JP2020197569A - エレクトロクロミック素子の駆動方法及びエレクトロクロミック装置、撮像装置 - Google Patents
エレクトロクロミック素子の駆動方法及びエレクトロクロミック装置、撮像装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】エレクトロクロミック素子において、消色応答時間を最短化する最適なフィードバック駆動を安定的に行う。【解決手段】アノード性酸化還元物質とカソード性酸化還元物質とを含有するエレクトロクロミック層を備えたエレクトロクロミック素子において、消色工程において、消色開始時の着色状態の酸化還元物質量に応じた電圧を、着色時とは逆極性で印加することにより、自己消去反応を利用して、消灯応答時間を短縮する。【選択図】図13
Description
本発明はエレクトロクロミック素子の駆動方法、及び、該エレクトロクロミック素子を備えたエレクトロクロミック装置と、該エレクトロクロミック装置を光学フィルタとして備えた撮像装置に関する。
エレクトロクロミック素子は、一対の電極と、その電極間に配置されたエレクトロクロミック層と、を有し、上記一対の電極間に電圧を印加してエレクトロクロミック層に含まれる酸化還元物質を酸化若しくは還元して光学濃度を調整する光学素子である。
近年、撮像素子を用いた動画撮影装置において、光学濃度を無段階に調整できる可変NDフィルタを搭載する要望が高まってきている。酸化還元物質として有機エレクトロクロミック材料を用いたエレクトロクロミック素子は光量調整範囲が広く、また分光透過率設計が比較的容易なことから、上記可変NDフィルタの候補として有望である。
一方で、有機エレクトロクロミック材料を溶媒に溶かした溶液をエレクトロクロミック層とする所謂溶液型エレクトロクロミック素子は、着消色過程においてエレクトロクロミック材料の物質移動を伴う。そのため、拡散の影響が顕著となる消色工程において特に応答時間が遅くなるという課題がある。
特許文献1には、消色工程において時間幅が異なる複数の逆電圧パルスを印加することにより消色応答時間を速くする技術が開示されている。
近年、撮像素子を用いた動画撮影装置において、光学濃度を無段階に調整できる可変NDフィルタを搭載する要望が高まってきている。酸化還元物質として有機エレクトロクロミック材料を用いたエレクトロクロミック素子は光量調整範囲が広く、また分光透過率設計が比較的容易なことから、上記可変NDフィルタの候補として有望である。
一方で、有機エレクトロクロミック材料を溶媒に溶かした溶液をエレクトロクロミック層とする所謂溶液型エレクトロクロミック素子は、着消色過程においてエレクトロクロミック材料の物質移動を伴う。そのため、拡散の影響が顕著となる消色工程において特に応答時間が遅くなるという課題がある。
特許文献1には、消色工程において時間幅が異なる複数の逆電圧パルスを印加することにより消色応答時間を速くする技術が開示されている。
エレクトロクロミック素子の透過率を検知しながら最適な駆動を行う所謂フィードバック駆動は、消色応答時間の短縮化についても有効である。しかしながら、消色工程初期においては、電極表面での速い消色反応(大きな透過率変化)がアノード性/カソード性エレクトロクロミック分子間での消色反応(比較的小さな透過率変化)よりも優勢である。そのため、例えば逆極性のエレクトロクロミック分子を着色形成して分子間同士の消色反応を促進する駆動を行う場合、駆動条件の僅かな違いはエレクトロクロミック素子の透過率変化には反映されず、最適なフィードバック駆動を行うことが難しかった。
また、消色応答時間を最短化する駆動条件は非常に狭い範囲に限定されており、消色工程初期において最適なフィードバック駆動を行うことが困難であった。
特許文献1で開示された技術は、単に逆電圧パルスのパルス幅を徐々に短くする駆動を行うものであり、透過率検知によるフィードバック駆動は行っていない。また、消色工程初期において最適量の逆極性エレクトロクロミック分子を着色形成するという思想は見られない。
本発明の課題は、上記問題点に鑑み、消色応答時間を最短化する最適なフィードバック駆動を安定的に行うことを可能とし、これによって調光性能に優れたエレクトロクロミック装置を提供することを目的とする。
また、消色応答時間を最短化する駆動条件は非常に狭い範囲に限定されており、消色工程初期において最適なフィードバック駆動を行うことが困難であった。
特許文献1で開示された技術は、単に逆電圧パルスのパルス幅を徐々に短くする駆動を行うものであり、透過率検知によるフィードバック駆動は行っていない。また、消色工程初期において最適量の逆極性エレクトロクロミック分子を着色形成するという思想は見られない。
本発明の課題は、上記問題点に鑑み、消色応答時間を最短化する最適なフィードバック駆動を安定的に行うことを可能とし、これによって調光性能に優れたエレクトロクロミック装置を提供することを目的とする。
本発明の第一は、一対の電極と、前記一対の電極間に配置されたエレクトロクロミック層と、を備え、前記エレクトロクロミック層がアノード性酸化還元物質とカソード性酸化還元物質とを含有するエレクトロクロミック素子と、
前記エレクトロクロミック素子の光透過率を検知する透過率検知部と、
前記透過率検知部で検出した光透過率に基づき、前記エレクトロクロミック素子の駆動条件を決定するシステム制御部と、
前記システム制御部の指令に基づき、前記エレクトロクロミック素子を駆動する駆動制御部と、を備えたエレクトロクロミック装置における前記エレクトロクロミック素子の駆動方法であって、
前記エレクトロクロミック素子の消色工程は、少なくとも第一消色区間と第二消色区間とを有し、前記第一消色区間は消色開始時から前記エレクトロクロミック素子の光学濃度が消色開始時の2/3となると予測される時間までであり、
前記第一消色区間においては、消色開始時の着色状態の酸化還元物質量に応じた電圧を、着色時とは逆極性で前記エレクトロクロミック素子に印加することを特徴とする。
本発明の第二は、一対の電極と、前記一対の電極間に配置されたエレクトロクロミック層と、を備え、前記エレクトロクロミック層がアノード性酸化還元物質とカソード性酸化還元物質とを含有するエレクトロクロミック素子と、
