JP2020502204A - 改善された有効性を有するエイメリアワクチン - Google Patents

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Abstract

本発明は獣医寄生虫学およびワクチン学の分野に関し;より詳細には、本発明は、生エイメリア(Eimeria)オーシストと薬学的に許容される担体とを含む組成物に関する。組成物は、それがTLR3アゴニストを含むことを特徴とする。組成物は、コクシジウム症に対する家禽用ワクチンの製造に使用されうる。該ワクチンは例えば1日齢のニワトリに粗噴霧として適用されうる。該ワクチン中のTLR3アゴニストはエイメリアオーシストの用量を最大4倍減少させうる一方で、TLR3アゴニストを含有しないワクチンと同じレベルの、チャレンジに対する防御をもたらしうる。あるいは、ワクチンにおいてエイメリアオーシストの通常の用量を使用する場合、TLR3アゴニストはより早い免疫開始を引き起こして、ワクチン接種の3週間後ではなく2週間後に既にチャレンジの際の腸病変スコアの有意な低下をもたらす。【選択図】図2

Description

本発明は獣医寄生虫学およびワクチン学の分野に関し;より詳細には、本発明は、生きたエイメリア(Eimeria)オーシストと薬学的に許容される担体とを含む組成物、該組成物の製造方法、コクシジウム症に対する家禽用ワクチンにおける該組成物の医学的使用、ならびに該ワクチンの方法および使用に関する。
エイメリア(Eimeria)はアピコンプレクサ門(Pphylum Apicomplexa)およびコクシジウム(Coccidia)綱の原虫寄生虫であり、世界中で見出される。それは宿主に感染すると、コクシジウム症と称される腸疾患複合体を引き起こす。エイメリアは、複数の段階を含む複雑な生活環を有し、その幾つかは宿主外で生じる。エイメリア感染は胞子形成オーシストの摂取により生じ、生後1日目から生じうる。次にスポロゾイトが腸内で放出され、ついでこれは、腸上皮細胞に侵入することにより、宿主の腸の一部にコロニーを形成する。複製はメロゾイト段階の放出、および宿主の腸上皮細胞の破裂をもたらす。次にメロゾイトは他の上皮細胞に再感染し、これが4〜6日の更に最大4サイクルにわたって継続する。最後に性的段階が発達し、これは、糞便と共に放出されるオーシストを産生する。環境中での胞子形成の後、新たなサイクルが開始する(Shirleyら,2005,Adv.in Paras.,vol.60,p.285)。
家禽におけるエイメリア感染の症状は、食欲不振から、腸炎および血性下痢、腸内の壊死組織の増加による臓器不全、更には死亡に至るまで、様々である。その結果、飼料要求率の低下、成長速度の低下、産卵の低下、および二次感染に対する感受性が生じる。これら全てが罹患鳥類に著しい不快感を与え、商業的養鳥業に深刻な経済的損害を与える。家禽コクシジウム症の概要に関しては、“The Merck veterinary manual”(10th ed.,2010,C.M.Kahn編,ISBN:091191093X)、またはSwayneら編:“Diseases of Poultry”,13th ed.,Wiley−Blackwell,Ames,IA.,USAのようなテキストを参照されたい。
エイメリア感染およびコクシジウム症の低減は、飼料を介して抗コクシジウム薬(コクシジウム抑制薬)を投与することによりもたらされうるが、耐性の発達および動物製品における残留薬物の存在が常に懸念される。したがって、家禽におけるエイメリア感染および関連疾患徴候は、好ましくは、ワクチン接種によって対処される。サブユニットまたは組換えDNAに基づく有効なエイメリアワクチンが利用可能でないため、1以上のエイメリア種からの胞子形成オーシストを含む生ワクチンが家禽に最もよく使用されている。鳥類の腸におけるそれらの自然複製は、免疫系の体液性経路および細胞性経路の両方によって、強力な免疫を誘導する。一般に、ワクチン接種後約3週間で完全免疫に達する。鳥類を一生涯にわたって防御するには、若齢での1回の生オーシストのワクチン接種、およびその後時々生じる野生型追加感染による補助で十分である。
生ワクチンオーシストは野生型または弱毒化病原型のものでありうる。弱毒化エイメリアの特別なクラスは、いわゆる、早発株である。そのような弱毒化株は、より少数のオーシストの排出、および/またはワクチン接種された標的の腸への、より軽度な損傷を引き起こす。
エイメリアワクチンの有効性は通常、病原性エイメリア株によるチャレンジ感染後の感染および疾患に関する主要基準、すなわち、腸病変スコア、生体重増加およびオーシスト排出量を評価することにより決定される。エイメリアワクチンの有効性を評価するためのこれらの基準の妥当性を記載した論文としては、Williams & Catchpole,(2000,Vaccine,vol.18,p.1178−1185)が挙げられる。
典型的には、鳥類用エイメリア生ワクチンは、幾つかのエイメリア種に由来する胞子形成オーシストを含む。なぜなら、免疫は種特異的だからである。また、異なるエイメリア種は、異なる種の家禽(例えば、ニワトリおよびシチメンチョウ)に感染する。家禽用の市販のコクシジウム症ワクチンの例としては、Coccivac(商標)、Paracox(商標)またはFortegra(商標)(全て、MSD Animal Health);Immucox(商標)(Ceva);およびInovocox(商標)(Huvepharma)が挙げられる。
一般に、そのようなワクチンは、コストを削減するために大量ワクチン接種の方法により、例えばトリもしくは飼料への噴霧または飲料水を介した方法により投与される。野外感染圧は生後1日目から存在するため、ワクチン接種は、好ましくは可能な限り若いトリに適用される。これは、雛が孵化したばかりで、開放状態のトレイ上に維持されているときに、孵化場における噴霧投与によって簡便に行われうる。この経路は、トリの体およびその直接的な周囲への送達をもたらす。ついで、トリは、小滴をついばみ、羽づくろいをする傾向にあるため、ワクチンは、経口経路、経鼻経路および/または眼経路によりトリによって摂取される。噴霧ワクチンの取り込みを改善するために、一般に、明るい色を加えることにより可視性が増強される。
欧州特許出願番号EP15203012には、噴霧によりトリに送達されうるゲルに基づくエイメリアワクチンが記載されている。該ゲルは、キサンタンガムによりもたらされる約200〜約4000mPa.sの粘度を有する。キサンタンガムは擬塑性を有するため、標準的な噴霧ワクチン接種装置が使用されうる。このように、ゲルビーズは、トリによってついばまれるのに好都合なサイズで製造されうる。これは、それ以前のエイメリア噴霧ワクチンと比較して、向上したワクチン摂取および迅速な免疫生成をもたらす。
生エイメリアオーシストワクチンの商業的および大規模生産における主な欠点は、エイメリアオーシスト自体の生成である。現在のところ、エイメリアの全ての発生段階をインビトロで培養することが可能であるわけではないため、エイメリアオーシストはドナー家禽宿主において産生され、その糞便から単離される必要がある。ついで、エイメリアオーシストは精製され、胞子形成され、ワクチンへと製剤化される。また、有効な交差防御の欠如ゆえに、獣医学上重要な最大14個の異なるエイメリア種がドナー鳥により産生される必要がありうる。
これは非常に面倒で厄介なワクチン製造方法であるため、現在の商業生産はこれらのワクチンに対する市場の需要を満たすことができない。したがって、経済的観点および倫理的観点の両方から、そのような入手困難な生エイメリアオーシストワクチンの有効性を最大にすることが必要とされている。
免疫応答はアジュバントの使用によって増幅されうる。これは単一分子または複合的組成物であることが可能であり、特異的または非特異的に標的の免疫反応を刺激しうる。典型的には、アジュバントは不活化ワクチンまたはサブユニットワクチンと共に適用される。なぜなら、これは、複製性微生物のワクチンでの極めて稀な例以外は、そのような免疫刺激の非存在下ではほとんど有効でないからである。
多数の可能なアジュバントのうち、免疫刺激性オリゴデオキシヌクレオチドが1つの選択肢である。最初の報告は、Kriegらによる細菌DNAに存在する非メチル化CpGモチーフの使用を記載している(1995,Nature,vol.374,p.546)。その後の20年間で、例えば侵入微生物のゲノム物質中に存在する保存構造モチーフ、いわゆる、病原体関連分子パターン(PAMP)の認識による、微生物の侵入の感知および該侵入に対する応答のための方法として、根底メカニズムが明らかにされた。この目的のために、自然免疫系は、特異的パターン認識受容体例えばトール様受容体(TLR)を用いる。
TLRはI型膜貫通糖タンパク質であり、アゴニストリガンドの結合は、1型インターフェロンおよび炎症性サイトカイン(インターロイキンおよび腫瘍壊死因子アルファ)の発現をもたらす細胞シグナル伝達カスケードにつながる。加えて、これは二次的な後天性免疫応答の刺激のための基礎である(Kawai & Akira,2010,Nature Immunol.,vol.11,p.373)。
ニワトリにおいて、TLRアゴニストの使用は、アジュバントとして作用し種々の微生物、主にウイルスに対する免疫を刺激するその能力に関して研究されている(St.Paulら,2013,Vet Imm.& Imm.pathol.,vol.152,p.191−199;Guptaら,2014,Expert Rev.Vaccines,vol.13,p.909−925)。しかし、結果は良く見ても変動的であり、際立って優れたTLRアゴニストは1つもない。
鳥類と同様に哺乳類においても、TLR3は、中間体である二本鎖RNAを感知することによりウイルス複製の検出に寄与している。これはChenら(2013,Vet.Research,vol.44,p.82)において概説されている。実際、合成dsRNA、または類似体、例えばポリイノシン−ポリシチジル酸(ポリI:C)またはポリアデニル−ポリウリジル酸(ポリA:U)の二量体ホモポリマーが、TLR3アゴニストとして適用されうる。ポリI:CおよびポリA:Uは共に、種々の感染モデルにおいて、更には癌免疫学において、それらの効果に関して研究されている。例えば、EP344.808は組換えエイメリアタンパク質のコクシジウム症ワクチンを記載しており、ここで、ポリI:Cが潜在的アジュバントとして挙げられている。しかし、その例はフロイント完全アジュバントにおいて65kDaの抗原を使用しており、あるいは、それはワクシニアウイルスベクターから発現されている。
WO2015/042369は、エイメリア・マキシマ(Eimeria maxima)感染に対する防御のための、ポリI:Cとクロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)の組換え抗原とを含む油エマルジョンワクチンを記載している。
市販ワクチンであるEvalon(商標)(Hipra)は噴霧用の生エイメリアオーシストワクチンであり、これは、鉱油Montanide(商標)を含有する油性懸濁液をアジュバントとして含む。
したがって、生エイメリアオーシストと共にTLR3アゴニストを使用することに関しては、当技術分野において記載も示唆もされていない。
Sumnersら(2011,Exp.Parasitol.,vol.127,p.714−718)は、エイメリア・プレコクス(E.praecox)の感染から生じる、ニワトリにおける幾つかのTLRおよび抗微生物ペプチドの発現プロファイルの変化を調べた。結果は変動的であり、Ch TLR3に関しては矛盾していた。なぜなら、これは1つの実験においてはアップレギュレーションされていたが、より高い感染量が使用された別の実験においてはダウンレギュレーションされていたからである。Sumnerは、ワクチン成分としてエイメリア・プレコクス(E.praecox)を含めることを示唆しているが、いずれかの特定の因子をアジュバントとして使用することを示唆していない。
