JP2020505401A - イミダゾピリダジン化合物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、細胞成長抑制活性を有するイミダゾピリダジン化合物およびこれを含む癌または腫瘍の予防または治療用薬学的組成物に関し、本発明に係る化学式1のイミダゾピリダジン化合物は、細胞成長抑制活性に優れているので、癌または腫瘍の予防または治療剤として有用に使用可能である。【選択図】なし

Description

本発明は、イミダゾピリダジン化合物およびその用途に関し、より詳細には、細胞成長抑制活性を有するイミダゾピリダジン化合物およびこれを含む癌または腫瘍の予防または治療用薬学的組成物に関する。
キナーゼ(kinase)は、高エネルギー分子、特にATPのリン酸基を基質に移す反応を媒介する。キナーゼは、リン酸無水結合を安定化させ、基質とリン酸基を特定の位置に位置づけて反応速度を高める役割を担う。負電荷を帯びたリン酸基と相互作用して現れる転移状態は、ほとんどの場合、正電荷を帯びた周辺のアミノ酸を介して静電的に安定化され、一部のキナーゼは、金属補助因子を用いてリン酸基と配位結合したりする。
キナーゼは、基質と特性によって、タンパク質キナーゼ、脂質キナーゼ、炭水化物キナーゼなどの多様なグループに分けられる。タンパク質、脂質、または炭水化物は、リン酸化の状態によって、活性、反応性、他の分子と結合可能な能力などが変化しうる。キナーゼは、細胞内の信号伝達(signal transduction)に広範な影響を及ぼし、細胞内部の複雑な生体メカニズムを調節する。ある分子はリン酸化を介して活性が強化されたり阻害され、他の分子と相互作用する能力が調節される。多くのキナーゼが環境条件や信号によって反応するため、細胞は、キナーゼを介して、状況によって細胞内の分子を統制することができる。したがって、キナーゼは、細胞の成長、分化、増殖、生存、物質代謝、信号伝達、細胞輸送、分泌およびその他数多くの細胞反応経路に非常に重要な役割を担う。
キナーゼは、バクテリアからカビ、昆虫、哺乳類に至るまでの多様な種から発見され、ヒトからは500個以上のキナーゼが現在まで発見された。
タンパク質キナーゼ(Protein Kinase)は、タンパク質の活性を増加させたり減少させ、安定化または分解のための標識になったり、特定の細胞区画に位置させたり、他のタンパク質との相互作用を開始または撹乱することができる。タンパク質キナーゼは、全体キナーゼの大部分を占めることが知られており、重要な研究対象にされてきた。タンパク質キナーゼは、リン酸分解酵素とともに、細胞信号伝達だけでなく、タンパク質および酵素調節の役割を担うが、細胞タンパク質は数多くの共有結合の対象であるが、リン酸化反応のように可逆的な共有結合は多くないため、タンパク質のリン酸化が調節的機能を有すると説明される。タンパク質キナーゼは、たびたび多数の基質を有したり、時には特定のタンパク質が1つ以上のキナーゼに基質として作用することもできる。この理由から、タンパク質キナーゼは、自らの活性を調節する因子を用いて名付ける。例えば、カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼは、カルモジュリンの調節を受ける。時々、キナーゼは、下部グループに分けられたりする。例えば、第1型および第2型の環状AMP依存性タンパク質キナーゼは、同一の酵素小単位から構成されるが、他の調節小単位が環状AMPに結合して調節される。
タンパク質キナーゼは、タンパク質のチロシン、セリン、およびトレオニン残基に位置するヒドロキシグループのリン酸化を触媒する酵素であって、細胞の成長、分化および増殖を誘発する成長因子信号伝達に重要な役割を担い(Irena Melnikova and James Golden,Nature Reviews Drug Discovery3,993,2004)、癌細胞では特定キナーゼの異常な発現または突然変異が頻繁であると報告されている。
ヒトタンパク質キナーゼは、ヒトの全体遺伝子の約1.7%に相当する518種が存在すると推定されるが(Manning et al,Science,2002,298,1912)、大きく、チロシンタンパク質キナーゼ(90種以上)と、セリン/トレオニンタンパク質キナーゼとに二分される。チロシンタンパク質キナーゼは、20個の亜科に区分される58種の受容体チロシンキナーゼと、10個の亜科に区分される32種の細胞質/非受容体とに分けられ、チロシンキナーゼ(Tyrosine Kinase;TK)は、ATPから1つのリン酸基をチロシンのヒドロキシフェニル(hydroxyphenyl)基に伝達する酵素の一種である。チロシンキナーゼは、明らかに正常細胞の成長に重要な役割を果たし、これは、直接的に細胞の信号伝達過程に参加する。