前記エレクトロクロミック素子の光透過率を検知する透過率検知部と、
前記透過率検知部で検出した光透過率に基づき、前記エレクトロクロミック素子の駆動条件を決定するシステム制御部と、
前記システム制御部の指令に基づき、前記エレクトロクロミック素子を駆動する駆動制御部と、を備えたエレクトロクロミック装置であり、
前記駆動制御部は、前記エレクトロクロミック素子をフィードバック駆動すると同時に、上記本発明の第一のエレクトロクロミック素子の駆動方法によって、前記エレクトロクロミック素子の消色駆動を行うことを特徴とする。
本発明の第三は、複数のレンズを有する光学系と、前記光学系を通過した光を受光する撮像素子と、前記撮像素子の受光側に配置されている光学フィルタと、を有する撮像装置であって、
前記光学フィルタは、上記本発明の第二のエレクトロクロミック装置であることを特徴とする。
前記エレクトロクロミック素子の光透過率を検知する透過率検知部と、
前記透過率検知部で検出した光透過率に基づき、前記エレクトロクロミック素子の駆動条件を決定するシステム制御部と、
前記システム制御部の指令に基づき、前記エレクトロクロミック素子を駆動する駆動制御部と、を備えたエレクトロクロミック装置における前記エレクトロクロミック素子の駆動方法であって、
前記エレクトロクロミック素子の消色工程は、少なくとも第一消色区間と第二消色区間とを有し、前記第一消色区間は消色開始時から前記エレクトロクロミック素子の光学濃度が消色開始時の2/3となると予測される時間までであり、
前記第一消色区間においては、消色開始時の着色状態の酸化還元物質量に応じた電圧を、着色時とは逆極性で前記エレクトロクロミック素子に印加することを特徴とする。
本発明の第二は、一対の電極と、前記一対の電極間に配置されたエレクトロクロミック層と、を備え、前記エレクトロクロミック層がアノード性酸化還元物質とカソード性酸化還元物質とを含有するエレクトロクロミック素子と、
前記エレクトロクロミック素子の光透過率を検知する透過率検知部と、
前記透過率検知部で検出した光透過率に基づき、前記エレクトロクロミック素子の駆動条件を決定するシステム制御部と、
前記システム制御部の指令に基づき、前記エレクトロクロミック素子を駆動する駆動制御部と、を備えたエレクトロクロミック装置であり、
前記駆動制御部は、前記エレクトロクロミック素子をフィードバック駆動すると同時に、上記本発明の第一のエレクトロクロミック素子の駆動方法によって、前記エレクトロクロミック素子の消色駆動を行うことを特徴とする。
本発明の第三は、複数のレンズを有する光学系と、前記光学系を通過した光を受光する撮像素子と、前記撮像素子の受光側に配置されている光学フィルタと、を有する撮像装置であって、
前記光学フィルタは、上記本発明の第二のエレクトロクロミック装置であることを特徴とする。
本発明によれば、消色工程において、消色応答時間を最短化する最適なフィードバック駆動を安定的に行うことが可能であり、これによって調光性能に優れたエレクトロクロミック装置を提供することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明に係るエレクトロクロミック装置(EC装置)の構成について、好適な実施形態を例示的に詳しく説明する。但し、この実施形態に記載されている構成、及び相対配置等は特に記載がない限り、本発明の範囲を限定するものではない。
[エレクトロクロミック装置]
図1(a)は、本発明のEC装置の一例の構成を示すブロック図である。EC装置10は、エレクトロクロミック素子(EC素子)1、透過率検知部11、システム制御部12、駆動制御部13を有している。
EC素子1の光透過率を検出する透過率検知部11は、例えば発光素子と受光素子とからなる構成を好ましく用いることができる。発光素子は所定の波長の光を所定の強度でエレクトロクロミック素子1に向けて出射し、受光素子はエレクトロクロミック素子1を通過した当該所定の波長の光を受光して、受光した光の強度を電流値、若しくは電圧値としてシステム制御部12に出力する。
システム制御部12では、透過率検知部11から受信したエレクトロクロミック素子1の光透過率情報をもとに駆動条件が決定され、これを駆動制御部13に指令として出力する。駆動制御部13では、前記指令を受け取り、システム制御部12が決定した駆動条件に従ってエレクトロクロミック素子1の光透過率を制御した駆動を行う。
図1(a)は、本発明のEC装置の一例の構成を示すブロック図である。EC装置10は、エレクトロクロミック素子(EC素子)1、透過率検知部11、システム制御部12、駆動制御部13を有している。
EC素子1の光透過率を検出する透過率検知部11は、例えば発光素子と受光素子とからなる構成を好ましく用いることができる。発光素子は所定の波長の光を所定の強度でエレクトロクロミック素子1に向けて出射し、受光素子はエレクトロクロミック素子1を通過した当該所定の波長の光を受光して、受光した光の強度を電流値、若しくは電圧値としてシステム制御部12に出力する。
システム制御部12では、透過率検知部11から受信したエレクトロクロミック素子1の光透過率情報をもとに駆動条件が決定され、これを駆動制御部13に指令として出力する。駆動制御部13では、前記指令を受け取り、システム制御部12が決定した駆動条件に従ってエレクトロクロミック素子1の光透過率を制御した駆動を行う。
[エレクトロクロミック素子]
図2は、EC素子の基本構成を示す厚さ方向の断面模式図である。EC素子1は、一対のガラス基板2a,2b、一対の透明な電極3a,3b、この一対の電極3a,3bの間に配置されているエレクトロクロミック層(EC層)5を有する。電極3a,3bは、所定の距離を介してシール4によって互いに貼合され、電極3a,3b間と、シール4とで画定された空間にエレクトロクロミック化合物(EC化合物)を有するEC層5が配置される。EC層5は蒸着法等で形成された固体層であっても、電解質溶液にEC化合物を溶解させた溶液層であってもよい。