したがって、先行技術における欠点を克服し、より有効なエイメリアワクチンを提供することによりこの分野における要求を満たすことが、本発明の目的である。
驚くべきことに、生(live)エイメリア(Eimeria)オーシストを含む組成物にキサンタンガムおよびTLR3アゴニストを加えることにより、この目的が達成可能であり、したがって、先行技術の欠点の1以上が克服されうることが判明した。ついで、この組成物は、コクシジウム症に対する家禽用ワクチンを製造するために使用されうる。該ワクチンは噴霧により投与可能であり、ついで家禽により摂取される。
得られたワクチンにおいて、TLR3アゴニストはエイメリアオーシストの用量を最大4倍減少させうる一方で、TLR3アゴニストを含有しないワクチンと同じレベルのチャレンジに対する防御をもたらしうる。あるいは、ワクチンにおいてエイメリアオーシストの通常の用量を使用する場合、TLR3アゴニストはより早い免疫開始を引き起こし、ワクチン接種の3週間後ではなく2週間後に、既にチャレンジの際の腸病変スコアの有意な低下をもたらす。これらの効果は共に経済的に非常に重要である。
これは決して容易なことではなかった。なぜなら、本発明者らは、エイメリアワクチン接種をより有効に行うための方法を選択する際に、選択に迷ったからである。アジュバントの添加を選択することは、製剤自体、用量、方法または投与経路の改善などのような代替手段のうちの1つの選択肢に過ぎなかった。また、アジュバントは生ワクチンの一般的な成分ではない。更に、特に家禽における使用のために、考慮される多数の可能なアジュバントから適切かつ有効なアジュバントを選択する際に、PAMPは最も有望な候補ではなかった。そして最後に、可能なPAMPから選択する際に、TLRアゴニストは多数の選択肢のうちの1つに過ぎず、TLR3は、選択される多数のTLRのうちの1つに過ぎず、証明された有効性の点で傑出したものでなかったことは確かである。
したがって、本発明者らは、TLR3アゴニストがこのタイプのワクチンに非常に成功したことを見出して驚いた。例えば、生きた複製性寄生虫に対する免疫刺激に関する情報はなく、特に、腸管免疫のTLR3アゴニストによる刺激に関する情報はなかった。この刺激は、生複製性エイメリア寄生虫に有効であることが判明した。更に、TLR3アゴニストが経口経路による摂取および腸管の通過の後に残存しうることは非常に予想外であった。
本発明者らは、これらの知見を説明しうるいずれの理論またはモデルによっても束縛されることを望まないが、本発明者らは、TLR3アゴニストが複製性エイメリアに対する腸免疫応答を刺激しうると推測している。これは、おそらく、より早いおよび/またはより強力なワクチン接種応答をもたらすであろう。得られたワクチンにおいては、キサンタンガムは噴霧投与の際にワクチンからの小滴の形成を促進し、これらのゲル小滴の摂取の際に、キサンタンガムは腸への送達中のTLR3アゴニストの保護に関与しうる。
これも驚くべきことであった。なぜなら、アジュバントとしてTLR3アゴニストを使用した過去の研究は、これが経口経路によっては投与され得ないことを示していたからである。したがって、ワクチンアジュバントとしてTLR3アゴニストを使用することを検討した際にも、これが、関連作用部位、すなわち、トリの腸に、経口ワクチンと共に送達されうるのかどうか、またどのように送達されうるのかは示されていなかった。
実際、腸管内の状態は、胃の酸性環境と相まって、あらゆる形態のRNAの急速な加水分解を促進するであろう。これは、RNアーゼの存在によって、局所的に、および腸マイクロバイオームの細菌により分泌または放出された際の両方において、悪化されるに過ぎない。したがって、例えば本発明において使用されるような任意の裸RNAまたはRNA類似体は、要求される作用部位に到達する前であっても、即時分解される傾向にある。これはZhouら(2007,J.of Immunol.,vol.178,p.4548−4556)においても記載されており、TLR−3活性化から生じるdsRNAの腹腔内投与後に観察された粘膜障害は、dsRNAの経口投与後には観察されなかったことを、彼らは見出した。
同様に、Lantierら(2014,J.of Inf.Dis.,vol.209,p.457−467)は、ポリI:Cの投与が、マウスにおいてクリプトスポリジウム・パルバム(Cryptosporidium parvum)に対する防御を誘導するのを助けたことを記載している。しかし、経口投与は測定可能な応答を何ら示さなかったので、これは投与が腹腔内経路による場合のみであった。
ZhouおよびLantierは共に、この効果がRNAまたはその類似体の分解によるものであると示唆している。
したがって、本発明者らは、キサンタンガムを含む経口ワクチン中にTLR3アゴニストを配合することにより、該アゴニストの比較的低濃度のみの使用にもかかわらず、TLR3アゴニストの免疫学的に活性な量をトリ標的の腸内の作用部位に送達するための方法を見出した。
よって、キサンタンガムとの組合せが、それが比較的低濃度で経口経路によって今や投与可能であり、家禽の経口エイメリアワクチン接種後に得られる防御応答の検出可能な臨床的な改善をトリの腸において尚ももたらしうるように、dsRNAの類似体を保護することが見出された。
したがって、1つの態様においては、本発明は、生エイメリア(Eimeria)オーシストと薬学的に許容される担体とを含む組成物であって、組成物が約0.3〜約5%w/vのキサンタンガムとTLR3アゴニストとを含むことを特徴とする、組成物に関する。
本発明の組成物は、コクシジウム症に対する家禽用ワクチンを製造するために使用されうる。コクシジウム症ワクチン、その製造およびその使用の詳細および好ましい態様は本明細書に後記に記載されている。
本明細書中で用いる「含む」(ならびに派生語、例えば「含む」、「含んで」および「含まれ」)なる語は、この語が用いられている本文、段落、特許請求の範囲などにより保護され又は包含される、本発明に関して考えられうる全ての要素および任意の可能な組合せを、そのような要素または組合せが明示的に列挙されていない場合であっても指し示すことを意図しており、そのような要素または組合せのいずれをも排除することを意図するものではない。
したがって、いずれかのそのような本文、段落、特許請求の範囲などはまた、「含む」(またはその派生語)なる語が「からなる」、「からなり」または「から本質的になる」のような語によって置換されている1以上の実施形態に関するものでありうる。
「オーシスト」は、エイメリア(Eimeria)のようなアピコンプレクサ寄生虫の生活環段階の1つである周知の微生物である。
オーシストは、それが鳥類の腸内などのような適切な条件下でエイメリア複製周期を開始可能である場合、「生」(live)である。
「エイメリア」(Eimeria)は、アイメリア科に属する寄生虫として当技術分野においてよく知られている。これらの寄生虫およびそれらの誘発疾患は、よく知られているテキスト(前掲)に記載されている。エイメリアは、その分類群のメンバーの特徴的な特徴、例えば形態学的、ゲノム的および生化学的特性、ならびに生物学的特性、例えば生理学的、免疫学的または病理学的挙動を示す。
当技術分野において公知のとおり、特定の「種」としての微生物の分類はそのような特徴の組合せに基づいている。したがって、本発明はまた、例えば亜種、株、単離物、遺伝子型、変異体、亜型または亜群などとして、何らかの様態でそれから細分類されたエイメリアをも含む。
本発明のエイメリアは家禽の種において複製可能であり、例えばエイメリア種:エイメリア・アセルブリナ(E.acervulina)、エイメリア・テネラ(E.tenella)、エイメリア・マクシマ(E.maxima)、エイメリア・ブルネッティ(E.brunetti)、エイメリア・ミティス(E.mitis)、エイメリア・ミバティ(E.mivati)、エイメリア・ネカトリクス(E.necatrix)、エイメリア・プレコクス(E,praecox)、エイメリア・ハガニ(E.hagani)、エイメリア・メレアグリミティス(E.meleagrimitis)(1型または2型)、エイメリア・アデノイデス(E.adenoides)、エイメリア・ガロパボニス(E.gallopavonis)、エイメリア・ディスペルサ(E.dispersa)、エイメリア・イノクア(E.innocua)、エイメリア・スブロツンダ(E.subrotunda)またはエイメリア・メレアグリディス(E.meleagridis)を含みうる。
本発明に関する特定のエイメリアは、特定の種および属に現在割り当てられているかもしれないが、これは、新たな洞察が新たな又は異なる分類群への再分類をもたらすとやがて変化しうる分類学的分類であることが当業者に明らかであろう。しかし、これは微生物自体またはその抗原レパートリーを変化させずに、単にその科学的名称または分類のみを変化させるものであるため、そのような再分類された微生物は依然として本発明の範囲内にある。
本発明において使用されるエイメリア寄生虫は、種々の供給源から、例えば、種々の研究所、(寄託)機関もしくは(獣医科)大学から、または家禽舎から野外単離物として入手可能である。
「薬学的に許容される担体」は、高純度の、好ましくは無菌の水性液体、例えば水、生理食塩水またはリン酸緩衝食塩水である。該担体は、更に賦形剤、例えば安定化剤または保存剤を含みうる。
「キサンタンガム」は、よく知られている高分子量多糖、CAS nr.11138−66−2であり、例えば、CP KelcoからのKeltrol(商標)、Xantural(商標)またはKelzan(商標)として、幾つかの品質および純度で、一般に商業的に入手可能である。キサンタンガムの詳細および特性は、例えば、Xanthan book’,8th ed.,2008,cpkelco.comに記載されている。
本発明に関しては、「約」は、数値がその表示値の上下で±25%変動しうることを示す。
本発明に関しては、「%w/v」は体積当たりの重量パーセントを意味する。本発明のこの態様に関しては、それは本発明の組成物の体積に関するものである。
「TLR3アゴニスト」は、TLR3(トール様受容体、3型)を活性化しうる、すなわちTLRシグナル伝達経路により媒介されるシグナル伝達事象を誘導しうる任意の化合物または物質である。この意味において、該アゴニストは、TLR3に直接結合する結合部分またはリガンドであることが可能であり、あるいは、活性化は、内因性または外因性リガンドの生成を介した間接的なものでありうる。
TLR3分子ならびにその活性化および生じる細胞カスケードは全て、当技術分野において記載されている。TLR3アゴニストは、例えば、天然に存在する二本鎖RNA(dsRNA)、合成dsRNAおよび合成dsRNA類似体である(例えば、Alexopoulouら,2001,Nature vol.413,p.732−738を参照されたい)。適切なTLR3アゴニストは、それが他のいかなるTLRをも実質的に活性化しないという点で選択的にTLR3を活性化しうる。
本発明のための適切なTLR3アゴニストの例としては、合成dsRNA類似体、例えばポリI:CおよびポリA:U、または、変異体、例えばポリI:C 12Uが挙げられる。合成dsRNA類似体は、例えばホスホロチオアート修飾、ハロゲン化、アルキル化(例えば、エチルまたはメチル修飾)および/またはホスホジエステル修飾による修飾骨格を有しうる。
当技術分野においては、これらの類似体を示すために別の表記法も用いられており:例えば、ポリI:CはポリI・C、ポリ−IC、ポリI−ポリC、ポリI:ポリCなどとしても表記される。これら全ては本発明の範囲内である。
記載されているとおり、キサンタンガムは、本発明の組成物から製造されうるワクチンが、大量ワクチン接種の方法、例えば噴霧によって有効に投与されることを可能にする。一例は、EP15203012に記載されている、ゲルに基づく噴霧ワクチンである。そのようなワクチンを製造するために、組成物中のキサンタンガムの量は、意図されるワクチンを製造するために組成物が使用される比率に左右されるであろう。
