JP2020204330A - トルク発生装置 - Google Patents

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飛鳥 小池
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Abstract

【課題】小型化に適し、かつ、大きなせん断応力を得ることができるトルク発生装置を提供する。【解決手段】回転軸を中心に回転可能な磁性ディスクと、回転軸と平行な第1の方向において磁性ディスクを挟む一方に位置する第1ヨーク、及び、他方に位置する第2ヨークと、第1の方向において、磁性ディスクと離間して第1ヨーク側に配置され、通電により磁界を発生させるコイルと、磁性ディスクと第1ヨーク及び第2ヨークとの間に充填された磁気粘性流体とを備え、第1ヨークはコイルと磁性ディスクとの間に磁気ギャップを形成するように、コイルと磁性ディスクとの間において、径方向に延在して設けられており、磁気ギャップは、コイルに近づくほど径方向における幅が大きくなる形状を有する。【選択図】図3

Description

本発明は、磁気粘性流体を用いて回転抵抗を変化させることができるトルク発生装置に関する。
特許文献1に記載のブレーキは、ハウジングと、回転可能なシャフトに接続されたロータと、ハウジングの第1のハウジング室に置かれた磁場発生手段(磁界発生器)と、磁界応答材料(磁気粘性流体)と、ブレーキの動作を制御または監視する手段とを備えている。また、磁界発生器はコイルと極片を備え、コイルは、ロータに対向配置された極片に磁界を発生させる。
特許第4695835号公報
しかしながら、特許文献1に記載のブレーキは、ロータの外周辺部の近くでしか磁界が印加されていないため、発生するブレーキ力が充分でなかった。そのため、より小型化を図りつつ大きなせん断応力を得ることは困難であった。
そこで本発明は、磁気粘性流体を用いたトルク発生装置であって、小型化に適し、かつ、大きなせん断応力を得ることができるトルク発生装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のトルク発生装置は、回転軸を中心に回転可能な磁性ディスクと、回転軸と平行な第1の方向において磁性ディスクを挟む一方に位置する第1ヨーク、及び、他方に位置する第2ヨークと、第1の方向において、磁性ディスクと離間して第1ヨーク側に配置され通電により磁界を発生させるコイルと、磁性ディスクと第1ヨーク及び第2ヨークとの間に充填された磁気粘性流体とを備え、第1ヨークは、コイルと磁性ディスクとの間に磁気ギャップを形成するように、コイルと磁性ディスクとの間において径方向に延在して設けられており、磁気ギャップは、コイルに近づくほど径方向における幅が大きくなる形状を有することを特徴としている。
これにより、コイルに近接する位置、特に、コイルと磁性ディスクとの間において、コイルが発生する磁界の磁束の向きが乱れることを抑制することができる。このため、磁性ディスクへ磁束を集中させることが可能となるため、第1の方向の磁界が磁気粘性流体により多く与えられる。これにより、磁性ディスクを大型化することなく大きなせん断応力を得ることができる。
本発明のトルク発生装置において、磁気ギャップにより磁性ディスクと対向する第1ヨークの対向面が径方向において磁気ギャップの内側と外側に分割され、磁気ギャップは、対向面において、磁気ギャップの内側の面積と外側の面積とが互いに略同一となる位置に設けられていることが好ましい。
これにより、磁気ギャップの内側と外側とで第1ヨークの対向面における磁束密度を均一にすることができるため、磁気粘性流体によるせん断応力を制御できる範囲を広くすることが可能となる。
本発明のトルク発生装置において、第1ヨークは、磁気ギャップの内側の領域を形成する内周側部材と、外側の領域を形成する外周側部材と、を少なくとも有し、内周側部材および外周側部材のそれぞれにおいて磁気ギャップを形成する面が傾斜面を有することが好ましい。
これによりコイルと磁性ディスクとの間において、コイルが発生する磁界の磁束を傾斜面に沿って磁性ディスクへ向かわせることができる。また装置の組み立て性を向上させることができる。
本発明のトルク発生装置において、磁気ギャップは、少なくとも一部において、非磁性体からなる封止部材によって封止されていることが好ましい。
これにより、磁気粘性流体が磁気ギャップを通じてコイル側へ漏れ出ることを防ぐことができる。
本発明のトルク発生装置において、第1ヨークと第2ヨークとを第1の方向において互いに接続する環状部材を備え、環状部材は、磁性ディスクの外周面との間に間隙を有して囲むように全周に亘って配置されている非磁性体部を有することが好ましい。
これにより、磁性ディスクの外周面の外側にヨーク材が配置されない構成となるため、コイルが発生する磁界の磁束は、磁性ディスクを挟んだ2つのヨークの一方から他方へ集中して通るようになる。
本発明によると、小型化に適し、かつ、大きなせん断応力を得ることができるトルク発生装置を提供することができる。
(a)は第1実施形態に係るトルク発生装置を上側から見た斜視図、(b)は(a)のトルク発生装置を下側から見た斜視図である。 第1実施形態に係るトルク発生装置を上側から見た分解斜視図である。 図1(a)のIII−III’線に沿った断面図である。 図3の一部拡大図である。 第1実施形態に係るトルク発生装置の制御系統のブロック図である。 (a)は第2実施形態に係るトルク発生装置を上側から見た斜視図、(b)は(a)のトルク発生装置を下側から見た斜視図である。 第2実施形態に係るトルク発生装置の上側部分を上側から見た分解斜視図である。 第2実施形態に係るトルク発生装置の下側部分を上側から見た分解斜視図である。 図6(a)のXI−XI’線に沿った断面図である。 図9の一部拡大図である。 第2実施形態に係るトルク発生装置の制御系統のブロック図である。 (a)は第2実施形態のトルク発生装置における磁束の流れを示すコンター図、(b)は比較例のトルク発生装置におけるコンター図である。 (a)は磁性ディスクの上側における磁束密度の変化を示すグラフ、(b)は磁性ディスクの下側における磁束密度の変化を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態に係るトルク発生装置について図面を参照しつつ詳しく説明する。
<第1実施形態>
図1(a)は第1実施形態に係るトルク発生装置10を上側から見た斜視図、(b)はトルク発生装置10を下側から見た斜視図である。図2は、トルク発生装置10を上側から見た分解斜視図である。図3は図1(a)のIII−III’線に沿った断面図であり、コイル50が発生した磁界を概念的に示している。図4は図3の一部拡大図である。図1(a)から図4において、説明の便宜上、中心軸11に沿って上下方向を規定しているが、実際の使用時における方向を制限するものではない。以下の説明において、中心軸11と平行な方向を第1の方向D1(図1、図3)とし、中心軸11に直交する径方向を、第2の方向D2(図1、図3)と称する。また、中心軸11に沿って、上側から下側を見た状態を平面視ということがある。さらにまた、図2においては、一部のネジや磁気粘性流体の表示を省略している。
図1(a)、(b)に示すように、トルク発生装置10は、保持部20と、操作部100とを備える。操作部100は、シャフト部110と磁性ディスク120とを含み、一体となって中心軸11(回転軸)を中心として両方向に回転するように連結される。操作部100は、支持部材140、ラジアル軸受151、及び、プッシャ152を介して、回転可能な状態で保持部20に支持されている(図2参照)。さらに、図4に示すように、トルク発生装置10内に設けた隙間80には、磁気粘性流体160が満たされている。
保持部20は、第1ヨーク30、第2ヨーク40、磁界発生部としてのコイル50、封止部材60、環状部材70、及び、上部ケースとしての第3ヨーク90を含む。図2に示すように、第1の方向D1において、磁性ディスク120を挟む一方に第1ヨーク30が位置し、磁性ディスク120を挟む他方に第2ヨーク40が位置するように組み合わされている。第1ヨーク30、第2ヨーク40、及び、第3ヨーク90は、それぞれ別々に加工されて形成されている。ただし、これらのヨークのいずれかが組み合わされて一体に形成されていてもよい。
コイル50は、図2に示すように、円環状をなしている。コイル50は、中心軸11の周りを回るように巻き付けられた導線を含むコイルである。コイル50には接続部材(不図示)が電気的に接続され、図示しない経路で電流が供給される。コイル50に電流が供給されると磁界が発生する。
図2に示すように、第1ヨーク30は、内周側部材としての内側ヨーク31と、外周側部材としての外側ヨーク32とを備える。内側ヨーク31と外側ヨーク32は、中心軸11を中心として同心状に配置される。
内側ヨーク31は、円筒部31aと、円筒部31aの下面から外側へ広がるように、径方向に沿って延在するように設けられた、平面視円環状の鍔状部31bとを備える。また、円筒部31aの上部の外周面の外径と、円筒部31aの内周面の内径とは、それぞれ、上下方向の位置に応じて変化するように設定されている。
