JP2020504004A - 超高純度超高性能珪藻岩濾過媒体 - Google Patents

超高純度超高性能珪藻岩濾過媒体 Download PDF

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Abstract

本発明は、珪藻土を含む超高純度超高性能生物起源シリカ濾過製品に関する。特に、本発明は、それらのもともと低い遠心分離湿潤密度に関して特に選択され、かつ徹底的に選鉱処理されて抽出可能不純物が検出限界付近又はそれ未満まで減少した鉱石由来の珪藻土を含む製品に関する。該選択された天然鉱石の低い遠心分離湿潤密度は、選鉱プロセスを通じて維持されるか、又はさらに低減されるかのいずれかであり、このことにより、延長された濾過サイクル時間を提供することができる高い微粒子保持能を有する濾過製品/媒体が提供される。【選択図】図1

Description

(発明の分野)
本開示は、非常に高純度なバルク化学組成(bulk chemistry)、非常に低い可溶性不純物、及び高いシリカ比容を特徴とする超高純度超高性能(「Fenon」)生物起源シリカ製品に関する。これらの特徴は、低い単位消費量及びより長い濾過サイクル時間の点で高い濾過性能を提供する。これらの特徴は、特殊化学薬品、特殊飲料、及び生命科学用途における高純度液体からの固体の分離において特に価値がある。
(背景)
珪藻岩(diatomite)(珪藻土(diatomaceous)又は珪藻土(kieselguhr)と呼ばれることもある)は、多くの静止水域の表面に住む単細胞植物である珪藻植物の残骸骨格、並びに空気及び水の力によって堆積するクレイ、火山灰、方解石、苦灰石、長石、及び珪砂などの他の鉱物を含む堆積岩である。珪藻岩鉱床は、有機夾雑物を含有することもあり、それは、硫黄及びヒ素を伴うこともある。
ユニークな被殻形状を特徴とする珪藻植物の何百もの異なる種が、珪藻土の鉱床中に含有される被殻によって生命体として同定されている。
工業用の珪藻岩鉱床は、通常、80〜90wt%の範囲のSiO2、アルミナ(0.6〜8wt%Al2O3)、鉄(0.2〜3.5wt%Fe2O3)、アルカリ金属酸化物、Na2O及びMgO(1wt%未満)、並びにCaO(0.3〜3wt%)を含有し、時には、P2O5及びTiO2などの少量の他の不純物を含有する(Mahani, H.らの文献:2003年、Breese, R.O.Y.らの文献:2006年)。珪藻植物骨格構造の微細な入り組んでおりかつ多孔質である性質は、より低い密度、高表面積、及び珪藻岩を他の形態のケイ酸塩鉱物から区別するのに役立つ透過率を提供する。珪藻土の細孔構造は、マクロ細孔、メソ細孔、及びマイクロ細孔を含み、これらが、珪藻岩製品の使用を伴うある種の配合物に必要であるぬれ及び高い吸収能を提供する(Mikulasikらの文献:米国特許第8,883,860号)。
シリカの化学的不活性さと珪藻被殻の付随的な入り組んでおりかつ多孔質の構造との組合せが、珪藻岩製品/媒体に、濾過用途におけるユニークな商業的価値を与える。珪藻岩濾過製品/媒体は、食品、飲料、及び化学産業における液体/固体分離に長年使用されている。本明細書で使用される、「媒体」という用語は、1つ以上の媒体を意味する。従来の珪藻岩製品/媒体は、飲料(例えば、ビール、ワイン、蒸留酒、及び果汁)、油(脂質、石油)、水(水泳プール、飲料水)、化学薬品(ドライクリーニング液、TiO2添加剤)、経口摂取可能な医薬(抗生物質)、冶金(冷却液)、農業食品中間体(アミノ酸、ゼラチン、酵母)、及び糖類を含む広範囲の流体の処理に用いられる(El-Shafey, E.L.らの文献:2004年)。
珪藻岩は、濾過される材料の性質及び用いるフィルターの種類に応じて、プレコートとしてかもしくはボディフィードとしてか、又はこれら2つの組合せとして濾過プロセスに用い得る。プレコートのみの系においては、媒体が微粒子で目詰まりすることから保護するために、濾過助剤スラリーを再循環させることによって、濾過助剤の層がフィルターセプタム上に構築される。ボディフィードのみの系においては、少量の濾過助剤が、液体に定期的に添加され、除去されるべき懸濁微粒子と一緒に濾過される。このことは、懸濁微粒子を捕捉するのに役立つ新たな濾過表面が連続的に形成されることを確実なものとし、同時に液体の一定な流速を確実なものとする。回転式真空濾過においては、プレコートのみの形態で大量の濾過媒体が用いられ、また、加圧濾過系においてはプレコーティング及びボディフィーディングの双方で大量に用いられる。日本酒濾過などのいくつかの特殊な加圧濾過用途では、プレコートのみの手法が用いられる。最後に、濾過用途における使用のための濾過助剤グレードの選択では、一般に、必要とされる清澄性、流速、サイクル時間、及び液体の化学的純度が考慮される。
プレコート及びボディフィード濾過用途の双方において、珪藻岩濾過助剤製品又は媒体は、濾過されている流体と接触するであろう。珪藻土濾過媒体の濾過助剤としての使用において可能性のある欠点の一つは、珪藻土濾過媒体からの流体への金属抽出可能物の寄与である。これらの用途における増加したレベルの可溶性金属は、液体製品の純度、並びに該製品の安定性及び味に影響を及ぼす可能性がある。従って、従来の濾過助剤製品は、食品及び飲料の加工に用いられる場合には、米国食品用公定化学品集などの、純度に対する政府の要求、及び液体製品の製造業者によって設定される仕様を満たすことが求められる。
ある種の液体処理用途は、抽出可能不純物により影響されやすい。例えば、非経口(注射用)医薬、高純度化学薬品、及び一部の特殊飲料は、多くの場合、従来の食品グレード珪藻岩製品/媒体に特徴的な抽出可能不純物のレベルを許容することができない。その結果、これらの用途においては、減少したレベルの抽出可能不純物を濾過されている液体に与える珪藻岩濾過媒体が好ましく、これらの用途に用いられている。いくつかの精製された珪藻岩濾過媒体製品が開発されこれらの用途に用いられているものの、さらにより高純度の液体のための用途及びその必要性が増し続けており、向上した純度を有する珪藻岩濾過媒体が必要とされている。
本開示のFenon超高純度超高性能濾過製品/媒体は、単位質量あたりの超低抽出可能不純物と、非常に低い遠心分離湿潤密度と、密度の割に非常に高いフラックス速度とのユニークな組合せを有する。Fenon濾過製品/媒体はまた、濾過される液体の単位あたりに消費される質量の点で、顕著に減少した単位消費量を提供する。単位質量あたりの非常に低い抽出可能不純物と濾過される液体の単位あたりの質量の顕著に減少した消費との組合せは、液体純度の到達において複合効果を生じ、従来技術と比較して、珪藻岩濾過媒体の液体濾過の間に液体の純度を向上させる能力の実質的な向上を表す。
(従来の珪藻岩濾過媒体)
従来の珪藻岩濾過助剤は、珪藻被殻の入り組んでおりかつ多孔質の構造を有する無機粉末である。市販の珪藻岩濾過助剤製品の主要な製造業者のいくつかは、Imerys Filtration Minerals社、EP Minerals社、昭和化学工業株式会社、Grefco Minerals社、及びCalgon Carbon(CECA)社である。珪藻岩製品は、利用先のある一定のサイズ排除又は清澄性目標を満たすように製造される。経験を通じて、珪藻岩製品の液体清澄性/サイズ排除性能が、多くの場合、該珪藻岩製品の透過率と相関していることが示されている。ダルシー単位で測定される透過率は、当業者に公知であるように、標準条件下で標準量の濾過ケーキを通る液体の流れの尺度である。採用される生産技術に基づく珪藻岩濾過助剤の種類の3つの大まかな記述用語が、よく使用され、それには:天然(非焼成)、直接焼成(融剤の添加を伴わずに焼成)、及び融剤焼成(ソーダ灰などの融剤の存在下での焼成)が含まれる。表1は、主要な世界的珪藻岩製造業者のうちの3社、EP Minerals LLC社、昭和化学工業株式会社、及びImerys Filtration Minerals社から得たさまざまな例示的な従来の天然、直接焼成、及び融剤焼成珪藻岩濾過助剤製品/媒体の、遠心分離湿潤密度(CWD)及びシリカ比容(SSV)を含む選択された化学的性質及び物理的性質を列記する。シリカ比容は、遠心分離湿潤密度に対するシリカ含量の比である。
(表1 例示的な従来の商業的珪藻岩濾過助剤の典型的な物理的性質及び化学的性質)
Figure 2020504004
1Celite Corporation社技術データシート
2EP Minerals社技術データシート
3昭和化学工業株式会社技術データシート
例示的な従来の珪藻岩濾過媒体の全ての製品カテゴリー(天然、直接焼成、融剤焼成)のシリカ含量は、平均で90.0wt% SiO2前後である一方で、アルミナ(Al2O3)は、1.0wt%〜5.4wt%の範囲であり、酸化鉄(Fe2O3)は、1.3wt%〜1.8wt%の範囲である。一般的に、製品の遠心分離湿潤密度は、0.29g/ml(18.0lb/ft3)〜0.40g/ml(25.0lb/ft3)の範囲であり、シリカ比容は、2.3〜3.1の範囲である(3.7のシリカ比容を有する天然物であるCelite Sを除く)。
従来の珪藻岩濾過助剤生産において、焼成フィードとして使用される天然鉱石の典型的な遠心分離湿潤密度は、0.272g/ml(17.0lb/ft3)〜0.417g/ml(26.0lb/ft3)の間であり、焼成及び分級後の最終製品は、多くの場合、主としてドライエンド分級プロセスにおける製品の分解を原因として、はじめのフィード材料よりも高い遠心分離湿潤密度を有し得る。焼成フィードとして役立つ例示的な商用グレード天然珪藻岩の典型的な化学的性質及び物理的性質を、以下の表2に示す。
(表2 天然珪藻岩鉱石の典型的な化学的性質及び物理的性質)
Figure 2020504004
1「工業用鉱物及び岩石(Industrial Minerals and Rocks)」
2EP Minerals社技術データシート
3Celite社技術データシート
4昭和化学工業株式会社技術データシート
一般に、従来の珪藻岩濾過媒体製品は:(1)ランオブマイン(run-of-mine)珪藻岩鉱石を粉砕すること、(2)該粉砕された鉱石の同時に行われる製粉及びフラッシュ乾燥によって、塊の多い粒子の解凝集をもたらすこと、(3)分離機を活用して((2)の製粉され乾燥させた鉱石から)重質鉱物不純物を除去すること、(4)該選鉱処理された鉱石(上記工程1〜3を含む選鉱プロセス)を、ロータリーキルン内で、任意に融剤の存在下、熱焼結又は熱焼成することによって、製品の透過率を顕著に増加させること、(5)キルン排出製品を二次廃棄物分離に処することにより、該熱焼結プロセスの間に生じたガラスを含む重い粒子を除去すること、及び(6)目的とする製品の粒度分布及び透過率に適合するように粉末をさまざまなサイズ画分へと分級すること、を含むドライプロセスを用いて製造される(「工業用鉱物及び岩石(Industrial Minerals and Rocks)」、第7版、珪藻岩(Diatomite)、第442頁を参照されたい)。天然の珪藻土濾過媒体製品は、いかなる形態の焼成も受けずに、廃棄物分離プロセスの後に梱包される。当業者に公知であるように、「ランオブマイン」という用語は、その天然の未加工の状態の鉱石を意味する。
(高純度珪藻岩濾過製品)
本開示においては、本発明者らは、高純度珪藻岩濾過媒体を、従来の珪藻岩製品よりも実質的に低い抽出可能不純物を有するが、従来の珪藻岩濾過媒体の濾過性能とおおよそ同様な濾過性能を有する製品として定義する。1950年代後期に始まり、珪藻岩産業では、製品に含有される抽出可能不純物を減少させる目的で湿式プロセスで加工された製品を用いての実験が行われ始め、それが導入され始めた(Bregar, G.W.の文献:1951年)。初めは米国のニュージャージー州Manvilleで、後には、より大量に日本で製造されたこれらの製品は、後に酸洗浄及びすすぎプロセスで処理された従来の珪藻岩濾過製品から構成されていた。高純度珪藻岩製品を製造するこれらの従来型の方法においては、製品は、珪藻岩の熱処理後に大気圧下で酸洗浄されていた。従来型の酸洗浄プロセスは、珪藻岩の表面に含有される抽出可能不純物を減少させるのに有効であったが、それらのプロセスが、珪藻岩中の鉱物不純物を除去していなかったという理由で、運搬の間又は正常用途の取扱いによって製品の表面が摩耗又は破損した場合に、抽出可能不純物が増加する可能性があった。加えて、従来方式で直接焼成又は融剤焼成された製品の酸洗浄は、加工の間に、酸洗浄前の従来の製品よりも低透過率かつ高湿潤密度な材料を生じさせる結果を伴う粒子摩損及び粉鉱(fines)の生成をもたらし、そのことは、次いで製品の濾過性能を低下させた。
Manville社(現在のImerys Filtration Minerals社)(Johns Manville, 1980; Johns Manville Corp, 1979 - Bradley, T.G.らの文献(1979年));米国のEP Minerals社、及び日本の土田食品工業株式会社を含むいくつかの会社が、長年かけて従来方式で酸洗浄された製品を開発し導入した。Manville社はまた、低抽出可能物であるが、従来程度又は高い湿潤密度を有していたCelite分析用濾過助剤(CAFA; Celite Analytical Filter Aid)と呼ばれる徹底的に浸出しすすいだ製品を導入した。他の会社もまた、珪藻岩微粒子をキレート化剤で処理することによる珪藻岩濾過助剤中の可溶性鉄の低減のためのプロセスを開発している(Austinらの米国特許第4,965,084号;Tingらの米国公開公報第2011/0223301号)。Smithらは、国際公開WO2008/024952において、蒸気処理により珪藻岩中のビール可溶性鉄を減少させる方法を提供した。
これらの高純度濾過製品は、従来の珪藻岩濾過媒体製品よりも低抽出可能性の化学的性質を有するが、これらは、通常、同等な濾過性、又は時には、酸洗浄プロセスの間の製品の遠心分離湿潤密度の増加を原因とする、低いシリカ比容などの劣った濾過性のいずれかを有する。Celite酸洗浄濾過助剤及び高純度珪藻岩濾過媒体であるEP Minerals社のPurifiDE(登録商標)酸洗浄濾過助剤の典型的な性質を表3に示す。