EP15203012に記載されているゲルに基づく噴霧ワクチンは、キサンタンガム約0.3〜約1.5%w/vの量のキサンタンガムを含み、この場合の%w/vは、ワクチンの体積当たりの重量パーセントを示す。
尚も簡便に処理されうるキサンタンガムの量の上限は、約5%w/vである。したがって、本発明の組成物を約4倍まで希釈することを可能にするためには、組成物は(組成物の)0.3〜5%w/vのキサンタンガムを含みうる。
好ましくは、本発明の組成物は、例えばEP15203012に記載されているような、ゲルに基づく噴霧ワクチンの製造のためにほぼ実質的に使用されるべきである。その場合、組成物自体は(組成物の)約0.3〜約1.5%w/vのキサンタンガムを含む。
したがって、本発明の組成物の1つの実施形態においては、組成物は約0.3〜約1.5%w/vのキサンタンガムを含む。
1つの実施形態において、本発明の組成物は(組成物の)0.4〜1.2%w/vのキサンタンガムを含む。好ましくは、組成物は0.5〜1%w/vのキサンタンガム、0.5〜0.9%w/v、0.5〜0.8%w/v、または更には0.5〜0.7%w/vのキサンタンガムを、好ましい順に含む。
1つの実施形態において、本発明の組成物は(組成物の)約0.6%w/vのキサンタンガムを含む。
好ましくは、「約」はその値の上下の±20%を意味し、より好ましくは、「約」はその値の上下の±15、12、10、8、6、5、4、3、2%を意味し、または更には「約」はその値の上下の±1%を、好ましい順に意味する。
比較実験において、本発明の組成物から製造されたワクチンにおいて、ポリA:Uは、家禽、特にニワトリにおいてエイメリアに対する腸管免疫を刺激することにおいて、ポリI:Cより有効であったことを本発明者らは見出した。
したがって、本発明の組成物の1つの実施形態においては、TLR3アゴニストはポリA:Uである。
ポリI:CまたはポリA:Uのような合成dsRNA類似体は、例えば、Sigma−Aldrich,CAS nr.24936−38−7の凍結乾燥ナトリウム塩として、ファインケミカルの供給業者から商業的に入手可能である。
本発明の組成物において使用されるTLR3アゴニストの量は、本明細書に記載されているコクシジウム症に対する家禽用ワクチンの製造に組成物が使用される比率、および標的家禽当たりに適用されるワクチンの量に関して決定される。
当業者に理解されるとおり、本発明の組成物またはその一部は、より濃縮された形態、例えば、2倍、3倍またはそれ以上に濃縮された形態で製造、販売または貯蔵されうる。ついで、濃縮物は、例えば本明細書に記載されているコクシジウム症に対する家禽用ワクチンの製造のために、更に、使用の前に希釈される。そのような状況においては、得られるワクチンにおけるTLR3アゴニストの好ましい量を達成するために、組成物はより多量のTLR3アゴニストを含みうる。
当業者は、例えば、腸病変スコアに基づくチャレンジに対する防御に関して、これらの量を最適化することが十分に可能である。
好ましくは、本発明の組成物は1ミリリットル当たり約5〜約1000マイクログラムのTLR3アゴニストを含む。
この範囲は、ワクチン1ミリリットル当たり約5〜約250のTLR3アゴニストの量のワクチン中のTLR3アゴニストの量を得るために、ワクチンへの組成物の4倍までの希釈を可能にする。ワクチンをトリ1羽当たり約0.2mlのワクチンで投与する場合、これは動物の用量当たり約1〜約50マイクログラムのTLR3アゴニストを送達する。
したがって、本発明の組成物の1つの実施形態において、TLR3アゴニストは組成物1ミリリットル当たり約5〜約1000マイクログラムの量で存在する。
好ましくは、本発明の組成物は、コクシジウム症に対する家禽用ワクチンの製造のためにほぼ実質的に使用される。その場合、組成物自体は、組成物1ミリリットル当たり約5〜約250マイクログラムのTLR3アゴニストを含む。
「ほぼ実質的に」なる語は、本発明の組成物からのワクチンの製造において更に加えられる体積が全く無い又はごく僅か(例えば、ワクチンの体積の10%未満)である状況を意味する。
したがって、好ましい実施形態において、本発明の組成物は、組成物1ミリリットル当たり5〜250マイクログラムのTLR3アゴニストを含む。
本発明において使用されるオーシストは、ドナー家禽動物において工業的規模で製造可能であり、これは、よく知られた技術、例えば塩浮遊による、それらの糞からの単離、ならびにそれに続く胞子形成および滅菌、ならびに最終的な光学顕微鏡による計数により行われうる。胞子形成は、例えば重クロム酸カリウムを使用して実施可能であり、そして、滅菌は、次亜塩素酸ナトリウムまたはベータプロピオラクトンを使用して実施可能である。これは全て、当技術分野においてよく知られている。
胞子形成は、家禽の腸における防御的感染の迅速な確立を保証する。
したがって、本発明の組成物の1つの実施形態において、生エイメリアオーシストは胞子形成オーシストである。
有効レベルの腸管免疫を誘導するためには、本発明の組成物から製造されうるワクチンにおける使用のために選択されるエイメリアオーシストは、例えば野生型または弱毒化のような特定のレベルの病原性のものでありうる。本発明に関しては、「病原性」は、エイメリアの病理を決定するエイメリアの態様、主として、その複製速度、感染したトリの腸にもたらされる損傷のレベル、成長速度に対する影響、および排出のレベル、集団における広がりを意味する。これら全ては、よく知られた方法およびパラメーター、例えば腸病変スコア、生体重増加およびオーシスト排出数を用いて評価されうる。
病変スコア化は、好ましくは、欧州薬局方モノグラフ2326に記載されているとおりに行われる。要するに、剖検においては、腸内のコクシジウム症の症状にスコアが割り当てられ、ここで、スコア0は肉眼的病変が存在しないことを意味し、スコア1〜4は腸壁の肥厚の重症度の増加、血液量の増加および正常糞便量の減少を意味する。病変スコア4においては、死亡の症例があった可能性がある。
当業者は、どの型の病原性のエイメリアをいつ適用するべきかを評価することが可能であり;例えば、高い野外感染圧の条件下では、弱毒化株の代わりに、より高い病原性のエイメリア株、例えば野生型株が、本発明の組成物から製造されるワクチンにおいて有利でありうる。
したがって、本発明の組成物の1つの実施形態において、生エイメリアオーシストの少なくとも1つはエイメリアの弱毒化株由来である。
「弱毒化エイメリア」は、より高い病原性の同じ種のエイメリアと比較してより軽い腸病変を引き起こす、および/またはワクチン接種動物の糞便におけるより少ないオーシスト排出をもたらすもの;例えば、少なくとも10%低い腸病変スコアおよび/または少ないオーシスト排出、より好ましくは、少なくとも20%、30%、40%または更には少なくとも50%低い腸病変スコアおよび/または少ないオーシスト排出をもたらすものとして定義される。
エイメリアの弱毒化はインビトロで達成可能であり、例えば、実験動物の継代および選択、または組換えDNA技術(これら全ては当技術分野においてよく知られている)により達成可能である。
弱毒化エイメリアの1つの形態は、早発性(precocious)であるエイメリアである。
したがって、本発明の組成物の好ましい実施形態において、弱毒化エイメリアの少なくとも1つは早発性である。
「早発性」であるエイメリア株は、それらの野生型対応物と比較してより少ない無性複製ラウンド数で、標的動物においてそれらの全生活環を完了する株である。例えば、同じ種の野生型株の場合の通常の4または5ラウンドではなく、3または4ラウンドである。これは弱毒化病原性をそれらに付与する。
本発明の組成物の1つの実施形態において、生エイメリアオーシストの少なくとも1つは、エイメリアの野生型株に由来する。
本発明に関して、「野生型」は、インビトロで弱毒化されておらず、早発性でないエイメリアを意味する。野生型株は、例えば、天然の感染家禽からまたはエイメリアに対してワクチン接種されていない家禽舎から単離されうる。
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、弱毒化された生エイメリアオーシストおよび野生型病原性の生エイメリアオーシストを含む。
本発明の組成物はエイメリアの少なくとも1つの種のオーシストを含有する。好ましくは、組成物は、広範な免疫防御をもたらすワクチンの製造を可能にするために、複数の種のエイメリアオーシストを含む。更に、組成物は、より一層広範な免疫防御をもたらすために、特定のエイメリア種の2以上の株を含みうる。
本発明の組成物の1つの実施形態において、組成物は2以上の種の生エイメリアオーシストを含む。
本発明の組成物の好ましい実施形態において、組成物は、同じ種に由来する2以上の株の生エイメリアオーシストを含む。
本発明の組成物の好ましい実施形態において、組成物は2以上の種の生エイメリアオーシストを含み、そして、それらの種の少なくとも1つからのオーシストは、その種からの2以上の株の生エイメリアオーシストを含む。
本発明の組成物の好ましい実施形態において、組成物は同じ種からの2以上の株の生エイメリアオーシストを含み、ここで、それらの株の少なくとも1つは弱毒化されており、それは、それらの株の少なくとも1つは野生型病原性のものである。
本発明の組成物の1つの実施形態において、生エイメリアオーシストは、エイメリア・テネラ(E.tenella)、エイメリア・アセルブリナ(E.acervulina)、エイメリア・マクシマ(E.maxima)、エイメリア・ミティス(E.mitis)、エイメリア・ネカトリクス(E.necatrix)、エイメリア・ブルネッティ(E.brunetti)、エイメリア・プレコクス(E,praecox)、エイメリア・ミバティ(E.mivati)、エイメリア・ハガニ(E.hagani)、エイメリア・メレアグリミティス(E.meleagrimitis)1、エイメリア・メレアグリミティス(E.meleagrimitis)2、エイメリア・アデノイデス(E.adenoides)、エイメリア・ガロパボニス(E.gallopavonis)およびエイメリア・ディスペルサ(E.dispersa)からなる群から選択される1以上である。
エイメリアのこれらの異なる種は、当技術分野でよく知られた幾つかの方法で同定され、識別されうる。古典的な方法は、それらのオーシストのサイズおよび外観を光学顕微鏡検査により評価することによるものである。代替法は、例えば、血清学的マーカーまたはPCRによる分類である。また、インビボで試験した場合、異なるエイメリア種はトリの腸管の異なる領域に特徴的にコロニーを形成する。
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、既存の市販の生エイメリアオーシストワクチンに存在するのと同じエイメリア種からの生オーシストを含む。より好ましいのは、市販のエイメリアワクチンであるコクシバック(Coccivac)、パラコックス(Paracox)およびフォルテグラ(Fortegra)の1以上におけるものと同じ種および株のオーシストである。
本発明の組成物の好ましい実施形態において、生エイメリアオーシストは、4つのエイメリア種、すなわち、エイメリア・アセルブリナ(E.acervulina)、エイメリア・マクシマ(E.maxima)、エイメリア・ミティス(E.mitis)およびエイメリア・テネラ(E.tenella)に由来し、ここで、エイメリア・マクシマ(E.maxima)の2つの株が存在する。
本発明の組成物の好ましい実施形態において、生エイメリアオーシストは、4つのエイメリア種、すなわち、エイメリア・アセルブリナ(E.acervulina)、エイメリア・マクシマ(E.maxima)、エイメリア・ミバティ(E.mivati)およびエイメリア・テネラ(E.tenella)に由来し、ここで、エイメリア・マクシマ(E.maxima)の2つの株が存在する。