図2は、EC素子の基本構成を示す厚さ方向の断面模式図である。EC素子1は、一対のガラス基板2a,2b、一対の透明な電極3a,3b、この一対の電極3a,3bの間に配置されているエレクトロクロミック層(EC層)5を有する。電極3a,3bは、所定の距離を介してシール4によって互いに貼合され、電極3a,3b間と、シール4とで画定された空間にエレクトロクロミック化合物(EC化合物)を有するEC層5が配置される。EC層5は蒸着法等で形成された固体層であっても、電解質溶液にEC化合物を溶解させた溶液層であってもよい。
EC層5は、アノード性酸化還元物質とカソード性酸化還元物質とを含んでいる。本発明において、酸化還元物質とは、所定の電位範囲において、繰り返し酸化還元反応を起こすことが可能な化合物である。酸化還元物質には、無機化合物も有機化合物も含まれるが、本発明においては特に制限なく両者を使用することができる。ここでアノード性酸化還元物質(アノード性化合物)とは、通常、素子を駆動させていない状態では還元状態であるが、素子を駆動(特に着色)させた状態では酸化状態となる物質をいう。また、カソード性酸化還元物質(カソード性化合物)とは、通常、素子を駆動させていない状態では酸化状態であるが、素子を駆動(特に着色)させた状態では還元状態となる物質をいう。
EC化合物は、酸化還元物質の一種であり、酸化還元反応により、EC素子の対象とする光波長領域において光吸収特性が変化する物質である。ここでいう光吸収特性とは、代表的には、光吸収状態と光透過状態とであり、EC化合物は、典型的には光吸収状態と光透過状態とが切り替わる材料である。
EC層5は、上記したように、アノード性化合物とカソード性化合物とを含んでいると同時に、EC化合物を含んでいる。EC化合物は上記アノード性化合物、カソード性化合物のいずれか一方、或いは両方でも良い。尚、以下の説明においては、アノード性化合物であるEC化合物をアノード性EC化合物、カソード性化合物であるEC化合物についてはカソード性EC化合物と記載する。アノード性化合物、カソード性化合物と記載した場合には、EC化合物とEC化合物でない酸化還元物質とを含む。よって、EC層5は、基本的に、アノード性EC化合物とEC化合物ではないカソード性化合物、EC化合物ではないアノード性化合物とカソード性EC化合物、アノード性EC化合物とカソード性EC化合物、のいずれかの組み合わせで構成すればよい。
アノード性化合物、アノード性化合物はそれぞれ一種でも二種以上を含んでいてもよい。EC化合物は有機化合物であっても無機化合物であってもよく、アノード性EC化合物は透明状態から酸化反応によって着色し、カソード性EC化合物は、透明状態から還元反応によって着色する。特に有機化合物を用いる場合は、アノード性有機化合物とカソード性有機化合物とを共に用いると、電流に対する着色効率が高くなり好ましい。
尚、アノード性EC化合物とカソード性EC化合物の双方を有するEC素子は、相補型EC素子と呼ばれ、アノード性EC化合物とカソード性EC化合物のいずれか一方のみを有するEC素子は単極型EC素子と呼ばれる。
尚、アノード性EC化合物とカソード性EC化合物の双方を有するEC素子は、相補型EC素子と呼ばれ、アノード性EC化合物とカソード性EC化合物のいずれか一方のみを有するEC素子は単極型EC素子と呼ばれる。
相補型EC素子を駆動させた場合、一方の電極では酸化反応によってEC化合物から電子が引き抜かれ、他方の電極では還元反応によってEC化合物が電子を受け取っている。酸化反応によって中性分子からラジカルカチオンを生成してもよい。また、還元反応によって中性分子からラジカルアニオンを生成しても、ジカチオン分子からラジカルカチオンを生成してもよい。一対の電極の双方においてEC化合物が着色するため、着色時に大きな光学濃度変化を必要とする場合には相補型EC素子が好ましい。
一方、単極型EC素子は、相補型EC素子に比べて消費電力を抑えることができるため好ましい。これは、相補型EC素子では着色したアノード性EC化合物と着色したカソード性EC化合物が電子をやり取りする自己消去反応があり、着色状態を維持するために大きな電流が必要となるためである。
本発明においては、上記自己消去反応を消色工程において積極的に利用するため、アノード性化合物とカソード性化合物の双方を有するEC素子である。本発明においては、アノード性化合物とカソード性化合物の双方がEC化合物である必要はないが、着色時の大きな光学濃度変化が得られる上で、双方がEC化合物であることが好ましい。
一方、単極型EC素子は、相補型EC素子に比べて消費電力を抑えることができるため好ましい。これは、相補型EC素子では着色したアノード性EC化合物と着色したカソード性EC化合物が電子をやり取りする自己消去反応があり、着色状態を維持するために大きな電流が必要となるためである。
本発明においては、上記自己消去反応を消色工程において積極的に利用するため、アノード性化合物とカソード性化合物の双方を有するEC素子である。本発明においては、アノード性化合物とカソード性化合物の双方がEC化合物である必要はないが、着色時の大きな光学濃度変化が得られる上で、双方がEC化合物であることが好ましい。
EC化合物が無機化合物である場合は、EC層と、一対の電極の内の少なくとも一方と、の間に電解質層を有してよい。一方、EC化合物が有機化合物である場合は、無機化合物の場合と同様に電解質層を有しても、有機化合物とともに電解質溶液を有してもよい。
有機EC化合物は、ポリチオフェンやポリアニリン等の導電性高分子、ビオロゲン系化合物、アントラキノン系化合物、オリゴチオフェン誘導体、フェナジン誘導体等の有機低分子化合物等挙げられる。無機EC化合物としては、NiOxやWO3等の金属酸化物材料が挙げられる。
有機EC化合物は、ポリチオフェンやポリアニリン等の導電性高分子、ビオロゲン系化合物、アントラキノン系化合物、オリゴチオフェン誘導体、フェナジン誘導体等の有機低分子化合物等挙げられる。無機EC化合物としては、NiOxやWO3等の金属酸化物材料が挙げられる。
EC層5は、電解質を含む電解質層とEC化合物を含む層との積層構成であってもよい。EC層5が複数種のEC化合物を含有する場合は、EC化合物の酸化還元電位の差が小さいことが好ましい。複数種類のEC化合物を有する場合は、アノード性EC化合物とカソード性EC化合物とを合わせて4種類以上のEC化合物を有してもよい。