外側ヨーク32は、円筒部32aと、円筒部32aの下面から内側へ向かうように、径方向に沿って延在するように設けられた、平面視円環状の縁部32bとを備える。図3に示すように、外側ヨーク32の円筒部32aの内周面は、内側ヨーク31の円筒部31aの外周面と対向し、両者の間には環状の第1空間33が形成されている。この第1空間33内には磁界発生部としてのコイル50が収納される。内側ヨーク31の上側から、略円板状の第3ヨーク90をのせ、ねじ91を用いて第3ヨーク90を内側ヨーク31と外側ヨーク32に固定することによって、第1空間33が閉じられ、内側ヨーク31、外側ヨーク32、及び、第3ヨーク90によってコイル50を囲む磁路が形成される。
外側ヨーク32の縁部32bの内周面と、内側ヨーク31の鍔状部31bの外周面との間にも、環状の空間34、35が形成されている。第2空間34は上記第1空間33に連なり、第3空間35は上記空間34に連なっている。
ここで、鍔状部31bの内周面は、下側に行くほど径方向(図3の方向D2)の外側へ向かうように傾斜した第1面31cと、第1面31cの下端から第1の方向(図3の方向D1)に沿って延びる第2面31dとを備える。一方、縁部32bの内周面は、下側に行くほど径方向の内側へ向かうように傾斜した第1面32cと、第1面32cの下端から第1の方向D1に沿って延びる第2面32dとを備える。そして、第1の方向D1において、内側ヨーク31の第1面31cと外側ヨーク32の第1面32cは互いに対応する位置に設けられ、両者に挟まれた第2空間34を形成する。この第2空間34は、下側へ行くほど径方向の幅が小さくなる磁気ギャップを構成する。別言すると、この磁気ギャップは、物体を配置していない部分であり、コイル50に近づくほど、すなわち、上へ行くほど径方向における幅が大きくなるテーパ形状を有している。
また、第2面31dと第2面32dは、第1の方向D1において互いに対応する位置に設けられ、かつ、径方向において互いに平行に対向し合うように設けられ、両者に挟まれた第3空間35を形成する。この第3空間35には、非磁性体からなる封止部材60が配置され、これによって、第2空間34と第3空間35による磁気ギャップが形成される。封止部材60は、円環状をなしており、合成樹脂などの非磁性材料で構成される。封止部材60は、例えば、流動状態の材料を第3空間35内に充填され、これを固化させることにより配置される。または、あらかじめ円環状に形成され、弾性を有する材料を第3空間35内に圧入することによって配置される。または、非弾性材料を円環状に加工して接着材で固定して構成してもよい。
ここで、内側ヨーク31の下面31eと、外側ヨーク32の下面32eは、磁性ディスク120と対向する対向面を構成する(図3、図4)。この対向面は、第2空間34と第3空間35で構成される磁気ギャップによって、内側と外側に分割され、内側は内側ヨーク31の下面31eに対応し、外側は外側ヨーク32の下面32eに対応する。磁気ギャップは、この対向面において、磁気ギャップの内側の面積と外側の面積とが互いに略同一となる位置に設けられている。
コイル50が配置される位置において、中心軸11に直交する断面の面積は、内側ヨーク31と外側ヨーク32とで互いに同じとしている。これにより、飽和磁束密度に至るまでの磁界が最適な構造を実現することができる。
図3に示すように、径方向(第2の方向D2)において、第1空間33の幅は第2空間34の最小幅よりも大きく設定されている。さらに、第3空間35の径方向における中心位置35xは、第1空間33の径方向における中心位置33xよりも外側に設定されている。したがって、内側ヨーク31の第1面31cと外側ヨーク32の第1面32cは、第1の方向D1に対する傾斜角度が異なっており、内側ヨーク31の第1面31cの傾斜角度の方が大きくなっている。別言すると、径方向に対しては、内側ヨーク31の第1面31cの方が傾斜角度は緩くなっている。
図3に示すように、内側ヨーク31と外側ヨーク32は、第3空間35の径方向における中心位置35xが第1ヨーク30全体の径方向における中心よりも外側に位置するように、形状が設定されている。これにより、平面視において、内側ヨーク31が磁性ディスク120と対向する対向面としての下面31eの面積と、外側ヨーク32が磁性ディスク120と対向する対向面としての下面32eの面積と、が互いに略同一となる。このため、磁気ギャップより内側と外側とで磁束密度が互いに略同一となる。
図2に示すように、第2ヨーク40は、円板状をなしており、第1ヨーク30の下方に配設される。第2ヨーク40は、中心軸11に沿った上下方向に直交する上面41を有する。第2ヨーク40には、中心軸11を囲んで上下に貫通する環状の孔部42が設けられている。図3に示すように、孔部42内には上下方向に延びる支持部材(ピボット支持部材)140が挿入されており、この支持部材140は第2ヨーク40の下面43に固定された保持具141によって第2ヨーク40に固定されている。支持部材140は、上側へ開いた凹部としての受け部140a(図4)を有し、この受け部140aでシャフト部110の先端部113を回転自在に受容する。
なお、ヨーク30、40、90の平面形状は必ずしも円形でなくてもよい。
図4に示すように、第1ヨーク30の底面36及び封止部材60の下面61と、第2ヨーク40の上面41とは、互いに略平行とされており、底面36と上面41との間に磁性ディスク120が配置される。磁性ディスク120と底面36と上面41との間に隙間80が形成されている。
径方向において、第1ヨーク30及び第2ヨーク40の外側には環状部材70が配置されている。この環状部材70は、中心軸11を軸とする円環状をなしており、合成樹脂などの非磁性材料で構成されている。環状部材70の内周面は、第1ヨーク30及び第2ヨーク40に沿った形状とされており、第1ヨーク30の外周面及び第2ヨーク40の外周面にそれぞれ固定されている。これにより、第1ヨーク30と第2ヨーク40は、第1の方向D1に沿って延びる環状部材70によって、第1の方向D1において互いに接続され、かつ、径方向において、隙間80が環状部材70によって閉じられる。このように、環状部材70によって第1ヨーク30と第2ヨーク40が互いに接続され、保持部20が一体に固定されている。なお、環状部材70は、全体が非磁性体材料で形成されていなくてもよく、第1ヨーク30と第2ヨーク40とを磁気的に短絡させない非磁性体部を有する複合材料であってもよい。この場合でも、径方向において、隙間80が非磁性体部によって閉じられることが好ましい。
図3と図4に示すように、磁性ディスク120は、第1ヨーク30と第2ヨーク40との間の隙間80において、中心軸11に直交する第2の方向に延びるように配設されている。よって、磁性ディスク120は、中心軸11に沿った第1の方向D1において、コイル50と互いに重複するように位置する。また、環状部材70は、磁性ディスク120の外周面との間に間隙81を有して囲むように全周に亘って配置されている。
上述のように、第1ヨーク30の内側ヨーク31及び外側ヨーク32と第3ヨーク90とがそれぞれ接続され、磁性ディスク120を挟んで第2ヨーク40が接続されることによって、コイル50が発生する磁界を閉ループにする磁路(磁気回路)が形成される。
以上の構成において、コイル50に電流を印加すると図4の矢印で概略的に示す方向の流れを有する磁界が形成される。また、コイル50に対して逆向きに電流を印加すると、図4とは逆向きの流れの磁界が形成される。図4に示す例では、中心軸11の方向に沿って第1ヨーク30の内側ヨーク31から第2ヨーク40側へ、磁束が、隙間80内の磁性ディスク120を通り、この磁束は主に第2ヨーク40では主に中心軸11から遠ざかる方向へ進み、さらに、第2ヨーク40の径方向外側においては、中心軸11の方向に沿って下から上へ、すなわち第2ヨーク40から外側ヨーク32側へ主に進む。この磁束は、コイル50よりも上側の第3ヨーク90においては、主に、外側ヨーク32側から内側ヨーク31側へ向けて、中心軸11へ近づく方向ヘ進み、コイル50の内側に対応する領域で、上から下へ、第1ヨーク30の内側ヨーク31内を進み、再び磁性ディスク120を通って第2ヨーク40に至る。
このような磁路の磁界において、第1ヨーク30の所には、磁気ギャップとして、第2空間34と第3空間35が設けられている。この磁気ギャップは、コイル50の下方であって、コイル50と、隙間80及び磁性ディスク120との間に設けられている。コイル50は磁性ディスク120と離間して第1ヨーク30側に配置され、コイル50と磁性ディスク120との間の一部に磁気ギャップが形成されているために、磁気ギャップの近傍では、コイル50が発生する磁界の磁束が、内側ヨーク31から外側ヨーク32に向かって中心軸11に直交する径方向に沿って進行することが規制される。すなわち、コイル50と磁性ディスク120との間において、コイル50が発生する磁界の磁束を、内側ヨーク31の第1面31cおよび外側ヨーク32の第1面32cの2つの傾斜面に沿って磁性ディスク120へ向かわせることができる。これによって、内側ヨーク31内を通る磁束は、確実に下向きに第2ヨーク40側へ進行し、また、外側ヨーク32内を通る磁束は、確実に上向きに、第2ヨーク40側から第3ヨーク90側へ進行する。
次に、操作部100の構造について説明する。