一般的に、外部の刺激を細胞が認知する方法の一つとして、細胞膜にある受容体のチロシンキナーゼを介した認知が知られている。受容体チロシンキナーゼ(RTK)は、細胞外に露出した細胞外部分、細胞内の細胞質に露出した細胞内部分、およびその中間に位置する原形質膜を通過する膜通過部分から構成されている。受容体の細胞外部分は、特定のリガンドが結合する部分であり、細胞内部分は、リガンドによって活性化された受容体の活性信号を細胞内に伝達する機能を果たす。受容体チロシンキナーゼは、細胞内に露出したC−末端部位にチロシンキナーゼ活性を有するドメインが存在し、細胞外部分に特定のリガンドが付着すると、受容体タンパク質の細胞質部分に露出したC−末端のチロシンキナーゼドメインのキナーゼ酵素が活性化され、二重体上で互いのC−末端にあるチロシンをリン酸化させる。このようなチロシンのリン酸化過程は、細胞外の刺激に対する信号を細胞内に伝達する最も重要な過程になる。このような機序をもって細胞外刺激を細胞内に伝達するチロシンキナーゼ活性を有する受容体は多く知られている。代表例として、SRC−1、EGFR、PDGFR、IR、IGFR、c−fms、VEGFR、FGFRなどが挙げられる。
細胞内には数多くの信号伝達体系が存在し、これらの各信号伝達体系は互いに有機的に連結されて複雑なメカニズムの形成により細胞の増殖、成長、死滅などを調節する(William G.Kaelin Jr,Nature Reviews Cancer5,689,2005)。したがって、遺伝的または環境的影響により細胞内の調節機能がバランスを失うと、異常な信号伝達の増幅または消滅が現れて信号伝達体系を崩すことにより(主に生体内の信号伝達が継続する状態)、癌、炎症、代謝性疾患、脳疾患などの多様な疾病を誘発する。
Irena Melnikova and James Golden,Nature Reviews Drug Discovery3,993,2004; Manning et al,Science,2002,298,1912; William G.Kaelin Jr,Nature Reviews Cancer5,689,2005。
本発明の一つの目的は、細胞成長抑制活性に優れた新規なイミダゾピリダジン化合物を提供することである。
本発明の他の目的は、前記化合物を活性成分として含む薬学的組成物を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、前記化合物を活性成分として含む癌または腫瘍を予防または治療するための薬学的組成物を提供することである。
上記の目的により、本発明は、下記化学式1のイミダゾピリダジン化合物またはその光学異性体を提供する:
Figure 2020505401
前記化学式1において、
は、Hまたはハロゲンであり;
Lは、−CH=CH−、−(CH)p−、および−(CH)p−O−からなる群より選択され;
pは、1〜3の整数であり;
は、結合であるか、−(CH)n−、−CO−、−NR−(CH)n−、または−O−(CH)n−であり;
nは、0〜3の整数であり;
は、HまたはC1−6アルキルであり;
Wは、N、O、およびSの中から選択された1個〜4個のヘテロ原子を含有する飽和または部分的に不飽和の5〜8員の非置換であるか、置換されたモノサイクリックヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールであり;
は、H、ハロゲン、直鎖状または分枝状のC1−6アルキル、直鎖状または分枝状のC2−10アルケニル、C3−10シクロアルキル、ハロC1−5アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、アミノ、モノまたはジ(C1−6アルキル)アミノ、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C3−10シクロアルキルC1−6アルキル、(モノまたはジ(C1−6アルキル)アミノ)ヘテロシクロアルキル、(ヒドロキシC1−6アルキル)ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヒドロキシヘテロシクロアルキルからなる群より選択される。
上記の他の目的により、本発明は、前記化合物を活性成分として含む薬学的組成物および薬学的製剤を提供する。
本発明に係る化学式1のイミダゾピリダジン化合物は、細胞成長抑制活性を示すことができるので、癌または腫瘍の予防または治療剤として有用に使用可能である。