複数種類のEC化合物を有する場合、複数のアノード材料の酸化還元電位は60mV以内であってよく、複数のカソード材料の酸化還元電位は60mV以内であってよい。
複数種類のEC化合物を有する場合、複数種類のEC化合物は、400nm以上500nm以下に吸収ピークを有する化合物と、500nm以上650nm以下に吸収ピークを有する化合物と、650nm以上に吸収ピークを有する化合物を含んでよい。吸収ピークは半値幅が20nm以上のものを指す。また、光を吸収する場合の材料の状態は酸化状態であっても、還元状態であっても、中性状態であってもよい。
複数種類のEC化合物を有する場合、複数のアノード材料の酸化還元電位は60mV以内であってよく、複数のカソード材料の酸化還元電位は60mV以内であってよい。
複数種類のEC化合物を有する場合、複数種類のEC化合物は、400nm以上500nm以下に吸収ピークを有する化合物と、500nm以上650nm以下に吸収ピークを有する化合物と、650nm以上に吸収ピークを有する化合物を含んでよい。吸収ピークは半値幅が20nm以上のものを指す。また、光を吸収する場合の材料の状態は酸化状態であっても、還元状態であっても、中性状態であってもよい。
EC層5に含まれていてもよい電解質としては、イオン解離性の塩であり、且つ溶媒に対して良好な溶解性、固体電解質においては高い相溶性を示すものであれば限定されない。中でも電子供与性を有する電解質が好ましい。これら電解質は、支持電解質と呼ぶこともできる。
電解質としては、例えば、各種のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩や4級アンモニウム塩や環状4級アンモニウム塩等が挙げられる。
具体的にはLiClO4、LiSCN、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiPF6、LiI、NaI、NaSCN、NaClO4、NaBF4、NaAsF6、KSCN、KCl等のLi、Na、Kのアルカリ金属塩等や、(CH3)4NBF4、(C2H5)4NBF4、(n−C4H9)4NBF4、(n−C4H9)4NPF6、(C2H5)4NBr、(C2H5)4NClO4、(n−C4H9)4NClO4等の4級アンモニウム塩及び環状4級アンモニウム塩等が挙げられる。
電解質としては、例えば、各種のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩や4級アンモニウム塩や環状4級アンモニウム塩等が挙げられる。
具体的にはLiClO4、LiSCN、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiPF6、LiI、NaI、NaSCN、NaClO4、NaBF4、NaAsF6、KSCN、KCl等のLi、Na、Kのアルカリ金属塩等や、(CH3)4NBF4、(C2H5)4NBF4、(n−C4H9)4NBF4、(n−C4H9)4NPF6、(C2H5)4NBr、(C2H5)4NClO4、(n−C4H9)4NClO4等の4級アンモニウム塩及び環状4級アンモニウム塩等が挙げられる。
EC化合物及び電解質を溶かす溶媒としては、EC化合物や電解質を溶解できるものであれば特に限定されないが、特に極性を有するものが好ましい。
具体的には水や、メタノール、エタノール、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、プロピオンニトリル、3−メトキシプロピオンニトリル、ベンゾニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジオキソラン等の有機極性溶媒が挙げられる。
具体的には水や、メタノール、エタノール、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、プロピオンニトリル、3−メトキシプロピオンニトリル、ベンゾニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジオキソラン等の有機極性溶媒が挙げられる。
上記EC層5は、さらにポリマーマトリックスやゲル化剤を含有させてもよい。この場合、EC層5は粘稠性が高い液体となり、場合によってはゲル状となる。
上記ポリマーとしては、例えばポリアクリロニトリル、カルボキシメチルセルロース、プルラン系ポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリエステル、ナフィオン(登録商標)等が挙げられ、PMMAが好ましく用いられる。
上記ポリマーとしては、例えばポリアクリロニトリル、カルボキシメチルセルロース、プルラン系ポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリエステル、ナフィオン(登録商標)等が挙げられ、PMMAが好ましく用いられる。
次に、ガラス基板2a,2b、電極3a,3bについて説明する。ガラス基板2a,2bとしては、無色或いは有色ガラス、強化ガラス等が用いられる。これらガラス材としては、「Corning#7059」や「BK−7」等の光学ガラス基板を好適に使用することができる。さらに、ガラス基板2a,2bは剛性が高く歪みを生じることが少ない材料が好ましい。尚、本実施形態において、透明とは可視光透過率が50%以上の光透過率であることを示す。
本発明に係るEC素子1は、消色状態で高い光透過率を有することが好ましいため、電極3a,3bは、例えば、酸化インジウムスズ合金(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(NESA)、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸の錯体(PEDOT:PSS)、グラフェン等の透明材料が好ましく用いられる。これらはバルク状、微粒子状等様々な形態で使用できる。尚、これらの電極は、単独で使用してもよく、或いは複数組み合わせて使用してもよい。
シール4としては、化学的に安定で、気体及び液体を透過せず、EC層5に含まれる酸化還元物質の酸化還元反応を阻害しない材料であることが好ましい。具体的には、例えば、ガラスフリット等の無機材料、エポキシ樹脂等の有機材料、金属材料等が挙げられる。
