本発明は、化合物(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸、またはその薬学的に許容可能な塩、特に、そのメグルミン塩、この化合物を含有する医薬組成物およびNRF2アクチベーターとしてのその使用に関する。
NRF2(NF−E2関連因子2(NF-E2 related factor 2))は、特徴的な塩基性ロイシンジッパーモチーフを含む転写因子のcap−n−collarファミリーのメンバーである。基底条件下で、NRF2レベルは、NRF2と結合し、Cul3に基づくE3−ユビキチンリガーゼ複合体を介してそれをユビキチン化およびプロテアソーム分解の標的とするサイトゾルアクチン結合リプレッサー、KEAP1(Kelch様ECH会合タンパク質1(Kelch-like ECH associating protein 1))によって厳格に制御される。酸化ストレスの状態では、DJ1(PARK7)が活性化され、NRF2がKEAP1と相互作用しないようにすることによってNRF2タンパク質を安定化する。また、KEAP上の反応性システインを修飾するとKEAP1に立体配座変化が起こり、NRF2結合が変化し、NRF2の安定性が増す。従って、細胞内のNRF2レベルは通常の状態では常に維持されるが、この系はNRF2レベル、従って下流のNRF2活性を高めることによって環境ストレスに素早く応答するように設計されている。
進行中の酸化ストレスに直面した不適当に低いNRF2活性が、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の基礎にある病理機序であると思われる。Yamada, K., et al. BMC Pulmonary Medicine, 2016, 16: 27。これは、DJ1などの正のアクチベーターの不適当な不足とKeap1およびBach1などの負のアクチベーターの過剰な存在量を伴う、NRF2アクチベーター間の平衡の変化の結果であり得る。したがって、COPD患者の肺におけるNRF2活性の回復は、このアンバランスの修復ならびに構造細胞(肺胞上皮細胞および内皮細胞を含む)のアポトーシスおよび炎症などの有害なプロセスの緩和をもたらすはずである。これらの効果の結果は、細胞保護作用の増強、肺構造の保護、およびCOPD肺の構造的修復、従って疾病進行の緩徐化であろう。したがって、NRF2アクチベーターはCOPD(Boutten, A., et al. 2011. Trends Mol. Med. 17:363-371)および喘息、急性肺障害(ALI)(Cho, H.Y., and Kleeberger, S.R., 2015, Arch Toxicol. 89:1931-1957; Zhao, H. et al., 2017, Am J Physiol Lung Clee Mol Physiol 312:L155-L162, 初刊2016年11月18日; doi:10.1152/ajplung.00449.2016)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)および肺線維症(Cho, H.Y., and Kleeberger, S.R. 2010. Toxicol. Appl. Pharmacol. 244:43-56)を含む他の呼吸器疾患(respiratory diseases)を処置し得る。
NRF2アクチベーターの治療の可能性は、NRF2経路が不適応とみられるCOPD患者由来の肺マクロファージで例示される。これらの細胞は、対照患者由来の同様の細胞に比べて細菌貪食作用が障害され、in vitroにおいてこの影響はNRF2アクチベーターの添加によって元に戻る。従って、上記の影響に加え、適切なNRF2活性の回復は肺感染症を軽減することによってCOPD増悪を救済することもできる。
このことはNRF2アクチベーターであるスルフォラファンにより証明され、スルフォラファンは、COPDマクロファージおよび煙草煙に曝されたマウス由来の肺胞マクロファージによるMacrophage Receptor with Collagenous structure(MARCO)の発現を増強し、それにより、ex vivoおよびin vivo両方において、これらの細胞細菌貪食作用(緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、判別不能インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae))および細菌クリアランスを向上させる(Harvey, C. J., et al. 2011. Sci. Transl. Med. 3:78ra32)。
肺においてNRF2を標的化する治療の可能性は、COPDに限定されない。むしろ、NRF2経路の標的化は、慢性喘息および急性喘息などの酸化ストレス成分を示す他のヒト肺および呼吸器疾患、限定されるものではないが、オゾン、ディーゼル排気および職業性被爆、線維症、急性肺感染症(例えば、ウイルス性(Noah, T.L. et al. 2014. PLoS ONE 9(6): e98671)、細菌または真菌性)、慢性肺感染症、α1アンチトリプシン病、ALI、ARDSおよび嚢胞性線維症(CF, Chen, J. et al. 2008. PLoS One. 2008;3(10):e3367)を含む環境暴露による続発性の肺疾患の処置を提供する。
NRF2経路を標的とする療法はまた、肺および呼吸器系以外の多くの潜在的使用を有する。NRF2アクチベーターが有用であり得る疾患の多くは、自己免疫疾患(乾癬、IBD、MS)であり、このことはNRF2アクチベーターが一般に自己免疫疾患に有用であり得ることを示唆する。
臨床においては、最も重篤なCKD病期の患者においてNRF2経路標的薬(バルドキソロンメチル)を用いた第III相治験が終了しているが、この薬物は糖尿病性腎症/慢性腎疾患(CKD)を有する糖尿病患者において有効性が示されている(Aleksunes, L.M., et al. 2010. J. Pharmacol. Exp. Ther. 335:2-12)。さらに、敗血症誘発性急性腎障害、他の急性腎障害(AKI)(Shelton, L.M., et al. 2013. Kidney International. Jun 19. doi: 10.1038/ki.2013.248)、および腎移植の際に見られる腎疾患または機能不全においてこのような療法が有効であろうことを示唆する証拠もある。
心臓領域では、バルドキソロンメチルが、肺動脈性高血圧症を有する患者30において現在試験下にあり、他の機構によってNRF2を標的とする薬物もこの疾患領域において有用であり得る。酸化ストレスは罹患心筋層において高まり、心機能を損なう反応性酸素種(ROS)の蓄積[Circ (1987) 76(2); 458-468]および壊死およびアポトーシスの増加の直接的毒性作用[Circ Res (2000) 87(12); 1172-1179]による不整脈に対する感受性の増大[J of Mol & Cell Cardio (1991) 23(8); 899-918]をもたらす。圧負荷のマウスモデル(TAC)において、NRF2遺伝子およびタンパク質の発現は、初期の心臓適応性肥大の際には増大するが、収縮機能障害に関連する後期の不適応性心臓リモデリングでは低下する[Arterioscler Thromb Vasc Biol (2009) 29(11); 1843- 5 1850; PLOS ONE (2012) 7(9); e44899]。加えて、NRF2の活性化は、圧負荷のマウスモデルにおける心筋酸化ストレスならびに心臓のアポトーシス、線維症、肥大、および機能不全を抑制することが知られている[Arterioscler Thromb Vasc Biol (2009) 29(11); J of Mol & Cell Cardio (2014) 72; 305-315; and 1843-1850; PLOS ONE (2012) 7(9); e44899]。NRF2の活性化は、マウス10において心臓I/R傷害から保護すること[Circ Res (2009) 105(4); 365-374; J of Mol & Cell Cardio (2010) 49(4); 576-586]およびラットにおいて心臓I/R傷害後の心筋の酸化傷害を軽減することも示されている。したがって、他の機構によってNRF2を標的とする薬物は、限定されるものではないが、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、および心不全(Oxidative Medicine and Cellular Longevity Volume 2013 (2013), Article ID 104308, 10 pages)、急性冠動脈15症候群、心筋梗塞、心筋修復、心臓リモデリング、心不整脈、駆出率が保たれた心不全(heart failure with preserved ejection fraction)、駆出率が低下した心不全(heart failure with reduced ejection fraction)および糖尿病性心筋症を含む様々な心血管疾患において有用であり得る。
また、NRF2経路を活性化する薬物も、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)(Brain Res. 2012 Mar 29;1446:109-18. 2011.12.064. Epub 2012 Jan 12)および多発性硬化症(MS)を含むいくつかの神経変性疾患の処置に有用である可能性がある。複数のin vivoモデルが、NRF2 KOマウスはそれらの野生型対応物よりも神経毒性的影響に感受性が高いことを示している。NRF2アクチベーターであるtert−ブチルヒドロキノン(tBHQ)によるラットの処置は、ラット脳虚血−再潅流モデルにおいて皮質傷害を軽減し、皮質グルタチオンレベルは、BHQの投与後に、NRF2野生型マウスでは上昇していたが、KOマウスでは上昇していなかった(Shih, A.Y., et al. 2005. J. Neurosci. 25: 10321-10335)。他の標的の中でもNRF2を活性化するテクフィドラ(商標)(フマル酸ジメチル)は、米国で再発寛解型多発性硬化症(MS)の処置のために承認されている。NRF2の活性化はまた、酸化ストレスに対する感受性の増大およびNRF2活性化の障害が報告されている(Paupe V., et al, 2009. PLoS One; 4(1):e4253)フリードライヒ運動失調症の症例を処置する助けとなり得る。オマベロキソロン(RTA−408)も、フリードライヒ運動失調症に関する臨床試験中である。
炎症性腸疾患(IBD、クローン病および潰瘍性大腸炎)ならびに/または結腸癌のモデルにおいてNRF2経路の特異的保護の役割の前臨床証拠がある(Khor, T.O., et al 2008. Cancer Prev. Res. (Phila) 1:187-191)。
加齢黄斑変性(AMD)は、50歳を超える人の視力低下の一般的な原因である。煙草煙は非新生血管(萎縮型)AMDおよびおそらくはまた新生血管(滲出型)AMDの発症の主要なリスク因子である。in vitroおよび前臨床系の所見は、眼損傷の前臨床モデルにおいて、NRF2経路が網膜上皮細胞の抗酸化応答および炎症の調節に関与するという見解を裏づける(Schimel, et al. 2011. Am. J. Pathol. 178:2032-2043)。フックス角膜内皮変性症(FECD)は、角膜内皮細胞アポトーシスを特徴とする進行性の失明性疾患である。これは加齢と低レベルのNRF2発現および/または機能に関連する増大した酸化ストレスの疾患である(Bitar, M.S., et al. 2012. Invest Ophthalmol. Vis. Sci. August 24, 2012 vol. 53 no. 9 5806-5813)。加えて、NRF2アクチベーターは、ブドウ膜炎またはその他の炎症性眼病態において有用であり得る。
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、アルコールをほとんどまたは全く飲まない患者に起こる肝臓の脂肪蓄積、炎症、および損傷の疾患である。前臨床モデルにおいて、NASHの発症は、NRF2を欠いたKOマウスにメチオニンおよびコリン欠乏食を摂らせた場合に著しく加速化される(Chowdhry S., et al. 2010. Free Rad. Biol. & Med. 48:357-371)。コリン欠乏L−アミノ酸欠乏食のラットにおけるNRF2アクチベーターであるオルチプラズおよびNK−252の投与は、組織学的異常、特に、肝線維症の進行を有意に緩徐化した(Shimozono R. et al. 2012. Molecular Pharmacology. 84:62-70)。NRF2調節に従い得る他の肝疾患としては、毒素誘発性肝疾患(例えば、アセトアミノフェン誘発性肝疾患)、ウイルス性肝炎、および肝硬変がある(Oxidative Medicine and Cellular Longevity Volume 2013 (2013), Article ID 763257, 9 page)。
また、最近の研究では、乾癬などの皮膚疾患におけるROSの役割が解明され始めている。乾癬患者における研究は、血清マロンジアルデヒドおよび酸化窒素最終産物の増加と赤血球スーパーオキシドジスムターゼ活性、カタラーゼ活性、ならびに各症例において疾患重症度指数と相関する総抗酸化状態の低下を示した(Dipali P.K., et al. Indian J Clin Biochem. 2010 October; 25(4): 388-392)。また、NRF2アクチベーターは、放射線の皮膚炎/局所的影響(Schafer, M. et al. 2010. Genes & Devl. 24:1045-1058)および放射線被爆による免疫抑制(Kim, J.H. et al., J. Clin. Invest. 2014 Feb 3; 124(2):730-41)の処置にも有用であり得る。
また、NRF2アクチベーターは、妊娠の2〜5%で発症し高血圧症および蛋白尿を伴う疾患である子癇前症において有益であり得ることを示唆するデータもある(Annals of Anatomy - Anatomischer Anzeiger Volume 196, Issue 5, September 2014, Pages 268-277)。
ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(プロジェリア)は、稀で、不変に致死的な早期老化症である。この疾患は、核構築タンパク質ラミンAの変異型であるプロジェリンの構成的産生によって生じ、未知の機序によって、in vivoにおいて多様な形態学的、エピジェネティクス的、およびゲノム的損傷、ならびに間葉系幹細胞(MSC)の消耗をもたらす。早期老化表現型への重要な寄与因子としてNRF2が介在する抗酸化応答の抑制を特定する所見がある(Kubben, N. et al., 2016, Cell 165, 1361-1374)。
心腎症候群は、心臓と腎臓の間の複雑な双方向性の相互関係である。ナリンゲニン(NG)は、様々な生物学的および薬理学的特性を有する天然フラボノイドである。NGは、NRF2の発現を高めた。NRF2の阻害は、Ang IIで処理した心臓線維芽細胞におけるNG誘発性のGCLc発現の増強を顕著に抑制した(Liu et al., Journal of Surgical Research, June 15, 2016 (203) 416-423)。
前臨床データは、急性高山病の動物および細胞モデルを用いた場合に、NRF2活性化活性を有する化合物はNRF2活性を有さない化合物よりも高所誘発性の損傷の回復に良好であることを示している(Lisk C. et al, 2013, Free Radic Biol Med. Oct 2013; 63: 264-273)。
また、NRF2アクチベーターがβ−グロビン遺伝子の点突然変異によって引き起こされ、異常な形状の赤血球の産生をもたらす遺伝性疾患である鎌形赤血球症(SCD)に有益であり得ることを示唆するデータもある。鎌形赤血球は溶血しやすく、それにより血漿中に遊離型のヘムを放出して酸化ストレスおよび炎症を引き起こし、その後、多数の臓器に損傷をもたらす(Keleku-Lukwete, N. et al., 2015, PNAS, vol. 112, no. 39, 12169-12174; Belcher, J.D. et al., Antioxidants & Redox Signaling, 2016, DOI: 10.1089/ars.2015.6571; Owusu-Anash, A. et al., Front. Med. 2015, 9(1): 46-56)。