図2・図3に示すように、操作軸としてのシャフト部110は、中心軸11に平行な第1の方向D1に沿って延びる棒状材であり、第1の方向D1において上側(図3の上側)の軸部111と、軸部111の下部に設けられたフランジ部112とを有する。フランジ部112は、軸部111の外周面より外側に拡がる鍔状の形状を備える。フランジ部112の下面中央に設けた先端部113は下に行くほど先細となる形状を有する。
図2に示すように、磁性ディスク120は、第1の方向D1に直交するように配置される円形平面を有する円板状をなし、磁性材料で構成される。磁性ディスク120の円形平面の中心には、第1の方向D1に貫通する中央孔部121が設けられ、この中央孔部121を囲む位置には、磁性ディスク120を第1の方向D1に沿って貫通する複数の貫通孔部122が設けられている。磁性ディスク120は、貫通孔部122内に第1の方向D1に沿って挿通させたネジ(不図示)の軸部をシャフト部110のフランジ部112内に嵌め込むことによって、シャフト部110に対して固定される。
図3に示すように、シャフト部110は、軸部111がラジアル軸受151によって回転自在に支持され、フランジ部112の下端の先端部113が磁性ディスク120の中央孔部121を通じて支持部材(ピボット支持部材)140でピボット支持される。ラジアル軸受151は、プッシャ152によって上方向に付勢されるように支持され、プッシャ152は、軸部111の外周面と内側ヨーク31の内周面との間において上下位置が維持されるように配置されたオーリング153によって支持されている。これによってラジアル軸受151は、第1ヨーク30に対して、密着性を維持しつつ、第1の方向D1の所定位置で支持される。軸部111の上部は第3ヨーク90の上方に露出されており、軸部111の露出部分には、入力操作に必要な部材をシャフト部110に結合するための結合部114が設けられている。
図2に示すように、磁性ディスク120には、第1の方向D1(厚み方向)に貫通する4つのスリット123a、123b、123c、123dが設けられている。これらのスリットは、円形平面の中心から同一の距離に、周方向に沿って、等角度間隔に設けられている。また、径方向において、第3空間35に対応する位置に設けられている。コイル50に図4に示す磁界を発生させると、4つのスリット123a、123b、123c、123dが磁気ギャップとして機能するため、磁界の磁束が4つのスリット123a、123b、123c、123dを径方向に通ることが規制される。これに対して、4つのスリット123a、123b、123c、123dよりも中心軸11側(内側)では、第1ヨーク30の内側ヨーク31から第2ヨーク40に向けて、磁束が下向きに通って、4つのスリット123a、123b、123c、123dよりも外側では、第2ヨーク40から第1ヨーク30の外側ヨーク32に向けて、磁束が上向きに通る。さらに、4つのスリットを第3空間35に対応する位置に設けたことによって、第2空間34、第3空間35、及び、4つのスリット123a、123b、123c、123dが第1の方向D1に並ぶため、コイル50で発生した磁界が、第1ヨーク30や磁性ディスク120内で径方向に沿って進行することを確実に規制することができ、安定した磁気回路が確保される。
シャフト部110を回転操作することによって磁性ディスク120が第1ヨーク30及び第2ヨーク40に対して相対的に回転するとき、磁性ディスク120の上面と第1ヨーク30の底面36との間の第1の方向D1の距離は、略一定に保たれ、磁性ディスク120の下面と第2ヨーク40の上面41との間の第1の方向D1の距離は略一定に保たれ、さらに、磁性ディスク120の外周面と環状部材70の内周面との第2の方向の距離も略一定に維持される。
図3と図4に示すように、磁性ディスク120の周囲の隙間80には磁気粘性流体160が満たされている。したがって、隙間80のうち、磁性ディスク120の上面と第1ヨーク30の底面36とに第1の方向D1を挟まれた隙間に磁気粘性流体160が存在し、かつ、磁性ディスク120の下面と第2ヨーク40の上面41とに第1の方向D1を挟まれた隙間にも磁気粘性流体160が存在する。さらに、磁性ディスク120の外周面と環状部材70とに第2の方向に挟まれた、上記間隙81にも磁気粘性流体160が存在する。磁性ディスク120の周囲の隙間80は、封止部材60、環状部材70、シャフト部110、支持部材140、第1ヨーク30、第2ヨーク40等で封止されている。このため、磁気粘性流体160は隙間80内に確実に保持される。
ここで、隙間80の全てが磁気粘性流体160で埋められていなくてもよい。例えば、磁気粘性流体160は、磁性ディスク120の上側と下側のいずれか一方のみに存在していてもよい。また、磁気粘性流体160は、隙間80内に注入して充填するほか、磁性ディスク120の上面や下面、第1ヨーク30の底面36、第2ヨーク40の上面41、封止部材60の下面61、環状部材70の内周面などに塗布することによって隙間80内に配置しても良い。
磁気粘性流体160は、磁界が印加されると粘度が変化する物質であり、例えば、非磁性の液体(溶媒)中に磁性材料からなる粒子(磁性粒子)が分散された流体である。磁気粘性流体160に含まれる磁性粒子としては、例えば、カーボンを含有した鉄系の粒子やフェライト粒子が好ましい。カーボンを含有した鉄系の粒子としては、例えば、カーボン含有量が0.15%以上であることが好ましい。磁性粒子の直径は、例えば0.5μm以上が好ましく、さらには1μm以上が好ましい。磁気粘性流体160は、磁性粒子が重力で沈殿しにくくなるように、溶媒と磁性粒子を選定することが望ましい。さらに、磁気粘性流体160は、磁性粒子の沈殿を防ぐカップリング材を含むことが望ましい。
コイル50に対して電流が印加されると、上述したように図4に示すような磁界が発生し、磁性ディスク120においては上下方向に沿った方向のみの磁束が通って、磁性ディスク120の内部では、径方向に沿った磁束は生じないか生じてもその磁束密度はわずかである。この磁界により、第2ヨーク40においては径方向に沿った磁力線が生じ、コイル50の外側においては、上下方向に沿った方向の磁力線が生じる。第3ヨーク90においては、第2ヨーク40における磁力線とは逆方向であって径方向に沿った方向の磁力線が生じる。
磁気粘性流体160においては、コイル50による磁界が生じていないときには、磁性粒子は溶媒内で分散されている。したがって、操作者がシャフト部110を操作すると、保持部20は、大きな抵抗力を受けずに、操作部100に対して相対的に回転する。あるいは、コイル50に通電されていない状態で、ヨーク内に残留磁束があるときは、その残留磁束の密度に応じてシャフト部110に抵抗トルクが残留する。
一方、コイル50に電流を印加して磁界を発生させると、磁気粘性流体160には上下方向に沿った磁界が与えられる。この磁界により、磁気粘性流体160中で分散していた磁性粒子は磁力線に沿って集まり、上下方向に沿って並んだ磁性粒子が磁気的に互いに連結される。この状態において、中心軸11を中心とする方向にシャフト部110を回転させようとする力を与えると、連結された磁性粒子による抵抗力(トルク)がはたらくため、磁界を発生させていない状態と比べて操作者に抵抗力を感じさせることができる。
第1実施形態では、シャフト部110から径方向外側に円板状に広がった磁性ディスク120を使用しているため、シャフト部110だけの場合に比べると広い範囲に磁気粘性流体160を配置できる。さらに、磁気粘性流体160の抵抗力の大きさは、上下方向に沿った方向の磁界が印加されている、第1ヨーク30の底面36または第2ヨーク40の上面41に上下方向を挟まれた磁気粘性流体160の配置範囲の広さに関係する。よって、磁界を印加可能な磁気粘性流体160の配置範囲が広くなるほど、抵抗力(トルク)の制御幅を広くすることができる。第1実施形態では、コイル50と磁性ディスク120との間の一部に磁気ギャップを形成するように第1ヨーク30を内側ヨーク31と外側ヨーク32で構成し、外径を大きくすることなく、磁束の通過する内側ヨーク31の下面31eの面積と外側ヨーク32の下面32eの面積を大きくしている。磁性ディスク120の広い範囲において、第1ヨーク30と第2ヨーク40との間を通る磁界成分を主方向とする磁束を通過させることができ、この磁束の方向に基づいた方向に抵抗力(トルク)を発生させることができるため、装置を大型化することなく大きなせん断応力を得ることが可能となる。
図5は、トルク発生装置10の制御系統のブロック図である。トルク発生装置10は、上述のコイル50のほかに、通電制御部171と通電部172とを更に備える。通電制御部171は、コイル50に印加する電流を制御する。通電部172は、通電制御部171からの制御信号にしたがって、コイル50に対して所定の電流を印加する。
ここで、コイル50が発生する磁界による磁気を測定可能な磁気測定部を備えることが好ましい。磁気測定部としては、ホール素子、磁気抵抗効果素子などを用いる。磁気測定部を設けることによって、この磁界による磁気を正確に測定することができ、また、コイル50への電流の印加を停止した後の残留磁場も正確に測定できる。通電制御部171は、磁気測定部によって測定される磁界の大きさに応じて、コイル50に印加する電流の大きさを制御し、これによってコイル50が発生する磁界の大きさを制御することができる。このような制御によって、残留磁場をほぼゼロとすることができ、操作者に対して安定した操作感触を与えることができる。
