<比較技術の説明>
本実施形態の説明に当たり、図1を用いて、本実施形態の技術と比較される比較例について説明する。図1は読み取った書類8の電子データ(画像データと呼ばれる場合がある)に対しマスク処理を施して1つのファイルを作成する画像形成装置10について説明する図である。ファイルとは、情報処理装置でデータを扱うときの基本単位となる、データのまとまりである。ファイルには、ファイル名とファイルの種類を表す拡張子が付与される。また、画像形成装置10は給紙トレイに置かれた書類8を自動的にコンタクトガラス上に送り出す(給紙する)ADF:オートドキュメントフィーダー)という装置を有している。
ユーザが一まとめに取り扱いたいKページの一式の書類を1部という。ADFによりN部(N≧2)の書類8が1回の読取作業で読み取られる。1回の読取作業とは、書類8をユーザがADFに置くこと、読取条件を設定すること、及び読取を開始することをいう。一まとめに取り扱いたい書類8は、複数のページで情報を伝える役目を果たす書類や各ページが何らかの関連を持っているような書類である場合が多い。例えば、個人情報が記載された書類若しくはカード、雇用の応募書類、カルテ、会議の資料、社内の申請書、自治体内の管理文書、又は、操作マニュアルなど様々であり、これらに限られない。本実施形態の書類8は一まとめに取り扱われるものであればよい。また、書類8は1ページで1部を構成してもよい。つまり、ユーザが一まとめに取り扱いたい書類のページ数が1ページの場合である。また、必ずしもマスク処理の対象となる書類8でなくてもよい。
ADFが送り出した書類8の各ページを画像形成装置10が読み取ってファイルを作成する場合、書類8が有する全てのページの電子データから1つのファイルを作成する。つまり、1回の読取作業で読み取られた書類8の電子データは何ページであっても1ファイルに収容される。
マスク処理を行う場合も同様であり、後述するマスク位置指定情報9(1部のページごとにどこをマスク処理するかを指定した位置情報)を用いて画像形成装置10が各ページにそれぞれにマスク処理を施すが、作成されるファイルは1つである。マスク処理を行いたい書類が1部でKページ、それがN部ある場合、K×Nページの電子データが作成されるが、K×Nページで1つのファイルが作成される。例えば、マスク処理を行いたい書類8が1部当たり2ページで5部あり全部で10ページあれば、画像形成装置10はADFを利用して10ページの書類8を電子データに変換し、2ページ分のマスク位置をページ単位に指定するマスク位置指定情報9により、各書類のページごとにマスク処理を行う。マスク処理されたページ数は10ページであるが、10ページ分の電子データで1つのファイルとなる。
しかしながら、元の書類8は一まとめに取り扱いたい一式の書類8がN部まとまったものであるので、出力されるファイルもN個に分割されている方が取り扱い上、好ましい場合が多い。例えば、書類8ごとに異なる個人の書類8がまとめられている場合、複数の個人の電子データを含んだファイルではマスク処理されているとしても各個人にファイルを送信できない。また、送信しないとしても1つのファイルに誰の個人情報が含まれているかなどの管理も面倒になる。従来は、ユーザが1ファイルを別々のファイルに分割していたが、負担が大きかった。
これに対し、画像形成装置10がN部の電子データを用紙などの印刷媒体に印刷する場合、1回の読取作業で10ページの書類8を読み取っても、印刷される印刷媒体はそれぞれ別々である。しかし、10ページの用紙が1つの排紙トレイに排紙されるので、ユーザがKページずつN部に仕分ける必要があり、この場合も負担があった。
<本実施形態の画像形成装置の動作の概略>
そこで、図2に示すように、本実施形態の画像形成装置10は、1回の読取作業で読み取られた複数のページの電子データをN個に分割して出力する。この出力の態様にはファイルに分割する場合と、部単位で印刷する場合とがある。図2は、読み取った複数のページの書類8をN個のファイルに分割して出力する画像形成装置について説明する図である。本実施形態では画像形成装置10に以下の情報が入力される。
a. 書類8の全ページ数R
b. マスク位置指定情報9が有するページ数K
「a. 書類8の全ページ数R」はADFが書類8を読み取ることで入力される。「b.マスク位置指定情報9が有するページ数K」は、ユーザが登録したマスク位置指定情報9のページ数である。画像形成装置10はマスク位置指定情報9をメモリから読み取ることができる。マスク位置指定情報9はページごとに異なるマスク位置を指定できる。
画像形成装置10は「b.マスク位置指定情報9が有するページ数K」によりKページずつファイルを作成するか、又は、Kページずつ印刷するので、N個のファイルが作成されるか、又は、N部の出力媒体が印刷される。したがって、R=K×Nである。
このように、本実施形態の画像形成装置10は、ページごとにマスク処理された書類8を分割して出力することができる。従来、同じことをするためには、ユーザはN回の読取作業が必要であったのに対し、本実施形態の画像形成装置10は部数に関わりなく、1回の読取作業でN個のファイル又はN部の出力媒体が得られるので、ユーザの負担を低減できる。
また、「b.マスク位置指定情報9が有するページ数K」はマスク位置指定情報9のページ数なので、マスク処理を行うために予め設定されている値であり、ユーザはマスク処理の作業を行うだけでRやKを入力することなくページごとにマスク処理されたN部の書類8を分割して出力することができる。
<用語について>
マスク処理とは、情報の内容を判別できない状態にすることをいう。均一な画素を重畳したり置き換えたりすることが多いが、判別できない状態にする画素を使用してよい。また、トリミングして画素を不作為に並び替えてもよい。
書類とは何らかの情報が記載されたシート状部材である。文書と称してもよい。また、読み取られる書類を原稿という場合がある。書類を分割するとは、電子データに変換された書類の各ページをファイルに分割すること、又は、書類の各ページから変換された電子データを部単位でシート材に印刷することをいう。
ページ単位のマスク位置とは1ページ以上まとめてマスク位置を指定でき、ページごとにマスク位置を変更できる(同じでもよい)ことをいう。
ページ数ごとに分割して出力するとは、ファイルに出力する態様ではファイルが分割されていること、例えばファイルごとに異なるファイル名が付与されていることをいい、印刷により出力する態様ではページ数ごとに部単位印刷することをいう。
<システム構成例>
次に、図3を用いてシステム構成について説明する。図3は、ページごとにマスク処理されたN部の書類8を分割して出力するシステムのシステム構成図の一例である。図3(a)のシステムでは画像形成装置10が単体で書類8の読み取り、マスク処理、ファイルの作成、及び、出力を行う。このため、画像形成装置10は情報処理装置としての機能も有している。
画像形成装置10は、画像を用紙などの印刷媒体に印刷する装置である。ただし、本実施形態では書類8を光学的に読み取る読取装置(スキャナ機能)を有すればよく、印刷機能はなくてもよい。画像形成装置10が複数の機能を有する場合、画像形成装置10は複合機と呼ばれる場合がある。複合機とはスキャナ機能、プリント機能、コピー機能、及び、FAX送受信機能など複数の機能を有する装置をいう。MFP(Multi−Function Printer/Product/Peripheral)、SPC(Scan Print Copy)、又は、AIO(All In One)と呼ばれる場合がある。本実施形態では複数の機能を有することまでは要求されず、画像形成装置10は、スキャナ機能を有していればよい。