(表3 市販の高純度珪藻岩濾過助剤の典型的な物理的性質及び化学的性質)
Figure 2020504004
1透過率
2遠心分離湿潤密度
310wt%スラリーの導電率
4シリカ比容
5Celite分析用濾過助剤
表3に示されるように、珪藻岩製品の10%スラリーの導電率は、高純度酸洗浄濾過助剤製品を、従来の製品から区別する性質の1つである。従来の製品の最大導電率が70〜200μS/cmであるのに対し、高純度酸洗浄濾過助剤は、15〜20μS/cmの範囲の最大導電率を有し、より低い導電率は、より高い純度を示す。酸洗浄精製プロセスの間に製品のシリカ(SiO2)含量が少し増加するが、該材料の遠心分離湿潤密度の値の減少は、精製された製品のシリカ比容の値を低下させるのに十分な意味がある。
高純度酸洗浄濾過助剤の製造のための典型的なプロセスを、図1に示す。本開示においては、従来の濾過助剤は、乾燥、製粉、乾式廃棄物分離、焼成、乾式分級、及び梱包の確立された方法に従って作られる珪藻岩濾過助剤である。図1のプロセス10は、フィード材料としての従来の濾過助剤珪藻土を用いて開始され、目的とする製品の透過率よりも僅かに高い透過率を有するフィード材料を用いることが通常行われる。これは、通常、精製プロセス後に透過率の低下がみられるためである。可能であれば、フィード材料は、遠心分離湿潤密度も目的とする製品のそれよりも低くなるようにブロック20で選択される。これは、通常、最終の精製された製品の遠心分離湿潤密度の増加がみられるためである。ブロック30において、10〜15wt%固体のスラリー濃度が調製される。ブロック40において、スラリーは、非金属性のタンク内で、鉱酸を加えることにより酸処理され、0.1M〜0.2Mのスラリー酸性度を生じる。アメリカ大陸で用いられる最も普通の鉱酸は、硫酸であるが、日本で塩酸の使用を見ることはまれではない。何件かの例では、クエン酸も酸洗浄プロセスに用いられ、金属イオンをキレートしそれらを不溶化させる。ブロック40において、スラリーは、約1時間ほぼ沸騰するように加熱される。ブロック50において、高温の酸スラリーが脱水され洗浄されて、10wt%スラリーで20μS/cm以下の導電率を提供する濾過ケーキが得られる。ブロック60において、最終製品は、フラッシュ乾燥機又は箱形乾燥器を用いて乾燥される。
(高純度高性能製品)
米国特許第5,656,568号及び第6,653,255号(まとめてShiuhらの文献)は、従来技術及び公開された改良された精製珪藻岩製品の徹底的な調査を提供し、高純度高性能濾過媒体の概念、及びシリカ含量の遠心分離湿潤密度(CWD)に対する比率であるシリカ比容(SSV)と呼ばれる、珪藻岩濾過媒体を特性評価するための新たな尺度を導入した。シリカ比容は、多くの場合、珪藻岩濾過媒体から期待することができる相対的な濾過性能の良好な予測材料である。
Shiuhらの文献は、珪藻岩の熱処理前に泡沫浮選によって従来の珪藻岩鉱石中にみられる不純物を分離する方法を教示する。これには、珪藻岩のシリカ比容を増加させ、製品の純度及び濾過性能を向上させる効果がある。浮遊選鉱製品は、焼成による材料の熱処理の前に、大気圧での酸処理及びすすぎによってさらに精製される。本プロセス手法は、シリカ比容を向上させるが、製品の抽出可能な性質を顕著には向上させない。これは、金属イオンが、焼成プロセスの間に珪藻岩粒子の表面に移動する傾向があるためである。特に、融剤焼成製品は、高い導電率及び高い抽出可能ナトリウムを示すであろう。これは、焼成の最終プロセス工程に用いられるソーダ灰融剤が、容易に製品粒子の表面から洗い出されるであろうためである。Shiuhらの文献は、高純度高性能珪藻岩のいくつかの製品性質を開示した。それらは、表4Aにまとめられている。Shiuhらの特許(米国特許第5,656,568号及び第6,653,255号)内の3つの実施例で開示される製品の透過率は、以下の表4Aに記載されるように、300〜1200ミリダルシーであった。Shiuhらの文献の実施例1の非焼成製品についての透過率は開示されなかった。
(表4A 高純度高性能珪藻岩濾過助剤の性質(Shiuhらの文献))
Figure 2020504004
1入手できず
World Minerals(登録商標)社の子会社のThe Advanced Minerals社(現在はImerys Filtration and Additives)は、商標Celpure(登録商標)を用いて、一部の例ではShiuhらの文献によって教示される特徴的な範囲の一部に入るいくつかの高純度高性能製品を導入した。これらの製品はまた、25ミリダルシー〜1200ミリダルシーの透過率範囲で入手可能である。該製品の性質を、以下の表4Bに示す。
Celpure製品のシリカ含量は、Shiuhらの文献によって教示される製品のシリカ含量よりも低く、Celpure製品のアルミナレベル及び酸化鉄レベルは、Shiuhらの文献によって教示される製品のそれらよりもかなり高い。Celpure製品はまた、大抵の場合、Shiuhらの文献によって教示される製品と同等か又はそれより低いシリカ比容を有する。
まとめると、一般に、Shiuhらの文献によって教示される製品は、Celpure製品と比較して優れたバルク化学組成及び優れた濾過性能を有するが、Celpure製品は、優れた抽出可能な化学的性質を有する。
Shiuhらの特許の発明者の1人であるTaniguchiは、国際出願PCT/US2014/067873において高いシリカ比容を有する珪藻岩製品を開示している。Taniguchiの開示の大部分は、Shiuhらの文献、Celpure製品、並びにImerys社、その子会社、及びその販売業者によって公表された文献及びデータシートを通じて、既に公有に属しているようである。Taniguchiは、高性能又は超高性能又は超高純度珪藻岩製品の製造における湖成珪藻岩の使用を教示していない。
(表4B 高純度高性能珪藻岩濾過助剤の典型的な性質−Celpure製品)
Figure 2020504004
高純度高性能珪藻岩を伴う選鉱作業の大部分は、クレイ及びチャート、石英、砂などのような重質鉱物不純物を遊離させ分離する、摩滅スクラビング、液体サイクロニング、分散、遠心分離、浮遊選鉱などのような湿式の物理的分離プロセスを用いて実施されている(Anastasios, P.K.らの文献:1971年;Shiuhらの文献)。米国のカリフォルニア州LompocにあるImerys社のCelpure生産施設では、摩滅スクラビング、液体サイクロニング、及び逆浮遊選鉱の使用によって珪藻土が選鉱処理される(サンタバーバラ郡APCD、草稿、操業許可第5840-R5号、第II部、2015年11月(Santa Barbara County APCD, draft permit to operate No. 5840 - R5 Part II, Nov. 2015))。これらの物理的分離プロセスの欠点は、それらが、不純物の選択性の点で効果がないことがあり得るということである。Celpure(登録商標)プロセスの場合のような、また、Shiuhらの文献によって教示されるような、高品質製品の製造においては、収率が損なわれる。図2Aは、Shiuhらの文献のプロセスを示す。図2Bは、Celpureプラントプロセスを示す(サンタバーバラ郡APCD、草稿、操業許可、No. 5840-R5第II部、2015年11月 (Santa Barbara County APCD, draft permit to operate No. 5840 - R5 Part II, Nov. 2015))。図2A及び図2Bを並べて比較すると、Shiuhらの文献(図2A)及びCelpureプラント(図2B)によるプロセスを表すプロセスフロー図における違いが示される。
Shiuhらの文献によって教示される高純度高性能製品及び市販のCelpure製品は、1つの共通する珪藻土未加工鉱石源を有している。該鉱石は、カリフォルニア州Lompocに位置するImerys社の珪藻岩採掘事業から供給されていた(されている)。Lompocの鉱床は、120年間超連続的に採掘されており、濾過媒体の製造のために商業的に採掘される数少ない海成珪藻岩鉱床の1つである。塩水珪藻植物の骨格残骸から生ずる鉱床である海成鉱床は、多数の珪藻植物の属及び種由来の被殻を含むことが知られており、その結果、海成珪藻岩から製造される濾過製品は、多様な珪藻植物形状を含む。例えば、図4は、Imerys社から得たカリフォルニア州Lompacの海成珪藻岩から製造された未焼成珪藻岩製品であるCelpure(この場合Celpure 65)の例示的な試料の走査型電子顕微鏡写真(SEM)を示す;図4のSEMで分かるように、Celpure 65の例示的な海成珪藻岩は、複数の属及び種の海洋性珪藻植物を含む。従来技術の高純度高性能珪藻岩濾過製品の全ては、海成珪藻岩から製造され、その結果、当業者は、これらの製品が、支配的な珪藻被殻タイプを有しないことを理解する。
Shiuhらの文献によるプロセスは、最終製品の遠心分離湿潤密度を減少させる傾向がある焼成単位操作で完了し、従って、高いシリカ比容を提供する。Celpureプラントプロセスにおける最終製品は、焼成製品を酸洗浄しその後乾燥させることによって得られる。酸洗浄は、遠心分離湿潤密度を減少させ、従って、減少したシリカ比容を有する製品を提供する。しかしながら、当業者は、酸洗浄工程が、焼成単位操作の後に行われるために、Celpureプラント製品の抽出可能不純物が、Shiuhらの文献によって教示される製品のそれよりもかなり低いであろう(抽出可能な化学的性質が、より純粋であろう)ことを認識しているであろう。
(概要)
本開示の一態様により、濾過製品が開示される。該製品は、珪藻土を含む。該珪藻土は、珪藻岩の入り組んでおりかつ多孔質の構造を有する。該珪藻土はまた、0.09%以下かつ検出不可能なレベル以上である酸化鉄含量、及び4.1〜6.1の範囲のシリカ比容を有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、10ミリダルシー〜1500ミリダルシーの範囲の透過率をさらに有してもよく、前記シリカ比容は、4.9〜6.1の範囲であってもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、1500ミリダルシー超から3750ミリダルシーまでの範囲の透過率をさらに有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、融剤焼成されていてもよく、かつ150ミリダルシー〜1500ミリダルシーの範囲の透過率をさらに有してもよく、かつ1.1wt%未満の総アルカリ金属酸化物含量を有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、融剤焼成されていてもよく、かつ1500ミリダルシー超から3750ミリダルシーまでの範囲の透過率をさらに有してもよく、かつ2.2wt%未満の総アルカリ金属酸化物含量を有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、150ミリダルシー〜1500ミリダルシーの範囲の透過率、及び百分率の形態で、50%〜200%の範囲の酸化アルミニウムに対する酸化ナトリウムの化学量論比をさらに有してもよい。改良において、前記酸化ナトリウムは、Na2Oであってもよく、前記酸化アルミニウムは、Al2O3であってもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、1500〜3750ミリダルシーの範囲の透過率、及び百分率の形態で、100%〜350%の範囲の酸化アルミニウムに対する酸化ナトリウムの化学量論比を有してもよい。改良において、前記酸化ナトリウムは、Na2Oであってもよく、前記酸化アルミニウムは、Al2O3であってもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、0.1mg Fe/kg未満であるASBC可溶性鉄含量をさらに有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、1mg Al/kg未満のASBC可溶性アルミニウム含量をさらに有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、1mg Ca/kg未満のASBC可溶性カルシウム含量をさらに有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、0.5ppm〜2ppmの範囲のEBC抽出可能鉄含量をさらに有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、1.5ppm未満から検出限界未満の範囲のEBC抽出可能アルミニウム含量をさらに有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、2.5ppm未満のEBC抽出可能カルシウム含量をさらに有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、2〜5ppmの抽出可能金属ファクター(EMF)をさらに有してもよい。