また、磁気測定部に加えて、機械的、電磁的、光学的またはその他の方法によって、保持部20と操作部100との相対的な位置を検出する検出部を設けても良い。この検出部は、例えばロータリーエンコーダーである。
上記第1実施形態では、別体の4つのヨーク31、32、40、90を組み合わせて構成したが、これらのヨークのうちの2つ以上のヨークを一体として構成してもよい。この構成の場合も、磁性ディスク120を挟む両側に2つのヨークを配置する。
<第2実施形態>
第2実施形態においては、第1実施形態に係るトルク発生装置を上下対称にして2つ重ねた構成としている。これによって、第1実施形態に係るトルク発生装置よりもさらに大きなせん断応力を得ることが可能となる。また、上下それぞれのトルク発生装置が備えるコイルを別々に制御することによってトルクの制御範囲を広げることができる。以下、図面を参照しつつ、具体的な構成について説明する。
図6(a)は第2実施形態に係るトルク発生装置210を上側から見た斜視図、(b)はトルク発生装置210を下側から見た斜視図である。図7と図8は、トルク発生装置210を上側から見た分解斜視図である。図7はA部までの上側の上部210Aの斜視図、図8はA部から下側の下部210Bの斜視図である。図9は図6(a)のIX−IX’線に沿った断面図であり、2つのコイル250、450が発生した磁界を概念的に示している。図10は図9の一部拡大図である。図6(a)から図10においても、図1(a)から図4と同様に、説明の便宜上、中心軸211に沿って上下方向を規定しているが、実際の使用時における方向を制限するものではない。以下の説明において、中心軸211と平行な方向を第1の方向D1(図6、図9)とし、中心軸211に直交する径方向を、第2の方向D2(図6、図9)と称する。また、中心軸211に沿って、上側から下側を見た状態を平面視ということがある。さらにまた、図7と図8においては、一部のネジや磁気粘性流体の表示を省略している。
図6(a)、(b)に示すように、トルク発生装置210は、保持部220と、操作部300とを備える。操作部300は、シャフト部310と、2枚の磁性ディスク320、520とを含み、一体となって中心軸211(回転軸)を中心として両方向に回転するように連結される。操作部300は、2つのラジアル軸受351、551、及び、2つのプッシャ352、552を介して、回転可能な状態で保持部220に支持されている(図7、図8参照)。さらに、図10に示すように、トルク発生装置210内に設けた2つの隙間280、480には、磁気粘性流体360、560がそれぞれ満たされている。
保持部220は、図7に示す上部210Aにおいては、第1ヨーク230、第2ヨーク240、磁界発生部としての第1コイル250、封止部材260、及び、上部ケースとしての第3ヨーク290を含む。図7に示すように、第1の方向D1において、磁性ディスク320を挟む一方に第1ヨーク230が位置し、磁性ディスク320を挟む他方に第2ヨーク240が位置するように組み合わせられている。
また、図8に示す下部210Bにおいては、第1ヨーク430、第2ヨーク440、磁界発生部としての第2コイル450、封止部材460、及び、下部ケースとしての第3ヨーク490を含む。図8に示すように、第1の方向D1において、磁性ディスク520を挟む一方に第1ヨーク430が位置し、磁性ディスク520を挟む他方に第2ヨーク440が位置するように組み合わされている。
保持部220は、上部210Aと下部210Bにまたがる環状部材270を含む。上部210Aにおいて、第1ヨーク230、第2ヨーク240、及び、第3ヨーク290は、それぞれ別々に加工されて形成されており、下部210Bにおいて、第1ヨーク430、第2ヨーク440、及び、第3ヨーク490は、それぞれ別々に加工されて形成されている。ただし、これらのヨークのいずれかが組み合わされて一体に形成されていてもよい。
上部210Aの第1コイル250は、図7に示すように円環状をなしている。第1コイル250は、中心軸211の周りを回るように巻き付けられた導線を含むコイルである。下部210Bの第2コイル450は、図8に示すように円環状をなしている。第2コイル450も、中心軸211の周りを回るように巻き付けられた導線を含むコイルである。2つのコイル250、450には、接続部材(不図示)が電気的にそれぞれ接続され、図示しない経路で電流が供給される。電流が供給されることにより、コイル250、450のそれぞれに磁界が発生する。
図7に示すように、上部210Aの第1ヨーク230は、内周側部材としての内側ヨーク231と、外周側部材としての外側ヨーク232とを備える。内側ヨーク231と外側ヨーク232は、中心軸211を中心として同心状に配置される。図8に示すように、下部210Bの第1ヨーク430は、内周側部材としての内側ヨーク431と、外周側部材としての外側ヨーク432とを備える。内側ヨーク431と外側ヨーク432は、中心軸211を中心として同心状に配置される。
図7に示すように、上部210Aの内側ヨーク231は、円筒部231aと、円筒部231aの下面から外側へ広がるように、径方向に沿って延在するように設けられた、平面視円環状の鍔状部231b(図10)とを備える。また、円筒部231aの上部の外周面の外径と、円筒部231aの内周面の内径とは、それぞれ、上下方向の位置に応じて変化するように設定されている。一方、下部210Bの内側ヨーク431は、図8に示すように、円筒部431aと、円筒部431aの上面から外側へ広がるように、径方向に沿って延在するように設けられた、平面視円環状の鍔状部431b(図10)とを備える。円筒部431aの下部の外周面の外径と、円筒部431aの内周面の内径とは、それぞれ、上下方向の位置に応じて変化するように設定されている。
図7に示すように、上部210Aの外側ヨーク232は、円筒部232aと、円筒部232aの下面から内側へ向かうように、径方向に沿って延在するように設けられた、平面視円環状の縁部232bとを備える。図9又は図10に示すように、外側ヨーク232の円筒部232aの内周面は、内側ヨーク231の円筒部231aの外周面と対向し、両者の間には環状の第1空間233が形成されている。この第1空間233内には磁界発生部としての第1コイル250が収納される。内側ヨーク231の上側から、略円板状の第3ヨーク290をのせ、ねじ291を用いて第3ヨーク290を内側ヨーク231と外側ヨーク232に固定することによって、第1空間233が閉じられ、内側ヨーク231、外側ヨーク232、及び、第3ヨーク290によって第1コイル250を囲む磁路が形成される。
一方、図8に示すように、下部210Bの外側ヨーク432は、円筒部432aと、円筒部432aの上面から内側へ向かうように、径方向に沿って延在するように設けられた、平面視円環状の縁部432bとを備える。図9又は図10に示すように、外側ヨーク432の円筒部432aの内周面は、内側ヨーク431の円筒部431aの外周面と対向し、両者の間には環状の第1空間433が形成されている。この第1空間433内には磁界発生部としての第2コイル450が収納される。内側ヨーク431の下側に、略円板状の第3ヨーク490を配置し、ねじ491を用いて第3ヨーク490を内側ヨーク431と外側ヨーク432に固定することによって、第1空間433が閉じられ、内側ヨーク431、外側ヨーク432、及び、第3ヨーク490によって第2コイル450を囲む磁路が形成される。
図9に示すように、上部210Aの外側ヨーク232の縁部232bの内周面と、内側ヨーク231の鍔状部231bの外周面との間にも、環状の空間234、235が形成されている。第2空間234は上記第1空間233に連なり、第3空間235は上記第2空間234に連なっている。
ここで、図10に示すように、鍔状部231bの内周面は、下側に行くほど径方向(図9の方向D2)の外側へ向かうように傾斜した第1面231cと、第1面231cの下端から第1の方向(図10の方向D1)に沿って延びる第2面231dとを備える。一方、縁部232bの内周面は、下側に行くほど径方向の内側へ向かうように傾斜した第1面232cと、第1面232cの下端から第1の方向D1に沿って延びる第2面232dとを備える。そして、第1の方向D1において、内側ヨーク231の第1面231cと外側ヨーク232の第1面232cは互いに対応する位置に設けられ、両者に挟まれた第2空間234を形成する。この第2空間234は、物体を配置していない部分であり、下側へ行くほど径方向の幅が小さくなる磁気ギャップを構成する。別言すると、この磁気ギャップは、第1コイル250に近づくほど、すなわち、上へ行くほど径方向における幅が大きくなるテーパ形状を有している。
また、第2面231dと第2面232dは、第1の方向D1において互いに対応する位置に設けられ、かつ、径方向において互いに平行に対向し合うように設けられ、両者に挟まれた第3空間235を形成する。この第3空間235には、非磁性体からなる封止部材260が配置され、これによって、第2空間234と第3空間235による磁気ギャップが形成される。封止部材260は、第1実施形態の封止部材60と同様の構成・材料からなる。