また、画像形成装置10はADFを有することが好ましい。ADFは給紙トレイに置かれた書類8を1枚ずつ光学読取装置(例えば、コンタクトガラス)に送り出す装置である。両面を読み取る機能を有していてもよい。ADFにより1回の読取作業で複数ページの書類8を読み取ることができる。また、ADFはページ数をカウントする機能を有することが多いため、「a. 書類8の全ページ数R」をユーザが入力する必要がない。ただし、ユーザが「a. 書類8の全ページ数R」を入力するように開発者が画像形成装置10を設計することもできる。例えば、ユーザが「a. 書類8の全ページ数R」を入力すれば、ADFがカウントした全ページ数Rと一致するかどうかを比較できる。
また、ADFがない場合、ユーザは1ページずつ画像形成装置10に書類8を読み取らせて、[継続]ボタンを押すなどの連続操作をすることで、画像形成装置10がRページの電子データを有する1つのファイルを作成する。このようにADFは必須ではない。
なお、画像形成装置10では後述するマスキングアプリが動作しており、マスキングアプリがマスク処理、ファイルの作成、及び、出力を行う。
図3(b)のシステムは、通信ネットワークNを介して通信する画像形成装置10とサーバ30を有している。この場合、画像形成装置10が書類8の読み取りを行い、R=K×Nページの電子データを含む1ファイルをサーバ30に送信する。サーバ30は、マスク処理及びN個のファイルの作成を行う。サーバ30がN個のファイルを所定のフォルダなどに配信できる。また、サーバ30がN個のファイルを画像形成装置10に送信すれば、画像形成装置10がN部の出力媒体を出力することができる。
図3(b)の画像形成装置10はスキャナ機能を有していればよい。サーバ30は情報処理装置又はコンピュータと呼ばれる装置であり、マスキングアプリ20と同等のプログラムを実行できればよい。
また、画像形成装置10は予めサーバ30に保存されている1つのファイルをダウンロードして、マスク処理及びN個のファイルの作成を行うことができる。1つのファイルにはN部の書類の電子データが含まれている。同様に、記憶媒体に記憶されている1つのファイルを読み取って、マスク処理及びN個のファイルの作成を行うことができる。
これにより、例えば各個人の履歴書のファイル(PDFやワード(登録商標)などの電子データ)からサーバ30がまとめて1つのファイル(PDFなどの電子データ)を生成し、画像形成装置10がそのファイルにマスク処理することができる。
図3(c)のシステムは、記憶媒体41と端末装置40を有している。この場合、記憶媒体41には、図3(b)の画像形成装置10が読み取った書類8の電子データが1ファイルとして記憶されている。このファイルには、R=K×Nページの電子データが含まれる。ユーザが記憶媒体41を端末装置40に装着すると、端末装置40がファイルを読み取り、マスク処理及びN個のファイルの作成を行う。端末装置40はN個のファイルを所定のフォルダなどに配信できる。なお、ファイルは記憶媒体41に記憶されている他、図3(b)のサーバ30からダウンロードしてもよい。端末装置40はN個のファイルの印刷指示を、ネットワークを介して接続された任意の画像形成装置に送信することもできる。
なお、図3(c)の端末装置40を画像形成装置10に置き換えても同様のことができる。
端末装置40はPC(Personal Computer)などの情報処理装置又はコンピュータと呼ばれる装置である。マスキングアプリ20と同等のプログラムが実行できればよく、スマートフォン、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)、ウェアラブルPCなどでもよい。
図3(d)のシステムは、画像形成装置10、端末装置40及びサーバ30を有している。この場合、画像形成装置10が書類8の読み取りを行い、R=K×Nページの電子データを含む1ファイルを端末装置40に送信する。ユーザは端末装置40を操作してファイルをサーバ30に送信する。したがって、端末装置40ではブラウザソフトが動作し、サーバ30はWebサーバを兼ねるとよい。WebサーバはHTML、XML、スクリプト言語、及びCSS(cascading style sheet)等で記述された画面情報を生成し、端末装置40に送信するので、端末装置40はブラウザソフトで画面を表示する。この画面には画像形成装置10が読み取った書類8の電子データを含む1ファイルを受け付ける(端末装置40がアップロードする)機能があり、ユーザはファイルをサーバ30に送信できる。
サーバ30は、マスク処理及びN個のファイルの作成を行って端末装置40に送信する。端末装置40はN個のファイルを所定のフォルダなどに配信できる。また、端末装置40がN個のファイルの印刷指示を画像形成装置10に送信すれば、画像形成装置10がN部の出力媒体を出力することができる。
このように、マスク処理と書類8を分割して出力する処理は情報処理装置であれば可能であり、画像形成装置10が実行する場合に限られない。以下では特に言及しない限り、主に図3(a)の構成を用いて説明する。
<ハードウェア構成例>
続いて、図4、図5を用いて画像形成装置10、サーバ30、及び、端末装置40のハードウェア構成例を説明する。
<<画像形成装置>>
図4は、画像形成装置10のハードウェア構成図である。図4に示されているように、画像形成装置10は、コントローラ910、近距離通信回路920、エンジン制御部930、操作パネル940、ネットワークI/F950を備えている。
これらのうち、コントローラ910は、コンピュータの主要部であるCPU901、システムメモリ(MEM−P)902、ノースブリッジ(NB)903、サウスブリッジ(SB)904、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)906、記憶部であるローカルメモリ(MEM−C)907、HDDコントローラ908、及び、記憶部であるHD909を有し、NB903とASIC906との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス921で接続した構成となっている。
これらのうち、CPU901は、画像形成装置10の全体制御を行う制御部である。NB903は、CPU901と、MEM−P902、SB904、及びAGPバス921とを接続するためのブリッジであり、MEM−P902に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタ及びAGPターゲットとを有する。
MEM−P902は、コントローラ910の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM902a、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM902bとからなる。なお、RAM902bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、CD−R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
SB904は、NB903とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC906は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス921、PCIバス922、HDDコントローラ908及びMEM−C907をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC906は、PCIターゲット及びAGPマスタ、ASIC906の中核をなすアービタ(ARB)、MEM−C907を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部931及びプリンタ部932との間でPCIバス922を介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。なお、ASIC906には、USB(Universal Serial Bus)のインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースを接続するようにしてもよい。