本発明の組成物の好ましい実施形態において、生エイメリアオーシストは、7つのエイメリア種、すなわち、エイメリア・アセルブリナ(E.acervulina)、エイメリア・ブルネッティ(E.brunetti)、エイメリア・マクシマ(E.maxima)、エイメリア・ミティス(E.mitis)、エイメリア・ネカトリクス(E.necatrix)、エイメリア・プレコクス(E,praecox)およびエイメリア・テネラ(E.tenella)に由来し、ここで、エイメリア・マクシマ(E.maxima)の2つの株が存在する。
本発明の組成物の好ましい実施形態において、生エイメリアオーシストは、6つのエイメリア種、すなわち、エイメリア・アセルブリナ(E.acervulina)、エイメリア・ブルネッティ(E.brunetti)、エイメリア・マクシマ(E.maxima)、エイメリア・ミバティ(E.mivati)、エイメリア・ネカトリクス(E.necatrix)およびエイメリア・テネラ(E.tenella)に由来する。
本発明の組成物の好ましい実施形態において、生エイメリアオーシストは、4つのエイメリア種、すなわち、エイメリア・アセルブリナ(E.acervulina)、エイメリア・マクシマ(E.maxima)、エイメリア・ミバティ(E.mivati)およびエイメリア・テネラ(E.tenella)に由来し、ここで、エイメリア・マクシマ(E.maxima)の2つの株が存在する。
本発明の組成物の好ましい実施形態において、生エイメリアオーシストは、5つのエイメリア種、すなわち、エイメリア・アデノイデス(E.adenoides)、エイメリア・ディスペルサ(E.dispersa)、エイメリア・ガロパボニス(E.gallopavonis)、エイメリア・メレアグリミティス(E.meleagrimitis)1およびエイメリア・メレアグリミティス(E.meleagrimitis)2に由来する。
本発明の組成物において使用される生エイメリアオーシストの量は、コクシジウム症に対する家禽用ワクチンに組成物が含まれる比率、標的家禽当たりのワクチンの体積、および望ましいワクチン接種効力に基づいて、当業者によって容易に決定されうる。
指標は、古くから利用可能である市販ワクチンにおいて使用されている生エイメリアオーシストの数でありうる。典型的には、使用されるオーシストの数は、エイメリアの種のそれぞれによって異なる。例えば、パラコックス(Paracox)5は、動物の用量当たり、約500個のエイメリア・アセルブリナ(E.acervulina)のオーシスト、それぞれ約100個および約200個のエイメリア・マクシマ(E.maxima)のオーシスト、約1000個のエイメリア・ミティス(E.mitis)のオーシスト、および約500個のエイメリア・テネラ(E.tenella)のオーシストを含む。
本発明の組成物の製造において、その種々の成分は、例えば製造効率の観点から好都合な順序で組み合され得る。例えば、組成物の成分として使用される特定の溶液を滅菌することが有利であり;もちろん、そのような溶液は、その時点では、生オーシストを未だ含んでいないであろう。
そのような滅菌は、種々の方法で、例えば化学的に、例えばベータ−プロプリオラクトンを使用して、または物理的に、例えば照射または精密濾過により行われうる。しかし、キサンタンガムを含む溶液の滅菌を加熱により行う場合には、ある量の金属塩の添加によってキサンタンガムを安定化させることが必要である。塩の非存在下では、熱処理は、所望の粘度を付与するキサンタンガムの能力を破壊するであろう。
EP15203012に記載されているとおり、塩の量は2つの様態で制限され;すなわち、下方の側では、それは(組成物の)約0.1%w/vの金属塩に制限され、これは、最小量のキサンタンガムを滅菌するのに必要な最小量である。上方の側では、本発明の組成物から製造される意図されるワクチンの嗜好性により、塩の量は(該ワクチンの)約0.4%w/vに制限される。この場合、対象家禽は喜んでワクチンを摂取すべきなので、風味が妥当である。
事実上、これは、これらの限界を組合せて、本発明の組成物を最大4倍希釈することを可能にする場合、組成物は(組成物の)約0.1〜約1.6%w/vの金属塩を含みうる。
したがって、本発明の組成物の1つの実施形態において、組成物は約0.1〜約1.6%w/vの金属塩を含む。
好ましくは、本発明の組成物は、0.1〜1.2%w/vの金属塩、より好ましくは、0.1〜0.8%、又は更には0.1〜0.4%w/v(組成物の)の金属塩をこの順序で含む。
このように、キサンタンガムを含む本発明の組成物の一部は、ガムの粘度修飾特性を損なうことなく加熱滅菌されうる。本発明では、「加熱滅菌」は少なくとも100℃で少なくとも15分間のインキュベーションを含む。
金属塩は、原則として任意の金属塩でありうるが、好ましくは、金属塩は1価または2価金属カチオンからの塩である。より好ましい、カチオンはアルカリ金属である。
金属塩のアニオンは、好ましくは、ハロゲン、スルファート、ホスファート、ニトラートまたはアセタートであり、より好ましくは、クロリドである。
より一層好ましくは、金属塩はアルカリ金属のハロゲン塩であり、より一層好ましくは、ナトリウムまたはカリウムのものであり、より一層好ましくは、金属塩は塩化ナトリウムまたは塩化カリウムである。
したがって、本発明の組成物の1つの実施形態において、金属塩は塩化ナトリウムまたは塩化カリウムである。
本発明の組成物から製造されるワクチンの摂取を刺激するために、着色剤が添加されうる。これは、そのように鮮やかに着色された小滴をついまんで摂取するという鳥類の自然な性向を刺激するであろう。したがって、本発明の組成物中に着色剤が配合されうる。もちろん、着色剤は、本発明の組成物の他の成分、特に生オーシストの生存性または安定性に悪影響を及ぼすべきではない。また、着色剤は、ワクチンの成分として薬学的に許容されるものであるべきである。
したがって、本発明の組成物の1つの実施形態においては、組成物は、薬学的に許容される着色剤を含む。
「薬学的に許容される着色剤」の例としては、例えば緑色(例えば、クロロフィル、E140)、赤色(例えば、カルミン、E120)または青色(例えば、ブリリアントブルー、FD&CブルーNo.1、E133)である。全て商業的に入手可能である。
着色剤は、本発明の組成物中に、その組成物から製造されるワクチンを適切な度合で着色するのに適した量で存在する。本発明の組成物の4倍までの希釈を考慮して、組成物は(組成物の)約0.05〜約4%w/vの着色剤を含む。
赤色(カルミン)着色剤は、エイメリアオーシストを含む、ゲルに基づく家禽用噴霧ワクチンの摂取を刺激するのに非常に有効であることが判明した。
したがって、本発明の組成物の1つの実施形態において、薬学的に許容される着色剤はカルミンである。
好ましい実施形態において、カルミンは、本発明の組成物中に(組成物の)0.1〜0.2%w/vの量で存在する。
本発明の組成物の1つの実施形態において、以下のものからなる群から選択される1以上または全ての条件が適用される:
・組成物は(組成物の)約0.3〜約1.5%w/vのキサンタンガムを含み;好ましくは、組成物は約0.6%w/vのキサンタンガムを含む;
・TLR3アゴニストは、ポリI:CまたはポリA:U、好ましくはポリA:Uである;
・TLR3アゴニストは、組成物1ミリリットル当たり5〜1000マイクログラムの量で存在し;好ましくは、組成物は1ミリリットル当たり5〜250マイクログラムのTLR3アゴニストを含む;
・生エイメリアオーシストは、胞子形成オーシストである;
・生エイメリアオーシストはエイメリアの弱毒化株に由来し、好ましくは、弱毒化エイメリアは早発性である;
・生エイメリアオーシストは、エイメリアの野生型株に由来する;
・組成物は、同じ種に由来する2以上の株の生エイメリアオーシストを含む;
・生エイメリアオーシストは、エイメリア・テネラ(E.tenella)、エイメリア・アセルブリナ(E.acervulina)、エイメリア・マクシマ(E.maxima)、エイメリア・ミティス(E.mitis)、エイメリア・ネカトリクス(E.necatrix)、エイメリア・ブルネッティ(E.brunetti)、エイメリア・プレコクス(E,praecox)、エイメリア・ミバティ(E.mivati)、エイメリア・ハガニ(E.hagani)、エイメリア・メレアグリミティス(E.meleagrimitis)1、エイメリア・メレアグリミティス(E.meleagrimitis)2、エイメリア・アデノイデス(E.adenoides)、エイメリア・ガロパボニス(E.gallopavonis)およびエイメリア・ディスペルサ(E.dispersa)からなる群から選択される1以上である;
・組成物は2以上の種の生エイメリアオーシストを含み、それらの種の少なくとも1つは、その種からの2以上の株の生エイメリアオーシストを含み、ここで、好ましくは、それらの株の少なくとも1つは弱毒化されており、そして、それらの株の少なくとも1つは野生型である;
・組成物は、(組成物の)約0.1〜約1.6%w/vの金属塩を含み;好ましくは、組成物は約0.1〜約0.4%w/vの金属塩を含む;
・金属塩は塩化ナトリウムまたは塩化カリウムである;
・組成物は薬学的に許容される着色剤を含み;好ましくは、薬学的に許容される着色剤はカルミンである;そして
・薬学的に許容される着色剤は、(組成物の)0.05〜4%w/vの量で組成物中に存在する。
本発明の組成物の好ましい実施形態において、TLR3アゴニストはポリA:Uであり;TLR3アゴニストは、組成物1ミリリットル当たり5〜1000マイクログラムの量で存在し;生エイメリアオーシストは胞子形成オーシストであり;オーシストは、エイメリア・アセルブリナ(E.acervulina)、エイメリア・マクシマ(E.maxima)、エイメリア・ミティス(E.mitis)およびエイメリア・テネラ(E.tenella)であり;エイメリア・マクシマ(E.maxima)のオーシストは2つの株に由来し;組成物は、(組成物の)約0.1〜約1.6%w/vの金属塩を含み;金属塩は、塩化ナトリウムまたは塩化カリウムであり;組成物は、(組成物の)0.05〜4%w/vの量の薬学的に許容される着色剤を含み;そして、薬学的に許容される着色剤はカルミンである。
前記のような種々の選択肢および好ましい態様を適用することにより、当業者は本発明の組成物を製造することが可能である。
したがって、更なる態様において、本発明は、生エイメリアオーシストおよび薬学的に許容される担体をTLR3アゴニストと混合することを含む、本発明の組成物の製造方法に関する。
そのような混合を行うための方法は当技術分野においてよく知られており、簡便または実施可能である任意の規模で適用されうる。例えば、TLR3アゴニストが粉末として得られた場合、これは、生エイメリアオーシストと薬学的に許容される担体とを含有する溶液中に直接的に溶解可能である。あるいは、TLR3アゴニストはそれ自体の溶液中に存在することが可能であり、ついでそれは液体形態で添加されうる。
記載されているとおり、本発明の組成物は、通常の生エイメリアオーシストワクチンより有効にコクシジウム症に対する家禽用ワクチンの製造に使用されうる。
したがって、更なる態様において、本発明は、コクシジウム症に対する家禽用ワクチンの製造のための、本発明の組成物の使用に関する。
コクシジウム症に対する本発明の家禽用ワクチンの詳細および好ましい態様は、後記に記載されている。
本発明の使用における、コクシジウム症に対する家禽用ワクチンの「製造」は、当業者によく知られ容易に適用可能な方法を用いて行われうる。例えば、生エイメリアオーシストおよび薬学的に許容される担体およびTLR3アゴニストを含む本発明の組成物を混合し、所望により、他の賦形剤を添加することが可能であり、そして、得られたワクチンは、適切なサイズの容器内に分注され、包装される。
製造工程の種々の段階は、適切な試験によりモニターされ、例えば、オーシストまたは任意の他の添加抗原の質および量に関する免疫学的試験、無菌性(勿論、生オーシスト以外)および異物の非存在に関する微生物学的試験、生物学的および化学的安定性に関する試験、ならびに最終的にはワクチンの有効性および安全性を判定するためのインビトロまたはインビボ実験によりモニターされる。これら全ては当業者によく知られており、薬局方のような政府規制、ならびに“Remington:the science and practice of pharmacy”(2000,Lippincot,USA,ISBN:683306472)および“Veterinary vaccinology”(P.Pastoretら編,1997,Elsevier,Amsterdam,ISBN 0444819681)のようなハンドブックにおいて定められている。