下記化学式1のイミダゾピリダジン化合物またはその光学異性体:
Figure 2020505401
前記化学式1において、
は、Hまたはハロゲンであり;
Lは、−CH=CH−、−(CH)p−、および−(CH)p−O−からなる群より選択され;
pは、1〜3の整数であり;
は、結合であるか、−(CH)n−、−CO−、−NR−(CH)n−、または−O−(CH)n−であり;
nは、0〜3の整数であり;
は、HまたはC1−6アルキルであり;
Wは、N、O、およびSの中から選択された1個〜4個のヘテロ原子を含有する飽和または部分的に不飽和の5〜8員の非置換であるか、置換されたモノサイクリックヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールであり;
は、H、ハロゲン、直鎖状または分枝状のC1−6アルキル、直鎖状または分枝状のC2−10アルケニル、C3−10シクロアルキル、ハロC1−5アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、アミノ、モノまたはジ(C1−6アルキル)アミノ、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C3−10シクロアルキルC1−6アルキル、(モノまたはジ(C1−6アルキル)アミノ)ヘテロシクロアルキル、(ヒドロキシC1−6アルキル)ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヒドロキシヘテロシクロアルキルからなる群より選択される。
以下に挙げられた定義は、本発明を記述するために使われた多様な用語の定義である。これらの定義は、別途に限定されない限り、個別的にまたはこれらを含む用語の一部分として本明細書全体に適用される。
本明細書に使われる用語「ハロゲン」は、別途の言及がなければ、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素、あるいはこれらすべてのうちいずれか1つを意味する。
本明細書に使われる用語「アルキル」は、別途の言及がなければ、n個の炭素原子を有する場合、化学式C2n+1で表すことができる飽和した、直鎖状または分枝状の炭化水素ラジカルを指し示し、具体的には、それぞれ1〜6個の間、1〜8個の間、1〜10個の間、または1〜20個の間の炭素原子を含む飽和した、直鎖状または分枝状の炭化水素ラジカルを指し示す。これらのラジカルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、タート−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、ヘプチル、オクチルラジカルが含まれるが、これらに限るものではない。
本明細書に使われる用語「アルケニル」は、別途の言及がなければ、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有し、n個の炭素原子を有する場合、化学式C2n−1で表すことができる不飽和の、直鎖状または分枝状の炭化水素に由来する1価の基を指し示し、具体的には、それぞれ2〜6個の間、2〜8個の間、2〜10個の間、または2〜20個の間の炭素原子を含む不飽和の、直鎖状または分枝状の1価の基を指し示す。これらの例としては、エテニル、プロペニル、ブテニル、1−メチル−2−ブテン−1−イル、ヘプテニル、オクテニルラジカルが含まれるが、これらに限るものではない。
本明細書に使われる用語「シクロアルキル」は、別途の言及がなければ、単一環または多重環の飽和または不飽和の炭素環化合物に由来する1価の炭化水素基を示す。例えば、C−C−シクロアルキルの例示には、これに限らないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、およびシクロオクチルが含まれ;C−C12−シクロアルキルの例示には、これに限らないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、およびビシクロ[2.2.2]オクチルが含まれる。単一水素原子の除去によって、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する単一環または多重環化合物に由来する1価の基も考慮される。このような基の例示には、これに限らないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニルなどが含まれる。
