JP2020202285A - 微細凹凸構造付き基板の製造方法及び反射防止構造体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】マスクレスのドライエッチングで、基板の被加工面全面に緻密に微細な孔を形成できる微細凹凸構造付き基板の製造方法及びこれを用いた反射防止構造体の製造方法を提供する。【解決手段】微細凹凸構造付き基板の製造方法であって、Si系基板に対し、エッチングガスとしてガス(A)又はガス(A)と下記希釈ガスとの混合ガスを用い、圧力1.1〜20Pa、バイアス電力密度0.11〜0.49W/cm2の条件でドライエッチングを行う。ガス(A):Cl2、CCl4及びHClからなる群から選ばれる少なくとも1種。希釈ガス:Ar、H2及びN2からなる群から選ばれる少なくとも1種。【選択図】図1
Description
本発明は、微細凹凸構造付き基板の製造方法及び反射防止構造体の製造方法に関する。
ディスプレイ等の表面における光の反射を防止する方法として、前記表面に微細凹凸構造を設ける方法が知られている。この方法は、いわゆるモスアイ(moth eye)構造の原理を利用したものであり、前記表面の垂線方向にて入射光に対する屈折率を連続的に変化させ、これにより屈折率の不連続界面を消失させて反射防止を図るものである。
優れた反射防止性能を示す構造体として、Si基板の表面にエッチングにより微細凹凸構造を設けたブラックシリコンが知られている。
ブラックシリコンをマスクレスで製造する方法として、SF6とO2との混合ガスをエッチングガスとして用いてSi基板をドライエッチングする方法がある(特許文献1〜2)。この方法でSi基板をドライエッチングすると、Si基板の表面が荒れ、凹んだ部分からエッチングが進行して多数の孔が開く。エッチング時間を延ばすと、単位面積当たりの孔の数が増え、孔の深さが深くなり、孔径も大きくなる。エッチング時間をさらに延ばすと、隣り合う孔同士がつながり、側壁の一部が残って針状ないし円錐状の凸部が形成される。
ブラックシリコンをマスクレスで製造する方法として、SF6とO2との混合ガスをエッチングガスとして用いてSi基板をドライエッチングする方法がある(特許文献1〜2)。この方法でSi基板をドライエッチングすると、Si基板の表面が荒れ、凹んだ部分からエッチングが進行して多数の孔が開く。エッチング時間を延ばすと、単位面積当たりの孔の数が増え、孔の深さが深くなり、孔径も大きくなる。エッチング時間をさらに延ばすと、隣り合う孔同士がつながり、側壁の一部が残って針状ないし円錐状の凸部が形成される。
J.Appl.Phys.116,173503(2014)
Scientific Reports,|6:35183|(2016年10月11日)
微細凹凸構造を構成する凹凸の径が小さいほど、単位面積当たりの凹凸の数が多いほど、屈折率変化がより緩やかになり、微細凹凸構造の反射防止性能が高まる傾向がある。
また、凹凸の径が同じである場合、凹凸の深さが深いほど、微細凹凸構造の反射防止性能が高まる傾向がある。一方で、凹凸の深さが深いほど、微細凹凸構造の強度が低下する傾向がある。
前記したSF6とO2との混合ガスを用いてドライエッチングする方法では、Si基板全面に緻密に孔が開くまでエッチングを行うと、孔の孔径が大きくなる。また、孔の深さがμmオーダーになり、さらに孔の側壁に顕著な表面荒れが生じるため、微細凹凸構造の強度が低いものとなる。
また、凹凸の径が同じである場合、凹凸の深さが深いほど、微細凹凸構造の反射防止性能が高まる傾向がある。一方で、凹凸の深さが深いほど、微細凹凸構造の強度が低下する傾向がある。
前記したSF6とO2との混合ガスを用いてドライエッチングする方法では、Si基板全面に緻密に孔が開くまでエッチングを行うと、孔の孔径が大きくなる。また、孔の深さがμmオーダーになり、さらに孔の側壁に顕著な表面荒れが生じるため、微細凹凸構造の強度が低いものとなる。
本発明の一態様は、マスクレスのドライエッチングで、基板の被加工面全面に緻密に微細な孔を形成できる微細凹凸構造付き基板の製造方法、及びこれを用いた反射防止構造体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