NRF2アクチベーターは、2015年6月25日公開のWO2015/092713ならびに2016年6月15日出願の同時係属特許出願PCT/IB2016/053544;2016年6月15日出願のPCT/IB2016/053545;2016年12月6日出願のPCT/US2016/057387;および2015年6月15日出願のPCT/CN2016/085806に開示されている。
特に、本発明の化合物((R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸)を50%含有するβ−立体中心における立体異性体の混合物は、PCT/CN2016/085806では、実施例79(3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸)として開示される。(S)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸であるS−β−立体中心異性体は、PCT/CN2016/085806では、実施例258として開示される。
本発明の化合物はNRF2濃度を調節するKEAP1複合体の阻害剤/拮抗剤であることが理解されるであろう。KEAP1タンパク質の阻害は、NRF2の活性化/促進作用をもたらす。今般、本発明の化合物は特にNRF2を活性化するために有用であることが見出された。
一つの側面において、本発明は、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を提供する。
第二の側面において、本発明は、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物、またはそのメグルミン塩を提供する。
さらなる側面において、本発明は、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸,(−)−1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトール塩である化合物を提供する。これは(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸のメグルミン塩であることが理解されるであろう。
別の側面において、本発明は、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物またはその薬学的に許容可能な塩の、NRF2アクチベーターとしての使用を提供する。本発明は、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物またはそのメグルミン塩の、NRF2アクチベーターとして使用を提供することが理解されるであろう。
さらに別の側面では、本発明は、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸またはその薬学的に許容可能な塩と薬学的に許容可能な賦形剤とを含んでなる医薬組成物を提供する。特に、本発明は、NRF2により調節される疾患または障害(本明細書に開示される呼吸器および非呼吸器障害を含む)の処置のための医薬組成物を対象とし、前記組成物は、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物またはその薬学的に許容可能な塩と薬学的に許容可能な賦形剤とを含んでなることに向けられる。本発明の医薬組成物は、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸またはそのメグルミン塩と薬学的に許容可能な賦形剤とを含んでなることが理解されるであろう。
さらなる側面において、本発明は、COPD、喘息、ALI、ARDS、線維症、慢性喘息、急性喘息、環境暴露による続発性の肺疾患(lung disease secondary to environmental exposures)、急性肺感染症、慢性肺感染症、α1アンチトリプシン病、嚢胞性線維症、自己免疫疾患、糖尿病性腎症、慢性腎疾患、敗血症誘発性急性腎障害、急性腎障害(AKI)、腎移植の際に見られる腎疾患または機能不全、肺動脈性高血圧症、高血圧症、心不全、急性冠動脈症候群、心筋梗塞、心筋修復、心臓リモデリング、心不整脈、駆出率が保たれた心不全、駆出率が低下した心不全、糖尿病性心筋症 アテローム性動脈硬化症、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、フリードライヒ運動失調症(FA)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症(MS)、炎症性腸疾患、結腸癌、新生血管(萎縮型)AMDおよび新生血管(滲出型)AMD、眼損傷、フックス角膜内皮変性症(FECD)、ブドウ膜炎または他の炎症性眼病態、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、毒素誘発性肝疾患(例えば、アセトアミノフェン誘発性肝疾患)、ウイルス性肝炎、硬変、乾癬、放射線の皮膚炎/局所的影響(dermatitis/topical effects of radiation)、放射線被爆による免疫抑制、子癇前症、高所病、鎌形赤血球症(SCD)、プロジェリアならびに心腎症候群(CRS)を含む呼吸器および非呼吸器障害を処置する方法であって、それを必要とする患者、特に、ヒトに治療上有効な量の、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を投与することを含んでなる方法を提供する。本発明は、本明細書に開示される呼吸器および非呼吸器障害を処置する方法であって、それを必要とする患者、特に、ヒトに治療上有効な量の、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物またはそのメグルミン塩を投与することを含んでなる方法を提供することが理解されるであろう。
なおさらに別の側面において、本発明は、本明細書に開示される呼吸器および非呼吸器障害の処置のための、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物またはその薬学的に許容可能な塩の使用を提供する。本発明は、本明細書に開示される呼吸器および非呼吸器障害の処置のための、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物またはそのメグルミン塩の使用を提供することが理解されるであろう。
さらなる側面において、本発明は、本明細書に開示される呼吸器および非呼吸器障害の処置のための薬剤の製造における、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物またはその薬学的に許容可能な塩の使用に関する。本発明は、本明細書に開示される呼吸器および非呼吸器障害の処置のための薬剤の製造における、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物またはそのメグルミン塩の使用を提供することが理解されるであろう。
別の側面において、本発明は、本明細書に開示される呼吸器および非呼吸器障害の処置において使用するための、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物またはその薬学的に許容可能な塩に関する。本発明は、本明細書に開示される呼吸器および非呼吸器障害の処置において使用するための、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物またはそのメグルミン塩を提供することが理解されるであろう。
さらなる側面において、本発明は、高血圧症、心不全、急性冠動脈症候群、心筋梗塞、心筋修復、心臓リモデリング、心不整脈、駆出率が保たれた心不全、駆出率が低下した心不全、糖尿病性心筋症、SCD、プロジェリアおよびCRSを処置する方法であって、それを必要とする患者、特に、ヒトに治療上有効な量の、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を投与することを含んでなる方法を提供する。本発明は、本明細書に記載の疾患を処置する方法であって、それを必要とする患者、特に、ヒトに治療上有効な量の、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物、またはそのメグルミン塩を投与することを含んでなる方法を提供することが理解されるであろう。
さらに別の側面では、本発明は、高血圧症、心不全、急性冠動脈症候群、心筋梗塞、心筋修復、心臓リモデリング、心不整脈、駆出率が保たれた心不全、駆出率が低下した心不全、糖尿病性心筋症、SCD、プロジェリアおよびCRSの処置のための、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の使用を提供する。本発明は、本明細書に記載の疾患の処置のための、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物、またはそのメグルミン塩の使用を提供することが理解されるであろう。
さらなる側面において、本発明は、高血圧症、心不全、急性冠動脈症候群、心筋梗塞、心筋修復、心臓リモデリング、心不整脈、駆出率が保たれた心不全、駆出率が低下した心不全、糖尿病性心筋症、SCD、プロジェリアおよびCRSの処置のための薬剤の製造における、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の使用に関する。本発明は、本明細書に記載の疾患の処置のための薬剤の製造における、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物、またはそのメグルミン塩の使用を提供することが理解されるであろう。
さらなる側面において、本発明は、医学的療法において使用するための、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物、またはその薬学的に許容可能な塩に関する。本発明は、医学的療法において使用するための、化合物(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸、またはそのメグルミン塩を提供することが理解されるであろう。
さらなる側面において、本発明は、高血圧症、心不全、急性冠動脈症候群、心筋梗塞、心筋修復、心臓リモデリング、心不整脈、駆出率が保たれた心不全、駆出率が低下した心不全、糖尿病性心筋症の処置において使用するための、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物、またはその薬学的に許容可能な塩に関する。本発明は、本明細書に記載の疾患の処置において使用するための、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物、またはそのメグルミン塩に関することが理解されるであろう。
さらなる側面において、本発明は、心不全を処置する方法であって、それを必要とする患者、特に、ヒトに治療上有効な量の、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を投与することを含んでなる方法に関する。本発明は、心不全を処置する方法であって、それを必要とする患者、特に、ヒトに治療上有効な量の、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物、またはそのメグルミン塩を投与することを含んでなる方法に関することが理解されるであろう。
さらなる側面において、本発明は、心不全の処置のための、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の使用に関する。本発明は、心不全の処置のための、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物、またはそのメグルミン塩に使用に関することが理解されるであろう。
さらなる側面において、本発明は、心不全の処置のための薬剤の製造における、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の使用に関する。本発明は、心不全の処置のための薬剤の製造における、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物、またはそのメグルミン塩に関することが理解されるであろう。
さらなる側面において、本発明は、心不全の処置において使用するための、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物、またはその薬学的に許容可能な塩に関する。本発明は、心不全の処置において使用するための、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物、またはそのメグルミン塩に関することが理解されるであろう。
一つの実施態様では、本発明は、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、特に、そのメグルミン塩の、有効治療物質としての使用を対象とする。より具体的には、本発明は、呼吸器および非呼吸器障害、具体的には、本明細書に列挙された疾患または障害の処置のための、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、特に、そのメグルミン塩の使用を提供する。したがって、本発明は、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、特に、そのメグルミン塩の、処置を必要とする、呼吸器および非呼吸器障害、具体的には、本明細書に列挙された疾患または障害を有するヒトの処置における有効治療物質としての使用を提供する。具体的には、本発明は、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、特に、そのメグルミン塩の、心不全の処置における有効治療物質としての使用を提供する。
加えて、本発明は、高血圧症、心不全、急性冠動脈症候群、心筋梗塞、心筋修復、心臓リモデリング、心不整脈、駆出率が保たれた心不全、駆出率が低下した心不全、糖尿病性心筋症の処置のための、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、特に、そのメグルミン塩の使用を提供する。したがって、本発明は、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、特に、そのメグルミン塩の、処置を必要とする、高血圧症、心不全、急性冠動脈症候群、心筋梗塞、心筋修復、心臓リモデリング、心不整脈、駆出率が保たれた心不全、駆出率が低下した心不全、糖尿病性心筋症を有する患者、特に、ヒトの処置における有効治療物質としての使用を提供する。具体的には、本発明は、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、特に、そのメグルミン塩の、心不全の処置における有効治療物質としての使用を提供する。
一つの側面において、本発明は、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは水和物を提供する。
本発明の他の側面および利点を以下のその実施態様の詳細な説明でさらに記載する。
図1は、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸,(−)−1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトール塩である実施例2の化合物の結晶形のX線粉末回折(XRPD)パターンである。
発明の具体的説明
一つの実施態様では、本発明は、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物(「本発明の化合物」)、またはその薬学的に許容可能な塩、特に、そのメグルミン塩に関する。
(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸(IUPAC命名法規則を用いて命名)である本発明の化合物は、以下の化学式によって表される。
上記に示される(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物はR−β立体中心を有することが当業者には認識されるであろう。