ここで、内側ヨーク231の下面231eと、外側ヨーク232の下面232eは、磁性ディスク320と対向する対向面を構成する(図9、図10)。この対向面は、第2空間234と第3空間235で構成される磁気ギャップによって、内側と外側に分割され、内側は内側ヨーク231の下面231eに対応し、外側は外側ヨーク232の下面232eに対応する。磁気ギャップは、この対向面において、磁気ギャップの内側の面積と外側の面積とが互いに略同一となる位置に設けられている。
第1コイル250が配置される位置において、中心軸211に直交する断面の面積は、内側ヨーク231と外側ヨーク232とで互いに同じとしている。これにより、飽和磁束密度に至るまでの磁界が最適な構造を実現することができる。
一方、図9に示すように、下部210Bの外側ヨーク432の縁部432bの内周面と、内側ヨーク431の鍔状部431bの外周面との間にも、環状の空間434、435が形成されている。第2空間434は上記第1空間433に連なり、第3空間435は上記第2空間434に連なっている。
ここで、図10に示すように、鍔状部431bの内周面は、上側に行くほど径方向の外側へ向かうように傾斜した第1面431cと、第1面431cの上端から第1の方向D1に沿って延びる第2面431dとを備える。一方、縁部432bの内周面は、上側に行くほど径方向の内側へ向かうように傾斜した第1面432cと、第1面432cの上端から第1の方向D1に沿って延びる第2面432dとを備える。そして、第1の方向D1において、内側ヨーク431の第1面431cと外側ヨーク432の第1面432cは互いに対応する位置に設けられ、両者に挟まれた第2空間434を形成する。この第2空間434は、物体を配置していない部分であり、上側へ行くほど径方向の幅が小さくなる磁気ギャップを構成する。別言すると、この磁気ギャップは、第2コイル450に近づくほど、すなわち、下へ行くほど径方向における幅が大きくなるテーパ形状を有している。
また、第2面431dと第2面432dは、第1の方向D1において互いに対応する位置に設けられ、かつ、径方向において互いに平行に対向し合うように設けられ、両者に挟まれた第3空間435を形成する。この第3空間435には、非磁性体からなる封止部材460が配置され、これによって、第2空間434と第3空間435による磁気ギャップが形成される。封止部材460は、第1実施形態の封止部材60と同様の構成・材料からなる。
ここで、内側ヨーク431の上面431eと、外側ヨーク432の上面432eは、磁性ディスク520と対向する対向面を構成する(図9、図10)。この対向面は、第2空間434と第3空間435で構成される磁気ギャップによって、内側と外側に分割され、内側は内側ヨーク431の上面431eに対応し、外側は外側ヨーク432の上面432eに対応する。磁気ギャップは、この対向面において、磁気ギャップの内側の面積と外側の面積とが互いに略同一となる位置に設けられている。
第2コイル450が配置される位置において、中心軸211に直交する断面の面積は、内側ヨーク431と外側ヨーク432とで互いに同じとしている。これにより、飽和磁束密度に至るまでの磁界が最適な構造を実現することができる。
図9に示すように、径方向(第2の方向D2)において、上部210Aの第1空間233の幅は第2空間234の幅よりも大きく設定されている。さらに、第3空間235の径方向における中心位置235xは、第1空間233の径方向における中心位置233xよりも外側に設定されている。同様に、下部210Bの第1空間433の幅は第2空間434の幅よりも大きく設定されている。さらに、第3空間435の径方向における中心位置は上記中心位置235xと一致しており、第1空間433の径方向における中心位置と一致する上記中心位置233xよりも外側に設定されている。
したがって、上部210Aにおいては、内側ヨーク231の第1面231cと外側ヨーク232の第1面232cは、第1の方向D1に対する傾斜角度が異なっており、内側ヨーク231の第1面231cの傾斜角度の方が大きくなっている。別言すると、径方向に対しては、内側ヨーク231の第1面231cの方が傾斜角度は緩くなっている。また、下部210Bにおいても同様に、内側ヨーク431の第1面431cと外側ヨーク432の第1面432cは、第1の方向D1に対する傾斜角度が異なっており、内側ヨーク431の第1面431cの傾斜角度の方が大きくなっている。すなわち、径方向に対しては、内側ヨーク431の第1面431cの方が傾斜角度は緩くなっている。
図9に示すように、上部210Aの内側ヨーク231と外側ヨーク232は、第3空間235の径方向における中心位置235xが第1ヨーク230全体の径方向における中心よりも外側に位置するように、形状が設定されている。これにより、平面視において、内側ヨーク231が磁性ディスク320と対向する対向面としての下面231eの面積と、外側ヨーク232が磁性ディスク320と対向する対向面としての下面232eの面積と、が互いに略同一となる。このため、磁気ギャップより内側と外側とで磁束密度が互いに略同一となる。下部210Bにおいても、内側ヨーク431と外側ヨーク432は、第3空間435の径方向における中心位置と一致する上記中心位置235xが第1ヨーク430全体の径方向における中心よりも外側に位置するように、形状が設定されている。これにより、平面視において、内側ヨーク431が磁性ディスク520と対向する対向面としての上面431eの面積と、外側ヨーク432が磁性ディスク520と対向する対向面としての上面432eの面積と、が互いに略同一となる。このため、磁気ギャップより内側と外側とで磁束密度が互いに略同一となる。
図7に示すように、上部210Aの第2ヨーク240は、円板状をなしており、第1ヨーク230の下方に配設される。第2ヨーク240は、中心軸211に沿った上下方向に直交する上面241を有する。第2ヨーク240には、中心軸211を囲んで上下に貫通する環状の孔部242が設けられている。図8に示すように、下部210Bの第2ヨーク440は、円板状をなしており、第1ヨーク430の上方に配設される。第2ヨーク440は、中心軸211に沿った上下方向に直交する底面441を有する。第2ヨーク440には、中心軸211を囲んで上下に貫通する環状の孔部442が設けられている。図9に示すように、第2ヨーク240と第2ヨーク440は、第1の方向D1に沿って、第2ヨーク240が上側となるように重ねて配置され、第2ヨーク240の孔部242、及び、第2ヨーク440の孔部442にはシャフト部310の軸部311が挿通される。軸部311は第1の方向D1に沿って延びるように配置され、その延伸方向の略中央にフランジ部312を有する。フランジ部312は、軸部311の外周面より外側に拡がる鍔状の形状を備え、第1の方向D1における厚みは、第2ヨーク240と第2ヨーク440の厚みよりも所定量だけ厚くなっている。この所定量は、第2ヨーク240と磁性ディスク320との間隔、及び、第2ヨーク440と磁性ディスク520との間隔に対応する。
なお、ヨーク230、240、290、430、440、490の平面形状は必ずしも円形でなくてもよい。
図10に示すように、上部210Aにおいては、第1ヨーク230の底面236及び封止部材260の下面261と、第2ヨーク240の上面241とは、互いに略平行とされており、底面236と上面241との間に磁性ディスク320が配置される。磁性ディスク320と底面236と上面241との間に隙間280が形成されている。下部210Bにおいては、第1ヨーク430の上面436及び封止部材460の上面461と、第2ヨーク440の底面441とは、互いに略平行とされており、上面436と底面441との間に磁性ディスク520が配置される。磁性ディスク520と上面436と底面441との間に隙間480が形成されている。
径方向において、上部210Aの第1ヨーク230及び第2ヨーク240と、下部210Bの第1ヨーク430及び第2ヨーク440との外側には環状部材270が配置されている。この環状部材270は、中心軸211を軸とする円環状をなしており、合成樹脂などの非磁性材料で構成されている。環状部材270の内周面は、上部210Aの第1ヨーク230及び第2ヨーク240、並びに、下部210Bの第1ヨーク430及び第2ヨーク440に沿った形状とされており、各ヨークの外周面にそれぞれ固定されている。これにより、第1の方向D1に沿って延びる環状部材270によって、第1の方向D1において、上部210Aの第1ヨーク230、第2ヨーク240、下部210Bの第2ヨーク440、第1ヨーク430の順に並んで、互いに接続される。そして、径方向において、上部210Aの隙間280と下部210Bの隙間480のそれぞれが環状部材270によって閉じられる。このように、環状部材270によって、上部210Aの第1ヨーク230と第2ヨーク240、及び、下部210Bの第2ヨーク440と第1ヨーク430が順に互いに接続され、保持部220が一体に固定されている。なお、環状部材270は、全体が非磁性体材料で形成されていなくてもよく、上部210Aの第1ヨーク230及び第2ヨーク240、並びに、下部210Bの第1ヨーク430及び第2ヨーク440を磁気的に短絡させない非磁性体部を有する複合材料であってもよい。この場合でも、径方向において、隙間80が非磁性体部によって閉じられることが好ましい。