〔1〕Si系基板に対し、エッチングガスとして下記ガス(A)又は前記ガス(A)と下記希釈ガスとの混合ガスを用い、圧力1.1〜20Pa、バイアス電力密度0.11〜0.49W/cm2の条件でドライエッチングを行う、微細凹凸構造付き基板の製造方法。
ガス(A):Cl2、CCl4及びHClからなる群から選ばれる少なくとも1種。
希釈ガス:Ar、H2及びN2からなる群から選ばれる少なくとも1種。
〔2〕前記〔1〕の微細凹凸構造付き基板の製造方法により微細凹凸構造付き基板を製造し、前記微細凹凸構造付き基板の微細凹凸構造を成形材料に転写する、反射防止構造体の製造方法。
〔1〕Si系基板に対し、エッチングガスとして下記ガス(A)又は前記ガス(A)と下記希釈ガスとの混合ガスを用い、圧力1.1〜20Pa、バイアス電力密度0.11〜0.49W/cm2の条件でドライエッチングを行う、微細凹凸構造付き基板の製造方法。
ガス(A):Cl2、CCl4及びHClからなる群から選ばれる少なくとも1種。
希釈ガス:Ar、H2及びN2からなる群から選ばれる少なくとも1種。
〔2〕前記〔1〕の微細凹凸構造付き基板の製造方法により微細凹凸構造付き基板を製造し、前記微細凹凸構造付き基板の微細凹凸構造を成形材料に転写する、反射防止構造体の製造方法。
本発明の一態様によれば、マスクレスのドライエッチングで、基板の被加工面全面に緻密に微細な孔を形成できる微細凹凸構造付き基板の製造方法、及びこれを用いた反射防止構造体の製造方法を提供できる。
以下、本発明について、実施形態を示して説明する。
(微細凹凸構造付き基板の製造方法)
図1は、本発明の一実施形態に係る微細凹凸構造付き基板の製造方法(以下、本製造方法ともいう。)を模式的に説明する図である。なお、図1における寸法比は、説明の便宜上のものであり、実際のものとは異なったものである。
本製造方法は、図1に示すように、Si系基板1に対し、エッチングガスとしてガス(A)又はガス(A)と希釈ガスとの混合ガスを用い、圧力1.1〜20Pa、バイアス電力密度0.11〜0.49W/cm2の条件でドライエッチングを行う。これにより、図1に示すように、Si系基板1の表面(被加工面)全面に孔3が緻密に形成される。
図1は、本発明の一実施形態に係る微細凹凸構造付き基板の製造方法(以下、本製造方法ともいう。)を模式的に説明する図である。なお、図1における寸法比は、説明の便宜上のものであり、実際のものとは異なったものである。
本製造方法は、図1に示すように、Si系基板1に対し、エッチングガスとしてガス(A)又はガス(A)と希釈ガスとの混合ガスを用い、圧力1.1〜20Pa、バイアス電力密度0.11〜0.49W/cm2の条件でドライエッチングを行う。これにより、図1に示すように、Si系基板1の表面(被加工面)全面に孔3が緻密に形成される。
Si系基板1は、少なくとも微細凹凸構造が形成される部分がSi系材料(Si、SiC等)からなる基板である。Si系基板1としては、例えばSi基板、SiC基板等の単一基板;母材上にSi又はSiCが製膜された複合基板が挙げられる。母材の材質としては特に制限されず、ガラス(石英、アルカリガラス、無アルカリガラス、サファイア)、セラミックス、金属(鉄、ステンレス、ニッケル等)を用いることができる。Si系基板1は、平板状でもよく、曲面を有していてもよい。
Si系基板1としては、エッチング対象物として加工性が良い点、汎用性に優れる点から、Si基板が好ましい。
Si系基板1としては、エッチング対象物として加工性が良い点、汎用性に優れる点から、Si基板が好ましい。
ガス(A)は、Cl2、CCl4及びHClからなる群から選ばれる少なくとも1種である。ガス(A)は、腐食性ガスである。
ガス(A)としては、Si系基板へのエッチング性が高く、また一般的に広く使用される点で、Cl2が好ましい。
ガス(A)としては、Si系基板へのエッチング性が高く、また一般的に広く使用される点で、Cl2が好ましい。
希釈ガスは、Ar、H2及びN2からなる群から選ばれる少なくとも1種である。希釈ガスは、ガス(A)の均一化(Si系基板の加工分布を良くする)や、Si系基板1のエッチングレートの調整のために用いられる。