本明細書において化合物(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸またはその塩という場合には、遊離型、またはその塩、例えば、その薬学的に許容可能な塩としての化合物を含むものと理解されるべきである。したがって、一つの実施態様では、本発明は、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物を対象とする。別の実施態様では、本発明は、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物の塩を対象とする。さらなる実施態様では、本発明は、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物の薬学的に許容可能な塩を対象とする。別の実施態様では、本発明は、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物またはその塩を対象とする。さらなる実施態様では、本発明は、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物またはその薬学的に許容可能な塩を対象とする。(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物の特に好ましい塩は、そのメグルミン塩である。さらに別の実施態様では、本発明の化合物は、図1のXPRDパターンを特徴とする、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸、(−)−1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトール塩(本発明の化合物のメグルミン塩)の結晶形である。さらに別の実施態様では、本発明の特定の化合物は、表2の回折データを特徴とする結晶形(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸,(−)−1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトール塩である。
(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、特に、そのメグルミン塩は、NRF2経路を調節し、それにより応答を誘導する(illicit)その能力に基づく潜在的に有益な効果を有する。ゆえに、この化合物は、本明細書に記載の疾患および障害の処置に潜在的に有用である。特に、化合物(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸、またはその薬学的に許容可能な塩、特に、そのメグルミン塩は、イヌで高い経口バイオアベイラビリティを有し(S−β−立体中心異性体と比べた場合)、それによりそれをヒトを含む哺乳動物において、特に経口投与経路に関して、心不全ならびに本明細書に開示されるその他の疾患および障害の処置に潜在的に好結果が得られる薬物とするという証拠がある。
(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物の個々の立体異性体は1以上の不斉中心を含み、当業者に既知の方法によって分割(resolved)することができる。例えば、このような分割は、(1)ジアステレオ異性体塩、複合体またはその他の誘導体の形成;(2)立体異性体特異的試薬を用いた選択的反応、例えば、酵素的酸化もしくは還元;または(3)キラル環境での、例えば、キラルリガンドが結合したシリカなどのキラル支持体での、もしくはキラル溶媒の存在下でのガス液体または液体クロマトグラフィーによって行うことができる。当業者は、所望の立体異性体が上記の分割手順の一つによって別の化学実体へ変換される場合、所望の形態を遊離させるためにさらなる工程が必要とされることを認識するであろう。あるいは、特定の立体異性体は、光学的に活性な試薬、基質、触媒もしくは溶媒を用いた不斉合成により、またはある鏡像異性体を他のものに不斉変換によって変換することにより合成することもできる。
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容可能な」とは、健全な医学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激作用、またはその他の問題もしくは合併症なくヒトおよび動物の組織と接触させる上で使用するのに好適であり、妥当な利益/リスク比に見合った化合物(塩を含む)、材料、組成物、および投与形を指す。
当業者は、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物の薬学的に許容可能な塩が好ましい場合があることを認識するであろう。これらの薬学的に許容可能な塩は、化合物の最終的な単離および精製の際にin situで、またはその遊離酸もしくは遊離塩基の形態の精製化合物をそれぞれ好適な塩基もしくは酸で個別に処理することによって作製することができる。
本発明の化合物は酸性官能基を含み、従って、好適な塩基で処理することによって薬学的に許容可能な塩基付加塩を形成し得る。代表的な薬学的に許容可能な塩基付加塩としては、限定されるものではないが、アルミニウム、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール(TRIS、トロメタミン)、アルギニン、ベネタミン(N−ベンジルフェネチルアミン)、ベンザチン(N,N’−ジベンジルエチレンジアミン)、ビス−(2−ヒドロキシエチル)アミン、ビスマス、カルシウム、クロロプロカイン、コリン、クレミゾール(1−pクロロベンジル−2−ピロリルジン−1’−イルメチルベンズイミダゾール)、シクロヘキシルアミン、ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、ジエチルトリアミン、ジメチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ドーパミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、L−ヒスチジン、鉄、イソキノリン、レピジン、リチウム、リシン、マグネシウム、メグルミン(N−メチルグルカミン)、ピペラジン、ピペリジン、カリウム、プロカイン、キニーネ、キノリン、ナトリウム、ストロンチウム、t−ブチルアミン、および亜鉛が含まれる。
本発明の化合物はまた塩基性官能基を含み、従って、好適な酸で処理することによって薬学的に許容可能な酸付加塩を形成し得る。代表的な薬学的に許容可能な酸付加塩としては、限定されるものではないが、4−アセトアミド安息香酸塩、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、安息香酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、酪酸塩、エデト酸カルシウム、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩(カンシル酸塩)、カプリン酸塩(デカン酸塩)、カプロン酸塩(ヘキサン酸塩)、カプリル酸塩(オクタン酸塩)、桂皮酸塩、クエン酸塩、シクラミン酸塩、ジグルコン酸塩、2,5−ジヒドロキシ安息香酸塩、ジコハク酸塩、ドデシル硫酸塩(エストール酸塩)、エデト酸塩(エチレンジアミン四酢酸塩)、エストール酸塩(ラウリル硫酸塩)、エタン−1,2−ジスルホン酸塩(エジシル酸塩)、エタンスルホン酸塩(エシル酸塩)、ギ酸塩、フマル酸塩、ガラクタル酸塩(ムチン酸塩)、ゲンチジン酸塩(2,5−ジヒドロキシ安息香酸塩)、グルコヘプトン酸塩(グルセプト酸塩)、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グルタミン酸塩、グルタル酸塩、グリセロホスホレート(glycerophosphorate)、グリコール酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、馬尿酸塩、ヒドラバミン(N,N’−ジ(デヒドロアビエチル)−エチレンジアミン)、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、イソ酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩(メシル酸塩)、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸塩(ナパジシル酸塩)、ナフタレン−2−スルホン酸塩(ナプシル酸塩)、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、p−アミノベンゼンスルホン酸塩、p−アミノサリシクレート(p-aminosalicyclate)、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パントテン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルエチルバルビタール酸塩、リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩(トシル酸塩、ピログルタミン酸塩、ピルビン酸塩、サリチル酸塩、セバシン酸塩、ステアリン酸塩、スバセチン酸塩、コハク酸塩、スルファミン酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩(8−クロロテオフィリン酸塩)、チオシアン酸塩、トリエチオジド、ウンデカン酸塩、ウンデシレン酸塩、および吉草酸塩が含まれる。
薬学的に許容可能な塩としては、とりわけ、Berge, J. Pharm. Sci., 1977, 66, 1-19に記載されているもの、またはP H Stahl and C G Wermuth, editors, Handbook of Pharmaceutical Salts; Properties, Selection and Use, Second Edition Stahl/Wermuth: Wiley- VCH/VHCA, 2011 (http://www.wiley.com/WileyCDA/WileyTitle/productCd-3906390519.html参照)に挙げられているものが含まれる。
(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸である化合物は、固体形態または液体形態で存在し得る。固体状態では、それは結晶形もしくは非結晶形で、またはそれらの混合物として存在し得る。当業者ならば、薬学的に許容可能な溶媒和物は結晶化の際に溶媒分子が結晶格子に組み込まれた結晶性化合物から形成され得ることを認識するであろう。溶媒和物は、結晶格子中に組み込まされる溶媒として、限定されるものではないが、エタノール、イソプロパノール、DMSO、酢酸、エタノールアミン、もしくは酢酸エチルなどの非水性溶媒を含んでもよく、またはそれらは水を含んでもよい。結晶格子に組み込まれる溶媒が水である溶媒和物は、一般に「水和物」と呼ばれる。水和物は、化学量論的水和物ならびに変動量の水を含有する組成物を含む。
当業者はさらに、本発明の化合物が結晶形で存在し、多形(すなわち、異なる結晶構造で存在する能力)を示し得ることを認識するであろう。これらの異なる結晶形は一般に「多形体」として知られる。本発明はこのような総ての多形体を含む。多形体は同じ化学組成を有するが、充填、幾何学的配置、および結晶固体状態の他の記述的特性が異なる。従って、多形体は、形状、密度、硬度、変形性、安定性、および溶解特性などの異なる物理特性を持ち得る。多形体は一般に、異なる融点、IRスペクトル、およびX線粉末回折パターンを示し、それらは同定に使用することができる。当業者は、例えば、その化合物の製造に使用される反応条件もしくは試薬、またはその化合物の結晶化/再結晶化に使用される条件を変更または調整することによって、異なる多形体が製造できることを認識するであろう。例えば、温度、圧力、または溶媒を変化させると多形体が得られる。加えて、ある多形体は特定の条件下で別の多形体に自発的に変換し得る。
使用する装置、湿度、温度、粉末結晶の配向、および粉末X線回折(XRPD)パターンを得る上で関与するその他のパラメーターが回折パターンにおける線の出現、強度、および位置にいくらかの変動を生じ得ることも当業者には周知であり、また、理解される。本明細書に示される図の粉末X線回折パターンに「実質的に従う」粉末X線回折パターンは、図のXRPDパターンを示した化合物と同じ結晶形を有する化合物を表すと当業者により見なされるXRPDパターンである。例えば、XRPDパターンは図1のXRPDパターンと同一である場合もあるし、またはより可能性が高いが、いくらか異なる場合がある。このようなXRPDパターンは、本明細書に示される回折パターンの線のそれぞれを必ずしも示さなくてもよく、かつ/またはデータの取得に関与する条件の違いから生じる前記線の出現、強度の若干の変化、または位置の移動を示し得る。当業者は、XRPDパターンの比較によって結晶性化合物のサンプルが本明細書に開示される形態と同じ形態を有するか異なる形態を有するかを決定することができる。例えば、当業者は、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸,(−)−1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトール塩の結晶形のサンプルのXRPDパターンを図1のXRPDパターンと重ね、当技術分野における専門技術と知識を用いて、そのサンプルのXRPDパターンが図1のXRPDパターンに実質的に従う化合物どうかを容易に決定することができる。XRPDパターンが図1に実質的に従えば、そのサンプル形態は、本明細書に記載の(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸、(−)−1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトール塩の結晶形と同じ形態を有すると容易かつ正確に同定することができる。同様に、当業者は、XRPDパターンから得られる所与の回折角(°2θで表される)が列挙される値とほぼ同じ位置であるかどうかを決定することができる。
本発明はまた、1以上の原子が自然界に通常見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子に置き換わっているということ以外は、式(I)および下記に挙げられたものと同一である同位体標識化合物も含む。本発明の化合物およびそれらの薬学的に許容可能な塩に組み込むことのできる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素、およびヨウ素の同位体、例えば、2H、3H、11C、13C、14C、15N、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123I、および125Iが挙げられる。
上記の同位体および/または他の原子の他の同位体を含有する本発明の化合物およびその薬学的に許容可能な塩は本発明の範囲内にある。同位体で標識された本発明の化合物、例えば、3H、14Cなどの放射性同位体が組み込まれた化合物は、薬物および/または基質の組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化、すなわち、3H同位体および炭素−14、すなわち、14C同位体は、それらの調製の容易さおよび検出性のために特に好ましい。11Cおよび18F同位体は、PET(陽電子放出断層撮影)において特に有用であり、125I同位体は、SPECT(単一光子放射型コンピューター断層撮影)において特に有用であり、総て脳撮像において有用である。さらに、重水素、すなわち、2Hなどのより重い同位体による置換により、より大きい代謝安定性、例えば、in vivo半減期の延長または用量要求の低減から生じる特定の治療利益を得ることができ、それゆえ、状況によっては好ましいことがある。本発明の式(I)および下記の同位体標識化合物は一般に、以下のスキームおよび/または実施例で開示された手順を実施することにより、非同位体標識試薬の代わりに、容易に入手し得る同位体標識試薬を用いることによって製造可能である。
化合物の製造
当業者は、本明細書に記載の置換基が本明細書に記載の合成方法と適合しなければ、その置換基はそれらの反応条件に安定である好適な保護基で保護し得ることを認識するであろう。この保護基は、反応手順の好適な時点で除去して所望の中間体または標的化合物を得ることができる。このような好適な保護基を用いて種々の置換基を保護および脱保護するための好適な保護基および方法は当業者に周知であり、その例は、T. Greene and P. Wuts, Protecting Groups in Chemical Synthesis (第3版), John Wiley & Sons, NY (1999)に見出すことができる。場合によって、置換基は、使用する反応条件下で反応性があるように特に選択することができる。これらの状況下、それらの反応条件は、選択された置換基を、中間体化合物として有用であるか、または標的化合物における所望の置換基である別の置換基に変換する。