コクシジウム症に対する家禽用ワクチンの製造はまた、本発明の組成物またはその一部が多少なりとも濃縮された形態で使用される実施形態を含む。例えば、エイメリアオーシストから製造されるワクチン中に該オーシストが存在すると意図される数より遥かに多い数において該オーシストが存在する形態で、該オーシストが製造され使用前に保存されうる。また、組成物の他の部分は、キサンタンガム、金属塩および/または着色剤を含む溶液のような濃縮形態で、製造され保存されうる。製造工程中に好都合となる任意の様態で、これらのいずれか1つが残りのもののいずれか1つのための希釈剤として使用されうる。当業者は、得られるワクチン中の活性物質または賦形剤の所望の最終量または濃度を得るために適用される希釈係数を計算することが十分に可能である。
記載されているとおり、本発明の組成物を使用して製造されうるワクチンは通常の生エイメリアオーシストワクチンより有効である。これはTLR3アゴニストの添加により達成される。
したがって、もう1つの態様において、本発明は、コクシジウム症に対する家禽用ワクチンとしての使用のための、本発明の組成物に関する。
また、もう1つの態様において、本発明は、本発明の組成物を含むコクシジウム症に対する家禽用ワクチンに関する。
「ワクチン」は、医学的効果を有する組成物であることがよく知られている。ワクチンは、免疫学的に活性な成分と薬学的に許容される担体とを含む。「免疫学的に活性な成分」は1以上の抗原分子であり、この場合は、標的家禽の免疫系により認識され防御免疫応答を誘導する生エイメリアオーシストである。該応答は、標的の先天性免疫系からおよび/または後天性免疫系から生じることが可能であり、そして、細胞性および/または体液性のものでありうる。
ワクチンは、一般に、例えば寄生虫負荷を低減することまたは宿主動物における寄生虫の複製期間を短縮することにより、感染のレベルまたは度合を低減するのに有効である。
また、あるいはおそらくその結果として、ワクチンは、一般に、そのような感染または複製によりあるいはその感染または複製に対する動物の応答により、引き起こされうる疾患の(臨床)症状を軽減または改善するのに有効である。
コクシジウム症に対する本発明のワクチンの効果は、エイメリアによる感染、および/または、そのような感染もしくは複製に関連したコクシジウム症の1以上の徴候の、家禽における予防または軽減である。この場合、そのような(臨床的)徴候としては、腸病変スコア、生体重増加およびオーシスト排出量である。
このようなコクシジウム症ワクチンは、口語的には、エイメリア「に対する」またはコクシジウム症「に対する」ワクチン、あるいは「エイメリアワクチン」とも称されうる。
本発明のコクシジウム症ワクチンの詳細および好ましい態様は後記に記載されている。
「家禽」は、農業関連の鳥類、例えばニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ヤマウズラ、クジャク、ウズラ、ハト、キジ、ホロホロチョウまたはダチョウを意味する。好ましくは、家禽はニワトリ、シチメンチョウ、アヒルまたはガチョウである。より好ましくは、家禽はニワトリまたはシチメンチョウである。最も好ましくは、家禽はニワトリである。
標的家禽は任意のタイプのものであることが可能であり、例えば、レイヤー(産卵ニワトリ)、ブリーダー、ブロイラー、組合せ品種、またはそのような品種のいずれかの親系統でありうる。好ましい家禽のタイプはブロイラーである。
「コクシジウム症」は、エイメリアのようなコクシジウム寄生虫により引き起こされる腸疾患複合体としてよく知られている。
1つの実施形態において、コクシジウム症に対する本発明の家禽用ワクチンは、ワクチン1ミリリットル当たり約5〜約250マイクログラムのTLR3アゴニストを含む。
コクシジウム症に対する本発明の家禽用ワクチンは、本発明の組成物に関して本明細書に記載されている実施形態(好ましいもの又はそうでないもの)のいずれか、または本発明の組成物のそれらの実施形態の2以上の任意の組合せを含む形態で提供されうる。
コクシジウム症に対する本発明の家禽用ワクチンは、EP15203012に記載されている、ゲルに基づく噴霧ワクチンとして適用された場合に最も有効である。したがって、該ワクチンはキサンタンガムを含み、これは、最も容易に摂取される小滴の形成を助け、そして、鳥類の腸へのTLR3アゴニストの送達を助ける。
本発明のワクチンを噴霧する際に形成されるゲル小滴の好ましいサイズは、直径約1〜約4mmである。それを達成するためには、ワクチンは約200〜約4000mPa.sの比較的高い粘度を有する必要がある。この粘度は、本発明のワクチン中にキサンタンガムを約0.3〜約1.5%w/vの量で配合することにより達成可能であり、この場合の「w/v」はワクチンの体積に関するものである。
したがって、コクシジウム症に対する本発明の家禽用ワクチンの1つの実施形態において、ワクチンは0.3〜1.5%w/vのキサンタンガムを含み、そして、200〜4000mPa.sの粘度を有する。
本発明のための「粘度」は、回転スピンドル技術を用いて決定されるべきであり、それにより、サンプルは、一定温度で平衡化された際に測定される。特には、粘度測定は、Brookfield(商標)回転粘度計を製造業者の説明に従い使用して行われる。測定は、100rpmで回転するLV4型スピンドルを使用し、そして、サンプルは水浴中25℃で平衡化される。
1つの実施形態において、コクシジウム症に対する本発明の家禽用ワクチンは、経口ワクチンである。
「経口」なる語は、口腔を経由する摂取の方法を意味する。本発明の場合、これは、鳥類がワクチンのゲル小滴をついばみ、それらを飲み込むことを意味する。
前記のとおり、本発明のワクチンは、キサンタンガムを含む組成物の一部の滅菌を含む異なる方法で本発明の組成物から製造されうる。そのような滅菌は異なる方法で達成され;キサンタンガムを含有する溶液を加熱により滅菌する場合、キサンタンガムは金属塩の添加により保護される必要がある。本明細書にも記載されているとおり、使用される金属塩の量には上限および下限がある。
したがって、本発明のワクチンが加熱により滅菌されたキサンタンガムの溶液から製造された場合、ワクチンは(ワクチンの)約0.1〜約0.4%w/vの金属塩を含有する。
したがって、コクシジウム症に対する本発明の家禽用ワクチンの1つの実施形態において、ワクチンは0.1〜0.4%w/vの金属塩を含む。
好ましくは、金属塩は、塩化ナトリウムまたは塩化カリウムである。
コクシジウム症に対する本発明の家禽用ワクチンにおいては、用量当たりのエイメリアオーシストの厳密な量はそれほど重要ではなく、なぜなら、該オーシストは容易に複製し、宿主の腸においてコロニーを形成するからである。ワクチン用量は、そのような増殖性感染を開始させるのに十分であることが必要とされるに過ぎない。より高い接種用量は、宿主における最適なコロニー形成に達するのにかかる時間をほとんど短縮せず、そして、非常に高い用量は経済的理由から魅力的ではない。加えて、高すぎるワクチンオーシスト用量は、それ自体で何らかの病状を引き起こしうる。明らかに、低すぎる用量はエイメリア感染をおそらく確立しうるものの、免疫の適切な開始のために非常に長時間を要しうる。
したがって、好ましい接種用量は、動物用量当たり約10〜約1×10個の、エイメリアの種の胞子形成オーシスト、より好ましくは、用量あたり100〜1×10個のオーシスト、100〜5000個、または更には100〜1000個のオーシスト/動物用量であり、その順に好ましい。
当業者に明らかなとおり、生エイメリアオーシストの最適ワクチン用量は、例えば、標的動物種ならびに使用されるエイメリア株の種および病原性に左右され、したがって、1つの混合ワクチンにおける種々のエイメリア種の間で異なりうる。
本発明のコクシジウム症ワクチンに使用されるエイメリアオーシストを定量する方法は当技術分野においてよく知られている。
コクシジウム症に対する本発明の家禽用ワクチンの動物用量当たりの体積は、意図される適用経路に応じて最適化され、例えば、噴霧ワクチン接種の場合、用量はトリ1羽当たり約10μl〜約1mlでありうる。好ましくは、噴霧ワクチンの体積はトリ1羽当たり0.1〜0.5ml、より好ましくは、トリ1羽当たり0.1〜0.3mlである。
最も好ましくは、噴霧ワクチンの体積はトリ1羽当たり約0.2mlである。
あるいは、ワクチンは、飼料への噴霧によりまたは飲料水への液体として投与されうる。これらの場合には、トリ1羽当たりの用量は、摂取される飼料の量または飲まれる水の量に合わせて最適化されうる。これは当業者の能力の範囲内である。
コクシジウム症に対する本発明の家禽用ワクチンの動物用量当たりのエイメリアオーシストの免疫学的に有効な量がどのくらいであるかを決定することにより種々の投与経路に最適な体積および用量を見出すことは、当業者の通常の能力の範囲内に十分に含まれる。これは、例えば、ワクチン接種後またはチャレンジ感染後の免疫学的応答をモニターすることにより実施可能であり、例えば、標的の疾患徴候および臨床スコア(最も重要なのは腸病変スコア)をモニターすることにより実施可能である。他の基準は、生体重増加、血清学的パラメータまたはオーシスト排出量を決定するための病原体の再単離でありうる。これらの結果は、例えば、模擬ワクチン接種動物において見られるワクチン接種−チャレンジ応答と比較されうる。
コクシジウム症に対する本発明の家禽用ワクチンのための標的家禽の年齢、体重、性別、免疫学的状態および他のパラメータは決定的に重要ではないが、健常標的家禽にワクチン接種することおよび病原性エイメリアによる初期感染(の影響)を予防するために、可能な限り早期にワクチン接種することが好ましい。
したがって、コクシジウム症に対する本発明の家禽用ワクチンは、好ましくは、孵化日、すなわち、1日齢で投与される。
好ましい場合には、家禽は、後年、ブースターワクチン接種を受けうる。
当業者に理解されるとおり、コクシジウム症に対する本発明のワクチンを受けることになる家禽のための薬用飼料の使用は、注意して適用されるべきである。計画されたワクチン接種の時期の前後には、トリは、抗コクシジウム薬を含有する飼料を摂取すべきではなく、あるいは、少なくともワクチン中のエイメリアオーシストが感受性である抗コクシジウム薬を含有する飼料を摂取すべきではない。
コクシジウム症に対する本発明の家禽用ワクチンを混合ワクチンとして処方することは、非常に効率的であり、なぜなら、このようにして複数の免疫薬が一度に投与可能であり、これは標的鳥類に対する不快感を低減し、人件費を減少させるからである。本発明のワクチンに基づく混合ワクチンは、もう1つの免疫学的に活性な化合物を更に含む。原則として、これは任意の生もしくは死滅微生物またはその一部であることが可能であり、この場合、生エイメリアオーシストの安定性および複製能が維持される必要がある。また、追加的な免疫活性成分は、摂取されるワクチンに適合し、そして、該ワクチンにおいて有効でなければならない。
追加的な免疫学的に活性な化合物は、抗原、免疫増強物質および/またはワクチンでありうる。あるいは、本発明のワクチン自体がワクチンに添加されうる。
本発明のためのそのような混合ワクチンの製造方法は、当業者の通常の能力の範囲内である。
したがって、1つの実施形態においては、コクシジウム症に対する本発明の家禽用ワクチンは、ワクチンが1以上の追加的な免疫活性成分(類)を含むことを特徴とする。
1つの実施形態においては、コクシジウム症に対する本発明の家禽用ワクチンは、家禽に対して病原性である微生物に由来する少なくとも1つの追加的抗原を含む混合ワクチンである。追加的抗原は、生微生物、生弱毒化もしくは死滅微生物またはそれらの一部でありうる。