ドライエッチングは、公知のドライエッチング装置を用いて行うことができる。
ドライエッチング装置の例としては、誘導結合型プラズマ(ICP)エッチング装置、容量結合型プラズマ(CCP)エッチング装置等が挙げられる。
ドライエッチング装置としては、高密度で微細なパターンのエッチングが可能な点で、ICPエッチング装置が好ましい。
ドライエッチング装置の例としては、誘導結合型プラズマ(ICP)エッチング装置、容量結合型プラズマ(CCP)エッチング装置等が挙げられる。
ドライエッチング装置としては、高密度で微細なパターンのエッチングが可能な点で、ICPエッチング装置が好ましい。
エッチングガスの流量は、ドライエッチングチャンバー容量、加工するSi系基板のサイズによって異なるため、適宜調整する必要がある。
ガス(A)の流量(sccm)と希釈ガスの流量(sccm)との比(ガス(A)/希釈ガス)は、例えば100/0〜10/90である。
Si系基板のサイズが大きい場合、Si系基板の面内におけるガス(A)の分布が悪化する傾向がある。その場合は、Si系基板全体のエッチングレートの変動幅を縮小するために、希釈ガスの比率を高くする。
ガス(A)の流量(sccm)と希釈ガスの流量(sccm)との比(ガス(A)/希釈ガス)は、例えば100/0〜10/90である。
Si系基板のサイズが大きい場合、Si系基板の面内におけるガス(A)の分布が悪化する傾向がある。その場合は、Si系基板全体のエッチングレートの変動幅を縮小するために、希釈ガスの比率を高くする。
ドライエッチングを行う際の圧力、つまりドライエッチング装置のチャンバー内の圧力は、1.1〜20Paであり、1.5〜18Paが好ましく、2.0〜15Paがより好ましい。圧力が前記範囲の下限値以上であれば、孔3を充分に開けることができ、前記範囲の上限値以下であれば、孔3の孔径、ひいては孔5の孔径を充分に小さく、例えば1000nm以下にできる。孔5の孔径が小さいほど、可視光領域の微細凹凸構造の反射防止性能が優れる傾向がある。
ドライエッチングを行う際のバイアス電力密度(単位面積当たりのバイアス電力)は、0.11〜0.49W/cm2であり、0.15〜0.45W/cm2が好ましく、0.2〜0.35W/cm2がより好ましい。バイアス電力密度が前記範囲の下限値以上であれば、孔3を充分に開けることができ、前記範囲の上限値以下であれば、基材表面全体に孔3を形成することができる。
ドライエッチングを行う際のアンテナ電力密度(単位面積当たりのアンテナ電力)は、例えば0.5〜1.5W/cm2である。
ドライエッチングを行う時間(エッチング時間)は、孔3の所望の深さに応じて適宜選定できる。エッチング時間が長いほど、孔3の深さが深くなる。
ドライエッチングを行う際のSi系基板の表面温度は、高い方が好ましい。
一般的に、ドライエッチング装置は、基板表面温度をコントロールするため、真空チャンバー内で下部電極上に基板を直接固定する静電チャック方式が採用されている。プラズマによる発生する熱によって非常に高温状態となり、静電チャック方式で固定された基板を、冷却用プレート内を流れる冷媒によって冷却し、基板表面温度を一定にコントロールしている。そのため、基板の表面温度は下部電極の温度でコントロールすることになる。また、熱による過剰な負荷を下部電極に与えないため、下部電極温度は−150℃〜100℃の範囲で設定される。それゆえ、基板表面温度を高温状態にするには、下部電極に直接基板を設置するのではなく、電極と基板間に石英、又はセラミックスで形成されるトレーを挟むことで、基板の冷却効果を低減させる必要がある。
下部電極に石英やセラミックスで形成される搬送トレーを設置し、トレー上にSi系基板を設置することにより、トレー自体はある程度冷却されるため、熱による過剰な負荷を下部電極に与えない。一方で、トレー上に設置されたSi系基板は、冷却されづらい環境になるため、プラズマによる発生する熱によって設定した下部電極の温度以上になることが容易に想定される。例えば、下部電極温度を20℃に設定し、搬送トレー上に設置したサーモラベルを取り付けたSi系基板にエッチング工程を行うと、Si系基板の表面温度が140℃以上になることが確認されている。