本発明の化合物、およびその薬学的に許容可能な塩の合成は、下記のスキーム1〜4に概略を示すように達成することができる。省略形は実験の節に定義される通りである。出発材料は市販されているか、または市販の出発材料から当業者に既知の方法を用いて製造される。
条件:a)NaN3;b)H2、Pd/C;c)MgSO4、NaBH4;d)KOtBu、Boc2O;e)HCl
条件:a)BH3−DMS;b)NaH、PMB−Cl
条件:a)MeNH2、EtOH;b)NBS;c)Fe、HCl;d)t−BuONO、HF−BF3;e)t−Bu−アクリラート、Pd(OAc)2、P(O−tol)3;f)TFA;g)PivCl、LiCl;h)Mg、CuBr−DMS;i)MgBr、EtOH;j)DDQ;k)SOCl2;l)LiOH
生物活性
上述のように、本発明の化合物はNRF2アクチベーターであり、COPD、喘息、ALI、ARDS、線維症、慢性喘息、急性喘息、環境暴露による続発性の肺疾患、急性肺感染症、慢性肺感染症、α1アンチトリプシン病、嚢胞性線維症、自己免疫疾患、糖尿病性腎症、慢性腎疾患、敗血症誘発性急性腎障害、AKI、腎移植の際に見られる腎疾患または機能不全、肺動脈性高血圧症、高血圧症、心不全、急性冠動脈症候群、心筋梗塞、心筋修復、心臓リモデリング、心不整脈、駆出率が保たれた心不全、駆出率が低下した心不全、糖尿病性心筋症 アテローム性動脈硬化症、PD、AD、FA、ALS、MS、炎症性腸疾患、結腸癌、新生血管(萎縮型)AMDおよび新生血管(滲出型)AMD、眼損傷、FECD、ブドウ膜炎または他の炎症性眼病態、NASH、毒素誘発性肝疾患(例えば、アセトアミノフェン誘発性肝疾患)、ウイルス性肝炎、硬変、乾癬、皮膚炎/放射線の局所的影響、放射線被爆による免疫抑制、子癇前症、高所病、SCD、プロジェリアならびにCRSを含む、呼吸器および非呼吸器障害などの酸化ストレス成分を示すヒト疾患の処置において有用である。
加えて、本発明の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、特に、そのメグルミン塩は、高血圧症、心不全、急性冠動脈症候群、心筋梗塞、心筋修復、心臓リモデリング、心不整脈の処置において有用である。
本発明の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、特に、そのメグルミン塩の生物活性は、NRF2アクチベーターとしての候補化合物の活性を決定するための任意の好適なアッセイ、ならびに組織およびin vivoモデルを用いて決定することができる。
本発明のものである化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、特に、そのメグルミン塩の生物活性は、以下の試験によって実証される。
BEAS−2B NQO1 MTTアッセイ
DTジアホラーゼとも呼ばれるNAD(P)H:キノンオキシドレダクターゼ1(NQO1)は、キノンの強制的NAD(P)H依存性二電子還元を触媒し、一電子還元から生じるフリーラジカルおよび反応性酸素種の毒性および新生物作用から細胞を保護するホモ二量体FAD含有酵素である。NQO1の転写はNRF2によって微調節され、従って、NQO1活性は、NRF2の活性化の良好なマーカーである。1日目に、冷凍BEAS−2B細胞(ATCC)を水浴中で解凍し、計数し、250,000細胞/mLの濃度で再懸濁させる。50マイクロリットルの細胞を384ウェル黒色透明底プレートに播種する。プレートを37℃、5%CO2で一晩インキュベートする。2日目に、プレートを遠心分離し、50nLの化合物または対照を細胞に加える。次に、プレートを37℃、5%CO2で48時間インキュベートする。4日目に、プレートから培地を吸引し、粗細胞溶解液は、10mLの溶解バッファー当たり13uLの1×Cell Signaling Technologies溶解バッファーを1錠のComplete,Mini,EDTA不含プロテアーゼ阻害剤タブレット(Roche)を加えることにより作製する。溶解後、プレートを室温で20分間インキュベートする。Cell Titer Gloアッセイ(Promega)で使用するために2マイクロリットルの溶解液を取り出し、NQO1活性の測定のためにMTTカクテルを調製する(Prochaska et. al. 1998)。50マイクロリットルのMTTカクテルを各ウェルに加え、プレートを遠心分離し、Envisionプレートリーダー(Perkin Elmer)にて吸光度570nm標識を用いて30分間分析する。生成物の形成を動力学的に測定し、NQO1比活性誘導のEC50を、化合物濃度の対数に対して吸光度の変化(ΔOD/分)をプロットした後に3パラメーターフィッティングを行うことによって計算する。
NRF2−Keap1 FPアッセイ
NRF2−Keap1相互作用の一つのモデルは、NRF2上のNeh2ドメイン内の2つの結合部位によるものである。これらの2つの部位は、DLG結合モチーフ(ラッチドメイン、uM親和性)およびETGE結合モチーフ(ヒンジドメイン、nM親和性)と呼ばれる。Keap1タンパク質は、N末端領域(NTR)、broad complex, tramtrack, and brick a’ brac domain(BTB)、介在領域(IVR)、ダブルグリシンリピートドメイン(DGRまたはKelch)、およびC末端領域からなる。NRF2のNeh2ドメインのDLGおよびETGEモチーフは、異なる親和性でKeap1のKelchドメインと結合する。Keap1 Kelch蛍光偏光(FP)アッセイでは、NRF2のETGEモチーフとKeap1のKelchドメイン(321−609)を含む、TAMRA標識16マーペプチド(AFFAQLQLDEETGEFL)が使用される。このアッセイでは、化合物がKeap1(361−609)とTAMRA標識ペプチドの間の結合に干渉するかどうかを決定する。TAMRA標識NRF2ペプチドとKeap1(321−609)の結合は、高いFPシグナルを生じる。化合物がこのペプチドとこのタンパク質の間の結合に干渉すれば、アッセイシグナルを低下させる。したがって、アッセイシグナルは結合阻害に反比例する。
FPアッセイ:
DMSO中100nlの100×化合物用量応答曲線(3倍希釈系)を、エコーリキッドハンドリングシステム(Labcyte)を用いて384ウェル低容量黒色アッセイプレート(Greiner、#784076)にスタンプ(stamped)し、第6列と第18列にはDMSOをスタンプする。最高濃度の化合物は第1列と第13に配置する。Keap1(321−609)を1×アッセイバッファー(50mM Tris、pH8.0、100mM NaCl、5mM MgCl2、1mM DTT、2mM CHAPS、および0.005%BSA)で40nM(2×)に希釈し、5ulを第18列を除く化合物プレートの総てのウェルに、メタルチップディスペンサーを備えたMultidrop Combi(Thermo Electron Corporation)を用いて加える。第18列には5ulのアッセイバッファーのみを入れる。直ちに、5uLの16nM(2×)のTamra標識ペプチド(AFFAQLQLDEETGEFL、21st Century Biochemicals)をプレートの総てのウェルに加える。これらのプレートを500rpmで1分間回転させ、室温で1時間インキュベートし、Tamraプローブ用に設計された励起(530/25nm)および発光(580/10nm)フィルターを備えたAnalyst GT(Molecular Devices)で読み取る。Analystには561nmダイクロイックミラーも使用する。Keap1(321−609)およびTamra標識ペプチドのアッセイ終濃度はそれぞれ20nMおよび8nMである。mPとして表される蛍光測定値をデータ変換に使用する。化合物活性は、アッセイにおいて対照(対照1はTamraペプチドとKeap1(321−609)を一緒に含有し(0%応答)、対照2はTamraペプチド単独を含有する(100%応答))に対して正規化された阻害パーセントに基づいて計算する。データ解析は、ソフトウエアパッケージAbase XE(サリー、英国)を用いて行う。阻害率%値は下式により計算する。
100−(100*((化合物応答−平均対照2)/(平均対照1−平均対照2)))
pIC50の計算では、Abase XEは4パラメーター式を用いる。
NRF2−Keap1 TR−FRETアッセイ
NRF2−Keap1 TR−FRET(時間分解蛍光共鳴エネルギー移動)アッセイでは、全長NRF2タンパク質および全長Keap1タンパク質(Keap1は二量体として存在する)を使用する。このアッセイでは、FlagHisタグを有するKeap1の結合をビオチン化されたAviタグを有するNRF2タンパク質で置換する化合物の能力を検出する。ビオチン−NRF2は、ストレプトアビジン−ユウロピウム(検出混合物の成分)と結合し、Keap1−FlagHisは、抗Flag APC(アロフィコシアニン)抗体(これもまた検出混合物の成分)により認識される。これら2つのタンパク質の間で結合が生じれば、615nmのEu+3(ドナー)から665nmのAPC(アクセプター)へエネルギー移動が見られる。潜在的Keap1阻害剤は、Keap1のNRF2への結合に干渉することによってTR−FRETシグナルに低下を生じる。
DMSO中100ナノリットルの100×化合物用量応答曲線(3倍希釈系)を、エコーリキッドハンドリングシステム(Labcyte)を用いて384ウェル低容量黒色アッセイプレート(Greiner、#784076)にスタンプし、第6列と第18列にはDMSOをスタンプする。最高濃度の化合物は第1列と第13に配置する。試薬は総てアッセイバッファー(50mM Tris、pH8.0、5mM MgCl2、100mM NaCl、0.005%BSA、1mM DTT、および2mM CHAPS)に希釈する。アッセイ当日にBSA、DTT、およびCHAPSをアッセイバッファーに加える。メタルチップディスペンサーを備えたMultidrop Combi(Thermo Electron Corporation)を用い、第18列のウェルを除く化合物プレートの総てのウェルに、5ulの25nM Keap1−FlagHisタンパク質を加える。第18列のウェルには代わりに5ulのアッセイバッファーを入れる。プレートを500rpmで1分間遠心分離し、プレートの蓋をして37℃で2.25時間インキュベートする。次に、インキュベーターからプレートを取り出し、15分間室温まで冷ます。その後、5マイクロリットルの50nMビオチン−NRF2タンパク質をプレートの総てのウェルに加え、プレートを500rpmで1分間回転させた後、4℃で1.25時間インキュベートする。次に、プレートを15分間室温に温めた後、10ulの検出混合物(1nMストレプトアビジンEu+ W1024および5ug/mlのSureLight APC抗体結合マウス抗DYKDDDDK IgG;両方ともColumbia Biosciencesから入手)を総てのウェルに加える。プレートを500rpmで1分間回転させ、室温で1時間インキュベートし、Envisionプレートリーダーにて320nmの励起フィルターおよび615nmと665nmの発光フィルターを用いて読み取る。化合物応答(%阻害率)および効力(pIC50)を2種類の発光の比率(665nm/615nm)に基づいて計算した後、変換データをアッセイにおける対照(対照1=NRF2およびKeap1タンパク質の存在下の1%DMSOおよび対照2=タンパク質の不在下の1%DMSO)に対して正規化する。データ解析は、ソフトウエアパッケージAbace XE(サリー、英国)を用いて行う。阻害率%値は、下式により(変換)データ比から計算する。
100−(100*(化合物応答−平均対照2)/(平均対照1−平均対照2))
pIC50の計算では、Abase XEは4パラメーター式を用いる。
イヌPK試験
試験は総て、GSK所内動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)による審査の後にGSKの実験動物の管理、福祉および処置に関する方針(Policy on the Care, Welfare and Treatment of Laboratory Animals)に従って行った。身体検査および総血球数を含む試験前健康診断を試験に使用する前の動物に行った。試験当日にサンプル採取のために脳静脈または伏在静脈にカテーテルを一時的に留置した。投与前に動物を一晩絶食させ、血液サンプルを採取して4時間後に食物を与えた。非クロスオーバー計画を用いて静脈内溶液および経口用液の薬物動態試験を行い、投与経路につき2頭、合計4頭の雄のビーグル犬を使用した。
静脈内投与用の用量を、20%カビトロン(商標)および5%DMSO中5種類までの試験化合物のカセットとして調製した。静脈内投与処方物は投与前に0.22ミクロンのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過した。経口溶液用の用量は、6%カビトロン(商標)および5%DMSO中5種類までの化合物のカセットとして調製し、投与前に0.22ミクロンのVWR PTFEフィルターで濾過した。
各動物に60分の静脈内注入または強制経口投与として1mg/kg/化合物(4mL/kg投与容量)の名義的用量を投与した。血液サンプル(各およそ0.25mL)を脳静脈または伏在静脈から採取した。静脈内投与を受けた動物からの血液サンプルは、投与前と15、30、45、60分(注入の終了前)、静脈内注入の開始後62、65、75、90、120、180、240、360、480、600、および1440分の対象時点で採取した。経口投与を受けた動物では、血液サンプルを、投与前と強制経口投与後5、15、30、45、60、90、120、180、240、360、480、600、および1440分の対象時点で採取した。血液から遠心分離によって血漿を単離し、30μLアリコートを非ヘパリン処理管に移し、固体二酸化炭素上で急速冷凍し、液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析(LC/MS/MS)により試験化合物濃度を分析するまでおよそ−80℃で保存した。
薬物動態パラメーターは、Phoenix WinNonlinバージョン6.1.0によるノンコンパートメント法を用いて計算した。各動物につき総てのパラメーターを実際の血液採取時間および実際の用量を用いて計算した。推定曲線下面積(AUC0−inf)は、終末消失勾配の直線部分であると視覚的に評価される少なくとも3つの対数変換濃度の非重み付き線形回帰分析を用いて決定した。経口溶液のバイオアベイラビリティは、2頭の静脈内投与動物から得られた平均静脈内用量とAUC0−inf値を用いて非クロスオーバー様式で計算した。
行った上記のアッセイの結果を下表1にまとめる。
齧歯類と非齧歯類の2種における経口バイオアベイラビリティの実証(>30%)は、それがヒトにおける経口バイオアベイラビリティの信頼を与えるので、化合物の選択に使用される重要な判定基準である。バイオアベイラビリティは一般に、30%未満と30%超の2つのバケットに分類される。<30%のバイオアベイラビリティは、薬剤としての実行可能性を評価する上で有意なリスク、すなわち、ヒトにおいてバイオアベイラビリティがないと思われるシグナル伝達を表す。
当業者は、経口バイオアベイラビリティが>100%という値が「現実」ではなく、アッセイの変動を表すことを理解するであろう。したがって、表1のいくつかの値が100%を超えて報告されたという事実は、そのアッセイの測定誤差および動物ごとの固有のPK変動を表す。従って、ラットバイオアベイラビリティにおける約2倍の差異はそのアッセイの誤差内にあると見なされ、区別不能であることが理解されるであろう。しかしながら、イヌ経口バイオアベイラビリティにおける約5倍の差異(本発明の化合物はイヌにおいて52%の経口バイオアベイラビリティを示したが、S異性体は11%を示した)は、特に、構造の類似性および同等のラットバイオアベイラビリティを考えれば、明確かつ予期されない差異の結果である。
使用方法