MEM−C907は、コピー用画像バッファ及び符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD909は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HD909は、CPU901の制御にしたがってHD909に対するデータの読出又は書込を制御する。AGPバス921は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM−P902に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。
また、近距離通信回路920には、近距離通信回路のアンテナ920aが備わっている。近距離通信回路920は、NFC、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。
更に、エンジン制御部930は、スキャナ部931及びプリンタ部932によって構成されている。また、操作パネル940は、現在の設定値や選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部940a、並びに、濃度の設定条件などの画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキー及びコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなる操作パネル940を備えている。コントローラ910は、画像形成装置10全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル940からの入力等を制御する。スキャナ部931又はプリンタ部932には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれている。
なお、画像形成装置10は、操作パネル940のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリント機能、及びファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリント機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
また、ネットワークI/F950は、通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。近距離通信回路920及びネットワークI/F950は、PCIバス922を介して、ASIC906に電気的に接続されている。
<<サーバ、端末装置>>
図5は、サーバ30のハードウェア構成図である。図5に示されているように、サーバ30は、コンピュータによって構築されており、図5に示されているように、CPU501、ROM502、RAM503、HD504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F(Interface)508、ネットワークI/F509、バスライン510、キーボード511、ポインティングデバイス512、DVD−RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
これらのうち、CPU501は、サーバ30全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。ネットワークI/F509は、通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン510は、図5に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
また、キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。DVD−RWドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD−RW513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD−RWに限らず、DVD−R等であってもよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
なお、端末装置40のハードウェア構成図はサーバ30と同様か、又は、異なるとしても本実施形態の説明上、支障がないものとする。
<画像形成装置の構成の概要>
図6は、マスキングアプリ20の搭載例を示す図である。マスキングアプリ20は操作パネル940で動作する。操作パネル940はタッチパネルと一体の表示装置であり、各種の画面を表示すると共に、ユーザの操作を受け付ける。また、本体1001は書類の読み取りや印刷を行う部分である。操作パネル940は本体1001と接続されている。マスキングアプリ20は、本体1001と通信し、書類8の読み取りを本体1001に行わせ、得られた電子データに対しマスク処理を行う。また、マスキングアプリ20は、ユーザの設定に応じて、マスク済みの電子データからN個のファイルの作成と送信を行うか、又は、マスク済みの電子データをN部の部単位で本体1001に出力させる。本体1001は、N個のファイルをPC1002に送信したり、印刷媒体1003を印刷したりする。
なお、マスキングアプリ20に関わる者として、一般ユーザ1004、管理ユーザ1005、カスタマーエンジニア1006、及び、提供者1007が存在する。一般ユーザ1004はマスキングアプリ20を利用してページごとにマスク処理されたN部の書類8を分割して出力するエンドユーザである。管理ユーザ1005は一般ユーザを管理するユーザである。カスタマーエンジニア1006はマスキングアプリ20を画像形成装置10にインストールする者である。提供者1007はカスタマーエンジニアを介して一般ユーザ又は管理ユーザにマスキングアプリ20を提供する販売社や開発者である。本実施形態では説明の便宜上、画像形成装置10を使用する者を単にユーザとして説明する。
<機能について>
次に、図7を用いて画像形成装置10が有する機能を説明する。図7は、画像形成装置10が有する機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。なお、図7では、マスキングアプリ20が有する機能を示しているが、図7に示す機能は画像形成装置10が有していればよく、マスキングアプリ20が有する必要がある機能を制限するものではない。また、マスキングアプリ20が図示する全ての機能を有していてもよい。
画像形成装置10は、操作受付部11、表示制御部12、マスク位置登録部13、マスク処理部14、イメージ生成部15、ファイル作成部16、エラー判断部17、印刷部18、通信部19、及び、読取部21を有している。画像形成装置10が有するこれらの各機能は、図4に示したHD909からRAM902bに展開されたプログラムをCPU901が実行することにより実現されている機能又は手段である。なお、このプログラム(例えばマスキングアプリ20)は、プログラム配信用のサーバ30から配信されてもよいし、USBメモリや光記憶媒体などの可搬性の記憶媒体に記憶された状態で配布されてもよい。
