルトレース702は7mmの幅を有する。各導電ヘリカルトレース702は、ローンチ高さおよびテール長さを含まない0.17回の巻きを有する。各導電ヘリカルトレース702は、反射板と接触することなく、QHA700の底部から27°のピッチ角で開始する。
このQHA700のシミュレーションは、導電パッチ710が誘電体層の間に挟まれている、二重Pyralux AP層の使用に基づくものであった。隣接ポート間の結合は、2.3GHz〜2.7GHzの周波数帯域で−9dB未満であることが分かった。図7Bは、例示的なQHA700についてシミュレートされたSパラメータを示すグラフである。図7Cは、異なる励起を持つ、2.5GHzの動作周波数での例示的なQHA700の放射パターンを示す。
図8Aは、導電パッチ810を有する例示的なQHA800を示す。この例示的なQHA800は、1.9GHzから2.3GHzの周波数帯域に対して調整された。2.1GHzの動作周波数では、例示的なQHA800は、36mm=0.252λの高さおよび50mm=0.350λの直径を有する。この例における導電パッチ810はそれぞれ、19.64mm=0.137λの長さおよび7mm=0.049λの幅を有する。各導電パッチ810は、(QHA800の底部から各パッチ810の下端まで測定した場合)26mm=0.182λの高さに配置される。各導電ヘリカルトレース802は、全長102.9mmを有し、これはLe=84.9mm=0.5943λ、ローンチ高さ10mmおよびテール長8mmの合計である。各導電ヘリカルトレース802は、7mmの幅を有する。各導電ヘリカルトレース802は、ローンチ高さおよびテール長を含まずに0.5225回の巻きを有する。導電ヘリカルトレース802は、反射板に接触することなく、QHA800の底部から、かつ14.8°のピッチ角で開始する。
この周波数帯域において、例示的なQHA800に対するSパラメータは以下の通りであることが分かった。
例示的なQHA800のシミュレーションは、同一の寸法および構成を有するが導電パッチがない先行技術のQHAについて行われたシミュレーションと比較し得る。図8Bは、例示的なQHA800についてシミュレートされたSパラメータを示すグラフである。これは、比較先行技術のQHAについてのSパラメータのグラフを示す図8Dと比較し得る。図8Cは、ポート1が励起されているときの、2.1GHzの動作周波数での例示的なQHA800の放射パターンを示す。比較のために、比較先行技術のQHAの放射パターンを図8Eに示す。これらのシミュレーション結果によって示されるように、例示的なQHA800は、先行技術のQHAと比較して、改善されたSパラメータおよび放射パターン特性を示す。
図9Aは、導電パッチ910を有する例示的なQHA900を示す。この例示的なQHA900は、3.4GHzから3.6GHzの周波数帯域に対して調整された。3.5GHzの動作周波数では、例示的なQHA900は、38.4mm=0.448λの高さおよび50mm=0.583λの直径を有する。この例における各導電パッチ910は、28.6mm=0.334λの長さおよび5.5mm=0.064λの幅を有する。各導電パッチ910は、(QHA900の底部から各パッチ910の下端まで測定した場合)14mm=0.163λの高さに配置されている。各導電ヘリカルトレース902は、74.7mmの全長を有し、これはLe=60.7mm=0.4249λ、ローンチ高さ10mmおよびテール長4mmの合計である。各導電ヘリカルトレース902は6.15mmの幅を有する。各導電ヘリカルトレース902は、ローンチ高さおよび尾部長さを含まない0.3529回の巻きを有する。導電ヘリカルトレース902は、反射板に接触することなく、QHA900の底部から、かつ24°のピッチ角で開始する。
この動作周波数では、対向する導電ヘリカルトレースの間隔は0.583λであり、−15dB未満のアイソレーションを達成し、また隣接する導電ヘリカルトレースの間隔は0.412λであり、−10dB未満のアイソレーションを達成している。
図9Bは、例示的なQHA900についてシミュレートされたSパラメータを示すグラフである。図9Cは、ポート1が励起されているときの、3.4GHz、3.5GHz、および3.6GHzの動作周波数での例示的なQHA800の放射パターンを示す。
本明細書に開示された例示的なQHAは、個別のアンテナとして使用されてもよく、またはアンテナアレイにおいて使用されてもよい。開示された例示的なQHAは改善された放射パターンおよびSパラメータを可能にするので、そのような4ポートQHAを狭い間隔のアンテナアレイに使用してもなおアレイ内のアンテナ間の許容可能な低干渉を達成することが可能である。アンテナアレイ内のQHAは、同一の設計を有してもよく、または異なる設計を含んでもよい。アンテナアレイは、先行技術のQHAと組み合わせて、開示されたQHAの例を組み込んでもよい。
図10Aは、本明細書に開示されるような複数のQHAを組み込んでいる例示的なアンテナアレイ1000を概略的に示す。図示されている例では、図5Aの単層QHA500の結合された二層の変形例の実装形態は、アンテナアレイ1000において使用される。平面図に示されるように、5つのそのようなQHAが中央のQHAを囲む4つのQHAと共に配置される。各QHAは4ポートアンテナであり、アンテナアレイ1000内に合計20ポートを提供する。例示的なアンテナアレイ1000は、2.5GHzの動作周波数を含む2.3GHz〜2.7GHzの周波数帯域に適している可能性がある。アレイ1000は、縦60mm、横120mmの千鳥配列である。2.5GHzの動作周波数では、60mmは0.5lに等しい。図10Bは、アンテナアレイ1000におけるQHAのシミュレートされたSパラメータを示すグラフである。図10Cは、ポート1が励起されたときの、2.3GHz、2.5GHz、および2.7GHzの動作周波数でのアンテナアレイ1000内のQHAの放射パターンを示す。個々のQHAの放射パターンと比較して、放射パターンにはわずかな変化しかない。Sパラメータの変化もほとんど気にならない。これらのシミュレーション結果は、本明細書に開示された例示的なQHA設計が4ポートQHAをアンテナアレイにおいて使用できることを実証する。
本明細書に開示されるように、アンテナアレイにおいて4ポートQHAを使用することは、特に大規模MIMO用途のために、アレイのサイズを縮小することを可能にし得る。例えば、図10Dは、本明細書に開示される例示的なQHAなどの4ポートアンテナを使用するアンテナアレイ1060と比較した、2ポートアンテナを使用するアンテナアレイ1050を示す。128ポートを達成するためには、64個の2ポートアンテナが必要とされる(例えば、8行×8列に配置される)。比較すると、アンテナアレイ1060において128ポートを達成するためには32個の4ポートQHAのみが必要である。図10Dでは、各アレイ1050、1060のアンテナは、0.5λの方位間隔と1λの仰角間隔で、互い違いに配置されている。2.1GHzの動作周波数では、λ=142.8mmである。2ポートアンテナのアレイ1050は、21λ2の面積を必要とする。比較すると、4ポートQHAのアレイ1060は12.25λ2の面積を必要とし、約42%の面積縮小を達成する。
導電要素を組み込んだ様々な例示的なQHA構成は、上述されている。適切な設計パラメータ(例えば、導電ヘリカルトレースの寸法、導電部品の寸法、構成および/または配置、および/または全体のQHAの寸法)を選択して所望のアンテナ特性を達成するために(例えば、Sパラメータを調整して放射パターンを成形する)、(例えば、シミュレーションまたは他のアンテナ設計技術を用いた)適切な調整が行われ得る。他の可能な変形を以下に検討する。これらの以下の変形例は、前述の例のいくつかまたはすべてに組み込んでもよく、そのような変形例は、所望のアンテナ特性を達成するために組み合わせて組み込んでもよい。
図11は、例示的なQHA1100の一部の拡大図であり、そこでは導電ヘリカルトレース1102が90°より大きな角度を有する(すなわち、最小またはゼロの曲げ半径を有する)鋭い屈曲部を有するローンライン1106を介して供給される。ローンチライン1106に鋭い屈曲部を含めることによって、導電ヘリカルトレース1102を導電ヘリカルトレース1102の長さに沿った異なる接続点で接続することが可能になり、それによって同調およびインピーダンス整合のための設計自由度が増大する。ローンチライン1106の鋭い屈曲部がQHA1100の特性に大きな影響を与えることは見出されなかった。
図12Aは、導電ヘリカルトレース1202が非円筒形のジオメトリ、この場合は正方形ベースのジオメトリの周囲に巻回されている例示的なQHA1200を示す。この例における導電要素は導電リング1210であり、これもまた正方形のジオメトリを有し得る。2.3GHz〜2.7GHzの周波数帯域では、QHA 1200は、37.2mm×37.2mmの正方形の基部、39mmの高さを有し得る。このQHA1200は、直径42mmの円形の基部を有する円筒形のQHAに基づくものであり得る。QHA1200は、正方形の基部の面積が42mmの直径を有する円形の基部の面積と等しくなるように設計し得る。この例では、導電リング1210は2mmの幅を有し、(QHA1200の底部からリング1210の下端まで測定した場合)30mmの高さに配置されている。