一般的に、ドライエッチング装置は、基板表面温度をコントロールするため、真空チャンバー内で下部電極上に基板を直接固定する静電チャック方式が採用されている。プラズマによる発生する熱によって非常に高温状態となり、静電チャック方式で固定された基板を、冷却用プレート内を流れる冷媒によって冷却し、基板表面温度を一定にコントロールしている。そのため、基板の表面温度は下部電極の温度でコントロールすることになる。また、熱による過剰な負荷を下部電極に与えないため、下部電極温度は−150℃〜100℃の範囲で設定される。それゆえ、基板表面温度を高温状態にするには、下部電極に直接基板を設置するのではなく、電極と基板間に石英、又はセラミックスで形成されるトレーを挟むことで、基板の冷却効果を低減させる必要がある。
下部電極に石英やセラミックスで形成される搬送トレーを設置し、トレー上にSi系基板を設置することにより、トレー自体はある程度冷却されるため、熱による過剰な負荷を下部電極に与えない。一方で、トレー上に設置されたSi系基板は、冷却されづらい環境になるため、プラズマによる発生する熱によって設定した下部電極の温度以上になることが容易に想定される。例えば、下部電極温度を20℃に設定し、搬送トレー上に設置したサーモラベルを取り付けたSi系基板にエッチング工程を行うと、Si系基板の表面温度が140℃以上になることが確認されている。
ドライエッチングの後、必要に応じて、O2ガスを主としたドライ洗浄等の処理を行ってもよい。
<微細凹凸構造>
上記のようにして、孔3が緻密に配置された微細凹凸構造を表面に有する微細凹凸構造付き基板2が得られる。
上記のようにして、孔3が緻密に配置された微細凹凸構造を表面に有する微細凹凸構造付き基板2が得られる。
孔3の孔径は、微細凹凸構造付き基板2を原版として反射防止構造体の製造に用いる場合は、10〜1000nmが好ましく、20〜200nmがより好ましい。孔3の孔径が前記範囲の下限値以上であれば、樹脂への微細凹凸構造転写性が優れる。孔3の孔径が前記範囲の上限値以下であれば、その微細凹凸構造を転写して得られる反射防止構造体の可視光領域の反射防止性能がより優れる。
孔3の孔径は、後述する実施例に記載の測定方法により測定される。
孔3の孔径は、後述する実施例に記載の測定方法により測定される。
孔3の深さは、微細凹凸構造付き基板2を原版として反射防止構造体の製造に用いる場合は、50〜3000nmが好ましく、200〜2000nmがより好ましい。孔3の深さが前記範囲の下限値以上であれば、その微細凹凸構造を転写して得られる反射防止構造体の反射防止性能がより優れる。孔3の深さが前記範囲の上限値以下であれば、樹脂への微細凹凸構造転写性がより優れる。
孔3の深さは、後述する実施例に記載の測定方法により測定される。
孔3の深さは、後述する実施例に記載の測定方法により測定される。
孔3のアスペクト比は、微細凹凸構造付き基板2を原版として反射防止構造体の製造に用いる場合は、1〜15が好ましく、2〜10がより好ましい。孔3のアスペクト比が前記範囲の下限値以上であれば、その微細凹凸構造を転写して得られる反射防止構造体の反射防止性能がより優れる。孔3のアスペクト比が前記範囲の上限値以下であれば、樹脂への微細凹凸構造の転写性がより優れる。
孔3のアスペクト比は、孔3の孔径(nm)に対する深さ(nm)の比として算出される。
孔3のアスペクト比は、孔3の孔径(nm)に対する深さ(nm)の比として算出される。
微細凹凸構造付き基板2の拡散反射率は、微細凹凸構造付き基板2を原版として反射防止構造体の製造に用いる場合は、20.0%以下が好ましく、15.0%以下がより好ましい。拡散反射率が前記上限値以下であれば、その微細凹凸構造を転写して得られる反射防止構造体の反射防止性能がより優れる。
拡散反射率は、後述する実施例に記載の測定方法により測定される。
拡散反射率は、後述する実施例に記載の測定方法により測定される。
<作用効果>
以上説明したように、本製造方法にあっては、マスクレスのドライエッチングで、Si系基板1の被加工面全面に緻密に微細な孔3を形成でき、微細な孔3が緻密に配置された微細凹凸構造を表面に有する微細凹凸構造付き基板2が得られる。