操作受付部11は画像形成装置10に対する各種の操作を受け付ける。例えば、マスク位置指定情報9の登録のための操作、書類8のマスク処理の操作、及び、読み取られた複数のページの分割出力のための操作等を受け付ける。
表示制御部12は操作パネル940(パネル表示部940a)に各種の画面を表示する。この画面はユーザが画像形成装置10を操作するためのユーザインタフェースとなる。画面にはユーザが行うべき操作のガイド、メニュー、ボタン、ユーザが登録するマスク位置、マスク処理された書類8のイメージ画像(プレビュー)など様々な表示部品が表示される。
マスク位置登録部13は操作受付部11を介してユーザの操作によるマスク位置指定情報9の登録を受け付ける。マスク位置指定情報9は1部の書類の各ページごとに登録される。詳細は後述されるが、マスク位置指定情報9の登録は、画面上でユーザが指で線を引いたりタップしたりするなどの簡単な操作で可能である。
マスク処理部14は、ユーザが選択したマスク位置指定情報9が有するページごとに、読取部21が読み取った1部の書類8の各ページにマスク処理を施す。これをN回繰り返す。例えば、マスク位置指定情報9が指定する範囲を黒い画素で均一に塗りつぶす。
イメージ生成部15はマスク処理部14がマスク処理を施した各ページの電子データのイメージを生成し、表示制御部12を介して操作パネル940に表示する。いわゆるプレビュー表示を行う。このイメージに対し、ユーザはマスク位置の修正を行うことができ、マスク処理部14は操作受付部11を介して修正を受け付ける。
ファイル作成部16は、「b.マスク位置指定情報9が有するページ数K」にしたがって、Kページずつ各ページの電子データが含まれるファイルを作成する。ファイルは例えば、PDF(Portable Document Format)やXPS(XML Paper Specification)などのフォーマットでよい。あるいは、専用のアプリが開くことができるフォーマットのファイルを作成してもよい。ファイルで配布しない場合(印刷だけする場合)は画像形成装置10が対応するPDL(Printer Description Language)で記述されたファイルを作成してもよい。
エラー判断部17は、ページ数に関するエラーの有無を判断する。上記のように、R=K×Nの関係があるが、Kが固定値であるのに対し、RはADFが読み取った書類8の全ページ数である。したがって、書類8の一部が欠落していたりADFの紙送りに重なりが発生したりすると、R=K×Nの関係を満たさなくなる。エラー判断部17はこの関係を満たすかどうかを判断する。
印刷部18は、印刷媒体に電子データを印刷して排紙トレイに出力する出力部である。印刷部18は、Kページを1部とする部単位で排紙トレイに出力するとよい。この他、色紙を挟んだり、回転ソートして印刷媒体の向きを変更したり、ページ端をずらしたりして出力できる。
通信部19は、通信ネットワークNに接続して他の装置と通信する。例えば、社内のLANに接続して、N個に分割されたファイルをフォルダ配信したり、電子メールで送信したりする出力部として機能する。また、別の画像形成装置10が読み取ったファイルを受信する場合がある。
読取部21は書類8を光学的に読み取って、書類8が有する各ページを電子データに変換する。読み取った時点ではMEM−C907やHD909などのメモリに記憶された状態である。この時点で1つ以上のファイルになっていてもよい。読み取りは片面読み取りでも両面読み取りでもよい。
また、画像形成装置10はRAM902b、ROM902a、HD909などにより実現される記憶部29を有している。記憶部29にはマスク位置指定情報記憶部28が構築されている。マスク位置指定情報記憶部28には上記のマスク位置指定情報9が記憶されている。表1にマスク位置指定情報9の一例を示す。
表1は、マスク位置指定情報記憶部28に記憶されているマスク位置指定情報9の一例を示す。マスク位置指定情報9は1部の書類8に対応して書類8のページごとにユーザが登録する。マスク位置指定情報9のページ数は、マスク位置の登録時にユーザが画像形成装置10に読み取らせた1部の書類のページ数である。1部の書類8のページ数がKページの場合、マスク位置指定情報9はK行(表1では3行)となる。1行を1ファイルとして保存してもよい。書類8の任意のページにマスク処理すべき情報がなくても、ページ数分だけマスク位置指定情報9が作成される。
マスク位置指定情報9は、マスク位置指定情報識別情報、名称、ページ番号、及び、マスク位置の各項目を有する。マスク位置指定情報識別情報はマスク位置指定情報9を識別する識別情報である。したがって、1部の書類8ではマスク位置指定情報識別情報は同じ(共通)である。名称はユーザがマスク位置指定情報9を判別するための情報であり、操作パネル940に表示される場合がある。ページ番号は1部の書類8(1部のマスク位置指定情報)におけるページの番号である。ページ番号は例えば、読み取られた順番に付与される連番でよい。マスク位置はページ内におけるマスク処理すべき領域を2つの座標で示す。2つの座標とはマスク処理すべき領域の2つの対角頂点である。1つのページに複数のマスク位置が登録されうる。
マスク処理部14はユーザが選択したマスク位置指定情報9を読み取って、ページごとにマスク処理を施す。また、マスク位置指定情報9のページ数を「b.マスク位置指定情報9が有するページ数K」として、ファイル作成部16がKページを1部とするファイルを作成する。表1ではページ番号が01〜03の3ページなのでK=3である。
<マスク位置指定情報の登録>
次に、図8〜図11を用いてマスク位置指定情報9の登録方法の一例を説明する。図8〜図11は、ユーザがマスク位置指定情報9を登録する際に操作パネル940に表示される画面の遷移例を示す。
図8(a)はホーム画面600であって画像形成装置10にインストールされているアプリのアイコンが表示されている。このうちの1つ(符号601)がマスキングアプリ20である。ユーザがマスキングアプリ20を押下すると、操作受付部11がマスキングアプリ20の選択を受け付けて、マスキングアプリ20が起動する。
図8(b)はマスキングアプリ20の初期画面610である。初期画面610は、「マスキングフォームを利用する」ボタン611、「マスキングフォームを利用しない」ボタン612、及び、「管理メニュー」ボタン613を有する。「管理メニュー」ボタン613によりマスク位置指定情報9の登録が可能になる。
「マスキングフォームを利用する」ボタン611は、マスク位置指定情報9を利用してマスク処理を行う場合に選択される。「マスキングフォームを利用しない」ボタン612は、マスク位置指定情報9を利用せずにユーザがマニュアルで指定したマスク位置でマスク処理を行う場合に選択される。図8(b)では、操作受付部11が「管理メニュー」ボタン613の押下を受け付けたものとする。
図8(c)は「管理メニュー」ボタン613の押下により表示された管理メニュー画面620の一例である。管理メニュー画面620は「マスキングフォームを登録する」ボタン621、「マスキングフォームを変更する」ボタン622、「マスキングフォームを削除する」ボタン623、「設定ファイルをインポートする」ボタン624、「設定ファイルをエクスポートする」ボタン625等を有している。
「マスキングフォームを登録する」ボタン…ユーザが新たにマスク位置指定情報を登録するためのボタンである。
「マスキングフォームを変更する」ボタン…ユーザがすでに登録されているマスク位置指定情報を変更するためのボタンである。
「マスキングフォームを削除する」ボタン…ユーザがすでに登録されているマスク位置指定情報を削除するためのボタンである。
「設定ファイルをインポートする」ボタン…ユーザがマスキングアプリ20の設定(マスク位置指定情報9を含む)を記憶媒体のファイルなどからインポートするためのボタンである。