本開示の別の態様により、濾過製品が開示される。該製品は、珪藻土を含む。該珪藻土は、珪藻岩の入り組んでおりかつ多孔質の構造を有し、4.1〜6.1の範囲のシリカ比容、及び百分率の形態で、9%未満の酸化アルミニウムに対する酸化鉄のモル酸化物比を有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、10ミリダルシー〜1500ミリダルシーの範囲の透過率をさらに有してもよく、前記シリカ比容は、4.9〜6.1の範囲であってもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、1500ミリダルシー超から3750ミリダルシーまでの範囲の透過率をさらに有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、融剤焼成されていてもよく、かつ150ミリダルシー〜1500ミリダルシーの範囲の透過率をさらに有してもよく、かつ1.1wt%未満の総アルカリ金属酸化物含量を有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、融剤焼成されていてもよく、かつ1500ミリダルシー超から3750ミリダルシーまでの範囲の透過率をさらに有してもよく、かつ2.2wt%未満の総アルカリ金属酸化物含量を有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、150ミリダルシー〜1500ミリダルシーの範囲の透過率、及び百分率の形態で、50%〜200%の範囲の酸化アルミニウムに対する酸化ナトリウムの化学量論比をさらに有してもよい。改良において、前記酸化ナトリウムは、Na2Oであってもよく、前記酸化アルミニウムは、Al2O3であってもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、1500〜3750ミリダルシーの範囲の透過率、及び百分率の形態で、100%〜350%の範囲の酸化アルミニウムに対する酸化ナトリウムの化学量論比を有してもよい。改良において、前記酸化ナトリウムは、Na2Oであってもよく、前記酸化アルミニウムは、Al2O3であってもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、0.1mg Fe/kg未満であるASBC可溶性鉄含量をさらに有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、1mg Al/kg未満のASBC可溶性アルミニウム含量をさらに有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、1mg Ca/kg未満のASBC可溶性カルシウム含量をさらに有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、0.5ppm〜2ppmの範囲のEBC抽出可能鉄含量をさらに有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、1.5ppm未満から検出限界未満の範囲のEBC抽出可能アルミニウム含量をさらに有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、2.5ppm未満のEBC抽出可能カルシウム含量をさらに有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、2〜5ppmのEMFをさらに有してもよい。
本開示の別の態様により、珪藻土製品が開示される。該製品は、珪藻土を含む。該珪藻土は:(i)3.8超から6.0までの範囲のシリカ比容;及び(ii)該珪藻土の透過率が、150ミリダルシー〜1500ミリダルシーである場合には1.1wt%未満の総アルカリ酸化物含量、又は該珪藻土の透過率が、1500ミリダルシー超から3750ミリダルシーの範囲である場合には、1.1wt%〜2.2wt%の範囲の総アルカリ酸化物含量を有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、150ミリダルシー〜1500ミリダルシーの透過率及び50%〜200%の範囲の酸化アルミニウムに対する酸化ナトリウムの化学量論比を有してもよい。改良において、前記酸化ナトリウムは、Na2Oであってもよく、前記酸化アルミニウムは、Al2O3であってもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、1500超から3750ミリダルシーまでの範囲の透過率及び100%〜350%の範囲の酸化アルミニウムに対する酸化ナトリウムの化学量論比を有してもよい。改良において、前記酸化ナトリウムは、Na2Oであってもよく、前記酸化アルミニウムは、Al2O3であってもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、0.1mg Fe/kgの検出限界未満であるASBC可溶性鉄をさらに有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、1mg Al/kg未満のASBC可溶性アルミニウム含量をさらに有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、1mg Ca/kg未満のASBC可溶性カルシウム含量をさらに有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、0.5ppm〜2ppmのEBC抽出可能鉄含量をさらに有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、1.5ppm未満から検出限界未満までのEBC抽出可能アルミニウム含量をさらに有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、2.5ppm未満のEBC抽出可能カルシウム含量をさらに有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、150ミリダルシー〜1500ミリダルシーの透過率及び4.9〜6.0の範囲のシリカ比容を有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、1500ミリダルシー超から3750ミリダルシーまでの範囲の透過率、及び4.1〜6.0の範囲のシリカ比容を有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、150ミリダルシー〜750ミリダルシーの範囲の透過率、及び2〜4ppmの範囲の抽出可能金属ファクターを有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、150ミリダルシー〜750ミリダルシーの範囲の透過率、及び6〜11ppmの範囲の抽出可能金属ファクターを有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、150ミリダルシー〜750ミリダルシーの範囲の透過率、及び2〜5ppmの範囲の抽出可能金属ファクターを有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、1500ミリダルシー超から3750ミリダルシーまでの透過率、及び2〜7ppmの範囲の抽出可能金属ファクターを有してもよい。
本開示の別の態様により、超高純度超高性能珪藻岩濾過媒体を生産する方法が開示される。該方法は、未加工の珪藻土ランオブマインフィード鉱石を選択することであって、該フィード鉱石が、強熱ベースで80wt%(w/w)SiO2〜約99wt%のシリカ含量、及び製粉後に0.256g/mlの最大遠心分離湿潤密度を少なくとも有する、前記選択することを含む。該方法は、前記フィード鉱石を無機酸を用いて加圧浸出することで浸出鉱石を製造すること、及び該浸出鉱石をすすぐことで、すすいだ浸出鉱石を製造することをさらに含む。該方法は、前記すすいだ浸出鉱石を焼成することで、焼成媒体を製造することであって、(a)融剤の非存在下、又は(b)0.6wt%〜4.0wt%のアルカリ酸化物融剤の存在下のいずれかで、約871℃〜約1150℃の温度範囲内でのものである、前記焼成することをさらに含んでいてもよい。
実施態様において、前記方法は、前記焼成媒体を酸浸出することをさらに含んでもよい。改良において、前記焼成媒体の酸浸出に使用される酸濃度は、0.05モル/リットル〜1.0モル/リットルの範囲である。別の改良において、前記焼成媒体の酸浸出は、(i)無機酸、又は(ii)有機酸及び無機酸を含む酸を利用する。さらなる改良において、前記無機酸は、鉱酸を含んでもよい。なおさらなる改良において、前記鉱酸は、硫酸、硝酸、フッ化水素酸、塩酸、過塩素酸、又はそれらの混合物を含んでもよい。別の改良において、前記有機酸は、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、グルタミン酸、リンゴ酸塩、又はそれらの混合物を含んでもよい。
本開示の別の態様により、濾過製品が開示される。該製品は、珪藻被殻集団を含む珪藻土を含む。該珪藻土は、珪藻岩の入り組んでおりかつ多孔質の構造を有し、かつ3.9を超え6.1までの範囲のシリカ比容を有してもよく、該珪藻土は、湖成珪藻岩鉱床から供給される鉱石からのものである。実施態様において、前記珪藻被殻集団は、キムベラ(Cymbella)属又はステファノディスクス(Stephanodiscus)属又はアウラコセイラ(Aulacoseira)属(メロシラ(Melosira)属と呼ばれることもある)の珪藻植物に由来する複数の珪藻被殻を含有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、10ミリダルシー〜1500ミリダルシーの範囲の透過率をさらに有してもよく、ここで、前記シリカ比容は、4.9〜6.1の範囲であってもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、1500ミリダルシー超から3750ミリダルシーまでの範囲の透過率をさらに有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、融剤焼成されていてもよく、かつ150ミリダルシー〜1500ミリダルシーの範囲の透過率、及び1.1wt%未満の総アルカリ金属酸化物含量をさらに有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、融剤焼成されていてもよく、かつ1500ミリダルシー超から3750ミリダルシーまでの範囲の透過率、及び2.2wt%未満の総アルカリ金属酸化物含量をさらに有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、150ミリダルシー〜1500ミリダルシーの範囲の透過率、及び百分率の形態で、50%〜200%の範囲の酸化アルミニウムに対する酸化ナトリウムの化学量論比をさらに有してもよい。改良において、前記酸化ナトリウムは、Na2Oであってもよく、前記酸化アルミニウムは、Al2O3であってもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、1500〜3750ミリダルシーの範囲の透過率、及び百分率の形態で、100%〜350%の範囲の酸化アルミニウムに対する酸化ナトリウムの化学量論比をさらに有してもよい。改良において、前記酸化ナトリウムは、Na2Oであってもよく、前記酸化アルミニウムは、Al2O3であってもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、0.1mg Fe/kg未満であるASBC可溶性鉄含量をさらに有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、1mg Al/kg未満のASBC可溶性アルミニウム含量をさらに有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、1mg Ca/kg未満のASBC可溶性カルシウム含量をさらに有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、0.5ppm〜2ppmの範囲のEBC抽出可能鉄含量をさらに有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、1.5ppm未満から検出限界未満の範囲のEBC抽出可能アルミニウム含量をさらに有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、2.5ppm未満のEBC抽出可能カルシウム含量をさらに有してもよい。
実施態様において、前記珪藻土は、2〜5ppmの抽出可能金属ファクター(EMF)をさらに有してもよい。
(図面の簡単な説明)
図1は、典型的な酸洗浄プロセスフロー図を示す。
図2Aは、Shiuhらの文献の高純度高性能珪藻岩プロセス用のプロセスフロー図を示す。
図2Bは、Celpureプラントの高純度高性能珪藻岩プロセス用のプロセスフロー図を示す。
図3は、Fenon(超高純度超高性能)製品/媒体用のプロセスフロー図を示す。
図4は、複数の属及び種の海洋性珪藻植物を含む海成珪藻岩の走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
図5Aは、淡水性の珪藻植物−キムベラ属(具体的には、デシグナタ(designata)種A型鉱石)のSEMである。
図5Bは、淡水性の珪藻植物−ステファノディスクス属(B型鉱石)のSEMである。
図5Cは、淡水性の珪藻植物−アウラコセイラ属(C型鉱石)のSEMである。
(詳細な説明)
(Fenon超高純度超高性能製品)
本開示においては、本発明者らは、現在市販されている唯一の高純度高性能珪藻岩濾過媒体である、Imerys Filtration and Additives社の現在市販されているCelpure(登録商標)珪藻岩濾過媒体(表4Bに記載)よりも低い抽出可能不純物、及びそれと比較して、少なくとも1つの優れた物理的性質の双方を有する製品として、超高純度超高性能珪藻岩濾過媒体を定義する。優れた物理的性質としては、より低いCWD又はより高いSSVが挙げられるが、これらに限定されない。本開示のFenon(超高純度超高性能)珪藻岩濾過製品/媒体は、表4Bの全てのCelpure製品及びShiuhらの文献によって教示される製品の全てよりも純粋なバルク化学組成及びそれよりも低い抽出可能不純物、並びに表4Bの全てのCelpure製品及びShiuhらの文献により開示される製品のうち1つを除く全てよりも優れた物理的性質を有する。