以上説明したように、本製造方法にあっては、マスクレスのドライエッチングで、Si系基板1の被加工面全面に緻密に微細な孔3を形成でき、微細な孔3が緻密に配置された微細凹凸構造を表面に有する微細凹凸構造付き基板2が得られる。
従来の、SF6とO2との混合ガスを用いてドライエッチングする方法では、Si基板全面に緻密に孔が開くまでエッチングを行うと、孔の孔径が大きくなる。また、孔の深さがμmオーダーになり、さらに孔の側壁に顕著な表面荒れが生じるため、微細凹凸構造の強度が低いものとなる。
また、この方法ではSi基板の温度を低温に制御するために、ドライエッチング装置の静電チャック方式を必ず使用する。本発明者らの検討によれば、Si基板の温度を低温(0℃未満)に制御しない場合、反応性が高すぎて、ドライエッチング開始後すぐにSi基板表面が荒れた状態、又は均されて凹凸構造が形成されない状態になってしまう。
また、この方法ではSi基板の温度を低温に制御するために、ドライエッチング装置の静電チャック方式を必ず使用する。本発明者らの検討によれば、Si基板の温度を低温(0℃未満)に制御しない場合、反応性が高すぎて、ドライエッチング開始後すぐにSi基板表面が荒れた状態、又は均されて凹凸構造が形成されない状態になってしまう。
これに対し、本製造方法にあっては、ガス(A)を含むエッチングガスを用い、特定の圧力およびバイアス電力密度でドライエッチングを行うことで、孔の孔径が大きくなる前に、Si系基板1の被加工面全面に緻密に孔を形成できる。このエッチングガスによる孔の形成は、ガス(A)の腐食作用によるものと考えられる。微細な孔を緻密に形成できるため、優れた反射防止性能が得られる。また、被加工面全面に緻密に孔が形成された段階での孔の深さを、前記したSF6とO2との混合ガスを用いた従来技術に比べて浅く、例えば200nm以下にできるので、微細凹凸構造の強度に優れる。圧力によって孔3の孔径を調整することも可能である。例えば圧力が低くなるにつれて、孔の孔径が小さくなる傾向がある。
なお、後述する実施例に示すとおり、エッチングガスとしてSF6とO2との混合ガスを用いる場合、圧力1.1〜20Pa、バイアス電力密度0.11〜0.49W/cm2の条件では、基板表面が高温状態でありSiのエッチング性(反応性)が高すぎるため、Si系基板の表面に孔を形成できない。
また、本製造方法にあっては、従来用いられているような静電チャック方式のドライエッチング装置で低温(0℃未満)に設定することなく、良好に微細凹凸構造を形成できる。また、形成される孔3の側壁の表面荒れを抑制できる。これらの効果は、ガス(A)とSi系化合物との反応物であるSiClによって深さ方向と直交する方向(面内方向)へのエッチングの進行が抑制され、SF6とO2との混合ガスに比べ、深さ方向へのエッチングが進行しやすいためと考えられる。
なお、後述する実施例に示すとおり、エッチングガスとしてSF6とO2との混合ガスを用いる場合、圧力1.1〜20Pa、バイアス電力密度0.11〜0.49W/cm2の条件では、基板表面が高温状態でありSiのエッチング性(反応性)が高すぎるため、Si系基板の表面に孔を形成できない。
また、本製造方法にあっては、従来用いられているような静電チャック方式のドライエッチング装置で低温(0℃未満)に設定することなく、良好に微細凹凸構造を形成できる。また、形成される孔3の側壁の表面荒れを抑制できる。これらの効果は、ガス(A)とSi系化合物との反応物であるSiClによって深さ方向と直交する方向(面内方向)へのエッチングの進行が抑制され、SF6とO2との混合ガスに比べ、深さ方向へのエッチングが進行しやすいためと考えられる。
(反射防止構造体の製造方法)
本発明の一実施形態に係る反射防止構造体の製造方法は、前記した微細凹凸構造付き基板の製造方法により得た微細凹凸構造付き基板2を原版として、その微細凹凸構造を成形材料に転写する。なお、微細凹凸構造付き基板2を原版として作製できる樹脂モールド、又は電鋳によって得られる同一又は反転した形状を持つNiモールドを使用して、転写してもよい。