本発明の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、特に、メグルミン塩は、COPD、喘息、ALI、ARDS、線維症、慢性喘息、急性喘息、環境暴露による続発性の肺疾患、急性肺感染症、慢性肺感染症、α1アンチトリプシン病、嚢胞性線維症、自己免疫疾患、糖尿病性腎症、慢性腎疾患、敗血症誘発性急性腎障害、AKI、腎移植の際に見られる腎疾患または機能不全、肺動脈性高血圧症、高血圧症、心不全、急性冠動脈症候群、心筋梗塞、心筋修復、心臓リモデリング、心不整脈、駆出率が保たれた心不全、駆出率が低下した心不全、糖尿病性心筋症 アテローム性動脈硬化症、PD、AD、FA、ALS、MS、炎症性腸疾患、結腸癌、新生血管(萎縮型)AMDおよび新生血管(滲出型)AMD、眼損傷、FECD、ブドウ膜炎または他の炎症性眼病態、NASH、毒素誘発性肝疾患(例えば、アセトアミノフェン誘発性肝疾患)、ウイルス性肝炎、硬変、乾癬、皮膚炎/放射線の局所的影響、放射線被爆による免疫抑制、子癇前症、高所病、SCD、プロジェリアならびにCRSを含む呼吸器および非呼吸器障害の処置において有用である。前記障害はそれを必要とする患者、特に、ヒトに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、特に、メグルミン塩を投与することによって処置される。したがって、別の側面において、本発明は、このような病態を処置する方法を対象とする。
一つの実施態様では、本発明の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、特に、メグルミン塩は、COPD、喘息(慢性喘息および急性喘息を含む)を含む呼吸器障害の処置において有用である。
一つの実施態様では、本発明の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、特に、メグルミン塩は、高血圧症、心不全、急性冠動脈症候群、心筋梗塞、心筋修復、心臓リモデリング、心不整脈、駆出率が保たれた心不全、駆出率が低下した心不全および糖尿病性心筋症の処置において有用である。
本発明の処置方法は、治療上有効な量の本発明の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、特に、メグルミン塩を、それを必要とする患者、特に、ヒトに投与することを含んでなる。治療上「有効な量」は、そのような処置を必要とする患者に投与した場合に、本明細書に定義されているように処置を果たすのに十分な化合物の量を意味するものとする。したがって、例えば、本発明の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の治療上有効な量は、それを必要とする患者、例えば、ヒトに投与した場合に、NRF2活性によって媒介される病態が軽減、緩和または予防されるようにNRF2を調節および/または活性化するのに十分な本発明の薬剤の量である。このような量に相当する所与の化合物の量は、特定の化合物の効力(pIC50)、有効性(EC50)、および生体半減期、病態およびその重症度、処置を必要とする患者の属性(例えば、年齢、大きさおよび体重)などの因子によって異なるが、やはり当業者によって慣例的に決定可能である。同様に、化合物の処置の期間および投与の時間(投与間の時間および投与のタイミング、例えば、食前/食中/食後)は、処置を必要とする哺乳動物の属性(例えば、体重)、特定の化合物およびその特性(例えば、薬物動態特性)、疾患または障害およびその重症度、ならびに使用する具体的な組成物および方法によって異なるが、やはり当業者によって決定可能である。
本発明の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩は、健全な医学的判断の範囲内で患者の病態を処置するのに十分であるが重大な副作用を避けるのに十分低い(妥当な利益/リスク比の)化合物の量を意味する「安全かつ有効な量」で投与される。化合物の安全かつ有効な量は、選択された特定の化合物(例えば、化合物の効力、有効性、および半減期を考慮する);選択された投与経路;処置される病態;処置される病態の重症度;処置される患者の年齢、大きさ、体重、および健康状態;処置される患者の病歴;処置期間;併用療法の性質;所望の治療効果などの因子によって異なるが、やはり当業者によって決定可能であることが理解されるであろう。
本明細書で使用する場合、病態に関して「処置する」とは:(1)病態、もしくは病態の生物学的徴候の1以上の寛解または予防、(2)(a)病態に繋がる、もしくは病態の原因となる生物学的カスケードの1以上の部分への、または(b)病態の生物学的徴候の1以上への干渉、(3)病態に関連する症状もしくは影響の1以上の軽減、または(4)病態、もしくは病態の生物学的徴候の1以上の進行の遅延を意味する。
したがって、本発明の処置方法は、本明細書に開示される疾患または病態のいずれかを予防することを含むことが理解されるであろう。
当業者は、「予防」が絶対的な用語ではないことを認識するであろう。医学では、「予防」は、病態もしくはその生物学的徴候の可能性もしくは重症度を実質的に引き下げるため、またはそのような病態もしくはその生物学的徴候の発症を遅延させるための薬物の予防的投与を指すと理解される。
本明細書で使用する場合、「患者」は、ヒトまたはその他の動物を指す。
本発明の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩は、全身投与および局所投与の両方を含むいずれの好適な投与経路によって投与してもよい。全身投与としては、経口投与、非経口投与、経皮投与、直腸投与、および吸入による投与を含む。非経口投与は、腸内、経皮的な、または吸入による以外の投与経路を指し、一般に注射または注入による。非経口投与としては、静脈内、筋肉内、および皮下注射または注入が含まれる。吸入は、口腔を介するものであれまたは鼻道を介するものであれ、患者の肺への投与を指す。局所的投与には、皮膚への適用ならびに眼内、耳内、腟内、および鼻腔内投与が含まれる。
本発明の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩は、1回で投与してもよいし、または複数の用量が所与の期間に様々な時間間隔で投与される投与計画に従って投与してもよい。例えば、用量は、1日に1回、2回、3回、または4回投与してよい。用量は所望の治療効果が達成されるまで、または所望の治療効果を維持するために無期限に投与可能である。本発明の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の好適な投与計画は、吸収、分布、および半減期など、その化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の薬物動態特性によって異なり、当業者ならば決定することできる。加えて、本発明の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩に関する、そのような投与計画で投与される期間を含む好適な投与計画は、当業者の知識および専門技術の範囲内で、処置される病態、処置される病態の重症度、処置される患者の年齢および健康状態、処置される患者の病歴、併用療法の性質、所望の治療効果などの因子によって異なる。このような当業者は、投与計画への個々の患者の応答が示されれば、または個々の患者が変化を必要とする場合には経時的に好適な投与計画が調整を必要とする場合があることをさらに理解するであろう。
典型的な一日用量は、選択された特定の投与経路によって異なり得る。経口投与の典型的な用量は、1日1人当たり1mg〜1000mgの範囲である。好ましい用量は1日1回1〜500mgであり、より好ましくは1日1人当たり1〜100mgである。IV用量は、0.1〜000mg/日の範囲であり、好ましくは0.1〜500mg/日であり、より好ましくは0.1〜100mg/日である。吸入一日用量は10ug〜10mg/日、好ましくは10ug〜2mg/日、より好ましくは50uug〜500ug/日の範囲である。
加えて、本発明の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩は、プロドラッグとして投与してよい。本明細書で使用する場合、本発明の化合物の「プロドラッグ」は、患者に投与した際にin vivoで最終的に本発明の化合物を遊離する化合物の機能的誘導体である。本発明の化合物をプロドラッグとして投与することにより、当業者は以下のうちの1以上を行うことが可能となる:(a)in vivoでの化合物の作用発現の改変;(b)in vivoでの化合物の作用期間の改変;(C)in vivoでの化合物の輸送または分布の改変;(d)in vivoでの化合物の溶解度の改変;および(e)化合物で直面する副作用またはその他の欠点の克服。プロドラッグの作製に用いられる典型的な機能的誘導体としては、in vivoにて化学的または酵素的に開裂される化合物の修飾が挙げられる。リン酸塩、アミド、エーテル、エステル、チオエステル、炭酸塩、およびカルバミン酸塩の作製を含むそのような修飾は当業者に周知である。
組成物
本発明の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩は、必ずしも必要ではないが通常、患者への投与前に医薬組成物へと処方される。したがって、別の側面において、本発明は、本発明の化合物と1以上の薬学的に許容可能な賦形剤とを含んでなる医薬組成物を対象とする。
本発明の医薬組成物は、本発明の化合物の安全かつ有効な量が抽出され、続いて、粉末またはシロップなどとともに患者に与えることができるバルク形態で調製および包装されてよい。あるいは、本発明の医薬組成物は、単位投与形で調製および包装されてよく、ここで、各物理的に別個の単位は安全かつ有効な量の本発明の化合物を含有する。単位投与形として調製される場合、本発明の医薬組成物は一般に1mg〜1000mgを含有する。
本発明の医薬組成物は一般に、本発明の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩のみを含有する。加えて、本発明の医薬組成物は場合により、1以上の付加的な薬学上有効な化合物をさらに含んでなり得る。
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容可能な賦形剤」は、医薬組成物への形態または稠度の付与に関与する薬学的に許容可能な材料、組成物またはビヒクルを意味する。各賦形剤は、混合した場合に、患者に投与した際に本発明の化合物の有効性を実質的に低下させる相互作用および薬学上許容可能でない医薬組成物を生じる相互作用が回避されるよう、医薬組成物の他の成分と適合しなければならない。加えて、当然のことながら、各賦形剤は、それを薬学的に許容可能なものとするに十分に高い純度でなければならない。
本発明の化合物および薬学的に許容可能な1または複数の賦形剤は一般に、所望の投与経路による患者への投与に適合した投与形で処方される。例えば、投与形としては、(1)錠剤、カプセル剤、カプレット剤、丸剤、トローチ剤、散剤、シロップ、エリキシル剤(elixers)、懸濁液、溶液、エマルション、サシェ剤、およびカシェ剤などの経口投与に適合したもの;(2)無菌溶液、懸濁液、および再構成散剤などの非経口投与に適合したもの;(3)経皮パッチなどの経皮投与に適合したもの;(4)坐剤などの直腸投与に適合したもの;(5)ドライパウダー、エアロゾル、懸濁液、および溶液などの吸入に適合したもの;ならびに(6)クリーム、軟膏、ローション、溶液、ペースト、スプレー、フォーム、およびゲルなどの局所投与に適合したものが含まれる。
好適な薬学的に許容可能な賦形剤は、選択された特定の投与形によって異なる。加えて、好適な薬学的に許容可能な賦形剤は、それらが組成物中で果たし得る特定の機能に関して選択してもよい。例えば、特定の薬学的に許容可能な賦形剤は、均一な投与形の作製を容易とするそれらの能力のために選択されてよい。特定の薬学的に許容可能な賦形剤は、安定な投与形の作製を容易とするそれらの能力のために選択されてよい。特定の薬学的に許容可能な賦形剤は、患者への投与後にある器官もしくは身体部分から別の器官もしくは身体部分への本発明の化合物の運搬または輸送を容易とするそれらの能力のために選択されてよい。特定の薬学的に許容可能な賦形剤は、患者コンプライアンスを向上させるそれらの能力のために選択されてよい。
好適な薬学的に許容可能な賦形剤としては、以下の種類の賦形剤:静菌剤、溶質、噴射剤、増粘剤、希釈剤、増量剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤、造粒剤、コーティング剤、湿潤剤、溶媒、共溶媒、沈殿防止剤、乳化剤、甘味剤、香味剤、矯味剤、着色剤、固化防止剤、湿潤剤(hemectants)、キレート剤、可塑剤、増粘剤、酸化防止剤、保存剤、安定剤、界面活性剤、および緩衝剤が含まれる。当業者は、特定の薬学的に許容可能な賦形剤は2つ以上の機能を果たす場合があり、処方物中に存在する賦形剤の量、および処方物中に存在するその他の成分に応じて別の機能を果たす場合があることを認識するであろう。
当業者は、本発明で使用するために適当な量で好適な薬学的に許容可能な賦形剤を選択することを可能とする当技術分野の知識および技能を持っている。加えて、薬学的に許容可能な賦形剤を記載し、適切な薬学的に許容可能な賦形剤の選択に有用であり得る、当業者に利用可能ないくつかの情報源がある。例としては、Remington's Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Company)、The Handbook of Pharmaceutical Additives (Gower Publishing Limited)、およびThe Handbook of Pharmaceutical Excipients (the American Pharmaceutical Association and the Pharmaceutical Press)が挙げられる。
本発明の医薬組成物は、当業者に公知の技術および方法を用いて調製される。当技術分野で慣用される方法のうちのいくつかがRemington’s Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Company)に記載されている。
一つの側面において、本発明は、安全かつ有効な量の本発明の化合物および希釈剤または増量剤を含んでなる錠剤またはカプセル剤などの固体経口投与形を対象とする。好適な希釈剤および増量剤としては、ラクトース、スクロース、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、デンプン(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、およびアルファー化デンプン)、セルロースおよびその誘導体(例えば、微晶質セルロース)、硫酸カルシウム、ならびに第二リン酸カルシウムが含まれる。経口固体投与形は、結合剤をさらに含んでなってよい。好適な結合剤としては、デンプン(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、およびアルファー化デンプン)、ゼラチン、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、トラガカントガム、グアーガム、ポビドン、ならびにセルロースおよびその誘導体(例えば、微晶質セルロース)が含まれる。経口固体投与形は、崩壊剤をさらに含んでなってよい。好適な崩壊剤としては、クロスポビドン、グリコール酸ナトリウムデンプン、クロスカルメロース、アルギン酸、およびカルボキシメチルセルロースナトリウムが含まれる。経口固体投与形は、滑沢剤をさらに含んでなってよい。好適な滑沢剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、およびタルクが含まれる。
別の側面において、本発明は、皮下、筋肉内、静脈内または皮内を含む患者への非経口投与に適合した投与形を対象とする。非経口投与に適合した医薬処方物としては、抗酸化剤、バッファー、静菌剤、およびその処方物を意図されるレシピエントの血液と等張とする溶質を含有し得る水性および非水性無菌注射溶液;ならびに沈殿防止剤および増粘剤を含有し得る水性および非水性無菌懸濁液が含まれる。処方物は単位用量容器または多用量容器、例えば、密閉アンプルおよびバイアルで提供されてよく、使用直前に無菌液体担体、例えば、注射水を添加するだけのフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存されてもよい。即時調合注射溶液および懸濁液は、無菌散剤、顆粒、および錠剤から調製され得る。
別の側面において、本発明は、吸入による患者への投与に適合した投与形を対象とする。例えば、本発明の化合物は、ドライパウダー、エアロゾル、懸濁液、または溶液として肺に吸入されてよい。
吸入による肺への送達のためのドライパウダー組成物は一般に、微粉末としての本発明の化合物を微粉末としての1以上の薬学的に許容可能な賦形剤とともに含んでなる。ドライパウダーで使用するために特に好適な薬学的に許容可能な賦形剤は当業者に公知であり、ラクトース、デンプン、マンニトール、ならびに単糖類、二糖類、および多糖類が含まれる。