本明細書に使われる用語「シクロアルキルアルキル」は、別途の言及がなければ、前述した定義によるアルキル基において、水素1つ以上が前述した定義によるシクロアルキル基で置換された1価の炭化水素ラジカルを指し示す。例えば、C3−10シクロアルキルC1−6アルキル基の例示には、これに限らないが、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロヘキシルメチルなどが含まれる。
本明細書に使われる用語「アリール」は、別途の言及がなければ、融合または非−融合された1つ以上の芳香族環を有する単一または多重環炭化水素ラジカルを指し示し、これに限らないが、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インデニル、イデニルなどを含む。
本明細書に使われる用語「ヘテロ環ラジカル」は、ヘテロ原子が含まれたシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロアリールなど、不飽和、飽和、芳香族、脂肪族などを含む。
本明細書に使われる用語「アリールアルキル」は、別途の言及がなければ、前述した定義によるアルキル基において、水素1つ以上がアリール基で置換されたラジカルを指し示し、これに限らないが、ベンジル、フェネチルなどを含む。
本明細書に使われる用語「ヘテロシクロアルキル」は、別途の言及がなければ、N、O、およびSの中から選択された1個以上、例えば、1個〜4個のヘテロ原子を含有する飽和または部分的に不飽和の3〜10員の単一または多重環置換基を意味する。モノサイクリックヘテロシクロアルキルの例としては、ピペリジニル、モルホリニル、チアモルホリニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペラジニル、およびこれと類似のグループが挙げられるが、これらに限るものではない。
本明細書に使われる用語「ヘテロアリール」は、別途の言及がなければ、O、N、およびSの中から選択された1個以上、例えば、1個〜4個のヘテロ原子を含有する5〜12員の単一または多重環芳香族1価のラジカルを意味する。モノサイクリックヘテロアリールの例としては、チアゾリル、オキサゾリル、チオフェニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、およびこれと類似のグループが挙げられるが、これらに限るものではない。ビサイクリックヘテロアリールの例としては、インドリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズチアジアゾリル、ベンズトリアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、プリニル、フロピリジニル、およびこれと類似のグループが挙げられるが、これらに限るものではない。
本明細書に使われる用語「ヘテロアリールアルキル」は、別途の言及がなければ、前述した定義によるアルキル基において、水素1つ以上がヘテロアリール基で置換されたラジカルを指し示し、これに限らないが、ピリジニルメチル、ピリミジニルエチルなどを含む。
本明細書において、官能基の名称の前に使われる炭素数の表示、例えば、C6−12アリールのC6−12は、当該官能基(アリール)が表示された数(6〜12個)の炭素原子を含有するものを指す。このような炭素数の表示は、複数の官能基と結合して1つの複合官能基を示すのにも使われるが、例えば、C6−12アリールC1−6アルキルは、1〜6個の炭素原子からなるアルキル基の水素1つがC6−12アリールで置換されたものを指す。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明は、イミダゾピリダジン化合物に関し、より詳細には、細胞成長抑制活性を有するイミダゾピリダジン化合物に関する。
具体的には、本発明は、下記化学式1のイミダゾピリダジン化合物またはその光学異性体を提供する。
Figure 2020505401
前記化学式1において、
は、Hまたはハロゲンであり;
Lは、−CH=CH−、−(CH)p−、および−(CH)p−O−からなる群より選択され;
pは、1〜3の整数であり;
は、結合であるか、−(CH)n−、−CO−、−NR−(CH)n−、または−O−(CH)n−であり;
nは、0〜3の整数であり;
は、HまたはC1−6アルキルであり;
Wは、N、O、およびSの中から選択された1個〜4個のヘテロ原子を含有する飽和または部分的に不飽和の5〜8員の非置換であるか、置換されたモノサイクリックヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールであり;