例示的なQHA1200の特性は、同一の寸法および構成を有するが導電リング1210がない先行技術のQHA(図示せず)の特性と比較し得る。図12Bおよび図12Cはそれぞれ、例示的なQHA1200および比較先行技術のQHAのSパラメータを示す。例示的なQHA1200は、先行技術のQHAと比較して改善されたSパラメータを達成することが分かる。図12Dおよび図12Eはそれぞれ、2.3GHzおよび2.5GHzの動作周波数における、例示的なQHA1200および比較先行技術のQHAの放射パターンを示す。例示的なQHA1200は、先行技術のQHAと比較して改善された放射パターンを達成することが分かる。
一般に、導電ヘリカルトレースは、例えば正方形、球形、円筒形または円錐形の表面を含む任意の適切なジオメトリの周囲に設けることができる。同心面を使用してもよい。それに応じて、誘電体または他の支持面を整形することによって、QHAに対する異なるジオメトリを達成し得る。本開示におけるヘリカルアンテナおよび導電ヘリカルトレースは、円形または円筒形のジオメトリに厳密に限定されないことを理解されたい。非円筒形のジオメトリの周囲に形成された巻線はまた、「ヘリカル」であるとも称され得る。QHAに対する適切なジオメトリの選択は、アンテナ調整の一部として、また、(例えば、シミュレーションの助けを借りて)所望の放射パターンを得るために実行されてもよい。以下で論じる図13〜図19Cは、放射パターン整形の目的のために、導電パッチと共に実装することができる例示的な設計変形を示す。個別に説明したが、そのような変形は組み合わせて使用し得る。
図13は、上部プレート1312を含む別の例示的なQHA1300の概略図である。明確にするために、導電パッチは示されていない。上部プレート1312は、例えば、導電ヘリカルトレース1302と同じ導電性材料で作成し得る。上部プレート1312は、QHA1300の長手方向軸に垂直な平面上に配置され、QHA1300の長手方向軸を中心としている。上部プレート1312は、導電ヘリカルトレース1302から離間して絶縁されている。
図14は、上部リング1414を含む別の例示的なQHA1400の概略図である。明確にするために、導電パッチは示されていない。上部リング1414は、例えば、導電ヘリカルトレース1402と同じ導電性材料で作成し得る。上部リング1414は、QHA1400の長手方向軸に垂直な平面上に配置され、QHA1400の長手方向軸は、上部リング1414の中心を通る。上部リング1414は、導電ヘリカルトレース1402から離間して絶縁されている。
図15は、導電ヘリカルトレース1502を囲む導電性(例えば、金属)外殻1516を含む別の例示的なQHA1500の概略図である。外殻1516は、導電ヘリカルトレース1502から離間している。外殻1516は、固形面でも、あるいは(例えば、グリルやケージに似た)材料片によって形成されてもよい。
図16は、導電ヘリカルトレース1602および導電要素(この場合は導電パッチ1610)が同心の誘電体円筒上のトレースとして設けられている別の例示的なQHA1600の概略図である。この例では、導電ヘリカルトレース1602および導電パッチ1610を別々の誘電体に別々に印刷してもよく、次に別々の誘電体を互いにラップして図16に示す同心円状の配置を得てもよい。
いくつかの例では、単一の導電ヘリカルトレースは、2つ以上の導電要素によって重ね合わされてもよい。例えば、図17は、複数の導電リング1710、この場合は4つの導電リング1710がある例示的なQHA1700を示す。したがって、各導電ヘリカルトレース1702は、導電ヘリカルトレース1702に沿った異なる位置で4つの異なる導電リング1710によって重ね合わされる。この例では、4つの導電リング1710のそれぞれは、同一の寸法を有するが、QHA1700に沿った異なる長手方向位置を有する。他の例では、導電リング1710は、異なる寸法(例えば異なる幅)および/または構成を有し得る。
図18Aは、各導電ヘリカルトレース1802がその長さに沿った異なる位置で2つの異なる導電パッチ1810によって重ねられるように、導電パッチ1810の数が導電ヘリカルトレース1802の数の2倍であるQHA1800の例を示す。図示の例では、導電パッチ1810の各々は同一の寸法を有する。QHA1800に沿った2つの異なる長手方向位置に2つの導電パッチ1810のセットがあり、2つのセット間には角度オフセットがある。他の例では、導電パッチ1810は、異なる寸法(例えば、2つの異なる幅の2つのセット)および/または構成を有してもよい。図18Bは、例示的なQHA1800に対するSパラメータのグラフである。図18Cは、2.1GHz、2.3GHz、2.5GHz、および2.7GHzの動作周波数における例示的なQHA1800の放射パターンを示す。図18Bおよび図18Cは、図8Bおよび図8Cに示す対応するグラフと比較し得る。図から分かるように、2つの導電パッチ1810のセットを使用すると、結合を−10dB未満に改善し得る(図18Bにおいて点線で示されている)、すなわちポート分離の改善をもたらす。
図19Aは、導電パッチ1910に加えて、QHA1900の長手方向軸に沿った中央導電ロッド1918を含む例示的なQHA1900を示す。この例では、動作周波数が2.1GHzの場合は、導電ロッド1918は、36mm=0.252mmの高さおよび3mm=0.021の直径を有する。図19Bは、同一の寸法および導電パッチ1910を有するが中央ロッド1918を持たない比較QHA(図示せず)のものと比較した、例示的なQHA1900のSパラメータを示す。図19Cは、図8Cに示すようにオン状態のポート1について2.1GHzの動作周波数でのロッドなしの比較QHAと比較した場合の、例示的なQHA1900の放射パターンを示す。図から分かるように、中心ロッド1918を追加すると放射サイドローブが減少する一方で、Sパラメータはわずかに影響を受ける可能性がある。
図20は、開示されたQHAの一例を製造するための方法例2000を説明するフローチャートである。方法2000は、QHAの導電ヘリカルトレースが可撓性誘電材料上のトレースとして提供される例に適している可能性がある。
2002において、導電ヘリカルトレースが可撓性誘電体の第1の表面上に設けられる。上述の例では、誘電体は、3.4の誘電率および0.127mmの厚さを有する二重Pyralux AP層であってもよい。導電ヘリカルトレースは、適切なエッチング技術を使用して、誘電体の一方の表面上にエッチングされてもよい。導電ヘリカルトレースは、ローンチラインと共にエッチングされてもよい。
2004において、1つまたは複数の導電要素(例えば、1つまたは複数の導電パッチおよび/または導電リング)が、同じまたは異なる誘電体の第2の表面に設けられる。1つまたは複数の導電要素は、上述のように、それらが導電ヘリカルトレースから絶縁され、導電ヘリカルトレース上に重ね合わされるように提供される。例えば、導電ヘリカルトレースおよび導電要素(複数可)は、(例えば、エッチングまたは他の適切な技術によって)同じ誘電体の対向する表面上に提供され得る。いくつかの例では、導電要素は、1つまたは複数の導電要素が誘電体層の間に挟まれるように、二重層誘電体の内層上に設けられ、導電ヘリカルトレースは二重層の誘電体層の外側の露出層上に設けられ得る。いくつかの例では、導電要素は、導電ヘリカルトレースとは別の誘電体上に提供されてもよく、2つの誘電体は、一緒に積層または互いにラップされてもよい(下記2006において)。
2006において、誘電体は、QHAを形成するために、導電ヘリカルトレースが共通の長手方向アンテナ軸の周囲にヘリカル巻線を形成するようにラップされる。誘電体は、十分に自己支持型であってもよく、または他の支持材料もしくは構造の周囲にラップされてもよい。誘電体の端部は、例えば任意の適切な接着剤を使用して互いに接合されて管状構造を形成してもよい。誘電体は、QHAを調整するために、円筒形または正方形ベースの管などの異なるジオメトリに整形され得る。導電ヘリカルトレースおよび導電要素が異なる誘電体上に設けられる場合、異なる誘電体は、例えば2つの同心管を形成するために互いにラップされてもよい。
2008において、誘電体はグランドプレートに取り付けられる。これは、ローンチラインをグランドプレートに画定されたポートに接続することを含み得る。アンテナアレイが製造される場合、複数のアンテナが共通のグランドプレートに取り付けられてもよい。グランドプレートの使用およびグランドプレートのサイズは用途に基づいて選択し得る。
上述の例では、特定の例示的な寸法および構成が提供されているが、これらは例示目的のためだけであり、限定することを意図しない。一般に、QHAに組み込む導電要素の選択、ならびに導電要素の位置、寸法、および向きは、所望の周波数帯域および/または動作周波数における所望のインピーダンス整合、放射パターンおよび/または絶縁を提供するように(例えば、適切なアンテナ同調技術を使用して)選択され得る。導電ヘリカルトレースの寸法および構成などのQHAの他の態様も、所望のアンテナ特性を達成するために同様に選択し得る。
本明細書に記載された様々な例示的なQHAは、必要に応じて、送信または受信のために使用され得る。各QHAは、二重性、三重性、四重性または五重性で、または例えば、MIMOアンテナアレイにおいて個々のアンテナとして使用されてもよい。一般に、例示的なQHAは、基地局内または電気通信ネットワークのバックホール内の他の場所を含む、4ポートアンテナが適している任意の用途に使用し得る。