本発明の一実施形態に係る反射防止構造体の製造方法は、前記した微細凹凸構造付き基板の製造方法により得た微細凹凸構造付き基板2を原版として、その微細凹凸構造を成形材料に転写する。なお、微細凹凸構造付き基板2を原版として作製できる樹脂モールド、又は電鋳によって得られる同一又は反転した形状を持つNiモールドを使用して、転写してもよい。
転写方法としては、特に限定されず、ナノインプリント法、プレス成形法、射出成形法等の公知の方法を採用できる。
転写回数は、1回でもよく2回以上でもよい。
転写回数が奇数回であると、微細凹凸構造付き基板2の微細凹凸構造が反転した形状の微細凹凸構造、つまり孔3が反転した形状の凸部が緻密に配置された微細凹凸構造を有する反射防止構造体が得られる。
転写回数が偶数回であると、微細凹凸構造付き基板2の微細凹凸構造と同じ形状の微細凹凸構造を有する反射防止構造体が得られる。
転写回数は、1回でもよく2回以上でもよい。
転写回数が奇数回であると、微細凹凸構造付き基板2の微細凹凸構造が反転した形状の微細凹凸構造、つまり孔3が反転した形状の凸部が緻密に配置された微細凹凸構造を有する反射防止構造体が得られる。
転写回数が偶数回であると、微細凹凸構造付き基板2の微細凹凸構造と同じ形状の微細凹凸構造を有する反射防止構造体が得られる。
成形材料としては、転写方法、反射防止構造体の用途等に応じて公知の成形材料から適宜選定できる。
最終的に微細凹凸構造を転写する成形材料、つまり反射防止構造体を構成する材料としては、合成樹脂が好ましい。合成樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられる。好適な材料としては、ポリエチレンテレフタラート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、アクリル樹脂(PMMA)、ポリスチレン(PS)等が挙げられる。
最終的に微細凹凸構造を転写する成形材料、つまり反射防止構造体を構成する材料としては、合成樹脂が好ましい。合成樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられる。好適な材料としては、ポリエチレンテレフタラート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、アクリル樹脂(PMMA)、ポリスチレン(PS)等が挙げられる。
反射防止構造体の全体的な形状としては、例えばフィルム状、シート状、プレート状、ブロック状、レンズ状、球状等とすることができる。これらの形状は特に限定されるものでなく、その使用用途によって変更することができる。
以上、実施形態を示して本発明を説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されるものではない。前記した実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
Si系基板として、直径が4インチ、厚さが0.525mmのシリコンウェハを用意した。このシリコンウェハ表面に、マスクパターンを作製せずに、ドライエッチングを行うことで、実施例1の微細凹凸構造付きシリコンウェハを作製した。
具体的には、ICPエッチング装置において、60℃に設定した下部電極上に、シリコンウェハを設置した石英トレーを設置し、圧力が3.0Paであって、エッチングガスがCl2ガスである雰囲気において、アンテナ電力密度として1.25W/cm2、バイアス電力密度として0.25W/cm2を供給し、ドライエッチングを行った。これにより、実施例1の微細凹凸構造付きシリコンウェハを得た。
Si系基板として、直径が4インチ、厚さが0.525mmのシリコンウェハを用意した。このシリコンウェハ表面に、マスクパターンを作製せずに、ドライエッチングを行うことで、実施例1の微細凹凸構造付きシリコンウェハを作製した。
具体的には、ICPエッチング装置において、60℃に設定した下部電極上に、シリコンウェハを設置した石英トレーを設置し、圧力が3.0Paであって、エッチングガスがCl2ガスである雰囲気において、アンテナ電力密度として1.25W/cm2、バイアス電力密度として0.25W/cm2を供給し、ドライエッチングを行った。これにより、実施例1の微細凹凸構造付きシリコンウェハを得た。