図9と図10に示すように、上部210Aにおいて、磁性ディスク320は、第1ヨーク230と第2ヨーク240との間の隙間280において、中心軸211に直交する方向に延びるように配設されている。よって、磁性ディスク320は、中心軸211に沿った方向において、第1コイル250と互いに重複するように位置する。下部210Bにおいて、磁性ディスク520は、第1ヨーク430と第2ヨーク440との間の隙間480において、中心軸211に直交する方向に延びるように配設されている。よって、磁性ディスク520は、中心軸211に沿った方向において、第2コイル450と互いに重複するように位置する。また、環状部材270は、磁性ディスク320の外周面との間に間隙281を有し、また、磁性ディスク520の外周面との間に間隙481を有して囲むように全周に亘って配置されている。
上述のように、第1ヨーク230の内側ヨーク231及び外側ヨーク232と第3ヨーク290とがそれぞれ接続され、磁性ディスク320を挟んで第2ヨーク240が接続されることによって、上部210Aにおいて、第1コイル250が発生する磁界を閉ループにする磁路(磁気回路)が形成される。同様に、上述のように、第1ヨーク430の内側ヨーク431及び外側ヨーク432と第3ヨーク490とがそれぞれ接続され、磁性ディスク520を挟んで第2ヨーク440が接続されることによって、下部210Bにおいて、第2コイル450が発生する磁界を閉ループにする磁路(磁気回路)が形成される。
以上の構成において、2つのコイル250、450に電流をそれぞれ印加すると図10の矢印で概略的に示す方向の流れを有する磁界が形成される。また、コイル250、450に対して逆向きに電流を印加すると、図10とは逆向きの流れの磁界が形成される。
図10に示す例では、上部210Aにおいては、中心軸211の方向に沿って第1ヨーク230の内側ヨーク231から第2ヨーク240側へ、磁束が、隙間280内の磁性ディスク320を通り、この磁束は第2ヨーク240では中心軸211から遠ざかる方向へ進み、さらに、第2ヨーク240の径方向外側においては、中心軸211の方向に沿って下から上へ、すなわち第2ヨーク240から外側ヨーク232側へ進む。この磁束は、第1コイル250よりも上側の第3ヨーク290においては、外側ヨーク232側から内側ヨーク231側へ向けて、中心軸211へ近づく方向ヘ進み、第1コイル250の内側に対応する領域で、上から下へ、第1ヨーク230の内側ヨーク231内を進み、再び磁性ディスク320を通って第2ヨーク240に至る。
一方、下部210Bにおいては、図10に示すように、中心軸211の方向に沿って第1ヨーク430の内側ヨーク431から第2ヨーク440側へ、磁束が、隙間480内の磁性ディスク520を通り、この磁束は第2ヨーク440では中心軸211から遠ざかる方向へ進み、さらに、第2ヨーク440の径方向外側においては、中心軸211の方向に沿って上から下へ、すなわち第2ヨーク440から外側ヨーク432側へ進む。この磁束は、第2コイル450よりも下側の第3ヨーク490においては、外側ヨーク432側から内側ヨーク431側へ向けて、中心軸211へ近づく方向ヘ進み、第2コイル450の内側に対応する領域で、下から上へ、第1ヨーク430の内側ヨーク431内を進み、再び磁性ディスク520を通って第2ヨーク440に至る。
このような磁路の磁界において、上部210Aの第1ヨーク230の所には、磁気ギャップとして、第2空間234と第3空間235が設けられている。この磁気ギャップは、第1コイル250の下方であって、第1コイル250と、隙間280及び磁性ディスク320との間に設けられている。第1コイル250は磁性ディスク320と離間して第1ヨーク230側に配置され、第1コイル250と磁性ディスク320との間の一部に磁気ギャップが形成されているために、磁気ギャップの近傍では、第1コイル250が発生する磁界の磁束が第1ヨーク230内において、中心軸211に直交する径方向に沿って進行することが規制される。すなわち、第1コイル250と磁性ディスク320との間において、第1コイル250が発生する磁界の磁束を、内側ヨーク231の第1面231cおよび外側ヨーク232の第1面232cの2つの傾斜面に沿って磁性ディスク320へ向かわせることができる。これによって、内側ヨーク231内を通る磁束は、確実に下向きに第2ヨーク240側へ進行し、また、外側ヨーク232内を通る磁束は、確実に上向きに、第2ヨーク240側から第3ヨーク290側へ進行する。
一方、下部210Bの第1ヨーク430の所にも、磁気ギャップとして、第2空間434と第3空間435が設けられている。この磁気ギャップは、第2コイル450の上方であって、第2コイル450と、隙間480及び磁性ディスク520との間に設けられている。第2コイル450は磁性ディスク520と離間して第1ヨーク430側に配置され、第2コイル450と磁性ディスク520との間の一部に磁気ギャップが形成されているために、磁気ギャップの近傍では、第2コイル450が発生する磁界の磁束が第1ヨーク430内において、中心軸211に直交する径方向に沿って進行することが規制される。すなわち、第2コイル450と磁性ディスク520との間において、第2コイル450が発生する磁界の磁束を、内側ヨーク431の第1面431cおよび外側ヨーク432の第1面432cの2つの傾斜面に沿って磁性ディスク520へ向かわせることができる。これによって、内側ヨーク431内を通る磁束は、確実に上向きに第2ヨーク440側へ進行し、また、外側ヨーク432内を通る磁束は、確実に下向きに、第2ヨーク440側から第3ヨーク490側へ進行する。
次に、操作部300の構造について説明する。
図7と図9に示すように、操作軸としてのシャフト部310は、中心軸211に沿って上下に延びる棒状材であり、第1の方向D1の略中央のフランジ部312と、フランジ部312から上下に延びる軸部311とを有する。
図7と図8に示すように、上部210Aの磁性ディスク320と下部210Bの磁性ディスク520は、第1の方向D1に直交するように配置される円形平面を有する円板状をなし、磁性材料で構成される。これらの磁性ディスク320、520の形状は互いに同一である。
上部210Aの磁性ディスク320の円形平面の中心には、第1の方向D1に貫通する中央孔部321が設けられ、この中央孔部321を囲む位置には、磁性ディスク320を上下に貫通する複数の貫通孔部322が設けられている。磁性ディスク320は、貫通孔部322内に第1の方向D1に沿って挿通させたネジ(一部のみ図示)の軸部をシャフト部310のフランジ部312内に嵌め込むことによって、シャフト部310に対して固定される。
また、下部210Bの磁性ディスク520の円形平面の中心には、第1の方向D1に貫通する中央孔部521が設けられ、この中央孔部521を囲む位置には、磁性ディスク520を上下に貫通する複数の貫通孔部522が設けられている。磁性ディスク520は、貫通孔部522内に第1の方向D1に沿って挿通させたネジ(一部のみ図示)の軸部をシャフト部310のフランジ部312内に嵌め込むことによって、シャフト部310に対して固定される。
図10に示すように、上部210Aの磁性ディスク320の中央孔部321の内径と、下部210Bの磁性ディスク520の中央孔部521の内径は、それぞれ、シャフト部310の軸部311の外径と略同一であって、フランジ部312の外径よりも小さい。また、上述のように、フランジ部312の第1の方向D1における厚みは、第2ヨーク240と第2ヨーク440の厚みよりも所定量だけ厚くなっている。これにより、第2ヨーク240と第2ヨーク440を第1の方向D1に沿って重ねた状態で、孔部242と孔部442にフランジ部312を挿通させると、フランジ部312は、第2ヨーク240の上面241から上側に突出して磁性ディスク320の下面に当接し、かつ、第2ヨーク440の底面441から下側に突出して磁性ディスク520の上面に当接する。このとき、フランジ部312の第2ヨーク240からの突出量に応じて、磁性ディスク320と第2ヨーク240との間の隙間280の高さが定まり、第2ヨーク440からの突出量に応じて、磁性ディスク520と第2ヨーク440との間の隙間480の高さが定まる。
図9に示すように、シャフト部310は、上部210Aにおいては、軸部311がラジアル軸受351によって回転自在に支持され、ラジアル軸受351は、プッシャ352によって第1の方向D1の上側(図9の上側)に付勢されるように支持される。プッシャ352は、軸部311の外周面と内側ヨーク231の内周面との間において上下位置が維持されるように配置されたオーリング353によって支持されている。これによってラジアル軸受351は、第1ヨーク230に対して、密着性を維持しつつ、第1の方向D1の所定位置で支持される。軸部311の上部は第3ヨーク290の上方に露出されており、軸部311の露出部分には、入力操作に必要な部材をシャフト部310に結合するための結合部314が設けられている。
また、下部210Bにおいては、図9に示すように、シャフト部310は、軸部311がラジアル軸受551によって回転自在に支持され、ラジアル軸受551は、プッシャ552によって第1の方向D1の下側に付勢されるように支持される。プッシャ552は、軸部311の外周面と内側ヨーク431の内周面との間において上下位置が維持されるように配置されたオーリング553によって支持されている。これによってラジアル軸受551は、第1ヨーク430に対して、密着性を維持しつつ、第1の方向D1の所定位置で支持される。軸部311の下部は第3ヨーク490の下方に所定量露出されている。この所定量は、軸部311がラジアル軸受551によって確実に支持されるような量である。