「設定ファイルをエクスポートする」ボタン…ユーザがマスキングアプリ20の設定(マスク位置指定情報9を含む)を記憶媒体のファイルなどにエクスポートするためのボタンである。図8(c)では、操作受付部11が「マスキングフォームを登録する」ボタン621の押下を受け付けたものとする。
図9(a)は「マスキングフォームを登録する」ボタン621の押下により表示されたマスキングフォーム設定画面630の一例である。マスキングフォーム設定画面630はマスキングフォーム名入力欄631、IDカード設定欄632、及び、次へボタン633を有する。マスキングフォーム名入力欄631はマスク位置指定情報9の名称(表1参照)をユーザが入力するための欄である。IDカード設定欄632は、書類8がIDカードか否かを設定するための欄である。IDカードとは免許証や保険証などの身分を示すカードであり、表と裏を読み取る必要がある。ユーザが「はい」を選択した場合は、画像形成装置10が免許証や保険証の表裏を読取部21がスキャンして、1ページの電子データになるように合成する。ユーザはこの電子データに対しマスク位置を登録する。本実施形態では、操作受付部11が「いいえ」の押下を受け付けたものとする。
図9(b)はマスキングフォーム名が入力されたマスキングフォーム設定画面630の一例である。ユーザはマスキングフォーム名として「ABC」と入力している。ユーザが「次へ」ボタン633を押下するとスキャン条件(読取条件)の設定画面に遷移する。操作受付部11は「次へ」ボタン633の押下を受け付ける。
図10(a)は「次へ」ボタンの押下により表示されたスキャン条件設定画面640の一例である。スキャン条件設定画面640は、原稿サイズの選択メニュー641とスタートボタン642を有している。ユーザは原稿サイズの選択メニュー641からマスク処理の対象の書類8のサイズ(タテ・ヨコで指定される条件)を選択する。図10(a)では「A4ヨコ」サイズが選択されたものとする。操作受付部11は「A4ヨコ」サイズの押下を受け付ける。
ユーザは1部の書類8をADFにセットしスタートボタン642を押下する。操作受付部11はスタートボタン642の押下を受け付ける。図10(a)では1部の書類8が2枚(片面を読み取るものとしてK=2ページ)の場合を説明する。読取部21が書類8を読み取ると、イメージ生成部15が生成した書類8のイメージを表示制御部12が操作パネル940に表示する。
図10(b)は書類8の1ページ目のイメージが表示されたマスク位置設定画面650の一例である。図10(c)は書類8の2ページ目のイメージが表示されたマスク位置設定画面650の一例である。マスク位置設定画面650は、マスク位置指定欄651、マスキングプレビュー移動エリア652、モード選択ボタン653、マスク色指定ボタン654、マスク線幅指定ボタン655、及び、マスク線方向指定ボタン656を有している。マスク位置指定欄651はマスク位置をユーザが指定する欄である。マスキングプレビュー移動エリア652は1ページのうちどの部分をマスク位置指定欄651が表示しているかを表示する。
マスク位置の指定は、モード選択ボタン653で「線を引く」653a又は「矩形マスク」653bで線又は矩形をユーザが選択してから行う。ユーザが線で引いてマスク位置を指定する場合、マスク線幅指定ボタン655で線の太さを選択し、マスク線方向指定ボタン656で線の方向を選択し、マスク対象の領域に線を引くことで行う。ユーザが矩形でマスク位置を指定する場合、マスク対象の領域の左上始点と右下終点をタップすることで行う。図10(b)では「線を引く」653aによりマスク位置が指定されている。図10(c)では「矩形マスク」653bによりマスク位置が指定されている。
また、ユーザは十字キー653cの操作によりマスク位置を移動させたり、選択したマスクを削除したりすることも可能である。また、マスク色指定ボタン654でマスク色を白又は黒から選択できる。また、イメージを拡大・縮小させることもできる。操作受付部11はこれらの設定を受け付ける。
図11(a)はOKボタン657の押下により表示された出力方法設定画面(その1)670の一例である。出力方法設定画面(その1)670は「印刷する」ボタン671とスタートボタン672を有している。ユーザが「印刷する」ボタン671を押下すると、操作受付部11が押下を受け付ける。
図11(b)はOKボタン657の押下により表示された出力方法設定画面(その2)680の一例である。出力方法設定画面(その2)680は出力方法設定画面(その1)670とは別の画面例であり、複数の出力態様をユーザが選択できるようになっている。出力方法設定画面(その2)680は、「印刷する」ボタン681、「ファイル送信する」ボタン682、「印刷とファイルを送信する」ボタン683、及び、スタートボタン684を有している。
ユーザがマスク処理された電子データを印刷媒体として印刷する場合(プリントとして出力する場合)、ユーザは「印刷する」ボタン681を選択する。ファイルとして出力する場合は「ファイル送信する」ボタン682を選択する。両方とも出力する場合は「印刷とファイル送信する」ボタン683を選択する。操作受付部11はこれらの選択を受け付ける。
なお、出力方法設定画面(その2)680は「電子メールで送信する」ボタンを有していてもよい。この場合、出力方法設定画面(その2)680に続いてメールアドレスの入力画面が表示される。
ユーザは自分が登録したマスク位置指定情報9が適切かどうかをテストするため、書類8をADFの給紙トレイに置き、スタートボタン684を押下する。読取部21が書類8を読み取って、マスク処理部14が設定されたマスク位置指定情報9でマスク処理を行い、通信部19又は印刷部18が設定された出力態様で出力する。これにより、ユーザはマスク位置指定情報9が登録できたか否かを確認することができる。ただし、画像形成装置10は確認のための出力を行うことなくマスク位置指定情報9を保存することも可能である。
図11(c)に示すように、出力が終了すると表示制御部12が登録確認画面690を操作パネル940に表示する。登録確認画面690はマスク位置指定情報9を保存するか否かをユーザが確認する画面である。登録確認画面690は「キャンセル」ボタン691とOKボタン692を有しており、ユーザがマスク位置指定情報9を保存する場合、OKボタン692を押下する。マスク位置登録部13は図8〜図11で設定されたマスク位置指定情報9をマスク位置指定情報記憶部28に記憶する。マスク位置指定情報9は、表1に示したように1つのページごとに保存される。1ページにつき1つのファイルとして保存してもよいし、ページ単位に分割せず1つのマスク位置指定情報9を1ファイルに含めてもよい。
マスク位置指定情報9には、マスクの情報以外に、原稿サイズ、ページ数、解像度等のスキャン条件や、出力色、給紙トレイ、印刷部数、倍率等の印刷条件、ファイル出力の際の送信先のフォルダ情報が記録されてもよい。これらの情報はマスク位置指定情報9を保存しているファイルとは別のファイルか、又は同一のファイルに埋め込んで保存することができる。これにより、ユーザがマスク処理を実施する際に、マスク位置指定情報9を選択するだけで、スキャン条件、印刷条件、送信先フォルダの全て又は一部の設定を省略して、マスク処理を行うことができる。
図12は、マスク位置登録部13がマスク位置指定情報9を登録する手順を示すフローチャート図の一例である。
マスク位置登録部13は、図8〜図11で説明したように操作受付部11を介してマスク位置指定情報9を受け付ける(S1)。
次に、マスク位置登録部13は図9(a)(b)のマスキングフォーム設定画面630及び図10(b)(c)のマスク位置設定画面650で設定されたマスク位置指定情報9をページ単位でマスク位置指定情報記憶部28に記憶させる(S2)。マスク位置指定情報識別情報は重複しない連番などでよい。
<ページごとにマスク処理されたN部の書類を分割して出力する処理>