得られた微細凹凸構造付きシリコンウェハを型とし、型の表面に一般的なフッ素系材料で離型処理を行った後、COPフィルム上に圧力6.0MPa、処理温度170℃で熱ナノインプリントを行い、室温まで冷却させて、実施例1の反射防止構造体を得た。
(実施例2〜5)
エッチング条件を表1に示すようにしたこと以外は実施例1と同様の操作を行って、微細凹凸構造付きシリコンウェハ及び反射防止構造体を作製した。
エッチング条件を表1に示すようにしたこと以外は実施例1と同様の操作を行って、微細凹凸構造付きシリコンウェハ及び反射防止構造体を作製した。
(比較例1〜5)
エッチング条件を表1に示すようにし、実施例1と同様の操作を行ったところ、ドライエッチング後のシリコンウェハ表面に変化が見られず、微細凹凸構造付きシリコンウェハが得られなかった。
エッチング条件を表1に示すようにし、実施例1と同様の操作を行ったところ、ドライエッチング後のシリコンウェハ表面に変化が見られず、微細凹凸構造付きシリコンウェハが得られなかった。
(微細凹凸構造の構造スペックの測定)
得られた微細凹凸構造付きシリコンウェハ(微細凹凸構造付き基板)について、以下の測定方法により、孔の深さ及び孔径を測定した。結果を表1に示す。
得られた微細凹凸構造付きシリコンウェハ(微細凹凸構造付き基板)について、以下の測定方法により、孔の深さ及び孔径を測定した。結果を表1に示す。
<孔の深さの測定方法>
図2を用いて孔の深さの測定方法を説明する。図2は、実施例1で得た微細凹凸構造付き基板の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
微細凹凸構造付き基板を任意の位置で切り出し、その断面をSEMで観察し、微細凹凸構造の幅3μmの範囲において、凸部の一番高い位置と、凹部の一番低い位置の水平線間の距離を測定した。10〜20枚の画像について同様の測定を行い、その平均値を孔の深さとした。
図2を用いて孔の深さの測定方法を説明する。図2は、実施例1で得た微細凹凸構造付き基板の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
微細凹凸構造付き基板を任意の位置で切り出し、その断面をSEMで観察し、微細凹凸構造の幅3μmの範囲において、凸部の一番高い位置と、凹部の一番低い位置の水平線間の距離を測定した。10〜20枚の画像について同様の測定を行い、その平均値を孔の深さとした。
<孔の孔径の測定方法>
図3を用いて孔の孔径の測定方法を説明する。図3は、実施例1で得た微細凹凸構造付き基板の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
微細凹凸構造付き基板を任意の位置で切り出し、その表面をSEMで観察し、観察されたSEM像の任意の位置に、孔(画像中の黒い部分)が100〜200個含まれる正方形の領域を設定し、その領域の2本の対角線を横切った孔を、前記2本の対角線の交点に近いものから順に20個選択し、各孔について、孔の外接円の直径を測定し、それらの直径の算術平均を孔の孔径とした。
図3を用いて孔の孔径の測定方法を説明する。図3は、実施例1で得た微細凹凸構造付き基板の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
微細凹凸構造付き基板を任意の位置で切り出し、その表面をSEMで観察し、観察されたSEM像の任意の位置に、孔(画像中の黒い部分)が100〜200個含まれる正方形の領域を設定し、その領域の2本の対角線を横切った孔を、前記2本の対角線の交点に近いものから順に20個選択し、各孔について、孔の外接円の直径を測定し、それらの直径の算術平均を孔の孔径とした。
(評価)
得られた微細凹凸構造付きシリコンウェハ及び反射防止構造体について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
得られた微細凹凸構造付きシリコンウェハ及び反射防止構造体について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