本発明において使用するためのドライパウダー組成物は、吸入装置を介して投与される。一例として、このような装置は、例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジ、または例えば、ラミネートアルミ箔のブリスターを包含し得る。種々の実施態様において、各カプセル剤、カートリッジまたはブリスターは、本明細書に示される教示に従う用量の組成物を含有し得る。吸入装置の例としては、本明細書に示される総ての装置を含め、組成物の単位用量送達または多用量送達に意図されるものを含み得る。一例として、多用量送達の場合、処方物は前計量(例えば、Diskus(商標)、英国特許第2242134号、米国特許第6,032,666号、同第5,860,419号、同第5,873,360号、同第5,590,645号、同第6,378,519号および同第6,536,427号参照、もしくはDiskhaler、英国特許第2178965号、同第2129691号および同第2169265号、米国特許第4,778,054号、同第4,811,731号、同第5,035,237号参照)、または使用時計量が可能である(例えば、Turbuhaler、欧州特許第69715号、または米国特許第6,321,747号に記載の装置)。単位用量装置の一例はRotahaler(英国特許第2064336号)である。一つの実施態様では、Diskus(商標)吸入装置は、その長さに沿って間隔をおいて配置された複数の凹部を有するベースシートと、それに対して、各容器が中に所望により本明細書に教示される他の賦形剤および添加剤とともに化合物を含有する吸入可能な処方物を含む複数の容器を画定するように剥離可能に封止されたリッドシートとから形成される細長いストリップを含んでなる。剥離可能なシールは工作シールであり、一つの実施態様では、工作シールは、気密シールである。好ましくは、このストリップは、ロール状に巻かれるのに十分柔軟である。リッドシートおよびベースシートは、好ましくは、互いに封止されない先端部を有し、それらの先端部の少なくとも1つは巻き取り部材に接着されて構成される。また、好ましくは、ベースシートとリッドシートの間の工作シールは、それらの全幅に及ぶ。リッドシートは好ましくは、ベースシートの最初の末端から長手方向にベースシートから剥離し得る。
ドライパウダー組成物はまた、組成物の2つの異なる成分の個別収容を可能とする吸入装置で提供してもよい。したがって、例えば、これらの成分は同時に投与されるが、例えば、個別に、例えば国際公開第03/061743 A1号、同第2007/012871 A1号および/または同第2007/068896号に記載されるような別個の医薬組成物として保存される。一つの実施態様では、成分の個別収容を可能とする吸入装置は、2本の剥離可能なブリスターストリップを有する吸入装置であり、各ストリップは、長さに沿って配置されたブリスターポケット、例えば、各ブリスターストリップ内の複数の容器に前計量用量を含有する。前記デバイスは、装置が作動される度に、各ストリップのポケットを剥離開封し、各ストリップの新たに露出した各用量が、装置のマウスピースと連絡するマニホールドと隣接するような位置にブリスターを置く内部インデックス機構を有する。患者がマウスピースで吸入すると、各用量は、同時に、その関連するポケットからマニホールド中へ吸い出され、マニホールドを介して患者の気道へ飛沫同伴する。異なる成分の個別収容を可能とするさらなる装置は、InnovataのDUOHALER(商標)である。さらに、吸入装置の様々な構造が、同時送達の他、装置からの医薬組成物の逐次または個別送達を提供する。
エアロゾルは、本発明の化合物を液化噴射剤中に懸濁または溶解させることによって形成され得る。好適な噴射剤としては、ハロカーボン、炭化水素、およびその他の液化ガスが含まれる。代表的な噴射剤としては、トリクロロフルオロメタン(噴射剤11)、ジクロロフルオロメタン(噴射剤12)、ジクロロテトラフルオロエタン(噴射剤114)、テトラフルオロエタン(HFA−134a)、1,1−ジフルオロエタン(HFA−152a)、ジフルオロメタン(HFA−32)、ペンタフルオロエタン(HFA−12)、ヘプタフルオロプロパン(HFA−227a)、ペルフルオロプロパン、ペルフルオロブタン、ペルフルオロペンタン、ブタン、イソブタン、およびペンタンが含まれる。本発明の化合物を含んでなるエアロゾルは一般に、定量噴霧式吸入器(MDI)を介して患者に投与される。このような装置は当業者に公知である。
エアロゾルは、一般に多用量吸入器とともに使用される、処方物の物理的安定性を改善するため、バルブ性能を改善するため、溶解度を改善するため、または味を改善するための、界面活性剤、滑沢剤、補助溶媒およびその他の賦形剤などの薬学的に許容可能な付加的賦形剤を含有してよい。
本発明の化合物を含んでなる懸濁液および溶液はまた、ネブライザーを介して患者に送達することもできる。噴霧化に使用される溶媒または懸濁化剤は、水、生理食塩水、アルコールまたはグリコール、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど、またはそれらの混合物などの任意の薬学的に許容可能な液体であり得る。生理食塩水は、投与後に薬理活性をほとんどまたは全く示さない塩を使用する。アルカリ金属またはアンモニウムハロゲン塩などの両有機塩、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウムまたは有機塩、例えば、カリウム、ナトリウムおよびアンモニウム塩または有機酸、例えば、アスコルビン酸、クエン酸、酢酸、酒石酸などがこの目的で使用可能である。
他の薬学的に許容可能な賦形剤も懸濁液または溶液に添加可能である。本発明の化合物は、無機酸、例えば、塩酸、硝酸、硫酸および/またはリン酸;有機酸、例えば、アスコルビン酸、クエン酸、酢酸、および酒石酸など;EDTAまたはクエン酸およびその塩などの錯化剤;またはビタミンEもしくはアスコルビン酸などの酸化防止剤の添加によって安定化され得る。これらは、本発明の化合物を安定化させるために単独でまたは一緒に使用することができる。塩化ベンザルコニウムまたは安息香酸およびその塩などの保存剤も添加可能である。界面活性剤は、特に懸濁液の物理的安定性を改善するために添加可能である。これらには、レシチン、ジオクチルスルホコハク酸二ナトリウム、オレイン酸およびソルビタンエステルが含まれる。
本発明の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩は、アレルギー性疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患の予防または治療において有用であり得る1以上の他の薬剤;例えば、抗原免疫療法、抗ヒスタミン薬、コルチコステロイド(例えば、プロピオン酸フルチカゾン、フロ酸フルチカゾン、二プロピオン酸ベクロメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、フロ酸モメタゾン、トリアムシノロン、フルニソリド)、NSAID、ロイコトリエン調節剤(例えば、モンテルカスト、ザフィルルカスト、プランルカスト)、iNOS阻害剤、トリプターゼ阻害剤、IKK2阻害剤、p38阻害剤、Syk阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、例えば、エラスターゼ阻害剤、インテグリン拮抗剤(例えば、β−2インテグリン拮抗剤)、アデノシンA2a作動剤、メディエーター放出阻害剤、例えば、クロモグリク酸ナトリウム、5−リポキシゲナーゼ阻害剤(ジフロ)、DP1拮抗剤、DP2拮抗剤、PI3Kデルタ阻害剤、ITK阻害剤、LP(リゾホスファチジン酸)阻害剤またはFLAP(5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質)阻害剤(例えば、3−(3−(tert−ブチルチオ)−1−(4−(6−エトキシピリジン−3−イル)ベンジル)−5−((5−メチルピリジン−2−イル)メトキシ)−1H−インドール−2−イル)−2,2−ジメチルプロパン酸ナトリウム)、気管支拡張薬(例えば、ムスカリン性拮抗剤、β−2作動剤)、メトトレキサート、および類似の薬剤;モノクローナル抗体療法、例えば、抗IgE、抗TNF、抗IL−5、抗IL−6、抗IL−12、抗IL−1および類似の薬剤;サイトカイン受容体療法、例えば、エタネルセプトおよび類似の薬剤;抗原非特異的免疫療法(例えば、インターフェロンまたはその他のサイトカイン/ケモカイン、ケモカイン受容体調節剤、例えば、CCR3、CCR4またはCXCR2拮抗剤、その他のサイトカイン/ケモカイン作動剤または拮抗剤、TLR作動剤および類似の薬剤)と併用可能であり得る。
この化合物はまた、シクロスポリン、タクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、プレドニゾン、アザチオプリン、シロリムス、ダクリズマブ、バシリキシマブ、またはOKT3を含む移植を補助する薬剤とも併用可能である。
この化合物はまた、糖尿病の薬剤:メトホルミン(ビグアニド)、メグリチニド、スルホニル尿素、DPP−4阻害剤、チアゾリジンジオン、α−グルコシダーゼ阻害剤、アミリン模倣剤、インクレチン模倣剤およびインスリンとも併用可能である。
この化合物は、利尿剤、ACE阻害剤、ARBS、カルシウムチャネル遮断薬、およびβ遮断薬などの抗高血圧薬と併用可能である。
本発明の一つの実施態様は、1または2種類の他の治療薬を含んでなる組合せを包含する。適当であれば、他の治療成分は、治療成分の活性および/または安定性および/または物理的特徴、例えば溶解度を最適化するために、塩の形態で、例えば、アルカリ金属塩もしくはアミン塩または酸付加塩、またはプロドラッグ、またはエステル、例えば、低級アルキルエステル、または溶媒和物、例えば、水和物として使用され得ることが当業者には明らかであろう。また、適当であれば、治療成分は光学的に純粋な形態で使用され得ることも明らかであろう。
前記に言及した組合せは、好都合には、医薬処方物の形態で使用するために提供されてよく、したがって、上記に定義した組合せを薬学的に許容可能な希釈剤または担体とともに含んでなる医薬処方物は、本発明のさらなる態様を表す。本明細書で使用する場合、「担体」または「薬物担体」は、薬物投与の選択性、有効性、および/または安全性の改善を果たす薬物送達の過程で使用される任意の基剤である。薬物担体は主として、体循環への薬物の放出を制御するために使用される。
このような組合せの個々の化合物は、個別のまたは合わせた医薬処方物として逐次にまたは同時に投与することができる。一つの実施態様では、個々の化合物は、合わせた医薬処方物として同時に投与される。既知の治療薬の適当な用量は当業者には容易に認識される。
したがって、本発明は、さらなる側面において、本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の組合せを別の治療上有効な薬剤とともに含んでなる医薬組成物を提供する。
以下、本発明を下記の実施例を参照することによって説明するが、これらの実施例は単に例示であって、本発明の範囲の限定と解釈されるべきでない。温度は総て摂氏度で示し、溶媒は総て、利用可能な最高純度であり、反応は総て、必要であれば、アルゴン(Ar)または窒素(N2)雰囲気中、無水条件下で行う。
AnaltechシリカゲルGFおよびE.Merckシリカゲル60 F−254薄層プレートを薄層クロマトグラフィーに使用した。フラッシュクロマトグラフィーおよび重力クロマトグラフィーはいずれもシリカゲル230−400、100−200および60−120で行った。本出願において精製に使用したCombiFlash(商標)システムは、Isco,Inc.から購入した。CombiFlash(商標)精製は、充填済みシリカゲルカラム、UV波長254nmによる検出器、および様々な溶媒または溶媒の組合せを用いて行った。
分析的HPLCは、AgilentシステムもしくはWaters Alliance HPLCを2996 PDA検出器とともに、Waters Acquity UPLC−MSもしくはAgilent Infinity 1290をPDAとともに用いて行うか、またはSunfire C18カラム、代わりにXSELECT CSH C18カラムにて、0.1%ギ酸改質剤(各溶媒に添加)を含むCH3CNおよび水勾配とともに逆相クロマトグラフィーを用いて行い、塩基性条件は、塩基性改質剤、通常は、アンモニア溶液でpHを10に調整した水中5mM重炭酸アンモニウムまたは10mM重炭酸アンモニウムを使用した。この化合物を、Shimadzu LCシステムをUV214nm波長検出および0.02%TFAで酸性化したH2O−CH3CN勾配溶出(1.9分で4〜95%)とともに使用するLCMSによって分析した。逆相カラムは、50℃での2.1×20mm Thermo Hypersil Gold C18(1.9u粒子)であった。シングル四重極MS検出器は、陽イオンで作動させるSciex 150EXまたはWaters ZQのいずれかであった。あるいは、LC−MSは、PE Sciexシングル四重極150EX LC−MS、またはWaters ZQシングル四重極、Waters 3100シングル四重極、Agilent 6130 SQDまたはAgilent 6120シングル四重極LC−MS装置のいずれかを用いて測定した。この化合物は、0.02%または0.1%TFAなどの低パーセンテージの酸性改質剤を含むCH3CNおよび水の勾配を用いて溶出する逆相カラム、例えば、Thermo Hypersil Gold C18、Luna C18、Sunfire C18および/またはZorbax C18を使用して分析される。
分析的キラルSFCは、Thar/Waters SFCシステムを可変波長UV検出とともに使用して行った。様々なキラルSFCカラム、例えば、Chiralpak IA、IB、IC、ID、IF、IG、AY、AD、OD、C2、AS、OJ、CCL4を精製において使用した。これらの化合物を、超臨界流体CO2ならびにMeOH、EtOH、IPA、およびこれらの溶媒の組合せなどの補助溶媒を化合物の選択性に基づいて種々の比率で用いて溶出させる。改質剤(0.1%〜0.4%のTFA、NH4OH、DEA、TEA)が必要に応じて使用される。
セライト(商標)は、酸で洗浄した珪藻土シリカから構成される濾過助剤であり、Manville Corp.、デンバー、コロラド州の登録商標である。Isolute(商標)は、官能基化シリカゲルベースの吸着剤であり、Biotage AB Corp.,スウェーデンの登録商標である。
核磁気共鳴スペクトルは、Bruker AVANCE 400もしくはBrucker DPX400分光計またはVarian MR400分光計を用いて400MHzで記録した。CHCl3−dはジュウテリオクロロホルムであり、DMSO−d6はヘキサジュウテリオジメチルスルホキシドであり、MeODはテトラジュウテリオメタノールであり、CD2Cl2はジュウテリオジクロロメタンである。化学シフトは、内部標準テトラメチルシラン(TMS)から低磁場側へ百万分率(δ)で報告され、またはNMR溶媒(例えば、CDCl3中CHCl3)中の残存プロトンシグナルに対して較正される。NMRデータの省略形は次の通りである:s=一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、m=多重線、dd=二重の二重線、dt=二重の三重線、app=見かけの、br=幅広。Jは、ヘルツで測定されるNMR結合定数を示す。
マイクロ波照射による反応混合物の加熱は、Biotage initiator(商標)マイクロ波反応器にて、一般に高い吸光度設定を用いて行った。
ポリマーベースの官能基(酸、塩基、金属キレーターなど)を含有するカートリッジまたはカラムは、化合物の後処理の一部として使用することができる。「アミン」カラムまたはカートリッジは、酸性反応混合物または生成物を中和または塩基性化するために使用される。これらには、Applied Separationsから入手可能なNH2アミノプロピルSPE−ed SPEカートリッジおよびUnited Chemical Technologies,Incから入手可能なジエチルアミノSPEカートリッジが含まれる。
実施例1:(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸
1(a):(R)−1−アジドブタン−2−オール