本発明に係るEC素子1は、スペーサーを有してもよい。スペーサーは電極3a,3b間の距離を規定する機能を有する。スペーサーの機能は、シール材4が有してもよい。スペーサーとしては、シリカビーズ、ガラスファイバー等の無機材料や、ポリジビニルベンゼン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム、エポキシ樹脂等の有機材料で構成されてよい。
本実施形態に係るEC素子1の形成方法は、一対の電極基板の間に設けた間隙に、真空注入法、大気注入法、メニスカス法等によって予め調製したEC化合物を含有する液体を注入する方法が挙げられる。
[エレクトロクロミック素子の駆動方法]
図2は、本発明に係るEC素子に印加する電圧の波形の一例を示した図である。図2に示す電圧は、一定の電圧値及び一定のパルス幅の電圧パルスが一定の周期で繰り返されるパルス電圧である。着色工程においては、電圧波高値Edr[V]の電圧パルスがEC素子に印加される。EC素子の光透過率はこの電圧パルスのパルス幅によって制御することが可能である。また、着色状態のEC化合物量は、予め取得しておいたEC化合物の着色効率η[C-1]とEC素子の光透過率(光学濃度ΔOD)とから、ΔOD/ηなる電荷量Q0[C]として正確に推定することが可能である。
図2は、本発明に係るEC素子に印加する電圧の波形の一例を示した図である。図2に示す電圧は、一定の電圧値及び一定のパルス幅の電圧パルスが一定の周期で繰り返されるパルス電圧である。着色工程においては、電圧波高値Edr[V]の電圧パルスがEC素子に印加される。EC素子の光透過率はこの電圧パルスのパルス幅によって制御することが可能である。また、着色状態のEC化合物量は、予め取得しておいたEC化合物の着色効率η[C-1]とEC素子の光透過率(光学濃度ΔOD)とから、ΔOD/ηなる電荷量Q0[C]として正確に推定することが可能である。
消色工程においては、電圧波高値Erev[V]の電圧パルスが着色時の印加電圧から極性を反転させてEC素子に印加される。これは、それぞれの電極近傍において、着色しているEC化合物とは逆極性の酸化還元物質を生成させることによって、極性が異なる分子間同士の消色反応を促進するために行われる。
着色工程において、一方の極性の電圧を印加することにより、一対の電極のアノード側ではアノード性化合物が酸化され、カソード側ではカソード性化合物が還元され、それぞれEC化合物の場合は着色する。この状態から消色工程において着色工程とは逆極性の電圧を印加すると、着色工程でアノードだった電極はカソードとなり、該電極近傍ではカソード性化合物が還元される。同時に、着色工程でカソードだった電極は消色工程でアノードとなり、該電極近傍ではアノード性化合物が酸化される。よって、消色工程においては、着色工程とは逆極性の酸化還元物質がそれぞれの電極近傍で生成し、着色工程で極性化していた酸化還元物質との間で消色反応を生じる。その結果、EC素子全体では、電圧の印加を停止しただけの状態よりも速く、消色が進行することになる。
着色工程、消色工程はいずれも駆動条件が異なる複数の区間からなり、光透過率のフィードバック駆動が行われる。即ち、図1に示した透過率検知部11においてEC素子1の光透過率を検知し、検知された光透過率に基づき、システム制御部12においてEC素子1に印加する電圧値やパルス幅を補正し、補正された条件で駆動制御部13がEC素子1を駆動する。よって、着色工程、消色工程のいずれにおいても、一対の電極間に印加される電圧値、パルス幅はフィードバックされて最適な条件に設定される。
消色工程は、少なくとも第一消色区間と第二消色区間とを有し、必要に応じて第三以降の消色区間を有する。第一消色区間において、着色状態のEC化合物量Q0[C]に応じた逆極性の酸化還元物質が生成される。
第一消色区間において生成される逆極性の酸化還元物質量の極小値Q1[C]は、
Q1=Q0×(−a×(lnQ0)+b) (1)
と決定することができる。ここで、a,bはEC材料で決まる定数のパラメータであり、予め数値を取得しておくことが可能である。
Q1=Q0×(−a×(lnQ0)+b) (1)
と決定することができる。ここで、a,bはEC材料で決まる定数のパラメータであり、予め数値を取得しておくことが可能である。
また、第一消色区間は、消色開始時から光学濃度が着色状態の2/3となると予測される時間までの区間として定義される。ここで、第一消色区間のみ上記の駆動を行う理由は、消色工程初期においては電極表面での速い消色反応がアノード性/カソード性化合物間同士の消色反応よりも優勢であるからである。そのため、駆動条件の僅かな違いはEC素子の光透過率変化には反映されず、最適な駆動を行うことができないためである。
図3は、EC素子の着色状態を5段階に設定した場合の、光学濃度が最も高い5段着色と最も低い1段着色の後に、一対の電極を短絡して接地する消色駆動を行った時のEC素子の光学濃度の時間変化を各光学濃度値で規格化して示したグラフである。着色段数が1段でも5段でも、消色時の時間変化は略同一であり、係る傾向は着色段数が2,3,4段でも同様であった。よって、消色開始時から光学濃度が着色状態の2/3となる時間までの区間として定義された上記第一消色区間は、着色段数に依存しない明確に定義された量であることがわかる。尚、特にこの時、第一消色区間は0.1secとなっている。
図4は、EC素子を1乃至5段着色した後、第一消色区間に生成させる逆極性の酸化還元物質量Qを変えた時の消色応答時間τ99とQの関係を示したグラフである。ここで、消色応答時間τ99は、着色状態からEC素子の初期の光透過率の99%まで戻る時間として定義される。各着色段数について、消色応答時間τ99は逆極性の酸化還元物質量Qに関して極小値を持っており、極小値となるQ1を選べば消色応答時間を最短化することが可能である。即ち、上記した式(1)で示されるQ1である。
図5は、EC素子について、消色応答時間の極小値をとるQ1と着色状態のEC化合物量Q0の比を、Q0に関して示したグラフである。これから、Q1とQ0は、上記式(1)、即ち、Q1=Q0×(−a×(lnQ0)+b)なる関係があり、消色応答時間を最短にする、逆極性の酸化還元物質量の極小値Q1は、着色状態のEC化合物量Q0から一意に決めることができることがわかる。特にここでは、a=0.1、b=0.6となっている。