本明細書で開示されるFenon製品/媒体は、より低い抽出可能金属の点でのより高い純度、及びより高いシリカ含量の点でのより高い純度、及びより純粋なバルク化学組成を含めて、最低限、31ミリダルシーから3537ミリダルシーの透過率のこのクラスの製品においてより広い範囲の透過率選択肢を提供する。本開示で開示される例示的な試料の透過率及び他の性質を、表5及び6に示す。表5は、本発明のいくつかの例示的な低速製品実施例のユニークな物理的性質及び化学的性質を示す。
非焼成(天然)製品の透過率は、凝集をもたらす材料の熱処理がなかったため、未加工鉱石の天然の透過率と密接に関係していた。直接焼成製品及び融剤焼成製品とは異なって、この処理方法は、非焼成製品の透過率に対して非常に小さい効果を有するようである。本開示の超高純度で非焼成の例示的な製品は、97.32wt% SiO2の最低シリカ含量、及び0.00wt%〜約0.10wt%のバルク酸化鉄含量を示す。136ミリダルシーを超え400ミリダルシー未満の透過率を有する例示的な製品の製造においては、所望の製品透過率を達成するために、少量の融剤、例えば、ソーダ灰が添加される。これらの例示的な低速グレード製品(表5)の遠心分離湿潤密度は、0.162g/ml(10.1lb/ft3)〜0.226g/ml(14.1lb/ft3)の範囲で非常に低く、シリカ比容は、4.3〜6.1の範囲である。欧州醸造大会(the European Brewery Convention)(EBC)試験法(本明細書で後に説明する)によって製品から抽出されるアルミニウム、鉄、及びカルシウム金属の和を測定する抽出可能金属ファクター(EMF)は、製品の全てについて非常に低く、全例で5ppm以下である。これらの製品のそれぞれについて、ビール可溶性鉄(BSFe)は、検出限界(LD)未満であり、前記検出限界は、GFAA分析機器を用いて0.1ppmである。米国醸造化学者学会(ASBC)法を用いて、抽出可能な化学的性質を決定する場合、ビール可溶性アルミニウム(BSAl)及びビール可溶性カルシウム(BSCa)レベルは、ビールのバックグラウンドにおける金属の減算がゼロの結果を与え、検出不可能である。
(表5 例示的なFenon(超高純度超高性能)濾過助剤製品/媒体の性質(低速グレード))
Figure 2020504004
1EMF−EBC試験法 抽出可能金属ファクター=Σ(Al,Fe,Ca)
2LD−GFAASを用いての検出限界(検出可能な最低レベル)は、0.1ppm(ASBC法及びEBC法)であるか、又は0.1mg 可溶性金属/kgである;「LD未満」という値は、GFAASを用いて可溶性金属含量が検出されなかった場合に用いられる。
3nd−検出不可能な値(ビールのバックグラウンドにおける金属の減算が、ゼロの結果を与える−ASBC)
4XRFによって決定;XRFによって検出可能な最低量は、0.001%である。
表6は、より高い透過率を有する本開示の例示的な製品の一部の性質を示す。市販のCelpure製品とは異なって、3537ミリダルシーもの高さの透過率を有する例示的な製品が、製造されていたため、本発明の製品は、約1000ミリダルシーよりも高い透過率を有する「ダイレクトラン(direct run)」(焼成後の分級を用いない)製品として製造することが可能である。これらの例示的な製品の特徴を、表6に示す。
(表6 Fenon(超高純度超高性能)濾過助剤製品/媒体の性質(高速グレード))
Figure 2020504004
1EMF−抽出可能金属ファクター(EBC法)
2ビール可溶性金属(ASBC法)
3LD−GFAASを用いての検出限界(検出可能な最低レベル)は、0.1ppm(ASBC法及びEBC法)であるか、又は0.1mg 可溶性金属/kgである;「LD未満」の値は、GFAASを用いて可溶性金属含量が検出されなかった場合に用いられる。
4nd−検出不可能な値(ビールのバックグラウンドにおける金属の減算が、ゼロの結果を与える−ASBC)
5XRFによって決定;XRFによって検出可能な最低量は、0.001%である。
(Fenon(超高純度超高性能)珪藻岩濾過媒体を調製する方法)
Shiuhらの文献によって採用されており、かつ、みたところCelpureの生産において採用されているプロセスとは異なって、Fenonプロセスは、並外れて低い遠心分離湿潤密度を有する鉱石(例えば、0.128g/ml(8.0lb/ft3)〜0.256g/ml(16.0lb/ft3)の範囲のCWDを有する鉱石)の選択から始まる。この低密度鉱石選択手法は、本発明の超高濾過性能物理的性質を有する製品の製造を容易にする。
本発明のための鉱石の選択の別の態様は、未加工鉱石の化学的性質である。本発明のために以下に開示される選鉱プロセスの結果、密度の点でよりも化学的性質の点での方が鉱石選択に高い柔軟性があり、かつ従来技術の高純度製品及び高純度高性能製品を製造するのに用いられるプロセスにおいてよりも、Fenonプロセスにおいての方が、一般に、さまざまな化学的性質の鉱石の使用に高い柔軟性がある。本発明で採用される選鉱プロセスは、任意の典型的な珪藻土鉱石中の不純物を除去するのに非常に効率的であり、従って、未加工鉱石の化学的性質単独では、用いられる鉱石の種類に対して著しい制限が生じることはない。任意の種類の鉱石が商業的に実用的であるかを決定するのに重要な役割を、鉱石の化学的性質が果たす従来の珪藻土プロセスとは異なって、本発明の超高純度プロセスは、鉱石の広範な化学的性質を許容する。
本発明の別の独特な態様は、硫酸又は他の無機酸(複数可)の存在下での高圧浸出の使用による未加工鉱石の選鉱に関連する。該プロセス手法は、従来技術で記載される物理的分離プロセスの欠点を克服し、選鉱処理製品収率は、未加工鉱石フィードの初期バルク化学組成に応じて、70wt%〜90wt%の範囲で顕著により高い。
本発明で用いられる高圧浸出手法は、物理的選鉱というよりも、化学的選鉱プロセスである。化学的選鉱は、不純物を除去することにおける選択性の点で、非常に特異的である。この選択性は、Shiuhらの文献及びCelpureの収率と比較してより高い製品収率をもたらす。該プロセスに用いられる硫酸、又は他の無機酸(複数可)は、珪藻土中の全ての鉱物不純物と効果的に反応し、生物起源シリカの構造へ影響をほとんど又は全く与えずにそれらを溶解させる。この酸(複数可)は、多くの珪藻土鉱石中にみられる不純物であるアルミニウム、鉄、カルシウム、及びマグネシウム不純物の溶解に特に有効である。
前記化学的選鉱プロセスはまた、それが、珪藻土中の不純物のほとんどすべての形態に上手く働くという点で独特である。液状酸性の浸出剤(lixiviant)を用いて、珪藻植物構造の奥深くに埋め込まれた不純物は、珪藻植物に化学的に結合しているか又は珪藻植物を物理的に混合されているかによらず、溶解によって容易に除去される。一方で、従来技術の物理的選鉱プロセスは、不純物が、珪藻植物に物理的に結合している場合にのみ有効であり、従って、その応用範囲は限られる。
本プロセスの別の独特な態様は、顕著により低い抽出可能金属を得るための非焼成製品、直接焼成製品及び融剤焼成製品の最終酸処理に関する。該最終酸処理は、無機酸(例えば、鉱酸)及びそれに続く製品中に残っている任意の残留金属可溶性物質とキレート形成するクエン酸などの有機酸の段階的な酸添加を用いて行ってもよい。これは全て、周囲条件下で行われる。製品用途によって許容され得る最高抽出可能金属に応じて、製品の最終酸処理は、大気圧を超える加圧下で実施されてもよい。加圧下での酸処理は、非常に低い、現在市場で利用可能ないかなる製品の金属抽出可能物及び従来技術で記載されるいかなる製品の金属抽出可能物よりも低い金属抽出可能物をもたらす。
本発明のFenon生産プロセス100用のプロセスフロー図を、図3に示す。低密度未加工鉱石選択及び調製、フラッシュ乾燥及び廃棄物分離、無機酸(例えば、鉱酸)を用いる高圧浸出、並びに脱水及びすすぎを含むプロセス100の最初のステージは、本明細書で開示される全ての透過率範囲内の製品の全てに共通である。製品の詳細な透過率は、焼成温度及び融剤(例えば、ソーダ灰)を用いるか否かによって決定される。本開示の例示的な製品において、製品の透過率が透過率閾値レベルを超えて増加するにつれて、融剤の使用が増えた。本明細書で開示される例示的な製品に関しては、136ミリダルシー以下の透過率を有する例示的な製品は、融剤を使用せず、この範囲よりも高い透過率を有する本明細書で開示される例示的な製品は、ソーダ灰などの融剤を使用した。焼成後の単位ステージ(酸処理、脱水及びケーキ洗浄、乾燥並びに分散)も、本開示の透過率範囲全体にわたる製品に共通である。
ブロック102において、適切な珪藻岩未加工鉱石が、CWD試験の結果及び鉱石のバルク化学組成に基づき特定され選択される。適切な低い遠心分離湿潤密度を有する珪藻岩未加工鉱石を特定するために、珪藻岩未加工鉱石の代表試料が、乾燥され、80メッシュサイズを通るようにハンマーで製粉される。その後、別の(第2の)代表試料を粉末から取り出し、80メッシュサイズに通す。その後、該粉末の試料を、遠心分離湿潤密度試験にかけて、密度が、0.128g/l(8.0lb/ft3)〜0.256g/ml(16.0lb/ft3)の範囲であるか否かを決定する。遠心分離湿潤密度試験を実施するための標準的な操作手順は、本開示の「Fenon(超高純度超高性能)珪藻岩濾過製品/媒体を特性評価する方法」セクションで、本明細書に記載される。鉱石中の標的不純物の除去における選鉱プロセスの特異性のために、鉱石の所望のバルク化学組成にいくらかの許容度がある。本プロセスの残りのために珪藻岩未加工鉱石フィードとして選択される珪藻岩未加工鉱石は:(1)0.128g/l〜0.256g/lの範囲のCWD;(2)強熱ベースで80wt%SiO2〜強熱ベースで約99wt%の範囲のシリカ含量;及び(3)0.5wt%〜13wt%の範囲の酸化アルミニウム及び酸化鉄含量の和(例えば、Al2O3+Fe2O3)を有する。
海洋性起源のものである、Shiuhらの文献によって教示される高純度高性能製品及び市販のCelpure製品とは対照的に、本開示の製品は全て、湖成(淡水)珪藻岩から製造される。湖成珪藻岩鉱床は、一般に、珪藻植物属の1つ〜3つのタイプの珪藻植物を含有する。本開示の3つの例示的な未焼成製品/媒体の走査型電子顕微鏡写真(SEM)を、図5A、図5B、及び図5Cに示す。図5Aは、鉱石Aから作製された例示的な製品/媒体を表す。図5Aにおいて、鉱石Aの支配的な珪藻被殻は、キムベラ属(デシグナタ種)由来のものであることが分かる。図5Bは、鉱石Bから作製された例示的な製品/媒体を表す。図5Bにおいて、鉱石Bの支配的な珪藻被殻が、ステファノディスクス属由来のものであることが分かる。図5Cは、鉱石Cから作製された例示的な製品/媒体を表す。図5Cにおいて、鉱石Cの支配的な珪藻被殻が、アウラコセイラ属(文献及び従来技術においてはメロシラと呼ばれることもある)由来のものであることが分かる。
選択される珪藻岩未加工鉱石は、珪藻被殻集団から構成される。実施態様において、該珪藻被殻集団は、キムベラ属、ステファノディスクス属、又はアウラコセイラ属の珪藻植物に由来する複数の珪藻被殻を含んでもよい。
別の実施態様において、前記珪藻被殻集団は、キムベラ属の珪藻植物に由来する珪藻被殻を含んでもよい。改良において、該珪藻被殻集団の珪藻被殻の少なくとも70%〜80%が、キムベラ属の珪藻植物に由来していてもよい。別の改良において、該キムベラ属の珪藻植物は、デシグナタ種のものであってもよい。さらなる改良において、該珪藻被殻集団の珪藻被殻の少なくとも70%〜80%は、キムベラ属かつデシグナタ種の珪藻植物に由来していてもよい。
別の実施態様において、前記珪藻被殻集団は、ステファノディスクス属の珪藻植物に由来する珪藻被殻を含んでもよい。改良において、該珪藻被殻集団の珪藻被殻の少なくとも70%〜80%は、ステファノディスクス属に由来していてもよい。
別の実施態様において、前記珪藻被殻集団は、アウラコセイラ属の珪藻植物に由来する珪藻被殻を含んでもよい。改良において、該珪藻被殻集団の珪藻被殻の少なくとも70%〜80%は、アウラコセイラ属に由来していてもよい。
ブロック104において、ブロック102で適切な未加工鉱石フィードとして特定された未加工鉱石は、粉砕され、フラッシュ乾燥される。フラッシュ乾燥工程の間に該粉砕された未加工鉱石フィードの粒子完全性を保存するために、フラッシュ乾燥機は、インライン双円錐型静的分級器を用いるよう構成される。この設定を用いて、粉砕された未加工鉱石フィードは、フラッシュ乾燥操作の間に穏やかに製粉され、粒度の仕様を満たさない粗い粒子はすべて、インライン双円錐型分級器の粗粒子排出部からミルへと戻される。正当化される場合には、生じる乾燥粉末を、空気分離機又は空気分級器を用いて乾式重鉱物不純物分離して、鉱石中の石英、チャート、砂、及び他の重い異物を除去する。
ブロック106において、ブロック104から得られる乾燥粉末を、ガラスライニングの圧力反応器内に、鉱石の密度に応じて10wt%〜15wt%固体のスラリー濃度で供給し、大気圧超69kPa〜690kPa(10PSI〜100PSI)の圧力で浸出する。対応する温度は、120℃〜160℃である。無機酸(例えば、鉱酸)が、未加工鉱石の不純物レベルに応じて0.1M〜1.0Mのスラリー酸強度で加圧浸出プロセスに用いられる。該鉱酸は、硫酸、硝酸、フッ化水素酸、過塩素酸、もしくは塩酸、又はそれらの混合物を含んでもよい。実施態様において、前記加圧浸出することは、約10分間〜約100分間実施される。好ましい実施態様において、浸出時間は、約60分であり得る。浸出後、プロセス100は、ブロック106〜ブロック108に進む。
ブロック108において、ブロック106から得られる浸出鉱石のスラリーを、圧力フィルターを用いて脱水して、溶解した不純物を分離し、生じた(珪藻土)ケーキをすすいで、残留する酸を除去する。
ブロック110において、湿ったケーキを、コンベア式乾燥機で(例えば、約120℃で約5%未満の水分となるまで)乾燥させ、分散させて、生じた化学的に選鉱処理された天然珪藻土媒体又は製品を得る。