好ましくは、家禽に対して病原性である微生物に由来する追加的抗原は、以下のものからなる群から選択される1以上である:
・ウイルス:伝染性気管支炎ウイルス(IBV)、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、アデノウイルス、産卵低下症候群ウイルス、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス(IBDV)(すなわち、ガンボロウイルス)、ニワトリ貧血症ウイルス、トリ脳脊髄炎ウイルス、鶏痘ウイルス、シチメンチョウ鼻気管炎ウイルス(TRT)、アヒルペストウイルス(アヒルウイルス腸炎)、ハトポックスウイルス、マレック病ウイルス(MDV)、トリ白血病ウイルス、感染性喉頭気管炎ウイルス(ILTV)、トリニューモウイルス、トリインフルエンザウイルス(AIV)およびレオウイルス;
・細菌:大腸菌(Escherichia coli)、サルモネラ(Salmonella)、オルニトバクテリウム・リノトラケアレ(Ornitobacterium rhinotracheale)、ヘモフィリス・パラガリナルム(Haemophilis paragallinarum)、パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)、エリジペロスリックス・ルジオパシエ(Erysipelothrix rhusiopathiae)、丹毒菌(Erysipelas)、マイコプラズマ(Mycoplasma)、カンピロバクター(Campylobacter)、赤痢菌(Shigella)およびクロストリジウム(Clostridium);
・寄生虫:ヒストモナス(Histomonas)、イソスポラ(Isospora)、クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)およびデルマニッスス(Dermanyssus);ならびに
・真菌:アスペルギルス(Aspergillus)。
より好ましい追加的抗原は、IBV、NDV、IBDV、ILTV、TRT、AIV、MDV、マイコプラズマ(Mycoplasma)およびサルモネラ(Salmonella)からなる群から選択される1以上である。
コクシジウム症に対する本発明の家禽用のワクチンは、医薬成分、例えば抗生物質、ホルモンおよび/または抗炎症薬と有利に組合されうる。抗コクシジウム化合物の使用さえも可能であるが、ただし、ワクチンにおけるエイメリアオーシストがその特定の薬物に対して感受性であってはならない。
コクシジウム症に対する本発明の家禽用ワクチンは、本発明で使用される生エイメリアオーシストの生存能および質を支援することにより標的家禽の腸における増殖性複製およびコロニー形成の確立を促進する1以上の成分を含有しうる。
1つの実施形態において、添加剤は、製剤化、保存、取り扱い、投与または摂取中の本発明のエイメリアオーシストの量および質を安定化させるための安定剤である。また、適切な保存剤、例えばチメロサール、メルチオラート、フェノール化合物またはゲンタマイシンも添加されうる。
コクシジウム症に対する本発明の家禽用ワクチンは、予防的処置または治療的処置またはその両方として使用され、なぜなら、それは、病原性エイメリアによる感染の確立および進行の両方を妨げるからである。
コクシジウム症に対する本発明の家禽用ワクチンの投与状況、例えば飼養場の状態または標的家禽種に応じて、ワクチンを更に最適化することが有利でありうる。これは十分に当業者の能力の範囲内であり、一般に、ワクチン接種の有効性または安全性の微調整を含む。これは、使用されるエイメリア株の選択、ワクチンの用量、量、投与頻度または投与経路の適合、あるいはワクチンの他の成分(例えば、安定化剤、担体、希釈剤など)の適合または添加により行われうる。
コクシジウム症に対する本発明の家禽用ワクチンの好ましい実施形態において、TLR3アゴニストは、ポリA:Uであり;TLR3アゴニストは、ワクチン1ミリリットル当たり5〜250マイクログラムの量で存在し;生エイメリアオーシストは、胞子形成オーシストであり;該オーシストは、エイメリア・アセルブリナ(E.acervulina)、エイメリア・マクシマ(E.maxima)、エイメリア・ミティス(E.mitis)およびエイメリア・テネラ(E.tenella)であり;エイメリア・マクシマ(E.maxima)のオーシストは、2つの株に由来し;ワクチンは、(ワクチンの)約0.3〜約1.5%w/vのキサンタンガムを含み;ワクチンは、約200〜約4000mPa.sの粘度を有し;そして、組成物は、カルミンを(ワクチンの)0.1〜0.2%w/vの量で含む。
もう1つの態様において、本発明は、コクシジウム症に対する家禽のワクチン接種方法であって、該方法が、コクシジウム症に対する本発明の家禽用ワクチンを該家禽に投与することを含むことを特徴とする、ワクチン接種方法に関する。
前記のとおり、コクシジウム症に対する本発明の家禽用ワクチンは、好ましくは、ワクチンが摂取されて病原性エイメリアに対する有効な免疫化がもたらされるように、大量投与の方法により投与される。
コクシジウム症に対する本発明の家禽用ワクチンの大量投与の好ましい方法は、鳥類への噴霧によるものである。これは、水性媒体を使用する粗噴霧(coarse spray)として実施可能であり、ここで、生じる小滴は、一般に直径50μmを超えるサイズのものである。
そのような粗噴霧は、例えば、孵化トレイにおける1日齢のニワトリを免疫化する場合には孵化場噴霧器を使用して適用可能であり、あるいは、床飼い状態の年長の鳥類を免疫化する場合には背負い型噴霧器を使用して適用可能である。噴霧されたワクチンは、羽または床から鳥類によって素早く摂取される。
したがって、本発明のコクシジウム症に対する家禽のワクチン接種方法の1つの実施形態において、該方法は、家禽および/またはその周囲への粗噴霧によるワクチンの投与を含む。
ワクチンが「家禽に」噴霧されるという指示は、ワクチンの全部または大部分が鳥類の体に到達することを要しない。むしろ、これは、体の特定の部分が特異的に標的化される必要がないことを示している。キサンタンガムを配合すると、ワクチン小滴はやや粘性になり、粗噴霧として投与されると、鳥類の羽に或る程度付着する傾向にある。しかし、ワクチンの一部は鳥類の体に降下せずまたは滞留せず、鳥類が飼育されている容器の底または床に終着する。これで十分であり、というのも、鳥類はそのような小滴をすぐについばみ始めそれを摂取するからである。
粗噴霧による本発明のコクシジウム症に対する家禽のワクチン接種方法の好ましい実施形態において、ワクチン小滴は直径約1〜約4mmのサイズのものである。
標準的な噴霧ワクチン接種装置が使用可能であり、そして、使用されるノズルおよび圧力のような適切な条件を選択することにより、当業者は、そのようなサイズの小滴を簡便に得ることが可能である。キサンタンガムの擬塑性ゆえに、加圧の増加または特別な高圧噴霧ニップルの使用は必要とされない。
本発明の方法による標的家禽へのワクチン接種のための投与計画は、ワクチンの処方および動物飼育の実用的態様に適合する様態の、単回または複数回投与でありうる。
好ましくは、本発明によるコクシジウム症に対する家禽のワクチン接種方法のための計画(レジメン)は、動物に対するストレスを低減し人件費を削減するために、標的家禽が受けうる他のワクチンの既存ワクチン接種スケジュールに統合される。これらの他のワクチンは、それらの登録用途に適合する様態で、同時、並行的または逐次的に投与されうる。
したがって、本発明によるコクシジウム症に対する家禽のワクチン接種方法の1つの実施形態においては、ワクチンは別の家禽ワクチンと組合せて投与される。
本発明によるコクシジウム症に対する家禽のワクチン接種のこれらの方法は、エイメリアによる感染に対しておよび/またはそのような感染に関連した疾患の(臨床的)徴候に対して家禽を防御するのに非常に有効である。特に、これは家禽の罹患および不快感を予防し、そして、商業的養鳥業に対する重大な経済的損失を防ぐ。
したがって、もう1つの態様において、本発明は、家禽におけるエイメリア感染または関連疾患徴候の低減のための方法であって、該方法が、コクシジウム症に対する本発明の家禽用ワクチンを該家禽に投与することを含むことを特徴とする方法に関する。
dsRNAの類似体をキサンタンガムと組合せることによる、比較的低濃度で今や経口経路により投与可能となる一方で、トリの腸内で尚も免疫誘導して、家禽の経口エイメリアワクチン接種後に得られる防御的応答に対する検出可能な臨床的改善をもたらすような、dsRNAの類似体の保護の驚くべき効果の点で、本発明は、経口送達中のTLR3アゴニストの保護のための方法に関する。
したがって、もう1つの態様において、本発明は、経口経路によるトリの腸へのTLR3アゴニストの送達方法であって、TLR3アゴニストをキサンタンガムと混合することを特徴とする方法に関する。
TLR3アゴニストは、それ自体が薬学的効果を有する可能性があり、および/または別の化合物の免疫学的もしくは薬学的効果をアジュバント化(補助)することにおいて(も)機能しうる。
好ましくは、TLR3アゴニストと混合するためのキサンタンガムは、本明細書に記載されている態様ならびにそれらの種々の実施形態および好ましい態様の1以上に記載されているとおりである。
図1は、実施例1に記載されているワクチン接種−チャレンジ実験の結果を示す。パネルA〜Gは、それぞれ群1〜7に関するワクチン接種−チャレンジ処置後の病変スコアを示す。横軸は病変スコア数0〜4を表し、縦軸は、その群内でその病変スコアを示すトリの百分率を表す。これらの群に関しては、n=30である。 実施例2のワクチン接種−チャレンジ実験から得られた病変スコアの結果である。パネルA〜Eは、それぞれ群1〜5の結果を表す。用いられている軸は図1の場合と同じである。これらの群に関しては、n=20である。
次に、以下の非限定的な実施例により、本発明を更に詳細に説明することとする。
実施例
1.エイメリアワクチンの有効性に対するTLR3アゴニストの効果;より早い免疫開始
1.1.実験の概要
この実験は、TLR3アゴニストの添加によるParacox(商標)8ワクチンの免疫の開始に対する効果を試験した。TLR3アゴニストに関する用量滴定を行った。結果を、Paracox 8のみでワクチン接種したトリと直接比較した。
210羽の1日齢のトリを30羽のトリの7つの群に分けた。群1〜5の全てのトリに、0.1%カルミンを含有する0.6%キサンタンガムで希釈されたParacoxワクチンを、0.5mlワクチンの経口強制飼養によりワクチン接種した。群1〜4は、異なる量のTLR3アゴニストの投与を受けた。群5のトリはParacox 8のみでワクチン接種され、群6および7のトリは、ワクチン接種されなかった(表1を参照されたい)。ワクチン接種後(PV)14日間、全てのトリを別々の檻において、それらの群において飼育した。コクシジウム症感染をモニターするために、第7、14および19日に、対照トリ(群6および7)から糞便サンプルを採取した。チャレンジ前の第13日PVに、全てのトリを番号札で一意(ユニーク)に識別し、ついで第14日PVに、群1〜6の各トリをエイメリア・テネラ(E.tenella)野生型の15,000個のオーシストでチャレンジした。このチャレンジ日は、通常のParacoxワクチン接種が完全防御に達するには時期尚早だったが、それは免疫の開始における何らかの増強の検出を可能にした。
チャレンジ後第5日に、全てのチャレンジされたトリおよび群7のトリを安楽死させ、エイメリア・テネラ(E.tenella)感染に関連した病変に関して死後検査した。エイメリア属種の感染に関連していた可能性のあるあらゆる臨床徴候に関して、試験の全期間にわたり、トリを毎日観察した。
Figure 2020502204
1.2.材料および方法
Paracox 8ワクチンの市販バッチを使用し、これを再懸濁して0.5ml当たり1回の全用量を得た。75mM NaCl中に1.2%キサンタンガム溶液を含有し(すなわち0.44%w/v)、0.2%w/vのカルミン(E120)を含有する希釈液の2倍濃縮ストックで、該ワクチンを1:1希釈した。該希釈ストックを、115℃で30分間オートクレーブ処理することにより滅菌した。