本明細書に開示される例示的なQHAは、例えばモノのインターネット(IoT)アプリケーションにおける使用のために、5G無線ネットワークにおける使用に適している可能性がある。QHA内に導電要素を含めることにより、アンテナアレイと同様に個々のQHAのサイズを縮小することが可能になり得、これは様々な製品にアンテナを組み込むことを可能にし得る。例えば、開示されたQHAの例は、交通用アンテナ、路上およびマンホールの蓋に取り付けられたアンテナ、デスクトップアンテナ、街灯柱アンテナ、ならびに屋内および屋外の両方の他のモバイルおよび固定コンピューティングデバイスおよびインフラストラクチャ機器に組み込まれ得る。開示されたQHAの例は、WiFi、ブルートゥース、セルラー、産業科学および医療(ISM)、広帯域および/またはスペクトル拡散通信用の周波数で動作するように設計されてもよい。例示的なQHAを様々な製品に広く組み込む能力は、通信容量の増加を可能にし得、またそれらをシグナルブースターとして使用可能にし得る。
本開示は、特定の順序のステップを有する方法およびプロセスを説明しているが、方法およびプロセスの1つまたは複数のステップは、適宜省略または変更し得る。1つまたは複数のステップは、必要に応じて、説明された順序以外の順序で実行してもよい。
本開示は方法に関して少なくとも部分的に説明されているが、当業者は、本開示が記載された方法の態様および特徴の少なくともいくつかをハードウェアコンポーネント、ソフトウェア、またはこれら2つの任意の組み合わせにより実施するための様々な構成要素も対象としていることを理解するであろう。したがって、本開示の技術的解決策は、ソフトウェア製品の形で実施し得る。適切なソフトウェア製品は、例えばDVD、CD−ROM、USBフラッシュディスク、リムーバブルハードディスク、または他の記憶媒体を含む、予め記録された記憶装置または他の類似の不揮発性もしくは非一時的コンピュータ可読媒体に記憶され得る。ソフトウェア製品は、処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、サーバ、またはネットワーク装置)が本明細書に開示される方法の例を実行することを可能にする、目に見える形式で格納された命令を含む。
本開示は、特許請求の範囲の主題から逸脱することなく他の特定の形態で具現化し得る。説明した例示的な実施形態は、あらゆる点で例示的なものにすぎず、限定的なものではないと見なされるべきである。上記の実施形態のうちの1つまたは複数から選択された特徴は、明示的に説明されていない代替の実施形態を作成するために組み合わせてもよく、そのような組み合わせに適した特徴は本開示の範囲内に包含されると理解される。
開示された範囲内の全ての値および部分範囲もまた開示されている。また、本明細書に開示され示されたシステム、装置およびプロセスは特定数の素子/要素を含み得るが、システム、装置およびアセンブリは追加のまたはより少ないそのような素子/要素を含むように修正され得る。例えば、開示された素子/要素のいずれもが単数形であるとして言及され得るが、本明細書に開示される実施形態は、複数のそのような素子/要素を含むように修正され得る。本明細書に記載の主題は、技術におけるすべての適切な変更を網羅し、包含することを意図している。
関連出願の参照
本出願は、2017年1月12日に出願され、かつ「Miniaturization of Quad Port Helical Antenna」と題する米国特許出願第15/304,898号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
本開示は、多入力多出力(MIMO)通信システムおよび他の無線通信システムにおける使用を含む、4つの独立したポートを有する4線巻きヘリカルアンテナ(QHA)の小型化に関する。
4線巻きヘリカルアンテナ(QHA)は、4つの独立したポートを有する4つの別々のヘリックスからなる。QHAは、金属ワイヤ、導電ストリップから構築されてもよく、または適切な給電ネットワークを用いて円偏光放射を生成するために円筒状にラップされた誘電体シート上に印刷されてもよい。QHAは、アンテナダイバーシティ、陸上移動衛星(LMS)通信、ならびに他の衛星通信およびナビゲーションシステムに使用されてきた。
QHAは、多入力多出力(MIMO)システムに適用するために、2素子、3素子または2×2素子アレイにおける円偏波(CP)シングルポートアンテナ素子として使用されてきた。MIMO用途では、2つの独立した物理ポートのみを有するアンテナ素子が通常実装される。4ポートQHAアンテナ素子は、4つの空間的に分離された半波長ダイポールMIMOシステムと比較して、単一アンテナMIMOシステムにおいて実証されていた。アンテナアレイ内のアンテナ素子としてマルチポートQHAを使用することは、アンテナアレイの全体サイズを縮小するのに役立ちこともあり、小型化する目的ならびにコスト削減を提供するために有用であろう。
例示的なマルチポートQHA設計は、2015年8月28日に出願され、「Multi−Filar Helical Antenna」と題する米国特許出願第14/839,192号に記載されており、その全体は参照により本明細書に組み込まれるものとする。例えば、アンテナの高さを低減し、放射パターンを改善し、ポート間の結合を低減し、および/または比較的広いインピーダンス帯域幅を維持するために、この設計を変更することは有用であろう。
本明細書に記載の様々な例は、MIMOおよび他の適切な用途においてアンテナポートの数を増やすことを可能にするQHA用の設計を提供する。本明細書に記載の実施例において1つまたは複数の容量性(例えば金属)導電要素を追加することにより、先行技術のQHAと比較して、よりコンパクトなサイズ、改善された放射パターン、十分に広いインピーダンス帯域幅を有し、コスト削減をもたらすQHAが達成され得る。信号対雑音比(SNR)に対する容量の増加(例えば、ビット/秒として測定される)もまた達成され得る。いくつかの例では、先行技術のQHAと比較して、アンテナ高さの70%近くの低減、放射パターンの改善、対向ポート結合の低減、ならびにアンテナインピーダンスおよびパターン帯域幅の増大を達成し得る。
開示された例示的なQHAは、(例えば、大規模MIMO用途用の)アンテナアレイにおいて4ポートアンテナ素子を使用することを可能にし、これが、2ポートアンテナ素子を使用したアレイと比較して、アレイパネルのサイズを減少させることを可能にし得る(例えば、いくつかの例では約42%のサイズ縮小)。
いくつかの例では、本開示はQHAを記載する。QHAは、共通の長手方向アンテナ軸の周囲に巻回された4つの導電ヘリカルトレースを含む。導電ヘリカルトレースは、選択された周波数帯域で送信または受信するように構成されている。各導電ヘリカルトレースは、それぞれのローンチラインを介してアンテナのそれぞれのポートに接続されている。QHAはまた、導電ヘリカルトレースから絶縁され、導電ヘリカルトレース上(または下)に重ね合わされた少なくとも1つの導電要素を含む。少なくとも1つの導電要素は、周波数帯域においてインピーダンス整合をもたらすように構成される。
いくつかの例では、本開示はアンテナアレイを記載する。アンテナアレイは複数の4ポートQHAを含む。各QHAは、共通の長手方向アンテナ軸の周囲に巻回された4つの導電ヘリカルトレースを含む。導電ヘリカルトレースは、選択された周波数帯域で送信または受信するように構成されている。各導電ヘリカルトレースは、それぞれのローンチラインを介してアンテナのそれぞれのポートに接続されている。各QHAはまた、導電ヘリカルトレースから絶縁され、導電ヘリカルトレース上(または下)に重ね合わされた少なくとも1つの導電要素を含む。少なくとも1つの導電要素は、周波数帯域においてインピーダンス整合をもたらすように構成される。
いくつかの例では、本開示は、QHAを製造する方法を記載する。本方法は、可撓性誘電体の第1の表面上にトレースとして4つの導電ヘリカルトレースを設けるステップを含む。各導電ヘリカルトレースは、アンテナのそれぞれのポートに接続するためのテールおよびそれぞれのローンチラインを備えている。導電ヘリカルトレースは、選択された周波数帯域で送信または受信するように構成されている。本方法はまた、可撓性誘電体の異なる第2の表面上に少なくとも1つの導電要素を設けるステップを含む。少なくとも1つの導電要素は、導電ヘリカルトレースから絶縁され、導電ヘリカルトレースの上に重ね合わされるように配置される。少なくとも1つの導電要素は、周波数帯域においてインピーダンス整合をもたらすように構成される。本方法はまた、導電ヘリカルトレースが共通の長手方向アンテナ軸の周囲にヘリカル巻線を形成するように可撓性誘電体をラップするステップを含む。
少なくとも1つの導電要素は、少なくとも1つの導電リングおよび/または導電パッチを含み得る。1つの導電パッチのセット、または2つ以上の導電パッチのセットがあってもよい。
ここで、例として、本出願の例示的な実施形態を示す添付の図面を参照する。
図1Aは、例示的な先行技術のQHAの概略図である。
図1Bは、図1AのQHAの散乱パラメータ(Sパラメータ)を示すグラフである。
図1Cは、図1AのQHAの放射パターンを示すグラフである。