本化学的選鉱プロセスの独特な態様の1つは、未加工鉱石中の全ての鉱物廃棄物不純物を効果的に標的とし溶解させ、その結果、シリカ含量を98wt% SiO2超へと向上させる酸強度、より高い反応温度、及びより高い反応圧力の組合せである。この珪藻土鉱石の選鉱を行う方法は、該プロセスが非常に選択的であり、かつ損失が、望まれない鉱物脈石のみに限られるために、より効果的かつより経済的である。
(本発明の非焼成Fenon製品/媒体を調製する方法)
超低抽出可能な化学的性質を有する超高性能かつ超高純度な非焼成製品/媒体が所望される場合、プロセス100は、ブロック110からブロック112へと進む。ブロック112において、ブロック110の化学的に選鉱処理された天然珪藻土媒体又は製品は、10wt%〜15wt%固体に再びスラリー化されて、それが仕上げ浸出(polish leaching)用に準備される。
ブロック114において、前記スラリーを、残留する抽出可能金属をキレート形成させるための無機酸及び有機酸の添加を用いてガラス反応器内で浸出する。該無機酸は、鉱酸を含んでもよい。該鉱酸は、硫酸、硝酸、塩酸、又はそれらの混合物を含んでもよい。該有機酸は、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、グルタミン酸、リンゴ酸塩、又はそれらの混合物を含んでもよい。用いられる総計の無機酸強度は、0.1M〜0.2Mであり、導入される有機酸の総量は、1.0wt%固体である。例えば、硫酸及びクエン酸が用いられる実施態様において、用いられる硫酸強度は、0.1M〜0.2Mであり、導入されるクエン酸の量は、1.0wt%固体である。スラリーは、約20分〜約60分間仕上げ浸出してもよい。そのような仕上げ浸出の間の温度は、約80℃〜約100℃であり得る。好ましい実施態様において、スラリーは、約95℃で合計で1時間仕上げ浸出してもよい。あるいは、プロセス100のいくつかの実施態様において、抽出可能金属含量をさらに減少させるために、ブロック114の仕上げ浸出を、0.1M〜0.5Mの無機酸(例えば、硫酸又は他の鉱酸)強度を用いて、加圧下(例えば、69kPa〜690kPaで)で行ってもよい;そのような代替実施態様において、添加される有機酸の量は、同じまま、すなわち、1.0wt%固体である。得られる珪藻土媒体又は製品中で非常に低い抽出可能金属が必要とされる場合には、圧力処理を伴う仕上げ浸出プロセスを用いてもよい。
ブロック114のプロセスの後に、ブロック116でスラリーを脱水し、生じたケーキを、脱イオン水で徹底的にすすぎ、乾燥製品の10wt%スラリーの導電率が、20μS/cm未満であることを確実なものとする。その後、プロセスは、ブロック118に進む。
ブロック118において、ケーキが乾燥され(例えば、約120℃のオーブン内で)、分散されて、最終非焼成製品が得られる。珪藻植物粒子の完全性を保ち、製品の遠心分離湿潤密度を保つために、ケーキの乾燥を、工業的条件下で、静止乾燥機、典型的には箱形乾燥器を用いて行ってもよい。
(本発明の焼成Fenon製品/媒体を調製する方法)
超低抽出可能な化学的性質及び約10ミリダルシーから最大で約750ミリダルシーの範囲の透過率を有する超高性能かつ超高純度の直接焼成又は軽度融剤焼成媒体(又は製品)が所望される場合、プロセス100は、ブロック110からブロック120へと進み、ブロック110の加圧浸出した未加工鉱石から得た乾燥させた分散媒体又は製品を、そのような焼成製品を生産するためのフィードとして使用する。ブロック120において、ブロック110から得られる乾燥させ分散させた珪藻土媒体又は製品が、538℃〜1204℃(1000°F〜2200°F)の温度範囲で、15分〜100分の範囲の期間、通常、材料の純度を理由としてより長い保持時間(retention time)を利用して焼成され、このことは、フィードの絶縁性を増加させ、焼結を妨げる。プロセス条件は、焼成製品が、約10ミリダルシーから最大で約750ミリダルシーの間の範囲の透過率を有するように選択される。焼成操作のために適切な温度は、あるものは、別のものより低い温度で焼結させ凝集させることができるために、珪藻土鉱石の起源によって大部分が決定される。たいていの場合、選鉱処理されていないフィード材料は、天然の融剤性不純物が存在するという理由で、焼成の間により迅速に焼結し凝集するであろう。
場合によっては、いくつかの鉱石が、単に焼成の間に容易に凝集しないという理由で、150ミリダルシー超の直接(無融剤)焼成製品の透過率を達成することは不可能である。従って、いくつかの実施態様において、少量の1つ以上の融剤、例えば、(総計で)約0.2wt%〜約0.8wt%を、フィード材料に添加して、凝集を強化させ軽度融剤焼成製品を製造し得る。150ミリダルシー超〜750ミリダルシーの範囲の透過率を有する焼成媒体/製品は、過熱を原因として遠心分離湿潤密度を顕著に増加させることなく、この工法で得ることができであろう。該融剤は、アルカリ酸化物融剤、酸化リチウム、酸化カリウム、酸化ホウ素、及び酸化ナトリウム、又はそれらの混合物を含んでもよい。例えば、実施態様において、該融剤は、ソーダ灰を含んでもよい。別の実施態様において、該融剤は、ソーダ灰であってもよい。焼成は、珪藻土媒体/製品がキルンのバーナーからの火炎と直接接触する直接燃焼式キルン内で行ってもよく、又はキルンのシェルが外側から加熱され、製品がバーナーの火炎と直接接触することが全くなく、焼成が熱伝導によって達成される間接燃焼式キルンを用いて行ってもよい。
焼成珪藻土媒体/製品を、精製された加圧浸出したフィードの焼成から得たとしても、いくつかのこのように製造された珪藻土媒体/製品の抽出可能な化学的性質は、ブロック120の焼成後に超低抽出可能金属媒体/製品として適格となるほど十分には低くない可能性がある。本明細書で開示されるような超低量の抽出可能金属を有する超高純度Fenon媒体/製品を得るために、プロセス100は、ブロック120からブロック122に進んでもよい。
ブロック122において、ブロック120の焼成媒体/製品を、遠心ふるいによって分散させ、その後、10wt%〜15wt%固体にスラリー化させて、それを仕上げ浸出用に準備する。該スラリーを、(i)無機酸(例えば、硫酸もしくは他の鉱酸);又は(ii)無機酸及び有機酸の組合せを用いて、ガラス反応器内で(酸)浸出してもよい。融剤(例えば、ソーダ灰)が添加されたこれらの製品について、ブロック122の仕上げ浸出用に無機酸のみを用いてもよい。該無機酸は、鉱酸を含んでもよい。該鉱酸は、硫酸、硝酸、塩酸、又はそれらの混合物を含んでもよい。該有機酸は、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、グルタミン酸、リンゴ酸塩、又はそれらの混合物を含んでもよい。実施態様において、ブロック122の前記焼成媒体の酸浸出に使用される総計無機酸濃度は、0.05モル/リットル〜1.0モル/リットルの範囲であってもよい。有機酸(例えば、クエン酸)の総計添加量は、製品1トン当たり8.0kg〜15.0kgの範囲であってもよい。いくつかの実施態様において、ブロック122で用いられる総計の無機酸強度は、0.1モル/リットル〜0.5モル/リットルであってもよい。実施態様において、保持時間は、20分〜100分の範囲であってもよい。実施態様において、温度は、周囲圧力下で80℃〜99℃の範囲であってもよい。例えば、好ましい実施態様において、周囲圧力下で約95℃で合計で1時間の保持時間を用いてもよい。いくつかの実施態様において、前記酸浸出は、ほぼ大気圧で80℃〜90℃の反応温度で行ってもよい。さらにより高い純度の製品が所望される他の実施態様において、焼成した材料を、69kPa〜690kPaの加圧下で、周囲圧力下でのものと同じ酸濃度を用いるが、温度を110℃〜150℃に上げて仕上げ浸出するという選択肢がある。
ブロック122の浸出時間の最後に、プロセス100は、ブロック124に進む。
ブロック124において、スラリーが脱水され、生じたケーキが、圧力フィルターを用いて脱イオン水で徹底的にすすがれて、乾燥製品の10wt%スラリーの導電率が20μS/cm未満であることが確実なものとされる。
ブロック126において、前記ケーキを、乾燥させ(例えば、120℃のオーブン中で)、分散させて、最終のFenon(超高純度及び超高性能)珪藻土媒体又は製品を得る。珪藻植物粒子の完全性を維持し、製品の遠心分離湿潤密度を保持するために、ケーキの乾燥は、静止乾燥機、典型的には箱形乾燥器を用いて実施され、乾燥させたケーキは、遠心ふるいを用いて分散される。
(本発明の融剤焼成Fenon製品を調製する方法)
超低抽出可能な化学的性質及び約750ミリダルシー〜約3750ミリダルシーの範囲の透過率を有する超高性能かつ超高純度な融剤焼成製品/媒体が所望される場合、プロセス100は、ブロック110からブロック130へと進み、ブロック110の乾燥させ分散させた製品が、融剤焼成製品を作製するためのフィードとして使用される。プロセス条件は、生じる融剤焼成媒体又は製品(上述の軽度融剤焼成製品を除く)が、通常、1000ミリダルシー以上の透過率を有するように選択される。
ブロック130において、1種以上の微細な製粉された融剤が、乾燥させたフィード中に徹底的に混合され、815℃〜1204℃(1500°F〜2200°F)の温度範囲内で、15分〜100分の範囲の期間、通常、フィードの絶縁性を増加させ焼結を妨げる材料の純度のために、選鉱処理されていないフィードと比べて該範囲のより長い保持時間側を利用して焼成される。好ましい実施態様において、焼成時間は、20分〜90分の範囲であってもよい。750ミリダルシー〜3750ミリダルシーの透過率を有する製品を生じさせるために使用される集合体中の融剤(複数可)は、一般に、総量で約3wt%〜約8wt%の範囲である。融剤(複数可)は、アルカリ酸化物融剤、ソーダ灰、カリ、ホウ砂、酸化リチウム、又はそれらの混合物を含んでもよい。例えば、実施態様において、融剤は、ソーダ灰を含んでよい。別の実施態様において、融剤は、ソーダ灰であってもよい。さまざまな鉱石種の間で焼結及び凝集温度にいくらかの変動があるために、焼成操作に適切な温度は、珪藻土鉱石の起源によって大部分は決定されるが、通常、870℃〜1200℃の範囲であろう。該融剤焼成プロセスは、珪藻土媒体/製品が、キルンのバーナーからの火炎と直接接触する直接燃焼式キルン内で行ってもよい。あるいは、キルンのシェルが、外側から加熱され、珪藻土媒体/製品が、バーナーの火炎と直接接触することが全くなく、焼成が熱伝導によって達成される間接燃焼式キルンを採用してもよい。本プロセスで生じた融剤焼成された珪藻土製品/媒体(軽度融剤焼成されたものを除く)は、750ミリダルシー〜3750ミリダルシーの透過率を有する。
融剤焼成された珪藻土製品/媒体を、精製された加圧浸出したフィードの焼成から得たとしても、このような製品/媒体の抽出可能な化学的性質は、該珪藻土製品/媒体を焼成工程の後に超低抽出可能金属を有する超純粋珪藻土製品/媒体として適格とするほどに十分には低くない可能性がある。本開示で教示される超低抽出可能製品/媒体を得るために、プロセス100は、ブロック130からブロック132に進んでもよい。
ブロック132において、融剤焼成製品/媒体を、粉末に分散させ、その後10wt%〜15wt%固体にスラリー化させて、それを仕上げ浸出用に準備する。該スラリーを、無機酸(例えば、鉱酸)を用いてガラス反応器内で(酸)浸出してもよい。該無機酸は、鉱酸を含んでもよい。該鉱酸は、硫酸、硝酸、塩酸、又はそれらの混合物を含んでもよい。実施態様において、ブロック132の無機前記焼成媒体の酸浸出に使用される総計酸濃度は、0.05モル/リットル〜1.0モル/リットルの範囲であってもよい。いくつかの実施態様において、ブロック132で用いられる総計の鉱酸強度は、0.1M〜0.5Mであってよい。実施態様において、保持時間は、20分〜100分の範囲であってもよい。実施態様において、温度は、周囲圧力下で80℃〜99℃の範囲であってもよい。例えば、好ましい実施態様において、周囲圧力下で約95℃で合計で1時間の保持時間を用いてもよい。他の実施態様において、95℃〜100℃の反応温度でほぼ大気圧で酸浸出を行ってもよい。
あるいは、最高純度、最低抽出可能不純物バージョンのFenon製品/媒体のためには、前記融剤焼成材料を、加圧下で(例えば、大気圧超69kPa〜約690kPaで)、周囲圧力下でのものと同じ酸濃度を用いるが、温度を110℃〜150℃の範囲の温度に上昇させて仕上げ浸出してもよい。ブロック132の浸出単位操作の最後に、プロセスは、ブロック134に進む。
ブロック134において、圧力フィルターを用いてスラリーが脱水され、脱イオン水で徹底的にすすがれて、乾燥させた媒体/製品の10wt%スラリーの導電率が、20μS/cm未満であることが確実なものとされる。その後、プロセス100は、ブロック136に進む。
ブロック136において、ケーキを乾燥させ、分散させて、本開示の最終のFenon(超高純度超高性能)珪藻岩濾過製品/媒体を得る。珪藻植物粒子の完全性を維持し、製品の遠心分離湿潤密度を保持するために、ケーキを乾燥することは、静止乾燥機、典型的には、箱形乾燥器内で行われ、乾燥させたケーキは、遠心ふるいを用いて分散される。
(本発明のFenon(超高純度超高性能)製品の従来技術との比較)
(より高い透過率)
Shiuhらの文献は、約25ミリダルシーから65ミリダルシーの透過率範囲に収まる精製された天然珪藻岩製品を教示する。Shiuhらの文献はまた、約300ミリダルシーの透過率を有する精製された焼成された珪藻土製品、及び約1200ミリダルシーの透過率を有する融剤焼成製品を教示する。