Paracox 8ワクチン希釈液を安全キャビネット内で調製した。各群につき100mlのワクチン(200用量を含有する)を調製し;該ワクチンの2つの1000用量の薬袋(sachet)を振盪し、オーシストの再懸濁を確実にするために1分間激しくマッサージした。薬袋の内容物を適切な容器内でプールした。各ワクチンに関して、21mlの純粋なプール化Paracox 8ワクチンを滅菌ガラスDuran(デュラン)ボトル(群番号で適切に標識されている)に添加した。10mg/mlのTLR3アゴニストストック溶液を迅速に解凍し、ついで適切な体積のアゴニストおよび水を該ワクチンに添加し、十分に混合した。次に、50mlの2倍希釈ストックを(群に応じて)各Duranボトルに添加した。ついで、使用前に少なくとも10分間振盪することにより、全ての製剤を完全に混合した。
ワクチンサンプルにおいては、群1〜4は10mg/mlの量のTLR3アゴニストストックの投与を受けて、意図されたアゴニストの量に達した;群1:100μl、群2:200μlなど;これら全ての体積は、29mlまでの滅菌水で補充された。
TLR3アゴニスト:
使用したTLR3アゴニストは、ポリA:U、二本鎖標準ホモポリマー(Sigma Aldrich)であった。それを凍結乾燥ナトリウム塩から10mg/mlストック溶液に溶解し、使用するまで−70℃で保存した。
チャレンジ材料:
チャレンジ材料は、使用するまで2〜8℃で保存されたエイメリア・テネラ(E.tenella)野生型無菌胞子形成オーシストのバッチであった。チャレンジ材料中のオーシストの濃度を、改良型フックス(Fuchs)−ローゼンタール(Rosenthal)計数板を使用して決定した。これから希釈を行って、チャレンジ用量0.5ml当たり15.000個のオーシストを得た。
試験動物:
実験動物は、ワクチン接種時に1日齢の、混合された性別のローマン(Lohmann)SPFニワトリであった。トリを個々の檻内で30個の群にランダムに配置した。
ワクチン接種後第13日に、トリに個別に迅速タグを付けた。
トリに、経口強制飼養により、トリ1羽当たり0.5mlの適切なワクチン調製物を投与することにより、ワクチン接種した。
ニワトリを、経口強制飼養により、それぞれ0.5mlのエイメリア・テネラ(E.tenella)野生型調製物で、全て、お互いから1時間以内にチャレンジした。
実験全体にわたって、コクシジウム感染の臨床徴候、例えば下痢または血便、意気消沈または食欲不振に関して、全てトリを毎日観察した。特別な所見は観察されなかった。実験に無関係な原因により、3羽のニワトリが死亡し;1羽は1群、2羽は2群のものであった。
チャレンジ後第5日に、全てのトリを安楽死させ、剖検に送った。死後、各群からの全てのトリを、エイメリア・テネラ(E.tenella)に関連した腸病変に関して検査した。
ワクチンまたはチャレンジの摂取を確認する目的で、ワクチン接種後第7、14および19日に、対照トリ(群6および7)の檻の床から糞便採集を行った。各サンプルを檻内のゴミから採取し、サンプルは約10〜20グラムであり、檻全体を代表するものであり、例えば、檻の四隅および中央から採取され;サンプルは新鮮であり、可能な限り最少量のゴミを含有していた。各サンプルを二重包装し、ラベルを付け、処理するまで2〜8℃で保存した。オーシストは、標準的な慣例に従い検出され、その数を、修飾マクマスター(Modified McMaster)計数技術を用いて計算した。
1.3.結果
エイメリア・テネラ(E.tenella)に関連した腸病変スコアを、剖検により、チャレンジ後第5日に決定した。対照群6および7を除き、処置群に関して盲検的に病変評価を行った。群1〜7に関する病変スコアの結果が図1のそれぞれパネルA〜Gに、あるスコアを示す動物の%として要約されている。偶発的な死亡を除き、これらのグループでは、n=30である。
病変スコアの結果は対照群に関しては予想通りであり;チャレンジされていない群7のトリは、全て0の病変スコアを有し、一方、ワクチン接種されずにチャレンジされた群6のトリは3または4の高いスコアを有し、これはナイーブなトリの病変スコアプロファイルに類似していた。
群5(Paracox 8ワクチンのみ)のトリは、スコア範囲の上限に加重されたスコアを有していた。それらのトリはワクチン接種後第14日にチャレンジされたが、このワクチンは通常は部分的な防御しかもたらさないので、これは予想外ではなかった。しかし、これは、TLR3アゴニストの添加の結果として免疫のより早い開始が生じたかどうかを観察することを容易にした。
低用量のTLR3アゴニスト(それぞれ5または10μg/トリ)が投与された群1および2のトリは全範囲の病変スコアを示し、より低い病変スコアの比率の明らかな増加を示した。より高い2用量レベルのTLR3アゴニスト(それぞれ20または40μg/トリ)がトリに投与された群3および4においては、Paracox 8のみでワクチン接種されたトリ(グループ5)と比較して病変スコアプロファイルはそれほど変わらなかった。
糞便収集物は、採取された糞便サンプルのいずれにおいてもオーシストが検出されないことを示した。これは、群7のトリが研究全体を通して未感染のままであることを示した。群6に関しても、最終収集物においてオーシストは検出されなかったが、これはおそらくこれらのトリの重篤な疾患に関連しており、正常な糞便形成を妨げるそれらの腸病変スコアにより実証されたとおりであった。
1.4.結論
試験した全てのTLR3アゴニスト量のうち、動物当たり5または10μgの低用量が投与されたトリは最良の病変スコア結果を示し、より広い範囲のスコアおよびより低い病変スコアへの明らかな傾向を示した。これは、より早い免疫開始の誘導の説得力のある証拠である。
この実験においては、動物当たりより多量のTLR3アゴニストは、明らかな免疫学的増強を示さなかった。これは、TLR3アゴニストの用量効果における最適プロファイルが存在することを示している可能性がある。しかし、別のワクチン接種−チャレンジ実験(実施例2)においては、動物当たりより高用量のTLR3アゴニストは、Paracox 8ワクチンのみの群と比較して明らかな利益を示した。
2.エイメリアワクチンの有効性に対するTLR3アゴニストの効果;より早い免疫開始2
実施例1に記載されているものとほぼ同じ設定および手順を用いる実験において、トリ当たり10または20マイクログラムの量のTLR3アゴニストを、免疫開始における増強に対する効果に関して試験した。
表2に示されている処置を受けた20羽のニワトリの群を用いた。
Figure 2020502204
2.1.結果
この実験の病変スコアの結果は、群1〜5に関して、図2のそれぞれパネルA〜Eに示されている。
結果は対照群に関しては予想通りであり;ワクチン接種されておらず、チャレンジされていない群5のトリは、全て0の病変スコアを有し、一方、ワクチン接種されておらず、チャレンジされたトリは3または4の高いスコアを有し、このことは、これらがチャレンジに対する防御を有さないことを示した。チャレンジの重篤さは、実施例1において適用されたものより僅かに低いようであった。
Paracox 8ワクチンのみの投与を受けた群3のトリは或る範囲のスコアを有していたが、スコア範囲の上限に加重されていた。実施例1の場合と同様に、これは、ワクチン接種後のチャレンジの日(2週間)が早かったため、予想通りのことであった。
処置群1および2は広範な病変スコアプロファイルを有し、より低い病変スコアの比率がワクチン群3のトリより高く、このことは、ワクチンが誘導した免疫の開始に関して、TLR3アゴニストがワクチンの免疫を増強したことを示している。
この実験では、免疫の早期開始の誘導において、より多量のTLR3アゴニスト(20μg/トリ)がより少量(10μg/トリ)の場合より有効であるようであった。
3.エイメリアワクチンの有効性に対するTLR3アゴニストの効果;用量当たりのオーシストの減少
生エイメリアオーシストのワクチン接種の有効性に対するTLR3アゴニストの効果を試験するために、更なる実験を行った。この実験においては、ワクチンの用量に対するTLR3アゴニストの効果を評価するために、幾つかの大きな群を処置した。設定および特性は、以下の点を除き、実施例1および2の実験の場合と本質的に同じであり:ニワトリは市販の産卵ニワトリの種類のものであり:使用したワクチンはParacox(商標)5であり、トリ当たりのTLR3アゴニストの用量は7.5μgに固定し、ワクチン接種は0.2ml/トリで粗噴霧により投与し、そして、チャレンジは、ワクチン接種後第21日に4つの別々の株を使用して行った。
3.1.実験の概要
1125羽の1日齢のニワトリを、125羽の動物の9つの群に分け;1つの群はワクチン未接種のままであり、残りの8つの群は、TLR3アゴニストの存在下または非存在下、種々の用量のParacox 5ワクチンの投与を受けた、表3を参照されたい。ワクチンはキサンタンガムを含有し、標準的な孵化場噴霧器を使用して粗噴霧として適用された。
ワクチン接種後第21日に、各処置群からの80羽のトリを4つのチャレンジタイプのうちの1つに割り当て、種チャレンジ亜群当たり20羽のトリを残した。合計720羽のトリに4つのエイメリア種チャレンジのうちの1つの0.5mlの経口強制飼養を行った。対照群1からの5羽のトリをチャレンジせずに残し、それらの元の檻において飼育して第28日p.v.にベースライン剖検評価に付した。
全てのトリを、チャレンジタイプに割り当てられる前に、第20日p.v.に個別に秤量し、剖検前に、第28日p.v.に、生体重増加を測定するために再び秤量した。大部分の糞便サンプルは、オーシスト排出量の測定のために、全ての檻から第21日〜第25日および第25日〜第28日p.v.に採取された。エイメリア・アセルブリナ(E.acervulina)、エイメリア・マクシマ(E.maxima)およびエイメリア・テネラ(E.tenella)のチャレンジタイプに関しては、チャレンジ処置群当たり10羽のトリを腸病変の評価のために剖検に付した。エイメリア・ミティス(E.mitis)は疾病特徴的腸病変を引き起こさないため、エイメリア・ミティス(E.mitis)でチャレンジされた群1(対照)からの10羽のトリを、チャレンジの取り込みを確認するために寄生虫状態に関する剖検に付した。
3.2.材料および方法
試験動物:
Hyline(商標)の褐色の市販の産卵ニワトリである。雄であり、個別に番号で標識された。全てのニワトリは、ワクチン接種日に1日齢であった。トリは、気候管理され制御された条件下、適切な檻において経木の床敷上で飼育された。飼料には薬物添加されなかった。
試験全体を通じてニワトリを綿密にモニターし;ワクチン接種後第1週に、処置に無関係な原因で7羽のトリが死亡し、これらは異なる群からのものであった。
Figure 2020502204
ワクチン:
合計11.000用量のParacox 5の薬袋を徹底的に振盪し、水中でそれぞれ希釈された種々の群に分け、意図される場合にはTLR3アゴニストと混合し、そして、全てのワクチンを記載されているとおりにキサンタンガム(1.2%)、NaCl(75mM)およびカルミン(0.2%)を含有する希釈液の無菌2×ストックと1:1で混合した。
群8および9の「全」用量ワクチン中のオーシストの量は、用量当たり、以下のとおりであった:エイメリア・アセルブリナ(E.acervulina):500;エイメリア・マクシマ(E.maxima)CP株:200;エイメリア・マクシマ(E.maxima)MFP株:100;エイメリア・ミティス(E.mitis):1000;およびエイメリア・テネラ(E.tenella):500オーシスト。
使用したTLR3アゴニストは、トリ1羽当たり7.5μgの用量のポリA:Uであった。