図2は、導電パッチを有する例示的なQHAの概略図である。
図3は、導電リングを有する例示的なQHAの概略図である。
図4Aは、2.3GHz〜2.7GHzの周波数帯域用に調整された、導電リングを有する別の例示的なQHAの概略図である。
図4Bは、図4AのQHAおよび比較先行技術のQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図4Cは、図4AのQHAおよび比較先行技術のQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図4Dは、図4AのQHAおよび比較先行技術のQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図4Eは、図4AのQHAおよび比較先行技術のQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図5Aは、2.3GHz〜2.7GHzの周波数帯域に対して調整された、導電パッチを有する別の例示的なQHAの概略図である。
図5Bは、図5AのQHAおよび比較先行技術のQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図5Cは、図5AのQHAおよび比較先行技術のQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図5Dは、図5AのQHAおよび比較先行技術のQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図5Eは、図5AのQHAおよび比較先行技術のQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図6Aは、2.3GHz〜2.7GHzの周波数帯域に対して調整された、導電リングを有する別の例示的なQHAの概略図である。
図6Bは、図6AのQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図6Cは、図6AのQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図7Aは、2.3GHz〜2.7GHzの周波数帯域に対して調整された、導電パッチを有する別の例示的なQHAの概略図である。
図7Bは、図7AのQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図7Cは、図7AのQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図8Aは、1.9GHzから2.3GHzの周波数帯域用に調整された、導電パッチを有する別の例示的なQHAの概略図である。
図8Bは、図8AのQHAおよび比較先行技術のQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図8Cは、図8AのQHAおよび比較先行技術のQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図8Dは、図8AのQHAおよび比較先行技術のQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図8Eは、図8AのQHAおよび比較先行技術のQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図9Aは、3.4GHz〜3.6GHzの周波数帯域に対して調整された、導電パッチを有する別の例示的なQHAの概略図である。
図9Bは、図9AのQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図9Cは、図9AのQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図10Aは、図5AのQHAを組み込んだアンテナアレイの概略図である。
図10Cは、図10Aのアレイにおいて、ポート1がオンのアンテナ素子の放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図10Cは、図10Aのアレイにおいて、ポート1がオンのアンテナ素子の放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図10Dは、2ポートアンテナのアンテナアレイと4ポートアンテナのアンテナアレイとを比較する概略図である。
図11は、鋭い屈曲部を有するローンチラインを示す例示的なQHAの拡大概略図である。
図12Aは、非円筒形ジオメトリを有し、導電リングを含む例示的なQHAの概略図である。
図12Bは、図12AのQHAおよび比較先行技術のQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図12Cは、図12AのQHAおよび比較先行技術のQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図12Dは、図12AのQHAおよび比較先行技術のQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図12Eは、図12AのQHAおよび比較先行技術のQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図13は、上部プレートを有する例示的なQHAの概略図である。
図14は、上部リングを有する例示的なQHAの概略図である。
図15は、外殻を有する例示的なQHAの概略図である。
図16は、同心誘電体層を使用して形成された例示的なQHAの概略図である。
図17は、複数の導電リングを有する例示的なQHAの概略図である。
図18Aは、2つの導電パッチのセットを有する例示的なQHAの概略図である。
図18Bは、図18AのQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図18Cは、図18AのQHAの放射パターンおよびSパラメータを示すグラフである。
図19Aは、中心ロッドを有する例示的なQHAの概略図である。
図19Bは、図19AのQHAの放射パターンおよびSパラメータを中央ロッドのないQHAと比較して示すグラフである。
図19Cは、図19AのQHAの放射パターンおよびSパラメータを中央ロッドのないQHAと比較して示すグラフである。
図20は、開示されたQHAの一例を製造する例示的な方法を説明するフローチャートである。
様々な図において同様の参照番号が使用して同様の構成要素を示すことがある。
図1Aは、例えば米国特許出願第14/839,192号に記載されているような例示的な先行技術の4線巻きヘリカルアンテナ(QHA)10を示している。QHA10は、4つの螺旋状に巻回された導電ヘリカルトレース12(巻線またはフィラとも呼ばれる)を含み、各導電ヘリカルトレース12は、それぞれのローンチライン16を介してそれぞれのポート14に接続される。各導電ヘリカルトレース12は、上述の特許出願に記載されているような拡張基部と隆起高さを有し得る。各導電ヘリカルトレース12は独立して給電され、4ポートQHA10となる。4ポートQHAはまた、クアッドポートアンテナまたはクアッドアンテナと呼ばれることもある。導電ヘリカルトレース12は、隣接する導電ヘリカルトレース12間で90°の角距離だけ隔てられており、長さが等しく、同じ方向に同じピッチで巻回されている。図示の例では、QHA10は、グランドプレーン18、本例では導電反射板として機能することができる金属製のグランドプレーン18に取り付けられている。グランドプレーン18は、放射パターンのサイドローブを(グランドプレーン18から離れる)順方向に向ける手助けをすることが可能であるが、いくつかの例では、グランドプレーン18は省略されてもよい。導電ヘリカルトレース12は、例えば中空円筒として形成される誘電体上のトレースとして、または支持面の周囲に導電ヘリカルトレース12を巻回することによって設けてもよい。一般に、導電ヘリカルトレース12は、銅などの任意の適切な導電性材料で形成し得る。
QHA10の高さh1は、動作周波数の1波長λ未満であってもよい。例えば、QHA10は0.75λの高さh1を有してもよい。2.5GHzの動作周波数では、QHA10の高さhは約90mmである。図1Bは、2.3GHzから2.7GHzの範囲の動作周波数にわたる例示的なQHA10の散乱パラメータ(Sパラメータ)を示す。図1Cは、2.5GHzの動作周波数における例示的なQHA10の放射パターンを示す。例示的なQHA10は、2.3GHzから2.7GHzの動作範囲で約16%の広いインピーダンス帯域幅、および約−10dBの最大結合を有することが分かった。しかしながら、放射パターンの改善、ならびにアンテナ高さの低減が望まれる場合がある。
以下に提供される例では、例えば導電パッチまたは導電リングの形態の容量性要素を組み込んだ様々なQHAの設計が説明される。そのような設計がQHAの高さの低減を可能にすることが分かっており、また改善された放射パターンを提供し得る。関心のある異なる周波数帯域に対して異なる設計が調整されてもよく、これは5G無線用途に特に関連し得る。以下の表は、以下で詳しく説明するいくつかの例を示している。