米国のカリフォルニア州LompocのThe Advanced Minerals(登録商標)社(Imerys Filtration and Additivesの子会社)のプラントは、Celpure(登録商標)製品を生産している。該プラントで生産されるCelpure(登録商標)製品は、透過率が約65ミリダルシー(Celpure 65)、約100ミリダルシー(Celpure 100)、約300ミリダルシー(Celpure 300)、及び約1000ミリダルシー(Celpure 1000)である精製された珪藻土製品である(テクニカルノート:AMC10-Celpure-C, Regulatory Support Package, バージョン1.8, 2008年; Sulpizio, 2009年)。本開示は、特に、750ミリダルシー超から最大で約3750ミリダルシーの範囲の透過率を有するFenon(超高純度超高性能)濾過媒体を製造する方法を教示する。これらの製品はまた、0.162g/ml(10.1lb/ft3)〜0.232g/ml(14.5lb/ft3)の非常に低い遠心分離湿潤密度及び96wt%〜98wt%の高いシリカ含量を有する。
(非常に高いシリカ比容)
表7Aは、25ミリダルシー〜300ミリダルシーの透過率範囲内の本発明のFenon製品対従来技術製品についての、遠心分離湿潤密度の範囲及び対応するシリカ比容を示す。本発明の製品は、市販のCelpure製品及びShiuhらの文献による従来技術と比較して、この透過率範囲内の全てのグレードについてより高いシリカ比容を有する。
(表7A Fenon及び従来技術製品の遠心分離湿潤密度及びシリカ比容(25md〜300mdの透過率範囲))
Figure 2020504004
1遠心分離湿潤密度
2シリカ比容
表7Bは、1000ミリダルシーの透過率範囲の本発明のFenon製品並びにShiuhらの文献及びCelpureの従来技術製品の遠心分離湿潤密度及び対応するシリカ比容を示す。約1200ミリダルシー超の透過率を有する従来技術製品についての比較データは、入手可能でない。
(表7B Fenon及び従来技術製品の遠心分離湿潤密度及びシリカ比容(1000ミリダルシーから最高で3535ミリダルシーの透過率))
Figure 2020504004
1遠心分離湿潤密度
2シリカ比容
「n/a」は、入手できずを意味する
(抽出可能金属ファクター(EMF)−EBC法を利用)
本発明の抽出可能金属ファクター(EMF)とCelpure市販製品との比較を表8に示す。表8は、競合製品と比較して顕著により低い本発明の製品の抽出可能金属ファクターを示す。Shiuhらの文献による従来技術についてのデータは入手可能でないが、熱焼結プロセス後にShiuhらの文献の製品は非酸洗浄ために、それらが、Fenon又はCelpure製品の低いEMFレベルを達成しないであろうことは明白である。表8中のEMF値は、EBC法を用いて決定された。
(表8 Fenon及び従来技術製品の抽出可能金属ファクター(EMF))
Figure 2020504004
1mD−ミリダルシー
2n/a−データを入手できず
(ASBCビール可溶性金属)
ビール中の鉄、アルミニウム、及びカルシウムの溶解性を試験するのにASBCビール抽出法を用いた結果を、本発明の製品及び他の競合製品について表9に示す。
(表9 Fenon製品及び従来技術製品についてのビールへのASBC可溶性金属の抽出(mg/kg))
Figure 2020504004
1LD−GFAASを用いた検出限界(検出可能な最低レベル)は、0.1ppm(ASBC法及びEBC法)又は0.1mg可溶性金属/kgである;GFAASを用いて可溶性金属含量が検出されなかった場合に、「LD未満の」値が用いられる。
2nd−検出不可能な値(ビールバックグラウンド中の金属の減算が、ゼロの結果を与える)
3n/a−入手できないデータを意味する。
4Fe−Shiuhらの文献から用いた試験法の鉄の検出限界は、2ppmであった。
5Al−Shiuhらの文献から用いた試験法のアルミニウムの検出限界は、2ppmであった。
超高純度高性能製品についての抽出可能金属の結果は、本発明のFenon製品が、従来技術及び市販のCelpure製品よりも低いビールへの抽出可能な化学的性質の点で優れていることを明確に示す。Shiuhらの文献は、2から7ppmの間のビール可溶性鉄(BSFe)及び2から10ppmの間のビール可溶性アルミニウム(BSAl)を有する高度に精製された製品を教示する。ビール可溶性カルシウム(BSCa)は、彼らのビール中での金属抽出可能性試験の間にShiuhによって開示されていない。Fenon(超高純度超高性能)製品のビール抽出可能金属の結果は、鉄濃度が、0.1ppmの検出限界(LD)未満であり、アルミニウム及びカルシウム濃度がゼロであることを示す。検出可能な濃度の鉄が、0.1ppmの限界を上回って全てのCelpure製品で示されており、アルミニウム及びカルシウムレベルは、ゼロ濃度である。
EBC法を用いて、検出可能なレベルのAl、Fe、及びCaが、Fenon(超高純度超高性能)製品の同じ製品について得られ、これは、ASBCビール抽出法がEBC手法よりも厳密な試験ではないことを示している。ビール中でのCelpure製品の金属溶解性が、本発明のそれよりも高いことが示され、それは、EBC抽出データにおいてにおいてもさらにより高いレベルで示されている。これらの結果は、最終製品の仕上げ工程がないために、EBC手法を用いる抽出可能金属ファクターが、Shiuhらの文献の製品で、本発明のそれよりもかなり高いであろうことを示す。
(生産プロセス)
表10は、本発明のプロセスと従来技術の高純度プロセスとの間の主な違いの比較を提供する。本発明に関しては、未加工鉱石選択基準が、浸出で扱いやすい天然に低い遠心分離湿潤密度を有する珪藻岩鉱石の使用を要求するのに対し、Shiuhらの文献及びCelpureプロセス双方の鉱石要件は、浮遊選鉱で扱いやすい望まれない非珪藻岩鉱物画分を有する珪藻岩である。Shiuhらの文献は、焼成ステージで終わるプロセスを用いて高度に精製された珪藻岩製品を作製することを教示する。Shiuhらの手法とは異なって、Celpureプロセスの最終ステージは、焼成後の酸洗浄である。本開示は、フィード材料を加圧浸出することで、フィード中の重要な不純物を効果的に減少させることと、プロセスを最終製品の強化された酸洗浄剤/加圧浸出で終えることとの組合せを用いて最低抽出可能金属を達成する。従って、本発明の製品の抽出可能金属不純物は、表8及び9に示されるように、Shiuhらの文献及びCelpureの従来技術製品と比較すると非常に低い。
(表10 本発明とCelpure及びShiuhらとのプロセスの差)
Figure 2020504004
(Fenon(超高純度超高性能)珪藻岩濾過製品/媒体を特性評価する方法)
本開示のFenon(超高純度超高性能)製品/媒体及び他の比較珪藻土製品を特性評価する方法を、以下のセクションで詳細に記載する。
(透過率)
濾過ケーキ(珪藻岩濾過製品/媒体が入ったもの)の透過率は、標準条件下で標準量の濾過製品/媒体を通る標準的な液体の流速の測定値である。それは、珪藻岩濾過媒体製品の仕様書でほとんど常に用いられる重要な特性である。これらの製品の仕様書を確立させるのに用いられる他の重要な特性としては:遠心分離湿潤密度、粒度分布、固形物滞留、及び他の物理的性質及び化学的性質が挙げられる。珪藻土が入った濾過ケーキを用いる濾過は、工業的プロセスにおいて流体からの粒子状固体の除去に適用され、製品/媒体の透過率は、製品/媒体を通る液体の流速を測定するのに特に用いられるが、製品/媒体の透過率は、多くの場合、製品/媒体の粒子サイズ排除能力とも相関している。言い換えれば、より高い透過率を有する製品/媒体は、一般に、より高い濾過ケーキを通る流束を提供するが、より低いサイズ排除を提供する(より高い透過率の製品/媒体は、より粗い透過率の製品/媒体が除去するのと同程度の細かさの粒子を除去することができない)。
本明細書に記載の濾過ケーキ試料の透過率測定を、透過率300ミリダルシー以下の製品についてはVEL浸透計法(Analitika−EBC 1985年)、又は透過率300ミリダルシー超の製品については米国特許第5,878,374号に開示されているCelatom浸透計法を用いて行った。
VEL浸透計法は、圧力計及びセプタムを備えた円筒状のチューブの形態の測定装置を用いる。試験される濾過助剤粉末は、ビーカー内に秤量され、450mlの水道水が、該材料をスラリー形態で懸濁させるよう添加される。Whatman(登録商標)#4濾紙が、前記装置のセプタム上に配置され、その後、チューブが、漏出がないことを確実とするためにボルトで留められる。ガラス棒を用いて、前記スラリーを、チューブに注ぎ、上部を閉じて、必要とされる空気圧をかけて、メスシリンダーへの液体の流れを引き起こす。液体が濾過されるにつれて、濾過ケーキが濾紙上に形成されるであろう;空気圧が、約1cmの液体がケーキの上に残っているときに遮断される。上部が開けられ、ケーキが乱されないことを確実にして、集められた水がチューブに静かに注ぎ戻される。5分間の待機期間後に、必要とされる設定値で再び圧力がかけられ、一定時間内に得る体積の液体、100〜300mlが集められる。残りの液体をチューブから排出させて、乾燥ケーキを得る。脱水したケーキを取り出し、厚さを測定する。濾液温度も測定し、水の対応する粘度を得る。その後、ミリダルシーでのケーキの透過率(β)を:
Figure 2020504004
(式中、
V=定数200cm3であり、一定時間内に得る液体の体積であり、
A=定数:20.22cm2であり、VELチューブの濾過面積であり、
ΔP=印加された圧力:50kPa又は200kPa(材料が、遅い流速を有するか速い流速を有するかによる)であり、
h=cmでの形成される濾過ケーキの高さであり(材料の湿式かさ密度に応じて変化し得る)、
η=mPa・s(ミリパスカル・秒)での水の粘度である)
として計算する。
以下の表11は、試験される濾過助剤材料の種々の透過率範囲に使用される試験パラメーターを記載する。
(表11: VEL浸透計試験条件)
Figure 2020504004
Celatom浸透計は、既知質量の珪藻岩試料から「濾過ケーキ」を形成し、その後、透過率及び湿式かさ密度を算出するのに必要とされる全ての必要なパラメーターを測定する自動化機器である。水道水を、該測定における流体媒体として使用する。g/mlでの湿式かさ密度(ρ)及びミリダルシーでの透過率(β)を算出するための方程式を、以下に記載する:
Figure 2020504004
(式中、
A=ケーキの断面積(cm2)であり、
ΔP=ケーキの反対側での圧力低下(atm)であり、
t=流れの時間(s)であり、
m=乾燥試料質量(g)であり、
η=濾液粘度(cp)であり、
V=濾液体積(ml)であり、
h=ケーキ高さ(cm)である)。
(バルク化学組成)
珪藻土は、主に珪藻植物の骨格残骸を含有し、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、アルミニウム、及び鉄のようないくつかの少量不純物と一緒に、主にシリカを含む。種々の元素の百分率は、珪藻土鉱床の起源に応じて変化するものである。珪藻土にみられる生物起源シリカは、一般に、変化に富んだ量の水和水を有する種々のオパールと考えられる水和したアモルファスシリカ鉱物の形態にある(Enricoらの文献、1948年)。珪藻土における他の少量シリカ源は、細かく散在する石英、チャート、及び砂からのものであり得る。しかしながら、これらの少量シリカ源は、生物起源の珪藻植物シリカ種の入り組んでおりかつ多孔質の構造を有しない。
珪藻土鉱石及び製品のバルク化学組成が、材料の品質を決定し、一般に、濾過助剤製品の抽出可能金属の性質に影響を与える。XRF(蛍光X線)分光法が、珪藻土材料のバルク化学組成を決定するために最適な分析方法として広く受け入れられており、それは、材料の元素組成を決定するのに用いられる非破壊分析技術である。XRF分析機器は、特定の元素に特有な1組の特性蛍光X線を生じさせることによって、試料の化学的性質を決定し、これが、XRF分光法が、材料組成物の定性及び定量分析のための優れた技術である理由である。本明細書で報告される珪藻土材料のバルク化学組成の試験において、5gの乾燥粉末化試料が、1gのX線混合粉末結合剤と一緒に、Spex(登録商標)ミル内で細かく製粉され、その後、ペレットへとプレスされる。該ペレットは、珪藻土参照平均を用いて事前に較正されている自動波長分散型(WD)XRF装置に入れられ、バルク化学組成が決定される。シリカ構造内での水和の自然な喪失を考慮するために、全ての実施例についての全ての鉱物含量は、それらそれぞれの高酸化物の強熱減量(LOI)でか又は強熱ベースで報告される。本明細書で使用される、「強熱ベースで」は、シリカ構造内の水和水の影響なしで測定された鉱物酸化含量を意味する。超高純度製品及び他の競合材料の化学的性質の結果を、本明細書において実施例セクションで提供する。
(遠心分離湿潤密度)
珪藻土未加工鉱石又は製品の湿潤密度は、濾過プロセスの間に粒子状物質を捕捉するのに利用可能な空隙容量の尺度である。湿潤密度は、多くの場合、珪藻岩濾過媒体の単位消費量と相関している。言い換えれば、低い遠心分離湿潤密度を有する珪藻岩濾過媒体は、多くの場合、濾過操作において低い珪藻岩製品の単位消費量を提供する。
いくつかの方法が、珪藻岩濾過媒体製品の湿潤密度の特性を表わすのに用いられてきた。本発明で用いられる方法は、遠心分離湿潤密度(CWD)である。この試験法は、米国特許第6,464,770号(Palmらの文献(2002))におけるものなどの特許の従来技術で頻繁に用いられている。本試験法において、先ず、10mlの脱イオン水が、15mlの目盛り付き遠心ガラスチューブに加えられ、1gの乾燥粉末サンプルが、チューブに入れられる。該試料を、ボルテックスジェニー2振盪機(vortex-genie 2 shaker)を用いて、水に完全に分散させる。その後、数ミリリットルの脱イオン水を用いて該チューブの側面をすすいで、全ての粒子が懸濁液中にあることを確実なものとし、内容量を15ミリリットルのマークに合わせる。チューブを、2680rpmで5分間遠心分離し、目盛り付きマークで読み上げることによって、沈降した固体の体積を書き留める。遠心分離湿潤密度は、体積で除された試料の重量としてg/mlで決定される。62.428の変換ファクターを適用して、lb/ft3での遠心分離湿潤密度を得る。
(シリカ比容)