還流冷却器を備えた丸底フラスコに、(R)−2−エチルオキシラン(26.0g、361mmol)、アジ化ナトリウム(28.1g、433mmol)および塩化アンモニウム (23.15g、433mmol)、次いで、エタノール(200mL)および水(200mL)の溶液を加えた。この反応混合物を100℃で24時間加熱した。この反応混合物を冷却し、エタノールを減圧下で除去し、残った水層をジエチルエーテル(3×250mL)で抽出した。有機抽出液を合わせ、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させて油状物を得た。この油状物をシリカゲルクロマトグラフィー(0〜10%MeOH/DCM)により精製し、(R)−1−アジドブタン−2−オール(19.8g、172mmol、収率47.7%)を得た。1H NMR (CHCl3-d) δ: 3.64-3.76 (m, 1H), 3.35-3.46 (m, 1H), 3.20-3.34 (m, 1H), 2.19 (s, 1H), 1.47-1.60 (m, 2H), 0.90-1.06 (m, 3H)
1(b):(R)−1−アミノブタン−2−オール
エタノール(250mL)中、(R)−1−アジドブタン−2−オール(19.80g、172mmol)の溶液に、10%パラジウム炭素(1.830g、17.20mmol)を加え、この懸濁液を水素雰囲気下に72時間置いた。さらなる10%パラジウム炭素(1.830g、17.20mmol)を24および48時間時点で加えた。この反応混合物をセライトで濾過した後、減圧下で蒸発させ、淡黄色油状物(R)−1−アミノブタン−2−オール(13.5g、151mmol、収率88%)を得た。1H NMR (CHCl3-d) δ: 3.43 (m, 1H), 2.77 (m, 1H), 2.64 (br. s., 3H), 2.52 (m, 1H), 1.36-1.48 (m, 2H), 0.87-0.96 (m, 3H)。
1(c):(R)−1−(((3−フルオロピリジン−2−イル)メチル)アミノ)ブタン−2−オール
メタノール(150mL)中、(R)−1−アミノブタン−2−オール(3.70g、41.5mmol)の溶液に、3−フルオロピコリンアルデヒド(4.67g、37.4mmol)、次いで、硫酸マグネシウム(4.50g、37.4mmol)を加え、この反応混合物を0℃で1時間撹拌した。この反応混合物をセライトで濾過し、メタノール(300ml)で洗浄した。この濾液に水素化ホウ素ナトリウム(1.413g、37.4mmol)を2回に分けて加え、この反応混合物を室温で30分間撹拌した。この反応混合物を10%重炭酸ナトリウム溶液で急冷し、メタノールを減圧下で蒸発させた。残った水相を酢酸エチル(3×125mL)で抽出し、合わせた有機抽出液をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(0〜100%/3:1酢酸エチル:エタノール/ヘキサン)により精製し、黄色油状物(R)−1−(((3−フルオロピリジン−2−イル)メチル)アミノ)ブタン−2−オール(5.3g、24.06mmol、収率58.0%)を得た1H NMR (CHCl3-d) δ: 8.36-8.45 (m, 1H), 7.37-7.45 (m, 1H), 7.22-7.32 (m, 1H), 4.10-4.16 (m, 2H), 3.68-3.77 (m, 1H), 2.89 (m, 1H), 2.64 (m, 1H), 1.43-1.55 (m, 2H), 0.90-1.02 (m, 3H)。LC-MS: m/z 199.2 (M+H)+
1(d):2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−カルボン酸(R)−tert−ブチル
ジメチルスルホキシド(100mL)中、(R)−1−(((3−フルオロピリジン−2−イル)メチル)アミノ)ブタン−2−オール(5.20g、26.2mmol)の溶液に、カリウムtert−ブトキシド(3.68g、32.8mmol)を加え、この反応混合物を90℃で45分間撹拌した。この反応混合物を室温に冷却して深紅の溶液を得た。Boc無水物(6.09mL、26.2mmol)を加え、この反応混合物を18時間撹拌した。この反応混合物を酢酸エチル(500mL)で希釈し、有機相を水(4×200mL)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(0〜50%酢酸エチル/ヘキサン)により精製し、橙色の油状物2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−カルボン酸(R)−tert−ブチル(4.84g、17.39mmol、収率66.3%)を得た。1H NMR (DMSO-d6) δ: 8.17 (m, 1H), 7.36 (m, 1H), 7.24 (m, 1H), 4.49-4.76 (m, 2H), 3.93 (br. s., 1H), 3.47-3.74 (m, 2H), 1.52-1.66 (m, 2H), 1.36 (br. s., 4H), 1.25 (s, 5H), 0.96-1.07 (m, 3H)。LC-MS: m/z 279.2 (M+H)+。
1(e):(R)−2−エチル−2,3,4,5−テトラヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン塩酸塩
室温で、1,4−ジオキサン(20mL)中、2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−カルボン酸(R)−tert−ブチル(4.84g、17.39mmol)の溶液に、ジオキサン中4N HCl(100mL、400mmol)を加え、この反応混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、ジエチルエーテル(3×)と共沸させ、クリーム色の固体(R)−2−エチル−2,3,4,5−テトラヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン塩酸塩(3.55g、16.54mmol、収率95%)を得た。1H NMR (DMSO-d6) δ: 9.95-10.36 (m, 2H), 8.38 (m, 1H), 7.66 (m, 1H), 7.51 (m, 1H), 4.39-4.57 (m, 2H), 4.04-4.18 (m, 1H), 3.47-3.60 (m, 1H), 3.24-3.40 (m, 1H), 1.69 (m, 2H), 1.05 (m, 3H)。LC-MS: m/z 179.2 (M+H)+
1(f):(5−ブロモ−2−メチルフェニル)メタノール
テトラヒドロフラン(1.2L)中、5−ブロモ−2−メチル安息香酸(100g、465mmol)の撹拌溶液を、氷浴中で0℃に冷却した。THF中2Nボラン−硫化メチル錯体(302mL、605mmol)を、添加漏斗を介して90分かけて滴下した。この反応混合物を室温に温め、24時間撹拌した。この反応混合物を0℃に冷却し、メタノール(200ml)で急冷し、1時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、得られた油状物をジエチルエーテル(1L)と1N HCl(1L)とで分液した。層を分離し、水層をジエチルエーテル(2×500mL)で抽出した。合わせた有機抽出液を1N HCl(2×500ml)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、軟らかい黄色固体(5−ブロモ−2−メチルフェニル)メタノール(97g、482mmol、収率104%)を得た。1H NMR (CHCl3-d) δ: 7.54 (s, 1H), 7.33 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.05 (d, J=8.3 Hz, 1H), 4.66 (s, 2H), 2.28 (s, 3H), 1.99 (br. s., 1H)。LC-MS: m/z 183.0 (M-OH)+
1(g):4−ブロモ−2−(((4−メトキシベンジル)オキシ)メチル)−1−メチルベンゼン
テトラヒドロフラン(800mL)中、鉱油中60%水素化ナトリウム(24.83g、621mmol)の撹拌懸濁液を0℃に冷却した。テトラヒドロフラン(100ml)中、(5−ブロモ−2−メチルフェニル)メタノール(96g、477mmol)の溶液を90分かけて滴下した後、15分間撹拌した。1−(クロロメチル)−4−メトキシベンゼン(71.5mL、525mmol)を10分かけて滴下した。得られたものを室温に温め、24時間撹拌した。3時間後、この反応混合物にDMF(200ml)を加えた。24時間後、ピペラジン(8.23g、95mmol)を加え、この混合物を1時間撹拌した。この反応混合物を0℃に冷却し、水(200ml)で急冷した後、ジエチルエーテル(1.5L)および水(1L)で希釈し、層を分離した。水層をジエチルエーテル(500mL)で抽出した。合わせた有機抽出液を水(2×500mL)、1N HCl(2×500mL)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して黄色油状物を得た。この油状物をシリカゲルクロマトグラフィー(0〜20%酢酸エチル/ヘキサン)により精製し、無色の油状物4−ブロモ−2−(((4−メトキシベンジル)オキシ)メチル)−1−メチルベンゼン(145g、451mmol、収率95%)を得た。1H NMR (DMSO-d6) δ: 7.49 (m, 1H), 7.38 (m, 1H), 7.24-7.33 (m, 2H), 7.14 (m, 1H), 6.88-6.97 (m, 2H), 4.48 (m, 4H), 3.70 (s, 3H), 2.20 (s, 3H)。LC-MS: m/z=319.0 (M+H)+
1(h):N,3−ジメチル−2−ニトロアニリン
1−フルオロ−3−メチル−2−ニトロベンゼン(50g、322mmol)を、エタノール(250mL)および水中40%メタンアミン(98mL、1128mmol)に溶かした。この反応混合物を8時間加熱還流した後、再び室温に冷却した。この反応混合物を濾過し、橙色の固体N,3−ジメチル−2−ニトロアニリン(47.9g、288mmol、収率89%)を得た。1H NMR (DMSO-d6) δ: 7.29 (t, J=8.0 Hz, 1H), 6.70 (d, J=8.5 Hz, 1H), 6.55 (d, J=7.3 Hz, 1H), 6.51 (d, J=4.3 Hz, 1H), 2.78 (d, J=4.8 Hz, 3H), 2.30 (s, 3H)。LC-MS: m/z 167.2 (M+H)+
1(i):4−ブロモ−N,3−ジメチル−2−ニトロアニリン
N,3−ジメチル−2−ニトロアニリン(47.9g、288mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(250mL)に溶かした。この混合物を5℃に冷却した。150mLのN,N−ジメチルホルムアミドに溶かしたN−ブロモスクシンイミド(51.3g、288mmol)を、添加漏斗を介して滴下し、室温で24時間撹拌した。この反応混合物を水(1.5L)に注ぎ、濾過し、橙色の固体4−ブロモ−N,3−ジメチル−2−ニトロアニリン(73.5g、300mmol、収率99%)を得た。1H NMR (DMSO-d6) δ: 7.56 (d, J=9.3 Hz, 1H), 6.66 (d, J=9.3 Hz, 1H), 6.26 (d, J=4.5 Hz, 1H), 2.73 (d, J=4.8 Hz, 3H), 2.25 (s, 3H)。LC-MS: m/z 245.0 (M+H)+
1(j):4−ブロモ−N1,3−ジメチルベンゼン−1,2−ジアミン
0℃で、酢酸(500mL)およびエタノール(500mL)中、4−ブロモ−N,3−ジメチル−2−ニトロアニリン(78.4g、320mmol)の溶液に、鉄粉(89g、1600mmol)、次いで2N HCl(320mL、640mmol)を加えた。この混合物を1時間撹拌した後、セライトで濾過し、濾液を濃縮して大部分のエタノールを除去した。残渣を酢酸エチル(800ml)および水(800ml)で希釈し、層を分離した。有機抽出液を水(500mL)、10%重炭酸ナトリウム溶液(500mL)、ブラインで洗浄し、減圧下で濃縮し、赤色油状物4−ブロモ−N1,3−ジメチルベンゼン−1,2−ジアミン(67g、311mmol、収率97%)を得た。1H NMR (DMSO-d6) δ: 6.75 (d, J=8.5 Hz, 1H), 6.22 (d, J=8.5 Hz, 1H), 4.48-4.90 (m, 2H), 2.69 (s, 3H), 2.17 (s, 3H)。LC-MS: m/z=215.2 (M+H)+
1(k):5−ブロモ−1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール
亜硝酸tert−ブチル(61.5mL、467mmol、90%テクニカルグレード)およびテトラフルオロホウ酸(97mL、623mmol、48%水溶液)を50mLのアセトニトリルに溶かし、0℃に冷却した。次に、アセトニトリル(200ml)およびテトラフルオロホウ酸(97mL、623mmol、48%水溶液)の溶液に溶かした4−ブロモ−N1,3−ジメチルベンゼン−1,2−ジアミン(67g、311mmol)の溶液を、内部温度が5℃を超えないようにゆっくり滴下した。この反応混合物を5℃で2時間、次いで室温で1時間撹拌した。この反応混合物を水(4L)中、水酸化ナトリウム(100g、2500mmol)の撹拌溶液に注いだ。この溶液が飽和に達するまで塩化ナトリウムを加えた。生じた固体を濾取し、水(2×3L)で洗浄し、風乾し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(25〜100%酢酸エチル/ヘキサン)により精製し、淡黄色固体5−ブロモ−1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール(61g、267mmol、収率86%)を得た。1H NMR (DMSO-d6) δ: 7.66 (m, 2H), 4.30 (s, 3H), 2.70 (s, 3H)。LC-MS: m/z=226 (M+H)+
1(l):(E)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)アクリル酸tert−ブチル
5−ブロモ−1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール(100g、443mmol)およびN,N−ジメチルホルムアミド(1000mL)の溶液を30分間窒素でパージした。トリ−o−トリルホスフィン(27.0g、89mmol)、Pd(OAc)2(9.95g、44.3mmol)、および炭酸カリウム(184g、1330mmol)およびアクリル酸tert−ブチル(130mL、886mmol)を加え、この反応混合物を窒素雰囲気下、100℃で24時間加熱した。この反応混合物を室温に冷却し、水(1L)および酢酸エチル(1L)で希釈し、層を分離した。水層を酢酸エチル(2×1L)で抽出した後、合わせた有機抽出液を水(2×)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗暗色固体をジエチルエーテルで摩砕し、濾過し、真空下で乾燥させ、淡褐色固体(E)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)アクリル酸tert−ブチル(109.3g、収率89%)を得た。1H NMR (DMSO-d6) δ: 7.89-8.00 (m, 2H), 7.67 (m, 1H), 6.54 (d, J=15.8 Hz, 1H), 4.29 (s, 3H), 2.79 (s, 3H), 1.51 (s, 9H)。LCMS: m/z 274.2 [M+H]+
1(m):(E)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)アクリル酸
ジクロロメタン(300mL)中、(E)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)アクリル酸tert−ブチル(107g、391mmol)の溶液に、冷トリフルオロ酢酸(250mL)を加え、この反応混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させた後、クロロホルムと共沸させた。生じた固体をジエチルエーテル中で摩砕し、ベージュ色の固体(E)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)アクリル酸(80g、368mmol、収率94%)を得た。1H NMR (DMSO-d6) δ: 7.90-8.02 (m, 2H), 7.69 (m, 1H), 6.55 (d, J=16.1 Hz, 1H), 4.30 (s, 3H), 2.80 (s, 3H) LC-MS: m/z 218.2 [M+H]+