は、H、ハロゲン、直鎖状または分枝状のC1−6アルキル、直鎖状または分枝状のC2−10アルケニル、C3−10シクロアルキル、ハロC1−5アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、アミノ、モノまたはジ(C1−6アルキル)アミノ、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C3−10シクロアルキルC1−6アルキル、(モノまたはジ(C1−6アルキル)アミノ)ヘテロシクロアルキル、(ヒドロキシC1−6アルキル)ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヒドロキシヘテロシクロアルキルからなる群より選択される。
本発明の具体的な一実施様態において、Lは、−CH=CH−または−(CH−であってもよい。
本発明の具体的な一実施様態において、Rは、Hまたはハロゲンであってもよい。
本発明の具体的な一実施様態において、前記化学式1のRは、−O−(CH)n−であってもよいし、nは、0、1、または2であってもよい。
本発明の具体的な一実施様態において、Wは、ハロゲン、シアノ、直鎖状または分枝状のC1−6アルキル、C3−10シクロアルキル、ハロC1−5アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、アミノ、モノまたはジC1−6アルキルアミノ、オキソ、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、およびスルホニルからなる群より選択された1種以上の同一または異なる置換基で置換されるか、非置換のピペリジニル、ピペラジニル、イミダゾリル、ピロリジニル、またはモルホリニルであってもよいが、これらに限るものではない。
本発明の具体的な一実施様態において、前記化学式1の化合物は、1−(2−(((1Z,5Z)−2−フルオロ−3−アザ−1(3,6)−イミダゾ[1,2−b]ピリダジナ−2(4,2)ピリミジナ−4(1,3)−ベンゼナシクロヘキサファン−5−エン−4−イル)オキシ)エチル)ピペリジン−4−オールであってもよいが、これに限るものではない。
以下、本発明を下記の製造例および実施例に基づいてより詳細に説明するが、これは本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範囲がこれに限定されるのではない。
実施例1:1−(2−(((1Z,5Z)−2−フルオロ−3−アザ−1(3,6)−イミダゾ[1,2−b]ピリダジナ−2(4,2)ピリミジナ−4(1,3)−ベンゼナシクロヘキサファン−5−エン−4−イル)オキシ)エチル)ピペリジン−4−オール
ステップ1)2−アミノ−3−ブロモ−5−ニトロフェノールの製造
Figure 2020505401
2−アミノ−5−ニトロフェノール(25g、162mmol)をアセトニトリル(1.0L)に溶かし、N−ブロモスクシンイミド(28.8g、170mmol)をゆっくり添加した。常温で2時間撹拌した後、減圧下で溶媒を除去した。エチルアセテート/ヘキサンの混合溶液(1:1)で撹拌した後、生成された固体を濾過して、目的化合物(31.5g、83%)を得た。
H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ10.66(s,1H),7.83(s,1H),7.46(s,1H),6.15(s,2H).
ステップ2)3−ブロモ−5−ニトロフェノールの製造
Figure 2020505401
前記ステップ1)で製造した2−アミノ−3−ブロモ−5−ニトロフェノール(75.6g、0.32mmol)をエタノール(1.5L)に溶かし、−10℃に冷却した。硫酸(62.3mL、1.17mmol)を−10〜−2℃で30分間添加した。反応混合物の温度を50〜55℃に上昇させ、亜硝酸ナトリウムを30分間ゆっくり添加した。反応混合物の温度を80℃に上昇させ、3時間還流した。反応が完了した後、減圧下で溶媒を除去し、水とエチルアセテートを添加した。有機層を3回抽出し、塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(エチルアセテート:ヘキサン=0.5:10(v/v)で精製して、目的化合物(60g、85%収率)を得た。
H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ10.90(s,1H),7.75(s,1H),7.51(s,1H),7.36(s,1H).