図2は、導電パッチ210組み込んだ例示的なQHA200を示す概略図である。例示的なQHA200は、誘電体上に印刷またはエッチングすることによって設け得る複数の導電ヘリカルトレース202、この場合は4つの導電ヘリカルトレース202を含む。例えば、導電ヘリカルトレース202は、次に円柱形にラップされ得る可撓性誘電体(例えば、3.4の誘電率(DK)および0.127mmの厚さを有するDuPont(登録商標)Pyralux(登録商標) AP可撓性回路材料)をエッチングすることによって設けてもよい。導電ヘリカルトレース202は他の方法で、例えば支持表面の周囲に導電ワイヤまたはストリップを巻回することによって、あるいは同軸誘電体ケーブルをエッチングすることによって設け得る。
図2の例における導電ヘリカルトレース202は、隣接する導電ヘリカルトレース202間に90°の分離角をもって等間隔に離間されている。導電ヘリカルトレース202は、巻き数、ピッチ、長さ、幅、および巻き方向において互いに類似していてもよい。図2の例では、導電ヘリカルトレース202はそれぞれ、動作周波数の1波長λ未満(例えば、λ/4)の長さを有し、1ターン未満で完了し、その長さ全体にわたって実質的に一定の幅を有する。各導電ヘリカルトレース202は1完全巻き未満で巻回されているが、導電ヘリカルトレース202は依然としてQHA200の共通の中央長手方向z軸の周囲に螺旋状に巻回されていると見なされることに留意されたい。他の例(以下でさらに論じるいくつかの例を含む)では、導電ヘリカルトレース202は、1回または複数回の巻きを完了してもよく、可変幅を有してもよく、および/または均等または不均等の幅の2つ以上の分岐部に分割してもよい。一般に、導電ヘリカルトレース202の寸法および構成は、アンテナ設計の一部として、適切な同調技術を使用して、所望のアンテナ特性を達成するように選択され得る。適切であり得る導電ヘリカルトレース202の例示的な寸法および構成は、参照により先に盛り込まれている米国特許出願第14/839,192号に記載されている。QHA200の調整は、例えばシミュレーションの助けを借りて実行してもよい。
各導電ヘリカルトレース202は、それぞれのローンチライン206を介してそれぞれのポート204に接続されている。この例では、4つの導電ヘリカルトレース202はそれぞれ独立してそれぞれのポート204に供給され、4ポートQHA200が得られる。グランドプレーン208は、任意の適切な導電材料から形成されてもよく、導電反射体として機能してもよい。各導電ヘリカルトレース202は、信号を送信または受信するために、それぞれのポート204を介してアンテナフィードネットワーク(図示せず)に接続してもよい。
QHA200は、導電ヘリカルトレース202から電気的に絶縁された、1つまたは複数の導電要素、この例では導電パッチ210を含む。例えば、図2のQHA200は、4つの導電パッチ210を含む。導電パッチ210は、各導電ヘリカルトレース202が少なくとも部分的に導電パッチ210により重ね合わされるように配置される。例えば、各導電ヘリカルトレース202は、図2示すように異なるそれぞれの導電パッチ210により部分的に重ね合わされてもよい。いくつかの例では、単一の導電パッチ210は、2つ以上の導電ヘリカルトレース202に重ね合わせてもよい。いくつかの例では、単一の導電ヘリカルトレース202は、2つ以上の導電パッチ210によって重ね合わされ得る。導電パッチ210の数は、導電ヘリカルトレース202の数より多くても少なくてもよい。本開示では、用語「重ね合わされる」は、導電ヘリカルトレース202が誘電体または支持面を通して投影されるとき導電パッチ210と重なることを示すのに使用され、「重ね合わされる」とは、必ずしも導電ヘリカルトレース202と導電パッチ210とが物理的に接触していることを意味するものではなく、また「重ね合わされる」とは、導電ヘリカルトレース202と導電パッチ210とが設けられる順序を何ら必要とせず、導電パッチ210は導電ヘリカルトレース202上に重ね合わされるか、導電ヘリカルトレース202の下に重ね合わされると説明され得る。導電ヘリカルトレース202と導電パッチ210とは互いに絶縁されていてもよい。
導電パッチ210は、導電ヘリカルトレース202が設けられている表面とは反対側の誘電体基板の表面上に印刷することによって設けてもよい。あるいは、導電パッチ210は2つの誘電体層の間にパッチ210を挟むことによって提供され(例えば、導電パッチ210は二層誘電体の内側または内層に提供される)、導電ヘリカルトレース202は2つの誘電体層の外面上に提供され得る。いくつかの例では、導電パッチ210が1つの誘電体層に印刷され、導電ヘリカルトレース202が別の誘電体層に印刷され、次いでこれらの誘電体層が互いに積層されてもよい。導電パッチ210が導電ヘリカルトレース202から電気的に絶縁され、導電ヘリカルトレース202の上に重ね合わされる限り、導電パッチ210を提供するための任意の適切な方法を使用し得る。
導電パッチ210は、長さ、幅および/またはピッチが互いに類似していてもよい。図2の例では、導電パッチ210はその長さ全体にわたって実質的に一定の幅を有するが、他の例では導電パッチ210は可変幅を有するか、または異なるジオメトリ(不規則なジオメトリを含む)を有し得る。図示されるように、導電パッチ210は0°のピッチを有する、すなわち、導電パッチ210の長手方向軸は概してQHA200の底部に対して平行である。
図2は4つの導電パッチ210を示しているが、いくつかの例では、1つのより長い導電パッチが2つ以上のより短い導電パッチ210の機能を果たすようにより長い導電パッチを使用し得る。
導電パッチ210の位置、寸法および構成は、アンテナ設計の調整の一部として、所望のアンテナ特性を達成するように選択されてもよい。そのような調整は、導電ヘリカルトレース202の設計の調整と併せて実行し得る。
QHA200の高さh2は、先行技術のQHAと比較して減少されてもよく、アンテナの特性は、先行技術のQHAと比較して維持または改善され得る。例えば、導電パッチ210を含むことにより、QHA200は、同じ周波数帯域に同調された先行技術のQHAと比較して、改善された放射パターンおよび低減されたアンテナ高さh2を達成し得る。このような性能特性を実証するために、例示的なシミュレーションが以下にさらに説明される。
図3は、導電パッチが導電リングで置き換えられている別の例示的なQHA300を示す概略図である。図3のQHA300は、図2のQHA200と同様に、それぞれのローンチライン306を介してそれぞれのポート304に接続され、グランドプレーン308上に取り付けられた(上述したように寸法および構成の選択可能な変形を伴う)4つの導電ヘリカルトレース302を含む。1つまたは複数の導電パッチの代わりに、QHA300の導電要素は、全ての導電ヘリカルトレース302の上に重ね合わされるように配置される導電リング310である。概念的には、導電リング310は、QHA300の外周全体に完全に延出する導電パッチと考え得る。導電リング310は、上述の導電パッチ210と同様の方法で設けてもよい。
導電リング310は、図3に示すように、全体を通して実質的に一定の幅を有し得る。他の例では、導電リング310は可変幅を有してもよい。リングとして説明されているが、導電リング310は非円形のジオメトリを有していてもよい。例えば、導電リング310は、正方形または他の規則的または不規則的なジオメトリの外周に沿ってもよい。導電リング310は、ゼロではないピッチ角を有してもよく、または0°のピッチを有してもよく、すなわち(図3の例のように)グランドプレーン308と実質的に平行であってもよい。導電リング310のピッチに関係なく、導電リング310はQHA300の長手方向のz軸を中心とする。導電リング310の位置、寸法および構成は、アンテナ設計の調整の一部として、所望のアンテナ特性を達成するように選択されてもよい。そのような調整は、導電ヘリカルトレース302の設計の調整と併せて実行し得る。
図2の例と同様に、図3の例において導電性リング310を含めることにより、同じ周波数帯域に調整された先行技術のQHAと比較して、QHA300の高さh3の低減および改善された放射パターンを可能にし得、同時にポート間の望ましい結合および広いインピーダンス帯域幅を維持し得る。このような性能特性を実証するために、例示的なシミュレーションが以下にさらに説明される。
一般に、導電要素(例えば、1つまたは複数の導電パッチ210または導電リング310)を含めることにより、アンテナ特性が向上し得る。導電要素は、金属製であっても、または他の任意の適切な導電性材料から作製されてもよい。導電パッチ210の代わりに導電リング310を使用することにより、結果異なるアンテナ性能がもたらされる可能性がある。例えば、導電パッチ210の代わりに導電リング310を使用することにより、1.9GHzから2.3GHzの周波数帯域で正方形ベースのQHAラップする設計の場合に、より望ましい放射パターンを提供し得る。どの導電要素を使用するか、または導電リング310と導電パッチ210の組み合わせを使用すべきかどうかの選択は、アンテナ設計の調整の一部であってもおよび/または支持構造のジオメトリ(正方形ベースまたは円形ベース)に依存してもよく、またシミュレーションの助けを借りて実行されてもよい。
本明細書に開示される例示的なQHAの性能を説明するために、いくつかの例示的なシミュレーション結果がここで議論される。これらのシミュレーションは説明のためだけに提供されており、限定または約束を意図するものではない。