1(n):(S,E)−3−(3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)アクリロイル)−4−フェニルオキサゾリジン−2−オン
テトラヒドロフラン(1.5L)中、(E)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)アクリル酸(82g、376mmol)の懸濁液に、トリエチルアミン(131mL、939mmol)を加えた。この反応混合物を−25℃に冷却し、塩化ピバロイル(46ml、376mmol)を滴下し、30分間−25℃で撹拌した。塩化リチウム(17.52g、413mmol)を一度に加えた後、(S)−4−フェニルオキサゾリジン−2−オン(58.8g、361mmol)を加え、この反応混合物を室温に温め、1時間撹拌した。この混合物を−25℃に冷却し、塩化ピバロイル(12ml、98mmol)を滴下し、さらに1時間撹拌した。THF(300mL)、次いで、(S)−4−フェニルオキサゾリジン−2−オン(10g、61mmol)および塩化ピバロイル(18ml、147mmol)を加え、この混合物を10℃で1時間、次いで室温で18時間撹拌した。この反応混合物を酢酸エチル(1L)で希釈し、5%NaHSO3(1L)で洗浄した。生じた固体を濾取し、水およびジエチルエーテルで洗浄し、淡黄色固体(S,E)−3−(3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)アクリロイル)−4−フェニルオキサゾリジン−2−オン(104.39g、288mmol、収率77%)を得た。1H NMR (DMSO-d6) δ: 8.05 (d, J=15.8 Hz, 1H), 7.71-7.88 (m, 3H), 7.30-7.45 (m, 5H), 5.61 (m, 1H), 4.83 (m, 1H), 4.30 (s, 3H), 4.24 (m, 1H), 2.78 (s, 3H)。LC-MS: m/z 363.2 [M+H]+
1(o):(S)−3−((R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((4−メトキシベンジル)オキシ)メチル)−4−メチルフェニル)プロパノイル)−4−フェニルオキサゾリジン−2−オン
マグネシウム(4.87g、200mmol)とヨウ素(0.141g、0.556mmol)の混合物を5分間75℃に加熱した。THF(200mL)中、4−ブロモ−2−(((4−メトキシベンジル)オキシ)メチル)−1−メチルベンゼン(50.0g、156mmol)の溶液を15分かけて少量ずつ加え、この混合物を還流下で1時間撹拌した後、室温に冷却して溶液Aを得た。別に、テトラヒドロフラン(150mL)中、臭化銅(I)−硫化ジメチル錯体(16.00g、78mmol)の混合物を−40℃に冷却し、硫化ジメチル(41.1mL、556mmol)で処理した。この反応混合物を−40℃で25分間撹拌した。冷却した溶液Aを、温度を−35〜−45℃の間に維持しながら1時間かけて滴下した。この反応混合物を−20℃に温めた後、(S,E)−3−(3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)アクリロイル)−4−フェニルオキサゾリジン−2−オン(20.15g、55.6mmol)を一度に加えた。得られた混合物を−20℃で30分間撹拌した後、−10℃に温め、30分間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を酢酸エチル(1.5L)に加え、層を分離した。有機抽出液を水(4×500mL)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させて油状物を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(0〜100%酢酸エチル/ヘキサン)により精製し、白色泡沫(S)−3−((R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((4−メトキシベンジル)オキシ)メチル)−4−メチルフェニル)プロパノイル)−4−フェニルオキサゾリジン−2−オン(24.5g、40.5mmol、収率73%)を得た。1H NMR (DMSO-d6) δ: 7.56 (m, 1H), 7.41 (d, m 1H), 7.21-7.25 (m, 3H), 7.16-7.20 (m, 3H), 7.04-7.16 (m, 4H), 6.82-6.89 (m, 2H), 5.36 (m, 1H), 4.91 (m, 1H), 4.69 (m, 1H), 4.34-4.41 (m, 4H), 4.24 (s, 3H), 4.10 (m, 1H), 3.88 (m, 1H), 3.74 (s, 3H), 3.60 (m, 1H), 2.70 (s, 3H), 2.18 (s, 3H)。LC-MS: m/z 605.2 [M+H]+
1(p):(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((4−メトキシベンジル)オキシ)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸エチル
エタノール(30mL)中、(S)−3−((R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((4−メトキシベンジル)オキシ)メチル)−4−メチルフェニル)プロパノイル)−4−フェニルオキサゾリジン−2−オン(2.140g、3.54mmol)の溶液に、臭化マグネシウム(1.629g、8.85mmol)を加え、この反応混合物を4時間撹拌した。さらなる臭化マグネシウム(0.81g、4.5mmol)を加え、この混合物を18時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、生じた白色沈澱を回収し、エタノールで洗浄し、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((4−メトキシベンジル)オキシ)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸エチル(1.46g、2.99mmol、収率85%)を得た。1H NMR (DMSO-d6) δ: 7.56-7.62 (m, 1H), 7.48 (m, 1H), 7.12-7.22 (m, 4H), 7.05-7.11 (m, 1H), 6.83-6.90 (m, 2H), 4.84 (m, 1H), 4.39 (m, 4H), 4.24 (s, 3H), 3.87-3.97 (m, 2H), 3.75 (s, 3H), 3.08-3.23 (m, 2H), 2.75 (s, 3H), 2.18 (s, 3H), 1.01 (m, 3H)。LC-MS: m/z=488.2 [M+H]+
1(q):(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(ヒドロキシメチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸エチル
ジクロロメタン(700mL)中、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((4−メトキシベンジル)オキシ)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸エチル(53.6g、110mmol)の溶液に、水(35mL)を加え、この反応混合物を0℃に冷却した。DDQ(37.4g、165mmol)を加え、この反応混合物を0℃で2時間撹拌した。この反応混合物を10%重炭酸ナトリウム溶液(1L)およびジクロロメタン(750ml)で希釈した後に濾過した。濾液を分離し、水層をジクロロメタン(3×750mL)で抽出した。合わせた有機抽出液を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(0〜100%酢酸エチル/ヘキサン)により精製し、橙色の油状物(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(ヒドロキシメチル)−4−メチルフェニル)プロパノエート(38.1g、104mmol、94%)を得た。1H NMR (DMSO-d6) δ: 7.55-7.63 (m, 1H), 7.46-7.52 (m, 1H), 7.26 (s, 1H), 7.07-7.14 (m, 1H), 6.99-7.06 (m, 1H), 4.98 (m, 1H), 4.85 (m, 1H), 4.41 (m, 2H), 4.25 (s, 3H), 3.94 (m, 2H), 3.07-3.21 (m, 2H), 2.76 (s, 3H), 2.16 (s, 3H), 1.03 (m, 3H)。LC-MS: m/z=368.2 [M+H]+
1(r):(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパノエート
クロロホルム(100mL)中、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(ヒドロキシメチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸エチル(10.10g、27.5mmol)の溶液に、塩化チオニル(4.01mL、55.0mmol)を加え、この反応混合物を室温で1.5時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させた後、共沸させた(3×クロロホルム)。残渣をアセトニトリル(100mL)に溶かし、(R)−2−エチル−2,3,4,5−テトラヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン塩酸塩(7.67g、35.7mmol)およびDIPEA(14.36mL、82mmol)を加えた。この反応混合物を18時間60℃に加熱した。この反応混合物を冷却し、酢酸エチルで希釈し、水(2×)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(0〜100%酢酸エチル/ヘキサン)により精製し、白色泡沫(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパノエート(13.76g、26.1mmol、収率95%)を得た。1H NMR (DMSO-d6) δ: 8.17 (m, 1H), 7.50-7.57 (m, 1H), 7.44-7.49 (m, 1H), 7.39 (m, 1H), 7.26 (m, 1H), 7.13 (s, 1H), 7.01-7.10 (m, 2H), 4.82 (m, 1H), 4.24 (s, 3H), 3.77-3.97 (m, 5H), 3.52 (s, 2H), 3.12 (m, 2H), 2.76-2.91 (m, 2H), 2.74 (s, 3H), 2.20 (s, 3H), 1.43-1.57 (m, 1H), 1.32 (m, 1H), 1.01 (m, 3H), 0.91 (m, 3H)。LC-MS: m/z=528.4 [M+H]+
1(s):(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸
メタノール(350mL)中、(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸エチル(23.00g、43.6mmol)の溶液に、水酸化リチウム(10.44g、436mmol)、次いで水(350mL)を加え、この反応混合物を75℃で4時間撹拌した後、室温に冷却し、溶媒を減圧下で除去した。残渣を水(500mL)に溶かし、pHを6N HCl、次いで1N HClでpH5に調整した。生じた沈澱を濾取し、水で洗浄し、真空下で乾燥させて灰白色固体を得た。この固体をシリカゲルクロマトグラフィー(50〜100% 3:1EtOAc:EtOH/ヘキサン)により精製して白色固体を得、これを真空下で乾燥させ、クリーム色の固体(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸(16.29g、32.5mmol、収率74.6%)を得た。1H NMR (DMSO-d6) δ: 12.14 (s, 1H), 8.17 (m, 1H), 7.50-7.56 (m, 1H), 7.44-7.49 (m, 1H), 7.40 (m, 1H), 7.27 (m, 1H), 7.00-7.15 (m, 3H), 4.80 (m, 1H), 4.23 (s, 3H), 3.77-3.98 (m, 3H), 3.52 (s, 2H), 2.93-3.11 (m, 2H), 2.69-2.92 (m, 5H), 2.20 (s, 3H), 1.48 (m, 1H), 1.29 (m, 1H), 0.90 (t, J=7.3 Hz, 3H)。LC-MS: m/z 500.3 [M+H]+
実施例2:(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸,(−)−1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトール塩
メチルイソブチルケトン(104mL)に溶かした(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸(10.37g、20.76mmol)の溶液に、水(10.4mL)中、(2R,3R,4R,5S)−6−(メチルアミノ)ヘキサン−1,2,3,4,5−ペンタオール(4.05g、20.76mmol)の溶液を加えた。溶媒を減圧下で除去し、残渣をエタノール(150mL)から結晶化させ、白色固体(R)−3−(1,4−ジメチル−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−イル)−3−(3−(((R)−2−エチル−2,3−ジヒドロピリド[2,3−f][1,4]オキサゼピン−4(5H)−イル)メチル)−4−メチルフェニル)プロパン酸,(−)−1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトール塩(10.96g、15.62mmol、収率78%)を得た。LC-MS: m/z 500.3 [M+H]+。1H NMR (DMSO-d6) δ: 8.17 (m, 1H), 7.50 (m, 1H), 7.44 (m, 1H), 7.38 (m, 1H), 7.25 (m, 1H), 7.08 (s, 1H), 7.07 - 7.03 (m, 1H), 7.05 - 7.01 (m, 1H), 4.81 (m, 1H), 4.22 (s, 3H), 3.96 - 3.91 (m, 1H), 3.87 - 3.82 (m, 1H), 3.84 - 3.78 (m, 1H), 3.74 - 3.70 (m, 1H), 3.63 (m, 1H), 3.59 (m, 1H), 3.50 (s, 2H), 3.50 - 3.46 (m, 1H), 3.42 - 3.39 (m, 1H), 3.40 - 3.35 (m, 1H), 2.95 - 2.89 (m, 1H), 2.89 - 2.82 (m, 1H), 2.90 - 2.82 (m, 1H), 2.81 - 2.74 (m, 1H), 2.73 (s, 3H), 2.72 - 2.63 (m, 2H), 2.31 (s, 3H), 2.19 (s, 3H), 1.48 (m, 1H), 1.29 (m, 1H), 0.89 (m, 3H)。値はDMSO中でのCASS NMRレポートから使用。OH/NHが視認されることが理解されるであろう。
結晶化:
X線粉末回折パターン(XRPD)は、PANalytical X’Pert Pro回折装置にて、Niフィルターを通したCu Ka(45kV/40mA)放射線とステップサイズ0.02°2θおよびX’celerator TM RTMS(Real Time Multi−Strip)検出器を用いて取得した。入射ビーム側の構成:固定発散スリット(0.25°)、0.04ラッドソーラースリット、散乱防止スリット(0.25°)、および10mmビームマスク。回折ビーム側の構成:固定発散スリット(0.25°)および0.04ラッドソーラースリット。サンプルをゼロバックグラウンドSiウエハー上に平坦に載せた。実施例2の化合物のX線粉末回折(XRPD)パターンは、表2に見られる以下の代表的なピークを有する。