ステップ3)3−ニトロ−5−ビニルフェノールの製造
Figure 2020505401
前記ステップ2)で製造した3−ブロモ−5−ニトロフェノール(5g、22.93mmol)とカリウムビニルトリフロロボレート(9g、68.80mmol)、Pd(dppf)Cl−CHCl(1.8g、2.29mmol)、トリエチルアミン(9.5mL、68.80mmol)を2−プロパノール/THF(5:1、60mL)に溶かし、窒素を吹き込んだ。反応混合物を密閉し、温度を100℃に上昇させ、12時間還流撹拌した。反応が完了した後、常温に冷却し、セライトで充填されたフィルタで濾過し、エチルアセテートで洗浄した。有機層を分離し、塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(エチルアセテート:ヘキサン=1:10(v/v))で精製して、目的化合物(3.27g、43%)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl):δ7.84(s,1H),7.57(s,1H),7.18(s,1H),6.64(dd,1H),5.82(d,1H),5.41(d,1H).
ステップ4)1−(2−(3−ニトロ−5−ビニルフェノキシ)エチル)ピペリジン−4−オールの製造
Figure 2020505401
前記ステップ3)において、3−ニトロ−5−ビニルフェノール(15g、83.71mmol)と1,2−ジブロモエタン(8.6mL、100.46mmol)をアセトニトリル(150mL)に溶かし、CsCO(40.9g、125.5mmol)を添加した。反応混合物を常温で12時間撹拌した。反応が完了した後、水とエチルアセテートを添加した。有機層を分離した後、塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をDMF(150mL)に溶かし、4−ヒドロキシピペリジン(16.9g、167.4mmol)と炭酸カリウム(23.1g、167.4mmol)を添加した。反応混合物の温度を90℃に上昇させ、2時間撹拌した。反応が完了した後、水とエチルアセテートを添加した。有機層を分離し、水で2回洗浄した。塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を除去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=10:1(v/v))で精製して、目的化合物(15g、58%収率)を得た。
ステップ5)1−(2−(3−アミノ−5−ビニルフェノキシ)エチル)ピペリジン−4−オールの製造
Figure 2020505401
鉄(Fe powder、1.59g、28.4mmol)に50%エタノールを入れて、濃塩酸(conc.HCl、0.24mL、0.27mmol)をゆっくり添加した後、120℃で1時間還流して活性化した。前記ステップ4)で製造した1−(2−(3−ニトロ−5−ビニルフェノキシ)エチル)ピペリジン−4−オール(1.66g、5.68mmol)を前記活性化された鉄混合物に添加して、120℃で1時間還流した。反応が完了した後、セライトで充填されたフィルタで濾過し、濾過液にクロロホルム/2−プロパノールの混合溶液(4:1)と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を入れた。有機層を分離した後、塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で濃縮して、目的化合物(1.2g、81%収率)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl):δ6.61〜6.52(m,1H),6.39(s,1H),6.34(s,1H),6.17〜6.16(m,1H),5.69〜5.63(m,1H),5.21〜5.17(m,1H),4.08〜4.04(t,2H),3.71〜3.65(m,3H),2.88〜2.83(m,2H),2.80〜2.76(t,2H),2.31〜2.24(m,2),1.93〜1.87(m,2H),1.66〜1.58(m,3H).
ステップ6)(E)−4−(2−ブトキシビニル)−2−クロロ−5−フルオロピリミジンの製造
Figure 2020505401
2,4−ジクロロピリミジン(25g、149.7mmol)をPEG400(150mL)に入れて、トリエチルアミン(22mL、157.2mmol)、ブチルビニルエーテル(20.4mL、157.2mmol)とパラジウムアセテート(2.36g、10.48mmol)を添加した。反応混合物を80℃で2時間撹拌した。反応が完了した後、0℃に冷却してジエチルエーテルを添加した。有機層を分離し、水で3回洗浄した。塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を除去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:エチルアセテート=20:1(v/v))で精製して、目的化合物(13.7g、40%収率)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl):δ8.20(m,1H),8.00〜7.96(d,1H),5.91〜5.87(d,1H),4.02〜3.98(t,2H),1.77〜1.70(m,2H),1.50〜1.40(m,1H),0.98〜0.93(t,3H).