次に、図13〜図15を用いて、マスク位置指定情報9を適用してページごとにマスク処理されたN部の書類8を分割して出力する処理について説明する。図13〜図15は、書類8の読み取り、マスク処理及び出力の際に操作パネル940に表示される画面の遷移例を示す。
図13(a)は図8(b)と同様のマスキングアプリ20の初期画面610である。書類8を登録したマスク位置指定情報9を用いてマスク処理する場合、ユーザは「マスキングフォームを利用する」ボタン611を押下する。操作受付部11はこのボタンの押下を受け付け、表示制御部12がマスク位置指定情報記憶部28から読み取った名称を操作パネル940に表示する。
図13(b)は「マスキングフォームを利用する」ボタン611の押下により操作パネル940に表示されたマスク位置指定情報選択画面710である。マスク位置指定情報選択画面710は、マスク位置指定情報記憶部28に記憶されている各マスク位置指定情報9の名称711を表示する。ユーザは読み取る書類8に応じてマスク位置指定情報9を選択する。操作受付部11はマスク位置指定情報9の選択を受け付ける。
図13(c)はマスク位置指定情報9の選択により操作パネル940に表示された原稿準備画面720である。原稿準備画面720は書類8をADFの給紙トレイに置くようにユーザに促す画面である。ユーザがマスク位置指定情報9のページ数を1部にして書類8をADFにおけるように、原稿準備画面720には「2枚で1部」などのようにユーザが選択したマスク位置指定情報9のページ数Kが表示されるとよい。これにより、ユーザは選択したマスク位置指定情報9のページ数Kと同じページ数を1部にして書類8を準備できる。
ユーザは書類8を準備すると次へボタン721を押下する。操作受付部11は次へボタン721の押下を受け付ける。なお、スキャン条件がマスク位置指定情報9に含まれる場合は、表示制御部12が原稿準備画面720にスタートボタンを表示させ、原稿準備画面720から読み取りを開始してもよい。
図14(a)は次へボタン721の押下により操作パネル940に表示されたスキャン条件設定画面640である。図14(a)は図10(a)と同様の構成でよい。ユーザはスキャン条件を設定して、スタートボタン642を押下する。操作受付部11はスタートボタン642の押下を受け付ける。これにより、読取部21がADFの給紙トレイに置かれた書類8の読み取りを開始する。読み取り中を示す画面が表示され、読み取りが終了すると、マスク処理部14がマスク位置指定情報9に基づいて書類8の各ページごとにマスク処理を施す。表示制御部12はマスク処理された書類8のプレビュー画面740を表示する。
図14(b)はプレビュー画面740の一例である。プレビュー画面740は図10(b)(c)に示したマスク位置設定画面650と同様の構成を有しており、同一構成部分の説明は省略する。プレビュー画面740はマスク位置指定欄でなくプレビュー表示欄741を有する。プレビュー表示欄741にはマスク処理された書類8の各ページが表示される。ユーザは読み取られた複数のページのうちプレビュー表示欄741に表示するページを切り替えることができる。
ユーザはプレビュー表示欄741を見てマスク位置が適切かどうかを確認して、十字キー653cを操作してマスクを移動したり、線を引いたりタップしたりしてマスクを追加したいできる。また、マスクを削除することができる。
したがって、プレビュー画面740で表示されるプレビューは電子データにマスクが重畳されており、電子データのマスク領域はまだ黒画素等に置き換わっていない。これにより、ユーザはプレビュー画面740でマスクを移動、追加、又は、削除することができる。ユーザがOKボタン657を押下すると、操作受付部11が受け付けて画面が遷移する。
図15(a)は出力方法設定画面(その2)680の一例である。図15(a)は図11(b)と同じものである。ユーザは適宜、出力態様を選択できる。ユーザが「ファイルを送信する」ボタン682、又は、「印刷とファイルを送信する」ボタン683を選択した場合、ユーザはファイルの送信先を選択できる。
図15(b)は「ファイルを送信する」ボタン682、又は、「印刷とファイルを送信する」ボタン683の押下により表示された送信先選択画面750の一例である。送信先選択画面750は、送信先ホスト欄751、送信フォルダリスト752、及び、OKボタン753を有している。送信先ホスト欄751には例えばユーザが選択した送信先のサーバやユーザPCなどのIPアドレスが表示される。送信フォルダリスト752は送信先ホストがファイル構造として有するフォルダのリストが表示される。したがって、画像形成装置10は送信先ホストと通信してフォルダなどの情報を取得して表示する。ユーザがOKボタン753を押下すると、分割されたファイルの送信が開始される。
<動作手順>
次に、図16を用いてマスク処理されたファイルを分割して出力する処理の手順を説明する。図16は、画像形成装置10が電子データにマスク処理を施し、ページごとにマスク処理されたN部の書類8を分割して出力する手順の一例を示すフローチャート図である。
ユーザがスキャン条件設定画面640でスタートボタン642を押下することで、読取部21が書類8の読み取りを開始する(S11)。読取部21は1枚ずつ書類8を読み取り、「a. 書類8の全ページ数R」をカウントする。すでに書類8が読み取られ電子データになっているファイルがある場合、読み取りは不要である。この場合、画像形成装置10は1つのファイルを記憶媒体から読み取ったり、ネットワークからダウンロードしたりする。
ADFが書類8を検知しなくなり全ての書類8を読み取ったことが検出されると、マスク処理部14がマスク処理を開始する(S12)。
まず、エラー判断部17がエラーの有無を判断する(S13)。エラー判断部17は、ユーザがマスク位置指定情報選択画面710で選択したマスク位置指定情報9のページ数を「b.マスク位置指定情報9が有するページ数K」としてマスク位置指定情報記憶部28から読み取る。書類8の部数をNとすると、R、K、Nはすべて整数であり、RをKで割った数値がNとなる。
R÷K=N
RがKで割り切れない場合、すなわちNが整数とならない場合、エラー判断部17は表示制御部12を介して、ページごとにマスク処理されたN部の書類8を分割して出力できない旨のエラー出力を行う(S14)。例えば、書類8の全ページ数Rが7枚、マスク位置指定情報9のページ数Kが2枚の場合、Nは3.5となり整数ではないのでエラーとなる。
エラーが検出されない場合(S13のYes)、マスク処理部14は書類8の電子データの最初のページからKページ分を取得する(S15)。
マスク処理部14は取得したKページの電子データに対しマスク位置指定情報9を用いてマスク処理を施す(S16)。マスク処理部14はマスク位置指定情報9が有する各ページを順番に、読取部21が変換したKページに適用して、Kページの電子データにマスク処理を施す。すなわち、マスク位置指定情報9が複数のページを有する場合、マスク位置指定情報9の1ページ目のマスク位置でKページのうち1ページ目の電子データをマスク処理し、マスク位置指定情報9の2ページ目のマスク位置でKページのうち2ページ目の電子データをマスク処理し、これをK回繰り返す。なお、この時点では、マスク処理部14は電子データとは別の透明なレイヤに黒画素などで形成されたマスクを配置し、これを電子データに重ねてマスク処理する。
イメージ生成部15は、印刷又はファイル送信の前に、マスク処理された電子データのイメージを生成して、表示制御部12がプレビュー画面740を操作パネル940に表示する(S17)。