Spraycox(商標)II装置を製造業者の説明に従い使用して、粗噴霧としてワクチンを投与した;使用前に体積および圧力の設定を較正した;使用前にワクチンを十分に振とうした;ワクチンの投与は最低用量から最高用量へと行い、アゴニストを含まない群の後、アゴニストを含む群に行い、中間において水洗を行った。ワクチン体積は、トリ100羽当たり20mlに設定された。ワクチン接種したら、トリを、ワクチン接種されたトレイにおいて十分に明るく暖かい場所で少なくとも30分間維持した後、収容檻に移した。
チャレンジ材料:
全てのチャレンジ材料は、以下の4つの異なる種からの胞子形成オーシストの液体懸濁液であった:エイメリア・アセルブリナ(E.acervulina)(Ea)、エイメリア・テネラ(E.tenella)(Et)、エイメリア・ミティス(E.mitis)(Emit)またはエイメリア・マクシマ(E.maxima)(Emax)。意図されるオーシスト数を、それぞれ、以下のとおりに、改良型フックス(Fuchs)−ローゼンタール(Rosenthal)計数板を使用して決定した:Ea:1ml中の1×10/トリ;Et:0.5ml中の3×10/トリ;Emit:1ml中の3×10/トリ;Emax:0.5ml中の1×10/トリ。
チャレンジ材料を経口強制飼養により個別に投与した。
剖検および病変スコア:
オーシストの計数または病変のスコア化を行う者は、処置に関する情報から盲検化された。病変のスコア化は、チャレンジ種(Ea、EtおよびEmax)のそれぞれに特有の標準的な基準を用いた。
3.3.結果
ワクチンおよびチャレンジの実施:
群1のトリの糞便サンプルはチャレンジ前のオーシスト数に関して陰性のままであり、このことは、群1がチャレンジ前にコクシジウムを有していなかったことを示している。ワクチン接種群2〜9から採取された糞便サンプルのオーシスト数は第11日p.v.から全て陽性であり、このことは、ワクチン接種オーシストの複製が全てのワクチン接種群で成功したことを示している。
チャレンジ実施は、チャレンジ後第3日から剖検まで観察されたコクシジウム症の臨床症状に関しても成功した。第28日p.v.の剖検時に、エイメリア・アセルブリナ(E.acervulina)、エイメリア・マクシマ(E.maxima)およびエイメリア・テネラ(E.tenella)でチャレンジされたトリは、0を超える腸病変スコアを有し、エイメリア・ミティス(E.mitis)でチャレンジされた対照トリの腸擦過の全てはオーシストに関して陽性であり、このことは、チャレンジが有効であったことを証明している。
生体重増加:
種々のチャレンジ亜群に関するワクチン接種後第20日から第28日までの平均生体重増加(単位はグラム)の結果を、表4に示す。それらの種々の亜群のサイズは動物20羽であった。
エイメリア・アセルブリナ(E.acervulina)に関しては、1/20希釈液(群2)以外の全てのワクチン希釈液が、ワクチン未接種対照群と比較して有意に良好(p<0.01)な平均生体重増加を示し、1/20希釈液(群2)は有意に低い平均体重増加を示した。しかし、これはTLR3アゴニストの存在下で劇的に回復した。
その他のチャレンジ種[エイメリア・テネラ(E.tenella)、エイメリア・ミティス(E.mitis)またはエイメリア・マクシマ(E.maxima)]の1つの投与を受けたワクチン接種亜群のトリのうち、ほとんどは、それらのワクチン未接種チャレンジ群と比較して有意に良好な平均体重増加を示した。しかし、ワクチン希釈またはTLR3アゴニストの存在の効果は検出できなかった。
適用されたワクチン用量は、希釈されたサンプルにおいてさえも、体重増加に対する効果を観察することができないほど高い用量のオーシストを尚も含有していたと考えられる。反復実験において、より高いワクチン希釈物が使用されるであろう。
Figure 2020502204
腸病変スコア:
チャレンジタイプおよび処置群ごとの平均腸病変スコアの結果を表5に表す。これらの群においては、n=20であった。
エイメリア・アセルブリナ(E.acervulina)でチャレンジされたワクチン未接種対照トリの僅か50%が、2を超える病変スコアを示した。
ワクチン接種されチャレンジされたトリは、それらの病変スコアの分布において有意差を示さなかった。エイメリア・マクシマ(E.maxima)でチャレンジされたワクチン未接種対照トリの80%が、2を超える病変スコアを示した。ワクチン希釈またはTLR3アゴニストの存在と無関係に、ワクチン未接種トリと比較して(全て、p値<0.03)、全てのワクチン接種トリ(群2〜9)の病変分布において有意(p<0.05)差が認められた。エイメリア・テネラ(E.tenella)でチャレンジされたワクチン未接種対照トリの90%が、2を超える病変スコアを示した。TLR3アゴニストの非存在下の標準的なワクチン(群8)に関しては、2を超える病変スコアを示したトリの割合は60%に減少したが、全体的な分布の変化は統計的に有意ではなかった(p=0.07)。しかし、1/4希釈されたワクチンに関しては、病変スコアの分布における有意な減少が認められた(群6;p=0.001)。より高いワクチン希釈度においては(1/10、群2、および1/20、群4)、トリの70%が、2を超える病変スコアを示し、その分布は、ワクチン未接種チャレンジ対照群と有意には異ならなかった。TLR3アゴニストの存在は、2を超える病変スコアを示すトリの割合を、それぞれ20%(群5、1/10用量)および50%(群3、1/20用量)に減少させて、群5に関しては対照群と統計的に有意に異なる(p=0.003)病変スコア分布、および群3に関しては統計的にほぼ有意である(p=0.0509)病変スコア分布をもたらした。
3.4.考察および結論
第20日p.v.の各チャレンジタイプに関して、対照群とワクチン接種処置群の間でトリの体重に有意差は認められなかった。ワクチン未接種対照(群1)からの糞便サンプルは、群1がチャレンジ前にコクシジウムを有さないままであることを証明した。ワクチン接種処置群2〜9から採取された糞便サンプルからのオーシスト数は、第11日p.v.から、全て陽性であり、このことは、ワクチン接種オーシストの取り込みおよび再利用が全ワクチン接種群で成功したことを示している。使用したチャレンジ材料の再計算は、チャレンジ用量が標的の±2%以内であることを示した。
第28日p.v.の剖検においては、エイメリア・アセルブリナ(E.acervulina)、エイメリア・マクシマ(E.maxima)およびエイメリア・テネラ(E.tenella)でチャレンジされたワクチン未接種対照トリは、それぞれ50%、80%および90%のトリにおいて、2を超える腸病変スコアを示した。また、エイメリア・ミティス(E.mitis)でチャレンジされた対照トリの全ての腸擦過はオーシストに関して陽性であった。
エイメリア・アセルブリナ(E.acervulina)でのチャレンジの後で得られた病変スコアは比較的軽度であったが、ワクチン未接種対照群においては高レベルのオーシスト排出量および体重増加に対する有意な影響が見られ、したがって、このことは、全てのチャレンジが有効であったことを証明している。ワクチン希釈は、チャレンジ種および測定されているパラメータに応じて、有効性に対する様々な影響を示した。1/20までのワクチンの希釈は、エイメリア・マクシマ(E.maxima)またはエイメリア・ミティス(E.mitis)に関して調べられた有効性パラメータのいずれにも影響を及ぼさず、このことは、これらの抗原がParacox 5製剤中で有意に過剰であることを示している。これとは対照的に、エイメリア・テネラ(E.tenella)に関しては、病変スコアおよびオーシスト排出量の両方の減少の点での防御レベルの減少が、1/10以上のワクチン希釈度で観察された。エイメリア・アセルブリナ(E.acervulina)に関しても同様に、ワクチンを1/20に希釈した場合、体重増加の減少に対する防御は観察されなかった。腸病変は、決定的な結果を示すには軽度すぎた。ワクチン希釈ゆえに防御の低下が観察された全ての場合において、ワクチン製剤中にTLR3アゴニストを配合することは有益であった。
全体として、これらの結果は、ワクチン製剤中にTLR3アゴニストを配合することが、チャレンジに対する同レベルの防御をもたらす一方で、より低い抗原用量でワクチン効力を最大4倍まで増強しうることを証明している。
Figure 2020502204

Claims (15)

  1. 生エイメリア(Eimeria)オーシストと薬学的に許容される担体とを含む組成物であって、組成物が約0.3〜約5%w/vのキサンタンガムとTLR3アゴニストとを含むことを特徴とする、組成物。
  2. TLR3アゴニストがポリA:Uであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
  3. 生エイメリア(Eimeria)オーシストが胞子形成オーシストであることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 生エイメリア(Eimeria)オーシストが、エイメリア・テネラ(E.tenella)、エイメリア・アセルブリナ(E.acervulina)、エイメリア・マクシマ(E.maxima)、エイメリア・ミティス(E.mitis)、エイメリア・ネカトリクス(E.necatrix)、エイメリア・ブルネッティ(E.brunetti)、エイメリア・プレコクス(E,praecox)、エイメリア・ミバティ(E.mivati)、エイメリア・ハガニ(E.hagani)、エイメリア・メレアグリミティス(E.meleagrimitis)1、エイメリア・メレアグリミティス(E.meleagrimitis)2、エイメリア・アデノイデス(E.adenoides)、エイメリア・ガロパボニス(E.gallopavonis)およびエイメリア・ディスペルサ(E.dispersa)からなる群から選択される1以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 組成物が約0.1〜約1.6%w/vの金属塩を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 組成物が、薬学的に許容される着色剤を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
  7. 生エイメリア(Eimeria)オーシストおよび薬学的に許容される担体を、TLR3アゴニストと混合することを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物の製造方法。
  8. コクシジウム症に対する家禽用ワクチンの製造のための、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物の使用。
  9. コクシジウム症に対する家禽用ワクチンとしての使用のための、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
  10. ワクチンが、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物を含む、コクシジウム症に対する家禽用ワクチン。
  11. ワクチンが、0.3〜1.5%w/vのキサンタンガムを含み、そして、200〜4000mPa.sの粘度を有する、請求項10記載のワクチン。
  12. コクシジウム症に対する家禽のワクチン接種方法であって、該方法が、請求項10または11に記載のワクチンを該家禽に投与することを含むことを特徴とする、ワクチン接種方法。
  13. 家禽および/またはその周囲に粗噴霧によりワクチンを投与することを含む、請求項12に記載のワクチン接種方法。
  14. 家禽におけるエイメリア感染または関連疾患徴候の低減のための方法であって、該方法が、請求項10または11に記載のワクチンを該家禽に投与することを含むことを特徴とする方法。
  15. 経口経路によるトリの腸へのTLR3アゴニストの送達方法であって、TLR3アゴニストがキサンタンガムと混合されることを特徴とする方法。
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