ステップ7)6−クロロ−3−(2−クロロ−5−フルオロピリミジン−4−イル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジンの製造
Figure 2020505401
前記ステップ6)で製造した(E)−4−(2−ブトキシビニル)−2−クロロ−5−フルオロピリミジン(2g、8.67mmol)を1,4−ジオキサン/蒸留水の混合溶液(3:1、40mL)に溶かし、N−ブロモスクシンイミド(1.54g、8.67mmol)を添加した。反応混合物を常温で1時間撹拌した。3−アミノ−6−クロロピリダジン(1.12g、8.67mmol)を添加した後、反応混合物の温度を85℃に上昇させ、2時間撹拌した。反応が完了した後、常温に冷却して飽和炭酸水素ナトリウム溶液を添加して中性化(pH=7)して、常温で30分間撹拌した。生成された固体を濾過し、乾燥して、目的化合物(1.3g、53%収率)を得た。
H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ9.03(m,1H),8.47(m,1H),8.45〜8.41(d,1H),7.66〜7.63(d,1H).
ステップ8)1−(2−(3−((4−(6−クロロイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イル)−5−フルオロピリミジン−2−イル)アミノ)−5−ビニルフェノキシ)エチル)ピペリジン−4−オールの製造
Figure 2020505401
前記ステップ5)と7)で製造した1−(2−(3−アミノ−5−ビニルフェノキシ)エチル)ピペリジン−4−オール(260mg、0.99mmol)と6−クロロ−3−(2−クロロ−5−フルオロピリミジン−4−イル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン(282mg、0.99mol)を2−ブタノールに溶かし、p−トルエンスルホン酸(p−TsOH;189mg、0.99mol)を添加した。反応混合物を120℃で17時間還流した。反応が完了した後、常温に冷却して、クロロホルム/2−プロパノールの混合溶液(4:1)と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を入れた。有機層を分離した後、塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(CHCl:MeOH=10:1(v/v))で精製して、目的化合物(185mg、37%収率)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl):δ8.46(s,1H),8.36(s,1H),8.07〜8.04(d,1H),7.40(m,1H),7.29〜7.21(m,3H),6.73〜6.63(m,2H),5.76〜5.70(d,1H),5.27〜5.24(d,1H),4.16〜4.12(m,2H),3.77〜3.72(m,1H),2.90〜2.81(m,3H),2.35〜2.28(m,2H),1.95〜1.90(m,2H),1.69〜1.65(m,3H).
ステップ9)1−(2−(((1Z,5Z)−2−フルオロ−3−アザ−1(3,6)−イミダゾ[1,2−b]ピリダジナ−2(4,2)ピリミジナ−4(1,3)−ベンゼナシクロヘキサファン−5−エン−4−イル)オキシ)エチル)ピペリジン−4−オールの製造
Figure 2020505401
前記ステップ8)で製造した1−(2−(3−((4−(6−クロロイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イル)−5−フルオロピリミジン−2−イル)アミノ)−5−ビニルフェノキシ)エチル)ピペリジン−4−オール(55mg、0.108mmol)をPEG400(2mL)に溶かし、トリエチルアミン(16μL、0.113mmol)とパラジウムアセテート(2mg、0.008mmol)を添加した。反応混合物を85℃で4時間撹拌した。反応が完了した後、常温に冷却して水を添加し、エチルアセテートで3回抽出した。有機層を分離した後、塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(CHCl:MeOH=10:1(v/v))で精製して、目的化合物(12mg、24%収率)を得た。
MS:[M+H]m/z473.2;
H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ11.14(bs,1H),9.86(s,1H),8.63〜8.61(d,1H),8.50〜8.49(d,1H),8.31〜8.28(m,1H),7.62〜7.59(m,1H),6.95〜6.90(m,1H),6.75〜6.60(m,3H),4.60(m,1H),4.05〜4.01(m,2H),2.79〜2.71(m,2H),2.67〜2.63(t,2H),2.15〜2.07(m,2H),1.71〜1.67(m,2H),1.39〜1.35(m,3H).