ユーザはプレビュー画面740によりはマスク処理結果を確認し、必要であればマスク位置等の修正を行う(S18)。操作受付部11はマスク位置の修正を受け付け、マスク処理部14がマスク位置を修正する。これにより、マスク位置が確定するので、マスク処理部14は透明なレイヤにおけるマスク位置と同じ位置を電子データで特定し、電子データの特定した位置を黒画素など(ユーザが指定した色)で置き換える。これにより、機密情報を秘匿できる。
次に、ファイル作成部16はマスク処理したKページの電子データのファイルを作成する(S19)。この時点では出力態様が印刷かファイルかに関係なくファイルを作成する。ファイル形式はPDFやXPS又は所定のPDLなどでよい。複数のファイルを作成する場合、同一のファイル名とならないようにファイル名を付与する。例えば、ファイル名に1、2、3といった連番の枝番をつけてよい。このようにKページごとにファイルを作成することで、書類8をKページの電子データを有するファイルに分割できる。
以上で、1部のマスク処理とファイル作成が終了したので、マスク処理部14は「R−K」を新たにRとして更新する(S20)。
マスク処理部14はR=0となるまで、ステップS15〜S20を繰り返す。R=0となった場合には(S21のYes)、処理はステップS22に進む。
R=0となった場合(S21のYes)、印刷部18が印刷物を出力するか、又は、通信部19がファイルを送信する(S22)。すなわち、出力方法設定画面(その2)680でユーザが「印刷する」ボタン681を選択した場合、印刷部18が1部ごとに排紙トレイに印刷媒体を出力する部単位印刷を行う。ステープラー処理や回転ソートを行うこともできる。出力方法設定画面(その2)680でユーザが「ファイルを送信する」ボタン682を選択した場合、通信部19が1部ごとに分割されたN個のファイルを送信先のフォルダに送信する。出力方法設定画面(その2)680でユーザが「印刷とファイルを送信する」ボタン683を選択した場合、この両方を行う。
印刷とファイル送信の両方を行う場合、ファイル送信が正常に完了した場合に限り印刷を実行してもよいし、印刷が正常に完了した場合に限りファイル送信を実行してもよい。
なお、分割された書類単位にプレビューとファイル作成を繰り返すのではなく、画像形成装置10は、読み取った全ての書類8の全ページにマスク処理を施して一括してプレビュー表示し、必要に応じてマスク修正し、一括してファイル作成することもできる。この場合であっても、作成されるファイルはマスク位置指定情報9で定義されたKページごとに分割され、ファイル数はNとなる。
<出力例>
図17は、本実施形態の画像形成装置10の出力例を模式的に示す図である。まず、図17(a)は複数ページを1部とする書類8とマスク位置指定情報9を示す。図8〜図11で説明したように、ユーザは複数ページの書類8を画像形成装置10に読み取らせ、ページごとにマスク位置指定情報9を登録できる。
図17(b)は「b.マスク位置指定情報9が有するページ数K」が1ページの場合に出力されるファイル数を示す。「b.マスク位置指定情報9が有するページ数K」が1ページの場合、マスク処理された電子データが1ページのみ含まれるファイルが「a. 書類8の全ページ数R」だけ出力される。例えば、R=10であればファイル数は10である。
図17(c)は「b.マスク位置指定情報9が有するページ数K」が2ページの場合に出力されるファイル数を示す。「b.マスク位置指定情報9が有するページ数K」が2ページの場合、マスク処理された電子データが2ページ含まれるファイルがR/Kだけ出力される。例えば、R=10であればファイル数は5である。
このように、マスク位置指定情報9のページ数により、出力されるファイルに含まれるマスク処理された電子データのページ数を自動的に決定できる。
<まとめ>
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置10は、ページごとにマスク処理されたN部の書類を分割して出力することができる。従来、同じことをするためには、ユーザはN回の読取作業が必要であったのに対し、本実施形態の画像形成装置10は部数に関わりなく、1回の読取作業でN個のファイル又はN部の出力媒体が得られるので、ユーザの負担を低減できる。
また、「b.マスク位置指定情報9が有するページ数K」はマスク位置指定情報9のページ数なので、マスク処理を行うために予め設定されている値であり、ユーザはマスク処理の作業を行うだけでRやKを入力することなく、ページごとにマスク処理されたN部の書類8を分割して出力することができる。
本実施例では、「b.マスク位置指定情報9が有するページ数K」と同等の情報をユーザが指定できる画像形成装置10について説明する。
本実施例においては、上記の実施例1にて説明した図4、図5のハードウェア構成図、及び、図7に示した機能ブロック図を援用できるものとして説明する。また、マスク位置指定情報9の登録方法は実施例1と同様でよいため、本実施例では主にマスク処理と分割出力について説明する。
本実施例では、マスク位置指定情報記憶部28を有することは実施例1と同様であるが、ユーザがマスク位置指定情報9のページ数とは異なるページ数を電子データの分割出力単位として指定したい場合に対応することが可能になる。例えば、以下のような場合である。
(i) マスク位置指定情報9のページ数は1つしかないが、複数ページの書類のマスク位置が同じ場合がある。ユーザは全ページに同じマスク処理を施すが、部単位で出力したい場合がある。
(ii) マスク位置指定情報9のページ数は複数であるが、マスク位置指定情報9の各ページを1回以上、繰り返し1部の書類の各ページに適用してマスク処理し、部単位で出力したい場合がある。
(iii) マスク位置指定情報9の任意のページを選択して、1部の書類の各ページに適用してマスク処理し、部単位で出力したい場合がある。
<画面例>
図18を用いて、本実施例で使用される画面例を説明する。図18(a)はマスキングアプリ20の初期画面610で「マスキングフォームを利用する」ボタン611が押下された場合に表示されるページ数入力画面760である。ページ数入力画面760は、「1部当たりのページ数を指定する」というガイドに対応したチェックボックス761、ページ数入力欄762、OKボタン763、及び、キャンセルボタン764を有している。
ユーザがチェックボックス761をチェックすることで、ページ数入力欄762へのページ数の入力が可能になる。ページ数入力欄762は1部当たりのページ数をユーザが入力するための欄である。ページ数入力欄762に入力された値は「b.マスク位置指定情報9が有するページ数K」と同等の情報に相当するが、区別するため、以下、「c.ユーザ設定ページ数P」とする。
したがって、本実施形態では、同様の機能を持つ「b.マスク位置指定情報9が有するページ数K」と「c.ユーザ設定ページ数P」とが存在するので、画像形成装置10は「c.ユーザ設定ページ数P」を優先して、電子データの分割出力の単位とする(1部当たりのページ数を決定する)。
なお、ユーザが「c.ユーザ設定ページ数P」を設定しないことも可能である。この場合、ページ数入力画面760でユーザは何も設定しないでOKボタン763を押下するか又はキャンセルボタン764を押下する。
図18(b)はマスクページ選択画面770の一例を示す。マスクページ選択画面770は、「c.ユーザ設定ページ数P」が「b.マスク位置指定情報9が有するページ数K」より少ない場合に表示される。例えば、図13(b)のマスク位置指定情報選択画面710でマスク位置指定情報9が選択された後に上記条件(P<K)を満たす場合に表示される。マスクページ選択画面770は、マスク位置指定情報9のうちどのページをユーザがマスク処理に使用するかを入力する画面である。図18(b)に示すように、マスクページ選択画面770は、マスク位置指定情報9の各ページのイメージ771とチェックボックス772を表示する。ユーザは、イメージ771のマスク位置を見て、マスク処理に使用するページのチェックボックス772をチェックすることができる。