<微細凹凸構造付きシリコンウェハの拡散反射率>
微細凹凸構造付きシリコンウェハ(原版)について、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光社製V−770)を用いて、可視光領域の拡散反射率スペクトルを測定した。
微細凹凸構造付きシリコンウェハ(原版)について、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光社製V−770)を用いて、可視光領域の拡散反射率スペクトルを測定した。
<反射防止構造体の拡散反射率、積分透過率及び直線透過率>
反射防止構造体(転写品)について、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光社製V−770)を用いて、可視光領域の拡散反射率、積分透過率及び直線透過率を測定した。
反射防止構造体(転写品)について、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光社製V−770)を用いて、可視光領域の拡散反射率、積分透過率及び直線透過率を測定した。
本発明により得られる微細凹凸構造付き基板は、前記したように、反射防止構造体の製造に使用できる。但し、微細凹凸構造付き基板の用途はこれに限定されるものではなく、例えば、半導体、センサー、太陽電池等の用途に使用可能である。
本発明により得られる反射防止構造体は、ディスプレイ、ショーウィンドゥなどの窓ガラス、展示額縁、各種表示窓、光学レンズ、道路・交通標識や看板を構成する光学材料等の表面における光の反射を防止するために、前記表面に配置することができる。
本発明により得られる反射防止構造体は、ディスプレイ、ショーウィンドゥなどの窓ガラス、展示額縁、各種表示窓、光学レンズ、道路・交通標識や看板を構成する光学材料等の表面における光の反射を防止するために、前記表面に配置することができる。
1 Si系基板
2 微細凹凸構造付き基板
3 ドライエッチングにより形成された孔
2 微細凹凸構造付き基板
3 ドライエッチングにより形成された孔
Claims (2)
- Si系基板に対し、エッチングガスとして下記ガス(A)又は前記ガス(A)と下記希釈ガスとの混合ガスを用い、圧力1.1〜20Pa、バイアス電力密度0.11〜0.49W/cm2の条件でドライエッチングを行う、微細凹凸構造付き基板の製造方法。
ガス(A):Cl2、CCl4及びHClからなる群から選ばれる少なくとも1種。
希釈ガス:Ar、H2及びN2からなる群から選ばれる少なくとも1種。 - 請求項1に記載の微細凹凸構造付き基板の製造方法により微細凹凸構造付き基板を製造し、前記微細凹凸構造付き基板の微細凹凸構造を成形材料に転写する、反射防止構造体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019108001A JP2020202285A (ja) | 2019-06-10 | 2019-06-10 | 微細凹凸構造付き基板の製造方法及び反射防止構造体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2019108001A JP2020202285A (ja) | 2019-06-10 | 2019-06-10 | 微細凹凸構造付き基板の製造方法及び反射防止構造体の製造方法 |
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JP2019108001A Withdrawn JP2020202285A (ja) | 2019-06-10 | 2019-06-10 | 微細凹凸構造付き基板の製造方法及び反射防止構造体の製造方法 |
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- 2019-06-10 JP JP2019108001A patent/JP2020202285A/ja not_active Withdrawn
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