図4Aは、導電リング410を有する例示的なQHA400を示す。このQHA400の性能は、2.3GHzから2.7GHzの周波数帯域についてシミュレートされ、結果は、2.5GHzの動作周波数について以下に説明される。適切な調整を通して、アンテナの高さは0.75λになるように選択された。この例における導電リング410は、2mm=0.017λの幅を有し、(QHA400の底部からリング410の下端までを測定して)45mm=0.375λの高さに配置されている。例示的なQHA400のシミュレーションは、同一の寸法および構成を有するが導電リングがない先行技術のQHA(図示せず)について行われたシミュレーションと比較し得る。
図4Bおよび図4Cは、それぞれ、比較先行技術のQHAの放射パターンおよび散乱パラメータ(Sパラメータ)を示す。比較のために、図4AのQHA400の放射パターンおよびSパラメータはそれぞれ、図4Dおよび図4Eに示される。これらのグラフから分かるように、導電リング410を含めることにより、2.3GHzから2.7GHzの周波数帯域において−12dB未満のインピーダンス整合で、改善された放射パターンがもたらされる。
図5Aは、4つの導電パッチ510を有する例示的なQHA500を示す。この例示的なQHA500は、2.3GHzから2.7GHzの周波数帯域に対して調整された。一般に、QHAの寸法は以下の式を用いて計算し得る。
ここで、HはQHAの全高、Leは円柱の周りをN回転する長さ、Lfdは各導電ヘリカルトレースのローンチ高さ、Ltはテール長、Wbは各導電ヘリカルトレースの幅、Rは円柱の半径である。各ヘリカルトレース502の全長は、Le+Lfd+Ltの合計であるが、Nは長さLeの巻き数のカウントである(すなわち、LfdおよびLtはNの計算に含まれない)ことに留意されたい。
2.5GHzの動作周波数において、例示的なQHA500は、39mm=0.325λの高さおよび42mm=0.350λの直径を有する。この例では、各導電パッチ510は、16.5mm=0.138λの長さ、7mm=0.058λの幅を有し、それぞれ(QHA500の底部からパッチ510の下端までを測定した場合)26mm=0.217λの高さに配置される。各導電ヘリカルトレース502は全長85mmを有し、これはLe=70mm=0.583λ、10mmのローンチ高さおよび5mmのテール長の合計である。各導電ヘリカルトレース502は9mmの幅を有する。各導電ヘリカルトレース502は、QHA500のテールおよびローンチ高さ以降、かつ19.5°のピッチ角から開始して、0.5回の巻きを有する。
図5のQHA500について、2.3GHz〜2.7GHzの周波数帯域におけるSパラメータは以下の通りであることが分かった。
例示的なQHA500のシミュレーションは、同一の寸法および構成を有するが導電パッチのない先行技術のQHA(図示せず)について行われたシミュレーションと比較し得る。図5Bおよび図5Cは、先行技術のQHAおよび例示的なQHA500のSパラメータをそれぞれ示す。導電パッチ510を含めることによって、QHA500に対するインピーダンス整合が改善されることが分かる。
2.3GHz、2.5GHz、および2.7GHzの動作周波数における比較先行技術のQHAのアンテナ素子(ポート1がオンの状態)の放射パターンを図5Dに示す。比較のために、同じ動作周波数における例示的なQHA500(ポート1がオンの状態)の対応する放射パターンを図5Eに示す。導電パッチ510を含めることにより、QHA500の放射パターンが改善されることが分かる。
図6Aは、導電リング610を有する例示的なQHA600を示す。この例示的なQHA600は、2.3GHzから2.7GHzの周波数帯域に対して調整された。2.5GHzの動作周波数では、例示的なQHA500は、高さ39mm=0.325λおよび直径42mm=0.350λを有する。この例における導電リング610は、2mm=0.017λの幅を有し、(QHA600の底部からリング610の下端まで測定した場合)30mm=0.25λの高さに配置されている。例示的なQHA600の寸法は、図5Aの例示的QHA500の寸法と同一であり、異なる点は、導電パッチ510の代わりに導電リング610が使用されていることである。
例示的なQHA600のシミュレーションは、同一の寸法および構成を有するが導電リングを持たない先行技術のQHA(例示的なQHA500に関して上述した比較先行技術のQHAと同じ)について行われたシミュレーションと比較され得る。2.3GHz〜2.7GHzの周波数帯域におけるSパラメータは以下の通りであることが分かった。
図6Bは、例示的なQHA600についてシミュレートされたSパラメータを示すグラフである。これは、先行技術のQHAに対するSパラメータのグラフを示す図5Dと比較し得る。図6Cは、2.3GHz、2.5GHz、および2.7GHzの動作周波数における例示的なQHA600の放射パターンを示す。比較のために、比較先行技術のQHAの放射パターンを図5Dに示す。これらのシミュレーション結果によって示されるように、例示的なQHA600は、先行技術のQHAと比較して、改善されたリターンロスおよび放射パターン特性を示す。
図7Aは、4つの導電パッチ710を有する例示的なQHA700を示す。この例示的なQHA700は、2.3GHzから2.7GHzの周波数帯域に対して調整された。2.5GHzの動作周波数では、例示的なQHA700は、28mm=0.233λの高さおよび50mm=0.417λの直径を有する。この例における導電パッチ710はそれぞれ、31.4mm=0.262λの長さおよび7mm=0.058λの幅を有する。各導電パッチ710は、(QHA700の底部から各パッチ710の下端まで測定した場合)6mm=0.05λの高さに配置される。各導電ヘリカルトレース702は、45mmの全長を有し、これはLe=30mm=0.250λ、ローンチ高さ10mmおよびテール長5mmの合計である。各導電ヘリカルトレース702は7mmの幅を有する。各導電ヘリカルトレース702は、ローンチ高さおよびテール長さを含まない0.17回の巻きを有する。各導電ヘリカルトレース702は、反射板と接触することなく、QHA700の底部から27°のピッチ角で開始する。
このQHA700のシミュレーションは、導電パッチ710が誘電体層の間に挟まれている、二重Pyralux AP層の使用に基づくものであった。隣接ポート間の結合は、2.3GHz〜2.7GHzの周波数帯域で−9dB未満であることが分かった。図7Bは、例示的なQHA700についてシミュレートされたSパラメータを示すグラフである。図7Cは、異なる励起を持つ、2.5GHzの動作周波数での例示的なQHA700の放射パターンを示す。
図8Aは、導電パッチ810を有する例示的なQHA800を示す。この例示的なQHA800は、1.9GHzから2.3GHzの周波数帯域に対して調整された。2.1GHzの動作周波数では、例示的なQHA800は、36mm=0.252λの高さおよび50mm=0.350λの直径を有する。この例における導電パッチ810はそれぞれ、19.64mm=0.137λの長さおよび7mm=0.049λの幅を有する。各導電パッチ810は、(QHA800の底部から各パッチ810の下端まで測定した場合)26mm=0.182λの高さに配置される。各導電ヘリカルトレース802は、全長102.9mmを有し、これはLe=84.9mm=0.5943λ、ローンチ高さ10mmおよびテール長8mmの合計である。各導電ヘリカルトレース802は、7mmの幅を有する。各導電ヘリカルトレース802は、ローンチ高さおよびテール長を含まずに0.5225回の巻きを有する。導電ヘリカルトレース802は、反射板に接触することなく、QHA800の底部から、かつ14.8°のピッチ角で開始する。
この周波数帯域において、例示的なQHA800に対するSパラメータは以下の通りであることが分かった。
例示的なQHA800のシミュレーションは、同一の寸法および構成を有するが導電パッチがない先行技術のQHAについて行われたシミュレーションと比較し得る。図8Bは、例示的なQHA800についてシミュレートされたSパラメータを示すグラフである。これは、比較先行技術のQHAについてのSパラメータのグラフを示す図8Dと比較し得る。図8Cは、ポート1が励起されているときの、2.1GHzの動作周波数での例示的なQHA800の放射パターンを示す。比較のために、比較先行技術のQHAの放射パターンを図8Eに示す。これらのシミュレーション結果によって示されるように、例示的なQHA800は、先行技術のQHAと比較して、改善されたSパラメータおよび放射パターン特性を示す。
図9Aは、導電パッチ910を有する例示的なQHA900を示す。この例示的なQHA900は、3.4GHzから3.6GHzの周波数帯域に対して調整された。3.5GHzの動作周波数では、例示的なQHA900は、38.4mm=0.448λの高さおよび50mm=0.583λの直径を有する。この例における各導電パッチ910は、28.6mm=0.334λの長さおよび5.5mm=0.064λの幅を有する。各導電パッチ910は、(QHA900の底部から各パッチ910の下端まで測定した場合)14mm=0.163λの高さに配置されている。各導電ヘリカルトレース902は、74.7mmの全長を有し、これはLe=60.7mm=0.4249λ、ローンチ高さ10mmおよびテール長4mmの合計である。各導電ヘリカルトレース902は6.15mmの幅を有する。各導電ヘリカルトレース902は、ローンチ高さおよび尾部長さを含まない0.3529回の巻きを有する。導電ヘリカルトレース902は、反射板に接触することなく、QHA900の底部から、かつ24°のピッチ角で開始する。