また、後述する実施例で示されるように、実際に駆動する際の許容範囲は、極小値であるQ1に対して、10%である。即ち、第一消去区間において、逆極性の電圧を印加して生成される着色状態のEC化合物とは逆極性の酸化還元物質量Qは、
0.9×Q1≦Q≦1.1×Q1 (2)
であることが好ましい。
0.9×Q1≦Q≦1.1×Q1 (2)
であることが好ましい。
以上述べたように、本発明のEC装置においては、第一消色区間において、着色時の印加電圧と逆極性の電圧パルスを印加して、それぞれの電極近傍において着色状態のEC化合物量に応じた逆極性の酸化還元物質を生成させる。これによって、互いに逆極性の酸化還元物質同士での消色反応が進行し、消色応答時間を最短化する最適な駆動を行うことが可能となる。
尚、第二消色区間においては、第一消色区間の終了時の光学濃度の2/3となるまで、第一消色区間と同じ極性、即ち着色時とは逆極性の電圧を印加すればよい。具体的には、第一消色区間で印加した電圧パルスと同じ電圧値でパルス幅の狭い電圧パルスを、同じ周期で印加することにより、第一消色区間と同様の消色工程を実施すればよい。さらに、第三以降の消色区間においては、第一及び第二の消色区間と同様の関係で消色工程を実施すればよい。尚、第二消色区間以降は、EC素子が実質的に透明なった時点で消色工程を終了すればよい。具体的には、着色前のEC素子の初期の光透過率を100%として、着色後の消色工程で光透過率が99%に到達した時点を消色が完了した時点として消色工程を終了すればよい。
[撮像装置]
本発明のEC装置は、撮像装置の可変NDフィルタとして好ましく用いられる。図14は、本発明のEC装置を用いた撮像装置の一実施形態の構成を模式的に示す図であり、光学系の光軸Fを含む断面模式図である。
本発明のEC装置は、撮像装置の可変NDフィルタとして好ましく用いられる。図14は、本発明のEC装置を用いた撮像装置の一実施形態の構成を模式的に示す図であり、光学系の光軸Fを含む断面模式図である。
図13の撮像装置は、光学系としてレンズユニット22と、撮像ユニット23と、を有し、レンズユニット22はマウント部材(不図示)を介して撮像ユニット23に着脱可能に接続されている。本例では、撮像ユニット23内に本発明のEC装置が光学フィルタとして用いられている。
レンズユニット22は、複数のレンズ或いはレンズ群を有するユニットであり、後述の開口絞り28より撮像素子30側でフォーカシングを行うリアフォーカス式のズームレンズである。
レンズユニット22は、複数のレンズ或いはレンズ群を有するユニットであり、後述の開口絞り28より撮像素子30側でフォーカシングを行うリアフォーカス式のズームレンズである。
レンズユニット22は、レンズ群と、開口絞り28を有する。撮像対象側より順に正の屈折力の第1のレンズ群24、負の屈折力の第2のレンズ群25、正の屈折力の第3のレンズ群26、正の屈折力の第4のレンズ群27、の4つのレンズ群を有し、第2のレンズ群25と第3のレンズ群26と、の間に開口絞り28を有する。第2のレンズ群25と第3群のレンズ群26との間隔を変化させて変倍を行い、第4のレンズ群27の一部のレンズ群を移動させてフォーカスを行う。レンズユニット22、EC素子1を通過した光が撮像素子30に受光されるよう、各部材が配置されている。撮像素子が受光する光の光量は開口絞り28及びEC素子1を用いて調整される。撮像ユニット23は、ガラスブロック29と、撮像素子30と、を有する。ガラスブロック29と撮像素子30との間にEC素子1が配置されている。ガラスブロック29はローパスフィルタやフェースプレートや色フィルタ等のガラスブロックである。
撮像素子30は、レンズユニット22を通過した光を受光するセンサ部であって、CCDやCMOS等の撮像素子を使用できる。また、フォトダイオードのような光センサであってもよく、光の強度或いは波長の情報を取得し出力するものを適宜利用可能である。
図13ではEC素子1が撮像ユニット23内のガラスブロック29と撮像素子30との間に配置された例を示したが、撮像装置内におけるEC素子1の位置はこの配置に限定されるものではない。EC素子1は、撮像素子30の受光側に配置されていればよく、例えば第2のレンズ群25と第3のレンズ群26との間に配置されてもよく、レンズユニット22の外側に配置されていてもよい。EC素子1を入射光束が小さくなる位置に配置した場合、面積を小さくすることができるので好ましい。
レンズユニット22の構成も適宜選択可能であり、リアフォーカス式や、開口絞り28より前でフォーカシングを行うインナーフォーカス式、或いはその他の方式であってもよい。また、ズームレンズ以外にも魚眼レンズやマクロレンズ等の特殊レンズも適宜選択可能である。
このような撮像装置は、光量調整と撮像素子の組合せを有する製品等が挙げられ、例えば、カメラ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話やスマートフォン、PC、タブレット等の撮像部位であってもよい。
(実施例1、比較例1)
電解質として過塩素酸テトラブチルアンモニウムを0.1Mの濃度で炭酸プロピレンに溶解させ、次いでフェナジン化合物とビオロゲン化合物とを40.0mMの濃度でそれぞれ溶解させ、EC媒体を得た。フェナジン化合物はアノード性EC化合物であり、ビオロゲン化合物はカソード性EC化合物である。
次いで一対の透明導電膜(ITO)付きのガラス基板の四方の端部に絶縁層(SiO2)を形成した。基板間隔を規定するPETフィルム(帝人デュポンフィルム社製メリネックスS(登録商標)、125μm厚)を一対の透明電極膜付きガラス基板の間に配置した。その後、EC媒体注入用の注入口を残してエポキシ系接着剤により基板と、PETフィルムを接着し、封止した。以上のように、注入口付き空セルを作製した。
次に前述の注入口より、上記EC媒体を真空注入法により注入後、注入口をエポキシ系接着剤により封止し、EC素子とした。