シリカ比容は、以下のように計算される:
Figure 2020504004
(式中、
シリカ含量分率=珪藻岩中のSiO2含量の百分率を100で除したもの
遠心分離湿潤密度=固体1ミリリットルあたりのグラム(g/ml))
前記方程式から、高いシリカ含量及び低い遠心分離湿潤密度を有する製品が、高いシリカ比容をもたらすであろうことは明らかである。
(抽出可能金属ファクター(EMF)及び抽出可能金属試験法)
上で言及したように、多くの用途において、珪藻岩濾過媒体が、低レベルの抽出可能不純物を有することが好ましい。これは、抽出可能物が、濾過助剤材料から液体製品内へと移動することができる化合物であるためである。
珪藻土製品中の主要なバルク不純物は、アルミニウム、鉄、及びカルシウムであり、これらはまた、濾過助剤が流体と接触する場合に、主要な抽出可能金属を形成する。金属の抽出可能物への寄与を定量化するためには、流体中のこれらの金属の総量を決定することが賢明であり、それは、抽出可能金属ファクター(EMF):
Figure 2020504004
(式中、Al、Fe、Caは、欧州醸造大会(the European Brewery Convention)(EBC)試験方法を用いる、珪藻土製品1kgあたりのmgでの可溶性金属である)
によって表される。
言い換えれば、EMFは、抽出可能鉄の測定に関して欧州醸造大会(EBC)によって特定された条件下での、標準質量の製品/媒体に含有される抽出可能なアルミニウム、鉄、及びカルシウムの和の測定値である。この関係は、純度の観点でより高品質の濾過助剤製品が、より低い抽出可能金属インデックスを有するであろうことを示す。
消費調整抽出可能金属ファクター(CA-EMF)は、典型的な(又は標準的な)DE濾過助剤(又は媒体)の遠心分離湿潤密度で除して、濾過助剤(FA)(又は媒体)の抽出可能金属ファクターを乗じた、濾過助剤(又は媒体)の遠心分離湿潤密度である。例えば、本開示のより低い密度の製品の消費調整抽出可能金属ファクターは:
Figure 2020504004
で与えられる。標準的なDE濾過助剤のCWDは、21lb/ft3(又は0.336g/ml)であると考えられた。
より厳密でない試験法からの結果が、抽出可能物の実際のレベル及び程度を過少表示し得ること、及びより厳密な方法の使用が、濾過助剤の品質を決定する最も好ましい方法であることを認識することは重要である。本発明において試料の分析に採用されるEBC法は、酢酸ナトリウムバッファーなどの関連性のあるモデル溶媒システムを利用する、制御抽出試験と比べてより厳密な試験に相当する。EBC抽出試験法はまた、ビールを抽出剤として用いる米国醸造化学者学会(ASBC)抽出試験法よりも厳密である。
欧州醸造大会(the European Brewery Convention)(EBC)は、濾液へのフィルター媒体の可溶性金属的寄与を決定する試験法を含む、容認される試験法の大要を確立している。EBC可溶性金属試験は、試験される媒体/製品の代表試料(2.5%スラリー濃度)を、フタル酸水素カリウムの1%溶液(pH4)中に周囲温度で2時間懸濁させること、該懸濁液をろ過すること、及びその後誘導結合プラズマ(ICP)分光光度計又はグラファイト炉原子吸光(GFAA)を用いて、試料溶液の濾液を、鉄(Fe)、カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)、及びヒ素(As)含量について分析することを含む。ICPを用いるか又はGFAAを用いるかの選択は、測定される元素の検出限界(LD)に基づく。この分析に用いたICP機器は、原子発光分光分析(AES)型のものであった。それは、特定の波長で火炎から発せられる光の強度を用いて、試料中の元素の量を決定する。原子スペクトル線の波長は、元素が何であるかを示し、一方、発せられる光の強度は、該元素の原子の数に比例する。試料検体は、スプレーされた溶液として火炎中に導入される。火炎からの熱が、溶媒を蒸発させ、化学結合を壊して、自由原子を生じさせる。該熱エネルギーはまた、該原子を励起し、その後原子は光を発する。各元素は、固有波長で光を発し、それは、格子又はプリズムで分散され、分光計で検出される。
電熱原子化(ETA)としても知られるGFAAは、原子吸光測定の感度及び検出限界を向上させるための技術である。この試験においては、少量の濾液試料溶液が、中空のグラファイトチューブ内に入れられる。これが、温度プログラムで抵抗加熱され、不純物が焼き払われ、検体が原子化され自由金属蒸気のプルームを形成し、最後に、チューブがきれいにされる。自由原子は、対象となる元素に特徴的な振動数又は波長で光を吸収するであろう(従って、名称が原子吸光分光分析である)。ある範囲内であれば、吸収される光の量を、存在する検体の濃度に線形的に相関させることができる。
ビール中での珪藻土製品由来の可溶性金属の決定のための信頼できる試験方法が、該産業で確立されている(アメリカ醸造化学者学会(American Society of Brewing Chemist)、1987年)。グラファイト炉原子吸光(GFAA)分光法は、本発明において、ビール中の可溶性鉄、アルミニウム、及びカルシウムの濃度の最終決定に用いられた。該試験においては、2.5gの乾燥製品を、室温で、250ml三角フラスコ中の100mlの二酸化炭素を除去したBUDWEISER(登録商標)ビールに加え、ぐるぐるかき混ぜることで懸濁させた。該フラスコを、再び、経過時間が1、2、3、4、及び5分の時にぐるぐるかき混ぜた。最後に、該フラスコを、再び、5分50秒でぐるぐるかき混ぜ、全内容物を、濾紙を取り付けた漏斗に直ちに移した。初めの30秒間に集められた濾液は廃棄し、その後、試験濾液試料を、次の2分30秒の間に、抽出ための総経過時間9分間で集めた。
1組の鉄、アルミニウム、及びカルシウム標準を調製し、二酸化炭素を除去したビール中にビールをブランクとして用いて、該標準を用いて分光計を較正した。その後、試料濾液を分析して溶液中の抽出可能金属の濃度を決定した。その後、ビール中の金属の濃度を:
ビール可溶性金属(ppm)=(ICP又はGFAAで得た金属(ppm))×希釈係数×40
として計算した。
本発明の超高純度製品の全ての異なる透過率範囲からの結果は、鉄、アルミニウム、及びカルシウムのそれぞれについて、該試験の検出限界未満である0.1ppm(又は0.1mg/kg)未満の濃度を与えた。
(白色度)
(光学的性質)
前記粉末の光学的性質は、国際照明委員会(the Commission Internationale de I’Eclairage)(CIE)によって規定された色空間を用いて、L*a*b*色空間として特性評価した。L*座標は、白色度を表し、反射光強度の尺度(0〜100)であり、a*座標は、緑色(負の値)と赤色(正の値)との間の色の変量を示す値を表し、一方で、b*座標は、青色(負の値)と黄色(正の値)との間の色の変量を示す値を表す。Konica Minolta(登録商標)色彩計(Chroma-meter) CR-400を用いて、本明細書に記載の試料の光学的性質を測定した。
乾燥した代表試料(約2g又は前記計器の測定端を覆うのに十分な量)をとり、その後、乳鉢及び乳棒を用いてすり砕いた。生じたすり砕いた粉末を、白色の紙の上に広げ、平らな表面で押して、詰まった滑らかな粉末表面を形成した。前記色彩計を、粉末に押し当て、読み取り値を書き留めた。さまざまな超高純度高性能製品についての該光学的試験の結果を、後に続く製品実施例に示す。
(実施例)
本開示のいくつかの例示的なFenon(超高純度超高性能)珪藻岩濾過媒体製品を、以下に記載する。加圧浸出用のフィード調製のための方法は、全ての製品で共通であった。加圧浸出ステージに至るまでのプロセスを、以下のセクションに記載する。
未加工鉱石を、乾燥させ、80メッシュサイズを通過するようハンマーで製粉した。その後、本プロセス用のフィードを調製するための鉱石として受け入れるために、前記80メッシュを通過する粉末の試料の遠心分離湿潤密度試験を行い、密度が、0.128(8.0lb/ft3)g/ml〜0.256g/ml(16lb/ft3)の範囲内であったかどうかを決定した。遠心分離湿潤密度試験を実施するための標準的な操作手順は、本開示の「Fenon(超高純度超高性能)珪藻岩濾過製品/媒体を特性評価する方法」セクションで本明細書に記載される。その後、製粉された材料を、機械式空気分級器を用いて分級して(フラッシュ乾燥後に)、石英、チャート、又は砂などの重質鉱物不純物を分離した。その後、分離機の製品を、以下の表12に示すプロセス条件下で浸出した。
(表12 珪藻土鉱石を加圧浸出するためのプロセス条件)
Figure 2020504004
浸出したスラリーを圧力フィルターを用いて脱水し、生じたケーキを、水道水ですすいで、残留する酸を除去した。湿ったケーキを、オーブン内で120℃で5%未満の水分となるまで乾燥させ、分散させて、化学的に選鉱処理された天然の珪藻土製品を得た。該化学的選鉱プロセス後の3つの異なる例示的な珪藻岩フィード鉱石のバルク化学組成の変化を、表13に示す。
(表13 さまざまな珪藻岩鉱石及び対応する加圧浸出製品のバルク化学組成)
Figure 2020504004
1XRFによって決定;XRFによって検出可能な最低量は、0.001%である。
(実施例1)
Fenon(超高純度超高性能)珪藻岩非焼成濾過媒体を調製する方法
製品の超低抽出可能な化学的性質を得るために、化学的に選鉱処理された製品のスラリーを調製し、硫酸及びクエン酸の組合せを用いてガラス反応器内で酸浸出した。浸出条件を、以下の表14に示す。
(表14 珪藻土鉱石を加圧浸出するためのプロセス条件)
Figure 2020504004
浸出の後に、スラリーを脱水し、脱イオン水で徹底的にすすいで、乾燥製品の10wt%スラリーの導電率が、20μS/cm未満であることを確実なものとした。ケーキを、120℃でオーブン内で乾燥させ、分散させて、最終の超高純度製品を得た。該プロセスの別の態様において、仕上げ浸出が、0.2M硫酸を用いて加圧下で実施され、さらにかなり低い抽出可能金属の化学的性質を生じさせた。実施例A、B、及びCで表される3種の未加工鉱源から得た例示的なFenon天然物の分析のデータを、以下の表15に示す。
(実施例1: 表15 例示的な非焼成Fenon(超高純度超高性能)生物起源シリカ製品の性質)
Figure 2020504004
1製品の透過率−ミリダルシー
2遠心分離湿潤密度(CWD)
3シリカ比容(SSV)
4抽出可能金属ファクター(EMF)
5XRFによって決定;XRFによって検出可能な最低量は、0.001%である。
(実施例2)
10ミリダルシー〜749ミリダルシーの透過率範囲でFenon(超高純度超高性能)珪藻岩濾過媒体を調製する方法(焼成又は融剤焼成)。
乾燥させ分散させた加圧浸出製品を、直接焼成製品及び軽度融剤焼成製品の生産のためのフィードとして使用した。該フィードを、マッフル炉内で焼成し、焼成製品を分散させた。該焼成製品のスラリーを調製し、ガラス反応器内で浸出した。透過率範囲が150〜749ミリダルシーである製品については、約2.5%のソーダ灰融剤をフィード材料に加えて凝集を強化し、軽度融剤焼成製品を生成させた。硫酸のみを用いた150ミリダルシー〜749ミリダルシー範囲の製品を除いて、硫酸及びクエン酸の組合せを仕上げ浸出プロセスに用いた。硫酸強度は、全てのケースで0.2Mであり、導入されるクエン酸の量は、10kg/トン製品固体であった。さまざまな製品グレードのための、フィードの焼成及びそれに続く大気中浸出のプロセス条件を以下の表16に示す。
(表16 10ミリダルシー〜749ミリダルシーの範囲の製品を調製するためのプロセス条件)
Figure 2020504004
浸出時間の最後に、スラリーを脱水し、生じたケーキを、圧力フィルターを用いて脱イオン水で徹底的にすすぎ、乾燥製品の10wt%スラリーの導電率が、20μS/cm未満であることを確実なものとした。該ケーキを、120℃でオーブン内で乾燥させ、分散させて、最終の超高純度超低抽出可能物製品を得た。本開示で調製された例示的な低速グレード製品の性質の例を、以下の表17〜20に示す。
(実施例2A−例示的な非焼成製品)
実施例における非焼成製品の性質を、表17に示す。XRF分析によって決定されたこれらの最終製品のバルク化学組成は、0.00(wt%)の酸化鉄及び0.10%のFe2O3を示し、これは、最終製品を作製するのに用いられる加圧浸出したフィード材料のユニークな特徴である。双方の実施例における4.0の抽出可能金属ファクターは、この低速グレード製品にしては非常に低い。
(表17:実施例2A−例示的な非焼成製品)
Figure 2020504004
1製品の透過率−ミリダルシー単位
2遠心分離湿潤密度(CWD)
3シリカ比容(SSV)
4抽出可能金属ファクター
5XRFによって決定;XRFによって検出可能な最低量は、0.001%である。
(実施例2B−例示的な焼成製品)
表18は、3種の異なる未加工鉱源から作製された焼成製品A、B、及びCの例を示す。全てのケースにおいて、シリカ含量は、98%(w/w)SiO2を超え、アルミナレベルは、1.0wt% Al2O3未満であり、酸化鉄レベルは、0.00wt%Fe2O3である。
本開示の製品A、B、及びC、又は実施例2Bは、4.6〜5.8の範囲の対応する高いシリカ比容と共に、0.175g/ml(10.9lb/ft3)〜0.199g/ml(12.4lb/ft3)の範囲の顕著により低い遠心分離湿潤密度を示す。本発明の3つの製品実施例全てについて、非常に低い抽出可能金属インデックスが得られた。
(表18: 実施例2B−例示的な焼成製品(ミリダルシー))
Figure 2020504004
1製品の透過率−ミリダルシー
2遠心分離湿潤密度(CWD)
3シリカ比容(SSV)
4抽出可能金属ファクター
5XRFによって決定;XRFによって検出可能な最低量は、0.001%である。
(実施例2C−例示的な焼成製品)