この動作周波数では、対向する導電ヘリカルトレースの間隔は0.583λであり、−15dB未満のアイソレーションを達成し、また隣接する導電ヘリカルトレースの間隔は0.412λであり、−10dB未満のアイソレーションを達成している。
図9Bは、例示的なQHA900についてシミュレートされたSパラメータを示すグラフである。図9Cは、ポート1が励起されているときの、3.4GHz、3.5GHz、および3.6GHzの動作周波数での例示的なQHA800の放射パターンを示す。
本明細書に開示された例示的なQHAは、個別のアンテナとして使用されてもよく、またはアンテナアレイにおいて使用されてもよい。開示された例示的なQHAは改善された放射パターンおよびSパラメータを可能にするので、そのような4ポートQHAを狭い間隔のアンテナアレイに使用してもなおアレイ内のアンテナ間の許容可能な低干渉を達成することが可能である。アンテナアレイ内のQHAは、同一の設計を有してもよく、または異なる設計を含んでもよい。アンテナアレイは、先行技術のQHAと組み合わせて、開示されたQHAの例を組み込んでもよい。
図10Aは、本明細書に開示されるような複数のQHAを組み込んでいる例示的なアンテナアレイ1000を概略的に示す。図示されている例では、図5Aの単層QHA500の結合された二層の変形例の実装形態は、アンテナアレイ1000において使用される。平面図に示されるように、5つのそのようなQHAが中央のQHAを囲む4つのQHAと共に配置される。各QHAは4ポートアンテナであり、アンテナアレイ1000内に合計20ポートを提供する。例示的なアンテナアレイ1000は、2.5GHzの動作周波数を含む2.3GHz〜2.7GHzの周波数帯域に適している可能性がある。アレイ1000は、縦60mm、横120mmの千鳥配列である。2.5GHzの動作周波数では、60mmは0.5lに等しい。図10Bは、アンテナアレイ1000におけるQHAのシミュレートされたSパラメータを示すグラフである。図10Cは、ポート1が励起されたときの、2.3GHz、2.5GHz、および2.7GHzの動作周波数でのアンテナアレイ1000内のQHAの放射パターンを示す。個々のQHAの放射パターンと比較して、放射パターンにはわずかな変化しかない。Sパラメータの変化もほとんど気にならない。これらのシミュレーション結果は、本明細書に開示された例示的なQHA設計が4ポートQHAをアンテナアレイにおいて使用できることを実証する。
本明細書に開示されるように、アンテナアレイにおいて4ポートQHAを使用することは、特に大規模MIMO用途のために、アレイのサイズを縮小することを可能にし得る。例えば、図10Dは、本明細書に開示される例示的なQHAなどの4ポートアンテナを使用するアンテナアレイ1060と比較した、2ポートアンテナを使用するアンテナアレイ1050を示す。128ポートを達成するためには、64個の2ポートアンテナが必要とされる(例えば、8行×8列に配置される)。比較すると、アンテナアレイ1060において128ポートを達成するためには32個の4ポートQHAのみが必要である。図10Dでは、各アレイ1050、1060のアンテナは、0.5λの方位間隔と1λの仰角間隔で、互い違いに配置されている。2.1GHzの動作周波数では、λ=142.8mmである。2ポートアンテナのアレイ1050は、21λ2の面積を必要とする。比較すると、4ポートQHAのアレイ1060は12.25λ2の面積を必要とし、約42%の面積縮小を達成する。
導電要素を組み込んだ様々な例示的なQHA構成は、上述されている。適切な設計パラメータ(例えば、導電ヘリカルトレースの寸法、導電部品の寸法、構成および/または配置、および/または全体のQHAの寸法)を選択して所望のアンテナ特性を達成するために(例えば、Sパラメータを調整して放射パターンを成形する)、(例えば、シミュレーションまたは他のアンテナ設計技術を用いた)適切な調整が行われ得る。他の可能な変形を以下に検討する。これらの以下の変形例は、前述の例のいくつかまたはすべてに組み込んでもよく、そのような変形例は、所望のアンテナ特性を達成するために組み合わせて組み込んでもよい。
図11は、例示的なQHA1100の一部の拡大図であり、そこでは導電ヘリカルトレース1102が90°より大きな角度を有する(すなわち、最小またはゼロの曲げ半径を有する)鋭い屈曲部を有するローンライン1106を介して供給される。ローンチライン1106に鋭い屈曲部を含めることによって、導電ヘリカルトレース1102を導電ヘリカルトレース1102の長さに沿った異なる接続点で接続することが可能になり、それによって同調およびインピーダンス整合のための設計自由度が増大する。ローンチライン1106の鋭い屈曲部がQHA1100の特性に大きな影響を与えることは見出されなかった。
図12Aは、導電ヘリカルトレース1202が非円筒形のジオメトリ、この場合は正方形ベースのジオメトリの周囲に巻回されている例示的なQHA1200を示す。この例における導電要素は導電リング1210であり、これもまた正方形のジオメトリを有し得る。2.3GHz〜2.7GHzの周波数帯域では、QHA 1200は、37.2mm×37.2mmの正方形の基部、39mmの高さを有し得る。このQHA1200は、直径42mmの円形の基部を有する円筒形のQHAに基づくものであり得る。QHA1200は、正方形の基部の面積が42mmの直径を有する円形の基部の面積と等しくなるように設計し得る。この例では、導電リング1210は2mmの幅を有し、(QHA1200の底部からリング1210の下端まで測定した場合)30mmの高さに配置されている。
例示的なQHA1200の特性は、同一の寸法および構成を有するが導電リング1210がない先行技術のQHA(図示せず)の特性と比較し得る。図12Bおよび図12Cはそれぞれ、例示的なQHA1200および比較先行技術のQHAのSパラメータを示す。例示的なQHA1200は、先行技術のQHAと比較して改善されたSパラメータを達成することが分かる。図12Dおよび図12Eはそれぞれ、2.3GHzおよび2.5GHzの動作周波数における、例示的なQHA1200および比較先行技術のQHAの放射パターンを示す。例示的なQHA1200は、先行技術のQHAと比較して改善された放射パターンを達成することが分かる。
一般に、導電ヘリカルトレースは、例えば正方形、球形、円筒形または円錐形の表面を含む任意の適切なジオメトリの周囲に設けることができる。同心面を使用してもよい。それに応じて、誘電体または他の支持面を整形することによって、QHAに対する異なるジオメトリを達成し得る。本開示におけるヘリカルアンテナおよび導電ヘリカルトレースは、円形または円筒形のジオメトリに厳密に限定されないことを理解されたい。非円筒形のジオメトリの周囲に形成された巻線はまた、「ヘリカル」であるとも称され得る。QHAに対する適切なジオメトリの選択は、アンテナ調整の一部として、また、(例えば、シミュレーションの助けを借りて)所望の放射パターンを得るために実行されてもよい。以下で論じる図13〜図19Cは、放射パターン整形の目的のために、導電パッチと共に実装することができる例示的な設計変形を示す。個別に説明したが、そのような変形は組み合わせて使用し得る。
図13は、上部プレート1312を含む別の例示的なQHA1300の概略図である。明確にするために、導電パッチは示されていない。上部プレート1312は、例えば、導電ヘリカルトレース1302と同じ導電性材料で作成し得る。上部プレート1312は、QHA1300の長手方向軸に垂直な平面上に配置され、QHA1300の長手方向軸を中心としている。上部プレート1312は、導電ヘリカルトレース1302から離間して絶縁されている。
図14は、上部リング1414を含む別の例示的なQHA1400の概略図である。明確にするために、導電パッチは示されていない。上部リング1414は、例えば、導電ヘリカルトレース1402と同じ導電性材料で作成し得る。上部リング1414は、QHA1400の長手方向軸に垂直な平面上に配置され、QHA1400の長手方向軸は、上部リング1414の中心を通る。上部リング1414は、導電ヘリカルトレース1402から離間して絶縁されている。
図15は、導電ヘリカルトレース1502を囲む導電性(例えば、金属)外殻1516を含む別の例示的なQHA1500の概略図である。外殻1516は、導電ヘリカルトレース1502から離間している。外殻1516は、固形面でも、あるいは(例えば、グリルやケージに似た)材料片によって形成されてもよい。
図16は、導電ヘリカルトレース1602および導電要素(この場合は導電パッチ1610)が同心の誘電体円筒上のトレースとして設けられている別の例示的なQHA1600の概略図である。この例では、導電ヘリカルトレース1602および導電パッチ1610を別々の誘電体に別々に印刷してもよく、次に別々の誘電体を互いにラップして図16に示す同心円状の配置を得てもよい。