マスク処理部14は、ユーザがチェックしたページ数が「c.ユーザ設定ページ数P」と一致するかどうかをリアルタイムに判断しており、一致する場合にマスク処理に進むことを許可する。例えば、一致するまでは次へボタン773の選択を受け付けず(輝度を低下して表示する)、一致したら次へボタン773の選択を受け付ける(通常の輝度で表示する)などの手法がある。
したがって、「c.ユーザ設定ページ数P」が「b.マスク位置指定情報9が有するページ数K」より少ない場合、マスクページ選択画面770によりユーザがマスク処理に使用するマスク位置指定情報9を選択できる。つまり、ユーザはマスク位置指定情報9の任意のページを抽出してマスク処理できる。この場合の電子データの分割出力単位(1部のページ数)は「c.ユーザ設定ページ数P」でよい。
<動作手順>
図19は、ユーザが「c.ユーザ設定ページ数P」を指定できる画像形成装置10が電子データにマスク処理を施し、ページごとにマスク処理されたN部の書類8を分割して出力する手順の一例を示すフローチャート図である。
ユーザがスキャン条件設定画面640でスタートボタン642を押下することで、読取部21が書類8の読み取りを開始する(S31)。読取部21は1枚ずつ書類8を読み取り、「a. 書類8の全ページ数R」をカウントする。
ADFが書類8を検知しなくなり全ての書類8を読み取ったことが検出されると、マスク処理部14がマスク処理を開始する(S32)。
マスク処理部14は「c.ユーザ設定ページ数P」をユーザが設定したか否かを判断する(S33)。
ユーザが「c.ユーザ設定ページ数P」を設定していない場合(S33のNo)、処理の流れは実施例1と同様になる。
ユーザが「c.ユーザ設定ページ数P」を設定した場合(S33のYes)、マスク処理部14は「c.ユーザ設定ページ数P」と「b.マスク位置指定情報9が有するページ数K」が一致するか否かを判断する(S34)。一致する場合(S34のYes)、処理の流れは実施例1と同様になる。
一致しない場合(S34のNo)、マスク処理部14は「c.ユーザ設定ページ数P」を優先して、これを電子データの分割出力単位(1部当たりのページ数)に決定する(S35)。
次に、マスク処理部14は「c.ユーザ設定ページ数P」が「b.マスク位置指定情報9が有するページ数K」より多いか否かを判断する(S36)。「c.ユーザ設定ページ数P」が「b.マスク位置指定情報9が有するページ数K」より多い場合には、1書類内の各ページにマスク位置指定情報9の各ページのマスク位置を適用できる可能性がある。
そこで、ステップS36の判断がYesの場合、まず、マスク処理部14は「b.マスク位置指定情報9が有するページ数K」が1か否かを判断する(S37)。
「b.マスク位置指定情報9が有するページ数K」が1の場合(S37のYes)、マスク処理部14は「c.ユーザ設定ページ数P」の全てのページに同じマスク位置を適用すると決定する(S38)。これにより、ユーザが用意した複数ページで1部の書類8が同じマスク位置を有する場合、1ページのマスク位置指定情報9でマスク処理でき、更に、ユーザが設定した「c.ユーザ設定ページ数P」のページ数ごとに分割できる。
「b.マスク位置指定情報9が有するページ数K」が1でない場合(S37のNo)、マスク処理部14は「c.ユーザ設定ページ数P」が「b.マスク位置指定情報9が有するページ数K」の倍数か否かを判断する(S39)。例えば、「c.ユーザ設定ページ数P」が4、「b.マスク位置指定情報9が有するページ数K」が2のような場合である。倍数の場合、1部内の1ページ目にマスク位置指定情報9の1ページ目を適用してマスク処理し、1部内の2ページ目にマスク位置指定情報9の2ページ目を適用してマスク処理し、1部内の3ページ目にマスク位置指定情報9の1ページ目を適用してマスク処理し、1部内の4ページ目にマスク位置指定情報9の2ページ目を適用してマスク処理することが可能になる。つまり、ユーザが用意した複数ページで1部の書類8に、マスク位置指定情報9をページ単位で1回以上、繰り返し適用して、書類8の各ページの電子データにマスク処理を施す。
ステップS39の判断がYesの場合、マスク処理部14は「c.ユーザ設定ページ数P」を1部にして、1部の各ページにマスク位置指定情報9の各ページのマスク位置を繰り返し適用すると決定する(S40)。
ステップS39の判断がNoの場合、「c.ユーザ設定ページ数P」が「b.マスク位置指定情報9が有するページ数K」より多いが、「b.マスク位置指定情報9が有するページ数K」が1でなく、更に、「c.ユーザ設定ページ数P」が「b.マスク位置指定情報9が有するページ数K」の倍数でもないので、エラー判断部17がエラーと判断する(S41)。エラーの内容は図16のステップS14と同様でよい。
一方、「c.ユーザ設定ページ数P」が「b.マスク位置指定情報9が有するページ数K」より少ない場合(S36のNo)、マスク位置指定情報9のどのページを1部の書類8に適用すべきか不明なので、マスク処理部14はマスクページ選択画面770を表示制御部12に表示させ、操作受付部11がマスク位置指定情報9のうちどのページをマスク処理に使用するかというページ指定をユーザから受け付ける(S42)。これにより、ユーザはマスク位置指定情報9の任意のページをマスク処理に使用でき、ユーザが指定した「c.ユーザ設定ページ数P」を電子データの分割出力単位に設定できる。
ステップS38、S40、S42の後であるステップS43〜S52の処理は、図16のステップS13〜S22と同様でよい。
<まとめ>
以上のように、本実施例の画像形成装置10は、実施例1の効果に加え、ユーザが1部当たりのページ数を入力でき、ユーザが電子データの分割出力単位を指定できる。
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、ADFで読み取られる書類は用紙に限らずIDカードなども含まれ、書類はシート状のものであればよい。また、連続して読み取る装置はADFに限られず、ベルトコンベア上を流れる被写体をカメラで撮像してもよい。したがって、立体物の電子データを分割して出力してもよい。
また、実施例に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、サーバ30は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、通信ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。
また、画像形成装置10は、通信機能を備えた装置であれば、画像形成装置に限られない。画像形成装置10は、例えば、PJ(Projector:プロジェクタ)、IWB(Interactive White Board:相互通信が可能な電子式の黒板機能を有する白板)、デジタルサイネージ等の出力装置、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、自動車(Connected Car)、ノートPC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPC又はデスクトップPC等であってもよい。
また、図7などの構成例は、画像形成装置10による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。画像形成装置10の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。各データベース類は各装置内にある必要はなく通信ネットワークにおいてアクセス可能な場所にあればよい。
また、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。