試験例
上記の実施例で製造した化合物について、次のような細胞成長抑制活性結果を示した。
(試験例1:SK−CO−1細胞株評価)
ATCC(American Type Culture Collection、USA)から購入したSK−CO−1細胞株を、EMEM培養液(10%FBS、1%penicillin/streptomycin)で、5%COの存在下、30℃で培養した。培養されたSK−CO−1細胞株を5×10個/100μlで準備して96well−plateに入れて、1日間培養した。この後、同一のEMEM培養液に、試験化合物を10μMから0.1nMまで1/10の比率で階段式希釈をして処理した後、3日間培養した。細胞の生存能力を測定するために、SRB(sulforhodamine B colorimetric、sigma Cat.S1402)試験法を使用した。培養液を捨てた後、Wellあたり0.1mlの10%TCA(Trichloroacetic acid、Sigma Cat.T0699)を入れて、30分から1時間細胞株を固定した後、蒸留水で洗浄した後、空気中に露出させてplateを乾燥した。この後、0.4%SRB solutionをwllあたり100μlずつ入れて、常温で30分間細胞株を染色し、蒸留水と1%acetic acidでplateを洗浄した後、空気中で乾燥した。10nM trizma base solutionをwellあたり150μlずつ入れて、固体状のSRBを溶解させた後、Microplate−Readerを用いて540nMにおける吸光度を測定した。細胞株の成長抑制値(GI50)はGraphPad Prismソフトウェアを用いて算出した。その結果は下記表1に示した。
Figure 2020505401
前記表1に示されるように、本願発明の化合物は、細胞成長抑制活性に優れていることが明らかになった。
以上、本発明を上記の実施例を中心として説明したが、これは例示に過ぎず、本発明は、本発明の技術分野における通常の知識を有する者に自明な多様な変形および均等なその他の実施例を、以下に添付した請求の範囲内で実施できることを理解しなければならない。
本発明は、イミダゾピリダジン化合物およびその用途に関し、より詳細には、細胞成長抑制活性を有するイミダゾピリダジン化合物およびこれを含む癌または腫瘍の予防または治療用薬学的組成物に関する。

Claims (8)

  1. 下記化学式1のイミダゾピリダジン化合物またはその光学異性体:
    Figure 2020505401
    前記化学式1において、
    は、Hまたはハロゲンであり;
    Lは、−CH=CH−、−(CH)p−、および−(CH)p−O−からなる群より選択され;
    pは、1〜3の整数であり;
    は、結合であるか、−(CH)n−、−CO−、−NR−(CH)n−、または−O−(CH)n−であり;
    nは、0〜3の整数であり;
    は、HまたはC1−6アルキルであり;
    Wは、N、O、およびSの中から選択された1個〜4個のヘテロ原子を含有する飽和または部分的に不飽和の5〜8員の非置換であるか、置換されたモノサイクリックヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールであり;
    は、H、ハロゲン、直鎖状または分枝状のC1−6アルキル、直鎖状または分枝状のC2−10アルケニル、C3−10シクロアルキル、ハロC1−5アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、アミノ、モノまたはジ(C1−6アルキル)アミノ、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C3−10シクロアルキルC1−6アルキル、(モノまたはジ(C1−6アルキル)アミノ)ヘテロシクロアルキル、(ヒドロキシC1−6アルキル)ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヒドロキシヘテロシクロアルキルからなる群より選択される。
  2. は、Hまたはハロゲンであることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
  3. Lは、−CH=CH−または−(CH−であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
  4. は、−O−(CH)n−であり、nは、0、1、または2であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
  5. Wは、ピペリジニル基であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
  6. 前記化学式1の化合物が1−(2−(((1Z,5Z)−2−フルオロ−3−アザ−1(3,6)−イミダゾ[1,2−b]ピリダジナ−2(4,2)ピリミジナ−4(1,3)−ベンゼナシクロヘキサファン−5−エン−4−イル)オキシ)エチル)ピペリジン−4−オールであることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物を活性成分として含む薬学的組成物。
  8. 前記薬学的組成物が癌または腫瘍を予防または治療するためのものであることを特徴とする請求項7に記載の薬学的組成物。
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