図7に示すように、上部210Aの磁性ディスク320には、第1の方向D1(厚み方向)に貫通する4つのスリット323a、323b、323c、323dが設けられている。これらのスリットは、円形平面の中心から同一の距離に、周方向に沿って、等角度間隔に設けられている。また、径方向において、第3空間235に対応する位置に設けられている。第1コイル250に図10に示す磁界を発生させると、4つのスリット323a、323b、323c、323dが磁気ギャップとして機能するため、磁界の磁束が4つのスリット323a、323b、323c、323dを径方向に通ることが規制される。これに対して、4つのスリット323a、323b、323c、323dよりも中心軸211側(内側)では、第1ヨーク230の内側ヨーク231から第2ヨーク240に向けて、磁束が下向きに通り、4つのスリット323a、323b、323c、323dよりも外側では、第2ヨーク240から第1ヨーク230の外側ヨーク232に向けて、磁束が上向きに通る。そして、磁性ディスク320において、磁束が4つのスリットを径方向に通ることを規制することができる。さらに、4つのスリットを第3空間235に対応する位置に設けたことによって、第2空間234、第3空間235、及び、4つのスリット323a、323b、323c、323dが第1の方向D1に並ぶため、第1コイル250で発生した磁界が、第1ヨーク230や磁性ディスク320内で径方向に沿って進行することを確実に規制することができ、安定した磁気回路が確保される。
図8に示すように、下部210Bの磁性ディスク520にも、第1の方向D1(厚み方向)に貫通する4つのスリット523a、523b、523c、523dが設けられている。これらのスリットは、円形平面の中心から同一の距離に、周方向に沿って、等角度間隔に設けられている。また、径方向において、第3空間435に対応する位置に設けられている。そして、磁性ディスク520において、磁束が4つのスリットを径方向に通ることを規制することができる。第2コイル450に図10に示す磁界を発生させると、4つのスリット523a、523b、523c、523dが磁気ギャップとして機能するため、磁界の磁束が4つのスリット523a、523b、523c、523dを径方向に通ることが規制される。これに対して、4つのスリット523a、523b、523c、523dよりも中心軸211側(内側)では、第1ヨーク430の内側ヨーク431から第2ヨーク440に向けて、磁束が主に上向きに通り、4つのスリット523a、523b、523c、523dよりも外側では、第2ヨーク440から第1ヨーク430の外側ヨーク232に向けて、磁束が主に下向きに通る。さらに、4つのスリットを第3空間435に対応する位置に設けたことによって、第2空間434、第3空間435、及び、4つのスリット523a、523b、523c、523dが第1の方向D1に並ぶため、第2コイル450で発生した磁界が、第1ヨーク430や磁性ディスク520内で径方向に沿って進行することを確実に規制することができ、安定した磁気回路が確保される。
シャフト部310を回転操作すると、磁性ディスク320が第1ヨーク230及び第2ヨーク240に対して相対的に回転し、かつ、磁性ディスク520が第1ヨーク430及び第2ヨーク440に対して相対的に回転する。このとき、上部210Aにおいては、磁性ディスク320の上面と第1ヨーク230の底面236との間の第1の方向D1の距離は、略一定に保たれ、磁性ディスク320の下面と第2ヨーク240の上面241との間の第1の方向D1の距離は略一定に保たれ、さらに、磁性ディスク320の外周面と環状部材270の内周面との第2の方向D2の距離も略一定に維持される。また、下部210Bにおいても、磁性ディスク520の下面と第1ヨーク430の上面436との間の第1の方向D1の距離は、略一定に保たれ、磁性ディスク520の下面と第2ヨーク440の上面241との間の第1の方向D1の距離は略一定に保たれ、さらに、磁性ディスク520の外周面と環状部材270の内周面との第2の方向D2の距離も略一定に維持される。
図9と図10に示すように、磁性ディスク320の周囲の隙間280には磁気粘性流体360が満たされ、また、磁性ディスク520の周囲の隙間480には磁気粘性流体560が満たされている。したがって、上部210Aにおいては、隙間280のうち、磁性ディスク320の上面と第1ヨーク230の底面236とに第1の方向D1を挟まれた隙間に磁気粘性流体360が存在し、かつ、磁性ディスク320の下面と第2ヨーク240の上面241とに第1の方向D1を挟まれた隙間にも磁気粘性流体360が存在する。さらに、磁性ディスク320の外周面と環状部材270とに径方向に挟まれた、上記間隙281にも磁気粘性流体360が存在する。磁性ディスク320の周囲の隙間280は、封止部材260、環状部材270、シャフト部310、フランジ部312、第1ヨーク230、第2ヨーク240等で封止されている。このため、磁気粘性流体360は隙間280内に確実に保持される。下部210Bにおいては、隙間480のうち、磁性ディスク520の底面と第1ヨーク430の上面436とに第1の方向D1を挟まれた隙間に磁気粘性流体560が存在し、かつ、磁性ディスク520の下面と第2ヨーク440の底面441とに第1の方向D1を挟まれた隙間にも磁気粘性流体560が存在する。さらに、磁性ディスク520の外周面と環状部材270とに径方向に挟まれた、上記間隙481にも磁気粘性流体560が存在する。磁性ディスク520の周囲の隙間480は、封止部材460、環状部材270、シャフト部310、フランジ部312、第1ヨーク430、第2ヨーク440等で封止されている。このため、磁気粘性流体560は隙間480内に確実に保持される。
ここで、磁気粘性流体360、560は、第1実施形態の磁気粘性流体160と同様の物質で構成され、隙間280、480への配置方法や変形例も第1実施形態と同様である。
第1コイル250に対して電流が印加されると、上述したように図10に示すような磁界が発生し、磁性ディスク320においては第1の方向D1のみの磁束が通り、磁性ディスク320の内部では、径方向に沿った磁束は生じないか生じてもその磁束密度はわずかである。この磁界により、第2ヨーク240においては径方向に沿った磁力線が生じ、第1コイル250の外側においては、第1の方向D1の磁力線が生じる。第3ヨーク290においては、第2ヨーク240における磁力線とは逆方向であって径方向の磁力線が生じる。一方、下部210Bにおいては、第2コイル450に対して電流が印加されると図10に示すような磁界が発生し、磁性ディスク520においては、主に、第1の方向D1に沿った方向のみの磁束が通り、磁性ディスク520の内部では、径方向に沿った磁束は生じないか生じてもその磁束密度はわずかである。この磁界により、第2ヨーク440においては径方向に沿った磁力線が生じ、第2コイル450の外側においては、第1の方向D1の磁力線が生じる。第3ヨーク490においては、第2ヨーク440における磁力線とは逆方向であって径方向の磁力線が生じる。
磁気粘性流体360、560のいずれにおいても、コイル250、450による磁界が生じていないときには、磁性粒子は溶媒内で分散されている。したがって、操作者がシャフト部310を操作すると、保持部220は、大きな抵抗力を受けずに、操作部300に対して相対的に回転する。あるいは、コイル250、450に通電されていない状態で、ヨーク内に残留磁束があるときは、その残留磁束の密度に応じてシャフト部310に抵抗トルクが残留する。
一方、コイル250、450に電流を印加して磁界を発生させると、磁気粘性流体360、560には第1の方向D1に沿った磁界が与えられる。この磁界により、磁気粘性流体360、560中で分散していた磁性粒子は磁力線に沿って集まり、第1の方向D1に沿って並んだ磁性粒子が磁気的に互いに連結される。この状態において、中心軸211を中心とする方向にシャフト部310を回転させようとする力を与えると、連結された磁性粒子による抵抗力(トルク)がはたらくため、磁界を発生させていない状態と比べて操作者に抵抗力を感じさせることができる。
第2実施形態においては、シャフト部310から径方向外側に円板状に広がった磁性ディスク320、520を使用しているため、シャフト部310だけの場合に比べると広い範囲に磁気粘性流体360、560を配置できる。さらに、磁気粘性流体360、560の抵抗力の大きさは、上下方向に沿った方向の磁界が印加されている、第1ヨーク230の底面236または第2ヨーク240の上面241に上下方向を挟まれた磁気粘性流体360の配置範囲の広さ、又は、上下方向に沿った方向の磁界が印加されている、第1ヨーク430の上面436または第2ヨーク440の底面441に上下方向を挟まれた磁気粘性流体560の配置範囲の広さにそれぞれ関係する。特に、シャフト部310の操作によって磁性ディスク320、520を回転させたときの磁気粘性流体360、560による抵抗力の大きさは、その回転方向に直交する面の磁気粘性流体360、560の面積に関係する。よって、磁界を印加可能な磁気粘性流体360、560の配置範囲が広くなるほど、抵抗力(トルク)の制御幅を広くすることができる。