電解質として過塩素酸テトラブチルアンモニウムを0.1Mの濃度で炭酸プロピレンに溶解させ、次いでフェナジン化合物とビオロゲン化合物とを40.0mMの濃度でそれぞれ溶解させ、EC媒体を得た。フェナジン化合物はアノード性EC化合物であり、ビオロゲン化合物はカソード性EC化合物である。
次いで一対の透明導電膜(ITO)付きのガラス基板の四方の端部に絶縁層(SiO2)を形成した。基板間隔を規定するPETフィルム(帝人デュポンフィルム社製メリネックスS(登録商標)、125μm厚)を一対の透明電極膜付きガラス基板の間に配置した。その後、EC媒体注入用の注入口を残してエポキシ系接着剤により基板と、PETフィルムを接着し、封止した。以上のように、注入口付き空セルを作製した。
次に前述の注入口より、上記EC媒体を真空注入法により注入後、注入口をエポキシ系接着剤により封止し、EC素子とした。
上記EC素子を1乃至5段着色した時に、第一消色区間に生成させる逆極性の酸化還元物質量Qを前記式(1)から計算されるQ1として、該Qに基づく逆極性の電圧パルスをEC素子が消色するまで連続して印加し、EC素子の光透過率の変化を観察した。
図6は、上記Q1とEC素子の光透過率の時間変化を示すグラフである。図中の実線は、Q1に基づいて逆電圧を印加した実施例1、破線は逆電圧を印加せず、一対の電極を短絡して0Vとして消色した比較例1である。
表1には、この時の着色状態のEC化合物量Q0、第一消色区間に生成(着色)させた逆極性の酸化還元物質量Q1、消色開始時からEC素子の光透過率が初期の光透過率の99%に到達するまでの消色応答時間τ99をそれぞれ示した。本発明の駆動方法によれば、一対の電極を短絡して0Vとする従来の0V消色駆動と比較して、約半分まで消色時間を短縮できていることがわかる。
(実施例2、比較例2)
実施例1で作製したEC素子を5段着色した後、第一消色区間に着色形成する逆極性の酸化還元物質量Qを振って、該Qに基づく逆極性の電圧パルスを連続して印加した。表2に、前記式(1)で求められる逆極性のEC化合物量の極小値Q1と、本例で振った逆極性の酸化還元物質量Qとの比(Q/Q1)、及び消色応答時間τ99の数値をそれぞれ示した。消色応答時間τ99は、消色開始時からEC素子の光透過率が初期の光透過率の99%に到達するまでの時間である。また、図7に、消色応答時間τ99と、Q/Q1との関係を、図8にこの時のEC素子の光透過率Tの時間変化を示した。尚、本例において、Q0=26.0mC、Q1=7.8mCである。
実施例1で作製したEC素子を5段着色した後、第一消色区間に着色形成する逆極性の酸化還元物質量Qを振って、該Qに基づく逆極性の電圧パルスを連続して印加した。表2に、前記式(1)で求められる逆極性のEC化合物量の極小値Q1と、本例で振った逆極性の酸化還元物質量Qとの比(Q/Q1)、及び消色応答時間τ99の数値をそれぞれ示した。消色応答時間τ99は、消色開始時からEC素子の光透過率が初期の光透過率の99%に到達するまでの時間である。また、図7に、消色応答時間τ99と、Q/Q1との関係を、図8にこの時のEC素子の光透過率Tの時間変化を示した。尚、本例において、Q0=26.0mC、Q1=7.8mCである。
実施例2−1乃至2−3においては、Q/Q1は0.9乃至1.1、即ちQ1に対するQとQ1の差が±10%の範囲にある。よって、消色応答時間τ99は実施例1で示したτ99の極小値0.92secの150%(1.38sec)以下の範囲内にあり、好ましい駆動条件である。
一方、比較例2−1乃至2−2においては、Q/Q1はそれぞれ0.9未満、1.1超、即ちQ1に対するQとQ1との差が±10%を超える範囲にある。よって、消色応答時間τ99は実施例1で示した極小値0.92secの150%(1.38sec)以上となっている。消色応答時間がこの程度まで大きくなってしまうと、従来の消色駆動(0V消色駆動)を行った時の消色応答時間と大差なくなってしまうため、駆動条件としては好ましくない。
(実施例3、比較例3)
実施例1で作製したEC素子を3段着色した後、第一消色区間に着色形成する逆極性の酸化還元物質量Qを振って、該Qに基づく逆極性の電圧パルスをEC素子が消色するまで連続して印加した。表3に、前記式(1)で求められる逆極性のEC化合物の極小値Q1と、本例で振った逆極性の酸化還元物質量Qとの比(Q/Q1)、及び消色応答時間τ99の数値をそれぞれ示した。消色応答時間τ99は、消色開始時からEC素子の光透過率が初期の光透過率の99%に到達するまでの時間である。また、図9に、消色応答時間τ99と、Q/Q1との関係を、図10にこの時のEC素子の光透過率Tの時間変化を示した。尚、本例において、Q0=15.9mC、Q1=5.5mCである。
実施例1で作製したEC素子を3段着色した後、第一消色区間に着色形成する逆極性の酸化還元物質量Qを振って、該Qに基づく逆極性の電圧パルスをEC素子が消色するまで連続して印加した。表3に、前記式(1)で求められる逆極性のEC化合物の極小値Q1と、本例で振った逆極性の酸化還元物質量Qとの比(Q/Q1)、及び消色応答時間τ99の数値をそれぞれ示した。消色応答時間τ99は、消色開始時からEC素子の光透過率が初期の光透過率の99%に到達するまでの時間である。また、図9に、消色応答時間τ99と、Q/Q1との関係を、図10にこの時のEC素子の光透過率Tの時間変化を示した。尚、本例において、Q0=15.9mC、Q1=5.5mCである。
実施例3−1、3−2においては、Q/Q1は0.9乃至1.1、即ちQ1に対するQとQ1との差が±10%の範囲にある。よって、消色応答時間τ99は実施例1で示したτ99の極小値0.83secの150%(1.25sec)以下の範囲内にあり、好ましい駆動条件である。
一方、比較例3−1、3−2においては、Q/Q1はそれぞれ0.9未満、1.1超、即ちQ1に対するQとQ1の差が±10%を超える範囲にある。よって、消色応答時間τ99は実施例1で示した極小値0.83secの150%(1.25sec)以上となっている。消色応答時間がこの程度まで大きくなってしまうと、従来の消色駆動(0V消色駆動)を行った時の消色応答時間と大差なくなってしまうため、駆動条件としては好ましくない。
(実施例4、比較例4)