いくつかの例では、単一の導電ヘリカルトレースは、2つ以上の導電要素によって重ね合わされてもよい。例えば、図17は、複数の導電リング1710、この場合は4つの導電リング1710がある例示的なQHA1700を示す。したがって、各導電ヘリカルトレース1702は、導電ヘリカルトレース1702に沿った異なる位置で4つの異なる導電リング1710によって重ね合わされる。この例では、4つの導電リング1710のそれぞれは、同一の寸法を有するが、QHA1700に沿った異なる長手方向位置を有する。他の例では、導電リング1710は、異なる寸法(例えば異なる幅)および/または構成を有し得る。
図18Aは、各導電ヘリカルトレース1802がその長さに沿った異なる位置で2つの異なる導電パッチ1810によって重ねられるように、導電パッチ1810の数が導電ヘリカルトレース1802の数の2倍であるQHA1800の例を示す。図示の例では、導電パッチ1810の各々は同一の寸法を有する。QHA1800に沿った2つの異なる長手方向位置に2つの導電パッチ1810のセットがあり、2つのセット間には角度オフセットがある。他の例では、導電パッチ1810は、異なる寸法(例えば、2つの異なる幅の2つのセット)および/または構成を有してもよい。図18Bは、例示的なQHA1800に対するSパラメータのグラフである。図18Cは、2.1GHz、2.3GHz、2.5GHz、および2.7GHzの動作周波数における例示的なQHA1800の放射パターンを示す。図18Bおよび図18Cは、図8Bおよび図8Cに示す対応するグラフと比較し得る。図から分かるように、2つの導電パッチ1810のセットを使用すると、結合を−10dB未満に改善し得る(図18Bにおいて点線で示されている)、すなわちポート分離の改善をもたらす。
図19Aは、導電パッチ1910に加えて、QHA1900の長手方向軸に沿った中央導電ロッド1918を含む例示的なQHA1900を示す。この例では、動作周波数が2.1GHzの場合は、導電ロッド1918は、36mm=0.252mmの高さおよび3mm=0.021の直径を有する。図19Bは、同一の寸法および導電パッチ1910を有するが中央ロッド1918を持たない比較QHA(図示せず)のものと比較した、例示的なQHA1900のSパラメータを示す。図19Cは、図8Cに示すようにオン状態のポート1について2.1GHzの動作周波数でのロッドなしの比較QHAと比較した場合の、例示的なQHA1900の放射パターンを示す。図から分かるように、中心ロッド1918を追加すると放射サイドローブが減少する一方で、Sパラメータはわずかに影響を受ける可能性がある。
図20は、開示されたQHAの一例を製造するための方法例2000を説明するフローチャートである。方法2000は、QHAの導電ヘリカルトレースが可撓性誘電材料上のトレースとして提供される例に適している可能性がある。
2002において、導電ヘリカルトレースが可撓性誘電体の第1の表面上に設けられる。上述の例では、誘電体は、3.4の誘電率および0.127mmの厚さを有する二重Pyralux AP層であってもよい。導電ヘリカルトレースは、適切なエッチング技術を使用して、誘電体の一方の表面上にエッチングされてもよい。導電ヘリカルトレースは、ローンチラインと共にエッチングされてもよい。
2004において、1つまたは複数の導電要素(例えば、1つまたは複数の導電パッチおよび/または導電リング)が、同じまたは異なる誘電体の第2の表面に設けられる。1つまたは複数の導電要素は、上述のように、それらが導電ヘリカルトレースから絶縁され、導電ヘリカルトレース上に重ね合わされるように提供される。例えば、導電ヘリカルトレースおよび導電要素(複数可)は、(例えば、エッチングまたは他の適切な技術によって)同じ誘電体の対向する表面上に提供され得る。いくつかの例では、導電要素は、1つまたは複数の導電要素が誘電体層の間に挟まれるように、二重層誘電体の内層上に設けられ、導電ヘリカルトレースは二重層の誘電体層の外側の露出層上に設けられ得る。いくつかの例では、導電要素は、導電ヘリカルトレースとは別の誘電体上に提供されてもよく、2つの誘電体は、一緒に積層または互いにラップされてもよい(下記2006において)。
2006において、誘電体は、QHAを形成するために、導電ヘリカルトレースが共通の長手方向アンテナ軸の周囲にヘリカル巻線を形成するようにラップされる。誘電体は、十分に自己支持型であってもよく、または他の支持材料もしくは構造の周囲にラップされてもよい。誘電体の端部は、例えば任意の適切な接着剤を使用して互いに接合されて管状構造を形成してもよい。誘電体は、QHAを調整するために、円筒形または正方形ベースの管などの異なるジオメトリに整形され得る。導電ヘリカルトレースおよび導電要素が異なる誘電体上に設けられる場合、異なる誘電体は、例えば2つの同心管を形成するために互いにラップされてもよい。
2008において、誘電体はグランドプレーンに取り付けられる。これは、ローンチラインをグランドプレーンに画定されたポートに接続することを含み得る。アンテナアレイが製造される場合、複数のアンテナが共通のグランドプレーンに取り付けられてもよい。グランドプレーンの使用およびグランドプレーンのサイズは用途に基づいて選択し得る。
上述の例では、特定の例示的な寸法および構成が提供されているが、これらは例示目的のためだけであり、限定することを意図しない。一般に、QHAに組み込む導電要素の選択、ならびに導電要素の位置、寸法、および向きは、所望の周波数帯域および/または動作周波数における所望のインピーダンス整合、放射パターンおよび/または絶縁を提供するように(例えば、適切なアンテナ同調技術を使用して)選択され得る。導電ヘリカルトレースの寸法および構成などのQHAの他の態様も、所望のアンテナ特性を達成するために同様に選択し得る。
本明細書に記載された様々な例示的なQHAは、必要に応じて、送信または受信のために使用され得る。各QHAは、二重性、三重性、四重性または五重性で、または例えば、MIMOアンテナアレイにおいて個々のアンテナとして使用されてもよい。一般に、例示的なQHAは、基地局内または電気通信ネットワークのバックホール内の他の場所を含む、4ポートアンテナが適している任意の用途に使用し得る。
本明細書に開示される例示的なQHAは、例えばモノのインターネット(IoT)アプリケーションにおける使用のために、5G無線ネットワークにおける使用に適している可能性がある。QHA内に導電要素を含めることにより、アンテナアレイと同様に個々のQHAのサイズを縮小することが可能になり得、これは様々な製品にアンテナを組み込むことを可能にし得る。例えば、開示されたQHAの例は、交通用アンテナ、路上およびマンホールの蓋に取り付けられたアンテナ、デスクトップアンテナ、街灯柱アンテナ、ならびに屋内および屋外の両方の他のモバイルおよび固定コンピューティングデバイスおよびインフラストラクチャ機器に組み込まれ得る。開示されたQHAの例は、WiFi、ブルートゥース、セルラー、産業科学および医療(ISM)、広帯域および/またはスペクトル拡散通信用の周波数で動作するように設計されてもよい。例示的なQHAを様々な製品に広く組み込む能力は、通信容量の増加を可能にし得、またそれらをシグナルブースターとして使用可能にし得る。
本開示は、特定の順序のステップを有する方法およびプロセスを説明しているが、方法およびプロセスの1つまたは複数のステップは、適宜省略または変更し得る。1つまたは複数のステップは、必要に応じて、説明された順序以外の順序で実行してもよい。
本開示は方法に関して少なくとも部分的に説明されているが、当業者は、本開示が記載された方法の態様および特徴の少なくともいくつかをハードウェアコンポーネント、ソフトウェア、またはこれら2つの任意の組み合わせにより実施するための様々な構成要素も対象としていることを理解するであろう。したがって、本開示の技術的解決策は、ソフトウェア製品の形で実施し得る。適切なソフトウェア製品は、例えばDVD、CD−ROM、USBフラッシュディスク、リムーバブルハードディスク、または他の記憶媒体を含む、予め記録された記憶装置または他の類似の不揮発性もしくは非一時的コンピュータ可読媒体に記憶され得る。ソフトウェア製品は、処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、サーバ、またはネットワーク装置)が本明細書に開示される方法の例を実行することを可能にする、目に見える形式で格納された命令を含む。
本開示は、特許請求の範囲の主題から逸脱することなく他の特定の形態で具現化し得る。説明した例示的な実施形態は、あらゆる点で例示的なものにすぎず、限定的なものではないと見なされるべきである。上記の実施形態のうちの1つまたは複数から選択された特徴は、明示的に説明されていない代替の実施形態を作成するために組み合わせてもよく、そのような組み合わせに適した特徴は本開示の範囲内に包含されると理解される。
開示された範囲内の全ての値および部分範囲もまた開示されている。また、本明細書に開示され示されたシステム、装置およびプロセスは特定数の素子/要素を含み得るが、システム、装置およびアセンブリは追加のまたはより少ないそのような素子/要素を含むように修正され得る。例えば、開示された素子/要素のいずれもが単数形であるとして言及され得るが、本明細書に開示される実施形態は、複数のそのような素子/要素を含むように修正され得る。本明細書に記載の主題は、技術におけるすべての適切な変更を網羅し、包含することを意図している。