第2実施形態では、上部210Aにおいて、第1コイル250と磁性ディスク320との間の一部に磁気ギャップを形成するように第1ヨーク230を内側ヨーク231と外側ヨーク232で構成し、外径を大きくすることなく、磁束の通過する内側ヨーク231の下面231eの面積と外側ヨーク232の下面232eの面積を大きくしている。また、下部210Bにおいて、第2コイル450と磁性ディスク520との間の一部に磁気ギャップを形成するように第1ヨーク430を内側ヨーク431と外側ヨーク432で構成し、外径を大きくすることなく、磁束の通過する内側ヨーク431の上面431eの面積と外側ヨーク432の上面432eの面積を大きくしている。さらにまた、磁性ディスク320、520の広い範囲において、第1の方向D1に沿った磁界成分を主方向とする磁束を通過させることができ、この磁束の方向に基づいた方向に抵抗力(トルク)を発生させることができるため、装置を大型化することなく大きなせん断応力を得ることが可能となる。
図11は、トルク発生装置210の制御系統のブロック図である。トルク発生装置210は、上述のコイル250、450のほかに、通電制御部371、第1通電部372、及び、第2通電部373を更に備える。通電制御部371は、2つのコイル250、450のそれぞれに印加する電流を制御する。第1通電部372は、通電制御部371からの制御信号にしたがって、第1コイル250に対して所定の電流を印加し、第2通電部373は、通電制御部371からの制御信号にしたがって、第2コイル450に対して所定の電流を印加する。図9と図10に示す例では、2つの磁性ディスク320、520のいずれにおいても、中心軸211から遠ざかる方向に磁束が通るように、2つのコイル250、450のそれぞれに同時に電流を印加しているが、互いに異なる方向に磁束が通るように、又は、一方のコイルのみに電流を印加するように制御することもできる。また、2つのコイル250、450のそれぞれに印加する電流は同一であってもよいし、異なってもよい。
図12(a)は、第2実施形態のトルク発生装置210における磁束の流れを示すコンター図、(b)は比較例のトルク発生装置におけるコンター図である。図13(a)は、磁性ディスクの上側における磁束密度の変化を示すグラフ、(b)は磁性ディスクの下側における磁束密度の変化を示すグラフである。図12(b)に示す比較例では、テーパ形状の第2空間が設けられておらず、第2実施形態の第3空間235、435と同様に第1の方向D1に沿って互いに平行な空間がコイルまで延びている。ただし、比較例においても、磁性ディスク側からコイルまで延びる空間は、磁気ギャップとして、径方向において、コイルを収容する第1空間よりも狭くなるように設定されている。図13(a)、(b)では、磁性ディスクの中心から外周までの磁束強度の分布を示しており、黒丸(「テーパ有」)は第2実施形態に対応しており、テーパ形状の第2空間を有する場合であり、白丸(「テーパ無」)は図12(b)の比較例に対応しており、テーパ形状の第2空間を有していない場合である。
図12(a)、(b)に示すように、第2実施形態と比較例のいずれにおいても、コイルと磁性ディスクとの間で、特に磁気ギャップの近傍において、磁束が径方向に沿って進行することが規制されており、磁気ギャップを設けていない構成と比べて面積を有効に活用できていることが分かる。さらに、図12(a)、(b)を比較すると、第2実施形態のトルク発生装置210(図12(a))では、比較例よりもさらに、磁束が効率的に磁性ディスク側へ導かれていることが分かる。
図13(a)、(b)を見ると、磁性ディスクの上下両面の何れにおいても、第2実施形態のトルク発生装置210のようなテーパ形状を設けることによって磁束密度が大きくなっていることが分かる。これは、テーパ形状の第2空間を設けることによって、ヨーク内において磁性ディスクの手前で磁束が左右に流れることを規制することができ、この領域における磁束の短絡を減少させることができ、磁性ディスクに対して効率的に磁束が誘導されやすくなったことに起因すると考えられる。このような構成によれば、磁気粘性流体に対して、操作軸と平行な方向の磁束を効率よく与えることができ、これによって、磁気粘性流体を硬化させやすくなり、せん断応力を増加させることが可能となることから、大型化することなくトルク性能を向上させることができる。
なお、その他の構成、作用、効果は第1実施形態と同様である。
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的または本発明の思想の範囲内において改良または変更が可能である。
以上のように、本発明に係るトルク発生装置は、小型でありながら、大きなせん断応力を得ることができる点で有用である。
10、210 トルク発生装置
11、211 中心軸
20、220 保持部
30、230、430 第1ヨーク
31、231、431 内側ヨーク
31a、231a、431a 円筒部
31b、231b、431b 鍔状部
31c、231c、431c 第1面
31d、231d、431d 第2面
32、232、432 外側ヨーク
32a、232a、432a 円筒部
32b、232b、432b 縁部
32c、232c、432c 第1面
32d、232d、432d 第2面
33、233、433 第1空間
33x、233x 中心位置
34、234、434 第2空間(磁気ギャップ)
35x、235x 中心位置
35、235、435 第3空間(磁気ギャップ)
36、236 底面
40、240、440 第2ヨーク
41、241 上面
42、242、442 孔部
43 下面
50 コイル(磁界発生部)
60、260、460 封止部材
61、261 下面
70、270 環状部材
80、280、480 隙間
81、281、481 間隙
90、290、490 第3ヨーク
100、300 操作部
110、310 シャフト部(操作軸)
111、311 軸部(操作軸)
112、312 フランジ部
113 先端部
114、314 結合部
120、320、520 磁性ディスク
121、321、521 中央孔部
122、322、522 貫通孔部
123a、123b、123c、123d スリット
140 支持部材
140a 受け部
141 保持具
151、351、551 ラジアル軸受
152、352、552 プッシャ
153、353、553 オーリング
160、360、560 磁気粘性流体
171、371 通電制御部
172 通電部
210A 上部
210B 下部
250 第1コイル(磁界発生部)
323a、323b、323c、323d スリット
372 第1通電部
373 第2通電部
436 上面
441 底面
450 第2コイル(磁界発生部)
461 上面
523a、523b、523c、523d スリット
D1 第1の方向
D2 第2の方向

Claims (5)

  1. 回転軸を中心に回転可能な磁性ディスクと、
    前記回転軸と平行な第1の方向において前記磁性ディスクを挟む一方に位置する第1ヨーク、及び、他方に位置する第2ヨークと、
    前記第1の方向において、前記磁性ディスクと離間して前記第1ヨーク側に配置され、通電により磁界を発生させるコイルと、
    前記磁性ディスクと前記第1ヨーク及び前記第2ヨークとの間に充填された磁気粘性流体とを備え、
    前記第1ヨークは、前記コイルと前記磁性ディスクとの間に磁気ギャップを形成するように、前記コイルと前記磁性ディスクとの間において、径方向に延在して設けられており、
    前記磁気ギャップは、前記コイルに近づくほど前記径方向における幅が大きくなる形状を有することを特徴とするトルク発生装置。
  2. 前記磁気ギャップにより前記磁性ディスクと対向する前記第1ヨークの対向面が前記径方向において前記磁気ギャップの内側と外側に分割され、前記磁気ギャップは、前記対向面において、前記磁気ギャップの内側の面積と外側の面積とが互いに略同一となる位置に設けられている請求項1に記載のトルク発生装置。
  3. 前記第1ヨークは、前記磁気ギャップの内側の領域を形成する内周側部材と、外側の領域を形成する外周側部材と、を少なくとも有し、
    前記内周側部材および前記外周側部材のそれぞれにおいて前記磁気ギャップを形成する面が傾斜面を有する請求項1又は請求項2に記載のトルク発生装置。
  4. 前記磁気ギャップは、少なくとも一部において、非磁性体からなる封止部材によって封止されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のトルク発生装置。
  5. 前記第1ヨークと前記第2ヨークとを前記第1の方向において互いに接続する環状部材を備え、
    前記環状部材は、前記磁性ディスクの外周面との間に間隙を有して囲むように全周に亘って配置されている非磁性体部を有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のトルク発生装置。
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