実施例1で作製したEC素子を1段着色した後、第一消色区間に着色形成する逆極性の酸化還元物質量Qを振って、該Qに基づく逆極性の電圧パルスをEC素子が消色するまで連続して印加した。表4に、前記式(1)で求められる逆極性のEC化合物の極小値Q1と、本例で振った逆極性の酸化還元物質量Qとの比(Q/Q1)、及び消色応答時間τ99の数値をそれぞれ示した。消色応答時間τ99は、消色開始時からEC素子の光透過率が初期の光透過率の99%に到達するまでの時間である。また、図11に、消色応答時間τ99と、Q/Q1との関係を、図12にこの時のEC素子の光透過率Tの時間変化を示した。尚、本例において、Q0=5.3mC、Q1=2.4mCである。
実施例1で作製したEC素子を1段着色した後、第一消色区間に着色形成する逆極性の酸化還元物質量Qを振って、該Qに基づく逆極性の電圧パルスをEC素子が消色するまで連続して印加した。表4に、前記式(1)で求められる逆極性のEC化合物の極小値Q1と、本例で振った逆極性の酸化還元物質量Qとの比(Q/Q1)、及び消色応答時間τ99の数値をそれぞれ示した。消色応答時間τ99は、消色開始時からEC素子の光透過率が初期の光透過率の99%に到達するまでの時間である。また、図11に、消色応答時間τ99と、Q/Q1との関係を、図12にこの時のEC素子の光透過率Tの時間変化を示した。尚、本例において、Q0=5.3mC、Q1=2.4mCである。
実施例4−1、4−2においては、Q/Q1は0.9乃至1.1、即ちQ1に対するQとQ1との差が±10%の範囲にある。よって、消色応答時間τ99は実施例1で示した極小値0.62secの150%(0.93sec)以下の範囲内にあり、好ましい駆動条件である。
一方、比較例4−1、4−2においては、Q/Q1はそれぞれ0.9未満、1.1超、即ちQ1に対するQとQ1との差が±10%を超える範囲にある。よって、消色応答時間τ99は実施例1で示した極小値0.62secの150%(0.93sec)以上となっている。消色応答時間がこの程度まで大きくなってしまうと、従来の消色駆動(0V消色駆動)を行った時の消色応答時間と大差なくなってしまうため、駆動条件としては好ましくない。
1:エレクトロクロミック素子、3a,3b:電極、5:エレクトロクロミック層(EC層)、10:エレクトロクロミック装置(EC装置)、11:透過率検知部、12:システム制御部、13:駆動制御部、30:撮像素子
Claims (7)
- 一対の電極と、前記一対の電極間に配置されたエレクトロクロミック層と、を備え、前記エレクトロクロミック層がアノード性酸化還元物質とカソード性酸化還元物質とを含有するエレクトロクロミック素子と、
前記エレクトロクロミック素子の光透過率を検知する透過率検知部と、
前記透過率検知部で検出した光透過率に基づき、前記エレクトロクロミック素子の駆動条件を決定するシステム制御部と、
前記システム制御部の指令に基づき、前記エレクトロクロミック素子を駆動する駆動制御部と、を備えたエレクトロクロミック装置における前記エレクトロクロミック素子の駆動方法であって、
前記エレクトロクロミック素子の消色工程は、少なくとも第一消色区間と第二消色区間とを有し、前記第一消色区間は消色開始時から前記エレクトロクロミック素子の光学濃度が消色開始時の2/3となると予測される時間までであり、
前記第一消色区間においては、消色開始時の着色状態の酸化還元物質量に応じた電圧を、着色時とは逆極性で前記エレクトロクロミック素子に印加することを特徴とするエレクトロクロミック素子の駆動方法。 - 前記第一消色区間の消色開始時に着色状態の酸化還元物質量をQ0とした時、前記第一消色区間において、前記エレクトロクロミック素子に逆極性の電圧を印加して生成する逆極性の酸化還元物質量Qは、以下の式で示される関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック素子の駆動方法。
Q1=Q0×(−a×(lnQ0)+b) (1)
0.9×Q1≦Q≦1.1×Q1 (2)
〔上記式(1)において、a,bは定数〕 - 前記消色工程で前記エレクトロクロミック素子に印加される電圧は、一定の電圧値で一定の幅の電圧パルスが一定の周期で繰り返されるパルス電圧であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエレクトロクロミック素子の駆動方法。
- 前記第二消色区間以降の消色区間は、前記第一消色区間で前記エレクトロクロミック素子に印加した電圧を同じ極性で、パルス幅がより狭い電圧パルスを印加することを特徴とする請求項3に記載のエレクトロクロミック素子の駆動方法。
- 前記第二消色区間以降の消色区間に前記エレクトロクロミック素子に印加する電圧は、該当する消色区間の消色開始時の着色状態の酸化還元物質量に応じで設定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子の駆動方法。
- 一対の電極と、前記一対の電極間に配置されたエレクトロクロミック層と、を備え、前記エレクトロクロミック層がアノード性酸化還元物質とカソード性酸化還元物質とを含有するエレクトロクロミック素子と、
前記エレクトロクロミック素子の光透過率を検知する透過率検知部と、
前記透過率検知部で検出した光透過率に基づき、前記エレクトロクロミック素子の駆動条件を決定するシステム制御部と、
前記システム制御部の指令に基づき、前記エレクトロクロミック素子を駆動する駆動制御部と、を備えたエレクトロクロミック装置であり、
前記駆動制御部は、前記エレクトロクロミック素子をフィードバック駆動すると同時に、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子の駆動方法によって、前記エレクトロクロミック素子の消色駆動を行うことを特徴とするエレクトロクロミック装置。 - 複数のレンズを有する光学系と、前記光学系を通過した光を受光する撮像素子と、前記撮像素子の受光側に配置されている光学フィルタと、を有する撮像装置であって、
前記光学フィルタは、請求項6に記載のエレクトロクロミック装置であることを特徴とする撮像装置。
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