3種の異なる鉱源から製造された類似の透過率の3つの製品が、実施例2Cに含まれる。これら3つの製品の特徴を、表19に示す。異なる鉱石から作製された例示的な3つの個々の製品A、B、及びCのシリカ含量は全て、98%SiO2を超え、0.00%(w/w)Fe2O3の酸化鉄含量であった。該例示的な製品A、B、及びCの遠心分離湿潤密度もまたかなり低く、0.167g/ml(10.4lb/ft3)及び0.194g/ml(12.1lb/ft3)の範囲であり、シリカ比容は、4.4〜5.9の範囲である。該超高純度製品のEMFは、2.0〜3.5の範囲の非常に低い濃度である。
(表19:実施例2C−例示的な焼成製品)
Figure 2020504004
1製品の透過率−ミリダルシー
2遠心分離湿潤密度(CWD)
3シリカ比容(SSV)
4抽出可能金属ファクター
5XRFによって決定;XRFによって検出可能な最低量は、0.001%である。
(実施例2D−例示的な軽度融剤焼成製品)
実施例2D(表20)は、異なる未加工鉱石から作製された本開示の軽度融剤焼成製品のいくつかの例を提供する。本発明のシリカ含量は、97%SiO2超であり、アルミナ含量は、1%Al2O3前後であり、酸化鉄含量は、0.00%Fe2O3である。0.163g/ml(10.2lb/ft3)及び0.204g/ml(12.7lb/ft3)の範囲の、かなり低い遠心分離湿潤密度が得られた。これらの低密度及び高いシリカ化学組成の組み合わされた効果は、比較的高いシリカ比容をもたらす。本発明の製品のEMFは、2.6〜4.0の範囲である。
(表20:実施例2D−軽度融剤焼成製品)
Figure 2020504004
1製品透過率−ミリダルシー
2遠心分離湿潤密度(CWD)
3シリカ比容(SSV)
4抽出可能金属ファクター
5XRFによって決定;XRFによって検出可能な最低量は、0.001%である。
(実施例3:高速融剤焼成製品)
(Fenon(超高純度超高性能)高速グレード生物起源シリカ製品を調製する方法)
乾燥させ分散させた加圧浸出製品を、融剤焼成製品を作製するためのフィードとして使用した。微細な製粉されたソーダ灰を、該乾燥させたフィード内に徹底的に混合させ、マッフル炉内で製品の標的透過率範囲に基づく所与の温度で焼成した。
本開示で規定される超低抽出可能製品を得るために、該融剤焼成製品を、粉末中に分散させ、仕上げ浸出用12wt%固体スラリーを調製した。該スラリーを、硫酸を用いてガラス反応器内で酸浸出した。浸出時間の最後に、スラリーを脱水し、生じたケーキを、圧力フィルターを用いて脱イオン水で徹底的にすすぎ、乾燥製品の10wt%スラリーの導電率が、20μS/cm未満であることを確実なものとした。該ケーキを乾燥させ、分散させて、最終の超高純度超低抽出可能物製品を得た。該製品を調製するのに用いたプロセス条件を、以下の表21に示す。
(表21 高速融剤焼成製品を調製するためのプロセス条件)
Figure 2020504004
本開示で調製された高速グレード製品の性質の例が、次の表に示される。
(実施例3A−例示的な融剤焼成製品)
前記融剤焼成製品の仕上げ酸洗浄から作られた2つの融剤焼成製品のXRF分析によって決定されたバルク化学組成及び他の物理的性質を、これらの製品の性質を示している表22に示す。結果には、該製品の0.00(wt%)Fe2O3のユニークな酸化鉄含量、及び高い透過率と対比して低い酸化ナトリウム含量が含まれる。遠心分離湿潤密度は、0.160g/ml(10.0lb/ft3)〜0.208g/ml(13.0lb/ft3)の範囲であり、シリカ比容は、4.7〜6.0の範囲である。本発明の抽出可能金属ファクターは、2.0〜3.8の範囲で非常に低い。
(表22:実施例3A−例示的な融剤焼成製品)
Figure 2020504004
1製品の透過率−ミリダルシー
2遠心分離湿潤密度(CWD)
3シリカ比容(SSV)
4抽出可能金属ファクター(EMF)
5XRFによって決定;XRFによって検出可能な最低量は、0.001%である。
(実施例3B−例示的な融剤焼成製品)
表23は、約2000ミリダルシーの透過率を有する2つの例示的な製品試料のバルク化学組成及び他の物理的性質を示す。本発明におけるより低いNa2O濃度によって、製品中の非ケイ質鉱物不純物の除去における、仕上げ浸出プロセスの高い効率が確認された。
(表23:実施例3B−例示的な融剤焼成製品)
Figure 2020504004
1製品の透過率−ミリダルシー
2遠心分離湿潤密度(CWD)
3シリカ比容(SSV)
4抽出可能金属ファクター(EMF)
5XRFによって決定;XRFによって検出可能な最低量は、0.001%である。
(実施例3C−例示的な融剤焼成製品)
表24は、2つの例示的な3127及び3537ミリダルシーの透過率を有する製品の化学的性質の2つの例を示す。シリカ含量は、約96%(w/w)SiO2であり、アルミナは約1.2%(w/w)Al2O3、酸化鉄は0.00%(w/w)Fe2O3である。ナトリウム融剤含量は、1.6%〜1.9%(w/w)Na2Oの範囲である。このレベルのナトリウムは、これらの高い透過率製品の焼成に初めに用いられた量よりもかなり低い。焼成フィードに用いられたソーダ灰の量は、約7%(w/w)Na2CO3であった。これは、4.1%Na2Oに等しい。例A及びBでそれぞれ1.67%及び1.85%(w/w)Na2Oである最終ナトリウム含量は、製品において利用可能な金属可溶物を減少させ、それに超低抽出可能レベルを提供することにおける仕上げ浸出プロセスの有効性を示す。
(表24:例示的な融剤焼成製品)
Figure 2020504004
1製品の透過率−ミリダルシー
2遠心分離湿潤密度(CWD)
3シリカ比容(SSV)
4抽出可能金属ファクター(EMF)
5XRFによって決定;XRFによって検出可能な最低量は、0.001%である。
(引例)
本発明が属する技術の水準をより完全に説明するために、以下に引用する刊行物、特許、及び公表された特許明細書の開示が、その全体として引用により本開示に組み込まれる。
Figure 2020504004
Figure 2020504004

Claims (39)

  1. 濾過製品であって、該製品が、珪藻土を含み、該珪藻土が、珪藻岩の入り組んでおりかつ多孔質の構造、0.09%以下かつ検出不可能なレベル以上の酸化鉄含量、及び4.1〜6.1の範囲のシリカ比容を有する、前記濾過製品。
  2. 濾過製品であって、該製品が、珪藻土を含み、該珪藻土が、珪藻岩の入り組んでおりかつ多孔質の構造、4.1〜6.1の範囲のシリカ比容、及び百分率の形態で9%未満の酸化アルミニウムに対する酸化鉄のモル酸化物比を有する、前記濾過製品。
  3. 濾過製品であって、該製品が、珪藻被殻集団を含む珪藻土を含み、該珪藻土が、珪藻岩の入り組んでおりかつ多孔質の構造、及び3.9を超え6.1までの範囲のシリカ比容を有し、該珪藻土が、湖成珪藻岩鉱床から供給される鉱石からのものである、前記濾過製品。
  4. 前記珪藻被殻集団が、キムベラ属又はステファノディスクス属又はアウラコセイラ属の珪藻植物に由来する複数の珪藻被殻を含有する、請求項3記載の製品。
  5. 前記珪藻土が、10ミリダルシー〜1500ミリダルシーの範囲の透過率をさらに有し、前記シリカ比容が、4.9〜6.1の範囲である、請求項1、2、又は3記載の濾過製品。
  6. 前記珪藻土が、1500ミリダルシー超から3750ミリダルシーまでの範囲の透過率をさらに有する、請求項1、2、又は3記載の濾過製品。
  7. 前記珪藻土が、融剤焼成されており、かつ150ミリダルシー〜1500ミリダルシーの範囲の透過率、及び1.1wt%未満の総アルカリ金属酸化物含量をさらに有する、請求項1、2、又は3記載の濾過製品。
  8. 前記珪藻土が、融剤焼成されており、かつ1500ミリダルシー超から3750ミリダルシーまでの範囲の透過率、及び2.2wt%未満の総アルカリ金属酸化物含量をさらに有する、請求項1、2、又は3記載の濾過製品。
  9. 前記珪藻土が、150ミリダルシー〜1500ミリダルシーの範囲の透過率、及び百分率の形態で、50%〜200%の範囲の酸化アルミニウムに対する酸化ナトリウムの化学量論比をさらに有する、請求項1、2、又は3記載の濾過製品。
  10. 前記珪藻土が、1500〜3750ミリダルシーの範囲の透過率、及び百分率の形態で、100%〜350%の範囲の酸化アルミニウムに対する酸化ナトリウムの化学量論比を有する、請求項1、2、又は3記載の濾過製品。
  11. 前記珪藻土が、0.1mg Fe/kg未満であるASBC可溶性鉄含量をさらに有する、請求項1、2、又は3記載の濾過製品。
  12. 前記珪藻土が、1mg Al/kg未満のASBC可溶性アルミニウム含量をさらに有する、請求項1、2、又は3記載の濾過製品。
  13. 前記珪藻土が、1mg Ca/kg未満のASBC可溶性カルシウム含量をさらに有する、請求項1、2、又は3記載の濾過製品。
  14. 前記珪藻土が、0.5ppm〜2ppmの範囲のEBC抽出可能鉄含量をさらに有する、請求項1、2、又は3記載の濾過製品。
  15. 前記珪藻土が、1.5ppm〜検出限界未満の範囲のEBC抽出可能アルミニウム含量をさらに有する、請求項1、2、又は3記載の濾過製品。
  16. 前記珪藻土が、2.5ppm未満のEBC抽出可能カルシウム含量をさらに有する、請求項1、2、又は3記載の濾過製品。
  17. 前記珪藻土が、2〜5ppmのEMFをさらに有する、請求項1、2、又は3記載の濾過製品。
  18. 珪藻土製品であって、該製品が、珪藻土を含み、該珪藻土が:
    3.8超から6.0までの範囲のシリカ比容;及び
    該珪藻土の透過率が150ミリダルシー〜1500ミリダルシーである場合には、1.1wt%未満の総アルカリ酸化物含量、又は該珪藻土の透過率が1500ミリダルシー超から3750ミリダルシーの範囲である場合には、1.1wt%〜2.2wt%の範囲の総アルカリ酸化物含量
    を有する、前記珪藻土製品。
  19. 前記珪藻土が、150ミリダルシー〜1500ミリダルシーの透過率を有し、かつ50%〜200%の範囲の酸化アルミニウムに対する酸化ナトリウムの化学量論比をさらに有する、請求項18記載の製品。
  20. 前記珪藻土が、1500超から3750ミリダルシーまでの範囲の透過率を有し、かつ100%〜350%の範囲の酸化アルミニウムに対する酸化ナトリウムの化学量論比をさらに有する、請求項18記載の製品。
  21. 前記珪藻土が、0.1mg Fe/kgの検出限界未満であるASBC可溶性鉄をさらに有する、請求項18記載の製品。
  22. 前記珪藻土が、1mg Al/kg未満のASBC可溶性アルミニウム含量をさらに有する、請求項18記載の製品。
  23. 前記珪藻土が、1mg Ca/kg未満のASBC可溶性カルシウム含量をさらに有する、請求項18記載の製品。
  24. 前記珪藻土が、0.5ppm〜2ppmのEBC抽出可能鉄含量をさらに有する、請求項18記載の製品。
  25. 前記珪藻土が、1.5ppm未満から検出限界未満までのEBC抽出可能アルミニウム含量をさらに有する、請求項18記載の製品。
  26. 前記珪藻土が、2.5ppm未満のEBC抽出可能カルシウム含量をさらに有する、請求項18記載の製品。
  27. 前記珪藻土が、150ミリダルシー〜1500ミリダルシーの透過率を有し、かつ4.9〜6.0の範囲のシリカ比容を有する、請求項18記載の製品。
  28. 前記珪藻土が、1500ミリダルシー超から3750ミリダルシーまでの範囲の透過率を有し、かつ4.1〜6.0の範囲のシリカ比容を有する、請求項18記載の製品。
  29. 前記珪藻土が、150ミリダルシー〜750ミリダルシーの範囲の透過率を有し、かつ2〜4ppmの範囲の抽出可能金属ファクターをさらに有する、請求項18記載の製品。
  30. 前記珪藻土が、150ミリダルシー〜750ミリダルシーの範囲の透過率を有し、かつ6〜11ppmの範囲の抽出可能金属ファクターをさらに有する、請求項18記載の製品。
  31. 前記珪藻土が、150ミリダルシー〜750ミリダルシーの範囲の透過率を有し、かつ2〜5ppmの範囲の抽出可能金属ファクターをさらに有する、請求項18記載の製品。
  32. 前記珪藻土が、1500ミリダルシー超から3750ミリダルシーまでの透過率を有し、かつ2〜7ppmの範囲の抽出可能金属ファクターをさらに有する、請求項18記載の製品。
  33. 超高純度超高性能珪藻岩濾過媒体を生産する方法であって:
    未加工の珪藻土ランオブマインフィード鉱石を選択することであって、該フィード鉱石が、強熱ベースで80wt%(w/w)SiO2〜約99wt%のシリカ含量、及び製粉後に0.256g/mlの最大遠心分離湿潤密度を少なくとも有する、前記選択すること;
    該フィード鉱石を無機酸を用いて加圧浸出することで、浸出鉱石を製造すること;
    該浸出鉱石をすすぐことで、すすいだ浸出鉱石を製造すること;及び
    該すすいだ浸出鉱石を焼成することで、焼成媒体を製造することであって、(a)融剤の非存在下、又は(b)0.6wt%〜4.0wt%のアルカリ酸化物融剤の存在下のいずれかで、約871℃〜約1150℃の温度範囲内でのものである、前記焼成すること
    を含む、前記方法。
  34. 前記焼成媒体を酸浸出することをさらに含む、請求項33記載の方法。
  35. 前記焼成媒体の酸浸出に使用される酸濃度が、0.05モル/リットル〜1.0モル/リットルの範囲である、請求項34記載の方法。
  36. 前記焼成媒体の酸浸出が、(i)無機酸、又は(ii)有機酸及び無機酸を含む酸を利用する、請求項34記載の方法。
  37. 前記無機酸が、鉱酸を含む、請求項36記載の方法。
  38. 前記鉱酸が、硫酸、硝酸、フッ化水素酸、塩酸、過塩素酸、又はそれらの混合物を含む、請求項37記載の方法。
  39. 前記有機酸が、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、グルタミン酸、リンゴ酸塩、又はそれらの混合物を含む、請求項36記載の方法。
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